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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3501-3600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3501-3600
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MANOWAR - Hail to England ★★★ (2007-06-05 22:07:00)

前作『INTO GLORY RIDE』が、NWOBHMに沸くイギリスで高く評価された事に感謝を捧げてこのアルバム・タイトルになった・・・という実にMANOWARらしいエピソードを持つ、'84年発表の3rdアルバム。
デビュー作『BATTLE HYMNS』のロックンロール路線から、ドラマ性重視のヘヴィ・メタル路線へと舵を切った『INTO~』は、重厚長大で劇的な楽曲がズラリと並んだ力作だったが、その反面、やや力み過ぎたのか、冗長な部分が無きにしも非ずだった。(飽くまでMANOWARにしてはの話で、有象無象のバンドに比べればそのクオリティの高さは驚異的)
その辺の反省点を踏まえて(?)製作された本作は、余分な贅肉が削ぎ落とされた楽曲はソリッドに研ぎ澄まされ、ランニング・タイムは何れも3~4分台と非常にタイト。それでいて大仰なドラマ性は減じるどころか、益々磨き上げられているのだから畏れ入る。
特に、雄々しく力強い①、ライブでは物騒な「DIE!DIE!」の合唱を誘うスラッシーな③、隠し味の女性コーラスが楽曲の持つ荘厳な雰囲気を引き立てる④、そして本編唯一の大作にして、これぞMANOWAR!たるドラマチックな名曲⑦といった楽曲の素晴しさは、本作の白眉。つーか、このアルバムに捨て曲はありません。
また、前2作の大きな弱点だった劣悪なサウンド・プロダクションが大幅に改善されているのもポイントで、未だ十分とまでは行かないまでも、これで漸くスケールの大きな楽曲の魅力が余すところなく伝わるようになった。目出度い。
僅か13日間でレコーディングされた代物とは俄かに信じ難い、初期の傑作の1つ。


MANOWAR - Hail to England - Hail to England ★★★ (2007-06-09 00:42:44)

MANOWARにハマリ始めた当時、3rdアルバムは世界的に廃盤状態だったので、
仕方ないから今は亡き西新宿のDISKLANDで海賊盤を4000円の大枚はたいて購入したのだが、
まぁ板起こし盤ゆえスクラッチ・ノイズが豪快に入ってるのは我慢するにしても、
この名曲を2分ぐらい聴き進んだ所で、いきなり針飛びを起こして、
最後のコーラス部分まで音が飛んでしまうのには参った。
チクショウ、いい加減な録音しやがって!金返せ!
・・・という意味でも思い出の1曲。
後に国内盤が発売されて、改めて聴き直した時には感動しましたね。


MANOWAR - Into Glory Ride ★★★ (2007-06-05 21:53:00)

メンバーがヴァイキングのコスプレをしたアルバム・ジャケットを見ただけで、いよいよMANOWARが本領を発揮し始めたことがよく分かる、'83年発表の2ndアルバム。
前任者とは比較にならないダイナミックなドラミングを披露するスコット・コロンバスの加入により、ロックンロール調の軽いノリが目立ったデビュー作『BATTLE HYMNS』の作風から一転、アルバム全編をヨーロッパ的なダークネスとヘヴィネスが支配する本作は、頭からケツまで、重厚長大、厳粛且つドラマチックな楽曲が次々に繰り出される。
エリック・アダムスのVoも、実力を存分に発揮できるスケールの大きな楽曲を得た事でエネルギー全開。前作ではあまり出番のなかった「ヴィブラートかけまくりの雄々しい歌い上げ」と「豊かな表現力」をフル活用して、起伏に富んだメロディを見事に歌いこなすその歌唱は、まさに圧巻としか。特に、悲壮感を伴って大きくうねる②、メタル魂を鼓舞される高揚感に満ちた③、雄大で幻想的な④、劇的な疾走感に思わず背筋が伸びる⑥、アルバム随一のスケールの大きさを誇る⑦といった楽曲は、曲自体のクオリティの高さがエリックのシンガーとしての実力を120%引き出し、またその強力な歌声が曲の完成度を一層高めるという、理想的なコンビネーションが堪能できる名曲じゃないかな、と。
相変わらずサウンド・プロダクションは×だが、『地獄の復讐』という邦題がコケ脅しには聞こえない、大仰なドラマ性に満ちた1枚。


MANOWAR - Into Glory Ride - Gloves of Metal ★★★ (2007-06-09 01:22:39)

1stに比べ、いよいよエリック・アダムスのVoがパワー全開。
特に、この曲における彼の歌唱には心震えます。
何度聴いても「レザー!メタル!スパイクス!アンチェイ~ンンン」
の歌い回しにコブシを握ってしまう俺がいる。


MANOWAR - Kings of Metal ★★★ (2007-06-08 23:41:00)

タイトルといい、アートワークといい、暑苦し・・・もとい、劇的な楽曲の数々といい、ファンは忠誠を誓い、興味の無い人間は失笑を漏らすMANOWARというバンドの一番「濃い」部分をグツグツと煮詰めたかのような、アクの強くてマッチョな作風を誇る'89年発表の6thアルバム。
個人的に初めて買ったMANOWARのアルバムであり、HELLOWEENの『守護神伝 第2章』やRIOTの『THUNDERSTEEL』と並んでメタルに本格的にハマる切っ掛けとなった1枚だけに思い入れも一入なんだけど、その辺の贔屓目を抜きにしても本作のクオリティは『HAIL TO ENGLAND』『SIGN OF THE HAMMER』等の傑作群に匹敵する高さ。(・・・じゃないかな、と)
CD用ボーナス・トラック⑦がちと弱いが(ネタ曲としては満点)、それ以外は、スラッシーな疾走感とダイナミックなサビメロが圧倒的興奮を生む①に始まり、ラストを締める、余りに大袈裟で芝居がかった展開が笑いと感動を呼ぶ組曲⑨~⑩まで、全編これ捨て曲なし。中でもエリック・アダムスの熱唱が胸焦がす大ヒット・バラード③、100人からの男性コーラス隊が参加した荘厳且つ厳粛極まる⑤、そして劇的にしてキャッチーな(来日公演でも物騒な「HAIL&KILL」コールを巻き起こした)本編のハイライト・チューン⑧といった楽曲のカッコ良さは鳥肌モノ。
また今回特に注目すべきは、これを最後にバンドから脱退するロス・ザ・ボスのGプレイ。一般的に、ジョーイ・ディマイオの作る楽曲と、エリック・アダムスの超絶歌唱があれば、それでMANOWARサウンドは成立するというのがファンの共通認識なれど、このアルバム以前と以後とで、その作風が微妙に変質していく事を鑑みるに「やはりオリジナル・メンバーのロスの存在って重要だったんだな~」と、その豪快さと繊細さを併せ持つGプレイを聴きながらしみじみと実感させられます。
ロス・ザ・ボス在籍時代の集大成とも言える、気合の入った傑作。


MANOWAR - Kings of Metal - Wheels of Fire ★★★ (2007-06-09 21:00:49)

スラッシュ・メタルばりのスピード感と、
炸裂するようにダイナミックに展開する
サビメロのカッコ良さが半端じゃない。
余談だが、RHAPSODYの4thアルバムには、この曲そっくり
(ご丁寧にVoの歌声まで左右のチャンネルに振り分けてある)の
“WHEN DEMONS AWAKE"という曲が収録されていて、
今にして思えば、彼らがジョーイ率いるマネジメント
マジック・サークル・ミュージックに移籍する予兆だったのかな、と。


MANOWAR - Kings of Metal MMXIV ★★ (2014-07-30 23:19:27)

せっかくMANOWARが来日するというのに、こちとら出張日程丸被りで、今年のLOUD PARKには早くも不参加が確定・・・。仕方ないのでラウパ用にプールしていた資金の一部で、『BATTLE HYMNS MMXI』に続くリメイク盤、本『KINGS OF METAL MMXIV』を購入致しました。
尤も、音質の著しい向上からメンバーのパフォーマンスの熟達まで、リメイクの意義が明白に刻まれていた『BATTLE~』に対し、『KINGS ~』はもともと脂の乗り切ったMANOWARの漢汁が滴り落ちる大名盤であり、今ひとつリメイクのありがた味を感じ辛いのが難なんですが。
前任者に比べ馬力不足が目立つドラミング、曲順の変更による作品全体のダイナミズムの低下等もそうした印象を後押し。サビメロから爆発力が失われてしまった“WHEELS OF FIRE”のように、ライブ・バージョン準拠で簡素化の図られたアレンジも個人的には食い足りんなぁ、と。
そんなわけでどうにも苦言ばかりが先立つ本作なれど、語り口の大仰さ倍増の④から、三拍子揃った野蛮さ/勇壮さ/劇的さがメタル魂を鼓舞しまくる名曲⑤(歌詞に日本の名前も登場)へと繋がっていく怒涛の展開等、聴いてるだけで男性ホルモンが過剰放出されて思わずマッチョ化しそうになる、血沸き肉踊る瞬間も多々用意されており、この辺りのマキシマムっぷりは流石MANOWAR。
コール&レスポンスの作法の更新等、今年のラウパに参戦するであれば、是非とも押さえておきたい1枚ではあります。未聴の方には、まずはオリジナル盤の入手をお薦めしますけどね。


MANOWAR - Louder Than Hell ★★★ (2007-06-12 21:00:00)

オリジナル・メンバーの1人であり、生粋のロックンローラーだったロス・ザ・ボス(G)が6th『KINGS OF METAL』を最後にバンドを去って以来、ジョーイ・ディマイオ(B)の妥協を許さぬ完璧主義者っぷりに歯止めを掛けられる存在がいなくなったのか、アルバムのリリース・ペースがオリンピック級の気の長さになってしまったMANOWAR、'96年発表の8thアルバム。
前作『THE TRIUMPH OF STEEL』から参加したデイヴィッド・シャンケル(G)とライノ(Ds)が早くも脱退し、新Gとしてカール・ローガンが加入。Dsの座には前任のスコット・コロンバスが出戻るという慌しい人事異動を経て完成をみた本作だが、大勢には全く影響なし。いや、寧ろやや力み過ぎの感があった『THE TRIUMPH~』を軽く凌駕する内容に仕上がっているような・・・。
前作は、30分に及ぼうかという組曲“ACHILLES,AGONY AND ECSTASY"を筆頭に、気合の入った大作がズラリと並んでいたものの、メロディの弱さがアルバムの印象を弱いものにしてしまっていたが、今回は初心に帰ったのか、贅肉を削ぎ落とされ、コンパクトに絞り込まれた楽曲の数々は、疾走チューンにしろ、ミドル・チューンにしろ、バラードにしろ、非常に明快でキャッチー。
また、前作から飛躍的に向上したエリック・アダムスの歌メロの充実振りも大きい。特に、活きの良いOPナンバー①、タイトル/歌詞/曲調と、どこを切っても100%MANOWAR印な②、中盤の劇的な曲展開がガッツポーズ物のカッコ良さを誇る⑥、壮大なインスト曲⑧~⑨を経て、ラストを猛スピードで締め括る勇壮な⑩といった楽曲は、その両者の最良の部分が上手い具合に組み合わさった名曲じゃないかと。その他の収録曲も何れも粒揃い。当然捨て曲なし。
個人的には、ロス・ザ・ボス脱退(7th)以降のアルバムでは、この作品が一番好きだな。


MANOWAR - Louder Than Hell - Outlaw ★★ (2007-06-12 21:06:05)

↑ドイツではバラードがヒットしたせいか、女性ファンが多いんだとか。

それは兎も角、この曲はシンプル且つ硬派な疾走チューン。
中盤のドラマチックな一捻りに胸躍ります。


MANOWAR - Sign of the Hammer ★★★ (2007-06-06 22:10:00)

ファン・・・いやさ、ブラザーの間でも「MANOWARの最高傑作」と評価の高い、'84年発表の4thアルバム。
結構「音がイマイチ」との意見が出ているようですが、音、そんなに悪いっすかね?個人的には、準メジャー・レーベルと契約して、初めてまともな環境で製作されたアルバムという事で、過去3作に比べてサウンド・プロダクションの質は飛躍的に向上したように思うのですが・・・。ただ、徹底的に作り込まれた最近作のゴージャスさと比べてしまうと、確かに物足りなさを覚えるのも無理ないかな。
ともあれ、内容に関しては他の方同様まったく文句なし。“狂気の掟”“野獣列伝”“死戦士宣言”etc・・・と、仰々しい邦題を眺めているだけでワクワクして来る楽曲の数々は非常に粒が揃っていて、当然の如く、捨て曲は皆無。
何より、従来のスケールの大きなドラマチック路線に、更に疾走感やキャッチーさといった要素が加味されて、これまで以上に幅広いリスナーにアピールし得る魅力を備えているのがポイント。一撃必殺の威力を誇る劇的な疾走チューン③なんかは、その好例ではなかろうか?
勿論、“偉大なる山々”の邦題通り、神々しい荘厳さすら漂う④、そしてMANOWARが単なるファンタジー馬鹿ではない事を証明する、シリアス且つ重厚な名曲中の名曲⑧といったMANOWAR節炸裂の大作群の素晴しさは、今更言うに及ばず。
それにしても驚くべきは、本作が3rd『HAIL TO ENGLAND』と同じ年にリリースされている事実だ。名作と名高い2作を、1年と間を空けずに続け様に発表するとは・・・恐るべしというか流石というか、とにかく凄いぜ、MANOWAR。


