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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4301-4400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4301-4400
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PARIAH - The Kindred ★★ (2007-10-30 20:12:00)

英国にて70年代末から、SATAN~BLIND FURY、そしてまたSATANと、メンバー・チェンジに泣かされつつも、改名を繰り返しながら
活動を続けてきたスティーヴ・ラムゼイ(G)が、心機一転を図るべくバンド名をPARIAHと改め、'88年に発表した1stアルバム。
後期SATANは、ポップ路線にも目配せの感じられる作風だったが、本作ではそうしたポップ色は一掃され、
スピーディに疾走するリズムに乗って、如何にもイギリス的な暗い湿り気を帯びたリフが荒々しく刻まれ、
マイケル・ジャクソン(Vo)が鋭角的なシャウトを響かせる・・・といった具合に、NWOBHM期のSATANを、
更にアグレッシブにしたかのような、スラッシュ・メタル・サウンドが展開されている。
楽曲の構築美やメロディの魅力に関しては、'89年発表の2nd『BLAZE OF OBSCURITY』に一歩譲るものの、
曲中を縦横無尽に動き回るスティーヴ・ラムゼイと、彼と学生時代から行動を共にする盟友ラス・ティッピンズが
華麗に織り成すツイン・リードGは既に健在だし、何より、スラッシーなカッコ良さにかけては、こちらの方が上。
特に、急かされる様に疾走する②、緩急の効いた劇的な構成が光る③、インスト曲⑤を経て、
印象的なツインGをフィーチュアして突っ走る⑥、ドラマチックな導入部を備えた⑨といった楽曲は、
スラッシュ・メタルの攻撃力と、ベテランらしい巧みなメロディ使いが組み合わさった、技ありの名曲群。
これだけ優れた作品を作りながらも、メタル衰退の著しい英国では活動も思うようにならず、結局、3rd発表後に
バンドを解散させたスティーヴは、今度はSABBATを脱退したマーティン・ウォルキーアと組んで
SKYCLADを始動させる事になる・・・のだが、それはまた別のお話。


PARIAH - The Kindred - Scapegoat ★★★ (2007-10-31 05:52:09)

スラッシーな疾走感を基調としつつも、
そこにドラマチックな曲展開とツインG(ハモリっぷりが良い)を
フィーチュアして、6分以上をダレることなく聴かせ切る名曲。
個人的には1stアルバムのハイライト・チューン。


PASTORE (2012-05-13 09:17:12)

スラッシュ・メタル・バンドACID STORMでキャリアをスタートし、ブラジル人ドラマーのエレノ・ヴァーリ企画のメタル・オペラ・プロジェクト、SOULSPELLに参加した事で知名度を高めた実力派シンガー、マリオ・パストーレが、「自分の得意とする方向性を追求する」ことを基本コンセプトに、ACID STORM時代の同僚ファビオ・ブィットヴィダス(Ds)、マリオのボーカル教室の生徒だったラファエル・ガザル(G)らと共に'07年に立ち上げたバンド。
'10年に発表したデビュー作『THE PRICE FOR THE HUMAN SINS』はブラジルで大ヒットとなり、これを追風に、正式メンバーとしてアレックス・ガルッチ(B)を加えてライブ活動を活発化させる等、バンドとしての基盤を整えた彼らは'12年には2nd『THE END OF OUR FLAMES』をリリース。デビュー作の作風を受け継ぐストロングな正統派HMサウンドが詰め込まれたこのアルバムもHR/HMシーンにおいて好意的な評価を受けている。


PASTORE - THE END OF OUR FLAMES ★★ (2012-05-14 07:10:57)

デビュー作が各所で高評価を受けたことをモチベーションに変え、遅咲きのブラジル人シンガー、マリオ・パストーレ率いるPASTOREが'12年に発表した2ndアルバム。
現代的なアグレッションも加味されたJUDAS PRIEST直系の正統派HMサウンドという、前作で披露した音楽的立ち位置は守りつつ、ロブ・ハルフォードやブルース・ディッキンソンといった先人たちからの影響を糧とするパワフルなハイトーンVoに益々磨きを掛けたマリオの骨太な歌唱を筆頭に、強靭なビートを叩き出すリズム・セクション、そしてリフからソロまで劇的にこなすラファエル・ガザルのGプレイ等、そのパフォーマンスには更なる説得力が付与。これはバンド形態が整えられ、ライブの経験を積んだ事でメンバー間のコンビネーションが一層密になったことの賜物と思われ、アルバムOPナンバー①なんてHR/HM好きなら胸躍らされずにはいられないカッコ良さに満ち溢れた名曲ですよ。
ただ、剛直なのは大変結構なのですが、もう少しキャッチーな部分が欲しい・・・という点も前作同様で、序盤の興奮は後半へ聴き進むに従って尻すぼみになってしまうのが、個人的には勿体なく感じられたりも。
まぁ、でもこの辺りは好みの問題でしょうか。良く出来た作品である事は疑う余地はありません。


PASTORE - THE END OF OUR FLAMES - BRUTAL STORM ★★★ (2012-05-15 07:03:42)

2ndアルバムのOPナンバーにして
JUDAS PRIEST+IRON MAIDEN(というか
ロイZと作ったブルースのソロ作の方が近い)的な
PASTORE屈指の名曲。
劇的なイントロだけで完全に掴まれてしまいますね。


PASTORE - THE END OF OUR FLAMES - NIGHT AND DAY ★★ (2012-05-15 07:09:35)

重心を低く押し出してくるようなパワー・チューン。
攻撃的な曲の中で劇的に閃く、ツインG風のアレンジを加えて、
印象的なフレーズを奏でるラファエル・ガザルのGプレイが
光る1曲。


PASTORE - THE END OF OUR FLAMES - THE END OF OUR FLAMES ★★ (2012-05-15 07:06:55)

JUDAS PRIESTの『PAINKILLER』からの影響が
強く感じられた前作に比べ、本作はIRON MAIDEN
・・・というかブルース・ディッキンソンの
ソロ作からの影響もそこここで感じられ、
このアグレッシブな疾走曲におけるマリオ・パストーレの
雄々しい歌声は、ロブ・ハルフォードのみならず
ブルースを思わせる場面もちらほら。


PASTORE - THE PRICE FOR THE HUMAN SINS ★★ (2012-05-13 08:12:10)

オペラも歌える実力派シンガー、マリオ・パストーレ率いるバンド――というかこの時点ではプロジェクト――が'10年に発表したデビュー作。
BURRN!!誌では90点台の高得点を叩き出す等、『PINKILLER』を発表した頃のJUDAS PRIESTを思わせる骨太で劇的な正統派HMサウンドがここ日本でも高く評価された本作。特筆すべきはやはりマリオ・パストーレの堂々たる歌いっぷりで、若き日のロブ・ハルフォードとブルース・ディッキンソンを足して2で割ったようなパワフルなハイトーンVoは、聴く者のメタル魂をビンビンに刺激してくれます。
JPの『PAINKILLER』といえば、アグレッシブで押しの強いA面よりも、劇的でメロディアスな楽曲が並んだB面サイドをより愛聴している身としては、本作は全体的に肩に力が入り過ぎていて、Voの素晴しさに比べ収録楽曲に(特にメロディに関して)弱さを感じる場面が無きにしも非ずなのですが、とは言え、OPナンバーに相応しい猛々しさで迫り来る①や、ラファエル・ガザル(G)のセンス溢れるGプレイも光るヘヴィ・チューン③、劇的に疾走する⑨、ボートラ扱いなのが勿体ない⑫といった楽曲を聴けば、このバンドが秘めるポテンシャルの高さは十二分に伝わってきます。
特にアコギに導かれてスタートし、ドラマティックに盛り上がっていく⑦は、激情を吐き出すマリオ入魂の熱唱に心震わされること必至の名バラードですよ。


PASTORE - THE PRICE FOR THE HUMAN SINS - HORIZONS ★★★ (2012-05-13 20:45:58)

ピアノとアコギを用いたメロウな前半から
バンド・サウンドが加わって劇的に盛り上がる後半まで
悲壮な雰囲気に貫かれたパワー・バラードの逸品。
マリオ・パストーレのエモーショナルな歌いっぷりも
見事で、個人的にはアルバムで一番好きな曲です。


PASTORE - THE PRICE FOR THE HUMAN SINS - OUT OF CONTROL ★★ (2012-05-13 20:48:57)

日本盤のみのボーナス・トラックですが、
それが勿体ないぐらいの秀曲。
アルバム自体は『PAINKILLER』を発表した頃の
JUDAS PRIESTや、ロイZと組んだブルース・ディッキンソンの
ソロ作からの影響が感じられる作風で統一されていますが
この曲のみは80年代のJP/IMスタイル。


PASTORE - THE PRICE FOR THE HUMAN SINS - THE PRICE FOR THE HUMAN SINS ★★★ (2012-05-13 20:43:59)

1stアルバム表題曲兼OPナンバー。
『PAINKILLER』を彷彿とさせるアグレッシブ且つ
ストロングなパワー・チューンですが、
そう思えるのはちゃんとロブ・ハルフォードばりに
歌える実力派Voがいるからこそ。


PAT TRAVERS - Live!go for What You Know ★★★ (2018-02-14 23:40:28)

その昔、《ギター戦士》ことパット・トラヴァースの名前は知ってても音を聴いたことはなかった頃、「入門盤にはコイツがお薦め」と教えて頂き、購入した'79年発表のライブ盤。
初めて耳にした当初は、序盤のファンキーなノリにイマイチ入り込めなかったことを告白しておきますが、軽妙なMCで観客から爆発的な大合唱を引き出す③で「おっ」と思わされると、パット・トラヴァースとパット・スロールのツインGがユニゾンしながら泣きまくる劇的な④で完全にハートを鷲掴みにされ、後はダイナミックに畳み込んで来る後半戦まで一気一気。「微妙」とかほざいた序盤の雰囲気も、今じゃ大好物ですよ。
WパットのGが唸りを上げ(トラヴァースのVoも熱い)、緩急自在のトミー・アルドリッジ(Ds)、キャラ立ちまくりのGとDsの接着剤役を担いつつ、テクニカルなフレーズでサウンドの緊張感を保つマーズ・コウリング(B)と、メンバーはジャズ/ファンクの素養を持つ腕利き揃いな上、NWOBHM元年のイギリスにて録音された本作には、今まさに絶頂期に向かって駆け上がらんとするPAT TRAVERS BANDのライブの熱気と、HRがやがてHMへと行き着く過渡期のエネルギーが生々しく封じ込められています。
一筋縄では行かないグルーヴと曲展開が炸裂する楽曲が、阿吽の呼吸でスリリング且つテンション高く紡ぎ出され、大仕掛けや綿密な構築感よりも裸一貫のダイナミズム、しかめっ面よりも演者の笑顔がハジけるアッパーなノリの良さに貫かれたライブは、そりゃこんだけ楽しければ人気も出ますわなぁと。
ともあれ、スタジオ・バージョン以上のエモーションが迸る名曲④を聴くためだけにでも購入して損はない1枚かと。


