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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4901-5000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4901-5000
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SACRIFICE (CANADA) - The Ones I Condemn - The Ones I Condemn ★★ (2009-11-24 22:35:29)

鋭利に回転するGリフ、ヒステリックなシャウトを繰り出すVo、
忙しなく疾走するタイトなリズム、耳に突き刺さってくるかのような
テンションの高いGソロ・・・と、カナダのSLAYERと呼ばれた
往年のサウンドを彷彿とさせる高速スラッシュ・ナンバー。
SACRIFICE復活!を強く印象付ける。


SACRIFICE (CANADA) - Torment in Fire ★★ (2008-05-06 20:03:00)

ロブ・ウルビネッティ(Vo、G)と、ジョー・リコ(G)が中心となって、カナダはトロントにおいて'83年に結成。
活動初期はDsの座が流動的だったが、敏腕ドラマーのガス・ピン加入以降はラインナップも安定し、VOIVOD、RAZORといった
同郷の先輩バンド群と共演しながら腕を磨き、'85年に制作した8曲入りデモテープ『THE EXORCISM』が認められ、
地元のインディ・レーベルDIABOLIC FORCEと契約。同レーベルの社長ブライアン・タイラーをプロデューサに迎えて制作し、
翌'86年にリリースされた1stアルバム。(アメリカはMETAL BLADEが、ヨーロッパはROADRUNNERが配給を担当)
劣悪なサウンド・プロダクションに、刻み目の粗いヤスリ状のささくれ立ったGリフ、しっかりリズム・チェンジを
組み込んでダイナミズムを演出しつつも、基本は取り憑かれたような疾走感にある曲調、ギュルギュルとドリルの如く
脳天に突き刺さってくるハイテンションなGソロ、それにメロディのメの字もなくヒステリックにわめき倒すVo・・・と、
まさに↑×3の方が書いておられる「シュミーアが歌うSLAYER」という表現が、言いえて妙の内容の本作。
特に“RAINIG BLOOD"を彷彿とさせるクールなリフをフィーチュアした、
高速スラッシュ・ナンバーの⑥は、初期SACRIFICEを代表する名曲の1つかと。
メンバーがIRON MAIDENからの影響を告白する②や、ガス・ピンのタイト且つ劇的なドラミングを活かした、
エピック・ソング⑫といったタイプの楽曲も収録されてはいるものの、それらも含めて、やはり本作において最も印象に
残るのは、メロディよりも、時にブラック・メタル的なアグレッションも発散する、破れかぶれの疾走感に尽きる。
個人的には、SACRIFICEの最高傑作と言えば3rd『SOLDIERS OF MISFORTUNE』で決まりだが、筋金入りのスラッシャーの間では
このアルバムをバンドの最高傑作に推す者も多いと聞く。確かに、その気持ちも分からないではない1枚。


SACRIFICE (CANADA) - Torment in Fire - Beyond Death ★★ (2008-05-06 20:13:05)

本編を激烈に締め括るラスト・ナンバーで、
初期SACRIFICEには珍しく、5分を越えるエピック・ソング。
メロディの「メ」の字も見当たらない仕上がりなれど、
中間部で炸裂する、ジョー・リコのタイト且つダイナミックな
ドラミングが、しっかりと劇的さを演出している。


SACRIFICE (CANADA) - Torment in Fire - Infernal Visions ★★ (2008-05-06 20:08:25)

メンバーが影響を告白するとおり、
SALYERの名曲“RAINING BLOOD"を彷彿とさせる
クールで殺傷力抜群のGリフをフィーチュアした、
ダーティでスピーディな高速スラッシュ・ナンバー。


SACRIFICE(日本) ★★ (2008-01-30 22:03:00)

'87年に、EXPLOSION RECORDSから1stアルバム『CREST OF BLACK』を発表してデビュー。
HOWLING BULL RECORDS移籍後、'90年に2nd『TOTAL STEEL』、
'92年に3rd『TEARS』をリリースしている、東京出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド。
未CD化の1stは、SABBRABELLSの1st『SABBRABELLS』や、DOOMの1st『NO MORE PAIN・・・』、
AIONの『DEATHRASH BOUND』なんかと共に、「一度でいいから聴いてみたい作品」
としてマイリスト入りを果たしております。


SACRIFICE(日本) ★★ (2008-02-09 00:42:00)

HOWLING BULL RECORDS所属のバンドだと、
個人的にはSHELL SHOCKが大好きでした。(特に1stと2ndが)
ただ、このSACRIFICEにしろ、その他のバンドにしろ、
殆どは後追いで聴いているので、UNITED以外はライブを見た事が
ないのが残念で仕方ないんですよね。


SACRIFICE(日本) ★★ (2010-06-18 22:43:00)

こりゃ嬉しい!
この調子でDOOMの1stや、HEAVY METAL FORCEシリーズの再発も
是非実現して欲しいところです。


SACRIFICE(日本) - CREST OF BLACK ★★ (2010-07-11 23:00:00)

一度でいいから聴いてみたいと願っていたSACRIFICEの幻の1st『CREST OF BLACK』('87年)がまさかの再発。
失恋船長さんに教えて頂いて発売スケジュールを確認した時は、思わず我が目を疑ってしまいましたよ。
「和製VENOM」の異名を取った彼らだけに、デビュー作たる本作では、てっきり後の作品以上に初期衝動に
忠実なスラッシュ・メタルを演っているものとばかり思っていたのだが、あにはからんや。ここで聴く事が
出来るのは、埃っぽく破天荒、それでいて日本のバンドらしい整合性も兼ね備えたハードコアなヘヴィ・メタル。
子守唄に導かれて幕開ける本編の半数を占めるのは、イーヴルな雰囲気漂わすミドル・チューンの数々で、
疾走曲にしても、その走り方は雪崩を打って畳み掛けるスラッシュ・メタルのそれではなく、飽くまで正統派HMに
由来する走りっぷり。杉内哲のVoもクロノス/デモリションマンばりの吐き捨てスタイルながら、
外へ向かってハジけるアグレッションより、内向きに重く引き摺るようなダウナー感の方が強く印象に残る。
本作を聴いて漸く「SACRIFICEはスラッシュ・メタル・バンドではなくヘヴィ/ロックンロール・バンド」
という発言の真意が理解できた次第。とは言え、本作を最も楽しむ事が出来るのがスラッシャーなのもまた、
疑いようのない事実なのだが。(②⑨辺りはSACRIFICEの全楽曲の中でもトップレベルの名曲かと)
この機会に、2nd『TOTAL STEEL』や3rd『TEARS』もリマスター再発希望。


SACRIFICE(日本) - TEARS ★★ (2008-01-30 21:37:00)

旧川崎クラブチッタの動員新記録を作った事で知られる、SODOMの初来日公演のオープニング・アクトを務め、
洋楽志向のメタル・ファンの間でも、知名度を高める事に成功したSACRIFICEが、その勢いに乗って'92年に発表した3rdアルバム。
MORTORHEADやTANKを彷彿とさせる、荒々しく埃っぽい疾走感と、ズッシリ手応えの感じられるヘヴィネス、
そして正統派へヴィ・メタリックで劇的なインスト・パートを組み合わせた、バイオレントなスラッシュ・メタル・・・という
基本路線に変わりはないものの、サウンド・プロダクションが大幅に向上した事により、楽曲の迫力が倍増。速い曲はより速く、
へヴィな曲はよりへヴィにと、全体の構成にも前作『TOTAL STEEL』以上のメリハリが生まれ、聴いていてもダレるという事が全くない。
特に、重心低く刻まれる力強いリフ・ワークや、荒々しくも勇壮なコーラスをフィーチュアした、パワフルな
ミドル・ナンバーの数々の、尋常ならざるカッコ良さはこのバンドならではの魅力。また、爆走するリズムの上を、
メロディックなGソロが舞う①⑤のような高速スラッシュ・チューンを聴いていると、個人的には4人編成時代の
VENOMを思い出したりも。(Voも、クロノスやデモリションマンと似たタイプだし)
・・・と、これだけ充実した内容のアルバムを作り上げながらも、バンドは本作を最後に解散。Voの杉内哲とBの西田亨は、
現在はより正統派HM色の濃いサウンドを聴かせるバンドSOLITUDEで活動中、の筈。


SACRIFICE(日本) - TEARS - BREAKING THE SILENCE OF THE NIGHT ★★ (2008-01-31 19:38:26)

爆走するリズムの上を、メロディアスで劇的なGソロが
舞う様が、なんとなく4人編成時代のVENOMを思い起こさせる
高速スラッシュ・チューン。個人的には2ndアルバムで一番好きな曲だ。


SACRIFICE(日本) - TEARS - NEVER LAND NEVER AGAIN ★★ (2008-01-31 19:36:26)

重苦しいイントロを経て、へヴィなリフが走り出す
2ndアルバムのOPナンバー。
ダークな雰囲気は如何にも90年代的だが、
正統派パワー・メタリックなリフのカッコ良さと、
劇的なインスト・パートの存在が、凡百のへヴィネス系バンドとの
格の違いを見せ付ける。


SACRIFICE(日本) - TOTAL STEEL ★★ (2008-01-30 21:33:00)

SACRIFICEの名を持つメタル・バンドはやたら多いが、こちらは、日本は東京出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドが、
'90年にHOWLING BULL RECORDSからリリースした2ndアルバム。
メンバーが着ているバンドTシャツのロゴや、THANKS LISTにA.C.WILDの名前が挙げられている事、
そしてバイクのエンジン音から本編の幕が開く構成が物語る通り、本作で聴く事ができるのは、
MORTORHEADやTANK、BULLDOZERといったバンドから影響を受けつつ、そこにドッシリとした重量感を加えた感じの、
埃っぽくもバイオレントなスラッシュ・メタル・サウンド。
メロディを一切無視して、吠えまくる濁声Voは好き嫌いが分かれるところなれど、VENOMやSABBAT辺りがイケル口の人なら
全然問題ないレベルだし、何より、日本人らしい木目細かく組み立てられた、メロディックなソロを紡ぎ出すGが、
Vo以上に歌いまくっているので、個人的には無問題。(⑤のGソロなんて、かなりグッと来るものがあります)
特に、爆発的な疾走感と、ドラマティックなインスト・パートを備えた①、重々しく刻まれるリフと
力強く勇壮な曲調に痺れる②という、冒頭2発の「掴み」はかなり強力。
今ひとつなサウンド・プロダクションや、後半にもう1曲スピード・チューンが欲しかったとか、気になる点も
なくはないが、ともあれ、正統派HMファンとスラッシャー、双方にアピールし得る魅力を備えたアルバムなのは確か。


SACRIFICE(日本) - TOTAL STEEL - CLUMSY LIFE ★★ (2008-01-31 19:30:14)

エンジン音と共に爆走を開始する高速スラッシュ・チューン。
埃っぽい疾走感と、メロディックで劇的なインスト・パートの
組み合わせには、NWOBHMからの影響も伺えます。


SACRIFICE(日本) - TOTAL STEEL - TOTAL STEEL ★★ (2008-01-31 19:33:05)

パワフルで勇壮な、1stアルバムのタイトル・トラック。
重々しく刻まれるリフ・ワークと、ライブでの盛り上がりが
容易に想像できるコーラス・パートのカッコ良さが際立っています。


SACRILEGE(UK) (2020-03-20 09:49:02)

WARWOUNDやVARUKERS等、英国のハードコア/パンク畑で活動していたメンバーらにより結成。「かつてリー・ドリアンにTROUBLEを推薦した」なんて目利きぶりが伝わるエピソードも残す女性シンガー、リンダ“タム”トンプソンを擁して、ハードコア/パンク発、スラッシュ・メタル経由、ドゥーム・メタル着という歴史を突っ走った英国はミッドランド出身の4人組。
80年代に個性的な3枚のアルバムを残して活動を休止。結成から30周年、アルバム・デビューから25周年を記念して2014年に復活を遂げている。


