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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6501-6600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6501-6600
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V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Battle of Metal ★★★ (2013-09-20 23:18:14)

MARINO、RAJAS、HURRY SCUARY、SEXUALという、80年代初頭に関西HR/HMシーンにおいて注目を集めた4バンドの初期音源がまとめて聴ける便利なコンピレーション・アルバムですが、でも本作の主役は何と言ってもMARINOで決まりでしょう。
そりゃ、森川邦子のパワフル&キュートな歌声が華麗に花咲くRAJASや、中間英明のテクニカルなGプレイが閃くHURRY SCUARYは素晴しい。SEXUALは・・・SEXUALはメンバーの顔が凄い。強烈。しかし、MARINOの楽曲が放つ火傷しそうな熱さの前には、全てが霞んで聴こえるというのが正直なところ。流石「関西の重戦車」の異名を伊達じゃねえ。
代表曲“IMPACT”は、パンク・ロックばりのエネルギーを迸らせつつも、大谷令文のGソロはマイケル・シェンカー/ゲイリー・ムーアばりの「気」を放っていますし、ここでしか聴くことのできない名曲“SHAKE DOWN”なんてANTHEMに(というか“WARNING ACTION!”に)影響与えたんじゃね?と思うほど実に天晴れなパワー・メタル・チューン。
確かに音質にしろ演奏にしろ、荒削り極まりないですが、後にリリースされたMARINOのベスト盤で“IMPACT”のアルバム・バージョンを聴いたら、本作ほどのヤケクソ気味な勢いが感じられず、妙な物足りなさを覚えてしまったぐらいですよ。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Battle of Metal - Shake down ★★★ (2013-09-21 22:21:49)

派手派手なリードB、ラウドに突っ走るDs、
パワー・メタリックなGリフの刻みから
メロディックなソロまでこなすGと、
キャラ立ちまくりな楽器陣に比べると
Voのみが明らかに弱いのですが、このいっぱい
いっぱいな感じが楽曲の持つ焦燥感を盛り上げて
くれていて、これはこれで良し!と。
この曲目当てで本作を買っても損のない名曲です。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Lead Weight~H.M. Rock Compilation from Neat~ ★★★ (2019-11-14 01:43:46)

NWOBHMの盛り上がりが頂点に達した’81年。ムーブメントにおける旗艦レーベルの役割を果たしていた英国はニューカッスルに拠点を置くNEAT RECORDSから、カセットテープのみでリリースされたコンピレーション・アルバム。(後にイタリアではLPがリリース)
参加バンドは同レーベルの看板であったRAVENとVENOMを始め、WHITE SPIRIT、BLITZKREIG、FIST、AXE、AXIS、ARAGORN、BITCHES SIN、WARRIOR、SATAN’S EMPIRE等、全11バンド。NWOBHMコンピ盤の代表作たる『METAL FOR MUTHAS』(’80年)に比べるとIRON MAIDEN級の有名どころは見当たらないものの、どのバンドもGリフ主体に荒々しく押し込んでくる、黴臭い地下スタジオで長髪振り乱して演奏している野郎どもの勇姿が思い浮かぶような、「これぞNWOBHM!」という熱気溢れるサウンドが持ち味の連中ばかり。実にNEATな音質のペナペナさ加減といい、本作へ参加したのみで消息を絶ってしまったバンドがいたりするラインナップといい、真空パックされたNWOBHM濃度の濃さは、ある意味『METAL~』以上と言えるのではないかと。
元祖スラッシュ・メタル・バンドとしての凄味が遺憾なく発揮された①③、スリリングに疾走する②、ブライアン・ロスのシャウトが鼓膜をつんざく⑤、お宝度にかけてはアルバム随一のダークな⑪等、本編にはオッサンの胸を熱くする名曲が揃っていて、中でもシャープなGリフのカッコ良さにアガるBITCHES SINの⑨は個人的に本作のハイライトですよ。
オフィシャルなCDがテイチク盤しかなかった嘗ては入手が結構困難でしたが、現在は輸入盤が安価且つ容易に入手可能。NWOBHM勃興40周年記念に1枚如何でしょう。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Lead Weight~H.M. Rock Compilation from Neat~ - Dowm the Road/bitches Sin ★★★ (2019-11-14 23:25:33)

イアンとピートのトゥーミー兄弟により結成されたBITCHES SINが
'80年に制作した7曲入りデモテープに収められた疾走ナンバー。
煮え切らないVoと印象的なGリフを武器にスピーディに押しまくる様は
まさしくTHE NWOBHM!なカッコ良さ。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Lead Weight~H.M. Rock Compilation from Neat~ - Inquisitor/raven ★★★ (2019-11-14 23:15:40)

アルバムには未収録で、RAVENとウド・ダークシュナイダーが競演した
12インチ“BORN TO BE WILD”のB面に提供されていた疾走ナンバー。
元祖スラッシュ・メタル・バンドの評価に相応しいスピード感と
アグレッションをまき散らしながら走り抜ける逸品です。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Lead Weight~H.M. Rock Compilation from Neat~ - Soldiers of War/satan's Empire ★★★ (2019-11-14 23:30:29)

7分に及ばんとするダークでドラマティックな大作ナンバー。
SATAN'S EMPIREは本作に参加したきりで消息不明になってしまったため
音源のお宝度はアルバム中最も高いと思われる。
ちなみにこれを書くに当たってバンドについて調べてみたら
何と再結成を遂げて'18年に1stフル・アルバムを発表してことを知って驚きましたよ。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Melodical Renaissance ★★★ (2013-11-07 22:08:11)

TERRA ROSAの転生体と聴き紛うコテコテの様式美HMを聴かせてくれる大阪のVOLFEED、歌えるシンガーを擁し展開を多用した技巧派スラッシュ・サウンドで畳み掛ける愛知のHIDDEN、独産風味のパワー・メタルと泣きを含んだ哀愁のVoが組み合わさった東京のGUARDIAN'S NAIL、妖しくも壮大なエピック・メタル絵巻を朗々歌い上げる北海道のFATIMA HILLという、異なる出身地/異なる音楽性/されど一様に高いポテンシャルを秘めた4バンドの音源10曲を収録し、'95年に発表されたコンピレーション・アルバム。
どのバンドも個性がしかと刻印された楽曲を提供してくれていますが、中でも一際印象的だったのがGUARDIAN'S NAILの③。雄々しいジャーマン・メロパワ風味の曲調に、ドン・ドッケン系の哀愁の歌声が乗ったこの疾走ナンバーは、当時西新宿のCD屋で手に取った無料ファンジンで猛プッシュされていて、冴えないジャケットだけなら決して買おうとは思わなかった本作購入を決意する切っ掛けともなった名曲であります。(ファンジンにも感謝を)
その他、関西様式美HMの真髄が疾走するVOLFEEDの①、丹羽ひであきの強力なハイトーンVoとテクニカルな楽器陣が7分以上に及ぶ長尺をドラマティックに語り切るHIDDENの②、BLACK SABBATHとRAINBOWのミスティックなエキスを北海道風味に味付けした(?)三部構成、12分越えの大作ナンバーで本編を締め括るFATIMA HILLの⑩なんかも素晴らしい出来栄え。
死に体にあった(と思っていた)当時の国内HR/HMシーンですが、水面下では有望なバンドが切磋琢磨しているのだなぁ、と教えてくれた1枚。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Melodical Renaissance - Dreamslave/Volfeed ★★★ (2013-11-09 00:47:32)

パワフルな女性Vo、GとKeyがスリリングに絡み合いながら
TERRA ROSA魂を継承して疾走する和製様式美・・・
というよりも関西様式美HMの魅力爆発なスピード・ナンバー。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Melodical Renaissance - Lunatic Theater/Hidden ★★★ (2013-11-09 00:42:13)

丹羽英彰の伸びのあるハイトーンVoと
テクニカルな楽器陣が高いテンションを保ったまま
7分に及ぶ長尺をダレさずに語り切るスラッシュ・ナンバー。
Voは後にVIGILANTEに加入しますが、HIDDENでも
アルバムをリリースして欲しかったなぁ。
まさしくルナティックでドラマティックな
ツイン・リードGも白眉。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Melodical Renaissance - Second Wind/guardian's Nail ★★★ (2013-11-09 00:32:24)

劇的なイントロだけで胸が高鳴ります。
線は細いが哀愁味満点のVoと、
ジャーマン・メロパワ調の勇壮な曲調の
組み合わせが美味なる名曲。
バンドはこれ以降、プログレッシブな
方向へ進んでしまったのが少々残念でした。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Metal for Muthas ★★★ (2016-05-16 23:04:28)

'80年にリリースされ、NWOBHM勃発を世に告げた伝説のコンピレーション・アルバム(邦題は『へヴィ・メタルへの招待』)。…と持ち上げた端からゲロっておくと、名前は知ってても長らく聴いたことはなかったんですよね。'00年に国内盤がCD化された際に漸く購入した体たらくで。あとタイトルの「マザーズ」も「MOTHERS(おっ母さん)」だと思ったら「MUTHAS(メタル好きの野郎共を意味するスラング)」だったというね…。
しかし、やはり聖典扱いされている作品だけあって、NWOBHM関連のコンピ盤の中では質・量共に充実度はトップクラス。2曲収録という特別扱いで他のバンドとの格の違いを見せつけるIRON MAIDEN(クライヴ・バー加入前で楽曲の攻撃性がアルバム・バージョンに比べ然程でもないのが興味深い)を頭に、メロディアスなツインGを見事に活かし切ったPRAYING MANTIS、オドロオドロしさ全開で迫り来るANGEL WITCH、ドラマティックな泣きの名バラード提供のSAMSONといった、既にNWOBHMの枠内に収まりきらないサムシングを有するバンドから、SLEDGEHAMMER、E.F. BAND、ETHEL OF FLOG、NUTZ等、疾走感溢れるリズムと、リフまたリフのシンプルなコンビネーションで押し通すスタイルが、頭の天辺から爪先までNWOBHM枠内に浸かりきっているバンド群まで、実にイキのいい顔触れが揃う。やや毛色の異なるTOAD THE WET SPROCKETも良い塩梅のアクセントに感じられるぐらいで、こりゃ確かに全英チャート第12位にランクインして、世のメタル・ブームの発火点になった作品だけのことはありますわなと。
上記バンド群の中に気になるバンドが一つでもあるなら、買って損なしな1枚。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Metal for Muthas Volume Ⅱ ★★★ (2016-05-17 23:14:42)

『METAL FOR MUTHAS』の売れ行きに気を良くしたEMI RECORDSが、逞しき商魂を発揮して、前作リリースから僅かなインターバルで発売まで漕ぎ着けたNWOBHMコンピレーション・アルバム第二弾。(但し日本未発売)
「鉄は熱いうちに打て」との戦略自体は間違っていなかったと思うものの、バンド集めに掛けられる時間が十分でなかったせいか、参加面子が第一弾に比べるとえらく地味。何せ前作でIRON MAIDENが果たしたアルバムのセンター役(OPナンバー担当、2曲提供等)を、今回担っているのがTRESPASSですからね…。
そんなわけでインパクト不足は如何ともし難いものがある本作なれど、しかし「山椒は小粒でもピリリと辛い」との格言通り、面子が地味だからってアルバム自体が退屈かというと、さに非ず。DARK STARの名曲にしてNWOBHMのアンセム“LADY OF MARS”や、TRESPASSの代表曲“ONE OF THESE DAYS”が1枚のアルバムで聴けてしまうお得感は魅力的ですし、あとKROKUS参加前のマーク・ストレイスが歌っているEASY MONEY、ブルース・ディッキンソンやビリー・リースギャングも関わっていたことで知られるXERO、WILDFIRE(IRON MAIDEN初代Vo、ポール・マリオ・デイが在籍したバンド)の前身RED ALERTといった、個人的に好奇心をそそられていたバンドの音源も非常に興味深く聴くことが出来ましたよ。WHITE SPIRIT、CHEVYといった中堅どころも、実に手堅くアルバムのクオリティを支えてくれていて頼もしい限り。
解説でゴッドが述べている通り、第一弾とセットで押さえておきたい1枚ではないかと。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - New Wave of British Heavy Metal/'79 Revisited ★★★ (2013-09-03 22:29:37)

『LOAD』『RELOAD』発表に伴うインタビューでは、NWOBHMについて「今聴くとあまり良いとは思えないものが多い」「年の取り方が下手な音楽」といった発言をカマしてHR/HMファンをかなりムッとさせたMETALLICAのラーズ・ウルリッヒですが、'89年にNWOBHM10周年を記念して企画、ラーズ自身が収録バンド及び収録曲の選定を担当して'90年にリリースされた本作は、彼の尽きせぬNWOBHM愛が詰め込まれたコンピレーション・アルバムの名盤です。
収録バンドは、大御所から中堅クラス、更にはこのアルバムを聴くまで名前さえ知らなかった(勉強不足で申し訳ない)マイナーどころまでバランスよく取り揃えられていて、後追いファン的には、NWOBHM第一期('79年)を手っ取り早く勉強することの出来る最良のテキストとして、当時非常に重宝しました。「へー、BLACK AXEが改名してWOLFになったんだ」とか「ほうほう、これがトム・G・フィッシャーと交流のあったというPARALEXか」とか「WEPONやHOLLOW GROUNDはアルバムも出して欲しかったなぁ」とか。
選曲も概ね美味しいところが押さえられており、資料的価値のみならず、1枚(2枚組ですが)のHR/HMアルバムとしても十分なエキサイトメントが得られる労作。10年おきのペースでもいいから、できれば第二弾、第三弾を出して欲しかったなぁ。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Rest in Peace - Thanks to Cozy - ★★★ (2013-09-12 23:03:24)

