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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5801-5900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5801-5900
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THE NIGHTS - The Nights ★★★ (2023-10-23 22:58:27)

THE NIGHTSといっても、お笑い芸人のことでなけりゃ、セガサターンの名作ゲームのことでもなく。「RECKLESS LOVEの5人目のメンバー」とも評されるプロデューサー/ソングライターのイルッカ・ヴィルタネン(G)が、新人フロントマンのサミ・ハイド(Vo)と共に立ち上げたプロジェクトのこと。
本作は彼らが'17年にFRONTIERS RECORDSから発表したデビュー作で、イルッカの嗜好的にてっきり80年代ど真ん中の王道ポップ・メタル・サウンドが披露されているものと思いきや、OPナンバー①のイントロから早くも表明されている通り、ザクザクと刻まれるリフ&リズムは案外にメタリックでアグレッシブ。また8分越えのドラマティックな大作⑦が物語る通り、曲によってはプログレ・メタル的な感触も漂ってきたりと、こうしたモダンなハードネスと、北欧のバンドらしい憂愁を湛えたメロディや美麗なボーカル・ハーモニーとの共存が、本編収録曲の大きな魅力の一つになっています。特に刻まれるGリフはヘヴィ、でもその上で甘い声質のVoが歌うメロディはすこぶるキャッチーで爽快というコントラストが絶品な⑩は、アルバムのハイライトに挙げるべき名曲ではないかと。
勿論ストレートに80年代テイストが打ち出されている、哀愁のハードポップ⑧や壮大なバラード⑪みたいな楽曲もありますし、個人的にはイルッカがメロディ・メイカーとしてのみならず、ギタリストとしてもその才を存分に発揮している②にも痺れさせて頂きましたよ。
プロデューサー業が多忙なのか、これ以降作品リリースが途絶えていますが、ぼちぼち次回作を発表して貰えないものでしょうか。


THE NIGHTS - The Nights - I Wanna Be Your Superhero ★★★ (2023-10-26 01:12:34)

イントロで刻まれるGリフは重たげですが、ハスキーボイスのシンガーが
歌うメロディは愁いを帯びてキャッチー。特に爽快感がハジけるコーラス・パートは
秀逸で、本作の個性が端的に示された名曲に仕上がっているのではないでしょうか。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea ★★★ (2023-04-19 00:00:28)

HELLOWEENを始めとするジャーマン・メタル勢、あるいはPRETTY MAIDS、TNTといった北欧メタル勢の作品を数多く手掛けて来たことで知られる名プロデューサー、トミー・ハンセン。その彼がかつてKey奏者として在籍していたデンマーク出身の5人組THE OLD MAN AND THE SEAが、’74年にひっそりと残した唯一のアルバム。
アーネスト・ヘミングウェイの代表作『老人と海』をそのままバンド名&アルバム・タイトルとして冠してしまう肝の太さにゃ「度胸ありますな」と。これで内容が伴っていなかったら赤っ恥もいいところですが、気炎を上げるトミー・ハンセンのハモンド・オルガンを前面に配し、負けじとパワフルに駆動するソリッドなGとヘヴィなリズム隊がハードな彩りを加える、DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、CREAMといった先達からの影響を北欧フィルターを通して濾過吸収したようなHRサウンドは、叙情的にして壮大かつプログレッシブ。
ダイナミックでスリルに満ちた曲想がまさしく大海への船出を思わすOPナンバー①、効果的に用いられたピアノやアコギがエピカルな曲展開を一層盛り上げる②、Gとオルガンが真っ向ぶつかり合って火花を散らすホットなHRナンバー③、序曲④を含めると10分越えの長尺が変幻自在かつドラマティックに綴られていく2部構成の組曲⑤⑥…と、全編これ捨て曲なしの仕上がりとなっています。
若き日のトミー・ハンセンのアーティストとしての瑞々しい煌めきがしかと刻印された名盤。これがリリース当時わずか500枚程しかプレスされず、長らく幻の逸品扱いされていったんですから、勿体ねえ。国内盤CD化に感謝ですよ。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea - Jingoism ★★★ (2023-04-20 00:24:30)

手数多めに畳み掛けるリズム隊に支えられたスピード感溢れる曲調に乗せて、
トミー・ハンセンが操るハモンド・オルガンと切れ味鋭いギターとが
白熱のバトルを繰り広げる、プロトタイプHMナンバーと評したくなる逸品。


THE PRESIDENT ★★ (2010-01-26 19:35:00)

プログレッシブ・ロック・バンド、KAYAKのドラマーだったピム・コープマンと、「ショッキング・ビートルズ」で
一世を風靡したSTARS ON 45出身のシンガー、オッキー・ハウズデンスが立ち上げ、'83年に『BY APPOINTMENT OF』、
'85年に『MUSCLES』という2枚のスタジオ・アルバムを残したオランダ産AORユニット。
ジャンル・ファンから「あのロブスターのジャケット」として語り継がれる『BY~』は特に人気の高い名作で、
確かBURRN!!誌のAOR/産業ロック特集にて、ORION THE HUNTERやSWEET COMFORD BAND、
FRANKE & THE KNOCKOUTS、それにSHOOTING STAR辺りと共に、5つ星の高評価を受けていたと
記憶している・・・のだが定かではない。(もう手元にないので)
ちなみにピム・コープマンは数年前に発表されたKAYAKの再結成アルバムに参加。
健在ぶりを世にアピールした。


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF ★★ (2010-01-26 19:36:00)

オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、KAYAKのドラマーだったピム・コープマンと、同郷出身のシンガー、
オッキー・ハウズデンスの立ち上げたAORプロジェクトが'83年に発表した1stアルバムで、ジャンル・ファンには
「ロブスターのジャケット」でお馴染みの逸品。(邦題は『ホット・ブラッド・サマー』)
曲によってはちゃんとGが自己主張をしていたりと、AOR系作品群の中では比較的ロック色の強い1枚とされているが、
それでもそのサウンドは、リズム面の淡白なアレンジを筆頭に、HMはおろかHRとすらかなりの距離を感じさせるものだし、
元KAYAKという出自から期待されるようなプログレ色も殆どない。(インスト曲にちょこっと匂う程度?)
但し、「キャッチーとはこういう事だ!」と言わんばかりの、強力なフックを有するメロディのクオリティは
文句なしで素晴しい。リリース当時話題を呼んだという①はそれほど大した曲だとは思わないが、ハーモニカ(?)が
奏でる泣きのフレーズが良いアクセントとなっている②以降は、洗練されたAOR系バラードのお手本のような③、
ドン・ヘンリー風のホロ苦Voに絡む華やかなコーラスが印象に残る④、心地良く弾む⑤、産業ロック調の憂いを帯びた
⑥・・・と、腕利きソングライターによる丁寧な磨き上げがなされた、ポップで小粋な楽曲が目白押し。
激音好きにはとても薦められた代物ではないが、メロディ重視のHR/HMファンなら生涯の愛聴盤になる可能性大の1枚。
(※追記:アルバム・タイトル表記にミス有り。正しくは『BY APPOINTMENT OF』です)


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - MAKIN' MILLIONAIRES ★★★ (2010-01-26 22:09:16)

AOR系バラードかくあるべし!といった感じの名曲。
仄かに哀愁を帯びたメロディを
まろやかに歌い上げるVoの上手さ、
楽曲を盛り上げる的確なアレンジの素晴しさが際立つ1曲。


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - THAT'S THE WAY THAT IT IS ★★★ (2010-01-26 22:14:15)

憂いを帯びた曲調に、JOURNEY風のシンセ・リフを
取り入れた産業ロック風味漂う名曲。
しっかりと主張するGソロもフィーチュアし、
本編で最もHR寄りの仕上がりか?


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - WORKIN' GIRL ★★ (2010-01-26 22:04:51)

しっとりとした哀愁を帯びた、
都会的な洗練を感じさせるポップ・ナンバー。
ハーモニカが奏でる泣きのフレーズが心地良い。


THE RODS - The Rods ★★ (2008-11-09 11:02:00)

ロニー・J・ディオの従兄弟で、ELFの初代Gでもあったデイヴィッド“ROCK"ファインスタインが、
Dsのカール・キャネディらと共に結成、活動初期には、あのMANOWARのジョーイ・ディマイオも
曲作りに参加していたというNY出身のパワー・トリオTHE RODSが、'81年に発表した1stフル・アルバム。
80年代初頭、古参メタラーから「西のY&T、東のTHE RODS」と並び称されたのも今は昔。日本における彼我の人気差は、
このサイトにおける、両バンドへの投票数を見比べれば悲しでまでに一目瞭然だが、どっこい
本作の内容はY&Tの傑作群と比べたって、決して引けを取るものではない。
ブルーズ・ベースのロックンロールをNWOBHM風に仕上げた、埃っぽくもワイルドなサウンドは、どこか明るくなりきれず、
硬質な哀愁と醒めた雰囲気が漂う辺りが、如何にもNY出身の都会派バンドといった趣き。随所で炸裂する
「前を見据えた戦士の目から、ポロリと零れ落ちる一筋の涙」的な(分かり難い例え)男泣きメロディも
良いアクセントとなっていて、特に、パワフルなVo、エッジの効いたメタリックなGリフ、雷鳴の如きリズム・セクション、
そして泣きのGソロが一丸となって突貫する①は、タイトに刈り込まれたランニング・タイムの中に、THE RODSという
バンドの魅力が判り易く詰め込まれた名曲。(意外なくらい分厚いボーカル・ハーモニーも印象に残ります)
THE RODSは他にも数枚のアルバムを残しているが、↑上の方の仰る通り、無駄に飾らない、シンプルでストリートっぽい
雰囲気の滲み出るアルバム・ジャケットも無茶苦茶クールな本作こそが、入門編には最適でしょう。
ちなみに、リーダーのデイヴィッドは、現在は自己のバンドFEINSTEINを率いて元気に活動中で、このバンドの
プロデュースを手掛けているのが、旧友のジョーイ・ディマイオ閣下であることは良く知られた話。(か?)


