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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6401-6500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6401-6500
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VELVET VIPER - Velvet Viper ★★ (2011-05-31 23:10:01)

元ZED YAGOのユッタ・ヴァインホルト(Vo)率いる5人組が、'91年にRCA RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
METALIUMのラーズ・ラッツ(B)、WARLOCK~U.D.O.のピーター・シゲティ(G)、SKYCLADのデイヴ・ムーア(G)といった豪華なメンバーのみならず、現AT VANCEのオーラフ・レンク(G)、更にはZENO解散直後のジーノ・ロート(G)までゲスト参加してソロを弾いているという、欧州メタル・ファン的には何とも贅沢な1枚。(但しクレジットがないのため、ジーノやオーラフがどの曲でソロを弾いているのかは判然としない)
音楽性は、ユッタのコブシの効いたパワフルな歌唱力、ファンタジーにどっぷりと浸った歌詞世界、それに重厚なミドル・テンポの楽曲が中心に据えられた作風・・・と、ロ二ー期RAINBOWからの多大なる影響を基本に、そこへジャーマン・メタルらしいパワーや、ネオクラシカルな要素も組み込んだ正統派HM。
特に、このアルバムの方向性を判り易く示す、ミステリアスな雰囲気と重量感を湛えたOPナンバー①、本編屈指の聴き所として推したい劇的な④、ワーグナーのカヴァー⑤から展開していくアップテンポの⑥、雄大なバラード⑫辺りの出来栄えには素晴しいものあり。
次作『THE 4TH QUEST FOR FANTASY』も同路線だったが、楽曲の完成度では本作の方がずっと上。VELVET VIPERの作品に触れるなら、まずこちらからどうぞ。


VENDETTA - Brain Damage ★★ (2007-07-14 00:33:00)

ツインGにツインVo編成で、ドイツ産にしては珍しく、ベイエリア型の明快で小気味良いスラッシュ・サウンドを聴かせる
シュバインフェルト出身の4人組スラッシャーVENDETTA、'88年発表の2ndアルバムが待望のリマスター再発。
どうせなら中古屋でバカ高い値段で取引されている1stも一緒に再発して欲しかったところだけど、まぁ贅沢は言うまい。
で、本作だが、ストレートに突っ走っていた(・・・らしい。何せ聴いた事がない)前作に比べると、リフ/リズム・チェンジを大胆に取り入れ、
キレのある演奏を活かした、凝った曲展開で畳み掛けて来るタイプの楽曲が大半を占めていて、何やらバンド側の試行錯誤が伺える内容。
実際、比較的ストレートに疾走する③⑤⑧⑨よりも、グルーヴィなノリに体が動く①、捻った曲展開に、ダーティながらも
ちゃんと「歌う」Voを絡めて攻めてくる②、VENDETTA流バラードといった趣きの前半から徐々に速度を上げていく名曲④、
ファンキーな小曲⑥をイントロ代わりに、ベース主導でドラマチックに盛り上がるインスト曲⑦の方が、
より印象に残ると言う事実が、本作の性格を端的に物語っているんじゃなかろうか。
全体的にイマイチ強烈なパンチに欠けるとか、試みとしては面白いツインVoも、2人のVoの声質が酷似しているせいで
あまり効果的に機能していないとか、細かい不満点もあるにはあるが、それでも本作のクオリティの高さは
疑いようがない。特に、劇的なメロディを次々に紡ぎ出すツインGの威力は侮り難し。


VENDETTA - Go and Live... Stay and Die ★★ (2007-08-29 22:40:00)

ジャーマン・スラッシュ・メタルの隠れた名盤として、中古盤市場においてかなりの高額で取引されていた
VENDETTAの'87年発表の1stアルバムが、ボーナス・トラック1曲を追加収録して漸くリマスター再発。いやぁ、目出度い。
ある程度スピードは抑え目にして、「聴かせる」ことを意識した感じの作風だった2nd『BRAIN DAMAGE』に比べると、
この1stでは、リフ/リズム・チェンジを多用して畳み掛けて来るダイナミックな曲展開は『BRAIN~』同様ながら、
デビュー作という事で、より初期衝動に忠実に、荒々しくスピーディに突っ走っているとの印象が強い。
特に、冒頭からガツンとカマされる①②③の三連打は、クランチの効いたGリフ、スラッシーな疾走感と起伏に富んだ曲展開、
そして華麗にしてメロディアスなツインGといった要素がギュッと詰め込まれた、本作の魅力を端的に物語る名曲揃い。
また、叙情的なイントロで幕を開ける④、劇的な導入部で一気に引き込まれる⑥なんかも、
VENDETTA流スラッシュ・メタルの真髄が堪能できる楽曲じゃないかな、と。
その他にも、後半を猛然と駆け抜けていく高速スラッシュ・チューン、リフのカッコ良さは本編一とも言える⑦や、
ドラマチックなツインGが炸裂するラスト・ナンバー⑧等、収録曲の平均クオリティは総じて高く、まさに捨て曲なしの完成度。
「幻の名盤」というヤツは、評判ばかりが一人歩きして、実際に聴いてみるとガックリなんてパターンが
決して少なくないのだが、本作に関してはそれは当てはまらない。必聴。


VENDETTA - Hate ★★ (2007-08-28 21:30:00)

確かな実力に裏打ちされた、ダイナミックなスラッシュ・サウンドが好評を博し、80年代に
2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したジャーマン・スラッシャーVENDETTAが復活。2nd『BRAIN DAMAGE』から
ほぼ20年ぶりとなる'07年に発表した、再結成第1弾アルバム(通算3枚目)がこれ。
ブックレットに見る、メンバーのしょっぱ過ぎるルックスと、オリジナル・メンバーがBのヘイナー以外、
誰も残っていないラインナップに不安を覚えるが、実際に聴いて見ると、嘗ての中心メンバー・ダックス(G)が裏方として、
ほぼ全曲の作曲作業に関わっているだけあって、楽曲にはスラッシュ・メタルならではの疾走感が健在だし、
①を筆頭に、往年を思い起こさせるメロディアスなツインGが炸裂する場面も随所にあるしで、
ある程度はメタル・シーンの空気(とファンの期待)を読んだ内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
但し、へヴィに歪められたGサウンドや、グルーヴが強調されたリズム、シンプルにまとめられドラマ性が減少した曲展開、
そしてバキバキにビルドアップされたサウンド・プロダクション等、少なからず現代的な要素も取り入れられていて、
これを「意欲的」と捉えるか、「余計な事を」と捉えるかで、かなり評価が割れる作品なのも確か。
(ツインVo体制もなくなっているが、これは元々あまり効果的とは言えなかったからなぁ)
まぁ、その辺は各自が自身の耳で判断してみて下さい。ということで。


VENI DOMINE (2019-03-23 00:26:23)

'87年にスウェーデンのソレントゥナにおいて、トルビヨーン(G)とトーマス(Ds)のヴァインショー兄弟を中心に結成。
クリスチャン・メタル・バンドのコンピレーション・アルバム『WHITE METAL WARRIOR』に参加したことで注目を集め、’91年に1st『FALL BABYLON FALL』でデビュー。ロドニー・マシューズが手掛けた美麗なアートワークも話題を呼び(マシューズは前述のコンピ盤のアートワークも担当していた)同作はテイチクから日本盤もリリースされた。
プログレ・メタル的構築美と、ドゥーム・メタリックな重厚感を併せ持ったサウンドを武器に断続的にアルバムを発表していたが、’12年に解散してしまった模様。


VENI DOMINE - Fall Babylon Fall ★★★ (2019-03-23 00:29:01)

スウェーデン出身の4人組で、ラテン語で《主よ、我を導き給え》を意味するVENI DOMINEを名乗ったクリスチャン・メタル・バンドが、EDGE RECORDSから'91年に発表したデビュー作。当時、名匠ロドニー・マシューズ謹製の「崩壊するバビロン」を切り取ったスペクタキュラーなアートワークに惹かれて本作の輸入盤を購入した記憶が薄っすらとあるのですが、少し前にぶらっと中古CD屋に立ち寄ったら何と国内盤を発見。「これって日本盤も出てたんだ?」と、ついつい懐かしさに駆られて衝動買いをしてしまったという。
クリスチャン・メタルといっても作風にSTRYPER辺りとの共通点はほぼ無し。ミドル~スロー・テンポを中心に構成された重厚長大な楽曲群はその大半が6~8分台、ラストを〆る三部構成の組曲⑦に至っては20分越えという大作主義っぷり、加えてジェフ・テイトからの影響を伺わせるシンガーの存在も相俟って、分厚い暗雲を纏い押し寄せるが如きダークなサウンドは「プログレ風味を振りかけたドゥーム・メタル」といった趣きが漂います。
荘厳なコーラス/シンフォニックなKey/ウェットな旋律を懇々と紡ぐGを活かした収録曲は、多少の冗長さをものともしない北欧産メタルらしい抒情性と劇的な構築美を放っていて、中でも(やや一本調子なきらいはありつつも)朗々歌い上げるハイトーンVoが映える②、そしてミスティックなヘヴィネスと疾走パートを対比させつつ20分以上の長尺をドラマティックに語りきる⑦は、改めて聴いてもやはり名曲だなぁと。
このバンドについては本作しか知らなかったのですが、調べてみると他にも作品を結構な枚数発表している様子。ちゃんと追いかけておくべきだったか。


VENI DOMINE - Fall Babylon Fall - The Chronicle of the Seven Seals ★★★ (2019-03-23 00:46:18)

一応クリスチャン・メタル・バンドではあるものの、
「神を信じよ」的な説法ではなく、聖書のスペクタクルな側面に
焦点を絞って歌詞を綴り、それが宗教的荘厳さとスケール感、緩急とを
併せ持ったサウンドとドラマティックに噛み合ったのが、
三部構成、20分以上に及ぶこの一大組曲であったという。
ドゥーム・メタル化したQUEENSRYCHE的感触もある名曲。


VENOM - Calm Before the Storm ★★ (2007-05-15 22:08:00)

マンタス(G)が脱退、その後任にマイク・ヒッキーとジム・クレアを迎え入れ、
新たに4人編成に生まれ変わったVENOMが、'87年に発表した5thアルバム。
ツインGを活かして楽曲のドラマ性/整合性を強化、ロックンロール色の一掃と、思い切った
サウンド・スタイルの刷新が奏功して、前作『POSSESSED』の煮詰まり感を吹き飛ばす快作に仕上がった本作は、
①のイントロ部分の分厚く鋭角的なGリフの刻みからしてもう「これがあのVENOM?」というぐらいカッコイイ。
続くアップテンポの②もドラマチックなツイン・リード・パートを備えているし、憂いを帯びたメロディアスな
リフが疾走する⑤、中期IRON MAIDENを彷彿とさせる⑧、JUDAS PRIESTばりの劇的なリフが炸裂する⑩に至っては、
クロノスのVoさえ普通なら、正統派ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルとして立派に通用するクオリティ。
ストレートな高速スラッシュ・チューン③⑥⑦⑨にしても、初期のダーティでクレイジーなノリは控えめで、
それよりも(良い意味で)型に嵌った疾走感が前面に押し出されて、非常にタイト。
そして何より、スラッシーなスピード感とヘヴィ・メタリックなドラマ性を併せ持つ④の素晴しさと来たら!
VENOMに興味のないメタル・ファンをも振り返らせる魅力を秘めた名曲ではなかろうか。
また、これらの曲ではGコンビの良い仕事っぷりが光り、特にマイク・ヒッキーは、再々結成VENOMが発表した
11thアルバム『METAL BLACK』にも参加して流麗なGプレイを披露しているわけだが、本作における
Gソロの煽情度の高さは、それをも軽く上回っている事を付け加えておきたい。
所謂「VENOMらしさ」は殆ど感じられない内容ながら、個人的にはクロノス在籍時代のVEMOMの最高傑作は本作である!
とコッソリと主張しておきます。


VENOM - Calm Before the Storm - Under the Spell ★★ (2007-05-18 22:56:25)

クロノスのダミ声吐き捨てVoは相変わらずながら、
シャープに疾走するリフといい、劇的なツインGといい、
コーラスの入れ方といい、正統派へヴィ・メタリックな
雰囲気を濃厚に漂わせていて、
やっぱりVENOMも英国のバンドだったんだな~と、
妙に納得してしまう高速スラッシュ・ナンバー。


VENOM - Prime Evil ★★ (2006-12-29 00:46:00)

カリスマVo.クロノスの脱退に伴い一度は解散を余儀なくされたものの、新たに2人のメンバーを迎え入れ、
4人体制で復活を遂げた新生VENOMが、'89年に発表した6thアルバム。
迫力のサウンド・プロダクション、キレのある演奏、そして何よりツインG編成への移行により、
如何にもブリティッシュなドラマ性を増大させた楽曲とが揃った本作は、クロノス不在のダメージを
殆ど感じさせないばかりか、寧ろ、以前よりも数段パワーアップした印象すら漂う。
これまで通り②④⑤⑦⑨といった荒々しいスラッシュ・チューンを多数収録する一方で、プログレ風の
インスト・パートを持つ①、邪悪な③、VENOM流正統派HMといった趣きの疾走チューン⑧等、
新要素を積極的に取り入れた楽曲も違和感なく本編に馴染んでいて、特に従来型の高速スラッシュ・チューンに、
劇的なツイン・リード・パートをぶち込んだ⑪は、アルバムを代表する名曲ではなかろうか?
確かにクロノスがいなくなってしまったのは痛いが、『WELCOME TO HELL』『BLACK METAL』といった
初期の代表作に(歴史的価値を認めつつも)思い入れは然程ない我が身には、このアルバムこそが
VENOM入門編に最適の1枚のように思えて仕方がない次第。因みに、⑥はBLACK SABBATHのカヴァー曲。