SACRILEGE(UK) - Within the Prophecy ★★★ (2020-03-20 09:53:25)

似たような名前のバンドがチラホラいますが、こちらは英国ブリストル出身の4人組。UKシーンにおけるクラスト/パンクからスラッシュ・メタル方面へのクロスオーバー現象を語る上で欠かすことの出来ない重要バンドであり、NAPALM DEATH、BOLT THROWER、CEREBRAL FIXといったバンドに影響を与えたことでも知られるSACRILEGEが、'87年に発表した2ndアルバム。
MUSIC FOR NATIONS傘下のスラッシュ・メタル専門レーベルUNDER ONE FLAGと契約を交わしたことが関係あるのかどうか、ともかくDISCHARGE辺りからの影響を伺わせるリフ&リズムのササクレ感はそのままに、よりメロディックに歌うようになった金髪女性シンガー、リンダ“タム”トンプソンのVoといい、一層の拡充が図られたインスト・セクションといい、10分越えの大作ナンバーも収録する等ブリティッシュHM然とした薄暗いドラマ性を宿す曲展開といい、これまで以上にサウンドのスラッシュ~正統派HM度数がUP。個人的には聴いていてZNOWHITEのことを思い出したりしましたよ。
無論それがマイナスに働くなんてことは全然なく、寧ろこっちにはバッチ来い。インストの前半と歌入りの後半の二部構成からなるOPナンバー①、アコギと緩急を活かしてドラマティックな盛り上がりを演出する③、次作ドゥーム・メタル路線への萌芽が既に感じられる⑦、本編ラストをオラつきながら走り抜ける⑧といった楽曲のカッコ良さは、音質の悪さを差し引いてもくすまぬ輝きを放っています。
スラッシャーにも、ブリティッシュHM好きにもお薦めできる歯応えのある力作。


SACRILEGE(UK) - Within the Prophecy - Search Eternal ★★★ (2020-03-23 22:37:50)

ハードコア的やさぐれ感と、スラッシーなアグレッション、
英国正統派HMか、はたまたエピック・ドゥームかという
漆黒のドラマ性を宿した10分以上に及ぶ曲展開等、
このバンドの個性を全部乗せしたような大作ナンバー。


SACROSANCT ★★ (2009-12-31 00:48:00)

テクニカル・デス・メタルの最重要バンド、PESTILENCEの結成メンバーの1人だった
ランディ・メインハード(G)がオランダにて結成したテクニカル・スラッシュ・メタル・バンド。
(国内盤のライナーに「西ドイツ出身」と書かれていた為、長らくドイツのバンドだと思い込んでました)
デモ『THE DIE IS CAST』を制作の後、NO REMORSE RECORDSと契約を交わし、
'90年に1st『TRUTH IS - WHAT IS』を発表。(これは国内盤も出た)
アルバムを全くサポートしてくれないレーベルの姿勢に不満を感じたバンドはそこを離れ、
新たに1 MF RECORDSと契約。'91年に2nd『RECESSES FOR THE DEPRAVED』を、
'93年には3rd『TRAGIC INTENSE』を発表。ただ、結局レコード会社からのサポート不足が
解消される事はなく、バンドは'94年に解散している。
余談ながら、NO REMORSE RECORDSはそのすぐ後に倒産。同レーベル絡みの作品は
全く再発が掛からない状態が今も続く。GRINDERのアルバムとか再発して欲しいんだけどなぁ。


SACROSANCT - Tragic Intense ★★ (2009-12-31 11:04:00)

前任Voがレコーディング直前に首を切られ、よりメロディアスに歌えるタイプのVoを加入させて'93年に発表した3rdアルバム。
バンドの中核を成すドイツ人ギタリストが、元々はPESTILENCEの結成メンバーの1人だったこともあり、
プログレッシブ・ロック方面への傾倒はデビュー作の時点で既に強く感じられたが、本作ではそれがとうとう
全面に押し出され、初期の頃のスラッシュ・メタル色は消失。全編が重苦しく陰鬱な空気に包まれている。
時節柄、PANTERA辺りからの影響の跡も伺えるサウンドにキャッチーな部分はほぼ皆無。どう聴いても取っ付き易い
タイプの音楽ではなく、正直言って地味だ。個人的には正統派HMに通じる明快さを備えていたデビュー作の
作風の方が遥かに好みなのだが(2ndアルバムは未聴)、その一方で、本編の随所でハッと耳を捉える欧州風味の
ダークネスと耽美性を兼ね備えたメロディは健在で、特に重く怪しげなOPナンバー①や、アコギを使った
メランコリックな③辺りは、初期の頃の楽曲と比べても遜色はない仕上がりを聴かせ、
結構魅力的だったりするのだから評価に困る。(ヨーロッパでは本作の方が前2作よりも評価が高いらしい)
尚、終始レコード会社からのサポートに恵まれなったバンドは、これを最後に解散している


SACROSANCT - Truth Is - What Is ★★ (2009-12-31 00:54:00)

ドイツ出身かと思いきや、実はオランダ出身だったと最近知らされた5人組のスラッシュ・メタル・バンドが、
当時、BLIND GUARADIANやHEVENS GATEといったバンドを抱えていた新興のインディペンデント・レーベルNO REMORSEから
'90年に発表したデビュー作。(SACROSANCTの作品で国内盤がリリースされたのはコレだけだったんじゃないかな)
90年代初頭というスラッシュ・メタルが一気に拡散を始めた時期の作品ゆえ、ストレートな疾走感よりも
シャウトと歌い上げを使い分けるVoや、リフ/リズム・チェンジを多用した複雑な曲展開といったテクニカル・スラッシュ的な
側面が強調された内容に仕上がっており、SF調のアルバム・ジャケットに釣られて購入したものの、切れに欠けるDsと、
カタルシスに乏しい地味めな作風に「頭でっかちなスラッシュ演っとるな~」と余り良い印象は受けず、数回
聴いたきりでCD棚の肥料にしてしまっていたのだが、こうして久し振りに聴き直してみると、モタるDsに対する不満は
変わらないまでも、溜めと疾走を繰り返しながらテンションを高めていく曲展開、練り込みの跡が伺えるアレンジの数々、
そして暗く湿ったメロディを紡ぎ出し、全編でドラマティックにハモりまくるテクニカルなツインGの存在といい、
これが案外悪くないのだ。特にスピーディな①④、叙情的なアコギを導入したヘヴィ且つ劇的な③、プログレ方面からの
影響も伺える大作⑩といった、Gがメロディアスに「歌う」ドラマティックな楽曲には強く耳惹かれるもの有り。
必聴の名盤!と評価するほどではないにしろ、意外に味わい深い1枚かなと。
ただ、NO REMORSE RECORDSがポシャってしまったため、現在は廃盤状態とのこと。


SACROSANCT - Truth Is - What Is - Dimension Of Violence (2010-04-24 09:58:00)

上擦り気味のVoと線の細いDsがやや不安定ながら
(このバンドにしては)ストレートに疾走する楽曲は
単純にカッコイイ。


SACROSANCT - Truth Is - What Is - Truth Is What Is ★★ (2010-04-24 10:12:47)

スラッシュ・メタルならではの疾走感と、
このバンドらしい捻くれた曲展開、
それに凝ったアレンジが堪能できる
アルバムのハイライトを飾る7分以上に及ぶ大作曲。
縦横無尽に動き回るツインGも○。


SADIST - Above the Light ★★ (2006-03-22 20:01:00)

メロデスが話題になり始めていた90年代半ば、
CARCASSの「HEARTWORK」に今ひとつピンと来なかった私に、
メロデスの魅力を叩き込んでくれた1枚。
「クラシカルとはこういう事だ!」とばかりに炸裂する
ドラマチックなキーボード・ワークと、北欧のメロデスとは一味違う、
OH!イタリア~ンな「濃いめの叙情性」がたまりません!
大仰でありながらも、疾走感を減じていない辺りも素晴しい。


SADUS - A Vision of Misery ★★ (2006-10-02 22:37:00)

スティーブ・ディジョルジオが在籍していた事で知られるベイエリア・スラッシュ・バンド、'92年発表の3rdアルバム。
溜めと疾走を繰り返しながら、クライマックスへ向けて昇り詰めていくという、実にオーソドックスな
SLAYER型スラッシュ・メタルを実践しているバンドながら(Voも音程無視のシャウト・スタイル)、
そこに名手スティーブ・ディジョルジオの個性的なBが加わる事によって、他のバンドにはない独特の魅力が発生している。
フレットレス・ベースを駆使して目まぐるしく動き回り、強烈なウネリを生み出すそのBプレイは確かに素晴しいが、
個人的には、しっかりとバンド・サウンドの要となり、楽曲をスリリングに盛り上げている点を評価。
特に、タイトなDsと一体となって疾走した時のドライブ感は、ちょっと堪えられない爽快さでクセになります。
また、彼の影にかくれがちながら、メロディアスなソロを聴かせるGコンビも、非常に良い仕事をしている事も付け加えておきたい。
作品全体としては、①~④曲目までのテンションが余りに高過ぎるがゆえに、それ以降が尻すぼみに
聴こえてしまう難点はあるものの、とりあえず、その4曲を聴くためだけに本作を購入しても損はない(と思う)。
中でも、前半のへヴィ・パートで溜め込んだエネルギーを、後半の疾走パートで劇的に炸裂させる④はSADUS屈指の名曲だ。


SADUS - A Vision of Misery - Slave to Misery ★★★ (2006-03-09 21:35:43)

へヴィな前半でグッと溜めて、後半、一気に疾走パートへと転じる曲展開が非常にカッコイイ。
スティーヴ・ディジョルジオだけでなく、スリリング且つ劇的なメロディを奏でるギター・コンビも良い仕事をしています。
個人的には、この曲が聴けただけでもCDを買った価値有り。


SADUS - Chemical Exposure ★★ (2007-02-05 21:51:00)

「ベースを抱いた渡り鳥」こと、名手スティーヴ・ディジョルジオが在籍していた事で知られる、
サンフランシスコ出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド、'88年発表の1stアルバム。
個人的にSADUSの最高傑作は3rd『A VISIONS OF MISERY』だと思っているのだが、緩急の効いた
ダイナミックなスラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっていた『A VISIONS~』に比べると、
本作は如何にもデビュー作らしい荒々しさに彩られた、徹頭徹尾ハイテンションに飛ばしまくる「スピード命!」な内容。
緩急の「か」の字も見当たらないアッパーな姿勢は好印象ながら、②を除く楽曲に強烈な個性が乏しいため(平均クオリティは高い)、
途中で今聴いてるのが何曲目なのか見失ってしまったりもするのだけど(笑)、その辺を差し引いても、
この前のめり感はかなり爽快でクセになる。全10曲収録で、ランニング・タイムが僅か30分弱というタイトさも◎。
一体どうやって発声しているのか、断末魔の如きシャウトを響かせるVoもド迫力だし、何より、猛烈にうねりまくる
スティーヴ・ディジョルジオの超絶Bプレイは本作最大の聴き所・・・と言いたいところだが、
自主制作アルバムゆえ、Bの音が不明瞭で聴き取り難い点が残念。どうかリマスター盤ではこの点が改善されてますように。


SADUS - Chemical Exposure - Undead ★★★ (2017-11-15 23:53:44)

