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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5701-5800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5701-5800
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STRYPER - The Yellow and Black Attack ★★ (2009-06-01 21:45:00)

カリフォルニア州はオレンジ・カウンティにおいて、マイケル(Vo、G)とロバート(Ds)のスウィート兄弟が中心となり
結成されたROX REGIMEを前身に誕生した、元祖クリスチャン・メタル・バンドことSTRYPERが'84年に発表したデビューEP。
彼らはこの翌年に早くも来日公演を行っているが、本作に収められた実に日本人好みのHMサウンドを聴けば
それも大いに納得が行く。ヨーロピアンな哀愁と、アメリカンなポップ・センスが巧みに同居したメロディ、キリストさんへの
熱烈な信仰を綴った歌詞の数々を、見事なハイトーンを駆使して歌い上げるVo、キャッチーだがメタリックなエッジも
失わないGリフに、美しく楽曲を彩る豊かなボーカル・ハーモニー、そしてメンバーの華やかなルックス・・・と、
STRYPERならではの個性は、早くも本編にしっかりと刻印済み。特に本作はデビュー作という事もあってか、彼らの
カタログの中でも最もHM度が高く、取り分け①②⑤⑦といった、キャッチー且つアグレッシブな楽曲のカッコ良さは特筆物。
演奏(Dsが・・・)、プロダクション共にまだまだ未洗練で、メロディにも次作以降で聴かれるような、思わず
唸らされる強力極まりない「フック」も見当たらないが、とは言え、この新人バンドらしからぬ完成度の高さは十分驚異的。
「クリスチャン・メタル」という色眼鏡で見る必要は全くない、真に優れたHMアルバムの力作。


STRYPER - To Hell With the Devil ★★ (2009-06-02 22:33:00)

前作『SOLDIERS UNDER COMMAND』が、インディーズ作品としては異例の50万枚以上を売り上げたことで、
潤沢なレコーディング資金を得て制作環境が整い、サウンド・プロダクションがグッと向上。
スペーシーなイントロ①に導かれてスタートする、重厚且つ劇的なアルバム表題曲②からして、
LAメタルを代表するバンドとしての貫禄すら漂わす、'87年発表の2ndフル・アルバム。
音楽的方向性はそのままに、ヘヴィ・メタリックなダイナミズムが薄れ、よりメロディを聴かせる姿勢が強調された
本作は、この方向転換が奏功しSTRYPER史上最高の売り上げを記録。(最終的にはプラチナムを獲得)
特に、シングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたバラード⑤は、メロディ愛好派ならずとも蕩けること請け合いの
感動的なバラード。また、ここに来て益々表現力を増しているマイケル・スウィートの絶品のVoも素晴しいったら。
勿論、HMバンドとしての魅力もきっちりフォローされており、前述の②や、雄々しいサビメロにグッとくる⑥、縦ノリの⑨、
ポジティブなエネルギーに満ちた⑪といったハード・ロッキンなナンバーが要所を引き締め、本編が甘くなり過ぎることを阻止。
HMチューンからロックンロール、バラードまでバラエティ豊かな楽曲が取り揃えられ、その何れもが、思わず仰け反る
強力なフックを有した全11曲、前作同様これまた捨て曲なし。STRYPERの絶頂期を飾るに相応しい傑作かと。
これでロバート・スウィートのドラム・プレイに、ビジュアル程の「華」があれば完璧なんだけどなぁ。


STYGIAN ★★ (2010-06-12 11:36:00)

元WRATHのゲイリー・ゴルウィツアー(Vo)や、TOROUBLE出身で、後にCHASTAINやKENZINERといった
バンドを渡り歩くデニス・レッシュ(Ds)らが在籍していた5人組スラッシュ・メタル・バンド。
80年代前半にギター・コンビが中心となってイリノイ州はシカゴにて結成。デモテープ制作が縁で知り合った
元速弾き四天王、デヴィッド・T・チャステインが運営するLEVIATHAN RECORDSと契約。まず'91年に
5曲入りEP『LINES IN THE SAND』を制作した後、'93年に1stフル『PLANETARY DESTRUCTION』を発表する。
デモテープがKERRANG!!誌において「未契約バンドの中でもトップ10に入るクオリティ」と高く評価された
実績を持つバンドだけに、ややキャッチーさに欠ける部分はあるものの、疾走感を保ちつつドラマティックに
展開していくスラッシュ・サウンドはそれなりに魅力的だった(グリーンピース魂が燃え盛る歌詞の数々も
個性っちゃ個性か?)。メロディに無頓着な割りに迫力にも欠けるゲイリーの吐き捨て型Voと、
TROUBLE時代の面影を引き摺るデニスのドラミングは好き嫌いが分かれるところかもしれないが。
如何せんデビューした時代が悪く、大した成果を残せないまま消滅してしまったのが残念だった。


STYGIAN - Planetary Destruction ★★ (2010-06-12 11:45:00)

デヴィッド・T・チャステインのバックアップを受けて、LEVIATHAN RECORDSからデビューを飾った
イリノイ州はシカゴ出身の5人組スラッシャーが、'92年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
ストレートな疾走感よりも、凝ったリフや曲展開重視の作風は如何にも90年代のスラッシュ・メタル・バンド的だが、
3rd~4thの頃のMETALLICAから強い影響を受けたと思しき、そのサウンドは十分に魅力的で(ややキャッチーさには
欠けるが)、輸入盤市場での高評価を受けて、国内盤リリースにこぎつけたのも納得のカッコ良さ。
とりわけ、ドラマティックなハーモニー・プレイが炸裂する⑦や、続くインスト曲⑧辺りに強く表れている通り、
アルバム全編に渡ってテクニカルに弾きまくるツインGコンビはこのバンド最大の武器で、流石、
デヴィッド・T・チャステインの眼鏡に適っただけの事は有る。殊に、激烈な曲調を突いて零れ出す
美しい泣きメロに心奪われる③や、バラードと表現して差し支えないメランコリックな叙情性が滲む⑤、
そしてラスト・ナンバーに相応しい、山あり谷ありなドラマティックな曲調で本編を締め括る⑩といった楽曲は、
スリリングな速弾きから、繊細なアコギ・プレイ、泣きのGソロに至るまで流麗にこなす2本のGが、
曲中に大きな聴かせどころを構築する、STYGIANというバンドの個性がしかと刻印された名曲じゃないかと。
著しく魅力に欠けるわめき型Voと、キレに欠ける後ノリDsは評価の分かれ目だが、
90年代というスラッシュ冬の時代に、心の隙間を埋めてくれた非常に愛着を覚えている1枚。


STYGIAN - Planetary Destruction - Cremation ★★★ (2010-06-12 18:07:58)

スラッシュ・メタルらしく畳み掛けるように疾走する
スピーディな曲調から一転、中盤に奏でられる
美しいアコギと泣きのGソロにハッと胸を突かれる名曲。


STYGIAN - Planetary Destruction - Fall From Grace ★★ (2010-06-12 18:13:42)

アルバム収録曲中、最もストレートに疾走するナンバーで
注釈無用の「スラッシュ・メタル・ソング」。
歌唱力に難のあるVoなれど、こういう楽曲をシャウトする分には
何ら問題を感じさせない。
いやカッコイイ。


STYGIAN - Planetary Destruction - Needful Things ★★ (2010-06-12 18:09:59)

繊細なアコギと泣きまくるGが叙情性を増幅する
STYGIAN流ヘヴィ・バラード。
但し、この手の楽曲を演るにはVoが些か弱い。
Gがその分をカバーしてるけどね。


STYGIAN - Planetary Destruction - Preacher and the Politician ★★ (2010-06-12 18:19:34)

激烈に疾走するスラッシュ・メタルらしい
スラッシュ・ナンバーながら、テンポ・ダウンして
劇的に展開するサビメロは正統派へヴィ・メタリック。
テクニカルに弾きまくりつつも、フックのあるメロディを
しっかりと構築するGソロが美味しい。


STYGIAN - Planetary Destruction - The Switch ★★ (2010-06-12 18:25:46)

アコギも用いたメランコリックな導入部から、
山あり谷ありの曲展開を経てドラマティックに
盛り上がっていく本編のラスト・ナンバー。
複雑なリフ/リズム・チェンジや一筋縄では
いかない曲展開を一丸となってこなす
メンバーの地力の高さが伺える1曲。
これでもう少しVoに魅力があればな・・・。


STYX - Cornerstone ★★ (2010-11-15 17:47:38)

2週連続で全米№1の座に輝いた大ヒット・シングル“BABE”を収録し、アルバム自体も初登場第2位、現在までに300万枚以上のビッグ・セールスを記録する等、多くのファンから「STYXの代表作の一つ」として愛される'79年発表の9thアルバム。・・・なんだけど、個人的には初めて耳にした時はかなり戸惑った1枚。
従来のドラマティックなプログレ色を捨て去り、シンプル&コンパクトなAOR/産業ロック路線へとシフト・チェンジしたサウンドがその最大の理由で、例えば“BABE”は勿論優れた楽曲だと思うけど、これまでデニス・デ・ヤングは、もっと優れた楽曲を山ほど書いて来たわけで・・・。
但し、過去作と切り離して考えてみれば、ポップでお洒落でロマンティック、そしてどことなくオールディーズ/ポップスに通じる、ノスタルジックな雰囲気に包まれた本作は十分「名盤」の評価に値する内容。細部にまで拘りの感じられるアレンジの数々や、壮麗極まりないボーカル・ハーモニーの美しさには、STYX不変の美学が宿る。
本編の作風を代弁するかのようなアコースティカルで風通しの良い曲調が心地良い①、サックスの旋律が都会的な哀愁を演出する②、産業ロックのお手本の如きポップ&キャッチーな④、重厚に本編を締め括るラスト・ナンバー⑨など秀曲は数多いが、このアルバムを語る上で外せないのは、何と言ってもフォーク/トラッド調の⑤。アコーディオンとマンドリンが奏でる物悲しいメロディが欧州の景色を想起させる名曲で、数あるSTYXのバラード系楽曲の中でも、マイベストはこれで決まりですよ。


STYX - Cornerstone - Babe ★★ (2010-11-15 17:54:47)

正直、デニス・デ・ヤングが手掛けた楽曲の中では
「並」の出来だが、だからと言ってその素晴しさを
否定するものではない。
デニス・デ・ヤングが愛する妻に捧げたという
甘々な歌詞をそのままメロディ化したかの如き
ポップ&スウィート、そしてどこかノスタルジックな
雰囲気を湛えたメロディに心が和みますね。


STYX - Cornerstone - Boat on the River ★★★ (2010-11-15 17:50:32)

STYXの楽曲の中では異色の、
フォーク/トラッド・タッチの曲調が心に沁みるバラード。
デニス・デ・ヤングとトミー・ショウが奏でる
マンドリンやアコーディオンのヨーロピアン風味の
哀愁を帯びたメロディが堪りませんなぁ。
数あるSTYXのバラード系の楽曲の中でも
この名曲が一番好きです。


STYX - Crystal Ball ★★★ (2010-11-10 22:17:23)

前作『分岐点』を最後にバンドを去ったオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキー(G)の後任としてトミー・ショウ(G)が加入。遂に、デニス・デ・ヤング(Key)、ジェイムズ・ヤング(G)、ジョン(Ds)とチャック(B)のパノッツォ兄弟、それにトミーと、ファンにとって最も馴染み深いラインナップが揃ったSTYXが'76年に発表した6thアルバム。
と言ってもサウンド的に何か大きく変わったなんて事はなく、QUEENばりの華麗さを誇るOPナンバー①を手始めに、今回もポップでキャッチーなメロディ、分厚く壮麗なボーカル・ハーモニー、そしてカラフル且つドラマティックな曲展開と、鉄壁のSTYX流プログレ・ハード・サウンドを追求。
但し、トミー加入の効果は早くも「楽曲の質向上」という目に見える形で表れており、特に“CRYSTAL BALL”のタイトル通り、幻想的且つ透き通った哀愁を湛えた④は、彼が最初にSTYXに提供した名曲とでも言うべきアルバムのハイライト・ソングの一つ。それに何より本作は、デニスが父親に捧げたと言う歌詞からして既に涙を誘う、感傷的な泣きに満ち溢れた⑥、そしてそこからSEを介して繋がっていく、久々にクラシック曲(ドビュッシーの“月の光”)を題材に取り上げたプログレッシブな大作曲⑦という、アルバムのハイライトを飾る超ド級の名曲2連発がトドメを刺す。これら3曲を聴くためだけにでもリマスター盤1枚分(¥2800)の代金を支払う価値があるってもんですよ。
・・・と、斯様に素晴しい内容を誇っているにも関わらず、ブリティッシュ・ポップ風味の②が中ヒットを飛ばした程度でセールス的には今ひとつ余り奮わず、STYXのカタログの中では地味な地位に甘んじている本作。どっこい、個人的には初めて購入した彼らの作品という思い入れ込みで、非常に愛着を感じてる1枚だったり。


