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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5901-6000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5901-6000
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TED POLEY - Smile ★★★ (2021-12-14 00:03:55)

目出度くDANGER DANGERのフロントマンの座へ復帰を果たしたテッド・ポーリーが、’07年にFRONTIERS RECRODSを通じてリリースした2枚目のソロ・アルバム。
DANGER DANGERからの脱退――というか解雇――後、残ったメンバーとバンド名の使用権を巡る裁判沙汰に発展…と、ファンをいたく失望させてしまった90年代の反省を踏まえ(ているのかどうかは分かりませんが、ともかく)、1stソロ『COLLATERAL DAMEGE』(’06年)以降は、かなり自らに求められている音楽性に自覚的に曲作りに取り組んでいる印象で、本作で聴けるのも、仄かに哀愁を含んだメロディ、爽やかな曲調、キャッチーなコーラスの三拍子揃った「これぞアメリカン・メロハーの真骨頂!」と膝を打つサウンドです。
OPナンバーに相応しいフックを有する①を聴けば明らかな通り、テッド自身が優れたソングライターであることに加えて、FRONTIERS RECRODS人脈からVEGAのトム&ジェームズのマーティン兄弟を始めとするソングライター陣も、彼が歌うに相応しいメロハー・ナンバーの数々を提供してくれており、となればもう完成度の高さは約束されたも同然じゃありませんか。
ライブ映え間違いなしの①、お約束のパワー・バラード⑤、個人的に一押ししたい憂いを湛えた⑦、ハード・ロッキンな曲調にフラッシーなGソロが華を添える⑧等、テッドのハート・ウォーミングな歌声が映える秀曲がズラリ揃った、DANGER DANGERのオリジナル・アルバムにも匹敵する充実の仕上がり。
すでに廃盤(国内盤含め)のため、入手困難なのが惜しまれる力作です。


TED POLEY - Smile - If I Can't Change Your Heart (Then Let Me Blow Your Mind) ★★★ (2021-12-15 00:37:18)

テッドとマーティン兄弟共作による哀愁のメロディアスHRナンバー。
シンガーとして決してテクニカルなタイプではないものの
全霊を込めるような歌いっぷりが楽曲が放つ熱量と憂いを
より一層際立たせてくれています。


TEER - Teer ★★★ (2020-05-20 01:08:28)

中心メンバーのジョン・ティアー(Ds)からバンド名を頂戴してTEERを名乗ったアメリカはフロリダ州出身の5人組が、'00年にNOW AND THEN RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作(…と思ったら、自主制作の1stもあるのね)
本作は'18年に心臓発作で急逝したギタリストで、フロリダHR/HMシーンのちょっとした顔でもあったラルフ・サントーラの全面バックアップを得てレコーディング作業が進められおり、そのせいか、肉厚に刻まれるバッキングの上で、キャッチネスと哀感が程よくブレンドされた流麗なメロディ、分厚く重ねられたボーカル・ハーモニー、テクニカルなGソロとが華麗に舞うメロディアスHRサウンドは、MILLENIUM、EYEWITNESSといったラルフ絡みのバンドに通じる爽やかな味わいに満ち溢れています。
Voの音程が時折怪しいのはご愛嬌ながら、情熱的な歌いっぷりは気持ちが良いですし、何より収録曲の出来栄えがどれも素晴らしい。重厚且つドラマティックに展開する①、ストリングスをフィーチュアした哀愁のバラード②、一転爽やかさ振りまく③…と「アルバムは頭3曲が勝負」の鉄則を踏まえ、タイプの異なる秀逸な楽曲が並べられた序盤戦だけで掴みは上々。以降も仄暗いヴァースから明快なサビメロへと視界が開けていくような曲調が印象的な⑤等、確かなクオリティを有するのメロディック・ロック・チューンがズラリ。MILLENIUMのメンバーでもあるシェーン・フレンチの、ジョージ・リンチに通じるエッジの鋭さと構築美を併せ持ったGプレイも華やかに本編を彩ります。
本作のみで消息不明になってしまったのが残念に思える逸材バンドでしたよ。


TEER - Teer - Heaven's Not Enough ★★★ (2020-05-21 01:17:00)

肉厚に刻まれるバッキングの上で、爽やかさと
哀愁が程よくブレンドされたメロディと分厚い
ハーモニーが華麗に舞う、このバンドが目指す
音楽性を端的に示してくれるOPナンバー。


TERRA ROSA (2011-10-16 21:16:14)

数年前にリユニオンしたという噂を見聞きしましたが
新作発表に至っていないのが残念でなりません。


TERRA ROSA - Honesty ★★★ (2011-10-13 23:15:22)

ギタリストを三宅庸介から鈴木広美にチェンジして'88年に発表された2ndアルバム。(正式ドラマーとして元MARINOの板倉淳も加入している)
その新Gの腕前が如何なく発揮されたインスト序曲“ME 262”、それに続く軽快且つ劇的な疾走ナンバー“DO YOU GO AS YOU ARE?”を聴いただけで本編のクオリティの高さは確信出来るが、個人的には、赤尾和重(Vo)の歌唱力が大幅UPしている点が何よりの評価ポイント。
男と聴き紛うばかりの迫力を誇っていた反面(昔彼女の名前を「かずしげ」と間違って読んで、男だと思い込んでいた事は内緒だ)、ドスを効かせようと力み過ぎて音程と表現力に堅さも感じられたデビュー作に比べ、今回は、力強さや歌謡曲ばりのコブシの効き具合はそのままに、歌い回しがよりナチュラルな伸びやかさを獲得しており、収録楽曲のクオリティの底上げに大きく貢献。
“湖底のヴィジョン”クラスのインパクトを放つ名曲は見当たらないまでも、同時に捨て曲も見当たらない本編は流石TERRA ROSAといったところで、鋭角的なGリフが疾走する“Mr. FREELANCE”、美しいインスト曲“セント・エルモの灯”から繋がっていく11分越えの大作ナンバー“EVELYN”辺りは、赤尾はもとよりバンドの成長の跡が如実に刻まれた逸品じゃないかな、と。


TERRA ROSA - Terra Rosa Live from Coda ★★★ (2017-09-18 22:11:05)

2016年に限定的な規模ながらも復活を遂げたTERRA ROSAが、東名阪で行った3夜限りの再結成ライブの模様を捉えた2枚組実況録音盤。
てっきり名曲/代表曲が大盤振る舞いされるベスト選曲ライブと思いきや、収録曲目を見てビックリ。セットリストはTERRA ROSAがメジャー・デビュー前に制作し、様式美HM愛好家の間で評判を呼んだ2本のデモテープ(後年『PRIMAL~TERRA ROSA RARE TRACKS』のタイトルでCD化された)の収録曲がその殆どを占めているという、非常に攻めた構成。勿論「この曲を演らないわけにゃいかんでしょ!」という “刹那の甘露-SASE-”や“ONE OF SECTINOS“LAP”、そしてラストで観客の大合唱を呼び起こす“FRIDAY’S FREE FAIR”といった定番曲はきっちりと押さえられてはいますけども。
斯様に入門者向けとは言い難い本作ですが、一つハッキリしているのは、彼らがこれまで優れた楽曲を山ほど量産して来たということ。疾走ナンバー“A HELL RAY”や“BATTLE FEAVER”を筆頭に、ここで聴ける楽曲はどれも正規アルバムに収められていてもおかしくない、高品質な様式美HMチューンばかり。しかも今回のライブに当たって足立祐二により書き下ろされたという“TO CODA”も、それらと比べて遜色ない出来栄えを誇っているのだから頼もしいじゃないですか。また足立のテクニカルなGプレイ、リーダー岡垣正志の鍵盤捌き、そして赤尾和重のパワフルなVoといい、メンバーのパフォーマンスも現役感がバリバリに漲っていますよ。(ヘルプ参加のリズム隊も安定感溢れる仕事ぶり)
TERRA ROSA復活を喜ぶと共に、今後の継続的な活動を期待せずにはいられなくなる1枚。


TERRA ROSA - The Endless Basis ★★★ (2011-10-12 23:04:32)

日本が誇る様式美HMの雄・・・というよりも、寧ろ「和製様式美HMそのもの」と言った方が手っ取り早い気すらするTERRA ROSA、'87年発表の1stアルバム。(まずMANDRAKE ROOT RECORDSからリリースされ、その後新たにGやB、Keyの一部等を録り直してジャケットも差し替えた新装盤が、メジャーのKING RECORDSから再リリースされた)
頻発するメンバー・チェンジにもめげることなく、バンドとしてのポテンシャルを高め続けて来た強者だけに、本デビュー作の時点で既に、RAINBOW/DEEP PURPLEからの多大なる影響と、日本の(というか大阪の?)バンド独特のコブシの効いたメロディ・ラインとの組み合わせからなる、劇的且つコテコテな様式美HMサウンドの完成形を耳にすることが出来る。
聴き馴染んだ現在はともかく、昔は赤尾のクドイ歌唱が苦手だったんだけど、足立裕二作曲の“FRIDAY'S FREE FAIR”や、アルバム表題曲“THE ENDLESS BASIS”、そして10分近くに及ぶ大作ナンバー“もの言わぬ顔”といった楽曲の魅力は、彼女のコブシ回りまくりの歌声に依るところ大だし、何より、ドラマティックに疾走する曲展開に乗って、赤尾のVo/三宅庸介のG/岡垣正志のKeyがスリリングに火花を散らす名曲“湖底のヴィジョン”をハイライトに、捨て曲なしの本編のクオリティにはそうした好き嫌いを捻じ伏せるだけの説得力が宿る。
「TERRA ROSAの最高傑作」との評価に違わぬ1枚。


TERRA ROSA - 刹那の甘露—SASE— ★★ (2011-10-14 21:43:29)

ギタリストを今井芳継にチェンジして'90年に発表するも、残念ながらラスト作となってしまった3rdアルバム。
1stのリマスター盤を買い直したら、解説でウリ川本氏が本作について「TERRA ROSAは作品を重ねる毎に音楽性を拡散させた。特に3rdは×」と批判気味に書いていたが、いやいや、んな事はないでしょう。今回もミステリアス且つ重厚なOPナンバー“刹那の甘露”を手始めに「これが様式美HMでなくて何なのか?」と言いたくなる程バリバリのそっち系路線を猛進していますよ!
・・・というか、自分の中では「TERRA ROSA=和製様式美HMそのもの」という図式が確立しているので、彼らが演った音楽がそのまま様式美HMとして認定されるんですけどね。(猪木/一休さん的に言うなら「踏み出せばその一歩が道となる」みたいな)
前2作に比べると楽曲のクオリティにバラつきが見られる点こそ惜しまれるものの、今井のGと岡垣正志のKeyがよく歌うインスト曲“A TERRIBLE DREAM”や、畳み掛けるようなサビメロが印象的な“A SNAKE IN ONE'S BOSOM”、そしてラストに控えし必殺の疾走ナンバー“SHOVE OFF FOR NAUGHT”等は流石の完成度。また後にシングル・カットもされた“火の中の影”は、従来のTERRA ROSAらしさとキャッチーなメロディとが融合をみた、本作ならではの名曲ではないかと。


TERRAPLANE - BLACK AND WHITE ★★ (2009-12-29 23:40:00)

ダニー・ボウズ(Vo)、ルーク・モーリー(G)、ハリー・ジェームズ(Ds)が在籍し、THUNDERの前身バンド
としても知られる英国はロンドン出身の5人組が'86年に発表した1stフル・アルバム。
THUNDERのようなブルーズ色は殆ど感じられず、如何にも80年代的な煌びやかなKeyサウンドを大々的に纏った
お洒落(当時)な作風は、ポップに弾む曲調、溌剌としたコーラス・ハーモニー、そしてキャッチーなメロディetc・・・
と絵に描いたようなハード・ポップ路線。この手の音楽を歌うには、ダニー・ボウズのVoはちと声が太過ぎる気が
しなくもないが、歌唱力の高さはこの頃から折り紙付きゆえ、それも弱点という程のものではない。無問題。
個人的には、今のメンバーが聴き返した日にゃ悶死するんじゃないかっつーぐらいポップでキュートな③や、ダニーの熱唱と、
ルークのツボを押さえたGプレイが華やかな盛り上がりを演出する⑤辺りがイチオシなれど、それ以外の楽曲も粒揃いで、
まさに「3分程の曲の中に、耳に残る印象的なコーラス部があって、パワフルにロックしてて、ダンス出来たり、
ブラック・ミュージックからの影響もあったりするんだ」とのルークの言葉通りの内容に仕上がっているんじゃないかと。
コンスタントに好みの楽曲が並んでいる分、個人的にはTHUNDERのアルバムよりも愛聴している1枚だったり。
せっかく同時再発されていたのに、買い逃したまま今に至る2nd『MOVING TARGET』が聴いてみたいなぁ。