VENOM - Temples of Ice ★★★ (2007-05-08 22:10:00)

VENOMと言えば、やっぱりトリオ時代よりもツインGの4人編成時代、それもクロノス脱退後の作品が最高っスよ!という軟弱スラッシャー(俺です)が愛して止まない、'91年発表の7thアルバム。
前作『PRIME EVIL』は、従来のスラッシュ・メタル路線にVENOMらしからぬ整合性やドラマ性といった要素を持ち込んだ意欲作だったが、今回もその作風を継承。全体的に更に英国パワー・メタル路線へと接近した内容に仕上がっている。
勿論、相変わらずデモリションマンのVoはダーティな吐き捨てスタイルだし、⑥⑦⑧のような荒々しいスラッシュ・チューンもしっかりと収録されているが、それ以上に強烈なインパクトを放つのが、曲調はノリノリでもインスト・パートは劇的な①、全編を貫く叙情メロディとVoの熱唱(熱シャウト?)が映える④、スラッシーな疾走感と、大仰な曲展開がガッチリと組み合わさった⑩、そして、切れ味鋭いリフ&リズムの上に雄々しいメロディが乗っかり、アコギやメロウなBソロまで導入してシャープに疾走する名曲②といった、ドラマチック路線の楽曲の数々。
昨今のVENOM再評価が、主にクロノスのカリスマ性の高さに集中している事もあって、すっかり影が薄い・・・というか完全に忘れ去られてしまっている本作だが(まるでトーマス・ローゼンメルケル在籍時代のDESTRUCTIONのよう)、決して質は低くない。というか、個人的には初期の数作より遥かに愛聴している作品です。
「お行儀の良いVENOM」という形容詞に拒否反応が出ないスラッシャー限定でお薦め。


VENOM - Temples of Ice - Even in Heaven ★★ (2007-05-14 21:25:46)

アコギのイントロをブチ破ってシャープなリフが疾走を開始。
中盤にはメロウなアコギ・パートを設けて、その後は再疾走。
印象的なオブリガートを聴かせるBも非常に良い仕事をしている
『TEMPLES OF ICE』のハイライト・チューン。


VENOM - The Waste Lands ★★★ (2009-10-11 21:55:00)

キャリアの低迷期として、今や殆んど顧みられる機会のないマンタス(G)リーダー時代、元ATOMKRAFTの巨漢フロントマン、トニー・ドーランことデモリションマン(Vo、B)を擁するラインナップのVENOMが'93年にひっそりと発表した8thアルバム。
全世界的に廃盤状態で入手困難な割に、たまに中古盤屋に並んでも別段プレミア価格が付けられるわけでもない(千円ぐらいで買えちゃう)という、不憫なほど扱いの悪い作品だが、内容の方はこれが非常にハイクオリティ。
プログレ・マインド漂うミステリアスでエキゾチックな①、様式美ヘヴィ・メタリックなインスト曲⑩といった異色曲が本編の最初と最後に配置されている事からも察しの付く通り、もはや初期の頃の面影は微塵もなく、荒々しさよりも整合性や構築美が前面に押し出された作風は、スラッシュ・メタルというよりも正統派ヘヴィ/パワー・メタル。
特に、如何にも英国的な翳りを帯びたメロディが疾走する②③、構築美を湛えたツインGをフィーチュアした本編屈指の名曲④、ダイナミックな起伏に富んだ⑤、アグレッシブに挑みかかって来る⑥⑨といった、スラッシーな攻撃性と、ヨーロピアンHMならではのドラマ性が組み合わされた楽曲の数々は聴き応え十分。
ダイハードなファンからは「何もVENOMがこれをやらんでも」という溜息の1つも聞こえて来そうな感じだが、彼らの好きなアルバムと言えば「『CALM BEFORE THE STORM』『PRIME EVIL』『TEMPLE OF ICE』がベスト3」という我が身としては、本作も初期作品以上に愛して止まない次第。
この頃のVENOMは絶対過小評価されてると思うんだがなぁ。


VENOM - The Waste Lands - Riddle of Steel ★★ (2009-10-12 00:09:52)

デモリションマンのVoこそメロディに無頓着なシャウト型だが
曲自体はスラッシュ・メタルというよりも正統派の
ブリティッシュ・へヴィ・メタル路線。
しっかりと構築されたメロディを紡ぎ出すGソロ、
そしてドラマティックなツインGのハモリっぷりも素敵だ。


VENOM - Welcome to Hell ★★★ (2021-07-22 01:11:14)

クロノス、マンタス、アバドンの暗黒トリオにより’81年にNEAT RECORDSから発表されるや、良くも悪くも世間に衝撃を与えたVENOMのデビュー作。世界初のスラッシュ・メタル・アルバムであり、後のデス/ブラック/エクストリーム・メタルの直接的なご先祖様でもあるエポック・メイキングな1枚・・・なんてのは今更言うまでもないことですかね。
ダビングを重ねたカセットテープみたいな劣悪な音質、悪魔と黒魔術(あと下ネタ)を題材に取ったインモラルな歌詞世界をメロディがん無視で吐き捨てるダミ声Vo、ダーティでノイジーなG、ドッタンバッタン暴れ回るDsといった下手糞…もとい破れかぶれな演奏等々、良識派の眉を顰めさせる最悪の要素を結集させたら、なぜか最高の作品が出来上がってしまった本作は、VENOMの「1+1+1は3じゃないぞ。俺達は1+1+1で300だ。10倍だぞ10倍」という小島聡ばりのシャウトが轟いてきそうな仕上がり。
それでいて単なるインパクト勝負の出オチ作品に終わっていないのはメンバーの確かな曲作りの才があったればこそ。厳めしくもキャッチーなアルバム表題曲②、MOTORHEAD風味色濃い③、VENOMが紛れもなくNWOBHMの一員であることを物語るGリフ主導で突っ走る⑥等、本編は聴き込みに耐え得る秀曲を多数収録。とりわけアバドンのド天然なドラムに乗ってドカスカ突進する⑤は名曲も名曲で、クロノスの「WITCHING HOUR!」の絶叫と共にGソロが走り始める場面のカッコ良さは何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。
個人的にはクロノス時代のVENOMといえば、次作『BLACK METAL』よりも本作を推す次第。国内盤がSHM-CD(!)でリイシューされていますので、見かけたら是非。


VENOM - Welcome to Hell - Witching Hour ★★★ (2021-07-23 01:52:02)

アバドンのドタバタとしたドラムは決して巧かないのだけど、じゃあこれを
上手い人が叩けばもっとカッコ良くなるかと言えば、さにあらず。
VENOMのマジックが詰まった、元祖スラッシュ・メタルの名曲。
WITCHING HOUR!


VENUS & MARS - NEW MOON RISING ★★★ (2014-01-29 22:50:58)

マーク・フリーの傑作『LONG WAY FROM LOVE』に“SOMEDAY YOU'LL COME RUNNING”等の秀曲を提供したことで、HR/HMファンにも一躍その名を知らしめた敏腕ソング・ライター、ロビン・ランダルが、シンガーのダイアナ・デウィントと共に結成したポップ・ロック・デュオの日本デビュー作となった'98年発表の2ndアルバム。
憂いを振り撒くダイアナの麗しい歌声と、ロビンのクリエイトする哀愁のメロディが、Keyの煌びやかな味付けのもとキャッチーに躍動する楽曲は、収録全曲が“SOMEDAY~”と同系統のハードポップ路線。
いくら1曲1曲の完成度が高くても流石にこの音楽性で14曲収録はダレるよとか、打ち込みを多用した角のない音作りがHR/HMリスナーには刺激不足とか、色々気になる点もあるっちゃ有りますが、それを差っ引いて尚、マーク・フリーの『LONG~』に収録されていても違和感のない①②や、実際に同作でカヴァーされていた⑤、そして絶品のバラード③といった強力なフックを有する名曲はぐぐっと胸に迫って来るものあります。
前作『GRAND TORINE』は国内盤が出なかった(よね?)こともあって買い逃してしまったのですが、コレ聴いたら「あ~、やはり買っとくべきだった・・・」と、あとで後悔に苛まれましたよ。


VENUS & MARS - NEW MOON RISING - BLESS A BRAND NEW ANGEL ★★★ (2014-01-30 22:03:06)

あと10年早く発表されていたなら
アメリカでヒットしてたんじゃないかな~
と想像を掻き立てられる名バラード。
「上手い歌」ってのは、こういう歌唱を言うのですね。


VETO - Carthago ★★ (2017-03-26 09:19:40)

ずっと「ベト」「ベト」呼んでいましたが、そうか。読み方は「ヴィート」でしたか…という、西ドイツ(当時)出身の5人組が’88年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
表題が『カルタゴ』で、まるで『蛮勇コナン』の世界から抜け出してきたようなマッチョ戦士が歯茎剥き出しで迫り来るアートワーク、そして裏ジャケ記載の出鱈目な日本語解説《またそうしてこの世界帝国が消えてしーた》…。バブルとは百万光年ぐらい無縁のこれら時代錯誤な要素の数々だけで、カルトなHMサウンドへの期待に胸が高鳴るってもんですよ。
ところがどっこい。実際に作品を再生してみるとOPを飾る①はタイトなメロディック・ロック。その後に続くのがサビメロの明快な展開がHELLOWEENを彷彿とさせる疾走曲②で、③は哀愁のミッド・チューン…といった具合に、その音楽性は案外スマートで柔軟性に富む。Gはピロピロと弾きまくっていますし、Voも時折声が引っ繰り返りそうになる危うさはありつつも、要所で堂々たる歌いっぷりを披露していて侮れません。特にエキゾチックな雰囲気を湛えつつ、7分以上の長尺をムキムキ且つドラマティックに物語っていく④は、こっちの期待と楽曲の方向性が見事に合致したエピック・メタルの名曲。
SCORPIONS~ACCEPT~HELLOWEENというジャーマン・メタル・シーンの音楽的変遷をフォローするかのような収録楽曲は、これはこれで手堅く聴き応えも十分。もう少し大きなレーベルに所属出来て、薄っぺらい音質を向上させて、音楽性とパッケージの乖離をどうにかしていれば(課題多過ぎだろ)ブレイクも夢ではなかった…かも?でもこのチグハグさが一部マニアからカルト的人気を獲得するに至った理由なのかもしれません。


VETO - Carthago - Carthago ★★★ (2017-03-26 09:35:53)

エキゾチックな旋律に導かれて行進を開始。
重厚な曲調、雄々しいコーラス、7分近い長尺等、
ムキムキマッチョ戦士が闘志むき出しのアートワークの
そのままノリに反映させたかのようなエピック・メタル・ソング。
(実は本編においては例外的な存在だったりするのですが)
少々線の細いシンガーも、ここでは頑張って血管浮かび上がらせるような
熱唱を披露。楽曲を劇的に盛り上げることに貢献してくれていますよ。


VICIOUS RUMORS ★★ (2007-04-20 23:17:00)

19日に参戦。VICIOS RUMORSとRIOTのカップリング公演なのに、
会場がクラブクアトロというのが引っ掛かりましたが
(どちらも空白期間がネックになったか・・・)、
いざ始まってみればそんな事は忘却の彼方。
やはり名曲を沢山持ってるバンドは強い。(これはRIOTも同様)
一番楽しみにしていた“DON'T WAIT FOR ME"を序盤で早々に繰り出しても、
後半、ネタ切れになることなく最後まで突っ走れるのですから。
そして何より、今回はジェイムズ・リヴェラの存在に尽きました。
歌声もルックスもゴツイのに、背が意外なほど小さいのには驚かされましたが。
本人も「ロニー・ジェイムズ・ディオ」と自ら笑いを取っていましたっけ。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol ★★ (2016-10-03 22:53:27)

開巻早々から、殺伐としたリフ&リズムが押し寄せる’16年発表の12thアルバム。暗鬱な「人類滅亡」をテーマを据えたバンド初のトータル・コンセプト・アルバムに相応しく、メロディよりも、怒りに満ちたアグレッションとヘヴィネス重視の作風に仕上がっています。
…と書くと、カール・アルバートを喪ったVICIOUS RUMORSが迷走した90年代の作品群のことを思い出す方も多いことかと。しかしながら首魁ジェフ・ソープ(G、Vo)は、あれらで得た経験をちゃんと今回の曲作りに反映させ、同じ失敗(と敢えて表現させて貰いますが)を繰り返す愚を犯してはいません。ドスの効いた1曲目にしても、テクニカルに閃くGソロが流麗なアクセントを加えてくれますし、劇的にハモるツインGをフィーチュアしてパワフルに突っ走る④や、バラード調に始まりじっくりと盛り上がっていく⑦はVICIOUS RUMORSの真骨頂(ライブ映えしそうな⑧もユニークな存在感を放つ出来栄え)。これらの楽曲において強力な喉を披露してくれている新Voニック・ホレマンも、前任シンガーに勝るとも劣らぬ実力者であることは明白。ただ今回のようにメロディックな歌い上げよりも直線的なシャウト主体のサウンドでは、実力を十二分に発揮できているとは言い難いかな?
印象に残る楽曲とそうでない楽曲の落差が激しく(特に終盤が弱い)、問題作であることは否定できませんが、単なる自己満足のオナニー作品でないことは請け合える、そんな1枚であります。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol - Chasing the Priest ★★★ (2016-10-06 22:34:36)

賛否両論を巻き起こしそうな本編の中にあって
このスピード・ナンバーはイントロの印象的な
ツインGのハモリから、立ち塞がるモノ全てを
薙ぎ倒すようなパワフルな疾走感まで、
「これぞVICIOUS RUMORS!」という
カッコ良さに満ち溢れています。
贅沢言わせて貰えるなら、もうちょい歌メロに
起伏があっても良かったかなと。