STYX - Crystal Ball - Clair De Lune / Ballerina ★★★ (2010-11-11 23:13:54)

前曲“THIS OLD MAN”からSEを介して繋がっていく
インディーズ時代以来、久々にクラシック曲
(ドビュッシーの“月の光”)を取り上げ、
プログレッシブ且つドラマティックにアルバムを締め括る
ラスト・ナンバー。
デニスのVo、ツインG、Key、そしてボーカル・ハーモニーが
絶妙に絡み合いながら上り詰めていくクライマックスの
盛り上がりっぷりは壮絶の一言に尽きます。


STYX - Crystal Ball - Crystal Ball ★★★ (2010-11-11 23:03:36)

シングルカットされたのに不発に終わったというのが
信じられないぐらい、トミー・ショウの優れた
メロディ・センス(とエモーショナルな歌唱力)が
如何なく発揮されたバラードの名曲。
タイトル通り透き通った哀愁と
寂寥感を湛えたメロディがもう絶品。


STYX - Crystal Ball - This Old Man ★★★ (2010-11-11 23:06:37)

イントロのGだけで既に泣ける、
デニス・デ・ヤングの手による泣きの名曲。
彼が自分の父親に捧げたという歌詞と
併せて聴けば、涙の海で溺死することは必至かと。
ただでさえ切ない曲調を更に盛り上げる
劇的なアレンジも堪らん。


STYX - Equinox ★★★ (2010-11-07 21:52:31)

ラジオで話題となり、'75年にシングル・カットされた“LADY”(と同曲を収録する2nd『STYX Ⅱ』)が遅まきながら大ヒット、これを足掛かりに米メジャーのA&M RECORDSと契約を締結、更にオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキーが本作を最後に脱退・・・と、あらゆる意味においてSTYXの『分岐点』となった'75年発表の5thアルバム。
トリプルVo、ツインG、Key、それに壮麗なボーカル・ハーモニーを活かした、ロックンロール系の楽曲とドラマティックなプログレ・ハード系の2パターンの楽曲から構成される本編という、前作『MAN OF MIRACLES』において確立された音楽スタイルを更に磨き上げつつ、カラフルでノリの良いOPナンバー①や、ヒット・シングル②に明らかなように、メジャー・デビュー作という事で、泥臭さが一掃されカラッと垢抜けた楽曲群は全体的にポップ風味が強化。クルリュスキーはこれを嫌ってバンドを去る事になるわけだが、そうは言っても、クニャっとしたシンセ・サウンドと浮遊感を湛えて駆け抜けていく③、キャッチーなBライン、ツインG&ツインVoのハーモニーが印象的な⑥等、単純に「ポップ」と切り捨てるには、捻りや小技の効いたアレンジ・曲展開の妙が堪能できる名曲・佳曲が本編には顔を揃えている。中でも、アコギ・インスト曲⑦からメドレー形式で展開し、アルバムのクライマックスを堂々飾る、重厚、劇的、そして立体的に重ねられたボーカル・ハーモニーが壮麗さをも演出する⑧に至っては、中期STYXを語る上で外す事の出来ない超名曲ではないかと。
最終的にアルバム・ランキング58位まで上昇し、、ゴールドディスクを獲得したと言うのも大いに納得の行く本作。HR/HMファンなら⑧を聴くためだけにでも購入する価値がある1枚ですよ!


STYX - Equinox - Born for Adventure ★★★ (2010-11-08 21:20:48)

キャッチーなBラインと、華麗且つドラマティックな
曲展開が無茶苦茶にイカしてるハードロッキンな名曲。
“アドベンチャー野郎”という邦題も最高だ。


STYX - Equinox - Suite Madame Blue ★★★ (2010-11-08 21:30:51)

美しいアコギ・インスト“PRELUDE 12”とセットで
お楽しみ頂きたい、アルバム『EQUINOX』の
ハイライト・ソングにして中期STYX屈指の名曲の一つ。
物悲しいメロディに哀愁をたっぷりと含んだ歌声が
被さってくるイントロだけで既に泣けるが
本曲最大の聴き所は何と言っても、レイヤー状に配置された
壮麗なボーカル・ハーモニーとスペーシーなシンセ・サウンド、
それに2本のGが息苦しいほどの盛り上がりを演出する
後半パートで決まり。


STYX - Kilroy Was Here ★★ (2010-11-18 23:08:09)

アメリカはもとより日本でもシングル・カットされ大ヒット、「ドモ アリガト ミスター・ロボット マタ アウヒマデ」という尾崎紀世彦ばりの日本語歌詞の存在もあって、STYXはおろか、ロックに興味のない人からも(良くも悪くも)高い知名度を誇る“Mr.ROBOTO”で幕を開ける、'83年発表の11thアルバム。
ただ、そうしたネタ曲的な存在や、一層デニス・デ・ヤングのミュージカル趣味が強調され、ハードロッキンなエキサイトメントを薄れさせた作風、そして、その結果メンバー間の不和が引き起こされ、バンド活動が停止へと至った経緯等から、ファンの間ではハッキリと賛否が分かれる作品でもあるわけだが、近未来を思わせる『ブレードランナー』風のイントロに導かれて始まる前述の①は、ポップなメロディと芝居がかった曲展開が耳惹く煌びやかな名曲だし、琴の音色を取り入れた和風テイストが印象的な⑥を筆頭とした、③⑧などバラード系の楽曲の心地良さは特筆モノだ。
名作『PARADISE THEATER』に比べると、収録曲のクオリティにバラつきが見られ、また『PARADISE~』程の成功を収められなかった事から(とは言え200万枚オーバーの売り上げは実に立派)、STYXのカタログの中ではやや日陰者の地位に甘んじている作品だが、決して駄作ではない。寧ろ、無視するのは勿体なさ過ぎる1枚ですよ。


STYX - Kilroy Was Here - Mr. Roboto ★★★ (2010-11-18 23:14:48)

VANGELIS(というか『ブレードランナー』)ばりの
近未来風味のスペーシーなイントロを経て、
「ドモ アリガト ミスター・ロボット」という
微笑ましくもマヌケな日本語歌詞が聴こえてきた瞬間、
ガッチリとハートを掴まれてしまう。
ネタ曲扱いされがちだが、ポップで親しみ易いメロディに
煌びやかで劇的な曲展開と、疑う余地なく「名曲」と
評価するに値する素晴しさ。
ドモ ドモ。


STYX - Man of Miracles ★★★ (2010-10-31 21:01:18)

これは4thアルバムですね。WOODEN NICKELE在籍最後の作品にして、インディーズ時代のSTYXを総括するに相応しいクオリティを備えた逸品です。(発表は'74年)
プログレッシブ・ロック然としたアートワークが物語る通り、この頃の彼らに産業ロック・バンドとしての面影は殆ど見受けられない。その代わり、ハードなGが活躍するロックンロール路線の楽曲と、スペーシーなKeyと壮麗なボーカル・ハーモニーを活かしたプログレ・ハード路線の楽曲、大きく分けてこの2路線から形成される中期STYXサウンドの基礎が、本作にて確立を見た。(・・・と思う)
デニス・デ・ヤングの作曲センスは右肩上がりで上昇を続けており、幻想的なバラード③、アルバム前半のハイライト・ソングたる④、タメを効かせて盛り上がっていく曲展開とメロウなBラインが印象的な⑦、Vo、G、Keyが猛烈に泣き倒す⑨等、これまで以上にメロディが繊細に練り込まれ、より叙情性を高めたデニスのペンによる楽曲群は、その全てが名曲と言っても過言ではないレベル。また泥臭さが薄れ、キャッチーなフックラインが強化された⑧を筆頭とする、ロックンロール系の楽曲の充実っぷりもお見事。そして、本編を締め括るに相応しい壮大なスケール感とドラマ性を兼ね備えたアルバム表題曲⑩は、両路線の持ち味が巧みに組み合わされたアルバムのハイライト・ソングの一つですよ。
個人的にジョン・クルリュスキー在籍時代の作品では最も好きな1枚。WOODEN NICKELE時代のSTYX入門編としてもお薦め。


STYX - Man of Miracles - A Song for Suzanne ★★★ (2010-11-06 02:01:31)

ポップでキャッチーだが、どこか物悲しいメロディに彩られ、
スペーシーな空間を作り出すKey大活躍の
アメリカン・プログレ・ハード斯くあるべし!な名曲。


STYX - Man of Miracles - Christopher, Mr. Christopher ★★ (2010-11-06 02:10:50)

イントロのG、デニスのVo、儚げなKeyと
全楽器が猛烈に泣きを発散するメランコリックな逸曲。
心なしかDsまで物悲しい。


STYX - Man of Miracles - Evil Eyes ★★ (2010-11-06 02:05:16)

グッとタメを効かせて、劇的に盛り上がっていく
曲展開が胸を打つ名曲。
チャック・パノッソのメロウなBプレイが
楽曲の持つ叙情性を引き立てていますね。


STYX - Man of Miracles - Golden Lark ★★ (2010-11-06 01:56:35)

分厚いボーカル・ハーモニー、
格調高い弦楽器の音色、
そして幻想的なKeyが
えもいわれぬ美しさを演出する
名バラード。


STYX - Man of Miracles - Man of Miracles ★★★ (2010-11-06 02:13:50)

アルバム表題曲にして、同作のハイライトを飾る
ヘヴィで壮大で劇的極まりない名曲。
ジェイムズ・ヤングとデニス・デ・ヤングの共作曲だが、
ハードさとメロウさ、まさに両者の持ち味の良い部分が
理想的な按配で混ぜ合わされています。


STYX - Man of Miracles - Southern Woman ★★ (2010-11-06 02:08:15)

イントロのGリフだけで、ジェイムズの手による楽曲と
分かるハード・ナンバーだが、エネルギッシュに踊る
彼のGプレイに対抗する、デニスの攻めの姿勢を感じさせる
Keyソロも楽曲の良いアクセントとなっています。


STYX - Paradise Theatre ★★★ (2010-11-16 21:59:58)

AOR/産業ロックに基盤を置きつつも、ロックンロールにブルーズ、プログレ、ニュー・ウェーヴからポップス、果てはレゲエに至るまで、多様なサウンドを絶妙なセンスで組み合わせ作り上げられた、'81年発表の記念すべき10thアルバム。
流石、300万枚以上を売り上げ、全米チャート№1の座とトリプル・プラチナム・ディスクを獲得する等、自他・名実共に認めるSTYXの代表作だけあって、ポップでキャッチーでスウィートなメロディ、明るくともどこかセンチメンタルな雰囲気に包まれた楽曲の数々、アメリカのミュージック・シーンの移り変わりを、シカゴに実在した劇場「パラダイス・シアター」の栄枯盛衰に重ねて綴るドラマティックなコンセプト、まるで優れたミュージカルを見ているかのような、流麗にしてダイナミックな本編の構成、そしてゴージャスで洗練されたアレンジとが高いレベルでまとめ上げられた本作は、これまでSTYXの辿ってきた音楽的変遷(とその成果)の集大成とでも言うべき内容を誇っており、完成度の高さは無類。
ズバ抜けた超名曲の類こそ見当たらないものの、それはトータル(流れ)で勝負する作風ゆえだし、また華々しい②、叙情バラード⑤、重厚且つブルージーな⑨、劇的にエンディングを飾る⑪辺りは、そこらのバンドが逆立ちしたって書けない名曲なわけですが。
前作『CORNERSTONE』以上に大胆に取り入れられたホーン・セクションや、HR/HMとは距離を感じさせるモダン(当時)なアレンジは好悪が分かれるところなれど、ともあれ、メロディ愛好家なら聴かずに済ます手はない、AOR/産業ロック史に燦然と輝く名盤の一つですよ。


