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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5101-5200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5101-5200
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SAMSON - Riding With the Angels: The Anthology ★★★ (2016-05-19 23:14:21)

'02年発表。SAMSON復活の狼煙になる筈が、首魁ポール・サムソンの急死(ガンだったとか)により、図らずも遺作になってしまった2枚組ベスト・アルバム。
「SAMSON?普通のHRバンドだぞ。ブルースの歌唱も今ほど劇的じゃないし」との前評判と、背伸びしたい盛りのヤングだった身には、SMスナイパーばりの覆面姿で檻の中に納まるサンダースティック先生の神々しいパフォーマンスが、ズバリ申し上げて「アホじゃねえの?」と子供騙しに思えたこともあり、その音に触れる機会を逸し続けていたSAMSONを見直す切っ掛けともなった、個人的に非常に恩義を感じているベスト盤でもあります。
ブルーズ・ベースのHRサウンドを、ブルース・ディッキンソン(Vo)がダイナミックな歌唱で盛り立てる2nd『HEADS ON』に、名盤の誉れ高い3rd『SHOCK TACTICS』のみならず、こうしてまとめて聴いてみると「NWOBHMブームの中でのみ通用したバンド」とのイメージに反し、ブルース加入前の1st『SURVIVORS』はもとより、巨漢シンガー、ニッキー・ムーア加入以降の作品も、収録曲は総じて高いクオリティを保持していたことが良く分かります。これも偏にバンドの根幹を担い続けたポール・サムソンの踏ん張りの賜物。
考えてみれば歴代輩出メンバーだって、ブルースを始め、GILLANのジョン・マッコイに、SIMPLE MINDSで成功を手にするメル・ゲイナー、溢れ出るイロモノ臭とは裏腹に手数多めのドラミングでボトムを攻撃的に支え続けたサンダースティックことバリー・パーキス、その彼と入れ替わる形でIRON MAIDENへ去ったクライヴ・バーetc…と、タレント揃いなんですよね、このバンド。そりゃ質も高い筈でっせ。


SAMSON - Shock Tactics ★★★ (2018-05-15 23:29:20)

現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンや、覆面レスラー…もといドラマーのサンダースティックらを擁したNWOBHMの雄、ポール・サムソン率いるSAMSON、'81年発表の3rdアルバム。(邦題は『魔界戦士』)
彼らのカタログの中では、ポリスに通報待ったなしの変質者感バリバリな勇姿でサンダースティックがジャケットを飾り、そこに邦題『魔人襲来』がコクのある味わいを加えてくれていた2ndがお気に入りなのですが、勿論SAMSONの代表作として名高い本作も、質の高さで引けを取るものじゃありません。
IRON MAIDENばりにケレンの効いた音を期待すると拍子抜けしてしまう、HMというよりはHRと呼びたくなる70年代の残り香を漂わせたシンプルな作風は前2作を踏まえつつ、今回はこれまで以上にリフ志向が強まりリズムも疾走感を増す等、タイトに洗練された楽曲は、プロダクションの向上でシケシケ感が薄まったことにも後押しされて、よりメタリックな味わいを漂わすようになりました。既に実力派シンガーの風格十分なブルースの熱唱と、派手さはなくとも、リフにソロに滋味溢れる演奏を連発するポールのGを両輪に突き進む(サンダースティックのDsは今回は大人しめ)SAMSONサウンドの醍醐味は、バンドの代表曲であるラス・バラードのペンによる疾走ナンバー①(邦題は“地獄の天使”)と、ラストを締め括るドラマティックな⑨(邦題“霊界交信”)といった名曲に顕著に表されています。
残念ながら、これ以降櫛の歯が抜けるように主要メンバーが抜けていき、人気にも陰りが出始めるSAMSONですが、本作が放つ輝きは今も全くくすんではいませんよ。


SAMSON - Shock Tactics - Communion ★★★ (2018-05-16 23:54:39)

邦題は“霊界通信”。(丹波先生の顔が思い浮かびますが)
アルバムを締め括るドラマティックなバラードで、この曲における、
楽曲の魅力を十全に引き出すブルース・ブルースのダイナミックな熱唱は
既に実力派シンガーの貫禄たっぷり。その彼のVoとサンダースティックの
派手なドラミング、それにポール・サムソン入魂のGとが入り乱れる
終盤の盛り上がりには胸が熱くなりますよ。


SAMSON - Shock Tactics - Riding With the Angels ★★★ (2018-05-16 23:46:35)

音質の向上によりシケシケ感が薄れ、
Gリフ主導でタイトに突っ走る様は
完全に80年代仕様のHMナンバー。
このハードな楽曲を手掛けたのが、
“I SURRENDER”や“SINCE YOU'VE BEEN GONE”の
イメージが強いラス・バラードってのが意外です。
個人的にはサンダースティックがもっと
派手に暴れてくれると尚良かったのですが。


SAMSON - Survivors ★★★ (2018-07-09 01:01:31)

NWOBHM勢の中ではいち早くデビューを飾ったSAMSONが、シングル『TELEPHON/LEAVING YOU』(’78年)に続いて’79年に発表した1stアルバム。
散々言われている通り、本作に関してはNWOBHMそのものな音を期待すると間違いなくスカされますんで要注意。邦題からジャケット・デザイン、サンダースティックのドラミング、そして楽曲に至るまで、ブルース・ディッキンソンが加入して飛躍的なパワーアップを遂げる次作『魔人襲来』(’80年)に比べると、ブルーズ、ブギー、ロックンロールのエッセンスと、70年代HRのノリを色濃く宿したサウンドは、イマイチ華に乏しいポール・サムソンのVoと相俟って、地味な印象が拭いきれないのは間違いありません。
但し、そうした諸々の注意点を飲み込んだ上で改めて聴き直せば、地味さは「味わい深さ」に早変わり。収録曲の粒は必要にして十分揃っていることにも気付かされます。リフ主導でドライヴするOPナンバー①(邦題“言うは易く行うは難し”…って何ちゅう邦題だ)からはNWOBHMの萌芽を感じ取ることだって出来ますし、軽快に弾むピアノをフィーチュアして疾走する⑥、英国産らしい煮え切らない哀愁が纏わりつくバラード⑧…。中でもNWOBHMの発火点となったオムニバス・アルバムの名作『へヴィ・メタルへの招待』に提供され、SAMSONの知名度を上げることに大きく貢献したドラマティックな④は、プログレッシブ・ロック風味をも飲み込んだ名曲として存在感を放っています。
SAMSON作品の中では日陰者の地位に甘んじている本作ですが、CDにはブルース加入後に録られた歌い直しVerもボートラックとして収録。スルーは勿体なさ過ぎる1枚かと。


SAMSON - Survivors - Tomorrow or Yesterday ★★★ (2018-07-09 23:36:47)

NWOBHM勃発を世に知らしめたオムニバス・アルバムの名盤
『ヘヴィ・メタルへの招待』にも提供されたSAMSONの代表曲の一つ。
ゲスト参加のコリン・タウンズの抒情的なピアノをフィーチュアして
バラード調に始まり、中間部はハード且つドラマティックな盛り上がりを
聴かせてくれる曲展開は、ほんのりプログレッシブ・ロックからの影響も感じられます。
やいのやいの言われるポール・サムソンのVoですが、
ここで聴くことのできる哀愁に満ちた歌声は実にあじわい深くグーですよ。


SAMSON - Survivors - Wrong Side of Time ★★ (2018-07-09 23:43:07)

名曲“TOMORROW OR YESTERDAY”のインパクトに掻き消されがちですが、
こちらも英国産HRらしい陰気なメロディと気だるげな雰囲気を身に纏わせて
終盤ぐぐっと盛り上がっていく様がなかなか聴かせてくれる
バラードの逸品に仕上がっています。


SANCTUARY - Refuge Denied ★★★ (2006-11-23 17:31:00)

MEGADETHのデイヴ・ムスティンによるプロデュースと、強烈なハイトーンを操るワレル・ディーンのVoが
話題になった、シアトル出身のパワー/スラッシュ・メタル・バンド、'88年発表の1stアルバム。(邦題は『新たなる聖地へ』)
歌メロや曲展開にキャッチーさの欠けるQUEENSRYCHEタイプのスラッシュ・メタル・バンドってのは
苦手中の苦手なのだが、本作はその数少ない例外の1つ。アグレッシブでありながらも非常にキャッチーな名曲③や、小気味良く疾走する⑧、「押し」と「引き」を心得たワレルの歌唱が堪能できる、“支配者の仮面”なる邦題の冠されたドラマティックな⑨といった楽曲の存在はやはり大きい。全体的に良い意味で分かり易い作風なのだ。
デイヴ・ムスティンがプロデュースを務めている関係からか、各楽曲からそこはかとなく漂うMEGADETHっぽい雰囲気も、個人的にはプラスに作用。JEFFERSON AIRPLANEのカヴァー⑥ではGソロも担当)
実際、ジャケット・デザインから楽曲まで、より本格派への成長を遂げた作品として評価の高い2ndアルバムは、前述の要素が薄まってしまっていて、個人的には今ひとつピンとこない作品なのであった・・・。


SANCTUARY - The Year the Sun Died ★★ (2014-11-09 12:06:12)

ブックレットに目を通すと、終末に関するコンセプト・アルバム的な雰囲気も感じられる、'14年発表の3rdアルバム。
SANCTUARY待望の復活作と言えども、今更彼らがデビュー作『新たなる聖地へ』('88年)みたいな作風へ回帰するとは思ってませんでしたし、事実、本作に託されているのは、NEVERMOREでの活動を踏まえたダークでムーディでテクニカルなHMサウンド。ウォレル・ディーン(Vo)もコップの割れそうなハイトーンは控えめに、ディープな低音をメインに妖しく歌い上げています。これ聴いてから2nd『INTO THE MIRROR BLACK』('90年)を聴き直すと、当時は地味に感じられたあの作品でさえも、スラッシーなエレメントはそれなりに残っていたんだなぁ、と。
さりとて、では本作が駄作なのかと言うと、それは大間違い。キレのある演奏から繰り出される、高い求心力を有するクランチーなGリフとタイトに編まれたリズムの上で、歌メロの充実っぷりにかけては過去2作を大きく上回るウォレルのVoと流麗なリードGが劇的に舞う楽曲は、初期作のような前へ前へと迫り出してくるような派手さはない代わりに、聴き返す度に新たな発見をすることが出来る奥行きを感じさせ(思慮深い歌詞も貢献)、これはこれですこぶるカッコイイ。特に、本編中最もアグレッシブな仕上がりの⑥、憂いに満ちたメロディとドラマティックな曲展開が胸を打つラスト・ナンバー⑪という、THRASH DOMINATIONで先行披露された2曲は名曲ですよ。
1stを偏愛する我が身にもちゃんと魅力が伝わる、聴けば聴くほどに味わいを増すスルメ系の力作。


SANCTUARY - The Year the Sun Died - Frozen ★★★ (2014-11-09 22:03:57)

本編中において例外的に、1stと2ndの中間ぐらいのレベルで
スラッシーな色合いも加味されたナンバー。
それでも、浮遊感を湛えてウォレルが朗々歌い上げるサビメロは
現在のSANCTUARYならではの味わい。
流麗に切り込んでくるツインGも素晴らしい。


SANDROSE (2017-12-10 23:28:07)

