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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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LAZY - Rock Diamond - Hotel ★★★ (2024-05-15 00:18:32)

リフにリードに切れ味の鋭さを発揮するスージー高崎のGプレイ、
楽曲をパワフルに駆動させるデイビー樋口の攻撃的なドラミングと
後のLOUDNESSを彷彿とさせる要素モリモリのHMナンバー。
ミッシェル影山の歌う歌詞にメタル感はゼロですが、
今となっちゃこれはこれでLAZYならではの味かなと。


LAZY - Rock Diamond ★★ (2024-05-13 22:23:21)

LOUDNESSの高崎晃(G)と樋口宗孝(Ds)、今やアニソン界の大御所となった影山ヒロノブ(Vo)らがかつて在籍していたバンドLAZY、’79年発表の4thアルバム。
LAZYの作品は、アイドル人気でがっつり稼ぎたいレコード会社と、本格的なHR路線を追求したいと望むメンバーとの間で毎度鍔迫り合いが繰り広げられており、その濃度差が各アルバムに独特の味わいをもたらしていたりするのですが、メンバー自らが収録曲の大半を手掛ける形でレコーディングが行われている本作は、(アルバム・タイトルが物語る通り)比較的バンド側の主張が通ったと言える仕上がり。まぁ赤面を誘う歌詞にしろ曲調にしろ、相変わらずメインとなるのはブリブリのアイドル歌謡路線であり、影山とリードVoを分け合う高崎や樋口のヘタウマな歌唱が、却って当時の男性アイドルっぽさをマシマシにしているのも微笑ましいという。
いやでも今となっちゃ「人に歴史あり!」と、これはこれで興味深く聴けますし、賑々しく跳ねるロックンロール③、柔和なバラード④、レゲエ風味を巧みに取り入れた⑦、感動的にアルバム後半を盛り上げる⑨、影山の歌の上手さが際立つ⑩等はメンバーの強いHR志向が反映されていて手応え十分。何よりも本作のハイライトは⑥で、スージーのフラッシーなGプレイとデイビーのタイトなDsを軸に攻撃的に疾走するこの劇的な名曲は、歌詞さえ書き替えればLOUDNESSの楽曲としても十分通用するカッコ良さを放っていますよ。
LAZYのカタログの中では、5th『宇宙船地球号』に次いでHR/HMファンにも取っつき易い1枚と言えるのではないでしょうか。取りあえず⑥と⑨は必聴。


EMIL SIGFRIDSSON - Back To Yesterday - Spanish Lullaby ★★★ (2024-05-10 21:28:19)

スパニッシュ・テイスト薫る哀愁のメロハー。
伸びやかなVoも楽曲の魅力を十全に引き立てていて、
シンガー及び作曲者としてこの人の優れた才を
存分に堪能できる名曲に仕上がっています。


EMIL SIGFRIDSSON - Back To Yesterday ★★★ (2024-05-08 00:49:36)

本国ではデビュー早々チャート№1の座にアルバムを送り込み、著名なミュージカルやディナー・ショーを手掛ける等、着実にキャリアを積み上げてきたというスウェーデン出身のシンガー/ソングライター、エミル・ジーグフリードソン(舌噛みそうな名前だ)、’24年発表の3枚目のソロ・アルバムにして日本デビュー作。
母国語で歌っていた前2作は完全にポップス・アルバムだったそうですが、SUPREME MAJESTYのメンバーを曲作りのパートナーに迎えレコーディングが行われた本作で披露されているのは、高揚感に満ちたメロディ、歌の合間をフラッシーに駆け巡るG、楽曲を華やかに色付けるKeyとが生き生きと躍動する80年代風味満点のポップ・メタル。かつてはアメリカのバンドのお家芸だったこの手のサウンドも、今や北欧メロハー勢がそのお株をすっかり奪ってしまった感がありますね。
主役たるエミールも、伸びやかで張りのある歌声から、フックを盛り込んだ曲作りの巧みさに至るまで、キャリアに裏打ちされた実力を十二分に発揮。VoだけでなくGも良く歌っている②、レディー・ガガのカヴァーながら完全にHRバージョンとして蘇った⑤、イントロが“EYE OF THE TIGER”を彷彿とさせるSURVIVOR調の⑨等、本編は捨て曲の見当たらない充実っぷりを誇っており、中でもタイトル通りスパニッシュ・テイストがピリリと効いた哀愁のメロディック・ロック・チューン⑦と、青春映画のEDテーマ曲といった趣きでアルバムを爽やかに締め括る⑫は本年度ベスト・チューン候補にも挙げたいくらいですよ。
メロハー界の有望株登場にホクホク顔になれる1枚。前2作も聴いてみたくなりました。


クリスタルキング - Moon - Woman ★★★ (2024-05-03 00:10:39)

オルガンのイントロに続いてヘヴィなGリフが刻まれ
田中昌之のパワフルなシャウトが響き渡るという
完全にヘヴィ・メタリックな仕上がりのOPナンバー。


クリスタルキング - Moon ★★★ (2024-05-02 00:44:52)

歌い出しは超有名だが後の歌詞が続かない「あ~果てしない~フフフ~フ~フフフ~」「いや知らないのかよ」ってなオードリー風漫才でお馴染み(?)、“大都会”を大ヒットさせたCRYSTAL KINGが’85年に発表した5thアルバム。ちなみに個人的に初めて購入したクリキン作品がこれでした。
『北斗の拳』主題歌を歌っていたので以前から名前だけは認知していましたし、その昔たまたま耳にした本作OPナンバー“WOMAN”なんて、オルガンのイントロに続いてスタートする曲調が完全に正統派HMのノリじゃないですか。まぁ実際に聴いてみると、ホンキートンク風のピアノが躍るロックンロールから、徳永英明が歌いそうなAORバラード、爽やかなシティPOPチューンまで、本編にはバラエティ豊かな楽曲が並んでおり(この辺は前作『CITY ADVENTURE』と同様)、全体的にバラード成分も強め。単純にHR/HMジャンルで括れる内容ではなかったのですが、こちとらバラードも別に嫌いではない…というか寧ろ好きなぐらいなのでそれはマイナス要素には当たらず。何より安定した演奏力と、ハイトーンVo+低音Voというタイプの異なるツインVoを存分に生かした楽曲はいずれもクオリティが高く、最後までしっかり聴かせきる内容に仕上がっています。田中昌之の、マーク・ボールズもかくやという絡みつくような納豆ハイトーンが炸裂する“BREAKING”、前述“WOMAN”とタメを張るHRナンバー“駆引き”等はHR/HMリスナーにもアピールし得る魅力を秘めているんじゃないでしょうか。
HR/HMリスナー向け入門盤としても機能しそうな1枚かも?


QUIET RIOT - Quiet Riot - Don't Wanna Be Your Fool ★★★ (2024-04-30 23:27:08)

“THUNDERBIRD”に匹敵する名バラード。
哀愁のメロディやポール・ショーティノの歌の上手さは勿論のこと、
カルロス・カヴァーゾの泣き叫ぶGも楽曲をエモーショナルに
盛り上げてくれていますよ。


QUIET RIOT - Quiet Riot ★★★ (2024-04-29 22:44:21)

人気の急落とメンバー間の不和。バンドの内と外に大きな問題を抱え進退窮まっていたQUIET RIOTが、その両方の元凶としてケヴィン・ダブロウを放逐。後任には元ROUGH CUTTの実力派シンガー、ポール・ショーティノを迎え入れて新体制を整えると’88年に発表した6thアルバム。邦題は『新たなる暴動』。
いきなり重厚な横ノリ・チューン①で幕が上がることからもお察しの通り、これまでの明るく華やかなポップメタルから一転、今作はHM/HRシーンのルーツ回帰ブームに歩調を合わせるかの如く、ミドル・テンポの楽曲を中心に据えた渋めでブルージーなHMサウンドを追求した仕上がりとなっています。良くも悪くも個性の塊だったケヴィンの声を失い、作風も大幅に変化したことで発表当時ファンの間では賛否両論を呼んだそうですが、少なくともこのスタイルはポールのVoにマッチしていますし、バンドを支えるカルロス・カヴァーゾ(G)とフランキー・バネリ(Ds)が、プレイヤー/ソングライターとして踏ん張った収録曲も、この路線変更を飲み込ませるだけの説得力を有していますよ。
特に中間部のドラマティックな曲展開が耳を惹く②(助っ人ジミー・ヴォルドーが良い仕事してます)、ポールのソウルフルな熱唱が映えるバラード③、個人的にアルバムのハイライトに推したい、インストの小曲⑦~哀愁に満ちた⑧への流れ、小気味良くキャッチーに弾む⑪等は、新編成QRの魅力がいかんなく発揮されているんじゃないでしょうか。
結局この荒療治も実を結ぶことはなかったわけですが、本作の意欲作ぶりはもうちょい評価されても良い気がしますね。まずは国内盤の再発からいかがでしょうか。


クリスタルキング - City Adventure - FM Station ★★★ (2024-04-26 00:53:59)

ギター主導で突き進むタイトなHRナンバー。
歌詞は多少赤面を誘う部分が無きにしも非ずかもしれませんが
マーク・ボールズもかくやな、田中昌之のねっとり絡みつくような
納豆ハイトーンVoは圧巻ですよ。


クリスタルキング - City Adventure ★★★ (2024-04-25 00:23:33)

“大都会”のミリオン・ヒットで知られ、HR/HMリスナー的豆知識としては、爆風スランプ~XYZ→Aのファンキー末吉も在籍していたというロック・バンド、CRYSTAL KINGが’84年に発表した4thアルバム。
自分が彼らのことを認知したのは、昭和の小学生の御多分に漏れず、アニメ『北斗の拳』主題歌“愛をとりもどせ‼”が切っ掛け。その“愛を~”にしろ、“大都会”の「嗚呼~果てしない~♪」にしろ、田中昌之の凄まじいハイトーンVoが強烈に耳に焼き付いていたのですが、実際に本作を聴いてみると、もう一人のシンガーであるムッシュ吉﨑とのツインVo体制及び両者が織りなす美しいハーモニーを生かした曲作りがなされており、収録曲もギンギンにGを効かせたHRナンバーあり、都会派AORチューンあり、哀愁の歌謡バラードあり…とバラエティ豊か。歌詞に関しては歌謡曲的クサさが気になるという向きもありましょうが、個人的には「味」として十分許容範囲内かなと。
スマッシュ・ヒットを記録したシティポップ・チューン“セシル”が人気曲のようなれど、こちとらそれ以上に、個性の異なる二人のシンガーの存在が映えるポップな“A DAY…”、シャープに駆け抜けるHRナンバー“FM STATION”のカッコ良さ、田中のエモーショナルな熱唱に聞き惚れるバラード“別離学”、表題曲“CITY ADVENTURE”におけるVoハーモニーの美しさにより痺れさせて頂きましたよ。
「クリスタル・キング?“大都会”だけの一発屋でしょ?」との認識を改めさせてくれる1枚。願・再発。


MYRATH - Desert Call - Memories ★★★ (2024-04-24 00:14:41)

美しくも哀しい泣きメロを纏ってドラマティックに展開する名バラード。
ここから一際ハードかつアグレッシブな“IRONIC DESTINY”へと
繋がっていく流れも最高です。


REVOLUTION SAINTS - Against the Winds - Show Me Your Light ★★★ (2024-04-19 00:50:37)

ディーンのVo、ジョエルのG、アレッサンドロのKeyとが一丸となって
猛烈な泣きを演出する名バラード。このレベルの名曲を必ずアルバムに
収録してくれるからREVOLUTION SAINTSは侮れませんよ。


REVOLUTION SAINTS - Against the Winds ★★★ (2024-04-18 00:14:25)

今やJOURNEYと並んでディーン・カストロノヴォ(Vo、Ds)のメイン・ワークとなったプロジェクト、REVOLUTION SAINTSが'23年に発表した5thアルバム。
ディーン以下、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ(Key)、ジョエル・ホークストラ(G)、ジェフ・ピルソン(B)という顔触れに変化がないとはいえ、前作『EAGLE FLIGHT』リリースから僅か9ヵ月のブランクで新作登場というハイペースな活動っぷりには吃驚ですよ。これはプロジェクトが勢いに乗っている証なのか、単なる粗製乱造か、どっちだ?…と若干の不安を覚えながら再生ボタンを押したのですが、聴き終えてみると、どうやら前者であることが判明してホッと胸を撫で下ろした次第。
要所にアップテンポの楽曲が配された本編は、メロハー路線に大きく振られた『EAGLE~』から再びHR方向に揺り戻しが図られている印象で、正直収録曲のクオリティに関してはややムラが感じられなくもないのですが、それも飽くまで傑作だった前作と比較しての話。アレッサンドロ陣頭指揮のもと、OPナンバーにしてアルバムの完成度を確信するに十分な表題曲①、マイケル・パレス提供のフックに富む哀愁のハードポップ②、ジョエルのGも活躍する爽快なHRナンバー③(URBAN TALEのメンバーが作曲に関与しているじゃありませんか)…と、相変わらず並のバンドを寄せ付けぬクオリティを誇っています。中でもイントロから強烈に泣きまくるバラード⑦は、シンガー:ディーンの熱唱と相俟って本年度ベスト・チューン候補として眩い輝きを放つ名曲ですよ。
プロジェクトの盤石ばりを知らしめるに十分な、ド安定の1枚。


KANSAS - Drastic Measures - Don't Take Your Love Away ★★★ (2024-04-15 23:33:04)

