この曲を聴け!
火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100
5X

MyPage

火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72
モバイル向きページ 


101 SOUTH - 101 South ★★★ (2020-08-18 01:02:41)

HARLAN CAGEや近頃再結成を遂げたFORTUNEでの活動を通じてメロディ愛好家から厚い信頼を勝ち取るロジャー・スコット・クレイグ(Key)が新たに立ち上げたプロジェクト、101 SOUTHが'00年にMTM RECORDSから発表した1stアルバム。
Voは長年の相棒ラリー・グリーン…ではなく、’14年にソロ・デビューも飾っているグレゴリー・リン・ホールなる人物ですが、流石にロジャーのお眼鏡に適ったシンガーだけあって歌唱能力には一点の不安もなし。太めのハスキー・ボイスを駆使するマイルドな歌いっぷりは、むしろこれ程の実力者がローカル・レベルでくすぶっているアメリカのHR/HMシーンの層の厚さに驚かされるぐらいですよ。
力強く重厚な②、アップテンポでキャッチーな⑤、憂いを湛えたコーラス・ワークが胸に迫る⑥等、「よくもまぁこんなグッとくるメロディを考え付く」ってな職人技が冴え渡り、こちらの泣きのツボを押しまくる哀メロに彩られた収録曲の粒の揃い具合は、ロジャー絡みの作品の中でもトップクラスと言えるレベル。結構最近まで本作はおろか、バンドのことすら知らずに過ごしてきた我が身を悔やまずにはいられませんて。
特に絶品の歌声を得て、暖かみに溢れたヴァースから悲哀に満ちたコーラスへと移調しながら盛り上がっていく(ほんのりプログレ・ハード風味あり)④と、本編中最もHR色が濃い仕上がりながらもサビメロの劇的さにハートを撃ち抜かれる⑫は、00年に聴いていたら間違いなくその年のベスト・チューンに選出していたであろう名曲。
復活FORTUNEには不参加のロジャー、ならこっちで新作を出してくれないものか。


101 SOUTH - 101 South - Live for the Moment ★★★ (2020-08-19 01:32:59)

アルバムを締め括る(日本盤はこの後にボーナス・トラックがあるのですが)
本編中最もロック・テイストが色濃く打ち出されたハード・ナンバー。
シンガーが男性的な歌声で熱唱する、フックの効きまくったサビの哀メロっぷりにうっとりですよ。


101 SOUTH - 101 South - Your Razor Is Sharp ★★★ (2020-08-19 01:37:28)

憂いを帯びたメロディが、サビへ向かって徐々に盛り上がっていき
劇的なコーラスで力強くハジける曲展開がエクスタシー
ロジャー・スコット・クレイグの天才メロディ・メイカーぶりが堪能できる名曲です。


1ST AVENUE - Daily Battle ★★ (2013-05-05 21:59:09)

90年代にちょっとしたセンセーションを巻き起こしたオランダの貴公子、ロビー・ヴァレンタインがソロ活動以前に在籍していたことで知られるバンドが
、'94年に発表した2ndアルバム兼最終作。
その彼がKey奏者として全面参加、一部曲作りにもタッチしている本作で披露されているのは、グルーヴィなロック・ソングから壮大なバラードまでバラエティ豊かに取り揃えられた、ロビー様のソロ作と趣きを同じゅうするメロディックHRサウンド。尤も、アレほどの大仰さやシアトリカルなドラマ性は感じられず、全体的にモダンで、よりAOR路線を志向しているのが特色。
強力なキメ曲が見当たらない本編は小粒にまとまっている印象も拭えませんが、そのぶん妙なクセがないので、すんなりと彼らが作り出す(国内盤解説で評されているところの)「シネマ・ロック・ワールド」へと入っていくことが出来るのが魅力。
爽快な曲調にロビーのKeyがフレッシュな色彩を加える①⑤、キャッチーなハードポップ⑥、ドラマティックな曲展開が感動を盛り上げるバラード⑧なんかは、VALENTAINEファンにも大いにアピールする魅力を備えた楽曲ではないでしょうか。


220VOLT - 220 Volt ★★★ (2013-05-28 22:08:41)

'83年発表の1st。かつて本作を購入しに店へ足を運んだ際、何をトチ狂ったのか「220ワットのアルバムありませんか」と電球感覚で店員に尋ねてしまい、いらん恥をかいたことでも思い出深い1枚であります。
前面に押し立てられたツインGが奏でる、陰りを湛えた美旋律/叙情メロディとがてんこ盛りに盛られたサウンドは、「ザ・北欧メタル」な魅力を判り易く体現する一方で、安普請な四畳半プロダクションと、肺に穴が開いててそこから空気が漏れてんじゃねえの?と思ってしまうぐらいパワー不足なVoの存在がネックとなり、どうにも垢抜けない雰囲気によって作品全体が覆われています。
尤も、こうした頼りなさが、良くも悪くも本作の「北欧メタルっぽさ」を底上げしている感もあるので、個人的には大してマイナス・ポイントとは思っていないのですが・・・。
特に、全編に亘って胸に沁みる泣きメロと叙情フレーズをぶっ込んで来るツインGは、そうした部分を十全にカバーする素晴しさを発揮。女性Voとデュエットを聴かせる陰気な泣きのバラード④や、RIOTの“WARRIOR”ばりに疾走する⑨は、アルバムのハイライトにして初期220VOLTの魅力が凝縮された名曲。
飽くまでジャンル・ファン向けの内容ですが、だからこそ、ジャンル・ファンなら必聴の1枚ではないかと思うわけです。


220VOLT - 220 Volt - Child of the Night ★★ (2013-05-29 22:32:58)

3分弱のタイトなランニング・タイムの中を
エッジの立ったGリフ主導でアグレッシブに
突っ走る様は、NWOBHMからの影響を強く伺わせます。
疾走するツイン・リードGの劇的に☆二つ。


220VOLT - 220 Volt - Nightwinds ★★★ (2013-05-29 22:13:27)

どこか素っ頓狂な女性Voと、パワー不足の
男性Voのデュエットは不安定極まりないですが
彼らが歌う憂いを帯びたメロディ、
それに陰気且つ劇的な2本のGの泣きっぷりは
それらをカバーして余りあるほどに魅力的。


220VOLT - 220 Volt - Prisoner of War ★★ (2013-05-29 22:27:34)

シンプル且つ荒々しくギャロップするHMナンバー。
デビュー・シングルとしてリリースするや
なぜか海を越えたアメリカのラジオ局で人気を博し
結果的に、バンドにメジャー・レーベルCBSとの
契約をもたらした220VOLTの代表曲の一つ。


220VOLT - 220 Volt - Woman in White ★★★ (2013-05-29 22:21:38)

RIOTの“WARRIOR”を彷彿とさせるイントロで
いきなりテンションMAX。非力な歌が入ってきて
ズッコケますが、その彼が拾う歌メロは十分魅力的ですし、
疾走しても透明感を失わないメロディ、哀愁を帯びて
乱舞するツインGの旨みには、北欧メタル・バンドとしての
220VOLTの魅力が凝縮されています。


220VOLT - Eye to Eye ★★ (2015-10-06 01:27:08)

EUROPEの成功劇に刺激され、その後に続かん!とばかりに、アメリカナイズされたコマーシャル路線へと転進を試みた'88年発表の4thアルバム。
売れっ子マックス・ノーマンのプロデューサー起用、タイトに締まった音作りから、分かりやすく整理された曲展開、キャッチーさをいや増したメロディ、そして盛り盛りのコーラスに至るまで、バンド側の「アメリカで売れたるでぇ!」との熱い野望をヒシヒシと伝えるかのように躍動するサウンドは、「田舎臭さも北欧メタルの魅力だよな」とかのたまう難儀なジャンルファン(俺)以外にも十分アピールし得る、220VOLTの代表作に相応しい洗練された佇まいを獲得しています。
さりとて、北欧メタル・テイストが完全に失われてしまったわけじゃなく、例えば疾走ナンバー⑦におけるスリリングなツイン・リードGの用い方や、淡い哀感に覆われたアルバム表題曲④、名曲と評判のバラード⑤等からは、隠そうとしても隠し切れないバンドの出自がチラ見え。1st『220VOLT』をこよなく愛する我が身を安堵させてくれます。
結果的に本作は思ったような成功を収めることができず、220 VOLTは解散の道を選択するものの(後に復活)、彼らとしてはここまでやり切ったのなら、無念さはあっても後悔はなかったのでは?と思わせてくれる1枚でありました。


220VOLT - Lethal Illusion ★★★ (2018-03-05 23:03:36)

「ポストEUROPE」の有力候補バンドの一つだったスウェーデンの5人組が’97年に発表した5枚目のスタジオ・アルバム。4th『EYE TO EYE』(’88年)からかなり間隔が空いたため、てっきり再結成作だとばかり思っていたのですが、実際は『EYE~』発表後のセッションで作り溜められたものの、リリースの機会がないままお蔵入りしてしまっていた楽曲を、バンド解散後に取りまとめた未発表音源集だったという。
基本的な作風は、アメリカでのサクセスを目指してプロデューサーにマックス・ノーマンを起用、スッキリと洗練され垢抜けた前作と同一路線。…いや寧ろ過剰な装飾を排してシンプルにロックしている点では90年代らしいサウンドと言うべきか。陰気や、泣きの美旋律といった初期北欧メタル要素は殆ど見当たりませんが、それでも楽曲の質の高さ、わけてもメロディ・センスの良さはしっかりとキープされているのだから流石ですよ。
ゆったりとスケールの大きなテーマ・メロディが印象的な①、ミッド・テンポで哀愁を振り撒く④、ダイナミックに跳ねるロック・チューン⑤、流麗なGソロが華やかな彩りを加える⑥、穏やかな前半とテンポアップする後半のコントラストも鮮やかな⑧、ドラマティックなバラード⑫等、本作に収められた優れた楽曲の数々を耳すれば、バンドがその存在を未発表のままにしておくことを惜しんだ気持ちがよく分かります。あと個人的には、500枚限定でリリースされた220 VOLT幻のデビュー・シングル音源⑭⑮の収録が嬉しい。聴き比べれば未熟さは明らかなれど、この2曲目当てで本作を買ったことを思い出しましたよ。
未発表音源集と言えども、決して前4作に聴き劣りしない質の高さを誇る1枚です。


220VOLT - Lethal Illusion - Private Queen ★★★ (2018-03-05 23:23:50)

Voの歌唱力から曲調まで、
初期の頃に比べスッキリと洗練されています。
バンドのメロディ・センスの良さが
如何なく発揮された哀愁のロッカ・バラード。


220VOLT - Lethal Illusion - Shotgun Sally ★★ (2018-03-05 23:08:15)

「ヒーハー!」という陽気な掛け声から
軽快に走り始めるノリの良いロック・チューン。
DEEP PURPLEの“HIGHWAY STAR”から影響を受けたと
メンバーが語る華やかなに迸るGソロが
良いアクセントになっていますね。


220VOLT - Lethal Illusion - The Great Escape ★★★ (2018-03-05 23:13:58)

乾いた哀愁漂わせたバラードリーな前半
(言われてみると確かに“すべては風の中に”っぽい)と
テンポアップしてハードロッキンに疾走する後半と
一粒で二度美味しい名曲。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three ★★★ (2020-10-29 01:12:30)