ダハハ、速ぇー速ぇー
というのが初めて聴いた時の感想でした。
Voと楽器隊が一丸となってキチGUYの如く激走を繰り広げるのですが
突っ走った爽快感よりも、何やら病んでそうなというか闇抱えていそうな
雰囲気漂わす辺りが、彼らがデス・メタル分類で語られる機会の多い理由でしょうかね。


SADUS - Out for Blood ★★ (2007-03-15 22:23:00)

いつまで経っても国内盤の発売される気配のない、復活のSADUSが'06年に発表した9年振り、通算5枚目となるニュー・アルバム。
強力なウネリを生み出すスティーヴ・デジョルジオのB、相変わらずタイトなジョン・アレンのDs、
ヒステリックなダレン・トラヴィスのVoという三本柱が一体となってダイナミックに疾走する①を聴いた瞬間、
SADUS復活の確かな手応えを感じる事が出来た。3rd『A VISION OF MSERY』の頃を彷彿とさせるアルバム表題曲④、
直線的な高速スラッシュ・ナンバー⑥、エスニックな雰囲気を漂わせた大作⑩も良い曲だ。
ただ、本編の過半数をヘヴィ・チューンが占める事と、トリオ編成への移行により、Gソロから
スリルが減少してしまった事と併せて、全体的にどーにも地味な印象が拭えないのも、また事実。
大半のSADUSファンの期待には応えた内容だとは思うが、初期の頃の「キメ曲不足」病が再発してる感じなのが気に掛かる。
それにしても、NUCLEAR ASSAULTの新作もそうだけど、さっさと国内盤を出せよ、と。


SADUS - Swallowed in Black ★★ (2007-02-28 21:29:00)

1st『CHEMICAL EXPOSURE』の評判を聞きつけたROADRUNNERレコードと契約を交わし、'90年に発表した2ndアルバム。
アルバムの制作環境が整い、プロデュースやミックス作業にマイケル・ローゼンが関わっているだけあって、
サウンド・プロダクションの質が自主制作のデビュー作とは段違い。楽曲の方も、初期衝動に任せた
疾走一辺倒のスタイルから脱却。より緩急に気を払い、リフ/リズム・チェンジを繰り返しながら
ダイナミックに盛り上がっていくという「SADUS流スラッシュ・メタル」は、遂に本作で完成をみた。
その中核を担うのは、異様なテンションの高さで絶叫しまくるVoと、タイト極まりないジョン・アレンのDs、
そして勿論、名手スティーヴ・デジョルジオのテクニカルなBプレイだ。
特に全体を牽引するリズム隊の役割は重要で、彼らが思いっきり突っ走った時に生み出される爽快感は
ベイエリア・スラッシュ・シーンでもトップクラスの気持ち良さを誇る。(当社比)
収録曲は粒揃いなれど、「ここぞ!」という聴かせ所に乏しい為、聴き終えた後の満足感がそれ程でもない・・・という弱点は
未だ解消されてはいないが、ともあれ、次作『A VISION OF MISTERY』での大化けを予感させるに足る、気合の入った1枚。


SAGA - Behaviour ★★ (2011-01-09 00:38:27)

ライブ盤『IN TRANSIT』をもって初期プログレ・ハード路線を総括。ニューウェーブ~AOR/産業ロック色を強めた5th『HEADS OR TALES』('83年)がアメリカでゴールド・ディスクを獲得する程の成功を収めた事に自信を深めたSAGAが、同様の路線を更に追求すべく、プロデューサー兼エンジニアにエレクトロ・ポップ・ロックを得意とするピーター・ウォルシュを迎えレコーディング作業を行い、'85年に発表した6thアルバム。
物語を感じさせたファンタジックなイラストから、写真を用いた即物的なジャケット・アートワークへの変化が物語る通り、本作にはもはやプログレ・ハード色は局所的に残るのみ。共通するコンセプトを備えている事から、副題として“CHAPTER”が振られていた楽曲(総じてプログレ色が強かった)の姿は既になく、女性コーラスやダンサブルなビートを取り入れる等、モダンさを増したアレンジの数々といい、シンプルな間奏パートといい、曲展開は飽くまでスマートにまとめられ、Keyサウンドも楽曲をファッショナブル且つスタイリッシュに彩る事に専念している。例えばアルバムのラスト・ナンバー⑪は6分を越える長尺曲ながら、嘗てのようなドラマ性の迸りを感じる場面は殆どなく、アルバム全体も、お洒落で都会的洗練を感じさせる上品なポップ・ロック・アルバムといった趣き。
個人的にSAGAと言えばやはり初期作の方が好みだけど、壮麗なイントロが印象的な①、良い意味で眠気を誘われる幻惑的なバラード⑥、躍動するポップ・ナンバー⑦、壮大なスケール感漂わす⑪といった名曲/佳曲を収録する、本作の完成度の高さを否定するものではない。
それはそれ、これはこれとして愛聴している1枚。


SAGA - Images at Twilight ★★★ (2010-12-29 01:32:55)

セルフ・タイトルのデビュー作が、ドイツを中心としたヨーロッパ圏で人気を博し、結果、そのドイツに本拠を置くメジャー・レーベルのPOLYDORと契約を交わしたSAGAが'79年に発表、ここ日本でも『黄昏のイメージ』なる邦題で国内盤がリリースされた2ndアルバム。
温もりを帯びた伸びやかなVo、楽曲をグッと引き締めるハードなG、躍動感に富むリズム、そして分厚く全編を覆う華やかなトリプルKeyをフィーチュアし、ASIAとMAGNUMを足して2で割って、そこにE.L.O.辺りに通じるポップ風味を振り掛け、カナディアン・ロック・バンドらしいメロディ・センスをもって料理した感じ(?)のプログレ・ハード/ポンプ・ロック・サウンドは前作の音楽性を順当に継承。
一方で、今回は全体的にアップテンポの楽曲が多く顔を揃え、ハードネス、メロディのキャッチーさ、リズムの躍動感、曲展開の陰影、及びアレンジの綿密さが一層強化されており、その真骨頂はアコギを上手く取り入れたOPナンバー①から早くも全開。このポップ&ドラマティックな名曲を聴くとASIAを思い出すのだが、年代的にはこっちの方が先なんだよな。
プログレ・ハード然とした魅力を発散する①⑥や、SAGAのHRサイドを代表する⑧といった名曲を手始めに、ドラマティックな楽曲から、ハードな疾走チューン、美しいバラード、それにキュートなポップ・ソングまで、バラエティ豊かに取り揃えられた本編は捨て曲なしのクオリティの高さで、SAGA入門編にも相応しい逸品。個人的にも彼らのアルバムではこれが一番好きかな。


SAGA - Images at Twilight - IT'S TIME(CHAPTER THREE) ★★★ (2010-12-29 11:45:16)

作り込まれたアレンジがプログレっぽさを主張しつつも、
曲自体は小難しさの欠片もない、OPらしい躍動感に溢れたポップ・ナンバー。
全編に漲る力強さは、ハードさの増量された2nd収録曲ならではの味わいか。


SAGA - Images at Twilight - Images(chapter One) ★★★ (2010-12-29 11:47:56)

流麗なイントロだけでハート鷲掴みの名バラード。
暖かみと包容力に満ち溢れたマイケル・サドラーの歌声が絶品です。
2ndアルバム収録曲の中では、最もSAGAのプログレ・ハード・バンドとしての
側面が強く表れている1曲かも。


SAGA - Images at Twilight - MOUSE IN THE MAZE ★★★ (2010-12-29 11:53:14)

Keyが全体の主導権を握り、ポップ寄りのサウンドを志向する
SAGAの楽曲の中では、そのハードさが一際強い印象を残す
アップテンポのハード・ナンバー。
(飽くまで彼らにしてはだけど)


SAGA - Live in Hamburg ★★★ (2021-08-05 00:55:05)

'18年に惜しまれながらも解散ツアーを行い、40年以上に及ぶキャリアに堂々終止符を打ったカナダ出身プログレ・ハード・バンドの古豪SAGA。本作は彼らが'15年にドイツのハンブルグで行ったショウの様子をCD2枚組に収録、翌年発表した実況録音盤です。
代表曲“ON THE LOOSE”を筆頭にセットリストは初期の名曲を中心に編まれているとはいえ、プログレ系バンドのライブということで、観客は熱心に演奏に聴き入って曲終わりに歓声を上げる程度でライブは比較的淡々と進行していく…なんて光景を想像していたのですが(偏見)、ところがどっこい。本作で繰り広げられているのは、観客によるコーラスの合唱や、バンドとの息の合った掛け合い等、ステージ上と客席のエネルギーの交換がしっかりとフィーチュアされた熱気溢れるパフォーマンス。これはマイケル・サドラー(Vo)によるドイツ語のMCや、観客とのアットホームなやり取りを始め、昔からSAGAがドイツのファンを愛し(何せ解散公演の地としてもドイツを選んだぐらいで)、ドイツのファンもまたSAGAを愛したことの証であると共に、彼らが過去にクリエイトしてきた楽曲の数々が、いかにキャッチーな魅力を有しているかの証明ではないかと。張り良し伸び良しのマイケル・サドラーの歌声を始め、経年劣化をまるで感じさせないメンバーの熱演に煽られる、名曲“DON’T BE LATE”や“ICE DREAM”、スリリングな“CAREFUL WHERE YOU STEP”辺りの盛り上がりには相当にグッとくるものが有りますよ。
日本では過小評価に泣いたSAGAですが、彼らの実力と人気の一端を知るのにお薦めの1枚。月並みな台詞ですが「入門盤にいかがでしょうか」


SAGA - Live in Hamburg - Don't Be Late (Fabrik, Hamburg 2015-04-28) ★★★ (2021-08-06 01:21:00)

ツインKeyを始めとする楽器陣のテクニカルな見せ場を盛り込みつつ
観客の唱和を誘発するキャッチーな曲作りの上手さも堪能できる
SAGAのライブには欠かせない名曲。
観衆のタイトル・コールに導かれてスタートする辺りからも
この曲の愛されぶりが伝わるってくるのではないでしょうか。


SAGA - Saga ★★ (2010-12-21 22:44:25)

後にQUARTZを結成するミック・ホプキンスや、HONEYMOON SWEETのメンバーなんかも在籍していたグラム・ロック・バンドFLUDDを前身に誕生、80年代にはアメリカのチャートを賑わす程の人気を博し、現在も息の長い活動を続けるトロント出身の5人組が'77年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
作品を重ねる毎にコマーシャルな色合いを強めて行った彼らだが、初期3作ぐらいまでは「トリプル・キーボード」を売りにしたプログレ・ハード路線を追及。・・・と言っても、Key同士がぶつかり合って火花を散らすようなスリリングな内容ではなく、華やかなKeyサウンドが楽曲の土台を作り上げ、その上に暖かみに溢れたポップなメロディを歌うVo、メロディアスに切り込んで来るG、そして美しいボーカル・ハーモニーが乗せられた、もっと素朴で親しみ易い「ポンプ・ロック」と表現した方が似合いそうな音楽性が特徴。マイケル・サドラーの伸びやかな歌声がボブ・カトレイを彷彿とさせるため、曲によってはMAGNUMを思い出したりも。英国的な湿り気やドラマ性を差っ引いた代わりに、カナダのバンドらしいキャッチーなメロディ・センスと躍動感を注入した感じか?
MAGNUMが日本では過小評価に泣いているのと同様、SAGAもここ日本では全く話題になる気配はないわけだが、ポップな楽曲にしろ、ドラマティックな盛り上がりに惹き込まれるプログレ・ハード路線の楽曲(③⑥⑦)にしろ、仄かな哀愁がまぶされ、確かなフックを備えたメロディは非常に日本人好み。
メロハー愛好家の方なら聴いて損のない作品じゃないかと思うのだが、いかがでしょうか。