明るくポップな仕上がりの『DRASTIC MEASURES』の中にあって
哀愁を帯びたメロディ、メリハリの効いた曲展開等々
プログレ・ハード路線の面影を残した名曲です。
これをディノ&ジョン・エレファンテが手掛けているのですから
やはりこの兄弟の作曲センスは傑出していますよ。


KANSAS - Drastic Measures ★★ (2024-04-11 00:28:27)

バンドの看板でもあったバイオリン奏者ロビー・スタインハートの去ったKANSASが、'83年に発表したジョン・エレファンテ加入2作目となる9thアルバム。
前作収録の名曲“PLAY THE GAME TONIGHT”のスマッシュ・ヒットに気を良くしたレコード会社の「もっとコマーシャルなアルバム作らんかい」との圧力により、曲作りの主導権がケリー・リヴグレン(G)から、フロントマンたるジョンと、彼の兄でプロデューサー/コンポーザーとして鳴らすディノ・エレファンテに移行。それに伴い、ニール・カーノンが手掛けた乾いた音作りといい、シンセを大々的にフィーチュアしてメロディから湿り気が、曲展開からはプログレ色が減じられた楽曲といい、今作は(まさしくアルバム・タイトルが示す通り)大胆な作風の刷新が図られた仕上がりとなっています。
正直、スティーヴ・ウォルシュ在籍時代のKANSASサウンドを期待すると肩透かしを食う可能性大ですが、「ディノ&ジョンのエレファンテ兄弟が取り仕切ったメロハー作品」と気持ちを切り替えて本作に接すると、GリフがSURVIVORの“EYE OF THE TIGER”みたいな①とか、後に続くカラッと明るくポップな②とかも「これはこれでありだね!」と思えてくるから不思議ですよ。またアルバム後半には、山あり谷ありの曲展開をアップテンポで駆け抜けていく⑦、ケリーのペンによる、タメを効かせつつ重厚に盛り上がっていく⑧&リズミカルな曲調に哀愁のメロディが乗せられた⑨といった、かつてのプログレ・ハード風味がさりげなく薫る逸品もちゃんと収められていることを付け加えておきます。
KANSAS入門盤にゃお薦めしかねますが、スルーは勿体なさ過ぎる。自分なりの曲順を考えてみると、より評価が高まる1枚かもしれませんね。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind - In The Wake Of Hope ★★★ (2024-04-09 23:49:22)

仄かな哀愁を湛えて駆け抜ける軽快な曲調に、
プログレ・ハード然とした凝ったアレンジが編み込まれた技ありの逸品。
イントロからしてもろKANSASで、『暗黒への曳航』とか『モノリスの謎』に
こんな曲収録されてなかったっけ?と思わずKANSASのカタログを聴き直してしまいましたよ。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind - Shadows of Peace ★★★ (2024-04-09 23:41:49)

バイオリンがリード楽器として、山あり谷ありのドラマティックな
曲展開を牽引。6分越えの大作ナンバーながら、大仰さよりも
優美な軽やかさが勝る曲調がまさしくKANSAS(風)。
要所で流麗に楽曲を彩るKeyの存在もそれっぽくて◎
根性入ったなりきりぶりにグッとくる逸品ですよ。


PINNACLE POINT - Symphony of Mind ★★★ (2024-04-09 00:20:13)

ANGELICAへの参加や、現在はソロ・シンガーとしての活動でも知られるジェローム・マッツァ(Vo)が、FATEのトーベン・エネヴォルドセン(G)らをゲストに招いて立ち上げたプロジェクト、PINNACLE POINTの2ndアルバム(’18年発表)。
ソロ作ではANGELICA時代を思わすメロハー・サウンドを披露してくれていましたが、本作において追求されているのは、彼が愛して止まない黄金時代のKANSAS――具体的に言えば『永遠の序曲』『暗黒への曳航』『モノリスの謎』辺り――を彷彿とさせる、職人の拘りとポップな大衆性が絶妙なバランスで融合を遂げたプログレ・ハード・サウンド。スティーヴ・ウォルシュばりに熱唱する自身のVoを生かしつつ、リード楽器として曲展開を牽引するバイオリンの存在(シンセ等で代用せずわざわざ専任奏者を立てる姿勢も良し)といい、6分越えの大作が収録曲の半数を占めるも、大仰さや重厚さよりフットワークの軽やかさの方が印象に残る作風といい、全編に噎せ返る程のKANSAS愛迸る仕上がりとなっています。バイオリン導入だけに留まらず、KANSASっぽさ醸成に大きく貢献するKey(ピアノ)の流麗な活躍ぶりにも「マニアだねぇ」と思わずニッコリですよ。
特に、適度にポップ、適度にプログレッシブな曲調に胸躍る③、疾走感溢れる爽やかな曲調に凝ったアレンジが編み込まれた⑥、涼しげな哀愁を纏ってドラマティックに盛り上がっていく⑦、名曲“ON THE OTHER SIDE”を思わす泣きのバラード⑧なんて、70年代後半KANSASの未発表曲と言われたら信じてしまうような完成度を誇っています。
もうちょい話題になってもいいのでは?と思わずにいられない1枚ですね。


JUNKO - The Splendor - Lay Me Down ★★★ (2024-04-05 00:27:11)

胸を打つ哀愁のメロディとJUNKOのエモーショナルな歌唱が映えるバラード。
怖いもの見たさで聴き始めたら、普通に実力派シンガー然とした歌いっぷりで吃驚でしたよ。
松本孝弘の泣きのGも楽曲をドラマティックに盛り上げてくれています。


JUNKO - The Splendor - Dead Or Alive ★★★ (2024-04-05 00:20:37)

橘高文彦提供の秀逸な疾走ナンバー。
とはいえゴリゴリにヘヴィ・メタリックということはなく
適度にKeyも効かせたゴージャスな仕上がりなのが時代を感じさせますね。
松本孝弘もフラッシーなGプレイで華を添えてくれています。


JUNKO - The Splendor ★★★ (2024-04-03 23:37:51)

JUNKO名義2作目であり、三原じゅん子の歌手活動の取りあえずの一区切りとなった’86年発表の11thアルバム。
《ぶっ飛んで下さい。ロック遊女。》という帯惹句と、ジャケットを飾る和服を着崩したJUNKOの艶姿を見ると早くも迷走の気配がビンビンですが、10th『SO DEEP』に引き続いてB’z結成前の松本孝弘(G)が全面参加。鳴瀬喜博(B)、そうる透(Ds)、大平勉(Key)らがバックを固め、作曲陣にもハワード・キリー(河井拓実の変名)やAROUGEの福田純&橘高文彦(マネージメントが同じだった関係でツアーにも帯同していた模様)が名を連ねる等、基本的には前作で披露されたHR/HM路線を踏襲した仕上がりとなっています。
但し“WIRE ROCK”のようなゴリゴリのHMナンバーが姿を消し、煌びやかなシンセのフィーチュア度が格段に高まったサウンドは、80年代らしくよりゴージャスなメロディアスHR化が進行。JUNKOも『SO~』に比べると肩の力を抜いて伸びやかな歌唱を披露していて、本当、政治家としてのこの人に感心したことはビタいちないのですが、シンガーとしての実力には感心させられますよ。特に哀愁のメロハー“CAN’T STOP MY JEALUSY”や“TOKIO BLUE”、洗練されたバラード“LAY ME DOWN”辺りは、「三原順子でしょ?」と半笑いで聴き始めたら、クオリティの高さに思わず真顔になってしまう出来栄え。松本孝弘のGが暴れ回る疾走ナンバー“DEAD OR ALIVE”も本編をグッと引き締めてくれています。このタイプの楽曲がもう1曲ぐらいあればなぁと思わなくもないですが。
HR/HM路線であと2、3枚聴いてみたかった…と惜しまずにはいられませんね。


三原順子 - VERSUS - 切り裂かれたウェディング・ドレス ★★★ (2024-04-03 00:21:43)

北島健二がGプレイと作曲で関与。アルバム自体は過渡期の色合いを
残した仕上がりながら、このHRナンバーに関しては次作『SO DEEP』の
試し撃ちのようなカッコ良さを誇っています。
三原じゅん子もツッパリVoで楽曲を盛り上げてくれていますよ。


三原順子 - VERSUS ★★ (2024-04-01 23:45:10)

現在は芸能界から紆余曲折を経て政界へと転身を遂げている現自民党参議院議員の三原順子(当時は「三原じゅん子」)が、'85年に発表した9枚目のソロ・アルバム。
ロングヒットとなった“だって・フォーリンラブ・突然”を代表曲とするそれまでの歌謡アイドル路線から、10th『SO DEEP』(’85年)で突如HR/HM路線へと大きく舵を切ることとなる彼女ですが、その一歩手前で、北島健二(G)や松原正樹(G)を手始めに、デレク・ジャクソン(B)、村上秀一(Ds)、難波弘之(Key)ら、手練れのセッション・ミュージシャン達を多数起用してレコーディングが行われている本作は、次作への布石となるようなイキの良いHRナンバーあり、キャッチーなハードポップあり、気怠げな昭和ブルースあり…といった具合に、様々なタイプの楽曲が混在する「ザ・過渡期」な仕上がり。(フィル・スペクターとTHE RONETTSの代表曲“BE MY BABY”のカヴァーも収録)
とはいえ、歌手デビューから僅か5年の間に9枚ものアルバムを制作するという馬車馬の如き鬼スケジュールをこなして鍛え上げられただけあって、それらを堂々歌い上げる三原のVoにはシンガー一本でも十分食っていけるだけの説得力が宿っています。特に北島健二が切れ味鋭いGプレイのみならず曲作りでも貢献するOPナンバー“切り裂かれたウェディング・ドレス”や、織田哲郎提供のストリート・ロックンロール“BITCH YOUR TONITE”、ポップに弾む“TAKE OFF”、歌謡バラード“悲しみのマグネット”等におけるパフォーマンスは、後のHR/HM期より伸び伸び歌っているようで魅力的に感じられるぐらいですよ。
JUNKOのメタル期が楽しめるのであれば、本作まで手を伸ばすのも全然ありな1枚。


JUNKO - So Deep - I believe So ★★★ (2024-03-28 23:53:42)

作曲はハワード・キリー…って誰?(シンガー/ソングライター河井拓実の変名らしい)
ドラマティックなイントロだけで期待感を煽ってくれますが
実際、堂々たるJUNKOの歌唱、松本孝弘の泣きのGをフィーチュアして
パワフルに盛り上がっていく名曲に仕上がっています。


JUNKO - So Deep - Hurry Over ★★★ (2024-03-28 23:41:09)

44 MAGNUMの広瀬さとし提供曲。
オラオラと肩で風切るような曲調に、
JUNKOのハスっぱなスケバンVoがマッチしています。


JUNKO - So Deep ★★★ (2024-03-27 22:58:33)

「人に歴史あり」ということで、個人的に杉田かおるとごっちゃになって時々混乱する三原順子が、《SINGER JUNKO DEBUT!》なる帯惹句を引っ提げてJUNKO名義で’85年に発表した10枚目のソロ・アルバム。
「顔はやばいよ、ボディやんな、ボディ」の名台詞で知られる『3年B組金八先生』のスケバン役で注目を集めた不良性感度ゆえか、はたまた歌謡アイドル路線に行き詰まりを感じたからか、ここではイメチェンを図って本格HR/HMサウンドに挑戦。リリース当時BURRN!!誌でもレビューされていて「曲は〇、歌が×」と40点食らっていましたが、この時既に2桁に達する作品を世に送り出して来た実績の持ち主だけあって歌唱力は安定。多少の生硬さはあれど、甘いアイドル声とは異なるドスの効いたハスキーVoもこのスタイルに合っています。
それに何より楽曲が良い!Gを弾いているのが無名時代の松本孝弘で、作曲陣はハワード・キリーこと河井拓実を中心に、筋肉少女帯の橘高文彦や、EARTHSHAKERの西田昌史&石原慎一郎、44 MAGNUMの広瀬さとしといった腕に覚えのある面子が参集。更にはLOUDNESSの名曲“ANGEL DUST”のカヴァーにまで無謀…もとい果敢にチャレンジしているので、最後まで意外なぐらい楽しめますよ。特に怒涛の如く突っ走る“WIRE ROCK”、ハスっぱな歌い回しが威勢の良い曲調にマッチした“WE WANT ROCK”、松本の泣きのGと劇的な曲展開で本編ラストを盛り上げる“I BELIEVE SO”辺りは素直にグッとくる仕上がり。
政治家なんぞよりこの路線で突っ走ってくれりゃ良かったのに…と思わずにはいられない1枚。先入観抜きでどうぞ。


VELVET PΛW - VELVET PΛW - Long Way Out ★★★ (2024-03-27 00:10:32)

心地良く疾走する、1stアルバム中にあっては
比較的ストレートなロック・チューン。
とはいえコーラスの重ね方等、技ありなアレンジには
しっかりこのバンドらしさが宿っています。


VELVET PΛW - VELVET PΛW ★★★ (2024-03-25 23:39:09)

