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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5501-5600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5501-5600
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STORMWARRIOR - At Foreign Shores - Live in Japan ★★ (2012-03-04 09:10:24)

'05年冬、GAMMA RAYの日本ツアーに帯同する形で初来日を果たしたSTORMWARRIORが、その際の東京公演の模様をレコーディングして、翌年に発表した実況録音盤。
1stや2ndアルバムに詰め込まれていた、HELLOWEEN~GAMMA RAY直系のジャーマン・メロパワ・メタルには余り感心した記憶がないのですが、こうしてライブ盤でまとめて聴くと、勇壮にして扇情的なフレーズを次々に紡ぎ出すツインGを筆頭に、良い曲を多々作ってきたバンドであることを再認識させられ、素直に「良いねぇ」と楽しむ事が出来ます。(バンドが成長を遂げたことも大きいのでしょうが)
ライブならではの熱気を孕みつつ突進する歌と演奏は意外なほど(失礼)安定していますし、GAMMA RAYの前座だった彼らに対しても冷淡な態度を取らず、大きな声援を送るナイスな観衆の盛り上がりっぷりも本作の魅力。
MCは簡単な挨拶と曲名コールぐらいで、あとはひたすら楽曲を繰り出すのみ!という武骨なショウ進行に物足りなさを感じる向きもあるでしょうが、その愚直さが彼らのキャラクターに合っており、加工されたファンの歓声も、日本公演の熱気を再現したいというバンドの心情の表れと解釈すればケチ付けようって気にはならんですよ。
初期STORMWARRIORの活動を総括する1枚と言えるかもしれませんね。


STORMWARRIOR - Heading Northe ★★ (2010-04-27 21:52:00)

社長の急逝に伴いサウンド・ホリックが会社を畳んでしまったため、徳間ジャパン・コミュニケーションズを通じて
配給されていた、同レーベルのカタログ全てが廃盤になる・・・との話を聞いて、慌てて購入を後回しにしていた
対象作品を買い漁っている今日この頃。その流れの中で入手したのが、STORMWARRIORが'08年に発表したこの3rdアルバム。
嘗て彼らのデビュー作を聴いた時は、もっさいジャケットに下手っぴぃな歌といい、好印象を持った記憶がないのだが、
あれから早幾年月、いつの間にやら本格派メタル・バンドとしての風格を身に付けていて吃驚。化けたなぁ。
HELLOWEEN~GAMMA RAYの流れを汲む、ティピカルなメロパワ・サウンドに加えて、今回は北欧神話と海賊を
題材に取ったコンセプト作ということで、全体的にヴァイキング・メタル風味が大幅増量。大仰なSEやKeyを
効果的に取り入れ、序曲に始まり終曲に終わる芝居掛かった構成といい、本編及び各楽曲に宿る
ドラマ性/スケール感が飛躍的に向上。特に、血沸き肉踊る勇壮極まりないスピード・チューン②⑧、
マッチョなBラインが印象的な④、吹き鳴らされる角笛に思わず血が滾る⑥、メンバーがBATHORYからの影響を告白する
ダークで重厚なヴァイキング・メタル・チューン⑦、MANOWARばりに劇的な大作⑨・・・といった楽曲の完成度は出色。
骨太な楽曲に比べると、線の細いVoのパワー不足が惜しまれるが、まぁぶち壊しって程でもないので許容範囲内。
メロスピ/メロパワ好きのみならず、一般的なHR/HMファンにアピールし得る説得力を備えた1枚ですよ。


STORMWARRIOR - Heathen Warrior ★★ (2012-03-04 20:23:20)

前作『HEADING NORTHE』('08年)がここ日本でも好評を得たSTORMWARRIOR、'11年発表の4thアルバム。
劇的な序曲に導かれてスタートするアルバム表題曲②を皮切りに、上手い/下手の次元を突き抜けて、最早バンドの「看板声」としての評価を確立したラーズ・ラムケのVoと、思わず血沸き肉踊らされずにはいられない雄々しいメロディとが、力強く刻まれるリフ&リズムに乗ってヒロイックに疾走するパワー・メタル・サウンドは、まさしくSTORMWARRIOR以外の何者でもない男臭い仕上がり。
豊富なキャリアを誇り、骨太なBプレイのみならず2ndシンガーとしても存在感を発揮する新メンバー、イェンツ・レオンハルトが本格的に作曲作業に関わるようになった影響か、曲によってはラーズとイェンツのツインVo体制が取られ、またボーカル・ハーモニーも増量される等、これまでよりも楽曲のメロディアスな側面が強調されている印象が感じられる本作ですが、これによりスケール感やドラマ性の底上げが図られた反面、前作を濃厚に覆っていたヴァイキング・メタリックな野蛮さが薄れ、初期HELLOWEEN~GAMMA RAYライクなメロパワ・メタル色が再び強まってしまったように感じられる点は、個人的には痛し痒し。
とは言え、別に疾走感が失われたわけでなけりゃ、ポップになったわけでもなし。重厚に猛る⑩のような名曲も収録していたりと、ファンの期待が裏切られることは決してないことを保障できる1枚ですよ。


STORMWIND - Resurrection - Samuraj ★★★ (2015-05-11 23:25:55)

SAMURA“I”じゃなくてSAMURA“J”であることに
バンドの拘りが感じられる・・・なんてことは全くなく
単に向こうじゃ「J」が「イ」の発音に該当するだけですかね。
メロディに和風色はありませんが、
憂いを帯びた硬派な曲調はSAMURAI・・・もといSAMURAJっぽい。
その名に恥じぬ良い曲です。


STORMWIND - Rising Symphony ★★★ (2015-07-18 11:22:42)

RISING FORCE時代のイングヴェイを彷彿とさせる様式美HMサウンドをバリバリ追求し続ける(た?)スウェーデン出身の5人組、'03年発表の6thアルバム。
彼らの作品は何枚か所持していますが、最も聴き返す頻度が高いのが本作です。壮大にして激しくドラマティックな①②(文字通り“雷鳴のシンフォニー”状態)の流れに始まって、初期の名曲のセルフカバー⑩にて幕が下りる本編は、収録楽曲のクオリティから無駄なく締まった構成まで、STORMWINDのカタログの中でも頭一つ飛び抜けた出来栄え。「スウェーデンの極新カラテ王者」なる異色の経歴を誇るギタリスト、トーマス・ウルフがここでクリエイトする音世界には、「鶴の構え」を取ったダニエルさん(古い)ばりに付け入る隙が全く見当たりませんよ。
そんなコブラ会ですらお手上げの本作を更なる高みへと押し上げるのが、元TALK OF THE TOWN他の実力派シンガー、トーマス・ヴィクストロムその人。広い声域/豊かな声量/抜群の表現力を併せ持つこんな強力無比な歌聴かされたら、そりゃNHKでなくとも「昼はオペラ、夜はメタルの二足の草鞋を履くボーカル・マスター」として音楽番組で特集を組みたくなるってもんですわなと。
その彼氏の堂々たる歌声と、トーマス・ウルフ謹製の荘厳!クラシカル!スピーディ!な楽曲とがガップリ四つに組んだ④は、北欧様式美HMファンを感涙に咽ばせる名曲っぷり。
STORMWINDのアルバムはどれから手をつけて良いか分からないという方は、まずはこちらかどうぞ。入手が容易だし、中古盤も安いっすよー。


STORMWIND - Rising Symphony - Stranger From the Sea ★★★ (2015-07-20 20:37:37)

荘厳且つ厳粛なイントロから疾走へ転じる
絵に描いたような北欧様式美HMナンバー。
宗教音楽的な混声コーラスが被さる
サビメロの劇的なアレンジも秀逸。
それにしてもトーマス・ヴィスクトロムの
高音域でも全くパワーが落ちない
ハイトーンVoには恐れ入りますね。


STORMWIND - Rising Symphony - Touch the Flames ★★★ (2015-07-20 20:21:19)

壮大な序曲“RISING SYMPHONY”の余韻を
鋭く刻まれるGリフが打ち破り、
寒々しい哀メロを朗々歌い上げるVoと、
GとKeyのバトルを伴いながらスピーディに激走するという
「OPナンバー、かくあるべし!」な逸品。
曲調から浮いているGソロは、個性と評価すべきか
玉に瑕と批判するべきか・・・。


STORMWITCH - Shogun ★★ (2012-03-25 00:00:06)

ドイツはハイデンハイム出身の5人組が'94年に発表した7thアルバムにしてラスト作、それにニンジャが描かれたジャケット、漢字があしらわれた歌詞カード、そしてそのものズバリなアルバム・タイトルが物語る通り、リチャード・チェンバレン主演でドラマ化もされ、欧米において「日本=サムライ、ハラキリ、ニンジャ」の認識を根付かせるのに大いに貢献した(?)ジェームズ・クラベルのベストセラー小説『SHOGUN/将軍』を基にしたコンセプト・アルバム。
結成は'79年まで遡るベテランにも関わらず、日本では知名度も作品の評価もパッとせず「万年B級バンド」のイメージが付き纏っていた彼らも、これでとうとうブレイクか?と思いきや、大スケールのコンセプトに不釣合いなショボイ音質や、詰めの甘い曲作りから漂うもっさりと垢抜けない雰囲気が足を引っ張ったのか、結局、何事も起こらずに普通にスルーされてしまいましたね。
それでも、スパニッシュ・フレーバー漂う叙情バラード⑤、王道ジャーマン・メロパワ・メタル風味の疾走曲⑧、アルバムのクライマックスを飾るドラマティックな⑪といった佳曲の数々を聴けば、バンドが真摯に本作の制作に励んだ事が伝わってきて好感度は上がりますし(逆にバカ要素を求める向きには物足りないか?)、安易に日本語や和音階といった小道具を用いて「エキゾチック・ジャパンでござい」と主張する事を良しとしない硬派な姿勢も潔かった。
尤も、そのせいでコンセプト・アルバムならではのスペシャル感に欠けるというか、単に「長尺なだけの(74分!)いつものSTORMWITCHのアルバム」ってな印象も無きにしも非ずなのですが・・・。


STORMWITCH - Shogun - I'll Never Forgive ★★ (2012-03-25 21:49:35)

山あり谷ありの曲展開を有し、
アルバムのクライマックス役を担う
8分以上に及ぶ大作ナンバー。
疾走パートでVoの裏メロを取る
Key(Gか?)の使い方が秀逸ですね。


STORMWITCH - Shogun - Seven Faces (And Two Hearts) ★★ (2012-03-25 21:40:17)

物語の登場キャラにちなんで、
スパニッシュ・フレーバーが取り入れられた
アコースティック・バラード。
かつてはその弱さを指摘されまくっていたVoも、
流石に7枚目のアルバムともなると
ある程度の技量は身についているようで
若干ふらつきながらもしっかりと
叙情メロディを歌い上げてくれています。
あと、何度聴いてもGが良い仕事してますねぇ。


STORMWITCH - Shogun - The King of Winds ★★ (2012-03-25 21:42:55)

イングヴェイ風のネオクラGと、
疾走するリズムの上に、雄々しい歌メロが乗っかった
ジャーマン・メロパワ・メタルの王道を行く1曲。
HELLOWEEN系統がイケル口の人は
この曲目当てに本作を購入するのも有りなんじゃないでしょうか。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven ★★★ (2015-05-17 00:33:20)

