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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 601-700

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 601-700
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AXXIS - Paradise in Flames ★★★ (2019-03-17 22:03:22)

AXXISというと、未だついつい「新人バンド」の括りに入れてしまいそうになるのですが、既に彼らも活動開始から30年を数えるベテランの仲間入りをしているのですから、時間が経つのは早い。
その活動期間を通じて最もポップ寄りな方向性を模索していた時期に発表された2nd『アクシスⅡ 帝国興隆』(’91年)以来、AXXISの作品に触れるのはかなり久々だったので、大仰なイントロ①に続き、女性Voとの掛け合いをフィーチュアして力強く突き進む②がアルバム開幕を告げる’06年発表の本作(9thアルバム)を聴いてびっくり。いつの間にかオペラティックなパワー・メタル路線に鞍替えをしていたとは。何だか同窓会で再会した旧友が、自衛隊に入ってすっかり体育会系のマッチョに様変わりしていたことを思い出しましたよ。関係ねえか。
線の細いバーナード・ワイスのハイトーンVoが、バックのパワフルな演奏に埋没しがちな点は気にならなくもないですが、とは言え、元々曲作りの手腕には並々ならぬ冴えを発揮していたバンドゆえ、この作風でも違和感は全くありません。個人的には王道メロパワ・メタル・チューン③⑨よりも、メロディのフックが際立つ重厚なミッド・チューン④⑤や、AXXIS版“I WANT OUT”ライクな⑥、キャッチーでメロディアスな⑧、ドラマティックなバラード⑦、ノリノリで駆け抜ける⑫といった楽曲の方に心惹かれますね。また2ndアルバムから加入し長らくバンドを支え続けるハリー・エラーズのシンフォニックなKeyと、バラード系の楽曲のみならずハード・ナンバーにおいても積極的に導入される女性コーラスも、楽曲の荘厳さを盛り立てる重要な役割を果たしてくれています。


AXXIS - Paradise in Flames - Tales of Glory Island ★★★ (2019-03-17 22:16:20)

80年代はアメリカナイズ、90年代はダーク&ヘヴィ、
そして00年代以降はエピカルな要素を増量させることが
欧州HR/HMシーンのトレンドと言えなくもないような?と、
ふと考えさせられた、勇壮且つ劇的に疾走するメロパワ・チューン。
AXXISは初期作しか知らなかったのでその変わりようにビックリですが
いやでも全然悪くない。思わず力瘤るカッコ良さですよ。


AZRAEL - Run for the Night ★★ (2008-03-13 23:33:00)

日本人離れした実力を誇る5人組として、舶来志向のメタル・ファンからも高い評価を得る、東京/神奈川をベースに活動を続けるメロディック・パワー・メタル・バンドAZRAELが、'97年に2000枚限定でリリースした自主制作の1stアルバム。
中古屋にてバカ高いプレミア価格が付けられていたので、はて、それほど優れた内容だったっけ?と、
久し振りに棚から引っ張り出して聴き直してみたのだけれど・・・。うん、良く出来ています。BURRN!!誌で高得点を獲得した3rd『SUNRISE IN THE DREAMLAND』に比べると、貧弱なサウンド・プロダクションといい、ハイトーンで歌うと声が引っ繰り返りそうになる、線の細いVoの不安定さといい、全体的にまだまだ青臭い印象は否めないものの、曲作りの上手さに関してはこの頃から既に光るモノを感じさせてくれる。
特に、Keyのアレンジが秀逸な哀愁のHRチューン④や、ポップで爽やかなノリの⑪を筆頭に、適度な軽快さを持ち合わせた楽曲で本編のコテコテ度を緩和して、腹にもたれる事なく、全13曲という長丁場を一気に聴かせる手腕はなかなかのもの。(とは言え、もっと曲数は絞った方が良かったと思うが)
勿論、ドラマティックな序曲を経て走り出す②、アルバム・タイトル・トラックの⑤、クライマックスを締める⑫等、要所に配置された、お約束のスピード・チューンのカッコ良さも素晴しい。
磨かれる前の原石的な魅力を感じさせる1枚、か?


AZRAEL - Run for the Night - Calling You ★★ (2008-03-13 23:42:51)

1stアルバムの頃は、コテコテの疾走チューンよりも、
このような、ポップ・テイストを感じさせる楽曲の方が
ずっと魅力的に聴こえる。
キャッチーで爽やかな名曲。


AZRAEL - Run for the Night - Judgment Day ★★ (2008-03-13 23:39:52)

流麗なKeyの音色が秀逸な、メタルと言うよりは
哀愁のHR的な感触の名曲。
無理めのハイトーンに頼ることなく、
適度に力を抜いて歌うVoも良い感じ。


Alice'n Thunderland (2017-08-09 21:19:50)

ランディ・ローズに師事し、タッピングの名手として知られたチェット・トンプソン(G)が、アン・ボレイン率いるHELLIONに参加して知名度を高めた後、90年代に入って結成したバンド。(バンド名は彼が10代の頃にやっていたバンドの名前をそのまま再利用している)
相棒役を務めたのは、MOTLEY CRUEのバック・コーラスを務めたNASTY HABITSのメンバーで、一時期ミック・マーズの奥方でもあったエミ・キャニン(Vo)。
バンドは'95年にアルバム1枚のみを残して、大きな成功を収めることなく消滅するが、ミック・マーズは女房(当時)のバンドということで彼らに金銭面や機材面で支援を惜しまなかったため素寒貧になってしまったという。ちょっといい話――いい話か?――あり。


Alice'n Thunderland - Alice'n Thunderland ★★ (2017-08-09 21:20:39)

ランディ・ローズ門下生にして、ギターを肩に担いだ状態でタッピングを行うという、斬新且つ壮絶に無意味な(そこがいいんじゃない!)「アップサイド・ダウン奏法」で一世を風靡し損なったチェット・トンプソン(G)と、MOTLEY CRUEのバック・コーラスも務めたNASTY HABITSのメンバーで、ミック・マーズの元奥方としても知られるエミ・キャニン(Vo)によるバンドが、’95年に世に放った唯一作。
参加面子に興味をそそられたのと、中古盤が安かったので購入はしたものの、モダン・ヘヴィネスが猛威を振るった時期のUS産HMバンドの作品ゆえ、内容に関しちゃ殆ど期待していませんでした。事実、飾り気皆無のプロダクションから歪んだGの音作り、中~低速/音域メインの収録曲に至るまで、その作風は90年代の流行にばっちり則っていますし。
しかしながら、エミの姐御系に分類されるワイルドな歌唱と、リフ/リード両面において冴え渡るチェットのテクニカルなGプレイとが、モダンなパワー・メタル・サウンドにキレとフックを生み出していて、本作が単に重苦しくてカッタルイだけの内容になることを防いでくれています。特に腰を低く落としてズンズン突き進むが如き①は、中期VICIOUS RUMORSを思わす迫力満点の名曲。まぁ地味な楽曲も散見されますけど、にしたってラストを〆る⑪がエミの熱唱を活かして盛り上がる秀曲ゆえ聴後感は上々。あと付け加えると、へヴィ&アグレッシブな音楽性に反して歌詞からはクリスチャン・メタルの姿勢も伺えたり。
何となく、チェットが一時的に参加していたマンディ・ライオン率いるWWⅢのアルバムに通じる魅力を感じた1枚。勿論USパワー・メタル愛好家にもお薦めです。


Alice'n Thunderland - Alice'n Thunderland - Mine, All Mine! ★★★ (2017-08-09 21:50:33)

アルバムのジャケットに描かれた猫バスもどき
(トトロのとは違ってちびっ子を頭から喰らいそうな感じ)
の凶悪な咆哮からスタートするOPナンバー。
エミのハスキーなシャウトと、ライブ映えしそうな
パワフルなコーラスをフィーチュアして
重心低く突き進むドスの効いた曲調が非常にカッコイイ。


Artica (2014-02-01 00:47:23)

マーク・エイドリアン(G)とロビー・ムーア(Key)、それにジェフ・パリスと活動を共にしていたというロジャー・フィーツ(B)が中心となり、ロサンゼルスで結成。
ラインナップを整え、デモテープの制作、また地元で開催されたバンド・コンテストで1位に輝く等の実績を上げた結果、アルバム・レコーディングのチャンスを掴み、'95年、セルフ・プロデュースでデビュー作『AS IT SHOULD BE』を発表。同作はジャケット・デザインを変更して、日本でもゼロ・コーポレーションからリリースされた。
ちなみに『AS IT~』は日本でしかCD化されなかったため暫くレア・アイテム化していたものの、'05年にめでたくリイシュー。しかもお色直しされた再発盤のジャケットが美麗で良いんだな、これが。


Artica - As It Should Be ★★★ (2014-02-01 00:47:55)

年末に手持ちのゼロ・コーポレーション関連作品を整理したのですが、それまで持ってたこと自体を完璧に失念していた、アメリカ出身の5人組が'95年に残した1stアルバム。
影が薄いとは言え、決して低クオリティの作品ではなく(聴き直して今更思い出した)、ちょっぴり掠れ声のハイトーンVoと、シンフォニックなKey、それに分厚いボーカル・ハーモニーに包まれたJOURNEY型AOR/産業ロックのド真ん中を行く哀愁サウンドは、流石に本家に比べるとプロダクションもアレンジも野暮ったい。しかしその分、こっちは楽曲や演奏から発せられる、新人らしい若々しさ弾けるハードネスが売りになっています。
例えばコーラスにしても、JOURNEYのそれが「壮麗さ」を増強してるのに対し、本作の溌剌としたコーラスからはアリーナ・ロックとかポップ・メタル寄りな味わいも感じられ、特に⑤⑧は、単なるJOURNEYフォロワーに留まらぬ彼らの個性が活かされた、アルバムのハイライト的名曲ではないかと。勿論、メロウな④のような楽曲もそれはそれで魅力十分。
存在自体を忘れていた身で言うのも憚られますが、良い作品なんで見かけたら是非チェックを。


B.E. TAYLOR GROUP (2014-04-29 00:27:39)

ペンシルバニア州アリクイッパ出身で、本名はウィリアム・エドワード・タイラー。
80年代初頭に自身がリーダーを務めるB.E. TYLOR GROUPを結成し、3枚のアルバムと1枚のEPを米メジャーのMCA~EPIC RECORDSから発表。高品質なAOR/産業(クリスチャン)ロック・サウンドが好評を博し、3rd『OUR WORLD』からは“KAREN”というヒット・シングルも生まれたが、結局、グループは同作を最後に解散。
以降B.E. タイラーはソロ・アーティスト/音楽プロデューサーとしての道を歩んでいる模様。


B.E. TAYLOR GROUP - Our World ★★★ (2014-04-29 00:28:51)

現在は音楽プロデューサー/ソロ・アーティストとして活動するB.E. タイラー(Vo)率いるグループが、EPIC RECORDSから'86年に発表した3rdアルバムにしてラスト作。
作品を重ねる毎にロック色を強めて行ったと評される彼らですが、HR/HMリスナーからすると「・・・これで?」ってなもんでしょうか。打ち込みと聴き紛う大人しめのリズムに、バブリーなシンセの音色が「ザ・80年代!」な感覚を呼び起こす、お洒落な・・・と言うか今となっては懐かしくさえあるポップ・ロック・サウンドに、思わず赤面を誘われる方も多いことかと存じます。
だがしかし。90年代には数多くのテレビ番組のスコアを手掛け、音楽賞も受賞しているメロディ職人の手による作品だけに質の高さは折り紙つき。
都会的な洗練とフックを盛り込んだ収録楽曲は何れも一発で耳を捉えるキャッチーさが備わっていて、取り分け、クリスチャン・バンドらしいクリアネスを補強するスペーシーな音作りの下、スティーヴ・ペリー風のVoが歌う哀愁のメロディと、心浮き立たせるポップ・センスとに彩られた冒頭3曲は、ある日突然、映画やドラマの主題歌としてスクリーンやTVから流れ出してきても何ら不思議ではない魅力を放っています。
機会があれば1stや2ndアルバムも探し出して聴いてみたいと思わされる良盤。


BABE RUTH - Amar Caballero ★★ (2012-12-17 22:14:25)

マカロニ・ウェスタンのテーマ曲をカヴァーしていることで有名な(?)、英国はハートフォードシャー出身の5人組が'74年に発表した2ndアルバム。
それ目当てで彼らのカタログを集めるようになった身ゆえ、カヴァー曲不在の本作は購入が後回しになっていましたが、さりとて、このアルバムが1stや3rdに比べて聴き劣りするかと言えば、当然そんなことはなく。
ダイナミックなガブリ寄りから一音入魂の繊細な表現力まで、多彩にして振れ幅の大きなアラン・シャックロック(G)とジェニー・ハーン(Vo)のパフォーマンスを主軸に、プログレ、クラシック、ジャズ、ファンク、フラメンコの要素、それにスパニッシュ・フレーバーから東洋風味薫るメロディまで豪快に取り込んで血肉へと変えた、懐の深い個性派HRサウンドは相変わらず際立っています。
ヒプノシスが手掛けたアートワークや、ストリングスにフルート、果てはラッパまで吹き鳴らされるジャジーなOPナンバー①の摩訶不思議な存在感が主張するように、本作はBABE RUTHのカタログの中ではかなりプログレ方面に比重が傾いている1枚なのですが、個人的にはそうしたアクの強い楽曲よりも、メロディアスで叙情的な楽曲の方に心惹かれます。例えば中華風のメロディがフィーチュアされた②、ヴァイオリンとスパニッシュ・ギターの共演に酔いしれる⑥、ラストに鎮座まします三部構成の組曲⑦とか。
ハードさを求める向きにはビートの乏しさがネックですが、このバンドの1stや3rdが気に入った方なら本作も押さえておいて損はないかと。


BABE RUTH - Babe Ruth ★★★ (2012-10-10 21:24:06)

