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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5301-5400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5301-5400
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SHOOTING STAR - Burning ★★★ (2012-08-19 00:54:52)

再度ロン・ネヴィソンとタッグを組んで作り上げられた'83年発表の4thアルバム。
ラジオ・ヒットとなった②⑧、それに⑨といったポップな躍動感に満ちた楽曲が顕著に表している通り、ヴァイオリン奏者を擁しながらもそれを飛び道具としては用いず、飽くまでアンサンブルを重視してコンパクトにまとめられた「脱プログレ・ハード、おいでませAOR/産業ロック」な方向性を模索する本作ですが、次の『SILENT SCREAM』程はそっち路線に開き直れておらず、随所にプログレ・ハード時代の残り香を漂わせた作風は、バンドが未だ過渡期にある事実を物語っています。
但し、モータウン・バンドFOUR TOPSの名曲の秀逸なカヴァー⑦を含む本編は、前作を大きく上回る捨て曲なしのクオリティを提示。また全体的にハードネスの底上げが図られているのは、ポップ方向に振れた前作の反動か、はたまた当時アメリカで隆盛の機運を見せ始めていたLAメタルの存在に触発されたのか。
中でも、ヴァイオリンとGが一体となって引っ掛かり気味に刻むリフがKANSASを彷彿とさせる⑥は本作ならではの名曲と言えましょう。勿論、哀愁を帯びたメロディと壮大且つ感動的な盛り上がりが胸を打つ⑤⑩といった、プログレ・ハード・テイストが強めに出た楽曲の魅力も相変わらず。


SHOOTING STAR - Burning - Burning ★★★ (2012-08-19 23:58:59)

ロン・ネヴィソン繋がりで
中期JOURNEYを思わせる
雄大なスケール感を備えた
アルバム表題曲でもある
メロハー・チューン。


SHOOTING STAR - Burning - Reach Out I'll Be There ★★★ (2012-08-20 00:11:53)

モータウン所属のR&Bコーラス・グループFOUR TOPSの
全米№1ヒット・ソングのカヴァー。
(確かリッチー・コッツェンもカヴァーしてましたっけね)
元々メンバー全員が歌えるバンドゆえ
文句ないハマリっぷりのうえ
ビートを効かせたHR調のアレンジにも◎を進呈したい。


SHOOTING STAR - Burning - Reckless ★★★ (2012-08-20 00:19:03)

ランニング・タイムは4分台とコンパクトに
聴き易くまとめられていますが、バイオリンを
巧みに用いたドラマティックなアレンジ等、
プログレ・ハード・バンドとしてのバンドの出自が
はっきりと確認できるアルバム後半のハイライト・ソング。


SHOOTING STAR - Burning - Straight Ahead ★★★ (2012-08-20 00:22:06)

ちょっぴりLAメタル的な味わいも感じさせてくれる
力強く高揚感に溢れたOPナンバー。
本編への没入度を効果的に煽ってくれるインスト序曲
“PREVIEW”とセットでお楽しみ下さい。


SHOOTING STAR - Burning - Winner ★★★ (2012-08-20 00:04:03)

個人的にアルバムで一番お気に入り。
Gとバイオリンがユニゾンで刻むリフが
『暗黒への曳航』の頃のKANSASを思わせる
ハードさとキャッチーさのバランスが絶妙な名曲で、
ラジオ・ヒットとなったのも納得ですよ。


SHOOTING STAR - Circles ★★★ (2020-07-02 00:40:38)

結成以来、長年バンドを支え続けてきたオリジナル・メンバーのヴァン・マクレイン(G)が闘病の末、'15年に逝去。彼の遺族の後押しもあり、現在も活動を継続中というミズーリ州カンザスシティ出身のベテラン・メロハー・バンドSHOOTING STARが、'07年にFRONTIERS RECORDSから発表した8枚目のフル・アルバム。
久々に国内盤のリリースが実現しただけでなく、恐らく所属レーベルから要請があったのであろう(推測)、バイオリン奏者がメンバーの一員として名を連ね、またTHE STORM、707、TWO FIRES他での活動で知られる名シンガー、ケヴィン・チャルファントが加入。ライブには不参加の雇われ仕事ながら文句なく素晴らしい歌声を披露する等、お膳立てはバッチリ。たおやかな抒情メロディと、中西部のバンドらしい埃っぽいハードネス、ほんのり薫るプログレ・ハード的構築美を兼ね備えたサウンドは、ファンがSHOOTING STARに期待する路線をきっちり踏襲してくれています。
特にOPナンバー①、エキゾチックでドラマティックな雰囲気を纏った③、どこかKANSASっぽいバラード⑤といった秀曲からも明らかなように、バイオリンが単なる刺身のツマでなく、リフを刻んだりソロを取ったりと、ちゃんとアレンジの一部として有効に機能している点からも、原点に立ち返って曲作りに励んだバンドの気合の程が伺えるのではないかと。スリリング且つメロディアスに弾むシャッフル・チューン⑧なんて、このレベルの名曲が生み出せるならアナタ方はまだまだイケル!と親指を立てたくなる魅力を発散していますよ。
日本盤も手に入るので、何だったらSHOOTING STAR入門盤として如何でしょうか。


SHOOTING STAR - Circles - We're Not Alone ★★★ (2020-07-03 01:05:41)

哀愁を増幅するバイオリンと、ケヴィン・チャルファントの
伸びやかなVoが映える、憂いを湛えて軽快に弾むシャッフル・ナンバー。
Keyの使い方等、確かにバーニー・ショウ時代のURIAH HEEPっぽさ有り。
結成から30年を数えてもこのレベルの名曲を生み出せるのですから
脱帽です。


SHOOTING STAR - Hang On for Your Life ★★ (2012-03-19 06:59:02)

米産ロック・バンドとしては初めて英国のVIRGIN RECORDSと契約を交わし、'80年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作が好評を博したSHOOTING STARが、トミー・ボーリンやミック・ロンソンとの仕事で知られるデニス・マッケイをプロデューサーに迎えてレコーディング作業を行い、'81年に発表した2ndアルバム。
いかにも南部出身バンドらしいワイルドな演奏と、メンバーにヴァイオリン奏者を擁する強みを活かしたプログレ・ハード調の繊細なアレンジとが同居したメロハー・サウンドは、基本的には前作のスタイルを踏襲。ヴァイオリンの哀切な調べに胸打たれる1曲目“FLESH & BLOOD”なんて、これだけでアルバムの出来の良さを確信させるに十分な名曲ですよ。
イギリスでHR/HMが隆盛を見せていた時期と重なるためか、シンプル且つコンパクトにまとめられた楽曲からはプログレ色が減少傾向にあり、特にシングル・カットされPVも作られたらしいブルーカラー・ソング“BREAKOUT”は、FM局のエアプレイ・チャートで好リアクションを獲得したというバンドの代表曲の1つ。
尤も、個人的にはそれらハード・ロッキンな楽曲群よりも、彼らならではのメロディ・センスが堪能できる前述のOPナンバー“FLESH~”や、小粋且つプログレ・ハード風の柔和な空気に包まれた“HOLLYWOOD”、感傷的なバラード“SWEET ELATIA”といったメロウな楽曲の方がお気に入りなのですが。
また、エッジの効いた演奏とキャッチーな哀メロが無理なく融合した“TEASER”、グルーヴィなアフリカン・リズムに乗って凝った曲展開が開陳される“YOU'VE GOT LOVE”もユニークな個性が光る逸曲。


SHOOTING STAR - Hang On for Your Life - Flesh and Blood ★★★ (2012-03-19 21:21:05)

ヴァイオリンが奏でる優美で哀愁に満ちた
イントロだけで掴みはOKな哀愁の叙情HRナンバー。
華麗に踊るヴァイオリンに、複数のシンガーが
交互にリードVoを担当し時に美しくハモる
このバンドの個性もしっかりと発揮されています。


SHOOTING STAR - Hang On for Your Life - Hollywood ★★ (2012-03-19 21:12:35)

プログレ・ハード風味が一際強く漂って来る名曲。
といってもドラマティックな大作ではなく、
Voが歌うポップなメロディ、お洒落で粋なアレンジを
活かしてコンパクトにまとまっている辺りが
本作ならではの味わい。


SHOOTING STAR - Hang On for Your Life - Sweet Elatia ★★★ (2012-03-20 07:27:08)

2ndアルバムをしんみり締め括る哀愁のバラード。
リリカルなピアノとヴァイオリン、泣きを孕んだVoの歌声、
3人のシンガーが織り成す美しいハーモニーとが
じわりと胸と涙腺に沁みてきますねぇ。


SHOOTING STAR - Hang On for Your Life - Teaser ★★★ (2012-03-19 21:08:02)

ワイルドで泥臭いハードネスが横溢する
ヴァースから一転、美しいボーカル・ハーモニーと
物悲しげなヴァイオリンの旋律がキャッチーな
サビメロへと転調する展開が非常に秀逸な
アルバムでも1、2を争う名曲。
一説には、死去したトミー・ボーリンに
捧げられているとかいないとか。


SHOOTING STAR - III Wishes ★★ (2012-03-20 07:27:59)

プロデューサーに、以降、数作に亘ってコンビを組む事となる売れっ子ロン・ネヴィソンを迎えてレコーディング、'82年に発表された3rdアルバム。
SHOOTING STARのカタログ中、最もハードな作風に仕上がっていた前作から一転、Keyサウンドを前面に打ち出して、プログレ色や南部的な泥臭いハードネスを払拭、代わりにポップな味わいが強調された本作は、例えばヴァイオリン大活躍のOPナンバー“ARE YOU READY”からさえもプログレ色や土の匂いが殆ど漂って来ないという徹底振りで、その洗練された作風はやはりロン・ネヴィソンの起用効果と言うべきか。
「ありがちなJOURNEYクローンになってしまった」「ロン・ネヴィソン許すまじ」と批判の声も少なからず上がった本作ですが、もともと彼らのメロウ・サイドに魅力を感じていた身としては、今回もまた良く出来たアルバムとして十分楽しませて貰った次第。
中でもしっとりとした哀メロに聴き惚れる“HEARTACHE”や、まるでNHKで放送されている海外ドラマの主題歌の如き爽やかさを誇る“WHERE YOU GONNA RUN”、アルバム収録曲の中では比較的ハードな仕上がりの“LET IT OUT”、分厚くスペーシーなKey主体で展開されるスケールの大きなバラード“WHOLE WORLD'S WATCHING”辺りは、メロディ愛好家ならグッとくること請け合いの名曲じゃないでしょうか。
尤も、これ!といった強力な決め手に欠くフラットな構成など、前2作と比較して弱さを感じる部分があるのも実際のところで、これはやはり本作がプログレ・ハード路線からAOR/産業ロック路線へと移行していく過渡期の産物であったからなのかな、と。


SHOOTING STAR - III Wishes - Heartache ★★★ (2012-03-20 23:36:03)

タイトル通り感傷的な哀メロに貫かれた
叙情バラード。
3rdアルバム中、最も美しいボーカル・ハーモニーが
堪能できる名曲でもあります。


SHOOTING STAR - III Wishes - The Whole World's Watching ★★ (2012-03-20 23:48:52)

従来のプログレ・ハード色はほぼ払拭された
3rdアルバムですが、この曲には仄かにその名残りが
感じられなくもないような・・・。
伸びやかなゲイリー・ウェストの歌いっぷりと、
透明感を湛えてスペーシーな雰囲気を演出してくれる
Keyと美麗なボーカル・ハーモニーに聴き惚れます。