聖飢魔Ⅱとの関わりでも知られるVELVET PAWが、バンド・コンテストで好成績を収めたことを切っ掛けにメジャーのCBS/ソニーと契約を得て、満を持して'89年に発表した1stアルバム。
女性だけの5人組という編成でも注目を集めたバンドであり、今となっちゃ時代を感じさせるバブリーなジャケットと、《パワフルでちょっぴりオシャレな女の子ならではのハウの魅力満載》なる帯惹句を見た時は「プリンセス・プリンセスのフォロワーか?」と思ったりしたものですが、どっこい本作で披露されているのは、中心メンバーたる桐生千弘(Ds)の卓越した作曲/作詞センスと、メンバーの確かな技量に下支えされた、浮ついたところ等まるで感じられないタイトなプログレッシブ・ロック・サウンド。曲展開には変拍子をバリバリ仕込みつつも、飽くまでキャッチーな歌とメロディをアレンジの中心に据え(シンセも有用)、メジャー・アーティストらしい親しみ易さの演出にも気の払われた作風は、彼女達が影響源として挙げるU.K.やRUSH、ASIA辺りに通じる魅力を放っています。
明るいOPナンバー①から一転、伸びやかにVoが歌い上げる哀愁のメロディが緊迫感を伴って繰り出される②、立体的に舞うボーカル・ハーモニーも印象的な③、楽器陣の技量の高さとメロディ・センスの冴えが発揮された⑤、爽やかに本編を締め括るストレートなロック・チューン⑨等は、改めて聴いてもその名曲ぶりに耳奪われてしまいますよ。
現在のガールズ・メタル隆盛の先駆け的存在にも拘わらず、顧みられる機会が十分に得られていない気がする埋もれてしまった名盤です。


REMEDY - Something That Your Eyes Won't See - Thunder In The Dark ★★★ (2024-03-21 23:23:49)

PVも作られているアルバムのハイライト・ナンバー。
ミドル・テンポの楽曲ながら、ヒンヤリとした冷気と
差し込んでくるような悲哀を纏ったメロディには
「これだから北欧メタルはやめられない」と
思わされる魅力が備わっていますよ。


REMEDY - Something That Your Eyes Won't See ★★★ (2024-03-21 00:04:49)

セッション・ミュージシャンとしてキャリアを積むロバート“ロリ”フォルスマン(G)が音頭を取り、コロナ禍で活動の場を失っていたメンバー達が集まって結成されたスウェーデン出身のHRバンドREMEDY、'22年発表の1stアルバム。
80年代に活躍したHM/HRアーティストからインスピレーションを得ているというだけあって、彼らがクリエイトするサウンドはフックに富みキャッチー。かつメロディには北欧のバンドらしい透明感や叙情性も加味されており、もしリリースが30年前なら間違いなくゼロ・コーポレーションから《北欧、珠玉美旋律の神髄。悲哀の情感が心の琴線を優しく撫でる…》みたいな大仰な帯惹句を添えられてデビューを飾っていたであろう逸材感漂う仕上がり。これがマーキーやキングではなくWARD RECORDSからの発売ってのが珍しいですね。
但し90年代のゼロ勢と異なるのは、音質面やVoの弱さといったいなたさが感じられない点。敏腕ソングライターのソレン・クロンクヴィストが曲作りに協力し、ECLIPSEのエリック・モーテンセンがマスタリングを手掛けることで、プロダクションもパフォーマンスもタイトに磨き上げられており、この辺の手堅さはやはり現代のバンドだなぁと。
特に哀愁を帯びたVoの歌唱が映える泣きのバラード⑤、冷ややかな空気と愁いを纏った「これぞ北欧メタル!」な⑦、クラシカルな導入からキャッチーに駆け抜けていく⑧、ヘヴィ・メタリックに本編を締め括る⑨といった逸曲が並ぶ中盤以降の畳み掛けには惹き込まれてしまいますよ。(無論前半も素晴らしいことは言うまでもなく)
本国でも好成績を残しているようなので、今から次作リリースが楽しみになる充実作です。


Storm Force - Age of Fear - Breathe ★★★ (2024-03-19 01:00:04)

重厚でヘヴィ・メタリックな曲調ながら大味になることなく、
愁いを帯びたメロディにはグレッグ・フレイザーの作曲術がキラリと光ります。
ソロではギタリストとしてのセンスも垣間見せてくれますし、
Voの熱くパワフルな歌いっぷりもハマっていますよ。


Storm Force - Age of Fear ★★★ (2024-03-15 00:54:02)

中古盤屋で本作を初めて目にした時は、STORM FORCEなるバンド名の響きから何となく「北欧のパワー・メタル・バンドかな」とか思ったものですが、国内盤帯を読み込んでみれば北欧出身でもパワー・メタル・アクトでもなく、何と80年代に活躍したカナダが誇るメロディアスHRの雄BRIGHTON ROCKの中心メンバーだったグレッグ・フレイザー(G)により新たに結成されたバンドであることが判明。「そうなると話が変わってくるよ?」と慌ててレジまで持っていったことは言うまでもありません。
こちらは’20年発表の彼らの1stアルバムで、BRIGHTON ROCK時代を思わす華やかなハーモニーに彩られたキャッチーなメロディック・ロック・チューン①のみならず、カナダ産らしい雄大さを宿した感動的なバラード⑦やら、ヘヴィ・メタリックにアルバムを締め括る⑩やら、本編にはバラエティ豊かな楽曲が取り揃えられた仕上がり。それらを情熱的に歌い上げるVoの荒れ声は好き嫌いが分かれるかもですが、流石グレッグのお眼鏡に適うだけあって歌唱力は確かですし、主役たるグレッグも力強くリフを刻み、ソロではGをエモーショナルに歌わせる一方、曲作りにおいても収録各曲に強度の高いフックを仕込む等、衰え知らずのミュージシャン・シップでガッチリとアルバムの屋台骨を支えてくれています。特に愁いに満ちたメロディと重厚な曲調が抜群のマリアージュを披露する③は、個人的に本編のハイライトに推したい名曲ですよ。
インタビューを読むと再結成BRIGHTON ROCKに新作を期待するのは難しそうなので、ならばこのSTORM FORCEで是非アルバム・リリースを重ねて欲しいところであります。


JACK RUSSELL - For You - Always ★★★ (2024-03-13 00:30:15)

アコギが爪弾かれるイントロが鬼平犯科帳のエンディング曲みたいですが
楽曲自体も愁いをたっぷりと含んでいて聴き惚れますよ。
哀愁のメロディをエモーショナルに歌い上げるジャック・ラッセルの
歌ウマっぷりも際立つ名曲です。


JACK RUSSELL - For You ★★★ (2024-03-12 00:25:32)

GREAT WHITEのフロントマンとして、現在もその看板を守り続けるジャック・ラッセル(Vo)が、故ボブ・キューリック&ビリー・シャーウッドをプロデューサー兼曲作りのパートナーに招いてレコーディングを行い、'02年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
GREAT WHITE健在時に制作され、その息吹も感じられる仕上がりだった1stソロ『SHELTER ME』(’96年)に比べると、主要メンバーが櫛の歯が抜けるように欠けていき、バンドが実質的な解散状態に陥ってしまった時期にレコーディングが進められている本作は、今後ソロ・アーティストとして自身が進むべき方向性を模索するかの如く、ピアノやアコースティック・ギター、爽やかなハーモニーとに彩られたバラード~スロー・ナンバー系が大半を占め、よりジャックの「歌」に焦点を絞ったライトでメロウ、AOR寄りのサウンドが託されています(敬愛する実父の死もこうした作風に影響を与えた模様)
とはいえ、もともと歌唱能力の高さに関して定評のある御仁ゆえ、この仕上がりはむしろ個人的にはばっち来い。とりわけジャックのエモーショナルな歌いっぷりが映える、GYPSY KINGSの“INSPIRATION”を思わすイントロから哀愁をたっぷり帯びた曲調にグッと来る③や、もし80年代にシングル・カットされたならヒット・チャートを賑わせたって不思議じゃない⑤辺りは、ラッセル/キューリック/シャーウッドという座組でここまでやってくれるんかいと、正直ビックリでしたよ(と同時にみくびって申し訳ないとも)
今後またソロ・アルバムを制作することがあるなら、是非またこの路線でヨロシク…とお願いしたくなる、実に味わい深い1枚です。


CRY WOLF - Crunch - On The Run ★★★ (2024-03-08 21:45:39)

デビューEPとアメリカ・デビュー作『CRUNCH』に収録。
鋭角的に刻まれるGリフ、パワフルなハイトーンVo、
厚盛りのボーカル・ハーモニー等、80年代STRYPERを
彷彿とさせるカッコ良さに痺れる名曲です。


CRY WOLF - Cry Wolf ★★ (2024-03-06 23:08:48)

メンバーがイケメン揃いな上に、ミュージシャンとしての技量も確かということで、日本では今は亡き新宿レコードがデモテープを国内盤ミニLPとしてリリースし、レーベル契約もないのに来日公演を敢行する等、ちょっとしたビッグ・イン・ジャパン的人気を獲得したというLAの4人組CRY WOLF。本作は彼らがEPIC/SONY RECORDSとのディールを得て’89年に発表した1stフル・アルバムとなります。
CRY WOLFなんて哀愁HRでも演っていそうなバンド名ですし、先行して耳にする機会を得た名曲“ON THE RUN”のSTRYPERを彷彿とさせるカッコ良さが決め手となって購入を決意した作品でしたが、実際のところここで披露されているのは、一口にポップ・メタルといってももう少しロックンロール寄りというか、レイドバックした感じが漂うサウンド(当時のブルーズ・ブームの影響もあったんでしょうかね)。“ON THE RUN”も収録されておらず、「話が違う」と勝手に肩透かしを食った気分になったことを思い出します。
尤も、THE BEATLESの④をカヴァーしていることからも彼らの趣味嗜好は明らかですし、改めて聴き直せば、クセ強なハイトーンを響かせるVoとテクニカルなGを軸に組み立てられた楽曲は、ライブ映えしそうなエネルギー漲る疾走ナンバー⑥、枯れた味わいのバラード⑨等、総じてキャッチーで耳を惹く仕上がり。中でもアルバムを爽快に締め括る⑩は、終わり良ければ全て良しじゃないですが、本作に対する評価をグッと引き上げてくれるハイライト・ナンバーとして輝きを放っていますよ。
デビューがもう少し早ければ状況も変わっていたのでは?…と惜しまれる1枚です。


TED POLEY - Modern Art - Running For The Light ★★★ (2024-03-05 00:39:24)

劇的なイントロで掴みはOK。
メロディの切なさを増幅するテッドのVoと、
DEGREEDメンバーのフックを効かせた楽曲構築術が
ガッチリと噛み合った名曲です。


TED POLEY - Modern Art ★★★ (2024-02-27 00:38:23)

本家DANGER DANGERに音沙汰はなくとも、ソロ・ワークに、TRIXTERのスティーヴ・ブラウンと組んだTOKYO MOTOR FISTと、変わらず多忙なミュージシャン・ライフを送るテッド・ポーリー(Vo)が新たに立ち上げたプロジェクトMODERN ARTの1stアルバム。(’18年発表)
スウェーデンで開催されたロック・フェスに出演した際に親交を深めた同国出身の新鋭HRバンドDEGREEDの協力を得てレコーディングが行われており、「なるほど、これまでのソロ作とは趣きを変えて、こっちでは今流行りの音楽に全力で乗っかったサウンドを追求していくわけね」と、現代美術風のジャケット・アートワークを見ながら勝手に解釈していたのですが、実際に聴いてみると、Keyを生かした煌びやかなアレンジやダンサンブルなリズム・ワークは今風でありつつも、楽曲自体はテッドの甘く切ない歌声が映えるメロディアスHRが徹底されており、何のことはない「テッド4枚目のソロ・アルバム」と捉えて何ら問題のない仕上がりだったという。あるいは「テッドが歌うDEGREEDの新作アルバム」か。
曲作りに抜群のセンスを発揮するDEGREEDが、テッドが歌うに相応しい楽曲を手ずからこしらえてくれているだけに、哀愁とキャッチネスを併せ持つメロディに彩られた本編の充実度は当然文句なしの出来栄え。中でもポップに弾む曲調に胸キュンを誘う哀メロが乗せられた③や、イントロからして名曲の風格十分な(そしてその期待は裏切られない)④等は、このコラボの理想形が示された名曲じゃないでしょうか。
2作、3作とこの顔合わせが続いてくれることを願わずにはいられない力作です。


BRAZEN ABBOT - My Resurrection - Godforsaken ★★★ (2024-02-22 23:58:32)

Voはトニー・ハーネルが担当。彼には珍しいヘヴィ・メタリックな曲調ですが
衰え知らずのハイトーンを駆使して難なく歌い上げています。
中間部でスリリングかつ流麗なピアノ・ソロを奏でて楽曲を盛り上げる
Key奏者のナイスなお仕事にも耳を奪われてしまいますね。


BRAZEN ABBOT - My Resurrection - Dreams ★★★ (2024-02-22 22:56:41)

ジョー・リン・ターナーがVoを担当。まさしく「アテ書き」といった感じの
後期RAINBOWを彷彿とさせる美しく哀愁に満ちたメロディが心地良い逸品で
ジョーも見事に歌い上げてくれています。ストリングスの導入が非常に効果的ですし
さりげなく駆け巡るピアノにも耳惹かれますよ。


BRAZEN ABBOT - My Resurrection ★★★ (2024-02-21 00:46:49)