プログレ・パート担当だったKeyが脇へと下がり大作主義が抑制された代わりに、ジェニー・ハーンのパッショネイトな歌声と、アラン・シャックロックのシャープでエッジの効いたGの存在感が増大。前2作に比べ、よりハード・ロッキンな気骨が全面展開されている'74年発表の3rdアルバム。(邦題は『炎のベーブ・ルース』)
バンドの最高傑作とも評される本作ですが、初めて聴いた時は、Keyの活躍の場の減少と共に楽曲からドラマ性まで薄れてしまっているようで今ひとつノレませんでした。
ただタイトに締まった楽曲の中で、アラン・シャックロックが奏でる熱い泣きメロに関しては不変・・どころか、これまで以上にGサウンドが強調されたことでその威力は倍化。デビュー作に引き続きマカロニ・ウェスタンの名曲(『荒野の用心棒』の“一握りのドルのために)をHRバージョンにビルドアップした③以降、Gが猛烈に咽び泣くカーティス・メイフィールドのカヴァー④、狂騒的ハード・ロックンロール⑤、スパニッシュ・ギターが哀愁を乗せて爪弾かれる⑦、本編随一のプログレ風味がドラマティックに薫る⑨等、多彩な音楽のエッセンスと、ジャニス・ジョプリンの系譜に連なるジェニー・ハーンの力強い歌唱、そして本作を最後にバンドを去ることとなるアランの置き土産的絶品のGプレイが渾然一体となった革新的な楽曲を多数収録。
ちなみにアラン脱退後に、その後任としてバンドに加入したのがバーニー・マースデンであることは良く知られた話。


BABE RUTH - Babe Ruth - A Fistful of Dollars ★★★ (2012-10-10 21:34:32)

1stに続いてマカロニ・ウェスタン
(セルジオ・レオーネの『荒野の用心棒』)の
名曲をカヴァー。前作“THE MEXICAN”はラテン・ロック風の
アレンジで、『夕陽のガンマン』テーマ曲のメロディを
オリジナル曲のブリッジ部分に挿入するスタイルでしたが、
今回は丸々1曲、しかもスピーディ且つアグレッシブに
ハードロックの流儀に則ってカヴァーしているのが特徴です。


BABE RUTH - Babe Ruth - Jack O'Lantern ★★★ (2012-10-11 21:31:20)

アッパーなジェニー・ハーンのVo、
賑々しく跳ね回るリフ&リズムと、
ホンキートンク調のピアノが
狂騒的にはしゃぎ回る
寝た子も起きるハイテンションな
ハード・ロックンロール。


BABE RUTH - Babe Ruth - The Dutchess of Orleans ★★★ (2012-10-11 21:22:53)

邦題は“オリアンズの公爵夫人”
『ベルサイユのバラ』でフランスの歴史を勉強した身からすると
“オルレアン公爵夫人”のような気もするのですが。
ともあれ、アルバム中最も濃厚なプログレ・テイストを
伝えるこの曲は、アラン・シャックロックのGと
ジェニー・ハーンのVoが情熱的に泣きまくる
劇的極まりない名曲に仕上がっております。


BABE RUTH - First Base ★★★ (2012-10-08 22:15:23)

アラン・シャックロック(G)が結成し、歌姫ジェニー・ハーンを擁する英国出身のBABE RUTH――日本で例えるなら「王貞治」と名乗るようなもんだろうか?――が、'72年にHARVEST RECORDSから発表した1stアルバム。(邦題は『ベーブ・ルース 一塁占領』)
70年代刑事ドラマのアクション場面に使われそうなホットでエネルギッシュな①で本編の幕が上がり、続く②はアドリブ全開で乱れ打たれるピアノがジャジーな空気も醸し出す悲壮な名バラード。更に、張り詰めたテンションでぶつかり合う楽器陣がスリルとドラマを創出するカヴァー曲③④があったかと思えば、エスニックなフレーバー薫る⑤では、映画『夕陽のガンマン』テーマ曲のメロディを引用する遊び心を発揮・・・と言った具合に、繊細さと豪快さを併せ持った大作主義の下、HRやプログレ、ブルーズ、ジャズにクラシックに民俗音楽と、音楽の垣根を悠々横断してみせるカテゴライズ無用の懐の広い作風は、如何にも70年代のバンドならでは。
先に歌姫と書きましたが、そういった表現から想起される可憐さよりも、どこか気骨を感じさせるジェニー・ハーンのソウルフルな歌声も本作の方向性にピタリとフィットしています。
BABE RUTH作品では、最もハードにロックしている3rdアルバムが人気作のようですが、個人的にはやはりこのデビュー作がベスト。


BABE RUTH - First Base - Black Dog ★★★ (2012-10-09 22:42:44)

ジェシ・ウィンチェスターのオリジナルは
4分台の侘しげなバラードなのですが、
それを劇的に膨らませてカヴァー。
解説を読むまで完全にBABE RUTHの
オリジナル曲だと思ってましたよ。
ピアノの絡み具合も素晴しいのですが、
何と言っても白眉はアラン・シャックロックのギター。
泣きに泣きを重ねて盛り上げていく終盤の展開には涙、涙・・・。


BABE RUTH - First Base - The Mexican ★★★ (2012-10-09 22:40:59)

エスニックな哀愁を帯びたメロディと
横ノリのリズムに、聴いていると身体が
勝手に動き出すラテン・ロック・ソング。
ブリッジ部分に挿入された、マカロニ・ウェスタンの
名作にしてセルジオ・レオーネ監督の代表作の1つ
『夕陽のガンマン』のテーマ・メロディが
非常に印象的&効果的。


BABE RUTH - First Base - The Runaways ★★★ (2012-10-08 22:22:14)

歌い出しが“炎のたからもの”(「カリオストロの城」のED曲)
っぽいですが、哀切と浮遊感を帯びた曲調はKING CRIMSON風味。
後半、淡々としたフレーズの繰り返しから、徐々に悲哀の感情が
溢れ出すかのように暴走を始めるピアノが胸を掻き毟らんばかりに
感動的で、聴くたびに圧倒されてしまいます。


BABYLON A.D. - Revelation Highway ★★★ (2022-03-31 00:28:45)

80年代後期にデビューを飾り、映画『ロボコップ2』のサントラへの参加等が話題にのぼるも、時代の逆風には抗いきれず3枚のアルバムを残して解散したベイエリア出身のHRバンド、BABYLONE A.D.。本作は彼らがオリジナル・ラインナップで復活を果たして、'17年に発表した再結成第一弾アルバム(通算4作目)です。
昔から中古盤屋の常連アルバムとして彼らの過去作はしょっちゅう目にしていたものの実際に音を聴いたことはなく、「再結成キタコレ」と大喜びするような思い入れは皆無。いやしかし本作は、バンド名の響きからして「どうせスリージーなロックンロールでも演ってるんでしょ?」というこちらの舐めくさった先入観を、元巨人軍・山倉和博ばりの意外性で引っ繰り返してくれるかなりの力作じゃありませんか。
OPナンバー①こそ、当初のイメージ通りのワイルドなHRナンバーながら、間奏パートのメロディアスなGソロはしっかりと耳を捉えますし、後に続く楽曲も、デレク・デイヴィス(Vo)のブランクをまるで感じさせない熱いシャウトと、楽器陣の骨太な演奏、そしていかにも大陸的な乾いた哀愁に彩られたメロディとが心地良くマッチ。中でもボーナストラックとしてアコースティック・バージョンが収録されていることからも、バンド側が本作のリーダー・トラックに位置付けていることが伺える④は泣きに満ちた名曲ですよ。
実は前身時代にレコーディングされた楽曲のセルフ・リメイクが混在している等、純粋な意味での新作とは言い難いかもしれませんが、BABYLONE A.D.の過去のカタログを改めてチェックしたくなるのには十分な1枚かと。


BABYLON(清水保光) - FAREWELL… ★★ (2009-02-07 21:21:00)

元HELLEN~現CYCLONのファイティング・ギタリスト、清水保光率いる様式美HMバンドBABYLONが、
'88年に制作したデモテープをバンド解散後の'91年にCD化した作品。
音楽的には、HELLENの流れを汲むジャパニーズ様式美HM路線で、主役はやはり、テクニカル且つドラマティックな
清水のGプレイ。速弾きのみならず「静」の表現力にも冴えを見せる緩急自在のGワークには、グイグイと惹き込まれてしまいます。
特に、バンド名を冠した①(CD化に際して追加収録されたボーナス・トラックでもある)は、スリリングなGプレイ、
ドラマティックな曲展開、そして木本高伸(現CONCERTO MOON)の主張の強いBがガッチリと噛み合って
劇的な盛り上がりを演出する、必殺のインスト・ナンバー。また、繊細な泣きメロを紡ぎ出すGソロにグッとくる④、
ちょっぴりPRECIOUSを思わせる劇的な疾走チューン⑤のカッコ良さも特筆モノだ。
大河内香(Vo)の余りにクセの強い歌唱(特に語尾の歌い回し)には苦笑いが抑えられないが、清水自身が
「この声あってのBABYLON」と断言してるぐらいなのだから、まぁ仕方がない。決して下手なシンガーではないしね。
先日、CD屋に立ち寄ったら本作のリマスター盤が再発されており(MANDRAKE ROOTがあんな事になってしまったのに)
しかも、清水が個人的に保管していたカセット・テープからライブ音源2曲がオマケ収録されているのだから、
様式美HMファンは是非ともこの機会に御一聴を。①を聴くためだけにでも買う価値のある1枚ですよ!


BABYLON(清水保光) - FAREWELL… - BABYLON ★★★ (2009-02-07 21:30:09)

元となったデモテープには収録されておらず、'91年の初CD化の
際にボーナストラックとして収録された、様式美HMならではの
魅力に溢れたインストの名曲。(だったと思う)
この曲のみ、他と違って大河内香(Vo)、木本高伸(B)、
玉村冬樹(Ds)という面子でレコーディングされている。
テクニカル且つメロディアスな清水のGプレイ
(一瞬閃くアコギが素晴しい)はもとより、
裏メロを取る木本のBも印象に残ります。


BAD COMPANY - Run With the Pack ★★ (2010-02-13 22:40:00)

エンジニアとしてロン・ネヴィソン(但し製作途中で更迭)、ミキシングをエディ・クレイマー、プロデュースは
バンド自身が担当してレコーディングが行われ、'76年に発表された3rdアルバム(邦題は『バッド・カンパニーⅢ』)
大ヒット・デビュー作『BAD COMPANY』や傑作2nd『STRAIGHT SHOOTER』の影に隠れてその印象はやや薄いものの、
全英チャート4位、全米チャート5位、アメリカのみで100万枚以上のセールスを達成・・・と、実に立派な成績を
残した本作は、内容的にもバドカン全盛期の勢いとオーラを存分に堪能できる優れモノの1枚。
前2作の作風を受け継ぎつつも、アダルトなバラード④、ポップでメロウな⑥、本編ラストをムーディに飾る⑩等、
小粋でメロディアスな楽曲が数多く顔を揃えた本編は、これまで以上に都会的な洗練の度合いを高めた印象で、
その最たる例と言えそうなのが、優美なストリングスと流麗なピアノをフィーチュアしてドラマティックな
盛り上がりを演出するアルバム表題曲の⑤。“ロックで突っ走れ"との邦題が付けられた従来にはなかったタイプの
この名曲。個人的に、数あるBAD COMPANYの名曲の中でも、最も愛聴させて頂いている1曲だったり。
BAD COMPANY入門篇には1stや2ndの方が相応しいかもしれないが、そちらが気に入ったなら本作も間違いなく「買い」ですよ。


BAD HABIT - After Hours ★★★ (2020-04-12 01:28:53)

北欧メタル・シーン指折りのメロディ・メイカー、ハル・マラベル(Key)により結成されたBAD HABBIT、’89年発表の1stフル・アルバム。リリースはメジャーのVIRGIN RECORDSからで(ちょうど同時期にALIENをヒットさせ、同系統のバンドを物色していたレーベル側の目に留まったのだとか)、日本盤はそれから少々遅れ、’95年に2nd『REVOLUSION』発売に合わせてゼロ・コーポレーションから再発されています。
メンバー・ショットを用いたアートワークはお世辞にもイケてるとは言い難いものの、透明感と哀感を併せ持ったポップなメロディとキャッチーなコーラス・ワーク、そしてキラキラのKeyとに彩られた北欧ハードポップ然とした瑞々しさを湛えるサウンドは、捨て曲なしの高品質っぷりを提示。何せBOSTONの名曲“MORE THAN A FEELING”のカヴァー⑩が全く浮いて聴こえないのですから大したものですよ。BAD HABBITの最高傑作と言えばまずは3rd『ADULT ORIENTATION』(’98年)の名前が真っ先に思い浮かぶ身なれど、メロウでロマンティックなAOR/産業ロック方向にフルスイングされていたあちらに対し、キャッチーに煌めくOPナンバー①、結婚式で流せそうな神聖さ漂わすバラード⑤、アルバムのハイライトを飾る感動的なハードポップ⑥、からの爽やかに駆け抜けていくロック・チューン⑦等々、新人バンドらしい溌剌とした躍動感とロックのエッジが備わった本作にも抗い難い魅力を感じる次第。
長らくオフィシャルなCDは日本盤しか存在せずプレミア化していましたが、近年リマスター再発されましたので、この機会に一人でも多くの人の耳に触れることを念願します。


BAD HABIT - After Hours - Coming Home ★★★ (2020-04-13 00:44:12)

瑞々しくハジける爽快なHRナンバー。
かなりロックしている曲調ながら、勢い任せに流さず
コーラス・パートの絶品のメロディ展開等、
天才ハル・マラベルの曲作りの手腕がここでも光っています。


BAD HABIT - After Hours - Rowena ★★★ (2020-04-13 00:38:35)

北欧の草原を一陣の微風が涼し気に吹き抜けていく様を
思わず幻視する、爽やか&キャッチーな北欧ハードポップの名曲。
曲調に対し熱唱型のVoが少々クドイ印象はあるものの、
この「一生懸命」感にグッとくるものがあるので、これはこれで良し。


