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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3601-3700

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3601-3700
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MEGADETH - So Far, So Good... So What! ★★ (2007-04-05 22:07:00)

デイヴ・ムスティンは、この'88年発表の3rdアルバムについて「手っ取り早くドラッグ代を稼ぐ為に売れ線を狙った作品」と
語ったらしいけど、一体コレのどの辺が売れ線狙い?と言うぐらい、切り裂くような疾走感といい、
鋭角的に刻まれるリフといい、噛み付くように歌う尖がったVoといい、緊張感に満ちた曲展開といい、
従来のサウンド・スタイルを受け継ぎつつも、よりドラマチックな構築美が感じられるようになった楽曲に隙はなく、
前2作同様、本作もまた捨て曲なしの名盤に仕上がっている。
特に、アルバムのOPを飾るに相応しい、壮大にしてメタリックなファンファーレ①の余韻を引き裂き、マシンガンの如く刻まれる
イントロ・リフにゾクゾクさせられる「これぞMEGADETH!」な②(元々“MEGADETH"というタイトルだったとか)、
Gが「メ~リ~ジェ~ン♪」と歌い(笑)、暗く憂いを帯びたメロディが疾走する名曲④、故クリフ・バートンに捧げられた
MEGADETH流へヴィ・バラードとでも言うべき悲痛な⑥、シャープに疾走するリズムの上を華麗に舞う
ツインGに耳奪われる⑧といった楽曲は、非常に高いドラマ性を有しながらも、決して熱くも臭くも大仰になる事もなく、
どこかヒンヤリとした醒めた空気を孕んで展開していく辺りが、如何にもこのバンドらしい。
人間関係の悪化からメンバー・チェンジが相次ぎ、デイヴとデイヴィッド・エレフソンの抱える
ドラッグ/アルコール問題も深刻さを増して・・・と、この時期、バンド内部はガタガタだったらしいが、
それを全く感じさせない素晴しい作品だ。


MEGADETH - Super Collider ★★ (2013-07-17 22:47:39)

前作の時点で予兆はありましたが、やっぱり更にメロディアスな方向へと踏み込んだ'13年発表の14thアルバム。
聴き手を捻じ伏せるような即効性よりも、訴えかけるような遅効性を、突き刺さってくるようなGリフのインパクトよりも、ジワジワと沁み込んで来るメロディの浸透力を重視した本編は、確かに雑誌等のレビュー通り、問題作『RISK』を発表した頃に顕著だった音楽的挑戦を再び試みたかのような内容です。
正直、手放しでは歓迎できない作風ではあるのですが、にも関わらず予想よりもずっと素直に楽しめてしまったのは、悲壮の滲む劇的な名曲⑥を筆頭とする収録楽曲の出来の良さ、それに無理せずとも自然体でこの手のサウンドをこなせるようになったバンドの(というかムスティンの)成熟ゆえでしょうか。まぁ②みたいな懐っこいメロディをフィーチュアしたポップな楽曲を歌うには、彼の懐っこさの真逆を行くシニカルな声は不向きな気がしますけどね。
全体的に地味ですし、せめて1曲ぐらいはパンチの効いたスピード・ナンバーが欲しかったところですが、ベテランの域に入っても活動のペースを落すことなく次々に新作をリリースしてくれるMEGADETHならば、聴き手としても「まぁこういうのも有りだよね」と、ある程度余裕を持って受け止めることが出来るわけです。


MEGADETH - Super Collider - Dance in the Rain ★★★ (2013-07-18 22:17:48)

メランコリックな前半から、緊張感を高めつつ
テンポアップする後半まで、隙なく「MEGADETHらしさ」を
提示してくれるアルバム屈指の名曲。
こういう優れた楽曲にゲスト(DISTURBEDのデイヴィッド・ドレイマン)
をぶっ込むムスティンのセンスも相変わらず冴えています。


MEGADETH - Th1rt3en ★★ (2012-02-26 16:28:50)

復活以降は傑作アルバムを連発、恩讐を乗り越えて行われた「BIG 4」ツアーも成功裡に終わらせ、更には盟友のデイヴィッド・エレフソン(B)が戦列復帰を果たす等、精神的にも肉体的にも(首の手術はありましたが)絶好調な状態にあるデイヴ・ムスティン率いるMEGADETHが贈る最新スタジオ作。
スラッシーなスピード感の抑制、ミッド・テンポの楽曲が目立つ本編の構成、90年代の迷走さえも糧へと変えたメロディの練られ具合、それに何より、シンガーとしてのデイヴ・ムスティンの存在感にまず耳奪われる本作を一聴しての感想は、やはり多くの方々同様「『COUNTDOWN TO EXTINCTION』に似てるなー」というものでした。それにしても、キャッチーなのにニヒルで、尖がりつつも歌心を失わない彼の歌唱を聴くに付け「凄いシンガーになったなぁ」との思いを新たにさせられますね。
そんなムスティンの唯一無二のVoに、酷薄に刻まれるリフ&リズム、稲妻のように閃くデイヴとクリス・ブロデリックのツインGが波状攻撃を仕掛けてくる冒頭3曲の畳み掛けや、同名ゲームのテーマソングでもある“NEVER DEAD”、ダーク且つメランコリックなMEGADETH流バラード“TH1RT3EN”は、現在のバンドのテンションの高さを如実に伝える名曲ですよ。
但し、この作風で全13曲収録のボリュームは――例えアルバム・タイトルにちなんでいるとは言え――少々キツイ。中弛みの原因になっているので、出来ればもう少しシェイプアップを図って欲しかったなぁ…と書いていてふと思ったけど、通して聴くよりも摘み食い的に何曲かピックアップして聴きたくなる辺りも『COUNTDOWN~』的ですね。


MEGADETH - That One Night: Live in Buenos Aires ★★★ (2021-08-03 00:08:25)

拡散傾向にあったサウンドの焦点を再びHMに集約することで、鮮やかにMEGADETH復活を印象付けた会心作『THE SYSTEM HAS FAILED』。本作は同アルバム発表後、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで'05年に開催されたPEPSI MUSIC FESTIVALにてMEGADETHがトリを務めた際のパフォーマンスの模様を収録する2枚組実況録音盤。
デイヴ・ムスティン(Vo、G)以下、グレン・ドローヴァー(G)、ショーン・ドローヴァー(Ds)、ジェイムズ・マクドノフ(B)というラインナップで行われたこの時のライブが、未だMEGADETHの看板を掲げての活動に逡巡を覚えていたというデイヴに、バンド存続を決意させる決定打となったことはよく知られており、それを踏まえて本作を聴くと、そりゃこんだけ観客が熱狂してくれてたらデイヴも考えを改めるわな、と。
いやまぁとにかく歌う歌う。南米メタルヘッドの隙あらば歌いまくる姿勢は、例えばブラジルでレコーディングされたIRON MAIDENのライブ盤諸作でも広く周知されていますけど、アルゼンチンのメタルヘッド、そしてMEGADETHファンもその点では一歩も引けを取りません。コーラスやツインGのハーモニー・パートを合唱するのは当たり前。挙句に、曲によってはGリフまで歌ってしまうのだから凄まじい。特に“HANGER 18”や“狂乱のシンフォニー”における盛り上がりは圧巻で、テンションが高まりきったタイミングで炸裂する後者において、リフの刻みに合わせ「MEGADETH!MEGADETH!I WANT TO MEGADETH!」と絶妙なコールを入れる様にはゾクゾクさせられますよ。
タイトな演奏を繰り出すバンドだけでなく、観客に対しても敬服せずにはいられない1枚。


MEGADETH - That One Night: Live in Buenos Aires - Hangar 18 / Return to Hangar ★★★ (2021-08-04 00:45:47)

名曲なのは今更言うまでもないことですが、
冒頭から印象的なメロディはもちろんGリフまで歌い
更には曲のブレイクに合わせてMEGADETHコールを送る
観客の隙の無い盛り上がりに煽られて、バンドの演奏が
終盤に向けてどんどんテンションを高めていく様に
アガらずにはいられません。


MEGADETH - The System Has Failed ★★ (2006-07-10 22:07:00)

「そしてムスティンだけが残った」状態で製作、'04年に発表された10thアルバム。
とは言え、ラトルヘッドの復活したアルバム・ジャケット、毒吐きまくりの歌詞、刺々しいVoにシャープなリフに複雑な曲展開、
そしてメロディックに炸裂するGソロといった攻撃性全開の楽曲は、皮肉な事にちゃんとメンバーが揃っていたここ数作より
遥かに全盛期のMEGADETHを彷彿とさせる。1人残ったデイヴ・ムスティンが、思う存分創作活動に没頭できた事がこの好結果に繋がったのか・・・。
勿論、単なる過去の遺産の焼き直し等という安易さは微塵もなく、特に、時に強烈な「憂い」を発散するキャッチーな
メロディの魅力(歌メロの充実度が半端じゃない)は、90年代の試行錯誤があったればこそ。
中でも、リフ・メイカー/メロディ・メイカー/ソロイスト デイヴ・ムスティンの能力が、高いレベルで結実した
名曲③“KICK THE CHAIR"は、個人的に某音楽誌人気投票の「年間BEST TUNE」候補に1票を投じてしまったぐらい強力。
同じくアルバムのハイライト・チューンである⑦“BACK IN THE DAY"は、後半の展開にもう一捻り欲しいとか、
ドラマチックなインスト曲から続く本編ラストの⑫“MY KINGDOM"が大した曲ではないとか、
若干の詰めの甘さは感じられるが、ともあれ、「ムスティン=MEGADETH」という図式を満天下に知らしめる力作である。


MEGADETH - United Abominations ★★ (2007-05-18 23:14:00)

「デイヴ・ムスティン=MEGADETH」という図式を定着させた傑作『THE SYSTEM HAS FAILED』から3年ぶりに発表された
待望の11thアルバムで、緊迫感に満ちたアグレッシブな楽曲からメロディアスなナンバーまでズラリ揃った、
ファンの期待に見事に応えた内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
特に、叙情的なイントロを経て、これぞMEGADETH!たる鋭角的なリフが刻まれるダイナミックな①は、このアルバムの作風を
象徴するかのような名曲だし、キャッチー且つ憂いを帯びたリフ&メロディが疾走する(ムスティンの歌メロが絶品!)
本編のハイライト・チューン②、静と動の対比がドラマチック極まりない③という、頭3曲の完成度の高さは特筆モノ。
この3連打が余りにも強烈過ぎるため、やや似通ったテンポの楽曲が続く中盤の印象が霞んでしまったのは痛し痒しだが、
その中盤も、華麗なるツインGが聴き応え十分の④(この曲に限らず、ムスティン&グレン・ドローヴァーのGコンビは
アルバム全編で煽情的なメロディを紡ぎ出している)、体が勝手に動き出すグルーヴを備えた⑦、元曲に女性Voを加え、
更に強力に作り直した⑧等、個々の楽曲の出来は決して悪くないし、また、終盤に配置された
スラッシーな疾走曲⑩⑪で後半大きく盛り返すので、聴き終えた後の満腹感はかなり大きい。
良くも悪くも地に足の着いた安定した作風であり、今のMEGADETHに往年のスラッシュ・メタル的なスリルは
求めるべくもないが、それにしてもこの完成度の高さは、流石ムスティン。


MEGADETH - United Abominations - Washington Is Next! ★★★ (2007-05-18 23:23:32)

キャッチー且つ憂いを帯びたリフ&メロディ、
デイヴ・ムスティンが歌う絶品の歌メロと
正統派へヴィ・メタル色の強い楽曲ながら、
それでいてMEGADETHらしさも失っていないという
まさに文句の付けようのない名曲。
未だにこのレベルの楽曲を作り得るといは・・・
恐るべしムスティン。


MEKONG DELTA - Kaleidoscope ★★ (2017-10-04 00:44:49)

'92年発表の5thアルバム(日本盤には『万華鏡』なる副題あり)。確か初めて買って聴いたMEKONG DELTA作品がコレですよ。
今回から、前任者よりもしっかりとメロディをなぞって歌える新Voが加入。一糸乱れぬ高度な演奏テクニックの下、激烈な疾走パート→バラード・パート…みたいな分かり易い緩急の類だけに留まらず、「間」「グルーヴ」といった、テク(音数の多さ)のみならず演奏する側にセンスも要求される楽曲構築術、立体的アレンジを登用したサウンドは、浮遊感漂わす③辺りに代表されるように、従来のスラッシュ愛好家限定のキワモノ・イメージを脱ぎ捨て、コクや深みを感じさせる本格派プログレ・メタル路線へとモード・チェンジ。④⑨等を聴いていると中期以降のVOIVODのことを思い出しましたよ。これまでの流れを汲むアグレッションと、ここに来て増量されたプログレ風味が絶妙な配合をみた⑥なんてアルバムのハイライト・ナンバーの一つじゃないでしょうか。
この手の「成熟」を感じさせる作風って奴は初期作ファンの不興を買う場合が多々あるわけですが、本作はそれを補うかのようにOPにスラッシーな疾走ナンバー①を配し、更にアラム・ハチャトリアンの超有名曲“剣の舞”の秀逸なHMバージョンのカヴァー⑦を収録する等、独りよがりな作りにならぬよう本編にフックを用意する構成の巧みさは、流石敏腕プロデューサーとして鳴らすラルフ・ヒューベルトのお仕事。抜かりねぇな。
スラッシャー以外の方で、まだMEKONG DELTAを聴いたことがないという向きには、硬軟のバランス感覚に優れた本作を入門盤にしてみるといいかもしれませんね。


MEKONG DELTA - Kaleidoscope - Sabre Dance ★★★ (2017-10-05 00:32:58)

運動会やら何やらで誰もが一度は耳にしたことがあるであろう
ハチャトリアンの代表曲のカヴァーですが、
例えばイングヴェイ風のネオクラシカル的な
雰囲気は全くと言っていいぐらい感じれず、それよりも
狂気と理性がせめぎ合っているかのようなMEKONG DELTAならではの
個性がしかと刻まれた好カヴァー。
思い起こせばアルバム『KALEIDSCOPE』を購入したのは
この曲聴きたさが一番の動機でしたよ。


MEKONG DELTA - Lurking Fear ★★★ (2018-07-12 22:24:34)

