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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3801-3900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3801-3900
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MUNICIPAL WASTE - The Fatal Feast - New Dead Masters ★★ (2012-06-10 21:17:11)

後半は激烈な疾走へと移りますが、
ブンブン唸るBのイントロからスタートする
前半の躍動感に満ちたミドル・パートも
非常にカッコイイ。


MUNICIPAL WASTE - The Fatal Feast - Repossession ★★★ (2012-06-10 21:15:56)

上げ上げなVo、引っ掛かり気味に忙しなく刻まれるGリフ、
性急なリズムとが、短いながらもGソロをフィーチュアして
一塊に突進する、これぞMUNICIPAL WASTE!な名曲。
歌詞の元ネタは、イギリスらしいシニカルさも塗された
SFアクション映画「レポゼッションメン」か。


MUNICIPAL WASTE - The Fatal Feast - Residential Disaster ★★★ (2012-06-10 21:49:32)

アルバムのラストを締め括る
切迫感に満ち溢れた高速スラッシュ・ナンバー。
OPナンバー同様、短いが存在感を主張する
Gソロが組み込まれ、非常に効果を上げています。


MUNICIPAL WASTE - Waste ’Em All ★★★ (2020-11-26 00:37:13)

新世代スラッシャーの中でも早い時期から積極的に活動を展開していたヴァージニア州リッチモンド出身4人組、MUNISIPAL WASTEが、数枚のEPの発表やスプリット・アルバムへの参加を経て評判を高めた後、満を持して’03年にSIX WEEKS RECORDSからリリースした1stフル・アルバム。
隠しトラック含めて全16曲を収録し、ランニング・タイムはザックリ短く20分弱。最長でも1分半、中には数秒で終わってしまうような出オチ気味の楽曲まであったりと、彼らのアルバムの中では最も濃厚にショート/シャープ/ショック/なハードコア・テイストが打ち出されています。但し、エッジの立ったリフを細かく刻みまくるGといい、緩急とヘヴィネスを効かさて一気呵成に畳み込んでくるリズムといい、この時点でヘヴィ・メタリックな要素も既にそこここから顔を覗かせており、それがハードコア/パンク系にありがちな「速いんだけど、軽い」という難点のクリアに大きく貢献してくれているという。
速射砲の如く言葉を打ち出すハイピッチVoを乗せて、勇ましく突っ走る④、スラッシュ・メタル愛が迸るキャッチーな⑪、前半でエネルギーを溜め込んで後半で一気に開放する⑭等々、1分にも満たない短さにも関わらずキャラの立ちまくった(ちゃんと聴き分けのできる)楽曲を次々繰り出すバンドの曲作りの才には感心させられますし、中でもダイナミックに走り抜ける⑧はMUNISIPAL WASTEの個性が分かり易く詰まった名曲っぷり。
S.O.D.の名作『SPEAK ENGLISH OR DIE』にだって負けないクオリティを誇る1枚…といったら誉め過ぎかもしれませんが、個人的には同じぐらい楽しめましたよ。


MUNICIPAL WASTE - Waste ’Em All - Waste ’Em All ★★★ (2020-11-27 00:38:35)

80年代映画から持ってきたようなイントロに始まり
畳み掛けるVo、前がかりで突進するリズムに鋭利なGリフ、
緩急を飲み込んだ曲展開、そして短いながらもGソロまで
フィーチュアされて、ランニングタイムは1分半ぽっきり。
初期の彼らの魅力を端的に表してくれるアルバム表題曲です。


MURO - Este muro no se cae ★★★ (2021-09-16 00:41:11)

結成は'81年まで遡り、後にSARATOGAやSILVER FISTを結成するメンバーが在籍していたスペインはマドリード出身の古豪パワー・メタル・バンドMURO。本作は彼らが’03年に行ったラスト・ライブの模様を収めた実況録音盤です。(そういえばこのバンドはデビュー作もライブ盤でした)
最後のツアーということで、当然セットリストはベスト選曲が組まれている…のかどうかは、MUROのカタログは2nd『TELON DE ACERO』(’88年)ぐらいしか聴いたことがない身には正直分かりかねるものの、“ACERO Y SANGRE”や“TELON DE ACERO”を始め、勇ましげな巻き舌Voをフィーチュアしたスピード・ナンバーで全編を固めて、お別れの湿っぽさはそこそこに、ド直球のパワーメタル・サウンドと熱気ムンムンなパフォーマンスで畳み掛ける様は「スペインのACCEPT健在なり」を証明する迫力に満ちていますよ。ちなみにデビュー作では、そのACCEPTの“FAST AS A SHARK”をカヴァーしていましたが、本作ではY&Tの代表曲“FOREVER”のスペイン語カヴァーを披露。かなりのハマりっぷりなのでセットリストの定番だったのかなと。
これを受けて立つ観衆の方も「スペインのメタル・ファンは熱い」との評判に違わぬ、時に演奏を掻き消さんばかりの盛り上がりでバンドをおもてなし。特に両者の掛け合いをイントロ代わりに、スラッシュ・メタルばりのアグレッションを撒き散らしながら突っ走る2ndアルバム収録の名曲“SOLO EN LA OSCURIDAD”が炸裂する場面は、個人的に本作のハイライトでした。
解散記念盤ですが、何だったらMURO入門盤代わりにいかがでしょうか。(バンドも後に再結成しますし)


MURO - Este muro no se cae - Sólo en la oscuridad ★★★ (2021-09-17 00:29:05)

スパニッシュな哀愁を帯びたイントロから
スラッシュ・メタルばりのアグレッションを放出しながらの
疾走へと転じるスピード・ナンバー。
彼らが「スペインのACCEPT」と評された理由を雄弁に物語る名曲です。


MYRATH - Hope ★★★ (2021-04-21 23:48:29)

チュニジア出身という珍しさでも注目を集め、それだけに留まることなく、確かな実力とそれに裏打ちされた作品のクオリティをもって世界的人気を誇るようになったMYRATHの記念すべきデビュー作。’07年発表。
プロデューサーはADAGIOのKey奏者として知られるケヴィン・コッファート。バンドの人気拡大に大きな貢献を果たしたシンガー、ザヘル・ゾルガディ加入前の作品ゆえ、ここではエリエス・ブシューシャがKeyと兼任でVoも担当しています。いやしかしこれが全然悪くない。SYMPHONY Xのラッセル・アレンを想起させる歌いっぷりはリード・シンガーとしても立派に食っていけるレベルに達していますよ。
曲作りに関しては「複雑にするために複雑にしている」ドヤ顔感のある曲展開はやや未整理で、リズムに関しても比較的ストレートというか、彼ら独特の円を描くような(舞踏のステップを踏むような)リズム・ワークは然程目立っていません。曲によってはクラシカルなメロディ、デス声による咆哮、ブラスト・ビート等々の要素を取り入れた試行錯誤が、いかにも新人プログレ・メタル・バンドといった趣きで微笑ましいという。無論、既にアクセントの領域を越え、作品全体のカラーを決定付ける規模で導入されている妖しくしなやかなアラビックなメロディも大きな効果を上げていて、11分越えの⑤、8分越え⑧といった大作曲も(多少強引な部分はあれど)聴かせ切る演奏技術/作曲術も冴えています。
個性確立へと至る過渡期の作品とはいえ、ここでしか聴くことの出来ない音楽性がこれはこれで十分に魅力的に響く1枚。


MYRATH - Hope - My Inner War ★★★ (2021-04-23 00:06:26)

アルバムのラストに置かれた8分越えの大作ナンバー。
流麗なピアノが秀逸なアクセントとなっているのが
ピアノ好きの身としては嬉しい限り。
実はアラビア音楽要素は然程でもなかったりするのですが
今聴くとMYRATHの楽曲としては逆にそれが新鮮だったりもするという。


MYRATH - Legacy ★★★ (2016-09-09 00:01:48)

今年開催のLOUD PARKでの来日が決まっている(実現すればアフリカ大陸のHR/HMバンドとしては初めての来日公演になるのかな?)、チュニジア出身のKey奏者を含む5人組が’16年に発表した4thアルバム。
奇を衒ったエキゾティズムではなく、アラビックな音階を交えてへヴィなリフを刻むG、アグレッシブにして舞踏的なリズム、全編をシンフォニックに彩る気品に満ちたKey、そして独特のオリエンタリズムを湛えて奏でられるメロディ…と、MYRATH独自のプログレッシブHMサウンドは、本作においても聴き手の琴線を確実に鷲掴んで来ます。
直線的なノリでガンガン頭を振らせるのではなく、しなやかに描き出される曲線美によって思わずクネクネと踊り出したくなる(?)収録楽曲は、日本デビュー作となった前作『TALES OF THE SAND』よりも一層キャッチーに/抒情的に/ドラマティックに練り上げられている印象で、雑誌で見かけた《KAMELOT meets MEDEINA AZAHARA》という表現には、「そう、まさにそれ」と膝をピシャッと叩きたくなりましたね。
悶絶を誘う哀愁を発する歌メロを、コブシを効かせて熱唱するザヘル・ゾルガディのVoも、相変わらずこのバンド最大の武器として機能。挨拶代わりの様式美を感じさせる①②のメドレー、聴く度にのたうち回りたくなる③、妖しく揺らめく④、大仰な⑤…といった具合に、彼の熱唱を最大限活かした本編は捨て曲不在のクオリティを提示しています。
邦題は『遺産の継承者』ですが、この立派な完成度なら骨肉の相続争いの心配は無用ですな。(不要なボケ)


MYRATH - Legacy - Believer ★★★ (2016-09-10 08:37:13)

妖しくドラマティックなインスト曲“JASMIN”から壮大な雰囲気を孕んで展開。
一聴しただけで、目の前に砂漠の世界が広がっていくような錯覚を覚える
猛烈な喚起力を有したOPナンバー。
エキゾティックでシンフォニック、劇的且つテクニカルと、
MYRATHの個性がパッケージングされており、PVが作られたのも分かります。


MYRATH - Legacy - Get Your Freedom Back ★★★ (2016-09-10 08:31:21)

エキゾティズムと哀愁と大衆性が抜群の適量でミックスされた
サビメロは、聴く度に「たまらーん」と手足をバタバタさせながら
床の上を転げ回りたくなりますよ。


MYRATH - Shehili ★★★ (2019-06-27 23:32:13)

飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中のMYRATHが'19年に発表した最新作。日本でも着実に人気が高まっているようで、バンド側もそれを意識してか今回はボーナス・トラックで日本語詞にもチャレンジしてくれているという。嬉しいじゃありませんか。
母国チュニジアの芳醇な民族音楽のエッセンスをふんだんに取り入れ、テクニカルでドラマティックなプログレ・メタルと大胆に交配してみせたサウンドは、オリエンタルな個性を分かり易く打ち出せる反面、曲作りの幅を広げ難く、作を重ねる毎にマンネリ化していく危険性も孕んだ諸刃の剣。…のようにも思うのですが、情熱的に歌い上げるVo、官能的なリードGと、積極活用されるヴァイオリンやチュニジアの伝統楽器によって奏でられる、アラビアンなメロディの濃厚な哀愁はしっかりと保持する一方で、リフにリズムに、これまで以上にメタリックなアグレッションも強調することで新風が吹き込まれた収録曲の充実っぷりを聴く限り、まだまだMYRATHにその心配は無用な模様。
果てしなく広がる砂漠の海を幻視する序曲①を皮切りに、妖し気な曲線美を宿す③、硬質なリフ&リズムとしなやかなメロディが組み合わせされた⑥、パワー・メタリックな⑦、ザヘル・ゾルガディの色気溢れる歌声に聴き惚れる甘美な⑧、本編ラストを締め括るエキゾチック&シンフォニックな⑫等、絢爛と繰り広げられる音世界に捨て曲の類は一切なし。中でも個人的にお薦めは⑤でして、エキゾチックな旋律美とプログレ・メタリックな構築美、おまけにライブ映えしそうなノリの良さまで兼ね備えた隙のなさに痺れましたね。
上昇気流に乗るバンドの勢いや雰囲気の良さが、しかと反映された力作ではないでしょうか。


MYRATH - Shehili - Dance ★★★ (2019-06-30 23:08:04)

エキゾチックでメロディアスでシンフォニック。
MYRATHの魅力が分かり易く伝わる(良い意味で)コマーシャルな出来栄えで、
レコード会社のプッシュでリーダー・トラックに選出されたというのも納得。


MYRATH - Shehili - Wicked Dice ★★★ (2019-06-30 23:02:12)

これまで以上にリフ&リズムはヘヴィになっているのですが、
ザヘル・ゾルガディが熱っぽく歌うしなやかなメロディは
しっとりと憂いを帯びていてキャッチー。エキゾチックな旋律を
奏でるGソロと、時折閃き楽曲の抒情性を増幅するピアノも
非常に良い仕事をしてくれています。


MYRATH - Tales of the Sands ★★★ (2012-03-29 23:21:19)

アラビア語で「遺産(MIRAS)」を意味する単語をバンド名に冠し、アフリカ大陸(!)はチュニジアから登場した5人組が、フランスのBRENNUS MUSICから'11年に発表した3rdアルバム。
出身地が珍しければ珍しいほど、バンドにはエキゾチックな要素を求めてしまうのがリスナーの(というか俺の)性というものですが、本作はその期待にしかと応えてくれる出来栄え。
元々はSYMPHONY Xのいちフォロワーとしてキャリアをスタートし、作品を重ねる毎に彼らのルーツであるところのチュニジア伝統音楽のエッセンスを大胆にフィーチュア。プログレ・メタルならではのエッジの効いた構築美と、女性Voにヴァイオリン、舞踊調のリズム、そして妖しくも美しいアラビックなメロディとを融合させた「プログ/パワー・オリエンタル・メタル」の確立に邁進した彼らの努力は、日本デビュー作ともなった本作において見事に結実しています。
この手のサウンドの先駆者としてはKAMELOTの名前が真っ先に思い浮かびますが、MYRATHの場合、アグレッションやへヴィネスよりオーガニック且つメロディアスな要素が前面に押し出されており、また、近年のKAMELOTがモダンな洗練と引き換えに薄れさせた「キャッチーさ」「メロディの色艶」が全編に亘って充実しているのも評価ポイントで、特に⑧⑨は、このバンドとこのアルバムの何たるかを知らしめるに十分な名曲。
今後、やや類型的な楽曲とサウンド・プロダクションの改善が図られれば更なる名盤も生み出し得るポテンシャルの高さが伺える1枚。


MYRATH - Tales of the Sands - Beyond the Stars ★★★ (2012-04-01 21:07:58)

このバンドが標榜する「プログ/パワー・オリエンタル・メタル」とは
一体どんなものなのか?という問いに「こういうものです」と
判り易く応えてくれるドラマティックな名曲。
曲線を描くような舞踊調のリズム、妖しくも美しい旋律を奏でる弦楽器、
豪奢なKeyサウンド、それに部分的に取り入れられたアラビア語の歌詞が
楽曲の発するエキゾチックな雰囲気を盛り立ててくれています。


MYRATH - Tales of the Sands - Requiem for a Goodbye ★★★ (2012-04-01 21:01:03)

緩急の効いた曲展開や、テクニカル&スリリングな
楽器陣の応酬等、SYMPHONY XやDREAM THEATERといった
プログレ・メタル・テイストが一際強く打ち出された名曲。
Voが歌うしなやかなメロディを聴いていると
「北アフリカのKAMELOT」なんて形容も思い浮かびますね。


MYSTERY - BACKWARDS ★★ (2012-08-01 22:48:25)

プロデューサーにHAREM SCAREMのハリー・ヘス&ピート・レスペランスを迎えてレコーディング作業が行なわれた、'94年発表の2ndアルバム。
作曲面でもバンドに貢献していたKey奏者の脱退の影響か、「キャッチーなメロディと壮大なアレンジに彩られたメロディアスHR」という基本路線は堅持しつつも、本作はよりハードネスを強調。重厚感を増した音作りと相俟って、全体的にクリス・デ・ブラウアーのGサウンドが前に出た作りになっている。
そうした叙情性を薄れさせた作風が裏目となり、あまり印象に残らない楽曲もチラホラ見受けられるのですが(特にアルバム前半)、一方で、元々太めの声質の持ち主だったピーター・デ・ウィント(Vo)にはこの方向性がしっくり来たようで、アコースティカルなバラード⑥⑫、サビで転調する曲展開に胸が高鳴る⑦、クリスの泣きのGプレイが炸裂する⑧、悲壮感を湛えてドラマティックに本編を締め括る⑬といった名曲の数々は、一層パワフル且つ伸びやかになった彼の歌声と、強力なフックを宿した歌メロを堪能することが出来る逸品。
残念ながらバンドは本作を最後にシーンからフェードアウトしてしまいますが、もっと作品を聴いてみたかったなぁ。


MYSTERY - BACKWARDS - NO MORE TEARS ★★★ (2012-08-02 23:14:04)

ほの暗い憂いを帯びたヴァース部分と
前向きな爽やかさを感じさせるサビメロの
劇的な対比に思わず胸が高鳴る、
2ndアルバム屈指の名曲です。


MYSTERY - BACKWARDS - SARAJEVO ★★★ (2012-08-02 23:21:26)

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を題材としているだけに
全編をヘヴィ且つ悲壮な雰囲気が支配する、
“NO MORE TEARS”と並んで2ndアルバムの
ハイライトを飾るドラマティックな名曲。
ピーター・デ・ウィントが熱唱するあまりに
悲しいメロディに胸を締め付けらる思いです。


MYSTERY - MYSTERY ★★★ (2012-07-29 23:22:46)

CROSSFIREにOSTROGOTHという、80年代のベルギーHR/HMシーンを代表するバンドでパワフルな喉を披露してきたピーター・デ・ウィント(Vo)が、CROSSFIRE時代の僚友クリス・デ・ブラウアー(G)と共に結成したバンドのデビュー作('92年リリース)
CROSSFIREとOSTROGOTHは、NWOBHMからの影響を伺わせるマイナー調の男臭いパワー・メタル・サウンドが持ち味のバンドでしたが、一転今回ピーターが追及しているのは、よりポップ・センスの活かされたメロディアスHR。
アンセム調の重厚な⑤や、本編随一のドラマ性の高さを発揮する⑫のような比較的ハードな楽曲も収録はされていますが、それらにしても、一層伸びやかに歌うようになったピーターのVoを中心に据え、クリスのメロディを大切にするGプレイと、曲展開を華やかに装飾するKeyサウンド、それにスケールの大きなアレンジとが適時バックアップを行っているため、受ける印象は上記2バンドとは全く異なります。
当時本作の輸入盤を購入し、バンドのテーマ・ソングとも言えそうな爽快なOPナンバー①や、Keyを用いたプログレ・ハード的な曲展開が絶品の②といった楽曲を初めて耳にした時は、その洗練を感じさせる曲調から、よもや彼らがCROSSFIREの輪廻転生体(?)とは気付きもしませんでしたよ。
1時間弱の長尺作品ながら、捨て曲皆無でダレを感じさせない実に立派なクオリティを誇る1枚。キャリアの長さは伊達じゃありませんね。


MYSTERY - MYSTERY - FATA MORGANA ★★ (2012-07-31 23:30:44)

このタイトルに相応しい幻想的な雰囲気と、
ラスト・ナンバーらしいスケールの大きさ、
それにドラマティックな曲展開を備えた名曲。
クリス・デ・ブラウアーが閃かせる
華麗なGプレイもこの曲の大きな聴き所の1つですね。


MYSTERY - MYSTERY - FOREVER ★★★ (2012-07-31 23:24:34)

ピアノに始まり、Voと全楽器が加わって
ドラマティックに盛り上がりつつ、
最後は再びピアノにて幕が下ろされるという
教科書通りのパワー・バラード。
とは言え良いものは良い。
バンドのメロディ・センスの良さが
確認できる名曲です。


MYSTERY - MYSTERY - PLEASE DON'T LEAVE ME NOW ★★★ (2012-07-30 23:19:42)

THIN LIZZYの名曲みたいなタイトルですが
別にカヴァーというわけではない。
プログレ・ハード・タッチのKeyが非常に
良い仕事していて(作曲にも関与している)
特に指の隙間から零れ落ちていくような
悲哀に満ちたサビメロが出色。
勿論VoもGも良い。
個人的に1STではこの曲が一番好きかな。


MYSTERY - MYSTERY - THE LAND OF MYSTERY ★★★ (2012-07-30 23:10:06)

CROSSFIRE~OSTORAGOTHといったパワー・メタル・バンドで
歌っていたピーター・デ・ウィントのイメージとは俄かに
一致し難い、明朗で爽快なポップ・メタル・チューン。
歌い出しとKeyリフはVAN HALENの“JUMP”っぽいかな?
それでいて、そこはかとなく涼しげな哀愁が漂って来る辺りが
このバンドならではの味。


MYSTERY - MYSTERY - WE ARE UNITED ★★ (2012-07-31 23:27:14)

団結を訴えるタイトル通り、メタル・アンセム風の
力強い曲調は、CROSSFIREやOSTORAGOTHなんかで
演っても違和感なさそうな感じ。
でも、やはりこちらの方がグッと洗練され
聴き易く仕上がっています。