BAD LOSER - Utter Indifference ★★★ (2023-06-15 00:28:07)

京都出身の正統派HRバンドBAD LOSERが、'91年にMANDRAKE ROOT RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
本作を初めて入手した当時は身近にネット環境なんぞなかったので、このバンドに関する知識はほぼゼロ。なので「HURRY SCUARYタイプだなぁ」とか思いながら聴いていたのですが、タイプも何も、そもそもシンガーが元HURRY SCUARYの南安秀なのだから、そりゃそうだと。彼と、元X-RAYの藤井良明(Key)を中心に結成され、一時期はサポートGとして元TERRA ROSAの鈴木弘美も参加していた…と聞くと、アルバムに対する期待値がグングン高まっていきますし、実際その期待に見事に応えてくれる完成度を誇っています。
南の哀愁を帯びた歌唱を軸に、藤井のKeyをしっかりとアレンジに織り込んだ楽曲は、アップテンポの疾走ナンバーからじっくり聴かせるバラードまで、いずれもノリや勢いで誤魔化すことなくカッチリと練り上げられた仕上がり。派手さはないですし、インディーズ制作ゆえのローファイな音質も相まって「苦学生」的な印象が漂うものの、収録曲はそうした弱さを吹き飛ばして余りある魅力が横溢。肝はやはり南の存在で、特にGも負けじと歌っている⑦、愁いを帯びてキャッチーな⑧といった強力な逸品が並ぶ本編後半における、ジャパメタ・シーンについて回った「G高Vo低」の評判をものともしないエモーショナルな歌いっぷりにゃ、「やっぱりシンガーの上手いHRは良いなぁ」としみじみ思わされた次第で。
MANDRAKE ROOT亡き後、中古盤市場では価格が高騰しっ放しなので、是非とも再発を祈願したい1枚であります。


BAD LOSER - Utter Indifference - 1945 ★★★ (2023-06-16 00:31:18)

キャッチーなサビメロが印象的な哀愁のHRナンバー。
アルバムには疾走ナンバーも収録されていますが、
南のVoはこの手のミドル・テンポの楽曲の方が
より一層魅力的に聴き手に迫ってきますね。
楽器陣もきっちりそれぞれの職責を果たして
インスト・セクションをドラマティックに盛り上げてくれています。


BAD ROMANCE - Code of Honor ★★★ (2023-05-16 00:52:12)

HR/HMシーンにおける女性アーティスト達の存在感が増していった80年代半ばに一度はソロ・デビューを飾るも、残念ながら鳴かず飛ばずに終わったジョアンナ・ディーン(Vo)。本作は再出発を図った彼女が新たに結成したバンドBAD ROMANCEのデビュー作で、’91年にメジャーのPOLYDORからリリースされています。
80年代らしいポップ・メタルを演っていたソロ時代に対し、CINDERELLA及び彼らが所属するマネージメント会社からの全面バックアップを受けて制作されている本作では、グッと腰を落として、渋みを増したブルージーなHRサウンドを披露。まぁ辛辣な物言いをすれば「新たな流行りに乗っかっただけ」と言えなくもないですが、ジョアンナのしゃがれたハスキー・ボイス(それこそ女トム・キーファーと評したくなる)を生かした熱唱は説得力に満ち溢れ付け、焼刃感なぞ皆無でむしろこの路線にこそベストマッチ。それはNAZARETHの名曲⑨のカヴァーを堂々歌いこなしていることからも明らかではないでしょうか。
変に老成することなく、しっかりHRの躍動感をキープしている点も好印象で、爽快にハジける⑤(クレジットにはマーク・スピロの名前が)、情感溢れる哀愁のバラード⑧、トム・キーファー&エリック・ブリッティンガムとの共作曲で骨太なロック・チューン⑩辺りは、シンガーとしてのみならず作曲家としてのジョアンナの優れた資質がキラリ。何よりキャッチーな名曲②を彼女単独で手掛けていることがその確かな証左になっていますよ。
高いポテンシャルの感じられる力作だっただけに、これ1枚きりでバンドが終わってしまったこと惜しまれますね。


BAD ROMANCE - Code of Honor - The House of My Father ★★★ (2023-05-17 00:28:39)

アルバム全体の方向性は90年代のシーンの流行を踏まえた
ブルーズ路線ですが、PVも作られたこの曲からは80年代の
残り香が感じられます。キャッチーなサビから入る曲構成もそれっぽい。
パンチの効いたジョアンナの熱唱も楽曲のフックとなっています。


BADLANDS - Badlands ★★ (2013-12-31 00:24:37)

80年代のメタル・バブルの反動か、アメリカでは'90年前後になると「ルーツ回帰」「ブルーズ志向」が声高に叫ばれるようになり、お前のどこ押せばブルーズなんて言葉が出て来るんだよ?というバンドまでもが「俺達のルーツはブルーズ」とか言い出してトレンドの凄まじさを思い知らせてくれました。
オジーの元を離れたジェイク・E・リー(G)のニュー・バンド、BADLANDSが'89年に発表した本デビュー作も、彼のフラッシーなギター・ヒーローとのイメージを覆す、地に足を着けた渋めのカラーが鮮明に打ち出されており「お前もかい」ってなもんでしたが、いやでもコレがカッコイイんですわ。
レイ・ギランの粘っこい熱唱と、手練のリズム・セクションを得て重厚にウネるOPナンバー①から、ソリッド且つアップテンポの②⑦、アコギ・インスト③を経てダイナミックに展開していく④、(まさにタイトル通り)Gが踊る⑤、そしてロッカ・バラード⑩に至るまで、収録曲の数々を聴けば明らかなように、本作に託されているのはブルーズそのものではなく、飽くまで「ブルージーな要素を飲み込んだHR」。ジェイクのGプレイも変に老成することなく、熱く図太い音色で主役としての存在感を主張してくれています。
普段、この手の音とは無縁のミュージックライフを送り、スラッシュだ様式美だAOR/産業ロックだと喧しい自分のような人間にもその魅力が十二分に伝わってくる1枚です。


BAI BANG - Cop to Con ★★★ (2021-03-11 01:27:07)

現在も活動中(の筈)のスウェーデンのベテランHRバンド、BAI BANGが'91年に発表したデビュー作。ついでに90年代、我が心のオアシスだったゼロ・コーポレーションが発売した記念すべきHR/HM系アーティスト第1号作品――帯のデザインも後々のゼロ作品とは若干異なる――としても記憶に残っている1枚だったりします。
当時(グランジ/オルタナ勢が猛威を振るよりもちょっと前)の北欧メタル・シーンは、DEEP PURPLE/RAINBOW~EUROPEの流れを汲む伝統派と、ロックンロールやファンク、ブルーズといった新たな音楽性を積極的に取り込む革新派とに大きく二分されていた印象で、BAI BANGに関しちゃ「なんかバンド名の響きからしてロックンロール系だろう」と勝手に推測しておりました。事実、後追いで聴いた本作に託されているのは、明るいノリの良さを伴い、時にブルースハープを取り入れたりしつつ軽快なグルーヴで聴き手の体を揺らすロックンロール・サウンドで、その予想はあながち的外れでもなかったわけですが、アメリカ産ほどご陽気にはなりきれない、主にKeyによって醸成されるヒンヤリとした空気感、それにキャッチーに練られたコーラス・ワークにおいて顕著に溢れ出すメロディの爽やかな哀感には、紛うかたなき北欧ハードポップならではの魅力が息衝いているという。特に煌めくOPナンバー①はBAI BANGの魅力が分かり易く詰まった名曲。ポップに躍動する⑤、アルバムをしっとりと締め括るバラード⑧なんかも聴かせてくれますよ。
音質からは台所事情の厳しさが垣間見えますが、ともあれBAI BANG入門盤としてお薦めの1枚。…つか彼らの作品って日本盤はこれぐらいしか発売されていないのでは?


BAI BANG - Cop to Con - Cop to Con ★★★ (2021-03-11 23:31:01)

ダンサブルなビートに乗ってGがファンキーに踊る
ヴァースから、ひんやりとしたKeyを纏った哀メロが
繰り出されるコーラスへ転調する意外な曲展開に
意表を突かれる、アルバム表題曲にしてOPナンバー。
北欧メタル「らしさ」と「らしからぬ」要素を
併せ持ったバンドの魅力が分かり易く捉えられた逸曲です。


BALANCE - Balance ★★★ (2016-09-13 22:21:45)

ポール・スタンレー(KISS)のソロ・アルバムのレコーディング作業に参加したことを切っ掛けに知己を得た、ペピィ・カストロ(Vo)とダグ・カッサロス(Key)、それにブルース・キューリック(G)の3人により結成されたバンド(リズム・セクションはセッション・ミュージシャンを起用)が、’81年に発表した1stアルバム。先日、仕事帰りにCD屋に立ち寄ったら本商品がディスプレイされていて、意外なことに国内盤が出るのは今回が初めてとの情報を教えて頂き――帯付きの輸入盤は数年前から出回っていましたが――思わず購入してしまいましたよ。
軽快に跳ねるメロディ、都会的なアレンジ・センス、飽くまで楽曲の主役は「歌」でありつつも、適度な自己主張を怠らない楽器陣とが織り成す、AOR/産業ロック的ポップネスと、プログレ・ハード的技巧が違和感なく溶け合わされたサウンドは、なるほど確かに、アルバム発表当時「TOTOに対する東海岸からの返答」と評されたのも納得です。
弾むような曲調が完全にTOTO路線の洗練されたポップ・チューン①②で掴みはOKとなる本作ですが、個人的に好みなのは⑤⑥⑦といったプログレ・ハード路線の楽曲。中でも悲し気なイントロに続き、ピアノを伴ってリフ&リズムが力強く刻まれる⑤はSAVATAGEの名曲“GUTTER BALLET”に影響を与えたんじゃないかと、昔から密かに思っている逸品。
なお、ノンクレジットながらポール・スタンレーが⑧にコーラスで参加しているのだとか。


BALANCE - Balance - Fly Through the Night ★★★ (2016-09-13 22:48:25)

ポロポロと奏でられるピアノの物悲しげな旋律に続き
Gリフとリズムが力強く入って来るイントロの展開が
名曲“GUTTER BALLET”によく似ていて、SAVATAGEは
曲作りの際に影響受けたんじゃないかなぁと、勝手に思っています。
(歌が始まってしまえば全然似ていないのですが)
何はともあれ名曲です。


BALTIMOORE - Double Density ★★ (2014-02-18 22:45:12)

名曲“MY BLUE MOON”のヒットで知られる、ビヨルン・ローディン(Vo)率いるスウェーデンのハードポップ・バンドが、新たにブルガリア出身の速弾きギタリスト、ニコロ・コツェフを迎えて、一層ハード&へヴィなサウンドを追及すべく'92年に発表した3rdアルバム。個人的には、ゼロ・コーポレーション内に立ち上げられたHR/HM専門レーベル「MVP」第一弾作品としても記憶に残る1枚です。
軽快に疾走するリズムに乗って、テクニカルなGとKeyが掛け合いを繰り広げ(ニコロ・コツェフが一人二役で担当)、Voが塩っ辛い歌声を響かせるスリリングなOPナンバー①からして、早くもDEEP PURPLEの流れを汲む伝統的北欧メタルの魅力が全開(曲名もDPっぽいぞ)。
但しアルバム全体を見渡すと、ニコロのドラマティックなGプレイを活かしながらも「様式美HM」と表せるようなコチコチの構築感はあまりなく、寧ろ目立つのはルーツ(ロックンロール)に根ざしたノリの良さ。そういったところも、より本家DEEP PURPLEのフォーマットに忠実なオールドスクールな北欧メタルっぽい。
スピーディに展開する⑦みたいな楽曲も良いのですが、メロウな⑤やバラード⑪、そして日本盤に再収録された名曲⑬といった、叙情的な切り口の楽曲の方が更に魅力的な仕上がりなのは、元々彼らがハードポップ・バンドとしてスタートを切っている出自ゆえでしょうかね?