鬼才ラルフ・ヒューベルト率いるMEKONG DELTA、'08年発表の復活第2弾アルバム。
実験精神が先走っていた90年代後期の作品に比べると、'05年の復活以降に発表された作品はどれも独産スラッシャーならではの切れ味と攻撃性、テクニカルな演奏の応酬がもたらす張り詰めたテンションという、従来のMEKONG DELTA節が大幅回復。特に本作はジャーマン・メタル・シーン屈指の凄腕ドラマー、ウリ・カッシュが参戦しているということもあり、事前の期待値の高さにゃ並々ならぬものがありましたが、変拍子を交えた神経症気味曲展開と有無を言わせぬ突進力で、その期待に見事に応えてくれているのは流石。
欲を言いえば、個性的且つ押し出しの強い楽器陣に完全に存在感を抹消されてしまっているVo(ANGEL DUSTやSCANNERに在籍していた人物らしい)は、多少ヘタクソでももっとキャラの立った声質の持ち主か、もしくはこの面子に対抗し得るだけのメチャウマな実力者を引っ張って来て欲しかったかなと。全体的にVo入りの曲よりも、RPGラスボス戦劇伴のスラッシュ・バージョンみたいな④や、映画『プレデター』と『スターウォーズ』を足してスラッシュで割ったような⑧といったインスト曲の方が印象は強め。
それでも、例えば「よ、MEKONG DELTAの真骨頂!」と思わず声を掛けたくなる⑩のような、スパニッシュ・タッチの旋律を奏でるG、怒涛の突貫精神を発揮するリズム・セクションといった強めの圧を掛けてくる楽器陣に対し、Voが一歩も引かずに踏ん張る名曲を聴くと、ラルフの人選眼が決してくもってはいなかったも理解できるのですが。
80年代のMEKONG DELTAの諸作を愛聴する方なら、押さえておいて損のない力作。


MEKONG DELTA - Mekong Delta ★★ (2017-09-25 23:04:55)

ライブは一切行わず、プロモーション活動にも消極的と、デビュー当初「謎の覆面バンド」扱いされていたドイツのテクニカル・スラッシャー、’87年発表の1st。今となっては、AVENGER(RAGEの前身)の面々と、バンドのエンジニアだったラルフ・ヒューベルト(B)がMETALLICAの登場に触発され立ち上げたプロジェクトだったことは広く知られた話。本作はピーヴィ・ワグナーが抜けた代わりにLIVING DEATHのGチームが加入し、ラルフ以下、ヨルグ・マイケル(Ds)、ライナー・ケルヒ(G)、フランク・フリッケ(G)、ウルフガング・ボーグマン(Vo)というラインナップでレコーディングが行われました。
そのせいか、鋭利なGリフの切れ味はLIVING DEATH風、クセの強いVoは初期RAGE調(歌メロはピーヴィ在籍時に書かれたものだとか?)で、曲によってはKeyを用いて禍々しいスロー・チューンやクラシックのカヴァー(組曲『展覧会の絵』から抜粋)にチャレンジする等、旺盛な実験精神が迸る曲展開/アレンジはラルフの嗜好が反映…といった具合に、バンドの実体が分かった上で本作を聴き返すと、関わったメンバーの個性が強く刻まれている仕上がりなことが分かります。
MEKONG DELTAの最高傑作とされる3rd『THE PRINCIPLE OF DOUBT』以降のアルバムに比べると、複雑怪奇な難解さよりも「独産スラッシャーたるもの突っ走ってナンボ」という実に分かり易い初期衝動の方が勝っていて、低偏差値ボンクラ・メタラーにも非常に取っ付き易く感じられたという。アホみたいにハイテンションな⑤とか非常に良いですよ。
中古でなら、2ndとカップリング仕様の便利なテイチク盤が購入可能ですのでお勧めです。


MEKONG DELTA - Mekong Delta - Kill the Enemy ★★★ (2017-09-26 23:45:02)

クラシックとスラッシュの融合を謳い
前衛的且つプログレッシブなアプローチが
ボンクラ・メタラーには敷居の高さすら感じさる
MEKONG DELTAですが、1stの頃はスラッシャーとしての
突撃精神の方が勝っていて、特にLPのA面「AAAARRG SIDE」の
トリを〆るこの曲のアホ程はっちゃけた疾走感は痛快ですらあるという。
(ちなみにB面はMEKONK DELTA SIDE)


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann ★★★ (2017-09-28 23:28:26)

80年代に「テクノ・スピード・メタルの巨匠」なる称号を得たドイツのテクニカル・スラッシャー、MEKONG DELTA、’88年発表の2ndアルバム。
悪魔を異次元に封じるため演奏を続ける老音楽家の運命を描いた、H.P.ラヴクラフトの短編小説『エーリッヒ・ツァンの音楽』題材のコンセプト・アルバムでもある今作は、バンドがテーマに掲げる「クラシックとスラッシュ・メタルの融合」が更に強力に推進された印象(ジャケ絵のオッサンはベートーヴェンではない)。クラシック曲のカヴァーはもとより、別に巧かないがメロディをなぞって歌う場面が増えたVoといい、バラードリーなパートやオーケストレーションの導入といい、アレンジや曲展開の複雑さがこれまで以上に高まった収録曲は、彼らが個性確立に向けて大きく前進した証左。中でもヴァイオリンを交えつつ激烈に突っ走る⑨から、一転して静謐に本編の幕を引く⑩への流れは本編の白眉かと。
尤も、相変わらず曲構成にキャッチネスはほぼ皆無。何よりLIVING DEATHのGコンビが刻み倒す鋭利なGリフと、タイト極まりない名手ヨルグ・マイケルの爆走ドラム、そこに絡むラルフ・ヒューベルトの音数多めのBとに支えられた、独産スラッシャーらしい「突進上等」精神はここでも健在。正直に言えばヒネった楽曲よりも、ツインGハーモニーが切迫感を煽るOPナンバー①や、サビが「それはねえ、それはねぇだろ!」に聴こえて仕方ない④、ツインGとDsの殺傷力が十二分に発揮された⑥といった、ストレートに走り抜けるタイプの楽曲の方が、より好みなのですが。
スラッシャー向けMEKONG DELTA入門盤には本作辺りをお薦めしたい次第。


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann - Age of Agony ★★★ (2017-09-28 23:46:29)

ヨルグ・マイケルのドコドコドラムに乗って
LIVING DEATHのGチームが刻む高殺傷力を誇るGリフが
襲い来るジャーマン・スラッシュ然とした突撃ナンバーでありつつ
そこに唐突に裏声コーラスが被さったり、
ツインGが奇怪なメロディをハモったりと
MEKONG DELTAならではの個性もきっちりと刻印された逸品。


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann - The Final Deluge ★★★ (2017-09-28 23:56:24)

2ndアルバムのコンセプトであるHPラヴクラフトの小説
「エーリッヒ・ツァンの音楽」のクライマックスを
そのまま歌詞に取り入れたアルバムのハイライト・ナンバー。
うっすらと聞こえてくるバイオリン(ヴィオル?)の
調べはツァンが奏でているのか。
曲調は激烈だが案外Voは歌っていて。但しヘタクソ。
でもそれが却って聴き手の不安感を煽る好結果に繋がっているのは怪我の功名。
曲間を空けずに、一転して静謐な“EPILOGUE”へと繋げる構成も巧み。


MELIAH RAGE - Death Valley Dream ★★ (2008-09-25 21:16:00)

メタルバブル崩壊に伴い、米メジャーEPIC RECORDSとの契約を失って半ば解散状態にあったボストン出身の
5人組スラッシュ・メタル・バンドが、4年の浪人期間を経て再結集、'96年にインディーズから発表した3rdアルバム。
後にGODSMACKを結成して、大成功を収めることになるサリー・エルナがDsとして在籍していたのはこの頃で
(本作で叩いているのは彼ではないが)、Bもジェス・ジョンソンから元WARGASMのボブ・メイヨにチェンジしている。
ダウン・チューニングの施されたリフ、簡素化が図れたGソロ、シンプル且つコンパクトにまとめられた曲展開etc・・・と、
矢継ぎ早に繰り出される楽曲を聴く限り、前2作を厚く覆っていたMETALLICAフォロワー風味は薄れたように感じられるが、
それは独自の個性を確立したというよりも、単に、別の流行(PANTERA型のヘヴィ・ロック)を追いかけただけとの印象が
無きにしも非ず。前作『SOLITARY SOLITUDE』が結構魅力的な仕上がりだっただけに、この路線変更にはちょっとガックリだなぁ。
但し、猛々しく疾走するパワフルな⑤以降は、ツインGを活かした曲作りが為されていて、楽曲のドラマ性も大幅回復。
後半へ進むにつれてテンションが上がり始めるので、聴後感はそれほど悪いものではない。
特に、Voの代わりにツインGが歌いまくるドラマティックなラスト・ナンバー⑪は、かなり素晴しい出来栄えと言える。
んなわけで個人的には嫌いじゃない1枚なのだが・・・↑上の方が仰られている通り、「好き」よりも「嫌いじゃない」
「良い」よりも「悪くない」という評価を下されてしまうところに、このバンドの弱点があったのかなぁ、と。


MELIAH RAGE - Kill to Survive ★★★ (2017-07-04 00:37:36)

ボストン出身の5人組が、’89年にEPIC RECORDSから発表した1stアルバム。スラッシャーにも関わらずいきなりメジャー・デビューを飾り、しかも10万枚以上のセールスを上げる成功を収めてしまう辺りが、メタル・バブル爛熟期らしい景気の良さだなぁと。
「危険過ぎて歌詞不掲載」「アルバム表題曲はヤバ過ぎてUS盤からカット」云々と、国内盤解説からもたらされる情報の数々に煽られまくり、「どんだけ過激な音を出してる連中なんだよ!」と事前の期待値はガン上がりでしたが、どっこい。実際にここで聴かれるのは、クリーンな音作りの下、Voが適度に歌い、ツインGは整然とハーモニーを奏でる、スラッシーな尖がりっぷりよりも整合性を重視したサウンド(メジャー・アーティストらしい音ではありますけども)。正直初めて聴いた当時は「物足りねぇ」と盤を放り投げた記憶あり。
しかし、初手からそういうバンドなのだとの認識を持って本作を聴き直すと、かっちりとまとめられたパワー・メタリックなサウンドが、これはこれで案外楽しめます。NWOBHMを思わす鋭角的なGリフを伴い突き進む①、ドラマティックな構築美を持ち込んだインスト③、ツインGを活かした曲展開でラストを盛り上げる⑧等はその好例ですし、勿論⑦のような直線的スラッシュ・ナンバーもカッコイイ。あと何より日本盤には、US盤からはカットされてしまっていた前述のアルバム表題曲⑥が収録されていることが大きい。このスピード・メタルの名曲があるのとないのとでは、本編の締まり具合が全然異なりますからね。
どちらかと言えば正統派HM/パワー・メタル愛好家にお薦めする作品なれど、スラッシャーなら取りあえず⑥を聴くためだけにでも押さえておいて頂きたい1枚です。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Beginning of the End ★★★ (2017-07-04 23:57:15)

昔聴いた時は
「スラッシュ・アルバムのOPナンバーとしてはインパクトに欠ける!」
と全く良い印象がなかったのですが、こうして時を経て聴き直すと
NWOBHMから影響も露わな鋭角的なGリフと
煮え切らないメロディを携えて突き進むパワー・メタリックな曲調が
十分カッコイイことに気付かされた次第。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Impaling Doom (2006-05-17 21:38:05)

余りに教科書通りの(=没個性的)スラッシュ・メタル・アルバムだった為、
どうにも地味な印象を拭えなかったデビュー作「KILL TO SURVIVE」の中にあって、
最も新人バンドらしい「はっちゃけ感」を漂わせていたのがこの曲。
Bソロから「GO!」の掛け声と共に曲が走り出す瞬間、勢い重視のGソロ等、
ありがちとは言え、やはりカッコイイものはカッコイイ。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Kill to Survive ★★★ (2017-07-05 00:06:17)

歌詞が過激過ぎてアメリカ盤では収録が許されなかったという
(その後、EPとして別リリース)スピード・ナンバー。
2ndの国内盤で対訳を読むことも出来ますが、
別にそれほど凄いことを歌っているわけでもないような…
ともあれ、ギザギザのGリフとダーティなシャウトVoを伴って
3分弱を一気呵成に突っ走る様は痛快でカッコ良い。
この名曲が中盤で睨みを効かせているのといないのとでは、
1stアルバムのトータルの印象も結構変わるのではないでしょうか?


MELIAH RAGE - Solitary Solitude ★★★ (2007-12-03 21:43:00)

デビュー作の成功に気を良くしたレーベルの提案で、「歌詞が過激」との理由から同作US盤ではカットされてしまっていた名曲“KILL TO SURVIVE”をリーダー・トラックとする5曲入りEP『LIVE SURVIVE』のリリースを間に挟み、’91年に発表された2nd。
前作は、スラッシュ・メタル然とした尖り具合よりもパワー・メタリックな整合性を重視するサウンドがマニアの間で賛否両論あったものの(個人的にも当初は圧倒的「否」派。その後手のひらをクルッと返しましたが)、今回はメロディが増量され、中~低速度をメインに、どっしりとしたヘヴィネスを効かせたパワフルな楽曲が本編の大半を占める構成からも明らかな通り、更にその路線を推進。予算倍増で黒光りする重厚感を獲得したプロダクションや、MELIAH RAGEなりのバラードと言うべき⑤、ハーモニーを活かした⑥といった楽曲を始め、以前に比べ抑揚のついた歌メロをなぞるようになったVo、一層構築度を高めたツインGもそれを効果的に援護射撃しています。
その結果、③とか⑥とか結構露骨にMETALLICA追従の姿勢が鮮明になってしまっていますが(当人達は影響を否定していたけど、そりゃ嘘だろうと)、本作の魅力が判り易く詰め込まれた勇壮且つダイナミックな①④、ツインGの活躍が光る疾走ナンバー②、ドラマ性とノリの良さ併せ持つ⑦、叩き付けるような⑧、アコギによるイントロから重々しく劇的に盛り上がっていく⑨といった楽曲を聴く限り、アルバムの完成度には些かの翳りも見受けられません。(日本盤は『LIVE~』からのボートラ2曲を追加収録)
…にも関わらず、スラッシュ冬の時代が目前に迫っていたこの時期、バンドはこれを最後にレーベルから切られてしまうのだから、メジャーの世界ってのは世知辛いものよなと。


MELIAH RAGE - Solitary Solitude - Lost Life ★★ (2007-12-03 22:38:02)

叙情的なイントロから始まる、ノリの良さと高いドラマ性を
併せ持つ、アップテンポのナンバー。
ドラマティックなハモリっぷりを聴かせるツインGの活躍も聴きもの。


MELIAH RAGE - Solitary Solitude - Retaliation ★★ (2007-12-03 22:06:15)

