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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200
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TOKYO BLADE - Tokyo Blade - Sunrise in Tokyo ★★★ (2011-09-29 22:40:11)

まさにTOKYO BLADEに求めているのは
こういうノリの楽曲。
しかもそれを単なるネタ曲に堕とすことなく、
きっちりと名曲レベルに仕上げる手腕に
感心させられましたね。


TOKYO MOTOR FIST (2018-05-01 23:40:50)

DANGER DANGERとTRIXTER。どちらもアメリカ東海岸出身で、古くから親交があったというテッド・ポーリー(Vo)とスティーヴ・ブラウン(G)が、FRONTIER RECORDSのセラフィノ・ペルジーノの後押しを受けて結成したプロジェクト(セラフィノ氏はデビュー作のエグゼクティブ・プロデューサーを担当)。リズム隊はこれまた東海岸のミュージシャン仲間であるグレッグ・スミス(B)とチャック・バーギ(Ds)のコンビが務めている。
ちなみに日本人的に「おっ」となるバンド名ですが…どういう意味なんでしょう?


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist ★★★ (2018-05-01 23:46:31)

開店休業中のDANGER DANGERの空き時間を利用して、ブルーノ・ラベル(B)は元メンバーのポール・レインらとTHE DEFIANTSを立ち上げ、一方フロントマンのテッド・ポーリー(Vo)はTRIXTERのスティーヴ・ブラウン(G)をパートナーに、FRONTIER RECORDSのバックアップのもとTOKYO MOTOR FISTを結成。'16年にこの1stアルバムを発表しました。(リズム隊はRAINBOWやBLUE OYSTER CULT他の活動で知られるグレッグ・スミス(B)とチャック・バーギ(Ds)が参加)
先行して聴いたTHE DEFIANTSのアルバムは大変素晴らしい出来栄えでしたが、こっちもクオリティでは一歩も引けを取りません。1曲目のイントロにマカロニ・ウェスタンを名曲を配する等、全体的に哀愁味が強く出ていたTHE DEFIANTSに対し、本作はカラッと明るく爽快、時に豪快なグルーヴを身に纏って躍動するアメリカン・メロディアスHRサウンドが持ち味。収録曲も、秀逸なサビメロを始めフック満載で贈るOPナンバー①、歌うGリフが印象的な③、ハーモニーが美しい④、吹き抜ける微風の如く爽やかな⑤、乾いた哀愁漂うバラード⑦、それに高揚感を湛えてノリノリに疾走する②⑥⑪等、どれもこれも始まった途端にLAの雲一つない青空が眼前に広がるような、爽快なロック・チューンばかりが小気味よく繰り出されてきます。帯の売り文句《全曲捨て曲なしの傑作》は伊達じゃない、と。
その完成度の高さに大いに感心させられると共に、本作を聴くと、これまでスルーして来てしまっていたスティーヴ・ブラウンが在籍するTRIXTERのカタログにも一気に興味が湧いてきますね。こんなに良い曲を書ける人材だったとは…。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Fallin' Apart ★★★ (2018-05-03 09:33:11)

本編中においてはハード寄りの疾走ナンバー。
それでも盛り込まれたメロディのフックに鈍りは皆無。
作曲能力の高さのみならず、リフにリードに、
テクニカルで鮮烈なGプレイを連発する
スティーヴ・ブラウンの才能には瞠目せずにはいられません。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Love Me Insane ★★★ (2018-05-03 09:27:02)

聴いてるだけで身体が動き出す
溌剌と躍動するアップテンポのロック・チューン。
フレッシュなGソロといい、爽快なコーラスといい、
ライブで演ったら盛り上がること間違いなし。
DANGER DANGERの“ROCK AMERICA”タイプの名曲。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Pickin' Up the Pieces ★★★ (2018-05-03 09:23:32)

イントロだけで鼻腔一杯に80年代の薫りが広がり、
分厚いハーモニーに包まれた、爽やか且つキャッチーな
サビメロで夏のLAの青空を幻視出来てしまうという
1曲目からアルバムの完成度を確信するに十分な
ポップ・メタル・チューンの逸品。


TOKYO YANKEES - Do the Dirty ★★ (2018-06-10 22:44:18)

Voの梅村総一郎(故人)がEXTASY RECORDSの副社長だったりYOSHIKIの個人マネージャーだったりと、Xに関わりの深い弟分バンドとして知られた4人組が、'91年に発表した6曲入りデビューEP。
メンバーのケバケバしいビジュアルと、草野球チームか北関東の暴走族かというバンド名に引いてしまい、当時はまるで興味をそそられずにいたのですが、クラスメイトのメタル好きが「カッコイイから一度聴いてみなって」と薦めてくれたのを切っ掛けに本作を購入。したらば確かに、咆哮型Vo、鋭利なGリフ、ドカスカ土煙蹴立てて突っ走るリズムとが一丸となって迫り来るパワー・サウンドが、こっちのツマラナイ偏見をブッ飛ばす迫力を誇っていて、聴かず嫌いはいかんなぁと襟を正されてしまった次第。
インディーズ制作ゆえ音質はペラペラ、メロディに無頓着に吠え立てるVoの歌唱スタイルも好悪が分かれるところかと思われます。しかしVENOMのクロノスやTANKのアルジー・ワード、日本だったらSACRIFICE(現SOLITUDE)の杉内哲のパフォーマンスに歌心を感じ取れる御仁なら問題なく許容できるレベルですし、何より豪快な突貫精神の中から木目細やかなメロディ・センスが顔を覗かせる①③や、ACCEPTの“FAST AS A SHARK”を思わせるスピード・メタル・ソング④といった楽曲を、パワー/スラッシュ・メタル愛好家がスルーしてしまうのは大いなる損失ですよ!
…とか言いつつ、このバンドの次作以降に手を出さぬまま現在へと至ってしまった我が身を省みながら、本感想文を締め括らせて頂きます。


TOKYO YANKEES - Do the Dirty - Let Me Go ★★★ (2018-06-11 22:53:52)

パワー・メタリックなGリフをフィーチュアして
3分に満たないランニング・タイムを怒涛の如くぶっ飛ばす
本編最速のスピード・ナンバー。
攻撃性剥き出しの曲調には無骨な咆哮型Voがよく映える。


TOKYO YANKEES - Overdoing ★★★ (2020-03-10 00:37:30)

「和製MOTORHEAD」ことTOKYO YANKEESが’91年にEXTACY RECORDSから発表し、インディーズ・チャートにおいて№1ヒットとなった1stフル・アルバム。ちなみに兄貴分のXからPATAとHIDEがそれぞれバックVoとGで参加。初回盤はボーナス・トラックとして8cmCDシングル『JOKER』が付属した2枚組仕様でした。
埼玉県の国道をパトカーに追いかけられながらブッ飛ばしているような、ヤンキー臭漂うオラついたパワーメタル・サウンドは前作同様ですが、音質の向上により迫力は倍増。ランニング・タイムも30分台とタイトに凝縮された本編は、「I!C!B!M!」とコーラスをシャウトせずにはいられないキャッチーさも備わったOPナンバー①から、最速でエンディングを爆走する⑨まで、表題『OVER DOING』(「悪ノリ」の意)に相応しい突進三昧。脇目も振らぬその猪突猛進ぶりや表情に乏しい咆哮型Voをして「一本調子で構成にメリハリが欠ける」「どの曲も同じように聴こえてしまう」とマイナスに感じる向きもあるやもしれませんが、逆にそうした部分を「いいんだよ、細けぇことは!」と堂々うっちゃれる豪快さが、このバンドの得難い個性とも思えるわけでして。
特に土煙蹴立ててダイナミックに疾走するハード・ドライヴィンな⑦は、2本のGの斬り込み隊長ぶりにメタル魂が燃え上がる名曲。またボーナストラックの“JORKER”もメロディックなGソロが印象的な、特別扱いも納得のカッコ良さを誇っていますよ。
TOKYO YANKEESは長らくデビューEPしか聴いたことがなかったのですが、本作は買って大正解。寧ろもっと早く聴いておけば良かったと思うぐらいでして。


TOKYO YANKEES - Overdoing - Quick as Light ★★★ (2020-03-10 23:49:01)

序盤は抑え気味に展開し、2本のGの荒々しい切り込みを切っ掛けに
アクセルを踏み込んで突っ走る場面のカッコ良さにゃ血圧ぶち上がり。
ダーティなVoとドスの効いたコーラスも、
アグレッシブで埃っぽい曲調にマッチしていますよ


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... ★★ (2017-11-05 00:18:52)

SODOMの首領トム・エンジェルリッパーが'96年に発表した初めてのソロ・アルバム。
ドイツではポピュラーな酒飲みソング(日本で言うとバラクーダの“日本全国酒飲み音頭”みたいな?)のカヴァー集とでもいうべき内容で、全編を支配する酔っ払い独特の陽気なテンションの高さといい、全曲ドイツ語で歌われる歌詞といい、SODOM的要素は全く期待できそうにない…と思いきや、いやいや。なかなかどうして。
名手ヨルグ・マイケル(他にもアクセル・ルディ・ペルやピーヴィ・ワグナーがコーラスでゲスト参加)によるキレのあるリズム・ワークの上に、トムの特徴的な濁声シャウトが乗っかると、「SODOMがカヴァーするハードコア/パンク/ロックンロール・ソング」的趣きが濃密に漂い、これはこれで存外カッコイイのですよ。MOTORHEADばりの突撃ナンバー⑥や、スピード・メタリックなGリフに、酔っ払いらしい脈絡無用な曲展開がブッ込まれた⑪なんかはその筆頭。歌い継がれるポピュラー・ソングだけあって、陽気な歌メロは思わず一緒に歌いたくなるキャッチーさですし、各曲に振られたゴキゲンな邦題と会わせて、本作に充満する無暗矢鱈にアッパーな雰囲気を盛り上げることに大きく貢献しています。
本作を聴いていて思い出したのが、独スラッシュ・シーンの兵どもが一堂に会して、超有名なクリスマス・ソングの数々をウキウキでカヴァーしたX’MASS PROJECTのこと。歌ってる最中にシンガーが我慢できずに吹き出したりする、あの(良い意味で)テキトーなノリがツボにハマった方や、「ヘベレケなTANKARD」聞いて興味が沸く向きには、お試しいただく価値が大いにある1枚ではないかと。


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... - In München Steht Ein Hofbräuhaus ★★★ (2017-11-05 22:14:20)

邦題は“ミュンヘンにあるのは宮廷ビール醸造所”。
DIOの“STAND UP AND SHOUT”のGリフを借用して
ハードコア/パンクばりに爆走したかと思えば、
ワルツのリズムでステップを踏んだり、
酔っ払い連中が声を合わせて大合唱を繰り広げたりと
酩酊状態を思わせる脈絡もとりとめもない曲展開が、実に楽しい1曲。


TOMMY FUNDERBURK - Anything for You ★★★ (2021-04-26 23:44:19)

AIR PLAYを筆頭に、WHAT IF、BOSTON、COVERDALE/PAGE等々、数多のセッション・ワークで鳴らしてきた実力派シンガー、トミー・ファンダーバーク。どちらかと言えば裏方スタッフ的なイメージもあった彼が、FRONTIERS RECORDSのバックアップの下、プロデューサーにファブリッツォ・V・グロッシを起用して制作、’05年に発表した初のソロ・アルバムがこちら。
FRONTIERS RECORDSのプロジェクトというと、看板として起用されたシンガーは事前に用意された楽曲をただ歌うだけ、というパターンも少なくありません。個人的にはそれが悪いこととは全く思っておらず、腕利きソングライター勢によって優れた楽曲がズラリ揃っていればそれだけアルバムのクオリティは跳ね上がりますし、寧ろそれを押しのけてまで収録した自前の楽曲が退屈だったら目も当てられないですよ。
但し、本作に関して言えば元々トミーが優れた作曲家であることに加え、どういったタイプの楽曲が自身の爽快なハイトーンVoが映えるか熟知していることもあり、収録曲はすべてご本人のペンによるもの。適度にロックのエッジを効かせつつ、キャッチーなメロディとフックに彩られたメロディアスHRサウンドは、単なる自己満足とは無縁の高いクオリティを有しているのだから流石。中でもアコギを活かしたエモーショナルな曲調が感動を呼ぶ⑥はグッとこみ上げる名曲に仕上がっています。
本作以降、表立った活動のニュースが伝わって来ないのが残念ですが、是非ともまたソロ・アルバムを作ってくれないものか。