'86年発表の3rdアルバム。
ジャケットのしょうもなさは弁護できませんけども。鋲打ちレザーを脱ぎ捨て、オーダーメイドのバロック・コスチュームへと華麗なる変身を図ったメンバーのルックスが物語る通り(?)、プロダクションがクリアに整えられ、楽曲もキャッチーなノリ易さを増す等、今回は過去2作に比べると地下室のジメジメ感が除湿されて、随分と取っ付き易い作風に仕上がっています。
つっても垢抜けたなんてことは全くなく、魔女の呪文詠唱からスタートする、らしさも怪しさも満点の①②で早くもニヤけてしまいますね。そして何と言ってもハイライトは、リー・タロット(G)が執筆した吸血鬼に関するオリジナル・ストーリーを下敷きにしてるという7分半に及ぶ大作曲④。コケ脅し臭が薄まった歌詞から起承転結バッチリの曲展開まで、バンドのソング・ライティング能力の開花っぷりを如実に証明する素晴らしさ。このドラマティックな名曲を筆頭に、歯切れ良く踊るツインGを纏って疾走する⑤や、アルバムの締め括り役という大任を切れ味鋭く全うするインスト曲⑨等、本編には味わい深い楽曲が所狭しと並び、これまた捨て曲なし。
こうしてSTORMWITCHの初期作を久々に聴き直してしみじみと「やっぱ彼らの初期作は好きだなぁ」と実感した次第。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Dorian Gray ★★★ (2015-05-17 22:22:09)

アルバムのラストに鎮座ましまし、
本編に居並ぶ歌入り楽曲を前座扱いする
ドラマティックなインストの名曲。
リー・タロット(G)の才能が遺憾なく
スパークしまくっていますね。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Jonathan's Diary ★★★ (2015-05-17 22:10:38)

B級だのイモだの言われてるSTORMWITCHですが
(実際その通りなんですけどね)
この曲に関しては、ドラマティックに練られた
歌詞といい曲展開といい、
聴く度に確かな才能の煌きが感じられ
ニンマリ笑顔になりますよ。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Slave to Moonlight ★★★ (2015-05-17 22:16:22)

(歌詞に相応しく)夜の森を駆け抜ける狼の如く
切れ味鋭く楽曲を牽引するGの働きぶりに
耳奪われるアップテンポのHMナンバー。
歌唱力については賛否分かれるVoですが
(個人的には全然「有り」なのですが)
ここではキャッチーな歌メロを構築する等
確かな成長振りが伺えますよ。


STORMWITCH - Tales of Terror ★★★ (2015-05-12 23:56:37)

STORMWITCHの代表作として名高い、'85年発表の2ndアルバム。ここからは国内だけでなく、欧州HR/HMシーン全体での活動も視野に入れて、メンバー全員が英語風ステージネームを名乗るようになりました。例えば、アンディ・ミュック(Vo)はアンディ・エルドリアン、ハラルド・スペングラー(G)はリー・タロット・・・といった具合に。
音の方も、プロダクションが幾分かでも改善され、「歌が上達したリッキー・ヴァン・ヘルデン」といった感じで(褒め言葉?)より雄々しくメロディアスに歌い上げるようになったVoと、一層妖しく練られたフレーズを閃かせてくれるツインGに下支えされ、ドラマ性をいや増した収録楽曲etc・・・と、NWOBHMの影響下から抜け出して、独自の「STORMWITCHサウンド」確立に向けて大きく前進。
怪しげなアートワークをそのままメロディに転化させたようなイントロが本編に対する没入度を高めてくれるOPナンバー①や、『赤死病の仮面』をテーマとするドラマティックな③、MANOWARばりの「語り」を導入部に据えた芝居がかった曲展開が堪らない⑤、2本のGが印象的にハモりつつシャープに駆け抜けていく⑦等、いよいよ本領発揮!ってなクサくて暗くて大仰な楽曲が本作には大集合しています。
「お洒落」とか「洗練」といったモテワードとは清々しいぐらい無縁のB級メタル街道一直線作品なれど、HELLOWEENブレイク前のジャーマン・メタル裏名盤の一つとして、愛さずにはいられない魔力を秘めた1枚であります。


STORMWITCH - Tales of Terror - Night Stalker ★★★ (2015-05-14 23:08:31)

アルバム後半において一際強いインパクトを残す疾走ナンバー。
NWOBHM的な荒々しさよりも、
ドラマティックにハモりながら駆け抜けていく
ツインGの華麗なる活躍ぶりが印象的で、
バンドがいよいよ個性を確立しつつあることが
伝わってくる出来栄え。


STORMWITCH - Tales of Terror - Point of No Return ★★★ (2015-05-14 22:55:46)

その昔、立ち寄った輸入盤店でBGM代わりに流れてた
この曲の大仰且つ怪しさ満点のイントロを聴いた瞬間、
店員さんに「これ、なんてバンドの曲ですか?」と
聴きにいきましたね。名曲。


STORMWITCH - Tales of Terror - Sword of Sagon ★★★ (2015-05-14 23:02:33)

冒頭に置かれたナレーションが、MANOWARの
“WARRIOR'S PRAYER”を思い出す長さで笑ってしまいます。
(喋ってるのはアメリカの軍人さんなのだとか)
この芝居掛かったイントロに負けず、疾走感溢れる
楽曲自体も勇壮でナイス。デビュー作に比べると
全体的にメロディアスになってきていることが分かりますね。


STORMWITCH - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-10 22:36:18)

幼馴染のアンディ・ミュック(Vo)とハラルド・スペングラー(G)により結成された5人組が、'84年にGAMA RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、レーベルは彼らのことを「ブラック・メタル」として売り出そうとしたそうですが、無論本作にアンチクライスト思想や、VENOM、BATHORYとの共通点は皆無・・・あ、いや。安普請なプロダクションと、ホラー映画を影響源とする歌詞はそれっぽいかもしらん。
ともあれ、この時点ではSTORMWITCHと聞いて想起されるドラマティックな様式美HMテイストは薄め。それよりも鋲とレザーで武装したメンバーのルックスといい、荒い音色で鋭角的に刻まれるGリフ主導で疾走する楽曲といい、そのサウンドはNWOBHMからの影響がストレートに露出しています。
曲作りの中核を担うツインGコンビが奏でるフレーズに、決して巧いわけじゃないけどメタルを歌うに相応しい「熱さ」「勢い」は十分なVo等、バンドの才能の片鱗は既に随所で煌いていて、例えば抜けの良い⑤なんかは、本編を埋め尽くすマイナー・メタル・ソング群の中にあって妙なインパクトを放つ逸品。後にバンドの代表曲となったのも納得ですよ。
イロモノ全開なアートワークから、僅か8日間で突貫制作されたチープな音質に至るまで、噎せ返るようなイモ・メタルっぷりですが、逆にここまで美味しいおイモなら、立派に商品価値があるってもんではないでしょうか。


STORMWITCH - Walpurgis Night - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-12 00:02:42)

突進系のマイナー・メタル・ソングが大半を占める
1stアルバムの中にあって、軽快に弾む
“LONG LIVE ROCK 'N' ROLL”思わすリズムが
異彩を放っています。
でもメロディやツインGハーモニーが
湿気っているあたりはやっぱりドイツのバンドやなぁと。


STRAIGHT LINES - Run for Cover - Letting Go ★★★ (2017-12-21 23:34:56)

母国カナダのチャートではTOP40に食い込む成績を残したらしいですが
個人的にはもっと上位でもおかしくねーだろ!と思ってしまう
泣きの名バラード。
この手のバンドとしてはVoが少々アクが弱いのですが
線の細さが曲の哀愁を増幅している側面もあるのではないかと。


STRAIGHT LINES - Run for Cover - There Are No Secrets ★★★ (2017-12-21 23:46:47)

母国カナダのシングル・チャートでTOP10入りを果たす等
STRAIGHT LINESにとって最大のヒット曲となったバラード。
2nd収録のもう1曲のヒット・バラードが、哀しみに満ちた
曲調だったのに対し、こちらは優しく包み込むような
エモーショナルな盛り上がりが感動を呼びます。


STRAIGHT LINES - Straight Lines - Roanne ★★★ (2017-12-19 22:47:13)

心地良く風切る疾走感に、ピアノとGが涼し気な彩りを加える
ハードネスとメロウネスが適度な融合をみた名曲。
ブリッジ部分の哀愁が滲むVoハーモニーも胸に沁みます。


STRAIGHT LINES - Straight Lines - The Things You Didn't Do ★★★ (2017-12-19 22:50:47)

ストリングスとピアノによる劇的且つ
哀切なイントロだけで「名曲!」と確信しましたよ。
中期STYX辺りにも通じる哀愁のメロディと
スペーシーなアレンジ、ドラマティックな曲展開の
三位一体でおくるアルバムのハイライト・ナンバー。
“哀しみのステージ”なる邦題もグー。


STRANGEWAYS - Native Sons ★★ (2008-02-09 00:12:00)

イアン(G)とデヴィッド(B)のスチュワート兄弟によって結成され、マニアの間では、DEEP PURPLEへの参加を
打診される程の実力派シンガー、テリー・ブロックが嘗て在籍していたバンドとして有名な、
イギリスはグラスゴー出身の4人組、STRANGEWAYSが'86年に発表した2ndアルバム。
ROXY MUSICやSLADEとの仕事で知られる、ジョン・パンターをプロデューサーに迎え、テリー・ブロック加入第1弾作品として
制作された本作に収められている楽曲は、全編を包み込む透明感漂う哀愁といい、洗練された叙情メロディの数々といい、
随所に仕掛けられた強力なフックといい、まさに、美しきAORの理想像を体現したかのような仕上がり。
セールス的には全く比較にならないとは言え、そのクオリティは、JOURNEYの『ESCAPE』や、FOREIGNERの『4』といった、
産業ロック・シーンを代表する名盤と比べても、全く聴き劣りするものではない。
特に、二ール・ショーンを彷彿とさせるメロディアスなプレイを聴かせるGと、スティーヴ・ペリーばりの伸びやかで
エモーショナルな歌声のVoの印象もあり、JOURNEYっぽさは濃厚。確か「イギリスのJOURNEY」とか呼ばれてましたっけ?
それにしても、しっとりと胸に染み入る哀愁のメロディと、切なくも美しいインスト・パートのアレンジが堪らない②や、
ソウルフルなVoの熱唱が映えるバラード③、キャッチー且つ爽快にロックしている④、美旋律を紡ぎ出すKeyの良い仕事っぷりが光る⑩
といった楽曲を聴くにつけ、これだけ素晴しい内容のアルバムの国内盤がなぜ発売されないのか・・・
と、疑問に思わずにはいられません。メロディ愛好家はマスト・バイ。


STRANGEWAYS - Native Sons - Face to Face ★★★ (2008-02-09 00:36:15)

GもVoも非常にエモーショナルでソウルフル。
ラストを締め括るに相応しい、
透明感と切なさに満ち溢れた名曲。
曲の持つ叙情性を増幅させるKeyが
非常に良い仕事をしてくれています。


STRANGEWAYS - Native Sons - Only a Fool ★★★ (2008-02-09 00:30:10)