SAGA - Saga - Ice Nice ★★★ (2010-12-21 23:05:05)

1stアルバムのハイライト・ソングと言って良いんじゃなかろうか。
どことなくジャジーなクールさ漂う前半、
プログレ・バンドらしいインプロヴィゼーションが炸裂する中盤、
そしてハード且つドラマティックに疾走する後半と、
本編中、最もプログレ・テイストが色濃く表れた名曲。


SAGA - Saga - Tired World (Chapter Six) ★★ (2010-12-21 23:09:22)

前曲“ICE NICE”から曲間を開けずに繋がっていく
1stアルバムのラスト・ナンバー。
これまたハードなGが活躍するプログレ色強めの楽曲で
クライマックスの力強い盛り上がりっぷりが
堪らなくドラマティック。


SAGA - Saga - Will It Be You? (Chapter Four) ★★ (2010-12-21 22:53:26)

スペーシーな広がりを演出するKey、温もりに満ちた中音域が
魅力的なVoとがポップなリズムに乗って心地良く跳ねる曲調に、
ハード且つ鋭く切り込んでくるGがかっちょいいったら。


SAGA - Silent Knight ★★★ (2011-01-04 01:07:23)

3代目Key奏者としてジム・ギルモアが加入。これにてマイケル・サドラー(Vo)、ジム(B)とイアン(G)のクリットン兄弟にスティーヴ・二ーガス(Ds)という、いわゆる黄金期のメンバーが揃ったSAGAが'80年に発表した3rdアルバム。
場面によってトリプル・キーボード編成にまで変化する、このバンド独自のスタイルを更に発展させ、時に華やかに、時にドラマティックに楽曲を彩る分厚いKeyサウンドの存在が益々強調された本作は、例えば“MOUSE IN THE MAZE”のようなハードな名曲こそ見当たらないものの、まろやかな味わいを増し、丹念なアレンジを施された収録楽曲はいずれもキャッチーなメロディ、ポップなノリの良さ、そしてドラマティックな曲展開とが無理なく同居。SAGAならではのプログレ・ハード・サウンドは、本作において遂に完成の域へと至ったように思う。
アメリカ・デビュー作ともなった次作『WORLD APART』以降は、ニューウェーブ風味やAOR/産業ロック色が増量され一気にサウンドが垢抜けて行くが、本作辺りまではメロディにヨーロッパ的な暗さや湿り気が横溢。取り分け、勇ましく本編の幕開けを飾る躍動感に満ちた①、優雅な曲調に思わずステップを踏みたくなる③、宇宙的で壮大なイントロがたまらなくドラマティックな⑤、よく歌いよく泣くGに胸を締め付けられる⑧といった名曲の素晴しさは、アメリカとヨーロッパの文化が入り混じるカナダ出身のSAGAというバンドならでは。
前作『IMAGES AT TWILIGHT』と並んで、個人的にはSAGA入門編としてお薦めしたい捨て曲なしの名作。


SAGA - The Security of Illusion ★★ (2018-08-01 23:21:08)

カナダのベテランHRバンド、SAGAが'93年に発表し久々に日本盤のリリースも実現した、スタジオ作品としては8枚目ぐらいのフル・アルバム。
80年代前半ぐらいまでは、欧州のみならずアメリカでもヒット・チャートの上位を伺う権勢を誇ったSAGAでしたが、HR/HMシーンの流行の移り変わりと共に徐々にその名前も聞かなくなり、久々に国内盤が出たのは有難いけど、ゼロ・コーポレーションからのリリースってのは何だか都落ち感が隠し切れないな…とか、バンドにもレーベルにも非常に失礼なことを思いながら購入した本作でしたが、実際に聴いてみるとこれが案外悪くない。
黄金期のメンバーが再集結しているとはいえ、流石に初期プログレ・ハード・サウンドが蘇っているなんてことはなく、これといって印象に残らない地味な曲もチラホラ。しかしながら5th以降のアルバムに顕著だったチャカポコしたニューウェーブ風味のアレンジが一掃された楽曲は、HRのエッジと躍動感が大幅に回復しています。仄かな陰りとポップネスが同居したカナダのバンドらしいメロディ・センスや、マイケル・サドラー(Vo)の上品な歌唱と楽器陣の洗練されたパフォーマンスが自然と醸し出す、SAGA独特のまろやかな雰囲気も勿論健在。特に情感豊かなVoと、イアン・クライトンの泣きのGにグッとくるバラード④や、スペーシーなインスト曲⑦から繋がる、初期SAGAを思わせるアメリカン・プログレ・ハード・ナンバー⑧辺りは、「アルバムを買って良かった!」とガッツポーズ取ってしまう逸品ですよ。
案外悪くない?前言撤回。とても良い作品です。


SAGA - The Security of Illusion - Alone Again Tonight ★★★ (2018-08-02 23:01:40)

しっとりと五臓六腑に染み渡る抒情メロディを、
伸びやかに、そしてソウルフルに歌い上げる
マイケル・サドラーの歌声と、少ない音数で
的確に聴き手の涙腺を刺激するイアン・クライトンの
Gソロにうっとり聴き惚れる名バラード。


SAGA - The Security of Illusion - No Man's Land ★★★ (2018-08-02 23:13:28)

スペーシーなインスト曲“VOILA!”から繋がる楽曲で、
躍動感溢れる曲調、親しみ易いメロディを歌うVoに、
適度な緊張感を湛えて各楽器陣が絡み合う様が
ほんのり初期プログレ・ハード時代の面影を今に伝えてくれます。


SAGA - Worlds Apart ★★ (2011-01-04 14:48:54)

ティナ・ターナーやハワード・ジョーンズなんかとの仕事で有名な売れっ子プロデューサー、ルパート・ハインと組み、アメリカ市場での成功を念頭に置いて制作された'81年発表の4thアルバム。
SAGAの代表曲の1つとして知られる、ポップでコマーシャルなヒット・シングル①が本作の方向性を決定的に示す通り、「脱プログレ・ハード路線」を志向し、メロディからはヨーロッパ的な暗さや湿り気が、曲調からはハードさや重さが一掃され、マイケル・サドラーの歌唱にしても、以前のような粘りとコブシの効いた歌い回しは抑え気味。ポップに心地良く弾む楽曲は、全体的にカラッと爽やかに垢抜けた仕上がりで、曲によってはダンサブルなアレンジが施される等、エレクトロ・ポップ・ロック風味が感じられる辺りは、やはりプロデューサーの嗜好ゆえか。
と言っても、次作以降ほどそういった新たな方向性へと踏み込んでいるわけではなく、当時、日本でもシングル・カットされた②や、繊細な美しさに満ちた叙情バラード⑦(歌っているのはKey奏者のジム・ギルモア)、7分以上に及ぶドラマティックな大作ラスト・ナンバー⑨といった、従来のプログレ・ハード路線と、本作ならではのポップ・テイストがバランス良く配合された楽曲も収録。
総合的な完成度の高さは、本作がアメリカでもトップ20に食い込むヒットとなり、SAGAの名を一躍メジャー・シーンへと押し上げる切っ掛けとなった名盤であることをしっかりと裏付けている。


SAHARA - Going Crazy ★★★ (2014-09-06 22:32:02)

アントニオ猪木ばりの立派なアゴの持ち主、元WARLORDのKey奏者センチネルさん・・・もとい、ダイアン・アレンズを中心とするLAの5人組が、'93年にドイツのDREAM CIRCLE RECORDSから発表したデビュー作。
妖しく煌くドラマティックな様式美HMサウンドが輸入盤市場で話題を呼び、後にテイチクから国内盤がリリースされたのを機に購入してみたら、幻想的なアートワークの素晴らしさ込みで、前評判に違わぬ完成度の高さにいたく感動した記憶あり。
全編を叙情的&神秘的に包み込むダイアンのKeyプレイの重要性は言わずもがな、特筆すべきはもう一人の女性メンバー、リズ・ヴァンドール(Vo)の存在。熟女の色香、卓越した表現力、そして高音域でもパワーダウンしない豊かな声量とを併せ持った歌声は、まさしくバンドの大きな武器と言えましょう。
憂いが溢れ出すサビメロに一発K.O.なOPナンバー①や、RAINBOW/BLACK SABBATH/DIOに通じるスケール感とドラマ性を宿した⑧の名曲っぷりは彼女の熱唱に拠るところ大ですし、リズのシアトリカルな歌唱と、ダイアンの奏でるシンフォニックなKeyとが、まるで凱歌のように高らかに鳴り響く⑦は、アルバムのハイライト・ナンバーと呼ぶに相応しい輝きを放っています。
国内盤は既に廃盤ですが、中古屋に行けば500円ぐらいの格安価格で買えてしまいますので、これは一度聴いておかないと損というものですよ。


SAHARA(KOREA) (2015-02-07 23:14:29)


ドイツやアメリカのHMバンド・・・ではなくて、韓国は仁川にて結成された5人組。
未聴の1st『THE SEVEN YEARS OF DROUGHT』('93年)ではネオクラシカル路線のHRを演っていたそうですが、続く2nd『SELF EGO』('97年)ではDREAM THEATER影響下のプログレ・メタル・サウンドを披露。これが輸入盤市場で話題となり、後にテイチクから国内盤もリリースされ日本デビューを果たしている。
尚、その際の雑誌インタビューの受け答えにおける腰の低い好青年っぷりは、スウェーデンのTAD MOROSEに匹敵するものがあったとかなかったとか・・・。


SAHARA(KOREA) - Self Ego ★★★ (2015-02-07 23:18:43)

「ネオ・コリアン・ハード・ロックの旗手!」なる惹句を付けられて日本デビューを飾った韓国・仁川出身のKey奏者を含む5人組が、'97年に発表した2ndアルバム。
猛烈な哀愁を発散する「泣き声」の持ち主であるシンガーの歌唱と、複雑精緻な曲展開も澱みなくこなす高度な演奏技術を身に付けた楽器陣を基軸として、そこに韓国産らしい、濃い口の情念渦巻くメロディの味付けを加えた神秘的且つドラマティックなプログレ・メタル・サウンドは、時節柄、やっぱりDREAM THEATERからの影響は大。
クオリティの高さは認めつつも、個人的にはあまり入れ込むタイプの音じゃないのですが、にも関わらず長年本作を手放すことなく手元に置き続けて来たのは、本編ラストに鎮座まします名曲“UNTIL YOU KNOW ME”の絶大な存在感ゆえであります。入魂のハイトーンが胸を締め付けるシンガーの熱唱のみならず、Gもピアノも泣いて泣いて泣きまくる、いつ何時聴いても鼻の奥にツーンと来るこのソウルフル(韓国だけに・・・ってやかましいわ)な名バラードを聴くためだけにでも、本作は購入する価値があります。本当に。勿論プログレ・メタル好きなら尚のこと。
国内盤は既に廃盤になって久しいですが、中古盤なら3桁価格からの購入が可能ですので、泣きメロに目のない方は是非一度お試しあらんことを。


SAHARA(KOREA) - Self Ego - Until You Know Me ★★★ (2015-02-07 23:37:08)

2ndアルバムの終幕を飾る名バラード。
猛烈な泣きを発散するサビメロには
滂沱の涙誘われまくりで、そこに被さるピアノの旋律と、
後に続くGソロがこれまた泣ける。
韓国語の歌詞が気になる人もいるかもしれませんが、
個人的には母国語で歌ったからこそ
ここまでエモーショナルな仕上がりになったと思う次第。


SAINT (2015-04-25 11:49:29)

