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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 501-600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 501-600
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ASIA - Aura ★★★ (2021-04-15 01:34:21)

故ジョン・ウェットンを擁したオリジナル・ラインナップに比べ、ジェフ・ダウンズ(Key)&ジョン・ペイン(Vo、B)主導期のASIAは数段下がる辛めの評価を受けがちで(安易なベスト盤や蔵出し音源集の乱発等、自業自得な面も多分にありましたが)、斯くいう自分も1st~3rdは頻繁に聴き直すのに、4th以降は一体何枚アルバムがリリースされているのかすら正確には把握できていない体たらく。しかしそうした舐めた態度を反省させられる切っ掛けとなったのが、'01年発表の本作の存在でした。
Aに始まりAに終わるタイトルといい、名匠ロジャー・ディーンの手によるアートワークといい、ASIAの様式美を踏襲しつつも最早ここには「3分間のプログレ」と評された頃のスリルは希薄で、楽器陣も飽くまでVoの引き立て役に徹するAOR/産業ロック路線へとシフト完了済み。とはいえペインのシンガーとしての実力に不足は全くありませんし、彼の人肌の暖かみを感じさせる歌声と、極上のハーモニーによって紡がれるポップな抒情メロディの魅力はそれを補って遥かに余りあるもの有り。
淡々としたBラインが逆に印象的な⑥、ハード・ロッキンな疾走パートも組み込まれた本編随一のドラマ性を発揮する⑧、泣きがじわじわ染み出すバラード⑩といった楽曲は、初期ASIAのそれと比較しても何ら聴き劣りはしませんし、特にジェントリーな包容力と、聴き手を励ますような高揚感を沸々と湧きあがらせる曲調が中期MAGNUMを思い出したりもする④は本編最大の聴き所に推したいハイライト・ナンバーですよ。
聴けば貴方も必ずや「4th以降のアルバムもチェックしてみようかな…」との気にさせられること請け合いの充実作。


ASIA - Aura - Free ★★★ (2021-04-16 01:02:32)

往年のプログレ風味を仄かに匂わせる
8分越えのドラマティックな大作ナンバー。
疾走パートも組み込まれた曲展開は起伏に富むが、
全体しては静謐なイメージが勝る。
それがまた良し。


ASIA - Aura - The Last Time ★★★ (2021-04-16 00:55:02)

哀愁のメロディにジェントルメンな歌声と美麗なハーモニー、
楽器陣の的確なアシストを得て、聴き手をじんわりと
内側から暖め癒してくれるような、英国産ハードポップ
ならではの魅力を湛えた名曲。


ASIA - Silent Nation ★★★ (2022-01-27 00:24:53)

'06年にオリジナルASIAの再集結が実現したため、ジェフ・ダウンズ/ジョン・ペイン体制によるASIAの最終作となってしまった’04年発表の11thアルバム。メンバーはダウンズ、ペインに加え、後にASIAハブられ組が結成したGPSにも参加するガスリー・コーヴァン(G)、それにAC/DCのクリス・スレイド(Ds)という面子。
まずビックリさせられるのは、ASIAのアルバムのお約束だった「Aに始まりAに終わる」タイトルが冠されていないこと。更にこれまでロジャー・ディーン、ロドニー・マシューズといった名匠たちが手掛けてきたアートワークも、ファンタジー色薄めの写実的なデザインに変更されていて、時節柄、これはもしかして流行りのモダン・メタル路線にでも手を出したのでは…?と嫌な予感を覚えたりしつつ聴き始めてみれば、別にそんなことはなく。いつも通りのASIA節が堪能できる仕上がりでホッと胸を撫で下ろしたという。
シンフォニックな味付けや、プログレッシブ・ロック然としたドラマティックな曲展開は抑え気味で、全体的に物憂げな雰囲気が漂ってくるのは00年代初頭作品っぽいと言えそうですが、それがむしろメロディの抒情味を増強してくれている面もあり、人肌の温もりを伝えるジョン・ペインのジェントリーな歌声も、リード楽器として楽曲を彩るダウンズの鍵盤捌きもしっかりと健在。特にグッとくる憂いに満ちたアルバム表題曲④は本作ならではの名曲と言えるのではないでしょうか。また③や⑨といったAISAの変わらぬポップ・センスが発揮された楽曲、ゴーヴァンの泣きのGが迫り来るバラード⑧等の冴えも特筆ものです。
この出来栄えでレビューの点数が50点台ってのは、そりゃ納得いかんわなぁ。


ASIA - Silent Nation - Gone Too Far ★★★ (2022-01-29 02:00:49)

重厚なコーラスをフィーチュアして
ドラマティックな盛り上がりを呈するバラード。
ガスリー・ゴーヴァンのGが泣きまくる
終盤のソロ・パートに惹き込まれます。


ASSASSIN ★★ (2007-04-08 19:58:00)

2ndも、DISK UNIONとかではもう売ってるのを見かけますよ。
ただ購入した人の話だと、ボーナス・トラックなし、リマスターなし、
歌詞カードも解説もなしと、ないない尽くしの仕様らしくて、
イマイチ買い直す気がおきないんですよね。


ASSASSIN - Breaking the Silence ★★ (2011-09-18 00:49:46)

珍曲“BAKA”や2枚のスタジオ・アルバムを発表する等、スラッシュ三羽烏に続く存在として80年代の独産スラッシュ・メタル・シーンの隆盛に一役買った暴走軍団ASSASSIN、'11年発表の再結成第2弾アルバム。(通算だと4thアルバムになるのかな?)
前作『THE CLUB』は未聴なのだが、本作に関して言えば、1st『THE UPCOMING TERROR』を思い起こさずにはいられない戦車ジャケットがバンド側からの強いステイトメントとなっている通り、上擦りシャウトで字余り気味に畳み掛けて来るVo、ささくれ立ったカミソリ・リフを執拗に刻み倒すG、そして猪突猛進のリズム隊とが一塊に突っ走る緩急不在の作風は、まさしく80年代のASSASSINスタイルが確信的に再現されていて思わず頬が緩みます
勿論、あの頃に比べるとサウンド・プロダクションずっと上等だし演奏もタイト。①④⑧のようなハイテンションな高速スラッシュ・ソングを聴いて失望するスラッシャーはまずおらんでしょうし、来日公演にインスピレーションを得て収録された(国産ハードコア・バンドのカヴァーらしい)⑨なんて、“BAKA”二世みたいな仕上がりでニヤニヤさせられますね。
「俺達はこれしか演れねえ!」というバンドの不器用さが微笑ましくも愛しい1枚。


ASSASSIN - Breaking the Silence - Breaking the Silence ★★★ (2011-09-18 00:53:17)

Gの独演によるイントロでテンションを高めた後、
手数多めのササクレGリフと上擦り声で強引に畳み掛けるVoが
突っ走り始めた途端、「変わってねー」と思わず笑ってしまいました。
いや、良い意味で。


ASSASSIN - Interstellar Experience ★★ (2007-02-18 21:45:00)

スラッシャーの間では、名曲“BAKA"を収録した作品として有名な、ASSASSIN、'88年発表の2ndアルバム。
普通2ndアルバムと言えば、より整合性を意識したり、メロディ重視になったりする場合が多いと思うのだが、
本作の場合には、鋭利なリフ、つんのめり気味に疾走するDs、メロディ無視の喚き型Voが一丸となって突進する
スラッシュ・サウンドに一転の曇りもない。寧ろ丸くなるどころか、デビュー作以上のスピードとアグレッションを誇る
内容に仕上がっているのではなかろうか?中学生の漫研部員が描いたようなアルバム・ジャケットはかなり惨いけどね(笑)
全体的に欧州風味の湿り気が後退、前作において終始ピロピロとバカの1つ覚えみたいに(褒め言葉)弾きまくり、
要所で印象的なハーモニー・プレイを披露していたツインGの活躍する場面が減ってしまったのは悲しいが、
代わりに体育会系的なノリが前面に押し出されていて(「ANTRAXみたい」という例えは正鵠を射ている)
縦ノリの②を筆頭に、身体に直に訴えかけて来る高速スラッシュ・チューンの数々は爽快極まりない。
勿論、ドラマチックなツインGが聴ける、緩急を活かした③ような楽曲も収録、前作が気に入ったファン(俺)も安心だ。
また、本編ラスト締める名曲“BAKA"も、タイトルばかりが一人歩きしてしまっている印象なれど、
実際、シャープな疾走感が気持ち良い、知名度に恥じない名曲なので必聴。
スッキリと垢抜け、アメリカン・スラッシュ的な雰囲気も感じられるようになった、1st同様捨て曲なしの名盤だと思う。


ASSASSIN - Interstellar Experience - A Message to Survive ★★ (2007-03-24 21:45:00)

デビュー作よりも更に爆走感を増し、
アグレッシブな楽曲で固められている2ndアルバムの中にあって
この高速スラッシュ・チューンのドラマチックな
インスト・パートは、一際耳を捉えます。


ASSASSIN - Interstellar Experience - Baka ★★ (2007-03-24 21:37:42)

BAKAにしちゃいけません。
良く出来たスラッシュ・チューンですよ、これは。


ASSASSIN - The Upcoming Terror ★★ (2007-02-17 01:13:00)

西ドイツはデュッセルドルフ出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド、'86年発表の1stアルバム。
ASSASSINといえば、名(迷?)曲“BAKA"を収録した2nd『INTERSTELLER EXPERIENCE』が
スラッシャーの間では有名だけど、このデビュー作だって完成度の高さ…というか、何者にも止められないガムシャラな勢いでは決して負けていない。
音の方は、王道ジャーマン・スラッシュ・メタルとも言える、鋭利なリフ、遮二無二に畳み掛けるリズム、
メロディ無視の濁声絶叫Voが土砂崩れの如く突撃してくるストロング・スタイルで、
その合間を縫うようにピロピロと派手に弾きまくり、要所で印象的なハーモニー・プレイを
キメてみせる、メロディックなツインGが大変素晴しい。
イントロ①に続く高速スラッシュ・チューン②こそは、歌詞のリズムの悪さが気になってイマイチ集中出来ないものの、
それがバッチリ噛み合う③以降は、シャープに斬り込んで来るGにゾクリとさせられる④、パワー・メタリックな⑤、
アコギをフィーチュアしたバンドのテーマ曲⑥、ドラマチックなツイン・リードが聴きモノの⑦、本編随一の
ハイ・スピード・ナンバー⑧、機関銃の如く刻まれるリフが強烈なインスト曲⑨と、捨て曲なしのクオリティに圧倒されまくり。
とにかく勢い勝負!とばかりに、あれよあれよのうちに聴き終えられるジャーマン・スラッシュ・メタルの名盤の1つ。


ASSASSIN - The Upcoming Terror - Assassin ★★ (2007-02-17 01:17:20)

叙情的なアコギに始まり、
ドラマチックに盛り上がっていくASSASSINのテーマ・ソング。
「戦え!アサシン!」「行け!アサシン!」「殺れ!アサシン!」
という、70年代のロボット・アニメみたいなサビの歌詞が
バカバカしくも最高。


ASTONISHMENT - Astonishment ★★ (2019-08-10 23:24:14)

後にARK STORMでも行動を共にすることとなる太田カツ(G)と今西洋明(Vo)が中心となって結成したバンド、ASTONISHMENT(前身であるPSYCHO STORM時代には木本高伸(B)や堀江睦夫(Ds)も在籍)が'94年にレコーディングしていたデモテープを、MANDRAKE ROOT が'00年にCD化。この頃のMADRAKE ROOTは太田カツに限らず、TERRA ROSA、梶山章、CONCERTO MOON等々、色々なアーティストのデモ音源で商売していたなぁ、と。まぁそれはともかく。
帯には「早過ぎたメロディック・パワー・メタル」と記されているものの、アグレッシブな音楽性に「メロディック」な要素は薄め。あとネオ・クラシカル色も皆無で、どちからと言えば90年代型ヘヴィ・ミュージックのエッセンスが塗された殺伐としたパワー・メタルを実践しています。太田のGプレイにしても十分テクニカルではあるものの、構築美以上に勢い重視のスタイル。また元がデモだけに音質も相当にラフいのですが、流麗なメロディを聴かせるよりも、毛羽立ったリフ&リズムで殴りに来るこのササクレたサウンドには、今西の鼓膜に突き刺さる荒々しい歌唱含めて、案外マッチしているのではないかと。特にアップテンポのOPナンバー①の迫力とか、楽器陣の見せ場を配し、展開多めで突き進む③等はなかなかのカッコ良さですよ。
アルバム・サイズで聴くには少々フックと潤いに欠ける作風なのですが、全5曲で20分ちょいという胃もたれを起こさない丁度いいボリュームにも助けられ、最後まで一気に楽しめる1枚となっています。


