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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5401-5500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5401-5500
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SKELETONWITCH - Breathing the Fire - Longing for Domination ★★ (2010-03-20 09:32:22)

ブラスト・ビートを織り交ぜて前のめりに突っ走る、
北欧デス/ブラック・メタル風味の色濃いスピード・ナンバー。
暗く湿ったアングラ臭は、アメリカのバンドとは
思えませんなぁ。


SKELETONWITCH - Breathing the Fire - Released From the Catacombs ★★ (2010-03-20 09:34:44)

緩急の効いた曲展開と、
全編を彩る勇壮且つ悲壮感を
帯びたメロディが強い印象を残す
アルバム屈指の名曲。


SKELETONWITCH - Breathing the Fire - The Despoiler of Human Life ★★ (2010-03-20 09:35:59)

正統派HM風味が一際色濃い、アルバムでも1、2を争う名曲。
Voはメロディ無視の咆哮スタイルながら、
巧みに勇壮な雰囲気を演出。
ただ、この曲に限らず「これから」というところで
楽曲がぶった切られるように終わってしまう
尻切れトンボな構成は頂けません。


SKELETONWITCH - Breathing the Fire - ・・・and into the Flame ★★ (2010-03-20 09:37:09)

アコギを用いて演出される静と動の対比も上手く決まった、
本編ラストをドラマティックに飾る逸曲。
ブラスト・ビートに乗って疾走し、
全編を悲壮に彩るメロディが堪らなくカッコイイったら。


SKELETONWITCH - Devouring Radiant Light ★★★ (2019-04-04 00:54:09)

00年代半ばに共にNWOTMブームを盛り上げた同期バンドの多くが、新作リリースが途絶えてしまったり、あるいは作を重ねる内にその音楽性を変化させていく中にあって、US産スラッシュ・メタル+北欧ブラック・メタルのハイブリッド・サウンドをストイックに追求し続けるオハイオ州出身の5人組、’18年発表の5thアルバム。
看板シンガーのチャンス・ガーネットがアルコール依存症で脱退するという波乱がありましたが、新VoにVAIL TO MAYAのアダム・クレマンスを加え制作された本作においても、アメリカのバンドらしからぬダークな翳りと荒涼たる雰囲気を纏って激走する基本スタイルは小揺るぎもしていません。あえて前作から変化した点を探すならば、これまで2~3分台と比較的タイトにまとめられていた楽曲のランニング・タイムに長尺化の傾向が見受けられる点ですが、その増えた分の尺は、彼らの武器である正統派ヘヴィ・メタリックなツイン・リードGの見せ場に費やされているのですから文句等あろう筈がありません。
美麗にして劇的なイントロからして目を細めたくなる①、泣きのGソロに胸抉られる③、終盤のツインGの乱舞が涙腺を突き刺す⑥、静と動の対比を効かせてアルバムのフィナーレをドラマティックに飾る⑧といった、水増し感や中弛みとは無縁の大作ナンバー(彼らにしては)の数々は、バンドの曲作りの腕前が益々磨き上げられたことの確かな証左。
自らのサウンドを拡散させるのではなく、より深め、研ぎ澄ますというSKELETONWITCHの選択が結実した力作。今回は日本未発売のEP『THE APOTHIC GLOOM』をオマケ収録した国内盤もリリースされていますので、この機会に是非。


SKELETONWITCH - Forever Abomination ★★★ (2011-11-17 23:16:51)

魅力的だが垢抜けなかった2ndを聴いた時は「好みだけど間違っても売れないバンドだよな」とか失礼千万なことを確信してましたが(申し訳ない)、前作がUSチャートで健闘し予想外の好セールスを記録する等、蓋を開けてみれば、NWOTM界隈の出世頭的な躍進振りを刻むに至ったオハイオ出身の5人組、'11年発表の4thアルバム。
実際、荒涼感や禍々しさはそのままに、デビュー当時の線の細いチープさ、アングラ臭が見事に払拭された本作は、デス/ブラック風味の咆哮を轟かせるVoにしろ、オールドスクールなスラッシュ・メタル由来の刻みの細かいGリフ&豪快に疾駆するリズム、それに正統派HM然としたメロディアスでドラマティックなツインGにしろ、逞しさや存在感が格段にUP。
これはプロデュースを手掛けたマット・ハイドの功績のみならず、メンバー・チェンジや過酷なロード生活を通じてバンドがそのポテンシャルをしっかりと引き上げたからに他ならず、例えば、ひしめく疾走曲を差し置いてメロディアスでキャッチーなミッド・チューンが本編のOPを飾っている辺りも、彼らの「勢いだけが俺達の武器じゃないぜ?」という自信の表れのように感じられます。
北欧メロデス/ブラック・メタルと80年代のスラッシュ・メタルを足して、正統派HMのエッセンスで割ったような②③⑧⑪を筆頭に、聴いているだけで思わずグッと力瘤るエキサイティングな名曲を数多く収録した、SKELETONWITCH入門編としてもお薦めできる力作。


SKELETONWITCH - Forever Abomination - Cleaver of Souls ★★★ (2011-11-26 01:00:21)

北欧デス/ブラック・メタルとスラッシュ・メタルと
正統派HMのハイブリッドという、このバンドならではの音楽性の
(現時点における)最高到達地点とでも言うべき名曲。


SKELETONWITCH - Forever Abomination - Of Ash and Torment ★★★ (2011-11-26 01:02:10)

ヘヴィ・メタリックに疾走するGリフのカッコ良さで
勝負あった!となる、アルバム前半のハイライトを飾る
スピード・ナンバーの名曲。


SKELETONWITCH - Forever Abomination - Reduced to the Failure of Prayer ★★ (2011-11-26 01:03:32)

Voはデス/ブラック・メタル風味ですが
曲調自体はスラッシュ・メタルそのもの。
豪快に疾走するDsと、メロディアスな
Gソロが良いアクセントとなっています。


SKELETONWITCH - Serpents Unleashed ★★★ (2014-05-06 09:18:13)

デビューからこっち、日本盤が出たり出なかったりと不安定で、毎度ヤキモキさせられるSKELTONWITCHの新作(5th、'13年)は、結局、国内発売は叶わないままになりそうな感じ。せっかく雑誌レビューで高得点を獲得したというのに、勿体ない話である。
勇ましさ/悲しさを背負った慟哭のメロディを、ライブで鍛え上げた骨太な演奏に乗せて繰り出す、北欧メロデスとUS産スラッシュ・メタルのハイブリットというべき従来の持ち味は更に前進。分離の良いソリッドな音作りから、メロディ無視のスタイルは相変わらずながらもこれまで以上に猛々しく吼えるVo、劇的にハモるツインGをフィーチュアして、無駄なくコンパクトに研ぎ澄まされた楽曲がブランクを設けることなく、時にブラスト・ビートも織り交ぜて繰り出される筋肉質な作風は、このバンドの個性を一層分かり易い形で引き立たせています。
尤も、北欧のこの手のバンドに比べるとあまりにコンパクト過ぎて「え?もう終わり?」と思わされる場面もしばしば。鉄の杭を打ち込むような⑦や、メロウに始まり徐々に速度を上げていく⑫といったエピカルなタッチの楽曲ですら、大仰さを殆ど感じさせることのない素っ気なさに、物足りなさを覚える人も少なからずいるやもしれません。
個人的には、ゴテゴテと飾り立てて無駄に長尺化するよりは、30分台のランニング・タイムをスカッと走り抜く、本作の潔さを支持したいところでありますが。


SKITZOTIK - Skitzotik ★★★ (2021-02-23 00:15:45)

カリフォルニア州出身の4人組、SKITZOTIK(スキツォティックと読む)が’94年にLONG ISLAND RECORDSから発表した1stアルバムにして、恐らくラスト作。カートゥーンの悪役みたいなキャラがニヤケ面浮かべている、お世辞にも秀逸とは言い難いジャケットが逆に妙なインパクトを放ち、長らく記憶の端っこに引っ掛かっていた1枚で、先日中古屋の安売りコーナーで見かけて「あー、君のこと知ってるぞ!」と思わず衝動買いしてしまいました。欲を言えば国内盤の方が欲しかったんだけど、贅沢は言うまい。
プロデュースを担当しているのは、昨年5月の急死の報が驚きを持って迎えられたボブ・キューリック。意外。それだけに音作りはマイナー・レーベルの作品とは思えないぐらいしっかりしていますし、本作が世に出た90年代半ばといえばアメリカではグランジ/オルタナ勢が猛威を振るっていた時期ですが、ザクザクと歯切れ良く繰り出される演奏に、そっち方面からのかったるい影響は皆無。雄々しいメロディを散りばめつつ、泣きや哀愁より緊迫感を孕んだリフとリズムの畳み掛けで聴き手をグイグイ引き込んでいくスタイルは、3rdアルバムを発表した頃のVICIOUS RUMORSに通じるカッコ良さを放っています。
疾走ナンバーにおけるハイトーンでパワーが落ちず、転じてバラードもエモーショナルに歌いこなしてみせるシンガーもカール・アルバート級の逸材で、プロペラ機の風切り音に続いて力強く走り始めるOPナンバー①、ドラマティックな曲展開をVoの熱唱が盛り上げる④、緩急を活かした⑦辺りは、とりわけその強みが強く感じられる楽曲ではないかと。
あと2、3枚はアルバムが聴いてみたかった、と思わされる秀作でしたよ。


SKITZOTIK - Skitzotik - Inside the Dark ★★★ (2021-02-24 00:15:08)

曲調的にはバラードで、メロディも憂いを帯びているのですが、
メソメソと泣きまくるのではなく、傷つきながらも前へ進み続ける
力強さが漲っているように感じられる辺りがアメリカのパワーメタル的。
楽曲を締め括るシンガーのハイトーンが圧巻です。


SKRAPP METTLE (2020-01-29 23:24:59)

適当な経歴から胡散臭いメンバーの名前に至るまで、アメリカ出身の謎多き5人組覆面HRバンド。当時は国内盤の解説を読んでもその正体がよく分からず、インターネットが発達した今でも、シンガーがジェフ・スコット・ソートであること以外は殆ど分からないままという。まぁ誰もそこまでこのバンドに興味がないだけかもしれませんが。
'91年にアルバム1枚きりを残して消滅。帯には《全米音楽専門誌賞賛の嵐に包まれた》とあるけど、本当かよと。


SKRAPP METTLE - Sensitive ★★ (2020-01-29 23:32:30)

国内盤の帯には《一体、お前らは誰なんだ?!》の惹句。アルバム制作にまつわる「バレンタインデーの午後、北米の閉鎖された製鉄工場跡地で一発録りされた」という眉唾なエピソードから、スパンク(Vo)だの、ナスティー・ガービル(Key)、ビーフ・インジェクター(B)、スクトラム・パウンダー(Ds)、ダーク・ウェスプッチ(Vo)だのと胡散臭さプンプンのメンバーの名前に至るまで、「正体不明の覆面バンド」として一部好事家の間でちょっぴり話題を呼んだSKRRAP METTLEが’91年に残した唯一のアルバム。
当時はデイヴィッド・カヴァデールやヴィンス・ニールがレコーディングに関与しているなんて噂もありましたが、インターネットで気軽に情報が手に入る現在、調べてみると実際に歌っているのはジェフ・スコット・ソートとのこと(言われてみれば確かに声はそれっぽい)
要はHR/HMにつきまとう「いかがわしい」イメージを敢えて誇張気味にパロってみせた、良くも悪くもシーンが拡散期を迎えた90年代らしい作品であり、演っている音楽はオーソドックスなロックンロール。あらゆる翻訳家から「どうせ訳しても伏字だらけになるから意味がない」と悉く翻訳作業を断られてしまったぐらい、歌われている歌詞は下品なのですが、幸いなことに英詞なのでさして気にならず。また小気味良くキャッチーなHRナンバー⑤や哀愁のバラード⑥を筆頭に、フックの効いたメロディと、メンバーのタイトなパフォーマンスに支えられた収録楽曲の数々からは「どうせジョークなんだからこんなもんで良かんべ」ってな手抜きとは無縁のプロフェッショナルな拘りが感じ取れます。
広い心でお試し頂けましたら、案外楽しめる作品ではないかと。


SKRAPP METTLE - Sensitive - Retire or Die ★★★ (2020-01-31 00:19:11)

