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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5601-5700
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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5601-5700
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STYX - The Grand Illusion - Castle Walls ★★★ (2010-11-14 23:29:37)

楽曲のドラマ性の高さを予感させる抑え気味のイントロに始まり、
じっくりと盛り上がっていく幻想的且つドラマティックなラスト・ナンバー。
中盤に挿入された、マイク・オールドフィールドの“tubular bells”のメロディが、
楽曲の持つシアトリカルな雰囲気を一層引き立てている。
プログレッシブで劇的だが、以前のような欧州的な泣きな暗さは殆ど感じられないと言う
まさに「STYXならでは」の名曲


STYX - The Grand Illusion - Come Sail Away ★★★ (2010-11-14 23:24:05)

船が波間をたゆたうような心地良い前半、
帆に風を孕み、波を切って爽快に進んでいくような中盤、
そして、スペーシーなKeyサウンドに「ん?」と思わせて
衝撃的且つ壮大な(笑)オチへと雪崩れ込む後半と、
序破急を備えた曲展開が秀逸過ぎるファンタジックな名曲。


STYX - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 00:53:44)

産業ロックの権化の如き、華やかなSTYXサウンドを期待すると、アメリカ南部を思わせる泥臭さとドラマティックなプログレ風味が同居する、ジョン・クルリュスキー(G)とジェイムズ・ヤング(G)のハード/ロックンロール嗜好が強調された、ポップでもお洒落でもない(有体に言って地味な)作風に肩透かしを食う事となる'73年発表の3rdアルバム。
勿論、デニス・デ・ヤング(Vo、Key)のメロディ・センスはこの頃から光っており、適度なポップ・テイストもまぶされた⑦は彼らしい佳曲に仕上がっているのだが、本作においてそれ以上に強いインパクトを残すのが、ハードなGの調べとジョン・パノッソのDsが荒れ狂う①、ハリー・べラフォンテの“BANANA BOAT SONG”風の転調パートが印象的な④、KING CRIMSONばりのサイケなヘヴィネスが横溢する⑧、それに有名クラシック曲“HALLELUJAH CHORUS”のカヴァー⑩といった、後の作品では聴く事の出来ないタイプの楽曲群。何より、ダイナミックな曲展開に、泥臭いハードネスとプログレ由来のドラマ性が組み合わされ、そこにデニスの攻撃的なKeyワークが絡む③は、この時期のSTYXならではの名曲!
あまり顧みられる機会のない初期作品なれど、質の高さは折り紙付き。90年代末期に再発されたリマスター盤を当時買い損ねたまま今に至るので、紙ジャケ、リリースしてくんないかなぁ。


STYX - The Serpent Is Rising - Hallelujah Chorus ★★ (2010-10-30 01:25:25)

タイトルから分かる通り、ヘンデル作曲の超有名クラシック曲のカヴァー。
プログレ色が強かった初期STYXならではの選曲センスか。
元々コーラス・ワーク重視のバンドゆえ違和感はなく、
壮麗な曲調がアルバムを締め括るのにもってこい。


STYX - The Serpent Is Rising - Jonas Psalter ★★ (2010-10-30 01:17:23)

如何にもデニス・デ・ヤングらしい、
心を浮き立たせるポップ・センスと華やかなKeyワークに
彩られた名曲。
この時期の彼の作曲能力はまだまだ発展途上なれど
それでもこのレベルの楽曲が作れてしまうのだから凄い。
印象的なエンディング・パートも○。


STYX - The Serpent Is Rising - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 01:21:27)

ヘヴィなリフ&リズムにディストーション・ボイスと、
KING CRIMSONの名曲“21世紀の精神異常者”からの
影響を感じさせるアルバム・タイトル曲。
間奏パートやコーラスの美しさはやはりSTYX。


STYX - The Serpent Is Rising - Young Man ★★ (2010-10-30 01:08:58)

土の薫りが漂ってきそうなアコギの刻みに始まり、
緩急の効いたダイナミックな曲展開に、メロトロンや
分厚いコーラスを交えて劇的に盛り上がっていく、
プログレ・テイストの色濃い3rdアルバムのハイライト・ナンバー。
後の作品ではあまり聴くことの出来ない、攻めの姿勢を
みせるデニス・デ・ヤングのKeyワークが素晴しい。


STäLKER - Shadow of the Sword ★★★ (2020-03-04 00:37:47)

直前のタイミングになって、ヘッドライナー・バンドから「アホか、君ら」な理由で出演キャンセルを食らい、しかもこのままだとこれが最後の開催になりかねない等、踏んだり蹴ったりだった今年のTRUE THRASH FEST。主催者側に落ち度は全然ないのだから最後なんて言わんと今後も何とか続けて欲しいのですが…。
とまれ、ベテラン勢の抜けた穴を埋めるべく、こんなご時世にも関わらず来日してくれた若手バンド――とMATYR――の奮闘は賞賛されて然るべきであり、折角の機会なので手元にあったニュージーランド出身のスピード・メタル・トリオ、STALKER(TTF初日に3番手として出演)が'17年に発表した1stアルバムをご紹介。
彼らが聴かせてくれるのは、ラフな音質に乗せて、アッパーテンションなハイトーンVoとささくれたリフ&リズムが疾走疾走また疾走という、EXCITERや初期SLAYER等からの影響を伺わせるオールドスクールなスピード・メタル・サウンド。
力押しでひたすらゴリゴリ突き進む本編は、微笑ましい反面「一本調子」とも紙一重なわけですが、忙しなく回転するGリフが80年代DESTRUCITONを彷彿とさせるOPナンバー①、メロディックなGソロが劇的に舞う②、起承転結がドラマティックに決まったエピック・チューン③という頭3曲の出来栄えが証明する通り、彼らのキャッチーな楽曲作りの腕前はなかなかのもの。アルバム後半にDEATHの名曲“EVIL DEAD”のカヴァー⑨を配置してアクセント代わりにしているのも効果的です。まぁ余りにハマり過ぎていて、他の楽曲を食っちゃってる感も無きにしも非ずなのですが。
日本盤が出てもおかしくないクオリティの備わった1枚。今後の飛躍に期待致します。


STäLKER - Shadow of the Sword - Evil Dead ★★★ (2020-03-05 00:51:40)

DRAGONFORCEやF.K.U.等、様々なバンドによってカヴァーされている
DEATHの初期の名曲ですが、STALKERバージョンもなかなかのハマり具合。
(来日公演でも披露されていました)
余りに出来が良いので、本編後半の他の楽曲の存在を
霞ませてしまっているという痛し痒しな部分もなくはないのですが…。


STäLKER - Shadow of the Sword - Path of Destruction ★★★ (2020-03-05 00:42:56)

「勢いだけのバンドと侮ってもらっちゃ困るぜ」
とのバンドの主張が聞こえてきそうな、
嵐のSEに導かれる重厚なイントロから、
起承転結を効かせてドラマティックな盛り上がりを
呈するアルバム前半のハイライト・ナンバー。
やはりこの手のバンドにとってIRON MAIDENの存在は
重要なのだなぁと改めて実感させられます。


STäLKER - Shadow of the Sword - Total Annihilation ★★★ (2020-03-05 00:34:46)

ハイピッチVoにささくれ立ったリフ&リズムが
やけくそ気味に突っ走るOPナンバー。
ほんのり漂うサタニック・テイストと、
クイック且つ鋭角的な刻みっぷりが80年代の
SLAYERやDESTRUCTIONを思わすGリフがクール。


SUGARCREEK - FORTUNE ★★★ (2013-02-02 00:02:46)

元THE RIVERASのリック・リー(Vo)率いるカリフォルニア出身のメロディアスHRバンドが、'82年にリック自身が興したBEAVER RECORDSから発表した2ndアルバム。
張りのあるハイトーンVoが歌い上げる親しみ易いメロディ、ポップな躍動感に満ちたリズム、それらを包み込む瑞々しいKey、そしてメンバー全員が歌える強みを活かした華美なボーカル・ハーモニーに彩られた楽曲の数々は、溌剌としたアメリカンなノリの中にも、プログレ風味のアレンジを施されたドラマティックなナンバーがあったりと、その作風は明らかにSTYXからの多大なる影響を感じさせます。
にも拘らず、通して聴くと然程STYXっぽく響かないのは、叩き上げのライブ・バンドゆえ(何せデビュー作がライブ・アルバムだったぐらいのもので)、サウンドがハードにロックしているからかでしょうかね。特に、各楽器が攻めの姿勢を持って火花を散らす⑤は、アルバムのハイライトに推したいアメリカン・プログレ・ハード調の名曲です。
もしこれが自主レーベルなどではなく、ちゃんとしたメジャー・レベールからリリースされていたなら、もっと世の話題に上ってたんじゃねぇかなぁ?と夢想せずにはいられない、ハイクオリティなメロハーの傑作。


SUGARCREEK - LIVE AT THE ROXY ★★ (2013-02-04 22:16:34)

幻の名盤扱いされていたSUGARCREEKのアルバム3枚が、ESCAPE RECORDSの尽力もあって遂に復刻。更に'02年には国内盤のリリースも実現したのだから、ありがてぇありがてぇ。
本作は'81年発表の1st兼実況録音盤で、ライブ・アルバムがデビュー作と言うとまるでNWOBHMバンドのようですが、ここからは「原盤費用の節約」という現実的な理由以上に、彼らのライブ・バンドとしての自信や自負のようなものが強く感じられます。スポットライトに背を向けて(?)地道に各地をサーキットして腕を磨いたSUGARCREEKが「ローカル・ヒーロー」の地位を確立していたこと想像に難くなく、ライブ・レコーディング当日のキャパ900人の会場に、1200人以上の観客が詰め掛けたと言う逸話もその証左ではないでしょうか(多分)。
ライブならではの熱気と勢いを孕んだ本編は、このバンドらしい優れたメロディ・センスと、スタジオ・テイクと比較しても何ら遜色ないボーカル・ハーモニーの華やかさを随所で発揮しつつも、全体的には洗練よりオーセンティックなロックンロール風味を意識させる作風。その辺は多数収録されているカヴァーの選曲センスにもよく表れているんじゃないかな、と。
国内盤の解説でも指摘されている通り、QUEENにBEATLESにLE ROUX・・・と、バンドのルーツが良く分かる1枚ですね。


SUGARCREEK - ROCK THE NIGHT AWAY ★★★ (2013-02-03 01:01:30)

新たにサイド・ギタリストを迎え入れて、ツインGを擁する6人編成の大所帯となったSUGARCREEKが、'84年に発表した3rdアルバムにしてラスト作。
威勢の良い「カモン!」の掛け声と共にスタートするエネルギッシュなOPナンバー①を手始めに、プログレ・ハード色を薄れさせたサウンドは、その代わりに2本のGの存在を前面に押し出して、ザックリ感をいや増したGリフや、よりダイナミックに駆け抜ける曲調等、時節柄、LAメタルへの接近を感じさせる内容に仕上がっています。
とはいえ、このバンド独特のフッキーなメロディ・ラインはその威力を全く鈍らせることなく健在。前作の作風を受け継いだポップ&キャッチーに弾む②⑥⑦があったかと思えば、甘く切ないバラード③⑧あり、そしてメロディの魅力はそのままにシャープさの磨かれたハード・ロッキンな名曲⑤⑪あり・・・といった具合に、本編は非常にバラエティ豊か。
前作収録の“CONQUEST FOR THE COMMONER”のようなプログレ・ハード調の逸品が見当たらないのは残念ですが、この完成度の高さはそれを差し引いてもお釣りが来る素晴しさ。
尚、バンドはこれを最後に活動を停止してしまいますが、後にTHE CREEKと名を改めて復活。80年代後半には2枚のアルバムをリリースしています。


SUICIDAL ANGELS (2012-04-01 21:11:47)

'01年にギリシャはアテネにおいて結成。
矢継ぎ早にに制作した2本のデモテープとEP『BLOODTHIRSTY HUMANITY』『ARMIES OF HELL』がヨーロッパ中のメタル雑誌で評判を呼び、これが切っ掛けとなってアメリカのOSM RECORDSとディールを締結。1stフル『ETERNAL DOMINATION』をもって'07年にアルバム・デビューを飾る。
オールドスクールなスラッシュ・メタル・サウンドが詰め込まれた作品自体のクオリティと精力的なライブ活動が実を結び、'09年にはオーストラリアで開催されたコンテスト「ROCK THE NATION AWARD 2009」にてSTEELWINGと共に優勝。
その後は、同年にNUCLEAR BLASTから2nd『SANCTIFY THE DARKNESS』、'10年にNOISE ART RECORDSから3rd『DEAD AGAIN』をリリースし、日本デビューも飾るなど順調に活動を継続。今年('12年)に入ると4枚目のスタジオ盤『BLOODBATH』をリリースしている。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath ★★★ (2012-04-03 07:11:32)