STYX - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 22:50:39)

'78年に発表されるや、米ビルボード・チャート7位にランクイン、前作『GRAND ILLUSIONS』同様、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXに再びトリプル・プラチナム・ディスクをもたらした8thアルバム。(邦題は『古代への追想』)
ヒプノシスが手掛けたミステリアスなアートワーク、ライブのOPを彷彿とさせる高揚感に満ち溢れた①に始まり、終曲的なインスト・ナンバー⑧にて厳かに幕が下ろされる本編の芝居がかった構成など、基本的には前作で披露したSTYX流プログレ・ハード・サウンドを踏襲しつつ、今回はポップでアコースティカルなのはトミー・ショウ作曲の③ぐらいのもので、残りは、躍動感溢れる曲調に絡むパイプ・オルガンの荘厳な旋律が印象的な②、序曲④から繋がっていく『指輪物語』を題材に取った大仰な⑤、骨太なGリフと威勢の良いKeyリフがカッコイイ⑥、静と動の対比も劇的な⑦、ツインGが活かされたヒット・シングル⑧、そしてアルバムをドラマティックに締め括るアルバム表題曲⑨・・・と、ハードさとドラマ性を増強した楽曲が顔を揃える。
一気に産業ロック路線へと傾斜する次作『CORNERSTONE』以降の音楽性の変化を考えると、本作はアメリカン・プログレ・ハード時代のSTYXの集大成と言える1枚・・・かもしれない。
前作『GRAND ILLUSIONS』と併せて、STYXの入門編にお薦めの1枚。


STYX - Pieces of Eight - Blue Collar Man (Long Nights) ★★★ (2010-11-14 23:41:02)

シングル・チャート21位にランクインするヒットとなった
ロックンロールというよりもメタル寄りな印象さえ受ける
STYXのハード・サイドを代表する名曲。
威勢の良いKeyリフとソリッドなGサウンドがカッコイイったら。
今の日本じゃ他人事とは思えない歌詞も◎


STYX - Pieces of Eight - Lords of the Ring ★★ (2010-11-14 23:37:10)

ファンタジー作品の金字塔『指輪物語』を
題材に取り上げているだけあって、
インスト“THE MESSAGE”を序曲代わりに、
華々しく仰々しくドラマティックに展開していく名曲。
映画というよりもミュージカル調な仕上がりな辺りが
やっぱりデニス・デ・ヤング。


STYX - Pieces of Eight - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 23:52:28)

ミュージカル風味のシアトリカルな曲展開に酔いしれる、
ヒット曲“THE BEST OF TIMES”の元ネタとしても知られる
8th『PIECES OF EIGHT』のラス曲にして
プログレ・ハード時代のSTYXの終焉を飾った
壮大且つ華麗な同アルバムのタイトル・トラック。


STYX - Pieces of Eight - Queen of Spades ★★ (2010-11-14 23:43:36)

叙情的な前半から、ハード且つ劇的に
盛り上がっていく後半と、
アメリカン・プログレ・ハード時代の
STYXの面目躍如といった感じの名曲。
次作以降、こうしたタイプの楽曲が
姿を消してしまうのは残念至極。


STYX - Styx ★★ (2016-08-25 00:17:16)

STYXの記念すべきデビュー作なのにCD化はドン尻で、長らく入手困難な状態が続いていた’72年発表の1stアルバムが遂にリマスター再発。先んじて数年前に発売されていた輸入盤を買うべきか否か延々悩んでいた身には福音とも言うべき今回の国内盤CD化で、これでようやくSTYXの全スタジオ・アルバムをコンプリートすることが出来ましたよ。
JOURNEY、BOSTON、KANSASら、アメリカン・プログレ・ハード勢の中では最も早いデビュー&本邦初登場(当時は「スタイクス」表記だった)となった本作は、サイケなアートワークが物語る通り、WOODEN NICKEL時代の諸作同様に産業ロック色はほぼゼロ。そのサウンドは泥臭いロックンロール風味とプログレ風味が支配的で、いきなり13分越えの①で幕が上がる構成、しかもその大作がメジャー移籍以降の華麗なドラマ性よりも、曲中に会話劇や、コープランドの“市民のためのファンファーレ”を組み込んでみたりと、実験色を強く帯びている辺りが時代を感じさせます。
一般的にSTYXの名を聞いて思い浮かべる音楽性とはかなり開きがあるものの、個人的にはこれはこれで非常に興味深く楽しめた次第。アーシー且つハードな⑤は聴いてるだけで身体を揺すられますし、流麗なピアノのイントロからスタートする抒情HRナンバー③、既に見事なコーラス・ワークがフィーチュアされている(日本でもシングルカットもされた)④みたいな、後の飛躍を予感させるメロディアスな名曲/佳曲も収められていますしね。
真っ先に聴くべき作品ではありませんが、STYXに興味を持たれたならば避けては通れぬ1枚かと。


STYX - Styx - What Has Come Between Us ★★★ (2016-08-27 23:35:51)

ピアノの速弾きイントロだけで、ハッとしてGOOD!と。
本編突入後も、おセンチなメロディから美しいハーモニーまで
STYXの後の飛躍を予感させるに十分な魅力に溢れていますよ。


STYX - Styx II ★★ (2011-12-10 23:10:44)

'71年の発表当時は全く話題にならずビルボード圏内に入る事すら叶わなかったが、'75年、ラジオを発端に人気に火がつきチャートをみるみる急上昇、最終的には米ビルボードのシングル・チャート第6位にランクインしてSTYX初のトップ10ヒット・ナンバーとなった、今に至る彼らの代表曲の一つ“憧れのレディ”を収録する2ndアルバム。(アルバム自体も同曲のヒットに引っ張られる形で最高20位を記録しゴールド・ディスクを獲得している)
収められた楽曲の大半が他人の曲で、未だ方向性を模索中といった趣きだったデビュー作に対し、アーシーなロックンロール・ソングと、ヨーロッパのプログレ勢からの影響を感じさせるドラマティックな大作ナンバーの2路線からなる本編は、STYX独自の音楽性確立を予感させるに十分な内容。
尤も、ヒット曲②がそのどちらでもないデニス・デ・ヤングの甘い歌声が活かされたメロウなナンバーである辺りが、このバンドの将来進むべき方向を物語っていたわけですが。
静の前半/動の後半の対比もドラマティックな7分越えの大作曲③、「有名クラシック曲の引用」という初期STYXのお約束に則って、序曲パートにバッハの“小フーガ ト短調”の旋律を組み込んだ⑥といった名曲が収録されているものの、作品全体としては後のSTYX的な華やかさよりも、寧ろ素朴な佇まいが微笑ましくも好感触な1枚かな。


STYX - Styx II - A Day ★★★ (2011-12-12 22:26:01)

ジョン・クルリュスキー(G)のペンによる
8分に及ぶプログレッシブな大作ナンバー。
KeyとVo主体のメロウで気だるげな前半と、
Gとリズム隊が劇的に曲展開を牽引する
ハードな後半の対比もドラマティックな逸品です。


STYX - Styx II - Father O.S.A. ★★★ (2011-12-12 22:37:13)

序曲としてバッハの“フーガ”を引用した
インスト曲“LITTLE FUGUE IN G”が
くっ付けられている7分越えの大作ナンバー。
美しいボーカル・ハーモニーが活かされた
壮大にして華麗なる曲展開は、
後のSTYXサウンドの萌芽を感じさせます。


STYX - Styx II - Lady ★★ (2011-12-12 22:21:51)

STYXのオーバーグランド浮上を後押しした
初の大ヒットナンバーで、邦題は“憧れのレディ”
メロディアスな小作品ですが、重厚なDsからは
プログレ・バンドの薫りが漂ってきますね。


STYX - The Grand Illusion ★★★ (2010-11-11 23:52:52)

げんを担いで'77年7月と、数字の「7」に拘ってリリース。その甲斐あって(?)全米チャート最高6位にランクインする大ヒットとなり、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXにトリプル・プラチナム・ディスクをもたらすまでに至った、中期STYXを語る上で欠かす事の出来ない重要な7thアルバム。(邦題は『大いなる幻影』)
ベルギーの画家ルネ・マグリットの『白紙委任状』にオマージュを捧げたという幻惑的なジャケット・アートワークに、「現実と非現実」をテーマに掲げたコンセプト作、そして、マーチの如き壮大なOP曲①に始まり“グランド・フィナーレ”⑧にて幕を閉じるドラマティックで芝居がかった本編の構成といい、従来のプログレ色を十二分に残しつつも、暗さや重さが完全に払拭され、それよりもミュージカルや映画のサウンドトラック等に通じる、壮大にして華やかな、洗練された味わいが強く漂う。
デニスの手による劇的な楽曲、トミーの手によるメロウな楽曲、ジェイムズの手によるハードな楽曲がバランス良く配置された本編に無駄な楽曲は一つもないが、中でも一際眩い輝きを放つのは、全米ベスト8のヒットとなったポップでファンタジックな曲調と、物凄いオチがつく歌詞(笑)が最高な④、そして映画『エクソシスト』で有名な“TUBULAR BELLS”のメロディを組み込んだ、本作のプログレ・サイドを代表する名曲⑦。
ポップ風味とプログレ風味のバランスも絶妙な、アメリカン・プログレ・ハード・バンドとしてのSTYXの魅力を余すところなく捉えた名盤。中期STYXの最高傑作として入門編にお薦めさせて頂きます。


STYX - The Grand Illusion - Castle Walls ★★★ (2010-11-14 23:29:37)

楽曲のドラマ性の高さを予感させる抑え気味のイントロに始まり、
じっくりと盛り上がっていく幻想的且つドラマティックなラスト・ナンバー。
中盤に挿入された、マイク・オールドフィールドの“tubular bells”のメロディが、
楽曲の持つシアトリカルな雰囲気を一層引き立てている。
プログレッシブで劇的だが、以前のような欧州的な泣きな暗さは殆ど感じられないと言う
まさに「STYXならでは」の名曲


STYX - The Grand Illusion - Come Sail Away ★★★ (2010-11-14 23:24:05)

船が波間をたゆたうような心地良い前半、
帆に風を孕み、波を切って爽快に進んでいくような中盤、
そして、スペーシーなKeyサウンドに「ん?」と思わせて
衝撃的且つ壮大な(笑)オチへと雪崩れ込む後半と、
序破急を備えた曲展開が秀逸過ぎるファンタジックな名曲。


STYX - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 00:53:44)

産業ロックの権化の如き、華やかなSTYXサウンドを期待すると、アメリカ南部を思わせる泥臭さとドラマティックなプログレ風味が同居する、ジョン・クルリュスキー(G)とジェイムズ・ヤング(G)のハード/ロックンロール嗜好が強調された、ポップでもお洒落でもない(有体に言って地味な)作風に肩透かしを食う事となる'73年発表の3rdアルバム。
勿論、デニス・デ・ヤング(Vo、Key)のメロディ・センスはこの頃から光っており、適度なポップ・テイストもまぶされた⑦は彼らしい佳曲に仕上がっているのだが、本作においてそれ以上に強いインパクトを残すのが、ハードなGの調べとジョン・パノッソのDsが荒れ狂う①、ハリー・べラフォンテの“BANANA BOAT SONG”風の転調パートが印象的な④、KING CRIMSONばりのサイケなヘヴィネスが横溢する⑧、それに有名クラシック曲“HALLELUJAH CHORUS”のカヴァー⑩といった、後の作品では聴く事の出来ないタイプの楽曲群。何より、ダイナミックな曲展開に、泥臭いハードネスとプログレ由来のドラマ性が組み合わされ、そこにデニスの攻撃的なKeyワークが絡む③は、この時期のSTYXならではの名曲!
あまり顧みられる機会のない初期作品なれど、質の高さは折り紙付き。90年代末期に再発されたリマスター盤を当時買い損ねたまま今に至るので、紙ジャケ、リリースしてくんないかなぁ。


