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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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HUGO - Fire in the Night - Fire in the Night ★★★ (2023-03-20 23:06:32)

インストの小曲“PRELUDE:4EVER ENDEAVOUR”をイントロ代わりに
爽やかに駆け抜けていくアルバム表題曲。美しく伸びやかなサビメロは
まさしくヒューゴが歌うに相応しい清涼感が漂います。


KEE OF HEARTS - Kee of Hearts - Learn To Love Again ★★★ (2023-03-20 22:57:02)

アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの曲作りウマ男っぷりが
存分に発揮された名曲。ラストをハードナンバーで締め括る
アルバムは信用できますね。キー・マルセロのテクニカルな
Gソロも楽曲をスリリングに盛り上げてくれています。


KEE OF HEARTS - Kee of Hearts ★★★ (2023-03-16 00:00:11)

EUROPEのキー・マルセロ(G)+FAIR WARNINGのトミー・ハート(Vo)の組み合わせだからKEE OF HEARTS。FRONTIERS RECORDSのバックアップを受けて立ち上げられたプロジェクトが’16年に発表した唯一作。
このタッグでは’20年にOUT OF THIS WORLD名義でもアルバムをリリース済みで、あちらではキー・マルセロが曲作りを自ら手掛けていたのに対し、本作はレーベル側があらかじめ用意したアレッサンドロ・デル・ヴェッキオを始めとする職人ソングライター勢の手掛けた楽曲に、二人が生命を吹き込むというスタイルが取られています。有体に言えばお仕着せのプロジェクトであるわけですが(それが嫌でOUT OF THIS WORLDを新たに立ち上げたのかな)、とはいえ流石にメロディ職人たちが関与しているだけあって、収録曲はアッパレな完成度の高さ。また泣きのGソロに耳を惹かれるOPナンバー①や、リフもリードもGが歌っている②…といった具合に、ちゃんとキー・マルセロのギタリストとしての長所にフォーカスした曲作りがなされていて、単に作りっぱなしにしていない点にも感心させられますよ。
勿論、トミー・ハートの熱気とエモーション溢れる歌唱の素晴らしさも言わずもがなですし、リーダー・トラックたる⑦を手始めに、トミーの力強い歌声が映える各曲のキャッチーなサビメロ作りの上手さにも唸らされるものあり。特に本編随一のハードネスと、フックの効いたメロディとが絶妙に溶け合って疾走するラスト・ナンバー⑪は、このプロジェクトの旨みを凝縮したような名曲に仕上がっています。
OUT OF THIS WORLDが気に入った方なら、本作もチェックして損はありませんよ。


HUGO - Fire in the Night ★★★ (2023-03-14 01:04:29)

スティーヴ・ペリーそっくりの美声と、TENメンバーのバックアップを受けて制作したソロ・アルバムのハイクオリティっぷりがメロディ愛好家の間で評判を呼んだ、VALENTINE~OPEN SKIEZのシンガー、ヒューゴ。ガンで母親を亡くし、ショックでミュージシャン稼業から半ば引退状態にあったという彼が、奥さんの励ましもあって立ち直り、STREET TALK作品へのリハビリ的なゲスト出演等を経て、'04年に発表したカムバック・アルバム(ソロとしては3作目)がこちら。
いきなりフラッシーなGのイントロで本編の幕が上がる構成や、飾り気を抑えてシンプルにまとめたプロダクションが物語る通り、前2作に比べるとグッとハードにロックしている仕上がりなのが今作の特色。透明感と繊細な表現力に冴えを発揮するヒューゴのVoと過度にアグレッシブなサウンドの相性は良好とは思えないので、聴き始めこそ一瞬嫌な予感が脳裏を過ったりもしましたが、彼の清涼感溢れる歌唱が映えるOPナンバー①の伸びやかなサビメロを耳にした途端、そうした不安は瞬く間に雲散霧消していきましたよ。
HR然としたエッジを強調しつつも、フックと美しいハーモニーをふんだんに盛り込んだハードポップ・サウンドは、変わることなくメロディ重視の姿勢が貫かれており、特にGによる小曲③をイントロ代わりにして爽快に駆け抜けていく表題曲④や、キャッチーなコーラスが耳を捉える⑧は、このアルバムならではの魅力を端的に提示してくれる名曲。
前2作に勝るとも劣らぬクオリティを有しているだけに、これ以降ソロ作のリリースが途切れてしまっているのが残念。そろそろ復活してくれませんかね?


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon - Warm As the Wind ★★★ (2023-03-09 01:24:22)

ピアノとストリングスをバックに、女性と聴き紛う
ハイトーン・ボイスを駆使してデヴィッド・ラズリーが
ソウルフルに歌い上げる美しいバラード。幼少時より
ブラック・ミュージックに親しんできたというルーツ含め、
グレン・ヒューズの歌心なんかにグッとくる方には
是非一度お聴き頂きたい名曲です。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon ★★★ (2023-03-07 00:57:10)

ボズ・スキャッグスの名曲“JOJO”を手掛けたこと等でも知られるミシガン州出身のシンガー/ソングライター、デヴィッド・ラズリーが、日本のPACIFIC COAST HIGHWAY RECORDSと契約を交わして’89年に発表した、ソロ名義では3作目となるアルバム。この文章を書くにあたって「そういえば最近はどんな仕事してるんだろう」と思ってちょっと調べてみたら、何と'21年に病気で急逝されていたと知ってビックリでしたよ…。R.I.P.
先日感想を書いたティム・フィーアンの『CARMELITA』と同じく、本作はCOOL SOUNDからCDが再発されていますが、比較的ロック色が強かったあちらに比べると、こっちはロック色絶無。その大半を、自作曲のセルフ・リメイク及びジャズ/ブルーズ/ポップスのスタンダード・ナンバーのカヴァーが占める本編からは、昭和ドラマのバーやラウンジでの密談/密会シーンで流れていても違和感のないアダルトでジャジーな雰囲気が濃厚に漂ってきます。
音圧による誤魔化しがきかないアコースティックな仕上がりな分、デヴィッドの歌の上手さがより一層際立っていて、取り分けストリングスをフィーチュアしてメロウに迫る①、美しいピアノ・バラード③、エモーションの籠った歌い回しにウットリさせられる⑤、ランディ・ニューマンのカヴァー⑪といった楽曲は、時に女性と聴き紛う彼のソウルフルなハイトーンVoが絶品に映える名曲ではないかと。これだけのクオリティの代物が、リハーサルなし、レコーディング期間僅か3日という、NWOBHM作品ばりの突貫スケジュールで制作されたとは俄かに信じ難いものがありますね。歌ウマ男にも程があるだろうと。
まかり間違ってもHR/HMコーナーに置かれることはないでしょうけど、例えばグレン・ヒューズのソロ作辺りが楽しめる方であれば、是非チェックして頂きたい1枚であります。


TIM FEEHAN - Carmalita - Bad Sister ★★★ (2023-03-03 00:50:17)

歯切れ良く踊るGに先導されて突き進む曲調は
「ハードロック・ナンバー」と表して問題ない
カッコ良さ。それでいてメロディのフックにも
しっかりと気が払われている辺りが流石です。


TIM FEEHAN - Carmalita - Carmalita ★★★ (2023-03-03 00:47:34)

躍動感に溢れ、ポップでキャッチー。80年代AORらしい
爽やかな魅力に満ちたアルバム表題曲。
本編の幕開け役を担うのも当然な名曲です。


TIM FEEHAN - Carmalita ★★★ (2023-03-02 00:04:54)

トロピカルな名曲“LEAVING FOR MAUI”を母国カナダで大ヒットさせたことで知られるエドモントン出身のAORグループFOOTLOSE(同名の青春映画とは無関係)。その中心メンバーであり、グループ解散後はデヴィッド・フォスターに才能を認められ全米デビューも飾っているシンガー/ソングライターのティム・フィーアンが、まだ駆け出し時代の’83年に地元のインディ・レーベルからリリースした2ndソロ・アルバム。
国内盤CDのリイシューを中田利樹主宰のCOOL SOUNDが手掛けていることからもお察しの通り、本作で披露されているのは、80年代らしく軽快にシンセを効かせたポップで親しみ易いAORサウンド。この手の作品は心地良く聴ける反面、刺激に乏しくいつの間にか聴き終わってしまっているボンヤリBGMにもなりがちなのですが、本作はティムの溌剌とした歌いっぷりといい、バックを支える楽器陣の存在にもフォーカスした音作りといい(プロデュースは自ら担当)、かなりロック・サイドに寄った仕上がりとなっています。
無論、キャッチーに弾む①に始まり、女性Voとのデュエットによるソウルフルなバラード⑩にて幕が下りる本作の基調となるのは、スロー~ミディアム系の楽曲。されどその合間に配置された、アップテンポのリズムとポップなメロディの取り合わせが秀逸な②、G主導で突き進んでいく本編随一のハード・ナンバー⑤、哀愁のメロディがリズミカルに踊る⑧といった歯応えのある楽曲が全体の流れに起伏を生み出し、自分のようなメタル者が聴いても集中力が途切れることがありませんでしたよ。
HR/HMリスナーにとってのAOR入門盤にもお薦めできる1枚ではないでしょうか。


NITRATE - Real World - Dangerous ★★★ (2023-02-27 22:34:42)

哀愁を帯びつつ、一度聴けばすぐさま口ずさめる
キャッチーなサビメロの素晴らしさにグッとくる
メロハーの名曲。デンジャラ~ス♪


NITRATE - Real World ★★★ (2023-02-24 00:27:00)

MIDNITE CITYを率いて、これまでに3枚のアルバムをリリース。すっかりメロディ愛好家から篤い信頼を勝ち得ているロブ・ワイルド(G)の参加しているプロジェクトということで興味を惹かれたNITRATE。本作は彼らが’18年に発表した1stアルバムで、日本盤は「令和のゼロ・コーポレーション」ことANDERSTEIN RECORDSからのリリースでした。
マスタリングはHAREM SCAREMのハリー・ヘスが担当、シンガーを務めているのは、あら懐かしい。ロビー・バレンタインも在籍していたZINATRAや、MENNEN等での活動で知られるヨッス・メネンじゃありませんか。その脇をロブ・ワイルド、ニック・ホッグ(G、Key)、ピート・ニューデック(Ds)といった、いずれも80年代型メロハーに関しては一家言ある「書いて良し」「演って良し」な面子が固めるという鉄壁の布陣が敷かれています。
曲作りの中心を担うのは、当然ロブ…かと思いきや実はニックだったりするのですが(そもそもこのプロジェクトの発起人でもあるという)、フックの効いたメロディ、煌びやかなハーモニーとKeyに彩られ、溌剌と躍動するメロディアスHRサウンドはMIDNITE CITYの諸作と比較しても全く聴き劣りしないクオリティを誇っていますよ。
特に歌詞には「TOKYO」も登場する爽快なアリーナ・ロック・チューン⑥と、一度聴いたら哀愁のサビメロが耳から離れない⑩はこのプロジェクトの旨みを凝縮したような名曲。ヨッス・メネンも昔は然程上手いシンガーという印象を持っていなかったのですが、ここではその印象を覆す情感豊かな歌声をもって楽曲の魅力を見事に際立たせてくれています。
所属レーベルの店仕舞いで国内盤が早々に廃盤になってしまったのが残念な力作。


AUTOGRAPH - Missing Pieces - When I'm Gone ★★★ (2023-02-23 00:24:14)

お蔵入りしてしまったのが残念でならない、
世が世ならヒット・チャートを賑わせていたって不思議ではない
フックの効いたこのバンドらしい名曲です。


AUTOGRAPH - Missing Pieces ★★★ (2023-02-21 00:14:16)

タッピングの名手スティーヴ・リンチ(G)と、ハスキー声が特徴的なスティーヴ・プランケット(Vo)という二人のタレントを擁し、80年代に3枚のアルバムを発表。シングル“TURN UP THE RADIO”をヒット・チャート上位に送り込むも、善戦及ばず解散へと至ったLAの5人組AUTOGRAPHでしたが、マニア筋からの評価は一貫して高く、バンド解散後にUSG RECORDSのヨルグ・ダイジンガー(BONFIRE~SABU)から「未発表曲とかないの?あったらウチからリリースするで」と声を掛けられたことをきっかけに発売が実現した蔵出し音源集がこちら。(日本盤は'94年にテイチクからリリースされています)
内容の方は、これが嬉しくなるぐらいAUTOGRAPHらしさ満点のアメリカンHRサウンドが徹底。それというのも元々は幻に終わった4thアルバム用にレコーディングされたデモテープ収録の楽曲が使われているらしく、なのでこれはもう単なる未発表曲集というよりは、実質的な4thアルバムというべき1枚ではないかと。
前3作に比べるとテンポは若干落ち着き気味ながら、確かなヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーなメロディ、LAメタル界隈屈指のテクニシャンと謳われたリンチのフラッシーなGプレイも健在。特に仄かな哀愁を塗したメロディをプランケットがオヤジ声…もといハスキー声で歌い上げ、華やかなハーモニーが援護射撃する③⑤辺りは、発表が80年代だったらバンド活動のその後だって多少なりとも変わっていたのでは?と思わずにはいられない出来栄えですよ。
AUTOGRAPHは00年代に入って再結成を遂げてくれましたが、ならば是非とも本作のクオリティを超える新作のリリースを期待したいことろであります。


DAKOTA - Long Road Home - When The Party Is Over ★★★ (2023-02-16 00:25:54)

タイトルからしてアルバムの締め括り役を担うに相応しい
メロディアスHRナンバー。特徴的なリフ&リズムに乗って
奏でられるメロディの絶妙な哀愁ぶりに悶絶させられます。


DAKOTA - Long Road Home ★★★ (2023-02-14 00:53:58)