コージー・パウエル突然の逝去に際しては複数のトリビュート・アルバムがリリースされており、個人的にその決定盤として推したいのが、柴田直人プロデュース、元/現ANTHEMメンバーを中心に、実力派ミュージシャン勢の参加を仰いで制作された本作。
収録曲に関しては結構ベタで、8割方がコージーの代表曲で占められているのですが、これは本作がこれ見よがしにコージー・マニア度を誇示する場ではなく、飽くまで真摯な追悼盤だからこそ。であれば、御大の特徴的なドラミングを聴くことの出来る代表曲の類は絶対に外せません。
そうして選出された楽曲の数々を、適材適所に配置され、リスペクトを込めてパフォームする参加ミュージシャン達がこれまた素晴しい。個性全開の者から、完コピぶりが名人芸の域に達している者まで、いずれも深い思い入れを感じさせる熱演を披露してくれています。
中でも強いインパクトを放つのが(個人的に本作の購入動機の1つでもあった)小野正利の存在で、BLACK SABBATHの名曲④を堂々歌いこなすだけでなく、漆黒の原曲に北欧メタル的透明感まで加味してしまうそのハイトーンVoの威力はやはり圧巻。当時はまだポップ・シンガーの印象が強かった彼氏が積極的にHR/HMシーンと関わり出すようになったのは、このアルバムへの参加が契機になったと記憶しているんですが、ハテどうだったか・・・。
何はともあれ、コージー・パウエル・ファン以外にも自信を持ってお薦めできる1枚。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Thunder and Steel down Under - a Tribute to Riot ★★★ (2015-06-15 23:24:10)

CRYSTAL VIPERのマルタ&バートのガブリエル夫妻が音頭を取って制作。彼らの運営するSKOL RECORDSから1000枚限定で発売され、売上金は故マーク・リアリのお父上に寄付されるというRIOTのトリビュート・アルバム。
参加アーティストについては、既に失恋船長さんが詳細を語って下さっているので省略させて頂きますが、代表曲に正攻法で挑むにせよ、隠れた逸曲を引っ張り出すにせよ、いずれのバンドも――完成度に多少の差はあれど――RIOTに対する敬意溢れるカヴァー・バージョンを提供してくれています。(欧米におけるマイク・ディメオ時代の知名度の低さを実感させられる選曲ではありますけどね)
バラード風にアレンジされた“SOLDIER”を序曲代わりにドラマティックにスタートする“WARRIOR”(AXEL RUDI PELL)、分厚く勇壮なメロパワ調コーラスが印象的な仕上がりの“SIGN OF THE CRIMSON STORM”(ANGELO PERLEPES' MYSTERY)、NWOTHMバンドが持つ威勢の良さと、原曲に備わるドライヴ感とが相性バッチリな“ROAD RACIN'(NIGHT DEMON)、そして本家RIOTからトッド・マイケル・ホール(Vo)をゲストに招いて大トリを飾る“THUNDERSTEEL”(CRYSTAL VIPER)辺りは、元々の楽曲のカッコ良さと相俟って、特にナイスな出来栄えではないかと。
それにしても、艱難辛苦にもめげず活動を継続した結果、こうしてRIOTが数多のバンドから篤いリスペクトを集める存在となり、漸く今までの苦労が報われつつあったこの時期に、なぜマーク・リアリがこの世を去らねばならなかったのか?収支の釣り合いが全く取れてねぇだろがこの野郎!と、本作の完成度が高ければ高いほど、彼を襲った悲運を呪わしく思わずにはいられませんよ。


V2 - V2 ★★★ (2019-01-31 00:02:10)

V2といっても、第二次世界大戦中にドイツ軍が開発した世界初の弾道ミサイル兵器のことではなく、ましてや小室哲哉とYOSHIKIが結成したスーパー・ユニットのことでもなく。現在はFAIR WARNINGのフロントマンとして知られるトミー・ハート(Vo)が在籍していた、ドイツ出身の5人組のこと。彼らは活動期間中に2枚のアルバムを残しており、本作は’88年発表の1stアルバムに当たる作品です。
ヨーロピアンHMならではのウェットなメロディ・ラインやキレのある疾走感と、大陸産ポップ・メタルを思わす分厚く盛られたコーラス・ワークが合体したOPナンバー①が体現する通り、ここで聴けるのは欧米折衷型HRサウンド。お手本として念頭にあったのが80年代前半のSCORPIONSであろうことは想像に難くないですが、若さ迸るこの時期のトミー・ハートの歌唱がどことなくマイケル・スウィートを彷彿とさせることや、サビメロを華麗に彩るボーカル・ハーモニーの存在も相俟って、初期STRYPERのことを思い出す場面がちらほら。彼らをもっとヘヴィ・メタリックに磨き上げた感じでしょうか。
トミーの熱唱と泣きのGをフィーチュアしてドラマティックに盛り上がる哀愁のバラード④と、クラウス・マイネばりのハイトーンVo、シャープに切り込むGとよく動くBが格好いいスピード・チューン(ちょっとSCORPIONSの“DYNAMITE”風味な)⑨という強力な名曲をハイライトに、全編テンポ良く駆け抜けていく充実っぷりを体験すると、本作が発表当時から知る人ぞ知る名盤として高く評価されていたというのも、さもありなん。
トミー・ハート的には良い思い出のないバンドらしいですが、アルバムの出来栄えはピカイチ。


V2 - V2 - DYING FOR YOUR LOVE ★★★ (2019-02-01 00:03:39)

欧州HR然とした、VoもGもメロディも歌詞も泣きまくっている哀愁のバラード。
ベタといえばベタですが、ツボなんだから仕方ない。
この頃からトミー・ハートの歌の上手さには際立ったものがありますよ。


V2 - V2 - TOP OF THE WORLD ★★★ (2019-01-31 23:54:42)

キレキレなGリフとトミー・ハートのシャープなハイトーンVoが
メタリックな高揚感を盛り上げるスピード・チューン。
アルバムの〆に疾走ナンバーを持ってくるバンドは信用できますよ。
躍動感溢れるBも何気に良い仕事しています。


VADER - The Ultimate Incantation ★★★ (2018-06-10 02:10:23)

「ポーランドにVADERあり」と、一躍その名をHR/HMシーンに知らしめた'92年発表のデビュー作。(邦題『秘術』)
帯に刻まれる《世紀末を彩る霊的攻防戦に、我参入せり》なる惹句や、収録各曲に冠された“磔刑の魔徒”“聖者の首級”といった大仰な邦題の数々から迸る、飛ばしまくっていた90年代前半トイズ・ファクトリーの俺ジナルなセンスに痺れる本作ゆえ、さぞかしオドロオドロしいデス・メタルを聴かせてくれる…かと思ったら、この頃のVADER(日本語表記も「ヴェイダー」ではなく「ヴェーダー」)が演っているのは、SLAYERを更に過激にしたようなスラッシュ・メタルだったという。(鼓膜に突き刺さるGソロの狂いっぷりもSLAYER的)
Voは野太い咆哮型デス声ですし、故ドックの苛烈な手技脚技の応酬も既に半端ないものがあり、時にシンセサイザーを用いて荘厳な雰囲気も紡いでみせる手腕はMORBID ANGEL辺りからの影響も伺えますが、全体的にデス・メタル特有の重苦しいドロドロ感は薄く、それよりも音作りを含め、全体を貫く荒削りで前のめりな雰囲気が、本作のスラッシュ・メタル指数をグンと高めています。特に、不穏なSE①に導かれて激烈に走り始めたかと思えば、一転Gソロでは暗黒美を湛えたメロディが紡がれる②、緩急を効かせて禍々しさを際立たせた⑦、本編ラストを劇的且つアグレッシブに締め括る⑫といった、VADER独自の個性が濃厚に息衝く楽曲は出色の出来栄え。
個人的に、彼らのカタログの中では(全部チェックしているわけではありませんが)、最も聴き返す頻度の高い贔屓にしている1枚であります。


VAIN - No Respect ★★★ (2021-03-25 00:21:04)

デイヴィ・ヴェイン(Vo)というと、スラッシュ・ファン的にはDEATH ANGELの1st『ULTRA VIOLENCE』のプロデューサー。あと個人的に真っ先に思い出すのは喜国雅彦の『ROCKOMANGA』で「宣材写真のポーズがいつも大体同じ人」とネタにされていてちょっと笑ってしまったことなのですが、彼が率いたVAINはデビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾る等して注目を集めたニュー・カマーであり、'90年にISLAND RECORDSから発表された本1stアルバムは、そうした前評判に違わぬクオリティを有していました。
ヴェインのキメポーズ同様、ねっとり絡みつくような爬虫類系の歌声に当初あまり好印象が持てず、「ロックンロール系はパス!」と長らく購入スルーを決め込んでいた本作、しかしアルバムの幕開けを飾るのは意外にも軽快に疾走する①。シングル・カットもされた③もキャッチーな名曲で、早くも「浅はかな思い込みから目を覚ませ!」とこちらの頬を張り倒しに来ます。演奏はタイトでメンバーの確かな実力者ぶりが伺え、何よりメロディも能天気さよりダークさが勝っているという。尤も、一口にダークといっても欧州系の暗黒美ではなく、ドヨンとした頽廃的な雰囲気を纏った暗さな辺りがLAのバンド風味(SHARK ISLANDとかに通じる暗さ)だなと。
似たり寄ったりなテンポの楽曲が続く中盤で少々ダレるものの、しかし濃厚な泣きを撒き散らすドラマティックなバラード⑨、ラストを全力で走り抜ける⑩という終盤2曲がこれまた逸曲なので、聴後感は極めて良好。聴き始めこそ違和感を持つヴェインのVoも聴き終わる頃には「この声でないとな!」と手のひら返ししていること請け合いですよ。


VAIN - No Respect - Who's Watching You ★★★ (2021-03-26 00:08:35)

シングル・カットされPVも作られた
アルバムのリーダー・トラック。
軽快に跳ねるキャッチーなメロディ&曲調と
ねっとり絡みつくようなヴェイン独特な歌唱の
コントラストが強い印象を焼き付けます。


VAIN - No Respect - Without You ★★★ (2021-03-26 00:10:47)

クセの強い声質に耳を奪われがちですが、
このドラマティックな泣きのバラードにおける
エモーショナルな熱唱を聴けば、ヴェインが
シンガーとして確かな実力を有していることが
お分かり頂けるのではないかと。


VALENTINE - Valentine ★★★ (2018-03-02 00:26:01)

VALENTINEといってもオランダのロビー様のことではなく、NYはロングアイランド出身の5人組。本作は彼らがプロデューサーにニール・カーノンを迎えてレコーディング作業を行い、'90年に発表したデビュー作。
フロントマンとして伸びやかな歌声を披露しているのは、日本ではソロ・シンガーとしての知名度の方が高そうなヒューゴ。既にこの頃から、口にメントスを含んで歌っているかの如き清涼感に溢れた歌唱と、スティーヴ・ペリーのそっくりさんぶりは確認できます。尚、そんな彼氏の良く伸びるハイトーンVoが映える本作で聴けるのは、ポップでキャッチーなメロディを、分厚いハーモニーとキラキラなKeyで包み、そこにテクニカルなGが適度なエッジを加えるという、まさに教科書通りのメロディアスHRサウンド。
気を持たせるイントロからハード・ロッキンに展開していくOPナンバー①、キャッチーなサビメロが高いヒット・ポテンシャルを感じさせる③⑥、哀愁のハードポップ⑧、ラストを感動的に締め括る雄大なバラード⑪等々…。巧みにフックの盛り込まれた優れた楽曲が並ぶ本編は、メンバーが(別に嫌味でなく)「売れる要素」をしっかりと研究して曲作りに挑んだであろうことが伝わって来る仕上がり。あまりに卒なく澱みなく流れていくため、逆に全体的なインパクトが弱まってしまっている感もあるっちゃあるのですが。
所属レーベルの内紛に巻き込まれ、アメリカのHR/HMシーンが重要な節目を迎えていた’89年という時期を棒に振るような不運に巻き込まれなければ、きっともっと成功を掴めていたろうにと思わされる1枚です。(バンドはこの後OPEN SKIZと改名してアルバムをもう1枚残すことに)


VALENTINE - Valentine - ONCE IN A LIFETIME ★★★ (2018-03-03 09:25:01)

キラキラなKeyとハード・エッジなGがバランス良く効かされた
初期BON JOVIタイプの哀愁のHRチューン。
湿度がさほど高くない本編にあって、ちょうどいい
アクセントの役割を果たしてくれている名曲。


VALENTINE - Valentine - TEARS IN THE NIGHT ★★★ (2018-03-03 09:28:47)

とにかくこの曲はサビメロの素晴らしさに尽きます。
この手の伸びやかなコーラスを歌わせるとヒューゴは絶品ですね。
あと数年早く発表されていればきっと大ヒットしていたろうに…
と思わされるフック効きまくりのハードポップ・ナンバー。


VALENTINE - Valentine - YOU'LL ALWAYS HAVE ME ★★★ (2018-03-03 09:34:46)

アルバムのフィナーレを感動的に飾るバラード。
哀愁に満ち溢れていますが、泣きよりも
包み込むようなスケール感の方が強く感じられる辺りが
大陸産のHRバンドならでは。
サビを切々と歌い上げるヒューゴのエモーショナルな歌唱が
実に胸を打ちます。


VALKYRIE ZERO - Valkyrie Rising ★★★ (2018-05-25 00:26:50)

女性メンバーを擁するスラッシュ・メタル・バンドは現在じゃ特に珍しくもありませんが、メンバー全員が女性となるとなかなかにレア。しかもそれが日本のバンドとくれば尚のことではないでしょうか。
本作は、80年代末期にデモテープのみを残して解散した大阪出身の4人組が、およそ30年越しで発表に漕ぎつけた1stフル・アルバム。可愛らしいルックスのお嬢さんが華やかに着飾って聴かせてくれるJ-POPテイスト入った今時の邦楽メタルにはあまりピンと来ない我が身なれど(申し訳ない)、革ジャンとバンドTで武装した熟女軍団が「デス声?パワー・グルーヴ?ダウン・チューニング?それ美味いんけ?」と言わんばかりにブチかます、タイム・カプセルで80年代から解き放たれたかのようなオールドスクール極まりないスラッシュ・サウンドには、問答無用で痺れまくりですよ。
特に、ガリガリ刻みまくるSLAYER直系のGリフと疾走するリズムの上で、ツインGがドラマティックにハモってみせる①③、畳み掛ける疾走感とメロウなヘヴィネスが緩急を織り成す⑦、からの激速スラッシュ・ナンバー⑧辺りの楽曲は、タイトな演奏力と確かな作曲能力が微塵もブランクを感じさせない強力な出来映え。
押しの強い演奏に埋もれ気味なVoにもうちょい迫力が出て、リフ/リズム・パターンのバラエティが広がり収録各曲の個性が一層際立つと、アルバムの完成度は更に高まる気がしますが、これは弱点ではなく寧ろこのバンドの「伸びしろ」です。是非このまま活動を継続し、ライブや作品リリースを重ねていって頂きたい次第。


