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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6701-6800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6701-6800
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W.A.S.P. - Inside the Electric Circus - Restless Gypsy ★★★ (2018-01-24 23:49:25)

初期の頃のようなワイルドさは薄まりましたが
その分、魅力的なメロディを聴かせることに傾注した
楽曲構築力がグンと高まっていることを証明する名曲。


W.A.S.P. - The Crimson Idol ★★ (2008-07-24 21:24:00)

毒々しいルックスと、確かなクオリティを備えた楽曲、そしてショッキングなライブ・パフォーマンスを以て
高い人気を博した、ブラッキー・ローレス(Vo)率いるLAメタル・バンドW.A.S.P.が、前作『THE HEADLESS CHILDREN』
辺りからいよいよ顕著になり始めた、「ビジュアルよりも楽曲重視」の姿勢を更に押し進めて作り上げた、
'92年発表の7thアルバムにして、「孤独なロックスターの栄光と転落」を描き出した、傑作コンセプト・アルバム。
ブラッキーの自伝的内容を多分に含んでおり、元々は彼のソロ・アルバムとして制作されたものの、レコード会社の
要請でW.A.S.P.名義でリリースされるに至ったという本作は、制作時期の近さとストーリー内容から、
よくSAVATAGEの傑作ロック・オペラ『STREET OF A ROCK OPERA』と比較されたりしていたが、物語の結末は大きく異なっているし、
何よりこちらの方が、よりストレートでへヴィ・メタル然とした作風に仕上がっている。
個性的な声質を駆使して、胸を揺さぶる圧巻の熱唱を聴かせるブラッキーのVo、登場人物の感情の振幅を見事に
表現しきったボブ・キューリックのG、そして、手数の多いドラミングで、作品のドラマ性とダイナミズムを飛躍的に
高めるフランキー・バネリのDsによって、ガッチリと構築された楽曲は、起承転結が完璧に決まった劇的極まりない
序曲①に始まり、中盤のハイライトたる本編随一のハードさを誇る④を経て、悲壮感漂うドラマティカルな
ラスト・ナンバー⑩に至るまで、一切の捨て曲なし。多くのファンが「デビュー作以来の傑作!」
と太鼓判を押すのも、大いに納得のいく内容に仕上がった、まさに名盤。
尚、現在ではリマスタリングが施され、大量のボーナス・トラックを追加収録した、非常にお買い得な2枚組仕様で
再発されているので、興味を持たれた方はそちらの方を購入する事をお薦めさせて頂きます。


W.A.S.P. - The Headless Children ★★★ (2014-06-19 23:42:27)

ビジュアル先行の「野獣路線」に行き詰まりを感じていたブラッキー・ローレス(Vo)が、ソングライターとして一皮剥ける切っ掛けともなった、'89年発表の4thアルバム。
彼の特徴的な濁声と、クリス・ホルムズ(G)のワイルド且つメロディックなGプレイを両輪に、W.A.S.P.ならではのキャッチネスを十二分に保持する一方で、本編は過度な装飾が戒められ、代わりにソリッド且つ欧州へヴィ・メタリックなドラマ性が増大。いきなり8分越えの長尺曲で幕の上がる大作主義を掲げて、THE WHO、JETHRO TULLのカヴァーにもトライする等(後者はシングルでリリース)、折からの原点回帰/70年代ブームを追い風とした、威厳溢るる内容に仕上がっています。
そうした作風だからこそ、フランキー・バネリのドラミングや、元URIAH HEEP(当時はBLACKFOOT所属)ケン・ヘンズレーのKeyといった重厚な演奏が違和感なくフィット。特に壮大なOPナンバー①、ロニー期のBLACK SABBATHに通じる③、勇壮さとノリの良さが一体化したアルバムのハイライト④のような名曲が並ぶ、本編前半の充実っぷりは出色です。
次作『THE CRIMSON IDOL』程ドラマティックな出来栄えではありませんが、LAメタル・バンドから本格派HMバンドへと転身を遂げていく、過渡期的な作風が実に魅力的な1枚。


WARBRINGER ★★ (2009-08-19 22:27:00)

カリフォルニアにて、ONSLAUGHTとZOMBIEという2つのスラッシュ・メタル・バンドが
合流する形で誕生し、'06年に自主制作した5曲入りEP『ONE BY ONE, THE WICKED FALL』でデビュー。
幾つかのコンピ盤に参加して知名度を高めた後、CENTURY MEDIA RECORDSと契約を交わすと、
'08年に『WAR WITHOUT END』を、'09年には2ndフル『WAKING INTO NIGHTMARE』を発表。
荒々しく尖がった楽曲にイマイチな音質、それにドタバタした演奏がどこか郷愁を誘う、オールドスクールな
スラッシュ・サウンドが詰め込まれた1st、メンバー・チェンジと過酷なツアー生活の成果が
そのクオリティに見事に反映された、よりビルドアップされた内容の2nd、
どちらも聴き応え十分の作品に仕上がっており、近年デビューを飾った
若手スラッシャーの中では頭一つ抜きん出た存在感を放つバンドかな、と。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse ★★ (2015-06-28 21:46:35)

国内盤の発売を待ち続けるうちに、作品のゲット自体を忘れてしまった(本末転倒)'13年発表の4thアルバムを漸く購入。
WARBRINGERはNWOTM勢の中でも特にお気に入りバンドであり、しかも今回からはMANTIC RITUAL(解散が残念)の弦楽器隊が新メンバーとして加わってると聞いて、これは凄いことになりそうだ!と、かなり前のめりな姿勢で挑ませて貰ったのですが・・・。結論から述べると、こっちが期待したような「WARBRINGER+MANTIC RITUAL」な明快なスラッシュ・サウンドにはなっていませんでしたよ。
じゃどんな仕上がりかと言えば、気持ち「歌心」を感じさせる場面が増えたシャウト型Voから、一層劇的に花開くツインGの絡みに至るまで、前作でも目立っていたメロディ増量方針が更に推進。それ自体は別に悪いこっちゃないのですが、北欧メロデス風の①があったかと思えば、パンキーな③を演ってみたりと、何かバンド側の進むべき方向性に対する「迷い」のようなモノが透けて見えるアルバム前半の流れに、モヤモヤっと。
しかし。タイト&キャッチーな切れ味の名曲④の出現で空気が変わると、後はスラッシーな疾走感と正統派HMに通じる構成力が光る⑤⑦⑧⑪etc・・・といった秀曲群が連続し、アレヨアレヨでラストまで一気に走り抜けてしまうのだから、やはりこのバンドの曲作りの才能は侮れない。思わず愚痴った前半の楽曲も、リピート再生してる内に違和感はすっかり消え失せましたしね。
ベイエリアより欧州メタル勢からの影響が感じられる1枚。彼らにこの路線を期待してたかと問われると一瞬言葉に詰まりますが、とりあえず質は高い。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse - Hunter-Seeker ★★★ (2015-06-28 21:53:44)

切れ味鋭く歯切れ良く
激烈な疾走感が全編を貫きつつも
2本のGが豊かに紡ぎ出すメロディは
泣きや憂いに満ちていて・・・と
どことなく近年のKREATORに近い感触を
受けるスラッシュ・ソング。
アルバムのハイライトではないでしょうか。


WARBRINGER - Waking Into Nightmares ★★ (2009-08-19 22:31:00)

一聴して「うぉ、化けやがった」と驚かされる、カリフォルニア出身の5人組スラッシャーが
プロデューサーにEXODUSのゲイリー・ホルトを迎えて制作、'09年に発表した2ndフル・アルバム。
荒削りな演奏、楽曲、それに音作りと、濃厚に80年代風味が薫るオールドスクールなスラッシュ・メタルを
演っていたデビュー作『WAR WITHOUT END』に対し、本作は、コケ脅し臭の消えたジャケット・アートワーク
(手掛けたのはダン・シーグレイヴ)から、グッと引き締まったサウンド・プロダクション、そしてよりスピーディに、
よりダイナミックに、より劇的に磨き上げられた収録楽曲に至るまで、過酷なロード生活で得た経験値が見事に
本編のクオリティに反映された、あらゆる面においてデビュー作から格段のパワーUPを遂げた内容に仕上がっている。
取り分け、一層のへヴィネスとダイナミズムを獲得したリズム面強化の成果は大きく、その効果は、イントロだけで
総毛立つ①を聴いただけでもハッキリと実感できる。やはり腕の立つDsとBの存在はこの手のバンドには必須だよなぁ、と。
圧倒的手数の多さを活かして怒涛の如く突進するこのリズム隊に、迫力と説得力を増したVo、より練り込まれた劇的な
メロディを紡ぎ出すツインGが絡む、攻撃性と緻密性を兼ね備えた①③⑤⑧⑨といった楽曲が撒き散らす
有無を言わせぬカッコ良さは、前作までのバンドとは殆ど別人レベル。
「懐古型スラッシュ」の枠を飛び出したWARBRIGERの、「今を生きるエクストリーム・メタル・バンド」としての
気概がヒシヒシと伝わって来る力作。


WARBRINGER - Waking Into Nightmares - Jackal ★★ (2009-08-23 21:57:57)

イントロを聴いただけで、前作から如何に彼らが
成長を遂げたか伝わって来る、タフでストロングな
高速スラッシュ・ナンバー。
相変わらずメロディアスなGソロも○。


WARBRINGER - Waking Into Nightmares - Living in a Whirlwind ★★ (2009-08-23 22:01:46)

リズム・チェンジからブラスト・ビートまで
事も無げにこなす新加入のDsの怒涛の如きドラミングが
炸裂するブルータルな1曲。
こりゃ前任ドラマーじゃ出来ない曲だ。


WARBRINGER - Waking Into Nightmares - Senseless Life ★★★ (2009-08-23 22:13:41)

正統派へヴィ・メタリックなGリフと、
疾走する泣きGソロをフィーチュアして
ドラマティックに盛り上りつつ激走する
2ndアルバムの(個人的に)ハイライト・チューン。


WARBRINGER - Waking Into Nightmares - Shadow From the Tomb ★★ (2009-08-23 22:08:34)

デス・メタリックな暴力性も発散する
バイオレントな曲調と、劇的なインスト・パートの
コントラストが印象に残る1曲。


WARBRINGER - War Without End ★★ (2009-08-19 22:28:00)

カリフォルニア出身の5人組スラッシュ・メタル・バンドが、プロデューサーにビル・メトイヤーを迎えて制作、
'08年にCENTURY MEDIAからリリースした1stフル・アルバム。
新世代スラッシャーの多くがそうであるように、彼らもまた、ヒステリックなシャウトを繰り出すVo、ヤスリで削り
出したような刻み目の荒いGリフ、それにバタバタ忙しなく疾走するリズムと、メンバー全員の平均年齢が20歳とは思えぬ、
80年代テイスト満載のオールドスクールなスラッシュ・メタルを実践。ジャケット・アートワークに戦車をあしらい、
歌詞のモチーフに「戦争」を選ぶ姿勢からも明らかなように、アグレッシブで高揚感に満ちた好戦的なサウンドが
その持ち味ながら、フラッシーに弾きまくるツインGと、正統派HM由来の構築性を湛えた曲展開をフィーチュアした
楽曲は存外キャッチーで(ポップという意味ではない)、個人的には1st~2ndの頃のEXODUSとの共通点を見出したりも。
方々で指摘されているように、ドタバタと落ち着きのないリズム・ワークや、荒削りなサウンド・プロダクションのせいで
「B級」との印象は免れないものの、血沸き肉踊る①④、アグレッシブな曲調にメロディックなGソロが映える②⑥⑩、
メロウなイントロをメロデス風味のクールなGリフが引き裂く⑤といった、WARBRINGERというバンドの魅力が
上手いこと表現された強力無比なスラッシュ・ナンバーの数々を聴くにつけ、これくらい自棄っぱちな勢いが
感じられる方が、スラッシュ・メタル・バンドのデビュー作としては好感が持てるってもんです。
個人的には「大化けした」と評判の2ndアルバムより愛聴してたりして。・・・なんて書くとバンドに怒られるか?