'79年に活動を開始し、当初はPOWER FAITHと名乗っていた模様。
SAINTと改名の後、'84年にデビューEP『WARRIORS OF THE SON』、'86年に1stフル『TIME'S END』、そして'88年には代表作とされる2nd『TOO LATE FOR LIVING』を発表し、いずれもクリスチャン・ミュージック・シーンを中心に好評を博するも、間もなく解散。
自分が聴いたことがあるのはこの時期の作品だけなのですが、実際のところバンドは、21世紀を目前に再結成を遂げてからの方が、より積極的に活動している印象あり。
なお、バンド名や歌詞カードに聖書の一節を引用したりすることからも分かる通り、クリスチャン・メタル・バンドである。


SAINT - Time's End ★★ (2015-09-18 00:57:59)

名曲“LEGIONS OF THE DEAD”を収録する自主制作EP『WARRIORS OF THE SON』で'84年にデビューを飾った4人組が、'86年にPURE METAL RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ロブ・ハルフォードの生霊を憑依させたかのようなシンガーのイタコ真っ青な歌唱を筆頭に、JUDAS PRIESTに瓜二つな音楽性がマニアの間で評判となった彼ら・・・と書くと、単なる物真似バンドと思われるかもしれませんが、逆に「メタル・ゴッドと聴き紛う程のクオリティを有していた」とも言えるわけで。
もっさりとした音質に、まとわりつく垢抜けないマイナー・メタル風味と、アメリカのバンドらしいキャッチーさが加わった2nd『TOO LATE FOR LIVING』の名盤っぷりにはまだまだ及ばないまでも、デビューEPに比べると肩の力が抜け、ロブ・ハルフォー度を増したシンガーの歌唱から、前作より練られたフレーズを閃かせるようになったGまで、バンドとしてのレベルは格段にUP。中期JUDAS PRIESTばりの光沢を放つ③⑤⑧といった正統派HMナンバーが提示するカッコ良さは、(ゴールドクロス級とまでは行かずとも)とりあえずブロンズセイント並の破壊力は感じさせてくれる逸品です。
車田まさみ風に言うところの、「彼らはようやく登り始めたばかりだからな。この果てしなく遠いJUDAS PRIEST坂をよ・・・」と、SAINTの今後に大いに期待が持てる1枚。(事実、次作で大当たりを出してくれる)


SAINT - Time's End - Time's End ★★ (2015-09-20 19:58:12)

MALICEの“ROCKIN' WITH YOU”と双璧をなす
「まるで“METAL GODS”」なアルバム表題曲。
聴く度に笑ってしまいますが、嫌いじゃありません。


SAINT - Too Late For Living ★★★ (2015-04-25 11:50:02)

JUDAS PRIESTのソックリさんぶりがマニアの間で語り継がれる、オレゴン州セイラム出身の4人組聖闘士(違う)が'88年に発表した2ndアルバム。
デビュー当初の青銅聖衣から、立派な黄金聖衣へと華麗なる衣替えを果たし「SAINTの最高傑作」と評判を得る本作は、OPナンバー①からしてバイクのエンジン音でスタートする等、いきなりJUDAS PRIEST大好きっ子ぶり全開。特にシンガーの「ロブ・ハルフォー度」の高さは半端なく、レンジの広さは御大ほどじゃありませんが、中音域で歌っている時のソックリさ加減と来たらMALICEもたじろぐレベル。疾走曲②でリズムに対して早口気味に歌メロを追っ付ける所や、③のヴァースを抜いた声で歌ってる箇所なんかロブそのもの。吹き出すと共に感心せずにはいられませんて。
よくよく聴けば、楽曲自体はJP「風」ではあってもそのまんまってわけじゃなく(シングルG編成ですし)、⑧みたいな如何にもアメリカンな爽やかなロック・ソングも収録されてたりするのですが、しかしながら、この声で歌われると否応なしに鋼鉄神っぽさが吹き込まれるのは事実。
何より、新ギタリストの有能さが遺憾なく発揮された④やインスト曲⑥、そしてサビが「ドスケベがいた~♪」に聴こえてしまう重厚な⑦等、タイトに締まった楽曲がテンポ良く繰り出される本編を聴くと、彼らが単なるモノマネで満足せず、ちゃんと良い曲を生み出すべく研鑽を積んでいるバンドであることが伝わって来ます。
似てるから良いのではなく、優れてるから良い作品なのですよ!と、内なる小宇宙を燃え上がらせながら力説したくなる1枚。


SAINT - Too Late For Living - Accuser ★★★ (2015-04-28 00:14:05)

これまたシンガーのロブ・ハルフォードくりそつな
歌唱に驚かされる疾走ナンバー。
実際のところ声を張ると御大ほどの神々しさは
感じられないのですが、中音域で、抜いた声で
歌っている時の「ロブ・ハルフォー度」の高さは
リッパー、ラルフ・シーパーズ、ジェイムズ・ニールといった
ライバル勢を全く寄せ付けないレベルに達していますよ。


SAINT - Too Late For Living - Returning ★★★ (2015-04-28 00:19:49)

ロブ・ハルフォード似のシンガーばかりが
俺達の武器じゃないぜ!とばかりに
2ndアルバム・リリース前に加入した新ギタリストが
実力をスパークさせるインスト・ナンバー。
この曲に限らずアルバムの至るところで
フラッシーなGの腕前を閃かせるこのGの加入で
バンドの格は間違いなく数段上がりましたね。


SAINT - Too Late For Living - Star Pilot ★★★ (2015-04-28 00:08:08)

早口Voからエコーの掛かり具合まで、ジョシュ・クレーマー(Vo)の
神罹ったロブ・ハルフォードそっくりさ加減に驚かされる疾走ナンバー。
それだけでなく、ドーナツ化現象が危惧され始めていた
当時の米国HR/HMシーンで、迷わずド直球の正統派HMが貫く楽曲自体も、
『BRITISH STEEL』期のJUDAS PRIESTを思わすカッコ良さで、
非常に良く出来ています。


SAINT - Too Late For Living - The Path ★★★ (2015-04-28 00:26:25)

爪弾かれるアコギをイントロ代わりに
力強く、壮大に盛り上がっていく曲調が
“METAL GOD”を思い起こさせるエピック・ソング。
どうでもいいことですが、何度聴いてもサビメロは
“ド~スケベ~が~い~た~♪」と歌っているように
空耳してしまいますね。


SALEM - LIFE WITH NO HOPE ★★ (2007-07-25 23:01:00)

2ndデモがKERRANG!誌で高く評価され、'93年にはUKツアーも行っている4人組HMバンドSALEMが、
1stフル『REASON FOR EXISTENCE』に先行する形で'93年発表した4曲入りEP。
HOWLING BULLレーベルからのリリースだったので、てっきりバキバキにスラッシーな内容を想像して購入したら、
そうした要素は(あるにはあるけど)最小限に留められ、もっとずっとモダンでプログレッシブ・ロック寄りの
サウンドを聴かせるバンドだったので、意外に思った記憶がある。
ちゃんと歌っているVo、テクニカルだが独り善がりではない、メロディアスなフレーズを紡ぎ出すG、
アクティブに動き回って要所を締めるB、多彩なリズムを叩き出すグルーヴィなDsと、メンバーの技量も確かで、
「グッとヘヴィ・メタル寄りになったATHEISTやFORCED ENTRY」といった印象も無きにしも非ず、か?
キャッチーとは言い難い音楽性ゆえ、個人的には苦手なタイプのバンドの筈なのに、彼らの場合は
(やや表現力に欠けるものの)取っ付き易い歌メロを乗っけてくれるVoと、繊細な表現力に長けたGの存在のお陰で、
最後までダレることなく聴き通せる。特に、強烈に泣くGと、憂いを帯びた歌メロを兼ね備えた、
SALEM流の美意識の結晶である④(1st『REASON~』にも再録)は名曲です。


SALEM - THE LEGACY ★★ (2008-09-18 22:28:00)

後にCHURCH OF MISERYを結成する、三上タツ(B)が嘗て在籍していた事で知られる、東京出身の4人組プログレ・パワーメタル・バンドが、
レコード・デビュー以前の'88年~'93年に発表した3本のデモ・テープ『DEMO 2』『BACK TO THE FRONT』『PROMO DEMO』に
リマスターを施しCD化した、後追いファン(俺です)には非常に有り難い初期音源集。
荒々しくもしっかりと「歌う」Vo、時にリード楽器の役割も果たすメロディアスなB、手数の多いダイナミックなリズムを
叩き出すDs、そして、エモーショナルなメロディを紡ぎ出すGとが、テクニカル且つスリリングに絡み合って生み出される、
カテゴライズ無用の個性的なサウンドは、これらデモ音源の時点で既に完成済み。
個人的に、特に興味深く聴かせて貰ったのが、初代Vo.山田哲也時代のナンバー⑧⑨⑩で、IRON MAIDENからの濃厚な影響と、
よりダークでスラッシーな攻撃性が宿った楽曲の数々を聴くにつけ、なぜ彼らがこのサイトにおいて「スラッシュ・メタル」の
カテゴリーに登録されているのか、ようやっと理解できた次第。いやぁ、カッコイイ。
一部楽曲は、'91年にHOWLING BULL RECORDSから1000枚限定でリリースされたデビューEP『LIFE WITH NO HOPE』や、
1stフル『REASON FOR EXISTENCE』('93年)と重複しているものの、両作とも現在では廃盤のため入手は困難だし、
何より本作収録バージョンの方が、より生々しくハードなアレンジが施されていて、単純にカッコイイ仕上がりだしね。
SALEM未体験者には、入門編としての機能も果たす、かなり重宝な1枚。出来れば、1stとEPも再発して欲しいなぁ。


SALVAGE - Salvage ★★ (2012-11-29 23:17:33)

日本でジャーマン・メロディック・パワー・メタルが盛り上がりを見せていた'91年にデビューを飾った、ドイツ中東部はハーゲン出身の5人組の唯一作。(日本盤リリースは'93年)
と言っても彼らは別にメロパワ系ではなく、Keyを適宜取り入れ、いかにもヨーロピアンな哀愁や泣きを湛えたツインGの威力も最大限に活かした、メロディアスでオーセンティックな正統派HRバンド。ハードに決めても透明感を失わないサウンドは、既に別の方が指摘されている通り、確かにアメリカのFIFITH ANGELに通じる魅力あり。(バンドも影響を受けたことを認めています)
溌剌としたDOKKENタイプの佳曲②や、転調を絡めたドラマティックな曲展開が光る④、2本のGがシャープに舞うアルバムのハイライト的疾走ナンバー⑤、繊細な哀メロにグッとくるバラード⑥⑩等、確かなテクニックとメロディ・センスを兼ね備えたツインGの巧者ぶりが光る収録楽曲は、いずれも秀逸な出来栄え。
「腹ペコなトニー・マーティン」といった趣きの、いなたいシンガーの歌唱が拭い難いB級テイストを醸成してしまっていますが、この頼りなさげな歌声が本編から漂って来る哀愁度をアップさせている側面もなくはなく、個人的には一概に否定できない愛着を覚えています。
殆ど10何年ぶりかで聴き直しましたが、良いアルバムでした。メンバーは今頃どこで何をやっているんでしょう。


SALVAGE - Salvage - HOLD ON ★★★ (2012-12-02 00:08:14)

技術面、メロディ面、両サイドにおいて
冴えを発揮するツインGの妙技を堪能したいなら、
アルバムのラストを飾るこのバラードがお薦めです。


SALVAGE - Salvage - IN MY HEART ★★★ (2012-12-02 00:06:39)

