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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4901-5000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4901-5000
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RUNNING WILD - Gates to Purgatory ★★ (2012-08-11 01:41:15)

「勇壮で男臭いHM」という基本路線は既にしっかと見据えられているものの、独自の「型」を構築し、その型が醸し出す威厳や重厚感で聴き手を圧倒した名盤『DEATH OR GLORY』に比べると、このデビュー作を発表した頃のRUNNING WILDは腰が据わっておらず、バタバタとして落ち着きがない。例えるならMETALLICAの『KILL 'EM ALL』なんかに通じる青臭さが全編に亘って充満しているわけですが、その代わり、前のめりに突っ走るアグレッシブなカッコ良さはこの頃ならではの魅力とも言ます。
ラフな音質、ササクレたGリフ、五芒星があしらわれたアートワークに、「SATAN」「DEMON」「666」といった単語が登場する歌詞、あとついでにギタリストのいかにもなステージネーム(プリーチャー)等、全体的にかなりスラッシュ寄りのハードコアなHMサウンドを標榜している本作は、ロックン・ロルフ(Vo、G)も国内盤の歌詞カードに「聴き取り不能なので対訳掲載は勘弁して」と書かれてしまうぐらい攻撃的な歌声を披露。
個人的には、JUDAS PRIEST直系の劇的なツインGハーモニーがアップテンポの曲調に華を添える④や、IRON MAIDENを思わせる勇壮さを誇る⑦、“WE ARE RUNNING WILD”と歌い上げるバンドのテーマ曲⑧、そしてNWOBHM然としたダークなスピード・ナンバー⑩なんかがお気に入り。
GRAVE DIGGERの1stアルバム辺りに魅力を感じる方にお薦めする1枚でしょうか。


RUNNING WILD - Victory ★★ (2019-04-22 00:06:10)

長年バンドの屋台骨を支えてきたヨルグ・マイケル(Ds)がSTRATOVARIUSでの活動に軸足を移すため正式に脱退。ブックレットにはロックン・ロルフ(Vo)一人の写真しか載っておらず、またしぶとくリリースされ続けていた国内盤の発売がこれを最後に見合わせになる等、RUNNING WILDを取り巻く状況がお世辞にも良好だったとは言えない時期(’04年)に発表された11thアルバム。
正直当時は彼らに対する興味は下降線を描いていて、本作についても「待ちに待ってた新譜!」というよりは「あ、出てたのか…」ぐらいの感覚で購入したような覚えがあるのですが、いやしかしこれが決して侮れない完成度を有していて、やはり舐めちゃならねぇバンドだなぁと。
歌メロのパターンの少なさや、(セッション・ドラマー起用による影響なのか)リズム面のフックの弱さが足枷となり、頭から通して聴くと時折今何曲目を聴いているのか見失いそうになるのは、90年代にRUNNIG WILDが発表した幾つかの作品と同様ながら、このアルバムに関しては、RUNNING WILD版“PAINKILLER”とでも呼びたくなる①、スピーディな③、インスト序曲⑥から繋がる劇的な大作ナンバー⑦、シロ・ハーマン(G)の素晴らしい仕事ぶりが耳を惹く勇壮な疾走ナンバー⑩、RUNNIG WILD印の王道HMソング⑫等、要所に置かれた強力な楽曲群が、眠くなりそうになるとこっちの頬を「パーン!」と張り倒してくれるお陰で、現在地を見失ったまま遭難してしまうようなことはありません。
ベテラン・バンドの地力の高さがきっちりと発揮されている好盤に仕上がっています。


RUNNING WILD - Victory - Return of the Gods ★★★ (2019-04-23 01:16:02)

RUNNING WILD汁100%。勇壮に疾走するHMナンバー。
楽曲を劇的に肉付けするシロ・ハーマンのGプレイが非常に冴えています。
このレベルの名曲を生み出せるのならRUNNING WILDは
まだまだ大丈夫!と確信したことを思い出しますよ。


RUSS BALLARD - Barnet Dogs ★★★ (2023-12-01 00:03:32)

ラス・バラード(Vo)というと、ミュージシャンとしてよりも、RAINBOWがカヴァーした“SINCE YOU BEEN GONE”や“I SURRENDER”等のヒット曲の作者(ソングライター)としての印象が強いのですが、実際は70年代半ばからソロ・キャリアを歩み始めた実績の持ち主。大きなヒットにこそ恵まれなかったものの優れたアルバムを残しており、本作は彼が’80年にリリースした4枚目のアルバムとなります。
自身の楽曲がHRシーンで好意的に受け入れられたことや、英国でのNWOBHMの盛り上がりに触発されたのか、「ラス・バラードご乱心?」と疑うぐらいB級メタル然としたアートワークと、Gリフ主導で走り始める曲調にグッと力の入ったラスのパワフルなシャウトが乗っかったOPナンバー①が物語る通り、ポップ寄りだった前3作に比べ、今回は(メロディのキャッチネスはしっかりと担保しつつ)大幅にハードネスとバンド・アンサンブルを強化。無論、キャリアのある御仁ゆえゴリゴリにヘヴィ・メタリックなサウンドというわけじゃありませんが、レゲエ調のヴァースから転調してシリアスなサビメロに雪崩込む③や、後にURIAH HEEPがカヴァーすることとなる④、重厚なムード漂わす⑥等は、HR/HMリスナーが聴いても素直にカッコ良いと思える仕上がり。その最たる例が、ブルース・ディッキンソン擁するSAMSONが3rd『魔界戦士』のOPナンバーに採用したシャープな疾走ナンバー⑧(その時の邦題は“地獄の天使”でしたっけね)だったんじゃないかと。
捨て曲なしの名盤であり、手持ちのラス・バラードのカタログの中では最も聴き返す頻度の高い1枚。紙ジャケ再発されていますので、入門盤としてもお薦めですよ。


RUSS BALLARD - Barnet Dogs - René Didn't Do It ★★★ (2023-12-04 23:33:47)

ラス・バラードのHR路線開幕を宣言するアルバムのOPナンバー。
楽曲を力強くけん引するG、唸りを上げるB、主役たるラスのVoも
HRシンガー然としたシャウトを披露。その一方で、紡がれるメロディには
大味さが全くない辺りは流石腕っこきのソングライターの仕事ですよ。


Reign of Fury (2014-11-11 23:57:15)

'06年にリード・ギタリストのエド・フューリーが地元のパブで飲んでいた時にバンドのアイデアを思い付いた・・・という、如何にもイギリス的な結成秘話(?)を持つ、イングランド南西部及び中部エリアを主な活動拠点とする5人組スラッシュ・メタル・バンド。
'11年にEP『PSYCHO INTENTIONS』を、'13年に1stフル『WORLD DETONATION』をそれぞれリリース。
基本は80年代スラッシュ・メタルなれど、パワー・メタリックなドラマ性や大作主義も飲み込んだサウンドが、BURRN!!誌の輸入版レビューでも高く評価されていたことは記憶に新しいところ。


Reign of Fury - World Detonation ★★★ (2014-11-11 23:58:39)

イギリスはテュークスベリー出身の5人組、'12年発表の自主制作1stアルバム。(現在はSTORMSPELL RECORDSからリイシュー済み)
バンド名とジャケットだけだとベイエリア風味のスラッシュ・サウンドでも聴かせてくれそうな感じで、事実、刻みまくりのGリフ/軽快なフットワークで暴れ回るリズムが生み出す、尖がったアグレッションや慌しい疾走感は完全にスラッシュ・メタルのそれ。しかしながらメタリックな光沢を放つハイトーンVoと、劇的且つメロディックに羽ばたくツインGは、ゆったりめに取られた尺の中でパワー・メタル然とした盛り上がりも演出していて、『CITY OF EVIL』を発表した頃のA7Xからモダンさを薄めた代わりに正統派HMに寄せた感じ・・・との印象を受けたりも。
基本的に捨て曲は見当たらない本作ですが、中でも大仰な序曲①とセットになった②、イントロでアコギが爪弾かれる④、勇ましく突っ走る⑦といった、疾走パートをベースに起承転結がドラマティックに決まった楽曲はこのバンドの真骨頂というべきカッコ良さ。
ちゃんとしたレーベルと契約してプロダクションを向上させれば、更に凄い作品を生み出してくれそうなポテンシャルの高さを感じさせてくれる1枚です。


Reign of Fury - World Detonation - Heaven Waits/Hell Takes ★★★ (2014-11-13 22:33:54)

アコギによるイントロから疾走へと転じる曲展開、
歌に入る前のツインGによる一ヒネリ等、
スラッシュというよりは完全にパワー・メタルの世界。
劇的に絡み合う2本のGと歌えるVoを十二分に活かして
8分以上の長尺を聴かせきる楽曲構築能力の高さを
堪能できる名曲です。


Reign of Fury - World Detonation - Infernal Conflict ★★★ (2014-11-13 22:48:48)

思わず目を細めたくなるほどドラマティックな
序曲“GOODBYE MOTHER EARTH”を聴いただけで
勝負あり!となってしまうアルバムのOPナンバー。
イントロでグッと高まった期待を決して裏切らない、
パワー/スピード/メロディが三位一体となって
畳み掛ける名曲です。


Reign of Fury - World Detonation - World Detonation ★★★ (2014-11-13 22:43:45)

刻みの細かいGリフや慌しいフットワークで
疾走するリズムはスラッシュ・メタル調なのですが
その上に乗って豊かなメロディを溢れさす
VoとツインGの歌いっぷりはパワー・メタルのそれという
このバンドの個性がしかと刻まれた逸品。


Right-stuff - Opening Act ★★★ (2024-11-12 00:45:27)

その昔中古盤屋で見かけ、《こんなバンドを待っていた!メロディアスにハードロックする、それが…》《地平線に伸びるフリー・ウェイを、今5人の精鋭が走り始めた》という帯の惹句に釣られてレジへ持って行った、RIGHT-STUFF がCBS SONYから'88年にリリースした1stアルバム。購入当時はバンドに関する詳細が何も分からなかったのですが、今じゃインターネットのお陰で「千葉一弘(Vo)を中心に仙台で結成」「前身はMATHER MARY」「プロデュースは元マライアのギタリスト土屋隆行が担当」とか、細かい情報が拾えてしまうのですから、便利な時代になったもんですね。
内容の方は、JOURNEY辺りを引き合いに出して語られそうな、明るいシンセを前面に配したポップなメロディアスHR。初めて聴いた時は、クラシック・カーにフリーウェイにリバーサイドにマティーニ等々、バブリーな歌詞世界&ビジュアル・イメージが相俟って「80年代シティポップ・サウンドにHRのエッジを効かせて奏でているバンド」との感想を持った覚えあり。そうした作風が猛烈に時代を感じさせるのは事実なれど、個人的にはもはや一周回って郷愁を誘われるぐらいですし、何より収録曲のクオリティはバランスがイマイチな音作りを差し引いても余りある魅力を放っていますよ。特に軽快に刻まれるGリフに乗って走り始めるOPナンバー①、夏になると聴きたくなる爽やかな④、キャッチーなコーラスが印象残る⑦、Voのエモーショナルな熱唱が映えるJ-ROCKバラード⑩等は、今聴き直しても「良い曲だなぁ」としみじみ思わされる出来栄え。
リマスター再発と再評価を願いたくなる埋もれてしまった力作ですよ。


