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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1201-1300

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1201-1300

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GUARDIAN - Miracle Mile ★★ (2018-12-03 23:44:08)

GUARDIANといえば、ヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーから哀愁のバラードまで揃った1st『FIRST WATCH』(’89年)において、STRYPER直系の正統派HMを聴かせてくれたクリスチャン・メタル・シーンの優等生でしたが、国内盤リリースがなかった2nd『FIRE AND LOVE』(’90年)を間に挟み、'93年発表のこの3rdアルバムでは当時HR/HMシーンを席巻していたブルーズ・ロック・ブームに感化されたのか、随分と落ち着いた、茶色いHRサウンドを聴かせるバンドに変貌を遂げていて、初めて聴いた時は面食らってしまいましたよ。(ちなみにプロデュースは、ディノとジョンのエレファンテ兄弟が担当)
美旋律と分厚いVoハーモニーに彩られた正統派クリスチャン・メタルから、アコースティックギターが乾いた空気と土の匂いを運んでくる渋めのブルーズ・ロック路線へ。未だ折に触れては1stを聴き返す身としてはこの路線変更は少々残念であったものの、前作から加入した新Voのハスキーボイスによる熱唱はこの作風に非常にマッチしていますし(歌唱力も上々)、味のあるプレイを走らせるGを始め、「僕たち、デビュー当時から一貫してこの音楽性を追求してましたけど、何か?」としれっと主張するかのような、堂に入ったパフォーマンスを楽器陣が披露しているのがまた小憎らしいという(笑)。
「これ!」という強力なキメ曲は見当たらないですが、イキイキとポップに弾む⑩等魅力的な楽曲も散見され、特にフィドルが踊る⑤、哀愁を帯びたマンドリンの音色が印象的な⑨といったバラード系のナンバーには、ついつい聴き惚れてしまいますね。
今だったら「これはこれで悪くない」と冷静に評価できる1枚ですよ。


FROM THE INSIDE - Visions - 21st Century ★★★ (2018-12-02 23:45:30)

力強く駆け抜けるメロディック・ロック・ナンバー。
ダニーの熱唱とテクニカルに閃くGソロが得も言われぬ爽快感も運んできてくれます。
このレベルの楽曲がゴロゴロ収録されているのですから
本作がダニー・ヴォーンが関わった作品の中でも1、2を争う傑作と
高評価を受けているのも納得です。


FROM THE INSIDE - Visions - If It's Not Love ★★★ (2018-12-02 23:38:58)

ダニー・ヴォーンの熱い歌声が映える名バラード。
彼がピアノをバックに切々と歌う前半、
楽器隊が加わってエモーショナルに盛り上がる後半、
どちらも涙ちょちょ切れる思いですよ。
日本盤にはアコースティック・バージョンが収録されていることからも
バンド側がこの曲をリーダートラックに位置付けていることが伝わってきます。


FROM THE INSIDE - Visions - Listen to Your Heart ★★★ (2018-12-02 23:32:54)

心地よい疾走感を伴って哀愁のメロディが駆け抜け
聴き手を勇気づけるようなダニー・ヴォーンと
テクニカルなGソロがその上を爽快に舞うアルバムでも
1、2を争う名曲の一つではないかと。


FROM THE INSIDE - Visions ★★★ (2018-12-02 00:54:25)

“FOREVER YOUNG”の名曲ぶりが未だメロディ愛好家の間で語り継がれるアメリカのバンド、TYKETTOのフロントマンだったダニー・ヴォーン。彼が主役を務めるプロジェクトFROM THE INSIDEが’08年に発表した2ndアルバムがこちら。日本盤は当時キングからリリースされたものの既に廃盤で(キングは廃盤になるのが早いね)、現在では中古盤市場で1st共々結構なプレミア価格で取引されていることで知られる1枚であります。
レコーディングはイタリアのメロハー梁山泊FRONTIER RECORDSの仕切りで行われ、プロデューサーにはファブリッツオ・グロッシを起用。更にVEGAで活動するトムとジェームズのマーティン兄弟が曲作りに関与と、「細工は流々、仕上げを御覧じろ」とばかりにお膳立てはほぼ完璧。そうして出来上がった、掴みに持ってこいの①、劇的なバラード③、サビメロの絶妙なメロディ展開にフラッシーなGプレイが華を添える④、胸のすくような爽快ハードポップ⑥、高揚感を伴うキャッチーな⑪etc…と、適度にエッジも効いた珠玉のメロディック・ロック・チューンの数々を、ダニーが持ち前のハート・ウォーミングな歌声で熱唱するわけですから、もはや完成度の高さに疑念が入り込む余地はありません。そのダニーも曲作りに積極的に関わっている以上(名盤『DON’T COME EASY』がそうだったように)、ある程度はアメリカンなノリも混入しているものと思いきや、意外やほぼ全編が北欧メロハー風味の哀愁と透明感、爽快さを保ったまま進行していく辺りも嬉しい驚きです。
再結成TYKETTOでの活動で多忙なのか、近年は作品リリースが途絶えてしまっているプロジェクトですが、本作を最後にこのまま消滅させるのは勿体なさ過ぎますよ。


FROM THE INSIDE (2018-12-02 00:53:27)

90年代の逆風を受けてTYKETTOが解散した後も地道にシンガーとして活動を続けていた
ダニー・ヴォーン(Vo)が、イタリアのFRONTIER RECORDSから提案を受けて立ち上げたプロジェクト。
「外部ライターが書いたメロディアスHRナンバーをダニーが歌う」という企画意図のもと、
'04年と'08年に2枚のスタジオ・アルバムを発表。但し後者においてはダニーも積極的に曲作りに関与し、
またメンバーも固定されたバンド・スタイルが取られている。(が、これ以降作品のリリースはない)


LOS ANGELS - Neverland - Confessions of a Broken Heart ★★★ (2018-11-30 00:09:37)

お騒がせ女優(?)リンジー・ローハンが'05年に発表したヒット・シングル。
(調べてみるとアメリカよりもオーストラリアでヒットしたようですが)
元々、実の父親に対する恨みつらみを歌ったシリアスでドラマティックな名曲だけあって
それをルッピが歌えばそりゃあ超名曲にならないわけがないという。


LOS ANGELS - Neverland - Tonight Tonight ★★★ (2018-11-29 23:57:33)

冷ややかに奏でられるピアノも印象的な仕事をしている
都会派メロディック・ロック・チューン。
伸びやかで張りがあり、且つ表現力にも優れた
ルッピの絶品Voは、いくら絶賛しても絶賛し足りない
レベルの素晴らしさですよ。


LOS ANGELS - Neverland - Promises ★★★ (2018-11-29 23:52:22)

ピアノに先導される抒情的な導入から
徐々に演奏が盛り上がっていくに従って
歩調を合わせるように熱を帯びていく
ミケーレ・ルッピの歌声が圧巻の一言に尽きますよ


LOS ANGELS - Neverland ★★★ (2018-11-29 00:10:27)

いまやWHITESNAKEのKey奏者でもあるミケーレ・ルッピ(Vo)が、ミュージシャンを志す切っ掛けとなった原点でもあるAOR/産業ロックを追求するべく立ち上げたプロジェクトLOS ANGELES、'09年発表の2ndアルバム。
これまで彼については「メロパワ界の人」と認識していたため、本作に託されているのがメロディアスHRサウンドだったことには意外な思いを禁じ得ませんでした。しかし元来実力派シンガーとして鳴らす御仁だけに異なるジャンルでも見事に歌いこなしている…というか、ルッピのことを熱心にフォローしてきたわけではない身ゆえ、遅ればせながら本作を耳にして初めて「えっ!この人こんなに歌ウマ男だったの?」と衝撃を受けたという。
数々のメロハー・プロジェクトで腕を振るうファブリッツォ・V・グロッシをパートナーに迎え、トミー・デナンダー、ジョージ・リンチ、VEGAのマーティン兄弟らに曲作りの協力を仰いだ本編のクオリティが楽々K点越えを果たしていることは不思議でもなんでもありませんが、それにも増して感心させられるのはルッピの歌ウマっぷり。声域/声量/表現力の三拍子揃った伸びやかな歌声は、只でさえ高品質な楽曲を更なる高みへと導いてくれています。終盤の盛り上がりに胸打たれる④、爽快にハジける⑤、Gも負けじと歌う⑥、冷ややかな曲調と熱を帯びたルッピのVoのコントラストが鮮やかな⑦、リンジー・ローハンの名曲のカヴァー⑪etc…。またこれらの楽曲に備わった抒情性や都会的な雰囲気を効果的に増幅する、流麗なタッチで奏でられるピアノのナイス・アシストぶりも特筆ものですよ。
カバー曲が大半を占めた前作に対し、LOS ANGELSの真のデビュー作と呼ぶに相応しい完成度を提示してくれる1枚ではないでしょうか。


LOS ANGELS (2018-11-29 00:08:08)

イタリアHR/HMシーンが誇る実力派シンガー、ミケーレ・ルッピが
若い時期に聴いて感銘を受けたAOR的なサウンドを自分なりの解釈で
再構築するべく立ち上げたプロジェクト。
'07年に、リチャード・マークスを始めとする他人のカヴァー曲が
大半を占める企画色強めの1st『LOS ANGELS』でデビュー。
’09年には多彩なゲストを迎えてよりオリジナリティを高めた2nd
『NEVERLAND』も発表している。


RADIOACTIVE - Taken - Premonition ★★★ (2018-11-28 00:05:44)

多彩なゲストが参加しているアルバム『TAKEN』ですが
個人的に同作で一番愛してやまないのは、
ファーギー・フレデリクセンやジム・ピートリックといった
この手の作品じゃお馴染みの面子が関わっている
この哀愁を帯びたアップテンポのメロディック・ロック・チューンだという。
まさに実家のような安心感。


RADIOACTIVE - Taken ★★★ (2018-11-27 00:22:08)

今や北欧メロハー・シーンを代表するプロデューサーの一人となった、トミー・デナンダー(G)が公私にわたり付き合いのあるTOTOへのリスペクトを表明するべく立ち上げたプロジェクトRADIOACTIVE。当初は単発企画だった筈が、予想外の好評を呼んだことからアルバム・リリースを重ね、’08年発表の本作で既に3作目を数えています。
00年代に入りこの手のメロハー・プロジェクト物が乱発され、他所との差別化を図ることが困難になりつつあったご時世においても、RADIOACTIVEは毎度ゲストの豪華さで頭一つ抜きん出ており、今回もTOTOファミリーは勿論、ざっと参加面子の名前を挙げるだけでも、ニール・ショーン、イングヴェイ・マルムスティーン、ブルース・キューリック、ゲイリー・バーデンetc…と、枚挙に暇がないほど。各曲別に主だった参加ミュージシャンの名が記された国内盤解説と首っ引きで本編を楽しむのも一興ではないでしょうか。
収録曲に関しても安定のトミーのお仕事。…寧ろ安定し過ぎていて序盤はややインパクトに乏しい感が無きにしも非ずなれど、それでもロビン・ベックとジェイムズ・クリスチャンの夫婦デュエットが聴けるバラード⑤、ファーギー・フレデリクセンが歌うジム・ピートリック印の爽快ハードポップ⑨、参加面子の贅沢さでは随一といえる⑩、トマス・ヴィクストロムの熱唱が映えるアップテンポの⑪、プログレ・ハード風味薫る⑫等、聴き進むに従って徐々にテンションを上げていく辺りは流石。AOR/産業ロック・サウンドで括るには、意外なぐらいGにエッジの効いた活躍の場が用意されていることも印象的です。
トミー・デナンダーに対する信頼度が、また一段と高まる1枚。


MAVERICK - MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:22:04)

独産メロパワ・メタルからの影響を伺わせるパワー・チューン。
アルバムの〆に自分たちの名を冠するテーマ曲を持ってきて、
尚且つそれをちゃんと名曲レベルに仕上げていることからも
このバンドの地力の確かさが窺い知れるというものです。


MAVERICK - MAVERICK - ENDLESS SMILE ★★★ (2018-11-26 00:18:45)

アグレッシブで勇ましい曲調と
Voが歌う物悲しい哀愁に満ちたメロディの
コントラストが美味で、聴いていると何やら
負け戦に立ち向かう戦士の姿を幻視してしまいますよ。
アルバムで一番好きな曲かもしれません。


MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:12:48)