ハードな楽曲を歌うとパワー不足が気になる
シンガーですが、この手の叙情ナンバーを
ソフトに歌い上げさせるとドン・ドッケン辺りに
通じる繊細な魅力を発揮します。
ドンさん的には「一緒にすんな」ってなもんでしょうが。


SALVAGE - Salvage - No Time to Lose ★★★ (2012-12-02 00:02:04)

ドイツのバンドらしい雄々しく疾走する曲調に、
テクニカルに、メロディアスに切り込んでくる
ツインGの旨みがギュギュッと詰まった
アルバムのハイライトを飾る名曲ですね。


SAM ALEX - Pieces ★★★ (2022-03-11 00:44:35)

詳細は不明ながら、80年代からキャリアを積んでいたというドイツ人シンガー、サム・アレックスの日本デビュー作となった'04年発表のソロ・アルバム。
日本盤帯の惹句《ヴァレンシアを想起させる美しい容貌》に関しては、ジャケ写を見る限り議論の余地がありそうですが、内容の素晴らしさに関しては満場一致をみるところではないかと。それもそのはず、本作の制作を全面バックアップしているのはボビー・アルトヴェイターその人。マニアからはCROSSFIRE~OSTROGOTHのピーター・デ・ウィント(Vo)と組んだAFFIAR等の活動を通じて高評価を得るミュージシャンです。
ただ個人的に本作を購入する大きな動機となったのはROBBY VALENTINEの名曲“THE MAGIC BLEEZE”や、ノルウェーのメロハー・バンドRETURNの楽曲のカヴァーが収録されていることに興味を惹かれたからでした。サム・アレックスご本人による選曲なのかプロデューサー・チョイスなのかはわかりませんが、どちらにせよこのセンスは買いですよ。(他にもALPHAVILLEやULTRAVOXのカヴァーも収録)
エッジの効いたギター、抒情性を増幅するKey、そして主役たるサム・アレックスのパワフルな歌声に彩られたオリジナル楽曲のツボを押さえた完成度も「流石はボビー・アルトヴェイター」な安定ぶりで、特にピアノの隠し味も効いている爽快なメロディック・ロック・チューン③は、本作の旨みが凝縮されているかのような名曲。
これ以降お名前を見聞きしませんが、お元気であれば是非アルバム・リリースをお願いしたいところであります。


SAM ALEX - Pieces - Chance to Win ★★★ (2022-03-15 02:09:17)

ドイツ産らしい重厚な演奏と、
キャッチーで伸びやかなサビメロがもたらす
爽快感のコントラストも鮮やかな
ボビー・アルトヴェイターの曲作り(とGの)の
手腕が冴える名曲です。


SAMMY HAGAR - Not 4 Sale ★★★ (2019-09-19 00:20:51)

‘96年にVAN HALENを脱退したサミー・ヘイガーが、'02年にSAMMY HAGER AND THE WABORITAS名義で発表した作品。
VAN HALENの偉大さは知っていても、代表作を2、3枚持っている程度でとても熱心なファンとは言い難い身ゆえ、サミー・ヘイガーのソロ・アルバムなんて更に興味の対象外になってしまうのは致し方なし。申し訳ない。しかしながら本作は、そうした一歩引いたリスナーの首根っこをフン捕まえてグイッと引き寄せるだけの魅力が備わっていました。
気の合う仲間達とリラックスして作り上げた感のある、伸び伸び開放的な作風と、サミー曰く「レコーディングから完成まであっという間だった」という短期集中型の制作過程が見事にマッチ。一応、映画『ロック・スター』挿入歌“STAND UP”がリーダー・トラックということになるのかもしれませんが、あの映画に全く好感を持ってないこっちにとっちゃ、それよりも2曲目以降こそが本作の本領ですよ。一緒に歌わずにはいられないリフレインを持つ②、爽やかな哀愁薫るメロハー③④、LED ZEPPELINのカヴァー・メドレー⑤、アクセルを踏み込んでブッ飛ばすハード・ドライヴィンな⑨といった楽曲の数々を、真っ赤に燃る炎の如き歌声がエネルギッシュに盛り立てる本編は、問答無用で聴き手を高揚させる爽快感に満ち溢れています。流石はVOICE OF AMERICA。ラストを締め括るドラマティックなバラード⑩にも涙がちょちょ切れるかと思いましたね。
どうせ能天気なロックンロール演ってんじゃないの?というサミー・ヘイガーに対する偏見を綺麗さっぱり払拭してくれる1枚。


SAMMY HAGAR - Not 4 Sale - Karma Wheel ★★★ (2019-09-20 00:06:26)

重厚にしてドラマティックな曲調、憂いを湛えたメロディ、
泣きのGソロ、それに何よりシンガーとしての実力全開な
サミー・ヘイガーの絶唱に、思わずハートを鷲掴みに
されてしまう名曲ですよ。


SAMSON - Head On ★★★ (2017-03-11 09:35:59)

80年代初頭限定で、IRON MAIDEN、DEF LEPPARD、SAXONらと覇を競ったNWOBHMの雄SAMSONの2ndアルバム(’80年)。今回から新Voとしてブルース・ブルースことブルース・ディッキンソンが加入。またジャケットでは変質者感バリバリの覆面ドラマー、サンダースティック先輩が鎌装備で睨みを効かせる等、陣容の整ったSAMOSNがいよいよ本領を発揮し始めたことが伝わって来る出来栄え。(ちなみに国内盤CDは’90年にジムコから発売されていて、当時の思い出を振り返るブルースのインタビューも聞けますよ)
さて、そんな本作。邦題は『魔人襲来』だわ、ドラマーは檻に入ってるわ、新フロントマンはゴリラだわで、もはや怪獣無法地帯かアニマル・キングダムかと。しかしそうした怪しげなビジュアル・イメージや、アクの強いメンバーに存在感を掻き消されながらも、リーダーのポール・サムソン(G)がコツコツとクリエイトするのは、アカペラ・コーラスまで飛び出すOPナンバー①が物語る通り、70年代HRを引き摺ったシンプルでキャッチーなタテノリ・ロック。地味っちゃ地味ですが、そこに実力派シンガーの片鱗を既に伺わせるブルースの大仰な歌唱と、隙あらば派手なフィルをブッ込んで来るサンダースティックのドラミングというメタリックな要素が加わることで、他の何者でもない、SAMSONならではの個性的なHMサウンドが創出される塩梅。
じっとりと哀愁漂わす③、後半の激走パートが熱い⑤、IRON MAIDENと因縁浅からぬ⑥、SAMSON版“BREAKING THE LAW”風の⑦といった優れた収録曲を前にすれば、彼らが単なる「メイデンの草刈り場」等ではなかったことをお分かり頂けるのではないかと。


SAMSON - Head On - Hammerhead ★★★ (2017-03-11 10:16:22)

メインのGリフはどことなくJUDAS PRIESTの
“BREAKING THE LAW”を彷彿。
やたらと手数の多いサンダースティックのドラミング
(人によってはしゃしゃり過ぎに感じられるかもしれません)が
小気味良い疾走感を生み出しています。
音作りがもう少し重厚ならHMアンセムとして
チヤホヤされていてもおかしくなかったSAMSONの代表曲。


SAMSON - Head On - Thunderburst ★★★ (2017-03-11 10:08:56)

後に“THE IDES OF MARCH”となるインスト曲のアイデアを
初期IRON MAIDENに在籍していたサンダースティックが
SAMSONに持ち込み、勝手に異名同曲として収録してしまい
スティーヴ・ハリスを激怒させたという
NWOBHMファンにはお馴染みの逸話で知られる1曲。
(作曲者としてHARRISの名前もクレジットされている)
聴き慣れたメイデン・バージョンに比べるともっさりした仕上がりですが
隙あらばオカズ入れまくるサンダースティックの
パワフルなドラミングが笑える・・・じゃなく楽しめます。


SAMSON - Head On - Too Close to Rock ★★★ (2017-03-11 09:56:41)

前半はシンプルなノリのロックンロールですが
ドカドカ全力でブッ叩きまくるサンダースティックの
ドラミングに引っ張られて一気にスピードアップ。
更にブルースの野性の雄叫びが絡む中盤以降は
完全にHMナンバーと化していて、
そのコントラストがユニークな名曲。


SAMSON - Joint Forces ★★★ (2023-05-26 01:47:54)

SAMSONというと、NWOBHMの端緒を飾った1st『SURVIVORS』、現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンが歌っていた2nd『魔人襲来』と3rd『魔界戦士』、新Voにニッキー・ムーアを迎えてバンド史上最高セールスを記録した4th『魔界の嵐』辺りまでの活動はフォロー出来ていても、それ以降となると一体どこで何やってたのかさっぱり…というHR/HMリスナーも少なくないかと存じます。(俺のことなんですが)
本作は、元々はポール・サムソン(G)のソロ・アルバムとしてレコーディングが進められていたところ、レーベルからの要請で結局SAMSON名義で’86年にリリースされるに至った作品で、二代目フロントマンのニッキー・ムーアや、GILLANのジョン・マッコイ(B)という元メンバーが集って制作されただけあって、そのサウンドは正しくSAMSON以外の何者でもない、むしろSAMSONの総決算というべき内容に仕上がりとなっています。
マッコイのBがブリブリと唸りを上げるパワフルな疾走ナンバー①から、ブリティッシュHR然とした哀愁と気品を漂わす⑤、ポールのあばれはっちゃくなGに先導されて突っ走るGILLANタイプの⑥、洗練を感じさせる哀愁のメロハー⑦、ゲスト参戦のコリン・タウンズが奏でるピアノと、ムーアのねちっこい歌い回しがタメの効いたドラマティックな曲調をより一層引き立てるバラード⑩に至るまで、収録楽曲は名盤としてファン人気の高いブルース時代のアルバムと比較しても全く遜色のない出来栄え。
ファン人気の高い初期作にも比肩し得る、何ならSAMSON入門盤としてお薦めできるクオリティを誇る名盤。日本盤未発売なのが不思議でならないぐらいですよ。


SAMSON - Joint Forces - Reach Out to Love ★★★ (2023-05-31 23:41:26)

アルバムの幕引き役を担うドラマティックなバラード。
タメの効いた曲調、ニッキー・ムーアのVoとポール・サムソンの
Gのエモーショナルな歌いっぷり、それにゲスト参戦のコリン・タウンズが
滑らかに奏でるピアノとが風格と深みを演出。
「SAMSON?B級バンドでしょ?」との先入観を吹き飛ばしてくれる名曲ですよ。


SAMSON - Joint Forces - Tell Me ★★★ (2023-05-31 23:33:26)

ブリティッシュHM然とした重厚な曲調を、
ニッキー・ムーアの愁いを帯びた歌声と
ポール・サムソンの泣きのGが援護射撃。
SAMSON侮り難し!となる名曲ですよ。


SAMSON - Riding With the Angels: The Anthology ★★★ (2016-05-19 23:14:21)