MYSTIK - Perpetual Being ★★ (2009-03-20 11:44:00)

リズム・ギタリストが脱退、シングルG編成でレコーディングされ日本デビュー作ともなった、'93年発表の2ndアルバム。
サウンド・プロダクションが向上したことで、デビュー作『THE PLOT SICKENS』に漂っていたアマチュア臭さが払拭され、
本格派パワー・メタル・バンドとしての貫禄が感じられるようになった一方、曲展開から構築美が、メロディから
キャッチーさが、リズムからは縦ノリの疾走感が大幅に失われ、当時流行の「モダン・へヴィネス」サウンドからの
強い影響がハッキリと刻まれているその作風は、正直、前作のドラマティックでテクニカルなパワー・メタル・サウンドを
愛する向きには、この煮え切らない横ノリ路線はかなり物足りない。90年代初頭にデビューを飾った
この手のバンド(CHANNEL ZEROとか)は、本当、同様の末路を辿るパターンが多かったよな・・・。
相変わらず、ツボを押さえた泣きのGソロが炸裂する④や、悲壮なバラード⑤、唯一、前作のノリを受け継いでいるように
感じられるスピーディなインスト・ナンバー⑩等、結構耳を惹かれる楽曲もちゃんと存在しているだけに、
もっとキャッチーさの演出にも力を入れて欲しかったなぁ、と。個人的には、上記の楽曲が聴けただけでも良かったけどね。


MYSTIK - The Plot Sickens ★★ (2009-03-18 22:08:00)

元PURGATORYのドラマー、ケニー・イーストリーが在籍していた事でも知られる、オハイオ州はクリーブランド出身の
5人組パワー/スラッシュ・メタル・バンドが、'91年にMASSACRE RECORDSより発表した1stアルバム。
'90年に制作された2本のデモテープが元になっているという本作、音質こそイマイチなものの、シャウトに逃げず
しっかりと歌い上げるハイトーンVoと、メロディックなツインG、そして、歯切れ良く縦ノリのビートを叩き出す
リズム隊をフィーチュアした、初期ANTHRAXやFLOTSAM AND JETSAMを彷彿とさせる、テクニカルでドラマティックな
パワー・メタル・サウンドは、非常に高品質。アクティブに動き回り、楽曲に活を入れるBプレイを聴いていると、
同時期にMASSACRE RECORDSよりデビューを飾ったオクラホマ出身のパワーメタル・バンド、FORTEを思い出したりもするかな。
(あのバンドを更に正統派HMスタイルに近づけた感じ、とでも申しましょうか)
メロウな序曲①を経てスラッシーな攻勢へと転じる②、縦ノリのリズムでアグレッシブに畳み掛ける⑤⑦、
ドライヴするBが痛快な⑨、本編随一のドラマ性の高さを誇る大作⑩といった楽曲も聴き応え十分だが、
個人的なイチオシは何といっても④。叙情的な導入から一転、勇壮にギャロップする曲調が
IRON MAIDENの名曲“THE TROOPER"を思わせ、ここで炸裂する劇的な泣きのGソロが素晴しいったら!
日本デビュー作となった2nd『PERPETUAL BEING』では、モダン方向に色気を見せてメロディの魅力が大幅ダウンしてしまった
彼らだが、この1stアルバムは探し出して聴く価値が大いにある1枚。時々、中古屋で安く転がってるのを見かけるしね。


MYSTIK - The Plot Sickens - Commandment ★★★ (2009-03-18 22:14:03)

メロウなイントロを経て、勇壮にギャロップする曲調が
IRON MAIDENの“THE TROOPER"を彷彿とさせる名曲。
押しと引きを心得た、ドラマティックな泣きメロを
紡ぎ出すGソロに、思わず心の中でガッツポーズ。


MYSTO DYSTO - The Rules Have Been Disturbed ★★★ (2018-02-17 23:15:27)

80年代に残した2枚のアルバムが、マニアの間で高評価を得たオランダのMANDATOR。その前身として知られるMYSTO DYSTOが’86年に自主制作した唯一のフル・アルバムが、MANDATOR共々ようやく正式CD化。オリジナルLPは5桁のプレミア価格で取引されており、とても手を出す気にならなかったので嬉しい限りですよ。
音楽性は、この時点で既にMANDATOR時代に通じるパワー/スピード・メタル寄りのスラッシュ・メタルをプレイ。MANDATOR自体、スラッシュ系にしてはメロディアスなサウンドが持ち味のバンドでしたが、本作はそれを更に正統派HM寄りにしたような仕上がり。随所で印象的にハモるツインGと、裏声ハイトーンを炸裂させながら一生懸命「歌っている」シンガーの存在もその印象に拍車を掛けているという。
Voの頼りなさや、自主制作盤ゆえのラフな音質、勢い勝負の楽曲等、あらゆる点においてまだまだ荒削りな作品なのは事実。なれど、イントロからいきなりブラック・メタルばりのトレモロ・リフが吹き荒ぶOPナンバー①、スラッシーなスピードに乗ってツインGが派手にハモリまくる③、エピカルな風格漂わす④、曲作りに際してRIOTの“WARRIOR”に影響を受けたような⑥等は、思わず「おっ」とパワー/スラッシュ愛好家の身を前に乗り出させる出来栄えではないかと。曲名通りに地獄までブッ飛ばす勢いの⑤なんて、パワー・メタリックな構築感とスラッシーな突撃感覚が絶妙な融合を見た本編のハイライトであり、IRON MAIDENがドーピングしたようなこの名曲を聴くためにも本作を是非購入すべし!と、思わず熱弁を振るいたくなる1枚であります。


MYSTO DYSTO - The Rules Have Been Disturbed - Full Speed to Hell ★★★ (2018-02-17 23:23:51)

インスト・ナンバーだと思いながら聴き進めていくと
2分半を過ぎた辺りからVoが強引に割って入って来る、
二部構成からなる6分越えの大作曲。
リフ/リズム・チェンジを盛り込んだ曲展開は意欲的なれど
演奏精度はかなりギリギリ。しかし「でもやるんだよ!」と
前のめりに突っ走るこの爪先立ち感覚こそが
80年代スピード/スラッシュ・メタルの醍醐味。
派手にハモリ倒すツインGにもグッときます。


Mandrake Root (2014-03-08 00:54:40)

ウリ川本率いる日本のインディー・レーベル・・・ではなくて、スウェーデンのヴェクショーにて'92年に結成された5人組HRバンド。
'93年リリースの自主制作5曲入りデビューEP『WAVES IN MOTION』に託された、DEEP PURPLE~RAINBOWをパク・・・じゃなくて強い影響を受けたHRサウンドが輸入盤市場で評判を呼び、翌'94年、1stフル『TALES OF THE SACRED』をゼロ・コーポレーションから発表して日本デビューを飾るも、それを最後に消息を絶つ。
尚、バンド末期にドラマーの座を担ったのは、DON DOKKENやJON NORUM、MIDNIGHT SUN等での活動で知られるヘンポ・ヒルデンだったという。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED ★★ (2014-03-08 00:56:19)

「名は体を表す」の格言に倣って、DEEP PURPLEからの影響をモロ出しにしたHRサウンドを追求するスウェーデンの5人組が、'94年にゼロ・コーポレーションから発表したデビュー作。
元ネタについては、現BURRN!!編集長が詳細な解説をCDに寄稿しているのでそちらをお読み頂くとして、とにかく本作、メイン・ソングライターであるギタリストの「リッチー・ブラックモアへのなりきり具合」が凄まじい。音色からフレージングまで、御大の生霊を憑依させたかのようなGプレイはイタコ顔負けで、独自性という点では大いに疑問符のつく作品ではありながら、個人的にはここまでやられると、最早立派な「芸」として評価せざるを得ません。
OPナンバーこそ地味ですが、以降は、Key奏者のジョン・ロード・フリークぶりも相当なものと分かる②③、北欧メタルならではの甘いバラード④(この曲における「叙情メロディを適当に爪弾くリッチー」の再現度の高さがまた凄い)、『虹を翔ける覇者』のエキゾチックな世界観を受け継ぐドラマティックな⑤・・・と、「RAIBOW/DEEP PURPLEあるある」で固められた楽曲が連発。中でも“SPOTLIGHT KIDS”風Gリフが疾走する⑥は、そうしたノリが最高潮に達する名曲で、エレピ・ソロまで走り始めた瞬間にゃガッツポーズを禁じえませんでしたよ。
まぁ、だからといって本作がDEEP PURPLEやRAINBOWの名盤に匹敵するクオリティを備えているかと言えば、そうはなっていないところが創作活動の侭ならぬ部分なのですが・・・。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - Fire Walks with Me ★★★ (2014-03-10 22:47:31)

“SPOTLIGHT KIDS”を思わせるGリフに、
まるでリッチーなGソロと、ジョン・ロードばりのKeyソロとが
駆け抜ける、アルバム収録曲中、最も高い深紫/虹色指数を
記録する疾走ナンバー。聴いていて顔がにやけますが
それだけでなく、後半にはピアノ・ソロを追加して
北欧様式美メタル色も主張する等、アルバムの
ハイライト・ナンバーに推したいドラマティックな名曲に
仕上がっております。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - Lonely Man's Day ★★★ (2014-03-10 22:37:40)

透明感に満ちた哀愁のメロディを
少々野暮ったい感じのVoが甘く歌い上げる
「ザ・北欧メタル」なバラード。
楽曲自体にRAINBOW/DEEP PURPLE色は
あまりないのですが、間奏パートでのGソロが
「適当に思い付いた叙情メロディを気の向くまま
爪弾くリッチー・ブラックモア」を完全再現していて
驚かされますよ。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - The Holy Gate ★★ (2014-03-10 22:42:23)

“MISTREATED”系の落ち着いた曲調から一転、
インスト・パートになると途端に“STARGAZER”を
彷彿とさせる妖しくもドラマティックな音世界に
突入して俄然盛り上がる、エスニックな雰囲気
漂わす大作ナンバー。


Manzano (2018-01-22 23:49:42)

BANZAI、ZERO、NIAGARAといったバンドを渡り歩いたスペイン人シンガー、ホセ・アントニオ・マンザーノが自らの名を冠して結成。スペイン版モンスターズ・オブ・ロックに地元代表として出演する等、BARON ROJOに続く存在として人気を博したというバンドで、'88年~'90年にアルバム2枚を発表。特に英語とスペイン語の2バージョンが制作され、母国スペインでは長きに亘ってチャート№1の座を独走したと聞く1st『RED HOT』は当時テイチクから日本盤も発売された。(邦題『ターン・ミー・オン』)
近年、再結成を果たして新作もリリースしている模様。