TERRIFIER (2018-04-11 23:42:39)

'03年に、VoとGによりカナダのヴァンクーバーにて結成。当初はSKULLHAMMERを名乗り、'11年に1st『DESTORYERS OF THE FAITH』を発表。メンバー・チェンジが繰り返されたことから、’12年にTERRIFEIERと改名する。(バンド名は「恐怖心を抱かせる物(人)」の意味するとか)
同年、『DESTORYERS~』をTERRIFEIER名義で再リリース、’13年には3曲入りEP『METAL OF DEATH』の発表、更に地元中心のライブ活動といった精力的な動きが実を結び、より強力な内容に仕上がった2nd『WEAPONS OF DESTRUCTION』でもって日本デビューを飾った。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction ★★★ (2018-04-11 23:50:00)

カナダはバンクーバー出身の5人組が、'17年にTEST YOUR METAL RECORDSから発表した2ndフル・アルバムにして日本デビュー作。
お馴染みアンドレイ・ボウジコフ画伯が手掛けたジャケット・アートワークと、『WEAPONS OF THRASH DESTRUCTION』(直訳すると『スラッシュ破壊兵器』)なるストレート極まりないアルバム・タイトルが物語る通り、本作には終始ヤスリ声で叫び倒すハイテンション&ハイピッチVo、2本のGが刻んで刻んで刻みまくるクランチ・リフ、突進に次ぐ突進を繰り返すリズムとが暴風の如く吹き荒れる、80年代風味満点のスラッシュ・メタルが直球ど真ん中で放り込まれています。尤も、嘗てこの手の音を出していたスラッシャー勢に顕著だった「無理を通せば道理が引っ込む」スタイルとは異なり、メンバー全員が精緻な演奏スキルを有して、息つく暇なく性急に駆けずり回るサウンドをきっちりと破綻なく支えている辺りは、非常に現代のバンドらしいという。
テクニカルに錯綜するツインGが曲展開を牽引する③、キレッキレな演奏が激烈な疾走感を倍加させる⑦や、物悲しいインストの小曲⑧を挟み、本編のトリを務める⑨へと雪崩れ込んでいくドラマティックな構成等は、大陸産スラッシャーばりの爽快な突進力&リズミックなノリの良さと、ツインGが奏でる欧州のバンド然としたダークなメロディ・センスとを同居させた「流石はカナダ産」と膝を打つ欧米折衷スラッシュ・サウンドであり、本作の大きな聴き所となっています。
そりゃ国内盤も発売されるよね!と力強く納得する力作。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Bestial Tyranny ★★★ (2018-04-13 00:31:22)

てめえらの鼓膜から出血させたらぁ!ってな猛烈さで
冒頭からケツまで徹底的に刻み倒されるGリフの嵐と、
縦横無尽に弾きまくられるGソロの乱舞っぷりに
ひたすら圧倒される高速スラッシュ・ナンバー。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Sect of the Serpent ★★★ (2018-04-13 00:40:21)

6分越えというアルバム最大の長尺曲。
(インスト序曲“RIDERS OF DOOM”も加えると8分越え)
尤も、だからといって構えた部分は殆どなく、
鮮烈に閃くツイン・リードGを始めとする
テクニカルな技巧と、目まぐるしい曲展開を盛り込みつつ、
暴風の如く一気呵成に吹き荒れる楽曲は
スラッシュ・メタル以外の何者でもないカッコ良さを
主張しています。


TERRY BROCK - Back to Eden ★★ (2008-02-10 19:40:00)

KANSAS、STEVE MORSE BAND、JOHNNY VAN ZANT BAND等でキャリアを積み、スコティッシュHRバンドSTRANGEWAYSがリリースした
2枚の名盤『NATIVE SONS』『WALK ON THE FIRE』に参加した事で、メロディアス・ロック・ファンの間で一躍知名度を
高めたアメリカ人シンガー、テリー・ブロックが、イタリアのFRONTIER RECORDSから'01年に発表した初のソロ・アルバム。
様々なバンドで活動してきた彼氏だが、本作で聴かれるサウンドに一番近いのは、やはりSTRANGEWAYSだろうか。
洗練された哀愁のメロディに彩られた楽曲を、テリーがスティーヴ・ペリーばりの、伸びやかでソウルフルな歌唱を
駆使して歌い上げる様は、まさに産業ロックの鏡といった感じの仕上がりで、心地良いったらありゃしない。
特に、イントロのSEを経て、軽やか且つキャッチーにスタートする爽快な②や、“NATIVE SON"なるタイトルに
STRANGEWAYSファンがニヤリとする④、SURVIVERのジム・ピートリックが曲作りに協力している⑦、アイリッシュ風味の
薫るバラード⑬、そして本編のハイライトというべき、TOUCHのマイク・マンゴールド(Key)もゲスト参加している、
強力なフックを備えたメロディがガッツポーズ物の③といった楽曲は、嘗ての所属バンドの名曲群と比べても、
全く遜色ないクオリティを誇る。↑の方も言っている通り、全14曲も収録して、中弛みを殆ど感じさせない内容ってのは
凄い(ただ、ボーナス・トラックはいらんかったかなー)。全てのメロディ愛好家にお薦めできる1枚。


TERRY BROCK - Back to Eden - Back to Eden ★★ (2008-02-10 19:53:38)

テリー・ブロックが、SURVIVERの天才メロディ・メイカー
ジム・ピートリックと競作した、アルバムのタイトル・トラック。
力強くドラマティック、それでいてメロディは
キャッチー且つ哀愁に満ち溢れているという、
隙のない仕上がりの名曲。


TERRY BROCK - Back to Eden - I Wanna Love Someone ★★ (2008-02-10 19:43:47)

SEに続いて、アコギによって刻まれるリフから
軽やかにスタートする、爽やかでキャッチーなHRチューン。
テリー・ブロックの伸びやかな歌声が心地良い。


TERRY BROCK - Back to Eden - Up All Night ★★★ (2008-02-10 19:49:06)

2ndアルバムのハイライト・チューン。
TOUCHのマーク・マンゴールドが、作曲のみならず
プレイヤーとしてもゲスト参加していて、
もろTOUCH風味のKeyプレイを披露してくれている。
サビとブリッジ部分の哀メロがとにかく最高で、
ここまで強力な楽曲は、STRANGEWAYS時代だってそうはなかった。


TERRY BROCK - Diamond Blue ★★ (2010-09-15 22:15:00)

職人シンガー、テリー・ブロックが実に久々に(10年ぶりぐらいか?)発表した2ndソロ・アルバム。
1stソロ『BACK TO EDEN』ではゲスト参加に留まっていた盟友マイク・スラマーが、今回はギタリスト兼
ソングライターとしてアルバム制作に全面的に関わっていると知り、本作に対する期待は一気に高まったが、
実際、伸びやかでエモーショナルなテリー・ブロックの歌声が活かされた、キャッチーなメロディ満載の
アメリカン・メロディアスHRサウンドは、そうした事前の期待を裏切らない見事なクオリティの高さ。
(作曲クレジットにはSTRANGEWAYSのイアン・スチュワートの名前も確認できる)
前作に比べると少々マッタリとした作風で、ハードロッキンなエッジは後退気味な上に“UP ALL NIGHT"級の
名曲も見当たらないとは言え、中盤以降は本編の勢いも盛り返し始めるし、爽快感溢れるハードポップ・チューン
⑦⑨や、戦死した兵士たちに捧げられた劇的なスロー・チューン⑩、生オケをフィーチュアしてしんみりと
アルバムを締め括るバラード⑪といった楽曲は、フックの効いた曲自体の素晴しさと、それらを一層の
高みへと導くテリー・ブロックの極上の歌唱とが相俟って、アルバムのハイライトを形成している。
一聴地味な楽曲も、繰り返し聴けばその魅力がジワジワと浮上してくるスルメ風味の味わいを備えており、
前作が気に入った人なら購入の価値有りな1枚。無論、1stソロをまだ聴いたことがない人は
そちらも是非。メロディアスHRの名盤ですよ。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake ★★★ (2016-12-10 11:16:05)

各国で軒並み好評を得た前作『DARK ROOTS OF EARTH』の成功を受けて、新作では更にへヴィ&メロディアスな方向に歩みを進めるものと思いきや。のっけから鋭角的に切り込んで来るOPナンバー①のGリフの切れ味が体現するかのように、今作は再結成以降の作品の中では抜きん出た「80年代度」の高さ。1stや2ndといった初期の名盤に通じる要素を多分に含んだスラッシーなサウンドを実践してくれていてビックリドッキリですよ。
中でも、前掛かりで歯切れ良く突っ走る③⑨や、イントロから猛然と畳み掛ける⑥、80年代のMETALLICAを彷彿とさせる⑧(アレックスの泣きのGソロが素晴らしい)、重厚な導入から一転、暴風の如く爆走を開始する⑩といった楽曲には、往年のTESTAMENTのエッセンスが濃厚に息衝いていて思わず頬が緩みましたね。
と同時に、今も現役感バリバリで戦い続ける彼らが演ること。野太い咆哮轟かせるチャック・ビリー、刻み/奏で/ハモるアレックス・スコルニック&エリック・ピーターソンの切っ先鋭いツインG、そしてスティーヴ・デジョルジオという腕利きBの相棒を得て、水を得た魚の如く暴れ回るジーン・ホグランのドラム等、タレント揃い現行ラインナップが叩き付けるサウンドに懐古趣味の匂いは皆無。対向車も思わず道を譲る強面の攻撃性や、黒光りする重厚感は、80年代とは異なるステージにバンドが立っていることを物語ります。
オールドスクールな構築美とモダンなエッジを併せ持った曲作りから、あれもこれもと欲張らずに40分台とジャストな収録時間にまとめ上げた本編構成まで、今のバンドの充実っぷりというか、余裕綽々な感じに痺れる1枚かと。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Canna-Business ★★★ (2016-12-11 10:10:24)

ツインGによる劇的な導入部が、なるほど確かにJUDAS PRIEST風。
アレックスのテクニカル且つメロディックなGソロを伴って
激走するパートのカッコ良さが際立っています。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Stronghold ★★★ (2016-12-11 10:02:02)

捲し立てるチャック・ビリーの歌唱と
歯切れ良く鋭角的な疾走感、
そこに華を添えるアレックスの華麗なGソロ等、
初期2作を発表した頃のTESTAMENTを
思い出さずにはいられないスラッシュ・ナンバー。


TESTAMENT - Dark Roots of Earth ★★ (2012-09-17 00:28:53)

ドラマーをポール・ボスタフからジーン・ホグランにチェンジして'12年に発表された最新スタジオ作。
てっきりジーンの攻撃的なドラミングを活かした押せ押せの作風に仕上がっているものとばかり思っていたのですが、実際のところ、本作の主役は野太くもメロディアスに「歌う」チャック・ビリーのVo。
例えばブラスト・ビートが導入されている②のような楽曲にしても、聴き終えてドラム以上に印象に残るのは、一層の拡充が図られている彼の歌メロといった按配です。
前作までに培ってきた、スラッシュ・メタルならではの鋭角的疾走感と、エクストリーム・メタル然とした図太いヘヴィネスを十二分に保ちつつも、TESTAMENTなりの「聴かせる姿勢」が追求されているサウンドは、現代版『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(もしくは『SOULS OF BLACK』)と言った趣きで、ラストに『PRACTICE~』タイトル・ナンバーのリメイクが収められている事もその象徴のような?
個人的に3rdアルバムは余り好きではないので、そういう意味では不完全燃焼感を覚えなくもないのですが、ジーンの爆発的なドラミングを推進剤に、チャックの武骨且つ勇壮なVo、アレックス・スコルニックの流麗なGソロ、そしてエリック・ピーターソンとの劇的なツインGハーモニーが怒涛の如く突進する④や、ドラマティックなヘヴィ・バラード⑥等、彼らにしか作り出し得ぬ名曲も抜かりなく収録している辺りは流石。
何より本作は、こうした作風だからこそビルボード・チャートにおいて(別の方が仰られているような)好成績が残せたのではないかと思う次第。