個人的には2ndアルバムのハイライト・チューン。
哀愁に満ちたメロディをソウルフルに歌い上げるVo、
メロディアスに切り込んで来るG、そして出しゃばる事なく、
効果的に良い仕事をするKey・・・と、
このバンドの美点が見事に発揮された1曲。
切なくも美しいインスト・パートのアレンジが堪りません。


STRANGEWAYS - Native Sons - Where Do We Go From Here ★★ (2008-02-09 00:33:45)

爽快且つキャッチーな、アップテンポのハードロック・ナンバー。
それでいて、メロディにはしっかりと哀愁とフックが
忍ばされているのが、このバンドならでは。


STRANGEWAYS - Perfect World ★★ (2011-02-01 19:56:15)

スコットランドのメロディアスHRバンドSTRANGEWAYSが、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて再編。久々にテリー・ブロック(Vo)をフロントマンの座に復帰させて発表した・・・多分6枚目ぐらい?のアルバム。
彼らの作品をちゃんと聴くのは3rd『WALK IN THE FIRE』以来なんだけど、その第1印象は「随分マッタリとしちゃったなぁ」というもの。初期作とは趣きを異するアダルトでムーディな空気が支配的な作風は、キャリア相応の落ち着きが感じられると言えば聞こえは良いが、実際のところコレってただ地味なだけじゃね?と、違和感を覚えずにはいられなかったのだが、昨年暮の購入以降、折に触れては本作をリピート再生している自分に気付き、最近になって漸く「俺はどうやらこのアルバムの事が好きならしい」と自覚するに至った次第。
1st~3rdアルバムのレベルに達しているわけではないが、昨年発表されたソロ作でも衰え知らずの歌声を披露していたテリー・ブロックと、一音一音に豊かなエモーションを込めて紡ぎ出すイアン・スチュワートのGプレイが各楽曲のクオリティの底上げに大きく貢献しており、①⑦⑨はその両者の最良な部分が抽出された名曲だし、バンドの新たな魅力を提示するエスニックな雰囲気漂う⑧や、横ノリ・ナンバー⑩等も聴き応え十分の仕上がり具合。
そして何より、本編の白眉たるケルト風味のバラード④や、JOURNEYばりの麗しさを誇る⑤⑪の素晴しさよ!これら珠玉の楽曲の数々を聴いていると、「イギリスのJOURNEY」なんて評された往時のSTRANGEWAYSを思い起こさずにはいられませんね。
初期作と同様の作風を期待すると肩透かしを食うことは確実ながら、単体のメロディアスHRアルバムとしての完成度は間違いなくハイレベルな1枚。


STRANGEWAYS - Perfect World - Time ★★★ (2011-02-04 21:51:22)

アイリッシュなメロディが心地良い哀愁のバラード。
DAREを思わせるが、スコットランド出身でTHIN LIZZYファンを
公言するイアン・スチュワートは、元々この手のタイプの
楽曲作りを得意としているのだ。


STRANGEWAYS - Strangeways ★★ (2008-02-13 21:38:00)

家族全員がミュージシャンという音楽一家に生まれ育った、イアン(G)とデイヴ(B)のスチュワート兄弟が、
スコットランドはグラスゴーにて結成したCHINA WHITEが、プログレ・バンドSAGAの運営するBONAIRE RECORDSとの
契約を期にSTRAGEWAYS(マンチェスターにある有名な刑務所がその由来)と改名、'86年にリリースした1stアルバムがこれ。
プロデューサーには名手ケヴィン・エルソンを起用、また、当初はアメリカ人シンガーのテリー・ブロックがアルバムで
歌う筈だったが、彼がSTEVE MORSE'S BANDの一員として長期ツアーに出てしまった為、計画が頓挫。急遽、
ニューカッスル出身のシンガー、トニー・リデルをリクルートして制作が進められた本作。で、その内容はと言えば、
美しく叙情的なイントロが全てを物語る哀メロ・チューン①に代表されるよう、透明感を演出するKeyと、分厚いボーカル・
ハーモニーを活用した、キャッチーでメロディアスな極上のAORサウンドが全編で展開されている。「イギリスのJOURNEY」
なんて呼ばれた2ndや3rdに比べると、まだまだアレンジが未洗練で荒削りな印象は否めないし、何より、Voの歌唱に
(決して下手なシンガーではない。寧ろ上手い部類なのだけど)テリー・ブロックと比べてしまうと、どうしても物足りなさが残る。
しかしながら、都会的な哀愁をまとったお洒落な楽曲な数々は、どこに出しても恥ずかしくない、新人バンド離れした
クオリティを誇っているのも、また事実。特にアップテンポの⑧は、メロハー・マニアなら1度は聴いておきたい名曲です。
また、ハードロック的なエッジを強調したケヴィン・エルソンの音作りや、へヴィ・メタリックな⑩のような楽曲を
収録している事からも察しの付く通り、本作は彼らのアルバムの中でも、最もハードな作風の1枚でもある。


STRANGEWAYS - Strangeways - Now Its Gone ★★★ (2008-02-13 21:47:42)

キャッチーな哀メロをまとって駆け抜ける、
アップテンポのハードロック・チューン。
フック満載のメロディを熱く歌うVoと、
歌心に溢れたGソロも◎


STRANGEWAYS - Walk in the Fire ★★ (2008-02-09 21:37:00)

惜しくもSTRANGEWAYSのラスト作となった、'89年発表の3rdアルバム。実際は、テリー・ブロック脱退後にイアン・スチュワートが
GとVoを兼ねる形で再編されたバンドが、'97年に発表した4th『AND THE HORSES』もあるようなのだが、こちらは未聴。
イアン自らがプロデュースを担当、WINGERやDEF LEPPARDとの仕事で知られるマイク・シップリーが
ミックスを手掛けるという、鉄壁の布陣で作り上げられた本作は、2nd『NATIVE SONS』からハード・ロック的な
エッジが更に後退、一層AOR色を強めた内容に仕上がっている。
ミディアム・テンポの楽曲を中心にまとめられ、強力な決め曲に欠ける本編は、個人的には前作ほど強いインパクトを
残せていないとの印象を受けるが、とは言え、洗練されたメロディと、透明感漂う叙情性に彩られた、産業ロック然とした
楽曲の数々は、流石のクオリティの高さ。また、今回はケルト音楽からの影響が伺えるメロディが
全編に散りばめられていて、これは彼らがスコットランド出身のバンドゆえか、はたまたTHIN LIZZYのファンだからか。
二ール・ショーンばりのロング・トーンが胸に沁みるGや、助っ人参加なのが勿体無いぐらい良い仕事をしているKeyの
存在も光るが、何より特筆すべきは、テリー・ブロックの伸びやかでソウルフルなVo。特に今回は、曲作りにも大きく
関わっているだけあって、表現力に一層の磨きが掛かり、本作で完全に独自の個性を確立した感あり。
パート毎に曲の表情が変化していくカラフルな①、雄大でエモーショナルな③、本編で最も「ロックしている」⑥、
AORバラードかくあるべし!な⑩といった楽曲で聴くことの出来る、彼の歌唱は絶品だ。
DARE辺りのファンにも一聴をお薦めしたい1枚。


STRANGEWAYS - Walk in the Fire - Love Lies Dying ★★ (2008-02-09 21:45:35)

雄大な曲調、仄かにケルト音楽風味のメロディ、
胸に沁みるフレーズを積み重ねるG、そしてテリー・ブロックの
エモーショナルな歌唱が感動を呼ぶナンバー。


STRANGEWAYS - Walk in the Fire - Where Are They Now ★★ (2008-02-09 21:43:03)

ケルト音楽からの影響が伺えるイントロからスタート。
ヴァースやサビ毎に、曲調が次々に移り変わっていく
華麗にしてドラマティックな曲展開が素敵。


STRATUS - THROWING SHAPES ★★★ (2008-09-15 02:22:00)

PRAYING MANTISが、度重なるレコード会社やマネージメントとのトラブルによって事実上の解散状態へと追い込まれた後、ティノ(G)とクリス(B)のトロイ兄弟が、元IRON MAIDENのクライヴ・バー(Ds)、元GRANDPRIXのバーニー・ショウ(Vo)らと結成したESCAPEを母体に、そこに、元LIONHEARTのアラン・ネルソン(Key)が合流する形で誕生したSTRATUS(ストレイタス)。その彼らが、'85年に発表した唯一のフル・アルバムがこれ。
音楽性はKeyをたっぷりとフィーチュアした瑞々しいハード・ポップで、PRAYING MANTISに比べると
かなりソフトなサウンド。しかし、ことメロディの叙情性に関してはMANTIS時代をも軽く凌駕。楽曲から軽快なロックンロール・テイストが排除されている点も、そうした印象を強めている一因かな、と。
歌心に溢れたVo、美旋律を紡ぎ出すG、キャッチーな味わいを増幅するKey、溌剌と弾けるリズム隊、そして分厚いボーカル・ハーモニーによって構築された収録楽曲は、最初から最後まで一切の捨て曲なし。哀メロを纏って軽快に跳ねる⑤⑥のような、PRAYING MANTISのアルバムに収録されていてもおかしくないタイプの楽曲の素晴しさも然る事ながら、聴いてるだけで身も心も浮き立つポップ・チューン②と、Voを含む全楽器が“LOVER TO THE GRAVE"ばりにメロメロに泣きまくるバラード④は、このバンドならではの魅力が凝縮されたメロディ派必聴の名曲じゃないかと。
マスター・テープが未だ行方不明のままだとかで、音源はアナログ盤から起こしているようですが、そうした傷があって尚輝きを失わない、まさに「幻の名盤」との評価に相応しいクオリティを備えた1枚。


STRIDE (2012-11-19 00:15:38)

80年代末、ジョエル・グレゴアー(G)とマット・カンズラー(Ds)が出会ったことを切っ掛けに誕生。
当初はLAで活動していたものの、どちらも音楽学校卒のインテリゆえ彼の地の狂騒的なノリが肌に合わなかったのか、後にテキサス州ヒューストンに拠点を移している。
才能は豊かだったがシンガーには恵まれないバンドで、'01年に発表したデビュー作はシンガー不在のまま制作されたインスト・アルバム。ようやく正式メンバーとしてゲイリー・べリン(Vo)が加入するも、この人、確かな実力を有しながらも個人的事情から脱退したり再加入したりを繰り返す問題児だったというオチ。
それでも、彼が歌い'06年に発表された2nd『IMAGINE』は素晴しい完成度を誇り、各方面で高評価を獲得。バンドはこの作品をもって日本デビューも飾った・・・のですが、その後彼らの活動は停滞。現在バンドがどうなっているのかは不明。多分、シンガーは脱退してるんじゃないでしょうか。


STRIDE - Imagine ★★★ (2012-11-19 00:16:49)