Right-stuff - Opening Act - Into the Heart ★★★ (2024-11-13 01:26:40)

明るいシンセに、軽快に刻まれるリフ&リズムといい
OPナンバーに相応しい勢いと爽快感に溢れた仕上がり。
アルバムの方向性を端的に示してくれる名曲じゃないでしょうか。


Robbie La Blanc - Double Trouble ★★★ (2022-05-24 01:01:59)

「最近音沙汰ないけど、どうしてんのかなぁ」と思っていたロビー・ラ・ブランクが、’21年に初めてのソロ・アルバムを発表してくれました。どころか今年はFIND MEでも新作をリリースしてくれて、しかもこれがまたなかなかの出来栄えだったりと、ここ数年の不在を埋め合わせるようなアクティブな活動ぶりが頼もしいじゃありませんか。まぁ個人的にはBLANC FACESの帰還が一番嬉しいのですが、そっちは気長に待ちましょうや。
プロデューサーとして、お馴染みトミー・デナンダー、FMのスティーヴ・オーヴァーランド、それにESCAPE MUSICのカリ・タラクが名を連ね、トミーとスティーヴに関しては作曲とパフォーマンスの両面でロビーをバックアップ。なので本作で披露されているのは当然の様にFIND MEやBLANC FACESを彷彿とさせるメロディアスHR。というかあれらを更にAOR/産業ロック方向へ寄せたようなポップさゆえ、HR/HMを期待するとチャカポコしたアレンジに肩透かしを食らうかもですが、ロビーの歌を堪能する分には何の不足もない…どころか、もろ手を挙げて歓迎したくなる充実作ですよ。
OPナンバーに相応しいキャッチーさでメロハー愛好家のハートをガッチリ掴む①から、TOTO的なアレンジが飛び出すスリリングさと洗練を感じさせる⑥のような楽曲における張りのあるハイトーンVoから、エモーショナルな歌い回しでリスナーを酔わせる⑨のようなタイプの楽曲に至るまで、衰え知らずの熱唱に惹き込まれていくうちに、あれよあれよと本編を聴き終えてしまえる1枚。
このクオリティで日本盤リリースなしってのはいかがなもんでしょう。


Robbie La Blanc - Double Trouble - Only Human ★★★ (2022-05-25 01:25:27)

躍動感溢れる曲調にキャッチーなメロディ、
それをパワフルに歌い上げる張りのある
ロビー・ラ・ブランクのVo、的確に曲を盛り立てるGソロ…と、
本編に対する期待感を煽る「掴み役」として
申し分のない働きをこなすハードポップ・ナンバー。


Rough Silk - Circle of Pain ★★★ (2013-08-04 08:50:24)

'96年発表の3rdアルバム。ROUGH SILKの作品で国内盤が出たのは、今んとこコレが最後の筈。
やや地味な印象もあった前作に比べ、いきなりQUEENばりの華々しいコーラス・ワークをフィーチュアした①で壮麗に幕が上がる本作は、独産メロパワ・メタルの馬力、プログレ・メタリックな構築美、そしてSAVATAGEをお手本にした重厚なリフ&リズムと、ピアノの美旋律との劇的な対比も一層鮮やかに、「ROUGH SILK流HMサウンド」としての個性を明確に主張。特に10分近くに及ぶドラマティックな曲展開が聴きモノのアルバム表題曲③は、彼らの持てる力すべてをブチ込んだ渾身の名曲に仕上がっています。
60分オーバーの長大なランニング・タイムは好き嫌いが分かれるところですが、気品漂うクラシカルなイントロだけで掴まれる②、マンドリンやバラライカを導入した東欧民謡風バラードの⑨とポルカ・メタルとでも言うべき⑪、それにバンドの掲げる信念について高らかに歌い上げた⑩等、本編に捨て曲はなし。
リリース当時も現在も「埋もれてる感」の強い1枚ですが、ぼちぼち再評価の時が来ているのではないでしょうか。


Rough Silk - Circle of Pain - Circle of Pain ★★★ (2013-08-04 22:52:10)

10分に及ばんとする大作ナンバー。
ジャーマン・メタルらしいパワーと疾走感から
アバンギャルドなパートも飲み込んで、静と動が
目まぐるしく入れ替わる落差の大きな曲展開まで
メロパワ・メタル、プログレ、QUEEN、SAVATAGE等など
・・・と、バンドの魅力を全て投入した
アルバム前半のハイライト役を担う名曲。


Rough Silk - Circle of Pain - Insania ★★★ (2013-08-04 22:46:18)

気品を湛えた物悲しげなイントロから、
杭を打ち込むようにアグレッシブ且つ重厚な曲調へと
転じる曲展開が冴えています。
バンドの70年代HRからの影響が伺える仕上がりで
聴いていると何故だか初期カルメン・マキ&OZとの
共通点を感じたりも。


Rough Silk - Circle of Pain - On the Wrong Side of the Moon ★★★ (2013-08-05 21:45:04)

マンドリンやアコーディオンの哀切な調べが
ロシア民謡風味の哀愁を醸し出すバラード。
STYXの“BOAT ON THE RIVER”的とでも申しましょうか。


Rough Silk - Circle of Pain - The Angel and the Raven ★★ (2013-08-05 22:18:50)

3rdはアルバム・タイトルからして共産主義を
テーマにして皮肉をこめたジョークになっているせいか
音楽面でもロシア的な要素が盛り込まれていて
これはそのうちの1曲。
ポルカ(?)のリズムで突進するパートの
なんとカッコイイことよ。


Rough Silk - Circle of Pain - The End ★★★ (2013-08-04 22:42:37)

OPナンバーなのに“THE END”とはこれいかに。
壮麗なクワイアが全編を彩る、
ある意味、本編のファンファーレ的
意味合いも兼ねたドラマティックな名曲。


Rough Silk - Circle of Pain - The Mysterious Boot Hill Grave Inscription ★★★ (2013-08-05 22:00:45)

デビュー作以来、久々にポップ・センスの発揮して
溌剌と弾けるような駆け抜けていくHRナンバー。
重厚な楽曲だけでなく、この手のタイプの曲も
書けるのがこのバンドの強みですね。


Rough Silk - Roots of Hate ★★★ (2013-07-21 23:38:02)

ACCEPTのステファン・カウフマンがプロデュースを手掛けていたことでも話題を呼んだ、ドイツはハノーヴァー近郊の町、バージングハウゼン出身の5人組が'93年に発表した1stアルバム。
劇的なメロディ展開にメタル魂が燃え上がる②⑥⑧等、冴え渡るミッド・テンポの楽曲構築術や雄々しいコーラスが、いかにも独産HMバンドらしい重厚感を伝えてくれる本作。
ざらめのハスキー声で憂いを帯びたメロディを熱唱するVoと、Key奏者が操るハモンド・オルガンの音色が巧みにフックを創出しており、個人的にROUGH SILKと言えば、やはりこのデビュー作のことが真っ先に思い出されます。特に、爽快感とスケール感を併せ持った、このアルバムでしか聴くことの出来ないタイプの名曲⑨はイチオシ。
重量感溢れるミッド・チューン、メロパワ然とした疾走曲から感動的なバラード、更にはアメリカンなノリの楽曲もある・・・といった具合に、バラエティ豊かな本作は、次作以降、ヘヴィ且つモダンな方向へと傾斜していくこのバンドのカタログの中にあっては、実は例外的な作風だったりもするのですが、でもとりあえず、ROUGH SILK入門書にはこちらのアルバムを強くお薦めする次第であります。


Rough Silk - Roots of Hate - Roots of Hate ★★★ (2013-07-22 21:52:21)

“怒りの葡萄”(スタインベック?)なる
不気味なピアノのイントロを序曲代わりに
幕を開ける、大仰且つ劇的なアルバム表題曲。
重量感溢れるリフ&リズム、荘厳なコーラスは
独産HMの面目躍如といったところで、
ハスキー声の熱唱型Voが良い具合に
引っ掛かりを生み出してくれています。


Rough Silk - Roots of Hate - Wasteland Serenader ★★★ (2013-07-22 21:54:22)

ジャーマン・メタルらしいパワーと
大陸的な爽快感を兼ね備えるアルバムの
ハイライト・ナンバーの一つ。
目の前の視界がパッと開けていくような
抜けの良いサビメロが大変気持ち良い名曲。


Rough Silk - Walls of Never ★★ (2013-08-01 23:02:10)

ポップな要素を減少させた代わりに、DREAM THEATERに代表されるプログレ・メタルのエレメントを増量。よりシリアスなムードを纏った'94年発表の2ndアルバム。
ある意味、90年代の流行に敏感に反応した作風と言えなくもないのですが、もともと疾走曲よりもミッド・テンポの楽曲構築術、それもKeyを巧みに取り入れた楽曲作りに冴えを感じさせるバンドだっただけに、この音楽的変身は結構的を得ています。「焦点が絞り切れていない」との批判もあったデビュー作に比べ、作品全体に統一感も出てきました。掴みの1、2曲目がモノトーンのヘヴィ・チューンなんで、いかんせん地味っちゃ地味なんですが。
あとは60分オーバーの長大な本編を、もうちょいタイトに刈り込んだ方が、バンドの「SAVATAGEリスペクト」の姿勢が強く伺える、杭を打ち込むような重厚な曲調とピアノ/Keyの美旋律の組み合わせ、そこにQUEEN的な壮麗さ漂うボーカル・ハーモニーの編み込んだ③⑥⑩や、スケールの大きなドラマティックなバラード⑦といった、優れた楽曲の存在が際立ったんじゃないかなぁ、と。
ちなみに本編最後にシークレット・トラックあり。


Rough Silk - Walls of Never - Never Loose Again ★★★ (2013-08-02 23:17:20)