THE RODS - The Rods - Ace in the Hole ★★ (2008-11-09 11:12:10)

「戦う男の哀愁」がプンプンと漂ってくる、
THE RODS流の泣きのバラード。
“POWER LOVER"と並ぶ、アルバム最大の聴き所でしょう。


THE RODS - The Rods - Power Lover ★★★ (2008-11-09 11:09:44)

THE RODSというバンドの魅力がギュッと詰め込まれた
パワフルな疾走チューン。
ライバル・バンドY&Tの泣きメロが「号泣」ならば、
こちらは「男泣き」とでも表現したくなる、
食いしばった歯の隙間から漏れる嗚咽的なGソロが良い感じ。


THE RODS - Vengeance ★★ (2011-06-30 23:00:34)

THE RODSとTOKYO BLADEが同じ月に新譜を出すなんて、今は一体昭和何年だよ?って感じですが、どちらも大変素晴しい作品なので問題なし。
デヴィッド“THE ROCK”フェインスタイン(Vo、G)は、自らの名を冠して'06年に立ち上げたプロジェクト、FEINSTEINの『THIRD WISH』(名盤!)ではメロディとドラマ性に拘った曲作りを展開していたが、THE RODS復活作たる今作では、装飾の類は一切排し、武骨なGリフ、肉厚なリズム、ハイエナジーなヘタウマVo、それに硬派な哀愁背負ったメロディとがパワフルに炸裂する、愚直なまでにストレートなHMサウンドを志向。
カール・カネディ(Ds)、ゲイリー・ボードナロ(B)ら、お馴染みのメンバーの再結集もプラスに作用したのか、ソリッドで小気味の良い曲調が『BRITISH STEEL』リリース時のJUDAS PRIESTを思わすOPナンバー①が明示する通り、その作風は徹底して原点回帰の姿勢が貫かれ、キャッチーな疾走曲③⑦⑩はデビュー作収録の名曲“TURBO LOVER”の現代的なリファイン版といった趣きだし、また本作のトピック、故ロ二ー・J・ディオが生前にレコーディングした最後の楽曲の一つとされる、重厚な⑤の有無を言わせぬ迫力の前には、ただ黙って頭を垂れるのみ。
贅沢言わせて貰えるならば、あとは濃厚に泣きまくるバラードがあれば尚最高だったんだけど、これだけでも十分お腹いっぱいになれる1枚である事は確か。
THE RODS、ここにあり!


THE RODS - Vengeance - Raise Some Hell ★★★ (2011-07-03 20:47:36)

ソリッド且つキャッチーに疾走するリフ&リズムや歌メロが
'80年前後(最も勢いがあった頃)のJUDAS PRIESTを
彷彿とさせ、アルバムへの期待感を煽るに十分な
カッコ良さを誇るOPナンバー。


THE RODS - Vengeance - Rebel's Highway ★★ (2011-07-03 20:43:19)

デヴィッドの歌声はやや衰えが感じられなくもないが、
雄々しく疾走する楽曲自体はTHE RODS印で
大変にカッコイイ。


THE RODS - Vengeance - Runnin' Wild ★★★ (2011-07-03 20:38:28)

勇壮且つキャッチーな曲調が
まさに往年のTHE RODSを思わす
復活作のハイライト・ナンバー。


THE RODS - Vengeance - The Code ★★★ (2011-07-03 20:40:29)

故ロ二ーが病魔の影響を全く感じさせない
威厳たっぷりな歌声を轟かせるヘヴィ・ナンバー。
彼が歌うに相応しいDIO風の重厚な曲調もナイス。


THE RODS - Wild Dogs ★★ (2009-07-20 22:28:00)

都会的なクールさ漂う硬派な楽曲に、活きの良いパフォーマンス(おまけに激渋なアートワーク)が
詰め込まれたセルフ・タイトルのデビュー作がNWOBHMに沸く英国で高く評価され、ここ日本でもマニア筋から
「西のY&T、東のTHE RODS」と並び称されたパワー・トリオが、'83年に発表した2ndアルバム。
彼らを語る上で外せない名曲“POWER LOVER"級のキラー・チューンは、残念ながら本作には見当たらないし、
前作に比べると、若干ワイルドさが薄れた気がしなくもないが、代わりに重厚感溢れる硬質な楽曲はHM度が大増量。
特に、メタリックに刻まれるGリフがイカス②、重たい杭が打ち込まれるかの如き③、タイトル通りの
猛々しさを誇る(タイトル・トラックでもある)⑤、VANILLA FUDGEのカヴァーながら違和感なくハマってる⑥、
そして男泣きを誘う熱き名曲⑧といったミドル~スロー・ナンバーのカッコ良さは前作以上といっても
過言ではないかと。(勿論、⑩のようなアップテンポの楽曲のカッコ良さも相変わらず)
1st『THE RODS』のイメージ・カラーをクールな「青」とするなら、本作はまさに燃える「赤」。
HM黎明期を代表する名盤でもある前作の陰に隠れて、知名度的にはイマイチな作品なれど、完成度では
決して聴き劣りしない1枚。・・・とか言いつつ、自分も購入したのは最近だったりするのですが。


THE SCOURGER ★★ (2009-07-12 22:12:00)

'03年にドラマーのセッポ・タルヴァイネンと、元GANDALFのヤリ・フルスカイネン(Vo)が中心となって
結成した、フィンランドはヘルシンキ出身のツインGを擁する5人組エクストリーム・メタル・バンド。
シングル“HATEHEAD"や“NEVER BURY THE HATCHET"、EP『MAXIMUM OF INTENSITY』をスマッシュ・ヒットさせ、
同国内において確かな地位を確立。ヒステリックなシャウト型Vo、刻み目の荒いGリフ、
タイトなリズム隊をフィーチュアした、切れ味鋭いオールドスクールなスラッシュ・メタルに、
現代的な攻撃性やモダンなアレンジを加えたサウンドがその持ち味で、
早ければ今年年末には3rdアルバムを発表予定。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence ★★ (2009-07-12 22:13:00)

セッポ・タルヴァイネン(Ds)が中心となって、フィンランドはヘルシンキにて結成された、元GANDALFの
ヤリ・フルスカイネン(Vo)らを擁する5人組が'06年に発表した1stフル・アルバム。
アルバムからの先行シングルとしてリリースされた“HATEHEAD"が、フィンランドのナショナル・チャートで
第1位を記録するという大ヒットを飛ばし、同国内において若手エクストリーム・メタル・バンドの有望株筆頭に
躍り出た事で知られる彼ら。今年リリースされた2nd『DARK INVITATION TO ARMAGEDDON』では
オールドスクール・テイスト色濃いスラッシュ・メタルを聴かせてくれたが、このデビュー作の時点では
楽曲といい、音作りといい、「デスラッシュ」と形容した方がシックリと来るサウンドで、取り分けリフ・ワークや
Voの歌唱スタイルからはAT THE GATESからの強い影響が伺える。(デモテープでは“COLD"のカヴァーを演っていたとか)
尤も、それが悪いなんてことはなく、北欧のバンドらしくメロディックに切り込んで来るツインGをフィーチュアして、
畳み掛けるように疾駆する楽曲の数々は単純にカッコイイし、何より、前述の大ヒット・シングル②に強く表れているように、
攻撃性のみならず、楽曲が常に一定のキャッチーさをキープしている点も○。特に、聴いてるだけで体が勝手に反応する
タイトなスピード・チューンがズラリ揃った、アルバム前半のクオリティなんて中々のモノじゃないでしょうか。
ちなみに現在は、SLAYERの“GHOSTS OF WAR"、TESTAMENTの“OVER THE WALL"といった名曲のカヴァーや、
新曲、ライブ音源から構成され、初登場3位を記録したヒット・シングル『MAXIMUM INTENSITY』を
追加収録した特別版が出回っているので、買うならそちらがお薦め。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Decline of Conformity / Grading: Deranged ★★ (2009-08-02 16:35:57)

冒頭に短いイントロ・パートがくっ付けられた
1stアルバムのOPナンバー。
切れ味鋭く疾走するリフ&リズムの上に、
トーマス・リンドバーグ似の絶叫Voが乗るという
デビュー作の方向性を判り易く示した名曲。
この頃はスラッシュというよりもデスラッシュ・メタル
といった趣きが強く感じられる。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Enslaved to Faith ★★ (2009-08-02 16:42:50)

Gリフからはパンキッシュなノリも感じられるのだが、
曲調自体は北欧のバンドらしく暗く翳りを帯びているという
ミスマッチの妙。
しつこくない程度に挿入される叙情メロディも効果的。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Hatehead ★★ (2009-08-02 16:38:01)

アグレッシブだがキャッチーという、
このバンドならではの強みが良く出てる1曲。
ただ、どう聴いたって直球ど真ん中の
デスラッシュ・ナンバーであり、
これがナショナル・チャートの1位を獲得しちゃうんだから
フィンランドってのは凄い国だなぁ、と。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Maximum Intensity ★★ (2009-08-02 16:39:15)

一際AT THE GATEからの影響が強く感じられるナンバー。
メロディックなGソロが印象に残る。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - The Oath & the Lie ★★ (2009-08-02 17:00:17)

注釈無用で激走する、1stアルバム最速のスラッシュ・ナンバー。
それでいてGソロはメロディックと、このバンドならではの
魅力が非常に良く表された1曲。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon ★★ (2009-07-12 22:16:00)

デビュー作『BLIND DATE WITH VIOLENCE』をスマッシュ・ヒットさせたTHE SCOURGERが、
その勢いを駆って'09年にリリースした2ndフル・アルバム。
『BLIND~』では、輸入盤店じゃ「AT THE GATESタイプ。GOOD!」とか書かれそうなデスラッシュ・メタルを聴かせてくれていたが、
今回は、刺々しいサウンド・プロダクションの下、不穏なイントロをささくれ立ったGリフが切り裂き、カミソリ度を増した
ハイテンションVoと、前作以上に練り込まれたGソロ(④⑩なんて思わず「おおっ」と前に身を乗り出しそうになる程)、
それにタイトな走りっぷりが痛快なリズム隊とが、一丸となって畳み掛けて来る②を手始めに、オールドスクールな
スラッシュ・メタル色が大幅増。取り分け、中東風味のメロディが奏でられる導入部から劇的に展開していく
アルバム表題曲⑦は、シャープな切れ味と独特のキャッチネスに加えて、モダンなアレンジや北欧のバンドならではの
冷気と哀感が織り込まれて疾走する、THE SCOURGER流スラッシュ・メタルの完成形とでも言うべき名曲かと。
流石にCHILDREN OF BODOMのヤンネ・ウォーマンをして「フィンランド最強のスラッシュ・メタル・バンド」と
言わしめただけの事はある、新世代スラッシャーならではの魅力に満ち溢れた快作。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - Dark Invitation to Armageddon ★★★ (2009-08-02 17:11:24)

エキゾチックなイントロに始まり、
スピーディ且つドラマティックに綴られる
起承転結を兼ね備えた曲展開が耳惹く
2ndアルバムのハイライト・チューンにして
THE SCOURGER屈指の名曲の一つ。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - In the Hour of Ruin ★★ (2009-08-02 17:20:05)

前曲“NO REDEMPTION"の勢いを受け継いで疾走する
高速スラッシュ・ナンバー。
隠し味として導入されているKeyや、ノーマルボイスによる
バックVoが良い仕事をしています。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - Last Nail to the Coffin ★★ (2009-08-02 17:17:39)

重厚且つ劇的に本編ラストを飾る、1stアルバムでは
見られなかったタイプのヘヴィ且つメロディアスな
ミドル・チューン。“TO TAME A LIFE"同様、
美しく劇的なメロディを奏でるGソロが秀逸。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - No Redemption ★★ (2009-08-02 17:05:51)

