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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 901-1000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 901-1000
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BONRUD - BONRUD ★★★ (2019-01-17 00:39:30)

ミネソタ州セント・ポールに生まれ、音楽浸けの青春時代を送ったというポール・ボンラッド。GのみならずBとKeyもこなすマルチ・ミュージシャンたる彼氏が自らの名を冠して立ち上げたプロジェクトが、FRONTIER RECORDSを通じて'04年に発表したデビュー作。
80年代メロディック・ロックを愛し、かのキース・オルセンをミキシング・エンジニアとして招聘しているだけあって、本作に託されているのは(当然の如く)90年代的ヘヴィネス&ダークネスとは一切無縁、まるで炭酸飲料の如くシュワッとハジける喉越し爽やかなメロハー・サウンド。
若干ショボめのプロダクションをものともせず、溌剌と躍動するOPナンバー①、軽快に弾むポップ・チューン④、キャッチーなロックンロール⑩等に代表される、明るく健康的な雰囲気を振りまく楽曲群と、重厚なミッド・チューン②、物悲しい哀愁を醸し出すバラード③、シャープな切れ味を有する⑦、憂いを帯びて駆け抜ける⑧といった、欧州風味の翳りを湛えた楽曲の数々を交互に配置することで、鮮やかなグラデーションを獲得した本編は聴き手を一時たりとも飽きさせません。また後者のような哀愁系の楽曲においてもジメジメ感が後を引かず、爽快な後味を残す歯切れの良さも本作の大きな魅力。ハスキー・ボイスで熱唱する優れたシンガーの存在と、曲作りの腕前のみならず、ソロ・パートにおいてはメロディックにギターを歌わせるポールのギタリストとしての熟達ぶりも、アルバムのそうした個性を強力に推進させています。
こんな力作を3桁の値段で買えてしまう現状が、ありがたいような申し訳ないような…。


BONRUD - Save Tomorrow ★★★ (2019-02-04 01:19:59)

マサチューセッツ州セント・ポール出身のマルチ・アーティスト、ポール・ボンルード率いるバンドが、ほぼ10年ぶりに発表した2ndアルバム(’12年)。前作がマーキー/アヴァロンから発売された時は「ボンラッド」名義で、レーベルをRUBICON MUSICに替えた今回は「ボンルード」名義でのリリース。アメコミ風のジャケットも前作とはだいぶテイストが異なっていたこともあり、最初目にした時はてっきり別バンドかと思ってしまいました。調べてみるとアーティスト側の意向に沿って正しい発音表記に変更したのだとか?
バンド名とシンガーは変われど基本的音楽性に変更はなし。1stでミキシングを担当して貰っていた大御所キース・オルセンを正式にプロデューサーに迎えレコーディングされているせいか、プロダクションの質は格段の向上を果たしてます。ただその一方、楽曲はヘヴィ・メタリックな重厚感マシマシな仕上がりで、シリアスさと引き換えにメロディから爽快感が薄れてしまった頭3曲を聴いた際には「そっち進んじゃったか…」とやや残念に思ったりも。
尤も、ハスキーなシンガーの熱唱が映えるスカッと爽やかな④は前作に収録されていてもおかしくないノリのハードポップ・チューンですし、その後も清涼感を湛えた⑥や、ポールの良く歌うGワークをフィーチュアした⑧、分厚いコーラス・ワークも印象的な⑩といった、明るくキャッチーなメロディを纏って走り抜けていく80年代風味全開の楽曲が要所を締めていて、聴き終えての満足感は決して前作に引けを取るものではないという。
自分なりの曲順を考えて楽しむようにすると更に評価が上がる1枚かもしれません。才能のある人なので、そろそろ新作を発表して欲しいですね。


BOSTON - Boston ★★★ (2010-11-20 21:45:59)

JOURNEY、STYX、KANSASらと共に、一時は「アメリカン・プログレ・ハード四天王」とも並び称された、マサチューセッツ工科大学卒という異色の経歴を誇る才人トム・ショルツ(Key)率いる理系ロック・バンドBOSTONが、'76年に発表した1stアルバム。(邦題は『幻想飛行』)
70年代初期から活動を開始し、音楽的試行錯誤を重ねて来た他の3バンドに比べ、後発のBOSTONはデビュー当初より一貫してポップなアメリカン・ロック・サウンドを志向しており、壮麗なギター・オーケストレーション、良く歌い良くハモるツインG、クセなくクリアに伸びていく故ブラッド・デルプ(合掌)の歌声と、ファルセットを効果的に用いた美しいボーカル・ハーモニー、それに軽やかなハンドクラップ(手拍子)等、そういった要素一つ一つを丁寧に組み上げ構築された、メロディアスで透明感を湛えた「BOSTONサウンド」は、既に立派にその個性を確立済み。
と同時に、彼らのカタログ中最も強くプログレ色が滲み出ているのも本作の特徴の一つで、特にそれを強く感じさせるのがトム・ショルツの操るハモンド・オルガンの活躍っぷり。取り分け、2部構成からなる7分以上に及ぶ大作③や、ブギーの軽快な曲調から一転、インスト・パートではハモンドがドラマティックに唸りを上げる⑤は、このアルバムでしか聴く事の出来ないタイプの名曲かと。
我が最愛のバラード“A MAN I'LL NEVER BE”が収録されているのは2nd『DON'T LOOK BACK』なれど、「BOSTONの魅力全部入り」といった趣きの名曲①②を筆頭に、最初から最後まで一切の捨て曲/埋め曲の類の見当たらぬ本作こそが、このバンドの最高傑作ではないかと思うのだが、如何でしょうか?


BOSTON - Boston - Smokin' ★★★ (2017-02-27 23:06:00)

“A Man I'll Never Be”がBOSTON屈指の名バラードなら
こちらはBOSTON屈指のロック・チューン。
ゴキゲンに弾む曲調と、一緒に叫びたくなるシンプルなコーラスに
体が勝手にタテノリを始めます。
そして本曲の肝たるハモンド・オルガン!
プログレ風味のドラマ性と緊迫感を煽る
縦横無尽の仕事っぷりに拍手喝采ですよ。


BOSTON - Don't Look Back ★★★ (2010-11-21 20:42:10)

個人的に、BOSTONの全楽曲の中で最も愛して止まない名バラード“A MAN I'LL NEVER BE”を収録している、'78年発表の2ndアルバム。(邦題は『新惑星着陸』)
乾いた哀愁に軽快なノリの良さ、スペーシーな透明感と雄大なスケール感を兼ね備えたメロディアス・ロック・サウンドはそのままに、前作において要所で見せ場をさらっていたハモンド・オルガンの存在(=プログレ・ハード色)が後方へと下がり、よりノーマルなアメリカンHR路線へと歩みを進めているが、質の高さは相変わらず。
「ノー・シンセサイザー」「ノー・コンピューター」と誇らしげにクレジットされている通り、トム・ショルツ拘りのサウンド・メイキングが全編に渡って炸裂しまくった本作は、Gの歪ませ方から重ね方、ボーカル・ハーモニーの配置、アコギやKeyの使用タイミング等、細部の細部に至るまで徹底的な作り込みがなされており、これ聴いてると「メンバーは曲作る時に設計図を用意してたんじゃね?」と思わされるほど。流石、HR/HMシーンきっての理系ロック・バンド。
ロックならではの熱量の迸りが殆ど感じられない作風は評価が分かれるところかもしれないが、さりとて本作に機械的な冷たさや無機質さは皆無。心打つエモーションと人肌の暖かみを備えたメロディの素晴しさは唯一無二であり、特にその代表格と言えるのが前述の名バラード④。この曲のクライマックスにおいて「ここぞ!」というタイミングでハモンド・オルガンが切り込んでくる場面は、何度聴いても胸を締め付けられる程の感動を味わえます。その④をハイライトに、優れた楽曲が敷き詰められたアルバム前半の構成は完璧と評しても過言ではないような?
デビュー作と共に、これまた必聴のBOSTONの名盤。


BOSTON - Don't Look Back - A Man I'll Never Be ★★★ (2017-02-26 21:59:24)

イントロはVoとピアノだけ。歌うGのメロディアスな切り込みと、
ブラッド・デルプの伸びやかな熱唱、ハモンド・オルガンの絶妙な
援護射撃による涙ちょちょ切れる終盤の劇的な盛り上げを経て、
再びVoとピアノによるエピローグで静かに締め括られる曲展開は
まるで名作映画の脚本を読むかの如き、起承転結の決まりっぷり。
猛烈にノスタルジーを喚起する、感傷的な哀メロ大盤振る舞いの
名バラードです。卒業式シーズンにはピッタリか?


BOSTON - Third Stage ★★ (2010-11-22 23:13:37)

トム・シュルツの妥協を許さぬサウンド・クラフトマンシップが災いしてアルバムのレコーディング作業が遅々として進まず、結果、所属レーベルのCBSと訴訟騒ぎに発展。それでも'86年に発表されるや、8年間の長きに渡るブランクを物ともせずにアメリカだけで600万枚以上、全世界で1000万枚以上のセールスを記録したというBOSTONの3rdアルバム。
プログレやHRテイストは更なる薄まりをみせ、ゆったりとしたテンポの楽曲が大半を占める、もはや完全にAOR世界の住人的サウンドが展開されている1枚ながら、だからと言ってそれを理由に非難するには、本作に収められた、メロウで、スペーシーで、壮大で、そして隅々まで洗練された楽曲の数々は余りにも素晴し過ぎる。特にアルバムのOPナンバーにして、いきなり本編のハイライトを飾る全米№1ヒット・ソング①、その①のバリエーション・ソングでもあるバラード⑤、「男」について含蓄あるお言葉が頂ける⑥、そしてラストを感動的に締め括る⑪辺りは出色の出来栄え。この4曲のためだけに本作を購入しても後悔はないですよ、いやホントに。
1stや2ndに比べると、個々の楽曲から受けるインパクトこそやや低下気味ながらも、行き届いた木目細かいアレンジ、それに要所にインスト曲やリプライズ的な展開を備えた楽曲を配置する等、凝った構成も健在。
前2作が気に入った人なら安心して本作も「買い」だ。


BOULDER (2019-06-16 00:51:13)

後にソロ・アーティストとして一旗揚げるスタン・ブッシュ。フランク・ザッパやスティーヴ・ヴァイとの活動で名を上げたボブ・ハリスらが在籍。その割に結成に至る経緯等に謎が多いバンドで、ELEKTRA RECORDSから唯一の作品となるセルフ・タイトルのデビュー作を発表するも、HMブームの到来前だったこともあってから本国では話題になることなく撃沈、バンドは消滅してしまったという。


BOULDER - Boulder ★★ (2019-06-16 00:52:20)

数々の名作・名曲を世に送り出してきたシンガー/ソングライターのスタン・ブッシュと、AXE、GUILD OF AGES、EDGE OF FOREVER等の活動で知られるボブ・ハリス。このメロハー・マニアからの信頼篤い職人2人のキャリアの出発点となったアメリカのバンド、BOULDERが米メジャーのELEKTRA RECORDSに'79年に残した唯一のフル・アルバム。先日中古盤屋を回遊していたら本作の帯付CDを発見して「こんなん発売されてたのか、知らんかった!」と思わず衝動買いしてしまいましたよ。まぁ実際は輸入盤に帯と解説が付属しているだけだったのですが、それでも謎多きバンドの一端を知ることが出来たので、ありがてぇありがてぇ。
ちなみにスタン・ブッシュは、本作にはフロンロマンではなくギタリストとして参加しており、曲作りにはほぼノータッチ。そのせいか、BOSTON辺りを天日干しして湿り気をさっぱり蒸発させてしまったような、少々時代を感じさせるハードポップ・サウンドに抒情性やドラマ性の類は希薄です。スタンのソロ作や、ボブ・ハリスが関与してきたバンドに通じるような「哀愁のメロハー」路線を期待すると肩透かしを食らうので注意が必要なものの、神秘的なイントロに期待で鼻の孔が広がる、本作収録曲の中では例外的にプログレ・ハードっぽい雰囲気漂わす①(ウォーレン・ジヴォンのカヴァー)や、ハーモニーが美しいオシャレな②、ピアノが楽し気に踊る④とかは、これはこれで良い曲。ノリ良く軽快な楽曲と、タイトな収録時間の合わせ技で気楽に聴き返せる、肩の凝らない構成も美点ではないかと。
資料的価値も見いだせるマニア向けの1枚ですが、質は十分高いと思いますよ。