表現力を増したVoの歌唱、
美しく閃くアコギと、Key、ピアノ、
それにストリングスの後押しを受けて
潮が満ちるように盛り上がっていく様が
ドラマティック且つ優美なバラード。


Rough Silk - Walls of Never - Never Say Never ★★★ (2013-08-02 23:22:42)

リフ&リズムは重厚且つアグレッシブですが、
歌メロは独産メタルらしい憂いを感じさせ、
美しく切り込んでくるピアノ/Keyの美旋律が
ヘヴィな曲調と劇的なコントラストを描き出す、
ROUGH SILKというバンドの個性が
強く打ち出されている逸品。


Rough Silk - Walls of Never - Walls of Never ★★ (2013-08-02 23:14:47)

薄暗い船倉で、むくつけき野郎どもが
オールを漕きながら歌ってる姿が
目に浮かぶような重厚なコーラスは
殆どヴァイキング・メタルの世界です。


S.A. SLAYER (2014-08-16 22:58:10)

RIOTファンならバンド名に聞き覚えがあるかもしれない、'82年にテキサス州サンアントニオで結成され、ロサンゼルスのSLAYERとの混同を避けるために、出身地名を付け足してS.A. SLAYERを名乗ったスピード/スラッシュ・メタル・バンド。
マーク・リアリとNARITA~RIOTで行動を共にしたドン・ヴァン・スタヴァン(B)、名ドラマー、ボビー・ジャーゾンベクが在籍していたJUGGERNAUT等での活動で知られるボブ・キャレトン(G)、後にWATCHTOWERに加入するロン・ジャーゾンベク(G)、それに現在はMACHINE HEADに籍を置くデイヴ・マクレイン(Ds)と、構成面子は腕利き揃いで、'83年にデビューEP『PREPARE TO DIE』を、'84年に1stフル『GO FOR THE THROAT』をそれぞれ発表。但し、所属レコード会社にリリースを拒否られた『GO~』が実際に陽の目を見たのは、バンド解散後の'88年になってからだった。


S.A. SLAYER - Go for the Throat ★★ (2014-08-16 22:59:29)

サン・アントニオのSLAYER、人呼んでS.A. SLAYERの1stフル・アルバム('84年)。
このバンド名で、しかもアメリカ南部の魔境(偏見)テキサス州出身とあっては、さぞかし恐ろしい『悪魔のいけにえ』チックなメタルを聴かせてくれそうなもんですが、実際のところ、本編を再生すると流れ出すのは「一発キメた“EXCITER”」といった趣きのOPナンバー①。作品全体としても、あの頃のJUDAS PRIESTをお手本にしていることは明白な正統派HMサウンドを志向しています。
尤も、当時勃興著しかったスピード/スラッシュ・メタルの切れ味の加味された作風は相当にアグレッシブですし、高低差の激しいメロディを追いかけるVoや、RIOTのメンバーでもあったドン・ヴァン・スタヴァン(B)、後にバカテク・バンドWATCHTOWERに加入するロン・ジャーゾンベク(G)、SACRED RICH、MACHINE HEAD等での活躍で知られるデイヴ・マクレイン(Ds)ら、腕利きメンバーによって淀みなく繰り広げられるダイナミックな曲展開は、バンド名に相応しい(?)オドロオドロしげな雰囲気も醸成。
特に前述の①や、ツインGが印象的な②、大仰に歌いまくるハイトーンVo(やや線が細いのが惜しい)を活かした劇的な⑤⑧といった楽曲のカッコ良さは、音質の貧弱さを差し引いても余りあるモノ有り。
先頃、漸くリマスター再発がかかりましたので、この機会に是非ご一聴をば。


S.A. SLAYER - Go for the Throat - Go for the Throat ★★★ (2014-08-18 22:49:12)

ドラム・ロールと耳を劈くハイトーン・シャウトから
スタートする様がスピード/スラッシュ・メタル版“EXCITER”
といった趣きのアルバム表題曲兼OPナンバー。
「ロブ・ハルフォード級」と評するにはVoの線が
やや細いですが、攻撃性を増した曲調とキレのある演奏で
十分カバーされています。


S.A. SLAYER - Go for the Throat - The Witch Must Burn ★★★ (2014-08-18 22:56:15)

腕利き揃いのメンバーのスキルを
存分に活かした、目まぐるしく緩急自在な
曲展開に翻弄されるアルバム後半のハイライト。
GとBがユニゾンするパートにはゾクゾクさせられますね。


S.A. SLAYER - Prepare to Die ★★ (2014-08-17 22:32:47)

'83年制作の5曲入りデビューEP。
後の1stフル『GO FOR THE THROAT』同様、『BRITISH STEEL』発表時のJUDAS PRIESTをお手本に、ダークでアグレッシブな味付けを加えたメタルを演っていますが、時節柄まだスラッシュ・メタル色はそれほどでもなく、またロン・ジャーゾンベク(G)加入前だからなのか、テクニカル・メタルっぽさも薄め。むしろGリフ主体でストレートに押してくる曲調は、NWOBHMからの影響が色濃く刻まれています。
それと、本作を聴いていて随所で感じるのがRIOTっぽさ。後にマーク・リアリと行動を共にするメンバーを擁する等、元々RIOTと関係の深いバンドってこともあるのでしょうが、例えば独特のエコーを伴ったVoが、疾走感溢れるGリフとリズムに乗っかった②なんて、もろ『FIRE DOWN UNDER』を発表した頃のRIOTを彷彿。
一方で、ゴリゴリ鳴りまくるドン・ヴァン・スタヴァンのBが、スピーディな曲調を牽引する④⑤といった、このバンドならではの個性を宿した楽曲のカッコ良さも相当なものですし、EPと言えども、結構な満足感を覚えさせてくれる1枚に仕上がっています。


S.A. SLAYER - Prepare to Die - Prepare to Die ★★ (2014-08-18 23:44:47)

SEを打ち破ってへヴィ・メタリックに
疾走を開始するOPナンバー兼アルバム表題曲。
NWOBHMからの影響を伺わせる一方で、
ハード・ドライヴィンな曲調といい
その上に乗るどこか冷めた雰囲気漂わすVoといい
何だかとてもRIOTっぽい。


S.D.I. ★★ (2007-03-21 17:55:00)

旧西ドイツはオスナブリュック出身の3人組スラッシュ・メタル・バンド。
SATANS DEFLORATION INCORPORATED、略してS.D.I。(S.O.D.とかS.O.B.とか色々あってややこしいけど)
初期HELLOWEENを、よりストレートに、よりスピーディにしたかのようなそのサウンドは、
まさに「スピード・メタル」を絵に描いたかのよう。
'86年に1stアルバム『S.D.I』でデビュー、'88年にバンドの最高傑作と名高い2nd『SIGN OF THE WICKED』を、
'89年には、メロディック・パワー・メタル方面へと接近した3rd『MISTREATED』を発表。
その後、4枚目のアルバム製作の噂もあったが、結局リリースされないまま解散に至った。
その発表されず終いの4枚目のアルバムの音源は、最近、まとめて再発された過去3作のリマスター盤に
ボーナス・トラックとして収録されているので、興味がある方は是非。


S.D.I. - Mistreated ★★ (2007-03-23 23:35:00)

Gをフランク・ティーシングからライナー・レイジに代えて、'89年に発表された3rdアルバムにしてラスト・アルバム。
一聴して、かなりメロディ重視の姿勢を取っている事が明らかな内容で、別にそれで疾走感が失われてしまった
ワケではないのだけれども、前作『SIGN OF THE WICKED』に比べ、長尺・複雑化(と言うほど大袈裟なモノじゃないが)が
進んだ楽曲の数々は、スラッシュ/スピード・メタルと言うよりは、当時、ドイツで大流行の兆しを見せていた
「メロディック・パワー・メタル」と表現した方がしっくり来る印象。
勿論、それが悪いなんて事もなく、ダイナミックな曲展開が魅力のOPチューン①、疾走する正統派へヴィ・メタリックなリフと
Gソロがカッコイイ②、スラッシーな③、全収録曲中、最もジャーマン・メロディック・パワーメタル風味が強い⑦
といった楽曲は、疾走感をしっかりと保ちつつ、尚且つドラマチックで聴き応え十分。
新たに加入したGも、前任者に勝るとも劣らぬ煽情度のGソロを披露していて文句なし。
ただ、ここまで楽曲のメロディアス化が進むと、リーダーのレイナード・クルーゼがBと兼任するVoの弱さが
ハッキリと露呈してしまっていて、スラッシュ・ソングを歌うには何ら問題ない彼氏だが、
今回のような起伏に富んだ歌メロを歌うには、明らかに実力不足。また、ここに来て「陽性」のメロディが
チラホラと顔を覗かせるようになったのも、本作の印象を弱めてしまっている原因の1つのように感じられる。


S.D.I. - Mistreated - Night of Tears ★★ (2007-03-24 21:29:39)

他の3rdアルバム収録曲同様、メロディアスな歌メロは
スラッシュと言うよりメロディック・パワー・メタル的。
スピーディな前半から、中盤のアコギ・パートでスッと引いて、
そこから再びアクセル全開で突っ走る曲展開や、
勇壮なGソロは非常にカッコイイ。
ただ、Voが起伏に富んだメロディを歌いきれていないのが惜しい。


S.D.I. - Satan's Defloration Incorporated ★★ (2007-03-21 17:34:00)

S.O.D.とかS.O.B.とかM.O.D.とかD.R.I.とか、色々あってややこしいが、このS.D.I.は西ドイツは
オスナブリュック出身のトリオ・スラッシャーで、本作は'86年発表の1stアルバムにあたる。
初期HELLOWEENを更に野蛮にして、「野卑になったカイ・ハンセン」といった感じのVoがシャウトしまくる
そのスピーディなスラッシュ・サウンドは、初期HELLOWEENより数倍ストレートで、数倍速く、そして数倍バカ(笑)。
デビュー作ゆえまだまだラフな勢いが勝ち気味で、勢い余ってパンキッシュな③、ハードコアちっくな
瞬間風速ナンバー⑪のような楽曲も収録されているが、このバンドの核にあるのは、
メロディックなインスト・パートを聴けば明らかな通り、飽くまでもヘヴィ・メタル。
特に、アルバムOPを猛スピードで駆け抜ける①や、高速スラッシュ・チューン④といった楽曲は、
そのヤケクソ気味な疾走感といい、ドラマチックなツイン・リード・ギターといい、唐突にドイツ民謡風のメロディが
挿入される曲展開といい、もろ初期HELLOWEENを彷彿とさせる名曲だ。(ちょっぴりファニーな部分もそれっぽい)
また、初期JUDAS PRIESTを思わせる⑥では、ヘタクソなりにVoがロブ・ハルフォード役を務めて、
何とか劇的なドラマ性を演出しようと頑張っていたりと、ガッツ漲る作風には非常に好感が持てる。
このデビュー作の時点では、まだまだイモだけどね。