TOMMY FUNDERBURK - Anything for You - You Got the Love ★★★ (2021-04-28 22:43:53)

モダンなフィールも仄かに漂わせつつ
情感豊かな歌声と要所で美しく閃くアコギが
メロディの哀感をグッと際立たせる、
聴く度に「良い曲だなぁ」とため息をつきたくなる逸品です。


TONY IOMMI - Fused ★★ (2010-05-17 22:08:00)

『SEVENTH STAR』以来となる、トニー・アイオミとグレン・ヒューズのコラボ作品だが、最初に①を聴いた時は、アイオミ謹製の暗く沈み込むようなヘヴィ・リフの上に、グレンの陽性な歌唱が乗っかるそのミスマッチさに、どうにも違和感が拭えなかった。『SEVENTH~』の時はそんな風には感じなかったのだが、正調ブリティッシュHR路線を志向し、且つドラッグとアルコール依存症でヘロヘロだったグレンが雇われシンガー役に徹していたあの作品に比べ、今回は、初期サバスに通じるダークネスとヘヴィネス重視の作風なうえに、野心むき出しのグレンのVoが「これを機会にサクセスしたるでぇ!」とばかりに、前へ前へと押し出してくる事が違和感を強めてる要因か。
とは言え、一級のギタリストとシンガーが手を組んだ作品ゆえクオリティが低い筈もなく、また、当初感じられた違和感も聴き進めて行けば徐々に薄れていく。中盤以降は、『HEAVEN AND HELL』の頃を思わせる転調パートを備えた⑤、ポップな味わいも感じられる⑥、強力無比なグレンの歌唱が曲の持つ劇的さを引き立てる⑦、悲壮感に満ちたGリフが刻まれる⑧、本編屈指の名リフが疾駆する⑨、そして強烈な泣きを伴ってアルバムをドラマティックに締め括る荘厳なエピック・ソング⑩・・・と、様式美サバスを愛して止まない我が身が聴いても「流石トニー!」と惚れ惚れさせられる強力な楽曲が並ぶ。
まぁ、ロニーとかトニー・マーティンとか、もっと暗めの声質のシンガーが歌った方が、よりハマッたと思わなくもないけれどね。


TONY MARTIN - Back Where I Belong ★★ (2010-05-14 23:22:00)

BLACK SABBATHを追ん出されたトニー・マーティンが、二ール・マーレイ、ジェフ・ニコルズ、
ローレンス・コトルといったサバス時代の同僚や、QUEENのブライアン・メイ、SAXONのナイジェル・グロックラーら、
英国HR/HMシーンのベテラン・ミュージシャンの力を借りて制作、'92年に発表した1stソロ・アルバム。
Gリフやリズム・パターンは後期BLACK SABBATH風味ながら、サックスを導入し、お洒落なアレンジが
施されたOPナンバー①によく表れている通り、シンプルな音像の下、曲によってはホーン・セクションや
ゴスペル・コーラスを取り入れる等、HR/HMとは随分な距離を感じさせるライトな作風に仕上がっており、
例えば、本作にはBLACK SABBATH時代の名曲“JERUSALEM"のカヴァー⑬が収録されているのだが、『TYR』の中では
比較的ポップに聴こえたあの曲が、ここではかなりハードに響いて来る事からもの、その方向性は明らか。
とは言え、上記したOPナンバー①を手始めに、ブライアン・メイが流石の指捌きを披露するバラード③、
歯切れ良くロックする⑦、流麗なKeyの調べが心地良い⑩等、トニーが手掛けた収録曲のクオリティは
低くなく(いや寧ろ高い)、しかも、それを彼が潤い豊かに歌い上げるのだから、素晴しくないわけがない。
また、今回彼氏は全編でGも担当しているのだが、↑上で別の方が仰られている通り、これがなかなかのもの。
組曲形式で綴られるバラード⑤⑥でGを渋く泣かせる腕前なんて、素直に感心させられますよ。
様式美HM色は皆無だが、メロディ愛好家なら押さえておいて損はない1枚かと。


TONY MARTIN - Scream ★★★ (2021-09-30 00:13:54)

1stソロ『BACK WHERE I BELONG』(’92年)との間にBLACK SABBATHへの復帰と再離脱(というかオジーとの復縁を模索していたサバス陣営による一方的な解雇)を挟み、'05年に発表されたトニー・マーティン(Vo)、2枚目のソロ・アルバム。
ゲストはBLACK SABBATH時代の僚友ジェフ・ニコルズ(Key)のみで、ほぼ全てのパートをマーティンと彼の息子ジョー・ハルフォード(G)が賄うという家内手工業スタイルで制作されていますが、リラックスしたAOR寄りの作風(これはこれで大変魅力だった)を志向していた前作『BACK~』に比べ、重々しく刻まれるGリフ、重厚かつダイナミックに駆動するリズム、その上で憂いに満ちたメロディをしなやかに歌い上げるVoといい、本作は多くのファンが「できることなら『FORBIDDEN』(’95年)はこの路線で作って欲しかったなぁ…」と遠い目をするであろう、Wトニー期BLACK SABBATHを彷彿とさせるダークでミステリアスなHMサウンドがほぼ全編に亘って繰り広げられる仕上がり。
取り分け、亡きコージー・パウエルが残してくれたドラム・トラックを叩き台に完成させたというRAINBOW型OPナンバー①が口火を切り、漆黒の闇に沈み込んでいくようなヘヴィ・チューン②、名曲“CROSS OF THORNS”を思わすドラマティックな③、マーティンがヴァイオリンの腕前を披露するアルバム表題曲⑤といった強力な楽曲が続くアルバム前半のクオリティは出色ですよ。
収録曲の出来/不出来にややムラがある点含め、BLACK SABBATHの『CROSS PURPOSES』(’94年)を思い出す1枚かなと。今年リリースされた3rdソロも聴かにゃ(日本盤はどうした?)


TONY MARTIN - Scream - Bitter Sweet ★★★ (2021-09-30 23:25:13)

重しを付けて泥濘を這い進む沈むように刻まれるリフ&リズムと、
マーティンが麗しく歌う神秘的なメロディの取り合わせが
まさしく彼が在籍していた時期のBLACK SABBATHを彷彿とさせる
逸品に仕上がっています。


TONY MARTIN - Scream - Scream ★★★ (2021-09-30 23:43:34)

バイクのエンジン音に導かれてスタートするアルバム表題曲。
アグレッシブかつ重厚に突き進む曲調に、憂いを湛えた
マーティンの歌声が絶品に映える。彼自身が弾いている
ヴァイオリン・ソロも楽曲に効果的にフックを作り出してくれています。


TONY MILLS - Beyond the Law ★★ (2019-10-12 01:34:17)

膵臓癌との闘病を終え2019年9月18日に永眠された、SHY、SIAM、TNT、SERPENTINE等での活動で知られる英国人シンガー、トニー・ミルズ。その彼が生前「北欧のメロハー請負人」ことトミー・デナンダーや、EDEN’S CURSEのピート・ニューデック(曲作りのみならず共同プロデュースも担当)らのインプットを得てレコーディング作業を行い同年に発表した、残念ながらソロ名義では最期となった作品。
雑誌インタビューにおいて、病状がかなり進行し投薬も既に手遅れの段階にあること、もしかしたら6か月後には生きていないかもしれないことを率直に語ってファンに衝撃を与えたミルズですが、本作における力強く伸びのある歌声からは、病魔の影など欠片も感じ取ることは出来ません。それはサウンドの方も同様で、彼が子供の頃に夢中になったギャング映画に着想を得ているという楽曲は、適度にポップで適度にキャッチー。遺作とはいえ過度にウェットだったり悲壮感が漂っていたり大仰だったりはせず、むしろエネルギッシュにロックしまくる姿勢にいっそ胸を打たれます。特にKeyが緊張感を醸成する、パワフルなアルバム表題曲②、物憂げなサックスがハードボイルドな雰囲気漂わす抒情バラード⑧、ヘヴィ・メタリックとさえ言えそうな疾走ナンバー⑩等は、本編の「動」と「静」の魅力を代表する名曲ではないかと。
音楽性は若干異なりますが、闘病生活を送りながらも最期まで爽快なハードポップ道を貫き通した、ファーギー・フレデリクセンのソロ・アルバムを聴いた時に受けた感銘を思い出さずにはいられない…そんな1枚であります。合掌。


TONY MILLS - Beyond the Law - Bonnie's Farewell ★★★ (2019-10-14 22:41:29)

タイトルから推察するに「俺たちに明日はない」で知られる
ボニー・パーカーについて歌っているのであろうバラード。
メランコリックな曲調を、ミルズのエモーショナルな歌声と
哀愁を帯びたサックスの音色がより一層引き立ててくれています。


TONY OHORA - Escape Into The Sun ★★★ (2019-02-06 23:56:06)

アルコール問題を抱え解雇されたゲイリー・バーデンの後任としてPRAYING MANTISに加わり、ファンの間で名作の誉れ高い『FOREVER IN TIME』(’98年)等、2枚のアルバムに参加。'99年に行われた来日公演にも帯同していた英国人シンガーのトニー・オホーラ(スティーヴ・グリメットの後任としてONSLAUGHTに在籍してい経歴の持ち主)が、PRAYING MANTIS脱退後の'06年に、セラフィノ・ペルジーノの後押しを受けてFRONTIER RECORDSから発表した初めてのソロ・アルバム。
「コリン・ピールの再来」としてマンティス時代から歌唱力には定評のあったシンガーであり、しかも本作には曲作りからレコーディング作業に至るまで、MIDNIGHT SUNやLAST TRIBE、ALLEN/LANDE他の活動で知られるマグナス・カールソンが全面協力。実力者2人がタッグを組んだ時点で内容に関しては一定以上のクオリティは約束されたも同然です。
ウェット且つ重厚なムードに包まれたミッド・テンポの楽曲が連続するため、通して聴くと若干メリハリには欠く印象ながら、抒情的に煌めくKeyを効果的に配して風通しの良さを確保し、歌い込むタイプのトニーの熱唱が十二分に映えることを念頭に書き上げられたメロディック・ロック・チューンの数々は、アルバム表題曲②(ボーナストラックとして収録されたアコギ・バージョンも良い)や、歌心を燃焼させるかのようなVoが圧巻の⑦を始め、いずれも聴き応え十分。
今となっては余り顧みられる機会のない作品ですが、中古屋で見かけたら一度手に取って頂ければ幸いです。


TORANAGA (2011-08-07 22:24:48)

'83年、アンディ・ミッチェル(G)をリーダーにイギリスはウェスト・ヨークシャーにて誕生し、当時、欧米で放送され高い人気を誇っていたTVドラマ『SHOGUN(将軍)』の登場人物からバンド名を頂き、TORANAGAを名乗った5人組。
と言っても別に和風テイストを取り入れたりしているわけではなく、彼らが聴かせてくれるのは、スラッシュ・メタルをベースにNWOBHMの伝統も受け継ぐ実に英国然としたパワー/へヴィ・メタル。(メイン・ライターの1人であるマーク・ダフィ(Vo)はNWOBHM後期に活動していたMILLENIUMの元メンバー)
ライブ活動を行いつつラインナップの安定化を図ったバンドは、'88年にメンバーが固まるとハードコア/パンク系のインディ・レーベルPEACEVILLEから6曲入りEP『BASTARD BALLADS』を発表。僅か十数万円の予算と4日間という突貫スケジュールでレコーディングされた作品だったが、これが各地で好評を博した結果、バンドはメジャーのCHRYSALLIS RECORDSと契約を締結。'90年には1stフル『GOD'S GIFT』をリリースしている。