不穏さ漂う序曲“LEX TALIONIS"を経て
アグレッシブに疾走を開始する2ndアルバムのOPナンバー。
ブラスト・ビートも炸裂するが、音作りとVoの歌唱法が
変化しているせいか、デスラッシュ色よりも
スラッシュ・メタル風味の方が強く感じられる。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - To Tame a Life ★★ (2009-08-02 17:08:53)

これまでになかったタイプのミドル・チューン。
リフのカッコ良さゆえスピードがなくとも飽きる事はないし、
何より美しく劇的なメロディを紡ぎ出すツインリードが
素晴しいったら。


THE SHOCK - PINULTIMATE ★★★ (2014-01-14 22:27:56)

先日CD屋に足を運んだ際、遅れて来たNWOBHMバンド、VIRTUEが'86年に残した幻のEP『WE STAND TO FIGHT』が再発されていて驚いたのですが、それを見て思い出したのが、VIRTUEを母体に結成されたバンド、THE SHOCKと、彼らが'98年に残したこのデビュー作『PINULTIMATE』のことでした。
ここで聴かれるのは、幕開け役/幕引き役を担う①⑪の曲調が如実に物語る通り、濃厚に80年代風味を背負ったキャッチー且つ健康的なポップ・メタル・サウンド。(上で別の方が指摘している通り)STRYPERなんかを彷彿とさせる楽曲からはNWOBHM的な要素は殆ど見受けられませんが、ササクレたGの音色等、音作りがやたらにアグレッシブなのが本作の特徴で、このヨーロピアンHM調の装いと、スカッとアメリカンなノリの良さを伴った楽曲とのミスマッチ感が、作品に印象的なフックを生み出していました。
イギリス人の血の為せる業なのか、爽快な楽曲においても決して明るくはなり切れず、本家STRYPERに比べると荒っぽいボーカル・ハーモニー(トニー・オホーラやトニー・ミルズも参加)や、Voの拾う歌メロがどこか翳りを帯びているように感じられ、中でもリフ/リード両面において歯切れの良いプレイを連発するGの独壇場と言った感じの、ドライヴ感溢れる②⑥や、伸びやかな駆け抜けていく④は、このバンドならではの名曲と言えるのではないでしょうか。
成功を収めることは出来ませんでしたが、良いアルバム/バンドでした。


THE SHOCK - PINULTIMATE - Fruits of My Disease ★★★ (2014-01-15 22:14:40)

アルバム中においては“SIGN OF THE TIMES”と
双璧を為す、へヴィ・メタリックな名曲。
楽曲のカッコ良さといい、全編に亘って歌いまくる
ツインGといい、マット・シェルドンとボズ・ボズリー
コンビのセンスに鈍りは見られません。


THE SHOCK - PINULTIMATE - SIGN OF THE TIMES ★★★ (2014-01-15 22:10:55)

キャッチーなノリの良さと爽快なドライヴ感、
翳りを湛えたメロディとへヴィ・メタリックな
切れ味の鋭さ。アメリカン・テイストと
ヨーロッピアン・テイストのハイブリッドな名曲です。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE ★★★ (2014-01-03 23:54:17)

TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)、ZEBRAのランディ・ジャクソン(G)、STRANGEWAYSのテリー・ブロック(Vo)、KANSASのビリー・グリア(B)、BLACK SABBATHのボブ・ロンディネリ(Ds)ら、メロディ愛好家の食指をそそる面子によって結成されたスーパーグループ(・・・スーパー?)が、'02年に発表したデビュー作。
この顔触れゆえ、ベテランらしい落ち着き漂うAOR/産業ロック作品を勝手に予想していたのですが、色鮮やかに楽曲を飾り立てるマークのKeyワーク、それに立体的に構築されたボーカル・ハーモニーが華麗に舞う本作のサウンドは、TOUCHにも通底するアメリカン・プログレ・ハードのシルエットを程よくドラマティックに描き出しています。
特に、名曲が惜しみなく連打される本編前半のクオリティには目を瞠るものがあって、歌えるメンバーが揃っている強みを十二分に活かし切った、重厚なコーラス・ワークが絶品のOPナンバー①と、哀愁のボーカル・メロディと流麗なKeyの調べ、背景に埋没しない存在感を主張するメロディアスなGとが「ザ・プログレ・ハード」な世界を創出する④、それにテリー・ブロックのエモーショナルな熱唱が胸焦がすバラード⑤は、アルバムの白眉と言うべき逸品です。
面子の豪華さと、作品の質とが見事に合致した充実作。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE - ARYON ★★★ (2014-01-04 00:05:47)

Voの熱唱、流麗なKey、
ハードネスを損なうことなく曲展開を
劇的に盛り上げるGとリズム隊によって、
MAGNUM辺りにも通じる、聴き手を勇気づけるような
高揚感とドラマティシズムが作り出されている、
アルバム屈指の名曲。


THE STORM - Eye of the Storm ★★★ (2016-09-12 21:12:18)

2曲のヒット・シングルを生んだデビュー作に続く新作レコーディングのためスタジオ入りするも、時期同じくしてグランジ/オルタナ旋風が本格的に音楽シーンを席巻。流行に擦り寄るべく所属レコード会社が方針転換を図ったせいで、完成していたにも関わらず、長らくお蔵入りの不遇を囲う羽目になった2ndアルバムがこちら。
でも内容に関しちゃ、端正な音作りから、溌剌とキャッチーに弾むポップ・フィーリング、そして胸打つ抒情メロディに至るまで、「まるでJOURNEY」なメロディアスHRの輝きに鈍りなし。ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)、グレッグ・ローリー(Key)の本家JOURNEY組が醸し出す「本物」の深みと説得力を土台に、その上で707やTWO FIRESの活動等で知られるケヴィン・チャルファント(Vo)と、ニール・ショーンばりの官能的なロングトーンの使い手ジョシュ・ラモス(G)という、メロハー愛好家お馴染みの面子がエモーショナルなパフォーマンスを迸らせてくれるのですから、こんだけ高品質な作品がバンド活動停止後まで日の目を見なかったなんて、許されざる話ですよ。
と、そんな感じに褒めるべき所だらけの本作ですが、中でもケヴィン・チャルファントのVoの素晴らしさは特筆モノ。この人の声をまともに耳にしたのはTHE STORMが最初でしたが、殊に②⑩のようなバラード系の楽曲に響き渡る澄み切ったハイトーンは、己の小汚い耳垢を根こそぎ洗い流してくれるかの如き美しさ。聴く度に感涙に咽んでしまいますね。
下手にメジャーレーベルからリリースされてしまったせいで、なかなか再発がかからない1st『THE STORM』と併せて、メロディ愛好家なら避けては通れない名作ではないかと。


THE STORM - Eye of the Storm - Love Isn't Easy ★★★ (2016-09-12 22:40:32)

強い日差しに、低く垂れこめる入道雲etc.と、
夏の真っ青な青空が脳裏に思い浮かぶ爽快なロック・チューン。
力強いビートに乗って、その青空の中へ吸い込まれるように
伸びていくVoのハイトーンとGのロングトーンがこれまた胸を打つ。
世が世なら大ヒットしていてもおかしくなかった名曲です。


THE STORM - Eye of the Storm - Waiting for the World to Change ★★★ (2016-09-12 22:34:43)

80年代だったら間違いなくヒットチャート上位に
ランクインしていたであろう極上の名バラード。
ケヴィン・チャルファントの張り良し/艶良し/伸び良しと
三拍子揃ったハイトーンVoの威力には魂を持って行かれますよ。


THE STORM - The Storm ★★★ (2017-09-07 00:50:46)

90年代初頭に一度持ち上がったJOURNEY再結成の話が、(主にニール・ショーンとスティーヴ・ペリーの不仲が原因で)ポシャッてしまったグレッグ・ローリー(Key)、ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)の3人が、じゃあ自分らで同路線の音を演んべかと結成したバンドTHE STORMが、’91年にINTERSCOPEから発表したデビュー作。
元JOURNEY組以外の参加メンバーは、この頃から既にニール・ショーン度ド高めのGプレイを聴かせてくれるジョシュ・ラモス(G)に、スティーヴ・ペリーに勝るとも劣らぬ伸びやかな歌声を響かせるケヴィン・チャルファント(Vo)という、アメリカン・メロディアスHR街道一筋に歩んで来た面々。そんなわけで本作に託されているのも当然JOURNEY路線のメロハー・サウンドで、そのクオリティは本家にも匹敵します。あとリズム隊主導のバンドのせいか、出している音がJOURNEYよりグッとハード寄りという。それでいてメロディのフックにも抜かりがないことは、嵐のSEに導かれてスタートするOPナンバー①を聴いただけで明らかでして、この辺りの仕事っぷりは流石メロディ職人集団だなぁと。
全米シングル・チャート最高第26位にランクインした②や、爽やかに耳をくすぐる哀愁のメロディと、ソウルフルな歌声の相乗効果で夢心地へと誘われる⑥といった、グランジ/オルタナ・ブームの本格到来前にギリギリ滑り込みでスマッシュ・ヒットを飛ばしたパワー・バラードは、特にこのバンドの真骨頂が堪能できる名曲ではないでしょうか。
レコード会社の方針転換で、見事な完成度を誇りながらもお蔵入りの憂き目にあった悲運の次作共々、メロディ愛好家の皆様に是非お薦めしたい名盤であります。


THE STORM - The Storm - I've Got a Lot to Learn About Love ★★★ (2017-09-07 22:49:38)

ケヴィン・チャルファントの伸びやかな歌声と、
それと同じぐらいよく歌うジョシュ・ラモスのGが紡ぐ
草原を吹き抜けるそよ風の如き哀メロが心地良い。
リズム隊の踏ん張りが適度なエッジも加えてくれる
スマッシュ・ヒットとなったのも納得の
(いやむしろもっと上位に行っても良かったぐらいな)名曲。


THE STORM - The Storm - Show Me the Way ★★★ (2017-09-07 22:58:46)

Voのソウルフルな熱唱、Gのエモーショナルな熱演、
曲展開を息苦しいほどに盛り上げるKeyにリズム隊と
全メンバーが良い仕事しまくりでアルバムのハイライトを飾る名バラード。
BURRN!!誌の藤木記者が「結婚式にお薦め」と書かれていましたが
こんな名曲流された日にゃ、式そっちのけで聴き惚れてしまいそうですよ。


THERION ★★ (2007-10-21 21:37:00)