S.D.I. - Satan's Defloration Incorporated - Quasimodo ★★ (2007-03-21 21:51:09)

ヤケクソ気味の疾走感といい、ドイツ民謡風のメロディといい、
下手なりに一生懸命メロディを歌うVoといい、
もろ初期HELLOWEENを彷彿とさせる
1stアルバムのOPを飾る高速スラッシュ・チューン。


S.D.I. - Sign of the Wicked ★★ (2007-03-23 23:18:00)

多くのファンがSDIの最高傑作と太鼓判を押す、'88年発表の2ndアルバム。
スピーディでストレートなスラッシュ・メタルが堪能できる反面、ややチープな感が無きにしも非ずだった
デビュー作『SATANS DEFLORATION INCORPORATED』に比べ、一層研ぎ澄まされたリフにビルドアップされたリズム、
勇壮さを増した歌メロ、煽情度を高めたGソロetc・・・と、パンキッシュなラフさやオチャラケた雰囲気が払拭された本作は、
かなり硬派でシリアス、程好い緊張感を漂わせた作風に仕上がっている。
楽曲の練り込み具合も前作の比ではなく、例えばアコギに導かれてスタートする、SDI屈指の名曲①を聴けば明らかな通り、
疾走感はそのままに、静と動、緩急を巧みに取り入れた曲展開は、楽曲に宿るドラマ性を
急上昇させるだけでなく、その疾走感をも更に引き立てることに成功している。
名曲①で爆走を開始し、地を這うようなヘヴィ・チューン②、“MEGAMOSH"のタイトルに偽りなしの
高速スラッシュ・チューン③へと繋がっていく、メリハリの効いた曲順も良く考えられていて、
ノリの良い④で一息ついて(と言っても十分速いんだけど)、リードBがイカス⑤で再びアクセルを限界まで踏み込んだ後は、
初期HELLOWEENを彷彿とさせる⑦、後半のハイライトと言うべきドラマチックな⑧といった楽曲を経て
ラスト・ナンバー⑨に至るまで、そのテンションとスピードは片時も緩む事無く、一気呵成に駆け抜けていく。
ジャーマン・スラッシュ・メタルを語る上で、欠かす事の出来ない名盤の1つ。


S.D.I. - Sign of the Wicked - Comin' Again / Sign of the Wicked ★★★ (2007-03-24 21:24:55)

2ndアルバムのOPを飾る、SDI屈指の名曲。
初期HELLOWEENを倍速化したかのような、
カミソリの如き高速スラッシュ・ナンバーだが、
中盤にきっちりと「溜め」パートを作っていたりと、
力押しに頼らない曲作りの巧さも光る。


S.O.D.(STORMTROOPERS OF DEATH) - Speak English or Die ★★ (2007-04-26 22:51:00)

個人的に文句なしの名盤について感想を書こうとすると、「とにかく最高!黙って聴け!」
ぐらいの文章しか思い付かない場合が多いのだけど、このスラッシュ・メタル史に燦然と輝く名作、
SOD'85年発表の1stアルバムはまさにそれ。とにかく最高!黙って聴け!
特に、ヘヴィなイントロ①を経て突撃を開始する②、キャッチーにして凶暴な③、マーチのリズムで突き進む④、
一際ダイナミックな曲展開が楽しめる⑤、Gソロも組み込まれた⑥といった具合に、高速スラッシュ・チューンが
息つく暇なく次々に繰り出される、アルバム前半の血沸き肉踊る隙のない構成や、スローなイントロから一転、
ブラスト・ビートが炸裂する名曲⑫なんて最高ですがな。


S.O.D.(STORMTROOPERS OF DEATH) - Speak English or Die - Kill Yourself ★★★ (2006-04-15 00:18:15)

この曲を初めて聴いたのは、
S.O.D.がSTORMTROOPERS OF DEATH名義で参加したオムニバス・アルバム「STARS ON THRASH」でだったか・・・。
とにかく一発で気に入り、後に「SPEAK ENGLISH OR DIE」も買ったが、やはりこの曲のベストの座は揺ぎ無かった。
笑っちゃうぐらい速く、スカッと短く(2分ちょい)、でもリフは驚異的なまでのカッコ良さを誇る。
思わず一緒に叫びたくなるキャッチー(?)なサビも良い。
反復リフで徐々にテンションを上げていく、ミッドテンポの後半も最高。
つまり文句なしの超名曲って事ですな。


SABBAT (日本) - Envenom ★★ (2011-05-18 22:25:36)

VENOMやBATHORY、CELTIC FROSTといったバンドの暗黒遺伝子を受け継ぎ、咽返るようなアングラ臭と邪気がプンプン漂う厄いサウンドを身上とする国産ブラック/スラッシュ・メタラーの古豪が、'91年に発表した1stアルバム。
Voが地の底から響くようなデス声スタイルとは言え、全体を俯瞰で見ると、収録楽曲には明確なメロディの流れがあり、凶悪なグロウルに禍々しいGリフ、そしてドラマティックな曲展開とがスラッシュ・ビートに乗って疾走する③⑥のような楽曲には、メロディック・デス/ブラック・メタルのプロトタイプ的なカッコ良さが宿っている(・・・ような気がする)。
また、インスト曲①②に始まり、同タイプのインスト曲⑪⑫にて本編の幕が下ろされる大仰な構成からは、初期聖飢魔Ⅱを引き合いに出したくなるサタニックHM然とした様式美も感じられ、真面目なHR/HMファンがドン引きしそうな歌詞世界とは裏腹に、その内容は案外キャッチー。(勿論ジャンル・ファン限定での話しだが)
個人的にはBATHORYを思わす厳粛且つ劇的なヘヴィ・チューン⑧の迫力にノックアウトされましたが、流麗なツインGと緩急の効いた曲展開に思わず血圧が上がる⑤、ジャパメタ風スピード・メタル・ナンバー⑨、ヤケクソ気味のハイトーンVoとデス声のデュエットを乗せて、起伏に富んだ曲展開を一気呵成に聴かせきる⑩辺りも聴き応え十分の名曲。
ある意味、80年代のブラック・メタルと、90年代に隆盛するメロディック・デス/ブラック・メタルの橋渡し的役割を果たした1枚かもしれない。


SABBAT (日本) - Evoke ★★ (2007-02-03 19:39:00)

SABBATはSABBATでも、英国ではなく日本は三重県出身のSABBATが'92年に発表した・・・
何枚目のフル・アルバムになるのでしょうか?2枚目ぐらいかな?
個人的にSABBAT初体験がこのアルバムだったという思い入れを抜きにしても、非常に高い完成度を誇る1枚で、
トゥルー・メタル路線への接近も感じられる最近作とは異なり、重く禍々しいリフといい、
邪悪な雰囲気がプンプン漂ってくる楽曲といい、トーマス・G・フィッシャーばりのデス声Voといい、
ここでの彼らは完全にデス/ブラック・メタル路線を(ブラストこそ炸裂しないものの)2ビート主体で突っ走っている。
それでいて、アコギや和音階、ノーマルVoとデス声の対比等を用いて、時に荘厳さすら醸し出す曲展開は丁寧に練り込まれ、
リフやメロディ、ツイン・リードには欧州HMに由来するドラマ性や湿り気がタップリと含まれているという、
今で言うところのメロディック・デス・メタル的なアプローチが試みられていて、これを'92年の時点で
こなしていた(しかも高いレベルで)いう事実には驚かされる。彼らの評価が海外で高いという話も納得の1枚。


SABBAT (日本) - Karmagmassacre ★★ (2006-11-13 21:39:00)

NWOBHM的な、コテコテの男臭いメタル・サウンドを聴かせてくれる日本は三重出身のSABBAT、'03年発表の8thアルバム。
曲名や歌詞、内ジャケに載せられたメンバーの気合の入ったコスプレ写真からも、ブラック・メタル道一直線な
バンドである事がビンビンに伝わってくるが、彼らが目指しているのは北欧のそれではなく、
飽くまでVENOMや初期SLAYERのような、どこかファニーなエンターテイメント路線。
ダミ声と素っ頓狂なハイトーンを使い分けるVoの歌唱や、わざわざ手間暇かけて再現しているチープな音作りからも、
80年代初頭の雰囲気を狙っている事は明らか。(チープと言っても素材の良さをブチ壊す類のモノではないし)
だから、禍々しく疾走するリフが北欧のブラック・メタル勢を彷彿とさせる①③といった名曲よりも、
スラッシュ・メタル黎明期を思い起こさせる②⑥⑧のようなゴリ押しスピード・チューンにこそ、
このバンドの本質が表れている様に感じるのは、決して気のせいではない・・・筈。
ただ勢い任せなだけでなく、しっかりと構築された劇的なツイン・リードG、要所で良い仕事をしているBも素晴しい。
色物バンドと侮る事なかれ。聴かずに置くには惜しい作品。


SABBAT (日本) - Sabbatical Holocaust ★★ (2010-05-06 21:35:00)

リリース当時、ベスト盤かと思って購入したら、実は'85年から90年にかけてSABBATが発表した5枚のEP
(+ライブ音源3曲)を、CD1枚にまとめた初期音源集だった事が後に判明。とは言え、初期SABBATの音楽的変遷を
手軽に振り返れる、後追いファンには便利極まりない作品である事に間違いはないので、結果オーライ。
まぁ、ブックレットに堂々と記されている通り、板起こし音源のオフィシャル・ブートレッグゆえ音質はお世辞にも
良好とは言えないが、そもそもプロダクションに拘る人がSABBATを聴くとも思えないので(失礼)これでいいのだ。
VENOMやBATHORYに通底する、禍々しく鋭利なGリフが疾走する、サタニックな雰囲気漂う楽曲の数々は
文句なしのカッコ良さで、それでいてGが紡ぎ出すメロディには日本のバンドならではの構築美が宿っており、
70分オーバーの長尺な収録時間にも関わらず、捨て曲の類は皆無。個人的には、よりスラッシュ・メタル色を強めた
『BORN BY EVIL BLOOD』('87年)以降の楽曲がツボで、取り分け、最低且つ最高なジャケット・アートワークが
目印のEP『THE DEVIL'S SPERM IS COLD』('89年)収録曲⑧⑨のカッコ良さは出色。
正直、本作はSABBAT入門編には向かないように思うが(最初に聴くなら2nd『EVOKE』辺りがお薦めかな)、
ブラック/サタニック・メタル好きなら購入して損はない1枚かと。