ジェフ・スコット・ソートのエモーショナルな歌声に、
泣きを湛えたGがマッチした、実に魅力的な泣きのバラード。
色物だからといって曲作りに手を抜かない姿勢は好感が持てますよ。


SKRAPP METTLE - Sensitive - That Load ★★★ (2020-01-31 00:07:38)

歌詞は思わず対訳が欲しくなるぐらい下品なのですが、
美しいピアノのイントロに続き、HRナンバーとしての
エッジをしっかり効かせつつ、ノリ良くキャッチーに
駆け抜けていく楽曲は非常に魅力的な仕上がりで、
思わず一緒に合唱したくなります。
この歌詞を合唱してたら正気を疑われそうですが。


SKULL - No Bones About It ★★★ (2024-12-05 01:20:52)

アリス・クーパーからマイケル・ボルトンまで多彩なアーティストとの共演で知られ、'20年に心疾患により死去したボブ・キューリック。SKULLは彼がデニス・セント・ジェイムズ(Vo)やボビー・ロック(Ds)らと共に結成したバンドであり、エディ・クレイマーとミッキー・デイヴィスをプロデューサーに起用してレコーディング、’91年に発表した本作はSKULL唯一のスタジオ・アルバムとなります。(正確にはお蔵入りした2ndアルバムも有?)
そもそもバンド名がこれで、ジャケットを飾るのも、禿頭に口髭を蓄えたボブをセンターに据えたバイカー・チームみたいなメンバー。加えて自らのサウンドを「SKULL CRUSHING HARD ROCK」と称していると耳にした日にゃ、どんだけワイルドなパワー・メタルを演っているのかと戦々恐々でしたが、実際に本作から流れてくるのは巧みにフックを盛り込んだメロディアスHRサウンド。エネルギッシュな疾走ナンバー②、キャッチーに弾む⑥、ヒット・ポテンシャルを感じさせるハードポップ・チューン⑦、売れ線(誉め言葉)パワー・バラード⑨、タイトルに相応しくエピカルな雰囲気も漂わす⑩等々、バラエティに富み、デニスのハスキーな歌声とボブの派手さと堅実さを併せ持ったベテランらしいGプレイを軸に丁寧に組み上げられた収録楽曲からは、ガサツさや大味感など微塵も感じられません。特にバラード調に始まり愁いを帯びて劇的に盛り上がっていく⑤は本編屈指の名曲ですよ。
そんなわけで、実際に本作を手に取り音を聴いた多くの人同様、「内容が素晴らしいだけに、そもそもバンド名とジャケットをどうにかすべきだったんじゃね?」と思わざるを得なかった1枚であります。


SKULL - No Bones About It - Loser’s Game ★★★ (2024-12-06 01:04:30)

Voの上手さとツボを押さえたGプレイが光っている
メロディアスでドラマティックな名曲。
ジャケット中央に鎮座ましますボブ・キューリックの
禿頭も同じくらい光ってますが、正直この曲と
このジャケットは落差あり過ぎますよ。


SKYCLAD - Jonah's Ark ★★ (2006-10-20 22:36:00)

実際のところは定かじゃないが、日本ではこれが最も売れたSKYCLADのアルバムのような気がする'93年発表の3rd。
因みに、国内盤は6曲入りEPとのカップリング仕様。(邦題は『ヨナの箱舟』だった)
GEORGEさんの仰る通り、スラッシュ・メタル的な攻撃性が大きく減少した収録曲は、幾つかの佳曲以外はどーにも地味で、
アルバムで一番印象に残るのが、THIN LIZZYのカヴァー曲“EMERALD"ってのは不味いんじゃないの?と。
但し、フォーク、トラッド、ケルト、おまけにスパニッシュといった民族音楽からの大きな影響が
これまで以上に積極的且つ自然に楽曲の中に取り入れられ、英国的な気品と叙情性を演出するバイオリンも、
単なる装飾に留まらず、リフにリードにと、しっかりバンドの一員として機能していたりと、
SKYCLADならではの個性は本作で確立された感が強い。批判の対象になる事の多かったマーティン・ウォルキーアの
わめき型Voも、ハードコア的な怒号Voや、デス声が珍しくなくなった現在なら、何ら問題なく許容できるレベル。
その後の欧州メタル・シーンの流行の推移を見るに、ある意味、時代を先取りした(早過ぎた)作品と言えなくもないような。


SKYCLAD - The Answer Machine? ★★★ (2018-05-29 23:58:04)

NWOBHM期から英国シーンを支え続けるスティーヴ・ラムゼイ(G)と、SABBATのマーティン・ウォルキーア(Vo)の二枚看板を擁したSKYCLAD。彼らが最もアクティブに活動していた90年代と言えば、英米のHR/HMシーンはラフ&スポンテニアスを合言葉に、飾り気を排したヘヴィでグルーヴィなサウンド一色に染まっていたメタル冬の時代真っ只中であり、専任バイオリン奏者まで在籍するSKYCLADが苦戦を強いられたことは想像に難くありません(分かり易い正統派HMサウンドではなかったため日本でも人気は今一つ)。しかしバンドはドイツを始めとする欧州方面で築いた強固なファン・ベースをテコに作品リリースを重ね、'97年には本8thアルバムを発表しました。
デビュー当時は飽くまでパワー/スラッシュ・メタルを基軸に据え、そこにフォーク/トラッド風味がアクセントを加えるサウンドを志向していましたが、バイオリンがリード楽器の役割を担う本作まで来ると、その主従は完全に逆転。また初期は賛否両論分かれる吐き捨て型だったマーティンのVoも、この頃にはメロディアスに歌い上げるスタイルに変化しています。(プレーンな歌唱がまた70年代プログレ系バンドのシンガーっぽい趣きで良し)
中でも、哀切なイントロ①からテンポアップ、アコギ、フルートを用いて踊り出す②、バイオリンが奏でるメロディがイングランドの自然を想起させる④、エスニックな大作⑥、ハードに疾走する⑦、JETHRO TULLばりにフルートが活躍する⑧、ピアノを活かした⑪といった楽曲は、メロディ面の冴えだけに留まらずハード・エッジをしっかり保持している点も◎ですよ。
恐らく当時よりも今の方が正当な評価を得られる類の作品ではないではないかと。


SKYCLAD - The Answer Machine? - Building a Ruin ★★★ (2018-05-31 00:28:23)

アコギとヴァイオリンによる哀切なイントロから
ビートを効かせてスタートするアルバムOPナンバー。
舞踏の如きリズムと、マーティンが歌い、Gとヴァイオリンの弦楽器隊、
それにフルートが奏でるフォーク/トラッド由来の抒情メロディとが
絶妙に絡み合う曲展開に思わず踊り出したくなる逸品。


SKYCLAD - The Answer Machine? - Eirenarch ★★★ (2018-05-31 00:33:43)

「民族音楽に興味はねえや」というメタル・マニアも
思わず振り返る、エッジの効いた疾走ナンバー。
スティーヴのメタリックな切れ味を有するGと、
気品を湛えた優美なヴァイオリンの調べが
ユニゾンしつつ駆け抜けていく、高揚感に溢れた名曲。


SKYCLAD - The Wayward Sons of Mother Earth ★★ (2007-02-01 22:43:00)

SKYCLADのアルバムは、3rd『JOHNA'S ARK』以降のモノしか聴いた事がなかったので、後追いで本作('91年発表の1st)を
聴いた時には、疾走チューン①⑦や、バンドのテーマ曲とでも言うべき⑧といった楽曲を筆頭に、
「元々はこんなにスラッシュ色の強いバンドだったのか」と、かなり驚かされた。
何しろマーティン・ウォルキーアの吐き捨て型Voが、全く違和感なくハマっているのだから、
本作のスラッシュ・メタル度の高さが分かろうと言うもの。
バンドのトレードマークである筈のフィドルも、ここではほんの味付け程度の扱いで、代わりにその穴を埋める
ハジけっぷりをみせるのが、スティーブ・ラムゼイの正統派HMテイストを色濃く漂わせたメロディックなG。
特に、リフが走り始めた瞬間にガッチリと掴まれる名曲⑤で聴く事の出来るGプレイは最高に素晴しい。
また、叙情的なアコギ・バラードの⑨では、マーティンがメロウに歌い上げる歌唱を披露。
これを聴くと、彼が決してメロディアスに「歌えない」のではなく、吐き捨て型Voで表現したい事があるからこそ、
敢えて「歌わない」のだという事が良く分かる。(尤も、だからと言って好きになれるかどうかは全くの別問題なわけだが)
うーむ。もしかしてSKYCLADのアルバムでは、これが一番好きかも。


SLAMMER - The Work of Idle Hands... ★★ (2008-01-23 22:10:00)

いきなりメジャー・レーベルのWEAからデビューを飾り、イギリスHMシーンの低迷を打破する可能性を秘めた
バンドの1つと期待されながらも、結局、大きな成果を残せないままアルバム2枚を残して解散してしまった、
イギリスはブラッドフォード出身の5人組スラッシャーが、'89年に発表した1stアルバム。
ちなみにプロデュースは、METAL CHURCHやANTHRAXとの仕事で知られるマーク・ドッソンが担当。
ジェイムズ・ヘッドフィールド風のVoの歌唱スタイルといい、起承転結がハッキリと打ち出された楽曲といい、
露骨にMETALLICAの『MASTER OF PUPETTS』からの影響が表れた音楽性ながら、あれ程の大作主義ではなく、
また、スラッシュ・メタルならではの荒々しい疾走感がより強調された作風ゆえ、結構取っ付き易く、
最後までサクサクと聴けてしまう。特に、前置きなしに疾走を開始する①、畳み掛けるようなスピード感が心地良い②、
アコギを用いてダイナミックに展開する③⑤といった楽曲は、なかなかに良く出来たスラッシュ・ナンバーだ。
『MASTER~』路線を演るには、楽曲のドラマ性の乏しさ、分けてもツインGの存在感の薄さが大きな弱点で、
そのせいか全体的に華に欠ける地味な印象が拭いきれない作品・・・なのだが、暗く湿ったリフ、煮え切らないメロディ、
ハジけない曲展開と、NWOBHMの伝統を受け継いだ「これぞ正調ブリティッシュ・スラッシュ・メタル!」
なサウンドが個人的にツボなので、どうしても評価が甘くなってしまうなー、と。
XENTRIX、D.A.M.、APCALYPSE、PARAIAHといったバンド名にピンと来たスラッシャーは、トライしてみる価値のある1枚。


SLAMMER - The Work of Idle Hands... - Hellbound ★★ (2008-01-23 22:27:26)

アコギのイントロを経て、リフ/リズム・チェンジを
繰り返しながら、ダイナミックに盛り上がっていくナンバー。
アコギに始まりアコギに終わる、起承転結を備えた
ドラマティックな曲展開を備えた楽曲ながら、
聴き終えてみて一番印象に残るのは、
やはりその走りっぷりだったりする。


SLAMMER - The Work of Idle Hands... - If Thine Eye ★★ (2008-01-23 22:23:14)

アルバム最速とも思えるスピードで
一気に畳み掛けてくる高速スラッシュ・チューン。
個人的には、この曲が1stアルバムのハイライトかな。


SLAMMER - The Work of Idle Hands... - Tenement Zone ★★ (2008-01-23 22:21:35)

前置きなしに猛然と疾走を開始するOPナンバー。
その疾走感と、ジェイムズ・ヘッドフィールド似のVoの歌唱が
あまりにMETALLICAっぽくて笑ってしまうが、
曲自体はかなりカッコ良い出来。
劇的なメロディを紡ぎ出すツインGパートも○。


SLAYER - Christ Illusion ★★ (2006-09-11 21:38:00)

速いから素晴しいのではなく、速くてカッコイイ曲を演ってるから素晴しいのですよ!と、
強く主張しておきたい、前作『GOD HATES AS ALL』以来、5年振りに発表された待望の9thアルバム。
デイヴ・ロンバートの出戻りという大イベントを経た所為か、原点回帰(この場合の原点は3rd『REIGN IN BLOOD』を指す)の
姿勢が強く打ち出されている感じで、ここ数作の「速い曲も演る」スタイルから一転、アグレッション漲る
スピード・チューンが収録曲の大半を占める。増加傾向にあった曲数も再び10曲まで絞られ、
ランニング・タイムも40分弱とスカッとタイト。それでいて異様なまでに密度が濃いので、
聴き終えた後に物足りなさが残らないという、まったく恐れ入る仕上がり。
小細工を排して、生々しく迫ってくるトム・アラヤのハイテンションVoの迫力も前作以上だ。
何より特筆すべきは、アグレッシブでありながら非常にキャッチーという点で、中でもジェフ・ハンネマンのメロディアスなGソロに
耳奪われる①、2本のGが刻むリフにゾクゾクさせられる⑤、印象的なサビを持つ先行シングル⑨なんかは、そうした部分が顕著に現れた名曲。
このキャッチーさ(ポップという意味ではないので悪しからず)あったればこそ、本作は「ビルボード初登場5位」という、
SLAYERの作品史上最高位の成績を収められたのではなかろうか。疑いの余地なく傑作。