60年代からキャリアを積んでいたジャン・ピエール・アラルサン(G)が、自身の音楽を追求するべく、それまでの活動を通じて知己を得たミュージシャン達をメンバーに迎えて結成したプログレッシブ・ロック・バンド。特に女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーのパンチの効いた歌唱はこのバンド大きな個性。
音楽性の相違やメンバー間の対立もあって、僅か1年足らずでバンド活動には終止符が打たれてしまったものの、彼らが唯一残したアルバム『SANDROSE』は、CATHDRALのリー・ドリアンを始めとする70年代ロック好事家から今も熱烈な支持を受け続けている模様。


SANDROSE - Sandrose ★★★ (2017-12-10 23:32:01)

紅一点の女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーを擁するフレンチ・プログレッシブ・ロック・グループが'72年に残した唯一作。
歌詞は全曲英詞で、サウンドの基軸を成すのは、妖艶な歌唱から感極まったような「泣き」の入った熱唱まで、パンチの効いた歌声が耳惹くローズ嬢のVoと、ジャン・ピエール・アラルサンの繊細さと豪胆さを併せ持つ変幻自在のGワーク。そこに全編を抒情的に包み込むオルガンやメロトロンの幽玄な旋律が絡み、2~3分台の美しい小曲と、10分以上に及ぶドラマティックな大作曲が交互に配置される等、非常に分かり易くKING CRIMSONやGENESIS辺りに通じるプログレ・スタイルが提示されています。フレンチ・バンドらしいメランコリックな泣き――少年漫画や劇画チックな滂沱の如く溢れる熱い滝涙ではなく、キラキラ光りながら零れ落ちていくような少女漫画ライクな感傷的な泣き――のメロディを前面に配した実験精神控えめの姿勢も、ボンクラ・メタル野郎には非常に入り込み易くてありがたいという。
どこかエキゾチックな響きを湛えたG、パッション溢れるVo、幻想的なオルガンとが、テンション高め合いながらじわじわ盛り上がる①、一転して包み込むようにしっとり聴かせるバラード②、G主導で劇的に展開していく大作③、今にも泣き出さんばかりの勢いのVoとGがエモーショナルに溢れ出す④…といった具合に、本作は終盤に置かれたジャジーでスリリングなHRインスト・ナンバー⑦まで、頭から順に1曲ずつ語れてしまうぐらい秀曲が揃っています。リー・ドリアンでなくても、これ1枚切りで解散してしまったことを惜しみたくなる1枚。


SANDROSE - Sandrose - Vision ★★★ (2017-12-11 23:10:10)

エキゾチックな響きを湛えてかき鳴らされるアコギと
オルガンやメロトロンの幽玄な音色に彩られた曲調は
どちからといえば「静」の魅力を湛えているのですが
その上に乗るローズ嬢のVoは今にも泣き出しそうというか、
感情が溢れ出さんばかりに熱を帯びてソウルフル。
この取り合わせの妙が本曲を名曲たらしめています。


SANTANA - Marathon ★★★ (2022-06-07 00:18:36)

HR/HMファンからは、JOURNEYのニール・ショーンがかつて在籍していたバンドとして認知を得る、カルロス・サンタナ(G)率いるSANTANAが'79年に発表した12thアルバム。
新たにGIANT等での活動で知られるアラン・パスカ(Key)が加入。またプロデューサーにはFOREIGNERとの仕事で名を上げたキース・オルセン&デヴィッド・デボーのコンビを起用する人事からも明らかな通り、ここではSANTANAならではのラテン・ロックを基軸としつつ、そこにAOR/産業ロック・テイストも大量投下した売れ線(当時)サウンドを志向。何も彼らがこれを演らんでも…と思う向きもありましょうが、キャッチーなメロディが軽快に弾む曲調がBOSTON辺りを彷彿とさせる④や、思わずステップを踏みたくなるポップかつリズミカルな⑩等は、従来の持ち味と新味が上手いこと折り合いをつけた秀逸な出来栄えを誇っていますし、新Voアレックス・リジャーウッドの伸びやかな歌声もこの路線にぴったりとマッチしています。何より、いくらポップさを強調しようとも強烈な「気」は隠しようがないサンタナのGが存在感を放つ以上、ありがちな内容になんざ仕上がりっこないわけで。勿論、巧者揃いの面子が実力を遺憾なく発揮したスリリングな②、本編の幕引き役を担う随一のハード・ナンバー⑪といった楽曲のカッコ良さも格別です。
メンバー自ら「経済的に潤いたくて作った」と発言する等、いわゆる低迷期の作品としてあまり顧みられる機会に恵まれず、まかり間違ってもSANTANA入門盤にお薦めしようとは思わないものの、でも個人的にはついつい聴き直してしまうお気に入りの1枚。代表作を一通り聴き終えた後、もしまだお財布に余裕があるようだったら本作もいかがでしょうか?


SANTANA - Marathon - Stay (Beside Me) ★★★ (2022-06-08 00:25:05)

ラテンロックらしい躍動感溢れる曲調といい、張りのあるハイトーンVoが
歌い上げるキャッチーなメロディといい、梅雨のジメジメを吹っ飛ばしてくれる
ザ・夏!な雰囲気漂う爽快なポップ・チューン。


SANTERS ★★ (2008-01-15 22:17:00)

'79年にトロントにて結成された、リック(Vo、G)とマーク(Ds)のサンターズ兄弟と、
リック・ラザロフ(B)の3人編成からなる、カナディアン・ハード・ロック・バンドで、
'81年に1st『SHOT DOWN IN FLAMES』、'82年に2nd『RACING TIME』、'84年に3rd『GUITER ALLEY』を発表、
同郷の先輩バンドTRIUMPHにも通じる、メロディアスなハード・ロック・サウンドで好評を博す。
(制作されたままお蔵入りとなった4th『TOP SECRECY』もある。ボックスセットで聴く事が可能)
そのTRIUMPHとの親交は深く、3rdアルバムのプロデュースを務めたのはリック・エメットだし、
リック・サンターズが『THE SPORT OF KINGS』『SURVEILLANCE』に楽曲提供をしたり、
TRIUMPHのツアーにサイドGとして同行し、エメット脱退後は、彼の後任として
TRIUMPH加入を打診されたりしていたのは、良く知られた話。


SANTERS - Guitar Alley ★★★ (2008-01-17 22:50:00)

カナダのメロディアス・ハード・ロック史に残る名盤の1つにして、SANTERSの代表作、そして彼らのラスト・アルバムともなった、'84年発表の3rdアルバム。
質は高いが、やや大人しくまとまり過ぎていた感のあった2nd『RACING TIME』に比べ、ハード・ロッキンなエッジと躍動感を取り戻しただけでなく、都会的とも言える、スマートな哀愁に彩られたメロディにも一層の磨きが掛けられ、まさにバンドの最高傑作の名に相応しい内容に仕上がっている本作。とにかく哀メロ・チューンだろうが、ロックンロールだろうが、バラードだろうが、サビメロには必ず耳を捉える強力なフックが備わっていて、全10曲、捨て曲なし。
中でもSANTERSの代表曲にして指折りの名曲①、リリカルなKeyの装飾が胸に沁みる④、躍動感と叙情性が程好くブレンドされた⑦、キャッチーなリフをフィーチュアした⑨、そして泣きの滲むバラード⑩といった楽曲の出来の良さは別格。
③や⑧(FREEの名曲の秀逸なカヴァー)を聴けば明らかなように、幾多の場数(ライブ)を踏んだ事により、バンド・サウンドも更なるタイトさとダイナミズムを獲得。特に、リック・サンターズのエモーショナルなVoとGは、成長著しく、これは、本作のプロデュースを手掛けたTRIUMPHのリック・エメット師匠の存在も大きかったんじゃなかろうか。
SANTERSの何たるかを知りたければ、まずこのアルバムから聴く事をお薦めさせて頂きます。『蒼きヒーロー』なる邦題もカッコイイ。


SANTERS - Guitar Alley - Baby Blue ★★ (2008-01-17 23:11:40)

軽快なリズムの上で刻まれる、
物悲しくもキャッチーなリフが印象的なロック・チューン。
くいくいと涙腺を刺激するフレーズを積み重ねるGも
良い仕事をしています。


SANTERS - Guitar Alley - Can't Shake You ★★★ (2008-01-17 23:03:49)

3rdアルバムのOPチューンにして、「掴みはOK」となる
SANTERS屈指の名曲の1つで、
この曲のビデオがMTVでも頻繁に流され、バンドの知名度UPに
大きく貢献したという、まさに代表曲。
躍動感溢れる曲調と、強力なフックを備えた哀メロ、
そしてキラキラとしたKeyのアレンジが秀逸過ぎます。


SANTERS - Guitar Alley - Dreaming ★★★ (2008-01-17 23:14:56)

イントロのGからして既に泣ける名バラード。
この曲を聴くと、リック・サンターズがエモーショナルな
GとVoの腕前に、更なる磨きを掛けていることが良く分かる。
3rdのプロデューサーを務めたリック・エメットに
相当鍛えられたんじゃなかろうか?


SANTERS - Guitar Alley - Hate to Love You ★★ (2008-01-17 23:07:53)

アップテンポの溌剌としたロック・チューンながら、
曲が進むにつれて哀愁が滲み出してくる展開、
特に終盤における、美麗なVoハーモニーと、切なさを倍増させる
Keyの組み合わせが堪りません。


SANTERS - Racing Time ★★ (2008-01-16 20:33:00)

デビュー作『SHOT DOWN IN FLAMES』の好評を受け、オジー・オズボーンとのツアーを終えてトロントへと
戻ったバンドが、ジャック・リチャードソンをプロデューサーに迎えて制作、'82年に発表した2ndアルバム。
サウンド・プロダクションの向上、曲調の幅の広がり、そして、しっかり腰を据えて制作されたことで、
より練り込まれた収録曲の数々と、上昇気流に乗ったバンドの勢いが如実に反映された、充実した内容を誇る本作。
特に、メロディの哀愁度がググっとアップしている点が大きなポイントで、Keyを導入した洗練されたアレンジが
産業ロック的な雰囲気を感じさせる①、劇的なリフ・ワークをフィーチュアした②、爽やかでキャッチーな③という
冒頭のメロディック・ロック・チューン3連発は、かなり聴き応えあり。そして何より、本編のハイライトにして
SANTERS屈指の名曲の1つ⑤の素晴しさときたら!全体的にコンパクトにまとめ過ぎていて、やや大人し過ぎる印象も
無きにしも非ずだが、本編の締めにはスピーディに疾走する⑩が用意されているで、最後まで聴き応えは十分。


SANTERS - Racing Time - Mistreatin' Heart ★★ (2008-01-16 20:50:54)

シンプルな楽曲が多く並んでいた1stに比べ、
2ndではグッと哀メロ度がアップした事を端的に物語る
アルバムのOPチューン。
産業ロック的なKeyのアレンジが秀逸で、
シングル・ヒットとなったのも納得のキャッチーさを誇る。


SANTERS - Racing Time - Mystical Eyes ★★ (2008-01-16 20:53:36)

OPのリフ一発でガッチリと掴まれる、
コンパクトにまとめられていながらも
憂いを帯びた曲調が非常にドラマティックな名曲。
劇的さを盛り上げるインスト・パートも○。


SANTERS - Racing Time - Road to Morocco ★★★ (2008-01-16 20:46:40)

メロディは素晴しいが、やや大人しめな曲が揃った
2ndアルバムの中でも、一際輝く劇的な超名曲。
やや青さが残るものの、声を振り絞るようにして歌う
リック・サンターズのVoが、曲が持つ哀愁を増幅させている。
胸に沁みるフレーズを紡ぎ出すGでも良い仕事をしています。


SANTERS - Shot Down in Flames ★★ (2008-01-15 21:58:00)

