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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4001-4100

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4001-4100
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Niagara - Ⅲ - These Guns Are Loaded ★★★ (2021-12-22 01:17:33)

歯切れ良く刻まれるGリフと躍動感溢れるリズム、
フラッシーなGソロをフィーチュアして
「NWOBHMを通過したDEEP PURPLE」といった趣きで駆け抜ける
アルバム後半のハイライト・ナンバー。


O'RYAN - Something Strong ★★★ (2021-03-29 23:31:40)

アイルランド出身のシンガー/ソングライターで、グレン・ヒューズの後任として加入したTRAPEZEや、そのTRAPEZEのメル・ギャレーが立ち上げたロック・オペラ・プロジェクトPHENOMENAへの参加、あるいはイギリスの老舗HRバンドWISHBONE ASH等での活躍で知られるマーヴィン“オライアン”スペンスが、ほぼ自主制作に近い形でレコーディングを行い、自らのレーベルPARACHUTE MUSICから'93年にO’RYAN名義でリリースした1stソロ・アルバム。日本盤はゼロ・コーポレーションからのリリースでした。
当人がマイケル・ボルトンやドン・ヘンリーからの影響を告白する通り、本作で聴けるのはオライアンの透き通るような美声が映える、仄かに哀愁を帯びたポップなメロディを、洗練されたアレンジで包み込んだAOR/産業ロック寄りのサウンド。⑦みたいな快活にロックする楽曲もありつつ、全体としてはHR/HMとはだいぶ距離を感じさせる作風ではあるものの、オライアンが自信作として挙げる、軽やかに奏でられるサックスとピアノの音色が爽やかな心地良さを運んでくる③や、娘が生まれた際の感動を綴った歌詞と、エモーショナルな歌声が相俟って強く胸を打つ絶品のバラード⑥等を前にすると、「ま、どうでもいいか。そんなことは」という気分にさせてくれます。
その昔、誰だったか忘れたけど(多分因縁からするとPHENOMENA関係者)、雑誌でオライアンのことを「不逞ぇ野郎だ」と非難しているインタビューを目にしたことがあり、以来、真実はさておき何となく彼の作品を避けてしまっていたのですが、本作における歌の上手さ&完成度の高さに吃驚させられた際は「もっと早く買っておけば良かったなぁ」と後悔しきりでしたよ。


O'RYAN - Something Strong - Don't Let It Slip Away ★★★ (2021-03-30 23:30:34)

オライアンの美声によって歌われる涼し気な哀愁を
帯びたメロディに、サックスとピアノの瀟洒な旋律が
程好くマッチした抒情ナンバー。
下手なシンガーじゃ決して歌いこなせないタイプの名曲ですよ。


OBITUARY - Cause of Death ★★ (2008-02-20 23:05:00)

「OBITUARYの新作『XECUTIONER'S RETURN』に、ラルフ・サントーラ(G)参加!」のニュースを聞いた時は、喜び勇んで輸入盤ショップに走ったものだが、実際のところ、あの作品におけるラルフのGプレイは、フラッシーではあるものの、こっちが(勝手に)期待していたような濃厚なメロディは控えめで、バンドに遠慮したのか、それともOBITUARYの強烈な個性に飲み込まれたのか。兎も角、DIECIDEの『THE STENCH OF REDEMPTION』程の化学反応は起きなかった・・・というのが正直な印象。(とは言え『XECUTIONER'S~』自体はとても良く出来たアルバムです)
そんなわけで、自分の中のOBITUARYの最高傑作は、未だにこの'90年リリースの2nd『CURSE OF DEATH』のまま。「渡り鳥」の異名を取る名手ジェイムズ・マーフィが、唯一参加したアルバムとしても知られている本作だが、その効果の程は、①のドラマティックなイントロ部分から早くも炸裂。彼の正統派HMテイストを濃厚に漂わせた流麗なGは全編を通して暴れ回り、ドブ川でうがいしてるかの如きジョン・ターディのデス声Vo、重く、ズルズルと引き摺るような粘着質リフ、ダイナミックにウネリまくるリズムといった、従来のOBITUARYスタイルと見事なまでの美醜の対比を描き出す。
特に、バイオレントな曲調と、疾走するドラマティックなGソロの対比が光る⑤や、本編随一のドラマ性の高さを誇るラスト・ナンバー⑨といった楽曲は一聴の価値ありかと。
数あるOBITUARYのアルバムの中でも、特異な存在感を放つ1枚。


OBITUARY - Cause of Death - Find the Arise ★★ (2008-02-21 21:56:50)

2分台のランニング・タイムをバイオレントに突っ走る、
ストレートなデス・メタル・チューンだが、
その中で閃くジェイムズ・マーフィのGソロは非常に華麗でドラマティック。
ブルータルな曲調と、いい感じのコントラストを描き出します。


OBITUARY - Cause of Death - Turned Inside Out ★★ (2008-02-21 22:01:26)

2ndアルバムのラストを締める、
ジェイムズ・マーフィの流麗且つ劇的なGプレイが
最も堪能できるデス・メタル・ナンバー。
トレヴァー・ペレス(G)との華麗なハーモニー・プレイも印象的。


OBITUARY - Xecutioner's Return ★★★ (2018-08-04 23:04:46)

飲酒運転の罪でブタ箱送りになってしまったトレヴァー・ペレズの後任に、バンドとは旧知の仲だった必殺仕事人ギタリスト、ラルフ・サントーラを迎えOBITUARYが'07年に発表した復活第2弾アルバム(通算7作目)。
ラルフといえば、先んじて購入したDEICIDEの『THE STENCH OF REDEMPTION』が、破壊的ブラック・メタル・サウンドと、彼がブッ込む泣きのGソロが美醜の対比を劇的に描き出す名盤だったため、当然本作に対する期待も並々ならぬものだったわけですが、ここでの彼氏はどちらかと言えば楽曲に合う演奏を提供することに専念している印象で、発表当時は「思ってたんと違う…」と、必ずしも芳しい感想ではありませんでした。
しかしラルフ逝去の報をきっかけに久々に本作を引っ張り出して聴き直してみたところ、アルバムに対する評価が急上昇。というのも、例え泣きは控えめでも彼のGプレイは鮮烈にして唯一無二の輝きを放っていますし、何より流麗なリードGが閃く③、禍々しいへヴィネスが渦巻く曲調の中から劇的なGソロが噴出する⑥のような、こちらが期待する楽曲もきちんと収録されていたことに今更気が付かされた次第でして。
またわざわざアルバム・タイトルにOBITUARYの前身時代のバンド名を冠していることからも原点回帰の姿勢は明らかで、粘性の高いデス・メタル・サウンドは保持しつつ要所に疾走ナンバーを散らした本編構成はかなりキャッチーで取っ付き易いという。
何だったらOBITUARY入門盤にだってお勧めできる1枚ではないでしょうか?


OBSESSION - Marshall Law ★★★ (2018-01-26 00:13:23)

看板シンガーのマイク・ヴェセーラを中心に再結成を果たして現在も活動中である、米コネチカット州出身のパワーメタル・アクトOBSESSIONが、オムニバス盤『METAL MASSACRE』シリーズ2作目への参加をきっかけにMETAL BLADE RECORDSと契約を結び、’83年に発表した4曲入りデビューEP。
今や押しも押されぬ実力派シンガーとして鳴らすマイクですが、この頃はまだまだ青さ全開。その彼の荒削りな歌唱を始め、安普請なプロダクションや未洗練の楽曲等、本作聴いてから日本デビュー作『狂気の方程式』(’88年)を聴くと「立派に垢抜けてまぁ」と感慨深くなること請け合いですよ。と、それぐらい全体がアングラ臭で分厚く覆われており、普段メジャー・アーティスト中心に音楽を楽しむ堅気のHR/HMリスナー衆には間違っても薦められた代物じゃありませんが、逆に、全くもってイケてないジャケット・イラスト(描き手の真剣さはいやっつーぐらい伝わって来るが致命的なまでに下手)を一目見て、ビビッとマイナー・メタル・アンテナが振れるような特殊性癖の持ち主なら必聴/必携の1枚かと。
実際、エッジの立ったGリフが鋭く刻まれるOPナンバー①、ダーク且つドラマティックに蠢く重厚な②、ツイン・リードGが劇的に駆け巡る③、これぞOBSESION!というGリフのカッコ良さで一点突破を図る④…と、収録曲はいずれ劣らぬ名曲揃い。アメリカのバンドらしからぬダークネスと湿ったドラマ性を帯びたサウンドを、多少強引でも迸る熱量は既に十分なマイクのVoと2本のGがパワフルに盛り立ててくれています。
OBSESSIONの最高傑作に本作の名を挙げるマニアの気持ちが分からなくもない1枚。


OBSESSION - Marshall Law - Marshall Law ★★★ (2018-01-27 23:51:52)

これまた思わずゾクゾクさせられる
JUDAS PRIEST直系のイカしたGリフと、
喉よ裂けよと言わんばかりのに攻撃的なマイクの
シャウトをフィーチュアしてパワフルに駆け抜けるEP表題曲。
勢い任せに弾き倒すGソロも良い。


OBSESSION - Marshall Law - Only the Strong Will Survive ★★★ (2018-01-27 23:45:13)

攻撃的なGリフ、激しく打ち鳴らされるリズム、
疾走するツインG、その上で熱いシャウトを
繰り出すマイク・ヴェセーラのVo…と、
音が悪い?パフォーマンスが粗い?
だからなんだってんだ!な逸品。
USパワー・メタルここにあり。


OBSESSION - Methods of Madness ★★★ (2011-03-22 22:36:55)

80年代、STRYPERやPOISONに続く「ENIGMA RECORDS第三の星」として喧伝されてた(ような気がする)コネチカット出身の5人組が、'87年に発表した2ndアルバム。邦題は『狂気の方程式』
後に二井原実の後任としてLOUDNESSに加入し、名盤『SOLDIER OF FORTUNE』を生み出したマイク・ヴェセーラ(Vo)の熱く歪んだ歌声と、JUDAS PRIESTの流れを汲む、劇的なリフ・ワークからフラッシーなソロ・パートまで、攻撃的に弾き倒すツイン・リードGを前面に押し立てて疾走する正統派HMサウンドは、(↑上記で指摘されている方がおられる通り)LOUDNESSの『SOLDIER~』との共通点も少なくない。あの作品が気に入った人なら、必ずや本作も愛聴盤になり得る筈。
また、カラッとしたメジャー感を漂わせつつも、ウェット且つ起伏に富んだメロディ・ラインが印象に残る重厚な③やバラード⑤といった楽曲を収録する等、力押しに終始することのないメリハリの効いた作風もポイント高し。
まぁとは言え、やはり本作のハイライトを飾るのは、JUDAS PRIEST調の劇的なイントロを経て走り出す①や、キャッチーで小気味良い②(LOUDNESSっぽい)、扉の開くSEと共にB面サイドのスタートを宣言する⑥といった疾走ナンバーの数々なわけだが。
それにしても、この手の楽曲を歌わせるとマイク・ヴェセーラはやっぱり天下一品ですね。ロブ・ロックとタメ張るハマリっぷりじゃないでしょうか。


OBSESSION - Scarred for Life ★★★ (2017-11-01 23:56:32)

後にLOUDNESS~イングヴェイのバンドに参加。近年はANIMETAL USA他の活動で知られるマイク・ヴェセーラ(Vo)を輩出したコネチカット州ニューヘブン出身の5人組が、当時POISONやSTRYPERを擁しHR/HMシーンでブイブイ言わせてたENIGMA RECORDSと契約を交わし、'86年に発表した1stフル・アルバム。
OBSESSIONの最高傑作と評判の2nd『狂気の方程式』(’87年)と比較すると、プロダクションは貧相ですし、メンバーのパフォーマンスも楽曲も、まだまだ荒削り。しかしながら、神秘的なイントロを蹴破ってパワフルに突き進み始める「う~ん、メタル!」なOPナンバー①を皮切りに、「歌うマーシャル・アンプ」と評されたマイクのVoと、鋼色の光沢を放つ2本のGの絡みを前面に押し立てたパワー全開のサウンドは、IRON MAIDENやJUDAS PRIESTの薫陶を受けたと思しき混じりっ気なしの正統派へヴィ/パワー・メタル路線が力強く見据えられていて、ポップ・メタル全盛のこの時期にあっても売れ線になんぞ目もくれない、迷いのない立ち姿は「天晴」の一言に尽きますよ。何より本編全体が荒削りであるからこそ、アメリカのバンドらしからぬ暗さ/重さ/アグレッションが牙を剥くOBSESSION独自の個性が際立つという。特に、スピーディな曲調に劇的なツイン・リードGが絡む⑤、マイクの熱唱がドラマティックな曲展開を一層盛り上げる6分以上に及ぶラスト・ナンバー⑩は、彼らの個性がガッチリ刻印されたメタル者の胸を熱くする名曲です。
初期CHASTAIN、LETHERWOLFの2nd、デヴィッド・ウェイン時代のMETAL CHURCHを愛する向きには、聴かずに捨て置くのは言語道断な力作。