SABBAT - Dreamweaver ★★ (2007-03-04 22:18:00)

現在では、引く手数多の敏腕プロデューサーとして名を馳せるアンディ・スニープ(G)や、
SKYCLADのマーティン・ウォルキーア(Vo)が在籍していた事で知られる、英国はノッティンガム出身の
スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表の2ndアルバム。(ちなみに、本作からツインGを擁する5人編成となった)
ストレートなスラッシュ・サウンドを聴かせたデビュー作『HISTORY OF A TIME TO COME』に比べ、
今回はマーティンの「色」が強く反映された、ファンタジックな雰囲気漂うコンセプト・アルバムという事で、
スラッシーな疾走感はそのままに、リフはより重厚に、Gは艶を増し、アコギ、ストリングス、女性Voの導入等、
細部へのアレンジにもこれまで以上に気の払われた、起伏に富んだドラマチックな楽曲がズラリと並ぶ。
前作では、割とありがちなシャウト・スタイルだったマーティンのVoにも凄みが増し、
ある種呪術的とも言えるドスの効いた歌唱でアルバムの幻想的な雰囲気を盛り上げる。
個人的には、イントロ①に続く②や、④のようなシャープに疾走するリズムに、劇的なツインGが乗っかる楽曲が好みなれど、
マーティンがノーマルVoで歌い上げ、そこにバイオリンが絡む③も、後のSKYCLADに繋がる重要な存在として見逃せない。
全体的に見ると、アルバムのハイライトとなるべき大作曲にイマイチ冴えが見られないのが残念だが
(リフが次々に展開していく⑤とかはユニークな仕上がりなんだけど)、本作をSABBATの最高傑作とする意見に異論はない。
尚、最近長年のファンの願いが叶って、アンディ・スニープによりリマスターが施された再発盤がリリースされた。


SABBAT - Dreamweaver - Advent of Insanity ~ Do Dark Horses Dream of Nightmares? ★★ (2007-12-13 23:05:17)

SKYCLADテイストも感じられる小曲“ADVENT OF INSANITY"から、
組曲形式でスピーディなスラッシュ・チューン
“DO DARK HORSES DREAM OF NIGHTMARES?"へと繋がっていくのだが、
“DO DARK~"の方も、荒々しい曲調の中でアコギを閃かせてみたり、
劇的なGソロを炸裂させてみたりと、一筋縄ではいかない、
個性的な内容に仕上がっている。


SABBAT - Dreamweaver - BEGINNING OF THE END ~ CLERICAL CONSPIRACY ★★ (2007-12-13 22:59:17)

OPナンバーらしく、ストレートに疾走する
高速スラッシュ・チューンだが、重厚且つ劇的なツインGが
大活躍するなど、早くも5人編成となった利点を
存分に活かしてる印象。


SABBAT - History of a Time to Come ★★ (2007-12-11 21:46:00)

マーティン・ウォルキーア(Vo)やアンディ・スニープ(G)らが、学生時代に結成したバンドHYDRAを母体に誕生した、
英国はノッティンガム出身の4人組スラッシャーSABBATが、'86年に制作した2本のデモテープの好評を受け、
ドイツのNOISE RECORDSと契約、'88年に発表したデビュー作がこれ。
スラッシーな疾走感を基調としつつ、そこにアコギ、女性Vo、ドラマティックなメロディを持ち込み、独特のサウンドを
作り上げていた2nd『DREAMWEAVER』に比べると、本作はかなりオーソドックスなスラッシュ・メタル色が濃厚。
幻想的なイントロに導かれてスタートする②にしても、8分以上に及ぶ本編随一の大作⑤にしても、
ダイナミックではあるものの、ドラマティックと言うのとはちょっと違うし、マーティンのVoスタイルが
現在とは異なるシャウト型な事と併せて、より荒々しさと疾走感が強調された仕上がりと言える。
とは言え、如何にもブリティッシュ然とした翳りを帯びて、次々に積み重ねられていくGリフのカッコ良さ、
ストーリー性に富み、スラッシュ・メタル・バンドらしからぬ構築感を湛えた歌詞と、その歌詞を、歌うと言うよりも
「語る」といった感じで綴っていくマーティンのVoの個性は、既に十分際立っている。
特に、アンディ必殺のGソロが炸裂する④や、静と動を巧みに組み合わせた劇的な曲展開が聴かれる⑥は、本作のハイライトかと。
尚、KREATORとの仕事などで知られるロイ・ローランドが手掛けたサウンド・プロダクションをバンド側は気に入っておらず、
最近リリースされた再発盤では、プロデューサーとして名を上げたアンディの手によりリマスタリングが施されている。


SABBAT - History of a Time to Come - I for an Eye ★★ (2007-12-13 23:13:39)

ストレートなスラッシュ・チューンが揃った1stの中でも、
静と動を巧みに曲中に取り入れたこの曲は、
2nd辺りに収録されていても不思議ではないドラマ性を誇っている。


SABBRABELLS ★★ (2008-11-01 01:51:00)

調べてみたら、本当に再発されるんですねぇ。
しかもDOOMやGROUND ZEROなんかと一緒に!これは嬉し過ぎる・・・。
ついでにHEAVY METAL FORCEシリーズや、SACRIFICEの1stとかも再発してくんないかなぁ。


SABBRABELLS ★★ (2009-03-10 21:47:00)

遂に再発されましたね。
辛抱堪らず、昼休みに会社を抜け出してレコード屋まで買いに走ってしまいました。
まさかこのアルバムを聴く事が出来る日が来ようとは・・・
キングに願掛けした甲斐があったというものです。

この調子でDOOMやSACRIFISEの1stもお願い致します。


SABBRABELLS - One Night Magic ★★ (2007-12-10 22:44:00)

オドロオドロしさとドラマティックな様式美を兼ね備えたサウンドから、「オカルト・メタル」「サタニック・メタル」
と評された、埼玉県出身の5人組へヴィ・メタル・バンドが、'87年に発表した3rdアルバム。
メジャー・デビュー後はカリスマ性がどんどん薄れて、ごく普通のへヴィ・メタル・バンドになってしまったと
批判されることの多い彼らだが(と言ってもインディーズ時代に発表された『SABBRABELLS』を聴いた事がない我が身には
実際の所どうなのか不明なんだけど。そんなわけで願・再発!)、本作では、多彩な楽曲を揃えてメジャー・アクトとして
懐の広さを示す一方、1st収録曲のリメイク⑥、初期からライブのレパートリーだった⑧、オムニバス盤『HEAVY METAL FORCE』に
提供した名曲⑪を、CD盤のみのボーナス・トラックとして収録する等、原典回帰の姿勢も強く打ち出され、
メジャー時代とインディーズ時代の作風に、上手く折り合いを付けた内容に仕上がっている・・・んじゃないかな、と。
⑦のソロを筆頭に、幅広い表現力を誇るツインG、変幻自在にダイナミックなビートを叩き出すリズム隊、
そしてクドイくらいシアトリカルな歌唱を響かせる、キーチこと高橋喜一の個性的なVoから生み出される楽曲の数々は、
何れもハイオクオリティで捨て曲レベルのモノは存在しないが、やはり、ユニークなリフが疾走する⑥、
カルメン・マキ&OZを彷彿とさせる、重く、劇的な⑧、SABBRABELLS屈指の超名曲⑪といった、
初期路線のオドロオドロしい空気が充満したダークな楽曲のカッコ良さは別格。
尚、本作を買う場合は、出来れば旧規格版を入手するのが望ましい。再発盤では“ルルドの泉"がカットされているので。


SABBRABELLS - One Night Magic - Black Hill ★★ (2007-12-13 23:17:29)

1st『SABBRABELLS』収録曲のリメイク。
疾走するリフが非常に個性的且つカッコ良く、
また、インスト・パートで炸裂する
JUDAS PRIESTばりのツインGも聴きもの。


SABBRABELLS - One Night Magic - Darkness World ★★★ (2007-12-13 23:12:21)

タメの効いたイントロからアップテンポで始まり、
Gが濃厚な泣きメロを紡ぎ出す、重く、劇的極まりない
ヘヴィ・パートを経て、再びスピードを上げつつエンディングを迎える、
初期カルメン・マキ&OZがヘヴィ・メタル化したかのような
印象を受ける、3rdアルバム収録曲の中でも1、2を争う名曲。


SABBRABELLS - One Night Magic - ルルドの泉 ★★★ (2006-04-02 00:13:11)

ダーク且つドラマチックなオドロオドロしい曲調は、
流石、日本の元祖(?)サタニック・バンドといったところでしょうか。
でも初めてこの曲を聴いた時に連想したのはカルメン・マキ&OZだったりするのだが・・・。
中古で購入した帯なしの旧規格盤しか持ってなかったので、再発盤に買い直そうと思ったら、
なんと“ルルドの泉"が収録されていない!
アルバムでも1、2を争うこの名曲がカットされてるなんて納得いかんぞ。


SABBRABELLS - Sabbrabells ★★ (2006-04-02 00:15:00)

インディーズで発売されたSABBRABELLS幻のファースト・アルバム。
マニア筋でも「彼らの個性が最も発揮された1枚」と評価が高く、
一日も早い再発が望まれる。
キング様、どうかお願いします。


SABBRABELLS - Sabbrabells ★★ (2009-03-15 21:57:00)

「死ぬまでに一度は聴いてみたい幻の名盤」の中でも5本の指に入ろうかと言う、SABBRABELLSがインディーズ時代に
発表した1stアルバムが、まさかのリマスター再発。しかもオムニバス盤『HEAVY METAL FORCE』に提供した
名曲中の名曲“ルルドの泉"と、第2期SABBRABELLSがレコーディングしていた2曲のデモ音源がオマケ収録されているのだから、
嬉し過ぎて涙が出て来るというもの。CDを聴く前に思わず緊張してしまったのなんて、一体いつ以来やら・・・。
鐘の音と扉の開く音に導かれてスタートする、ダークで劇的な名曲①が象徴するように、大仰な楽曲の数々やシアトリカルな
ライブ・パフォーマンスから「和製サタニック・メタル・バンド」「埼玉(浦和)のBLACK SABBATH」といった
異名を取った彼らだが、流石に現在の耳で聞き直すと、本作にそこまでのオドロオドロしさはなく
(メンバー自身も「その手のサウンドを目指してはいない」と明言してるくらいだし)、寧ろ、もっとオーソドックスな
70年代HRからの影響が濃厚に感じられる作風。特に、へヴィに刻まれるGリフと、ソリッドなリズム、そして高橋喜一の
情念に満ちたVoとが、絡み合う様にタメを効かせて盛り上がっていく③⑤⑥といった楽曲を聴くと、個人的には
カルメン・マキ&OZを思い出します。あのバンドに『運命の翼』の頃のJUDAS PRIEST風ツインGを組み合わせた感じというか・・・。
何はともあれ、幻の名盤との評価に違わぬ見事なクオリティを備えた1枚。と言うか、興奮し過ぎて冷静な評価なんて
とてもじゃないが出来ません。本作を再発してくれたキングにはこれからは足を向けて寝られませんなー。