今やギリシャを代表するスラッシュ・メタル・バンドの1つにまでのし上がったSUICIDAL ANGELSが、ジャケット・イラストレーターに再びエド・レプカを起用して'12年に発表した4thアルバム。
尖がったVoに尖がったリフ&リズムが息次ぐ暇を与えずに畳み掛ける尖がりまくったスラッシュ・メタルという、日本デビュー作ともなった前作『DEAD AGAIN』で披露した音楽性は今作でも勿論不変。
但し、例えば「スピードだけが頼りじゃねえぜ」とばかりに、終始ミドル・テンポで押してくる③のような楽曲を収録したり(実際良い曲です)、オランダのデスラッシャー、HAIL OF BULLETSのマーティン・ヴァン・ドラネンやFIREWINDのボブ・カティオニスらがゲストに迎えられた本編からは、バンドの余裕というか貫禄のようなものが漂って来るようになった。
それでいて瞬発力が鈍ったなんてことはなく、リズムの切れ味が一層研ぎ澄まされ、Gリフがよりキャッチーに磨き上げられたことで、サウンド全体がタイトにビルドアップされた本作は、OPからギアをトップに入れて突っ走るアルバム表題曲①を手始めに、現時点におけるSUICIDAL ANGELSの最高到達点と評すべきキラー・ソング⑤、緩急の効いた⑥、正統派HM然とした劇的なツインGが炸裂する⑧等、ベイエリア・スラッシュばりの爽快な疾走感と、ヨーロピアン・スラッシュらしい禍々しいダークネスとが同居した、このバンドならではの名曲をがっつり収録。
どんどん良いバンドに成長していっているようで、嬉しい限りですよ。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Bloodbath ★★ (2012-04-03 22:09:23)

今更前置きなんかいらんだろ?とばかりに
いきなり機関銃の如きGリフのシュレッドから
幕を開けるアルバム表題曲にしてOPナンバー。
かと思えば、インスト・パートでは
禍々しくもムーディな雰囲気を発散する
緩急の付け方も上手い。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Morbid Intention to Kill ★★★ (2012-04-03 22:15:37)

攻撃的なVoに殺傷力を宿した鋭利なGリフ、
猛然と荒れ狂うリズム、
イントロの一捻りを手始めに
アップダウンの激しい曲展開など、
前のめりな姿勢を貫きつつも
楽曲自体はすこぶるキャッチーという
SUICIDAL ANGELSの魅力が凝縮されたかの如き名曲。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Torment Payback ★★★ (2012-04-03 22:19:45)

マシンガン・リフからスタートする
(良い意味で)典型的なSUICIDAL ANGELS節が
展開されるスラッシュ・ナンバー。
FIREWINDのボブ・カティオニスがゲスト参加して
正統派ヘヴィ・メタリックなツインGを
劇的に炸裂させてくれています。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again ★★ (2012-04-02 07:06:26)

日本未発売の2nd『SANCTIFY THE DARKNESS』がMETALLION誌の「スラッシュ必聴盤200選」に選出されていたギリシャ出身の4人組スラッシャーが'09年に発表した3rdアルバム。
高い殺傷力を宿した鋭利なリフを徹底的に刻み倒す2本のGと、不穏さを孕んだミドル・パートと激烈な疾走パートの組み合わせでダイナミズムを演出するリズム・セクション、それに憎しみに満ちたシャウトで畳み掛けて来るVoとが一気呵成に突っ走るサウンドは、まさしくSLAYER直系のスラッシュ・メタルといった趣きで、ジャケット・アートワークをエド・レプカ画伯が手掛けるのに相応しいクオリティを有する。
尖がった疾走感がもたらすカタルシスのみならず、楽曲が小気味良いキャッチーさを有している点も本作の美点で、特に切迫感に溢れた④、Gリフがドリル状に切り込んでくる⑤、ヨーロッパ的なダークネスを発散するGソロと緩急の効いた曲展開が印象に残る⑥といった優れた楽曲が連続する、本編中盤のテンションの高さには耳を奪われます。
OVERKILLのボビー“ブリッツ”エルズワースや、KREATORのミレ・ペトロツァといった歴戦の兵達からも惜しみない賛辞を寄せられたのも納得の1枚。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again - Suicide Solution ★★★ (2012-04-02 22:51:10)

ドリルの如きGリフと音数の多いリズムが
噛み付くようなシャウトVoを伴って
畳み掛けるアルバム屈指の名曲。
尖がりつつもGのリード・プレイやソロからは
ヨーロッパ的なダークネスが滲み、
何より一緒に叫びたくなるキャッチーさを
有している点が最大の魅力。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again - The Trial ★★★ (2012-04-02 22:47:45)

居ても立ってもいられない気分にさせてくれる
切迫感に溢れたGリフがクール且つキャッチーな
高速スラッシュ・ナンバー。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer ★★★ (2014-02-25 22:45:56)

トップ・ランナーとしてギリシャのスラッシュ・シーンを牽引するSUICIDAL ANGELSが、ギタリストの片割れをパノス・スパノスから元EXARSISのクリス・Tにチェンジして'14年に発表した5thアルバム。
これまで一貫してSLAYERやKREATORの流れを汲む激発型スラッシュ・サウンドを追及してきた彼らですが、5枚目にして変化球を投げ込んで来ました。
密度の濃いモダンな音作りの下、従来作に比べてアグレッションの「発散」と「溜め」がかなり意識的にコントロールされている本作は、軟弱にならない程度に増量されたメロディとの組み合わせで、カミソリの如き切れ味の鋭さ以上に、重厚にしてキャッチーな打撃力が印象に残る作風に。
さり気なくヴァイオリンまで使用されている④⑩は、バンドの試行錯誤の結晶というべき大作ナンバー(前者は6分、後者は8分)で、中でもスラッシーな攻撃力とダイナミックな曲展開、メロディックなGソロが無駄のない融合をみた④は、思わず力瘤らずにはいられない名曲。
当然、彼らのスラッシュ・メタル・バンドとしての基本軸にぶれがないことは、①③⑦⑨といった景気良く突っ走る高速ナンバーの数々を聴けば自明の理ですが、今回は即効性よりも、繰り返し聴き込むことを重要視した作品に仕上げてきた印象ですね。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer - Control the Twisted Mind ★★★ (2014-02-26 23:17:45)

意表を突いてバイオリンをフィーチュアした
メランコリックなイントロからスタート。
その後は当然のようにシャープなGリフ主導の
スピード・パートへと転じるわけですが、
前のめりな「爆走」というよりは、
地面をしっかりと踏みしめてタイトに疾走する様相が
これまでの彼らとは少々異なる印象。
緩急を効かせた7分に及ばんとする曲展開や
練られたGソロを聴いていると「ドラマティック」
という表現が思い浮かびます。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood ★★★ (2016-06-25 23:47:16)

昨年、待望の初来日公演を行ったグリーク・スラッシャー筆頭、SUICIDAL ANGELSが’16年に発表した6thアルバム。
変化球で攻めてきた前作に比べると、今回はのっけからストレートな疾走感が復活。と言っても、ただ単純に従来のスラッシュ・メタル路線へと回帰したわけじゃなく、曲作りにおいてメロディを印象的なアクセントとして用いる術を、前作の寄り道から「お土産」としてしっかり持ち帰っている辺り、実に抜け目がなく感心させられます。
この新たな方向性確立に大きく貢献しているのが、新加入のガス・ドラックス(G)。通称ガス・D…って、ガス・Gのパチモンみたいですが(ロッテに対するロッチ的な)、ガリガリ鼓膜を削るGリフのシュレッディングのみならず、華麗にして構築美溢れるGソロを随所で披露する等、ギタリストとしての実力は本家にも匹敵。楽曲は彼が加入する以前に既に書かれていたそうですが、例え用意された楽譜であっても、やはり上手い演者がプレイすると放たれる輝きは段違いのレベルという。
特に、緩急を活かしたOPナンバー①、アグレッシブ且つキャッチーな③、メロデスならぬ「メロディック・スラッシュ」とでも言うべき⑦といった、スパスパと歯切れの良い疾走感溢れる曲調に、メロディックなGプレイが鮮烈な彩りを加える楽曲は出色の出来栄え。こうした軟弱にならぬ程度にメロディが活かされたサウンド・スタイルは近年のKREATORに通じるものがあり、これならミレ・ペトロッツァも激賞しますわな、と。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood - Bullet in the Chamber ★★★ (2016-06-29 23:46:26)

Gリフ自体がメロディアスなので、メロディック・デス/ブラック・メタルにも
通じる味わいが、なきにしもあらずなスピード・ナンバー。
ドロドロ感がなく、カリッと乾いた疾走感はやはりスラッシュ・メタルしていますが。
攻撃的な曲調に華を添えるガス・ドラックスのメロディックなGソロも印象的です。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood - Capital of War ★★★ (2016-06-29 23:52:56)

ガリガリ刻まれる凶暴なGリフ、性急に突っ走るリズム、
煽るように畳み込むVo…と、SUICIDAL ANGELS以外の何者でもない
攻撃的曲調に、メロディックなGソロが鮮烈に切り込んで来るという
ガス・ドラックス(G)擁する現編成の強みを如何なく盛り込んだ逸品。


SUICIDAL ANGELS - Years of Aggression ★★★ (2020-04-03 00:01:00)

デビュー以来順調に作品リリースを重ね、’15年には来日公演も行う等、ギリシャのHR/HMシーンを牽引し続けるスラッシュ・メタル・バンドSUICIDAL ANGELSが、前作から3年ぶりとなる'19年に発表した7thアルバム。
ミレ・ペトロッツァの覚え目出度いことでも知られる彼らですが、本作では益々「ギリシャのKREATOR」化が進行。ヤスリ声のシャウトVoや、刺々しく刻まれるGリフでサウンドのアグレッションを維持しつつ、スピードは若干抑え気味に、その分ツインGが奏でる欧州風味のダークネスを孕んだ抒情旋律とドラマティックな曲展開をマシマシにしていくスタイルも、近作のKREATORの流儀に通じます。そりゃ気に入られるよねと。象徴的なのがアルバムを締め括る7分オーバーのイーヴルなヘヴィ・チューン⑩の存在で、最初はてっきり中盤でスピードアップするだろうと思っていましたが、最後まで重厚なテンポを保ったままエンディングを迎える意表を突いた作りからも、本作においてバンドが目指した方向性がハッキリと伝わってくるのではないかと。
そんなわけで、一聴してのインパクトやスラッシュ・メタル然としたエキサイトメントは従来作に一歩譲る感は否めませんが、それを補うようにツインGが全編をメロディックに駆け巡っており、特に鋭利且つキャッチーなGリフ、畳み掛けるスピーディなリズム、その中で2本のGが劇的に絡み合う②は、安易なKREATORクローンとは一線を画するSUICIDAL ANGELSの凄味を伝えてくれる名曲ですよ。
未だ高いテンションを漲らす、アルバム・タイトルに偽りなしの1枚。


SUICIDAL TENDENCIES - Controlled by Hatred / Feel Like Shit...deja-vu ★★★ (2022-08-02 00:20:28)

80年代、スラッシュ・メタルとハードコア/パンクのクロスオーバー現象の旗振り役を担ったマイク・ミューア率いるSUICIDAL TENDENCIESが、3rd『HOW WILL LAUGH TOMORROW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』から僅か半年のインターバルを経て'89年に発表した8曲入りEP。これまたタイトルがやたらに長いですが、邦題はシンプルに『檄』と冠されています。
その邦題通り、ここに託されているサウンドはスピーディかつアグレッシブ。スラッシュ由来の疾走感は若干抑え気味にして、その分、重厚さや整合性といったヘヴィ・メタリックなエッセンスの拡充が図られていた『HOW WILL~』に対し、ほぼ一週間でレコーディングを終了させたという突貫作業ぶりが物語る通り、ラフなプロダクションから勢い重視の楽曲まで、本作は生々しいエネルギーの迸りが封入された仕上がりとなっています。
前作を踏まえ起伏に富んだ曲展開を盛り込みつつも、本編は鼓膜に突き立つエッジーなGリフの刻みや、カタルシスに満ちた爆発的な疾走感といったスラッシュ・メタルのエッセンスを大幅回復。特に切迫感を煽り倒す③や7分に迫る長尺をダイナミックに畳み掛ける④は、リフ/リード両面においてキレキレなロッキー・ジョージのGがスラッシャーの血を騒がす逸品。と同時にウリ・ロートをリスペクトする彼氏らしく、②では泣きのメロディをエモーショナルに奏でて懐の深さを披露してくれています。
SUICIDAL TENDENCIESのカタログの中ではスルーされがちな作品ですが、個人的には愛して止まない一作。EPながらアルバム・サイズの満足感が味わえますよ。