ASTONISHMENT - Astonishment - Keep the Spirit ★★ (2019-08-12 01:13:48)

喉よ裂けよといわんばかりの今西の攻撃的なシャウトと、
ササクレたリフの壁を築き、滑らかにソロを奏でる太田のGとが
硬質なリズムに乗ってパワフルに押し出して来るOPナンバー。
金属質な今西のVoがササクレた曲調にマッチしていて、
緊迫感を引き立ててくれています。


AT THE GATES - Slaughter of the Soul ★★ (2007-11-02 23:37:00)

ヨナス(B)とアンダース(G)のビョーラー兄弟が中心となって、スウェーデンのゴッセンバーグにて結成された
5人組デスラッシャーが、'95年に発表した最終作にして最高傑作の4thアルバム。
トータル・ランニング・タイムは35分とタイト極まりなく(国内盤はボーナストラック1曲を追加収録)、
デス声シンガーの中でも指折りの表現力を誇る、トーマス・リンドベルグの激情Voを乗せて、炸裂するように疾走する
楽曲の数々は、1曲平均3分と無駄な贅肉が削ぎ落とされ、前作より徹底的にビルドアップが図られている。
それでいてザクザクと刻まれる分厚いリフには、殺傷力だけでなく、北欧のバンドならでは冷気と哀感が宿り、Gソロも
最小限のメロディで最大の効果が得られるよう、しっかりと練り込まれていてドラマ性も十分と、全く隙のない構成。
それにしても、このGリフのカッコ良さは驚異的だ。捨てリフなしとは正にこの事で、特に、美醜/哀怒/緩急といった要素が
一丸となって突進するAT THE GATES屈指の名曲①、「GO!」のシャウトと共に、鋭利且つキャッチーなリフが疾走する様が
ガッツポーズ物の②、「押し」と「引き」を心得た曲展開がドラマを演出する③という、頭3曲の猛烈な畳み掛けは圧巻。
中盤とエンディングに配された叙情的なインスト曲⑤⑪や、ブルータルな曲調の中で閃くアコギの美しさに
ハッとさせられる⑧といった楽曲も、アルバム全体の流れに起伏を生み出す点で非常に効果的に機能している。
・・・と、デス・メタル史に残るような傑作を作り上げながらも、本作発表に伴うツアー中にバンド内で内紛が勃発。
殴り合いの大喧嘩をやらかした挙句にAT THE GATESはアッサリと解散してしまうのであった・・・。合掌。


AT THE GATES - Slaughter of the Soul - Blinded by Fear ★★★ (2007-11-02 23:44:23)

鋭さの中に哀感が潜むGリフ、炸裂するような疾走感、
トマス・リンドベルグの激情漲るVo、
そして緩急を演出するドラマチックなインスト・パートと、
AT THE GATESを代表する・・・というよりも、
北欧メロディック・デス・メタルを代表する
完全無欠の名曲の1つ。


AT THE GATES - Slaughter of the Soul - Unto Others ★★★ (2007-11-02 23:48:22)

ブルータルな曲調の中で閃くアコギの美しさに
ハッとさせられる名曲。
押せ押せの作風の中に、ちゃんとこういう曲を配置して
全体の構成に緩急を演出する辺り、上手いなぁ。


AT VANCE - Dragonchaser ★★ (2012-12-21 23:06:00)

気合を入れて「ニーベルンゲン伝説」を基にしたコンセプト・アルバムを作ってみたのに、なぜかイマイチ評価の芳しくない'01年発表の3rdアルバム。
しょっぱ過ぎるジャケット・アートワークが最大の理由・・・ってことはないでしょうが、それにしたってB級メタル・バンドの自主制作デビュー盤かと見紛うチープなイラストが、せっかく用意したコンセプト・アルバムという立派な器に水を差している感は否めません。
まるでイタコを召喚してオーラフ・レンク(G)にイングヴェイの生霊を憑依させたかのような、イングヴェイ以上にイングヴェイっぽい劇的なOPナンバー①、「よくもまぁこんなに哀しい歌メロを思いつくな」と感心させられるほど悲壮感漂う⑥等、AT VANCEの刻印が押された名曲で要所が締められているため、前2作を気に入った方を失望させないだけの完成度はちゃんと備わっているんですけどね。
ただ、オーラフ・レンクのドイツ人の血が為せる業なのか、全体的にスピード・ナンバーは独産メロスピ・メタル風味が強化されているようで、個人的には今ひとつ乗り切れず。1st、2nd収録の名曲“NO ESCAPE”や“SOLDIER OF TIME”のような、悶絶モノのネオクラシカル風味が減退気味なのも気になります。ひょっとしてコンセプト練るのに一生懸命過ぎて、楽曲を練る時間があまり取れなかったのか?と思っってしまったりも。


AT VANCE - Heart of Steel ★★★ (2012-12-19 22:32:25)

ツインG体制へと移行して、衝撃のデビュー作『NO ESCAPE』から僅か半年足らずのインターバルでリリースされた2ndアルバム。しかもこれが、1stに勝るとも劣らないネオクラ・メタルの傑作ですからね。
風貌の冴えないオッサン・バンドだったせいか(?)、当時、同じくらい注目を集めていた後発デビューのSONATA ARCTICAに人気面ではすっかり水を明けられてしまうことになるわけですが、個人的には、より硬派なメタル・サウンドを実践する彼らの音の方が好みでした。フォーキーな寒々しさと叙情性、ネオクラ・メタルならではの構築美、そしてパワー・メタリックな疾走感とが一体となった①②の流れは、聴く度に全身の血が沸き立つAT VANCE史上、いやさ北欧メタル史に残る名曲ですし(いやドイツのバンドなんですけどね)、重厚なエピック・チューン④、コブシの効いた荒涼たる歌メロに「これぞネオクラシカル!」と思わずアガリまくる⑦⑧⑨等、これまた捨て曲皆無の本作は、トータルの完成度では前作をも凌駕しているように思える次第。
数多のメンバー・チェンジを繰り返しながら現在でも地道に活動を継続、遂には来年初来日を果たすことになったAT VANCEですが、やはり個人的には、この頃の彼らから受けた衝撃が今も強烈に焼き付いていますね。
尚、1st同様、本作の国内盤CDも既に廃盤のようですが、雑誌等の高評価を受けて売れまくった作品ゆえ、中古盤の入手は案外容易。


AT VANCE - Heart of Steel - Goodbye ★★★ (2012-12-23 09:06:35)

ネオクラシカルHMと言ったらこれでしょ?
と言わんばかりにコブシの効きまくった
オリバー・ハートマンの歌うメロディに
悶絶させられっ放しの逸品。


AT VANCE - Heart of Steel - Princess of the Night ★★★ (2012-12-23 09:04:22)

ROYAL HUNTのアンドレ・アンダーセンなんかにも通じる
メロディ・センスを感じます。
冷たくも悲哀に満ちた泣きメロに思わず視界が
滲んでしまいますよ。


AT VANCE - Heart of Steel - Soldier of Time ★★★ (2012-12-23 09:00:48)

AT VANCEが誇る至高のスピード・ナンバー。
「民俗音楽風」と評されたどこか物悲しいGリフ、
北欧メタル風のドラマティックな構築美、
ジャーマン・バンドならではの力強い疾走感とが
三位一体となって織り成すネオクラワールドに
心臓がバクバクと高鳴りますね。


AT VANCE - No Escape ★★★ (2012-12-18 22:36:42)

来年初頭にAT VANCEの初来日公演が決定したと耳にして、思わずCD棚から引っ張り出してきて久々に聴き直している、'99年発表の1stアルバム。
本作はリリース当時BURRN!!誌で高得点を叩き出し、またHR/HMファンの間でも「凄いバンドが現れた!」と話題になった作品だけあって、その完成度の高さには抜きん出たもの有り。オーラフ・レンクのテクニカルなネオクラGプレイと、レンジの広いオリバー・ハートマンのパワフルなVo(ちょっとジェフ・スコット・ソート似)を両輪に、スピーディ且つドラマティックに疾走する北欧風様式美HMサウンドは、北欧メタル的な線の細さとは無縁の、例えば独産パワー・メタルに通じる強靭な足腰も兼ね備えています(例えばも何もドイツ出身バンドなんすけどね)。特に、ダークな緊迫感を湛えた劇的な歌メロに思わず万歳三唱したくなるスピード・ナンバー①②は、ネオクラ・メタル・ファンなら秒殺必至の名曲中の名曲ですよ。
後半にこのレベルの疾走ナンバーがあと1曲あればアルバムが更に引き締まったとか、やたら収録されているカヴァーが本編のテンションを下げている(ABBAの⑥には◎を進呈しますけど)とか、その完成度の高さゆえに贅沢な注文も思いついてしまうのですが、ネオクラシカルな歌メロに悶絶させられる④、ライブで演ったら大盛り上がり確実の⑤、オリバーの喉が冴えるバラード⑧、エピック・メタル・タッチの荘厳なラスト・ナンバー⑩etc・・・といった逸曲が詰め込まれた本作が、捨て曲なしの名盤であることは疑いようがありません。
今じゃ国内盤が廃盤とは勿体ない限りであります。


AT VANCE - No Escape - Flying High ★★★ (2012-12-21 22:34:51)

ジャーマン・メロスピ・メタル的な
パワフルな疾走感が持ち味のOPナンバーですが
暗い憂いと緊張感を湛えたサビメロの展開が
このバンドならでは。初めて聴いた時は
「ホントにドイツのバンド?」と思いましたね。


AT VANCE - No Escape - No Escape ★★★ (2012-12-21 22:37:52)

人気ないですが、個人的には1stアルバムのハイライト。
聴いているだけで床をのたうち回りたくなるほど
コブシ回りまくりの歌メロには「ネオクラ・メタル」の
魅力が凝縮されています。
北欧風ネオクラシカル・メタル・バンドとしてAT VANCEの
頂点は1stだったかもしれませんね。


AT VANCE - Only Human ★★★ (2012-12-26 21:36:37)

オリバー・ハートマン(Vo)在籍時代最後の作品となってしまった'02年発表の4thアルバム。
こちらのサイトでの得票数からも明らかな通り、3rd『DRAGONCHASER』の行き詰まり感を吹き飛ばした快作として高評価を獲得している本作ですが、そのことはわざわざ音を聴くまでもなく、前作のチープなイラストとは天と地ほどにグレードに差があるアートワークを見ただけで窺い知ることが出来ます(笑)。
サシャ・ピートをプロデューサーに迎え、一層硬質に引き締まったサウンド・プロダクションはもとより、『DRAGONCHASER』で指摘されたメロディの練り込み不足も解消の方向へ向かっているようで、キャッチーな味わいが強化された②とか、勇ましくギャロップする④のような、従来にはなかったAT VANCEの新たな魅力をアピールする楽曲が収められている点も評価ポイント。
あと個人的に嬉しいのが、疾走ナンバーに北欧ネオクラ・メタル風味が戻って来ている点。ボートラ収録の⑭みたいなジャーマン・メロパワ調の疾走ナンバーもそれはそれで魅力的ではありますが、やはりダークな憂いを帯びた歌メロがコブシを効かせて走り抜ける①⑦のような楽曲こそ「AT VANCEの真骨頂!」と思うわけで。凱歌の如く高らかに響き渡る⑩、演歌ばりの泣き具合が素晴しい陰鬱なバラード⑫も最高ですね。
残念ながらこれを最後にオリバー・ハートマンはバンドを去ってしまうわけですが、その有終の美を飾るに相応しい力作に仕上がっていることがせめてもの慰めでしょうか。


AT WAR - Ordered to Kill ★★★ (2020-09-22 00:16:25)

ヴァージニア州出身のトリオ・スラッシャーAT WAR、'86年発表の1stアルバム。
「うんこメタル製造工場」だの「ポンコツ・バンド梁山泊」だのと散々な悪評を囲う一方、時折ギラリと個性が光るバンドを世に送り出したりもするので油断がならなかったインディーズNEW RENAISSANCE RECORDS。非常にクセの強い同レーベルのカタログの中にあって、本作は「当たり」に分類されてしかるべき1枚ではないかと。
トリオ編成に加えて、ガンベルトと銃器で武装したメンバーのジャケ写や、戦争をテーマに埃っぽく突っ走る楽曲からも明らかな通り、バンドが聴かせてくれるのはMOTORHEADを更にハードコア化させたようなスラッシュ・メタル(実際、MOTORHEADの名曲“THE HAMMER”のカヴァーも収録)。恐ろしく抜けの悪いプロダクションが、折角の演奏のキレと本来サウンドが醸し出すべきスピード感をスポイルしまくっていますが、このレーベルに音質について文句言っても詮無きこと。そこはグッと過保護な気持ちで楽曲のみに意識を集中して頂くと、レミー~クロノスの系譜に連なる咆哮型Voを伴い、ドカドカと突進するブルドーザー・スラッシュのカッコ良さが徐々に浮かび上がってくるのではないかと。特にテンション高く畳み込む④と、映画『イルザ ナチ女収容所/悪魔の生体実験』へのトリビュート・ソング⑦の迫力はなかなかのもんですよ。
ぶっちゃけ、スラッシュ・メタル・アルバムとしての完成度は次作の方が上なのですが、こちとら何故か不思議と本作ばかりを繰り返し聴いてしまうという、底は浅いが奥は深いNEW RENAISSANCE RECORDSの魅力を体現しているかのような1枚です。