EMERSON, LAKE & POWELLがアルバム1枚きりで瓦解。グレッグ・レイクとヨリを戻して目論んだEL&P復活もグレッグの再離脱で頓挫してしまったキース・エマーソン(Key)とカール・パーマー(Ds)が、代打ちとしてGTRのロバート・ベリー(Vo、B、G)をメンバーに加え、EB&Pならぬ「3」名義で'88年に残した唯一のアルバムがこちら。
かなりコマーシャルな方向へ寄せた作風ゆえ、廃盤のCDは再発もかからず長いこと黙殺状態が続く不遇な1枚ですが、個人的にはバリバリ売れ線を意識している割に70年代に刻んだ偉大な足跡や、あるいはミュージシャンとしての拘りが足枷となって、ポップになりきれず、かといってプログレッシブ・ロック物としても生煮えな仕上がりとなってしまった作品よりも、本作の方が聴き直す頻度も好感度も高いぐらいですよ。
特に、この後もALLIANCE等で優れたメロディメイカーとしての才能を発揮するロバート・ベリーの貢献は大きかったようで、サビメロが実にキャッチーな③とか甘くポップな⑥辺りは、彼の作曲力を得て開き直ったバンドの姿勢が「吉」と出た名曲じゃないでしょうか。
まぁキース・エマーソンのKeyは脇役に甘んじたりはせず、相変わらずリード楽器として前へ前へ出張ってきているのですが、これはこれでありがちなAOR/産業ロックと一線を画すための重要な個性となっていますので無問題。
個人的には再評価を望みたい1枚です。ちなみにキース・エマーソン死去後、ロバート・ベリーは彼とのコラボ曲等を取りまとめたアルバム『THE RULES HAVE CHANGED』を「3.2」名義でリリースしていますので、よろしければそちらも是非。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Chains ★★★ (2020-10-30 00:48:39)

ロバート・ベリーの秀逸なメロディ・センスが活かされた
キャッチーなハードポップ・ナンバー。プログレっぽさを求めるリスナーには
噴飯モノかもしれませんが、ここまで開きなってくれればいっそ清々しいというもの。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Runaway ★★★ (2020-10-30 00:57:43)

一度聴けば覚えてしまえそうなキャッチーなコーラスが
印象的なハードポップ・チューン。当然ロバート・ベリーのペンによる。
派手に個性を主張しつつも、軽快に弾む楽曲を高揚感を湛えて盛り上げる
間奏部におけるキース・エマーソンの仕事ぶりにも花丸を差し上げたくなります。


3 INCHES OF BLOOD - Advance and Vanquish ★★★ (2011-01-27 23:05:37)

メタルコアか、はたまたラウド・ロックかというバンド名とは裏腹に、NWOTHMがブームとなる以前からオールドスクールなメタルを追求し続けていたカナダ出身の6人組が、ROADRUNNER RECORDSと契約後の'04年に発表した(日本デビュー作でもある)2ndアルバム。
同一のテーマを掲げる楽曲①⑥⑬を要所に配して本編をドラマティックに盛り上げる構成に、コッテコテの歌詞世界、IRON MAIDEN直系のツインGや骨太な疾走感に満ちたリズムなど聴き所は多々あれど、何と言っても本作(というかこのバンド)最大のセールスポイントは、耳をつんざくカミソリ・ハイトーンVoと、ブラック・メタル型絶叫Voを繰り出す2人のシンガーの存在。特に「ロブ・ハルフォード+キング・ダイアモンド」とも評されるカム・パイプスのシャウトは強烈極まりなく、また、この手の個性的な声質を誇るシンガーってのは案外歌メロが退屈な事が多いのだが、彼の場合、自分の武器にべったり頼り切ることなく、ちゃんと練った歌メロを聴かせてくれる点が頼もしい。劇的な⑤なんて歌メロのカッコ良さがあったればこその名曲だ。(スラッシーな②も良いね)
「この御時世に正統派HMを演ってるから偉い」のではなく、「クオリティの高い正統派HMを演ってるから偉い」と評価したい1枚。まぁ、チープに感じられる部分がないわけじゃないけど、それも本作に宿るメタル魂の圧倒的熱量の前には些細な問題ですって。


3 INCHES OF BLOOD - Battlecry Under a Winter Sun ★★ (2011-02-12 01:07:15)

ツインG(結成当初はトリプルG編成だったらしい)のみならず、ヒステリックなハイトーンを武器に歌いまくるカミソリVoと、ギャアギャア喚き倒すブラック・メタル型Voというタイプの異なる2人のリード・シンガーも擁する6人編成の大所帯バンドが、'02年に発表した自主制作の1stアルバム。
この時点で既に「NWOBHM、スラッシュ・メタル、デス/ブラック・メタルのエッセンスも取り込んだトラディショナルな正統派HM」という方向性が、全くブレずに見据えられていることに先ず感心。
プロフェッショナルな制作環境が整う次作以降と比較すると、音質はチープだし楽曲も荒削り、未整理なハイトーンVoとデス声Voの絡み具合などアレンジ面の詰めの甘さも目に付くが、ともかく勢いと熱さ(暑さ?)は有り余るぐらいに十分。
ドラマティックなツインGの重ね方や小気味良いBの動きっぷり等、IRON MAIDENへの熱烈な憧憬を、猥褻物陳列罪レベルでモロ出しにしつつ突っ走る収録楽曲の数々は後の躍進を予感させるに十分な輝きを放っており、特に、MANOWAR辺りに通じるヒロイックな空気を纏った蛮勇ソング①④、繊細に爪弾かれるアコギが東欧民謡風の物悲しさを漂わすインスト曲⑥から繋がっていく攻撃的な⑦、そして思わず一緒に叫びたくなるコール&レスポンス・パートをフィーチュアする⑪といった楽曲は、メタル者の魂に訴えかけて来るサムシングを備えた逸品です。
元ネタを消化することなくそのまま誇示しちゃうフルチンっぷりも含めて、デビュー作ならではの荒っぽさが微笑ましい1枚。


3 INCHES OF BLOOD - Fire Up the Blades ★★ (2011-02-15 23:00:56)

本作リリース後、デス声担当のジェイミー・フーパーがバンドから離脱したため、ツインVo編成としては最後の作品となった、'07年発表の3rdアルバム。
プロデューサー兼アドバイザーとして、ツアーを通じて知り合ったSLIPKNOTのジョーイ・ジョーディソンが迎えられた影響か、硬質にビルドアップされたサウンド・プロダクションの下、デス声パートを増量し、時にブラスト・ビートを交えつつソリッドに突っ走る楽曲の数々は、これまでになく攻撃的でハードコアな面構えを覗かせる。
勿論、IRON MAIDENからの濃厚な影響を基調とする、野蛮で勇壮な彼ら流の正統派HMサウンドは不変であり、それは、マーチング・ドラムに乗って2本のGが劇的にハモリ倒す序曲①を皮切りに、切っ先鋭く攻め込んでくる②③④といったスピード・ナンバーによる序盤の畳み掛けに明らか。ガッツポーズ物のツインGのみならず、様式美BLACK SABBATH的な展開部も組み込まれた⑥なんて、これまでの彼らの楽曲の中でも頭抜けた名曲の一つですよ。
また今回は④⑤⑬等、Keyサウンドがアクセントとして導入されている楽曲がチラホラ目に付くが、モダンさやデジタリィな雰囲気演出のためではなく、飽くまでHMの様式に則った使用法でドラマティックな効果を上げているのため無問題。
全体的に、スピード感やデス/ブラック・メタル分の増強に焦点が当てられているため、カム・パイプス(Vo)が歌うメロディのフックが弱まったように感じられるのが残念だが(特に本編後半)、まぁこの辺は好みの問題かな。
完成度は高いです。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom ★★★ (2010-12-25 22:55:39)

昨今流行の長めなバンド名といい、SLIPNOTのジョーイ・ジョーディソンがお気に入りバンドとして彼らの名を挙げ、3rdアルバムのプロデューサー兼アドバイザー役を買って出たというエピソードといい、てっきり「オーセンティックなメタルの要素も取り入れたラウド・ロック、ないしはメタルコア・バンド」かと思っていたのですが、聴いてびっくり。'10年発表のこの4thアルバム(邦題『破滅のへヴィ・メタル』)に詰め込まれているのは、カナダ出身らしく(?)EXCITERのダン・ビーラーの系譜に連なるカミソリ・シャウトを轟かせるVo、劇的なハーモニー・プレイからIRON MAIDENに対する熱烈な憧憬が滲み出るツインG、頭を振るのに丁度良いスピードでビートを刻むリズム隊とがパワフルに押し出してくる、野蛮で武骨で勇壮な、混じりっけなしの正統派HMサウンドじゃありませんか。
力強く疾走する好戦的なOPナンバー①、刺々しくもキャッチーな③、スラッシーなアグレッションを発散する⑥、2本のGを活かしたドラマティックなエピック・チューン⑨等、収録曲は何れも一騎当千の強者揃いながら、取り分け、豪快に鳴りまくるDs主導でガンガン突進する⑦は、これ聴いて血が滾らないメタル者はおらんでしょう!と、思わずクリスマスの街行くカップル達に詰め寄りたくなるぐらい力瘤る名曲。各曲につけられているMANOWARばりに大仰な邦題もイカしてますねぇ。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - All of Them Witches ★★★ (2010-12-25 23:28:51)

邦題は“魔女を燃やせ!”
抑え気味のイントロからスタートする
本編随一の長尺を誇るドラマティックな
エピック・チューン。
よっ、正統派!と思わず声を掛けたくなる
劇的なユニゾン・プレイを聴かせてくれる
ツインGが良い仕事をしてくれています。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Battles and Brotherhood ★★★ (2010-12-25 23:09:33)

刺々しいリフ、ヤスリ声のVo、
適度なスピードで疾走するリズム、
一緒に叫びたくなるサビメロ、
そしてドラマティックに絡む2本のG・・・と、
好戦的で野蛮な「これぞメタル!」なOPナンバー。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Call of the Hammer ★★ (2010-12-25 23:16:47)

畳み掛けるような疾走感がスラッシュ・メタルからの
影響を伺わせる、3rdアルバム随一のスピード・ナンバー。
無心に頭振るには持ってこいの1曲ですね。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Silent Killer ★★ (2010-12-25 23:12:58)

邦題は“静かなる殺人者”
初期IRON MAIDENを思わせる尖がった疾走曲だが、
のみならず、ノリ良くキャッチーな曲調が素晴しい。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Snake Fighter ★★★ (2010-12-25 23:22:18)

邦題は“蛇戦士”(そのまんまだな)
豪快且つキャッチーなドラムが楽曲のカッコ良さを
一層引き立てている名曲で、炸裂感満点のDs、
バックに薄っすらと流れるKey、そしてVoが独特の
カミソリ声を駆使して曲タイトルを連呼するクライマックス部分は
「メタル好きでこれ聴いて血が滾らねぇ奴はいねえ!」
と思わず断言したくなるほどのカッコ良さ。
個人的にはアルバムで一番好きな曲かも。


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal ★★★ (2012-05-31 22:55:57)