ジェリー・G・ルジック(Vo)とビル・ケリー(G、Vo)の二人を中心に70年代末に結成され、解散と復活を挟みつつ、メロディ愛好家達の根強い支持を受けてマイペースで活動を続けるメロハー・ユニットDAKOTAが、トミー・デナンダー、ビル・チャップリン、ファブリッツオ・V・グロッシetc…といったメロディアスHRファンにはビビッと来る面子をゲストに迎えてレコーディングを行い、'15年に発表した7th アルバム。
前作『DRRP 6』から13年ぶりのリリース、個人的に彼らのアルバムを購入するのは、'00年に国内盤も発売された5th『LITTLE VICTORIES』以来という同窓会状態だったのですが、哀愁とフックの盛り込まれたキャッチーなメロディ、ジェリーとビルのダブルVoを活かした心和むハーモニーがたっぷりとフィーチュアされたメロハー・サウンドは、空白期間を瞬く間に埋めてくれる変わらない魅力を保持してくれていましたよ。
序盤こそ哀愁はやや抑え気味な印象を受けるかもしれませんが、聴き進めるに従ってメロディの叙情性はどんどん増幅。特に、爽やかに吹き抜ける一陣の涼風の如き⑧、ライブ映えもばっちりなキャッチーなサビメロが秀逸な⑨、哀愁とエモーション盛り盛りで贈るAORバラード⑪、歯切れ良く快活に駆け抜けていく⑫、タメの効いた哀メロ・チューン⑬、ジェリーの卓越したメロディ職人ぶりが存分に発揮された本編のハイライト⑭といった強力な逸品が並ぶアルバム後半の充実具合には惚れ惚れさせられますね。
現状、これがDAKOTAの最新作となっていますので、そろそろ新作のご発表をお待ち申し上げております。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-10 00:15:56)

EXCALIBURの代表曲。リマスターしようが元がデモなので
音質の改善具合はたかが知れていますが、忙しなく刻まれる
Gリフ、ガムシャラに突っ走るリズム、劇的に舞うインスト・パートの
カッコ良さには「それがどうした」と思わされるだけの
魅力が備わっていますよ。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-06 23:23:23)

バンド名はX-CALIBERでもEXCULIBERでもなくEXCALIBUR(間違い探しか)。80年代初頭のフレンチ・メタル・シーンで頭角を現し、一時はベルギーのMAUSOLEUM RECORDSと正式契約寸前まで漕ぎ着けたらしいですが、主要メンバーの脱退等で活動が軌道に乗らず、結局アルバム・デビューを果たせぬまま解散してしまったという4人組。本作は彼らが残した幻のデモテープ『FILS VENGEUR』(’84年)を始め、貴重なライブ音源等を取りまとめて収録した特別編集盤…なのかな?
フレンチ・メタル熱が盛り上がっていた時期に行きついた作品で、ファンタジックなバンド名とは裏腹に、神秘さの欠片もねぇジャケット・アートワークは海原雄山が「このイラストを書いたのは誰だあ!!」と怒鳴り込んできそうなヘボヘボ具合ですし、元がデモ音源だけにプロダクションのショボさも相当なもんですが、しかしそれを補って余りあるぐらい楽曲がカッコ良いんですよ。目玉はやはり『FILS VENGEUR』収録曲で、NWOBHMのみならず当時台頭し始めていたスピード/スラッシュ・メタル勢からの影響も咀嚼したアグレッション撒き散らかす楽曲、分けてもササクレた音色で刻まれるGリフに荒々しく突っ走るリズム、自棄っぱちなハイトーンVo(歌詞は当然フランス語)が一丸となって畳み掛けるJUDAS PRIESTとEXCITERを足して2で割ったようなOPナンバー①と、「タガが外れたACCEPT」といった趣きの⑤は頭抜けたインパクトを放っています。
一応’07年に再結成しているらしいですが、以降も作品発表には至ってないので、「アルバム・デビューして欲しかったな」と思わずにはいられない1枚。


TOXIK - Dis Morta ★★★ (2023-02-03 00:44:22)

リアルタイムで活動していた80年代よりも、インターネットを介してその存在が若いスラッシュ・メタル・ファンにも知れ渡った現在の方がより高い評価を受けている気がする、ニューヨーク出身のテクニカル・スラッシュ・レジェンドTOXIKが、旧譜の再発、デモ音源の発掘といった助走を経て、'22年に満を持して発表した復活作。通算3作目。
1st『WORLD CIRCUS』や2nd『THINK THIS』とがそうであったように、今回もシンガーにメンバー・チェンジが発生していますが、歌唱スタイルが前任者達と同タイプなので違和感はまるでなし。鼓膜をつんざくハイピッチ・スクリームを駆使して歌いまくるVoと、SHRAPNELメタル顔負けの勢いで、ジャズ/フュージョン方面からの影響を伺わせるテクニカルなフレーズを猛然と弾き倒すジョシュ・クリスチャンのGを両軸に、テンション高く畳み掛けるテクニカル・メタル・サウンドは前2作のスタイルを継承・発展させた仕上がりで、バンド側が自身の強みをちゃんと把握していることが分かって頼もしい限りですよ。
一方で、エクストリームなアグレッションのみならず、アコギを用いた静と動の演出、浮遊感漂う立体的なコーラス・ワークに彩られたOPナンバー①が開巻早々に物語る通り、これまで以上にプログレッシブな方向にも踏み込んでいるため「キャッチーさには少々乏しいかな?」とか思いながら聴き進めていたのですが、名曲“HEART ATTACK”と同系統のキャッチーに炸裂する⑦みたいな楽曲もしっかりと収録されていて、隙がねえなと。
個人的には故チャック・シュルデナーのCONTROL DENIEDのことを何となく思い出したりもした1枚。ファンの期待に応える見事な復活作です。


喜屋武マリーWITH MEDUSA - First Live ★★★ (2023-01-30 23:11:51)

「オキナワン・ロックの女王」こと喜屋武マリーが、’81年にマリーWITH MEDUSA名義でCBSソニーから発表した1stアルバム。
デビュー作がいきなりのライブ・アルバムですよ。’81年4月に大阪厚生年金会館で行ったパフォーマンスの模様が収録されていて、「初っ端からライブ盤て…予算がなかったの?」と少々不安に思ったりもしますが、ベトナム戦争下の沖縄で、米兵相手に歌唱力に磨きを掛けていったというマリー姐さんの実力は、ライブという実戦の場だからこそ存分にその真価を発揮してくれています。(レコード会社がそれを狙っていたのかどうかは分かりませんが)
セットリストは日本語詞のオリジナル曲と、レオ・セイヤーの“星影のバラード”、BLONDIEがヒットさせた“夢みる№1”といった洋楽アーティストの楽曲のカヴァー半々で構成。英詞の歌い上げはお手の物といった感じですし(MCも寧ろ英語の方が流暢に聴こえるぐらい)、BADFINGERの哀愁の名バラード③、パット・ベネターのエネルギッシュなHRチューン⑧、アルバムの締め括り役を担う初期HEARTの代表曲⑩といったパンチの効いた名曲の数々を、時に情感込めて切々と、時にパワフルに歌いこなしていく様には、大向こうから「よっ、和製ジャニス・ジョプリン!」との掛け声がかかりそうな、堂々たる貫禄と説得力が漂っています。まぁそうしたカヴァー曲の素晴らしさが際立っている分、オリジナル曲の印象の薄さが悪目立ちしてしまっている点は如何ともし難いのですが…。
ともあれ、これが1stとは思えぬ気迫漲る歌唱に圧倒される1枚であることは間違いありません。再評価の機会の到来とCDの再発を是非に。


EXCITER - Better Live Than Dead ★★★ (2023-01-26 00:32:14)

スラッシュ・メタルの元祖とも評されるカナダ出身のスピード・メタル・トリオEXCITER。本作は一度の活動停止期間を挟んで6th『KILL AFTER KILL』(’92年)でカムバックを遂げた彼らが'93年に発表した、バンドにとって初めてのライブ・アルバム。活動最盛期の80年代にリリースがなかったのは残念ですが、今となってはダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(B)が揃った状態でのライブ盤を公式に残してくれたことに感謝ですよ。
’91年2月に地元で行った復活ギグの模様が収録されており、セットリストは彼らが最も尖っていた1st~3rdアルバム収録曲のみというかなり偏った構成。でも文句を言うファンはいないんじゃないかな?個人的にも文句はありません。演奏は精緻とは言い難いですし、音質もイマサン。録音レベルが低いのでかなりボリュームを上げて聴いていると、連続再生で別のアーティストの楽曲が流れ出すとムチャクチャ爆音で毎度ビクッとさせられるという。しかしながらそうした荒っぽさすらも、欠点としてあげつらうのではなく「うむ、実にEXCITERらしい!」とポジティブに捉えられるのがこのバンドの強み。
ほぼ全編をスピード・ナンバーで固め、“STAND UP AND FIGHT”に始まり、“HEAVY METAL MANIAC”“I AM THE BEAST”“LONG LIVE THE LOUD”“VIOLENCE AND FORCE”といった名曲で畳み掛ける手加減無用のライブは、歌もドラムも喧しいことこの上ないダンを中心に、まるでブランクを感じさせないエネルギーの迸りで聴き手を圧倒する仕上がり。彼ら唯一のライブ盤ですし(違う?)、機会があればEXCITER入門盤として是非一聴をお薦めするはっちゃけた力作です。


METAL CHURCH - Live ★★★ (2023-01-24 01:32:58)

シンプルに『LIVE』と題されたMETAL CHURCHの蔵出し実況録音盤。'86年に2nd『THE DARK』発表後、テキサス州ダラスにて行ったライブの模様が収められており、当時のフロントマンは勿論、故デイヴィッド・ウェイン。90年代末期に復活を果たしたMETAL CHURCHのシンガーの座にウェインが再就任したことに合わせて’99年に国内盤の正式リリースが実現しました。
スラッシュ・メタル・バンドとして尖りまくっていたこの時期の彼らのライブが聴けるのは嬉しい限りで、前掛かりに突き進む①にて荒々しくスタートを切り、DEEP PURPLEの名曲“HIGHWAY STAR”の倍速カヴァー⑩まで全力疾走で走り抜ける本編は、整合性?んなもん知らんわ!とばかりに、とにかく刺々しくてアグレッシブ。同時に⑦⑨といった重厚なヘヴィ・チューンにおいてもゾクゾクする興奮が生み出せる、METAL CHURCHならではの強みが既に健在なことも確認できます。
そして何より特筆すべきは、やはりウェインの天然ディストーションVo。再結成以降は声の衰えを指摘されることも多かった彼氏ですが、ここでは殺気を孕んだロウ・トーンから、聴く者の鼓膜から出血を強いるようなカミソリ・シャウトまで、振れ幅のデカイ歌唱で場を完全に掌握。ハイスピード・ナンバー⑥や代表曲④⑧におけるハイテンションなパフォーマンスは圧巻の一言に尽きますよ。
METAL CHURCHは他にも数枚ライブ盤をリリースしていますが、個人的にはこれをベストな1枚として今後も推していきたい所存。


SHELL SHOCK - Nothing Solves Nothing ★★★ (2023-01-19 00:09:39)

国内スラッシュ・シーン黎明期から始動し、一度の解散期間を挟んで既にキャリアが35年に到達しているという東京出身の古豪SHELL SHOCKが’22年に発表した6thアルバム。
3rd『FIEL LARM』(’94年)以降は音楽性をどんどん拡散させ、デス・メタル/グラインド・コア/ノイズ/インダストリアル等々、多彩なジャンルを横断するアバンギャルドかつプログレッシブなサウンドを意欲的に追求していましたが、’18年リリースのEP『BEYOND RESSURECTION』で初期の楽曲のセルフ・カヴァーに挑んだのを転機に原点回帰の姿勢を表明するようになり、今回もそのスタイルは継承…というか、全編スピード・ナンバーの固め打ちで攻めて来る本作は、よりハッキリと軸足がスラッシュ・メタル方向に振り戻されたことを物語る仕上がり。
カオティックな曲展開やヒネリの効いたコード進行、複雑精緻なリズム・ワーク等、最早このバンドを語る上で欠かすことの出来ない重要な個性となったエッセンスを脈々と息衝かせつつも、やはりそれ以上に印象に残るのは前掛かりな突撃感覚や刺々しいアグレッションの方。ゲストに迎えられた羽鳥恭充(CASBAH)のド迫力Voを得てオラオラと威圧的に押し出して来る⑪、緊迫感と切れ味の鋭さを伴って突っ走る⑬、そしてダブルVoとツインG、暴風の如きリズムが猛然と畳み掛けて来る⑭といった痺れるスラッシュ・ナンバーの数々は、まるで初期2作を聴いているような錯覚を覚える程ですよ。
演りたいことと演るべきことに、バンドがきっちりと落としどころを見つけた会心作。これ聴いたらもう「方向性に迷いが感じられる」なんて声はなくなるんじゃないでしょうか。


ROSE ROSE - Unseen Terror - Death Tormentor ★★★ (2023-01-18 01:10:46)

タイトルが80年代前半の独産スラッシャー風(?)で、そのせいか
ブラスト・ビートを織り交ぜた破天荒な曲調もそれっぽく聴こえてきます。
とてもキャリア云十年のベテランとは思えぬ炸裂っぷりで
本編ラストを飾る最速ナンバー。


ROSE ROSE - Unseen Terror ★★★ (2023-01-17 01:45:21)

伝説のコンピレーション・アルバム『SKULL THRASH ZONE Vol.1』に、X、DOOM、JURASSIC JADE、GROUND ZEROと共に参集したバンドの一つであり、日本におけるクロスオーバー・スラッシュ・メタルの先駆け的存在でもあるROSE ROSEが、'22年に発表した最新アルバム。
全17曲収録、1曲の平均ランニング・タイムが2~3分台とハードコア/パンクの流儀は継承しつつも、日本語詞を交えたシャウト型Voを乗せて突っ走る、ザクザク刻まれるGリフにも、緩急自在のフットワークで聴き手を翻弄するリズムにも、ヘヴィ・メタリックなエッジがズッシリと効いています。さりとてそれがスピード感のスポイルには繋がっておらず、「まずは小手調べ」といった感じのOPナンバー①を皮切りに、キャッチーかつハイスピードな②、テンション高く切り込んでくるGソロが疾走感を増強する④⑭、ツインGを活かしたアンセミックな⑧、Gリフがオールドスクールなデスメタル調の⑬、アッパーに攻め立てる⑮⑯と来て、本編を爆発的突進で締め括る最速ナンバー⑰…と、タイト極まりない、それでいてキャラ立ちも明確な楽曲の連打で畳み掛けるスタイルは、MUNICIPAL WASTE辺りを好むスラッシャーなら必ずやグッとくるであろう仕上がり。つか、キャリアの長さはMUNICIPAL WASTEの数倍もある大ベテランなのに、未だに彼らに勝るとも劣らぬこの落ち着きのなさ(誉め言葉)、はっちゃけぶりを保ち続けていること自体、驚嘆に値しますよ。
近年のROSE ROSE作品はどれ聴いてもハズレなしですが、本作は特にクオリティとメタル度数が高めなので、入門編に最適な1枚と言えるんじゃないでしょうか。