BALTIMOORE - Double Density - My Blue Moon ★★★ (2014-02-20 10:32:51)

哀愁を帯びたキャッチーなメロディが
Keyを主としたキラキラなアレンジに彩られて
軽やかに吹き抜けていく、絵に描いたような
王道北欧ハードポップ・ソング。


BALTIMOORE - Double Density - My Kind of Woman ★★★ (2014-02-20 10:36:48)

ハード&ヘヴィに生まれ変わったBALTIMOOREの
門出を飾るに相応しいアップテンポのHRナンバー。
ギンギンにDEEP PURPLEしているGとKey、
それに塩っ辛いVoの歌声がロックンロール的ノリの
良さも生み出していますが、土の匂いが全くせず、
全体をひんやりとした空気が包み込んでいる辺りが
やっぱり北欧メタルだなぁ、と。


BANG TANGO - Love After Death ★★ (2018-10-14 22:04:07)

LAメタル・シーン末期に咲いた徒花BANG TANGOが、所属レーベルだったMCA内に吹き荒れたリストラの嵐に翻弄されながら’94年に発表した3rdアルバム。
ファンキーなバッドボーイズ・ロックンロールに、90年代のHR/HMシーンの潮流たるシアトル風味のヘヴィネスと、妖しく揺らめくメロディとのハイブリッド・サウンドが本作の持ち味…と聞かされても、その両方をほぼ素通りして来てしまった我が身にはビタイチ響くわけがない。と、そう思っていた時期が私にもありました。実際に聴いてみると、これがメンバーがJUDAS PRIESTからの影響を告白するOPナンバー①の時点で早くも「いやいやいや。カッコイイじゃないのさ!」と頬を張り倒された気分になったという。
無論、正統派HMを演っているわけじゃありませんが、ライブで鍛えた粘り強くコシの効いたリズムを炸裂させるBとDs、ワイルドなリフを刻み、一風変わったメロディを奏でるGのテクニシャンぶりは勿論のこと、本作の(というかバンドの)個性を決定付けているジョー・レステの独特の歌声がとにかく耳にへばり付きます。爬虫類系な彼氏のVoと、骨太なグルーヴを生み出す楽器陣が終盤に向かってグングンとテンションを高めていくOPナンバー①、横ノリの前半からテンポアップしてタテノリの後半へと展開していく③、気怠げな導入を経てジョーの熱唱を伴いダイナミックに盛り上がる④、AEROSMITHを思わす乾いた哀愁漂うバラード⑤といった楽曲のカッコ良さは、普段この手のサウンドを嗜まない自分にも十二分にグッとくるモノがありましたよ。
長らく未購入のまま来てしまった1stや2ndも買わんと!ってな気にさせられる1枚です。


BANGALORE CHOIR - On Target ★★★ (2023-10-17 00:20:24)

ACCEPTの『EAT THE HEAT』(’89年)といえば、すったもんだの末バンドから追い出されたウド、結局これを最後に解散することとなるACCEPTと、制作に関わった誰も幸せにはしてくれなかった問題作ですが(でも内容は良かった)、一番ババ引いたのは間違いなくウドの後任としてACCEPTに加入するも、正当な評価を受けられぬまま解雇の憂き目に遭ったデヴィッド・リース(Vo)だったのではないかと。
その彼氏はアメリカ帰国後、元HURRICANE ALICEのメンバーらと共に自らがリーダーを務めるBANGALORE CHOIRを結成。'92年にワーナーから本作をリリースしてデビューを飾っています(プロデュースはマックス・ノーマンが担当)。ここで披露されているのは抜け良くワイルドなアメリカンHMサウンドで、ACCEPTの呪縛から解き放たれたリースは、ディヴィッド・カヴァデールを彷彿とさせるエモーショナルな歌唱を全編に亘って伸び伸びと響かせてくれていますし、何よりフックの効きまくった収録楽曲の出来栄えが大変に秀逸。スティーヴ・プランケット(AUTGRAPH)のペンによる①、ジョン・ボン・ジョヴィ&アルド・ノヴァの共作曲④といった外部ライター提供曲が注目を集めがちなれど、それ以上にBANGALORE CHOIR自ら手掛けた楽曲がちゃんと本編のハイライトとして機能している辺り、このバンドの地力の高さを伺わせてくれますよ。特にリースの歌ウマっぷりが際立つバラード⑤、ライブ映えしそうな⑥、発表が80年代だったならチャートを賑わせていたであろうキャッチーな⑦といった名曲が並ぶ中盤線には惹き込まれずにはいられませんて。
長らく廃盤のまま放置されている国内盤を、ぼちぼち再発して欲しいんだけどなぁ。


BANGALORE CHOIR - On Target - Slippin' Away ★★★ (2023-10-19 00:46:22)

発表がせめて80年代だったならばヒット・チャートを賑わせてもおかしくない
キャッチーなHRナンバー。ライブで演ったらさぞかし盛り上がったであろう
フックの効いたサビメロに胸躍りますよ。


BANSHEE - Cry in the Night ★★★ (2016-07-23 09:13:07)

BANSHEEはカンザス州のカンザス・シティを拠点に、別々のバンドで活動していたシンガーのトミー・リー・フラッドと、ギタリストのテリー・ダンが意気投合したことが切っ掛けとなって結成された4人組で、本作はその彼らが'86年に自主レーベルから発表した6曲入りデビューEP。後に評判の良さを聞きつけたMETAL BLADE RECORDSがバンドと販売契約を結んで再発も行いました。
トミー・リー・フラッドの歌唱スタイルがロニー・J・ディオを彷彿させ(声質自体はさほど似ていませんが)、テリー・ダンがフェイバリット・バンドとしてDIOやIRON MAIDENの名前を挙げ、また彼のギターの光沢を帯びた音作りがJUDAS PRIESTをお手本にしていることからも明らかなように、ここではヨーロピアンHMからの影響を色濃く感じさせるサウンドを実践。
全体的に粗削りな出来栄えとはいえ、大陸産のバンドらしい盛り盛りなコーラスが印象的なバラード③、アコギを用いた導入部からドラマティックに展開していく7分超の大作ナンバー④、Voのパワフルな歌いっぷりと劇的なツインGのコンビネーションが、アグレッシブな曲調に映えるHMナンバー⑤といった強力な楽曲が並ぶ中盤は聴き応え十分。
確かにLEATHEWOLF、MALICE、LIZZY BORDENなんかが好きな方なら、間違いなくビビッと来るであろうアメリカンHMの良盤です。


BANSHEE - Cry in the Night - Cry in the Night ★★★ (2016-07-27 22:52:01)

耳をつんざくハイトーンVoと、
メイデン直系の勇壮なフレージングを閃かせるGとの、
サビメロにおける絶妙な絡みっぷりに
メタル魂が燃え上がるアルバム表題曲。


BANSHEE - Cry in the Night - The Stranger ★★★ (2016-07-27 22:46:44)

7分越えのランニング・タイム、
バラード調に始まり、徐々に盛り上がっていく
ドラマティックな曲展開等、
IRON MAIDENからの顕著な影響が見て取れますが、
同時に、Voの歌いっぷりの良さからGのメロディ・センス、
楽曲の劇的な構築力まで、バンドの地力の高さが
しかと発揮された名曲でもあります。


BANSHEE - Race Against Time ★★★ (2016-07-24 09:46:04)

ATLANTIC RECORDSとの契約をゲットしたBANSHEEが、MANOWARやMASSなんかとの仕事で知られるジョン・マティアスを共同プロデューサーに迎えてレコーディング作業を行い、'89年に発表した1stフル・アルバム。
自主制作のデビューEPではヨーロピアンHMからの影響が衒いなく打ち出されていましたが、今回はメジャーからのリリースということもあり、軸足は正統派HMに置きつつも、『オズの魔法使い』ネタのミュージック・ビデオ――カンザス出身だから?――がそれなりにMTVで人気を集めた①に代表されるように、曲によってはアリーナ・ロック的スケール感や、合唱を誘うノリの良さを大幅増。腕の立つベーシストの加入によりリズム面の強化が図られたサウンドは、粗削りな部分が抑えられ重量感と整合性がグッと高まりました。
勿論、それで彼ら独自の魅力が薄まったなんてことはなく。勇ましげにギャロップする曲調がIRON MAIDENを思わす③、インストの小曲④から華やかなに疾走を開始する⑤(これがOPナンバーでも良かった気が)、本編随一のアグレッションを撒き散らす⑩、「ファン人気が最も高かった」とメンバーが述懐する哀愁の名バラード⑨etc…と、力強いシンガーの喉と、テクニカルなGプレイが映える収録曲はいずれも粒揃い。ルックス良し、演奏良し、楽曲良しで、しかもメジャーからの発売。なのに本作の日本盤が出なかったってのが不思議でならない名盤に仕上がっています。
尚、かような力作を発表したにも拘わらず、バンドはあっさりATLANTICからドロップ。この後蔵出し音源集的な2nd(’92年)を残して解散してしまうのであった…。(再結成済)


BARON ROJO - Metalmorfosis ★★★ (2016-02-21 00:20:28)

第一次世界大戦で活躍したドイツ空軍のエース・パイロット、マンフレート・フォン・リヒトフォーフェンの異名「レッド・バロン」をバンド名に頂くスペインのBARON ROJO。彼らの代表作と言えば、スペイン国内はもとより欧州圏、更には遠く日本にまでその名を轟かせた2nd『炎の貴族』('82年)が決定盤でしょうが、'83年発表のこの3rdアルバムだって内容の良さでは引けを取りません。
歌詞は勿論全曲スペイン語。しかしプロデューサーにナイジェル・グリーンを迎え、ロンドンのBATTERY STUDIOで(DEF LEPPARDの『PYROMANIA』的布陣で)レコーディングされているだけあって、音作り、メンバーの熱の篭ったパフォーマンス、それに収録楽曲まで、田舎臭さは殆ど漂ってきません。NWOBHMの洗礼を受けたエッジの鋭さ/軽快なノリの良さ/濃い口の哀愁を併せ持ったサウンドは、同時期の欧米のHMバンドと比較しても何ら遜色ないクオリティですよ。
本編は立ち上がりで少々もたつく印象もありますが、疾走ナンバー③辺りからエンジンが温まり始め、あとは勇壮に鳴らされる④、ウリ・ロート時代のSCORPIONSばりの美しさと泣きが劇的に炸裂する名曲⑤、“HIROSHIMA”なるタイトルを冠された重厚な⑥、哀愁湛えた疾走パートが熱い⑦…と、エネルギッシュな中盤戦で大きく盛り返してくれますので無問題。
『炎の貴族』と併せて、BARON ROJO入門編にお勧めする1枚。メンバー的には内容には大満足ながら、国外活動に消極的だったレコード会社の理解が得られず、英語Verの制作が叶わなかったことに悔いが残っている様子ですが。


BARON ROJO - Metalmorfosis - Hiroshima ★★★ (2016-02-21 00:26:16)

スペイン語の歌詞なので何について歌っているのかは
分かりませんが、このタイトルで、シリアス且つ重厚な曲調・・・
おそらく反核兵器とかのメッセージが託されているのではないかと。
でもちゃんと「サムラ~イ」「ゲイシャ~」なる
単語も飛び出すので安心だ。(何が)


BARON ROJO - Metalmorfosis - Siempre estás allí ★★★ (2016-02-21 01:40:03)

ウリ・ロート在籍時代のSCORPIONSにも匹敵する泣きと哀愁が
イントロからダダ漏れで漏れ出す、美しく劇的な
アルバムのハイライト・ナンバー。
シンガーの歌唱もどことなくクラウス・マイネを思わせるものあり。
(決してカルロス・デ・カストロのヘアスタイルのことではなく)


BARON ROJO - Volumen brutal ★★★ (2016-06-19 23:34:25)

KERRANG!誌の表紙を飾り、'82年開催のレディング・フェスティバル(この時は日本からBOW WOWも参戦)に出演する等、スパニッシュ・メタルの地位向上に大いなる貢献を果たしたBARON ROJOが、イアン・ギラン所有のKINGSWAY STUDIOでレコーディングを行い、KAMAFLAGE RECORDSから’82年に発表した2ndアルバム。(邦題『炎の貴族』)
メンバーの「ハゲ・デブ・ヒゲ」数え役満なルックスのハンデをモノともせず、現在までに世界中で200万枚以上のセールスを記録していると聞くバンドの代表作だけに、「たかが辺境メタルだろ?」とか舐めたこと抜かす輩には、「ラテン・フィルターで濾過したJUDAS PRIEST」的趣きでコテコテ且つ勇壮に疾走する、スパニッシュ・メタル史に燦然と輝く名曲⑥が、ジャケットに描かれた棘付きメリケンサックばりの正拳突きをお見舞いするぜ!と。
流石に捨て曲なしとはいかなくとも、NWOBHM然としたGリフ主導の疾走ナンバー①、メル・コリンズが威勢よくサックスを吹き鳴らす④、コリン・タウンズ(Key)がツインGとバトルを繰り広げるDEEP PURPLE風の⑧、スリリングなインスト⑩等、(多少粗削りでも)勢いに乗るバンドの充実っぷりがしかと反映された楽曲の数々は聴き応え十分。
尚、スペイン語と英語の2バージョンが流通していることで知られる本作ですが、後者の作詞作業に悪戦苦闘していたメンバーに力を貸してくれたのが、イアン・ギランの大ファンで、当時頻繁にスタジオに出入りしていたブルース・ディッキンソン(A.K.A. IRON MAIDEN)だったという。そんなアルバムにまつわるちょっといい話を記して、本感想文を締め括らせて頂きます。


BARON ROJO - Volumen brutal - Concierto para ellos ★★ (2016-06-20 23:54:21)

メンバー的には「ジョン・ロードに参加して貰えたら最高だな!」
だったらしいですが、流石にそれは叶わず、でもイアン・ギラン所有の
スタジオでレコーディングした縁で、代わりにコリン・タウンズ
(当時GILLAN)がゲストでKey弾いてくれたという。
曲調もDEEP PURPLEタイプで非常にイイ。
邦題は“我らがコンサート”だったかな、確か。


BARON ROJO - Volumen brutal - Resistiré ★★★ (2016-06-21 00:03:32)

指摘されるまで気にしてませんでしたが、
言われてみると確かにパープル・エッセンスもちょっと感じられたり。
と言うか、ここのGは明らかにリッチー大好きっ子っぽいですよね。
JUDAS PRIESTの劇的さ、DEEP PURPLE的疾走感を
ラテン・フィルターを通して再構築した感じ?
何はともあれ、スパニッシュ・メタル史に燦然と輝く
名曲であることは間違いありません。


BARREN CROSS - Atomic Arena ★★★ (2017-07-08 08:03:05)

LAを拠点に活動していた4人組がENIGMA RECORDSからリリースすると、これが全米FMネットワークのラジオ番組で絶賛。CMJのHMチャート20位圏内にもランクインする話題作となった、BARREN CROSSの代表作でもある’87年発表の2ndアルバム。
プロデュース担当がディノとジョンのエレファンテ兄弟であることからも分かるように、彼らもまたクリスチャン・メタル・バンド。ストレートなキリスト賛歌ではなく、麻薬、テロ、自殺etc.といった社会問題を、怒りを込めて取り上げる硬派な歌詞世界は余りそれ系っぽくありませんが、伝聞によればメンバーの中には実際に教会で教えを説いたり、カウンセリングの奉仕をしている者もいたという、クリスチャンとしての経歴は結構な本格派。
但し音の方は、分厚いハーモニーと美旋律に彩られた教科書通りのSTRYPER路線ではなく、もっとハード寄り。ハイトーンVo、切れ味鋭いG、アタッキーに主張しまくるリズム隊がタイトに突き進む正統派HMサウンドは、寧ろIRON MAIDENを始めとする欧州勢からの影響が色濃く感じられる塩梅。②を聴けばお察しの通りシンガーのお手本は間違いなくブルース・ディッキンソンで、彼の力強い歌唱とパワフルな楽器隊が一丸となってACCEPTばりに猛進する⑦等は、いっそパワー・メタルと評したくなる迫力を有する。
全体的に肩に力が入り過ぎというか、もっとキャッチーな部分が出せれば更に良くなるのに…とか思いつつも、80年代のLAのバンドらしくパワー・バラード⑧を収録したり、さりげなく各所でKeyを効かせ収録曲に親しみ易さを付与したりと、バンドの達者な曲作りの手腕を前にすれば顔がほころびます。BARREN CROSS入門盤に如何でしょうか。