SHOOTING STAR - III Wishes - Where You Gonna Run ★★★ (2012-03-20 23:42:28)

NHKで放送されたファミリー物海外ドラマの
テーマソングのような、洗練された爽やかさに
心洗われる名曲。
プログレ・ハードというよりも、
完全にAOR/産業ロックのノリですね。
(勿論、良い意味で)


SHOOTING STAR - Shooting Star ★★★ (2012-03-18 07:10:33)

幼馴染のヴァン・マクレイン(G)とロン・ヴァーリン(B)がカンザス・シティにて結成した6人組、'80年発表の記念すべき1stアルバム。
3人のリードVoに、2人のGとKey奏者、そしてヴァイオリン奏者を含む6人編成の大所帯と聞けば、てっきり同郷のKANSASばりのプログレ・ハード系バンドかと思いきや、THE BEATLESに触発されてミュージシャンを志したという彼らが聴かせてくれるのは、高いポピュラリティを有したラジオ・フレンドリーなメロハー・サウンド。KANSASはKANSASでも中期(『VINYL CONFESSION』の頃の)KANSASでしたね。
とは言え、そこはやはりデビュー作。ロン・ネヴィソンと組んだ後の作品群に比べれば洗練の度合いはそれ程でもない代わりに、如何にも南部風の土の匂いを運んでくるGは太くハードな音色で存在感を主張しているし、何よりKeyとヴァイオリンを用いて、時折効果的に編みこまれるプログレ・ハード調のアレンジが良い具合に本編のアクセントとなっています。
躍動感溢れる演奏とメロディ・センスのマッチングが秀逸な“BRING IT ON”、熱くハードに盛り上がる哀愁のメロディにグッとくる“TONIGHT”、そして楽器陣のスリリングな応酬とドラマティックな曲展開が圧巻のアルバムのハイライト的存在“LAST CHANCE”を筆頭に、充実した楽曲がズラリ顔を並べる1枚。
下積み時代の長さは伊達じゃねえな!と思わされる名盤です。


SHOOTING STAR - Shooting Star - Bring It On ★★ (2012-03-18 21:22:16)

いかにもアメリカ南部を思わせる泥臭いハードネスと
躍動感溢れるノリの良さに満ちた演奏、
そしてプログレ・ハード物らしい仄かな哀愁を湛えた
ポップなメロディとが見事に一体化した名曲。


SHOOTING STAR - Shooting Star - Last Chance ★★★ (2012-03-18 21:18:34)

ストレートにプログレ・ハード色が打ち出されている
楽曲をSHOOTING STARが演るのはデビュー作が最初で最後。
特にこの曲は6分以上に及ぶランニング・タイムに、
G、Key、B、Ds、そしてヴァイオリンとが激しい応酬を
繰り広げながら劇的に盛り上がっていく曲展開といい、
まさに「ザ・プログレ」な仕上がりを聴かせてくれる名曲。
それでいて叙情味を湛えたVoがキャッチーなメロディを
マイルドに歌い上げるため、難解さも皆無という隙のなさ。


SHOOTING STAR - Shooting Star - Tonight ★★★ (2012-03-18 21:27:24)

複数(3人)のリードVoとヴァイオリン奏者を
抱える大編成の強みが如何なく発揮され、
力強く、それでいて優美に盛り上がっていく
哀愁のメロディアスHRナンバー。
ボーカル・ハーモニーの美しさに聴き惚れますね。


SHOOTING STAR - Silent Scream ★★★ (2009-11-22 17:35:00)

フロントマンの座にケヴィン・チャルファントを迎えて現在もしぶとく活動中(多分)の、ミズーリ州はカンザスシティ出身の5人組ロック・バンドがプロデューサーにロン・ネヴィソンを迎えて制作、'85年に発表した彼らの最高傑作と評価の高い5thアルバムにして、取り敢えずのラスト作。(後にリユニオン)
結成は60年代まで遡り、メンバーにヴァイオリン奏者を含む編成が同郷の先輩バンドKANSASを彷彿とさせるが、実際のところ、本作にプログレ色は殆どないと言ってよく(KANSASっぽさはあるけどね)、ヴァイオリンの使用は味付け程度に留められ、本編の叙情性を増幅し、作風を決定付ける重要な働きっぷりを披露するKeyを中心に丁寧にまとめ上げられた楽曲の数々は、強力なフックを有する叙情メロディに豊かに彩られ、まさに洗練されたAOR/産業ロック系サウンドのお手本のような仕上がり具合を聴かせてくれる。
殊に、アルバム前半の完成度の高さには目を瞠るものがあり、中でも“SUMMER SUN"のタイトル通り、夏の鮮烈な日差しを想起させる躍動感と爽快感に溢れたOPナンバー①は、ビルボード・チャートで健闘したという話も大いに納得の行く名曲だし、また、印象的なKeyのイントロからスタートする⑤も素晴しい哀メロ・チューン。
再発CDには映画のサントラに提供した楽曲も追加収録され、全13曲収録で捨て曲なしの充実度を誇る1枚。
バックVoとしてエリック・マーティンも参加しているので、メロディ愛好派のみならずMr.BIGファンも是非どうぞ。


SHOOTING STAR - Silent Scream - Summer Sun ★★★ (2009-11-22 17:38:22)

AOR/産業ロック・アルバムのOPナンバー斯くあるべし!な
ポップでキャッチー、爽快で躍動感に溢れた名曲。
タイトル通り「夏の日差し」的な雰囲気を漂わせたKeyが
いい仕事をしてますね。


SHOTGUN MESSIAH - Violent New Breed ★★ (2019-03-13 00:41:53)

LAを拠点に活動していたSHOTGUN MESSIAHが、故郷スウェーデンへと戻り、新たにVoとGのユニット体制となって'93年に発表した3rdアルバム。
GUNS’N ROSESの流れを汲むスリージーなロックンロールを演っていた前2作に対し、サポート皆無だった所属レーベルに対する鬱憤をブチ撒けたという本作で炸裂するのは、エフェクトで歪められたVo、ザクザク刻まれるスラッシーなGリフ、冷徹な打ち込みリズムに支配されたマシーナリーなインダストリアル・メタル・サウンド。その変貌ぶりときたら、夏休み明けに不良デビューを飾った生徒を発見した担任教師ばりに「一体何があったんだよ…」と呟くレベルですが、後知恵で考えるなら、バンドの中心メンバーで後にマリリン・マンソンのブレーンとして、またドイツのKMFDMのメンバーとしても活躍することとなるティム・スコルド(G)が、いよいよその本領を発揮しただけと言えなくもないという。
ともあれ、ロックンロール+インダストリアル・メタル。どちらも積極的に嗜もうとは思わないジャンルでしたが、実際に聴いてみるとこの取り合わせが意外に珍味…つかコレ結構カッコ良くね?と。エフェクトが掛けられていてもVoは威勢よく歌っており、ロックンロールの生命線と言うべきクールなGリフ/ノらずにはいられないグルーヴ/キャッチーなメロディもそこここに健在。Gソロだってしっかりとフィーチュアされていて、安易に流行に身を委ねるのではなく、いかにそうした要素を自分達のフィールドに引き込んで料理するかを真剣に考え抜いたことが伝わってくるサウンドは非常にカッコイイ。
発表時期が早過ぎた…当時より今の方が案外正当な評価を得られる1枚なのかもしれません。


SHOW-YA - Hard Way Tour 1991 ★★★ (2021-06-30 23:46:45)

帯やライブ中のMCでも表明されている通り、SHOW-YAの看板シンガーであった寺田恵子在籍時代最後のツアーとなった「HARD WAY TOUR 1991」の中から、大阪厚生年金会館と名古屋市公会堂でのパフォーマンスの模様を収めた、彼女達にとっては2枚目となる実況録音盤。確か個人的にこれが初めて購入したSHOW-YA作品だったような…。
『GLAMOUR』『OUTERLIMITS』『HARDWAY』といった傑作を連発してオリコン・チャート上位を席巻する等、名実共にバンドが完全に「仕上がっていた」時期のライブだけに聴き応え十分なのは当然のこと。’89年リリースの『TURN OVER』と聴き比べれば明らかな通り、歌謡ロック路線から本格派HM路線へとシフト完了したバンドは、最早「ガールズ・ロック・バンド」なんて括りを必要としない、並の野郎バンドじゃ束になっても敵わない堂々たる貫禄と迫力を身に纏っています。とりわけ過酷なロード生活を経てイイ具合に燻された(逆に言えば相当喉に負担があったということなのでしょうが…)寺田の歌声は圧巻で、代表曲“私は嵐”のようなヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーにおけるパワフルなハイトーンから、ブルージーな“BLUE ROSE BLUES”におけるハスキー・ボイスを活かしたセクシーな歌い回しまで、幅広い表現力を駆使し、ラスト・ツアーに持てる力全てを注ぎ込まんとする気迫漲るパフォーマンスにゃ胸を打たれること必定です。寺田のVoと、五十嵐美貴のGを始めとする楽器陣が火花を散らしながら突っ走る“FAIRY”“ギャンブリング”“限界LOVERS”というラストのスピード・ナンバー三連打のカッコ良さなんて、まさに本編のクライマックス。
若き日のバンドの全力疾走ぶりが克明に刻まれたライブの名盤。入門編にもどうぞ。


SHOW-YA - Hard Way Tour 1991 - Fairy ★★★ (2021-07-01 23:38:17)

初期の名曲として人気の高い、GとKeyのバトルも組み込まれた疾走ナンバー。
まだ線の細さも感じられた(そこが魅力でもあった)スタジオ・バージョンに対し
こっちのライブ・バージョンだと、寺田のVoを筆頭に各メンバー、パフォーマンスの
迫力が各段に増していて圧倒されてしまいますよ。


SHY - Excess All Areas ★★ (2009-11-20 22:16:00)

SHYと言えば「IRON MAIDENのスティーブ・ハリスと同姓同名のGがいるバンドだっけ?」程度の認識しか持たない
不届き者でも、本作の完成度の高さ・・・分けても名曲“EMERGENCY"の魅力には素直に脱帽せざるを得ません。
トニー・ミルズの透明度の高いハイトーンVo、スティーヴ・ハリスのウェット且つコンパクトに練り込まれたG、
そしてビバ80年代!的なキラキラさ加減で本編を華やかに彩るKeyとが組み合わさって生み出される楽曲の数々は、
ソング・ライターとしてマイケル・ボルトン、ドン・ドッケンら錚々たる面子が名を連ねてるだけあって、
ポップでキャッチー、それでいてヨーロピアンな叙情性をたっぷりと含んだ隙のない仕上がり。
イントロからして名曲の風格が漂う①(作曲はマイケル・ボルトン)のインパクトがデカ過ぎるせいで、②以降の
楽曲の存在が霞んでしまっている気がしなくもないが、とは言えそれらも十二分に秀曲揃いで、例えばラストに
置かれた哀愁のHRチューン⑩なんて生半可なバンドじゃ逆立ちしたって書けっこないレベルの名曲。無論、捨て曲はない。
多数の外部ライターが参加しようとも、SHYならではの個性にブレがないのだから大したもの。文句なしの名盤でしょう。


SHY - Shy ★★★ (2013-09-09 23:05:51)