名曲“MY BLUE MOON”のヒットで知られる北欧メタル・バンドBALTIMOOREに在籍していたニコロ・コツェフ。このブルガリア人ギタリストがリーダーを務めるBRAZEN ABBOTが、ジョー・リン・ターナー&ヨラン・エドマンというお馴染みの面子に加え、TNTのトニー・ハーネル、ECLIPSEのエリク・マーテンセンらをゲストに迎えてレコーディングを行い、’05年にFRONTIERS RECORDSから発表した5thアルバム。
日本盤リリースが見送られていたこともあり、てっきり今一つの出来栄えなのかと思いきや、これが過去作にも全く引けを取らないクオリティだったんで、「なして国内盤未発売?」と。本作にて披露されているのは、DEEP PUPLE/RAINBOWからの影響を基調に据えつつ、生オケやポップ・センスも巧みに溶け合わされた古き良き北欧メタル(風)サウンド。ジョー起用がハマったDEEP PUPLE型疾走ナンバー①に、もろ後期RAINBOWタッチの美しくメロウな④、ヨランのMr.北欧ボイスが映える重厚にして冷ややかな様式美チューン②、それに負けじと(?)トニーが鮮烈なハイトーンを響かせる③、エリクのエモーショナルな歌い上げが胸に沁みるバラード⑦等々、作曲センスと共に、ニコロの(一大コンセプト作『NOSTRADAMUS』で磨きを掛けた)ゲスト・シンガーを適材適所に配する手腕も相変わらず冴え渡っています。あと特筆しておきたいのが、ハモンドやピアノを駆使して要所で楽曲に効果的なアクセントを加えてくれるKey奏者の仕事ぶり(指揮者/作曲家としても活躍する才人なのだとか)。前述の名曲③④の素晴らしさはこの人の存在抜きには語れませんて。
これを最後にBRAZEN ABBOTの新作リリースが途絶えているのが残念でなりませんね。


INDIGO DYING - Indigo Dying - Better ★★★ (2024-02-19 23:24:47)

誰がどう聞いてもEVANESCENCEからの影響は明らかですが
良い曲なのもまた事実。ヘヴィな曲調に愁いを加える
ピアノの美旋律が効果的で、勿論ギサ・ヴァッキー嬢の
Voも楽曲を力強く盛り上げてくれています。


INDIGO DYING - Indigo Dying ★★★ (2024-02-15 23:23:55)

FRONTIERS RECORDSが、南米はチリ出身の女性シンガー、ギサ・ヴァッキー(松任谷由実のアルバムにもバック・ボーカルとして参加したことがあるのだとか)を売り出すべく立ち上げたプロジェクトINDIGO DYINGの1stアルバム。’07年発表。
目論み通りの大ヒットとはいかなかったようで、残念ながらプロジェクトが残したのは本作1枚きりながら、プロデュースをファブリツィオ・V・グロッシが担当、ゲストVoにマイケル・キスク&マーク・ボールズを招き、トミー・デナンダーやジョン・マカルーソといった面々が背後を固める等、手厚いバックアップ体制が敷かれているだけあって完成度は上々。披露されているのは当然80年代風味満点のメロハー…かと思いきや、意外にも仄かにゴシック・メタルのエッセンスもまぶされたモダンなメロディック・ロック・サウンドで、そもそも収録曲は書下ろしの新曲ではなく、オルタナからポップ系まで、気鋭のアーティスト達の既発曲のカヴァーが主体という若干変則的な構成となっています。
とはいえそこはFRONTIERS RECORDS作品。ハードめのアレンジと、フックに富む哀愁のメロディに彩られた楽曲はジャンルの垣根を越えて胸に迫ってくる仕上がりですし、⑥⑩におけるマイケルやマークに対しても一歩も引かないギサ嬢のパワフルな歌いっぷりからは、豊富なキャリアに裏打ちされたヒロインたる輝きも十分。特に物悲しいピアノとヘヴィな演奏に、愁いに満ちた歌唱が乗っかった④はこのプロジェクトの魅力が凝縮された名曲ですよ。(露骨にEVANESCENCEしてる点はご愛敬)
今からでも遅くないので第2弾アルバム作りません?その時はオリジナル曲で勝負ヨロシク。


707 - The Bridge - Message From A Friend ★★★ (2024-02-14 00:39:42)

ソリッドなGがけん引するハードネスと
爽やかなメロディが生み出すキャッチネス
それに軽快に踊るKey(ピアノ)が付与する
仄かな叙情性がバランス良く組み合わされた
アルバム屈指の逸品。


707 - The Bridge ★★★ (2024-02-12 23:12:49)

707といえば、THE STORMやTWO FIRE等の活動で知られる名シンガー、ケヴィン・チャルファントがかつて在籍し、映画主題歌でもあった名曲“MEGA FORCE”をスマッシュ・ヒットさせたことで知られるミシガン州デトロイト出身の4人組。本作は'04年に日本ではSPIRITUAL BEASTから唐突にリリースされた作品で、最初目にした時は「すわ、707再結成か?!」と色めき立ちましたが、実際は3rd『MEGA FORCE』(’83年)リリース前にレコーディングを完了させながらも、方向性を巡るレコード会社との確執でお蔵入りを余儀なくされてしまった「幻の3rdアルバム」というべき秘蔵音源だったという。(なので当然ケヴィンは不参加、Voはフィル・ブライアントがBと兼任しています)
初期作にあったプログレ・ハードの面影はほぼ姿を消し、Keyを抑え気味に、その分ソリッドなGをこれまで以上に前面に押し出して、本作では(アメリカにおけるHR/HMシーンの盛り上がりに歩調を合わせるように)より骨太にロックしているサウンドを披露。これがポップでラジオ・フレンドリーな作風を求めるレコード会社の期待にそぐわなかったことは想像に難くないですが、とはいえメロディのキャッチーさやコーラス・ワークの美しさはちゃんと維持されていますし、爽やかに疾走する③、軽快に弾む曲調にピアノが華やかな彩りを加える⑥、ケヴィン・ラッセルの泣きのGが映える哀愁のバラード⑬といった逸品を聴けば、「なぜにこれがお蔵入りの憂き目に?」と首を捻りたくなること必至。
レコード会社と対立しても、自身のやりたいことを曲げなかったバンドの拘りの正しさを証明してくれる1枚。発掘に感謝ですよ。


SOLEIL MOON - Warrior - Nothing Matters ★★★ (2024-02-12 01:54:16)

たっぷり情感の込められたVo、G、そしてストリングスが
一体となって哀切な調べを奏で、息苦しい程の盛り上がりを呈する
2ndアルバムのハイライト・ナンバー。
特にラリー・キングの歌ウマっぷりには惚れ惚れさせられますよ。


TED POLEY - Beyond the Fade - Sirens ★★★ (2024-02-08 00:20:50)

仄かに哀愁も塗された爽やかなメロディが駆け抜けていく
マーティン兄弟提供のハードポップ・チューン。
テッドのVoは多少加齢による枯れを感じなくもないですが
自身が歌うに相応しい楽曲を得て、魅力的な歌メロを
エモーショナルに歌い上げてくれています。


TED POLEY - Beyond the Fade ★★★ (2024-02-06 00:43:30)

本丸DANGER DANGERは開店休業状態が続き、THE DEFIANTSやTOKYO MOTOR FISTといったサイド・プロジェクトが活況を呈する最中、看板シンガーたるテッド・ポーリーがFRONTIERS RECORDSから’16年に発表した3枚目のソロ・アルバムがこちら。
同レーベルと初めて組んだ前作『SMILE』はアメリカン・メロハーの快作に仕上がっており、テッド的にもその仕事ぶりに満足がいったのか、本作では収録曲の大半をFRONTIERS RECORDS側が用意したソングライター勢に委ねています。プロデュース及びエンジニアリングはアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、曲作りをVEGAのマーティン兄弟らが手掛け、ゲストには歌姫イッサを招く(バラード④でデュエットを披露)等、万全の陣容でレコーディング作業が進められただけに、軽くアベレージ越えの完成度はまぁ当然といったところ。
前作で披露した、DANGER DANGER名義でリリースしても違和感なく受け入れられたであろう80年代風味満点のメロディアスHRサウンドを今回も順当に継承し、主役たるテッドも、決して抜群に上手いわけじゃないけど独特の味わいに満ち溢れた歌声で、その健在ぶりをアピールしてくれています。特に伸びやかで爽快感に溢れた⑤⑦の2連発や、ギターがよく歌う⑧、DANGER DANGERの名曲と比較しても遜色ないインパクトを放つ⑩、エモーショナルに本編の幕を引くバラード⑪等は、腕っこきの作曲陣が用意した「テッドが歌うに相応しい楽曲」と、その期待にきっちりと応えるテッドの熱唱とがガチっと噛み合った逸品に仕上がっていますよ。
テッド・ポーリーのソロ作にハズレはありませんね。


SOLEIL MOON - Warrior ★★★ (2024-01-31 22:18:53)

デビュー作『WORLD APART』のリリースが’99年、2nd『ON THE WAY TO EVERYTHING』が’11年、そして本3rdアルバムは’19年発表。22年活動して作ったアルバムが3枚と活動周期がオリンピック級の気の長さを誇る、ラリー・キング(Vo)とジョン・ブラスッチ(Key)によるメロハー・プロジェクトSOLEIL MOON。
メロパワ/スピード・メタルでも演っていそうな、対峙する女剣士と悪い魔法使いが描かれたファンタジックなジャケットと、仰々しい邦題『照律の勇者』(原題はシンプルに『WARRIOR』)を初めて目にした時は「同名異バンドか?」と思ったものですが、間は開けど作風には微塵のブレもなかったのでホッと一安心。ハイトーン型ではなく、中音域をメインにタフさや包容力を感じさせるラリーの聴き手を包み込むような歌声と、ソウルフルなポップ・チューンから壮大なプログレ・ハード・ナンバーまで優美に編み上げるジョンの卓越したアレンジ・センスが存分に堪能できる仕上がりとなっています。
AOR/産業ロックで括るには、存在感がググっと前へ迫り出す「気」を放つGを弾いているのは今回も名手マイケル・トンプソン(アー写には別の人物が載っているので正式メンバーではない様子)。曲名通りアクセル全開でOPを駆け抜けていく①、憂いを帯びた劇的な盛り上がりっぷりが胸を打つ本編のハイライト⑧、ミュージカル風味も感じられる芝居掛かった曲展開がファンタジー映画の主題歌っぽい⑪辺りは、特にマイケルのG、ラリーのVo、ジョンのKey及び楽曲構築術のハイレベルな融合ぶりが際立つ名曲ですよ。
こんだけ素晴らしい作品を作れる人達なので、次があるならもっと早く発表してくれると嬉しいなぁと。


SOLEIL MOON - On the Way to Everything - I'd Die For You ★★★ (2024-01-29 21:19:44)

正確には1stアルバムの楽曲なのですが、2ndにもボートラとして収録。
どこかで聴いたことがあるような…と思ったら、マイケル・キスクの
PLACE VANDOMEが2nd『STREETS OF FIRE』でカヴァーしていましたよ。
あちらも素晴らしい出来栄えでしたが、このオリジナル・バージョンも
負けず劣らず優美にしてドラマティック。胸に迫る名曲です。


SOLEIL MOON - On the Way to Everything ★★★ (2024-01-26 00:04:58)

マイケル・トンプソン・バンドに参加したことで一気に知名度を高めたラリー・キング(Vo)と、クラシック畑出身でセッション・ミュージシャンとして多忙な日々を送るジョン・ブラスッチ(Key)を中心に結成されたSOLEIL MOONが、’13年に発表した2ndアルバムにして日本デビュー作。
マイケル・トンプソン(G)を筆頭に、二人の豊富な人脈を生かして数多くのゲストを招き制作されている本作で聴けるのは、(監修・解説を金澤寿和氏が担当していることからもお察しの通り)大枠としてはエモーショナルなVoを主役に据えたAOR/産業ロック。但し曲によっちゃHR寄りのエッジがきっちりと効かされていますし、ジョン・ブラッチが優れたアレンジャーとしての才を十全に振るう、優美にして壮大なプログレ・ハード調の楽曲もあったりと、バラエティに富むサウンドが楽しめる仕上がりとなっています。それでいて、ラリーの聴き手を包み込むソウルフルな歌声が本編をグッと締めて統一感をもたらしてくれているので、散漫な印象は皆無。アコギにストリングス、Keyを巧みに織り込んだOPナンバー①や、美しいピアノ・バラード⑤、雄大な自然が目の前に広がるような錯覚を覚える⑨といった楽曲には、このプロジェクトの真骨頂が詰まっていますよ。
また日本盤未発売に終わった1st『WORLD APART』(’99年)から数曲がボートラとして収録されているのですが、物悲しくも劇的な⑫や、マイケル・トンプソンのGがグッと胸に迫る⑭等、これがオマケの域を超えて本編収録曲を霞ませかねないインパクトを放つ名曲揃い。今からでも遅くないので1stアルバムの国内盤をリリースしてくれませんかね?