VICIOUS RUMORS - Digital Dictator ★★ (2007-04-03 21:24:00)

JUDAS PRIESTの名曲“THE HELLION"を彷彿とさせる①の劇的極まるイントロを聴いた瞬間、
その完成度の高さを確信する、'88年発表の2ndアルバム。
前作『SOLDIERS OF THE NIGHT』発表後にヴィニー・ムーアとゲイリー・セント・ピアーが脱退。
後任としてマーク・マクギー(G)と、不世出のシンガー、カール・アルバートを迎え入れ、よりバンドの基盤を
強固なものとして作り上げられた本作は、多くのファンが「初期の傑作」と認める強力な内容を誇る。
光沢を感じさせるシャープなGリフと、益々華麗さを増したツインG(ヴィニーがいなくなった事で、
2本のGの絡みが一層濃密になった印象)をフィーチュアした楽曲の数々は、アルバム・タイトル・トラックの②、
地を這うヘヴィネスとドラマティシズムを兼ね備えた⑤、ラストを締めるスピード・チューン⑩を筆頭に、捨て曲なし。
特に、ヨーロピアンな翳りと劇的なドラマ性を湛えたリフのカッコ良さは、(後の音楽性の変化を考えるに)、
彼らの全作品中、最高レベルと言っても過言ではないような。
そして、その完成度の高さに拍車を掛けているのが、何と言ってもカール・アルバートの驚異的な歌唱。
パワー/表現力/声域の広さが揃った、まさにパワー・メタルを歌う為にあるかのようなその歌声は、
楽曲の完成度だけでなく、バンドの格をも数段引き上げている。全メタル・ファン必聴の名盤。


VICIOUS RUMORS - Electric Punishment ★★ (2013-05-21 23:09:19)

前作『RAZORBACK KILLERS』で目覚しい活躍を聴かせた日系三世のギタリスト、キヨシ・モーガンが脱退。後任にVICIOUS RUMORSの一員として来日経験もあるセーン・ラスムッセンが出戻ってレコーディング、'13年に発表された11thアルバム。
パワー漲る楽曲の数々が、バンドの現在の充実っぷりを余すところなく伝えてくれる本作は、スピード・ナンバー2連発に始まり、3曲目にはドスの効いたヘヴィ・チューンを配置した序盤の構成が物語る通り、傑作だった『RAZORBACK~』の作風を順当に受け継ぐ一方、メンバー・チェンジの影響なのかどうか、前作で楽曲のフックとなっていたドラマティックなツインGのハーモニーは減量。またブライアン・アレン(Vo)の歌うメロディも、雄々しさよりも直線的なアグレッションの強調に重きが置かれている印象が無きにしも非ず。併せて、KISS辺りが演りそうな明朗なメタル・アンセム⑥みたいな異色曲を聴くと、奥村裕司氏が解説文で「一体今のVRに何が起きているのか?」と戸惑いを隠せないのも無理からぬことかなぁ、と。
ファンとしては、パンパンにVRらしさが詰まった筋骨隆々な疾走ナンバー②や、劇的なパワー・バラード⑤といった名曲が聴けただけでもう大満足なのですが、でもまぁ、とりあえずVR未体験者には前作『RAZORBACK KILLERS』を先に聴くことをお薦めする次第。


VICIOUS RUMORS - Plug in and Hang On: Live in Tokyo ★★ (2007-04-12 21:40:00)

4th『WELCOME TO THE BALL』に伴う日本ツアーの中から、川崎クラブチッタ公演の模様を捉えた'92年発表のライブ・ミニ・アルバム。
数多くの名曲を生み出してきたバンドだけに、たった8曲のみの収録では「あれもない、これもない」という物足りなさは残るし、
ミドル・テンポの楽曲中心の選曲なので今ひとつ全体の流れに緩急が乏しい等、聴いていて気になる点も幾つかあれど、
VICIOUS RUMORSから日本のファンへのちょっとしたプレゼントである本作に対し、あーだこーだ言うのは野暮というものだろう。
過去4作から漏れなく選曲された楽曲は(そのテンポに多少の偏りはあれど)ツボは外していないし、
何より、重量感溢れるサウンドに乗っかって、パワフルなメタル・ソングの数々を見事に歌いこなす
カール・アルバート(Vo)の確かな実力がタップリと堪能出来るのが嬉しい。
また、本編の大半がミドル・チューンで固められているだけに、1stアルバムのハイライト・ナンバーの1つだった⑦のエンディングから、
一気に名曲中の名曲、スピード・チューンの⑧へと雪崩れ込む構成の鳥肌モノのカッコ良さが、一層引き立って聴こえるのも事実。
この一連の流れを聴くためだけにでも、ファンなら「買い」の1枚。


VICIOUS RUMORS - Razorback Killers ★★★ (2011-04-26 22:54:33)

ジェイムズ・リヴェラに代わる新たなフロントマンに、無名の新人ブライアン・アレンを起用して再スタートを切ったVICIOUS RUMORSが、数年ぶりに発表した記念すべき10枚目のスタジオ・アルバム。
いやー、凄い。前作『WARBALL』も、バンドの長い迷走にケリをつけ「VR IS BACK!」を高らかに宣言した力作だったが、本作はそれすらも軽く凌駕する出来栄え。
故カール・アルバートに比肩するポテンシャルを発揮しつつ、そのカールよりも攻撃的な歌唱を轟かせる新Voの加入に伴い、『WARBALL』の弱点だった歌メロのフック不足が解消。また80年代ばりの密度で絡み合うドラマテックなツインGに、マッチョなBとドスの効いたDsからなる強靭なリズム・セクションに支えられ、パワーとメロディが絶妙な融合をみた楽曲の数々は、4th『WELCOME TO THE BALL』以来の充実っぷりを誇っている・・・と言っても間違いではないような?
中でも、初期作を彷彿とさせる光沢を帯びた音色のGリフが鋭角的に刻まれる、重量感たっぷりのOPナンバー①や、勇猛なアグレッションと豊かなメロディがスピーディに併走する②⑦、筋骨隆々なパワー・チューン④、それにジェフ・ソープが「Lead Vo」のクレジットに相応しい歌声を披露してくれる⑥といった楽曲は、理想的なVR節が堪能できる名曲揃い。
ファンなので勿論彼らにはアルバムには期待していたが、その期待の遥か上を行く完成度を提示してくれた1枚。畏れ入りました。


VICIOUS RUMORS - Soldiers of the Night ★★ (2007-04-02 21:54:00)

北カリフォルニアで結成され、ヘヴィ・メタルの空洞化現象が危惧されていた80年代のアメリカで、
METAL CHURCHやSAVATAGEと並んで気を吐き、紆余曲折を経た現在もしぶとく活動を続ける
ジェフ・ソープ率いるベテラン・パワー・メタル・バンドが、'85年に発表した1stアルバム。
JUDAS PRIESTを始めとする欧州HM勢からの多大な影響を受けた、勇壮且つドラマチックなパワー・メタル・サウンドという
このバンドならではの個性は既にガッチリと確立済みで、アルバム・タイトル・トラックの④や、
劇的な名曲⑥を筆頭に、収録曲のクオリティも押し並べて高い。
しかし、それよりも何よりも本作で特筆すべきトピックは、やはり「早弾き四天王」ことヴィニー・ムーア(G)の存在。
ソロ活動でのステップUPを図る為にVICIOUS RUMORSを踏み台にした男として、ファンからの評判は芳しくない彼氏なれど、
そのGプレイの素晴しさは↑の方々が認める通り。スピード・チューンの②や、前述の④⑥等、彼が紡ぐGソロが
楽曲の完成度を高め、同時に曲中のハイライトを飾っていることは、疑いようの無い事実だ。
あと、バンドの初代Vo.ゲイリー・セント・ピアーも、なかなか頑張って歌っている事も付け加えておきたい。
そりゃ後任のカール・アルバートに比べると、ややヒステリックで聴き苦しい場面も散見されるが、
能力的には全く問題なし。ただ、エコーかけまくりのVoプロダクションは、今聴くとちょっとダサイ。


VICIOUS RUMORS - Vicious Rumors ★★ (2007-04-04 21:57:00)

前作『DIGITAL DICTATOR』のような名盤を作り上げながらも、SHRAPNELレコードからドロップアウトして
2年以上もの沈黙を余儀なくされたVICIOUS RUMORSが、一発逆転、メジャー・レーベルのATLANTICと契約を交わし、
満を持して'90年に発表した3rdアルバム。
タイトルにバンド名を冠している事からも、彼らがこの作品に賭ける意気込みの大きさが伝わってくるが、
実際、勇壮且つパワフルなVR史上屈指の名曲①で幕を開ける本作は、音作りがグッと洗練され、
スッキリと垢抜けたメジャー感漂うメタル・チューンがギュウと詰まった、ハイクオリティな内容を誇る。
メジャー・レーベルへの移籍効果でサウンド・プロダクションが格段に向上。音に厚みと重量感が生まれた事により、
①③⑦といったスピード・チューンの突進力、②④⑥といったドスの効いたミッド・チューンのヘヴィネス、共に半端ではない。
中でも、本編随一の劇的なメロディが炸裂する④と、欧州へヴィ・メタリックなリフが疾走する⑦は、
前述の①に匹敵する、本作のハイライト・チューンの1つ。
ポップとさえ言えるサビメロが印象的な⑩のような楽曲が収録されている事からも分かる通り、
ヨーロッパ的な湿り気は幾らか減少してしまったが、その分、JUDAS PRIESTからの影響をきっちり消化して、
VICIOUS RUMORS独自のアメリカン・パワー・メタルを創出してみせたジェフ・ソープの曲作りの才は、
やはり並外れたモノがある。個人的に、彼らのアルバムでは本作が一番のお気に入り。


VICIOUS RUMORS - Vicious Rumors - Don't Wait for Me ★★★ (2007-04-04 22:03:46)

3rdアルバムのOPでガツンとカマされる、雄々しいサビメロと、
ドスの効いたコーラスの対比が最高な超名曲。
3rd収録バージョンも勿論良いが、個人的にイチオシなのは
『PLUG IN AND HANG ON』収録のライブ・バージョン。
ドラマチックな“MARCH OR DIE"のエンディングを
ググ~ッと引っ張ってから、本曲のイントロ・リフが
ドカンと炸裂する場面は、失禁モノのカッコ良さを誇る。必聴。


VICIOUS RUMORS - Warball ★★ (2007-04-08 20:27:00)

アルバム・タイトルといい、ジャケット・デザインといい、そして何より楽曲といい、長い回り道を終えたVICIOUS RUMORSが
新Voとして元HELSTAR~DESTINY'S ENDのジェイムズ・リヴェラを迎え入れ、'06年に発表した会心の9thアルバム。
カール・アルバート亡き後に発表された作品は、どれも今ひとつパッとしない内容で、ジェフ・ソープへのお布施代わりに
購入はしても、殆どまともに聴く機会もないまま放置プレイの刑に処してしまっていたのだけど、この復活作は似合わない
現代ラウド・ミュージックからの影響をスッパリと削ぎ落として、ホント、お世辞抜きに最高の内容に仕上がっている。
パワフルに疾走するリフ&リズムの上に、ロブ・ハルフォードばりの耳をつんざくハイトーンVoが乗っかる
「これで掴みはOK」なスピード・チューン①に始まり、力強く勇壮なミドル・チューン④や、
全盛期に勝るとも劣らぬ強力なリフが炸裂する⑨といった楽曲を筆頭に、収録曲は何れも
1nd~5thアルバムの頃を思い起こさせる作風で、また、上記3曲にはゲストGとしてブラッド・ギルスが参加。
如何にも彼らしい派手なソロを披露して、楽曲に華を添えているの素晴しい。
カール・アルバート在籍時代と比べてしまうと、ジェイムズ・リヴェラが歌うメロディ(特にサビメロ)の弱さが
やや気になる点ながら、歌唱能力的には前任者と比較しても全く聴き劣りはないし、何より、
リーダーのジェフ・ソープが自覚的に原点回帰を志してくれた事が、俺にはもう嬉しくて嬉しくて。
再起動を果たしたVICIOUS RUMORSの、今後の活躍に大いに期待が高まる1枚。


VICIOUS RUMORS - Welcome to the Ball ★★ (2007-04-05 22:40:00)

ヘヴィ・メタルの空洞化現象が取り沙汰されていた'91年に、時代の逆風を突いて発表された実にヘヴィ・メタルらしい
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれる作品として、特に日本のファンから高い評価を得た4thアルバム。
ベテラン・バンドならではのどっしりとした貫禄を身に付け、一皮剥けた印象の前作『VICIOUS RUMORS』で開眼した
アメリカン・パワー・メタル路線を更に強力に推し進めた本作は、速い曲は更に速く、へヴィな曲は更に重くと、
よりアグレッシブな姿勢が前面に打ち出された作風で、例えばマイケル・ローゼン印の分厚い
サウンド・プロダクションのもと、パワフルなリフ&リズムが前へ前へと押し出してくる①からして既に圧巻。
それでいて大味になる事なく、疾走するキラー・チューン②や、中庸な魅力を放つ⑤、欧州風味の湿り気を
帯びたリフが炸裂する⑥、VC初のヘヴィ・バラード⑩といった楽曲で見せる叙情面への拘りにも抜かりはない。
前作に比べるとミドル・テンポの楽曲の質がやや落ちる点と、後半、少々ダレる点が惜しまれるが、
ラストを飾るスピード・チューン⑪がこれまた素晴しい出来なので、聴後感はすこぶる快調。
本作発表後、バンドは初来日を果たし、その模様はミニ・ライブ・アルバム『PLUG IN AND HANG ON』として発表された。