MANOWAR - Sign of the Hammer - Guyana (Cult of the Damned) ★★★ (2007-06-09 02:28:32)

ジム・ジョーンズ牧師、救いの手をありがとう。我々はこの腐敗した世界を後に出来ました。
生命のない肉体は聖なる地に崩れ落ち、腐りゆく肉体は生贄の塚となる。
貴方は神か、それとも我々を釘付けにし、喝采を浴びる名優か。
貴方の一言に従い命を絶って、今、皆、貴方の傍で共に。
ガイアナ、呪われた信者たち。最後の勇気ある抵抗にお言葉を与えて下さい。×2

憑かれたように我々は国作りを続けた。真っ直ぐ前を見るのが怖かった。皆、牧師を恐れていたのだ。
我が子を急き立てる。もうあまり時間がないのだ。あの世で、また、みんな会える。
まず、彼らに飲物を手渡そう。喉の渇きに死ぬほど苦しんでいるから。
ガイアナ、呪われた信者たち。最後の勇気ある抵抗にお言葉を与えて下さい。×4
井戸に踏み込んだ足。水の底へと引き込まれる。地獄の叫びを残して。
牧師は教えてくれた。人生というのはホテルだ。
牧師がベルを鳴らした時、チェックアウトするのだと。
ガイアナ、呪われた信者たち。最後の勇気ある抵抗にお言葉を与えて下さい。×2

ママ・・・・・・

『SIGN OF THE HAMMER』の日本語訳を丸写しすると、こんな感じですかね。


MANOWAR - Sign of the Hammer - Guyana (Cult of the Damned) ★★★ (2007-06-09 01:01:07)

カルト教団の教祖ジム・ジョーンズ以下、信者913人以上が死亡した
南米ガイアナにおけるの人民寺院集団自殺事件を
題材に取り上げた、MANOWAR屈指の超名曲。
この曲を聴けば、MANOWARが底の浅い単なるファンタジー・バンドじゃない事が分かる筈。
出来れば国内盤の歌詞も読んでみて欲しいところ。
怒りと悲しみを感じさせるジョーイ・ディマイオのBプレイは絶品だ!


MANOWAR - Sign of the Hammer - Thor (The Powerhead) ★★★ (2007-06-09 00:50:57)

4thアルバムにおいて、“GUYANA"に匹敵するハイライト・チューン。邦題は“戦神トール"。
まさに「戦いの歌」といった趣きの勇壮な歌メロと、劇的なリフ、
それに激烈な疾走感に心が震えます。


MANOWAR - The Lord of Steel ★★ (2015-06-20 00:20:36)

近年は、打つ手打つ手が悉く空回ってる印象が否めないMANOWAR。新作がそのモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれることを期待したのですが・・・。
神話を綴るに相応しい壮大な作り込みが為されていた前作『GODS OF WAR』の反動か、今回は楽曲にしろプロダクションにしろ、非常にシンプルでコンパクト・・・っつーか、地味じゃね?と。パンチに欠ける音作りから、起伏に乏しい本編の構成、キャッチネスが不足がちの楽曲、そしてクドさ控えめのメンバーのパフォーマンス(特にエリックのVo)に至るまで、従来作が、聴いてるだけで筋肉が勝手にパンプアップするメタル・プロテインとするならば、今回はまるでOL向けダイエット食品の如き淡白さで、これは一体どうしたことかと。
いや勿論優れた楽曲もあるんですよ。剛毅に疾走するOPナンバー“THE LORD OF STEEL”とか、好戦的に煮え立つ“EL GRINGO”、過去の名作/名曲のタイトルが歌詞に散りばめられた“HAIL, KILL AND DIE”、そして大仰過ぎる程に大仰な“THE KINGDOM OF STEEL”とか。その他のバンドがこのレベルの楽曲や作品引っ提げてやって来たならば、激賞は間違いないところですよ。「メタル蘇民祭」の様相を呈しているジャケットも最高ですし。
ただ、やはりMANOWAR作品としては「食い足りねぇ」と。これまでどんな賛否両論分かれる問題作だろうとも、背筋を伸ばして堂々提示してきた彼らなのに、本作に関しては「背中を丸めて置きに来た」との印象が拭いきれず。まぁ当方の勝手なイメージの押し付けなんですが。
思わず、他のMANOWARマニアの方の意見を伺いたくなる1枚。


MANOWAR - The Lord of Steel - El Gringo ★★★ (2015-06-23 00:09:58)

ちょい前、渋谷に「ガンズ・アンド・ストレンジャー」
(原題は同じく“EL GRINGO”)なるアクション映画を
見に行ったら、この曲がエンドロールで流れてきましね。
これがもう映画のつまらなさを帳消しにするカッコ良さで。
アルバム『THE LORD OF STEEL』においても間違いなく
ハイライト・ナンバーの一つですよ。


MANOWAR - The Triumph of Steel ★★ (2007-06-11 22:33:00)

ロス・ザ・ボス(G)とスコット・コロンバス(Ds)が脱退したり、新しいレコーディング・スタジオを建設したりとドタバタと色々な事があって、前作から実に4年のインターバルを経て、'92年に漸く発表された7thアルバム。邦題は『勝利の鋼鉄(はがね)』。
オリジナル・メンバーにして生粋のロックンローラーでもあるロスがバンドを去った事により、ジョーイ・ディマイオの妥協を許さぬ完璧主義者っぷりに歯止めを掛ける存在がいなくなってしまったせいか、これ以降、MANOWARのアルバム・リリース・ペースはオリンピック級の気の長さになってしまうわけだが・・・。ま、それはともかく。
本編の半数を重々しいミドル・チューンが占め、しかもエリック・アダムス(Vo)がドラマチックな歌い上げよりアグレッシブなシャウトを多用している事もあって、MANOWARのアルバムの中でも際立ってヘヴィな仕上がりの本作。
正直、それらの楽曲はメロディの魅力、分けても歌メロにフックが乏しいため、どうにも地味な印象が拭えない。そして何より、アルバムのOPにドーンと鎮座まします超大作①だ。これを受け入れられるかどうかで真のMANOWARファンか否かが決まるという、ファンにとっては、ある種、踏み絵的な存在のこの組曲。長尺にも関わらずオーケストラやKeyの類に頼らない姿勢は、如何にもこのバンドらしくてナイスだが、やはり各楽器のソロまで組み込んだ構成は、(意図は分かるけど)個人的には冗長に感じられてしまう。
ただパート毎に見れば、エリック入魂の歌唱に胸揺さぶられる第6章や、ライブでも摘み食い的にプレイされていた荒々しくスピーディな最終章なんかは聴き応え十分。また本作には他にも、これぞMANOWAR!なメタル・アンセム②、スケールの大きな哀愁のバラード⑧、そして「この1曲のためだけにこのアルバムを買っても損はない」と思わされる、劇的なドラマ性を飲み込んで勇壮に疾走する名曲⑥なんかが収録されていて、聴き終えてみれば「なんだ、結局はいつもの良く出来たMANOWARのアルバムじゃんか」との結論に落ち着くのであった。
尚、本作発表後に初来日公演が実現。ステージ上でエリックは「日本に来るまで10年かかったけど、今度はもっと早く戻ってくるからな!」と語っていたが、あれから更に10年以上の月日が経っても、未だ再来日公演が行われる気配はないのであった・・・。


MANOWAR - The Triumph of Steel - The Power of Thy Sword ★★★ (2007-06-09 20:29:11)

ヘヴィネスは効いていても、楽曲のメロディの弱さと、
せっかくのエリック・アダムスのVoを活かしきれていない印象が
強い7thアルバムの中にあっても、この曲だけは別格。
疾走感、メロディ、そしてエリックの壮絶な歌唱が
三位一体となって突撃する、アルバムのハイライト・チューンだ。


MANOWAR - Warriors of the World ★★★ (2007-06-25 22:54:00)

前作『LOUDER THAN HELL』から、実に6年のインターバルを置いて、'02年に発表された待望の9thアルバム。
間に2枚のライブ・アルバムを挟んだとは言え、幾らなんでも6年は待たせ過ぎでしょうが!とか、しかも漸くリリースされた国内盤の歌詞には日本語訳がないという、今時有り得ない手抜き仕様(これはバンドよりもレコード会社の怠慢だが)等、湧き上がる数々の不満を力ずくで捻じ伏せてみせる本作の凄まじいクオリティの高さは、流石MANOWAR。
基本は『LOUDER~』同様、コンパクトに練り上げられたキャッチーなHMチューンが次々に繰り出される、コンセプトよりもメロディに重きを置いた楽曲重視路線だが、個々の楽曲のクオリティは、傑作だった前作をも軽く上回る勢い。
ボーナス・トラックも含めて全11曲、熱きメタル魂を胸に思わず行進したくなる勇壮な①に始まり、エリック・アダムスの驚異的な歌唱力が堪能できるプッチーニの③、厳粛且つドラマチック極まりない⑤を経て、後半の小細工無用の剛球メタル・チューン4連発(⑧⑨⑩⑪)からオマケ収録の名曲“KILL WITH POWER”のライブ・バージョン⑫に至るまで、本編のテンションは一時も緩まる事無く、当然、捨て曲なし。
惜しむらくは曲順がイマイチな点で、似たり寄ったりのテンポの楽曲が並んでいるため緩急に乏しく、折角の楽曲のインパクトの強さを、十分に活かしきれていない印象なのが勿体無い。尤も、前半に壮大で劇的な楽曲を、後半にストロングなメタル・チューンを揃えて、「静」と「動」のコントラストが引き立つ構成を狙ったバンドの意図も理解できるので、この曲順も一概には否定できないんだけど・・・。
ともあれ、こうした些細な部分が気になるのも本作の完成度が半端ないからこそ。疑いの余地なく名盤だ。


MANTIC RITUAL (2014-03-28 23:24:12)

'04年頃からロサンゼルスを拠点にMELTDOWN名義で活動するも、同名バンドの存在を知り、MANTIC RITUALと改名。
本拠地を故郷ピッツバーグに戻すと、'09年にアンディ・クラッセンをプロデューサーに迎えてデビュー作『EXOCUTIONER』をレコーディング。同作はキング・レコードから日本盤もリリースされた。
しかし徐々にメンバー間で活動に対する思惑のズレが生じ始め、'13年に解散。現在、ギタリストのデイヴ・ポッツとべーシストのベン・マットソンは、以前から親交の深かったカリフォルニアのスラッシュ・メタル・バンド、WARBRINGERの一員として活動中。


MANTIC RITUAL - Executioner ★★★ (2014-03-28 23:26:25)

いつの間にか解散していた、ペンシルベニア州ピッツバーグ出身の4人組の唯一作となった、'09年発表のデビュー作。(プロデュースは元HOLY MOSESのアンディ・クラッセンが担当)
前掛かりで畳み掛けるパンキッシュなリズムに、手数多めに刻まれるGリフと上擦り気味のシャウトが乗っかったスピード/スラッシュ・メタル・サウンドは、『KILL 'EM ALL』発表時のMETALLICAからの多大なるインスピレーションを受けたこと確実。特にVoはデビュー当時のジェイムズ・ヘッドフィールドくりそつの青臭さですが、曲によってはDESTRUCTION調のカミソリ・ナンバーありーの、ANTHRAXばりにスポーティなタテノリ・ナンバーありーので、まぁ要するに、80年代スラッシュ・メタル全般からの影響を咀嚼した作風ということでファイナル・アンサー。
突っ込み気味の演奏で聴き手の焦燥感をガンガン煽り立てるメンバーの実力は上々です。勢いよくケツを蹴り上げられまくる⑤、キレッキレなGリフのカッコ良さだけでテンションMAXな⑦、アグレッシブ且つキャッチーに炸裂する⑨は特筆すべき名曲。
00年代半ばから盛り上がり始めたNWOTMムーブメントの質の高さを証明する好盤の一つでしたが、本作のみを残してバンドが解散してしまったとは・・・勿体無い。


MANTIC RITUAL - Executioner - Murdered to Death ★★★ (2014-03-31 22:59:14)

親の敵のように執拗に刻まれるGリフから
血気盛んに煽り立てるVo、
それらを乗せてテンション高く突っ走るリズムまで
スラッシャーの血を騒がせる要素満載で贈る
アルバムのハイライト・ナンバー。