自分も見てきました。お昼からの登場ってのはバンドのイメージにそぐわないなぁ~、とか不満に思っていたのですが、
会場が室内だった事と、何よりバンドの素晴しいパフォーマンスに、そんな不満はあっという間に忘却の彼方へ。
曲の素晴しさは今更言うに及ばず、G、B、DSと共にステージに立つ、ルックスも歌声も対照的な、男性コーラス隊2人と
女性コーラス隊2人の存在が非常的に効果的で、ライブをより華やかに、ドラマチックに彩ってくれていました。
特に、活発に動き回りながら、気品漂う歌声と麗しいルックスで目と耳を楽しませてくれた
女性コーラス隊のカタリナ・リルヤ&ハナ・ホルゲンソン嬢の魅力は強力極まりない。
ライブが始まった時、会場には3分の1程度しか客がいなかったのですが、終わった時にはかなりの人数が
スタンディング・ゾーンを埋めていてたので、初来日公演としては大成功だったんじゃないかな、と。
個人的にも、直前のOUTRAGEのライブでクタクタだったにも関わらず、グイグイと惹き込まれて、最後まで楽しませて頂きました。


THERION - Deggial ★★ (2007-10-29 22:08:00)

ファンの評価が分かれる中期THERIONの作品の中でも、取り分け不人気らしい'00年発表の
この7thアルバムだが、個人的には結構お気に入りの1枚だったりする。
その理由はハッキリしていて、アルバム全編が、壮大且つ優雅なオーケストラ・サウンドに埋め尽くされた分、緊張感や
攻撃性に鈍りの感じられた『VOVIN』や『SECRET OF THE RUNES』に比べ、今回はクリスティアン・ニエマン(G)の
加入効果か、全体的にGサウンドが前に出て来ていて、楽曲にヘヴィ・メタル然としたエッジが戻って来ているから。
5th『THELI』以前の作風が復活したわけじゃないが、要所に配された、IRON MAIDEN風のリフをフィーチュアした
ドラマチックな②、本編随一のアグレッションを発散するタイトル・トラック⑥、BLIND GUARADIANのハンズィ・キアシュが
リードVoを執る⑨のようなヘヴィ・メタリックな楽曲が、アルバムの流れに起伏を生み出すと同時に
全体のテンションを高める働きをしていて、聴き進めてもダレることが殆どない。
勿論、生楽器の使用により、一層、音色に深みを増したオーケストラ・サウンドや、格調高いオペラVoといった要素を
有効活用した、美しくも物悲しいバラード④や、ラストを劇的に締め括るクラシックの名曲
⑪(OZZY OSBURNEやPRETTY MAIDSで有名)を収録するなど、従来のクラシカル路線の追求にも余念はない。
“WILD HUNT"のような分かり易い決め曲に欠けるため、一聴した印象は地味かもしれないが、この完成度の高さは流石だ。


THERION - Deggial - Deggial ★★ (2007-10-29 22:49:13)

「サウンドトラック」と揶揄される事の多い
中期THERIONのアルバムだが、実際に聴いてみると、
ちゃんとアグレッシブな楽曲も収録されていることに気付く。
この曲は、『DEGGIAL』の中でも、一際ハードに
疾走するアルバム・タイトル・トラック。
速いだけでなく、ドラマチックなのも良い。


THERION - Deggial - Eternal Return ★★ (2007-10-29 22:45:57)

優雅に始まり、6人編成時代のIRON MAIDENを思わせる
リフをフィーチュアしながら、
徐々に速度を上げてドラマチックに盛り上がっていく名曲。


THERION - Gothic Kabbalah ★★ (2007-10-21 21:06:00)

LOUD PARK 07で待望の初来日を果たし、期待通りのドラマチックなショウを展開してくれたスウェーデンの
個性派シンフォニック・メタル・バンドが、'07年に発表した10thアルバム。
壮大なオーケストラ・サウンドが、より自然に楽曲の中に織り込まれた事で、従来の優雅さと劇的さを保ちつつも、
ヘヴィ・メタリックな攻撃性を取り戻した本作は、リーダーのクリストフェル・ユルソンが尋常ならざる創作意欲を
発揮した結果、前作『LEMURIA/SIRIUS B』に続いて2枚組仕様と相成ったわけだが、ボーナス・トラックを含めて
全17曲収録、トータル・ランニング・タイムが90分を超えるボリュームにも関わらず、捨て曲なし、
埋め曲なし、ダレ場なしと、相変わらずそのクオリティの高さには微塵の揺るぎもない。
オペラVoに対抗するマッツ・レヴィンのメタルな歌声、リフにソロにとアグレッシブに動き回るG、
スピーディに疾走するリズム隊等、バンド・サウンドが楽曲の主導権を握った事で、一層強化された
ヘヴィ・メタル・テイストが、冗長さを排して作品全体をガッチリと引き締めているのが重要なポイント。
またメロディも、前作より更にドラマ性と煽情力を高めていて、それも如何にも北欧風の寒々としたモノではなく、
中東や南米の古代遺跡が目に浮かぶような、呪術的な神秘性と怪しげな味わいが非常に素晴しい。
クリスティアン・ニエマンのウリ・ロートばりのGソロが胸に染みるDISC-1③、フルートが大活躍するDISC-1⑦、
ハードな疾走チューンDISC-2④⑥、URAIAH HEEPのケン・ヘンズレーによるKeyも良い仕事をしている、DISC-2のラストを
ドラマチックに締める大作⑦といった楽曲には、そうした両者の魅力が判り易く表れているんじゃなかろうか。
THERIONのアルバムをここまで聴き込んだのは(正直な話)結構久し振り。5th『THELI』以来の傑作だ。


THERION - Lemuria / Sirius B ★★ (2007-11-01 19:50:00)

欧州圏における高い人気とは裏腹に、フェードアウト気味だった日本での人気低下に歯止めを掛け、メタル・ファンに
「THERION健在なり」との認識を新たにさせた'04年発表の会心の一作。尚、クリストフェル・ユルソンが
己の創作能力をブーストさせた結果、2枚組仕様にて8th『LEMURIA』と9th『SIRIUS B』の同時リリースと相成った。
DISC-1の①で、いきなり4th『LEPACA KLIFFOTH』以降は封印されていたデス声が炸裂する事からも分かるように、
これまで作品の中核を成していたオーケストラ・サウンドが脇へと引き、代わりに、重厚なリフを刻むG、
パワフルなリズムを叩き出すDs&B、ゲスト参加のマッツ・レヴィンのVoといったバンド・サウンドが
前面に押し出され、メタリックなエッジとヘヴィネスが強調された楽曲が、本編の半数以上を占める。
勿論、壮麗なオーケストラ・サウンドは健在なれど、今回は「彩り」に徹している印象。また、コーラス・パートに
オペラの合唱隊ではなくソリストを起用した事で、楽曲の輪郭がより明瞭になった感あり。
まぁ、それはそれとして『LEMURIA』を聴いた時は、②⑨等、素晴しい曲もあるが、全体としては
少々地味かなとも思ったのだが、続く『SIRIUS B』のクオリティの高さはなかなかのモノ。
OPナンバーに相応しい荒々しさと勇壮さを誇る①、寒々しく怪しげな雰囲気が漂う③、ダイナミックに
展開していく組曲⑤⑥、そして名曲“THE WILD HUNT"を彷彿とさせるパワー・メタル・チューンながら、
オーケストラ・パートを巧みに織り込んだアレンジが秀逸な⑪・・・と、基本的に捨て曲なし。
この方向性は次作にも受け継がれ、より練り上げられた傑作10th『GOTHIC KABBALAH』を生み出すこととなる。


THERION - Lepaca Crifoth ★★ (2007-10-25 23:04:00)

北欧メロディック・デス・メタル黎明期の'93年に発表された3rd『SYMPHONY MASSES:HO DRAKON HO MEGACE』は、
その後のシーンの隆盛を予感させる作品の1つだったが、'95年発表のこの4thアルバムに至っては、
そこから更に一足飛びの音楽的進化を遂げ、ファンの度肝を抜いた。
重く禍々しいリフ・ワークと、クリストフェル・ユルソンのアグレッシブなVoスタイルにこそデス・メタルの面影が
残るものの、スピードを控えめにしてジックリとドラマを醸成する曲調や、気品と優雅さを演出するオペラVo、
リフにソロにと大活躍して、楽曲のスケール感を高めるKey、そして何より大幅増量されたクラシカルなメロディの
数々から構成される楽曲は、最早、デス・メタルと言うよりも、シンフォニックなヘヴィ・メタルといった趣き。
勿論、デス・メタリックなブルータリティを撒き散らす④⑦の如きナンバーも収録されてはいるが、そうした曲にしても、
インスト・パートは非常にメロディアスでドラマチック。中でも厳粛な⑤は、その後のTHERIONの方向性を決定付けた異色曲だ。
クリストフェル的には、もっと大掛かりにそうした要素の導入を考えていたらしいが、レコード会社から予算が下りずに断念。
ところがそのお陰で、ダイナミックな曲展開がOPを飾るに相応しい①や、メロディック・パワーメタル風味の⑥、
ファンファーレ・メタルとでも言うべき大仰さでエンディングを締め括る⑨のような、デス・メタルのエッジとシンフォニックな
荘厳さを兼ね備えた、このアルバムならではの強力な名曲が誕生したのだから、結果オーライ。(ちなみに⑧はCELTIC FROSTのカヴァー)
同時期に登場したメロデス群とは全く異なる方向へと進化を遂げた、THERIONの特異な個性が光る1枚。


THERION - Lepaca Kliffoth - Black ★★ (2007-10-27 13:49:52)

引き摺るようなヘヴィ・リフに怒号と美しいソプラノVoの
対比も鮮やかな序盤から徐々にスピードを上げて行き、
疾走するリズムの上に、ゆったりとした勇壮なメロディが乗るインスト・パートは、
どことなくジャーマン・メロディック・パワー・メタルを思わせるドラマティックな名曲。


THERION - Lepaca Kliffoth - Evocation of Vovin ★★ (2007-10-27 13:55:22)

疾走するイントロのGとKeyのリフで掴みはOK。
あまり上手くはないが、「聴かせる」メロディを丁寧に紡ぐ
クリストフェルのGも美味しい。
オーケストレーションとオペラティックなコーラスを効果的に使って
アルバムのラストを締めるべく怒涛の盛り上がりを見せる様は、
殆ど「ファンファーレ・メタル」といった趣き。


THERION - Sirius B - The Khlysti Evangelist ★★ (2007-11-01 23:19:45)

怪僧ラスプーチンをテーマにした歌詞に相応しく、
聴いているとロシアの凍土が思い浮かぶ、
寒々しく、荘厳で怪しげな雰囲気が素晴しい。


THERION - Sirius B - The Voyage of Gurdjieff(the Fourth Way) ★★★ (2007-11-01 23:09:44)

“THE WILD HUNT"以来、久々の直球パワー・メタル・チューン。
ただし、オーケストラ・サウンドの使い方が、より洗練されたせいか、
“THE WILD~"よりも遥かにドラマチック。


THERION - Sitra Ahra ★★ (2010-10-23 01:05:42)

マッツ・レヴィン(Vo)やリズム隊が脱退する等、バンドの陣容は大きく様変わりしているものの、ブレインたる鬼才クリストフェル・ユルソン(G)さえ健在ならばそれで万事OKなTHERION、'10年発表の11thアルバム。
シンフォニックな華麗さ以上に、へヴィ・メタリックな重厚感やアグレッションを強調した作風は前2作と同様だが、それもその筈で、本作は8th『SRIUS B/LEMURIA』レコーディング時にクリストフェルが尋常ならざる創作意欲を発揮した結果、膨大に書き溜められ同アルバムには収まりきらなかったマテリアルによって構成されており、実質的には10th『GOTHIC KABBALAH』よりも以前の時系列に位置する作品とのこと。
但し「だからと言って余り物で構成されてるわけじゃないよ」とクリストフェルが語るように、壮麗、劇的、それでいてヘヴィネス漲るOPナンバー①を手始めに、今回も大仰且つドラマティックなシンフォ・メタルが全編に渡って炸裂。特に、IRON MAIDENからの多大なる影響を、クラシカルなオーケストレーション、オペラティックなクワイア、そして壮大なスケールの曲展開を持ってTHERION流メタルに昇華してみせた②はアルバム屈指の名曲。
プロダクションの問題なのか、時々やけにこじんまりとしたサウンドに聴こえてしまう点と、ところどころで顔を覗かせる牧歌的なメロディ/アレンジが全体の緊張感を削いでしまっているような気がしなくもないが、まぁその辺りは好みの問題かと。
前2作とは異なるシングル・アルバム形態での発売ゆえ手を出し易いので、THERION未体験の方は入門編として如何でしょう?