LOVERBOY - Keep It Up - One-Sided Love Affair ★★★ (2024-01-24 23:48:10)

溌剌としたロックンロール・バンドのイメージが強いLOVERBOYですが
哀愁系の楽曲を書かせてもなかなかのお点前。特にこの曲はマイク・レノが
歌い上げるメロディと、Keyの効果的な援護射撃とが相俟って
グッと胸に沁みる哀メロ・ナンバーに仕上がっています。


CARE OF NIGHT - RECONNECTED ★★★ (2024-01-22 23:22:07)

名盤『CONNECTED』(’15年)を引っ提げてスウェーデンから彗星の如くデビューを飾ったメロディアスHRバンド、CARE OF NIGHT。日本での所属先だったANDER STEIN MUSICの店じまいや、AOR HEAVENからFRONTIERS RECORDSへのレーベル移籍といった紆余曲折を経て、'23年に待望の3rdアルバムを発表してくれました。(とか言いつつリリースされたことを最近まで全然知らなかったのですが…)
『RECONNECTED』というタイトルからして再始動への意気込みがバリバリ伝わってくる本作は、内容の方も帰還の挨拶に相応しい充実っぷり。なぜだかメロハー版“I WANT OUT”と評したくなるGリフを伴って溌剌と走り抜けるOPナンバー①から、熱を帯びたGソロが壮大な曲調を盛り上げるラスト・ナンバー⑪(日本盤はその後1曲ボーナス・トラックがありますけど)に至るまで、哀感と透明感を兼ね備えたメロディ、キャッチーなコーラス・ワーク、煌めくKeyにカレ・ショーベリ(Vo)の張りのある歌声とに彩られた楽曲は、前2作で発揮された美点を損なことなく真っ直ぐに継承した仕上がり。
特にポロポロと零れ落ちるような音色で奏でられる物悲しいエレピが良い仕事しまくりな泣きのバラード④、一転して哀愁をまき散らしながら疾走するHRナンバー⑤、エモーショナルを盛り上がりっぷりに胸打たれるバラード⑥といった名曲が連続する中盤戦は本作の白眉ですよ。
5年間のブランクを瞬く間に埋めてくれる力作。FRONTIERS RECORDSとのディールを得たことで、今後は活動が軌道に乗ることを願って止みません。


LOVERBOY - Keep It Up ★★★ (2024-01-19 00:33:39)

カナダ産HR/HM勢がアメリカへと攻勢を仕掛けた80年代、その先陣を切ったバンドの一つとして知られるLOVERBOYが、ブルース・フェアバーンを共同プロデューサーに迎えてレコーディングを行い、’83年に発表した3rdアルバム。
トリプル・プラチナムを獲得した2nd『GET LUCKY』(’81年)と同じく、全米チャート最高第7位に輝くという堂々たる成績を残した本作は、これまで同様マイク・レノ(Vo)の張りのある歌声と、シンセサイザーを大々的にフィーチュアした明るく健康的なポップ・メタル路線を踏襲。前作の成功を受けてよりコマーシャルな方向に軌道修正を図ったっておかしくないところを、乾いた音色で歯切れ良くリフを刻むGの存在が際立つ、ハードさを増しグッとタイトに引き締まったサウンドを披露してくれているのですから頼もしいじゃないですか。軽過ぎず、さりとて硬過ぎず。この硬軟のバランス感覚は後続のLAメタル勢のお手本にもなったんじゃないでしょうか?
溌剌と躍動するOPナンバー①、シンセを生かしたミドル・テンポの②、からのお約束パワー・バラード③という、80年代売れるアルバムの黄金パターンを抜かりなく押さえた冒頭の流れで聴き手を掴むと、後は爽やかなヒット・シングル⑤、LOVERBOYの楽曲の中でもトップクラスで愛して止まない哀愁の名曲⑧を含む後半戦までイケイケどんどん。個人的には本作の方が『GET~』より聴き直した回数は多いくらいですよ。
「え?LOVERBOYって“それいけ!ウィークエンド”だけの一発屋じゃないの?」ってな失礼なことを抜かしてた輩(俺ですが)にガツンと一撃をカマす快作です。


DRIVE - CHARACTERS IN TIME - KAMIKAZE ★★★ (2024-01-16 23:17:16)

パワフルなハイトーンVo、金属質な艶を帯びてリフを刻み
劇的なメロディを奏でるツインG、ドスを効かせて突き進むリズムとが
アグレッシブに畳み掛ける様が、2ndアルバムの頃のVICIOUS RUMORSを
彷彿とさせます。“KAMIKAZE”というタイトル負けしない名曲。


DRIVE - CHARACTERS IN TIME ★★★ (2024-01-15 23:52:05)

テキサス州ヒューストン出身の5人組、DRIVEが’88年にRAMPAGE RECORDSから発表した1stアルバム。雑誌等で取り上げられ高評価を受けていた2nd『DIABLERO』(’92年)は今でも中古盤屋に行くとよく見かけるのですが、このデビュー作はあまり目にする機会がない…というか2作でジャケットの方向性が全然違うので、最初見た時は同じバンドのアルバムだと思いませんでしたね。
そんな、そこはかとなくB級メタル風味を漂わすアートワークとは裏腹に、彼らが出している音は実に堂々たるパワー・メタル・サウンド。若干方向性が拡散した2ndに対し、本作は耳をつんざくハイトーンVo/テクニカルに動き回るツインG/技巧を散らしたアレンジと曲展開によりドラマティックに彩られた楽曲からはQUEENSRYCHEに対する憧憬がてらいなく溢れ出しています。まぁ彼らのフォロワーにありがちな「歌メロがキャッチーさに乏しい」という弱点も踏襲してしまっているのですが、そこは2本のGが奏でるメロディの美味しさで十分カバーできているので無問題かなと。
重厚かつ劇的な盛り上がりを呈するプログレ・メタル・ナンバー⑥、鋭角的に刻まれるGリフを伴って疾走する⑦といった楽曲にはこのバンドの強みが凝縮されていますし、何よりトドメは初期VICIOUS RUMORSを彷彿とさせる②。タイトル負けしない勇壮さで畳み掛ける名曲っぷりは「“KAMIKAZE”と名の付く楽曲にハズレなし」説を更に補強してくれるカッコ良さを誇っていますよ。
日本盤が出ていないのが不思議な力作です。


ERIC MARTIN BAND - Sucker for a Pretty Face ★★★ (2024-01-11 00:01:18)

後にTESLAに加入するトロイ・ルケッタ(Ds)や、現Y&Tのジョン・ナイマン(G)らが在籍。地元サンフランシスコの市外局番からバンド名を頂戴して415を名乗った6人組が、レコード会社からの「スター性抜群のフロントマンの存在をもっと前面に押し出した方が売れんじゃね?」との提案を不承不承ながらも承諾し、バンド名をERIC MARTIN BANDと改めて'83年にELEKTRA RECORDSから発表したデビュー作。というか唯一作。
そんなわけでMR. BIGの看板シンガー、エリック・マーティンの本格的なプロ・キャリアの最初の一歩となったことで知られる本作ですが、煌びやかなKeyに彩られた80年代ど真ん中なハードポップ・サウンド(NIGHT RANGERのことを思い出したりも)には、MR. BIG時代に通じるブルージーなエッセンスは殆ど見当たらず。そのことに不満を感じるかっつーとそんなことは特になく、寧ろ個人的にはMR. BIGのアルバムよりも聴き返す頻度が高いぐらいですよ。哀メロの切なさを増幅するハスキー・ボイスからソウルフルな歌い回しまで、エリックの歌ウマっぷりはこの時点で既に完成の域に達しており、歌が上手くて曲が書けてオマケにイケメンとくりゃ、そらレコード会社もバンド名の変更を提案しますわなと。
アルバム表題曲にしてハイライト・ナンバーたる①、エリックの歌唱力が存分に生かされた美しいバラード⑤、フック効きまくりのキャッチーな⑦、甘くポップな⑨、オールディーズ風の切ないメロディとコーラスが胸を打つ⑪等、月並みな表現をお借りするなら「全曲シングル・カット可能」なぐらい秀曲が詰まっています。
この名盤ぶりで、一体なぜヒットしなかったのか?と首を捻らずにはいられませんね。


HUGO - Inception ★★★ (2024-01-08 22:11:48)

VALENTINE~OPEN SKYZにてプロ・キャリアをスタートし、日本では90年代後半から00年代前半にかけて残した3枚のソロ・アルバムのハイ・クオリティっぷりで認知度を高めたアメリカ人シンガー、ヒューゴ・ヴァレンティ。本作はここ数年音信が途絶えてしまっていた彼がHUGO’S VOYAGE名義で久々の発表してくれた新作アルバムとなります。
だいぶブランクが空いたので、その間に音楽性が変わっていたらどうしよう?との不安はなくもなかったですが、アルバムを飾る美麗なアートワークとバンド・ロゴのテカリ具合、何よりインストの小曲①を経て爽やかな②が軽やかに走り始めた途端、そうした不安は雲散霧消していきました。
「スティーヴ・ペリーのそっくりさん」と評された自身の美声を生かして立ち上げたJOURNEYトリビュート・バンドのメンバーと共にレコーディングが行われているだけあって、ここで披露されているのも80年代初頭のJOURNEYを彷彿とさせる、キャッチーで透明度高めの叙情メロディに彩られたメロハー・サウンド。軽快なロック・チューンから美しいなバラードまで伸びやかに歌い上げるヒューゴのVoも、往時と変わらぬ艶やかさを保ち続けており衰えの気配はゼロ。特に、イントロから早くもジャーニーってる③、澄んだ青空へ舞い上がっていくような爽快感に満ちた⑧、緩急を生かして本編クライマックスを雄大に盛り上げる⑪といった楽曲は、聴く者をYESリフレッシュ!させるヒューゴの清涼なメントスVoが殊のほか映える逸品ではないでしょうか。
欠点といったら日本盤が出ていないことぐらいしか思い浮かばない力作ですよ。


LAURA BRANIGAN - Branigan - Living a Lie ★★★ (2024-01-04 23:54:26)

アップテンポの曲調に乗せて軽快に跳ねるKey、哀愁のメロディ、
ローラ・ブラニガンの張りのあるパワフルなVoが映える、
ボニー・タイラーの“HOLDING OUT FOR A HERO”を思い出す名曲。
発表はこっちの方が先ですが。


LAURA BRANIGAN - Branigan ★★★ (2024-01-03 23:08:53)

アメリカはニューヨーク出身の《ブリリアント・レディ》(日本盤帯より)、故ローラ・ブラニガンが’82年にATLANTIC RECORDSから発表した1stアルバム。
彼女の代表作といえば、シンセや打ち込みを多用した80年代ど真ん中なポップ・サウンドを以て世界中で評判を呼んだ3rd『SELF CONTROL』(’84年)ということになるのでしょうが、いきなり“GLORIA”という全米№1ヒット・ソングを生み出している本作も、クオリティ面では決して引けを取りません。つかローラ・ブラニガンのカタログの中で個人的に最も聴き返す頻度が高いのは、大人の色気より若さ全開で溌剌とロックしているこのデビュー作だったりするぐらいでして。(とはいえゴリゴリのHR路線ではなく、飽くまでAOR/ハードポップ範疇内での話ではありますが)。
「西のボニー・タイラー、東のローラ・ブラニガン」と勝手に呼びたくなるほどに、ハスキー・ボイスとビブラートを生かした彼女のパワフルな歌唱もこのスタイルにマッチ。要所で熱の籠った演奏を差し込んでくれるTOTOのスティーヴ・ルカサーやマイケル・ランドゥら、腕利きセッション・ミュージシャン達の援護射撃も得て、エモーショナルかつドラマティックな盛り上がりっぷりに胸打たれる③、からのシャープに疾走する(それこそ “ヒーロー”を彷彿とさせる)ハード・ナンバー④といった、このアルバムでしか聴くことの出来ないタイプの名曲のカッコ良さにはシビれますよ。勿論、ファンでなくとも一度は耳にしたことがあるであろう代表曲たるキャッチーな②が素晴らしいのは当然のこととして。
ローラ・ブラニガンと聞いて「ポップ・シンガーでしょ?」となる向きにお薦めする1枚。


FAKE I.D. - Dreaming Ezekiel - Above And Beyound The Call Of Love ★★★ (2023-12-27 00:49:18)

アルバムのOPを飾るハードポップ・ナンバー。マーク・フリーやVENUS & MRSを
引き合いに出して語られているのを見かけましたが、その気持ち分かるなぁと。
この強力なフックの効いた名曲っぷりで、日本盤が発売されていないことが解せませんよ。


FAKE I.D. - Dreaming Ezekiel ★★★ (2023-12-26 01:02:09)

QUEENSRYCHEの名作『OPRERATION:MINDCRIME』でシスター・メアリー役を担当していた女性シンガー/ソングライターのパメラ・ムーア・バロウと、ヴァン・モリソンの元嫁だという(マジで?)ジャネット・ミントによって立ち上げられたAORプロジェクト、FAKE I.D.が’97年にMTM MUSICに残した唯一のアルバム。(歌っているのは2人ではなくジーン・ミラーなる男性シンガー)
このコンビの仕事といえば、真っ先に思い出されるのは北欧メタル史に燦然と輝く名盤、ALIENのデビュー作で収録曲のほぼ全てを手掛けていたことですが、本作に託されているサウンドもあのアルバムと同一のハードポップ路線。実際“TEARS DON’T PUT THE FIRE”と“GO EASY”のセルフ・カヴァーも収録されていますし。但し“DREAMER”のような北欧様式美系のハード・ナンバーは見当たらないので、一口にALIENのデビュー作といっても、オリジナル・バージョン(青盤)よりは、日本盤も発売されたワールドワイド・デビュー・バージョン(赤盤)の方に近い仕上がりと言えるやもしれません。
まぁ何にせよ、腕に覚えのあるソングライター・コンビに、ジム・ジッドヘッドやピート・サンドベリに勝るとも劣らぬ上手いシンガーが加われば鬼に金棒、その完成度の高さは推して知るべし。特にヒット・ポテンシャルもライブ映えもバッチリなOPナンバー①は、聴き手を一気に本編へと惹き込んでいく説得力を持ったハードポップの名曲。ホント月並みな台詞ですが「世が世なら…」と思わずにはいられませんよ。
リリースが90年代だったことが、本作の唯一にして最大の不幸じゃないでしょうか。


STAN BUSH & BARRAGE - Heaven - Promises ★★★ (2023-12-22 01:00:21)

リフ&リズムが重厚に刻まれるHRナンバー。それでいてメロディには
しっかりと耳を奪う強力なフックが仕込まれていて、特にスタンの熱唱も
映えるサビメロとブリッジ・パートの組み立てにはこの人の職人技が
炸裂しまくっていますよ。


STAN BUSH & BARRAGE - Heaven ★★★ (2023-12-20 23:45:56)