BOULDER - Boulder - Join Me in L.A. ★★★ (2019-06-17 00:48:05)

哀愁を帯びた曲調はアルバムの他の収録曲とは若干気色が異なり、
それもその筈で原曲はウォーレン・ジヴォンの『さすらい』('76年)に収録。
ただ良い曲には違いありませんし、シンセによるミステリアスなイントロをプラスし、
よりHR色を増強する等、魅力的なカヴァーに仕上がっています。


BOW WOW - Asian Volcano ★★★ (2012-07-13 20:14:07)

メンバー自ら「BOW WOWの代表作の1つ」「後期『SIGNAL FIRE』的作品」と完成度に太鼓判を押し、その自信の程はイカしたアルバム・タイトルにも良く表れている'82年発表の8thアルバム。
原点回帰の試みが若干中途半端に終わっていた感が無きにしも非ずだった前作『HARD DOG』に比べ、ブリティッシュ・テイストをV字回復させた今回は、徹頭徹尾「これぞBOW WOW!」たる緊迫感を湛えた骨太且つソリッドなHRサウンドを貫徹。ここ数作のリラックスぶりから一転、山本恭司&斉藤光浩のVo&ツインGにしろ、佐野賢二&新見俊宏のリズム・ワークにしろ、そのパフォーマンスからは汗が飛び散るような力強いエモーションとエネルギーの迸りが感じられ、とにかく熱い熱い。
取り分け、回転の速いGリフをフィーチュアしたアグレッシブな疾走ナンバー②でスリリングなソロを閃かせたかと思えば、⑤ではスパニッシュ・タッチの指捌きを披露し、更にアコギによるインスト序曲⑦を経て始まる劇的なバラード⑧においては、VoとGパートにおいて感度全開の泣きを叩き込む等、抜き身の刃の如き切れ味と美しさを兼ね備えた山本恭司のパフォーマンスは、まさしく本編の白眉。
BOW WOW入門篇としてもお薦めな力作ですよ。


BOW WOW - Glorious Road ★★★ (2012-03-01 23:04:22)

一度聴いてみたかったSMSレコード時代(所謂「封印時代」)の作品群が遂にCD化。所属事務所主導でポップ路線に舵を切ったとは耳にしていましたが、実際に本作(5th,'80年)を購入してみて、その大胆な変貌ぶりには驚かされましたね。
外部ライターの手による赤面モノの歌詞と爽やかなファルセット・コーラスに彩られた、懐かしいノリに思わず身悶える――それこそ「ザ・ベストテン」辺りで聴いても違和感のなさそうな――歌謡ロック調の収録楽曲の数々が従来のBOW WOWのイメージを大きく覆す本作ですが、とりわけ冒頭3曲においてはそれが顕著に表れており、最初聴いた時はちょっと笑ってしまいましたね(申し訳ない)。これにリアルタイムで接した際のファンの驚愕は想像に難くなく、そりゃメンバーも「あまり振り返りたくない時期」と語るわなー、と。
尤も、最初の衝撃から立ち直って本編を聴き進めると、4曲目“夜になっても遊び続けろ”以降は心を捉える哀愁のメロディや曲展開が続出。隙あらば熱い泣きメロを叩き込む山本恭司のG、タイト且つ骨太に躍動するリズム隊、日本語詞をメロディアスに歌う事で「歌の上手さ」を再認識させられた斉藤光浩のVo等、随所にBOW WOWらしさは息衝いている事にも気付かされます。特に、憂いと泣きが充満したHRナンバー“SEARCH LIGHT”は名曲。
BOW WOWらしい作品か?と問われれば答えはノーですが、優れた作品か?と問われれば躊躇なくイエス!と応える1枚ですよ!


BOW WOW - Glorious Road - Search Light ★★★ (2012-03-02 23:39:05)

歌謡ロック風味の曲調は今聴くと少々古臭くも感じられるのですが、
イントロからエンディングまで、とにかく全編に亘って泣きまくる
山本恭司のGプレイが心行くまで堪能できる名曲なので、
その辺の多少の粗には目を瞑ろうって気になるもんです。


BOW WOW - Glorious Road - 忘れかけてたラブソング ★★ (2012-03-02 23:42:37)

浜田省吾とか尾崎豊が演りそうな歌物ロック・ソング。
ここでも印象的且つ哀愁を孕んだフレーズを次々に紡ぎ出す
山本恭司のGプレイが光っています。


BOW WOW - Glorious Road - 夜になっても遊び続けろ ★★ (2012-03-02 23:31:27)

外部ライターのペンによる時代を感じさせる歌詞や、
力まずスムーズに歌う斉藤光浩のVoからは
シブガキ隊や近藤真彦的な(?)歌謡ロックテイストが
漂いますが、とは言え山本恭司のGは良く歌っていますし、
小気味良くタイトなリズムの気持ち良さも相当なものです。


BOW WOW - Glorious Road - 欲しいのはおまえだけ ★★★ (2012-03-02 23:35:42)

ポップな歌メロにキャッチーなファルセット・コーラス、
BOSTONばりのハンドクラップまで取り入れられちゃって、
予備知識なしに聴いたら先ずBOW WOWの楽曲だとは
思いませんよね、これ。
しかもこれが名曲なんだから凄い。
アメリカのTOUCH辺りを彷彿とさせる
メロディアスHRナンバー。


BOW WOW - Hard Dog ★★ (2012-07-12 22:14:49)

レコード会社主導で歌謡ロック路線へと鞍替えを図るも、そのサウンドにはファンのみならずメンバー自身も違和感を拭い去る事が出来ずにいたようで(クオリティは高かったと思うのですが)、再びバンドは原点回帰を志してレコーディング作業を行い、'81年にこの7thアルバムを発表した。
気迫漲るジャケット・アートワークからしてバンドが攻めの姿勢を取り戻したことを如実に伝える本作は、アグレッシブなOPナンバー①から早くも山本恭司のGプレイがハードに炸裂。その様はまるでジャケットに描かれた猛犬が縦横無尽に暴れ回っているかのようですよ。併せて、再びリードVoも担当するようになった彼の野太いVoが楽曲のハードさを底上げしている効果も感じられます。
尤も、作品全体としては未だ歌謡ロック時代の名残りがそこかしこに散りばめられており、楽曲も明るいノリの良さが目立つため、ソリッドな作風を期待して挑むと「アラッ?」と肩透かしを食った気分になるやもしれませんが、それでもスピーディな①や、山本のシンガーとしての実力が発揮されたアコギ・バラード④、躍動する⑥、そして前作/前々作のナイーブな哀愁とは趣きを異する、熱く骨太な泣きっぷりに血が騒ぐラスト・ナンバー⑪は、BOW WOWファンの期待に見事に応える名曲と言えましょう。


BOW WOW - Super Live ★★★ (2018-06-21 23:42:47)

AEROSMITHやKISSの来日公演のオープニング・アクトを務め、またTV番組『ぎんざNOW!』に出演して知名度を全国区にまで広める等、人気と実力を着実に高めていたBOW WOWが、'78年4月に芝郵便貯金ホール(現メルパルクホール)で行ったライブの模様を収めた実況録音盤。
リアル・タイマーではないため、「当時BOW WOWはアイドル的な売出し方もされていた」という話を知識としては知っていても「でも本当に?」と今ひとつ腑に落ちていなかったりしたのですが、猛烈な勢いで黄色い歓声が飛び交う本作を聞いて速攻「ああ、こりゃアイドルだわ」と納得した次第。100万回の説明よりも説得力に溢れたライブ盤でしたよ。
尤も、名曲①で幕が上がり、エディ・コクランのカヴァー⑩で大団円を迎えるセットリストは、BOW WOWの初期3作…いわゆるHR三部作からバランス良く選曲/構成されており、スタジオ盤以上の勢いを駆って繰り出される楽曲や、20歳そこそことはとても思えぬ豪胆さと繊細さを併せ持ったGプレイでライブを牽引する山本恭司を始め、メンバーの熱気と荒々しさに溢れたパフォーマンスに手緩さは皆無。中でも観客とのコール&レスポンスをフィーチュアしてぐいぐいボルテージを高めていく⑨は、アイドル・コンサートばりの熱狂と、「元祖HMバンド」と評されるに相応しい疾走感が混然一体となった本編のハイライトではないかと。
初期BOW WOWのHR時代を総括するベスト盤代わりにもなる1枚です。


BOW WOW - Telephone ★★ (2012-07-11 23:46:22)

'80年発表の6thアルバム。
プロデューサーにアリスの矢沢透を起用する人選からも明らかな通り、前作で披露した歌謡ロック路線が更に強力に推進されている本編は、パッと聴き、まるで浜田省吾の作品のよう(?)。前作『GLORIUS ROAD』は、それでも哀愁を帯びたメロディが堪能できる内容でしたが、本作はカラッとアメリカンな作風が終始徹底されており、「歌」を主役に据えたサウンドは、HMはおろかHRと表するにも若干の躊躇を覚えるライトな仕上がり。時代を感じさせる歌詞の恥ずかしさも相当なもんですよ
尤も、肩の力を抜いた作風はそれはそれで魅力的。特にストリングス&ピアノのみをバックに山本がリラックスして歌い上げるバラード③、エモーショナルなGプレイが雄大な曲調を盛り上げる⑧の2曲はこの時代のBOW WOWならではの名曲ですし、また今回のCD化に際し、アルバムには未収録だった隠れた名曲⑪がボーナス・トラックとして追加されている点も個人的には嬉しいところ。
何もBOW WOWがこれを演らんでも・・・と思いつつも、クオリティの高さは認めざるを得ない、そんな1枚ですかね。


BOW WOW - Warning from Stardust ★★ (2012-07-14 22:17:10)

スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルや、英国のレディング・フェスティバルといった大舞台を経験し、「ジャパニーズ・プードル・パワー」と評された歌舞伎の連獅子のカツラ被った山本恭司(G)のハジケっぷりを筆頭に、精力的なライブ・パフォーマンスが反響を呼んだ(ライブ盤『HOLY EXPEDITION』でその一端に触れることが出来る)BOW WOWが、そこで得た勢いをレコーディング作業に反映させて'82年に発表した9thアルバム。
当時、英国で盛り上がりを見せていたNWOBHMのうねりは確実に本作にも影響を与えており、BOW WOW史上、最もヘヴィ・メタリックなスピード・ナンバー①で幕が開く本編は、音作りは硬質に引き締まり、収録楽曲もよりハード且つソリッドに研ぎ澄まされ・・・といった具合に、前作『ASIAN VOLCANO』をも上回るアグレッションを発散。
個人的にはイケイケ過ぎて「泣き」が薄まってしまっている点に物足りなさを感じなくもないのですが、スピーディな①⑤、哀愁を帯びたバラード④、昭和ロボット・アニメの主題歌みたいな⑩など収録楽曲の粒は揃っていますし、BOW WOW入門篇としてもお薦めな高い完成度を備えていることは間違いないです。


BOYSVOICE - BOYSVOICE ★★ (2019-10-22 01:56:27)

フロントマンのマニ・グルーバー(Vo)を中心に結成され、後にCASANOVAやDEMON DRIVERといったバンドに参加するヨッヘン・マイヤー(B)が在籍していたことでも知られるドイツはミュンヘン出身の4人組が、メジャーのEMI RECORESから'90年に発表した1stアルバム。先月の連休中、旅行先で立ち寄った中古CD屋にて本作の国内盤を発見。「おお、これって国内盤が出てたんだ?」と思わず衝動買いしてしまいましたよ。
一風変わったバンド名やアートワークが妙に印象に残っている彼らですが、MTVで評判を呼んだと聞く②⑧、バンドのテーマ曲④といったほんのりBON JOVI風味の楽曲が分り易く体現する通り、キャッチーなメロディと健康的なノリの良さが同居したメロディアスHRサウンドに、聴き手を選ぶような捻くれた部分なんて殆ど見当たりません。(敢えて探せば④のイントロにお遊び的にラップを導入しているところぐらい?)
地元クラブで精力的にライブ活動を重ねた結果、評判が評判を呼び遂にはレコード契約をゲットしたという叩き上げバンドだけあって、エネルギッシュなVoの歌唱力、楽器陣のタイトな演奏、息の合ったボーカル・ハーモニーから重量感溢れる音作りまで、これがデビュー作とは思えぬ安定っぷり。特に仄かに哀愁薫る重厚なOPナンバー①、しっとり聴かせるパワー・バラード⑥、爽快でスケールの大きな⑩辺りは、何も知らずに「アメリカのバンドだよ」と言われれば素直に信じてしまいそうにな垢抜けた雰囲気漂う、アルバムの個人的なハイライト・ナンバー。
リリース時期が数年遅かったことが惜しまれる1枚。BONFIRE、CASANOVA、ROKOといったバンドにピンと来る方ならチェックしておいて損はないのではないかと。