プログレ・メタルには余り入れ込んでいない我が身ですが、機会があればしょっちゅう聴き直してしまう作品というのは幾つかあって、その内の1枚が、テキサス州はヒューストン出身の5人組が'06年に発表したこの2ndアルバム。
テクニカルに弾きまくりつつも歌心を失わないギターを筆頭に、高いプレイ・アビリティを有するメンバーによって織り成されるのは、複雑且つ起伏に富むアレンジ&曲展開に彩られたドラマティックなプログレ・メタル・サウンド。
独り善がりにならないよう十二分に気の払われたキャッチーな楽曲構築術等はDREAM THEATERからの多大なる影響が伺える一方、このバンドならではの個性を主張するのが、時に柔和なポップ風味も垣間見せる独特の哀メロ・センス。
泣きを含んだ甘い声質のシンガーによって歌われる、AOR/産業ロックに通じる透明感を湛えた叙情メロディや、美しく壮麗に編まれたボーカル・ハーモニーの数々が、重量感と緊迫感に満ちたインスト・パートと静/動、剛/柔のコントラストを劇的に描き出す様はかなりのインパクト。収録曲はいずれもハイレベルな仕上がりで、楽器陣が高いテンションを保ってぶつかり合うプログレ・メタル然とした①⑧なんかも良いですが、何と言ってもこのバンドの独自性を余す所なく伝える②、クラシカルなGソロもフィーチュアされた7分越えの大作⑤、気泡のように弾けては消えていく淡いボーカル・ハーモニーの美しさが絶品な⑨の出来栄えが白眉。
本作は中古盤が捨て値で叩き売られていますので(嬉しいような、悲しいような)、機会があれば是非ご一聴下さい。


STRIDE - Imagine - Alive ★★★ (2012-11-19 21:55:53)

プログレ・メタルらしい技巧を凝らした
劇的な曲展開と、AOR/産業ロックに通じる
透明感を湛えた哀愁のメロディとが
巧みな融合をみた、STRIDEというバンドの
強みが良く表現されているアルバムのハイライト。


STRIDE - Imagine - Role Model ★★★ (2012-11-20 22:45:06)

親しみ易い哀メロを甘い歌声で歌い上げるVoに、
ヘヴィなリフの刻みからネオクラシカルな速弾きまで
こなすGと、そのGとスリリングに絡み合うKey、
それから緩急自在のリズム隊に至るまで
7分半の長尺の間、無駄に遊んでいるメンバーが
1人もいないという、プログレ・メタル・チューンの
お手本のような名曲。


STRIDE - Imagine - Time ★★★ (2012-11-20 22:53:36)

STRIDEの静の魅力が如何なく発揮された逸品。
主役は勿論ゲイリー・べリンのVo。
AOR/産業ロックばりのメロウネス全開の
甘やかな曲調に絡む、淡い美しさを纏った
ボーカルハーモニーにはうっとり聴き惚れてしまいます。


STRIKER - Armed to the Teeth ★★ (2012-08-29 22:31:01)

新たにオーストリアのインディー・レーベルNAPALM RECORDSと契約を交わし、日本デビュー作ともなった'12年発表の2ndアルバム。
B級感は相変わらずながらも、描き込みのレベルが明らかに「プロ」の仕事なアートワーク、それに、かのマイケル・ワグナーがプロデュースを手掛けたサウンド・プロダクションの質からも、バンドが以前より数ランク上のステージへと移行したことが伝わってくる本作。
更なる逞しさを身に付けつつも、(シャウトに逃げることなく)より丁寧な歌唱を心掛けるVo、これまで以上によく歌い、練られたフレーズを閃かせるG、雄々しくスピーディに疾駆するリズム等、収録楽曲は、従来の勢いに任せた荒々しい前のめり感覚を薄れさせた代わりに、地に足を着けた堂々たる佇まいを獲得。前2作は、聴いていると微笑ましさについニコニコしてしまう内容でしたが、今回はNWOTHMの枠を飛び出し、聴いているとグッと気持ちが引き締まる本格的正統派HMアルバムの装い。
強力なキメ曲は見当たらずとも、①④⑧といったところを筆頭に、捨て曲も見当たらない本編のクオリティは十分にハイレベル。然るべきバンドが、然るべきプロデューサーと共に然るべきタイミングでアルバムを作ると、ここまで飛躍的な成長の跡が刻まれるのだなぁ、と、しみじみと実感させてくれる1枚です。


STRIKER - Eyes in the Night ★★ (2012-08-27 22:29:33)

WHITE WOLF(もう新作は作らんのでしょうか)のカム・マクレオドをプロデューサーに起用してレコーディング作業を行い、'10年にリリース。バンドの世界レベルでの知名度向上に大きく貢献した1stフル・アルバム。
思わず苦笑を誘われるジャケット・アートワークや、締まりに欠けるサウンド・プロダクションの質はデビューEPと五十歩百歩な感じですが、一方でスラッシュ・メタルばりの鋭角さで刻まれるGリフや、流麗且つ劇的に乱舞するツインGの切れ味、勇壮さをいや増したコーラス・ワーク等、収録楽曲のクオリティは目に見えてパワーアップ。バンドが前のめりな勢いよりも整合性を意識し始めたことがハッキリと伝わってくる本編は、こうなると、声質はやや甘めながらも確かな歌唱力で楽曲の雄々しさや、ドラマ性の底上げに一役買ってくれる歌の上手いフロントマンを擁している点も活きて来ます。
特に、勢いで誤魔化すことなく聴かせきるドラマティックな④は、正統派HMバンドの諸先輩方からの影響を咀嚼吸収しつつ、STRIKERというバンドならではの個性も加えて仕上げられたアルバムのハイライトと言うべき名曲です。
NWOTHM好きなら聴いて損なしの充実作。


STRIKER - Road Warrior ★★ (2012-08-27 07:19:36)

ダン・クリアリー(Vo)と、イアン・サンダーコック(G)が中心となって'07年に結成した5人組正統派HMバンドが、'08年にドイツのインディー・レーベルIRON KODEXからリリースした5曲入りデビューEP。
「ちょっと友達に頼んで描いてもらいました」的なジャケットのイラストや、イマサンなサウンド・プロダクションはいかにも「NWOTHMバンドのデビュー作」然とした風情ですが、中身の方はこれがなかなか舐めたもんじゃありません。
メンバーがフェバリットとしてその名前を挙げるSAXON、JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、VICIOUS RUMORS、CRIMSON GLORY etc・・・といったバンドからの影響が散りばめられた、スピーディで劇的な収録楽曲の充実したカッコ良さゆえ、上記した要素も「新人バンドらしい勢いに満ちた作風」と思わず好意的に解釈したくなるというもの。
実際、“ROAD WARRIOR”なるタイトルからしてマッドマックス魂迸るスピード・ナンバー①や、スラッシュ・メタルばりの鋭角さで切り込んでくる⑤等、彼らのカタログの中でも抜きん出た前のめり感を漂わせた本作は、少々チープな部分に目を瞑れる方でしたら楽しめること請け合いの1枚となっております。


STRYPER (2011-10-18 22:11:47)

“IN GOD WE TRUST”を聴けなかった事だけが残念でしたが
HR/HMシーン屈指の三声ハーモニーの美しさと、
“SOLDIERS UNDER COMMAND”を筆頭とする必殺の名曲の連打の前に、
多少の不満も綺麗さっぱり洗い流されてしまいました。
ライブでもマイケル・スウィートの美声には
全く陰りが感じられませんでしたね。


STRYPER - Against the Law ★★ (2009-12-30 11:38:00)

復活作『REBRON』における、モダンなヘヴィ・ロックから影響を受けたと思しき作風が賛否両論を呼んだ事も記憶に
新しいSTRYPERだが、個人的に、彼らのアルバムで初めて聴いた時に最も衝撃を受けたのは、'91年発表の本作。
このバンドに何を求めるかは人によって異なると思いますが、STRYPERには、まず何よりも透明感や美旋律、
ドラマティックな曲展開、そして壮麗なボーカル・ハーモニーといった要素を求めてしまう我が身としては、
そうした要素が影を潜め、ラフでワイルドなノリが前面に押し出された本作の作風には戸惑いが隠しきれず、
特に、彼ららしからぬ大味な楽曲が続く前半には頭を抱えてしまった・・・というのが正直なところ。
ロックンロール風味は初期作でだって確認できたけど、あの頃はちゃんとメロディにフックが効いてたからなぁ、と。
尤も、駄作なのかと言えばそこは天下のSTRYPER。そんな筈もなく、穏やかなバラード⑧以降は、HR然とした
エッジの効いたGリフが疾走する(これをOPナンバーにすれば良かったのに)名曲⑨、サビメロのロック・アンセム的な
盛り上がりが心地良い⑩、本編随一のハードネスを誇るスピード・チューン⑪と、マイケル・スウィートの絶品の歌唱と、
STRYPERならではのメロディ・センス(とツインGの活躍っぷり)が映える聴き応え十分の楽曲が並ぶ。
そんわけでクオリティは決して低くない作品だと思うが、個人的には⑧~⑪ばかりを繰り返し聴いてしまう1枚。
逆に言えば、その流れを聴くためだけにでも購入する価値は十分にある作品だと思うが。


STRYPER - Fallen ★★★ (2015-11-06 23:36:07)

雲間からゴッドが「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ!」と降臨しそうな勢いの神々しいコーラスで幕が開く、'15年発表の8thアルバム。
クリスチャン・ミュージック・シーンという安定した支持母体にも支えられ、チャート上位に発表アルバムを送り込む等、復活組の中でも順調な活動を継続している彼ら。ゆえに今回も、マイケル・スウィートが衰え知らずの美声を駆使して歌い上げる憂いを湛えたキャッチーなメロディに、メタリックな光沢を放つGリフ、そして華麗に舞う美の極みというべきボーカル・ハーモニーetc・・・と、これぞクリスチャン・メタルの鑑!というべきSTRYPERサウンドは健在です。
イントロとヴァースの弱さを、サビの劇的なメロディ展開で挽回するという、「才能の閃き」よりも「蓄積したベテランの業」を感じさせる曲作りの傾向はここ数作同様で、滑り出し①②の快調さに比べると、中盤の楽曲の弱さがやや気になるところではあります(BLACK SABBATHのカヴァー⑧は果たして必要だったのか?とか)。
それでも、壮麗なコーラスに圧倒される⑩、疾走感溢れる⑪、名曲“SOLDIER UNDER THE COMMAND”を彷彿とさせる⑫という、ラストのヘヴィ・メタリックなナンバー三連発による畳み掛けが大変素晴らしいため、聴き終えた後の帳尻をきっちりと合わせて来る辺りは流石。
STRYPERがアルバムを発表する毎に、どんどん往年の輝きを回復させていっていることを証明してくれる1枚ですよ。ハレルヤ。


STRYPER - Fallen - Yahweh ★★★ (2015-11-06 23:43:17)

分厚く低く垂れ込める雲を割って
神様が降臨してくる様を幻視する勢いの
美しくも神々しいコーラスが印象的なOPナンバー。
張り艶に衰えが全く感じられない
マイケル・スウィートの歌いっぷりも神懸かってますよ。


STRYPER - God Damn Evil ★★ (2018-05-09 23:17:14)