トロントにて'79年に結成された、リック(G、Vo)とマーク(Ds)のサンターズ兄弟と、リック・ラザロフ(B)の
トリオからなる、カナディアン・ハード・ロック・バンドSANTERSが、'81年に発表した1stアルバム。
同郷の先輩バンド(同じくトリオ編成の)TRIUMPHにも通じる、哀愁とフック満載のメロディアスなロック・サウンドで
人気を博したバンドだったが、僅か1週間で突貫レコーディングされたというこのデビュー作の時点では、彼らの
代表曲の1つ④を聴けば分かる通り、未だシンプルでオーソドックスなノリのハードロック色が支配的。ぶっちゃけ荒削り?
楽曲の「練り」や「哀愁」と言う点では物足りなさが残るが、とは言え、既にキャッチーなメロディは
そここで聴く事ができるし、②のソロや、⑦のエンディング・パートにおける盛り上げっぷり等、リック・サンターズの
Gにも、後の作品で全面開花する、スリリングでメロディックなGプレイへの萌芽が確認できる。
本作は、カナダ国内のみでのリリースだったが、欧州のインポート・チャートでも好リアクションを見せたという。


SANTERS - Top Secrecy ★★ (2008-01-18 22:31:00)

'86年に制作されながらも、日の目を見ることなくお蔵入りしてしまった、SANTERS幻の4thアルバム。
しかし、その理由が「出来の悪さ」故でない事は一聴瞭然で、今ひとつ求心力に乏しい①こそ掴みとしては弱いものの、
②以降は、如何にもSANTERSらしい、フック満載のメロディアス・ロック・チューンが数多く並ぶので安心されたし。
80年代的なモダンさが強調されたサウンド・プロダクションといい、ブルージーな泣きや劇的さを控えめに、あっさりスッキリ
お洒落にまとめられた楽曲といい、Keyを前面に押し出したアレンジといい、かなり産業ロック的なポップ化が進行した作風ながらも、
相変わらずキャッチーで、哀愁を帯びたメロディの魅力には全く鈍りがないため、それも大きな弱点にはなっていない。
特に、本編のハイライトと言うべき、シャープな哀メロ・チューン②、ポップ且つ爽やかに駆け抜けていく⑦、
物悲しさ漂う都会的なバラード⑩といった楽曲は、このアルバムならではの魅力に名曲に仕上がっている。
尚、本作は長らく未発表の状態が続いていたが(⑧のみリック・サンターズのソロ・アルバムに収録されている)、
ロック系カタログのCD化大国として、ブイブイ言わせてた頃の90年代末期の日本でSANTERSのBOXセットが発売された際、
ボーナスCDとしてそこに収録され、ようやく日の目を見る事となったのだった。BOXセットは現在では廃盤ながら、
中古屋では比較的よく見かける(しかも安価)ので、未聴の方は是非ゲットを。


SANTERS - Top Secrecy - Tearing Us Apart ★★★ (2008-01-18 23:07:30)

産業ロック度をグッと高めた4thアルバムの中でも、
その成果が強く表れた都会的なバラード。
ブルージーな泣きよりも、洗練された哀メロが印象に残る。


SANTERS - Top Secrecy - Top Secrecy ★★★ (2008-01-18 23:02:55)

4thアルバムのタイトル・トラックにして、
アルバムのハイライト・ナンバー。
シャープに駆け抜ける哀メロ・チューンで、
1曲目を飛ばして、2曲目のこの曲から聴き始めると
アルバムの印象がグッと向上する。


SANVOISEN - Exotic Ways ★★ (2011-01-29 00:22:49)

90年代前半、独産メロパワ・メタル人気に目を付けた日本のレコード会社が、その手のバンドのカタログを大量にリリースしまくってた時期がありました。隠れた名盤からカスみたいな駄盤まで玉石混合だった、それら無名バンドの作品群の中にあって、良作の一つとして比較的印象に残っているのが、ツインGを擁するシュツットガルト出身の5人組が、NOISE RECORDSから'94年に発表したこのデビュー・アルバム。
プロデュースはジャーマン・メタル・ファンにはお馴染みのトミー・ニュートンで、重厚な音作りにザクザクと刻まれるGリフは確かにパワー・メタル風なれど、スピードよりも、卓越した歌唱力を誇るVoや楽器陣の達者な演奏を活かして、細かく作り込まれたアレンジとミドル・テンポの楽曲主体で本編をじっくりと盛り上げていく作風は、メロパワというよりもQUEENSRYCHEの流れを汲むプログレ・メタルといった趣き。(まぁ、どっちにしろ当時腐るほどいた種類のバンドには違いないけど)
アルバムの随所で顔を覗かせるエキゾチックなメロディや、スパニッシュ・フレイバーの味付けが個性確立に一役買っており、更にそれを後押しするのが、ギリシャ人シンガー、ヴァゲリス・マニラス(Vo)の歌いっぷりの良さ。特に泣きの入ったハイトーンは絶品で、RAINBOWの名曲“RAINBOW EYES”を彷彿とさせる⑩は、彼のエモーショナルな歌声と猛烈な哀愁を滲ませる叙情メロディの威力とが相俟って、膝を屈せずにはいられない名バラードに仕上がっている。個人的には、これが聴けただけで「買って良かった!」と納得してしまいましたよ。(「疾走曲じゃなきゃイヤン」という方には⑤をお薦め)


SANVOISEN - Exotic Ways - Time Is Not ★★★ (2015-01-31 10:52:03)

RAINBOWの名曲“RAINBOW EYES”を思い出すバラード。
哀愁に満ちたメロディの素晴らしさも胸を打ちますが
何よりヴァゲリス・マラニスの歌唱が白眉。
濃厚な泣きを発散するハイトーンVoにゃ涙目にならざるを得ませんて。


SANVOISEN - Exotic Ways - Under Permission ★★ (2015-01-31 11:01:35)

摩訶不思議な動きのするエキゾチックなメロディを
余裕を持って朗々歌い上げるシンガーの歌唱に
耳を奪われてしまう疾走系ナンバー。
ヴァゲリス・マラニスは、近年はスタジオでの裏方仕事が
メインのようですが、もう歌は唄ってないんでしょうかね。


SARACEN - Heroes, Saints & Fools ★★ (2010-09-12 00:54:00)

幼馴染のロブ・ベンデロウ(Key)とリチャード・ロウ(G)、フォーク畑出身のビル・イェーツ(B)らによって、
70年代半ばに結成されたLAMMERGIERを母体に誕生した、英国はマトロック出身の5人組が、SARACENと改名後の
'81年に発表し、当時『シンフォニック・ヒーローズ』なる邦題で国内盤もリリースされた1stアルバム。
どこか神々しく響くハイトーンが『運命の翼』を発表した頃のロブ・ハルフォードを思わせるVo、スペーシーな
音色で楽曲にスケール感と奥行きを演出するKey、そして豊かな情感とドラマ性を湛えたメロディアスなGを
三本柱として、NWOBHM由来のハードネスを効かせつつ、壮大且つ劇的に構築されたサウンドは
これがデビュー作の新人バンドの手によるものとは思えぬ、圧巻の奥深さ&クオリティの高さを誇る。
特に、トリプルVoをフィーチュアして、7分以上の及ぶ長尺を一瞬の澱みもなくドラマティックに語りきる
アルバム表題曲⑤は、その深遠且つプログレッシブな音世界にドップリと浸れるSARACEN屈指の超名曲。
にしても、涙腺に沁みる泣きとドラマ性、そして歌心に満ち溢れたリチャード・ロウのGプレイは本当に素晴しい。
前述の⑤や、④⑦といった楽曲で聴くことの出来る「楽曲内楽曲」とでも表現すべき起承転結が完璧に決まった
入魂のGソロは、思わず絶句する程にエモーショナル。HR/HMファンなら、この名演を聴かずに過ごす事なかれ。


SARACEN - Heroes, Saints & Fools - Ready to Fly ★★★ (2010-09-12 17:52:38)

1stアルバムのラスト・ナンバー。
プログレ・テイストも色濃く薫る同作において、この曲は
シャウト一発でスタートする景気の良いOPからして
ストレートにNWOBHMからの影響が打ち出されている。
荒々しい曲調が印象的ながらも、メロディの煽情度に
鈍りは全く見られず、取り分け、クライマックスで炸裂する
ロブ・ベンデンロウの壮絶なGソロは言葉を失うほどに
エモーショナルでドラマティック。
熱いシャウトと入魂のGソロが煽り合う
エンディング・パートなんて、涙なしには聴けませんぜ。


SARACEN - Marilyn ★★ (2012-01-02 23:18:45)

ハリウッド女優の代名詞ことマリリン・モンローの波乱に満ちた生涯と、その死を巡るミステリーを取り上げたコンセプト作でもあるSARACENの新作アルバム。
自分が購入したお店では《US産メロハーの良作》との宣伝文句が付けられていて、それを読んだ時は「プププー、SARACENはメロハー・バンドじゃねぇだろ」と失笑を漏らしてしまいましたが、実際に聴いてみたら、これが本当にメロハー風の内容に仕上がっていて驚いた。暫く聴かぬ間に一体彼らに何が・・・。
まぁでも、マリリン・モンローを主人公に据えたストーリーを、ダーク且つプログレッシブに物語るも相当無理があるんで、このスタイルで正解なのかな?
程好く取り入れられた、サックスの落ち着いた音色がモダンな雰囲気を演出する本編に併せてロブ・ベンデロウのGプレイも大人しめで、ドラマ性控えめの楽曲と共に全体的にコンパクトにまとめられた作風ではあるものの、無論「らしさ」や優れたメロディ・センスは健在。FMのスティーヴ・オーヴァーランド、今をときめくイッサ、ベテラン女性シンガーのロビン・べック(旦那のジェイムズ・クリスチャンの名前もクレジットされている)ら豪華なボーカリスト達の共演も作品に華を添えてくれています。
特に、アップテンポのHRナンバー“UNFINISHED LIFE”と、そこからメドレー形式で繋がっていくロビン・べックの圧巻の歌声が感動を呼ぶ劇的なラスト・ナンバー“MARILYN”は必聴の名曲で、ロブのGプレイもこれらの曲においては猛烈な構築美と泣きを発散しており心打たれますね。
今年中には国内盤もリリースされるらしいので(もっと早く知ってりゃ輸入盤購入は控えたのに・・・)、メロディ愛好家の皆様は是非どうぞ。


SARACEN - Marilyn - Marilyn ★★★ (2012-01-02 23:24:46)

アルバムのOPを飾るインスト曲のテーマ・メロディが
再び用いられている、コンセプト・アルバムの幕引き役に
相応しいドラマティックな表題曲。
全体的にコンパクトにまとめられている本編中にあって
この曲におけるロブ・ベンデロウの猛烈な泣きを発散する
Gプレイはデビュー作での名演を思い起こさせてくれます。
ロビン・ベックのエモーショナル極まりない歌声も圧巻。
 
ちなみにこの後にシークレット・トラックも収録。


SARACEN - Red Sky ★★ (2010-09-20 18:05:00)