『BASTARD BALLADS』はeBay辺りだとLPに120ドルぐらいの値が付けられていて、とてもじゃないが手を出す気にはなれないので、何とか再発してくれないものかと望んで止まない今日この頃。


TORANAGA - Bastard Ballad ★★★ (2013-10-08 23:02:46)

1stフル『GOD'S GIFT』が再発された際には「すわ、本作も再発か?!」と期待が高まりましたが(俺の中で)、結局スルーされてしまった'88年発表の6曲入りデビューEP。
EPと言っても収録時間は35分以上あり、ボリューム的には同時期のスラッシュ・メタル・アルバムとどっこい。しかも密度も十二分に濃いので「これが1stアルバムでいいじゃん」なんて声もあるぐらい。(俺の中で)
起伏に富むインスト曲③をしっかりこなせるだけのテクニック、それに重く湿気ったドラマ性や構築感といったブリティッシュHMの特性を備えたサウンドは、エンディングが“RIDE THE LIGHTNING”みたいな①を聴けば影響元が容易に想像がつきますが、スラッシュと評するにはスピードは然程でもなく、正統派HMと言うには野蛮で好戦的な彼らの音は「華」や「キャッチーさ」に乏しい。まぁそんなところも英国産らしくて好感度大なのですけどね。
オラオラと聴き手を煽り、奮い立たせる作風は次作にも共通する一方で、デビュー作ゆえの荒々しさと、低予算/短期間で錬成されたローファイな音質とが相俟って、こと喧嘩上等の前のめり感覚にかけては間違いなく本作の方が上。ニヒルに歌うVoとメロディアスに切り込むGソロが、武骨なリフ&リズムに乗って突貫する②④辺りには、血沸き肉踊らずにはいられませんて。願・再発。


TORANAGA - God's Gift ★★★ (2011-08-07 22:26:52)

SLAMMERやONSLAUGHTらと共に、NWOBHM以降、盛り下がる一方だった英国HMシーン復権の一翼を担う存在としてメジャー・レーベルのCHRYSALLISからデビューを飾るも、殆ど話題になることなく消えて行った4人組が'90年に発表した1stフル・アルバム。
当時はスラッシュとして括られていた作品なれど、それにしちゃ疾走感は然程でもなく、また正統派HMとしても華に欠ける作風のため、初めて触れた時は「地味だなぁ」と余り良い印象を持った覚えがないのだが、こうして改めて対峙してみると、暗く湿ったメロディを武骨に歌い上げるVo、切り立ったGリフを刻みつつ、要所でIRON MAIDEN風味の勇壮なフレーズを差し込んでくるG、マッチョなトーンで動き回るBと腰の据わったヘヴィなリズムを叩き出すDsによって形成されるサウンドは、今で言うペイガン/バトル/ヴァイキング・メタル的な勇猛さとドラマ性を備え(ジャケットもそんな感じだ)、むしろ現在の方が高評価を得られそうなカッコ良さを有する。(多分・・・)
殊に、6分以上の長尺をもってアルバムのOPを劇的に飾る①や、スラッシーな②、本編のハイライト・ソングに押したい血沸き肉踊る④、ギャロップする曲調とGが奏でる勇ましいメロディがIRON MAIDENを彷彿とさせる⑤といった強力な楽曲が並ぶアルバム前半のクオリティはお見事。
唯一残念なのが重量感に欠けるプロダクションで、メンバーは「デビューEPの100倍の予算で制作出来たよ!」と喜んでいたらしいが、それは単にデビューEPが超々低予算でレコーディングされていただけなわけで・・・。


TORANAGA - God's Gift - Hammer to the Skull ★★★ (2011-08-08 22:05:54)

猛々しく好戦的なリフの刻みっぷりに
思わず血が滾る1stアルバムのハイライト・ナンバー。
“脳天直撃”という実も蓋もない邦題も奮ってますねぇ。


TORANAGA - God's Gift - The Shrine ★★★ (2011-08-08 22:04:07)

重々しいイントロで助走をつけて走り始める
アルバムのOPナンバー。
サウンド・スタイルとプロダクションの乖離が惜しまれるが、
楽曲自体は雄々しく劇的でカッコイイ。
もっとヘヴィな音作りが施されていたら
GRAND MAGUS辺りと比較できたんじゃないかな、と。


TORANAGA - Righteous Retribution ★★★ (2014-03-26 23:43:36)

「TORANAGA復活」の報を耳にして喜んだHR/HMファンが、果たして日本にどれ程いるかは分かりませんが、少なくとも私は喜びました。しかも本再結成作('13年発表)を聴いてみたら、嬉しいぐらい何も変わってない。スラッシーな荒々しさと、ブリティッシュHMならではの湿気った重厚感を身に纏わせて、パワフルに押し出してくる好戦的な音楽性は勿論のこと、決して上手いシンガーではありませんが、TORANAGAの楽曲を歌うにはこの声しかない!と思わされる、マーク・ダフィの赤錆た金属の如き武骨なVoも、全く衰えることなく健在ですよ。
『マジック:ザ・ギャザリング』や『マーヴェル・ゾンビーズ』でお馴染みのケヴ・ウォーカー画伯の手によるアートワークに相応しい野蛮さでアルバムのOPを蹂躙する②③(①はイントロ)、メランコリックな導入部から勇壮に盛り上がっていく④、雄々しいヴァイキング・メタル風のコーラスが印象的な⑧等、メタル者の血を騒がせる楽曲の荒々しいカッコ良さはなかなかのモノ。(但し、全くもって「華」はありませんが)
終始同じ調子で攻めてくるので、中盤辺りから些かダレて来るのが難点なれど、そうした芸のない愚直ささえも、「変わってねぇなぁ!」と嬉しく感じてしまうのは、ファンの欲目でしょうかね。


TORANAGA - Righteous Retribution - Cynical Eyes ★★ (2014-03-27 22:07:32)

現代の尺度からすると疾走感自体は
大したことない筈なのに、それでも十分
スピーディに聴こえるのは、野蛮且つ
硬質なパフォーマンスが生み出す
気迫と突進力ゆえでしょうか。


TORANAGA - Righteous Retribution - The Ultimate Act of Betrayal ★★★ (2014-03-27 22:15:40)

メランコリックな導入部からパワフルに
テンポアップしていく荒々しくも勇壮な曲展開に
血沸き肉踊る、アルバム屈指の名曲。
好戦的な曲調はスラッシュ・メタル数歩手前
といった趣きですが、それでもドラマティックな
メロディの流れが掻き消されていないのは
やっぱりNWOBHM出身バンド(の転生体)ならでは。


TORCH - Fireraiser ★★★ (2022-07-26 23:41:38)

北欧メタル・シーンの第一波に属するスウェーデンの5人組TORCHが'84年に発表した5曲入りデビューEP。彼らが80年代に残したカタログは、いずれ甲乙つけ難いダメジャケによって彩られていましたが、本作のイラストもまた実に味わい深い出来栄え(ビルの谷間からひょっこり顔を覗かせる謎生物という脱力感を誘う構図の破壊力よ)。TORCHなんてありふれたバンド名にも関わらず、一目見た瞬間「ああ、スウェーデンのTORCHだ」と確信できるので、ここまで徹底されればもはや立派な個性と言えるのではあるまいか。
それはともかく。内容の方は後の1st『暗黒への脱出』と作風を同じくする(EUROPEブレイク以前の北欧の多くのHMバンドがそうであったように)、NWOBHMの流れを汲む無骨なパワー・メタルをプレイ。北欧メタルと聞いて想起される美旋律や透明感、繊細さとは清々しいくらい無縁なれど、凡百のバンドとは明らかに一線を画すだけのクオリティが、男臭い声質で歌いまくるVo、楽器陣のタイトなパフォーマンス、そして楽曲のカッコ良さには確かに宿っていて、流石METAL BLADE RECORDSを通じてアメリカ盤が発売されたのは伊達じゃないと感心させられますよ。
まぁイモっぽさが漂ってくるのは疑いようのない事実ながら、これだけ美味いイモならそれとて悪口には当たらず。特にストレートに飛ばしまくる疾走ナンバー②から、憂いを帯びてハードかつドラマティックに盛り上がっていく③へと繋がる流れなんて、TORCHの魅力がしかと刻み込まれた本作のハイライト。
『暗黒~』にピンとた方なら、押さえておいて損はない一作じゃないでしょうか。


TORCH - Fireraiser - Pain ★★★ (2022-07-28 00:09:53)

気持ちブルース・ディッキンソン似の声質のVoと
泣きのメロディを奏でるGを活かしてジックリ
ドラマティックに盛り上がっていくアルバム屈指の名曲。
ラストで激走に転じるパートにはメタル魂が燃え上がりますよ。


TORCH - Torch ★★★ (2014-01-23 22:45:48)

スウェーデン出身の4人組が'83年に発表した、LPサイズで遭遇した日にゃ夢見が悪くなりそうなジャケットがインパクト絶大のデビュー作(邦題は『暗黒からの脱出』)。しかも「北欧伝説の乙女さながらの~」という解説を読むに、コイツこの顔で女(女神様)なのか?!と。言われてみれば妙に唇赤いし、眉毛整えてるし、睫毛長いし、見ようによってはパンプアップした木の実ナナに見えなくもないが・・・。
そんなジャケが表す通り、【北欧メタル】のカテゴリーで語られることの多い作品にも関わらず、ここに託されている音に「泣き」とか「哀愁」「透明感」「クラシカルな美旋律」といったキャッチー・・・いやさ、軟弱な要素は皆無。
剛毅なGリフ主導で疾走する武骨で胸毛モサモサな番長サウンドは、北欧メタルよりもNWOBHMやヴァイキング・メタルに近しく(収録各曲に付けられた大仰な邦題もハマってます)、初めて聴いた時は「垢抜けないし大味だなぁ」と、正直あまりピンと来ませんでしたが、今改めて対峙してみると、Voのワイルドな歌いっぷりが耳惹く②、タイトな演奏(特にDs)に支えられたスピード・ナンバー③④⑦、アコギを用いたダーク且つ重厚な⑥等、これが案外悪くない。いや結構カッコイイ。
少々フックに欠けるきらいはありますが、パフォーマンスから音作りまで、例えばジャケットから想像されるような稚拙さは殆ど感じられない、漢メタルがパンパンに詰め込まれた1枚。


TORCH - Torch - Battle Axe ★★ (2014-01-24 23:39:05)

アクセントとして用いられたアコギが
ミステリアスな雰囲気も醸成し、
アルバムで最も北欧らしさが感じられる
ミッド・ナンバー。
邦題“闘いの刃”に相応しく、ダークで
重厚な曲調に血が騒ぎます。


TORCH - Torch - Beauty and the Beast ★★ (2014-01-24 23:22:36)

LAメタル・テイストも感じられる
軽快でノリの良い曲調に、字余り気味の歌詞を
威勢良くねじ込んでくるVoの体毛の濃そうな
ワイルドな歌いっぷりが、何となく
ブルース・ディッキンソンを彷彿とさせます。


TORCH - Torch - Watcher of the Night ★★★ (2014-01-24 23:31:16)

帯に書かれた「たいまつ(トーチ)を掲げた5人の戦士達は
勇猛にも戦いを挑んだ!トーチは巨大な炎となって燃え盛る!
ヘヴィ・メタル・キッズ達よ彼らの、このパワー、
スピード感に酔いたまえ!」なる惹句を地で行く疾走曲。
(酔いたまえ!って・・・)
全体を引っ張るキレのあるドラミングも気持ち良いですね。
ちなみに邦題は“暗黒の監視人”