荒々しくリフが刻まれるアグレッシブな前半を経て、
中盤以降の正統派へヴィ・メタリックな盛り上がりっぷりと、
炸裂するGソロのカッコ良さに痺れる名曲。


MELIAH RAGE - Solitary Solitude - Solitary Solitude ★★ (2007-12-03 21:57:52)

覇気に欠けていた前作から一転、アルバムの出来の良さを
確信させるに十分なクオリティを備えた、
アルバム・タイトル・トラックのOPナンバー。
アップテンポに始まり、劇的なインスト・パートを経て、
スラッシーな疾走を開始するダイナミックな曲展開が素晴しい。


MELLOW CANDLE - Swaddling Songs ★★★ (2012-04-29 09:00:32)

OPETHやCATHEDRALからもリスペクトを捧げられるアシッド・フォーク・バンドが'72年に残した唯一のフル・アルバム。
・・・と書くと、何やら敷居の高そうな音楽性に思われるやもしれませぬが、これが全編に亘って叙情メロディの魅力がストレートに打ち出されている作品で、非常に取っ付き易い。HR/HMファンからすると些か刺激に欠ける音である事は否定できませんが、ウォームな音色のBや、随所で哀愁のメロディを差し込むG、それに流麗な指捌きで曲調を淡く彩るKeyが取り入れられたサウンドは、フォークそのものというよりもプログレッシブ・ロック的な味わいも感じさせてくれます。
何より、アニー・ハズラム系のクリアなソプラノ・ボイスが持ち味のクロダー・シモンズと、より姐御度の高い(時折カルメン・マキ風な)歌声を聴かせてくれるアリソン・オドンネルという二人の歌姫を擁していることがこのバンド最大の強みで、彼女たちが時に麗しくハモり、時に掛け合いを展開する事で、楽曲には豊潤なエモーションと深い陰影が生み出されており、そのサウンドは意外なほどメリハリが効いている。
フォーク/トラッド的な哀愁を帯びた①、インスト・パートにおけるピアノの活躍っぷりに聴き惚れる②、後期カルメン・マキ&OZチックな⑤、ビートの効いた演奏の上をタイプの異なる二人のシンガーの歌声が華麗に舞う⑥、冷やかな哀愁を湛えた⑦辺りが個人的にはお気に入り。アルバム後半はポップ度が増しますが、それもまた良し。


MELLOW CANDLE - Swaddling Songs - Sheep Season ★★★ (2012-04-29 09:18:56)

インスト・パートにもしっかりと時間が
割かれているため、プログレシッブ・ロック的な
味わいも感じさせてくれる名曲。
ピアノ好きとしては、美旋律を振りまく
後半のピアノ活躍っぷりだけで
御飯がおかわり3杯はいけますね。


MERCYFUL FATE - In the Shadows ★★★ (2016-12-24 10:16:32)

キング・ダイアモンドの魔性の歌声と、ハンク・シャーマン&マイケル・デナーが蠢かすリフ・ワーク等、どこを切っても「特」で「異」。極めてヘレティックなHMサウンドを以て、スラッシュ四天王を始めとする多くのバンドにインスピレーションを授けたMERSYFUL FATE。本作は90年代に入り再結成を遂げた彼らが’93年に発表した復活第一弾アルバム(通算3枚目のスタジオ作)で、ご祝儀代わりにMETALLICAのラーズ・ウルリッヒが⑩にゲスト参加してドラムを叩いていることも話題になりました。
リリース当時は、雑誌や周囲の評価があまり芳しくなかったため、他の新譜チェックにかまけてスルーしてしまっていたのですが、次作『TIME 魔の刻』が傑作だったので慌てて遡って本作も購入。したらば、こっちも大変素晴らしい出来栄えじゃありませんか。やっぱ実際に聴いてみんと分からんもんだなぁと。
メタリックな疾走感と美しく浮遊するコーラスとが、エキゾチックな響きを湛えて交錯する①、ツインGを起点とする一筋縄では行かない曲展開が印象的な④、泣きのGソロに耳惹かれる⑥、本編中最も山あり谷ありでドラマティックな大作曲⑧、(タイトルからも明らかな通り)名盤『MELISSA』と関連付けられた美しいバラード⑨等々…。呪われた古城か、はたまた闇深い北欧の樹海か、といった禍々しさと荘厳な雰囲気をその身に纏わせた収録楽曲は、何れも唯一無二のMERCYFUL FATE印がクッキリと刻印されています。
発表当時から結構辛口のジャッジを下されることが多い本作ですが、個人的には「いやいや、んなこたぁない」と、再評価を待ち続けている1枚であります。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Egypt ★★★ (2016-12-26 23:13:04)

アグレッシブな疾走感を湛えたヴァース転じて、
闇の中をキングのVoが空中浮遊するかの如き
コーラスが怪しくも美しい、OPナンバーに相応しい
インパクトを放つ逸品。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Is That You, Melissa ★★★ (2016-12-26 23:37:02)

物悲し気なイントロに、切々と歌い上げる
キングのVoが被さる冒頭部分だけで、
「これは名曲」との予感がヒシヒシと。
静と動を飲み込んだ劇的な曲展開に
泣きを湛えたツインGが折り重なっていく
終盤の盛り上がりは、アルバムのクライマックスに
相応しい名曲の貫禄を感じさせてくれます。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Legend of the Headless Rider ★★★ (2016-12-26 23:21:38)

映画化もされた「スリーピー・ホロウの伝説」を題材に、
7分以上に及ぶ長尺をドラマティックに語り上げる大作曲。
といっても、キングのシアトリカルな語り口と、
荘厳な雰囲気を湛えたドラマティックな曲展開の魅力で
全く長さを感じさせませんが。


MERCYFUL FATE - Time ★★★ (2016-07-07 22:34:16)

MERCYFUL FATEの最高傑作と言えば、やはり『MELISSA』『DON’T BREAK THE OATH』といった80年代の作品群の名前がまず真っ先に思い浮かぶわけですが、でも「'95年発表の本再結成2作目も完成度の高さじゃ負けてませんぜ」と、個人的にはコッソリ推して行きたい所存であります。
ここに託されているのは、アルバム・タイトルの『魔の刻』を始め、収録各曲に冠された仰々しい邦題の数々が、全く大袈裟には感じられない暗黒メタル・サウンド。高低差の激しいメロディを独特のファルセット・ボイスを駆使してシアトリカルに歌い上げるキング・ダイアモンドの個性的なVo、時に劇的にハモリつつ、奇怪に蠢くGリフを次々展開させていくハンク・シャーマン&マイケル・デナーのGコンビ、場面転換の多いリズムを阿吽の呼吸で支えるスノーウィ・ショウ(Ds)とシャーリー・ダンジェロ(B)の重厚なパフォーマンスからは、これまで以上に厄いオーラがユラユラと立ち昇っています。
特に、漆黒の闇の中に木霊する「悪魔の讃美歌」が如き①に始まり、美しくもどこか怖気を誘う名バラード⑥へと至る本編前半の隙のない構成は圧巻。聴いている内に「ヨーロッパの古城の深部を、今にも消えそうな松明片手に出口探して歩き回っている」ような不安感をも喚起する、《夜、決して一人では聴かないでください…》な1枚。
実はKING DIAMOND派だった我が身も、これ聴いたら「MERCYFUL FATE凄し!」と認めざるを得ませんでしたよ。


MERCYFUL FATE - Time - Nightmare Be Thy Name ★★★ (2016-07-09 00:53:35)

BLACK SABBATH風に蠢くGリフ、
低音から高音まで目まぐるしく行き来するキングの怪奇Vo、
そして讃美歌風の荘厳なコーラスが
シアトリカル且つホラーな雰囲気を醸成する
アルバムのカラーを決定づける名曲でありました。


MERCYFUL FATE - Time - Time ★★★ (2016-07-09 00:56:52)

時は殺し、時は癒す、
時は訪れ、時は過ぎゆく・・・
儚く美しげでありながら
どこか背筋に怖気を走らせる冷ややかさも兼ね備えた
至高の名バラード。アルバムのハイライトですね。


MESHUGGAH - Contradictions Collapse ★★ (2018-04-17 23:20:36)

スウェーデンの人気者、MESHUGGAHが’91年に発表した、ちょくちょくPRAYING MANTISの2nd『PREDETOR IN DISGUISE』と空目するジャケット・イラストが目印(?)の1stフル・アルバム。
「ジェント」の提唱者とか、「実験的」「前衛的」、はたまた「エクスペリメント・メタル」「アバンギャルド・メタル」とか、ボンクラ・メタラーには敷居が高過ぎる難解なバンドとの印象が付いて回る彼らですが、かつて思い切って聴いてみた本作は、意外にも「インテレクチュアル・スラッシュ・メタル」の好盤として普通に楽しむことが出来てしまったという。
収録曲の大半が6~7分台という大作主義、メンバーの高度なテクニックが隙なく支える、変拍子やリフ/リズム・チェンジの多用により複雑に構築された曲展開等、後の作風へと至る萌芽を随所でチラ見させつつ、メリハリの効いた楽曲は終始適度な緊張感を保って中弛みを感じさません。何より本サウンドの基盤にあるのは、ドスの効いた咆哮Voといい、男臭いシンガロングを噛ませたコーラスといい、ラフで乾いた音作りといい、飽くまで疾走上等なスラッシュ・メタル。キビキビとタイトな演奏が疾走パートのスリリングなスピード感を倍加させるOPナンバー①を始め、ツインGが不穏にして印象的なハーモニーを奏でる④、静と動の対比が北欧的なドラマ性すら感じさせる⑤⑧辺りの楽曲は、MEKONG DELTAやCORONERなんかに通じる技巧派スラッシュの逸品として楽しめるのではないかと。
本作を聴くと、次作以降のMESHUGGAHにも興味が沸いて来る…よりも寧ろ、本作以前に発表されていて、更にスラッシーだという幻のデビューEPに興味津々ですよ。


MESSAGE - Lessons ★★★ (2018-03-04 23:09:47)

BON JOVI参加前のリッチー・サンボラ(G)とアレック・ジョン・サッチ(B)や、後にPROPHETでデビューを飾るディーン・ファザーノ(Vo)らが在籍していた幻のスーパー・バンドが、’82年に唯一残した6曲入りEP。
インディーズ流通で僅かな枚数しかプレスされなかったため、世界中のマニアが血眼でオリジナル盤争奪戦を繰り広げた作品でしたが、ここ日本を筆頭に再発ブームが盛り上がった90年代半ばにCD化が実現。その際には、EP収録曲⑤~⑪の他に、ディーン以外は異なる面子でレコーディングされている未発表曲①~④、元々は彼のソロ・アルバム用の楽曲だったという⑫~⑮がボーナス・トラックとして追加収録。しかもそこには御大リッチー・ブラックモアが参加している音源が混じっているとの噂がまことしやかに囁かれていたりするという。(この真偽に関しては今調べてもよう分からんまま。④とかそれっぽい?)
そんな本作の目玉はやはりオリジナルEP収録曲⑤~⑪。ここで聴かれるちょっぴりアメリカン・プログレ・ハードの匂いも漂わせたメロディアスHRサウンドは、後世に残るような名曲は見当たらずとも、PROPHETにも通じる作風は十分に魅力的。バラード⑪のGソロでは早くもリッチーの才能の煌めきを確認することもできますし、また初期BON JOVI風の①や、本編のドラマティックに締め括る⑮といった追加収録曲も、単なる本編の埋め草に留まらぬ存在感を発揮してアルバムのクオリティ向上に貢献してくれています。
大きな成功を収められずとも優れた楽曲を数多く残し、'09年に病によりこの世を去ったディーン・ファザーノというミュージシャンの80年代の活動の軌跡を辿るベスト盤としても重宝する1枚ではないかと。


MESSIAH - Choir of Horrors ★★ (2009-03-08 02:40:00)

スイスは、ツーク州バール出身のデス/スラッシュ・メタル・バンドが、'91年に発表した3rdアルバム。
MESSIAHと言えば、コープス・ペイント施したメンバーが、低音の全く効いていないスカスカなサウンドの下、
邪悪でチープなブラック・メタルを全力で演奏していた1st『HYMN TO ABRAMELIN』しか知らなかったので、
アンドレアス・マーシャルが手掛けたダーク・ファンタジー調のジャケット・アートワークも美麗な本作を
初めて聴いた時は、向上著しいサウンド・プロダクションといい、疾走感はそのままによりドラマ性を高め、
ズッシリとしたヘヴィネスが宿った楽曲のクオリティといい、全体的に大幅なグレードアップが図られた
内容の充実っぷりに「化けやがったなぁ」と、かなり驚かされた覚えあり。
重々しく疾走する刻みの細かいGリフや、低音咆哮型(以前はギャアギャアとした喚き型だった)Voのグロウルこそ、
デス・メタリックなブルータリティを発散しているもののの、本編にはデス・メタル特有のドロドロとした粘着性や
病的な雰囲気は薄く、その作風はどちらかと言えばヨーロピアン・スラッシュ・メタル寄り。ダイナミックな曲展開に、
しっかりと構築されたフレーズを奏でるメロディックなG、そしてアコギを有効に用いて、楽曲に「静」と「動」の
ドラマを演出する手腕は、同時代のジャーマン・パワー・メタル的ですらあり(スヴェン・コンクエストを
プロデューサーに招いた成果か?)、取り分け、賛美歌調の荘厳なイントロで幕を開ける①、起伏に富んだ曲展開で
畳み掛けて来る⑤、荒涼とした雰囲気を撒き散らしながら疾走するインスト曲⑦、そこから繋がり、ラストを劇的に
締め括る⑧といった名曲を聴いていると、「より正統派HM色を強めたMORGOTH」なんて形容詞も思い浮かぶ。
デス・メタル/スラッシュ・メタル、双方のファンにお薦めできる優れもモノの1枚かと。


MESSIAH - Choir of Horrors - Münchhausen Syndrom ★★ (2009-03-08 18:16:44)

禍々しい咆哮を響かせるVo、刻みの細かい猛々しいGリフに、
起伏に富んだ曲展開とが畳み掛けるように疾走する名曲。
ブルータルな曲調に反して、メロディアスなフレーズと
ソロ、そして美しいアコギを奏でるGの仕事っぷりがナイス。


MESSIAH - Choir of Horrors - Northern Command ★★★ (2009-03-08 18:19:21)

