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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1301-1400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1301-1400

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HALLOWEEN - Don't Metal With Evil - Trick or Treat ★★★ (2019-01-29 23:41:00)

'84年に発表されたデビュー・シングルでもある
HALLOWEENの代表曲。Voは少々弱いが
その分、鋭角的に切り込んでくるGリフのカッコ良さが
疾走感溢れる曲調をグイグイと牽引してくれます。


HALLOWEEN - Don't Metal With Evil ★★ (2019-01-29 00:38:27)

HELLOWEENではなくHALLOWEEN、ドイツではなくアメリカはミシガン州デトロイト出身の4人組が、'85年に地元のインディー・レーベルMOTOR CITY METAL RECORDSから発表した1stアルバム。
メンバーの早過ぎた白塗りメイクと、《DETROIT’S HEAVY METAL HORROR SHOW》の肩書が何やら怪しげな雰囲気漂わす本作は、チープなプロダクションから台所事情の苦しさが透けて見えますが、カイ・ハンセンに通じる(やや弱々しい)味わいのハイトーンVoをフィーチュアして、ササクレ立ったアグレッションを放ちながらスピーディに畳み掛けるスラッシュ・メタルの一歩手前…いわゆる「スピード・メタル」に分類されるサウンドは、バンド名同様に4人編成時代のカボチャ軍団に似通う趣きあり。但しメロディに欧州民謡調のクサ味やドラマ成分は控えめで、収録曲のランニング・タイムも殆どが3分台とタイト。ドラム連打を皮切りに嵐の如く吹き荒れるOPナンバー①を始め、より直線的に突っ走っている辺りは流石アメリカのバンドらしいなぁと。
とてもじゃないが万人向けとは言い難いアングラ感を発散しつつも、例えばこのバンドなりのバラードと言える抒情的な③、あるいはそこから繋がっていく、弾きまくるツイン・リードGをフィーチュアしてスリリング且つ忙しなく疾走する④(デビュー・シングル曲でもあった)のカッコ良さなんかには無視できない魅力が漲っていますよ。
極初期のHELLOWEENは勿論のこと、SAVAGE GRACE辺りが楽しめる方にお勧めする1枚。


BITCH - A ROSE BY ANY OTHER NAME - SKULLCRUSHER ★★★ (2019-01-27 23:00:50)

ベッツィのVoも、緊迫感を湛えたリフ&リズムも、
パワー/スラッシュ・メタルばりのアグレッションをまき散らす、
(タイトル通り)頭蓋骨をかち割らんばかりの迫力で
畳み掛けるスピード・ナンバー。
バンド名で舐めて掛かるとベッツィ姐さんにクンロク入れられますよ。


BITCH - A ROSE BY ANY OTHER NAME ★★★ (2019-01-27 22:55:28)

ベッツィ(Vo)率いる4人組、その名もBITCH(直球勝負な名前だなぁ)が'89年に発表した、新曲、未発表曲、既発曲のバージョン違い等から構成される6曲入りEP。BITCHの作品で日本盤が発売されたのは本作だけか?
ボンデージ衣装に身を包んだベッツィ嬢のSMの女王様感漂う出で立ちや、今だったら確実にポリコレ案件になりそうな、ショーつうか最早「プレイ」っぽい?過激で卑猥なライブ・パフォーマンス――バンド曰くアリス・クーパーのコンサートにヒントを得たのだとか――が評判を呼んだといった話を聞くと、派手さだけで中身からっぽの色物バンドと思われるかもしれませんが、音の方だって実にパワフル。
「顔はやばいよ、ボディやんな、ボディを」と煽る三原じゅん子の声が聞こえてきそうなベッツィ嬢のスケ番Voに甘ったれた部分はなく、鋭いGリフの刻みや地鳴りの如きリズムの疾走感は、時にパワー/スラッシュ・メタルばりのアグレッションを放ちます。考えてみればブライアン・スラゲルが最初に契約を交わしたバンドであり、METAL BLADE RECORDSの名物コンピ盤『METAL MASSACCRE』第一弾ではMETALLICAを始めとする面々と堂々肩を並べていたわけですから、そりゃ見てくれだけのバンドなわけがない。怒涛の如く突進するスピード・ナンバー③や、BITCHの代表曲であるオラオラ感溢れる⑥のような楽曲の気合の入りようは、先入観で舐めて掛かると逆に叩きのめされかねないカッコ良さですよ。これがBITCHの最終作とは残念至極。(バンドは正式には解散しておらず、今でもツアーを行っているようですが)