香港やドイツでライブを行い、欧州のレーベルが企画したANVIL、RUNNING WILDといったバンドのトリビュート盤に参加する等、アルバム・デビュー前から積極的に海外での活動にも目を向けていた北海道出身のHMウォリアー、堀田勝彦(Vo、G)率いるMAVERICKが'05年にSPIRITUAL BEASTから発表した1stアルバム。
音楽性の方は徹頭徹尾の正統派HMサウンド。JUDAS PRIESTからの影響を伺わせるツインGを絡ませながら、ACCEPTばりの質実剛健さをもってリフ&リズム&コーラスが突き進む様は、なんだったら「METAL」の5文字をそのまま音楽にしてしまったかのような成分無調整っぷりで微笑ましい限り。暑苦しい(誉め言葉)声質のVoは好き嫌いが分かれそうなタイプですが、堀田の歌うメロディが時折濃厚に発散する昭和風味の哀愁にはグッとくるものがありました。特に、イントロ①の焦らしを力強く打ち破ってアグレッシブに畳み掛ける②、雄々しくもどこか物悲しさを漂わせながら疾走する⑥、MOTORHEAD的ラフなノリとキャッチーなメロディが合体したバンドの代表曲⑦、それに本編を締め括るMAVERICKのテーマ・ソングというべき独産メロパワ・メタリックな⑪は、聴く度に血中メタル濃度の高まりを感じずにはいられないパワー・チューンですよ。
デビュー作ということで、折角の曲の良さを活かし切れているとは言い難いプロダクションや、不意に露呈するVoのピッチの甘さが、未だ彼らが発展途上であることを物語りますが、新人バンドが1作目でこの出来栄えを提示してきたなら、そりゃもう「前途有望」以外の表現は思い浮かびませんて。


PYG - PYG! Original First Album - Hana Taiyo Ame ★★★ (2018-11-26 00:08:57)

子供の頃に再放送で見た「帰ってきたウルトラマン」の劇中で
流れていたのが印象に残っているのですが、あれはシングル・バージョンなんですよね。
アルバムとシングル、両バージョンを聴くことができるという
ベスト盤を買おうかどうか悩んでいます。


Scheherazade - Scheherazade ★★★ (2018-11-23 08:58:51)

日本プログレッシブ・ロック界のレジェンドとして語り継がれるSCHEHERAZADEが復活。デビューから15年目にしてようやく発表に漕ぎ着けた’92年リリースの1stアルバムがこちら。(3曲入りCDシングルもボーナストラックとして封入)
本作で繰り広げられるのは、基本的にはNOVELAに通じるシンフォニックでドラマティックなお城系プログレ・サウンド。実にクセが強い五十嵐久勝のヴィブラートびんびん物語なハイトーンVoも、勿論変わることなく健在。和製デヴィッド・サーカンプ(PAVLOV’S DOG)的というか、この五十嵐の独特な唱法をどう表現したもんか長年思い悩んでいたのですが、失恋船長さんの「ロックを歌う美輪明宏」という表現に「それだ!」と喉の支えがストンと落ちた気分ですよ。本作で言えば特に②はまさにそんな感じで、確かに好悪が分かれるVoとはいえ、ここまで個性的ならば立派な武器として昇華。ゴッドも太鼓判を押す「ビジュアル系の源流」の一つとして一聴の価値がある歌声ではないでしょうか。
リード楽器の役目を担って華麗に舞う永川敏郎のKeyと、ダイナミックにボトムを構築する大久保寿太郎&引頭英明のリズム隊の活躍が光る楽曲は、平山照継のGがイントロから唸りを上げる様式美HR風味の⑤を始め、その大半が4~5分台と比較的コンパクトにまとめられた、思いのほかハードにして重厚な作風を提示。曲調からタイトルまでQUEENリスペクトなバラード③や、17分以上に及ぶ大作ナンバー⑦のような「これぞプログレ」な楽曲も押さえつつ、作品全体としては、HR/HMリスナーにも取っ付き易いメロディ/技巧/ドラマ性のバランスが秀逸な、メリハリの効いた内容に仕上がっています。


PYG - PYG! Original First Album - Nanimonai Heya ★★★ (2018-11-22 00:27:47)

萩原健一作詞、沢田研二作曲の名曲。
ショーケンの激情迸るシャウト、咽び泣く井上堯之のG、
大野克夫が叩きつけるピアノが劇的に絡み合う
クライマックスの盛り上がりっぷりは、
息苦しさを覚えるほどに感動的です。


PYG - PYG! Original First Album ★★★ (2018-11-21 00:42:07)

日本芸能史に燦然と輝くスター、沢田研二(Vo)を始め、萩原健一(Vo)と岸部一徳(B)、数多くのドラマや映画音楽を手掛け作曲家として名を成した井上堯之(G)、大野克夫(Key)ら錚々たる面子により結成され、そしてスーパー・グループの宿命に則り短命に終わってしまったニュー・ロック・バンドが'71年に残した、スタジオ・アルバムとしては唯一の作品。
CD化が実現した際、「GSのトップ・グループでアイドル的人気を誇ったメンバー達が本格派HRを追求するべく新たなバンドを結成」という、まるでLOUDNESSを先取りしたかのような結成経緯と、何より多士済々な顔触れに釣られ完全に興味本位で購入した本作でしたが、ファズの効いたGがかき鳴らされるOPナンバー①が始まった時点で、そのカッコ良さに金属バットで後頭部をフルスイングされたぐらいの衝撃を受けましたよ。
ジュリーとショーケンのツインVoの重ね方等、全体としては未だGS時代の残り香が端々から漂ってくるものの、後追いファンには寧ろそれが新鮮に感じられましたし、何より10分に及ばんとする大作曲で、泣きのGソロと抒情的なオルガン、ヘヴィなリズム・セクションに耳奪われる⑤、『帰ってきたウルトラマン』劇中歌としても知られる哀切に満ちた⑥、そしてショーケン渾身のシャウトにメタル魂を揺さぶらる劇的な⑦と、名曲が連続する中盤の盛り上がりが圧巻。俳優としてしか認識していなかった岸部一徳が手掛けた内省的/哲学的な歌詞も今聴いても全く古びておらず、ジョン・ポール・ジョーンズが絶賛したというBプレイ共々、居住まいを正さずにはいられませんて。やるなぁ、サリー。
「日本のロック・シーン過渡期に埋もれてしまった悲運の名盤」の評価に偽りなし!な1枚。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 - 仮面の笑顔 ★★★ (2018-11-19 23:34:46)

シングルとしても発表されたPAGENTの代表曲の一つ。
『奈落の舞踏会』には《LIVE VERSION》と《FLUTE VERSION》の
2曲が収録されており、個人的には後者の方が断然好みであることは言うまでもありません。
リリカルに奏でられるピアノとたゆたうフルート(サックスかと思った)の音色をバックに
時に妖しく、時に優しげに歌い上げる永井のVoに夢見心地で聞き惚れてしまいます。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 - 蜘蛛の館 ★★★ (2018-11-19 23:25:52)

'87年に発表されたシングル『仮面の笑顔』に収録されていた
3曲のうちの1曲。(そのロング・バージョン)
作詞・作曲を一手に担い、ダーク且つリリカルなメロディに彩られた
ドラマティックな楽曲の魅力を120%引き出す歌唱をも披露する
永井博子の才気が迸りまくった名曲です。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 ★★★ (2018-11-19 00:38:31)

独自のサウンドとコンセプトをもって、例えば陰陽座なんかにも影響を与えたという関西出身のプログ・ロック・バンドPAGENTが’87年に発表した、新曲と既発曲のバージョン違い、及びスタジオ・ライブ音源等から構成される8曲入りミニ・アルバム。
実はSABER TIGERの久保田陽子が在籍していたPROVIDENCEと勘違いして購入してしまった作品でして(女性シンガーを擁し、バンド名が「ぱ行」で始まるとこぐらいしか合っていないのに)。でもまぁ折角買ったから…と取り合えず聴いてみたら、その内容のあまりの素晴らしさに「間違えて買って大正解!」と、そのまま愛聴し続けて現在に至るという。
1曲目の“人形地獄”からして、暗く湿ったメロディといい、メリハリの効いた曲展開といい、シンフォニック且つ劇的なサウンドはHR/HMリスナーにも十分アピールしうるドラマ性を有していて、何より耳奪われるのがバンドの中心的存在でもある永井博子の歌声。近年は大木理沙の名で『ファイナルファンタジー ヴォーカル・コレクションズ』等への参加で知られる彼女ですが、デカダンな歌詞世界を表情豊かに歌い上げるVoはこの時点で既に絶品です。ストーリーテラーたる永井の圧倒的歌唱力が冴え渡る、アグレッシブと評して差し支えない“木霊”、目くるめく曲展開が幻想性を高める“奈落の舞踏会”、流麗なピアノと哀愁に満ちたサックスの調べが楽曲に備わった抒情美を引き立たせる“仮面の笑顔”、悲壮なゴシック・ロマン薫る“蜘蛛の館”といった楽曲を耳にしていると、彼女たちが作り出す音世界の水底へと引き摺り込まれていくような錯覚を覚えますよ。
買わにゃ買わにゃと思いつつ機会を逸し続けている1stを早くゲットせんといかんなぁ。


RONDINELLI - Our Cross - Our Sins - It's a Lie ★★ (2018-11-18 02:17:53)

開幕早々、ボブ・ロンディネリの猛烈なドラミングからスタート。
本作に賭ける彼の意気込みの程が伝わってくるかのようです。
正直メロディに関してはあと一歩フックが足りていない感はあるのですが
ボブ兄ィのドラミングを追いかけているだけで結構楽しめてしまうという。


RONDINELLI - Our Cross - Our Sins ★★ (2018-11-16 23:29:13)

ボブ(Ds)とテディ(G)のロンディネリ兄弟によるプロジェクトが、トニー・マーティン(Vo)、ニール・マーレイ(B)らの助力を得て’02年に発表した1stアルバム。
メンバーの4分の3が元BLACK SABBATHというこの布陣、アートワークはファンタジックで、歌詞や曲名にはDRAGONやらEVILやらCROSSやらの単語が並ぶ…とくれば、弥が上にも濃厚な様式美HMサウンドへの期待感が高まるわけですが、本作はそうした期待に必ずしも応えてくれる作風ではないので注意が必要です。ここで聴けるのは間違いなく正統派HMであり、面子が面子だけにサバスの『CROSS PURPOSEES』(’94年)を彷彿とさせる楽曲も点在しているものの、メロディの湿り気や楽曲のドラマ性は控えめで、折角のマーティンのVoもこれだと声質のアクのなさがマイナスに作用してしまい、キメ曲不在の本編と相俟って、油断すると右から左へ聴き流されかねないアッサリ薄味仕様という。
そんなボンヤリ気味な本編で気を吐くのがボブ・ロンディネリ(以下ボブ兄ィ)のドラミング。これまで然程強い印象を受けた覚えのないプレイヤーでしたが、どっこい。本作ではリードオフマンとしての役割を全うすべくパワー全開。その力演ぶりは、全身から湯気を立ち昇らせてドラムキットと格闘するボブ兄ィの姿が目に浮かぶよう。前に出過ぎていて鬱陶しく感じる人もいるかもなれど、個人的にはこんなん好きにならないわけがねぇ、と。彼のドラムが楽曲自体を強力に推進させる①②⑨辺りは今聴いても「すげぇ頑張ってんなぁ」と顔が綻んでしまいますよ。
客観的に評価すればHM作品としては平均点ぐらいでしょうが、ボブ兄ィに対する好感度は爆上げな1枚です。


GILLAN - On the Rocks ★★★ (2018-11-14 23:26:21)

‘81年6月、バーニー・トーメ(G)脱退5日前に、GILLANがドイツのアーヘンで行ったライブの模様を収めた実況録音盤。中古屋で見かけて「へー、こんなん商品化されてたんだ」と思わず興味に駆られて購入してしまいました。
ライン録りなのか、オーディエンスの歓声が殆ど入っておらず、また本来ショウのOPを飾っていスピード・ナンバー“UNCHAIN YOUR BRAIN”が録音上の不備で未収録という痛恨のミステイクが惜しい作りながら、代表作『FUTURE SHOCK』(’81年)を発表し、脂の乗り切っていた時期のGILLANのライブゆえ、楽曲も演奏も火が出るぐらいにホットでスリリング。「パンク世代のジミ・ヘン」トーメのGは脱退直前とは思えぬテンションの高さですし、何より圧巻なのが、プレイにしろアピアランスにしろ一癖も二癖もある個性派揃いの面子をがっちり従えて、1曲目からキレキレの歌声をブッ込んでくるイアン・ギランその人ですよ。彼のVoにリアル・タイムで触れた最初の作品が(よりにもよって)『紫の聖戦』だったこともあり、正直ギランの実力を侮り倒していた我が身なので、こうして後追いで過去の音源に触れる度に、彼に対する再評価ゲージがグングン高まっていくのを感じる次第(加齢と折り合いをつけた現在のギランのVoも嫌いじゃないですが)。特にDEEP PURPLEとはまた異なった破天荒さが炸裂する“SMOKE ON THE WATER”を皮切りに、ヒット曲“NEW ORLEANS”、お馴染みの“LUCILLE”と続く終盤3曲の怒涛の畳み掛けには、GILLANのライブ・バンドとしての魅力が凝縮されています。
この編成でのライブが見てみたかったなぁと、叶わぬ夢を抱かずにはいられない1枚。