PAT TRAVERS - Makin' Magic - Stevie ★★★ (2018-02-15 00:46:04)

パット・トラヴァース屈指の名バラード。
エモーショナルな泣きに関してはライブ・バージョンに
軍配が上がりますが、スタジオ・バージョンだって
素晴らしさでは引けを取りません。KEYが効いてます。
確かこの時期のドラマーは後にIRON MAIDENに加入する
ニコ・マクブレイン。曲終盤で強烈なハイトーンを
響かせているのはゲスト参加のグレン・ヒューズではなかったか。


PAUL DI'ANNO - The Worlds First Iron Man ★★ (2022-12-20 01:54:40)

IRON MAIDENフロントマンとして過ごした日々は遠くへと去り、’12年には保険金や補助金の不正受給がバレ逮捕されてしまい9ヵ月間臭い飯を食う等、『ザ・ノンフィクション』の登場人物ばりに塩辛い人生を送る男、ポール・ディアノ。そんなメタル界隈随一、中孝介の“サンサーラ”が似合う男が'96年に個人名義で発表したソロ・アルバムがこちら。
アルバム・タイトルが『~IRON MAN』だったり、今回もIRON MAIDENの楽曲(ライブ音源)が収録されていたりして「擦るなぁ」と苦笑を誘われますが、意外にも本編にメイデン色は希薄。いや希薄というか1曲目がいきなりジェームズ・ブラウンの“LIVING IN AMERICA”、更にWILDCHERRYの“PLAY THAT FUNKY MUSIC”とドファンクなカヴァー2曲が頭から続いた時は、買うCD間違ったかとジャケを二度見してしまいましたよ。
序盤3曲を聴いた時点じゃ「ポール殿ご乱心」を疑いたくなる本作でしたが、キャッチーなコーラス・ワークと、ギターが奏でる憂いを帯びたメロディの取り合わせが印象的な④以降は徐々に欧州風味も強まっていき、洗練すら感じさせるメロハー⑤、軽快に疾駆する⑨、そして最後には、これは掛け値なしの名曲!と太鼓判を押せるドラマティックな⑩も登場しますんでご安心を。また落ち着いてから序盤を聴き直すと、ロックンロール系の楽曲もポールのラフな声質には合っていて「これはこれであり」と案外違和感なく聴けてしまうんですよ。
色々と藻掻いていた90年代のポールの試行錯誤がガッツリ刻まれていますが、メイデン時代の遺産を擦り倒すよりはずっと好感度が高い1枚。メイデン・サイドの援助もあって長年の懸案だった膝の手術も受けられたそうで、今後の御大の人生に幸多からんことを。


PAUL DI'ANNO - The Worlds First Iron Man - Show Some Emotion ★★★ (2022-12-21 00:40:54)

神秘的なピアノのイントロだけで名曲の気配が漂ってきますが
ドラマティックな曲調はその期待を裏切りません。
ディアノの熱唱もベテラン・シンガーの凄味をしっかりと伝えてくれますよ。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back ★★★ (2016-09-03 09:19:35)

正直に告白すると、ポール・ディアノって昔はあんま好きじゃなかったんですよ。バンドを結成しても長続きせず、メンバーも定着しない人望のなさとか(身につまされるなぁ)、その時その時の音楽的流行にすり寄って行く節操のなさとか、IRON MAIDEN時代の遺産への依存体質とか。ついでに、やたら「メイデンはディアノ時代で終わった」と強弁してくる知り合いの存在にも、そうした苦手意識に拍車を掛けられましてね。
しかし年食うと、この人の立ち回りのヘタクソな生き様が段々と沁みてくるのだから不思議なものでして。更にナイス・タイミングでBATTLEZONEのアルバムが再発されることを教えて頂いたので、ものは試しと’86年発表の本1stアルバムを購入してみたらば、自身在籍期のIRON MAIDENに、スラッシュ・メタルばりの突進力を注入したようなパワーメタル・サウンドが「おお、イカしてるじゃあないか!」と。
ラフなプロダクション下、メイン・ソングライターでもあったジョン・ハーレイのアグレッシブなGと、シド・ファルクのブッ叩きドラミング、そしてポールの吐き捨て型Voとが見事な合致をみたスピード・ナンバー③の迫力は当然のこととして、個人的にグッと来たのは、大仰な邦題を冠された7分越えの大作ナンバー⑤、バラード風に始まり後半は激しく畳み掛ける⑥、RAINBOWの“LOST IN HOLLYWOOD”をIRON MAIDENがカヴァーしたようなノリの⑧といった、劇的且つメロディアスな楽曲。決して器用なタイプのシンガーではないポールの全力投球な熱唱ぶりがメタル・ハートにズドンと響きましたよ。
この路線が長続きしてればなぁ…と、つくづく惜しく思う1枚。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back - The Land God Gave to Caine ★★★ (2016-09-04 22:59:04)

7分以上に及ぶ長尺に、重厚な曲展開と、
“神より賜りしカインの聖域”という邦題が
決してこけ脅しには響かない逸品。
シアトリカルなポールのVoも楽曲に備わった
ドラマ性をより一層引き立ててくれていますよ。


PAUL LAINE - Stick It In Your Ear ★★★ (2022-12-13 01:38:53)

カナダ出身の才能豊かなシンガー/ソングライター、ポール・レインが、ブルース・フェアバーン・プロデュースのもと’89年に発表した1stソロ・アルバム。
それにしても国内盤のジャケットはちょっと酷過ぎやしませんかね。インディーズのパンク・バンドならまだしも、ポールのハスキー・ボイスを軸に、フックの効いたメロディと分厚いハーモニーがモリモリに盛られた「カナダのBON JOVI」的サウンドが託された本作に対して「よっしゃ、このジャケデザインで勝負だ!」と思えた担当者は一体どういう了見の持ち主だったのか?と。
あとOPナンバー①が7分以上ある大作の割にフックに乏しく、のっけでカマしてやろうとした挙句滑っている感があるのですが、一方で素直にBON JOVI路線を演ってくれている2曲目以降は一騎当千の逸品が揃っております。様々なアイデアを盛り込んでキャッチーにまとめ上げた②、パワー・バラードのお手本のようなメロディ展開が感動を呼ぶ④、80年代にありがちな曲名からして心浮き立つ⑤、乾いた哀愁を湛えてワイルドにロックする⑨…。中でも特筆すべきは、Gのケニー・ケイオス(POKERFACEやTHE DISTANCEも良かったですね)が奏でるイントロだけで一気に惹き込まれてしまう名曲③でして、心洗われるこの美しいサビメロはメロハー愛好家なら一度はお聴き頂きたい素晴らしさですよ。
そして、ポール・レインは今もBON JOVI路線の楽曲で才能を存分に振るって活躍してくれているので、良かった良かった。DANGER DANGER、THE DEFIANTSの諸作が気に入った方なら必ずや本作もツボにハマる筈なので是非チェックを。つか国内盤の再発が先か。


PAUL LAINE - Stick It In Your Ear - Dorianna ★★★ (2022-12-13 23:49:24)

キャッチーなメロディと美しいハーモニーにくるまれて
爽やかな哀愁を発散するハードポップの名曲。
ポール・レインの力感溢れる歌声もさることながら
後にPOKERFACEやTHE DISTANCEで活躍する
ケニー・ケイオスのよく歌うギターも楽曲の
魅力を底上げしてくれています。


PAUL RAYMOND PROJECT - Under the Rising Sun ★★ (2015-06-06 01:17:27)

「神(マイケル・シェンカー)の指を折った男」との勇名を馳せる(恐らく風評被害ですが)UFOのKey奏者ポール・レイモンドが、中間英明(G)や、MARINOの大谷令文(G)、LOUDNESSの山下昌良(G)、あと当時日本在住だったらしいANGELのフランク・ディミノ(Vo)らと共に日本でレコーディングを行い、'89年に発表した6曲入りEP。
「Key煩過ぎ」「音悪過ぎ」「ポール歌ヘタ過ぎ」と雑誌のレビューじゃケチョンケチョンでしたが、チープなプロダクションと弱々しいポールのVoに関してはともかく、Key奏者のソロ作なんだから目立ちまくるぐらいは良いじゃないさ、と。特に②なんて、楽曲の基軸を担うKeyと、中間英明のテクニカルなGプレイとが相俟って、どことなく初期EUROPEを思わす佳曲。(まぁ折角の出来栄えもポール自身のVoで猛烈に腰折られてんすけどね)
他にも、猛烈な「気」を放つレイヴンのGソロが華を添えるOPナンバー①やバラード⑤、下北沢に捧げられた(?)⑥等、日本人ミュージシャン達の技量にも助けられ、作品としてはそれなりのクオリティを提示。何より演ってる当人たちが楽しそうなので、こっちもそのお祭り気分に当てられてしまいます。
「遊びで作ったとした思えない作品」との批判はごもっとも。でもそう目くじら立てんで、ズッコケ部分も含め「そこが良いんじゃない」ぐらいのノリで楽しみたい1枚。


PAUL RODGERS - Cut Loose ★★★ (2021-05-20 00:04:09)

人間関係の悪化により6th『ROUGH DIAMONDS』を最後にBAD COMPANYから脱退したポール・ロジャースが、歌は勿論のこと、プロデュースから作詞作曲、そして全ての楽器を自ら担当して作り上げた、文字通りの「ソロ」アルバム(’83年発表)。ちなみにこの時期のレコーディング・セッションが切っ掛けでジミー・ペイジと親交を深め、後のTHE FIRM結成へと繋がっていくこととなるのですが、それはまた別のお話。
権利関係が複雑なのか何なのかわかりませんが、日本ではリリース当時LPが発売されたきりでその後はCD化の機会にも恵まれず、長らく廃盤のまま放置プレイ状態が続いている扱いの悪さな本作ですが、内容はメチャ強力。
ジャケットを飾るこざっぱりとしたポールの立ち姿が物語る通り、余計な装飾を省き、シンプルかつ骨太に押し出して来るブルージーなロック・サウンドは、熱気溢れるロックンロール・ナンバーからエモーショナルなバラード、そして本来ならBAD COMPANYのアルバムに収録される予定だったという楽曲に至るまで、ポールの燻し銀の熱唱に、トシちゃんばりにハッとして!GOODとなる優れた逸品が並んでいます(その辺はご本人作曲だから心得たもの)。特に、後年THE FIRMでもリメイクされた哀愁のバラード③や、ムーディに奏でられるピアノが効果的な⑤⑧といった抒情メロディに彩られたスロー・ナンバーの出来栄えは絶品ですよ。
個人的にはBAD COMPANY時代の名盤群と比較しても決して聴き劣りしない隠れた名盤だと思うのですが、いかがでしょうか。ぼちぼち国内盤の再発をお願い致します。


PAUL RODGERS - Cut Loose - Live in Peace ★★★ (2021-05-20 23:32:43)