どこか民俗音楽的なメロディを紡ぎ出すアコギを
フィーチュアして、荒涼とした雰囲気を撒き散らしながら
疾走するドラマティックなインスト・ナンバーの名曲。
プロデューサーのスヴェン・コンクエストがKeyで参加。


MESSIAH - Choir of Horrors - Weena ★★ (2009-03-08 18:27:01)

基本はバイオレントでブルータルなデス/スラッシュ・メタル・ナンバーながら、
耳に残るメロディアスなフレーズを奏でるGが、
アルバムのラストを飾るに相応しい劇的さを楽曲に与えている。
尚、エンディングのガヤ(?)にKREATORのミレとヴェンターが
参加している。


MESSIAH - Rotten Perish ★★ (2009-03-11 22:11:00)

3rd『CHOIR OF HORRORS』に引き続き、プロデューサーにスヴェン・コンクエストを起用して制作、'92年に発表された4thアルバム。
ホーリーな雰囲気を漂わせた、序曲①の美しい余韻を引き裂くようにスタートする②の、凶悪且つ重厚な
Gリフ&リズムの「刻み」を聴けば明らかなように、今回は、最終的なミキシングがフロリダの
MORRI SOUNDスタジオにて行われているだけあって、低音を強調した湿度高めの音作りや、
完全にデス声へと移行したVoのグロウルっぷり等、前作に比べ「デス・メタル度」が飛躍的にアップ。
この重苦しいサウンド・プロダクションはかなり好き嫌いが分かれるところなれど、楽曲自体は『CHOIR~』の作風を
継承しており、耽美方向への拘りも健在。と言うか、ストーリー性を感じさせるジャケット・アートワークといい、
(コンセプト・アルバムなのかな?)、アルバムのOPやED、中盤(⑤)にムーディな楽曲を配して本編の流れに
起伏を生み出す手法、そして、相変わらず構築美を漂わせたGプレイなど、ことドラマ性の演出に関しては、
前作以上の拘りを感じさせる内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
中でも、ブルータルな曲調の中で閃くアコギが一際強い印象を残す④、スラッシーな疾走感、ダイナミックな曲展開、
そして、ダーク且つ劇的なメロディを紡ぎ出すGとが一体となって畳み掛けてくる⑦は、アルバムのハイライトを飾る名曲。
(ちなみに⑧は、アメリカの知る人ぞ知るエピック・メタル・バンド、MANILLA ROADの名曲のカヴァーだ)
3rd『CHOIR OF HORRORS』と並んで、MESSIAH入門編にお薦めの1枚。


METAL CHURCH - A Light in the Dark ★★ (2007-02-19 22:05:00)

初代Vo.デヴィッド・ウェインの死、唯一残っていたオリジナル・メンバー カーク・アーリントン(Ds)の脱退という
悲劇/アクシデントを経て吹っ切れたのか、アルバム・タイトルやジャケット・アートワークからも
バンドの(というかカークの)原点回帰の姿勢がヒシヒシと伝わって来る、'06年発表の8thアルバム。
実際、初期の名曲のセルフ・リメイクである⑪が浮いてしまう事のない、ダークな作風の楽曲が取り揃えられていて、
ここ数作を薄っすらと覆っていた(良くも悪くも)ベテランらしいルーズなノリが減少。
作品全体に、初期の頃を思い起こさせる暗い緊張感が漂う。
特に本編の幕開けを飾る①は、久しく冴えの見られなかったミドル・チューンとしては屈指の完成度を誇る、
聴いててゾクゾクさせられるMETAL CHURCH節炸裂の名曲。サビでの転調が、曇天から射し込む陽光のように
感じられる②も素晴しいし、キビキビとした疾走感が気持ち良いスピード・ナンバー③、
そこから間髪入れずに緩急の効いた④へと雪崩れ込む構成も上手い。
残念ながら、今回も一発で掴まれる名リフは生まれなかったし、力み過ぎたのか、メロディの魅力が弱まってしまう
⑤以降、テンションが下降線を描いてしまうのが惜しまれるが、それでも、ラストは故デヴィッド・ウェインに捧げる名曲⑪が
控えているため、聴き終えた後の印象はそれほど悪くない。このクオリティで国内盤未発売なのは納得いかんぞ。


METAL CHURCH - Blessing in Disguise ★★ (2006-12-17 17:55:00)

中心メンバーのカート・ヴァンダフーフ&看板Voデヴィッド・ウェインの脱退。後任として、
元METALLICA(臨時メンバーだけど)のジョン・マーシャル(G)と、元HERETICのVoマイク・ハウの
加入という、ドラスティックなメンバー・チェンジを経て、'89年に発表された3rdアルバム。
脱退したものの、カートが引き続きコンポーザーとしてバンドに関わっているので、作品の方向性自体は
1st~2ndの頃と大差ない。「これぞMETAL CHURCH!」とゾクゾクさせられるヘヴィ・チューン①なんて、
今にもウェインのシャウトが聴こえてきそうな、初期路線を踏襲したドラマチックな名曲。
その一方で、憂いを帯びて疾走するメロディと、Gアルペジオが美しい⑤のような新味の楽曲も収録されていて、
やはりメイン・メンバーが2人も入れ替われば、サウンドに変化が生じるのは当然(必然)。
特に、前任者を「剛/暗」とするなら、こちらは「柔/明」といった感じのマイク・ハウのVoの存在は大きく、
これまでのダークな雰囲気を払拭する彼の伸びやかな歌唱は、マイナー調の楽曲に(良い意味で)万人受けしそうな
メジャー感をもたらしている。あと、新メンバーがイケ面なので、ビジュアル面でも強化されてる点も見逃せない(笑)
ファンならご存知の通り、デヴィッド・ウェインとマイク・ハウの在籍時代では、そのサウンド・スタイルに
かなりの違いが見られるわけだが、本作は丁度その中間、ウェイン時代の楽曲をハウが歌うという、
過渡期ならではの味わいが魅力の1枚。


METAL CHURCH - Blessing in Disguise - Fake Healer ★★★ (2007-02-04 21:04:39)

どなたか、この曲のリフを「水戸黄門」に例えている方が
いましたが、上手い!(笑)本当にそんな感じ。
3rd『BLESSING IN DISGUISE』は、マイク・ハウの加入で
曲作りの方向性に変化が見え始めていたが、この曲に関しては
初期の頃を彷彿とさせる、緊張感とヘヴィネスを備えた名曲。


METAL CHURCH - Hanging in the Balance ★★ (2007-02-13 19:58:00)

メジャー・レーベルからドロップアウトし、まさにタイトル通り崖っぷちの状況下で'93年に発表された5thアルバム。
バンドの置かれたシリアスな状況が全く伝わって来ないジャケは酷いが、前作『THE HUMAN FACTOR』の作風を
順当に受け継いだ内容の方は相変わらず素晴しい。本作は『THE HUMAN~』よりも更にメロディ重視路線へと踏み込んだ感じで、
前作同様、リスナーを一発で虜にするようなキラー・チューンこそ収録されていないものの、
キャッチーなメロディに彩られた楽曲の数々は、聴き込んだ分だけ味の出てくるスルメ・チューン(?)ばかりなり。
個人的には、哀愁を帯びたメロディが心地良く疾走する②、中期METAL CHURCHの得意パターンとでも言うべき
ドラマチックな⑤、広島への原爆投下について歌った起伏に富んだ大作⑦、「爽やか」とさえ
表現できそうなメロディが駆け抜ける⑨といった楽曲が、特に印象に残った。
ただ、全体的に覇気が不足気味というか、1、2曲ぐらい猛スピードで突っ走る曲があっても良かったのでは?と思わなくもないし、
何より、ミドル・テンポの楽曲から、嘗ての張り詰めたようなテンションが失われてしまったのは残念。
マイク・ハウの緩急自在の歌唱によって聴き応えは十分なのだが・・・。


METAL CHURCH - Live ★★★ (2023-01-24 01:32:58)

シンプルに『LIVE』と題されたMETAL CHURCHの蔵出し実況録音盤。'86年に2nd『THE DARK』発表後、テキサス州ダラスにて行ったライブの模様が収められており、当時のフロントマンは勿論、故デイヴィッド・ウェイン。90年代末期に復活を果たしたMETAL CHURCHのシンガーの座にウェインが再就任したことに合わせて’99年に国内盤の正式リリースが実現しました。
スラッシュ・メタル・バンドとして尖りまくっていたこの時期の彼らのライブが聴けるのは嬉しい限りで、前掛かりに突き進む①にて荒々しくスタートを切り、DEEP PURPLEの名曲“HIGHWAY STAR”の倍速カヴァー⑩まで全力疾走で走り抜ける本編は、整合性?んなもん知らんわ!とばかりに、とにかく刺々しくてアグレッシブ。同時に⑦⑨といった重厚なヘヴィ・チューンにおいてもゾクゾクする興奮が生み出せる、METAL CHURCHならではの強みが既に健在なことも確認できます。
そして何より特筆すべきは、やはりウェインの天然ディストーションVo。再結成以降は声の衰えを指摘されることも多かった彼氏ですが、ここでは殺気を孕んだロウ・トーンから、聴く者の鼓膜から出血を強いるようなカミソリ・シャウトまで、振れ幅のデカイ歌唱で場を完全に掌握。ハイスピード・ナンバー⑥や代表曲④⑧におけるハイテンションなパフォーマンスは圧巻の一言に尽きますよ。
METAL CHURCHは他にも数枚ライブ盤をリリースしていますが、個人的にはこれをベストな1枚として今後も推していきたい所存。


METAL CHURCH - Masterpeace ★★ (2007-02-15 21:40:00)

いやいや、聴きましょうよ(笑)。'99年発表の6thアルバムにして、待望の復活作・・・の割にイマイチ盛り上がりに欠けたのは、
やはり皆、デヴィッド・ウェインの声の衰えっぷりに「引いて」しまったせいなのか?
まぁ、実際自分も、別人のように落ち込んでしまった彼の声量にはショックを受けたクチなわけだけど、
老いたりとは言えウェインが並以上の実力を有したVoなのは疑いようの無い事実。へヴィ・バラード⑨における
押しと引きを駆使した劇的な歌唱を聴き給えよ、諸君。パワーはともかく、テクニック面での劣化はないので、
今ではもう慣れてしまって普通に聴けるし、そして何より、今作も収録曲のクオリティは十分高い(ように思う)。
軽快に疾走するリズムに、憂いを帯びたキャッチーな歌メロとツインGが乗っかる名曲②、アコギとメロトロンの音色が
哀愁を演出する③、中期以降のMETAL CHURCHの得意パターンと言える、ドラマチックな曲展開が胸を打つ⑤・・・
と、カート・ヴァンダフーフの曲作りの上手さは本作でも健在。
ウェインがVoの座に返り咲いたからといって、今更スラッシュ・メタル路線へと戻るわけもなく、
全体的には5th『HANGINIG IN THE BALANCE』に近い作風だったりするのだが、それでもアグレッシブな⑥や、
アコギ・インストの⑦から繋がる疾走チューン⑧を筆頭に、初期の頃の面影が(ちょっぴり)戻って来ているのが嬉しい。
個人的には『HANGINIG~』よりも好きな作品だったりする。・・・まぁ、単に俺がウェイン派なだけかもしれんけど。


METAL CHURCH - Masterpeace ★★ (2007-02-19 19:48:00)

たしかにREVERENDに比べると、本作におけるウェインのパワー・ダウンぶりは、ちょっとショッキングですよね。
元々、凄まじい声量を駆使して歌いまくり、聴き手を圧倒するタイプのシンガーだったので、
より衰えがハッキリと感じられてしまって・・・。


METAL CHURCH - Metal Church ★★ (2006-12-07 22:32:00)

ヘヴィ・メタルの空洞化現象が叫ばれていた頃のアメリカで、SAVATAGEやVICIOUS RUMORSと並んで気を吐いた
パワー/スラッシュ・メタル・バンド、'85年発表の1stアルバム。
欧州風味のツインGと、強力なVoの2枚看板で知られるバンドだが、その魅力はアグレッシブ且つドラマチックな
OPチューン①から早くも全開。この後にも、地を這うリズムとGリフの刻みが強烈な②、スラッシーに疾走する③、
劇的に盛り上がるパワー・バラード④、正統派へヴィ・メタリックな⑤、勇壮な歌メロと
印象的なツイン・リード・パートを持つ⑧、DEEP PURPLEの名曲のカヴァー⑨(アレンジにもう一工夫欲しかった)・・・と、
次々に畳み掛けてくる展開は圧巻。⑥⑦のみ大人しめだが、それもデヴィッド・ウェインのVoにかかれば
力技で聴き応えのあるメタル・チューンに早変わり。この人、一発でそれと分かる個性的な声質といい、
尖がったシャウトからバラードまで、余裕で歌いこなせる幅広い表現力といい、本当に凄いシンガーであった・・・。(R.I.P)
METAL CHURCHの全アルバム中、最もスラッシーで荒々しい攻撃性を発散する1枚。


METAL CHURCH - The Dark ★★ (2006-12-14 21:19:00)

多くのファンが「デヴィッド・ウェイン在籍時代の最高傑作」と太鼓判を押す、'86年発表の2ndアルバム。
勢い任せの荒っぽさが影を潜め、まさに『THE DARK』な収録曲の数々はより一層練り上げられ、
重厚さを増したサウンド・プロダクションも充実と、バンドがデビュー作『METAL CHURCH』から
格段の成長を遂げた事実が、しかと刻み込まれたクオリティを誇る。
怒涛の突進力と、シャープなツインGが奏でる欧州風味のメロディのコンビネーションが強力な
「これでツカミはOK」のOPチューン①に始まるアルバム本編の方も、スピード・チューンは更に鋭く
(ウェインの噛み付くような歌唱がスラッシーな雰囲気を演出)、ゾクゾクさせられる不穏な緊張感を孕んだ
ヘヴィ・チューンは益々ヘヴィにと、メリハリの効いた曲作りが為されていて、だからこそ、
憂いを帯びたヘヴィ・バラード風の④や、中期IRON MAIDENを彷彿とさせるドラマチックな③といった楽曲の存在も活きて来る。
全10曲、捨て曲なし。METAL CHURCH初心者が先ず最初に聴くべきはこのアルバムだろう。
個人的にも、彼らのアルバムの中では本作がベスト1。


METAL CHURCH - The Human Factor ★★ (2007-01-22 20:37:00)