FROM THE FIRE - THIRTY DAYS AND DIRTY NIGHTS ★★★ (2018-11-14 00:32:11)

NY出身の5人組が、ジーン・ボヴアー(CROWN OF THORNS)のプロデュースを得て'92年に発表したデビュー作。結構長い間オフィシャルなCDが日本盤しか存在しなかったため、世界中のメロハー・マニアの間で争奪戦が繰り広げたレア・アイテムとして知られる1枚でしたが、現在はYESTERROCKからリマスター盤が再発済み。安価にて容易に購入が可能なのですから良い時代になりましたなぁ。(その昔大枚叩いて中古盤を落札してしまった我が身の嘆きをともかくとすれば)
それはさておき。本作がプレミア価格で取引されていたのは単に「希少盤だったから」という理由だけではなく、その内容の素晴らしさがあったればこそ。本編はRASPBERRIESの名曲“GO ALL THE WAY”のカヴァーを含めて全9曲を収録。捨て曲の類は当然一切なし。特に哀愁のメロディをJ.D.ケリーがエモーショナルに歌い上げ、それを美しいボーカル・ハーモニーと、後にRAINBOWに加入するポール・モリスが奏でるKeyとがメロウ且つドラマティックに彩る①は、OPナンバーにしていきなりアルバムのハイライトを飾る名曲で、これで掴みはOK。後に続く愁いを帯びて駆け抜ける④や、ブリッジにおけるメロディ展開とJ.D.の熱唱ぶりに涙ちょちょ切れる⑥、女性シンガーがデュエットで華を添える劇的な⑦なんかも、その①に匹敵するインパクトを放つ逸曲であり、こうした強力な出来栄えを誇る楽曲群に適度なエッジを加えるトミー・ラファティのGプレイも、後日ジーンに誘われてCROWN OF THORNS入りするのも納得のセンスと腕前がキラリ光ります。
メロディ愛好家なら一家に1枚は常備しておきたいメロハーの名盤ですよ、これは。


WILDSIDE - Under the Influence - Lad in Sin ★★★ (2018-11-12 23:39:53)

お、こんなタイプの楽曲も演ってくれるのか!と
Keyをアクセントに用いたドラマティックな曲展開に
予想外のボーナスを貰った気分になれる
お得なハード・ナンバー。
ここでもGが良い演奏を聴かせてくれていますよ。


WILDSIDE - Under the Influence - Looks Like Love ★★★ (2018-11-12 23:32:09)

LAのバンドらしく、明るく溌剌とハジける
ハードポップ・ナンバー。リフにリードに、
ブレント・ウッズのセンスフルなGプレイが
全編に亘って冴え渡っています。


WILDSIDE - Under the Influence ★★★ (2018-11-11 09:25:15)

ランディ・ローズとジョージ・リンチに師事し、後にヴィンス・ニールの2ndソロ『CARVED IN STONE』(’95年)のギタリストに抜擢されたことでも知られるブレント・ウッズ(G)が在籍していたLA出身の5人組、’92年発表のデビュー作。
本作はワイルドに炸裂するOPナンバー①からして、「本当に90年代の作品?」とばかりに明るく溌剌としたLAメタル感全開。アクの強い声質でパワフルに歌いまくるVoを始め、バックを固めるメンバーの演奏も実にタイトでエネルギッシュ。何よりテクニックを駆使して弾きまる一方、逆に聴かせるべき所ではしっかりとメロディを聴かせるブレントの華やかなGプレイからは、世が世ならギター・ヒーローの座だって夢ではなかったであろう豊かな才能が迸っていて、ヴィンスのお眼鏡に適ったのも納得ですよ。尤も、当時流行りのグランジ/オルタナ・ロック要素を大胆に取り入れた作風だった『CARVED~』でこの人のセンスが十全に発揮できたかどうかは甚だ疑問が残るところではありますが…。
曲によってはKISSのポール・スタンレーやジム・ヴァランスの名前が共作者としてクレジットされている本編は、仄かな哀愁を湛えたミッド・チューン②、王道パワー・バラード④⑪、LAのそよ風が爽やかに吹き抜けるかの如き⑤、緩急を活かしたドラマティックな曲展開で6分近い長尺を綴る⑥、ブルージーな⑧、エネルギッシュな疾走ナンバー⑨…と、聴けば聴くほど好きになる楽曲が目白押し。
リリース当時鼻も引っ掛けなかった自分が言えた義理じゃありませんが、あと数年早く発表されていればバカ売れしてたんじゃないかと思わずにはいられない1枚。


KEEL - Keel - King of the Rock ★★★ (2018-11-09 00:16:50)

何をもってKEELらしいとするかは人それぞれだと思いますが
筋張ったロンのシャウト、切れ味鋭いツインG、ノリ良く疾走するリズム、
キャッチーなコーラスと、4thアルバムにおいて最も「ああ、KEELだなぁ」と
思わされた疾走ナンバーの逸品。


KEEL - Keel - United Nations ★★★ (2018-11-09 00:11:11)

合唱せずにはいられないアンセミックなアルバムOPナンバー。
バンド・メンバーのみならず、その家族や関係者、ゲスト・ミュージシャンら
総勢50名がレコーディングに参加し、更にそれをマイケル・ワグナーが
分厚く膨らませたコーラス・ワークが圧巻の迫力を誇る。
テーマに相応しく、国連本部でも演奏したことがあった筈。


KEEL - Keel ★★★ (2018-11-08 00:16:52)

来日公演も盛況の内に終了させたKEELが、その余勢を駆って発表した4thアルバム(’87年)。尤も翌年にはマーク・フェラーリとブライアン・ジェイのGチームが揃って脱退、ほどなくバンドは解散してしまうこととなるのですが、まぁそれはまた別のお話…。
プロデューサーがジーン・シモンズからマイケル・ワグナーにバトンタッチした本作は、初期作に比べるとKeyのフィーチュア度が上がった分、ヘヴィ・メタリックな疾走感や荒々しさは後退。いかにもマイケル・ワグナー印といった感じの分厚いプロダクションを得て、ミッド・テンポの楽曲を中心に据えたサウンドは、よりメロディアスでマイルドに、華やかなボーカル・ハーモニーをふんだんに散りばめた洗練されたポップ・メタルを聴かせてくれるようになりました。
特にバンドの家族や関係者、ゲスト・ミュージシャン(あと取材で現場を訪れていた酒井康)ら、総勢50名以上がレコーディングに協力したというビッグなコーラスがフィーチュアされたOPナンバー①はインパクト十分の名曲。それ以外にも、哀愁のミッド・チューン②、優しげなバラード④、一転してキレのあるツインGがアグレッシブに躍る疾走ナンバー⑤、キャッチーなメロハー⑧、颯爽と本編を締め括る⑩等、耳を捉える楽曲が揃っていて、それらを伸びやかに歌い上げるロン・キールのVoも、無駄な力みが薄れ確かな成長を感じさせてくれます。尤も、消化に悪そうな筋張った歌声はロンの立派な個性でもあるわけですが。
KEELがバンド名をタイトルに冠したのも納得の充実作。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night - Total Eclipse of the Heart ★★★ (2018-11-07 00:46:11)

邦題は“愛の翳り”。タイトルは知らずともメロディを聴けば
「あぁ、どこかで聞き覚えがある」となること請け合いの大ヒット・ナンバー。
楽曲に備わった陰影やダイナミズムを余すところなく表現しきる
ボニー・タイラーの熱唱が、元々高めな楽曲の魅力を更に数倍にも引き上げてくれています。
ついでにPVを見ると、80年代前半に巻き起こったニンジャブームの勢いも実感できるという塩梅で。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night - Faster Than the Speed of Night ★★★ (2018-11-07 00:38:49)

パンイチのマッチョが踊り狂うPVには困惑が隠せませんが、楽曲自体は最高です。
ピアノ好きとしてはイントロだけでグッと掴まれてしまいますね。
いかにもジム・スタインマン印の大仰且つドラマティックな音世界を
パワフルに表現しきったボニー・タイラーの堂々たる歌唱が圧巻。
タイトルもHR/HMっぽくて良し。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night ★★★ (2018-11-05 23:54:22)

ミートローフと組んで『地獄のロック・ライダー』を大ヒットさせたプロデューサー、ジム・スタインマンの陣頭指揮を仰いで制作。女性シンガー初となる、英米両国のアルバム・チャートで№1に輝いた作品としてギネス認定を受ける他、その年の数多の音楽アワードを総なめにしてボニー・タイラーのブレイク作となった、’83年発表の2ndアルバム。
本編はいきなりC.C.R.の名曲(日産セレナのTVCMに使われていたことでお馴染み)“雨を見たかい”のカヴァーからスタートしますが、ピアノを全面的にフィーチュアしたゴージャス且つドラマティックなアレンジや、スケールの大きなサウンド・メイキングはまさにジム・スタインマン・ワールド。そしてこのクドイぐらい大仰な音世界には、それに負けないぐらいのクドさ(誉め言葉)で迎え撃つ、「女ミートローフ」ことタイラー姐さんのハスキー且つパワフルな歌声が実によく映える。これぞ理想的なコラボレーションですよ。
ドラマ『スクール・ウォーズ』主題歌として麻倉未稀にカヴァーされた名曲“HOLDING OUT FOR A HERO”が聴けるのは次作『秘めた想い』(’87年)なれど、アルバム・タイトルのカッコ良さといい、タイトに締まった音作りといい、それに何より収録曲の粒の揃い具合で断然本作の方に軍配が上がります。ハイライトはやはり4週連続で全米チャート第1位の座に居座った劇的なバラード“愛の翳り”(PVも珍味で最高)ということになるのでしょうが、流麗なピアノのイントロを皮切りに、息苦しい程の怒涛の盛り上がりを呈するジム・スタインマン節全開のアルバム表題曲②もそれに匹敵する名曲っぷり。
ボニー・タイラー入門盤といえば間違いなく本作で決まりでしょう…って、廃盤なの?


ALCATRAZZ - Live in Japan 1984: The Complete Edition ★★★ (2018-11-03 23:48:28)

「変な名前の凄い奴」として注目を集めていたイングヴェイ・マルムスティーンの真の実力を、誤魔化しの利かないライブという場においてHR/HMファンに知らしめ、日本における彼の人気を決定付けたALCATRAZZの初来日公演。その模様は『LIVE SENTENCE』『METALIC LIVE ’84』として既に商品化されていますが、前者は曲数が物足りなく、後者は編集やカメラワークが的外れという弱点を抱えていました。本作はそういった諸々の不満解消に着手した、まさにALCATRAZZ実況録音盤の決定版と呼ぶに相応しい内容で、思わず実家に「聴キマシタ、泣キマシタ」と電報を打とうかと思ったぐらいですよ。
まだブルーレイの方は見れていないためCDのみの感想となりますが、まずちゃんとライブ冒頭のSEから始まる構成なのが嬉しい。音質も臨場感を増し、ファンの熱狂ぶり及びイングヴェイのGプレイは一層生々しくクリアに捉えられています。まぁ一緒にグラハムのVoのメロメロさも生々しく蘇っているわけですが、ガナろうがハズそうが吹き出そうが、技術より「らしさ」を発揮できているか否かこそ重要なやっさんはこれでいい。マニアの悲願叶って遂に収録された名曲“JET TO JET”は、確か彼の歌唱に問題があってオミットされたと聞き及んでいたので一体どんだけ豪快なハズシが炸裂するのかと思ったら、別にいつもの愛すべきグラハムで寧ろ拍子抜けしたぐらいですよ。とまれ、強烈なイングヴェイの圧を真っ向受け止めて尚輝くなんざ、並大抵のシンガーに務まることじゃありません。
終盤もストレスの溜まるイントロ寸止めフェードアウトではなく、VHS版同様に“LOST IN HOLLYWOOD”以降の流れを完全収録。まさかこんな作品を聴ける日が来ようとは…と、発売してくれたレコード会社には足向けて寝られない1枚。


TREAT - Tunguska - All Bets Are Off ★★★ (2018-11-02 00:36:11)

ライブで演奏したら盛り上がりそうなキャッチーなコーラスと
ノリ易く弾む曲調、ロバート・アーンルンドの甘い歌声が映える
哀感が滲みだすメロディ(ブリッジ部分が特に印象的)…と、
アルバム後半のハイライトを担っていると言っても
過言ではない名曲っぷりに胸打たれます。