重く、抒情的に揺らめく曲調にポールの熱唱が絡む、
後にTHE FIRMでもリメイクされた名曲。
ピアノとギターをフィーチュアして徐々に温度を上げながら
盛り上がっていく後半を聴いていると
BAD COMPANY時代の名曲“RUN WITH THE PACK”を思い出したりも。


PAUL RODGERS - Cut Loose - Rising Sun ★★★ (2021-05-20 23:38:48)

ピアノをバックに切々と歌い上げられるエモーショナルなバラード。
歌詞からすると、ポールの奥さん(日本人)に捧げられている楽曲なのかな?と。


PAUL RODGERS - Now ★★ (2010-02-13 16:54:00)

ガッツとグルーヴと哀愁を兼ね備えた粒よりの楽曲を、熱く歌い上げるポール・ロジャースの極上の歌唱を聴くにつけ、
「やはり凄い人だなぁ」と、その実力派シンガーっぷりをしみじみ実感させられる、'96年発表の3rdソロ・アルバム。
勿論、これ以前にFREEやBAD COMPANYも聴いていたわけだけど、やはり後追いではなくリアルタイムで聴く、しかも
「レコーディング:LIVE!」との誇らしげなクレジット通り、まるで本人が目の前で歌っているかの如く
生々しく臨場感たっぷりに録られた、ポール・ロジャースの熱唱の威力は格別なもの有り。
特に本作は、濃厚な泣きを発散する名曲⑨⑪を筆頭に、ピッチの正確さ以上に、間合い、節回し、
感情表現といったスキルが要求されるタイプの楽曲が揃っているため、その上手さが際立つ際立つ。
ラフな服装でマイクに向かうポール・ロジャースの勇姿を捉えたシンプルなジャケット・アートワークが
端的に示す通り、虚飾を排した骨太な作風が魅力の1枚。ポール・ロジャース入門篇にどうぞ。
(ちなみに一部楽曲には、JOURNEYのニール・ショーンが曲作りに参加しとります)


PAUL RODGERS - Now - I Lost It All ★★★ (2010-02-13 19:35:26)

咽び泣くジェフ・ホワイトホーンのGと
タメの効いたビートを叩き出すリズム隊をバックに
入魂の熱唱っぷりを披露してくれるポール・ロジャースに
ただただ平伏するバラードの名曲。
上手い。上手すぎる。十万石ま


PAUL RODGERS - Now - Nights Like This ★★★ (2010-02-13 19:43:48)

『NOW』の中では、比較的産業ロック寄りの
大衆性が魅力と言えそうな、
肩の力を抜いて哀愁のメロディに酔える叙情ナンバー。
こうした楽曲でもポール・ロジャースの歌声は魅力的だし、
ジェフ・ホワイトホーンのGも良い仕事してくれてます。


PAUL SHORTINO - Chasing My Dream ★★★ (2022-09-13 00:07:21)

ROUGH CUTTのフロントマンとして人気を博した男、ポール・ショーティノ。ROUGH CUTTのことは好きでも彼のソロ・キャリアまではフォローしていなかったのですが、若井望と組んで制作した新作が好評を呼んでると聞き及び、「そういえばポールのソロ、1枚だけ持ってたな」とCD棚を漁って引っ張り出してきたのが本作。'09年に、日本盤は今は亡きサウンドホリックからリリースされた――多分3枚目ぐらい?のソロ・アルバムです。
ポール・ショーティノといえば、その歌ウマぶりと共に「ブルージー」というキーワードが付いて回る印象で、彼を語る上で欠かせない要素でありつつも「渋めなのか、じゃあパスで」と若干リスナーの敷居を高くしている印象が無きにしも非ず。
しかし本作に関しては、プロデューサー業や、MAD MAX、CASANOVA等での活動で知られるマイケル・ヴォスを曲作りのパートナーに起用して制作されていることもあってか(レコーディングにはMAD MAX、JADED HEARTのメンバーも参加)、重厚に立ち上がるOPナンバー①を手始めに、アコギ/ピアノを活かした抒情バラード④⑫、大陸的な解放感を漂わす⑦、ヘヴィ・メタリックな疾走パートも組み込んだ⑨、爽やかな⑪等々…本編にはバラエティ豊かな楽曲が集い、モダンなアレンジも施されたサウンドは、全体的に哀愁は漂えどもブルージーな色合いは控えめな仕上がり。つっても当然皆無な筈はなく、特にポールのソウルフルな熱唱を得て熱くダイナミックに盛り上がる⑧なんて、アルバムのハイライトというべき強烈な気を放っているわけですが。
今となっては忘れられている感もある一作ですが、クオリティは高いですよ。


PAUL SHORTINO - Chasing My Dream - Chasing My Dream ★★★ (2022-09-14 00:39:12)

Keyも効果的に交え、タメを効かせて重厚に盛り上がる
アルバム表題曲にして本編のハイライト・ナンバー。
歌が下手だとサマにならないこと夥しい高難易度の曲調を
パワフルかつエモーショナルに熱唱するポール・ショーティノの
実力派シンガーぶりに痺れます。


PAVLOV'S DOG - At the Sound of the Bell ★★ (2010-01-03 10:03:00)

バンドの創設メンバーでもあったマイク・サフロン(Ds)とジークフリート・カーヴァー(VIOLIN)が、
「売れるアルバム作り」を目論むレコード会社&マネージメントの策略によって追い出され、代わって、
元YES~KING CRIMOSNのビル・ブラッフォードをゲスト・ドラマーとして迎え制作、'76年に発表された2ndアルバム。
そんな経緯もあって、スリリングな楽器同士の絡みや、ドラマティックな曲展開といったプログレッシブ・ロック的な
要素が薄れ、シンプルにまとめられた楽曲からは、デヴィッド・サーカンプのVoをより前面に押し出した
穏やかな「歌物路線」へのシフト・チェンジが如実に感じ取れる。彼のVoにしても、以前のような鼓膜に
突き刺さる超音波ハイトーンは控えめで、全体的に無難にメロディを歌い上げているとの印象が強いが、
尤も、それでも相変わらず楽曲はハイクオリティな水準を維持しているし、何より、このバンドの生命線たる
「哀愁のメロディ」も——ややポップさが勝っているとは言え——ちゃんと健在。PAVLOV'S DOGにしか作り得ぬ、
美しくも儚い哀メロに彩られた①②はこのアルバムならではの名曲と言えるし、悲哀に満ちたサックスの音色が
堪らなく胸締め付ける劇的極まりない④、泣きまくるサーカンプの熱唱とマンドリンの旋律が涙腺を刺激する⑥、
そしてメロトロンをフィーチュアし、プログレッシブ・ロック然とした壮大さと盛り上がりっぷりでラストを締め括る
⑨といった珠玉の名曲の数々は、泣きメロ好きなら一度は聴いて頂たい!と、握り拳で熱弁奮いたくなる程のクオリティ。
一般的に「デビュー作ほどのインパクトはない」と評される機会の多い本作だが(実際、その通りだと思う)、
凡百のバンドとの格の違いを見せつける、この完成度の高さはやはり圧巻。


PAVLOV'S DOG - At the Sound of the Bell - Did You See Him Cry ★★★ (2010-01-03 10:27:44)

楽曲を幻想的に包み込むメロトロンの音色といい
スケールの大きさと緊迫感を伴った
力強くドラマティックな曲展開といい、
文句なしでプログレッシブ・ロック然とした仕上がりを
聴かせるアルバムのラスト・ナンバー。
それでも大作主義に走ることなく、5分半ぐらいの長さに
まとめちゃうのがこのバンドならでは。


PAVLOV'S DOG - At the Sound of the Bell - Gold Nuggets ★★★ (2010-01-03 10:20:17)

邦題は“金塊物語"
アコギのストロークからして「あぁPAVLOV'S DOGだなぁ」
と思わされる叙情ナンバー。
切なげに爪弾かれるマンドリンの音色に思わずホロリ。


PAVLOV'S DOG - At the Sound of the Bell - Valkerie ★★★ (2010-01-03 10:17:01)

邦題は“幻のヴァルキリー"
泣き泣きのデヴィッド・サーカンプのVoと
アンディ・マッケイ(ROXI MUSIC)によるサックス、
幻想的なメロトロン、そして無垢な
少年合唱団風コーラス(?)が楽曲の悲哀を増幅する
アルバム前半のハイライト的名曲。


PAVLOV'S DOG - Lost in America ★★ (2010-01-03 22:41:00)

3rdアルバムを制作しながら、レコード会社に契約を打ち切られた事で空中分解してしまったバンドを
デヴィッド・サーカンプ(Vo)とダグ・レイバーン(Key)が中心となって再編、'90年に、彼らの地元である
セントルイスのインディー・レーベルからリリースした4thアルバムがこれ。(邦題は『彷徨える大国』)
中途半端にプログレ時代の面影を引き摺ることなく、専任サックス奏者をメンバーに迎え入れ、曲によっては
お洒落な女性コーラスを取り入れる等、思い切り良く洗練されたAOR路線への方向転換が図られている本作。嘗てのような
強烈な「泣き」が影を潜めてしまった点は物足りないし、突出した名曲が収録されているわけでもないが、良質な
サウンド・プロダクションといい、統一感のある作風といい、トータルの完成度では前作を上回っている(ように思う)。
殊に、唯一無二の存在感を誇るVoだけでなく、サーカンプ御大のアコギの妙技も堪能できるアルバム表題曲①や、
華やかな③、産業ロックに通じる⑤⑥⑦等、サキソフォンの音色が物悲しくアーバンな雰囲気を演出する
ポップ・チューンの数々、そして、個人的に本編で最も愛して止まないバラード⑩といった楽曲は、個性的なVoに、
元来のメロディ・センスの良さと、曲作りの上手さが掛け合わさった事で生まれる、PAVLOV'S DOG印の名/佳曲ではないかと。
近年、またメンバーが再結集して活動中らしいが、だったら1度ぐらい来日してくれんもんかなぁ。


PAVLOV'S DOG - Lost in America - Brown Eyes ★★ (2010-01-04 00:00:44)

4thアルバムの中にあっては珍しくG主導で展開していく、
アルバムのラストを締め括る劇的なバラード。
70年代の面影を僅かなりとも留める1曲と言えるかも。


PAVLOV'S DOG - Lost in America - Don't Rain On Me ★★ (2010-01-03 23:49:57)

華やかなでソウルフルな女性コーラスを取り入れた
これまでのPAVLOV'S DOGにはなかったタイプの楽曲。
都会的な哀愁を演出するハーモニカとサックスの音色が
良いアクセントとなっていますね。


PAVLOV'S DOG - Lost in America - Lost in America ★★ (2010-01-03 23:46:14)

楽曲自体はサックスと女性コーラスをフィーチュアした
穏やかなメロディアス・ハード調ながら、
メロトロン風の音色のKeyとデヴィッド・サーカンプの
特徴的過ぎるVoがPAVLOV'S DOGとしての個性を
きっちりと主張している。