TESTAMENT - Dark Roots of Earth - True American Hate ★★★ (2012-09-18 22:15:58)

アルバム中、最も濃厚にスラッシュ・メタルしている
激烈なスピード・ナンバー。
たっぷりとフィーチュアされたGソロ・パートでは
アレックス・スコルニックのみならず
エリック・ピーターソンのギタリストとしての
実力も狂おしい程に咲き誇っています。


TESTAMENT - Live at Eindhoven '87 ★★★ (2016-11-17 00:01:22)

TESTAMENTが、'87年に第2回DYNAMO OPEN AIRに参戦した時の模様を収めたライブEP。長らくCD化されずにほかされていましたが、'09年に漸くリマスター再発が実現。その際には当日演奏されたけどEPには未収録だった5曲(内1曲はアレックス・スコルニックのGソロ)も追加された全10曲の完全版仕様でのリイシューと相成りました。
デビュー間もない時期のライブゆえ、選曲に物足りなさを覚える向きもあるやもしれませんが、逆にスラッシュ・メタル・バンドとしてのTESTAMENTのエッセンスが凝縮された名盤『THE LEGACY』収録曲、それも現在ではライブのクライマックスで演奏されるような名曲の数々が、のっけから出し惜しみなく連打される様が猛烈にカッコイイんですよ。チャック・ビリーのVoやMCにしろ楽器隊にしろ、現在の重厚な佇まいとは異なる、若さに任せた前のめり具合も非常に新鮮です。そして全体が荒々しくササクレ立っているからこそ、“APOCALYPTIC CITY”や“OVER THE WALL”といった名曲において噴出するアレックスの美麗なGソロが一層際立ち、ハッと胸を突かれるというね。
轟然とした音質すら迫力を倍加させるプラス要素に変えて、会場を埋め尽くすデニム&レザー軍団の野太い声援をバックに炸裂する収録曲は、スタジオ盤を大きく上回る攻撃性を獲得。中でも初期の代表曲“REIGN OF TERROR”は、今では様々なバージョンを聴くことが出来ますけど、最高なのは間違いなく本作収録バージョンだよなぁと。
純然たるスラッシュ・メタル時代のTESTAMENTの魅力が詰まった1枚。キングから国内盤もリリースされていますのでお薦めですよ…って、もう廃盤?マジでか。


TESTAMENT - Souls of Black ★★ (2008-09-21 20:35:00)

TESTAMENTのライブの定番ソングとして知られ、先日行われたTHRASH DOMINATION 08でも勿論披露された泣きの名バラード“THE LEGACY”を収録する、'90年発表の4thアルバム。
スラッシュ・メタル・シーンが拡散を始めた時期に制作された作品ゆえ、スラッシーな疾走感やアグレッションをグッと控えめに、よりノーマルなヘヴィ・メタル化が進んだ作風(あと、イマイチな音質)が、ファンの間で賛否両論を呼んだ本作なれど、個人的には前作『PRACTICE WHAT YOU PREACH』よりも好きな1枚だったりする。
その最大の理由は、余りにドライな仕上がりだった『PRACTICE~』に比べ、メロディにヨーロピアンな叙情性が戻って来ている点で、その頂点たるのが、TESTAMENT初の本格的なパワー・バラードの⑧。ここで聴く事の出来る、アレックス・スコルニックの艶と光沢を兼ね備えた官能的な泣きのGソロは、筆舌尽くし難い素晴しさを誇っている。
まぁ、ミドル・テンポでまとめられた、その他の収録楽曲の地味さには如何ともし難いものがあるものの、エキゾチックなメロディが爪弾かれるアコギ・インスト①から繋がっていく、正統派HM然とした仕上がりの②や、ムーディなGソロに耳惹かれる⑤、スラッシーなスピード・チューン⑥、ドラマティックな⑦、アップテンポでアグレッシブな⑧・・・と、本編後半に並ぶ楽曲は十分にカッコイイ。地味とは言え、このクオリティの高さは立派だ。
キャリア絶頂期にあった頃のTESTAMENTの、余裕のようなものすら感じられる1枚。


TESTAMENT - The Formation of Damnation ★★★ (2008-05-25 17:58:00)

チャック・ビリー(Vo)、エリック・ピーターソン(G)、グレッグ・クリスチャン(B)、そして、久々にバンドへと復帰を果たしたアレックス・スコルニック(G)に、元SLAYER~EXODUSの豪腕ドラマー、ポール・ボスタフという布陣で制作、前作『THE GATHERING』('99年)以来、実に9年振りに発表された9thアルバム。
初期の名曲群をリメイクした『THE FIRST STRIKES OF DEADLY』のリリースや、昨今のスラッシュ・メタル・ブームのリバイバルを鑑みるに、新作は恐らく、1st~4thの作風を踏まえた内容になるだろうと(勝手に)予想していたのだが・・・実際に聴いてみると、初期作のようなスラッシーな疾走感はそれほどでもなく、重厚なGリフに、立ち塞がる物すべてを轢き潰すかの如きリズムが地響き立てて前進するという、ここ数作のブルータル・メタル路線もしっかりと踏まえた、ヘヴィネス重視のサウンドに仕上がっている。
但し、アレックスの戦線復帰と、彼の流麗且つ劇的なGワークの効果で、インスト・パートのドラマ性は飛躍的に回復しているし、また、タイトに畳み掛ける硬質なポール・ボスタフのDsを活かした、爆発的な疾走パートを要所に配した構成は非常にダイナミック。ヘヴィネス重視の作風と言っても、単調な印象は殆ど感じられない。
特に、激烈な疾走感と、チャックのアグレッシブだが「歌える」Vo、起承転結の決まった曲展開、そしてアレックスによる緩急自在のGソロが一丸となって突貫する④は、「様式美スラッシュ」とまで言われた、1stや2ndアルバムの頃の面影が蘇る、本編のハイライト・チューン的存在。
楽曲的には、前半の充実度に比べると後半がやや弱く、最後にあと1曲、問答無用で飛ばしまくる高速スラッシュ・ナンバーがあれば、全体的にもう少し引き締まったように思うのだが・・・まぁともあれ、TESTAMENTファンなら間違いなく満足するであろう力作には間違いない。


TESTAMENT - The Legacy ★★★ (2007-01-18 21:53:00)

TESTAMENTの全アルバム中、スラッシュ・メタルならではの爆発的な疾走感が最も堪能できる、'87年発表の1stアルバム。
鋭角的に刻まれるクランチ・リフ、力強く雄々しいチャック・ビリーのVo、アレックス・スコルニックの押しと引きを心得た流麗なG、そしてアメリカのバンドとは思えぬ、欧州風味満点のメロディに彩られた楽曲・・・と、このバンドならではの個性は、本作の時点で既に全面開花。
特に、アレックスのGに至ってはこのアルバム最大の聴き所と言っても過言ではないクオリティを誇る。緩急自在の表現力と、強烈な「泣き」を武器にする彼が①⑥⑨で披露するソロには「絶品」以外の形容詞が思い付きません。
音作りや曲の構成にまだ詰めの甘さが残るため、トータルの完成度では僅かに2nd『THE NEW ORDER』には及ばないが、①③⑥⑧といったTESTAMENT史を語る上で欠かす事の出来ない、三ツ星級の名曲の数々を収録。
その他の楽曲も押し並べてクオリティは高く、中でも中盤⑤から、ラストの⑨へかけての高速スラッシュ・ナンバーによる畳み掛けは「お見事」の一言に尽きます。(⑧のみメロディアスなリフをフィーチュアした正統派メタルちっくな異色の名曲だけど)
とても新人バンドが作ったとは思えない、驚異的な完成度を誇るスラッシュ・メタルの名盤。


TESTAMENT - The New Order ★★★ (2006-07-04 21:21:00)

名曲中の名曲“OVER THE WALL"が収録されているのは1st「THE LEGACY」なれど、作品自体のクオリティでは、この'88年発表の2ndアルバムの方が大きく上回る。俺の中では。
サウンド・プロダクションの向上といった基本的な部分から、切れ味鋭いリフの尋常でないカッコ良さ、スラッシーな疾走感と欧州風味濃厚な叙情性の理想的な融合っぷり、アグレッシブでありながら、実は非常にキャッチーなメロディ・ラインを歌っているチャック・ビリーのVo、そして益々流麗に、艶やかに冴え渡るアレックス・スコルニックのGプレイ!①“EERIE INHABITANTS"のGソロを筆頭に、激しく泣きながらも決してベタ付く事の無い、その冷たい音色に胸を打たれます。
また「最終戦争後の地球」を題材にしたコンセプト・アルバムと言う事で、ダイナミックな曲展開や、インスト曲の配置箇所などアルバム全体の流れ(構成)にもかなり気が使われていて、それが一層、作品の持つドラマ性を高めている点も見逃せない。
これぞまさに「様式美スラッシュ」の名盤。1stと併せてTESTAMENT入門盤に是非どうぞ。


TESTAMENT - The New Order - Eerie Inhabitants ★★★ (2006-04-15 00:07:50)

名盤のOPを飾るに相応しい名曲。なのに人気がないのは、
(日本人には)イマイチ分かり辛く、キャッチーさに欠けるタイトルのせいではなかろうか?なんて。
美しくも終末感漂うイントロ、そのしじまをブチ破りザクザク疾走する鋭角的なリフ、
ドスの効いたチャック・ビリーのVoと、絶妙なタイミングで挿入され、
思わず一緒に叫びたくなる野太いコーラスetc・・・
何れも高品質ながら、やはり白眉はアレックス・スコルニックのGプレイ。
特に荒々しい曲調の中に突如として出現する官能的なGソロは、静と動の落差が生み出すドラマ、
そして美しい泣きメロにハッと胸を突かれること必至。
初めて聴いた時はゾワゾワと鳥肌が立ちました。


THE BRAVE (2015-01-28 23:07:36)

テキサスからサクセスを夢見てロサンゼルスへ出て来たメンバーらによって、80年代半ばに結成されたクリスチャン・メタル・バンド。
元KANSASのジョン・エレファンテに見出され、PAKADERM RECORDSと契約を結び、'92年に1st『BATTLE CRIES』でデビュー。80年代風味満点のメロディックHRサウンドが好評を博し、同作は'93年に日本でもリリースされた。
しかし時は暗黒の90年代。この手の音のバンドが順調に活動できる筈もなく、時流を意識した感じの2nd『TRUST』リリース後にはシーンからフェードアウト・・・。
という文章を書くに当たって調べてみて、何とバンドが女性シンガーを迎えて再結成、'14年には3rd『RISE』を発表していると知って驚いた。ネット上で配信されている音源をちょっと聴きましたが、結構良い感じでしたよ。


THE BRAVE - Battle Cries ★★★ (2015-01-28 23:13:32)

LAを拠点に活動していたツインG編成の5人組が、プロデューサーにディノ&ジョンのエレファンテ兄弟、ミキサーにニール・カーノンを迎えて'92年に発表したデビュー作。
所属レーベルはPAKADERM、歌詞はバリバリのジーザス・クライスト賛歌・・・とくれば明らかな通りのクリスチャン・メタル・バンドで、演っているサウンドも、STRYPERが切り開いたメロディとハーモニーを最重要視するメロディック・ロック。グランジ/オルタナ旋風吹き荒れる当時のアメリカでは既に時代遅れ扱いされてた音ですが、クリスチャン・ミュージック・シーンという一種の特殊空間が、こうした80年代風味満点のサウンドを生き延びさせてくれたわけですね。
流石にSTRYPERほどの神々しさは備わっていませんけど、このバンドはとにかくサビメロ作りが上手い。例えばOPナンバー①なんて、ヴァースは土の薫りさえ漂って来そうな感じなのに、コーラス・パートからブリッジにかけてはぐっと哀愁が滲み、美麗なハーモニーと強力なフックに彩られたメロディが高いヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる仕上がり。比較対象にクラウス・マイネが挙げられているシンガーの歌唱に聴き惚れる憂愁のバラード④は、取り分けインパクトを放つ名曲ですよ。
輸入盤市場での好評を受けて後にアルファから国内盤がリリースされたのも、このクオリティなら当然の話よな!な1枚。