TREAT - Tunguska - Progenitors ★★★ (2018-11-02 00:30:35)

神秘的に奏でられるイントロを、ダイナミックなリズムと
メタリックなGリフが力強く蹴破ってスタートするアルバムOPナンバー。
ライブ映えしそうな雄々しいコーラスをフィーチュアしつつも
北欧のバンド然とした冷ややかな哀メロのフックにも抜かりはありません。
流石の出来栄え。


TREAT - Tunguska ★★★ (2018-10-31 22:35:46)

解散宣言の撤回後、それまで以上にバンド活動に対して積極的になったことの表れのように、前作『GHOST OF GRACELAND』(’16年)から僅か2年という短いインターバルでの発表となったTREATの最新アルバム。
TREATにしてはややダークで重厚な方向に振られていた――それでもメロディのフックに翳りがなかったのが流石――『GHOST~』に比べ、今作は逆にバンドが原点(この場合は復活1作目にして大傑作『COUP DE GRACE』の作風を指す)を見つめ直したかのように、アンダース・ヴィクストロムのGがもたらすヘヴィ・メタリックな切れ味と、ポンタス・エグベリ&ジェイミー・ボーガーの腕利きリズム隊により醸成される躍動感溢れるリズム、そしてロバート・アーンルンドの泣きを含んだVoが際立たせる、TREAT独自の哀メロ・センスとがバランス良く配合したHMサウンドが託されています。
神秘的なイントロに続き雄々しく立ち上がるOPナンバー①が始まった時点で、多くのファンが本作に対する手応えを感じられたことと存じますが、本編には他にも優れた楽曲が目白押し。緊迫感を湛えた③、冷ややかなメロディが映えるミッド・チューン⑦、涼し気に駆け抜ける⑧、ドラマティックなバラード⑩、個人的にアルバムのハイライトに推したいキャッチーな⑪、絶品のコーラスでライブ会場がタテに揺れる様が目に浮かぶような⑫等々…。もし彼らが’13年に宣言通りに解散してしまっていたら、こうした素晴らしい楽曲の数々が世に出ることもなく埋もれてしまったかと思うとゾッとしますよ。つくづく思い止まってくれて良かった。


BLACKSMITH - Gipsy Queen - World Victim ★★★ (2018-10-29 23:59:03)

バッハの超有名曲をイントロに拝借してスタート。
疾走感溢れる曲調に、クラシカルなGソロ、Keyとのバトル、
アコギを効果的に運用する劇的な曲展開・・・と
“GYPSY QUEEN”に匹敵する名曲ぶりに度肝を抜かれるスピード・ナンバー。
元がリハーサル音源のせいで音質が低劣なのが勿体ない。


BLACKSMITH - Gipsy Queen - Gipsy Queen ★★★ (2018-10-29 23:38:51)

クラシカルに踊るハモンド・オルガン、ハードに切り込むGリフに
スリリングな疾走感、それにドラマティックな曲展開と、
再発版の英文解説において日本のチャートで好リアクションを得たことに
触れられているぐらい、日本人好みの要素山盛りの名曲。
その昔購入した北欧メタルの名オムニバス『SWEDISH METAL EXPLOSION』
(後で実はコレクターズCDだったと知らされて驚いた)で堂々OPナンバー役を
担っていたことからも、その名曲っぷりが伺えるのではないでしょうか。


BLACKSMITH - Gipsy Queen ★★★ (2018-10-28 01:39:37)

スウェーデンの5人組が'85年に発表した4曲入りEP。90年代半ばぐらいに、キャプテン和田がDJを務めるラジオ番組から流れてきた“GYPSY QUEEN”の名曲っぷりに衝撃を受けるも、当時本作は既に廃盤。その後長らくCD化もされないままだったので、’18年に公式再発が実現したことは喜ばしい限りですよ。
あれから幾年月。久々に聴いた“GYPSY QUEEN”はやはり名曲でした。クラシカルなイントロを切り裂き、NWOBHMに影響を受けて荒々しく刻まれるGリフとリズム、DEEP PURPLEテイストたっぷりなKey/オルガンがスピーディに疾走を開始する様は、北欧メタルの様式美を凝縮したような劇的さ。しばしば引っ繰り返りそうになるヒヤヒヤドキンチョなハイトーンVoさえ「なぁに、この不安定さが却って北欧メタルらしい」と好意的に解釈したくなるぐらいカッコイイ。
本作はそれ以外にも、印象的なKeyリフをフィーチュアして1曲目の疾走感を引き継ぐ②、陰気なバラード③、更に今回の再発に際してボーナス・トラックとして追加されたシングル曲⑤(後に1stアルバムでリメイクされた)、完全未発表の⑦⑧⑨といった優れた楽曲も収録。“HIROSHIMA”なるタイトルからして興味深いヘヴィな⑧もいいですが、最高なのは⑨ですよ。デモ音源ゆえ音質は最低レベルながら、バッハの“トッカータとフーガ ニ短調”をイントロに据え、緩急を効かせて劇的に駆け抜ける楽曲自体のカッコ良さは最高レベル。もしバンドが今後も活動を継続するのであれば是非リメイクをお願いしたい所存。
今も昔も日本盤が発売されていないことに首を捻りたくなる北欧メタルの名作です。


HALESTORM - Vicious - Vicious ★★★ (2018-10-25 23:42:48)

近作に顕著なモダンなアレンジ・センスと
デビュー以来磨きを掛けてきたメロディ・センスとが
リンゴとハチミツばりに恋をした(BYバーモントカレー)
4thアルバム表題曲。
憂いを帯びたサビメロとそれを絶唱するリジーのVoに胸打たれます。


HALESTORM - Vicious ★★★ (2018-10-24 23:42:38)

並の野郎シンガーじゃ束でかかっても鼻息だけで吹き飛ばされそうな強靭な喉の持ち主、リジー・ヘイル(Vo)率いるバンドが、EP『REANIMATE 3.0』(’17年)でタッグを組んだニック・ラスクリネッツを再びプロデューサーに迎えて、’18年に発表した4thアルバム。
作風的には3rd『INTO THE WILD LIFE』の延長線上で、横ノリのグルーヴとモダンなアレンジに彩られたサウンドはいかにも今時のアメリカンHMといった趣き。但し、今回はヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー③があったかと思えば、サビメロに被さるGの泣きのフレージングが印象的な④や、アコギ・バラード⑥、憂いを帯びたコーラスが秀逸なアルバム表題曲⑪のような楽曲があったりと、全体的にアグレッションやダイナミズム、及びメロディのフックに関しては大幅な強化が図られていて、聴き終えた後の満足感は『INTO~』を大きく上回ります。ついでにボートラで“TOKYO”なる楽曲が収録されている点も本作の評価ポイント。ぶっちゃけ出来栄えとしては並かな…と思わなくもありませんが、それはそれ。わざわざこんな楽曲を書いてくれるバンドの心意気に感謝感激ですよ。
そして何より、外へ向かう解放感より内側へ向かって煮詰まっていくような感覚が支配的な本編に風穴を開ける、リジー嬢の風通しのいい存在感がやはり今回も傑出しています。繊細な歌い上げからパワフルなスクリームまで、振れ幅の大きい、まるで感情の濁流でサーフィンしているかの如き彼女の激唱によって、例え地味めな楽曲であろうともその魅力が数倍にも引き上げられていることは疑う余地がないという。
ジャケットのインパクトにも引けを取らないクオリティを有する1枚かと。


MECCA - Mecca - Wishing Well ★★★ (2018-10-23 23:26:00)

曲名がFREEの名曲を思わせますが、曲調やピアノの用い方を聴くに
結構意識して曲作りが進められたのではないでしょうか?
但しこちらの方が、洗練されたメロハー風味が
より強めに出ていることは言うまでもありません。
楽曲にキリリとしたエッジを効かせるGもいい仕事をしています。


MECCA - Mecca - Can't Stop Love ★★★ (2018-10-23 23:21:46)

哀愁湛えた導入から、まるでパッと視界が開けるかのように駆け出す
転調を巧みに活かした曲展開と、それを熱く盛り上げる
2人のシンガーの爽快な歌いっぷりに胸が熱くなる名曲。
流石はジム・ピートリックの技前です。


MECCA - Mecca ★★★ (2018-10-22 23:14:25)

'14年に逝去したファーギー・フレデリクセン(Vo)が、友人のシンガー、ジョー・ヴァナ(Vo)に誘われ参加したプロジェクト、MECCAが'02年に発表した1stアルバム。Voを分け合うシンガー2人の他に、TOTO時代の同僚デヴィッド・ハンゲイト(B)が参加していることや、ジム・ピートリックが曲作り並びにプロデューサーとして制作に全面関与していることでも話題を集めた1枚…らしい。いや、リリース当時完全にノーマークで、ファーギーの死後、彼の参加作品を調べていて「へー、こんな作品もあったのかと」とその存在を漸く知ったぐらいの体たらくでして、よう知らんのですよ。
既に廃盤ゆえ中古盤にはそれなりのプレミア価格が付けられており、なかなか手が出し辛い状況が続いていたのですが、価格が落ち着いてきた最近になって漸く聴くことが出来ました。関わっている面子が面子だけに、やはり期待を裏切らぬメロハーの優良盤でしたよ、これが
OPナンバー①こそ少々大味なHRナンバーで「あれ?」と肩透かしを食うものの、サビメロでの転調が効果的な②で一気に惹き込まれ、続く本命、ジョーとファーギーのデュエットをフィーチュアする爽やかな高揚感に満ち溢れたハードポップ・チューン③で、本作のクオリティの高さを確信するに至るという。以降も、期待通り伸びやかなパフォーマンスを披露するシンガー陣の歌唱を活かした、しっとり抒情的な④、夜の首都高ドライブのお供にお薦めしたいアーバンでメロウな⑥、キャッチーで快活な⑦等、メロディメーカー達の職人芸が心行くまで堪能できる楽曲が本編には勢揃い。
トミー・デナンダーが関わっているという2ndもチェックしたくなる逸品です。


URIAH HEEP - Living the Dream - It’s All Been Said ★★★ (2018-10-21 23:32:07)

邦題は“悲観主義”でバンドのプログレッシブな感性が
いかんなく発揮された6分以上に及ぶ大作ナンバー。
フィルのKeyがポイントマンの役割を果たし、
長尺ながらも劇的且つファンタジックな曲展開は
一時もダレることなく最後まで緊張感を保ち続けます。
アルバムのハイライト・ナンバーの一つですよ。


URIAH HEEP - Living the Dream - Take Away My Soul ★★★ (2018-10-21 23:21:31)

邦題は“不安な日々”。
“安息の日々”をひっくり返したのでしょうかね。
ノリ易いアップテンポの曲調に乗って、
ミック・ボックスがギタリストとしての凄味を発揮してみせる
終盤のGソロ・パートが圧巻。何度聴いても惹き込まれてしまいますよ。


URIAH HEEP - Living the Dream ★★★ (2018-10-21 00:28:19)

三大ブリティッシュ・ロック・バンド仲間(日本でしか通用しない括りらしいですが)のLED ZEPPELINやDEEP PURPLEに比べると、フォロワーを見かける機会がとんとなかったのも今は昔。ここ10年で明らかにURIAH HEEPに影響を受けたであろう音を出すバンドが北欧を中心に続々現れるようになった昨今、満を持して本家が’18年に発表した新作アルバム。(邦題は『桃源郷』)
実際の所バンドがそういったシーンの趨勢に触発されたかどうかは定かじゃありませんが、ともあれ、全体的にリラックスした穏やかなトーンが印象的だった前作『異端審問』に対し、サウンドをパワフルに駆動させるラッセル・ジルブリックの重々しいドラム連打で立ち上がる本作は、躍動感と適度な緊迫感を伴う①④⑧のようなアップテンポの楽曲を各所に散らした、現在の彼らの意気軒高っぷりを如実に伝えてくれる作風に仕上がっています。
ミック・ボックスの情感豊かなGワーク、今や「URIAH HEEPの声」と言えばまずその歌声を思い出すバーニー・ショウのVo、クラシック・ロックの風格をサウンドにもたらすフィル・ランゾンのKeyと、本編に託されたメイン・メンバー3人のパフォーマンスは、年相応の老け込みとも逆に無理めな若作りとも無縁。自然体で瑞々しく、特に終盤のソロ・パートにおいてミックがギタリストとしての真価を発揮するハード・ナンバー③と、バーニーの伸びやかな歌唱とフィルの抒情的なピアノ/ハモンドを軸として劇的且つ幻想的に展開される⑦の2曲は、秀曲揃いのアルバムの中においても一際眩い輝きを放つ名曲ですよ。
最初から最後まで一切不安を感じることなく没入することができる、まさに『桃源郷』を垣間見せてくれる充実作。このベテラン・バンド、恐るべし。