楽曲を壮麗に肉付けするKeyサウンドを積極的に取り入れつつ、OPナンバー①の重厚なイントロが示す通り、SHYのカタログの中ではかなりハード&へヴィな方向に振られている本作ですが、これだけ全編に亘って哀愁のメロディが大盤振る舞いされていれば、そりゃ大味感なんぞが入り込む余地は絶無ってもんですよ。
力んで歌っても押し付けがましくならない、青い炎が揺らめくような熱唱ぶりが正しく英国シンガー然とした風情漂わす新Vo.リー・スモールの歌声、弾きまくっても、一音一音を丁寧に紡いでも、常に歌心を失わないスティーヴ・ハリスのGプレイとが、それを見事に援護射撃。いつもならイチャモン付けたくなる70分オーバーという長尺に関してもまるで気にならないのは、別に故人に遠慮して・・・等というヌルイ理由からではなく、ただ単純に、捨て曲皆無の本編のハイクオリティさゆえです。
ドラマティックにしてあまりに哀しいメロディ展開に悶絶させられる年間ベスト級の名曲②⑥だけでも「勝負あり」ですが、他にも①④⑧⑩等、これ1曲を聴くためだけにでもアルバムを購入しても損はない!と思わされる楽曲がゴロゴロ収録されているのだから凄まじい。
しかし絶賛すればするほどに、スティーヴ・ハリス不在という現実が重く圧し掛かる、そんな1枚でもあります。合掌。


SHY - Shy - Pray ★★★ (2013-09-10 22:43:00)

アルバム前半のハイライトが“SO MANY TEARS”なら
アルバム後半のハイライトはこの曲で決まり。
歌メロにしろGソロにしろ猛烈な哀愁を背負っていますが
適度にファッショナブルなKeyを用いることで
重さを巧みに緩和しています。


SHY - Shy - So Many Tears ★★★ (2013-09-10 22:37:50)

絶好調時のPRAYING MANTISにも匹敵する
リー・スモールが熱唱するあまりに哀しい歌メロ、
それにスティーヴ・ハリス入魂のGソロが
涙腺にびんびんきますね。
まさしくハイライト。


SIEGES EVEN ★★ (2009-07-15 22:08:00)

この項目を見て「SIEGES EVEN!懐かしいな~」と調べてみたら、
まだ現役で活動していると知って驚いた。
てっきりもう解散したものとばかり・・・。


SIEGES EVEN ★★ (2009-07-16 22:15:00)

やや、そうでしたか。情報ありがとうございます。
つーか、彼らが6枚も7枚もアルバムを作ってた事すら
知りませんでしたよ。


SIEGES EVEN - Life Cycle ★★ (2009-07-15 22:05:00)

81年に西ドイツにて誕生した4人組が、SPV/STEAMHAMMER RECORDSから'88年に発表したデビュー作で、
嘗てはNY出身のスラッシャー、NAPALMの1st『CRUEL TRANQUILITY』とのスプリット仕様で
国内盤もリリースされていた作品。(尺合わせのために2曲ほどカットされてたけど)
生き急ぐかの如く作品毎に音楽性を拡散させていった彼らだが、この頃は、高度な演奏技術を活かした複雑極まりない
曲展開に、素っ頓狂なハイトーンVoが絡むテクニカルなスラッシュ・メタルを演っていて、バンド側は自身の音楽性を
「テクノ・スラッシュ」と呼称していたらしいが、別にKeyやサンプリングが使われているわけでもないのに、なしてテクノ?
BLIND GUARDIANやRHAPSODYなど、引く手数多な腕利きミュージシャン、アレクサンダー(Ds)とオリバー(B)の
ホルツワース兄弟がバンド・サウンドの中心を固めているだけあって、終始、緊張感に貫かれた本編の流れには
素直に「凄い」と唸らされるモノがあるが、この手のバンドの常として楽曲にキャッチーさが欠けるため
(特にVoの歌メロにフックが乏しい)、聴いているとだんだんダレて来てしまうのが勿体ない。
とは言え、Gが紡ぎ出す如何にもドイツのバンドらしい湿り気を帯びたメロディに、スラッシーな疾走感、
そしてプログレHM的な劇的な曲展開が組み合わさった③“APOCALYPTIC DISPOSITION"のような
優れた楽曲も収録されているので、WATCHTOWERやATHEIST、CORONERといった
インテレクチュアル・スラッシュ・メタル・バンドがイケル口の人ならトライする価値は十分ある1枚、かな?


SIEGES EVEN - Life Cycle - Apocalyptic Disposition ★★ (2009-07-16 22:11:44)

やや取っ付き難い楽曲が並ぶ本編にあって、
この曲は結構即効性が高い出来。
TESTAMENTの“OVER THE WALL"そっくりのフレーズが
奏でられるのはご愛嬌。


SIGH - Hail Horror Hail ★★ (2008-08-16 01:19:00)

日本が世界に誇るブラック・メタル・トリオ、SIGHが'97年に発表した、邦題に『恐怖万歳』と付けられた3rdアルバム。
英国のTERRORIZER誌において、「90年代にリリースされた重要作品TOP100」に選出された事でも知られる本作は、コープス・ペイントの取り払われたメンバーのルックスが端的に物語る通り、前2作に比べ、アグレッションや疾走感といった、ブラック・メタル的な要素が大幅に後退。その代わりに、G以上の存在感を発揮しまくる、プログレ調のKeyを大々的にフィーチュアした、一種、映画(それもクラシカルなホラー映画)のサウンド・トラックを思わせる、優雅で壮大、かつシンフォニックな内容に仕上がっている。
特に、正統派へヴィ・メタリックなリフ・ワークといい、軽快な疾走感といい、IRON MAIDENからの影響を匂わせつつも、どこか狂ったメロディ使いや、シンフォニック&ドラマティックなインスト・パートの存在が、強烈な個性を主張する①、SEを効果的に用いた、シアトリカルな曲展開が恐怖感を煽る③、前2作のブラック・メタル風味を継承し、オーケストレーションを纏って禍々しく疾走する⑧、SIGH流のバラードとも言えそうな、暗く悲しみに満ちたメロディに彩られた⑨といった楽曲は、このバンドの従来のスタイルと新たなスタイルが見事に組み合わさった、本作独特の魅力が狂い咲くナンバー。
正直なところ、次作以降に繋がるアバンギャルドなノリが徐々に出始めているため、とてもじゃないが「取っ付き易い作風」とは言い難いし、SIGH未体験者には、まず2nd『INFIDEL ART』や7th『HUNGMAN'S HYMN』を聴く事をお薦めするが、このバンドならではの個性が強く発揮されている作品である事は太鼓判を押す次第。


SIGH - Hangman's Hymn: Musikalische Exequien ★★★ (2008-02-21 21:54:00)

海外でも高い評価を得る、東京出身のブラック・メタル・バンド(と狭い枠内で括るには、最早無理のある存在なんだけど)が'07年に発表した、人類への絶望を4幕構成で綴った、セミ・コンセプト作(?)の7thアルバム。
DEATHやOBITUARY等での活動で知られる辣腕ギタリスト、ジェイムズ“渡り鳥"マーフィがマスタリングを手掛ける本作は、ここ数作で目立っていた実験色や、アバンギャルドな難解さが払拭され、ストレート且つタイトに引き締まった楽曲は、バイオレントであると同時に、かなりキャッチー。1stや2ndの頃を彷彿とさせる、ささくれ立ったアグレッションや、爆発的な疾走感が全開で、全10曲、一瞬たりともテンションを緩めることなく、走って走って走りまくる、まるでSIGN版『REIGN IN BLOOD』といった趣きの仕上がり。
わめき型の絶叫Voや、歪んだ音色でシュレッドされるGリフにブラック・メタル時代の面影を留めつつも、嘗てないレベルでクラシカルなオーケストレーションが大胆に導入された作風は、RHAPSODY辺りのシンフォニックHMバンド群と比べても何ら遜色はない、スケールの大きさとドラマ性の高さを誇るが、このバンドの場合、ヒロイックな高揚感なんぞ微塵も感じさせないのが「らしい」ところ。荘厳さや大仰さが、飽くまで禍々しさ/邪悪さ/絶望感といった負の要素を強調するための手段でしかないんですよね。
RPGで、地図もなしにセーブ・ポイントが全くない地下迷宮を彷徨った挙句、レベルが違うモンスターに次々に襲いかかられて涙目になった時の気分が追体験できる1枚。・・・例えが悪い?


SIGH - Hangman's Hymn: Musikalische Exequien - Death With Dishonor ★★★ (2008-02-21 22:24:27)

個人的には7thアルバムのハイライト・チューン。
禍々しいGリフに、畳み掛けるような疾走感、
炸裂するかの如き劇的な盛り上がりをみせるサビの
素晴しさも然る事ながら、個人的に痺れたポイントは、
隠し味として導入されている壮麗なピアノの音色。
このバンドは本当にピアノ・サウンドとの相性が良いなぁ。


SIGH - Infidel Art ★★★ (2007-11-05 22:19:00)

浮世絵師・歌川国芳の作品「平相國清盛入道」を用いたジャケット・アートワークが異彩を放つ、'95年発表の2ndアルバム。
現在ではカテゴライズ無用の個性的なメタルを演ってるSIGHなれど、この頃の彼らは、メンバーの顔に施されたコープス・ペイントや、ダークでイーブルな楽曲の数々、そしてブックレットの「この作品を'93年に刺殺されたMYHEMのユーロニモスに捧げる」とのクレジットが物語る通り、バリバリのブラック・メタル・バンド。
それも、大半の収録曲が7分を超える大作主義に、メロディアスに歌い上げるクリーンVO、クラシカルなメロディ、ドラマチックな曲展開といった要素を大胆に取り入れたメロブラ・サウンドを披露。丁度、その手の音楽が大きな盛り上がりを見せていた時期だったが、ブームの中にあっても埋没することのない、確固たる個性を備えた本作は、当時、かなり愛聴させて頂いた覚えがある。(勿論、今も)
肝は、単なる彩り以上に大フィーチュアされ、サタニックな雰囲気の醸成から、壮大なスケール感、「静」と「動」のドラマ演出まで、大車輪の活躍を聴かせるKeyの存在。特に、禍々しい曲調の中で閃光の如く閃くピアノ・サウンドは絶品で(生ピアノなら尚良かった)、ある種の気品すら漂わせる事に成功している。
個人的には、OPナンバーに相応しい疾走感と、混沌としたインスト・パートが印象に残る①、荘厳なオーケストレーションを伴って疾走する様が、時にXを思わせなくもない(?)アルバムのハイライト候補②、ノーマルVoによるメロウな冒頭を経て、歪み切ったGリフがシュレッドされるストレートなブラック・メタル・ソング⑤、そして劇的さにかけては本編随一と言える、10分に迫る大作⑥辺りがお薦め。その他の楽曲も総じて出来は良く、捨て曲レベルのモノは見当たらない。
息も絶え絶えといった感じの喚き型Voの迫力不足と、素人っぽいノーマルVoの歌唱のせいで、チープさが漂う点が惜しまれるが、ともあれ、このバンド独特の美意識が際立つ内容に仕上がっているのは、間違いない。


SIGH - Infidel Art - The Zombie Terror ★★★ (2007-11-05 22:42:01)

音程無視の喚き型Voの迫力不足と、ノーマルVoの音痴さは
如何ともし難いものの、楽曲自体の完成度の高さは流石。
重々しい疾走感を基本としつつも、そこにドラマチックな曲展開や、
荘厳で格調高いシンセサイザーやピアノ・サウンドを巧みに織り込む手腕は、
時にXを思い出したりも。初めて聴いた時はかなり衝撃を受けました。


SIGH - Scenes from Hell ★★★ (2011-02-27 19:31:31)