THERION - Sitra Ahra - Kings of Edom ★★★ (2010-10-23 01:19:11)

エキゾチックなメロディ、IRON MAIDENばりに劇的にハモる2本のG、
壮麗なオーケストレーションにオペラティックなコーラス、
山あり谷ありで緩急に富んだ曲展開・・・と
現行THERIONの魅力の全てを結集したかの如き必殺の名曲。
この曲を聴くためだけにでも、『SITRA AHRA』を購入する価値が
あるんじゃないでしょうか?


THERION - Symphony Masses: Ho Drakon Ho Megas ★★ (2007-11-14 20:30:00)

'93年にリリースされ、日本の輸入盤市場でもかなり話題となった、初期メロディック・デス・メタル・シーン
屈指の名作の1つにして、初期THERION(デス・メタル路線)の集大成的作品でもある3rdアルバム。
'90年発表の前作『BEYOND SANCTUM』において、早くもメロディへの拘りを発揮していたTHERIONだが、本作では
そのセンスがいよいよ全面展開。大々的にフィーチュアされ、クラシカルなフレーズや大仰なファンファーレを
奏でるKey、寒々しく悲哀に満ちたメロディを紡ぎ出すG、起伏に富んだダイナミズム溢れる曲展開によって演出される、
宗教的荘厳さやオペラティックなドラマティシズムは、前2作とは比較にならないレベルの高さ。
とは言え、重く、暗く、引き摺るように刻まれるGリフ、ディープなグロウルを響かせるVo、自己主張の激しいB、
要所で炸裂するブラスト・ビートといった要素は、未だ完全にデス・メタルのそれ。華麗且つ優雅なシンフォニック・メタル道を
突き進む現在ほどの劇的さはないものの、その分、荒々しく凶暴な「メロディック・デス・メタル・バンド
としてのTHERION」の魅力が、彼らの全カタログ中、最も堪能できる内容に仕上がっている。
アルバム前半こそ、比較的コンパクトにまとめられたストレートな楽曲が並ぶが、正統派へヴィ・メタリックな
リフのカッコ良さが際立つ⑤以降は、「これぞTHERION!」という怒涛の盛り上がりを聴かせる、ドラマティカルな楽曲が続く。
また、本作はアートワークから歌詞世界まで(若気の至りと言うべきか)アンチ・クライスト思想が強く打ち出されていて、
そのため、アルバム発表後に対立する悪魔崇拝の他セクト(悪名高きインナー・サークル)から襲撃を受け、
スタジオに放火されるという騒動を引き起こした、曰く付きの1枚でもある。


THERION - Symphony Masses: Ho Drakon Ho Megas - Dawn of Perishness ★★ (2007-11-18 18:12:38)

THERIONがデス・メタル・バンドから大きく変貌を遂げた事を
端的に物語る、3rdアルバムのハイライト・チューン。
正統派へヴィ・メタリックなリフのカッコ良さが際立っています。
あと、何度聴いても最後の歌詞の部分が
「童貞」「辛いです」というコール&レスポンスに聞こえて仕方がない。


THERION - Symphony Masses: Ho Drakon Ho Megas - The Eye of Eclipse ★★ (2007-11-18 18:20:12)

メロディック・デス・メタル・バンドとしての
THERIONの魅力を判り易く伝える名曲。
暗黒版“FINAL COUNTDOWN"といった趣きのファンファーレを伴って、
ヘヴィなミドル・パートから高速ブラスト・パートまで、
振幅の激しい曲展開は、非常にダイナミック且つドラマチック。


THERION - Theli ★★ (2007-10-24 23:35:00)

LOUD PARK 07での初来日公演を体験して以来、すっかりTHERION熱が高まってしまった為、最近は彼らの
作品ばかり聴いているのだが、その中でも一番のお気に入りは、やはり、この'96年発表の5thアルバム。
ブルータルなデス・メタル・バンドとしてスタートを切ったTHERIONが、メロデス・シーン初期の名作の1つとして名高い
3rd『SYMPHONY MASSES:HO DRAKON HO MEGACE』と、音楽的に大化けを果たした衝撃の4th『LEPACA CRIFOTH』を経て、
遂にTHERION流メタルの基本形を確立するに至った本作は、レーベル移籍によりアルバムの制作環境が整った事で、
サウンド・プロダクションが飛躍的な向上を遂げただけでなく、これまでよりも更に大胆に投入されたKey、ストリングス、オペラVo等の
効果を得て、ドラマ性やスケール感を増大させた楽曲のクオリティといい、冒頭に序曲、中盤に間奏曲、ラストに終曲を配した
クラシカルで様式美を感じさせるアルバム全体の構成といい、過去の作品を大きく上回る内容に仕上がっている。
デス・メタル色はほぼ一掃されてしまったものの、必要にして十分なアグレッションを保っているのが、音楽性を拡散させた
後の数作と異なる点で、特に、チリチリしたGリフが激しくシュレッドされ、怒涛の如く突進するリズムに、
美醜の対比を為すドスの効いたシャウトとオペラティックなコーラス、劇的で華麗なインスト・パートといった要素を
兼ね備えた、クリストフェル・ユルソンの美意識の結晶と言うべき⑧は、THERION屈指の超名曲。
その他にも、バンドのテーマ・ソングであり、ライブの定番曲でもある②や、悲壮感タップリに泣きまくる
バラード風の⑨を筆頭に、全編これ捨て曲なし。本作を聴かずしてTHERIONファンは名乗れません。


THERION - Theli - Invocation of Naamah ★★★ (2007-10-27 14:01:15)

THERION・・・というか、クリストフェル・ユルソンの美意識の結晶と言うべき
美しくも激しく、そして堪らなくドラマチックな超名曲。
『THELI』のハイライト・チューンであるだけでなく、
THERIONの全楽曲の中でも屈指の完成度の高さでしょう。


THERION - Theli - To Mega Therion ★★ (2007-10-27 14:05:40)

彼らのテーマ曲であり、ライブの定番曲でもある。
「THE WORLD WILL BURN BY SORATHS FLAME」
「AND THROUGH THE SOLAR SIGN PROCLAM」
の部分の掛け合いは、THRIONのライブのお約束。


THOMAS LARSSON (2019-12-17 00:26:59)

リッチー・ブラックモア、ウリ・ジョン・ロート、スティーヴ・モーズ、ラリー・カールトンといったミュージシャンに憧れてギタリストの道を歩み始め、18歳の時にSIX FEET UNDERに加入して2枚のアルバムにそのプレイを刻む。
80年代後半から90年代前半にはBALTIMOOREやYEAH BOP STATIONといったバンド/プロジェクトに参加。更にヨラン・エドマン、ジョン・レヴィン、ヘンポ・ヒルデンらとKING SIGURDを結成し、後にここにEUROPEのリズム隊が合流する形で、グレン・ヒューズのバック・バンドが出来上がることになるという。
ジョン・ノーラムの紹介でグレンのソロ『FROM NOW ON…』のレコーディングに関わり、来日公演にも帯同した後、自身初のソロ・アルバム『FREERIDE』を完成させ'96年に日本のみでリリース。'06年には10年ぶりに2ndソロ『HARMONIC PASSION』も発表しています。


THOMAS LARSSON - Freeride ★★★ (2019-12-17 00:31:27)

トーマス・ラーソンと言えば、北欧メタルファンには「スウェーデンのDEEP PURPLE」ことSIX FEET UNDERのメンバーとして知られ、またドラッグ禍から立ち直ったグレン・ヒューズ復活を満天下に知らしめた名盤『FROM NOW ON…』(’94年)の誕生と、同作発表に伴う来日公演にも立ち会ったギタリスト。本作は彼が'96年に発表した初めてのソロ・アルバムで、日本盤は我らがゼロ・コーポレーションから発売されています。
キャリアがキャリアだけに、当然様式美系なサウンドを期待してしまうのが人情というものですが、意外にも本作に託されているのは、ブルージーな泣きのインスト曲からグルーヴィなロックンロールまで、黒っぽいフィーリング携えた渋めのHRサウンド。グレンがゼロに残したソロ諸作にも通じる方向性で、ヨラン・エドマン、エリック・ヤルマーソンらゲストVoの歌い回しもグレン・ヒューズ風。これ聴くとトーマス・ラーソンが『FROM NOW ON…』に関わるようになった理由がよく分かりますよ。
但し、黒っぽいと言っても「真っ黒ではない」のがミソ。トーマスのテクニカルなGプレイや彼が流麗に紡ぐメロディの端々からは、いかにも北欧出身らしい瑞々しい煌めきや抒情性が隠しようもなく零れ出していて、特に冷ややかな哀メロがキャッチーに駆け抜けるHRナンバー③は「これのためにアルバムを買え!」と思わず力説したくなる逸品。またヨラン・エドマンのソウルフルな歌声が7分越えの曲展開を劇的に盛り立てる⑦も本作の魅力を凝縮させた名曲に仕上がっています。
思ってた作風とは違いましたが、これはこれで全然有り!と、長年愛聴している1枚です。


THOMAS LARSSON - Freeride - Ruff Boy ★★★ (2019-12-18 00:42:45)