STAN BUSH & BARRAGEがデビュー作以来、実に11年ぶりに発表した2ndアルバム。(リリースは’98年で、日本盤は’01年に発売)
前作は内容の素晴らしさと希少性が相俟って、国内盤の中古CDが5桁のプレミア価格で取引されているメロディアスHRのお宝盤として知られていますが、本作もクオリティの高さでは全く引けを取りません。元々80年代後半に書かれたものの、発表の機会がないままスタン・ブッシュ(Vo)の手元で眠っていた音源が取りまとめられており、これほどの楽曲が陽の目を見ずに長らく埋もれさせとくなんてメロハー界の損失もいいところ。なのでNOW AND THEN RECORDSが発表に踏み切ってくれて本当に良かった。
楽曲の方向性も書かれた時期も前作とほぼほぼ同一(関わってる面子もお馴染みの顔触れ)。90年代にリリースされたスタンのソロ作に比べると、Keyを抑え気味にGの存在を強調してエネルギッシュにロックしている点も同様です。メロディをじっくり聴かせるバラード~スロー・チューンを魅力的に仕上げることなんてお茶の子さいさい、下手な人が作ったら大味に流してしまいそうな躍動感溢れるHRナンバーのメロディにも、心打つフックを仕込むスタンの曲作りの卓越した手腕には心底惚れ惚れさせられますよ。こういう人を真の職人というのでしょうな。特に高揚感を誘うサビメロが抜群なアルバム表題曲⑥、一転シリアスな雰囲気を纏ってパワフルに押し出してくる⑦、キャッチーなコーラスと歌うGがライブ映えしそうな⑧といった逸曲が並ぶ本編終盤では、その真骨頂を体感させて頂きましたよ。
近年は本作も希少盤化著しいようですが、もし中古盤屋で見かけたら是非お手に取って頂きたい1枚であります。


A.S.A.P. - Silver and Gold - The Lion ★★★ (2023-12-18 23:48:26)

ポップな音作りや煌びやかなアレンジを纏って
軽やかに走り抜けるOPナンバー。エイドリアンが
アルバムで演りたいことが端的に表現されている名曲です。


MASQUERADE - In Disguise - A Lonely Cry ★★★ (2023-12-18 23:42:30)

トニー・ハーネルを思わすハイトーンVoに、テクニカルかつ
エッジの効いたG、涼しげでキャッチーなメロディが軽快に
駆け抜けていく「うーん、TNTっぽい!」な逸品。


MASQUERADE - In Disguise ★★★ (2023-12-13 22:26:54)

往年のTNTを彷彿とさせる北欧メタル・サウンドを引っ提げてゼロ・コーポレーションから鮮烈に日本デビュー。来日公演を行うなど人気を博し、その後は徐々にサウンドをヘヴィ化させつつ合計3枚のアルバムを残して活動を停止したスウェーデンのMASQUERADEが、'04年にひょっこり発表した作品。
活動再開の狼煙となる4thアルバムではなく、未発表曲を取りまとめたレア音源集だったのは少々残念でしたが、内容の素晴らしさはそのガッカリ感を埋めて余りあるもの有り。いつ頃レコーディングされたのかはクレジットがないため判然とせずとも、TNT路線の前半(①~⑦)、ヘヴィネスを増す後半(⑨~⑬)と、その曲調の違いでいつ頃書かれた楽曲なのかはおおよそ類推が可能かと。
当時の流行と自身の個性をすり合わせた後者タイプの楽曲も決して出来は悪くないのですが、やはり1stアルバムを愛聴してきた身としては、本編前半に並ぶ楽曲にこそときめくというもの。特に清涼感と哀感を同居させたメロディを、Voがトニー・ハーネルを彷彿とさせるハイトーンを駆使して歌い上げる③、うっすらとKeyも効かせたバラード④、エッジの立ったGリフが歯切れ良く刻まれるエネルギッシュなHRナンバー⑥といった爽快さとキャッチネスを併せ持った楽曲は、こちらがMASQUERADEに寄せる期待に見事に応えてくれる出来栄えを誇っていますよ。あと日本人的には、テクニカルな曲展開と“NIPPON SYMPHONY”なるタイトルを有し、前半戦と後半戦の橋渡し役を担う⑧も気になる存在ではないかと。
正式な4thアルバムとしても十分楽しめる1枚。まあ一番嬉しいのは復活作のリリースですけどもね。


A.S.A.P. - Silver and Gold ★★★ (2023-12-12 00:42:13)

IRON MAIDENのエイドリアン・スミス(G)が、7th『第七の予言』(’88年)リリース後の長期休暇中、暇にあかせて嘗てのバンドメイトとレコーディングを行ったところ予想以上の反響を得たため、A.S.A.P.(エイドリアン・スミス・アンド・プロジェクトの略でありAS SOON AS POSIBLEとダブル・ミーニングにもなっている)を名乗って’89年に発表した、彼のIRON MAIDEN脱退の引き金となってしまったことでも知られる曰く付きの作品。
ここで披露されているのは、気の合う仲間とリラックスして作り上げたであろう、Keyをたっぷりとフィーチュアしたハードポップ。低音がまるで効いていない音作り含めて、こりゃIRON MAIDENじゃ出来ませんわなと思わされるサウンドの売れ線志向ぶりで、Voはエイドリアン自らが担当。下手とは言いませんけど(上手くもないが)ブルーズ・ロック歌った方がハマりそうな荒れ声のため、楽曲が醸し出すせっかくのポップさをスポイルしてしまっている印象が無きにしも非ず。
とはいえ、IRON MAIDENにおいてはGのみならずソングライターの一角としても存在感を発揮してきたエイドリアンゆえ、リフにソロにちょっとしたオブリにセンスの良さを閃かせるGプレイはやはり抜群ですし、キャッチーなメロディやアレンジに彩られた楽曲のクオリティも確か。特にOPナンバー①は煌びやかなアレンジに明るいメロディと曲想は全然異なるのに、心地良い疾走感が不思議とメイデン時代の名曲“DEJA-VU”を思い起こさせる逸曲です。
発表当時よりも現在の方が、先入観抜きに楽しめる1枚ではないでしょうか。


BLUE BLUD - The Big Noise - Running Back ★★★ (2023-12-07 23:41:48)

シングルとしてリリースされ、BLUE BLUDの名を一躍知らしめた名曲。
爽やかなハードポップ・チューンだが、アメリカのバンドのように
スカッと突き抜けない曇り具合がやっぱり英国産。Voはあまり上手くは
ないものの、この煮え切らなさが英国っぽさを高めてくれてもいます。


BLUE BLUD - The Big Noise ★★★ (2023-12-07 00:05:59)

'79年結成。当時はアルバム・デビューこそ叶わなかったものの、マニア筋からは愛された(復活を遂げた90年代にはNWOBHM勃興30周年を祝うイベントに参加するため来日も果たしている)TRESPASS。このBLUE BLUDは、TRESPASSの中心メンバーだったマーク(G)とポール(Ds)のサトクリフ兄弟によって結成されたバンドで、デビュー・シングル『RUNNING BACK』の好評を足掛かりにMUSIC FOR NATIONSと契約を交わし、'89年に本1stフル・アルバムをリリースしています。
SHYやPRAYING MANTIS、HERITAGE辺りに通じるいなたい叙情HRを聴かせてくれていたTRESPASS時代に対し、ここでは洗練されたハードポップ・チューン②に代表されるような、キャッチーなリフレインと分厚いボーカル・ハーモニー、全体をミストの如く包み込むKeyを生かしたメジャー志向のメロディアスHRサウンドを披露。正直、Voの歌唱力が「抜群に上手い」とはいえないレベルのため、ポップなノリの楽曲だと文系青年がパーティで無理してはしゃいでる感が漂ってきて多少落ち着かない気分にさせられるのですが、曲自体のクオリティの高さは疑いようがないところですし、何より英国産らしい哀愁のメロディに彩られたタイプの楽曲においては、その少々頼りない歌声が逆にメロディの愁いを引き立てる怪我の功名的効果を生んでいる気がしなくもないという。特にイントロからマークのGがドラマティックに泣いている③なんて辛抱堪らんものがありますよ。
バンドは名前をBLUE BLOODと改めて、よりアメリカンな色合いを強めた2nd『UNIVERSAL LANGUAGE』もリリースしていますが、まず聴くべきは本作の方かなと。


RUSS BALLARD - Barnet Dogs - René Didn't Do It ★★★ (2023-12-04 23:33:47)

ラス・バラードのHR路線開幕を宣言するアルバムのOPナンバー。
楽曲を力強くけん引するG、唸りを上げるB、主役たるラスのVoも
HRシンガー然としたシャウトを披露。その一方で、紡がれるメロディには
大味さが全くない辺りは流石腕っこきのソングライターの仕事ですよ。


RUSS BALLARD - Barnet Dogs ★★★ (2023-12-01 00:03:32)

ラス・バラード(Vo)というと、ミュージシャンとしてよりも、RAINBOWがカヴァーした“SINCE YOU BEEN GONE”や“I SURRENDER”等のヒット曲の作者(ソングライター)としての印象が強いのですが、実際は70年代半ばからソロ・キャリアを歩み始めた実績の持ち主。大きなヒットにこそ恵まれなかったものの優れたアルバムを残しており、本作は彼が’80年にリリースした4枚目のアルバムとなります。
自身の楽曲がHRシーンで好意的に受け入れられたことや、英国でのNWOBHMの盛り上がりに触発されたのか、「ラス・バラードご乱心?」と疑うぐらいB級メタル然としたアートワークと、Gリフ主導で走り始める曲調にグッと力の入ったラスのパワフルなシャウトが乗っかったOPナンバー①が物語る通り、ポップ寄りだった前3作に比べ、今回は(メロディのキャッチネスはしっかりと担保しつつ)大幅にハードネスとバンド・アンサンブルを強化。無論、キャリアのある御仁ゆえゴリゴリにヘヴィ・メタリックなサウンドというわけじゃありませんが、レゲエ調のヴァースから転調してシリアスなサビメロに雪崩込む③や、後にURIAH HEEPがカヴァーすることとなる④、重厚なムード漂わす⑥等は、HR/HMリスナーが聴いても素直にカッコ良いと思える仕上がり。その最たる例が、ブルース・ディッキンソン擁するSAMSONが3rd『魔界戦士』のOPナンバーに採用したシャープな疾走ナンバー⑧(その時の邦題は“地獄の天使”でしたっけね)だったんじゃないかと。
捨て曲なしの名盤であり、手持ちのラス・バラードのカタログの中では最も聴き返す頻度の高い1枚。紙ジャケ再発されていますので、入門盤としてもお薦めですよ。


HEART - Heart - What About Love ★★★ (2023-11-29 01:21:42)

個人的にはHEART=この曲というぐらい愛して止まないドラマティックなバラード。
低迷期を脱して、サクセスしたるでぇ!とばかりに熱いパッション迸る
アン・ウィルソンVoが圧巻ですよ。


HEART - Heart ★★★ (2023-11-28 00:15:40)

80年代と一緒に低迷期も迎えていたアン&ナンシーのウィルソン姉妹率いるHEARTが、CAPITAL RECORDSへの移籍、ヒット請負人ロン・ネヴィソンをプロデューサーに招聘、ジム・ヴァランス、ホリー・ナイトといった助っ人外部ライターの登用、あとアルバム・タイトルにバンド名を冠する等、勝負作と位置付けて'85年に送り出したこの6thアルバムは、切れるカードは全て切った甲斐あってHEARTを一気にスターダムに押し上げる起死回生の大ヒット作となりました。
ウィルソン姉妹的には、ルックスにしろ音作りにしろ、殊更にバブリーな華やかさ(80年代っぽさともいえる)が強調され、プロデューサーによって自らのアーティスティックな創造力の発揮を制限されてしまったこの時期に関しては忸怩たる思いがあるようですが、個人的にはこの時期のゴージャスHEARTにこそ寧ろ思い入れがパンパン。以前のHEARTのアルバムは、名曲とそうでもない曲が結構ハッキリと分かれてしまっていた印象があるのですが、今回は投入された職人ソングライター勢がその差をきっちりとカバー。切れ味鋭いハード・ナンバー①から、アンの熱唱が光る感動的なバラード②、思わず口ずさんでしまうキャッチーな③、そして彼女達に初めて全米チャート№1の栄誉をもたらしたヒット・シングル④…と、のっけから名曲で畳み掛けてくる本編はコンスタントに良い曲が並び、通して聴いても最後まで息切れがありません。
煌びやかにしてキャッチー、HEARTの名を聞いて想起するメロディアスHRサウンドを確立させると共に、彼女たちの黄金時代の到来を告げた名作じゃないでしょうか。


T3NORS - Naked Soul - Silent Cries ★★★ (2023-11-23 23:58:05)

アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、ピート・アルペンボルグ、
クリスティアン・フィール、フレドリック・バーグといった、
単独でも十分名曲を書き上げられるソングライター達が束になって仕上げた
哀愁のHRナンバー。そりゃあ素晴らしい楽曲にならんわけがない。
3人のハーモニーが映えるコーラスにグッときますね。


T3NORS - Naked Soul ★★★ (2023-11-23 01:08:27)