SATAN - Cruel Magic - The Doomsday Clock ★★★ (2018-10-18 23:21:25)

アコギのしじまを切り裂いて刻まれるシャープなGリフを皮切りに
攻撃的なリズムに乗って目まぐるしく且つドラマティックに
駆け巡るツインG、そして憂いに満ちたメロディを拾っていくVoと
あらゆる要素が「これぞSATAN!」と主張しながら突っ走る
アルバムのハイライト・ナンバー。
バンドがこの曲をリーダートラックに選んだのも納得です。


SATAN - Cruel Magic ★★★ (2018-10-17 06:56:16)

'18年発表のニュー・アルバム。これで復活後3作目を数え、その間には北米ツアー中に録音されたライブ盤のリリースや来日公演を挟む等、間違いなく80年代よりもアクティブな活動を行っている現在のSATAN。その充実っぷりは本作の内容の素晴らしさにもてきめんに反映されています。
イントロの焦らしに続き、緩急自在のリズムに乗ってシャープ且つファストなGリフ(まさしくスティーヴ・ラムゼイ印)がぐりぐり回転するOPナンバー①からして、早くもSATAN度数は特濃レベルをマーク。リフまたリフ、ユニゾンに次ぐユニゾンで、一瞬たりともテンションを緩めることなく本編内を駆け巡り、楽曲を牽引するスティーヴとその相方ラス・ティッピンズによる、阿吽の呼吸から繰り出されるコンビネーションの盤石ぶり、尽きることのないメロディとアイデアの豊かさは、スリリング且つドラマティックにアルバムのハイライトを飾る名曲③や、スピード・ナンバー⑥⑪といった楽曲に集約にされています。磨かれ過ぎず適度なラフさを保ったプロダクションがまた、そういった楽曲に備わる突進力とアグレッションを効果的に底上げしてくれているという。
仄暗いメロディをニヒルに歌うブライアン・ロスのVoも、衰え知らずの英国声で「SATANらしさ」強化を後押し。曲によってはもう少し歌メロにフックが欲しいと思う場面も無きにしも非ずながら、VOICE OF NWOBHMな声質自体が魅力的なのは相変わらずです。
これまで同様、イスラエルの画家イーライラン・カンターの手による作品をフィーチュアしたアートワークに高まるこっちの期待を全く裏切らない力作。


PRETTY BOY FLOYD - Porn Stars - Set the Night on Fire ★★★ (2018-10-15 23:41:14)

疾走感に溢れたシンプルで乗りやすい曲調に、
甘く、ライブ映えしそうなキャッチーなメロディとコーラスが
トッピングされた、10年間のブランクもHR/HMシーンの流行り廃りも
俺達にゃ関係ねー!とばかりに溌剌とカマされるPBF印の名曲。


BANG TANGO - Love After Death ★★ (2018-10-14 22:04:07)

LAメタル・シーン末期に咲いた徒花BANG TANGOが、所属レーベルだったMCA内に吹き荒れたリストラの嵐に翻弄されながら’94年に発表した3rdアルバム。
ファンキーなバッドボーイズ・ロックンロールに、90年代のHR/HMシーンの潮流たるシアトル風味のヘヴィネスと、妖しく揺らめくメロディとのハイブリッド・サウンドが本作の持ち味…と聞かされても、その両方をほぼ素通りして来てしまった我が身にはビタイチ響くわけがない。と、そう思っていた時期が私にもありました。実際に聴いてみると、これがメンバーがJUDAS PRIESTからの影響を告白するOPナンバー①の時点で早くも「いやいやいや。カッコイイじゃないのさ!」と頬を張り倒された気分になったという。
無論、正統派HMを演っているわけじゃありませんが、ライブで鍛えた粘り強くコシの効いたリズムを炸裂させるBとDs、ワイルドなリフを刻み、一風変わったメロディを奏でるGのテクニシャンぶりは勿論のこと、本作の(というかバンドの)個性を決定付けているジョー・レステの独特の歌声がとにかく耳にへばり付きます。爬虫類系な彼氏のVoと、骨太なグルーヴを生み出す楽器陣が終盤に向かってグングンとテンションを高めていくOPナンバー①、横ノリの前半からテンポアップしてタテノリの後半へと展開していく③、気怠げな導入を経てジョーの熱唱を伴いダイナミックに盛り上がる④、AEROSMITHを思わす乾いた哀愁漂うバラード⑤といった楽曲のカッコ良さは、普段この手のサウンドを嗜まない自分にも十二分にグッとくるモノがありましたよ。
長らく未購入のまま来てしまった1stや2ndも買わんと!ってな気にさせられる1枚です。


PRETTY BOY FLOYD - Porn Stars ★★★ (2018-10-12 01:21:12)

グラマラスなルックスと、意外に(と言ったら失礼ですが)秀でた作曲能力の高さで「遅れて来たLAメタル・バンド」として評判を呼んだPRETTY BOY FLOYDがリユニオンを果たし、'99年に発表した2ndアルバム。
ダーク&ヘヴィの嵐が吹き荒れた90年代を活動停止によりほぼスルー出来たことが奏功したのか、本作で聴けるのは、砂糖菓子のように甘ったるい――それが個性でもある――スティーヴ・サマーズの歌唱スタイルから、彼が歌う親しみ易いメロディや、思わず口ずさみたくなるキャッチーなコーラスまで、デビュー作の美点を余すところなく受け継いだ、明るく楽しいパーティ・ロック・サウンド。硬派を謳っていた連中でさえ次々にトレンドを取り入れようとしてズッコケていた当時にあって、「恰好だけ」とか「軽薄」とか侮られまくっていた彼らの方が、むしろHR/HMシーンの変化にも揺らぐことなく自分たちのサウンドを貫き通し、矜持を示してくれているのですから皮肉な話ですよ。
一聴してまず印象に残るのが、1st収録曲のリメイクだったり(⑤⑧)、KISSのカヴァーだったり(④)するのは如何なもんかと思わなくもないのですが、それでも収録曲は高揚感を伴って煌びやかに駆け抜けるロックンロール②から、フックの効いた③、スウィートなバラード⑨に至るまで、理屈抜きに楽しめる楽曲ばかり。特に聴いているだけで気分が浮き立つような疾走ナンバー⑫は、「これぞPBF!」と喝采を上げたくなる名曲ですよ。
何故PRETTY BOY FLOYDが根強くファンから愛されるのか。その理由の一端を伝えてくれるポップ・メタルの好盤。


ALICE IN HELL - The Fall - Broken Healer ★★★ (2018-10-10 23:05:05)

ゴリゴリなリフ&リズムが野卑なVoを伴って
2分半とタイトなランニング・タイムをひたすら直線的にブッ飛ばす。
スラッシュ・メタル然とした曲調にフラッシーなGソロが華を添える
ALICE IN HELL節が炸裂した楽曲。


ALICE IN HELL - The Fall ★★ (2018-10-09 23:39:29)

「ヴィンテージ・スラッシュ」を標榜する東京出身のトリオが、デビュー作『CREATION OF THE WORLD』(’14年)の好評を糧に、’18年に発表した2ndアルバム。
前作から4年と、新人バンドとしてはかなりアルバムとアルバムのリリース間隔が空いてしまった印象ですが、濁声繰り出すVoに、ガリガリゴリゴリと突き進むリフ&リズムと、その合間を縫ってテクニカルなGソロがメロディックに舞う基本スタイルはまったく微動だにせず不変。全10曲収録でランニング・タイムが30分台という、タイトに締まった構成も前作同様です。
ただ、一口に「ヴィンテージ・スラッシュ」と言っても、倒れる寸前まで前傾姿勢を取り、遮二無二突っ走るSLAYERタイプではなく、リズムがどっしりとしたパワー・メタリックな重量感を湛えているのもこのバンドの特徴。地鳴りの如く突進するリズムと、野卑なシャウト、鋭利なリフ、そして質実剛健な楽曲にパッと華やかな彩りを加える、相変わらず鮮烈に冴え渡るGソロとが並走する①③⑥⑩という、ALICE IN HELLというバンドの魅力を分かり易く捉えた楽曲を要所に配置。疾走ナンバーはより破壊的に、ミッド・チューンはより重厚に、更には前作では聴かれなかったようなシャッフル・チューンにも挑戦する等、収録曲のバラエティが確実に広がりをみせる本編は、よりパワフルに、よりダイナミックに、バンドとしての総合力の成長ぶりが伺える内容に仕上がっています。
あとは演奏に埋もれがちなVoがもうちょい存在感を主張できるようになれば、更に一段階上のインパクトを聴き手に与えられるようになるのではないでしょうか?


SAVAGE - Hyperactive - We Got the Edge ★★★ (2018-10-08 22:21:34)

愁いを帯びたメロディを奏でる印象的なツイン・リードG、
くぐもった声質で湿気ったメロディを歌い上げるVoに
早歩きのテンポと、いかにもブリティッシュHM然とした
雰囲気に思わず顔がほころぶOPナンバー。


SAVAGE - Hyperactive - Gonna Tear Your Heart Out ★★★ (2018-10-08 22:00:41)

名曲“LET IT LOOSE”程のインパクトはないものの、
同タイプのスピード・ナンバーとしては必要にして十分な
カッコ良さをまき散らして疾走する逸品。


SAVAGE - Hyperactive ★★ (2018-10-08 00:59:05)

METALLICAに影響を与え、スラッシュ・メタル誕生に少なからず影響を及ぼしたとされる英国はマンスフィールド出身の4人組が、EBONYからZEBRA RECORDSに移籍して’85年に発表した2ndアルバム。
美麗なアートワークとスピード・メタルの名曲“LET IT LOOSE”を収録し、「NWOBHM後期の名盤」として名高い1stに比べ、本2ndは「パワーダウンした凡作」との評価が定着してしまっていて、事実自分がこのアルバムに触れたのは21世紀に入ってからでした。EBONY独特の劣悪なプロダクションが、逆にサウンドの荒々しさを引き立てるという奇跡体験アンビリーバボーに繋がっていた前作に比べると、半端に音質が整ったことも「大人しくなってしまった」との低評価に拍車を掛けたのかなぁと。
ただ、聴いたことがある方ならご承知の通り、1stはスラッシャーを触発したOPナンバーの攻撃性こそが例外であり、2曲目以降はウェット且つ煮え切らないブリティッシュHMが展開されていたことを踏まえると、本作はその路線を順当に突き詰め、且つクオリティの向上が図られた良盤と言えなくもないような。実際問題として“LET~”級のキメ曲は見当たりませんが、その分、ハモリまくる2本のGがPRAYING MANTISやSINNER(あるいはその源流たるTHIN LIZZY)を思わせるOPナンバー①、愁いに満ちたメロディに彩られた③、一転してアグレッシブに飛ばしまくる疾走ナンバー⑤等、ここには聴けば聴くほど味が染み出す「イイ曲」が揃っています。
インパクトでは1stには及ばないまでも、完成度なら結構いい勝負が出来る1枚かと。


POWERWOLF - The Sacrament of Sin - Demons Are a Girl's Best Friend ★★★ (2018-10-04 23:45:51)

POWERWOLFらしいドラマ性や荘厳さを湛えた曲調に、
キャッチーでメロディアスなサビメロが巧みに組み合わされた
高いヒット・ポテンシャルを感じさせる逸品。
セクシーなPVも目のご馳走。


ADX - Weird Visions - Kill the King ★★★ (2018-10-03 23:35:38)

ベタな選曲だなぁと思いつつも、
ADXがカヴァーするならこの曲しかないよね、
と思うのもまた事実。
ちゃんと自分たちの色を加味した
忙しないスピード・メタル・バージョンに仕上がてくれていますし。


ADX - Weird Visions - Invasion ★★★ (2018-10-03 23:34:03)

回転の速いGリフのカッコ良さといい、ストレートな飛ばしっぷりといい
4thアルバムにおいて、おそらく最も従来の「ADXらしさ」を
担保しているスピード・ナンバー。
疾走するツイン・リードGがまたドラマティックで良し。


ADX - Weird Visions - King of Pain ★★★ (2018-10-03 23:30:49)

Bが不穏な唸りを上げるイントロからして
これまでとは一味違う感が漂います。
音作りからリフ&リズムに至るまで
これまでより硬質且つスラッシーな感触ですが
スピード重視の姿勢やGが奏でる陰りを湛えたメロディ等
ADXらしさもしっかりと保たれた逸品。