SUICIDAL TENDENCIES - Controlled by Hatred / Feel Like Shit...deja-vu - Just Another Love Song ★★★ (2022-08-04 08:12:58)

切れ味鋭い(と同時にリズミカルでもある)リフの刻みっぷり、
鬼のように弾き倒すGソロと、畳み掛ける疾走感にアガりまくる
本編屈指のスラッシュ・ナンバー。
線の細いマイク・ミューアのVoが完全にバックの演奏に
埋もれてしまっている点は評価が分かれるかもしれませんが。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army ★★★ (2017-05-19 00:17:25)

スラッシュ・シーンとハードコア/パンク・シーンのクロスオーバー推進に一役買ったパイオニア・バンドの一つ、マイク・ミューア(Vo)率いるカリフォルニア出身の5人組が’87年に発表した、アメリカ軍の徴兵ポスターのデザインをパロった表題とアートワークが目印の2ndアルバム。(邦題は『軍団宣言』)
スケーターズ・ロックならではの疾走感は既に十分なれど、いかせんメタル側からすると音の軽さが気になったセルフ・タイトルのデビュー作。正統派HM色を強め(泣きのGソロまで聴ける)BUURN!!誌レビューじゃゴッドが高得点を献上したものの、疾走感の低下には物足りなさを覚えざるを得なかった3rd『HOW WILL I LAUGH TOMMORW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』。この2枚の間に挟まれた本作は、ハードコア/パンク由来の爆発的スピード感と、へヴィ・メタリックなエッジの鋭さを美味しいトコ取りした、まさにクロスオーバー・スラッシュの名盤と評するに相応しい出来栄えを提示しています。
スラッシュ・メタルとしてジャッジした場合、マイク・ミューアの声の「軽さ」「線の細さ」には相変わらず迫力不足の感が否めぬまでも、緩急を取り込んでテンション高く突っ走るアルバム表題曲②や、本作から加入したバンド随一のメタル・ガイ、ロッキー・ジョージ(G)によって高速で切り刻まれるGリフが「これぞスラッシュ!」なカッコ良さを叩き付けて来る⑦といった名曲を前にすれば、そんなこたぁ些細な問題かと。
SUICIDAL TENDENCIES入門盤として、またクロスオーバー・スラッシュのジャンル入門盤としてもお薦め出来る1枚です。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - I Feel Your Pain... And I Survive ★★★ (2017-05-21 01:30:43)

高速で刻み倒される冒頭のGリフにテンションの上がらぬ
スラッシャーはおらんでしょう、と。
尤も、スラッシュ・メタルとして聴いた場合
Vo含めて「音の軽さ」には如何ともし難いものはありますけども
逆にだからこそこの俊敏なフットワークの疾走感を
生み出せているとも言えるわけで。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - Join the Army ★★★ (2017-05-21 01:26:52)

上擦り気味のVoが醸し出す切迫感、
ロッキー・ジョージの弾きまくりのGとを伴って
アップダウンを効かせながらテンション高く突っ走る様は
「カッコイイ」の一言に尽きますよ。


SUNBURST - Fragments of Creation ★★★ (2016-07-02 02:56:46)

SUICIDAL ANGELSでのガス・ドラックスの働きに感銘を受け、彼が関わるSUNBURSTのデビュー作('16年発表)も衝動買い。いやぁ、良い買い物でしたよ。
本作に託されているのは、テクニカルな演奏が緊張感と神秘的な雰囲気を醸成するプログレ掛かったパワー・メタル。但し、これみよがしの複雑さは控えめ。何より、強靭なリフの刻み、精緻な速弾き、泣きが迸るエモーショナルなフレージングまで華麗にこなしてみせるガス・DのGプレイと、絶品の歌唱力を誇るヴァシリス・ジョージオウ(Vo)が、サウンドに親しみやすい大衆性&劇的なフックを構築。お陰で、プログレ物にさほど入れ込んでいない身でも、胃もたれを起こさずにスルスルと聴き通すことが出来ますよ。
殊に、愁いに満ちたメロディをしなやかに歌い上げるヴァシリスの歌声は特筆モノ。ガス・DのGプレイは一足先にSUISIDAL ANGELSで体験していたこともあり想定の範囲内と言えましたが、ヴァシリスに関しちゃ全く予備知識がなかったため、CIRCUS MAXIMUSのマイケル・エリクセンや、MYRATHのザヘル・ゾルガティにも比肩する歌いっぷりに、もう1曲目からウットリと聴き惚れてしまいましたね。
パワー・メタリックな疾走感も堪能できる③、ゲスト参加のボブ・カティオニス(Key)が流麗に奏でるピアノが効果的な抒情ナンバー⑤と冷ややかな⑧、シンフォニックなオーケストレーションを導入した大仰且つドラマティックな大作⑩等、バンドが持つポテンシャルの高さを実感できる楽曲の数々を収めた本作は、CONCEPTIONやNEVERMOREを引き合いに出して語られるのも納得の力作に仕上がっているのではないでしょうか。


SUNBURST - Fragments of Creation - Out of the World ★★★ (2016-07-03 22:43:47)

へヴィでアグレッシブなリフ&リズムが押し寄せる
曲調はNEVERMORE辺りを引き合いに出して語りたくなりますが
このバンドの真価は、確かな歌唱力を誇るシンガーが
憂いをたっぷり含んだメロディをしなやかに歌い上げる
サビメロの猛烈なフックにこそあるのではないかと。
テクニカルなだけでなく、猛烈な泣きをも発散する
ガス・ドラックスのGソロも鮮烈極まりなし。


SUNBURST - Fragments of Creation - Symbol of Life ★★★ (2016-07-03 22:51:51)

ガス・ドラックスの華麗なるピロピロっぷりが炸裂する
劇的なイントロだけで掴みはOK。
どこか神秘的な響きも湛えた抒情的なメロディを
情感豊かに歌い上げるヴァシリス・ジョージオウの熱唱にも
ハート鷲掴みで、個人的にはアルバムのハイライト・ナンバーの一つに
推したいぐらいの名曲ですよ。


SUPERIOR - Behind ★★ (2008-06-22 17:56:00)

SILVER MOUNTAINの名曲“VIKINGS"における、イェンス・ヨハンソンの鮮烈なピアノ・ソロに心奪われて以来、
ピアノをフィーチュアしたHR/HMサウンドを聴かせてくれるバンドを、日夜探し回っているのだが、その過程でアンテナに
引っ掛かってきたのが、このドイツはカイゼルスラウンテルン出身の6人組プログレシッヴHMバンド、
SUPERIORが'96年にリリースした1stアルバム。
どうやら本作は、レコード契約を得るためにアマチュア時代('95年)に自主制作した作品らしいが、そのクオリティは
かなりしっかりとしたもので、ミドル・テンポを中心に、複雑且つドラマティックな曲展開を飲み込んだ楽曲は、
制作された時期が時期なだけに、DREAM THEATERからの影響が強く感じられるものの、ガツガツと刻まれる肉厚なGリフといい、
重量感溢れるリズムといい、そのサウンドはDREAM THEATERよりもグッとヘヴィ。そして、何と言ってもこのバンド最大の武器は、
ともすればヘヴィネスが強調され過ぎて潤いに欠けがちな本編に、SAVATAGEばりの叙情性とドラマ性を付与する気品に満ちたピアノの調べ。
特に、10分近くに及ぶ長尺を、凝ったアレンジと起伏に富んだ曲展開で一気に聴かせ切る②や、荘厳にしてドラマティックな⑧、
GとKeyが冷ややかに泣きまくる、メランコリックなヘヴィ・バラード⑩は、楽曲の素晴しさと流麗なるピアノの調べが
ガッチリと噛み合った、本編屈指の名曲かと。2nd以降も、この路線を追及して欲しかったなぁ・・・。


SUPERIOR - Behind - Until the End ★★★ (2008-06-22 18:03:39)

アルバムのラストをメランコリックに締め括るヘヴィ・バラード。
冷ややかに泣きまくる、GとKey(ピアノ)の調べが胸に突き刺さる、
アルバムのハイライト・ナンバー。


SUPERIOR - Behind - Why ★★ (2008-06-22 18:02:12)

よりプログレ風味を強めたSAVATAGEといった趣きの
10分近くに及ぶドラマティックな大作ナンバー。
楽曲の持つ叙情性とドラマ性を増幅する、
流麗なピアノの調べがこの曲の肝。


SURVIVOR - Caught in the Game ★★ (2010-02-25 22:03:00)

前作『EYE OF THE TIGER』の大ヒットを受け、アルバム制作費が大幅増。エンジニアにマイク・クリンクを
起用し、一説には2億円以上の巨費を注ぎ込んでレコーディングされたという、'83年発表の4thアルバム。
『制覇への誓い』という邦題に反して、本作は米ビルボード最高82位と全くの期待ハズレの成績に終わって
しまったため、商業的には失敗作と見なされる事が多いが(実際その通りだから仕方ない)、内容自体は
↑上の方々が仰られている通り、『EYE~』と比較しても決して聴き劣りするものではない。
シングル・カットされたアルバム表題曲①(最高77位)がイマイチ弾けない地味めな楽曲ゆえ、「掴み」に
失敗してる印象は否めないものの、それを乗り越えれば、ポジティブなフィール漂うバラード③、
爽快にロックしまくるアップテンポの④・・・と「これぞSURVIVOR!」たる楽曲が連続。ラストを劇的に締め括る
6分以上に及ぶ大作⑩に至るまで、ダレを感じる場面は殆どない。本作以降は姿を消す事となる、
プログレ・ハード調の⑦のような楽曲も、本編の流れに良いアクセントを加えてくれています。
尚、今回も伸びやかでクリアーな極上の歌唱を提供してくれているフロントマンのデイヴ・ビックラーは、
このアルバムを最後にSURVIVORから脱退。バンドは新Voとしてジミ・ジェイミソンを迎える事となる。


SURVIVOR - Extended Versions ★★★ (2016-03-22 22:55:37)

SURVIVORが'85年に行った、新宿厚生年金会館での初来日公演の模様を捉えた実況録音盤。VHS版だけでなく、CD化までされてたとは知りませなんだ。(自分が購入したのは『LIVE IN JAPAN 1985』と改題された日本盤)
名作『VITAL SIGNS』を発表し、意気上がるSURVIVORの最も脂の乗り切った時期のライブゆえ、メンバーのパフォーマンスにしろ、『VITAL~』収録曲中心のセットリストにしろ、そしてそれを受け止める観衆の盛り上がり具合にしろ、とにかく全編に亘って勢いが感じられます。各楽器陣のソロ・タイムまでしっかりと設けられた本編構成は、「売れ線狙いのポップ・バンドと侮らないで頂きたい!」との、SURVIVOR側のロックな主張が迸るかのようで、特にスタジオ盤ではその存在をさして気にしてなかった(酷)、リズム・セクションのタイトな仕事ぶりには感銘を受けましたね。
それに比べると、音を外したり、声が引っ繰り返りそうになったりと、ジミ・ジェイミソン(Vo)の歌唱は結構危なっかしい(ライブでの不安定さはずっと指摘されていましたけど)。いやでも、実力派シンガーとして鳴らした彼の荒い歌唱が聴けるのも貴重な記録と言えますし、ファンとしてここは「ライブならでは臨場感が味わえる」とポジティブに思考したい所存。観客の大声援を受けて、ジミが嬉しそうに「愛シテマス!」とか答えるのを聞くと、今となってはホロリと泣けてくるというね…。会場のボルテージが最高潮に達するハイライト、名曲“EYE OF THE TIGER”のジミ・バージョンがCDで聴けるのも有り難い。
SURVIVOR唯一(?)の公式ライブ盤という点でも、一聴の価値がある1枚ではないかと。


SURVIVOR - Eye of the Tiger ★★ (2010-02-24 21:39:00)