リフ重視からメロディ重視へと、曲作りのスタイルが明らかに変化を遂げている、'91年発表の4thアルバム。
例えば“FAKE HEALER"のような、一発でハートを鷲掴みにされる名リフはないが、哀愁を帯びて駆け抜ける④や、
バラード調に始まり劇的に盛り上がっていく⑤⑦といった楽曲に代表されるように、聴き手を
グイグイと引き込んでいく、親しみ易くキャッチーなメロディがアルバム全編に溢れている。
相変わらず収録曲の大半はカート・ヴァンダフーフが手掛けているのわけだけど、ここにきて
マイク・ハウ(とジョン・マーシャル)の発言力も大きくなって来ているようで、スラッシュ・メタル的な
暗さ/重さが抜け、すっきりと垢抜けたメジャー感漂う楽曲からは、HERETICっぽさも感じられなくもないような?
勿論、①⑥⑧⑩のような強力な疾走チューンは健在だし、力強いリフを持つ③はもろに初期路線を彷彿とさせる名曲。
何より、ドラマチックな楽曲が連続する中盤(④~⑦)の盛り上がりが素晴しい事この上ない。
ゾクゾクさせられる緊張感を孕んだミドル・チューンが姿を消してしまった点は痛いものの、以前に比べ
(特に日本において)幅広い支持を獲得できたのも納得の、正統派アメリカン・パワー・メタルの王道を行く力作。


METAL CHURCH - The Weight of the World ★★ (2007-02-17 01:37:00)

前作『MASTERPEACE』発表後に早くもオリジナル・ライナップが崩壊。残ったカート・ヴァンダフーフ(G)と
カーク・アーリントン(Ds)が新メンバーを補充する事で何とかバンドの体制を立て直し、
'04年になって漸く発表された仕切り直しの7thアルバム。(実質は再々結成アルバムか?)
新たに加入したVoの歌唱は、デヴィッド・ウェインやマイク・ハウに比べると今ひとつパンチに欠けるものの、
取り敢えず、このバンドには似合いの声質の持ち主なので、聴いていて違和感は全くない。
そうしたメンバー・チェンジによって(主にカートが)気持ち的に若返ったのか、全体的に溌剌とした雰囲気が
漂っていているのが本作の大きな特徴で、前作に比べるとメロディの「押し」が少々弱い気がしないでもないが、
(①なんて元気になり過ぎて「躁」状態に入っちゃってます)、哀愁を帯びたサビメロが印象的な③や、
中期IRON MAIDENを思わせる⑥といった元気な疾走チューンの数々は大変魅力的。勿論、従来のMETAL CHURCH節を受け継いだ
ドラマチックな曲展開が堪能できる②④⑤、イングウェイの名バラード“DREAMING"風のヴァースが
胸締め付ける⑧のような楽曲もしっかりと収録。アルバムの完成度の高さは、相変わらず揺るぎない。
「そうか、METAL CHURCHを溌剌とさせるとIRON MAIDENになるんだ」と、気付かせてくれた意味でも重要な作品・・・か?


METAL DE ENKA (2014-04-24 23:37:41)

元ANTHEMの福田洋也(G)がプロデュースを手掛けたプロジェクト。
一般層を巻き込む大ヒットとなったANIMETALの便乗企画であることは明白で、ベテラン・ミュージシャンが何をやっているのか・・・と眉をしかめる向きもありましょうが、個人的には、90年代に燻っていた彼らに、再びスポットライトを当ててくれたことには少なからず感謝していたり。
ANTHEMの再結成なんて、このブームなしには叶わなかった気がしていますしね。


METAL DE ENKA - 演歌メタル ★★★ (2014-04-24 23:30:48)

アニメタルの大ヒットに便乗すべく乱立した、数多の「○○メタル」プロジェクトの中にあって、埋もれることなく未だに記憶の隅に留まり続けているのが、HM風にアレンジした演歌の名曲の数々をメドレーで聴かせてくれたこちらの作品。
SCORPIONSの『VIRGIN KILLER』の発禁ジャケットをパロったアートワークだけで掴みはOK。重厚な音作りやハイトーンVoで分かり易くへヴィ・メタリックな雰囲気を盛り上げつつも、原曲の知名度にべったり依存したり、へヴィな演奏だけで「メタルでござい」と安直に主張したりすることなく、アレンジ面においてもかなりの工夫が凝らされているのが本作の魅力。
演歌の名曲とHR/HMの名リフを合体させたアイデアは特に秀逸で、“KILL THE KING”のGリフを纏って疾走する“北の宿から”や、“VIRGIN KILLER”の攻撃性が憑依したかのような“津軽海峡冬景色”、“HIGHWAY STAR”の高揚感と共に本編のEDを飾る“天城越え”にも一本取られた気分ですが、ハイライトは何と言っても“北酒場”で決まり。今にも細川たかしの甲高いハイトーンVoが聴こえて来るあの曲調に、“JUMP”のKeyリフがここまで違和感なくハマるとは・・・と、聴く度に吹き出さずにはいられませんて。
演歌とHR/HMの親和性の高さを見事に実証してみせた1枚。話のタネと酒の肴に是非どうぞ。


METALLICA - Death Magnetic ★★ (2008-10-04 23:38:00)

既に熱心なファンの方々が数多く書き込まれているので、今更、自分が付け加える事なんぞ何も無いわけだが、
敢えて1つ言わせて貰えるなら、「まぁMETALLICAが本気を出せば、ざっとこんなもんよ」といったところでしょうか。
THRASH DOMINATION 08の会場で①を聴いた時から期待はしていたが、実際、本編の内容もその期待に見事に応えてくれる
出来映えで、個人的には、正統派HM然としたツインGをフィーチュアして激走する、まさにスラッシュ・メタル!な
①⑩、メロウに始まり、グイグイと盛り上がっていく劇的な④⑧辺りが特にお気に入り。
「METALLICAの原点回帰」と騒がれた本作なれど、クリフ・バートンがいない以上、3rd『MASTER OF PUPETTS』以前の
作風に戻れる筈もなく、流麗なメロディや構築美に溢れたドラマティックな曲展開よりも、冗長スレスレの大作主義が
貫かれた長尺の楽曲群を、ゴツゴツと角張ったGリフの猛烈なラッシュと、切迫感に満ちたタイトでスピーディなリズム、
そして、ジェイムズ・ヘットフィールドの抜群のVoを駆使して、力ずくで聴かせきるスタイルは、
(多くの人が指摘しておられる通り)4th『・・・AND JUSTICE FOR ALL』との共通点が多々感じられる。
今回も、一発で聴き手を虜にするキラー・チューンは収録されていないし、聴き込みを要する作風はここ数作と変わりないが、
とは言え、キャッチーではないがフックは十分、グッと引き締まった本作を聴き込む事に、何ら苦はない。
METALLICAがヘヴィ・メタル・フィールドへと帰還を果たしたことを、素直に喜びたい力作。ライブが楽しみだ。


METALLICA - Kill 'em All ★★★ (2007-03-09 22:49:00)

自分は『...AND JUSTICE FOR ALL』でMETALLICAの音に初めて触れたクチなので、この'83年発表のデビュー作を後追いで聴いた時には、その垢抜けない音作りといい、「青さ」全開のジェイムズ・ヘッドフィールドのVoといい、ドラマティックな構築美よりもラフな勢いが先走る楽曲といい、「これ、本当にMETALLICA?」と、かなり面食らった覚えがある。ぶっちゃけ、全体的にかなりチープというか何と言うか。
とは言え、それさえ我慢できれば(慣れてしまえば)、本作は間違いなく名曲/名リフの宝庫。アルバムのOPと同時にスラッシュ・メタル史の幕開けも飾った①、パンキッシュなリフと、正統派メタリックな歌メロの組み合わせが絶妙な③、サビのドラム・フレーズも印象的なアルバムのハイライト的存在の⑥、本編随一のアグレッション撒き散らしながら激走する⑩といった疾走曲の数々は、貫禄や重量感といった要素には欠けるものの、このアルバムでしか聴き得ない刺々しい尖がり具合や、前のめりで我武者羅な勢いに満ち溢れていて、これはこれで非常に魅力的だ。
スラッシュ四天王やEXODUSのデビュー作がそうであったように、本作もまた、バンドのルーツであるNWOBHM(とパンク)からの影響が強く滲み出た、微笑ましい1枚。


METALLICA - Master of Puppets ★★★ (2007-03-16 22:50:00)

名曲中の名曲①で幕を開ける、'86年発表の3rdアルバムにして、自他共に認めるMETALLICAの代表作。
スラッシュ・メタル・ブームを決定付けた歴史的名盤ながら、鋭さよりも重厚さに重きを置き、スピードを抑え目にした楽曲はより複雑化・大作化・・・と、内容的には一足早く「脱スラッシュ・メタル」が試みられていて、彼らが狭いジャンルでは収まりきらない、孤高の音楽性を確立させた最初の作品とも言える。
2本のアコギが絡み合う美しいイントロから劇的に疾走を開始する①や、印象的なリフを持つ⑤、ラストを激烈に締め括る⑧のようなスラッシーなスピード・ナンバーを要所に配しつつも、②④⑥といった楽曲を筆頭に、以前にも増して起伏に富んだメロディを歌うジェイムズ・ヘッドフィールドのVoといい、更に構築美を高めた曲展開といい、ツインGが生み出すメロディの煽情度といい、アルバム全編に溢れるドラマティシズムの濃度は間違いなく過去最高。
また、ここで大きな存在感を発揮しているのがクリフ・バートンのBで、単にボトムを支えるだけでなく、曲のスケール感や叙情性を大幅に増幅させる彼のツボを突いたプレイは本作の白眉。特にインストの名曲⑦はじっくりとご堪能あれ。
全体的に、触れれば切れそうな鋭さが後退して、包み込むようなスケールの大きさに圧倒される作風に仕上がっていて、中には少々冗長さを感じさせる曲が無いわけではないものの、METALLICAが本格派のメタル・バンドへと脱皮を遂げた事実が、しかと刻み込まれた名盤なのは疑いようがない。このCDを聴け!


METALLICA - Metallica ★★ (2007-03-27 22:26:00)

スピード重視からグルーヴ/重さの追求へと、スラッシュ・メタル・シーンの流れを完全に変えてしまった
非常に罪作りな'91年発表の5th。通称『BLACK ALBUM』
ただ、それはそれとして、本作の完成度の高さは認めざるを得ない。複雑な曲展開を備えた
大作曲が並んでいた『...AND JUSTICE FOR ALL』の反動か、コンパクトにまとめられたシンプル且つストレートな
楽曲からは、劇的なドラマ性やスラッシーな疾走感といった要素は大幅に失われてしまったものの、
大ヒット・シングル①を筆頭に、いずれの楽曲もリフにしろリズムにしろジックリと練り込まれていて、すこぶるキャッチー。
また、ジェイムズ・ヘッドフィールドがシンガーとして著しい成長を遂げている事と併せて、
速い曲やドラマチックな曲展開がなくとも、物足りなさを覚える事はない。
特に、その両者の歯車がガッチリと噛み合った叙情バラードの名曲④⑧の素晴しさは筆舌尽くし難い。
ジェイムズのVoやカーク・ハメットのGの繊細な表現力は、こちらの涙腺をビシバシと刺激しまくってくれる。
Bの音が全く聴こえなかったりと、何かと評判の悪かった前作の音作りの反省点を踏まえて作り上げられた、
重厚にして深遠な響きを感じさせるサウンド・プロダクションも絶品と、まさにメタル・シーンの
エポック・メイキング足るに相応しい作品。これで(バラードを除く)楽曲のメロディに、
もう少し魅力があれば文句なしだったんだけど・・・。


METALLICA - Ride the Lightning ★★★ (2007-03-09 23:07:00)

METALLICAの代表作と言えば、3rd『MASTER OF PUPPETS』で決まりだろうが、あのアルバムに若干の冗長さを感じてしまう自分にとっては、METALLICAの最高傑作と言えば間違いなく、この'84年発表の2ndアルバム。
名手フレミング・ラムッセンが手掛けた重厚なサウンド・プロダクション、歌唱力向上著しいジェイムズ・ヘッドフィールドのVo、劇的なドラマ性を一層高めたツインG、要所でハッと耳奪われるフレーズを閃かせるクリフ・バートンのB、そして何よりパンキッシュなラフさが姿を消し、起承転結がバッチリと決まる、欧州へヴィ・メタル然とした構築美が前面に押し出された楽曲の数々が、素晴しいったらありゃしない。
スラッシュ・メタルの旨みエキスを凝縮したかのような完全無欠の名曲①に始まり、劇的なイントロ・リフに瞬殺される②、寒々とした空気を纏った③、スラッシュ・メタル・バンド初(?)のバラード④、再びアクセル全開となる⑤、メロディアスなサビが印象的な⑥、後半のハイライト・チューンと呼ぶべきドラマティックな⑦、ラストを重々しく締めるインスト曲⑧・・・と、全8曲、捨て曲なし。
荒々しく前のめりな勢いには満ち溢れていた反面、「青さ」も目立ったデビュー作から、まさに「飛躍的」と表現するに相応しい成長を遂げた、真の名盤。


METALLICA - …and Justice for All ★★ (2007-03-13 21:35:00)

クリフ・バートンの突然の死によって、バンド内部が混乱の極みにあった事が、痛い程に伝わってくる'88年発表の4thアルバム。
冷静に曲作り出来る状態ではなかったのか、とにかく思い付いたアイデアを片っ端から力ずくで継ぎ接ぎしていったかのような
楽曲の数々は、例えば“BATTERY"の如きキャッチーなナンバーが姿を消し、その何れもが6分を越す大作ばかりズラリ。
かと言って、高いドラマ性と構築美を誇っていた前作『MASTER OF PUPPETS』に比べると、メロディの魅力が弱く、
曲展開にも強引さが散見され、全体的に、やや締まりに欠ける冗長な作風との印象は拭えない。
だがしかし。それでも本作を駄作に堕とすことなく、きっちりと名盤に仕上げてみせる辺りが、METALLICAの凄いところ。
特に、劇的なイントロ部分だけで完璧に掴まれる名曲①、角張ったリフがガツンガツンぶつかって来るかのような②、
緊張感に満ちた雄々しいミッド・チューン③、METALLICAの代表曲の1つであるヘヴィ・バラード④といった楽曲が、
次々に繰り出されるアルバム前半のテンションの高さは圧巻。(その分、後半ダレるのが惜しまれるのだけど)
また、そうした楽曲で聴く事の出来るラーズ・ウルリッヒのドラミングがこれまた強烈で、Bの音を完全に掻き消す重さと、
モタる寸前にまで「タメ」を効かせたそのプレイは、ある種異様な迫力に溢れていて、圧倒されること請け合い。
歪だが、それゆえ魅力的な作品。かな、と。