BOYSVOICE - BOYSVOICE - COLD SUMMER NIGHTS ★★★ (2019-10-22 23:20:58)

デカイ会場で客席が大合唱する様が目に浮かぶような
コーラス・ワークが実に爽快なポップ・メタル・ナンバー。
歌にしろギターにしろ、そこはかとなく哀感が漂う辺りが
ドイツのバンドらしいところであり、彼らの個性でもあるという。


BOYSVOICE - BOYSVOICE - Different Noises ★★★ (2019-10-22 23:30:51)

エッジの効いたGと重量感溢れるリズムで
心地良く体を揺すってくれるOPナンバー。
大陸産ポップ・メタルを思わすノリの良さを志向しつつも、
メロディからは隠し切れない哀愁が漂ってきて
良いアクセントになってくれていますよ。


BRAINFEVER - Brainfever ★★ (2012-02-05 09:56:00)

EARTHSHAKER RECORDSに所属していた西ドイツの5人組が、STEELERやLIVING DEATH等との仕事で知られる同レーベルのお抱えエンジニア、現MEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトと、後にSHARK RECORDSを興す事となるプロデューサー、アクセル・デュベアヴィルの手を借りてレコーディングを行い、'84年にベルギーのMAUSOLEUM RECORDSの配給を受けてリリースした1stアルバム。
湿気ったメロディ・ラインを武骨に歌うVoと頑強なリフの壁を築くツインGとが、少々埃っぽく刻まれるリズムに乗り土煙を上げて突貫するサウンドは、いかにもACCEPT登場以降/HELLOWEEN登場前夜の「80年代半ばの独産パワー・メタル・サウンド」といった趣き。
音は良くないしVoの声質も野暮ったいが、聴いているだけで身の内で燻るメタル魂に火が点されるのを感じますよ。特にNWOBHMの流れを汲んで力強く刻まれるGリフは、このアルバムの肝とも言えるカッコ良さ。
BRAINFEAVERの魅力全部入りの名曲“INTO THE SKY”、勇壮なるバンドのテーマ・ソング“BRAINFEAVER”、シングル・カットもされたアルバム表題曲“CAPTURE THE NIGHT”を筆頭に、アルバム全体を見渡すと疾走ナンバーの存在感が際立っておりますが、クラシカルなイントロからスタートする“HANGMAN”、バラード調に始まりパワフルに盛り上がっていく“SUICIDE”etc・・・と、他にも本編には魅力的な楽曲が揃う。
B級メタル・ファンなら外せない1枚ではないでしょうか。


BRAINFEVER - Brainfever - Brainfever ★★★ (2012-02-05 11:22:27)

イントロでドカンとかまされる
NWOBHMの流れを汲むGリフの
カッコ良さだけでK.O.さてしまう
バンドのテーマ・ソング。


BRAINFEVER - Brainfever - Capture The Night ★★★ (2012-02-05 11:24:44)

シングルとしてもリリースされているようですが、
実際、荒々しい勇壮さとキャッチーなノリの良さが
同居した、アルバムでも1、2を争う名曲です。


BRAINFEVER - Brainfever - Hangman ★★ (2012-02-05 20:35:22)

荘厳でクラシカルなイントロが
印象的なアクセントなっている、
馬力勝負のパワー・チューン。


BRAINFEVER - Brainfever - Into the Sky ★★★ (2012-02-05 11:21:16)

OPナンバーにしてBRAINFEVERの代表曲。
ACCEPTばりの雄々しさと剛直さを発散しつつも
Voはノーマルにメロディアスに歌っており、
また後のHELLOWEEN系メロパワ・メタルに比べると
もっと無愛想で埃っぽいという、
80年代中期のジャーマン・パワー・メタルの
魅力が詰まった逸品。頭振りたくなりますね。


BRAINFEVER - Brainfever - Suicide ★★★ (2012-02-05 11:29:39)

バラード調の導入部は確かにJUDAS PRIESTを
思わせますね。Voも朗々と歌い上げていて
――あまり上手くないですが(笑)――劇的なツインGと
共にアルバムを締め括るラスト・ナンバーに
相応しいドラマ性を演出しようと頑張っています。
エンディングが尻切れとんぼ気味なのが勿体ない。
(これはアルバム収録曲全般に言えることなのですが)


BRAINSTORM - Downburst ★★ (2009-12-22 23:05:00)

こちらのレビューを読んで興味を持ち、中古で安く売りに出されていたのを見かけて衝動的に購入。インディ団体の
覆面レスラーみたいなオッサンが描かれたジャケットを漫然と眺めつつ、「でもメロパワは苦手なんだよなぁ」等と
考えながら聴き始めた本作だったが、この手のバンドにありがちなフニャチン系ハイトーンとは一線を画すパワフルなVoに、
筋骨隆々のリフ&リズム、そして劇的なツイン・リードGが地響き立てて突進する勇壮なOPナンバー①がスタートした途端、
「おおっ」と思わず身を乗り出してしまった。メロパワ云々を通り越して、正統派HMの力作じゃないですか、これは。
おちゃらけや媚とは無縁の、武骨さが前面に押し立てられた重厚な作風ながら、マッチョ一辺倒で大味に堕する事なく、
「戦う男の悲哀」とでも言うべき、硬派な哀愁を背負ったメロディ(PARADOX辺りに通じるもの有り)に彩られた楽曲には
確実に耳を捉えるフックと、ライブ映えしそうなキャッチーさが備わっているし、全編に漂う悲壮な空気をググッと
盛り上げるKeyの使い方も巧み。厳ついイメージとは裏腹に、中庸な魅力を発揮する④の様な楽曲を収録する等、
スピードに頼りきらない、痒い所に手の届く曲作りの上手さがキラリと光る。
欧州圏じゃとうの昔にステータスを確立済みらしいが、実際、堂々たる貫禄と風格の感じられる1枚。
聴かず嫌いはいかんなぁ、と反省した次第。


BRETT WALKER (2020-07-23 02:09:16)

オクラホマ州出身のシンガー/ソングライター。
80年代からCMソング等を手掛ける傍ら、ジム・ピートリックやスタン・ブッシュらとコラボして腕を磨き、'91年にはジェフ・パリスと共作し、ALIASに提供した楽曲“WAITING FOR LOVE”が全米シングル・チャートで最高第13位、カナダでは最高第4位にランクインするヒット曲となる。
このヒット曲を名刺代わりに、以降はソロ・シンガーとしても活動を開始。複数枚のソロ・アルバムを発表しているが、'13年に自宅にて急死(死因は明らかにされていない)。まだ51歳という若さだった。


BRETT WALKER - Nevertheless ★★★ (2020-07-23 02:10:25)

80年代から数々のアーティストとコラボして腕を磨いたアメリカ人シンガー/ソングライター、ブレット・ウォーカー。本作はALIASに提供したバラード“WAITING FOR LOVE”がTOP10ヒットとなったことで業界内において各段に知名度を高めた彼が、作曲のみならず、自ら歌い、殆どの楽器もプレイするマルチ・アーティストぶりを発揮して、’94年にスウェーデンのEMPIRE RECORDS(日本ではゼロ・コーポレーション)から発表した1stソロ・アルバムです。ちなみに北欧圏では結構なヒットを記録したのだとか。
本作で聴くことが出来るのは、キャッチーなメロディと美しいハーモニーを纏って弾む大陸産ハードポップ・サウンド。爽やかさと暖かみを増幅するアコースティック・ギターが有効活用された収録曲は、ジム・ピートリック、ジョナサン・ケイン、カール・ディクソン(CONEY HATCH)といった手練れのソングライター勢が共作者として名を連ねていることがその完成度の高さを担保する通り、乾いた哀愁が心地良い①、嫁さんに捧げられているお惚気ナンバー②、シングル・カットされなかったのが不思議なぐらいフック満載の⑪等々…と、聴くほどに味わい深さを増していく名曲・秀曲が揃っています。
何より驚かされるのはブレットのシンガーとしての実力で、例えば彼の熱唱が楽曲が醸し出す切ないフィールに拍車を掛ける⑥なんかを聴くと、シンガー一本でも十分食っていけるんじゃねえかと思わずにはいられませんよ。
ソロ作の日本盤がこれしかリリースされていない(しかも廃盤)ことと、そして'13年にもたらされた早過ぎる急逝の報がつくづく惜しまれます。


BRETT WALKER - Nevertheless - Hard to Find a Easy Way ★★★ (2020-07-24 01:27:51)

ブレット・ウォーカーとスタン・ブッシュの共作曲で、
ジメジメとした湿気の鬱陶しさを和らげてくれるような、
爽快なエネルギーの迸りが心地良いアルバムのOPナンバー。


BRETT WALKER - Nevertheless - More Than a Memory ★★★ (2020-07-24 01:34:50)

ブレットの力強い歌唱と歯切れの良いGプレイでロックのエッジを効かせつつ、
爽快感と哀愁が丁度いい塩梅でブレンドされたメロディはフックに富み、実にキャッチー。
80年代だったらヒット・チャートを賑わせていたって不思議ではないと思わされる
アルバムのハイライト・ナンバー。


BRIAN MCDONALD - Voyage ★★★ (2022-04-07 00:29:18)

80年代から活動するミネソタ州出身のシンガー/ソングライター、ブライアン・マクドナルドが、旧知の間柄である盟友レブ・ビーチ(G)をパートナーに迎えてレコーディングを行い、'03年にリリースした3rdソロ・アルバム。
一作目がBRIAN MACDONALD GROUP、二作目がBRIAN MACDONALD、そして本作はBRIAN MACDONALD PROJECTと、アルバム毎に発表名義が若干異なっており、それに伴って音楽性の方も微妙に変化。重厚なボーカル・ハーモニーからキャッチーでポップなメロディに至るまで、好事家から「ひとりLEPS」と評されるほどDEF LEPPARD風味満点のメロディック・ロックを演っていた前作に対し、今回は基本路線はそのままに、爽快な曲調を煌びやかなKeyが彩る①、人懐っこいメロディがELOを彷彿とさせる②、バイオリンの調べが軽やかに踊る③といった楽曲(あと美麗なアートワーク)が物語る通り、瑞々しいKeyのフィーチュア度を上げ、アレンジをより繊細に作り込む等、全体的にプログレ/ハード・テイスト――例えるなら『暗黒への曳航』を発表した頃のKANSASに通じる―—の増量が図られた仕上がり。中でも、ブライアンが映画音楽から影響を告白するアルバム表題曲⑥や、アーサー王伝説を下敷きにした⑪、哀愁のメロディを纏ってドライヴするロックチューン⑪等、ポップ・センスとドラマ性が絶妙なバランスで共存する楽曲は、特に印象に残る出来栄えを誇っています。
流石に全15曲は詰め込みが過ぎるものの、それでも決してダレを感じさせない優れた作曲センスに舌を巻かずにはいられませんて。個人的に、この人のソロでは本作が一番好きかな。


BRIAN MCDONALD - Wind It Up ★★★ (2022-11-29 01:23:16)