OBSESSION - Scarred for Life - Bang 'em Till They Bleed ★★★ (2017-11-03 01:55:52)

疾走するリズムに乗って鋭角的に刻まれるGリフに、
キャッチーなサビを熱く歌い上げるマイク・ヴェセーラのシャウト、
そして劇的にハモりながら駆け抜けて行くツイン・リードGと
高濃度のHMエキスがギュギュっと濃縮された
アメリカン・へヴィ/パワー・メタル・ナンバーの逸品。


OBSESSION - Scarred for Life - Tomorrow Hides No Lies ★★★ (2017-11-03 02:03:53)

アメリカのバンドとは思えぬ哀愁のメロディと泣きのGが
6分以上に及ぶ長尺の曲展開をドラマティック且つ
エモーショナルに盛り上げる、アルバムの締め括り役に
相応しい激情のバラード。
この頃からすでにマイクの歌の巧さは光っていますね。


ODIN(U.S) - DON'T TAKE NO FOR AN ANSWER (2010-10-13 21:56:09)

後にARMORED SAINTに加入するジェフ・ダンカン(G)が、兄弟のショーン・ダンカン(Ds)と共に在籍していた事で知られ、MOTLEY CRUEやRATT等、主だった連中がメジャー・フィールドへと抜けていった後のLAクラブ・シーンを支えた5人組(あの悪名高き『THE METAL YEARS』にもちょろっと出演してましたっけね)が、'85年に発表した6曲入りデビューEP。
その昔、雑誌のLAメタル特集にてMALICEやICONなんかと並んで「LAメタルらしからぬ欧州風味のウェットさを備えたバンド」として紹介されているのを読んで、興味をそそられ本作の購入に走ったのだが、実際ここで聴かれるのは(メンバーのチャラいルックスに反して)、ロブ・ハルフォードばりのハイトーンを響かせるVoと、光沢を帯びた音色で劇的なフレーズを紡ぎ出すGをフィーチュアした、JUDAS PRIEST直系の硬派な正統派HMサウンド。
音質はイモだし、演奏はキレに欠け、楽曲はアレンジ/曲展開共に練り込み不足。素っ頓狂なハイトーンを武器にするVoも、個性は十分だが音程が不安定な上にキャッチーな歌メロの構築能力にも欠ける・・・と、作品全体を覆うチープさは隠しようもないのだけれど、これがなかなかどうして、ODIN流“THE HELLION”とでも表現すべき重厚且つ劇的なOPナンバー①や、エキゾチックな風情漂わすGリフが疾走する②、彼らなりに精一杯ミステリアスな雰囲気を演出しようと頑張る③なんかの存在もあって、個人的にはあんまりクサす気にはなれない1枚だったりもする。
近年、再結成を遂げたとの噂を耳にしたが、だったら是非新作アルバムを発表して欲しいな。


OLIVER MAGNUM (2011-03-29 22:36:03)

'83年、リズム隊のダン・カーツ(B)とカート・ドアティ(Ds)によって結成。初期はインストゥルメンタル・トリオとして活動していたが、後にマーク・ミューラー(Vo)が加わり、最初のデモテープ『1986』をレコーディング、これが好評を博す。
'88年、燃え尽きたミューラーからジェイムズ・ランデルにシンガーがチェンジ。バンドはプロモーションも兼ねてセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを自主制作。デモ収録の4曲と新曲4曲の計8曲で構成されたこの作品をもって、'89年にはアメリカ屈指のポンコツ・レーベルと悪名高いNEW RENAISSANCE RECORDSとのディールを獲得。アルバムはSPV/STEAMHAMMERを通じてヨーロッパにも配給された。
弱小インディーズゆえバックアップも満足に得られない中、それでもバンドはPVを自腹で制作するなど積極果敢に活動を繰り広げたが、90年代に入るとそのNRRからドロップ。
更にバンドの将来に不安を抱いたジェイムズにも去られた彼らは、オリジナル・シンガーのマークを呼び戻すと、’92年、5曲入りデモテープ『DRIVE BY』をレコーディングする等して活動の継続を図ったが、結局は解散を余儀なくされている。残念。
(尚、OLIVER MAGNUMを脱退したジェイムズ・ランデルはFORTEへと加入)


OLIVER MAGNUM - Oliver Magnum ★★★ (2011-03-30 08:28:39)

嘗てBURRN!!のレビュー・コーナーで、和田誠氏から「一度聴いてタンスの肥やしにしてしまったぐらい酷い」とコキ下ろされてしまった、オクラホマ州はエニド出身の5人組パワー・メタラーが、「うんこ製造レーベル」「ポンコツ・メタル梁山泊」等、散々な悪名で親しまれる(?)アメリカのタコ部屋レーベルことNEW RENAISSANCEから'89年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
FORTEの1st『STRANGER THAN FICTION』(名盤!)で歌っていたシンガー、ジェイムズ・ランデルが在籍していたバンドとしても知られる彼らだが、実際本作は、アメリカン・パワー・メタルの様式に則った劇的なGリフの数々といい、活発に動き回り楽曲にアクセントを加えるBといい、リフにソロに、センス良くまとめられたフレーズを閃かせるGといい、その音楽性は『STRANGER~』との共通点が多い(あの作品をもっと正統派HM寄りにした感じかな)。ジェイムズの歌唱も、FORTE時代に比べると線が細くやや頼りない感もあるが、勇壮なメロディを熱く歌い上げ、楽曲の魅力向上に大きな貢献を果たしている。
取り分け、起伏に富む②(『METAL MASSACCRE IX』にも提供)、泣きを伴ってハードに盛り上がっていくパワー・バラード④、雄々しくドラマティックなエピック・ソング⑧、それに何より、憂いを帯びたメロディが劇的且つシャープに疾走する⑤辺りの楽曲は、冴えない音質やモタるDsといった本作の弱点を差し引いて尚、鮮烈な輝きを失わない名曲じゃないかと。
タンスの肥やしどころか、捨て曲皆無の「B級メタル隠れた名盤」として愛して止まない1枚ですよ。


OLIVER MAGNUM - Oliver Magnum - Old World Nites ★★ (2011-04-03 17:47:13)

『METAL MASSACRE IX』にも提供された
OLIVER MAGNUMの代表曲の一つ。多分。
実際、鋭角的刻まれるGリフやスピーディな曲調、
朗々と歌うVo、いずれもカッコイイ。
ただドラムがね・・・。


OLIVER MAGNUM - Oliver Magnum - Silent Scream (Prelude to Death) ★★★ (2011-04-03 17:41:58)

VOの堂々たる歌いっぷり、
静と動を取り入れた劇的な曲展開、
アクティブなBのランニングから
センス良くまとめられたGソロ、
ライブで盛り上がりそうなシンガロング・パート等、
アルバムを締め括るに相応しい大作ナンバー。


OLIVER MAGNUM - Oliver Magnum - Trapped ★★★ (2011-03-30 16:47:07)

勇ましいイントロに始まり、
劇的且つキャッチーなGリフが
駆け抜けていくアルバムB面の
トップ・ナンバーにして
本編屈指の名曲。
ジェイムズ・ランデルが歌う
哀しさと勇ましさが同居した
歌メロもカッコイイ。


OMEN - Battle Cry ★★★ (2017-01-31 00:07:27)

テクはなくとも味わいだけは有り余ってるアートワークが目印のデビュー作(’84年)。単に「ヘタクソ」と切って捨てるには、細部への徹底的な描き込み等、全力投球なヘタクソぶりに胸を打たれるこのイラスト(まぁ絵は本当に酷いんですけど)、この冴えない音質、それに“DEATH RIDER”“DRAGON’S BREATH”“BATTLE CRY”etc.といった勇壮な曲名を冠された楽曲の数々が組み合わさることで、プ~ンと香ばしく匂い立つエピック・メタルのクサ味に、個人的には大いに食指をそそられるという。
ただ一口にエピック・メタルと言っても、IRON MAIDENからの影響をフルチンで露出した楽器陣が一塊に突き進むサウンドは、聴き手を一発で虜にしてしまうような(例えばMANOWAR的な)分かり易い派手さや大仰さは控えめ。3~4分台とソリッド且つストレートにまとめられた楽曲は、良く言えば実直、悪く言えば地味。初めて聴いた時はピンと来ずにすぐに手放してしまったぐらいですが、いやしかし、年食ってストライクゾーンが広がった今聴き直すと、寧ろそこが良いんじゃない!とモリモリ評価が急上昇。
多少のドタバタ感もなんのその。ケニー・パウエル(G)が刻み/奏でるリフとメロディ、ジョディ・ハリー(B)のスティーヴ・ハリスばりのベース・ラン等、メイデンやNWOBHMへの憧憬が微笑ましいぐらいダダ漏れな①⑤⑦、J.D.キンボールの力強い歌唱が活きるドラマティックな④⑩といった、欧州HM由来のダークな湿り気と刺々しいアグレッションを併せ持った収録曲は、粗削りながらもOMENならではの魅力が充満しています。
上から目線で本作をクサしてた頃の己をドヤしたくなるぐらい、今じゃ大好きな1枚。


OMEN - Teeth of Hydra ★★★ (2016-05-03 00:08:21)

ブックオフのCDコーナーで投げ売りされていたところをレスキューしたOMENのベスト盤(’89年)。これって日本盤がリリースされてたとは知りませんでしたよ。
ジャケットが3rd『THE CURSE』(邦題『殺戮の祈祷』)のそれと間違い探し状態なのは「もうちょい頑張れなかったのか?」と声掛けしたくなるとは言え、ケニー・パウエル(元SAVAGE GRACE)の構築美を湛えたGプレイ、ジョディ・ヘンリーのスティーヴ・ハリス思わすBラン、そしてJ.D.金玉…もといキンボールの逞しい歌唱によって形成される、硬質なOMEN流パワー・メタル・サウンドは、やはり聴き応え十分です。
選曲はオリジナル・ラインナップが残した初期3作&EP1枚からそれぞれバランス良くチョイス。ドラマ性とスケール感をいや増した楽曲の完成度的にも、シンガーを始めとするメンバーのパフォーマンスの熟達ぶり的にも、やはり3rdアルバムからのものが傑出している印象ですが(特に“HOLY MARTYR”や“TEETH OF THE HYDRA”は名曲)、しかしながら1st『BATTLE CRY』、2nd『WARNING OF DANGER』収録曲も、こうして改めて聴き直すと十分イケてるなぁと。スラッシーなスピード感で畳み掛ける“TERMINATION”とか、エピック・メタル的荒々しさ漲る“DIE BY THE SWORD”とか。昔耳にした時はあまり感心した記憶がなかったのですが、あの頃の俺は一体何が気に入らなかったというのか…。
こりゃ確かにOMEN入門盤にお薦めできる1枚ですよ。


OMEN - The Curse ★★★ (2006-12-19 21:19:00)

後にANNIHILATORの2ndアルバムに参加する実力派Voコバーン・ファーが、それ以前に在籍していた事で知られる、アメリカン・パワー/スラッシュ・メタル・バンド、'86年発表の3rdアルバム。
「IRON MAIDEN命!」との熱い思いは痛いほど伝わって来たものの、やりたい事に実力が追い付いていなかった1st、格段の成長を遂げた秀作2ndを経て、遂に本作では「メイデンから強い影響を受けた本格派メタル・バンド」と評価するに足る、ハイクオリティな内容を聴かせるまでに至った。
リフにリードにと、スティーヴ・ハリスばりに動き回るBを筆頭に、相変わらずIRON MAIDENからの影響は絶大だが、勇壮な疾走チューン①、起承転結の効いたインスト曲⑤、力強く劇的な⑥といった楽曲のカッコ良さは、時に本家に肉薄する勢い。J.D.キンボール(’03年に病没。合掌)のパワフルなVoもクオリティUPに大きく貢献していて、雄々しい③にて中音域を駆使したメロディアスな歌い上げを披露したかと思えば、スラッシーな⑨ではアグレッシブなシャウトを決めるなど、次作EP『NIGHTMARE』を最後にバンドを去ったことが惜しまれてならない、高い能力を有していた事が良く分かる。
本家に比べるとメロディに今ひとつ深みが足りていないような気もしますが、この剛直さこそがアメリカン・パワー/スラッシュ・メタル・バンドの魅力なのも、また事実。