JOURNEY - Freedom ★★★ (2023-01-13 01:08:33)

JOURNEYが11年ぶりに発表した待望のニュー・アルバム。…なんですけども、全16曲収録(日本盤のみのボートラ含む)、ランニング・タイム70分オーバーという、ウチの近所の国道を行きかってる土建屋トラックも顔負けの過積載っぷりにいきなりテンション・ダウン。こっちとしては8曲入り程度のボリュームで構わないので、5年に1枚ぐらいのペースでアルバムをリリースしてくれた方が嬉しいんだけどなぁと。
尤も、今回はコロナ禍に加えて、ロス・ヴァロリー&スティーヴ・スミスの解雇というバンド内部のゴタゴタが重なってしまった止む得ない事情があったことは重々承知しておりますし、何より、ニールの伸びやかなG、叙情性と透明感を増幅するジョナサン・ケインのKey、それに上手いVoとに彩られた優れた楽曲を揃えて、聴き手に「待った甲斐はあった」と思わせるクオリティの作品をちゃんと提供してくれる辺りは流石JOURNEYですよ。
収録曲数の多さに加えて、中盤に並ぶハード・ナンバーにフックが乏しい、その手の楽曲だとアーネル・ピネダのVoが馬力不足(プロダクションもリバーブ掛け過ぎじゃない?)等、通して聴くとどうにも印象がボヤけてしまう弱点は指摘しておきたいところではありますが、とはいえ、イントロが“SEPARATE WAYS”を彷彿とさせる②、躍動感溢れる③、JOURNEY印の感動的なバラード④、美しくメロウな⑧、新たなアンセムになり得る魅力を秘めたキャッチーな⑫、本編を壮大に締め括る⑮etc.と、こちらがJOURNEYに期待する水準をきっちりクリアしてくれていることも間違いない1枚。王者の帰還を祝して、また次作はもっと短いスパンでのリリースへの期待込みで★3つ進呈させて頂きます。


GENERATION RADIO - Generation Radio - I Hope You Find It ★★★ (2023-01-11 23:50:46)

オリジナルはマイリー・サイラスが主演した映画『LAST SONG』の主題歌。
哀愁を帯びたメロディとストリングス・アレンジが胸を打つバラードで、
ここではジェイソン・シェフが流石の上手さで見事に歌いこなしています。


GENERATION RADIO - Generation Radio - All Night to Get There ★★★ (2023-01-11 23:46:26)

爽やかでキャッチー、そして切なくもあるという
絵にかいたような胸キュン・ナンバー。
書下ろしの新曲ではなく、RASCAL RLATS時代のヒット曲の
セルフ・カバーらしいので、聴き比べてみるのも一興かと。


GENERATION RADIO - Generation Radio ★★★ (2023-01-10 07:31:01)

FRONTIERS RECORDSが新たに送り出してきたスーパー・プロジェクト、GENERATION RADIOが'22年に発表した1stアルバム。
構成メンバーは、RASCAL FRATSのブレーンとしてカントリー・ミュージック・シーンを主戦場に活躍してきたジェイ・デマーカス(Vo、Key)、CHICAGOの2代目フロントマンとして知られるジェイソン・シェフ(Vo、B)、それに現JOURNEYの歌うドラマーことディーン・カストロノヴォ(Vo、Ds)といった面々。ベテラン揃いの布陣だけにハズレ作品にはならないという圧倒的安心感が心強い一方、ふわっと流れていくだけの毒にも薬にもならないAOR/産業ロック・アルバムだったらどうしようという一抹の不安も拭いきれずにいたのですが、流石にチャート上位にヒット曲をいくつも送り込んで来たジェイ・デマーカスが才能と人脈を活用して腕を振るっているだけあって、収録曲は甘酸っぱいハードポップ③、AORバラードのお手本のような仕上がりの④、JOURNEYを豊富とさせる⑥(だからかリードVoはディーンが担当)、メンバー全員が歌える強みを生かした⑦等々、いずれも心憎いばかりにフックの効いた逸品揃い。メロウな楽曲のみならず、疾走ナンバー⑤やヘヴィな⑧といったHRナンバーも要所に配置されていて、メリハリの演出に対する目配せもばっちりです。まぁ、ぶっちゃけそっち系の楽曲にはそれほど耳惹かれないのですが(おい)…。でも心意気は買える。
顔触れ的に次作があるかどうかは微妙なところではありますが、この完成度を聴いてしまうと、1枚きりで終わらせず継続プロジェクト化してくれることを願わずにはいられませんよ。


FAR CORPORATION - Division One - Johnny Don't Got the Distance ★★★ (2023-01-06 01:00:55)

憂いを帯びたエレピに導かれてスタートするアルバム屈指の名曲。
サックスを効果的に用いたドラマティックな曲展開からは
プログレ・ハード風味も感じられたり。透明度の高い曲調に
ロビン・マッコーリーのエモーショナルな歌声がマッチしています。


FAR CORPORATION - Division One ★★★ (2023-01-05 00:40:53)

ドイツ人プロデューサーのフランク・ファリアンが音頭を取って結成、LED ZEPPELINの代表曲“天国への階段”をカヴァーしてスマッシュ・ヒットさせ全英チャート最高第8位に送り込んだことや、ボビー・キンボール、スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ペイチらTOTO組を始め、ロビン・マッコーリー、サイモン・フィリップス、メル・コリンズといった参加メンバーの豪華さでも注目を集めたプロジェクト、FAR CORPRATION(FARはプロデューサーの名前に由来)が'86年に発表した1stアルバム。これが唯一作だと思っていたら'94年に2ndアルバムもリリースしていたんですね。
その“天国への階段”だけでなく、FREEの名曲“FIRE AND WATER”もカヴァーしている…と書くとプロジェクトの目指す方向性がさっぱり分からなくなりそうですが、基本的には初期TOTO辺りに通じる洗練されたメロディアスHRに、ニューウェーブ風味を追加投入した感じのサウンドを志向。上記カヴァーもダンサンブルなアレンジが施されており、そのカヴァー曲のインパクトの大きさに本編の他の楽曲の存在感が食われてしまっていたり、今聴くと80年代全開なアレンジにむず痒さを覚える部分なんかもありつつ(そこが魅力でもあるわけですが)、それでも流石に実力派ミュージシャン達が集っているだけあってクオリティは高め安定をキープ。特にロビン・マッコーリーが歌い、TOTOのメンバーがバックを支える叙情的かつドラマティックな⑤は、この1曲を聴けただけでも本作購入価値はあった!と納得できる名曲ぶりですよ。いや強がりでなくて。
廃盤のままほったらかしは惜しい、と再発の願掛けを正月にしたくなる1枚。


ANGELICA - Angelica - Shine On Me ★★★ (2022-12-30 01:02:32)

爽やかで開放的なサビメロが実にキャッチーな
ハードポップの名曲。ロブ・ロックの鮮烈な
ハイトーンVoと、デニス・キャメロンの華やかな
Gプレイがこれまた楽曲の魅力を際立たせてくれています。


ANGELICA - Angelica ★★★ (2022-12-29 00:23:19)

デニス・キャメロン(G)率いるクリスチャン・メタル・バンドANGELICAが、INTENSE RECORDSから’89年にセルフ・プロデュース/セルフ・タイトルで発表した1stアルバム。
バンドと言いつつ、正式メンバーはデニスとロバート・バレン(B)の二人のみ。他パートもクレジットこそあるものの、この時点ではバンドとしての実態は殆どなかったようで、その穴を埋めるべく助っ人シンガーに起用されているのが誰あろう、IMPELLITTERI等での活躍で知られるロブ・ロック。彼の客演が、プロデューサー兼ゲストVoとして本作制作に関わるレーベルメイトのケン・タンプリン(ロブとはJOSHUAで一緒に仕事をした仲)の紹介によるものだったのかどうか定かじゃありませんが、ともあれ既に一発で彼と分かるパワフルな歌声をもって、サウンドの「格」を数段レベルアップさせてくれていますよ。
時にポップで柔和な味わいも醸し出すキャッチーなメロディと、デニスの構築美を湛えたメタリックなギターの組み合わせによって形成されるANGELICA独特のメロディアスHRサウンドは、デビュー作にしてほぼ確立の域に達しており、特に爽快感と高揚感を併せ持った⑤はこのバンド屈指の名曲の一つ。
通して聴くと強烈なインパクトに乏しいという、これ以降も彼らのカタログについて回ることになる弱点が早くも健在化してしまってはいるのですが(でもどのアルバムも出来は良い)、ロブのシャープなハイトーンVoが楽曲のメタル度数を底上げしてくれている本作は、ANGELICA入門盤としても取っ付き易い仕上がりとなっているのではないかと。
でも国内盤は廃盤か。


Jerome Mazza - Outlaw Son - Neverland ★★★ (2022-12-28 00:08:51)

アップテンポの曲調に、ジェロームの伸びやかなVoによって
謳われる爽快感溢れるメロディと、アルバムの
オープニング・ナンバーとして100点満点の働きぶりを
聴かせてくれる逸品です。


Jerome Mazza - Outlaw Son ★★★ (2022-12-27 00:08:32)

ジェローム・マッツァをご存知でしょうか?名前を聞いて「デニス・キャメロン率いるクリスチャン・メタル・バンドANGELICAの2ndで歌ってた人でしょ」とスラスラ出て来た貴方はかなり年季の入ったHR/HMリスナーとお見受け致します。本作はその彼がESCAPE MUSICから'18年に発表した2枚目のソロ・アルバムに当たる作品。ロック色皆無の1stソロは日本盤リリースなしでしたが、今回はキャッチーなメロディから躍動感溢れる曲調まで、ANGELICA時代にも通じるハイクオリティなメロディアスHRサウンドが詰まっており、めでたくRUBICON MUSICから国内盤の発売も実現しています。
本作においてブレーン役を担うのは、ジェロームとはスティーヴ・ウォルシュ(KANSAS)のソロ・アルバム『BLACK BUTTERFLY』(’17年)制作時に縁を結んだ「北欧のメロハー請負人」ことトミー・デナンダーで、流石にこの手のスタイルを手掛けさせたら天下一品の腕前を発揮(作詞ではFMのスティーヴ・オーヴァーランドも全面関与)。溌剌と本編開巻を告げるOPナンバー①、哀愁を帯びたメロディが胸に沁みる⑤、解放感溢れるサビメロが絶品の⑧、エネルギッシュなHRナンバー⑪…と、80年代から全く衰えを感じさせないジェロームの伸びやかな歌声が映える、ポップで爽快なメロディアスHRチューンを次々に繰り出してきます。まぁ「この1曲!」という決定打に乏しい点はちょっと惜しいのですが、そういえばANGELICAもそんなバンドだったなぁと思い出して逆に微笑ましくもなるってもんですよ(ならない?)。
今後の継続的なソロ活動に期待せざるを得ない1枚です。


樋口宗孝 - 破戒凱旋録(DESTRUCTION) ★★★ (2022-12-22 06:38:10)

LOUDNESSのドラマー、故樋口宗孝が'82年に発表した1stソロ・アルバム。
まず邦題が良いんですよ。『破戒凱旋録』。非常に中二マインドをくすぐられます。この時期のLOUDNESS関連の作品は他にも『撃剣霊化』とか『魔界章典』とか『ジャガーの牙』とか、声に出して読みたくなる日本語タイトルばかりで最高でしたね。
本作の存在を初めて知った当時(LOUDNESSについてもよく知らなかった)は、ソロ・アルバムってのは「バンドの花形であるシンガーかギタリストしか作らない」というかなり誤った先入観があったもんで、縁の下の力持ち的存在の筈のドラマーが、山本恭司、CHAR、北島健二、中島優貴、鳴瀬喜弘、山田信夫、松澤浩明といった錚々たる面子をゲストに迎え、リーダーシップを発揮してソロ作を作り上げていたことにかなりの衝撃を受けましたよ。
過剰な自己主張は抑制しつつも、パワフルなドラミングで楽曲をリードする樋口が、(ソロ・アルバム制作にあたってお手本にしたであろう)コージー・パウエル同様に楽曲優先の姿勢を貫いた結果、スピーディに炸裂する①、スリリングな②、山本が関与しているせいか初期BOW WOW風味漂う③、哀愁を帯びてキャッチーな⑥…と、強力な楽曲が揃った本編はLOUDNESSのオリジナル・アルバムと比較しても何ら遜色のないハイクオリティっぷりを提示。とりわけ山田の熱唱が胸を打つドラマティックな慟哭の名バラード⑤と、樋口、CHAR、北島、中島、鳴瀬ら楽器陣が白熱したバトルを繰り広げるアルバム表題曲⑩は、アルバムの静/動サイドそれぞれの魅力を代表する名曲となっています。
樋口宗孝が不世出のドラマーであったことを証明する、ジャパメタ史に残る名盤。


PAUL DI'ANNO - The Worlds First Iron Man - Show Some Emotion ★★★ (2022-12-21 00:40:54)

神秘的なピアノのイントロだけで名曲の気配が漂ってきますが
ドラマティックな曲調はその期待を裏切りません。
ディアノの熱唱もベテラン・シンガーの凄味をしっかりと伝えてくれますよ。


PAUL DI'ANNO - The Worlds First Iron Man ★★ (2022-12-20 01:54:40)