AT WAR - Ordered to Kill - Rapechase ★★★ (2020-09-22 23:14:46)

濁声Voと刻みの細かいGリフを載せて埃っぽく一心不乱の突撃する
アルバムでも1、2を争うカッコ良さを有するスラッシュ・ナンバー。
このレーベルには付きものの問題とは言え、折角のリフの鋭さや
リズムの疾走感をスポイルする薄っぺらな音質が残念極まりない。


ATOMKRAFT (2011-04-22 21:07:17)

ATOMKRAFT!
VENOMと言えばクロノス時代よりデモリション・マン時代を
愛する我が身には決して外せないバンドです。

彼らの作品はいずれも未CD化のようですが、'04年に企画盤
『TOTAL METAL・THE NEAT ANTHOLGY』がリリースされています。
これがデビュー作からミニ・アルバム、EP、初期デモ音源や
再結成後にレコーディングされた新曲まで余さず収録された、
個人的に非常に重宝している1枚であります。


ATOMKRAFT - Conductors of Noize ★★ (2011-04-24 19:35:18)

内輪揉めで一時バンドから離れていたト二ー“デモリション”ドーラン(B)が復帰して、'87年に発表された6曲入りミニ・アルバム。
SLAYERやEXODUSら名だたる連中とツアーを共にし、METALLICAの成功に端を発する同時期のスラッシュ・メタル・ムーブメントの盛り上がりに触発されたのか、元々スピーディ&アグレッシブだったサウンド・スタイルがここに来て益々先鋭化。エッジを効かせた音作りに、シャープ気味のシャウトを繰り出すVo、鋭利に刻まれるGリフから、激しくのたうつ野太いBに畳み掛けるように疾駆するDsまで、そのスラッシーな作風はATOMKRAFTのカタログの中でも随一の攻撃性の高さを誇る。
特に、切り裂くような高速スラッシュ・ナンバーが連続する、本編後半(④⑤⑥)の有無を言わせぬ加速感は圧倒的カッコ良さ。
バンドは本作を最後に解散してしまうわけだが、これ聴くと「あと1枚ぐらいフル・アルバムを作って欲しかった・・・」と思わずにはいられません。
尚、その後ト二ー・ドーランはデモリション・マン名義でVENOMに参加し、『PRIME EVIL』『TEMPLES OF ICE』『THE WASTE LANDS』という隠れた英国HMの名盤作りに貢献。また、その魁偉な容貌を活かして俳優業にも進出し、『ジャッジ・ドレッド』や『マスター・アンド・コマンダー』といったアクションや戦争映画にも出演を果たしている。(で、'04年にATOMKRAFTを再結成)


ATOMKRAFT - Future Warriors ★★★ (2011-04-22 23:57:44)

過小評価に泣く(俺の中で)中期VENOMのフロントマンを務めていた事で知られる、デモリション・マンことト二ー・ドーランが'79年に結成し、今の日本じゃちょっと洒落にならないバンド名、ATOMKRAFT(ドイツ語で「原子力」の意)を名乗ったパワー/スラッシュ・メタル・バンドが'85年に発表した1stアルバム。
埃っぽい音色で豪快に動き回るリードBに引っ張られ、勢い重視で喚き倒す濁声ヘタウマVoに、荒っぽく刻まれるリフ&リズムとが、トリオ編成とは思えぬ喧しさで突っ走る「元祖スラッシュ・メタル」的サウンドを武器に、VENOM、RAVEN、WARFAREに続く「NEAT RECORDS暴走軍団」構成員として気勢を上げた彼ら。
あらゆる意味で突き抜けまくっていた上記3バンドのクレイジーさに比べると、ずっとマトモであるがゆえに強烈なインパクトには欠けるが、スピードやパワーのみならず、ドラマティックな曲展開にも気の払われた楽曲のカッコ良さはなかなかのもの。
SF映画調のイントロで本編開巻を飾るアルバム表題曲“FUTURE WARRIORS”、バンドの代表曲たる“TOTAL METAL”、タイトル通りの炸裂感溢れる“WARZONE”といったハイスピード・ナンバーの数々は、「よりメロディアス且つ劇的になったVENOM」(擁するにデモリション・マン時代のVENOM)の如き様相を呈する名曲だ。
NWOBHMファンは勿論の事、パワー/スラッシュ・メタル愛好家なら一聴の価値がある作品ではないでしょうか。
ついでにマンタス・リーダー時代のVENOMの再評価も一つよろしく。


ATOMKRAFT - Future Warriors - Total Metal ★★★ (2011-04-23 18:41:21)

ATOMKRAFTの名を一躍メタル・シーンに知らしめた
'83年発表のデモテープのタイトル・トラックでもあった名曲。
ト二ー・ドーランの埃っぽいBに牽引される形で、
荒っぽく刻まれるリフとリズムが轟然と突進する
プロトタイプ・スラッシュ・メタル的雰囲気を漂わす
スピード・ナンバー。スティーヴ・ホワイトが紡ぐ、
勇壮且つドラマティックなGソロが最高にカッコイイ。


ATOMKRAFT - Future Warriors - Warzone ★★★ (2011-04-23 18:49:36)

1stアルバム収録曲中、最もアグレッシブなスピード・ナンバー。
ト二ーの濁声Voに小気味良く回転するシャープなGリフ、
それと豪快に炸裂するリズムとが、戦場のSEを伴って突進する、
タイトル通りの攻撃性と狂気が横溢する名曲。


ATOMKRAFT - Queen of Death ★★ (2011-04-23 19:32:07)

制作中に、所属マネージメント会社を巡りバンド内でトラブルが勃発。これに伴い中心メンバーのト二ー“デモリション”ドーランがラインナップから離脱してしまったため、彼に代わるフロントマンとして元AVENGERのイアン“デイヴィソン”スウィフト、新BにD.C.RAGEことダーレン・クックを迎え入れて4人編成でレコーディング作業が進められ、'86年にリリースされた5曲入りEP。(但しト二ーも数曲でBをプレイしている)
荒々しく猛るEP表題曲“QUEEN OF DEATH”、ハイテンション且つ攻撃的な疾走曲“PROTECTOR”“DEMOLITION”を聴けば一聴瞭然、基本的にはデビュー作『FUTURE WARRIORS』の延長線上にある、スピーディでアグレッシブなパワー/スラッシュ・メタル・サウンドを演っているわけだが、よりメロディアスに歌える専任シンガーが加入した事で、ドラマティックに盛り上がるメランコリックなバラード“FUNERAL PYRE”や、アコギによる叙情的なインスト・ナンバー“MODE Ⅲ”を収録する等、収録楽曲のバラエティはグッとその幅を広げている。
5曲収録の小ボリュームにも関わらず満腹になれるという、高カロリーなジャンクフード感溢れる1枚。
尚、一度は脱退したト二ー・ドーランだが、この後すぐバンドへの復帰を果たしている。


ATOMKRAFT - Queen of Death - Demolition ★★ (2011-04-24 19:21:19)

3分足らずのランニング・タイムを
ストレートに突っ走るスピード・ナンバー。
生き急ぐような切迫感を伴って
切り込んで来るGリフが秀逸。


ATOMKRAFT - Queen of Death - Funeral Pyre ★★★ (2011-04-24 19:27:20)

メロディアスに歌えるシンガーを得て、
彼らが初めて取り組んだパワー・バラード。
哀愁を帯びた物悲しいメロディを奏でつつ、
威厳も失わないGとBが良い仕事してます。


ATOMKRAFT - Queen of Death - Protector ★★ (2011-04-24 19:20:13)

ハイテンションなVoとGを押し退けて
楽曲を牽引する豪快なBがクール。
スラッシュ・メタル的なアグレッション漲る
1曲ながら、不思議と「パワー・メタル」と
評したくなる魅力を備えています。


ATROPHY - Socialized Hate ★★ (2007-01-25 22:24:00)

マニアの間でコレクターズ・アイテムと化していた、ATROPHY'88年発表の1stアルバムが、
リマスターを施されて、デジパック仕様で復刻。
同時に再発された'90年発表の2nd『VIOLENT BY NATURE』では、曲調を広げて、聴かせる姿勢を
積極的に打ち出していた彼らだが、このデビュー作の時点では、音作りにせよ楽曲にせよ演奏にせよ、
より刺々しく尖がったスラッシュ・サウンドを展開。
とは言え、スラッシュ・メタル・ブームの絶頂期とでもいうべき時期にリリースされた作品だけに、
ひたすら初期衝動に任せた突進を繰り返すのではなく、アコギを使ってみたり、リフやリズム、曲展開に
一工夫凝らしてみたりと、有象無象のバンド群と差別化を図るべく、試行錯誤を重ねた跡がハッキリと伺える仕上がり。
その甲斐もあってか、しっかりと練り上げられた収録曲の数々は何れも聴き応え十分で、
特に、Bが効いてる④、ファニーなノリに頭が動く⑤、イントロの叙情的なアコギから一転、シャープな疾走感が
小気味良い⑥という、ATROPHYを代表する名曲が連打される中盤の盛り上がりは、本作のハイライト。
完成度の高さでは次作に僅かに及ばない印象だが、こうしたキメ曲の存在ゆえ、
聴き終えた後のインパクトは、この作品の方が強いかもしれない。


ATROPHY - Socialized Hate - Socialized Hate ★★ (2007-01-24 21:26:35)

アコギによるイントロの時点でグッと掴まれる、
1stアルバムのハイライト・チューン。
正統派テイストの濃いGが非常に良い感じ。


ATROPHY - Violent by Nature ★★ (2007-01-23 22:22:00)

マイナー・バンドながら、マニア筋では評価が高い(らしい)アリゾナ出身の4人組スラッシャーが、
'90年に発表した2ndアルバムが、リマスター化/ボーナス・トラック追加/デジパック仕様で、最近遂に再発。
中古屋では、国内盤はおろか輸入盤にすら高値が付けられていたので、これは未体験者には嬉しい限り。
で、肝心の内容の方はと言えば、これが期待に違わぬ素晴しさ。より荒々しいスラッシュ・メタル・アルバムだった
デビュー作に比べ、アコギや叙情メロディ、緩急といった要素を積極的に導入して、楽曲を一層ダイナミックに演出。
前のめりな勢いでは前作に一歩譲るものの、こと完成度の高さにおいては本作の方が上だ(と思う)。
「これぞ!」というキメ曲に欠ける点は惜しいが、リフはEXODUS、疾走パートはTESTAMENTといったバンドを
彷彿とさせる楽曲は、何れも良く出来ている。個人的なお気に入りは、威勢の良いOPナンバー①、
キャッチーな②、「歌う」Voをフィーチュアしたメロディアスな④、シャープなリフがカッコイイ⑦といったところ。
また、H-TEAMやアレックス・スコルニック程ではないにしろ、印象に残るソロを連発するGが、
非常に良い仕事をしている事も付け加えておきたい。


ATTACK ★★★ (2016-02-23 23:46:43)

90年代は、別段ジャーマン・メタルに興味のなかった我が家にさえ
ATTACKの作品が一通り揃っていたぐらいで、
あの頃の彼の地のメタルの勢い(日本での人気)には凄まじいものがあったなぁと。
「全楽器を一人でこなすマルチ・ミュージシャン」と聞くと
通常は天才肌のイケメン音楽家とかを想像するのですが、リッキーに関しては
「友達いないのかな」と妙に心配になったことを思い出します。(余計なお世話)
 今復活したら結構受けると思うんですよね


ATTACK - Revitalize ★★ (2014-07-27 23:42:25)