HITTMAN - Hittman - Caught in the Crossfire ★★★ (2019-01-27 00:59:31)

メタリックなGリフの刻みと
タイトな疾走感の心地良さに思わず頭が前後に動く
アルバム中盤のハイライト・ナンバー。
劇的に絡むツイン・リードGにもハッとさせられますね。


HITTMAN - Hittman - Metal Sport ★★★ (2019-01-27 00:48:28)

KEEP IT TRUEフェスでも大合唱を巻き起こしていたアルバムOPナンバー。
泣きの入った声質のハイトーンVoと、劇的なハーモニーを奏でる
ツインGがやはり聴きモノですが、何気にBも良い仕事をしてくれていますね。


PLASMATICS - Coup d'État ★★★ (2019-01-27 00:35:38)

元ストリッパーであり、ステージ上での過激な言動で物議を醸したパンク・ロッカーであり、闘士であり、MOTORHEAD黄金トリオ崩壊の一因であり、最期は48歳で拳銃自殺を遂げた女傑ウェンディ・O・ウィリアムズ(Vo)。彼女が率いたNYのハードコア/パンク・バンドPLASMATICSが’82年に発表した、「馬鹿が戦車でやってくる」を地で行くジャケットが目印の3rdアルバム。
放課後電磁波クラブみたいな恰好でパフォームするウェンディ姐さんの勇姿を初めて雑誌で見た時は、こちとら10代だったにも関わらず「うわー、嬉しくないオッパイ…」とドン引きしたことを思い出します。実際、OPナンバー①はデス/スラッシュ・メタル・バンドのシンガーも裸足で逃げ出しそうな彼女の壮絶なシャウトからスタート。しかし米メジャーのCAPITAL RECORDSとの契約を得て、プロデュースをディーター・ダークスが担ったことで音作りが飛躍的な向上を果たした本作は、グッと重心を落とし、過去2作に比べ格段にHMテイストを増量させた重量感溢れるサウンドが炸裂。メンバーの豪快な演奏と、持ち前のディストーション・ボイスとメロディアスな歌い上げを慌しくスイッチするウェンディのダイナミックな唱法が一丸となった楽曲は、女ジキル&ハイドばりにテンションが乱高下するウェンディのVoに圧倒される⑦、威圧的なヘヴィネスを放つ⑧、緩急を効かせたドラマティックな⑩等、いずれもクールな出来栄えを誇っています。
ルックスと出している音のギャップにやられたという点では、ベッツィ・ビッチ率いるBITCHの諸作のことを思い出したりもする力作。


HITTMAN - Hittman ★★★ (2019-01-24 23:52:42)