IRON MAIDENフロントマンとして過ごした日々は遠くへと去り、’12年には保険金や補助金の不正受給がバレ逮捕されてしまい9ヵ月間臭い飯を食う等、『ザ・ノンフィクション』の登場人物ばりに塩辛い人生を送る男、ポール・ディアノ。そんなメタル界隈随一、中孝介の“サンサーラ”が似合う男が'96年に個人名義で発表したソロ・アルバムがこちら。
アルバム・タイトルが『~IRON MAN』だったり、今回もIRON MAIDENの楽曲(ライブ音源)が収録されていたりして「擦るなぁ」と苦笑を誘われますが、意外にも本編にメイデン色は希薄。いや希薄というか1曲目がいきなりジェームズ・ブラウンの“LIVING IN AMERICA”、更にWILDCHERRYの“PLAY THAT FUNKY MUSIC”とドファンクなカヴァー2曲が頭から続いた時は、買うCD間違ったかとジャケを二度見してしまいましたよ。
序盤3曲を聴いた時点じゃ「ポール殿ご乱心」を疑いたくなる本作でしたが、キャッチーなコーラス・ワークと、ギターが奏でる憂いを帯びたメロディの取り合わせが印象的な④以降は徐々に欧州風味も強まっていき、洗練すら感じさせるメロハー⑤、軽快に疾駆する⑨、そして最後には、これは掛け値なしの名曲!と太鼓判を押せるドラマティックな⑩も登場しますんでご安心を。また落ち着いてから序盤を聴き直すと、ロックンロール系の楽曲もポールのラフな声質には合っていて「これはこれであり」と案外違和感なく聴けてしまうんですよ。
色々と藻掻いていた90年代のポールの試行錯誤がガッツリ刻まれていますが、メイデン時代の遺産を擦り倒すよりはずっと好感度が高い1枚。メイデン・サイドの援助もあって長年の懸案だった膝の手術も受けられたそうで、今後の御大の人生に幸多からんことを。


CHEZ KANE - Powerzone - Powerzone ★★★ (2022-12-15 23:13:11)

パワフルに疾走するアルバム表題曲。
曲調はスピーディながら、勢い任せになることなく
メロディにもしっかりとフックが効いていて
気持ち良く伸びていくシェイ・ケインのVoのみならず
楽器陣にも見せ場が用意されていたりと、
配慮の行き届きっぷりが心憎いほど。


BATON ROUGE - Baton Rouge ★★ (2022-12-14 23:38:46)

フロントマンのケリー・キーリングがBLUE MURDERに参加するため脱退したのを引き金に、アルバム2枚を残して解散してしまったLA出身の4人組BATON ROUGEが、'97年に突如発表した3rdアルバム。
じゃあ再結成したのか?というと、そういうわけでもないそうで、5人目のメンバーとしてバンドを支え続けたプロデューサー/ソングライターのジャック・ポンティが、手元に未発表のデモ音源が残っていることに気が付き、ケリーをシンガーに起用して改めてレコーディングを行いリリースに漕ぎ着けたというのが真相の模様。ケリーも「再結成とは思っていない」との発言を残しているらしく、なので本作については3rdアルバムというよりは蔵出し音源集という表現の方が的確なのかも。
まぁ体裁は何であれ、ジャック・ポンティが惜しんだだけあって本作には良い曲が揃っています。プロダクションが簡素なのと、バンドとしてアレンジを煮詰めることが出来なかったのか、通して聴くと妙に淡々と流れていってしまうのが気にならなくもないのですが(ドラムは打ち込みか?)、例えば、憂いを帯びたハードポップ・ナンバー①や、アリス・クーパーの『HEY STUPID』(’91年)にも収録されていたドラマティックなバラード⑤というスタン・ブッシュが作曲に絡んでいる2曲、あるいはタメの効かせて盛り上がっていく曲調を、ケリーのエモーショナルな熱唱がさらに沸騰させる⑥辺りの楽曲なんて、1st、2ndアルバム収録の名曲と比較しても聴き劣りはしないですよ。
前言撤回。「3rdアルバム」と表して何ら問題もない、立派なクオリティを有する1枚です。


PAUL LAINE - Stick It In Your Ear - Dorianna ★★★ (2022-12-13 23:49:24)

キャッチーなメロディと美しいハーモニーにくるまれて
爽やかな哀愁を発散するハードポップの名曲。
ポール・レインの力感溢れる歌声もさることながら
後にPOKERFACEやTHE DISTANCEで活躍する
ケニー・ケイオスのよく歌うギターも楽曲の
魅力を底上げしてくれています。


PAUL LAINE - Stick It In Your Ear ★★★ (2022-12-13 01:38:53)

カナダ出身の才能豊かなシンガー/ソングライター、ポール・レインが、ブルース・フェアバーン・プロデュースのもと’89年に発表した1stソロ・アルバム。
それにしても国内盤のジャケットはちょっと酷過ぎやしませんかね。インディーズのパンク・バンドならまだしも、ポールのハスキー・ボイスを軸に、フックの効いたメロディと分厚いハーモニーがモリモリに盛られた「カナダのBON JOVI」的サウンドが託された本作に対して「よっしゃ、このジャケデザインで勝負だ!」と思えた担当者は一体どういう了見の持ち主だったのか?と。
あとOPナンバー①が7分以上ある大作の割にフックに乏しく、のっけでカマしてやろうとした挙句滑っている感があるのですが、一方で素直にBON JOVI路線を演ってくれている2曲目以降は一騎当千の逸品が揃っております。様々なアイデアを盛り込んでキャッチーにまとめ上げた②、パワー・バラードのお手本のようなメロディ展開が感動を呼ぶ④、80年代にありがちな曲名からして心浮き立つ⑤、乾いた哀愁を湛えてワイルドにロックする⑨…。中でも特筆すべきは、Gのケニー・ケイオス(POKERFACEやTHE DISTANCEも良かったですね)が奏でるイントロだけで一気に惹き込まれてしまう名曲③でして、心洗われるこの美しいサビメロはメロハー愛好家なら一度はお聴き頂きたい素晴らしさですよ。
そして、ポール・レインは今もBON JOVI路線の楽曲で才能を存分に振るって活躍してくれているので、良かった良かった。DANGER DANGER、THE DEFIANTSの諸作が気に入った方なら必ずや本作もツボにハマる筈なので是非チェックを。つか国内盤の再発が先か。


SARAYA - When the Blackbird Sings... - Into the Shade of the Sun ★★★ (2022-12-08 23:35:18)

じっくりと盛り上がっていく憂いを帯びた曲調に、
ハスキーボイスを振り絞るように歌うサライヤ嬢のVoがマッチした
アルバムのハイライト・ナンバー。


SARAYA - When the Blackbird Sings... ★★ (2022-12-08 00:53:25)

TESLAのギタリスト、ブライアン・ホイートの嫁さんでもあるという(国内盤CDの解説書情報)サンディ・サライヤ率いるSARAYAが、新メンバーとして日本ではイングヴェイとの仕事で知られるバリー・ダナウェイ(B)を加入させる等して態勢を整えた上でレコーディングを行い、'91年にPOLYGRAM RECORDSから発表した2ndアルバム。先頃、長らく入手困難な状態が続いていた1st『SARAYA』(’89年)の国内盤がようやく再発されたので、当然一緒にラインナップされるものかと思いきや、本作の方はスルーされてしまっていて「なにゆえ?」と首を捻った次第。
いやまぁ前作に比べると、Keyのフィーチュア度を下げた代わりにギターの存在を前面に押し出しヘヴィさを強調、更にブルーズ色の増強も図るという、90年代にリリースされたロック・バンドの2ndアルバムとしては(良くも悪くも)非常にありがちなスタイルが踏襲されていて、正直、印象としては地味めな仕上がりであることは否定できないのですが…。
今一つフックに欠ける楽曲が連続する序盤を聴きながら「ハズレ引いたか?」と不安になるお客さんもいらっしゃるかもしれませんが、その判断は早計というもの。力強さと爽快さを併せ持った④辺りから徐々に雰囲気が変わり始め、とりわけサライヤ嬢のパワフルなハスキーボイスを駆使した熱唱が胸を締め付ける哀愁のHRナンバー⑨、トニー・ブルーノの泣きを含んだGが楽曲をエモーショナルに盛り上げる⑩という終盤2曲は、これ聴くためだけにでも本作を購入する価値はあったと言い切りたくなる名曲に仕上がっていますよ。
なので、こちらの国内盤再発も是非ご一考をお願い致します。


CHEZ KANE - Powerzone ★★★ (2022-12-06 01:26:55)

80年代に活躍した女性ロック・シンガーへのリスペクトを満載にした会心のデビュー作『CHEZ KANE』(’21年)が、母国イギリスのロック・チャートで最高第8位を記録するという好成績を残したシェイ・ケイン(Vo)が、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに矢継ぎ早に発表した2ndアルバム。’22年発表。
前作から僅か1年足らずのブランクでのリリースと相成りましたが、プロデュースから作詞作曲、ほぼ全ての楽器演奏、更には拘りを感じさせるジャケット撮影まで八面六臂の大車輪でこなすダニー・レクソン(CRAZY LIXX)の並々ならぬ入れ込みっぷりが物語る通り、ここには〆切に終われて慌ててでっち上げたような粗雑さは皆無。CRAZY LIXXの方が心配になってしまうぐらい、惜しげもなく投入された収録楽曲はいずれもメロディにフック効きまくりで、(月並みな表現で恐縮ですが)全曲シングルカット可能なクオリティ。声を張ると切ないフィーリングも醸し出すシェイ嬢の溌剌とした歌声を乗せ、今回も王道アリーナ・ロック路線を堂々突き進んでいます。
本作の魅力を集約したような高いヒット・ポテンシャルを感じさせる①②⑩、80年代だったらジム・スタインマン・プロデュースでボニー・タイラー辺りが歌っていそうな大仰なスケール感を有するバラード⑤、アルバム表題曲に相応しい高揚感を湛えてパワフルに駆け抜ける⑥といった逸品の数々には、単に「80年代風味満点だから素晴らしい」的な安易さとは一線を画する質の高さと説得力が備わっていますよ。収録全曲が“CRYN’”級の出来栄えを誇るVIXENのアルバム…という例えにピクリと食指が反応した諸兄にお薦めする1枚です。


THRESHOLD - Extinct Instinct - Part of the Chaos / Segue ★★★ (2022-12-01 22:30:03)

8分越えの大作ナンバーですが、重厚且つドラマティックな曲展開といい、
妖しくも叙情的なメロディを朗々歌い上げるVoといい、
プログレというよりは様式美ヘヴィ・メタリックな魅力を放っています。


THRESHOLD - Extinct Instinct ★★★ (2022-12-01 01:20:44)

遅まきながらイギリスのベテラン・プログレッシブHMバンドTHRESHOLDに対する興味が再燃し、00年代以前に発表された彼らの初期のカタログを中古屋で見かける毎にコツコツと買い集めて早数年。彼らの作品は日本盤が出たり出なかったなのですが、’97年発表の早口言葉みたいなタイトルも印象的なこの3rdアルバムは、ファンダンゴから日本盤がちゃんとリリースされています。
前作1枚のみで脱退した2代目Voグリン・モーガンの後任として、初代フロントマン――これ以降も出たり入ったりすることとなる――ダミアン・ウィルソンの復帰という人事異動を経た本作なれど、内容の方は、重々しく刻まれるリフ&リズム、山あり谷ありの険しい道のりを越えた末に美しい絶景が目の前に広がっていくような、複雑にしてダイナミックに編まれた曲展開、その上で潤いに満ちた歌メロを拾っていくダミアンのVoと、デビュー作で提示した音楽性を順調にブラッシュアップさせた仕上がり。
小曲ながら胸を打つバラード④⑧⑪に垣間見えるメロディ・センスの冴えと、難解さや実験性よりもヘヴィ・メタリックなドラマ性、構築感を前面に押し出した楽曲構成を両軸に繰り広げられるTHRESHOLD流プログレ・メタル・サウンドの魅力は、緊張と緩和の波状攻撃で畳み掛ける⑥、そしてアルバムのクライマックスを妖しくもドラマティックに盛り上げる8分越えの大作ナンバー⑩に集約されているのではないでしょうか。
プロダクションのクオリティも向上していて、確かに初期の名作との評価に恥じぬ1枚です。


BRIAN MCDONALD - Wind It Up - Amnesty ★★★ (2022-11-30 00:26:58)

比較的ハード寄りの曲調でアルバム終盤を引き締めるロック・チューン。
だからといって勢い任せにしたりせず、哀愁を帯びたキャッチーな
コーラス・ワークといい、メロディにはしっかりとフックが
効かされている辺りは、流石職人の仕事です。


BRIAN MCDONALD - Wind It Up ★★★ (2022-11-29 01:23:16)

80年代半ばにソロ・シンガーとしてデビューを飾るも、その後は職業ソングライターとして、しばし雌伏の時を過ごさざるを得なかったブライアン・マクドナルドが、'00年にMTM MUSICから発表したカムバック・アルバム。通算2作目。
ギタリストとして、80年代から付き合いのある旧友で、WINGERやDOKKENのメンバーとしての活躍でも知られるレブ・ビーチが全面参加している以外、歌や作詞作曲は勿論、楽器パートも自ら手掛ける等、文字通りの「ソロ・アルバム」としてレコーディングされています。10年以上も年齢を重ねたことで、しっとりと落ち着いたAOR/産業ロック寄りの音楽性でも志向していそうなものですが、本作に託されているのはゴージャスな音作り、ブライアンのちょっと鼻にかかった甘い歌声、キャッチーに磨き上げられたメロディ、それを華麗に彩る分厚いボーカル・ハーモニー&レブのテクニカルなGプレイといい、往年のDEF LEPPARDを思わす溌剌としたポップ・メタル・サウンド。あまりのそっくりさんぶりに「ひとりLEPS」と評されたりもしたようですが、それは悪口というよりは、真似るにしても手間暇と才能を要するDEF LEPPARDサウンドをハイクオリティに再現しうるブライアンの手腕に対する最上級の誉め言葉と受け止めるべきではないかと。
特に、哀愁に満ちた曲調をレブのメロディアスなGが盛り上げる⑩、フックの効いたメロディを伴ってハードに駆け抜けていく⑪、ドラマティックかつエモーショナルなバラード⑫といった逸品が連続する、本編のラスト・スパートぶりは圧巻です。
この人のソロ作はいずれ劣らぬ力作揃いですので、これにピンときたらば1stや3rdも是非。


PLACE VENDOME - Thunder in the Distance - Never Too Late ★★★ (2022-11-24 23:36:09)

軽快な疾走感に、キスクの伸びやかな歌声と涼し気な哀メロが
載ってキャッチーに躍動するアルバムでも1、2を争う名曲。
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの曲作りのセンスが
キラリと光っています。


PLACE VENDOME - Thunder in the Distance ★★★ (2022-11-24 00:41:54)