RAINBOWとメタルに対してリスペクトを捧げるタイトルのみならず、内容の方も最高な'12年発表の5thアルバム。
ウド・ダークシュナイダーを先鋭化させたようなカム・パイプス(Vo)のカミソリ熱血ハイトーンVoを筆頭に、隙あらば劇的なユニゾン・プレイを決めまくるツインG、それにガッチリとボトムを支える骨太且つ強固なリズム・セクションに至るまで、各パートが益々ビルドアップされており、バンドが前作『破滅のへヴィ・メタル』以来、より強靭に、よりドラマティックに成長を遂げたことがひしひしと伝わってくる仕上がり。これで更にサウンドに重厚感が加われば「新世代のACCEPT」にすらなれる逸材だと思うのですが、一方でこの荒っぽい前のめり感覚も失っては欲しくないような・・・。
JUDAS PRIEST調のイントロとIRON MAIDENばりのインスト・パートを兼ね備えた勇猛にして劇的な①、デス・メタルのエッセンスも飲み込んだ刺々しく緊迫感に満ちた③、スラッシーに突貫する⑧、ノーマル・ボイスによる歌い上げも導入された男泣きのエピック・ソング⑪等、本編に収められた楽曲はいずれも聴いているだけで血沸き肉踊る逸品揃いですが、中でも一際強烈なインパクトを誇るのが、故ロニー・J・ディオに捧げられている⑥。GリフとサビメロはDIO風、ツインGとオルガンが活かされたスリリングなインスト部分はDEEP PURPLE風、それでいて出来上がった楽曲は紛う方なき3 INCHES OF BLOOD印という隙のない名曲です。
「バンドの最高傑作」との評価にも大いに頷けるクオリティが提示されている、益荒男メタルの力作。


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal - Look Out ★★★ (2012-06-02 00:01:59)

ロブ・ハルフォード、キング・ダイアモンド、
ウド・ダークシュナイダー、ダン・ビーラーといった
攻撃的なハイトーンを聴かせてくれるシンガーと
比較される機会の多いカム・パイプスですが、
ロニー・J・ディオに捧げられたこの疾走ナンバーでは、
その歌唱はそこはかとなくロニー風に聴こえます。
キャッチーなGリフとサビメロがDIO風だからかもしれませんが。
それにして、劇的なツインGと、DEEP PURPLEか
はたまたURIAH HEEPかといった趣きのオルガン・ソロが
駆け抜けていくインスト・パートが無茶苦茶クール!


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal - Men of Fortune ★★★ (2012-06-02 00:04:44)

押しと引きを心得た曲展開でもって、
7分に及ぶ長尺を飽きさせることなく
聴かせ切る、本編のクライマックスを
飾るに相応しいエピック・ソング。
珍しく(初?)ノーマル・ボイスでの
メロディアスな歌い上げがフィーチュアされた
中盤における、哀愁に満ちたメロディが
素晴しく胸を打ちます。


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal - Metal Woman ★★★ (2012-06-02 00:06:49)

このタイトルで、2本のGがその威力を如何なく発揮した
JUDAS PRIESTを思わせる劇的なイントロダクションと、
IRON MAIDENばりの構築美に満ちたインスト・パートを
備えているのですから、素晴しくないわけがありません。


3RD STAGE ALERT - 3rd Stage Alert ★★★ (2019-12-04 00:51:11)

『METAL MASSACRE 2』に参加して知名度を高めたLA出身の5人組が、’85年にMETAL BLADE RECORDSに残したデビュー作にして唯一作の5曲入りEP。当時日本盤もちゃんとリリースされており(同じマネージメントに所属していたALCATRAZZの前座で来日計画もあったとか)、90年代には世界に先んじて日本で初CD化も実現しています。
Dsを叩いているのがマーク・エドワーズ、Bはロン・マレーというSTEELER人脈に連なるバンドで、それが縁でか我らのイングヴェイがプロデュースを担当(『MARCHING OUT』よか余程音質が良くて笑う)。あとKeyをHELLIONのアン・ボレインが弾いていたりと、レコーディングに関わっている面子は結構豪華ですよ。
「インギーが面倒見たバンド」という一点でのみよく知られている彼らですが、出している音は別にネオクラシカル路線ではなく、派手さよりも寧ろ滋味が勝るDEEP PURPLE~RAINBOWに通じるオーセンティックな正統派HM。デヴィッド・ドゥルーリ(Vo)の歌唱がグラハム・ボネット激似なのもそうした印象に拍車を掛ける。派手さはなくとも、テクニカルなツインGをフィーチュアした収録曲はどれも味わい深く、特にD P感を溢れさせながら躍動する疾走ナンバー③は出色の出来栄え。またクラシカルな⑤にはイングヴェイが客演、一聴でそれと分かるGプレイを閃かせてくれてもいます。
わずか5曲ながら十分に満足感を味あわせてくれる1枚。尤も、どうせなら『METAL MASSACCRE 2』に提供していた名曲“MIND INVADER”もボートラとして収録してくれれば良かったのに…とか贅沢言いたくなるのが人情というものですが。


3RD STAGE ALERT - 3rd Stage Alert - Superstar ★★★ (2019-12-04 23:55:17)

演奏はテクニカルだけど、音符で空間を埋め尽くすSHRAPNELメタルとは異なり、
適度に隙間を設けて疾走する曲調からは、DEEP PURPLEやRAINBOWに通じる
オーセンティックなHRの薫りが漂ってきます。


44 MAGNUM - LIVE ACT II ★★★ (2021-06-29 00:11:23)

MARINO、RAJAS、X-RAY、MAKE-UP…次々にCDで復刻されるジャパニーズ・メタルの名盤を片っ端から買いまくっていた90年代。当然44 MAGNUMのカタログにも手を伸ばしたのですが、当時は「和製MOTLEY CRUE」との評判に対する先入観もあり、さして聴き込むことなくアルバムを手放してしまい、彼らのことを見直すのはもうしばらく経った後、このライブ盤を入手するまで掛かることになったという。
本作は'85年7月に渋谷公会堂にて行われた公演の模様を、LP時代は2枚組、全18曲というボリュームで収録した実況録音盤で、LPリリース時のD面にはロンドンのカムデンパレスで行われたライブ音源4曲も収録されていました。(CDではカット。現在は復活済み)
やたらフェードアウトが目立ったりと粗めの編集は多少気になるところではあるものの、HM時代を総括するかの如く初期3作から名曲を選りすぐったセットリストに加えて、MCからシャウトまで絶好調で飛ばしまくるポール(Vo)を筆頭に、上り調子のバンドの勢いを如実に反映した前のめりのパフォーマンス、それに「打てば響く」オーディエンスの熱狂的な反応までが揃えば、最早そんなことは枝葉末節。特に疾走感溢れる⑦、ハイテンションなコール&レスポンスが繰り広げられる⑨、一転してじっくりエモーションを吹き込む感動的な⑩、客席の合唱も取り込んで猛然と走り抜ける⑭といった、バンドと観客のエネルギーが真っ向ぶつかり合う名曲の盛り上がりは圧巻です。
勝手に想像してた軽薄さは皆無であり、寧ろパワーメタル顔負けの迫力に圧倒される1枚。下手なベスト盤に手を出すよりも本作を入門盤代わりにどうぞ。


5X (2011-09-15 22:44:39)

5X!
失恋船長さんはアルバムをお持ちなんですね。羨ましい限りです。
90年代にCD化されていたことを当時は全く知らず、
その後、カルメン・マキ絡みの作品が次々に紙ジャケ化された時も、
なぜか5Xの作品だけはスルーされていましたし・・・。
 
ダウンロードしたろかいな。


5X - CARMEN MAKI'S 5X ★★★ (2013-03-15 22:57:35)

高崎晃(G)やミッキー吉野(Key)がゲスト参加している、'83年発表の2ndアルバム。
あんまりメタルっぽくないアートワークに訝しみつつ再生してみると、流れ出すのは、来生悦子提供のバラード“LOVE IS FAIDING”や、ボビー・ヘヴの代表曲“SUNNY”のカヴァーを収録する等、やや音楽性を拡散させたサウンド。
勿論ハードネスやヘヴィネスは必要にして十分保たれてはいるのですが、全体的にヘヴィ・メタリックな猛りや疾走感よりも、カルメン・マキの「歌」が主役に据えられている印象があって、その作風は丁度、カルメン・マキ&LAFFと5Ⅹの1stの中間ぐらい。あ、だから本作は「CARMEN MAKI'S 5X」名義で発表されたのか?
とは言え、この質の高さはお見事。マキ姐さんのシンガーとしての資質が十全に活かされた、春日博文作曲のOPナンバー“FANTASY”から、ジョージ吾妻(G)を筆頭に、楽器陣の緩急自在の演奏が映える70年代HR風ラスト・ナンバー“LOVE CONFESSION”に至るまで、派手さはなくとも、聴き込むほどにどんどん味わいが増す1枚に仕上がっております。
よくぞ再発してくれました。感謝。


5X - CARMEN MAKI'S 5X - FANTASY ★★★ (2013-03-15 23:02:13)

前作でも“MIDNIGHT TRAIN”に歌詞を提供していた
春日博文ですが、今回もアルバムのハイライト級の
名曲を提供してくれています。
付き合いの長さゆえか、やはりこの人が作る楽曲は
カルメン・マキというシンガーの実力を
120%引き出してくれているような気がしますね。


5X - CARMEN MAKI'S 5X - LOVE CONFESSION ★★★ (2013-03-15 22:59:50)

まさしくアルバムのクライマックス。
ヘヴィ・メタルというよりは70年代HR的な
タメの効いた盛り上がりっぷりで
だからこそシンガー/楽器陣の達者さが光ります。
特にジョージ吾妻のGプレイは圧巻!