アレン/ランデとかキスク/サマーヴィルとか、シンガー2人にコンビを組ませてプロジェクト立ち上げるのはFRONTIERS RECORDSのお家芸ですが、本作はそこに更にもう1枚看板を追加。ロビー・ラブランク(FIND ME、BLANC FACES)、トビー・ヒッチコック(PRIDE OF LIONS)、ケント・リッヒ(PERFECT PLAN、GIANT)という、同レーベルが誇る実力派シンガーの共演で贈るメロディアスHRプロジェクト、T3NORSが'22年に発表した1stアルバムとなります。
尤も、例えばメタル・オペラ作品のような各シンガーの異なる個性を強調するためのシアトリカルな大仕掛けが用意されていたりするわけじゃなく、ここで聴けるのは飽くまでAOR志向のシンプルなメロディアスHR。正直、FRONTIERS RECORDS発プロジェクトとしてはよくあるタイプのサウンドな上、3人のシンガーの歌唱スタイルが似通っていることもあって「トリプル・ボーカル体制の有難味はそこまで感じられないかなー?」との感想が頭をよぎったりもしますが、とはいえ名手アレッサンドロ・デル・ヴェッキオが仕切り役を担っているだけあって収録曲のクオリティは折り紙付き。腕っこきのソングライター勢が総力を挙げて書き上げた哀愁のHRナンバー⑤や、劇的なバラード⑦といった、三位一体の熱唱と美しいハーモニーが存分に堪能できる名曲の数々を聴き終える頃には、「上手い歌と優れた楽曲があれば大仕掛けなんていらなかったんや!」と前言撤回している己に気が付く次第で。
是非継続プロジェクト化を期待したくなる1枚。スケジュール的に厳しければ、テリー・ブロックとかトム・グリフィンとか、顔触れ替えての第2弾とかいかがでしょうかね。


MODX - Secrets - Clear Before My Eyes ★★★ (2023-11-20 23:25:01)

透明度高めのメロディ、仄かに哀愁を含んだキャッチーなコーラス、
心地良く弾むポップな曲調と、北欧産メロハーの美点全部乗せなOPナンバー。
クセのない歌声のみならず、涼し気な旋律を奏でるGソロでも
主役たるピーター・エリクソンがその才能を存分に発揮しています。


MODX - Secrets ★★★ (2023-11-17 00:37:38)

日本じゃ無名ながら、本国スウェーデンにおいては80年代から着実にキャリアを積んできたというシンガー/ソングライターのピーター・エリクセンによって立ち上げられたAORプロジェクト、その名もMODX(モッドエックスと読む)が'23年に発表した1stアルバム。
まず最初に言わせてもらうと、ジャケットが頂けねえ。主役たるピーター氏をフィーチュアするのは良しとして、なにも悪の組織のアジトに飾られてる肖像画みたいなタッチのイラストにせんでも良かんべえと(指名手配写真じゃないんだから)。エクストリーム・メタルでも演っていそうな響きのプロジェクト名と合わせて、このパッケージが本作に託されている内容を正確に聴き手に伝えてくれるとはとても思えないのですが…。
と思わず苦言が先立つのは、その内容の素晴らしさゆえ。音作りはやや平易ながら、クセのない歌声によって歌われる北欧産らしい爽やかなメロディ、フックに富むコーラス・ワーク、シンセを生かしたポップなアレンジ等々に彩られた楽曲は、ほぼ独力の家内制手工業スタイルでコツコツとレコーディングされたとは思えぬ、メジャーの一級作品と比較しても何ら遜色のないハイクオリティなAOR/メロハー作品に仕上がっています。
シンガー/ソングライターとしてのみならず、ピーターが涼し気なメロディを奏でるGソロにおいてもセンスの良さを発揮するハードポップ・チューン①を聴いただけで本編の出来栄えを確信するには十分。軽快に走り抜ける⑧、高揚感をもたらすサビメロが美味しい⑩、お約束の甘いAORバラード⑪…と、全編秋の夜長に心地良く浸れる秀曲がズラリ。
是非ともジャケットには引かず、メロディ愛好家なら要チェックの1枚ですよ。


GREGG ROLIE - Gregg Rolie - Marianne ★★★ (2023-11-15 00:33:58)

思わず体が動く躍動感溢れる曲調に、美しくキャッチーなコーラスがマッチした
ハードポップの名曲。後半で情熱的に炸裂するGソロが、まさに
カルロス・サンタナここにあり!といった趣きでグッときますね。


GREGG ROLIE - Gregg Rolie ★★★ (2023-11-13 23:50:34)

SANTANA時代からニール・ショーンと行動を共にし、初期JOURNEYを支えたVo兼Key奏者のグレッグ・ローリー(最近またJOURNEYに復帰したんでしたっけ?)が、そのJOURNEY脱退後の'85年に発表した1stソロ・アルバム。輸入盤しか存在していないと思っていたら、いつの間にか国内盤の初CD化が実現していた――しかもたった1,000円(税抜)というお手頃なお値段で――ことには吃驚でしたよ。
プロデューサーにケヴィン・ビーミッシュ、盟友のニールやカルロス・サンタナ、バックVoにCHICAGOのジェイソン・シェフやスタン・ブッシュといった面々をゲストに招いて制作された本作で披露されているのは、同時期のJOURNEYを更にAOR方向に推し進めたようなソフティケイトされたサウンド。冒頭3曲がいきなり他人の楽曲のカヴァーという構成や、グレッグは曲によってKeyを弾かず歌のみに専念していたりと、ソロ・アーティストとして本作に賭ける意気込みのほどが伝わってくる仕上がりとなっています。
なのでHR/HM作品を期待するとスカされることになりますが、グレッグのハスキーな歌声と哀愁のメロディが映える収録曲はいずれも高いクオリティを提示。OPナンバーに相応しいポップな高揚感を湛えた①(Gはダン・ハフ)や、HRテイスト強めのキャッチーな⑥、サンタナの情熱的なGソロが辛抱堪らん⑧、ピアノのイントロとよく歌うGからしてJOURNEYっぽい⑩辺りは、メロディ愛好家なら無視出来ない逸品ではないでしょうか。
折角国内盤リリースが実現したので(期間限定再発らしいですよ)、この機会に一人でも多くのリスナーに触れて頂けることを願って止まない名盤です。


PERFECT VIEW - Bushidō ★★★ (2023-11-10 00:14:59)

イタリア出身の5人組、PERFECT VIEWが大幅メンバー・チェンジを経て’23年に発表した4thアルバムは、リーダーのフランチェスコ“ジョー”カタルド(G)がリスペクトを捧げる「サムライの生き様」をテーマに据えたコンセプト・アルバム仕様となっております。その名も『BUSHIDO』!
パワー・メタル・バンドならともかく、彼らのようなAOR寄りのメロハー・サウンドを志向してきたバンドがこの手のコンセプト作品を作るのはかなり珍しいのではないでしょうか?なので、てっきり本編の方もメロパワ・メタル化しているものと思いきや、当然これまで以上に重厚感は増強しつつも、メロディを聴かせる作風はしっかりと継承された仕上がり。随所に和風旋律や日本語台詞、ナレーションが散りばめられた構成からは、手間暇かけた作り込みの跡が伺えますし、何よりコンセプトの構築に足元を掬われて、肝心の楽曲の練り込みが疎かになっていない点が好感度大。ゲストに招いたロビン・ベックと、新Voのダミアーノ・リビアンキがデュエットを披露する③や、タイトル通り勇ましく(かつ物悲しく)突き進む⑩なんてグッとくる名曲ですよ。
話の舞台は戦国時代っぽいんだけど登場人物の名前がコウジとケンジだったり、そもそもあの頃の武士道と『葉隠』的な武士道はだいぶ違うんじゃねえかなぁ?とか、台詞やナレーションに漂う微妙なヘタウマ感(決してカタコトではないんだけど)とか、珍品好きの食指をそそるホツレ感もあるにはあるにせよ、個人的にはそれもまた本作の魅力。
ドラマ『SHOGUN』もリメイクされるご時世ですし、是非お試し頂きたい1枚です。


ALL 4 1 - The World’s Best Hope - Down Life’s Page ★★★ (2023-11-08 00:09:51)

バラード調に始まり、軽快にテンポアップするメロハー・チューン。
爽やかなメロディの魅力と、テリー・ブロックの衰えを知らぬ
歌唱力が存分に味わえる仕上がりとなっています。


ALL 4 1 - The World’s Best Hope ★★★ (2023-11-07 01:21:24)

メタル者的には真っ先にRAVENの名盤のことが頭をよぎるグループ名ですが、当然無関係。こちらは元3のロバート・ベリー(B、Vo)とBOSTONのゲイリー・ピール(G)、それにSTRANGEWAYS、GIANT他のテリー・ブロック(Vo)、MR. BIGの一員としての活動も記憶に新しいマット・スター(Ds)という名の知れたメンバーにより立ち上げられたプロジェクトで、本作は彼らが’17年にFRONTIERS RECORDSから発表したデビュー作となる。
この面子にメロディ愛好家が寄せる期待にしっかりと応えたメロハー・サウンドが実践された一作で、バンドの中核をなすのがロバート&ゲイリーということもあって、その昔ゼロ・コーポレーションから日本デビューも飾っていたALLIANCEのことを何となく思い出したりも。あのプロジェクトの新作としても楽しめる1枚かも…と書こうと思って調べてみたら、現在もALLIANCEは稼働中で吃驚。’19年には新作までリリースしてくれていましたよ。
それはともかく、テリーの伸びやかな歌唱(時にロバートとのツインVo体制)といい、バックを支えるメンバーの安定したパフォーマンス、それにアレッサンドロ・デル・ヴェッキオを筆頭としたメロディ・メイカー達の協力を得た本作のハイクオリティっぷりは推して知るべし。派手さや新鮮味とは無縁ながら、この実家のような安心感こそが聴き手(というか俺)が本作に求めているものなので非難には当たらず。爽やかに送り出される④、からのエモーショナルなバラード⑤、HRのエッジを効かせて駆け抜ける⑨といった優れた楽曲は、このプロジェクトが単に顔触れだけ整えた安易さとは一線を画する存在であることを立派に証明する逸曲に仕上がっています。
顔触れ的に継続プロジェクト化は困難そうですが、出来れば2作目も聴いてみたいなと。


CROSSFADE - Innocent Days - Living it Up ★★★ (2023-11-02 00:19:42)

ヨラン・エドマンのソウルフルなVoの素晴らしさは言わずもがな
メロウでアーバンな雰囲気を盛り上げるピアノ、
少ない音数で多くを語るギターの仕事ぶりもキラリと光る逸品です。


CROSSFADE - Innocent Days ★★★ (2023-10-31 00:39:40)

ヨラン・エドマンをフロントマンに据えたスウェーデン発のメロハー・プロジェクト、CROSSFADEが'23年に発表した4thアルバム。(全6曲収録なので「アルバム」で括るには若干ボリューム不足か?)
彼らの作品を聴くのは、国内盤も発売されたデビュー作『WHITE ON BLUE』(’04年)以来随分と久々なれど、叩きつけるのではなく、聴き手を穏やかに包み込むような音楽性は全く変わっていなかったので一安心。というか“THORN OF LIFE”のような比較的ロック・テイストの感じられる楽曲も収録されていた『WHITE~』に比べると、今回はより一層AOR方面に踏み込んだ仕上がりとの印象あり。
なので、「Mr.北欧ボイス」の存在から様式美HMテイストを求めるリスナーの期待には一切関知してくれない本作ですが、ラーズ・ハルバック(G)&リチャード・ステンストロム(Key)という名うての職人達によって奏でられる、透明感を湛えたメロディのフックが本編への集中力を途切れさせませんし、何より、ムーディな楽曲からブルージーなナンバーまで、まろやかに歌いこなすヨランの美声がアルバムの肝。改めて「バラード系の楽曲を歌わせたら天下一品だなこの人」との思いを再認識させられましたよ。中でもソウルフルな歌唱、リチャードが美しく奏でるピアノ、エモーショナルなラーズのGによって繊細に彩られた⑤は本作のハイライトに挙げたくなる逸品です。
派手さはないものの、聴くほどに味わいを増す1枚。秋の夜長のお供にいかがでしょうか。


THE NIGHTS - The Nights - I Wanna Be Your Superhero ★★★ (2023-10-26 01:12:34)

イントロで刻まれるGリフは重たげですが、ハスキーボイスのシンガーが
歌うメロディは愁いを帯びてキャッチー。特に爽快感がハジけるコーラス・パートは
秀逸で、本作の個性が端的に示された名曲に仕上がっているのではないでしょうか。


THE NIGHTS - The Nights ★★★ (2023-10-23 22:58:27)

THE NIGHTSといっても、お笑い芸人のことでなけりゃ、セガサターンの名作ゲームのことでもなく。「RECKLESS LOVEの5人目のメンバー」とも評されるプロデューサー/ソングライターのイルッカ・ヴィルタネン(G)が、新人フロントマンのサミ・ハイド(Vo)と共に立ち上げたプロジェクトのこと。
本作は彼らが'17年にFRONTIERS RECORDSから発表したデビュー作で、イルッカの嗜好的にてっきり80年代ど真ん中の王道ポップ・メタル・サウンドが披露されているものと思いきや、OPナンバー①のイントロから早くも表明されている通り、ザクザクと刻まれるリフ&リズムは案外にメタリックでアグレッシブ。また8分越えのドラマティックな大作⑦が物語る通り、曲によってはプログレ・メタル的な感触も漂ってきたりと、こうしたモダンなハードネスと、北欧のバンドらしい憂愁を湛えたメロディや美麗なボーカル・ハーモニーとの共存が、本編収録曲の大きな魅力の一つになっています。特に刻まれるGリフはヘヴィ、でもその上で甘い声質のVoが歌うメロディはすこぶるキャッチーで爽快というコントラストが絶品な⑩は、アルバムのハイライトに挙げるべき名曲ではないかと。
勿論ストレートに80年代テイストが打ち出されている、哀愁のハードポップ⑧や壮大なバラード⑪みたいな楽曲もありますし、個人的にはイルッカがメロディ・メイカーとしてのみならず、ギタリストとしてもその才を存分に発揮している②にも痺れさせて頂きましたよ。
プロデューサー業が多忙なのか、これ以降作品リリースが途絶えていますが、ぼちぼち次回作を発表して貰えないものでしょうか。