SLAYER - Hell Awaits ★★ (2007-10-06 22:09:00)

VENOMやJUDAS PRIEST、IRON MAIDENといったバンドからの影響を巧みに消化吸収、自らの血肉へと変え、
SLAYERならではのスラッシュ・メタル・サウンドを構築するための重要な足掛かりとなった、'85年発表の2ndアルバム。
規格外のアグレッションを誇りながらも、まだ正統派へヴィ・メタル・テイストを色濃く残していた
1st『SHOW NO MERCY』に比べ、殺傷力抜群のリフの禍々しさ、ハイテンションで畳み掛けて来るトム・アラヤのVo、
狂い咲くツインG、そしていよいよ本領を発揮し始めたデイヴ・ロンバートの壮絶なドラミングに牽引される
切り裂くような疾走感と、スラッシュ・メタル度を飛躍的に高めた本作からは、若気の至り的なチープさや
コケ脅し感が完全に払拭され、「闇の帝王」としての貫禄すら感じ取れるようになった。
何よりその成果は、収録曲のクオリティに如実に反映されていて、特に、本作の作風を代表するかのような
邪悪で荘厳なOPチューン①(CRADLE OF FILTHもカヴァーしていましたね)や、狂気を感じさせるトムの
ボーカリゼイションと、猟奇的な歌詞が心胆寒からしめる②、本編のハイライトと言うべき、禍々しくもクールな
リフをフィーチュアした⑤の破壊的なまでのカッコ良さは、スラッシャー・・・いやさ、メタル・ファンなら必聴かと。
このバンドにしては異例の大作主義(やや冗長な部分もあるか)、疾走感はそのままに、複雑なリフ/リズム・チェンジが
織り込まれた曲展開、北欧ブラック・メタル勢に多大な影響を与えたと思しきイーヴル且つ荘厳な雰囲気etc・・・
といった要素を兼ね備え、ある意味、SLAYERの初期ブラック・メタル路線の集大成的作品となった、とも言える名作。


SLAYER - Reign in Blood ★★ (2006-09-23 02:11:00)

このマスターピースに関しては既に大勢さんが賛辞を寄せているので、今更、自分なんぞが付け足すことは何もないのだが、
敢えて1つだけ言わせて貰えるなら、時々、雑誌なんかで見かける「スラッシュ未体験者はまず本作を聞いて、
それでピンとこなかったら、もうスラッシュ・メタルを聴く必要はない」という物言いは、ちと違うんじゃなかろうか・・・ということ。
こんな凶悪な、メロディもへったくれもないスピード至上主義(褒め言葉)の作品を初心者に聴かせたって拒絶反応が出るだけで(?)
それよりは楽曲にある程度のメロディと構築美の感じられる、METALLICAやTESTAMENT等のアルバムの方が入門書としては最適。
本作は寧ろ、色々なデス/スラッシュ・メタルを聴き漁ってきたスラッシャーが「でも、やっぱりコレだよなぁ」と、
最後に戻ってくる場所(1枚)ではないかと思う。そう、例えるなら、旅行好きのオバちゃんが自宅へと帰ってきて
「やっぱり我が家が一番ねぇ」とこぼすように・・・って、例えが意味不明過ぎるか。


SLAYER - Repentless ★★ (2015-11-03 10:14:44)

出たり戻ったりなデイヴはともかく、ソングライターとして、ギタリストとして、ケリー・キングと共にバンドの中心的役割を担っていたジェフ・ハンネマンを失ったSLAYERの新作ということで、事前に抱いた不安は決して小さからぬものでしたが・・・。不穏なインスト序曲①を切り裂いてく高速スラッシュ・ナンバー②が走り始めた途端(SLAYERがアルバムのOPにこういう勿体つけた構成を取るのって初めて?)、多くのファン同様、安堵の溜息を漏らしてしまいましたよ。
序盤のファスト・ソングによる畳み掛け、中盤にイーヴルなミッド・チューンを固めて空気を煮立たせた上で、終盤の再加速でそのエネルギーを解き放つ「力みなくして解放のカタルシスはありえねぇ」(範馬勇次郎談)構成等、本作にはスラッシュ・メタルならではの魅力が横溢しています。
ただジェフを欠いた編成での初めてのアルバム作りということで、リフにしろGソロにしろトム・アラヤのシャウトにしろ、SLAYERのイメージには忠実であるものの、今回は本能剥き出しで猛り狂うクレイジーネスは抑え気味。恐らく作曲作業は相当慎重に吟味が重ねられたのではないかと。
そんなわけで、当初は「スラッシュとしては満点ですが、欲を言えば《帝王》の凄みを感じさせるキメの1曲が欲しかったですな」とか「本当の勝負作は次作でしょうな」とか、好き勝手に上から目線かましてたのですが、足を運んだLOUD PARK 15で、威厳と殺気のオーラ立ち上らせる彼らのパフォーマンスと、そこから繰り出される本作の楽曲のカッコ良さに全力平伏。今じゃ手のひらクルッと返して「前言撤回。名盤。」との評価に落ち着いたのでありました。


SLAYER - Seasons in the Abyss ★★ (2009-02-12 19:15:00)

『REIGN IN BLOOD』のアグレッションと、『SOUTH OF HEAVEN』の重厚感を併せ持った作品として
高い評価を獲得し、'90年にリリースされるや過去最高の売り上げを記録、SLAYERのオーバーグラウンド浮上を
後押しした傑作5thアルバム・・・なんてこたぁ今更説明するまでもないですね。
触れれば切れそうな鋭利なGリフが、デイヴ・ロンバートの凄まじいドラミングに乗って激走する、SLAYER屈指の名曲①に
代表されるよう、アルバム全編に亘って殺傷力満点のGリフ、怒涛の如きリズム、ヒステリックなGソロ、そして、
比較的「歌っていた」前作から一転、激情を吐き出しまくるトム・アラヤのVoが荒れ狂い、曲間を開けずに殺気立った
楽曲群が波状攻撃を仕掛けて来る様は、まさにデイヴ在籍時代を総括するかの如きハイテンションなカッコ良さ。
スラッシュ・メタルならではの尖がった攻撃性を十分に保ちつつも、初期のマイナーな(病んだ)雰囲気は払拭され、
大物バンドとしての洗練と貫禄が感じられるサウンドは、良い意味でキャッチー。
と言っても、それは別にポップに日和ったなんて意味ではなく(どう聴いたって取っ付き易い音楽ではない)、
スラッシュ・メタル・バンドとしての基本ラインを損なうことなく、その一方で、より幅広いリスナー層に
アピールし得る作品を作り上げた(そして期待通り大ヒットさせた)SLAYERの曲作りの才には、ただただ感服するのみ。
ある意味、このバンドの入門編としては『REIGN IN BLOOD』以上に相応しい1枚と言えるかも。


SLAYER - Show No Mercy ★★ (2006-09-09 00:03:00)

メタルを聴き始めて間もない頃、友人が「コアなJUDAS PRIESTみたいでカッコイイぞ」と貸してくれたのが、
この'83年発表の1stアルバムであった。その時は一聴して「こんな雑音とJPを一緒にするんじゃないよ」と
突っ返した記憶があるのだが、今、改めて聴き直してみると、友人の言葉に嘘が無かった事がよく分かる。
確かに①⑥⑩辺りを筆頭に、前のめりに突っ走る楽曲は(当時の)常識外れなまでの疾走感を誇るが、
リフには欧州へヴィ・メタルからの大きな影響が感じられ、Gソロも、狂ってはいるが意外なほどメロディアス。
特に⑨のIRON MAIDEN風のインスト・パートなんぞ「ドラマチック」と表現しても差し支えないカッコ良さ。
トム・アラヤのVoも、尋常ならざるテンションの高さは今と変わらないが、曲によっては「歌ってる」場面が多々あり、
正統派へヴィ・メタリックな⑦における歌唱なんて、シャウトと言うよりハイトーンVoのようだ・・・なんて言ったらトム・アラヤに怒られるか?
思わず微笑ましくなるダサジャケや、バスドラが破けたまんまレコーディングに挑んだデイヴ・ロンバートのエピソード等、
SLAYERにしてみれば「若気の至り」的な1枚だろうが(現在のような「帝王」のオーラも殆ど漂ってこないし)、
それでも個人的には、彼らの全アルバム中、3rd「REIGN IN BLOOD」に次いでお気に入りの作品だったりする。


SLAYER - World Painted Blood ★★ (2009-11-15 22:15:00)

【ジャンル:帝王】と表記されたアルバムの帯に、凄い自信やなーと思わず笑ってしまったが、
相変わらず「尖がってるのに聴き易い」という高難易度の曲作りを、易々とこなすメンバーの
ソング・ライティング能力の高さに瞠目せざるを得ないSLAYERの新作。
本編のリーダー・トラックたる①がイマイチ地味な仕上がりゆえ、掴みに失敗してる印象は拭えないものの、
ガリガリと高速回転するGリフに、デイヴ・ロンバートの鬼のようなドラミング、トム・アラヤの切っ先鋭いシャウトが
一丸となって突っ走る②、初期の頃を思わせるヒステリックなGソロからスタートする③といった、
SLAYER印の高速スラッシュ・ナンバーの連発ですぐさまテンションは急上昇。聴き終えてみれば、
前作『CHRIST ILLUSION』に勝るとも劣らぬ優れた作品である、との評価に行き着く。
ただ、「攻め」の姿勢に終始していた『CHRIST~』に比べ、今回はトムのVoが時にムーディに呟き、時にメロディアスに
歌い・・・といった具合に、より幅広い表現力を駆使しているため、スピード重視の作風とは言え、前作のような
尋常ならざる攻撃性は控えめ。これを帝王の「余裕」「貫禄」と取るか、はたまた「地味」「緩い」と取るかは、
聴く人次第。個人的には、初期の頃を思わせるハイスピード・チューン②③⑥⑨⑪よりも、邪悪で大仰な④、
冒頭の冷酷なリフの刻みっぷりからゾクゾクさせられる⑦といった、ミドル/スロー・チューンがお気に入り。
解散も噂されるSLAYERだが、これを聴く限りではまだまだ大丈夫。イケてますよ。


SLEAZY WIZARD (2011-07-26 21:34:22)

80年代中期に、兵庫県は神戸市に置いて喜田“CHAPPY”康宏(Vo)らによって結成され、関西圏を中心に強力なライブ・アクトとして鳴らしたパワー・メタル・バンド。
'92年に、関西出身HR/HMバンドを集めたオムニバス盤『I CEASE RESISTANCE』に参加して知名度を高めると、'97年、4曲入りシングル『BLIND AND DEAF』と共に、1stフル・アルバム『STONE DEAD』をMANDRAKE ROOTからリリースして単独デビューを飾り、そのガッツ溢れる骨太なパワー・サウンドがマニアの間で好評を博した。(BURRN!!誌でも広瀬編集長がプッシュしてましたっけ)
メンバーの出入りが激しくラインナップが安定しない事がネックとなって'99年に一度解散するも、後に元TERRA ROSAの岡垣正志(Key)をメンバーに加えて復活。
音的には全く接点が見当たらない両者の合流には心底驚かされたが、'01年にCD-R仕様でリリースされたシングル『UNDER MY SPELL』を聴くと、これが案外違和感のない(寧ろ非常にカッコイイ)仕上がりで2度ビックリ。この編成でのフル・アルバムが聴いてみたかったなぁ。


SLEAZY WIZARD - STONE DEAD ★★ (2011-07-25 21:47:11)