TOUCH - The Complete Works ★★ (2008-03-03 21:42:00)

SANTERSのBOXセット発売に匹敵する、AVEX RECORDSの為した快挙と言うべき、陽の目を見る事なくお蔵入りしてしまった
TOUCHの2ndアルバムの発掘。のみならず、それを名作と名高い'81年発表の1stとカップリングにして、その上、大量の
ボーナス・トラックまで追加収録・・・と、まさに『THE COMPLETE WORKS』のタイトルに恥じぬ、至れり尽くせりな内容を誇る再発盤。
甘く切なく、そして劇的な泣きメロを満載した、アメリカン・プログレ・ハードの名作1st『TOUCH』の素晴しさについては、
別項にて語らせて貰ったので省くとして、ここでは幻の2ndアルバムについての感想をば。
トッド・ラングレンをプロデューサーに迎え制作された本作は、如何にも80年代然としたモダンな
サウンド・プロダクションといい、疾走感やドラマティックな曲展開といったハード・ロッキンなエッジが薄れ、
ストレートにまとめられた楽曲といい、全体的に、ややポップ路線への目配せが感じられる作風に仕上がっている。
“BLACK STAR"型の名曲が姿を消してしまった点が、ちと物足りないとは言え、相変わらず華麗なマイク・マンゴールドの
Keyプレイや、キャッチーで感傷的な泣きメロの威力に鈍りは全くないので、メロディ愛好派のリスナーが本作を聴いて
ガッカリするという事はないように思う。特に、美しくも切ないピアノ・サウンドが胸に沁みる③、サックスの音色が
お洒落で都会的な哀愁を演出する⑤、柔和で優しげなバラード⑨辺りは、前作に収録されていてもおかしくない名/佳曲だ。
クオリティの問題ではなく、レコード会社とのトラブルが原因でリリースされず終いだった事が、非常に惜しまれる1枚。


TOUCH - The Complete Works - Don't You Know What Love Is ★★★ (2008-02-27 21:52:41)

米ビルボードのTOP40に食い込むヒットを飛ばし、
英メロディ・メイカー紙でも№1を獲得した、バンドの代表曲。
幾層にも重なる、分厚く美麗なボーカル・ハーモニーは
何度聴いても胸に沁みます。


TOUCH - The Complete Works - Frozen on a Wire ★★★ (2008-03-08 01:23:52)

胸を締め付ける悲哀のメロディを伴って、
劇的に展開する泣きのハード・ナンバー。
NEW ENGLAND辺りが好きな人なら、
涙の海で溺死すること請け合い。


TOUCH - Tomorrow Never Comes ★★ (2021-08-17 00:00:31)

DRIVE, SHE SAIDやAMERICAN TEARSでは定期的に新作を発表してきていたマーク・マンゴールド(Vo、Key)が、満を持してTOUCHを復活させ、およそ40年ぶりに発表した2ndアルバムがこちら。(正確に言うなら、ロジャー・グローヴァーをプロデューサーに迎えてレコーディングするもお蔵入りしてしまった2ndアルバムが別にあるのだけれども)
実際のところ、マーク一人でTOUCHを再始動させてもファンは誰も文句を言わなかったと思うのですが、復活にあたってダグ・ハワード(Vo、B)、クレイグ・ブルックス(Vo、G)、グレン・キスカート(Ds)というオリジナル・メンバーを再結集している辺りからも、本作に賭けるマークの意気込みがビンビンに伝わってくるというもの。
音楽性に関しても、リード楽器として切り込んでくるKey、衰えを感じさせぬダグ・ハワードの伸びやかな歌声、キャッチーな哀愁のメロディと、メンバー全員が歌える強みを生かした分厚いボーカル・ハーモニーに彩られたHRサウンドは、きっちり1st路線を踏襲。劇的なイントロからして名曲の風格漂うOPナンバー①、美しいコーラスが壮麗に舞う②、スペーシーな雰囲気を湛えた7分越えの大作ナンバー③というアルバム冒頭3曲を聴いた時点で、本作の完成度の高さを確信するには十分でしたよ。その一方で、モダンな味付けが施された④のような新味を感じさせる楽曲も魅力的に仕上げる手腕は流石の一言に尽きます。
ややマッタリとしてしまう後半戦を引き締めるためには、“BLACK STAR”系のハード・ナンバーが1、2曲欲しかったと個人的には思わなくもないのですが、まぁその辺は次回作以降に期待ということで。これ1枚で終わらないことを念願致します。


TOUCH - Tomorrow Never Comes - Tomorrow Never Comes ★★★ (2021-08-18 00:24:20)

『E.T.』風味のジャケットのイメージ通り、スペーシーかつ
ドラマティックなイントロで幕が上がるOPナンバー兼アルバム表題曲。
イントロの時点で名曲の予感はビンビンですが、哀愁を帯びたヴァースから
美しいハーモニーに包まれたコーラス・パートまで聴き進めるうちに
予感は確信へと変わります。


TOUCH - Touch ★★ (2008-02-27 21:29:00)

栄えある、第1回モンスター・オブ・ロックのOPアクトを務めたことでも知られる、元AMERICAN TEARSの
マイク・マンゴールド(Key)率いるアメリカン・プログレッシブHRバンドが、'81年に発表した1stアルバム。
マイクのカラフルなKeyワークが楽曲の基盤を作り上げ、ポップでキャッチー、且つ切ないメロディの洪水と、歌える
弦楽器隊3人が織り成す、分厚く美麗なボーカル・ハーモニーに全編を彩られた華麗なサウンドは、「泣きメロの帝王」
との異名をとるNEW EGLANDにも匹敵する、美しきアメリカン・プログレ・ハードの理想形を描き出している。
それでいて、ポップになり過ぎることなく、きっちりとハード・ロッキンなエッジを効かせている辺りが
本作のニクイところで、特に④は、ハードになったQUEENとでも言うべき、シャープな疾走感と、ドラマティックな曲展開、
そして美しく繊細なメロディとが見事に融合を果たした、アルバムのハイライト・チューンの1つ。
その他にも、TOP40に食い込むシングル・ヒットを飛ばした、バンドの代表曲①②、おセンチなバラード③、
前述の④にも匹敵する名曲と言える、胸キュン物の泣きメロが炸裂する⑥、ラストを締めるに相応しい
美しくハードで劇的な⑩・・・と、収録曲は、何れもシングル・カットできそうなクオリティを備えた、キャッチーなナンバーばかり。
内容、セールス共に上々の結果を残しながらも、本作のみ(正確には2ndも作られたわけだけど)を残して
バンドが解散してしまった事が、つくづく惜しまれます。


TOUCH - Touch - Black Star ★★★ (2008-02-27 21:39:43)

テンション高めのVo、シャープな疾走感、繊細なメロディ、
そして劇的な曲展開と、3分台の短い時間の中に
これでもか!とドラマが詰め込まれた、
「ハード化したQUEEN」とでも言うべき名曲。
完全にG主導で突っ走るが、中盤で炸裂するスリリングにして
華麗なKeyプレイは流石。


TOUCH - Touch - MY LIFE DEPENDS ON YOU ★★★ (2008-02-27 22:10:15)

アルバムのラストを締め括るに相応しい、
激しく、悲しく、ドラマティックな名曲。
結構攻撃的な歌声を聴かせるVo、ハードに切り込んで来るG、
華麗なボーカル・ハーモニーも良い仕事をしているが、
個人的にこの曲の一番の肝は、Keyによるピアノ・サウンド。
ドラマ性のみならず、気品をも演出しています。


TOUCH - Touch - So High ★★★ (2008-02-27 22:01:00)

マイク・マンゴールドがリードVoをとった、
劇的且つセンチメンタルな名曲。
G、Vo、Keyが一体となって生み出す泣きメロが
とにかく胸に沁みます。後半の盛り上がりっぷりなんて
息苦しいほど。それでいてインスト・パートには
プログレッシブ・ロック色も漂い、
おセンチながらもヤワな印象はない。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE ★★★ (2015-05-28 23:11:40)

日本のHR/HMシーンが最も巨大化したと言われる90年代。レコード会社は競ってその嗜好にフィットするメロディック・ロック・バンドを矢継ぎ早にデビューさせ、弾が尽きてくると、今度はお蔵入り音源(殆どは欧米に到来したダーク&ヘヴィ・ブームの煽りで塩漬けにされてた物)を引っ張り出して「新作」の体裁でリリースしました。
NY出身のTOUR DE FORCEのこの2ndも、そうした流れの中でリリースが実現したアルバムの一つ。当時既にバンドは解散済みで、元がデモ音源ゆえ音質はイマイチ、おまけに中弛みの原因となる全17曲収録の超過ボリューム・・・。それでも本作が輝きを失っていないのは、収録楽曲の放つ眩い輝きが、弱点の数々を霞ませてくれているからでしょうか。
声質はやや重だが歌の上手さは折紙付きのVoに、泣きを孕みつつ適度にエッジを保つGと、しなやかに楽曲を彩るKeyが三位一体となって織り成す、フック満載のメロハー・ソングが連続する本編は時が経つのも忘れてしまう心地良さ。特にマイケル・ボルトン提供の“EMERGENCY”型名曲①に始まり、キャッチーに躍動する⑤を経て哀感溢れ出す⑥へと至るアルバム前半の流れは白眉。また先に「中弛み云々~」と書きましたが、名曲⑮の存在が後半戦を引き締めてくれているため、聴後感も然程悪くありません。
(皆さんご指摘の通り)中古屋じゃ数百円で投げ売りされてるのが、勿体無いやら有り難いやら、複雑な心境に陥る哀愁のハードポップの名盤ですよ。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE - TONIGHT ★★★ (2015-05-29 23:46:52)

『メロディアス・ハードロック・ディスクガイド』では
「SHYの“EMERGENCY”と並んでマイケル・ボルトンが
メロハー界に残した名曲」と高く評価されていた逸品。
確かにアルバムの「掴み」として、また本作の方向性を
リスナーに伝えるOPナンバー役として申し分のない出来栄えです。


TOURNIQUET - Psycho Surgery ★★★ (2020-08-20 01:35:11)

「曲作りにおいてはベートーヴェンから多大な影響を受けた」と語る(別にクラシカルなメロディを大盤振る舞いするわけではない)ドラマー、テッド・カークパトリックがリーダーを務めるLA出身のスラッシュ・メタル・バンド、TOURNIQUETが再び共同プロデューサーにビル・メトイヤーを迎えてレコーディングを行い、'91年にMETAL BLADE RECORDSから発表した2ndアルバム。
購買意欲を著しく削いでくれるジャケットのクオリティに関しちゃ、だいぶグレードダウンしてしまった印象ですが、オーケストラのチューニングの様子をイントロ代わりに、ファスト&テクニカルに炸裂するOPナンバー①のカッコ良さが提示する通り、緊張感を湛えたHMサウンドはデビュー作に負けず劣らず高いテンションをキープしています。
ドライな音作り、ササクレ立ったGリフ、ハイトーン控えめにシャウト主体の歌唱スタイルに切り替えたVo、畳み掛けるリズムの疾走感等、全体的にスラッシュ・テイストの底上げが図られている一方で、終始スロー且つ重厚に綴られるエピック・チューン⑨があったりと、曲作りの幅を意欲的に広げにかかっているのも本作の特徴。まぁ中にはラップVoやスクラッチを取り入れた⑤みたいな、チャレンジ精神が空転している楽曲があったりするのはご愛嬌ですけども。
怒涛の突進の不意を突いてアコギが爪弾かれたりメロディックなGソロが流麗に閃いたりと、静と動が目まぐるしく入れ替りつつ展開していく本編のハイライト③④のメドレーを始め、バンドの創作意欲がノリにノッていたことを伺わせる充実作。