STYX - The Serpent Is Rising - Hallelujah Chorus ★★ (2010-10-30 01:25:25)

タイトルから分かる通り、ヘンデル作曲の超有名クラシック曲のカヴァー。
プログレ色が強かった初期STYXならではの選曲センスか。
元々コーラス・ワーク重視のバンドゆえ違和感はなく、
壮麗な曲調がアルバムを締め括るのにもってこい。


STYX - The Serpent Is Rising - Jonas Psalter ★★ (2010-10-30 01:17:23)

如何にもデニス・デ・ヤングらしい、
心を浮き立たせるポップ・センスと華やかなKeyワークに
彩られた名曲。
この時期の彼の作曲能力はまだまだ発展途上なれど
それでもこのレベルの楽曲が作れてしまうのだから凄い。
印象的なエンディング・パートも○。


STYX - The Serpent Is Rising - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 01:21:27)

ヘヴィなリフ&リズムにディストーション・ボイスと、
KING CRIMSONの名曲“21世紀の精神異常者”からの
影響を感じさせるアルバム・タイトル曲。
間奏パートやコーラスの美しさはやはりSTYX。


STYX - The Serpent Is Rising - Young Man ★★ (2010-10-30 01:08:58)

土の薫りが漂ってきそうなアコギの刻みに始まり、
緩急の効いたダイナミックな曲展開に、メロトロンや
分厚いコーラスを交えて劇的に盛り上がっていく、
プログレ・テイストの色濃い3rdアルバムのハイライト・ナンバー。
後の作品ではあまり聴くことの出来ない、攻めの姿勢を
みせるデニス・デ・ヤングのKeyワークが素晴しい。


STäLKER - Shadow of the Sword ★★★ (2020-03-04 00:37:47)

直前のタイミングになって、ヘッドライナー・バンドから「アホか、君ら」な理由で出演キャンセルを食らい、しかもこのままだとこれが最後の開催になりかねない等、踏んだり蹴ったりだった今年のTRUE THRASH FEST。主催者側に落ち度は全然ないのだから最後なんて言わんと今後も何とか続けて欲しいのですが…。
とまれ、ベテラン勢の抜けた穴を埋めるべく、こんなご時世にも関わらず来日してくれた若手バンド――とMATYR――の奮闘は賞賛されて然るべきであり、折角の機会なので手元にあったニュージーランド出身のスピード・メタル・トリオ、STALKER(TTF初日に3番手として出演)が'17年に発表した1stアルバムをご紹介。
彼らが聴かせてくれるのは、ラフな音質に乗せて、アッパーテンションなハイトーンVoとささくれたリフ&リズムが疾走疾走また疾走という、EXCITERや初期SLAYER等からの影響を伺わせるオールドスクールなスピード・メタル・サウンド。
力押しでひたすらゴリゴリ突き進む本編は、微笑ましい反面「一本調子」とも紙一重なわけですが、忙しなく回転するGリフが80年代DESTRUCITONを彷彿とさせるOPナンバー①、メロディックなGソロが劇的に舞う②、起承転結がドラマティックに決まったエピック・チューン③という頭3曲の出来栄えが証明する通り、彼らのキャッチーな楽曲作りの腕前はなかなかのもの。アルバム後半にDEATHの名曲“EVIL DEAD”のカヴァー⑨を配置してアクセント代わりにしているのも効果的です。まぁ余りにハマり過ぎていて、他の楽曲を食っちゃってる感も無きにしも非ずなのですが。
日本盤が出てもおかしくないクオリティの備わった1枚。今後の飛躍に期待致します。


STäLKER - Shadow of the Sword - Evil Dead ★★★ (2020-03-05 00:51:40)

DRAGONFORCEやF.K.U.等、様々なバンドによってカヴァーされている
DEATHの初期の名曲ですが、STALKERバージョンもなかなかのハマり具合。
(来日公演でも披露されていました)
余りに出来が良いので、本編後半の他の楽曲の存在を
霞ませてしまっているという痛し痒しな部分もなくはないのですが…。


STäLKER - Shadow of the Sword - Path of Destruction ★★★ (2020-03-05 00:42:56)

「勢いだけのバンドと侮ってもらっちゃ困るぜ」
とのバンドの主張が聞こえてきそうな、
嵐のSEに導かれる重厚なイントロから、
起承転結を効かせてドラマティックな盛り上がりを
呈するアルバム前半のハイライト・ナンバー。
やはりこの手のバンドにとってIRON MAIDENの存在は
重要なのだなぁと改めて実感させられます。


STäLKER - Shadow of the Sword - Total Annihilation ★★★ (2020-03-05 00:34:46)

ハイピッチVoにささくれ立ったリフ&リズムが
やけくそ気味に突っ走るOPナンバー。
ほんのり漂うサタニック・テイストと、
クイック且つ鋭角的な刻みっぷりが80年代の
SLAYERやDESTRUCTIONを思わすGリフがクール。


SUGARCREEK - FORTUNE ★★★ (2013-02-02 00:02:46)

元THE RIVERASのリック・リー(Vo)率いるカリフォルニア出身のメロディアスHRバンドが、'82年にリック自身が興したBEAVER RECORDSから発表した2ndアルバム。
張りのあるハイトーンVoが歌い上げる親しみ易いメロディ、ポップな躍動感に満ちたリズム、それらを包み込む瑞々しいKey、そしてメンバー全員が歌える強みを活かした華美なボーカル・ハーモニーに彩られた楽曲の数々は、溌剌としたアメリカンなノリの中にも、プログレ風味のアレンジを施されたドラマティックなナンバーがあったりと、その作風は明らかにSTYXからの多大なる影響を感じさせます。
にも拘らず、通して聴くと然程STYXっぽく響かないのは、叩き上げのライブ・バンドゆえ(何せデビュー作がライブ・アルバムだったぐらいのもので)、サウンドがハードにロックしているからかでしょうかね。特に、各楽器が攻めの姿勢を持って火花を散らす⑤は、アルバムのハイライトに推したいアメリカン・プログレ・ハード調の名曲です。
もしこれが自主レーベルなどではなく、ちゃんとしたメジャー・レベールからリリースされていたなら、もっと世の話題に上ってたんじゃねぇかなぁ?と夢想せずにはいられない、ハイクオリティなメロハーの傑作。


SUGARCREEK - LIVE AT THE ROXY ★★ (2013-02-04 22:16:34)

幻の名盤扱いされていたSUGARCREEKのアルバム3枚が、ESCAPE RECORDSの尽力もあって遂に復刻。更に'02年には国内盤のリリースも実現したのだから、ありがてぇありがてぇ。
本作は'81年発表の1st兼実況録音盤で、ライブ・アルバムがデビュー作と言うとまるでNWOBHMバンドのようですが、ここからは「原盤費用の節約」という現実的な理由以上に、彼らのライブ・バンドとしての自信や自負のようなものが強く感じられます。スポットライトに背を向けて(?)地道に各地をサーキットして腕を磨いたSUGARCREEKが「ローカル・ヒーロー」の地位を確立していたこと想像に難くなく、ライブ・レコーディング当日のキャパ900人の会場に、1200人以上の観客が詰め掛けたと言う逸話もその証左ではないでしょうか(多分)。
ライブならではの熱気と勢いを孕んだ本編は、このバンドらしい優れたメロディ・センスと、スタジオ・テイクと比較しても何ら遜色ないボーカル・ハーモニーの華やかさを随所で発揮しつつも、全体的には洗練よりオーセンティックなロックンロール風味を意識させる作風。その辺は多数収録されているカヴァーの選曲センスにもよく表れているんじゃないかな、と。
国内盤の解説でも指摘されている通り、QUEENにBEATLESにLE ROUX・・・と、バンドのルーツが良く分かる1枚ですね。


SUGARCREEK - ROCK THE NIGHT AWAY ★★★ (2013-02-03 01:01:30)

新たにサイド・ギタリストを迎え入れて、ツインGを擁する6人編成の大所帯となったSUGARCREEKが、'84年に発表した3rdアルバムにしてラスト作。
威勢の良い「カモン!」の掛け声と共にスタートするエネルギッシュなOPナンバー①を手始めに、プログレ・ハード色を薄れさせたサウンドは、その代わりに2本のGの存在を前面に押し出して、ザックリ感をいや増したGリフや、よりダイナミックに駆け抜ける曲調等、時節柄、LAメタルへの接近を感じさせる内容に仕上がっています。
とはいえ、このバンド独特のフッキーなメロディ・ラインはその威力を全く鈍らせることなく健在。前作の作風を受け継いだポップ&キャッチーに弾む②⑥⑦があったかと思えば、甘く切ないバラード③⑧あり、そしてメロディの魅力はそのままにシャープさの磨かれたハード・ロッキンな名曲⑤⑪あり・・・といった具合に、本編は非常にバラエティ豊か。
前作収録の“CONQUEST FOR THE COMMONER”のようなプログレ・ハード調の逸品が見当たらないのは残念ですが、この完成度の高さはそれを差し引いてもお釣りが来る素晴しさ。
尚、バンドはこれを最後に活動を停止してしまいますが、後にTHE CREEKと名を改めて復活。80年代後半には2枚のアルバムをリリースしています。


SUICIDAL ANGELS (2012-04-01 21:11:47)

'01年にギリシャはアテネにおいて結成。
矢継ぎ早にに制作した2本のデモテープとEP『BLOODTHIRSTY HUMANITY』『ARMIES OF HELL』がヨーロッパ中のメタル雑誌で評判を呼び、これが切っ掛けとなってアメリカのOSM RECORDSとディールを締結。1stフル『ETERNAL DOMINATION』をもって'07年にアルバム・デビューを飾る。
オールドスクールなスラッシュ・メタル・サウンドが詰め込まれた作品自体のクオリティと精力的なライブ活動が実を結び、'09年にはオーストラリアで開催されたコンテスト「ROCK THE NATION AWARD 2009」にてSTEELWINGと共に優勝。
その後は、同年にNUCLEAR BLASTから2nd『SANCTIFY THE DARKNESS』、'10年にNOISE ART RECORDSから3rd『DEAD AGAIN』をリリースし、日本デビューも飾るなど順調に活動を継続。今年('12年)に入ると4枚目のスタジオ盤『BLOODBATH』をリリースしている。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath ★★★ (2012-04-03 07:11:32)

今やギリシャを代表するスラッシュ・メタル・バンドの1つにまでのし上がったSUICIDAL ANGELSが、ジャケット・イラストレーターに再びエド・レプカを起用して'12年に発表した4thアルバム。
尖がったVoに尖がったリフ&リズムが息次ぐ暇を与えずに畳み掛ける尖がりまくったスラッシュ・メタルという、日本デビュー作ともなった前作『DEAD AGAIN』で披露した音楽性は今作でも勿論不変。
但し、例えば「スピードだけが頼りじゃねえぜ」とばかりに、終始ミドル・テンポで押してくる③のような楽曲を収録したり(実際良い曲です)、オランダのデスラッシャー、HAIL OF BULLETSのマーティン・ヴァン・ドラネンやFIREWINDのボブ・カティオニスらがゲストに迎えられた本編からは、バンドの余裕というか貫禄のようなものが漂って来るようになった。
それでいて瞬発力が鈍ったなんてことはなく、リズムの切れ味が一層研ぎ澄まされ、Gリフがよりキャッチーに磨き上げられたことで、サウンド全体がタイトにビルドアップされた本作は、OPからギアをトップに入れて突っ走るアルバム表題曲①を手始めに、現時点におけるSUICIDAL ANGELSの最高到達点と評すべきキラー・ソング⑤、緩急の効いた⑥、正統派HM然とした劇的なツインGが炸裂する⑧等、ベイエリア・スラッシュばりの爽快な疾走感と、ヨーロピアン・スラッシュらしい禍々しいダークネスとが同居した、このバンドならではの名曲をがっつり収録。
どんどん良いバンドに成長していっているようで、嬉しい限りですよ。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Bloodbath ★★ (2012-04-03 22:09:23)