80年代に数枚の作品を残して解散した英国のSARACENが復活を遂げ、'03年にリリースした3rdアルバム。
収録楽曲の半数近くが、過去の名曲や、LAMMERGIER時代のマテリアルのリメイクで占められた構成は、
正式な3rdアルバムと呼ぶにはちょいと変則的だが、美麗なハーモニー、ベテラン・バンドらしい重厚感、
それに壮大なスケール感がそれぞれ増量されて蘇った往年の名曲群は、これはこれで十分カッコイイ。
(若々しい躍動感は薄まってしまったが)
相変わらずロブ・ハルフォード風味が漂うVoと、スペーシーなKeyによるイントロが付け加えられ、
一層コスミック且つドラマティックに蘇った①なんか元バージョン以上に魅力的なぐらいのものだし、
力強く展開していくヘヴィ・ナンバー②、2本のサックスと泣きのGが哀愁の競演を果たしたインスト曲⑨、
女性Voとのデュエットをフィーチュアしたバラード⑪といったオリジナル曲の方も、侮れない完成度を提示。
本作が決して、過去の遺産に頼りきったお手軽作品でない事実をしっかりと証明してみせている。
トータルで70分オーバーという収録時間は明らかに詰め込みが過ぎ、そのせいで後半ダレて来てしまうのが
玉に瑕ながら、個々の楽曲は安定してハイクオリティを維持。
ポップ方向へ迷走してファンを嘆かせた、2nd『CAHNGE OF HEART 』での変節を帳消しにする力作かと。


SARACEN - Red Sky - Heroes, Saints & Fools ★★★ (2010-09-12 17:46:33)

叙情的な前半を経て、曲調がテンポアップする後半は
プログレ調の浮遊感溢れるKey、3人(2人?)のリードVo、
そして猛烈に泣きまくる辛抱堪らんGとが、濃密に絡み合いつつ
クライマックスへ向けて盛り上がっていく、
1stアルバムのタイトル・トラックにして、
アルバムのハイライトを飾るSARACEN屈指の超名曲。
これまた復活作でリメイクされとります。


SARACEN - Red Sky - Horsemen of the Apocalypse ★★★ (2010-09-12 17:38:28)

黙示録の四騎士を歌詞の題材に取り上げ、
IRON MAIDENやディオ期のBLACK SABBATHを彷彿とさせる曲調に、
このバンドの個性たるロブ・ハルフォード風Vo、
楽曲をコスミックに味付けるKey、
そして猛烈な泣きを発散しつつメロディックに歌うGを
フィーチュアしたSARACEN印の名曲。
後に復活作でリメイク。


SARAYA - Saraya ★★★ (2020-01-07 00:50:26)

VIXENの成功が契機だったのか、80年代後半から女性ミュージシャンをフィーチュアしたバンド――ゴリゴリのHM路線ではなく洗練されたメロハー系――がポツポツと日本デビューを飾るようになり、個人的にその中でも印象残っているバンドの一つが、サンディ・サルヴァドールをフロント・パーソンに戴き、彼女のセカンド・ネームからバンド名を取ってSARAYA(サライヤ)を名乗ったニュージャージー出身の5人組。
2枚のアルバムを残して解散してしまったこの短命なバンド、本作は彼女らが'89年に発表した1stアルバムで、プロデュースはKANSASやゲイリー・ムーア等との仕事で知られるジェフ・グリックスマンが担当。開幕役を担う①がブルージーな味わいの、どちらかと言えば地味めな楽曲ゆえ「またぞろブルーズ・ブームにいっちょ噛みするべく現れた連中か」と警戒してしまいましたが、続く②は初期BON JOVIを思わせる哀愁のメロハー。離れかけていたこちらのハートを再びグッと手繰り寄せてくれます。以降は、ムーディに盛り上がっていく④や美しいピアノのイントロからHR然とした疾走へ転じるアグレッシブな⑦、ヒット・チャートを賑わしてもおかしくなかったキャッチーな⑧からメロウなバラード⑨まで、聴き終えてみると本編には実に多彩な楽曲が揃っていたことに気付かされます。
全体的にやや優等生的な仕上がりで強烈なパンチには欠けるものの、Key奏者にして曲作りの担い手グレッグ・ミュナーの才と、彼が腕を振るった楽曲をハスキーボイスでパワフルに歌い上げるサライヤ嬢のシンガーとしての実力を納得するのには十分なクオリティを有する1枚。長らく国内盤が廃盤状態のままほったらかしってのが納得いきませんね。


SARAYA - Saraya - Gypsy Child ★★★ (2020-01-08 00:23:03)

洗練されたアダルトな雰囲気も漂うロック・チューン。
ハードポップ・ナンバーのみならず、勢いだけでは誤魔化せない
この手のムーディな楽曲を書き上げ、かつ説得力十分にパフォームする
バンドの実力の程が伺える名曲。終盤のサライヤ嬢の熱唱に◎を進呈したい。


SARAYA - Saraya - Healing Touch ★★★ (2020-01-08 00:17:51)

適度にKeyの効いた初期BON JOVI風味のメロディアスHRナンバー。
サライヤ嬢のほんのりハスキーな歌声が、楽曲が纏った哀愁味を
より一層引き立たせてくれています。


SARAYA - When the Blackbird Sings... ★★ (2022-12-08 00:53:25)

TESLAのギタリスト、ブライアン・ホイートの嫁さんでもあるという(国内盤CDの解説書情報)サンディ・サライヤ率いるSARAYAが、新メンバーとして日本ではイングヴェイとの仕事で知られるバリー・ダナウェイ(B)を加入させる等して態勢を整えた上でレコーディングを行い、'91年にPOLYGRAM RECORDSから発表した2ndアルバム。先頃、長らく入手困難な状態が続いていた1st『SARAYA』(’89年)の国内盤がようやく再発されたので、当然一緒にラインナップされるものかと思いきや、本作の方はスルーされてしまっていて「なにゆえ?」と首を捻った次第。
いやまぁ前作に比べると、Keyのフィーチュア度を下げた代わりにギターの存在を前面に押し出しヘヴィさを強調、更にブルーズ色の増強も図るという、90年代にリリースされたロック・バンドの2ndアルバムとしては(良くも悪くも)非常にありがちなスタイルが踏襲されていて、正直、印象としては地味めな仕上がりであることは否定できないのですが…。
今一つフックに欠ける楽曲が連続する序盤を聴きながら「ハズレ引いたか?」と不安になるお客さんもいらっしゃるかもしれませんが、その判断は早計というもの。力強さと爽快さを併せ持った④辺りから徐々に雰囲気が変わり始め、とりわけサライヤ嬢のパワフルなハスキーボイスを駆使した熱唱が胸を締め付ける哀愁のHRナンバー⑨、トニー・ブルーノの泣きを含んだGが楽曲をエモーショナルに盛り上げる⑩という終盤2曲は、これ聴くためだけにでも本作を購入する価値はあったと言い切りたくなる名曲に仕上がっていますよ。
なので、こちらの国内盤再発も是非ご一考をお願い致します。


SARAYA - When the Blackbird Sings... - Into the Shade of the Sun ★★★ (2022-12-08 23:35:18)

じっくりと盛り上がっていく憂いを帯びた曲調に、
ハスキーボイスを振り絞るように歌うサライヤ嬢のVoがマッチした
アルバムのハイライト・ナンバー。


SARGANT FURY - Still Want More ★★★ (2023-05-06 02:16:54)

イギリス人のシンガー、ドイツ人のギタリストとドラマー、それにオランダ人のサイド・ギタリストとベーシストという多国籍な顔触れにより結成され、90年代に3枚のアルバムを残したドイツはハノーファー出身の5人組SARGANT FURY。本作は彼らが共同プロデューサーにトミー・ニュートンを起用してレコーディングを行い、'91年にメジャーのWEA RECORDSから発表した1stアルバム。
一昔前は中古CD屋のワゴンセール・コーナーの常連として、一山いくらで投げ売りされているのをよく見かけた作品でしたが(流石にリリースから30年以上が経過して最近はあまり見かけなくなったかな)、裏を返せば、それだけよく売れた=高く評価されたことの証でもあるわけで、実際本作の内容は中古盤価格に反比例する高いレベルをキープしています。
後に英国のプログ・メタル・バンドTHRESHOLDにも参加することとなる、故アンドリュー・マクダーモットがソフトな声質を生かして歌う哀愁のメロディと、それを分厚く包み込む美麗なボーカル・ハーモニー、フラッシーなリード・プレイのみならず、リズム・ワークにおいては小気味良いカミソリっぷりも披露するGの組み合わせによるメロディックHRサウンドは、なるほど確かに「ドイツのDOKKEN」と評されるに相応しい硬軟のバランス感覚を兼ね備えていますよ。特に、ツインGが歌っているキャッチーな⑦、本編終盤を盛り上げる切れ味鋭い疾走ナンバー⑪とドラマティックな哀愁のバラード⑫辺りは、本作の(そしてこのバンドの)魅力を分かり易く体現する名曲じゃないかと。
デビュー作にしてSARGENT FURYの最高傑作に挙げたい力作です。


SARGANT FURY - Still Want More - Don't You Know ★★★ (2023-05-09 23:45:09)

哀愁たっぷりにアルバムの幕を引く名バラード。
アグレッシブな疾走ナンバー“LOOSING CONTROL”から
この曲へと
繋げていく流れもドラマティックで良し。


SARGANT FURY - Still Want More - Loosing Control ★★★ (2023-05-09 23:41:34)

ジャケットだけ見るとメロハー・バンドっぽいですが、
この曲はヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー。
なかなかのカミソリっぷりを発揮するGが
楽曲をタイトに引き締めてくれています。


SATAN - Atom by Atom ★★★ (2015-11-22 09:39:52)

復活作『LIFE SENTENCE』の好評を駆って世界中をツアーして回り、ファンの反応をつぶさに体感出来たことが刺激となったのか、こうして届けられた新作もまた、アートワークから楽曲に至るまで、「よ!たっぷり!」と大向こうから声が掛かる勢いでSATAN流HMサウンド大盤振る舞い。シャウトの一閃と共に、キレキレのGリフが乱舞する名曲①で幕が開くOPにアガらないメタル者がいるでしょうか?!と。
この曲に限らず、スティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズの抜群のチームワークによるツイン・リードGは、相変わらずフル回転で本編のハイライトを創出。手数多めで木目細かいGリフを鋭角的に刻み、湿ったメロディを懇々と湧き出させる、緩急/変幻/自由自在のコンビネーションはいくら褒めても褒めたりない素晴らしさですよ。
そして勿論、英国人シンガーらしく(白でも黒でもない)灰色の歌メロを拾っていくブライアン・ロスの、青白い炎が揺らめくような、冷めた仕草で熱く見る(?)ような熱唱、老成とは無縁の突っ込み気味の演奏でボトムを支えるリズム隊の良い仕事ぶりも忘れちゃいけません。
この三者の最良の部分が抽出された①に、動~静~動と澱みなく展開していく劇的な③、アグレッシブに畳み掛ける④、そしてANGEL WITCHのケヴィン・ヘイボーンが曲作りに関わって怪しげ且つ壮大なドラマを描き出す⑩・・・。前作『LIFE~』に比べると少々掴み所に欠ける中盤でテンションが緩むのですが、ブリティッシュHMの醍醐味を満喫させてくれる上記収録曲の数々が、十二分にそれをカバー。結果的に本作は、勢いに乗るSATANの充実っぷりを雄弁に伝えてくれる1枚に仕上がっています。


SATAN - Atom by Atom - Farewell Evolution ★★★ (2015-11-23 09:46:17)

ブライアン・ロスのシャウト一発に続いて
全楽器がユニゾン気味に切り込んでくる
イントロのカッコ良さだけで、楽曲の出来栄え、
そしてアルバムのカラーを決定付けてくれる、
まさに名刺代わりのOPナンバー。


SATAN - Atom by Atom - The Fall of Persephone ★★★ (2015-11-23 09:39:23)