90年代のジャーマン・メタルの盛り上がりを(主に底辺方面から)支えマニアに愛された、リッキー・ヴァン・ヘルデン大将率いるATTACKが、当時誰も欲しがらなかった・・じゃなくて入手困難だった初期作、並びに近作の楽曲をリミックス&リ・レコーディング、更にそこに新曲も加えて発表したベスト盤がこちら。
IRON MAIDENとHELLOWEENの中間ぐらいに位置する正統派HMサウンドを志向しながらも、リッキー自身のへなちょこボーカルと、調子っ外れなコーラス、不安定な演奏にしょっぱいプロダクションが足を引っ張って、彼らについて語る際には常に「ATTACK(笑)」と、名前の後に(笑)マークが付いて回っていたような気がするのですが、どっこい、キラリと光る大将の曲作りの才は決してバカにしたもんじゃありませんでした。
取り分け“WONDERLAND”と“DEATHRIDER”(共に『DESTINIES OF WAR』収録)のカッコ良さは出色で、特に10分に及ばんとする長尺を、勇壮且つ疾走感たっぷりに語り切った後者は、独産メタル・マニアなら一度は聴いておいて損のない出来栄え。その昔バイトしていた喫茶店でBGMとして流させて貰ったら、お客さんから「お、この曲良いねぇ」と好評を得たことでも思い出に残っている名曲であります。
今日び果たして需要があるのかどうかはともかく、ATTACK入門編には本作が打って付けですよ。


ATTACK - Revitalize - Death Rider ★★★ (2014-07-28 23:27:23)

ATTACKのカタログの中でも『DESTINIES OF WAR』の
完成度の高さは目立っていましたが、その中でも
スピード/メロディ/劇的な曲展開と、三拍子揃った
この大作曲の突出ぶりは尋常ならざるものがありましたね。
「腹ペコなカイ・ハンセン」みたいな弱弱しいリッキーのVoも
これだけ楽曲自体がドラマティックな仕上がりなら
目を瞑ろうという気になるってもんですよ。


ATTACK - Revitalize - Wonderland ★★★ (2016-02-24 23:25:32)

クドイぐらい引っ張るイントロで「こいつは何かやってくれそうだ!」と
ドラマティックな雰囲気を目いっぱい盛り上げ、リッキーの
へなちょこVoが入って来た途端「こいつ何やらかしてくれてんの」と膝が砕ける。
でも楽曲自体はいかにもジャーマン・メタルらしい勇壮な疾走ナンバーの名曲。
当時は「上手いVoを入れればのに」とか思ったものですが
今となってはこの声でこそATTACKだよなと。ワンダラー


ATTACKER - The Second Coming ★★★ (2014-02-02 21:39:47)

BON JOVIのお膝元ニュージャージーにおいて、そのBON JOVIとは「白馬の王子様」と「類人猿」ぐらいかけ離れたムサ苦しいパワー・サウンドを追及し続けるトゥルー・メタル軍団、ATTACKERが'88年に放った2ndアルバム。(再発盤のジャケットはリバーシブル仕様なんですが、両方ともちっとも嬉しくないクオリティなのがこのバンドならでは)
若ハゲにビール腹という、外見上のハンデを物ともしないストロングな歌唱を轟かせる新Vo、ジョン・レオーネ(故人)の加入により、SHRAPNELメタルにも通じる肉食系USパワーメタル・サウンドが格段にビルドアップ。(エンジニアはアレックス・ペリアラス&ロブ“ワッコ”ハンターで、この顔触れからして既に暑苦しい)
RIOTの“THUNDERSTEEL”を更にマッチョ化したような①や、緩から急へと突貫する③、戦車の如く突き進む⑧といった、ハイピッチ・スクリームから刻み倒すGリフ、雷鳴の如きリズムまで、構成要素一つ一つが高圧的なパワー・チューンがみっしりと詰まった本作は、全8曲、僅か30分の収録時間にも関わらず胸焼け起こしそうになるぐらいの脂っこさ。
HR/HMのコマーシャル化が進行する一方で、コアなファンの間ではスラッシュ/デス・メタルが人気を博すという、シーンの二極分化の裂け目にポッカリと落ち込んで評価の機会を逸してしまった、実に不運な1枚。


ATTENTAT ROCK (2016-03-16 22:34:13)

フランスの南東部に位置する都市、ヴォクリューズ県アヴィニョンにおいてに結成されたHMバンド。
NWOBHMの盛り上がりがフランスへも伝播する中、シングル『BOLOUSON NOIR』を'80年に発表してデビュー。‘87年の活動停止までの期間中に1st『ATTENTAT ROCK』(’81年)、2nd『LE GANG DES SAIGNEURS』(’84年)、Voをディディエ・ロケットからマーク・クーに変えた3rd『STRIKE』(’85年)という3枚のアルバムを発表、フレンチ・メタル・シーンの盛り上がりに貢献した。
'88年にはエルヴェ・レーナル(G)が抜けた編成でPINK ROSEと改名し、アルバム1枚を残しているが、こちらは短命に終わってしまった模様。’08年に再結成。


ATTENTAT ROCK - Le gang des saigneurs ★★★ (2016-03-16 22:51:50)

80年代のフレンチ・メタル・シーンは、バンドの粒が非常に揃っていたことでマニアから高く評価されていますが、アヴィニョン出身の4人組、ATTENTAT ROCKが'84年に発表したこの2ndアルバムも、そうした中に加えられて然るべき1枚。
ジャケット・デザインや音作りは多少チープですけど、IRON MAIDEN、JUDAS PRIESTからの影響を糧に、荒っぽいシャウトを滾らせるVo、熱くドライヴしまくる2本のG、骨の太いソリッドなリズムとが、「セコセコした小細工なんざいらねぇ!」とばかりに正面突破を図る、タイト&ガッツィーなHMサウンドは火傷しそうなぐらいに熱い仕上がりで最高です。
“ヨーロッパ横断特急”の名に相応しいキレと疾走感に満ちた③や、ツインGが劇的にハモるイントロだけでその名曲ぶりを確信させられるアッパーな④といった、プリミティブな正統派HMの魅力を凝縮したかのような収録曲(ランニング・タイムがいずれも3分台なのも潔し)を耳にしたら、多少アレなジャケットだって「やだ、飾り気のなさが男らしくて素敵!」、チープなプロダクションに対しても「お陰で生々しい迫力が出てまっせ!」とポジティブなジャッジを下したくなるというものですよ。多分。
語感がどうの、国民性がこうの、といったフランス産メタルに対する偏見を一蹴してくれる強力作。


ATTENTAT ROCK - Le gang des saigneurs - Cœur de pierre ★★★ (2016-03-17 22:26:17)

3分ちょいのタイトなランニング・タイムの中、
灼熱Voを伴いソリッドに駆け抜けるリフ&リズム、
その合間を縫って2本のGにより繰り返し奏でられる
テーマ・メロディの勇ましさには、
身の内に宿るメタル魂に火が点される思いですよ。


ATTENTAT ROCK - Le gang des saigneurs - Trans-Europ-Express ★★★ (2016-03-17 22:31:08)

ザクザク刻まれるGリフとリズムによって生み出される
力強い疾走感が、まさしく風を切って突き進むヨーロッパ横断特急の
雄姿を彷彿とさせます。・・・いや乗ったことないんですけどね。


ATTENTAT ROCK - Strike ★★★ (2016-03-19 10:09:21)

タイトルが『STRIKE』で「おお、メタルっぽくてカッコイイじゃない」とか思ったら、ジャケットではボウリングをプレイ中の女がニッコリ。…ストライクってそっちのストライクかよ!とまぁ、トホホ臭半端ない脱力アートワークが目印の'85年発表の3rdアルバム。
しかし内容は素晴らしい。晴れてVIRGIN RECORDSとの契約を得たことで、プロダクションの厚みが格段に増しただけでなく、本編開巻を告げる序曲なんて「あれ?俺、間違って別のバンドのアルバム買っちゃった?」と思わされるほど大仰且つシンフォニック。メジャー資本の後ろ盾を得た成果がガッツリ反映されています。
だからと言って浮かれて足元を見失ったり、ポップ路線に日和ったりしていない点もナイス。全曲英語仕様となった収録曲は――汗が飛び散るような熱さこそ薄れたものの――Gリフの切れ味もリズムの疾走感も損なうことなく、よりメロディック&キャッチーに磨き上げられていて捨て曲なしの充実度。中でもKeyを有用したスリリングなOPナンバー①、緩急の活かされた劇的な③、Gのキメ・フレーズに絡むドラム・リフ?にテンション上がりまくりの⑥といった疾走曲は、作曲術からアレンジ能力に至るまで、バンドが一皮も二皮も剥けたことを証明する本作のハイライトです。新Voのパワフルな歌いっぷりも◎。
これが最終作とは俄かには信じ難いATTENTAT ROCKの最高傑作。入門盤にどうぞ。


ATTENTAT ROCK - Strike - I Want You ★★★ (2016-03-19 23:23:21)

アルバムB面のハイライト。
疾走感溢れる曲調を彩る劇的なGと、
そこに絡みながらリード楽器的な役割も果たす
Dsの良い仕事ぶりがキラリと光っています。


ATTENTAT ROCK - Strike - Ouverture / Forces of the Dark ★★★ (2016-03-19 23:13:50)

いきなりカマされるシンフォニックな幕開けに
意表を突かれるOPナンバー。
しかし雷鳴と共に走り出す楽曲自体は前作同様、
正統派HMナンバー以外の何者でもありません。
音作りの向上と、Keyを有用したアレンジの洗練もあって、
かなりキャッチーさが強化された印象あり。


ATTENTAT ROCK - Strike - Sandy ★★★ (2016-03-19 23:20:10)

アコギをバックにVoが歌い上げる抒情的なイントロを経て疾走を開始。
音質の向上に、緩急を活かしたアレンジから曲展開に至るまで
バンドの成長ぶりをしかと物語るアルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
ピロピロとメロディックに弾きまくるGソロも◎。


AUTOGRAPH - Missing Pieces ★★★ (2023-02-21 00:14:16)

タッピングの名手スティーヴ・リンチ(G)と、ハスキー声が特徴的なスティーヴ・プランケット(Vo)という二人のタレントを擁し、80年代に3枚のアルバムを発表。シングル“TURN UP THE RADIO”をヒット・チャート上位に送り込むも、善戦及ばず解散へと至ったLAの5人組AUTOGRAPHでしたが、マニア筋からの評価は一貫して高く、バンド解散後にUSG RECORDSのヨルグ・ダイジンガー(BONFIRE~SABU)から「未発表曲とかないの?あったらウチからリリースするで」と声を掛けられたことをきっかけに発売が実現した蔵出し音源集がこちら。(日本盤は'94年にテイチクからリリースされています)
内容の方は、これが嬉しくなるぐらいAUTOGRAPHらしさ満点のアメリカンHRサウンドが徹底。それというのも元々は幻に終わった4thアルバム用にレコーディングされたデモテープ収録の楽曲が使われているらしく、なのでこれはもう単なる未発表曲集というよりは、実質的な4thアルバムというべき1枚ではないかと。
前3作に比べるとテンポは若干落ち着き気味ながら、確かなヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーなメロディ、LAメタル界隈屈指のテクニシャンと謳われたリンチのフラッシーなGプレイも健在。特に仄かな哀愁を塗したメロディをプランケットがオヤジ声…もといハスキー声で歌い上げ、華やかなハーモニーが援護射撃する③⑤辺りは、発表が80年代だったらバンド活動のその後だって多少なりとも変わっていたのでは?と思わずにはいられない出来栄えですよ。
AUTOGRAPHは00年代に入って再結成を遂げてくれましたが、ならば是非とも本作のクオリティを超える新作のリリースを期待したいことろであります。


AUTOGRAPH - Missing Pieces - When I'm Gone ★★★ (2023-02-23 00:24:14)

お蔵入りしてしまったのが残念でならない、
世が世ならヒット・チャートを賑わせていたって不思議ではない
フックの効いたこのバンドらしい名曲です。


AUTOGRAPH - Sign In Please ★★★ (2019-07-18 00:52:07)

VAN HALENの前座を務めたことを切っ掛けにチャンスを掴み、’84年に発表すると米ビルボード・チャートの20位台まで上昇するヒット(最終的に70万枚を売り上げゴールド・ディスクを獲得)となった、LA出身でKey奏者を擁する5人組の1stアルバム。
LAメタル・ブームの隆盛期に発表されているだけあって、ミドル・テンポの楽曲を中心として、全楽器がユニゾンで刻むシンプルなリズム、きらきらシンセ、スティーヴ・プランケットのハスキーな(オッサン声ともいう)Voとハーモニーを活かした覚え易いコーラス・ワーク、そしてGIT講師も務めていたというタッピングの名手スティーヴ・リンチのテクニカルなGプレイがフィーチュアされた本作で聴けるのは、まさに「LAメタルど真ん中」といった趣きのサウンド。NIGHT RANGERとの比較は確かに的を得ていて、あちらを更にカラッと高温の油で揚げた感じのような音…とでも申しましょうか?
昔、ヒット・シングル②(邦題“れでぃおUSA”)を初めて聴いた時は、哀メロ愛好家としちゃ「もっと湿り気をおくれよ…」と全くピンと来なかったのですが、今となってはこのザ・80年代!な底抜けの明るさこそが本作の肝であると確信している次第。しかもキャッチーなメロディ・センス、ギター・ヒーロー然としたフラッシーなGプレイと、単なる添え物に終わらず要所を華やかに彩るKeyとが、楽曲に効果的にフックを作り出してくれていて、大味さを殆ど感じさせません。
心浮き立つ鮮やかなポップ・メタルの名曲⑧を筆頭に、澱んだ空気をスカッと吹き飛ばしてくれる実に抜けの良い1枚。ジメジメと鬱陶しい梅雨の時期のお供に是非。