HELLOWEEN脱退以降は第一線から退いていたマイケル・キスクの才能を惜しみ、何とか彼を表舞台に引き留めるべくFRONTIERS RECORDSの全面バックアップのもと始動したプロジェクトPLACE VENDOME。その後キスクがHRナンバーを歌うことに前向きになり、盟友カイ・ハンセンと共にUNISONICを結成したこともあって、「もうPLACE VENDOMEはお役御免か?勿体ないなぁ」と思っていたタイミングで、'13年に発表された3rdアルバム。
前作『STREETS OF FIRE』もなかなかの名盤でしたが、今回も負けてはいません。レーベルはマイケルにリラックスして歌って貰うべく、プロデューサーには引き続き気心の知れたデニス・ワードを起用し、ソングライターとして必殺請負人アレッサンドロ・デル・ヴェッキオを筆頭に、メロハー作りのツボを知り尽くした匠達を大集結させるという万全の援護体制を敷いており、こうなると最早「本作のメロディック・ロック・アルバムとしての完成度の高さは推して知るべし」(←FRONTIERS関連作品の感想では毎度これと似たようなフレーズを使い回していて、我ながら語彙の少なさが嫌になるのですが)といったところ。
ともあれ、完全にブランクから回復したキスクの喉はOPナンバー①から絶好調で、泣きのGが楽曲を劇的に盛り上げる③、清涼な雰囲気漂わす⑥、舞い上がっていくような爽快感溢れる⑦、そしてアレッサンドロの作曲センスがキャッチーに唸りを上げる名曲⑧といった楽曲は、キスクの堂々たる歌唱とメロの素晴らしさが相俟ってグッと惹き込まれる仕上がり。
PLACE VENDOMEのアルバムにハズレなし!を実証する一作です。


BEGGARS & THIEVES - Beggars & Thieves - Beggars & Thieves ★★★ (2022-11-23 00:14:11)

アルバムの締め括り役を担う哀愁のバラードにしてバンドのテーマ曲。
熱く歌い込むタイプのVoとアコギを生かしたエモーショナルな
盛り上がりっぷりに惹き込まれてしまう名曲です。


BEGGARS & THIEVES - Beggars & Thieves ★★★ (2022-11-21 22:51:58)

80年代はオジー・オズボーンのバンドで活躍し、名曲“SHOT IN THE DARK”の共作者としてもその名を刻むフィル・スーサン。この人に関してはベーシストとしての印象はまるで残っておらず、それよりも後年、雑誌インタビューでオジーから「ホームラン級のバカ」と評されていたことばかりが思い出されてしまうのですが、彼が結成したBEGGERS & THIVESが、'90年に米メジャーのATLANTIC RECORDSから発表したこのデビュー作は聴き応え十分の内容。オジーの発言で我が身に刷り込まれた「フィル・スーサン=激烈バカ」というマイナス・イメージが上書きされるインパクトを持った力作に仕上がっていますよ。まぁ作曲クレジット見るとこの人全然曲作りに関与してないんですけどね…。
90年代の作品ながら、当時流行りのブルーズ色は然程強くなく(だからセールス的に失敗したのか?とか思ったりも)、基本となるのは溌剌とエネルギッシュな80年代型アメリカンHRサウンド。さりとて能天気になり過ぎることもなく、スケールの大きなOPナンバー①に始まり、緊迫感を湛えて駆け抜けるハード・ナンバー②、爽やかな哀愁薫る⑤、デズモンド・チャイルドのペンによるノリ良くキャッチーな⑧、ラストを雄大に締め括るバンドのテーマ曲でもある⑪…と、本編にはメロディにもアレンジにもきっちりとフックの効いた逸品がズラリ。バンド・メンバーはフィル以外ほぼほぼ無名の面子ばかりながら、熱唱型のVoを筆頭に、安定感溢れるパフォーマンスを繰り出してサウンドの土台を手堅く支えてくれています。
隠れた佳作として、ふと思い出して聴き直したくなる1枚。フィル・スーザンが抜けた後もバンドは存続し、アルバム数枚をリリースしているようなので、機会があればそちらも聴いてみたいなぁ。


IQ - Are You Sitting Comfortably? - Falling Apart at the Seams ★★★ (2022-11-18 00:02:44)

柔和な声質のVoによって歌われるメロディはポップな響きも湛えていますが
変化に富む曲展開に支えられた7分以上に及ぶ長尺といい
スペーシーなアレンジといい、プログレッシブ・ロックならではの
魅力もきっちり兼ね備えた名曲に仕上げられています。


IQ - Are You Sitting Comfortably? ★★★ (2022-11-17 00:27:40)

80年代初頭に英国で盛り上がりをみせたネオ・プログレッシブ・ロック・ムーブメントの渦中にて、ブームの旗手たるMARILLIONに続く存在と目されたロンドンの5人組が、'89年にSQUAWK RECORDSから発表した4thアルバム。
発売当時は「けっ、気取ったバンド名を名乗りやがってよぉ」と、いらぬ僻み根性を発動させ購入はスルーしてしまったアルバムですが、後追いでチェックしてみたところ、その内容の素晴らしさに感銘受けまくり。正直舐めててスマンかった、と。
メジャー・レーベルからのリリースということで、プログレ・メタル的な大仰さや緊張感の演出よりも、キャッチーなメロディをしっかりと聴かせることに重きを置いた、ポップ寄りの路線に仕上げられてはいるのですが、一見耳馴染みが良く分かり易いサウンドようでありつつ、実は曲間をシームレスに繋いで全編を流れるように構築し、変拍子や技ありの曲展開をさりげなく随所に差し込む等、聴くほどに新たな発見がある作り込みっぷりと、高いインテリジェンスを感じさせる作曲センスには、かつての己のバンド名に関する毒づきはサクッと棚上げして「流石、I.Q.なんて名乗るだけのことはありますなぁ」と華麗に手のひら返し。特に映画のサントラを思わせるスペーシーな③をイントロとしてスタートする④や、9分越えの山あり谷ありの大作⑦は、長尺をまるで苦に感じさせないバンドのポテンシャルがフルに発揮されたアルバムのハイライト・ナンバーではないかと。
今となってはあまり顧みられることのないバンドですが、MARILLIONや初期DREAM THEATERを愛する向きはこちらもチェックしておいて損はないよ!な1枚です。


CHRIS LANEY - Only Come Out at Night - B4 It’s 2 Late ★★★ (2022-11-16 00:40:12)

叙情性を増幅するKeyのアシストも得て
クリスのハスキー声を駆使した熱唱と
猛烈な悲哀を発散するメロディの魅力とが
ガッチリ噛み合ったアルバムのハイライト・ナンバー


CHRIS LANEY - Only Come Out at Night ★★★ (2022-11-15 00:55:55)

ロニー・アトキンスからの信頼篤いPRETTY MAIDSのG兼Key奏者にして、グラミー賞ノミネート経験も持つ売れっ子プロデューサー、最近だと80年代の大ヒット映画主題歌をHR/HMアレンジでカヴァーするプロジェクト『AT THE MOVIES』シリーズ2作を手掛けたことでも知られるスウェーデン出身のマルチ・アーティスト、クリス・レイニーが’10年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
ブライアン・ロバートソン、コニー・ブルーム、イアン・ホーグランドらをゲストに迎えて制作されている本作は、序盤はダークで重厚なHMナンバーが連続するためそっち路線の作品なのかと早合点しそうになってしまいますが、あいやしばらく。クリスの本領が発揮されるのは、悲哀に満ちたメロディを自らハスキー声を振り絞るように熱唱する哀愁メロハーの名曲④からであり、以降は溌剌と躍動感溢れる曲調に、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラス、フックの効いたメロディとに彩られた80年代風味満点のポップ・メタル・ナンバーが立て続けに繰り出されますのでご安心を。
収録楽曲の中ではやはり④の素晴らしさが際立っているものの、それ以外にも世が世ならビルボード・チャートを賑わしたって全然不思議ではないキャッチーな⑥、スタジアムで大合唱が巻き起こる光景を幻視してしまう⑧、エッジを効かせてエネルギッシュに疾走するHRナンバー⑦⑨等々、逸曲がズラリ。
80年代のポップ・メタルの名盤群、あるいはクリスがプロデュースを担当したCRAZY LIXX辺りを愛する向きには猛烈にプッシュする1枚に仕上がっています。


JOHN WEST - Long Time...No Sing - Highway To Roppongi ★★★ (2022-11-11 01:27:34)

タメと情感を効かせてブルージーに盛り上がる
スロー・ナンバー。この手の楽曲を歌うジョン・ウェストの
Voもまた魅力的ですし、その感情移入ぶりに
「六本木で一体何が?」と思わずにはいられませんよ。


JOHN WEST - Long Time...No Sing - Set Me Free ★★★ (2022-11-11 01:23:19)

哀愁のメロディと抒情的なKeyを纏って
軽快に跳ねるハードポップ・ナンバー。
この手のタイプの楽曲を
押しつけがましくなることなく、
リラックスして伸びやかに歌い上げる
ジョン・ウェストのVoが非常に魅力的です。


JOHN WEST - Long Time...No Sing ★★★ (2022-11-10 06:30:54)

ARTENSIONやROYAL HUNT等での活動で知られるシンガー、ジョン・ウェストが'11年に発表したソロ・アルバム。シンガーとしての実力は知っていてもソロ・キャリアまでは追いかけていなかったので、すでに3枚(本作が4枚目)もソロ・アルバムをリリース済みとは結構驚きました。
なので過去作と比較してどうこう語ることは出来ないのですが、ここで披露されているのは重厚なHMナンバーに、哀愁のメロハー、タメを効かせてじっくりと盛り上がるブルージーなバラード等々バラエティに富むサウンドであり、下手すれば取っ散らかった仕上がりになりそうなところを、広いレンジと確かな表現力を誇るジョンのVoがビシッと一本筋を通して引き締めるという塩梅。ガンの後遺症で歌唱力の衰えが指摘されていた時期もありましたけど、本作を聴けばそれが完全に杞憂に終わったことをご納得頂けるのではないかと。
HMナンバー②における「らしさ」全開のパワフルな歌いっぷり、逆にキャッチーな哀メロが踊る③や、ピアノを生かした⑨、ハートウォーミングな⑪といったバラード系の楽曲で披露する肩の力を抜いた歌唱も味わい深く、中でも個人的に強く一押ししておきたいのが“HIGHWAY TO ROPPONGI”なるタイトルが冠された⑤。珍曲好きとしては本作購入動機の大半がこの曲の存在にあったといっても過言ではなくらいなのですが、ブルージーな曲調にジョンのエモーショナルな熱唱が映える楽曲自体非常に胸に沁みる出来栄えで、決して単なる珍名のネタ曲には終わっていない点も評価ポイントです。
これ以前のソロ作もチェックしてみたくなる一作でありました。


WHITE SPIRIT - Right or Wrong - Don't Say No ★★★ (2022-11-09 00:20:59)

Voはリー・スモールが担当。雄々しくドライブする曲調に憂いを帯びた
メロディが乗っかったブリティッシュHMの旨みに満ちた名曲です。
曲展開をドラマティックに盛り上げるメル・ピアソンのKeyが良い仕事してます。


WHITE SPIRIT - Right or Wrong ★★★ (2022-11-08 01:10:51)

ヤニック・ガーズ(IRON MAIDEN)や、後にBAD COMPANYに加入する故ブライアン・ハウ(Vo)、現TANKのミック・タッカー(G)も在籍していたWHITE SPIRITが残した幻の2ndアルバムを、ジェフ・スコット・ソート、スティーヴ・オーヴァーランド、リー・スモールといった仕事人シンガー達のサポートを得てリ・レコーディングした作品。ブライアンとミック在籍時期の楽曲はコンピ盤『60 MINUTES PLUS』で1曲だけ聴いたことがありましたけど、まさかアルバム丸ごと聴ける日が来ようとは…。音源発掘に尽力してくれたメル・ピアソン(Key)とミックには足を向けて寝られませんね。
当時メジャー・レーベルとの契約を企図して制作されているだけあって、ここには例えば“CEETAH”みたいなNWOBHM然とした疾走ナンバーは見当たりませんが、元々ゴリゴリにメタリックな音楽性のバンドではなかったので落胆には当たらず。むしろプログレ・ハード的感触も漂わすKeyを活かしつつ、現代テクノロジーを駆使して可能な限り修復されたブライアン在りし日の熱唱が映える収録楽曲の数々は、ブリティッシュHMらしい重厚感を宿した①(Voを取っているのはジェフ)、ブライアンのエモーショナルな歌唱が哀メロの魅力を引き立てる⑤、リーのパワフルなVo、メル・ピアソンのKeyとミック・タッカーのGの掛け合いが劇的な盛り上がりを演出する本編のハイライト⑦、スティーヴのVoが流石のハマりっぷりを呈するブライアン在籍時代のBAD COMPANYのカヴァー⑨…と、時の試練に余裕で打ち勝つだけのクオリティを誇る逸品が並んでいます。
本作を聴くと、現在制作中だという完全新作への期待も俄然高まるというものですよ。


VYPERA - Eat Your Heart out - Rock N' Roll ★★★ (2022-11-04 01:36:58)

こんなタイトルですが、緩いノリは皆無。
北欧らしい冷ややかさを纏ってタイトに疾走します。
要所要所でギターが差し込んでくるメロディが
また楽曲を美味しく盛り上げてくれます。


VYPERA - Eat Your Heart out ★★★ (2022-11-03 01:52:14)

スウェーデンから登場した若き5人組、VYPERAがFRONTIERS RECORDSと契約を交わして’22年に発表したデビュー作。
メンバー曰く、本作に託されているのは「W.A.S.P.とTRIUMPHとDIOから受けた影響を独自のセンスでまとめたサウンド」とのこと。なるほどな…って、その例えだと一体どんな音楽性なのかさっぱり分からんのですが、流れ出すのはメタリックなエッジをしっかりと効かせつつ、透明感を帯びた哀メロが印象的に踊る古き良き北欧メタル・スタイルを踏襲するサウンドだったのでホッと一安心。
ただ、音楽雑誌のレビューでは90点台の高得点を獲得していましたが、それを全面的に信じてしまうと肩透かしを食らう可能性もある内容ではないかなと。それよりも個人的には、やや甘さの残る歌とテクニカルなギターの「G高Vo低」(低というほど下手じゃないか)な取り合わせとか、粗削りなプロダクションに未洗練な曲展開とか、もしこれが90年代に発表されていたなら日本盤は確実にゼロ・コーポレーションから発売されていたに違いない!ってな仕上がりっぷりの方にグッとそそられた次第で。
印象的なギター・フレーズを散りばめて疾走する⑤や、一転してエモーショナルに聴かせるバラード⑥、威勢の良い曲調と哀愁のメロディのメリハリの効いた取り合わせが秀逸な⑦等、とりわけ耳を捉える楽曲が連続する中盤の盛り上がりが白眉。曲によっては同郷の先輩バンドPROUDのことを思い出したり思い出さなかったりという。
次作以降にも大いに期待の持てる1枚です。