今更前置きなんかいらんだろ?とばかりに
いきなり機関銃の如きGリフのシュレッドから
幕を開けるアルバム表題曲にしてOPナンバー。
かと思えば、インスト・パートでは
禍々しくもムーディな雰囲気を発散する
緩急の付け方も上手い。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Morbid Intention to Kill ★★★ (2012-04-03 22:15:37)

攻撃的なVoに殺傷力を宿した鋭利なGリフ、
猛然と荒れ狂うリズム、
イントロの一捻りを手始めに
アップダウンの激しい曲展開など、
前のめりな姿勢を貫きつつも
楽曲自体はすこぶるキャッチーという
SUICIDAL ANGELSの魅力が凝縮されたかの如き名曲。


SUICIDAL ANGELS - Bloodbath - Torment Payback ★★★ (2012-04-03 22:19:45)

マシンガン・リフからスタートする
(良い意味で)典型的なSUICIDAL ANGELS節が
展開されるスラッシュ・ナンバー。
FIREWINDのボブ・カティオニスがゲスト参加して
正統派ヘヴィ・メタリックなツインGを
劇的に炸裂させてくれています。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again ★★ (2012-04-02 07:06:26)

日本未発売の2nd『SANCTIFY THE DARKNESS』がMETALLION誌の「スラッシュ必聴盤200選」に選出されていたギリシャ出身の4人組スラッシャーが'09年に発表した3rdアルバム。
高い殺傷力を宿した鋭利なリフを徹底的に刻み倒す2本のGと、不穏さを孕んだミドル・パートと激烈な疾走パートの組み合わせでダイナミズムを演出するリズム・セクション、それに憎しみに満ちたシャウトで畳み掛けて来るVoとが一気呵成に突っ走るサウンドは、まさしくSLAYER直系のスラッシュ・メタルといった趣きで、ジャケット・アートワークをエド・レプカ画伯が手掛けるのに相応しいクオリティを有する。
尖がった疾走感がもたらすカタルシスのみならず、楽曲が小気味良いキャッチーさを有している点も本作の美点で、特に切迫感に溢れた④、Gリフがドリル状に切り込んでくる⑤、ヨーロッパ的なダークネスを発散するGソロと緩急の効いた曲展開が印象に残る⑥といった優れた楽曲が連続する、本編中盤のテンションの高さには耳を奪われます。
OVERKILLのボビー“ブリッツ”エルズワースや、KREATORのミレ・ペトロツァといった歴戦の兵達からも惜しみない賛辞を寄せられたのも納得の1枚。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again - Suicide Solution ★★★ (2012-04-02 22:51:10)

ドリルの如きGリフと音数の多いリズムが
噛み付くようなシャウトVoを伴って
畳み掛けるアルバム屈指の名曲。
尖がりつつもGのリード・プレイやソロからは
ヨーロッパ的なダークネスが滲み、
何より一緒に叫びたくなるキャッチーさを
有している点が最大の魅力。


SUICIDAL ANGELS - Dead Again - The Trial ★★★ (2012-04-02 22:47:45)

居ても立ってもいられない気分にさせてくれる
切迫感に溢れたGリフがクール且つキャッチーな
高速スラッシュ・ナンバー。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer ★★★ (2014-02-25 22:45:56)

トップ・ランナーとしてギリシャのスラッシュ・シーンを牽引するSUICIDAL ANGELSが、ギタリストの片割れをパノス・スパノスから元EXARSISのクリス・Tにチェンジして'14年に発表した5thアルバム。
これまで一貫してSLAYERやKREATORの流れを汲む激発型スラッシュ・サウンドを追及してきた彼らですが、5枚目にして変化球を投げ込んで来ました。
密度の濃いモダンな音作りの下、従来作に比べてアグレッションの「発散」と「溜め」がかなり意識的にコントロールされている本作は、軟弱にならない程度に増量されたメロディとの組み合わせで、カミソリの如き切れ味の鋭さ以上に、重厚にしてキャッチーな打撃力が印象に残る作風に。
さり気なくヴァイオリンまで使用されている④⑩は、バンドの試行錯誤の結晶というべき大作ナンバー(前者は6分、後者は8分)で、中でもスラッシーな攻撃力とダイナミックな曲展開、メロディックなGソロが無駄のない融合をみた④は、思わず力瘤らずにはいられない名曲。
当然、彼らのスラッシュ・メタル・バンドとしての基本軸にぶれがないことは、①③⑦⑨といった景気良く突っ走る高速ナンバーの数々を聴けば自明の理ですが、今回は即効性よりも、繰り返し聴き込むことを重要視した作品に仕上げてきた印象ですね。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer - Control the Twisted Mind ★★★ (2014-02-26 23:17:45)

意表を突いてバイオリンをフィーチュアした
メランコリックなイントロからスタート。
その後は当然のようにシャープなGリフ主導の
スピード・パートへと転じるわけですが、
前のめりな「爆走」というよりは、
地面をしっかりと踏みしめてタイトに疾走する様相が
これまでの彼らとは少々異なる印象。
緩急を効かせた7分に及ばんとする曲展開や
練られたGソロを聴いていると「ドラマティック」
という表現が思い浮かびます。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood ★★★ (2016-06-25 23:47:16)

昨年、待望の初来日公演を行ったグリーク・スラッシャー筆頭、SUICIDAL ANGELSが’16年に発表した6thアルバム。
変化球で攻めてきた前作に比べると、今回はのっけからストレートな疾走感が復活。と言っても、ただ単純に従来のスラッシュ・メタル路線へと回帰したわけじゃなく、曲作りにおいてメロディを印象的なアクセントとして用いる術を、前作の寄り道から「お土産」としてしっかり持ち帰っている辺り、実に抜け目がなく感心させられます。
この新たな方向性確立に大きく貢献しているのが、新加入のガス・ドラックス(G)。通称ガス・D…って、ガス・Gのパチモンみたいですが(ロッテに対するロッチ的な)、ガリガリ鼓膜を削るGリフのシュレッディングのみならず、華麗にして構築美溢れるGソロを随所で披露する等、ギタリストとしての実力は本家にも匹敵。楽曲は彼が加入する以前に既に書かれていたそうですが、例え用意された楽譜であっても、やはり上手い演者がプレイすると放たれる輝きは段違いのレベルという。
特に、緩急を活かしたOPナンバー①、アグレッシブ且つキャッチーな③、メロデスならぬ「メロディック・スラッシュ」とでも言うべき⑦といった、スパスパと歯切れの良い疾走感溢れる曲調に、メロディックなGプレイが鮮烈な彩りを加える楽曲は出色の出来栄え。こうした軟弱にならぬ程度にメロディが活かされたサウンド・スタイルは近年のKREATORに通じるものがあり、これならミレ・ペトロッツァも激賞しますわな、と。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood - Bullet in the Chamber ★★★ (2016-06-29 23:46:26)

Gリフ自体がメロディアスなので、メロディック・デス/ブラック・メタルにも
通じる味わいが、なきにしもあらずなスピード・ナンバー。
ドロドロ感がなく、カリッと乾いた疾走感はやはりスラッシュ・メタルしていますが。
攻撃的な曲調に華を添えるガス・ドラックスのメロディックなGソロも印象的です。


SUICIDAL ANGELS - Division of Blood - Capital of War ★★★ (2016-06-29 23:52:56)

ガリガリ刻まれる凶暴なGリフ、性急に突っ走るリズム、
煽るように畳み込むVo…と、SUICIDAL ANGELS以外の何者でもない
攻撃的曲調に、メロディックなGソロが鮮烈に切り込んで来るという
ガス・ドラックス(G)擁する現編成の強みを如何なく盛り込んだ逸品。


SUICIDAL ANGELS - Years of Aggression ★★★ (2020-04-03 00:01:00)

デビュー以来順調に作品リリースを重ね、’15年には来日公演も行う等、ギリシャのHR/HMシーンを牽引し続けるスラッシュ・メタル・バンドSUICIDAL ANGELSが、前作から3年ぶりとなる'19年に発表した7thアルバム。
ミレ・ペトロッツァの覚え目出度いことでも知られる彼らですが、本作では益々「ギリシャのKREATOR」化が進行。ヤスリ声のシャウトVoや、刺々しく刻まれるGリフでサウンドのアグレッションを維持しつつ、スピードは若干抑え気味に、その分ツインGが奏でる欧州風味のダークネスを孕んだ抒情旋律とドラマティックな曲展開をマシマシにしていくスタイルも、近作のKREATORの流儀に通じます。そりゃ気に入られるよねと。象徴的なのがアルバムを締め括る7分オーバーのイーヴルなヘヴィ・チューン⑩の存在で、最初はてっきり中盤でスピードアップするだろうと思っていましたが、最後まで重厚なテンポを保ったままエンディングを迎える意表を突いた作りからも、本作においてバンドが目指した方向性がハッキリと伝わってくるのではないかと。
そんなわけで、一聴してのインパクトやスラッシュ・メタル然としたエキサイトメントは従来作に一歩譲る感は否めませんが、それを補うようにツインGが全編をメロディックに駆け巡っており、特に鋭利且つキャッチーなGリフ、畳み掛けるスピーディなリズム、その中で2本のGが劇的に絡み合う②は、安易なKREATORクローンとは一線を画するSUICIDAL ANGELSの凄味を伝えてくれる名曲ですよ。
未だ高いテンションを漲らす、アルバム・タイトルに偽りなしの1枚。


SUICIDAL TENDENCIES - Controlled by Hatred / Feel Like Shit...deja-vu ★★★ (2022-08-02 00:20:28)

80年代、スラッシュ・メタルとハードコア/パンクのクロスオーバー現象の旗振り役を担ったマイク・ミューア率いるSUICIDAL TENDENCIESが、3rd『HOW WILL LAUGH TOMORROW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』から僅か半年のインターバルを経て'89年に発表した8曲入りEP。これまたタイトルがやたらに長いですが、邦題はシンプルに『檄』と冠されています。
その邦題通り、ここに託されているサウンドはスピーディかつアグレッシブ。スラッシュ由来の疾走感は若干抑え気味にして、その分、重厚さや整合性といったヘヴィ・メタリックなエッセンスの拡充が図られていた『HOW WILL~』に対し、ほぼ一週間でレコーディングを終了させたという突貫作業ぶりが物語る通り、ラフなプロダクションから勢い重視の楽曲まで、本作は生々しいエネルギーの迸りが封入された仕上がりとなっています。
前作を踏まえ起伏に富んだ曲展開を盛り込みつつも、本編は鼓膜に突き立つエッジーなGリフの刻みや、カタルシスに満ちた爆発的な疾走感といったスラッシュ・メタルのエッセンスを大幅回復。特に切迫感を煽り倒す③や7分に迫る長尺をダイナミックに畳み掛ける④は、リフ/リード両面においてキレキレなロッキー・ジョージのGがスラッシャーの血を騒がす逸品。と同時にウリ・ロートをリスペクトする彼氏らしく、②では泣きのメロディをエモーショナルに奏でて懐の深さを披露してくれています。
SUICIDAL TENDENCIESのカタログの中ではスルーされがちな作品ですが、個人的には愛して止まない一作。EPながらアルバム・サイズの満足感が味わえますよ。


SUICIDAL TENDENCIES - Controlled by Hatred / Feel Like Shit...deja-vu - Just Another Love Song ★★★ (2022-08-04 08:12:58)

切れ味鋭い(と同時にリズミカルでもある)リフの刻みっぷり、
鬼のように弾き倒すGソロと、畳み掛ける疾走感にアガりまくる
本編屈指のスラッシュ・ナンバー。
線の細いマイク・ミューアのVoが完全にバックの演奏に
埋もれてしまっている点は評価が分かれるかもしれませんが。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army ★★★ (2017-05-19 00:17:25)