OMEN - Warning of Danger ★★★ (2017-02-04 09:49:42)

OMENのトレードマークとも言える「コブラ」がジャケットに初登場している、’85年発表の2ndアルバム。コブラがちょこんと鎮座してるだけのイラストは構図的に少々寂しく、バンドが期待した程の効果は上がってない気がしますけど。
でも内容に関しちゃ、発表当時BURRN!!誌レビューで高得点を獲得したことが裏付ける通り、OMENの一足飛びな成長具合を実感させてくれるクオリティ。Bのゴツゴツとした主張っぷりに、欧州風味のダークな湿り気をたっぷり含んだGのフレージングと、相変わらずIRON MAIDENからの影響が全編に亘り濃厚に息衝いています。その一方でストレートな力押しに終始した前作に比べると、今回はプロダクションの(それなりの)向上といい、メリハリの効いたアレンジや曲展開の備わったバラエティ豊かな収録楽曲といい、バンドがNWOBHM影響下のマイナー・メタル枠から脱しつつあることを伝えてくれる仕上がり。
懐の深さ(奥行き)を感じさせてくれるようになったエピック・メタル・チューン①に始まり、パワフルに鳴らされる②、抒情的な前半からハードに盛り上がっていく④、スリリングなインスト・ナンバー⑤、歌詞の題材(『ターミネーター』)に相応しく、近未来的雰囲気漂わす序曲⑥を経て疾走する攻撃的な⑦、そして本編を重々しく締め括る⑩等、一層の力強さを獲得したJ.D.キンボールの歌唱と、重厚感をグンと増した楽器陣のパフォーマンスが映える楽曲の数々は、次作『殺戮の祈祷』(’87年)にて結実することとなる「OMEN流パワー・メタル・サウンド」の完成形に向かって大きく前進。
デビュー作にピンと来なかった人も、これならきっと楽しめるのではないでしょうか。


ONE DESIRE - Midnight Empire ★★★ (2022-02-23 22:39:20)

若干15歳という、殆ど「少年」なメンバー達によって結成されたフィンランドのSTRUM AND DRANK。そのシンガーだったアンドレ・リンマンが同バンド解散後、新たにフロントマンとして参加したことで注目を集めた5人組ONE DESIREが、’20年に発表した2ndアルバム。
既に廃盤の1stアルバム(中古盤市場じゃ、キングから発売された日本盤に5桁のプレミアが付いていてビックリ)も大変素晴らしい内容でしたが、本作とてクオリティでは一歩も引けをとりません。元々プロデューサー業にも勤しむメンバーを中心に活動しているバンドだけあって、外部ライターの招聘に全く躊躇がなく、本作にはFIRST SIGNALやFIND ME等への関与で知られるソーレン・クロンクヴィストや、KAT-TUN、少女時代にも楽曲提供を行うトム・ジークマイヤー、CODE REDのウルリク・レンクヴィストら、手練れのソングライター勢が収録曲を持ち寄ってくれています。そりゃ逆立ちしたって出来の悪い作品にはなりようがありませんわな。憂いが溢れ出すサビメロが胸を打つOPナンバー①、キャッチーな曲調に哀メロが絡む⑥、ライブ映えしそうな高揚感に満ちた⑧なんて、アルバム・ハイライト級の名曲ですよ。
勿論、外部ライターに何から何までおんぶに抱っこということはなく、特にアンドレはシンガーとしてのみならず、秀逸な作曲センスをも如何なく発揮。彼が手掛けた④は職業ライター陣のペンによる楽曲と比べても聴き劣りしないクオリティを誇っています。
一作目の出来栄えがフロックでなかったことをしっかりと証明してくれた力作です。


ONE DESIRE - Midnight Empire - Heroes ★★★ (2022-02-25 00:56:52)

煌めくような躍動感溢れる曲調と、
哀メロが溢れ出すサビメロのコントラストも絶妙で
アルバムで最も聴き直す頻度の高い名曲に仕上がっています。


ONSLAUGHT - In Search of Sanity ★★ (2006-12-08 22:53:00)

歌える新Voスティーヴ・グリメットを迎えて、'89年に発表された3rdアルバム。
いや、化けたなぁ。前作の時点でその予兆はあったが、今回は更に曲調がドラマチック&メロディアス化。
ツインGの絡みはより一層煽情度を増して・・・と、とにかく「聴かせる」姿勢を全面展開。
これを可能にしたのが、パワーと表現力を兼ね備えたスティーヴ・グリメットのVo。何しろ12分以上にも及ぶ
パワー・バラードの大作⑦を、全くダレさせることなく聴かせきってしまうのだから、
その技量は半端じゃない。やっぱりシンガーってのは顔じゃないなぁ。(失礼)
メロディ重視のスタイルに変化したからといって、軟弱になってしまったなんて事もなく、
Gアルペジオの使い方が印象的な②、強烈なリフの刻みと、思わず一緒に叫びたくなるサビを持つ③④、
劇的なツイン・リードが聴ける⑧といったスピード・チューンには、如何にも英国産といった感じの堂々たる貫禄が漂う。
これはサウンド・プロダクションの向上で、楽曲に重量感が加わったことも大きいのかな?
また、AC/DCの名曲を完全に自分のものにしてカヴァーしている⑤も秀逸!
最早スラッシュ・メタルと言い切るには躊躇を覚える作風ながら、そんな事はどうでもよくなる程の高い完成度を誇る名盤。


ONSLAUGHT - In Search of Sanity - Welcome to Dying ★★★ (2006-04-19 21:17:05)

「質は高くても必要以上に長いので途中でダレる曲が多い」
と苦言を呈される事の多いアルバム『IN SEARCH OF SANITY』の中にあっても、この曲は例外。
何せ12分以上もあるパワー・バラード大作ながら、全くダレ場なし。特にテンポアップして突入する、
クライマックスと言うべき中盤のインスト・パートのドラマチックな盛り上がりは最高としか!
美しいアルペジオとザクザク刻まれるスラッシュ・リフ、激しいGソロとメロウなBソロの美しい対比や、
スティーブ・グリメットの見事な歌唱が胸に染みます。


ONSLAUGHT - Killing Peace ★★ (2007-04-24 21:58:00)

サイ・キーラーをVoの座に迎え入れて再結成。THRASH DOMINATION 06で日本のスラッシャーにも健在振りをアピールした
ONSLAUGHTが、前作『IN SERCH OF SANITY』以来、8年振りに発表した待望のニュー・アルバム。(通算4枚目)
『IN SERCH~』では、名Voスティーヴ・グリメットの歌唱を活かした、如何にも英国然とした劇的なパワー・メタルを
演っていた彼らだが、復活第1弾となる本作で聴けるのは、2nd『THE FORCE』の頃を彷彿とさせる混じりっ気なしの
ピュア・スラッシュ・サウンド。(まぁ3rdの作風にはレコード会社の意向が強く働いていたらしいので当然の帰結なんだけど)
しかも単なる過去の焼き直しに留まらず、よりスピーディに、よりへヴィに、よりアグレッシブにと、
解散前よりも遥かにパワーアップを遂げているのだから嬉しくなる。
特に、猛然と疾走するOPチューン①、それ以上のアグレッションを撒き散らす②、ノリの良さも併せ持った③という、
冒頭の高速スラッシュ・チューン3連打、そして1st『POWER FROM HELL』収録の名曲のタイト且つパワフルな
リメイク⑩といった楽曲は、その辺りを端的に示した本作最大の聴き所。
彼らは、このアルバムを2ndの後に来るべき作品と位置付けているようだが、大作主義が影を潜めシンプルに
まとめられた楽曲や、更に凶暴さを増したサイのダミ声Vo、例えば“METAL FORCES"や“DEMONIAC"で聴けたような
ドラマ性が減少したツインGを聴いていると、個人的には1stと2ndの間に置いた方がしっくり来る作風との印象を受けた。
3rdをONSLAUGHTの最高傑作に推す身にはメロディ分の大幅な後退が惜しまれるし、そのせいか中弛みを感じなくもないけれど、
後半3曲で再び一気に盛り返すので、聴き終えた後の満腹感は大きい。ファンの期待に見事に応えた力作だ。


ONSLAUGHT - Power From Hell ★★ (2011-02-03 21:00:25)

イギリスはブリストルのハードコア/パンク・シーンから飛び出し、「SLAYERに対する英国からの返答」とも評されたスラッシュ・メタル・トリオ、'85年発表のデビュー作。
その昔、初めて本作を耳にした時は「速い・安い(サウンド・プロダクションが)・喧しいの三拍子揃った極悪盤」との感想を持った覚えがあるのだが、こうして久々に対峙してみてその印象が大きく変化。
いや、もちろん篭りまくって不明瞭な音質はチープ極まりないし、次作以降、増量されていく事となる構築感やドラマ性といった要素もここにはほぼ皆無なんだけど、轟然と突っ走るスピード・ナンバーをメインに据えつつ、楽曲によってはちゃんと曲展開に緩急が設けられ、アルバムの構成にしても、インスト曲を合間に挿入することで本編のサタニックな雰囲気を盛り上げたり、全体の流れに起伏を作り出したりと(ラストを締め括るのはクラシックの超名曲、オルフの“カルミナ・ブラーナ”!)、力押し一辺倒ではなく、意外なくらいちゃんと作り込まれた作品である事に今更ながら気付かされましたよ。
まぁそれでも本作が、速い/安い/喧しいの三拍子揃った極悪盤なのは動かし難い事実であり、そしてそれこそが、このアルバムがマニアから高い支持を取り付けている理由でもあるわけですが。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence ★★ (2011-01-30 01:10:38)

サイ・キーラー(Vo)を擁するラインナップで再結成を遂げ、初来日公演後にリリースされた4th『KILLING PEACE』('07年)は、「イギリスのSLAYER」なんて評された嘗てのONSLAUGHTのパブリック・イメージに忠実な復活作だったが、再結成第2弾アルバムとなる本作では、濁声を通り越して殆どデス声に片足を突っ込んだ咆哮を轟かせるサイのVoに、ヘヴィ且つ強靭に刻まれるリフ&リズム、そしてよりバイオレントに畳み掛けて来る攻撃的な楽曲の数々といい、「復活したスラッシュ・メタル・バンド」としてよりも、「現役バリバリのエクストリーム・メタル・バンド」としての気概が前面に押し立てられた仕上がり。
「らしさ」は保ちつつも、明快な疾走感より緩急やダイナミズムの演出に重きを置いた作風、殊に楽曲が醸し出すダークさやヘヴィネスにかけてはバンドのカタログ中随一。一方で、英国的な湿り気を帯びたツインGをフィーチュアすることにより、それらの楽曲が大味になるのを予防する曲作りには、勢い任せにはしないベテランならではのセンスも光る。
一聴地味だが、即効性のインパクトよりも、聴き込みによって味わいを増すスルメ盤的魅力を備えた1枚。但し、序盤・中盤・終盤にそれぞれ配置された一気呵成の高速スラッシュ・ソング①⑤⑨は、紛うかたなき一撃必死の名曲ですよ!