METROPOLIS - The Power of the Night ★★★ (2015-02-18 00:02:39)

母国カナダのミュージック・シーンにおいて殿堂入りを果たすシンガー/ソングライター、スタン・メイズナー(最近だとマイズナー表記)が、キム・ミッチェルとの活動で知られるピーター・フレデッド(Vo)と組んで立ち上げたニュー・プロジェクトの唯一作('00年)。
実のところプロジェクトとしての実体はなく、彼らが暇を見ては80年代からコツコツと作り溜めて来たものの発表する機会がなかった楽曲の蔵出し音源集らしいのですが、でもこれだけ出来が良ければ細かい経緯なぞどうでもいいよねと。
ポジティブなフィールに満ちた曲調に、仄かな哀愁入りメロディを振りかけた、実にカナディアンな(?)サウンドは、スタン・メイズナーのスタジオ・アルバムと同一路線を行くキャッチーに洗練されたポップ・ロック。歌だけピーターに任せ、それ以外は作曲/アレンジ/演奏/プロデュースまで一人でこなしてる点も同じ。重厚なプロダクション等、本作の方がちょっぴりHR/HM方面に寄せてる感じが無きにしも非ずですが、飽くまでほんの少し。
③⑤⑦⑪といったところを手始めに、心ニクイほどサウンドにフックを行き渡らせる、メロディ職人の曲作りの手腕の冴えに満腹な1枚であります。


MICHAEL BOLTON - Michael Bolton ★★★ (2022-09-22 00:09:34)

70年代後半にリリースした2枚のソロ・アルバムも、元KISSのブルース・キューリックと結成したBLACKJACKも不発に終わってしまいキャリアの岐路に立たされていたマイケル・ボロティンが、名前をマイケル・ボルトンと改めて’84年に発表した仕切り直しのソロ・デビュー作。邦題は『大いなる挑戦』。
どっぷりメタル・ライフに浸かりきっていた身には「バラードの帝王」の作品なんて興味の範疇外もいいところでしたが、《燃えよボルトン》という香港功夫スターばりに威勢の良い帯惹句と、「実はこの時期のボルトンはHRシンガーだったらしい」との情報に釣られて本作を手に取ってみれば、Keyが印象的に跳ねるOPナンバー①は何とTOUCHのマイク・マンゴールドが手掛けているじゃありませんか。この幕開けだけでガッチリとハートを掴まれてしまいましたね。
ボロティン時代のソロ作とは異なり、渋めのブルース/ソウル色は控えめ。ゲストに迎えたボブとブルースのキューリック兄弟が奏でる骨太なGや、楽曲をキャッチーに色付けるKeyを生かしたメロディアスHRサウンドは、『FRONTIERS』を発表した時期のJOURNEY辺りに通じるハードネスとメロウネスが絶妙にブレンドされています(チャック・バーギやアルド・ノヴァもゲスト参加)。特に躍動感溢れる曲調にフックの効いたメロディが絡む⑥や、都会的な哀感とクールさ漂わす⑧は、本作の(というかこの頃のマイケル・ボルトンの)魅力を凝縮した名曲と言えるのではないかと。
スルーされがちな1枚ですが、個人的には愛して止まない名盤です。


MICHAEL BOLTON - Michael Bolton - Paradise ★★★ (2022-09-23 01:20:25)

ドライヴする曲調に骨太なギター、
フックの効いたメロディをデイヴ・メニケッティばりに
熱唱するマイケル・ボルトンのVoといい、
キャッチコピーに「ひとりメタル」なんて冠されたという
HRシンガー時代の彼氏の魅力が詰まった名曲です。


MICHAEL BOLTON - The Hunger ★★★ (2022-02-17 22:17:42)

マイケル・ボルトンといえば「バラードの帝王」としてポピュラー・ミュージック・シーンで高い評価と人気を誇るシンガー/ソングライターですが、ソロ・デビュー当時はBATHORYのクォーソンに先んじて《ひとりメタル》なるキャッチコピーを頂戴する等、比較的HR/HM寄りのスタイルを模索していました。
'87年発表のこの3rdソロ・アルバム(邦題『いざないの夜』)は、そうしたキャリアの一区切りとなった作品で、大ヒットを飛ばした次作以降は一気にAOR方面に踏み込んだ作風を追求していくこととなるのに対し、本作は盟友ブルース・キューリック、ジョー・リン・ターナー、エリック・マーティンといったゲストの顔触れからも明らかな通り、ぎりぎりロック・フィールドに留まったサウンドを披露してくれています。
オーティス・レディングのカヴァー②のようなソウル志向も既に垣間見せつつ、ボブ・ハリガンJr.との共作によるキャッチーで快活なハードポップ④はこの時期の彼ならではの名曲と言えますし、またニール・ショーンやランディ・ジャクソン、プロデューサーも兼任しているジョナサン・ケインといったJOURNEYのメンバーが、演奏/作曲の両面で関わった楽曲は、ほぼほぼ「マイケルの歌うJOURNEY」状態。エレピによるイントロからニールのフラッシーなGソロまで、どこをきってもまるでJOURNEYな⑦、ダイアン・ウォーレン印のドラマティックなバラード⑩辺りを聴くと、スティーヴ・ペリーの後任はこの人でも良かったんじゃね?と思わずにはいられないという。
ポップ・シンガーにゃ興味ねえとスルーするのはあまりに勿体ないメロハーの名盤ですよ。


MICHAEL BOLTON - The Hunger - Gina ★★★ (2022-02-17 22:31:48)

歯切れの良いギター、躍動感溢れるリズム、
その上で思わず一緒に歌いたくなるキャッチーな
メロディが踊る、本アルバムのハイライトに推したい
ハードポップの名曲です。


MICHAEL BOLTON - The Hunger - You're All That I Need ★★★ (2022-02-17 22:37:18)

邦題は“君がすべて”。
プロデュースはジョナサン・ケインで、作曲はケイン、ニール・ショーンと
マイケル・ボルトンの共作。演奏もケイン、ショーン、ランディ・ジャクソン
というJOURNEY組が担当していることもあり、Keyによるイントロから
フラッシーなGソロ、華やかなコーラスに至るまで完全に
「マイケル・ボルトンが歌うJOURNEY」状態の名曲に仕上がっています。


MICHAEL BORMANN - Conspiracy ★★★ (2023-04-28 01:28:18)

LETTER XやJADED HEART、ZENO、その他様々なバンド/プロジェクトへの関与で知られるドイツ出身の実力派シンガー、マイケル・ボーマンが、元NIGHTWISHのアネット・オルゾン(Vo)らをゲストに招いてセルフ・プロデュースで制作、’06年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
グラミー賞の「ロック・アルバム部門」を始めとする多数の部門にノミネートされるほどヨーロッパ方面では大ヒットを飛ばした作品なのに、日本盤の発売はなし。まぁ例え権威ある賞に絡もうとも、つまらない内容だったならばそれも止む無しですが、ここに収められているのはJADED HEARTと方向性を同じくする、非常に日本人好みの哀愁のメロディアスHRサウンドなんすよ。話題性もクオリティも十分なんだから、日本盤出してくれても良かったじゃんねぇと。逆に話題作過ぎて権利料が高騰してしまったのか?
あとヒット作ということで、てっきり売れ線志向のポップな作風(1stソロはアコースティックな仕上がりでしたし)が託されているものとばかり思いきや、重厚な憂いを湛えたOPナンバー①で幕が上がる本編は、マイケルのハスキー・ボイスによる熱唱と厚く盛られたボーカル・ハーモニーが映える欧州風味強めの楽曲が過半数をキープ。中でも魂篭った歌声がメロディのフックラインを際立たせるバラード⑦、壮麗なコーラス・ワークに彩られたサビメロが放つ哀愁にグッとくる⑧辺りの出来栄えは絶品ですよ。
シンガー/ソングライターとしてのマイケル・ボーマンの魅力全開な力作。少なくないファンが本作を彼のベスト・ワークに挙げているのも納得ですね。


MICHAEL BORMANN - Conspiracy - So This Could Be You ★★★ (2023-05-02 01:16:08)

イントロは仄かにブルージーな色合いも漂うものの、聴き進めるにしたがって
マイケルの熱唱もメロディも憂愁の度合いをどんどん増していく構成に舌鼓(耳か)
を打つ逸品。分厚いコーラスに包まれた終盤の盛り上がりっぷりには
辛抱堪らんものがありますよ。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views ★★★ (2020-09-24 01:21:12)

デイヴィッド・T・チャステインの秘蔵っ子で、日本でもマニアから注目を集めたメロディアスHRバンドARCH RIVALの中心メンバーでもあったギタリスト、マイケル・ハリス。ファースト・コンタクトとなった名曲“MIND OR HEART”におけるこの人の泣きのギターには感銘を受けたものの、その後の活動までは積極的にフォローしていなかったので、'99年にマーキー/アヴァロンから、3枚目となる本ソロ・アルバムをリリースしていたことには全く気が付いていませんでした。リリースからしばらく経って中古ショップでアルバムに目が留まり、収録曲の中に“BLUE TOKYO”なる非常に食指をそそられる曲名を見つけてしまったので思わず購入。したらば個人的に主食ではないインスト作品ながらも、これが聴き手を飽きさせない好盤に仕上がっていたのだから嬉しいじゃありませんか。
嫌味にならないテクニックと、確かな表現力を駆使して奏でられるのは、メタルからアコギによる小品、クラシック、ジャズにプログレ、ブルーズまで様々なジャンルを横断しつつ、己のルーツを詳らかにするような多彩なサウンド。但しいずれの楽曲も琴線に触れるキャッチネスと哀愁を宿したメロディに彩られており、Gプレイと曲作りの両面においてマイケル・ハリスというミュージシャンの円熟味がじわっと滲み出してくるという塩梅。
スリリングな疾走チューンやクラシカルなナンバーも勿論カッコイイのですが、やはりハイライトは本作のお目当てでもあった“BLUE TOKYO”ですよ。都会の哀愁をブルージーに伝えてくれるこの名曲における情感篭ったGプレイにはグッとくるものあり。
「話のネタになれば」程度の軽い気持ちで買ったら、お釣りが来るレベルの当たり作品だった1枚です。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views - Blue Tokyo ★★★ (2020-09-24 23:41:06)

ブルージーな曲調ながら泥臭さはなく、
タイトル通り首都高ドライブのお供なんぞに
ハマリそうな洗練された哀愁が漂ってくる逸品。
一気にエモーションが高まる、中間部の
スローダウン・パートにグッときます。


MICHAEL KISKE - Kiske ★★★ (2018-03-29 23:24:10)

マイケル・キスクのHELLOWEEN合流を祝って、今更彼氏のソロ・アルバムを落穂拾い。
キスクと言えば、誰よりも上手くメタルを歌うが、そもそもメタルを歌うことはあんまり好まないという、グラハムのやっさんに通じるアンビバレンツな性質の持ち主。それゆえHELLOWEEN脱退以降はHR/HMと距離を置こうとする姿勢を、特にソロ・アルバムにおいては鮮明に打ち出していて、それは'06年発表のこの3rdソロ・アルバムでも変わっていません。疾走ナンバーは勿論のこと、エレキGすら殆ど聴こえてこない本作は、リラックスした伸びやかな「歌」と、アコギによって奏でられる人肌の温もりを湛えた「メロディ」が主役を務める、ハート・ウォーミングなサウンドが追求されています。
正直、もし発表当時にこのアルバムを聴いていたならば「またこの路線か…」と溜息の一つも漏らしたことは想像に難くありません。しかし頑なだったキスクの心情にゆっくりと雪解けの季節が訪れ、今ではPUMPKINS UNITEDの一員としてライブを重ね、メディアのインタビューに応じ、HELLOWEENのメンバー達と共に笑顔で写真に収まる彼氏の姿に感無量な現在となっちゃ、素直に本作の収録曲の質の高さに酔いしれることが出来るという。
徐々に熱を帯びていく哀愁にグッとくる④、不意に響くバイオリンの調べが胸を打つ⑤や、エレキGによるソロもフィーチュアされた爽やかな⑪、意外な程ダンディな歌声に聴き惚れるエルヴィス・プレスリーへの敬意溢れるカヴァー⑫といった楽曲おけるキスクの歌唱は、無理なく自然体で、そして実にエモーショナル。
本作に対する己の過小評価を猛省しつつ、今後は「このアルバムを聴け!」と、宣伝行為に邁進する決意を固めないわけにはいかない力作です。


MICHAEL KISKE - Kiske - Mary in the Morning ★★★ (2018-04-01 00:39:12)

“Mr.BASS MAN”の大ヒットで知られるジョニー・シンバルと、
マイケル・ラシュコウ共作の哀愁のバラード。
エルヴィス・プレスリーのバージョンがつとに有名で、
マイケル・キスクも敬愛するエルヴィスをかなり意識した
ダンディな歌唱スタイルで歌い上げています。
キスクってばこういう歌い方も出来るんだ!と新鮮な驚きを
覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(ライブでは以前から即興でこうした歌唱法を披露していましたけども)


MICHAEL SCHENKER GROUP ★★★ (2012-07-04 22:03:58)

グッとくる良い話に星三つを。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past ★★★ (2021-10-28 01:23:54)

マイケル・ジャクソンにセリーヌ・ディオンから中島みゆきに至るまで、ジャンルを問わず綺羅星の如きスター達と共演してきたLAのスタジオ・シーンを代表するセッション・ギタリスト、マイケル・トンプソンが、MICHAEL THOMPSON BAND名義では1st『HOW LONG』(’89年)以来およそ20年ぶり発表した2ndアルバム(’11年発表)。
そういう人物のソロなので、良く言えばバラエティ豊か、ぶっちゃけ毒にも薬にもならない右から左へ聞き流すだけのAOR作品を勝手に想像していたのですが、これがなかなかどうして。伸びやかな美声を披露するだけでなく、曲作りとプロデュースにも共同で関与するSOLEIL MOONのラリー・キング(Vo)をパートナーに起用してレコーディングされている本作で聴くことが出来るのは、HR的エッジもしっかりと効かされたメロディアス・ロック・サウンド(この辺りの作風に関しては、今回バックアップを受けているFRONTIERS RECORDSの意向を汲んだものと思われる)。マイケルはエモーショナルかつ官能的な響きを湛えたギターの腕前のみならず、透明感溢れる抒情メロディとフックを巧みに盛り込んだ楽曲作りの腕前に関しても熟練の技前を発揮してくれています。
サビメロへ向かって高揚感を伴い盛り上がっていくアルバム表題曲③、その爽やかさときたLAを吹き抜ける一陣のそよ風の如き(なんだそりゃ)⑤⑦、メロディの濃淡の絶妙な変化がプログレ・ハード物っぽくもある⑪等、本編は聴くほどに味わいを増す秀曲揃い。
MTBが発表した3枚のアルバムの中では最もHR色が強く取っ付き易い仕上がりなので、現在では入手困難となってしまった国内盤の再発を是非お願いしたいところ。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past - Future Past ★★★ (2021-10-29 01:09:38)