MOTORHEAD、TANK、RAVEN、ACCEPTといったうるさ型HMバンドからの影響を糧に製錬された、叩けば埃が立ちそうな漢ムサいパワー・メタル・サウンドを身上とする関西出身の5人組が、'97年にMANDRAKE ROOTから発表した1stフル・アルバム。
この時点で既に結成から10年を数えるキャリア組だが、さりとて本作にベテランらしい落ち着きやマッタリ感は皆無。ワンパターン気味な構成とインディーズ制作ゆえの音の悪ささえも「勢い」へと転化して、のっけからハイテンションで暴走しまくる本編には、まるでデビューしたての若造バンドの如き威勢の良さが横溢している。
ビルの解体工事現場よろしく豪快に鳴り響くリフ&リズムと、噛み付くように歌う野太いVoとが一塊に炸裂する楽曲の数々は、スラッシュ・メタルばりのアグレッションと、躍動するノリの良さを併せ持ち、取り分け、スピード・ナンバー①④⑦⑨、重厚且つ劇的に迫るミッド・チューン⑧辺りの楽曲は、このバンドの魅力が判り易く体現された逸曲かと。
酒飲みながらガンガン頭振るには持ってこいの、TANKの名曲“BLOOD, GUTS & BEER”の世界を地で行く1枚。


SLEAZY WIZARD - STONE DEAD - ANOTHER PHASE OF TRUTH ★★ (2011-07-27 22:07:08)

本編においては異色曲と言えそうな
重厚でドラマティックなミドル・チューン。
Gも威勢良く刻み倒すだけでなく、
しっかりと聴かせるフレーズを奏でて
その腕前をアピール。


SLEAZY WIZARD - STONE DEAD - NAMELESS RIOT ★★ (2011-07-27 22:05:52)

開巻と同時に拳の連打を浴びせかけてくる
破壊的且つアグレッシブな疾走ナンバー。
と同時にノリの良さを含んでいる辺りも
このバンドならでは。


SLEAZY WIZARD - STONE DEAD - YOU MUST BE THE STAR ★★ (2011-07-28 22:05:47)

1stアルバムの実質的な幕引きの役割を担う、
畳み掛けるようなスピード・ナンバー。
随所で印象的なオブリを閃かせる
Bの仕事っぷりがかっこいい。


SLEAZY WIZARD - UNDER MY SPELL ★★ (2011-08-02 22:54:35)

ラインナップの不安定さが災いして'99年に解散したSLEAZY WIZARDが、新たにTERRA ROSAの岡垣正志(Key)やHURRY SCUARYの出原卓(Ds)らをメンバーに加えて復活。'01年にライブ会場限定で販売されたシングルに、新たにボーナス・トラックを1曲追加してMANDRAKE ROOTからリリースした3曲入りCD-Rがこれ。
収録曲は全てリーダー兼フロントマンの喜田“CHAPPY”康之(とGの東城成陽)によって書かれているのだが、和製様式美HMの切り札たる岡垣の加入に伴い、今回は彼のKeyワークを大々的にフューチュア。結果、GとKeyが激しいバトルを繰り広げる楽曲からはスラッシーな攻撃性や疾走感が後退し、デビュー作『STONE DEAD』とは赴きを異する作風と相成った。
但し、かと言ってコテコテの様式美HM路線へと転向したわけではなく、SLEAZY WIZARDならではの骨太なパワーとガッツ、それにワイルドなノリの良さもしっかりと保持されており、従来のらしさと新味のバランス感覚は非常に良好。
「この路線でのフル・アルバムも聴いてみたかった」と思わずにはいられない内容に仕上がっている。


SLEEZE BEEZ - Screwed Blued & Tattooed ★★ (2023-04-04 01:28:45)

90年代半ばにRAVENとのカップリングで来日公演も行っていて(どうにも脈絡の感じられない組み合わせで首を捻った記憶あり)、その時の模様はライブ・アルバムとしてリリースもされているオランダ出身の5人組SLEEZE BEEZ。本作は彼らがプロデューサーにジョン・ソンネヴェルドを起用してメジャーのATLANTIC RECORDSから'90年に発表した1stアルバム…であると長らく信じていたのですが(解説文にもそう記載されていましたし)、実はそれ以前に母国限定で『LOOKS LIKE HELL』なるアルバムを発表しており、正式にはそちらが1st、こっちはワールド・ワイド・デビューの2ndということになる模様。
エッジの立ったG、シンプルに躍動するリズム、勢い重視で歌いまくるVoという元気一杯なメンバーのパフォーマンスに支えられたサウンドは、DEF LEPPARDやAC/DCからの影響を伺わせる陽性ポップ・メタル。いかにもライブで盛り上がりそうな溌剌とした曲調やアリーナの大合唱が聞こえてきそうなビッグなコーラス・ワーク等、収録楽曲は教えて貰わなければまずヨーロッパ出身とは思わないカラッと明るい仕上がりですが、例えばMTVでヒットを記録したという④等は、仄かに哀愁を帯びたメロディにスパニッシュ・ギターがアクセントを加える小技も効いた、彼らのアメリカ志向のみならず欧州出身バンドとしての拘りも見て取れる、SLEEZE BEEZの魅力を端的に伝えてくれる名曲です。
SKID ROWの対抗馬としてレーベルの期待を背負うも、ビルボード・チャートでは100位台へのランクインがやっとだった様ですが、それは内容よりも時期の悪さのせいだよなと。


SLEEZE BEEZ - Screwed Blued & Tattooed - Stranger Than Paradise ★★★ (2023-04-06 01:09:05)

MTVでも好評を博したというアルバムのリーダー・トラック。
仄かに哀愁漂わすメロディにキャッチーなコーラス、
インスト・パートを印象的に彩るスパニッシュ・ギター等々
欧州風味とアメリカンなノリの良さを併せ持つSLEEZE BEEZという
バンドの魅力を分かり易く伝えてくれる名曲です。


SNAKE CHARMER - SMOKE AND MIRRORS ★★ (2012-10-03 22:44:55)

SILVER MOUNTAINで長らくヨナス・ハンソンの相方を務めたペア・スタディン(B)が結成したバンドのデビュー作('93年発表)。
バンド名は勿論RAINBOWの名曲から拝借、アルバムのアートワークもファンタジックな感じで、オマケにイェンス・ヨハンソン(Key)が数曲にゲスト参加しているとの事前情報に「SILVER MOUNTAINみたいな様式美掛かった北欧メタルに違いない」と(勝手に)期待値がグングンと急上昇。それだけに、購入後、実際にアルバムを聴き終えた時は「何じゃそりゃあ!」と、思わずCDをフリスビーの如く全力投擲しそうになってしまいましたよ。
深呼吸して冷静に聴き直してみれば(冷静になるのに数年かかりましたが)、そよ風のように清涼なこのハードポップ・サウンドも案外悪くない・・・いや、かなり良い。ピート・サンドベリの甘い歌声、新人のクセにツボを心得たスヴェン・シィアンスキーのテクニカルなG、そして相変わらず個性的な動きを魅せるペアのBも効果的に楽曲をサポート。健康的なコーラスに彩られた爽やかなハードポップ・ナンバー①②⑥や、結婚式のBGMに打って付けのバラード③、THE BEATLESの名曲を一層ドラマティックにカヴァーした⑩、あとイェンス参加のブルージーな⑤も渋くて良いなぁ。(こっちが彼に期待した路線とは大分異なりますけどね)
妙な先入観を持たなければ、十分以上に楽しませてくれるアルバムでした。反省。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise ★★★ (2020-07-30 01:03:29)

日本ではゼロ・コーポレーションに所属し、JACKAL、MASQUERADE、TALISMAN等と共に第二次北欧メタル・ブームを盛り上げたバンドの一つであるスウェーデンのSNAKES IN PARADISE。本作は彼らがプロデューサーに(北欧ツアーを一緒にした間柄である)アメリカ人シンガー/ソングライターのブレット・ウォーカーを迎えてレコーディングを行い、自主制作の4曲入りシングルに続いて'94年にリリースした1stアルバム。
美麗なアートワークのテイストが、次作以降とは別バンドかと思ってしまうぐらい異なっているのですが、後にミッキー・ムーディとバーニー・マースデンが立ち上げたCOMPANY OF SNAKESでも歌うこととなるステファン・ベルグレンの実力派シンガーっぷりは既に堂に入ったものですし、音楽性に関しても、この時点で(白蛇系のバンド名に相応しい)「仄かにブルージーな薫りも漂ってくる北欧ハードポップ」という基本スタイルがきっちり定まっています。
ただ本作に関してはOPを溌剌と躍動する①や、アコースティック・ギターの妙技が冴えるバラード③、清涼感に満ちた哀愁が心地良い⑦、ボーナス・トラック扱いなのが勿体ないぐらいのポップ・メタルの逸品である⑬等、後の作品に比べると煌びやかなハードポップ・テイストの方が若干勝っている印象あり。中でも⑥はアメリカのメジャー・バンドのヒット曲と比較しても何ら遜色のない輝きを放つフック満載の名曲ですよ。
彼らのアルバムはいずれも甲乙つけ難い完成度を誇っているのですが、個人的に一番聴き直す頻度が高いのは(所属レーベルへの思い入れ込みで)本作であります。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise - Deep in Your Heart ★★★ (2020-07-31 00:35:09)

WHITESNAKEに同名の楽曲がありましたが、こちらも負けず劣らず
素晴らしい仕上がり。仄かにブルージーなエッセンスを注入しつつ、
北欧のバンドらしい憂いを帯びた曲調とフックの効いたメロディで
ヒンヤリと仕上げられています。上手いシンガーがいないと締まらない
タイプの楽曲ですが、その点ステファン・ベルグレンの歌唱は文句なし。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise - Love Got Wings ★★★ (2020-07-31 00:47:07)

日本盤のボーナス・トラックで、元々は’93年発表の4曲入りデビューEPのOPナンバー。
アルバムの他の収録曲に比べると曲調もコーラスも溌剌としたポップ・メタル色が強めで
耳にきんきんくるステファン・ベルグレンのVoも元気一杯(まだまだ青いとも言えますが)。
マニアの間で評判を呼んだというのも納得のキャッチーな名曲ですよ。


SNOWBLIND (2011-09-13 22:45:51)

英国においてNWOBHM期に活動するも、デモテープとシングルのみを残して解散したHRバンド、SABREを母体に誕生。
Keyを含む5人編成によって生み出されるサウンドは、如何にも英国的な湿り気を帯びたメロハー路線で、ポップなノリとナイーブな泣きが絶妙に溶け合わされたメロディ・センスにはキラリと光るものがあったにも関わらず、然したる結果を残せないまま解散へと至ったのは、美しい音楽性とは100万光年以上かけ離れた「仏頂面のヒゲ親父」が描かれた汚いジャケット・アートワークのせい、とする説が未だに根強く支持されている。
バンド解散後、本作において素晴しいGプレイを披露していたアンディ・シモンズはUFOに参加。Bのジェフ・ギレスピーはMAJESTIC ROCK LEBEL JAPANのA&Rとして活動、現在は日本に住んでいるのだとか。
そのMAJESTIC ROCK LEBELからはデビュー作の再発盤と初期音源集『DEMOCRACY』がリリースされているのだが、後者ではLIONHEARTの名シンガーとして知られる、チャド・ブラウンが歌っていた貴重なデモ音源を聴く事もできる。


SNOWBLIND - Snowblind ★★★ (2011-09-14 07:23:01)

「寒さに凍える小汚いヒゲ面のオッサン」という、バンドが標榜する音楽性との乖離も甚だしいダメジャケがある意味インパクトを放つ、英国出身の5人組HRバンドが'85年にMAUSOLEUMから発表した1stアルバム。
KeyをたっぷりとフィーチュアしたJOURNEYばりに華やかなメロディアスHR路線を志向するも、生来の英国人気質が邪魔するのか、ポップな楽曲を演ってもどこか明るくハジけ切れず、曇天模様を呈するサウンドが彼らの個性。
煮え切らないメロディを歌ういなたいVoと、薄っぺらな音質が「四畳半ハードポップ」とでも評したくなるうらぶれた空気を運んでくるものの、イントロだけで「合格!」となる①や、③のような教科書通りのキャッチーなポップ・チューン、儚げな哀メロを纏って心地良く躍動する②⑦、後にUFOに参加するアンディ・シモンズの、マイケル・シェンカー直系のナイーブな泣きを湛えたGプレイが冴え渡る④⑥⑧、キラキラと眩いKeyがポップな高揚感を演出する⑤等、「嗚呼ブリティッシュ」な叙情性を帯びた収録楽曲の数々は粒揃いな上に非常に日本人好み。捨て曲も見当たりません。
LIONHEARTは勿論、SHY、STRATUS、GRANDPRIX、BRONZといった80年代英国メタルのメロウ・サイドに属するバンドがイケル口の人なら、必ずや気に入るであろうメロハーの好盤。