TOURNIQUET - Psycho Surgery - Psycho Surgery ★★★ (2020-08-21 00:22:08)

前作で聴けたようなハイトーンは控えめに
シャウト主体のスタイルに切り替えたVoと
畳み込むようなリズムの疾走感、
テンション高くストップ&ゴーを繰り返す曲展開等
インテレクチュアル・スラッシュ・メタル風味を
各段に増したアルバムのOPナンバー。カッコイイ。


TOURNIQUET - Stop the Bleeding ★★★ (2020-08-06 00:52:08)

近頃ベートーベンの“交響曲第5番”をドラム・カヴァーしたことで話題を呼んだらしいテッド・カークパトリック率いるLA出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド(実はクリスチャン・メタル・バンドでもある)TOURNIQUETが、ビル・メトイヤーをプロデューサーに起用して'90年にリリースした1stアルバム。
仕事帰りにCD屋に立ち寄ったら、何と再発された彼らの旧譜がディスプレイされているのを発見。昔3rdアルバムを購入して結構気に入っていたものの、当時は本作も2ndも入手困難だったため、そのまますっかり忘却の彼方だった記憶が蘇り「うわ、懐かしいなぁ!」と思わず衝動買いをしてしまいましたよ。
情緒不安定なロブ・ハルフォードといった趣きのハイトーンVoに、チリチリと鼓膜に突き刺さる音色でリフを刻み、フラッシーにソロを奏でる2本のG、神経症気味にアップダウンを繰り返す曲展開を立体的に支えるリズム隊という、確かな技量を有するメンバーによって複雑に編み上げられ、テクニカルに畳み掛けるサウンドは、名曲①が端的に物語る通り「プログレ・メタルのエッセンスが注入されたスラッシュ/パワー・メタル」といった趣き。
ただデビュー作ということで、例えば②みたいな比較的ストレートに疾走する楽曲があったりと、随所でオーセンティックな正統派HMからの影響がハッキリと顔を覗かせているのも本作の特徴で、特に7分に及ぶ劇的な⑩はガイ・リッター(Vo)のキング・ダイアモンド顔負けのエキセントリックな歌唱に、聴く度に圧倒されてしまう本編のハイライトですよ。
手元にある彼らのカタログの中では、個人的にこのアルバムが一番好きかもしれません。


TOURNIQUET - Stop the Bleeding - Harlot Widow and the Virgin Bride ★★★ (2020-08-07 00:31:27)

7分以上に及ぶ長尺をドラマティックに物語ってアルバムを締め括る大作ナンバー。
山あり谷ありの曲展開を堅牢に支える楽器陣もさることながら、
聴きモノはやはりエキセントリックなストーリーテラーぶりを発揮するガイ・リッターのVo。
キング・ダイアモンドに通じる芝居がかった歌唱は好き嫌いが分かれそうですが
ハマるとクセになる魅力あり。


TOXIK ★★ (2007-04-14 21:56:00)

TOXIKと改名前は「TOKYO」というバンド名だったとか。
(同名のバンドが存在したため、改名を余儀なくされたらしい)


TOXIK - Dis Morta ★★★ (2023-02-03 00:44:22)

リアルタイムで活動していた80年代よりも、インターネットを介してその存在が若いスラッシュ・メタル・ファンにも知れ渡った現在の方がより高い評価を受けている気がする、ニューヨーク出身のテクニカル・スラッシュ・レジェンドTOXIKが、旧譜の再発、デモ音源の発掘といった助走を経て、'22年に満を持して発表した復活作。通算3作目。
1st『WORLD CIRCUS』や2nd『THINK THIS』とがそうであったように、今回もシンガーにメンバー・チェンジが発生していますが、歌唱スタイルが前任者達と同タイプなので違和感はまるでなし。鼓膜をつんざくハイピッチ・スクリームを駆使して歌いまくるVoと、SHRAPNELメタル顔負けの勢いで、ジャズ/フュージョン方面からの影響を伺わせるテクニカルなフレーズを猛然と弾き倒すジョシュ・クリスチャンのGを両軸に、テンション高く畳み掛けるテクニカル・メタル・サウンドは前2作のスタイルを継承・発展させた仕上がりで、バンド側が自身の強みをちゃんと把握していることが分かって頼もしい限りですよ。
一方で、エクストリームなアグレッションのみならず、アコギを用いた静と動の演出、浮遊感漂う立体的なコーラス・ワークに彩られたOPナンバー①が開巻早々に物語る通り、これまで以上にプログレッシブな方向にも踏み込んでいるため「キャッチーさには少々乏しいかな?」とか思いながら聴き進めていたのですが、名曲“HEART ATTACK”と同系統のキャッチーに炸裂する⑦みたいな楽曲もしっかりと収録されていて、隙がねえなと。
個人的には故チャック・シュルデナーのCONTROL DENIEDのことを何となく思い出したりもした1枚。ファンの期待に応える見事な復活作です。


TOXIK - Think This ★★ (2007-03-18 16:51:00)

前作で凄まじいハイトーンを響かせていたVoが脱退、ついでにギタリストをもう1人加えて
ツインG編成へと移行・・・と、大幅なメンバー・チェンジを経て、'89年に発表された2ndアルバム。
新たに加わったVoも前任者と良く似た声質&強烈なハイトーン・ボイスの持ち主という事で、
サウンド的に大きな変化は感じられないが、より曲展開の目まぐるしさに拍車が掛かり、
アコギを単なる装飾以上に積極活用したり、劇的に盛り上がりるバラード④を収録してみたりと、
前作以上にメロディへの拘りが強まったため、「ドーピングしたQUEENSRYCHE」、もしくは
「難解になったFLOTSAM&JETSAM」的な、プログレッシブな雰囲気も感じられるようになった。
但し、流麗なG、複雑なリズムを一糸乱れずに叩き出すリズム隊、突き刺さるようなハイトーンVoが
一体となって突っ走る激烈な疾走感は健在なので、軟弱になった印象は全くない。
個人的には、前作収録の名曲“HEART ATTACK"のノリを受け継ぐキャッチー&アグレッシブな③が
気に入ったんだけど、全体的に見るとメロディのキャッチーさは薄れてきてしまっているようで惜しい。


TOXIK - Think This - Spontaneous ★★ (2007-03-18 17:50:31)

金属的質感を伴って刻まれるリフ、
一筋縄では行かないリズム、
突き抜けてくるハイトーンVoとが一体となって突っ走る、
2ndアルバムのハイライト・チューン(個人的に)。
キャッチーなサビでの加速感がたまらない。


TOXIK - World Circus ★★ (2007-03-18 00:36:00)

アメリカはニューヨーク出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド、'87年発表のデビュー作。
その昔、彼らがオムニバス・アルバム『STARS ON THRASH』に提供していた、キャッチーでハイパーな
高速スラッシュ・チューン“HERAT ATTACK"の余りのカッコ良さに痺れ、早速、その名曲をOPナンバーに戴く本作を
買いに走った記憶があるのだが、このアルバムにはそれ以外にも、流麗なGソロをフィーチュアして疾走する⑤⑥、
アコギによるイントロを経て、正統派へヴィ・メタリックな盛り上がりをみせる⑦、本編随一の
アグレッションを撒き散らしてラストを締める⑩といったスラッシュ・メタルの名曲が多数収録されている。
2nd『THINK THIS』では、幾らかプログレッシブ方向に舵を切った彼らだが、この1stの時点では
テクニカル且つタイトな演奏、ロブ・ハルフォードばりの超絶ハイトーンを駆使して歌いまくるVoはそのままに、
より直線的でスピーディなスラッシュ・サウンドを披露していて、突っ走った時に得られるカタルシスはかなりのもの。
個人的には次作よりも明快な作風なので、こちら方が好みかな。
ただ、実力は確かながらも、ハイトーンVoが歌うメロディにややフックが欠けるため、
ミドル・テンポの楽曲になると、途端にダレを感じてしまうのが難と言えば難。


TOXIK - World Circus - Heart Attack ★★★ (2007-03-18 00:47:09)

ハッハッハッ、ハート・アタック!
TOXIKの全楽曲の中でも、断トツのキャッチーさを誇る
高速スラッシュ・チューン。
ロブ・ハルフォードを彷彿とさせる超絶ハイトーンを
ブチかますVoのハイテンションっぷりも凄まじい。


TRADIA - Welcome to Paradise ★★★ (2023-09-12 00:39:03)

ニュージャージー出身のKey奏者を含む5人組、TRADIAの2ndアルバムにして、メロディ愛好家からは「知る人ぞ知る名盤」として高評価を受ける1枚。日本盤リリースは’96年ですが、実際のレコーディングはデビュー作『TRADE WIND』(’89年)とほぼ同時期に行われており、正式な2ndアルバムというよりは、お蔵入り音源を集めた未発表曲集というのが正確なところの模様。
尤もそんなことは本作の素晴らしい内容を前にすれば枝葉末節ですよ。発売当時はジャケットから受ける印象と、NEXUS RECORDSからのリリースだったので「プログレ系だろう」とスルーしてしまい、数年後にDEPATUREの3rd『OPEN YOUR MIND』に参加していたデイヴ・ボルドウィンがここでも歌っているとの情報に興味を惹かれて購入したわけですが、本作で聴けるのは飽くまで歌中心に組み上げられたメロハー・サウンド。Keyがアレンジ面において重要な役割を果たしているという点はプログレ・ハード的と言えるかもしれませんが、コンパクトにまとめられた楽曲に難解さや複雑さは皆無なのでご安心を。
特に、時に叙情的に、時にドラマティックに曲展開を飾り立てるKeyの良い仕事ぶりには瞠目させられるものがあり、厚く敷かれたボーカル・ハーモニーとキャッチーなコーラス・ワーク、劇的な曲展開に彩られたバンドの代表曲たる③、壮麗さと親しみ易さが同居したアルバム表題曲⑤、デイヴの伸びやかな歌声が爽快さを引き立てる⑩辺りは、TRADEというバンドの魅力が凝縮された名曲に仕上がっています。
入手困難な1st『TRADE WIND』と合わせて再発をお願いしたい逸品。


TRADIA - Welcome to Paradise - Sweet 16 ★★★ (2023-09-12 23:52:03)

一部地域ではラジオのトップ10チャートにランクインする等の
話題を呼んだというバンドの代表曲。デイヴ・ボルドウィンの伸びやかなVo、
適度なハードさとKeyを生かして華麗に舞う叙情メロディのドラマティックな共演は、
それも納得の名曲ぶりを呈していますよ。


TRANCE (2014-12-16 23:13:04)

'77年結成でドイツのイデンコーベン出身。'82年に1stフル『BREAK OUT』でデビューを果たし、ここ日本でも2nd『POWER INFUSION』('83年)と3rd『VICTORY』('85年)は熱心なメタル・マニアを中心に高い人気を博した。
法的な問題から'89年にTRANS MISSIONと改名し、4枚目のアルバムとなる『BACK IN TRANCE』をリリース。
その後再びバンド名を戻し、数枚のアルバムを発表するもパワーダウン感は否めず、90年代末期に解散。
現在は再結成を遂げて、TRANS MISSION名義でしぶとく活動を継続している模様。

尚、最近初期作がリマスター再発された模様ですが、それなら3rd『VICTORY』の再発も是非。昔、バイト先の先輩に録音して貰ったテープが既にビロビロ状態で聴けたもんじゃないんですよね・・・。


TRANCE - Break Out ★★★ (2014-12-16 23:28:43)