'02年発表。SAMSON復活の狼煙になる筈が、首魁ポール・サムソンの急死(ガンだったとか)により、図らずも遺作になってしまった2枚組ベスト・アルバム。
「SAMSON?普通のHRバンドだぞ。ブルースの歌唱も今ほど劇的じゃないし」との前評判と、背伸びしたい盛りのヤングだった身には、SMスナイパーばりの覆面姿で檻の中に納まるサンダースティック先生の神々しいパフォーマンスが、ズバリ申し上げて「アホじゃねえの?」と子供騙しに思えたこともあり、その音に触れる機会を逸し続けていたSAMSONを見直す切っ掛けともなった、個人的に非常に恩義を感じているベスト盤でもあります。
ブルーズ・ベースのHRサウンドを、ブルース・ディッキンソン(Vo)がダイナミックな歌唱で盛り立てる2nd『HEADS ON』に、名盤の誉れ高い3rd『SHOCK TACTICS』のみならず、こうしてまとめて聴いてみると「NWOBHMブームの中でのみ通用したバンド」とのイメージに反し、ブルース加入前の1st『SURVIVORS』はもとより、巨漢シンガー、ニッキー・ムーア加入以降の作品も、収録曲は総じて高いクオリティを保持していたことが良く分かります。これも偏にバンドの根幹を担い続けたポール・サムソンの踏ん張りの賜物。
考えてみれば歴代輩出メンバーだって、ブルースを始め、GILLANのジョン・マッコイに、SIMPLE MINDSで成功を手にするメル・ゲイナー、溢れ出るイロモノ臭とは裏腹に手数多めのドラミングでボトムを攻撃的に支え続けたサンダースティックことバリー・パーキス、その彼と入れ替わる形でIRON MAIDENへ去ったクライヴ・バーetc…と、タレント揃いなんですよね、このバンド。そりゃ質も高い筈でっせ。


SAMSON - Shock Tactics ★★★ (2018-05-15 23:29:20)

現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンや、覆面レスラー…もといドラマーのサンダースティックらを擁したNWOBHMの雄、ポール・サムソン率いるSAMSON、'81年発表の3rdアルバム。(邦題は『魔界戦士』)
彼らのカタログの中では、ポリスに通報待ったなしの変質者感バリバリな勇姿でサンダースティックがジャケットを飾り、そこに邦題『魔人襲来』がコクのある味わいを加えてくれていた2ndがお気に入りなのですが、勿論SAMSONの代表作として名高い本作も、質の高さで引けを取るものじゃありません。
IRON MAIDENばりにケレンの効いた音を期待すると拍子抜けしてしまう、HMというよりはHRと呼びたくなる70年代の残り香を漂わせたシンプルな作風は前2作を踏まえつつ、今回はこれまで以上にリフ志向が強まりリズムも疾走感を増す等、タイトに洗練された楽曲は、プロダクションの向上でシケシケ感が薄まったことにも後押しされて、よりメタリックな味わいを漂わすようになりました。既に実力派シンガーの風格十分なブルースの熱唱と、派手さはなくとも、リフにソロに滋味溢れる演奏を連発するポールのGを両輪に突き進む(サンダースティックのDsは今回は大人しめ)SAMSONサウンドの醍醐味は、バンドの代表曲であるラス・バラードのペンによる疾走ナンバー①(邦題は“地獄の天使”)と、ラストを締め括るドラマティックな⑨(邦題“霊界交信”)といった名曲に顕著に表されています。
残念ながら、これ以降櫛の歯が抜けるように主要メンバーが抜けていき、人気にも陰りが出始めるSAMSONですが、本作が放つ輝きは今も全くくすんではいませんよ。


SAMSON - Shock Tactics - Communion ★★★ (2018-05-16 23:54:39)

邦題は“霊界通信”。(丹波先生の顔が思い浮かびますが)
アルバムを締め括るドラマティックなバラードで、この曲における、
楽曲の魅力を十全に引き出すブルース・ブルースのダイナミックな熱唱は
既に実力派シンガーの貫禄たっぷり。その彼のVoとサンダースティックの
派手なドラミング、それにポール・サムソン入魂のGとが入り乱れる
終盤の盛り上がりには胸が熱くなりますよ。


SAMSON - Shock Tactics - Riding With the Angels ★★★ (2018-05-16 23:46:35)

音質の向上によりシケシケ感が薄れ、
Gリフ主導でタイトに突っ走る様は
完全に80年代仕様のHMナンバー。
このハードな楽曲を手掛けたのが、
“I SURRENDER”や“SINCE YOU'VE BEEN GONE”の
イメージが強いラス・バラードってのが意外です。
個人的にはサンダースティックがもっと
派手に暴れてくれると尚良かったのですが。


SAMSON - Survivors ★★★ (2018-07-09 01:01:31)

NWOBHM勢の中ではいち早くデビューを飾ったSAMSONが、シングル『TELEPHON/LEAVING YOU』(’78年)に続いて’79年に発表した1stアルバム。
散々言われている通り、本作に関してはNWOBHMそのものな音を期待すると間違いなくスカされますんで要注意。邦題からジャケット・デザイン、サンダースティックのドラミング、そして楽曲に至るまで、ブルース・ディッキンソンが加入して飛躍的なパワーアップを遂げる次作『魔人襲来』(’80年)に比べると、ブルーズ、ブギー、ロックンロールのエッセンスと、70年代HRのノリを色濃く宿したサウンドは、イマイチ華に乏しいポール・サムソンのVoと相俟って、地味な印象が拭いきれないのは間違いありません。
但し、そうした諸々の注意点を飲み込んだ上で改めて聴き直せば、地味さは「味わい深さ」に早変わり。収録曲の粒は必要にして十分揃っていることにも気付かされます。リフ主導でドライヴするOPナンバー①(邦題“言うは易く行うは難し”…って何ちゅう邦題だ)からはNWOBHMの萌芽を感じ取ることだって出来ますし、軽快に弾むピアノをフィーチュアして疾走する⑥、英国産らしい煮え切らない哀愁が纏わりつくバラード⑧…。中でもNWOBHMの発火点となったオムニバス・アルバムの名作『へヴィ・メタルへの招待』に提供され、SAMSONの知名度を上げることに大きく貢献したドラマティックな④は、プログレッシブ・ロック風味をも飲み込んだ名曲として存在感を放っています。
SAMSON作品の中では日陰者の地位に甘んじている本作ですが、CDにはブルース加入後に録られた歌い直しVerもボートラックとして収録。スルーは勿体なさ過ぎる1枚かと。


SAMSON - Survivors - Tomorrow or Yesterday ★★★ (2018-07-09 23:36:47)

NWOBHM勃発を世に知らしめたオムニバス・アルバムの名盤
『ヘヴィ・メタルへの招待』にも提供されたSAMSONの代表曲の一つ。
ゲスト参加のコリン・タウンズの抒情的なピアノをフィーチュアして
バラード調に始まり、中間部はハード且つドラマティックな盛り上がりを
聴かせてくれる曲展開は、ほんのりプログレッシブ・ロックからの影響も感じられます。
やいのやいの言われるポール・サムソンのVoですが、
ここで聴くことのできる哀愁に満ちた歌声は実にあじわい深くグーですよ。


SAMSON - Survivors - Wrong Side of Time ★★ (2018-07-09 23:43:07)

名曲“TOMORROW OR YESTERDAY”のインパクトに掻き消されがちですが、
こちらも英国産HRらしい陰気なメロディと気だるげな雰囲気を身に纏わせて
終盤ぐぐっと盛り上がっていく様がなかなか聴かせてくれる
バラードの逸品に仕上がっています。


SANCTUARY - Refuge Denied ★★★ (2006-11-23 17:31:00)

MEGADETHのデイヴ・ムスティンによるプロデュースと、強烈なハイトーンを操るワレル・ディーンのVoが
話題になった、シアトル出身のパワー/スラッシュ・メタル・バンド、'88年発表の1stアルバム。(邦題は『新たなる聖地へ』)
歌メロや曲展開にキャッチーさの欠けるQUEENSRYCHEタイプのスラッシュ・メタル・バンドってのは
苦手中の苦手なのだが、本作はその数少ない例外の1つ。アグレッシブでありながらも非常にキャッチーな名曲③や、小気味良く疾走する⑧、「押し」と「引き」を心得たワレルの歌唱が堪能できる、“支配者の仮面”なる邦題の冠されたドラマティックな⑨といった楽曲の存在はやはり大きい。全体的に良い意味で分かり易い作風なのだ。
デイヴ・ムスティンがプロデュースを務めている関係からか、各楽曲からそこはかとなく漂うMEGADETHっぽい雰囲気も、個人的にはプラスに作用。JEFFERSON AIRPLANEのカヴァー⑥ではGソロも担当)
実際、ジャケット・デザインから楽曲まで、より本格派への成長を遂げた作品として評価の高い2ndアルバムは、前述の要素が薄まってしまっていて、個人的には今ひとつピンとこない作品なのであった・・・。


SANCTUARY - The Year the Sun Died ★★ (2014-11-09 12:06:12)

ブックレットに目を通すと、終末に関するコンセプト・アルバム的な雰囲気も感じられる、'14年発表の3rdアルバム。
SANCTUARY待望の復活作と言えども、今更彼らがデビュー作『新たなる聖地へ』('88年)みたいな作風へ回帰するとは思ってませんでしたし、事実、本作に託されているのは、NEVERMOREでの活動を踏まえたダークでムーディでテクニカルなHMサウンド。ウォレル・ディーン(Vo)もコップの割れそうなハイトーンは控えめに、ディープな低音をメインに妖しく歌い上げています。これ聴いてから2nd『INTO THE MIRROR BLACK』('90年)を聴き直すと、当時は地味に感じられたあの作品でさえも、スラッシーなエレメントはそれなりに残っていたんだなぁ、と。
さりとて、では本作が駄作なのかと言うと、それは大間違い。キレのある演奏から繰り出される、高い求心力を有するクランチーなGリフとタイトに編まれたリズムの上で、歌メロの充実っぷりにかけては過去2作を大きく上回るウォレルのVoと流麗なリードGが劇的に舞う楽曲は、初期作のような前へ前へと迫り出してくるような派手さはない代わりに、聴き返す度に新たな発見をすることが出来る奥行きを感じさせ(思慮深い歌詞も貢献)、これはこれですこぶるカッコイイ。特に、本編中最もアグレッシブな仕上がりの⑥、憂いに満ちたメロディとドラマティックな曲展開が胸を打つラスト・ナンバー⑪という、THRASH DOMINATIONで先行披露された2曲は名曲ですよ。
1stを偏愛する我が身にもちゃんと魅力が伝わる、聴けば聴くほどに味わいを増すスルメ系の力作。


SANCTUARY - The Year the Sun Died - Frozen ★★★ (2014-11-09 22:03:57)

本編中において例外的に、1stと2ndの中間ぐらいのレベルで
スラッシーな色合いも加味されたナンバー。
それでも、浮遊感を湛えてウォレルが朗々歌い上げるサビメロは
現在のSANCTUARYならではの味わい。
流麗に切り込んでくるツインGも素晴らしい。


SANDROSE (2017-12-10 23:28:07)

60年代からキャリアを積んでいたジャン・ピエール・アラルサン(G)が、自身の音楽を追求するべく、それまでの活動を通じて知己を得たミュージシャン達をメンバーに迎えて結成したプログレッシブ・ロック・バンド。特に女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーのパンチの効いた歌唱はこのバンド大きな個性。
音楽性の相違やメンバー間の対立もあって、僅か1年足らずでバンド活動には終止符が打たれてしまったものの、彼らが唯一残したアルバム『SANDROSE』は、CATHDRALのリー・ドリアンを始めとする70年代ロック好事家から今も熱烈な支持を受け続けている模様。


SANDROSE - Sandrose ★★★ (2017-12-10 23:32:01)