去年ショックだった事と言えば、とうとう西新宿のDISK HEAVENが店を畳んでしまった事なのだが、そこの閉店セールで最後に購入した作品がこれでした。(しかし西新宿の寂れっぷりには歯止めがかからんなぁ)
所属レーベルのサウンドホリックまで店じまいをしてしまったため国内盤のリリースは見送られてしまったが、マスタリングをジェームズ・マーフィが担当し、絶叫型Vo、歪んだ音色のリフ・ワークからヘヴィ・メタリックなソロまでこなすG、そして、時にリード・セクションの役割を果たす大仰なオーケストレーションを纏って、ツー・ビート主体でスラッシュ/ブラック・メタリックに疾走しまくる楽曲群・・・と、その内容は前作『HANGMAN'S HYMN』の作風を順当に踏襲。
今やオーケストラを導入したエクストリーム・メタルは珍しくも何ともないが、本作がユニークなのは、弦楽器と同じくらいの比率で管楽器も導入されている点で、鳴り物がドラマティック且つ景気良く吹き荒れるパートはユーロ・プログレちっく(?)なカオスを演出。それでいて前衛的な雰囲気や小難しい印象がないのは、↑上で別の方が指摘されておられる通り、このバンド独特の木目細い感性で構築された、悲壮にして劇的なメロディの魅力ゆえか。
特に、スピーディな楽曲が揃った本編の中において、葬送曲的な暗鬱且つ禍々しいメロディとヘヴィネスが異彩を放つスロー・ナンバー⑤は、個人的に本編中において最も耳惹かれた名曲。


SIGH - Scorn Defeat ★★ (2008-02-12 21:35:00)

悪名高き悪魔崇拝団体「INNNER CIRCLE」の首領、MAYHEMのユーロニモスが主催するDEATHLIKE SILENCE PRODUCTIONと契約を交わす等、海外にも広く名前の知られる東京出身のトリオ・ブラック・メタラーSIGNが、'93年に発表した1stアルバム。
尚、同年にユーロニモスが刺殺されてしまった為、本作はその後を引き継いだVOICES OF WONDER RECORDSからリリースされていて、裏ジャケには「TO THE MEMORY OF EURONYMOUS」との献辞も見られる。
自分がSIGNの音に触れたのは、2nd『INFERAL ART』が最初だったが、その時に感銘を受けた、このバンドならではの特異な個性は、本作の時点で既に立派に確立済み。ブラック・メタル然とした、ドス黒く禍々しいアグレッションに満ち溢れた楽曲に、美しくドラマティックだが、どこか不安感を煽るメロディや、流麗且つ荘厳なKeyの音色が絡みつくサウンド・スタイルは、'93年という発表時期を考えると、かなり(というか相当に)革新的。
特に、寒々しく荒涼とした雰囲気漂うスロー・パートに始まり、途中、アバンギャルドな展開を見せたかと思えば、ラストはヴァイキング・メタルばりに劇的に盛り上がって幕を閉じる①に、SLAYERを彷彿とさせる激走っぷりの序盤、不協和音チックなアコギとオーケストレーションが、不気味な美しさを演出する中盤、そして両者が一丸となって怒涛の如く突進する終盤から構成される②といった、インパクト十分の名曲を擁する、アルバム前半「SIDE REVENGE」のクオリティには凄まじいものがある。(ちなみに後半は「SIDE VIOLENCE」)
後の作品に比べると、まだ荒削りで冗長な部分も目に付くものの、1stアルバムとしては申し分ないインパクトと完成度を備えた1枚。


SIGH - Scorn Defeat - A Victory of Dakini ★★★ (2008-02-12 21:41:48)

引き摺るようなヘヴィでダークなスロー・パートに始まり、
中盤ではジャズ風味のアバンギャルドな展開を見せたかと思えば、
後半はヴァイキング・メタルばり(一瞬MANOWARかと)に
ドラマティックに盛り上がっていくという、
禍々しく、草木も生えない荒涼とした大地を想起させる名曲。


SIGNAL - Loud & Clear ★★★ (2024-06-27 23:42:53)

傑作の誉れ高い1stソロ『LONG WAY FROM LOVE』(’93年)の発表や、KING KOBRAの名盤『READY TO STRIKE』(’84年)の再発、更にブルース・ゴウディらと結成したUNRULY CHILDの始動等を経て、シンガーのマーク・フリー(現マーシー・フリー姐さん)に対する興味がグングン高まっていた時期にチェックしたのが、SIGNALが’89年に残していたこの唯一のアルバム。
SIGNALはマークと、元ALCATRAZZのヤン・ウヴェナ(Ds)らにより結成されており、本作のプロデューサーには売れっ子ケヴィン・エルソンを起用。哀愁成分こそ然程ではないものの、米メジャーのEMI RECORDSからのリリースだけあって、厚みのあるプロダクションを得て繰り出されるフックの効いたメロディ満載のハードポップ・サウンドは、梅雨時のジメジメを吹き飛ばしてくれるような爽やかさ満ちた仕上がり。特に本編開巻を宣言する①はメロディ愛好家からも名曲として太鼓判押される爽快なOPナンバーで、逆に「この曲以外はイマイチ」みたいな評価もあったりするようですが、個人的には断じて否を唱えさせて頂きたいところ。重厚な⑤、キャッチーな⑥、感動的なバラード⑦、レゲエ調の導入からサビへ進むにしたがって哀愁が増していく⑨、TRIUMPHも演っていた⑩あり…とどこに出しても恥ずかしくない逸曲が揃っていますし、加えて「まさに全盛期!」という力強さで伸びていくマークの艶やかなハイトーンVoがそれらの魅力を更に底上げしてくれていますよ。
昔も今も日本盤が発売されたことがない、ということ以外は弱点が見当たらない名盤じゃないでしょうか?


SIGNAL - Loud & Clear - Arms of a Stranger ★★★ (2024-07-03 23:21:40)

個人的にはこの曲以外も良い曲が揃っているアルバムだと思っているのですが
とはいえこの名曲が頭抜けた輝きを放っていることは間違いのない事実。
爽快な曲調に、気持ち良く伸びていくマーク・フリーのハイトーンVoがマッチしています。


SILENT SCYTHE - Suffer in Silence ★★ (2006-09-08 23:49:00)

スウェーデン産の5人組パワー/スラッシュ・メタル・バンド、'04年発表の1stアルバム。
(正確には'03年に自主制作した作品のリニューアル盤らしい)
製作過程がかなりドタバタと慌しかったようで、どうにもマテリアル不足の感は否めず、全8曲のうち、
イントロ代わりのSE①と、ボーナス・トラック的なスタジオ・ライヴ・テイク⑧を除けば、僅か30分ちょいという
アルバムのランニング・タイムに物足りなさが残るが、それは本作の仕上がりが強力だからこそ。
サウンド・プロダクションや歌メロにはモダンな雰囲気が感じられるものの、そこに北欧のバンドならではの
憂いを帯びたメロディやリフ・ワーク、ドラマチックなGソロが加わる事で、独特な魅力が発生。
特に、凄まじいアグレッションを撒き散らしながら疾走する、AT THE GATES風の高速スラッシュ・チューン②、
IRON MAIDENばりのツイン・リードが印象的な⑤(これに限らずGコンビはアルバム全編で非常に良い仕事をしている)、
スピーディな曲調と浮遊感漂うサビ、そして劇的なGソロの対比が美しい⑥といった楽曲は、その好例か。
ラフな仕上がりながら、ラテン風味の効いたアコギ・バラード⑧も○。
メンバーでは、メロディックな歌い上げもこなす一方、NUCLEAR ASSAULTのジョン・コネリーを彷彿とさせる
ハイテンションなシャウトもキメまくるVoの存在が光るが、何とその彼氏はアルバムの発売を待たずして脱退。
既にバンドには後任Voが加入済みとのこと。果たしてこの逸材Voの穴を埋められるほどの実力者か否か・・・
完成間近と伝えられる2ndアルバムの発表を待ちたいところ。


SILVER BACK (2011-07-29 20:12:46)

'87年に結成された北海道は札幌出身の古豪HMバンド。
'92年制作の8曲入り(アルバム・レベルのボリュームですよね)デモ『DIVINE CAPRICE』を筆頭に、数本のデモテープを発表して活動を軌道に乗せると、'94年に1stアルバム『UNCULTIVATED LAND』を自主制作。
'96年にはSABER TIGERの木下昭仁(G)をプロデューサーの座に迎えてレコーディングされた2nd『NATIVE』をリリース。(こっちも自主制作だったかな)
RDX等へのゲスト参加で知られる伊熊誠(Vo)の脱退という事件が勃発するも、バンドは後任メンバーを入れることなくトリオ編成で活動を継続。
'04年には8年振りとなる新作アルバム『A THOUGHT ON LIFE DURATION OF SPECIES AND HUMAN BEHAVIORS』を発表している。


SILVER BACK - NATIVE ★★★ (2011-07-28 22:29:42)

プロデューサーの座にSABER TIGERの木下昭仁(G)を迎えたことで音質の大幅向上が図られ、ICED EARTH辺りと共通点の見出せる「気持ちスラッシュ寄りのパワー・メタル」サウンドが更なる迫力を獲得した、'96年発表の2ndアルバム。
ICED EARTH程の大仰さはない代わりに、如何にも北海道出身バンドらしい(先入観?)モノクロームな冷気を孕んでいる点が本作の特徴で、男の哀愁を伝えるソリッドなVo、冷やかでメランコリックなメロディを紡ぐG、そして活発に動き回り勇壮なアクセントを加えるBとが、図太いリズムに乗ってパワフルに押し出してくる楽曲の数々は、IRON MAIDENばりの勇ましさで畳み掛ける②を筆頭に、激しく盛り上がっても何処か荒涼としていて寒々しい。
取り分け、パワー・バラード調の劇的さを有する③、本編前半の山場となるドラマティックな大作曲④、静と動の対比が効いたスラッシーな疾走曲⑥、そしてラストを締め括る3部構成の組曲⑧といった楽曲で爪弾かれるアコギが醸し出す、凍えんばかりの寂寥感は絶品ですよ。
ちなみにその⑧は、“FEMT”というタイトルが物語るように漫画『ベルセルク』に着想を得て作曲されているのだが、驚いたことに原作者の三浦健太郎がコーラス隊の一員としてアルバムに参加。よもやの公認ソング仕様とはビックリだ。


SILVER BACK - NATIVE - FEMT ★★★ (2011-07-30 23:58:05)

3部構成、10分オーバーの長尺で
大スケール且つドラマティックに展開する
漫画『ベルセルク』へのトリビュート・ソング。
剛柔の表現力に長けたVoとGの実力が
如何なく発揮された名曲じゃないでしょうか。


SILVER BACK - NATIVE - IN ORDER TO LIVE ★★★ (2011-07-30 23:52:52)

勇壮な曲調とアクティブなBランが
IRON MAIDENを彷彿とさせる、
個人的に2ndアルバム収録曲の中でも
お気に入りの名曲。


SILVER BACK - UNCULTIVATED LAND ★★ (2011-07-29 20:16:58)