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Born for War ★★★ (2011-01-30 21:37:20)

序曲“INTO THE ABYSS”によって高められた
緊張感が頂点に達した瞬間、ドカンとカマされる
イントロ・パートだけで、スラッシュ・メタル好きなら
この曲の名曲っぷりを確信できる筈。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Rest in Pieces ★★★ (2011-01-30 21:38:51)

ライブで演奏したらさぞかし盛り上がるだろう
と思わされる、一緒に叫びたくなるサビを備えた
高速スラッシュ・ナンバー。
滑らかに存在感を主張するツインGも良い感じ。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Suicideology ★★★ (2011-01-30 21:42:12)

アウトロ“END OF THE STORM”と共に
本編を締め括る(国内盤にはボートラが収録されてるけど)
激烈なアグレッションを撒き散らしながら
突進する高速スラッシュ・ナンバー。
マシンガンの如く刻み倒されるGリフがクール。


ONSLAUGHT - The Force ★★ (2006-06-14 21:19:00)

VoがBに、BがリズムGに転向、そして新Voにサイ・キーラー加入という複雑なメンバー(楽器)チェンジを経て、86年に発表された2ndアルバム。
デビュー作のような、初期衝動に任せたヤケクソ気味の疾走感はやや薄れたものの、その分、楽曲が練り上げられ、
抑えるべきパートは抑え、走るべきパートでは必要以上に突っ走るという、より緩急の効いたダイナミックな作風に仕上がっている。
1stの猪突猛進ぶりを愛する向きには文句の一つもあろうが、個人的にはこの完成度の高さを評価したい。
ツイン・ギター編成への移行、(ダーティな歌唱とはいえ)歌える専任Voの加入という陣容変えの成果か、楽曲に備わるドラマ性も格段に向上。
特に②“METAL FORCES"における、2本のGを効果的に使ったドラマチックな曲展開は、
次作で花開くパワー・メタル路線への萌芽であると同時に、本作のハイライトとなっている。
惜しむらくは、楽曲の大作化が(曲によっては)「ダレ」を生んでしまっている点。この問題の解決には、
長尺曲を説得力を持って歌いこなすだけのパワーと表現力を兼ね備えたVo(スティーブ・グリメット)の加入を待たねばならない。


ONSLAUGHT - VI ★★★ (2013-12-17 22:33:20)

早いものでONSLAUGHTのオリジナル・アルバムはこれで6作目。とうとう解散前と再結成後にリリースされた作品数が肩を並べることになり、この安定した活動ペースは、もしかしてこのバンドってば解散前よりも今の方が順調なんじゃね?と思わせてくれます。
そうしたバンドの好調ぶりはアルバムの中身にも如実に反映。オリジナル・ドラマーが脱退し、エクストリーム・メタル畑出身の若手ドラマーがその後任に収まったとのニュースを聞いた時は、てっきり更にブルータルな方向へと歩みを進めるものとばかり思いましたが、出来上がった作品はあにはからんや。エキゾチック且つメロディアスな④、頑強なヘドバン・ソング⑥、スティーヴ・グリメット時代の楽曲をサイ・キーラーのVoで録り直した⑩や、2ndアルバム収録の代表曲のリメイク⑪といった楽曲を収録する等、寧ろオールドスクール風味が増強されていて(良い意味で)意表を突かれましたね。
そして決め所でズバッと投げ込まれる剛速球スラッシュ・ソングの球威も衰え知らず。ダーティなサイのVo、剛直なGリフと銃弾の如く撃ち出されるリズム、欧州風味のダークネスを纏ったGソロとが一塊にブッ込んで来る②⑤⑦⑨の尋常ならざるカッコ良さは、冒頭で述べたバンドの現在の「勢い」が形となって顕在化しているかのようです。
復活後の最高傑作ではないでしょうか。


ONSLAUGHT - VI - 66 Fucking 6 ★★★ (2013-12-19 23:08:13)

図太くも禍々しい雰囲気漂うミッド・チューンですが、
乾いた音作りとキャッチーなサビメロの威力もあって
頭振りながらサクっと聴けるノリの良さが魅力。
是非ともライブで聴きたい。


ONSLAUGHT - VI - Chaos Is King ★★★ (2013-12-19 23:04:37)

殺気迸る怒号Voと、刻んで刻んで
刻みまくるリフ&リズム、暗い緊張感を
湛えたGソロが突貫し、アルバム全体に
対する期待値をいきなりマックスまで引き上げる、
OPナンバーとしての役割を十分に果たす名曲。


OPEN SKYZ - Open Skyz ★★ (2020-02-09 22:50:20)

現在はソロ・シンガーとしても知られるヒューゴが在籍していたVALENTINEは、90年代突入と共にHR/HMシーンに吹き始めたグランジ/オルタナティブ・ロック・ブームの逆風の煽りを食い、所属レーベルからドロップ。その後メジャーのRCA RECORDSとの契約を手にすると、「バンド名が80年代過ぎる」と名前をOPEN SKYZに改め心機一転。ベテランのリッチー・ズィトーをプロデューサーに迎えてレコーディングを行い、'93年に発表した出直しデビュー作がこちら。
伸びやかで透明感のあるヒューゴのVoが主役を務めるメロディアスHRサウンドという基本的音楽性に大きな変化は見られませんが、VALENTINE時代に比べるとKeyによるキラキラな装飾が大きく減退。アレンジは90年代らしくシンプルに、曲調もミドル~バラードを中心に落ち着いたテンポの楽曲が増える等、全体としてポップ・メタル路線からAOR/産業ロック路線への軌道修正が感じられる仕上がりに。
正直、地味と言えば地味。ただ流石にリッチー・ズィトーとバンド、二人三脚でアルバム作りに励んだというだけあって、要所で煌めくメロディのフックには捨て置き難い魅力があり、殊にTHE BEATLES風のイントロから壮大なスケール感を伴って展開していくアルバム表題曲④、ヒューゴのスティーヴ・ペリー似の歌声が映えるJOURNEY風味のバラード⑦⑩、爽やかな哀愁を纏ったメロハー・チューン⑨といった楽曲の充実ぶりはお見事です。
ただ、本作を以てしても時代の逆風に抗えず、バンドはまもなく解散。ヒューゴはソロ・キャリアを選択し、日本での知名度は格段に高まることとなるので、結果オーライ…だったのでしょうか?


OPEN SKYZ - Open Skyz - Open Skies ★★★ (2020-02-09 22:53:22)

ノスタルジックな風情漂うイントロから、タイトルに相応しく
真っ青な空へ溶けて広がっていくような感覚を覚える
スケールの大きなロック・チューン。この手の爽やかな楽曲を歌わせると
ヒューゴの澱みなく伸びやかな歌声は実に映えますね。


ORACLE(US) (2018-01-21 22:20:41)

フロリダ州ジャクソンビルにおいて、ブレント(Ds)とケント(G)のスミドリー兄弟により結成。当初はPRODIGYを名乗り、激しいメンバー・チェンジと地元でのギグ活動を繰り返しながら徐々に地歩を固めた後、初のデモ・テープ・レコーディングに挑み、その高評価をテコにドイツのインディーズMASSACRE RECORDSと契約を交わす。その際にイギリスに同名バンドが存在することが発覚し、バンド名を「神託」を意味するORACLEと改めている。
‘93年、先に発表したデモテープにリミックスを施し、正式に1stアルバムとしてリリース。日本でもプログレ掛かったパワー・メタル・サウンドが輸入盤市場で好評を博したことから、国内盤が'94年にテイチクから発売。但し、彼らが残した作品はこれきりの模様。


ORACLE(US) - As Darkness Reigns ★★★ (2018-01-21 22:23:37)

フロリダ州ジャクソンビル出身の4人組が’93年に発表した1st。(日本盤は'94年に発売)
「ご神託」を意味するバンド名とブックレット等から推察するに、多分クリスチャン・メタル・バンド。尤も、サウンド自体からはその手の匂いは全く漂ってこず、大作主義と、起伏の激しい複雑な曲展開に彩られた楽曲がズラリ揃った本編の音を一言で表現するなら、「QUEENSRYCHE型HM」。但し、天を突くハイトーンVo、ザクザクとスラッシーなリフを鋭角的に刻み、クラシカルなフレーズも織り交ぜたソロを派手にキメまくるG、それに音数多めで荒れ狂うリズム隊がその存在感をガンガン主張してくるアグレッシブなサウンドは、流石FORTEやMYSTK、あるいはWINTER’S BANE(JUDAS PRIEST加入前のティム“リッパー”オーウェンズが在籍)といったUS産パワーメタル軍団を抱え、90年代に気を吐いたドイツのMASSACRE RECORDS所属バンドだけのことはあるなと。
本作の弱点は、個々のメンバーの技量の高さに反して、バタバタと忙しない曲構成が未整理で楽曲にキャッチーさが欠ける点。更に本編が60分越えの大ボリュームであることと相俟って、当初は掴み所がないように感じられ、「これだからQUEENSRYHEフォロワーは…」と速攻手放そうとしたぐらいですよ。しかしながら繰り返し聴き込んでみると、パワフルに歌いまくるVoとテク全開のGを軸に、例え長尺でもドラマ性及び緊迫感が持続する①②③、前身バンド時代のテーマ曲⑧を始め、モダン・ヘヴィネスとは無縁の正統派な収録曲の魅力が遅効性の薬の如く徐々に浸透。今ではスルメ盤として愛聴する1枚と相成りました。
MASSACRE RECORDSの他のカタログが楽しめる方なら、本作も是非どうぞ。


ORACLE(US) - As Darkness Reigns - No Faith For The Liar ★★★ (2018-01-23 23:30:25)

PRODIGY名義で発表されたデモテープではOPナンバー役を
務めていた9分以上に及ぶ大作ナンバー。
(ORACLEとして発表されたアルバムでは3曲目に収録)
パワフルに歌いまくるハイトーンVoと、テクニカルに炸裂する
ツイン・リードGを両軸に、目まぐるしく展開していく
曲構成は少々詰め込み過ぎな感もありますが、
デビュー作なんだからこれぐらい攻めてなんぼでしょう。
気迫溢れるアルバムのハイライト。


ORION THE HUNTER - Orion the Hunter ★★ (2010-01-10 02:07:00)

イマジネーションを刺激するバンド名と、美しいジャケット・アートワークが目を惹く1枚。(邦題は『星空のハンター』)
BOSTONのバリー・グドロー(G)が、彼のソロ・アルバムで歌っていたフラン・コスモ(Vo)と再タッグを組んで
作り上げ'84年に発表した作品で、ブラッド・デルプが曲作りやバックVoとして数曲に参加していることもあり、
やはり端々からBOSTONテイストが強く感じられるものの、あのバンド程の綿密な作り込みやドラマ性、
プログレ・ハード的な雰囲気はなく、もっと素朴で爽やかなハードポップ寄りのサウンドがその持ち味。
尤も、仄かな哀愁とスペーシーな透明感を帯びたキャッチーな楽曲は十分に魅力的で、特に、クセのない
真っ直ぐに伸びていくフラン・コスモのハイトーンVoはこのバンドの強力な武器。彼のプレーンな歌声と、
情感豊かなバリーのメロディアスなGワーク、そしてセッション参加ながら、確かな存在感を発揮して楽曲の
スケール感UPに貢献しているKeyをフィーチュアした②(“君のいない朝"という邦題でシングル・カットされた)や、
これまたVoの熱唱が深い感動を呼ぶバラード④、物悲しげなヴァースから一転、サビメロにかけてポジティブに
盛り上がっていく劇的な⑧(ブラッド・デルプが作曲に関与)といった楽曲は、プログレ・ハード、AOR/産業ロック好きなら
一度は聴いておいて損はない名曲かと。勿論それ以外も、メロディ職人達の手による逸曲揃いなわけですが。
BOSTONの作品と比較しても何ら遜色ない1枚。国内盤の再発を切に希望します。


OSANNA - Milano Calibro 9 ★★★ (2022-06-08 23:57:21)

普段プログレッシブ・ロックはそんなに興味を持ってチェックしているジャンルではないのですが、NEW TROLLSの『CONCERTO GROSSO 』に感激して以来、イタリア産のバンドに関してはついつい食指をそそられてしまい、特に「哀愁」「メロトロン」といったキーワードを売り文句にされてしまうと、パブロフの犬状態でヨダレが溢れ出してしまいます。
イタリア・プログレ・シーンの大御所OSANNAが'74年に映画『ミラノ・カリブロ9』のサントラ盤として制作した本作には、前述の『CONCERTO GROSS』レコーディングに多大な貢献を果たした音楽監督ルイス・エンリケス・バカロフが参加しており「それもう絶対に最高のヤツじゃん」と、アルバムの存在を知った瞬間に慌てて買いに走りましたよ。そして実際に最高だったという。
「静」の魅力で聴き手の涙を搾り取った『CONCERTO~』(厳密にいえば違うのですが、そこを説明しようとすると長くなるので割愛)に対し、本作はKING CRIMSONからの影響を伺わせるヘヴィかつアグレッシブなバンド・セクションと、バカロフが手掛けた濃厚な哀愁を纏って奏でられるオーケストラ・セクションとが、時に真っ向ぶつかり合い、時にドラマティックに融合し、全10楽章で構成された40分以上に及ぶ大作を緊張感を途切れさせることなく語りきる「動」の魅力が肝。特に“テーマ”と題された②では本編の魅力を凝縮させた泣きのメロディが炸裂していて辛抱たまらん!と。
映画のサントラという変則的な作りですし、OSANNAの代表作なら『PALEPOLI』の名前が真っ先に思い浮かびますが、本作も見かけたら是非チェックして頂きたい1枚であります。


OSTROGOTH - Feelings of Fury ★★★ (2012-02-29 07:11:01)