AUTOGRAPH - Sign In Please - Friday ★★★ (2019-07-19 00:25:26)

花金(死語?)のワクワク感を体現するかのような、
今となっては郷愁さえそそられるパーティ・メタル・チューン。
明るい躍動感に溢れつつも、メロディはどこか胸キュンを誘う。
フラッシーなGとKeyも実に華やかに楽曲を彩ってくれています。


AVATARIUM - Avatarium ★★★ (2014-04-19 06:54:32)

底なし沼に足を囚われているような重たげなリフとリズムのコンビネーションは、紛うかたなきレイフ・エドリング印。しかし、そうしたドゥーム・メタリックなバッキングの上に、清廉な女性Voが乗ることで、CANDLEMASSとは異なる、プログレッシブ・ロックにも通じる叙情的且つ幻想的な空気が立ち込め、本作を独特な立ち位置へと導きます。
特にフロント・ウーマン、ジェニー・アン・スミス嬢の存在はこのバンドの肝。元ポップ・シンガーという出自に裏打ちされた繊細な表現力は元より、陰影をつけて声を張ると、北欧土着宗教の巫女か神官か・・・といった神秘性や威厳が漂う歌声をもって、CANDLEMASSばりのへヴィ・パートと、フォーキーな叙情パートがホログラムの如く組み合わされた①や、詩的な歌詞も素晴らしい②といった、先制パンチとして申し分ない破壊力を有する名曲を一層ドラマティックに彩ります。
似通ったテンポの楽曲が続く後半はどうしてもテンションが下がりますが、コージー・パウエルのドラミングが聴こえて来そうなRAINBOWタッチの③や、本編中最もプログレッシブな仕上がりの⑤等、収録各曲の完成度はハイレベル。捨て曲なしの1枚ですね。


AVENGER - Blood Sports ★★★ (2021-02-18 00:34:18)

ブライアン・ロスを中心に複雑に絡み合うNWOBHM人脈の中で産み落とされたバンドの一つ、イギリスのAVENGER(RAGEの前身として知られるドイツのAVENGERとは別バンド)が’84年にNEAT RECORDSから発表した、RAVENのワッコが友情出演したみたいな殺気立ったジャケットがインパクトを放つ1stアルバム。
'84年といえば大西洋の向こう側では明るく華やかなLAメタル勢の本格的な躍進が開始された時期ですが、本作に託されているのはほぼその逆を行く、暗くてジメジメと湿気った著しく華に欠けるHMサウンド。英国シンガー然とした煮え切らない声質の持ち主イアン・スウィフトの青い炎が揺らめくようなVoといい、鋭利なリフを小気味良く打ち出しウェットなメロディを紡ぐGに力任せに押し込むリズムといい、そしてNEAT謹製の見通しの悪い音質(これでも次作よりはだいぶマシというのが恐ろしい)等々、どこを切っても濃厚なNWOBHM汁が滴り落ちてくるジューシィな仕上がり。だがそこが良い。
灰色のリフ&リズムがパワフルに駆動するOPナンバー①や、鼓膜に突き立つように鋭角的に刻まれる、SATANの流れを汲むGリフが印象的な⑧、あるいは重厚にしてドラマティックに佇む④といった、AVENGERの魅力の何たるかを端的に伝えてくれる楽曲もカッコイイのですが、何と言っても本作のハイライトは②。スピーディ&アグレッシブでありつつ、単調な力押しに終始することなく、イアンの歌う勇壮かつ憂いを帯びたメロディにはしっかりとフックが効かされている名曲ですよ。
2nd『KILLER ELITE』と共に、ザ・NWOBHM!な魅力に舌鼓を打つ1枚。


AVENGER - Blood Sports - You'll Never Take Me (Alive) ★★★ (2021-02-18 22:50:54)

ガムシャラな勢いだけでなく、勇壮にして
キャッチーなメロディ・センスにも冴えが
感じられる疾走ナンバー。サビメロのカッコ良さは
本編随一じゃないでしょうか。Gソロも◎


AVENGER - Killer Elite ★★★ (2019-01-21 23:43:40)

元々は「VOICE OF NWOBHM」ことブライアン・ロスにより結成されたバンドでしたが、アルバム・デビュー直後に彼は脱退。その後SATANに加入したロスと入れ替わるように、SATANで歌っていたイアン・スウィフトをリクルートして(METAL CHURCHとREVERENDみたいなシンガーの交代劇)、AVENGERが’85年に発表した2ndアルバム。
一聴して先ずビックリさせられるのが音の悪さ。スピーカーの前に襤褸でも垂らせているのか?と耳を疑うぐらい輪郭の不明瞭なサウンドは、まさにNEAT RECORDSの貫禄。但し楽曲は最高です。のっけからブチかまされるアルバムのハイライトたる名曲①のGリフのカッコ良さにアガらないメタル者がいましょうか。それ以外にも、鋭角的に切り込んでくるGメロディが印象的な③、NWOBHM界隈において指折りの実力派シンガーだったイアンのハイトーンが冴え渡る⑤、スラッシュ・メタルに匹敵するアグレッションで突っ走る⑪等、まさにNWOBHM直系の武骨なGリフ、パワフルな突破力、いかにもブリティッシュなジメジメとした湿り気を帯びた楽曲の魅力は、音質の酷さをモノともしない眩い輝きを放っています。哀切な響きを湛えたドラマティックなバラード⑧も最高としか。
既にHR/HMシーンの主役の座がアメリカに移っていた時期にこの音、このスタイルでは、バンドが大きな成果を上げることなく解散してしまったのもむべなるかなですが、しかしだからと言って本作のクオリティが否定されるわけではありません。名盤ですよ。
尚リマスター盤を買い直したところ、しれっと《ドイツの紛い物(RAGEの前身バンドのこと)に注意》の警告文が削除されていて「あらあら」と。折角だから残しとけばいいのに。


AVENGER - Killer Elite - Revenge Attack ★★★ (2019-01-21 23:48:33)

音の悪さもなんのその。
イントロのGリフのカッコ良さだけで星3つ進呈は確実。
疾走するリズムの上で湿ったメロディを熱唱する
イアンのVo、劇的に組み立てられたGソロも熱い。
遅れて来たNWOBHMの名曲。


AVENGER - Prayers of Steel ★★ (2020-06-12 00:55:24)

ピーヴィー・ワグナー(Vo、B)やヨルグ・マイケル(Ds)が率いたAVENGERが'85年にNOISE RECORDSから発表した1stアルバム。
同時期に活動していたイギリスの方のAVENGER――ミスターNWOBHMことブライアン・ロスも在籍――から、デビュー作のクレジット欄で《ドイツの紛い物》扱いされてしまっていた彼らですが、今となってはAVENGERの名を聞いて大方のHR/HMリスナーが想起するのは、RAGEの前身バンドたるこのドイツのAVENGERの方ではないでしょうか。
本作で披露されているのは、武骨なGリフを武器にストレートに押して来る、NWOBHMからの濃厚な影響が感じられるオーソドックスなHMサウンド。リフ・ワークを始め、楽曲からはRAGEほど特異な個性は感じられず、まだまだ発展途上といった趣きのピーヴィーの青いVoや、名手ヨルグ・マイケルを擁しながらも全体的にモッサリ感が漂ってくる演奏が相俟って、全体的に垢抜けない印象は否めません。
しかし、ピーヴィーの曲作りの手腕には既にダイヤの原石の輝きが見受けられ、重厚なアルバム表題曲③、切っ先鋭いGリフに先導されて疾走する⑤、硬質な哀愁を湛えた⑦、エピック・メタリックな勇ましさを備える⑧等は、「おっ」と耳惹く優れた出来栄え。また特筆すべきはスピーディな曲調に勇ましいメロディが乗っかった⑥で、RAGEとは一味異なる、この時期の彼らならではの名曲ではないかと。
長らく国内盤は入手困難な状態が続いていましたが、先頃貴重音源を追加収録した2枚組仕様での再発が実現しましたので、RAGEファンならずともこの機会に是非一聴をば。


AVENGER - Prayers of Steel - Adoration ★★★ (2020-06-15 23:36:55)

RAGE的なクセの強さは然程でもなく、HELLOWEEN登場以前の
ジャーマン・パワー・メタルらしい荒々しさを伴って
雄々しく疾走する、アルバム『PRAYERS OF STEEL』ハイライト・ナンバー。
頼りないピーヴィのハイトーン・シャウトが微笑ましい。


AVERSION - Fall From Grace ★★ (2007-04-28 21:25:00)

ルカ・シニョレッリの壁画「罪されし者を地獄へ追いやる天使」をアルバム・ジャケットに用いた、
カリフォルニア出身のトリオ・スラッシャー、'95年発表の3rdアルバム。
前作『FIT TO BE TIDE』は、ハードコアがかったスピード・ナンバーが次々に繰り出される
爽快極まりないスラッシュ・メタル・アルバムだったが、本作もスタイル的には全く変化なし。実際に聴くまでは
時節柄、モダン・へヴィネス症候群でも患ってるんじゃないかと不安に思っていたのだが、
OPナンバーの①が勢いよく疾走を開始した瞬間、その心配は吹き飛んだ。
ただ、今回は締まりに欠けるサウンド・プロダクションがイマイチで、前作の大きな魅力だった、
硬質さと柔軟性を兼ね備えたリフ&リズムが、一丸となって突進して来るかのような迫力が
やや薄まってしまっているのが残念。代わりにラフでパンキッシュなノリを持った楽曲が目立つような・・・。
それでも、尻上がりにテンションが上がっていくアルバム中盤以降は聴き応え十分。特に、本編最速とも
言える爆発的な疾走感が爽快な⑧、そして硬派な声質のVoの魅力が如何なく発揮された高速スラッシュ・チューン⑫は、
前作収録の“FALLING FULL CIRCLE"に匹敵する名曲。スラッシャーなら必聴ではないでしょうか。
中古屋では3桁の値段で投売りされてる事の多い作品なので、見かけたら(俺も)即買いをお薦めさせて頂きます。


AVERSION - Fall From Grace - Dignity ★★ (2007-04-28 23:48:54)

3rdアルバム最速ナンバー。
タイトなリフ&リズムが一丸となって突進する様がド迫力。


AVERSION - Fall From Grace - Make It Go Away ★★ (2007-04-28 23:58:57)

切羽詰ったように疾走する高速スラッシュ・チューン。
タイト極まりない楽器陣も良い仕事をしているが、
リーダーのBが兼任するVoの硬質な歌声が非常に魅力的なのも
このバンドの大きな武器だと再認識させてくれる名曲。


AVERSION - Fit To Be Tied ★★ (2006-04-26 21:52:00)

とにかくタイト。この一言に尽きる作品。
パンク/ハードコアからの影響を感じる無駄を削ぎ落とした2~4分台の楽曲もそうだが、
特筆すべきは演奏面のタイトさ。
疾走曲のみならず、ミッドテンポの曲でも聴き手の体を勝手に反応させてしまうこの演奏の歯切れの良さは驚異的。
あまりの気持ち良さに何度も聴き返したくなるこの中毒性は、確かにかなり強力だ。

あと、最後に1フレーズだけ有名バンドの有名なリフが登場するのだが、どうしてもその曲名が思い出せない・・・。


AVERSION - Fit To Be Tied - Falling Full Circle ★★★ (2006-04-26 21:44:40)

引っ掛かりのあるリフがヘヴィに刻まれる前半でグッとエネルギーを溜め込み、
それを後半の疾走パートで一気に爆発させる展開が痛快極まりない。
(そしてまたヘヴィ・パートに戻って曲が終わる構成も美しい)
リフのカッコ良さ、及び、しなやかさと歯切れの良さを兼ね備えた楽器陣(Voも含めて)のパフォーマンスも特筆モノ。


AVERSION - The Ugly Truth ★★ (2008-01-22 22:46:00)