MANTIC RITUAL - Executioner - Thrashatonement ★★★ (2014-03-31 23:11:20)

速さだけで言えば「並」なのですが、
一緒に叫びたくなるキャッチーなサビから
ケツをガンガン蹴飛ばされるような
突込み気味のリフ&リズムのコンビネーションまで、
聴いてるだけで暴れ出したくなる逸曲。


MARA - AMERICA ★★★ (2013-06-03 23:04:20)

MARAが'98年に発表した3rdアルバムにしてラスト作(通算では4枚目の作品)。
80年代ハードロック的な、歯切れの良い快活さや華やかな雰囲気が後退。簡素な音作りに、装飾を控えめにしたアレンジと曲展開、マーティ・ファリス(Vo)のエモーショナルな歌声を中心に、よりアダルトに、よりアコースティックなアプローチでまとめられた作風はいかにも「90年代のアルバム」といった趣きが感じられます。
尤も、似合わぬヘヴィネスの導入を試みて火傷するような愚は冒していない上、装飾が取っ払われたことで、このバンドの・・・というかケニー・アロノフ(G)の生来のメロディ・センスの確かさがグッとクローズアップされていて、ことに全編を彩る叙情メロディは時に前作以上の哀愁を発散。
中でも1曲目から5曲目までの猛烈な泣きを湛えたアルバム前半の流れや、プログレ・ハード調のラスト・ナンバー⑪は、上手いVo、情感豊かなG、粋で瀟洒なKey、それに重厚なハーモニーとが絡み合い生み出す、ムーディなメロディアスHRサウンドに酔いしれる本作のハイライト。
「デビュー作を上回る出来栄え」と書くと筆が滑った感がありますが、あれに勝るとも劣らない、聴けば聴くほどに味わいを増していくスルメ盤です。


MARA - AMERICA - The Answer ★★★ (2013-06-05 23:08:03)

ムーディでルースな曲調が作風の変化を如実に
物語る一方、音数が減った代わりに、歌にしろ
演奏にしろ、一音一音により一層のエモーションが
込められていて、楽曲を濃厚に覆う哀愁が胸を打ちます。


MARA - Mara ★★★ (2021-04-07 23:47:30)

90年代に残した2枚の国内盤が中古屋の特価コーナーでひっそりと埃を被っているオハイオ出身のHRバンドMARA。個人的には今でも両作を引っ張り出しては聴き直しているぐらいお気に入りのバンドでして、本作はMARAが'95年に発表した蔵出し音源集に当たる作品です。
カセットのみの流通だった自主制作の1st『BREAKING THE SILENCE』収録曲の内、2nd『POETRY & MOTION』でリメイクされなかった6曲に、未発表曲2曲を加えた全8曲からなる構成。長らく探していた1枚ゆえ、数年前に中古盤屋で発見した時は思わず震えましたよ。まぁその割に1,000円弱で買えちゃって「プレミアついてないんかい!」と、特に誰も欲しがっていない事実に嬉しいような悲しいような複雑な心境に陥りましたが。
ともあれ、漸く聴けた本作はやはり大変素晴らしいメロディアスHRアルバムでしたよ。次作『AMERICA』では90年代らしいシリアスで内省的な雰囲気も漂わせていた彼らなれど、本作は煌めくKeyを適宜取り入れた、爽やかなポップ・フィーリング薫る80年代感満点のサウンドを披露(実際80年代に書かれた楽曲ばかりなのだから当然っちゃ当然)。自主制作ゆえ音質的にイマイチな部分はあるものの、声質自体が哀愁を帯びているマーティ・ファリスの感傷的なVoと、ジェイソン・アロノフの痒い所に手の届くメロディアスなGプレイという、MARAの二本柱が魅力的に機能している①②による本編開幕早々の畳み掛けや、後に3rdアルバムに日本盤ボーナストラックとして収録された、サックスを有用する抒情バラードの逸品⑥は、その辺を差し引いても余りある輝きを放っています。
入手が容易な2nd、3rdと併せて、未聴の方に猛プッシュする1枚。再結成しないかなぁ。


MARA - Mara - Promises Made to Be Broken ★★★ (2021-04-08 23:53:26)

リズミカルな曲調を、煌めくKeyと声を張るほどに哀愁味を増す
マーティ・ファリスの感傷的な歌声が彩るOPナンバー。
心の柔らかい部分を刺激するジェイソン・アノロフのGソロも絶品で、
もっと高く評価されて然るべきギタリストだったのではないでしょうか?と。


MARA - POETRY & MOTION ★★★ (2013-06-02 07:54:47)

アメリカはオハイオ州出身の魔羅・・・もとい、MARAが'93年に発表した2ndアルバムにして日本デビュー作。(収録曲の半数近くが自主制作の1st『BREAKING THE SILENCE』のリメイクという少々変則的な内容ではありますが)
スリリングなインスト曲⑪もサラリとこなせる実力を有しながら、殊更にテクニックを誇示することなく、飽くまでそれを武器にして、キャッチーな楽曲作りに傾注する姿勢は、解説でも指摘されている通り確かにKANSASを始めとするアメリカン・プログレ・ハード勢に通じる楽曲優先主義が感じられます。
特に中庸な魅力を放つ①は、派手さは皆無な代わりに、哀愁に満ちた歌メロ、構築美を湛えたGソロ、Keyが彩りを加える劇的な曲展開から美しいハーモニーまで、そのパーツ一つ一つが丹念に磨き上げられた、MARAというバンドが目指す音楽性が判り易く提示されている名曲。
それにしても、ここのVoとGは本当に上手い。そして巧い。ハードなGリフと緩急自在のドラマティックな曲展開に思わず身を乗り出す②、泣きまくりの④や凝ったリズム・ワークが聴かれる⑫のようなバラード、これまたバンドのメロディ重視の姿勢が強く刻まれている哀メロ・ナンバー⑨etc・・・といった両雄の存在が映える名曲の数々を聴くにつけ、何でデカマラになれなかった・・・じゃなくてMARAがビッグになれなかったのか?と不思議に思えてきますよ。


MARA - POETRY & MOTION - Justify ★★★ (2013-06-04 23:12:23)

緩急の効いた曲展開から、工夫のこらされたリズム・ワークに
劇的にハモるツインGまで、個人的にはアルバムの
ハイライト・ナンバーに推したい名曲。
この哀愁、泣きっぷりは、PRAYING MANTISにも通じるものが
あるのではないでしょうか。


MARA - POETRY & MOTION - SENTIMENTAL WARNING ★★★ (2013-06-04 23:08:31)

帯に書かれた「DREAM THEATERフリーク必聴!」
なる文句を鵜呑みにすると、キャッチーな哀メロを
ストレートに聴かせるこの曲に肩透かし感を覚えるかも。
いやでも、上手いVoとGが泣きに泣きを重ねて
盛り上がっていく曲展開に涙ちょちょ切れる名曲なのですが。


MARA - POETRY & MOTION - Second Best ★★★ (2013-06-04 23:16:22)

マーティ・ファリスの胸を掻き毟らんばかりの
哀切を帯びた歌声と、エモーショナルなGの存在が
映えまくる、しとどに泣き濡れる名バラード。
イントロのアコギだけで、条件反射的に
涙が滲み始めるぐらいですよ。


MARCHELLO - Destiny ★★★ (2015-08-31 22:58:23)

GOOD RATSのメンバーで、FIONAのアルバム等をプロデュースしていたペピ・マルチェロを父に持つミュージシャン・・・というよりも、OZZY OZBOURNEのギタリストの座を、ザック・ワイルドと最後まで争った人物として記憶されるジーン・マルチェロ(Vo、G)率いるバンドが、'89年に残した唯一作。
早熟の天才G奏者なる前評判に、購入当時は何となく「力の限り弾き倒すSHRAPNEL系パワー・メタル」を期待していのですが、実際のところ、彼のギター・ヒーロー然とした華を感じさせるGプレイは確かに楽曲内を縦横無尽に駆け巡ってはいるものの、その演奏スタイルは押しと引きを十分に心得たもの(そもそもテクだけが売りのギタリストをオジーが欲する筈もなく)。サウンド自体、自らが担当する伸びやかな歌声の活かされた溌剌と弾む喉越し爽快なメロディアスHR路線で、このテクニカルな奏者と、キャッチーなメロディ&美麗なハーモニーに彩られたポップな音楽性とのギャップは、嘗てのJOSHUAを思い出させるモノがあるようなないような・・・。
メタル脳を患う身としてはSHRAPNEL路線でも一向に構わなかったのですが、しかし本作もこれはこれで十分オツな味わい。中でも、目立ってハード且つドラマティックなアルバム表題曲③と、発表当時MTVでも話題を呼んだバラード④の2曲は、ジーン・マルチェロの「書いてよし」「歌って良し」「弾いて良し」な優良物件ぶりを知らしめるに十分なアルバムのハイライト。彼自身がVoとGを兼任することで、どちらか一方が過度に自己主張し過ぎることなく、バランスが取られている点も好印象を残します。
かように素晴らしい作品を残したにも関わらず、その後の彼のキャリアがパッとしなかったのが不思議と言えば不思議。現在は父親と一緒にGOOD RATSをやってるのかな?


MARCHELLO - Destiny - Destiny ★★★ (2015-09-01 22:37:03)

イントロ40秒聴いただけで、もう名曲であることは明白。
Voに負けじと前へ前へと出てくるGの張り切りぶりに耳奪われますが
考えてみりゃどっちも担当はジーン・マルチェロでした。
曲調を考えるとちょっと弾き過ぎな感が無きにしも非ずなれど、
若きギタリストのデビュー作ならこれぐらいの血気盛んぶりは
十分許容範囲内。Voも担当して力点が分散したことで
ぎりぎりバランスは保たれたかな?と。
あと、ハード且つドラマティック、でも透明感が漂ってくる辺りは
確かに北欧メタルっぽい。


MARCHELLO - Destiny - First Love ★★★ (2015-09-01 22:48:26)

シンガーとして、ギタリストとして、何よりコンポーザーとして
実力が遺憾なく発揮されたドラマティックなバラードで
ジーン・マルチェロが「これが俺のベスト・パフォーマンス」と
胸を張るのも納得の名曲ぶり。エンディングのGソロは
もうちょっと抑えても良かったのでは?と思わなくもないですが
これが若さか・・・ってなもんですよ。


MARGE LITCH - Fantasien 1998 ★★ (2009-03-22 13:27:00)

横山嘉照(G)を中心に結成され、現ALHAMBRAの世良純子(Vo)、長倉哲郎(Ds)、神保宗久(B)に、GALNERYUSや
ARK STORM等での活動で知られるKey奏者、YUUKIらが在籍していたプログレ/シンフォニックHMバンドが、
現在では入手困難な'90年制作の1stアルバム『FANTASIEN』をセルフ・リメイクした作品がこれ。
全曲日本語で綴られた、御伽噺風味のファンタジックなストーリーと、世良純子の「NHKの歌のお姉さん」ばりに
溌剌とした歌唱はかなり好き嫌いが分かれるところで(歌い手としての実力は折り紙付きなのだが)、
特にメルヘンチックなOPナンバー①は、彼女のキュートな歌声と相俟ってモロ「70年代の少女向けアニメの主題歌」風に
聴こえ、思わず赤面を誘われるこっ恥ずかしい出来なれど、だがしかし、それ以降は全編が大作主義に貫かれ、
日本人ならではの木目細かい叙情メロディと、綿密にして壮大なアレンジの組み立て、そして高度なテクニックに裏打ちされた、
スリリング且つドラマティックな曲展開を併せ持ったNOVELAやSCHEHERAZADEといったバンドを更にHM寄りにしたかの如き、
「プログレ・メタル斯くあるべし!」な楽曲が連打され、グイグイと作品世界に惹き込まれて行く。
中でも、世良純子のシアトリカルなボーカル・パフォーマンスの素晴しさにノックアウトされる②、男女のオペラVoを
大々的にフィーチュアして、映画のサントラの如き盛り上がりを演出する③、B、G、Keyがスリリングに絡み合い火花を散らす④、
ヘヴィに刻まれるリズムの上を壮麗なメロディが劇的に舞う⑤といった、本編中盤に配された楽曲の完成度の高さは圧巻。
自分が持っているのはMUSEA RECORDSから配給されたフランス盤なのだが、実際、世界に出しても全く恥ずかしくない
見事なクオリティを誇る1枚。寧ろ、日本語の歌詞が伝わらない海外の方が素直に受け入れられるのかも・・・なんて。


MARK FREE - Long Way From Love ★★★ (2015-10-06 22:18:04)