ADX - Weird Visions ★★★ (2018-10-03 00:13:24)

現在も活動中のフレンチ・メタル・シーンの古豪ADXが、プロデューサーにRAGE作品等で知られるラルフ・クラウスを迎えてレコーディング、'90年に発表した4thアルバム。ドイツのNOISE RECORDSと契約を交わし、全曲英詞に挑戦する等、果敢に国外へ打って出んとした作品で、彼らがフランス語で歌っていない作品は本作のみじゃないかなと。
音楽性の方もそれに合わせて若干マイナー・チェンジ。重心を低く下げてBがバキバキ鳴りまくる骨太な音作りや、硬質に刻まれるリフ&リズム、1曲目のイントロから明らかに、これまでよりダイナミズムと複雑さをいや増した曲展開etcと、楽曲はパワー/スラッシュ・メタル色を強めたソリッドな仕上がり。独産メタルっぽい…というか、3rd~4th   の頃のMETALLICAに影響を受けたことを推測させる作風というべきか。
ADX独自の個性はやや薄まった感はあるものの、従来のノリを受け継ぐスピード・メタル・ソング⑩を始め、相変わらず疾走感重視の姿勢は不変。ツインGが奏でるクサいメロディも本編を引き締めてくれています。特にOP序曲①に続いてパワフル且つテクニカルに突っ走る②はアルバムの完成度を確信するに足るカッコ良さ。CDのみのボーナス・トラックとして収録されているRAINBOWの名曲“KILL THE KING”のカヴァー⑪も、選曲はベタながらもそのハマリっぷりはなかなかもの。一聴の価値ありですよ。
この路線変更がもう数年早ければ欧州進出の足掛かりになり得たかもしれず、逆にもう数年後だったら独産メタル・ブームに沸く日本でデビューが飾れたかもしれませんが、残念ながら時代の節目に落ち込み評価の機会を逸してしまった不運な名盤。


POWERWOLF - The Sacrament of Sin ★★★ (2018-10-01 00:02:08)

前作『狂気崇拝』(’15年)との間に、ライブ盤『THE METAL MASS』(’16年)のリリースを挟んで'18年に発表された7thアルバム。
キャッチー且つアグレッシブな曲調や韻を踏んだ曲名がPOWERWOLF印の①④⑪、本編最速で駆け抜けるアルバム表題曲⑧といった「らしさ」全開の楽曲で要所を固めつつも、作品全体としては、今回はテンポや攻撃性が抑え気味。バンド史上初のバラード⑤にもチャレンジした本編は、キャッチーなメロディの充実と、ライブ映え重視の姿勢が打ち出され、最初に流し聴きした際は「ちょっとユルいアルバムか?」とか思ったりもしましたが、歌詞カード片手にじっくり対峙してみれば全くそんなことはなかったという。
やはりこのバンドのメロディ・センスの冴えには頭抜けたものがあり、上記楽曲以外にも、PVが制作された②、トニー・マーティン時代のBLACK SABBATHを思わす③、ロシアン・メタル風の⑦、本編終盤をドラマティックに盛り上げる⑩のような、冷ややかなチャーチ・オルガンの音色と荘厳なクワイアが一種宗教的ともいえるドラマ性を盛り上がるミッド・チューンの楽曲のサビメロの素晴らしさたるや。そりゃあアルバムだってドイツで再びチャート№1の座を獲得するぐらい大ヒットしますわ、と納得のフックの効きっぷりですよ。
ちなみに本作は、KREATOR、EPICA、AMARANTH、BATTLE BEAST、KISSIN’ DYNAMITE等の人気バンドがPOWERWOLFの名曲の数々をカヴァーする、掟破りの「逆カヴァー・アルバム」を同時収録するデラックス盤も発売されていて、こうした手の込んだ仕様をレコード会社に飲ませられるバンドのサクセス・パワーにも圧倒させられる1枚かと。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - Streets of Fire ★★★ (2018-09-29 09:37:04)

ピアノがポロポロと奏でられるイントロ数秒で
早くも泣かせに掛かってくるOPナンバー。
久々にハイトーン解禁のキスクのVoだけでなく
Gもいい具合に哀愁のメロディを歌ってくれています。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - I'd Die For You ★★★ (2018-09-29 09:21:54)

ビロードの如きキスクのVoと憂愁を湛えたピアノが映える
抒情的な前半を経て、Gの切り込みを契機にテンポアップする
後半の壮大な展開がドラマティック。
メロハー色で染め上げられたアルバム本編にあって
この曲のHR度の高さは一際耳を惹きます。
アルバムを締め括るに相応しい名曲。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - Surrender Your Soul ★★★ (2018-09-29 09:16:51)

仄かな哀愁と胸のすくようなポップ・フィーリングを同居させた
聴いているだけで気分ウッキウキなハードポップ・ナンバー。
伸びやかな歌唱で爽快感を盛り上げるキスクの歌唱のみならず
滑らかにメロディを紡ぐGの存在も侮りがたし。


PLACE VENDOME - Streets of Fire ★★★ (2018-09-28 00:32:32)

今でこそPUMPKINS UNITEDで楽しそうに歌ってくれているマイケル・キスクですが、HELLOWEEN脱退から暫くは、HR/HMと縁切り宣言をして細々とソロ・アルバムを発表するのみの、半ば隠居生活を送っていました。その後トビアス・サメットや盟友カイ・ハンセンの働きかけのお陰で、徐々に「ゴリゴリのメタルは嫌だけどメロハーなら歌ってもいい」レベルにまで態度が軟化したこともあり、この機を逃すまじとFRONTIER RECORDS総帥セラフィノ・ペルジーノが「マイケルにメロハーを歌わせるプロジェクト」として立ち上げたのが、このPLACE VANDOMEであったと。まこと、キスクがHELLOWEENと合流を果たすまでには様々な人達の尽力があったのだなぁと感慨深くなりますね。閑話休題。
本作はデビュー作の好評を受け、'09年に発表された2ndアルバム。デニス・ワード指揮の下、FRONTIER作品お馴染みのソングライター勢がキスクのために腕を振った本編は、イントロから泣かせに掛かる①、抒情的なKeyが効いた②、哀愁渦巻く③という哀メロの湯舟に肩まで浸かった冒頭3曲に、スケールの大きなバラード⑤、一転して躍動感に満ちた⑥、爽快なポップ・チューン⑩、HR然とした構築美でラストを劇的に締め括る⑫…と、優れた楽曲がズラリ揃う上、更にそこにキスクの絶品Voまで加わるわけですから、質の高さは確約済み。つか、この人は本当に歌が上手いなぁと。HELLOWEEN時代のようなハイトーンは多用せず、リラックスした伸びやかな歌唱が主体ながらも、その衰え知らずの美声とエモーショナルな表現力にはうっとりと聴き惚れてしまいます。
HELLOWEENのキスクしか知らないという方には特に強力にお薦めする、メロディアスHRの力作です。


ELF - Elf - Never More ★★★ (2018-09-26 23:19:57)

「明」の雰囲気を纏った本編において
この曲が湛える「暗」の雰囲気は一際異彩を放っています。
既に実力派シンガーとしての貫禄十分のロニーのVo、
全編を抒情的且つ流麗に彩るミッキー・リー・ソウルのピアノ、
時に切っ先鋭く、時に濃厚な泣きを湛えて切り込んでくる
デヴィッド・フェインシュテインのGが一丸となって演出する
クライマックスの盛り上がりっぷりに胸が震えます。


ELF - Elf ★★★ (2018-09-26 01:19:11)

エルフといえば「絶世の美男美女」というこっちの既成概念を完膚なきまでに叩き潰してくれる、ディオ校長が扮した白塗り&ひげ面のコワモテのドワーフ…いやコボルド…ゲフンゲフン、エルフがアートワークを飾る、NY出身の4人組が'72年に発表した1stアルバム。
ロニー・J・ディオ(本作では本名のロナルド・パダヴォナでクレジット)や、その従弟でTHE RODSを結成するデヴィッド・フェインステインが在籍し、後にDEEP PURPLEを脱退したリッチー・ブラックモアにバンドごと乗っ取られてRAINBOWの母体になったことでも有名な彼ら。バンド名はファンタジックですし、ツアーを共にして気に入られたことが縁で、アルバムのプロデュースをDEEP PURPLEのロジャー・グローヴァーとイアン・ペイスが共同で手掛けていますが、サウンドの方に虹紫テイストはほぼ皆無。ここで聴かれるのはFACES辺りに通じるアーシーでブルージーなロックンロールであり、様式美風味を期待するとまず間違いなくスカされますんで注意が必要です。
それでも、50年代からキャリアを積み上げていたロニーは既に「ロニー・J・ディオ」として個性盤石な歌唱を披露してくれていますし、ピアノ好きの身としては、全編に亘ってミッキー・リー・ソウルが軽快に躍らせるホンキー・トンク調のピアノにも耳奪われます。特に抒情的に始まり、デヴィッドが奏でる泣きのGと哀愁のメロディを背負い盛り上がっていく曲展開にグッとくる③は本編屈指の名曲。また乾いた哀感を纏いつつ軽やかに駆け抜ける⑥も思わず惹き込まれてしまう逸品ですよ。
「RAINBOWのオマケ」とスルーしてしまうのは勿体なさ過ぎる70年代HRの名盤かと。


RIVERDOGS - Absolutely Live ★★ (2018-09-24 08:22:34)

プロデューサーとして、メンバーとして、現DEF LEPPARDのヴィヴィアン・キャンベル(G)が全面的に関わっていたことで知られるRIVERDOGSが、’93年にひょっこりとリリースしたライブ盤。輸入盤市場での好評を受けてか、後にZEROコーポレーションから国内盤も発売されています。
本作はヴィヴィアン脱退後にレコーディングされており、リハーサル・スタジオ「サード・アンコール」に観客を招待してパーティを開いた際のライブの模様を収録。セットリストは1st『RIVERDOGS』から3曲、カヴァーを1曲、そして2ndアルバムに収録予定だったという7曲の全11曲から構成。収録場所が場所だけに、全体的にこじんまりとしていて、アリーナ・ロック的スケール感や派手さとはほぼ無縁のライブながら、逆に気心の知れた観客の暖かい反応と、RIVERDOGSが聴かせる素朴な歌心に溢れたブルーズ・ロック・サウンドの相乗効果によって醸し出されるアットホームな雰囲気は、このバンドの個性にぴったりフィットしています。出張先でフラッと立ち寄ってみたバーで、喝采を浴びている地元のバンドの演奏を間近で見ているような気分にさせてくれる感じ。
メンバーの演奏も、繰り出される楽曲も、味わい深く素晴らしいのですが、やはり特筆すべきはロブ・ラモスのVo。“陽のあたる家”の邦題で知られるANIMALISの代表曲のカヴァー⑩における入魂の歌いっぷりを筆頭に、ここで聴かせる彼氏のエモーショナルなVoは、ヴィヴィアンの不在を埋めて余りある存在感を放っています。
決してアルバム・タイトル負けしていないライブ・アルバムの好盤ですよ。


ALICE IN HELL - Creation of the World - Alice in Hell ★★★ (2018-09-23 01:05:41)

絹を引き裂くような女性の悲鳴からスタートする、
タイトルからも明らかな通りなバンドのテーマ曲。
ガリガリと細かく刻み倒されるGリフ、直線的に突貫するリズム、
濁声を吐き出すVoに、その上を華麗に舞うメロディックなGソロと
バンドが標榜する「ヴィンテージ・スラッシュ・メタル」の魅力が
分かり易くブッ込まれた1曲。


ALICE IN HELL - Creation of the World ★★★ (2018-09-21 00:18:20)

バンド名からして「おっ、君もANNIHILATORのファンなのかい?」と勝手に親近感を覚えてしまう(実際どうなのかは不明)、東京出身のトリオが’16年に発表した1stアルバム。
実はクリスチャン・メタル・バンドらしいとの噂を耳にしましたが、だからと言ってそれを理由に本作に対して身構える必要はまるでなし。ここに炸裂するのは、説法とは無縁にパワフルに突っ走る、(バンド曰く)「ヴィンテージ・スラッシュ・サウンド」。
本編は全8曲収録でランニング・タイムが30分台。現代ならアルバムではなくEPに分類されてしまいそうなボリュームなれど、この手のジャンルの場合、スカッと聴き終えて、またすぐにお代わりを所望したくなるこのタイトな構成は必ずしもマイナスには働きません。寧ろ長所ですよ。
当然それは優れた楽曲の存在が大前提となるわけですが、その点においても本作は抜かりなく、特にガリガリと刻み倒されるGリフ、80年代のパワー/スラッシュ・メタル・バンドに通じる豪快さで炸裂する(綿密過ぎない)リズムとが、吐き捨てVoとメロディックに閃くGソロを乗せてドカドカ疾走するOPナンバー①は、アルバムに対する期待値をいきなりマックスまで引き上げてくれる名曲。またちょっぴり“INTO THE ARENA”を思わせるインスト曲⑥を始め、マイケル・シェンカーから影響を受けたという演奏で楽曲にアクセントを加えるGの存在も、本作のクオリティ向上に大きく貢献してくれています。
失恋船長さんのレビューを読むまで存在すら知らなかったバンドなのですが(申し訳ない)早速2nd『THE FALL』を買いに走ったことは言うまでもありません。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos - scAm ★★★ (2018-09-19 00:30:27)