スラッシュ・メタルが斜陽の時を迎えていた90年代に、優れた作品を連続して発表し、マニア筋から高い評価を得た
カリフォルニア出身のトリオ・スラッシャーAVERSION、'91年発表の1stアルバム。
噛み付くようなシャウトがイカスVo、切迫感を煽りまくるG、タイト極まりないリズム隊とが一丸となって突っ走る、
ソリッドでスピーディな楽曲といい、1曲平均2分とコンパクトに凝縮された楽曲でガンガン畳み掛け、30分ちょいの本編を
一気呵成に駆け抜ける構成といい、このデビュー作の時点で、既にAVERSIONならではの個性はガッチリと確立済み。
何より、メンバーの確かな演奏技術によって生み出される、カタルシスに満ち満ちた疾走感と、
極めて中毒性の高いキャッチーさは、このバンドの強力な武器だ。
中でも、印象的なベースのイントロから間髪いれずに加速する①、性急に動き回るGがスピード感を倍増させる②、
不穏なイントロで溜め込んだエネルギーを、スピード・パートで一気に炸裂させる④、そして本編のハイライト足る、
IRON MAIDEN風のメロディと、ハイテンションなGソロが猛然と疾駆する⑨は、聴いてるだけで
運動中枢にポッと灯が点り、暴れ出したくて仕方なくなる必殺の名曲。
本作はGソロのフィーチュア度も高く、彼らの作品の中では2nd『FIT TO BE TIED』に匹敵するスラッシュ・メタル色の
濃さを誇るので、最近話題のMUNISIPAL WASTEやS.S.S.といったバンドが気に入った人なら
「必聴!」と断言できる、クロスオーバー・スラッシュ・メタルの力作。


AVERSION - The Ugly Truth - Death Trip Picture Show ★★ (2008-01-22 22:49:25)

ベースによるイントロを聴いただけで、
「あ、名曲だ」と分かってしまう、
ソリッドでスピーディなアルバムのOPチューン。


AVERSION - The Ugly Truth - Inertia ★★★ (2008-01-22 22:56:17)

畳み掛けるように疾走する曲調と、
噛み付くようにシャウトする硬派なVo、
短いながらもハイテンションなGソロ、
そしてIRON MAIDEN風のテーマ・メロディが
一丸となって突進する、1stアルバム屈指の名曲。
個人的にはAVERSIONの全楽曲の中でも、この曲が一番好きだ。


AVERSION - The Ugly Truth - Welcome to Society ★★ (2008-01-22 22:52:50)

不穏さの漂うイントロでグッとエネルギーを溜め込み、
それを本編で一気にスパークさせる高速スラッシュ・ナンバー。
「童貞!」「童貞!」と連呼するコーラスが最高。
(本当は「GONE MAD!」と言ってるのかな?)


AWFUL TRUTH - The Awful Truth ★★ (2006-11-17 23:04:00)

GALACTIC COWBOYSの前身として知られるトリオ・バンド、AWFUL TRUTH(オーフル・トゥルース)が唯一残した'89年発表のデビュー作。
サウンド的には「スラッシュ・メタル+70年代ロック÷プログレッシブ・ロック」といった趣きで、
これも一種のクロスオーバー現象の産物なのだろうか?正直、スラッシュ・メタルというジャンルに
入るかどうかは微妙だけど、ブンブン唸りをあげるBが刻む骨っぽいリフには、確かにスラッシーな感触が宿る。
後にGALACTIC COWBOYSで全面開花する、キャッチーなメロディ、浮遊感を湛えた歌メロ、美麗なVoハーモニーと、
スラッシーなリフが生み出すミスマッチの妙・・・という独特な味わいは、この時点で既に殆ど完成の域に達している。
GCと異なる点と言えば、こちらの方がより叙情的でドラマチックという部分だろうか。
とりあえず、先の読めない曲展開と、とても3人編成のバンドとは思えない音の広がりが魅力の名曲④は必聴。
非常に高い個性と完成度を備えた1枚ながら、これがリリースされた時には既にバンドは解散していたといのだから、
これが本当の「恐るべき真実」。(お後が宜しいようで・・・)


AWFUL TRUTH - The Awful Truth - Circle ★★★ (2012-08-16 00:35:12)

重たくも冷やかな音色のBと変幻自在のDs、
エキゾチックなメロディを奏でるGとが絡み合い作り出す
スペーシーな音空間を浮遊する、物憂げなメロディを歌うVoと
美しい三声ハーモニー・・・
久し振りに聴き直しましたが、確かに素晴しい曲です。


AWFUL TRUTH - The Awful Truth - Higher ★★★ (2006-05-17 21:27:56)

ブンブン唸りを上げるBが刻むヘヴィ・リフと、その上に乗っかる柔和なボーカル・ハーモニー・・・
この絶妙なミスマッチ感は確かにクセになる。(GALACTIC COWBOYSより正統派メタル色が濃いのもポイント)
7分以上に及ぶアルバム随一の長尺曲ながら、浮遊する哀メロが胸締め付ける叙情パート、
スラッシーな疾走パート、摩訶不思議な(としか表現しようのない)インスト・パートと、
クルクル目まぐるしい曲展開に退屈する暇は全くなし。


AXE - Axe ★★ (2010-01-17 21:20:00)

ボビー・バース(Vo、G)を中心にコロラド州にて結成されたBABYFACEが、更なる飛躍を求めて活動拠点をフロリダへと移し、
マイケル・オズボーン(Vo、G)加入を契機にAXEとバンド名を改め、'79年にMCA RECORDSから発表した1stアルバム。
厳ついバンド名とは裏腹に、この時期のAXEが聴かせてくれるのは、STYXやQUEEN辺りからの影響も垣間見える、
ポップなプログレ・ハード・サウンド。殊に「美しさ」「泣き」「哀愁」といった要素にかけては、本作は
AXEの作品の中でも最高クラスで、個人的に彼らのアルバムではこのデビュー作を一番愛聴していたり。
特に、スペーシーなKeyのイントロからして既にメロメロに泣きまくっている大作ラスト・ナンバー⑨は、
哀愁に満ちた美旋律、個性の異なる2人のシンガーによる甘美なツインVoと、まるで水晶細工の如く繊細に
組み立てられたボーカル・ハーモニー、エモーショナルにすすり泣くG、そしてプログレ・ハード・バンドの
面目躍如たるドラマティックな曲展開といった、初期AXEの美味しい部分がギュッと凝縮された不朽の名曲。
それ以外にも、心打つメロディが惜しげもなく注ぎ込まれた収録楽曲に捨て曲の類は皆無で、美しいピアノの調べを
バックに、ボビー・バースが切々と歌い上げる⑤なんて、前述の⑨にも匹敵する絶品のバラードですがな。
本編の最初から最後まで、甘美な哀メロの世界に、時間が経つのも忘れてドップリと浸りきれる1枚。
90年代の再発ブーム時に国内盤がCD化された(で、速攻で廃盤になった)にも関わらず、買い逃してしまった
己の迂闊さを未だに悔やみ続けている名盤。リマスターして再々発してくんないかなー。


AXE - Final Offering ★★★ (2019-10-30 22:51:22)

70年代後半に結成され、アルバム・リリース毎に人気を高めるもその最中に主要メンバーが不慮の死を遂げ解散。90年代に一度復活を遂げましたが、今度はバンドの要であるボビー・バース(G)がBLACKFOOTにリッキー・メドロックの後任として加入することとなったため、再び長い沈黙期間へと入ってしまっていたAXEが、前作『THE CROWN』(’00年)以来、実に19年ぶりに発表した7枚目のスタジオ・アルバム(’19年)がこちら。
代表作『OFFERING』(’81年)と関連付けたアルバム・タイトルやアートワークを採用して原点回帰の姿勢をアピールする割に、1曲目がいきなり埃っぽい渋めな楽曲なので、「おいおい、BLACKFOOTのメンバーとして活動する内に身も心もサザン・ロック親父になっちゃったのかよ」と一瞬不安を覚えなくもありませんでしたが、重厚なリーダー・トラック②以降は、ボビーの泣きのGと、ボブ・ハリス(Vo)のエモーショナルな歌声が紡ぐウェットなメロディに彩られた抒情メロハー路線へと軸足が移りますので一安心。
全体的にベテランらしい落ち着いたムードが支配的ゆえ、少々地味な印象は拭えないものの、それが逆にメロディの憂愁を補強してくれているので結果オーライ。ことに6分越えのドラマティックな大作④、乾いた哀愁漂わす(他の曲に比べて若干この曲だけテイストが異なる)バラード⑧、アルバム後半のハイライト役を担う泣きに満ちた⑨等は、特にそうした旨みを強く感じさせてくれる逸品です。
ボビー・バース曰く「これがAXEのラスト作」とのことですが、本作を聴く限りまだまだイケる。引退を撤回してくれてもこっちは一向に構わんですよ。


AXE - Final Offering - Land of Our Fathers ★★★ (2019-10-31 22:19:15)

哀愁を帯びたボブ・ハリスのVoと美麗なハーモニーを活かして
じっくりと盛り上がっていくアルバム前半のハイライト・ナンバー。
しみじみと泣くボビー・バースのGも実に滋味で美味。


AXE - Living on the Edge ★★ (2010-01-18 22:37:00)

6分を越えるような大作曲が姿を消し、プログレ・ハード色がやや後退。楽曲が2~3分台とコンパクトに絞り込まれ、
全体的にテンポアップが図られた'80年発表の2ndアルバム。(THE FOUR TOPSの大ヒット曲のカヴァー⑥を収録)
歌モノ志向が強かったBABYFACE時代に始まり、作品を重ねる毎にHM度を高めていくという、普通のバンドとは
逆のパターンを辿ったAXEだが(この手のバンドはAOR路線へと向かうのが通例のような?)、本作で聴けるのは
初期プログレ・ハード路線と後期HM路線の丁度中間を行くサウンド。個人的にAXEと聞くとこの頃の音が真っ先に思い浮かびます。
“FOREVER"や“BATTLES"のようなメロメロに泣きまくるドラマティックな名曲こそ見当たらないものの、
その分、一層キャッチーに磨き上げられ、テンポ良く次々に繰り出される収録楽曲は、デビュー作に勝るとも劣らぬ
クオリティを誇っており、特に、哀感を高めるピアノの調べに、美麗なボーカル・ハーモニーとエモーショナルな
マイケル・オズボーンの熱唱が映える、ポップでロマンティックな②はAXE屈指の名曲の1つ。また、力強く劇的な④、
メンバーの総力を結集した泣きのハード・ナンバー⑨なんかも、本作ならではの魅力を備えた逸曲かと。
AXE入門篇に打ってつけの1枚のように思う・・・んだけども、国内盤は既に廃盤。願・再発。


AXE - Nemesis ★★ (2010-01-23 01:52:00)

ATCO RECORDS移籍以降は一気にHM色を強めたAXEだが、'84年発表のこの4thアルバムでもその路線は堅持・・・というか
寧ろ、今回は前作以上にその傾向を強めた内容に仕上がっており、正直、チープなイラスト・ジャケットの下、
フックに乏しい大味なHMナンバー①が疾走し始めた時には、一瞬「やべぇ」と頭を抱えそうになったが、どっこい②以降は
スペーシーな音色で叙情性を高め、楽曲に奥行きを演出するKeyサウンドを上手く活かした、AXEらしい哀愁のメロディを
纏った楽曲が並んでおり、ホッと一安心。曲名といい曲調といい、アメリカンなノリが強く打ち出された⑥のような
ロックンロール・ソングですら、大味にも能天気にも仕上げない彼らの曲作りの手腕はやはり頼もしい。
ただ、全体的に叙情性が薄れ、カラッとしたアメリカンHM風味が増強されているのは間違いなく、また劇的なキメ曲に
欠く後半の構成もあって、聴き終えた後の満足感は前3作に比べるとやや弱い。ウェットなメロディがアップテンポで
駆け抜けていく②(こっちを1曲目にして欲しかった)、AXEらしい哀メロが五臓六腑に染み渡る⑤、幻想的なバラード
⑪辺りは、並みのバンドじゃ逆立ちしたって作れっこない名曲・佳曲だと思うんだけど・・・。本編ラストに隠し
トラックとして収録された“MIDNIGHT DRIVERS ME MAD"も優れた楽曲で、確かシングルB面曲のリメイクだったかな?
中心メンバーの1人、マイケル・オズボーンの事故死に伴い、これがAXEのラスト作になってしまった事が
つくづく惜しまれます。(後に再結成したけどね)


AXE - Offering ★★ (2010-01-21 07:19:00)