VANDAMNE - Red Skies ★★★ (2016-02-25 22:56:36)

DEALER?うーん、聞いたことがあるような、ないような…というNWOBHMのマイナー選手(って失礼だな、君は)を前身に誕生したイギリスの5人組VANDAMNEが、'95年にゼロ・コーポレーションを通じてリリースした2ndアルバム。
尤も、本作レコーディング前にリーダーのトレヴ・ショート(Vo、B)を除くDEALER時代のメンバーは脱退済み。しかも今回、曲作りの中心役を担ったのは新加入のギタリストですからね。最早「ニュー・バンド」と表とした方が適当な気もしますけれども。これがどっこい、コマーシャルな方向性も模索していた前作よりも、名曲①やインスト曲②のような疾走ナンバーでスタートを切る本作の方が、よほどDEALER時代に近しい音楽性を追求しているんだから面白い。
つっても全く同じ音というわけでもなく、英国シンガー然とした滋味を保ちつつ確実な技量向上を遂げたトレヴの歌唱と、抒情性・透明感を増幅するKeyに彩られた、ハードネスと憂愁のブレンド具合が職人的なHMサウンドは、どことなく80年代のSHYを彷彿。と言うか、⑨なんて「どことなく」レベルを通り越して“EMERGECY”そのまんま。曲名からして“S.O.S.”(笑)で、これはもう狙ったとしか。
他にも、ドラマティックな⑤⑩、メロウな⑧等、泣きべそ顔で語りかけてくるかのようなGソロが絶品な楽曲も収録し、今は亡き木曜洋画劇場風に言うなら「スーパー・ヴァンダムン・サウンド、行くぜ!」みたいな(んだそりゃ)充実した内容を誇る1枚です。


VANDAMNE - Red Skies - To the Bone ★★★ (2016-02-26 22:56:52)

DEALER時代にも負けないアグレションを
放ちながら疾走するアルバムのOPナンバー。
と言っても、シンガーの技量向上とKeyのフィーチュア度の高さ、
あと新ギタリストのセンスフルなフレージングのお陰で
洗練された雰囲気を身に纏うことに成功しています。


VANDENBERG - Alibi ★★ (2009-08-17 21:12:00)

若さや爽やかさをイメージさせた「青色」から、落ち着きを感じさせる「赤色」へと、ジャケット・アートワークの
変化が物語る通り(?)、ヘヴィ・メタリックな疾走感やエッジが後退し、より成熟したHRバンドへと
その音楽性を変化させた、'85年発表の3rdアルバムにしてVANDENBERGのラスト作。
角が取れ、丸みを帯びたモダンなサウンド・プロダクションに、ボーカル・ハーモニーが強化され、ミドル・テンポの
楽曲がズラリ取り揃えられた楽曲と、以前に増して「聴かせる」姿勢が前面に押し出されており、
エイドリアンのGプレイも相変わらずの泣きとドラマ性を湛えつつ、今回は楽曲の1パートに徹しているとの印象で、
前2作で聴かれたような鮮烈な「華」を感じさせるGソロが炸裂する場面は少ない。
有体に言ってしまうとかなり地味な仕上がりの本作なのだが、ポップで溌剌とした③、重厚で劇的な⑥、
そして本編のハイライトと言っても過言ではない、“KAMIKAZE"の名を持つインストの名曲⑨といった魅力的な楽曲も
収録されており、駄作と切って捨てるのは早計というもの。VANDENBERG入門編にはお薦めしないものの、
前2作を気に入った人なら、やはり避けては通れない作品かと。


VANDENBERG - Alibi - Fighting Against the World ★★★ (2009-08-17 21:48:16)

やや大人しめにまとめられた3rdアルバムの中にあって、
重厚且つドラマティックなこの曲のへヴィ・メタリックな
カッコ良さは一際耳を引く。


VANDENBERG - Alibi - Kamikaze ★★★ (2009-08-17 21:35:29)

“KAMIKAZE"というタイトルを名乗るなら
これぐらいカッコ良くないとね、
と実感させられる、アルバムのハイライトを
飾るインストの名曲。


VANDENBERG - Heading for a Storm ★★ (2009-01-04 01:53:00)

必殺の名曲“THIS IS WAR"“WATING FOR THE NIGHT"を収録し、VANDENBERGの日本での人気を決定付けた
'83年発表の傑作2ndアルバム。(邦題は『誘惑の炎』)
泣きメロ満載だが湿っぽくならない、適度なポップさを備えた楽曲を、綿密に構築されたエイドリアン・ヴァンデンバーグの
Gプレイが華麗に彩るHRサウンドは、デビュー作の作風を順当に継承しているものの、本作ではブルーズ風味が薄れ、
よりポップでキャッチーなメロディが前面に押し出された内容に仕上がっている。
収録曲のクオリティにややバラつきが見られる(と言っても、並みのバンドなんぞ寄せ付けないレベルの高さなんだけど)
のが難なれど、キャッチーなポップ・メタル・ソング①、哀メロが胸に染み渡る美しいバラード④、
そしてVANDENBERG史のみならず、HR/HM史に残る名曲といっても過言ではない、劇的極まりない⑤⑨といった
極上の楽曲の前には、些細な不満など欠片も残さずに吹き飛ばされてしまうというもの。
HR/HMファンを名乗るなら聴かずには済まされない名盤ゆえ、VANDENBERG未体験者の入門編としても最適な1枚。


VANDENBERG - Heading for a Storm - This Is War ★★★ (2008-03-12 21:05:08)

言いたいことは上で出尽くしているので、
今更付け足すことは何もない。
最初から最後まで、ハードに泣きまくる超名曲です。


VANDENBERG - Heading for a Storm - Waiting for the Night ★★★ (2008-03-12 21:09:09)

美しく流麗な冒頭のアコギ・ソロでガッチリ掴まれ、
メタリックなリフと、泣きを帯びたメロディが
疾走を開始した瞬間にK.O.
2ndアルバムのハイライト・チューンにして、VANDENBERG屈指の名曲。
個人的に、このバンドの中ではこの曲が一番好きだ。


VANDENBERG - The Definitive Vandenberg ★★ (2008-03-12 20:57:00)

3枚のスタジオ・アルバムを残して解散した、天才ギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(現在は画家に転身)率いる
オランダの至宝、VANDENBERGの栄光の軌跡を綴った、スタジオ・トラック集のDISK-1と、デモ/ライブ音源集の
DISK-2からなる、2枚組仕様のベスト・アルバム。
個人的に、デモ音源とかには余り興味が沸かない性質なので、感想はどうしてもDISK-1の方に偏ってしまうのだけど、
これがデジタル・リマスターにより音質が劇的に向上、エイドリアンの構築美溢れる劇的なGプレイを
フィーチュアした、ハード且つキャッチーな楽曲の魅力が、一層輝きを増しているのだから素晴しい。
まぁ、名曲を数多く持っているバンドゆえ、1枚にまとめようとするとどうしても「漏れ」が生じるし
(なぜ“FRIDAY NIGHT"が入っていない?とか)、1stから3曲、2ndから4曲、3rdから9曲というチョイスには
明らかに偏りが感じられるしで、色々と不満もあるが、とは言え、以前に国内盤が出ていた“THIS IS WAR"も
“WAITING FOR THE NIGHT"も収録されてないのにどこか「BEST」じゃボケ、とファンから総スカンを食った
『BEST OF VANDENBERG』に比べたら、遥かにマシな選曲センスと言えるのでOKかな、と。
そして、何と言っても本作最大の目玉は、バンドの代表曲の1つにして、ビルボードのTOP40に食い込むヒットとなった名曲
“BURNING HEART"を、旧メンバー達が集ってリメイクした“BURNING HEART 2004"の存在。原曲の溌剌とした若々しさは
薄れたが、その分、ストリングスをフィーチュアして、優雅且つスケールの大きな仕上がりとなっていて、聴き応え十分。
てっきりこの曲は再結成への布石だとばかり思っていたのだが、どうやらTV番組用にレコーディングされた物であって、
これが即、再結成へと繋がるわけではない様子。残念。


VANDENBERG - Vandenberg ★★ (2009-01-04 01:49:00)

オランダの至宝、エイドリアン・ヴァンデンバーグ率いる4人組HMバンドVANDENBERGが'82年に発表した1stアルバム。
VANDENBERGの最高傑作と言えば、やはり名曲中の名曲“THIS IS WAR"“WAITING FOR THE NIGHT"を収録した
2nd『HEADING FOR A STORM』で決まりだろうが、個人的に彼らの作品で一番好きなのは、このデビュー作だったりする。
上記2曲のような強力なキメ曲こそないものの、収録曲は非常に粒が揃っており、何より、ドラマティックな「泣き」を
満載したエイドリアンの華やかなGプレイに関しては、2ndアルバム以上の充実っぷりを誇っていると言っても良いのでは?
アルバム前半(A面)にメロディをじっくり聴かせるタイプの楽曲が、後半(B面)にはハード・ロッキンな楽曲が並ぶ、
メリハリの効いた構成も素晴しい本作。美しいアコギが閃く③、スマッシュ・ヒットを飛ばした名バラード④を山場とした
前半の完成度も見事だが、やはり本編のクライマックスは、フックの効いたメロディがエネルギッシュに疾走する⑤、
劇的なイントロのみで一発K.O.される⑥、泣きを伴ったバート・ヒーリングのVoが映えるシャッフル・チューン⑦、
構築美に溢れたエイドリアンのGソロに悶絶させられる⑧、ヘヴィ・メタリックな疾走チューン⑨といった
ハイクオリティな楽曲が連打される、アルバム後半にこそ有るんじゃないかな、と。
泣きメロ愛好家なら、聴かずには死ねない名盤の1つ。2ndアルバムと併せてどうぞ。


VARDIS (2017-03-12 09:34:20)

Vo兼Gのスティーヴ・ゾディアックにより結成された、英国はウェスト・ヨークシャー州ウェイクフィールド出身のトリオ・バンド。
コンピ盤『NEW ELECTRIC WARRIORS』への参加や、EP、シングルの自費出版、そして何よりライブ活動で名を挙げた後、LOGO RECORDSと契約を交わし1st『100 M.P.H.』で’80年にデビュー。ハードブギーを基盤に、そこにNWOBHM然としたスピード感やアグレッションを加味したサウンドで人気を集めた。
徐々に音楽性を拡散させながら80年代に数枚のスタジオ・アルバムを残して解散。近年は再結成を果たして新作『RED EYE』を発表。確か去年の暮れぐらいに来日公演のニュースもアナウンスされていたと思うが、結局行われなかった模様。キャンセルされたのかな?


VARDIS - 100 M.p.h. ★★★ (2017-03-12 09:35:41)

’80年にLOGO RECORDSから発表した1stフル・アルバム兼ライブ・アルバム。本作がその両者を兼ねている理由として、ライナーには《彼らの本質的な魅力はライブ・パフォーマンスにて発揮されるから》と書かれています。若い頃なら「なるほど!理に適ってる!」と目をキラキラさせながら納得したでしょうが、すっかりスレたオッサンと化した今では「ハイハイ、所属レーベルが制作費ケチったのな」と死んだ魚の目をして呟くエブリデイ。
しかし。最早ハードブギーというより「ブギー・メタル」と評すべき音の託された今作に限って言えば、このアイデアがドンピシャ。気の利いたメロディや曲構成の妙を聴かせるようなタイプじゃなく、オヤジ声のVo、ハイエナジーなG、ガンガンにドライヴしまくるB&Dsが一丸となって、文字通り『時速100マイル』でカッ飛ばすサウンドには、一発録りゆえの生々しい迫力と火傷しそうな熱気がダイレクトに刻まれた「ライブ」という場が実によく似合う。ジャケットに掲げられた《オーバーダビング一切なし》の文言は伊達じゃねぇと。
NWOBHMでブギーといえばリバプールのSPIDERも忘れられませんが、キャッチーなメロディ・センスにも長けていた彼らに比べると、こっちはもっとラフでスピーディ。NWOBHM史に名を遺す名曲は見当たらなくとも、つんのめり気味に突っ走る①やオーディエンスの反応が熱い②、英国チャートでも健闘した⑧、リフにリードにGの暴れっぷりが痛快な⑨、デビュー・シングルの代表曲⑪等から迸る、「プロト・スピード/スラッシュ・メタル」的とも言えるエナジーには問答無用でメタル魂が燃え上がります。知名度では後れを取っても、爆発力ではRAVENやTANKの諸作にだって一歩も引けを取らない力作。


VARDIS - 100 M.p.h. - Let's Go ★★★ (2017-03-12 23:18:05)

疾走するリズム、荒れ狂うギター、
Voの「レッツゴー!」のシャウトを聴いてるだけで
もうじっとしていられない。
長髪を振り乱して熱演繰り広げるスティーヴ・ゾディアックの
立ち姿も無茶苦茶クール。
英国チャートでも最高50位台まで上昇したのだとか。


VARDIS - Quo Vardis ★★ (2017-05-21 23:24:08)

これまで以上にHM色が薄まっていることは容易に想像がついたため購入を躊躇していたVARDISの3rdアルバム(’81年)。「国内盤初CD化」のニュースに覚悟を決め、漸くゲットしたので実際に聴いてみたら、案の定メタル色は益々薄まっていたという。
最早HRとすら若干の距離を感じなくもないリラックス具合で繰り出されるロックンロール・サウンドは、オールディーズ風の楽曲が収録されていたり、曲に応じてピアノ、サックス、ハーモニカが気持ち良さげに鳴らされてたりなんかして、VARDIS=NWOBHMバンドという図式が頭に叩き込まれていた若い時分に聴いた日にゃ「全然NWOBHMの音と違うじゃねえか!」と、盤をブン投げていたであろうことは想像に難くありません。
尤も、VARDIS(と首魁スティーヴ・ゾディアック)は本質的にロックンロール野郎であり、その基本姿勢はデビュー当時から一貫して全くブレていない。要はロックンロールを基軸に据え、その上でパラメーターの数値をスピードに偏らせたのが1stで、より聴き易く、洗練やメロディといった要素にもバランス良く数値を割り振ったのが本作であると。
そんなわけで、ゴキゲンに躍動するOPナンバー①、ピアノが粋に踊る②、グルーヴィな横ノリに体が勝手に動き出す④…と、楽曲のノリは1st『100 M.P.H.』の頃から随分と変化しましたが、いずれも紛うかたなきVARDIS印が刻まれていて違和感はなし。勿論⑧のような豪快なカッ飛ばすスピード・ナンバーだって本編にはしっかりと健在です。
入門盤にゃお薦めしかねますけども、聴けば聴くほど好きになれる1枚ではないかと。