WARBRINGER - War Without End - At the Crack of Doom ★★★ (2009-08-22 01:09:39)

Gリフにインパクトにかけては本編随一。
ブラスト・ビートを織り交ぜてバイオレントに
疾走するリズムに、よく歌うGと練られた曲展開が
絡む様はメロディック・デス・メタル風味ですらある。


WARBRINGER - War Without End - Beneath the Waves ★★ (2009-08-22 01:16:04)

楽曲自体は刺々しく疾走する高速スラッシュ・チューンなのだが
そこに絡むGソロは非常にメロディアス。
冒頭から正統派HMのノリで歌いまくっており、
ちょっと笑ってしまった。いや、良い曲です。


WARBRINGER - War Without End - Hell on Earth ★★ (2009-08-22 01:05:47)

小細工抜きでガンガン攻め立ててくる、
正統派のスラッシュ・メタル・ナンバー。
聴いてるだけで暴れ出したくなりますね。


WARBRINGER - War Without End - Total War ★★★ (2009-08-22 01:01:49)

1stフルのOPナンバーにして、WARBRIGNERというバンドの
何たるかが詰め込まれた彼らの代表曲。
(デビューEP収録曲のリメイクでもある)
荒々しく好戦的な曲調の割りに、フラッシーに弾きまくる
ツインGや一緒に叫びたくなるサビといい
結構キャッチーな仕上がりなのも好ポイント。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished ★★★ (2017-04-20 00:21:07)

前作『Ⅳ:EMPIRES COLLAPSE』は、WARBRINGER作品で初めて「試行錯誤」を意識させる内容でしたが、この最新5th(’17年)では再びヘヴィ&アグレッシブな方向に焦点を絞り、重く鋭くキレのある剛速球をストライクゾーン目がけて投げ込んで来ています。
スラッシュ・メタルをベースにしつつ、そこにブラック・メタルばりの爆発力、デス・メタルを思わす陰惨なヘヴィネス、プログレ/テクニカル・メタル調の壮絶なダイナミズム渦巻く曲展開をブッ込んだサウンドが、激情迸るシャウトVoと、扇情的なフレーズを次々打ち出すツインGとを伴って、怒涛の如く進撃。
微笑ましさが先立ったデビュー当時から、作を重ねる毎にオールドスクールなスラッシュ・テイストは薄まって来ているのですが、要所を締めるハイスピード・ナンバー①④⑦を手始めに、ここまでイカした「WARBRINGER流HM」を確立されてしまったら、最早グゥの音も出ませんわ。特にそれが顕著に表れたのがラストを〆る⑧。通常10分を越える大作なら、クリーンVoやらオーケストラの導入やら色々と考えそうなもんですが、その手のギミック一切なし。というか疾走パートすら排して、ひたすら悲壮なメロディと重厚な曲調の深みで聴かせきる手腕からは、本格派の威厳すら感じられる気が。(DEATHとCORONERの名曲⑨⑩のカヴァーも、本作のルーツを開示していて非常に秀逸)
妙に引っ込み思案で迫力を欠くDsが少々気になるとはいえ(プレイのせいなのか音作りのせいなのか)、ともあれ頻発するメンバー・チェンジにもめげず、バンドを牽引し続けるリーダ、ジョン・ケヴィル(Vo、G)の踏ん張りに心からの称賛を送りたくなる1枚ですよ。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished - Divinity of Flesh ★★★ (2017-04-20 22:50:32)

鼓膜に突き立つハイピッチシャウトと、
扇情的フレーズを次々繰り出すツインGの
波状攻撃が、デス/ブラック・メタルに通じる
爆発的疾走感に乗せて畳み掛けるスピード・ナンバー。
この後に続く重厚な大作ナンバー“WHEN THE GUNS FELL SILENT”の
存在感を効果的に引き立てる役回りも果たしています。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished - When the Guns Fell Silent ★★★ (2017-04-20 22:59:04)

派手な曲展開、もしくはオーケストラ、女性Vo、クリーンVoといった
飛び道具を用いず、Voがひり出す悲嘆に満ちたシャウトと、
2本のGが奏でる慟哭のメロディ、それに重厚な曲調で
10分以上の長尺の緊張感を保ち、聴かせきってしまうその手腕に、
このバンドの確かな成長を見た思いですよ。


WARBRINGER - Worlds Torn Asunder ★★★ (2012-03-13 23:02:25)

飛躍的な成長を遂げた2nd『WAKING INTO NIGHTMARES』がここ日本でも高く評価され、一昨年5月には初来日も果たしている米産スラッシャーが'11年に発表し、未だ国内盤リリースの気配がない3rdアルバム。仕方ねえから輸入盤買っちゃいましたよ。
『WAKING~』の高評価の原動力ともなった辣腕リズム隊は既にバンドを去ってしまっているが、後任メンバーも同等のテクニシャンなので落胆には当たらず。ただ少々締まりに欠けるドラム・サウンドのせいで、折角の実力が今ひとつ鮮明に伝わって来ない点は勿体ないかな?
噛み付くように憎々しげなシャウトを繰り出すVo、殺傷力を宿して鋭角的に刻まれるGリフ、手数多めで畳み掛けるリズム、それにラフで勢い重視の音作り等、従来の尖がり具合と疾走感はしっかり保持しつつも、前作で垣間見せたマシーナリーなエクストリーム・メタル風味よりも、オールドスクールな正統派HM色が再度強まっているように感じられる点が本作の特徴の1つ。特に攻撃的なアダム・キャロル、メロディアスなジョン・ラウというタイプの異なるツインGコンビの存在、それにドラマティックな曲展開や構築力とが活かされた楽曲が連続する本編後半からは、強くそうした要素が感じられる。
勿論、切っ先の鋭さが失われたなんて事はある筈もなく、先制パンチとでも言うべき冒頭①②の連打、そして本編屈指のキラー・リフが炸裂する④は、まさしくWARBRINGER印の名曲。
このクオリティでも国内盤なしとは・・・。(※追記:その後、無事国内盤がリリースされました)


WARBRINGER - Worlds Torn Asunder - Echoes From the Void ★★ (2012-03-15 07:12:32)

叙情的なイントロに始まり、
一気にスピードアップ。
中間部にはメロディアスなインスト・パートが
配され、最後は再び激しく盛り上がって〆と
正統派HM的な起承転結が味わえる1曲。


WARBRINGER - Worlds Torn Asunder - Future Ages Gone ★★★ (2012-03-14 21:41:57)

JUDAS PREISTばりの光沢を帯びたGリフ、
IRON MAIDENを思わせるゆったりとしたツインGのハーモニー等、
スラッシュ・メタルとしてのトンガリ具合と共に
オーセンティックなHMテイストも強く感じられる
アルバムでも1、2を争う名曲。


WARBRINGER - Worlds Torn Asunder - Living Weapon ★★★ (2012-03-14 21:44:36)

快活に弾むタテノリのリズムはいかにも
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドといった趣きなれど、
メロディの質はヨーロッパ産正統派HMから影響が滲む。
あ、つまりは古き良きベイアリア・スラッシュ・ソングってことか。
音数多めに荒れ狂う新ドラマーが早速存在感を発揮していますよ。


WARDRUM - Awakening ★★★ (2017-07-02 10:00:53)

経済の低迷とは裏腹に、優れたHMバンドを次々輩出し続けるギリシャから現れた、灼熱のパワー・ボイスで熱唱するフロントマン、ヤニス・パパドプロス(Vo)と、独創性に富んだGプレイでサウンドをテクニカルに彩るコスタ・ヴレト(G)という2枚看板を擁する5人組が、'16年に発表した3rdアルバム。本邦初登場となった前作『MESSENGER』のセールスが芳しくなかったことから、今回は日本盤発売が見送られてしまうのでは…と危惧していただけに、リリースに踏み切ってくれたレコード会社にゃ感謝感激雨霰ですよ。
内容に関しては、バンドのマスコット・キャラ「メッセンジャー」が登場するアートワークからも明らかなように、全くブレることなく、NOCTURNAL RITES辺りに通じる劇的且つスピーディな正統派へヴィ/パワー・メタル道をこれまで同様に邁進。抒情的なアコギのイントロに続き、音数多めに駆動するリズム隊の存在が映えるパワフルなOPナンバー①の存在だけでアルバムの成功を予感するには十分ですが、後に続く胸熱な疾走チューンの名曲②が始まった途端、その予感は確信へと昇華されるという。
WARDRUMというバンドの魅力を凝縮し、「掴み」として効果的に機能する頭3曲の畳み掛け、テンポアップするサビメロの展開にグッとくる④、クサメロの破壊力にかけては本編随一の⑩といった、思わず昭和ロボット・アニメの主題歌を歌わせてみたくなる熱い泣きを孕んだヤニスのVoと、技術だけでなくメロディの組み立てにも冴えをみせるコスタのGという、バンドの強みが如何なく発揮された楽曲の数々を収録する充実作。前作に勝るとも劣らぬクオリティゆえ、今度こそ好セールスを記録してくれるといいなぁと。


WARDRUM - Awakening - Right Within Your Heart ★★★ (2017-07-02 22:33:46)

ヤニス・パパドプロスの泣きと熱気を孕んだ絶唱に
盛り立てられてパワフルに駆け抜けて行く疾走ナンバー。
このメタル魂を燃え上がらせる歌いっぷりには
謹んで「ギリシャの坂本英三」の称号を進呈したくなります。


WARDRUM - Awakening - Shade Of Hope ★★★ (2017-07-02 22:39:57)

Voの熱唱と、テクとメロディセンスを併せ持ったGという
WARDRUMの2枚看板が、その才能を如何なく発揮したミッド・チューン。
疾走曲ではなくミドル・テンポだからこそ、胸を突きさす
泣きのメロディの威力が余計に際立って聴こえます。


WARDRUM - Messenger ★★★ (2015-02-22 23:39:12)

指弾きオンリーのノー・ピック主義を貫く個性派ギタリスト、コスタ・ヴレトを擁するギリシャ出身の4人組が'14年に発表した3rdアルバム。
既に比較対象として名前が挙がっている通り、本作で志向されているのはIMPELLITTERIやNOCTURNAL RITES等に通じる正統派メロディック・メタル。Voのヤニス・パパドプロスも、ロブ・ロック、ジョニー・リンドクヴィストの系譜に連なる灼熱パワー・ボイスの持ち主で、彼の胸焦がす熱唱をフィーチュアした本編のサウンドは、IMPELLITTERIの屈強さにNOCTURNAL RITESの叙情性を加えたような仕上がり・・・とでも申しましょうか?
加えて、このアルバムをスペシャルな地位へと押し上げているのが、聴き手の琴線を揺さぶりまくるメロディの組み立ての巧さ。殊に、痒いところに手の届く歌メロの魅力には辛抱堪らんものがあり、③⑦⑧⑨⑩といった楽曲における劇的なメロディ展開の連続には、思わず風呂上りに冷えたビール飲んだ時のような「っかぁー!」ってな悶絶声が漏れてしまいますよ。
当然それ以外にも捨て曲・埋め曲の類は見当たらず、何より、パワー/スピード/メロディという「HM三種の神器」を併せ持つ⑤は、全国津々浦々のメロパワ・メタル愛好家を感涙に咽ばせるレベルの名曲。これほど強力なアルバムの日本盤が、レコード会社曰く「悲しくなるぐらい売れなかった」とは・・・。


WARDRUM - Messenger - After Forever ★★★ (2015-02-23 23:56:27)

テクニカルなGリフが目まぐるしく繰り出される
イントロに続いて、憂いを帯びて絶妙に
展開していく歌メロが走り出した時点で
「よし、名曲!」と太鼓判押したくなましたよ。
灼熱系シンガーの熱唱、指弾きならではの
エモーションが乗ったGソロも効果的に楽曲を
盛り立ててくれます。


WARFARE - Metal Anarchy ★★ (2007-10-23 23:38:00)