MCA RECORDSからのリストラ、Bのメンバー・チェンジといったゴタゴタを乗り越えて、'82年に発表された3rdアルバム。
欧州でのNWOBHM勃発と歩調を合わせるように、荒々しさを増したGサウンドが前面に押し出され、
Keyやボーカル・ハーモニーの使用頻度が下がる等、全体的にHM度が大幅アップを遂げた本作は、
この方向転換が奏功したのか、AXEの作品史上最高のセールスを記録(米ビルボードの81位にランクイン)。
欧米では彼らの代表作としてこのアルバムの名を挙げるファンも多いと聞く。
繊細さよりもヘヴィさ重視の作風とは言え、本編に潤いをもたらすウェットなメロディ・ラインのフックには
相変わらず微塵の鈍りもなく、例えばAXEが誇るヒット曲①なんて、“ROCK'N'ROLL PARTY IN THE STREETS"という
バカっぽさ丸出し(失礼)のタイトルにも関わらず、印象的なKeyリフと哀メロがノリ良く疾走する名曲に仕上がっているし、
それ以外も、アグレッシブな②⑥⑦、重厚且つ劇的な③⑨、ポップでキャッチーな④⑧等、バラエティ豊かに
取り揃えられた楽曲は、何れも「AXEらしさ」がしっかりと刻印されており捨て曲なし。(因みに⑥はMONTROSEのカヴァー)
取り分け、ヘヴィ・メタリックなエッジとキャッチネスが絶妙な融合を見た⑥、そして後にCAUGHT IN THE ACTも
カヴァーするドラマティックなラスト・ナンバー⑨は、本作を代表する名曲ではないかと。
初期作に比べると入手も容易な作品ゆえ、AXE入門篇に最適な1枚。再結成後のアルバムと併せてどうぞ。


AXE - The Crown ★★ (2010-01-28 22:07:00)

'97年発表の5th『FIVE』で復活を果たしたAXEが、新メンバーとしてCAUGHT IN THE ACTの
ダニー・マルティネスを加え、ツインG編成となって'00年に発表した6thアルバム。
そのせいと言うワケでもないのだろうが、重たいGサウンドとBラインが強調された楽曲は、これまでにない
輪郭線の太さを誇っており、正直、のっけの①のヘヴィなイントロを耳にした時はヒヤリとしたのだが、
曲そのものは、キャッチーなサビの哀メロが耳を捉える秀曲だし、アルバム自体も、ラストに置かれたカヴァー曲⑪
(ケヴィン・チャルファントのソロ作収録のバラード)まで、聴き終えてみれば「いかにもAXEらしい作品」との
評価に落ち着くので安心されたし。特に、OPナンバー①や重厚な⑥は、HM然としたアグレッションと、AXEならではの
ドラマ性が巧みに組み合わされた、本作の魅力を判り易く体現した楽曲だし、何より、咽び泣くバラードの名曲⑨!
イントロや間奏パートで炸裂する「これぞボビー・バース」たるエモーショナルなGソロには思わず涙、涙・・・。
ヘヴィ志向と、収録曲の出来にややムラが見られる本編を聴いていると、個人的に4th『NEMESIS』を
思い出しますが、どちらかと言えばアメリカンHM寄りの作風だった『NEMESIS』に対し、本作は飽くまで
欧州風味のウェットな作風が貫かれているため、AXEファンにはこちらの方が取っ付き易く感じられるかも。
尚、バンドはこの作品を最後に休眠状態に入ってしまうが、近年、ボビー・バースのEDGE OF FOREVER脱退に伴い、
活動を再開したとの噂も。


AXE - V ★★ (2010-01-24 11:38:00)

中心メンバーの1人だったマイケル・オズボーンの交通事故死という、突然の悲劇により解散を余儀なくされたAXEが
(それ以外にも解散の理由は色々とあったようだが)、再評価の高まりを受けて再結成を果たし、'97年に発表した復活作。
通算5枚目のアルバムだから『FIVE』と、実にシンプルなタイトルが付けられた本作は、実験的な方向や、
流行の音楽スタイルに妙な色目を使うことなく、過去4作で披露した自分たちのサウンドの美点を素直に受け継ぐ
内容となっており、確かにこのアルバム・タイトルはしっくりと来るな、と。何せ往年の名曲“BATTLES"の
リメイク⑩が全く浮いて聴こえないんだから、(良い意味で)その不変っぷりが分かろうと言うもの。哀愁に満ちた
メロディや、美しいボーカル・ハーモニーを満載した本編を聴いて失望するAXEファンはまずおらんでしょう。
(個人的にはアメリカンHM路線への目配せも感じられた4th『NEMESIS』よりも好きなくらいだ)
CAUGHT IN THE ACTっぽさも感じられる序盤を手始めに、本編に捨て曲は全く見当たらないが、中でも、
泣きメロが冴え渡るエモーショナルなバラード④や、重厚なボーカル・ハーモニーが大活躍する
美麗な⑤といった楽曲は、往年の名曲と比較したって決して引けは取らないクオリティ。ボビー・バースの
衰えぬ作曲能力の高さに(歌も相変わらず上手い。リードVoもやれば良かったのに)、心底感服させられる1枚。


AXEL RUDI PELL - Between the Walls ★★ (2009-05-04 21:57:00)

3rd『ETERNAL PRISONER』から、Keyプレイヤーを紅一点のジュリー・グローにチェンジして'94年に発表された4thアルバム。
味わい深く爪弾かれるムーディなイントロ①に導かれて、勢い良くスタートする名曲②を筆頭に、アメリカンHM風味も
強く感じられた前作に比べ、ロックンロール色が後退し、暗く湿った欧州へヴィ・メタリックな質感が前面に押し出された本作は、
速弾きはともかく、印象的なメロディの構築にかけては見事な冴えを発揮するアクセルのGプレイ、
ジェフ・スコット・ソートのパワフルな灼熱Vo、そしてヨルグ・マイケル&フォルカー・クラウツァクの
リズム隊が叩き出すタイトなビート・・・と、メンバー間のコンビネーションも一層強固なものとなり、
いよいよ「アクセル・ルディ・ペル」と聞いて、ファンが想起するサウンドの方向性が固まり始めた感あり。
勇壮なスピード・チューン②、キャッチーなメロディが哀愁を帯びて駆け抜ける④、以後、アルバム毎に
必ず収録される事となる“STAGAZER"タイプの大作曲の原型と言えそうな⑤、劇的なミディアム・バラード⑧は、
個人的に特にお気に入りの名曲・佳曲。(ちなみに⑦はFREEの有名曲のカヴァーだ)
大好きな『ETERNAL~』や傑作『MAGIC』程ではないにしろ、非常に良く出来た1枚・・・つーか、この頃の彼らに駄作はないですね。


AXEL RUDI PELL - Black Moon Pyramid ★★ (2009-05-05 08:43:00)

「らしさ」炸裂のアルバム・タイトルに、お馴染みマーク・クリナート画伯が手掛けた美しく壮大なジャケット・アートワーク、
要所にインスト曲を配して、全編をドラマティックに物語っていく手法、「エジプト」をコンセプトにファンタジー色を強めた
歌詞の数々etc・・・と、アクセル・ルディ・ペル(G)ならではの様式美HMワールドが遂に完成を見た、'96年リリースの5thアルバム。
これ以降の彼は、今度は完成された「型」の中で如何に優れた楽曲を生み出すかに腐心していく事となる。
サービス精神が勝ち過ぎたのか、全15曲で70分を越える収録時間は幾らなんでも詰め込みが過ぎ、通して聴くと
若干の「ダレ」を覚えるのが難点なれど、1曲1曲の楽曲は相変わらずしっかりと練り上げられていて聴き応えは十分。
RAGEのピーヴィ・ワグナーがゲスト参加を果たし、硬質なBプレイを聴かせてくれるスピード・ナンバー②、
一緒に叫びたくなるサビを持つキャッチーなHMソング④、タイトルからしてRAINBOW~DIO臭が濃密に漂う“STAGAZER"型の
劇的な大作⑤⑧、美しいピアノ・バラード⑦・・・といった楽曲は、どこに出しても恥ずかしくない様式美HMファン必聴の
名曲に仕上がっているのではないかと。(中にはジェフ・スコット・ソート色が強く出た⑬のような異色曲もありますが)
中期アクセル・ルディ・ペル・バンドの状態の良さがハッキリと伝わってくる1枚。
これが世に出た頃は「そろそろ来日公演かな」と本気で信じていましたよ、俺は。


AXEL RUDI PELL - Eternal Prisoner ★★ (2009-05-04 01:05:00)

Voをロブ・ロックから、必殺仕事人シンガーことジェフ・スコット・ソートにチェンジして'93年に発表された3rdアルバム。
その他の面子は、ヨルグ・マイケル(Ds)にフォルカー・クラウツァク(B)と前作と同じ布陣で(Keyのみメンバーは流動的だが)、
個人的には、よりバンドらしさを強め、長く続いたこのラインナップの時代に一番思い入れを感じていたり。
スピーディなHMナンバーあり、叙情バラードあり、ドラマティックな大作あり・・・と、前作『NASTY REPUTATION』で
確立した音楽性をしっかりと継承しつつも、軽快なノリを持った⑤や、AEROSMITHばりにファンキー&グルーヴィな⑥、
ライブでの盛り上がりが容易に想像できる⑨といった楽曲を収録する等、アクセルの作品の中では一際アメリカンHM風味が
色濃く薫る本作。とは言え、ゴリゴリのHMのみならず、この手のナンバーも説得力十分に歌いこなす
ジェフの胸焦がすVoと、豊かな構築美を湛えたアクセルの秀逸なGプレイのお陰で散漫さは皆無。
テクニック面で問題点を指摘される事の多い彼氏なれど、この卓越したメロディ・センスはやはり魅力的だ。
そして何より、王道スピード・メタル・チューン①、切れ味鋭い哀愁のハードロック②、幻想的でドラマティックな
アルバム表題曲③、アコギを巧みに用いたバラード④という本編序盤の畳み掛けや、「ギタリスト:アクセル・ルディ・ペル」
の魅力が堪能できる、オリエンタルな雰囲気を漂わせたインスト曲⑦や、そこから繋がっていくノリの良さと
哀愁を併せ持った⑧といった、このバンドならではのHMチューンの数々のカッコ良さの前には、ぐうの音も出ないというもの。
バラエティ豊かな作風ゆえ、肩の力を抜いて気楽に楽しめる1枚かと。


AXEL RUDI PELL - Made in Germany ★★★ (2019-04-25 00:07:33)

ソロ・デビュー以来、一貫してRAINBOWにルーツを置く様式美HMサウンドを追求し続けてきたアクセル・ルディ・ペル、'95年発表の初の実況録音盤。当時の最新作『BETWEEN THE WALL』リリースに伴う母国ドイツで行ったライブの模様を収録しています。
キャリア初期とはいえ既に名曲を山ほど抱えている彼らゆえ、全8曲というボリュームではやはり少々物足りなく、他人のカヴァー③を演っとる場合か?と思わなくもありませんが、(アルバム・タイトル含めて)これも偏にアクセルの抑えきれないブラックモア愛の発露だと思えば微笑ましく許容できるというものですよ。
前任Vo時代の楽曲も余裕綽々で歌いこなし、堂々たるフロントマンぶりで場を盛り上げるジェフ・スコット・ソートといい、スタジオ版以上のエネルギーを楽曲に注入するヨルグ・マイケルのドラミングといい、腕利き揃いのメンバーのパフォーマンスは高め安定な上、こうして聴くとやはり主役たるアクセルのコンポーザーとしてのセンスが抜群だなぁと。例えば開幕をアグレッシブに宣言する疾走曲①、あるいは“STARGAZER”風味の劇的な大作⑥等、収録曲の数々はシンプルに様式美HMナンバーとしてのカッコ良さを提示するだけでなく、観客の合唱やコール&レスポンスを誘発するよう、実戦映えまで考慮に入れて作曲されていることがライブで聴くとハッキリと伝わってきて感心しきり。ライブの最後を〆るのが未発表曲⑧って正気を疑わざるを得ませんが、これがキャッチーでノリのいい曲調ですぐに観衆の心を掴み、会場を大いに盛り上げているのですから大したもの。
彼らのライブ・バンドとしての実力と、母国での人気ぶりが十二分に伝わる1枚です。


AXEL RUDI PELL - Magic ★★ (2009-05-05 22:55:00)