雑誌レビューで辛めのコメントを頂戴していたり、発売日からまだ間もないのに早々に中古盤が出回っているのを見かけたり、更にOPナンバー①が、BLACK SABBATH風のGリフが刻まれ、サビをマイケル・スウィート(Vo)が吐き捨て気味にシャウトするという、STRYPER的に有りか無しかを問うたら、ブッチー武者扮するキリストが勢いよく×マークを掲げそうな(byオレたちひょうきん族)大胆極まる新機軸を打ち出した楽曲だったりと、内容に関しちゃ不安感マシマシにならざるを得なかった'18年リリースの新作アルバム。
尤も、②以降は従来のSTRYPER節を逸脱する作風ではありませんし、①だってよう聴けば単純にカッコいい正統派HMナンバーとして十分評価は可能。それに何より、タイトル通り正に“BEAUTIFUL”な⑧、ドラマティックなバラード⑨、攻撃的な疾走ナンバー⑩といった、マイケルの美声や盛り盛りのハーモニーが映える秀曲が連打される、本編後半のラスト・スパートっぷりは流石はSTRYPERといった貫禄で、聴き応え十分ですよ。
ポップさよりもメタリックなエッジやアグレッションを強調しつつ、ヴァースの弱さをサビメロの劇的なコーラス・ワークで挽回して収支を合わせるという曲作りは、再結成以降のSTRYPERの流儀に則ったものなのですが、そのスタイルの集大成というべき完成度を有していた前2作に比べると、今作は壮麗さを抑え気味に、よりシンプルにロックするようになった分、メロディやGリフのフックに曲毎にバラつきが出てしまったような…。
上記楽曲や③等を始め、アルバムは必要にして十分なクオリティを有しているものの、ファン的には「STRYPERのポテンシャルはまだまだこんなもんじゃねえ筈」と思わなくもない1枚かなと。


STRYPER - In God We Trust ★★ (2009-06-03 21:55:00)

前作『TO HELL WITH THE DEVIL』が米ビルボード32位、シングル・カットされたバラード“HONESTLY"が
シングル・チャート23位、同曲のビデオ・クリップがMTVのリクエスト・チャート第1位にランクイン・・・と、
全盛期を謳歌中のSTRYPERが'88年に発表し、これまたプラチナムを獲得するヒット作となった3rdフル・アルバム。
聴き易い半面メリハリに乏しいサウンド・プロダクションの下、これまで以上にマイケル・スウィートの
(名前通り)甘く伸びやかな歌声と、豊かなボーカル・ハーモニーの存在が強調された本作は、メロディは
一層爽やか&キャッチーに練り込まれ、楽曲からはヘヴィ・メタリックな荒々しさが薄れ・・・といった具合に、
ポップ化に更に拍車が掛かった仕上がり。こと「美しさ」にかけては、STRYPER史上随一と言っても過言じゃあない。
このバンドが素晴しいのは、どんなに歌モノ路線へと歩み寄ろうと、決してメロディのフックには鈍りが
見られない点で、特に、マイケルの女性シンガーばりに艶やかな歌唱が堪能できる④と、物悲しげな⑨という
バラード・ナンバーにおいて、その威力は如何なく発揮。また、壮麗なアカペラ・コーラスで幕を開ける
アルバム・タイトル・トラック①は、キャッチーでエッジの効いたGリフ、ノリ良く疾走するリズム、そして美しい
ボーカル・ハーモニーといった、STRYPERの美点が余す所無く詰め込まれたアルバムのハイライト的存在の名曲。
アップテンポの⑤や、ラストをスピーディに締め括る⑩といったハードな楽曲も、本編をピリリと引き締め存在感を
主張するが、ロバート・スウィートのドラミングにイマイチ覇気が欠けるため、折角の曲の良さが活かしきれて
いないのが残念。これ、別のドラマーが叩いてたらとんでもない名曲になっていたような・・・。


STRYPER - Murder by Pride ★★ (2009-12-13 21:09:00)

良く言えばチャレンジング、悪く言えば流行に左右された作風で賛否両論を呼んだ前作『REBORN』から一転、
全盛期のサウンド復活を願うファンの声に後押しされる形でレコーディングされたという6thアルバム。
今ひとつキャッチーさに欠けるGリフと、ヴァースからブリッジにかけての歌メロの弱さを、コーラス部分の
素晴しさでカバーして帳尻を合わせるという手法は、前作やマイケル・スウィートのソロ作と同様だが、今回は
「原点回帰」を念頭に制作されただけあって、時に物悲しく、時にポップで爽快なメロディのフックが大幅強化。
良い曲と捨て曲の差が大きかった前作に比べコンスタントに優れた楽曲が並べられており、これ聴いてガッカリする
STRYPERファンはおらんでしょう。(パンキッシュな①のイントロが始まった時は一瞬ヒヤリとしたけど)
特に、これぞSTRYPERたる美旋律が炸裂する、ストリングスをフィーチュアした物悲しげなバラード④は泣ける。
それにしてもマイケルは本当に優れたシンガーだ。STRYPER休止中もソロ活動をしていたとはいえ、未だ全く衰えを
感じさせない、色艶と表現力に溢れた歌声には心底惚れ惚れ。本作の魅力の一翼は間違いなく彼のVoが担っていますね。


STRYPER - No More Hell to Pay ★★★ (2013-12-19 23:12:49)

復活以降はモダンさのアピールにも余念のなかったSTRYPERですが、カヴァー・アルバムやリメイク・アルバムの制作(来日公演も敢行)といったアクティブな活動を通じて己の原点を見つめ直したのか、久々に届けられたニュー・アルバム('13年)ではそうした不純物をごっそり浄化。よりシャープに、より歯切れ良く、ファンが理想とする「STRYPER像」に忠実なサウンドをクリエイトすることにのみ傾注してくれています。
闇を引き裂くマイケル・スウィートの鮮烈なハイトーンVo、JUDAS PRIESTばりの光沢を帯びた劇的なメロディを奏でるツインG、ソリッドに刻まれるリフ&リズム、そしてSTRYPERサウンドの要たる麗しき3声ハーモニーによって眩く彩られた楽曲群は、悪魔も裸足で逃げ出すホーリーっぷり。加えて、デビュー作『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』以来ともいえる正統派へヴィ・メタリックなハードネスを発散しており、特に本年度のベスト・チューン候補の疾走ナンバー⑦は、思わずキリスト教に入信したくなるほどのカッコ良さを誇っていますよ。
あえて苦言を呈するならば、重厚なミッド・チューンが連続する本編の立ち上がりが少々もたつくことぐらいでしょうか(尤も、楽曲自体はドラマティックで素晴らしい)。というか再結成STRYPER作品は「掴み」がどれも弱い印象が・・・。
ともあれ、全米チャートにおいても久々に好成績(初登場第35位)を記録したという話も「さもありなん」な充実作。


STRYPER - No More Hell to Pay - Te Amo ★★★ (2013-12-20 23:46:17)

曲名はスペイン語で「I LOVE YOU」の意。
デビュー当時を思わす正統派へヴィ・メタリックなGリフ、
体を揺すられるイキのいいアップテンポのリズム、
シャープに伸びていくハイトーンVoと、光沢を帯びて
ドラマティックにハモる2本のG、そしてサビを彩るのは
天から降り注ぐような壮麗極まるボーカル・ハーモニー・・・と、
再結成STRYPERが生み出したド級の名曲。
ハレルヤ!


STRYPER - Reborn ★★ (2009-12-13 02:02:00)

マイケル・スウィートのソロ作『TRUTH』に通じるドンヨリ薄曇り系サウンドや、シンプルで飾り気に乏しい
音作りが「STRYPERらしからぬ」と議論を呼んだ再結成第1弾スタジオ・アルバム。(通算5作目)
正直、フックに欠ける大味なHRチューン①が始まった時は、「ダメだこりゃ」と思わず天を仰いだのだが、
②以降は、そうした色合いを残しつつもメロディの魅力が急上昇を描くのでホッと一安心。各楽曲ともモダンな
ヘヴィ・ロック風味のGリフやヴァース部分の歌メロは結構凡庸だったりするんだけど、その代わりマイケル・スウィートの
衰え知らずの美声によって歌われる、すこぶるキャッチー、壮麗にして劇的なサビメロの充実っぷりが、その弱点を
カバーして余りある素晴しさ。特に、悲哀に満ちたメロディが堪らなく美しい②③や、飛翔感と爽快感を兼ね備えた④、
神々しくポジティブなフィーリングに溢れた⑤といった名曲が連打される、中盤の盛り上がりっぷりは本編の白眉。
(賛美歌をメタリックにアレンジし直した⑩や、往年の名曲“IN GOD WE TRUST"のリメイク⑪の存在も良いねぇ)
全盛期のような、イントロを耳にしただけでガッチリと掴まれてしまうような即効性はないが、
聴けば聴くほど美旋律が五臓六腑に染み渡ってくる、スルメ盤的魅力に溢れた1枚。


STRYPER - Reborn - Passion ★★ (2009-12-13 20:44:32)

ポジティブな雰囲気を纏ったポップ・チューン。
『REBORN』収録曲の中では最も全盛期の匂いを漂わせた1曲。
神々しくキャッチーなメロディ・ラインと、ライブで合唱するには
ちょっと躊躇を覚えそうな歌詞の組み合わせを聴くと、
名曲“MAKES ME WANNA THING"を思い出します。


STRYPER - Reborn - Reborn ★★ (2009-12-13 20:36:13)

復活作のタイトル・トラック。
ヘヴィなGリフに一瞬ゲッとなるが
サビメロから滲み出す哀愁には
紛うかたなきSTRYPER印が刻まれております。


STRYPER - Reborn - When Did I See You Cry ★★★ (2009-12-13 20:39:33)

Gリフとヴァース部分は平凡だが、
曲が進むにつれて徐々に叙情性が高まっていく。
突き抜けるような壮麗さを纏ったサビメロが
最高に素晴しいったら。
『REBORN』ではこの曲が一番好きだ。


STRYPER - Soldiers Under Command ★★ (2009-05-31 19:14:00)

個人的に、クリスチャン・メタルの枠を飛び越えて、LAメタル・バンドの中でも最も愛して止まない、
異色の(黄色と黒だし)4人組HMバンドSTRYPERが、'85年に発表した1stフル・アルバム。
張り/艶/伸びの三拍子揃ったマイケル・スウィートの絶品の歌声、ヨーロピアンな風情を湛えたドラマティックなツインG、
分厚く壮麗なボーカル・ハーモニー、そして強力なフックを備えた美しい叙情メロディの洪水・・・と、STRYPERという
バンドの美点を余す所なく捉えつつ、まだ荒削りな部分を多く残していたデビューEP『THE YELLOW AND BLACK ATTACK!』
から一足飛びの進歩を遂げ、ハード且つドラマティックな“SLODIER UNDER COMMAND"と、感傷的な泣きのバラード
“FIRST LOVE"という、STRYPERのメタル面とソフト面を代表する2つの名曲を収録した本作は、
ハードネスと美旋律のバランス感覚も絶妙な、まさに彼らの最高傑作と呼ぶに相応しい内容を誇る1枚。
上記2曲以外にも、ジーザスなまでにキャッチーな②、ノリの良さと哀メロのコントラストが効いてる③、
ヘヴィ・メタリックなカッコ良さに満ちた⑤⑨、ポップ&キャッチーに駆け抜けていく⑥⑧、神聖なバラード⑦、
リパブリック賛歌のカヴァー⑩・・・と、「クリスチャン・メタル斯くあるべし」な楽曲の数々は、全編これ捨て曲なし。
第1期STRYPERが80年代に遺した4枚の作品に駄作は1つも無いが、未体験者がまず最初に聴くなら本作がお薦め。
極論させて貰えるなら、これ聴いて気に入らんかったらSTRYPERは聴く必要ないんじゃねぇかなー、と。
とは言え現在は廃盤状態が続いているため、一日も早い再発が望まれる。リマスターも宜しく。


STRYPER - The Yellow and Black Attack ★★ (2009-06-01 21:45:00)