元々はパンク畑で活動していたメンバーが、MOTORHEADやTANK、VENOMを始めとする新世代のへヴィ・メタル・バンドに
触発され、自分達でもパンクの疾走感とメタルのエッジを併せ持った音楽を演るべく'84年に結成した
英国出身のパワー・トリオWARFARE、その'86年発表の2ndアルバムがコレ。
1st『PURE FILTH』のプロデュースはTANKのアルジー・ワードが担当していたが、今回はその座にMOTORHEADの
レミーを迎え入れ(因みに3rdを手掛けたのはVENOMのクロノス)、僅か三日間で突貫レコーディング。
そのためサウンド・プロダクションはお粗末極まりないものの、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の
優雅なイントロを引き裂いてヤケクソ気味に突っ走るOPチューン②から、本編最速のスピードで
ラストを締め括る名曲⑩まで、荒々しく粗暴な攻撃性に満ち溢れた1枚に仕上がっている。
レコードで言うところのA面が「SIDE METAL」、B面が「SIDE ANARCHY」と分けられていて、その名が示す通りA面には、
緩急を効かせた③や、そこはかとなく叙情的な前半から疾走へと転じ、インスト・パートでは葬送曲のフレーズが
炸裂する⑤等、より曲展開に凝った(・・・というほど大層なもんじゃないが)メタリックな楽曲が並ぶ。
でもまぁ、全体的に見ると、両サイドとも大した違いはない、というのがぶっちゃけた感想なわけだが。
VENOMやTANKの暴走っぷりを愛する向きにお薦めの作品。


WARGASM - Why Play Around ★★★ (2011-03-08 22:13:28)

80年代前半に結成され、OVERKILL~MANIACとその名を変えつつ活動して来たバンドが、WARGASMと改名後の'88年、ボブ・メイヨ(Vo、B)、リッチ(G)とバリー(Ds)のスピルバーグ兄弟からなるラインナップで発表した1stアルバム。
THE RODSを思わすメンバー・フォトのクールな出で立ちが本作の方向性を示す通り、ドンシャリな音作りの下、媚や虚飾を一切排除して、ニヒルに炸裂する男気満載のパワー/スラッシュ・メタル・サウンドには、トリオ編成が生み出しているとはとても思えぬ力強い迫力が宿る。
取り分け、勇壮なインスト・パートに思わずテンションが上がる②、ホラー映画タッチで送るスピード・ナンバー④、本編ラストを猛然と締め括る⑩といった、切れ味の鋭さと重厚感を併せ持った名曲の数々は、男臭い声質(橋本直樹風?)のVo、鋭角的なリフをザクザクと刻み倒すG、タフ&ソリッドに炸裂するDsの存在が映えまくりで、ジャンル・ファンなら即死モノのカッコ良さ。
と同時に、10分に迫る大作曲⑧や、クラシカルなインストの小品⑨までこなす器用さも兼ね備え、また攻撃性全開で突っ走っても、常にクールな雰囲気を崩さない硬派な作風は、ボストン・マサチューセッツ出身という彼らの出自ゆえか?
スラッシュ/パワー・メタル好きなら避けて通る事の出来ない必聴の名盤・・・なんだけど、聴きたくても長らく廃盤状態が続き、中古盤市場じゃ5桁のプレミア価格で取引されているため気軽に聴く事も叶わぬ1枚。何とか再発して欲しいところなのだが。


WARGASM - Why Play Around - Humanoid ★★★ (2011-03-08 22:28:24)

アルバムのラストを暴風の如く締め括る
“UNDEAD”と並ぶアルバム最速のスラッシュ・ナンバー。
全編がヤケクソ気味な疾走感に貫かれているが
どこかニヒルでハードボイルドな雰囲気が漂うのが
彼らならではの個性か。
イントロ代わりに置かれたクラシカルなインストの小品
“LE COU COU”(名曲!)とセットでお楽しみ下さい。


WARGASM - Why Play Around - Undead ★★★ (2011-03-08 22:19:32)

まさにタイトル通り、ホラー映画調のイントロと
アウトロ“MERRITT'S GIRLFRIEND”がくっ付けられ、
雰囲気を盛り上げる高速スラッシュ・ソング。
切れ味鋭いGリフとドスの効いたリズムとタフなVoが
一塊となって怒涛の如く突進する様がド迫力で、
無心に頭振ってる内に、6分以上のランニング・タイムが
一瞬で過ぎ去っていきます。


WARHEAD - Speedway ★★ (2007-04-11 22:17:00)

ベルギー出身の4人組へヴィ・メタル・バンドが、'84年に発表した1stアルバム。
次作『THE DAY AFTER』では、更に攻撃性を高めてスラッシュ・メタル化する彼らだが、
このデビュー作の時点で聴けるのは、NWOBHMの空気をタップリと吸い込んだ、時にMORTORHEADや
4人編成時代のTANKを彷彿とさせる、男気のギュウと詰まったストロングなヘヴィ・メタル・サウンド。
バイクのエンジン音のSEに続き、チープな音質のもと、猛々しく刻まれるリフが疾駆する①が始まった瞬間、
B級メタル・マニアのハートは熱くなること間違いなしだ。(・・・かどうかよう分からんけど)
無性に頭を振りたくなるヘッドバンギング・チューン②や、緩急を活かしたダイナミックな⑤もなかなかの出来で、
何より、こうした楽曲を歌うVoがレミーやアルジー・ワード以上に歌心に溢れていて、
そのヴィブラートをビンビンにかけまくった雄々しい歌唱スタイルは、人によっては鬱陶しく
感じられるかもしれないが、この手の直球メタル・ソングを歌うにはドンピシャの人材。
劣悪なサウンド・プロダクションゆえ、全体的にモッサリと垢抜けない雰囲気が漂い、メロディにも
今ひとつ深みが足りていないので、個々の楽曲の良さに反してイマイチ強い印象が残せていない等の弱点もあるが、
ともあれ、メンバーのステージ・ネームだけでなく(笑)、内容の方にも燃え盛るメタル魂が感じられる力作だ。


WARHEAD - The Day After ★★ (2007-04-11 22:21:00)

長いイントロ部分で焦らしに焦らしてから、雄叫び一発、スラッシーなリフが疾走を開始する様が最高にカッコイイ
①を聴いただけで、バンドが1st『SPEEDWAY』から飛躍的な成長を遂げた事が伝わってくる、'86年発表の2ndアルバム。
デビュー作の好評を受けてレコーディング環境が改善されたのか、サウンド・プロダクションが(それなりに)向上。
リフやリズムの刻みに鋭さが宿り、全体的に引き締まったサウンドからはMORTORHEADやTANK的なロックンロール風味が
一掃されて、よりスピード/スラッシュ・メタル色を強めた印象を受ける。
前作でも大きな存在感を発揮していたVoが、クドイくらいヴィブラートかけまくりの歌唱スタイルはそのままに、
更に逞しさと表現力を増した歌声でこれまで以上に起伏に富んだメロディを歌いこなせば、Gも劇的且つメロディックな
ソロを次々に紡ぎ出してと、前作の大きな弱点だったメロディの弱さをしっかりとカバー。
冒頭3曲のスピード・チューンの畳み掛けに始まり、緩急を効かせた④、正統派メタリックなリフを持つ⑤、
Voの熱唱が映えるバラード・パートから、ドラマチックに盛り上がっていく⑥、〆のインスト曲⑦と、個々の楽曲の
キャラ立ちも良くなり、全編これ捨て曲なしのクオリティ。中でも特筆すべきは②で、スラッシーな疾走感、
名リフに劇的なGソロ、勇壮なVoとが見事に揃ったWARHEAD屈指の名曲だ。これぞ、隠れたスピード/スラッシュ・メタルの名盤。
尚、現在本作は1st『SPEEDWAY』とのカップリング仕様で売られているので、非常にお買い得です。


WARHEAD - The Day After - Evil Night ★★★ (2007-04-11 22:28:42)

猛々しく刻まれるリフ、スラッシーに疾走するリズム、
ヴィブラートかかりまくりの男臭いVoが熱唱する
勇壮な歌メロ(サビも印象的で◎)、そして炸裂する劇的なGソロ・・・
個人的に、2ndアルバムのハイライト・チューンに推したい名曲。


WARLOCK - Burning the Witches ★★ (2011-01-08 00:03:31)

先頃待望の初来日公演を行った女性メタル・シンガーの草分け的存在、ドロ・ペッシュ姐さんの原点にして、彼女の名を一躍HR/HMシーンに知らしめる切っ掛けとなったドイツはデュッセルドルフ出身の5人組HMバンドWARLOCKが、ベルギーのインディー・レーベルMAUSOLEUMから'84年に発表した1stアルバム。
「ACCEPTの影響とNWOBHMの洗礼を受けた、荒っぽく刻まれるGリフ主導で突っ走るダークなHM」という基本スタイルは既に固まっているものの、イマサンな音質にラフなパフォーマンス、それに荒削りな楽曲といい、作品全体から漂ってくる雰囲気はこの時点ではまだまだイモ。(ちなみにプロデューサー役を務めているのはMEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトだ)
但し、アグレッシブでスピーディなHMナンバー①⑥、ヒロイックなミドル・チューン⑨辺りからは、磨けば光るダイヤの原石的なポテンシャルが感じられるし、何より本作を(というかWARLOCKを)語る上で外せないのがドロ・ペッシュのVo。現在のような貫禄や表現力には欠けるものの、若さに任せた攻撃的なシャウトは痛快だし、しっとりと歌い上げるバラード⑤では、後の作品で開花する事となる才能の片鱗もチラリ。
マニア向けな内容ながら、がむしゃらな勢いが感じられて結構お気に入りな1枚。まぁ、武器が勢いしかないと言えばそれまでだが。


WARLOCK - Hellbound ★★★ (2011-01-10 00:38:58)

デビュー作『BURNING THE WITCHES』が大受けしたことにより、英メジャーPHONOGRAM傘下の老舗レーベルVERTIGOとのディールを成立させたWARLOCKが'85年に発表した、日本初お目見え作品ともなった2ndアルバム。
ACCEPTを思わせる硬派な正統派HMサウンドの上に、キャロライン・マンロー系のキツめな美貌に相応しい(?)攻撃的なシャウトを炸裂させるドロ・ペッシュのパワフルなVoが乗っかった音楽スタイルに変化はないが、メジャー・レーベルとの契約効果は音質の向上など各方面に覿面に表れていて、取り分け、プロデュースのみならず作曲作業においても大きな貢献を果たすヘンリー・スタロステの参加は本作最大のトピック。
彼の助力を得た事で、力押し一辺倒だった前作に比べ楽曲がかなり磨き込まれ、曲展開には緩急が、アルバム全体の構成にはメリハリが付与され、収録楽曲1つ1つのキャラ立ちがより明確化。特に、泣きを伴った哀メロが駆け抜けていくメロディアスなHMナンバー⑤は、本作におけるバンドの作曲能力の著しい上達っぷりを端的に伝えてくれる名曲だ。
これ以外にも、華やかなGソロがヘヴィ・メタリックな曲調に彩りを添える①、ドロの歌う憂いを帯びたメロディが秀逸な疾走ナンバー⑦、劇的なパワー・バラード⑨等、捨て曲皆無の本編には充実した楽曲が顔を揃え、個人的にはWARLOCKのカタログの中では1、2を争うぐらい好きなアルバム。


WARLOCK - Triumph and Agony ★★ (2011-01-11 22:53:54)

赤尾和重、アン・ボレイン、レザー・レオーネらと共に80年代のHR/HMシーンを彩った、「女ロ二ー四天王」ことドロ・ペッシュ(Vo)を擁するWARLOCKが'87年に発表し、彼らの最終作ともなった4thアルバム。
GとBをU.D.O.に引き抜かれたりと、櫛の歯が抜けるようにメンバー・チェンジが相次ぎ、ドラマー不在の穴を埋めるべく御大コージー・パウエルがノー・クレジットでタイコ叩いてる事でも知られる本作は、ドロ単独のイラストや写真があしらわれたジャケット/ブックレットから「ドロ・ペッシュとそのバックバンド」的な構図が透けて見える通り、後のソロ活動へのターニング・ポイントともなった作品で、現在も彼女のライブでは欠かす事の出来ないアンセム“ALL WE ARE”を収録。
この名曲が示すように、重厚なミドル・テンポの楽曲を中心に固められた本編は、ドメスティックな色合いやマイナー臭が一掃され、アメリカ出身の正統派HMバンドと言っても通用しそうな洗練された薫りが匂い立つが(レコーディング自体、ドロが渡米してNYにて行われている)、どっこい、メロディが能天気になってしまったなんてことはなく、ドラマティックな構築美が光る③、物悲しげなピアノの旋律をフィーチュアした⑤、“METAL TANGO”というタイトルからして最高な⑧、そしてドロ・ペッシュ嬢を語る上で避けて通れない名バラード⑩といった楽曲は、“ALL WE ARE”等の代表曲にも引けを取らないクオリティを備えているんじゃないかと。
元マネージャーとのトラブルが原因で結果的にこれがラスト作とはなったものの、有終の美を飾るに相応しい完成度の高さを誇る1枚。