80年代半ばにソロ・シンガーとしてデビューを飾るも、その後は職業ソングライターとして、しばし雌伏の時を過ごさざるを得なかったブライアン・マクドナルドが、'00年にMTM MUSICから発表したカムバック・アルバム。通算2作目。
ギタリストとして、80年代から付き合いのある旧友で、WINGERやDOKKENのメンバーとしての活躍でも知られるレブ・ビーチが全面参加している以外、歌や作詞作曲は勿論、楽器パートも自ら手掛ける等、文字通りの「ソロ・アルバム」としてレコーディングされています。10年以上も年齢を重ねたことで、しっとりと落ち着いたAOR/産業ロック寄りの音楽性でも志向していそうなものですが、本作に託されているのはゴージャスな音作り、ブライアンのちょっと鼻にかかった甘い歌声、キャッチーに磨き上げられたメロディ、それを華麗に彩る分厚いボーカル・ハーモニー&レブのテクニカルなGプレイといい、往年のDEF LEPPARDを思わす溌剌としたポップ・メタル・サウンド。あまりのそっくりさんぶりに「ひとりLEPS」と評されたりもしたようですが、それは悪口というよりは、真似るにしても手間暇と才能を要するDEF LEPPARDサウンドをハイクオリティに再現しうるブライアンの手腕に対する最上級の誉め言葉と受け止めるべきではないかと。
特に、哀愁に満ちた曲調をレブのメロディアスなGが盛り上げる⑩、フックの効いたメロディを伴ってハードに駆け抜けていく⑪、ドラマティックかつエモーショナルなバラード⑫といった逸品が連続する、本編のラスト・スパートぶりは圧巻です。
この人のソロ作はいずれ劣らぬ力作揃いですので、これにピンときたらば1stや3rdも是非。


BRIAN MCDONALD - Wind It Up - Amnesty ★★★ (2022-11-30 00:26:58)

比較的ハード寄りの曲調でアルバム終盤を引き締めるロック・チューン。
だからといって勢い任せにしたりせず、哀愁を帯びたキャッチーな
コーラス・ワークといい、メロディにはしっかりとフックが
効かされている辺りは、流石職人の仕事です。


BRIGHTON ROCK - Love Machine ★★ (2016-09-20 23:17:18)

BRIGHTON ROCKは'91年に解散の後、'02年に再結成を遂げて現在も活動中なのですが、スタジオ・アルバムとしては、’90年発表のこの3rdアルバムが一応(現時点での)最終作。…ということでいいのかな。
2nd『TAKE A DEEP BREATH』までの流れから、てっきり更にポップになってるかと思ったら、全くそんなことはなく。Key奏者が抜けた代わりにサイドGが加わった編成と、1曲目から小気味よく疾走するHMチューンをガツンとぶつけてくる構成が物語る通り、本編は寧ろ、よりタフでワイルドな方向へと突き進んでいましたよ。
J.J.ケイルの代表曲…というよりもエリック・クラプトンが大ヒットさせたことで有名な“COCAINE”のカヴァーにもチャレンジする等、仄かに土の匂い漂わす新機軸を打ち出した作風は、90年代以降の音楽シーンの潮流の変化を踏まえていますが、シンガーのしゃがれ声がこの手の音にマッチしている上(場面によってはトム・キーファー風?)、相変わらずフックを盛り込んだ曲作りの巧さやメロディ・センスの冴えに鈍りがないので、単に上っ面だけ流行をなぞったような退屈な作品にはなっていません。
本編はメタリックに突っ走る①にて幕が上がり、溌剌とハジける③、重厚な雰囲気を纏った⑥といった優れた楽曲を経て、感動的なバラード⑪にて大団円を迎えます。前2作に比べると、そのクオリティにややムラを感じなくもありませんが、最後まで基本軸をブレさせることなく活動を全うしたバンドの、有終の美を飾るに相応しい1枚でありました。


BRIGHTON ROCK - Love Machine - Magic Is Back ★★★ (2016-09-20 23:21:29)

前2作ではラストにはハード・ナンバーを置いていましたが
3rdでは趣向を変えてバラードがEDを飾っています。
これがまた大団円を演出する大変素晴らしい仕上がりで、
サビの「ナーナーナナナー🎵」はライブ会場での大合唱が
聞こえるかのようで感動的。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath ★★★ (2016-09-17 09:59:13)

国内盤の解説によれば、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作『YOUNG, WILD AND FREE』を引っ提げ国内外で行われた2年に及ぶツアーで、地元カナダを始め、イギリス等のヨーロッパでも支持基盤を築いたというBRIGHTON ROCKが、今度はプロデューサーにジャック・リチャードソンを招いてレコーディング、’88年に発表した2ndアルバム。
アー写を用いた80年代然としたジャケットの前作に対し、グッとシックに落ち着いたデザインのアートワークが何やら熟成を感じさせますが、どっこい音楽性は変わっていません。OPナンバー①から元気溌剌にハジけるポップ・メタル・サウンド全開で、勿論ケヴィン・ダブロウとかそっち系の声質のシンガーによるしゃがれシャウトも健在。初めて聴いた時は「げ」と思った彼の声も、慣れるとクセになるというか、バンドになくてはならない重要な個性として、元気が有り余ってる感じのこの歌いっぷりが微笑ましく思えます。
これまでよりもKeyの存在感が増し、楽曲が一層メロディアスになったとの印象を受ける本作なれど、お陰でアダルトな哀愁漂わす②、キャッチーで伸びやかなサビメロが秀逸な⑧等、このアルバムならではの逸品が生み出されたのですから、むしろ感謝したいぐらいのもので。そして本編最後をハードに飾る、前作収録の名曲“ROCK ’N’ ROLL KID”と同タイプの名曲⑪がこれまた素晴らしい出来栄え。
母国では7万枚を売り上げ、ヒット・チャート22位にランクイン…って、売れたのかそうでないか微妙な成績ですが、前作に勝るとも劣らない完成度が備わっていることは保証します。国内盤CDも出ていたので、入手も比較的容易いのではないでしょうか。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Outlaw ★★★ (2016-09-19 08:23:33)

叙情性を高めるKeyの存在を活かして
タイトルに相応しく、大人びた哀愁を漂わせる逸品。
しわがれVoのクドイ歌唱は好悪が分かれそうですが、
全力を振り絞るような熱唱に個人的には胸が熱くなりますよ。
泣きのメロディで好アシストするGも良い。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Unlease the Rage ★★★ (2016-09-19 08:35:59)

メロディの哀愁っぷりやKeyソロを組み込んだ曲展開からは
ヨーロピアンなドラマ性も迸る哀愁のHRナンバー。
評価が割れるVoですが、金属質なシャウトで曲調に
メタリックなエッジを加えてくれていて、個人的には全然「有り」。
ドラム連打からスタートするアップテンポな楽曲を、
こうして(前作同様)アルバムの最後に置く辺り、
「単なる売れ線狙いバンドと舐めんなよ」
というバンドの矜持が垣間見えるようです。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Who's Foolin Who ★★★ (2016-09-19 08:28:26)

キラキラKeyに適度と歌うGに支えられ
ポップにハジける曲調に、哀愁を塗したメロディが
絶妙なアクセントを加えてくれる、BRIGHTON ROCKならではの
魅力が光るメロディアスHRソング。
メロディアスでキャッチーなサビメロの素晴らしさよ。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free ★★★ (2016-09-15 22:44:48)

BRIGHTON ROCKはバンクーバー出身の5人組。結成当初はHEART ATTACKと名乗っていたそうですが、地元ラジオ局主催コンテストでの優勝を期に改名(グレアム・グリーンの小説にバンド名のヒントを得たそうな)。自主制作した4曲入りEPの好評を後ろ盾に大手WEAカナダとの契約を交わし、’86年にこのデビュー作をリリースしました。(日本盤の邦題はシンプルに『ブライトン・ロック』)
本国カナダではスマッシュ・ヒットとなった本作は、まさしくタイトル『YOUNG, WILD AND FREE』(若くて自由奔放)を地で行くような、元気溌剌なポップ・メタル・サウンドがハジける「ザ・80年代!」な1枚。ケヴィン・ダブロウ+ブラッキー・ローレスな趣き(?)のジェラルド・マクギーのしゃがれハイトーンVoは聴き手の好悪が分かれそうですが、マイケル・ワグナーの的確なプロデューシングを得て、キャッチーなメロディ、胸のすくビッグなコーラス、センス良くまとめられたGプレイをフィーチュアした楽曲は、幅広いHR/HMリスナーに受け入れられるフックが備わっています。
屈託のない明るさを振り撒きつつも、メロディにしろ曲展開にしろ、突き抜けて能天気にはなりきれない「ヒネリ」がある辺りが、やっぱりカナディアン。PVも作られた代表曲②を始め、躍動感溢れるロック・チューンから、哀愁のパワー・バラード、それにヨーロピアンな風情漂わすハード・ナンバーまで、本編は優れた楽曲が選り取り見取り。中でも個人的なイチオシは⑩。ハード且つドラマティックにエンディングを締め括る様が、アルバムのハイライトに推したくなるカッコ良さなのですよ。BRIGHTON ROCK入門盤にどうぞ。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - Rock 'n' Roll Kid ★★★ (2016-09-16 23:02:38)

アメリカンなイキの良さと、ヨーロピアンなメロディの哀愁を
上手いこと組み合わて疾走する、カナディアンHRの名曲。
しゃがれ声のVoの熱唱と、センスの良さを感じさせるGソロを
フィーチュアした終盤の盛り上がりが実に熱い!


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - We Came to Rock ★★★ (2016-09-16 23:08:00)

仄かに哀愁を感じさせるメロディ・ラインに、
ライブ映えするキャッチーなコーラスと
スケールの大きなアレンジが印象に残る
BRIGHTON ROCKの代表曲。
MTVでもPVがよく流れ、母国カナダでは
シングル・ヒットを飛ばしたそうな。


BRITNY FOX - Britny Fox ★★★ (2021-01-04 00:12:28)

LAでバンドを組んで活動するも芽が出ず、地元フィラデルフィアへと戻ったシンガーのディジィー・ディーン・デイヴィッドソンが中心となり結成、デビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾るなど話題を振りまいたBRITNY FOXが、'88年にメジャー・レーベルのCBSから発表した1stアルバム。
髪の毛を膨らませ過ぎてシルエットがウルトラセブンのクール星人みたくなっているメンバーの「ヘアメタル」を体現したようなルックスに、トム・キーファー似のクセの強いディジィーの歌唱スタイル、それにGが元CINDERELLAだったりと、何かと「CINDERELLAの弟分」的な扱いを受ける機会の多いバンドでしたが、音楽性の方からは当時流行のブルーズ・テイストは殆ど感じられず。むしろカラッと陽性で覚えやすいメロディ、盛りに盛られたキャッチーなコーラス・ワーク、フラッシーなGプレイとに彩られたAC/DC辺りにも通じるサウンドは、SLADEのカヴァー⑧を含めて、彼らが骨の髄までロックンロール野郎であることを証明するワイルドな仕上がり。
特にビデオクリップが印象的だったリーダートラック①、共に合唱せずにはいられない高揚感に満ち満ちた②⑦⑨、良い意味で売れ線ど真ん中なパワー・バラード④、ライブ映えする曲調にディジィーの金切りシャウトが映える⑥等々といった楽曲は、「ヘア・メタルねぇ」とグチグチ抜かしながら冴えない面で本作を聴き始めたリスナー(俺ですが)さえも、聴き終わる頃には笑顔に替えてしまうゴキゲンさを誇っています。
BRITNY FOXがリリースした3作の中では、個人的には本作が一番のお気に入りですよ。


BRITNY FOX - Britny Fox - Girlschool ★★★ (2021-01-05 00:27:11)

アルバムのOPナンバーにしてBRITNY FOXの代表曲。
クセの強いシャウトVo、シンプルでノリ易い曲調、
キャッチーなコーラスに曲中を彩るフラッシーなGソロ、
あと80年代感全開のゴキゲンなPVまで、
陽気で豪快なロックンロールに思わず体が動き出す名曲。


BRITNY FOX - Britny Fox - Long Way to Love ★★★ (2021-01-05 00:33:39)

“GIRLSCHOOL”のノリを受け継ぐ爽快なロックンロール。
クセの強い声質が好き嫌い分かれるタイプのシンガーですが、
印象的なコーラス・ワークを始め、こうした抜けの良い楽曲には
ハマっていて、その魅力を存分に引き立ててくれます。
シングル・カットされたのも納得。


BRONZ - Carried by the Storm ★★ (2012-01-08 23:38:36)