カリフォルニア州はオレンジ・カウンティにおいて、マイケル(Vo、G)とロバート(Ds)のスウィート兄弟が中心となり
結成されたROX REGIMEを前身に誕生した、元祖クリスチャン・メタル・バンドことSTRYPERが'84年に発表したデビューEP。
彼らはこの翌年に早くも来日公演を行っているが、本作に収められた実に日本人好みのHMサウンドを聴けば
それも大いに納得が行く。ヨーロピアンな哀愁と、アメリカンなポップ・センスが巧みに同居したメロディ、キリストさんへの
熱烈な信仰を綴った歌詞の数々を、見事なハイトーンを駆使して歌い上げるVo、キャッチーだがメタリックなエッジも
失わないGリフに、美しく楽曲を彩る豊かなボーカル・ハーモニー、そしてメンバーの華やかなルックス・・・と、
STRYPERならではの個性は、早くも本編にしっかりと刻印済み。特に本作はデビュー作という事もあってか、彼らの
カタログの中でも最もHM度が高く、取り分け①②⑤⑦といった、キャッチー且つアグレッシブな楽曲のカッコ良さは特筆物。
演奏(Dsが・・・)、プロダクション共にまだまだ未洗練で、メロディにも次作以降で聴かれるような、思わず
唸らされる強力極まりない「フック」も見当たらないが、とは言え、この新人バンドらしからぬ完成度の高さは十分驚異的。
「クリスチャン・メタル」という色眼鏡で見る必要は全くない、真に優れたHMアルバムの力作。


STRYPER - To Hell With the Devil ★★ (2009-06-02 22:33:00)

前作『SOLDIERS UNDER COMMAND』が、インディーズ作品としては異例の50万枚以上を売り上げたことで、
潤沢なレコーディング資金を得て制作環境が整い、サウンド・プロダクションがグッと向上。
スペーシーなイントロ①に導かれてスタートする、重厚且つ劇的なアルバム表題曲②からして、
LAメタルを代表するバンドとしての貫禄すら漂わす、'87年発表の2ndフル・アルバム。
音楽的方向性はそのままに、ヘヴィ・メタリックなダイナミズムが薄れ、よりメロディを聴かせる姿勢が強調された
本作は、この方向転換が奏功しSTRYPER史上最高の売り上げを記録。(最終的にはプラチナムを獲得)
特に、シングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたバラード⑤は、メロディ愛好派ならずとも蕩けること請け合いの
感動的なバラード。また、ここに来て益々表現力を増しているマイケル・スウィートの絶品のVoも素晴しいったら。
勿論、HMバンドとしての魅力もきっちりフォローされており、前述の②や、雄々しいサビメロにグッとくる⑥、縦ノリの⑨、
ポジティブなエネルギーに満ちた⑪といったハード・ロッキンなナンバーが要所を引き締め、本編が甘くなり過ぎることを阻止。
HMチューンからロックンロール、バラードまでバラエティ豊かな楽曲が取り揃えられ、その何れもが、思わず仰け反る
強力なフックを有した全11曲、前作同様これまた捨て曲なし。STRYPERの絶頂期を飾るに相応しい傑作かと。
これでロバート・スウィートのドラム・プレイに、ビジュアル程の「華」があれば完璧なんだけどなぁ。


STYGIAN ★★ (2010-06-12 11:36:00)

元WRATHのゲイリー・ゴルウィツアー(Vo)や、TOROUBLE出身で、後にCHASTAINやKENZINERといった
バンドを渡り歩くデニス・レッシュ(Ds)らが在籍していた5人組スラッシュ・メタル・バンド。
80年代前半にギター・コンビが中心となってイリノイ州はシカゴにて結成。デモテープ制作が縁で知り合った
元速弾き四天王、デヴィッド・T・チャステインが運営するLEVIATHAN RECORDSと契約。まず'91年に
5曲入りEP『LINES IN THE SAND』を制作した後、'93年に1stフル『PLANETARY DESTRUCTION』を発表する。
デモテープがKERRANG!!誌において「未契約バンドの中でもトップ10に入るクオリティ」と高く評価された
実績を持つバンドだけに、ややキャッチーさに欠ける部分はあるものの、疾走感を保ちつつドラマティックに
展開していくスラッシュ・サウンドはそれなりに魅力的だった(グリーンピース魂が燃え盛る歌詞の数々も
個性っちゃ個性か?)。メロディに無頓着な割りに迫力にも欠けるゲイリーの吐き捨て型Voと、
TROUBLE時代の面影を引き摺るデニスのドラミングは好き嫌いが分かれるところかもしれないが。
如何せんデビューした時代が悪く、大した成果を残せないまま消滅してしまったのが残念だった。


STYGIAN - Planetary Destruction ★★ (2010-06-12 11:45:00)

デヴィッド・T・チャステインのバックアップを受けて、LEVIATHAN RECORDSからデビューを飾った
イリノイ州はシカゴ出身の5人組スラッシャーが、'92年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
ストレートな疾走感よりも、凝ったリフや曲展開重視の作風は如何にも90年代のスラッシュ・メタル・バンド的だが、
3rd~4thの頃のMETALLICAから強い影響を受けたと思しき、そのサウンドは十分に魅力的で(ややキャッチーさには
欠けるが)、輸入盤市場での高評価を受けて、国内盤リリースにこぎつけたのも納得のカッコ良さ。
とりわけ、ドラマティックなハーモニー・プレイが炸裂する⑦や、続くインスト曲⑧辺りに強く表れている通り、
アルバム全編に渡ってテクニカルに弾きまくるツインGコンビはこのバンド最大の武器で、流石、
デヴィッド・T・チャステインの眼鏡に適っただけの事は有る。殊に、激烈な曲調を突いて零れ出す
美しい泣きメロに心奪われる③や、バラードと表現して差し支えないメランコリックな叙情性が滲む⑤、
そしてラスト・ナンバーに相応しい、山あり谷ありなドラマティックな曲調で本編を締め括る⑩といった楽曲は、
スリリングな速弾きから、繊細なアコギ・プレイ、泣きのGソロに至るまで流麗にこなす2本のGが、
曲中に大きな聴かせどころを構築する、STYGIANというバンドの個性がしかと刻印された名曲じゃないかと。
著しく魅力に欠けるわめき型Voと、キレに欠ける後ノリDsは評価の分かれ目だが、
90年代というスラッシュ冬の時代に、心の隙間を埋めてくれた非常に愛着を覚えている1枚。


STYGIAN - Planetary Destruction - Cremation ★★★ (2010-06-12 18:07:58)

スラッシュ・メタルらしく畳み掛けるように疾走する
スピーディな曲調から一転、中盤に奏でられる
美しいアコギと泣きのGソロにハッと胸を突かれる名曲。


STYGIAN - Planetary Destruction - Fall From Grace ★★ (2010-06-12 18:13:42)

アルバム収録曲中、最もストレートに疾走するナンバーで
注釈無用の「スラッシュ・メタル・ソング」。
歌唱力に難のあるVoなれど、こういう楽曲をシャウトする分には
何ら問題を感じさせない。
いやカッコイイ。


STYGIAN - Planetary Destruction - Needful Things ★★ (2010-06-12 18:09:59)

繊細なアコギと泣きまくるGが叙情性を増幅する
STYGIAN流ヘヴィ・バラード。
但し、この手の楽曲を演るにはVoが些か弱い。
Gがその分をカバーしてるけどね。


STYGIAN - Planetary Destruction - Preacher and the Politician ★★ (2010-06-12 18:19:34)

激烈に疾走するスラッシュ・メタルらしい
スラッシュ・ナンバーながら、テンポ・ダウンして
劇的に展開するサビメロは正統派へヴィ・メタリック。
テクニカルに弾きまくりつつも、フックのあるメロディを
しっかりと構築するGソロが美味しい。


STYGIAN - Planetary Destruction - The Switch ★★ (2010-06-12 18:25:46)

アコギも用いたメランコリックな導入部から、
山あり谷ありの曲展開を経てドラマティックに
盛り上がっていく本編のラスト・ナンバー。
複雑なリフ/リズム・チェンジや一筋縄では
いかない曲展開を一丸となってこなす
メンバーの地力の高さが伺える1曲。
これでもう少しVoに魅力があればな・・・。


STYX - Cornerstone ★★ (2010-11-15 17:47:38)

2週連続で全米№1の座に輝いた大ヒット・シングル“BABE”を収録し、アルバム自体も初登場第2位、現在までに300万枚以上のビッグ・セールスを記録する等、多くのファンから「STYXの代表作の一つ」として愛される'79年発表の9thアルバム。・・・なんだけど、個人的には初めて耳にした時はかなり戸惑った1枚。
従来のドラマティックなプログレ色を捨て去り、シンプル&コンパクトなAOR/産業ロック路線へとシフト・チェンジしたサウンドがその最大の理由で、例えば“BABE”は勿論優れた楽曲だと思うけど、これまでデニス・デ・ヤングは、もっと優れた楽曲を山ほど書いて来たわけで・・・。
但し、過去作と切り離して考えてみれば、ポップでお洒落でロマンティック、そしてどことなくオールディーズ/ポップスに通じる、ノスタルジックな雰囲気に包まれた本作は十分「名盤」の評価に値する内容。細部にまで拘りの感じられるアレンジの数々や、壮麗極まりないボーカル・ハーモニーの美しさには、STYX不変の美学が宿る。
本編の作風を代弁するかのようなアコースティカルで風通しの良い曲調が心地良い①、サックスの旋律が都会的な哀愁を演出する②、産業ロックのお手本の如きポップ&キャッチーな④、重厚に本編を締め括るラスト・ナンバー⑨など秀曲は数多いが、このアルバムを語る上で外せないのは、何と言ってもフォーク/トラッド調の⑤。アコーディオンとマンドリンが奏でる物悲しいメロディが欧州の景色を想起させる名曲で、数あるSTYXのバラード系楽曲の中でも、マイベストはこれで決まりですよ。


STYX - Cornerstone - Babe ★★ (2010-11-15 17:54:47)

正直、デニス・デ・ヤングが手掛けた楽曲の中では
「並」の出来だが、だからと言ってその素晴しさを
否定するものではない。
デニス・デ・ヤングが愛する妻に捧げたという
甘々な歌詞をそのままメロディ化したかの如き
ポップ&スウィート、そしてどこかノスタルジックな
雰囲気を湛えたメロディに心が和みますね。


STYX - Cornerstone - Boat on the River ★★★ (2010-11-15 17:50:32)

STYXの楽曲の中では異色の、
フォーク/トラッド・タッチの曲調が心に沁みるバラード。
デニス・デ・ヤングとトミー・ショウが奏でる
マンドリンやアコーディオンのヨーロピアン風味の
哀愁を帯びたメロディが堪りませんなぁ。
数あるSTYXのバラード系の楽曲の中でも
この名曲が一番好きです。


STYX - Crystal Ball ★★★ (2010-11-10 22:17:23)