テオドリック大王により建国され、イタリア一帯を統治した「東ゴート王国」の名を戴くベルギーのパワー・メタル・バンドが、'87年にULTRAPRIME RECORDSから発表した4thフル・アルバムにしてラスト作。(CDはお馴染みMAUSOLEUMからのリリース)
シンガーが元CROSSFIREのピーター・デ・ウィントにチェンジし、更に専任Key奏者の加入のみならず、サイドGとBも交代するなど、ドラスティックなメンバー・チェンジを経て発表された本作ですが、音楽性に関しては微塵も変化なし。VENOMに通じるブルドーザー・サウンドが炸裂するOPナンバー②(①はSF調のイントロ)を手始めに、和風メロディをアクセントに用いて「俺はサムラ~イ」と高らかに歌い上げる名曲③、そして「やさぐれたIRON MAIDEN」風味のダイナミックな曲展開で畳み掛ける⑧といった楽曲を聴けば明らかなように、今回も肩をいからせて猛進する男気パワー・メタル道を脇目も振らず突っ走っています。
但し、後にメロディックHRバンドMYSTERYを結成して日本のHR/HMファンからも好評を得たピーターのメロディアスに歌えるVo(力んだ時の声がちょっと人見元基を思わせる?)と、Key奏者の加入により確実に楽曲のバリエーションは広がりを見せていて、例えばKeyサウンドが親しみ易いキャッチーさを演出する④はこの編成の長所を活かした楽曲と言えるし、ラストに控える疾走ナンバー⑨なんて、従来のOSTROGOTH節と本作ならではの新味が高い次元で融合を果たしたアルバムのハイライトを飾る劇的な名曲っぷり。お見事です。


OSTROGOTH - Feelings of Fury - Love Can Wait ★★★ (2012-02-29 23:14:43)

暑苦しいVoにパワフルな楽器陣と、
演ってることはこれまでとさして
変わらないのですが、Keyを上手く活かして
取っ付き易いキャッチーさを
演出していますね。
パワー一辺倒に陥らない
曲作りの上手さが光る名曲です。


OSTROGOTH - Feelings of Fury - Samourai ★★★ (2012-02-29 23:12:27)

再発CDだとタイトルが“SAMOURAI”になってしまっていて
イマイチ締まりませんが、オラオラ状態で
煽ってくる好戦的な曲調はまさしく「戦士の歌」
といった趣き。
和風メロディが良いアクセントとなっていて、
特に中盤で炸裂するフレーズは、何となく
昔遊んだ「忍者くん」「影の伝説」といった
ファミコンソフトのことを(なぜか)
思い出させてくれて◎です。


OSTROGOTH - Feelings of Fury - Vlad Strigoï ★★★ (2012-02-29 23:22:12)

従来の好戦的なパワー・メタル・サウンドと、
Keyを取り入れたドラマティックなアレンジとが
無理なく同居しており、個人的には“SAMURAI”と
並んで4thアルバムの一押し曲に挙げたい
疾走ナンバーの名曲。
劇的なフレーズを奏でるツインGも
良い仕事をしてくれています。


OSTROGOTH - Feelings of Fury - What the Hell Is Going On ★★★ (2012-02-29 23:18:58)

強引なリフ/リズム・チェンジからは
IRON MAIDENの影響が透けて見えますが、
肩で風切って威圧してくるような
やさぐれ感溢れる曲調はまさしくOSTROGOTH節。
暑苦しいVoも攻撃的な曲調に
見事にマッチしています。


OUTLOUD - Let's Get Serious ★★★ (2015-08-23 11:21:26)

近年はガス・G率いるFIREWINDでの活動で知られるギリシャ人Key奏者のボブ・カティオニスが結成の音頭を取った5人組が、'14年に発表した3rdアルバム。
ちなみにジャケットにフィーチュアされているのはボブさんのモデルの彼女。この「自慢か!」なジャケ写を見ただけだと、ゴキゲンなパーティ・ロックでも聴かされそうで思わず身構えてしまいますけども、どっこい本作の中身は、心洗われるようなキャッチーなメロディを満載にした80年代型メロディック・メタル。
ジャンルとしてはNWOTHMの範疇で語られている作品のようですが、メタリックなエッジと疾走感を効かせつつも、歌心に溢れたシンガーの歌唱から、サウンドの中核を担い華々しく切り込んでくるKeyに至るまで、その作風からは必要以上の「力み」は感じられません。場面によってはJOURNEY、SURVIVORといった産業ロック方面からの影響も濃厚に伺わす伸びやかさも本作の魅力の一端。
70年代スポ根ドラマの主題歌みたいな②のクサメロなんて「聴けて良かった・・・!」と思わず天を仰ぎ見るレベルですし、他にもKeyによるイントロだけで気分が高揚するOPナンバー①、哀愁の旋律を歌うGが印象的な③⑤、PRAYING MANTISを思わす④、ドラマティックな曲展開を有する⑦等、本編には'14年度ベスト・チューン候補級の逸品がゴロゴロと。ポップ・メタルとブラスト・ビートを合体させてしまった⑪(クレジットはないけどDsはNILEのジョージ・コリアスか?)もユニークな仕上がり。
FIREWINDよりこっちの方が好きかも・・・と思わしてくれるのに十分な1枚でありました。


OUTLOUD - Let's Get Serious - I Was So Blind ★★★ (2015-08-26 21:50:42)

クッサクサなイントロだけで
「ハイハイ、俺の負け俺の負け」
となってしまうアルバム屈指の名曲。
70年代青春ドラマの主題歌に通じる(?)
哀愁を帯びた痒い所に手の届くメロディは
何度聴いても胸に響きます。


OUTLOUD - Let's Get Serious - Like a Dream ★★★ (2015-08-26 21:55:10)

哀愁をたっぷりと湛えたメロハー・ソングなのですが
ゆったりとハモる泣きのツインGがPRAING MANTISに
通じる威力を発揮する場面も。


OUTLOUD - Love Catastrophe ★★★ (2017-05-16 23:17:34)

FIREWINDのKey奏者として、また多くのHR/HMバンド作品へのゲスト参加や、ソロ・アーティストとしての活動等で知られるギリシャ人ミュージシャン、ボブ・カティオニスが、自らの教え子でもあったギタリスト、トニー・キャッシュの才能を世に知らしめるべく立ち上げたバンドの2ndアルバム(’11年)。
一足先に‘14年発表の3rd『LET’S GET SERIOUS』を購入し、そこに託されていたメロディックHRサウンドのクオリティの高さに感激(でも実はトニー・キャッシュ脱退済みという)。慌てて遡って本作も聴いてみたわけですが、OPナンバー①はまあまあレベル。「あれ?期待した程じゃないかも?」と早合点しそうになりましたが、2曲目以降は哀愁とキャッチネスが絶妙にブレンドされたメロディックHRチューンが連続。特に、ツインGがハモりながら奏でるメロディの哀愁っぷりがPRAYING MANTISを彷彿とさせる②、エネルギッシュな疾走ナンバー③、メロディアスに歌うGとコーラスが印象的な④、そして重厚なKeyリフとテクニカルなリードGをフィーチュアした本編のハイライト・ナンバー⑤へと雪崩れ込んでいく、アルバム前半の隙のない流れは全く以てお見事。
ここまでの流れが圧巻過ぎるせいで、バラード⑥以降はやや「一休み感」も漂うものの、アルバム表題曲⑩にて溌剌と締め括られるアルバム後半戦だって決して退屈なわけではなく、その水準は並のバンドを大きく凌駕しています。
『LET’S~』を気に入った方なら本作も押さえておくことをお薦めしますし、逆にこっちを気に入ったならば次作も押さえておいて損なし。


OUTLOUD - Love Catastrophe - Falling Rain ★★★ (2017-05-17 23:30:47)

哀愁のメロディを纏って伸びやかにハモるツインGに
思わず目を細めてしまう、PRAYING MANTIS辺りに通じる
魅力を湛えたメロディアスHRナンバーの逸品。


OUTLOUD - Love Catastrophe - The Night That Never Ends ★★★ (2017-05-17 23:42:57)

印象的なKeyリフが奏でられるイントロだけで掴みはOK。
Voが熱唱する哀愁のメロディと、フラッシーに炸裂するGとが
適度なハードネスと疾走感を伴って駆け抜ける様は、
2ndアルバムに収録された数ある名曲の中でも
ハイライト・ナンバーとして頭抜けたカッコ良さを提示してくれています。


OUTLOUD - Love Catastrophe - Waiting for Your Love ★★★ (2017-05-17 23:34:32)

歌メロにしろキャッチーなコーラスにしろ、
それらに負けじとメロディアスに歌ってみせるツインGにしろ、
とにかく哀愁成分をたっぷりと含んでいて
思わずウットリと聞き惚れてしまいますね。


OUTLOUD - We'll Rock You to Hell and Back Again ★★★ (2019-02-11 22:43:49)

プロデューサーとして、ミュージシャンとして、様々なバンドに参加してきたキャリアの誇るFIREWINDのKey奏者ボブ・カティオニスが、自身の主催するギター教室の教え子だったトニー・キャッシュ(G)の才能を世に送り出すべく結成したバンドOUTLOUD。本作は彼らがFRONTIERS RECORDSとの契約を得て’09年に発表した1stアルバムです。(邦題はシンプルに『アウトラウド』)
デビュー以来、一貫して健康的な80年代型HRサウンドを追求しているOUTLOUDですが、Keyを活かした産業ロックのムードを増量していく次作以降に比べ、Key以上にGが主役として前面に押し出され、マーク・クロス(Ds)のタイトでパワフルなドラミングが映える、エネルギッシュな疾走ナンバーが本編のOPとEDを〆る今作は、1stアルバムにしてOUTLOUDのカタログ中最も高いメタル度数をマークしているという。
なので、こと「メロディのフック」においては2ndや3rdに一歩譲る印象があるものの、開幕投手役にもってこいな爽快ロックンロール①、哀愁のメロディ・センスが冴え渡るアルバムのハイライト・ナンバー②、“夜明けのランナウェイ”を思わすイントロのKeyリフだけで名曲認定したくなる(そして実際に名曲な)③という冒頭の3連発を聴いた時点で、このバンドが秘めたポテンシャルの高さを理解するには十分過ぎるほど。無論4曲目以降だって、チャンドラー・モーゲルが熱唱するバラード⑩、ヘヴィ・メタリックなバンドのテーマ曲⑪に至るまで、良い曲がズラリ揃っていることは言うまでもありません。
キングから発売されていた国内盤は既に廃盤。現在はプレミア価格で取引されてしまっているため、今なら安価で入手可能な輸入盤の購入をお薦めさせて頂きます。


OUTLOUD - We'll Rock You to Hell and Back Again - Tonite ★★★ (2019-02-11 22:57:53)

イントロを駆け抜けるKeyリフだけで「はい、名曲!」とならざるを得ない。
メタリックな疾走ナンバーの1曲目、哀愁のメロディに酔う2曲目と来て
ダメ押しでこの王道メロハー的魅力を放つ名曲が後に続くわけですから
そりゃあ素晴らしいアルバムでないわけがないという。


OUTLOUD - We'll Rock You to Hell and Back Again - We Run ★★★ (2019-02-11 22:52:34)

後の“I WAS SO BLIND”や“FALLING RAIN”といった名曲に代表される、
PRAYING MANTIS辺りに通じるこのバンドの絶品の哀メロ・センスが
これでもか!と堪能できる逸品。2曲目にして早くもアルバムの完成度を
確信させられる名曲です。


OUTRAGE ★★ (2007-07-20 22:38:00)

1st~3rdはリマスターではなく、オリジナル・ミックス盤の再発のようですね。
とは言え、オリジナル・ミックス盤は既に廃盤で入手困難なうえに、
ステファン・カウフマンによるリミックス盤とは
かなりサウンドが異なるので、未聴の方はこの機会に是非どうぞ。
また、デビューEP『OUTRAGE』は初のデジタル・リマスター化により音質が
飛躍的に向上しているので、『IT'S PACKED!!』を持ってる方も要チェック。
より迫力のあるサウンドで名曲“STEP ON IT"が聴けるのだから
これで1200円は安い!かなと。


OUTRAGE - Black Clouds ★★ (2006-03-11 02:22:00)

OUTRAGE流スラッシュ・メタルが極まるのは次作なれど、
その一歩手前、欧州へヴィ・メタルからの影響が色濃く香る本作が
個人的には一番ツボ。


OUTRAGE - Black Clouds - Edge of Death ★★ (2006-03-09 21:29:58)

アコースティックの小曲をイントロに、ミッドテンポでガツガツ攻めてくる前半、疾走パートの中盤、思いっきり弾きまくったかと思えば、一転してマイケル・シェンカーばりに泣きまくるギター・ソロ、思わず一緒に歌いたくなる力強いコーラス・・・このドラマチックな展開がたまりません。


OUTRAGE - Blind to Reality ★★ (2006-10-01 15:48:00)