張りのあるハイトーンに、ソウルフルな節回し・・・KING KOBRA時代から歌唱力には定評のあった実力派シンガー、マーク・フリーが'93年に発表した初のソロ・アルバム。
自身の歌声を主役に据えて、敏腕ソングライターとして鳴らすジュディス&ロビン・ランダル母娘の楽曲提供を受け、キャッチーに躍動するハードポップ・サウンドは――HR/HMとはだいぶ距離を感じさせるものの――まるで心の奥底に堆積する澱すらも綺麗サッパリと浄化してくれるかのような美しく瑞々しい魅力を湛えています。
冴えない音質や、VoとG以外はほぼ打ち込み処理の録音体制等、デモテープをそのまま商品化してしまった感じのプロダクション・クオリティのせいで、雑誌での評価はあまり芳しいものではありませんでしたが、絶品の歌唱と哀メロが感動を呼ぶ④に名バラード⑪etc・・・と、捨て曲皆無の本編はそうした欠点を補って余りあるサムシングを保有。中でも、煌びやかなKeyを身に纏い、潤いに満ちたメロディをマークが伸びやかに歌い上げる必殺の名曲①は、当時ラジオCMで流れて来た途端、こっちをお金握り締めてショップへ駆け込ませるだけのインパクトを有していましたよ。
既に廃盤になって久しい本作の国内盤が、専門店じゃ未だに結構なプレミア価格で取引されていることからも、そのクオリティの高さと愛されっぷりを物語っていると言えるのではないでしょうか。
いっそマーシー・フリー姐さんがこのアルバムをリメイクしてくれたら面白いと思うのですが、ダメですかね。


MARK FREE - Long Way From Love - Long Way From Love ★★★ (2015-10-07 22:23:39)

Keyがポロポロと奏でられるイントロだけで
名曲の予感が濃厚に漂うドラマティックなバラード。
エモーショナル極まりないマーク・フリーの歌声は勿論、
「ノルウェーから来たバイキング」とクレジットされている
ギタリストがまた良いGソロを提供してくれているんですわ。


MARK FREE - Long Way From Love - Something You'll Come Running ★★★ (2015-10-07 22:14:48)

POWER ROCK TODAYのCMタイムに流れて来た
この曲を聴いて、アルバム購入を決意しましたよ。
キラキラとスパンコール撒き散らしながら弾むような
哀愁のハードポップの名曲。
ゼロ・コーポレーション系アーティストでベスト盤を作るなら、
OPナンバーはこの曲で決まりかと。


MARSHALL LAW - Marshall Law ★★ (2007-02-17 01:59:00)

音は悪いが中身は最高!中古屋ではバカ高いプレミア価格で取引されているが、コレに関しては
それも納得の高いクオリティを誇る、イギリス出身の5人組HMバンドが'89年に発表したデビュー作。
“THE HELLION"を彷彿とさせるインスト曲①で幕が開き、劇的なリフが炸裂する疾走チューン②へと繋がる展開で
勝負あった!となる本作。サウンド・スタイルはもろJUDAS PRIEST型なれど、「ヘヴィ・メタル斯くあるべし」
といった感じのリフの数々、そして華麗にしてドラマチックなツインGの煽情度の高さは、時に本家を凌駕せんとする勢い。
とにかく、曲が圧倒的に素晴しい。全11曲、捨て曲なし。前述の①~②の流れの他にも、
悶絶級のツイン・リードが聴けるバンドのテーマ曲④、雄々しい疾走チューン⑤、重厚なイントロに続いて
劇的なリフが炸裂する、名曲②に匹敵する本編のハイライト・チューン⑥etc・・・。この他にも
「この1曲の為だけにアルバムを買っても損は無い」レベルの名曲/佳曲がゴロゴロと収録されているのだから堪らない。
唯一、Voにロブ・ハルフォード程の個性がないのが惜しまれるが、逆にクセがない分、
万人受けするタイプとも言えるしね。(勿論、歌唱力は十分)
実は本作は『復讐の叫び』と『背徳の掟』の間に、JUDAS PRIESTが発表する筈の作品だったんだよ・・・
という嘘を思わず信じてしまいそうになる(?)、80年代の隠れた名盤の1つ。必聴。


MARSHALL LAW - Marshall Law - Marshall Law ★★★ (2007-02-17 02:10:19)

アルバムのタイトル・トラックにして、
バンドのテーマ・ソング。
中間部で炸裂するツイン・リードは、
聴く者の涙を全て搾り取る程の強力な煽情度を誇る。


MARSHALL LAW - Marshall Law - Screaming ★★★ (2007-02-17 02:07:22)

重厚なイントロに続き、アルバム屈指の名リフが炸裂した瞬間に
「くぅ~、これよ、これ!」と、思わずガッツポーズを取ってしまった。
“UNDER THE HAMMER"と並ぶ、本編のハイライト・チューン。


MARSHALL LAW - Marshall Law - Under the Hammer ★★★ (2007-02-17 02:04:48)

序曲“ARMAGEDDON"とセットで楽しみたい超名曲。
その流れは、JUDAS PRIESTの代表曲
“THE HELLION"~“ELECTRIC EYE"を彷彿とさせる。
劇的に炸裂するリフとツイン・リード・ギターには心が震えます。


MARSHALL LAW - Power Crazy ★★★ (2015-12-21 21:33:44)

MARSHALL LAWのカタログの中では「おもちゃのカンヅメ」ばりに幻の存在だった'91年発表の4曲入りEPが、NO REMORSE RECORDSから遂に再発の運びとなりました。
モダンな味付けを取り入れて評価が割れた2nd『POWER GAME』に比べると、この頃は全く迷いなく1st『MARSHALL LAW』で披露したJUDAS PRIEST型ブリティッシュHM路線を絶賛追求中。今もって「隠れた名盤」と高評価され続けるあのデビュー作に痺れた身なら、思わず頬が緩むこと請け合いなサウンドがぎゅっとパッケージされています。
まぁ、音質の貧弱な坊やっぷりと来たらブルーワーカーが必要なレベルですし(これじゃリマスターしようが何しようが焼け石に水ですよ)、冷静になって聴くと、疾走ナンバー②の劇的なカッコ良さが突出していて、あとの楽曲は平均点かな…?との印象が無きにしも非ずではあるですが。
でも、それは飽くまで強力過ぎた前作との比較でのお話。取りあえず今は「いんだよ、そういう細けぇことは!」とバッサリ切り捨てて、本作再発に漕ぎ着けてくれたレコード会社にご祝儀代わりの星3つを進呈したくてしょうがない次第であります。メリー・クリスマス!(早い早い)


MARSHALL LAW - Power Crazy - Cry out from the Dark ★★★ (2015-12-27 10:51:41)

EP『POWER CRAZY』の中でも頭抜けた存在感を放つ
劇的なカッコ良さを提示するJUDAS PRIEST型疾走ナンバー。
1st『MARSHALL LAW』に収録されていてもおかしくない名曲っぷりですよ。
音の悪さ的にも。


MARSHALL LAW - Power Game ★★ (2018-01-11 23:42:36)

名盤『MARSHALL LAW』(’89年)を引っ提げて登場し、地盤沈下が続く英国HR/HMシーンの救世主として一部マニアから注目を集めたビリンガム出身5人組が、ドラマーをリー・モリス(PARADISE LOST他)に代え、'93年に発表した2ndフル・アルバム。
パワー/スピード/メロディに加え「気高さ」まで兼ね備え、「JUDAS PRIEST以上にJUDAS PRIESTらしい」とまで言わしめた(俺の中で)、お粗末な音質をモノともしない正統派HMサウンドの結晶体だった1stに比べると、ミッド・テンポの楽曲を主体に、切れ味の鋭さよりも破壊力重視のモダンなパワーメタル・スタイルでズンズン攻めて来る本作は、如何にも90年代のメタル・アルバムらしい仕上がり。…と書くと安易にPANTERA路線に走った作品かと思われるかもしれませんが、それもちょっと違う。
オールドスクールなHM成分や、英国産らしい湿ったメロディの魅力はしっかり担保されていて、特にドラマティックに盛り上がる⑤は1stに収録されていても違和感のない泣きの名曲。またプロダクションが格段に向上し、アンディ・パイクのVoが野太さを増したことで、鉈の如きGリフが振り下ろされる迫力に満ちた②や、活き活きと動き回るツインGがフィーチュアされた⑨、緊迫感を孕んで突き進む⑩といった、アップテンポで畳み掛ける楽曲のカッコ良さも底上げしてくれています。
単純に1枚のアルバムとして評価すれば、聴き応え十分の好盤として評価できる作品。…なのですが、彼らの場合1stが比類なきブリティッシュHMの名盤であったため、本作における路線変更をどうしても勿体なく感じてしまうんですよね…。


MARSHALL LAW - Power Game - No Justice ★★★ (2018-01-11 23:52:36)

Gが奏でる泣きのメロディ、アンディ・パイク入魂の熱唱に
彩られたドラマティックな曲展開と、
1stアルバムに収録されていてもおかしくない
アルバムのハイライトを飾る名曲です。


MARTYR - Darkness at Time's Edge ★★ (2014-08-24 22:20:32)

ラスト作となった'86年発表の2ndアルバム。
Keyが本編の幕開け役を担っていることが象徴するように、スラッシュ/スピード・メタリックな前のめりの突撃感覚や、強引な曲展開が影を潜めた楽曲は、その代わりに哀愁に満ちたメロディを、力みを抑えて伸びやかに歌い上げるVoと、エッジは保持しつつも、一音一音を丁寧に紡ぎ出すGとがメインを張るようになっていて、よりメロディアスに、洗練を感じさせるHMサウンドへとクラス・チェンジ。
名曲“SPEED OF SAMURAI”を始め、荒削りなれど問答無用の迫力で顔面を張り倒しに来ていた前作に対する個人的思い入れを抜きにすれば、なるほど。確かに作品全体としての完成度は高まった印象です。
特に哀メロとハードネスが適切な融合を果たした⑥は、シンガーの憂いを感じさせる声質や、曲調を心地良く包み込む透明感が、当時同じマネージメントに所属していたHELLOISEを思い起こさせる名曲。またインストの小曲⑧から繋がっていくラスト・ナンバー⑨では、前作の作風を受け継ぐ大作主義を堪能することもできます。
メンバーがバンドの代表作と自負するのも納得の1枚。


MARTYR - Darkness at Time's Edge - Into the Abyss ★★★ (2014-08-26 23:02:13)

心地良い疾走感に乗せて、力みを抑え伸び伸びと
メロディアスに動き回るツインGの活躍が印象的。
(HR/HMとしてのエッジを失っていないのも○)
憂いを帯びたVoの声質と、透明感を湛えた哀メロの
威力ゆえか、同郷のHELLOISEに通じる魅力を感じたりも。


MARTYR - For the Universe ★★ (2014-08-10 11:15:38)

再結成して現在も活動中のオランダはユトレヒト出身の5人組、'85年発表のデビュー作。
当時、ヨーロッパ圏でも頭抜けてアグレッシブなメタルが高い人気を博していたというオランダのお国柄を象徴するかのように、スラッシュ寸前まで攻撃性と突進力を研ぎ澄すませた、ササクレだらけのパワー・メタル・サウンドが本作の魅力。うっかり素手で触った日にゃ、手のひらが真っ黒&傷だらけになりそうな切り立ったダーティなGリフと、裏声ハイトーンを織り交ぜて朗々歌いまくるVoが猛然と突っ走るOPナンバーなんて、タイトルが“SPEED OF SAMURAI”ですよ。個人的にはこれだけでもう「その意気、買った!」と。
ストレートに突っ走るだけでなく、スティーヴ・ハリスへの憧憬を滲ませながらアタッキーにヒットされるBとツインGの先導のもと、頻発するリフ/リズム・チェンジを組み込んだ楽曲、それに叙情的な序曲/終曲を配して起承転結を演出する本編の構成等は、IRON MAIDENからの影響が大。アコギや緩急を効かせて繰り出される⑤はその最たる例かな?
ソング・ライティングの実力は本家の域にまでは達していませんが、てやんでー!コンチクショウメー!的な前がかりな勢いに関しては十分にタメ張るものあり、な1枚。


MARTYR - For the Universe - Speed of Samurai ★★★ (2014-08-10 21:48:19)

タイトルだけで星3つを進呈したくなりますね。
事実、Gリフの切れ味の鋭さから、無心に頭を
振りたくなる疾走感、Voの歌いっぷり、
そして1曲の中に2、3曲分のアイデアが
ブチ込まれた曲展開まで、タイトル負けしない
カッコ良さが漲る名曲です。
スピ~ド・オブ・サムラ~イ!