5X - HUMAN TARGET ★★★ (2013-02-11 19:06:10)

何気なく5Xの名前を検索したら、いつの間にか彼らのカタログがリイシューされていた事実に辿り着き、思わず盛大に鼻水を噴射。しかも更に調べてみれば、来る3月にはライブ盤や2ndアルバムの再発も控えているというじゃありませんか。90年代にCD化された時に買い逃して以来、涙を飲んで待ち続けて幾年月。「来たか長さん待ってたホイ」と思わず小躍りしたくなりましたよ(古いか)。
本作は'82年発表のデビュー作で、ジョージ吾妻が刻む回転の速いGリフ、ソリッド且つアッパーなリズム隊、そしてニール・ケイが「女ゲディ・リー」と評したカルメン・マキの貫禄のシャウトとが一堂に会するOPナンバー“MOVIN' ON”や、Bリフ主導で突っ走る「ジャパニーズMOTORHEAD」な“MIDNIGHT TRAIN”、マキ姐さんのスケ番カミソリVoが映える“DOWN TO PICES”らスピード・ナンバーの存在が物語る通り、その作風はまさしくHM。タイトな音作りといい、バラード不在で押しまくる構成といい、この面子でここまでメタリックなサウンドってのは何か新鮮ですね。
と言っても、荒々しい攻撃性を迸らせつつ、グルーヴ感やウネリ演出も余裕綽々で捌く辺りは流石70年代ハード・ロッカー軍団。特に「HM版カルメン・マキ&OZ」といった趣きの“悪い夢”には心底痺れさせて頂きました。
いやー、それにしてもこの再発は快挙。ダウンロード版に手を出さず、我慢し続けた甲斐があったというものですよ。


5X - HUMAN TARGET - DOWN TO PIECES ★★★ (2013-02-11 21:58:23)

スケ番チックなカミソリVoと
シャープな曲調の切れ味の鋭さとが相俟って、
なんとなく『BRITISH STEEL』を発表した頃の
JUDAS PRIEST的な雰囲気を感じてしまいます。


5X - HUMAN TARGET - MIDNIGHT TRAIN ★★ (2013-02-11 22:01:38)

Bリフ主導でガンガン突っ走る様は
確かにニール・ケイが評する通り
「ジャパニーズMOTORHEAD」。
歌詞はOZ時代の僚友、春日博文が提供していて
やっぱりカルメン・マキは日本語詞を
歌った方がしっくり来るなぁ、と思ったり。


5X - HUMAN TARGET - MOVIN'ON ★★★ (2013-02-11 21:44:41)

攻撃的なVoに硬質なGリフ、
タイト且つスピーディに疾駆するリズムと、
まさに「80年代型」のHMナンバー。
鮮烈に5Xサウンドを叩き付けて来る
バンドの代表曲です。


5X - HUMAN TARGET - 悪い夢 ★★★ (2013-02-11 21:53:25)

歌詞が日本語なこともあって、そこはかとなく
OZ的なムードも漂うナンバー。
これぞカルメン・マキ!といった趣きの
大仰な歌メロ、ハードなGと図太いBにソリッドなDs等、
若々しさとベテランならではの味が同居した
個人的にアルバムでも一押しの名曲です。


707 - 707 ★★★ (2019-09-27 08:59:19)

中心メンバーのケヴィン・ラッセル(G、Vo)により結成され、ボーイング社製ジェット旅客機の名前からバンド名を頂いて707を名乗ったミシガン州デトロイト出身の4人組が、’80年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。日本ではケヴィン・チャルファント(Vo)が在籍していたバンドとして知られていますが、この時点では彼はまだ未加入。アルバムでは弦楽器隊とKey奏者の3人が曲によって交代でVoを担当しています。
パチンコ・パーラーみたいなバンド名ゆえ音楽的イメージが沸き難いものの、本作に託されているのは、全米シングル・チャート50位台にランクインするヒットとなった軽快にロックするOPナンバー①を皮切りに、キャッチーなメロディを洗練された演奏とアレンジで聴かせるAOR/産業ロック。よりHR志向が強まりをみせる次作に対し、リード楽器としてサウンドの鍵を握るKeyの存在感の大きさといい、泣きのGを始めとするインスト・パートの充実っぷりといい、本作からは初期TOTO等に通じるアメリカン・プログレ・ハード風味も仄かに漂う。
こと抒情性に関しては707のカタログ中でも随一であり、時に流麗に、時にしっとりと楽曲を彩るピアノが全面的にフィーチュアされているのが個人的には評価ポイント。特に緩急を飲み込む曲展開がドラマティックな⑧から、ストリングスをフィーチュアした美しくも悲しいバラード⑨へと繋がっていく終盤の流れには辛抱堪らんものがありますよ。
707の代表作といえば'83年発表の『MEGAFORCE』であることに異論はありませんが、個人的に彼らのアルバムで最も贔屓にしているのは間違いなく本作です。


707 - 707 - Waste of Time ★★★ (2019-09-30 23:40:45)

きびきびと進む前半からテンポ・チェンジしてドラマティックに
展開していく曲展開と、アレンジ面において重要な役割を果たす
Key(ピアノ)の華麗な活躍ぶりに拍手喝采なアルバムのハイライト・ナンバー。
ハードに駆け巡るGソロもカッコイイ。
改めて聞き直すとSAVATAGEに通じる魅力を感じたりも。


707 - 707 - Whole Lot Better ★★★ (2019-09-30 23:46:25)

哀愁を帯びたメロディを切々と歌い上げるVo、物悲しいピアノの美旋律、泣きのG、
そして美しくも切ないストリングスの音色が、こっちの涙腺を破壊せんと
情け容赦ない攻撃を加えてくる劇的なバラード。


707 - Mega Force ★★★ (2019-10-01 23:54:51)

待遇改善を図りレーベル移籍を果たした707が、'83年に発表した3rdアルバム。実際は2ndとの間に、レコーディングはされたがお蔵入りしてしまった幻のアルバム『THE BRIDGE』('04年に正式リリースが実現)もあるのですが、まぁそれは置いといて。
専任Key奏者の再加入や、東宝東和のハッタリ宣伝に乗せられて映画館へ見に行ったらタックコムの期待を裏切る小ささに子供心にガックリ来たアクション映画『メガフォース』の主題歌を収録していたりと、色々語るべきポイントの多い本作なれど、何はさておき先ず特筆すべきは名シンガー、ケヴィン・チャルファントの加入ですよ。従来のツインVo体制に不満はありませんでしたが、更に一段も二段もレベルが上の専任シンガーが歌うことで、楽曲の個性がクッキリと際立ち一層輝いて聴こえるのは間違いのないところ。
サウンドの方は前作の流れを順当に引き継いだ、煌びやかなKeyを身に纏ってポップ&キャッチーに弾むAOR/産業ロック。ピアノをフィーチュアして抒情的に始まりドラマティックに盛り上がるバラード③、本編中最もロックしている④、華やかな高揚感に満ちた⑤等、ケヴィンの激ウマVoを得た本編は秀曲に事欠きません。そしてやはりハイライトはアルバム表題曲①。ジョナサン・ケイン(JOURNEY)のペンによる由緒正しきメロハー・チューンとはいえ、しょっぱいB級映画の主題歌がビルボードのメインストリーム・ロック・チャートで最高第11位にランクインしてしまうのだから、80年代は無邪気な時代だったのだなぁ、と思わずホロリ。
今もって日本盤未発売ってのが信じらない高品質な1枚。「正義は勝つのさ!80年代でもな!」のキメ台詞を唱えながら、久々に『メガフォース』のVHSを引っ張り出して来てしまいましたよ。


707 - Mega Force - Mega Force ★★★ (2019-10-03 00:19:18)

今だったら「嘘」「大げさ」「紛らわしい」とJAROに訴えられそうな東宝東和の過大広告に釣られて
劇場へ足を運んだチビッコ達をガッカリさせたというアクション映画『メガフォース』の主題歌。
近所のレンタルビデオ屋閉店セールで購入したVHSを繰り返し見ているうちにすっかり大好きになってしまいましたが。
バンドとジョナサン・ケインの共作曲で、しつこいぐらい繰り返される“LIKE A MEGAFORCE”の歌詞を
気が付けば一緒に合唱している愛すべき名曲。


707 - The Bridge ★★★ (2024-02-12 23:12:49)

707といえば、THE STORMやTWO FIRE等の活動で知られる名シンガー、ケヴィン・チャルファントがかつて在籍し、映画主題歌でもあった名曲“MEGA FORCE”をスマッシュ・ヒットさせたことで知られるミシガン州デトロイト出身の4人組。本作は'04年に日本ではSPIRITUAL BEASTから唐突にリリースされた作品で、最初目にした時は「すわ、707再結成か?!」と色めき立ちましたが、実際は3rd『MEGA FORCE』(’83年)リリース前にレコーディングを完了させながらも、方向性を巡るレコード会社との確執でお蔵入りを余儀なくされてしまった「幻の3rdアルバム」というべき秘蔵音源だったという。(なので当然ケヴィンは不参加、Voはフィル・ブライアントがBと兼任しています)
初期作にあったプログレ・ハードの面影はほぼ姿を消し、Keyを抑え気味に、その分ソリッドなGをこれまで以上に前面に押し出して、本作では(アメリカにおけるHR/HMシーンの盛り上がりに歩調を合わせるように)より骨太にロックしているサウンドを披露。これがポップでラジオ・フレンドリーな作風を求めるレコード会社の期待にそぐわなかったことは想像に難くないですが、とはいえメロディのキャッチーさやコーラス・ワークの美しさはちゃんと維持されていますし、爽やかに疾走する③、軽快に弾む曲調にピアノが華やかな彩りを加える⑥、ケヴィン・ラッセルの泣きのGが映える哀愁のバラード⑬といった逸品を聴けば、「なぜにこれがお蔵入りの憂き目に?」と首を捻りたくなること必至。
レコード会社と対立しても、自身のやりたいことを曲げなかったバンドの拘りの正しさを証明してくれる1枚。発掘に感謝ですよ。


707 - The Bridge - Message From A Friend ★★★ (2024-02-14 00:39:42)

ソリッドなGがけん引するハードネスと
爽やかなメロディが生み出すキャッチネス
それに軽快に踊るKey(ピアノ)が付与する
仄かな叙情性がバランス良く組み合わされた
アルバム屈指の逸品。


707 - The Second Album ★★★ (2019-09-29 23:07:04)

特にタイトルは付けられておらず、単に『SECOND ALBUM』(そのまんまだ)と呼称される’81年発表の2ndアルバム。前作で素晴らしい鍵盤捌きを披露していたKey奏者のデューク・マクファデン('05年に心臓の合併症で死去)が脱退し、後任は迎えずKeyの座はセッション・ミュージシャンで賄ってトリオ編成でレコーディングされています。(元RUNAWAYSのシェリー・カーリーがゲストVoとして⑤に参加)
そのせいなのか、はたまたREO SPEEDWAGONのオープニング・アクトとして全米のアリーナやスタジアムをツアーして回った成果か、本作ではサウンドの主導権がGへと移り、より明るくシンプルなHR路線を志向。抒情味が薄れてしまったため、当初はあまりピンと来ず「全米チャートで150位台に沈んでしまったのもさもありなん」とか思ったりしましたが、メロディは相変わらずキャッチーですし、脇に回ったKeyが80年代らしい華やかさを演出するようになった楽曲は、ツインVoを活かしてエネルギッシュに疾走するOPナンバー①や、シングル・カットされたポップな③を始め、改めて聴き直すとこれがなかなかに乙な味わい。特に、ハード・ロッキンなエッジと哀愁のメロディが同居した⑧のような「このアルバムならでは」と言える名曲は、707の作曲センスの高さを証明してくれています。またここでの音楽的軌道調整が、後の『MEGAFORCE』(’83年)のヒットに繋がる伏線にもなったのではないかと。
レコード会社のバックアップが得られずセールス的には振るわなかったものの、バンドの成長ぶりがしかと刻まれたアメリカン・メロハーの力作に仕上がっています。


707 - The Second Album - Live Without Her ★★★ (2019-09-30 23:50:50)

従来の持ち味である胸に沁みる哀愁のメロディ・センスと、
2ndアルバムで増強されたハード・ロッキンなエッジとが
理想的な融合を果たした、2ndアルバムのハイライトを飾る名曲。