PAVLOV'S DOG - Lost in America - Pantomime ★★ (2010-01-03 23:53:52)

キャッチーながら、どこかやるせない悲哀が漂う叙情ナンバー。
これまたサキソフォンの良い仕事っぷりがキラリと光ります。


PAVLOV'S DOG - Lost in America - You & I ★★ (2010-01-03 23:56:38)

心地良く弾む曲調に、洗練された哀メロが絡む
産業ロック調の叙情ナンバー。
デヴィッド・サーカンプの歌声は、この手の楽曲を
歌わせると抜群の破壊力を発揮しますね。


PAVLOV'S DOG - Pampered Menial ★★ (2010-01-02 20:35:00)

好きな70年代HRバンドは山ほどあれど(と言っても、他人に胸張れる程の数を聴いてるわけではないですが)、
好きなアルバムは?と問われて真っ先に思い浮かぶのは、このPAVLOV'S DOGのデビュー作。
Key奏者2人に、ヴァイオリニストを含む7人編成の大所帯にも関わらず、メンバーの誰1人として無駄に遊んでる
奴がいないという、彼らの作品の中では最もプログレ色が強く感じられる1枚ながら、楽曲は
無意味な大作主義に走る事なくコンパクトにまとめられているし、その作風に小難しさは欠片もない。
取り分け、全編を豊かに彩り、聴く者から涙を搾り取る哀愁に満ちたメロディの威力は絶大極まりなく、優美なピアノの
イントロだけで一気に惹き込まれてしまう①や、“晩秋"という邦題通りの、味わい深い哀感を湛えた②の様なメロウさが
前面に押し出され楽曲、各楽器が狂騒を繰り広げるスリリングな③、ラストに鎮座まします劇的な⑨といった
プログレ・テイストが一際色濃い楽曲の数々、そして両者の魅力を兼ね備えた名曲中の名曲⑥の素晴しさはもはや芸術級。
これらの楽曲の魅力を一層引き立てるのが、微細なヴィブラートと強烈な「泣き」を伴うデヴィッド・サーカンプの
超音波ハイトーンVoで、よく「この声を受け入れられるかどうかが、このバンドを受け入れられるかどうかの分水嶺」
と評される彼の歌声だが、好き嫌いは兎も角、この超個性的なVoは一度体験してみる価値あり。
先日再発された紙ジャケ盤は、リマスターによって音質が一段とクリアになり、凝ったアレンジを施され丁寧に組み立てられた
楽曲の緻密さが、よりハッキリと伝わって来る様になっているので、既に旧盤を持ってる方も買い直す価値は大いにありかと。


PAVLOV'S DOG - Pampered Menial - Julia ★★★ (2010-01-02 20:42:38)

優美且つ深みある音色で奏でられる
イントロのピアノを聴いただけで
この曲はおろか、アルバム自体の完成度の高さをも
確信させられる、儚くも美しい哀愁に満ちた名曲。


PAVLOV'S DOG - Pampered Menial - Song Dance ★★★ (2010-01-02 20:49:44)

G、Key、ヴァイオリンが強烈に自己主張しまくり
まさにタイトル通りの狂騒を繰り広げられる。
凄まじいテンションと親しみ易い哀愁のメロディが
違和感なく同居した、このバンドの曲作りの
上手さが如実に表れた1曲。


PAVLOV'S DOG - Pampered Menial - Theme From Subway Sue ★★★ (2010-01-02 20:39:22)

“地下鉄のスーの詩"という邦題の意味はよう分からんが
とにかく凄いクオリティだ。
Voを含む全楽器が猛烈に泣きまくるクライマックスの
盛り上がりっぷりは、声を失うほどの素晴しさ。
何度聴いても泣けます。


PAVLOV'S DOG - Third ★★ (2010-01-03 19:35:00)

プログレ色をほぼ消し去り、更に楽曲をポップ且つシンプルにまとめ、JEFFERSON AIRPLANEのカヴァー曲③を収録する等、
レコード会社からのムチャ振りに応え続けたにも関わらず、最終的には「デヴィッド・サーカンプの声が時代遅れ」との
理不尽な理由で契約を打ち切られ、長らくお蔵入りの憂き目にあった3作目。(邦題は『セント・ルイスの猟犬』)
バンド解散後の'88年に、メンバー自身の手によってST LOUIS HOUNDS名義で発表され漸く陽の目をみた不遇の作品だが、
その完成度の高さは前2作と比べても何ら聴き劣りなし。そりゃまぁサウンド・プロダクションはそれなりな上、
デヴィッド・サーカンプのVoを中心に据え、シンプルにまとめられた歌物調の楽曲からは、最早デビュー当時の
ドラマティックなプログレ風味は殆ど感じ取れないが(⑧に僅かに薫る程度か?)、一聴して耳を奪われる哀愁の
メロディの湿り気には微塵の鈍りもないし、特に、全セクションが泣きまくるOPナンバー①は涙腺決壊必至の名曲。
また、エネルギッシュに盛り上がる②⑨や、ポップで爽やかな⑥といった楽曲を聴くにつけ実感させられるのが、
サーカンプのシンガーとしての能力の高さ。特異なハイトーンVoのみが注目されがちな御仁なれど、
基本的な歌唱能力の確かさ、分けても表現力の豊かさは凡百のシンガーにゃ及びも付かないレベル。
リマスター盤再発を期に初めて本作に触れましたが、こりゃPAVLOV'S DOGの名の下に発表されるに相応しい力作ですよ。


PAVLOV'S DOG - Third - It's All For You ★★ (2010-01-03 19:50:03)

スティーブ・スコフィーナ(G)がREO SPEEDWAGON在籍時代から
温めていたスロー・ナンバーで、彼自身がリードVoを担当。
メロトロンをフィーチュアし、後半ではプログレ風の
転調をみせるが、そのままフェードアウトで終わってしまう辺りが
この時点でのPAVLOV'S DOGの姿勢を如実に物語る。


PAVLOV'S DOG - Third - Only You ★★★ (2010-01-03 19:45:26)

Vo、G、ピアノ、メロトロンが泣きまくる涙目OPナンバー。
特に強力なのは、やはりデヴィッド・サーカンプの
細かいヴィブラートを伴ったVoの泣きっぷりでしょうか。


PAVLOV'S DOG - Third - Suicide ★★ (2010-01-03 19:55:05)

デヴィッド・サーカンプの熱唱が映える
哀愁のロック・チューン。
3分弱で終わってしまうのが何とも勿体ない。


PERFECT VIEW - Bushidō ★★★ (2023-11-10 00:14:59)

イタリア出身の5人組、PERFECT VIEWが大幅メンバー・チェンジを経て’23年に発表した4thアルバムは、リーダーのフランチェスコ“ジョー”カタルド(G)がリスペクトを捧げる「サムライの生き様」をテーマに据えたコンセプト・アルバム仕様となっております。その名も『BUSHIDO』!
パワー・メタル・バンドならともかく、彼らのようなAOR寄りのメロハー・サウンドを志向してきたバンドがこの手のコンセプト作品を作るのはかなり珍しいのではないでしょうか?なので、てっきり本編の方もメロパワ・メタル化しているものと思いきや、当然これまで以上に重厚感は増強しつつも、メロディを聴かせる作風はしっかりと継承された仕上がり。随所に和風旋律や日本語台詞、ナレーションが散りばめられた構成からは、手間暇かけた作り込みの跡が伺えますし、何よりコンセプトの構築に足元を掬われて、肝心の楽曲の練り込みが疎かになっていない点が好感度大。ゲストに招いたロビン・ベックと、新Voのダミアーノ・リビアンキがデュエットを披露する③や、タイトル通り勇ましく(かつ物悲しく)突き進む⑩なんてグッとくる名曲ですよ。
話の舞台は戦国時代っぽいんだけど登場人物の名前がコウジとケンジだったり、そもそもあの頃の武士道と『葉隠』的な武士道はだいぶ違うんじゃねえかなぁ?とか、台詞やナレーションに漂う微妙なヘタウマ感(決してカタコトではないんだけど)とか、珍品好きの食指をそそるホツレ感もあるにはあるにせよ、個人的にはそれもまた本作の魅力。
ドラマ『SHOGUN』もリメイクされるご時世ですし、是非お試し頂きたい1枚です。


PERSEFONE - Shin-Ken ★★★ (2010-08-04 21:41:00)

「宮本武蔵をネタにしたコンセプト・アルバム」という点に、珍品収集癖を刺激され購入した作品だったが、これが心打つメロディに、勇壮且つドラマティックな曲展開がギュウ詰め、珍奇な部分なんぞ微塵も見当たらない、文字通り『真剣』な力作に仕上がっていて、思わずバンドに土下座して謝りたくなってしまった次第。
国内盤帯には「シンフォニック・デス・メタル」と表記されているが、トミー・ハンセンが手掛けたクリアなプロダクションや、曲間にインストの小曲を配して全編を劇的に物語っていく手練手管、CACOPHONYのカヴァー⑮も難なくこなすツインG、それにプログレ・マインド漲るKey奏者を擁する編成からはアングラ臭は殆ど感じられず、寧ろ本作の場合、プログレッシブHMバンドが楽曲に一層のドラマ性や陰影、ダイナミズムを演出するために敢えてデス/スラッシュ・メタル的要素を導入している・・・と解釈した方がしっくり来るような?
特に、和音階、琴、ネオクラG、ハイテクKeyを伴ってスリリングに激走する②③⑧、Voが普通ならDREAM THEATER、SYMPHONY Xの楽曲としても立派に通用しそうな⑤、アグレッシブな前半と幽玄且つ壮大な後半の二部構成からなるアルバム表題曲⑪⑫といった楽曲は、デス・メタリックな攻撃性とプログレ・メタル的構築美が見事融合を果たした、この作品、そしてこのバンドならではの魅力を湛えた、テクニカル&ドラマティック極まりない名曲です。
BURRN!!辺りでは辛口の評価を受け(藤木記者が擁護してましたが)、サウンドホリックが会社を畳んだ影響で正当な評価を得る前に廃盤になってしまった不遇の作品ながら、このまま埋もれさすのは実に惜しい1枚。祈・再発。


PERSEFONE - Shin-Ken - Fall to Rise ★★★ (2010-08-05 22:53:50)

オリエンタルな雰囲気漂う序曲を経て、
和風のメロディ、琴(?)、ネオクラG、
攻めの姿勢を持ったKey、プログレHM的な構築美を湛えた
曲展開が目まぐるしく突っ走る、
3rdアルバムの魅力を判り易く提示する名曲。


PERSEFONE - Shin-Ken - Rage Stained Blade ★★ (2010-08-05 22:50:21)

歌詞のネタ元は「一乗寺下がり松の決闘」かな?
3rdアルバム随一のブルータル・チューンながら
どこか透明感を湛えた雰囲気がこのバンドならではの魅力。


PERSEFONE - Shin-Ken - The Endless Path ★★★ (2010-08-05 22:47:09)