ケヴィン・ヘイボーンとの共作曲ということで、
ミステリアスなメロディに被さる胡散臭げなコーラスが
オカルティックで荘厳な雰囲気を醸し出す、本編のラスボス曲。
ANGELとSATANが合体してもSATANらしさを失っていないという
何だかとってもデビルマン魂を感じる名曲です。
なんだそりゃ


SATAN - Court in the Act ★★★ (2019-08-20 00:04:30)

NWOBHMを語る上で欠かすことの出来ない名作の一つと誉れ高い、SATANが'83年に発表した1stアルバム。一度は聴いてみたいと思っていたもののCD化されたのは結構遅く、BLIND GUARDIANが“TRYAL BY FIRE”をカヴァーしたりして再評価の機運が高まった90年代に入ってから漸く実現。当初の感想は「音、悪っ」と(苦笑)。数年前に紙ジャケ/SHM-CD仕様で再発された際にも買い直してみたのですが、元が由緒正しきNEAT RECORDS謹製だけに、リマスターによる恩恵はあんまり感じられなかったり…。
とはいえ、収録楽曲の数々はやはり極上。特にミステリアスなイントロ①を導入部に劇的に炸裂する②は名曲中の名曲で、後のスラッシュ・メタル誕生にも大きなインスピレーションを授けたとされる、「NWOBHM界隈の翼君と岬君」ことスティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズのゴールデン・コンビが阿吽の呼吸から繰り出す特異なリフ・ワーク、せかせかと忙しなく疾駆するリズム、ブライアン・ロスのニヒルなヘタウマVoといった、今に至るもSATANサウンドの美点として輝き続ける要素がここには凝縮されています。
昔はこの名曲のインパクトがデカ過ぎるせいで後続の楽曲の印象が完全に吹っ飛んでしまっていたのですが、緩急の効いた曲展開が技ありな③あり、ドラマティックに本編を〆る⑩ありと、現在では本編に捨て曲はないとの認識でファイナル・アンサー(ボーナストラック⑪⑫もまた美味)。2本のGがスピーディに絡み合いながら劇的に昇り詰めていく⑤のクールさなんて「ヘイルSATAN!」と悪魔主義者ばりに万歳三唱するレベルですよ。
色合いの美しいアートワーク含めNWOBHM屈指の名盤との評価に偽りなしな1枚。


SATAN - Court in the Act - Break Free ★★★ (2019-08-20 23:37:44)

“TRYAL BY FIRE”と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
俊敏に舞うツインGの妙技に悶絶&ガッツポーズ。
ドカスカと突進するリズムや合唱を誘う掛け声コーラスを聴くと
彼らが後続のスラッシュ・メタル勢を触発したのも良く分かります。


SATAN - Court in the Act - Trial by Fire ★★★ (2019-08-20 23:26:11)

BLIND GUARDIANがカヴァーしたことでも知られるSTANの代表曲。
どこかエキゾチックな風情漂うダークな緊迫感を纏って刻まれる
Gリフがとにかくクール。GチームがブライアンのヘタウマVoに負けじと
全編に亘ってスリリングに歌いまくり、楽曲をドラマティックに盛り上げてくれています。


SATAN - Cruel Magic ★★★ (2018-10-17 06:56:16)

'18年発表のニュー・アルバム。これで復活後3作目を数え、その間には北米ツアー中に録音されたライブ盤のリリースや来日公演を挟む等、間違いなく80年代よりもアクティブな活動を行っている現在のSATAN。その充実っぷりは本作の内容の素晴らしさにもてきめんに反映されています。
イントロの焦らしに続き、緩急自在のリズムに乗ってシャープ且つファストなGリフ(まさしくスティーヴ・ラムゼイ印)がぐりぐり回転するOPナンバー①からして、早くもSATAN度数は特濃レベルをマーク。リフまたリフ、ユニゾンに次ぐユニゾンで、一瞬たりともテンションを緩めることなく本編内を駆け巡り、楽曲を牽引するスティーヴとその相方ラス・ティッピンズによる、阿吽の呼吸から繰り出されるコンビネーションの盤石ぶり、尽きることのないメロディとアイデアの豊かさは、スリリング且つドラマティックにアルバムのハイライトを飾る名曲③や、スピード・ナンバー⑥⑪といった楽曲に集約にされています。磨かれ過ぎず適度なラフさを保ったプロダクションがまた、そういった楽曲に備わる突進力とアグレッションを効果的に底上げしてくれているという。
仄暗いメロディをニヒルに歌うブライアン・ロスのVoも、衰え知らずの英国声で「SATANらしさ」強化を後押し。曲によってはもう少し歌メロにフックが欲しいと思う場面も無きにしも非ずながら、VOICE OF NWOBHMな声質自体が魅力的なのは相変わらずです。
これまで同様、イスラエルの画家イーライラン・カンターの手による作品をフィーチュアしたアートワークに高まるこっちの期待を全く裏切らない力作。


SATAN - Cruel Magic - The Doomsday Clock ★★★ (2018-10-18 23:21:25)

アコギのしじまを切り裂いて刻まれるシャープなGリフを皮切りに
攻撃的なリズムに乗って目まぐるしく且つドラマティックに
駆け巡るツインG、そして憂いに満ちたメロディを拾っていくVoと
あらゆる要素が「これぞSATAN!」と主張しながら突っ走る
アルバムのハイライト・ナンバー。
バンドがこの曲をリーダートラックに選んだのも納得です。


SATAN - Earth Infernal ★★★ (2022-06-13 23:40:29)

イギリス全土のロックダウン、新型コロナウィルスに感染したサウンド・エンジニアが危篤状態に陥ったり(後に無事回復)、メンバーの負傷やレコーディング・システムのクラッシュ等々、山盛りに重なった災難を乗り越えてSATANが'22年に発表した8thアルバム。
結果的に前作から4年のブランクが空いてしまったものの、不動のラインナップは健在。お馴染みエリラン・カールトンの手による死神ジャケットをフィーチュアし、ブライアン・ロスのニヒルなVoと、切れ味鋭く斬り込むスティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズ鉄壁のツイン・リードを乗せて、グレアム・イングリッシュ、ショーン・テイラーのリズム隊が突っ込み気味に駆け巡るSATAN流HMサウンドには今回も微塵の変化も見受けられません。
「変化なし」というとネガティブなイメージを抱く場合もありますが、SATANに関しては完全なる誉め言葉。ミュージシャンたるもの経年による嗜好/技量の変化と無縁ではいられませんが、復活前と復活後のサウンドにギャップを感じさせず、改名や解散期間を挟んで尚、ここまで80年代から地続きの音を出し続けるバンドは寧ろ尊敬に値するというもの。あと本作を聴いていて実感したのは、アナログなラフさを残したプロダクションがSATANらしさの創出に大きく貢献している点で、コロナに倒れたエンジニアの回復を待つために、バンドがわざわざレコーディング作業を遅らせたのも納得できるというものですよ。
頭とケツを〆るスピード・ナンバー①⑨から、いかにも英国産な憂いを帯びた⑥、重厚に本編を盛り上げる⑩に至るまで、SATANの帰還を力強く宣言する力作に仕上がっています。コロナが収束し、一日も早く来日公演が実現することを願って止みません。


SATAN - Earth Infernal - Luciferic ★★★ (2022-06-14 23:21:25)

スピード・ナンバーだって当然素晴らしいのですが、
煮え切らない憂いがモヤ~っと霧のようにまとわりつく
このメロディアスなミドル・チューンが醸し出す
SATANらしさにも大いにグッとくるものあり。


SATAN - Life Sentence ★★★ (2013-06-22 01:40:48)

SAXONを筆頭にANGEL WITCH、DEMON、MPIRE OF EVIL、TANK、THE RODS、TOKYO BLADE等など、NWOBHMのベテラン組が全盛期ばりの力作を次々に発表して気を吐く昨今ですが、SATANの復活作も「連中に追い付け追い越せ!」という気概が充満した、実に見事な出来栄え。
BIG 4にもインスピレーションを与えた、鋭角的に組み上げられた俊敏なGリフに乗って、くぐもった声質で煮え切らないメロディを歌い上げる「ザ・ブリティッシュ!」なブライアン・ロスの歌唱が疾走する①が始まった途端、「おぉ、SATANが帰ってきた」と実感させられる本編は、メンバーが語る通り、アートワークも含めて確信的にSATANをSATANたらしめる要素が盛り盛り。
特に白眉はスティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズによるドラマティックなツイン・リードGで、SATAN~BLIND FURY~PARAIHと、縦横無尽・変幻自在に動き回ってアルバム/楽曲のハイライトを創出し続けてきた鮮烈なコンビネーションは、今作でも色褪せることなく健在。
前述の①だけに留まらず、軽業師のようなリフ・ワークに翻弄される④、エキゾチックな色合いを湛えた②⑤、スピード・メタリックに突っ走る⑥⑧、憂いを帯びてキャッチーな⑦、そして尻上がりに加速しながら本編を締め括る⑩といった楽曲のカッコ良さは、この2人の存在があればこそでしょう。
こんなアルバム聴かされたら、そりゃ活動の継続を期待せずにはいられないってもんですよ。


SATAN - Life Sentence - Life Sentence ★★★ (2013-06-25 07:31:55)

合唱を誘うシンプルな掛け声コーラスと
殆どオカズなしで駆け抜けるリズムの
疾走感とが、スピード・メタリックな
魅力を振りまくアルバム表題曲。


SATAN - Life Sentence - Siege Mentality ★★★ (2013-06-25 07:22:13)

手数の多く回転の速いGリフや、ブライアン・ロスの歌う
暗過ぎず、明るくもない歌メロなど
これまた往年のSATANを強く意識させられる逸品。


SATAN - Life Sentence - Testimony ★★★ (2013-06-25 07:33:48)

スピーディな楽曲自体、非常にカッコイイ
出来栄えなのですが、その中を自由自在に
泳ぎ回るスティーヴ・ラムゼイとラス・ティッピンズの
阿吽の呼吸から繰り出されるツイン・リードGを
聴いているだけで顔がニヤニヤしてしまいますよ。


SATAN - Life Sentence - Time to Die ★★★ (2013-06-25 07:11:41)

動→静→動とドラマティックな曲展開の中を
スティーヴ・ラムゼイとラス・ティッピンズによる
ツイン・リードGが目まぐるしく動き回るという
変わらぬSATAN節にテンション上がりまくりのOPナンバー。


SATAN JOKERS - Les Fils du Métal ★★ (2016-03-24 22:30:20)

SATAN SLAVESとGIPSY JOKERSなる地元暴走族2組からバンド名のアイデアを頂戴し、SATAN JOKERSを名乗ったフランス出身の4人組が、’83年にPHONOGRAM RECORDSから発表したデビュー作。
最初、メンバーが豪快に立小便してんのかと目を疑ったジャケット・デザインはしょうもなさ過ぎますが(つか、この時期のフレンチ・メタル・バンドのアートワークはどれも微妙な気が…)、そんな本作がフランス国内において瞬く間に1万枚以上を売り上げる大ヒット作となり得たのは、何もメンバーがイケメン揃いだったからだけではなく(それもかなり大きかったらしいけど)、アルバム自体が確かな品質を備えていたからこそ。
一応は正統派HMの範疇に入る音を出しつつも、タイトな演奏力を誇る楽器陣(特にリズム隊)と、ツインVoによる華やかなハーモニー、そして人を食ったようなアレンジ・センスを活かした楽曲は、紋切り型には収まらない風変りな個性を主張。特に“SAMOURAI”なるタイトルに負けない勇ましさで押し出して来る③と、「トーキョー」「ゲイシャ」「サムライ」「フジヤマ」とジャパネスク・キーワードの数え役満みたいな④は、紛うかたなきSATAN JOKERS印の名曲です。
個性的であるがゆえに結構好き嫌いが分かれる作品だとは思うのですが、とりあえず80年代フレンチ・メタル・シーンの隆盛を語る上では外せない1枚であることは間違いありません。


