クリスチャン・ローグ(G)を中心に、LAで80年代初頭に結成。 当初はMARQUIS DE SADE(サディズムの語源となった、フランスに実在した公爵)を名乗っていたが、 かの『METAL MASSACRE』シリーズへの参加を期に、バンド名をSAVAGE GRACEと改める。 '85年にEP『THE DOMINATRESS』でレコード・デビューを飾り、'85年には1stフル『MASTER OF DISGUISE』を '86年には日本デビュー作となる2nd『AFTER THE FALL FROM GRACE』を発表。 そのアグレッシブでスピーディ、且つドラマティックなHMサウンドがメタル・ファンの間で好評を博す。 (日本では、日章旗ハチマキを巻いた東洋人メンバー、B.EASTの存在も話題になったとかならなかったとか) しかし、リーダーのクリスチャン・ローグ氏に、ミュージシャンとしての才能は兎も角、 人望が足りなかったようで、作品を重ねる毎に有能なメンバーが去っていき、それに伴い作品の質も低下。 結果、活動も尻すぼみ状態となってしまう。因みにそのクリスだが、 '06年に医薬品絡みの詐欺事件で逮捕され、刑務所へと収監されてしまったらしい。
ホルストの組曲『惑星』から“火星"と、 グリーグのペールギュント組曲から“山の魔王の宮殿にて"の メロディを引用した、クラシカルでドラマチックなインスト曲。 次曲“HALL OF THE MOUNTAIN KING"の序曲的存在だが、 これ単体でも十分に魅力的。 華麗に舞うクリス・オリヴァのGがナイス。
1st『SIRENS』の好評を受け、晴れてメジャー・レーベルATLANTICとディールを結んだまでは良かったものの、 契約上のトラブルに巻き込まれ、イギリスのインディ・レーベル大手MUSIC FOR NATIONSからも作品を発表する事を 余儀なくされたSAVATAGEが、メジャー・デビュー作『POWER OF THE NIGHT』と同時期('85年)に 契約消化のために発表したのが本作。 国内盤の帯には「2ndアルバム」と表記されているけれど、実際はSAVATAGEの前身であるAVATOR時代の楽曲や、 1st発表後、PAR RECORDSとの契約を巡るゴタゴタで身動きが取れなかった時期に書き溜められた楽曲等、 比較的古いマテリアルを中心に構成されているので、正確にはEPに分類すべき作品のように思う。 まぁ、それはさて置き内容の方だが、同年に発表された『POWER~』が、如何にもメジャー制作らしい、スッキリと垢抜けて 聴き易くコンパクトにまとめられていたのに対して、こちらは前作の延長線上にある、ヘヴィでダーク、 且つオドロオドロしい雰囲気を纏ったパワー/スラッシュ・メタル路線。 この方向性は、4th『HALL OF THE MOUNTAIN KING』で頂点を迎えるわけだが、現在でもライブでプレイされている 劇的な名曲①や、ドッシリとしたヘヴィネスの効いた②④といった楽曲を収録した本作の完成度も、決して侮れたものではない。 尚、国内盤にはロスト・サヴァタージ・トラック(要するに未発表曲)2曲を追加収録。