気怠いグルーヴがたゆたう前半はグレン・ヒューズの
ソロ作を思わせる横ノリ進行ですが、中盤で曲調がテンポアップすると
メロディは冷ややかさを、トーマスのGプレイも切れ味を一気に増すという
一粒で二度美味しい仕上がりの7分越えの大作曲。
ヨラン・エドマンがかなりグレンに寄せた歌声を披露していて、こちらも流石の上手さ。


THOMAS LARSSON - Freeride - Someday ★★★ (2019-12-17 01:03:38)

全体としてはブルージーなテイストが色濃いアルバム『FREERIDE』において
最も北欧メタル風味を濃厚に発散しているHRナンバー。
軽快に疾走するリズムに乗せて、哀愁の滲むVoが歌うキャッチー且つ
哀愁を湛えたメロディと、トーマス・ラーソンのよく練られたテクニカルな
Gプレイが、心の琴線もジャカジャカ掻き鳴らしてくれます。


THRASHER ★★ (2009-02-15 17:58:00)

'83年、THE RODSのドラマー(MANOWARの1stデモでもドラムを叩いていた事で知られる)
カール・カネディが、これまたMANOWARのメンバーと関係の深いギタリスト、
元SHAKIN' STERRTのアンディ“DUCK"マクドナルドと共に立ち上げたHMプロジェクト。
'85年にMUSIC FOR NATIONSから発表したアルバムには、ビリー・シーン(MR.BIG)、
故レット・フォリスター(RIOT)、ダン・スピッツ(ANTHRAX)、ジェイムズ・リヴェラ(HELSTAR)、
ダン・ビーラー(EXCITER)、ジャック・スター(VIRGIN STEELE)ら、有名ミュージシャンが
多数参加している事が話題を呼んだ。
THRASHERというプロジェクト名に反して、アルバムで聴けるサウンドは豪快なアメリカンHM路線だが、
面子が面子だけに、流石に質は高い。


THRASHER - Burning at the Speed of Light ★★ (2009-02-15 18:14:00)

THE RODSのドラマーにして、ANTHRAX、OVERKILLといったバンドの初期作のプロデュースを手掛ける等、
当時、NYへヴィ・メタル・シーンのちょっとした顔役でもあったカール・カネディが、元SHAKIN' STREETの
アンディ・マクドナルド(G)と共に立ち上げたHMプロジェクトTHRASHERが、'85年に唯一残した作品で、
ビリー・シーンやダン・スピッツら、日本でも名の知れたミュージシャン連中が多数参加している事でも話題となった1枚。
RIOTファンゆえ、故レット・フォリスター(Vo)の名前に釣られて購入した本作だったが、THRASHERというプロジェクト名に反して、
内容にスラッシュ・メタル色は皆無。どちらかと言えば、豪快なアメリカンHMサウンドがその持ち味で、カールの本職バンドである
THE RODSを思わせる部分もあり、あのバンドから欧州風味の泣きメロを薄めた感じ・・・と言えば判り易いか?
正直、余り好みの作風とは言えないし、面子の強力さに比べると完成度自体は「並」ってな気がしなくもないが、
とは言え、メロディにフックの効いた②、ハイテンションなロックンロール・ソング③、JUDAS PRIEST風味のGリフを備えた
正統派ヘヴィ・メタリックな⑥、そして、このプロジェクトを代表するパワー・チューン⑦といった楽曲のカッコ良さは流石。
CD屋だと「スラッシュ・メタル」の棚に置かれているのをよく見かける本作だが、スラッシャーよりもアメリカン・ロック・ファンに
お薦めの1枚・・・なのかな。上記した楽曲は、スラッシャーにだって必ずやアピールし得るカッコ良さだと思うけど。


THRASHER - Burning at the Speed of Light - Bad Boys (2009-02-15 21:00:41)

まぁ、どーっつう事のないロックンロール・ソングなんですが、
これをレット・フォリスターが、あの独特の声質を駆使して
熱唱すると、途端に聴き応えのある佳曲に早変わり。
得難いシンガーでしたねぇ・・・。R.I.P.


THRASHER - Burning at the Speed of Light - Burning at the Speed of Light ★★ (2009-02-15 20:52:38)

アルバム表題曲にして、本編のハイライト的存在の名曲。
ダン・ビーラー(EXCITER)のカミソリVoもインパクト十分ながら、
やはり本曲最大の聴き所は、アンディ・マクドナルド、ダン・スピッツ(ANTHRAX)、
ジャック・スター(VIRGIN STEELE)、そしてSAVOY BROWNのキム・シモンズによる
豪華なGバトルでしょうか。


THRASHER - Burning at the Speed of Light - Slipping Away ★★ (2009-02-15 20:57:19)

アメリカン・へヴィ・メタル調の楽曲が並ぶ本編の中にあって、
この曲はGリフといい、Voの歌うメロディといい、
ブリティッシュHMテイストが色濃く感じられる仕上がり。
ドラマティックなGソロも○。


THREAD WORM - DEATHSIDE DESTROY - PLAY ONLY NIGHT SONG ★★ (2007-11-18 18:23:52)

イントロで溜めてから、猛烈な疾走へと転じるという、
スラッシュ・メタル・アルバムのOPチューンとして
教科書通りの展開を聴かせてくれる1曲。
リフのカッコ良さはなかなかのモノ。


THREAD WORM - PARASITISM ★★ (2007-11-12 22:36:00)

同じSKULL CRUSHER RECORDSに所属するビジュアル系スラッシュ・メタル・バンドで、バンド名の語感も
似ているせいか、時々、北海道出身のGURADGE/CURSE(良いバンドでした)とゴッチャになってしまう事が
あるのだが、本作は大阪出身の4人組THRED WORMが'95年に発表した1stアルバム。
元ROSENFELDのVo、HISAYOSHIがバンドと共同でプロデュースを手掛けているという事で、サウンド的にもROSENFELDと
共通点の多いパワー/スラッシュ・メタルを演っているが(機械的なエフェクトで歪められたVoの歌唱はもろHISAYOSHI風)、
畳み掛けるように疾駆するOPナンバー①から、尋常ならざるアグレッションを発散するラスト・ナンバー⑧に至るまで、
重厚に刻まれるリフ、硬質なビートを叩き出すリズム隊、なかなかに聴かせるメロディを紡ぐG、
きっちりとメロディを追いかけて歌うVoといった要素から構成される楽曲は、ROSENFELDほどの際立った個性やドラマ性は
感じられないまでも、その分、ストレート且つ正統派へヴィ・メタル色の濃い仕上がりで、かなり取っ付き易い。
中でも、前述の高速スラッシュ・チューン①⑧、一際メロディックに展開する8分以上の大作③、パワー・メタリックな
リフのカッコ良さにグッと掴まれる④、華麗に疾走するGソロにガッツポーズものの⑤といった楽曲は出色の出来。
クオリティが高い割りに、一定のテンションで本編が進行していくため、山場に乏しい構成が惜しまれるが、とりあえず、
ビジュアル系云々という偏見から聴き逃すのは勿体無さ過ぎる、パワー/スラッシュ・メタル・アルバムの力作。


THREAD WORM - PARASITISM - BEYOND THE FUTURE ★★ (2007-11-18 18:29:34)

デビュー作の中でも一際メロディアスな8分以上に及ぶ大作曲。
メロディアスに歌い上げるVoや、
じっくりと聴かせるGソロなんかを駆使して、
長尺を飽きさせずに最後まで聴かせきる手腕は立派なもの。
この曲のみ、Voに機械的なエフェクト処理が施されていない点も良い。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime ★★★ (2016-01-18 21:45:23)

元祖HMギタリストとも言われるエイドリアン・ガーヴィッツが、兄のポール(B)、元SPOOKY TOOTHのマイク・ケリー(Ds)と共に立ち上げたバンドのデビュー作('71年)。
その本作を語る上で、まず外せないのがOPを豪快に飾る名曲①。軽快に刻まれる単音Gリフと、ドタバタ駆け回るリズムにグイグイ先導されて、熱気を放ちながら各楽器陣がドライヴしまくる様が完全にHMスタイルの先取り状態でカッコイイの何の。
この名曲を聴く為だけにでも購入する価値大いにありですが、実はその①は本編において例外的な楽曲で、全体的には70年代HR作品らしい、メロディアスでバラエティに富んだサウンドが志向されていたりして。
それでも、ストリングスに彩られた優美なバラード④で繊細にアコギを爪弾き、一転ワイルドな⑥ではBと息の合ったコンビネーションを披露し、そしてメロトロンをフィーチュアしたプログレ・タッチの重厚な⑩では、静から動へと徐々に熱気を帯びていく指捌きをスパークさせ・・・といった具合に、繊細さと豪快さを併せ持つエイドリアンのGプレイが本編の流れに一本筋を通してくれているため、散漫な印象は皆無。後にAOR系アーティストとしてキャリアを積むことになる彼の確かなメロディ・センスも、収録曲に魅力的なフックを構築してくれています。
CD化に際し「お勉強」のつもりで購入したら、逆にすっかりハマってしまった1枚でしたね。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime - Butter Queen ★★★ (2016-01-19 22:20:23)

ホットにドライヴしまくるエイドリアンのGのみならず
ドカドカ暴れ回るDs、Gにバチバチ絡んでくるBの
バトルっぷりが堪らなくスリリングでテンション馬鹿上がり。
まさしくHMスタイル先取りの名曲ですね。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime - Together ★★★ (2016-01-19 22:27:37)

メロトロンの抒情的な音色がプログレッシブ・ロック的感触も
付与しているアルバムのラスト・ナンバー。
終盤に向けて切れ味と緊迫感を高めていくGプレイのみならず
物悲しいメロディを訥々と歌うシンガーとしても良い仕事しています。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two ★★★ (2020-11-17 01:03:51)

元祖HMギタリストというと真っ先にその名が思い浮かぶアーティストの一人、エイドリアン・ガーヴィッツ(G)が、アメリカからイギリスへ帰国後、兄弟のポール・ガーヴィッツ(B)と共に結成したバンドTHREE MAN ARMY、’72年発表の3rdアルバム。タイトルが『TWO』なのに3rdアルバムとはこれいかに。しかも『3』と名付けられた未発表曲集まで別にあるというのがややこしさに拍車を掛ける。
1stでは複数のセッション・ドラマーが起用されていましたが、今作では(前作同様)名手トニー・ニューマンのみ起用。その効果がてきめんに表れた、名曲“BUTTER QUEEN”に匹敵するメタリックなアグレッションを放射するOPナンバー①を始め、ジェフ・ベックとの活動等で知られるこの腕利きの存在は、サウンドの迫力底上げに大きく貢献してくれています。次曲以降も、ブルージーな泣きが迸る②、疾走感溢れる③、タイトル通りスペーシー且つドラマティックに盛り上がっていく④、HMスタイルの先取りというべきマシンガン・リフが刻み込まれるインスト・チューン⑤、ストリングスをフィーチュアしてしみじみと綴られる抒情バラード⑥、そこから間髪入れずにハードに展開する⑦等々、充実した楽曲がズラリ。
熱いエモーションが脈打つエイドリアンのVoとG、音数多めに暴れ回るトニーのDs、ファンキーな演奏でそこに寄り添うポールのBとが、躍動感に満ちたアンサンブルで奔放に畳み掛ける、前作以上にメリハリとダイナミズムの効いた名盤。
半世紀近く前の作品とは思えぬ、今聴いてもメタル魂にボッと火を点される内容だけに、これがバンドの最終作となってしまったのが残念至極。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Irving ★★★ (2020-11-17 23:26:19)