現在も活動中(多分)のベテラン道産子メタル・バンドが'94年に発表した自主制作の1stアルバム。
和製ICED EARTH的というか、風雪吹きすさぶ北海道の広大な原野を、ひとりコートのエリ立てて突き進む益荒男の姿が思い浮かぶような(意味不明)、重厚でドラマティック、そして硬質な冷気を纏ったノーザン・パワー・メタルという、このバンドならでは音楽性は既に固まっている事は確認できるが、一方で貧相なサウンド・プロダクションと、メリハリに欠ける構成に足を引っ張られ、次作以降の作品に比べるとやや冗長な感もある本作。(60分近い長大な収録時間もマイナスに働いている)
尤も、伊熊誠の男の哀愁背負った野太いVoや、寂寥感を湛えたメランコリックなメロディを豊かに紡ぎ出す(特にアコギ・プレイが秀逸な)田中キヨヒサのG、単なるリズム楽器以上の存在感を主張するBなど本編に聴き所は多く、中でも③⑦といったバラード系の楽曲で発揮される荒涼としたメロディ・センスや、ラストに置かれた大作曲⑨の劇的さは、このバンドが只者でないことを如実に物語る素晴しい出来栄え。
ちなみに⑨は漫画『ベルセルク』へのトリビュート・ソングでもあるのだが、彼らは次作『NATIVE』でも同様の題材を扱い、しかも今度は原作者本人にもお出まし願うというマニアっぷりを披露しているのであった。


SILVER BACK - UNCULTIVATED LAND - BLACK KNIGHT ★★ (2011-08-01 23:41:58)

1stアルバムのクライマックスを飾る11分に及ぶ大作ナンバー。
漫画『ベルセルク』に着想を得て書き上げられた
楽曲だが、同様のコンセプトを備えた次作収録曲
“FEMT”に比べると、やや冗長な感有り。
それでもドラマティックな曲展開や、中間部で登場する
寒々しい民謡風メロディ・パートなど聴き所は多い。


SILVER BACK - UNCULTIVATED LAND - WHITE ★★★ (2011-07-31 21:04:51)

8分に及ぶ大作バラード・ナンバー。
男臭い濁声とクリーンな歌唱を使い分ける
伊熊のVoと、エモーショナル且つメランコリックな
メロディを奏でる田中のGがいかに曲展開を
激しくドラマティックに盛り上げようとも、
楽曲を厚く覆った寒々しい寂寥感が薄れることがない辺りは
さすが北海道のバンドと言ったところでしょうか。


SILVER MOUNTAIN - Before the Storm(demo 1980) ★★★ (2020-02-18 23:33:50)

我が最愛の北欧メタル・バンド、SILVER MOUNTAINがデビュー前に制作したデモテープが、マニアックな作品のリイシューに関して定評のあるMETAL MINDから正式商品化。前世紀ならば「SILVER MOUNTAIN先進国」としてこの手の発掘作業は日本のお家芸だったのに、すっかりCD化大国の栄光は遠くへ去りにけり…。
一応リマスタリングが施されてはいるようですが、所詮はデモ。音質は下の下で、ヨナス・ハンソンのVoも不安定極まりない。尤も、音の良さや歌の上手さを求める人がSILVER MOUNTAINに手を出すわきゃないので(断言)これはマイナス点には当たりません。ええ、当たりませんともさ。ただ殆どの楽曲が既に何らかの形で世に出てしまっているので、正直マニア以外がわざわざ手を出す価値は見い出し難いかなぁと。
逆にファンであれば興味深く聴ける1枚であることは確かでして。ネオクラシカル系とは一線を画する侘しい詩情湛えたヨナスのGは相変わらず唯一無二の魅力を放っていますし、何よりヨハンソン兄弟加入前のツインG編成期ということで、1st、2nd、4th収録バージョンに比べると楽曲もゴリゴリと無骨な仕上がり。例えばイェンス・ヨハンソンの華麗なピアノ・ソロが衝撃的だった名曲“VIKINGS”は、北欧メタルというよりNWOBHMに近しい荒々しさを伴い疾走していてこれはこれでなかなか乙な味わいですよ。あと“PROPHET OF DOOM”は『BREAKIN’ CHAINS』よりも本作収録Ver.の方が数倍カッコイイんじゃないかと。
膝の力が抜けるジャケット(一応1stアルバムと関連付けたデザインではあるのだけど)を見ても買う気の挫けない諸兄にお薦めする1枚。


SILVER MOUNTAIN - Before the Storm(demo 1980) - Vikings ★★ (2020-02-20 00:50:11)

1st収録バージョンは、3分18秒あたりからスタートする
イェンス・ヨハンソンのピアノ・ソロに魂を持って行かれる名曲でしたが
こちらはイェンス加入前ということで、そこの部分はGソロでカバー。
結果、NWOBHM由来の大味…もとい、荒々しい無骨さが際立つ仕上がりに。
これはこれで捨て難い魅力がありますよ。


SILVER MOUNTAIN - Breakin' Chains ★★ (2012-09-26 00:23:04)

「遂にこの日が!」という感動の涙と、「お前、全然変わってねぇな」という苦笑とで、世界中のSILVER MOUNTAINファンを泣き笑いさせた、'01年発表の復活作(4th)。
一発録りみたいな薄っぺらい音質と、自主制作デビュー・シングルや初期デモ・テープの収録曲のリメイクが半数を占める構成からも明らかなように、本作は確信的に(それこそ笑っちゃうぐらい)1st『SHAKIN' BRAINS』の音世界の再現が試みられており、良くも悪くも全く変わらないヨナス・ハンソンのいなたいVoと、イングヴェイとは一味違うスタイルでネオクラシカル道を追求する彼のGプレイもそうした印象に拍車を掛けてくれています。
完全に「ファン向け」と割り切った(=ファン以外にはとてもじゃないけど薦められない)作風には、いちファンとして喜ぶべきか悲しむべきか複雑な心境ですが、それはそれとして、ここで繰り広げられる陰気でマイナー、且つ猛烈な郷愁を撒き散らかす北欧メタル・サウンドが、唯一無二の魅力を備えているのは間違いのない事実。
特に、寒々しく疾走するOPナンバー①や、北欧民謡調の風情を湛えた②、クラシック曲のフレーズを引用したGソロに仰け反る④⑦辺りは「よっ、待ってました!」と思わず大向こうから声の掛かかる名曲ですよ。
インスト曲が連続する本編後半の水増し感や、影の薄いイェンス・ヨハンソンのKeyプレイ(折角1stの作風を再現するのなら“VIKINGS”ばりのピアノ・ソロが聴きたかった)等、限りなく「ヨナスのソロ・アルバム」的な雰囲気も漂って来るアルバムなんスけどね。


SILVER MOUNTAIN - Breakin' Chains - Man of No Present Existence ★★★ (2012-09-27 23:28:09)

自主制作のデビューシングル盤の収録曲をリメイク。
ヨナスのVoが当時と殆ど変わっていなくて笑えます。
彼が繰り出すドラマティックなGソロ(オリジナル版とは異なる)だけで
ご飯おかわり3杯ぐらいはいけそうな素晴しさですが、
ここでメロディが引用されている曲のタイトルが思い出せない。
多分クラシックだと思うんだけど・・・。


SILVER MOUNTAIN - Roses and Champagne ★★★ (2009-11-28 12:38:00)

北欧メタルならではの様式美や疾走感が減少し、ポップさを増した作風が「売れ線に走った」と批判され、リリース当時の評判は余り芳しくなかったものの、90年代の再発を期に評価が逆転、今では「隠れた名盤」とまで言われるようになった'89年発表の3rdアルバム。
実際、音質といい、甘い声質で(ピッチも甘いが)ポップなメロディを歌い上げる新Voの歌唱力といい、前2作よりも確実にレベルUPを遂げており、勿論、ヨナス・ハンソンのクラシカルなGプレイも健在。
但し、今回は同じクラシックでもバロック調と言うよりはルネッサンス音楽的(?)な優美さが強く感じられ、取り分け、ロマンティックな美旋律に彩られたOPナンバー①や、思わずステップ踏みたくなる北欧民謡風の哀感漂う⑧⑨といった楽曲は、SILVER MOUNTAINの新たな魅力が顕在化した名曲。これらの楽曲に限らず、ノスタルジーを刺激される哀愁を猛烈に撒き散らすヨナスのGプレイは、ホント胸に沁みますなぁ。
その一方で、多少ポップになったとは言え、北欧のバンドならではの陰気さが完全に消し去れるわけもなく(褒め言葉)、ヨナスのいなたいVoが寒々しい曲調を一層強化するバラード③や、本編随一のネオ・クラシカル・チューン⑤等、1stや2ndの頃を想起させるタイプの楽曲もしっかりと収録。
全体的には前2作とは若干趣きを異にするものの、これはこれで素晴しい作品。気になる事と言えば若気の至り感が炸裂しまくりの、裏ジャケに載ったメンバーのルックスぐらいのもんです。(ソフトフォーカス効き過ぎ)


SILVER MOUNTAIN - Roses and Champagne - Romeo and Juliet ★★★ (2009-11-28 12:47:48)

SILVER MOUTAINの新生面が打ち出された
3rdアルバムの作風を象徴するかのような名曲。
クラシカルな要素もあるが、ドラマティックで厳粛な
バロック音楽よりも、もっと優美でロマンティックな
ルネッサンス音楽的な味わいが心地良い1曲。


SILVER MOUNTAIN - Shakin' Brains ★★★ (2009-11-27 21:46:00)

音質の酷さはデモテープ並、様式美HM的なドラマ性よりも、NWOBHM由来の荒っぽさが前面に押し出された楽曲は、後の作品に比べ随分と荒削りな上、調子っ外れなヨナスのVoといい、危なっかしいアンダースのDsといい、演奏はかなり不安定・・・と、控えめに評価しても欠点だらけのB級メタル然としたSILVER MOUNTAINのデビュー作('84年発表)なのだが、にも関わらず、個人的に「北欧メタル」と聞くとなぜだか数多ある名盤を差し置いて、本作の事が真っ先に思い浮かんでしまう。
その最大の魅力は、やはり何と言ってもヨナスのクラシカルなフィールに溢れたGによって紡ぎ出される、寒々しく朴訥とした泣きを湛えたメロディの数々。
特に、フランス国歌“マルセイユの歌"のフレーズをフィーチュアしたOPナンバー①は、高揚感を誘う勇ましさと、どこか郷愁をそそられる物悲しさを兼ね備えた必殺の名曲。鼻が曲がりそうなぐらいのクサメロが炸裂する(殆ど演歌の世界)③のGソロも良いねぇ。
また、本編においてそのヨナスのGとタメを張る存在感を発揮するのが、当時から「天才キーボーディスト」の称号を受けていたイェンス・ヨハンソンのKeyプレイで、GとKeyがスリリングに火花を散らす疾走チューン②⑥のような楽曲の劇的なまでのカッコ良さは、彼の華麗なKeyワークがあったればこそ。取り分け⑥のクライマックスにおける鬼気迫るピアノ・ソロは、未だに北欧メタル・ファンの間では語り草であり、ぶっちゃけ本作はこの流麗なピアノ・ソロを聴くためだけに購入しても損はない!と断言したくなるほど。


SILVER MOUNTAIN - Shakin' Brains - Vikings ★★★ (2006-12-13 21:52:08)

NWOBHM的なリフが疾走する楽曲自体は、それほど特筆すべき点はないものの、
曲の後半部分で炸裂する、イェンス・ヨハンソン入魂のピアノ・ソロ・パートは鳥肌モノの迫力。
何度聴いても痺れます。


SILVER MOUNTAIN - Universe ★★★ (2006-12-13 21:47:00)