Manzano - Red Hot ★★★ (2018-01-22 23:52:27)

大和魂ここにあり!なバンド名がマニアの間で話題となったBANZAIや、ゼロから日本デビューも飾っているNIAGARA等のバンドを渡り歩いた、知る人ぞ知る(知らない人は全く知らない)スパニッシュ・メタル界の実力派シンガー、ホセ・アントニオ・マンザーノが自らの名を冠し結成したバンドの’88年発表のデビュー作(邦題『ターン・ミー・オン』)。
本国じゃ数週に渡りチャート№1の座に輝いた大ヒット作ということで、きっとアツい/クドい/クサいの三拍子揃った特濃スパニッシュ・メタル・ワールドが展開されているものと思いきや、意外にも歌詞は全曲英詞。Keyも積極活用されたお洒落サウンドは、巻き舌やコブシといったドメスティックなエッセンス控えめのメロディックHR路線だったという。
「濃厚豚骨ラーメンを期待したらアッサリ塩味だった」的拍子抜け感と、英米のバンド群と比較すると、アレンジにしろ音作りにしろ若干の周回遅れ感は否めないのですが、いやでもそういう洗練されきっていない部分(隠そうとしても滲み出てしまう「地」の色合い)にこそ、個人的にはグッとくるわけでして。
時折漏れ出し強烈な臭気を放つ哀愁のメロディや、例えば1曲目のテンポに対して詰め込み気味に歌メロを追っ付けるマンザーノの歌唱法とかは間違いなく西班牙メタル印。要所でテクニカルな速弾きを披露する2人のGも本編を引き締めてくれていて、特にネオクラ調Gソロが鮮烈な彩りを加える①や、タイトル・トラック⑥辺りは、スパニッシュ・メタル愛好家が思わず顔を綻ばせる逸品ではなかったかと。
自分は嘗て、既に廃盤となっていたテイチク盤の中古を大枚はたいてプレミア価格で購入しましたが、今ではあの時俺が支払った額の半額ぐらいでリマスター輸入盤が買えてしまうので(血涙)、そちらをどうぞ。


Manzano - Red Hot - Body and Soul ★★★ (2018-01-23 23:21:50)

威勢よくハジけるOPナンバー。
歌詞は英詞ですが、メロディに対する歌メロの載せ方が
完全にスパニッシュ・メタルの流儀に則っているので
普通にスペイン語の歌を聴いているような気分になるという。
アグレッシブにGリフを刻み、中間部では鮮烈な速弾きを披露する
Gが楽曲をグッと引き締めてくれています。


Marcello-vestry - Marcello-vestry ★★★ (2020-04-27 00:18:01)

DANGER DANGERにアンディ・ティモンズの後任として参加して以降、卓越したギター・テクニックと曲作りの才(ついでにイケメンでもある)を活かして、傑作『REVOLVE』('09年)や、ブルーノ・ラヴェル(B)のサイド・プロジェクトTHE DEFIANTSのアルバム作りに大きく貢献。今やブルーノの相棒として欠かせない存在となったロブ・マルセロ。本作はその彼が、ベテラン・シンガーのフランク・ヴェストリーをパートナーに迎えて立ち上げたプロジェクト、MARCELLO-VESTRYのデビュー作にあたる作品です。(’08年発表)
ギタリストのソロというとクラシカルなインスト物を想像してしまいますが、ここで聴かれるのはキャッチーな歌メロ&コーラス・ワーク重視のスカッと明るくハジけるポップ・メタル。JACK STARR’S BURNING STARをキャリアの出発点に、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオと組んだLANESLIDEや元MANOWARのロス・ザ・ボスのバンド等、これまで様々な作品に参加してきた実力派であるフランクの、エネルギッシュな熱を帯びた歌声により盛り立てられた収録楽曲の数々は、しれっとDANGER DANGERのライブで披露しても全く違和感なさそうな80年代風味満点の仕上がりです。
当然捨て曲は見当たりませんが、中でもロブ・マルセロの華やかなGプレイが、楽曲が放つ爽快感を数倍にも引き立てるHRナンバー⑩は、彼氏がこの手の音楽スタイルに寄せる愛情の深さがビンビンに伝わってくる名曲ではないかと。
両者とも複数のバンドやプロジェクトを抱えて多忙のためか、この顔合わせが本作のみで終わってしまったことが不満と言えば不満な1枚。


Marcello-vestry - Marcello-vestry - One More Night ★★★ (2020-04-28 00:41:16)

体を揺するアップテンポの曲調、
ホットなVoにキャッチーで爽快なコーラス、
それらを華やかに彩るテクニカルなGと、
痒い所に手が届くポップ・メタルの逸品。
これを聴けば、ロブ・マルセロが後にDANGER DANGERの
メンバーに抜擢されたのも得心が行くというものです。


Marta Gabriel - Metal Queens ★★★ (2021-07-14 23:54:23)

ポーランドが誇るメタル・ゴッデス、マルタ・ガブリエル(Vo)が'21年に発表した初めてのソロ・アルバムは、そのものズバリなタイトルが表す通り、若き日の彼女に絶大な影響を与えた、リー・アーロン、ドロ・ペッシュ、アン・ボレイン、レザー・レオーネといった女性シンガーのパイセン方へリスペクトを捧げるカヴァー曲集となっています。
CRYSTAL VIPERでも熱心なメタル愛を開陳してきた彼女ゆえ、選曲はかなりマニアック。WARLOCK、CHASTAIN、HELLIONの鉄板どころを始め、ZED YAGO、ROCK GODDESS、果てはスペインのアズセナ・マルティン擁したSANTAや、バーバラ・マルティーズ率いるMALTEZEまでフォローしているのですから、その掘り下げぶりには「マニアだねぇ」と感心せずにはいられません。MALTEZEなんて本作聴くまで(あと失恋船長さんのレビュー読むまで)存在すら忘れていましたよ。確かギタリストは日本人でしたっけ?
好きが高じてのカヴァーゆえアレンジは完コピが基本。ツボを押さえた選曲センスに加え、スピード・メタリックな①(ACID)、アルバムのリーダー・トラック②(リー・アーロン)、アンセミックな⑦(MALTEZE)、色物扱いは勿体ないストレートなカッコ良さが詰まった⑧(ウェンディ・O・ウィリアムズ)、そして本編のハイライト③(BLACKLACE)といった名曲を自分のモノとして堂々歌い上げるマルタ姐さんのVoからは、過去に相当歌い込んで来たであろうことを伺わせる、カヴァー対象に寄せる深い理解と愛情が迸っています。
単なるカヴァー・アルバムというよりは、部室で先輩が手ずから編集したお好みテープを聴いているような錯覚に陥る1枚。マルタ・ガブリエルに対する好感度爆上げ待ったなし。


Marta Gabriel - Metal Queens - Call of the Wild ★★★ (2021-07-16 00:22:39)

オリジナルは女性シンガーのマリアンを擁した
ニューヨーク出身の正統派HMバンド、BLACKLACEが
'84年に発表した1stアルバムのOPナンバー。
よくぞこの名曲をチョイスしてくれました、という
マルタ・ガブリエルの選球眼の良さが光ります。


Millennium - Awakening ★★★ (2018-07-10 23:25:47)

お蔵入りの2nd『CAUGHT IN A WARZONE』(’15年)を世に出して復活の狼煙を上げた英国のMILLENNIUMが、'17年に発表した再結成第一弾アルバム。つまり3rdか?
中心人物のマーク・ダフィ(Vo)は、TORANAGAの復活作も水準以上の内容に仕上げてくれた実績があるため(あっちの作曲者は別人だけど)、聴く前からある程度信頼はしていましたが、「今時の若い奴らには負けへんでぇ!」とばかりにのっけからアグレッシブなGリフが繰り出される1曲目のイントロだけで、こちとら思わず顔が綻んでしまったという。
アグレッシブといっても、無理して流行に手を染めてみました…なんてことは勿論なく。長らくMILLENNIUMの唯一作だった1stでは、どちらかと言えばPRAYING MANTISの系譜に連なるメロディアスなHMサウンドが持ち味だった彼らが、本作ではエピック・メタルのエッセンスを楽曲に注入し、より勇猛且つ重厚な――言うなればTORANAGAとMILLENNIUMの合わせ技一本!――なサウンドを提示。どんより薄曇りなメロディを拾っていくマークの歌唱はデビュー当時から変わらぬヘタウマっぷりを保ち続けており(褒め言葉)、収録各曲から漂ってくるNWOBHMの匂いを的確に増幅してくれています。そんな彼の錆声Voと、印象的なフックを構築するツインGを十全に活かしたアップテンポ①⑩、アコギに始まりエピカルな盛り上がりを呈する④、好戦的にしてキャッチーな⑥、本編最速ナンバー⑪等は、現役バンドとしての気迫と英国産HMの伝統が巧みに溶け合わされた、復活MILLENNIUMならではの名曲に仕上がっているのではないかと。
ここまでやってくれるとは…、と期待を上回る出来栄えに脱帽させられる1枚。


Millennium - Awakening - False Reality ★★★ (2018-07-11 23:13:42)

バンドの漲るやる気が乗り移ったように
アグレッシブに刻まれるGリフに先導されて突き進む
アルバムOPナンバー。
一方で、昔から変わらぬマーク・ダフィの錆声Voと
メロディック且つドラマティックに絡み合うツインGが
変わらぬMILLENNIUM印を楽曲に刻んでくれているという。


Millennium - Caught in a Warzone ★★★ (2016-04-29 01:04:25)

NWOBHM末期に活動し、アルバム1枚残して解散してしまった英国・ビリンガム出身のMILLENNIUMがいつの間にやら再結成。そんな彼らから届けられた、ユニオンジャック・ペイントの髑髏ジャケットもイカす2ndアルバム…ということで条件反射で購入してしまったのですが、解説を読むと、どうやら純粋な新作ではないご様子。1stアルバム発表後に制作されたものの、レコード契約が得られず発表の機会もないままお蔵入りしていたデモ・アルバムのCD化らしい。(ライブ会場で手売りしてたとか)
とまれ内容は「お見事」の一言に尽きるので、商品化については何ら異存ございません。灰色の光沢を放つマーク・ダフィの歌声と、湿ったツインGが描き出すドンヨリ薄曇りのサウンドは、典型的NWOBHMのシルエットをデビュー作から受け継ぐ一方、“THE TRAVELLER”みたいな抒情バラードが見当たらない今作は、全体的にアグレッション増し増し。絶好調時のIRON MAIDEN思わす勇壮なGリフが駆け上がるOPナンバー①は、メタル魂がメラメラと燃え上がる名曲ですし、後に続く、愁いに満ちた導入部からテンポアップする②という序盤の強力な2発だけで「参りました!」と白旗掲げたくなった次第。
この他、いかにもNWOBHMな泣きのイントロを配して攻撃的に展開していく⑤や、鋭角的に攻めて来る⑥のような優れた楽曲の数々を収めた本編は、元がデモテープゆえの音質の貧乏臭さをモノともしないカッコ良さが光ります。ゴッドが「デビュー作より完成度高いんじゃないの?」と評した気持ち、分かるなぁと。