ドイツ出身で名前が「トランス」だなんて聞くと、クラブでドンツクドンツク流れてるダンス・ミュージック演ってる連中のように思えますが、ジャケットを開いて見れば、ヒゲ面&皮ジャンという、ルックスから服装までオシャレ感ゼロのメンバーが雁首揃えていてホッと一安心(?)。
彼らが奏でるのは、泣きを通り越して、時に「嗚咽」レベルにまで達するメロディのフィーチュアされた、ウリ・ロート時代のSCORPIONSからの影響も濃厚なHRサウンド(もしかしてバンド名も『IN TRANCE』を参考にしたのでは?と)。そう思って聴くと、ローター・アントーニ(Vo)の塩っ辛いことこの上ないハイトーンも、どことなくポリープ手術前のクラウス・マイネに通じるものがあるようなないような・・・。
軽快なOPナンバーこそ平凡な印象ですが、まるで演歌の如き②で「おぅっ」と鼻面を掴まれると、後はポップな曲調に乗せてGが泣きまくる④、哀愁とキャッチーさが見事な融合を見た⑤、そして一音入魂のGソロで涙をカツアゲされる⑥といった、憂愁渦巻く名曲の数々で完全ノックダウン!ってな按配。
後の作品に比べると未だHM度はそれほど高くないのですが、日本のHR/HMファンにも猛烈アピールするメロディ・センスは既に健在ゆえ、泣きメロ好きなら避けては通れない名盤かと。


TRANCE - Break Out - Confession ★★★ (2014-12-17 22:14:16)

まるで演歌、というか
演歌そのまんまなイントロで
思わず泣き笑いになってしまう名曲。
タメまくりなエンディングも演歌っぽい。


TRANCE - Break Out - For Your Love ★★★ (2014-12-17 22:25:18)

哀愁が溢れ出す泣きメロをたっぷりと
フィーチュアしたキャッチーなHRナンバー。
ノーマルなシンガーが歌っていればヒット・チャートを
賑わしたっておかしくないポテンシャルを秘めていますが
このバンドのシンガーは、アクの強い超塩辛声の持ち主。
大衆にアピールするにゃ不向き過ぎますが、
その代わりメタル・マニアには猛烈アピールする名曲に
仕上げてくれています。
個人的にはアルバムで一番好きな曲ですね。


TRANCE - Break Out - Loser ★★★ (2014-12-17 22:33:20)

隙間を活かしたアレンジやグルーヴの醸成、
7分以上に及ぶ長尺等、ノリは完全に70年代HRですが
とにかく顔がくしゃくしゃになるような泣きのGソロが強烈。
タイトルを地で行く「負け犬の遠吠え」チックなこのソロを
聴いて最初に思い出した言葉が
“泣くがいい、声を上げて泣くがいい”でしたよ。


TRANCE - Metal Forces ★★ (2021-10-11 23:14:22)

ACCEPTのフロントマン候補に名前が挙がったこともあったと聞くローター・アントーニの個性的なVoと、ジャーマン演歌と呼びたくなる濃い口の泣きメロを武器に、80年代初頭には(メンバー曰く)SCORPIONS、ACCEPTに次ぐ人気を誇ったという独産HMバンドTRANCE。名曲“HEAVY METAL QUEEN”のカッコ良さも未だ忘れ難い彼らが、改名や解散といった紆余曲折を経て21世紀に復活を遂げ、’21年に発表した再結成第2弾アルバムがこちら。彼らの作品の日本盤リリースはこれが初めてじゃないでしょうか?
最早オリジナル・メンバーはマーカス・バーガー(G)一人なれど、『METAL FORCES』なるコテコテなアルバム・タイトルが物語る通り、本作で炸裂するのは武骨で重厚な正統派HMサウンド。元VICIOUS RUMORSのニック・ホルマン(Vo)の堂々たる歌唱を始め、老成とは無縁のパワー漲る作風が全編に亘って貫かれており、壮大な④、エピカルなドラマ性を感じさせる⑥⑦の展開、アンセミックなアルバム表題曲⑨といった楽曲における、HELLOWEEN登場以前のジャーマンHM然としたカッコ良さは頼もしい限り。
かつての魅力だった泣きメロが大幅に減じている点は残念極まりないものの、それを補ってくれるのがボートラとして収録されている⑩の存在でして。TRANCEに改名して’78年に初めて制作したデモテープに収録されていた楽曲を発掘したらしく、塩っ辛いメロディの泣きっぷりといい、静から動へ展開していくドラマティックな曲調といい、「よっ、待ってました!」と膝を打つ逸曲でしたよ。
次回作では、出来ればこの路線の楽曲をもっと演ってくれると嬉しいなぁと。


TRANCE - Metal Forces - Ballad for a Group ★★★ (2021-10-13 00:34:34)

アルバムを締め括る6分越えの大作ナンバーで、
'78年にAGEからTRANCEとバンド名を改めた後、最初に制作された
デモテープの収録曲を現メンバーで再録した模様。
バラード調に始まり、ハードに盛り上がっていくドラマティックな
曲展開を彩る、鼻にツーンと来る泣きのメロディはまさしく
初期TRANCE節というべき臭気を放っていて「最高か」と。


TRANCE - Power Infusion ★★★ (2014-12-18 22:23:17)

かつて新宿ツバキハウスにリクエストが殺到したとかしなかったとか(どっちよ)、未だ語り継がれる名曲“HEAVY METAL QUEEN”をトップに戴く'83年発表の2ndアルバム。
日本人の琴線に訴えかける哀愁のメロディ・センスはそのままに、今回は70年代HR的横ノリ感や、演歌にも匹敵する「泣き」は減少。その代わりエッジの効いたGリフを前面に押し出し、より時代に即して、キビキビとへヴィ・メタリックなサウンドにストレッチされています。
そうした印象に拍車をかけるのが、益々クドさ全開のローター・アントーニのVo。前作での歌唱はクラウス・マイネをオーバーブーストさせたような感じでしたが、ここではウド・ダークシュナイダーやマーク・ストレイスを引き合いに出して語りたくなる、パワフルなカミソリっぷりを披露。バンドの看板声として歌舞伎町のネオンの如き輝きをギラギラと放ちます。本作のマイナー臭の発生源が彼の歌唱にあることは間違いないのですが、繰り返し聴くうちに病みつきになってしまう、この声の中毒性は強烈ですよ。
メタル者なら一聴の価値があるキャッチーなGリフにハートを鷲掴まれる名曲①に、勇ましい②、泣きのバラード③へと至る冒頭3連発の隙のない布陣、そして緩急を効かせた⑦から、野生動物の嘶きの如きGリフが疾走する⑨まで、本編に捨て曲はなし。
次作『VICTORY』と併せてTRANCEの代表作に挙げられるのも当然の1枚ですね。


TRANCE - Power Infusion - Burn Your Lies ★★ (2014-12-21 01:53:33)

クサいメロディを身に纏って
メロウに始まり徐々に盛り上がっていくという
お約束感満点の秀曲。
中盤で疾走へとテンポアップする曲展開も
これまたありがちですが「そこが良いんじゃない!」と。


TRANCE - Power Infusion - Children Of Illusion ★★★ (2014-12-21 02:02:34)

前作収録の“CONFESSION”の流れを汲む
クッサクサの泣きメロに噎せ返りそうになる演歌型バラード。
金属声のシンガーの熱唱が一見ミスマッチですが、
逆に「強面男の激情」みたいな悲哀を
引き立たせてくれているように感じられ、
個人的には全然ありですよ。


TRANCE - Power Infusion - Heavy Metal Queen ★★★ (2014-12-20 09:37:08)

HR/HMファンを自認するなら
この「シンプルながら無茶苦茶カッコイイ」の
お手本のようなGリフは一聴の価値あり。
舌がピリピリくるぐらい塩っ辛いVoの歌唱も
ソリッドで勇ましい曲調を盛り上げてくれます。
ここ日本でも局地的ヒットとなったというのも納得の名曲。


TRANCE - Power Infusion - Storm & Thunder ★★★ (2014-12-21 01:45:03)

嵐のように吹き荒れるGと
雷鳴の如く打ち鳴らされるドラムが、
曲名に相応しい怒涛の勢いで突っ走る疾走ナンバー。
Voのハイパーな歌いっぷりもハマってます。


TRANCE - Victory ★★★ (2015-11-15 09:47:30)

70年代HRからの影響も引き摺っていた1st、ヘヴィ・メタリックにストレッチされた2ndと来て、'85年発表の本3rdアルバムは丁度その中間を行くような仕上がり。ソリッドなリフ&リズムよりも歌メロやコーラスを重視し、一層メロディアスに、キャッチーに磨かれた収録曲の数々を聴くと、当時隆盛を誇ったLAメタルの余波が彼らにも及んでいたことが伺えます。特に、時にメジャー・キーも交えてポップさを増したアナログA面に並ぶ楽曲はその傾向強いかな?と。
それでも、2本のGが歌い上げる強烈に耳に焼き付く泣きのメロディや、そしてローター・アントーニ(Vo)の耳にピリピリくる塩っ辛い歌唱といった、「TRANCEらしさ」も圧倒的プレゼンスを主張。重厚な⑤からスタートするB面サイドには前作のノリを受け継ぐハードな楽曲が並んでいます。中でも、Voのアカペラ・イントロを経て威勢良く疾走を開始する⑥、アンセミックなコーラスを擁し、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶようなアルバム表題曲兼本編のハイライト⑧は、従来の魅力と、今作ならではの新味のブレンド加減が絶妙な名曲。
メロディのフックから楽曲の取っ付き易さに至るまで、少なくないマニアが本作をTRANCEの最高傑作に挙げるのも納得の1枚。「かつて、採点基準が画期的なまでに極端なことで知られたBURRN!!誌の酒井前編集長が本作に89点を献上した」との情報に興味をそそられた方にもお薦め致します。


TRANCE - Victory - One Man Fighter ★★★ (2015-11-16 23:02:56)

美しく叙情的な導入から一転、
ドカドカとパワフルに疾走を開始するHMナンバー。
でもやっぱりGリフよりも金属声のVoの歌メロの方が
印象に残るのが、3rdアルバム収録曲ならでは。


TRANCE - Victory - Victory ★★★ (2015-11-16 23:06:33)

ドイツのバンドらしいメロディの哀愁も、
HMバンドならではのエッジも失うことなく
キャッチーな洗練も実現して見せた
3rdアルバムの表題曲にしてハイライト。
ちょっと日本のフォーク・ソング風(?)な
“ナ~ナナナ~ ナ~ナナナ~♪”のコーラスは、
ライブ会場じゃさぞかし盛り上がったことでしょう。


TRANCEMISSION (2016-06-14 21:10:54)

名曲“HEAVY METAL QUEEN”を始め、日本でも局地的に大人気だったドイツのTRANCEが、レコード会社との法的トラブルから名前を改めて再デビュー。
尤も、メンバー構成も音楽性もTRANCE時代をそのまんま受け継いでいて、彼らが’89年に発表した『BACK IN TRANCE』は、実質的にTRANCEの4thアルバムというべき内容。
バンドはこのあと、’91年に名前をTRANCEに戻して数枚のアルバムを発表した後、活動停止。
現在は再びTRANCEMISSION名義で復活して活動している模様。ややこしいな。


TRANCEMISSION - Back in Trance ★★★ (2016-06-14 21:13:34)

レコード会社との法的トラブルを切っ掛けに、バンド名をTRANCEからTRANCE MISSIONへと改めることとなったドイツの5人組が、'89年に発表した出直しデビュー作。
尤も、バンド名は変われども音楽性の方は全くと言っていいぐらい変わっていません。愛好家から「SCORPIONSの後継者」とも評された鼻の奥にツーン!と突き刺さるクッサクサな泣きメロも、「クセになる」or「生理的に受け付けない」の二者択一を聴く者に突きつけるローター・アントーニの個性的過ぎる歌唱も、まるで実家のような安心感。2本のGが印象的に歌う①⑦、軽快な疾走感が後期RAINBOWを思わす②、「ジャーマン演歌」と呼びたくなる泣きのバラード③、哀愁のミッド・チューン⑧etc…と、本編には基本的に捨て曲は見当たりません。
中には、これまで以上にポップな方向に踏み込んだ④や、Keyによる薄化粧が施された⑦みたいなコマーシャルな仕上がりの楽曲も見受けられますが、いずれも確かなクオリティが備わっていて、特にキャッチーな④は本編のハイライト・ナンバーの一つ。但し、こうした(これまで以上にメロディアスになった)楽曲と、バンドの看板たる塩辛Voとが生み出すギャップは更に大きなものとなっているので、椅子から転げ落ちないようしておく覚悟は必要ですが。
バンド名変更に絡むゴタゴタの悪影響を微塵も感じさせない、実に立派な完成度を提示してくれる1枚。というか、これって実質的にTRANCEの4thアルバムですよ。