SABBRABELLS - Sabbrabells - 鏡張りの部屋 ★★★ (2009-03-16 22:35:31)

ヘヴィ且つドラマティックに盛り上がっていく
1stアルバム、後半のハイライトを飾る名曲。
のたうつような中盤の叙情パートを経て、B主導で楽曲が疾走へと
転じる場面のカッコ良さはガッツポーズ物ですがな。


SABBRABELLS - Sabbrabells - 束縛 ★★★ (2009-03-16 22:28:03)

歌謡曲的とも言える、絡み付くような情念を発散しながら
哀愁に満ちたメロディを濃厚に歌い上げる高橋喜一のVo、
咽び泣くG、タメの効いたリズムとがグイグイと
盛り上がっていく様に、思わず胸を掻き毟りたくなる1曲。


SABER TIGER - Agitation ★★★ (2011-08-18 02:31:51)

Dsを飯山明寛から、若干20歳の新人(当時)磯田良雄に代えて'94年に発表された2ndフル・アルバム。
安っぽいサウンド・プロダクションと、持ち前の大作主義に更に拍車の掛かった作風、それに90年代の作品らしくヘヴィネスの強化が図られた音楽性が賛否両論を呼んだアルバムなれど、綿密に組み立てられた曲展開の妙や、ヒネリの効いたアレンジなど、一層の洗練を得てドメスティックな色合いが薄まりをみせた本作において、SABER TIGER流HMサウンドは確立を見たと思うのだが、どうでしょう。
先にヘヴィになったと書いたが、朗々と歌う久保田陽子のVoは相変わらずコブシ効きまくりだし、日本人らしい木目細かさで組み立てられた木下昭仁のスリリングでメロディアスなGプレイ、そしてドラマティックなハーモニーを奏でるツインGに彩られた楽曲の数々からは、大味さなんぞ微塵も感じられない。(勿論、疾走ナンバーもちゃんと収録)
OPを重厚に飾る“INTO MY BRAIN”と、本編の幕引き役を担うヘヴィ・バラード“NIGHTLESS QUARTERS”は、片や8分弱、片や11分超という長尺を全く苦痛に感じさせない、このアルバムの魅力が凝縮されたような名曲に仕上がっている。
削り出し金属のようなそっけないジャケット・アートワークが物語る通り、ダークでソリッドな味わいが魅力の1枚。好き嫌いは分かれるかもしれないが、個人的には大好きな作品。


SABER TIGER - Agitation - Into My Brain ★★★ (2011-08-18 02:35:18)

歌詞は未だ日本語なれど、ジャパメタ色を薄れさせ
良い意味で洗練されたこの名曲からは、
重厚で大仰なドラマ性と、堂々たる威厳が漂う。
久保田陽子のコブシの効いた歌声も圧巻。


SABER TIGER - Agitation - Nightless Quarters ★★★ (2011-08-18 02:38:32)

憂いに満ちたメロディを熱唱するVo、
エモーショナルに上り詰めていく2本のG、
メロウなラインを奏でるB、
タメの効いたDs等、各楽器の見せ場が
無駄なく詰め込まれ、11分超という
長尺を全く退屈させる事なく聴かせきる、
ダークでドラマティックなヘヴィ・バラードの名曲。


SABER TIGER - Brain Drain ★★ (2011-08-30 22:32:59)

日本人離れした声量を誇る不世出のシンガー、下山武徳の力強いな歌声を得て、よりへヴィに、よりアグレッシブにパワーアップを遂げた新編成SABER TIGERが'98年に発表した5thアルバム。
この作品について語ろうとすると、毎度下山の声についてばかり言及してしまうのですが、それはつまり、彼の歌声がそんだけのインパクトを持っていたという事なのだろう。
ただでさえ重厚さを増したサウンドに、更にアクの強い彼のVoが乗ると、最早そのエネルギー量は熱中症を引き起こしかねないレベルのクドさなのだが、それを中和する役割を果たしてくれるのが、木下昭仁(G)の絶品のメロディ・センス。特にアグレッシブながらもきちんとメロディにフックの効いた“TWO DIMENSIONAL SKY”や“MONEY”といった、劇的且つ憂いに満ちた疾走ナンバーはその格好のサンプル的名曲。
初の大舞台ゆえ余裕を欠いたのか、次作以降に比べると下山のVoは気張り過ぎな印象で、通して聴くと疲労感を覚えてしまうのが難点なのだが、エモーショナルな歌声が余すところなく活かされた“DISTRESS”のようなドラマティックなナンバーを今改めて聴き直すと、やはりこの人は本作の時点で既に只者じゃなかったんだな~と実感させられますね。


SABER TIGER - Brain Drain - Money ★★★ (2011-08-31 21:36:30)

歌メロの素晴しさが際立つ疾走ナンバー。
普通のバンドなら最初のサビメロを思い付いただけで
満足しそうなもんですが、このバンドの場合、そこから更に
一捻りも二捻りも加えてメロディを展開させていくところが凄い。


SABER TIGER - Brain Drain - Two Dimensional Sky ★★★ (2011-08-31 21:31:31)

躍動感溢れるリズムの上でテクニカルに踊るGプレイと、
猛烈な憂いを発散するメロディ・センス、双方に冴えを魅せる
木下御大の実力が如何なく発揮された名曲。
勿論、メロディを魅力を損なうことなくパワフルに
歌い上げる下山武徳のVoも忘れちゃいけません。


SABER TIGER - Bystander Effect ★★★ (2016-01-21 21:42:13)

木下昭仁(G)の体調不良に、長らくSABER TIGERの土台を支えてきた木本高伸(B)の脱退といった紆余曲折を経て、'15年に発表された最新アルバム。
しかし、脳梗塞の後遺症なぞまるで感じさせない木下と、ソングライターとしても重要な役割を担う田中康治(G)コンビの火を噴くような高速ツイン・リードGが猛然と牙を剥く①を開巻の合図に、野獣の如き攻撃性、マシーンを思わす複雑精緻な構築力、そして人間的激情の迸りが一体となって渦を巻き、終始高いテンションを保つ本作に、そうしたトラブルの悪影響の影は一切見当たらず。前作でやや気になったドラムの音の軽さもきっちりとアジャストして、迷いも躊躇もなくSABER TIGER流パワー・メタル・サウンドを押し進めています。
あと、今回特筆すべきは久々に日本語詞による楽曲が採用されている点。昔から下山武徳(Vo)は日本語詞を歌ってこそ本領を発揮できると信じて疑わない身には願ったり適ったりで(別に英詞曲にも不満はありませんけどね)、特に慟哭のバラード⑨は圧巻。木下の紡ぐ哀しみに彩られたメロディに、言葉の隅々までエモーションを行き渡らせた下山の絶唱が五臓六腑に沁み渡りますよ。
難題の数々に見舞われたにも関わらず、前作から2年のインターバルで新作発表まで漕ぎ着けた精神力と創作意欲に、改めて敬服させられる1枚。


SABER TIGER - Bystander Effect - An Endless End ★★★ (2016-01-25 22:50:58)

日本語詞にして大正解、
一言一句にエモーションを込めた
下山の熱傷に心臓を鷲掴みにされる壮絶なバラード。
エンディングのGソロも素晴らしい。


SABER TIGER - Decisive ★★ (2011-09-10 01:08:08)

下山武徳(Vo)のみならず田中康治(G)まで復帰を遂げたからなのか、90年代のプログレ・メタル路線と00年代のパワー・メタル路線の丁度中間を行く、アグレッシブにしてスリリングなHMサウンドが全編に亘って展開されている9thアルバム。
ファン的には復活作というだけで無条件に星3つを進呈したいところなれど、客観的に過去作と聴き比べてみた時、本編中盤に並ぶ楽曲の歌メロの弱さが気になった事は指摘しておきたい。
久々のアルバム制作という事で力み過ぎたのか、従来の「更にここで歌メロにもうひと捻り!」がないため、あともう少しで絶頂に達しそうなのに達せない、微妙なもどかしさが残ってしまう。
とは言えその点を除けば、下山の強靭且つエモーショナルな歌声、御大・木下昭仁(G)が田中と共に紡ぐ技巧を凝らしたGリフに流麗なソロ、タフでタイトなリズム、ドラマティックな曲展開に、憂いに満ちたメロディとテクニカルなアレンジとが綿密に編み込まれた「これぞSABER TIGER!」たる楽曲の数々は、悲壮な名曲“REMINISCENCE”を頂点に何れも聴き応え十分。(やや弱い中盤さえも、飽くまで「このバンドにしては」レベルでしかない)
ベテランらしい重厚感と、枯れることのない攻めの姿勢が同居した1枚。次作はもっと早くリリースして欲しいですね。


SABER TIGER - F.U.S.E. ★★ (2011-09-01 23:00:47)

噛み付くように歌う下山武徳のパッション漲るVoと、猛々しいリフの刻みから劇的な構築美を湛えたソロまで、剛柔兼ね備えて流麗に切り込んで来る木下昭仁のGという2本の牙、そしてタフでストロングなリズム隊とが絶妙なフックを効かせつつ猛進する、新生SABER TIGER流メタル・サウンドは健在だが、VoとGとリズムとが激しくぶつかり合って火花を散らしていた前作『SABER TIGER』に比べると、今回はスピードや攻撃性は控えめで若干淡白な作り。
代わりに本編の主役に据えられたのが下山の歌声。グルーヴィなビートやモダンなアレンジの増量で楽曲に適度な隙間(スペース)が生まれた事により、シンガーとして表現力をフルに発揮する機会を与えられた彼氏は、血管がブチ切れそうなパワー全開のシャウトから繊細な表現力に至るまで、アルバム全編に亘ってこれまでの集大成というべき渾身のパフォーマンスを炸裂。下山がここで得た経験値は、後にSIXRIDEで見事に結実する異なるのだが、まぁそれは別の話。
本作について話を戻すならば、疾走ナンバー“屈辱”や劇的なヘヴィ・チューン“REFLECTING THE RAILWAY”といった名曲が並ぶ前半に対し、山場となる楽曲不在の後半の地味さが惜しまれる出来かな、と。1曲1曲を取り出せば決して悪い出来ではないのですが・・・。