映画『ロッキー3』のテーマ曲として知られ、ヒット・チャートにおいて6週連続で1位の座をキープした結果、
SURVIVORに'82年度グラミー賞「最優秀ロック・バンド」の栄冠をもたらした超有名曲“EYE OF THE TIGER"を
収録する、'82年発表の3rdアルバム。一般的に、SURVIVORの代表作と言えば本作と言う事になるのだろうか?
ロックに興味がなくとも1度は耳にした事があるであろう、無性にシャドー・ボクシング始めたくなる
その勇壮な名曲①以外にも、本作には、爽快なポップ・チューン②あり、泣きのバラード⑤あり、ハードロッキンな
⑥あり、本編後半のハイライトを飾る感動的な⑦(映画『ロックアップのED曲としても知られる)あり、
スマッシュ・ヒットを飛ばした(16位)リズミックでキャッチーな⑧あり・・・といった具合に、ハイクオリティ且つ
バラエティ豊かな楽曲が全編に渡って取り揃えられていて、成功の階段を駆け上がっていくバンドの勢いが
如実に反映された、充実した内容に仕上がっている。FLEETWOOD MACの大ヒット作『MIRAGE』(陽炎)に阻まれ
チャート1位の座こそ逃したものの、アルバム自体、ビッグ・セールスを記録したのも流石伊達じゃない・・・と
納得させられるだけの品質を備えた、デイヴ・ビックラー時代屈指の名作。メロディアスHRファン的には、
バックVoとしてファーギー・フレデリクセンが参加している事もセールス・ポイントかな。


SURVIVOR - Eye of the Tiger - Eye of the Tiger ★★★ (2016-03-26 10:02:46)

自宅の蛍光灯の紐相手にシャドー・ボクシングを
したことがある者、必聴の名曲。
「無性にランニングをしたくなる」と多くの方が語られていますが
実際走る時に流してみると、遅過ぎず早過ぎずで
丁度いいテンポなんですよね。(お前も走ったんかい!と)


SURVIVOR - Premonition ★★ (2010-02-23 21:48:00)

元CHASEのリズム隊が脱退、曲作りがジム・ピートリック(G)とフランキー・サリヴァン(G)の2本柱に委ねられた事で、
いよいよSURVIVORと聞いて想起する音楽性が形成され始めたとの印象を受ける、'81年発表の2ndアルバム。
(言葉の意味はよう分からんが、なにやら期待感を煽る『予戒』という邦題も秀逸だ)
この頃はまだ、曲によってはプログレ・ハード風味も感じられるアメリカンHRサウンドが持ち味ながら、
メロディのフック/叙情性がいや増し、一層キャッチーに磨き上げられた楽曲は前作を大きく上回る輝きを放っている。
それは、軽快に駆け抜けていく爽やかなOPナンバー①、一夏の恋の終わりを感傷的に歌い上げる②、
力強いレッドネック賛歌(?)③、ボーカル・ハーモニーの組み立てや濃い口の哀愁漂うメロディからプログレ・ハード
っぽさも感じられる劇的な④、それに秀逸なサビメロの展開にグッとくる⑦等、優れたメロディアスHRチューンの
数々からも一聴瞭然。また、確かな歌唱能力を余す所なく発揮する機会(楽曲)を得たデイヴ・ビックラーが、
これまで以上に存在感をアピールし、アルバムのクオリティ底上げに大きく貢献している事も本作の強みか。
シングル・カットされた②が米ビルボードで62位、③が33位と、それぞれスマッシュ・ヒットを飛ばし
SURVIVORの知名度向上に大きく寄与。次作の大成功への布石となった事でも重要な1枚。


SURVIVOR - Reach ★★ (2012-11-12 22:38:41)

泥沼の裁判劇を経て、正式にバンド名を背負ったフランキー・サリヴァン(G)がSUVIVORを再建。恩讐を越えてフロントマンにジミ・ジェイミソン(Vo)を迎え入れると(再結成当初はデイヴィッド・ビックラーも在籍)、スタジオ盤としては『TOO HOT TOO SLEEP』以来、実に18年ぶりに発表した8thアルバム。
ジム・ピートリック不在で制作された初めてのSURVIVORのアルバムとは言え、フランキー・サリヴァンとて、ギタリストとして、ソングライターとして長きに渡ってバンドを支え続けてきたオリジナル・メンバーの1人。名シンガー、ジミ・ジェイミソンの伸びやかな歌声を活かした、アルバム・カバーの世界をそのまま音に移し変えたようなOPナンバー①や、暖かみに溢れたバラード④、小粋でメロディアスな⑥(フランキーがリードVoを担当)は、そうした彼の矜持が強く感じられるナイスな逸品。
そんなわけで、1枚のメロディアスHRアルバムとしては非常に良く出来た作品なのですが、ただSURVIVORのアルバムとしては・・・フランキーのGをこれまで以上に前面に押し出し、ミッドテンポの楽曲中心に組み立てられた本編は、ハードな反面「高揚感を誘われる劇的なメロディ展開」や「胸躍るポップ・フィーリング」に乏しく、地味な印象は拭い切れない部分もあり。少しばかり物足りなさが残るかなぁ。
でも、折角ジミ・ジェイミソンがフロントマンの座に再就任したのだから(ロビン・マッコーリーがシンガーを務めるSURVIVORのアルバムってのも聴いてみたかったですけど)、一日も早く次の新作を宜しく。


SURVIVOR - Survivor ★★ (2010-02-22 22:54:00)

イリノイ州はシカゴにて元THE IDES OF MARCHのジム・ピートリック(G)を中心に、フランキー・サリヴァン(G)、
デイヴ・ビックラー(Vo)、それにブラス・ロック・バンドCHASEのリズム隊ら、名うてのミュージシャン達に
よって結成されたSURVIVORが、'79年にSCOTTI BROTHERS RECORDSから発表した1stアルバム。
この頃はまだメンバー全員が曲作りに参加しているせいか、次作以降とはやや趣きを異にする作風で、
先にジミ・ジェイミソン時代を体験して、それから遡って本作へと辿り着いた後追いファンとしては、
美しい叙情メロディや心浮き立つポップ・センスといった産業ロック的要素よりも、シンプルでオーソドックスな
(有体に言ってやや地味な)アメリカンHR色が濃厚なサウンドに若干の物足りなさを覚えなくもないが、尤も、
デビュー作にして既に漂うこの安定感は流石SURVIVOR。何より本作は、後の大化けを予感させるポップで
躍動感溢れる名曲⑥を聴くためだけにでも購入する価値有り。(軽快に跳ねる③、劇的に盛り上がる⑤も良い曲)
SURVIVORのアルバムとしては影が薄い1枚ながら、良質のアメリカンHRサウンドが詰め込まれた好盤かと。


SURVIVOR - The Finest Selection~the Serach is Not over Yet~ ★★ (2009-01-25 17:58:00)

'99年にSURVIVERの旧譜が一斉再発された際、新たに編纂され、日本のみでリリースされたベスト盤。
名盤を数多く残しているSURVIVORゆえ、その中から1枚選ぶとなると、大ヒット曲“EYE OF THE TIGER"を収録した
同タイトルの3rdアルバムか、アメリカン・メロディアスHR史に残る傑作と名高い5th『VITAL SIGNS』か、はたまた
円熟味を増した6th『WHEN SECONDS COUNT』か・・・と、非常に悩ましいところなのだが、個人的に、
SURVIVOR未体験者に入門編として1枚お薦めするなら、この便利なベスト盤を推したい。
マニアックなファンが編集した「お好みテープ」を聴いてるかの如き錯覚に陥ってしまう、ツボを突いた選曲センスが
とにかく秀逸な1枚で、“EYE OF THE TIGER"や“BURNIG HEART"等の代表曲は勿論のこと、ヒット曲以外にも
SURVIVERならではの魅力に満ち溢れた隠れた名曲の数々を、CDの容量ギリギリまで使ってしっかりと収録。
鮮やかに疾走する、爽快なハードポップ・チューンの名曲①に始まり、珠玉の名バラード⑮で幕を閉じる
美しく技ありの構成はもとより、曲順も非常に考え抜かれており、ベスト盤にありがちな「やっつけ仕事感」は皆無。
「SURVIVER愛」に溢れた内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
とは言え、このバンドが生み出した無数の名曲をCD1枚に収めきるのは不可能なわけで、本作を聴いて気に入った人は、
是非、オリジナル・アルバムの方も揃える様にお願い致します。


SURVIVOR - Too Hot to Sleep ★★ (2010-02-28 22:32:00)

リズム隊が去り、正式メンバーはジム・ピートリック、フランキー・サリヴァン、ジミ・ジェイミソンの
3人のみという、殆ど末期JOURNEY状態でレコーディングが行われ、'88年に発表された7thアルバム。
前作『WHEN SECONDS COUNT』が優れた内容にも関わらず、それに見合うだけの成功を収められなかった事から、
本作では音楽シーンの潮流の変化も踏まえて、よりハードな方向へと軌道修正。Gサウンドがこれまで以上に
強調され骨太感を増した本編は、その分メロディの叙情性(フック)がやや割を食ってしまった印象が
無きにしも非ずで、収録曲のクオリティにバラつきが見られるという点では、4th『CAUGHT IN THE GAME』を
思い起こさせたりも。(あのアルバムも、従来より心持ちハードな方向へ振られた作風だったし)
とは言え、力強くドラマティックなアルバム表題曲③や、70年代HRにも通じるスケール感で本編を締め括る
ラスト・ナンバー⑩は、SURVIVORならではの美しいメロディと、ハードなGの調べが巧みに組み合わされた
名曲だし、勿論、従来の「らしさ」が存分に堪能できる哀愁のハードポップ・チューン②、スペーシーな
雰囲気漂う一風変わった味わいのバラード⑦といった楽曲も収録。
SURVIVORのアルバムとしてはやや地味な存在ながら、決して駄作と切り捨てられるようなクオリティではなかった
本作なれど、セールス的にはビルボード・チャート100位以内に入る事すら叶わず、結果、
バンドはこれを最後に(とりあえず)解散の道を選択する事となるのであった・・・。合掌。


SURVIVOR - Vital Signs ★★ (2010-02-26 23:54:00)

巨費を投じて作り上げた4th『CAUGHT IN THE GAME』がまさかの大コケ、しかもデイヴ・ビックラー(Vo)まで健康上の
問題を理由に脱退・・・と、天国から地獄へ一気に転げ落ちたSURVIVORが、新Voとしてジミ・ジェイミソンを、
プロデューサーとして売れっ子ロン・ネヴィソンを迎え入れ、再浮上を賭けて作り上げた'85年発表の5thアルバム。
結果的に本作は4曲ものヒット・シングルを生み出し、アルバム自体もビルボード最高14位にランクイン、バンドに
プラチナ・ディスクをもたらす成功を収めたわけだが、正直、これ程の名盤ならもっと売れたって罰は当たらんぞ、と。
これまで以上にKeyサウンドを前面に押し出し、メロディのフックから、劇的な曲展開、サビのキャッチーさ、
華やかなコーラス・ワークの組み立てに至るまで、その構成要素一つ一つを丁寧に磨き上げ、徹底的な洗練を施した上で、
ジミ・ジェイミソンの伸びやか且つエモーショナルな歌声が乗っけられた収録曲の数々は、産業ロックの
一つの理想形とでも言うべき美しいシルエットを描き出し、JOURNEY、STYX、FOREIGNERといった同ジャンルの
先輩バンドが残した数多の名曲群と比べても、何ら遜色のない眩い輝きを放つ逸品ばかり。
鮮烈なポップセンスに彩られたOPナンバー①から、映画『ベストキッド』の主題歌として知られるラスト・ナンバー
⑩(日本盤のみ収録)まで全10曲、捨て曲がないのは勿論の事、全ての楽曲がシングル・カット可能なクオリティを
備えている本作だが、中でもSURVIVORのロック・サイドを代表する爽快感漲る③と、メロウ・サイドを代表する
感動的な名バラード④の連続攻撃には、メロディ愛好家ならグゥの音も出ない程に打ちのめされること請け合い。
SURVIVORの商業的代表作が『EYE OF THE TIGER』なら、質的な代表作は間違いなくコレ。君、聴かずに死にたもう事なかれ。


SURVIVOR - When Seconds Count ★★ (2010-02-27 20:51:00)