SNOWBLIND - Snowblind - Now is the Hour ★★★ (2011-09-15 22:39:09)

高らかに鳴り響くKeyサウンドがえもいわれぬ高揚感を演出する、
アルバム中最も大陸的なハードポップ風味を感じさせてくれる名曲。
それでも微妙にフラット気味のメロディを歌うVoの存在には
やはりヨーロッパ的な湿り気が漂うが、それも立派な個性だ。


SNOWBLIND - Snowblind - Possession ★★★ (2011-09-15 22:34:11)

お洒落な産業ロックを目指すには、
イントロから濃厚に泣きまくるGが
存在感を主張し過ぎている印象ですが、
それがどうした!と思わず開き直りたくなるほど
アンディ・シモンズのGプレイが素晴しい。
か細く震えるVoも楽曲の哀愁を高めていますね。


SNOWBLIND - Snowblind - Walk the Line ★★★ (2011-09-14 21:42:15)

教科書通りのイントロで掴みはOKなハードポップ・チューン。
明るくなりきれないVoと、濃いめの泣きを湛えたGの存在が
大陸産のこの手のバンドとは異なる個性を演出している。


SODOM - Agent Orange ★★ (2007-09-04 21:33:00)

雑誌で読んだ「暗くて速い」という評価から、(勝手に)北欧ネオクラシカルっぽい音を想像して、
ついウッカリ1st『OBSESSED BY CRUELTY』を聴いて打ちのめされて以来、名前を見聞きするのも嫌だった
SODOMを見直す切っ掛けとなった、彼らが'89年に発表した3rdアルバム。
デビュー当時の、劣悪な音質/極悪な演奏/凶悪なルックスと三拍子揃ったVENOM直系のブラック・メタル路線から
着実に進歩を重ね、本作では完全に本格派スラッシュ・メタル路線へとシフト。整然としたクリアなサウンド・プロダクション、
メリハリの効いた構成、メンバーの演奏能力の向上と、それによるインスト・パートの充実といった要素を得て、
タイト且つシャープに突っ走る引き締まった楽曲のカッコ良さ/気持ち良さは、これまでの彼らの作品のそれを大きく上回っている。
特に、SODOM屈指の名曲であり、現在でもライブでプレイされ続けている代表曲①⑦はファン人気の高い名曲として知られているが、
個人的なイチオシは②。激烈な曲調の中から不意に顔を出す美しいアコギ・ソロに「SODOMやるなぁ!」と唸らされること請け合い。
また、この曲に限らず、今回はGのフランク・ブラックファイアが非常に良い仕事をしていて、②以外にも、①や⑥といった楽曲で
メロディックなソロを披露。本作を最後にSODOMを脱退する彼からバンド(とファン)への置き土産といったところか。
SODOMの名をオーバー・グラウンドへと浮上させるヒット作となったのも納得の、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に残る名盤です。


SODOM - Better Off Dead ★★ (2006-05-29 21:54:00)

基本はこれまでと変わらぬピュア・スラッシュ・メタルながら、本作は、楽曲から そこはかとなく匂い立つ「硬派な哀愁」が隠し味となって
(だからこそTANKのカヴァー曲や、MOTORHEAD風の爆走R&R“STALINOGEL"がピタリとハマった)、
いちげんさんにも取っ付き易い仕上がりになっているのが嬉しい。
整然としたサウンド・プロダクションも聴き易さの一因で、確かにがむしゃらな迫力は減じたが、その分、リフの斬れ味の鋭さはこれまで以上。
名曲“SHELLFIRE DEFENSE"を筆頭に、タイトに引き締まったスラッシュ・チューンが次々に繰り出される様は、問答無用のカッコ良さ。


SODOM - Decision Day ★★★ (2017-01-08 11:02:25)

‘16年発表の新作アルバム。前作『EPITOME OF TOTURE』が強力な内容だったにも関わらず、まさかの国内盤スルーに終わってしまったSODOMですが(帯を付けたタイプの輸入盤は出回りましたけど)、今回はちゃんと国内盤がリリースされていますのでご安心あれ。
内容についても、流石、独産スラッシュ・メタル信頼のブランドだけあって相変わらずの充実っぷりです。ヘイトフルな激情迸るトム・エンジェルリッパーのVo、削岩機よろしくガリガリとGリフを刻み込む一方、欧州HM然とした湿り気とドラマ性を盛り込んだメロディも奏でるバーネマン、既に何の違和感もなくバンドに溶け込むマーカス“マッカ”フライヴァルドが叩き出すタイトなリズムと、高性能スラッシュ・マシーン・トリオによる鉄壁のアンサンブルに付け入る隙は全く見当たりません。
本編の8割方を疾走ナンバーが占めるという、SODOM近作の中ではスラッシーな突撃感覚が突出している本作ですが、同時に「メロディを増量して、スピードに頼らずとも聴き手をアゲられる楽曲作り」という、ここ数作における取り組みの成果もちゃんと踏まえられています。中でも、6分以上の長尺を毛ほども意識させないOPナンバー①や、アルバム表題曲③は、このバンド独特の好戦的な雰囲気のみならず、エピカルなドラマ性をも伴って猛進する本編のハイライト。
猛々しさの中にもライブ映えするキャッチーさが光る⑤⑧⑨だって頭を振らずにはいられないですし、ヨーロピアンな暗黒美をも撒き散らす④⑦も最高だし…と、語ろうと思えば収録全曲について語れてしまう勢いのこの完成度の高さ。安定感は増しても切っ先の鋭さは微塵も鈍っちゃいない、SODOMの凄みを伝えてくれる1枚です。


SODOM - Decision Day - Caligula ★★★ (2017-01-10 23:58:28)

カ~リギュラ~!
思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラスを有する一方、
ローマ帝国の暴君について歌った楽曲だけあって
さりげなく混ぜ込まれた欧州風味の暗黒色なドラマが
効果的なアクセントとなっています。


SODOM - Decision Day - Decision Day ★★★ (2017-01-10 23:54:43)

SODOMらしい刺々しいアグレッションと、
戦争をテーマに据えた楽曲に相応しく、
バーネマンが好戦的に奏でるメロディとが
劇的な融合を果たしたアルバム表題曲。


SODOM - Decision Day - In Retribution ★★★ (2017-01-10 23:48:22)

ライブの開幕SEさながらに、徐々にテンションを高めていって
その緊張が頂点に達した瞬間、解き放たれたかのように
怒涛の疾走へと転じる冒頭の展開だけで完璧に掴まれてしまいましたね。
現在のSODOMの魅力が凝縮された名曲です。


SODOM - Epitome of Torture ★★★ (2013-10-05 01:03:32)

前作『IN WAR AND PEACES』に引き続き、プロデューサーにヴァルデマー・ゾリヒタを起用してレコーディング、'13年に発表されたニュー・アルバム。
21世紀のSODOMの土台を支え続けたドラマー、ボビーが脱退し、その後任として元DESPAIRのマッカことマーカス・フライヴァルドが加入。この編成替えは確実に本編に影響を与えていますが、だからといって微塵もクオリティ低下を許さないのがSODOMたる所以です。
心持ちメロディをなぞる場面の増えたトム・エンジェルリッパーの激情シャウト、ヨーロッパ的ダークネスとドラマ性を湛えたバーネマンのGプレイ、そして前任者ほどの破壊力は持ち合わせていない代わりに、タイト且つ疾走感溢れる演奏で楽曲の「キャッチーさ」増強に貢献するマッカのDsと、今回の作風は(良い意味で)メロディアスな方向へと振られており、例えるなら、ここ数作のKREATORに通じるスラッシュ・サウンド・・・と言えば、どんな感じの音か伝わるでしょうか?
SODOM以外の何者でもない凶暴さで蹂躙する②④⑥のカッコ良さも格別ですが、それにも増して魅力的なのは、猛々しくも劇的なOPナンバー①や、本編最高速度で畳み掛ける⑦、ロシア民謡“カチューシャ”のメロディがイントロにくっ付けられた⑧、一緒に叫びたくなる秀逸なサビメロを持つ⑨といった、攻撃性とメロディが絶妙なバランスで並び立つ楽曲群。
CDの帯には「賛否両論を呼ぶ作風」とありますが、いやいや。初心者にもSODOM入門編としてお薦め出来る、取っ付き易い魅力に溢れた1枚ではないかと思う次第。(なのに帯付き輸入盤のみのリリースってのは勿体無さ過ぎる)


SODOM - Epitome of Torture - Into the Skies of War ★★★ (2013-10-07 23:12:05)

アグレッシブであると同時に、
一緒に歌いたくなるキャッチーさと
ノリの良さも兼ね備えているのが魅力。
ライブで演ったら盛り上がること間違いなし。
個人的にはアルバム中でも1、2を
争うお気に入りの楽曲ですね。


SODOM - Epitome of Torture - Invocating the Demons ★★★ (2013-10-07 23:01:31)

SODOMらしからぬメロディアスな曲調と
SODOMらしい激烈な疾走パートとが
入れ替わり立ち代り襲い来る、これまた名曲。


SODOM - Epitome of Torture - Katjuscha ★★★ (2013-10-07 23:09:32)

ヘアバンドの歌・・・では勿論ないですね。
イントロにくっ付けられたロシア民謡“カチューシャ”の
メロディから一転、獰猛に畳み掛ける高速スラッシュ・ナンバー。
名曲。


SODOM - Epitome of Torture - My Final Bullet ★★★ (2013-10-07 22:55:04)

OPトラックにして、アルバムのハイライト。
猛々しくもサビでは(微妙に)「歌って」いるトムのVo、
イントロからソロ・パートまでドラマティックな
Gワークを披露するバーネマン、それに気持ち良く
タイトに突っ走るマッカのDsと、本作全ての魅力が
凝縮されているといっても過言ではない名曲。


SODOM - Genesis XIX ★★★ (2022-06-29 23:36:19)

首魁トム・エンジェルリッパー(Vo、B)以外のメンバーが脱退し、約30年ぶりに旧友フランク・ブラックファイア(G)がバンドに復帰。更に新メンバー2名も補充して、SODOM史上初めて4人編成でレコーディングされたスタジオ・アルバム。('20年発表、16作目)
プロデューサーのヴァルデマー・ゾリヒタと共に制作されたここ数作では、アグレッションは十分に担保しつつも、エピカルなメロディを増量する方向性を打ち出していましたので、今回のメンバー・チェンジはそのスタイルの一層の拡充を図るためのものと思っていましたが、実際のところはそうした意図でなかったことは、ツインG体制の初お披露目となったEP『OUT OF THE FLONTLINE TRENCH』(’19年)を聴けば明らかな通り。2本のGはメロディの充実よりもむしろサウンドの「圧」「突破力」の強化に用いられており、鬼軍曹たるトムの怒号Voによる指令下、ガリガリと刻み込む殺傷力抜群のリフ、重量感溢れるゴリゴリのリズムとが波状攻撃を仕掛けて来る本作は、MOTORHED由来のロックンロール・ソングも見当たらない、SODOM流スラッシュ・メタルの原点に立ち返ったような殺伐としたアグレッションを放つ仕上がりとなっています。
とはいえ、音作りからパフォーマンスまで貫禄がオーラの如く立ち昇るサウンドに、初期作につきまとったチープさや不安定さは欠片もなく、また近作で培ったエピックなメロディも実は要所で息衝いていたり。特に不穏なイントロから激走へと転じるアルバム表題曲④は、現行SODOMの魅力が凝縮されたようなカッコ良さに痺れずにはいられませんよ。
例え編成が変わろうと、トムが健在であれば今後に不安は何もないと納得するに十分な1枚。


SODOM - Genesis XIX - Genesis XIX ★★★ (2022-07-01 00:21:02)

ガリガリと刻まれるリフ、ゴリゴリと押し出して来るリズムとが
殺気を撒き散らしながら突っ走るスラッシュ・ナンバー。
不穏且つ大仰なイントロを経てスタートする前半は若干抑え気味で
中盤のひと展開を経てからのエンジン全開ぶりがまたカッコ良い。


SODOM - In War and Pieces ★★★ (2011-04-16 18:19:44)