アメリカ・ツアー中にオリジナル・ラインナップが崩壊。ただ1人残されたショーン・カークパトリック(G)は英国へと戻ると新メンバーを補充してバンドを再建し、プロデューサーのマックス・ノーマンと共にニュー・アルバムのレコーディング作業を開始。URIAH HEEPのフィル・ランゾン(Key)らの助力を仰いで同作は完成にこそ漕ぎつけたものの、降って沸いた所属レーベルの破産騒動に巻き込まれ、結局正式にはリリースされる事なくお蔵入りとなってしまった。そんな幻の2ndアルバムが数十年の時を経て漸く陽の目を見たのだから、これほど嬉しい事はありません。
エッジが削られソフティケイトされたサウンド・プロダクションの下、“NIGHT RUNNER”系のハード・ロッキンな楽曲が姿を消した本編の大半を占めるのは、アダルトな哀愁漂わすサックスやお洒落な女性コーラスなんかも取り入れられた、よりAOR色を強めた耳に優しいポップ・チューンの数々。
強力なキメ曲の見当たらない内容はデビュー作の完成度には及ばないが、カル・スワン系の熱唱を聴かせてくれる新Voを筆頭にメンバーのパフォーマンスは安定しており、曲作りの上手さ・・・殊にメロディ・センスも相変わらず冴えている。モダンでムーディな②、Gが心地良く泣いてくれる小洒落たバラード⑥等はBRONZの新境地が垣間見える佳曲と言えるのではないでしょうか。
リリース自体に価値が見出せる作品ではありますが、確かな品質もちゃんと備えてますよ。


BRONZ - Taken by Storm ★★★ (2012-01-08 08:05:45)

GTRのフロントマンとして知られるマックス・ベーコンも在籍していた英国の5ピース・バンドが'84年にBRONZE RCORDSからリリースした1stアルバム。(ちなみにバンドとレコード会社の名前が同じなのは単なる偶然の一致とのこと)
何となく不遇のうちに解散してしまったイメージを彼らに対しては抱いていたのですが、実際はMTVでもオンエアされたシングル曲“SEND DOWN AN ANGEL”がヒット・チャートでそれなりに健闘しており、またアルバム自体も世界中でトータル20万枚に及ぶセールスを記録する等、全くの泣かず飛ばずのままに終わってしまったバンドではなかったようですね。
煌びやかに楽曲を修飾するKeyとボーカル・ハーモニーをふんだんに取り入れつつ、欧州風味の泣きを湛えたツインGできっちりとエッジも効かせられているハードポップ・サウンドは、確かにそれに見合うだけのクオリティの高さを備えています。特に、思わず胸キュンを誘われる哀メロがアメリカのプログレ・ハード・バンドNEW ENGLANDを彷彿とさせる“SEND~”(同バンドのカヴァー“DON'T EVERY WANNA LOSE YOU”もハマっています)と、本編にメリハリをつけるハード・ナンバー“NIGHT RUNNER”、スペーシーなKeyサウンドがELOっぽい“SWEET LADY”といった楽曲は、このアルバムとバンドが志向する音楽的方向性を判り易く示してくれる名曲。
国内盤(邦題『黄金の嵐』)は既に廃盤のうえ、中古盤もプレミア価格で取引され手を出し辛いので、未聴の方はリマスターも施された安価な輸入盤の方をどうぞ。
ただ、アートワークは国内盤(オリジナル版)の方が良いかなぁ。


BRONZ - Taken by Storm - Night Runner ★★★ (2012-01-08 23:27:39)

メロディアス且つ鋭利に切り込んで来る
ツインGが曲展開を牽引する、
BRONZのハード・サイドを代表する名曲。
“SEND DOWN AN ANGEL”と並ぶ
アルバムのハイライト・ナンバーじゃないでしょうか。


BRONZ - Taken by Storm - Send down An Angel ★★★ (2012-01-08 23:22:40)

英国のシングル・チャートで10位入り寸前まで
上昇したというBRONZの代表曲。
軽快なKeyサウンドと華やかなボーカル・ハーモニーが
アメリカン・プログレ・ハード調で
確かにTOUCHやNEW ENGLANDを彷彿とさせます。


BRUCE TURGON - Outside Looking In ★★★ (2019-07-05 00:40:42)

ルー・グラムの幼馴染で、BLACK SHEEP~ソロ時代~SHADOW KING~FOREIGNERと、長らく彼の相棒役を務めてきたブルース・ターゴンが、自らVoとBを兼任してレコーディングを行い、'05年に発表したキャリア初となるソロ・アルバム。
その門出を祝うように、プロデューサーにPINK CREAM 69のデニス・ワード、レコーディング・メンバーとして盟友ルー・グラムの他、リッキー・フィリップス、ロニー・モントローズ、デニー・カーマッシ、トム・ギンメル、ダイアナ・ミルズetc…といった多彩な面々が集結。但しここで追求されているのは飽くまでアンサンブル重視の抒情的なメロディアスHRであり、都会的なクールネスも漂わす洗練されたサウンドからは、やはりブルース在籍時代のFOREIGNERに通じるものが感じられます。特にルー・グラムとの共作である憂いを帯びた重厚な⑦と、暖かみに溢れた曲調が聴く者を勇気づける⑩は、どちらもアルバムのハイライト級の逸品。またブルースが単独で書き上げた、冷ややかな哀感を湛えるドラマティックな⑤の出来栄えも特筆しておきたい素晴らしさですよ。
全体的にやや控えめ…人によっては「地味」とも受け取られかねない作風ながらも、質の高いスロー/バラード・ナンバーを中心に本編を構成しつつ、適度にエッジの効いたロック・チューンも散らしてメリハリを設ける等、バランス感覚は良好で、聴くほどに味わいを増す1枚。派手さはなくとも優れたバイプレイヤーとして堅実に仕事を積み重ねてきたブルース・ターゴンというミュージシャンのキャリアと二重写しになる良盤ではないでしょうか。


BRUCE TURGON - Outside Looking In - Faith ★★★ (2019-07-07 01:12:13)

憂いを帯びたメロディをエモーショナルに歌い上げるVoとG、
ピアノの美旋律が、どことなく都会の冬(日の昇る直前の朝)を
思わせる冷ややかな空気を運んでくる、ムーディで重厚なHRナンバー。


BRUCE TURGON - Outside Looking In - These Tears Must Fall ★★★ (2019-07-07 01:20:22)

ルー・グラムとの共作曲で、彼もバックVoとして参加。
どうせならリードVoも担当しちゃえば良かったのに。
尤も、ブルースのVoに文句があるわけではなく、
青い炎が揺らめくような熱唱で、このアルバムでも1、2を争う
ドラマティックな名曲を盛り上げてくれています。
憂いを湛えた重厚さを増幅するBプレイも◎ですよ。


BUDGIE - Best of Budgie ★★★ (2020-08-04 00:19:36)

METALLICAがカヴァーしたことで、HR/HMファンの間で一気に再評価の機運が高まったイギリスはカーディフ出身のトリオ・バンドBUDGEIのベスト盤。彼らのベスト盤は色々と出ていますが、本作はロジャー・ベインがプロデュースを手掛けた初期2作『BUDGEI』『SQUAWK』を元に編纂、NWOBHM勃発10周年に歩調を合わせるように、当時NWOBHM関連の作品を積極リイシューしていたテイチクのMETAL MANIAから'89年にリリースされました。
《NWOBHMのカリスマ!》《これぞルーツ・オブ・スラッシュ・メタルだ!》と景気の良い文言が溢れかえる帯の惹句に誘われて購入を決意した本作でしたが、METALLICAがカヴァーした“BREDFAN”や“CRASH CURSE IN BRAIN SURGERY”等は収録されておらず、選曲面においては多少の物足りなさが残る内容であることは確か。
しかし、硬質に叩きつけられるリフ&リズム、中性的なVo、おどろおどろしげな雰囲気を纏ってパワフルに押し出して来る、ソリッドな愛想のなさが確かにスラッシュ・メタル的ですらあるBUDGEIサウンドの魅力は十二分に伝わってくる仕様で、特に回転の速いGリフがNWOBHMを先取りしている①、中間部で転調してスピードアップするパートのテンションの高さが只事ではない⑤、アルバムのフィナーレをヘヴィ且つドラマティックに飾る⑩といった名曲は、「お勉強しておきますか」ぐらいの、誰からも求められていない義務感で本作を購入した我が身さえも打ちのめすカッコ良さが溢れかえっていますよ。
「BUDGEIに興味はあるけど、何から買っていいのか分からない」という向きには、選択肢の一つとしてお薦めしたい作品です。


BUDGIE - Squawk - Hot as a Docker's Armpit ★★★ (2020-08-04 23:16:37)

粘着質に歌うVoに、グネグネとうねる曲調が何やら
酔っ払いの千鳥足を思わせる前半から、突如覚醒。
弾きまくるGに動きまくるB、疾走するDsが硬質に畳み掛け
劇的なエンディングを迎える後半戦はまさに元祖HMの風格。
BUDGIEというと次作以降が語られがちですが
この名曲を聴けばきっと1stや2ndにも興味が湧く…筈。


BULLDOZER - IX ★★ (2008-01-19 17:39:00)

'80年前後から活動を開始、メンバーが大ファンだったというイギリスのTANKからバンド名のヒントを得て、
BULLDOZERを名乗ったイタリアはミラノ出身のトリオ・スラッシャーが、'87年に発表した3rdアルバム。
背徳的(というかお下劣)な歌詞と、エロ本をコラージュしまくったジャケット・デザインが良識者の顰蹙を買い、
KERRANG!やMETAL HAMMERといった雑誌で0点を食らった問題作としても知られるが、収録された楽曲自体は、
0点どころかムチャクチャ高得点モノのカッコ良さを誇る。
作品を重ねる毎に整合性を高めて行き、デビュー当時のVENOM直系の邪悪でノイジーなブラック・メタル・スタイルから
完全に脱却した本作で聴く事が出来るのは、炸裂するような疾走感を基本に据えつつも、そこにイタリアの
バンドならではの濃いめの叙情性を隠し味として加えた、正統派のスラッシュ・メタル・サウンド。
特に、静と動の対比が高いドラマ性を演出する②、まさにBULLDOZERの如き荒々しさで突き進む⑦、そして激烈なスピード・ナンバーの⑧から、
ユーロ・プログレ調のアウトロを経て、ドラマティックな⑨へと繋がっていく後半の組曲形式の展開は、間違いなく本編のハイライトかと。
勿論、忙しなく動き回る単音リフが90年代以降のブラック・メタルを先取りしていた①や、息つく暇なく畳み掛けて来る
⑤⑥を筆頭とした、力押しの高速スラッシュ・チューンのカッコ良さについては、今更言うまでもない。
尚、METAL MINDから再発されたリマスター盤には、日本公演の音源も収録。正直、居合わせたLABYRINTHファンは
ポカーン状態だったに違いないが、こうして聴くと、結構盛り上がっていたようなので一安心(笑)


BULLDOZER - IX - Desert! ★★ (2008-01-19 17:47:11)

巧みに導入された静と動の対比が
ドラマティックな雰囲気を演出する名曲。
Gが連発する、IRON MAIDEN風のフレーズが印象的に残ります。


BULLDOZER - IX - IX ★★ (2008-01-19 17:45:09)

アルバムの完成度の高さを宣言するかのように
豪快に突っ走る高速スラッシュ・チューン。
忙しなく動き回る単音リフが、90年代以降のブラック・メタル勢を彷彿とさせるが、
勿論、登場はこちらの方が早い。


BULLDOZER - IX - The Derby ★★ (2008-01-19 17:52:02)

荒々しく勇壮。立ち塞がるもの全てを薙ぎ倒して
突き進むような曲調は、まさにBULLDOZER。
再発リマスター盤(とBOXセット)には、A.C.WILDがLABYRINTHの
来日公演にゲスト出演した時のライブ音源が収録されているのだが、
実はそちらの方が、『IX』のバージョンよりも遥かにカッコイイ。(そちらは☆3級)


BULLDOZER - IX - The Vision Never Fades ★★ (2008-01-19 17:56:42)

スピード・チューン“NO WAY"のユーロ・プログレ風のアウトロから
組曲形式で繋がる、アルバムのラスト・ナンバー。
A.C.ワイルドの紡ぎ出す、劇的極まりないGメロディが
とにかく圧巻。“NO WAY"とセットでお楽しみください。