VARDIS - The World’s Insane ★★ (2017-03-13 23:26:23)

STANPEDEやAⅡZ、もしくはCHINAWHITEよろしくライブ・レコーディングされていたデビュー・アルバムに対し、今回はちゃんとスタジオにて制作作業が行われている、VARDIS、’81年発表の2ndアルバム。
そのため、まとまりの良さや聴き易さに関しちゃ断然こちらの方が上です。また曲によってはゴキゲンに踊るピアノ、ハーモニカ、バグパイプを導入。更にはHAWKWINDの“SILVER MACHINE”のカヴァーにもチャレンジする等、バンドの旺盛な創作意欲を誰憚ることなく全開に出来たのも、スタジオにてレコーディング作業が行われたからこそ。
反面、NWOBHMの括りにスッポリと収まった前作に充満していた、プロト・スピード/スラッシュ・メタル的とも言える破天荒な勢いや炸裂感はだいぶ薄れました。そこんところに大いなる魅力を感じていた身には少々勿体ないなぁと。
それでも、ツアーに同行したMOTORHEADに多大なる薫陶を受けたことで全編に亘って貫かれたノリノリの疾走感と、相変わらず弾きまくりのスティーヴ・ゾディアックのGプレイは楽曲のテンションをグンと引き締めてくれていて、作品の完成度は間違いなく高め。強烈なタテノリOPナンバー①や、アイリッシュ・フレーバーも薫る⑥といった楽曲を筆頭とする、「メタル・ロックンロール」の数々には問答無用で体が動き出してしまいますよ。
正直なところ、今時のHR/HMリスナーにこの手のサウンドがどれだけアピールするかは未知数ですが、少なくとも前作が気に入った方ならトライする価値は十分ある1枚ではないかと。せっかく国内盤がリマスター再発されたことですし。


VEGA - Stereo Messiah ★★★ (2019-07-15 23:58:34)

スティーヴ・ハリスが主宰するBEAST RECORDSからデビューを飾るも、今一つパッとした印象が残っていないKICK(2ndアルバムは傑作)の元シンガーであるニック・ワークマンと、FRONTIERS RECORDS付きの作曲家として、これまで数多のアーティスト/プロジェクトに優れた楽曲を提供して来たトム&ジェームズのマーティン兄弟(ちなみに双子)。以前からの知り合いだったというこの3人を中心に結成されたメロハー・グループVEGAが、'14年に発表した3rdアルバムがこちら。
プロデュースを現IT BITESのジョン・ミッチェル、マスタリングはHAREM SCAREMのハリー・ヘスが担当するという座組の下、曲作りの技前が冴え渡る兄弟と、実力派シンガーが超人タッグを組むのですから、完成度の高さは聴く前からある程度は保証済み。そして実際、アートワークからしてこれまでよりもグレードが上がっている本作は、当方の予想を更に上回るクオリティを提示してくれていたという。
HRのエッジと躍動感を保ちつつ、フレッシュなポップ・フィーリングを携えた②から、憂いを孕んだ⑦、悲哀の旋律が胸を打つ泣きのバラード⑫まで、収録曲はいずれもキャッチーなメロディに彩られた逸品揃い(DEF LEPPERDのカヴァー⑨にはジョー・エリオットがバックVoとして参加)。中でも耳を惹くのが巧みにフックを盛り込んだサビメロ作りの上手さで、爽快感に満ちた名曲⑩はその好例。曲調は爽やかでも、声質自体が憂いを帯びているニックのVoに歌われることで醸し出される、どこか切ない情感が辛抱堪りませんよ。
VEGAの他のカタログも聴いてみたくなること請け合いの充実作。


VEGA - Stereo Messiah - My Anarchy ★★★ (2019-07-16 23:57:24)

憂いを湛えたヴァースから、爽快なコーラスへと至る曲展開が
霧の中を抜けて視界が一気に視界が開けるような解放感を味わえます。
声質自体が潤いを帯びているニック・ワークマンが歌うことで
爽やかさと共に一抹の切なさが漂うあたりもまたぐっとくる名曲。


VEKTOR ★★ (2010-04-21 22:31:00)

ツインG編成で、Vo兼Gのデヴィッド・デサントを中心に結成された、
アリゾナ州テンペ出身の4人組テクニカル・スラッシュ・メタル・バンド。
自主制作の1st『DEMOLITION』と、デモテープ2本を発表した後、リズム隊を刷新して'09年末に
HEAVY ARTILLERY RECORDSから2nd『BLACK FUTURE』を発表、これが世界各地で好評を博する。
メンバーが告白する通り、変則的に動き回るGリフから、耳に引っ掛かる不協和音の使い方、
科学、宇宙をテーマに取り上げた理系の歌詞、そしてバンド・ロゴに至るまでVOIVODからの影響が色濃い
音楽性ながら、若手スラッシャーらしいはっちゃけた疾走感と、激しくも悲哀に満ちた叙情メロディを
紡ぎ出す、メロディックなツインGの存在が前面に押し出されているため、VOIVODに比べると
かなりキャッチーで聴き易く、ずっと正統派ヘヴィ・メタリックな作風がその持ち味。
また、楽曲によっては『ETERNAL DEVASTATION』の頃のDESTRUCTIONを思わせる部分もあり。


VEKTOR - Black Future ★★ (2010-04-21 22:34:00)

労作の割りにチープな印象が拭えないジャケット・アートワークや、70分に迫る勢いの長大過ぎる
収録時間に尻込みしつつ聴き始めた作品だったが、いやいや、これが素晴しいの何のって!
VOIVODやDESTRUCTIONといったバンドが比較対象に挙げられており、実際、首絞められた鶏の断末魔みたいな
Voはシュミーアを、理系の歌詞世界、プログレッシブでフューチャリスティックな雰囲気漂う
楽曲の数々はVOIVODを彷彿とさせる本作。それでいて敷居の高さを感じないのは、テクニカルな楽器陣が
生み出す張り詰めたテンションの高さ、複雑なテンポ・チェンジを難なくこなしつつ、タイト&キャッチーに
疾走するリズム隊、そしてフラッシーに弾きまくるだけでなく、楽曲にきっちりとフックを構築するGコンビの
素晴しい仕事っぷりゆえ。中でも、時にスリリングに絡み合い、時に劇的に重なり合うツインGは本作最大の
聴き所。特に、小爆発を何度も繰り返しながらクライマックスへと昇り詰めて行く10分以上に及ぶ大作④⑨は、
変則的に動き回る音数の多いGリフのカッコ良さといい、エキセントリック且つドラマティックな曲展開の妙といい、
心揺さぶられる激情に満ちたメロディックなGソロといい、このバンドの何たるかを端的に示す必殺の名曲。
その他の楽曲も押し並べて完成度は高く、前述した通り全9曲収録で70分弱というボリューミーな内容にも関わらず、
中弛みを殆ど感じさせない手腕は大したもの。(曲展開はもう少し整理した方が良かったと思うけどね)
ともあれ国内盤が出ていてもおかしくない、立派なクオリティを誇る1枚。つか今からでも国内盤出そうよ。


VEKTOR - Black Future - Accelerating Universe ★★★ (2010-04-24 02:05:11)

スペーシーに浮遊する叙情パートを飲み込んで、
壮大且つドラマティックに組み立てられた
本編中、最もプレグレ・テイストが色濃く薫る大作ナンバー。
ハイテンションなヤスリ声のVo、多芸なG、
タイトなリズム隊とが一丸となって、目まぐるしく動き回る
予想は裏切り、期待は裏切らない曲展開に翻弄されるうちに、
あっという間に聴き終えられる名曲。


VEKTOR - Black Future - Forests of Legend ★★★ (2010-04-24 01:49:38)

北欧民謡調の叙情パートを頭と尻に配置して
時にブラスト・ビートを織り交ぜつつ
ドラマティック且つエキセントリックに
盛り上がっていく大作曲。
音数の多いリフの刻みからメロディックなソロまで
忙しなく動き回るGと、タイトに疾走するリズム隊の
良い仕事っぷりが際立つ名曲かと。


VEKTOR - Outer Isolation ★★★ (2012-01-15 09:16:50)

米HR/HM系サイトNOISECREEPにおいて、イマドキのエクストリーム・メタル・バンド群に混じって「2011年ベスト・アルバム11」に選出される等、海外では既に高い評価を得ているVEKTORの2ndアルバム。
と言っても本作にモダンな要素は皆無と言ってよく(一体何がアメリカ人の琴線に触れたのでしょうかね?)、シュミーアが加入したVOIVODがDESTRUCTIONの楽曲に大胆な解釈を施してカヴァーしているかのような、激烈且つキャッチーな疾走感と、知性迸るプログレ・メタル風味の構築感とが同居した「理数系スラッシュ」とでも表現したくなるユニークなサウンドは今回も健在。
いや寧ろその切っ先は益々鋭利に、曲展開は一層無駄なくソリッドに研ぎ澄まされた印象で、ヒステリックに噛み付いてくるVo、トリッキーなリフの刻みからメロディックなソロまで、端々に不協和音を織り交ぜつつ流麗に動き回るG、そして立体的に組み上げられたリズムで怒涛の如く畳み掛けるBとDsの鬩ぎ合いによって生じる、張り詰めたテンションとスリル、そしてSFタッチのアートワークに通じるスペーシーなスケール感とドラマ性を有する楽曲のカッコ良さは格別です。(お薦めは①④⑧辺りかな)
・・・と頑張って理屈っぽく説明してみましたが、本作の魅力は単純に「チョー速くて、チョーいかしたスラッシュ・メタル・アルバム」の一言で説明可能なので、別に小難しく構える必要なし。目出度く日本デビューを飾ったことですし、是非ともライブを見てみたいですね。


VEKTOR - Outer Isolation - Tetrastructural Minds ★★★ (2012-01-17 20:51:15)

5分というランニング・タイムの中で
ハイテクニックの応酬が生み出すスリルとテンション、
複雑精緻な曲展開、そしてドラマティックなメロディとが
目まぐるしく入り乱れ、終わった瞬間、止めていた息を
「ぶはぁっ」と吐き出してしまいましたよ。


VEKTOR - Terminal Redux ★★★ (2016-06-17 00:14:51)

最新作発表が5年ぶりとか、作品のリリース間隔も既に大物の風格十分な(?)VEKTORの3rdアルバム。
しかも今回は「宇宙」がテーマの壮大なSFコンセプト作とのこと。宇宙と言われても「超広い」「超寒い」「超無重力」程度の知識しか持ち合わせない(バカ)身には、正直ついていけるかどうか不安だったのですが、喉から血を吐く勢いのシャウト、神経症気味に刻まれるGリフとブラストするリズム、脳細胞を引っ掻き回すようなメロディ、プログレばりのアレンジ・センスとが、スペーシーなスケール感を伴って縦横無尽に駆け巡るOPナンバー①だけで、「ああ、良かった。いつものVEKTORだ」と不安は完全に雲散霧消致しました。
曲作りに方程式を用いてそうな理数系楽曲構築術の綿密さ、豪快で前のめりな体育会系突進力に加えて、今回は抒情メロディも大胆に投入することで、これまで以上に収録各曲のドラマ性とダイナミズム演出に注力。特に振り切ったテンションの高さで畳み掛ける頭3曲の迫力は、それだけでアルバムの世界に一気に引き込まれてしまいます。そして、どこかANNIHILATORの名曲“SOUND GOOD TO ME”に通じるメロウネスが心地良い⑨を経て、13分以上に及ぶ長尺を、持てる全てのスキル、更には女性Voによるスキャットまでブッ込んでクライマックスへと雪崩れ込む⑩のカオスっぷりは、まさに本編のハイライト。
VOIVODやDESTRUCTION(③⑥辺りはSLAYER風味)のようでありながら、その実、いずれのバンドとも明確に異なっているという、VEKTORが志向する「Si-Fiスラッシュ・メタル」の現時点での最高到達地点を垣間見せてくれる、Si-Fi or DIEな1枚。


VEKTOR - Terminal Redux - Charging the Void ★★★ (2016-06-19 01:20:02)

数学的アレンジ能力と、体育会系の突進力が、
時に美しい女性コーラスが木霊してくる壮大な宇宙空間で、
四次元殺法コンビよろしく熾烈な空中戦を繰り広げる
(なんじゃそりゃ)、アルバムのOPナンバーにして
VEKTORというバンドの何たるかを端的に物語る名曲。


VEKTOR - Terminal Redux - Collapse ★★★ (2016-06-19 01:29:09)

もともとメロディ・センスに冴えを感じさせるバンドでしたが
ここではその魅力が全開。Voもキチガイシャウトではなく
訥々とクリーンに歌い上げています。
美しくもどこか不安げな捩れを感じさせる抒情メロディと、
後半に聴き進むに従ってハードネスを増していく劇的な曲展開が、
ちゃんとこのバンドらしさを刻印していて、日和った印象は皆無。
個人的にはアルバムでも1、2を争うぐらい
お気に入りの楽曲になりましたよ。


VELVET PΛW - VELVET PΛW ★★★ (2024-03-25 23:39:09)

