ウリ川本率いる日本のインディー・レーベル・・・ではなくて、スウェーデンのヴェクショーにて'92年に結成された5人組HRバンド。 '93年リリースの自主制作5曲入りデビューEP『WAVES IN MOTION』に託された、DEEP PURPLE~RAINBOWをパク・・・じゃなくて強い影響を受けたHRサウンドが輸入盤市場で評判を呼び、翌'94年、1stフル『TALES OF THE SACRED』をゼロ・コーポレーションから発表して日本デビューを飾るも、それを最後に消息を絶つ。 尚、バンド末期にドラマーの座を担ったのは、DON DOKKENやJON NORUM、MIDNIGHT SUN等での活動で知られるヘンポ・ヒルデンだったという。
お蔵入りの2nd『CAUGHT IN A WARZONE』(’15年)を世に出して復活の狼煙を上げた英国のMILLENNIUMが、'17年に発表した再結成第一弾アルバム。つまり3rdか? 中心人物のマーク・ダフィ(Vo)は、TORANAGAの復活作も水準以上の内容に仕上げてくれた実績があるため(あっちの作曲者は別人だけど)、聴く前からある程度信頼はしていましたが、「今時の若い奴らには負けへんでぇ!」とばかりにのっけからアグレッシブなGリフが繰り出される1曲目のイントロだけで、こちとら思わず顔が綻んでしまったという。 アグレッシブといっても、無理して流行に手を染めてみました…なんてことは勿論なく。長らくMILLENNIUMの唯一作だった1stでは、どちらかと言えばPRAYING MANTISの系譜に連なるメロディアスなHMサウンドが持ち味だった彼らが、本作ではエピック・メタルのエッセンスを楽曲に注入し、より勇猛且つ重厚な――言うなればTORANAGAとMILLENNIUMの合わせ技一本!――なサウンドを提示。どんより薄曇りなメロディを拾っていくマークの歌唱はデビュー当時から変わらぬヘタウマっぷりを保ち続けており(褒め言葉)、収録各曲から漂ってくるNWOBHMの匂いを的確に増幅してくれています。そんな彼の錆声Voと、印象的なフックを構築するツインGを十全に活かしたアップテンポ①⑩、アコギに始まりエピカルな盛り上がりを呈する④、好戦的にしてキャッチーな⑥、本編最速ナンバー⑪等は、現役バンドとしての気迫と英国産HMの伝統が巧みに溶け合わされた、復活MILLENNIUMならではの名曲に仕上がっているのではないかと。 ここまでやってくれるとは…、と期待を上回る出来栄えに脱帽させられる1枚。
兵役中に知り合ったメンバー達によってブルガリアにて結成。活動拠点をドイツへと移し、'94年に1st『ONE DAY IN PARADISE』を自主制作。 当初はバンドのリーダーであるネディ・ジョン・クロスのソロ名義でのリリースだったが、'95年にゼロ・コーポレーションを通じて日本でも同作が発売されるにあたり、MINATONとバンド名義に改める。 「ミナトン」なんて聞くとどうしてもレイ・ハリーハウゼンがクリエイトした牛頭人身の怪物のことを思い出してしまいますが、多分彼らもアレからバンド名を頂戴したんだろうなぁ、と。 尚、MINATONはこれ1枚きりで消滅し、以降ネディ・ジョン・クロスはソロ・アーティストとして活動している模様。
元TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)が、DRIVE, SHE SAIDでの活動を停止させた後、80年代から自身が、他のアーティストらと共作しつつ作り溜めていたマテリアルをレコーディングしてアルバムを作ることを思いつき、相棒に無名の新人トッド・ゴーギャン(vo)を起用して、'97年に立ち上げたメロディアスHRプロジェクト。 そのためバンドとしての実体はなく、ボブ&ブルースのキューリック兄弟や、ZEBRAのランディ・ジャクソンらの協力を仰いでレコーディングは行われている。
本業(JOURNEY)の合間を縫って定期的にソロ活動にも精を出すニール・ショーン(G)。本作は彼がHIGHER OCTIVE MUSICから発表した通算4作目となるソロ・アルバム。 形態としてはカヴァー・アルバムなのですが、珍しいのは収録曲の大半が比較的新しい90年代のヒット曲(アルバム・リリースが'01年なので、ほぼほぼ10年以内の楽曲ばかり)で占められている点。しかもマライア・キャリーの②、ブライアン・アダムスの③、サラ・ブライトマンが“TIME TO SAY GOODBYE”としてカヴァーした⑧、あるいは映画『タイタニック』の主題歌⑨とか、本来なら歌が主役であるポップ・ソングの数々を、「俺のギターが歌の代わり」とばかりに、インスト曲として再構成してしまっている大胆不敵さ。神経が太いというか、よほど己のギターの腕前に自信がなければやれない所業ですよ、これは。 そして実際、例えば誰しもがセリーヌ・ディオンの「エンダァァァ!」のハイトーン・シャウトを期待しているであろう⑨のような楽曲すらも、美しく官能的なフレーズ・センスを駆使してきっちりインスト・ナンバーとして翻案し、魅力的に成立させてしまっているのですから流石ニール・ショーン、凡人とはリーグが違う。個人的に特にグッと来たのは、ルチオ・ダッラの名曲①(布施明も“慟哭”のタイトルで熱唱してましたっけ)と、カーペンターズがヒットさせたことで知られる⑩という、本編の最初と最後を〆る2曲。どちらも絶品の泣きが溢れ出すエモーショナルなGプレイに心が蕩けるかと思いですよ。 『VOICE』のタイトルに相応しく、全編に亘ってニール・ショーンの雄弁に「歌う」ギターを堪能できる、グラミー賞ノミニーも納得の1枚。