Millennium - Caught in a Warzone - Princess of the Light ★★★ (2016-04-30 10:14:47)

叩きつけるようなリズムに乗って
勇ましく駆け上がるメイン・リフの劇的なカッコ良さだけで
燃え上がるメタル魂にガソリンを注がれる思いがする
2ndアルバムのOPナンバー兼ハイライト。


Millennium - Caught in a Warzone - Run to the West ★★★ (2016-04-30 10:19:40)

貧乏くさ・・・もとい、侘しげな泣きのイントロから一転、
荒々しく刻まれるGリフ&リズムと、NWOBHM然とした薄曇りVoの
挑みかかるように突き進むコンビネーションに痺れる逸品。


Millennium - Millennium ★★★ (2015-03-26 00:09:48)

ラルフ・サントーラ率いるフロリダのメロディック・メタル・バンド・・・ではなく、NWOBHM末期に活動していたUKビリンガム出身の5人組が、'84年に残した唯一作。
シンガーのマーク・ダフィは、後にパワー/スラッシュ・メタル・アクトTORANAGAに加わってメジャー・デビューを飾ることになるのですが、ここではエコーの掛かり具合といい、暗過ぎず/明る過ぎず/ハジけきれない歌メロの拾いっぷりといい、「マイナー・クラスのNWOBHMシンガー」を体現するかのような、ヘタウマ感溢れる絶妙な歌唱を披露していて思わず頬が緩みます。
音楽性の方もそれに倣ってか、印象的にハモりながらドンヨリ湿ったメロディとリフを紡ぐツインGから、早歩きのテンポで進むリズム、そして派手なキメ曲より、コトコト長時間じっくりと煮込んだような、華はないけど味は十分な楽曲の連なりで聴き手を引き込む構成まで、もうド真ん中のNWOBHMスタイルを踏襲。じめじめした泣きが炸裂するバラード“THE TRAVELLER”や、TORANAGAに通じるパワー・メタル要素も垣間見える“THE DEVIL RIDES OUT”のカッコ良さ等はなかなかのモノですよ。
海の向こうじゃLAメタルが華やかな盛り上がりを見せてたこの時期、彼らがアルバム1枚きりで活動を停止してしまったことも無理からぬことと、思わず納得してしまうぐらいの垢抜けなさですが、だがしかし。なればこそ愛さずにはいられない好盤でもあるわけで。


Millennium - Millennium - The Devil Rides out ★★ (2015-03-27 23:31:32)

挑みかかるように刻まれるGリフ&リズムの
コンビネーションがメタル魂を高揚させます。
威勢良く弾きまくる2本のGの援護射撃のもと
後にTORANAGAで活かされるパワー・メタリックな
アグレッションの萌芽を聴き取ることも可能
・・・かも。


Millennium - Millennium - The Traveller ★★★ (2015-03-27 23:21:56)

Gが情感豊かに紡ぎ、Voが切々と歌う哀愁のメロディに泣き
ついでに郷愁をそそる垢抜けない雰囲気でも泣けるという
一粒で二度美味しい名バラード。


Minaton (2014-01-27 21:55:53)

兵役中に知り合ったメンバー達によってブルガリアにて結成。活動拠点をドイツへと移し、'94年に1st『ONE DAY IN PARADISE』を自主制作。
当初はバンドのリーダーであるネディ・ジョン・クロスのソロ名義でのリリースだったが、'95年にゼロ・コーポレーションを通じて日本でも同作が発売されるにあたり、MINATONとバンド名義に改める。
「ミナトン」なんて聞くとどうしてもレイ・ハリーハウゼンがクリエイトした牛頭人身の怪物のことを思い出してしまいますが、多分彼らもアレからバンド名を頂戴したんだろうなぁ、と。
尚、MINATONはこれ1枚きりで消滅し、以降ネディ・ジョン・クロスはソロ・アーティストとして活動している模様。


Minaton - One Day in Paradise ★★★ (2014-01-27 21:56:25)

ゼロ・コーポレーションからリリースされたカタログを棚にコレクションしてはニヤニヤと悦に入っていたのも今は昔。現在ではかなりの作品を手放してしまったのですが、幾つかは手元に残したままの物もあって、最近よく聴き直しているその中の一つが、ドイツに拠点を置く5人組が'94年に発表したこのデビュー作。
メンバー・ショットを適当にコラージュしただけの冴えないアートワークと、冒頭に配置されたロケンロール・ソング2連発でリスナーの出鼻をいきなり挫く構成は頂けませんが、彼らの本領は、シンフォニックなアレンジと、テクニカルな演奏に支えられた大仰な曲展開が、VALENTINEやMEATLOAF等を彷彿とさせる楽曲が並ぶ4曲目以降に発揮されるので、暫しのご辛抱を。
取り分け本作のユニークネス創出に大きく貢献しているのが、音楽の専門教育を受け、俳優として舞台にも立っているというネディ・ジョン・クロス(Vo)の存在。彼の円やかで朗々たる歌声は、疾走曲/バラード/ポップ・ソングを問わず収録楽曲に優美な気品を付与しています。女性コーラスも取り入れたオペラティックな④、クラシカルな響きも湛えて疾走する⑤、そして物悲しくも劇的な曲展開と悲恋を扱った歌詞に涙ちょちょ切れる名曲⑥が連続する中盤なんて万歳三唱モノのドラマティックさ。
高揚感とスケール感を伴ったラス曲⑩まで、全編をドラマティックに語り切るこれほどの作品を作り上げたバンドが、アルバム1枚を残して消滅してしまったのは残念極まりない話だなぁ。


Minaton - One Day in Paradise - Down by the Quay ★★★ (2014-01-28 22:32:40)

港町の恋人達の悲恋を切々と歌い上げる
涙なしには聴けないアルバムのハイライト・ナンバー。
Voの独唱に始まり、泣きのGと重厚な演奏&コーラスと
シンフォニックなKeyが加わってドラマティックに
曲展開が盛り上がっても全く薄れない、
いかにも東欧的な侘しげな叙情メロディが美味。


Minaton - One Day in Paradise - Highlife in the Night ★★★ (2014-01-28 22:26:15)

リードBが非常に効果的な疾走ナンバー。
スパニッシュ・タッチで爪弾かれるアコギを
フィーチュアした中間部のドラマティックな
曲展開も含めて、走っていても優美さを失わない曲調が、
どことなく初期ROYAL HUNTを彷彿とさせます。


Minaton - One Day in Paradise - One Day in Paradise ★★★ (2014-01-28 22:21:58)

壮麗なコーラスがQUEEN風味を醸し出すと同時に、
ネディ・ジョン・クロスの舞台俳優としての
才能も発揮された、ミュージカル・テイストも
感じられるシンフォニックなバラード。


Monarch (2014-05-17 09:23:05)

ジム・ドリアンなるシンガーが結成したバンドだったが、当時ここ日本では「期待の新人」としてよりも、EYEWITNESSやMILLENIUMといったメロディックHRバンドで傑作を連発し、東洋的フィーリング漂うGの腕前と共に頭角を現していた、ラルフ・サントーラがプロデュース兼ギタリスト役を担っていることに注目が集まったため、「MONARCHはラルフのバンド」と誤解する人が多かったという。まぁ俺のことなんですが。
それが原因というわけではなかろうが、バンドは'97年にセルフ・タイトルのアルバム1枚を残して消滅。


Monarch - Monarch ★★★ (2014-05-17 09:23:41)

シンガーのジム・ドリアンが立ち上げたバンド・・・と言うよりも、フロリダ・メタル・シーンの仕事人ラルフ・サントーラが、プロデューサー/ギタリストとして全面的に関わったバンド・・・と表現した方がしっくりと来る(気がする)MONARCHによって、'97年に発表された1stアルバム。
事実、本作に託された、時に乾いた大陸的哀愁も漂わせつつ爽快に羽ばたくメロディックHRサウンドは、EYEWITNESSやMILLENIUMと同一線上で語れるものであり(こちらの方がややギター・オリエンテッドな印象ですが)、何より、クラシカルなインスト曲を悠々こなすテクニックと、ウリ・ロートやマイケル・シェンカーを師と仰ぐエモーショナルな表現力とを併せ持った腕前全開で弾きまくる、ラルフのGプレイが本編のハイライトであることに疑いの余地はありません。
爽やかなキャッチネスと伸びやかなGソロが絶品の②、本編ハイライトに推薦するヨーロピアン風味の叙情HRナンバー⑧、憂いを帯びたドラマティックなバラード⑪といった、ウェットなKeyが効果的に導入された楽曲の素晴らしさは白眉。
最近はすっかりデス・メタル界の住人と化しているラルフですが、ぼちぼち本人主導のメロディックHRアルバムも作って欲しいところですね。


Monarch - Monarch - Sunday Morning ★★★ (2014-05-19 23:44:03)

「あれ?確か月9ドラマの主題歌に起用されて
大ヒットになってたよね?」と思わされる、
分厚いハーモニーに包まれたサビメロが
高いヒット・ポテンシャルを放つ逸品。
一瞬、全盛期の浜田省吾のことを思い出したりも。


Moon Dancer (2014-06-25 23:42:10)

'77年に結成されたSIRENが改名して誕生したプログレッシブ・ロック・バンド。
後にVOW WOWに参加することとなる厚見麗を中心に、アイドルばりのルックスと、高度な演奏技術を兼ね備えたメンバーらが織り成すメロディアスでドラマティックなプログレ・サウンドは高い評価を受けた。
が、'79年発表のセルフ・タイトルのデビュー作はセールス的に不発に終わり、バンドはこれ1枚のみで消滅。厚見はTACHYON結成へと動くこととなる。
尚、本作は'97年に一度CD化されたものの、その後は長らく入手困難な状態にあり、当時再発CDを購入したにも関わらず、それを電車で遺失するというチョンボを犯した身としては、今回のリイシューのニュースを知った時にゃ小躍りしそうになりましたよ。


Moon Dancer - Moon Dancer ★★★ (2014-06-25 23:44:32)