TRANCEMISSION - Back in Trance - Play the Game ★★★ (2016-06-15 23:55:55)

哀愁を放ちながら、全編通じて軽快に踊るGが
後期RAINBOWに通じる疾走感を生み出している、
個人的にはアルバムのハイライト・ナンバー。


TRANCEMISSION - Back in Trance - Power of the Heart ★★★ (2016-06-15 23:46:09)

アコギが爪弾かれるイントロから
既に「演歌の花道」ムード満点な
泣きの名バラード。
こういう濃い哀愁漂わす楽曲を歌わせると
Voのクドイ歌声が実にマッチします。


TRAUMA - Scratch and Scream ★★ (2014-08-04 00:02:57)

METALLICA加入前のクリフ・バートン(B)が一時期、籍を置いていたことで知られるLAの5人組が、'84年にSHRAPNEL RECORDSに残した最初で最後のフル・アルバム。(クリフは不参加だけど)
初めて聴いた時は、執拗に刻まれるGリフとドカドカ打ち鳴らされるリズムの上で、ハイトーンVoがシャープ気味に暴走するOPナンバー①のインパクトで、スラッシュ・メタルそのものに感じられたものですが(「あのクリフがいたバンド」との先入観も大きかった)、リイシューされたのを機会に久々に聴き直してみたら、むしろ「JUDAS PRIESTとNWOBHMからの影響をたんまり浴びたパワー・メタル」が正しい表現かなぁ?と。特に、ドラマティックなツイン・リードGが、光沢を放ちながら重厚に押し出してくるアルバム表題曲④はその代表格。
無論、スラッシーなアグレッションは全編に亘って漲っていて、これに(多少一本調子な感はあるものの)ハイパー極まれり!なVoが加わったパワー・サウンドは、うーむ、どこかで聴いたことがあるような・・・と暫く考え込んでみれば、思い出しました。ヴィニー・ムーア(G)とゲイリー・セント・ピアー(Vo)を擁していた頃のVICIOUS RUMORSに似てるんだ。なんとなく。
お世辞にも万人にはお薦め出来ない垢抜けなさですが、例えば「METALLICAなら1stが最高!」という猛者ならチェックしておいて損のない1枚ではないかと。


TRAUMA - Scratch and Scream - The Day All Hell Broke Loose ★★★ (2014-08-04 23:00:44)

上手いか下手かで言ったら
そりゃ上手くはないけれども、
とにかくVoにしろコーラスにしろ、
Gリフからリズム、Gソロに至るまで
あらゆるセクションが制御不能状態で
暴走しているかのような勢いに
圧倒されてしまう逸品。


TREAT - Coup de Grace ★★★ (2011-01-06 21:49:50)

北欧メタルの代表的なバンドの作品はそれなりにチェックしていたが、なぜかこれまでTREATのことはノー・マーク状態だったので、本作(6th?)を最初に聴いた時は「正直このバンドのこと舐めてました、申し訳ない!」と、思わず手を突いて謝りたくなってしまった次第。
心を打つ哀メロや、絶妙なポップ・センス、分厚いボーカル・ハーモニーに包まれたキャッチーなコーラス・ワークを筆頭に、かつてのTREATらしさを十二分に保ちつつも、北欧メタル・バンドにありがちな「垢抜けないB級感」や「頼りない線の細さ」と一線を画すのは、曲作りの巧さはもとより、しっかりとした歌唱力を備えたVo、抜群のセンスでまとめられた良質なソロを紡ぎ出すG、腰の据わったビートを刻むリズム隊等、豊富なキャリアに裏打ちされた、確かな表現力とテクニックを身に付けたメンバーのスキルの高さゆえ。
特に、本編への没入度を高めるドラマティックなイントロと共にアルバムの開幕を宣言するOPナンバー②、ハードネスと哀メロ、それにキャッチーさが絶妙な融合をみた④、メロディの余りの憂いっぷりに眉毛が八の字になってしまう⑩、そして爽快極まりない⑪といった楽曲は、TREATファン(及び北欧メタル・ファン)ならずとも一聴の価値がある名曲じゃないかと。日本盤ボーナストラックを含めると全15曲も収録する長大さながら、殆どダレを感じさせない捨て曲皆無の充実っぷりには目を瞠るものがありますね。
タイプは大きく異なれど、ACCEPTの再結成アルバムと同等の凄味を感じさせてくれた1枚。


TREAT - Dreamhunter ★★★ (2018-12-25 23:28:28)

昔、近所の古本屋で本作の輸入盤が投げ売りされているのを発見し、買って帰って中を見たら何故か日本語解説&対訳が付属していて、「輸入盤なのに?なんで??」と首を捻ったことを思い出す(初期国内盤は輸入盤に帯と解説/対訳を付けた仕様だったらしい…とネット普及後に調べて判明)、TREATが’87年に発表した3rdアルバム。邦題は『サバイバー』。
TREATが「ポストEUROPE」とも「スウェーデンのBON JOVI」とも言われていた時期の作品ゆえ、音楽性はこれがまぁポップ。全編に亘って、ザ・80年代!なキラッキラに煌めくKeyがふんだんに取り入れられた、ALIENやSKAGARACKといったバンドにも通じるキャッチーでメロディアスな北欧ハードポップ・サウンドが繰り広げられています。
4th『ORGANIZED CRIME』(’89年)を先に聴いてから本作に遡った自分は、両者のギャップに結構驚いたのですが、とは言え、アルバート・ボークホルト(DEF LEPPERDの『HYSTERIA』のエンジニア)が手掛けたプロダクションは良質な上、何よりこの路線と、ロバート・アーンルンドの甘い歌声&アンダース・ヴィクストロムの抜群の作曲/メロディ・センスの相性は良好そのもの。特にバラード調のイントロからテンポアップして、Gがシャープに踊る疾走ナンバー⑥は、個人的に数あるTREATの名曲の中でも上位にランクインする逸品と信じて疑いません。またゲイリー・ムーアが演りそうな、どことなくアイリッシュな響きも湛えたメロディと、大陸メタルばりの合唱を誘うコーラスの融合が印象的な⑧も、バンド史上最大のヒット曲となったのも納得の魅力を備えた逸品であると。
TREATの初期作の国内盤は、いつかリマスター再発して欲しいなぁ。


TREAT - Dreamhunter - Outlaw ★★★ (2018-12-26 23:26:35)

北欧メタル・バンドとしてのTREATの魅力が凝縮された疾走ナンバー。
印象的に切り込んでくるツインGから、甘美な哀メロ、煌めくKey、
それにキャッチーなコーラスまで、アルバムのハイライト・ナンバーとして
眩い輝きを放つ名曲です。


TREAT - Dreamhunter - World of Promises ★★★ (2018-12-26 23:31:27)

ハードな“OUTLAW”と、雄大なこのシングル曲の2連発で
3rd『DREAMHUNTER』の勝ちは決まったといっても過言ではありません。
ちょっぴりアイリッシュ風味入ったヴァースから、
大陸産ポップ・メタル勢に通じるライブ会場で大合唱を巻き起こしそうな
サビへと繋ぐ曲展開が秀逸。
そりゃあヒットしますわな。


TREAT - Ghost of Graceland ★★★ (2016-06-23 00:55:32)

昨年行ったフェアウェルツアーが予想を上回る反響を呼んだことから、サクッと解散宣言を撤回したTREATが'16年に発表した復活第2弾アルバム。
ファンがTREATに期待する要素全部盛りの快作だった前作『COUP DE GRACE~最後の一撃』に対し、今回は「一握りのビジネスマンが世界経済を牛耳る」という世相を皮肉ったアートワークが表す通り、全体的にダークな色合いを強めた仕上がり。へヴィなGリフやグルーヴが前面に押し出されているのは、メンバー曰く「長期ツアーの経験が反映された結果」とのことですが、昔からメロディックHRバンドが「ライブ映えする曲作りを心掛けたぜ」なんて言い出すと大抵ロクなことにならないと相場が決まっていて、本作も1曲目の重たげなGリフが聴こえて来た時は「げぇ」と眉を顰めてしまいましたよ。
ところがどっこい。伸びやかなロバート・アーンルンドの歌声、抒情的なKey、美麗なるハーモニーが活かされた本作に関しては、ハードネスを増強しても全く大味にはなっていないという。逆にシリアスさを強調することで、北欧メタルならではの愁いや泣きがクローズアップされたメロディをもって収録各曲にフックを構築してみせる作曲術は、これまでJ-POPシーンに多数のヒット曲を提供して来た歴戦のメロディ職人、アンダース・ヴィクストロムの面目躍如。特に緊張感を湛えた仄暗いヴァースから、徐々に視界が開けていくようにサビへ向かって色彩が変化していく曲展開の巧みさには唸らされるものあり。勿論アップテンポの⑤を始めとする、従来のTREATらしさ溢れる楽曲も十分に魅力的ですしね。
解散宣言を撤回してくれて良かった、と心から思わせてくれる1枚。


TREAT - Ghost of Graceland - Endangered ★★★ (2016-06-23 23:48:28)

ドヨンと薄曇りな感じのイントロに始まり、
Keyを効かせつつテンポアップするヴァースを経て、
爽快にハジけるサビメロへと至る、雲間から徐々に
陽の光が差し込んでくるような曲展開が実にお見事。


TREAT - Organized Crime ★★★ (2013-06-06 23:54:37)

「世界中のどこよりも日本で一番で売れた作品。また、このアルバム・リリースに伴って行われた来日公演は、バンド史上最大のハイライトだった」とメンバーが述懐する、'90年発表の4thアルバム。
デビュー当時は「ポストEUROPE」と言われたTREATですが、この頃になるとGUNS N' ROSESやBON JOVI辺りからの影響も取り込み、音楽性の拡散が一層顕在化。
それはいかにも90年代の作品らしく、よりハードなGを前面に押し出しつつ、時にスリージーだったりブルージーだったりする冒頭3曲に特に顕著に表れていて、初めてこの流れを耳にした時は少々引いてしまいましたよ。正直な話。
ただ、本編を聴き進めれば4曲目以降は従来のTREATらしさが回復。また、例え新味を盛り込んだ楽曲であっても、哀愁を湛えたロバート・アーンルンドの歌声とKeyを効果的に用いることで、メロディから北欧のバンドらしい透明感を失わない曲作りの巧さには、流石!と唸らされるものあり。
中でも憂いを帯びた疾走ナンバー“CONSPIRACY”、そして1st収録曲にしてTREAT屈指の名曲のリメイク“GET YOU ON THE RUN”はアルバムのハイライト級の存在感を発揮。当サイトにおいても高い人気を博しているのも納得です。
これで序盤の曲順にもうちょい気を払ってくれれば尚良かったのですが・・・。


TREAT - Organized Crime - Get You on the Run ★★★ (2015-01-13 22:35:32)

北欧メタルらしい哀愁を発散するサビメロに
思わず胸キュンなTREATの代表曲。
先日、TREATの来日公演に足を運んだのですが
バンドと観客の掛け合いも行われたこの名曲が
間違いなくライブのハイライトでありました。


↓TREATを生で見る最後のチャンスと、急遽参加を決めたのですが、
大変素晴らしいライブでしたよ。出先から直行したので
この曲ぐらいしか予習する時間がなかったものの、
ドンピシャで掛け合いが行われたので「よっしゃ」と(笑)。