BANGALORE CHOIR - On Target - Slippin' Away ★★★ (2023-10-19 00:46:22)

発表がせめて80年代だったならばヒット・チャートを賑わせてもおかしくない
キャッチーなHRナンバー。ライブで演ったらさぞかし盛り上がったであろう
フックの効いたサビメロに胸躍りますよ。


BANGALORE CHOIR - On Target ★★★ (2023-10-17 00:20:24)

ACCEPTの『EAT THE HEAT』(’89年)といえば、すったもんだの末バンドから追い出されたウド、結局これを最後に解散することとなるACCEPTと、制作に関わった誰も幸せにはしてくれなかった問題作ですが(でも内容は良かった)、一番ババ引いたのは間違いなくウドの後任としてACCEPTに加入するも、正当な評価を受けられぬまま解雇の憂き目に遭ったデヴィッド・リース(Vo)だったのではないかと。
その彼氏はアメリカ帰国後、元HURRICANE ALICEのメンバーらと共に自らがリーダーを務めるBANGALORE CHOIRを結成。'92年にワーナーから本作をリリースしてデビューを飾っています(プロデュースはマックス・ノーマンが担当)。ここで披露されているのは抜け良くワイルドなアメリカンHMサウンドで、ACCEPTの呪縛から解き放たれたリースは、ディヴィッド・カヴァデールを彷彿とさせるエモーショナルな歌唱を全編に亘って伸び伸びと響かせてくれていますし、何よりフックの効きまくった収録楽曲の出来栄えが大変に秀逸。スティーヴ・プランケット(AUTGRAPH)のペンによる①、ジョン・ボン・ジョヴィ&アルド・ノヴァの共作曲④といった外部ライター提供曲が注目を集めがちなれど、それ以上にBANGALORE CHOIR自ら手掛けた楽曲がちゃんと本編のハイライトとして機能している辺り、このバンドの地力の高さを伺わせてくれますよ。特にリースの歌ウマっぷりが際立つバラード⑤、ライブ映えしそうな⑥、発表が80年代だったならチャートを賑わせていたであろうキャッチーな⑦といった名曲が並ぶ中盤線には惹き込まれずにはいられませんて。
長らく廃盤のまま放置されている国内盤を、ぼちぼち再発して欲しいんだけどなぁ。


WHITE HEART - White Heart - He's Returning ★★★ (2023-10-13 00:47:49)

ポップな高揚感を湛えた曲調に、絶品のグラデーションを描くメロディ、
それにメンバーほぼ全員が歌える強みを生かした華麗なボーカル・ハーモニーに
彩られたドラマティックなアルバムのハイライト・ナンバー。
WHITE HEART屈指の名曲です。


WHITE HEART - White Heart ★★★ (2023-10-11 00:48:16)

近年はプロデューサー業でも腕を振るう、ビリー・スマイリー(G)とマーク・ガースミール(Key)を中心に結成。ダン(G)とデヴィッド(Ds)のハフ兄弟を筆頭に、多彩な音楽ジャンルで活躍するタレントを数多く輩出してきた「ナッシュビルのTOTO」こと名門WHITE HEARTが、’80年に発表した記念すべき1stアルバム。
多作ぶりで知られ、その時々によって音楽性を変化させてきたWHITE HEARTですが、本作で聴けるのは、親しみ易い柔和なメロディ、安定した演奏力を生かしたシャレオツなアレンジ、それに美しいボーカル・ハーモニーに彩られた(良い意味で)典型的なCCM系AORサウンド。ゆえにゴリゴリのメタル者にとっては多少刺激に乏しい内容であることは否定しえないものの、本編開幕を軽やかに飾るキャッチーな①や、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるバラード⑤等、フックの効いた楽曲の素晴らしさは、このデビュー作の時点で既に傑出しています。
随所でコシの効いたGプレイを差し込み、単なるBGMに留まらぬ存在感を発揮するダン・ハフが、後の売れっ子セッションマンとしての片鱗を早くも伺わせてくれれば、これ1枚きりでバンドを去ってしまうスティーヴ・グリーン(Vo)も、張り良し/伸び良し/艶良しの強力ハイトーンVoで、本作の完成度を更に一段階引き上げ。ポップな高揚感に満ちた曲調と絶妙なメロディ展開が劇的に躍動する④なんて、両雄のポテンシャルが十全に発揮された名曲中の名曲。クリスチャン・メタル好きなら聴かずには死ねませんて。
WHITE HEARTの代表作として人気を集めるのも納得の名盤ですね。


JOSHUA - Intense Defense - I've Been Waiting ★★★ (2023-10-09 01:09:02)

ロブ・ロックの伸びやかな歌唱と、ジョシュア・ペラヒアの
テクニカルに煌めくGプレイを生かしたハードポップ・チューン。
特にキャッチーでありつつ、ふとした拍子に哀愁も薫る
メロディ展開の妙にジョシュアの非凡な才能が伺えます。


JOSHUA - Intense Defense ★★★ (2023-10-06 00:02:20)

名バラード“NOVEMBER IS GOING AWAY”でメロディ愛好家達から涙をカツアゲしたジョシュア・ペラヒア(G)率いるJOSHUAが、80年代半ばに知己を得たドン・ドッケン&ディーター・ダークスの勧めを受け、LAからドイツへと渡ってレコーディングを行い89年に発表した3rdアルバム。(本作のみ国内盤が「ヨシュア」表記に)
ドイツに拠点を移したからといって今更パワーメタル化する筈もなく。本作で披露されているのは前2作の流れを汲む、煌びやかなKeyと分厚いハーモニーに彩られたメロディアスHR。ジョシュアも得意のアーミングを有用した、キラキラと鱗粉をまき散らすようなGプレイをもってアルバム全編を生き生きと躍動。ロブ・ロック(Vo)という強力な相棒を得たことで、そのサウンドはより一層ブラッシュアップされた印象で、特に爽やか&キャッチーな②、歯切れ良く弾む曲調と哀愁のメロディのコントラストが秀逸な⑤、ドラマティックに繰り出されるバラード⑥、ロブの伸びやかなVoとジョシュアの歌うG、両者の個性が最良の結びつきを果たした⑧辺りは、曲調はポップながらメロディからは切なさが滲み出てくるという、JOSHUAの魅力がギュッと凝縮された名曲に仕上がっているんじゃないかと。個人的には本作を聴いていると、親しみ易い音楽性といい、ロブ・ロック+テクニカルなギタリストの組み合わせといい、LAのクリスチャン・メタル・バンドANGELICAのことを思い出しましたよ。(楽曲のクオリティではJOSHUAの方に軍配が上がりますかね)。
今となってはどれも入手困難なJOSHUAの国内盤カタログですが、本作はその中でも更に見かけない1枚なので、是非とも再発をばお願いしたいところであります。


FREE SPRIT - Pale Sister of Light - Pale Sister of Light ★★★ (2023-10-04 23:40:20)

蒸し暑い夜に聴けばスッと体感温度が2、3度下がる
(ような気がする)冷ややかな哀メロが北欧メタル然とした
魅力を主張するアルバム表題曲。甘い声質のVoもこの手の
サウンドにマッチしていますね。


FREE SPRIT - Pale Sister of Light ★★★ (2023-10-03 00:13:00)

アメリカ産タバコの銘柄みたい名前ですが、こちらはフィンランド出身でツインGにKey奏者を擁する6人組。本作は'09年にリリースされた1stアルバムとなります。
世が60年代なら確実にピースフルなフラワー・ロックでも演っていそうなバンド名に反して、彼らが聴かせてくれるのは豊かなボーカル・ハーモニーと冷ややかな哀メロが全編に亘って大盤振る舞いされる、北欧メタル然とした魅力に満ち溢れたサウンド。メンバー全員このバンド以前に目立ったキャリアはなく、豪華なゲストや、FRONTIERS RECORDS作品のような腕利きソングライター勢による助っ人もなし。曲作りもプロデュースも全て自分達でこなすというピカピカの新人バンドっぷりながら、フックの効いた収録曲のクオリティ、わけてもメロディ・センスの冴えには、既に職人顔負けの技前が存分に発揮されています。
哀愁に彩られたサビメロにグッと来るOPナンバー①、URIAH HEEPの“黒衣の女”を北欧風に料理したような④、じっくり重厚に聴かせる⑥、アイリッシュ風味(和風っぽくもある)のバラード⑧、ツインGを生かして本編をハードに締め括る⑪…。特に美旋律とハーモニーが華麗に舞うアルバム表題曲③は、個人的には年間ベスト級のインパクトを有する名曲じゃなかったかと。
リリース当時は完全にノーマークで、然程話題に上った記憶もありませんが、いや見逃してる作品があるもんだなぁと。今夏に古本屋のCDコーナーで見かけてジャケ買いを敢行した自分を褒めてあげたくなる逸品でした。どうやら2ndアルバムもリリース済みのようなので、そっちもチェックしないといけませんね。


91 SUITE - Back in the Game - Sunrise of Your Love ★★★ (2023-09-27 23:29:06)

オフィシャル・ビデオ・クリップも制作された
爽快感溢れるメロディック・ロック・チューン。
バンドがこの曲をリーダー・トラックに選んだのも
納得の名曲ぶりですよ。


91 SUITE - Back in the Game ★★★ (2023-09-27 00:59:56)

00年代初頭に残した2枚のアルバムがメロディ愛好家から好評を博するも、レコード会社の支援に恵まれず解散を余儀なくされたスパニッシュ・メロハーの雄、91 SUITE。中心メンバーのヘスス・エスピン(Vo)とイヴァン・ゴンザレス(G)は、同バンド解散後に結成されたSECRETでも行動を共にしており、その流れの中で91 SUITEの再結成が実現。挨拶代わりのEP『STARTING ALL OVER』(’19年)リリースを挟んで、'23年に満を持してこの復活アルバム(通算3作目)を発表してくれました。
かつて「スペインのBON JOVI」と評された自らのイメージを確信的に踏襲したようなOPナンバー①のイントロには思わず笑ってしまうも、サビメロから溢れ出す濃いめの哀愁は間違いなくこのバンドならではの味わい。のみならず、さりげなくアコギを取り入れる等、アレンジは歳月を重ねて円熟味を増しており、この1曲でアルバムのクオリティを確信するに十分な仕上がり。より一層表現力と安定感を増したヘススのVo、相変わらずテクニカルかつ歌心に溢れたイヴァンのGプレイも収録曲を効果的に盛り上げてくれており、軽快に弾むKeyがメロハーの教科書通りの高揚感を演出する②、ゲストに迎えたロビン・ベックとのデュエット・バージョンも収録されている感動的なバラード④、そしてHRのエッジと爽快なメロディの魅力を併せ持って駆け抜けていく⑦等は、まさしく91 SUITE節の真骨頂というべき名曲として聴く者にインパクトを与えてくれます。
会心の復活作と呼ぶに相応しい1枚。出来れば現在では入手困難になってしまっている1stと2ndの再発もお願いしたいところですよ。


Stephen Crane - Kicks - Headed for a Heartbreak ★★★ (2023-09-25 23:44:00)

小気味良く切り込んでくるGに、リズムの力強さといい
HR/HMで括っても問題ないように思えるカッコ良さ。
(Keyもさりげなく良い仕事してますね)
クールな哀愁を帯びたメロディを歌い上げる
スティーヴン・クレインのVoも勿論◎


Stephen Crane - Kicks ★★★ (2023-09-21 23:45:46)

サザン・ロック・バンドBABYの一員としてデビューを飾り、同バンド解散後はロスを拠点にセッション・ミュージシャンとしてキャリアを築いてきたスティーヴン・クレイン(Vo)。本作は彼が米メジャーのMCA RECORDSとの契約を得て’85年にリリースした1stソロ・アルバムで、いつの間にかCD化されていたことに吃驚ですよ。贅沢いえば国内盤を再発して欲しかったところなんですけども(当時レコードは国内盤も発売された)、日本がCD化大国としてブイブイ言わせてたのはもう20年も昔の話ですからね…。
ともあれ、こうしてこの名盤をCDで聴くことが出来るのは有難い限り。プロデュースはスティーヴ・ルカサーが担当。バックもTOTOのメンバーを始めとする腕利きセッション・ミュージシャンが固めていることからAORのジャンルで語られることの多い本作ですが、各楽器の存在感を強調したエッジの効いた音作り(ゲストに配慮したのかな?)といい、ご本人のエネルギッシュな歌いっぷりといい、HR/HMリスナーもすんなり馴染める作風に仕上がっていますのでご安心を。特に哀愁に満ちたOPナンバーにしていきなりアルバムのハイライトを飾る名曲①を皮切りに、サックスのクールな音色に彩られたハード・チューン③、ヒットしなかったのが不思議で仕方ない美しいバラード④といった一騎当千の楽曲が並ぶ本編前半の充実度には瞠目させられるものがありますよ。それに比べると後半が若干弱く感じられてしまう点は痛し痒しながら、それでもドラマティックな⑧があったりと、決してクオリティは低くはありません。
再発に感謝感激雨霰な1枚。せっかくなので国内盤のリイシューもいかがでしょうか。


Ousey/man - Is Anybody Listening - No Second Chances ★★★ (2023-09-20 22:48:29)

クリス・ウーズィーの情熱的な歌声が映える、愁いを帯びたメロディを
伴って本編ラストを駆け抜けていくアルバムのハイライト・ナンバー。
スティーヴ・マンもGとKeyで楽曲をドラマティックに盛り上げくれていますよ。