VOW WOWのKey奏者、厚見玲衣(当時は「厚見麗」)が在籍していた和製プログレッシブ・ロック・バンド、'79年発表の唯一作。
本作において、厚見は流麗な指捌きだけに留まらず、ほぼ全ての収録曲の曲作りを担い、さらに堂々たる歌声でリードVoまでこなすというマルチな才能を披露。特に優美なストリングスもフィーチュアされたシングル曲“アラベスク”を後追いで初めて聴いた時は、「VOW WOW時代だけでこの人のことを知った気になってたけど、実はもっと凄いミュージシャンだったのね・・・」と唸らされましたよ。
華麗なるKeyワークがサウンドの基盤を作り上げ、王子様風の端正なルックス&精緻な演奏力を兼ね備えたメンバーらによる、技巧とアレンジの粋が凝らされた本編は、例えば三部構成の組曲“哀しみのキャンドル”のようなプログレ然とした大作ナンバーを収録しつつも、主役は飽くまで「70年代少女漫画風」とでも言うべき(?)甘やかでリリカルなメロディ。QUEENに通じる演劇的曲展開やポップ・センスが秀逸なOPナンバー“鏡の中の少女”や、張り詰めたスリルとドラマを湛えて駆け抜ける“ダディ・マイケルの犯罪”等、ブリティッシュなメロディを、アメリカン・プログレ・ハードばりのキャッチーな楽曲構築術で聴かせきる名曲に難解さは皆無です。
これを逃すとまた何年も廃盤・・・なんてことになりかねないので、この機会に是非。


Moon Dancer - Moon Dancer - ARABESQUE ★★★ (2014-06-27 00:03:37)

泣きのGソロと、優美なストリングスの調べの
援護射撃の下、シンガーとして、Key奏者として、
そして作曲家として、厚見玲衣の才能が
フルスパークした名曲中の名曲。
Keyの腕前が凄いことは知っていましたが、
シンガーとしてここまで歌える人だったとは知りませなんだ。


Moon Dancer - Moon Dancer - Ba-ra-sin-ju ★★★ (2014-06-27 00:08:20)

ビジュアル系の「薔薇」と、
70年代フォーク風の「心中」の
組み合わせはギャップが物凄い。
スリリングな疾走ナンバーで
聴きモノはもちろん、
攻撃的にハジける厚見のKeyプレイですよ。


Moon Dancer - Moon Dancer - CRIME OF DADDY MICHAEL ★★★ (2014-06-26 23:54:41)

邦題に時代を感じずにはいられませんが、
華麗にして流麗なKeyを先頭に、
スリリングに、リリカルに、ドラマティックに
駆け抜けていく楽曲自体、そのインパクトに
負けていない名曲っぷり。
これにピンと来ないようならMOON DANCERは聴く必要はなし!
と思わず極論を述べたくなるアルバムのハイライト。


Moon Dancer - Moon Dancer - SKIN TIGHT SNAKE SKIN GIRL ★★★ (2014-06-26 23:47:11)

『不思議の国のアリス』を思わせる
70年代少女漫画調風の甘口な音世界は
好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、
演劇的曲展開から、ポップ・センスと
フックの効いたメロディまで、
QUEEN辺りに通じる楽曲構築術には
素直に唸らされます。


Mystic Healer (2013-06-09 23:46:11)

元TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)が、DRIVE, SHE SAIDでの活動を停止させた後、80年代から自身が、他のアーティストらと共作しつつ作り溜めていたマテリアルをレコーディングしてアルバムを作ることを思いつき、相棒に無名の新人トッド・ゴーギャン(vo)を起用して、'97年に立ち上げたメロディアスHRプロジェクト。
そのためバンドとしての実体はなく、ボブ&ブルースのキューリック兄弟や、ZEBRAのランディ・ジャクソンらの協力を仰いでレコーディングは行われている。


Mystic Healer - Mystic Healer ★★★ (2013-06-09 23:47:17)

メロディアスHRファンの皆様におかれましては、元TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)が、新人のトッド・ゴーギャン(Vo)と共に立ち上げたメロハー・プロジェクト、MYSTIC HEALERのことをご記憶でしょうか。
本作は彼らが'99年に唯一残したセルフ・タイトルのデビュー作で、バンド名やアートワークは怪しげな雰囲気を伝えますが、演っているのは、マークの流麗なKeyがサウンドの基盤を作り上げ、そこにトッドのソウルフルな歌声が乗るというオーセンティックなアメリカン・メロディアス・ハード。
それもその筈で、収録曲の殆どはマークが80年代に、マイケル・ボルトン、アルド・ノヴァ、ジャック・ポンティらと共作してコツコツと作り溜めてきたマテリアルを中心に構成されていて、取り分け、ドラマティックな①、後にジョン・ノーラムの妹のトーン・ノーラムがカヴァーした②、TOUCHの幻の2ndアルバム収録曲のリメイク③etc・・・といった名曲が惜しげもなく連打される序盤のインパクトは絶大。
中盤以降も、トッドの情感豊かな歌声にハート鷲掴みなバラード⑦、教科書のように「キャッチーなハードポップ・チューン」している⑨、Keyの滑らかな指捌きに聴き惚れる⑪等、マークの作曲能力の高さを再確認させてくれる素晴しき楽曲がズラリ。
「埋もれてしまった名盤」として、再評価が待たれる1枚であります。


Mystic Healer - Mystic Healer - Crossed My Heart ★★★ (2013-06-11 23:22:49)

哀切を帯びたメロディを奏でるKeyと
エモーショナルなVoによるイントロ部分を
十数秒聴いただけで楽曲の、アルバム全体の
完成度の高さを確信させてくれる
ドラマティックな名曲。


Mystic Healer - Mystic Healer - I Am the One ★★★ (2013-06-11 23:32:00)

アルバム唯一の書き下ろし新曲で、
マーク・マンゴールドとトッド・ゴーギャンの共作曲。
このバラードにおけるトッドのソウルフルな歌いっぷりは
アルバムのハイライトといっても過言ではない素晴しさ。
こんな凄いシンガーが、本作1枚きりでHR/HMの表舞台から
姿を消してしまったのだから勿体なさ過ぎますよ。


Mystic Healer - Mystic Healer - If You Ever Fall ★★★ (2013-06-11 23:24:54)

マーク・マンゴールドとジャック・ポンティの共作曲。
劇的なメロディ展開とキャッチーなサビに巧の業が光ります。
トーン・ノーラム(ジョン・ノーラムの妹)も取り上げていて
これがまた素晴しい出来栄えなので一聴をお薦めします。


Mystic Healer - Mystic Healer - It Must Be Love ★★ (2013-06-12 22:31:38)

マーク・マンゴールド、マイケル・ボルトン、アルド・ノヴァの
共作曲となれば、つまらない楽曲なわけがないですが、
事実良い曲です。マークの柔和で軽やかなピアノが主役を張る
リラックスして聴けるポップ・ナンバー。


Mystic Healer - Mystic Healer - Tonight ★★★ (2013-06-11 23:27:59)

トッド・ゴーギャンの伸びやかな歌声が映える
しなやかなハードポップ・チューン。
マイケル・ボルトンとの共作曲で、原曲はTOUCHの
幻の2nd(『ザ・コンプリート・ワークスⅠ&Ⅱ』としてCD化)
で聴くことが出来ます。


N.O.W. - Bohemian Kingdom ★★★ (2013-07-28 21:34:38)

ブラジリアン・アーティスト、アレック・メンドンカと、UNRULY CHILDやソロ・シンガーとしての活動で知られるフィリップ・バードウェルがタッグを組んだプロジェクト、'13年発表の2ndアルバム。
オールドスクールな正統派からトライバルな要素を組み込んだエクストリーム系まで、アグレッシブなメタルのメッカ的な印象の強いブラジルですが、当然それ以外のジャンルを追求するミュージシャンだって数多く存在するわけで、本作で聴かれるのは、「NY生まれ」というアレックの出自が生かされた(?)、洗練と哀愁満載の都会派メロディアスHRサウンド。
のっけから哀愁全開で展開される①、及び「'13年度ベスト・チューン」クラスの強力なフックを有する名曲③、お洒落なサックスを取り入れたポップな⑤や物悲しい⑥といった、本作の音楽性を象徴するかのようなAOR/産業ロック風味の楽曲からはドメスティックな色合いは殆ど感じられませんが、それでいて右から左へと聴き流されぬよう、しっかりとしたエッジが適度に備わっている点は、やはりアレックのブラジル人の血がなせる業か。特に、第二次大戦をテーマにドラマティックなスケールで贈るアルバム表題曲⑧は、彼らのHR的側面を刻み込んだ名曲。
未聴の1stが聴いてみたくなりましたよ。


N.O.W. - Bohemian Kingdom - Bohemian Kingdom ★★★ (2013-07-29 22:41:47)

第二次世界大戦の悲劇について歌い上げる
シリアスな楽曲ですが、壮大な曲調からは
プログレ・ハード的な優美さも感じられますね。


N.O.W. - Bohemian Kingdom - Don't Go Now ★★★ (2013-07-29 22:39:17)

アルバムのジャケットに描かれた月の光りの如く
淡く美しい哀メロが胸に沁み渡るメロハー・ナンバー。
楽曲の叙情性を増幅するピアノの調べも効いていて、
'13年度ベスト・チューン候補の名曲に仕上がっております。


N.O.W. - Bohemian Kingdom - I'M ALIVE ★★★ (2013-07-29 22:35:18)

哀メロ、ポップさ、ハードさが
適切なバランスで配合され駆け抜けていく
技ありのOPナンバー。
優雅にして躍動感溢れるGソロがまた素晴しいんだな。


NAPALM ★★ (2009-02-28 02:32:00)

ジェフとレックスのロスバック兄弟が結成したCOMBATを前身に、NYにて'85年に誕生。
COMBAT RECORDSとの契約を期に、バンド名をNAPALMと改める。COMBAT RECORDSから
12インチ・シングルをリリースした後、オリジナル・メンバーのロスバック兄弟が離脱してしまうが、
バンドは積極的にライブ活動を展開し、'88年には西ドイツのSPV/STEAMHAMMERと
ディールを交わし、翌年、1stフル『CRUEL TRANQUILITY』を発表。ハードコアな疾走感と、
HM然としたダイナミズムが融合を果たした硬派なスラッシュ・メタル・サウンドが好評を博す。
'91年リリースの2nd『ZERO TO BLACK』では、早くも大幅に音楽性を拡散させ、
脱スラッシュを試みるも失敗。バンド活動はその後停滞するが、現在ではロスバック兄弟が復帰し、
バンド名もCOMBATに戻して、NY周辺でライブ活動を繰り広げていると聞く。