破壊力抜群のへヴィ・リフが疾走する、日本スラッシュ・メタル史上に残る
(と勝手に思っている)名曲①⑤を収録した、'89年発表の2ndアルバム。
OUTRAGEの全カタログ中、最もスラッシーな突進力が堪能できる1枚ながら、
勢いだけで押し切るのではない、随所で聴ける(彼らならではの)練り上げられ、
しっかりと構築されたメロディ使いが大きな魅力。
特に、重々しいイントロから疾走へと転じ、繊細な泣きパートを経て再び疾走へ・・・
という劇的な曲展開を持つ④は、全スラッシャー必聴の名曲。


OUTRAGE - Metal-ikka - Fight Fire with Fire ★★★ (2009-03-01 02:09:56)

言わずと知れたMETALLICA屈指の超名曲を
橋本直樹復帰後のOUTRAGEがカヴァー。
これがカッコ良くないわけがない。

『メタル一家』というアルバム自体は、HR/HMファン的には
かなり好き嫌いが分かれる内容だったけどね。


OUTRAGE - Outrage(1987) ★★ (2007-07-30 22:28:00)

'87年に3000枚限定でリリースされ、中古盤市場では目ん玉の飛び出るようなプレミア価格で取引されていた、伝説のデビューEP。
作品自体は『IT'S PACKED』のタイトルで、ライブ音源と抱き合わせで'97年に一足早くCD化が為されていたが、
今回はオリジナル・ジャケット仕様、しかもデジタル・リマスターにより音質がダイナミックに向上を遂げているので、
既に『IT'S~』を持っているファンでも、買い直す価値は大いに有るんじゃないかな、と。(たった\1200だし)
何より本作に収められた楽曲の数々は強力無比。後の作品に比べればスラッシュ・メタル色は薄く、
NWOBHMに影響を受けたハードコアなヘヴィ・メタルといった感じのサウンドで、若さゆえの青さも散見されるが、
現在でもライブでプレイされ続けているバンドの代表曲①、重々しく刻まれるミッド・テンポの曲調と
叙情的なGソロの対比が美しい②、起承転結がバッチリと決まった劇的な③、そして完璧なる
OUTRAGE流スラッシュ・メタルの名曲④と、たった4曲でも聴き終えた後の満足度は半端なく高い。
特に、アグレッシブな楽曲の中でギラリと光を放つ、阿部洋介のマイケル・シェンカーばりのGプレイは必聴だ。
日本スラッシュ・シーンの黎明期を飾る名作の1つ。


OUTRAGE - Outrage(2009) ★★ (2009-12-09 22:37:00)

再び橋本直樹を擁するOUTRAGEの新作を聴ける日が来ようとは・・・。熱心なファンとは言い難い我が身でも、
実際にニュー・アルバムを購入して自宅のCD棚に旧譜と一緒に並べてみると、何やら感慨深いものがありますね。
HM然とした硬質な整合感で一本筋を通しつつ、高品質且つバラエティ豊かな楽曲が取り揃えられた本編は、
デビュー作からトリオ編成時代に至るまで、過去、OUTRAGEの名の下に発表された全作品のエッセンスが
肯定的に取り入れられている一方、「もし90年代半ばにモダン・へヴィネス・ブームが起きなかったら、
5thアルバムはこんな感じになってたんじゃないかな~」と思わされたりも。
ちなみに個人的なお薦めは、2ndアルバムの頃を彷彿とさせる破壊的なリフ&リズムがドカドカと突進する⑩。
まさか、今の彼らがここまで直球勝負のスラッシュ・ナンバーを手掛けてくれるとは思わなんだ。
4th『THE FINAL DAY』以来の傑作と言って良いのでは?


OUTRAGE - Outrage(2009) - Rise ★★ (2009-12-09 22:41:36)

“MY FINAL DAY"程のインパクトがあるとは思わないが、
4thアルバムの頃を思い起こさせる、掴みには持って来いの
名曲であることは確か。


OUTRAGE - Outrage(2009) - Shine On ★★★ (2009-12-09 22:45:36)

長いこと第一線から引いていたとは思えぬ
橋本直樹の絶品の歌唱力が堪能できる名バラード。
こんな人が堅気をやってちゃいけません。
HR/HM界の損失です。


OUTRAGE - Outrage(2009) - Terrorizer ★★★ (2009-12-09 22:48:38)

2ndアルバム収録の名曲“BLIND TO REALITY"や
“NAME YOUR POISON"を彷彿とさせる破壊的なGリフと
リズムが怒涛の如く突進する、
ストレートなスラッシュ・ソング。
この曲が聴けただけでもアルバムを買った価値はあった。
(いや、他も良い曲だらけですが)


OUTRAGE - Outraged ★★★ (2013-06-25 22:58:16)

求められた期待に全力で応え、見事成功を勝ち取った前作に比べると、今回は自分たちの演りたいことを自信を持って追求した、ある種余裕のようなものも感じられる内容に仕上がっています。
・・・と書くと、ユルくなったり、トリオ編成時代のような音楽性の拡散を危惧されるやもしれませんが、心配ご無用。豪快さと繊細さを巧みにスウィッチさせる楽器陣と、橋本直樹のタフな歌声によって形成された屈強なる本編は、スピーディ/へヴィ/グルーヴィ/メロディアス・・・と、表現の幅を意欲的に広げつつも、ブッ太く屹立するOUTRAGEの「芯」には微塵のブレもありません。
破壊力満点の高速スラッシュから、重厚なヘヴィ・チューン、“MY FINAL DAY”型のキャッチーな突撃HMナンバー、更には叙情インストやドラマティックでエモーショナルなバラードといったメンバーの「静」の表現力が冴え渡る楽曲の数々・・・。これだけバラエティに富みながら、40分台と簡潔に引き締まった本編のランニング・タイムもこのバンドらしい。
決してOUTRAGEを見縊ってたわけじゃないのですが、彼らが前作を超えるアルバムを提示してくるとは正直予想しておりませなんだ。申し訳ない。


OUTRAGE - Outraged - Far Away ★★★ (2013-06-27 22:19:16)

男泣きバラード。
ヴィオラとチェロが楽曲の持つ叙情性を
効果的に増幅してくれていますね。
この路線で橋本直樹のソロ・アルバムが
聴いてみたいなぁと思わされる点では、
ジェイムズ・ヘッドフィールドと
同じ境地に達しています。


OUTRAGE - Outraged - Grip on Changes ★★★ (2013-06-26 22:47:04)

ヴァイキング・メタルばりの
「オ~オ~オ~♪」という勇壮なコーラスが
ライブでの盛り上がりを予感させる
重厚なヘヴィ・チューン。
フレドリック・ノルドストロームから
何かしらインプットがあったんでしょうかね。


OUTRAGE - Outraged - Lost ★★★ (2013-06-27 22:10:58)

物憂げなイントロを蹴破って
破壊力満点に突進を開始するOPナンバー。
これ聴いてアルバムのクオリティを疑う
OUTRAGEファンはおらんでしょう。


OUTRAGE - Raging Out ★★★ (2017-11-25 23:15:48)

橋本直樹(Vo)復帰以降、傑作連発のOUTRAGEが'17年に発表した8thアルバム。
ルーツを開陳する70年代邦楽ニュー・ロックのカヴァー集『GENESIS Ⅰ』のリリースを間に挟んだため、そっちに引っ張られたサウンドになっているのでは?と予想しましたが、実際は勇猛果敢なOPナンバー①を皮切りに、徹頭徹尾聴き手を打ちのめすパワー全開な作風で予想は完全にハズレ。「適当なことばっか抜かしてんじゃねぇぞバカヤロー!」「予想1つまともに当てられないたぁ一体どういう了見だコノヤロー!」(別のアウトレイジ風に)
速い曲、重い曲、横ノリの曲、ドラマティックな曲etc.と、本編にはバラエティ豊かな楽曲が並び、そのどれもが、男の闘魂と哀愁を併せ持つVoの豪唱、破壊的に刻まれる図太いリフ&リズム、その間隙を突き歌う泣きのGソロと、自分達の音をしっかりと確立しているメンバーの自信に満ちたパフォーマンスのお陰で、「OUTRAGE流メタル」としか表現しようのない統一感のある光沢を放っています。例えばバンド名が冠されたテーマ曲と言うべき⑪を、パワー/スピード/メロディが詰まった名曲(しかもライブ映えまでバッチリ)にきっちり仕上げてみせた手腕に、現在の彼らの充実ぶりを感じましたよ。
雄々しくもどこか物悲しく突進する、本作のハイライト・ナンバー⑨に拳を振り上げながら、思わず「OUTRAGE」コールを連呼せずにはいられない1枚。


OUTRAGE - Raging Out - Heroes Falling ★★★ (2017-11-25 23:36:20)

橋本直樹が歌う、戦う男の哀愁背負った
猛々しくもどこか物悲しいメロディを乗せて、
破壊的に刻まれるリフ&リズムが地響き立てて突進する様に
メタル・ハート鷲掴みなアルバムのハイライト・ナンバー。
構築美を放つGソロにもグッときますね。


OUTRAGE - Raging Out - Outrage ★★★ (2017-11-25 23:28:56)

OUTRAGEが満を持して贈るテーマ・ソング。
折角バンド名を冠してツマラン曲だったらカッコ悪いことこの上なしですが
スピード、パワー、ドラマティックに構築されたGソロまで
きっちり名曲に仕上げて来るあたりは流石。
これからライブにおいて重要な位置を占める楽曲になるかと思いますが、
合唱せずにはいられないメロディやコーラス等、ライブ映えもバッチリですよ。


OUTRAGE - Run Riot ★★★ (2021-09-21 00:50:35)

’20年発表の14th。CDを購入したその日に紛失してしまうという「小学生かお前は」ってなチョンボをやらかして落ち込んだりもしたけど私は元気です。無事そのCDも手元へ戻ってほぼ1年遅れで漸く聴くことが出来た本作でしたが、これが文句なしの素晴らしさ。
‘19年にはリスペクト・ライブを敢行したり(その時の模様はDELUXE EDITIONのDVDに収録)、JAGUARの“AXE CRAZY”とANGEL WITCHの“BAPHOMET”をカヴァーした7インチEPをリリースしたり、あるいは今回もTANKとPARALEXのカヴァーを収録したりと、勃発から40年を迎えたNWOBHMに対する愛情を詳らかに表明してきた近年の活動が関係しているのかどうか、本作は彼らのカタログの中でもかなりオールドスクールな正統派HMテイストを強調した仕上がり(ヘヴィ過ぎず適度にラフさも保った音作りもそう感じられる一因か)。無論スラッシュ、パンク、ストーナーからクラシック・ロックに至るまで、様々な音楽的エッセンスを消化吸収して血肉に変え、豪快に吐き出す雑食性はここでも健在ですが、やはり個人的に強く印象に焼き付くのは、劇的にスタートダッシュを決める①や、“DOCTOR, DOCTOR”でも始まりそうな泣きのイントロから一転、猛然と疾走に転じるラスト・ナンバー⑩といった80年代初頭HM色が一際色濃い楽曲という。中でもパンチの効いたリフ、屈強なリズム、漢の哀愁背負ったツイン・リードとバンカラな豪唱が一塊に畳み掛けるアグレッシブにしてメロディアス②は、本編のハイライトに推したいカッコ良さを誇っていますよ。
らしさと間口の広さ、どっしりとした貫禄とササクレた荒々しさを兼ね備えた意欲作。実に痺れる1枚です。


OUTRAGE - Run Riot - Blood and Scars ★★★ (2021-09-22 00:03:41)

MOTORHEADの薫陶を受けた荒くれ感を醸し出すGリフ、
スラッシュ・メタル然とした突進力を誇るリズム、
そしてOUTRAGEには珍しいメロディアスなコーラス・パートの
組み合わせに新鮮な印象を受ける、アルバム屈指の名曲。


OUTRAGE - SPIT ★★ (2006-10-15 18:26:00)

'93年発表の5thアルバム。'93年と言えばスラッシュ・メタル・バンドの間で「モダン(当時)・へヴィネス病」が
猛威を振るい始めていた頃で、本作もその例に漏れず、スピードよりも圧し掛かるようなヘヴィネスに
重点の置かれた作風。特に、ボトムの効いた分厚いサウンド・プロダクションは圧巻。
尤も、多少テンポが落ちたとは言え、ハイクオリティな楽曲の数々と、デビューからこっち天井知らずの
成長を続ける橋本直樹の表現力豊かなVo、攻撃性と叙情性を兼ね備えたGがあれば、大勢にはまったく影響なし。
アグレッシブな疾走感とメロディアスなGソロの対比が劇的な②、濃厚な「泣き」と、ストリングスの隠し味が効いてる
バラード⑥を筆頭に、名曲も数多く収録。今までと毛色は違えど、これもまた立派なOUTRAGE流メタルの名盤である。