AGNES - Hegemony Shift - Hegemony Shift ★★★ (2022-11-02 00:51:17)

力強さと技巧を併せ持つ曲展開、スピーディに駆け抜ける
サビメロの高揚感に惹き込まれずにはいられないアルバム表題曲。
ハイトーンの連続する難易度の高いメロディを見事に歌いきる
キム・サンホンの堂々たる歌唱力に痺れますよ。


AGNES - Hegemony Shift ★★★ (2022-10-31 23:33:40)

「韓国のCONCERTO MOON」ことZIHARDのアルバムでも見事な歌声を披露していたMEVIN KIM(ZIHARD時代はキム・サンホン名義)が中心となり、バンドメイトであるRACHEL MOTHER GOOSEのメンバーや、EDWINE DARE、COSMOSQUAD等での活動で注目を集めたバカテク・ギタリスト、ジェフ・コールマンらをゲストに迎えて立ち上げた日韓米の多国籍プロジェクトAGNESのデビュー作(’21年発表)。
ZIHARD同様、テクニカルなGとKeyがスリリングに絡み合いながら突っ走る様式美HMサウンドを劇的に炸裂させる作品で、プログレ・メタルばりの曲展開も難なくこなすメンバーの演奏力の達者さもさることながら、個人的に最も感銘を受けたのは痒い所に手の届くメロディの充実っぷり。シンフォニックな序曲①から間髪入れずにスタートする②のイントロを数秒聴いただけで、こちとら長年抱え続けている「韓国のバンドはクサメロ作りに秀でている」との持論を益々強化されてしまいましたよ。
とりわけ、雄々しくドラマティックに疾走するアルバム表題曲③、そこはかとなくX JAPAN風のバラード⑥、火花散るスピード・ナンバー⑩、ZIHARDの名バラード“WITHOUT YOU”を思い出す物悲しい⑫といった楽曲は、起伏の激しいメロディを堂々歌い上げるキムの卓越した歌唱力と、いちいちこっちの泣きのツボを突いてくるメロディに彩られた楽曲自体の素晴らしさとが相俟って、聴いていると思わず眉毛が八の字になってしまうという。
ZIHARDの活動状況が日本まで伝わって来ない現在、是非ともこのAGNESは継続プロジェクトになって欲しいと思わずにはいられない力作です。


Lance Powers - Lance Powers - Heavens on Our Side ★★★ (2022-10-28 01:15:43)

一昔前ならロビー・ヴァレンタイン、
現在ならロブ・モラッティを思い起こさせるランス・パワーズの
ハイトーンVoによって歌われる哀愁のメロディも良いですが、
合間合間で泣きのメロディを差し込んでくるギターの
ナイス・アシストぶりも聞き逃せない名曲です。


Lance Powers - Lance Powers ★★★ (2022-10-27 00:53:39)

クリスチャン・ミュージック・シーンを主戦場に活動するアメリカ人シンガー、ランス・パワーズが90年代に発表した2枚のソロ・アルバムから、日本市場向けにベスト・テイクを選曲して収録する特別編集企画盤。(’99年リリース)
スイスのHMバンドSTORMBRINGERの元フロントマンというキャリアや、「パワーズ」なんて力強いお名前の響きといい、ジャケットにフィーチュアされたX JAPANのTOSHI似のグラサンで決めたご本人の勇姿(実際格闘技やパワー・リフティングを嗜むマッチョ系らしい)から、ゴリっとメタル寄りの音楽性を期待してしまうかもですが、いきなりピアノをバックに切々と歌い上げる抒情バラード①にて幕が上がる本作で披露されているのは、結構AOR寄りのメロハー・サウンド。GIANTやプロデューサー業での活躍で知られるダン・ハフ、売れっ子セッション・マンのマイケル・ランドゥといったゲスト・ミュージシャンの顔触れもそうした作風を裏付けているのではないかと。
但し、上記ギタリスト達は単なるBGMに留まらぬGプレイで楽曲にエッジを加えてくれていますし、欧州風味の憂いを湛えた②やクリスチャンらしい神聖な雰囲気を身に纏うバラード⑤等、ランスの繊細なハイトーンVo(ちょいロブ・モラッティっぽい)が歌い上げる哀愁のメロディの魅力は、控えめなハードネスを補って余りあるフックを有してくれていますので舐めたらアカン。特にガツンとロックする曲調に、ダン・ハフの泣きのGがエモーショナルな彩りを加える④ なんて何度聴いてもグッとくる名曲ですよ。
近年は日本までは活動状況が伝わってきませんが、お元気でお過ごしなのでしょうか?


ROBERT TEPPER - No Easy Way Out - Angel of the City ★★★ (2022-10-26 01:17:12)

脂っこい出演陣に大味な演出と、80年代丸出しな作風が今となっては
愛おしいポリス・アクション「コブラ」の主題歌としても知られるバラード。
タレサン、指ぬきグローブ、ヤティマティックという昭和の小学生憧れの
三種の神器を身に着けたスタさんのゲップが出そうなクドい勇姿とは裏腹に
女性Voとデュエットで聴かせる哀愁の曲調はオシャレで洗練されています。


ROBERT TEPPER - No Easy Way Out ★★★ (2022-10-24 23:38:09)

シルヴェスタ・スタローンに見い出されたアメリカ人ソロ・シンガー、ロバート・テッパーが'86年に発表した1stアルバム。邦題は『逃れえぬ闘い』。
本作は昔からAOR/産業ロックのレア・アイテムとして人気が高く、先日も帯付の国内盤CDがオークション・サイトにて5桁の値を付けられて落札されていましたが、内容に関しても値段負けしない、プレミアム価格に相応しいだけの質の高さを誇っていますよ。
どうにも「一発屋」なイメージがついて回る御仁ながら、ギンギンに効かされたシンセサイザーが嬉し恥ずかし懐かしい濃厚な80年代臭を運んでくるAOR/産業ロック・サウンドは、パワフルなハスキー・ボイスを生かした歌唱力から、フックに富んだメロディを巧みに盛り込むソングライティング・センス(パット・ベネターやベニー・マドーンズといったアーティストのヒット曲の作曲に関与)に至るまで、デビュー前の長い下積み時代に獲得した経験値がしっかりとクオリティに反映された、付け焼刃ではない深みが伝わってくる仕上がり。
本作においては、先頃再編集版が劇場公開され話題を呼んだ映画『ロッキー4 炎の友情』の挿入歌に起用されたOPナンバー①が特に人気曲として名高いですが、それ以外にも個人的に小学生の時分から愛して止まないスタさん主演のアクション映画『コブラ』主題歌である②、女性Voとのデュエットで贈るソウルフルなバラード④、ゲスト参加のダン・ハフのGも熱い本編随一のロック・チューン⑦等、聴き応え十分の楽曲が並んでいます。いかにも80年代な音作りは今聴き直すと多少イラっとさせられるかもですが…。
何はともあれボチボチ国内盤の再発をご検討頂きたい1枚であります。


LOS ANGELS - Los Angels - I Will Carry You ★★★ (2022-10-21 00:35:00)

原曲はアメリカン・アイドル出身のシンガー、クレイ・エイケン。
哀愁に満ちた曲調にミケーレ・ルッピの伸びやか且つダイナミックな
歌声が映える、まさにアルバムの掴みに相応しい逸品です。


LOS ANGELS - Los Angels ★★★ (2022-10-19 23:20:36)

今ではWHITESNAKEのKey奏者としても知られるイタリア出身の実力派シンガー、ミケーレ・ルッピ。それまで「メロパワ・フィールドの人」との印象が強かった彼氏に対するイメージを大きく覆す切っ掛けとなった(これ以前にもMICHELE LUPPI'S HEAVENとかもありましたけども)プロジェクトLOS ANGELSのデビュー作。'08年発表。
FRONTIERS RECORDSバックアップの下、トミー・デナンダー、ファブリッツォ・V・グロッシ、グレッグ・ジェフリア、デニス・ワードといった同レーベルお馴染みの仕事人勢の協力を得て制作されている本作は、ほぼ全曲がオリジナルで固められていた次作『NEVERLAND』(’10年)に対し、リチャード・マークスをメインに、クレイ・エイケン、BRIDGE 2 FAR、エドウィン・コリンズといったポピュラー・ミュージック・シーンのアーティスト達の楽曲に挑んだカヴァー曲集の体裁が取られています。(中にはゲイリー・ムーン在籍時代のNIGHT RANGERなんつーマニアックなチョイスもあったりも)
ルッピの音楽的ルーツを開陳するようなAOR/産業ロック・アルバムゆえ、メロパワ路線を期待するとスカされてしまいますが、収録曲はフックの効いた端正な逸品揃いの上、オリジナルに比べるとHR色を増したアレンジが施されていますし、何よりVISION DIVINE時代から定評のある、彼の伸びやかなハイトーンVoはやはり惚れ惚れする素晴らしさ。パワーはセーブ気味に、よりまろやかで繊細な表現力にフォーカスした歌唱が映えるOPナンバー①は名曲ですよ。
次作ともども、ミケーレ・ルッピのシンガーとしての才が存分に発揮された力作です。


BOB CATLEY - Immortal - The Searcher ★★★ (2022-10-18 23:41:37)

タメの効いた重厚且つドラマティックな曲調は
MAGNUM味強めで、そこに威厳と人間的暖かみを
併せ持ったボブ・カトレイの歌声が当然の如く
バッチリとハマっています。


BOB CATLEY - Immortal ★★★ (2022-10-18 00:03:45)

英国の至宝MAGNUMのフロントマンであるボブ・カトレイが、'08年にFRONTIERS RECORDSから発表した個人名義では6枚目となるアルバム。このあと再結成MAGNUMでの活動が軌道に乗って忙しくなってしまったせいか、今のところこれが最後のソロ・アルバムとなっています。
発売当時、音楽雑誌のレビューで「可もなく不可もなく」な点数を食らって売り上げが伸び悩み(?)、ちゃんとキングから日本盤が発売されたにも関わらず、ショップにいっても中古盤すら殆ど見かけることがないという不憫かつ影の薄い本作ですが、アートワークはMAGNUM作品でもお馴染みのロドニー・マシューズが担当。制作に当たってはプロデュースをデニス・ワード、作曲はマグナス・カールソンが一手に担うという隙のない布陣によるバックアップ体制を敷いているのですから、そりゃクオリティが低い物が出来上がるわきゃないでしょう?と。
Gを前面に押し出しヘヴィ・メタリックなアグレッションの増強が図られていた前作『SPIRIT OF MAN』(あれはあれで良き)に比べると、今作は開幕早々から明らかな通りKeyやシンフォニックなアレンジによる優美な味付けが回復傾向を示していて、華麗かつキャッチーに駆け抜けていく④や⑥、重厚で憂いに満ちた曲調にボブの威厳と暖かみを併せ持った説得力溢れる歌声が絡む②⑤⑪、ポップ・センスも活かされた⑧といった劇的な楽曲群は、思わず「よっ、待ってました!」と声を掛けたくなる名曲に仕上がっています。
是非とも再評価をお願いしたい一作。中古盤を見かけたら要レスキューですよ。


GRIMMSTINE - Grimmstine - Straight as an Arrow ★★★ (2022-10-13 23:50:59)

モダンなシュレッド・ギターと、スティーヴ・グリメットの
力強くオールドスクールなVoをフィーチュアして
ドラマティックな盛り上がりを呈するアルバム後半のハイライト・ナンバー。
冷ややかな抒情性を楽曲に付与するKeyも良い仕事しています。


GRIMMSTINE - Grimmstine ★★★ (2022-10-13 00:34:02)

スティーヴ・グリメットが急死してしまったのは今年8月のこと。折しも彼が過去に関わったバンドのカタログが一斉にリマスター再発され、コツコツと買い直していたタイミングだったので驚きもひとしおでしたよ。そんなわけで(?)今回紹介させて頂きたいのが、彼が一時期アメリカに住んでいた頃に縁を結んだスティーヴ・スタインなるギタリストと結成したバンド、GRIMSTAINが'09年に残した唯一のアルバムであるこちら。
グリメット+スタインだからグリムスタイン…あんまし購買意欲をそそられるバンド名じゃありませんが、今時のギタリストらしい切れ味鋭いシュレッド・ギターと、オールドスクールなハイトーンVoを組み合わせた正統派HMサウンドのカッコ良さはなかなかのもの。モダンな味付けが目立つ序盤こそ「悪くはない」ぐらいの感想ですが、アグレッシブな疾走ナンバー⑤を境に空気が一変。以降は7分越えのヘヴィ・バラード⑥、印象的なGリフを伴って突っ走る⑦⑫、重厚にしてドラマティックな⑧、暗から明へのメロディ展開が絶妙な⑨、ピアノによるイントロだけで掴みはOKとなる⑩、爽やかで抜けの良い⑪、ブルージーな哀愁漂わす⑭…といった具合に、キャラの立ちまくった楽曲が大集合しています。ボートラの⑯まで素晴らしいのですから何をか況やですよ。
まぁ流石に収録時間70分オーバーってのは明らかに詰め込みが過ぎますけども、スティーヴ・ステインの作曲者/ギタリストとしての才能の煌めき、張り/艶/伸びのいずれの面においても衰え皆無のグリメットの歌声が存分に堪能できる力作であること疑う余地がありません。このまま埋もれさすのは余りに勿体なさ過ぎるので再評価を是非。中古盤も安いですしね。


JEFF PARIS - Lucky This Time - After the Tears Are Gone ★★★ (2022-10-12 00:48:56)

故ブレット・ウォーカーとジェフ・パリスの共作曲。
才人同士の組み合わせですから素晴らしい楽曲に
仕上がらない筈はなく。
フックの効いた哀愁のメロディ、情感豊かな歌と
潤いを増幅させるKeyの共演が胸を打つ逸品です。


JEFF PARIS - Lucky This Time ★★★ (2022-10-11 00:08:18)

ソロ・アーティストとしてアルバム・リリースやツアーを行う傍ら、リタ・フォード、VIXEN、MR. BIGといったバンドに楽曲提供を行う等、80年代からシンガー/ソングライターとしても活躍してきたジェフ・パリスが、'93年に乞われてイギリスのNOW AND THEN RECRODSから発表した3rdソロ・アルバム。
プロデュースからエンジニアリング、果ては全パートの楽器演奏まで一人でこなすマルチ・プレイヤーぶりを発揮してレコーディング作業を敢行。それに関してはご本人が「エナジーとアイデアがあればどんな状況でもアルバム制作は可能。大金は必要はない」との男前な発言を残してくれています。カッコイイじゃないのさ。
収録曲は、共作者としてMR. BIG、売れっ子セッション・マンのマイケル・トンプソン、KISSのポール・スタンレー、BAD ENGLISHのリッキー・フィリップスら豪華な面子がクレジットされていて、気の利いたアレンジから、痒い所に手の届くメロディ展開に至るまで、長年かけて培われたソングライターとしての腕前が存分に振るわれた仕上がり(歌の上手さに関しては言うまでもありません)。MR. BIGの1st『LIVE AND LEARN』にも収録されたゴージャスなOPナンバー①や、80年代ならヒット・チャートを賑わしていても不思議ではないバラード⑩辺りも素晴らしいのですが、個人的に特に一押ししたいのが⑧。知る人ぞ知る才人ブレット・ウォーカーとの共作で、胸打つ哀愁の名曲っぷりには「この顔合わせによるの楽曲がもっと聴いてみたかった…」と、つくづくブレットの早逝が惜しまれます。
もう長いこと日本盤リリースと縁がありませんが、ご健在でいらっしゃるのでしょうか?