VICIOUS RUMORS - Word of Mouth ★★ (2007-04-07 00:16:00)

ジェフ・ソープが両腕に毛根管症候群を発症して7ヵ月間もGを弾けなくなるわ、ATLANTICレコードから契約を切られるわで、
踏んだり蹴ったり状態のVICIOUS RUMORSが、再起を賭けて'94年に発表した5thアルバム。
妙にシンプルなジャケットを見た時から予想はしてたけど、実際、気だるげな①のイントロを耳にした瞬間、予想は確信へと変わった。
全体的にドロンと澱んだ空気に覆われた、シアトル・サウンドからの影響が色濃く伺える1枚で、
ザクザクとした歯切れの良さが薄れてしまったリフには、これまでの聴き手を一発で虜にする即効性のインパクトはないが、
そのマイナス分を補うかのような踏ん張りみせるのが、Voのカール・アルバート。
パワーと表現力を兼ね備えた彼のメロディアスな歌唱は、ともすれば地味に落ち着きがちな楽曲の魅力を
力ずくでワンランク上へと引き上げている。
また、従来のVICIOUS RUMORS節が冴え渡るドスの効いたOPチューン①や、哀愁を帯びたメロディが
刻まれる⑪といった楽曲もちゃんと収録されているし、何より、事故死したSAVATAGEのG.クリス・オリヴァに捧げられた
組曲⑤⑥の素晴しさが半端じゃない。物憂げなバラード・パートを経て哀メロがキャッチーに疾走する
彼らにしては異色の仕上がりの楽曲ながら、漂う悲壮感が胸締め付ける、何となくANNIHILATORの
名曲“SOUND GOOD TO ME"に通じる雰囲気を備えた名曲だ。


VICTORY - Culture Killed the Native ★★★ (2017-04-24 22:42:22)

現在は敏腕プロデューサーとして名を馳せるトミー・ニュートンを中心に結成されたドイツの5人組が、家庭の事情により脱退したチャーリー・ハーンの後任に、オーディションの末フェルナンド・ガルシア(Vo)を迎え入れて’88年に発表した4thアルバム(邦題は『ネヴァー・サティスファイド』)。ちなみにそのオーディションには、元TYGERS OF PAN TANGのジョナサン・ディヴァリル、THUNDERHEADのテッド・ブレットらが参加していたことはよく知られた話(特にテッドは加入寸前まで行ったらしい)
本作は、エネルギッシュに歌うVoによってもたらされるアリーナ・ロック的スケール感や、合唱を誘う開放的コーラス・ワークに加え、ツインGが奏でる劇的にして湿ったメロディという、アメリカン・ロックと欧州HMの特色を併せ持ったVICTORY流HMサウンドの完成形が提示された名盤です。嘗てはそうした折衷スタイルが「美味しいトコ取り」というよりも「どっちつかず」「中途半端」に感じられ、聴くのを敬遠してしまっていたのですが、愁いを帯びつつキャッチーなVICTORY屈指の名曲⑥を始めとする優れた楽曲の数々を前にすれば、つまらない先入観に囚われていた己を恥じいるばかり。
何しろ、グルーヴィなアルバム表題曲②や、雄大なバラード③といったシングルが、アメリカのラジオ及びMTVで好リアクションを獲得し、アルバム自体も本国チャートで最高19位を記録。最終的には全世界で25万枚以上を売り上げる等、どこに出しても恥ずかしくない立派な成績を残しているのですから、その内容の充実っぷりたるや推して知るべし。
次作『TEMPLE OF GOLD』と併せて、VICTORY入門盤にお薦めする1枚です。


VICTORY - Culture Killed the Native - On the Loose ★★★ (2017-04-25 23:08:32)

ドイツのバンドらしいハードネス、胸打つ哀メロ、合唱を誘う
キャッチーなコーラスとがハイレベルな融合をみた
アルバムのハイライト・ナンバー…というか、
VICTORYの数ある名曲の中でも1、2を争うぐらい
愛して止まない哀愁のHRナンバーですよ。


VICTORY - Culture Killed the Native - So They Run ★★★ (2017-04-25 23:03:42)

フェルナンド・ガルシアのどこか憂いを帯びた熱唱が
楽曲の放つ哀愁を増幅するメロディアスHRナンバー。
Voに負けじと歌うツインGも威力抜群です。


VICTORY - Temples of Gold ★★★ (2017-03-09 22:40:01)

5th『CULTURE KILLED THE NATIVE』が全世界で25万枚以上のセールスを記録。ツアーも成功裏に終わり、更に“NEVER SATSFIED”のビデオ・クリップがアメリカのMTVでも好評を博する等、バンド史上最大のサクセスの季節を迎えたVICTORYが、その余勢を駆って’90年に発表した6thアルバム。
全盛期謳歌中のバンドの充実具合は、託された音の方にも如実に表れています。持ち前の灼熱のメタル声を駆使して歌いまくるフェルナンド・ガルシアのVoと、それを援護する爽快で抜けの良いコーラス・ワーク、軽くなり過ぎぬようサウンドの重石となるトミー・ニュートン&ハーマン・フランクのGコンビ、そしてソリッドなリズム隊がエネルギッシュに躍進する収録曲には、ライブ映えするアメリカンなノリの良さ、スタジアム・ロック的スケール感に加えて、独産バンドならではエッジの鋭さや、湿り気とドラマ性薫るメロディとが同居。「VICTORY節」を完全に確立させた本編からは、成功をモノにしたバンドならではの盤石の安定感がオーラの如く立ち昇っています。
前作をヒットさせたことで、今回は慎重に置きに来るか?はたまたはポップ路線に日和るのか?本作はそのどちらでもなく、益々切れ味を増したツインGをフィーチュアして軽快に疾走する③⑤⑦や、重厚な⑥⑦、クサくなる一歩手前で踏み止まってドラマティックに盛り上げる手腕が「らしい」⑪といった優れた楽曲の数々からも明らかな通り、むしろこれまで以上にロックする姿勢を鮮明に打ち出しているという。その意気や良し!な1枚。


VICTORY - Temples of Gold - Standing Like a Rock ★★★ (2017-03-09 22:47:40)

シャープに刻まれるGリフに軽快な疾走感、
熱いシャウトと、威勢良くハジけるキャッチーなコーラス、
それに華やかに駆け巡るGソロと
全盛期のVICTORYの魅力が凝縮された逸品です。


VICTORY - You Bought It, You Name It ★★ (2017-01-03 21:57:00)

本国では安定した支持基盤を築くも、当面の進出目標であったアメリカでは、折からのグランジ/オルタナ・ブームで従来型HR/HM人気に壊滅的な地盤沈下が発生。またここ日本において90年代に盛り上がったジャーマン・メタル・ブームにも、(典型的独産パワー・メタルとは異なる)どちらかと言えばアメリカンなノリが強く打ち出されたその音楽性ゆえ乗り損ねたドイツのVICTORY。本作は、そうしたシーンの潮流の変化の狭間で試行錯誤を重ねていた時期(’92年)に発表された7thアルバムである。…って知った風に書いてみましたけど、これが自分が初めてまともに聴いたVICTORYの作品でしたよ、確か。
上記のような理由もあって、当時のバンドはサウンドの拡散化がかなり進行。正直なところ、ホーンを取り入れてみたりファンキーに跳ねてみたりと、今聴き直しても収録楽曲はストライク・ゾーンにハマっているとは言い難い作風でして。それでもフェルナンド・ガルシアの熱く歪んだVoは問答無用で聴く者のメタル魂を燃え立ててくれますし、要所で発揮されるドイツのバンドならではのメロディ・センスも侮れないものがあります。特に、トリッキーなGリフと華麗なるツイン・リードG(あとホイッスルも)をフィーチュアして景気よく駆け抜けるOPナンバー①や、マカロニ・ウェスタン風味のバラード⑤、本編中において最もヨーロピアンHRテイストを感じさせてくれる⑧等は、「これがあるから本作は手放せないんだよな~」と思わせてくれる秀曲ではないかと。
VICTORY入門盤としては、先に聴くべき作品が他に幾つもあるかもしれませんが、それらが気に入ったならば本作も是非どうぞ。


VICTORY - You Bought It, You Name It - God of Sound ★★★ (2017-01-03 22:02:46)

ツインGを活かした欧州HMらしい湿り気とドラマ性、
それにサビを彩るビッグなコーラスとが合体した
VICTORYの魅力爆発な逸品。
フェルナンド・ガルシアのVoも熱い。


VICTORY - You Bought It, You Name It - Rebel Ready ★★ (2017-01-03 22:14:36)

溌剌と疾走するビートに乗って
リズミカルに刻まれるGリフが妙にクセになる
アルバムのOPナンバー。
元気よく吹き鳴らされるホイッスルを聞くと
つい条件反射的に走り出したくなりますね。


VIKING - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:52:18)

METAL MASSACREシリーズへの楽曲提供が縁で、METAL BLADEからデビューを飾ったLA出身の4人組、VIKINGが'88年に発表した1stアルバムで、LAと聞いて思い浮かべる、青い空、燦々と降り注ぐ太陽、モダンな都会に美男美女・・・なんてお洒落キーワードとはビタ一文無縁の、暗くて湿気ってて貧乏臭い、だが最高にバイオレントで血沸き肉踊るスラッシュ・メタル・サウンドが堪能できる逸品。
アンサンブルがバラける寸前まで前傾姿勢を取り、ハイテンションに畳み掛けるVoと、ガリガリと高速で刻み込まれるGリフ、猪突猛進を繰り返すリズム、それにヒステリックなGソロとが土砂崩れ式に押し寄せる作風は、初期SLAYERやDARK ANGELを彷彿。(彼らをもっとハードコア化した感じか)
また直球勝負のバンド名に相応しく、好戦的且つ殺伐とした空気が全編に渡って充満しているのも本作の特徴だが、北欧を中心に盛り上がりを見せる昨今のヴァイキング・メタルに比べると、こっちのヴァイキング描写は物凄く浅い(笑)。闘争本能だだ漏れで暴れ回る野蛮人っぷりだが、それだけに殺気全開で突っ走る楽曲の数々は一種異様な迫力を発散。猛々しくも重厚に攻めて来る⑤や、ほんのりドラマティックなイントロがくっ付けられた⑧、そしてクールなGリフが炸裂する本編屈指の名曲(アルバム表題曲でもある)⑨のカッコ良さには、思わず血管がブチ切れそうになるってもんです。
ラジカセ録音レベルの不明瞭極まりない音質や走り気味の演奏等、ぶっちゃけマニア向け作品なのは否定のしようもないが、「やってやるぜ!」的初期衝動を発露に圧倒されてるうちに、あれよあれよと聴き通せる1枚。個人的には名盤です。
とは言え、もっとカッチリとした仕上がりのスラッシュ・メタルがお好みという方には、次作『MAN OF STRAW』がお薦めだが。


VIKING - Do or Die - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:54:22)

凄まじい突進力で1stアルバムを締め括る
高速スラッシュ・ナンバー。
クールなGリフと、サビの“DO OR DIE!”を
メロディアスに歌うVoが、そこはかとなく
パワー・メタリックな雰囲気を漂わしているような。


VIKING - Man of Straw ★★ (2007-02-28 21:14:00)

LA出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表の2ndアルバム。スラッシャーの間では、
後に中心メンバーの1人であるブレット・エリクセン(G)がDARK ANGEL入りする事で知られているバンドだが、
音楽性の方も「小型DARK ANGEL」的な味わいが濃厚。(そのD.Aからロン・ラインハートがバックアップVoとして⑦に参加している)
デビュー作『DO OR DIE』から格段に向上したサウンド・プロダクションのもと、楽曲に緩急を取り入れ、
時にツインGがメロディアスなフレーズを紡ぎ出したりと、意欲的に表現の幅を広げに掛かった姿勢には
好感が持てるのだけれど、スピードにしろリフにしろメロディにしろ、今ひとつパンチ不足で、
例えば先輩格のDARK ANGELと比較すると、小さくまとまってしまっているとの印象は否めない。
しっかりと歌うVo(しかもこれがかなり上手い)をフィーチュアしたパット・べネターのカヴァー⑦、
緊迫感を伴ったメロディが疾走する⑧、タイトな疾走感が小気味良い⑨と、アルバム後半は尻上がりにテンションが
高まっていくので、このレベルの楽曲が前半に1、2曲配置されていれば、本作の印象は尚向上したと思われるのだけど・・・。
ともあれ、スピードよりも完成度に重きを置いた意欲作としては評価できる。佳作。


VIKING - Man of Straw - Creative Divorce ★★ (2007-03-18 18:06:12)

切迫感を漂わせたリフ・ワークにリード・プレイと、
Gが非常に良い仕事をしている高速スラッシュ・チューン。
スリリングなソロも◎。
テンション高めなVoも勢いに溢れていてカッコイイ。
2ndアルバムではこの曲が一番好きかな。


VIKING - Man of Straw - Hell Is for Children ★★ (2007-03-18 18:11:09)

パット・べネターの名曲のカヴァー。
きっちり自己流に料理されていて、正統派へヴィ・メタリックな
仕上がり具合がなかなかにカッコイイ。
Voがメロディアスに歌っているのだが、これがまたかなり上手い。
また、先輩バンドのDARK ANGELから、
Voのロン・ラインハートがバッキングVoとして参加している。


VILLAIN ★★ (2009-02-04 21:47:00)

JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、RAINBOWといったバンドに影響を受けたギタリスト、レオン・B・スミスが中心となって
'83年にカリフォルニア州はモデストにて結成。Bはトミー・シスコ、Voの座には、進展のないRUFFIANSでの活動に
見切りをつけたカール・アルバートと、後にVICIOUS RUMORSに参加する事となる面子が顔を揃えていた。
'86年、レコード契約を得るべく自主制作で、7曲入りEP『ONLY TIME WILL TELL』をレコーディング。
非常に優れた内容にも関わらずレコード会社からは完全に無視され、VICIOUS RUMORSにカールが引き抜かれた事もあってバンドは解散へと追いやられてしまう。
'95年、『ONLY TIME WILL TELL』が日本でCD化され(リミックスを担当したのはVICIOUS RUMORSのジェフ・ソープ)、
再評価の機運が高まったタイミングで、再結成アルバム『CHEQUERED PAST』をリリース。
(奇しくもカール・アルバートの事故死と同時期の発表となった)
ややモダン寄りになったとは言え、高品質のパワー・メタル・アルバムに仕上がっており、以後の活動に期待が
高まったが、結局、パッとしないままシーンからフェードアウト・・・。今は何をやってんでしょうね。


VILLAIN - CHEQUERED PAST ★★ (2009-02-07 01:03:00)

カール・アルバートにも匹敵する実力派シンガー、ジェリー・デレオンを獲得して復活を遂げたVILLAINが、'95年、
そのカールの死去とほぼ同時期に発表した再結成アルバム。(内パケに載せられた、在りし日のカールの姿を捉えた写真が泣かせます)
'86年に自主制作されたEP『ONLY TIME WILL TELL』が、1st~2ndの頃のVICIOUS RUMORSを思わせる、劇的なパワー・メタルの
名盤だったのに対し、今回は、4th『WELCOME TO THE BALL』以降のVICIOUS RUMORSを思わせるアメリカン・パワー・メタル路線。
当時、アメリカで猛威を振るっていたモダン・へヴィネス症候群に目もくれない硬派な姿勢は非常に好ましいものの、
復活作と言う事でやや力み過ぎたのか、メロディにフックが不足気味で(これは『WELCOME~』以降のVICIOUS RUMORSにも
当てはまる話なんだが)、また、明るいロックンロール・タイプの楽曲を収録したり、アリス・クーパーのカヴァーを
演ってみたりと、音楽性も拡散の方向へと進んでいるため、一聴してのインパクトはデビューEPに比べると少々弱い。
これぞパワー・メタル!な③、メランコリックな④、ヘヴィ・バラード⑩等、ジェリー・デレオンの卓越した
歌唱能力の活かされた名曲・佳曲もしっかりと収録されている辺りは流石なのだけど・・・。
聴き終えた後の満足感は決して小さくはないのだが、個人的にデビューEPへの思い入れが強すぎるため、
どうしても「このVoで『ONLY TIME WILL TELL』路線の音楽を演ってくれたら・・・と思ってしまうわけで。


VILLAIN - ONLY TIME WILL TELL ★★ (2009-02-04 21:49:00)

'95年に突然の交通事故で他界した不世出の名シンガー、カール・アルバートが、VICIOUS RUMORS以前に
参加していたことで知られる、カリフォルニア州モデスト出身の5人組パワー・メタル・バンドVILLAIN。
本作は、その彼らが'86年に200枚限定で自主制作した7曲入りデビューEP(1stフルなのか?)に当たる。
'95年に発表された再結成アルバムでは、幾らかモダンな要素も飲み込んだアメリカン・パワー・メタルを演っていた彼らだが、
ここで聴く事が出来るのは、欧州風味が色濃く薫る、混じりっけなしの正統派パワー・メタル。JUDAS PRIEST直系の
Gリフにドスの効いたリズム。劇的なメロディを紡ぎ出すツインG、そして楽曲を印象的に彩るボーカル・ハーモニー等、
初期VICIOUS RUMORSとの共通点も多々感じられるそのサウンドの要は、やはりカール・アルバートのVo。RUFFIANSの頃は
まだ線の細いハイトーン・シンガーといった趣きだったカールだが、声域/声量/表現力と、ここでは既にVR時代に通じる
歌唱能力が全面開花(迫力に関しては今一歩及ばないけど)。特に、彼のパワフルなVoと、スピーディ且つアグレッシブな
楽曲のカッコ良さとがガップリと組み合った①(タイトルからして“KAMIKAZE"ですぜ?)は名曲中の名曲。
それ以外にも、QUEENのカヴァー③を含む全7曲、捨て曲はなし。VICIOUS RUMORSファンならずとも、
パワー・メタル好きなら是非ともチェックして頂きたい1枚。


VILLAIN - ONLY TIME WILL TELL - KAMIKAZE ★★★ (2009-02-04 21:58:26)

スピーディ且つアグレッシブな、まさにタイトル通りの
勇壮さに満ちたパワー・メタル・チューン。
JUDAS PRIEST直系のシャープなGリフのカッコ良さだけで
正統派HMファンならノックアウトは確実かと。


VILLAIN - ONLY TIME WILL TELL - SHE'LL MAKE YOU FALL(IN LOVE) ★★ (2009-02-06 23:03:53)

ピアノとアコギを用いてバラード調に始まり、
途中、へヴィ且つ雄々しく盛り上がりつつ、
最後は再びバラード調に戻って幕を閉じるという
教科書通りのドラマティックな展開を聴かせてくれる名曲。


VINCE DICOLA - Only Time Will Tell ★★★ (2022-02-21 22:23:39)

映画『ステイン・アライヴ』や『ロッキー4』のサントラに参加したことで、音楽シーンでの知名度を一気に上げたマルチ・アーティストのヴィンス・ディコーラが、長年にわたり様々なミュージシャンとコラボして作り溜めて来たマテリアルを取りまとめ、'21年にソロ名義で発表した作品。
ゲストVoとして招かれているスティーヴ・ウォルシュ(KANSAS)、ボビー・キンボール(TOTO)、ジェイソン・シェフ(CHICAGO)、スタン・ブッシュetc…といった顔触れから、てっきり歌モノのロック・アルバムに仕上がっているものと思いきや、開幕を告げるOPナンバー①はなんとゴリゴリのプログレ・メタル・ナンバー。いきなり意表を突かれましたが、聞けば元々はプログレ畑でミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせた方のようで、脇役に埋没せず、アレンジの要となって曲展開を引っ張るKeyのリード楽器ぶりや、アルバムを壮大に締め括る大作⑬のようなドラマティックな楽曲からは、彼がルーツ・ミュージックに寄せるリスペクトを窺い知ることが出来るのではないかと。
とはいえ本編の軸となるのはやはりメロハー路線の楽曲であり、特にバラード系の楽曲はどれも秀逸の出来栄え。世が世なら大ヒットは確実なハート・ウォーミングな③(Voはジェイソン・シェフ)、ボビー・キンボールがエモーショナルに歌い上げる⑦、幻に終わってしまったスティーヴ・ウォルシュとのプロジェクト用に書き上げられたという⑨なんか取り分け印象に残る仕上がり。
ベテラン・ミュージシャンの技前がしっかりと発揮された、次回作も期待したくなる充実作です。


VINCE DICOLA - Only Time Will Tell - Miracles ★★★ (2022-02-23 01:11:01)

80年代に世に出ていたならば、映画やドラマの主題歌、あるいはCMソングに
起用されてきってヒットを飛ばしていたろうに・・・と思わずにはいられない
フックの効きまくったバラード。歌っているのはCHICAGOのジェイソン・シェフ。


VINCE DICOLA - Only Time Will Tell - Suffer the Children ★★★ (2022-02-23 01:22:17)

アルバムを締め括る8分以上に及ぶ大作ナンバー。
ヴィンス・ディコーラがプログレッシブ・ロックに捧げる
愛情の程が伺えますが、難関さよりも映画のサントラ的な
壮大さを前面に押し出し、メロディも叙情的でキャッチー。
あくまで親しみ易い仕上がりな辺りにも
この人の曲作りの拘りが見て取れます。


VINNIE VINCENT INVASION - All Systems Go ★★ (2008-02-02 13:13:00)

KISS相手に訴訟を起こした結果、敗訴。今やケツの毛まで毟られそうな勢いのヴィニー・ヴィンセントが、
嘗て、そのKISS脱退後に結成したVINNIE VINCENT INVASIONから、'88年に発表した2ndアルバム・・・というか、
珠玉の名バラード“LOVE KILLS"を収録した作品としての方が有名か?
斯く言う自分も“LOVE~"目当てで本作を購入し、それ以外の曲は殆どまともに聴いて来なかったりするのだが、
今回、改めて腰を据えて聴き直してみたら、これが結構良い曲が多くて嬉しい驚きを覚えました。
と言っても、やはりカラッと明るいアメリカン・ロック調の楽曲は肌に合わず(クオリティよりも単に好みの問題)、
また、マーク・スローターの超音波ハイトーンVoも、迫力ではあるものの、ずっと聴いていると一本調子で
疲れてしまうので、ここは通して聴くのは遠慮させて貰い、フックの効いたサビと、ユニークで劇的なヴィニーのGプレイが
印象的な①、溌剌と弾ける曲調に思わず体が動く②、名バラードと名高い③、その“LOVE KILLS"と同タイプの
盛り上がりをみせる⑧、大陸的な雄大さが心地良いバラード⑩、そして正統派へヴィ・メタリックな疾走ナンバー⑫
・・・といった楽曲辺りを摘み食いさせて頂きたい。
既に廃盤の国内盤には妙なプレミアがついてしまっているが、現在では安価な輸入盤が出回っているので、未聴の方はそちらをどうぞ。
運や性格の悪さばかり悪目立ちしてしまっているヴィニーだが、豊かな才能を持ったミュージシャンだった事は間違いない。


VINNIE VINCENT INVASION - All Systems Go - Love Kills ★★★ (2008-02-02 13:38:28)

VINNIE VINCENT INVASIONと言えば、
やはりこの珠玉の名バラードがトドメを刺す。
とてもアメリカのバンドとは思えない、
切なくもドラマティックな曲調が泣けて泣けて仕方がない。
この1曲のためだけでも、「ALL SYSTEMS GO」を買う価値あり。


VINNIE VINCENT INVASION - All Systems Go - That Time of Year ★★★ (2008-02-02 13:42:11)

“LOVE KILLS"と同タイプの盛り上がりを見せる
ドラマティックな名曲。
超音波ハイトーンで知られるマーク・スローターのVoだが、
個人的には、この曲で聴けるような無理に力まず、
中音域をメインにした歌い回しの方が好み。


VIO-LENCE - Eternal Nightmare ★★★ (2017-03-21 22:02:45)

現MACHINE HEAD、ロブ・フリンとフィル・ディメルのGコンビが在籍していたサンフランシスコ出身の5人組が、MCA傘下のメタル専門レーベルMECHANIC第1弾アーティストとして'88年に発表した1stアルバム。邦題は『悪夢』。(ジャケが秀逸っすな)
アメリカのスラッシュ・メタル第1世代のデビュー作の多くには「NWOBHMの洗礼を受けた過激な正統派HM」という体のサウンドが封じ込まれていましたが、対して彼らに影響を受けて活動をスタートさせた第2世代以降のバンドの場合は、デビュー作からして完全にスラッシュ・メタル路線に焦点が定まっていて、何なら1stアルバムが最も強力にスラッシュしている連中が殆どじゃね?ぐらいのもので。
そういう意味では、ショーン・キリアンの熱に浮かされたようなハイピッチVo、音数を詰め込んでせかせか疾走する焦燥感溢れるリズム、そして鼓膜をジャキジャキと切り裂くエッジの立ちまくった「これぞベイエリア・クランチ」な音色で刻まれるGリフが託されたこのVIO-LENCEのデビュー作は、まさしく第2世代スラッシャーの教科書と言うべき仕上がりではないかと。
6分越えの長尺を暴れ回るツインG主導でテンション高く突っ走る①、轟砲一発、一気呵成に畳み掛ける②から、加速度的にクレイジーネスが高まっていく様が最高な⑥を経て、緩急を盛り込みつつラストスパートをぶちかます⑦まで、全7曲、収録時間はタイトに絞り込んで30分台。荒々しくもどこかキャッチーなギャング・コーラスがもたらす体育会系的ノリの良さをも伴った、獰猛にして爽快なスラッシュ・メタル・アルバムの力作です。


VIO-LENCE - Let the World Burn ★★★ (2022-06-23 23:34:19)

現MACHINE HEADのロブ・フリンらを輩出したことでも知られるVIO-LENCE。00年代に入って復活を遂げるも、散発的にライブを行う程度に留まっていた彼らが、フィル・ディメルがMACHINE HEADを脱退してVIO-LENCEに本腰を入れたことで活動が加速。’22年、遂に待望の新作リリースと相成りました。しかもギターの片割れが元OVERKILLのボビー・ガスタフソンというサプライズ人事まで引っ提げてのご帰還ですよ。
多少なりとも時流に影響された仕上がりだったVIO-LENCEの最終作『NOTHING TO GAIN』や、フィルのMACHINE HEADでのお仕事を踏まえると、出来栄えに関しては多少懐疑的にならざるを得なかったのが正直なところでしたが、聴いて吃驚、ショーン・キリアン(Vo)の切迫感を煽るシャウトといい、鼓膜を切り裂かんばかりにジャキジャキと刻まれるGリフの質感に、突っ込み気味に疾走するリズムといい、これが20年以上の不在期間を一瞬で飛び越えてしまう、紛うかたなきVIO-LENCE流スラッシュ・サウンドが全編に亘って炸裂しているじゃありませんか。例えば②なんて「1stや2ndアルバム収録曲を現編成でリメイクしました」と言われたら信じてしまいそうなぐらいの仕上がりですよ。
無論、現代的にアップデートされた音作りや、衝動性よりも重厚さの勝る楽器陣等、経年によってもたらされる変化も本編にはくっきりと刻まれていますが、全5曲というEPサイズのボリュームも奏功して、細かいこと考え込む前にスカッと走りきっているという塩梅。
来日公演のドタキャン騒動でミソが着いてしまった彼らですが、ここは是非ボビーを含む編成で来日して頂き、汚名を返上して欲しいところであります。