スラッシュ・シーンとハードコア/パンク・シーンのクロスオーバー推進に一役買ったパイオニア・バンドの一つ、マイク・ミューア(Vo)率いるカリフォルニア出身の5人組が’87年に発表した、アメリカ軍の徴兵ポスターのデザインをパロった表題とアートワークが目印の2ndアルバム。(邦題は『軍団宣言』)
スケーターズ・ロックならではの疾走感は既に十分なれど、いかせんメタル側からすると音の軽さが気になったセルフ・タイトルのデビュー作。正統派HM色を強め(泣きのGソロまで聴ける)BUURN!!誌レビューじゃゴッドが高得点を献上したものの、疾走感の低下には物足りなさを覚えざるを得なかった3rd『HOW WILL I LAUGH TOMMORW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』。この2枚の間に挟まれた本作は、ハードコア/パンク由来の爆発的スピード感と、へヴィ・メタリックなエッジの鋭さを美味しいトコ取りした、まさにクロスオーバー・スラッシュの名盤と評するに相応しい出来栄えを提示しています。
スラッシュ・メタルとしてジャッジした場合、マイク・ミューアの声の「軽さ」「線の細さ」には相変わらず迫力不足の感が否めぬまでも、緩急を取り込んでテンション高く突っ走るアルバム表題曲②や、本作から加入したバンド随一のメタル・ガイ、ロッキー・ジョージ(G)によって高速で切り刻まれるGリフが「これぞスラッシュ!」なカッコ良さを叩き付けて来る⑦といった名曲を前にすれば、そんなこたぁ些細な問題かと。
SUICIDAL TENDENCIES入門盤として、またクロスオーバー・スラッシュのジャンル入門盤としてもお薦め出来る1枚です。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - I Feel Your Pain... And I Survive ★★★ (2017-05-21 01:30:43)

高速で刻み倒される冒頭のGリフにテンションの上がらぬ
スラッシャーはおらんでしょう、と。
尤も、スラッシュ・メタルとして聴いた場合
Vo含めて「音の軽さ」には如何ともし難いものはありますけども
逆にだからこそこの俊敏なフットワークの疾走感を
生み出せているとも言えるわけで。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - Join the Army ★★★ (2017-05-21 01:26:52)

上擦り気味のVoが醸し出す切迫感、
ロッキー・ジョージの弾きまくりのGとを伴って
アップダウンを効かせながらテンション高く突っ走る様は
「カッコイイ」の一言に尽きますよ。


SUNBURST - Fragments of Creation ★★★ (2016-07-02 02:56:46)

SUICIDAL ANGELSでのガス・ドラックスの働きに感銘を受け、彼が関わるSUNBURSTのデビュー作('16年発表)も衝動買い。いやぁ、良い買い物でしたよ。
本作に託されているのは、テクニカルな演奏が緊張感と神秘的な雰囲気を醸成するプログレ掛かったパワー・メタル。但し、これみよがしの複雑さは控えめ。何より、強靭なリフの刻み、精緻な速弾き、泣きが迸るエモーショナルなフレージングまで華麗にこなしてみせるガス・DのGプレイと、絶品の歌唱力を誇るヴァシリス・ジョージオウ(Vo)が、サウンドに親しみやすい大衆性&劇的なフックを構築。お陰で、プログレ物にさほど入れ込んでいない身でも、胃もたれを起こさずにスルスルと聴き通すことが出来ますよ。
殊に、愁いに満ちたメロディをしなやかに歌い上げるヴァシリスの歌声は特筆モノ。ガス・DのGプレイは一足先にSUISIDAL ANGELSで体験していたこともあり想定の範囲内と言えましたが、ヴァシリスに関しちゃ全く予備知識がなかったため、CIRCUS MAXIMUSのマイケル・エリクセンや、MYRATHのザヘル・ゾルガティにも比肩する歌いっぷりに、もう1曲目からウットリと聴き惚れてしまいましたね。
パワー・メタリックな疾走感も堪能できる③、ゲスト参加のボブ・カティオニス(Key)が流麗に奏でるピアノが効果的な抒情ナンバー⑤と冷ややかな⑧、シンフォニックなオーケストレーションを導入した大仰且つドラマティックな大作⑩等、バンドが持つポテンシャルの高さを実感できる楽曲の数々を収めた本作は、CONCEPTIONやNEVERMOREを引き合いに出して語られるのも納得の力作に仕上がっているのではないでしょうか。


SUNBURST - Fragments of Creation - Out of the World ★★★ (2016-07-03 22:43:47)

へヴィでアグレッシブなリフ&リズムが押し寄せる
曲調はNEVERMORE辺りを引き合いに出して語りたくなりますが
このバンドの真価は、確かな歌唱力を誇るシンガーが
憂いをたっぷり含んだメロディをしなやかに歌い上げる
サビメロの猛烈なフックにこそあるのではないかと。
テクニカルなだけでなく、猛烈な泣きをも発散する
ガス・ドラックスのGソロも鮮烈極まりなし。


SUNBURST - Fragments of Creation - Symbol of Life ★★★ (2016-07-03 22:51:51)

ガス・ドラックスの華麗なるピロピロっぷりが炸裂する
劇的なイントロだけで掴みはOK。
どこか神秘的な響きも湛えた抒情的なメロディを
情感豊かに歌い上げるヴァシリス・ジョージオウの熱唱にも
ハート鷲掴みで、個人的にはアルバムのハイライト・ナンバーの一つに
推したいぐらいの名曲ですよ。


SUPERIOR - Behind ★★ (2008-06-22 17:56:00)

SILVER MOUNTAINの名曲“VIKINGS"における、イェンス・ヨハンソンの鮮烈なピアノ・ソロに心奪われて以来、
ピアノをフィーチュアしたHR/HMサウンドを聴かせてくれるバンドを、日夜探し回っているのだが、その過程でアンテナに
引っ掛かってきたのが、このドイツはカイゼルスラウンテルン出身の6人組プログレシッヴHMバンド、
SUPERIORが'96年にリリースした1stアルバム。
どうやら本作は、レコード契約を得るためにアマチュア時代('95年)に自主制作した作品らしいが、そのクオリティは
かなりしっかりとしたもので、ミドル・テンポを中心に、複雑且つドラマティックな曲展開を飲み込んだ楽曲は、
制作された時期が時期なだけに、DREAM THEATERからの影響が強く感じられるものの、ガツガツと刻まれる肉厚なGリフといい、
重量感溢れるリズムといい、そのサウンドはDREAM THEATERよりもグッとヘヴィ。そして、何と言ってもこのバンド最大の武器は、
ともすればヘヴィネスが強調され過ぎて潤いに欠けがちな本編に、SAVATAGEばりの叙情性とドラマ性を付与する気品に満ちたピアノの調べ。
特に、10分近くに及ぶ長尺を、凝ったアレンジと起伏に富んだ曲展開で一気に聴かせ切る②や、荘厳にしてドラマティックな⑧、
GとKeyが冷ややかに泣きまくる、メランコリックなヘヴィ・バラード⑩は、楽曲の素晴しさと流麗なるピアノの調べが
ガッチリと噛み合った、本編屈指の名曲かと。2nd以降も、この路線を追及して欲しかったなぁ・・・。


SUPERIOR - Behind - Until the End ★★★ (2008-06-22 18:03:39)

アルバムのラストをメランコリックに締め括るヘヴィ・バラード。
冷ややかに泣きまくる、GとKey(ピアノ)の調べが胸に突き刺さる、
アルバムのハイライト・ナンバー。


SUPERIOR - Behind - Why ★★ (2008-06-22 18:02:12)

よりプログレ風味を強めたSAVATAGEといった趣きの
10分近くに及ぶドラマティックな大作ナンバー。
楽曲の持つ叙情性とドラマ性を増幅する、
流麗なピアノの調べがこの曲の肝。


SURVIVOR - Caught in the Game ★★ (2010-02-25 22:03:00)

前作『EYE OF THE TIGER』の大ヒットを受け、アルバム制作費が大幅増。エンジニアにマイク・クリンクを
起用し、一説には2億円以上の巨費を注ぎ込んでレコーディングされたという、'83年発表の4thアルバム。
『制覇への誓い』という邦題に反して、本作は米ビルボード最高82位と全くの期待ハズレの成績に終わって
しまったため、商業的には失敗作と見なされる事が多いが(実際その通りだから仕方ない)、内容自体は
↑上の方々が仰られている通り、『EYE~』と比較しても決して聴き劣りするものではない。
シングル・カットされたアルバム表題曲①(最高77位)がイマイチ弾けない地味めな楽曲ゆえ、「掴み」に
失敗してる印象は否めないものの、それを乗り越えれば、ポジティブなフィール漂うバラード③、
爽快にロックしまくるアップテンポの④・・・と「これぞSURVIVOR!」たる楽曲が連続。ラストを劇的に締め括る
6分以上に及ぶ大作⑩に至るまで、ダレを感じる場面は殆どない。本作以降は姿を消す事となる、
プログレ・ハード調の⑦のような楽曲も、本編の流れに良いアクセントを加えてくれています。
尚、今回も伸びやかでクリアーな極上の歌唱を提供してくれているフロントマンのデイヴ・ビックラーは、
このアルバムを最後にSURVIVORから脱退。バンドは新Voとしてジミ・ジェイミソンを迎える事となる。


SURVIVOR - Extended Versions ★★★ (2016-03-22 22:55:37)

SURVIVORが'85年に行った、新宿厚生年金会館での初来日公演の模様を捉えた実況録音盤。VHS版だけでなく、CD化までされてたとは知りませなんだ。(自分が購入したのは『LIVE IN JAPAN 1985』と改題された日本盤)
名作『VITAL SIGNS』を発表し、意気上がるSURVIVORの最も脂の乗り切った時期のライブゆえ、メンバーのパフォーマンスにしろ、『VITAL~』収録曲中心のセットリストにしろ、そしてそれを受け止める観衆の盛り上がり具合にしろ、とにかく全編に亘って勢いが感じられます。各楽器陣のソロ・タイムまでしっかりと設けられた本編構成は、「売れ線狙いのポップ・バンドと侮らないで頂きたい!」との、SURVIVOR側のロックな主張が迸るかのようで、特にスタジオ盤ではその存在をさして気にしてなかった(酷)、リズム・セクションのタイトな仕事ぶりには感銘を受けましたね。
それに比べると、音を外したり、声が引っ繰り返りそうになったりと、ジミ・ジェイミソン(Vo)の歌唱は結構危なっかしい(ライブでの不安定さはずっと指摘されていましたけど)。いやでも、実力派シンガーとして鳴らした彼の荒い歌唱が聴けるのも貴重な記録と言えますし、ファンとしてここは「ライブならでは臨場感が味わえる」とポジティブに思考したい所存。観客の大声援を受けて、ジミが嬉しそうに「愛シテマス!」とか答えるのを聞くと、今となってはホロリと泣けてくるというね…。会場のボルテージが最高潮に達するハイライト、名曲“EYE OF THE TIGER”のジミ・バージョンがCDで聴けるのも有り難い。
SURVIVOR唯一(?)の公式ライブ盤という点でも、一聴の価値がある1枚ではないかと。


SURVIVOR - Eye of the Tiger ★★ (2010-02-24 21:39:00)

映画『ロッキー3』のテーマ曲として知られ、ヒット・チャートにおいて6週連続で1位の座をキープした結果、
SURVIVORに'82年度グラミー賞「最優秀ロック・バンド」の栄冠をもたらした超有名曲“EYE OF THE TIGER"を
収録する、'82年発表の3rdアルバム。一般的に、SURVIVORの代表作と言えば本作と言う事になるのだろうか?
ロックに興味がなくとも1度は耳にした事があるであろう、無性にシャドー・ボクシング始めたくなる
その勇壮な名曲①以外にも、本作には、爽快なポップ・チューン②あり、泣きのバラード⑤あり、ハードロッキンな
⑥あり、本編後半のハイライトを飾る感動的な⑦(映画『ロックアップのED曲としても知られる)あり、
スマッシュ・ヒットを飛ばした(16位)リズミックでキャッチーな⑧あり・・・といった具合に、ハイクオリティ且つ
バラエティ豊かな楽曲が全編に渡って取り揃えられていて、成功の階段を駆け上がっていくバンドの勢いが
如実に反映された、充実した内容に仕上がっている。FLEETWOOD MACの大ヒット作『MIRAGE』(陽炎)に阻まれ
チャート1位の座こそ逃したものの、アルバム自体、ビッグ・セールスを記録したのも流石伊達じゃない・・・と
納得させられるだけの品質を備えた、デイヴ・ビックラー時代屈指の名作。メロディアスHRファン的には、
バックVoとしてファーギー・フレデリクセンが参加している事もセールス・ポイントかな。