HR的なエッジと重量感、メロハーらしい透明感を湛えた
哀愁のメロディとが同居したアルバム表題曲。
Voの伸びやかな歌唱が映える、高揚感に満ちた
コーラス・パートの素晴らしさに胸打たれます。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past - Here I Am ★★★ (2021-10-29 01:17:01)

雲一つない澄み切った青空にスッと溶け込んでいくような
解放感と爽快感に満ちたメロディック・ロック・チューン。
ロック色強めの曲調の中を生き生きと躍動するマイケルの
Gプレイにもしっかりと耳を奪われます。


MIDAS TOUCH (2014-02-27 23:11:36)

現F.K.U.のパトリック・スポロング(B)や、後にMISERY LOVES CO.を結成するパトリック・ヴィーレン(Vo)らが在籍していたスウェーデンはウプサラ出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド。
'85年に結成され、Voの定着に時間を要するものの、'88年に制作したデモ『GROUND ZERO』が高評価を受け、評判を聞きつけたNOISE RECORDSと契約(この時、社長のカール・U・ウォルターバックが自らウプサラまで出張ったという)。
プロデューサーにロイ・ローランドを迎えてレコーディングされた1st『PRESAGE OF DISASTER』(まだ小僧だったシンガーは散々駄目出しを受けたそうで、後に「あのレコーディングは悪夢だった」と述懐している)は'90年に発表。母国を中心に話題を呼ぶも、既にスラッシュというジャンル自体が斜陽期を迎えていたこと、そしてレコード会社からコマーシャルな方向への路線変更を強いられたことも切っ掛けとなって、間もなくバンドは解散の道を選択してしまった。


MIDAS TOUCH - Presage of Disaster ★★ (2014-02-27 23:13:18)

スウェディッシュ・スラッシャーが'90年に発表した唯一作。
ジャケットには目を惹くトリック・アートを用い、曲間にはSEを配してコンセプト・アルバムの体裁が整えられた本作(もし次作が制作されたなら、このコンセプトが引き継がれる予定だったとか)は、吹き荒れる偏執的リフ/リズム・ワークの嵐と、トリッキーな曲展開で息つく間もなく畳み掛ける、CORONERや後期DEATHROW等が比較対象に挙げられるテクニカル・スラッシュ・サウンドが目白押し。
この手の音は好みからは外れるのですが、にも関わらず不思議と本作をすんなり楽しめたのは、技巧に溺れてスラッシーな尖り具合が損なわれておらず、そして冷ややかでウェットな感触を強く漂わす、北欧出身バンドならではの特性によるところ大。ミステリアス且つドラマティックな④はその好例でしょうかね。
ガナるのも歌うのも中途半端な浮遊するVoが、こうした楽曲の魅力を少々損なっている感が無きにしも非ずですが、これは当人の弁によれば「当時はまだ16歳で、準備も経験も圧倒的に不足していた」とのこと。
起伏の激しい曲展開が激烈なアグレッションを伴って突っ走る③⑥といった名曲を耳にすれば、リリース後間もなく、母国スウェーデンではTOP 40に食い込むスマッシュ・ヒットとなり、ちょっとしたセンセーションを巻き起こした・・・という逸話も大いに得心が行く1枚。


MIDAS TOUCH - Presage of Disaster - When the Boot Comes Down ★★★ (2014-03-01 00:07:35)

演奏力の高さゆえ、突っ走った時の爽快感には
堪らんものがあるのですが、それでいてどこか醒めているというか
ヒンヤリとした浮遊感を湛えているのがこのバンドならでは。
静と動の落差の大きな曲展開は、一頃のANNIHILATORを
彷彿とさせたりも。


MIDNIGHT BLUE - TAKE THE MONEY AND RUN ★★★ (2019-06-05 00:47:00)

ドゥギー・ホワイト(Vo)といえば、殆ど無名の存在からいきなりRAINBOWのフロントマンに抜擢されたシンデレラ・ボーイとして注目を集めたのも今は昔。すっかり便利屋シンガー稼業が板につき、たまに歌声を聴いても「また君か」とあんまり有難みを感じて貰えない昨今ですが、初めてMIDNIGHT BLUEでその卓越した歌唱力に触れた際には、「イギリスにはまだまだ凄いシンガーがいるんだなぁ」と感心させられたものですよ。
MIDNIGHT BLUEは、元TOBRUKのジェム・デイヴィス(Key)を中心に誕生したバンドで、後にブルース・ディッキンソンのSKUNKWORKSに参加するアレックス・ディクソン(G)なんかも在籍。’94年発表の唯一作である本作は、日本ではZEROコーポレーションから国内盤がリリースされ、特にOPを飾る名曲“SURRENDER”がメロディ愛好家から絶賛されました。彼らが本作で聴かせてくれるのは、その“SURRENDER”の哀メロっぷりが物語る通り、透明感を増幅するKeyとウェットなGをたっぷりとフィーチュアした、適度にポップ、適度に哀愁を帯びた煌びやかなメロディアスHRサウンド。
日本盤は全13曲収録で60分オーバーという長尺ゆえ、多少楽曲の質にバラつきは見られるものの、それでも溌剌とした曲調に高揚感を誘われる⑤、エモーショナルなドゥギーの熱唱と、精彩を欠いたSKUNKWORKSとはまるで別人なアレックスの泣きのGが冴え渡る、哀愁のバラード⑧やタメを効かせて盛り上がる⑩といった名曲からは、そうした弱点を帳消しにして余りある魅力と輝きを感じ取ることが出来るのではないでしょうか。
TOBRUK、SHY、STRATUS等々、英国の抒情派HRバンドを愛する向きにお薦めな1枚。


MIDNIGHT BLUE - TAKE THE MONEY AND RUN - SURRENDER ★★★ (2019-06-06 00:42:24)

ドゥギーの張りのあるハイトーンVo、泣きを湛えたG、北欧メタル的透明感を演出する
煌びやかなKeyとが、三位一体となった哀愁のメロディアスHRナンバー。
MIDNIGHT BLUE=この曲といっても過言ではない名曲じゃあないでしょうか。


MIDNIGHT BLUE - TAKE THE MONEY AND RUN - Till the Mourning ★★★ (2019-06-06 00:48:53)

明るく爽やかなメロディ、キャッチーでコマーシャルな
コーラス・ワーク、ポップな高揚感に満ちたメンバーの
パフォーマンスに、思わず心浮き立たされずにはいられない
哀愁の“SURRENDER”とは異なるベクトルの魅力を放射する
ハードポップの名曲です。


MIDNIGHT BLUE - TAKE THE MONEY AND RUN - UNTIL TOMORROW ★★★ (2019-06-06 00:56:35)

ドゥギーの魂の籠った熱唱といい、涙腺をクイクイ刺激してくる
泣きのGといい、そして哀愁の海に肩まで浸かったメロディといい
「エモーショナルとはこういうことだ!」と主張しまくる
ドラマティックで辛抱たまらんバラードの逸品。


MIDNIGHT SUN - Above & Beyond ★★★ (2013-10-19 01:44:50)

デビュー作の高評価に手応えを掴んで、'98年に発表された2ndアルバム。
1st『ANOTHER WORLD』にはAOR/産業ロック路線の楽曲と、北欧メタル然としたHRナンバーとが混在していましたが、今回は大仰な語りによる序曲①から疾走ナンバー②へと繋がっていく開巻早々のドラマティックな展開からも明白に、後者の路線で統一。(尤も前作もOPナンバーは様式美路線の疾走曲でしたが)
鍛え上げられたサウンド・プロダクションの下、ヨナス・レインゴールドとクリス・パルムによるネオクラシカル風味のツインGを前面に押し立て、ハードネスの底上げを押し進めると共に、メロディの更なる拡充も図られている楽曲は、特に壮麗なコーラスに包まれて、ヒンヤリとした悲哀の滲み出すサビメロが絶品。しかもそれを、ピート・サンドベリが持ち前の「切なさ」満点の歌声で熱唱するのだから、その威力は推して知るべし。
スピーディな②、練られたアレンジがメロディの魅力を引き立てる⑤⑧辺りには唸らされずにはいられませんて。(尚⑩⑪にはジョン・ノーラムが客演)
順調に成長の跡が伺える充実作。


MIDNIGHT SUN - Another World ★★ (2013-10-17 23:43:39)

北欧のメロディアスHR街道を渡り歩いてきたピート・サンドベリ(Vo)が、ヨナス・レインゴールド(G)らと共に立ち上げたバンドの、'96年発表の1stアルバム。
2本のGとKeyの存在を活かし、北欧メタルの様式美を見事に体現したドラマティックな疾走ナンバーでいきなり本編の幕が上がる作品ですが、全体を俯瞰で見渡すとそうした色合いは少数派であり、代わりに浮かび上がってくるのは、ピートの切ないフィールを湛えた歌声が映える、透明感と叙情メロディに彩られたポップなメロハー・サウンド風味。特にしっとりと聴かせる⑨はロマンティックな名曲。
アルバムのリリースを重ねる毎にヨナスの発言力が強まり、それと共にどんどんメタル色が強化されていった彼らですが、この時点ではまだピートの方にバンド運営のイニシアチブが握られていたのかと思わせられる、ジャンル・ファンの「ピート・サンドベリ=北欧ハードポップ」というイメージに忠実な仕上がりの1枚。


MIDNIGHT SUN - Metal Machine ★★★ (2013-10-22 23:46:48)

「MIDNIGHT SUN=ピート・サンドベリのバンド」という意識があったので、彼の脱退のニュースには驚かされましたが、何より'01年にリリースされた本4thアルバムを手にして、見た目から楽曲に至るまで、コテコテにヘヴィ・メタリックな装いで塗り固められた劇的な変身振りにビックリ。まるで真面目な学級委員長が夏休み明けに髪を染めてボンタン履いて登校してきたのを目撃した中学生な気分ですよ。
当初は「ハイハイ、HAMMERFALLの成功に便乗したいわけね」」と決して良い印象を受けなかったのですが、しかし実際にアルバムを聴いてみると、これが安易に流行に飛び付いただけの作品とは一線を画すカッコ良さ。
前作まで楽曲を壮麗に彩ってきたKeyが脇へ退き、代わって弾丸のように撃ち出されるソリッドなGリフ&リズムの存在が強調されたサウンドは、新Voの歌唱スタイルがロブ・ハルフォード似なこともあって、全体的に『BRITISH STEEL』を発表した頃のJUDAS PRIESTを彷彿。ハード&へヴィな作風にも関わらず、楽曲はキャッチーさを失っておらず、何よりメロディの魅力にも全く鈍りが見られない点が素晴らしい(サビメロも相変わらず強力)。②なんて従来の持ち味と新味が見事な融合をみた、眩いばかりの輝きを放つ名曲。
前3作との連続性は薄いですが、これもまた間違いなくMIDNIGHT SUN印の名盤です。


MIDNIGHT SUN - Nemesis ★★★ (2013-10-21 22:35:43)

意外にポイントが低いですが、個人的にMIDNIGHT SUNの作品で一番好きなのが、'99年発表のこの3rdアルバム。
ツインGの片翼がクリス・パルムから、現在では優れたソングライターとして勇名を馳せるマグナス・カールソンに交代し、より磐石なラインナップとなった本作は、これまで以上にメロディの泣き具合を増強。元々、悲哀に満ちたサビメロの構築術に冴えを感じさせてくれるバンドでしたが、ここでは冷え冷えとした空気を運んでくるボーカル・ハーモニーを駆使して、最早「日本のバンド?」と思うぐらいこっちの琴線を刺激するクッサクサな泣きっぷりを披露。
いきなり哀愁全開のアルバム表題曲①、イングヴェイ風味の曲調にピート・サンドベリの「泣き声」が映える②、荘厳なコーラスをフィーチュアしたクラシカルな③という冒頭の名曲3連打でノックアウトされたかと思えば、後はピートがビブラートを効かせたオペラティックな歌声を披露する⑬や、ラストに控えしEUROPEの名曲“SEVEN DOORS HOTEL”のカヴァー⑮(前作と今作にジョン・ノーラムがゲスト参加していることに引っ掛けたお遊びかな)まで、全15曲という長尺にも関わらず、殆どダレを感じる暇なく聴き終えることが出来ます。
いやでも曲数はもっと絞ってくれても良かったような気はしますが。


MIKAEL ERLANDSSON - The 1 ★★ (2007-06-20 05:52:00)

先日行われたLAST AUTUMN'S DREAMの来日公演が予想以上に素晴しくて、俺の中のミカエル・アーランドソン熱が再燃。
ここ数日、彼の過去の作品をCD棚から引っ張り出しては毎日のように聴いているのだが、そのミカエルの代表作と言えば、
やはりソロ・アーティストとしてのデビュー作であり、名曲中の名曲“IT'S ALRIGHT"を収録した、
'95年発表のこの1stアルバムで決まりだろうか。
メタルはおろか、ハードロックとすらかなり距離の感じられるライトな音楽性なれど
(名バラード⑩を初めて聴いた時は、これ何て徳永英明?と思ったものです)、
ミカエルの少々掠れ気味のハスキー・ボイスで歌われる、強力な哀愁とフック、そして如何にも北欧的な透明感を
兼ね備えたメロディの魅力は、そうした物足りなさを補って遥かに余りある。
特に、悲哀に満ちたヴァースから広がりを感じさせるサビメロへと流れて行く曲展開が胸キュン(死語)モノの①に始まり、
涼しげなピアノの音色が効いている爽やかな②、アコギをフィーチュアした叙情バラード③、強烈な「泣き」に
思わず眉毛も八の字になってしまう④を経て、哀愁のロック・チューンの理想形を体現する必殺の名曲⑤が炸裂する
アルバム前半の隙のない構成はお見事。
中でも⑤は、後にLAST AUTUMN'S DREAMでも、もっとハードなアレンジでリメイクされるわけだが、
個人的には、曲の持つ叙情性を効果的に増幅させるメロウなアレンジの施された、本作のバージョンの方が好みかな。
メロディ愛好家なら、必聴/必携の1枚かと。