VIO-LENCE - Let the World Burn - Screaming Always ★★★ (2022-07-06 00:30:01)

鋭くエッジの切り立ったGリフ、独特の切迫感で畳み掛けるリズム、
そして何よりショーン・キリアンがシャウトするサビ部分が
猛烈に「ああ、VIO-LENCEっぺー」となるスラッシュ・ナンバー。


VIO-LENCE - Oppressing the Masses ★★★ (2006-10-05 23:02:00)

1st『悪夢』をいきなり米メジャー、MCA傘下のMECHANIC RECORDSからリリースして華々しくデビューを飾るも、それ1枚きりであっさりドロップ。その後、ベイエリア・スラッシャーといえばここ!のMEGAFORCEと新たに契約を結び、’90年に発表した2ndアルバム。タイトルは『オプレッシング・ザ・マッセズ』…って、これにも何か気の利いた邦題をつけたれよと。シュールなジャケットはなかなかのインパクト。
VIO-LENCE作品に初めて触れたのが本作で、その割には碌に聴きもせず長らく箪笥の肥やしにしていましたが、ここ最近の(己の中での)ベイエリア・スラッシュ熱の高まりが昂じて、改めて引っ張り出して来て聴き直してみたら…いや、なかなかどうして力作でした。
LAAZ ROCKITにも匹敵する獰猛な音色で切り刻まれる、輪郭のクッキリとしたクランチ・リフ、切迫感を醸し出す上擦り気味のシャウトVo、気合の入った掛け声コーラス、「ヴァイオレンス」なんてバンド名に反して、実は結構メロディックなソロを要所で閃かせるGチームetc.…いずれも聴き応え十分。でも実は何より気に入っているのは、音数を詰め込みまくって突っ走るDsという。畳み掛ける性急なビートには体内のスラッシュ魂にボッと火を点される思いですよ。多少のドタバタ感はあれど、そのタメ知らずの前のめりっぷりに却ってグッと来ます。
歌詞がヤバ過ぎて発禁食らった⑤が代表曲として知られていますが、存外キャッチーですらある掛け声コーラスをフィーチュアして憑かれたように突っ走る①⑥⑨等、それ以外の収録曲の平均レベルもかなり高め。クオリティでは前作に一歩も引けを取りませんよ。


VIO-LENCE - Oppressing the Masses - Torture Tactics ★★★ (2017-03-21 23:59:27)

日本盤では2ndの5曲目に収録されていましたが、
拷問について歌った歌詞が検閲に引っ掛かり海外盤ではカット。
後にEPとしてリリースし直されるという経緯を辿ったことで、
「VIO-LENCE=やばいバンド」とのイメージを決定付けた発禁ソング。
そうした二次情報がなくとも、十分にカッコ良さの伝わる
スラッシュ・ナンバーなんですけどね。


VIOLENT FORCE ★★ (2008-05-10 09:49:00)

'84年、西ドイツはヴェルバートにて結成。レミー(Vo、G)、スタッケル(G)、ヴァルディ(B)、そしてアトミック・シュタイフ(Ds)という
ラインナップで活動を開始。初期の頃はMORTORHEADの影響下にある音楽を演っていたが、その後、徐々にスラッシュ路線へと移行。
'85年制作の『DEAD CITY DEMO'85』『VELBERT DEAD CITY』と、'86年制作の『DEAD CITY-THE NIGHT』という3本のデモ・テープが評判を呼び、
噂を聞き付けたROADRUNNER RECORDSとレコード契約を結ぶ。
デビュー作のレコーディング直前に、アトミック・シュタイフが脱退するというアクシデントに見舞われるも
(彼はその後LIVING DEATHへと参加)、後任にユルゲン・ヒレブランドを加入させ事なきを得る。
この時、残された難易度の高いドラム・パートをこなすため、アトミックがレコーディング作業に
付きっ切りでユルゲンにアドバイスを送ったという、ちょっと良いエピソードあり。
そんなこんなで完成した1st『ASSAULT OF TOMORROW』は、'87年にリリース。(ちなみにプロデューサーは名手カレ・トラップ)
タイトに畳み掛けるリズムと、切れ味の鋭いツインGが猛然と疾駆する、如何にもジャーマン・スラッシュ・メタルらしい猛々しいサウンドが
好評を博し、バンドはLIVING DEATH、SODOM、ASSASIN、DEATHROWなんかと積極的にドイツ国内をツアーして回るも、'89年に解散。
リーダーのレミーは、その後、SACRED CHAOに参加した事で知られる。


VIOLENT FORCE - Malevolent Assault of Tomorrow ★★ (2008-05-10 02:12:00)

ジャーマン・スラッシュ・シーン屈指の名ドラマー、アトミック・シュタイフが、そのキャリアをスタートさせた
バンドとしても知られる、5人組スラッシャーVIOLENT FORCEが、'87年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
・・・なんだけど、実の所、本作のレコーディング前に既に彼氏は脱退済み(その後、LIVING DEATHに参加)。
アルバムでは後任のユルゲン・ヒレブランドがDsを叩いているが、ドラム・パートの難易度が非常に高かったため、
アトミック・シュタイフがレコーディング中に、付きっきりでアドバイスを送ったという、ちょっと良い話あり。
その甲斐もあって本作は、タイトに畳み掛けてくる、手数の多いDsを中心にガッチリとまとまり、メロディを無視して
吠えまくるアグレッシブなVo、攻撃的に動き回るB、そして、マシンガンの如き刻みの細かいリフから、
メロディックなソロまで、機動力を活かして大活躍するツインGとが、一丸となって猛然と突っ走る、
「これぞまさに王道ジャーマン・スラッシュ・メタル!」といった感じの、痛快極まりない内容に仕上がっている。
全編、これ押せ押せの猛々しい作風ながら、MORTORHEADばりの爆走OPナンバー①に始まり、スピーディ且つ勇猛な②③、
IRON MAIDENからの影響が薫るインスト曲⑤、正統派へヴィ・メタリックなGソロが炸裂するバンドのテーマ・ソング⑦、
SLAYERばりの殺傷力を備えたリフが突貫するハイスピード・ナンバー⑩・・・と、最初から最後まで
全く飽きさせない曲作りの上手さは見事という他ない。特に、畳み掛ける疾走感と、劇的なインスト・パートが
融合を果たした⑥は、VIOLENT FORCEというバンドの魅力が判り易く詰め込まれた、本編のハイライト的存在。
LIVING DEATH、SODOM、HOLY MOSES・・・と、アトミック・シュタイフがこれまでに在籍したバンド群を
気に入ったファンなら、間違いなく「買い」の1枚。ジャーマン・スラッシュ・メタルの隠れた名盤の1つですよ!


VIPER - Maniacs in Japan ★★ (2017-01-04 22:26:46)

ブラジルのVIPERが、'93年に川崎クラブチッタで行った初来日公演の模様を捉えた実況録音盤。
メロディック・パワー・メタルの名盤と評判の『THEATER OF FATE』(’89年)で一躍注目を集めるも、間もなくアンドレ・マトスが脱退。その後発表された3rd『EVOLUTION』(’92年)における大胆な音楽性の刷新がファンの間で賛否両論(つか圧倒的に「否」の意見が優勢だった)を巻き起こす中敢行された来日公演ということで、タイミング的には最悪もいいところ。動員もあまり良くなかったと記憶しておりますが、にも拘らずここに収められたライブが熱狂的な盛り上がりを聴かせてくれるのは、当日会場に集結したのが(批評に左右されない)筋金入りのVIPER MANIACSだったこと。そして、メタルというよりはロックンロール/パンキッシュな疾走感に貫かれたサウンド(QUEENの“WE WILL ROCK YOU”の倍速カヴァーもパンク・バンドが演りそうなアイデアですよね)が、スタジオ盤よりもライブで聴く方が遥かにカッコ良く響いたことがその要因でしょうか。
ハッキリ言ってシンガーの歌唱にしろ、楽器陣の演奏にしろ、初来日の喜びと緊張がない交ぜになって先走っているようなパフォーマンスは相当に危なっかしいのですが、このサウンドには不思議とそうした《気合一発!轟音で押しまくる、若さ溢れるライブ》(帯より)なノリがマッチしていて、文句を付ける気が起きません。⑩におけるバンドと会場が一体となった盛り上がりっぷりなんて何度聴いてもアガるものがありますよ。
「胸が熱くなる」と言うよりは、「気分がほっこりする」タイプのライブ盤なれど、大好きな作品です。VIPER再評価の切っ掛けの一つにどうぞ。


VIPER - Soldiers of Sunrise ★★★ (2017-12-03 00:01:31)

ブラジルのHR/HMシーン黎明期をSEPULTURAと共に支えた功労者、VIPERの記念すべきデビュー作。('87年発表)
マニアのハートと涙をカツアゲした必殺の名曲“MOONLIGHT”収録の2nd『THEATER OF FATE』は、アンドレ・マトス(Vo)主導でクラシカルなメロディが大幅増量された、後のANGRAにも通じるメロディック・パワー・メタル作品でしたが、収録曲の殆どが’85年~’86年頃に書かれているという本作で聴かれるのは、エピック・メタル調の「いかにも」なアートワークとイマサンな音質の下、スラッシーなササクレ感を撒き散らすGリフが刻まれ、リズムは若さに任せて疾走に次ぐ疾走を繰り返す、IRON MAIDENやNWOBHMの洗礼を受けた荒々しいパワー・メタル・サウンド。
尤も、バンマス役を担うピット・パシャレル(B)の演奏はスティーヴ・ハリスというよりマーカス・グロスコフ風で、マトスが雄々しく歌うメロディやコーラスの組み立て等からは、次作で結実するメロパワ・メタリックな要素を既に十分聴き取ることが可能。特に勇壮に駆け巡るBラインのカッコ良さが肝のOPナンバー①や、ドラマティックなアルバム表題曲⑥は血沸き肉躍る名曲。まぁでも個人的に最もグッとくるのはもろメイデンな②なんですけどね。好戦的曲調のサビで炸裂する「オ~オオ~オ~♪」のコーラスは、聴く度に「ダセェ」「でも最高!」と血中メタル・ゲージがもりもり上昇していくのを感じますよ。
音質にしろパフォーマンスにしろ青さが目立つのは事実ですが、これを平均年齢16歳の新人が作り上げたとあっては、こりゃもう拍手喝采しかありません。2ndより好きだなぁ。


VIPER - Soldiers of Sunrise - Knights of Destruction ★★★ (2017-12-03 00:07:52)

荒々しく刻まれるGリフ、いっぱいいっぱいで危なっかしい
マトスのVoやDs等、全体的に勢い任せな部分が目立ちますが
いやでもカッコイイ。歌メロの組み立てからは次作で
大きく花開くドラマティックなメロパワメタルの萌芽が聴き取れますし、
マーカス・グロスコフばりに派手に動き回り、疾走感溢れる楽曲を
牽引するピット・パシャレルのBプレイにも耳惹かれます。


VIPER - Soldiers of Sunrise - Nightmares ★★★ (2017-12-03 00:16:46)

うーん、メイデン。
メロパワ・メタルというよりもIRON MAIDENやNWOBHMからの
影響がストレートに打ち出されたアグレッシブに畳み掛ける疾走チューン。
サビメロに被さる「オ~オオ~♪」コーラスが
ダサイんだけどカッコ良く、聴く度にアガります。
この感覚的EUROPEの“SEVEN DOORS HOTEL”のコーラスに近い感じか
個人的にはアルバムのハイライトですよ。


VIPER - Soldiers of Sunrise - Soldiers of Sunrise ★★★ (2017-12-03 00:11:30)

長尺を物ともしないドラマティックな曲展開といい、
今にも引っ繰り返りそうで危なっかしいVoといい、
確かに『WALLS OF JERICHO』を発表した頃の
HELLOWEENを彷彿とさせます。
バンドの秘めたポテンシャルを感じさせてくれる、
アルバム表題曲に相応しいエピック・ナンバー。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins ★★ (2020-02-13 00:04:31)

前作『AGE OF CONSENT』(’89年)における大胆な音楽性刷新の試みが不首尾に終わり、開店休業状態に陥っていたデイヴィッド・ディフェイ(Vo)率いるNY出身のパワー・メタルの雄VIRGIN STEELEが、4年のブランクを経て'93年に発表した5thアルバム。
ちなみに自分が初めて買った彼らのアルバムがこれ。何でよりにもよって迷走期の作品を?と我ながら思いますが、当時は彼らの初期作は殆どが廃盤で入手困難、本作のみゼロ・コーポレーションから国内盤が発売されたので、これ幸いと購入したんだっけなぁと。あの頃はゼロのカタログを片っ端から買い漁ってましたし。…なんて思い出話はさておき。
クラシカルな小曲④から重厚な⑤へ繋ぐ展開に往年の残り香を微かに留める程度で、基本的に本編の主体となるのはバラード系の楽曲。パワーメタル色ほぼ皆無のアメリカンHR路線が更に突き詰められている今作は、もし1stや2ndをこっちより先にチェックしていたら失望感も半端なかったでしょうが、幸か不幸か、この時点じゃ彼らに対する思い入れや知識が殆どなかったため「何か噂に聞いていたパワー・メタルじゃないけど、これはこれで結構好きだなぁ」とフラットに受け入れることが出来たという。特に哀愁のハードポップ②は名曲ですよ。“DANGER ZONE”の面影は欠片も見当たらずとも、キャッチーなメロディが心を潤してくれる逸品。また初期はクセの強さで評価が割れがちだったデイヴィッドのVoもこの頃には成長著しく、ラストをしっとり締め括る⑭における裏声シャウトを織り交ぜた情感豊かな歌声なんて、実力派シンガーの貫禄すら漂ってくるぐらいで。
迷走期とはいえ、ちゃんと歯応えある内容に仕上げてくれている辺りは流石。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins - Last Rose of Summer ★★★ (2020-02-14 00:13:35)