SURVIVOR - Eye of the Tiger - Eye of the Tiger ★★★ (2016-03-26 10:02:46)

自宅の蛍光灯の紐相手にシャドー・ボクシングを
したことがある者、必聴の名曲。
「無性にランニングをしたくなる」と多くの方が語られていますが
実際走る時に流してみると、遅過ぎず早過ぎずで
丁度いいテンポなんですよね。(お前も走ったんかい!と)


SURVIVOR - Premonition ★★ (2010-02-23 21:48:00)

元CHASEのリズム隊が脱退、曲作りがジム・ピートリック(G)とフランキー・サリヴァン(G)の2本柱に委ねられた事で、
いよいよSURVIVORと聞いて想起する音楽性が形成され始めたとの印象を受ける、'81年発表の2ndアルバム。
(言葉の意味はよう分からんが、なにやら期待感を煽る『予戒』という邦題も秀逸だ)
この頃はまだ、曲によってはプログレ・ハード風味も感じられるアメリカンHRサウンドが持ち味ながら、
メロディのフック/叙情性がいや増し、一層キャッチーに磨き上げられた楽曲は前作を大きく上回る輝きを放っている。
それは、軽快に駆け抜けていく爽やかなOPナンバー①、一夏の恋の終わりを感傷的に歌い上げる②、
力強いレッドネック賛歌(?)③、ボーカル・ハーモニーの組み立てや濃い口の哀愁漂うメロディからプログレ・ハード
っぽさも感じられる劇的な④、それに秀逸なサビメロの展開にグッとくる⑦等、優れたメロディアスHRチューンの
数々からも一聴瞭然。また、確かな歌唱能力を余す所なく発揮する機会(楽曲)を得たデイヴ・ビックラーが、
これまで以上に存在感をアピールし、アルバムのクオリティ底上げに大きく貢献している事も本作の強みか。
シングル・カットされた②が米ビルボードで62位、③が33位と、それぞれスマッシュ・ヒットを飛ばし
SURVIVORの知名度向上に大きく寄与。次作の大成功への布石となった事でも重要な1枚。


SURVIVOR - Reach ★★ (2012-11-12 22:38:41)

泥沼の裁判劇を経て、正式にバンド名を背負ったフランキー・サリヴァン(G)がSUVIVORを再建。恩讐を越えてフロントマンにジミ・ジェイミソン(Vo)を迎え入れると(再結成当初はデイヴィッド・ビックラーも在籍)、スタジオ盤としては『TOO HOT TOO SLEEP』以来、実に18年ぶりに発表した8thアルバム。
ジム・ピートリック不在で制作された初めてのSURVIVORのアルバムとは言え、フランキー・サリヴァンとて、ギタリストとして、ソングライターとして長きに渡ってバンドを支え続けてきたオリジナル・メンバーの1人。名シンガー、ジミ・ジェイミソンの伸びやかな歌声を活かした、アルバム・カバーの世界をそのまま音に移し変えたようなOPナンバー①や、暖かみに溢れたバラード④、小粋でメロディアスな⑥(フランキーがリードVoを担当)は、そうした彼の矜持が強く感じられるナイスな逸品。
そんなわけで、1枚のメロディアスHRアルバムとしては非常に良く出来た作品なのですが、ただSURVIVORのアルバムとしては・・・フランキーのGをこれまで以上に前面に押し出し、ミッドテンポの楽曲中心に組み立てられた本編は、ハードな反面「高揚感を誘われる劇的なメロディ展開」や「胸躍るポップ・フィーリング」に乏しく、地味な印象は拭い切れない部分もあり。少しばかり物足りなさが残るかなぁ。
でも、折角ジミ・ジェイミソンがフロントマンの座に再就任したのだから(ロビン・マッコーリーがシンガーを務めるSURVIVORのアルバムってのも聴いてみたかったですけど)、一日も早く次の新作を宜しく。


SURVIVOR - Survivor ★★ (2010-02-22 22:54:00)

イリノイ州はシカゴにて元THE IDES OF MARCHのジム・ピートリック(G)を中心に、フランキー・サリヴァン(G)、
デイヴ・ビックラー(Vo)、それにブラス・ロック・バンドCHASEのリズム隊ら、名うてのミュージシャン達に
よって結成されたSURVIVORが、'79年にSCOTTI BROTHERS RECORDSから発表した1stアルバム。
この頃はまだメンバー全員が曲作りに参加しているせいか、次作以降とはやや趣きを異にする作風で、
先にジミ・ジェイミソン時代を体験して、それから遡って本作へと辿り着いた後追いファンとしては、
美しい叙情メロディや心浮き立つポップ・センスといった産業ロック的要素よりも、シンプルでオーソドックスな
(有体に言ってやや地味な)アメリカンHR色が濃厚なサウンドに若干の物足りなさを覚えなくもないが、尤も、
デビュー作にして既に漂うこの安定感は流石SURVIVOR。何より本作は、後の大化けを予感させるポップで
躍動感溢れる名曲⑥を聴くためだけにでも購入する価値有り。(軽快に跳ねる③、劇的に盛り上がる⑤も良い曲)
SURVIVORのアルバムとしては影が薄い1枚ながら、良質のアメリカンHRサウンドが詰め込まれた好盤かと。


SURVIVOR - The Finest Selection~the Serach is Not over Yet~ ★★ (2009-01-25 17:58:00)

'99年にSURVIVERの旧譜が一斉再発された際、新たに編纂され、日本のみでリリースされたベスト盤。
名盤を数多く残しているSURVIVORゆえ、その中から1枚選ぶとなると、大ヒット曲“EYE OF THE TIGER"を収録した
同タイトルの3rdアルバムか、アメリカン・メロディアスHR史に残る傑作と名高い5th『VITAL SIGNS』か、はたまた
円熟味を増した6th『WHEN SECONDS COUNT』か・・・と、非常に悩ましいところなのだが、個人的に、
SURVIVOR未体験者に入門編として1枚お薦めするなら、この便利なベスト盤を推したい。
マニアックなファンが編集した「お好みテープ」を聴いてるかの如き錯覚に陥ってしまう、ツボを突いた選曲センスが
とにかく秀逸な1枚で、“EYE OF THE TIGER"や“BURNIG HEART"等の代表曲は勿論のこと、ヒット曲以外にも
SURVIVERならではの魅力に満ち溢れた隠れた名曲の数々を、CDの容量ギリギリまで使ってしっかりと収録。
鮮やかに疾走する、爽快なハードポップ・チューンの名曲①に始まり、珠玉の名バラード⑮で幕を閉じる
美しく技ありの構成はもとより、曲順も非常に考え抜かれており、ベスト盤にありがちな「やっつけ仕事感」は皆無。
「SURVIVER愛」に溢れた内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
とは言え、このバンドが生み出した無数の名曲をCD1枚に収めきるのは不可能なわけで、本作を聴いて気に入った人は、
是非、オリジナル・アルバムの方も揃える様にお願い致します。


SURVIVOR - Too Hot to Sleep ★★ (2010-02-28 22:32:00)

リズム隊が去り、正式メンバーはジム・ピートリック、フランキー・サリヴァン、ジミ・ジェイミソンの
3人のみという、殆ど末期JOURNEY状態でレコーディングが行われ、'88年に発表された7thアルバム。
前作『WHEN SECONDS COUNT』が優れた内容にも関わらず、それに見合うだけの成功を収められなかった事から、
本作では音楽シーンの潮流の変化も踏まえて、よりハードな方向へと軌道修正。Gサウンドがこれまで以上に
強調され骨太感を増した本編は、その分メロディの叙情性(フック)がやや割を食ってしまった印象が
無きにしも非ずで、収録曲のクオリティにバラつきが見られるという点では、4th『CAUGHT IN THE GAME』を
思い起こさせたりも。(あのアルバムも、従来より心持ちハードな方向へ振られた作風だったし)
とは言え、力強くドラマティックなアルバム表題曲③や、70年代HRにも通じるスケール感で本編を締め括る
ラスト・ナンバー⑩は、SURVIVORならではの美しいメロディと、ハードなGの調べが巧みに組み合わされた
名曲だし、勿論、従来の「らしさ」が存分に堪能できる哀愁のハードポップ・チューン②、スペーシーな
雰囲気漂う一風変わった味わいのバラード⑦といった楽曲も収録。
SURVIVORのアルバムとしてはやや地味な存在ながら、決して駄作と切り捨てられるようなクオリティではなかった
本作なれど、セールス的にはビルボード・チャート100位以内に入る事すら叶わず、結果、
バンドはこれを最後に(とりあえず)解散の道を選択する事となるのであった・・・。合掌。


SURVIVOR - Vital Signs ★★ (2010-02-26 23:54:00)

巨費を投じて作り上げた4th『CAUGHT IN THE GAME』がまさかの大コケ、しかもデイヴ・ビックラー(Vo)まで健康上の
問題を理由に脱退・・・と、天国から地獄へ一気に転げ落ちたSURVIVORが、新Voとしてジミ・ジェイミソンを、
プロデューサーとして売れっ子ロン・ネヴィソンを迎え入れ、再浮上を賭けて作り上げた'85年発表の5thアルバム。
結果的に本作は4曲ものヒット・シングルを生み出し、アルバム自体もビルボード最高14位にランクイン、バンドに
プラチナ・ディスクをもたらす成功を収めたわけだが、正直、これ程の名盤ならもっと売れたって罰は当たらんぞ、と。
これまで以上にKeyサウンドを前面に押し出し、メロディのフックから、劇的な曲展開、サビのキャッチーさ、
華やかなコーラス・ワークの組み立てに至るまで、その構成要素一つ一つを丁寧に磨き上げ、徹底的な洗練を施した上で、
ジミ・ジェイミソンの伸びやか且つエモーショナルな歌声が乗っけられた収録曲の数々は、産業ロックの
一つの理想形とでも言うべき美しいシルエットを描き出し、JOURNEY、STYX、FOREIGNERといった同ジャンルの
先輩バンドが残した数多の名曲群と比べても、何ら遜色のない眩い輝きを放つ逸品ばかり。
鮮烈なポップセンスに彩られたOPナンバー①から、映画『ベストキッド』の主題歌として知られるラスト・ナンバー
⑩(日本盤のみ収録)まで全10曲、捨て曲がないのは勿論の事、全ての楽曲がシングル・カット可能なクオリティを
備えている本作だが、中でもSURVIVORのロック・サイドを代表する爽快感漲る③と、メロウ・サイドを代表する
感動的な名バラード④の連続攻撃には、メロディ愛好家ならグゥの音も出ない程に打ちのめされること請け合い。
SURVIVORの商業的代表作が『EYE OF THE TIGER』なら、質的な代表作は間違いなくコレ。君、聴かずに死にたもう事なかれ。


SURVIVOR - When Seconds Count ★★ (2010-02-27 20:51:00)