Voは元ANTHRAX、Bは元ATTILA、Dsは元TAKASHIという、凄いんだか凄くないんだか…な面子でレコーディングされた傑作デモ『METAL SPORT』(’85年)がドイツで評判を呼んだことから、同国のSPV/STEAMHAMMER RECORDSとの契約を得て、NY出身の5人組が'88年に発表した1stアルバム。
国内盤は、当時ジャーマン・スラッシャーの作品を次々リリースしていたテイチクのMETAL MANIAからの発売で、その印象もあって結構長いこと彼らはドイツのバンドだと思い込んでいました。哀愁に満ちたメロディを泣きの入ったハイトーンで歌い上げるVoといい、湿った旋律を紡ぎ劇的にハモる2本のGといい、それらを乗せてスピーディに駆け抜けるリズムといい、出している音も欧州風味満点の正統派HMサウンドでしたし。ただNY出身であることを踏まえて聴き直してみると、泣きまくってもベタつかない都会的哀愁は、曲によっては『THUNDERSTEEL』を発表した頃のRIOTに通じるコンクリ感覚も確かに息衝いているように感じられる…かもしれません。
取り分け表題曲①(デモテープ同様、序曲“HITTMAN THEME”が欲しかった)や⑥、アルバムを速い曲で締め括るバンドは信用できる!な⑨といった、疾走するリズムの上をツインGがメロディックに舞う楽曲のカッコ良さはこのバンドの真骨頂。QUEENSRYCHEばりにじっくり盛り上がるドラマティックな⑧の美しさにも大いに胸打たれました。
'18年開催のKEEP IT TRUEフェスにHITTMANが参戦した際には、Voが思わず感極まってしまう程盛り上がったという話からも、その愛されぶりが伝わってくる1枚。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Heat of the Night ★★★ (2019-01-24 00:22:27)

アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
テクニカルなG、力強いリズム、ハイトーンVoが歌う哀愁のメロディ、
曲展開を壮麗に肉付けするコーラス・ハーモニーと、
このバンドの魅力がてんこ盛りに盛られています。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Winds of Change ★★★ (2019-01-24 00:18:44)

これぞメタルという重厚感を身に纏った勇壮なOPナンバー。
曲展開を立体的且つ壮麗に彩るボーカル・ハーモニーも
楽曲に効果的なアクセントを加えてくれています。


BATTLE BRATT - Battle Bratt - Can't Let Your Love Go ★★★ (2019-01-24 00:13:53)

派手に動き回るBと重々しく跳ねるリズムに先導されて
重厚にアルバムを締め括るラスト・ナンバー。
ハイトーンVoが歌うメロディも魅力的で
特に中間部はライブじゃさぞかし盛り上がったことでしょう。


BATTLE BRATT - Battle Bratt ★★★ (2019-01-22 23:27:07)

ニューヨーク出身の4人組が'89年にU.S. METAL RECORDSから発表した1stアルバム(エンジニアとしてVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディフェイの名前がクレジット)。ちなみに国内盤はメルダックから「MELDAC METAL MOVEMENT SIRIES」と銘打って、TITAN FORCE、PAGAN、JACK STARR’S BURNING STARR、MERZYという渋い面子の作品と一緒に'91年にリリースされています。
それにしてもジャケットが酷い。漫画家志望の女子中学生に頼み込んで描いて貰ったようなイラストは、本作を愛する身としてもちょっと擁護し難いレベルで、いっそメンバーに、お前らこのイラストのどこにイケる!という勝算を感じたのか、一体これでどんな人達にアピールしようと思ったのか問い詰めたくなるという。しかしジャケのチープさに反して、内容は全然悪くない。どころか非常に良いのだから物事は見た目じゃ分かりませんよ。
マッシヴなリフ&リズムに乗って、線は細いが魅力的な歌メロを拾うハイトーンVoや、テクニカルなGがパワフルに押し出して来る硬派なサウンドは、哀愁を帯びているがベタつかず、ドラマティックだがクサくない。雄々しいリズムに先導されてアルバムの開巻を勇壮に宣言する①、VICIOUS RUMORSを彷彿とさせる②、愁いを帯びたメロディが華麗に舞う⑥、拳を振り上げながら合唱したくなる重厚な⑨等、例えばCITIES辺りに通じる「これぞNY産」というコンクリート・メタルっぷりには思わず血が騒ぎます。またこれらの楽曲を華麗に彩るボーカル・ハーモニーの美しさも、バンドの強力な武器として機能しているという。
ジャケットに躊躇せず、是非とも手に取って頂きたいB級メタルの傑作。


BATTLE BRATT (2019-01-22 23:23:25)