アルバムをしっとりと締め括るリリカルなバラード。
歌唱能力に関しては評価が割れがちなデヴィッド・ディフェイですが
ピアノをバックに、ファルセットを駆使して、エモーショナルに、
切々と歌い上げるこの曲におけるパフォーマンスからは、
立ち昇る「実力派シンガー」のオーラを幻視することができますよ。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins - Love Is Pain ★★★ (2020-02-14 00:07:14)

エピック・メタルの面影は欠片も見当たりませんが、
そこはかとない哀愁と爽やかなポップ・センスが同居した
秀逸なメロハー・チューンに仕上がっています。
デイヴィッドの濃いVoも意外にキャッチーな曲調にマッチ。
VIRGIN STEELEの名前で演る必要があったかどうかはさておき
名曲であることは疑う余地がありませんよ。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele ★★★ (2020-02-16 23:56:29)

USエピック・メタルの開祖バンドの一つとして名前が挙げられるVIRGIN STEELEが、MUSIC FOR NATIONS第一弾アーティストとして’82年に発表した1stアルバム。ちなみに当時ちゃんと日本盤もリリースされていて、その際の邦題は『危険地帯』だったという。
さてその本作、'82年という時代を考慮しても音が悪い。また彼らならではの大仰でオペラティックなサウンドを期待すると、本編の半数を占めるのはラフなノリのロックンロールだったり、ついでにデイヴィッド・ディフェイ(Vo)が繰り出すシャウトは「子犬の鳴き声」と評したくなる線の細さだったりと、VIRGIN STEELE入門盤にチョイスするにはなかなかクセの強い仕上がりです。
要は個性確立を模索する過渡期の作品と言えるのかもしれませんが、クラシカルなイントロ序曲からパワフルに炸裂するアルバム表題曲にして、VSの名をマニアに知らしめた名曲①を手始めに、ピアノの小曲④を導入に濃厚な泣きを発散しながら綴られる⑤、ジャック・スターのGとデイヴィッドが奏でるKeyが火花を散らす様式美HMナンバー⑥、バンドのテーマ曲としてアルバムのトリを飾る⑫等、VIRGIN STEELE節がギラリと牙を剥く劇的な楽曲もしっかりと配されており、決して退屈な内容でない。…というか、むしろクオリティは高いレベルを維持していて、既に曲作りの手腕には必要十分な冴えが感じられます。
イマサンな音質に、強めのロックンロール・テイスト、それでいて要所を締めるドラマティックな楽曲の強力な存在等々…。個人的にはMANOWARの1st『地獄の鎮魂歌』に通じる魅力が見い出せる1枚かと。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele - Children of the Storm ★★★ (2020-02-17 23:01:09)

勇壮にしてアグレッシブ。Keyの導入も自然且つ効果的で
VIRGIN STEELEというバンドの原石の魅力が凝縮された名曲。
VoとGが互いにバチバチ火花散らして「どやさ!」と好き勝手
自己主張しまくっているのですが、それがむしろ楽曲のテンションを
ギンギンに高める好結果に繋がっているという。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele - a) Minuet in G Minor / b) Danger Zone ★★★ (2020-02-17 22:53:17)

ドラマティックなHRバージョンにアレンジされたバッハ作曲(実は別人の作曲らしいですが)
“メヌエット ト短調”をイントロ代わりに荒々しく炸裂するVIRGIN STEELEを代表する名曲の一つ。
評価が割れるデイヴィッド・ディフェイのVoですが、この曲におけるシャウトは個人的には
嫌いじゃない…というか寧ろ、野生動物が外敵を威嚇しているような攻撃性の迸りが感じられ、
結構曲調にハマっているのんじゃないかと。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf ★★★ (2018-12-23 09:46:30)

その昔『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』というハリウッド映画がありましたが、あの作品同様、イギリスの女流作家VIRGINIA WLOOFからバンド名を頂いたのであろうマンチェスター近郊の都市ウォースリー出身の4人組が、'86年にATLANTIC RECORDSから発表した1stアルバム。
Voは、ここ日本ではHEARTLANDのフロントマンとして知られるクリス・ウーズィー。Dsはかのジョン・ボーナムの子息ジェイソン・ボーナム。更にプロデュースはQUEENのロジャー・テイラーが担当と、本作はなかなか豪華な面子でレコーディングされていまして。リズムを敢えて打ち込みっぽく処理した音作りは「80年代ど真ん中」といった趣きで、今聴くと相当に時代を感じさせられてしまいますが、それでも尚、跳ねるエレピが王道ハードポップ感を醸し出す③、サックスをフィーチュアした瀟洒なバラード④、女性コーラスが映えるエネルギッシュでソウルフルな⑤、英国産メロハーならではの魅力を湛えた哀愁の⑥等、キラキラと煌めくシンセを纏い、ルー・グラムを彷彿とさせるクリスの情感豊かな歌声を生かしたFOREIGNER路線のメロディック・ロック・サウンドは聴き応え満点。既にこの時点で十分に完成されているクリスのシンガーとして才の早熟ぶりや、ジェイソンのタイトなドラミングの腕前にも感心させられますよ。尤も、ジェイソンのプレイが本作の売りの一つとはいえ、やたらドラムの音が前に出たミックスはこの手の音楽性にはやや不似合いな気もしますけど…。
何はともあれ、今も昔も日本盤が出ていないことが俄かには信じがたいクオリティの1枚。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - It's in Your Eyes ★★★ (2018-12-24 09:11:24)

サックスの調べをフィーチュアした感動的なバラード。
デビューそうそうのバンドの手による楽曲とは思えぬ
アダルトな魅力が備わった名曲です。
すでに完成されまくっているクリスのエモーショナルな
歌声にも聴き惚れますよ。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - Livin' on a Knife Edge ★★★ (2018-12-24 09:15:16)

80年代だなぁというKeyによるリフが印象的。
『EXCESS ALL AREAS』を発表した頃のSHYも演りそうな
良い意味で典型的な英国産ハードポップの魅力が詰まった
これまた名曲。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - Only Love ★★★ (2018-12-24 09:05:53)

クリスの素晴らしくソウルフルなVoと煌めくKey、
それに哀愁のメロディをまとって心地良く跳ねる曲調が
絵に描いたようなメロハー感を醸し出す名曲。
主張の強いジェイソンのDsもバンドの個性ですよ。


VIRTUE (2014-02-08 10:22:18)

NWOBHM華やかなりし'81年、チューダー(Vo)とマット(G)のシェルトン兄弟がイギリス・オックスフォードにおいて結成。
'85年にOTHER RECORDSから発表された7インチEP『WE STAND TO FIGHT』は世界中のマニアを熱狂させたが、インターネット登場以前、そうした評判はメンバーの耳までは届かず、また'87年制作の3曲入りデモ『FOOL'S GOLD』をEPとしてリリースする話もレーベル倒産で立ち消えになる不運、そして何よりNWOBHM自体が終焉を迎えていた時期の悪さが重なって、バンドはアルバム・デビューを果たすことなく解散してしまった。
NWOBHM熱の再燃に伴って、昨今、欧州方面で注目が集まっているバンドですが、チューダー・シェルドンがミュージシャン業から足を洗ってることもあって再結成は難しい様子。
弟のマットは、THE SHOCK(90年代には日本デビューも果たしている)をリユニオンして活動中。


VIRTUE - We Stand to Fight ★★★ (2014-02-08 10:24:23)

80年代半ば、《THE BEST UNSIGNED BAND FROM NWOBHM》と噂されたオックスフォード出身の5人組が、'85年に発表した7インチEP『WE STAND TO FIGHT』と、'87年に制作した3曲入りデモテープ『FOOL'S GOLD』という2つの音源を合体収録するアンソロジー盤。
「幻の~」とか「伝説の~」なんて冠言葉がつく作品は、入手困難期間中に消費期限切れを起こしてる場合も少なくないのですが、コレは間違いなくその例外作品の一つ。一応リマスターされているとは言え、音質の悪さはある程度覚悟せねばなりませんが、しかし本作はそれを押しても楽曲が良い!
疾走するリズムの上で、劇的且つシャープに刻まれるGリフと、青い炎が揺らめくような英国声による熱唱、そして思わず泣きながら握り拳突き上げたくなるフレーズを次々に奏でるツイン・リードGが伸びやかに舞う収録曲は、これぞブリティッシュ!これぞメタル!と万歳三唱モノな名曲①③を頂点に、全5曲、いずれもNWOBHMが残した至高の遺産というべき逸品揃い。
MARSHALL LAWのデビュー作にも匹敵するインパクトに「今までこれほどの名曲を知らずにいたのか・・・」と慄然とさせられると共に、つくづく彼らがアルバム・デビュー出来なかった現実を惜しみたくなる1枚。
またぞろ入手困難になる前に、是非のご一聴をお薦め致します。


VIRTUE - We Stand to Fight - Fool's Gold ★★★ (2014-02-10 22:50:10)

「戦いの序曲」といった勇壮さの
JUDAS PRIEST調のイントロを、
滑るように刻まれる劇的なGリフが
切り裂いて疾走し始めた瞬間、
あまりのカッコ良さに膀胱が緩みました。
デモ音源ゆえの音の悪さを遥か彼方へと
吹っ飛ばすこの名曲っぷりはどうしたことか。


VIRTUE - We Stand to Fight - We Stand to Fight ★★★ (2014-02-11 18:26:28)

少々パワー不足のVoさえも味わいに変えて、
メロディアスに舞うツイン・リードGの妙が
ウェット且つドラマティックな曲展開を牽引する
これぞブリティッシュHM!な名曲。
「HM版WISHBONE ASH」と評されたのも納得です。


VITAL REMAINS - Icons of Evil ★★ (2010-05-20 23:06:00)

デビュー作『LET US PRAY』以来、久々に購入したVITAL REMAINSのアルバム。('07年発表の5th)
アンチ・クライスト魂が炸裂しまくったジャケット・アートワークも衝撃的な本作は、MORBID ANGELの
エリック・ルータンがプロデュースを担当、DECIDEからグレン・ベントンがゲストVoとして参戦を果たして
悪魔の如き咆哮を上げ、まるで機銃弾の様に吐き出される殺傷力満点のリフ&リズムと一体となって無慈悲に
荒れ狂うという、ストロング・スタイルのデス・メタルとしては文句なしに、凶悪極まりない内容に仕上がっている。
相も変わらず、キリスト教に対する憎悪に塗れたグレンのデス声も強力無比だが、何より本作を孤高の存在へと
高めているのが、デイヴ・スズキのネオクラ風味も感じられる流麗なGプレイ。その腕前はイングヴェイ・マルムスティーン
初期の超名曲“DISCIPLES OF HELL"を難なくカヴァーしている事からも明らかだが、特に、映画『パッション』を
彷彿とさせるイントロに導かれてスタートする②、劇的な曲展開に瞠目させられる③、バイオレントな
曲調の中で閃く、アコギの美旋律にハッと胸を突かれる⑤といった楽曲で聴く事の出来る、曲に荘厳さを
付与するドラマティックな彼のGプレイは、間違いなく本編最大の聴き所。
ブルータルなデス声Voと、間断なく刻まれ続けるリフ&リズムの応酬、それにほぼ全曲が6~9分台という
大作主義が取られた体力勝負を強いる作風ゆえ、通して聴くと後半はクタクタになるが、
それでも挑む価値は十分にある力作。近年のDEICIDEが好きならマスト・バイ。


VIXEN - Live & Learn ★★ (2020-01-04 00:45:43)

女性ミュージシャンだけの本格派HRバンドとして話題を呼び、2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したVIXENが再結成を遂げたのは90年代後半のこと。中心メンバーであったジャン・クーネムンド(G)を欠いた編成でレコーディング、'98年に発表された復活作『TAGERINE』が当時のHR/HMシーンの流行に寄せた結果空回り感の半端ない惨状を呈していたため、こちとらVIXENに対する興味は急速にフェードアウトしてしまったのですが、ジャンがバンドに復帰し、ほぼ彼女のソロ・プロジェクト状態で制作されている本作(4th、’06年)は、やはり流石の出来栄えを誇っていたという。
無論、初期2作のようなキャピキャピ(死語)した感じは薄れ――50過ぎてもそんなノリを維持していたらそれはそれで凄いですが――全体的にシリアスさを増したサウンドは、ムーディで落ち着いた雰囲気が支配的。かつてのような華やかなポップ・メタル路線を期待する向きには少々地味に思える楽曲も散見される仕上がりながら、要所でキラリと光るジャンの曲作りの腕前は健在ですし、年齢を重ねて円熟味を増したGプレイも楽曲を魅力的に彩ってくれていますよ。特に、憂いを帯びたキャッチーなメロディと小気味良く動き回るGが印象的なアルバム表題曲②や、物悲しく駆け抜けていくポップ・チューン③辺りの出来栄えは秀逸です。
かように優れたアルバムを残してくれたジャン・クーネムンドでしたが、'13年に癌との闘病の末に逝去。彼女の志を受け継ぎVIXENのオリジナル・メンバー再結集が実現したものの、残念ながら現在に至るも新作アルバムは発表されていません。


VIXEN - Live & Learn - Live & Learn ★★★ (2020-01-05 23:29:44)

そっけないプロダクションに、重たげに刻まれるリフ&リズム等、
80年代のVIXENとは趣を異する仕上がりですが、Voが歌う
憂いを帯びたメロディに、キレのあるジャンのGプレイ、
哀愁度を高めるボーカル・ハーモニー等、これはこれで全然あり!と
膝を打たずにはいられない魅力の備わったアルバム表題曲。


VIXEN - Rev It Up ★★ (2016-11-21 00:11:55)

女性メンバーのみで結成された本格派HRバンドとして注目を集め、セルフ・タイトルのデビュー作をスマッシュ・ヒットさせたVIXENが、'90年に発表した2ndアルバム。
有名プロデューサーの起用から、売れっ子ソングライター陣による楽曲提供まで、メジャー・レーベルの水も漏らさぬバックアップ体制の下、「売れるべくして売れた」といった感じだった1st『VIXEN』に対し、今作ではメンバー自身が手掛けた楽曲の収録比率UP。また共同プロデュースにもチャレンジする等、バンドとしての一体感と自立の姿勢をより明確に表した仕上がりとなっています。
強力なフックと高いヒット・ポテンシャルを擁する②(PVも制作された)を除くと、流石に個々の楽曲が放つインパクトは前作に今一歩及びませんが、代わりに今回は総合力で勝負。エッジを効かせて本編OPを飾るロン・キールとの共作曲①、物悲しくも美しいバラード③、心地良く疾走する⑤等、外部ライターに丸投げするのではなく、メンバーも曲作りに積極的に関与してこのクオリティを保っているんですから、大したものですよ。アルバムの中でもお気に入り度の高い、キャッチー⑥みたいな楽曲を彼女達が独力で書き上げているのも、今後の更なる成長を予感させて頼もしい限り。
…と思ったら、これを最後にバンドは活動を停止してしまう。やはり時期が悪過ぎたのかなぁ。今は再結成しているんでしたっけ?