日本では、所属レコード会社をテイチクからビクターに変えて'97年に発表された6thアルバム。
ブックレットにて、気合の入った魔法使いのコスプレ姿を披露してくれているアクセル・ルディ・ペル(G)の
勇姿(笑)が端的に物語る通り、前作『BLACK MOON PYRAMID』にて完成を見たRAIBOW~DIO直系の様式美HM路線を
順当に継承しつつ、疾走曲はよりスピーディに、バラードはよりエモーショナルに、大作ナンバーはよりドラマティックに・・・
と、その作風は更に発展を遂げ、また、詰め込み過ぎが災いしてやや散漫さも感じられた『BLACK~』の構成を
反省したのか、今回は収録曲が全10曲と、無駄なくタイトに絞り込まれて中弛みがない点も好印象。
シャープな疾走感も然る事ながら、練り込みの跡が伺えるサビメロの展開が秀逸なスピード・ナンバー②③⑦⑧、
アクセルのベスト・ワークの一つに挙げたいくらい、素晴しく劇的なGソロが炸裂するアルバム表題曲④、ハード・ロッキンな
エッジと哀愁のメロディを併せ持った⑤、物悲しげなピアノの旋律が胸締め付ける、悲壮感漂わす大作ナンバー⑥、
ジェフ・スコット・ソートの情感豊かなVoが堪能できる名バラード⑨、HELLOWEEN時代のローランド・グラポウがゲスト参加、
アクセルと2人で高速ツイン・リードを披露するという、色んな意味で(?)スリリング極まりない
インスト・ナンバー⑩・・・と、全編これ捨て曲なし。アクセル・ルディ・ペルの数ある作品群の中でも指折りの完成度を誇る、
ジェフ在籍時代の有終の美を飾るに相応しい傑作。↑上の方同様、個人的にこのラインナップに
一番思い入れがあったので、できればこの時代に一度でいいから来日して欲しかったなぁ。


AXEL RUDI PELL - Nasty Reputation ★★ (2009-05-03 01:52:00)

多数のゲスト・ミュージシャンが迎えられ、如何にも「ギタリストのソロ・アルバム」といった雰囲気を漂わせていた
デビュー作『WILD OBSESSION』に比べ、シンガーの座に現IMPELITTERIのロブ・ロック、リズム隊には
以後、7th『OCEAN OF TIME』に至るまで不動のメンバーとなるドイツ屈指の実力派ドラマー、ヨルグ・マイケルと、
STEELER時代からの盟友フォルカー・クラウツァク(B)を起用し、格段にバンドらしさを高めて制作、
'91年に発表されたアクセル・ルディ・ペルの2ndソロ・アルバム。
LAメタル調の②を収録する等、現在ほど「様式美HM路線」が徹底されているわけではないが、何れの楽曲も
ジャーマンHMならでは哀愁とドラマ性に彩られ、何より、強力なフックを備えたメロディを見事に歌いこなす、
メタル魂を燃焼するかの如きロブ・ロックのパワフルな熱唱が、サウンドのクオリティを数倍も引き上げる。
特に、HMのカッコ良さを凝縮したかのような、思わず力コブる勇壮な疾走チューン①③、7分以上に及ぶ
ドラマティックな大作⑦は、アクセル・ルディ・ペルの長いキャリアの中でも屈指の完成度を誇る名曲中の名曲。
個人的には、アクセルとロブ、両者にとってベストに数えられるべき質の高いパフォーマンスが
全編に渡って堪能できる、ジャーマンHM史に残る名盤と信じて疑わない1枚。アクセル・ルディ・ペル入門編にどうぞ。


AXXIS - II ★★★ (2019-03-14 23:11:36)

デビュー作『KINGDOM OF THE NIGHT』(’90年)が、本国ドイツにおいて発売開始から2週間足らずで2万枚以上を売り上げる大ヒットとなり(ナショナル・チャートに12日間連続でランクインし、国内HR/HMバンドの1stアルバムの売り上げレコードを更新したのだとか)、勢いに乗ったAXXISが'91年に早くも発表したのがこの2ndアルバム。
前回が『暗黒の支配者』で、今回は『帝国興隆』。邦題は相変わらず大仰ですが、追及している音楽性はタイトでスマート&機動力に富むメロディックHRサウンド。寧ろKey奏者の加入で収録曲のバラエティは更なる広がりをみせていて、HELLOWEENを彷彿とさせるメロパワ・メタル調の①②があったかと思えば、レゲエのリズムを取り入れた③や、明るく躍動する④、ノリノリに突っ走る⑩があり、一方で哀愁たっぷりのバラード⑤、重厚だがコーラスは非常にキャッチーな⑧のようなタイプの楽曲もある…といった感じ。前作のヒットを踏まえ、よりライブ映えしそうな明快なメロディやコーラスが増強されているのもポイントで、中でもKeyを前面に押し出し軽快に弾みまくるポップな高揚感を湛えた⑦は、アルバムのハイライトにしてAXXISを代表する名曲の一つです。
これらの楽曲を歌い上げる、細かい「揺れ」を伴うバーナード・ワイスのハイトーンVoは人によって好き嫌いがハッキリ分かれるところではありますが、この声あってのAXXIS。バンドに欠かせぬ看板声として強力な個性を放っていることは間違いありません。
昔は「随分とポップだなぁ」とあまりピンと来なかった覚えがあるのですが、今聴き直すと寧ろポップな部分にこそグッとくる1枚。


AXXIS - II - Little Look Back ★★★ (2019-03-14 23:17:12)

ポップな躍動感溢れる曲調に、ほんのり欧州風味の哀愁漂う
キャッチーなメロディが乗っかったAXXISの代表曲(ですよね?)
鼓膜に突き刺さるVoのハイトーンは好き嫌いが分かれますが
個人的にこの曲の魅力の一端は、限界ギリギリを攻めているような
このいっぱいいっぱいな歌声に依るところもあるのではないかと思う次第。


AXXIS - Paradise in Flames ★★★ (2019-03-17 22:03:22)

AXXISというと、未だついつい「新人バンド」の括りに入れてしまいそうになるのですが、既に彼らも活動開始から30年を数えるベテランの仲間入りをしているのですから、時間が経つのは早い。
その活動期間を通じて最もポップ寄りな方向性を模索していた時期に発表された2nd『アクシスⅡ 帝国興隆』(’91年)以来、AXXISの作品に触れるのはかなり久々だったので、大仰なイントロ①に続き、女性Voとの掛け合いをフィーチュアして力強く突き進む②がアルバム開幕を告げる’06年発表の本作(9thアルバム)を聴いてびっくり。いつの間にかオペラティックなパワー・メタル路線に鞍替えをしていたとは。何だか同窓会で再会した旧友が、自衛隊に入ってすっかり体育会系のマッチョに様変わりしていたことを思い出しましたよ。関係ねえか。
線の細いバーナード・ワイスのハイトーンVoが、バックのパワフルな演奏に埋没しがちな点は気にならなくもないですが、とは言え、元々曲作りの手腕には並々ならぬ冴えを発揮していたバンドゆえ、この作風でも違和感は全くありません。個人的には王道メロパワ・メタル・チューン③⑨よりも、メロディのフックが際立つ重厚なミッド・チューン④⑤や、AXXIS版“I WANT OUT”ライクな⑥、キャッチーでメロディアスな⑧、ドラマティックなバラード⑦、ノリノリで駆け抜ける⑫といった楽曲の方に心惹かれますね。また2ndアルバムから加入し長らくバンドを支え続けるハリー・エラーズのシンフォニックなKeyと、バラード系の楽曲のみならずハード・ナンバーにおいても積極的に導入される女性コーラスも、楽曲の荘厳さを盛り立てる重要な役割を果たしてくれています。


AXXIS - Paradise in Flames - Tales of Glory Island ★★★ (2019-03-17 22:16:20)

80年代はアメリカナイズ、90年代はダーク&ヘヴィ、
そして00年代以降はエピカルな要素を増量させることが
欧州HR/HMシーンのトレンドと言えなくもないような?と、
ふと考えさせられた、勇壮且つ劇的に疾走するメロパワ・チューン。
AXXISは初期作しか知らなかったのでその変わりようにビックリですが
いやでも全然悪くない。思わず力瘤るカッコ良さですよ。


AZRAEL - Run for the Night ★★ (2008-03-13 23:33:00)

日本人離れした実力を誇る5人組として、舶来志向のメタル・ファンからも高い評価を得る、東京/神奈川をベースに活動を続けるメロディック・パワー・メタル・バンドAZRAELが、'97年に2000枚限定でリリースした自主制作の1stアルバム。
中古屋にてバカ高いプレミア価格が付けられていたので、はて、それほど優れた内容だったっけ?と、
久し振りに棚から引っ張り出して聴き直してみたのだけれど・・・。うん、良く出来ています。BURRN!!誌で高得点を獲得した3rd『SUNRISE IN THE DREAMLAND』に比べると、貧弱なサウンド・プロダクションといい、ハイトーンで歌うと声が引っ繰り返りそうになる、線の細いVoの不安定さといい、全体的にまだまだ青臭い印象は否めないものの、曲作りの上手さに関してはこの頃から既に光るモノを感じさせてくれる。
特に、Keyのアレンジが秀逸な哀愁のHRチューン④や、ポップで爽やかなノリの⑪を筆頭に、適度な軽快さを持ち合わせた楽曲で本編のコテコテ度を緩和して、腹にもたれる事なく、全13曲という長丁場を一気に聴かせる手腕はなかなかのもの。(とは言え、もっと曲数は絞った方が良かったと思うが)
勿論、ドラマティックな序曲を経て走り出す②、アルバム・タイトル・トラックの⑤、クライマックスを締める⑫等、要所に配置された、お約束のスピード・チューンのカッコ良さも素晴しい。
磨かれる前の原石的な魅力を感じさせる1枚、か?


AZRAEL - Run for the Night - Calling You ★★ (2008-03-13 23:42:51)

1stアルバムの頃は、コテコテの疾走チューンよりも、
このような、ポップ・テイストを感じさせる楽曲の方が
ずっと魅力的に聴こえる。
キャッチーで爽やかな名曲。


AZRAEL - Run for the Night - Judgment Day ★★ (2008-03-13 23:39:52)

流麗なKeyの音色が秀逸な、メタルと言うよりは
哀愁のHR的な感触の名曲。
無理めのハイトーンに頼ることなく、
適度に力を抜いて歌うVoも良い感じ。


Alice'n Thunderland (2017-08-09 21:19:50)

ランディ・ローズに師事し、タッピングの名手として知られたチェット・トンプソン(G)が、アン・ボレイン率いるHELLIONに参加して知名度を高めた後、90年代に入って結成したバンド。(バンド名は彼が10代の頃にやっていたバンドの名前をそのまま再利用している)
相棒役を務めたのは、MOTLEY CRUEのバック・コーラスを務めたNASTY HABITSのメンバーで、一時期ミック・マーズの奥方でもあったエミ・キャニン(Vo)。
バンドは'95年にアルバム1枚のみを残して、大きな成功を収めることなく消滅するが、ミック・マーズは女房(当時)のバンドということで彼らに金銭面や機材面で支援を惜しまなかったため素寒貧になってしまったという。ちょっといい話――いい話か?――あり。


Alice'n Thunderland - Alice'n Thunderland ★★ (2017-08-09 21:20:39)

ランディ・ローズ門下生にして、ギターを肩に担いだ状態でタッピングを行うという、斬新且つ壮絶に無意味な(そこがいいんじゃない!)「アップサイド・ダウン奏法」で一世を風靡し損なったチェット・トンプソン(G)と、MOTLEY CRUEのバック・コーラスも務めたNASTY HABITSのメンバーで、ミック・マーズの元奥方としても知られるエミ・キャニン(Vo)によるバンドが、’95年に世に放った唯一作。
参加面子に興味をそそられたのと、中古盤が安かったので購入はしたものの、モダン・ヘヴィネスが猛威を振るった時期のUS産HMバンドの作品ゆえ、内容に関しちゃ殆ど期待していませんでした。事実、飾り気皆無のプロダクションから歪んだGの音作り、中~低速/音域メインの収録曲に至るまで、その作風は90年代の流行にばっちり則っていますし。
しかしながら、エミの姐御系に分類されるワイルドな歌唱と、リフ/リード両面において冴え渡るチェットのテクニカルなGプレイとが、モダンなパワー・メタル・サウンドにキレとフックを生み出していて、本作が単に重苦しくてカッタルイだけの内容になることを防いでくれています。特に腰を低く落としてズンズン突き進むが如き①は、中期VICIOUS RUMORSを思わす迫力満点の名曲。まぁ地味な楽曲も散見されますけど、にしたってラストを〆る⑪がエミの熱唱を活かして盛り上がる秀曲ゆえ聴後感は上々。あと付け加えると、へヴィ&アグレッシブな音楽性に反して歌詞からはクリスチャン・メタルの姿勢も伺えたり。
何となく、チェットが一時的に参加していたマンディ・ライオン率いるWWⅢのアルバムに通じる魅力を感じた1枚。勿論USパワー・メタル愛好家にもお薦めです。