BARREN CROSS - Atomic Arena - Cultic Regimes ★★★ (2017-07-09 23:10:49)

キ印の笑い声をイントロ代わりにスタート。
3分弱のランニング・タイムをパワフルに飛ばしまくる
パワー・メタリックなスピード・ナンバー。
これだけ聴いて彼らが「クリスチャン・メタル」だと分かる人は
あまりいないのではないでしょうか。


BARREN CROSS - Hotter Than Hell! Live ★★★ (2017-07-10 23:53:09)

クリスチャン・メタルと言えば、ロブ・ハルフォードになりきったシンガーの歌声が話題を呼んだSAINTというJUDAS PRIESTタイプのバンドが居ましたが、同じジャンルに属する仲間でも、このBARREN CROSSはブルース・ディッキンソン似の歌唱スタイルのシンガーを擁し、IRON MAIDEN型の正統派HMを聴かせてくれるLAの4人組。
本作はそんな彼らが'90年にMEDUSA RECORDSから発表した実況録音盤で、3rd『STATE OF CONTROL』(’89年)発表に伴う全米ツアーの中から、地元でのライブの模様を収録。序盤から出し惜しみせずに名曲“DYING DAY”を繰り出してこっちのテンションを一気に引き上げてくれるセットリストは、ヒットを飛ばした2nd『ATOMIC ARENA』(’87年)収録曲を中心に過去3枚のスタジオ・アルバムから選曲されていて、ある意味80年代のBARREN CROSSの足跡を総括するベスト盤としての役割も果たしているという。
エネルギッシュに歌いまくるハイトーンVoをフィーチュアし、パワフルな正統派HMナンバーが矢継ぎ早に繰り出される構成から、その合間に組み込まれたソロ・パートにて達者な腕前を披露する楽器隊まで、ライブならではの熱気と勢い、それに堅実なテクニックを併せ持った、バンドの実力の高さが伝わる好ライブ盤。観客も大いに盛り上がっているのですが、シンガーのMCが「イエー!ノッてるかーい?!」みたいな感じじゃなく、生真面目に観客に感謝を捧げていたりして、そんなところがクリスチャン・メタルっぽいなぁと。
本作は1st『ROCK FOR THE KING』と一緒に国内盤が出ていて、レア・アイテム化著しい『ROCK~』に比べると入手は比較的容易ですので、ベスト盤代わりにいかがでしょうか。


BATHORY - Bathory ★★ (2007-07-03 21:32:00)

スッカスカの音質から垣間見えるアングラ主義、暗黒サタニック性、禍々しく寒々しい楽曲、
そして「独りスラッシュ・メタル」と呼ばれる家内手工業的なアルバムの制作スタイルが、後続のバンド群に
多大なインスピレーションを与えたという元祖ブラック・メタラーBATHORY、'84年発表のデビュー作。
尤も、傑作と名高い3rd『UNDER THE BLACK MARK』辺りに比べると、まだまだブラック・メタル的な要素は希薄で、
それよりも不気味なイントロ①に導かれてスタートする②を聴けば判るように、チリチリしたリフにしろ、
ダミ声中心のクォーソンのVoスタイルにしろ、その作風は多分にオーソドックスなスラッシュ・メタル寄り。
とは言え、初期VENOMからロックンロール色を取り除いた代わりに、爆発的な疾走感と、北欧のバンドらしい
暗く湿った質感を加味した感じの陰惨なスラッシュ・サウンドからは、既にBATHORYならではの個性が伺えるし、
切り裂くような③、切迫感に満ち溢れた⑤、不穏な雰囲気を撒き散らす⑦、そして野蛮にして勇壮な
BATHORY屈指の名曲⑨といった高速スラッシュ・チューンの数々は、同じく「ブラック・メタルの元祖」と謳われる
その他幾つかのバンドのそれを遥かに上回る魅力と破壊力を備えている(んじゃないかな、と)。
短いながらもツボを押さえたメロディを紡ぎ出すGソロも良い。
ダークサイド方向の噂ばかりが先行しがちで、すっかり敷居の高いバンドと化してしまった感のあるBATHORYだが、
実際は(初期VENOMとどっこいのチープ・チーパー・チーペストなサウンド・プロダクションを除けば)、
非常にクオリティに高いメタル・サウンドを聴かせてくれるバンドなので、スラッシュやメロデスがイケるクチの貴方は、迷わずGO!


BATHORY - Bathory - War ★★★ (2007-07-03 21:45:52)

アルバムのラストを締める突撃スラッシュ・チューン。
荒々しく、野蛮にして勇壮なBATHORY初期の名曲。
聴いてると「WAR!」「WAR!」と一緒に歌いたくなりますね。


BATHORY - Blood Fire Death ★★ (2007-06-18 21:48:00)

VENOMやCELTIC FROSTと並んで、「ブラック・メタルの元祖」と崇め奉られる
スウェーデンのカルト・スラッシャーBATHORYが、'88年に発表した4thアルバム。
チープな音質、寒々しく邪悪なリフ、性急に疾走するリズム、ヒステリックな絶叫Vo、ある種、宗教的な
荘厳さすら感じさせる楽曲と、後にブラック・メタルと呼ばれる事になるサウンド・スタイルの雛形を
確立した前3作に比べると、ノルウェー出身の画家ペーター・ニコライ・アルボの代表作の1つ、
『THE WILD HUNT OF ODIN(ASGARDSTEIEN)』をアルバム・ジャケットに用いた本作は、大仰さやドラマ性といった
要素が後退して、よりスラッシュ・メタル的なストレートさが前面に押し出されているのが特徴。
クォーソンのVoパフォーマンスにも幅が出て来ているし、サウンド・プロダクションも(極上とまではいかないまでも)
それなりに向上と、全体的にかなり聴き易い作風に仕上がっているので、BATHORY初体験者にもお薦めの作品かもしれない。
個人的には、傑作3rd『Under The Sign Of The Black Mark』に比べると、特に疾走チューンにおけるドラマ性が
減少してしまっているのが残念だが、その一方で、序曲①を経て、アコギやシンセサイザーを駆使して
邪悪且つ荘厳な雰囲気を演出する②や、本編ラストを締める10分以上に及ぶ大作⑧といったミドル・チューンの数々は、
相変わらずのダークでイーブルなドラマ性の高さを誇るので、初期からのファンも安心だ。
中でも⑧。正直「パクリ」と言われても言い逃れが出来ないぐらいMANOWARの名曲“BATTLE HYMNS"にクリソツな
仕上がりなのだが(特にサビのリズム・パターンがまんま)、ともあれ、BATHORYのヴァイキング・メタル路線の
幕開けを飾る本作に相応しい名曲なのは間違いない。必聴。


BATHORY - Blood on Ice ★★ (2007-09-01 23:48:00)

'95年にレコーディングされた当時の最新音源に、(ファンの要望に応える形で)'88年~'89年に
レコーディングされていた未発表音源を加えて、'96年にリリースされた9thアルバム。
新旧の楽曲が入り混じっていていも、不自然さやクオリティのバラつきといったマイマス面が一切感じられない辺りは、
流石クォーソン先生。ただ、残念ながら音の方は余り良くない・・・いや、音が悪いというよりも、やたらクォーソンのVoが
前に出たミックスになっているせいで(ちなみに、今回はアルバム全編をクリーンVoで歌っています)、
彼の歌唱の弱点であるピッチの不安定さが、必要以上に悪目立ちしているような・・・。
ともあれ、その点さえ除けば、これまでのBATHORYのアルバム同様、本作もまた強力極まりない出来。
『HAMMERHEART』や『TWILIGHT OF THE GODS』を彷彿とさせるヴァイキング・メタル路線の楽曲の数々は、
壮大で勇壮且つドラマチックなだけでなく、これまで濃厚に作品全体を覆っていた「絶望的なまでの暗さ」や
「病的な雰囲気」といった負の要素が薄れ、非常に聴き易い仕上がり。(別に明るくなったわけではないが)
アップテンポの楽曲あり、バラードありと、曲調にも広がりが見られて、雄々しいメロディが印象的な⑦に
代表されるように、普遍的な魅力を備えた正統派へヴィ・メタルへの接近が感じられる作風。
これなら、堅気のメタル・ファンでも問題なく楽しむ事が出来るんじゃなかろうか。
特に、『INTO GLORY RIDE』の頃のMANOWARを彷彿とさせる劇的なヘヴィ・メタル・チューン⑤や、重々しく劇的に盛り上がっていく
曲展開と、スケールの大きさを感じさせるサビメロが感動を呼ぶ、本編のハイライト・チューン足る⑧は必聴の名曲かと。
奈落の底へと引き摺り込まれるような「負」のエネルギーが薄れてしまった事に不満を感じるファンもいるだろうが、
個人的には、これはこれで十分に魅力的な作品のように思う。


BATHORY - Hammerheart ★★ (2007-07-07 01:19:00)

ジャケット・アートワークに、英国人画家フランク・ディクシー卿の名画「ヴァイキングの火葬」を用いている事からも判る通り、
これまでのスラッシュ/ブラック・メタル路線から、ヴァイキング・メタル路線へと、その作風を大きく変化させた
'90年発表の5thアルバム。例えるなら、前作収録の名曲“BLOOD,FIRE DEATH"の方向性をアルバム全編に渡って押し進めてみた感じ?
疾走曲が完全に姿を消してしまったため、BATHORYにスピードを求めるファンには本作は耐え難いほど退屈な代物だろうが、
一方で、クォーソンの創造する暗黒世界に魅せられた者にとっては、これぞまさしく捨て曲なしの大傑作。
強烈なうねりを生み出す壮大なスケール感、メランコリックという表現では生温い絶望的なまでにダークなメロディ、
厳粛且つ荘厳な雰囲気を演出するコーラスといった要素に彩られた楽曲の数々は、何れも10分前後に及ぶ大作揃いで、
しかも中~低速を基本としたヘヴィ・チューンばかりながら、油断していると真っ暗闇の深海底へと
引き摺り込まれて行くような不穏な緊張感に満ち溢れていて、冗長さは皆無。
極悪な音質により割れ歪んだGリフが怒涛の如く押し寄せるOPチューン①、神話世界を歌うに相応しい
劇的さと力強さを兼ね備えた②、クォーソンのメロディアスな歌唱をフィーチュアした勇壮なサビメロが
高揚感を演出する④、強烈な悲壮感を撒き散らしながらラストを締める⑦といった楽曲を筆頭に、
確固として構築された世界観はMANOWARに通じるものがあるような。裏MANOWAR?
まさに↑上の方々が仰る通り、「ヴァイキングにムチ打たれながらガレー船で行くバルト海の旅」が追体験できる1枚。


BATHORY - Requiem ★★ (2007-08-30 22:00:00)

壮大でドラマチックなヴァイキング・メタル路線が行き着く所まで行ってしまった感のあった
6th『TWILIGHT OF THE GODS』(BURRN!!のレビューで1点を献上され「自縛霊も逃げ出す密教のBGM」と評された)から一転、
ソリッドでスピーディな高速スラッシュ・チューンが、息つく暇なく次々に繰り出されるという、
スロウで重厚な『TWILIGHT~』とは対照的な作風に仕上がった、'94年発表の7thアルバム。
例えるなら、良好なサウンド・プロダクションで1st『BATHORY』を作り直してみた感じ?
ここ数作続いたメランコリックな大作主義は影を潜め、コンパクト且つストレートにまとめられた楽曲には、
メロディのメの字も見当たらない。Gソロは初期の頃を彷彿とさせる突き刺さるようなアグレッションを発散させ、
前作ではアルバム全編をクリーンVoで歌っていたクォーソンも、凶悪な濁声スタイルへと回帰を果たしている。
それにしても、スラッシュ・メタル冬の時代真っ只中の'94年に、この前のめりな突っ走りっぷりは爽快極まりない。
(デスでもブラックでもなく、スラッシュ・メタルならではの疾走感が堪能できるってのがポイント)
特に、①②⑤⑥といった楽曲の半端ないカッコ良さは、名曲“BLOOD FIRE DEATH"や、名盤『HAMMERHEART』の
方向性を愛するメロディ重視派(俺です)をも黙らせるクオリティ。
初期の頃を思い起こさせる内容の割りに、“WAR"“SADIST"級のキメ曲の不在が惜しまれるものの、
収録曲の平均クオリティの高さと、疾走感の痛快さゆえ、大した傷にはなっていない。


BATHORY - The Return...... ★★ (2007-07-09 21:58:00)