OUTRAGE - The Final Day ★★ (2006-10-07 00:10:00)

名曲中の名曲①を収録、OUTRAGEの名をスラッシャー以外にも広く知らしめた、'91年発表の4thアルバム。
NWOBHM、スラッシュ・メタル、実験精神と、前3作の長所を程好くブレンドした感じの
本作を一言で表現するなら、それは「キャッチー」。
とにかくリフにしろメロディにしろ、(必要にして十分なアグレッションを保ちつつも)
耳馴染みが抜群に良く、それが高速スラッシュだろうが、引き摺るようなヘヴィ・リフを持つ曲、
バラードやドラマチック・チューンだろうが、非常に取っ付き易い。
前作から更なる成長を遂げた橋本直樹(Vo)の歌メロも過去最高の充実度で、本作のキャッチーさの演出に大きく貢献している。
OUTRAGE未体験者が先ず最初に聴くべきは、間違いなくこのアルバムだろう。


OUTRAGE - The Great Blue ★★ (2006-10-04 21:38:00)

メタルのみならず、70年代ロック、パンク、ハードコアからの影響も意欲的に取り入れた、'90年発表の3rdアルバム。
起伏に富んだ大作曲だが、ドラマチックと言うより「実験的」との印象を強く受ける⑥、
70年代風へヴィ・バラード⑧、パンキッシュに爆走する⑨等、後の音楽性の拡散を予感させる作風ながら、
疾走チューン①②④を筆頭に、スラッシュ・メタル・バンドとしての攻撃性や突進力に、
微塵も鈍りが見られないのが、このアルバムの素晴しいところ。
叙情面における繊細な表現力を格段に向上させたVoとGの存在も頼もしく、特に両者のスキルが
最大限に発揮された⑧は、聴き応え十分の名曲。
尚、本作の初回盤は、RAMONESとThe Stoogesのカヴァー曲を収録したCDシングル付きの、2枚組仕様だった。


OVERKILL ★★ (2010-09-20 18:36:00)

今年もスラドミに参戦してまいりました。
盛り上がりではEXODUSも良い勝負してましたが、
より色濃く正統派HMテイストが感じられる
OVERKILLのライブの方が個人的には好みかな、と。
(新旧の名曲のバランス良く並べたセットリストも秀逸でした)
唯一残念だったのは、何故かシングルG編成での来日だったことぐらいか?
それにしても、バキバキにビルドアップされた肉体といい、
強靭な歌声といい、キレのあるアクションの数々といい、
ブリッツのカッコ良さは相変わらず衰え知らずで感服。
きょうび、咥えタバコ姿があそこまで決まるアーティストは
そうはいませんよ。


OVERKILL - Bloodletting ★★ (2009-08-01 00:53:00)

パワー・メタル色を薄れさせ、みるみるマッチョ化が進んだボビー・ガスタフソン脱退以降のOVERKILLには
嘗て程の思い入れを感じられずにいたのだけれど、そうした意識を一変させてくれたのが、この'00年発表の11thアルバム。
久々に4人編成に戻って制作された本作は、一分の隙もなくビルドアップされまくった、ソリッドでストロングな
作風は相変わらずなれど、勇ましくキャッチーな歌メロをしっかりと「歌う」ブリッツのVoといい、
メロディックなソロを聴かせてくれるデイヴ・リンクスのGといい、ここ数作の中では一際
初期の頃を思い起こさせるパワー/スラッシュ・メタル色が強く表れた仕上がりなのが嬉しい。
また、リズム隊にもスラッシュ・メタル的なフットワークが復活しており、とりわけ、硬質且つダイナミックに疾走する
②③④、メロウなイントロを備えた⑦、重厚にして劇的な⑧、ストレートなスラッシュ・ソング⑨といった楽曲は、
マッチョ路線で培った現代的なパワー&ヘヴィネスと、スラッシーな疾走感、そして初期の頃を思い起こさせる
正統派HMに根差したメロディ・センスが巧みに組み合わされた名曲。
新旧の作風に上手いこと折り合いを付けた、中期OVERKILLの魅力が判り易く詰め込まれたパワー漲る1枚。入門編としてもどうぞ。


OVERKILL - Feel the Fire ★★ (2006-12-02 02:21:00)

現在も活動中の、NY出身のベテラン・スラッシュ・メタル・バンド、'85年発表の1stアルバム。
古参スラッシャーの多くのデビュー・アルバムがそうであったように、本作もまた、NWOBHMを始めとする
欧州HMからの影響が色濃く表れた作風で、上等とは言い難い音質や、スラッシュというよりパワーメタル的なサウンドに
物足りなさを覚えるファンもいるかもしれないが、個人的にはこれはこれで非常にお気に入りの1枚。
特に、アグレッシブなシャウトとメロディアスな歌い上げを使い分けるボビー“ブリッツ"エルズワースの歌唱は
この頃から光っていて、②⑥のような起伏に富んだ楽曲で聴く事の出来る雄々しい歌唱は、
時に同郷バンドMANOWARの名Voエリック・アダムスの初期の頃のそれを彷彿とさせる場面も。
(そう思って聴くと、MANOWARの1stアルバムと本作の共通点は意外に多い。ベース中心の曲作りとか)
勿論、①⑤⑨といったスピード・チューンを牽引するD.D.バーニの派手なB、ともすれば剛直一辺倒に陥りがちな楽曲に
華麗な彩りを加える(⑧のソロは絶品!)ボビー・ガスタフソンのGの素晴しさは言うに及ばず。
曲作りの詰めの甘さとイマイチな音質を、バンドの前のめりな勢いが補って余りあるデビュー作である。


OVERKILL - From the Underground and Below ★★ (2014-07-02 23:11:59)

これまで駄作は一枚も作っていないと自信を持って断言できるOVERKILLですが、敢えて最も影の薄い作品を選ぶならば、個人的には'97年発表のこの9thアルバムがそれに当たるのではないかと。何せ、OVERKILL作品は可能な限り国内盤入手を課している身でありながら、未だに輸入盤しか持ってないぐらいでして。いやDEEP PURPLEの“SPACE TRUCKIN'”のカヴァー(日本盤のみのボートラ)目当てに買い直そうかと考えたことはあるのですが、後で『COVERKILL』で聴くことが出来るようになっちゃいましたからね。
コリン・リチャードソンが手掛けたプロダクションは迫力満点ですし、曲作りの上手さも相変わらず傑出していますが、徹頭徹尾スピードで押しまくる疾走ナンバーが姿を消した本編(速いパートはあるけど)は、OVERKILL史上、最もスラッシュ・メタル色の薄いグルーヴィな仕上がり。
パンキーに駆け抜ける⑥や、「シンガー」としてのブリッツの才能が遺憾なく発揮されている、明るく(!)アメリカンなバラード⑨なんかは好きな楽曲ですけれども、総合的に見た場合だと、コレといった強力な決め手に欠ける地味な印象が拭いきれない1枚かなぁ、と。
飽くまで「OVERKILLにしては」の話ですけどね。


OVERKILL - Fuck You and Then Some ★★★ (2017-03-24 00:51:57)

中指おっ立てる最低で最高なタイトル&ジャケットを前に、北島康介ばりに「なんも言えねぇ…」状態になってしまう、OVERKILL、’87年発表の5曲入りEP。
彼らのルーツ(の一つ)であるパンク・バンドSUBHUMANSのカヴァーにして、毎度「ファック・ユー!」のコール&レスポンスでコンサートのクライマックスを盛り上げるEP表題曲①の他、クリーブランドで録られたライブ音源4曲を収録。そんな本作は、先日購読した『スラッシュ・メタルの真実』のブリッツのインタビューによれば、ツアーを通じて親交を深めたMEGADETHのデイヴ・ムスティンが移動式スタジオを「好きに使っていいよ」と無償提供してくれたお陰で制作できたという。あの尖りまくってたイメージの80年代の大佐が…と、当時のスラッシュ・シーンの連帯ぶりにちょっとグッとくるエピソード。
尚、現在は上記5曲以降に未発表ライブ3曲と、OVERKILLの自主製作デビューEP収録の4曲を加えた『FUCK YOU AND THEN SOME』仕様で入手が可能。特にレア盤と化していた後者を聴けるのは大変ありがたい。音質は芳しくなく、そのサウンドは未だスラッシュというよりは硬派なパワー・メタルなれど、狂笑の似合うブリッツの金属Voも、タフなNYのストリートで鍛え上げられた鋼の如き強靭さも既に健在。ついでに4曲中3曲は後々アルバムでリメイクされることになるのですが、唯一選に漏れた“THE ANSWER”がこれまた名曲で、BLACK SABBATHばりのヘヴィネスが横溢する前半から、IRON MAIDEN風の勇壮な疾走へと転じる曲展開が「やっぱOVERKILLは昔っから凄かったんや!」とガッツポーズ決めたくなるカッコ良さ。ファンなら必携の1枚ですよ。


OVERKILL - Fuck You and Then Some - Fuck You ★★★ (2017-03-25 09:41:42)

完全にOVERKILLのオリジナル・ソングのような馴染みっぷり。
世界中のライブ会場で「ファッキュー」の大合唱を巻き起こしてきた
バンドの代表曲。最新作『THE GRINDING WHEEL』('17年)に付属する
ボーナスDVDでは、日本のファンの「ファッキュー!」大合唱も聴けますよ。


OVERKILL - Horrorscope ★★ (2006-12-03 20:52:00)

多くのファンがOVERKILLの代表作と認める4th『THE YEARS OF DECAY』と、逆に随一の問題作と言われる
6th『I HERE BLACK』の間に挟まれ、どうにも印象の薄い'91年発表の5thアルバム。
まず一聴して驚かされるのが、その余りに分厚いサウンド・プロダクション。ボビー・ガスタフソンが抜け、
新たにツインG編成へと移行した効果か、これまでのゴツゴツとした無骨さから一転、
何も知らずに聴いたらベイエリアのバンドかと思うぐらい、クランチーで重厚な音作りが為されている。
このサウンド・プロダクションと、攻撃的なツインGを活かした①~⑤のスピード・チューン5連発は圧巻で
(中でも、キャッチーな風味も感じられる③はお薦めの1曲)、まさに息吐く暇もなく畳み掛けてくるといった感じ。
それに比べ、中盤以降に並ぶミッド・チューンの完成度はいずれもイマイチで、本作の大きな弱点となっている印象。
これは、やはりバンドのメロディ・メイカーだったボビー・ガスタフソンの不在が大きいと思われ、
この点に関してはGを2人加入させても、彼が抜けた穴は埋め切れなかったということか・・・。
ただ、ラストを締めるパワー・バラード⑪は、OVERKILLの叙情面を語る上で外す事の出来ない必聴の名曲だ。


OVERKILL - I Hear Black ★★ (2006-12-06 20:47:00)

デビュー以来、一貫して自己流のスラッシュ・メタル道を邁進してきたOVERKILLが、
唯一、流行に影響されて作り上げたと思しき、'93年発表の6thアルバム。
中~低速のヘヴィ・チューンがウネリまくる作風は、明らかに90年代型モダン・へヴィネスからの
悪影響(と言い切ってしまう)が伺えるものの、演奏自体は相変わらずパワフルなので、
速度が落ちたとは言え突進力までは失われていない。
ドスの効いたOPチューン①、緊張感を伴ったメロディアスなリフ・ワークが冴える③、ヘヴィ・バラード⑤
といった楽曲は、前作で感じられた「ミッド・テンポの曲の魅力不足」を見事に解消。また、⑧⑫と要所に
高速スラッシュ・チューンを配して、全体の流れが一本調子になるのを防ぐベテランらしい心遣いも○。
ただ、楽曲の出来・不出来にかなり差がある事と、ボビー“ブリッツ"エルズワースのマッチョなVoと、
妖しくウネル楽曲の相性は良いとは言えず、折角のメロディアスな歌唱もマヌケに響く場面が散見される点は大きなマイナス。
良くも悪くも「実験作」を域を出ない内容ながら、個人的には必要最低限のクオリティは備えている作品と力説しておきたい。


OVERKILL - Immortalis ★★ (2010-03-08 22:03:00)