ラストをアッパーに締め括る疾走ナンバー。
3分弱というタイトな収録時間の中に、メロディックに絡み合うツインG、
「オーオーオー♪」という勇壮なコーラスが噛まされた
スラッシュ通り越して正統派HMテイストすら感じられてしまう名曲。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos - The sAcred heArt ★★★ (2018-09-19 00:26:52)

勇ましい序曲“MARCH OF GRINDERS MOSH”に導かれて
OPをハイテンションに蹂躙するスピード・ナンバー。
序曲と合わせても3分に満たないSSSな1曲ですが、
そのタイトなランニング・タイムの中に、緩急やら
劇的なツイン・リードGやらがブッ込まれた盛り沢山な名曲です。


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault - Overwhelm ★★★ (2018-09-19 00:19:45)

デモCD『HELL’S GARAGE』にも収録されていることからも
バンドがこの曲に自信を持っていることが伺えます。
実際、オラオラ歌いまくるVo、鋭角的に刻まれるGリフ、
速過ぎず頭を振るのに持ってこいのテンポで疾走するリズム、
それにライブで演れば観客とのコール&レスポンスが盛り上がりそうなコーラスから、
各楽器の聴かせ所まで盛り込まれているという、まさに隙のない逸品です。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos ★★★ (2018-09-16 09:40:39)

'12年に発表したフル・アルバム。多分14枚目ぐらいかな?
ROSE ROSEというと、オムニバス盤の名作『SKULL THRASH ZONE VOL.1』の印象がやはり強いのですが、あれから四半世紀以上の時を経てもサウンドの攻撃性が全く鈍化していない…どころか、一層刺々しくギアを上げて突っ走っているのですから恐れ入ります。
時代と共に音楽性を変化させ、00年代突入以降はクロスオーバー・スラッシュ路線へと帰着した彼らは、今回も同一路線を爆走。トータル・ランニング・タイムが30分台、収録曲は全23曲という構成はハードコア/パンクの作法に則りつつも、鼓膜に突き刺さるハイピッチVo、メタリックに暴れ回り、Gソロを奏でるだけに留まらず要所で劇的なツイン・リードさえ決めてみせる2本のG、スピードと音数だけでなく音圧も十分なリズム・セクション等、スラッシュ・メタル成分が嘗てない程に増量されているのも本作の特徴です。
特に、2分弱というタイトな曲展開の中に緩急、更にツインGの聴かせ所まで盛り込んだ②、切迫感に満ちたGリフに先導され突進する⑦、雄々しいコーラスと2本のGの劇的な絡みが最早正統派HM的ですらある㉓は血沸き肉躍らずにはいられない名曲。あと物々しく勇壮なインスト序曲①に鐘の音がフィーチュアされている時点で「あ、信用できる!」と。昔からサイレンと鐘の音を取り入れた楽曲にハズレはないと思っておりますので。
全編ひたすらハイテンションに走り抜ける、ショート/シャープ/ショックな姿勢が徹底された痛快作。ROSE ROSEのアルバムではこれが一番好きかもしれません。(つっても全部のアルバムの聴いたことがあるわけじゃないのですが)


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault ★★★ (2018-09-14 00:07:33)

EVIL INVADERSの初来日公演で前座を務めていたHELL FREEZES OVERのライブを見て、楽曲とパフォーマンスのカッコ良さに感心し、会場で売られていたデモCDを速攻購入。正式デビューを心待ちにしていたのですが、その後音沙汰がなくなってしまい「もしかして解散した?」と訝しんでいたところ、’18年に漸くこの4曲入りEPが発表されたという。
驚いたのは、シンガーが交代しているじゃないですか。解説によればそのせいでリリースが遅れたのだとか(レコーディング作業をやり直した模様)。そりゃ、押し出しの強いルックスと歌唱力を併せ持っていた前任者に匹敵する逸材探しは難航して当然だわなと。ただ、苦労の甲斐あって新Voも全く遜色ない実力の持ち主。アクの強さは前任者ほどじゃない代わりに、よりストレートな声質は柔軟性に富む印象です。
そして何より楽曲が良い。作曲能力の高さはデモCDの時点で実証済みでしたが、鋭利なリフと小気味良く疾走するリズム、その上に歌えるVoとメロディックなツイン・リードが乗っかったサウンドは、スラッシュ・メタル…というよりも、その一歩手前のハードコアなHMといった趣き(METALLICAの1stとか、あの線)。①②のようなラフネスを纏って畳み掛ける疾走曲のみならず、ヘヴィな横ノリ・チューン③もこなしたりと、パラメーターをスピードに全振りしない姿勢からは、既に貫禄のようなものさえ感じられますよ。
バンドの代表曲でもある名曲④にて締め括られる本作は、適度な満足感と飢餓感を聴き手に与える挨拶代わりには打ってつけの1枚。一日も早いフル・アルバムの登場が待たれます。ついでに、いつの日かお蔵入りしてしまった前任者VerのEPも聴けると嬉しい。


PLANET EARTH - Big Bang - It's My Soul ★★★ (2018-09-13 00:24:12)

大阪の薫りとグルーヴが漂うブルーズ・ナンバー。
本編では結構浮いていて、初めて聴いた時は「え、この曲でアルバムを締め括るの?」と
戸惑った覚えがありますが、いやでもこれが聴けば聴くほどに味の染み出る良い曲で。
というか、吉越美和のシンガーとしての資質(歌詞のセンス含め)は、
オシャレなポップ・ナンバー以上にこういったタイプの楽曲にフィットしているのではないか?と。
実に堂々たる歌いっぷりに聴き惚れてしまいましたね。


PLANET EARTH - Big Bang - Dear My Friend ★★★ (2018-09-13 00:19:08)

ハードロック風(あくまで「風」)のバラード。
90年代によく耳にしたタイプの楽曲ですが、良い曲は良い曲。
吉越がパワフルに歌い上げる、どっかでドラマの主題歌に
起用されていてもおかしくないフックに富んだ哀愁のメロディと、
曲調にマッチしたソロを紡ぐ清水のGプレイに唸ります。


PLANET EARTH - Big Bang ★★★ (2018-09-12 00:53:56)

卓越したギター・テクニックを誇る清水保光(G)、現在は作曲/編曲家として(特にアニメ業界で)名を成す高梨泰治(Key)のHELLENコンビに加え、元DANCERの前田卓生(Ds)、『いかすバンド天国』で数々の賞を受賞して注目を集めた女性シンガー、吉越美和(Vo)らにより結成されたバンドが’93年に残したフル・アルバム。(今にして思うと吉越を売り出すためにお膳立てされたバンドだったのでしょうか?)
面子が面子だけに、ついつい様式美HMを期待してしまうのが人情というものですが、本作で彼らが披露しているのは歌中心のメロディアスHR。単に弾きまくるだけでなくTPOを弁え、楽曲にフィットしたソロを抜群のメロディ・センスで滑らかに紡ぐ清水のGと、サウンドに「PLANET EARTH」の名に相応しい透明感を付与する高梨のKeyワークを活かした楽曲は十分に質が高く、特に先行シングルとしても切られた④は、当時のトレンディ・ドラマ(死語)主題歌に起用されてたって違和感のない洗練とヒット・ポテンシャルを感じさせる名曲です。(共作者として十二単の八重樫浩の名前がクレジット)
吉越のやや肩をいからせ気味な歌い回しや、彼女が手掛ける歌詞の世界観は、⑤⑦のような軽快な楽曲におけるアメリカンなノリとは水と油な一方、パワフルな②、アップテンポの③、情念渦巻く⑥⑧といったハード且つ重めな楽曲との相性は良好。中でも、大阪ブルース度全開でアルバムを締め括る⑪(PLANET EARTH版“酒と泪と男と女”か、はたまた“大阪で生まれた女”か)のハマリっぷりには、思わず聴き惚れてしまいましたね。
2枚、3枚と、もっとアルバムが聴いてみたかったなぁ…と思わずにはいられない1枚。


UNITED - Absurdity - Trapped Fake World ★★★ (2018-09-09 23:38:04)

開巻早々スピード・ナンバーが連続する本編を
更に加速させるスラッシュ・ナンバー。
乾いた音色で小気味良く刻まれるリフ&リズムといい
メロディックに炸裂するツイン・リードGといい、
2nd『HUMAN ZOO』の頃を思い起こさせる仕上がりではないでしょうか。


UNITED - Absurdity - Empty Eyes ★★★ (2018-09-09 23:24:32)

重厚に押し寄せる前半を経て、美しいピアノの調べによる抒情パートを転換点に
後半は激烈な疾走へと転じる7分に及ばんとする大作ナンバー。
クリーンVoと濁声シャウトを行き来する湯浅の歌唱が
楽曲の盛り上がりに大きく貢献しています。


UNITED - Absurdity - Arise ★★★ (2018-09-09 23:15:27)

猛然としたドラム連打で幕が上がる突撃ナンバー。
刻みの細かいGリフに畳み掛けるリズム、
威勢よく炸裂するギャング・コーラス、
そして飛翔感すら迸るツイン・リードGと、
UNITED流スラッシュ・メタルの魅力が凝縮された逸曲。


UNITED - Absurdity ★★★ (2018-09-06 23:18:04)

前作『TEAR OF ILLUSIONS』に参加したクウェート人シンガーKEN-SHINの脱退に加えて、バンドの「顔」であった最古参メンバー横山明裕の急逝というUNITED史上最悪の悲劇を経て、'18年に発表された10枚目のフル・アルバム。
予想の範疇だったKEN-SHIN離脱はさておき、横山の喪失はバンド解散に直結したっておかしくない出来事であり、それを乗り越えてアルバム・リリースに漕ぎ着けてくれたUNITEDには感謝の念を禁じ得ません。かくて、購入前から評価に下駄を履かせる気満々で聴き始めた本作でしたが、そんなこちらの木っ端役人の如き忖度なんぞ「無用!」とばかりに吹っ飛ばすクオリティに、逆にボコボコに叩きのめされた次第。
それにしてもシビれるのは、原点回帰の姿勢が伺えた『TEAR~』をも上回るスラッシュ・メタル度数の高さですよ。カリカリのGリフに、小気味良く畳み込むリズムと、彼らがここまでストレートにスラッシーなサウンドを打ち出すのは2nd『HUMAN ZOO』以来じゃないでしょうか?モダンな怒号スタイルだった前任者に対し、オールドスクールな咆哮を轟かせる湯浅正俊の野太いVoと、全編に亘りメロディックに弾きまくる吉田“HALLY”良文&大谷慎吾のツイン・リードGもそれを援護。特に、一気呵成に襲い来る②③、勇壮な④、ANZAのスキャット⑦をイントロ替わりに突っ走る⑧、落差の大きな曲展開が劇的な大作ナンバー⑨といった楽曲におけるGコンビの踏ん張りからは、これからのUNITEDを背負って立つのは俺達だ!と言わんばかりの鬼気迫る「覚悟」が迸っているかのようです。
傑作だった前作を更に上回る、7年待った甲斐のある充実作。


ROXXCALIBUR - Nwobhm for Muthas - Destiny ★★★ (2018-09-04 23:43:07)

オリジナルは'80年~’85年頃まで活動していたという
ノースウェールズ出身のトリオ、TRIDENTが'84年に唯一残したシングルの表題曲。
音質の貧弱さとVoの頼りなさとが相俟って若干いなたい雰囲気があった原曲
(逆にそれが哀愁を増幅していたともいえる)に対し、
こちらはよりパワフルな仕上がりのカヴァーとなっております。
ともかくこの名曲に陽を当ててくれたことに感謝。
イントロから泣きまくりですよ。


ZERO - Zero ★★ (2018-09-04 00:21:43)