友達がいなくても音楽活動は出来るんだ!と、世の引き篭もり系メタル・ミュージシャンに勇気と希望を与えた(?)
クォーソンによる「独りスラッシュ・メタル・プロジェクト」ことBATHORY、'85年発表の2ndアルバム。
(でも実際は、アルバムのレコーディングにはサポート・メンバーも参加しているらしい)
北欧暗黒メタル史に燦然と輝く・・・いや、ドス黒い影を落す名盤として知られる1st『BATHORY』は、どちらかと言えば
VENOM直系のイーヴルでサタニックなスラッシュ・メタル風味が色濃い作風だったが、この2ndでは、いよいよ前作と同等か
もしくはそれ以上に劣悪なサウンド・プロダクションの下、歪み切っていて最早何を弾いているのかすら判然としない禍々しいリフ、
取り憑かれたように疾走するリズム、凄まじい邪気を発散する絶叫Vo、耳に突き刺さる狂ったGソロetc・・・と、
「元祖ブラック・メタル・バンド」の称号に恥じぬ、邪悪な本領を発揮した内容に仕上がっている。
ここに更に「荘厳さ」が加わった傑作3rd『UNDER THE BLACK MARK』で、BATHORYのブラック・メタル路線は
一応の完成を見るわけだが、その数歩手前で荒々しい攻撃性剥き出しの本作は、こと疾走感にかけては
BATHORYの全アルバム史上でも屈指。特に、長い(長過ぎ?)イントロで焦らしに焦らしてから
疾走へと転じる①や、前作収録の名曲“WAR"を彷彿とさせるブルータリティを発散するラスト・ナンバー⑨の迫力は圧巻。
また、どんなに走りまくっても決して熱くならず、常に冷ややかなのも本作のポイントか。
「ブラック・メタル」の誕生を告げる、メタル史的にも重要な位置を占める1枚。


BATHORY - Twilight of the Gods ★★ (2007-08-04 01:06:00)

ファンの間では「BURRN!!で1点を獲得した作品」として知られる、'91年発表の6thアルバム。
1点を付けられるなんてどんなに酷い作品なんだ?と思われるかもしれないが、実際は、前作『HAMMERHEART』の作風を
順当に受け継いだ、暗く、重く、壮大にしてドラマチックなヴァイキング・メタル・チューンがアルバム全編に渡って敷き詰められた、
非常にハイクオリティな内容の逸品。(音質も向上しているし、幻想的なジャケット・アートワークも美しい)
敢えてこれまでと異なる部分を挙げるなら、クォーソンが濁声を封印し、全編をノーマル・ボイスで歌うようになった点で、
線が細く、ピッチも甘いその歌唱はお世辞にも上手いとは言えないながらも、北欧にはこの手のシンガーがゴロゴロ居るので
いちいち目くじらを立てる程のものではないし、聴き慣れるとこれが結構味わい深くて、楽曲の雰囲気を良く盛り立てているので無問題。
但し、深淵へと引き摺り込まれて行くような錯覚に陥る陰鬱なリフが延々と刻まれ、そこにクォーソンの淡々としたVoと
悲壮感に満ちたGソロ、そして呪文の如き厳粛なコーラスが乗っかる、30分近くに及ぶ大作組曲①で
いきなり本編の幕を開ける極端な作風ゆえ、かなり聴く人を選ぶ、敷居の高い作品なのは確か。
(上で別の方が指摘されてる通り、BURRN!!のレビューも(点数はともかく)内容自体はそれほど的外れな事が書かれているわけではない)
なので、BATHORY初体験の人には、4th『BLOOD,FIRE,DEATH』や、5th『HAMMERHEART』を聴いてから
このアルバムにトライする事をお薦めさせて頂く。そうすれば、MANOWARとBLACK SABBATH(名作『TYR』の頃の)を足して2で割って、
アンダーグラウンド風味に味付けしたかのような、本作のドラマチック極まりない魅力にヤられること請け合い。


BATHORY - Under the Sign of the Black Mark ★★ (2007-05-16 21:40:00)

クォーソン率いる(・・・って率いるも何も正式メンバーは彼1人きりなんだけど)
スウェーデンのカルト・スラッシャー、'86年発表の3rdアルバム。
BATHORYと言えば、北欧地下世界音楽の帝王、もしくは宅録引き篭もりメタルの元祖とか、
BURRN!!誌のレビューで1点を獲得したとか、呪縛霊も逃げ出す密教のBGM(笑)だとか、堅気のメタル・ファンを
ドン引きさせる評判ばかりが話題になりがちのバンドだが、少なくとも本作に関して言えば、
同じように「ブラック・メタルの始祖」として崇められる初期VENOMやCELTIC FROSTの作品群よりも
遥かに明快な作風で取っ付き易く、且つ内容的にも非常に優れモノの逸品。
低音が全く効いていない、ペラペラでスカスカなチープ極まりないサウンド・プロダクションは相変わらずながら、
このボヤ~と霧のように不明瞭な音像が、逆に「草木も枯れ果てた不毛の荒野」的雰囲気を演出している
(ような気がしなくもない)し、何より、シンセサイザーや緩急の導入で、一種、宗教的な荘厳さすら
感じさせるようになった楽曲の数々が非常に素晴しい。
特に、ヒンヤリとしたシンセの音色を纏って、クォーソンの邪悪な絶叫Voとササクレ立ったリフが激走する様が
まさにプリミティブなブラック・メタルそのものな③('86年の時点でこんな音楽を演っていたとは驚かされる)や、
葬送曲風の厳粛なインスト・パートと、クォーソンの「聴かせる」Gソロを備えたドラマチックな④、寒々としたリフ・ワークを
フィーチュアした、荘厳な空気漂うスロー・チューン⑥といった楽曲は、BATHORYがいよいよ「ブラック・メタルの元祖」と
謳われるに相応しい、本格派としての貫禄を身に付け始めた事を物語る名曲に仕上がっている。
スピード・チューンとミドル/スロー・チューンの配分も良く、4th『BLOOD, FIRE, DEATH』と並んで、BATHORY入門編に最適の1枚。


BATHORY - Under the Sign of the Black Mark - Woman of Dark Desires ★★ (2007-05-18 23:42:35)

アルバム最速チューンの座は“MASSACRE"に譲るものの、
チープな音質の下、禍々しく疾走するリフ&リズムといい、
そこに絡みつくシンセのヒンヤリとした音色といい、
耳をつんざくヒステリックなGソロといい、
クォーソンの邪悪な絶叫Voといい、
まさに「元祖ブラック・メタル」な名曲。


BATON ROUGE - Baton Rouge ★★ (2022-12-14 23:38:46)

フロントマンのケリー・キーリングがBLUE MURDERに参加するため脱退したのを引き金に、アルバム2枚を残して解散してしまったLA出身の4人組BATON ROUGEが、'97年に突如発表した3rdアルバム。
じゃあ再結成したのか?というと、そういうわけでもないそうで、5人目のメンバーとしてバンドを支え続けたプロデューサー/ソングライターのジャック・ポンティが、手元に未発表のデモ音源が残っていることに気が付き、ケリーをシンガーに起用して改めてレコーディングを行いリリースに漕ぎ着けたというのが真相の模様。ケリーも「再結成とは思っていない」との発言を残しているらしく、なので本作については3rdアルバムというよりは蔵出し音源集という表現の方が的確なのかも。
まぁ体裁は何であれ、ジャック・ポンティが惜しんだだけあって本作には良い曲が揃っています。プロダクションが簡素なのと、バンドとしてアレンジを煮詰めることが出来なかったのか、通して聴くと妙に淡々と流れていってしまうのが気にならなくもないのですが(ドラムは打ち込みか?)、例えば、憂いを帯びたハードポップ・ナンバー①や、アリス・クーパーの『HEY STUPID』(’91年)にも収録されていたドラマティックなバラード⑤というスタン・ブッシュが作曲に絡んでいる2曲、あるいはタメの効かせて盛り上がっていく曲調を、ケリーのエモーショナルな熱唱がさらに沸騰させる⑥辺りの楽曲なんて、1st、2ndアルバム収録の名曲と比較しても聴き劣りはしないですよ。
前言撤回。「3rdアルバム」と表して何ら問題もない、立派なクオリティを有する1枚です。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground ★★★ (2018-07-17 23:35:20)

ジョン・サイクス、ジョン・ノーラム、マイケル・シェンカーといった凄腕ギタリスト達との仕事で知られるシンガー、ケリー・キーリングのキャリアの出発点となったバンドが、新たにサイド・ギタリストを加え5人組となって’91年に発表した2ndアルバム。
名作と評判の1st『SHAKE YOUR SOUL』は、グランジ/オルタナ・ロックを演っていそう不気味なジャケットの印象が悪過ぎて購入をスルーしてしまったため、我が家にあるBATON ROUGE作品は本作のみ。前作同様ジャック・ポンティがプロデュースを担当しているものの、よりへヴィに、そして時節柄ブルーズ色が強まった作風がイマイチ評判が宜しくないようなのですが、いやいや。ハイクオリティなアメリカンHR作品として、個人的にはかなり愛聴している1枚であります。
確かに⑫みたいなもろブルーズ路線の楽曲もありますが、ケリーのタメを効かせたエモーショナルな熱唱の効果もあって聴き応えは十分ですし、何よりこのバンドはソング・ライティングの腕前が非常に達者。特にヴァースはグル―ヴィに攻めておいて、一転コーラス・パートはキャッチー&メロディアスに展開させるサビメロ作りの巧みさが際立ちます。エネルギッシュなOPナンバー①、“TOKYO TIME”なるタイトルからして印象的な哀愁のハードポップ・チューン④、哀感漂わすヴァースから爽快にハジけるコーラスへ繋がるコントラストも鮮やかな⑦、躍動感溢れる⑥、アコギが美しいバラード⑩といった楽曲は、とりわけそうしたバンドの曲作りの黄金パターンが堪能できる逸品ではないかと。
是非、再評価をお願いしたくなる1枚であります。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - The Price of Love ★★★ (2018-07-18 22:37:41)

メジャー・キーとマイナー・キーを巧みに使い分けることで
楽曲に鮮やかなコントラストを生み出す
このバンドならでは曲作りのセンスが光る
アルバムでも1、2を争う名曲。
PVが作られたのも納得ですよ。
世が世なら大ヒットしてもおかしくなかったのに・・・。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - Tokyo Time ★★★ (2018-07-18 22:32:43)

アルバムの購入動機もこの曲聴きたさだったことを思い出しましたよ。
そして実際、こっちの膨らんだ期待にきっちりと応えてくれた名曲。
ポップな曲調と哀感を含んだキャッチーなコーラスが
このバンドの曲作りの腕前の確かさを物語っています。
タイトル負けしていません。


BATON ROUGE - Shake Your Soul ★★★ (2019-05-21 00:23:02)

ルイジアナ州ニューオーリンズにて結成され、LAを拠点に活動していた5人組BATON ROUGEの'90年発表のデビュー作。
2nd(名盤)と3rd(悪くない)は手元にあるものの、この1stは「不気味なキューピー人形」といった趣きのジャケットの印象が悪過ぎて、リリース当時購入をスルーしてしまっていました。最近になって運良く国内盤を入手する機会に恵まれたのですが、多くのHR/HMファンが「隠れた名盤」と太鼓判を押すその完成度の高さに、改めて唸らされた次第。
デビューに向けてバンドが書き上げた100曲に及ぶ楽曲の中から、アルバム収録曲12曲を選りすぐり、腕利きソングライター/プロデューサーとして知られるジャック・ポンティとの共同作業でそれらを更にブラッシュアップしていく…というレコーディング・プロセスを経ているだけあって、大陸産ポップ・メタルらしい明るいノリと威勢の良さ、体を揺さぶるグルーヴ、合唱を誘発するキャッチーなコーラスを伴いつつ、メロディに強力なフックが効きまくった収録楽曲のクオリティの高さは無類。
本作には、エネルギッシュにOPを飾る①、発表時期が80年代だったなら間違いなくヒット・チャートを賑わしていたであろうバラード③、ダイナミックな高揚感に溢れた⑦、躍動する⑨等、現在では実力派シンガーとして名を成すケリー・キーリングの若き日の熱唱が映える名曲/佳曲が目白押し。中でも個人的に印象深いのが名曲⑧で、全体的にブライトな感触の本編にあって、この物悲しげなメロハー・チューンのインパクトは際立っていますよ。
長らく廃盤のまま放置されている国内盤のリマスター再発をお願いしたくなる名盤であります。


BATON ROUGE - Shake Your Soul - Melenie ★★★ (2019-05-22 00:48:01)

ポップ・メタル然とした溌剌さが勝る本編にあって
哀愁強めのメロハー・チューンっぷりが
ナイスなアクセントにもなっています。
バンドのフックを効かせたメロディ作りの巧みさが光る
コンパクトに締まった名曲。


BATTLE BEAST - Battle Beast ★★★ (2013-08-06 22:41:59)

「女スティーヴ・グリメット」の異名に相応しい熱唱で、当方のメタル・ハートを鷲掴みにしたニッテ・ヴァロ嬢が脱退してしまい、デビューして早々に行く手に立ち込めた暗雲を、しかし見事に雲散霧消させてみせた気迫漲る2ndアルバム。
やたら眼ぢからのあるニュー・シンガー、ノーラ・ロウヒモの艶と光沢を湛えた歌唱は、前任者のそれと比べても何ら遜色ない堂々たるもので、特に声を張り上げた際のビブラートを伴ってシャープに切れ上がるハイトーンが痺れる程イカしています。
リーダーのアントン・カバネンがウド・ダークシュナイダーばりの金切声でコーラス・パートを担当するパワフルな①、再び漫画『ベルセルク』を題材に取り上げた、エピカルな重厚感とキャッチーなノリの良さが同居した②⑨、それにシャウト一閃、殺気を撒き散らかしながら突進する⑪等、煌びやかなKeyを適宜取り入れたストロング且つしなやかな曲調と、彼女の歌いっぷりの良さが化学反応を起こした楽曲には事欠かない本作ですが、白眉はやはりPVも作られた⑫(タイトルからして“BLACK NINJA”ですからね)で決まりでしょう。
和風メロディから琴の旋律、果ては刀身の風斬音のSEまで詰め込まれた、好事家(俺)垂涎のエキゾチック・ジャパ~ンな逸品・・・と書くと珍曲の類と誤解されそうですが、これが真面目に正統派HMの名曲なんで舐められません。蠱惑的なヴァースから一転、アグレッシブな本性を剥き出しにするサビのシャウトまで、まるでクノイチが憑依したかのようなノーラ嬢の振れ幅の大きな歌唱がグレイト。
デビュー作がまぐれ当たりでなかったことを証明するに十分な力作です。