THE BRAVE - Battle Cries - Running All My Life ★★★ (2015-01-29 22:20:15)

アメリカン・ロックらしいヴァースから始まって、
哀愁が滲むコーラス~ブリッジにかけて
盛り上がっていくタイプの楽曲が多い本編にあって、
この曲は冒頭から哀愁と泣きに満ち溢れています。
でまた、哀愁を増幅するクラウス・マイネ似の
声質のシンガーの熱唱が大変素晴らしいのですよ。


THE COMPANY - The Company ★★ (2007-02-12 20:19:00)

HEATHEN消滅後、アメリカのシーンに見切りを付け、ドイツへと渡ったダグ・ピアシーが
地元ミュージシャン達と結成したスラッシュ・メタル・バンド、'95年発表の1stアルバム。
スピーディでメロディアスでドラマチックというHEATHEN的な楽曲を期待すると、叙情性やドラマ性が後退して、
よりアグレッションが強調された感じの作風に肩透かしを食らうのは確実。
リフ&リズムのへヴィさや、マッチョな声質のVoからはモダンな雰囲気も強く漂い、似たり寄ったりの
テンポの楽曲が続く中盤の中弛みっぷりには、「やっぱりHEATHENの要はリー・アルタスだったのね・・・」
と、溜息の1つも吐きたくなるというのが正直なところ。(ダグの流麗なGプレイは随所で確認出来るんだけどね)
しかし、序盤と終盤に配されたスピード・チューンの数々・・・、特に、SE①を経てスラッシーに疾走を開始する②や、
これまた剛直な高速スラッシュ・ナンバー③、バンドのテーマ・ソングとでも言うべき⑬といった
エッジの立ったリフが重心低くザクザクと刻まれ、全てを薙ぎ倒すかのように突進する楽曲の強力さは、
HEATHEN時代に比べても何ら遜色はないカッコ良さを誇る。
スラッシュ・ファンならコレを聴かずに済ます手はないし、本作は現在、中古屋にて僅か三桁という安値で
叩き売られているので、試しに買って聴いてみる価値は大いにあるんじゃないかな、と。


THE DEFIANTS - The Defiants ★★★ (2018-04-29 08:13:09)

ブルーノ・ラベル(B)とポール・レイン(Vo)とロブ・マルチェロ(G)。DANGER DANGERで同じ釜の飯を食った元バンドメイトの3人が、近年のメロディックHR人気の高まりを背景に、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて立ち上げたプロジェクト、THE DEFIANTSが'16年に発表したデビュー作。
侮れない作曲センスでDANGER DANGERを支えるブルーノと、優れたシンガー/ソングライターとしてキャリアを積むポールが再タッグを組んだと聞けばそりゃ期待しないわけにゃいきませんが、事実、ポール在籍時代のDANGER DANGERの諸作をも凌ぐ品質を有する本作は、その期待にきっちり応えたメロディックHRの好盤に仕上がっています。
マカロニ・ウェスタン『夕陽のガンマン』の名曲“争いの後で”をアルバムのOPに据え、パワフルにロックする②へと繋ぐ高揚感溢れる展開を始め、美しいボーカル・ハーモニーが散りばめられた④、スリリングなロブのGプレイが華を添える⑦、ドラマティックなバラード⑧等、適度にハードネスを効かせたサウンドからは、全体的に哀愁味が強く感じられる点も自分好み味好み。哀愁が強過ぎるのは辛気臭くいかん!と思われる向きには、どこか郷愁をそそられる爽やかな⑤や、溌剌と躍動感溢れる曲調とフック満載のメロディが同居、ライブで演ったら盛り上がること間違いなし!な“ROCK AMERICA”タイプの名曲⑨、本編ラストを爽快に締め括るアップテンポのHRナンバー⑫辺りはいかがでしょうか。
これ1枚きりで終わらせず、是非継続的なプロジェクトとして作品を量産してくれることを願わずにはいられない、捨て曲なしのメロハーの傑作ですよ、こりゃ。


THE DEFIANTS - The Defiants - Love and Bullets ★★★ (2018-04-30 22:56:57)

イントロにマカロニ・ウェスタンの名作“夕陽のガンマン”の
メイン・テーマがくっつけられた(曲中でもリプライズされる)
アルバムのOPナンバー。哀愁のメロディと美しいハーモニー、
ポール・レインの見事な歌唱に聞き惚れてしまいますね。


THE DEFIANTS - The Defiants - Take Me Back ★★★ (2018-04-30 22:52:03)

一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスを
フィーチュアして、ポップに躍動する80年代風味満点の
ポップ・メタル・チューン。爽やかに涼風の如く
吹き抜けるGソロも、楽曲の爽快感を盛り立ててくれます。
DANGER DANGERの“ROCK AMERICA”を愛する向きは
必聴の名曲ですよ。


THE DEFIANTS - Zokusho ★★★ (2019-12-10 00:46:32)

DANGER DANGERにおける曲作りのパートナー、スティーヴ・ウェストが「頑張って作っても売れない(違法ダウンロードされてしまう)」「ライブで求められるのは往年の代表曲ばかり」と、すっかりニュー・アルバムの制作に後ろ向きになってしまったため、新曲作りへの欲求を晴らすべくブルーノ・ラヴェル(B)がロブ・マルセロ(G)、ポール・レイン(Vo)という新旧バンド・メイトを誘ってTHE DEFIANTSを立ち上げたのが'15年のこと。本作はデビュー作から2年のインターバルを経て、’19年に発表された2ndアルバムです。
1stがここ日本で評判を呼んだことへのお礼なのか、漫画風ジャケットや『ZOKUSHO(続章)』なる日本語タイトル等、多分に我が国の市場を意識した要素を入れ込んで来ている本作ですが、サウンドの方にはオリエンタル風味は皆無。前作同様、DANGER DANGERをよりウェットにしたようなメロディアスHR路線を迷うことなく追求してくれています。
マカロニ・ウェスタンの傑作『夕陽のガンマン』のテーマ曲に導かれてスタートするという劇的なOPで掴みはバッチリだった前作に比べると、今回は特にギミックがないので若干肩透かし、立ち上がりとしてはスロー・スタート気味ながらも、ブルーノの卓越した作曲能力、相変わらず伸びやかなポールのVo、そして要所でスリリングなGプレイを差し込み楽曲を華やかに盛り立てるロブのGという3本柱が揃って機能している本編においてはそれも大した瑕にはなっていません。殊にフック満載で贈る、キャッチーで爽快な⑨は本作の魅力の結晶というべき名曲ではないかと。
何はともあれ前作を気に入った方なら安心してお買い求め頂ける優良盤ですよ


THE DEFIANTS - Zokusho - Stay ★★★ (2019-12-10 23:07:35)

躍動感溢れる曲調に弾けるような歌声、
縦横無尽に駆け巡るG、そして爽快且つ
キャッチーなコーラス・ワークに、
DANGER DANGERファンも思わずニッコリな
秀逸なハードポップ・ナンバー。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards ★★★ (2017-11-18 09:30:51)

名前は知っていても、まともに聴いたことはないパンク・バンドってのは結構多く、UKハードコア/パンク界のリビング・レジェンドこと、ワッティ・バカン(Vo)率いるTHE EXPLOITEDもそうしたバンドの一つ。なので彼らが’96年にMUSIC FOR NATIONSからリリースしたこの12thアルバム(多分)を初めて耳にした時はビックリでしたよ。ガリガリと鼓膜を引っ掻くGリフ、性急に突っ走るビートを抜群の安定感で支えるリズム隊、各曲にフィーチュアされ威勢よく迸るGソロ、怒りに満ちた咆哮で聴き手をアジテートしまくるVo等々。こりゃまた何とイカしたクロスオーバー・スラッシュか…というか、これってもう普通にカッコイイ、ストレートなスラッシュ・メタルの快作じゃん!と。
特に純粋な賛辞として「まるでSLAYER」という言葉を贈りたくなる⑥⑪はスラッシュ魂が燃え上がらずにはいられない名曲。当時流行のキーワード「ラフ&スポンテニアス」を言い訳にせず、しっかりと作り込んだ肉厚なプロダクションも、収録曲が放つ剣呑な殺気と迫力を効果的に倍加してくれています。(プロデュースはコリン・リチャードソンが担当)
このアルバムが発表された'96年頃といえば、モダン・ヘヴィネス・ブームの直撃でスラッシュ・シーンはスピードダウン著しく、またパンク・シーンはもっとポップでメロディアスな音が主流なりつつあった時期。本作はその只中にあって「るせぇ!そんなん知るかボケェ!」とばかりに、両者に中指突き立てて我が道を貫き通す、まさしくパンクな姿勢と、スラッシーなアグレッション/スピード感が全編に亘って横溢した力作に仕上がっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - Sea of Blood ★★★ (2017-11-18 09:40:14)

ノイジーな音色で破壊的に刻まれるGリフがド迫力。
ズドドドッと地響きと共に疾走疾走また疾走な曲調を、
どっしりと支えるドラムの抜群の安定感も
この曲(のみならずアルバム全体)の肝になっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - They Lie ★★★ (2017-11-18 09:36:05)

血管ブチきれそうな勢いでガナりたてる怒声Vo、
ガリガリと鼓膜に突き立つGリフ、猪突猛進のリズム、
その合間を縫って迸るGソロとが、3分弱の
ランニング・タイムを一気呵成に走り抜ける。
パンク?ハードコア?クロスオーバー?
いやいや。SLAYER型スラッシュ・ソングの名曲ですよ。


THE FIRM - Mean Business ★★ (2018-01-29 22:56:47)

BAD COMPANYを解散させたポール・ロジャースと、LED ZEPPELINを解散させたジミー・ペイジのご両人が、多発性硬化症を患うロニー・レーン(元FACES)のために開催されたベネフィット・コンサートを切っ掛けに意気投合。その後立ち上げたTHE FIRMが’86年に発表した2ndアルバムにしてラスト作となったのがこちら。
ペイジが弾き、ロジャースが歌う…こいつぁ凄いことになりそうな予感!とパンパンに膨らんだファンの期待を他所に、デビュー作で提示されたのはZEP色の薄い、シンプルで飾り気のないブルーズ・ロック。バブルに浮かれる80年代真っ盛りのロック・シーンにおいては、「地味」「期待外れ」と芳しい評価を得られなかったと聞き及びますが、後追いリスナーな上に、そもそもZEPには殆ど思い入れがないボンクラゆえ(BAD COMPANYは大好きなのですが)「ポール・ロジャースの上手い歌が聴ければいいか」ぐらいの過度な期待をせずに購入したことが奏功したのか、本作も十分楽しむことが出来ましたよ。
特にメロウに揺らめくヒット・チューン③や、後半から踊り出すピアノがバドカンの名曲“RUN WITH THE PACK”を思い起こさせる④といった、ブリティッシュ・ロックならではの哀愁と、ロジャース先生絶品の歌唱が堪能できる楽曲はバッチグー。また草原を吹き抜ける一陣のそよ風の如き⑩におけるペイジ御大のGプレイも実に味わい深く美味。
音質やアレンジ面を含め、同時代のヒット作に比べると圧倒的に華のない作風ではありますが、お陰で今聴き直しても時代性を意識せずに楽しむことができるという、ある意味タイムレスな魅力を持った(?)1枚ではないかと。


THE FIRM - Mean Business - All the King's Horses ★★★ (2018-01-30 23:15:13)

スペーシーなKeyをフィーチュアした哀感溢れる曲調は
AOR/産業ロックに通じるものがありつつも、そこに
ポール・ロジャースのディープ・ボイスが絡みつくことで、
洗練よりも情念が勝るこのバンドならでは魅力を湛えた楽曲として昇華されます。
それより何よりこの曲の場合、ニンジャとハゲ頭にハチマキ巻いた
サムライが暴れるモノクロ時代劇風PVがまずは必見ですよ。
なぜ時代劇…やっぱり奥様が日本人だったから?