複雑な曲展開やインスト・パートの凝りっぷりは
プログレ・メタル的だが、歯切れの良い疾走感と、
確固たるキャッチーさ、それに胸に染み入る
叙情メロディが楽曲に一本筋を通しているため難解さは皆無。
ディープなデス声、ブラック・メタル的シャウト、
そしてクリーンVoという三声の導入も効果的。


PESTILENCE - Testimony of the Ancients ★★★ (2007-07-11 22:49:00)

パトリック・マメリが中心となって結成された、オランダ出身のデス/スラッシュ・メタル・バンド、'91年発表の3rdアルバム。
曲間を繋ぐ短いSEや、インスト曲を合わせて全16曲収録という実験的な構成は、この作品がコンセプト・アルバム的な側面も持っているからか。因みにプロデュースを手掛けたのは、デス・メタルと言えば勿論この人、のスコット・バーンズ。(レコーディング場所も当然の如くMORRI SOUNDスタジオだ)
前作『CONSUMING IMPULSE』は、直線的な楽曲が揃ったストレートな作風のデス・メタル・アルバムだったが、前任Voの脱退によりトリオ編成となり、パトリック・マメリがGとVoを兼任する本作では、猛烈な疾走感はそのままによりテクニカルでプログレッシブな曲展開が聴かれるようになった。
特に、マメリとUTERWIJK(何て発音すんだ)のWパトリックが奏でる流麗極まりないツインG、CYNICからリクルートされた名手トニー・チョイによるテクニカルなB、そしてスペーシーな空間とスケール感を演出するシンセサイザーの大胆な導入は、楽曲のクオリティを飛躍的に向上。
中でも、荒々しいミドル・チューン③や、バイオレントに疾走する⑦、ドラマチックと表現して差し支えない曲展開が聴ける⑬、本編ラストをシャープに締め括る⑮を筆頭とする押しまくりの楽曲の中にあって、スッと「引く」ことで静と動、美醜の対比を描き出すインスト・パートのドラマ性の高さは、普段、デス・メタルに興味のないリスナーの耳をも惹き付ける強力な魅力を備えているように思う。
PESTILENCEのアルバムでは2nd『CONSUMING~』の人気が高いようだが、個人的には彼らの最高傑作には本作を推したい。


PESTILENCE - Testimony of the Ancients - Land of Tears ★★ (2007-11-25 21:13:06)

楽曲自体はストレートに疾走する
高速スラッシュ・チューンなのだが、
ブルータルな曲調とは正反対の繊細な「泣き」を発散して、
聴き手の胸を締め付けるGソロの威力が
とにかく半端じゃない。


PESTILENCE - Testimony of the Ancients - Presence of the Dead ★★★ (2007-11-25 20:59:21)

ストレートなデス/スラッシュ・メタル・バンドだった
PESTILENCEが大化けしたことを伝える名曲。
サビでGが奏でる勇壮なテーマ・メロディと、
幻想的な美しさを演出するKeyをフィーチュアした
インスト・パートの、何とドラマティックなことよ。


PESTILENCE - Testimony of the Ancients - Twisted Truth ★★ (2007-11-25 21:08:56)

ヘヴィでアグレッシブな曲調と好対照を描き出す、
美しい広がりを感じさせるインスト・パートの
ドラマティシズムが印象的なミドル・チューン。


PETE SANDBERG - Reflections ★★★ (2019-05-02 07:45:14)

ALIENをキャリアの出発点に(MADISONでも可)、以降、ソロからバンド形態、プロジェクト物に至るまで何でもござれ。数多くの作品制作に関わり、自慢の喉を提供してきたピート・サンドベリ(Vo)が、'04年に個人名義で発表した3枚目のアルバム。
同じくピート・サンドベリ名義で発表された『BACK IN BUISINESS』『PUSH』という前2作に対し、本作を中古盤屋等であまり見かけない気がするのは、やはりアコギのちピアノときどきストリングスといった塩梅で演奏にHR/HM色がほぼ皆無な楽器陣をバックに、ピートがリラックスした歌唱を気持ち良さげに乗っける穏やかでアコースティカルなサウンドに、ヘヴィ・メタリックなエキサイトメントが見当たらないせいか。
ALIEN時代のバラードのリメイクである②を含め、ある意味「バラード/スロー・ナンバーを集めた企画盤」的性格を持った作品ですが、だからこそ、女性Voとのデュエットをフィーチュアした抒情的な④、温もりを湛えたピアノとアコギがハートウォーミングな雰囲気を盛り上げる⑥等、甘くソウルフルな歌声が映える楽曲が揃った本作は、ピートのVoを純粋に堪能するのに打ってつけと言えるわけで。また和み系一辺倒で終わらず、本編後半には快活なビートを適度に効かせ、美しいハーモニーをまとって爽やかに弾む⑩のような名曲をさりげなく収録している辺りも心ニクイですよ。
メロディ愛好家なら押さえておいて損のない1枚。これ以降、ピート・サンドベリの活動ペースはかなり緩やかなものに変化していくこととなるのですが、それは本作の作風と関係があるのでしょうか?


PETE SANDBERG - Reflections - Wild Horses ★★★ (2019-05-06 08:44:11)

スロー/バラード系の楽曲が大半を占める本編中にあって
唯一ロックの息吹をかすかに感じる軽快なポップ・ロック・チューン。
尤も主体は飽くまでアコギや美しいハーモニー、
それにピート・サンドベリの甘い歌声であることに違いはありません。
爽やかでハートウォーミングな名曲。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything ★★★ (2018-03-09 00:08:22)

稀代のメロディ職人ジム・ピートリックが、80年代からキャリアを積みながら、これまで表舞台でスポットライトを浴びる機会にはあまり恵まれなかったベテラン・シンガー、マーク・シェラーを新たな相棒役に起用してレコーディングを行い、'15年に発表した作品。
バックを固めるのはPRIDE OF LIONSのメンバーや腕利きのセッションマンの方々で、曲作りは勿論ジム自身が担当。それだけで軽くK点越えの内容になることは確実であり、事実、陽光が雲を割って燦々と降り注ぐかの如き、ポジティブなフィールに貫かれたメロディアスHRナンバーの数々は、ジム先生にしか生み出し得ぬ匠の世界。そして、それを胸のすくようなハイトーンを駆使してパワフルに歌い上げる本作のもう一人の主役、マーク・シェラーの歌唱がこれまた素晴らしい。澱みのないクリアなVo(一説には5オクターブの音域を誇るという)がもたらす説得力は、改めてアメリカの音楽シーンの選手層の厚さに戦慄を覚えるレベルで、彼の歌声とジムの作曲術が組み合わさり生み出されたマジカルな収録曲は、聴いているだけで心の奥底から滾々とポジティブなエネルギーが湧き上がってきますよ。
アルバムの完成度の高さをOP一発で確信させられる①、軽やかに駆け抜ける②や、メロウな導入からテンポアップする④、高揚感に満ち溢れたフック満載の⑥、本編中最もハード・ロッキンな⑧等、全体に占める疾走ナンバーの割合の高さも、本作の爽快な味わいに大きく貢献しているのではないかと。ジム・ピートリック作品にハズレなし!
尚、そんな本作はともに'14年に死去した盟友ジミ・ジェイミソンと、ファーギー・フレデリクセンに捧げられています。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - Chance of a Lifetime ★★★ (2018-03-11 00:52:31)

言われてみれば確かにこの張りのある歌声は
デニス・デ・ヤングを彷彿とさせるものあり。
そんな見事なVoが、陽の光が曇り空を突き抜けて
地上に降り注ぐ光景を幻視してしまうような
(別に一発キメているわけではない)
ポジティブな躍動感に満ちた楽曲を歌うのですから
これで名曲にならないわけがない!という。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - Desperate in Love ★★★ (2018-03-11 00:41:01)

バラード調の導入部からテンポアップしていく
躍動感あふれるロック・ナンバー。
ピート・シェラーの胸のすくような歌声が
楽曲の放つ爽快感を引き立ててくれています。
ゲストVoとしてトビー・ヒッチコックも参加。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - The Dying of the Light ★★★ (2018-03-11 00:33:46)

聴く者を奮い立たせるような
ポジティブなエネルギーを振り撒きながら
軽やかに疾走するロック・チューン。
フックの効いたメロディを爽快に歌い上げる
ピート・シェラーのVoのみならず、
涼し気なピアノとジム・ピートリックが弾く
リードGも楽曲の良いアクセントになっています。


PHANTOM - Cyberchrist ★★ (2011-02-09 22:05:01)

活動後期にはNUCLEAR ASSAULTのアンソニー・ブラマンテ(G)も在籍していたNY出身の4人組(後にツインG編成の5人組となるも作品のリリースには至っていない)が、'93年に発表した3rdアルバム。
ザクザクと刻み目の粗いJUDAS PRIEST型Gリフと、パワフルに駆動するリズム隊の突進力が前面に押し出された、「バラード?眼中にねえよ!」と言わんばかりの硬派なサウンドは、まさに正統派アメリカン・パワー・メタル。
VICIOUS RUMORSやMETAL CHURCHといったバンドに相通じる魅力を放つ一方、ややフックに乏しく大味な部分も見え隠れするのだが、ファルコン・エディ(Vo)の天を突いて屹立するハイトーンと、リフ・ワークのみならず、ドラマティックにまとめられたソロ・パートにおいても冴えをみせるGがキッチリと楽曲に聴かせ所を構築しているため、退屈さを感じる場面は最小限に抑えられている。
特に、劇的に畳み掛けるリフ&リズムのコンビネーションと、ロブ・ハルフォードばりのスクリームからスタートするOPナンバー①は、メタル・ファンなら聴いておいて損のない名曲。また、ドスを効かせて突っ走る②⑥⑨⑩はPHANTOMというバンドの魅力を端的に指し示すパワー・ナンバーだし、“CYBERCHRIST”のタイトルに相応しい賛美歌調のメロディがドラマティックなアクセントとなっている④もユニークさが光る逸品です。
本作は日本のHR/HMファンからも好意的に評価され、後に1stや2ndなど過去作の国内盤再発も実現したのだが、バンドは結局これを最後に解散・・・。ファルコン・エディさんは今何をやってるんでしょうね?