WARLOCK - True as Steel ★★★ (2011-01-10 21:55:11)

2nd『HELLBOUND』との間に3曲入りEP『YOU HURT MY SOUL』('85年)のリリースを挟んで'86年に発表され、WARLOCK独自の音楽性の確立と、HR/HMシーンにおけるバンドの人気、そしてドロ・ペッシュ嬢(当時)のセックス・シンボルとしての座を決定付けたと言われる3rdアルバム。
プロデュースはヘンリー・スタロステが再登板し(大半の曲作りに関与している点も前作同様)、LAのスタジオにて名手マイケル・ワグナーの手によりミックスダウンが行われた本作は、前2作のような荒々しさが薄れた代わりに、ポップな味わいも備えた楽曲を収録し、曲によってはKeyを味付けに使う等、よりメロディを「聴かせる」姿勢を重要視した内容で、練り込まれたアレンジや多彩さを増したリズム・パート、そして思わずコブシを振り上げたくなる勇壮且つキャッチーなコーラス・ワークを擁する楽曲からは、ドイツのメタル・シーンの最前線を行くバンドとしての気概や貫禄がオーラの如く滲み出す。
前作同様これまた捨て曲皆無の名盤だが、敢えて聴き所を挙げるならば、これぞWARLOCK!これぞメタル!な疾走曲①④⑥、PVも作られたキャッチーな②、熱心なファン数十名がコーラス隊として参加、その全員名前と集合写真がブックレットに掲載されている重厚なメタル・ナンバー③⑦、ポップな味わいが心地良い⑧、一層の表現力を獲得したドロの熱唱が涙腺に沁みるバラード⑨辺りの楽曲・・・って殆ど全曲でしたね、はい。
WARLOCK入門編としてどうぞ。


WARLORD - Deliver Us ★★★ (2015-07-11 02:03:27)

仕事帰りに店に寄ったら、何とWARLORDが'83年に残した伝説のデビューEPが再発されてるじゃありませんか。お得感で言えば初CD化時のFEMS盤に一歩譲るものの、今回はリマスター&SHM-CD仕様ですからね。「元の音質が酷いんだから手間と資源の無駄」と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には「でもやるんだよ!」という心意気にいたく胸を打たれた次第。
さておき。その昔初めて本作を購入した時は、厳しいバンド名に、昭和プロレス魂溢れる(違う)メンバーのステージネーム・センス、そして国内盤邦題が『悪魔の洗礼』・・・もうどんだけ恐ろしい音が飛び出して来んの?と戦々恐々で再生ボタンを押したものですが、意外にも耳に響いたのは、儚く爪弾かれるアコギの調べよりスタートする叙情的とさえ言えそうなOPナンバー①。
勿論NWOBHMスタイルの疾走曲③や、破壊的なGリフが刻まれる⑤、バンドの代表曲である仰々しく劇的な⑦といったアグレッシブな楽曲も収録されていますが、このバンドの基本姿勢は、ヘヴィネスやダークネスに対する拘りよりも、まずはメロディ重視。Voを中心に据えたHMサウンドは案外キャッチーな仕上がりで、この辺のバランス感覚はやっぱりLAのバンドならではだなぁと。
Voが歌い、Gが紡ぐ、シケシケでクサクサな哀メロがとにかく冴えまくりで、人によっちゃ貧乏臭く聴こえるやもしれませんが、こちとらそんなの関係ねえ。もう終始泣きのツボを押されっ放しでして、オカルティック且つミステリアスな曲調の中に、時に北欧メタルやプログレ・ハードに通じる透明感とリリシズムがキランと光る楽曲は、全編これ捨て曲なし(シングル曲やコンピ盤提供曲のボートラも実に美味)。
プロダクションの弱さを四の五の言わせない破壊力を秘めた、「USカルト・メタルの至宝」との評価に恥じぬ1枚ですよ。


WARLORD - Deliver Us - Child of the Damned ★★★ (2015-07-13 23:15:20)

回転の速いGリフがNWOBHMからの
影響も伺わせる疾走ナンバー。
サンダーチャイルドさんの叩き出す
タイトなリズム・ワークが実に気持ち良い。
叙情的なイントロ・アウトロを擁する劇的な曲展開等、
曲調自体はダークで緊迫感に満ちていますが
歌メロの輪郭がハッキリとしている辺りは
欧州産とは一味違うLA出身バンドならでは。


WARLORD - Deliver Us - Lucifer's Hammer ★★★ (2015-07-13 23:29:22)

スウェーデンのHAMMERFALLがバンド名のヒントにする等
マニア筋では多大なる影響力を誇ったWARLORDの代表曲。
暗く湿った泣きメロを次々に紡ぐVo、Gに、
楽曲の大仰さを的確に支えるDsの良い仕事っぷり、
そしてKeyをフィーチュアした妖しくもドラマティックな曲展開まで
「WARLORDワールド」が分かりやすく凝縮された名曲です。


WARLORD - Rising Out of the Ashes ★★★ (2015-07-26 23:50:26)

WARLORDが実に20年ぶりに発表した復活作。
今でこそベテランの復活作と言えば、自身の個性をしっかりと認識した会心作であることが殆どですが、この頃はまだ「俺達ゃ現役バンド!」とのプライドから、似合わぬ流行要素に手を出しては頓珍漢な内容に仕上げてしまいリスナーの失笑を買うケースが多々ありました。
なので「USカルト・メタル・レジェンドの彼らとてひょっとしたら・・・」との憂慮も少なからずあったわけですが、そうしたネガティブ思考は、暗くて湿気っててドラマティックなOPナンバー①を聴き終えた瞬間、綺麗サッパリと払拭されましたね。全然変わってねぇなぁ!と。
殊に、デストロイヤーことウィリアム・J・ツァミス(G)によって紡ぎ出される、しみったれた泣きメロがとにかく琴線に触れまくりで・・・と書くと、褒めてんだか貶してんだかよう分かりませんが、勿論褒めてます。この泣きメロの絶妙なシケシケ/クサクサさ加減こそがWARLORDの証。代表曲④や③⑤、それにPRAYING MANTISを思わす哀愁に悶絶な名曲⑩等は彼らの真骨頂。
そもそも本作は活動初期のレパートリーや、EP『悪魔の洗礼』収録曲のリメイク(あと別プロジェクト用に書かれた楽曲)から構成されているので、音楽性のブレがないのも当然っちゃ当然の話なんすが、それだけではなく、新ダミアン・キング役を担う等、WARLORD復活に多大なる貢献を果たしたヨアキム・カンス(HAMMERFALL)のバンドに対するリスペクト溢れる姿勢も、こうした作風に仕上がった要素として結構大きかったのでは?と個人的には推察する次第。声質的にも、適度なソフトさ加減が歴代ダミアン・キングの系譜に連なる感じで非常にグーですよ。
万人受けするには少々マニアックな内容ではありますが、ファンなら押さえておいて損はない作品ではないかと。


WARRANT - Cherry Pie ★★★ (2016-12-12 23:22:14)

ぼちぼちHR/HMシーンの王座がグランジ/オルタナティヴ・ロック勢に取って代わられようとしていた時代の節目において尚、全米アルバム・チャート最高第7位、トータル200万枚を売り上げる大成功を収めた、WARRANT、’90年発表の2ndアルバム。
ブロンドヘアーをたなびかせたグッド・ルッキングなメンバー達が奏でる、明るくキャッチーなポップ・メタル・サウンド。おまけに邦題は『いけないチェリー・パイ』…。もうこれだけで硬派なメタル・ウォリアー(自称)だった身からすれば「けっ」ってなもんですよ。
ところが、ラジオで耳にしたヒット・バラード“I SAW RED”(全米最高第10位)が相当にグッとくる名曲だったこともあり、思わず発作的に本作を購入してみたらば、これが大当たりだったという。いや、まかり間違ってもスラッシーだったり様式美HMを演っていたりはしないですし、1曲目から底抜けに明るいアリーナ・ロックがブチかまされるのですが、そうしたある種「能天気」とすら受け取られかねない楽曲の中にも、躍動感溢れる演奏と、メロディやコーラスにきっちりとフックを仕込んで聴き手を惹き込む曲作りの巧さに脱帽。④⑧⑩辺りは、“I SAW~”と並んで今でも折に触れて聴き返す秀曲ですし、BLACKFOOTの代表曲“TRAIN, TRAIN”を違和感なくカヴァーしてみせる実力にも唸らされましたね。
当時は本作を楽しめてしまったことに対して「負けた…!」とか勝手に敗北感を感じたりもしたものですが(アホですね)、今じゃ「イェー、WARRANT最高!」「シーズ・マイ・チェリーパイ♪」とノリノリで大口開けて歌っているぐらい大好きな1枚。


WARRANT - Cherry Pie - I Saw Red ★★★ (2016-12-13 23:15:28)

イントロのピアノ、哀愁のメロディ、切々とした歌声、
全楽器が加わってのドラマティックな盛り上がりと、
パワー・バラードのお手本のような名曲。


WARRANT - Cherry Pie - Mr. Rainmaker ★★★ (2016-12-13 23:18:50)

2nd『CHERRY PIE』のソフトサイドを代表するのが
バラード“I SAW RED”なら、ハードサイドを代表するのが
この力強く(それでいてメロディのフックに抜かりなく)
ガツンとカマされるロック…いやさ、HMソング。


WARRANT(GERMAN) - First Strike ★★ (2012-02-08 22:48:35)

勿論、アメリカの同名ハードポップ・バンドとは何の関係もない・・・というか、メンバー全員で汚ねぇアナルを晒しているお下劣なブックレットを見るまでもなく、ルックス的にも音楽的にも100万光年以上かけ離れたムサ苦しさを発散するドイツはデュッセルドルフ出身のパワー・トリオが'85年に発表したデビューEP。(BURRN!!表記を参考にするなら、向こうは「ウォレント」でこっちは「ウォーラント」)
幾つかの楽曲で聴くことの出来る、ガリガリとした破壊的なGリフの刻みはSLAYER辺りからの影響を感じさせますが、よりスラッシュ・メタル色の強い次作『THE ENFORCER』に比べると、未だそのサウンドは「ACCEPTの薫陶を受けたオーソドックスなパワー・メタル」という範囲に留まっており、Dsの疾走感は飽くまで他のパートと歩調を合わせたものだし、ウド・ダークシュナイダー風味のダーティな声質のVoも何とかメロディアスに歌おうと頑張っています。
全体的に青臭い仕上がりなのは隠しようもないですが、この時点で既に曲作りの上手さ、及び弾きまくりのGソロで楽曲に欧州風味の湿り気を付与するトーマス・クレイン(G)のセンスにはキラリと光るモノが感じられ、特に荒々しくも勇壮な“BANG THAT HEAD”は「名曲」と評価しても構わないクオリティを備えているように思えます。


WARRANT(GERMAN) - First Strike - Bang That Head ★★ (2012-02-08 22:47:55)

喧しく炸裂するDsに引っ張られる形で
突進するパワー・メタル・ソング。
ダークで湿り気を帯びたメロディが
きっちりとフックを構築しており、
ACCEPTブレイク後、HELLOWEEN登場以前の
古き良きジャーマン・パワー・メタルの
様式美が堪能できるEP屈指の名曲ではないかと。


WARRANT(GERMAN) - First Strike - Satan ★★ (2012-02-08 22:43:14)

とにかく力一杯叫びまくるVo、
ガリガリと破壊的に刻まれるGリフ、
ドッカンドッカン炸裂するDs・・・と
VENOMやSLAYERの遺伝子を受け継いだ
若気の至り感溢れるアグレッシブな
OPナンバー。


WARRANT(GERMAN) - First Strike - Scavenger's Daughter ★★ (2012-02-08 22:45:18)

“SATAN”と共にスラッシュ・メタル色が
強く打ち出されたスピード・ナンバー。
序曲“CONDEMED FOREVER”とセットで
お楽しみ下さい。


WARRANT(GERMAN) - The Enforcer ★★ (2012-02-10 07:22:41)

