タイトルからして最高だが、それだけでなく、 メロディをなぞって歌うVo、沁みるフレーズを積み重ねるG、 メロウなラインを奏でるB、緩急を巧みに使い分けるDsと、 このバンドの叙情サイドの魅力が強く打ち出された名曲。 ポップな疾走感が心地良く、ANNIHILATORの“SOUND GOOD TO ME"に通じる魅力あり。 勿論、こっちの方が先なわけだが。
ブライアン・ロス(Vo)率いるBLITZKRIEGが'85年に発表した1stアルバム。どうでもいいことですが、ジャケットに描かれた巨大羽虫(?)を見るたびにファミコン版『ギャラクシアン』のパケ絵を思い出してしまうのは私だけでしょうか。(本当どうでもいい) 元々はブライアンのソロ作として制作された筈が、蓋を開けてみればBLITZKRIEG名義で発表になったとか、バンドとしての実体の不明瞭さがネックになって聴くのを躊躇っていた作品だったのですが、後でMETALLICAが彼らをリスペクトしていると知り、慌てて当時テイチクから再発されていた国内盤CDを購入。で、その内容の素晴らしさにいたく感激した次第。 THE VOICE OF NWOBHMことブライアンの湿気った英国声による熱唱、タイト&パワフルなショーン・テイラーのドラミング(Bも結構派手に暴れてる)、そしてスリリングに駆け巡るツインGにより構築されたHMサウンドは、さながら陽の当らぬ地下室でチロチロと燃え盛る青い炎が如し。特に大仰なインスト序曲①からスピーディな②へと繋げていく、メタルの様式美に則った劇的な展開は何度聴いても「最高!」としか。 後に続くのは、METALLICAがカヴァーしたBLITZKREIGのテーマ曲③、それにSATAN時代に作曲されたという重厚な④(だからかSATANのラス・ティッピンズがゲスト参戦)…と、この序盤の無類のカッコ良さだけで、「後期NWOBHMを代表する名盤」と謳われる本作のクオリティの高さが推し量れるというものですよ。 ちなみに国内盤は’81年発表のデビュー・シングルも同時収録。こっちの“BLITZKREIG”はより荒々しい仕上がりで、実はアルバムVerよりもカッコイイんだな、これが。
アルバムを重ねる毎にマイナー臭を薄れさせ、洗練の度合いを高めていったBLIZARDゆえ、このWARNER MUSIC在籍時代最後の作品となった'86年発表の4thアルバムに至っては、思わず一緒に歌いたくなる明朗なコーラスと、アリーナ・ロック調のスケール感を有するOPナンバー“HARD TIMES”を皮切りに、全編が最初から最後まで、メジャー感溢れる溌剌として爽快なポップ・メタル路線で統一されている。 “SHADE OF BLUE”みたいな、歌謡ロック調の情念揺らめく楽曲が姿を消してしまった点は残念だが、表現力を増し、もはや余裕と貫禄すら感じさせる下山成二郎のVoに、「和製ランディ・ローズ」との評価に相応しい鮮烈な輝きを放つ松川敏也のGプレイ(リズムGの村上孝之も良い仕事してます)、そしてメタリックな重量感とノリ良さを併せ持つリズム隊によって作り出される垢抜けた収録楽曲の質の高さは、完璧に初期作を凌駕。 本作に捨て曲は一つもないが、中でも哀愁のHRナンバー“LOOKIN' FOR YOU,LOOKIN' FOR ME”、爽やかに掻き鳴らされるアコギが心地良い“TOO LATE TO LOVE YOU”、同じくアコギを用いながら“TOO~”とは逆を行く物悲しさ漂う“CRYIN' FOR YOUR HEART”、そしてまさしく「RUNNING WILD」を地で行くエネルギッシュな疾走ナンバー“BOY”といった名曲が連続する本編後半は出色の出来栄え。 前作『HOT SHOT!』と共にBLIZARDの最高傑作の一つに推したい力作です。
名作『IMAGINOS』収録の名曲 “THE SIEGE AND INVESTITURE OF BARON VON FRANKENSTEIN'S CASTLE AT WEISSERIA” を彷彿とさせる、重厚にしてドラマティックなアルバムのハイライト。 Gにリードされて曲調が疾走へと転じる場面のカッコ良さ、 そして凛としたピアノの旋律も印象に残ります
大映ドラマにドはまりしていた中学生の時分、 部活の先輩が「これが『乳姉妹』の主題歌の原曲だぞ」と カセットに録ってくれたのがこの名曲との出会い。 (一緒にボニー・タイラーの“HOLDING OUT FOR A HERO”も録ってくれたっけな) その時初めて「洋楽」というジャンルを意識したので ある意味、HR/HMというジャンルに足を踏み入れるきっかけともなった 恩人とも言える名曲ではないかと。
新世代スラッシャーの有望株として高い評価を受け、音楽雑誌にレビューやインタビューまで載ったのに、直前になって1st『FEED THE BEAST』の国内盤リリースがお流れとなってしまったBONDED BY BLOODが、2ndアルバムにて遅まきながら日本デビューを飾った。 EXODUSを筆頭に、DEATH ANGEL、VIOLENCEといった80年代のベイエリア・スラッシュ、並びに一頃のSLAYER、OVERKILL辺りに通じるオールドスクールなスラッシュ・メタルを、切れ味と柔軟性を併せ持った、達者な演奏に乗せて聴かせてくれる作風に大きな変化はないが、今回はコンセプト・アルバムということもありシリアス度が上昇。(尤も「エイリアンに侵略された600年後の地球を描く」という漫画チックなコンセプトがシリアスかどうかは意見が分かれるところかもしれないが/笑) デビュー作に顕著だった、EXODUSばりのファニーなロケンロール感覚は薄れてしまったものの、その分、テクニカルなツインGの存在が益々クローズアップ。リフ/リード・プレイは元より、前作では派手に弾きまくってた割に引っ掛かりの少なかったソロ・パートにおいても、本作ではかなり練り込みの跡の伺える劇的なメロディを随所で炸裂させてくれており、日本盤ボーナス・トラックの⑪なんて、SHRAPNEL系ギタリストのソロ作に収録されてそうなテクニカルでファストなインスト・ナンバーだし、何より、押さえ気味に始まり、SLAYER風の禍々しい爆走パートを経て、ドラマティックなGソロ・パートへと雪崩れ込む名曲⑨は、現時点でこのバンドに望み得る最高峰の楽曲と言って良いような?(フェードアウトで終わっちゃう詰めの甘さが惜しまれます) 強靭さとドラマ性の底上げが図られた、デビュー作に勝るとも劣らぬ1枚。力作ですよ。