聖飢魔Ⅱとの関わりでも知られるVELVET PAWが、バンド・コンテストで好成績を収めたことを切っ掛けにメジャーのCBS/ソニーと契約を得て、満を持して'89年に発表した1stアルバム。
女性だけの5人組という編成でも注目を集めたバンドであり、今となっちゃ時代を感じさせるバブリーなジャケットと、《パワフルでちょっぴりオシャレな女の子ならではのハウの魅力満載》なる帯惹句を見た時は「プリンセス・プリンセスのフォロワーか?」と思ったりしたものですが、どっこい本作で披露されているのは、中心メンバーたる桐生千弘(Ds)の卓越した作曲/作詞センスと、メンバーの確かな技量に下支えされた、浮ついたところ等まるで感じられないタイトなプログレッシブ・ロック・サウンド。曲展開には変拍子をバリバリ仕込みつつも、飽くまでキャッチーな歌とメロディをアレンジの中心に据え(シンセも有用)、メジャー・アーティストらしい親しみ易さの演出にも気の払われた作風は、彼女達が影響源として挙げるU.K.やRUSH、ASIA辺りに通じる魅力を放っています。
明るいOPナンバー①から一転、伸びやかにVoが歌い上げる哀愁のメロディが緊迫感を伴って繰り出される②、立体的に舞うボーカル・ハーモニーも印象的な③、楽器陣の技量の高さとメロディ・センスの冴えが発揮された⑤、爽やかに本編を締め括るストレートなロック・チューン⑨等は、改めて聴いてもその名曲ぶりに耳奪われてしまいますよ。
現在のガールズ・メタル隆盛の先駆け的存在にも拘わらず、顧みられる機会が十分に得られていない気がする埋もれてしまった名盤です。


VELVET PΛW - VELVET PΛW - Long Way Out ★★★ (2024-03-27 00:10:32)

心地良く疾走する、1stアルバム中にあっては
比較的ストレートなロック・チューン。
とはいえコーラスの重ね方等、技ありなアレンジには
しっかりこのバンドらしさが宿っています。


VELVET VIPER - The 4th Quest for Fantasy ★★ (2011-03-26 21:45:10)

元ZED YAGOのユッタ・ヴァインホルト(Vo)や現METALIUMのラーズ・ラッツ(B)らに加え、結成当初にはAT VANCEのオーラフ・レンク、WARLOCK~U.D.O.のピーター・シゲティ、SKYCLADのデイヴ・ムーアといった、名の知れた面子も関わっていたハンブルグ出身の正統派HMバンドが、'92年に発表した2ndアルバム。
重厚に刻まれるGリフと勇壮にうねるリズムの上に、妖しげなメロディをコブシの効かせて歌い上げる女性Voが乗せられたエピカルなサウンドは、まるで初期RAIBOWの楽曲をACCEPTが演奏しているよう・・・と言ったら絶対に褒め過ぎだが(笑)、女ロ二ー・ディオの系譜に連なるユッタ嬢の堂々たる歌いっぷりは見事なものだし、ミドル~スロー・テンポの楽曲中心のヘヴィネス漲る作風にも関わらず、ドゥーム・メタル的なダウナー感とは無縁のタイトに締まった演奏やアレンジも、そうした印象に拍車を掛けている。多分メンバーに尋ねても「ドゥーム?俺達ただRAINBOWが好きなだけなんスけど・・・」って感じじゃないかな、と。
いかんせんメロディのフックが弱く、通して聴いて一番印象に残るのがワーグナーの名曲“ワルキューレ騎行”のカヴァー①ってのは幾ら何でもマズイような気がするけど、それでも、勇ましくドスの効いたヘヴィ・ナンバー②、荘厳な男性コーラスからスタートする⑥、パワフルなユッタ嬢の歌唱が映える⑦、それに本作のハイライト・ナンバーたるドラマティックなラス曲⑪辺りは、個人的にお気に入りの秀曲だ。
WARLOCK、CHASTAIN、HELLIONなんかが好きな人にはお薦めできる1枚・・・かもしれない。
ショボ過ぎるジャケットはアレですが。


VELVET VIPER - Velvet Viper ★★ (2011-05-31 23:10:01)

元ZED YAGOのユッタ・ヴァインホルト(Vo)率いる5人組が、'91年にRCA RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
METALIUMのラーズ・ラッツ(B)、WARLOCK~U.D.O.のピーター・シゲティ(G)、SKYCLADのデイヴ・ムーア(G)といった豪華なメンバーのみならず、現AT VANCEのオーラフ・レンク(G)、更にはZENO解散直後のジーノ・ロート(G)までゲスト参加してソロを弾いているという、欧州メタル・ファン的には何とも贅沢な1枚。(但しクレジットがないのため、ジーノやオーラフがどの曲でソロを弾いているのかは判然としない)
音楽性は、ユッタのコブシの効いたパワフルな歌唱力、ファンタジーにどっぷりと浸った歌詞世界、それに重厚なミドル・テンポの楽曲が中心に据えられた作風・・・と、ロ二ー期RAINBOWからの多大なる影響を基本に、そこへジャーマン・メタルらしいパワーや、ネオクラシカルな要素も組み込んだ正統派HM。
特に、このアルバムの方向性を判り易く示す、ミステリアスな雰囲気と重量感を湛えたOPナンバー①、本編屈指の聴き所として推したい劇的な④、ワーグナーのカヴァー⑤から展開していくアップテンポの⑥、雄大なバラード⑫辺りの出来栄えには素晴しいものあり。
次作『THE 4TH QUEST FOR FANTASY』も同路線だったが、楽曲の完成度では本作の方がずっと上。VELVET VIPERの作品に触れるなら、まずこちらからどうぞ。


VENDETTA - Brain Damage ★★ (2007-07-14 00:33:00)

ツインGにツインVo編成で、ドイツ産にしては珍しく、ベイエリア型の明快で小気味良いスラッシュ・サウンドを聴かせる
シュバインフェルト出身の4人組スラッシャーVENDETTA、'88年発表の2ndアルバムが待望のリマスター再発。
どうせなら中古屋でバカ高い値段で取引されている1stも一緒に再発して欲しかったところだけど、まぁ贅沢は言うまい。
で、本作だが、ストレートに突っ走っていた(・・・らしい。何せ聴いた事がない)前作に比べると、リフ/リズム・チェンジを大胆に取り入れ、
キレのある演奏を活かした、凝った曲展開で畳み掛けて来るタイプの楽曲が大半を占めていて、何やらバンド側の試行錯誤が伺える内容。
実際、比較的ストレートに疾走する③⑤⑧⑨よりも、グルーヴィなノリに体が動く①、捻った曲展開に、ダーティながらも
ちゃんと「歌う」Voを絡めて攻めてくる②、VENDETTA流バラードといった趣きの前半から徐々に速度を上げていく名曲④、
ファンキーな小曲⑥をイントロ代わりに、ベース主導でドラマチックに盛り上がるインスト曲⑦の方が、
より印象に残ると言う事実が、本作の性格を端的に物語っているんじゃなかろうか。
全体的にイマイチ強烈なパンチに欠けるとか、試みとしては面白いツインVoも、2人のVoの声質が酷似しているせいで
あまり効果的に機能していないとか、細かい不満点もあるにはあるが、それでも本作のクオリティの高さは
疑いようがない。特に、劇的なメロディを次々に紡ぎ出すツインGの威力は侮り難し。


VENDETTA - Go and Live... Stay and Die ★★ (2007-08-29 22:40:00)

ジャーマン・スラッシュ・メタルの隠れた名盤として、中古盤市場においてかなりの高額で取引されていた
VENDETTAの'87年発表の1stアルバムが、ボーナス・トラック1曲を追加収録して漸くリマスター再発。いやぁ、目出度い。
ある程度スピードは抑え目にして、「聴かせる」ことを意識した感じの作風だった2nd『BRAIN DAMAGE』に比べると、
この1stでは、リフ/リズム・チェンジを多用して畳み掛けて来るダイナミックな曲展開は『BRAIN~』同様ながら、
デビュー作という事で、より初期衝動に忠実に、荒々しくスピーディに突っ走っているとの印象が強い。
特に、冒頭からガツンとカマされる①②③の三連打は、クランチの効いたGリフ、スラッシーな疾走感と起伏に富んだ曲展開、
そして華麗にしてメロディアスなツインGといった要素がギュッと詰め込まれた、本作の魅力を端的に物語る名曲揃い。
また、叙情的なイントロで幕を開ける④、劇的な導入部で一気に引き込まれる⑥なんかも、
VENDETTA流スラッシュ・メタルの真髄が堪能できる楽曲じゃないかな、と。
その他にも、後半を猛然と駆け抜けていく高速スラッシュ・チューン、リフのカッコ良さは本編一とも言える⑦や、
ドラマチックなツインGが炸裂するラスト・ナンバー⑧等、収録曲の平均クオリティは総じて高く、まさに捨て曲なしの完成度。
「幻の名盤」というヤツは、評判ばかりが一人歩きして、実際に聴いてみるとガックリなんてパターンが
決して少なくないのだが、本作に関してはそれは当てはまらない。必聴。


VENDETTA - Hate ★★ (2007-08-28 21:30:00)

確かな実力に裏打ちされた、ダイナミックなスラッシュ・サウンドが好評を博し、80年代に
2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したジャーマン・スラッシャーVENDETTAが復活。2nd『BRAIN DAMAGE』から
ほぼ20年ぶりとなる'07年に発表した、再結成第1弾アルバム(通算3枚目)がこれ。
ブックレットに見る、メンバーのしょっぱ過ぎるルックスと、オリジナル・メンバーがBのヘイナー以外、
誰も残っていないラインナップに不安を覚えるが、実際に聴いて見ると、嘗ての中心メンバー・ダックス(G)が裏方として、
ほぼ全曲の作曲作業に関わっているだけあって、楽曲にはスラッシュ・メタルならではの疾走感が健在だし、
①を筆頭に、往年を思い起こさせるメロディアスなツインGが炸裂する場面も随所にあるしで、
ある程度はメタル・シーンの空気(とファンの期待)を読んだ内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
但し、へヴィに歪められたGサウンドや、グルーヴが強調されたリズム、シンプルにまとめられドラマ性が減少した曲展開、
そしてバキバキにビルドアップされたサウンド・プロダクション等、少なからず現代的な要素も取り入れられていて、
これを「意欲的」と捉えるか、「余計な事を」と捉えるかで、かなり評価が割れる作品なのも確か。
(ツインVo体制もなくなっているが、これは元々あまり効果的とは言えなかったからなぁ)
まぁ、その辺は各自が自身の耳で判断してみて下さい。ということで。


VENI DOMINE (2019-03-23 00:26:23)

'87年にスウェーデンのソレントゥナにおいて、トルビヨーン(G)とトーマス(Ds)のヴァインショー兄弟を中心に結成。
クリスチャン・メタル・バンドのコンピレーション・アルバム『WHITE METAL WARRIOR』に参加したことで注目を集め、’91年に1st『FALL BABYLON FALL』でデビュー。ロドニー・マシューズが手掛けた美麗なアートワークも話題を呼び(マシューズは前述のコンピ盤のアートワークも担当していた)同作はテイチクから日本盤もリリースされた。
プログレ・メタル的構築美と、ドゥーム・メタリックな重厚感を併せ持ったサウンドを武器に断続的にアルバムを発表していたが、’12年に解散してしまった模様。


VENI DOMINE - Fall Babylon Fall ★★★ (2019-03-23 00:29:01)

スウェーデン出身の4人組で、ラテン語で《主よ、我を導き給え》を意味するVENI DOMINEを名乗ったクリスチャン・メタル・バンドが、EDGE RECORDSから'91年に発表したデビュー作。当時、名匠ロドニー・マシューズ謹製の「崩壊するバビロン」を切り取ったスペクタキュラーなアートワークに惹かれて本作の輸入盤を購入した記憶が薄っすらとあるのですが、少し前にぶらっと中古CD屋に立ち寄ったら何と国内盤を発見。「これって日本盤も出てたんだ?」と、ついつい懐かしさに駆られて衝動買いをしてしまったという。
クリスチャン・メタルといっても作風にSTRYPER辺りとの共通点はほぼ無し。ミドル~スロー・テンポを中心に構成された重厚長大な楽曲群はその大半が6~8分台、ラストを〆る三部構成の組曲⑦に至っては20分越えという大作主義っぷり、加えてジェフ・テイトからの影響を伺わせるシンガーの存在も相俟って、分厚い暗雲を纏い押し寄せるが如きダークなサウンドは「プログレ風味を振りかけたドゥーム・メタル」といった趣きが漂います。
荘厳なコーラス/シンフォニックなKey/ウェットな旋律を懇々と紡ぐGを活かした収録曲は、多少の冗長さをものともしない北欧産メタルらしい抒情性と劇的な構築美を放っていて、中でも(やや一本調子なきらいはありつつも)朗々歌い上げるハイトーンVoが映える②、そしてミスティックなヘヴィネスと疾走パートを対比させつつ20分以上の長尺をドラマティックに語りきる⑦は、改めて聴いてもやはり名曲だなぁと。
このバンドについては本作しか知らなかったのですが、調べてみると他にも作品を結構な枚数発表している様子。ちゃんと追いかけておくべきだったか。


VENI DOMINE - Fall Babylon Fall - The Chronicle of the Seven Seals ★★★ (2019-03-23 00:46:18)

一応クリスチャン・メタル・バンドではあるものの、
「神を信じよ」的な説法ではなく、聖書のスペクタクルな側面に
焦点を絞って歌詞を綴り、それが宗教的荘厳さとスケール感、緩急とを
併せ持ったサウンドとドラマティックに噛み合ったのが、
三部構成、20分以上に及ぶこの一大組曲であったという。
ドゥーム・メタル化したQUEENSRYCHE的感触もある名曲。


VENOM - Calm Before the Storm ★★ (2007-05-15 22:08:00)