BULLDOZER - Neurodeliri ★★ (2008-10-27 22:57:00)

自殺してしまった初代B、ダリオ・カーリアに捧げられた'88年発表の4thアルバムにして、BULLDOZER最後の
フル・アルバム。(アルバム・タイトルは、そのダリオが活動していたバンド名から取られているらしい)
激烈に疾走しまくるSLAYER直系のスラッシュ・ソングと、バイオレントなロックンロール・スラッシュの2本立てに、欧州のバンドらしい
ドラマティックなメロディと曲展開をブチ込んだ音楽性は、傑作だった前作『IX』の作風を順当に継承しているが、今回は更にそこに、
単なる装飾を越えて大胆に導入され、楽曲に一層のスケール感と禍々しさを演出する、Keyの存在が一際異彩を放っている。
取り分け、荘厳な序曲を経て、禍々しさを撒き散らしながら突っ走るOPナンバー①や、起伏に富んだ曲展開をKeyの音色が
大仰に装飾する⑤、邪悪且つドラマティックに本編を締め括る⑧辺りは、後に登場するメロディック・ブラック・メタルの
スタイルを先取りしたかのような楽曲だし(そもそもBULLDOZER自体、ブラック・メタルの元祖的存在のバンドなわけだが)、
④に至ってはKeyとGがバトルを繰り広げる(!)異色のパワー・メタル・ナンバーに仕上がっている。それでいて奇を衒ったような
印象はまるでなく、何よりも、アルバム全編を貫く「爆走感覚」に全く鈍りが見られない点が素晴しい。(下品さも健在だ)
METAL MINDからの再発盤には、黒人ラッパーをメンバーに加えてファンを引っ繰り返らせた'92年リリースの
EP『TRILOGY-DANCE GOD SICK』より1曲がオマケ収録されているのだが、色物感溢れる組み合わせにも関わらず、これが実に真っ当な
スラッシュ・ソングに仕上がっていて、巧みに取り入れられたラップVoが生み出す疾走感と切迫感は文句なしでカッコイイ。
実験的な要素を導入しつつ「らしさ」も失っていないという、曲作りの上手さがキラリと光る、バンドの有終の美を飾るに相応しい1枚。


BULLDOZER - Neurodeliri - Art of Deception ★★ (2008-10-29 22:17:54)

激烈な疾走感はまさにスラッシュ・メタルそのものながら、
終盤において、KeyとGがバトルを繰り広げるという
異色のパワー・メタル・チューン。
4thアルバムの実験精神を最も判り易く体現した1曲か。


BULLDOZER - Neurodeliri - Dance Got Sick - Part One ★★ (2008-10-29 22:32:59)

今ではなかったことになっている(?)
'92年リリースのEP『TRILOGY-DANCE GOT SICK!"収録曲で、
4th『NEURODELIRI』のMETAL MINDからの再発盤にも、
ボーナス・トラックとしてオマケ収録されている1曲。
ラップVoとダンサブルなKeyを大胆に取り入れた異色曲ながら、
これが色物感のまったくない、実に真っ当にカッコイイ
スラッシュ・チューンに仕上がっているのだから驚く。
バンドの曲作りの上手さが光る名曲。


BULLDOZER - Neurodeliri - Overture / Neurodeliri ★★★ (2008-10-29 22:14:43)

荘厳な序曲を経て、激烈な疾走へと転じる
アルバムのタイトル・トラックにしてOPナンバー。
大仰なKeyの音色を纏って疾走する様は、
まるでメロディック・ブラック・メタル。
先駆性と理屈抜きのカッコ良さを兼ね備えた名曲かと。


BULLDOZER - Unexepected Fate ★★ (2009-09-05 10:47:00)

BOXセットの発売や、旧譜リイシュー等の再評価機運の高まりを受け、ACワイルド率いる
イタリアの古参スラッシャーBULLDOZERがプロジェクト体制ながらも復活を果たし、
豪華ゲストの協力を得て完成に至った、'09年発表の5thアルバムがコレ。
いつの間にやらユーロビート界で大成功を収めていたACだが、本作では、ラッパーと組んでファンの度肝を抜いた
問題作(でも秀作)『DANCE GOT SICK!』で聴かせた様な実験色は一切排除。クラシカルなイントロに次いでブラスト・ビートが
炸裂する①を手始めに、全編をスピーディでアグレッシブな疾走系ナンバーで固めつつ、Keyを効果的に用いて
荘厳さや劇的さの演出が為された作風は、まさしくラスト作となった『NEURODELIRI』の後に続くべき内容に仕上がっている。
ただ、良くも悪くもベテラン・バンド然とした貫禄や、ヘヴィ・メタリックな整合性が前面に押し出された
パワー/スラッシュ・サウンドゆえ、初期(1st~2nd)の頃のような「狂気」や破天荒な炸裂感を求めて
本作を聴くと、その真面目さ加減に肩透かしを食らう事になりかねないので注意が必要かと。
とは言え、曲作りの上手さに鈍りはなく、特に、パワフルで好戦的な④、ゲスト参戦のビリー・シーン&キコ・ルーレイロが
流麗なソロを炸裂させる高速スラッシュ・ソング⑧、女流ギタリスト、ジェニファー・バトゥン入魂の
仕事っぷりが堪能できるドラマティックな⑨~⑩といった楽曲は本編の白眉で、これまでにBULLDOZERが
生み出して来た名曲群と比較したって何ら遜色はないクオリティの高さを誇る。
BULLDOZERの今後の活動に対する期待を高める役割を十分に果たす1枚かな、と。


BURN - So Far, So Bad ★★ (2020-05-23 09:21:05)

同名バンドが世界中にいて最早どれがどれだかです、こちらはマーク(B)とバーニー(Key)のスタックハウス兄弟により結成され、オリジナル・メンバーだったドラマーの死去という悲劇を乗り越えて、現在までに4枚のアルバムを残している英国出身の5人組。本作は彼らが'93年に発表した1stアルバムにあたる作品です。自主制作盤かな?
当時雑誌の輸入盤レビューで見かけて以来気になってはいたものの、結局買う機会を逸したまま早幾年月。それが去年の正月に古本屋のCDコーナーで500円で売られているのを偶然発見してしまい、思わず「やっと会えたね…」と辻仁成みたいなことを口走ってしまいましたよ。
このバンド名でメンバーにKey奏者もいるとなると、ついついDEEP PURPLE型HRを期待してしまうのが人情というものですが、彼らが志向するサウンドは、熱っぽく歌い上げるVo、コンパクトに練られたソロを弾くG、煌めくKeyと厚めに敷かれたコーラスをフィーチュアした大陸志向のメロディック・ロック。躍動感溢れるロックンロールから乾いた哀愁漂わすバラードまで、収録曲をバラエティ豊かに揃えつつ、いずれも能天気にはなりきれない欧州風味の翳りをそこはかとなく湛えている辺りが、何と言うか「ああ、非常にイギリスのバンドっぽいなぁ」と。個人的にはヴァースからサビメロにかけて、1曲の中でメロディの質が寒と暖のグラデーションを描く②や⑧がツボにハマりましたね。
収録曲の出来栄えにややムラっ気が感じられるものの、90年代にこの音楽性で(しかも英国で)勝負を賭ける、その心意気や良し!な1枚。


BURN - So Far, So Bad - We Are The Young ★★★ (2020-05-25 01:24:00)

北欧メタルばりの透明感を湛えた
哀愁のメロディと、バンドの大陸志向を感じさせる
キャッチーなコーラス・ワークの融合が見事にハマった
アルバムでも1、2を争うハイライト・ナンバー。


BURNING POINT - Burning Point ★★★ (2015-11-30 23:21:05)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)を加入をさせた、ツインG、Key奏者を含むフィンランドの6人組パワー・メタラーが、彼女のお披露目も兼ねて'15年に発表した、新曲と過去曲のリメイクとカヴァー曲(KISSにMETAL CHURCH)からなる変則ベスト盤――といっていいのかどうか――な1枚。
BURNING POINTといえば、確か2nd『FEEDING THE FLAMES』('03年)を持っていた筈なのに、内容については薄らボンヤリとしか思い出せず、そのくせバンドの中心メンバーの名前がピート・アホネンだったことに衝撃を受けたことはいやに鮮明に覚えているのネンと。
それはともかく、こうして聴いてみるとJUDAS PRISET型のパワー・メタルに、ヴァイキング・メタルばりの雄々しさや独産メロパワ・メタルに通じるキャッチーさを注入したかのような、疾走感溢れるサウンドのカッコ良さに感心させられましてね。特に本作のために書き下ろされた新曲①④⑨が、過去作から選りすぐられた楽曲に負けず、立派にアルバムのハイライト役を果たしているのが頼もしいじゃありませんか。
そしてそれらを堂々歌いこなすニッテ・ヴァロ!BATTLE BEAST脱退後は音楽生活から身を引いてしまっていたらしく「勿体ねぇなぁ」と思っていただけに、今回の第一線への復帰は目出度い限り。その強靭なルックス…じゃなかった歌唱力は勿論健在で、本作のクオリティぶりに伸びやかに、且つ力強く貢献してくれています。
バンドとしてレベルUPが果たせたBURNIG POINTにとっても、シーンへの帰還を果たしたニッテ嬢にとっても、あと優れた作品を聴くことが出来たリスナーにとっても良いこと尽くめな、まさにWIN/WINな力作。入門盤にどうぞ。


BURNING POINT - The Blaze ★★★ (2017-02-18 08:53:14)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)が加わった新ラインナップのお披露目を、変則ベスト盤たる前作『BURNING POINT』で済ませたピート・アホネン(G)率いるフィンランドの6人組が、満を持して’16年に発表した最新作。
欧州民謡風のメロディと猛々しい疾走感の組み合わせが、どことなくAT VANCEの名曲“SOLDIER OF TIME”を思わすOPナンバー①を聴けば、勇猛果敢にしてドラマティックなパワー・メタル・スタイルにブレがない(つか今更ブレる筈もない)ことは一聴瞭然。ただ今回はメロスピ的に突っ走ろうが、エピック・メタル然と重厚に迫ろうが、常に楽曲の中心に主役として鎮座ましますのはニッテ・ヴァロの歌声。これは現行BURNIG POINT最大の武器が、嘗て「女スティーヴ・グリメット」とも評された彼女の強力な歌唱であるという自覚の下、メンバーがその歌が最も映える曲作りに励んだ結果ではなかろうか、と。
ニッテ嬢の方もその期待に見事に応えています。前述の①や、金属質な感触を湛えて駆け抜ける③、鋭く切れ上がるハイトーン・シャウトを駆使してド迫力で歌いまくる様が圧巻の⑦、曲名や“WE RCOK”風のイントロからしてDIOリスペクトの姿勢が鮮明なラスト・ナンバー⑩等、闇を切り裂いて魔を払うが如き、神々しいパワーに満ち溢れた彼女の歌声を活かし切った楽曲を聴くにつけ、つくづくこのメンバー・チェンジは成功だったなぁと。
ニッテ・ヴァロの歌声を生で聴くためにも、BURNING POINT来日を祈念せずにはいられない1枚。ノーラ・ロウヒモ擁するBATTLE BEASTとのカップリング公演とかいかがでしょう。


BURNING POINT - The Blaze - Chaos Rising ★★★ (2017-02-26 21:38:14)

一頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる疾走ナンバー。
金属的色艶を帯びてパワフルに炸裂する
ニッテ・ヴァロのハイトーンVoも
全盛期のロブ・ハルフォードに肉薄する迫力を誇っていますよ。


BURNING WITCHES - Burning Witches ★★★ (2019-04-02 00:59:33)