5th『VITAL SIGNS』が一定の成功を収め、映画『ロッキー4』に主題歌として提供した“BURNING HEART"も
(ディオンヌ・ワーウィックの有名曲“愛のハーモニー"に№1の座こそ阻まれたものの)シングル・チャート
最高第2位にランクインする大ヒットを飛ばした事で、ヘッドライナー・バンドへと昇格を果たしたSURVIVORが、
その結果持ち得た精神的余裕と勝ち組の貫禄を持って制作、'86年に発表した6thアルバム。
プロデューサーには再度ロン・ネヴィソンを起用し、前作の必勝パターンを手堅く再現してみせた本作は、
やや歌モノ志向が強まり躍動感が薄まった点を除けば、ヒット曲“HIGH ON YOU"を彷彿とさせるOPナンバー①といい、
前作のハイライトだった“FIRST NIGHT"から“THE SARCH IS OVER"への流れをそのまま裏返したかのような
④⑤の展開といい、全体的に『VITAL SIGNS その2』的な色合いが強く感じられる仕上がり。
と言ってもそれが悪いなんて事はなく、定まった型の中で、似て非なる名曲を生み出し続けるSURVIVORの
曲作りの上手さに心底感心させられた次第。特にA面サイドの充実っぷりは尋常じゃなく、殊に、ポップでキャッチーな
③(シングル・チャート最高8位にランクイン)、萎えた心に喝を入れてくれる誇り高きバラード④、
華やかに躍動する曲調に心浮き立つ⑤は、メロディアスHRファンなら必ずや胸打たれるであろう必聴の名曲。
リリース当時、ビルボード最高47位程度の成績しか残せなかった事実が俄かには信じ難い、産業ロック史に
燦然と輝く名盤にして、『VITAL SIGNS』と並んでSURVIVOR入門篇に打ってつけの1枚かと。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica ★★ (2017-05-14 23:26:18)

シンガーは後にイングヴェイとの活動で名を上げるマッツ・レヴィンで、⑩で歌っているのは現在NIVAを率いているトニー・ニヴァ。他にもヨラン・エドマンやジェイミー・ボーガー、ALIENのケン・サンディンらが在籍していたことがあったり、またTNTの初代Vo、ダグ・インゲブリットセンとの関りもあったりと、ファミリーツリーでも作った日にゃ相当複雑に入り組みそうなスウェーデン出身の5人組が、’89年発表した1stアルバム。
EUROPEに代表される従来の北欧メタルを「退屈なバンドばかり」とバッサリ切ってみせる彼らが本作で聴かせるのは、人を食ったバンド名(母国のポルノビデオシリーズがその由来だとか)や、華やかなルックス、レッツ・パーティ・ターイム!な歌詞等が物語る通り、シンプルでスリージーでワイルドなロックンロール・サウンド。
但しアメリカへの憧れをダダ漏れにしてはいても、メロディ・ラインがそこはかとなく涼感を湛えている辺りはやはり北欧産。特にフックを盛り込んだ楽曲作りの手腕は確かにメジャー・レーベルの目に留まるだけのことはあるなと。デビュー・シングル②が本国ではトップ10入り、アルバム自体もスカンジナビア4国を始め、ドイツ、オランダでも大ヒットを記録したそうですが(国内盤帯情報)、アリーナ・ロック然としたコーラス・ワークが抜群な③、乾いた哀愁漂わすバラード④、爽快且つパワフルなロック・チューン⑤といった、中盤に並ぶ充実の楽曲群を耳にすればそれも納得の出来栄え。
第一次北欧メタル・ブーム沈静後に出て来たバンド(D.A.D.とかELECTRIC BOYSとか)同様、当時はパスしていたのですが、改めて聴くとこれが結構イケていたという。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica - We're Wild, Young and Free ★★★ (2017-05-15 22:56:02)

事前情報なしに聴いたらまず北欧のバンドの手による
楽曲とは思えないであろう、しゃがれ声で歌われる
メロディにしろ、キャッチーなコーラスを分厚く覆う
ハーモニーにしろ、アリーナ・ロックの風情が濃厚に
匂い立つ名曲。それでいて、そこはかとなく涼し気な
空気も運んでくる辺りは北欧風味でもあるという。


SWEET - A ★★★ (2022-04-21 00:50:23)

80年代半ばに盛り上がった再評価の機運に乗じ復活を果たしたSWEETでしたが、その後まもなく四分五裂。一時はメンバー各自がリーダーを務める4つのSWEETが乱立するというカオスな状況を招くも(それぞれの活動時期には多少のズレあり)、アルバム・リリースまで漕ぎ着けたのは、このアンディ・スコット(G)が率いたSWEETのみでした。
本作はANDY SCOTT’S SWEET名義で’93年に発表された1stアルバムで、レコーディング・メンバーには元LIONHEART~MSGのスティーヴ・マン(B)らが名を連ねています。分裂劇の悪印象が相俟って「コレジャナイ感」を背負わされたのか、発売当時、雑誌レビューでは30点台を食らうなど評価はケチョンケチョン。でも時間を置いて冷静になってから聴き直せば、親しみ易いポップなメロディといい、ライブ映えする躍動感に満ちた曲調やコーラス・ワークといい、いやこれ全然悪い出来じゃないっすよ。
爽快感と高揚感を伴うSWEETらしさ満点のOPナンバー①を皮切りに、カヴァー曲とは思えぬハマリっぷりで疾走する②、憂いを帯びたドラマティックなバラード⑩辺りを聴けば、アンディがファンが期待する70年代SWEET像への回帰を強く意識していることは明らかであり、特に哀愁のメロディに彩られたキャッチーな⑪なんて絶品じゃありませんか。
かつて「悪魔のハーモニー」と評された空中戦の如く飛び交うボーカル・ハーモニーが控えめな点や、収録曲の出来栄えに若干ムラがあることも本作の小粒感に拍車を掛けますが、とはいえ、過小評価に晒され廃盤状態のまま放置しておくのは勿体なさ過ぎるクオリティを有した1枚であることは、断固として主張しておきたいところであります。


SWEET - Cut Above the Rest ★★★ (2021-01-18 22:57:29)

ツアー生活の疲弊からアルコールに走るようになり、バンド内で軋轢を生じ始めたブライアン・コノリーが脱退。後に残されたメンバーはトリオで活動を継続することを決断し、所属レーベルをPOLYDOR RECORDSに替えて心機一転を図ると、セルフ・プロデュースでレコーディング作業を行って’79年に本7thアルバム(邦題『標的』)を発表しました。
看板メンバーだったコノリーの脱退に加えて、発売されたアルバムは全米チャートで100位内に入ることも叶わない寂しい成績…ってな事前情報に惑わされ、紙ジャケ再発されるまで聴いたことがなかった本作ですが、実際にトライしてみれば、SWEETの他のカタログにも決して聴き劣りしない素晴らしい内容で「こりゃ結構なお点前ですよ!」と思わず居住まいを正してしまった次第。
ここで披露されているのは、前作のアメリカン・メロハー路線を更に洗練させ、キャッチーなメロディを甘美なハーモニーで包んだ、例えばELO辺りにも通じる魅力を放つポップ・ロック・サウンド。ドイツでシングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたという①みたいな親しみ易いハードポップ・チューンも非常に和めるのですが、甘さ一辺倒では終わらず、エッジの効いたGが曲展開を主導するロック賛歌の⑤、スペーシーなシンセを活かしたプログレッシブ・ロックにも通じるドラマ性を宿した⑦といった、ピリッと本編を引き締めるHRナンバーを要所に配置。その⑦を敢えて先行シングルに選ぶ攻めた姿勢からも、バンドの「舐めてくれるなよ」との主張が聞こえてくるようじゃないですか。
こうなると、未聴の最終作『IDENTITY CRISIS』も聴きたくなってきますね。


SWEET - Cut Above the Rest - Discophony (Dis-Kof-O-Ne) ★★★ (2021-01-20 00:20:14)

英国におけるニューウェイヴブームを皮肉った歌詞、
ディスコミュージックのパロディ的フレーズを要所に散りばめつつも
飽くまで曲展開を主導するのはハードなGという
SWEETのロック・バンドとしての矜持が刻まれた逸品。


SWEET - Cut Above the Rest - Mother Earth ★★★ (2021-01-20 00:24:20)

6分越えの長尺をスペーシー且つドラマティックに語りきる、
プログレッシブ・ロック・テイストも漂う名曲。
特にピアノが華麗に閃く中間部のアレンジが辛抱堪りません。
敢えてこの一筋縄ではいかない楽曲を先行シングルに選ぶ辺りからも
バンド側の「甘くみんなよ」(SWEETだけに)という
攻めの姿勢が感じられるのではないでしょうか。


SWEET - Desolation Boulevard ★★★ (2020-09-16 23:49:14)

グラム・ロックの源流の一つとして、後続勢に多大な影響を与えたSWEETが'72年に発表した3rd。
英盤と米盤で内容が若干異なっており、自分が所有しているのは米盤ベースの国内盤(邦題は『荒廃の街角』)。リリース当時は英米のチャートを席巻し、近年でも映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:REMIX』の予告編にフィーチュアされたことで再びリバイバル・ヒットを飛ばした代表曲“FOX ON THE RUN”を収録、SWEETが「ヒットメーカーにお膳立てされたアイドル・バンド」から「よりヘヴィなサウンドを追求するHRバンド」へと歩みを進める分岐点となった名盤です。
初期から培ってきた甘くポップなメロディ・センスや、親しみ易いキャッチーなコーラス・ワーク、QUEEN等に通じる高音ハーモニーといった従来の魅力に、タイトで歯切れの良いハードネスが加わった本編は、前述の“FOX~”を筆頭に、賑々しい“ロックンロールは恋狂い”、曲名通りのタテノリ・ナンバー“A.C.D.C.”、重厚に舞うボーカル・ハーモニーが印象的な“THE 6 TEENS”、ヘヴィなリフとポップなメロディのコントラストが絶品な“SWEET F.A.”等、硬軟のバランスに優れた名曲がズラリ。中でもHEATHENがカヴァーし、個人的に本作購入の切っ掛けともなった逸曲“SET ME FREE”は、明快なメロディにアグレッシブな疾走感といい、「これ完全にHMナンバーじゃね?」ってなカッコ良さに満ち溢れていますよ。
CDだと更にボーナス・トラックとして代表曲“ACTION”(DEF LEPPERDがカヴァーしていました)まで収録されているという至れり尽くせりっぷり。下手なベスト盤に手を出すくらいなら、SWEET入門盤には本作をお薦め致します。


SWEET - Level Headed ★★★ (2020-11-05 00:24:18)

所属レーベルをRCAからポリドールへと替えたSWEETが'78年に発表した、多分6、7枚目ぐらい?のフル・アルバム。英米のチャートにおいてトップ10に食い込む好成績を残したヒット・シングル“愛が命”を収録し、これを最後に中心メンバーのブライアン・コノリーが脱退して不動の4人組の一角が崩れてしまい、以降は大きなヒットに恵まれぬまま解散へと至ったことから、一般的にSWEET全盛期最後の作品とされる1枚です。
彼らのアルバムは飛び飛びでしか所持していないのですが、本作では『荒廃の街角』(’74年)で開眼したHR路線から趣きを変えて、シャラシャラと乾いた音色で奏でられるアコギの使用比率を上げ、アメリカでの更なる成功を見据えたコマーシャル路線へと方向を軌道修正。そのことはカリフォルニアへの憧れが爽やかに歌い上げられるウェスト/コースト風味のOPナンバー“CALOFORNIA NIGHTS”が端的に物語る通り。
但し安易に売れ線に走るのではなく、持ち前のキャッチーなメロディ・センスは存分に活かしつつ、アレンジや曲展開の練り上げに更に注力した結果、本作からはBOSTON、KANSAS、STYXといった同時期にヒット・チャートを賑わせたバンドに通じるプログレ・ハード風味も立ち昇るようになりました。その好例が、クラシカルなチェンバロが効果的なアクセントとなっている名バラード“ふたりの誓い”や、スペーシーにアルバムを締め括る“永遠の詩”~“AIR ON ’A’ TAPE LOOP”のメドレーであり、そして7分近くに及ぶ長尺の中で曲調が次々に表情を変えていくドラマティックな大ヒット・ナンバー“愛が命”であったと。
SWEETは名曲が多い!と今更ながら実感させられた1枚であります。


SWEET - Level Headed - Fountain ★★★ (2020-11-05 23:09:25)

邦題は“ふたりの誓い”
哀切を湛えて歌われるメロディと、それを引き立てる美麗な
ハーモニー&アコースティック・ギター、そしてエンディングを
盛り上げるハープシコードのクラシカルな響きが辛抱堪らない名曲です。