BATTLE BEAST - Battle Beast - Black Ninja ★★★ (2013-08-06 22:46:59)

ロニー時代のBLACK SABBATHを思わせる
重厚且つパワフルなミッド・チューン。
「黒忍者」の文字をバックに外人クノイチが
MP奪われそうな不思議な踊りを披露する
PVが面白過ぎて何度も見てしまうのですが
楽曲自体も名前負けしないカッコ良さで最高です。
いやホントに。
是非来日して、この曲を演奏して欲しい。
その時は「ニンジャー♪」のコーラスは任せとけ。


BATTLE BEAST - Bringer of pain ★★★ (2017-03-25 09:10:45)

創設メンバーのアントン・カバネン(G)が解雇され、看板シンガー、ノーラ・ロウヒモ(Vo)を中心とする新体制でレコーディング作業が進められた、17年発表の4thアルバム。
バンドの主導権がノーラ嬢へと移ったことで、音楽性についても変化が生じています。「Keyによる派手な装飾の施された、勇ましくもキャッチーな正統派HM」という基本路線は継承しつつも、これまで以上に「歌」に比重を置くようになったサウンドは、よりモダンでメロディックな方向へ軌道修正。丁度、WARLOCKがDOROと改名した時のような…って、あんまし適当な例えじゃないか。
アレンジにおけるKeyの重用、ダンサブルなビートの多用、Voの引き立て役に徹する楽器陣、メタル版ABBAみたいな⑤⑨や、男性Voとのデュエットを盛り込むゴシック・メタル調の⑥を演る一方で、「これぞBATTLE BEAST!」という重厚&劇的な⑪を敢えてボートラ扱いしているのも、新たな方向性に対するバンド側の決意表明のように感じられます。
とは言え、それはそれとして、コブシを振り上げる疾走ナンバー②におけるパワフルなシャウトから、愁いを湛えて駆け抜ける④や美しいバラード⑩で聴かせてくれる澄んだ歌声まで、ノーラ嬢のフレキシブルなVoを前面に押し出した楽曲の完成度の高さはお見事ですよ。当初は「メイン・ソングライターを欠いた状態では、ロクでもない代物になってしまうのでは…」との危惧を覚えたりもしましたが、とりあえず杞憂に終わってくれて一安心。
恐らく評価が割れる作品ではないかと予想しますが、個人的には悩みを吹っ切って伸び伸び作られた感じの本作の方が、前作よりお気に入り度は高めです。ただ、次はどうなる?


BATTLE BEAST - Steel ★★★ (2012-03-21 09:26:32)

今時「BATTLE BEAST」ですよ。この全くヒネリのないフルチン気味なバンド名に、思わず目頭を押さえてしまいましたね。
大仰なSEや序曲で勿体付けることなく、シンプルにスタートする本編に詰め込まれているのは、問答無用でヘッド・バンギングを誘発する勇壮なリフ&リズム、楽曲に潤いとキャッチーさをもたらすKey、それにリーダーのアントン・カバネン(G)が担当するウド・ダークシュナイダーばりの濁声コーラスを伴って、パワフル且つソリッドに押し出してくるド直球のHMサウンド。
ストロングなだけでなく、思わず合唱を誘われる叙情味とフックの効かせられたサビメロ作りの上手さからは、NWOTHMの有望株KISSIN' DYNAMITEに通じるセンスの冴えが感じられますが、彼らに比べるとこのバンドはグッと「しなやか」な印象で、それはやはり「女スティーヴ・グリメット」との異名を取る女性シンガー、ニッテ・ヴァロの存在が大きいと思われます。(勿論体型ではなく声質の話)
張り/艶/伸びの三拍子揃った彼女の強力無比な歌声は、時に本家を凌駕せんとする勢いのパワーをも発揮しており、聴く度にこちとらメタル魂にガンガン燃料を注がれまくりですよ。取り分け、漫画『ベルセルク』にオマージュが捧げられた重厚なエピック・ソング③、雄々しく聴き手を鼓舞するアルバムのハイライト・ナンバー⑩という2大名曲で披露する熱唱ぶりは本編の白眉。
勿論、アルバムにはこれ以外にも高品質な楽曲が取り揃えられており、敢えて注文を付けるなら「完成してたけど今回は収録が見送られてしまった“BLACK NINJA”なる楽曲が是非聴いてみたかったなぁ」ぐらいのことしか思い付かないレベルの力作。
CRYSTAL VIPER辺りがイケル口の人なら絶対にチェックすべき1枚ですよ。


BATTLE BEAST - Steel - Iron Hand ★★★ (2012-03-21 21:37:26)

とにかくサビメロを一度聴いてみて頂きたい。
劇的なまでに勇ましいメロディを、心震わされる
ヴィブラートとコブシの聴かせて絶唱する
ニッテ・ヴァロ嬢のVoに鳥肌立ちまくりですよ。
いやはや、凄いシンガーだ。


BATTLE BEAST - Steel - The Band of the Hawk ★★★ (2012-03-21 21:31:44)

「黄金時代編」が下敷きにあるようなので
前を見据えて勇ましく進撃していくような
雰囲気に満ち溢れたエピック・ソングに仕上がっています。
ファンファーレの如く高らかに鳴り響くKey、
勝ち鬨の声を思わせる雄々しいコーラス、
そして力強いニッテ・ヴァロの歌声にメタル魂を
鼓舞されない奴はいねぇだろ!と、
思わず極論を口走りたくなってしまいますね。


BATTLE BEAST - Unholy Savior ★★ (2015-02-09 23:54:22)

LOUD PARKでのライブ・パフォーマンスが絶賛され、ぐっと評価が高まっている絶好のタイミングでリリースされた3rdアルバム。
国内盤の解説を山崎智之氏が担当していて「我々のBATTLE BEASTが~」とか熱筆を振るってるのを読むと、この手の音を茶化してたBURRN!!誌時代からの変貌振りに、一体どういう心境の変化だ?と思わず首を捻りたくなる・・・という私的心象はどうでもいいとして。肝心の本作、相変わらず良く出来ています。
冒険アニメの主題歌のような①、先行配信され賛否両論を呼んだダンサブルな⑤、それにバラードも複数曲収録する等、前2作に比べると「濃さ」を抑制した分、普遍性と分かり易さの拡充に努めて勝負に出た!との印象を強く受ける本作。これが思惑通りヒットに繋がるかどうかは現時点では未知数ですが、取り合えず前述の楽曲はどれも良く出来てます(ちょっと小粒だけど)。
②④⑩等、勇壮さ/しなやかなキャッチネス/Keyによる煌びやかなアレンジを伴うBATTLE BEAST節全開な楽曲も勿論健在で、それらを支えるのは、歌唱力もルックスも貫禄マシマシのノーラ・ロウヒモ嬢(嬢というか、もはやゴッド姐ちゃんクラスの佇まい)。本作はある意味、「前任者との比較」という呪縛から解き放たれて、より伸び伸びと多彩な表現力を駆使して歌いまくる彼女の歌声を味わう為のアルバム・・・と言えなくもないような?
それと今回も『ベルセルク』へのトリビュート・ソング④が収録されていて、これで3作連続。本当に好きなんだなぁと。三浦健太郎も折角こんなに熱心なファンが海外にいてくれるんだから、いつまでも休載してないで早く続きを描いてあげておくんなさい。


BATTLE BRATT (2019-01-22 23:23:25)

‘84年初頭にリズム隊が音頭を取って結成。NEW RENAISSANCE RECORDSのオムニバス盤『SPEED METAL HELL』(’87年)に楽曲提供する等して名を上げた後、U.S. METAL RECORDSと契約を交わし、'88年にセルフ・プロデュースで1stフル・アルバム『BATTLE BRATT』を発表してデビューを果たす。ちなみに同作のCDはメルダックがリリースした日本盤しか存在していなかった為、中古盤がかなりの高額で取引されていたという。(現在は正式に再発が叶ったため安価での入手が可能)
その後まもなくバンドは音信不通となるも、'05年に結成20周年を記念して復活を遂げ、過去音源を取りまとめたアンソロジー盤や、フル・アルバムも発表している模様。


BATTLE BRATT - Battle Bratt ★★★ (2019-01-22 23:27:07)

ニューヨーク出身の4人組が'89年にU.S. METAL RECORDSから発表した1stアルバム(エンジニアとしてVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディフェイの名前がクレジット)。ちなみに国内盤はメルダックから「MELDAC METAL MOVEMENT SIRIES」と銘打って、TITAN FORCE、PAGAN、JACK STARR’S BURNING STARR、MERZYという渋い面子の作品と一緒に'91年にリリースされています。
それにしてもジャケットが酷い。漫画家志望の女子中学生に頼み込んで描いて貰ったようなイラストは、本作を愛する身としてもちょっと擁護し難いレベルで、いっそメンバーに、お前らこのイラストのどこにイケる!という勝算を感じたのか、一体これでどんな人達にアピールしようと思ったのか問い詰めたくなるという。しかしジャケのチープさに反して、内容は全然悪くない。どころか非常に良いのだから物事は見た目じゃ分かりませんよ。
マッシヴなリフ&リズムに乗って、線は細いが魅力的な歌メロを拾うハイトーンVoや、テクニカルなGがパワフルに押し出して来る硬派なサウンドは、哀愁を帯びているがベタつかず、ドラマティックだがクサくない。雄々しいリズムに先導されてアルバムの開巻を勇壮に宣言する①、VICIOUS RUMORSを彷彿とさせる②、愁いを帯びたメロディが華麗に舞う⑥、拳を振り上げながら合唱したくなる重厚な⑨等、例えばCITIES辺りに通じる「これぞNY産」というコンクリート・メタルっぷりには思わず血が騒ぎます。またこれらの楽曲を華麗に彩るボーカル・ハーモニーの美しさも、バンドの強力な武器として機能しているという。
ジャケットに躊躇せず、是非とも手に取って頂きたいB級メタルの傑作。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Can't Let Your Love Go ★★★ (2019-01-24 00:13:53)

派手に動き回るBと重々しく跳ねるリズムに先導されて
重厚にアルバムを締め括るラスト・ナンバー。
ハイトーンVoが歌うメロディも魅力的で
特に中間部はライブじゃさぞかし盛り上がったことでしょう。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Heat of the Night ★★★ (2019-01-24 00:22:27)

アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
テクニカルなG、力強いリズム、ハイトーンVoが歌う哀愁のメロディ、
曲展開を壮麗に肉付けするコーラス・ハーモニーと、
このバンドの魅力がてんこ盛りに盛られています。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Winds of Change ★★★ (2019-01-24 00:18:44)

これぞメタルという重厚感を身に纏った勇壮なOPナンバー。
曲展開を立体的且つ壮麗に彩るボーカル・ハーモニーも
楽曲に効果的なアクセントを加えてくれています。


BATTLEAXE - Burn This Town ★★★ (2016-01-11 00:34:45)

内容よりも、ヘッタクソなジャケットのインパクトでHR/HMリスナーの記憶に刻まれる、BATTLEAXEの1stフル('83年)。そりゃ技術レベルで言ったら全く弁護できませんが、でも半端に上手い代物より、テクはないけど味だけは有り余ってるこのイラストの方が彼らには似合っていますよ。(いや皮肉じゃなく)
そんな本作に託されているのは、今ひとつな音質の下、上手かないけど熱意は伝わるヘタウマVoをフィーチュアし、エッジーなGリフ主体でストレートに押して来る極めてオーソドックスなNWOBHMサウンド。普通はそれを土台に、更にその上にスラッシーな攻撃性だったり、LAメタル風の華やかさだったりといった自分なりの「色」を盛るもんですが、本作はそうした足し算感覚ゼロ。例えるならミートソースのかかってないスパゲティか、はたまた天カスしか浮いてないうどんか、みたいなソリッド過ぎる味わい。
なので、初めて聴いた時は「地味」「味気ない」と2、3回再生したきりで売っ払ってしまったのですが、しかし。年食ってから聴き直すと、昔はマイナスに感じられた要素に逆に胸が熱くなるのだから不思議よなと。全くヒネリのない疾走ナンバー①③⑤の男らしさ、そして思わず一緒に叫びたくなるバンドのテーマ曲たる⑦の名曲っぷりにはメタル魂に火が点される思いですよ。(初期RIOTを思わすドライヴ感満点の⑩も良し)
「メタルってこういうもんだったよね」と、忘れかけてた初心を思い出させてくれる1枚。


BATTLEAXE - Burn This Town - Battleaxe ★★★ (2016-01-11 21:56:14)

雷鳴のようなイントロから
シンプルだけどえらくカッコイイ
シャープなGリフが刻まれ、そしてシャウト一発!
というメタル100%な導入部で笑顔になってしまう
バンドのテーマ曲。終盤の「バッ!トル・アックス!」の
連呼は一緒に叫びたくなりますね。


BATTLEAXE - Burn This Town - Hands Off ★★ (2016-01-11 22:01:24)

初期RIOTをへヴィ・メタリックに仕上げたような
自然と腕を振り上げたくなる
ハイテンション且つドライヴ感満点の疾走ナンバー。
これまたリフのカッコ良さが印象的。
ライブだとインスト・パートを拡張して
掛け合いをやりそうなタイプの楽曲ですね。


BATTLEAXE - Heavy Metal Sanctuary ★★★ (2020-01-13 01:02:23)

NWOBHM期に活躍。後にSATAN~PARIAHに参加するイアン・マコーマック(Ds)が在籍していた英国サンダーランド出身のBATTLEAXEが復活。ジョン・サイクスの後釜としてTYGERS OF PAN TANGに加わったことで知られるギタリスト、フレッド・パーサーをプロデューサーに迎え、'14年に発表した通算3枚目となるアルバムがこちら。
再結成の話を耳にしても「需要あったんだ?(笑)」と半笑いを浮かべたままの我が身でしたが、大仰な導入を経てOPナンバー①のGリフがスピーディに走り始めた途端、そのカッコ良さに、舐めくさった態度に正拳突きをかまされたような衝撃を受けましたよ。
「何も足さない」「何も引かない」サントリーウィスキーが如き超超オーソドックスなHMサウンド(バイカーズ・ロック時代のSAXONとかに近しい)は、デビュー当時からまんじりとも変化してませんが、元来、尖がった楽曲や超絶技巧が売りのバンドではなかったがゆえに経年劣化とも無縁。…どころか寧ろ、重厚な音作りから格段に逞しさを増したVoの歌唱力、ツインGの煽情力に至るまで、30年の時を重ねた本作の方が遥かにパワーUPを遂げているのだから度肝を抜かれます。JUDAS PRIESTの“FREEWHEEL BURNING”を思わす(?)⑥、デイヴ・キングのパワフルな歌唱が炸裂する⑦、英国然とした湿ったメロディにグッとくる⑪等、聴いているだけで自然と拳を振り上げ、頭を振りたくなる疾走感とノリの良さを伴う楽曲がズラリ揃った本編は捨て曲なしの充実っぷり。中でも勇ましいVo、シャープなリフ、劇的なツインGが切れ味鋭く疾駆する③は万歳三唱モノの名曲です。
油断している輩のドタマに「戦斧」ぶち込まんとする力作。BATTLEAXEの最高傑作ではないでしょうか?