GIANT - Shifting Time - I Walk Alone ★★★ (2022-10-06 23:38:26)

アルバムのラストに置かれた、ケント・ヒッリの熱唱が
感動を際立たせる泣きの名バラード。
このメロディの哀愁っぷりはGIANTというより
完全にアレッサンドロ・デル・ヴェッキオの世界ですが
良い曲は良い曲。個人的には今年度のベスト・チューン候補ですよ。


GIANT - Shifting Time ★★★ (2022-10-05 23:14:57)

名バラード“I’LL SEE YOU IN MY DREAMS”をスマッシュ・ヒットさせ、2枚のアルバムを残して解散したメロディアスHRバンドGIANT。90年代以降は復活と休眠を繰り返していた彼らがFRONTIERS RECORDSの仕切りで3度目の帰還を果たして'22年にリリースした、通算では5枚目となるアルバムがこちら。
オリメンのデヴィッド・ハフ(G)とマイク・ブリグナーディ(B)は健在ながら、売れっ子プロデューサーとして多忙な日々を送るダン・ハフは今回も不参加で、その穴を埋めるのはFRONTIERS RECORDSの必殺仕事人アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ。シンガーはテリー・ブロックに代わって同レーベル一押しの逸材ケント・ヒッリ(PERFECT PLAN)が担当しています。正直なところ、顔触れ的にもサウンド的にも「GIANTの新作」っつーよりは「良くプロデュースされたFRONTIERS RECORDS発のプロジェクト・アルバムを聴いている」ってな感覚に陥ることもしばしばな本作ですが、かと言って、じゃあそれはマイナス要素なのか?と問われれば、さに非ず。抜群のソングライティング・センスとエモーショナルな歌声に下支えされた本編は、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるバラード⑥など、フックの効きまくった捨て曲の見当たらない充実度を誇っていて、中でも本編ラストに置かれた⑪は一際インパクトを放つ名曲。果たしてこれがGIANTらしい楽曲なのかどうかはよう分かりませんが、ともかく自分の中で’22年のベスト・チューン候補に燦然と輝くメロディのヨロシク哀愁ぶりにゃ悶絶せざるを得ませんでしたよ。
次回作はもう少し早いスパンでのリリースを、とお願いしたくなる充実作。


JOHN ELEFANTE - The Amazing Grace - Won't Fade Away ★★★ (2022-10-05 00:53:19)

ドラマティックだけど大仰にはならない曲展開から、
軽快に踊るヴァイオリンにピアノ、
叙情的かつキャッチーな歌メロに至るまで
確信的にKANSASサウンドの再現が試みられているのですが、
なおかつそれを「名曲」レベルで成し遂げていることに
拍手喝采せずにはいられませんよ


JOHN ELEFANTE - The Amazing Grace ★★★ (2022-10-04 00:38:41)

クリスチャン・ミュージック・シーンの名プロデューサーにしてKANSASの二代目フロントマン、あと個人的にはMASTEDON名義でリリースした3枚のアルバムの素晴らしさも印象に残っているジョン・エレファンテ(Vo)が、’22年にESCAPE MUSICから10年ぶりに発表したソロとしては5作目となるアルバム。
KANSASやMASTEDONの諸作は愛聴していても、この人のソロ・ワークまではフォローしきれていませんでした。ので久々に日本盤の発売が実現したのを機にチェックしてみれば、これがファンの期待にきっちりと応える、衰え知らずの伸びやかな歌声、しっとりと心潤わす哀愁のメロディ、それにクリスチャン・ミュージックならではの美麗なボーカル・ハーモニーに心癒されるAOR/産業ロック・サウンドに仕上げられていて、思わず虎眼先生ばりに「できておる喃、ジョン・エレファンテは…」と呟いてしまった次第で。
80年代からコンビ芸を披露してきた兄ディノ・エレファンテは今回残念ながら不参加。曲作りは主に新加入のフランク・ボックスバーガーと共に行われているのですが、このギタリストが楽器の腕前のみならず作曲者としてもなかなかの逸材ぶりを発揮。本編の幕開けを劇的に飾る①、アルバム表題曲に相応しい哀メロの洪水に押し流される③、ヴァイオリンの存在のみならず、軽快さとドラマ性を併せ持った曲展開でもKANSASらしさを振りまく⑤、Gの泣きっぷりにグッとくるバラード⑤や重厚な⑧等々、KANSAS、MASTEDON時代に勝るとも劣らぬ収録楽曲は、ディノの不在をまるで意識させない充実っぷりを誇っていますよ。
名前聞いたことあるけど音は知らないという方は、本作を入門盤にいかがでしょうか。


THE LADDER - Future Miracles - Closer to Your Heart ★★★ (2022-09-30 00:24:29)

軽快な疾走感、その上で爽やかに弾む哀愁のメロディと
スティーヴの伸びやかでエモい歌声、歌心に溢れたGソロが
絶妙に胸を打つハードポップ・チューンの名曲。
お蔵入り状態から引っ張り出して来てくれたことに感謝ですよ。


THE LADDER - Future Miracles ★★★ (2022-09-28 23:51:28)

6th『DEADMAN’S SHOES』を最後に解散状態にあったFMの再結成を企図して、スティーヴ・オーヴァーランド(Vo)とピート・ジャップ(Ds)がお蔵入りしていたFMの未発表音源のレコーディングを行うも、バンド名を巡る権利関係の壁がクリアできず、結局THE LADDERという名義を用いて'04年にリリースした作品。ちなみにギタリストとして起用されているのは、当時TENを脱退して浪人中の身だったヴィニー・バーンズです。
制作の経緯が経緯だけに、本作に託されているサウンドは完全にFMのそれと一致。のみならず1st『INDISCREET』や2nd『TOUGH IT OUT』といった初期作と同時期に書かれたマテリアル(中には作曲時期が前身バンドのWILDFIRE時代まで遡る楽曲もある模様)がメインのため、ブルージーな色合いよりもハードポップ・テイストが勝っている辺りも個人的には嬉しい限りです。
勿論、ブランクを全く感じさせない、ますます円熟味を増したスティーヴぼソウルフルなVo、雇われ仕事ながらツボを押さえたGプレイを提供してくれるヴィニーを始め、各メンバーのパフォーマンスに関しても文句なし。とりわけ歌とギターの魅力が遺憾なく発揮された、アルバムのOPを軽快に飾るハードポップ①、避暑地に吹く一陣の涼風の如き哀メロ・チューン②、哀愁のメロディとキャッチネスが程好く同居している④辺りなんて、「このクオリティで何故お蔵入りに?」と首を捻らざるを得ない名曲っぷりですよ。
FMファンなら必聴ですし、逆に「ブルージーなのはあんまし…」というメロハー愛好家にもお薦めできる1枚。


HYDRA(SWEDEN) - Point Break - Never Be the Same ★★★ (2022-09-27 23:35:04)

アップテンポの曲調の上でヒンヤリとした哀感を
湛えたメロディと美しいハーモニーが舞う
このバンドとこのアルバムの魅力を
端的に伝えてくれる本編のハイライト・ナンバー。
こういうキメ曲があるとアルバムが引き締まりますね。


HYDRA(SWEDEN) - Point Break ★★★ (2022-09-27 00:28:02)

FRONTIERS RECORDS関連で名前を見聞きしない日はないんじゃなかろうか?なダニエル・フローレス(Key)と、その15年来の友人で、主にポップ・ミュージック・シーンを主戦場にソングライターとして活動していたというヘンリック・ヘッドストロム(G)、それにSEVENTH WONDERの1st『BECOME』で歌っていた初代フロントマンのアンディ・クラヴルヤカ(Vo)らによって立ち上げられたプロジェクトHYDRAが’22年にリリースした1stアルバム。
仕事帰りに立ち寄ったCDショップでディスプレイされている本作を一目見て、アートワークのイラストのタッチといい、バンドロゴの色味(テカり具合)といい、「これは拾い物の予感」とメタル・レーダーに感あり。久々に予備知識もなんもなしにジャケ買いを敢行した作品でしたが、透明感を湛えた哀愁のメロディがキャッチーな曲調に載るOPナンバー①が流れ始めた途端、「賭けに勝った!」と握り拳を突き上げずにはいられない、期待通りの北欧メロハー・サウンドが堪能できる好盤でありました。
ダニエル・フローレスの曲作りの腕前に関してはこれまで散々目の当たりにして来たことなので不安は皆無でしたし、SEVENTH WONDER時代から歌唱力には定評があったアンディ・クラヴルヤカも、潤いと張りのある歌声で楽曲のクオリティUPに貢献してくれています。美しいハーモニーを伴ってポップに弾む②や、北欧のバンドらしい哀感を纏い涼しげに駆け抜けていく⑦はアルバムの旨みを凝縮したような名曲ですよ。
これ1枚で終わらせず、是非とも今後も作品リリースをお願いしたくなる力作ではないかと。


MICHAEL BOLTON - Michael Bolton - Paradise ★★★ (2022-09-23 01:20:25)

ドライヴする曲調に骨太なギター、
フックの効いたメロディをデイヴ・メニケッティばりに
熱唱するマイケル・ボルトンのVoといい、
キャッチコピーに「ひとりメタル」なんて冠されたという
HRシンガー時代の彼氏の魅力が詰まった名曲です。


MICHAEL BOLTON - Michael Bolton ★★★ (2022-09-22 00:09:34)

70年代後半にリリースした2枚のソロ・アルバムも、元KISSのブルース・キューリックと結成したBLACKJACKも不発に終わってしまいキャリアの岐路に立たされていたマイケル・ボロティンが、名前をマイケル・ボルトンと改めて’84年に発表した仕切り直しのソロ・デビュー作。邦題は『大いなる挑戦』。
どっぷりメタル・ライフに浸かりきっていた身には「バラードの帝王」の作品なんて興味の範疇外もいいところでしたが、《燃えよボルトン》という香港功夫スターばりに威勢の良い帯惹句と、「実はこの時期のボルトンはHRシンガーだったらしい」との情報に釣られて本作を手に取ってみれば、Keyが印象的に跳ねるOPナンバー①は何とTOUCHのマイク・マンゴールドが手掛けているじゃありませんか。この幕開けだけでガッチリとハートを掴まれてしまいましたね。
ボロティン時代のソロ作とは異なり、渋めのブルース/ソウル色は控えめ。ゲストに迎えたボブとブルースのキューリック兄弟が奏でる骨太なGや、楽曲をキャッチーに色付けるKeyを生かしたメロディアスHRサウンドは、『FRONTIERS』を発表した時期のJOURNEY辺りに通じるハードネスとメロウネスが絶妙にブレンドされています(チャック・バーギやアルド・ノヴァもゲスト参加)。特に躍動感溢れる曲調にフックの効いたメロディが絡む⑥や、都会的な哀感とクールさ漂わす⑧は、本作の(というかこの頃のマイケル・ボルトンの)魅力を凝縮した名曲と言えるのではないかと。
スルーされがちな1枚ですが、個人的には愛して止まない名盤です。


CRY OF DAWN - Cry of Dawn - Light a Light ★★★ (2022-09-20 23:36:10)

青空に向かって昇り詰めていくような
爽やかさと高揚感を併せ持ったハードポップ・チューンで
ヨランのクセのない歌声もこの曲調に見事にハマっています。


CRY OF DAWN - Cry of Dawn ★★★ (2022-09-19 23:12:58)

ネオクラシカルな疾走ナンバーで威力を発揮するクリアなハイトーンと、バラード系の楽曲の魅力を引き立てるソウルフルな歌い回しを武器に、ここ日本では「Mr.北欧ボイス」の称号を欲しいままにするシンガー、ヨラン・エドマンを主役に起用したFRONTIERS RECORDS発のプロジェクト、CRY OF DOWNが’16年に発表した1stアルバム。
プロデュースはダニエル・フローレスが担当、曲作りにはFIND ME、ONE DESIRE他のソレン・クロンクヴィスト、PALACEのマイケル・パレスら、ハリー・ヘス(HALEM SCAREM)主演のプロジェクトFIRST SIGNALに関わっていた面子が再結集していて(NEWMANのスティーヴ・ニューマンもゲスト参加)、これまでのFIRST SIGNAL作品の打率の高さを思えば本作に対する期待値も跳ね上がろうというもので、実際その期待を裏切らない見事なクオリティを誇っているのですから大したもの。
まぁホームラン級の出来栄えというよりは、ヒットで出塁→バントで進塁→犠牲フライで1点を取りに行くような手堅さの方が印象に残る仕上がりではありますが、この安定感さこそFRONTIERS RECORDSのプロジェクトに求められているものであることは間違いありませんし、ヨランの美声が映えるよう設計された北欧ハードポップ・チューンの数々だって、冷ややかに疾走する②、印象的なKeyのイントロからスタートする③、キャッチーに躍動する④等々、耳を確実に捉える秀曲がズラリ勢揃い。中でも涼し気な哀感とポップな高揚感を併せ持って駆け抜ける⑤は、本編のハイライトとして一際眩い輝きを放っていますよ。
ぼちぼち2枚目を聴いてみたいのですが、作らないんでしょうかね?