NAPALM - Cruel Tranquility ★★ (2009-02-28 02:35:00)

METAL MANIAと言えば、マイナーなスラッシュ・メタル・バンドの国内盤を積極的にリリースしてくれた
レーベルとして知られているが、数多あるそのカタログの中でも、個人的に特にお気に入りの1枚だったのが、
NY出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドNAPALMが、'89年に発表したこの1stアルバム。
リリース形態こそ、ドイツのプログレ・スラッシャーSIEGES EVEN(RHAPSODYのDs、アレックス・ホルツワースが嘗て
在籍していた事で知られる)のデビュー作との抱き合わせ仕様という、やっつけ仕事感がプンプンと漂ってくるモノながら、
内容の方は非常にハイクオリティ。エド・レプカが手掛けたジャケット・アートワークは伊達じゃないですよ!
噛み付くように歌う様が非常にカッコイイ濁声Vo、重厚なリフを刻む一方、都会的な憂いを帯びたメロディも紡ぎ出すG、
そして、楽曲にコンクリートの如き質感を付与するソリッドなリズム隊とが、猛然と突貫しまくるクールなスラッシュ・サウンドは、
畳み掛けるように疾走する必殺の名曲②⑦を筆頭に、NUCLEAR ASSAULTやD.R.I.に通じるクロスオーバー臭を濃厚に撒き散らしつつも、
緩急に富む⑥⑨を収録する等、スピード一辺倒に偏ることなく、ヘヴィ・メタリックなドラマ性や、ダイナミズム、
ヘヴィネス演出にも抜かりなし。丁度、2nd『BEST WISHES』を発表した頃のCRO-MAGSを彷彿とさせるカッコ良さ、
と言えばその作風が伝わるだろうか。あれを更に硬質にビルドアップした感じ?
昔購入した国内盤は、収録時間の都合上、1曲オミットされた不完全版だったので、
ここは是非とも完全収録のリマスター盤を再発して欲しいなぁ。


NAPALM - Cruel Tranquility - A.O.A. ★★★ (2009-03-01 19:13:07)

1stアルバム最速ナンバーにして、NAPALM屈指の名曲。
小難しい理屈は無用。鬼のように畳み掛ける疾走感が
ただひたすらにカッコイイ。ストレス解消にもってこい。
ちなみにタイトルは“ALL OUT ASSAULT"の略。


NAPALM - Cruel Tranquility - Act of Betrayal / Nightmare Administrator ★★★ (2009-03-01 19:19:40)

BLACK SABBATHばりのへヴィネスが横溢する前半と、
歯切れ良く、畳み掛けるように疾走する後半のスピード感の
対比も鮮やかな、2部構成、10分近くに及ぶ大作ナンバー。
長尺を全く飽きさせない、山あり谷ありの曲展開と、
それを支える確かな演奏力が痛快極まりない。


NAPALM - Cruel Tranquility - Attack on America ★★ (2009-03-01 19:18:03)

怒涛の如く押しまくる、1stアルバムにおいて
“A.O.A."と双璧を為すハイスピード・ナンバー。
注釈無用のスラッシュ・メタル・ソングですね。


NAPALM - Cruel Tranquility - Combat Zone ★★★ (2009-03-01 19:16:42)

ガッツポーズ物のGリフに、緊迫感を煽るツインVo、
印象的に唸りを上げるB、緩急自在のDs、
そして印象的なハーモニー・プレイを聴かせてくれるツインG・・・
余りにカッコ良過ぎるドスの効いたミドル・ナンバー。


NAPALM - Cruel Tranquility - Gag of Steel ★★ (2009-03-01 19:14:42)

挑みかかるような前半を経て、
後半は、Bにリードされる形で猛烈に疾走開始。
構築感のあるGソロも印象的。


NAPALM - Cruel Tranquility - Kranked Up and Out ★★ (2009-03-01 19:21:03)

COMBAT時代のナンバーで、他の1st収録曲と比べると
かなりパンキッシュな仕上がりながら
終始ハイテンションに突っ走る
楽曲のカッコ良さは流石。


NARITA - NARITA ★★★ (2013-09-18 22:49:52)

先頃急逝したJACKALのブライアン・リッチがゲストVoとして参加していたことでも知られる、デンマークの5人組が'92年にドイツのSHARK RECORDSから発表したデビュー作。(邦題は『騒乱のナリタ』)
日本人には馴染み深い「NARITA」なるバンド名と、帯に記された《北欧メタルは生きていた!》という惹句だけでジャケ買い余裕だった本作は、内容の方も、ブライアンの野太いVoにドラマティックなツインGが絡む北欧様式美HMサウンドがスシ詰めで、ジャンル・ファンの期待を裏切らない出来栄え。
ネオ・クラシカルなGプレイが縦横無尽に駆け巡るOPナンバー①を手始めに、技巧派ギタリスト、マック・ガウナの存在にスポットが当たることの多いバンドですが、続くPRAYING MANTISを思わせる伸びやかなツイン・リードGに心躍る③、疾走するインスト・セクションがガッツポーズ物のカッコ良さの⑦、起承転結を意識した構成で本編ラストを締め括る⑨といった楽曲を聴けば、NARITAの生命線がマック・ガウナのみならず、バンドのリーダーたるヘンリック・ポールセン(G)との抜群のコンビネーションによるツインGにこそあることが良く分かります。
力み過ぎなブライアンの歌唱やイマイチな音質がB級っぽさも運んできますが、作品の質を台無しにする程のものではなし。90年代に勃発した第二次北欧メタル・ブームの嚆矢の1つとなっただけのことはある力作です。


NARITA - NARITA - So Much for Life ★★★ (2013-09-19 22:59:03)

劇的な構築美を発揮するマック・ガウナの
ネオクラシカルなGソロと共に、楽曲がテンポアップして
疾走を開始する場面のカッコ良さは、
何度聴いてもテンションが上がりますね。


NARITA - NARITA - Stonehenge ★★★ (2013-09-19 22:56:08)

タイトルから察するに、NARITAの前身バンド
(STONEHENGE)時代からのレパートリーだったのかな。
PRAYING MANTISやRIOTを思わせる、どこか
透明感を湛えたツイン・リードGをフィーチュアして
駆け抜けていく、アルバム屈指の名曲です。


NASTY IDOLS - Cruel Intention ★★ (2021-10-19 01:12:28)

90年代の足音が聞こえ始めた頃から、GUNS 'N' ROSESの台頭やブルーズ・ブームの盛り上がりを受けて、それまで大勢を占めていたEUROPE系とは一味異なる、ファンク/ブルーズ/ロックンロール・テイストを前面に打ち出したサウンドを身上とする新世代北欧メタル・バンドが続々日本にも紹介されるようになりました。このNASTY IDOLSもそうした流れを汲むバンドの一つで、本作は彼らが'91年に発表した日本デビュー作でもある2ndアルバム。正直、いかにもロケンロール!なバンド名のイメージもあって、国内盤がゼロ・コーポレーションからのリリースでなけりゃまず買おうとは思わなかった作品でしたが、実際に聴いてみたら意外にもこれが結構な拾い物だったという。
新世代(言うてももう30年前ですが)北欧メタル作品は、SWEDISH EROTICAとかSTAGE DOLLSとか、勝手なイメージで聴かず嫌いしてたけどしっかり向き合ってみると案外良い、というパターンが多くて、本作もアンディ・ピアス(Vo)のしわがれ声による熱唱を生かしたスリージーなロックンロールを基調としつつも、要素に配されたエネルギッシュな疾走ナンバーと、IRON MAIDENから影響を受けているというジョニー・エスピノーザ(G)のテクニカルな演奏がサウンドをタイトに引き締め、かつ北欧のバンドならではのセンスが迸るメロディが華を添えてくれるという塩梅。特にライブ映えしそうなキャッチーなコーラス・ワークと、“山の魔王の宮殿にて”を交えたトリッキーなGソロをフィーチュアして軽快に駆け抜けていく③は、思わず「おっ」と思わされてしまう名曲です。
更にメタリックに仕上がりの次作『VICIOUS』と合わせてお薦めする1枚。


NASTY IDOLS - Cruel Intention - American Nights ★★★ (2021-10-20 00:56:25)

タイトルが全てを物語る通りアメリカ志向を
前面に押し出したロックンロール・ナンバー。
どこか爽やかな風が吹くコーラス・ワークや
華やかに組み立てられたインスト・パートに
このバンドならではの魅力が宿っています。


NASTY SAVAGE ★★ (2007-07-01 01:32:00)

おお、NASTY SAVAGE。懐かしいですね。
何かとプロレス界とは縁の深いHM/HR界ですが、
Voが本当にプロレスラーだったのは、このバンドぐらいのものでしょうか?
(あ、今ならクリス・ジェリコがいるのか)
昔、3rd『PENETRATION POINT』を購入して聴いた時には
「ルックスのインパクト程は作品のクオリティは高くない」
との印象を持って、さっさとアルバムを売っ払ってしまったのですが、
これは是非とも未聴の1stを探し出して聴いてみねば。


NASTY SAVAGE - Nasty Savage ★★ (2008-08-21 23:00:00)

ドスの効いたシャウトと、強面に似合わぬ裏声ハイトーンを使い分ける巨漢フロントマン、ナスティ・ロニー・ギャレッティを擁し、
『マッドマックス』の世界から抜け出て来たようなメンバーのルックスと、血は吹くわ火は吹くわ臓物は撒き散らすわ
客にプロレス技かけるわ(?)の過激なライブ・パフォーマンスが、一部好き者達の間で話題になった、フロリダ出身の
5人組パワー/スラッシュ・メタル・バンド(再結成して現在もちんまりと活動中)が、'85年に発表した1stアルバム。
スラッシュ・メタル・バンドと言っても、疾走感はそれなりで、JUDAS PRIEST直系のアグレッシブなGリフの刻みっぷりと、
重いリズムの突進力で聴き手を圧倒するスタイルは、METAL CHURCHなんかとの共通点もチラホラと。
尤も、アチラさんに比べるとずっと大味というか、ヨーロピアン風味のメロディや、ドラマティックな曲展開は
それほど聴く事が出来ず、全編をひたすらヘヴィに、パワフルに押しまくるサウンドは、良くも悪くもアメリカン。
正直なところ、作を重ねる毎に退屈になっていったバンドとの印象が強いのだが、METAL BLADE総帥のブライアン・スラゲルが
バンドと共にプロデュースを担当し、MORRI SOUNDスタジオでレコーディングされた本作は、彼らのアルバムの中でも間違いなくベストの出来。
特に、へヴィ・パートと疾走パートが目まぐるしく入れ替わる②や、アップテンポかつ攻撃的な④は、なかなかにカッコイイ仕上がり。
個人的には、必ずしも好みの音楽性とは言い難いものの、スラッシュ・メタル創世記を彩った重要な1枚として、
ジャンル・ファンなら避けては通れない作品かと。