91 SUITE - 91 Suite ★★★ (2020-09-03 01:06:51)

デビュー前からデモテープが耳聡いマニアの間で話題になっていたというスペイン出身の4人組が、'01年にVINNY RECORDSから発表した1stアルバム。
所属レーベルがスペイン国外での活動に非協力的だったせいで速攻廃盤になってしまった日本盤は結構な高値で取引されており、数年前にCD屋で見かけた際には5,000円オーバーの値が付けられていて魂消た覚えあるのですが(今はどうなんだろ)、ことクオリティに関して言えば、プレミア価格で取引されるのも納得の内容であることは間違いありません。
マイク・マンゴールドとアル・フリッチのDRIVE, SHE SAIDコンビがプロデューサーとして腕を振るう本作で披露されているのは、スペイン産と聞いて想起するような「濃さ」「クドさ」の類は殆ど感じられない、いっそ北欧的とすら言えそうな透明感漂う洗練されたメロディアスHRサウンド(ちなみに歌詞は全て英語)。キリッとエッジを効かせてフレッシュにアルバム開巻を告げるOPナンバー①から、ハスキー声で熱唱するVoをフィーチュアし感動的に本編の幕を引くバラード⑪まで、涼し気な哀感を付与するKeyや、印象的なGのハモりが組み込まれた楽曲はインスト・パートにもきっちり聴かせ所が配されていて――人によってはこれが「長い」と感じられる要因なのかもしれませんが――特にヘスス・ディアズのツボを心得たGプレイはアルバムのハイライトの一つ。仄かな哀愁も孕んでポップ且つ爽やかに躍動する⑩はそうした本作のポテンシャルを凝縮したような名曲ですよ。
バンドは次作(これも力作)を出した後解散した筈だったのですが、どうやら近年再結成を遂げてEPも発表している模様。聴いてみてぇなぁ。


91 SUITE - 91 Suite - I Will Stand by You ★★★ (2020-09-04 00:05:56)

ほんのり憂いを帯びて軽快に弾むハードポップ・ナンバー。
涼し気に奏でられるエレピと、要所でメロディアスに切り込んでくる
ヘスス・ディアズのGが楽曲の魅力をグッと底上げしてくれています。


91 SUITE - 91 Suite - The Day She Left ★★★ (2020-09-03 23:38:26)

アルバムのOPに相応しい高揚感を伴うハードポップ・チューン。
爽やかな曲調ながら、適度にエッジを効かせるGの踏ん張りが
甘口になり過ぎることを防ぎ、楽曲をHRのフィールドに留まらせています。


91 SUITE - Back in the Game ★★★ (2023-09-27 00:59:56)

00年代初頭に残した2枚のアルバムがメロディ愛好家から好評を博するも、レコード会社の支援に恵まれず解散を余儀なくされたスパニッシュ・メロハーの雄、91 SUITE。中心メンバーのヘスス・エスピン(Vo)とイヴァン・ゴンザレス(G)は、同バンド解散後に結成されたSECRETでも行動を共にしており、その流れの中で91 SUITEの再結成が実現。挨拶代わりのEP『STARTING ALL OVER』(’19年)リリースを挟んで、'23年に満を持してこの復活アルバム(通算3作目)を発表してくれました。
かつて「スペインのBON JOVI」と評された自らのイメージを確信的に踏襲したようなOPナンバー①のイントロには思わず笑ってしまうも、サビメロから溢れ出す濃いめの哀愁は間違いなくこのバンドならではの味わい。のみならず、さりげなくアコギを取り入れる等、アレンジは歳月を重ねて円熟味を増しており、この1曲でアルバムのクオリティを確信するに十分な仕上がり。より一層表現力と安定感を増したヘススのVo、相変わらずテクニカルかつ歌心に溢れたイヴァンのGプレイも収録曲を効果的に盛り上げてくれており、軽快に弾むKeyがメロハーの教科書通りの高揚感を演出する②、ゲストに迎えたロビン・ベックとのデュエット・バージョンも収録されている感動的なバラード④、そしてHRのエッジと爽快なメロディの魅力を併せ持って駆け抜けていく⑦等は、まさしく91 SUITE節の真骨頂というべき名曲として聴く者にインパクトを与えてくれます。
会心の復活作と呼ぶに相応しい1枚。出来れば現在では入手困難になってしまっている1stと2ndの再発もお願いしたいところですよ。


91 SUITE - Back in the Game - Sunrise of Your Love ★★★ (2023-09-27 23:29:06)

オフィシャル・ビデオ・クリップも制作された
爽快感溢れるメロディック・ロック・チューン。
バンドがこの曲をリーダー・トラックに選んだのも
納得の名曲ぶりですよ。


91 SUITE - Times They Change ★★★ (2015-01-30 23:47:15)

廃盤の1stがプレミア価格で取引される等、メロハー愛好家の間で根強い人気を誇るスペインの5人組が'05年に残した2ndアルバムにして最終作。
日本盤こそ出ませんでしたが(当時の所属レーベルが国外での活動に協力的でなかったせいだとか)、ドメスティックな色合いよりも、むしろ北欧のバンドに通じる透明感と哀愁が美味しいメロディック・ロック・サウンドは、変わらぬ品質の高さを提示。
美しい序曲①の余韻を、ハードなGの調べが覆す②のカマしっぷりが物語る通り、今回はGの存在感をグッと強調。全体のハードネスの底上げを図ると共に、この手のアルバムにありがちな弱点「メリハリ不足」解消に着手しています。それでいてメロディは大味に堕することなくしっかりと潤いを保持。で、またギタリストのイヴァン・ゴンザレスが良いソロを弾くんですよ。彼のコンパクトに練り上げられたGソロは、ヘスス・エスピンの甘くエモーショナルな歌声と共に、間違いなく本編のハイライト。
南欧出身とは思えぬ憂いに満ちた②から、フラッシーなGソロが駆け巡る⑤、心洗われるような清涼感が溢れ出す⑧、哀メロとハードネスが会心の融合をみた⑩といった名曲が要所に配置され、全14曲収録というボリューミーな内容にも関わらず中弛み一切なしの力作。BURRN!!の藤木記者が1stより高評価したって話も「確かに」な1枚ですね。


91 SUITE - Times They Change - Hopes and Dreams ★★★ (2015-02-03 23:06:55)

アルバムでも1、2を争う秀曲。
涼やかな爽快感を湛えたサビメロが絶品で
スペインのバンドというよりも
北欧のバンドに通じる透明感も美しい。


91 SUITE - Times They Change - Wings of Fire ★★★ (2015-02-03 23:34:04)

メロディの潤いとフックを失うことなく
よりハードさを増量するという試みが
ぴたりとハマった、2ndアルバムの魅力を
体現したかのような名曲。
コンパクトに締まったGソロからも
センスの良さが迸ってます。


A Ⅱ Z (2019-12-25 23:23:32)

デイヴ(Vo)とゲイリー(G)のオーウェンズ兄弟が音頭を取って'79年に英国マンチェスターにて結成。
ご近所さんだったPOLYDOR RECORDSの会計士にデモテープを渡してみたら、本当に同レーベルと契約が成立するという夢のようなチャンスを掴むも、待っていたのは、低予算のライブ・レコーディングでデビューという厳しい現実だったという。
その後もドラマーをサイモン・ライトに替え、スウェーデンのシングル・チャートTOP40に入ったらしい“VALHALLA FORCE”や、ラーズ・ウルリッヒお気に入りの“TREASON”、ラス・バラード作曲のポップな“I’M THE ONE WHO LOVES YOU”等のシングルを発表したが、2ndアルバムの制作前にPOLYDORから契約解除を通告されてしまっている。


A Ⅱ Z - The Witch of Berkeley - Live ★★★ (2019-12-25 23:25:44)

NWOBHM特集の常連バンドで、英国はマンチェスター出身。後にTYTAN、AC/DC、DIO、マイケル・シェンカー等々、様々なバンドに参加する渡り鳥ドラマー、サイモン・ライトが在籍していたことでも知られる4人組、'80年発表のデビュー作。
堂々メジャー・リリースなのに、レーベルにレコーディング費用をケチられたせいで地元でのクラブ・ギグを利用してのライブ録音を余儀なくされるという、駆け出しバンドの悲哀が伝わってくるエピソードとセットで語られる機会の多い本作ですが、必ずしもそれがマイナス方面にばかり作用しているわけじゃないことは、一発録りのハンデをものともしないメンバーのタイトな演奏力と、冒頭の「AⅡZ!」「AⅡZ!」コールに始まり、⑧における熱の篭った掛け合いに至るまで、観衆のホットな盛り上がりにも後押しされて終始高いテンションをキープし続けるイキの良い本編を聴けば明らか。
オカルティックなアートワークやアルバム・タイトルに反し、ノー・ギミック且つシンプルに突き進むサウンドからは、暗さやオドロオドロしさといったパンチの効いた個性は感じられないものの、印象的なコーラスをフィーチュアした疾走ナンバー⑥、緩急を盛り込み劇的に展開する⑦等のカッコ良さには間違いなく胸が熱くなるモノがありますよ。あと再発盤にはボートラとして1stシングル“TREASON”が収録されていることもポイント。ラーズ・ウルリッヒ編纂『NWOBHM ’79 REVISITED』でも取り上げていた、攻撃的なGリフを全面に押し立てて疾走するこの名曲聴きたさに、こちとら本作を購入したぐらいで。
いまいち冴えないバンド名で損してる気がしますが、良い作品ですよ。


A Ⅱ Z - The Witch of Berkeley - Live - The Witch of Berkeley ★★ (2019-12-26 23:24:02)

疾走感溢れる曲調に乗せてブンブンとドライヴしまくるBと、
終盤で朗々響き渡る(タイトルに相応しい)怪しげなコーラスが
印象的なアルバム表題曲。


A Ⅱ Z - The Witch of Berkeley - Live - Treason ★★★ (2019-12-26 23:30:40)

AⅡZ初のスタジオ録音のシングル『NO FUN AFTER MIDNIGHT』の
B面曲で、攻撃的なGリフといい、シンプルかつスピーディな曲調といい
まさに「NWOBHM!」感溢れる名曲。
ラーズ・ウルリッヒ編纂のコンピ盤『NWOBHM '79 REVISITED』('90年)に
選曲されたことでちょっぴり注目を集めました。


A.S.A.P. - Silver and Gold ★★★ (2023-12-12 00:42:13)

IRON MAIDENのエイドリアン・スミス(G)が、7th『第七の予言』(’88年)リリース後の長期休暇中、暇にあかせて嘗てのバンドメイトとレコーディングを行ったところ予想以上の反響を得たため、A.S.A.P.(エイドリアン・スミス・アンド・プロジェクトの略でありAS SOON AS POSIBLEとダブル・ミーニングにもなっている)を名乗って’89年に発表した、彼のIRON MAIDEN脱退の引き金となってしまったことでも知られる曰く付きの作品。
ここで披露されているのは、気の合う仲間とリラックスして作り上げたであろう、Keyをたっぷりとフィーチュアしたハードポップ。低音がまるで効いていない音作り含めて、こりゃIRON MAIDENじゃ出来ませんわなと思わされるサウンドの売れ線志向ぶりで、Voはエイドリアン自らが担当。下手とは言いませんけど(上手くもないが)ブルーズ・ロック歌った方がハマりそうな荒れ声のため、楽曲が醸し出すせっかくのポップさをスポイルしてしまっている印象が無きにしも非ず。
とはいえ、IRON MAIDENにおいてはGのみならずソングライターの一角としても存在感を発揮してきたエイドリアンゆえ、リフにソロにちょっとしたオブリにセンスの良さを閃かせるGプレイはやはり抜群ですし、キャッチーなメロディやアレンジに彩られた楽曲のクオリティも確か。特にOPナンバー①は煌びやかなアレンジに明るいメロディと曲想は全然異なるのに、心地良い疾走感が不思議とメイデン時代の名曲“DEJA-VU”を思い起こさせる逸曲です。
発表当時よりも現在の方が、先入観抜きに楽しめる1枚ではないでしょうか。