間に企画盤のリリースを挟んだとは言え、まさか5年も待たされる事になるとは思わなんだ、SODOM待望の新作アルバム。
指揮官たるトム・エンジェルリパーの舌鋒鋭い怒号の下、激情を撒き散らかしながら荒れ狂うオールドスクールな楽曲の数々を、モダンでクールなサウンド・プロダクションが包み込み(ヴァルデマー・ゾリヒタ謹製)、北欧メロデスにも通じる、ヨーロピアンHMならではのヘヴィネスとダークネスで味付けされた本作は、基本的には前作『SODOM』の作風を継承。
但し、アコギに始まる重厚な前半から一転、後半は苛烈な疾走パートへと転じる①、SLAYERばりの刺々しさを誇る②、メランコリックなメロディを有用した③、ダイナミックに畳み掛けて来る④・・・といった具合に、収録楽曲の疾走感は大幅な回復傾向にあり、中でも、SODOMの看板キャラである「クナレンハインツ」について歌った⑩は、機銃弾の如く降り注ぐGリフにドカドカと豪快に突進するボビーのDsといい、名作『AGENT ORANGE』の頃を思い起こさずにはいられない爆走スラッシュの名曲ですよ!
この他にも、バーネマン(G)のメロディ・センスが冴え渡るSODOM流バラード(?)⑧、劇的な⑪辺りも個人的には押さえておきたい逸品だしで、取り敢えず、5年待たされた甲斐は十二分にあったと断言できる充実作なのは確か。
でも次作はもうちょい短いインターバルで宜しく。


SODOM - In War and Pieces - God Bless You ★★ (2011-04-16 19:56:39)

歌詞の内容は例に漏れず物騒なのだが、
メランコリックなメロディが物悲しげな雰囲気を演出。
トムの凶悪な濁声もどこか感傷的に響く
思わず「バラード」と表現したくなる
ヘヴィなスロー・ナンバー。


SODOM - In War and Pieces - In War and Pieces ★★★ (2011-04-16 18:25:18)

前作『SODOM』と同じくアコギによる幕開け。
どっこい、「あー、はいはい。あんな感じなわけね」という
こっちの予想は裏切り、期待は裏切らない
後半の疾走パートにテンション急上昇。
アルバムの完成度の高さを確信させるに十分な
名曲なんじゃないでしょうか。


SODOM - In War and Pieces - Knarrenheinz ★★★ (2011-04-16 18:23:24)

SODOMにしか作り出せない実にSODOMらしい名曲。
彼らがここまでストレートなスラッシュ・ソングを
書いたのは結構久し振りのような。
何遍聴いても、イントロだけで血沸き肉踊りますね。


SODOM - M-16 ★★ (2010-04-06 22:26:00)

アルバム・タイトルから曲名、ジャケット・デザイン、THE TRASHMENの代表曲(映画『フルメタル・ジャケット』で
お馴染みの)“SURFIN' BIRD"のカヴァー、それに「戦争」をテーマに据えた歌詞の数々に至るまで、
トム・エンジェルリッパーのミリオタ魂が全編に渡って炸裂しまくった、'01年発表の11thアルバム。
SLAYERばりにファスト&ブルータルなスラッシュ路線への帰還がファンから歓迎された前作『CODE RED』に比べ、
重厚感と緩急の演出に重きの置かれた本作はかなり評価が分かれる様子なれど、とは言え、殺伐としたGリフが
刻まれる④を筆頭に、高い殺傷力を誇る高速スラッシュ・ナンバーはしっかりと健在だし、ミドル/スロー・テンポの
楽曲にしても、ちゃんと疾走パートが組み込まれているので、全編を貫く突撃感覚に鈍りは全く見られない。
というか寧ろ、好戦的な楽曲の数々が撒き散らす殺気や狂気、そして何より「SODOMらしさ」に関しては
完全に前作を上回っているように思うのだが・・・どうでしょう?
また、全体的にテンポが抑え気味になった分、バーネマン(G)のメロディ・センスの良さや、攻撃的でありながらキャッチー、
それでいて戦う漢の哀愁まで伝える、トムの濁声Voのスペシャルさがこれまで以上に際立っている点もポイントかと。
取り分け、ダイナミックに迫り来る①、冒頭でキルゴア中佐が名言を発してくれる③、重心低くパワフルに
押し出してくる⑦といった、両者の魅力が如何なく発揮された楽曲のカッコ良さには心底ゾクゾクさせられますね。
METALLION誌において「00年代の名盤300選」に選出されたのも大いに納得の行く1枚。


SODOM - Sodom ★★ (2006-05-31 22:15:00)

本作の特徴を一言で表現するなら「ドラマチック」が適当だろうか。
何しろ、北欧のメロデス勢にも通じる、荒涼たる叙情性とアグレッションを宿したリフ・ワークが滅茶苦茶クール。
11thアルバムにして、SODOMの楽曲に新たな魅力を付与してみせたトム・エンジェルリッパーというミュージシャンの
底知れぬ才能には、今更ながら感嘆を禁じ得ない。
今回、その高いドラマ性を援護射撃するのがバーネマンのGで、“BLOOD ON YOUR LIPS"のイントロに憂いを帯びたアコギ・プレイ、
“CITY OF GOD"“NO CAPTURES"で炸裂させるメロディックなGソロは、そこいらの正統派メタル・ギタリストが
裸足で逃げ出す劇的さを誇り、各曲のハイライトとなっている。
とは言え、新機軸ばかりに気を配って足元がお留守になってるなんて事は全くなく、そこはSODOM。
ダイナミックな曲展開が魅力の“LAY DOWN THE LOW"、サビの勇壮なGメロに痺れる“NOTHING REGRET"、日本盤ボーナス曲ながら、
本編OPを飾ってもおかしくないクオリティを備えた激烈スラッシュ・チューン“KAMIKAZE TERRRORIZER"等、不変の突進力は健在。
ある意味(「BETTER OFF DEAD」とは違った意味で)SODOM未体験者に最適の一枚かと。


SOLEIL MOON - On the Way to Everything ★★★ (2024-01-26 00:04:58)

マイケル・トンプソン・バンドに参加したことで一気に知名度を高めたラリー・キング(Vo)と、クラシック畑出身でセッション・ミュージシャンとして多忙な日々を送るジョン・ブラスッチ(Key)を中心に結成されたSOLEIL MOONが、’13年に発表した2ndアルバムにして日本デビュー作。
マイケル・トンプソン(G)を筆頭に、二人の豊富な人脈を生かして数多くのゲストを招き制作されている本作で聴けるのは、(監修・解説を金澤寿和氏が担当していることからもお察しの通り)大枠としてはエモーショナルなVoを主役に据えたAOR/産業ロック。但し曲によっちゃHR寄りのエッジがきっちりと効かされていますし、ジョン・ブラッチが優れたアレンジャーとしての才を十全に振るう、優美にして壮大なプログレ・ハード調の楽曲もあったりと、バラエティに富むサウンドが楽しめる仕上がりとなっています。それでいて、ラリーの聴き手を包み込むソウルフルな歌声が本編をグッと締めて統一感をもたらしてくれているので、散漫な印象は皆無。アコギにストリングス、Keyを巧みに織り込んだOPナンバー①や、美しいピアノ・バラード⑤、雄大な自然が目の前に広がるような錯覚を覚える⑨といった楽曲には、このプロジェクトの真骨頂が詰まっていますよ。
また日本盤未発売に終わった1st『WORLD APART』(’99年)から数曲がボートラとして収録されているのですが、物悲しくも劇的な⑫や、マイケル・トンプソンのGがグッと胸に迫る⑭等、これがオマケの域を超えて本編収録曲を霞ませかねないインパクトを放つ名曲揃い。今からでも遅くないので1stアルバムの国内盤をリリースしてくれませんかね?


SOLEIL MOON - On the Way to Everything - I'd Die For You ★★★ (2024-01-29 21:19:44)

正確には1stアルバムの楽曲なのですが、2ndにもボートラとして収録。
どこかで聴いたことがあるような…と思ったら、マイケル・キスクの
PLACE VANDOMEが2nd『STREETS OF FIRE』でカヴァーしていましたよ。
あちらも素晴らしい出来栄えでしたが、このオリジナル・バージョンも
負けず劣らず優美にしてドラマティック。胸に迫る名曲です。


SOLEIL MOON - Warrior ★★★ (2024-01-31 22:18:53)

デビュー作『WORLD APART』のリリースが’99年、2nd『ON THE WAY TO EVERYTHING』が’11年、そして本3rdアルバムは’19年発表。22年活動して作ったアルバムが3枚と活動周期がオリンピック級の気の長さを誇る、ラリー・キング(Vo)とジョン・ブラスッチ(Key)によるメロハー・プロジェクトSOLEIL MOON。
メロパワ/スピード・メタルでも演っていそうな、対峙する女剣士と悪い魔法使いが描かれたファンタジックなジャケットと、仰々しい邦題『照律の勇者』(原題はシンプルに『WARRIOR』)を初めて目にした時は「同名異バンドか?」と思ったものですが、間は開けど作風には微塵のブレもなかったのでホッと一安心。ハイトーン型ではなく、中音域をメインにタフさや包容力を感じさせるラリーの聴き手を包み込むような歌声と、ソウルフルなポップ・チューンから壮大なプログレ・ハード・ナンバーまで優美に編み上げるジョンの卓越したアレンジ・センスが存分に堪能できる仕上がりとなっています。
AOR/産業ロックで括るには、存在感がググっと前へ迫り出す「気」を放つGを弾いているのは今回も名手マイケル・トンプソン(アー写には別の人物が載っているので正式メンバーではない様子)。曲名通りアクセル全開でOPを駆け抜けていく①、憂いを帯びた劇的な盛り上がりっぷりが胸を打つ本編のハイライト⑧、ミュージカル風味も感じられる芝居掛かった曲展開がファンタジー映画の主題歌っぽい⑪辺りは、特にマイケルのG、ラリーのVo、ジョンのKey及び楽曲構築術のハイレベルな融合ぶりが際立つ名曲ですよ。
こんだけ素晴らしい作品を作れる人達なので、次があるならもっと早く発表してくれると嬉しいなぁと。


SOLEIL MOON - Warrior - Nothing Matters ★★★ (2024-02-12 01:54:16)

たっぷり情感の込められたVo、G、そしてストリングスが
一体となって哀切な調べを奏で、息苦しい程の盛り上がりを呈する
2ndアルバムのハイライト・ナンバー。
特にラリー・キングの歌ウマっぷりには惚れ惚れさせられますよ。


SOLITUDE - Brave The Storm ★★ (2010-03-02 21:21:00)

デビューEP『VIRTUAL IMAGE』を発表したきり音沙汰がなく、てっきり解散したものと思っていた元SACRIFICEの
杉内哲(Vo)と西田亨(B)が結成した4人組HMバンドSOLITUDEから、今年ひょっこり届けられた1stフル・アルバム。
劇的なGリフの数々に、屈強なリズム、そして唯一無二の個性を備えた杉内のダーティなVoとが一丸となって
怒涛の如く進撃する、NWOBHM由来の男気溢れるパワー・メタル・サウンドはデビューEPから不変。
但し今回は、よりオーセンティックなメタル色が強まっており、曲展開がドラマティック且つキャッチーに
練り上げられた分、全体的に取っ付き易さが増した印象で、一層の歌心と表現力を獲得した、
杉内のアルジー・ワードばりのシャウトがその印象に拍車を掛ける。
海外スタジオにて最終的なマスタリングが施されただけあって、サウンド・プロダクションも大幅に向上を遂げ、
本作より新たにバンドに加わった元ANTHEM、大内MAD貴雅のパワフルなドラミングと併せて、サウンドの
迫力増強に大きな貢献。その真価が発揮された、美しいアコギに導かれてスタートする強靭なOPナンバー①
(前任者以上にGをメロディアスに歌わせる新ギタリストの存在が頼もしい)を筆頭に、「これぞブリティッシュ!」
——日本のバンドですが——な湿り気とドラマ性を湛えた楽曲の数々を聴いていると、個人的には
デモリションマンを擁する4人編成時代のVENOMの姿が脳裏を過ぎります。(これ聴いて気に入った人は、
是非とも過小評価されがちな『PRIME EVIL』以降のVENOMも宜しく)
沈黙期間の長さが、見事に完成度の高さに反映された渾身の1枚。再発されたデビューEPと併せてどうぞ。


SOLITUDE - Brave The Storm - YOU WERE ALL OF MY LIFE ★★ (2010-03-02 22:09:19)