デビューEP『FIRST STRIKE』と同じ年('85年)にリリースされた初のフル・アルバムだが、短期間のうちにバンドが大きな成長を遂げた事が如実に表れた力強い内容に仕上がっている。
スラッシュと言うよりも「ACCEPT影響下のパワー・メタル」と評したくなる作風だった前作に対し、4人(ツインG)編成でレコーディングが行われている本作はサウンドの切れ味や厚みが覿面に増強され、ミッド・テンポの楽曲も重心低くド迫力に迫ってくる。
より逞しさを増したメロディに頓着しない喚き型Vo、切り立って刻まれる速射リフの壁、野太く突進するリズム隊、それにヨーロピアンHM然としたドラマ性を擁するGとがガンガン押し出してくる攻撃的なサウンドを聴いていると、個人的にはANGEL DUSTなんかを思い出しますね。
これぞ!という強力な名曲を生み出せなかった事が、このバンドがHR/HM史に人知れず埋もれてしまった理由なのでしょうが、とは言え、序曲付きのOPナンバー②や、ダークで緊迫感に満ちた④、テクニカルなGの存在が生きる⑨といったスピード・ナンバーの数々は、メタル者なら頭を振らずにはいられないカッコ良さを有しているように思われ。
尚、バンドは'99年に再結成を果たして現在も活動中。本作とデビューEPを2in1にしたリマスター編集盤もリリースされているので、興味を持たれた方は是非どうぞ。


WARRANT(GERMAN) - The Enforcer - Nuns Have No Fun ★★ (2012-02-11 00:38:02)

アルバム『THE ENFORCER』の中では
一番好きな曲かもしんない。
腰の据わったリフ&リズムが刻まれるヴァースから
テンポアップして、勇壮にしてダーク且つ
緊迫感に満ちたサビメロへと展開していく様が
非常にカッコ良く決まっております。


WARRANT(GERMAN) - The Enforcer - The Rack ★★ (2012-02-11 00:33:47)

OPナンバーは短いイントロ&勇壮なスピード・ナンバー
という、パワー・メタル・バンドとしての様式美に則った
展開が非常に美しい。良い曲ですよ。


WARRANT(GERMAN) - The Enforcer - Torture in the Tower ★★ (2012-02-11 00:35:09)

猪突猛進型のスピード・ナンバー。
ピロピロと威勢良く弾きまくり、
楽曲にヨーロピアン風味の湿り気を与える
Gの仕事振りが印象に残ります。


WARRIOR - Ancient Future ★★★ (2019-09-12 00:34:22)

LAメタル・シーンが活況を呈する’85年に1st『未来戦士』でデビューを飾り、どこかヨーロッパの薫りのする正統派HMサウンドと、日系人ギタリストのトミー・アサカワを擁する編成、それにドラマティックな名曲“FIGHTING FOR THE EARTH”のインパクトを以てHR/HMファンの間で話題を呼んだWARRIORが復活。IRON MAIDEN脱退後、迷走していたブルース・ディッキンソンを再起へと導き、当時「メタル再生請負人」としての評判を高めていたロイ・Z(G)のバックアップを受けて、'98年にこの再結成第1弾アルバム(通算2作目)を発表しました。
個人的に本作の目玉は、嘗て幻に終わった2ndアルバム用に書かれた楽曲④⑤⑨、そしてWARRIORの名を一躍シーンに知らしめる切っ掛けとなった伝説の3曲入りデモテープに収録されていた⑪の4曲。抒情的なバラード④や、いかにも80年代という軽快な疾走ナンバー⑨等、それらはどれも素晴らしい出来栄えを誇っていますが、特にドラマティックに盛り上がっていく曲展開と、パラモア・マッカーティ(Vo)の艶やかなハイトーンが『運命の翼』の頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる⑪の名曲ぶりは抜きん出ています。これが聴けただけで本作を買った価値はあった!と。
上記楽曲に比べると、90年代の流行の要素が多少なりとも取り入れられている新曲はやや地味な印象で分が悪い。それでも、力強いハイトーンVoとロイ・Zの色気迸るGプレイがフックを作り出す収録曲の数々は、②を筆頭に聴き応え十分に仕上げる手腕は流石。
発表されたことすら忘れられてしまっている感すらありますが、個人的には結構お気に入りの1枚です。


WARRIOR - Ancient Future - All I Need ★★★ (2019-09-13 00:33:13)

WARRIORの1stデモに収められていた3曲の名曲のうちの一つ。
“FIGHTING FOR THE EARTH”と“DAY OF THE EVIL”は
デビュー・アルバムで聴けましたが、この曲だけはスルーされていたので
ここに収録されているのはありがたい。(但し日本盤のみの収録)
良く伸びるハイトーンVoや、ツインGによる劇的な盛り上げっぷりが
『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる逸品です。


WARRIOR - Ancient Future - Learn to Love ★★★ (2019-09-13 00:19:08)

パラモア・マッカーティのVoとロイ・ZのエモーショナルなGを両軸に
じっとりと湿度高めで盛り上がっていくドラマティックなバラード。
このレベルの楽曲を収録予定だったことからも、幻に終わった
2ndアルバムの完成度の高さが窺い知れるというものです。
発表して欲しかった…。


WATCHTOWER - Control and Resistance ★★ (2022-07-05 01:19:58)

ボビー・ジャーゾンベクの弟で、超絶テクニカル・ギタリストのロン・ジャーゾンベクを中心に腕に覚えのある面子によって結成。後続のインテレクチュアル・スラッシュ・メタル勢に多大な影響を与え、DANGEROUS TOYSに加入するジェイソン・マクマスター、DON DOKKENへの参加で注目を集めたビリー・ホワイト等も在籍していたテキサス出身の4人組WATCHTOWERが'90年にNOISE RECORDSから発表した2ndアルバム。
当時「プログレッシブなスラッシュ・メタル」と聞いて、展開を積み重ねてドラマを醸成していくQUEENSRYCHE的なメロディアスで劇的な音を期待していたのですが、飛び出してきたのはジャズ/フュージョンをブーストさせたような、変拍子と複雑なリズム・パターンとトリッキーなフレーズがマシンガンの如く叩き込まれる奇天烈なサウンド。ロンのGプレイは流麗極まりないものの、哀愁や泣きの成分はほぼ皆無で、唯一、元HADESのアラン・テッチオ(Vo)のハイトーンは猛烈なHMテイストを発散していますが、全体としては一般受けする要素はほぼゼロ。というかそもそも一般受けなんて眼中にないスタイル。
当初は「複雑にするための複雑さ」にイマイチ乗れず、というかそれに関しては今も大差ないのですが、G、B、Ds、Voの各パートが「俺が」「いや俺が」とばかりに主役の座を巡って映画『アウトレイジ』ばりに仁義なきバトルを繰り広げる様は緊迫感に満ち溢れ、楽曲よりも、むしろ演者に集中するとより楽しめる類の作品であると最近になって気が付いた次第。キャッチコピーつけるなら《全員達人。》といったところか。
メタル者的には1stの方が取っ付き易いかな?尋常じゃないくらい音が悪いのですが。


WESTWORLD - Cyberdreams ★★★ (2013-12-14 00:24:20)

来日公演も行う等、着実にバンドとしての地歩を固めたWESTWORLDが'02年に発表した3rdアルバム。
この時期、メロディアスなサウンドを売りにしてたバンドがアルバム・タイトルに突然「CYBER」とかブっ込んで来た日にゃ、それだけで嫌な予感を抱かずにはいられませんでしたが、前作以上にモダンな方向へ振れた作風を提示してくるのでは・・・とのこちらの危惧を他所に、ここではファンがバンドに期待する「らしさ」と、新しいことを試みたいというミュージシャン・サイドの欲求とが上手くバランスを取ったサウンドが提示されていて、ほっと一安心。
例えばOPナンバー①は、横ノリのGリフとリズムは確かにへヴィではあるものの、その上でトニー・ハーネルが歌い上げるメロディは前2作に勝るとも劣らぬ切ない哀愁を発散。緊迫感を湛えたヴァースから一転、サビでは雲が晴れるような爽やかさを伴って展開する④、熱くダイナミックに盛り上がっていく⑤、バラード作りの巧さに定評のある彼らの手腕が光る⑥、それにTNT風味溢れるラスト・ナンバー⑪といった、このバンドならではの個性が刻印された名曲も収録。
本作をもってWESTWORLDとしての方向性を完全に確立したにも関わらず、これがラスト作になってしまったのが残念でなりません。


WESTWORLD - Cyberdreams - Look to See ★★★ (2013-12-14 00:40:06)

1st収録の“HEART SONG”、2nd収録の“LIMBO”
そしてこの曲と、彼らのバラード作りの上手さには
アルバム毎に泣かされっぱなし唸らされっぱなしですよ。
高音域から滲み出す哀愁が涙腺を直撃するトニー・ハーネルのVo、
アコギ爪弾かせても最高なマーク・リアリのG、
あと叙情性を効果的に増幅するKeyも良い仕事してますね。


WESTWORLD - Skin ★★ (2013-12-12 22:53:35)

デビュー作が好評を得たことに気を良くして、レコーディング・プロジェクトから正式なバンドへと昇格を果たしたWESTWORLDが、'00年に発表した2ndアルバム。
味も素っ気もないアルバム・タイトルとアートワークに嫌な予感を覚えつつCDを再生してみれば、のっけの①から流れ出すのは、ダウナーな横ノリを伴って刻まれるリフ&リズム、それにエフェクトの掛けられたトニー・ハーネルのVo・・・。爽やかさや開放感が減退し、気だるげなへヴィネスが増強された、如何にも90年代の音楽的流行に寄り添った内省的な作風は、恐らくトニー主導で導入が進められたものと推察されますが、では本作が退屈な駄盤かと言えばさに非ず。
イントロで「うへぇ」となる楽曲にしても、ヴァースやサビメロ、ブリッジには必ずや胸を打つ哀愁のメロディが控えており、水彩絵の具で描かれた名画の如き泣きのバラード④以降は、雲間から陽光が差し込むようにダークな雰囲気はどんどん薄れていきます。ラストは往年のTNTを彷彿とさせる⑪で締め括られるので、聴後感も良好。
劇的な曲調にパワフルな歌唱がよく映える、本作ならではの名曲⑤に強く表れている通り、トニーのモダンさを好む性質と、マーク・リアリの素朴なメロディ・センス&円熟のGプレイとが、ギリギリのバランスの上で綱引きを行っているような感覚を覚える、実にスリリングな(?)1枚。


WESTWORLD - Skin - Limbo ★★★ (2013-12-12 23:32:17)

切々と歌い上げるトニー・ハーネルのVoも
良いのですが、この名バラードの白眉は間違いなく、
静かに、しかし狂おしいほどに咽び泣く
マーク・リアリの入魂のGソロでしょう。
聴く度に顔がくしゃおじさんみたくなってしまいますよ。


WESTWORLD - Westworld ★★★ (2013-12-10 23:58:20)

RIOTでの活動に生涯を捧げた故マーク・リアリ(G)が、TNTのトニー・ハーネル(Vo)と共に立ち上げた唯一(だよね?)のサイド・プロジェクト、WESTWORLDが'98年に発表したデビュー作。
共通項があまり思い浮かばない組み合わせでしたが、結果的に提示された作品は、マークの持ち込んだハード・ロッキンなエッジと哀愁のメロディ、トニーが持ち込んだモダンなアメリカン・ロックのエッセンスとが見事に化学反応を起こした仕上がりで、よもやこのタッグから、ここまで良質なメロディアスHRアルバムが生み出されるとは思いませんでしたよ。
トニーが、自身に求められる期待にきっちり応えた(80年代の)TNT風味溢れるOPナンバー①、マークの円熟の域に入ったGプレイが光る⑤⑥⑩辺りは、このプロジェクトの真骨頂と言うべき楽曲。そしてクリアに伸びていく開放感溢れる歌声と、エモーショナルなメロディ・センスという両者の魅力が絶妙な融合をみた名曲④は、「あぁ、このアルバムを買って良かった」と思わせてくれる極上のバラードです。
TNTの最終作『REALIZED FANTASIES』にイマイチ満足行かなかったという方は、これ聴いて溜飲を下げるのも一興かと。


WESTWORLD - Westworld - Heart Song ★★★ (2013-12-11 22:16:22)