SWEET - Level Headed - Love Is Like Oxygen (extended version) ★★★ (2020-11-05 23:17:17)

邦題は“愛が命”。
7分に及ぶ長尺の中で、次々に表情を変えていく
プログレッシブかつドラマティックな曲展開を有しつつも、
一貫して甘くポップなメロディが楽曲をリードするため
小難しい印象は一切なし。英米チャートでTOP10に食い込む
ヒット・シングルとなったのも納得の名曲です。


SWEET - Off the Record ★★★ (2022-04-19 01:22:28)

キャッチーなメロディ・ライン、ブライアン・コノリーの個性的なハスキー・ボイス、それらを重厚かつ立体的に包み込む高音ボーカル・ハーモニーといった、SWEETをSWEETたらしめる要素はそのままに、お仕着せのアイドル・ロック・グループというイメージを払拭するべく、アルバム・リリースを重ねる毎に自作曲の増強とハードネスの底上げに努めてきた彼らが行き着いた、SWEETのカタログの中で最もHRテイストが色濃く打ち出されていると言われる’75年発表の5thアルバム。邦題は『明日なき青春』。
メンバー自らの手によるプロデュースという点からも、バンドが演りたいことを全て本作に詰め込んだことが伝わってきます。シングル・カットされ欧州圏でスマッシュ・ヒットを飛ばしたOPナンバー①、後にGAMMA RAYがカヴァーしたことで知られる②のような、QUEENの「天使のハーモニー」に対して当時「悪魔のハーモニー」と評されたという、単に華美なだけでなく、目まぐるしく飛び交う圧の強さがいっそ攻撃的にすら感じられるボーカル・ハーモニーが活かされたアンセミックな楽曲、一緒に叫びたくなるリフレインを有してキャッチーに駆け抜ける⑦なんかも大変素晴らしいですが、個人的にガツンとヤられたのはスピード・ナンバーの⑨。70年代半ばにしてこのエネルギー、この切れ味。アレンジは洗練されていますが、それこそJUDAS PRIESTの“EXCITER”にだって匹敵する名曲…ってのは見当違いの誉め方過でしょうかね?いやでもカッコイイですよ。
こうしたHR路線は、しかしセールス的にはイマイチな結果に終わり、SWEETは次作以降、新たにメロハー路線へと舵を切っていくこととなります。


SWEET - Off the Record - She Gimme Lovin' ★★★ (2022-05-11 00:41:27)

コーラス・ワークの華麗さはそのままに、
“SET ME FREE”を上回るアグレッションで畳み掛ける
「プレHMナンバー」といった趣きの疾走ナンバー。
'77年でこの勢いには目を瞠るものがありますよ。


SWEET - Sweet Fanny Adams - Set Me Free ★★★ (2020-09-18 01:15:42)

仄かな憂いを帯びたメロディ、一度聴けば耳にこびりつくコーラス、
そして快活な疾走感と、元祖HMナンバーの一つに数えられる名曲。
HEATHENのカヴァーを聴いてそのカッコ良さに痺れた時は、てっきり彼らが
メタリックにアレンジしているからだと思ったのですが、
後追いでSWEETのオリジナルを聴いて、ほぼほぼ完コピだった分かった際は吃驚でしたよ。


SWORD - Metalized ★★★ (2015-05-07 23:49:34)

リック(Vo)とダン(Ds)のヒューズ兄弟により結成された(元々はKISSのトリビュート・バンドだったとか)カナダはケベック州出身の4人組が、地元インディーズのAQUARIUS RECORDSから'86年に発表したデビュー作。
明らかにJUDAS PRIEST影響下の正統派HMを志向しながらも、そのサウンドにドラマ性や構築感の類は希薄。むしろ「やんのかコラ」と派手に土煙蹴立てて暴れ回る無頼漢っぷりこそが本作の魅力かと。
その真髄たるのがOPナンバー①で、飼い慣らされない野生動物の如きワイルドさ漂わすVoに(「メタリックなレット・フォリスター」的趣きあり)、鈍い光沢を放つササクレ・リフを刻みつつソロは華やかにキメてみせるGとが、バキバキにブッ叩かれる全力投球リズムに乗ってパワフルに迫り出してくる、メタル魂滾るこの名曲を聴くためだけにでも本作は購入するべきである!と(極論)。
正直、この曲と、その後に続く②のインパクトが劇的過ぎて本編中盤の印象が霞みまくりなのですが(退屈なわけではない)、それでも地を這うヘヴィ・チューン⑩が存在感たっぷりに本編を締め括ってくれるため、尻すぼみ感はなく聴後感も良好。
リリース当時、ここ日本でも高く評価された(BURRN!!誌のバックナンバーを確認したら92点を獲得してた)のも納得の1枚。


SWORD - Metalized - F.T.W. ★★★ (2015-05-08 23:58:33)

スラッシュ/パワー・メタリックなササクレ感を
撒き散らすGリフのカッコ良さ、喧嘩上等なリズムの迫力、
いかにも80年代らしいフラッシーなGソロ、
そして男臭いシンガーの噛み付くような歌いっぷりと、
(音程を伴わないシャウトがレット・フォリスター似なとこも良い)
いずれの要素にも花丸を差し上げたくなる名曲も名曲。超名曲。
バイクのエンジン音に併せてメイン・リフが刻まれる箇所なんて
何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。


SYLOSIS - Conclusion of an Age ★★★ (2013-04-09 23:23:23)

自らの音楽性を「エピック・スラッシュ」と呼称するイギリスはレディング出身の5人組が、'08年に発表した1stフル・アルバム。
喉から出血しそうな勢いでシャウトをひり出すVo、高い演奏力を活かし猛射されるGリフと息つく間もなく畳み掛けるリズムは、正しくオールドスクールなスラッシュ・メタルの作法に則っている一方、曲によってはクリーンVoやKeyの使用にも躊躇がない(そしてまたそれを上手くこなしている)辺りは、やっぱり現代っ子バンドですな。
特にクリーンVoの導入は効果的。メンバーが「1曲でバンドの全てを物語っている」と語るドラマティックなOPナンバー②(①は序曲)を皮切りに、メロデス風味も取り入れられたモダンな④、叙情イントロから疾走へと転じる⑦から、本編のクライマックスを飾る壮大な⑩まで、クリーンVoがボンヤリと浮遊するのではなく、聴き手の血を沸き立たせるスケール感を伴ったメロディを歌い上げているのが評価ポイント。(比較的ストレートに突進する⑧みたいな楽曲のカッコ良さもナイス)
欧州HM然とした光沢を放つテクニカル&メロディックなツインGの存在と併せて「エピック・スラッシュ」の標榜は伊達じゃねぇな、と思わせてくれる1枚です。


SYLOSIS - Conclusion of an Age - After Lifeless Years ★★★ (2013-04-11 22:15:15)

期待感を煽る劇的な序曲“DESOLATE SEAS”から
繋がっていくアルバムのOPナンバー。
スラッシーな疾走感、テクニカルなインスト・パートと
緩急を飲み込んだドラマティックな曲展開、
それに壮大さを演出するクリーンVoパートなど、
バンドが標榜する「エピック・スラッシュ」の何たるかが
凝縮された、アルバム購入の試金石代わりにもってこいの名曲。


SYLOSIS - Conclusion of an Age - Last Remaining Light ★★★ (2013-04-11 22:18:41)

アルバムのクライマックス役を担う、7分以上に及ぶ大作曲。
これまた「エピック・スラッシュ」の何たるかを
体現したかのような起承転結の決まったドラマティックな
楽曲ですが、ゴテゴテと飾り付けられた大仰さはなく、
研ぎ澄まされたソリッドさを強く感じさせてくれるのが
このバンドならでは。


SYLOSIS - Conclusion of an Age - Swallow the World ★★ (2013-04-11 22:21:29)

今風のへヴィネスを湛えてスタートし、
サビへ向けてスピードアップ。
「オ~オ~」というクリーン・コーラスと共に
曲が疾走を開始する場面のカッコ良さは
かなりのものですよ。


SYLOSIS - Dormant Heart ★★ (2015-06-29 23:20:20)

3rd『MONOLITH』で完全に自己のスタイルを確立。次なる一手に注目の集まっていたSYLOSISが、期待高まる中、'15年に発表した4thアルバム。
OPナンバー①の重苦しいイントロが始まった時は「ふむふむ。で、こっから一気に疾走へ転じるわけでがすね?」とほくそ笑んだのですが、最後まで重苦しいまま終わってしまって、あれ?と。
そんな感じに開巻早々、これまでとの作風の違いを明白に宣言してみせる本編は、他にも思わず「ヘヴィ・バラード」と表現したくなる悲壮な⑥や、クリーン・パートをメインに10分近い長尺をプログレッシブに物語る⑪といったメロディアスな楽曲を収録。勿論②③⑨等のスピード・ナンバーは健在なれど、全体的に焦燥感というか前のめり感は抑制気味で、今回は「走る」ことは主目的に非ず、楽曲のスケール感や、緩急の効いた精緻な曲展開のダイナミズムを際立たせるための手段の1つと位置付けられている印象有り。リズム/リード両面においてテクニカルに、ソロではメロディックに冴え渡るツインGに導かれ、静と動の対比もドラマティックに突っ走る⑩は、そうした彼らの試みが鮮やかに咲き誇るアルバムのハイライト・ナンバー。
掴みの弱さ、60分オーバーの収録時間、即効性よりも聴き込みを要する作風とが相俟って、当初はあまり印象が良くなかったのですが、現在では星2つレベルにまで評価が上昇。来年ぐらいには三ツ星評価に変化してるやもしれませんで。


SYLOSIS - Monolith ★★★ (2013-04-10 22:45:27)

結局、国内盤はリリースされず終いだった2nd『EDGE OF THE EARTH』('11年)を間に挟んで、'12年に発表された3rdアルバム。
知らぬ間にシンガーが今風の怒号を響かせる新Vo(Gが兼任)にチェンジしていて、それに併せてってわけではないのでしょうが、サウンドからも直線的な攻撃性は減退傾向が見受けられます。
本編を重厚に覆うKey、そして一層エモーショナル&メロディアスに花開くツインGの絡みが増量されたことに加えて、クリーンVoをヴァースやブリッジに組み込み、従来の「サビメロのみをメロディアスに歌い上げる」というお約束パターンを廃した楽曲は、スラッシュ・メタル・サウンドを基調としつつも、これまで以上に緩急の落差が強調された、ある意味プログレ/テクニカル・メタル方面への踏み込みを感じさせる仕上がりに。
特に、シュレッド・リフが鬼のように吹き荒れる①、静動/美醜/モダンとオールドスクール風味を飲み込んで疾走する⑤⑦、キレキレなGリフをフィーチュアした⑩等は、精緻な演奏が生み出すスピード感とカタルシスに満ちた曲展開に否応なくテンションが上がる逸品。
1stの頃の前のめりな作風が恋しくないと言えば嘘になりますが、収録各曲それぞれのキャラ立ちが明確になったことでアルバム全体の質は間違いなく高まりまった1枚。(ちなみに最後に隠しトラックあり)


SYLOSIS - Monolith - Out From Below ★★★ (2013-04-13 00:45:07)

鬼のように刻まれるGリフにスラッシーな疾走感、
ダイナミックな曲展開、劇的なメロディと、
OPから早くも勝負を着けにくるキラー・チューン。
単なる技巧のひけらかしとは異なり、
楽器陣が「ここぞ!」という場面で炸裂させる
ハイテクニックが、カタルシスを生み出すことに
大きく貢献しています。


SYLOSIS - Monolith - The River ★★★ (2013-04-14 00:06:42)

中間部のGソロはメロディアスというより
もはや「エモーショナル」と表現したくなる領域。
そこから雄々しいメロディと共に疾走へと
移行していく堪らなくドラマティックな曲展開からは
SYLOSIS流の美学が感じられます。


Santa - No hay piedad para los condenados ★★★ (2017-02-21 23:50:40)