THE FIRM - Mean Business - Spirit of Love ★★★ (2018-01-30 23:02:26)

アルバムのラストに置かれたアップテンポのロック・チューンで
他の収録曲に比べると、この曲からは爽やかな80年代の風が
吹いて来るのを感じます。伸びやかなポール・ロジャースの歌声と、
ジミー・ペイジの軽快なGプレイに心躍らされずにはいられません。


THE GREAT KAT - Bloody Vivaldi ★★ (2007-05-06 15:24:00)

正常な神経の持ち主なら、レジへ持って行くことを躊躇せずにはいられない、負のオーラ撒き散らしまくりの
ゴアゴアなジャケット・アートワーク(血塗れで絶叫するTHE GREAT KAT様)が目印の、'98年発表の4曲入りEP。
女性Voと、ジュリアード卒の腕前を持つG、そしてバイオリンをフィーチュアして激烈に疾走しまくるスラッシュ・メタル・・・
と聞くと、さぞかし芝居がかった格調高いドラマチックなサウンドを想像されるかもしれないが、GREAT KAT様は
そんな常人の予想の遥か斜め上を行く、芝居は芝居でも下北沢の小劇場で公演されてる、チープでビザールな
アングラ芝居の如きイカレた・・・もとい、イカしたスラッシュ・サウンドで我々の度肝を抜いてくれます。
EPのタイトル通り、ヴィヴァルディの“四季"と“カルメン幻想曲"をスラッシュ・メタル風にアレンジした、
バイオリンの音色が良い感じのスパイスになっているインスト・ナンバー①④は兎も角、
歌入りの②③に於かれましては、ファン(奴隷)なら狂喜乱舞、そうでないならゴミ箱行確定と、
評価がハッキリと分かれる(圧倒的に後者が優勢)THE GREAT KAT節炸裂しまくりの1作に仕上がっております。


THE LADDER - Future Miracles ★★★ (2022-09-28 23:51:28)

6th『DEADMAN’S SHOES』を最後に解散状態にあったFMの再結成を企図して、スティーヴ・オーヴァーランド(Vo)とピート・ジャップ(Ds)がお蔵入りしていたFMの未発表音源のレコーディングを行うも、バンド名を巡る権利関係の壁がクリアできず、結局THE LADDERという名義を用いて'04年にリリースした作品。ちなみにギタリストとして起用されているのは、当時TENを脱退して浪人中の身だったヴィニー・バーンズです。
制作の経緯が経緯だけに、本作に託されているサウンドは完全にFMのそれと一致。のみならず1st『INDISCREET』や2nd『TOUGH IT OUT』といった初期作と同時期に書かれたマテリアル(中には作曲時期が前身バンドのWILDFIRE時代まで遡る楽曲もある模様)がメインのため、ブルージーな色合いよりもハードポップ・テイストが勝っている辺りも個人的には嬉しい限りです。
勿論、ブランクを全く感じさせない、ますます円熟味を増したスティーヴぼソウルフルなVo、雇われ仕事ながらツボを押さえたGプレイを提供してくれるヴィニーを始め、各メンバーのパフォーマンスに関しても文句なし。とりわけ歌とギターの魅力が遺憾なく発揮された、アルバムのOPを軽快に飾るハードポップ①、避暑地に吹く一陣の涼風の如き哀メロ・チューン②、哀愁のメロディとキャッチネスが程好く同居している④辺りなんて、「このクオリティで何故お蔵入りに?」と首を捻らざるを得ない名曲っぷりですよ。
FMファンなら必聴ですし、逆に「ブルージーなのはあんまし…」というメロハー愛好家にもお薦めできる1枚。


THE LADDER - Future Miracles - Closer to Your Heart ★★★ (2022-09-30 00:24:29)

軽快な疾走感、その上で爽やかに弾む哀愁のメロディと
スティーヴの伸びやかでエモい歌声、歌心に溢れたGソロが
絶妙に胸を打つハードポップ・チューンの名曲。
お蔵入り状態から引っ張り出して来てくれたことに感謝ですよ。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band ★★★ (2021-12-07 00:38:24)

ヒットはこそしませんでしたが、個人的に愛して止まない(隠れた名盤と言い切りたい)『MR. MOONLIGHT』(’94年)を最後にFOREIGNERから離れたルー・グラム(Vo)が、実の兄弟であるベン・グラム(Ds)やリチャード・グラム(B)、ドン・マキューソ(G)といったBLACK SEEP時代の僚友でもある旧知のメンバーと共にTHE LOU GRAMM BANDを立ち上げ、’09年に発表した1stアルバム。こんな作品がリリースされてるなんて恥ずかしながら結構最近まで知りませんでしたよ。
90年代末期には脳腫瘍の手術を受けており、幸い発見が早かったので大事には至らなかったとのニュースは耳にしていたものの、その後彼の歌声に触れる機会が殆どなかったため、果たして往年の歌唱力をどの程度維持できているのか…?と、実際に本作を聴くまではかなり不安だったのですが、憂いを帯びて重厚なOPナンバー①がスタートした時点で、そんな心配は雲散霧消。まぁ、暫く見ぬ間に体形はより一層横方向に広がった印象を受けますけども、多少の枯れ感も滋味な味わいへと変えてしまうエモーショナルな歌い回しは健在。前述の①を皮切りに、骨太なロック・チューン②、アコギを有用した高揚感に満ちた③、ビリー・プレストンのカヴァー④という、歌い手が上手くなけりゃサマにならないこと夥しい、優れた楽曲が連続する本編前半戦だけで完膚なきまでに掴まれてしまいましたよ。(勿論、後半にも⑥みたいなWHITESNAKE調の佳曲あり)
「気の合う仲間達と伸び伸び作り上げた」感溢れる1枚で、ルー・グラムのソロ作を愛する向きには強力にお薦めできる力作です。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band - Willing to Forgive ★★★ (2021-12-07 23:23:45)

アコギを有用したアレンジがポジティブな高揚感を運んでくる
爽やかなロック・チューン。聴き手を励まし、勇気づけるような
ルー・グラムの包容力を感じさせる歌声も、まったく衰えを感じさせません。


THE MAGNIFICENT - The Magnificent ★★ (2012-01-30 07:07:55)

CIRCUS MAXIMUSのマイケル・エリクセン(Vo)と、LEVERAGEのトースティ・スプーフ(G)が立ち上げたメロディック・ロック・プロジェクトのデビュー作。
HR/HMファンからの信頼も篤い両バンドの組み合わせ、更に彼らをバックアップするのは、トースティの盟友&天才メロディ・メイカーとして鳴らすツォーマス・ヘィッキネン(G)と来た日にゃ、本作の比類なき完成度の高さは約束されたも同然。
実際、マイケルのまろやかで良く伸びる歌声に、豊かな大衆性を備えたキャッチーなメロディと、アーティスティックな拘り/洗練を感じさせるアレンジとが無理なく同居した楽曲の数々は見事な出来栄えを提示しており、特に、抜けるような青空が目に浮かぶような爽快なメロディック・ロック・チューン③、“DRIVE ME”というタイトル通りの躍動感溢れる⑬(ボートラ扱いなのが勿体ない!)は、CIRCUS MAXIMUSともLEVERAGEとも異なる、このプロジェクトならではの魅力が如何なく発揮された名曲ではないかと。
収録時間60分オーバーの長尺がネックとなったのか、はたまた、雑誌等の高評価に釣られてハードルを高く設定し過ぎたせいか、購入当初は今ひとつピンと来ずに「あれぇ?」と聴きながら首を捻ってばかりいたのですが、この全編に漂う安定感には「流石」と感心させられますね。


THE NIGHTS - The Nights ★★★ (2023-10-23 22:58:27)

THE NIGHTSといっても、お笑い芸人のことでなけりゃ、セガサターンの名作ゲームのことでもなく。「RECKLESS LOVEの5人目のメンバー」とも評されるプロデューサー/ソングライターのイルッカ・ヴィルタネン(G)が、新人フロントマンのサミ・ハイド(Vo)と共に立ち上げたプロジェクトのこと。
本作は彼らが'17年にFRONTIERS RECORDSから発表したデビュー作で、イルッカの嗜好的にてっきり80年代ど真ん中の王道ポップ・メタル・サウンドが披露されているものと思いきや、OPナンバー①のイントロから早くも表明されている通り、ザクザクと刻まれるリフ&リズムは案外にメタリックでアグレッシブ。また8分越えのドラマティックな大作⑦が物語る通り、曲によってはプログレ・メタル的な感触も漂ってきたりと、こうしたモダンなハードネスと、北欧のバンドらしい憂愁を湛えたメロディや美麗なボーカル・ハーモニーとの共存が、本編収録曲の大きな魅力の一つになっています。特に刻まれるGリフはヘヴィ、でもその上で甘い声質のVoが歌うメロディはすこぶるキャッチーで爽快というコントラストが絶品な⑩は、アルバムのハイライトに挙げるべき名曲ではないかと。
勿論ストレートに80年代テイストが打ち出されている、哀愁のハードポップ⑧や壮大なバラード⑪みたいな楽曲もありますし、個人的にはイルッカがメロディ・メイカーとしてのみならず、ギタリストとしてもその才を存分に発揮している②にも痺れさせて頂きましたよ。
プロデューサー業が多忙なのか、これ以降作品リリースが途絶えていますが、ぼちぼち次回作を発表して貰えないものでしょうか。


THE NIGHTS - The Nights - I Wanna Be Your Superhero ★★★ (2023-10-26 01:12:34)

イントロで刻まれるGリフは重たげですが、ハスキーボイスのシンガーが
歌うメロディは愁いを帯びてキャッチー。特に爽快感がハジけるコーラス・パートは
秀逸で、本作の個性が端的に示された名曲に仕上がっているのではないでしょうか。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea ★★★ (2023-04-19 00:00:28)

HELLOWEENを始めとするジャーマン・メタル勢、あるいはPRETTY MAIDS、TNTといった北欧メタル勢の作品を数多く手掛けて来たことで知られる名プロデューサー、トミー・ハンセン。その彼がかつてKey奏者として在籍していたデンマーク出身の5人組THE OLD MAN AND THE SEAが、’74年にひっそりと残した唯一のアルバム。
アーネスト・ヘミングウェイの代表作『老人と海』をそのままバンド名&アルバム・タイトルとして冠してしまう肝の太さにゃ「度胸ありますな」と。これで内容が伴っていなかったら赤っ恥もいいところですが、気炎を上げるトミー・ハンセンのハモンド・オルガンを前面に配し、負けじとパワフルに駆動するソリッドなGとヘヴィなリズム隊がハードな彩りを加える、DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、CREAMといった先達からの影響を北欧フィルターを通して濾過吸収したようなHRサウンドは、叙情的にして壮大かつプログレッシブ。
ダイナミックでスリルに満ちた曲想がまさしく大海への船出を思わすOPナンバー①、効果的に用いられたピアノやアコギがエピカルな曲展開を一層盛り上げる②、Gとオルガンが真っ向ぶつかり合って火花を散らすホットなHRナンバー③、序曲④を含めると10分越えの長尺が変幻自在かつドラマティックに綴られていく2部構成の組曲⑤⑥…と、全編これ捨て曲なしの仕上がりとなっています。
若き日のトミー・ハンセンのアーティストとしての瑞々しい煌めきがしかと刻印された名盤。これがリリース当時わずか500枚程しかプレスされず、長らく幻の逸品扱いされていったんですから、勿体ねえ。国内盤CD化に感謝ですよ。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea - Jingoism ★★★ (2023-04-20 00:24:30)

手数多めに畳み掛けるリズム隊に支えられたスピード感溢れる曲調に乗せて、
トミー・ハンセンが操るハモンド・オルガンと切れ味鋭いギターとが
白熱のバトルを繰り広げる、プロトタイプHMナンバーと評したくなる逸品。


THE PRESIDENT ★★ (2010-01-26 19:35:00)

プログレッシブ・ロック・バンド、KAYAKのドラマーだったピム・コープマンと、「ショッキング・ビートルズ」で
一世を風靡したSTARS ON 45出身のシンガー、オッキー・ハウズデンスが立ち上げ、'83年に『BY APPOINTMENT OF』、
'85年に『MUSCLES』という2枚のスタジオ・アルバムを残したオランダ産AORユニット。
ジャンル・ファンから「あのロブスターのジャケット」として語り継がれる『BY~』は特に人気の高い名作で、
確かBURRN!!誌のAOR/産業ロック特集にて、ORION THE HUNTERやSWEET COMFORD BAND、
FRANKE & THE KNOCKOUTS、それにSHOOTING STAR辺りと共に、5つ星の高評価を受けていたと
記憶している・・・のだが定かではない。(もう手元にないので)
ちなみにピム・コープマンは数年前に発表されたKAYAKの再結成アルバムに参加。
健在ぶりを世にアピールした。