メンバー全員が女性で、DESTRUCTIONのシュミーアと、彼のマブダチV.O.パルヴァー(a.k.a. POLTERGAIST)がアルバムのプロデュースを手掛けていることでも話題となった、スイスの「燃える魔女軍団」が’17年に発表したデビュー作。
シュミーアに至ってはバックVoやマネージャー役まで買って出ている熱の入れようで(恐らく曲作りにもタッチ)、まぁ本作を聴けば入れ込みたくなる彼の気持ちもよく分かるという。スラッシーですらある荒くれたリフを刻み、勇壮なメロディを奏でるツインG、強靭なビートを打ち出すリズム隊、堂々たる歌いっぷりで楽曲を力強く盛り立てるVo等、楽器の腕前においても実力者が揃ったメンバーが、戦闘隊形で進撃するタフでストロング、且つ劇的な正統派HMサウンドは実にパワフル。バンド名がバンド名だけにデビュー当時のWARLOCKのことを思い出したりもしますかね?
本編の幕開け役を担う猛々しい疾走ナンバー①、Voのロブ・ハルフォードばりのスクリームが鮮烈な印象を焼き付ける②、「アタイ達はメタル・ディーモン!」と雄々しく歌い上げる重厚な⑤といった、バンドのテーマ曲、あるいはアルバムのキーとなる楽曲を、その他の収録曲に比べてもう一段上のクオリティで仕上げてみせる手腕からも、彼女たちの確かなポテンシャルが伺え頼もしい限り。つかJUDAS PRIESTの名曲“JAWBREAKER”を違和感皆無でカヴァーできている時点でそんなことは言わずもがなでしょうか。
「女だてらに正統派HMを演っているから凄い」のではなく、単純に「カッコイイ正統派HMを演っているから凄い」1枚。2ndもチェックしないとなぁ。


BURNING WITCHES - Burning Witches - Metal Demons ★★★ (2019-04-03 00:07:37)

コンパクトに締まった曲展開の中で
鋭角的に刻まれるGリフ、パワフルなVo、
タイトに疾走するリズムが生み出す勇ましさと、
ライブで盛り上がれるキャッチーさを併せ持った
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


BURNING WITCHES - Dance With the Devil ★★★ (2021-09-27 23:34:49)

2代目フロント・パーソンとして元SHADOWRISEのローラを迎え入れたスイス出身の5人組HMバンドBURNING WITCHESが、'16年に発表した3rdアルバム。
DESTRUCTIONのシュミーアと、元POLTERGEISTのV.O.パルヴァーのマブダチ・コンビがプロデュース担当というお馴染みの布陣でレコーディングが行われた本作は、「そろそろポップな方向にも曲作りの幅を広げて来るかな?」とのこちらの予想を正拳突きで粉砕するかの如く、ストロング&スパルタンな正統派HMサウンドを前2作同様に徹底。
ハイピッチ・スクリームが耳をつんざくスピーディなOPナンバー①から、色気を感じさせるエモーショナルな歌い込みが映える⑥のようなバラード系の楽曲まで、表現力豊かにこなすローラ嬢の歌唱力も前任Voのセレーナと比べて遜色はなく、その実力の程はロス・ザ・ボス(G)をゲストに迎え、エリック・アダムスばりのパワー&エモーションで堂々歌い上げてみせるのMANOWARの名曲“地獄の鎮魂歌”のカヴァー⑫からもビンビンに伝わってくるのではないでしょうか。それにしてもJUDAS PRIESTの“JAWBREAKER”といい、SAVATAGEの“HALL OF THE MOUNTAIN KING”といい、このバンドのメタル愛を感じさせるカヴァー・センスには毎度ニッコリさせられますね。(実はカヴァー曲目当てで本作の購入を決意したことは内緒だ)
もはや、メンバー全員が女性であることを殊更に強調する必要性すら感じさせない、「女性にしては~」とか「男勝りの~」なんて枕詞もノー・センキューなHMサウンドが重厚に叩きつけられる1枚。


BURNING WITCHES - Dance With the Devil - Battle Hymn ★★★ (2021-09-29 01:55:18)

アメリカのエピック・メタルを語る上で欠かすことの出来ない
重要曲でもある、MANOWAR初期の名曲のカヴァー。
音質的には少々厳しいものもあったオリジナル・バージョンに対し
こちらは現代のアドバンテージを生かしたよりヘヴィかつパワフルな仕上がり。
Voもエリック・アダムスになりきって堂々歌い上げてくれています。
この曲のインパクトが他の収録曲を食ってしまっているのはご愛嬌。


Bigg Mouth - Bigg Mouth ★★ (2023-08-01 00:47:53)

「ビッグ・マウス」といえば、QUIET RIOT人気を急落させた故ケヴィン・ダブロウの舌禍のこと…ではなく。個人的に愛して止まない隠れた名バンドBATTLE BRATTのGだったマイケル・モスタートらにより結成されたNY出身の4人組(綴りもBIGじゃなくてBIGG )。本作は彼らが自主制作で'94年に発表した1stアルバムで、翌年ALFA MUSICから日本盤もリリースされています。
BATTLE BRATT時代はQUEENSRYCHEからの影響を伺わせる正統派HMを演っていましたが、本作で聴けるのは恐らくSKID ROW辺りに触発されたであろう90年代仕様のアメリカンHMサウンド。90年代真っ只中とはいえ、切れ味鋭くリフを刻むマイケルのGプレイにも、重量感溢れるリズム・セクション(Dsは後にKEEL~L.A. GUNSを渡り歩くスティーヴ・ライリー)の演奏にもキレがあるのでモダン・ヘヴィネス由来のかったるさは微塵も感じられませんし、ドライヴするHMナンバーにおけるワイルドなシャウトから、バラードで披露するエモーショナルな歌い込みまで、柔軟かつ堂々たるパフォーマンスを披露するトニー・コヴィーノ(Vo)の存在が、バンド・サウンドをタイトに引き締めてくれています。(そのVoと仲が良いという元TNTのトニー・ハーネルがバックVoとしてゲスト参加)
音楽性が音楽性だけにストライク・ゾーンど真ん中とはいかないまでも、重厚な曲調の中から愁いが滲み出す⑦や、BATTLE BRATTを思い起こさせる劇的な⑨あたりは、普段この手のサウンドを主食としていない身が聴いてもグッとくるカッコ良さを放っていますよ。
BATTLE BRATTファン(っているのか?)にもお薦めできる好盤。


Bigg Mouth - Bigg Mouth - Live for Your Life ★★★ (2023-08-02 00:22:06)

アメリカンHM路線を志向する本編においては毛色が異なる
BATTLE BRATT時代を思わせたりもする哀愁を湛えたバラード。
シンガーの実力者ぶりと、マイケルの咽び泣くGがじっくりと
堪能できるドラマティックな名曲です。


Black Sweet (2018-03-16 00:34:09)

熊本出身の兄弟や、関東出身のメンバーらによって結成され、東京を拠点に活動する4人組。
'14年に前身バンドHIDDEN CHRISTIAN(隠れキリシタンの意)として活動を開始し、’17年にBLACK SWEETと改名。同年12月に1st『TIME TO DEPART』でアルバム・デビューを飾った。
最も影響を受けたバンドとしてSTRYPERの名を挙げていて、音楽性は勿論のこと、バンド名もSTRYPERから着想を得ているんでしょうかね?


Black Sweet - Time to Depart ★★★ (2018-03-16 00:39:36)

東京を拠点に活動する4人組が'17年に発表したデビュー作。雑誌のインタビューで「最も影響を受けたバンドはSTRYPER」と答えているのを読んで「おお、国内じゃあまり知らないタイプのバンド」と興味を持って購入してみたら、これが大当たりでしたよ。
実際に本編は、荘厳な序曲①の余韻を切り裂いて攻撃的に疾走する②や、愁いを帯びたメロディが華麗に舞うアップテンポの⑩といった、シャープなGリフとメロディックなツインGの存在が映える、『YELLOW AND BLACK ATTACK』や『SOLDIER UNDER COMMAND』を発表した頃のSTRYPERを彷彿とさせる――更に骨太な感触はあるものの――楽曲によって頭と尻をサンドイッチ。しかしながら通して聴いてみると、ACCEPTの“FAST AS A SHARK”(あるいはANTHEMの“WARNING ACTION!”)に通じるパワー・メタル・チューン③あり、日本語詞で歌われる爽やかなJ-POP調の⑤やポップな⑧、様式美HM風味のインスト曲⑨(TORNADO-GRENADEのGがゲスト参加)あり…といった具合に、単純に「STRYPERフォロワー」の一言では括り切れない、多彩なタイプの楽曲が収録されていることに気付かされます。特にスピード・ナンバー⑦は、アグレッションを全開にしつつも、コーラスではVoが甘美なメロディをしっかりと歌い上げる、このバンド独自の魅力が炸裂する名曲として強力な存在感を放っているという。
シンガーの歌唱力の精進(現時点でも十分上手いのですが、更なる伸びしろを感じさせる)や、音質の一層の向上等、これから経験を積み重ねて行けばバンドが理想と語るFRONTIER RECORDSとの契約だって夢物語ではない、実に立派なクオリティを有する1枚。


Black Sweet - Time to Depart - Masquerade ★★★ (2018-03-18 01:17:59)

STRYPERに通じる甘美なメロディ・センスと
パワー・メタリックなアグレッションという
BLACK SWEETというバンドに備わった2面の魅力が
1曲の中で巧みな融合を見た逸品。
アルバムのハイライト・ナンバーの一つです。


Black Sweet - Time to Depart - Reach for the Sky ★★★ (2018-03-18 01:11:58)

鋭利なGリフが緊迫感を伴って刻まれるヴァースから
パッと視界が開けるように展開していく印象的なコーラスといい、
フラッシーなツイン・リードGといい
1stや2ndの頃のSTRYPERを彷彿とさせる名曲。
この時期のSTRYPERを彷彿とさせる楽曲なんて
そうそう作れるものじゃありませんよ。


Black Sweet - Time to Depart - Valhalla ★★★ (2018-03-18 01:14:59)

“FAST AS A SHARK”や“WARNING ACTION”といった
楽曲を思わせる、STRYPERというよりは、
もっと骨太でオーソドックスなヘヴィ/パワー・メタル風味が
打ち出された疾走曲。


Blue Stealer - Take the Dream ★★ (2017-11-28 23:17:20)

VOLFEEDの山本朋子(Vo)や、CONCERT MOONの尾崎隆雄が在籍していたZENITHのメンバーらによって結成された様式美HMバンドが、'96年に発表したデビューEP。
個人的にこの組み合わせにはかなり期待していたので、リリースされてすぐにショップへ買いに行ったのですが、邦楽の「は」行や、念のためにと洋楽の「B」コーナーを探しても見当たらない。マイナーだから入荷してないのか?と思い店員さんに尋ねてみたら、何とプロレス・コーナーに陳列されていたというオチ。そりゃ見つからんわ。
佐々木健介と馳浩の“試合後インタビュー”まで収録された本作は、《新人HMバンド、BLUE STEALERのデビュー作!(タイアップ:プロレスラーのテーマ曲)》というよりも、《佐々木健介ら新日レスラーのテーマ曲集(歌と演奏:BLUE STEALER)》ってなパッケージが前面に押し出されている作品であり、当時は「中途半端なデビュー作だなぁ」「納得いかない、ヴァー!」とか複雑な思いを抱いたものですが、今となっては「何であれ正式な音源を残す機会になったのだから良かったよ」とポジティブ・シンキング。
山本朋子のパワフルなハイトーンVoと、現在はソロ活動等でも知られる戸谷勉(G)を始めとする、楽器陣のスリリングな演奏が交錯する様式美ナンバーは、鋭利なGリフに先導され突き進む①、スピーディなインスト曲③、パワフル&キャッチーな⑤(インストVerの②も有り)等々、どれも良く出来ています。別に新日ファンでなくとも、様式美メタル愛好ならこれらの楽曲目当てでチェックする価値は十分にあるのではないでしょうか。


Blue Stealer - Take the Dream - Joker ~聖地へ~ ★★★ (2017-12-02 00:09:46)

アグレッシブなGリフと、それに対抗する
山本朋子の力強い歌唱を両軸に突き進む
様式美メタル・チューン。
新日本のプロレスラー、佐々木健介のテーマ曲…
って、売りになるのそれ?とか思ってしまい
正直、スマンカッタ。


Blue Stealer - Take the Dream - Take the Dream ★★★ (2017-12-02 00:22:20)

力強くキャッチーなサビのリフレインが秀逸なEP表題曲。
佐々木健介の入場テーマ曲として作曲されていて、
EPには歌入りバージョンとインスト・バージョンの2種類が収録。
前者が「ウィナー・バージョン」で後者が「入場バージョン」とのこと。

冒頭の「TAKE THE DREAM, LIKE THE STORM」のコーラス部分だけ使って
あとはBLOOD STAIN CHILDの“THE WORLD”に繋がって行くバージョンもある。
というかそっちの方が有名か?