マンタス(G)が脱退、その後任にマイク・ヒッキーとジム・クレアを迎え入れ、
新たに4人編成に生まれ変わったVENOMが、'87年に発表した5thアルバム。
ツインGを活かして楽曲のドラマ性/整合性を強化、ロックンロール色の一掃と、思い切った
サウンド・スタイルの刷新が奏功して、前作『POSSESSED』の煮詰まり感を吹き飛ばす快作に仕上がった本作は、
①のイントロ部分の分厚く鋭角的なGリフの刻みからしてもう「これがあのVENOM?」というぐらいカッコイイ。
続くアップテンポの②もドラマチックなツイン・リード・パートを備えているし、憂いを帯びたメロディアスな
リフが疾走する⑤、中期IRON MAIDENを彷彿とさせる⑧、JUDAS PRIESTばりの劇的なリフが炸裂する⑩に至っては、
クロノスのVoさえ普通なら、正統派ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルとして立派に通用するクオリティ。
ストレートな高速スラッシュ・チューン③⑥⑦⑨にしても、初期のダーティでクレイジーなノリは控えめで、
それよりも(良い意味で)型に嵌った疾走感が前面に押し出されて、非常にタイト。
そして何より、スラッシーなスピード感とヘヴィ・メタリックなドラマ性を併せ持つ④の素晴しさと来たら!
VENOMに興味のないメタル・ファンをも振り返らせる魅力を秘めた名曲ではなかろうか。
また、これらの曲ではGコンビの良い仕事っぷりが光り、特にマイク・ヒッキーは、再々結成VENOMが発表した
11thアルバム『METAL BLACK』にも参加して流麗なGプレイを披露しているわけだが、本作における
Gソロの煽情度の高さは、それをも軽く上回っている事を付け加えておきたい。
所謂「VENOMらしさ」は殆ど感じられない内容ながら、個人的にはクロノス在籍時代のVEMOMの最高傑作は本作である!
とコッソリと主張しておきます。


VENOM - Calm Before the Storm - Under the Spell ★★ (2007-05-18 22:56:25)

クロノスのダミ声吐き捨てVoは相変わらずながら、
シャープに疾走するリフといい、劇的なツインGといい、
コーラスの入れ方といい、正統派へヴィ・メタリックな
雰囲気を濃厚に漂わせていて、
やっぱりVENOMも英国のバンドだったんだな~と、
妙に納得してしまう高速スラッシュ・ナンバー。


VENOM - Prime Evil ★★ (2006-12-29 00:46:00)

カリスマVo.クロノスの脱退に伴い一度は解散を余儀なくされたものの、新たに2人のメンバーを迎え入れ、
4人体制で復活を遂げた新生VENOMが、'89年に発表した6thアルバム。
迫力のサウンド・プロダクション、キレのある演奏、そして何よりツインG編成への移行により、
如何にもブリティッシュなドラマ性を増大させた楽曲とが揃った本作は、クロノス不在のダメージを
殆ど感じさせないばかりか、寧ろ、以前よりも数段パワーアップした印象すら漂う。
これまで通り②④⑤⑦⑨といった荒々しいスラッシュ・チューンを多数収録する一方で、プログレ風の
インスト・パートを持つ①、邪悪な③、VENOM流正統派HMといった趣きの疾走チューン⑧等、
新要素を積極的に取り入れた楽曲も違和感なく本編に馴染んでいて、特に従来型の高速スラッシュ・チューンに、
劇的なツイン・リード・パートをぶち込んだ⑪は、アルバムを代表する名曲ではなかろうか?
確かにクロノスがいなくなってしまったのは痛いが、『WELCOME TO HELL』『BLACK METAL』といった
初期の代表作に(歴史的価値を認めつつも)思い入れは然程ない我が身には、このアルバムこそが
VENOM入門編に最適の1枚のように思えて仕方がない次第。因みに、⑥はBLACK SABBATHのカヴァー曲。


VENOM - Temples of Ice ★★★ (2007-05-08 22:10:00)

VENOMと言えば、やっぱりトリオ時代よりもツインGの4人編成時代、それもクロノス脱退後の作品が最高っスよ!という軟弱スラッシャー(俺です)が愛して止まない、'91年発表の7thアルバム。
前作『PRIME EVIL』は、従来のスラッシュ・メタル路線にVENOMらしからぬ整合性やドラマ性といった要素を持ち込んだ意欲作だったが、今回もその作風を継承。全体的に更に英国パワー・メタル路線へと接近した内容に仕上がっている。
勿論、相変わらずデモリションマンのVoはダーティな吐き捨てスタイルだし、⑥⑦⑧のような荒々しいスラッシュ・チューンもしっかりと収録されているが、それ以上に強烈なインパクトを放つのが、曲調はノリノリでもインスト・パートは劇的な①、全編を貫く叙情メロディとVoの熱唱(熱シャウト?)が映える④、スラッシーな疾走感と、大仰な曲展開がガッチリと組み合わさった⑩、そして、切れ味鋭いリフ&リズムの上に雄々しいメロディが乗っかり、アコギやメロウなBソロまで導入してシャープに疾走する名曲②といった、ドラマチック路線の楽曲の数々。
昨今のVENOM再評価が、主にクロノスのカリスマ性の高さに集中している事もあって、すっかり影が薄い・・・というか完全に忘れ去られてしまっている本作だが(まるでトーマス・ローゼンメルケル在籍時代のDESTRUCTIONのよう)、決して質は低くない。というか、個人的には初期の数作より遥かに愛聴している作品です。
「お行儀の良いVENOM」という形容詞に拒否反応が出ないスラッシャー限定でお薦め。


VENOM - Temples of Ice - Even in Heaven ★★ (2007-05-14 21:25:46)

アコギのイントロをブチ破ってシャープなリフが疾走を開始。
中盤にはメロウなアコギ・パートを設けて、その後は再疾走。
印象的なオブリガートを聴かせるBも非常に良い仕事をしている
『TEMPLES OF ICE』のハイライト・チューン。


VENOM - The Waste Lands ★★★ (2009-10-11 21:55:00)

キャリアの低迷期として、今や殆んど顧みられる機会のないマンタス(G)リーダー時代、元ATOMKRAFTの巨漢フロントマン、トニー・ドーランことデモリションマン(Vo、B)を擁するラインナップのVENOMが'93年にひっそりと発表した8thアルバム。
全世界的に廃盤状態で入手困難な割に、たまに中古盤屋に並んでも別段プレミア価格が付けられるわけでもない(千円ぐらいで買えちゃう)という、不憫なほど扱いの悪い作品だが、内容の方はこれが非常にハイクオリティ。
プログレ・マインド漂うミステリアスでエキゾチックな①、様式美ヘヴィ・メタリックなインスト曲⑩といった異色曲が本編の最初と最後に配置されている事からも察しの付く通り、もはや初期の頃の面影は微塵もなく、荒々しさよりも整合性や構築美が前面に押し出された作風は、スラッシュ・メタルというよりも正統派ヘヴィ/パワー・メタル。
特に、如何にも英国的な翳りを帯びたメロディが疾走する②③、構築美を湛えたツインGをフィーチュアした本編屈指の名曲④、ダイナミックな起伏に富んだ⑤、アグレッシブに挑みかかって来る⑥⑨といった、スラッシーな攻撃性と、ヨーロピアンHMならではのドラマ性が組み合わされた楽曲の数々は聴き応え十分。
ダイハードなファンからは「何もVENOMがこれをやらんでも」という溜息の1つも聞こえて来そうな感じだが、彼らの好きなアルバムと言えば「『CALM BEFORE THE STORM』『PRIME EVIL』『TEMPLE OF ICE』がベスト3」という我が身としては、本作も初期作品以上に愛して止まない次第。
この頃のVENOMは絶対過小評価されてると思うんだがなぁ。


VENOM - The Waste Lands - Riddle of Steel ★★ (2009-10-12 00:09:52)

デモリションマンのVoこそメロディに無頓着なシャウト型だが
曲自体はスラッシュ・メタルというよりも正統派の
ブリティッシュ・へヴィ・メタル路線。
しっかりと構築されたメロディを紡ぎ出すGソロ、
そしてドラマティックなツインGのハモリっぷりも素敵だ。


VENOM - Welcome to Hell ★★★ (2021-07-22 01:11:14)

クロノス、マンタス、アバドンの暗黒トリオにより’81年にNEAT RECORDSから発表されるや、良くも悪くも世間に衝撃を与えたVENOMのデビュー作。世界初のスラッシュ・メタル・アルバムであり、後のデス/ブラック/エクストリーム・メタルの直接的なご先祖様でもあるエポック・メイキングな1枚・・・なんてのは今更言うまでもないことですかね。
ダビングを重ねたカセットテープみたいな劣悪な音質、悪魔と黒魔術(あと下ネタ)を題材に取ったインモラルな歌詞世界をメロディがん無視で吐き捨てるダミ声Vo、ダーティでノイジーなG、ドッタンバッタン暴れ回るDsといった下手糞…もとい破れかぶれな演奏等々、良識派の眉を顰めさせる最悪の要素を結集させたら、なぜか最高の作品が出来上がってしまった本作は、VENOMの「1+1+1は3じゃないぞ。俺達は1+1+1で300だ。10倍だぞ10倍」という小島聡ばりのシャウトが轟いてきそうな仕上がり。
それでいて単なるインパクト勝負の出オチ作品に終わっていないのはメンバーの確かな曲作りの才があったればこそ。厳めしくもキャッチーなアルバム表題曲②、MOTORHEAD風味色濃い③、VENOMが紛れもなくNWOBHMの一員であることを物語るGリフ主導で突っ走る⑥等、本編は聴き込みに耐え得る秀曲を多数収録。とりわけアバドンのド天然なドラムに乗ってドカスカ突進する⑤は名曲も名曲で、クロノスの「WITCHING HOUR!」の絶叫と共にGソロが走り始める場面のカッコ良さは何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。
個人的にはクロノス時代のVENOMといえば、次作『BLACK METAL』よりも本作を推す次第。国内盤がSHM-CD(!)でリイシューされていますので、見かけたら是非。


VENOM - Welcome to Hell - Witching Hour ★★★ (2021-07-23 01:52:02)

アバドンのドタバタとしたドラムは決して巧かないのだけど、じゃあこれを
上手い人が叩けばもっとカッコ良くなるかと言えば、さにあらず。
VENOMのマジックが詰まった、元祖スラッシュ・メタルの名曲。
WITCHING HOUR!


VENUS & MARS - NEW MOON RISING ★★★ (2014-01-29 22:50:58)

マーク・フリーの傑作『LONG WAY FROM LOVE』に“SOMEDAY YOU'LL COME RUNNING”等の秀曲を提供したことで、HR/HMファンにも一躍その名を知らしめた敏腕ソング・ライター、ロビン・ランダルが、シンガーのダイアナ・デウィントと共に結成したポップ・ロック・デュオの日本デビュー作となった'98年発表の2ndアルバム。
憂いを振り撒くダイアナの麗しい歌声と、ロビンのクリエイトする哀愁のメロディが、Keyの煌びやかな味付けのもとキャッチーに躍動する楽曲は、収録全曲が“SOMEDAY~”と同系統のハードポップ路線。
いくら1曲1曲の完成度が高くても流石にこの音楽性で14曲収録はダレるよとか、打ち込みを多用した角のない音作りがHR/HMリスナーには刺激不足とか、色々気になる点もあるっちゃ有りますが、それを差っ引いて尚、マーク・フリーの『LONG~』に収録されていても違和感のない①②や、実際に同作でカヴァーされていた⑤、そして絶品のバラード③といった強力なフックを有する名曲はぐぐっと胸に迫って来るものあります。
前作『GRAND TORINE』は国内盤が出なかった(よね?)こともあって買い逃してしまったのですが、コレ聴いたら「あ~、やはり買っとくべきだった・・・」と、あとで後悔に苛まれましたよ。


VENUS & MARS - NEW MOON RISING - BLESS A BRAND NEW ANGEL ★★★ (2014-01-30 22:03:06)

あと10年早く発表されていたなら
アメリカでヒットしてたんじゃないかな~
と想像を掻き立てられる名バラード。
「上手い歌」ってのは、こういう歌唱を言うのですね。


VETO - Carthago ★★ (2017-03-26 09:19:40)

ずっと「ベト」「ベト」呼んでいましたが、そうか。読み方は「ヴィート」でしたか…という、西ドイツ(当時)出身の5人組が’88年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
表題が『カルタゴ』で、まるで『蛮勇コナン』の世界から抜け出してきたようなマッチョ戦士が歯茎剥き出しで迫り来るアートワーク、そして裏ジャケ記載の出鱈目な日本語解説《またそうしてこの世界帝国が消えてしーた》…。バブルとは百万光年ぐらい無縁のこれら時代錯誤な要素の数々だけで、カルトなHMサウンドへの期待に胸が高鳴るってもんですよ。
ところがどっこい。実際に作品を再生してみるとOPを飾る①はタイトなメロディック・ロック。その後に続くのがサビメロの明快な展開がHELLOWEENを彷彿とさせる疾走曲②で、③は哀愁のミッド・チューン…といった具合に、その音楽性は案外スマートで柔軟性に富む。Gはピロピロと弾きまくっていますし、Voも時折声が引っ繰り返りそうになる危うさはありつつも、要所で堂々たる歌いっぷりを披露していて侮れません。特にエキゾチックな雰囲気を湛えつつ、7分以上の長尺をムキムキ且つドラマティックに物語っていく④は、こっちの期待と楽曲の方向性が見事に合致したエピック・メタルの名曲。
SCORPIONS~ACCEPT~HELLOWEENというジャーマン・メタル・シーンの音楽的変遷をフォローするかのような収録楽曲は、これはこれで手堅く聴き応えも十分。もう少し大きなレーベルに所属出来て、薄っぺらい音質を向上させて、音楽性とパッケージの乖離をどうにかしていれば(課題多過ぎだろ)ブレイクも夢ではなかった…かも?でもこのチグハグさが一部マニアからカルト的人気を獲得するに至った理由なのかもしれません。


VETO - Carthago - Carthago ★★★ (2017-03-26 09:35:53)

エキゾチックな旋律に導かれて行進を開始。
重厚な曲調、雄々しいコーラス、7分近い長尺等、
ムキムキマッチョ戦士が闘志むき出しのアートワークの
そのままノリに反映させたかのようなエピック・メタル・ソング。
(実は本編においては例外的な存在だったりするのですが)
少々線の細いシンガーも、ここでは頑張って血管浮かび上がらせるような
熱唱を披露。楽曲を劇的に盛り上げることに貢献してくれていますよ。


VICIOUS RUMORS ★★ (2007-04-20 23:17:00)

19日に参戦。VICIOS RUMORSとRIOTのカップリング公演なのに、
会場がクラブクアトロというのが引っ掛かりましたが
(どちらも空白期間がネックになったか・・・)、
いざ始まってみればそんな事は忘却の彼方。
やはり名曲を沢山持ってるバンドは強い。(これはRIOTも同様)
一番楽しみにしていた“DON'T WAIT FOR ME"を序盤で早々に繰り出しても、
後半、ネタ切れになることなく最後まで突っ走れるのですから。
そして何より、今回はジェイムズ・リヴェラの存在に尽きました。
歌声もルックスもゴツイのに、背が意外なほど小さいのには驚かされましたが。
本人も「ロニー・ジェイムズ・ディオ」と自ら笑いを取っていましたっけ。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol ★★ (2016-10-03 22:53:27)