紅一点の女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーを擁するフレンチ・プログレッシブ・ロック・グループが'72年に残した唯一作。
歌詞は全曲英詞で、サウンドの基軸を成すのは、妖艶な歌唱から感極まったような「泣き」の入った熱唱まで、パンチの効いた歌声が耳惹くローズ嬢のVoと、ジャン・ピエール・アラルサンの繊細さと豪胆さを併せ持つ変幻自在のGワーク。そこに全編を抒情的に包み込むオルガンやメロトロンの幽玄な旋律が絡み、2~3分台の美しい小曲と、10分以上に及ぶドラマティックな大作曲が交互に配置される等、非常に分かり易くKING CRIMSONやGENESIS辺りに通じるプログレ・スタイルが提示されています。フレンチ・バンドらしいメランコリックな泣き――少年漫画や劇画チックな滂沱の如く溢れる熱い滝涙ではなく、キラキラ光りながら零れ落ちていくような少女漫画ライクな感傷的な泣き――のメロディを前面に配した実験精神控えめの姿勢も、ボンクラ・メタル野郎には非常に入り込み易くてありがたいという。
どこかエキゾチックな響きを湛えたG、パッション溢れるVo、幻想的なオルガンとが、テンション高め合いながらじわじわ盛り上がる①、一転して包み込むようにしっとり聴かせるバラード②、G主導で劇的に展開していく大作③、今にも泣き出さんばかりの勢いのVoとGがエモーショナルに溢れ出す④…といった具合に、本作は終盤に置かれたジャジーでスリリングなHRインスト・ナンバー⑦まで、頭から順に1曲ずつ語れてしまうぐらい秀曲が揃っています。リー・ドリアンでなくても、これ1枚切りで解散してしまったことを惜しみたくなる1枚。


SANDROSE - Sandrose - Vision ★★★ (2017-12-11 23:10:10)

エキゾチックな響きを湛えてかき鳴らされるアコギと
オルガンやメロトロンの幽玄な音色に彩られた曲調は
どちからといえば「静」の魅力を湛えているのですが
その上に乗るローズ嬢のVoは今にも泣き出しそうというか、
感情が溢れ出さんばかりに熱を帯びてソウルフル。
この取り合わせの妙が本曲を名曲たらしめています。


SANTANA - Marathon ★★★ (2022-06-07 00:18:36)

HR/HMファンからは、JOURNEYのニール・ショーンがかつて在籍していたバンドとして認知を得る、カルロス・サンタナ(G)率いるSANTANAが'79年に発表した12thアルバム。
新たにGIANT等での活動で知られるアラン・パスカ(Key)が加入。またプロデューサーにはFOREIGNERとの仕事で名を上げたキース・オルセン&デヴィッド・デボーのコンビを起用する人事からも明らかな通り、ここではSANTANAならではのラテン・ロックを基軸としつつ、そこにAOR/産業ロック・テイストも大量投下した売れ線(当時)サウンドを志向。何も彼らがこれを演らんでも…と思う向きもありましょうが、キャッチーなメロディが軽快に弾む曲調がBOSTON辺りを彷彿とさせる④や、思わずステップを踏みたくなるポップかつリズミカルな⑩等は、従来の持ち味と新味が上手いこと折り合いをつけた秀逸な出来栄えを誇っていますし、新Voアレックス・リジャーウッドの伸びやかな歌声もこの路線にぴったりとマッチしています。何より、いくらポップさを強調しようとも強烈な「気」は隠しようがないサンタナのGが存在感を放つ以上、ありがちな内容になんざ仕上がりっこないわけで。勿論、巧者揃いの面子が実力を遺憾なく発揮したスリリングな②、本編の幕引き役を担う随一のハード・ナンバー⑪といった楽曲のカッコ良さも格別です。
メンバー自ら「経済的に潤いたくて作った」と発言する等、いわゆる低迷期の作品としてあまり顧みられる機会に恵まれず、まかり間違ってもSANTANA入門盤にお薦めしようとは思わないものの、でも個人的にはついつい聴き直してしまうお気に入りの1枚。代表作を一通り聴き終えた後、もしまだお財布に余裕があるようだったら本作もいかがでしょうか?


SANTANA - Marathon - Stay (Beside Me) ★★★ (2022-06-08 00:25:05)

ラテンロックらしい躍動感溢れる曲調といい、張りのあるハイトーンVoが
歌い上げるキャッチーなメロディといい、梅雨のジメジメを吹っ飛ばしてくれる
ザ・夏!な雰囲気漂う爽快なポップ・チューン。


SANTERS ★★ (2008-01-15 22:17:00)

'79年にトロントにて結成された、リック(Vo、G)とマーク(Ds)のサンターズ兄弟と、
リック・ラザロフ(B)の3人編成からなる、カナディアン・ハード・ロック・バンドで、
'81年に1st『SHOT DOWN IN FLAMES』、'82年に2nd『RACING TIME』、'84年に3rd『GUITER ALLEY』を発表、
同郷の先輩バンドTRIUMPHにも通じる、メロディアスなハード・ロック・サウンドで好評を博す。
(制作されたままお蔵入りとなった4th『TOP SECRECY』もある。ボックスセットで聴く事が可能)
そのTRIUMPHとの親交は深く、3rdアルバムのプロデュースを務めたのはリック・エメットだし、
リック・サンターズが『THE SPORT OF KINGS』『SURVEILLANCE』に楽曲提供をしたり、
TRIUMPHのツアーにサイドGとして同行し、エメット脱退後は、彼の後任として
TRIUMPH加入を打診されたりしていたのは、良く知られた話。


SANTERS - Guitar Alley ★★★ (2008-01-17 22:50:00)

カナダのメロディアス・ハード・ロック史に残る名盤の1つにして、SANTERSの代表作、そして彼らのラスト・アルバムともなった、'84年発表の3rdアルバム。
質は高いが、やや大人しくまとまり過ぎていた感のあった2nd『RACING TIME』に比べ、ハード・ロッキンなエッジと躍動感を取り戻しただけでなく、都会的とも言える、スマートな哀愁に彩られたメロディにも一層の磨きが掛けられ、まさにバンドの最高傑作の名に相応しい内容に仕上がっている本作。とにかく哀メロ・チューンだろうが、ロックンロールだろうが、バラードだろうが、サビメロには必ず耳を捉える強力なフックが備わっていて、全10曲、捨て曲なし。
中でもSANTERSの代表曲にして指折りの名曲①、リリカルなKeyの装飾が胸に沁みる④、躍動感と叙情性が程好くブレンドされた⑦、キャッチーなリフをフィーチュアした⑨、そして泣きの滲むバラード⑩といった楽曲の出来の良さは別格。
③や⑧(FREEの名曲の秀逸なカヴァー)を聴けば明らかなように、幾多の場数(ライブ)を踏んだ事により、バンド・サウンドも更なるタイトさとダイナミズムを獲得。特に、リック・サンターズのエモーショナルなVoとGは、成長著しく、これは、本作のプロデュースを手掛けたTRIUMPHのリック・エメット師匠の存在も大きかったんじゃなかろうか。
SANTERSの何たるかを知りたければ、まずこのアルバムから聴く事をお薦めさせて頂きます。『蒼きヒーロー』なる邦題もカッコイイ。


SANTERS - Guitar Alley - Baby Blue ★★ (2008-01-17 23:11:40)

軽快なリズムの上で刻まれる、
物悲しくもキャッチーなリフが印象的なロック・チューン。
くいくいと涙腺を刺激するフレーズを積み重ねるGも
良い仕事をしています。


SANTERS - Guitar Alley - Can't Shake You ★★★ (2008-01-17 23:03:49)

3rdアルバムのOPチューンにして、「掴みはOK」となる
SANTERS屈指の名曲の1つで、
この曲のビデオがMTVでも頻繁に流され、バンドの知名度UPに
大きく貢献したという、まさに代表曲。
躍動感溢れる曲調と、強力なフックを備えた哀メロ、
そしてキラキラとしたKeyのアレンジが秀逸過ぎます。


SANTERS - Guitar Alley - Dreaming ★★★ (2008-01-17 23:14:56)

イントロのGからして既に泣ける名バラード。
この曲を聴くと、リック・サンターズがエモーショナルな
GとVoの腕前に、更なる磨きを掛けていることが良く分かる。
3rdのプロデューサーを務めたリック・エメットに
相当鍛えられたんじゃなかろうか?


SANTERS - Guitar Alley - Hate to Love You ★★ (2008-01-17 23:07:53)

アップテンポの溌剌としたロック・チューンながら、
曲が進むにつれて哀愁が滲み出してくる展開、
特に終盤における、美麗なVoハーモニーと、切なさを倍増させる
Keyの組み合わせが堪りません。


SANTERS - Racing Time ★★ (2008-01-16 20:33:00)

デビュー作『SHOT DOWN IN FLAMES』の好評を受け、オジー・オズボーンとのツアーを終えてトロントへと
戻ったバンドが、ジャック・リチャードソンをプロデューサーに迎えて制作、'82年に発表した2ndアルバム。
サウンド・プロダクションの向上、曲調の幅の広がり、そして、しっかり腰を据えて制作されたことで、
より練り込まれた収録曲の数々と、上昇気流に乗ったバンドの勢いが如実に反映された、充実した内容を誇る本作。
特に、メロディの哀愁度がググっとアップしている点が大きなポイントで、Keyを導入した洗練されたアレンジが
産業ロック的な雰囲気を感じさせる①、劇的なリフ・ワークをフィーチュアした②、爽やかでキャッチーな③という
冒頭のメロディック・ロック・チューン3連発は、かなり聴き応えあり。そして何より、本編のハイライトにして
SANTERS屈指の名曲の1つ⑤の素晴しさときたら!全体的にコンパクトにまとめ過ぎていて、やや大人し過ぎる印象も
無きにしも非ずだが、本編の締めにはスピーディに疾走する⑩が用意されているで、最後まで聴き応えは十分。


SANTERS - Racing Time - Mistreatin' Heart ★★ (2008-01-16 20:50:54)

シンプルな楽曲が多く並んでいた1stに比べ、
2ndではグッと哀メロ度がアップした事を端的に物語る
アルバムのOPチューン。
産業ロック的なKeyのアレンジが秀逸で、
シングル・ヒットとなったのも納得のキャッチーさを誇る。


SANTERS - Racing Time - Mystical Eyes ★★ (2008-01-16 20:53:36)

OPのリフ一発でガッチリと掴まれる、
コンパクトにまとめられていながらも
憂いを帯びた曲調が非常にドラマティックな名曲。
劇的さを盛り上げるインスト・パートも○。


SANTERS - Racing Time - Road to Morocco ★★★ (2008-01-16 20:46:40)

メロディは素晴しいが、やや大人しめな曲が揃った
2ndアルバムの中でも、一際輝く劇的な超名曲。
やや青さが残るものの、声を振り絞るようにして歌う
リック・サンターズのVoが、曲が持つ哀愁を増幅させている。
胸に沁みるフレーズを紡ぎ出すGでも良い仕事をしています。


SANTERS - Shot Down in Flames ★★ (2008-01-15 21:58:00)

トロントにて'79年に結成された、リック(G、Vo)とマーク(Ds)のサンターズ兄弟と、リック・ラザロフ(B)の
トリオからなる、カナディアン・ハード・ロック・バンドSANTERSが、'81年に発表した1stアルバム。
同郷の先輩バンド(同じくトリオ編成の)TRIUMPHにも通じる、哀愁とフック満載のメロディアスなロック・サウンドで
人気を博したバンドだったが、僅か1週間で突貫レコーディングされたというこのデビュー作の時点では、彼らの
代表曲の1つ④を聴けば分かる通り、未だシンプルでオーソドックスなノリのハードロック色が支配的。ぶっちゃけ荒削り?
楽曲の「練り」や「哀愁」と言う点では物足りなさが残るが、とは言え、既にキャッチーなメロディは
そここで聴く事ができるし、②のソロや、⑦のエンディング・パートにおける盛り上げっぷり等、リック・サンターズの
Gにも、後の作品で全面開花する、スリリングでメロディックなGプレイへの萌芽が確認できる。
本作は、カナダ国内のみでのリリースだったが、欧州のインポート・チャートでも好リアクションを見せたという。