長らくCDで探していたスパニッシュ・メタル・アイテム2点を、何の気なしに立ち寄った中古盤屋にてゲット。思わず小躍りしてしまいましたね。1枚はスペインのクサメタル機甲師団PANZERが’87年に残したライブ盤で、もう1枚が「スペインの女ロニー」ことアズセナ・マルティン(Vo)を擁し、DEEP PURPLE~RAINBOW直系の様式美HMを聴かせてくれたSANTAが、’86年に発表していた本2ndアルバムです。
バンドには今回から専任Key奏者が加入。様式美HMバンドとして一層盤石の布陣となっており、本編では早速その強みを活かした曲作りが行われています。Gリフ主体で荒々しく突っ走っていたデビュー作に比べると、曲構成がよりメロディアス&キャッチーに作り込まれ、柔和に弾む②があったかと思えば、メロドラマのテーマ曲みたいに甘く切ない⑤があり、明るく快活な⑨もある…といった具合に、収録曲のバラエティが大きく拡大。
但し、それでもアルバムの本分をコテコテの様式美HMチューンに置くバンドの姿勢にブレはありません。例えば起承転結が劇的に決まった①や、戦場のSEに導かれてスタートする⑩等は、コブシの効いたVoの歌いっぷりといい、GとKeyのバトルっぷりといい、「実は彼らはTERRA ROSAの生き別れの兄弟」と言われたら信じてしまいそうなカッコ良さ。アズセナ姐さんの情念渦巻く激唱が炸裂する⑧⑪も聴きモノですよ。
荒々しい1stと、ポップさを増した3rdの丁度中間に位置するサウンドが託され、SANTAの代表作としてその名を挙げるファンが多いのも納得の1枚。個人的には1st派なのですが、聴き易さ/取っ付き易さではこっちの方が上かもしれません。


Santa - Reencarnación ★★★ (2016-02-09 23:15:20)

メタル者にとってサンタと言えば、北欧に生息するヒゲ面の老人ではなく、「スペインの女ロニー」ことアズセナ・マルティン-ドラド・ガルボ(Vo)を擁するマドリッド出身の4人組のことに決まってますが(嘘)、本作はそのSANTAが'84年に発表したデビュー作。
母国では初回生産分だけで1万7000枚を売り上げたヒット作というだけあって、シンガーのパワフルな歌声、楽器陣のタイトな演奏力、それにガッチリ組み上げられた収録楽曲etc・・・と、彼らの提示するコテコテな様式美HMサウンドは実に堂々たる完成度。切れ味鋭く突進するスピード・ナンバー⑥の只事じゃないカッコ良さなんて、「どうせ辺境メタルでしょ(笑)」と舐めて掛かる輩を「逆にブッ飛ばしてやらぁ!」ってな気迫が憑依しているかのよう。
歌詞はもちろん巻き舌バリバリのスペイン語なれど、アズセナ姐さんの情熱的な歌い回しにマッチしており全く違和感はなし。どころかパワーUPしてくれてる印象すらあって、赤尾和重ばりにコブシの効きまくった彼女の熱唱が映える、泣きと哀愁に満ちた劇的な⑨なんて、「本当は大阪のバンドなんじゃないの?」と尋ねずにはいられないアルバムのハイライト。思わず、よっ!スペインのTERRA ROSA!と声援送りたくなりますね。(余談ながら、アズセナ姐さんは2nd発表後にSANTAを脱退。その後はソロ・アーティストに転身しましたが、'05年、肺気腫によりマドリッドの自宅で死去しています)
言語に拘りのない様式美HMファンなら一度は聴いておくべき力作ではないでしょうか。


Santa - Reencarnación - Al lado del diablo ★★★ (2016-02-10 22:45:50)

目の覚めるような屈強さで疾走するスピード・ナンバー。
楽曲が放出するパワーに一歩も引かずに、むしろ打ち勝つ勢いの
アズセナ・マルティンのド迫力の歌いっぷりが圧巻ですよ。
まさにディアブロ・・・。


Santa - Reencarnación - Sobrevivir ★★★ (2016-02-10 23:00:34)

「大阪で生まれた女?(by BORO)」と思わず尋ねたくなる
コブシの効きまくったアズセナ・マルティン入魂のシャウトに
胸揺さぶられる、TERRA ROSA辺りにも通じる
泣きと哀愁に満ちたドラマティックな名曲。
よく女性シンガーをして「ルックスに似合わぬ力強い歌唱」とか評したりしますが
この人の場合はまさしく「ルックスに違わぬド迫力の歌唱」なのが凄いなぁと。


Santa - Templario ★★★ (2016-02-13 00:14:13)

看板シンガーだったアズセナ・マルティン脱退後、'86年に発表された3rdアルバム。
前作レコーディング前にKey奏者がラインナップに加わったこともあり、「今回もKeyがGとバトル繰り広げる本格派様式美HMが詰まってるに違いないですぞ」とかニヤつきながら再生したのですが、OPナンバー①は明るく弾むLAメタル風。続く②もメロディアスなポップ・チューンで、「確かにKeyサウンドは大々的に使われてるけどさぁ…」と、少なからず落胆したような覚えが。
但し決して完成度は低くない。いや、むしろ立派。新加入エレノール・マルケージ(Vo)の実力は前任者と比べても遜色はなく、彼女の器用で耳当たりの良い歌唱が活かされた楽曲は、従来のコテコテ感を薄れさせて、よりキャッチーで聴き易い仕上がりに。リバーブを深めに掛けたドラム・プロダクションとか、作品全体がグッと洗練されてメジャー感が漂うようになりました。
音質の軽さや、スパニッシュな泣き・哀愁が薄まってしまっている点は少々残念ではありますが、軽快に駆け抜ける⑥⑦、Keyによるファンファーレ・リフが印象的な⑩等、新味を感じさせるキャッチーな楽曲の出来は良いですし、また闇雲に売れ線に走ったわけじゃないことは、GとKeyがハードにバトる③からも明白。トドメは疾走する様式美HMナンバー④で、思わず膝を打つカッコ良さには「これぞSANTA!」と。
本作発表の翌年、解散を選択することとなるバンドの有終の美を飾るに相応しい品質を備えた1枚。


Santa - Templario - Dama de noche ★★★ (2016-02-15 22:40:39)

ファンファーレ調のKeyリフが何となくEUROPEの
“THE FINAL COUNTDOWN”を思い出させるのですが
同年作品なので単なる偶然か。
様式美HM色はあまり感じられないものの、
バンドの新境地を開拓したメロディックHRの逸品で
これはこれでイケてますよ。


Santa - Templario - Fuego en el alma ★★★ (2016-02-13 23:37:18)

ポップ・テイストも強めた3rdアルバムの中にあって
最も様式美HM色を色濃く留めている疾走ナンバー。
音作りは随分と洗練されましたが、ちゃんとGとKeyの
リレーも聴けますし、何より新加入の女性Voの
堂々たる歌唱力が素晴らしい。声質的には彼女の方が、
前任のアズセナ・マルティンよりロニーに近いかも。


Scheherazade - Scheherazade ★★★ (2018-11-23 08:58:51)

日本プログレッシブ・ロック界のレジェンドとして語り継がれるSCHEHERAZADEが復活。デビューから15年目にしてようやく発表に漕ぎ着けた’92年リリースの1stアルバムがこちら。(3曲入りCDシングルもボーナストラックとして封入)
本作で繰り広げられるのは、基本的にはNOVELAに通じるシンフォニックでドラマティックなお城系プログレ・サウンド。実にクセが強い五十嵐久勝のヴィブラートびんびん物語なハイトーンVoも、勿論変わることなく健在。和製デヴィッド・サーカンプ(PAVLOV’S DOG)的というか、この五十嵐の独特な唱法をどう表現したもんか長年思い悩んでいたのですが、失恋船長さんの「ロックを歌う美輪明宏」という表現に「それだ!」と喉の支えがストンと落ちた気分ですよ。本作で言えば特に②はまさにそんな感じで、確かに好悪が分かれるVoとはいえ、ここまで個性的ならば立派な武器として昇華。ゴッドも太鼓判を押す「ビジュアル系の源流」の一つとして一聴の価値がある歌声ではないでしょうか。
リード楽器の役目を担って華麗に舞う永川敏郎のKeyと、ダイナミックにボトムを構築する大久保寿太郎&引頭英明のリズム隊の活躍が光る楽曲は、平山照継のGがイントロから唸りを上げる様式美HR風味の⑤を始め、その大半が4~5分台と比較的コンパクトにまとめられた、思いのほかハードにして重厚な作風を提示。曲調からタイトルまでQUEENリスペクトなバラード③や、17分以上に及ぶ大作ナンバー⑦のような「これぞプログレ」な楽曲も押さえつつ、作品全体としては、HR/HMリスナーにも取っ付き易いメロディ/技巧/ドラマ性のバランスが秀逸な、メリハリの効いた内容に仕上がっています。


Sheriff - Sheriff ★★★ (2018-07-26 22:45:03)

バンド解散後の‘89年にラジオを起点に火が点き、最終的には(国内盤CDの帯に誇らしげに表記されている通り)全米チャート№1の座を獲得するリバイバル・ヒットとなった名バラード“WHEN I’M WITH YOU”を収録する、カナダの5人組SHERIFFが’82年に残した最初で最後のフル・アルバム。
自分はフレディ・カーシ(Vo)とスティーヴ・デマーチ(G)が結成したSHERIFFの後継バンドというべきALIASを先に聴き、そこから遡って本作を入手したのですが、基本的に両者の音楽性は同一。どちらも大陸的ポップ・センスと、欧州風味の仄かな哀愁がない交ぜのキャッチーなメロディに彩られたカナディアン・メロディアスHRを持ち味としていて、幾分AOR/産業ロック色が強まっていたALIASに比べると、こちらの方はフレディが微笑ましいぐらい元気一杯にハイトーンVoを決めまくり、スティーヴのGが溌剌と動き回る、より若々しいサウンドとの印象あり。(印象も何も実際若いのですが)
本編の目玉はやはり、Key奏者のアーノルド・デヴィッド・ラニが恋人に捧げるため書き上げたという甘々なバラード“WHEN~”なのでしょうが、快活に弾むポップな②があったかと思えば、イントロからGリフがシャープな切れ味を発揮するハード・ロッキンな疾走ナンバー④もあり、そしてアメリカン・プログレ・ハード風味漂わす⑧やドラマティックに盛り上がる⑨の二連発もある…といった具合に、バラエティに富む収録曲の完成度はどれも高値で安定しており聴き応え十分。
個人的にはALIASのアルバムよりも気に入りましたよ。ぼちぼち再発してくれないものか。


Sheriff - Sheriff - Elisa ★★★ (2018-07-29 01:19:19)

Keyを効果的に運用して抒情的且つドラマティックな雰囲気を盛り上げる
アメリカン(カナダのバンドだけど)プログレ・ハード的な魅力も湛えた逸品。
しっとりと聴かせるスティーヴ・デマーチのGも美味。
アルバム後半のハイライト・ナンバーですよ。


Sheriff - Sheriff - Kept Me Coming ★★★ (2018-07-29 01:07:04)

SHERIFFを“WHEN I'M WITH YOU”一発だけのバラード・バンドだと思ってる連中に
「舐めないで頂きたい!」とブチかまされるハードな疾走ナンバー。
リフがシャープ、Gは弾きまくり、Voも耳をつんざくハイトーンを決めてくれますが、
それでいてメロディはキャッチーですんなり耳に入ってくる辺りがこのバンドらしい。


Sheriff - Sheriff - When I'm With You ★★★ (2018-07-29 01:11:26)

Key奏者のアーノルド・デヴィッド・ラニが恋人に捧げるために書き上げた
歌詞からメロディまで虫歯になりそうなぐらい甘いバラード。
結婚式で流すのに打ってつけの1曲と言えましょうや。
フレディ・カーシのVoがデニス・デ・ヤング風なこともあり、
後期STYX的な味わいが感じられたりも。


Shotgun Symphony (2014-01-16 23:03:48)

'91年、ニュージャージーにおいて結成。音頭を取ったのはトレイシー・ホワイト(Vo)とチャーリー・カルヴ(B)の2人で、その後ARTIST WORLDWIDE MANAGEMENTと契約を交わすと、'93年にセルフ・タイトルの1stアルバムでデビュー。同作はゼロ・コーポレーションを通じて日本でもリリースされ、彼らの出す90年代のアメリカのバンドらしからぬ、メロディアスでドラマティック、且つ親しみやすいキャッチーさを備えたHMサウンドが高く評価された。
その後、2nd『FORGET THE RAIN』で流行に感化されたり、3rd『ON THE LINE OF FIRE』で初心を取り戻したりと、紆余曲折を経ながら活動を続け、'02年に解散。
しかし'10年にはライブ盤『LIVE AT FIREFEST 2010』を引っ提げて再結成を果たしている。


Shotgun Symphony - Sea of Desire ★★★ (2019-05-15 00:19:35)