開巻早々から、殺伐としたリフ&リズムが押し寄せる’16年発表の12thアルバム。暗鬱な「人類滅亡」をテーマを据えたバンド初のトータル・コンセプト・アルバムに相応しく、メロディよりも、怒りに満ちたアグレッションとヘヴィネス重視の作風に仕上がっています。
…と書くと、カール・アルバートを喪ったVICIOUS RUMORSが迷走した90年代の作品群のことを思い出す方も多いことかと。しかしながら首魁ジェフ・ソープ(G、Vo)は、あれらで得た経験をちゃんと今回の曲作りに反映させ、同じ失敗(と敢えて表現させて貰いますが)を繰り返す愚を犯してはいません。ドスの効いた1曲目にしても、テクニカルに閃くGソロが流麗なアクセントを加えてくれますし、劇的にハモるツインGをフィーチュアしてパワフルに突っ走る④や、バラード調に始まりじっくりと盛り上がっていく⑦はVICIOUS RUMORSの真骨頂(ライブ映えしそうな⑧もユニークな存在感を放つ出来栄え)。これらの楽曲において強力な喉を披露してくれている新Voニック・ホレマンも、前任シンガーに勝るとも劣らぬ実力者であることは明白。ただ今回のようにメロディックな歌い上げよりも直線的なシャウト主体のサウンドでは、実力を十二分に発揮できているとは言い難いかな?
印象に残る楽曲とそうでない楽曲の落差が激しく(特に終盤が弱い)、問題作であることは否定できませんが、単なる自己満足のオナニー作品でないことは請け合える、そんな1枚であります。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol - Chasing the Priest ★★★ (2016-10-06 22:34:36)

賛否両論を巻き起こしそうな本編の中にあって
このスピード・ナンバーはイントロの印象的な
ツインGのハモリから、立ち塞がるモノ全てを
薙ぎ倒すようなパワフルな疾走感まで、
「これぞVICIOUS RUMORS!」という
カッコ良さに満ち溢れています。
贅沢言わせて貰えるなら、もうちょい歌メロに
起伏があっても良かったかなと。


VICIOUS RUMORS - Digital Dictator ★★ (2007-04-03 21:24:00)

JUDAS PRIESTの名曲“THE HELLION"を彷彿とさせる①の劇的極まるイントロを聴いた瞬間、
その完成度の高さを確信する、'88年発表の2ndアルバム。
前作『SOLDIERS OF THE NIGHT』発表後にヴィニー・ムーアとゲイリー・セント・ピアーが脱退。
後任としてマーク・マクギー(G)と、不世出のシンガー、カール・アルバートを迎え入れ、よりバンドの基盤を
強固なものとして作り上げられた本作は、多くのファンが「初期の傑作」と認める強力な内容を誇る。
光沢を感じさせるシャープなGリフと、益々華麗さを増したツインG(ヴィニーがいなくなった事で、
2本のGの絡みが一層濃密になった印象)をフィーチュアした楽曲の数々は、アルバム・タイトル・トラックの②、
地を這うヘヴィネスとドラマティシズムを兼ね備えた⑤、ラストを締めるスピード・チューン⑩を筆頭に、捨て曲なし。
特に、ヨーロピアンな翳りと劇的なドラマ性を湛えたリフのカッコ良さは、(後の音楽性の変化を考えるに)、
彼らの全作品中、最高レベルと言っても過言ではないような。
そして、その完成度の高さに拍車を掛けているのが、何と言ってもカール・アルバートの驚異的な歌唱。
パワー/表現力/声域の広さが揃った、まさにパワー・メタルを歌う為にあるかのようなその歌声は、
楽曲の完成度だけでなく、バンドの格をも数段引き上げている。全メタル・ファン必聴の名盤。


VICIOUS RUMORS - Electric Punishment ★★ (2013-05-21 23:09:19)

前作『RAZORBACK KILLERS』で目覚しい活躍を聴かせた日系三世のギタリスト、キヨシ・モーガンが脱退。後任にVICIOUS RUMORSの一員として来日経験もあるセーン・ラスムッセンが出戻ってレコーディング、'13年に発表された11thアルバム。
パワー漲る楽曲の数々が、バンドの現在の充実っぷりを余すところなく伝えてくれる本作は、スピード・ナンバー2連発に始まり、3曲目にはドスの効いたヘヴィ・チューンを配置した序盤の構成が物語る通り、傑作だった『RAZORBACK~』の作風を順当に受け継ぐ一方、メンバー・チェンジの影響なのかどうか、前作で楽曲のフックとなっていたドラマティックなツインGのハーモニーは減量。またブライアン・アレン(Vo)の歌うメロディも、雄々しさよりも直線的なアグレッションの強調に重きが置かれている印象が無きにしも非ず。併せて、KISS辺りが演りそうな明朗なメタル・アンセム⑥みたいな異色曲を聴くと、奥村裕司氏が解説文で「一体今のVRに何が起きているのか?」と戸惑いを隠せないのも無理からぬことかなぁ、と。
ファンとしては、パンパンにVRらしさが詰まった筋骨隆々な疾走ナンバー②や、劇的なパワー・バラード⑤といった名曲が聴けただけでもう大満足なのですが、でもまぁ、とりあえずVR未体験者には前作『RAZORBACK KILLERS』を先に聴くことをお薦めする次第。


VICIOUS RUMORS - Plug in and Hang On: Live in Tokyo ★★ (2007-04-12 21:40:00)

4th『WELCOME TO THE BALL』に伴う日本ツアーの中から、川崎クラブチッタ公演の模様を捉えた'92年発表のライブ・ミニ・アルバム。
数多くの名曲を生み出してきたバンドだけに、たった8曲のみの収録では「あれもない、これもない」という物足りなさは残るし、
ミドル・テンポの楽曲中心の選曲なので今ひとつ全体の流れに緩急が乏しい等、聴いていて気になる点も幾つかあれど、
VICIOUS RUMORSから日本のファンへのちょっとしたプレゼントである本作に対し、あーだこーだ言うのは野暮というものだろう。
過去4作から漏れなく選曲された楽曲は(そのテンポに多少の偏りはあれど)ツボは外していないし、
何より、重量感溢れるサウンドに乗っかって、パワフルなメタル・ソングの数々を見事に歌いこなす
カール・アルバート(Vo)の確かな実力がタップリと堪能出来るのが嬉しい。
また、本編の大半がミドル・チューンで固められているだけに、1stアルバムのハイライト・ナンバーの1つだった⑦のエンディングから、
一気に名曲中の名曲、スピード・チューンの⑧へと雪崩れ込む構成の鳥肌モノのカッコ良さが、一層引き立って聴こえるのも事実。
この一連の流れを聴くためだけにでも、ファンなら「買い」の1枚。


VICIOUS RUMORS - Razorback Killers ★★★ (2011-04-26 22:54:33)

ジェイムズ・リヴェラに代わる新たなフロントマンに、無名の新人ブライアン・アレンを起用して再スタートを切ったVICIOUS RUMORSが、数年ぶりに発表した記念すべき10枚目のスタジオ・アルバム。
いやー、凄い。前作『WARBALL』も、バンドの長い迷走にケリをつけ「VR IS BACK!」を高らかに宣言した力作だったが、本作はそれすらも軽く凌駕する出来栄え。
故カール・アルバートに比肩するポテンシャルを発揮しつつ、そのカールよりも攻撃的な歌唱を轟かせる新Voの加入に伴い、『WARBALL』の弱点だった歌メロのフック不足が解消。また80年代ばりの密度で絡み合うドラマテックなツインGに、マッチョなBとドスの効いたDsからなる強靭なリズム・セクションに支えられ、パワーとメロディが絶妙な融合をみた楽曲の数々は、4th『WELCOME TO THE BALL』以来の充実っぷりを誇っている・・・と言っても間違いではないような?
中でも、初期作を彷彿とさせる光沢を帯びた音色のGリフが鋭角的に刻まれる、重量感たっぷりのOPナンバー①や、勇猛なアグレッションと豊かなメロディがスピーディに併走する②⑦、筋骨隆々なパワー・チューン④、それにジェフ・ソープが「Lead Vo」のクレジットに相応しい歌声を披露してくれる⑥といった楽曲は、理想的なVR節が堪能できる名曲揃い。
ファンなので勿論彼らにはアルバムには期待していたが、その期待の遥か上を行く完成度を提示してくれた1枚。畏れ入りました。


VICIOUS RUMORS - Soldiers of the Night ★★ (2007-04-02 21:54:00)

北カリフォルニアで結成され、ヘヴィ・メタルの空洞化現象が危惧されていた80年代のアメリカで、
METAL CHURCHやSAVATAGEと並んで気を吐き、紆余曲折を経た現在もしぶとく活動を続ける
ジェフ・ソープ率いるベテラン・パワー・メタル・バンドが、'85年に発表した1stアルバム。
JUDAS PRIESTを始めとする欧州HM勢からの多大な影響を受けた、勇壮且つドラマチックなパワー・メタル・サウンドという
このバンドならではの個性は既にガッチリと確立済みで、アルバム・タイトル・トラックの④や、
劇的な名曲⑥を筆頭に、収録曲のクオリティも押し並べて高い。
しかし、それよりも何よりも本作で特筆すべきトピックは、やはり「早弾き四天王」ことヴィニー・ムーア(G)の存在。
ソロ活動でのステップUPを図る為にVICIOUS RUMORSを踏み台にした男として、ファンからの評判は芳しくない彼氏なれど、
そのGプレイの素晴しさは↑の方々が認める通り。スピード・チューンの②や、前述の④⑥等、彼が紡ぐGソロが
楽曲の完成度を高め、同時に曲中のハイライトを飾っていることは、疑いようの無い事実だ。
あと、バンドの初代Vo.ゲイリー・セント・ピアーも、なかなか頑張って歌っている事も付け加えておきたい。
そりゃ後任のカール・アルバートに比べると、ややヒステリックで聴き苦しい場面も散見されるが、
能力的には全く問題なし。ただ、エコーかけまくりのVoプロダクションは、今聴くとちょっとダサイ。


VICIOUS RUMORS - Vicious Rumors ★★ (2007-04-04 21:57:00)

前作『DIGITAL DICTATOR』のような名盤を作り上げながらも、SHRAPNELレコードからドロップアウトして
2年以上もの沈黙を余儀なくされたVICIOUS RUMORSが、一発逆転、メジャー・レーベルのATLANTICと契約を交わし、
満を持して'90年に発表した3rdアルバム。
タイトルにバンド名を冠している事からも、彼らがこの作品に賭ける意気込みの大きさが伝わってくるが、
実際、勇壮且つパワフルなVR史上屈指の名曲①で幕を開ける本作は、音作りがグッと洗練され、
スッキリと垢抜けたメジャー感漂うメタル・チューンがギュウと詰まった、ハイクオリティな内容を誇る。
メジャー・レーベルへの移籍効果でサウンド・プロダクションが格段に向上。音に厚みと重量感が生まれた事により、
①③⑦といったスピード・チューンの突進力、②④⑥といったドスの効いたミッド・チューンのヘヴィネス、共に半端ではない。
中でも、本編随一の劇的なメロディが炸裂する④と、欧州へヴィ・メタリックなリフが疾走する⑦は、
前述の①に匹敵する、本作のハイライト・チューンの1つ。
ポップとさえ言えるサビメロが印象的な⑩のような楽曲が収録されている事からも分かる通り、
ヨーロッパ的な湿り気は幾らか減少してしまったが、その分、JUDAS PRIESTからの影響をきっちり消化して、
VICIOUS RUMORS独自のアメリカン・パワー・メタルを創出してみせたジェフ・ソープの曲作りの才は、
やはり並外れたモノがある。個人的に、彼らのアルバムでは本作が一番のお気に入り。


VICIOUS RUMORS - Vicious Rumors - Don't Wait for Me ★★★ (2007-04-04 22:03:46)

3rdアルバムのOPでガツンとカマされる、雄々しいサビメロと、
ドスの効いたコーラスの対比が最高な超名曲。
3rd収録バージョンも勿論良いが、個人的にイチオシなのは
『PLUG IN AND HANG ON』収録のライブ・バージョン。
ドラマチックな“MARCH OR DIE"のエンディングを
ググ~ッと引っ張ってから、本曲のイントロ・リフが
ドカンと炸裂する場面は、失禁モノのカッコ良さを誇る。必聴。


VICIOUS RUMORS - Warball ★★ (2007-04-08 20:27:00)

アルバム・タイトルといい、ジャケット・デザインといい、そして何より楽曲といい、長い回り道を終えたVICIOUS RUMORSが
新Voとして元HELSTAR~DESTINY'S ENDのジェイムズ・リヴェラを迎え入れ、'06年に発表した会心の9thアルバム。
カール・アルバート亡き後に発表された作品は、どれも今ひとつパッとしない内容で、ジェフ・ソープへのお布施代わりに
購入はしても、殆どまともに聴く機会もないまま放置プレイの刑に処してしまっていたのだけど、この復活作は似合わない
現代ラウド・ミュージックからの影響をスッパリと削ぎ落として、ホント、お世辞抜きに最高の内容に仕上がっている。
パワフルに疾走するリフ&リズムの上に、ロブ・ハルフォードばりの耳をつんざくハイトーンVoが乗っかる
「これで掴みはOK」なスピード・チューン①に始まり、力強く勇壮なミドル・チューン④や、
全盛期に勝るとも劣らぬ強力なリフが炸裂する⑨といった楽曲を筆頭に、収録曲は何れも
1nd~5thアルバムの頃を思い起こさせる作風で、また、上記3曲にはゲストGとしてブラッド・ギルスが参加。
如何にも彼らしい派手なソロを披露して、楽曲に華を添えているの素晴しい。
カール・アルバート在籍時代と比べてしまうと、ジェイムズ・リヴェラが歌うメロディ(特にサビメロ)の弱さが
やや気になる点ながら、歌唱能力的には前任者と比較しても全く聴き劣りはないし、何より、
リーダーのジェフ・ソープが自覚的に原点回帰を志してくれた事が、俺にはもう嬉しくて嬉しくて。
再起動を果たしたVICIOUS RUMORSの、今後の活躍に大いに期待が高まる1枚。