A.S.A.P. - Silver and Gold - The Lion ★★★ (2023-12-18 23:48:26)

ポップな音作りや煌びやかなアレンジを纏って
軽やかに走り抜けるOPナンバー。エイドリアンが
アルバムで演りたいことが端的に表現されている名曲です。


ABATTOIR - The Only Safe Place ★★★ (2006-11-02 22:03:00)

昔、EVILDEADのアルバムを買ってライナーを読むまで、バンド名をどう発音するのか知らなかった、元HERETICのVoマイク・トレスを擁するLAの5人組スラッシャー「アバトール」(最近のデータだとアバトワール?)の'86年発表の2ndアルバム。
後にAGENT STEELを結成するジョン・サイリースやフォアン・ガルシアが在籍していた事でも知られるバンドだが、両名とも本作発表以前に既に脱退済み。とは言え、作品の完成度には微塵も揺るぎなく、寧ろ、クオリティの高さは1作目をも凌ぐ。
前掛かりのスラッシーなビートに乗って、劇的なメロディ、シャープに斬り込んで来るツインG、強力なハイトーンVoが一丸となって疾走するサウンドは、やはりAGENT STEELを想起させるが、あちらよりもグッと骨太な印象が強く、IRON MAIDEN寄りのテイスト。②⑧⑩等、魅力的なスピード・チューンを揃える一方で、④のようなミドル・チューンもしっかりと聴かせる曲作りの巧さが光り、個人的にはAGENT STEELよりも贔屓にしていたりする。
ラインナップの不安定さが最後まで足を引っ張り、残念ながら本作発表後に解散してしまった。


ABATTOIR - The Only Safe Place - Bring on the Damned ★★★ (2006-11-02 22:21:10)

泣きのインスト序曲“BEYOND THE ALTAR"で徐々に高められたテンションは、
勇壮なリフがドカンと炸裂するイントロ部分で早くも頂点に達する。
慌しい疾走感、野卑なハイトーンVoによって歌われる力強いコーラス、
そして中間部の劇的なツイン・ギター・ソロにも耳奪われます。


ABATTOIR - Vicious Attack ★★ (2011-04-09 01:28:23)

AGENT STEELのジョン・サイリース(Vo)、EVILDEADのフォアン・ガルシア(G)を含むラインナップでレコーディングされ、『METAL MASSACRE Ⅳ』に提供した名曲“SCREAM FOR THE GRAVE”が評判を呼んでCOMBAT RECORDSとの契約を手に入れたABATTOIRが、Voを現ANGER AS ARTのスティーヴ・ゲインズに変えて'85年に発表した1stアルバム。
自分は2nd『THE ONLE SAFE PLACE』を先に聴き、そのJUDAS PRIESTやIRON MAIDENを更に攻撃的にしたかのようなパワー/スラッシュ・サウンドに感銘を受け、後に遡って本作を購入したのだが、ある程度ドラマティックな整合性も感じさせてくれた『THE ONLY~』に対し、こっちはMOTORHEADに通じる破天荒なノリが全編に渡って炸裂。「ハードコアHM」とでも表したくなるヤケッパチ感溢れる作りに思いっきり意表を突かれましたよ。(実際にMOTORHEADの代表曲“ACE OF SPADES”をカヴァーしており、しかも半端ないハマリっぷり)
野卑に叫びまくるスティーヴ・ゲインズのVoに、レミーばりの豪快さでのた打つメル・サンチェスのB、けたたましく耳をつんざくツインGと、とにかく全力投球なDsとが破れかぶれ気味に突っ走るサウンドは、チープっちゃチープだし音質は劣悪、楽曲も(“SCREAM FOR THE GRAVE”を除けば)どれもドングリの背比べ状態なのだが、それでも、バンドの剥き出しの初期衝動と、その熱量の高さには圧倒されざるを得ないわけで。
スラッシャーなら案外「ABATTOIRは1stアルバムの方が好き」という人も多かったりするんじゃなかろうか。


ABATTOIR - Vicious Attack - Ace of Spades ★★★ (2011-04-09 01:38:36)

上手いVo(元HERETICのマイク・トレス)を加えて
JUDAS PRIEST/IRON MAIDEN型のパワー/スラッシュ・メタルを
演っていた2ndに対し、1stではMOTORHEADに通じる
破天荒さを備えたハードコアHMをプレイ。
で、実際にMOTORHEADの代表曲であるところの本曲を
カヴァーしているわけだが、これが見事なハマリっぷりで
他のオリジナル曲の存在が霞む霞む。


ABATTOIR - Vicious Attack - Screams From the Grave ★★★ (2011-04-09 02:00:34)

『METAL MASSACRE Ⅳ』に提供したところ、
ラジオにてヘヴィ・ローテンションされ
バンドの知名度向上に一役買ったという名曲。
実際、正統派HMとMOTORHEADがガップリ
四つに組んだような荒々しくもスピーディな
曲調は非常にカッコイイ。


ABOUT US - About Us ★★ (2023-04-13 01:04:16)

インドはナガランド州ウォカ出身の5人組、ABOUT USが'22年に発表した1stアルバム。
個人的に日本に紹介されるインド産メタル・バンドというと、何となく「スパイシーな要素を塗したデス/エクストリーム・メタル」的な音を想像してしまうのですが、彼らが聴かせてくれるのは、適度にエッジを効かせつつ、ポップで爽やかなメロディが躍動するメロディアスHR。ドメスティックな色合いはほぼなく、これにはインド人ならぬ日本人もビックリですよ。いやでも数年後には中国を抜いて人口が世界一になる(既になった?)といわれている国ですから、探せばこの手のバンドがいるのも不思議な話じゃないか。
洗練された曲作りのセンスと、メンバーの安定したパフォーマンスに支えられたサウンドは、エスニックな飛び道具に頼らずとも聴き手の耳を捉える確かなクオリティを有しており、メロハー梁山泊FRONTIERS RECORDSのお眼鏡に適ったのも納得の仕上がり。聴き進めるとモダンなヘヴィ・ロック・チューンが飛び出して来て「んん?」となったりもしますが、この辺の良いと思ったものは何でも取り込んでいくジャンルに頓着しない姿勢は現代っ子バンドならでは。細かい揺れを伴うハイトーンがデヴィッド・サーカンプ(PAVLOV’S DOG)のことを思い出させたりもするシンガーのややクセ強な歌唱を武器に、アップテンポの曲調に哀愁のメロディを乗せ、テクニカルな演奏の聴かせどころもさりげなく盛り込んで展開されるOPナンバー①は、これ1曲でアルバムを購入して良かったと思わせてくれる名曲です。
欲を言えば、この曲に匹敵するインパクトを放つ楽曲が本編後半にも欲しかったところなれど、それは今後に期待で。それだけのポテンシャルは十二分に感じられるデビュー作です。


ABOUT US - About Us - Right Now ★★★ (2023-04-18 00:24:58)

アルバムのOPナンバー。キャッチーなメロディ、
モダンなアレンジ、テクニカルな楽器陣の見せ場を
バランス良く盛り込んで仕上げた、このバンドの魅力を
分かり易く伝えてくれる逸品。


ACCEPT - Blind Rage ★★★ (2014-09-08 22:38:17)

絶好調の波に乗る、マーク・トニーロ(Vo)擁する再々結成ACCEPTが、前作から2年という順調なリリース・ペースを守って発表した3枚目のスタジオ・アルバム。
へヴィでアグレッシブだがフックに乏しいという、ACCEPTのアルバムで時々見かける捨て曲パターンにハマったOPナンバー①が始まった時は、さすがに3枚目ともなると曲作りのアイデアが尽きたか?と一瞬不安がよぎりました。
しかし同曲後半で炸裂する、ウルフ・ホフマンの「歌えるGソロ」でグッと盛り返すと、後には硬派な哀愁が光る②が続き、以降は、グリーグ作曲“ペールギュント”の“朝”のメロディを引用しながら突っ走るラス曲⑪まで、荘厳に響き渡るバンカラ・コーラスをフィーチュアしたACCEPT以外の何者でもない、例えるなら昭和の工業高校の応援団哀歌みたいな(?)、雄々しく剛毅なHMナンバーが目白押し。(前述の①も繰り返し聴く内にすっかりお気に入りに)
特に、チェロキー族の悲劇について取り上げた歌詞に相応しい、胸に突き刺さる慟哭を巻き散らかしてハードに疾走する⑤は全ACCEPTファン必聴の名曲。また哀愁渦巻く⑩のような叙情HRナンバーで発揮される、悶絶モノのメロディ・センスもお見事です。
個人的結論としましては「前2作に勝るとも劣らない力作」との評価に落ち着いた1枚であります。ただ、確かに今回はボートラは蛇足だったかなぁ・・・とも。


ACCEPT - Blood of the Nations ★★★ (2010-10-09 01:54:29)

失望の連続だった90年代の長い長い回り道を経て、もはやACCEPTのスタジオ・アルバムには何の期待感も持っていなかったのだが、その彼らが、ここまで完成度の高い作品を引っ提げて再々結成を遂げるとは全くの予想外。
金属を削り出すかの如くガツガツと刻まれる屈強なリフ&リズムに、男臭さ満点の金切りVo、ドラマティックに絡む2本のG、それにお馴染みの「地響きコーラス隊」が堅牢なスクラム組んで威風堂々と突き進むサウンドは、正しく7th『RUSSIAN ROULETTE』の後に来るべき、マッチョで勇壮な「ACCEPT流HM」が徹頭徹尾貫かれ、怒涛のOPナンバー①からラス曲⑭(日本盤のみのオマケ扱いなのが勿体ない程のクオリティ)に至るまで、捨て曲は皆無。
その最大の推進力となっているのが、ウド級の特異性は持ち得ずとも、よりメロディアスな歌唱で楽曲を雄々しく彩る新Vo.マーク・トニーロと、起承転結のドラマを有する楽曲内楽曲的Gソロを連発するウルフ・ホフマンのGプレイ。
中でも、思わず拳を振り上げたくなる高揚感と重厚感に満ち満ちた④、マークの熱唱と演歌ばりの濃厚な泣きメロが炸裂するバラード⑦、悶絶モノのGソロが疾走する⑫、そしてアラビア風(と言うかRAINBOW風)のGリフをフィーチュアした劇的な⑬といった楽曲は、両者の個性が特に強く刻み込まれたアルバムのハイライト・ソングかと。
全14曲収録、70分オーバーのボリュームは何ぼなんでも胃にもたれるが、これだけ良い曲が揃っていれば、その取捨選択に迷いの生じたバンド側の気持ちも分からんでもない。
全盛期の作品群に匹敵する完成度を備えた力作。いや、御見逸れ致しました。