ハイトーンだけでなく表現力にも冴えをみせる
トニー・ハーネルのVoから、ここぞという場面で
炸裂するマーク・リアリの情感豊かなGソロ、
タメと間を生かしたジョン・オライリーのドラミング、
それに哀愁を倍増させるアコギとストリングス・アレンジまで
全ての要素が「泣きな~さぁ~い~」と語りかけて来るような
ドラマティックな名バラード。


WHEELS OF FIRE - Begin Again ★★★ (2020-11-23 23:49:09)

現WHITESNAKEのミケーレ・ルッピに師事した実力派シンガー、ダヴィデ・バービエリ率いるイタリア出身の5人組HRバンドWHEELS OF FIREが'19年に発表した3rdアルバム。昨年末に帯・解説付の輸入盤がBICKEE MUSICから発売されていたので「年が明けたら買おう」と呑気に構えていたら、それから1~2か月足らずであっという間に廃盤になってしまい慌てましたよ。どう考えても早過ぎるのですが一体どうしたことか。
80年代風味満点の溌剌としたポップ・メタル・アルバムだった1st、より成熟しメロディアスになった2ndときて、本作で披露されているのはちょうど両作の中間ぐらいに位置するメロディック・ロック・サウンド。ポップな中にも哀愁がまぶされたメロディと、この手の音にお似合いの、ちょっと鼻にかかったハイトーンでエネルギッシュに歌いまくるVo、それにコンパクトにまとまった良ソロをテクニカルに繰り出すGにより華やかに彩られた本編は、ボーナストラック含めて捨て曲なし。前作から7年という長期間のブランクをものともしない、相変わらず卓越した曲作りのセンスが光るハイクオリティな仕上がりです。まぁダヴィデは活動休止期間中も多数のプロジェクトを掛け持ちしていたようなので、それも当然っちゃ当然なのですが…。中でもピアノのイントロからスタートするドラマティックなバラード⑤や、フックを満載にして疾走する⑨等は、今が80年代ならヒット・チャートを賑わしたっておかしくない本編のハイライト・ナンバーですよ。
過去2作の美味しい所取りとも言える充実作なので、WHEELS OF FIRE入門盤代わりに強くお薦めする1枚…って、もう廃盤か。願・再発。


WHEELS OF FIRE - Begin Again - For You ★★★ (2020-11-24 22:50:51)

ピアノ好きの身としては、ポロポロと奏でられる
ピアノの美しいイントロだけで期待感が高まってしまいますが
哀愁が溢れ出すサビメロの素晴らしさといい、情感迸るGソロといい、
その後のドラマティックな盛り上がりっぷりは
そうしたこちらの性癖(?)にしっかりと応えてくれるものです。


WHIPLASH - Insult to Injury ★★ (2006-11-21 23:00:00)

歌える専任Voの加入に伴い、疾走感よりもメロディを重視した作風への変化が賛否両論を呼んだ、'89年発表の3rdアルバム。
スピードとメロディのバランスが絶妙だった前作を愛する身には、この変化は歓迎出来るモノではなく、
1、2回聴いたきりでCDを売っ払ってしまった記憶があるのだが、リマスター盤が出回り始めたのを期に
改めて購入して聴き直してみたら、これが案外悪くない。というか、とても良い。
インスト曲⑨は、彼らがスピードに頼らずとも素晴しい曲が書ける事の証明のようなものだし、
従来のスラッシュ路線を踏襲した激烈な⑥⑪、「日本が原爆落されたのは自業自得だぜ~」と歌う歌詞はともかく、
曲自体は正統派へヴィ・メタリックで非常にカッコイイ(唸りをあげるBがナイスな)②等、
しっかりとした練り上げの感じられる名曲・佳曲が目白押し。
ただ皮肉な事に、練り上げ過ぎが原因で楽曲の即効性が落ちてしまっているのもまた事実なわけなのだが・・・。
取り合えず、スルメ盤として根気強く付き合って頂きたい1枚である。


WHIPLASH - Power and Pain ★★★ (2016-05-10 23:21:07)

ポータロ(Vo、G)、ボノ(B)、スカグリオン(Ds)という、スリー・トニーズによって結成されたニュージャージー州パセーイク出身の爆走トリオ・スラッシャーが、'86年にROADRUNNER RECORDSから発表したデビュー作。
清々しい迄にインパクト勝負なバカジャケといい、テレコ録音と聴き紛う低音スカスカなしょんぼりプロダクションといい、ひたすら疾走に次ぐ疾走で強引に押し通る作風といい、「わざと狙ってやってます」的養殖モノとは一線を画する、ピッチピチの天然系80年代型スラッシュ・メタル・テイストが、ここにはギュッと凝縮されています。
特に、16分の刻みに載せてドリルの如く抉り込んで来るGリフのカッコ良さは本作の白眉。一緒に叫びたくなる“WAR MONGER”や、ラストを激烈に〆る“NAILED TO THE CROSS”といった、まさしくバンド名を地で行くWHIPLASH(鞭打ち)な猛進ぶりが愉快痛快な突撃ナンバー、そして名曲“METAL THRASHING DEATH”に至っては、スラッシュ脳丸出しな曲名/鋭利且つキャッチーなGリフ/キャラの立ったドラミングと、三拍子揃った「B級スラッシュ斯くあるべし!」なバンドの代表曲ですよ。
また、攻めの姿勢に終始する本編に対して、Gソロが意外なぐらいメロディアスに組み立てられているのも本作のチャーム・ポイント。シャウト一発からスタートするOPナンバー“STAGE DIVE”を手始めに、随所を彩るGソロのピロピロっぷりが効果的に楽曲のテンションを高めてくれています。
正直、チープ極まりない作りは相当に聴き手を選ぶところではありますが、ツボにハマれば一生モノの1枚になること間違いなし。


WHIPLASH - Power and Pain - Power Thrashing Death ★★★ (2016-05-10 23:27:34)

タイトルだけで高得点を差し上げたくなります。
ペラッペラな音質、高速回転するドリルみたいなGリフ、
ドカスカ感溢れるアタッキーなリズム、
あとへったくそなVoとがやけくそ気味に突貫する
B級スラッシュ・メタルかくあるべし!な名曲。
ピロピロ弾きまくるGソロまで、今聴くと全てが愛しい。


WHIPLASH - Ticket to Mayhem ★★★ (2006-11-20 22:45:00)

ニュージャージー出身の爆走トリオ・スラッシャー、'87年発表の2ndアルバム。
プアーな音質さえもブッちぎるGリフのカッコ良さと、タコメーターが振り切れんばかりの疾走感が際立っていた1st『POWER AND PAIN』に対し、今回はスピード・ナンバーで畳み掛ける基本姿勢はそのままに、重厚感を増したサウンド・プロダクションの下、バラードリーな③や、ドラマティックな曲展開を聴かせる⑧のような楽曲を収録することで本編の流れに緩急を演出。ガムシャラな突撃精神を抑制し、作品全体の完成度を見据えた姿勢にバンドの成長ぶりが見て取れます。(それを喜ぶか、悲しむかは人それぞれ)
前作ではメロディもへったくれもなかったVoが、本作ではヘシャゲ声なりに「歌って」いて、WIPLASH流バラードと呼べそうな③における歌唱は、なかなかどうして聴かせてくれます。また、これまで以上に印象的なメロディで斬り込んで来るGも、非常に良い仕事をしている事を付け加えておきたいところ。
スラッシュ・アルバムとしての魅力は前作に軍配が上がるでしょうが、名手TJ・スカグリオーネ(Ds)をSLAYERに引き抜かれる(しかもデイヴ・ロンバートがすぐに出戻った為、TJはあっという間にお払い箱となった)というトラブルにもめげず、直ちに体勢を立て直して発表されたガッツ溢れる本作だって決して舐めたもんじゃない。
というか「WHIPLASH初めて聴く」という初心者には、まず本作をプッシュしたいところですよ。個人的には。


WHITE HEART - Hotline ★★★ (2023-09-14 00:35:51)

GIANTでの活躍や、プロデューサー業でも知られるダンとデヴィッドのハフ兄弟、数々のグラミー賞に輝くゴードン・ケネディ、トミー・シムズといった腕利きメンバー達が在籍していたことで知られるナッシュビル出身のAORバンド、WHITEHEART。本作はダン・ハフが脱退し、その後任にゴードン・ケネディが加わるという編成替えを経た彼らが'85年に発表した3枚目のフル・アルバムとなります。
ダンの抜けた穴を着実に埋めるゴードンのHR志向と、アメリカにおけるHR/HM人気の爆発的な盛り上がりを推進剤に、本作で披露されるサウンドも過去2作に比べると一気にハードネスが増強。といってもいきなりゴリゴリのメタル・バンドに変貌するはずもなく、AORがハードポップになって程度の差異ではあるものの、躍動感溢れるOPナンバー①、後に続くキャッチーな②という冒頭の畳み掛けが如実に物語る通り、HR/HMリスナーにとっては相当に取っつき易い内容に仕上がっていることは間違いありません。
ハードさを増したからといってメロディのフックが疎かになっていない点も、流石メロディ職人が揃ったバンドだけあって、一般的にはほんわか和み系バラード③が代表曲として人気が高いそうですが、個人的にはシンセを生かしてリズミカルに駆け抜けていく⑤、メンバー全員が歌える強みを生かした⑥、80年代アクション映画の主題歌に起用されていても違和感のない⑩といった、ハードめな楽曲の方に心惹かれましたよ。
本国アメリカのファンの間ではWHITEHEARTの最高傑作と評されるのも納得の1枚。GIANTが気に入った方ならトライする価値は十分にあるのではないでしょうか。


WHITE HEART - Hotline - Keep Fighting the Fight ★★★ (2023-09-15 01:16:20)

アクション映画の主題歌に起用されていても違和感のない
印象的なKeyリフと張りのある歌声が映えるアルバムのラスト・ナンバー。
本編のエンディングをハード・ナンバーで締め括るバンドは信用できますね。


WHITE HEART - White Heart ★★★ (2023-10-11 00:48:16)

近年はプロデューサー業でも腕を振るう、ビリー・スマイリー(G)とマーク・ガースミール(Key)を中心に結成。ダン(G)とデヴィッド(Ds)のハフ兄弟を筆頭に、多彩な音楽ジャンルで活躍するタレントを数多く輩出してきた「ナッシュビルのTOTO」こと名門WHITE HEARTが、’80年に発表した記念すべき1stアルバム。
多作ぶりで知られ、その時々によって音楽性を変化させてきたWHITE HEARTですが、本作で聴けるのは、親しみ易い柔和なメロディ、安定した演奏力を生かしたシャレオツなアレンジ、それに美しいボーカル・ハーモニーに彩られた(良い意味で)典型的なCCM系AORサウンド。ゆえにゴリゴリのメタル者にとっては多少刺激に乏しい内容であることは否定しえないものの、本編開幕を軽やかに飾るキャッチーな①や、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるバラード⑤等、フックの効いた楽曲の素晴らしさは、このデビュー作の時点で既に傑出しています。
随所でコシの効いたGプレイを差し込み、単なるBGMに留まらぬ存在感を発揮するダン・ハフが、後の売れっ子セッションマンとしての片鱗を早くも伺わせてくれれば、これ1枚きりでバンドを去ってしまうスティーヴ・グリーン(Vo)も、張り良し/伸び良し/艶良しの強力ハイトーンVoで、本作の完成度を更に一段階引き上げ。ポップな高揚感に満ちた曲調と絶妙なメロディ展開が劇的に躍動する④なんて、両雄のポテンシャルが十全に発揮された名曲中の名曲。クリスチャン・メタル好きなら聴かずには死ねませんて。
WHITE HEARTの代表作として人気を集めるのも納得の名盤ですね。


WHITE HEART - White Heart - He's Returning ★★★ (2023-10-13 00:47:49)

ポップな高揚感を湛えた曲調に、絶品のグラデーションを描くメロディ、
それにメンバーほぼ全員が歌える強みを生かした華麗なボーカル・ハーモニーに
彩られたドラマティックなアルバムのハイライト・ナンバー。
WHITE HEART屈指の名曲です。


WHITE LION - Big Game ★★★ (2017-01-25 23:18:42)