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF ★★ (2010-01-26 19:36:00)

オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、KAYAKのドラマーだったピム・コープマンと、同郷出身のシンガー、
オッキー・ハウズデンスの立ち上げたAORプロジェクトが'83年に発表した1stアルバムで、ジャンル・ファンには
「ロブスターのジャケット」でお馴染みの逸品。(邦題は『ホット・ブラッド・サマー』)
曲によってはちゃんとGが自己主張をしていたりと、AOR系作品群の中では比較的ロック色の強い1枚とされているが、
それでもそのサウンドは、リズム面の淡白なアレンジを筆頭に、HMはおろかHRとすらかなりの距離を感じさせるものだし、
元KAYAKという出自から期待されるようなプログレ色も殆どない。(インスト曲にちょこっと匂う程度?)
但し、「キャッチーとはこういう事だ!」と言わんばかりの、強力なフックを有するメロディのクオリティは
文句なしで素晴しい。リリース当時話題を呼んだという①はそれほど大した曲だとは思わないが、ハーモニカ(?)が
奏でる泣きのフレーズが良いアクセントとなっている②以降は、洗練されたAOR系バラードのお手本のような③、
ドン・ヘンリー風のホロ苦Voに絡む華やかなコーラスが印象に残る④、心地良く弾む⑤、産業ロック調の憂いを帯びた
⑥・・・と、腕利きソングライターによる丁寧な磨き上げがなされた、ポップで小粋な楽曲が目白押し。
激音好きにはとても薦められた代物ではないが、メロディ重視のHR/HMファンなら生涯の愛聴盤になる可能性大の1枚。
(※追記:アルバム・タイトル表記にミス有り。正しくは『BY APPOINTMENT OF』です)


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - MAKIN' MILLIONAIRES ★★★ (2010-01-26 22:09:16)

AOR系バラードかくあるべし!といった感じの名曲。
仄かに哀愁を帯びたメロディを
まろやかに歌い上げるVoの上手さ、
楽曲を盛り上げる的確なアレンジの素晴しさが際立つ1曲。


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - THAT'S THE WAY THAT IT IS ★★★ (2010-01-26 22:14:15)

憂いを帯びた曲調に、JOURNEY風のシンセ・リフを
取り入れた産業ロック風味漂う名曲。
しっかりと主張するGソロもフィーチュアし、
本編で最もHR寄りの仕上がりか?


THE PRESIDENT - BY APPOINTMENT OF - WORKIN' GIRL ★★ (2010-01-26 22:04:51)

しっとりとした哀愁を帯びた、
都会的な洗練を感じさせるポップ・ナンバー。
ハーモニカが奏でる泣きのフレーズが心地良い。


THE RODS - The Rods ★★ (2008-11-09 11:02:00)

ロニー・J・ディオの従兄弟で、ELFの初代Gでもあったデイヴィッド“ROCK"ファインスタインが、
Dsのカール・キャネディらと共に結成、活動初期には、あのMANOWARのジョーイ・ディマイオも
曲作りに参加していたというNY出身のパワー・トリオTHE RODSが、'81年に発表した1stフル・アルバム。
80年代初頭、古参メタラーから「西のY&T、東のTHE RODS」と並び称されたのも今は昔。日本における彼我の人気差は、
このサイトにおける、両バンドへの投票数を見比べれば悲しでまでに一目瞭然だが、どっこい
本作の内容はY&Tの傑作群と比べたって、決して引けを取るものではない。
ブルーズ・ベースのロックンロールをNWOBHM風に仕上げた、埃っぽくもワイルドなサウンドは、どこか明るくなりきれず、
硬質な哀愁と醒めた雰囲気が漂う辺りが、如何にもNY出身の都会派バンドといった趣き。随所で炸裂する
「前を見据えた戦士の目から、ポロリと零れ落ちる一筋の涙」的な(分かり難い例え)男泣きメロディも
良いアクセントとなっていて、特に、パワフルなVo、エッジの効いたメタリックなGリフ、雷鳴の如きリズム・セクション、
そして泣きのGソロが一丸となって突貫する①は、タイトに刈り込まれたランニング・タイムの中に、THE RODSという
バンドの魅力が判り易く詰め込まれた名曲。(意外なくらい分厚いボーカル・ハーモニーも印象に残ります)
THE RODSは他にも数枚のアルバムを残しているが、↑上の方の仰る通り、無駄に飾らない、シンプルでストリートっぽい
雰囲気の滲み出るアルバム・ジャケットも無茶苦茶クールな本作こそが、入門編には最適でしょう。
ちなみに、リーダーのデイヴィッドは、現在は自己のバンドFEINSTEINを率いて元気に活動中で、このバンドの
プロデュースを手掛けているのが、旧友のジョーイ・ディマイオ閣下であることは良く知られた話。(か?)


THE RODS - The Rods - Ace in the Hole ★★ (2008-11-09 11:12:10)

「戦う男の哀愁」がプンプンと漂ってくる、
THE RODS流の泣きのバラード。
“POWER LOVER"と並ぶ、アルバム最大の聴き所でしょう。


THE RODS - The Rods - Power Lover ★★★ (2008-11-09 11:09:44)

THE RODSというバンドの魅力がギュッと詰め込まれた
パワフルな疾走チューン。
ライバル・バンドY&Tの泣きメロが「号泣」ならば、
こちらは「男泣き」とでも表現したくなる、
食いしばった歯の隙間から漏れる嗚咽的なGソロが良い感じ。


THE RODS - Vengeance ★★ (2011-06-30 23:00:34)

THE RODSとTOKYO BLADEが同じ月に新譜を出すなんて、今は一体昭和何年だよ?って感じですが、どちらも大変素晴しい作品なので問題なし。
デヴィッド“THE ROCK”フェインスタイン(Vo、G)は、自らの名を冠して'06年に立ち上げたプロジェクト、FEINSTEINの『THIRD WISH』(名盤!)ではメロディとドラマ性に拘った曲作りを展開していたが、THE RODS復活作たる今作では、装飾の類は一切排し、武骨なGリフ、肉厚なリズム、ハイエナジーなヘタウマVo、それに硬派な哀愁背負ったメロディとがパワフルに炸裂する、愚直なまでにストレートなHMサウンドを志向。
カール・カネディ(Ds)、ゲイリー・ボードナロ(B)ら、お馴染みのメンバーの再結集もプラスに作用したのか、ソリッドで小気味の良い曲調が『BRITISH STEEL』リリース時のJUDAS PRIESTを思わすOPナンバー①が明示する通り、その作風は徹底して原点回帰の姿勢が貫かれ、キャッチーな疾走曲③⑦⑩はデビュー作収録の名曲“TURBO LOVER”の現代的なリファイン版といった趣きだし、また本作のトピック、故ロ二ー・J・ディオが生前にレコーディングした最後の楽曲の一つとされる、重厚な⑤の有無を言わせぬ迫力の前には、ただ黙って頭を垂れるのみ。
贅沢言わせて貰えるならば、あとは濃厚に泣きまくるバラードがあれば尚最高だったんだけど、これだけでも十分お腹いっぱいになれる1枚である事は確か。
THE RODS、ここにあり!


THE RODS - Vengeance - Raise Some Hell ★★★ (2011-07-03 20:47:36)

ソリッド且つキャッチーに疾走するリフ&リズムや歌メロが
'80年前後(最も勢いがあった頃)のJUDAS PRIESTを
彷彿とさせ、アルバムへの期待感を煽るに十分な
カッコ良さを誇るOPナンバー。


THE RODS - Vengeance - Rebel's Highway ★★ (2011-07-03 20:43:19)

デヴィッドの歌声はやや衰えが感じられなくもないが、
雄々しく疾走する楽曲自体はTHE RODS印で
大変にカッコイイ。


THE RODS - Vengeance - Runnin' Wild ★★★ (2011-07-03 20:38:28)

勇壮且つキャッチーな曲調が
まさに往年のTHE RODSを思わす
復活作のハイライト・ナンバー。


THE RODS - Vengeance - The Code ★★★ (2011-07-03 20:40:29)

故ロ二ーが病魔の影響を全く感じさせない
威厳たっぷりな歌声を轟かせるヘヴィ・ナンバー。
彼が歌うに相応しいDIO風の重厚な曲調もナイス。


THE RODS - Wild Dogs ★★ (2009-07-20 22:28:00)

都会的なクールさ漂う硬派な楽曲に、活きの良いパフォーマンス(おまけに激渋なアートワーク)が
詰め込まれたセルフ・タイトルのデビュー作がNWOBHMに沸く英国で高く評価され、ここ日本でもマニア筋から
「西のY&T、東のTHE RODS」と並び称されたパワー・トリオが、'83年に発表した2ndアルバム。
彼らを語る上で外せない名曲“POWER LOVER"級のキラー・チューンは、残念ながら本作には見当たらないし、
前作に比べると、若干ワイルドさが薄れた気がしなくもないが、代わりに重厚感溢れる硬質な楽曲はHM度が大増量。
特に、メタリックに刻まれるGリフがイカス②、重たい杭が打ち込まれるかの如き③、タイトル通りの
猛々しさを誇る(タイトル・トラックでもある)⑤、VANILLA FUDGEのカヴァーながら違和感なくハマってる⑥、
そして男泣きを誘う熱き名曲⑧といったミドル~スロー・ナンバーのカッコ良さは前作以上といっても
過言ではないかと。(勿論、⑩のようなアップテンポの楽曲のカッコ良さも相変わらず)
1st『THE RODS』のイメージ・カラーをクールな「青」とするなら、本作はまさに燃える「赤」。
HM黎明期を代表する名盤でもある前作の陰に隠れて、知名度的にはイマイチな作品なれど、完成度では
決して聴き劣りしない1枚。・・・とか言いつつ、自分も購入したのは最近だったりするのですが。


THE SCOURGER ★★ (2009-07-12 22:12:00)

'03年にドラマーのセッポ・タルヴァイネンと、元GANDALFのヤリ・フルスカイネン(Vo)が中心となって
結成した、フィンランドはヘルシンキ出身のツインGを擁する5人組エクストリーム・メタル・バンド。
シングル“HATEHEAD"や“NEVER BURY THE HATCHET"、EP『MAXIMUM OF INTENSITY』をスマッシュ・ヒットさせ、
同国内において確かな地位を確立。ヒステリックなシャウト型Vo、刻み目の荒いGリフ、
タイトなリズム隊をフィーチュアした、切れ味鋭いオールドスクールなスラッシュ・メタルに、
現代的な攻撃性やモダンなアレンジを加えたサウンドがその持ち味で、
早ければ今年年末には3rdアルバムを発表予定。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence ★★ (2009-07-12 22:13:00)

セッポ・タルヴァイネン(Ds)が中心となって、フィンランドはヘルシンキにて結成された、元GANDALFの
ヤリ・フルスカイネン(Vo)らを擁する5人組が'06年に発表した1stフル・アルバム。
アルバムからの先行シングルとしてリリースされた“HATEHEAD"が、フィンランドのナショナル・チャートで
第1位を記録するという大ヒットを飛ばし、同国内において若手エクストリーム・メタル・バンドの有望株筆頭に
躍り出た事で知られる彼ら。今年リリースされた2nd『DARK INVITATION TO ARMAGEDDON』では
オールドスクール・テイスト色濃いスラッシュ・メタルを聴かせてくれたが、このデビュー作の時点では
楽曲といい、音作りといい、「デスラッシュ」と形容した方がシックリと来るサウンドで、取り分けリフ・ワークや
Voの歌唱スタイルからはAT THE GATESからの強い影響が伺える。(デモテープでは“COLD"のカヴァーを演っていたとか)
尤も、それが悪いなんてことはなく、北欧のバンドらしくメロディックに切り込んで来るツインGをフィーチュアして、
畳み掛けるように疾駆する楽曲の数々は単純にカッコイイし、何より、前述の大ヒット・シングル②に強く表れているように、
攻撃性のみならず、楽曲が常に一定のキャッチーさをキープしている点も○。特に、聴いてるだけで体が勝手に反応する
タイトなスピード・チューンがズラリ揃った、アルバム前半のクオリティなんて中々のモノじゃないでしょうか。
ちなみに現在は、SLAYERの“GHOSTS OF WAR"、TESTAMENTの“OVER THE WALL"といった名曲のカヴァーや、
新曲、ライブ音源から構成され、初登場3位を記録したヒット・シングル『MAXIMUM INTENSITY』を
追加収録した特別版が出回っているので、買うならそちらがお薦め。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Decline of Conformity / Grading: Deranged ★★ (2009-08-02 16:35:57)