MARTYR - Live in Japan ★★ (2019-12-02 22:49:59)

良く言えば知る人ぞ知る、ぶっちゃけるとマイナーな存在のオランダのベテラン・パワー・メタル・アクト、MARTYRの’19年発表のライブ盤が日本発売されていることに驚きましたが、それがここ日本で収録されたものだと知って更にビックリ。来日してたんかい(しかも初来日かと思いきや2度目の来日公演だったという)。CD屋で本作を手に取った時はしげしげと眺めてしまいましたよ。
‘19年2月に大阪で開催されたTRUE THRASH FESTへ参戦した際のライブの模様が収められており、正直、復活以降のアルバムからの選曲が殆どを占める偏ったセットリストは相当に難あり。とてもMARTYR入門盤にはお薦めできません。現役バンドとしての矜持の表われと好意的に解釈するにしても、もうちょいバランスを取れんかったのか、と。
とは言え、未だチェックできていない近作の楽曲も、こうして聴くとパワフルでなかなかにカッコイイことが分かりましたし、あとやはりキメの1曲を持っているバンドは強い。最後に代表曲“SPEED OF SAMURAI”が炸裂してライブが締め括られると、何だか「あぁ良いライブを体験できたなぁ」と、終わり良ければ全て良しな雰囲気が醸成されてしまうのですから。
バンドのMCやパフォーマンスはもとより、ライナーノーツに記された『MARTYR来日記』、それにボーナス・トラックとして収録された“SPEED OF SAMURAI”の日本語歌詞バージョン等からも、彼らの来日公演が実現したことに対する喜びがビンビンに伝わってきて、思わずこっちの顔まで綻んでします。
手放しで絶賛は出来ませんが、それでも愛さずにはいられない1枚。


MASQUERADE - Masquerade ★★ (2013-04-18 23:01:17)

レーベル・メイトのJACKALと共に来日公演を行ったこともあるスウェーデン出身の4人組が、'92年に発表した1stアルバム。90年代に勃発した第二次北欧メタル・ブームの先駆けとなった作品群の一つで、記憶が確かなら、個人的に初めて購入したゼロ・コーポレーションのアルバムだったような・・・。
Keyを適宜効かせつつ、トニー・ハーネル型ハイトーンVoが歌い上げるのは、北欧らしい透明感とアメリカンな快活さを併せ持ったメロディアスHRサウンド。曲間を切り詰め、時にSEやインストの小曲を配して全編を流麗に綴るアルバム構成や、重厚な音作り、華麗なコーラス・ワークからは、デビュー作にして既に新人バンドらしからぬ洗練された物腰が感じられます。
爽やかな名曲⑤を筆頭に、明らかにTNTの強い影響下にある音楽性なのですが、歯切れの良いGリフの刻みから滑らかなソロ・パートまで、澱みなく動き回って楽曲を盛り立てるGの存在がこのバンドならではの個性確立に大きく貢献。昔はもっとポップなサウンドのイメージを持っていたのですが、久し振りに聴き直してみたら、キリリとエッジの立ったGが全体を引っ張る、思った以上にハードな作風で「おっ」と思わされましたね。
と同時に、彼らが次作以降、急速にヘヴィな方向へと傾斜していったことも当然の帰結だったのかなぁ、と。


MASQUERADE - Masquerade - Gimme All Your Love ★★ (2013-04-20 00:33:23)

Gの嘶きからスタート。
体を揺するアップテンポの曲調に
心地良いグルーヴ、キャッチーなサビメロと、
OPナンバーにピッタリなドライヴ・チューン。


MASQUERADE - Masquerade - Ride With the Wind ★★★ (2013-04-20 00:36:42)

青空へ向けて舞い上がっていくような
爽快感が味わえる名曲。
「超TNT型」と評したく仕上がりですが、
ここまで優れた楽曲が作れるのなら
文句はありませんて。


MASQUERADE - Surface of Pain ★★ (2015-11-28 08:51:38)

80年代フィーリング薫る、爽やかで健康的なメロディック・メタルを以って「TNTの後継者」と目されていたMASQURADEが、突如重心を低く落とし、ダークな緊迫感を放つ90年代型HMサウンドにモデル・チェンジ。多くの北欧メタル・ファンを「MASQUERADEよ、お前もか・・・」と嘆かせた'94年発表の2ndアルバム。
尤も、キャッチーな疾走感や透明感は薄れてしまっても、憂いの滲むメロディ・センスはきっちりと保持。また作曲面においてもリズムやアレンジ、曲展開にヒネリを加え、前作ではハイトーン一本槍の歌唱に単調なきらいがなくもなかったシンガーが、全声域を活かして伸びやかな歌声を披露する等、随所に創意工夫凝らされた本作は、安易に流行に擦り寄った軽薄感は皆無。実際、リリース当時から結構冷静に高評価を受けて、バンドは本作発表の同年クリスマスにはレーベルメイトのJACKALと来日公演も行っているんですよね。
そもそも彼らの場合、1stの時点でGが案外ハードに自己主張していたこともあり(既にここへと至る素地は十分にあった)、今更「ヘヴィになった」というよりは、「一層逞しくなった」と表現すべきでしょうかね。①や④はその好例というべき楽曲かなと。
MASQUERADEの必聴作が1stであることは厳然たる事実なれど、こうして聴き直してみて、本作の良さにも漸く気が付かされた次第。バンドからは「遅過ぎるよ!」と怒られてしまいそうですが。


MASS - Take You Home ★★★ (2017-07-11 23:42:03)

ボストンのクリスチャン・メタル・バンド、MASSが翌年発表する2ndフル・アルバムに先駆けて’87年にリリースした6曲入りEP。
その昔。ラジオで耳にしたのか、お店で流れていたのを聴いたのか忘れてしまいましたが、ともかく名曲“OVER YOU”のあまりのカッコ良さにK.O.され、こりゃ是が非でも収録作品をゲットせねば!と探し回ってようやっと購入。しかも実際に本作を聴いてみたら、キレのあるスピード・ナンバー③や、抒情メロディと劇的な構築美を備えた⑥(あと再発盤にボートラとして追加収録されている⑦もドラマティックで素晴らしい)等、それ以外の収録曲も捨て曲なしの名作だったというね。
次作『VOICES IN THE NIGHT』(’88年)ではマイケル・スウィートをプロデューサーに迎え、音作りやキャッチーなコーラス・ワークがより洗練されたことで、更にSTRYPER色が強化されることとなりますが、この頃のサウンドから受ける印象はセルフ・プロデュースによるラフな音質とも相俟って、未だ「アグレッシブな正統派HM」といった趣き(何せ1曲目からタイトルは“PEDAL TO THE METAL”ですからね)。その集大成と言うべきが、イントロの――ちょっとSTRYPERの名曲“SOLDIER UNDER COMMAND”を彷彿とさせる――勇壮なGメロディだけでメタル魂に着火されてしまう、クリスチャン・メタル史に残る(と勝手認定)逸品“OVER YOU”だったのかなと。
ボリュームはタイトながら内容は濃厚。実はMASSの作品の中で最も手が伸びる率の多い1枚だったりします。


MASS - Take You Home - Over You ★★★ (2017-07-12 23:45:48)

メタリックなGリフ、適度な疾走感、哀愁を帯びたメロディ、
キャッチーなコーラスetc.と、MASS屈指の…いやさ、ここは思い切って
クリスチャン・メタル屈指の名曲の一つと言ってしまいたいところ。
まぁイントロだけ聴くと“SOLDIER UNDER COMMAND”でも
始まりそうな感じではあるのですが。


MASS - Voices in the Night ★★★ (2016-09-22 09:22:53)

「さて、マスでもかくか」と呟いたら白い目で見られてしまいましたが、いや違う。そうじゃなくて。マスはマスでも、ここに書き記すのはボストン・マサチューセッツ(略称MASS)出身の5人組が、'89年にENIGMA RECORDSに残した3rdアルバムについて。
彼らのことは「STRYPERの弟分」的イメージで見ていましたけど、国内盤の解説によれば結成は80年代初頭まで遡り、2枚のアルバムでトム・アロムやトニー・プラットといったプロデューサーとも仕事をしてきたキャリアの長いバンドだったんですね。(元マネージャーとの間で起きた訴訟トラブルのせいで、思うように活動ができなかったとか)
クリスチャン・メタル界の先輩マイケル・スウィートをプロデューサー(&バックVo)に招聘した本作で聴けるのは、張りのあるシンガーの歌唱法、ドラマティックなツインGの出し入れから、美麗なボーカル・ハーモニーまで、「まるでSTRYPER」なHMサウンド。そりゃ方々で指摘された通りオリジナリティに関しては疑問が残りますし、本家に比べると小じんまりとまとまっていて、メロディの扇情度や曲展開にフックが今一歩足りていないのも事実です。しかしながら、憂いを湛えたメロディック・メタル・ナンバー①や、神々しいコーラス・ワークが印象的な③、うっとり聴き惚れるバラード④、イキのいいGリフがハードに疾駆する⑤のような、単なる二番煎じと切り捨てるには惜し過ぎる魅力を放つ楽曲を前にすれば、「半端なオリジナリティより、優れたフォロワー!」と、断固本作を支持したくなるのが心情というものですよ。
この後MASSはENIGMAの倒産に巻き込まれて契約を失い解散してしまうことになるのですが、現在は再結成を果たし活動中。彼らの今後に神のご加護があらんことを。


MASS - Voices in the Night - Turn It All Around ★★★ (2016-09-22 09:55:52)

鋭角的に刻まれるGリフが小気味よく疾走する
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
これまた初期STRYPERの未発表曲と言われたら
信じてしまいそう感じですが、分厚いハーモニーに
彩られたキャッチーなコーラスが
爽快且つ勢いを感じさせて、良いものは良いんだと。


MASS - Voices in the Night - Voices in the Night ★★ (2016-09-22 09:51:17)

シンガーの歌唱スタイルから、壮麗なコーラス・ワーク、
さらに歌詞には“LOUD AND CLEAR”なんて一節まで
登場したりして、STRYPER感満点な3rdアルバムのOPナンバー。
プロダクションのせいなのか、やや小じんまりとした印象を
受けますが、でも良い曲ですよ。


MASSACRE - From Beyond ★★★ (2020-10-05 23:27:34)

故チャック・シュルデナーとの関連で度々名前を耳にするものの、実際に音まで聴いたことがあるDEATHファンはあまり多くないという、フロリダの古参デス・メタル・バンドMASSACREが'91年にEARACHE RECORDSから発表した1stアルバム。
製作時の布陣は、MASSACREの看板を背負い続けるリック・ロッツ(G)、デス声のパイオニアの一人であるカム・リー(Vo)、現OBITUARYのテリー・バトラー(B)、一時期名古屋のDISK HEAVENで目撃情報が相次いだ(店員として働いていたらしい)ビル・アンドリュース(Ds)という、全員が初期DEATH、ないしその前身であるMANTASに関わったメンバーばかり。なので出している音も「チャックのいないDEATH」といった趣きのデス・メタル・サウンド…と書くと退屈そうに思われるかもしれまんせんが、さに非ず。
コリン・リチャードソンの手による低音の効いた音作りや、怨嗟に塗れた咆哮、かさぶたを剥がした傷口の如きジュクジュクのリフを刻み、SLAYER直系の鼓膜に突き刺さるソロも繰り出すG、そしてブラストは用いず、飽くまでスラッシュ・メタルに根差した乾いたビートでリズム隊が突っ走る、今となっては「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね」と懐かしさすら覚えるオールドスクールなデス・メタルっぷりに胸トキメキます。
中には意表を突いて大仰なオーケストレーションが導入された実験的――というほど小難しくはないが――な楽曲もあったりしますが、やはり本作のハイライトはストレートに突っ走る⑩(初期DEATHの名曲のリメイク)ではないかと。
再発盤は'92年発表のEP『『INHUMAN CONDITION』も収録されていてお得ですよ。


MASSACRE - From Beyond - Corpsegrinder ★★★ (2020-10-06 23:42:38)

オリジナルは初期DEATHのデモテープ『REIGN OF TERROR』収録。
ただしそっちで演奏しているのもリック・ロッツとカム・リーなので
カヴァーというよりはリメイクと言うべきか。
のたうつように刻まれるGリフと重低音Voがド直球のデス・メタルっぽさを
醸し出す一方、一緒に叫びたくなるコーラスは案外キャッチー。
疾走感もスラッシュ・メタルに根差したもので、頭振るのに持ってこいという。


MASTEDON (2013-05-11 23:28:35)

MASTODONではなくMASTEDON。
KANSAS脱退後は、クリスチャン・メタル・シーンでセッション/プロデュース業に精を出していたジョン・エレファンテが、実兄のディノ・エレファンテと共に立ち上げたスタジオ・プロジェクト。
コンピ盤『CALIFORNIA METAL』シリーズに楽曲を提供した後、'89年にREGENCY RECORDSから1st『IT'S A JUNGLE OUT THERE!』を発表してデビュー。
同作に対するレコード会社の仕事振りに不満を感じたエレファンテ兄弟は、自らPAKADEM RECORDSを立ち上げると、'90年には2nd『LOFCAUDIO』をそこからリリース。
以降はアメリカの音楽シーンの変化もあって活動がフッツリと途絶えるも、'09年、デビュー20周年を記念して3rd『3』(そのまんまですな)を制作、FRONTIER RECORDSから発表した。