’89年発表の3rdアルバム。注目を集めた1st『華麗なる反逆』でホップ、全米チャートTOP10圏内を射程に収めた2nd『PRIDE』でステップと来て、いよいよ本作で栄光に向かって大ジャンプを決める…筈が、HR/HMシーンの潮流の変化もあってか思ったほど飛距離(チャート・アクション)が伸びぬまま着地。結果的に上り調子だった前2作の勢いに影を落とす形となったため、漠然と「コケた作品」との印象が付きまとっていたのですが、メタル・バブル爛熟期の当時ならともかく、バブル熱が冷めきった今にして思うと、全米チャート最高第18位という成績は立派に健闘してる方だったよなぁと。
音楽的には、ウェットなヨーロピアンHRと、カラッと明るいアメリカン・ロックの割合が7:3ないし6:4ぐらいだった前2作に比べ、マイケル・ワグナーが手掛けた音作りからしてブライトな今回は、その比率が1:9ぐらいで完全に逆転。中には本編をハード且つドラマティックに締め括る⑪みたいな楽曲もあるにはあるものの、作品全体を支配するのはやっぱり、アメリカ市場での更なる躍進を見据えたポップ・メタル・カラーという。
そんな中で気を吐くのがヴィト・ブラッタの「歌う」リードG。ノリノリの⑦、爽やかなバラード⑧、ドラマティックな⑪といった秀曲において、フラッシーだったりメロディアスだったり情感に溢れてたりと、各曲調にマッチした多彩なGプレイを提供。中でもポップな名曲①における絶品に構築されたGソロは必聴ですよ。(評価が割れがちなマイク・トランプのVoも、こうしたハーモニー重視の作り込まれたサウンドには実によく馴染みます)
なぜ多くのマニアが、このギタリストのミュージシャン稼業からの引退を惜しむのか。その理由を解するのに打ってつけの1枚ではないでしょうか。


WHITE LION - Big Game - Cry for Freedom ★★★ (2017-01-26 23:24:26)

カラッと明るいハードポップ色を強めた3rdアルバム内にあっては
やや異色な、仄かに漂う欧州HR風味が美味な本編ラスト・ナンバー。
ムーディに抑えた前半を経て、中盤で一瞬熱を帯びた演奏を閃かせて
聴き手の胸をハッと突くヴィトのGプレイがここでも光っています。


WHITE LION - Big Game - Goin' Home Tonight ★★★ (2017-01-26 23:18:39)

草原を吹き抜ける一陣のそよ風の如き
爽やかなアルバムOPナンバー。
音楽雑誌にて
「足りない音も、余分な音も、一つとしてない名演」
と評されたヴィト・ブラッタのGソロが
皆さん激賞されている通りの素晴らしさ。


WHITE LION - Fight to Survive ★★★ (2016-02-22 23:27:35)

名盤『PRIDE』('87年)の影に隠れて、イマイチ存在感の薄い'85年発表のデビュー作。
アメリカでは鳴かず飛ばずだったWHITE LION人気に、日本とイギリス先行で火が点く切っ掛けとなった1枚で、それもその筈。本作において志向されているのは『PRIDE』以上に欧州志向が強く滲むHMサウンド。重厚にしてドラマティックな③や、メロウな前半からメタリックな疾走へと転じる曲展開にアドレナリンが放出される⑤、スパニッシュ・タッチのイントロから勇壮な三連リズムへ突き進む⑨といったエッジの効いた楽曲は、“華麗なる反逆”“勇者チェロキー”“バルハラへの道”etc…と、エピック・メタルばりに大仰な邦題に負けない鋼鉄魂を感じさせます。これはバンド随一のメタルヘッドだったというオリジナル・ドラマー(作品発表前に脱退済み)が、本作レコーディング当時は曲作りの主導的立場にあったせいなのかな?と。
甘さより粗さの目立つサウンドは「もしこのままだったら後のサクセスはなかったろう」と思わなくもないですが、でもそこが良いんだろ!と。高いヒット・ポテンシャルを感じさせる②のようなタイプの楽曲や、OPナンバー①のイントロだけで「モノが違うぜ」と思わせてくれる、お城が建ちそうなぐらい構築美に溢れたヴィト・ブラッタのGプレイも既に健在だったりと、よく聴けば、実は次作での大ブレイクに対する布石はバッチリです。
個人的には2ndと同じぐらいお気に入りの力作。


WHITE LION - Fight to Survive - El Salvador ★★★ (2016-02-23 22:42:33)

確かにイングヴェイっぽさを感じます。
(同年に発表されてるので単なる偶然でしょうが)
WHITE LION版“DISCIPLES OF HELL”みたいな。違うか。
ヴァースにうっすらと被さる「アーアーアー🎵」コーラスが
勇壮さを煽る、メタル色の強い1stの中にあって
1、2を争う名曲ではないでしょうか。
“エルサルバドルの悲劇”なる邦題も良い。


WHITE LION - Mane Attraction ★★★ (2021-01-05 23:58:00)

80年代の絶頂期を謳歌していたバンド群が、新たな波の到来で路線変更や解散を余儀なくされていった90年代。WHITE LIONもプロデューサーにリッチー・ズィトーを迎えて制作、'91年に発表した本4thアルバムを以て一旦その歴史に幕を下ろすこととなりました。
プロデューサーの人選からして、前作『BIG GAME』以上にポップ路線を突き詰めた仕上がりになっているかと思いきや、本作ではメロディの魅力は生かしつつ、極力装飾を排した音作りの下、ヘヴィなGが全体を引っ張る90年代仕様のサウンドを提示。マイク・トランプも時に荒れ声を駆使して荒々しい側面を披露しています。ただそうなると、これまでは分厚いハーモニーに覆われることで気にせずに済んでいた、声の表情の乏しさやパワー不足が悪目立ちしている印象が無きにしも非ずという。
反面、それをフォローするように存在感を発揮しているのがヴィト・ブラッタで、ブルージーな⑪を始めバラード系の楽曲における、1つの音で10を語るGプレイには悶絶せずにはいられません。またこうしたメロウな曲においてはマイクの歌唱も存分にポテンシャルを発揮。メロディの抒情性を効果的に増幅してくれていて、やはり得難いシンガーであることを印象付けます。中でもシングル・カットされた哀愁の名曲②、静と動を切り替えながらドラマティックに盛り上がる⑦、日本語の「サヨナラ」まで飛び出す⑫は、バンドの新たな魅力を提示することに成功した逸品ですよ。
WHITE LIONは長いこと80年代の作品しか触れずに来ていたので、後年マイク中心で再編された復活作(5th)を聴いてそのハードな作風に吃驚したのですが、3rdと5thの間に本作があると、その変化も必然であったと遅まきながら理解できた次第で。


WHITE LION - Mane Attraction - Broken Heart ★★★ (2021-01-06 23:37:27)

評価が割れがちなマイク・トランプのVoですが、
こうした哀愁に満ちた楽曲を歌うと、独特の枯れ声が
メロディの抒情性を一層際立たせてくれて実に良い。
1stの頃より確実に表現力も増しています。
ヴィト・ブラッタの泣きのGソロは、どちらもバージョンも
「最高」以外の形容詞が思い浮かびません。


WHITE LION - Mane Attraction - Warsong ★★★ (2021-01-06 23:44:42)

90年代的ヘヴィネスを伴った重厚なミッド・チューン。
鉄と鉛、血も涙もないといった風情の前半から一転、
突如堰を切ったように泣きが溢れ出す、中盤での劇的な転調と、
ヴィトの胸を締め付けるエモーショナルなGソロが
落涙モノの素晴らしさですよ。


WHITE LION - Pride ★★★ (2013-02-26 23:42:56)

“WAIT”(8位)と“WHEN THE CHILDREN CRY”(3位)という2曲のヒット・シングルを生み出し、アメリカだけで200万枚以上を売り上げたWHITE LIONの自他共に認める最高傑作、'87年発表の2ndアルバム。(プロデュースはマイケル・ワグナー)
当初は先入観から「どうせLAメタルだから能天気なんだろ?いいよ、俺は」と及び腰だったのですが、実際に聴いてみれば、本作はそうした思い込みをまるっと覆される見事な出来栄え。(我ながらこのパターンが多い)
ザラついたハスキーな声質のマイク・トランプが歌うメロディや、エディ・ヴァン・ヘイレンばりのフラッシーさ&エモーショナルな表現力を併せ持ったヴィト・ブラッタのGプレイが発散するウェットなヨーロピアン風味と、思わず合唱を誘われるキャッチーなサビメロに、美しいハーモニーといったアメリカンな味わいとがバランス良く配合されたサウンドは、能天気どころか、6対4ぐらいの割合でヨーロピアン風味の方が勝っていますよね、これ。
特に、ヴィトの劇的な構築美を湛えたGプレイが映える冒頭3曲の流れ、そしてハードにして繊細、且つドラマティックな5曲目“LADY OF THE VALLEY”は、イントロからして猛烈な求心力を発揮するWHITE LION屈指の名曲ではないかと。
幅広い層のHR/HMファンにアピールし得る魅力を備えた名盤です。


WHITE LION - Return of the Pride ★★★ (2019-12-06 01:24:24)

「トランプったらドナルドじゃなくてマイクだろ」…というファンの期待に応え(?)、マイクトランプを中心に再編されたWHITE LIONが’08年に発表した復活の5thアルバム。
名手ヴィト・ブラッタ(G)の不参加は残念極まりないですが、そうは言ってもアルバム・タイトルは『RETURN TO THE PRIDE』ですからね。こりゃ彼らの代表作たる2nd『PRIDE』(’87年)に通じるサウンドが託されているに違いない…と胸ワクで聴き始めてみれば、荘厳なイントロに続いて流れ出して来るのは、Gがハードにうなり、ヘヴィ且つドラマティックに押し出して来る大作ナンバー①。思わず同名異バンドのアルバムを買ってしまったかとジャケットを二度見してしまいましたよ。
この曲に限らず、アルバム全体がかつてない程にヘヴィ・メタリックにストレッチ。無論ポップなノリの良さが感じられる楽曲も散見はされるもものの、ソリッド(というか素っ気ないというか)なプロダクションと、マイクの荒れた歌声――加齢による衰えのせいなのか、敢えてそうしているのかは判然としませんが――もそうした印象を後押ししてます。
かようにキャッチーなポップ・メタルを期待していた層にうっちゃりを食らわす内容ではあるのですが、じゃあ本作に失望したかといえば、さにあらず。メロディの憂いといい、曲展開のドラマ性といい、1st『華麗なる反逆』を更にHM寄りにしたようなサウンドは「いやこれ十分にありでしょ!」と思わされるカッコ良さ。特に①⑥のエピック・メタルとすら評したくなる重厚な魅力には痺れまくった次第でして。
本作以降、バンドの動きが全く伝わって来なくなってしまったのが残念で仕方ないったら。


WHITE LION - Return of the Pride - Battle at Little Big Horn ★★★ (2019-12-08 23:21:55)

7分以上の長尺、Bが唸り、Dsが重々しくリズムを刻み、2本のGが勇壮な旋律を高らかに奏で
その上で憂いを帯びたメロディをマイク・トランプが荒れ声で歌い上げるという
何やらエピック・メタルの薫りすら漂ってくる重厚な大作ナンバー


WHITE LION - Return of the Pride - Sangre de Cristo ★★★ (2019-12-08 23:15:28)

荘厳なコーラスに鐘の音が被さる重厚なイントロに
「はて?俺はWHITE LIONのアルバムを聴いている筈なのだが」と
思わずCDジャケットを二度見したくなるハード且つ劇的なOPナンバー。
とはいえ、8分に及ぶ長尺をテンション緩めることなくドラマティックに
語りきる楽曲は、これはこれで非常にカッコイイ。
ヴィト・ブラッタの不在は惜しまれるものの、これ聴くと
新Gの仕事ぶりにケチをつける気には毛頭なりませんよ


WHITE SISTER - White Sister ★★★ (2021-01-13 23:42:11)