どことなくYESの“HEART OF SUNRISE”を思い出したりもする
イントロのマシンガン・リフからしてもろにメタル。
荒れ狂うGに、受けて立つB、緩急の効いた曲展開…
楽器陣の丁々発止の絡みに圧倒されつつ聴き惚れる名曲です。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Polecat Woman ★★★ (2020-11-17 23:18:53)

豪快に刻まれるGリフに熱いシャウトといい、
HMのプロトタイプと呼びたくなるハード・ナンバー。
途中から曲の主導権を強引に奪うトニー・ニューマンの
派手なドラミングにも耳を奪われます。


THRESHOLD - Dead Reckoning ★★★ (2019-08-26 00:34:00)

カール・グルーム(G)率いるTHRESHOLDが'08年に発表した7thアルバム。後追いで聴いた次作『MARCH OF PROGRESS』(’12年)の傑作ぶりに感銘を受け、買ったはいいが積んだままにしていた本作も慌ててCD棚から引っ張り出してきましたよ。
EDGE OF SANITY等の活動で知られるフィンランドの鬼才ダン・スウァノがゲスト参加、デス声でコーラスを加える重厚にしてアグレッシブなOPナンバー①が物語る通り、本作においても、精緻に絡み合う楽器陣のアンサンブルとドラマティックな曲展開を活かし繰り広げられるプログレ・メタル・サウンドの切れ味は、一切鈍ることなく健在。メカニカルに刻まれるリフ&リズムが醸し出す冷ややかな空気と、切なさを湛えた抒情メロディやコーラス・パートを美麗に彩るボーカル・ハーモニーとが絶妙に描き出すコントラストは、さながら雲間から差し込む陽光のように聴く者の胸に優しく染み入ってきます。
特に9分以上に及ぶ大作ながら、憂いに満ちたVo、テクと表現力兼備のG、楽曲をウェット且つ劇的に彩るKeyの的確な仕事ぶりが相俟って、大仰さや複雑よりもメロハー物に通じる泣きメロとハーモニーの美しさにこそ悶絶させられる⑤はアルバムのハイライト。ここをクライマックスに、キャッチーな哀メロの波状攻撃に翻弄される④、疾走感溢れる⑥といったTHRESHOLDの魅力を凝縮させた名曲が連続する本編中盤は、とりわけメロディの素晴らしさが際立っています。
尚、そんな本作において絶品の歌唱を披露してくれていたアンディ・マクダウェル(Vo)は、この後体調不良からバンドを離脱。’11年に腎臓癌により急逝されています。合掌…。


THRESHOLD - Dead Reckoning - Pilot in the Sky of Dreams ★★★ (2019-08-26 23:41:36)

10分近くある大作ナンバーながら、大仰に構えたところはなく、
憂いに満ちたVoを前面に押し立て、それをGとKeyが抒情的にバックアップする様は
さながらメロディアスHRの如し。特に儚く舞うボーカル・ハーモニーの
泣きっぷりは涙腺を直撃してきますよ。長さを全く感じさせない名曲です。


THRESHOLD - Extinct Instinct ★★★ (2022-12-01 01:20:44)

遅まきながらイギリスのベテラン・プログレッシブHMバンドTHRESHOLDに対する興味が再燃し、00年代以前に発表された彼らの初期のカタログを中古屋で見かける毎にコツコツと買い集めて早数年。彼らの作品は日本盤が出たり出なかったなのですが、’97年発表の早口言葉みたいなタイトルも印象的なこの3rdアルバムは、ファンダンゴから日本盤がちゃんとリリースされています。
前作1枚のみで脱退した2代目Voグリン・モーガンの後任として、初代フロントマン――これ以降も出たり入ったりすることとなる――ダミアン・ウィルソンの復帰という人事異動を経た本作なれど、内容の方は、重々しく刻まれるリフ&リズム、山あり谷ありの険しい道のりを越えた末に美しい絶景が目の前に広がっていくような、複雑にしてダイナミックに編まれた曲展開、その上で潤いに満ちた歌メロを拾っていくダミアンのVoと、デビュー作で提示した音楽性を順調にブラッシュアップさせた仕上がり。
小曲ながら胸を打つバラード④⑧⑪に垣間見えるメロディ・センスの冴えと、難解さや実験性よりもヘヴィ・メタリックなドラマ性、構築感を前面に押し出した楽曲構成を両軸に繰り広げられるTHRESHOLD流プログレ・メタル・サウンドの魅力は、緊張と緩和の波状攻撃で畳み掛ける⑥、そしてアルバムのクライマックスを妖しくもドラマティックに盛り上げる8分越えの大作ナンバー⑩に集約されているのではないでしょうか。
プロダクションのクオリティも向上していて、確かに初期の名作との評価に恥じぬ1枚です。


THRESHOLD - Extinct Instinct - Part of the Chaos / Segue ★★★ (2022-12-01 22:30:03)

8分越えの大作ナンバーですが、重厚且つドラマティックな曲展開といい、
妖しくも叙情的なメロディを朗々歌い上げるVoといい、
プログレというよりは様式美ヘヴィ・メタリックな魅力を放っています。


THRESHOLD - March of Progress ★★★ (2019-04-08 00:02:54)

90年代初頭から堅実な活動を継続し、本国やドイツではチャート入りを果たせるぐらいのファン・ベースを築き上げた、カール・グルーム(G)率いる英国のベテラン・プログレッシブHMバンドが'12年に発表した8thアルバム。
このバンドの作品を購入したのは1st『WOUNDED LAND』(’93年)以来かなり久々でしたが、前任シンガーだった元SARGENT FURYのアンディ・マクダウェルが体調不良のため脱退し(その後腎不全で亡くなられていたとは…)、恋愛体質カップルばりに別れたりヨリ戻したりを繰り返しているダミアン・ウィルソン(Vo)がバンドへ三度復帰を果たした本作は、音作りや構成にやや詰めの甘さも見受けられたデビュー当時とは段違いの成長ぶりが披露されていて、感嘆を禁じ得ませんでしたよ。
プロダクションの質の向上は当然のこととして、収録曲の殆どが7~10分台と相変わらずの大作主義を主張しつつも、楽曲の輪郭を明瞭に描き出すエッジの立ったリフを刻み、美しいソロを奏でるG、重厚にしてメリハリの効いたリズム、壮大且つミスティックに奏でられるKeyとが曲展開にドラマと緊張感をもたらし、サウンド全体をグッと引き締めてくれています。キャッチーな抒情メロディを、湿り気を含んだ声質で柔らかに歌い上げるダミアンのVoも、この手のジャンルが露呈しがちな中弛み感や冗長さを排除するのに大きく貢献。特に緩急自在にしてドラマティックな⑤はアルバムのハイライトであると同時に、現行THRESHOLDの魅力の粋を結集した名曲と言えるのではないでしょうか。
「継続は力なり」という格言の意味を教えてくれる1枚でしたね。


THRESHOLD - March of Progress - Colophon ★★★ (2019-04-08 21:51:39)

引っ掛かり気味に進行するリズムの上で、
泣きのGソロ、冷ややかに滑るピアノ、そして潤いを湛えた
ダミアンの歌声が劇的に絡み合う、精緻でありつつキャッチーという、
THRESHOLD流プログレ・メタルの何たるかを示してくれる名曲です。


THRESHOLD - Wounded Land ★★★ (2017-12-18 00:42:50)

カール・グルーム(G)率いる英国の6人組が'93年に発表したデビュー作で、国内盤は翌'94年に我らがゼロ・コーポレーションからリリースされました。
DREAM THEATERが人気赤丸急上昇中だった当時、ゼロはオランダのプログレ専門レーベルSI MUSICと提携して、それなりの数のプログレ/ポンプ・ロック系作品を発売。試しにその内の何枚かには手を出したりしてみたものですが、血気盛んなボンクラ・メタラーにはどれもイマイチ刺激に乏しく、ピンと来なかったというのが正直なところ。
そんな中にあって、ゴッド(国内盤の解説も書いている)の耳目に留まり、BURRN!!誌レビューでもそこそこの評価を得た本作は、ザクザクと刻まれるエッジの鋭いGリフ、重厚なリズム、壮麗にサウンドを彩るKey、それに独特の「潤い声」が印象的なシンガーの歌唱を駆使してダーク&ドラマティックに繰り広げられる、メタリックな緊張感と、プログレ然とした技巧やドラマとが綿密に編み上げられた音世界が結構なインパクトを放っていました。特に『POWER ROCK TODAY』で頻繁に流れていた“PARADOX”は、これ聴いてショップへ買いに向かった者がいた(←俺)というぐらいの名曲です。
インディーズ制作ゆえの音質のショボさや、全体的に雰囲気が重苦しく緩急に乏しい点は初聴時から気になっていましたが、しかし8分、10分越えの大作曲をザラに収録しながら、最後まで一定のテンションの保ち続ける演奏と曲作りのセンスは、既に新人バンドとは思えぬ安定感と貫禄が感じられます。現在では欧州において確固たる支持基盤を構築し、息の長い活動を続けているというのも大いに納得できる1枚。


THRESHOLD - Wounded Land - Paradox ★★★ (2017-12-18 01:17:47)

確かラジオ『POWER ROCK TODAY』でこの曲を聴いて
CDを買いに走った覚えが…。
劇的なイントロで聴き手をぐっと掴み、
声質自体から泣きが滲むVoの熱唱と、
結構ザクザク刻むG、哀メロと静/動の対比が効いた
ドラマティックな曲展開からなる、
ゴッドが高評価を与えたのも納得の名曲ぶり。


TIGERTAILZ - Bezerk ★★ (2018-12-05 23:08:46)