SATAN JOKERS - Les Fils du Métal - Tokyo Geïsha ★★★ (2016-03-24 22:39:24)

タイトル聞いただけで真面目に聴く気になれない方も
いらっしゃるかもしれませんが、いやこれがなかなかの名曲。
リズムの跳ね具合から、Gが奏でるメロディ、
何より「トーキョー・ゲイシャー!」「ゲイシャー!」「ゲイシャー!」
と連呼するVoの血の涙を流すかの如きシャウトっぷりに、
そんなに芸者さんと遊びたかったのか…と心揺さぶられる(?)
エモーショナルな名曲。


SATAN'S HOST - Metal From Hell ★★★ (2015-02-25 23:05:40)

コロラド州ボウルダー出身のサタニック・メタル・バンド、'86年発表のデビュー作。
初聴時は、オーディエンス録音の海賊盤と聴き紛う低劣な音質と、全メンバーが「他パートのことなんざ知らねぇよ」とばかりに、好き勝手荒れ狂うOPナンバーのアバンギャルドっぷりに「何じゃこりゃ?」とドン引きしてしまいましたよ。
しかしこうして改めて対峙すると、それ以上に耳奪われるのは、禍々しさと荘厳なドラマ性を併せ持ち、最もエピカルだった2nd~3rd期のMANOWARに、イタリアン・オカルト/ホラー映画のサントラを強引にトッピングしてしまったかの如き楽曲の劇的さ。特に、高圧的歌唱で大仰な雰囲気を盛り上げるハリー・コンクリン(Vo)が良い仕事しまくりで、流石JAG PANZERにTITAN FORCEにこのバンドと、カルト・メタル街道一筋に歩んで来られた御仁だけのことはあると。
そもそも、エリック・アダムスばりのパワーVo、厄いリフを騒々しくハジくG、独特過ぎるタイム感で派手に暴れ回るリズム隊は、崩壊寸前のようでいて実は均衡を保ってるようにも聴こえ、このギリギリ綱渡り感が異様な迫力を放つ②⑤は、唯一無二の個性が黒光りする邪教メタルの名曲。スピーディに炸裂する③や、SATAN'S HOST流“審判の日”といった趣きの⑧のカッコ良さも只事じゃありませんて。
はっきりと聴き手を選ぶ作品なれど(本当に音が悪い)、まさしく「カルト」な魅力が詰まった1枚です。


SATAN'S HOST - Metal From Hell - Black Stelé ★★★ (2015-02-26 23:14:00)

ひたすら青筋立てて歌いまくるVo、
テレコで録ったような劣悪な音質のせいで
何弾いてんだか判然としないG、
モタってんだか走ってんだかさっぱりなマイペースDsとが
アンサンブルを彼方に置き去りにして好き勝手暴れ回り、
そこにオカルト/ホラー映画風の大仰なコーラスが
ぶち込まれているという、コクに満ちた(というかコクしかない)名曲。
チープっちゃチープですが、聴き終えた後、
「なんか凄いもん聴いたなぁ」という気分にさせられます。


SATAN'S HOST - Metal From Hell - Hell Fire ★★★ (2015-02-26 23:29:41)

「色物バンドと思って舐めんなよ?」
というバンドの主張が込められた
アルバムのクライマックスを飾るエピック・ソング。
緩急を取り入れたドラマティックな曲展開や
派手に動き回るBはIRON MAIDENからの影響大。
そしてここでもシンガーの全力投球な熱唱が耳を惹きますね。


SATAN'S HOST - Metal From Hell - King of Terror ★★★ (2015-02-26 23:21:12)

哄笑したかと思えば、朗々歌い上げたりと
ハリー・コンクリン・・・もといLEVIATHAN THISIREN(笑)の
ハイテンションなパフォーマンスが圧巻。
相変わらず、アンサンブルをガン無視で好き勝手やりまくりな
バックの演奏にもまったく力負けていませんよ。
野蛮且つ大仰な曲展開に時折挿入される“オ~オ~オ~”
という勇壮なコーラスは『INTO GLORY RIDE』や
『HAIL TO ENGLAND』の頃のMANOWARを彷彿とさせたりも。


SATAN'S HOST - Metal From Hell - Metal From Hell ★★★ (2015-02-26 23:25:25)

クセの強い楽曲が並ぶ本編にあって
このストレートな疾走ナンバーのキャッチーな
カッコ良さは逆に目立っています。
メタル!メタル!フロム・ヘル!


SATANICA - WE ARE SATANS PREACHER ★★ (2011-08-21 01:16:58)

失恋船長さんのレビューを読んで興味を持ち購入した、栃木出身のサタニック・メタル・バンドの3rdアルバム。(邦題は『悪魔の司祭』)
パケ裏のメンバーの白塗り顔は恐ろしげですが、ジャケットを開いてみると、そこにはANVIL(リップス&ロブ・ライナー)との記念写真が嬉しそうに散りばめられており一気に親近感アップ(笑)
実際、ロブ・ライナーばりの手数の多さと豪快さで打ち鳴らされるDsを軸に展開されるサウンドの方も「スラッシュ/パワー/ブラック・メタル誕生前夜のハードコアな正統派HM」と表現したくなるタイプで、陽の当たらぬ地下室の饐えた匂いをプンプンと漂わせたその作風は、MERCYFUL FATEやANGEL WITCHといったNWOBHMのダークサイドに属していたバンド群を彷彿。
特に、パワー全開のDsのみならず、濁声とハイトーンを忙しなく使い分け大仰なメロディを歌い上げるVo、禍々しいGリフの刻みからダークでメロディックなソロ・パートまでこなす2本といった、このバンドならでの個性が十二分に活かされた疾走チューン②⑦はかなりグッと来る名曲。
あと上記2曲に限らず、本作に収録された楽曲は濃厚なアングラ臭を撒き散らしつつも、独り善がりな部分が抑制され、ちゃんと観客をエンターテイメントするべく(ライブでの盛り上がりも計算して)組み立てられている点にも好感が持てますね。


SATANICA - WE ARE SATANS PREACHER - EVIL METAL ★★★ (2011-08-21 01:23:01)

禍々しく大仰でありながら、思わずコブシ振り上げながら
一緒に歌いたくなってしまう、ライブ映えしそうな
キャッチーさも兼ね備えたOPナンバー。
サ~タ~ニ~カ~


SATANICA - WE ARE SATANS PREACHER - KILL OR LOSE ★★★ (2011-08-21 21:21:48)

アルバム後半のハイライト・ナンバーでしょうか。
豪快なドラムに牽引され、ささくれたGリフと
メロディアスなツインGを効果的に用いた
ドラマティックな曲展開とが駆け抜けていく名曲。


SATIN - It's About Time ★★★ (2022-05-17 00:05:28)

本名トミー・ニルセン名義で、兄弟のロニー・ニルセンと組んだポップ・ロック・デュオPEGASUSとしても活動しているというノルウェー出身のシンガー/ソングライター、トム・サティン。本作は彼が自らの名を冠して立ち上げたソロ・プロジェクトSATINの2ndアルバムにあたる作品。
プロデュース、作詞作曲から、Vo含む全ての楽器パートも自らこなすマルチ・アーティストの面目躍如なレコーディング・スタイルがメロディ愛好家の間で評判を呼んだ1st『SATIN』(’14年)同様なら、暖かみを感じさせるVoによって歌われる、ポップかつ抒情味に溢れたメロハー・サウンドに関しても前作のスタイルを基本的には踏襲。無論何から何まで全く同じってことはなく、OPナンバー①のイントロで歯切れ良く刻まれるリフ&リズムが主張する通り、「ギターとドラムの存在を強調した(本人談)」音作りの下、本編はよりハードにロックしている仕上がりで、曲によってはダンサブルなビートも取り入れる等、曲作りの幅も意欲的に広げにかかっていることが伺えます。
とはいえ、核となるキャッチーなメロディの魅力は依然として健在ゆえ、散漫な印象はまるでなし。掴みとして抜群の威力を発揮する哀愁のハードポップ①、80年代風味満点のコーラスに顔が綻ぶ②、清涼感を振りまきながら爽やかに弾む⑧といった秀逸な名曲群のみならず、これらの楽曲におけるトム・サティンのギタリストとしての仕事ぶりも賞賛に値しますよ。
未だに新作リリースを待ち続けているのですが、日本での所属レーベル閉鎖に伴い、活動の足取りが途切れてしまったことが惜しまれてならないメロハーの逸品です。


SATIN - It's About Time - I'll Never Let You Down ★★★ (2022-05-18 01:30:54)

トム・サティン本人も認める通り、スタジアムで大合唱が
巻き起こる様が目に浮かぶようなコーラス・ワークが
デズモンド・チャイルドを彷彿とさせるハードポップ・チューン。
モノマネ云々以前に、似たタッチを狙ってこれだけフックの効いた
楽曲を書けてしまう手腕に感心させられます。


SATIN - Satin ★★★ (2022-05-09 23:03:28)

ノルウェー出身のマルチ・アーティスト、トム・サティンが作詞/作曲/プロデュースのみならず、Voを含む全てのパートを自らこなす形でレコーディングを行い'14年に発表した、自身の名を冠する――文字通りの――ソロ・プロジェクトのデビュー作。
アルコ&ピースの平子祐希似のヒゲ面のあんちゃん(トム・サティンご本人)のご尊顔をデカデカと戴くアートワークは、こちらの購買意欲を刺激する仕上がりとは言い難いものがありますが、そこを乗り越えて再生ボタンを押しさえすれば、1曲目のイントロからフック効きまくりの美メロ/哀メロとキャッチーなハーモニーが溢れ出し、時に爽やかに、時に憂いを湛えて紡がれるハイクオリティなハードポップ・サウンドによって忘我の境地へと誘われること請け合い。何せ、ほぼ趣味に近い形で制作されたため当初は配信限定だったところ、評判が評判を呼び正式にCDでのリリースが実現、更には日本盤の発売にまで漕ぎ着けてしてしまったのですから、その一連の流れからも本作のクオリティの確かさが分かろうというものですよ。
当然アルバムに捨て曲は見当たりませんが、生まれたばかりの息子に捧げられている心温まるバラード②、非凡なアレンジ・センスがメロディの魅力をより一層引き立てる④、歌だけでなくGの腕前にもグッとくるアップテンポのロック・チューン⑨といった楽曲は、本作の主人公たるトム・サティンの才能の豊かさを特に強く印象付けてくれる名曲ではないかと。
次作『IT’S ABOUT TIME』(’17年)と併せて、メロディ愛好家ならチェックして損はない1枚ですよ。


SAVAGE - Hyperactive ★★ (2018-10-08 00:59:05)