MIKAEL ERLANDSSON - The 1 - It's Alright ★★★ (2007-06-23 00:21:14)

ミカエル・アーランドソンと言えば、やはりこの曲は外せない。
哀しくも切ないメロディを帯びた曲調といい、
ミカエルの「泣き」を含んだ歌声といい、
まさに「哀愁のロック・ナンバー斯くあるべし!」な必殺の名曲。
後にLAST AUTUMN'S DREAMにおいて、よりハードなアレンジを
施されてリメイクされたが、やはりメロウなこのバージョンが一番でしょう。


MIKAEL ERLANDSSON - The Gift ★★ (2007-06-24 22:00:00)

日本のレコード会社の要請を受けて、ミカエル・アーランドソンが'03年に発表した、復活の4thソロ・アルバム。
制作の経緯が経緯だけに、てっきり初期の頃を思わせる哀愁のハードポップ路線の作品を期待していたが、
実際に聴いてみると、これがBEATLESやELECTRIC LIGHT ORCHESTRAなんかを彷彿とさせる、爽やかでポップな
メロディに満ち溢れた、3rd『UNFAMILIAR』の作風を順当に受け継いだ内容に仕上がっていて、ちょっぴり肩透かし。
とは言え、これはこれで悪くない。と言うか非常に良い。楽曲のキャッチーさは過去最高とも思えるクオリティだし、
何より前作に比べて、グッとハード・ロック的なエナジーを取り戻しているのがポイント。仄かな哀愁とポジティブな
メロディが心地良い②、軽やかに疾走する爽快な⑥、「キャッチーとはこういう事だ!」な⑧、
1stや2ndに収録されていてもおかしくない悲哀に満ちたメロディが聴かれる⑨等、フックに富んだ
ハード・ロック・チューンのお手本のような楽曲が次々に繰り出される様は、聴いていて兎に角気持ち良い。
強力なキメ曲に欠ける点は前作同様だが、各楽曲のクオリティの高さゆえ、それも大した傷にはなっていない。
本作で確かな手応えを得たミカエル・アーランドソンは。音楽活動を本格化させ、引き続き日本のレコード会社の
支援を受けつつ、元FAIR WARNINGのアンディ・マレツェクとLAST AUTUMN'S DREAMの結成へと走るのであった。


MIKAEL ERLANDSSON - Under the Sun ★★ (2007-06-21 22:12:00)

名盤『THE 1』と、そこに収録された名曲“IT'S ALRIGHT"で日本のメロディ愛好派リスナーのハートを
鷲掴みにしたミカエル・アーランドソンが、'96年に発表した2ndアルバム。
絶品の哀愁のメロディに彩られた、瑞々しいハードロック・チューンがギッシリ詰まったデビュー作に比べると、
「泣き」の要素が薄まって、ハード・ロッキンなエッジが更に失われた余りにポップな作風ゆえか
(ドライでシンプルなサウンド・プロダクションも、その印象に拍車を掛けている)、発表当時、BURRN!!誌上でも
高評価を得ることが適わず、大して話題になる事もなくフェードアウトしてしまった本作だが、いやいや、なかなかどうして出来は良い。
と言うか、ミカエルのソロ・アルバムの最高傑作は本作である!と、個人的には信じて疑わない次第。
泣きの代わりに、「爽やかさ」や「キャッチーさ」といった要素が増量された楽曲の数々は、相変わらず心憎いばかりに
フックに富んだメロディ満載で、やや掠れ気味のハスキー・ボイスがチャーム・ポイントのミカエルの熱唱が映える映える。
清涼感漂うポップ・チューン②、スウィートなバラード③、爽やかに疾走する⑤、悲哀に満ちた⑨、
バイオリンをフィーチュアしたプログレ風味の⑪といった楽曲を筆頭に、全12曲、捨て曲なし。
中でも、冷ややかな哀メロと、多分に「泣き」を含んだミカエルの歌声が胸を締め付ける
アルバム・タイトル・トラックの④は、“IT'S ALRIHGT"級の名曲じゃないかと。
如何にも北欧的な雰囲気は薄まったものの、これぞ洗練されたハードポップ・アルバムの名盤!


MIKAEL ERLANDSSON - Under the Sun - Under the Sun ★★★ (2007-06-21 22:22:11)

爽やかさやキャッチーさが強化された2ndアルバムの中にあって、
この曲の放つ強烈な哀愁は一際耳を惹く。
泣きの入ったミカエルの絶品の歌声
(この人は歌唱力よりも、声質それ自体が非常に魅力的だ。
勿論、歌も上手いけど)、
悲哀に満ちた冷ややかなメロディ・・・
隠し味の女性Voも良い感じのスパイスとなっている。
個人的には“IT'S ALRIGHT"に匹敵する名曲じゃないかと思っております。


MIKAEL ERLANDSSON - Unfamiliar ★★ (2007-06-22 23:31:00)

「ポップ過ぎる」と言われた2nd『UNDER THE SUN』(個人的には名盤だと思う)にすら収録されていた
ハードロック・チューンがとうとう完全に姿を消し、前2作に比べて更にシンプルに、更にソフトにと、
より一層のポップ化が推し進められた、'97年発表の3rdアルバム。
全体的に「哀愁のメロディ」が薄まり始めていて、代わりに目立つのが、ミカエル・アーランドソンのルーツである
BEATLESやELECTRIC LIGHT ORCHESTRAといったバンドを彷彿とさせる、人懐っこいポップ・センス。
また、楽曲のアレンジもかなり簡素化されていて、それに合わせてかミカエルの歌唱もかなり大人しめで、
以前のような聴いてるだけで胸がキュンとなる(死語か?)熱唱は、余り耳にすることが出来ない。
とは言え、前2作の事を切り離して1枚のアルバムとして評価すれば、楽曲は十分キャッチーだし、
ポップなメロディはフックに富んでいるしで、相変わらずクオリティは並外れて高い。
メロウな曲調にアコギ・ソロがマッチする②や、切ない哀メロがジンワリと胸に染みる⑥のように、
これまでの路線を踏まえた楽曲もしっかりと収録されているしね。
ただ、“IT'S ALRIGHT"や“UNDER THE SUN"クラスのキメ曲に欠けるせいか、その完成度の高さに反して
前2作ほどのインパクトが残せていないのも、また事実。 何とも惜しい1枚。
尚、本作発表後、ミカエルは4th『THE GIFT』で復活を果たすまで、暫しの沈黙期間へと突入する事になる。


MILLENIUM - Angelfire ★★★ (2009-03-28 02:30:00)

EYEWITNESS時代のデモテープを流用して制作された「初期音源集」的内容の1st『MILLENIUM』に対し、全曲が完全な新曲で固められ、メンバーの著しい成長ぶりがしっかりと刻まれた、実質的なMILLENIUMのデビュー作と言っても過言ではない'98年発表の2ndアルバム。
ラルフ・サントーラのウリ・ロートを彷彿とさせるメロディックなGプレイと、トッド・プラントの伸びやかで癖のないVo、そして分厚く美しいボーカル・ハーモニーに彩られた楽曲は、叙情性/ドラマ性/そしてフック満載のメロディのキャッチーさ、何れの点においても前作のそれを大きく凌駕。なんせ15曲も収録されていて、捨て曲が全くないのだから畏れ入る(とは言え、曲数はもう少し絞った方が更に印象は上向いたと思うけど)。暗くも重くもなり過ぎない爽やかな哀愁と、心地良いポップセンスが巧みに組み合わされた、所謂「MILLENIUM節」は、本作をもって確立されたのではなかろうか。
特に、本編への期待が膨らむ劇的な序曲①から繋がっていく、FAIR WARNINGばりの高揚感に満ちた②、哀メロが五臓六腑に染み渡る叙情ナンバー④、エモーショナルに紡がれる泣きのGソロに涙腺が決壊する⑥、阪神大震災を題材に取り上げ、シリアス且つドラマティックに疾走するROYALHUNT風の⑨・・・といった楽曲は、このバンドならではの魅力に溢れた名曲。
個人的にMILLENIUMのカタログの中でも最もお気に入りの1枚であり、彼らの入門編として強くお薦めしたい名盤。


MILLENIUM - Angelfire - Run ★★★ (2016-02-29 23:43:13)

阪神大震災をテーマに書かれた楽曲だけあって
全体を包み込むシリアスな緊張感とタイトルに偽りなしの疾走感、
Keyが醸し出す荘厳な空気に、その中でメロディックに冴え渡るラルフのGと、
アルバムでも1,2を争う名曲ではないでしょうか。
ROYAL HUNTに通じる魅力も有り。


MILLENIUM - Hourglass ★★★ (2009-03-29 22:40:00)

トッド・プラント(Vo)がDOOBIE BROTHERSのツアー要員に引き抜かれてしまったため、代わりにNOW AND THEN RECORDSから紹介されたヨルン・ランデを新Voとして迎え入れ、'00年に発表した3rdアルバム。
キャッチーな叙情メロディと、マイケル・シェンカーやウリ・ロートの系譜に連なる官能的なラルフ・サントーラのGプレイ、そして美しいボーカル・ハーモニーをフィーチュアした作風は、前作『ANGELFIRE』の路線を継承しつつ、今回はヨルンのパワフルな歌唱に引っ張られたのか、よりスケールの大きな、エネルギッシュ且つポジティブな雰囲気を漂わせた曲調の楽曲が、数多く収録されているのが特徴。
特に、その筆頭と言えるのがOPを飾る名曲①で、ヨルンの突き抜けるような熱唱が「これでもか!」と映えまくる、鮮烈にして爽快感に満ち溢れた曲展開は、何度聴いても鳥肌モノの素晴しさ。MILLENIUMの数ある名曲の中でもマイ・フェバリット・ナンバーはこの曲で決まりでしょう。
正直、彼のVoはこの手のメロディアス・ハード物を歌うにはややパワフル過ぎるというか、クドイ感が無きにしも非ずなのだが、とは言え、HR/HMシーン屈指の実力派シンガーとして鳴らすだけあって、歌の上手さは折り紙つき。本作においても、劇的なスロー・ナンバー③や、情感豊かに盛り上がるブルージーなバラード⑧といった楽曲で披露される、胸を締め付けんばかりのソウルフルな歌唱は実に感動的。まさに唯一無二。
収録曲数が全10曲に抑えられた事で、本編の構成もタイトに引き締まり、多くのファンが「バンドの最高傑作」と推すのも大いに納得のいくハイクオリティな内容に仕上がった、2nd『ANGEL FIRE』と甲乙付け難いメロディアス・ハード・ロックの名盤。


MILLENIUM - Hourglass - Power to Love ★★★ (2018-06-26 23:07:17)

「爽快」という言葉をHRナンバーに仕上げたら、
こんな楽曲になるんじゃねえか?という。
ラルフ・サントーラの作り出したパワフル且つキャッチーな楽曲と
ヨルン・ランデの灼熱のパワーVoが見事な化学反応を起こした
メロディックHRチューンの理想形を示す名曲中の名曲。


MILLENIUM - Jericho ★★★ (2009-04-04 11:22:00)

実力はあるが、ひとっ所に長く留まっていられない性格のヨルン・ランデが脱退してしまったため、オリジナル・シンガーのトッド・プラントとヨリを戻して制作、'04年に発表された3rdアルバム。
いつになく太い音色のGリフがザクザクと刻まれ、トッド・プラントが逞しさを増した歌唱を披露する、重厚なOPナンバー①に代表されるように、前作『HOURGLASS』に比べ「華やかさ」や「爽快感」といった要素が薄れ、よりシリアスで、ヘヴィなサウンドに仕上がっています。
・・・と書くと、EYEWITNESSの2nd『MESSIAH COMPLEX』の悪夢を思い出す人もいるかもしれないが、今回は、まさに飛翔するかの如き高揚感に満ちたラルフ・サントーラのメロディックなGプレイや、憂いを帯びたメロディの魅力をしっかりと保持。寧ろ、ヨーロピアン風味の湿り気は前作以上と言えるぐらいで、過去の失敗を繰り返すような愚は犯していないのでご心配なきよう。
ヘヴィさが増した分、キャッチーな即効性こそやや低下してしまったものの、前述した①に始まる、ヘヴィ・メタリックな重厚感と憂いが程好くミックスされた頭3曲や、哀メロが駆け抜ける疾走チューン⑥、そしてラストを悲壮感たっぷりに締め括るヘヴィ・バラード⑩といった、このアルバムならではの魅力を備えた名曲をきっちりと収録し、個人的には前作よりも頻繁に手が伸びるアルバムだったりします。
尚、ラルフは本作を最後にMILLENIUMとしての活動を停止。以降、スラッシュ/デス・メタル系バンドで流麗なGプレイを披露する必殺仕事人路線へとシフト。でも、折角の曲作りの才が勿体ないので、できれば今後もMILLENIUMとしての活動は継続して欲しいなぁと。


MILLENIUM - Millenium ★★ (2009-03-22 20:20:00)

初期HAREM SCAREMばりの哀愁のHRサウンドで一躍注目を浴びながら、2ndアルバムではダーク&へヴィ路線に鞍替えして、メロディ愛好派リスナーを落胆させたフロリダ出身のHRバンドEYEWITNESS。その司令塔だったラルフ・サントーラ(G)が、ファンの期待に応えて従来のメロディアスHR路線を追求すべく、盟友トッド・プラント(Vo)らと共に立ち上げた別プロジェクトMILLENIUMが、'96年に発表したセルフ・タイトルの1stアルバム。
全収録曲が、EYEWITENSS時代に制作されたデモテープからの再録ということで、そのサウンドは完全にEYEWITNESSの1stアルバムと同一路線。MILLENIUMの2nd以降と比較してしまうと、未だオーソドックスなアメリカン・ロック風味が強く、叙情性や爽快感といった要素は然程でもないものの、程好く哀愁を帯びたキャッチーなメロディや、トッド・プラントの伸びやかなVo、そしてサビメロを包み込む重厚なボーカル・ハーモニーといった、MILLENIUMの重要な個性は既に立派に健在。
それにしても素晴しきはラルフ・サントーラのメロディックなGプレイで、例えば①なんぞ、地味なアメリカンHRナンバーにも関わらず、彼の強力な「気」を放つ官能的なGソロが切り込んできた途端、一気に楽曲自体が輝きを放ち始めるのだから堪らない。(個人的な一押しは、⑦⑧⑨というラスト3曲)
アルファから出ていた国内盤が既に廃盤という事で入手はやや困難なようだが、ファンなら取り合えずは一聴の価値がある1枚かと。