'87年にデビュー。ケバいルックスとロックンロールを武器に「イギリス初のヘア・メタル・バンド」とも「POISONに対する英国からの回答」とも評されたTIGERTAILZが'90年に発表し、UKチャートTOP40に食い込むスマッシュ・ヒットとなった2ndアルバム。
本作から新Voとしてキム・フッカーが加入しており、このメンバー・チェンジが大正解。テクニック的には決して上手いシンガーではないものの、金属質なシャウトが迫力満点のVoを得て、HMとグラム・ロックという英国の伝統が上手いこと融合を見たサウンドがよりワイルドにビルドアップ。鬼の形相のあんちゃんが睨み効かせるインパクト大なジャケットに相応しく、攻撃的に刻まれるGリフとヘヴィなリズム・セクションが、どこかエキゾチックな雰囲気漂わすストリングスを纏ってズンズン突き進むOPナンバー①の迫力を耳にすれば、「見た目で侮っちゃなんねぇ」とお分かり頂けるのではないかと。
メタリックな切れ味と、このバンドの本道たるキャッチーなメロディ・センス/抜けのいいノリの良さがない交ぜになった⑦⑨、合唱を誘うコーラスをフィーチュアした爆走ナンバー⑩のような楽曲には無条件で体を揺さぶられてしまいますし、恰好はLAメタル風にキメてもやはり能天気にはなりきれない、英国出身バンドとしての「業」を感じさせるバラード⑤も愛しい名曲です。でまた本作のゲストが、ストリングス・アレンジ担当のドン・エイリーや、元URIAH HEEPのピート・ゴルビーという妙に渋い人選なのも、ハジけきれないイギリスのバンドっぽくてほっこりさせられるじゃありませんか。
帯の惹句が言う通り、《開けてごらん!ナンカとってもEXCITING!》な1枚でしたよ。


TIGERTAILZ - Bezerk - Action City ★★★ (2018-12-06 23:42:32)

リフの切れ味は鋭く、Gソロはフラッシー、
そしてサビメロも実にキャッチーと、
本場LAにも負けない、ペカーッと輝くような明るさで
躍動するポップ・メタル・ソング。


TIGERTAILZ - Bezerk - Call of the Wild ★★★ (2018-12-06 23:44:00)

ワッボーイ!ワッボーイ!
気が付けばコブシ振り上げながら合唱している
爆走ロックンロール・ナンバー。
こういうアグレッシブな楽曲でアルバムを締め括る姿勢は
HMバンドとして非常に信用できますよ。


TIGERTAILZ - Bezerk - Heaven ★★★ (2018-12-06 23:35:31)

気品を感じさせるピアノの旋律が優美さを演出する
英国のバンドならではの格調とドラマ性を湛えたバラード。
QUEENあたりにルーツを見ることが出来るかもしれませんね。


TILT - Tilt Trick ★★ (2018-08-23 23:06:24)

インディーズ・バンドながら、年間100本以上のライブを行い、全国津々浦々を精力的にツアーをして回ったことから「LIVEの帝王」(CD帯にも誇らしげに謳われている)の異名を取った名古屋出身の5人組が、’89年に発表したメジャー・デビュー作(2ndアルバム)
結成当初はKey奏者も在籍し、プログレ寄りの音楽性を志向していたそうですが、メンバー・チェンジを繰り返すうちにサウンドがブラッシュアップされ、本作で聴くことが出来るのは、AEROSMITH等に通じるハード・ロックンロール。正直、自分好みの作風とは言い難かったため、購入以来長らくCD棚の肥やしの一つになっていたのですが、TILTが近年復活を果たし、ライブ活動を行っているとのニュースを雑誌等で見聞きするようになって、久々に引っ張り出して聴き直している今日この頃。
日本のバンドがこの手の音を演ろうとすると、どうしても寒くなりがちな印象があるのですが、パロディやチープな方向に逃げず真っ向勝負を挑んでいる本作がきっちりサマになって聴こえるのは、やはり熱く歌う濁声Vo、骨の太いG、柔軟且つ強靭にボトムを支えるリズムといった、実戦で鍛え上げられたメンバーのパフォーマンスが持ち得る説得力ゆえでしょうか。特に本家AEROSMITHを彷彿とさせる枯れた哀愁漂わすバラード“WHO’S GONNA WIN”は絶品。
個人的にはTILTの作品で一番好きなのは1st『THE BEAST IN YOUR BED』(’87年)なのですが、本作も結構良いなぁと。ただメタリックなプロダクションは上質ながら、Voが演奏に埋もれてしまっているのが勿体ない気も。


TILT - Tilt Trick - WHO’S GONNA WIN? ★★★ (2018-08-26 00:29:00)

楽曲をエモーショナルに盛り上げるVoとGの歌いっぷり
タメの効いたリズム隊の援護射撃と、
何も知らずに聴いたらアメリカのバンドと勘違いしそうな
埃っぽく乾いた哀愁漂わす入魂のバラード。


TIM - Tim ★★★ (2023-06-27 00:28:50)

「俺たちTIM」…と言っても、お笑いコンビのことではなく、こちらのTIM(ティムと読む)は、後にTRILLIONにファーギー・フレデリクセンの後任として参加することなるトム・グリフィン(Vo)や、数多のセッション・ワークで知られるブルース・ガイチ(G)ら、シカゴ周辺で活動していた腕利きスタジオ・ミュージシャン達により結成された5人組のこと。本作は彼らが’83年にレコーディングするも、結局陽の目を見ることなくお蔵入りしていた幻のデビュー作に当たる作品です。トム・グリフィンといえば折角AMBITIONで素晴らしいアルバムをリリースしたのに、その後全く活動状況が伝わって来ず、今何してんだろう?とか思っていたのですが、いつの間にかこんなお宝作品が発掘されていたんですねぇ。
内容の方は、ブルース・ガイチの「シカゴのTOTOになりたかった」との発言が全てを物語る通り、親しみ易いメロディを、メンバーの確かな技量とプログレ・ハード調の凝ったアレンジで味付けした同時代のTOTOを彷彿とさせるメロディアスHRサウンド。お蔵入り音源ゆえプロダクションのショボさにはいかんともし難いものがあるものの、それを押しても楽曲の出来が良く、BOSTON辺りにも通じる爽やかなOPナンバー①、ハード・ロッキンな躍動感漲る④、デニス・デ・ヤングを思わすトムの張りのあるハイトーンVoとブルースのホットなGを生かしたさり気にドラマティックな⑪といった楽曲を聴けば「これほどの逸品が誰の耳にも触れることなく眠り続けるところだったのか…危ねぇ危ねぇ」と冷や汗を拭うこと必定ですよ。
発表に感謝な1枚。どうせならこの面子で新作を作ってこれませんかね?


TIM - Tim - Mary Anna ★★★ (2023-06-28 23:36:57)

アルバムのラスト・ナンバー。デニス・デ・ヤングを思わす
トム・グリフィンの張りのあるハイトーンVoや、
エモーションとパッションを叩き込んでくるブルース・ガイチのGといった
タレント揃いのメンバーの強みをあますところなく生かした名曲に仕上がっています。


TIM FEEHAN - Carmalita ★★★ (2023-03-02 00:04:54)

トロピカルな名曲“LEAVING FOR MAUI”を母国カナダで大ヒットさせたことで知られるエドモントン出身のAORグループFOOTLOSE(同名の青春映画とは無関係)。その中心メンバーであり、グループ解散後はデヴィッド・フォスターに才能を認められ全米デビューも飾っているシンガー/ソングライターのティム・フィーアンが、まだ駆け出し時代の’83年に地元のインディ・レーベルからリリースした2ndソロ・アルバム。
国内盤CDのリイシューを中田利樹主宰のCOOL SOUNDが手掛けていることからもお察しの通り、本作で披露されているのは、80年代らしく軽快にシンセを効かせたポップで親しみ易いAORサウンド。この手の作品は心地良く聴ける反面、刺激に乏しくいつの間にか聴き終わってしまっているボンヤリBGMにもなりがちなのですが、本作はティムの溌剌とした歌いっぷりといい、バックを支える楽器陣の存在にもフォーカスした音作りといい(プロデュースは自ら担当)、かなりロック・サイドに寄った仕上がりとなっています。
無論、キャッチーに弾む①に始まり、女性Voとのデュエットによるソウルフルなバラード⑩にて幕が下りる本作の基調となるのは、スロー~ミディアム系の楽曲。されどその合間に配置された、アップテンポのリズムとポップなメロディの取り合わせが秀逸な②、G主導で突き進んでいく本編随一のハード・ナンバー⑤、哀愁のメロディがリズミカルに踊る⑧といった歯応えのある楽曲が全体の流れに起伏を生み出し、自分のようなメタル者が聴いても集中力が途切れることがありませんでしたよ。
HR/HMリスナーにとってのAOR入門盤にもお薦めできる1枚ではないでしょうか。


TIM FEEHAN - Carmalita - Bad Sister ★★★ (2023-03-03 00:50:17)

歯切れ良く踊るGに先導されて突き進む曲調は
「ハードロック・ナンバー」と表して問題ない
カッコ良さ。それでいてメロディのフックにも
しっかりと気が払われている辺りが流石です。


TIM FEEHAN - Carmalita - Carmalita ★★★ (2023-03-03 00:47:34)

躍動感に溢れ、ポップでキャッチー。80年代AORらしい
爽やかな魅力に満ちたアルバム表題曲。
本編の幕開け役を担うのも当然な名曲です。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game ★★ (2019-08-22 00:53:11)

ロブ・ハルフォードの復帰に伴いJUDAS PRIESTからの脱退を余儀なくされたティム“リッパー”オーウェンズ(Vo)が、様々なバンドやプロジェクトへの参加を経て’09年に発表した自身初となるソロ・アルバム。
ダグ・アルドリッチ、ジェフ・ルーミス、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、ブルース・キューリック、ビリー・シーン、ボビー・ジャーゾンベクetc…。端から名前を挙げてったらスペースが幾らあっても足りないほど大勢のゲストを迎え、更に収録曲全ての曲作りに自ら関与する等、まさに満を持してといった感じで'制作された本作で聴けるのは、ヘヴィでパワフル、そしてある程度モダンなアグレッションが加味されたJUDAS PRIEST型の正統派HMサウンド。リッパーも「これぞ俺のフィールド!」と言わんばかりに、鼓膜をつんざくスクリームを随所で炸裂させ、ファンの期待に応えてくれています。
個人的に彼についてはJP時代から「歌は上手いのに曲に恵まれない人」とのイメージを抱いていたのですが、本作に収録されている、ジェフ・ルーミスのスリリングなGプレイが楽曲の持つ疾走感を倍加させる③、ドラマティックなヘヴィ・バラード⑧、本編中最もJP成分が高い⑪、重厚/劇的/ドゥーム・メタリックな⑫といった楽曲からは、リッパーのシンガーとしての実力だけでなく、作曲家としての才も十二分に感じ取れるのではないかと。
ただ全体を見渡すと収録曲の出来・不出来に若干ムラが目立つのも事実なので、次はこのジャンルに強いプロデューサーと組んでアルバムを作ってくれると尚良し。マット・シナー辺りがリッパーのためにも曲を書いてくれたら最高なのですが。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game - Death Race ★★★ (2019-08-23 01:16:07)

リッパー在籍時のJUDAS PRIESTで、
こういう楽曲がもっと聴きたかった
と思わずにはいっれないタイトで
アップテンポのHMナンバー。