MASTEDON - III ★★★ (2013-05-15 23:04:10)

結成から25周年を記念して久々に発表された3rdアルバム。
勿論、プロジェクトの中核を為すのはジョン&ディノのエレファンテ兄弟です。相変わらず「象」押しのジャケット(エレファンテとエレファントを掛けてるんだよね?)といい、3枚目だから『③』と付けられたシンプルなタイトルといい、従来の作風を受け継ぐ気満々なのが伝わって来る本作は、事実、どっしりとしたリズムの上を叙情味豊かな歌メロと重厚なハーモニーが舞う①、Keyがエキゾチックなフレーズでアクセントを加える②、そしてBOSTONの名曲“MORE THAN FEELING”を彷彿とさせる壮大な③・・・といった具合に、開巻早々からMASTEDONならではの優美な魅力を備えた楽曲が目白押し。
ジョンのKANSAS時代の僚友ケリー・リヴグレン(G)が全面参加しているためか、前2作を大きく上回るプログレ・ハード・テイストが注入されているのも特徴で、その最大の成果こそがアルバムのハイライト・ナンバー④。ポップな歌メロから劇的な曲展開、Keyの用い方に至るまで、確信的にKANSASサウンドの再現が試みられているこの名曲を聴くためだけにでも、本作は購入する価値ありと認む。(後半には“すべては風の中に”のカヴァーも収録されています)
国内盤の入手も容易ですので、MASTEDON入門編としてもお薦めできる1枚。


MASTEDON - III - Nowhere Without Your Love ★★★ (2013-05-16 22:06:50)

イングヴェイでお馴染みの、アルビノーニのアダージョを
用いた物悲しげなイントロから一転、BOSTONばりに
大陸的な雄大さを感じさせてくれる曲調が
アメリカン・プログレ・ハード然とした魅力を発散する名曲。


MASTEDON - III - One Day Down by the Lake (See Your Real Soon) ★★★ (2013-05-16 21:24:52)

ポップな歌メロ、綿密なアレンジと壮大な曲展開、
哀愁を帯びたGに壮麗なハーモニーとKeyの競演が
10分以上の長尺をまるで長いとは感じさせない名曲。
ジョン・エレファンテ在籍時代のKANSASだって
ここまでド直球なプログレ路線の楽曲は
演っていなかったような・・・。
ケリー・リヴグレンから相当なインプットがあったのでは?
と推察されます。


MASTEDON - It's a Jungle Out There! ★★ (2013-05-11 23:29:25)

ジョン(Vo)とディノ(G)のエレファンテ兄弟が立ち上げたスタジオ・プロジェクトが、'89年にREGENCY RECORDSから発表したデビュー作。
プログレ・ハード調のアレンジも顔を覗かせる2nd『LOFCAUDIO』を先に聴いてから、遡ってこのアルバムを購入したせいか、CDを再生したらいきなり飛び出すハードなGサウンドとシャガレ声のVoに「あれっ、MASTEDONの1stを買ったつもりだったけど間違えたか?」と、焦って歌詞カードを確認してしまいましたよ。サビまで聴き進めると漸く美しいコーラスが登場して「ああ、良かった、MASTEDONだ」となるのですが、このガッツリとロックしているOPナンバーの存在が表している通り、2ndや3rdと比較すると本作はプログレ色が控えめ。
それでも、エレファンテ兄弟を始め参加ミュージシャン達の余裕綽々のパフォーマンスに支えられたメロディアスHRサウンドは、フッキーなメロディ、美しいハーモニーと優雅なアレンジとに彩られ、そこにはデビュー作に付き纏いがちなチープさや荒削りな感覚などは殆ど見当たりません。
コンピ盤『CLIFORNIA METAL Ⅱ』にも提供された“GET UP”や、デヴィッド・パック(AMBROSIA)の伸びやかな歌声が映えるクリスチャン・バラード“SHINE ON”、舞い上がっていくような高揚感に満ちた“RIGHT HAND”といった、メロディ愛好家のハートに猛烈に訴えかけて来るサムシングを宿した名曲を多数収録する好盤。


MASTEDON - It's a Jungle Out There! - Right Hand ★★★ (2013-05-12 23:51:54)

スケールの大きなラスト・ナンバーで、
ジョン・エレファンテが背負った
「元KANSAS」の肩書きに対する期待に
見事に応えたプログレ・ハード風味漂う名曲。


MASTEDON - It's a Jungle Out There! - Shine On ★★★ (2013-05-12 23:49:08)

美しいメロディと透き通るようなコーラスが
いかにもクリスチャン・メタル的な
神々しい雰囲気を漂わす美麗なバラード。


MASTEDON - Lofcaudio ★★★ (2013-05-13 23:03:02)

エレファンテ兄弟自らが主宰するPAKADEM RECORDSから'90年に発表された2ndアルバム。
複数のリード・シンガーの起用や、豪華なセッション・ミュージシャンの参加を仰いでいる点等は前作と同様ながら、今回は、アルバムの方向性が絞り切れていない印象もあったデビュー作の反省を生かして、Keyのフィーチュア度を高め、より優美なメロハー路線を徹底。併せて、楽曲を彩るメロディの哀愁やフック、それにハーモニーの強化も図られており、個人的にはキラキラのKeyを纏って軽やかに疾駆するOPナンバー“HOLIEST ONE”が始まった途端、「はいはい、俺の負け俺の負け」と両手を挙げて降参したくなりました。
ジョン・エレファンテ在籍時代のKANSASを思わせるプログレ・ハード調のアレンジや曲展開が端々で顔を覗かせているのも本作の特色で、ことにインスト“STAMPIDE”から次曲“LIVING FOR YOU”へと繋がっていく流れは、ドラマティックでありながら、仰々しさよりも華麗さ、親しみ易さといった要素が勝っている辺りが正しくKANSAS。
他にも、コマーシャルに疾走するハードポップ“WHEN ALL COMES DOWN”から、強い哀愁を発散してエンディングを締め括るバラード“IT IS DONE”まで優れた楽曲がズラリ取り揃えられ、MASTEDONの代表作としての評価も確立している(METALLION誌のメロディアスHR特集号にも選出されていました)本作ですが、現状、彼らのカタログの中では最も入手困難な作品というのが残念至極。


MASTEDON - Lofcaudio - Holiest One ★★★ (2013-05-14 23:07:06)

眩いKeyとテクニカルなGの掛け合いを
フィーチュアしつつハードに疾走する
アルバムのOPに打ってつけの名曲。
眩いKeyと重厚なハーモニーにくるまれた
華麗にしてキャッチーなサビメロが
思わず一緒に歌いたくなる素晴しさ。


MASTEDON - Lofcaudio - It Is Done ★★★ (2013-05-14 23:10:52)

ジョン・エレファンテ在籍時代のKANSASの
アルバムに収められていても違和感のなさそうな名バラード。
Voのエモーショナルな歌声と、メロディから滲み出す
哀愁が涙腺に沁みるったらないですよ。


MASTER - Master ★★ (2008-07-04 00:04:00)

結成は'83年とかなり古く、一般的な知名度こそ低いものの、マニア筋からは、スラッシュ・メタルとデス・メタルの
結節点として高い評価と人気を得る、ポール・スペックマン率いるシカゴ出身のトリオが、'90年にNUCLEAR BLASTから
リリースした1stアルバム。(正確には、'85年に制作されたが、お蔵入りしてしまった幻のデビュー作『UNRELEASED 1985』もある)
スコット・バーンズをプロデューサーに迎え、1度レコーディングした内容がレコード会社にダメ出しを食らい、
異なった面子で再び録り直すという、煩雑な経緯を辿って発表に至った作品なれど、歪な音色で刻まれる禍々しいGリフに、
重量感溢れる2ビートでラッシュするDs、ゴリゴリと動き回る硬質なB、そして反体制・反社会的な歌詞を
叩きつけてくる吐き捨て型のVo・・・と、飾り気のない、オーソドックスなデス/スラッシュ・メタル・サウンドが
ギュウと詰め込まれた内容は、理屈抜き、問答無用のカッコ良さを誇る。
トータル・ランニング・タイムは30分弱、1曲平均2分半と、楽曲は非常にタイトな構成ながら、
シャープに切り込んで来るメロディアスなGソロが、単なる彩り以上の存在感を発揮している点も◎。
重戦車の進撃を思わせる迫力と、キャッチーさを併せ持った名曲②を筆頭に、全編に渡って疾走しまくりの収録曲は、
何れ劣らぬ力作揃いなれど、中でも特筆すべきは、ベース・ソロを序曲代わりにスタートする、BLACK SABBATHの
代表曲のカヴァー⑧。重々しい雰囲気の漂う原曲を、スピーディ且つドラマティックに再構成した技ありのアレンジは、
「この曲を聴くためだけに本作を購入しても損はない!」と断言したいくらい、(まさに↑の方の仰る通り)クールな出来栄えを誇る。
デス・メタル、スラッシュ・メタル、双方のファンにアピールし得る魅力を備えた1枚じゃないでしょうか。


MASTER - Master - Bass Solo / Children of the Grave ★★★ (2008-07-05 01:04:19)

不穏な雰囲気漂うBインスト・パートをイントロ代わりに
スタートする、BLACK SABBATHの名曲のカヴァー。
これまでも様々なアーティストが取り上げてきた
SABBATHの代表曲だが、個人的には、このカヴァー・バージョンがベスト。
Bによるイントロだけで完璧に掴まれる、
スピーディ且つ劇的なアレンジが素晴しいったら。


MASTER - Master - Unknown Soldier ★★ (2008-07-05 00:58:16)

戦車の進撃を思わせる迫力と、キャッチーさを併せ持った
1stアルバムの中でも1、2を争う出来の名曲。
意外なほどメロディアスに切り込んで来るGソロと、
唸りをあげる硬質なBラインのカッコ良さも特筆もの。


MASTER - On the Seventh Day God Created... Master ★★ (2008-07-12 02:28:00)

米アングラ・メタル・シーンの首領、ポール・スペックマン(Vo、B)率いるデス/スラッシュ・メタル・トリオ
MASTERが'91年に発表した、ファンの間ではバンドの最高傑作と誉れ高い2ndアルバム。
頭からケツまでただひたすらに疾走しまくる、スラッシュ・メタル・テイストが色濃く打ち出されていた
デビュー作『MASTER』に比べ、サウンド・プロダクションの向上に伴い、グッとヘヴィネスが強化された
(バスドラの重さが半端じゃない)本作は、シンセによるイントロからスタートする②や、引き摺るようなスロー・パートと
スピーディな疾走パートが波状攻撃を仕掛けてくる③のような楽曲を収録する等、よりダイナミズムの演出に気が配られ、
破壊的に刻まれる禍々しいGリフといい、荒々しく突進する地鳴りの如きリズムといい、全体的に、デス・メタル色を
強めた内容に仕上がっていると言えるかも。(Voはデス声というよりも、ハードコア風の怒号タイプだけど)
そして何より、このアルバム最大のトピックが、本編の随所でテクニカルなGソロを炸裂させている、CYNICやDEATHとの
仕事で知られる、名手ポール・マスヴィダル(G)の参加。禍々しいリフの壁の構築と、メロディアスなGソロという、
破壊力と構築美を兼ね備えた彼のGプレイをフィーチュアして、重々しくもスピーディに突っ走る①④⑤⑥⑩といった
デスラッシュ・ナンバーの凄まじい迫力とカッコ良さは、間違いなく本作のハイライト。(ちなみに⑩には、
OBITUARYのジョン・ターディがゲスト参加、一聴してそれと判るデス・ボイスを響かせている)
スラッシュ、デス、ハードコア、何れのファンからも高い評価を得る、MASTERというバンドの魅力を知るにはうってつけの、
入門編に最適な1枚かと。


MASTER - On the Seventh Day God Created... Master - Constant Quarrel ★★ (2008-07-12 22:47:21)

④“USED"⑤“DEMON"、そしてこの曲という、
スピード・ナンバーで息つく暇なく畳み掛けられる中盤は、
まさに2ndアルバム最大の山場かと。


MASTER - On the Seventh Day God Created... Master - Used ★★ (2008-07-12 22:38:48)

ひたすらブルータルに、押せ押せで突っ走るデス・メタル・ナンバー。
それだけに、「華麗」とでも表現したくなる、
ポール・マスヴィダルのテクニカルなGソロの存在感が際立ちます。


MASTER - Unreleased 1985 ★★ (2010-05-25 22:17:00)