前作『分岐点』を最後にバンドを去ったオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキー(G)の後任としてトミー・ショウ(G)が加入。遂に、デニス・デ・ヤング(Key)、ジェイムズ・ヤング(G)、ジョン(Ds)とチャック(B)のパノッツォ兄弟、それにトミーと、ファンにとって最も馴染み深いラインナップが揃ったSTYXが'76年に発表した6thアルバム。
と言ってもサウンド的に何か大きく変わったなんて事はなく、QUEENばりの華麗さを誇るOPナンバー①を手始めに、今回もポップでキャッチーなメロディ、分厚く壮麗なボーカル・ハーモニー、そしてカラフル且つドラマティックな曲展開と、鉄壁のSTYX流プログレ・ハード・サウンドを追求。
但し、トミー加入の効果は早くも「楽曲の質向上」という目に見える形で表れており、特に“CRYSTAL BALL”のタイトル通り、幻想的且つ透き通った哀愁を湛えた④は、彼が最初にSTYXに提供した名曲とでも言うべきアルバムのハイライト・ソングの一つ。それに何より本作は、デニスが父親に捧げたと言う歌詞からして既に涙を誘う、感傷的な泣きに満ち溢れた⑥、そしてそこからSEを介して繋がっていく、久々にクラシック曲(ドビュッシーの“月の光”)を題材に取り上げたプログレッシブな大作曲⑦という、アルバムのハイライトを飾る超ド級の名曲2連発がトドメを刺す。これら3曲を聴くためだけにでもリマスター盤1枚分(¥2800)の代金を支払う価値があるってもんですよ。
・・・と、斯様に素晴しい内容を誇っているにも関わらず、ブリティッシュ・ポップ風味の②が中ヒットを飛ばした程度でセールス的には今ひとつ余り奮わず、STYXのカタログの中では地味な地位に甘んじている本作。どっこい、個人的には初めて購入した彼らの作品という思い入れ込みで、非常に愛着を感じてる1枚だったり。


STYX - Crystal Ball - Clair De Lune / Ballerina ★★★ (2010-11-11 23:13:54)

前曲“THIS OLD MAN”からSEを介して繋がっていく
インディーズ時代以来、久々にクラシック曲
(ドビュッシーの“月の光”)を取り上げ、
プログレッシブ且つドラマティックにアルバムを締め括る
ラスト・ナンバー。
デニスのVo、ツインG、Key、そしてボーカル・ハーモニーが
絶妙に絡み合いながら上り詰めていくクライマックスの
盛り上がりっぷりは壮絶の一言に尽きます。


STYX - Crystal Ball - Crystal Ball ★★★ (2010-11-11 23:03:36)

シングルカットされたのに不発に終わったというのが
信じられないぐらい、トミー・ショウの優れた
メロディ・センス(とエモーショナルな歌唱力)が
如何なく発揮されたバラードの名曲。
タイトル通り透き通った哀愁と
寂寥感を湛えたメロディがもう絶品。


STYX - Crystal Ball - This Old Man ★★★ (2010-11-11 23:06:37)

イントロのGだけで既に泣ける、
デニス・デ・ヤングの手による泣きの名曲。
彼が自分の父親に捧げたという歌詞と
併せて聴けば、涙の海で溺死することは必至かと。
ただでさえ切ない曲調を更に盛り上げる
劇的なアレンジも堪らん。


STYX - Equinox ★★★ (2010-11-07 21:52:31)

ラジオで話題となり、'75年にシングル・カットされた“LADY”(と同曲を収録する2nd『STYX Ⅱ』)が遅まきながら大ヒット、これを足掛かりに米メジャーのA&M RECORDSと契約を締結、更にオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキーが本作を最後に脱退・・・と、あらゆる意味においてSTYXの『分岐点』となった'75年発表の5thアルバム。
トリプルVo、ツインG、Key、それに壮麗なボーカル・ハーモニーを活かした、ロックンロール系の楽曲とドラマティックなプログレ・ハード系の2パターンの楽曲から構成される本編という、前作『MAN OF MIRACLES』において確立された音楽スタイルを更に磨き上げつつ、カラフルでノリの良いOPナンバー①や、ヒット・シングル②に明らかなように、メジャー・デビュー作という事で、泥臭さが一掃されカラッと垢抜けた楽曲群は全体的にポップ風味が強化。クルリュスキーはこれを嫌ってバンドを去る事になるわけだが、そうは言っても、クニャっとしたシンセ・サウンドと浮遊感を湛えて駆け抜けていく③、キャッチーなBライン、ツインG&ツインVoのハーモニーが印象的な⑥等、単純に「ポップ」と切り捨てるには、捻りや小技の効いたアレンジ・曲展開の妙が堪能できる名曲・佳曲が本編には顔を揃えている。中でも、アコギ・インスト曲⑦からメドレー形式で展開し、アルバムのクライマックスを堂々飾る、重厚、劇的、そして立体的に重ねられたボーカル・ハーモニーが壮麗さをも演出する⑧に至っては、中期STYXを語る上で外す事の出来ない超名曲ではないかと。
最終的にアルバム・ランキング58位まで上昇し、、ゴールドディスクを獲得したと言うのも大いに納得の行く本作。HR/HMファンなら⑧を聴くためだけにでも購入する価値がある1枚ですよ!


STYX - Equinox - Born for Adventure ★★★ (2010-11-08 21:20:48)

キャッチーなBラインと、華麗且つドラマティックな
曲展開が無茶苦茶にイカしてるハードロッキンな名曲。
“アドベンチャー野郎”という邦題も最高だ。


STYX - Equinox - Suite Madame Blue ★★★ (2010-11-08 21:30:51)

美しいアコギ・インスト“PRELUDE 12”とセットで
お楽しみ頂きたい、アルバム『EQUINOX』の
ハイライト・ソングにして中期STYX屈指の名曲の一つ。
物悲しいメロディに哀愁をたっぷりと含んだ歌声が
被さってくるイントロだけで既に泣けるが
本曲最大の聴き所は何と言っても、レイヤー状に配置された
壮麗なボーカル・ハーモニーとスペーシーなシンセ・サウンド、
それに2本のGが息苦しいほどの盛り上がりを演出する
後半パートで決まり。


STYX - Kilroy Was Here ★★ (2010-11-18 23:08:09)

アメリカはもとより日本でもシングル・カットされ大ヒット、「ドモ アリガト ミスター・ロボット マタ アウヒマデ」という尾崎紀世彦ばりの日本語歌詞の存在もあって、STYXはおろか、ロックに興味のない人からも(良くも悪くも)高い知名度を誇る“Mr.ROBOTO”で幕を開ける、'83年発表の11thアルバム。
ただ、そうしたネタ曲的な存在や、一層デニス・デ・ヤングのミュージカル趣味が強調され、ハードロッキンなエキサイトメントを薄れさせた作風、そして、その結果メンバー間の不和が引き起こされ、バンド活動が停止へと至った経緯等から、ファンの間ではハッキリと賛否が分かれる作品でもあるわけだが、近未来を思わせる『ブレードランナー』風のイントロに導かれて始まる前述の①は、ポップなメロディと芝居がかった曲展開が耳惹く煌びやかな名曲だし、琴の音色を取り入れた和風テイストが印象的な⑥を筆頭とした、③⑧などバラード系の楽曲の心地良さは特筆モノだ。
名作『PARADISE THEATER』に比べると、収録曲のクオリティにバラつきが見られ、また『PARADISE~』程の成功を収められなかった事から(とは言え200万枚オーバーの売り上げは実に立派)、STYXのカタログの中ではやや日陰者の地位に甘んじている作品だが、決して駄作ではない。寧ろ、無視するのは勿体なさ過ぎる1枚ですよ。


STYX - Kilroy Was Here - Mr. Roboto ★★★ (2010-11-18 23:14:48)

VANGELIS(というか『ブレードランナー』)ばりの
近未来風味のスペーシーなイントロを経て、
「ドモ アリガト ミスター・ロボット」という
微笑ましくもマヌケな日本語歌詞が聴こえてきた瞬間、
ガッチリとハートを掴まれてしまう。
ネタ曲扱いされがちだが、ポップで親しみ易いメロディに
煌びやかで劇的な曲展開と、疑う余地なく「名曲」と
評価するに値する素晴しさ。
ドモ ドモ。


STYX - Man of Miracles ★★★ (2010-10-31 21:01:18)

これは4thアルバムですね。WOODEN NICKELE在籍最後の作品にして、インディーズ時代のSTYXを総括するに相応しいクオリティを備えた逸品です。(発表は'74年)
プログレッシブ・ロック然としたアートワークが物語る通り、この頃の彼らに産業ロック・バンドとしての面影は殆ど見受けられない。その代わり、ハードなGが活躍するロックンロール路線の楽曲と、スペーシーなKeyと壮麗なボーカル・ハーモニーを活かしたプログレ・ハード路線の楽曲、大きく分けてこの2路線から形成される中期STYXサウンドの基礎が、本作にて確立を見た。(・・・と思う)
デニス・デ・ヤングの作曲センスは右肩上がりで上昇を続けており、幻想的なバラード③、アルバム前半のハイライト・ソングたる④、タメを効かせて盛り上がっていく曲展開とメロウなBラインが印象的な⑦、Vo、G、Keyが猛烈に泣き倒す⑨等、これまで以上にメロディが繊細に練り込まれ、より叙情性を高めたデニスのペンによる楽曲群は、その全てが名曲と言っても過言ではないレベル。また泥臭さが薄れ、キャッチーなフックラインが強化された⑧を筆頭とする、ロックンロール系の楽曲の充実っぷりもお見事。そして、本編を締め括るに相応しい壮大なスケール感とドラマ性を兼ね備えたアルバム表題曲⑩は、両路線の持ち味が巧みに組み合わされたアルバムのハイライト・ソングの一つですよ。
個人的にジョン・クルリュスキー在籍時代の作品では最も好きな1枚。WOODEN NICKELE時代のSTYX入門編としてもお薦め。


STYX - Man of Miracles - A Song for Suzanne ★★★ (2010-11-06 02:01:31)

ポップでキャッチーだが、どこか物悲しいメロディに彩られ、
スペーシーな空間を作り出すKey大活躍の
アメリカン・プログレ・ハード斯くあるべし!な名曲。


STYX - Man of Miracles - Christopher, Mr. Christopher ★★ (2010-11-06 02:10:50)

イントロのG、デニスのVo、儚げなKeyと
全楽器が猛烈に泣きを発散するメランコリックな逸曲。
心なしかDsまで物悲しい。


STYX - Man of Miracles - Evil Eyes ★★ (2010-11-06 02:05:16)

グッとタメを効かせて、劇的に盛り上がっていく
曲展開が胸を打つ名曲。
チャック・パノッソのメロウなBプレイが
楽曲の持つ叙情性を引き立てていますね。


STYX - Man of Miracles - Golden Lark ★★ (2010-11-06 01:56:35)

分厚いボーカル・ハーモニー、
格調高い弦楽器の音色、
そして幻想的なKeyが
えもいわれぬ美しさを演出する
名バラード。


STYX - Man of Miracles - Man of Miracles ★★★ (2010-11-06 02:13:50)

アルバム表題曲にして、同作のハイライトを飾る
ヘヴィで壮大で劇的極まりない名曲。
ジェイムズ・ヤングとデニス・デ・ヤングの共作曲だが、
ハードさとメロウさ、まさに両者の持ち味の良い部分が
理想的な按配で混ぜ合わされています。


STYX - Man of Miracles - Southern Woman ★★ (2010-11-06 02:08:15)

イントロのGリフだけで、ジェイムズの手による楽曲と
分かるハード・ナンバーだが、エネルギッシュに踊る
彼のGプレイに対抗する、デニスの攻めの姿勢を感じさせる
Keyソロも楽曲の良いアクセントとなっています。