ニュージャージー出身のKey奏者を含む5人組で、初期BON JOVIを更に欧州寄りにしたようなメロディアスHRサウンドと、ドラマティックな名曲“HIGHWAY TO TOMORROW”のインパクトでメロハー愛好家のハートを掴んだSHOTGUN SYMPHONYが、'99年に発表した4thアルバム。そして残念ながらこれが彼らのラスト作になってしまったという。(現在は再結成済み)
セルフ・タイトルのデビュー作が日本とヨーロッパで評判を呼ぶも、2nd『FORGET THE RAIN』(’95年)で当時流行のダーク&ヘヴィ路線への接近を試みて急失速。以降彼らのカタログ・チェックは怠っていたのですが、'10年頃に再結成を遂げたとのニュースを耳にして久々にSHOTGUN SYMPHONYのバンド名を思い出し、遅ればせながら本作を購入。したらばウェットなメロディといい、メジャー感溢れるアレンジに、煌びやかなKey、分厚く盛られたハーモニーといい、全編に亘り初心に立ち返ったかのようなキャッチーで爽快なサウンド・スタイルが復活を果たしていて、その充実っぷりに「リリース当時に聴いとくべきだった…」と、すっかりバンドに対して申し訳ない気持ちになってしまいましたよ。
特に、(人によっては少々クドく感じられる可能性もあるものの)憂いを含んだ声質がサウンドに湿潤を加えるトレイシー・ホワイトの美声Voが最大限に活かされた、感動的なピアノ・バラード⑥と、プログレ・ハードに通じるドラマティックな曲展開でアルバムのクライマックスを飾る⑩はまさに名曲。
今聴けば、もしかしたら2ndも楽しめるのかなぁと、ふと考えてしまいましたよ。


Shotgun Symphony - Sea of Desire - Between the Eyes (Eyes of Anger Part II) ★★★ (2019-05-16 00:01:57)

2nd『FORGET THE RAIN』収録のバラード“EYS OF ANGER”の
続編に当たる(?)アルバムのラスト・ナンバー。
トレイシー・ホワイトの濡れ濡れな美声が堪能できるメロウな前半だけで
十分素晴らしいのですが、4分過ぎてからのもう一山の盛り上がりが
この曲をドラマティックな名曲たらしめています。


Shotgun Symphony - Sea of Desire - What I Wouldn't Give ★★★ (2019-05-15 23:52:47)

抒情的なピアノ、泣きのG、エモーショナルなVoに
壮麗なハーモニーと、聴く者を励まし勇気づけるような
ポジティブなエネルギーを感じさせる感動的なバラード。


Shotgun Symphony - Shotgun Symphony ★★★ (2014-01-16 23:14:00)

「90年代《やみ》を切り裂くメロディの銃弾《きらめき》。ニュージャージーから放たれたSHOTGUN SYMPHONY、ここに推参・・・」と、思わずこっちの書く文章までゼロ・コーポレーション調になってしまう、Key奏者を含む5人組が'93年に発表した1stアルバム。
哀愁を帯びたメロディと、ドラマティックな曲展開を組み立てるヨーロピアンなセンス、それらをキャッチーにまとめ上げるアメリカンなアレンジ・センスとを併せ持ったバンドで、彼らの才能が集約されたOPナンバー①をラジオで初めて聴いた時は、速攻で本作の購入を決意させられた程でした。
シンセサイザーによる荘厳な味付け、ハードロッキンなエッジと重量感を失わないリフ&リズム、その上で憂いを帯びたメロディを熱唱するトレイシー・ホワイトのハイトーンVo・・・正直な話、この名曲のインパクトがデカ過ぎて本編自体の存在感が掻き消されてしまっているのですが、とにもかくにもHR/HMファンなら①だけは聴いておいて損はない。
それに、冷静になれば2曲目以降もハード&ウェットな⑥⑧、ドラマティックなバラード⑤⑩と、本編に捨て曲は皆無です。
次作でヘヴィ&グルーヴィな流行に流された結果(少なくとも日本では)人気が急落してしまったことが惜しまれるバンドでした。


Shotgun Symphony - Shotgun Symphony - Highway To Tomorrow ★★★ (2014-01-17 23:10:55)

ドラマティックな曲展開は欧州へヴィ・メタリックですが
ノリ易い曲調と、一緒に歌えるキャッチーなサビメロの構築術は
アメリカのバンドならではという、美味しいとこ取りな名曲。
SHOTOGUN SYMPHONY=この曲、と言っても過言ではありません。
多分。


Steel Crown (2020-01-21 00:08:16)

イタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア自治州の州都トリエステにて'80年に結成。
デモテープやライブ音源の発表、あるいはコンピレーション・アルバムへの楽曲提供で実績を積み上げて、80年代半ばにダンス・ミュージック・レーベルとして知られるDISCOMAGICと契約を交わし、'86年に1st『SUNSET WARRIORS』でデビュー。NWOBHM直系の正統派HMサウンドのカッコ良さと、漫画研究会所属の中学生が描いたようなジャケットがマニアのハートを震わせたという。
'89年に4曲入りEP『NIGHT WALK』をリリースした後解散したが、00年代に入って復活を果たした模様。


Steel Crown - Sunset Warriors ★★★ (2020-01-21 00:16:22)

HR/HMが音楽シーンのメインストリームへと浮上した’86年。多くのバンドが「洗練」目指して舵を切る最中にあって、メタルバブルとは100パー無縁なのが一目瞭然の貧相…もとい、手作り感溢れるアートワークのインパクトでマニアのハートをカツアゲした、イタリア出身の5人組のデビュー作。ちなみにこのジャケ絵、最初は脱力を誘われますが、ずっと見てると段々愛しさを覚えて来るから不思議ですよ。(え?覚えない?)
本作で聴かれるのは、Gリフでグイグイと押して来るNWOBHMからの濃厚な影響を伺わせる正統派HM。音質はチープで、Voも音痴。世紀末チックなアートワークと併せて、垢抜けなさのオーラがヒューマンガス様も怯むレベルでモワモワ立ち昇ってきます。しかし楽器陣の演奏はタイトでキレがあり、Voだって歌唱能力不足は擁護し難いものがありつつ、彼が歌う哀愁を孕んだメロディは結構魅力的なんですよ、これが。そして何よりテク/センス共にグンバツな輝きを放つギタリストの演奏こそがアルバムのハイライト。
忙しなく回転する曲調の中で劇的に組み上げられたソロが閃く②や、イントロがUFOの名曲“DOCTOR, DOCTOR”を彷彿とさせる⑥、バラード風の導入部からスピードアップして畳み掛けるNWOBHM然とした仕上がりの疾走ナンバー⑦といった楽曲を聴いていると、何故だか「イタリアのSILVER MOUNTAIN」との表現が脳裏を過って仕方がないという。
本国では名作として人気が高いらしいのも納得の1枚。しっかりCD化だってされていて、そちらは’89年発表のEP『NIGHT WALK』とのお得な2㏌1仕様。踏み絵替わりのジャケを見て、素敵なサムシング(byサトームセン)を感じた方にお薦め致します。


Steel Crown - Sunset Warriors - Drifting in My Mind ★★★ (2020-01-21 23:10:55)

Gリフで押しまくるNWOBHMの洗礼を受けた疾走ナンバー。
音程の怪しいVoに、イマサンな音質がアングラ臭をプンプンに漂わせつつも
ドラマティックに組み上げられたGソロが鮮烈に走り始めると
全てを許せる気になるというもの。
1stの頃のSILVER MOUNTAINに通じる魅力あり。


Steel Crown - Sunset Warriors - Sunset Warriors ★★★ (2020-01-21 23:16:38)

穏やかなバラード風の導入を経て、
突如アグレッシブにテンポアップするアルバム表題曲。
キレキレに動き回るGのカッコ良さは勿論のこと、
地味にBが印象的な仕事をしてくれているのもポイントです。


Stephen Crane - Kicks ★★★ (2023-09-21 23:45:46)

サザン・ロック・バンドBABYの一員としてデビューを飾り、同バンド解散後はロスを拠点にセッション・ミュージシャンとしてキャリアを築いてきたスティーヴン・クレイン(Vo)。本作は彼が米メジャーのMCA RECORDSとの契約を得て’85年にリリースした1stソロ・アルバムで、いつの間にかCD化されていたことに吃驚ですよ。贅沢いえば国内盤を再発して欲しかったところなんですけども(当時レコードは国内盤も発売された)、日本がCD化大国としてブイブイ言わせてたのはもう20年も昔の話ですからね…。
ともあれ、こうしてこの名盤をCDで聴くことが出来るのは有難い限り。プロデュースはスティーヴ・ルカサーが担当。バックもTOTOのメンバーを始めとする腕利きセッション・ミュージシャンが固めていることからAORのジャンルで語られることの多い本作ですが、各楽器の存在感を強調したエッジの効いた音作り(ゲストに配慮したのかな?)といい、ご本人のエネルギッシュな歌いっぷりといい、HR/HMリスナーもすんなり馴染める作風に仕上がっていますのでご安心を。特に哀愁に満ちたOPナンバーにしていきなりアルバムのハイライトを飾る名曲①を皮切りに、サックスのクールな音色に彩られたハード・チューン③、ヒットしなかったのが不思議で仕方ない美しいバラード④といった一騎当千の楽曲が並ぶ本編前半の充実度には瞠目させられるものがありますよ。それに比べると後半が若干弱く感じられてしまう点は痛し痒しながら、それでもドラマティックな⑧があったりと、決してクオリティは低くはありません。
再発に感謝感激雨霰な1枚。せっかくなので国内盤のリイシューもいかがでしょうか。


Stephen Crane - Kicks - Headed for a Heartbreak ★★★ (2023-09-25 23:44:00)

小気味良く切り込んでくるGに、リズムの力強さといい
HR/HMで括っても問題ないように思えるカッコ良さ。
(Keyもさりげなく良い仕事してますね)
クールな哀愁を帯びたメロディを歌い上げる
スティーヴン・クレインのVoも勿論◎


Stingray(JAPAN) - One Night Rose ★★★ (2022-01-11 23:54:47)

有望バンドが続々登場したジャパニーズ・メタルの最盛期と言うべき'85年にデビューを飾ったベテランなのに、インターネットをいくら掘っても彼らに関する情報が殆ど出てこないので困惑させられる、フロントマンの鈴木治(後年はプロデューサーとしても活躍)率いるSTINGRAYが'93年に発表した3rdアルバム。ちなみに結構なレア盤として取引される本作を、数年前旅行へ行った際に、たまたま立ち寄った小さなゲーム屋の中古CDコーナーでゲット出来たことはささやかな自慢です。
曲によっては女性と聴き紛う中性的な鈴木のハイトーンVoと、構築美を湛えてメロディアスに歌うGを生かした、例えるならEARTHSHAKERを様式美方向へ寄せたようなHRサウンドはデビュー時から変わることなく健在。むしろ健在過ぎて、歌詞については'93年という時代を鑑みても赤面を誘われるものがありますが、でもこの歌謡曲やポップスに通じる哀愁を帯びて、良い意味で予想通りに展開してくれる昭和感溢れる歌メロには実家のような心地良さを覚えてしまう次第。猫も杓子もJ-POP風味な昨今、改めて聴き直すといっそ新鮮さすら覚えることは…まぁないかもしれませんが、本編には劇的なイントロによる幕開け後、哀愁のメロディを纏って疾走を開始するOPナンバー①、歯切れ良くキャッチーな②、物騒なタイトルとは裏腹に繊細に組み上げられた⑤、アルバムの最後を疾走曲で締め括るバンドは信用できる!な⑩等、音質の弱さをモノともしない強力な楽曲が揃っています。
最近STINGRAYの1stが再発されたそうなので、であれば本作も是非。このまま埋もれさせとくのは惜しい力作ですよ。


Stingray(JAPAN) - One Night Rose - One Night Rose ★★★ (2022-01-13 00:12:56)

劇的なGリフと、歌謡曲に通じる哀愁を含んだ歌メロが、
GとKeyの掛け合いを伴いながら疾走する様が
「様式美HR化したEARTHSHAKER」的な後味を残すOPナンバー。
ドラマティックに構築されたGソロもそうした印象に拍車を掛けます。


Syu (2013-11-12 23:17:34)

GALNERYUSの大黒柱であるギタリスト。
(詳細についてはGALNERYUSの項目を参照)
かなり長いこと「SHU」だと思い込んでいたのですが
「SYU」なんですね。あー、いらん恥かいた。