5th『VITAL SIGNS』が一定の成功を収め、映画『ロッキー4』に主題歌として提供した“BURNING HEART"も
(ディオンヌ・ワーウィックの有名曲“愛のハーモニー"に№1の座こそ阻まれたものの)シングル・チャート
最高第2位にランクインする大ヒットを飛ばした事で、ヘッドライナー・バンドへと昇格を果たしたSURVIVORが、
その結果持ち得た精神的余裕と勝ち組の貫禄を持って制作、'86年に発表した6thアルバム。
プロデューサーには再度ロン・ネヴィソンを起用し、前作の必勝パターンを手堅く再現してみせた本作は、
やや歌モノ志向が強まり躍動感が薄まった点を除けば、ヒット曲“HIGH ON YOU"を彷彿とさせるOPナンバー①といい、
前作のハイライトだった“FIRST NIGHT"から“THE SARCH IS OVER"への流れをそのまま裏返したかのような
④⑤の展開といい、全体的に『VITAL SIGNS その2』的な色合いが強く感じられる仕上がり。
と言ってもそれが悪いなんて事はなく、定まった型の中で、似て非なる名曲を生み出し続けるSURVIVORの
曲作りの上手さに心底感心させられた次第。特にA面サイドの充実っぷりは尋常じゃなく、殊に、ポップでキャッチーな
③(シングル・チャート最高8位にランクイン)、萎えた心に喝を入れてくれる誇り高きバラード④、
華やかに躍動する曲調に心浮き立つ⑤は、メロディアスHRファンなら必ずや胸打たれるであろう必聴の名曲。
リリース当時、ビルボード最高47位程度の成績しか残せなかった事実が俄かには信じ難い、産業ロック史に
燦然と輝く名盤にして、『VITAL SIGNS』と並んでSURVIVOR入門篇に打ってつけの1枚かと。


SUSIE HATTON - Body and Soul ★★ (2024-07-23 01:22:57)

80年代前半にデビューし、大なり小なりの成功を手中に収めたバンドのメンバーが自身のキャリアが一段落したことを契機に、今度は新人の育成業に乗り出す事例が目立った90年代初頭。オハイオ州シンシナティ出身の女性シンガー、スージー・ハットンはPOISONのブレット・マイケルズの全面バックアップを受けて'91年にこの1stソロ・アルバムを米メジャーのWEA RECORDSから発表しています。
才能に目を留めたというよりは、当時付き合ってたにあった恋人のデビューに手を貸したというのがぶっちゃけたところのようで(POISONの“FALLEN ANGEL”のPVにも出演している)、正直シンガーとしては声質にパンチが欠け、表現力もまだまだ発展途上。ただ貫禄に乏しくとも「一生懸命歌ってます」感はひしひしと伝わってくるので、ブレットならずとも応援したくなる気持ちは分からなくもないという。
また収録全曲の曲作りに彼氏が関与しているだけあって、甘くキャッチーなOPナンバー①、ゴキゲンに跳ねる②、サックスをフィーチュアしたゴスペル風バラード③…といった具合に、明るく軽快なロックンロールはPOISONにも通じる親しみ易いポップ・センスに彩られた仕上がり。まぁスージー嬢の歌唱力同様、これ!という決定打に乏しいため全体を通じて強烈なインパクトを残せていない辺りは歯痒いものがありますが…。
2枚、3枚とアルバム・リリースを重ねてシンガーとしての実力アップを披露して欲しかったところなれど、残念ながら本作が最初で最後の作品となり、間もなくブレットとも破局した模様(それに関しちゃ「良かったんじゃね?」と思わなくもない)


SUSIE HATTON - Body and Soul - Blue Monday ★★★ (2024-07-24 23:55:56)

王道ガールズ・ロック!といった趣きでポップに跳ねるアルバムのOPナンバー。
甘くキャッチーなメロディ作りの巧さは流石ブレット・マイケルズといったところでしょうか。
星3つはPVバージョンに対してということで。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica ★★ (2017-05-14 23:26:18)

シンガーは後にイングヴェイとの活動で名を上げるマッツ・レヴィンで、⑩で歌っているのは現在NIVAを率いているトニー・ニヴァ。他にもヨラン・エドマンやジェイミー・ボーガー、ALIENのケン・サンディンらが在籍していたことがあったり、またTNTの初代Vo、ダグ・インゲブリットセンとの関りもあったりと、ファミリーツリーでも作った日にゃ相当複雑に入り組みそうなスウェーデン出身の5人組が、’89年発表した1stアルバム。
EUROPEに代表される従来の北欧メタルを「退屈なバンドばかり」とバッサリ切ってみせる彼らが本作で聴かせるのは、人を食ったバンド名(母国のポルノビデオシリーズがその由来だとか)や、華やかなルックス、レッツ・パーティ・ターイム!な歌詞等が物語る通り、シンプルでスリージーでワイルドなロックンロール・サウンド。
但しアメリカへの憧れをダダ漏れにしてはいても、メロディ・ラインがそこはかとなく涼感を湛えている辺りはやはり北欧産。特にフックを盛り込んだ楽曲作りの手腕は確かにメジャー・レーベルの目に留まるだけのことはあるなと。デビュー・シングル②が本国ではトップ10入り、アルバム自体もスカンジナビア4国を始め、ドイツ、オランダでも大ヒットを記録したそうですが(国内盤帯情報)、アリーナ・ロック然としたコーラス・ワークが抜群な③、乾いた哀愁漂わすバラード④、爽快且つパワフルなロック・チューン⑤といった、中盤に並ぶ充実の楽曲群を耳にすればそれも納得の出来栄え。
第一次北欧メタル・ブーム沈静後に出て来たバンド(D.A.D.とかELECTRIC BOYSとか)同様、当時はパスしていたのですが、改めて聴くとこれが結構イケていたという。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica - We're Wild, Young and Free ★★★ (2017-05-15 22:56:02)

事前情報なしに聴いたらまず北欧のバンドの手による
楽曲とは思えないであろう、しゃがれ声で歌われる
メロディにしろ、キャッチーなコーラスを分厚く覆う
ハーモニーにしろ、アリーナ・ロックの風情が濃厚に
匂い立つ名曲。それでいて、そこはかとなく涼し気な
空気も運んでくる辺りは北欧風味でもあるという。


SWEET - A ★★★ (2022-04-21 00:50:23)

80年代半ばに盛り上がった再評価の機運に乗じ復活を果たしたSWEETでしたが、その後まもなく四分五裂。一時はメンバー各自がリーダーを務める4つのSWEETが乱立するというカオスな状況を招くも(それぞれの活動時期には多少のズレあり)、アルバム・リリースまで漕ぎ着けたのは、このアンディ・スコット(G)が率いたSWEETのみでした。
本作はANDY SCOTT’S SWEET名義で’93年に発表された1stアルバムで、レコーディング・メンバーには元LIONHEART~MSGのスティーヴ・マン(B)らが名を連ねています。分裂劇の悪印象が相俟って「コレジャナイ感」を背負わされたのか、発売当時、雑誌レビューでは30点台を食らうなど評価はケチョンケチョン。でも時間を置いて冷静になってから聴き直せば、親しみ易いポップなメロディといい、ライブ映えする躍動感に満ちた曲調やコーラス・ワークといい、いやこれ全然悪い出来じゃないっすよ。
爽快感と高揚感を伴うSWEETらしさ満点のOPナンバー①を皮切りに、カヴァー曲とは思えぬハマリっぷりで疾走する②、憂いを帯びたドラマティックなバラード⑩辺りを聴けば、アンディがファンが期待する70年代SWEET像への回帰を強く意識していることは明らかであり、特に哀愁のメロディに彩られたキャッチーな⑪なんて絶品じゃありませんか。
かつて「悪魔のハーモニー」と評された空中戦の如く飛び交うボーカル・ハーモニーが控えめな点や、収録曲の出来栄えに若干ムラがあることも本作の小粒感に拍車を掛けますが、とはいえ、過小評価に晒され廃盤状態のまま放置しておくのは勿体なさ過ぎるクオリティを有した1枚であることは、断固として主張しておきたいところであります。


SWEET - Cut Above the Rest ★★★ (2021-01-18 22:57:29)

ツアー生活の疲弊からアルコールに走るようになり、バンド内で軋轢を生じ始めたブライアン・コノリーが脱退。後に残されたメンバーはトリオで活動を継続することを決断し、所属レーベルをPOLYDOR RECORDSに替えて心機一転を図ると、セルフ・プロデュースでレコーディング作業を行って’79年に本7thアルバム(邦題『標的』)を発表しました。
看板メンバーだったコノリーの脱退に加えて、発売されたアルバムは全米チャートで100位内に入ることも叶わない寂しい成績…ってな事前情報に惑わされ、紙ジャケ再発されるまで聴いたことがなかった本作ですが、実際にトライしてみれば、SWEETの他のカタログにも決して聴き劣りしない素晴らしい内容で「こりゃ結構なお点前ですよ!」と思わず居住まいを正してしまった次第。
ここで披露されているのは、前作のアメリカン・メロハー路線を更に洗練させ、キャッチーなメロディを甘美なハーモニーで包んだ、例えばELO辺りにも通じる魅力を放つポップ・ロック・サウンド。ドイツでシングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたという①みたいな親しみ易いハードポップ・チューンも非常に和めるのですが、甘さ一辺倒では終わらず、エッジの効いたGが曲展開を主導するロック賛歌の⑤、スペーシーなシンセを活かしたプログレッシブ・ロックにも通じるドラマ性を宿した⑦といった、ピリッと本編を引き締めるHRナンバーを要所に配置。その⑦を敢えて先行シングルに選ぶ攻めた姿勢からも、バンドの「舐めてくれるなよ」との主張が聞こえてくるようじゃないですか。
こうなると、未聴の最終作『IDENTITY CRISIS』も聴きたくなってきますね。


SWEET - Cut Above the Rest - Discophony (Dis-Kof-O-Ne) ★★★ (2021-01-20 00:20:14)

英国におけるニューウェイヴブームを皮肉った歌詞、
ディスコミュージックのパロディ的フレーズを要所に散りばめつつも
飽くまで曲展開を主導するのはハードなGという
SWEETのロック・バンドとしての矜持が刻まれた逸品。


SWEET - Cut Above the Rest - Mother Earth ★★★ (2021-01-20 00:24:20)

6分越えの長尺をスペーシー且つドラマティックに語りきる、
プログレッシブ・ロック・テイストも漂う名曲。
特にピアノが華麗に閃く中間部のアレンジが辛抱堪りません。
敢えてこの一筋縄ではいかない楽曲を先行シングルに選ぶ辺りからも
バンド側の「甘くみんなよ」(SWEETだけに)という
攻めの姿勢が感じられるのではないでしょうか。


SWEET - Desolation Boulevard ★★★ (2020-09-16 23:49:14)

グラム・ロックの源流の一つとして、後続勢に多大な影響を与えたSWEETが'72年に発表した3rd。
英盤と米盤で内容が若干異なっており、自分が所有しているのは米盤ベースの国内盤(邦題は『荒廃の街角』)。リリース当時は英米のチャートを席巻し、近年でも映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:REMIX』の予告編にフィーチュアされたことで再びリバイバル・ヒットを飛ばした代表曲“FOX ON THE RUN”を収録、SWEETが「ヒットメーカーにお膳立てされたアイドル・バンド」から「よりヘヴィなサウンドを追求するHRバンド」へと歩みを進める分岐点となった名盤です。
初期から培ってきた甘くポップなメロディ・センスや、親しみ易いキャッチーなコーラス・ワーク、QUEEN等に通じる高音ハーモニーといった従来の魅力に、タイトで歯切れの良いハードネスが加わった本編は、前述の“FOX~”を筆頭に、賑々しい“ロックンロールは恋狂い”、曲名通りのタテノリ・ナンバー“A.C.D.C.”、重厚に舞うボーカル・ハーモニーが印象的な“THE 6 TEENS”、ヘヴィなリフとポップなメロディのコントラストが絶品な“SWEET F.A.”等、硬軟のバランスに優れた名曲がズラリ。中でもHEATHENがカヴァーし、個人的に本作購入の切っ掛けともなった逸曲“SET ME FREE”は、明快なメロディにアグレッシブな疾走感といい、「これ完全にHMナンバーじゃね?」ってなカッコ良さに満ち溢れていますよ。
CDだと更にボーナス・トラックとして代表曲“ACTION”(DEF LEPPERDがカヴァーしていました)まで収録されているという至れり尽くせりっぷり。下手なベスト盤に手を出すくらいなら、SWEET入門盤には本作をお薦め致します。