ありゃー、人気ないのね、この作品。個人的には、この'85年発表の2ndアルバムこそ、SILVER MOUNTAINの最高傑作であるだけでなく、80年代の北欧メタル・ブームを代表する名盤の1つだと思っているのだけど・・・。
傑作ではあったものの、ヨナス・ハンソンの素人っぽいVoと、デモテープ並の劣悪な音質に大きく足を引っ張られていたデビュー作『SHAIKIN' BRAINS』に比べ、今回は歌える専任Vo.クリスター・メンツァーの加入と、サウンド・プロダクションの飛躍的な向上(前作が悪過ぎただけともいう)で、その2つの弱点をしっかりカバー。
そして何より素晴しきは、DEEP PURPLE的なロックンロール色が減退し、北欧様式美メタル分が強化された収録曲の数々!名手ヨナス・ハンソンによる、北欧民謡風のメロディが胸に染みる①②、泣きのバラード④、ペア・スタディンのリードBも勇ましい⑥といった楽曲も冴えているが、特筆すべきは、如何にも北欧的な寒々しいリフと、クラシカルなメロディが疾走するスピード・チューン③と、脱退した天才Key奏者イェンス・ヨハンソンの後任として参加している助っ人Keyが、イェンスに勝るとも劣らないピアノ・ソロを披露するドラマチックな⑤(曲の完成度は“VIKING"以上)。
共に「これぞ北欧メタル!」という魅力をギュッと凝縮したかの如き必殺の名曲。メタル・ファンは聴かずに死ぬ事なかれ。


SILVER MOUNTAIN - Universe - Why ★★★ (2006-12-13 22:03:42)

名曲“VIKING"に勝るとも劣らないピアノ・ソロが聴ける、2nd収録のキラー・チューン。
あちらが「動」なら、こちらのピアノ・ソロは「静」の魅力に溢れていて、
タンゴ調のメロディが胸に染みます。
何より、ドラマチック極まりない曲自体のクオリティが、“VIKING"を大きく上回っているのが素晴しい。


SILVER MOUNTAIN - hibiya –LIVE IN JAPAN ’85– ★★ (2009-12-08 19:49:00)

SILVER MOUTAINが'85年に日比谷野外音楽堂で行った来日公演の模様を捉えたライブ盤。(助っ人Keyはマッツ・オラウソンだ)
廃盤状態の続く国内盤CDには法外なプレミア価格が付けられているが、記録的価値こそ高いものの、発表当時から
指摘されてる通り、バンドの経験不足が露呈してしまったラフで荒削りなパフォーマンスが収められた本作(選曲もイマイチ)を
楽しめるのは、実際にこのライブを生で目撃した人か、もしくは余程のマニア・・・それこそ野音を目にしただけで
「ここでSILVER MOUTAINがあのライブ盤をレコーディングしたのか!」と思わず感極まって涙したという(?)
故チャック・シュルデナー級の人でなければ厳しかろう・・・なんて思ってたんだけど、先日、再発された
リマスター盤を購入してみたら、これが案外、最初から最後まで楽しく聴く事が出来て我ながら驚いた。
VoやGに若干の修正が施されたLP音源が元になってるってのも大きいんだろうが、昔は気になった、ガナリ気味のVoや
走りまくりのラフな演奏は、今では「ライブならではの臨場感」とポジティブに受け止められるし、何より、
スタジオ盤以上の泣きっぷりを炸裂させる、ヨナス・ハンソンのGプレイが素晴しいったら。(⑤なんて号泣もんでしょう)
お世辞にも「ライブ盤の名作」とは言えない内容だが、個人的にはひっそりと愛聴していきたい1枚。せっかく
再発された事ですし、また廃盤になる前に未聴のSILVER MOUNTAINファンの方はこの機会に是非どうぞ。スタジオ盤
未収録曲⑥を聴けますよ。(なかなかの佳曲なのに何で『BREAKIN' CHAINS』でリメイクしてくれなかったんだろう?


SILVER(USA) (2013-01-20 00:24:02)

フォーク・デュオとして活動していたジョン・バドロフ(Vo、G)が音頭を取って'76年に結成。
ARISTA RECORDSからリリースしたシングル“WAM BAM”(邦題“恋のバンシャガラン”)が、いきなり全米チャート第16位にランクインするスマッシュ・ヒットとなり、幸先の良いスタートを切ったバンドだったが、残念ながら後が全く続かず。
『シルヴァー・ファースト』との邦題が付けられた'76年発表のセルフ・タイトルのデビュー作も不発に終わり、結局『シルヴァー・セカンド』が実現する前にバンドは活動を停止。今となっては年季の入った音楽ファンの記憶の片隅に「銀色の一発屋」として留め置かれるのみ・・・なのか?
アルバム『SILVER』は良い出来だと思うんですけどね。


SILVER(USA) - SILVER ★★★ (2013-01-20 00:27:57)

ゲイリー・バーデンのバンドとは勿論無関係。
言葉の意味はよう分からんが、甘酸っぱさは十二分に伝わって来る“恋のバンシャガラン”なる邦題を冠した名曲“WHAM BAM”をスマッシュ・ヒットさせたことで知られるアメリカの5人組が、'76年に発表した唯一作。
“シャ・ラ・ラ・ラ・・・♪”というコーラスが如何にも時代を感じさせる同曲に代表されるように、聴いているだけで何やらノスタルジックな気分にさせられるウェスト/コースト風ロック・サウンドを得意とするバンドで、何しろOPナンバーからしてメロメロにメランコリックなバラード。というかHR/HMファン的には全編がバラードに聴こえてもおかしくないソフトな仕上がりゆえ、ハードな調べのみを希求する向きには全くお薦めできない1枚であります。
その一方で、個人的にはこのバンドの「泣き」に対する拘りにはかなり心惹かれるモノが有って、美しくも重厚なボーカル・ハーモニーが前面に押し立てられた、甘く切ない哀メロの海に溺死寸前な①、優雅で柔和なバラード③、楽器隊が70年代HR的インタープレイで後半を盛り上げる④、感傷的なロック・ナンバー⑥、ウォームな音色で紡がれるGソロに心温まる⑦といった楽曲における猛烈な「哀愁ヨロシク」っぷりには、もう軟弱でもいいや、と降参せずにはいられないところであります。


SILVER(USA) - SILVER - MUSICIAN(IT'S NOT AN EASY LIFE) ★★★ (2013-01-21 23:55:47)

感傷的な泣きを湛えた名バラード。
哀愁のメロディと、聴き手を優しく包み込むような
重厚なハーモニーが、えもいわれぬ恍惚感を
呼び起こします。


SILVER(USA) - SILVER - NO WONDER ★★★ (2013-01-21 23:58:02)

ソフトで柔和な楽曲が顔を揃える本編にあって、
この曲は後半のインスト・パートにおいて
楽器隊が熱気を孕んだハードなインタープレイを披露。
アルバムの中で効果的なアクセントとなっています。


SILVER(USA) - SILVER - WHAM BAM ★★★ (2013-01-20 20:54:11)

哀愁に満ちたメロディや透明感を湛えた美しいコーラスが
もろ70年代歌モノロックの風情を醸し出していて
無性に郷愁をそそられます。
“恋のバンシャガラン”なる邦題を考えた人は
ある意味凄い才能の持ち主じゃないかと。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm ★★★ (2016-12-05 23:59:50)

エンジェル・シュライファーとマティアス・ディート。ジャーマン・メタル・シーン指折りの実力派ギタリスト二人を新メンバーに加え、マット・シナーも「SINNERが最も充実していた時期の一つ」と述懐する強力なラインナップでレコーディングが行われ、'86年に発表された5thアルバム。(尤も、エンジェル・シュライファーは制作途中でPRETTY MAIDSに引き抜かれてしまうのですが)
前作『TOUCH OF SIN』は、絶妙なバランスでハードネスと哀愁のメロディが共存する「SINNER節」と表すべきサウンドを確立させた名盤でしたが、ドン・エイリーをゲストに迎えてKeyのフィーチュア度が格段に高まった今作は、コマーシャル路線へと大きく舵を切り、早くも音楽性に拡散の兆が見受けられるようになりました。
とは言え、明るくポップに疾走する①にしろ、タイトル“FASTER THAN LIGHT”に反して全く走らないけれど憂いを帯びたメロディには非常にグッとくる②や、本編のハイライトの一つに挙げたいぐらいハマっているビリー・アイドルのカヴァー⑤、それに軽快に駆け抜けていく⑥にしろ、シンセ類を活かした洗練を感じさせるアレンジから、相変わらずフックに富むメロディまで、楽曲の完成度は前作にも引けを取らない充実度。尚且つ攻撃的なツインGが映える⑨みたいなHMナンバーもちゃんと押さえられていたりと、隙のない作りが実に立派です。SINNERファンの間で高評価を受ける1枚なのも納得ですなぁと。
ちなみに、かつて再発された日本盤は次作『DANEROUS CHARM』との2㏌1仕様(発売元のビクターの得意技でした)。もしご購入を検討される場合はお得なそちらをどうぞ。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm - Playing With Fire ★★★ (2016-12-07 00:11:39)

ややポップ化が進行した本編にあって、随一のHM度の高さで
気を吐く小気味のいい疾走ナンバー。
メタリックなGリフのカッコ良さと、メロディアス&ドラマティックな
ツインGの活躍ぶりには思わずコブシを振り上げたくなるというもの。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm - Rebel Yell ★★★ (2016-12-07 00:08:41)

邦題“反逆のアイドル”で知られるビリー・アイドルの代表曲のカヴァー。
キラッキラのアレンジが80年代風味全開ですが、
マットの男臭い歌声と、エッジの効いたGが曲調をグッとHMサイドに引き寄せ、
まるでSINNERのオリジナル曲のようなハマりっぷりを聴かせてくれます。


SINNER - Danger Zone ★★★ (2016-11-22 23:50:09)

マット・シナー率いるドイツの古参HMバンドが’84年に発表した3rdアルバム。…というか、マット的にはドサクサ紛れでレコード会社により勝手にリリースされてしまった1stと2ndについては「未完成なデモ音源で公式カタログとしてはカウントしたくない」との姿勢のようで、これこそがSINNERの正統なデビュー・アルバムである!と。
実際、音質にしろアートワークにしろ、やっつけ仕事感がありありと伺えた前2作(内容は大変素晴らしかったのですが)に比べると、本作はNOISE RECORDSからのリリースだけあって商品としての体裁が整っています。音楽性についても、当時パワー/スラッシュ系バンドを多数抱えていたNOISEカラーに相応しく、パワー・メタル成分が大幅に増強。これまでの主たる影響源がTHIN LIZZYだったとするなら、今回はACCEPTやJUDAS PRIESTを思わす80年代型HMスタイルに照準。メロディアスな歌い上げよりもシャウトを多用するマットのVoもウド・ダークシュナイダーっぽくて微笑ましいですよ。
全体的に肩に力が入り過ぎな感はあるものの、パワフルなアルバム表題曲①を皮切りに、サビメロの展開が胸を打つ③や、印象的に歌うツインGをフィーチュアした攻撃的な⑧、そして哀愁のメロディとアグレッションがキャッチーな融合をみた名曲⑥といった疾走ナンバーの数々からは、既に現在へと至るSINNER節の原型が見て取れます。
昔ビクターから発売されてた国内盤は、最高傑作の呼び声高い4th『A TOUCH OF SIN』とのお得なカップリング仕様でしたので、もし購入をお考えならそちらをお薦め致します。


SINNER - Danger Zone - The Shiver ★★★ (2016-11-24 00:20:45)

パワーメタル成分を増強した分、哀愁のメロディの魅力が
弱まったと指摘されることの多い3rdアルバムですが、
この曲はSINNERならではメロディと、ライブ映えする
アグレッションの融合が果たされた、3rdアルバムの
ハイライトを飾る名曲です。


SINNER - Dangerous Charm ★★ (2016-12-08 00:11:35)