「そのうち国内盤が出るだろ」と購入を後回しにしていたら、いつの間にか次作『IRONBOUND』のリリースが
アナウンスされ始め、こりゃいかんと慌てて買いに走った'07年発表の15thアルバム。(結局国内盤は出なかったなぁ)
Dsにメンバー・チェンジが発生しているが、大勢に影響がある筈もなく、前作『RELIXIV』で迷いを吹っ切った彼らは、
本作でも最初から最後まで直球勝負の弩スラッシュ・メタル路線を邁進。無論、そのサウンドは80年代の
焼き直しというわけではなく、ちゃんと現代的なアレンジやブルータリティが加味されているのだが、
ボビー“ブリッツ"エルズワース(Vo)の腹筋ばりにビルドアップされまくったマッチョな作風の割りに、
繰り返し聴いてもゲップや疲労感を覚えないのは、キャッチーなメロディを噛み付くように歌うブリッツのVoと、
鋼鉄の如き質感とパンキッシュな躍動感を併せ持ったリズム隊が生み出す独特のノリの良さ、そして欧州風味の
ドラマ性を秘めたメロディックなツインGの存在ゆえか。ブンブンとBが唸りを上げるイントロだけで
アルバムの出来の良さを確信させるOPナンバー①、威勢良くハジける②、猛烈に体に訴えかけて来る
パワー・メタリックな⑥、激しくアップダウンを繰り返す⑨といった楽曲の魅力も然る事ながら、本編のハイライトは
何と言ってもラスト・ナンバーの⑩。正統派HM然としたGリフのカッコ良さといい、憂いを帯びたブリッツの
歌メロといい、劇的な曲展開といい、まさに“OVERKILL"シリーズの名を冠するに相応しい出来栄えを誇る名曲だ。
これだけのクオリティを備えているにも関わらず、国内盤が出なかった理由が知りたいね。(契約の関係らしいが)


OVERKILL - Ironbound ★★★ (2010-03-28 02:15:00)

ボビー・ガスタフソン(G)脱退以前と以後のOVERKILLでは、断然前者の作品群を愛して止まない我が身だが、
'10年に発表された、この最新15thアルバムの圧倒的クオリティには心底度肝を抜かれましたよ。
特に、豪快に本編OPを蹂躙する①、疾走するツイン・リードGがガッツポーズ物の劇的さを誇る②、そして、
古き良きスピード・メタル・チューンの風情漂わす③という冒頭の3連発は、マッドでスピーディでソリッド、
それでいてキャッチーという、現行OVERKILLの魅力の全てが詰め込まれた名曲揃い。彼らが80年代に発表した
名作の数々だって、ここまで強力な「掴み」を有してはいなかったような?
上記3曲のインパクトが強すぎるせいで、後続の楽曲の存在が霞みがちな点は痛し痒しなれど、どっこい、
初期IRON MAIDENばりに威勢良くハジける⑥、独産パワー/スラッシュ・メタリックなGリフが鋭利に刻まれる⑨、
そしてラストを激烈に締め括る⑩と、中盤以降も逸曲揃いゆえ、テンションは最後まで高いラインを維持。
また、攻撃的な作風とは裏腹に、収録曲の半数近くが6分越えを果たすという大作主義が貫かれた内容だったりも
するのだが、立ち塞がるモノ全てを薙ぎ倒すが如き突進力と、しっかりと構築されたメロディアスな
ツインGが演出する、欧州HM風味のドラマ性が楽曲を引き締め、冗長に感じられる場面も皆無ときたもんだ。
間違いなく、ボビー・ガスタフソン脱退以降のOVERKILLの最高傑作。名盤と名高い3rd『UNDER THE INFLUENCE』』や
4th『THE YEARS OF DECAY』に匹敵する完成度と言っても褒め過ぎじゃないのでは?


OVERKILL - Ironbound - Bring Me the Night ★★★ (2010-03-28 21:45:12)

スラッシュ・メタルというよりは、
スピード・メタルと評したい、
NWOBHMの薫りが漂ってきそうな名曲。
ボビー・ガスタフソン脱退以降、
ここまで即効性の高い楽曲は久々に聴いたような。


OVERKILL - Ironbound - Ironbound ★★★ (2010-03-28 21:39:45)

本編序盤のハイライトを飾るアルバム表題曲。
肉厚なGリフや、噛み付くように歌うブリッツのVoの
ハイテンションなカッコ良さ、タイトにしてソリッド、
それでいて体に訴えかけて来るノリの良さをも兼ね備えた
リズム隊、そしてトドメに劇的極まりないツイン・リードGを
フィーチュアしたインスト・パート・・・と、
まったく隙のない構成には白旗を揚げるしかない名曲。


OVERKILL - Ironbound - The Green and Black ★★★ (2010-03-28 21:34:33)

お馴染みD.D.ヴァーニのごついBに牽引される形で
激走するアルバムのOPナンバー。
8分以上ある大作曲にも関わらず、マッドなブリッツのVoと
楽器陣のキレのある演奏が生み出す猛烈な突進力をもって
全くダレを感じさせない。
楽曲にフックを作り出すメロディックなGソロも○。


OVERKILL - Killbox 13 (2014-07-06 23:23:24)

新旧の作風に上手いこと折り合いをつけ、いよいよパワー/スラッシュ路線への帰還を予感させた前作『BLOODLETING』に比べ、ブリッツの脳卒中という一大事を乗り越えて'03年に発表された本13thアルバムは、コリン・リチャードソン(共同プロデューサー)謹製の重たく湿った音作りと、再びツインGを擁する5人編成へと戻った強みを生かして、重厚極まるOPナンバーのイントロから早々に聴き手を圧殺にかかる、スピードよりも下っ腹にズンズン響くへヴィネス重視の作風です。
しかしながらこれは失望には当たらず。ここ数作での試行錯誤を糧に鍛え上げられた楽曲は、激重ナンバーだろうが、横ノリのグルーヴ・ソングだろうが、飽くまでソリッド且つタイトに彼ららしく料理されており、そこに流行バンドからの影響が入り込む余地はありません。
戦車の進撃を思わす迫力の①、BLACK SABBATHばりに地を這う雄々しく劇的な③、D.D.ヴァーニの独特なBが腰に来る⑦といった強靭な楽曲群は、OVERKILL流へヴィ・ロック路線が本作をもって高いレベルで具現化したことを高らかに宣言しています。
音楽活動中に道に迷うバンドは数あれど、迷った先で、その音楽性を徹底的に突き詰められるバンドはそうはいません。また、彼らもここまでやり切ったからこそ、次作以降、躊躇なくスラッシュ・メタル路線へと復帰することが出来たのではないかな、と。


OVERKILL - Necroshine ★★ (2014-07-05 01:12:12)

禍々しいアルバム・タイトルで何となく察しが付きましたが、今回もスラッシュ・メタル的な疾走感は抑え気味。曲によっては女性Voを取り入れて、強靭なグルーヴと、デス・メタルに通じるドスの効いたヘヴィネスとが渦を巻くヘヴィ・ロック路線に邁進している'99年発表の10thアルバム。
正直な話、当時はOVERKILLに対する興味が薄れ始めており、本作も「惰性で購入した感」バリバリでしたが、聴いてみるとこれが案外良い。というか前作『FROM UNDERGROUND AND BELOW』よりずっと楽しめました。
大きな理由としては、前2作を経て彼らがこの路線にこなれて来たこと。更に今回は①⑧を聴けば分かる通り、ブリッツのVoにハジけるようなキレが復活。「ウキャキャキャー!」とハイテンションにシャウト決めて違和感のない稀有なフロントマンっぷりには謹んで「スラッシュ・シーンのスティーヴン・タイラー」の称号を進呈したいぐらいですよ。
本編のクライマックスを締める⑨も、鋼の如く硬質で、キャッチーでノリ良く、そしてドラマティックな曲展開が併せ技で炸裂する名曲ですし、「よっしゃ。これはこれで有りですな!」と思わせてくれる1枚です。


OVERKILL - ReliXIV ★★ (2010-03-06 22:05:00)

90年代の迷走期を経て、21世紀に入ってからのOVERKILLは徐々に復活の兆しを見せつつあったが、
そのことを決定付けたのが'05年発表のこの14thアルバム・・・だったのかな。今にして思えば。
因みにアルバム・タイトルは「RELIC(遺産)」とローマ字数字の「14(XIV)」を掛けた造語なんだとか。
噛み付くように歌うボビー“ブリッツ"エルズワースのハイテンションなVo、「鉄球を転がすような」と
評されるDDヴァーニの極太B、そして硬質なリフの刻みから劇的なハーモニー・プレイまでメロディックに
こなすツインGとが一塊となり突き進む、剛直なOVERKILL流HMサウンドの旨みを保持しつつ、今回は重苦しい
ダークさが薄れ、良い意味で軽快さを増した音作り(プロデュースはバンド自身が担当)を手始めに、
カタルシスを伴った疾走感やキャッチーさといったスラッシュ・メタル的な要素が大幅回復を遂げており、
特に、重厚なイントロから爆走へと転じる①、挑みかかるような曲調とノリの良さ、それに劇的な曲展開を
併せ持った③(名曲!)、思わず体が反応するクールなグルーヴを備えた④、再びアクセルを限界まで
踏み込んだ高速スラッシュ・ソング⑤といった秀逸な楽曲が並ぶアルバム前半は、取り分け
そうしたテイストが色濃く感じられ、聴いてるとグイグイ引き込まれて行ってしまう。
「ボビー・ガスタフソン脱退以降のOVERKILLはどうも好きになれない」というオールド・ファンの方々も、
この作品辺りから聴き直してみるってのはいかがでしょうか。


OVERKILL - Taking Over ★★ (2006-12-02 02:10:00)

NY出身のベテラン・スラッシャー、'87年発表の2ndアルバム。
次作以降はメキメキと楽曲をビルドアップさせ、スラッシュ・メタル度を高めていく彼らだが、
本作の時点では、未だその音はスラッシュ・メタルの半歩手前。ストリートに根差した硬派なパワーメタルといった趣き。
D.D.バーニのBが中心となって生み出す「鋼の如き質感」が特徴的なスラッシーなスピード・チューン
①②⑧(押し出しの強いサビがカッコイイ)は既に健在なれど、ボビー“ブリッツ"エルズワースの歌う
雄々しい歌メロは、現在と違ってかなりメロディアスだし(シャウターとしては兎も角、
シンガーとしてのブリッツは過小評価されていると思う)、ボビー・ガスタフソンのGも、
元々メロディックなプレイを得意としていたとはいえ、ここでは更に正統派テイストの色濃いソロを披露。
結果として、スピード・チューン以上に印象的な③⑥⑦といったミッド・チューン、そして全てを
兼ね備えた名曲⑨は、ヨーロピアンHMばりの劇的な盛り上がりを聴かせてくれることに。
それでいて、過剰な大仰さや臭みを感じさせない辺りは流石OVERKILL。クールな都会派の面目躍如といったところか。
まだまだ発展途上の段階とは言え、上り調子のバンドの勢いが如実に反映された力作。


OVERKILL - The Electric Age ★★★ (2012-04-22 08:15:59)

噛み付くように捲くし立てるブリッツのハイテンションなVo、野太い音色で存在感を主張するD.D.のB、ボビー・ガスタフソンの幻影を消し飛ばす名演連発のデイヴ・リンクスと、バキバキにビルドアップされたリフを刻むデレク・テイラーのGコンビ、それにコンクリの如き硬質なリズムを鼓膜に叩きつけてくるロン・リップニッキのDs・・・といった具合に、百戦錬磨の猛者達が隊列組んで織り成す、鋼の如き強靭さとハッチャけた炸裂感を伴ったパワー・サウンドのド迫力に、ただただ黙って平伏する'12年発表の16thアルバム。
スピーディ/アグレッシブ/ダイナミックの三拍子揃った名曲①で幕が開く本編は、ここ数作で提示された現行OVERKILLの作法に則った作風を実直に継承しつつ、OPナンバーからして早くもIRON MAIDENを思わせる勇壮な(ライブ映えしそうな)シンガロング・パートを導入。メロディアスなGソロの練り具合といい、重厚感より俊敏なフットワークやドラマ性重視の曲展開といい、今作は全体的にオーセンティックなHM成分が増量されている印象が無きにしも非ず。中でも切れ味鋭く突っ走るスピード・メタル風味の⑤は、メタル者ならハート鷲掴みのキラー・チューンですよ。
キャッチーなノリの良さとヘヴィ・メタリックなダイナミズムが同居した②、パンキッシュな③、アルバム随一の劇的さを誇る⑥、ハイテンションなスラッシュ・ソング⑨に、穏やかなイントロから激烈なスパートへと転じてラストを締める⑩・・・といった王者の風格漂う名曲の数々を聴くにつけ、OVERKILLが今後10年は余裕でスラッシュ・シーンの頂点に君臨し続けるであろうことを確信させられる1枚。