美しく叙情的なアコギのイントロを経て、
パワフルに突き進むOPナンバー。
ドラマティックな曲展開といい、
メロディアスに泣き/歌うGソロといい、
デビューEPからバンドが確かな成長を遂げた事を
端的に物語る名曲。


SOLITUDE - Reach for the Sky ★★★ (2015-07-28 21:41:49)

デビューEPが'01年で1stアルバムが'09年と、作品のリリース・ペースがBOSTON級の気の長さを誇るSOLITUDE、'15年発表の2ndアルバム(と思ったら3rd扱いなの?)。しかし、これが長らく待った甲斐のある充実作に仕上がっているのですから、迂闊に文句は言えませんて。
前作完成後に加入し、今回がレコーディング作業初見参となる元ANTHEMの大内“MAD”貴雅(Ds)の存在がターボ燃料となったのか、本作はこれまで以上にスピーディ且つパワフルな方向へアクセルをベタ踏み。
拘りの詰まった強靭なサウンド・プロダクションを得て突っ走る、MOTORHEAD思わす好戦的な②、パワー・メタリックな肉厚さで迫り来る④、SOLITUDE版“WARNING ACTION!”とでも表したくなる⑥といったスピード・ナンバーの数々なぞ、スラッシュ・メタルを演っていたSACRIFICE時代も斯くやの獰猛さ。
それでいて後戻りした印象が皆無なのは、劇的にしてメロディックな③やインスト曲⑤を聴けば分かる通り、表現力を増した各パートがこれまで以上に「歌う」ようになっているせい。中でもヘヴィ・バラード調の⑧は、現在の彼らだからこそ成し得たエモーション迸る名曲っぷり。決して器用なタイプではないが(だからこそ)ヤサグレ男の哀愁を伝えるVoの熱唱や、泣きのGソロの剛速球が涙腺に沁みること沁みること・・・。
全8曲収録でランニング・タイムは40分台と、無駄なくタイトに引き締まった本編は体脂肪率0%。SACRIFICE時代からブレることなく一貫して追求し続けて来た、スラッシュ、NWOBHMの影響を取り込んだパワー・サウンドが、未だ前進の歩みを止めていないことを証明する1枚です。


SOLITUDE - Virtual Image ★★ (2006-05-03 09:11:00)

スラッシュ・スタイルだったSACRIFISEに比べると、こちらは若干、正統派寄りで聴き易いへヴィ・メタル・アルバムに仕上がっている。
(SACRIFISE自体、スピードで押し切るバンドではなかったけど)
とは言え、強烈な個性を主張する杉内明のダーティなVoは健在。どころか、ドスの効かせ方などかなりパワーUPした印象で、
これはかなり好き嫌いが分かれるかもしれないが、表現したい事があるからこそのこの歌唱法なわけで、別に文句を言う筋合いはない。
ウド・ダークシュナイダーやマーティン・ウォルキーア辺りがイケル口ならトライしてみる価値は十分にあり。
曲作りの巧さは相変わらずで文句なし。特に痒い所に手の届くGソロと、頭3曲のリフのカッコ良さには痺れた!
ただ、全6曲のミニ・アルバムで、インストを2曲続ける構成には疑問を感じなくも無いけど。


SOLSTICE (2011-06-29 22:21:02)

アレックス・マキーズ(Ds)とロブ・バーレット(Vo、G)が音頭を取って'90年に結成したスラッシュ・メタル・バンド。(人脈的には完全にフロリダ・デス・メタルの一派に組み込まれるが)
かのMORI SOUNDスタジオにて、トム・モリスの助力を得て制作したデモテープが評判を呼び、ドイツのSPV/STEAMHAMMER RECORDSとの契約を獲得。'91年、再びMORI SOUNDスタジオ入りすると、エンジニアにスコット・バーンズを招いて(実質プロデューサー的存在だったとか)デビュー作のレコーディングを開始。
セルフ・タイトルの付けられたこのアルバムは'92年秋にリリースされ、またバンドは同作をもって日本デビューも飾っている。(国内盤の邦題はシンプルに『ファースト』)

その後の活動については全くフォローしていなかったのだが、調べてみると'03年に2ndアルバムを発表しているのみならず、'09年には再結成を果たしていた事も判明。そういえばレコード屋で新作(3rd)がディスプレイされているのを見かけたような・・・。


SOLSTICE - Solstice ★★ (2011-06-30 06:49:32)

スラッシュ・メタルの名盤の多くは80年代に発表されているわけだが、個人的には、ジャンルの勢いに翳りが見え始めた90年代に、それでも流行に左右されることなく(もしくは流行と折り合いをつけつつ)生み出されたスラッシュ・アルバムの数々にも非常に愛着を感じており、アメリカ出身のSOLTICEが'92年に発表したこのセルフ・タイトルのデビュー作(エド・レプカが手掛けたジャケット・アートワークが○)も、そうした中の一つ。
デス・メタルの聖地、フロリダはMORI SOUNDスタジオにおいてレコーディングされているだけあって(エンジニアにはスコット・バーンズ)、音作りに関しては同スタジオの流儀に忠実に則っている本作だが、ハードコア方面からの影響も垣間見える野太い濁声Voや、ジャーマン・スラッシュ・メタルばりの音数の多さで刻まれるリフ&リズム、それに時折ハッと耳を捉える流麗なフレーズを奏でるGソロ(3曲で名手ジェイムズ・マーフィが客演)とが、緩急を効かせつつパワフルに畳み掛けて来るサウンドに、デス・メタル的なヘヴィネスや粘着性はあまり感じられない。KREATOR風味の切っ先の鋭さを誇る⑧なんて、彼らが標榜するスラッシュ・メタル(ハードコア+ヨーロピアン・スラッシュ÷フロリダ)が高いレベルで結実した名曲ですよ。
リリース当時、本作に対する雑誌等の評価は芳しいものではなかったが、そのお陰で(?)バカ高いプレミアが付けられる事もなく、現在でも比較的容易に入手可能ゆえ、未聴のスラッシャー諸氏は是非お試しあれ。


SOLSTICE - Solstice - Catalysmic Outburst ★★★ (2011-06-30 23:27:51)

音数の多いリズムに乗って、
噛み付くように咆哮するVoと
これまた手数多めのGリフが疾駆する、
ジャーマン・スラッシュ勢からの
影響が伺える高速スラッシュ・ナンバー。
耳惹かれるメロディアスなGソロも
良いアクセントとなっています。


SORTILEGE - Larmes de héros ★★ (2013-04-22 22:52:42)

バンド名は“ソルティラージュ”と読むんでしたっけ。パリジャン5人組がプロデューサーにヴィック・ヴァーガットを迎えて'86年に発表した2ndアルバム。
嘗ては「ざーますメタル」「メタルに合わない言語」なんて言われてたフランス語。本当にメタルに合わないかどうかは、古今、フレンチ・メタル作品に余り触れて来なかった身としては判りかねるのですが、少なくとも本作がフランス語歌詞であることのハンデやマイナス要素は殆ど感じさせない力作であることは確か。
これまでにも増してメロディとハーモニーを重視し、「聴かせる」ことに焦点が絞られた本編は、NWOBHM然としたGリフ主体で疾走するアップテンポの楽曲以上に、そこはかとなく優雅ささえ感じさせるメロディを暑苦しく歌い上げるハイトーンVoと、フラッシーな速弾きからマイケル・シェンカーばりの泣きのソロまで多彩にこなすGの存在が生きるスロー/ミディアム・テンポの楽曲の方が、強く印象に残る仕上がり。特にGのセンスは絶品で、④のエンディング部分における泣きっぷりなんて、そのエモーションの迸り具合に眉が八の字になる程。
楽曲のメロディアス化が一層押し進められたことによりVoの力量の限界が露呈している上、冴えないプロダクションのせいで垢抜けない雰囲気も漂う作品ではありますが、個人的には、IRON MAIDEN~JUDAS PRIESTの系譜に連なるこの正統派HMサウンド楽しむ上では然したる障害ではなし。
あと、ふと思いましたがちょっと同時代のジャパメタっぽい部分もあるような?


SORTILEGE - Larmes de héros - Quand un aveugle rêve ★★★ (2013-04-23 21:46:33)

イントロからして湿度が高い泣き虫メタルで、
エンディングのGソロの泣きっぷりが白眉。
フランス語の語感の柔らかさが、
良い意味で軟弱さを補強してくれていますね。


SORTILEGE - Métamorphose ★★★ (2017-04-01 09:31:37)

時は80年代。雑誌等では「フランス語はメタルに合わない」と叩かれる一方、マニア筋からは優れたバンドを数多く輩出する有望なHM鉱脈として信頼を勝ち得ていたフレンチ・メタル・シーン。その中でも1、2を争う人気者だったSORTILEGEが’84年に発表した1stフル・アルバム。ついでにジャケットに描かれた謎のモンスターが浮かべる、こっちを小馬鹿にしたような顔つきに絶品にイラっとさせられる1枚であります。
これまで本作については日本盤も出た英語バージョンにしか触れる機会がなく、先日のリマスター再発を期に漸く原語バージョンを聴くことが出来て、ああ、うん。フランス語版の方が断然良いよ!と。元々シンガーは熱々のシャウトから朗々とした歌い上げまで余裕でこなす実力派でしたけど、聴き比べると、微妙に「置きに行ってる」感無きにしも非ずな英語版に対し、母国語の方は遠慮会釈なしに歌唱がダイナミック。何より、疾走感もドラマ性も切れ味も十分な、JUDAS PRIESTやNWOBHMを通過した正統派HMに、語感の柔らかなフランス語が乗ることで、サウンドに一種の優雅さや気高さがトッピング。有象無象のバンドとの大きな差別化に成功しています。特に、メタル・ハートにビンビンに響くビブラートを伴うハイトーンVoと、時にそのVo以上に雄弁に歌ってみせるツインGを存分にフィーチュアした、勇ましくもキャッチーな②と、ドラマティック極まりないアルバム表題曲⑨は、言語に対する偏見を捨てて是非1度お聴き頂きたい名曲です。
次作を聴いた時も思ったのですが、曲作りの方向性からメロディの拾い方まで、不思議と同時代のジャパニーズ・メタルに通じる魅力を放っている1枚ではないかと。


SORTILEGE - Métamorphose - Majesté ★★★ (2017-04-01 09:41:22)

エッジの立ったGリフとリズム、
メロディックに弾きまくられるGソロとが
適度なノリの良さを伴って突き進む様からは
これぞ80年代正統派HM!といった魅力が立ち込める。
フランス語で朗々と、且つ力強く歌うハイトーンVoが
一種「高貴な雰囲気」を楽曲に付与していて
このバンドの独自性を際立たせていますよ。


SORTILEGE - Métamorphose - Métamorphose ★★★ (2017-04-01 09:52:33)

シンガーの歌の上手さが映える
バラード調の序盤からテンポアップして、
泣きのGソロとコーラスを伴いながら疾走する
終盤の盛り上がりは、涙ながらに
万歳三唱したくなるぐらい熱くドラマティック。


SORTILEGE - Sortilège ★★★ (2017-04-03 23:38:22)

'81年に結成された(当初はBLOODWAVEと名乗っていたのだとか)フランス・パリ出身の5人組が、DEF LEPPARDとのツアーで前座を務める等して腕を磨いた後、オランダのRAVE-ON RECORDSと契約を結び’83年に発表したセルフ・タイトルのデビューEP。
豊かな声量を活かして歌いまくるハイトーンVo、メロディックに駆け巡るツインGを武器とした切っ先の鋭い正統派HM…という後のアルバム2枚に通じるサウンドの方向性、並びにメンバーの技量の確かさはとっくに確立済み。と同時に、全5曲が「ぐずぐずしてる暇はねえ!」とばかりにタイト且つハードに攻め込んで来るサウンドは、NWOBHMからの影響もクッキリと顔を覗かせていて、その出来栄えは彼らのカタログの中において頭抜けてアグレッシブ。後の作品からそこはかとなく漂う「ジャパメタっぽさ」はここからは感じられませんでした。
疾走ナンバー、三連、ミッド・チューンと、収録曲はどれも素晴らしいモノばかりですが(歌詞は当然全曲フランス語)、中でもJUDAS PRIESTの“THE HELLION”を思い出さずにはいられない劇的なイントロ付きで疾走するOPナンバー①と、バンドのテーマ曲④は必聴であると。特に後者は凄い。何が凄いってサビがひたすらバンド名を連呼するだけという(笑)。君ら選挙期間中の政治家か何か?というぐらいのアピールっぷりが微笑ましい名曲ですよ。(選挙カーの場合だと思わず爆破してやりたくなるぐらい腹立ちますが)
「かつてDEATHのチャック・シュルデナーも感銘を受けたことを語っていた1枚」…と聞いて興味が湧いた方にもお薦め致します。