NATION - Chased by Time ★★★ (2011-02-27 22:15:57)

80年代半ばのイングヴェイを思い起こさせるドラマティックなGプレイを聴かせてくれる逸材ギタリスト、ジョ二ー・ウーリンを擁するスウェーデンの5人組が'94年に発表し、当時、輸入盤市場において「高品質な本格派北欧メタル作品」として話題を呼んだ1枚。(確かデビュー作)
自分は国内盤がリリースされるのを待って購入したのだが、てっきり初期RISING FORCEばりのダークなネオクラ・メタルが聴けるものとばかり思いきや、本作に詰め込まれているのは、冷やかな音色で楽曲を霧のように包み込むKeyと、美しいボーカル・ハーモニーの存在が映える、どちらかと言えば北欧ハードポップ寄りの清涼感溢れるサウンドで、正直、最初聴いた時は「え?」と戸惑ってしまいましたよ。
但し、5~6分台とこの手の音楽性にしては長尺な楽曲が顔を揃えた本編は、Gリフや曲展開等、様式美HM的な要素も端々に忍ばせてあり、特に、髪は薄いがセンスは豊かなジョ二ー・ウーリンの構築美溢れるGプレイは絶大な存在感を発揮。②の間奏パートを筆頭に「楽曲の中の楽曲」として成立し得る程のドラマティックな起承転結を有し、各曲のハイライトを形成する彼のGソロは間違いなく本作最大の聴き所ですよ。
青臭いハイトーンVoに足を引っ張られつつも、北欧ハードポップここにあり!な①③、泣きのバラード⑤、心地良く疾走する⑨など収録楽曲のクオリティは総じて高く、捨て曲なし。
より様式美HM色を強めた次作『WITHOUT REMORSE』と併せてお薦めの逸品。


NATION - Without Remorse ★★★ (2011-03-01 23:00:58)

北欧ハードポップ・テイスト薫るデビュー作『CHASED BY TIME』に対し、収録曲の大作主義に拍車が掛かり、よりシリアスに、よりへヴィに、よりプログレッシブに、「北欧メタル」と聞いて想起されるダークなネオクラHM分が増量された'95年発表の2ndアルバム。
ある意味、90年代HR/HMシーンの作法に則った作風とも言えるが、煌くような美旋律を豊かに紡ぎ出す、このバンド独特のメロディ・センスは健在なので「流行に日和った」との印象は全くない。疾走するリズムと練られた曲展開、そして悲哀に満ちた泣きメロが一体となったOPナンバー①なんて、様式美HMマニアが歓喜に咽びながら万歳三唱しそうな名曲ですよ。(前作から見違えるほど歌唱力を高めたVoも、クオリティの底上げに貢献)
往年のイングヴェイを思わす、名手ジョ二ー・ウーリン(G)のドラマティックなGプレイも益々冴え渡り、頭髪の生え際は更に後退したが、その美技の存在感は一層増しており、特に疾走ナンバー④における起承転結が完璧に決まったGソロは、思わず膝を打つ素晴しさ。曲自体の完成度の高さと併せて、本編のハイライトに認定したいぐらいなのだが、どうでしょう。
NATION入門編としては、1stアルバムよりもお薦めかもしれない1枚。


NATION - Without Remorse - Nation ★★★ (2011-03-01 23:06:10)

まずはともかくGソロを聴いてくれ、と。
ここまで胸を打つ構築美を備えたソロは
そうそう聴けませんぜ。
曲自体、2ndアルバムの中でも“SEE THEM FALL”と
並ぶ劇的なカッコ良さ。


NEAL SCHON - Voice ★★★ (2019-07-24 00:23:34)

本業(JOURNEY)の合間を縫って定期的にソロ活動にも精を出すニール・ショーン(G)。本作は彼がHIGHER OCTIVE MUSICから発表した通算4作目となるソロ・アルバム。
形態としてはカヴァー・アルバムなのですが、珍しいのは収録曲の大半が比較的新しい90年代のヒット曲(アルバム・リリースが'01年なので、ほぼほぼ10年以内の楽曲ばかり)で占められている点。しかもマライア・キャリーの②、ブライアン・アダムスの③、サラ・ブライトマンが“TIME TO SAY GOODBYE”としてカヴァーした⑧、あるいは映画『タイタニック』の主題歌⑨とか、本来なら歌が主役であるポップ・ソングの数々を、「俺のギターが歌の代わり」とばかりに、インスト曲として再構成してしまっている大胆不敵さ。神経が太いというか、よほど己のギターの腕前に自信がなければやれない所業ですよ、これは。
そして実際、例えば誰しもがセリーヌ・ディオンの「エンダァァァ!」のハイトーン・シャウトを期待しているであろう⑨のような楽曲すらも、美しく官能的なフレーズ・センスを駆使してきっちりインスト・ナンバーとして翻案し、魅力的に成立させてしまっているのですから流石ニール・ショーン、凡人とはリーグが違う。個人的に特にグッと来たのは、ルチオ・ダッラの名曲①(布施明も“慟哭”のタイトルで熱唱してましたっけ)と、カーペンターズがヒットさせたことで知られる⑩という、本編の最初と最後を〆る2曲。どちらも絶品の泣きが溢れ出すエモーショナルなGプレイに心が蕩けるかと思いですよ。
『VOICE』のタイトルに相応しく、全編に亘ってニール・ショーンの雄弁に「歌う」ギターを堪能できる、グラミー賞ノミニーも納得の1枚。


NEGAROBO (2011-03-21 00:39:21)

北海道は札幌出身のスラッシュ・メタル・バンド。
早坂雅史(G)を中心に、デモテープ製作とメンバー・チェンジを繰り返しながら活動を続け、'98年、元UBIGUNの鈴木“アンパン”政行(Ds)を含む編成で、自主運営するSURVIVE RECORDSから1st『EMERGENCY』を発表してデビュー。
SLAYER直系のザックリとしたマシンガン・リフと、鈴木の鉄壁のドラミングを武器に怒涛の如く突進するストレートなスラッシュ・サウンドが好評を博した。
確か翌年には、初来日を果たしたドイツの古豪スラッシャーTANKARDとも共演した筈。
バンドはアルバム1枚のみを残して解散し、早坂雅史はNO MORE PAIN、鈴木政行は現在LOUDNESSに籍を置く。
近年再結成の噂もあるが真偽は不明。本当ならかなり嬉しいが。


NEGAROBO - EMERGENCY ★★★ (2011-03-21 00:43:09)

早坂雅史(Vo、G)を中心に結成され、現在は故樋口宗孝の後任としてLOUDNESSに籍を置く鈴木政行(Ds)も在籍していた北海道出身の4人組スラッシャーが、'97年に残した唯一のフル・アルバム。
丁度、新たに勃興した「メロディック・デス・メタル」ブームの盛り上がりに押され、オーソドックスなスラッシュ・メタルが今ひとつ注目を集め難い時期だった事が災いし、雑誌等での高評価にも関わらず大きな話題になる事なく埋もれてしまった感のある本作だが(推測)、鋭利且つ高速でシュレッドされるGリフと、立ち塞がるもの全てを薙ぎ払うかの様に荒れ狂う鈴木のDsを軸に、猛然と突っ走るストレートなスラッシュ・サウンドは、往年のSLAYERやSEPULTURAといったバンドの衣鉢を継ぐカッコ良さ。
俯瞰で見ると、Gが兼任するVoの存在感がやや埋没気味なれど、安易にデス声に逃げず、その数歩手前で踏ん張った咆哮はデス声が苦手な我が身にはありがたいし、何より、尖がったGリフの刻みから、印象的なフレーズを滑らかに奏でるソロ・パートまで、楽曲にフックとメリハリを演出するGワークが、その穴を埋めて余りある素晴しさ。
頭抜けた名曲は見当たらないが、それは収録楽曲の平均レベルが高い事の証左。全8曲で30分、一瞬たりともテンションを下げることなく、一気呵成に突っ走るカタルシスに満ちた1枚。
昨年刊行されたMETALLION誌において、「スラッシュ・メタルの必聴盤200選」に選出されたのも納得の1枚かと。


NEIL ZAZA - Two Hands, One Heart ★★★ (2020-02-11 01:00:53)

オハイオ州クリーブランド出身のギタリスト、ニール・ザザが、自身のバンドZAZAを解散させた後、デイヴィッド・T・チャステインが主宰するLEVIATHAN RECORDSから'93年に発表した初のソロ・アルバム(オール・インスト物)。ちなみに日本デビュー作でもあり国内盤はゼロ・コーポレーションからのリリースでした。
帯には《様式美》《クラシカル》の宣伝文句が並び、所属レーベルに対するイメージも手伝ってバリバリのネオクラ路線なサウンドを想像していましたが、フルピッキングやスウィープピッキングを多用した演奏スタイルこそ確かにイングヴェイからの影響を伺わせつつも、作品の方向性自体はテクニック以上に「メロディ」を聴かせることに重きを置いた、大仰さ、堅さよりも寧ろ「軽やかさ」が印象に残る親しみ易いサウンドが託されています。
疾走する曲調にGとピアノ(本物じゃないのが惜しい)がスリリングに絡み合うOPナンバー①、エモーショナルなチョーキングと、スパニッシュ・タッチで閃くアコギの妙技が絶品な④、哀愁に満ちたテーマ・メロディが耳に残る⑦、“IN THE MOOD”を組み込んだ賑々しくノリの良い⑨等々…豊かなセンスと多彩なテクニックに裏打ちされた収録楽曲の数々は、メロディアスなGが全編に亘って雄弁に「歌って」くれているので、普段Voなしのインスト物を積極的には嗜まない身でも何の問題もなく楽しむことが出来るという。
宅録ゆえプロダクションのしょぼさは隠しようもないのですが、ニールが目指した「音楽の二大要素、テクニックとメロディの自然な融合」が、デビュー作にして既に高いレベルで果たされている1枚ですよ。


NEIL ZAZA - Two Hands, One Heart - Faith ★★★ (2020-02-11 23:10:29)

前半のバラード・パートにおける繊細にしてエモーショナルなチョーキングといい
バンド・サウンドが加わってテンポアップする曲調の中で閃く
スパニッシュ・タッチのアコギの妙技といい、ニール・ザザというギタリストの
テクとセンスが遺憾なく盛り込まれた珠玉の逸品。
抒情性を増幅するKey(ピアノ)の好サポートも印象的です。