ACCEPT - Blood of the Nations - Bucket Full of Hate ★★ (2010-10-10 01:31:54)

オルゴールの音色によるイントロからスタートする
猛々しさに満ちたアルバムのラスト・ナンバー。
アラビア風味を湛えたGリフとメロディが初期RAINBOWを彷彿とさせます。
壮大なエンディングが非常にドラマティックで、
ライブの締めに演奏したらさぞかし盛り上がることでしょう。


ACCEPT - Blood of the Nations - Kill the Pain ★★★ (2010-10-10 01:25:42)

個人的にアルバム『BLOOD OF THE NATIONS』の
ハイライト・ソングの一つと位置付けている慟哭のバラード。
聴く者の悶絶を誘うウルフ・ホフマンのGの泣きっぷりと来た日にゃ
演歌も真っ青。
また、歪みを抑えた歌声で、哀愁に満ちたメロディを切々と歌い上げる
マーク・ト二ーロのVoが堪らなくエモーショナルで胸を抉る。


ACCEPT - Blood of the Nations - No Shelter ★★★ (2010-10-10 01:19:37)

マーク・ト二ーロの熱いVo、立ち塞がるもの全てを薙ぎ倒す勢いで疾駆する
リフ&リズム、そして力強いコーラスと、いずれの要素も
「これぞメタル、これぞACCEPT!」と主張しまくっているが
何より心奪われるのはウルフ・ホフマンのGソロ。
『BLOOD OF THE NATIONS』では構築美を備えたGソロを連発してくれている
彼氏なれど、特にこの曲におけるGソロは強力無比。
初めて聴いた時は余りの素晴しさに膝から崩れ落ちそうになりましたよ。


ACCEPT - Eat the Heat ★★★ (2017-08-02 00:38:47)

その昔、ACCEPT最大の問題作と言えば’89年発表のこの8thアルバムが筆頭でした。曰く「売れ線に走るためにウドを追い出した」(実際はもっと込み入った事情有り)、「アメリカナイズされたサウンド」「やっぱACCEPTの声はウドじゃないと」etc…。尤も、ウド擁する編成で復活した再結成ACCEPTの90年代のやらかしっぷりや、マーク・トニーロがフロントマンを務める現行ACCEPTの大躍進を経た今となっては、本作における変化なんぞまるで牧歌的。普通に「良く出来たACCEPT作品」として楽しめますので、若いリスナーの皆様におかれましては安心してご購入下さいませ。
確かに地響きコーラスを控えめに、アメリカ市場を意識したようなライトに弾む楽曲もチラホラ見受けられますが、にしたって余裕でHR/HMの範疇で括れるレベル。流石に捨て曲なしとは行かずとも、「アグレッシブになったSURVIVOR」と評される⑥や、後に続くメロディックな⑦等は、新生ACCEPTの目指す方向性が魅力的に提示された名曲ではないかと。それらを歌うニュー・フロントマン、デヴィッド・リースのVoも、そりゃ前任者ほどのアクの強さはありません(そういう人を敢えて選んだのだから当然の話です)が、声質自体は結構カミソリ系で、バラエティを増した収録曲を柔軟に歌いこなすシンガーとしての実力は、流石ウルフ・ホフマン達のお眼鏡に適っただけのことはありますよ。
U.D.O.のライブでも演奏されていたパワフルなHMナンバー①、激情迸る劇的なバラード⑥、爆走ロックンロール⑫といった、従来から引き継ぐ「このバンドらしさ」全開の楽曲も要所を締め、嘗て、長らく聴かず嫌いをしていた己を猛省させられた力作であります。


ACCEPT - Eat the Heat - Hellhammer ★★★ (2017-08-02 22:54:41)

メロディック&リズミックに弾む曲調と、
キャッチーなサビメロが非常に秀逸。
(思わず一緒に叫びたくなりますね)
デヴィッド・リース擁するACCEPTが目指したサウンドの
理想形に限りなく近づいた名曲ではないかと。


ACCEPT - Eat the Heat - Mistreated ★★★ (2017-08-02 22:59:52)

泣きや哀愁のセンスは従来のACCEPTから引き継ぎつつ
デヴィッドのじっくりと聴かせるエモーショナルな歌唱と
大陸的な雄大なスケール感といった新味も見事に活かした
感動的なロッカ・バラード。尺は9分近くと長めですが
時が経つのも忘れて聞き惚れてしまいますよ。
ウルフ・ホフマンの泣きのGも絶品。


ACCEPT - Eat the Heat - X-T-C ★★★ (2017-08-02 22:49:24)

ウド在籍時代には既に書かれていた楽曲らしく
ウドも気に入ってU.D.O.のライブでプレイしていた。
つまりは「これぞACCEPT!」な名曲であるという。
下っ腹にズンズン来るパワフルなHMナンバー。


ACCEPT - Stalingrad ★★★ (2012-06-20 07:09:50)

ACCEPTの新作アルバムを聴くに当たって、全く不安を感じずに済んだのって一体いつ以来でしょうかね・・・と、ふと考え込んでしまった'12年発表の最新作。
前作『BLOOD OF THE NATIONS』発表に伴う長期ツアーで得た手応えと自信は、しっかりと本作の内容の方にもフィードバックされており、参加2作目にして完全にバンドの「看板」としての存在感と説得力をモノにしたマーク・トニーロの金属質な歌声に、聴く者を鼓舞する雄々しいメロディ、マッチョなリフ&リズムの鉄壁を築く楽器隊、そして厳粛極まりない地響きコーラスとが一体となって、威風堂々と突き進むACCEPT流HMサウンドは相変わらず強力無比。シンガーばりにエモーショナルに歌うウルフ・ホフマンの泣きに満ちたGプレイをフィーチュアする、屈強な疾走ナンバー①と、戦争の激しさと悲しみを歌い上げる戦場の挽歌チックな②を聴いただけで完璧にハート鷲掴みですよ。
欲を言えば、マークの歪みを抑えた歌声が気に入っていた身としては“KILL FOR PAIN”のようなバラードが1曲ぐらい欲しかったところですが、代わりに今回は、猛烈な哀愁を背負った男泣きの名曲⑤が収録されているので無問題。
ロックンロール系の楽曲すら排された本編は、ある意味、80年代をも凌駕するメタル魂が荒ぶりまくりで、全11曲、捨て曲なし。復活ACCEPTが新たな全盛期に突入した事を物語る力作に仕上がっております。


ACCEPT - Stalingrad - Hung Drawn and Quartered ★★★ (2012-06-20 22:01:12)

アルバムのOPをパワフル&雄々しく疾走する
コレ1曲でアルバムが傑作であることを確信させてくれる名曲。
戦う男の哀愁を背負った
ウルフ・ホフマンのGプレイも素晴しい。


ACCEPT - Stalingrad - Shadow Soldiers ★★★ (2012-06-20 22:15:32)

イントロのアコギからして「演歌かい!」
っつーぐらい泣き倒していて涙腺が緩みます。
濃厚な哀愁を背負いつつも、メソメソした軟弱さを
微塵も感じさせないあたりがACCEPT印。
ウルフ・ホフマンのGに負けないエモーションを
迸らせるマーク・トニーロの熱唱も胸を打ちますよ。


ACCEPT - Stalingrad - Stalingrad ★★★ (2012-06-20 22:03:54)

地響きコーラスが映える重厚なヘヴィ・ナンバー。
今の彼らなら、もっとドラマティックに
磨き上げられたのでは・・・と思わなくもないですが、
ウルフ・ホフマンの入魂のGソロがとにかく圧巻なので
文句なしの星三つ進呈。


ACCEPT - The Rise of Chaos ★★★ (2017-09-09 00:53:44)

アルバム・セールス、そのリリース・ペース、そして提示される作品の質と、あらゆる面において第二次黄金期を迎えた復活ACCEPT、’17年発表の新作アルバム。
90年代に流行に擦り寄って痛い目を見た後悔が骨身に染みている彼らゆえ、再結成4作目となる本作でも微塵も揺るぐことなく、雄々しく屈強なACCEPT流HMサウンドの王道を堅守。ともすればマンネリと受け止められかねない頑固な変わらなさですが、定まった型の中であれ、楽曲は毎度微妙にタッチを変えて練り上げられていて、特に今回は、本国ドイツのチャートで№1の座を獲得した前作『BLIND RAGE』の成功に後押しされたのか、全体的にマーク・トニーロのVoの柔軟性や、合唱を誘発するコーラス・ワーク、メロディ・ラインに気を配った「キャッチー」と評したくなる作風を選択。例えるなら6th『RUSSIAN ROULETTE』収録の名曲“MONSTERMAN”タイプの楽曲で全編を固めたような感じとでも申しましょうか。圧倒的にスピーディだったりへヴィだったりする、攻めた楽曲が見当たらない本編は、ある意味「守りに入った」と言えなくもないものの、ここまで守備力が鉄壁ならば最早それは立派なセールス・ポイントではないかと。
勇ましく本編開幕を宣言する①、拳を振り上げサビを歌わずにはいられない③、叩き付けるリズムに乗って憂愁背負ったメロディが疾駆する⑤、ウルフの歌うGソロが絶品な⑦、そして後半に控えしは劇的に疾走する逸品⑨…。本編は捨て曲ゼロな上に、収録時間が40分台とリピート再生せずにはいられない腹八分目具合でまとめられている点も好印象という。
ACCEPTの好調振りは未だ持続中。個人的には今年トップ10入りは確実の力作ですよ。


ACCEPT - The Rise of Chaos - Carry the Weight ★★★ (2017-09-11 23:04:41)

タイトに飛ばす疾走ナンバー。かと言って勢いで誤魔化すことなく
メロディにはフックが効いていて、特に滲み出す哀愁に
思わずガッツポーズ決めたくなるサビメロは特筆モノ。
劇的なツインGのハモリから、泣きのGソロへと雪崩れ込んでいく
インスト・パートも素晴らしい。
要するに隙のないアルバムのハイライト・ナンバーってことで。


ACCEPT - The Rise of Chaos - Die by the Sword ★★★ (2017-09-11 22:49:07)

厳めしいイントロを経て
拳を突き上げるのに丁度いい速度で
パワフルに突き進むOPナンバー。
勇壮なコーラスにも思わず唱和を誘われます。


ACCEPT - The Rise of Chaos - The Rise of Chaos ★★★ (2017-09-11 22:57:53)

これぞHM!という雄々しさと屈強さを誇示しつつも
曲調はノリやすく、コーラスは数回聴けばすぐに
一緒に歌える/歌いたくなるぐらいキャッチー
(ポップという意味には非ず)という
本作の方向性を象徴するような逸品。
アルバム表題曲なのも納得ですよ。


ACCUSER - Agitation ★★ (2011-06-08 22:30:48)

一時はSCARTRIBEと変名して活動を行っていたドイツのベテラン・スラッシャーが、バンド名をACCUSERに戻して'10年に発表した復活作。
嘗ての中心メンバー、エーベルハルド・ヴェイエルの名はラインナップに見当たらず、フランク・トムスがバンドの牽引役を担っている事からも察せられる通り、本作で聴く事が出来るのは80年代のパワー/スラッシュ路線ではなく、90年代にフランク主導で制作された『REPENT』や『REFLECTIONS』といった作品を彷彿とさせる、ある程度モダンな要素も飲み込んだゴリゴリの強面サウンド。
フィル・アンセルモ風味の怒号Voや、歪みまくった音色のGに、迫力不足のドラム・サウンドといった味気ない音作りには不満を覚えなくもないが、とは言え、スラッシーな疾走感を大幅回復させて突っ走る硬質な楽曲のカッコ良さ、それに何より、デビュー当時から一貫してこのバンド最大の武器であり続けた、ヨーロピアンな憂いを湛えたメロディを流麗に奏でる劇的なツインGの魅力の前には、そうした不満も雲散霧消。
掴みに最適な高速ナンバー①、繊細な叙情インスト曲⑤から一転して猛然と畳み掛けて来る⑥、ラストを締め括るデスラッシュ・ソング⑨等もいいが、本編のハイライトは何と言っても③。スピーディな曲調に緩急を効かせたドラマティックなインスト・パートが組み込まれた、バンドの新たな代表曲になり得るこの名曲を聴くためだけにでも本作は購入する価値あり。


ACCUSER - Agitation - Century of the Fall ★★★ (2011-06-09 19:47:25)

Voこそマックス・カヴァレラ+フィル・アンセルモ
といった趣きの怒号スタイルだが、外向きに
アグレッションを撒き散らしながら疾走する曲調は
スラッシュ・メタルならではの旨みに満ちている。
それに何といっても、時に美しく、時にドラマティックに
ハモるツインGの素晴しさときたら!