VIXEN - Rev It Up - How Much Love ★★★ (2016-11-22 00:46:00)

キャッチーでフック満載な、腕利きソングライターの
プロの仕事が味わえるハードポップ・ナンバー。
それをしっかりと表現できる、メンバーの優れた
ミュージシャン・シップも堪能できる名曲です。


VIXEN - Vixen ★★ (2016-08-01 00:39:09)

メジャー・レーベルが満を持して送り込んで来た、女性メンバーのみで構成される本格派HRバンドとして人気と評判を集めたVIXEN、'88年発表の1stアルバム。
ゴリゴリのメタル・ゴッデス路線でも、過剰なお色気路線でも、ましてやTHE GREAT KAT様のような色物路線でもない、洗練された見目麗しいルックス、ミュージシャンとしての確かな実力、それに親しみ易いキャッチーな楽曲と、万人にアピールする華やかな雰囲気を身に纏っているのが流石はメジャー仕様。
尤も、あまりに優等生的というか、お膳立てが整い過ぎている点に逆に引っかかってしまい、当初はイマイチ乗りきれなかったんだよな…と。しかし、ラジオだったかテレビだったかで耳目に触れたスマッシュ・ヒット・ナンバー①(全米シングル・チャート最高26位)に惹かれてアルバムを購入してみれば、パンチの弱さはやはり感じつつも、哀愁漂わす③、80年代トレンディドラマの主題歌みたいな⑧、ハードにロックしているドライヴ感溢れる⑪等、己のつまらん偏見がどーでも良くなるぐらい収録楽曲の出来が良かったという。そんなわけで、その後はすっかりファンになってしまい、メタル好きの同級生と「ロキシー・ペトルーシ(Ds)を《美人メンバー》の枠内に含めるか否か」で熾烈な論戦を戦わせたっけなぁ(アホ)、と懐かしく思い出した次第。
昔は漫然と聴き流してしまいましたが、実はデビュー作以上に収録曲の質が高いと評判の2nd『REV IT UP』も、改めて聴き直してみよう。


VIXEN - Vixen - Cryin' ★★★ (2016-08-01 22:03:39)

フック満載の哀メロに胸打たれる
アルバム前半を山となるポップ・チューン。
個人的にはヒット・シングルの
“EDGE OF A BROKEN HEART”より好きだったり。


VIXEN - Vixen - Love Made Me ★★★ (2016-08-01 21:58:16)

80年代に大映ドラマの主題歌に採用されていても
おかしくなさそうな、高いヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる名曲。
個人的にはアルバムのハイライトでした。


VOLCANO - Davi ★★ (2008-07-21 00:44:00)

メロディック・デス・メタル的なブルータリティや、畳み掛けるような疾走感が薄れ、よりメロディアスで
グルーヴィなノリが打ち出された作風が、ファンの間で賛否両論を呼んだ、'01年発表の2ndアルバム。
とは言え、スピード・ナンバーがなくなってしまったわけではなく、アルバムの幕開けを飾るに相応しい荒々しさを
備えた①、本編のハイライト・チューンと言っても過言ではない⑥、ラストを激烈に締め括る⑫辺りは、疾走感と
煽情力抜群のメロディが見事に組み合わった流石の出来栄えで、前作『VIOLENT』を気に入ったファンなら
必ずやガッツポーズを取るであろうカッコ良さを誇っているし、何より、このバンドの生命線とでも言うべき
「メロディの魅力」は、衰えるどころか、ここにきて益々その威力を増しているとの印象を受ける。
特に、元VOW WOWの厚見礼衣(Key)がゲスト参加している⑤や、MI-KEの名曲“思い出の九十九里浜"のフレーズを
取り入れた⑦といった、より普遍的なハードロック路線へと接近を果たした、メロディアスな楽曲で炸裂する
演歌や歌謡曲ばりの、強烈な哀愁を伴ったメロディの破壊力には並々ならぬモノがあり、最早、泣きメロというよりも
「クサメロ」と表現すべき、その毒ガス兵器並の臭気に、メロディ愛好家は悶絶必至かと。
まぁ、こうしたベタなノリがダメという人も多いだろうし、ヘヴィネスを強調しようとするあまり、妙に窮屈に
なってしまったサウンド・プロダクションにも難が有る。何より、即効性という点に於いて前作に大きく劣るというのが
正直なところだったりするのだが、ともあれ、個人的には結構お気に入りだったりする1枚。


VOLCANO - Davi - Child Eyes ★★ (2008-07-27 18:32:59)

泣きメロを通り越した、歌謡曲的とも言える
クサメロが炸裂する1曲。
このクサさは、ダメな人はダメなノリだろうが、
個人的には2ndアルバムの中でも最も愛して止まない名曲の1つ。


VOLCANO - Die Hard - No Way Man ★★ (2008-07-27 18:41:13)

なぜか“思い出の九十九里浜"のメロディが
ワンフレーズ奏でられる、メロディアスなHMナンバー。
しかも違和感が殆どないのが凄い。


VOLCANO - Irregular ★★★ (2018-03-14 22:54:46)

屍忌蛇(G)には『STAND PROUD!~ALL FOR HEAVY METAL』と『DUAL WORLD』に続く3枚目、VOLCANOにとっては初めてとなるカヴァー曲集。
選曲には全メンバーが平等に関与していますが、畑違いのアーティストやマニアックなバンドの楽曲等はチョイスされておらず(SILVER MOUNTAINが有名かどうかはさておき)、HR/HMファンなら一度は聴いたことがあるであろう王道を行く名曲の数々を、奇を衒うことなく真正面から堂々カヴァーするスタイルは、『STAND~』『DUAL~』に通じるものがあります。新人バンドがそんな真似しようもんなら「カラオケかよ」と失笑を買いそうなところですけども、そこは百戦錬磨のVOLCANO。慟哭のGから煮え滾る灼熱Vo、鋼の如き屈曲なリズム隊まで、メンバー全員のキャラが立ちまくりのため、変にヒネらずとも普段通りに振舞うだけで元曲を自分たち色に染め変えられてしまうのですから流石ですよ。
演ればハマるだろうなぁと思いましたし、実際ドハマりしているKROKUSの③、FLATBACKERの⑥、OVERKILLの⑦といったところや、劇画の画風でキラキラなノリの少女漫画を描いてみたようなミスマッチ感が逆に楽しいNIGHT RANGERの④、MOTLEY CRUEの⑩辺りも秀逸な出来栄えを提示していますが、個人的に本編のハイライトは⑨で決まり。スラッシュ・メタルばりのアグレッションと、持ち前のメロディ・センスとが劇的な化学反応を起こした初期Xの名曲で、オリジナル・バージョンは今聴くと線の細さが微笑ましいですが、それをパワフルに蘇らせた好カヴァーではないかと。
この調子で第2弾、第3弾とシリーズ化に期待したくなる好盤です。


VOLCANO - Juggernaut ★★★ (2016-09-04 09:05:43)

あのVOLCANOから、たったの1年のインターバルで届けられた新作。俄かには信じられず、店頭で手に取った時は「本当に新作か?」と、思わず慎重にチェックしてしまいましたよ(失礼な)。
これまでOPには必ず名曲を配して来た彼らゆえ、今回も勇壮なインスト序曲①に続き、激情を叩きつけるかのようなNOVの歌声、金属質なリズムをソリッドに鍛造するAKIRAとSHUNのリズム隊、そしてクッサクサの泣きメロを縦横無尽にお見舞いしてくる屍忌蛇のGプレイとが、熱く激しく燃え盛るスピード・ナンバー②で、早くも基本的音楽性に変わりがないことをアピール。
一方で、ひと際メロディックな仕上がりを聴かせる④⑤といった楽曲に顕著に表れている通り、オーセンティックなHM成分もここに来て益々の高まりをみせています。屍忌蛇の紡ぐ泣きメロが「慟哭」を通り越して、時に「昭和歌謡」の領域に突入せんとする勢いなことと併せて、モノによってはANIMETALを聴いているような感覚に陥る場面もチラホラ。なので、かつての「歌えるシンガーを擁したメロデス・バンド」的ストロング・スタイルに愛着を覚える向きには評価が多少揺れる可能性も有り。昭和度の高い哀愁と、ヒロイックな曲調がベスト・マッチをみた⑦みたいな名曲を聴けば、個人的には「ばっち来い!」ってなもんですが。
バラード⑪で本編が締め括られるため、聴後感が妙に厳かな点(「ライブの最後の曲がバラードでした」的な)が引っ掛かるものの、楽曲自体はアルバムのハイライトの一つと言うべき劇的さ。この普遍的正統派HM性を増した構成も、今後のバンドの進路を示唆しているのかな…とか思ったり。


VOLCANO - Juggernaut - Blood Soldier ★★★ (2016-09-04 22:53:03)

叙情的なイントロを“JET TO JET”風のGリフが切り裂く疾走ナンバー。
Gソロ含めて、触れれば火傷しそうな哀愁が渦を巻いていて、
さながら昭和ロボットアニメの主題歌の如し。
流麗に奏でられるピアノの旋律もナイスなアクセントになっています。


VOLCANO - Leviathan ★★★ (2017-08-29 23:28:13)

アルバムとアルバムの発表サイクルがオリンピック級の気の長さだったVOLCANOですが、ここ数作で屍忌蛇(G)の創作意欲がブーストしたのか、何とまたしても僅か1年という普通に考えてもかなり短いインターバルでのリリースが実現した、’17年発表の6th。
マカロニ・ウェスタン風味満点の序曲①(軽快なメロディはジャンゴというよりジュリアーノ・ジェンマの『怒りの荒野』っぽい気が…ってのは別にどうでもいいのでさておき)にて幕が上がり、直後に続く、ハードコアな攻撃性と劇的な曲展開、ドロドロに融解した金属が如きNOVの激唱&屍忌蛇が奏でる慟哭のメロディとが一丸となって突っ走る②を聴き終えた時点で、多くの方が今回もVOLCANO節の健在ぶりを確信されたのではないかと。
初バラードに挑戦する等、オーセンティックな正統派HMへ接近した前作に対する反動なのか、本作はブルータリティ重視な作風に舵を切った印象で、ヴァースのメロディの希薄さを、サビからGソロへと至るパートの盛り上がりで強引に挽回しようとする楽曲もチラホラ。これは剛柔の対比を狙った「あえて」の曲構成なのか、それとも制作期間の短さに起因するアレンジの練り不足なのか?尤も、多少掴みに失敗したって屍忌蛇のGソロが走り始めさえすれば、それだけで楽曲の輝度は数倍にも跳ね上がるんですけどね。
従来作と比較すると、収録曲の出来に結構バラつきが感じられるものの、前述の②、独産パワー・メタル勢に通じるパワー・チューン⑦、正統派HMテイスト高めの⑪といった、Gソロと楽曲自体の魅力が化学反応を起こした文句なしの名曲を聴くと、やはり本作もこれまで同様、3つ星クラスの力作であることは疑いようがないわけで。


VOLCANO - Leviathan - Hate of Flames ★★★ (2017-08-31 00:54:14)

オーセンティックな正統派HM風味を漂わす疾走ナンバー。
屍忌蛇の泣きのGソロ以降、テンポアップして
メロディックに駆け抜ける後半戦は、
ジャーマン・パワー・メタルに通じるものがあるような、ないような。
個人的には初期BLIND GURARDIANをちょっぴり思い出した。


VOLCANO - Leviathan - The Way of the Serpent ★★★ (2017-08-31 00:50:34)

ハードコア風味すら感じさせるストレートに押しまくるヴァースと
ライブでは大合唱を巻き起こしそうな勇壮にしてエピカルな
サビメロの対比もドラマティックなOPナンバーにして
早くもアルバムのクライマックスを飾る名曲。
こんなん聴かされてしまったら、そりゃアルバムの完成度の高さを
確信しますわな。