冒頭に短いイントロ・パートがくっ付けられた
1stアルバムのOPナンバー。
切れ味鋭く疾走するリフ&リズムの上に、
トーマス・リンドバーグ似の絶叫Voが乗るという
デビュー作の方向性を判り易く示した名曲。
この頃はスラッシュというよりもデスラッシュ・メタル
といった趣きが強く感じられる。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Enslaved to Faith ★★ (2009-08-02 16:42:50)

Gリフからはパンキッシュなノリも感じられるのだが、
曲調自体は北欧のバンドらしく暗く翳りを帯びているという
ミスマッチの妙。
しつこくない程度に挿入される叙情メロディも効果的。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Hatehead ★★ (2009-08-02 16:38:01)

アグレッシブだがキャッチーという、
このバンドならではの強みが良く出てる1曲。
ただ、どう聴いたって直球ど真ん中の
デスラッシュ・ナンバーであり、
これがナショナル・チャートの1位を獲得しちゃうんだから
フィンランドってのは凄い国だなぁ、と。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - Maximum Intensity ★★ (2009-08-02 16:39:15)

一際AT THE GATEからの影響が強く感じられるナンバー。
メロディックなGソロが印象に残る。


THE SCOURGER - Blind Date With Violence - The Oath & the Lie ★★ (2009-08-02 17:00:17)

注釈無用で激走する、1stアルバム最速のスラッシュ・ナンバー。
それでいてGソロはメロディックと、このバンドならではの
魅力が非常に良く表された1曲。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon ★★ (2009-07-12 22:16:00)

デビュー作『BLIND DATE WITH VIOLENCE』をスマッシュ・ヒットさせたTHE SCOURGERが、
その勢いを駆って'09年にリリースした2ndフル・アルバム。
『BLIND~』では、輸入盤店じゃ「AT THE GATESタイプ。GOOD!」とか書かれそうなデスラッシュ・メタルを聴かせてくれていたが、
今回は、刺々しいサウンド・プロダクションの下、不穏なイントロをささくれ立ったGリフが切り裂き、カミソリ度を増した
ハイテンションVoと、前作以上に練り込まれたGソロ(④⑩なんて思わず「おおっ」と前に身を乗り出しそうになる程)、
それにタイトな走りっぷりが痛快なリズム隊とが、一丸となって畳み掛けて来る②を手始めに、オールドスクールな
スラッシュ・メタル色が大幅増。取り分け、中東風味のメロディが奏でられる導入部から劇的に展開していく
アルバム表題曲⑦は、シャープな切れ味と独特のキャッチネスに加えて、モダンなアレンジや北欧のバンドならではの
冷気と哀感が織り込まれて疾走する、THE SCOURGER流スラッシュ・メタルの完成形とでも言うべき名曲かと。
流石にCHILDREN OF BODOMのヤンネ・ウォーマンをして「フィンランド最強のスラッシュ・メタル・バンド」と
言わしめただけの事はある、新世代スラッシャーならではの魅力に満ち溢れた快作。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - Dark Invitation to Armageddon ★★★ (2009-08-02 17:11:24)

エキゾチックなイントロに始まり、
スピーディ且つドラマティックに綴られる
起承転結を兼ね備えた曲展開が耳惹く
2ndアルバムのハイライト・チューンにして
THE SCOURGER屈指の名曲の一つ。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - In the Hour of Ruin ★★ (2009-08-02 17:20:05)

前曲“NO REDEMPTION"の勢いを受け継いで疾走する
高速スラッシュ・ナンバー。
隠し味として導入されているKeyや、ノーマルボイスによる
バックVoが良い仕事をしています。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - Last Nail to the Coffin ★★ (2009-08-02 17:17:39)

重厚且つ劇的に本編ラストを飾る、1stアルバムでは
見られなかったタイプのヘヴィ且つメロディアスな
ミドル・チューン。“TO TAME A LIFE"同様、
美しく劇的なメロディを奏でるGソロが秀逸。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - No Redemption ★★ (2009-08-02 17:05:51)

不穏さ漂う序曲“LEX TALIONIS"を経て
アグレッシブに疾走を開始する2ndアルバムのOPナンバー。
ブラスト・ビートも炸裂するが、音作りとVoの歌唱法が
変化しているせいか、デスラッシュ色よりも
スラッシュ・メタル風味の方が強く感じられる。


THE SCOURGER - Dark Invitation to Armageddon - To Tame a Life ★★ (2009-08-02 17:08:53)

これまでになかったタイプのミドル・チューン。
リフのカッコ良さゆえスピードがなくとも飽きる事はないし、
何より美しく劇的なメロディを紡ぎ出すツインリードが
素晴しいったら。


THE SHOCK - PINULTIMATE ★★★ (2014-01-14 22:27:56)

先日CD屋に足を運んだ際、遅れて来たNWOBHMバンド、VIRTUEが'86年に残した幻のEP『WE STAND TO FIGHT』が再発されていて驚いたのですが、それを見て思い出したのが、VIRTUEを母体に結成されたバンド、THE SHOCKと、彼らが'98年に残したこのデビュー作『PINULTIMATE』のことでした。
ここで聴かれるのは、幕開け役/幕引き役を担う①⑪の曲調が如実に物語る通り、濃厚に80年代風味を背負ったキャッチー且つ健康的なポップ・メタル・サウンド。(上で別の方が指摘している通り)STRYPERなんかを彷彿とさせる楽曲からはNWOBHM的な要素は殆ど見受けられませんが、ササクレたGの音色等、音作りがやたらにアグレッシブなのが本作の特徴で、このヨーロピアンHM調の装いと、スカッとアメリカンなノリの良さを伴った楽曲とのミスマッチ感が、作品に印象的なフックを生み出していました。
イギリス人の血の為せる業なのか、爽快な楽曲においても決して明るくはなり切れず、本家STRYPERに比べると荒っぽいボーカル・ハーモニー(トニー・オホーラやトニー・ミルズも参加)や、Voの拾う歌メロがどこか翳りを帯びているように感じられ、中でもリフ/リード両面において歯切れの良いプレイを連発するGの独壇場と言った感じの、ドライヴ感溢れる②⑥や、伸びやかな駆け抜けていく④は、このバンドならではの名曲と言えるのではないでしょうか。
成功を収めることは出来ませんでしたが、良いアルバム/バンドでした。


THE SHOCK - PINULTIMATE - Fruits of My Disease ★★★ (2014-01-15 22:14:40)

アルバム中においては“SIGN OF THE TIMES”と
双璧を為す、へヴィ・メタリックな名曲。
楽曲のカッコ良さといい、全編に亘って歌いまくる
ツインGといい、マット・シェルドンとボズ・ボズリー
コンビのセンスに鈍りは見られません。


THE SHOCK - PINULTIMATE - SIGN OF THE TIMES ★★★ (2014-01-15 22:10:55)

キャッチーなノリの良さと爽快なドライヴ感、
翳りを湛えたメロディとへヴィ・メタリックな
切れ味の鋭さ。アメリカン・テイストと
ヨーロッピアン・テイストのハイブリッドな名曲です。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE ★★★ (2014-01-03 23:54:17)

TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)、ZEBRAのランディ・ジャクソン(G)、STRANGEWAYSのテリー・ブロック(Vo)、KANSASのビリー・グリア(B)、BLACK SABBATHのボブ・ロンディネリ(Ds)ら、メロディ愛好家の食指をそそる面子によって結成されたスーパーグループ(・・・スーパー?)が、'02年に発表したデビュー作。
この顔触れゆえ、ベテランらしい落ち着き漂うAOR/産業ロック作品を勝手に予想していたのですが、色鮮やかに楽曲を飾り立てるマークのKeyワーク、それに立体的に構築されたボーカル・ハーモニーが華麗に舞う本作のサウンドは、TOUCHにも通底するアメリカン・プログレ・ハードのシルエットを程よくドラマティックに描き出しています。
特に、名曲が惜しみなく連打される本編前半のクオリティには目を瞠るものがあって、歌えるメンバーが揃っている強みを十二分に活かし切った、重厚なコーラス・ワークが絶品のOPナンバー①と、哀愁のボーカル・メロディと流麗なKeyの調べ、背景に埋没しない存在感を主張するメロディアスなGとが「ザ・プログレ・ハード」な世界を創出する④、それにテリー・ブロックのエモーショナルな熱唱が胸焦がすバラード⑤は、アルバムの白眉と言うべき逸品です。
面子の豪華さと、作品の質とが見事に合致した充実作。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE - ARYON ★★★ (2014-01-04 00:05:47)

Voの熱唱、流麗なKey、
ハードネスを損なうことなく曲展開を
劇的に盛り上げるGとリズム隊によって、
MAGNUM辺りにも通じる、聴き手を勇気づけるような
高揚感とドラマティシズムが作り出されている、
アルバム屈指の名曲。


THE STORM - Eye of the Storm ★★★ (2016-09-12 21:12:18)

2曲のヒット・シングルを生んだデビュー作に続く新作レコーディングのためスタジオ入りするも、時期同じくしてグランジ/オルタナ旋風が本格的に音楽シーンを席巻。流行に擦り寄るべく所属レコード会社が方針転換を図ったせいで、完成していたにも関わらず、長らくお蔵入りの不遇を囲う羽目になった2ndアルバムがこちら。
でも内容に関しちゃ、端正な音作りから、溌剌とキャッチーに弾むポップ・フィーリング、そして胸打つ抒情メロディに至るまで、「まるでJOURNEY」なメロディアスHRの輝きに鈍りなし。ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)、グレッグ・ローリー(Key)の本家JOURNEY組が醸し出す「本物」の深みと説得力を土台に、その上で707やTWO FIRESの活動等で知られるケヴィン・チャルファント(Vo)と、ニール・ショーンばりの官能的なロングトーンの使い手ジョシュ・ラモス(G)という、メロハー愛好家お馴染みの面子がエモーショナルなパフォーマンスを迸らせてくれるのですから、こんだけ高品質な作品がバンド活動停止後まで日の目を見なかったなんて、許されざる話ですよ。
と、そんな感じに褒めるべき所だらけの本作ですが、中でもケヴィン・チャルファントのVoの素晴らしさは特筆モノ。この人の声をまともに耳にしたのはTHE STORMが最初でしたが、殊に②⑩のようなバラード系の楽曲に響き渡る澄み切ったハイトーンは、己の小汚い耳垢を根こそぎ洗い流してくれるかの如き美しさ。聴く度に感涙に咽んでしまいますね。
下手にメジャーレーベルからリリースされてしまったせいで、なかなか再発がかからない1st『THE STORM』と併せて、メロディ愛好家なら避けては通れない名作ではないかと。


THE STORM - Eye of the Storm - Love Isn't Easy ★★★ (2016-09-12 22:40:32)

強い日差しに、低く垂れこめる入道雲etc.と、
夏の真っ青な青空が脳裏に思い浮かぶ爽快なロック・チューン。
力強いビートに乗って、その青空の中へ吸い込まれるように
伸びていくVoのハイトーンとGのロングトーンがこれまた胸を打つ。
世が世なら大ヒットしていてもおかしくなかった名曲です。


THE STORM - Eye of the Storm - Waiting for the World to Change ★★★ (2016-09-12 22:34:43)

80年代だったら間違いなくヒットチャート上位に
ランクインしていたであろう極上の名バラード。
ケヴィン・チャルファントの張り良し/艶良し/伸び良しと
三拍子揃ったハイトーンVoの威力には魂を持って行かれますよ。


THE STORM - The Storm ★★★ (2017-09-07 00:50:46)