表題は『DANGEROUS CHARM』(危険な魅力)。でもジャケットに描かれた女が大して美人じゃないのに自信満々なドヤ顔で少しイラっと来る(笑)、’87年発表の6thアルバム。
ツインGコンビが早くも脱退し、本作は後任にアーミン・ミュッケ1人を加えた4人編成でレコーディングされています。シングル②が欧州でヒットする成功を収め、日本初お目見えとなった作品でもありますが、所属レーベルから乗り気になれないポップ路線を押し付けられた苦い思い出も手伝ってか、マット・シナー的にはあまり良い印象がない作品のご様子。かくいう自分も後追いで初めてこの作品に触れ、シンセBを使用した“ハイスクール・ララバイ”みたいな(?)①が始まった時は「ちょっと勘弁してよ」とか思いましたが。
しかしこうして改めて聴き直してみると、マットのメロディ・センスを活かし、コーラスの強化とハーモニーの増量が図られた楽曲は、1曲1曲は結構良く出来ていたのだなと。②は流石にヒットしただけあって優れた楽曲ですし、前述したOPナンバー①や、キャッチーなアルバム表題曲③のようなポップネス全開の楽曲も――SINNERらしさはさておき――ハードポップ・ナンバーとしては決して嫌いになれない…。いや寧ろ積極的に好きと言っていきたい出来栄えを誇っています。勿論、新Gのメロディアスな演奏が冴える⑤、更なる売れ線を強要してくるレーベルに対するせめてもの反抗の如き疾走ナンバー⑥、ハードネスと哀愁のブレンド具合が絶妙な名曲⑧、泣きに満ちたメロディで本編を締め括るインスト⑩といった、「これぞSINNER!」な楽曲も要所を締めてくれています。
全体的に薄味ですが料理としての質は十分高い。口に合うかどうかは好みの問題ですかね。


SINNER - Dangerous Charm - Gipsy ★★★ (2016-12-08 23:02:58)

Keyを目立たせたアレンジが時代を感じさせますが、
適度にハードな疾走感といい、哀愁を帯びたメロディといい、
本編中において最もSINNERらしいバランス感覚で
酔わせてくれる名曲です。


SINNER - Fast Decision ★★ (2007-08-15 20:59:00)

マット・シナー率いるドイツ出身のベテラン・ハード・ロック・バンドが'83年に発表した2ndアルバム。
アルバムといっても、当時の所属レコード会社がバンドに無断で、勝手にデモ音源をリリースしてしまった
というのが真相らしく、マット・シナーはこのアルバムを、SINNERの正式な作品とは認めたくないのだとか。
そんなわけで、90年代半ばにSINNER再評価の機運が高まり、彼らの過去のカタログが一斉に再発された際も
そのリストから外されていた本作は、実際、落書きみたいなジャケット・アートワークは酷いわ、サウンド・プロダクションも
ショボイわで、確かにレーベルのやっつけ仕事感がありありと伝わって来る仕上がりなので、マットの腹立ちも分からなくはない。
ただ、そうしたマイナス面を差し引いて尚、ここに収められた楽曲の数々が放つ強い輝きが弱まる事はない。それこそ、
嘗てBURRN!!の「80年代の隠れた名盤特集」にて、現編集長が本作の名をその筆頭に挙げていたのも納得の完成度の高さだ。
適度なポップさとキャッチーさを兼ね備えたリフ、仄かな哀愁を湛えたマット・シナーのヘタウマVo、
THIN LIZZYとPRAYING MANTISを足して2で割った感じの美しいハーモニー・プレイを聴かせる華麗なるツインG・・・といった、
所謂「SINNER節」は既にこの時点で確立されていて、特に、爽やかな曲調と哀愁を帯びたサビメロの対比が秀逸な①に始まり、
じっくりと聴かせるミッド・テンポの②、序曲的なインスト③を経て、本編のハイライト・チューンにして
SINNER屈指の名曲④、ツインGが泣きまくるバラード⑤へと展開していく、アルバム前半の流れは最高に素晴しい。
事情が事情だけに正規盤の入手は困難ながら(プライベート盤は時々出回っている様子見かける)、
マット・シナー・ファンなら是非とも一度は聴いてみて欲しい逸品。


SINNER - Fast Decision - Magic ★★★ (2007-08-18 21:27:52)

イントロの“PRELUDE Nr.7"を聴いただけで出来の良さを確信する、
2ndアルバムのハイライト・チューンにして、SINNER屈指の名曲。
哀愁に満ちたメロディを紡ぎ出すツインGが
よくTHIN LIZZYと比較されるSINNERだけど、
個人的には、この頃の彼らはTHIN LIZZYよりも
PRAYING MANTISに近い印象を受けます。


SINNER - Touch of Sin ★★★ (2016-11-26 09:33:22)

ツインGの片割れを元ACCEPT~現PANZERのハーマン・フランクに代え、’85年に発表された4thアルバム。ファンからは「初期SINNERの最高傑作」との高評価を獲得、バンド側にしても、初期楽曲の再録アルバムに『A TOUCH OF SIN 2』(’13年)なるタイトルを冠するぐらいですから、内容に対する自信の程が伺えます。ジャケットだけ見るとまずそんな風には思えないかもしれませんが(笑)。
THIN LIZZYからの影響を感じさせるメロディアスHRが胸を打った1stと2nd、ACCEPT、JUDAS PRIESTを思わすパワー・メタル路線に寄せた3rdと来て、今回は従来作の美点の集約を企図。哀メロを纏って踊るツインGのハモリっぷりに思わず目が細くなる②や、ポップ・センスも活かされたキャッチーな③という、SINNER屈指の名曲が雄弁に物語る通り、2本のGが印象的に紡ぐメロディの哀愁とHM然とした力強さの絶妙なバランス、ハードに疾走しようがクサく泣こうが(あとマットの歌声がお世辞にも美声とは言い難かろうが)、常に透明感を失わない本作は、前3作の「美味しいとこ取り」とでも言うべきサウンドに仕上がっています。
以降も、タイトル通り一緒に叫びたくなる④、メロウな⑤、アグレッシブに疾駆する⑦、これまたツインGの活躍が印象的な⑨etc.…と、本編はラストまで一切捨て曲なし。振り返ってみると、聴かせるよりもノらせるタイプの代表曲①が一番地味に感じられたりするのですが、あれはライブで真価を発揮するタイプの楽曲ですからね。
SINNERは山程アルバムを発表していて何から手を付ければいいのか分からないという方は、「SINNER節」の基礎が確立した本作から入ってみるのが良いのではないでしょうか。


SINNER - Touch of Sin - Bad Girl ★★★ (2016-11-27 09:04:10)

適度な疾走感、ハードに踊る2本のG、マットの野太いVoとが
緊張感を漂わすヴァースから一転、ポップ&キャッチーに弾む
サビメロへと繋がっていく曲展開が印象的。
その合間をメロディアスに埋めるツインGのハーモニーも
相変わらずの素晴らしさ。


SINNER - Touch of Sin - Emerald ★★★ (2016-11-27 08:59:12)

曲名にも感じられるTHIN LIZZYからの影響に、
へヴィ・メタリックなエッジと透明感を湛えた哀愁の
メロディを加えて咀嚼吸収。思わず目を細める
ツインGの滑らかなハーモニーを散りばめて軽快に弾む、
SINNERならではの魅力を放つ名曲に仕上がっています。


SINNER - Touch of Sin - Too Late to Runaway ★★★ (2016-11-27 09:11:07)

前作『DANGER ZONE』の流れを汲むパワー・メタリックな
疾走ナンバーですが、剛直一辺倒に流れることなく、
マットの歌メロからツインGのフレージングまで、
メロディを大切にする姿勢が貫かれたことで
実にSINNERらしい名曲に仕上がっています。


SIX FEET UNDER - Six Feet Under ★★★ (2016-11-18 00:20:16)

日本の紫、アルゼンチンのRATA BLANCA、イタリアのVANADIUM、フィンランドのZERO NINE、イギリスのWHITE SPIRIT等々…。世にDEEP PURPLEの魂を継承するバンドは数多く存在しますが、SIX FEET UNDER(アメリカのデス・メタル・バンドにあらず)は「スウェーデンのDEEP PURPLE」と評されたボルレンゲ出身の4人組で、本作はその彼らが’86年に発表した1stアルバムに当たる作品です。
主役は「北欧のロバート・プラント」なんて呼ばれてたらしいビョルン・ローディン(Vo)の歌声と、その彼とBALTIMOORE等でも行動を共にするトーマス・ラーソン(G)の押しと引きを心得たGプレイ。時にスリリングに、時に軽快に駆け抜けて行くこの二人のパフォーマンスを基軸に、そこに濃厚なDEEP PURPLE風味を演出するピーター・オストリング(Key)の操るハモンド・オルガンが切り込んで来る本編は、もろパープル路線の①(Gリフも“SMOKE ON THE WATER風)にて幕が上がります。但し後に続くのはSURVIVORの“EYE OF THE TIGER”にインスパイアされたような③だったり、OZZY OSBOURNEが演りそうな(?)⑧だったりと、収録曲は結構バラエティ豊か。総合的な仕上がり具合は「良心的北欧メタル・アルバム」と呼べるものではないかと。それでも本作のハイライトが、バッキングがメロディアスに歌っているアップテンポの⑥、静と動のコントラストが劇的極まりない疾走ナンバー⑦という紫色が濃いめの2曲であることは疑いようがありませんけどね。
2nd『ERUPTION』と共に'94年にゼロ・コーポレーションがCD化してくれた国内盤が、現在でも中古屋に行けば比較的容易に入手可能ですので、是非ともご一聴下さいませ。


SIX FEET UNDER - Six Feet Under - Loving Man ★★★ (2016-11-20 00:43:04)

ジョン・ロード感バリバリのハモンド・オルガンを
フィーチュアしてノリノリで突っ走るHRナンバー。
一瞬のブレイク後、ハスキー声のシンガーの熱唱と
エモーショナルな泣きのGで聴き手の琴線を震わし、
そこから再び疾走へと繋げていくドラマティックな
曲展開に拍手喝采です。


SIXRIDE - TICKET TO RIDE ★★★ (2011-09-06 23:24:17)

SABER TIGERを脱退した下山武徳(Vo)が、現JADESTARの青柳慎太郎(G)らと共に結成したバンドのデビュー作。
SABER TIGERで演ってもおかしくないヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー③⑧等を収録しつつも(特に⑧は名曲!)、作品全体としては緻密さやドラマ性は程々に、適度に肩の力が抜けたHRサウンドが展開される本作において主役を張るのは、勿論下山のVoだ。
歌詞は全曲が日本語詞で書かれているのだが、これが大正解。もともとパワーのみならず表現力にも定評のあるシンガーだったが、ここでは母国語で歌う事により声から無駄な力みや歪みが消え、歌い回しが一層のナチュラルさとスムーズさを獲得、言葉一つ一つに込められた深い情感がよりダイレクトに伝わって来るようになった。
①④⑩みたいな、じっくりと力強く盛り上がっていくタイプの楽曲における、伸びやかで太い芯の通った彼の歌声は、琴線にビンビン触れまくるエモーションを備えていて、思わず泣きたくなるぐらいに感動的。
個人的には、下山武徳というシンガーのポテンシャルがフルに発揮された、彼のベストのパフォーマンスが堪能できる名盤として愛して止まない作品。


SIXRIDE - TICKET TO RIDE - DEC. ★★★ (2011-09-08 23:12:38)

普通に邦楽チャートで健闘しそうな
ポピュラリティと高揚感を湛えたサビメロ、
そしてそれを全身全霊を込めて歌い上げる
下山の歌声にグッとくる、アルバム後半の
ハイライト・ナンバー。