VICIOUS RUMORS - Welcome to the Ball ★★ (2007-04-05 22:40:00)

ヘヴィ・メタルの空洞化現象が取り沙汰されていた'91年に、時代の逆風を突いて発表された実にヘヴィ・メタルらしい
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれる作品として、特に日本のファンから高い評価を得た4thアルバム。
ベテラン・バンドならではのどっしりとした貫禄を身に付け、一皮剥けた印象の前作『VICIOUS RUMORS』で開眼した
アメリカン・パワー・メタル路線を更に強力に推し進めた本作は、速い曲は更に速く、へヴィな曲は更に重くと、
よりアグレッシブな姿勢が前面に打ち出された作風で、例えばマイケル・ローゼン印の分厚い
サウンド・プロダクションのもと、パワフルなリフ&リズムが前へ前へと押し出してくる①からして既に圧巻。
それでいて大味になる事なく、疾走するキラー・チューン②や、中庸な魅力を放つ⑤、欧州風味の湿り気を
帯びたリフが炸裂する⑥、VC初のヘヴィ・バラード⑩といった楽曲で見せる叙情面への拘りにも抜かりはない。
前作に比べるとミドル・テンポの楽曲の質がやや落ちる点と、後半、少々ダレる点が惜しまれるが、
ラストを飾るスピード・チューン⑪がこれまた素晴しい出来なので、聴後感はすこぶる快調。
本作発表後、バンドは初来日を果たし、その模様はミニ・ライブ・アルバム『PLUG IN AND HANG ON』として発表された。


VICIOUS RUMORS - Word of Mouth ★★ (2007-04-07 00:16:00)

ジェフ・ソープが両腕に毛根管症候群を発症して7ヵ月間もGを弾けなくなるわ、ATLANTICレコードから契約を切られるわで、
踏んだり蹴ったり状態のVICIOUS RUMORSが、再起を賭けて'94年に発表した5thアルバム。
妙にシンプルなジャケットを見た時から予想はしてたけど、実際、気だるげな①のイントロを耳にした瞬間、予想は確信へと変わった。
全体的にドロンと澱んだ空気に覆われた、シアトル・サウンドからの影響が色濃く伺える1枚で、
ザクザクとした歯切れの良さが薄れてしまったリフには、これまでの聴き手を一発で虜にする即効性のインパクトはないが、
そのマイナス分を補うかのような踏ん張りみせるのが、Voのカール・アルバート。
パワーと表現力を兼ね備えた彼のメロディアスな歌唱は、ともすれば地味に落ち着きがちな楽曲の魅力を
力ずくでワンランク上へと引き上げている。
また、従来のVICIOUS RUMORS節が冴え渡るドスの効いたOPチューン①や、哀愁を帯びたメロディが
刻まれる⑪といった楽曲もちゃんと収録されているし、何より、事故死したSAVATAGEのG.クリス・オリヴァに捧げられた
組曲⑤⑥の素晴しさが半端じゃない。物憂げなバラード・パートを経て哀メロがキャッチーに疾走する
彼らにしては異色の仕上がりの楽曲ながら、漂う悲壮感が胸締め付ける、何となくANNIHILATORの
名曲“SOUND GOOD TO ME"に通じる雰囲気を備えた名曲だ。


VICTORY - Culture Killed the Native ★★★ (2017-04-24 22:42:22)

現在は敏腕プロデューサーとして名を馳せるトミー・ニュートンを中心に結成されたドイツの5人組が、家庭の事情により脱退したチャーリー・ハーンの後任に、オーディションの末フェルナンド・ガルシア(Vo)を迎え入れて’88年に発表した4thアルバム(邦題は『ネヴァー・サティスファイド』)。ちなみにそのオーディションには、元TYGERS OF PAN TANGのジョナサン・ディヴァリル、THUNDERHEADのテッド・ブレットらが参加していたことはよく知られた話(特にテッドは加入寸前まで行ったらしい)
本作は、エネルギッシュに歌うVoによってもたらされるアリーナ・ロック的スケール感や、合唱を誘う開放的コーラス・ワークに加え、ツインGが奏でる劇的にして湿ったメロディという、アメリカン・ロックと欧州HMの特色を併せ持ったVICTORY流HMサウンドの完成形が提示された名盤です。嘗てはそうした折衷スタイルが「美味しいトコ取り」というよりも「どっちつかず」「中途半端」に感じられ、聴くのを敬遠してしまっていたのですが、愁いを帯びつつキャッチーなVICTORY屈指の名曲⑥を始めとする優れた楽曲の数々を前にすれば、つまらない先入観に囚われていた己を恥じいるばかり。
何しろ、グルーヴィなアルバム表題曲②や、雄大なバラード③といったシングルが、アメリカのラジオ及びMTVで好リアクションを獲得し、アルバム自体も本国チャートで最高19位を記録。最終的には全世界で25万枚以上を売り上げる等、どこに出しても恥ずかしくない立派な成績を残しているのですから、その内容の充実っぷりたるや推して知るべし。
次作『TEMPLE OF GOLD』と併せて、VICTORY入門盤にお薦めする1枚です。


VICTORY - Culture Killed the Native - On the Loose ★★★ (2017-04-25 23:08:32)

ドイツのバンドらしいハードネス、胸打つ哀メロ、合唱を誘う
キャッチーなコーラスとがハイレベルな融合をみた
アルバムのハイライト・ナンバー…というか、
VICTORYの数ある名曲の中でも1、2を争うぐらい
愛して止まない哀愁のHRナンバーですよ。


VICTORY - Culture Killed the Native - So They Run ★★★ (2017-04-25 23:03:42)

フェルナンド・ガルシアのどこか憂いを帯びた熱唱が
楽曲の放つ哀愁を増幅するメロディアスHRナンバー。
Voに負けじと歌うツインGも威力抜群です。


VICTORY - Temples of Gold ★★★ (2017-03-09 22:40:01)

5th『CULTURE KILLED THE NATIVE』が全世界で25万枚以上のセールスを記録。ツアーも成功裏に終わり、更に“NEVER SATSFIED”のビデオ・クリップがアメリカのMTVでも好評を博する等、バンド史上最大のサクセスの季節を迎えたVICTORYが、その余勢を駆って’90年に発表した6thアルバム。
全盛期謳歌中のバンドの充実具合は、託された音の方にも如実に表れています。持ち前の灼熱のメタル声を駆使して歌いまくるフェルナンド・ガルシアのVoと、それを援護する爽快で抜けの良いコーラス・ワーク、軽くなり過ぎぬようサウンドの重石となるトミー・ニュートン&ハーマン・フランクのGコンビ、そしてソリッドなリズム隊がエネルギッシュに躍進する収録曲には、ライブ映えするアメリカンなノリの良さ、スタジアム・ロック的スケール感に加えて、独産バンドならではエッジの鋭さや、湿り気とドラマ性薫るメロディとが同居。「VICTORY節」を完全に確立させた本編からは、成功をモノにしたバンドならではの盤石の安定感がオーラの如く立ち昇っています。
前作をヒットさせたことで、今回は慎重に置きに来るか?はたまたはポップ路線に日和るのか?本作はそのどちらでもなく、益々切れ味を増したツインGをフィーチュアして軽快に疾走する③⑤⑦や、重厚な⑥⑦、クサくなる一歩手前で踏み止まってドラマティックに盛り上げる手腕が「らしい」⑪といった優れた楽曲の数々からも明らかな通り、むしろこれまで以上にロックする姿勢を鮮明に打ち出しているという。その意気や良し!な1枚。


VICTORY - Temples of Gold - Standing Like a Rock ★★★ (2017-03-09 22:47:40)

シャープに刻まれるGリフに軽快な疾走感、
熱いシャウトと、威勢良くハジけるキャッチーなコーラス、
それに華やかに駆け巡るGソロと
全盛期のVICTORYの魅力が凝縮された逸品です。


VICTORY - You Bought It, You Name It ★★ (2017-01-03 21:57:00)

本国では安定した支持基盤を築くも、当面の進出目標であったアメリカでは、折からのグランジ/オルタナ・ブームで従来型HR/HM人気に壊滅的な地盤沈下が発生。またここ日本において90年代に盛り上がったジャーマン・メタル・ブームにも、(典型的独産パワー・メタルとは異なる)どちらかと言えばアメリカンなノリが強く打ち出されたその音楽性ゆえ乗り損ねたドイツのVICTORY。本作は、そうしたシーンの潮流の変化の狭間で試行錯誤を重ねていた時期(’92年)に発表された7thアルバムである。…って知った風に書いてみましたけど、これが自分が初めてまともに聴いたVICTORYの作品でしたよ、確か。
上記のような理由もあって、当時のバンドはサウンドの拡散化がかなり進行。正直なところ、ホーンを取り入れてみたりファンキーに跳ねてみたりと、今聴き直しても収録楽曲はストライク・ゾーンにハマっているとは言い難い作風でして。それでもフェルナンド・ガルシアの熱く歪んだVoは問答無用で聴く者のメタル魂を燃え立ててくれますし、要所で発揮されるドイツのバンドならではのメロディ・センスも侮れないものがあります。特に、トリッキーなGリフと華麗なるツイン・リードG(あとホイッスルも)をフィーチュアして景気よく駆け抜けるOPナンバー①や、マカロニ・ウェスタン風味のバラード⑤、本編中において最もヨーロピアンHRテイストを感じさせてくれる⑧等は、「これがあるから本作は手放せないんだよな~」と思わせてくれる秀曲ではないかと。
VICTORY入門盤としては、先に聴くべき作品が他に幾つもあるかもしれませんが、それらが気に入ったならば本作も是非どうぞ。


VICTORY - You Bought It, You Name It - God of Sound ★★★ (2017-01-03 22:02:46)

ツインGを活かした欧州HMらしい湿り気とドラマ性、
それにサビを彩るビッグなコーラスとが合体した
VICTORYの魅力爆発な逸品。
フェルナンド・ガルシアのVoも熱い。


VICTORY - You Bought It, You Name It - Rebel Ready ★★ (2017-01-03 22:14:36)

溌剌と疾走するビートに乗って
リズミカルに刻まれるGリフが妙にクセになる
アルバムのOPナンバー。
元気よく吹き鳴らされるホイッスルを聞くと
つい条件反射的に走り出したくなりますね。


VIKING - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:52:18)

METAL MASSACREシリーズへの楽曲提供が縁で、METAL BLADEからデビューを飾ったLA出身の4人組、VIKINGが'88年に発表した1stアルバムで、LAと聞いて思い浮かべる、青い空、燦々と降り注ぐ太陽、モダンな都会に美男美女・・・なんてお洒落キーワードとはビタ一文無縁の、暗くて湿気ってて貧乏臭い、だが最高にバイオレントで血沸き肉踊るスラッシュ・メタル・サウンドが堪能できる逸品。
アンサンブルがバラける寸前まで前傾姿勢を取り、ハイテンションに畳み掛けるVoと、ガリガリと高速で刻み込まれるGリフ、猪突猛進を繰り返すリズム、それにヒステリックなGソロとが土砂崩れ式に押し寄せる作風は、初期SLAYERやDARK ANGELを彷彿。(彼らをもっとハードコア化した感じか)
また直球勝負のバンド名に相応しく、好戦的且つ殺伐とした空気が全編に渡って充満しているのも本作の特徴だが、北欧を中心に盛り上がりを見せる昨今のヴァイキング・メタルに比べると、こっちのヴァイキング描写は物凄く浅い(笑)。闘争本能だだ漏れで暴れ回る野蛮人っぷりだが、それだけに殺気全開で突っ走る楽曲の数々は一種異様な迫力を発散。猛々しくも重厚に攻めて来る⑤や、ほんのりドラマティックなイントロがくっ付けられた⑧、そしてクールなGリフが炸裂する本編屈指の名曲(アルバム表題曲でもある)⑨のカッコ良さには、思わず血管がブチ切れそうになるってもんです。
ラジカセ録音レベルの不明瞭極まりない音質や走り気味の演奏等、ぶっちゃけマニア向け作品なのは否定のしようもないが、「やってやるぜ!」的初期衝動を発露に圧倒されてるうちに、あれよあれよと聴き通せる1枚。個人的には名盤です。
とは言え、もっとカッチリとした仕上がりのスラッシュ・メタルがお好みという方には、次作『MAN OF STRAW』がお薦めだが。


VIKING - Do or Die - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:54:22)

凄まじい突進力で1stアルバムを締め括る
高速スラッシュ・ナンバー。
クールなGリフと、サビの“DO OR DIE!”を
メロディアスに歌うVoが、そこはかとなく
パワー・メタリックな雰囲気を漂わしているような。


VIKING - Man of Straw ★★ (2007-02-28 21:14:00)

LA出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表の2ndアルバム。スラッシャーの間では、
後に中心メンバーの1人であるブレット・エリクセン(G)がDARK ANGEL入りする事で知られているバンドだが、
音楽性の方も「小型DARK ANGEL」的な味わいが濃厚。(そのD.Aからロン・ラインハートがバックアップVoとして⑦に参加している)
デビュー作『DO OR DIE』から格段に向上したサウンド・プロダクションのもと、楽曲に緩急を取り入れ、
時にツインGがメロディアスなフレーズを紡ぎ出したりと、意欲的に表現の幅を広げに掛かった姿勢には
好感が持てるのだけれど、スピードにしろリフにしろメロディにしろ、今ひとつパンチ不足で、
例えば先輩格のDARK ANGELと比較すると、小さくまとまってしまっているとの印象は否めない。
しっかりと歌うVo(しかもこれがかなり上手い)をフィーチュアしたパット・べネターのカヴァー⑦、
緊迫感を伴ったメロディが疾走する⑧、タイトな疾走感が小気味良い⑨と、アルバム後半は尻上がりにテンションが
高まっていくので、このレベルの楽曲が前半に1、2曲配置されていれば、本作の印象は尚向上したと思われるのだけど・・・。
ともあれ、スピードよりも完成度に重きを置いた意欲作としては評価できる。佳作。