90年代初頭に一度持ち上がったJOURNEY再結成の話が、(主にニール・ショーンとスティーヴ・ペリーの不仲が原因で)ポシャッてしまったグレッグ・ローリー(Key)、ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)の3人が、じゃあ自分らで同路線の音を演んべかと結成したバンドTHE STORMが、’91年にINTERSCOPEから発表したデビュー作。
元JOURNEY組以外の参加メンバーは、この頃から既にニール・ショーン度ド高めのGプレイを聴かせてくれるジョシュ・ラモス(G)に、スティーヴ・ペリーに勝るとも劣らぬ伸びやかな歌声を響かせるケヴィン・チャルファント(Vo)という、アメリカン・メロディアスHR街道一筋に歩んで来た面々。そんなわけで本作に託されているのも当然JOURNEY路線のメロハー・サウンドで、そのクオリティは本家にも匹敵します。あとリズム隊主導のバンドのせいか、出している音がJOURNEYよりグッとハード寄りという。それでいてメロディのフックにも抜かりがないことは、嵐のSEに導かれてスタートするOPナンバー①を聴いただけで明らかでして、この辺りの仕事っぷりは流石メロディ職人集団だなぁと。
全米シングル・チャート最高第26位にランクインした②や、爽やかに耳をくすぐる哀愁のメロディと、ソウルフルな歌声の相乗効果で夢心地へと誘われる⑥といった、グランジ/オルタナ・ブームの本格到来前にギリギリ滑り込みでスマッシュ・ヒットを飛ばしたパワー・バラードは、特にこのバンドの真骨頂が堪能できる名曲ではないでしょうか。
レコード会社の方針転換で、見事な完成度を誇りながらもお蔵入りの憂き目にあった悲運の次作共々、メロディ愛好家の皆様に是非お薦めしたい名盤であります。


THE STORM - The Storm - I've Got a Lot to Learn About Love ★★★ (2017-09-07 22:49:38)

ケヴィン・チャルファントの伸びやかな歌声と、
それと同じぐらいよく歌うジョシュ・ラモスのGが紡ぐ
草原を吹き抜けるそよ風の如き哀メロが心地良い。
リズム隊の踏ん張りが適度なエッジも加えてくれる
スマッシュ・ヒットとなったのも納得の
(いやむしろもっと上位に行っても良かったぐらいな)名曲。


THE STORM - The Storm - Show Me the Way ★★★ (2017-09-07 22:58:46)

Voのソウルフルな熱唱、Gのエモーショナルな熱演、
曲展開を息苦しいほどに盛り上げるKeyにリズム隊と
全メンバーが良い仕事しまくりでアルバムのハイライトを飾る名バラード。
BURRN!!誌の藤木記者が「結婚式にお薦め」と書かれていましたが
こんな名曲流された日にゃ、式そっちのけで聴き惚れてしまいそうですよ。


THERION ★★ (2007-10-21 21:37:00)

自分も見てきました。お昼からの登場ってのはバンドのイメージにそぐわないなぁ~、とか不満に思っていたのですが、
会場が室内だった事と、何よりバンドの素晴しいパフォーマンスに、そんな不満はあっという間に忘却の彼方へ。
曲の素晴しさは今更言うに及ばず、G、B、DSと共にステージに立つ、ルックスも歌声も対照的な、男性コーラス隊2人と
女性コーラス隊2人の存在が非常的に効果的で、ライブをより華やかに、ドラマチックに彩ってくれていました。
特に、活発に動き回りながら、気品漂う歌声と麗しいルックスで目と耳を楽しませてくれた
女性コーラス隊のカタリナ・リルヤ&ハナ・ホルゲンソン嬢の魅力は強力極まりない。
ライブが始まった時、会場には3分の1程度しか客がいなかったのですが、終わった時にはかなりの人数が
スタンディング・ゾーンを埋めていてたので、初来日公演としては大成功だったんじゃないかな、と。
個人的にも、直前のOUTRAGEのライブでクタクタだったにも関わらず、グイグイと惹き込まれて、最後まで楽しませて頂きました。


THERION - Deggial ★★ (2007-10-29 22:08:00)

ファンの評価が分かれる中期THERIONの作品の中でも、取り分け不人気らしい'00年発表の
この7thアルバムだが、個人的には結構お気に入りの1枚だったりする。
その理由はハッキリしていて、アルバム全編が、壮大且つ優雅なオーケストラ・サウンドに埋め尽くされた分、緊張感や
攻撃性に鈍りの感じられた『VOVIN』や『SECRET OF THE RUNES』に比べ、今回はクリスティアン・ニエマン(G)の
加入効果か、全体的にGサウンドが前に出て来ていて、楽曲にヘヴィ・メタル然としたエッジが戻って来ているから。
5th『THELI』以前の作風が復活したわけじゃないが、要所に配された、IRON MAIDEN風のリフをフィーチュアした
ドラマチックな②、本編随一のアグレッションを発散するタイトル・トラック⑥、BLIND GUARADIANのハンズィ・キアシュが
リードVoを執る⑨のようなヘヴィ・メタリックな楽曲が、アルバムの流れに起伏を生み出すと同時に
全体のテンションを高める働きをしていて、聴き進めてもダレることが殆どない。
勿論、生楽器の使用により、一層、音色に深みを増したオーケストラ・サウンドや、格調高いオペラVoといった要素を
有効活用した、美しくも物悲しいバラード④や、ラストを劇的に締め括るクラシックの名曲
⑪(OZZY OSBURNEやPRETTY MAIDSで有名)を収録するなど、従来のクラシカル路線の追求にも余念はない。
“WILD HUNT"のような分かり易い決め曲に欠けるため、一聴した印象は地味かもしれないが、この完成度の高さは流石だ。


THERION - Deggial - Deggial ★★ (2007-10-29 22:49:13)

「サウンドトラック」と揶揄される事の多い
中期THERIONのアルバムだが、実際に聴いてみると、
ちゃんとアグレッシブな楽曲も収録されていることに気付く。
この曲は、『DEGGIAL』の中でも、一際ハードに
疾走するアルバム・タイトル・トラック。
速いだけでなく、ドラマチックなのも良い。


THERION - Deggial - Eternal Return ★★ (2007-10-29 22:45:57)

優雅に始まり、6人編成時代のIRON MAIDENを思わせる
リフをフィーチュアしながら、
徐々に速度を上げてドラマチックに盛り上がっていく名曲。


THERION - Gothic Kabbalah ★★ (2007-10-21 21:06:00)

LOUD PARK 07で待望の初来日を果たし、期待通りのドラマチックなショウを展開してくれたスウェーデンの
個性派シンフォニック・メタル・バンドが、'07年に発表した10thアルバム。
壮大なオーケストラ・サウンドが、より自然に楽曲の中に織り込まれた事で、従来の優雅さと劇的さを保ちつつも、
ヘヴィ・メタリックな攻撃性を取り戻した本作は、リーダーのクリストフェル・ユルソンが尋常ならざる創作意欲を
発揮した結果、前作『LEMURIA/SIRIUS B』に続いて2枚組仕様と相成ったわけだが、ボーナス・トラックを含めて
全17曲収録、トータル・ランニング・タイムが90分を超えるボリュームにも関わらず、捨て曲なし、
埋め曲なし、ダレ場なしと、相変わらずそのクオリティの高さには微塵の揺るぎもない。
オペラVoに対抗するマッツ・レヴィンのメタルな歌声、リフにソロにとアグレッシブに動き回るG、
スピーディに疾走するリズム隊等、バンド・サウンドが楽曲の主導権を握った事で、一層強化された
ヘヴィ・メタル・テイストが、冗長さを排して作品全体をガッチリと引き締めているのが重要なポイント。
またメロディも、前作より更にドラマ性と煽情力を高めていて、それも如何にも北欧風の寒々としたモノではなく、
中東や南米の古代遺跡が目に浮かぶような、呪術的な神秘性と怪しげな味わいが非常に素晴しい。
クリスティアン・ニエマンのウリ・ロートばりのGソロが胸に染みるDISC-1③、フルートが大活躍するDISC-1⑦、
ハードな疾走チューンDISC-2④⑥、URAIAH HEEPのケン・ヘンズレーによるKeyも良い仕事をしている、DISC-2のラストを
ドラマチックに締める大作⑦といった楽曲には、そうした両者の魅力が判り易く表れているんじゃなかろうか。
THERIONのアルバムをここまで聴き込んだのは(正直な話)結構久し振り。5th『THELI』以来の傑作だ。


THERION - Lemuria / Sirius B ★★ (2007-11-01 19:50:00)

欧州圏における高い人気とは裏腹に、フェードアウト気味だった日本での人気低下に歯止めを掛け、メタル・ファンに
「THERION健在なり」との認識を新たにさせた'04年発表の会心の一作。尚、クリストフェル・ユルソンが
己の創作能力をブーストさせた結果、2枚組仕様にて8th『LEMURIA』と9th『SIRIUS B』の同時リリースと相成った。
DISC-1の①で、いきなり4th『LEPACA KLIFFOTH』以降は封印されていたデス声が炸裂する事からも分かるように、
これまで作品の中核を成していたオーケストラ・サウンドが脇へと引き、代わりに、重厚なリフを刻むG、
パワフルなリズムを叩き出すDs&B、ゲスト参加のマッツ・レヴィンのVoといったバンド・サウンドが
前面に押し出され、メタリックなエッジとヘヴィネスが強調された楽曲が、本編の半数以上を占める。
勿論、壮麗なオーケストラ・サウンドは健在なれど、今回は「彩り」に徹している印象。また、コーラス・パートに
オペラの合唱隊ではなくソリストを起用した事で、楽曲の輪郭がより明瞭になった感あり。
まぁ、それはそれとして『LEMURIA』を聴いた時は、②⑨等、素晴しい曲もあるが、全体としては
少々地味かなとも思ったのだが、続く『SIRIUS B』のクオリティの高さはなかなかのモノ。
OPナンバーに相応しい荒々しさと勇壮さを誇る①、寒々しく怪しげな雰囲気が漂う③、ダイナミックに
展開していく組曲⑤⑥、そして名曲“THE WILD HUNT"を彷彿とさせるパワー・メタル・チューンながら、
オーケストラ・パートを巧みに織り込んだアレンジが秀逸な⑪・・・と、基本的に捨て曲なし。
この方向性は次作にも受け継がれ、より練り上げられた傑作10th『GOTHIC KABBALAH』を生み出すこととなる。


THERION - Lepaca Crifoth ★★ (2007-10-25 23:04:00)

北欧メロディック・デス・メタル黎明期の'93年に発表された3rd『SYMPHONY MASSES:HO DRAKON HO MEGACE』は、
その後のシーンの隆盛を予感させる作品の1つだったが、'95年発表のこの4thアルバムに至っては、
そこから更に一足飛びの音楽的進化を遂げ、ファンの度肝を抜いた。
重く禍々しいリフ・ワークと、クリストフェル・ユルソンのアグレッシブなVoスタイルにこそデス・メタルの面影が
残るものの、スピードを控えめにしてジックリとドラマを醸成する曲調や、気品と優雅さを演出するオペラVo、
リフにソロにと大活躍して、楽曲のスケール感を高めるKey、そして何より大幅増量されたクラシカルなメロディの
数々から構成される楽曲は、最早、デス・メタルと言うよりも、シンフォニックなヘヴィ・メタルといった趣き。
勿論、デス・メタリックなブルータリティを撒き散らす④⑦の如きナンバーも収録されてはいるが、そうした曲にしても、
インスト・パートは非常にメロディアスでドラマチック。中でも厳粛な⑤は、その後のTHERIONの方向性を決定付けた異色曲だ。
クリストフェル的には、もっと大掛かりにそうした要素の導入を考えていたらしいが、レコード会社から予算が下りずに断念。
ところがそのお陰で、ダイナミックな曲展開がOPを飾るに相応しい①や、メロディック・パワーメタル風味の⑥、
ファンファーレ・メタルとでも言うべき大仰さでエンディングを締め括る⑨のような、デス・メタルのエッジとシンフォニックな
荘厳さを兼ね備えた、このアルバムならではの強力な名曲が誕生したのだから、結果オーライ。(ちなみに⑧はCELTIC FROSTのカヴァー)
同時期に登場したメロデス群とは全く異なる方向へと進化を遂げた、THERIONの特異な個性が光る1枚。