TREAT - Scratch and Bite ★★ (2021-03-31 23:31:32)

デビュー・シングルをヒットさせた勢いを駆り'85年に発表された記念すべき1stアルバム。
こちとら便利なのでつい「北欧のBON JOVI」とか「ポストEUROPE」とか評しがちなTREATですが、BON JOVIやEUROPEが世界的成功を収めるのは'86年以降のこと。なのでこの時期の彼らに関してはクローン/フォロワー・バンドというより、たまたま同時期に同じようなスタイルの音楽性を志していた、というのが適当なのかなぁと。
そんなわけで、アルバムの幕開けを飾るのは能天気なパーティ・ロック・チューン①。音質は薄っぺらいですし、現在は実力派シンガー然とした歌唱を聴かせてくれるロバート・アーンルンドのVoもまだまだ野暮ったかったりと、初めて聴いた当時は正直「買って損こいた…」と頭を抱えそうになってしまったことを告白しておきます。
但し、そうした評価は後に4th『ORGANIZED CRIME』にてリメイクされることとなる③の登場で一変。哀愁のメロディが奏でられるイントロからして既に名曲の風格漂うこのTREATの代表曲以降は、アップテンポでロックする④、甘く切ないパワー・バラード⑥、ハモンド・オルガンの音色が北欧メタルならではの魅力を付与するラスト・ナンバー⑨といった具合に、フックの効いた秀逸な楽曲が続出。聴き終えてみれば「アッパレな作品であった」との評価に落ち着くという。
思惑通りの大ヒット作となり、TREATの名を一躍知らしめる切っ掛けとなったのも納得の1枚。とはいえやはり今の彼らと比較すると垢抜けなさは隠しようもないので、後追いでチェックする際はある程度覚悟を決めておく必要はあり。


TREAT - Scratch and Bite - Hidin' ★★★ (2021-04-02 00:22:12)

1stアルバムにあってはハード寄りに位置するロック・チューン。
ハモンド・オルガンとシンセを効果的に使い分け、
ヴァース~ブリッジ~コーラスと、1曲の中でメロディが明暗の
グラデーションを描いていく様に胸躍ります。


TREAT - The Pleasure Principle ★★★ (2019-10-29 01:16:20)

GREAT KING RATを始め、マイケル・シェンカー、ジョン・ノーラムらとの活動を通じて、今じゃシンガーとしての知名度の方が遥かに高くなったリーフ・スンディンをニュー・ドラマーとして迎え入れたTREATが、'86年に発表した2ndアルバム。
「ポストEUROPE」とも「北欧のBON JOVI」とも評され、TREATが最もポップ寄りの音楽性を志向していた時期の作品ゆえ、彼らのカタログ中でも存在感の薄さは1、2を争いますが、なかなかどうして完成度の高さは立派なもの。憂いを孕んだ声質の魅力はそのままに、歌唱力をいや増したVo、相変わらず絶品に練られたソロを組み立ててくれているG等、メンバー各々の技量の向上はもとより、一層ポップ&キャッチーに磨き上げられたメロディと、フィーチュア度の上がった煌びやかなシンセにより全編が彩られたサウンドは、それまでにあった野暮ったさが払拭され、洗練された華やかさを身に纏うようになっています。
哀愁薄めのOPナンバー①で、アルバムの大切な「掴み」にしくじっている感は否めないものの(ただ単体で聴けば悪い曲ではない)、甘く切ない胸キュン・ナンバー②で一気にその失地から回復して以降は、BLUE OYSTER CULTも演っていた④、神聖な雰囲気漂うバラード⑤、もろに初期BON JOVI風の⑥、しっかりロックしている⑦etc…とグッとくる名曲/佳曲の大盤振る舞い。CROWN OF THORNSの――哀メロ愛好家的にはFROM THE FIREの――ジーン・ボヴワーがプロデュースを担当し、HRのエッジとこのバンドらしい哀愁が溶け合う先行シングル曲⑨の期待を裏切らない出来栄えも流石です。
BON JOVIやEUROPEの世界的成功劇の影に隠れてしまったことが惜しまれる1枚。


TREAT - The Pleasure Principle - Ride Me High ★★★ (2019-10-29 23:49:08)

先行シングルとしてもリリースされており、
この曲のみエンジニアをジーン・ボヴワー(CROWN OF THORNS他)が担当。
ハード・ロッキンなエッジと躍動感、キャッチーなコーラスで華やかな雰囲気を演出しつつ
声質自体に憂いを孕んだVoの歌唱が醸し出す切ない哀愁が良いアクセントになっています。


TREAT - Tunguska ★★★ (2018-10-31 22:35:46)

解散宣言の撤回後、それまで以上にバンド活動に対して積極的になったことの表れのように、前作『GHOST OF GRACELAND』(’16年)から僅か2年という短いインターバルでの発表となったTREATの最新アルバム。
TREATにしてはややダークで重厚な方向に振られていた――それでもメロディのフックに翳りがなかったのが流石――『GHOST~』に比べ、今作は逆にバンドが原点(この場合は復活1作目にして大傑作『COUP DE GRACE』の作風を指す)を見つめ直したかのように、アンダース・ヴィクストロムのGがもたらすヘヴィ・メタリックな切れ味と、ポンタス・エグベリ&ジェイミー・ボーガーの腕利きリズム隊により醸成される躍動感溢れるリズム、そしてロバート・アーンルンドの泣きを含んだVoが際立たせる、TREAT独自の哀メロ・センスとがバランス良く配合したHMサウンドが託されています。
神秘的なイントロに続き雄々しく立ち上がるOPナンバー①が始まった時点で、多くのファンが本作に対する手応えを感じられたことと存じますが、本編には他にも優れた楽曲が目白押し。緊迫感を湛えた③、冷ややかなメロディが映えるミッド・チューン⑦、涼し気に駆け抜ける⑧、ドラマティックなバラード⑩、個人的にアルバムのハイライトに推したいキャッチーな⑪、絶品のコーラスでライブ会場がタテに揺れる様が目に浮かぶような⑫等々…。もし彼らが’13年に宣言通りに解散してしまっていたら、こうした素晴らしい楽曲の数々が世に出ることもなく埋もれてしまったかと思うとゾッとしますよ。つくづく思い止まってくれて良かった。


TREAT - Tunguska - All Bets Are Off ★★★ (2018-11-02 00:36:11)

ライブで演奏したら盛り上がりそうなキャッチーなコーラスと
ノリ易く弾む曲調、ロバート・アーンルンドの甘い歌声が映える
哀感が滲みだすメロディ(ブリッジ部分が特に印象的)…と、
アルバム後半のハイライトを担っていると言っても
過言ではない名曲っぷりに胸打たれます。


TREAT - Tunguska - Progenitors ★★★ (2018-11-02 00:30:35)

神秘的に奏でられるイントロを、ダイナミックなリズムと
メタリックなGリフが力強く蹴破ってスタートするアルバムOPナンバー。
ライブ映えしそうな雄々しいコーラスをフィーチュアしつつも
北欧のバンド然とした冷ややかな哀メロのフックにも抜かりはありません。
流石の出来栄え。


TRESPASS - Footprints in the Rock ★★★ (2018-07-04 00:21:04)

サットクリフ兄弟を中心に結成され、'99年にはNWOBHM勃発から20周年を祝う記念ライブに出演するため初来日も果たしているTRESPASS、'18年発表の復活第2弾アルバム。(タイトルが良いですよね)
‘93年リリースの最初の再結成アルバムでは、流行に飲み込まれたダーク&へヴィな作風を披露してファンに盛大に溜息を吐かせたTRESPASSでしたが、今作では往年の「らしさ」を大幅回復。どれぐらい回復したかと言えば、そもそも彼らの作品はシングルや初期デモ音源を取りまとめた編集盤『THE WORKS』(’92年)しか聴いたことがない自分のような手合いですら、「実にTRESPASSらしい作品!」と膝を打ってしまったぐらいに。
特に頭3曲は強力で、湿気ったリフ、印象的なハーモニーを奏でるツインG、くぐもった声質で煮え切らない歌メロを拾っていくマーク・サットクリフのヘタウマVo…と、何から何まで80年代初頭からまんじりと変化していない(褒め言葉)、往年のTRESPASSサウンドそのまんまな出来栄え。2本のGのハモリっぷりが1st時のPRAYING MANTISを彷彿とさせる②や、愁いを帯びたメロディが疾走する③なんて、いやこれマジで書き下ろしの新曲?デビュー当時の未発表曲とかでなく?と思わず呟かずにはいられませんでしたよ。
アルバム後半で若干の息切れを感じなくもないとはいえ、それでもツインGが緊迫感を伴って切り込んでくる⑤、重厚にしてドラマティックなアルバム表題曲⑥等、TRESPASSにしか生み出しえない楽曲が次々に繰り出される中盤戦までだけでも本作に対する高評価は揺るぎありません。
開き直ったベテラン・バンドの底力に惜しみない拍手喝采を送りたくなる1枚です。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Be Brave ★★★ (2018-07-07 00:07:50)

ヘタウマVoが歌う曇天模様の歌メロといい、
早歩きのテンポに乗せて、伸びやかにハモるツインGが
奏でる湿った旋律といい、80年代初頭のTRESPASSが
そのまんま現代に蘇ったかのような逸品。
初期PRAYING MANTIS好きにもお薦めです。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Footprints in the Rock ★★★ (2018-07-07 00:22:42)

本編中においてはハード寄りな仕上がりを聴かせるアルバム表題曲。
仄暗い緊迫感を湛えてGが奏でるメイン・メロディが耳に残ります。
ツイン・リードGのメロディアスな絡みや、
Voの(良い意味で)垢抜けない歌メロがいかにもNWOBHMな趣き。
HR/HM史に足跡を刻みたいというメンバーの思いが託されたタイトルも秀逸ですよ。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Mighty Love ★★★ (2018-07-07 00:14:38)

適度な疾走感と印象的なテーマ・メロディ、
一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラスを有する
これまたNWOBHMの匂いを濃厚に現代に伝えてくれる
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
Gソロも聴き応えあり。


TRESPASS - The Works ★★★ (2016-05-08 09:11:57)

アルバム・デビューこそ叶わなかったものの、若き日のラーズ・ウルリッヒとジェイムズ・ヘッドフィールドがファンクラブに入会していたりと、NWOBHMマニア筋からの評価は高かった英国サフォーク州サドベリー出身の5人組が、80年代初頭に残した3枚のシングルとデモ音源を取りまとめたアンソロジー盤。(最近第2弾がリリースされたらしい)
冴えない音質、靄った声質のヘタウマVo、湿気ったメロディをしっとり歌い上げるツインG…と、「いかにもNWOBHM」な特徴の数々をフィーチュアしつつ、PRAYING MANTISやHERITAGE辺りを引き合いに出して語りたくなる抒情性&透明感も湛えたサウンドは、聴いていると思わず「清貧」という言葉が脳裏をよぎります。
メロウなイントロで掴みはOKな①と、2本のGによる淡いハモりが印象的な②というデビュー・シングル収録曲、ドラマティックな構成が光る⑥、泣きが溢れ返るバラード⑩、哀愁のミッド・チューン⑯等、並のバンドじゃそうは書けない優れた楽曲が数多く顔を揃える一方で、終ぞ「これこそがTRESPASS!」というキメの1曲(NWOBHM史に足跡を残す名曲というか)を生み出し得なかった押しの弱さが、評価の高さとは裏腹に彼らが大成できなかった要因の一つだったのかなぁと、本作を聴いてふと思ったり。いや、だからってここに収められた楽曲の素晴らしさが否定されるわけじゃないんですけどね。
尚、バンドは'84年頃に解散し、メンバーは新たにBLUE BLOODを立ち上げて2枚のアルバムを発表。もう手元にはないのですが、そっちも結構良かった記憶があります。