ZEROがZEROからデビュー…と書くと何が何やらですが、要はテクニカルなギターとハモンド・オルガンをフィーチュアした様式美HMサウンドから、「スイスのDEEP PURPLE」と呼ばれた(俺の中で)なSTORMBRINGERを率いていたギタリスト、アンジー・スキリロが新たに立ち上げたバンドZEROが、’94年に日本ではZEROコーポレーションを通じて発表した1stアルバムが本作であると。
帯に踊る《究極のZ-ロック》なる大仰な惹句に高まった期待は、リズミックに立ち上がるOPナンバー①、リッキー・ネルソンみたいな②、グルーヴィな③という、様式美HM色皆無の乾いたノリが支配的な冒頭3曲を前に徐々に尻すぼみ。「買って損こいた…」とガックリきたことを思い出しますが、ここで停止ボタンに手を伸ばすのは早計というもの。実は4曲目以降は、重厚且つドラマティックに盛り上がる④⑦、堂々たるメジャー感を身に纏った⑤⑧、スペーシーな感触も宿して弾む⑥、イケイケな疾走ナンバー⑨、しっとり抒情的に聴かせる⑩⑫…と、アメリカなノリから、STORMBRINGERファンの留飲を下げる様式美HMスタイルに至るまで、バラエティに富んだ楽曲が顔を揃えており、聴き終えての感想は決して後ろ向きなものにはなりません。冒頭3曲にしても個々のクオリティは十分ですし、《旋律美を母に、天賦の才を父に》《抒情と透明の深艶を奏でるギタリスト》等々、いかにもZEROコーポレーション謹製な美辞麗句に援護射撃されたスキリロのテクニカルなGプレイ、⑪を始め、全編に亘って絶好調を維持。
自分なりの曲順を考案して楽しめば、より評価が上がる1枚ではないかと。


ROXXCALIBUR - Nwobhm for Muthas ★★★ (2018-09-02 08:40:21)

ドイツのパワー/スラッシュ・メタル・バンドVIRONとABANDONEDのメンバーが、NWOBHMの名曲の数々をカヴァーするために結成したというトリビュート・バンドROXXCALIBUR。2ndアルバムは日本盤も発売されているのですが、個人的に聴き直す頻度が高いのはこの’09年発表のデビュー作。やはりこういったカヴァー曲集は、作り手が一番演りたかった楽曲が凝縮される1作目のテンションが飛び抜けているような?
バンドの拘りが反映された収録曲は、“LADY OF MARS”(DARK STAR)の如きNWOBHMの聖歌を始め、プレ・スラッシュ・ソング“AXE CRAZY”(JAGUR)や、METALLICAもカヴァーした“LET IT LOOSE”(SAVAGE)といった過去に日本盤も出たバンドの代表曲から、TRIDENTの“DESTINY”、JJ’S POWERHOUSEの“RUNNING FOR THE LINE”といった知る人ぞ知る名曲、更には本作を手に取るまで存在すら知らんかったようなバンドの楽曲(いずれも味わい深い出来栄え)に至るまで、実にマニアックなチョイスがなされています。
完コピが基本の生真面目なスタイルのため、人によっては「カラオケ大会じゃん」と面白味に欠けるように感じられるかもしれませんが、それもこれもオリジナルへの愛情の深さゆえ。メンバーのパフォーマンスも安定しており、殊にVoの声質がスティーヴ・グリメットとよく似たタイプのせいか“SEE YOU IN HELL”(GRIM REAPER)のハマリっぷりは本編中でも1、2を争います。更にそこからもう一段遡ってCHATEAUXまでフォローしているのもニクイ。マニアだなぁと。
聴いていると笑顔にならずにはいられないトリビュート・アルバムの好盤ですよ。


IRON ANGEL - Hellbound ★★★ (2018-08-31 00:25:23)

ドイツの古参パワー・メタル軍団が復活を果たし、2nd『WINDS OF WAR』(’86年)以来、実に32年ぶりに3rdアルバムとなる本作を発表してくれました。
しかも音楽性は驚くぐらい変わっていないという。「30年間まんじりとも変化してない」と書くと悪口のようですが、嘗ての己の個性を的確に把握し、それを長年に亘って維持し、揺るぎなく提示してみせることだってそう簡単に出来ることじゃありませんよ。
スピード・ナンバーを中心に、野卑なVo、剛直に刻まれるリフ&リズム、要所で湿ったメロディをブッ込むツイン・リードGとが直線的に畳み込む、ACCEPTやJUDAS PRIEST、あるいはNWOBHMからの影響を下敷きにしたムサ苦しさ満点のサウンドは、まさに『WINDS~』に続く作風であり、80年代中頃の独産パワー・メタルならではの味わい。殊にHELOWEENブレイク以降のメロパワ勢に顕著だった「明朗快活」「懐っこさ」(キャッチーさとも言い換え可能)とは一切無縁の無愛想さ、昭和期からガード下で営業しているラーメン屋でドンブリに親指ブッ差して配膳してくる店主ばりにぶっきらぼうな佇まいのサウンドは、今だったら寧ろ新鮮に響く可能性だって…まぁ、それはないか。
ともあれ個人的には、ノリ良く畳み込む③、不穏な緊張感を湛えて突っ走る④、アグレッシブに牙を剥く⑥、ライブ向きのアルバム表題曲⑨、歌メロがMETALLICAの“BATTERY”を彷彿とさせる⑨といった硬派な楽曲の数々を心から楽しませて頂きましたよ。
前2作同様、万人にお勧めするのは躊躇を覚える内容ではありますが、逆に前2作を気に入った人なら購入に躊躇を覚える必要はない1枚かと。


EXCITER - Kill After Kill - Rain of Terror ★★★ (2018-08-30 00:26:04)

タガの外れたシャウトVo、カミソリGリフ、ドカドカ突進するバカリズムと
EXCITERここにあり!と大声で叫び倒しているかのような名曲。
当時のダウナーなヘヴィ・ミュージックの趨勢にまるで頓着しない
アゲアゲな飛ばしっぷりに痺れました。


EXCITER - Kill After Kill ★★★ (2018-08-29 00:30:27)

喧嘩別れしたダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(G)が、恩讐を乗り越えて再び手を組んだことからマニアの間で注目を集めた、’92年発表の6thアルバム。ついでにEXCITERにとって久々に日本盤リリースが実現した作品でもあるという。
整合性を重視し、徐々にノーマルな正統派HM路線に接近していた前作までの流れをブッた切るかの如く、剃刀Gリフが騒々しく刻まれ、Voがメロディに頓着せず喚き倒し、低音を効かせるよりもひたすら前のめりに突き進むリズムが猛然と吹き荒れるサウンドは、通して聴くと時々自分が今何曲目を聴いているのか見失いそうになる(笑)金太郎飴感も含め、裏ジャケにデカデカと掲げられた《THE MANIAC IS BACK》の宣言通り、初期EXCITER節が全開。
特にダンのドラミングがEXCITERサウンドの個性確立に果たす役割は大きく、彼が生み出す正統派HMにしては前のめりで、スラッシュ・メタルにしてはガバガバな疾走感は、後発のNWOTHM勢がいくら真似しようにも真似できない、天然ボケ気味な魅力と勢いが横溢。名曲“VIOLENCE & FORCE”を彷彿とさせるOPナンバー①、緩急の効いた②、荒々しく挑みかかるミッド・チューン③、再びギアをトップに入れて猛然と駆け出す④…と、本編は終始テンション高く突っ走って、ランニング・タイムは潔く30分台。時代遅れと笑わば笑え。90年代のHR/HMシーンのトレンドなんぞ一顧だにしない(もしかしたら単にモダン・ヘヴィネスを知らなかっただけという可能性も捨てきれませんが、それはそれでEXCITERらしくて良し)、オールドスクールな姿勢が痛快極まりない力作。ダンとジョンの組み合わせにはマジックが働くことを実感させてくれる1枚でもありました。


GIRLSCHOOL - Hit and Run - Yeah Right ★★★ (2018-08-27 23:10:05)

反抗的なアティテュードと、甘く親しみ易いメロディが同居して
キャッチーに駆け抜けるGIRLSCHOOLならではの名曲。
ライブじゃさぞかし盛り上がったことでしょう。
PVには故フィルシー“アニマル”テイラーがゲスト出演、愉快な演技を披露してくれています。


GIRLSCHOOL - Hit and Run ★★★ (2018-08-26 23:49:52)

野郎率90%越えのNWOBHM工業高校で総番レミー先輩から薫陶を受け、学内に睨みを利かせたスケ番軍団ことGIRLSCHOOLが、'81年に発表した2ndアルバムがこちら。
「所詮は女」と舐めて掛かる輩のケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わさんとするパンキッシュな荒くれ感を十二分に漲らせつつ、Gリフは切れ味の鋭さを増し、リズムはよりダイナミック、ハスッぱに歌われるメロディは一層キャッチー&メロディアスに…と、演奏に厚みが出て、勢いだけに頼らないミュージシャンとしての成長ぶりもアピールする本作は、グッと整合性を高めたヘヴィ・メタリックなサウンドが提示されています。
気合一発、OPを威勢よく駆け抜ける①、土煙巻き上げて突っ走る③、オラオラとケツを蹴り飛ばされるような④、荒々しくも印象的なリフレインを持つ⑧といった疾走ナンバーを要所に配し、その合間に英国風味の湿り気を漂わせた②⑤⑦、ZZ TOPのカヴァー⑥等、バラエティ豊かな楽曲が揃う本編を聴けば、多くのファンがバンドの代表作にこれの名を挙げるのも納得ですよ。特にGIRLSCHOOLの魅力の真骨頂というべき⑩はパンクなアティテュードとキャッチーなポップ・センスが組み合わされた名曲。MOTORHEADのフィルシー・テイラーがゲスト出演しているPVも最高です。
クールな楽曲をクールに繰り出すメンバーの立ち姿もこれまた最高にクールで、長身痩躯を活かしてレスポールを掻き鳴らすケリー・ジョンソン(G)を始め、男女問わず惹きつけるその勇姿は、パンクスもメタルヘッドも憧れたレミーに通じるもの有り。この時期の彼女たちが正しく「MOTORHEADの後継バンド」であったことが理解できる1枚です。


TILT - Tilt Trick - WHO’S GONNA WIN? ★★★ (2018-08-26 00:29:00)

楽曲をエモーショナルに盛り上げるVoとGの歌いっぷり
タメの効いたリズム隊の援護射撃と、
何も知らずに聴いたらアメリカのバンドと勘違いしそうな
埃っぽく乾いた哀愁漂わす入魂のバラード。


TILT - Tilt Trick ★★ (2018-08-23 23:06:24)

インディーズ・バンドながら、年間100本以上のライブを行い、全国津々浦々を精力的にツアーをして回ったことから「LIVEの帝王」(CD帯にも誇らしげに謳われている)の異名を取った名古屋出身の5人組が、’89年に発表したメジャー・デビュー作(2ndアルバム)
結成当初はKey奏者も在籍し、プログレ寄りの音楽性を志向していたそうですが、メンバー・チェンジを繰り返すうちにサウンドがブラッシュアップされ、本作で聴くことが出来るのは、AEROSMITH等に通じるハード・ロックンロール。正直、自分好みの作風とは言い難かったため、購入以来長らくCD棚の肥やしの一つになっていたのですが、TILTが近年復活を果たし、ライブ活動を行っているとのニュースを雑誌等で見聞きするようになって、久々に引っ張り出して聴き直している今日この頃。
日本のバンドがこの手の音を演ろうとすると、どうしても寒くなりがちな印象があるのですが、パロディやチープな方向に逃げず真っ向勝負を挑んでいる本作がきっちりサマになって聴こえるのは、やはり熱く歌う濁声Vo、骨の太いG、柔軟且つ強靭にボトムを支えるリズムといった、実戦で鍛え上げられたメンバーのパフォーマンスが持ち得る説得力ゆえでしょうか。特に本家AEROSMITHを彷彿とさせる枯れた哀愁漂わすバラード“WHO’S GONNA WIN”は絶品。
個人的にはTILTの作品で一番好きなのは1st『THE BEAST IN YOUR BED』(’87年)なのですが、本作も結構良いなぁと。ただメタリックなプロダクションは上質ながら、Voが演奏に埋もれてしまっているのが勿体ない気も。


RAJAS - Turn It up - Your Song ★★★ (2018-08-22 00:39:41)

アルバムを締め括る7分越えの大作バラード。
劇的な盛り上がりを演出する楽器陣のバックアップを受けて、
70年代歌謡の流れを汲む哀愁のメロディを
堂々歌い上げる森川のVoが大いなる感動を呼びます。


RAJAS - Turn It up - Love Fire ★★★ (2018-08-22 00:19:09)

EARTHSHAKERの西田昌史との共作曲。
歌謡曲的な哀愁を帯びたメロディを
ねっとりと歌い上げる森川邦子の歌唱力を
堪能できるミッド・チューン。
Keyが非常に効果的に使われています。