ACCUSER - Agitation - Prophecies ★★ (2011-06-09 22:08:23)

一気に畳み掛けて来るスラッシュ然とした
スピード・ナンバーながら、メランコリックな
インスト・パートも強い印象を残す。
物悲しいが、決してベタベタしない
硬派な味わいがこのバンドならでは。


ACCUSER - Double Talk ★★★ (2008-01-01 21:47:00)

ドイツはルール地方、ズィーゲン出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドACCUSERの日本デビュー作となった、'91年発表の3rdアルバム。
これを最後に、バンドの中心人物だったエーバハルト・ヴェイエルが脱退。4th『REPENT』以降は、スピードよりも重さ
重視の所謂「モダン・へヴィネス」路線へと傾倒していく事となる彼らだが、とりあえず本作までは、
男らしいシャウトを響かせるVoといい、ガツガツと刻まれる硬派なGリフといい、ダイナミックに
疾走するリズムといい、バリバリの正統派ジャーマン・スラッシュ・メタル路線を邁進。
CD用ボーナス・トラックとして収録されている、初期の代表曲⑨⑩⑪と聴き比べてみれば明らかなように、
リフ・ワークやリズム・パターンに更なるヒネリが加えられ(一筋縄では行かない曲展開が炸裂する④はその筆頭か)、
俄然ダイナミズムを増した楽曲の数々は、よりメロディックに練り込まれたGソロの威力もあってか、
例え長尺曲であろうとも、殆どダレることなく一気に聴かせ切る。また、バキバキと鳴りまくり、
楽曲の引き締めに大きく貢献しているマッチョなB(Voが兼任)の存在もポイントか。
個人的には、切り裂くように刻まれるGリフと、タイトな疾走感のカッコ良さ、そして効果的に導入されたアコギが演出する、
静と動の対比がドラマティックな名曲③が、本編のハイライトとしてお気に入りなれど、①⑤のようなストレートな
高速スラッシュ・チューンも捨て難い出来だし、美しいアコギの序曲⑥から繋がっていく緩急の効いた⑦は、
バンドの確かな成長を如実に物語るナンバーだしで、その他の収録曲もかなり充実。
ACCUSERの初期スラッシュ・メタル路線を総括する内容に仕上がっている、入門編に持って来いの1枚じゃないかと。


ACCUSER - Double Talk - Money ★★★ (2008-01-01 21:53:47)

男らしく硬派なシャウトを響かせるVo、切り裂くように
刻まれるシャープなGリフ、バキバキと鳴りまくるB、
ダイナミックなリズムを叩き出すDs、そしてメロディックな
Gソロと、4thアルバムの魅力をギュッと凝縮したかのような名曲。
静と動の対比を劇的に演出する、メロウなアコギの導入も
非常に効果を上げています。


ACCUSER - Double Talk - Revolution ★★★ (2008-01-01 22:02:59)

アコギによって爪弾かれる序曲“INDISTINCT ARTICULATION"から
繋がっていく、4thアルバムのハイライト・チューンの1つ。
歌に入る前の一捻りなど、凝ったリフ・ワークや
リズム・パターン、アコギの導入といった
豊富なアイデアが詰め込まれた、劇的且つダイナミックな曲展開が素晴しい。


ACCUSER - Reflections ★★ (2011-06-12 00:23:55)

前作『REPENT』は「90年代に発表されたスラッシュ・メタルの名盤コンテスト」でも開催した日にゃ上位入りは確実の力作だったが、唯一、最後にオマケ収録されていたDIE KRUPPSのカヴァー曲の存在に妙な胸騒ぎを覚える内容でもあった。果たして、その一抹の不安は'94年リリースのこの5thアルバムにおいてバッチリと的中する。
痛快な疾走感を薄れさせ、スピードよりもヘヴィネスとグルーヴ感重視のリズムに乗って、ジェイムズ・ヘッドフィールド・フォロワーからフィル・アンセルモ・フォロワーへとスタイル・チェンジを果たしたVoの怒号と、無機質に刻まれるGリフとが重心低く押し出してくる作風は、まさしく90年代に猛威を振るった「モダン・へヴィネス症候群」の作法に則った仕上がりで、正直、初めて聴いた時は結構落胆させられた次第。(まぁジャケット見た時点である程度覚悟は出来てましたけどね)
尤も今こうして改めて聴き直してみると、激烈なスピード感こそ影を潜めたものの疾走パートはちゃんと健在だし、ザクザクな極太Gリフのカッコ良さ、それに何より、硬派な憂いを背負うメロディアスなツインGが組み込まれたパワフルな楽曲の数々は、意外なくらい美味しい事にも気付かされる。
猛烈に体に訴えかけて来るモノがある③、エレアコ独演の叙情インスト⑤から展開する、スラッシュ路線の面影を最も色濃く宿した⑥なんかは十分評価に値する名曲であり、当時は兎も角、現在なら客観的に楽しむ事も可能な1枚かと。


ACCUSER - Repent ★★★ (2011-05-28 10:52:17)

前作『DOUBLE TALK』を最後に、中心メンバーだったVo兼Bのエーベルハルド・ヴェイエルが脱退。元メンバーのレネ・シュッツ(G)を呼び戻し、セカンドGのミラン・ペシェルがBにチェンジ、更にリードGのフランク・トムスがVoも兼任する・・・というドラスティックなバンド内改革でこの難局を乗り越えたACCUSERが、'92年に発表した4thフル・アルバム。
お馴染みの「ULTORON 6」のイラストを止め、よりシリアスなデザインが採用されたジャケット・アートワーク、場面によってはメロディアスにも歌っていた前任者に対し、ジェイムズ・ヘッドフィールド似の野太い咆哮を轟かすVo、ダウン・チューニングでヘヴィさをいや増したリフ&リズム、生々しい音像のもとマッチョにビルドアップされた楽曲の数々・・・と、いかにも90年代然としたダークな雰囲気(というかMETALLICAからの影響)が全体を支配する本作だが、ザクザク重厚に刻まれるGリフの切れ味、ソロからユニゾンまで、硬派な憂いを湛えたメロディを劇的に紡ぐツインGの存在感、そして何より、爆発的疾走を繰り返すリズムによってもたらされるカタルシスに全く翳りがないため、例えモダンな要素が増量されていようとも、アルバムを楽しむ上では何ら障害になっていない。
重心低く突っ走る怒涛のスピード・ナンバー①③⑧、アコギも交えてドラマティックに畳み掛けてくる④なんぞ、こめかみの血管が逝きそうになるぐらいのカッコ良さですよ。
「80年代から活動してきたスラッシュ・メタル・バンドが94年に発表した作品」としては、殆ど奇跡的とも言えるクオリティを誇る名盤です。


ACCUSER - Repent - Rotting From Within ★★★ (2011-06-08 21:38:27)

重々しいイントロから一転、地響きが聴こえてきそうな勢いで
突貫するOPナンバー。デス・メタルばりのダークネスが渦巻いているが、
ジェムムズ・ヘッドフィールド+マックス・カヴァレラといった趣きのVoは
デス声の一歩手前で力強く踏み止まっているし、歯切れの良い演奏が
もたらすカタルシスは、間違いなくスラッシュ・メタルならではの味わい。
マッチョな曲中で流麗に奏でられるツインGも素晴しいアクセントになっていますね。


ACCUSER - The Conviction ★★★ (2016-08-10 23:07:24)

現在も元気に活動中のドイツのベテラン・スラッシャー、ACCUSERが’87年にATOM H RECORDSから発表した記念すべきデビュー作。
80年代の彼らは作を重ねる毎に大作主義に磨きを掛けて、よりテクニカルな方向へ突き進んで行きましたが、この1stの時点ではまだ前身のBREAKER時代に演っていた、ACCEPTをハチャメチャにしたようなパワー・メタル路線の残滓を明瞭に聴き取ることができます。金属質な濁声シャウトがウド・ダークシュナイダー的なVoと、MG42機関銃の連射を思わす破壊力満点のリフ&リズムによる波状攻撃は、ライブの重要なレパートリーとして君臨することとなる代表曲②を始め、馬力にモノ言わせて突進する独産スラッシャーらしい、豪快なドカスカ感と特攻精神に満ち溢れていて、弥が上にもテンションが上がる上がる。
とは言え、ジャーマン・スラッシュ三羽鴉のように極悪ブラック・メタル・バンドとしてスタートを切り、徐々に整合性を獲得していったタイプではなく、ACCUSERがお手本にしたのはMETALLICAやTESTAMENTといったアメリカ勢(多分)。なのでアコギを用いて緩急を演出したり、7~10分台の大作にもチャレンジする等、楽曲をカッチリとまとめ上げる手腕が早くも発揮されています。特に「スラッシュ化したACCEPT」といった趣きの③は、勇壮なコーラス・ワークに思わずメタルの血が滾る名曲。あと10分以上に及ぶバンドのテーマ曲⑤も、ちょいダレますけどチャレンジ精神は大いに買えるのではないかと。
時々元ネタが透けて見えちゃったりする辺りがまだまだ微笑ましいものの、「この頃の彼らの方が好きだった」と表明するファンの気持ちも分かる気がする、愛すべき1枚。


ACCUSER - The Conviction - Down by Law ★★★ (2016-08-12 08:36:42)

「ダウン!ダウン!ダウンバイロウ!」と叫び倒すVoの金属質な
濁声シャウトと、サビメロにうっすら被さる「オーオーオー🎵」という
野郎コーラス、そしてドラマティックなイントロから緩急を盛り込んだ
マッチョな曲展開まで、ACCEPTからの影響が濃厚に匂い立つ
初期ACCUSERならではのパワー・メタリックな名曲。