C.I.A - Attitude ★★ (2007-09-30 12:54:00)

先日、NUCLEAR ASSAULTの一員として久し振りの来日を果たし、変わらぬ豪快なドラミングを披露した
グレン・エヴァンスのサイド・プロジェクトC.I.A.が、'92年に発表した2ndアルバム。
1st『IN THE RED』は国内盤も出てたけど、インディーズ・リリースの今回は残念ながら日本未発売。
とは言え、出来の方は1stに勝るとも劣らぬクオリティで、グレンはこれまで同様、作詞・作曲、
プロデュースから、全楽器パートまでこなす八面六臂の活躍っぷり。
内容に関しては、基本的には1stの路線を踏襲した、NA的な緊迫感よりも「勢い」や「ノリの良さ」が前面に押し出された
スラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっているものの、正統派へヴィ・メタリックな楽曲や、
バラードを演ってみたりと、曲調がかなりバラエティに富んでいた前作に比べると、今回は小細工抜きの直球勝負。
例えば“N.A.S.A."のような凝ったアレンジの楽曲が姿を消し、どの曲もシンプル且つストレートに
まとめられている辺りが、'92年という時代を感じさせる。
ともあれ、OPを飾るに相応しい走りっぷりを聴かせてくれる、バンドのテーマ・ソング①を筆頭に、アルバム全編に溢れる流行とは
無縁の「豪快な疾走感」は買いだし、特に、地響きを立てて突進しまくる⑤は個人的にイチオシの高速スラッシュ・チューン。
また、リードGとして本作に参加している、デイヴィッド・ディピエトロの弾きまくりのGプレイも
グレンのDsとタメを張る存在感を、本編中で発揮していてグー。
NA的な要素は余り感じられない作品ながら、スラッシャーには、1stよりも本作の方がお薦め。か?


C.I.A - Attitude - C.i.a. ★★ (2007-09-30 13:12:36)

アルバムのOPを飾る、バンドのテーマ・ソング。
スピーディに疾走するリズムに乗って、「C.I.A.!C.I.A.!」と
グレンがハイテンションでシャウトしまくる、
キャッチーというよりも分かり易く単純なサビがカッコイイ。


C.I.A - Attitude - Insecurity ★★ (2007-09-30 13:08:50)

地響きを立てて疾走する、2ndアルバムのハイライト・チューン。
全編疾走しまくりの2ndの中でも、そのカッコ良さは
頭1つ抜きん出ている印象を受けます。


C.I.A - In the Red ★★ (2006-12-08 23:31:00)

NUCLEAR ASSAULT(以下NA)のドラマー、グレン・エヴァンスのサイド・プロジェクトが、'90年に発表したデビュー作。
最近はソロ・アルバム(プロジェクト)でも「自分1人が目立つような作品は作りたくないんだ」と
大人な発言をするミュージシャンが増えたが、本作でのグレンは思いっきり目立ちまくり。
持ち前のドカドカと豪快なドラミングを駆使して楽曲を牽引し、アグレッシブにシャウトをキメ、
トドメにドラム・ソロ曲まで披露したり(あんまり大した曲じゃないけど/爆)と、ムチャクチャ楽しそう。
やっぱりソロ活動するなら、これぐらい自己主張しないとね。
で、作品の内容はといえば、これが音質にしろ楽曲にしろかなりラフ。NAからメタリックな整合感を差っ引いて、
代わりにパンクやロックンロールのノリをぶち込んだ感じ?正直、NAの音を期待するとスカされるが、
①③④⑤といったスピード・チューンは単純にカッコイイし、例えば同時期に発表されたジョン・コネリーの
ソロ・アルバムよりは、遥かにスラッシャー向き。いきなり正統派へヴィ・メタルな⑨、
グレンがじっくりと歌い上げるバラード⑩といった実験的な楽曲が並ぶ後半も、なかなか興味深いしね。
完成度を云々するよりも、聴いてるとグレンの楽しそうな顔が脳裏に浮かび、こちらまでハッピーな気分になれる1枚。


C.I.A - In the Red - N.A.S.A. ★★ (2006-04-30 00:21:06)

いきなり意表を突いて、深みのあるピアノの調べから曲がスタート。
如何にも「この後スピードUPしますよ~」と言わんばかりの重々しいイントロで焦らしまくるも、
実際に始まる本編はヘヴィ・リフがザクザク刻まれるミッドテンポ。
「でもこれはこれでカッコイイから良いか」と思いきや、何の前触れも無く、
勇ましくもキャッチーなサビをフルスピードで突撃開始・・・と、意外な展開の連続が楽しい。


CACOPHONY - Go Off! ★★ (2017-05-13 23:47:30)

デビュー作『SPEED METAL SYMPHONY』との間に、マーティ・フリードマンの『DRAGON’S KISS』、ジェイソン・ベッカーの『PERPETUAL BURN』というそれぞれのソロ・アルバム発表を挟んで、’88年にリリースされた2ndアルバム。
テンション高く展開されていくテクニカルなパワー・メタル・サウンドは基本的に前作と同路線。但し、マーティとジェイソンのコンビネーションはこれまで以上に円滑なものとなり、演奏の方もとにかく弾きまくっていた前作に比べ、猛烈に弾き倒す場面と抑えて聴かせる場面を弾き分ける等、よりメリハリの効いた内容に仕上がっています。
ダイナミズムが増したことで楽曲のプログレ・メタリックな印象にも拍車が掛かり、更に名手ディーン・カストロノヴォ(Ds)の助っ人参加がそれをブースト。SHRAPNELメタルらしい大味なアグレッションを剥き出しにしたかと思えば、突如バラード調に急展開したり、クラシカルなメロディと演歌調のメロディが随所でブッ込まれ、ハモったり絡んだりバトったりと2本のGは高難易度のプレイを情け容赦なくビシバシ決めまくる…といった具合に、最早「アバンギャルド」とすら評した良くなる楽曲の数々(④とか⑤とか)を初めて耳にした時は、楳図かずお先生ばりに吹き出しをガビガビさせながら「く、狂っている!」と呟きたくなる場面もしばしばでしたよ。
フックに乏しいぞんざいな歌メロを始め、相変わらずキャッチーさは毛ほども感じられない作風ではあるのですが、腕利きのミュージシャン達が醸し出す「やり切った」感に、聴く度に妙に圧倒されてしまう1枚であります。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony ★★ (2017-05-09 23:16:09)

80年代の速弾きギタリスト・ブーム最中に頭角を現しつつあったマーティ・フリードマンと、ジェイソン・ベッカー(当時若干17歳!)が、SHRAPNEL RECORDS首領マイク・ヴァーニーの仲介を得てCACOPHONYを結成、'87年に発表したデビュー作がこちら。
正確無比な運指でクラシカルなフレーズを流麗に紡ぐジェイソンと、隙あらば演歌チックな泣きメロをブッ込んで来るマーティによる、テクニック全開の高性能ツインGが縦横無尽に駆け巡るアグレッシブなパワー・メタル・サウンドは、ファンがこの組み合わせに寄せる期待にバッチリと応えてくれる方向性です。
但し、抜けの悪いプロダクションの下、無理くりヘヴィに歌おうとしているせいで精彩を欠くピーター・マリノ(元LE MANS)のVoといい、技巧の盛り込み過ぎで難解な印象すら漂う楽曲といい、キャッチーさは皆無。万人にお薦め出来る作品かっつーと「これよりマーティとジェイソンのソロ作を先に聴いた方が良いんじゃね?」という。まぁSHRAPNELメタル愛好家にしてみりゃ、そうした歪さ込みで「らしい作品だなぁ」ってなもんですが。
少なくとも個人的には、疾走感に貫かれたプログレ・メタリックな②、東洋風メロディ満載で贈る③(ニンジャー!)、そして『SPEED METAL SYMPHONY』のタイトルに相応しい劇的さで本編を締め括る⑦等、バカテク・ギタリスト2人の才気迸る競演を追いかけているだけで十分に耳が幸せですよ。
次作『GO OFF!』(’88年)は更にアバンギャルドな方向へ向かって突き進みますので、CACOPHONY入門盤にするなら本作の方がお薦めです。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony - Speed Metal Symphony ★★★ (2017-05-09 23:36:49)

10分近くに及ぶ複雑且つ劇的な曲展開の中を、
ジェイソンが奏でるクラシカルなメロディと
マーティが紡ぐ東洋風メロディがテクニカルに乱舞する
アルバムのラストとハイライトを飾るインストの名曲。
表題に偽りなし。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony - The Ninja ★★★ (2017-05-09 23:28:58)

ニンジャー!
日清どん兵衛のかき揚げばりに
後乗せサクサク感(取って付けた感)満載の
Voはフックに欠けること夥しいですが、
その分マーティとジェイソンの高性能ツインGが
主題に相応しく東洋風メロディの大盤振る舞いで
歌いまくっていますので、帳尻は合っています。


CAMEL - Nude ★★★ (2021-12-28 00:35:59)

フランス映画『ONODA』を見たことでふと聴き直したくなって引っ張り出してきた、CAMELが'81年に発表した9thアルバム。邦題は『ヌード~Mr. Oの帰還』。
太平洋戦争終結後も29年間にわたりフィリピン・ルバング島に潜伏し続けた日本兵、小野田寛郎(タイトルの「ヌード」は「オノダ」のもじりなのだとか)の実話に着想を得たコンセプト・アルバムであり、フジヤマの描かれた日本画調のジャケットこそジャパネスク風味全開ですが、音楽性に奇をてらった「和」のテイストは殆ど感じられないのでご安心を。いやちょっぴり残念なような?
徴兵から南方戦線での長く孤独な戦いを経て日本へ帰還…という波乱万丈のストーリーに対し、サウンドの方はほぼアンディ・ラティマー(G)のソロ・プロジェクトと化していたこの時期のCAMELの作風を継承する、淡くポップな抒情メロディに彩られた(例えばASIA辺りにも通じる)洗練されたプログレ・ハード路線。一発でハート鷲掴みというよりは、聴くほどにじわじわ作品世界に惹き込まれていく味わい深い仕上がりとなっています。
こうした作りに物足りなさを表明する向きもあるやもしれませんが、曲間を廃して流麗に紡がれていく本編の緩急演出にはしっかりと気は払われており、穏やかな曲想を基調としつつも冗長感は皆無。特にラティマーのエモーショナルかつ抒情的に歌うGも曲展開を盛り上げる④⑤、そしてプロレス・ファン的には思わず「前田コール」を送りたくなる⑪といった楽曲からは、プログレッシブ・ロックらしいドラマ性が迸っていますよ。
題材的にもクオリティ的にも、一度はチェックしておいて損はない名作ではないでしょうか。


CAMEL - Nude - Beached ★★★ (2021-12-29 01:36:05)

メロディアスに歌うアンディ・ラティマーのギターを
伴って軽快に疾走するハード・ナンバー。
タメを効かせながらドラマティックに盛り上がり、
ブランクなしで繋がってくる前曲〝DOCKS”とセットで
アルバムのハイライトを形成しています。


CAMEL - Nude - Captured ★★★ (2021-12-29 01:50:15)

前田日明のテーマ曲としても知られる勇壮かつファンタジックなインスト・ナンバー。
なんでCAMEL?と思いましたが、新日は結構プログレッシブ・ロック・ナンバーを
レスラーの入場テーマとして採用していたので、その流れなのでしょうか。


CANCER (2014-12-03 22:39:59)

JUDAS PRIESTやBLACK SABBATHから受けた影響を、VENOM、BATHORY、CELTIC FROSTといったブラック・メタル・フィルター越しに料理した感じのエクストリームなメタルを演るべく、イギリスはテルフォードにて'87年頃に結成。パブで駄弁ってた際の友人の発言が切っ掛けとなり、CANCERを名乗る。
ここ日本では、BURRN!!誌から4点を献上されたことで話題となった(?)1st『TO THE GLORY END』を手始めに、5枚のアルバムを発表した後(大きく音楽性を拡散させた4th『BLACK FAITH』は日本盤もリリース)、活動停止。
いつしかデス・メタル・レジェンド化していた彼らだが、近年、再結成を果たして活動中。長らく入手困難だった旧譜も復刻された。