PHANTOM - Dead or Alive ★★ (2015-08-17 23:40:46)

日本デビュー作となった3rd『CYBERCHRIST』('93年)が評判を呼んだことから、急遽国内盤の発売が実現した'86年発表のPHANTOMの1stアルバム。オリジナル盤は全8曲でしたが、日本盤はボーナストラックとして1曲追加し全9曲が収録されています。
流石は天下に名だたるNEW RENAISSANCE RECORDSからのリリースだけあってプロダクションのショボさは折り紙付き(たった1週間でレコーディングされたのだとか)。おまけに当時の彼らはバンドとしての陣容さえまともには整っていない状態だったそうで。
「JUDAS PRIEST影響下の疾走感溢れるパワー・メタル」というサウンド・スタイルは、既にしっかと見据えられていて頼もしい限りですが、正直なところ楽曲は少々地味。Keyソロもフィーチュアして疾走するアルバム表題曲①やドスの効いたミッド・チューン③等、収録曲はどれも十分水準レベルに達してはいるとは思うものの、いかんせん『CYBERCHRIST』を聴いた後だとパワー不足の感は拭い難く・・・。それでも方向性に迷いの感じられた次作『PHANTOM』よりは焦点が絞られていますし、ファルコン・エディ(Vo)もパワフルな歌いっぷりで早々に実力の片鱗をチラリ。
PHANTOM作品で真っ先に聴くべきが『CYBERCHRIST』であることに疑問を挟む余地はありませんが、御用とお急ぎでない方は本作の方にも寄ってらっしゃい聴いてらっしゃい、と。


PHANTOM - Phantom ★★ (2020-09-28 23:44:15)

念願叶って'87年に1st『DEAD OR ALIVE』でNEW RENAISSANCE REORDSからデビューを飾るも、(案の定と言うべきか)レーベル側は何のケアもしてくれず、無為に時間のみが経過。その間バンドは殆ど解散状態にあったようですが、残されたファルコン・エディ(Vo)とニール・サンデル(G)はデモテープ片手に新たなレコード会社探しに奔走。90年代に入ってようやくドイツのSHARK RECORDSとディールを成立させ陣容も整えると、'91年に本2ndアルバムを発表しました。
制作期間が必要以上に長引くと、しっかり煮詰まった傑作か、作り手の迷いを伺わせる内容かのどちらかに極端に振れることが多い気がするのですが、相変わらず正統派以外の何者でもないサウンドを追求しつつも、曲によっては明るいノリを伴い、そのせいかメロディにも少々フックを欠く楽曲がチラホラ見受けられる本作は、バンドの試行錯誤の跡がクッキリと顔を覗かせる、どちらかと言えば後者寄りの仕上がりかなぁと。
ただ、レーベルを替えたことで音質は確実に向上を遂げ、鮮烈なインパクトを放つファルコンのハイトーンVoも益々力強さを増しています。両者の迫力を組み合わせてパワフルに疾走するOPナンバー①なんて、JUDAS PRIEST直系パワー・メタルの旨みがギュッと凝縮された名曲じゃないですか。(後半を引き締めるアグレッシブな⑪もなかなかの出来栄え)
本作発表後もバンドを取り巻く状況は好転せず、オリジナル・メンバーのニールまでも去ってしまうこととなるPHANTOMでしたが、そこで一人残ったファルコンが踏ん張り、力作『CYBERCHRIST』で気を吐くことなるという。


PHANTOM - Phantom - Wolves at the Door ★★★ (2020-09-30 00:01:06)

イントロの堂々たるシャウト一発で場を攫う
ファルコンのハイトーンVoが強力ですが、
光沢を感じさせるGリフと重厚なリズムが
パワフルに押し出してくる楽曲自体がこれまたカッコイイ。
パワー・メタル化したJUDAS PRIESTといった趣きの名曲です。


PHANTOM'S OPERA - Following Dreams ★★★ (2015-03-01 10:33:13)

Key奏者のジャック・ヤング('08年に他界してたと知り驚いた)によって結成され、BON JOVIのティコ・トレースやアレック・ジョン・サッチ、PROPHETのディーン・ファザーノ、更にはSYMPHONY Xのマイケル・ロメオら著名なメンバーを輩出して来た「ニュージャージー州の虎の穴」ことPHANTOM'S OPERAが、'98年に発表した3rdアルバム。
ミカエル・アンダーソン風の甘口Vo、ブライアン・メイからの影響も露わにメロディアスに踊るG、カラフルで包容力に満ちたKey、それらによって生み出される、丸みを帯びて親しみ易い叙情メロディや、繊細にして壮麗なハーモニーを立体的に配置し、ドラマティックな曲展開に載せて聴かせてくれるサウンドは、完全に初期QUEEN路線。当時いち早く自分達のことを評価してくれた日本を意識してか、いきなり日本語詞によるメルヘンチックな序曲“AI TO YUME NO SEKAI”で幕が上がる構成(ラストを締める10分近い大作曲からも「ゴキゲンヨ~アリガト~♪」なる日本語が/笑)等もちょっとQUEENっぽいかも。
きっちりとHR/HM然としたエッジも効かせた楽曲はアメリカン・プログレ・ハード調の感触も宿していて、特に派手なドラム・フィルから始まる②、舞踏曲の如くステップ踏みたくなる③、LAST AUTUM'S DREAMが演りそうな北欧メロハー風の⑤、シアトリカル且つドラマティックに組み上げられた長編ナンバー⑫等は、このバンドの個性が明確に刻印された名曲です。
流石に70分近い収録時間だと途中でダレなくもないのですが、それでも本作が力作であることを疑う余地はありません。


PHENOMENA - Awakening ★★ (2021-10-25 23:45:31)

メルとトム(故人)のギャレー兄弟により立ち上げられ、80年代からアルバム・リリースを重ねて来たご長寿ロック・オペラ・プロジェクト、PHENOMENAが’12年にESCAPE RECORDSを通じて発表した6作目。
今回メル・ギャレーと共にプロデュースを手掛けているのは、スウェーデンからGYPSY ROSEを率いて遅咲きのデビューを飾って以降、再結成WHITE WOLFやマッツ・レヴィンとのDOGPOUND等、様々なバンド/プロジェクトでその名を見聞きするようになったマーティン・クロンルンド。参加ミュージシャンもレーベル人脈を活用してトビー・ヒッチコック、ロブ・モラッティ、ラルフ・シーパーズ、マイク・ディメオ、テリー・ブロック、ジェイムズ・クリスチャンetc…と初期3作に比べると明らかに代替わりが図られています。
それに合わせて音楽性もよりポップでメロディアスな方向に舵が切られており、とりわけトビー・ヒッチコックの伸びやかな歌声を生かしたポップなサビメロが耳を捉える②や、ロブ・モラッティが歌う爽やかな③等はPHENOMENAの新生面をアピールする名曲ではないかと。(曲名に相応しいパワフルさを有する⑧も良い曲)
顔触れにしろサウンドにしろ、英国臭が薄れてFRONTIERS RECORDS辺りがリリースしてもおかしくないごく普通のメロハー・プロジェクトになってしまった感も無きにしも非ずですが、とはいえ初期の方向性のままでは先細りは確実でしたし、何より楽曲が粒揃い。改めてアルバム・リリースを重ねていける体制を整えたメル・ギャレーとレーベルの選択は間違ってはいない…と納得できるだけのクオリティを有した1枚に仕上がっています。


PHENOMENA - Awakening - Reality ★★★ (2021-10-27 00:42:47)

ポップなサビメロを伸びやかに歌い上げるのは
トビー・ヒッチコックという人材の適材適所ぶりが
キラリと光るメロハー・チューン。
印象的なGソロで楽曲を盛り上げるのはマイク・スラマーです。


PHENOMENA - Dream Runner ★★ (2017-06-28 00:15:31)

メル&トムのギャレー兄弟によるロック・オペラ・プロジェクト、全三部作のうちの第2章にあたる’87年発表の2ndアルバム。
顔触れは、グレン・ヒューズ(Vo)やニール・マーレイ(B)といった前作参加組の他、ジョン・ウェットン(B)、スコット・ゴーハム(G)、レイ・ギラン(Vo)、マックス・ベーコン(Vo)etc.といった面々。また当時イギリスを拠点に活動中だったVOW WOWから、山本恭司(G)と新美俊宏(Ds)が参戦したことでも話題になりました。このが縁でニールがVOW WOWに加入したり、またウェットンが『V』にゲスト参加/楽曲提供を行うこととなったりと、様々な気になるトピックを有する作品だったにも関わらず、何故かこれまで聴いたことがなかったため、今年に入って国内盤がリマスター再発されたのは正しく僥倖。欲を言えば対訳を付けて頂ければ尚最高だったのですが…。
荘厳なイントロに胸が高鳴るOPナンバー①、その後に続く、哀愁漂わすキャッチーな②③で早くも宣言する通り、煌びやかなKeyを全面的にフィーチュアしたメロディックHRという基本スタイルは前作から継承する一方で、今回はより時代に即したポップなエッセンスも導入。コンセプト、楽曲、ミュージシャンの実力と三拍子揃った前作と比べてしまうと、全体的にミステリアスな雰囲気が薄く、SFホラーではなく別ジャンルのサントラを聴いているような気分に陥る作風に戸惑う部分もあったりしますが(だからこそ対訳が気になる)。
とは言え、グレンが歌うポップな⑤を始め、「歌モノのメロディックHR作品」としてのクオリティは折り紙付きゆえ、買って損のない名盤であることは保証致します。


PHENOMENA - Dream Runner - Hearts on Fire ★★★ (2017-06-28 22:59:34)

メロディがポップさを増した2ndアルバムの
新たな側面を象徴するようなハードポップ・ナンバー。
グレン・ヒューズの歌ウマっぷりを堪能するのにもってこい。
「超能力者たちを主人公にしたSFホラー」の
コンセプト・アルバムの筈なのですが
この曲調で一体どんなこと歌っているのか
非常に気になるところであります。


PHENOMENA - Dream Runner - Stop! ★★★ (2017-06-28 22:56:44)

OPナンバーにして、早くもアルバムのハイライトを飾らんとする名曲。
英国産HRらしい憂いに満ちたメロディ・ラインを力強く歌い上げる
レイ・ギランの熱唱が楽曲を一層ドラマティックに
盛り上げてくれています。山本恭司の粘っこいGプレイも良し。


PHENOMENA - Phenomena ★★★ (2017-06-12 23:13:24)

メルとトムのギャレー兄弟が音頭を取り立ち上げたHRプロジェクトが、'85年に発表した1stアルバム。『フューリー』とか『炎の少女チャーリー』を思い出す(?)「超能力者たちが繰り広げるホラー・タッチのSFストーリー」を有するコンセプト・アルバムであり(ポシャったけど映画化企画もあったのだとか)、全三部作構成の内の第一弾にあたる作品。
毎回豪華なゲスト勢が参加しているのも売りの一つで、本作にはグレン・ヒューズ(Vo)、コージー・パウエル(Ds)を始め、ニール・マーレイ(B)、テッド・マッケンナ(Ds)、ドン・エイリー(Key)ら腕利きミュージシャンが集結。…と言っても、音作りがソフティケイトされているため個人技は然程目立っていません。壮大且つ抒情的なサウンド面において中心的役割を担うのは、曲作りも手掛けるリチャード・ベイリー(元MAGNUM)のスペーシーで煌びやかなKeyワークや、歌神グレンの実に伸びやかなVoといった塩梅。
そうしたパフォーマンスの援護射撃を受けた収録曲の粒の揃いっぷりも特筆モノで、その完成度たるや、重厚且つミステリアスなOPナンバー①、キャッチーな②、アイリッシュ・フレーバー薫る③、ソウルフルなVoが絶品のバラード④、女性スキャットを取り入れたアレンジが秀逸な⑤…といった具合に、頭から順番に語っていけるぐらい。コージーのドラミングに「らしさ」とパワフルさが増す6曲目以降の充実度もお見事です。
3rd『INNERVISION』(’93年)の方を先に聴き、それから遡って本作を聴いたため事前の期待値は実は余り高くなかったのですが、こりゃあ紛うかたなき大名盤。見縊って申し訳ない。「ロック・オペラ・アルバムの先駆け」の名に恥じぬクオリティと存在感を誇る1枚です。