METALLICAに影響を与え、スラッシュ・メタル誕生に少なからず影響を及ぼしたとされる英国はマンスフィールド出身の4人組が、EBONYからZEBRA RECORDSに移籍して’85年に発表した2ndアルバム。
美麗なアートワークとスピード・メタルの名曲“LET IT LOOSE”を収録し、「NWOBHM後期の名盤」として名高い1stに比べ、本2ndは「パワーダウンした凡作」との評価が定着してしまっていて、事実自分がこのアルバムに触れたのは21世紀に入ってからでした。EBONY独特の劣悪なプロダクションが、逆にサウンドの荒々しさを引き立てるという奇跡体験アンビリーバボーに繋がっていた前作に比べると、半端に音質が整ったことも「大人しくなってしまった」との低評価に拍車を掛けたのかなぁと。
ただ、聴いたことがある方ならご承知の通り、1stはスラッシャーを触発したOPナンバーの攻撃性こそが例外であり、2曲目以降はウェット且つ煮え切らないブリティッシュHMが展開されていたことを踏まえると、本作はその路線を順当に突き詰め、且つクオリティの向上が図られた良盤と言えなくもないような。実際問題として“LET~”級のキメ曲は見当たりませんが、その分、ハモリまくる2本のGがPRAYING MANTISやSINNER(あるいはその源流たるTHIN LIZZY)を思わせるOPナンバー①、愁いに満ちたメロディに彩られた③、一転してアグレッシブに飛ばしまくる疾走ナンバー⑤等、ここには聴けば聴くほど味が染み出す「イイ曲」が揃っています。
インパクトでは1stには及ばないまでも、完成度なら結構いい勝負が出来る1枚かと。


SAVAGE - Hyperactive - Gonna Tear Your Heart Out ★★★ (2018-10-08 22:00:41)

名曲“LET IT LOOSE”程のインパクトはないものの、
同タイプのスピード・ナンバーとしては必要にして十分な
カッコ良さをまき散らして疾走する逸品。


SAVAGE - Hyperactive - We Got the Edge ★★★ (2018-10-08 22:21:34)

愁いを帯びたメロディを奏でる印象的なツイン・リードG、
くぐもった声質で湿気ったメロディを歌い上げるVoに
早歩きのテンポと、いかにもブリティッシュHM然とした
雰囲気に思わず顔がほころぶOPナンバー。


SAVAGE - Loose 'n Lethal ★★ (2007-02-11 01:46:00)

イギリスはマンスフィールド出身の4人組N.W.O.B.H.M.バンド、'83年発表の1stアルバム。
とにかく本作は名曲①に尽きる。強烈に歪みまくった(劣悪だが)ド迫力のサウンド・プロダクションのもと、
ささくれ立ったGリフと、がむしゃらに疾走するリズム、そしてハイテンションで歌いまくるヘタウマVoとが
一丸となって突進する様は、あのMETALLICAが初期のライブで頻繁にカヴァーしていたという逸話も納得の、
ハイパーなエネルギーに満ち溢れている。スラッシュ・メタル誕生に大きく貢献したとされるのも頷ける、全スラッシャー必聴の名曲だ。
その①以外の楽曲は、シンプルなロック・チューンが並んでいて拍子抜けしたりもするのだが
(リフのアイデアとGのメロディ・センスは悪くない)、とにかく①のためだけにでも本作は聴くべし。
↑で別の方が仰っている通り、メタル・バンドならではのハッタリと、アーティスティックな美しさを兼ね備えた
アルバム・ジャケットも一見の価値あり。拡大コピーして飾っておきたくなりますね。


SAVAGE - Loose 'n Lethal - Let It Loose ★★★ (2007-02-11 02:00:24)

ささくれ立ったリフといい、がむしゃらな疾走感といい、
ハイパーに歌いまくるヘタウマVoといい、
「元祖スラッシュ・メタル」的な迫力に満ち溢れた名曲。
天然ボケ的に到達してしまった、
強烈なサウンド・プロダクションも大きな魅力。


SAVAGE GRACE ★★ (2008-03-08 00:55:00)

クリスチャン・ローグ(G)を中心に、LAで80年代初頭に結成。
当初はMARQUIS DE SADE(サディズムの語源となった、フランスに実在した公爵)を名乗っていたが、
かの『METAL MASSACRE』シリーズへの参加を期に、バンド名をSAVAGE GRACEと改める。
'85年にEP『THE DOMINATRESS』でレコード・デビューを飾り、'85年には1stフル『MASTER OF DISGUISE』を
'86年には日本デビュー作となる2nd『AFTER THE FALL FROM GRACE』を発表。
そのアグレッシブでスピーディ、且つドラマティックなHMサウンドがメタル・ファンの間で好評を博す。
(日本では、日章旗ハチマキを巻いた東洋人メンバー、B.EASTの存在も話題になったとかならなかったとか)
しかし、リーダーのクリスチャン・ローグ氏に、ミュージシャンとしての才能は兎も角、
人望が足りなかったようで、作品を重ねる毎に有能なメンバーが去っていき、それに伴い作品の質も低下。
結果、活動も尻すぼみ状態となってしまう。因みにそのクリスだが、
'06年に医薬品絡みの詐欺事件で逮捕され、刑務所へと収監されてしまったらしい。


SAVAGE GRACE - After the Fall from Grace ★★ (2007-05-26 21:14:00)

フロリダ出身の4人組で、後にAGENT STEELに参加するマーク・マーシャル(G)が在籍していた事でも知られる
スピード・メタル・バンド、'86年発表の2ndアルバム。
ABATTOIRにEVILDEADにHOLY TERRORと、AGENT STEEL人脈に連なるパワー/スラッシュ系バンドには優れた存在が多いが、
このSAVAGE GRACEも間違いなくその1つ。音楽性は、ハイトーンVoとツインGを活かして劇的に疾走しまくる
JUDAS PRIESTタイプ・・・というかAGENT STEELタイプ。ただ、あちらよりも更にメロディが前面に押し出されているので、
時にジャーマン・メロディック・パワーメタル風に聴こえる場面も多々あり、Voの歌唱もハイトーン主体とは言え
ジョン・サイリース程クドくないので、かなり聴き易い印象。ただ、リーダーのマイケル・ローグ氏がGと兼任する
このVo、前任者に比べるとかなり音程が怪しい。つーか、ぶっちゃけ音痴だ。
それでも、スピード/メロディ/ドラマ性と三拍子揃った収録曲は非常に強力で、特に、序曲の①に導かれて疾走を開始する
②は、起承転結が完璧に決まった、これ1曲でアルバム1枚を聴き通したかのような満足感が得られる超名曲。
また、謎の東洋人メンバー、B.EAST(日章旗に「神風」ハチマキが目に眩しい)が手掛けた、
よりスラッシュ・メタル色が強く出た④⑥のような曲もカッコイイ。
とにかくアルバム全編疾走しまくりで、ラストをメロウに締める⑨まで捨て曲なし。
AGENT STEELやABATTOIRファンなら一聴の価値がある名盤だ。


SAVAGE GRACE - After the Fall from Grace - Trial by Fire ★★ (2007-11-25 12:42:48)

スラッシュ・メタル・バンドとしてのSAVAGE GRACEの色が
強く出た1曲。それでも十分メロディアスで劇的な仕上がりだが。
作曲はアジア系のメンバー、B.EASTが担当。
ステージ・ネームと日章旗のハチマキから、
てっきり日系人かと思ったけど、実は中国系の人らしい。


SAVAGE GRACE - After the Fall from Grace - We came, We saw, We conquered ★★★ (2007-11-25 12:37:48)

序曲風の“A CALL TO ARMS"に導かれてスタートする
スピード・ナンバーにして、アルバムのハイライト・チューン。
起承転結を盛り込んだドラマティックな曲展開は、
それだけでアルバム1枚を聴き通したかのような満足感を与えてくれる。
Voのピッチの甘さが惜しまれます。


SAVAGE GRACE - Master of Disguise ★★ (2008-03-08 00:34:00)

AGENT STEEL等と共に、アメリカの元祖スピード・メタル・バンドとしてその名が挙げられるLA出身の5人組。
クリスチャン・ローグ(G)を中心に'81年に結成され、当初はMARQUIS DE SADE(マルキ・ド・サド)を名乗っていたが、
『METAL MASSACRE Ⅱ』への参加を期にSAVAGE GRACEと改名。'83年に5曲入りEP『THE DOMINATRESS』で
レコード・デビューを飾った後、'85年にBLACK DRAGON RECORDSから発表した1stフル・アルバムがこれ。
デビューEPは、センス皆無のジャケット・デザインといい、劣悪なサウンド・プロダクションといい、冴えない楽曲といい、
かなりしょっぱい内容だったが、本作では一転、そこから飛躍的な成長を遂げていて、ポール・ディアノ時代の
IRON MAIDENを更にハイパー化したかの如き、アグレッシブでスピーディ、且つドラマティックなサウンドは問答無用のカッコ良さ。
特に、初期メイデンへの強い憧憬が滲み出る組曲形式の①~②の展開、切り裂くように突っ走るハイテンションな④、
攻めの姿勢を持ったツインG(因みに、Gの片割れは後にOMENを結成するケリー・パウエル)を伴って劇的に疾走する⑥、
一際ドラマティックなリフ・ワーク炸裂するラスト・ナンバー⑨といった、前のめりな勢いに満ちた
スピード・チューンの数々のカッコ良さは格別。
まぁ、今の耳で改めて聴き直すと、相変わらず音質もジャケも冴えないし、「タミフルを服用したロニー・J・ディオ」
といった趣きのヒステリックなVoの歌唱も好き嫌いが分かれそうだしで、B級メタル臭は隠しようもないのだけれど、
とは言え、B級だろうが何だろうが、本作が捨て曲なしの完成度の高さを誇る点は間違いない事実。
正統派HMファンのみならず、スラッシャーにもお薦めできる1枚。


SAVAGE MESSIAH - Hands of Fate ★★ (2018-02-07 23:34:16)

‘15年に来日した際のインタビューでは「もうすぐ新作が出るよ!」と答えていたSAVAGE MESSIAHでしたが、その後マネージメント会社の移籍やら、レコーディング作業のやり直しやら、メンバーの脱退やらの紆余曲折があってリリースは延び延び。'17年になって漸く(前作から3年ぶりに)この4thアルバムの発表が実現しました。
中心メンバーのデイヴ・シルヴァー(Vo、G)が新作について「MEGADEATHとDEF LEPPARDを足して2で割った感じ」と発言しているのを読んだ時は「お前は何を言っているんだ?」とか思ったものですが、実際に聴いてみたら、なるほど。従来のメタリックな切れ味や、テクニカルな技巧の応酬が生み出す緊張感はそのままに、サビでは分厚いハーモニーとキャッチーなメロディが盛り盛り増量されたコーラス・ワークが飛び出すサウンドは、確かにそんな感じの音だったという。
無論彼らがポップ・メタルに宗旨替えしたなんてことはありませんが、ドイツのPARADOX辺りにも通じるパワー/スラッシュ・メタル然とした突進力が影を潜めた代わりに、Voの歌唱とツインGが奏でるメロディ及びハーモニーがまず何よりも耳を惹く作風は、明確に「脱スラッシュ・メタル」が志向されています。
1、2曲ぐらい、徹底的に飛ばしまくる楽曲があっても良かった気はしますが(速いパートはある)、印象的なツインGのハモリを散りばめて80年代のIRON MAIDENばりに勇ましくギャロップする③、緩急を巧みに織り交ぜたドラマティックな⑤みたいな楽曲を聴かされてしまうと、畜生、悔しいけど上手いこと音楽性を広げてやがる…!と。
己の趣味嗜好はさておき、出来の良さは認めざるを得ない1枚。


SAVAGE MESSIAH - Hands of Fate - Blood Red Road ★★★ (2018-02-07 23:39:16)

IRON MAIDENばりに印象的にハモるツインGと
しっかりと歌うVo、立体的に交錯するハーモニーを
散りばめて小気味よく疾走する曲調は、
スラッシュ・メタルというよりも完全に正統派HM。
いやでもここまでカッコイイと畜生、文句を言う気も失せますよ。