COMBAT RECORDSから'85年にリリースされる筈が、契約上のトラブルでお蔵入りとなってしまい、
'03年に発表されるまで陽の目を見る機会のなかった、MASTER幻の1stアルバム。
全曲が正式なデビュー作『MASTER』に再録されているので、「要するにデモ音源集みたいなもんでしょ」
と思われるかもしれないが、さに非ず。曲は同じでも両者から受ける印象は全く異なり、
スラッシュ/デス・メタル風味が色濃い『MASTER』に比べ、本作はパンク/ハードコア的な
生々しい前のめり感が強く漂う。極めてローファイなサウンド・プロダクションの下、
ダーティな咆哮を上げるVo、刺々しくノイジーなリフ&リズム、そして掻き毟られるようなGソロが
乾いた殺気を撒き散らしながら突っ走る、攻撃的な楽曲の数々に宿る初期衝動の熱量も桁違いで、
本作を聴くと、あれほどアグレッシブな『MASTER』ですら、ちゃんと「商品」として
仕上げられていた事が良く分かります。'85年にこのサウンドってのはかなり衝撃的だよなぁ。
MASTER入門編としては、総合的な完成度や取っ付き易さで勝る正式なスタジオ盤『MASTER』や
2nd『ON THE SEVENTH DAYS GOD CREATED...MASTER』をお薦めするが、それらが気に入ったなら本作も是非。


MASTERPLAN ★★ (2007-06-15 22:18:00)

マイク・テラーナはドラミングも強烈でしたが、叩いてる時の顔はもっと強烈だったような・・・(笑)
また、マイク・ディメオはRIOT時代のライブとは比べ物にならないぐらい歌が上手くなっていましたよね。
ヨルン・ランデの抜けた穴をしっかりと埋めていたと思います。
客も十分入っていましたし、“HEROES"のリフの大合唱や、ローランド・グラポウ・コール、
そして前日はプレイしてくれなかった“MASTERPLAN"も、きっちりと最後に演ってくれてと、
最終日に相応しい大盛り上がりのライブだったのではないでしょうか。


MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:12:48)

香港やドイツでライブを行い、欧州のレーベルが企画したANVIL、RUNNING WILDといったバンドのトリビュート盤に参加する等、アルバム・デビュー前から積極的に海外での活動にも目を向けていた北海道出身のHMウォリアー、堀田勝彦(Vo、G)率いるMAVERICKが'05年にSPIRITUAL BEASTから発表した1stアルバム。
音楽性の方は徹頭徹尾の正統派HMサウンド。JUDAS PRIESTからの影響を伺わせるツインGを絡ませながら、ACCEPTばりの質実剛健さをもってリフ&リズム&コーラスが突き進む様は、なんだったら「METAL」の5文字をそのまま音楽にしてしまったかのような成分無調整っぷりで微笑ましい限り。暑苦しい(誉め言葉)声質のVoは好き嫌いが分かれそうなタイプですが、堀田の歌うメロディが時折濃厚に発散する昭和風味の哀愁にはグッとくるものがありました。特に、イントロ①の焦らしを力強く打ち破ってアグレッシブに畳み掛ける②、雄々しくもどこか物悲しさを漂わせながら疾走する⑥、MOTORHEAD的ラフなノリとキャッチーなメロディが合体したバンドの代表曲⑦、それに本編を締め括るMAVERICKのテーマ・ソングというべき独産メロパワ・メタリックな⑪は、聴く度に血中メタル濃度の高まりを感じずにはいられないパワー・チューンですよ。
デビュー作ということで、折角の曲の良さを活かし切れているとは言い難いプロダクションや、不意に露呈するVoのピッチの甘さが、未だ彼らが発展途上であることを物語りますが、新人バンドが1作目でこの出来栄えを提示してきたなら、そりゃもう「前途有望」以外の表現は思い浮かびませんて。


MAVERICK - MAVERICK - ENDLESS SMILE ★★★ (2018-11-26 00:18:45)

アグレッシブで勇ましい曲調と
Voが歌う物悲しい哀愁に満ちたメロディの
コントラストが美味で、聴いていると何やら
負け戦に立ち向かう戦士の姿を幻視してしまいますよ。
アルバムで一番好きな曲かもしれません。


MAVERICK - MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:22:04)

独産メロパワ・メタルからの影響を伺わせるパワー・チューン。
アルバムの〆に自分たちの名を冠するテーマ曲を持ってきて、
尚且つそれをちゃんと名曲レベルに仕上げていることからも
このバンドの地力の確かさが窺い知れるというものです。


MEAT LOAF - Bat Out of Hell ★★ (2009-05-25 21:59:00)

役者としてのキャリアも積む個性派シンガー、ミートローフことマーヴィン・リー・アディと、ワーグナー狂の
ソングライター、ジム・スタインマンがタッグを組んで作り上げ(プロデュースはトッド・ラングレンが担当)、
'78年に発表するや大好評を博し、現在に至るまで全世界で3000万枚以上というギネス級の売り上げを記録しているMEATLOAFの
デビュー作にして、一大ロック・オペラ・アルバム『BAT OUT OF HELL』(邦題『地獄のロックライダー』)シリーズの第1章。
高揚感を生み出す力強いメロディを、全身全霊を込めて熱唱するパワフルなVo、壮大にしてダイナミックな起伏を描く
オペラティックな曲展開、全編を豊かに彩るピアノの旋律にビッグなコーラス・・・。聴き終えた後、思わずそれまで止めていた息を
「っぷは~」と吐き出してしまうくらい、怒涛の盛り上がりっぷりを聴かせる名曲①で幕を開ける本作は、
大作主義が打ち出されていても、プログレッシブ・ロック的な内向性や繊細さといった要素は然程感じられず、それよりも寧ろ、
外へと向かっていくポジティブなエネルギーに満ちた豪快な躍動感や開放感溢れる作風は、如何にも大陸的(アメリカン)。
流石に30年以上昔の作品ゆえ今聴くと多少古臭い感は否めないし、シリーズ最高傑作と名高い『BAT OUT OF HELL Ⅱ 地獄への帰還』
辺りと比べると、意外にロックンロール風味の強いシンプルな仕上がりに肩透かしを食うHR/HMファンも多いかもしれないが、
個人的には、正面きって物量勝負・体力勝負を仕掛けてくる『~地獄への帰還』よりも、理屈抜きに体が動き出す
エネルギッシュでノリノリな⑤、ストリングスをフィーチュアしてラストを壮大に締め括るドラマティカルな
バラード⑧といった名曲を収録し、胃にもたれない適度に軽快な味わいも感じられる本作の方が、聴き返す機会が
多かったりする。(LP時代ゆえコンパクトにまとめられた収録時間も丁度良い按配でありがたい)
全然ロックしてない?いやいや、これほど心と体をロックされる(揺り動かされる)アルバムはそうはないですよ!


MEAT LOAF - Bat Out of Hell II: Back Into Hell ★★ (2009-05-26 23:06:00)

グランジ/オルタナティブ・ロック旋風が猛威を奮い、HR/HMシーンから急速に華やかさが失せていった'93年という
時期に発表され、それとは真逆を行く絢爛豪華な内容にも関わらず、ヨーロッパはおろかアメリカでも爆発的な
セールスを記録し「MEATLOAF健在!」を鮮烈に印象付けた、ロック・オペラ『BAT OUT OF HELL』シリーズ第2弾。
シンプルなロックンロール・テイストも強く感じられたデビュー作に対し、よりゴージャスに、より壮大に、
よりシアトリカルにと、あらゆる面においてスケールアップの図られた本作は、QUEENからオペラティックな部分のみを
抽出し、それを更にカリカチュアしたかのような作風を誇り、時にその芝居がかった大仰さはMANOWARの領域にまで
到達せんとする勢い。特に、まるでミュージカルの如く激しく場面転換を繰り返しながら、心揺さぶるミートローフの
熱唱をフィーチュアして息苦しい程に盛り上がる①(10分以上もある大作曲にも関わらず、全世界29カ国で№1に輝いた
大ヒット・シングルでもある)は、本作のみならず『BAT OUT OF HELL』シリーズを代表する名曲中の名曲。
正直に告白するならば、アルバム1枚を通して聴くと、良くも悪くも体力勝負を強いるアメリカンなノリに胸焼けを
覚える部分も少なくなく、ゆえに通して聴くよりは前述の名曲①や、ドラマ『スクールウォーズ2』の主題歌としても
知られる、力強く高揚感に溢れた⑤、深い感動を呼ぶバラード⑥⑨、雄々しい⑧といった楽曲を摘み食い的に
楽しませて貰っているのだが、とは言え、ゴージャスで大仰な音世界がギュウギュウに詰め込まれた本作は、
間違いなくMEATLOAFというバンド、そしてロック・オペラ『地獄のロックライダー』シリーズ入門篇には
打ってつけの1枚。廃盤の割には中古盤が手軽に入手可能だしね。


MEAT LOAF - Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose ★★ (2009-05-28 19:54:00)

ミートローフとジム・スタインマンの仲違いが原因で、発表まで実に13年もの歳月を要した『BAT OUT OF HELL』シリーズ第3弾。
そのため、今回ジムはアルバム用に7曲の既発曲を提供するのみに留まっており、彼に代わるミートローフの新たな
パートナーには懐かしや、デズモンド・チャイルド御大が起用。その他にも売れっ子ライターやら大物ミュージシャンやら
錚々たる面子がゲスト参加していて、この過去に例を見ない豪華な布陣からは、ジム不在の大穴を埋めるべく
なりふり構ってらんないミートローフ側の切羽詰った事情が透けて見えなくもないが、とは言え、
優れたアーティスト達が優れたパフォーマンスを提供してくれているのだから、文句を言う筋合いなど全くない。
派手な曲展開は抑え気味に、重厚且つシンフォニックなアレンジが施された楽曲の数々は、前2章とはやや趣きを異するものの
相変わらずハイクオリティで、特に今回はメロディの充実っぷりが他作品と比較しても突出。MEATLOAFのアルバムで
ここまで欧州風味の翳りを湛えたメロディを聴く事が出来るモノは他にないんじゃなかろうか?
中でも、重く澱んだGサウンドがゴシック・メタル的な雰囲気を漂わす①、悲しげなピアノの旋律を纏って劇的に盛り上がる②、
ミートローフの絶品の歌唱が息苦しいまでの感動を呼ぶ⑤⑨、物々しく緊迫感に満ちた⑥、そして“カルミナ・ブラーナ"ばりに
大仰でシンフォニックな序曲⑦から繋がっていく、心が浮き立つような飛翔感に彩られた⑧といった楽曲は、
本作でしか聴く事の出来ないタイプの名曲。勿論、爽快感&高揚感溢るる④⑪⑫、著名な女性シンガーとの
デュエットが胸に沁みるソウルフルなバラード③⑬といった、従来の「らしさ」を保った楽曲の素晴しさも言うに及ばず。
個人的には『地獄のロックライダー』シリーズは元より、MEATLOAFの全カタログの中でもベストに押したいぐらいお気に入りの1枚。


MEAT LOAF - Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose - Alive ★★★ (2009-05-28 21:31:10)

オルフのカルミナ・ブラーナを彷彿とさせる
大仰でシンフォニックな序曲“MONSTRO"から繋がっていく、
心が浮き立つような飛翔感と高揚感、そして気品を漂わせた
アルバムのハイライト・ナンバー。素晴しい。


MEAT LOAF - Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose - Blind as a Bat ★★★ (2009-05-28 21:33:52)

悲しげなピアノの旋律を纏って、
息苦しい程盛り上がっていくドラマティックな名曲。
MEATLOAFの楽曲で、ここまでヨーロピアン風味の翳りを
湛えたメロディが聴かれるのは珍しいような?