BATTLEAXE - Heavy Metal Sanctuary - Hail to the King ★★★ (2020-01-13 01:15:43)

Gリフの切れ味、Voの歌唱力、プロダクションの充実まで
80年代当時よりも格段にパワーアップを遂げている
(しかも「らしさ」だって全く失われてはいない)
復活BATTLEAXEの魅力の粋を結集したかのような名曲。
ハモリながら疾走するツインGのカッコ良さはガッツポーズ物ですよ。


BATTLEAXE - Heavy Metal Sanctuary - Kingdom Come ★★★ (2020-01-13 01:21:31)

抒情的なイントロからスタートする、いかにも英国産HMらしい
憂いを充満させた重厚なミッド・チューン。
デイヴ・キングのデビュー当時とは見(聴)違えるような熱唱が、
ドラマティックな曲展開を力強く彩ってくれています。


BATTLEAXE - Power From the Universe ★★ (2016-03-02 23:11:23)

『宇宙からのパワー』を受信中(?)のメンバーが配置された、ジャケットの構図や色合いの美しさも印象的な'85年発表の2ndアルバム。
アートワークの飛躍的レベルアップが物語る通り、良くも悪くもテメェらのやりたいことにしか興味がなかった風情(ある意味ミュージシャンとしては正しい)の前作『BURN THIS TOWN』に比べると、全体的にテンポを抑え気味にして、その分メロディの増量が図られた今作は、彼らなりに周囲を見回して、「もっと多くの人に聴いて貰いてぇ」「もっと売れてぇ」と、より他人の耳目の存在を意識するようになったのが伝わる仕上がり。
無論、デビュー作で聴かせたオーソドックス過ぎるぐらいオーソドックスな典型的NWOBHMサウンド――'80年前後のJUDAS PRIESTを基本に、AC/DCのタテノリ感も加味したような音楽性――自体は不変なのですが。今回はそこに、OPを飾るBATTLEAXE印の名曲①のイントロには「焦らし」を設けてみたりとか、ティノ&クリスのトロイ兄弟(PRAYING MANTIS)を招いてコーラス・ワークの強化を図ってみたりとか、色々小技が仕掛けられています。その好例が、6分以上に及ぶ長尺を(そこはかとなく)ドラマティックに物語る④。Keyも交えたクライマックスの盛り上がりはなかなかに熱いですよ。
デビュー作に比べると、やや大人しくまとまったしまったとの印象は拭いきれませんが、でもやはり①(“CHOPPER ATTACK”というタイトルからして良い)や④はメタル・ハートに響く名曲であるなぁ!と、久々に聴き直して実感した次第。


BATTLEAXE - Power From the Universe - Chopper Attack ★★★ (2016-03-03 22:46:57)

タイトル通り、ローターの回転音からスタートする
ヒネリもなんもないド直球の疾走ナンバー。だがそこが良い。
疾走と言ってもスラッシーだったりはせず、
飽くまで頭を振るのに丁度いい速度なのがポイント。
サビは腕を振り上げながら
「アンダァ!アンダ・チョッパー・アタック!」
と一緒に歌いたくなる逸品ですよ


BB STEAL (2019-12-12 00:21:31)

オーストラリア出身で、BOSSで活動していたVoとGや、AC/DCのヤング兄弟の甥にあたるドラマー、ジェイムズ・ヤングら、それなりにキャリアを積んできたメンバー達が、よりワールドワイドな活動を目標に結成。
ツアーでオーストラリアを訪れたDEF LEPPARDのフィル・コリンに気に入られ、プロデュースから技術的な特訓、更には本編へのバックVoとしての参加等、彼の全面的な協力を得てデビューを飾ったことと、もろにDEF LEPPARDを彷彿とさせる華やかなHRサウンドが話題を呼んだ5人組。ちなみにバンド名のBB STEALはBEG BORROW STEALの略だとか。
'91年発表の『ON THE EDGE』1枚きりでバンドは解散したが、後に再結成。'13年には復活アルバムを発表している模様。


BB STEAL - On the Edge ★★★ (2019-12-12 00:26:08)

元BOSSのメンバーや、ヤング兄弟(AC/DC)の甥でもあるドラマーらにより結成されたオーストラリア出身の5人組が、PHONOGRAM RECORDSから'91年に発表した1stアルバム。
いきなりのメジャー・デビュー。DEF LEPPARDのフィル・コリンに見い出され、彼が全10曲中6曲のプロデュースを担当している等、話題性は十分だったにも関わらず今一つパッとした印象のないままフェードアウトしてしまったのは、音楽シーンが端境期を迎えていた’91年という登場時期が悪かったのか、はたまたNWOBHMのマイナー・バンドみたいなバンド名とチープなジャケットが足を引っ張ったせいか。
ミドル・テンポ主体の楽曲、声質がジョー・エリオット似のVoが歌う、適度に哀愁と透明感を漂わすポップなメロディ、キャッチーなサビメロ、それを分厚く包み込むボーカル・ハーモニーetc…と、本作で聴けるのはまさしく「オーストラリアのDEF LEPPARD」といった趣きのハードポップ・サウンド。OPナンバー①が少々埃っぽい落ち着いた曲調であるため(単体で聴けば良い曲)、立ち上がりスロー・スタート気味なのと、アルバムにこれといったキメ曲に欠けるため、強烈なインパクトを叩きつけられる類の作品ではないのですが、それでも収録曲の粒は揃っており聴くほどに味わいも増してきます。例えば立体的に舞うボーカル・ハーモニーが心地良い③、ライブ映えしそうな爽やかな④、HR的熱気も仄かに帯びて突き進む⑥等は、本家DEF LEPPARDだってそう易々とは書けないクオリティを有しているのではないかと。
今となっては顧みられる機会も少ない作品ですが、中古屋で安く見かけたら是非一度手に取って頂くことをお薦め致します。


BB STEAL - On the Edge - Shot Full of Love ★★★ (2019-12-13 00:06:52)

アルバムにおいては比較的ハード寄りのロック・チューン。
DEF LEPPARDを思わすギターアルペジオと、
風通しの良い爽やかなサビメロが非常に印象に残る逸品に仕上がっています。


BEAST IN BLACK - Berserker ★★★ (2018-01-08 23:37:45)

中心メンバーとして創作面を一手に担ってきたものの、民主化を求める他メンバーのクーデターに遭い新日…もといBATTLE BEASTから放逐されてしまったアントンが、「元気があれば何でもできる!」と発奮(違うアントンと混同した文章)。新たにWARDRUMのヤニス・パパドプロス(Vo)らと共に別団体を旗揚げし、’17年に発表したデビュー作。
バンド名は勿論、獅子をあしらったアートワークや、漫画『ベルセルク』を題材に取った歌詞まで、本作にはBATTLE BEAST時代を彷彿とさせるモチーフが山盛り。男臭いシャウトのみならず女性と聴き紛うソフトな歌い上げまで器用に使い分けるヤニスのVo、煌びやかでシンフォニックなKeyによる装飾、サブVoとして随所で濁声コーラスを噛ませて来るアントンの歌声とが相俟って、勇ましくドラマティック、それでいてキャッチーな正統派HMサウンドは、知らずに聴いたらBATTLE BEASTの新譜だと思うこと必定ですよ。
これは別にアントンが新しいことにチャレンジしたくてバンドを追ん出たわけじゃなく、他メンバーとの対立の末に解雇されてしまった経緯を考えれば実に自然なこと。寧ろ、新体制へ移行したBATTLE BEASTが今後一層の音楽性の拡散を予感させることを踏まえると、こっちのバンドこそがこのサウンド・スタイルの継承者なのかも…と、アントンの溜った鬱憤を晴らすかの如きシャウトからスタートするOPナンバー①、メタル版ABBAとでも言うべき②、高らかに響き渡る③、スラッシーなアグレッション迸る⑤、“THE FINAL COUNTDOWN”を彷彿とさせる⑨といった優れた楽曲の数々を聴きながら思った次第。
ただ、どうせならダンス・ビートはもちっと減らしてくれても良かったかなぁ、なんて。


BEGGARS & THIEVES - Beggars & Thieves ★★★ (2022-11-21 22:51:58)

80年代はオジー・オズボーンのバンドで活躍し、名曲“SHOT IN THE DARK”の共作者としてもその名を刻むフィル・スーサン。この人に関してはベーシストとしての印象はまるで残っておらず、それよりも後年、雑誌インタビューでオジーから「ホームラン級のバカ」と評されていたことばかりが思い出されてしまうのですが、彼が結成したBEGGERS & THIVESが、'90年に米メジャーのATLANTIC RECORDSから発表したこのデビュー作は聴き応え十分の内容。オジーの発言で我が身に刷り込まれた「フィル・スーサン=激烈バカ」というマイナス・イメージが上書きされるインパクトを持った力作に仕上がっていますよ。まぁ作曲クレジット見るとこの人全然曲作りに関与してないんですけどね…。
90年代の作品ながら、当時流行りのブルーズ色は然程強くなく(だからセールス的に失敗したのか?とか思ったりも)、基本となるのは溌剌とエネルギッシュな80年代型アメリカンHRサウンド。さりとて能天気になり過ぎることもなく、スケールの大きなOPナンバー①に始まり、緊迫感を湛えて駆け抜けるハード・ナンバー②、爽やかな哀愁薫る⑤、デズモンド・チャイルドのペンによるノリ良くキャッチーな⑧、ラストを雄大に締め括るバンドのテーマ曲でもある⑪…と、本編にはメロディにもアレンジにもきっちりとフックの効いた逸品がズラリ。バンド・メンバーはフィル以外ほぼほぼ無名の面子ばかりながら、熱唱型のVoを筆頭に、安定感溢れるパフォーマンスを繰り出してサウンドの土台を手堅く支えてくれています。
隠れた佳作として、ふと思い出して聴き直したくなる1枚。フィル・スーザンが抜けた後もバンドは存続し、アルバム数枚をリリースしているようなので、機会があればそちらも聴いてみたいなぁ。


BEGGARS & THIEVES - Beggars & Thieves - Beggars & Thieves ★★★ (2022-11-23 00:14:11)

アルバムの締め括り役を担う哀愁のバラードにしてバンドのテーマ曲。
熱く歌い込むタイプのVoとアコギを生かしたエモーショナルな
盛り上がりっぷりに惹き込まれてしまう名曲です。


BEGGARS OPERA - Pathfinder ★★★ (2012-05-17 07:18:05)

アートワークにキーフのデザインを用いたり、“トルコ行進曲”や“トッカータとフーガ”等のクラシック曲を本編に導入する手法等、EL&Pに影響を受けたバリバリのプログレ・バンドとしてデビューを飾り、その後、徐々にメロディへの拘りに目覚めて行ったスコットランドはグラスゴー出身の5人組が'72年に発表し、HR的なエネルギーの迸り、プログレ然としたドラマティックな構成力、そしてポップなメロディ・センスとが絶妙なバランスで配分された傑作としてファンから特に高い人気を誇る3rdアルバム。(邦題は『宇宙の探訪者』)
朗々歌い上げるマーティン・グリフィス(Vo)のジェントルな歌声と、静と動の振れ幅が大きいアラン・パーク(Key)の鍵盤捌きを最大の武器に、豊かな音楽的素養と懐の深さを感じさせる彼らのサウンドの魅力は、風来坊的曲調に一抹の哀愁がまぶされたOPナンバー①から早くも炸裂しまくっておりますが、本編のハイライトは何と言っても続く②。リチャード・ハリスの大ヒット・ナンバーを独自のアレンジでカヴァーしたこの名曲には、クラシカルだが親しみ易く、ドラマティックだが大仰ではないというBEGGERS OPERAサウンドの真髄が理想的な形で体現されています。
以降も、後半に進むに従って熱量が上がっていく③、URIAH HEEPチックな70年代HRソング④、ジグのリズムとメロディが取り入れられた⑤、メロウなインスト曲⑥から繋がり、オカルティックな狂気を帯びたKeyが荒れ狂うラスト・ナンバー⑦まで、無駄のない構成と完成度の高さ。
CATHEDRALのリー・ドリアンやOPETHのミカエル・オーカーフェルトが絶賛するのも納得の1枚ですね。


BEGGARS OPERA - Pathfinder - Hobo ★★ (2012-05-18 23:20:37)

曲名から想起される自由気ままな雰囲気と
一抹の物悲しさが漂う軽快なOPナンバー。
中盤のピアノ・ソロを切っ掛けに
曲調がキリリと引き締まるパートが
ピアノ好きには堪らんポイント。