SAVAGE MESSIAH - Insurrection Rising ★★ (2012-08-24 07:17:54)

デイヴ・シルヴァー(Vo、G)が結成したHEADLESS CROSSを前身に、'07年に英国はロンドンにて誕生。自主制作でEPや1stフル・アルバムをリリースした後、CANDLELIGHT RECORDSと契約を交わして'09年に発表した2ndアルバムがこれ。(プロデューサーには、かのクリス・タンガリーディスを起用)
しっかりとメロディを追って歌うVoに、JUDAS PRIEST、IRON MAIDENの流れを汲む劇的なツインG、そして派手さやスピード以上に「展開」と「構築感」を重視する英国流HMの流儀に則ったスラッシュ・サウンドを基調に、そこへモダンなエッジと重量感を流し込んで仕上げられた作風が本作の持ち味。③⑦といった重厚且つメロディアスな楽曲の存在や、場面によってはKeyを隠し味的に用いる手法からもパワー・メタル志向が既に明確に見て取れますが、それでも次作に比べるとスラッシーな色合いは強め。
①⑥等、ストレートなスピード・ナンバーのカッコ良さは勿論のこと、個人的にガツンとやられたのは「英国流スラッシュ・メタル」を魅力を体現したかのような④と、2本のGがドラマティックにハモる様に痺れまくりのラスト・ナンバー⑨。これは出色の出来栄えですよ。
80年代のMETALLICAやTESTAMENTに震える向きにお薦めの1枚、かな。


SAVAGE MESSIAH - Insurrection Rising - He Who Laughs Last ★★★ (2012-08-27 22:28:55)

疾走パートあり、2本のGが勇壮に絡み合う
劇的なインスト・パートあり・・・といった具合に、
ラスト・ナンバーに相応しいドラマティックな
曲展開が聴きものの逸品。


SAVAGE MESSIAH - Insurrection Rising - The Serpent Tongue of Divinity ★★★ (2012-08-27 22:26:50)

強い求心力を発散するイントロからスタートする、
“PAINKILLER”と“RAPID FIRE”を
足して2で割って(?)、パワー/スラッシュ・メタル・テイストで
味付けようなアルバムでも1、2を争う名曲。


SAVAGE MESSIAH - Plague of Conscience ★★★ (2012-08-25 01:38:24)

英国はロンドン出身の4人組が、新たにEARACHE RECORDSと契約を結んで'11年に発表した3rdアルバム。
BURRN!!誌の輸入盤レビューにおいて90点台のハイスコアを叩き出したスラッシュ・アルバムということでも話題を呼んだ作品ですが、正直なところ、ここまでVoがちゃんと歌っていて、バッキングもメロディアス、且つ曲によってはKeyによる薄化粧が施されている音楽性を「スラッシュ・メタル」と形容していいもんかどうか。Gリフの質感や、ハキハキとしたリズムの疾走感からは確かにスラッシーな感触も伝わってくるのですが・・・。
とは言えそれが悪いわけじゃなく、テクニカルに弾き倒す2本のGの存在もあって80年代のSHRAPNEL系パワー・メタルのことを思い出したりもする彼らのサウンドは、単純にカッコイイし個人的には非常にツボ。(シンガーもかつてのSHRAPNEL系バンドよりずっと上手いしね/笑)
特に、スピード/パワー/メロディが一体となって突っ走る様が、どことなくドイツのPARADOXにも通じる硬派な魅力を振りまく①③⑤⑧、そしてツインGの奏でる劇的極まりないフレーズがメタル魂を燃え立たせ、居ても立ってもいられない気分にさせてくれる⑩は、パワー/スラッシュ・メタル・ファンなら一聴の価値がある名曲ですよ。
前作発表後、デイヴ・シルヴァー(Vo、G)以外のメンバーが総取っ替えとなっていますが、結果的に本作は「このバンドはデイヴさえ健在ならそれで問題なく回っていく」という事実を確認させてくれる内容に仕上がっています。力作。


SAVAGE MESSIAH - Plague of Conscience - Carnival of Souls ★★★ (2012-09-01 00:14:19)

ドラマティックな起承転結を有する
アルバムでも1、2を争う名曲。
劇的なサビメロの展開には思わず握り拳を
突き上げたくなりますよ。
緩急の効いた演奏を聴かせてくれるGも
グッジョブ。


SAVAGE MESSIAH - Plague of Conscience - Plague of Conscience ★★★ (2012-09-01 00:01:20)

勇ましくメロディアスに歌い上げるVoや
サビメロにうっすらと被さるKey等
スラッシュというよりもパワー・メタル的な
感触を携えて疾走するアルバムOPナンバー。
でも良い曲ですよ。


SAVAGE MESSIAH - Plague of Conscience - The Accuser ★★★ (2012-09-01 00:20:33)

3rdアルバム収録楽曲の中では
比較的スラッシュ・テイストが色濃く感じられる
スピード・ナンバー。
とは言えVoはハッキリと歌っていますし、
劇的な構築感とモダン味わいを併せ持った曲調を聴いていると
再結成後のPARADOXのことを思い出したりしますね。


SAVAGE MESSIAH - Plague of Conscience - The Mask of Anarchy ★★★ (2012-09-01 00:33:36)

プログレ・メタルの薫りも漂う、
8分以上に及ぶ大作ラスト・ナンバー。
心を掴む歌メロや長尺を聴かせ切る曲展開の
構築センスも然ることながら、やはり特筆すべきは
劇的なフレーズを豊かに紡ぎ出す2本のGの活躍ぶり。
正直堪らんですよ。


SAVAGE MESSIAH - The Fateful Dark ★★★ (2014-04-09 01:49:04)

おまけ収録されている故国の先輩バンド群(IRON MAIDEN、DIAMOND HEAD他)の名曲のカヴァーが証明する通り、本4thアルバム('14年)に託されているのは、英国HM然とした構築美と、スラッシュ・メタルならではの疾走感とを掛け合わせたパワー・サウンド。Keyを排し、更にデイヴ・シルヴァー(Vo)がハイトーンを抑制して、自身の歌唱力を活かせる中音域をメインに歌うようになったこともあって、今回は全体的に逞しさが増し増し。よりオールドスクールなパワー/スラッシュ路線へと立ち返ったとの印象を受けます。
独産パワー・メタル勢にも通じる重厚さと突進力で伸して来るOPナンバー①からして、本作における彼らのそうした志向は明確。歌えるシンガーを擁する編成の強みを活かした②、光沢を放つメロディを劇的に歌い上げるVoとテクニカルな2本のGが所狭しと暴れ回るアルバムのハイライト③といった名曲が連打される、冒頭3曲の勇壮さにはハート鷲掴みですよ。
人によっては、似通ったテンポの楽曲が連続する中盤でモタつく印象を受けるかもしれませんが、泣きの入ったバラード⑤からドラマティックな大作⑦まで、個々の楽曲の完成度は実に見事なもの。
スピード感を減じることなく、メロディとアグレッションの融合が更に推し進められた、日本デビュー作に相応しいクオリティを有する1枚ではないかと。


SAVATAGE - Edge of Thorns ★★ (2007-07-28 02:06:00)

ジョン・オリヴァ(Vo)が脱退。後任にジョンと良く似た声質(彼より癖がなく、万人受けするタイプの声)の持ち主、
ザッカリー・スティーヴンスを迎え入れ、'93年に発表した7thアルバム。
メイン・ソングライターの1人だったジョンを欠いた事で、作品のクオリティの著しい低下が懸念されたが、蓋を開けてみれば
そんな不安は、冷ややかにして儚げなピアノの音色で幕を開け、重厚に刻まれるリフ&リズムの上をクリス・オリヴァのGが華麗に舞い、
ザッカリーが堂々たる歌唱を披露する“GUTTER BALLET"クラスの名曲①が始まった途端に、綺麗サッパリ吹き飛んだ。
アルバム全体としては、前作『STREETS A ROCK OPERA』の如き緻密さは薄れ、肩の力の抜けたストレートな仕上がりながら、
起承転結がビシッと決まったドラマチックな②、クラシカルなインスト曲⑤から繋がる壮麗な⑥、柔和で優しげなバラード⑩等、
SAVATAGEならではの「気品」と「劇的さ」に彩られたHMナンバーもしっかりと収録されているので安心されたし。
但し、ボーナス・トラックも含めて全15曲というボリュームは明らかに詰め込み過ぎだし、各楽曲の出来にもムラがあるので、
11曲目以降は少々ダレる。既に完成していた本作に、更に曲数を追加するよう命じたというレコード会社は何を考えていたんだか・・・。
しかし、そうした地味な楽曲の中にあっても、きっちりと聴かせ所を演出するクリスの「よく歌い」「よく泣く」Gプレイは
眩いばかりの強い輝きを放っていて、突然の事故死により、これが彼の遺作になってしまった事実を、一層惜しませるのであった。R.I.P.


SAVATAGE - Edge of Thorns - Edge of Thorns ★★★ (2007-07-14 23:45:46)

零れ落ちるような美しいピアノの音色をイントロに、
物悲しくも力強く展開していく名曲。
和田誠氏がDJを務めるラジオで、
クリス・オリヴァの突然の事故死を知らされ、
追悼の意味を込めてこの曲のイントロが流れ出した時は
ちょっと泣きましたね。


SAVATAGE - Fight for the Rock ★★ (2007-07-25 22:08:00)

タイトルとは裏腹に、スピード・チューンが姿を消し、その代わりにBADFINGERやFREEのカヴァーを収録する等、
実験的な作風がファンの間で賛否両論を呼んだ、'86年発表の3rdアルバム。
角が取れて丸みを帯びたソフトなサウンド・プロダクションや、女性ファン層を狙ったと思しき歌詞、
そして大胆に取り入れられたKeyの印象の強さから、「ポップ化した」と評される事の多い作品だが、実際のところ、
収録されている楽曲の方向性自体は、前作『POWER OF THE NIGHT』と大差ない。疾走曲がなくなったとは言え、
ズッシリとヘヴィネスの効いた楽曲は①を筆頭に十分アグレッシブだし、全面的に導入されたKeyにしても、
ライトな雰囲気作りよりも、寧ろ、クラシカルなイントロを担当する⑤や、初期の頃を思わせるダークな⑥等を
聴けば明らかなように、主に楽曲の完成度を高める方向で有効活用されているので、チャラい印象は皆無。
前述したカヴァー2曲や、1st『SIRENS』収録バラードのリメイク②辺りを飛ばして聴けば、
これまで通りの硬派なHMアルバムとして楽しむ事も十分可能だ。
リフにリードにソロにと、相変わらず「歌心」に溢れたメロディアスなプレイを連発するクリス・オリヴァのGの素晴しさは
今更言うに及ばず、今回はジョン・オリヴァも、クセの強い濁声の歪ませ具合を最小限に抑えて歌っているので、
彼のクドイ歌唱が苦手という人でもスンナリと受け入れられるかもしれない。
ただ、そのせいか全体的に、楽曲がどうにも薄味というか淡白に聞こえ、強力なキメ曲の不在と相俟って、
SAVATAGEの作品史上、最も地味な印象を受けるアルバムなのもまた、間違いないのであった。


SAVATAGE - Fight for the Rock - Hyde ★★ (2007-11-24 17:24:04)

レコード会社の横槍で、迷いを感じさせる作風となってしまった
2ndアルバムだが、この曲のような初期の重々しくダークで、
アグレッシブな雰囲気を宿した楽曲もちゃんと収録されているので、
個人的にはそんなに嫌いじゃない。ファンなら1度はちゃんと聴いてみよう。