STYX - Paradise Theatre ★★★ (2010-11-16 21:59:58)

AOR/産業ロックに基盤を置きつつも、ロックンロールにブルーズ、プログレ、ニュー・ウェーヴからポップス、果てはレゲエに至るまで、多様なサウンドを絶妙なセンスで組み合わせ作り上げられた、'81年発表の記念すべき10thアルバム。
流石、300万枚以上を売り上げ、全米チャート№1の座とトリプル・プラチナム・ディスクを獲得する等、自他・名実共に認めるSTYXの代表作だけあって、ポップでキャッチーでスウィートなメロディ、明るくともどこかセンチメンタルな雰囲気に包まれた楽曲の数々、アメリカのミュージック・シーンの移り変わりを、シカゴに実在した劇場「パラダイス・シアター」の栄枯盛衰に重ねて綴るドラマティックなコンセプト、まるで優れたミュージカルを見ているかのような、流麗にしてダイナミックな本編の構成、そしてゴージャスで洗練されたアレンジとが高いレベルでまとめ上げられた本作は、これまでSTYXの辿ってきた音楽的変遷(とその成果)の集大成とでも言うべき内容を誇っており、完成度の高さは無類。
ズバ抜けた超名曲の類こそ見当たらないものの、それはトータル(流れ)で勝負する作風ゆえだし、また華々しい②、叙情バラード⑤、重厚且つブルージーな⑨、劇的にエンディングを飾る⑪辺りは、そこらのバンドが逆立ちしたって書けない名曲なわけですが。
前作『CORNERSTONE』以上に大胆に取り入れられたホーン・セクションや、HR/HMとは距離を感じさせるモダン(当時)なアレンジは好悪が分かれるところなれど、ともあれ、メロディ愛好家なら聴かずに済ます手はない、AOR/産業ロック史に燦然と輝く名盤の一つですよ。


STYX - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 22:50:39)

'78年に発表されるや、米ビルボード・チャート7位にランクイン、前作『GRAND ILLUSIONS』同様、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXに再びトリプル・プラチナム・ディスクをもたらした8thアルバム。(邦題は『古代への追想』)
ヒプノシスが手掛けたミステリアスなアートワーク、ライブのOPを彷彿とさせる高揚感に満ち溢れた①に始まり、終曲的なインスト・ナンバー⑧にて厳かに幕が下ろされる本編の芝居がかった構成など、基本的には前作で披露したSTYX流プログレ・ハード・サウンドを踏襲しつつ、今回はポップでアコースティカルなのはトミー・ショウ作曲の③ぐらいのもので、残りは、躍動感溢れる曲調に絡むパイプ・オルガンの荘厳な旋律が印象的な②、序曲④から繋がっていく『指輪物語』を題材に取った大仰な⑤、骨太なGリフと威勢の良いKeyリフがカッコイイ⑥、静と動の対比も劇的な⑦、ツインGが活かされたヒット・シングル⑧、そしてアルバムをドラマティックに締め括るアルバム表題曲⑨・・・と、ハードさとドラマ性を増強した楽曲が顔を揃える。
一気に産業ロック路線へと傾斜する次作『CORNERSTONE』以降の音楽性の変化を考えると、本作はアメリカン・プログレ・ハード時代のSTYXの集大成と言える1枚・・・かもしれない。
前作『GRAND ILLUSIONS』と併せて、STYXの入門編にお薦めの1枚。


STYX - Pieces of Eight - Blue Collar Man (Long Nights) ★★★ (2010-11-14 23:41:02)

シングル・チャート21位にランクインするヒットとなった
ロックンロールというよりもメタル寄りな印象さえ受ける
STYXのハード・サイドを代表する名曲。
威勢の良いKeyリフとソリッドなGサウンドがカッコイイったら。
今の日本じゃ他人事とは思えない歌詞も◎


STYX - Pieces of Eight - Lords of the Ring ★★ (2010-11-14 23:37:10)

ファンタジー作品の金字塔『指輪物語』を
題材に取り上げているだけあって、
インスト“THE MESSAGE”を序曲代わりに、
華々しく仰々しくドラマティックに展開していく名曲。
映画というよりもミュージカル調な仕上がりな辺りが
やっぱりデニス・デ・ヤング。


STYX - Pieces of Eight - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 23:52:28)

ミュージカル風味のシアトリカルな曲展開に酔いしれる、
ヒット曲“THE BEST OF TIMES”の元ネタとしても知られる
8th『PIECES OF EIGHT』のラス曲にして
プログレ・ハード時代のSTYXの終焉を飾った
壮大且つ華麗な同アルバムのタイトル・トラック。


STYX - Pieces of Eight - Queen of Spades ★★ (2010-11-14 23:43:36)

叙情的な前半から、ハード且つ劇的に
盛り上がっていく後半と、
アメリカン・プログレ・ハード時代の
STYXの面目躍如といった感じの名曲。
次作以降、こうしたタイプの楽曲が
姿を消してしまうのは残念至極。


STYX - Styx ★★ (2016-08-25 00:17:16)

STYXの記念すべきデビュー作なのにCD化はドン尻で、長らく入手困難な状態が続いていた’72年発表の1stアルバムが遂にリマスター再発。先んじて数年前に発売されていた輸入盤を買うべきか否か延々悩んでいた身には福音とも言うべき今回の国内盤CD化で、これでようやくSTYXの全スタジオ・アルバムをコンプリートすることが出来ましたよ。
JOURNEY、BOSTON、KANSASら、アメリカン・プログレ・ハード勢の中では最も早いデビュー&本邦初登場(当時は「スタイクス」表記だった)となった本作は、サイケなアートワークが物語る通り、WOODEN NICKEL時代の諸作同様に産業ロック色はほぼゼロ。そのサウンドは泥臭いロックンロール風味とプログレ風味が支配的で、いきなり13分越えの①で幕が上がる構成、しかもその大作がメジャー移籍以降の華麗なドラマ性よりも、曲中に会話劇や、コープランドの“市民のためのファンファーレ”を組み込んでみたりと、実験色を強く帯びている辺りが時代を感じさせます。
一般的にSTYXの名を聞いて思い浮かべる音楽性とはかなり開きがあるものの、個人的にはこれはこれで非常に興味深く楽しめた次第。アーシー且つハードな⑤は聴いてるだけで身体を揺すられますし、流麗なピアノのイントロからスタートする抒情HRナンバー③、既に見事なコーラス・ワークがフィーチュアされている(日本でもシングルカットもされた)④みたいな、後の飛躍を予感させるメロディアスな名曲/佳曲も収められていますしね。
真っ先に聴くべき作品ではありませんが、STYXに興味を持たれたならば避けては通れぬ1枚かと。


STYX - Styx - What Has Come Between Us ★★★ (2016-08-27 23:35:51)

ピアノの速弾きイントロだけで、ハッとしてGOOD!と。
本編突入後も、おセンチなメロディから美しいハーモニーまで
STYXの後の飛躍を予感させるに十分な魅力に溢れていますよ。


STYX - Styx II ★★ (2011-12-10 23:10:44)

'71年の発表当時は全く話題にならずビルボード圏内に入る事すら叶わなかったが、'75年、ラジオを発端に人気に火がつきチャートをみるみる急上昇、最終的には米ビルボードのシングル・チャート第6位にランクインしてSTYX初のトップ10ヒット・ナンバーとなった、今に至る彼らの代表曲の一つ“憧れのレディ”を収録する2ndアルバム。(アルバム自体も同曲のヒットに引っ張られる形で最高20位を記録しゴールド・ディスクを獲得している)
収められた楽曲の大半が他人の曲で、未だ方向性を模索中といった趣きだったデビュー作に対し、アーシーなロックンロール・ソングと、ヨーロッパのプログレ勢からの影響を感じさせるドラマティックな大作ナンバーの2路線からなる本編は、STYX独自の音楽性確立を予感させるに十分な内容。
尤も、ヒット曲②がそのどちらでもないデニス・デ・ヤングの甘い歌声が活かされたメロウなナンバーである辺りが、このバンドの将来進むべき方向を物語っていたわけですが。
静の前半/動の後半の対比もドラマティックな7分越えの大作曲③、「有名クラシック曲の引用」という初期STYXのお約束に則って、序曲パートにバッハの“小フーガ ト短調”の旋律を組み込んだ⑥といった名曲が収録されているものの、作品全体としては後のSTYX的な華やかさよりも、寧ろ素朴な佇まいが微笑ましくも好感触な1枚かな。


STYX - Styx II - A Day ★★★ (2011-12-12 22:26:01)

ジョン・クルリュスキー(G)のペンによる
8分に及ぶプログレッシブな大作ナンバー。
KeyとVo主体のメロウで気だるげな前半と、
Gとリズム隊が劇的に曲展開を牽引する
ハードな後半の対比もドラマティックな逸品です。


STYX - Styx II - Father O.S.A. ★★★ (2011-12-12 22:37:13)

序曲としてバッハの“フーガ”を引用した
インスト曲“LITTLE FUGUE IN G”が
くっ付けられている7分越えの大作ナンバー。
美しいボーカル・ハーモニーが活かされた
壮大にして華麗なる曲展開は、
後のSTYXサウンドの萌芽を感じさせます。


STYX - Styx II - Lady ★★ (2011-12-12 22:21:51)

STYXのオーバーグランド浮上を後押しした
初の大ヒットナンバーで、邦題は“憧れのレディ”
メロディアスな小作品ですが、重厚なDsからは
プログレ・バンドの薫りが漂ってきますね。


STYX - The Grand Illusion ★★★ (2010-11-11 23:52:52)

げんを担いで'77年7月と、数字の「7」に拘ってリリース。その甲斐あって(?)全米チャート最高6位にランクインする大ヒットとなり、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXにトリプル・プラチナム・ディスクをもたらすまでに至った、中期STYXを語る上で欠かす事の出来ない重要な7thアルバム。(邦題は『大いなる幻影』)
ベルギーの画家ルネ・マグリットの『白紙委任状』にオマージュを捧げたという幻惑的なジャケット・アートワークに、「現実と非現実」をテーマに掲げたコンセプト作、そして、マーチの如き壮大なOP曲①に始まり“グランド・フィナーレ”⑧にて幕を閉じるドラマティックで芝居がかった本編の構成といい、従来のプログレ色を十二分に残しつつも、暗さや重さが完全に払拭され、それよりもミュージカルや映画のサウンドトラック等に通じる、壮大にして華やかな、洗練された味わいが強く漂う。
デニスの手による劇的な楽曲、トミーの手によるメロウな楽曲、ジェイムズの手によるハードな楽曲がバランス良く配置された本編に無駄な楽曲は一つもないが、中でも一際眩い輝きを放つのは、全米ベスト8のヒットとなったポップでファンタジックな曲調と、物凄いオチがつく歌詞(笑)が最高な④、そして映画『エクソシスト』で有名な“TUBULAR BELLS”のメロディを組み込んだ、本作のプログレ・サイドを代表する名曲⑦。
ポップ風味とプログレ風味のバランスも絶妙な、アメリカン・プログレ・ハード・バンドとしてのSTYXの魅力を余すところなく捉えた名盤。中期STYXの最高傑作として入門編にお薦めさせて頂きます。