MEAT LOAF - Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose - The Monster Is Loose ★★★ (2009-05-28 21:37:11)

重たく澱んだGサウンドがゴシック・メタルっぽい雰囲気を
演出する、これまで無かったタイプのアルバムOPナンバー。
壮大且つ優美なストリングスと力強いミートローフの歌声が
たまらなくドラマティック。


MECCA - Mecca ★★★ (2018-10-22 23:14:25)

'14年に逝去したファーギー・フレデリクセン(Vo)が、友人のシンガー、ジョー・ヴァナ(Vo)に誘われ参加したプロジェクト、MECCAが'02年に発表した1stアルバム。Voを分け合うシンガー2人の他に、TOTO時代の同僚デヴィッド・ハンゲイト(B)が参加していることや、ジム・ピートリックが曲作り並びにプロデューサーとして制作に全面関与していることでも話題を集めた1枚…らしい。いや、リリース当時完全にノーマークで、ファーギーの死後、彼の参加作品を調べていて「へー、こんな作品もあったのかと」とその存在を漸く知ったぐらいの体たらくでして、よう知らんのですよ。
既に廃盤ゆえ中古盤にはそれなりのプレミア価格が付けられており、なかなか手が出し辛い状況が続いていたのですが、価格が落ち着いてきた最近になって漸く聴くことが出来ました。関わっている面子が面子だけに、やはり期待を裏切らぬメロハーの優良盤でしたよ、これが
OPナンバー①こそ少々大味なHRナンバーで「あれ?」と肩透かしを食うものの、サビメロでの転調が効果的な②で一気に惹き込まれ、続く本命、ジョーとファーギーのデュエットをフィーチュアする爽やかな高揚感に満ち溢れたハードポップ・チューン③で、本作のクオリティの高さを確信するに至るという。以降も、期待通り伸びやかなパフォーマンスを披露するシンガー陣の歌唱を活かした、しっとり抒情的な④、夜の首都高ドライブのお供にお薦めしたいアーバンでメロウな⑥、キャッチーで快活な⑦等、メロディメーカー達の職人芸が心行くまで堪能できる楽曲が本編には勢揃い。
トミー・デナンダーが関わっているという2ndもチェックしたくなる逸品です。


MECCA - Mecca - Can't Stop Love ★★★ (2018-10-23 23:21:46)

哀愁湛えた導入から、まるでパッと視界が開けるかのように駆け出す
転調を巧みに活かした曲展開と、それを熱く盛り上げる
2人のシンガーの爽快な歌いっぷりに胸が熱くなる名曲。
流石はジム・ピートリックの技前です。


MECCA - Mecca - Wishing Well ★★★ (2018-10-23 23:26:00)

曲名がFREEの名曲を思わせますが、曲調やピアノの用い方を聴くに
結構意識して曲作りが進められたのではないでしょうか?
但しこちらの方が、洗練されたメロハー風味が
より強めに出ていることは言うまでもありません。
楽曲にキリリとしたエッジを効かせるGもいい仕事をしています。


MEGADETH ★★ (2007-11-04 10:50:00)

最近はメタル系のライブじゃ使用されることが少なくなった
(個人的に足を運ぶのはLIONSHEARTの来日公演以来の)サンプラですが
昔から音が良い会場として知られてますよ。


MEGADETH - Countdown to Extinction ★★ (2007-04-20 23:31:00)

大胆なサウンド・チェンジが奏功して、MEGADETH史上最大のヒット作となった'92年発表の5thアルバム。
スラッシーな疾走感をグッと控えめにして(ミドル~ミドル・ハイ/テンポが中心)、リフにしろ、曲展開にしろ、
Gソロにしろ、かなりの簡素化が図られた楽曲は、良く言えばソリッドで無駄がない、悪く言えば地味めな仕上がり。
実際、本作を初めて耳にした時は、ドラマ性が大幅に後退してしまった内容に肩透かしを覚えたが、
よくよく聴き込んでみれば、リフの切れ味に鈍りはないし、シンプルにまとめられた収録曲は
いずれも非常にキャッチーで、大ヒットも納得だ。
小気味良く疾走する①、冷酷に刻まれるリフにゾクゾクさせられる②、メランコリックなBラインが印象的な⑦、
ボーナストラックとは思えない一際アグレッシブな⑫・・・。そして何より、これらの楽曲を説得力十分に歌いこなす
デイヴ・ムスティンのVoが大変素晴しい。ぶっちゃけ、本作の魅力の半分くらいは、特異な個性を保ったまま
天井知らずの成長を続ける彼の歌唱(歌メロ)が占めているんじゃなかろうか?
これまで外側へ向けられていた攻撃性が内側へ向けられ、グツグツと煮詰められて爆発寸前のテンションを孕んだ作風は
如何にも90年代的だが、ここまでクオリティが高ければ文句も出ない。(曲の出来・不出来にバラつきが見られる点は気になるけど)
MEGADETH版『BLACK ALBUM』の評価も納得の1枚。


MEGADETH - Dystopia ★★★ (2016-03-05 09:40:04)

新GとしてANGRAのキコ・ルーレイロ(あとドラマーの座にLAMB OF GODのクリス・アドラー)が加入したことでも話題のMEGADETHのニュー・アルバム。
まず結論を述べさせて貰うと、三ツ星級の力作です。コマーシャルな方面にも大胆に踏み込んだ前作『SUPER COLLIDER』(’14年)が、「こういうのもありだよね」と一歩引いて俯瞰で楽しむ作品だったとするならば、角張った攻撃性や緊迫感、ニヒリズムが復活した今作は、「これが聴きたかった!」とファンの身を一歩前に乗り出させる仕上がりというか。
特に冒頭3曲の畳み掛けは強力。エキゾチックな女性コーラスに導かれ、研ぎ澄まされたGリフが冷ややかに滑り出すイントロだけでハート鷲掴みな①、キレッキレに乱舞するツインGが放つアグレッションと、シングル・カットされたのも当然のキャッチネスが同居する②、そして80年代のMEGADETHを現行メンバーで再構築したかのような③と、この隙のない序盤の流れだけで「名盤」の太鼓判を押したくなりましたからね。
刺々しさを取り戻した楽曲と、逆にシニカルさの薄れた気がするデイヴ・ムスティンのVoのギャップに当初は違和感を覚えたりもしたものですが、何度も聴くうちにすっかり慣れた…と言うか、このギャップが楽しめるようになりました。前作を経て更なる歌心を獲得したムスティンの歌唱力が映える、ダークでメランコリックな⑦は後半戦のハイライトですね。
キコが初手から曲作りに関わるであろう、次作以降に早くも期待が膨らむ1枚。


MEGADETH - Dystopia - Dystopia ★★★ (2016-03-06 09:43:31)

イントロだけで惹き込まれてしまいますよね。
デイヴが歌う愁いを帯びたキャッチーなメロディ、
キコが紡ぐテクニカルなパッセージ、
デイヴとキコのスリリングな高速ツイン・リード等
新編成の強みが分かり易い形で打ち出されいて
先行シングルになったのも納得の名曲ぶり。


MEGADETH - Dystopia - Poisonous Shadows ★★★ (2016-03-06 09:51:44)

どこかエキゾチックに響くメランコリックな
メロディが妖しく揺蕩うバラードリーな逸品。
愁いとフックを有するサビメロをムーディに歌い上げる
「シンガー」デイヴ・ムスティンの実力に痺れます。


MEGADETH - Endgame ★★ (2009-09-16 22:01:00)

10th『THE SYSTEM HAS FILED』でファンが望む音楽性に帰還を遂げて以降、MEGADETHは(と言うかデイヴ・ムスティンは)
新作を発表する度に、こちらが「ま、これぐらいかな」と予想するラインを、更に大きく上回るクオリティの
アルバムを提供し続けて来てくれたわけだが、それは今回も同様であり、スリリングなインスト曲①に続いて、
(もろ『PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?』の頃を彷彿とさせる)鋭角的なGリフ、キレのある曲展開、そして
テンション高めのGソロが畳み掛けるように疾駆する②が始まった瞬間、喝采を上げた人も少なくなかったんじゃなかろうか?
“WASHINGTON IS NEXT!"のようなキャッチーな名曲こそ収録されてはいないが、その分、前作『UNITED ABOMINATIONS』には
欠けていた「スラッシーな疾走感」が大幅増量。まぁ最初聴いた時は、楽曲は2nd~3rd風味なのに、その上に乗る
ムスティンのVoが初期とは明らかに異なる、テンションを制御してしっかりと「歌う」スタイル(要するに上手過ぎ/笑)
なのに軽い違和感を覚えたりもしたのだけど、今はもう慣れた。リフ・シュレッダーとしてのデイヴ(②⑨)、
ソロイストとしてのデイヴ(⑥)、シンガーとしてのデイヴ(③⑧)と、ミュージシャン:デイヴ・ムスティンの
魅力全開な名曲の数々に圧倒されている間に、あれよあれよと本編が聴き終えられる1枚。(あ、新加入のGも良い仕事してますよ)
復活後の最高傑作?異議なし。


MEGADETH - Killing Is My Business... and Business Is Good! ★★ (2007-04-02 22:11:00)

音、悪っ(苦笑)。レコーディング費用をドラッグ代として使い込んでしまったせいで、
こんな劣悪な音質になってしまったという、'85年発表の1stアルバム。
意表を突くユーロ・プログレ風のピアノの調べで幕を開ける本作は、その後、一転して激烈に走り出す
アルバム・タイトル・トラック①に代表されるように、尖がったリフ、尖がったリズム、尖がったGソロ、尖がった曲展開、
尖がったVoが歌う尖がった歌詞、そして薄っぺらで割れ歪んだ尖がったサウンド・プロダクションと、
当時のデイヴ・ムスティンの「寄らば斬る!」という心境をダイレクトに反映してか、
MEGADETHの全作品中、最も殺気立ち、尖がりまくったアグレッシブな内容に仕上がっている。
異様なテンションの高さと、複雑且つ強引なリフ/リズム・チェンジを飲み込んだ作風は、
これ1枚で「インテレクチュアル・スラッシュ」というジャンルを確立してしまった程のインパクトに満ちているが、
知的とか、複雑といったキーワードから連想されるような難解さや退屈とは無縁。ひたすら憑かれたように突っ走り、
頭ではなく身体に直接訴えかけて来るエネルギーの塊のような楽曲の数々は、素晴しい事この上なし。
特に④は、もう何度聴いたか分からない程だが、未だに色褪せる事の無い超名曲だ。
音の悪さが唯一にして最大のネックだった本作だが、'02年の再発に際して施されたリマスター作業によって、音質が劇的に向上。
最早隙のなくなったこの作品を、MEGADETHの最高傑作に推すファンも多いと聞く(俺の脳内で)。いやぁ、良い時代になったもんだ。


MEGADETH - Peace Sells... But Who's Buying? ★★ (2007-04-04 21:40:00)

デビュー作『KILLING IS MY BUSINESS...AND BUSINESS IS GOOD!』の成功を受け、インディのCOMBATから
メジャー・レーベルのCAPITOLへと移籍して、'86年に発表された2ndアルバム。
異様なまでのテンションの高さや、触れれば切れそうな尖がり具合は相変わらずなれど、
上昇気流に乗った精神的余裕からか、追い詰められた野生動物の如き殺気立った雰囲気が薄れ、
シンプルながら印象に残るリフ&メロディが次々に繰り出される名曲③に代表されるように、
その作風は良い意味でキャッチー。全体的に結構聴き易くなった感じを受ける。
これは、サウンド・プロダクションの飛躍的な向上や、更にメロディアスなフレーズを奏でるようになったツインG、
そして、ぎこちなさや強引さが後退し、より練り込まれて流麗さを増した曲展開に拠るところが大で、
アルバム後半に並ぶ、劇的な盛り上がりを聴かせる二部構成の組曲⑤、後半へ進むに連れて
加速度的にスピードを上げていく⑥、叙情的なイントロからデイヴィッド・エレフソンのリードBに導かれて疾走する
ラスト・ナンバー⑨といった楽曲に至っては、「ドラマチック」という形容詞しか思いつかないほど。
尤も、聴き易くなったとは言ってもそれは飽くまで前作と比較しての話で、カミソリの如き
殺傷力を伴ったリフや疾走感、先読みできない曲展開の複雑さも、相変わらず他の追随を許さない凶暴さ。
特に、「これぞインテレクチュアル・スラッシュ!」と唸らされる、頭3曲の猛烈な畳み掛けは
グゥの音も出ないぐらい圧巻。本作もまた、捨て曲なしの名盤だ。


MEGADETH - Rust in Peace ★★ (2007-04-07 20:52:00)

新メンバーとして、マーティ・フリードマン(G)とニック・メンザ(Ds)が加入。日本のファンにも最も馴染み深い
ライナップに落ち着いたMEGADETHが'90年に発表した、黄金時代の幕開けを飾った4thアルバム。
メロディ・メイカーとして名高いマーティの加入効果か、前作『SO FAR,SO GOOD・・・SO WHAT?』以上にドラマチックな
楽曲が揃った本作は、刺々しかったサウンドが幾分丸みを帯びて聴き易く、Gリフやリード・プレイも
これまで以上にメロディアスにと大きく変化を遂げていて、複雑さが控えめになった曲展開と併せて、
その作風は更に普遍的な正統派へヴィ・メタルへと接近した印象を受ける。相変わらず、聴けば一発で彼と分かる特異性を
保ちつつも、よりメロディを意識した歌唱を聴かせるようになったデイヴ・ムスティンのVoも、そう感じさせる一因か?
とは言え、リフの切れ味やスラッシーな疾走感は相変わらず強力なので、ポップとか、軟弱になった印象は皆無。
特に、後半へ向けて加速度的に盛り上がっていく曲展開と、その中から突如出現するアコギ・ソロにゾクゾクさせられる①、
シングル・カットもされたキャッチー且つ正統派メタリックな②、本編のハイライトとでも言うべき、マーティ入魂のGソロに
圧倒される⑦といった楽曲は、従来のスラッシュ・スタイルとメロディ重視の新要素が見事に融合を果たした必聴の名曲群。
「攻撃的でありながらキャッチー」という絶妙なバランス感覚を備えた本作は、前3作同様、これまた捨て曲なしの名盤・・・
と言いたいところが、⑧のみチト地味かな。でもまぁ、次曲へのイントロみたいなもんだと思えば気にならない。