SORTILEGE - Sortilège - Amazone ★★★ (2017-04-04 00:01:41)

君ら、メイデン派じゃなくてプリースト派なのね、という
“THE HELLION”~“ELECTIC EYE”を彷彿とさせる
劇的な導入部のみでメタル・ハート鷲掴みなOPナンバー。
攻撃的なツインGのみならず、多少のピッチの甘さなんぞモノともせず
パワフルに歌いまくるVoの存在も眩く光っていますよ。


SORTILEGE - Sortilège - Sortilège ★★★ (2017-04-04 00:06:00)

ソ、ル、ティ、ラァーーーージュ!
どぶ板選挙に身を投じる立候補者か
はたまたナニワ商人ばりにバンド名を連呼するのみのサビメロが
微笑ましくも雄々しく、メタル魂を燃え上がらせてくれまっせ。


SPEEDTRAP - Powerdose ★★★ (2013-12-16 23:29:35)

鋭利に刻まれるへヴィ・メタリックなGリフと、オカズ無用のハードコア/パンキッシュなリズムとを組み合わせて、昨今流行りのNWOTHMと言うよりは、もっと野蛮で原始的なHMサウンドを追求するフィンランドの5人組が、'13年に発表した1stフル・アルバム。
演奏の背後で薄く聴こえる「スーッ」というノイズに、何やらカセットテープを聴いてるような心持にさせられるアナログな音作りを施された本作。余計な贅肉を削ぎ落とし、直線的に突っ走る初期衝動もろ出しな作風で聴き手のケツを蹴り上げつつも、例えば回転の速いGリフが炸裂するOPナンバー①、しっかりと構築された歌メロが勇壮さを醸し出す②、前のめりな疾走感の中に、劇的なツイン・リードGが映える曲展開でひとヒネリを加えることを忘れない⑥といった楽曲に顕著に表れている通り、勢いで誤魔化すことなく、リフ/メロディ/曲展開にちゃんとフックを盛り込むことを忘れない姿勢が頼もしいじゃありませんか。
個人的にはストライク・ゾーンど真ん中の音というわけではないのですが、2枚、3枚と作を重ねる毎にどういった方向へ進んでいくことになるのか、非常に興味の沸く逸材ではないかと。


SPEEDTRAP - Powerdose - Redemption of Might ★★★ (2013-12-19 22:41:43)

MOTORHEADとDIAMOND HEADがデキ婚した結果
産み落とされた爆走ナンバー、みたいな。
メタルヘッドの魂に火を点す、回転の速いGリフの
カッコ良さに居ても立ってもいられませんて。


SPEEDTRAP - Straight Shooter ★★★ (2015-11-17 23:23:27)

Dsが脱退、BがDsに転向、新BとサイドGも加えて5人編成に移行・・・と、大掛かりなメンバー・チェンジを経て'15年に発表された2ndフル・アルバム。
ツインGの稼動により楽曲のアレンジの幅が広がり、また歌唱力を増したシンガーの歌メロが一層メロディックになったことで、全体的にサウンドの整合性が高まったように感じられるのは、他の諸兄のご指摘通り。中でもエピック・メタルのヴァイブ漂う勇壮な⑦はその筆頭格でしょうか。
多少収録曲のバラエティが広がったとは言え、粗挽きGリフに、ボカスカ突進するリズム、アッパーなVoとが、生き急ぐかのように突撃するプレ・スラッシュ/スピード・メタリックな音楽性に手緩さは皆無で、例えばハイスピード/ハイテンション/ハイボルテージで押しまくる①②の掴みや、本編最速の⑧なんて笑っちゃうぐらいの喧しさ。いや、今日び彼らより速くて騒々しい連中だって山ほどいるとは思うのですが、このバンドの場合、変にエクストリームだったりメカニカルだったりせず、(ラフでアナログな音作りが相俟って)本屋の成人コーナーでエロ本をクィックな動作でチェックする昭和の中学生ばりの落ち着きのなさや愛嬌が迸っている辺りが魅力かと。・・・って、例えが分かり辛過ぎますが。
ともかく、前作が気に入った人なら当然「買い」の1枚。


SPELLBOUND(日本) (2011-07-08 22:17:44)

スウェーデンにも同名のバンドがいたような気がするが、こちらは日本の三重県四日市市出身。
前身バンドのLSD時代はどうやらOUTRAGE風のスラッシュ・メタルを演っていたらしいが、改名に伴い、スラッシュ色を残しつつも、ACCEPTやTANKといったバンドを彷彿とさせる男気溢れるパワー・メタル・バンドへと劇的ビフォーアフター。'92年にWASTED RECORDS(№001という品番から察するに多分自主レーベル?)から4曲入りEP『ESCAPE』をリリースしてレコード・デビューを飾る。
優れた内容にも関わらず高評価を得る事は叶わず、バンドは本作のみを残して解散。(ちなみにBURRN!!誌のレビューは69点。Voが弱いとダメ出しをされていたが、この時期のジャパメタ・バンドは総じて同様の批判をされていたような印象がある)
Gの萩智洋は後に同郷のメタル・バンドMANUPILATED SLAVESに4代目Gとして加入。4th『OATH IN BLACK TEARS』では本作からタイトル・トラックをカヴァーしていた。


SPELLBOUND(日本) - ESCAPE ★★★ (2011-07-07 23:02:53)

三重県出身の4人組パワー/スラッシュ・メタル・バンドが'92年に発表した4曲入りデビューEP。
音質は薄っぺらいが、METALLICA、ACCEPT、TANKといったバンドの衣鉢を受け継ぐ勇壮な鋼鉄サウンドは手応え十分で、かつてBURRN!!誌にレビューが載った時は、広瀬現編集長から「曲は良いのに濁声シンガーが全てを台無しにしている」とダメ出しをされていたが(ブルータルなVoが市民権を得るのはもっと後の話だ)、いやいや、個人的にはこのVoは大いに「有り」。
そりゃ間違っても産業ロックを歌えるようなタイプではないが、よりダーティになった橋本直樹といった趣きの粗野な歌声でメロディを追いかけるVoは楽曲の男臭いドラマ性を効果的に増強。硬質なリフの刻みから構築美を湛えたソロ・パートまでこなす萩智洋(現在はMANUPILATED SLAVESに在籍)のGプレイと併せて、本作の大きな聴き所として機能しているように思う。
そのMANUPILATED SLAVESでもカヴァーされていた④なんて、メタル者なら聴いて損なし!と思わず握り拳固めて力説したくなる程、パワー/スピード/メロディの三拍子揃ったドラマティックな逸品ですよ。
たった4曲、20分ちょいのボリュームながら充実度はなかなかの1枚。バンドはこれを最後に解散してしまったが、出来ればフル・アルバムが聴いてみたかったな・・・。


SPELLBOUND(日本) - ESCAPE - ESCAPE ★★★ (2011-07-08 22:20:23)

EPのラストに置かれたタイトル・トラック。
「サイレン音が鳴り響く楽曲には名曲多し」という
自説をしっかりと補強してくれる、
勇壮且つ劇的な疾走ナンバー。
唯一、フェードアウトで終わってしまうエンディングが
玉に瑕か。


SPELLBOUND(日本) - ESCAPE - WISHING FOR DEATH ★★ (2011-07-08 23:12:23)

音の悪さを物ともせずに、
重量感たっぷりに突き進むOPナンバー。
イントロで炸裂する劇的なGリフが、
何となく初期ANTHEMを彷彿とさせますね。


SPIDER (2016-04-18 23:12:16)

GSからアメコミ・ヒーローまで、似たような名前の人物/バンドは多いですが、こちらはNWOBHM期に活躍した、コリン・ハークネス(Vo、G)、ブライアン(B)とロビー(Ds)のバローズ兄弟、それにデイヴ・ブライス(G)という編成からなる英国リバプール出身の4人組。
結成は'76年。STATUS QUOの薫陶を受けたハードブギー・サウンドを武器に、イギリス中を精力的にツアーして回り支持基盤を確立。数枚のシングルと、『ROCK’N’ROLL GYPSIES』(’82年)、『ROUGH JUSTISE』(’83年)、『RAISE THE BANNER』(’86年)という3枚のフル・アルバムを発表。この間、一度もメンバー・チェンジがないという点でも珍しいバンドでした(?)。
'86年、3rdアルバム発表直後に所属レーベルが倒産するという不運に見舞われ、著しくモチベーションが低下したバンドは、同年、マーキーでのライブを最後に解散。


SPIDER - Rock ’n’ Roll Gypsies ★★★ (2016-04-18 23:14:01)

NWOBHMシーンにあって、VARDISと共にブギ/ロックンロールに拘った音楽性から、「小型STATUS QUO」とも評されたイギリスはリバプール出身の4人組が、'82年にRCA RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ブギつったら“ヤットデタマン・ブギウギ・レイディ”が真っ先に思い浮かぶ程度。普段は「泣きだ」「哀愁だ」と湿気まみれのミュージック・ライフを送っている身ゆえ、SPIDERに関しては完全守備範囲外とスルー決め込んでいたのですが、評判の良さに釣られ後追いで聴いてみたらば、いやこれが、QUO直系のゴキゲンなハードブギーが最初から最後までシェケナベイベ。
例えばアメリカのロックンロール・バンドが、ライトアップされたアリーナ会場と華々しい大合唱が似合いそうなのに比べ、SPIDERが繰り出すサウンドは、狭くて酒臭くて薄暗いパブやライブハウスの熱狂の方がよく似合う下町グルーヴ全開(褒めてます)。埃っぽい声質で歌いまくるVoと、楽器陣のタイトな演奏を活かして、普段この手の音を嗜まない輩(←俺)をも力ずくで踊らせてしまう手腕は、叩き上げライブ・バンドの面目躍如。アグレッシブなGが印象的な⑦や、濃厚な哀愁を発散する⑧といった秀曲も、間違いなく彼らがNWOBHMの一員であったことを伝えてくれます。
全英チャート75位にランクインし、SPIDERの代表作として愛されるのも納得の1枚。


SPIDER - Rock ’n’ Roll Gypsies - 'til I'm Certain ★★★ (2016-04-19 23:54:11)

アゲアゲな本編にアクセントを加える哀愁のHRナンバー。
泣きを湛えたGだけでなく、男の哀愁を伝えるVoも沁みる。
決して声域は広くありませんが、
絞り出すような歌唱にグッと来ますね。


SPIDER - Rough Justice ★★★ (2016-04-20 23:40:16)

プロデューサーは売れっ子クリス・タンガリーディス、ゲストKey奏者にMAGNUMのリチャード・ベイリーを招聘してレコーディング、’83年にポリドールUKより発表された2ndアルバム。
1曲ずつ取り上げてどうこう評価するよりも、頭空っぽにして楽しんだもん勝ちの王道ハードブギーが炸裂していたデビュー作に比べると、本作は冒頭で述べた制作体制の成果か、収録各曲のキャラ立ちが明瞭化。併せてメロディ/曲展開のドラマ性も底上げが図られており、「ブギーはちょっと…」ってなHR/HMファンにも取っ付き易い仕上がりになっているじゃないでしょうか。飽くまで前作比での話ですけど。
無論、タイトな演奏に乗せ、小気味良く繰り出されるサウンドは、タテノリのリフ&リズムから親しみやすいメロディまで、体が勝手に動き出すゴキゲンなエキサイトメントとキャッチネスをキープ・オン・ブギウギ。しかめっ面も笑顔に変えるノリノリの疾走ナンバー①、キャッチーな③、MANOWARばりに大仰なイントロを有する⑥といった楽曲の「みんなが笑ってる」「お日様も笑ってる」「るーるるるっるー」なハジけ具合は彼らの真骨頂。
加えて今回は、哀愁のバラード⑦や、エンディングでツインGが泣きまくる⑨等を聴けば分かる通り、英国産HMならではの湿り気やドラマ性もアクセントとして機能していて、中でも軽快な曲調の中に仄かな愁いが塗された④は、本編のハイライトとして特筆したい名曲っぷりですよ。
今では国内盤も入手可能ですし、SPIDER入門盤にもお薦めする次第。