SIXRIDE - TICKET TO RIDE - SIGNAL X ★★★ (2011-09-06 23:26:37)

ストレート且つヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーだが、
SABER TIGERばりにフックの効いた劇的なメロディが
次々に飛び出すため、全く聞き飽きるということがない。
名曲ですね。


SIXRIDE - TICKET TO RIDE - THAT I WISH ★★★ (2011-09-07 23:56:53)

パワフルなのに物悲しく
繊細なのに力強い
下山武徳のシンガーとしての成長が
しかと刻まれた名曲。
クライマックスの盛り上がりっぷりは
息が詰まるほど。
歌詞も良いですね。


SKAGARACK - Hungry for a Game ★★ (2010-01-13 21:48:00)

シンガーのトーベン・シュミットを中心にデンマークで結成された5人組HRバンドが、'89年に発表した2ndアルバム。
北欧出身と言っても、本作に詰め込まれたサウンドは様式美HMとは一切無縁のハードポップ路線で、しっかりとした
音作りに垢抜けたアレンジ・センス、キャッチーなボーカル・ハーモニーや煌びやかなKeyサウンドが組み込まれた
楽曲からは、北欧のこの手のバンドにありがちな貧相さは殆ど感じられない。やや表現力には欠けるものの
鼻に掛かった声質で甘いメロディを歌い上げるVo、確かなテクニックで楽曲を効果的に盛り上げるGを
フィーチュアした、JOURNEY、SURVIVORといったバンドを彷彿とさせる、メジャー感溢れる
ハードポップ・サウンドの完成度は実に堂に入ったものだ。
HMはおろかHRとすら若干の距離を感じさせる音楽性ゆえ、リリース当時は「砂糖のロック」なんて批判されたりもしたが、
どっこい、甘党人間にとってはこのスウィートさこそ魅力の肝。①③なんて心地良く涼しげで爽やかな「北欧ハードポップ」
の理想的ラインを描き出す名曲だし、しっとりと泣き濡れるバラード⑧も出色の出来栄え。何度聴いても脱帽モノですよ。
本作の場合、寧ろ今リリースされた方が正統な評価が獲得できたかもしれませんね。


SKAGARACK - Hungry for a Game - Hungry for a Game ★★★ (2010-01-14 06:34:57)

甘いメロディを歌い上げるVo、
印象的なソロを決めるG、
楽曲をキャッチーに飾り立てるKey、
そして溌剌としたコーラスと、
まさに絵に描いたような北欧ハードポップ・ソング。


SKAGARACK - Hungry for a Game - Somewhere in France ★★★ (2010-01-14 06:31:27)

異国の地でのアバンチュールについて書かれた
歌詞はありがちなんだけど、メロディがとにかく素晴しい。
特に爽やかでキャッチーなサビメロは、
聴く度に心が浮き立ちますね。


SKAGARACK - Hungry for a Game - This World ★★★ (2010-01-14 06:39:18)

メジャー調の楽曲でまとめられている
2ndアルバムの中にあって、この曲の泣きっぷりは
一際耳を惹くものあり。
切々と歌い上げるVoもいいが、やっぱり主役はGかな?と。


SKAGARACK - Skagarack ★★★ (2022-04-12 00:57:28)

トーベン・シュミット(Vo、G)を中心に結成され、実在する海峡からバンド名をとってSKAGARACK(スカガラックと読む)を名乗ったデンマーク出身の5人組が'86年に発表した、「地球平面説」を題材にしたような美麗なアートワークも印象に残っている1stアルバム。帯付の国内盤CDは中古市場では5桁で取引されている超レア盤だったので、'22年に再発が実現したと聞いた時は小躍りしながらCD屋へ走ってしまいましたよ。しかも価格はたった1,100円(税込)と来たもんだ。こりゃあ快挙ですよ。
北欧出身とはいえ、彼らが聴かせてくれるのはアメリカナイズされたハードポップ。キラキラのKeyとキャッチーなメロディに彩られたサウンドを聴いて思い出すのは、同時代のBON JOVIやEUROPE、あるいはTREATといったところでしょうか。雑誌レビューでは「砂糖のロック」と評され辛めの点数を頂戴していた彼らのサウンドですが、甘党からしてみりゃ別にそんなの悪口にも当らず、むしろPVも作られたリーダー・トラック②のポップさに「甘ーい!」と舌鼓をうつぐらいのもの。一方でBON JOVIならまず演らないであろう、重厚なムードを纏った④⑦のようなヒンヤリとした耳触りのメロディをフィーチュアしたハード・ナンバー(飽くまで彼らにしてはですが)もあったりと、収録曲のバラエティは存外に豊か。キャッチーな高揚感と躍動感、北欧のバンドならではのメロディ・センスが見事な合致を見た⑤なんて、アルバムのハイライトに相応しい名曲じゃないかと。
折角なのでこの機会に多くの人に触れて頂きたい1枚。こうなったら2nd『HUNGRY FOR HEAVEN』や、トーベン・シュミットのソロの再発も是非お願いしたいところ。


SKELETONWITCH ★★ (2010-03-10 22:43:00)

メンバーが愛する、NWOBHMを主とした80年代の正統派HMやスラッシュ・メタルと、90年代以降の
デス/ブラック・メタルを掛け合わせた音楽性を追求すべく00年代前半に、Gのネイト・ガーネットを
中心に活動を開始。一応、新世代スラッシュ・メタル・バンドの一群に括られるバンドではあるが、
どちらかと言えば北欧デス/ブラック・メタル寄りのアングラ臭漂うサウンドがその持ち味。
'06年に自主制作の1st『WORSHIP THE WITCH』でデビューを飾り、アングラ・シーンで評価を高めると、
翌年、PROSTHETIC RECORDSと契約を果たし、同年には2nd『BEYOND THE PERMAFROST』をリリース。
これが日本デビュー作となった。
'09年、より完成度を増した3rd『BREATHING THE FIRE』を発表するも、こちらは現在のところ
国内盤はリリースされていない。あとクレジットを見ると、Bにメンバー・チェンジが発生しているようだ。


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost ★★ (2010-03-10 22:45:00)

アメリカはオハイオ州出身のツインGを擁する5人組が、PROTHETIC RECORDSから'07年にリリースした2ndアルバム。
デス声の入ったVo、トレモロ・リフ、時に炸裂するブラスト・ビートetc・・・と、その作風は露骨に北欧の
ブラック・メタルや、IN FLAMES、AT THE GATES等のメロディック・デス・メタル・バンドからの影響が透けて見えるが、
SLAYERばりのテンションの高さで暴走する高速スラッシュ・ソング①がアルバムのOPを飾っている事からも明らかなように、
このバンドの根幹にあるのは、間違いなく80年代のオールドスクールなヘヴィ/スラッシュ・メタル・サウンド。
特に、中心メンバーがNWOBHMからの強い影響を公言してるだけあって、メロディックに弾きまくったかと思えば、
劇的にハーモニー・プレイを決めてくれるツインGは、各楽曲のハイライトを飾るほどの存在感を発揮。
中でも、笑っちゃうくらい(良い意味で)ベタなクサメロに悶絶する④、JUDAS PRIESTの名曲“THE HELLION"を
彷彿とさせる劇的な導入部を備えた⑥、そしてイントロからクライマックスのツイン・リードに至るまで、
IRON MAIDENへの憧憬もろ出しでスラッシーに疾走する⑫は、本編最大の聴き所と言うべき名曲に仕上がっている。
正直、サウンド・プロダクションや演奏、楽曲のアレンジはかなりラフで、アグレッシブな音楽を演ってる割りに
凶暴さや禍々しさよりも、微笑ましさが先に立つ垢抜けない内容に眉を顰める向きもあろうが、個人的には、
アメリカのバンドらしからぬ湿気った作風は決して嫌いになれない・・・というか積極的に支持したい所存。頑張れ。


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost - Limb From Limb ★★ (2010-03-11 21:35:53)

JUDAS PRIESTの“THE HELLION"を彷彿とさせる
導入部を経て、激烈に疾走を開始するスピード・ナンバー。
どう聴いても、アメリカのバンドというよりは
北欧のメロディック・デス/ブラック・メタル・バンドだ。


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost - Limb From Limb ★★ (2010-03-20 00:58:19)

JUDAS PRIESTの“THE HELLION"を彷彿とさせる
導入部を経て、激烈に疾走を開始するスピード・ナンバー。
どう聴いても、アメリカのバンドというよりは
北欧のメロディック・デス/ブラック・メタル・バンドだ。


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost - Sacrifice for the Slaughtergod ★★ (2010-03-20 01:00:06)

疾走するインスト・パートで紡ぎ出される
寒々しくも猛烈な泣きを伴った叙情メロディに
思わずグッとコブシを握り締めてしまう名曲。
次作では、こうしたベタなクサメロが
余り聴けなくなってしまったのが残念。
(全くなくなってしまったわけじゃないけど)


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost - Within My Blood ★★★ (2010-03-11 21:41:34)

“SACRIFICE FOR THE SLAUGHTERGOD"と双璧を為す、
2ndアルバムのラストを締め括るハイライト・ナンバー。
イントロのツインGからしてもろIRON MAIDENしているが、
北欧デス/ブラック+スラッシュ+NWOBHMという
このバンドならではの魅力が最も判り易く体感できる逸曲。


SKELETONWITCH - Beyond the Permafrost - Within My Blood ★★★ (2010-03-20 01:01:14)

“SACRIFICE FOR THE SLAUGHTERGOD"と双璧を為す、
2ndアルバムのラストを締め括るハイライト・ナンバー。
イントロのツインGからしてもろIRON MAIDENしているが、
北欧デス/ブラック+スラッシュ+NWOBHMという
このバンドならではの魅力が最も判り易く体感できる逸曲.


SKELETONWITCH - Breathing the Fire ★★ (2010-03-11 21:43:00)

オールド・スクールなスラッシュ・メタルと、北欧デス/ブラック・メタルのハイブリッド・サウンドを
聴かせてくれる、オハイオ出身の5人組が'09年に発表した3rdアルバム。
前作はHOWLING BULL RECORDSから国内盤がリリースされたが、どうやら今回は見送られてしまったようで残念。
ブラスト・ビートを織り交ぜてスピーディに疾走するリズムの上で、咆哮型Voと、刻みの細かいササクレ立ったGリフ、
そしてメロディアスなツインGが紡ぎ出す、荒涼とした雰囲気漂う叙情メロディが荒れ狂うという、前作で披露した
音楽性は維持しつつ、プロデューサーにシアトル/グランジ・シーンの立役者ことジャック・エンディノを迎え、
音作りやアレンジ面において確かな進歩の跡が伺える、なかなかの力作に仕上がっているんだけどなぁ。
つんのめり気味に突っ走る②、勇壮なテーマ・メロディにテンションが上がる④、正統派HM風味の色濃い⑥、
大トリに相応しく劇的な盛り上がりを魅せる⑫といった、スラッシュ・メタル、北欧デス/ブラック・メタル、
それにNWOBHMと、このバンドのルーツが良い具合に混ぜ合わされた楽曲の数々は何れも聴き応え十分だし、
収録曲の平均レベルは押し並べて高め。捨て曲の類も見当たらない。
ただ、その殆どが2~3分台とコンパクトにまとめらているため、「ドラマティックな曲展開」という点では
やや物足りなさが残るし、前作ほどベタなクサメロが聴けなくなってしまったのも残念ではあるが。
BLOOD TSUNAMIとか、あの線の音が好きなスラッシャーにお薦めの1枚。