CHINA - Sign in the Sky ★★★ (2022-09-15 00:06:32)

80年代のスイスHR/HMシーンを代表するバンドの一つであるCHINAが、プロデューサーにEZOやSTRYPER等との仕事で知られるステファン・ギャルファスを起用してレコーディングを行い(当初はブルース・フェアバーンとの仕事を希望していたもののスケジュールが合わず断念)、’89年に発表した2ndアルバム。長らく廃盤のままほったらかしにされていたところ、昨年ようやく国内盤のリイシューが実現。しかもこれがたった千円(税抜)というお手頃価格なのだから嬉しいじゃありませんか。まぁ廃盤期間中に大枚叩いて中古盤をゲットした身としては泣き笑い顔にならざるを得ませんけどもね…。
なんて愚痴はともかく、内容に関しては「素晴らしい」の一言に尽きます。Keyの存在が脇へと下がり、ギター・オリエンテッドな音作りが施されている辺りは90年代の足音が聞こえ始めていますが、だからといって大味になってしまうようなことはなく、本作から加入した二代目フロントマン、パトリック・メイソンの表現力豊かに歌い上げるタイプのVo、ツボを心得たメロディをコンパクトに奏でるG、重厚なコーラス・ワークとに彩られた楽曲のクオリティやフックの精度には益々磨きが掛かっていますよ。
欧風のメロディをベタ付かせずに(大陸的なポップ・センスで)料理してみせるバンドの曲作りの上手さが光る収録曲は、哀愁のメロハー④⑥、爽快に駆け抜けていくHRナンバー⑦、インストの小曲⑧から繋がり、メロディアスに歌うGが胸を打つ⑨、本編を大団円で締め括るバラード⑬等、確かなヒット・ポテンシャルを感じさせる逸品揃い。
母国チャートで最高第2位をマークしたのも当然といえる名盤。CHINA入門盤にどうぞ。


PAUL SHORTINO - Chasing My Dream - Chasing My Dream ★★★ (2022-09-14 00:39:12)

Keyも効果的に交え、タメを効かせて重厚に盛り上がる
アルバム表題曲にして本編のハイライト・ナンバー。
歌が下手だとサマにならないこと夥しい高難易度の曲調を
パワフルかつエモーショナルに熱唱するポール・ショーティノの
実力派シンガーぶりに痺れます。


PAUL SHORTINO - Chasing My Dream ★★★ (2022-09-13 00:07:21)

ROUGH CUTTのフロントマンとして人気を博した男、ポール・ショーティノ。ROUGH CUTTのことは好きでも彼のソロ・キャリアまではフォローしていなかったのですが、若井望と組んで制作した新作が好評を呼んでると聞き及び、「そういえばポールのソロ、1枚だけ持ってたな」とCD棚を漁って引っ張り出してきたのが本作。'09年に、日本盤は今は亡きサウンドホリックからリリースされた――多分3枚目ぐらい?のソロ・アルバムです。
ポール・ショーティノといえば、その歌ウマぶりと共に「ブルージー」というキーワードが付いて回る印象で、彼を語る上で欠かせない要素でありつつも「渋めなのか、じゃあパスで」と若干リスナーの敷居を高くしている印象が無きにしも非ず。
しかし本作に関しては、プロデューサー業や、MAD MAX、CASANOVA等での活動で知られるマイケル・ヴォスを曲作りのパートナーに起用して制作されていることもあってか(レコーディングにはMAD MAX、JADED HEARTのメンバーも参加)、重厚に立ち上がるOPナンバー①を手始めに、アコギ/ピアノを活かした抒情バラード④⑫、大陸的な解放感を漂わす⑦、ヘヴィ・メタリックな疾走パートも組み込んだ⑨、爽やかな⑪等々…本編にはバラエティ豊かな楽曲が集い、モダンなアレンジも施されたサウンドは、全体的に哀愁は漂えどもブルージーな色合いは控えめな仕上がり。つっても当然皆無な筈はなく、特にポールのソウルフルな熱唱を得て熱くダイナミックに盛り上がる⑧なんて、アルバムのハイライトというべき強烈な気を放っているわけですが。
今となっては忘れられている感もある一作ですが、クオリティは高いですよ。


PLAYER - Too Many Reasons - Life in Color ★★★ (2022-09-09 00:31:29)

仄かな哀愁を帯びたメロディが心地良く弾む、
瑞々しい魅力を湛えたハードポップ・チューン。
ピーター・ベケットのブランクを感じさせない
曲作りの手腕が冴えるアルバムのハイライトです。


PLAYER - Too Many Reasons ★★★ (2022-09-07 22:55:44)

映画『メジャーリーグ』へ挿入歌“HOW CAN THE GIRL REFUSE”の提供といった、ソロ・アーティストとしての活動でも知られる英国人シンガー/ソングライター、ピーター・ベケットの在籍していたLA出身の4人組PLAYERが、オリジナル・メンバーであるピーター・ベケット(Vo、G)とロン・モス(B、Vo)のユニット形態でカムバックを果たし、23年ぶりにFRONTIERS RECORDSを通じて発表した新作アルバム(’13年)。
失礼ながらPLAYERに対しては、シングル“BABY COME BACK”(本作にもリメイク・バージョンが収録)こそ全米№1ヒットを飛ばすも、その後はほぼ鳴かず飛ばずの「一発屋」的なイメージを抱いていたのですが、類稀なるソング・ライティングのセンスが十全に発揮された、アコースティック・ギターと美しいハーモニーを生かした、暖かみに溢れる収録曲の数々を聴けば、そうした浅はかな先入観は雲散霧消していきますよ。
無理にハードさを強調しているような1曲目はあまりピンと来ず、多少不安を覚えたことは正直に告白しておきますが、透明感と哀愁を演出するKeyが効果的な②以降は、AUTOGRAPHのスティーヴ・リンチが、ドラマーとしてのみならず作曲家としても腕を振るうバラード③、重厚な憂いに満ちた⑫(GENTLE GIANTの前身であるSIMON DUPREE & THE BIG SOUNDのカヴァー)等、ブランクをまるで感じさせない「らしい」秀曲揃い。中でも躍動する曲調にキャッチーなメロディが絡むハードポップ⑩は、本編においても一際強いインパクトを放つ名曲です。
折角の充実作だけに、これ以降新しい音源の発表がないのが残念でなりませんね。


George Murasaki and Mariner - Mariner Two ★★★ (2022-09-05 23:51:43)

‘80年のリリース以来、正式にCD化されることなく長らく幻の逸品と化していた、ジョージ紫&MRINERの2ndアルバムがようやくリイシュー。しかも1st『MARINER ONE』(’79年)との2枚組仕様での再発という太っ腹ぶり。まぁ数年後には紙ジャケット化され、別々に再リリースされたものを改めて買い直す羽目になっている自分の姿が、別に占い師でなくともありありと想像できますが、それはともかくまずはこの快挙を心の底から寿ぐべきでしょう。感謝。
前作と同じ布陣でロサンゼルスにてレコーディングされていることもあり、基本的にはこれまでの作風を踏襲しつつ、プログレ・ハード色は若干の薄まりをみせていて、その分⑤のような明るく開放的なノリの楽曲を収録する等、曲作りのバラエティは更なる広がりを感じさせる仕上がり。
そのため初聴時のインパクトに関してはデビュー作に一歩譲る印象は否めないものの、アルバムの幕開けをタイトに飾るHRナンバー①、そこはかとなく沖縄っぽさ薫るバラード④、哀愁のメロディをフィーチュアしてパワフルに盛り上がる⑦、そして「やっぱ最後はこんな感じで〆ないと!」とばかりにドラマティックに展開していく大作⑧…といった具合に、収録楽曲の個々のクオリティでは決して引けを取るものではありません。
メンバーのビザの問題により活動が軌道に乗らず、本作を最後にあっさり解散してしまったことが残念至極。紫にあまりピンと来なかったという方も、諦める前にジョージ紫&MARINERを是非お試し頂ければ幸いです。


小野正利 - Vs - Livin’ On A Prayer ★★★ (2022-09-02 00:12:37)

飽きるほど聴いてきたBON JOVIの代表曲を、ピアノ主体のバラード風にアレンジ。
透明感と叙情性を増した曲調に小野のクリスタルな美声がマッチして
アルバムのハイライト級の輝きを放つ逸品に仕上がっています。


小野正利 - Vs ★★★ (2022-09-01 00:01:46)

《カヴァー・アルバムじゃない。VSアルバムだ。》との帯惹句を目にして「言葉の意味はよう分からんがとにかく凄い自信だ」と呟いた、現GALNERYUSのフロント・パーソン小野正利が、デビュー25周年を記念して洋楽カヴァーを中心にレコーディングを行い(GALNERYUSのメンバーも参加)、'16年に発表した2枚組ソロ・アルバム。
前作『THE VOICE -STAND PROUD-』(’11年)の感想を書いた際に「次は産業ロックに特化したカヴァー・アルバムをお願いしたい」と記したのですが、本作でその願いが概ね叶う形に。DISC-1には主に90年代以降のヒット曲を、DISC-2にはBON JOVI、JOURNEY、VAN HALEN、ケニー・ロギンスといった80年代の音楽シーンを象徴するようなアーティストのヒット曲をメインに配して、それを小野が衰え知らずの美声を生かして伸びやかに歌い上げるという構成。マライア・キャリーやセリーヌ・ディオンの楽曲を、ここまで違和感なくハイトーンVoで歌いこなせる男性シンガーは、他にそうはいませんて。
個人的には、やはり思い入れのある楽曲が並ぶDISC-2の方を聴き直す頻度が高く、特にピアノ・バラード風にアレンジすることで抒情性がいや増したBON JOVIの“LIVIN’ ON A PREYER”は、秀逸なカヴァー…もといVSアレンジになっているのではないかと。あと小野の名を一躍知らしめたデビュー・シングル“YOU’RE THE ONLY”もセルフ・カヴァーしていて、随分と久々に聴き直しましたけどやはり胸打つ名バラードだなぁとつくづく実感させられた次第で。
質・量ともに大満足な一作。次は邦楽の名曲に挑戦か?


George Murasaki and Mariner - Mariner One - When the Morning Comes ★★★ (2022-08-31 00:56:44)

邦題は“朝が来るとき”
バラード風の導入を経て、泣きとエモーションを昂らせながら
テンポアップする中盤の盛り上がりに実にグッとくる
アルバム屈指の名曲です。


George Murasaki and Mariner - Mariner One ★★★ (2022-08-29 23:32:37)

姉さん、事件です(古い)。遂に、遂にジョージ紫&MARINERのカタログ2枚が再発ですよ。SABBRABELLS、DOOM、SACRIFICEといったバンドの1stアルバムが次々CD化された昨今、もしかしたら彼らも…と一縷の希望は抱き続けていましたけど、嘗てオムニバス盤『OKINAWAN HARD ROCK LEGENDRY』に提供されていた2曲を繰り返し聴いて満足していた時期を想うと「まさかこの日が来ようとは」と感慨に浸らずにはいられませんて。
音楽的方向性の違いから紫がアルバム2枚を残して解散した後、ジョージ紫が新たなメンバー(全員アメリカ人)と共に結成したバンドで、本作はニューヨークにてレコーディングが行われ’79年に発表された1stアルバム。多彩に楽曲を色付けるKeyを中心に据えた音楽性は紫時代を継承しつつ、インプロヴィゼーションは控えめに、曲展開からコーラス・ワークまでアレンジをしっかりと作り込み、歌を主役によりメロディアスで整合性を高めた仕上がりとなっているのが特色です。
勿論⑤みたいなGとKeyがスリリングに絡み合いながら疾走するDEEP PURPLEスタイルのHMナンバーも収録されていますが、個人的にそれ以上に印象に残るのは、スペーシーなイントロに導かれてスタートする①であり、ピアノの美旋律をアクセントに、泣きを湛えてエモーショナルに盛り上がっていく④や、哀愁のバラードの小曲⑦から繋がり本編を壮大且つドラマティックに締め括る⑧といった、プログレ・ハード風味が薫る楽曲の方。
長き入手困難な時期を通じて高まりまくっていたこちらの期待を裏切らないどころか、想定していたハードルを軽々と飛び越えていく名盤。再発に心からの感謝を。


J・A・シーザー - 国境巡礼歌 ★★★ (2022-08-25 23:27:10)

故・寺山修司が率いた、演劇実験室こと天井桟敷の音楽担当として世に出たJ.A.シーザーが’73年に発表したオリジナル・アルバムであり、彼のバンド「悪魔の家」や天井桟敷所属の俳優たちの協力(演出・構成は寺山修司が担当)を得て、日本青年館で行われたソロ・リサイタルの模様を収録したライブ・アルバムでもある一作。
前衛!アングラ!アバンギャルド!なイメージから尻込みしてしまい、長いことスルーし続けてきたのですが、実はアニメ作品のスコアを手掛けていたり、海外で高く評価されているとの記事を目にして(CATHEDRALのリー・ドリアンも絶賛してましたね)徐々に興味が高まり本作を手に取ってみれば、その唯一無二な音世界――無理くり例えるなら人間椅子と芸能山城組が悪魔合体したような感じとでも申しましょうか――に圧倒されまくったという。
暗く情念に満ちたメロディ、呪術的に繰り返されるドゥーム・メタリックなリズム、その上で妖しく交錯する男女コーラスとが、荒々しい演奏や音質すらも迫力に変えて叩きつけられるサウンドは、一口に「和風」といっても雅さとか格式高い伝統といった華やかさよりも、土俗的な因習や民間伝承の方に親しむドロリとどす黒いエッセンスが横溢。特に琵琶の音に導かれる陰鬱なイントロから疾走へと転じる①、ヘヴィでサイケデリックな曲調とわらべ歌のメロディが融合した⑥、延々続く寺山のアジ演説に絡みつくGが徐々に泣きの湿度を上げていく⑦辺りを初めて聴いた時の衝撃は相当なものがありましたよ。
70年代ロックでもプログレッシブ・ロックでも括りきれない異端の名盤。相当に聴き手を選ぶ作品であることは間違いないですが、ハマれば底なしかと。