SABER TIGER - F.U.S.E. - Reflecting the Railway ★★★ (2011-09-02 23:43:12)

殺気立った曲調から一瞬空気が変わる、
キャッチーで雄大さ漂うサビメロが秀逸な
ヘヴィ・ナンバー。
感情の振幅の激しい下山の歌声と、
木下のメロディ・センスに唸らされる名曲です。


SABER TIGER - F.U.S.E. - 屈辱 ★★ (2011-09-02 23:40:44)

ヘヴィ且つ殺伐とした演奏とドスの効いた下山の歌声が
印象に残るアルバムOPナンバーだが、SABER TIGERらしい
メロディ使いも随所に息衝く。


SABER TIGER - Indignation ★★ (2011-09-02 23:59:12)

野太くパワフル。前任者の下山武徳と似通った歌唱スタイルを持つ新Vo、鈴木勝人を加えた新編成でレコーディング、'05年に発表された8thアルバム。
それゆえシンガー交代による違和感は殆どないのだが、デビュー作ということで気負い過ぎたのか、全体的に歌唱が生硬く、スピーカーを食い破らんばかりの勢いで感情を爆発させていた下山に比べると、表現力という点ではやや物足りない。
尤もそれは『BRAIN DRAIN』で我々の前に登場した際の下山とて同様だったわけで、「あと2、3枚もアルバムを作れば解消される事だろう」と思っていたら、鈴木を擁するラインナップでの作品はこれにて打ち止め・・・。残念。
尚、本作は中庸な魅力を放つミドル・チューン“LORD”が幕開けを飾る事からも察せられる通り、アグレッションに関しては7th『F.U.S.E.』より更に減退している印象なのだが、レコーディングに際して他のメンバーからもインプットを受けていたという前作に比べると、今回はプロデュースから曲作りに至るまで、木下昭仁(G)が自由に裁量を振るった事が奏功したのか、楽曲(特にメロディ)の質は終始高いレベルをキープ。
一糸乱れぬ楽器陣の演奏にゾクゾクさせられる疾走ナンバー“LIFE”、テクニカル且つドラマティックに次々と展開していく“MR.CONFUSION”、そして勇壮な歌メロがガッツポーズ物のカッコ良さを誇る“BLACK EYES”等、満遍なく良い曲が揃っているという意味では、前作以上の完成度の高さを誇る1枚。


SABER TIGER - Indignation - Black Eyes ★★★ (2011-09-04 09:25:03)

一瞬たりとも休むことなく動き回る
勤勉な木下のGプレイはもとより、
勇ましく劇的なメロディを堂々と歌い上げる
鈴木のVoが「おぉ」と思わず身を乗り出して
しまうほどにカッコイイ。
このラインナップで作り上げられた
最高の名曲だと思います。


SABER TIGER - Invasion ★★ (2011-08-16 23:14:05)

初の女性Vo、久保田陽子(FASTDRAW~PROVIDENCE)の加入のみならず、コンポーザーとしての才も発揮するサイドGの田中康治を迎え、SABER TIGER史上初めてとなるツインG編成への移行。更には十数年の活動歴において初のフル・アルバムのレコーディング・・・と、初物尽くしで'92年に発表された1stフル・アルバム。
赤尾和重の系譜に連なる、男性シンガー顔負けの力強さでメタル魂を鼓舞してくれる久保田のハスキー・ボイス、劇的な構築美を湛えてスリリングに絡み合うツインG、それにリフ/リズム・チェンジや変拍子の多用、ドラマティックな曲展開といったプログレ・メタル的要素がふんだんにフィーチュアされた楽曲の数々は、80年代のストレートなジャパニーズHM路線とは大きく異なり、また一方で、次作以降に確立されるSABER TIGER流HMサウンドともやや味わいを異する、本作でしか聴くことの出来ない過渡期的なユニークさを秘めており、特にOPナンバー“STORM IN THE SAND”は久保田時代を代表する名曲の一つじゃないかと。
その“STORM~”と、ラストに置かれたツインGによるドラマティックなイントロの時点でガッシと掴まれてしまう逸品“MISERY”のインパクトがデカ過ぎるせいで、中盤の楽曲の存在が完全に霞んでしまっているきらいはあるものの、じっくり聴いてみれば個々の楽曲の完成度も決して低くはない(特に本編前半)。満を持して作り上げられただけの事はあるデビュー作だ


SABER TIGER - Invasion - Misery ★★★ (2011-08-16 23:20:00)

ツインG編成の威力が如何なく発揮された
イントロだけでハート鷲掴みな大作バラード。
個人的には下山が歌うアコースティック・バージョンの
方がよりお気に入りだが、さりとて久保田バージョンの
素晴しさも抗い難い魅力を放つ。
 
どっちのバージョンも超名曲っつーことで。


SABER TIGER - Invasion - Storm in the Sand ★★★ (2011-08-16 23:17:18)

久保田陽子加入1発目の楽曲にして
男顔負けのパワーと、繊細な表現力、
そして時折艶っぽさを振りまく
彼女のハスキーな歌声の魅力が如何なく発揮された
勇壮にしてドラマティックな名曲中の名曲。


SABER TIGER - Messiah Complex ★★★ (2012-11-04 22:20:15)

前作『DECISIVE』の感想で「次はもっと早く出して欲しい」と書いたら、本当に1年間隔でのリリースが実現したニュー・アルバム。最初、本作をCD屋で見かけた時は企画盤か何かだと思いましたよ。
勿論、SABER TIGER作品に限って粗製濫造なんてことはある筈もなく、感情剥き出しの下山のVoに、高度な技術力とエモーショナルな表現力を両立させた楽器隊とが一糸乱れずに畳み掛ける、テクニカルなパワー・メタル・サウンドには微塵の曇りもありません。テクニカルと言っても、下手なプログレ・メタル・バンドのごとき些末な辻褄合わせに汲々とするような閉塞感はまるでなく、むしろ豪快さ全開。隙あらば相手の喉笛を食いちぎらんとするアグレッションが全編に亘って渦を巻いているのも、このバンドならではの味。
前作では歌メロのフックに物足りなさを感じたのですが、今回は短いインスト曲を経てスタートする②を聴いただけで、バンドがきっちりとその弱点を克服したことが伝わってきます。パワー/メロディ/構築美と三拍子揃った②、哀愁に満ちたメロディ・センスと「静」の表現力が堪能できるメドレー仕立ての⑥⑦、重厚な(でもキャッチーでもある)存在感でラストを〆る先行シングル⑫と、ポイントポイントに要石のように置かれた名曲の存在が本編をキリリと引き締めてくれています。
ただ一点、別の方が指摘されているのを読んで「あ、そう言えばそうかも」と思ったのですが、確かに他のパートに比べてDsのトルク不足は気にならないこともないような・・・。贅沢な話ですが。


SABER TIGER - Messiah Complex - Bad Visions ★★★ (2012-11-05 22:54:37)

下っ腹にズンズン響くヘヴィネスと
憂いを含んだメロディアスなサビメロが
描き出すコントラストも秀逸なラスト・ナンバー。
振れ幅の大きな下山の歌声が素晴しい。


SABER TIGER - Messiah Complex - Casualties ★★★ (2012-11-05 22:49:10)

各楽器のテクニカルな見せ場を設けつつも
テクニックのみに耽溺することなく、
メロディも強力なフックを有する
SABER TIGER印の名曲。
シャープに、メロディアスに踊るGが印象的です。


SABER TIGER - Messiah Complex - Engrave ★★★ (2012-11-05 22:34:31)

OPナンバーらしい疾走感を湛えつつ
リフもリズムも徹底的に捻くれまくっているという
久保田陽子時代のサウンドを一層ビルドアップしたかのような名曲。
勿論焼き直しなどではなく、
テクニカルでありながら挑みかかるような
アグレッションをも備えているのは
現編成のSABER TIGERならではです。


SABER TIGER - Messiah Complex - Hate Crime ★★★ (2012-11-05 22:57:44)

小気味良くアルバムを締め括る名曲。
重厚な存在感とキャッチーなメロディが
無理なく同居した、先行シングルに
選出されたのも納得の逸品ですね。


SABER TIGER - Messiah Complex - Reminiscence: Path Of Light ★★★ (2012-11-05 22:37:35)

“SPIRAL LIFE”の系譜に連なる
激しくも哀しい劇的な名曲です。
この手の激情迸る楽曲を歌わせると
下山のパフォーマンスには「最高」以外の
形容詞が思い浮かびませんね。
前菜的な小曲“THE MOMENT OR OUR LOVE”と
2曲続けてお楽しみ下さい。


SABER TIGER - Paragraph ★★★ (2011-08-08 22:22:33)

80年代にSABER TIGER名義で発表されたシングルやデモテープ等の初期音源をまとめたコンピレーション・アルバムその1。
現在でもライブの重要なレパートリーとなっている名曲の数々が収録され、後追いファンでもバンドの歴史を手軽に振り返ることが出来る非常に重宝な1枚ではあるのだが、総合的に見ると音質がイマイチなうえ、今の彼らとはサウンド・スタイルもかなり異なるため、若いファンの中には本作を聴いて戸惑いを覚える人もいるかも。(勿論、完成度は高いのだけど)
特に疾走系の楽曲にその傾向は顕著で、シンプルに突っ走る曲調にしろ歌詞にしろ、ストレートに80年代のジャパニーズHM臭が打ち出されていて思わず赤面を誘われる場面もしばしば。(楽器陣の演奏精度の高さに比べVoが弱いのも如何にも80年代のジャパメタ的だ)
但し、インスト曲は勿論のこと収録各曲のハイライトを飾る木下昭仁のGプレイは、既にこの頃から尋常ならざる「気」を発散。彼の劇的な構築美を湛えたGソロが切り込んできた途端、楽曲がそれまでよりも数倍の輝きを放ち始めるのだから頼もしいったら。
個人的には疾走ナンバーよりも、重厚な“MABOROSHI”や、高音域はかなり苦しいが泣きの入ったVoの熱唱が映えるバラード“LOVE YOU”“ある去りがたき心に”、ダークでミステリアスな“TUSK”といったミドル~スロー系の楽曲の方がお気に入りです。