PHENOMENA - Phenomena - Kiss of Fire ★★★ (2017-06-13 22:18:24)

伸びやかなグレンのVoと
SFタッチなシンセサイザーリフが
深遠な宇宙空間に木霊するかの如く
神秘的に浮遊する、アルバムの方向性を一発で決定付けた名曲。
グレンが初のソロ来日公演でも演ってましたっけね。
クライマックスで印象的なメロディを歌い上げるGも◎


PHENOMENA - Phenomena - Phoenix Rising ★★★ (2017-06-13 22:27:53)

グレン・ヒューズって歌が上手いって言われてるけど
実際どんだけ上手い人なの?と尋ねられたら、
黙ってこの曲を聴かせておやりなさい。
というぐらい、グレンの絶品の歌唱が映える名バラード。
嗚呼ソウルフル。


PHENOMENA - Phenomena - Twilight Zone ★★★ (2017-06-13 22:23:12)

次曲“PHENOMENA”はアウトロ的インスト曲なので
実質的な1stアルバムのラスト・ナンバー。
全体的に音作りがソフティケイトされていて
コージーのドラムが目立っていない本作において、
最も彼らしいプレイが楽しめるのがこの曲。
ポップな躍動感溢れるプログレ・ハード調の楽曲自体
素晴らしい出来栄えです。


PHENOMENA - Psycho Fantasy ★★ (2019-06-10 00:22:46)

HR/HMシーンにおけるロック・オペラ・プロジェクトに先鞭をつけたPHENOMENA。『PHENOMENA』(’84年)『DREAM RUNNER』(’87年)『INNERVISION』(’93年)の3作をもって完結をみた同プロジェクトが復活し、'06年に発表した4thアルバム。
小さなお子様が目にしたら悪夢にうなされそうなホラー映画調のジャケットがフィーチュアされた本作は、過去作に比べるとゲストの顔触れはやや地味め(CLOVEN HOOFの参加には驚きましたが)。また簡素なプロダクションの下、やたら殺伐としたGリフが刻まれ、曲によってはラップ調のVoを取り入れていたりと、あからさまに流行――それも周回遅れ気味――を意識している感じなのも何だかなぁと、アルバム序盤はあまり良い印象が持てずにいました。
しかしながら、聴き進める内に本編は徐々にドラマ性と抒情性を回復。先に「ゲストは地味」とか書いてしまいましたが、参加シンガーはトニー・マーティン、リー・スモール、キース・マレルら実力派揃い。特にファンキーなグルーヴが効いた⑨を筆頭に、力づくで楽曲のクオリティをランクUPさせてしまうグレン・ヒューズのソウルフルな歌声は別格の素晴らしさですよ。またキースが歌う幻想的な④、重厚壮大な⑦、ラップVoを取れ入れた③も実は案外良い曲だったりと、トータルではPHENOMENAの名の下に発表されるに相応しい品質に仕上げている辺りは、流石ギャレー兄弟といったところではないでしょうか。
ちなみに本作、ジャケットをよく見ると名義が《FROM TOM GALLEY THE CREAT OF…》となっており、これは3rd『INNERVISION』発表後にプロジェクトの権利を巡って、メンバー兼プロデューサーだったオライアンと揉めたことが影響している模様。


PHENOMENA - Psycho Fantasy - How Do You Feel ★★★ (2019-06-10 23:56:19)

アルバム『PSYCHO FANTASY』では3曲リードVoを取っているグレンですが
粘っこいグルーヴにソウルフルな表現力、突き抜けるハイトーンと、
その歌ウマっぷりを遺憾なく発揮しているのがこの名曲ではないでしょうか。
聴き進める程に抒情性が高まっていく曲展開にも引き込まれます。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut ★★★ (2019-07-08 01:57:33)

ブルース・ゴウディ率いるUNRULY CHILDや、ブラジル出身のマルチ・アーティスト、アレック・メンドンカのプロジェクトN.W.O.等への参加で知られるシンガー、フィリップ・バードウェルが'05年に発表した2ndソロ・アルバム。
ここ日本ではイマイチ知名度に乏しい御仁ですが、本作のレコーディング・メンバーには、プロデューサー兼ソングライターのトミー・デナンダー(G)と、ダニエル・フローレス(Ds)という当代きってのメロハー職人2人が名を連ねている上、作曲者欄に目をやると、マーク・スピロ、スタン・ブッシュ、ボビー・バース、カート・クオモ、それに我らがジム・ピートリック等々、実に強力な面子の名前がクレジットされており、お店でこれを見た時は「そりゃ買わないわけにはいかんでしょうが」と思わず呟いてしまいましたよ。
実際、相変わらずエモーショナルで伸びやかなフィリップの歌声といい、それを堅実に盛り立てるバックの演奏といい、哀愁のメロディに包まれたキャッチーなメロハー・チューンが居並ぶ本編は、聴き手がこの顔触れに期待する作風&品質にきっちりと応えてくれる素晴らしさ(「マジックが起きている」レベルにまでは至っていないのが惜しくもあるのですが)。
中でもやはり、ホットなロック・ソング③、一転して温もりを湛えた抒情バラード④というスタン・ブッシュ提供の2曲、それと「流石ジム・ピートリック!」という哀メロが沁みる⑩辺りは、両人を贔屓する己の欲目を抜きにしても、アルバムのハイライト・ナンバーに相応しい輝きを放っているのではないかと。あとボビー・バースが手掛けたポップな⑦も良い。
ぼちぼち彼氏のソロ・アルバム第3弾に期待したくなる充実作です。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut - Heart of a Hero ★★★ (2019-07-08 23:51:45)

HR然としたホットなエッジと、哀愁を纏ったキャッチーなメロディが
一体となって躍動する、スタン・ブッシュの曲作りの手腕が冴え渡る逸品。
それを見事に歌いこなすフィリップ・バードウェルのVoも素晴らしい。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut - Voices of the Heart ★★★ (2019-07-08 23:56:26)

ジム・ピートリック提供。物悲しい曲調に
フィリップ・バードウェルのエモーショナルな
歌声が映える劇的なピアノ・バラード。
終盤の盛り上がりっぷりに胸が熱くなります。


PICTURE - Eternal Dark ★★★ (2015-12-23 09:51:53)

『暗黒の髑髏』なる仰々しい邦題付きで、2nd以来、再び日本盤リリースが実現した'83年発表の4thアルバム。
3人目のシンガー交代に、中心的メンバー、ジャン・ヴァン・ベクタム(G)の脱退、更に2人の新ギタリストが加わってツインG体制へ移行…と、ドラスティックなバンド内変革に併せて音楽性の方にも変化が。
大幅向上を遂げたサウンド・プロダクションに、テンポを抑え気味にして、その分メタリックな声質で歌いまくる新Voの存在を活かしメロディの増量が図られた楽曲等、本作は従来のNWOBHM然としたスタイルから脱し、メジャー・アーティストとして一皮剥けるべく勝負に出たバンドの覚悟の程がガッツリ刻まれた仕上がり。
後にHAMMARFALLがカヴァーした重厚な①や、Gリフ主体ではなくVoが主役を張る③といった、メロディックなミッド・チューンが本編の「顔」として存在感を放つ一方で、HMバンドとしての「牙」が健在であることは、Gリフが波状攻撃を仕掛けてくる②や、ツインG大活躍の④といったスピード・ナンバーを聴けば明らかな通り。
トンガリ感と重厚感のバランスの取り具合が、例えばRAVENの3rd『ALL FOR ONE』なんかに通じるものを感じさせる1枚で(次作以降で音楽的に迷走する辺りもなんだか似てる)、PICTUREの代表作といえば本作ということで良いのでしょうか。


PICTURE - Eternal Dark - Battle for the Universe ★★ (2015-12-26 09:58:58)

主張の強いGリフに引っ張られて疾走する
PICTURE印のスピード・ナンバー。
ただ初期の頃に比べるとNWOBHM風味の
荒々しさが薄れて、鍛え上げられた
アスリートの如きタイトさと逞しさが
感じられるようになりました。


PICTURE - Eternal Dark - Eternal Dark ★★★ (2015-12-26 10:05:00)

HAMMERFALLがカヴァーしたことでも知られる
ダークで重厚なアルバム表題曲。
ヤスリ声のVoが歌う憂いを含んだメロディが秀逸で
合唱を誘われるサビ部分がライブじゃさぞかし
盛り上がったであろうことは想像に難くありません。


PICTURE - Eternal Dark - Make You Burn ★★ (2015-12-26 09:53:39)

Gリフから歌メロに全体の主導権が移ったことで
メロディックな感触が増強。
併せて地下室臭が抑えられ、溌剌とした
キャッチーさも感じられるようになる等、
PICTUREサウンドの変化というか進化を
実感させてくれるミッド・チューン。
そこはかとなく憂いを帯びた歌メロが美味。


PICTURE - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-14 23:23:59)

オランダ初のHMバンドと言われ、VADENBERGのバート・ヒーリンク(Vo)も在籍していたPICTUREが'81年に発表し、日本デビュー作ともなった2ndアルバム。余談ながら『危機からの脱出』なる邦題を冠され、戦闘機の描かれたタミヤのプラモ箱絵みたいなジャケットが目を惹いた日本盤LPに比べ、CDで買った輸入盤は味気ないデザインでちょっぴりガッカリした覚えが・・・。「日本盤がオリジナルを無視して盛りまくっただけ」と言われりゃそれまでなんですけどね。(閑話休題)
そんな本作は、まさにNWOBHM全盛期にリリースされた作品に相応しく、キレのあるGリフと疾走感溢れるリズムが、小細工を弄したりせず「せーの、どん!」で一斉に押し出してくるかのような、シンプル且つ力強いHMサウンドを全編に亘って展開。特にヤスリ声のVoと、攻撃的に駆け巡るGの存在が映えるスピーディなアルバム表題曲①は、メタル者の胸ときめかせるに十分な名曲っぷり。
他にも、リフまたリフで畳み掛ける②、荒ぶるMOTORHEAD型突撃ナンバー④、メロウな導入からテンポアップするドラマティックな⑨等、本編の大半を疾走曲で固め、わっせわっせと駆け抜けていく実に分かり易く「メタル」な1枚。PICTUREのアルバムは全部持っているわけじゃないのですが、個人的には本作が一番のお気に入りですね。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-15 22:13:54)