クリスチャン・メタルっぽいバンド名ですが別にそんなことはないらしいバーバンク出身の4人組。多くのLAメタル勢が、まずクラブ・シーンで鎬を削った後、自主制作音源を作成してレコード会社の反応を伺う…ってなルートを辿ったのに対し、彼らはいきなりメジャーのEMIから'84年に本1stアルバムを発表して華々しいデビューを飾っています。
抒情的なメロディを配し、適度な緊迫感を湛えたサウンドは「明るく楽しいLAメタル」のイメージとは趣きを異するものの、さりとてNWOBHMからの影響を感じさせる地下室臭の類も皆無。キレのあるハイトーンVo、歯切れ良くリフを刻むG、早過ぎず遅過ぎず自然と聴き手をノらせるリズム、そして美麗なボーカル・ハーモニーとを伴う楽曲からは、既に堂々たるメジャー感が漂ってきます。取り分け、時にポップに/時にドラマティックにサウンドを彩り、リードVoまで取ってしまうKey奏者の活躍は本作の肝。これにはプロデューサーがGIUFFRIAのグレッグ・ジェフリアってことも関係しているんでしょうかね?
大きなヒットには恵まれず、これ1枚きりでメジャーからドロップしてしまったバンドゆえ「これぞ!」という強力なキメ曲は見当たりませんが、華麗なシンセサイザーを前面に押し出し、例えるなら初期BON JOVIが気持ち正統派HMに寄ったような収録曲の数々はいずれも粒揃い(⑤のみ毛色が異なりますがこれは外部ライター提供曲)ゆえ、大した瑕ではありません。特に冒頭4曲のカッコ良さは最高ですよ。
一度CD化されたきりで既に廃盤の国内盤には5,000円オーバーのプレミアが付いてしまっているので、1日も早いリイシューが望まれる、LAメタルの隠れた名盤。


WHITE SISTER - White Sister - Don't Say You're Mine ★★★ (2021-01-14 23:44:54)

心地よい疾走感を伴うリズムに乗って、
ウェットなメロディを歌うハイトーンVo、
分厚いコーラスで包まれたキャッチーなサビメロ、
それに80年代感バリバリな音色のシンセが、
スペーシー且つドラマティックに曲展開を盛り上げる
アルバムの掴みに相応しい名曲。


WHITE SISTER - White Sister - Straight From the Heart ★★★ (2021-01-14 23:53:48)

LAメタルらしいエッジの効いたGリフに、ハイトーンVoの
歌う哀愁のメロディが絡む。泣きを湛えたGソロといい、
印象的なオブリを入れて来るシンセに、美麗なハーモニーといい
開幕早々にアルバムの完成度を確信するに十分な名曲です。


WHITE SPIRIT - Right or Wrong ★★★ (2022-11-08 01:10:51)

ヤニック・ガーズ(IRON MAIDEN)や、後にBAD COMPANYに加入する故ブライアン・ハウ(Vo)、現TANKのミック・タッカー(G)も在籍していたWHITE SPIRITが残した幻の2ndアルバムを、ジェフ・スコット・ソート、スティーヴ・オーヴァーランド、リー・スモールといった仕事人シンガー達のサポートを得てリ・レコーディングした作品。ブライアンとミック在籍時期の楽曲はコンピ盤『60 MINUTES PLUS』で1曲だけ聴いたことがありましたけど、まさかアルバム丸ごと聴ける日が来ようとは…。音源発掘に尽力してくれたメル・ピアソン(Key)とミックには足を向けて寝られませんね。
当時メジャー・レーベルとの契約を企図して制作されているだけあって、ここには例えば“CEETAH”みたいなNWOBHM然とした疾走ナンバーは見当たりませんが、元々ゴリゴリにメタリックな音楽性のバンドではなかったので落胆には当たらず。むしろプログレ・ハード的感触も漂わすKeyを活かしつつ、現代テクノロジーを駆使して可能な限り修復されたブライアン在りし日の熱唱が映える収録楽曲の数々は、ブリティッシュHMらしい重厚感を宿した①(Voを取っているのはジェフ)、ブライアンのエモーショナルな歌唱が哀メロの魅力を引き立てる⑤、リーのパワフルなVo、メル・ピアソンのKeyとミック・タッカーのGの掛け合いが劇的な盛り上がりを演出する本編のハイライト⑦、スティーヴのVoが流石のハマりっぷりを呈するブライアン在籍時代のBAD COMPANYのカヴァー⑨…と、時の試練に余裕で打ち勝つだけのクオリティを誇る逸品が並んでいます。
本作を聴くと、現在制作中だという完全新作への期待も俄然高まるというものですよ。


WHITE SPIRIT - Right or Wrong - Don't Say No ★★★ (2022-11-09 00:20:59)

Voはリー・スモールが担当。雄々しくドライブする曲調に憂いを帯びた
メロディが乗っかったブリティッシュHMの旨みに満ちた名曲です。
曲展開をドラマティックに盛り上げるメル・ピアソンのKeyが良い仕事してます。


WHITE SPIRIT - White Spirit ★★★ (2011-08-27 22:25:10)

ヤニック・ガーズ(G)のキャリアの原点、英国はニューカッスル出身の5人組HMバンドが唯一残したフル・アルバム。
この頃のヤニックは、ルックスのみならずギタリストとしてもコンポーザーとしても「リッチー・ブラックモアのそっくりさん」として知られ、実際、本作に収録されている楽曲もDEEP PURPLE/RAINBOWからの絶大なる影響をベースに組み立てられているのだが、そこにスピーディなGプレイや、垢抜けないメロディを熱唱するヘタウマVoといった「いかにもNWOBHM」な要素、そしてWHITE SPIRITのもう1人の主役と言うべき、変幻自在の演奏で多彩に楽曲を色付けるメル・ピアソンのKeyサウンドが絡み、せめぎ合う事で、80年代HMと70年代HRの落とし子的味わいを漂わす、このバンド独特の音楽性が形成されている。
ハードなGとスリリングなKeyが火花を散らす①⑤⑥、URAIAH HEEP辺りを引き合いに出して語りたくなるスペーシーで劇的な②④、心地良くポップな③、そしてプログレッシブ・ロックばりの構築美を備えた10分以上に及ぶ大作ナンバー⑦・・・と、高品質且つ多彩な楽曲がズラリ揃ったNWOBHM史に残る名盤たる本作を聴けば、「ヤニック・ガーズ?ああ、IRON MAIDENで一番影が薄いギタリストね」という認識の人(今時いねぇか)も平伏せざるを得ない筈。
あと、ボーナストラックとしてデビュー・シングル収録の名曲“CEETAH”が収められているのも嬉しいところです。


WHITE SPIRIT - White Spirit - Fool for Gods ★★★ (2011-08-27 22:32:07)

スペーシーでドラマティック。
プログレッシブ・ロックや70年代HRからの影響が
最も色濃く反映された大作ラスト・ナンバー。
作曲センス、劇的極まりないGプレイ等、
ヤニックの才能が如何なく発揮された名曲かと。


WHITE SPIRIT - White Spirit - Midnight Chaser ★★★ (2011-08-27 22:27:51)

アルバム収録曲の中では最もNWOBHMらしい
ハードなGリフをフィーチュアした疾走ナンバー。
中間部のスリリングなKeyソロはDEEP PURPLEの
“HIGHWAY STAR”を思わせますね。


WHITE WOLF - Endangered Species ★★ (2009-05-19 22:10:00)

B級チックな鼠(狼か)のイラストから一転、巨匠ヒュー・サイムが手掛けた美麗なジャケット・アートワークへの
グレードアップが端的に物語る通り、30万枚を売り上げた前作『STANDING ALONE』の成功を受け、潤沢なレコーディング資金を
得て海外レコーディングを行う等、『STANDING~』に比べ格段に洗練の度合いを高めた、'86年発表の2ndアルバム。
お洒落(当時)なアレンジが取り入れられ、ポップ化が押し進められた代わりに、泣きのメロディやドラマ性、
ハードロック的なエッジが失われてしまった作風には若干の不満を覚えなくもないが、ドン・ウィルクの伸びやかで
パワフルなVo、カム・マクレオドの良く歌うG、攻めの姿勢は失われたが相変わらずアレンジの重要な鍵を握るKey、
そして分厚いボーカル・ハーモニー等、1stアルバムで披露したWHITE WOLFならではのメロディアスな
HRサウンドの美点は不変。取り分け、切ないフィールを醸し出すVoに、GとKeyがブルージーに泣きまくる
劇的なバラード⑤は、前作に収録されていてもおかしくない名曲だ。
序盤に地味めな楽曲が並び「掴み」には失敗しているものの、絵に描いたようにポップでキャッチーな⑥⑧、
メロディ作りとVoの上手さが光る⑦、キビキビと展開する末期RAINBOWか、はたまた再結成DEEP PURPLEかといった趣きの⑩等、
後半はクオリティが尻上がりに上昇。MAGNUMの名曲“JUST LIKE AN ARROW"のカヴァー④が、違和感なく本編の流れに
馴染んでいるように、中期MAGNUMとの共通点も感じられるメロディアスHRの好盤に仕上がっている。
所属レコード会社のゴタゴタに巻き込まれ、本作を最後に解散してしまった事が惜しまれる1枚。(後に復活したわけですが)


WHITE WOLF - Endangered Species - She ★★★ (2009-05-19 22:20:09)

全体的に洗練され、ポップ化が進んだ2ndアルバムの中にあって
この曲の濃厚な泣きっぷりは一際インパクトを放つ。
切々と叙情メロディを歌い上げるドン・ウィルクのVo、
エモーショナルな泣きメロを豊かに紡ぎ出すカム・マクレオドのG、
どちらも感動的なまでの素晴しさ。


WHITE WOLF - Standing Alone ★★ (2009-05-18 22:48:00)

カナダはヴァンクーバー出身の5人組HRバンドが、'84年にRCA RECORDSより発表した1stアルバムにして彼らの最高傑作。
リリース当時こそ日本盤が発売されたものの、その後サックリ廃盤となり、入手困難な「幻の名盤」として長らく
HR/HMファンの間で語り継がれ、'96年にBMG JAPANが世界初CD化に成功した際には、世のメロディ愛好派が狂喜の涙に
咽んだ事で良く知られる(?)本作だが、実際、欧州風味の叙情性と大陸的なポップ・センスを併せ持った
(如何にもカナダのバンドらしい)ドラマティックなHRサウンドは、マニア諸氏の高評価に違わぬ素晴しさ。
憂いに満ちたメロディを熱唱するドン・ウィルクの説得力溢れるVo、味わい深い泣きメロを紡ぎ出す
カム・マクレオドのG、単なるバックグラウンドの埋め草に留まらず、時にリード楽器の役割も果たし
楽曲を劇的に盛り上げるKey、全メンバーがコーラスを取れる強みが活かされた、美しく分厚いボーカル・ハーモニー・・・と、
各メンバーの良い仕事っぷりがキラリと光りを放つ楽曲の数々は、当然のように捨て曲の類は一切なし。
特に、重厚なアルバム表題曲①、哀メロを纏って心地良く疾走する②、ミュージック・クリップも作られた
バンドの代表曲③、そして、GとKeyが美しく絡み合い、7分以上に及ぶ壮絶な泣きのドラマが繰り広げられる
大作④という名曲が次々に繰り出される、本編前半の隙のない構成はお見事。勿論、ソロにリフにとKey大活躍の⑤、
ドンの伸びやかでパワフルなVoが映える⑦、ラストをメタリックに締め括る疾走チューン⑧といった、
比較的ハードなナンバーが並ぶ本編後半の聴き応えも十分。
「狼っつーより鼠?」といった感じのジャケット・アートワークこそB級チックなれど、中身は超A級な1枚かと。


WHITE WOLF - Standing Alone - Headlines ★★ (2009-05-18 23:00:08)

ハードロッキンなGリフ、軽快な疾走感にキャッチーなサビ・・・
良い曲だな~。
適度な哀愁を帯びたメロディを、伸びやかに歌いこなすVoも素晴しい。


WHITE WOLF - Standing Alone - Night Rider ★★★ (2009-05-18 23:13:26)

ハードな疾走ナンバーなれど、楽曲の中心を支えるのはKey。
この攻めの姿勢を持ったKeyが演出するクライマックスの
盛り上がりっぷりはガッツポーズ物のカッコ良さ。
ツボを押さえたメロディアスなG、憂いに満ちたメロディを
パワフルに歌い上げるVoの良い仕事も見逃せない。


WHITE WOLF - Standing Alone - Shadows in the Night ★★ (2009-05-18 23:07:59)

キビキビとした曲調の上に、欧州風味の湿り気を帯びた
メロディが乗るミドル・チューン。
全編を華麗に彩る、美しく分厚いボーカル・ハーモニーが印象的。
PVが作られたのも納得の名曲。