SABER TIGER - Paragraph - Love You ★★★ (2011-08-08 22:32:10)

『PARAGRAPH』収録曲の中では
最も愛して止まないパワー・バラード。
木下昭仁のGも、滝沢貴幸のVoも
猛烈に泣いて泣いて泣きまくる
中盤以降の展開は何度聴いても沁みますね。


SABER TIGER - Paragraph 2 ★★★ (2011-08-09 22:23:20)

久保田陽子(Vo)加入以前にデモやシングルとして発表された楽曲を取りまとめて収録、SABER TIGERの・・・というか、木下昭仁(G)の道程が手っ取り早く辿れる初期音源集その2。
『PARAGRAPH』同様、彼の劇的な構築美を湛えたGプレイを存分にフィーチュアしつつも、現在のSABER TIGERとはだいぶ異なる、ストレートな80年代ジャパニーズ・メタル色が濃厚に打ち出された音楽性はやはり初心者入門編には不向きの内容なれど、楽曲のクオリティの高さは流石(また『1』に比べると現在へと繋がるSABER TIGER節が更に確立されつつある)。特に、疾走するリズムに猛烈な哀愁を帯びた歌メロが乗る“DEAD ROLL”は、愛して止まない初期SABER TIGERの魅力の粋が詰め込まれた名曲!
歴代シンガーの中でも下山武徳、久保田陽子に並ぶ実力派、渡辺徹(Vo)を擁するラインナップでレコーディングされたデモ『SABER TIGER Ⅷ』からの楽曲が収録されている点も個人的には嬉しいところで、中でも本編ハイライトたる“RECOLLECTION”の素晴しさと来た日にゃ。この名バラードにおける渡辺のパワフル&ソウルフルな歌い回しは圧巻で、VOWOWOWの名曲“SHOCK WAVE”に匹敵する・・・といったら褒め過ぎか?ともかく何度聴いても涙ちょちょ切れそうになる程そのパフォーマンスは感動的。


SABER TIGER - Paragraph 2 - Dead Roll ★★★ (2011-08-09 22:31:47)

歌メロも良いですよね、この曲。
単純な完成度では後に下山武徳が歌い直したバージョンに
軍配が上がるが、いかにもジャパニーズメタルらしい
Voの線の細さが愛しいこのバージョンもかなりお気に入り。


SABER TIGER - Paragraph 2 - Recollection ★★★ (2011-08-09 22:28:57)

野太い歌声は好き嫌いが分かれるかもしれないが、
まさに絶唱という表現が相応しい魂の込められた
渡辺徹の歌いっぷりは感動的。
哀愁に満ちた劇的な曲展開の素晴しさと相俟って
涙なしには聴けない名曲に仕上がっています。


SABER TIGER - Paragraph 3 - Museum ★★★ (2011-08-10 22:23:11)

初期音源集その3・・・と言っても、今回は過去2作とは趣きを変え、80年代から90年代にかけて発表されたSABER TIGERの名曲・代表曲の数々を、現シンガーの下山武徳のVoで録り直したベスト盤的性格も感じられる内容。
下山の声を『BRAIN DRAIN』で初めて聴いた時は、失礼ながら「暑苦しい声だなぁ」と余り好印象は持てず、当時は《人見元基に匹敵する実力派!》との評価を見聞きする度に「一緒にするない」と毒づいていたのですが、本作ラストに収められた“MISERY”のアコースティック・バージョンにおける、伸びやかでエモーショナルな歌声を聴いて彼に対する印象がぐるりと反転。確かに日本HR/HMシーン屈指の実力派シンガーだ!と認識を新たにすると共に、先に正しい評価を下されていた方々に深く頭を垂れて謝罪したくなった次第。しかしこれほど感動的な名曲が初回盤限定収録ってのは勿体ない話だなぁ。
久保田陽子時代に思い入れが強い身としては、1st~3rdの楽曲のリメイクに関しては評価を保留せざるを得ないのですが(前述の“MISERY”は除く)、それ以外については全く文句なしで、取り分け疾走系ナンバーは下山のパワフルな歌声を得たことで数倍魅力的にリボーン。名曲“DEAD ROLL”なんて凄まじいばかりの輝きを放っていますよ!(線の細い原曲も、それはそれで愛しくはあるのですが)
本作はSABER TIGER入門編としても立派に機能する1枚ではないでしょうか。


SABER TIGER - Paragraph 3 - Museum - Misery (acoustic version) ★★★ (2011-08-10 22:28:06)

久保田陽子バージョンも紛うかたなき名曲ですが、
下山武徳バージョンも負けず劣らず素晴しい。
というか個人的にはこっちに軍配が上がるかな。
「聴き疲れする暑苦しい声」という偏見を
綺麗サッパリ洗い流してくれる、
下山の伸びやかでエモーショナルな歌声は感動的。


SABER TIGER - Project One ★★ (2011-08-26 21:01:13)

限りなく木下昭仁(G)のソロ作に近い、SABER TIGER、4枚目のフル・アルバム。
元KEELのロン・キールがフロントマンとして迎えられた事でも話題となった本作だが、これまで久保田陽子の艶とパワーを併せ持った歌声に慣れ親しんでいた身にしてみりゃ、その後任Voがワイルドで野太いロン・キールってのはギャップがデカ過ぎた。
実際、テクニックより勢いと個性勝負!な彼氏の歌声と、綿密に構築されたSABER TIGERサウンドの相性はあまり良好とは言えず、無理めな高音域を苦しげに歌っているのを耳にすると、そもそも木下御大はもっと広いレンジを備えたシンガーを想定して曲作りを進めていたんじゃねぇかなぁ?と思ったりも。
それでもそこはベテラン、合わないなりに起伏の激しいメロディを何とか歌いこなしているし、他方、余裕綽々でボトムを支える柴田直人&本間大嗣のヘヴィで躍動感溢れる演奏もアルバムの質向上に大きく貢献。
そして何より本作は楽曲が素晴しい。ここに収められたマテリアルを聴く限り、交通事故に端を発するSABER TIGER活動休止騒動が、木下の創作意欲にも、Gプレイの冴えにも何ら影を落していない事がハッキリと分かる。特に“RECKLESS AND YOUNG”と“GIVE ME ALL YOUR LOVE TONIGHT”は本作を代表する名曲!それと“HARD WIRE”も、後の下山が歌い直した『狂獣伝説』よりこっちの軽快なバージョンの方が好きだな。


SABER TIGER - Project One - Give Me All Your Love Tonight ★★★ (2011-08-26 21:10:07)

バラードって程ではないが、本編収録曲中、
最もメロディアスなラスト・ソング。
木下昭仁の優れたメロディ・センスが
如何なく発揮された名曲で、無理に力む必要がないせいか、
ロン・キールもそれなりに歌いこなしている。


SABER TIGER - Project One - Hard Wire ★★★ (2011-08-26 21:04:53)

秀逸なサビメロは流石、木下昭仁!といったところ。
ベスト盤『凶獣伝説』で下山武徳が歌い直しているが、
あちらのへヴィ・バージョンよりも、メロディの良さが
しっかりと伝わってくる、本作収録の軽快に疾走する
ロン・キール・バージョンの方が好きだ。


SABER TIGER - Project One - Reckless and Young ★★★ (2011-08-26 21:07:11)

前作『TIMYSTERY』に収録されていてもおかしくない、
重厚で劇的なメタル・チューン。
久保田陽子が歌っていたらもっと素晴しい仕上がりに
なっていただろうと思わなくもないが、ロン・キールも
必要十分な仕事はしてくれているし、何より楽曲自体のカッコ良さが
そうした些細な問題を遥か彼方へ吹き飛ばす。


SABER TIGER - Saber Tiger ★★★ (2011-08-31 21:43:59)

前作『BRAIN DRAIN』が仕切り直しの1枚だったとすると、'01年発表のこの6thアルバムは、新生SABER TIGERがいよいよ本領を発揮した1枚と言えるのかも。
『BRAIN~』は、久保田陽子時代の楽曲を下山武徳が歌っているような感触もあったが、本作で木下昭仁(G)は初手から下山の激情迸るVoを念頭に置き、彼専用にチューンアップされた楽曲をクリエイト。そのタフでストロング、それでいて流麗且つ憂いに満ちたメロディが切っ先鋭く切り込んでくるサウンドは、もはや正統派HMというより「パワーメタル」と表現したくなる輪郭線の太さを誇り、取り分けOPナンバー“VAGUE BLESS YOU”は、パワー/スピード/メロディの3拍子揃った、まさしく新生SABER TIGERの魅力を満天下に知らしめる超ド級の名曲。
DUBLE DEALERやアコースティック・ソロ・アルバムの制作といった課外活動を経験した事で、下山の歌声も一層の深みと幅広い表現力を獲得、前作が牙を剥きっ放しのチンピラだったとすれば、本作で聴く事が出来るのは「兄貴」の愛称に相応しい説得力に溢れた歌声だ。バラード“ETERNAL LOPE”(RED & BLUE)やキャッチーで哀愁に満ちた“BECAUSE OF MY TEARS”といったメロディアスな楽曲における彼の歌唱はまさに白眉。
こちらのサイトにおける高評価も大いに得心の行く、捨て曲なしの力作。バンドがセルフ・タイトルを冠した気持ちも分かるというものです。


SABER TIGER - Saber Tiger - Because of My Tears ★★★ (2011-09-01 22:47:24)

下山のアカペラでスタートする構成からも分かる通り、
彼のシンガーとしての著しい成長っぷりが
如実に刻まれた哀愁漂うミドル・チューンの逸品。
この名曲における表現力豊かな歌声を聴くと、
下山がパワー一辺倒のシンガーでないことが
良く分かります。


SABER TIGER - Saber Tiger - Vague Bless You ★★★ (2011-09-01 22:59:08)

勇壮にして流麗な木下昭仁のGプレイに拮抗する存在感を放つ
日本屈指のパワー・シャウター、下山武徳を擁する編成での
SABER TIGER流パワー・メタル・サウンドの最高到達地点が
この名曲かな、と。


SABER TIGER - The History of the New World ~凶獣伝説~ - Dead Roll ★★★ (2008-02-11 21:13:40)

初期SABER TIGER屈指の名曲でしょう。
疾走する、強力なフックを備えた
悲しくも雄々しい歌メロが最高に素晴しい。
線の細いハイトーン・シンガーが、息も絶え絶え
といった感じで歌うオリジナル・バージョンも嫌いではないが、
やはり最初に聴くなら下山武徳バージョンの方がいいか。