アルバム表題曲にして、頭からいきなり
カマされる本編のハイライト・ナンバー。
「メタル耳」なる曲名からして奮ってますが
その名に相応しく、ヤスリ声で熱唱するVoに
鼓膜を切り裂くGリフ、スリリングに疾走する
リズムとGソロ…と、どこを切っても
「ザ・ヘヴィ・メタル!」なPICTURE屈指の名曲です。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Rock & Roll / Under Your Spell ★★★ (2015-12-15 22:38:11)

タイトルからも察しが付くように
バラード調の前半と、テンポアップする
ハード・ロッキンな後半の二部構成からなる
ドラマティックな大作ラスト・ナンバー。
「PICTUREを勢いだけのバンドと舐めんなよ?」
との主張が聞こえてくるかのようです。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Spend the Night With You ★★ (2015-12-15 22:22:32)

どことなくDIOを思わすGリフによる
3分間の波状攻撃に思わず頭が動く
アグレッシブ且つノリノリな逸品。
日本盤だと確か“夜間飛行”という
邦題が付けられていたはず。


PILEDRIVER (2012-08-07 23:26:07)

カナダのオンタリオ州オタワを拠点に活動していた、CONVICTのフロントマンとしても知られるゴード・カーチンが、「KISSのHM版をやったらヒットするんじゃね?」という所属レコード会社からの持ち込み企画に乗っかる形で立ち上げた覆面メタル・プロジェクト。
'85年に1st『METAL INQUISITION』、'86年に2nd『STAY UGLY』という2枚のアルバムをそれぞれ発表。ブックレットにはヘンテコなステージ・ネームのメンバー達が記されているますが、実際にはバンドとしての実体はなく、1stではMAINSTREAM時代の僚友レズリー・ハウとルイス・レニーが、2ndではVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディファイ、エドワード・パッシーノらが曲作りを担当している。
尚1st『METAL INQUISITION』は、発表された年だけで2万5千枚以上を売り上げた(最終的に両作は合計で50万枚のセールスを記録しているらしい)が、パイルドライバー氏によれば、レコード会社からは「全く儲かってない」と説明され、正統な報酬を得る事が出来なかったという。
ちなみに近年、THE EXALTED PILEDRIVER名義で復活を果たして、'07年には最新作『METAL MANIFESTO』』も発表している。


PILEDRIVER - Metal Inquisition ★★ (2012-08-07 23:27:46)

実も蓋もないバンド名のみならず、「SM風ボンデージ衣装で弛んだ中年体型を包み込み、満面の笑みを浮かべながらステージ上で暴れ回る謎の覆面男」というジャケット・アートワークからして、高濃度のバカメタル・エキスに噎せ返りそうになる、PILEDRIVER、'85年発表の1stアルバム。
音楽性の方も、そうしたアピアランスや、“SEX WITH SATAN”“ALIEN RAPE”といったアホ・・・じゃなくて仰々しい収録曲のタイトルが如実に表す様に、ハッタリ感とイーヴルな空気を満載にしたパワー・メタルが全編に亘って貫かれており、NWOBHM由来のダークな正統派HMをアメリカンな馬力と大味さで料理し、且つアングラ・テイストで味付けしたようなカルト・サウンド、と言えば本作がどんな作風なのか伝わるでしょうか?
パイルドライバー氏の野卑な濁声Voは好き嫌いが分かれるところだし(キャラ立ちは最高)、打ち込みのDsなど楽器陣の演奏も切れに欠けること甚だしいのですが、それを差し引いても楽曲のカッコ良さには耳惹かれるものあり。
特にサビメロのプラグの点火音(?)が妙に印象に残るOPナンバー①や、地を這うような邪悪なヘヴィネスに支配された④は、アングラ・メタル好きなら一聴の価値がある名曲ではないかと。


PILEDRIVER - Metal Inquisition - Metal Inquisition ★★★ (2012-08-08 22:10:26)

音は悪いし、声域の狭い濁声Voや
ソロを弾ききれていないG、
こじんまりとした打ち込みのDs等
マイナス要素の多さにも関わらず、
Gリフとサビメロのカッコ良さには
心の中のメタル魂にポッと火を点される
サムシングが溢れています。


PILEDRIVER - Metal Inquisition - Witch Hunt ★★ (2012-08-08 22:12:59)

曲展開に芸がない割に7分以上もある
大作曲なんですが、これが不思議と
飽きずに聴くことが出来るのだから面白い。
決して上手くはないが味のあるVoと
地を這うようなヘヴィネスが演出する
曲名に相応しい邪悪な雰囲気がナイスです。


PILEDRIVER - Stay Ugly ★★★ (2012-08-08 22:17:43)

デビュー作同様、気心の知れたメンバーとアルバム作りをするつもりでいたら、レコード会社の横槍で作曲チームの変更を余儀なくされてしまったため、パイルドライバー(Vo)が「らしさの失われた作品。バンド名を変えてリリースすべきだった」と評する'86年発表の2ndアルバム。
相変わらずアホらしさ全開なアートワークや、高カロリーで豪快(大雑把ともいう)な男飯チックな作風等、基本路線はデビュー作のノリを継承しつつも、VRGIN STEELEのデヴィッド・ディファイが、お遊びで演っていた被り物スラッシュ・メタル・バンドEXOCISTのエドワード・パッシーノ(後にVIRGIN STEELEに加入)と共に手掛けた楽曲の数々は、荒々しく刻まれるGリフに性急に突っ走るリズムといい、よりアグレッシブに、よりスピーディに、スラッシュ/パワー・メタル然とした尖がり具合が強化。それに合わせてパイルドライバーも前作以上に攻撃的且つヒステリックなシャウトを炸裂させています。
カルト臭の薄れたサウンドは、当時ファンの不評を買ったらしいですが、畳み掛けるように疾走するOPナンバー“THE INCUBUS”や、劇的なイントロで掴みはOKな“THE FIRE GOD”、スラッシュ化した初期MANOWAR的趣きの“THE EXCUTIONER”といったパワー・チューンのカッコ良さはガチ。個人的には1stよりもこっちの方が好きだなぁ。
尚、上記した関係からか本作はEXOCISTのアルバム『NIGTMARE THEATER』とスプリット仕様の限定盤CD(ブート盤?)も出回っている。


PILEDRIVER - Stay Ugly - The Executioner ★★★ (2012-08-09 22:07:07)

パイルドライバーが歌う大仰なメロディと
ドラマティックな曲展開を聴いていると
何となく、『INTO GLORY RIDE』を発表した頃の
MANOWARを更にスラッシュ・メタル化したかのような
サウンド、と評したくなります。


PILEDRIVER - Stay Ugly - The Fire God ★★★ (2012-08-09 22:04:57)

JUDAS PRIESTを思わせるイントロを備えた
劇的な疾走ナンバー。
エピック・メタル調のサビメロもカッコイイ。
作曲担当のデヴィッド・ディファイは
かなりこの曲が気に入っていたようで
後にVIRGIN STEELEでもセルフ・カバーしています。


PILEDRIVER - Stay Ugly - The Incubus ★★ (2012-08-09 22:02:31)

刻みの細かいササクレたGリフに
性急に突っ走るビート、
その上でヒステリックに叫び倒すVoと、
アルバムが一気にスラッシュ・メタル色を
強めたことを如実に物語るOPナンバーです。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind ★★★ (2024-04-09 00:20:13)

ANGELICAへの参加や、現在はソロ・シンガーとしての活動でも知られるジェローム・マッツァ(Vo)が、FATEのトーベン・エネヴォルドセン(G)らをゲストに招いて立ち上げたプロジェクト、PINNACLE POINTの2ndアルバム(’18年発表)。
ソロ作ではANGELICA時代を思わすメロハー・サウンドを披露してくれていましたが、本作において追求されているのは、彼が愛して止まない黄金時代のKANSAS――具体的に言えば『永遠の序曲』『暗黒への曳航』『モノリスの謎』辺り――を彷彿とさせる、職人の拘りとポップな大衆性が絶妙なバランスで融合を遂げたプログレ・ハード・サウンド。スティーヴ・ウォルシュばりに熱唱する自身のVoを生かしつつ、リード楽器として曲展開を牽引するバイオリンの存在(シンセ等で代用せずわざわざ専任奏者を立てる姿勢も良し)といい、6分越えの大作が収録曲の半数を占めるも、大仰さや重厚さよりフットワークの軽やかさの方が印象に残る作風といい、全編に噎せ返る程のKANSAS愛迸る仕上がりとなっています。バイオリン導入だけに留まらず、KANSASっぽさ醸成に大きく貢献するKey(ピアノ)の流麗な活躍ぶりにも「マニアだねぇ」と思わずニッコリですよ。
特に、適度にポップ、適度にプログレッシブな曲調に胸躍る③、疾走感溢れる爽やかな曲調に凝ったアレンジが編み込まれた⑥、涼しげな哀愁を纏ってドラマティックに盛り上がっていく⑦、名曲“ON THE OTHER SIDE”を思わす泣きのバラード⑧なんて、70年代後半KANSASの未発表曲と言われたら信じてしまうような完成度を誇っています。
もうちょい話題になってもいいのでは?と思わずにいられない1枚ですね。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind - In The Wake Of Hope ★★★ (2024-04-09 23:49:22)

仄かな哀愁を湛えて駆け抜ける軽快な曲調に、
プログレ・ハード然とした凝ったアレンジが編み込まれた技ありの逸品。
イントロからしてもろKANSASで、『暗黒への曳航』とか『モノリスの謎』に
こんな曲収録されてなかったっけ?と思わずKANSASのカタログを聴き直してしまいましたよ。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind - Shadows of Peace ★★★ (2024-04-09 23:41:49)

バイオリンがリード楽器として、山あり谷ありのドラマティックな
曲展開を牽引。6分越えの大作ナンバーながら、大仰さよりも
優美な軽やかさが勝る曲調がまさしくKANSAS(風)。
要所で流麗に楽曲を彩るKeyの存在もそれっぽくて◎
根性入ったなりきりぶりにグッとくる逸品ですよ。


PITIFUL REIGN (2014-05-21 22:35:55)

英国はキングストン・アポン・ハル出身で、前身はMETALEGIONなるトリオ・バンドだったが、ジョシュ・キャリス・スミス(Vo、G)、マット・ウォーカー(B)らによって4人編成のPITFUL REIGNとして再編され、'05年にEP『24 LITRE KILLER』でデビュー。
'06年に1st『TOXIC CHOKE』を発表した後、ジョシュがVoに専念するべくツインGを擁する5人組へとメンバー・チェンジを行い、その編成で'07年にEP『D.I.V.E.』を、'08年に2nd『VISUAL VIOLENCE』を発表。
しかしながら'11年、オリジナル・メンバーの脱退により解散の憂き目にあっている。