‘84年初頭にリズム隊が音頭を取って結成。NEW RENAISSANCE RECORDSのオムニバス盤『SPEED METAL HELL』(’87年)に楽曲提供する等して名を上げた後、U.S. METAL RECORDSと契約を交わし、'88年にセルフ・プロデュースで1stフル・アルバム『BATTLE BRATT』を発表してデビューを果たす。ちなみに同作のCDはメルダックがリリースした日本盤しか存在していなかった為、中古盤がかなりの高額で取引されていたという。(現在は正式に再発が叶ったため安価での入手が可能)
その後まもなくバンドは音信不通となるも、'05年に結成20周年を記念して復活を遂げ、過去音源を取りまとめたアンソロジー盤や、フル・アルバムも発表している模様。


AVENGER - Killer Elite - Revenge Attack ★★★ (2019-01-21 23:48:33)

音の悪さもなんのその。
イントロのGリフのカッコ良さだけで星3つ進呈は確実。
疾走するリズムの上で湿ったメロディを熱唱する
イアンのVo、劇的に組み立てられたGソロも熱い。
遅れて来たNWOBHMの名曲。


AVENGER - Killer Elite ★★★ (2019-01-21 23:43:40)

元々は「VOICE OF NWOBHM」ことブライアン・ロスにより結成されたバンドでしたが、アルバム・デビュー直後に彼は脱退。その後SATANに加入したロスと入れ替わるように、SATANで歌っていたイアン・スウィフトをリクルートして(METAL CHURCHとREVERENDみたいなシンガーの交代劇)、AVENGERが’85年に発表した2ndアルバム。
一聴して先ずビックリさせられるのが音の悪さ。スピーカーの前に襤褸でも垂らせているのか?と耳を疑うぐらい輪郭の不明瞭なサウンドは、まさにNEAT RECORDSの貫禄。但し楽曲は最高です。のっけからブチかまされるアルバムのハイライトたる名曲①のGリフのカッコ良さにアガらないメタル者がいましょうか。それ以外にも、鋭角的に切り込んでくるGメロディが印象的な③、NWOBHM界隈において指折りの実力派シンガーだったイアンのハイトーンが冴え渡る⑤、スラッシュ・メタルに匹敵するアグレッションで突っ走る⑪等、まさにNWOBHM直系の武骨なGリフ、パワフルな突破力、いかにもブリティッシュなジメジメとした湿り気を帯びた楽曲の魅力は、音質の酷さをモノともしない眩い輝きを放っています。哀切な響きを湛えたドラマティックなバラード⑧も最高としか。
既にHR/HMシーンの主役の座がアメリカに移っていた時期にこの音、このスタイルでは、バンドが大きな成果を上げることなく解散してしまったのもむべなるかなですが、しかしだからと言って本作のクオリティが否定されるわけではありません。名盤ですよ。
尚リマスター盤を買い直したところ、しれっと《ドイツの紛い物(RAGEの前身バンドのこと)に注意》の警告文が削除されていて「あらあら」と。折角だから残しとけばいいのに。


ALDO NOVA - Aldo Nova - Heart to Heart ★★★ (2019-01-20 10:53:42)

バラード“BALL AND CHAIN”の余韻を
ハードなGが断ち切って疾走を開始するイントロの時点で星3つ。
ホットなGソロと涼し気なシンセ、それに哀愁を帯びたメロディを纏って
駆け抜けていくアルバムのハイライト・チューンの一つ。


ALDO NOVA - Aldo Nova - Ball and Chain ★★★ (2019-01-20 10:49:36)

アルド・ノヴァの甘い歌声と泣きのGが映える抒情バラード
この曲単体でも十分素晴らしいのですが、
余韻を残すアウトロから次曲のハードなイントロへ
繋がっていく展開でまた魅力的で倍率ドン、更に倍という。


ALDO NOVA - Aldo Nova ★★★ (2019-01-18 00:10:33)

書き、歌い、弾き、奏で、アルバムのプロデュースまでこなす八面六臂の大活躍。カナダ出身のマルチ・アーティスト、アルド・ノヴァの名を一躍世界に知らしめた’82年発表のデビュー作がこちら。(邦題は『ナイト・ファンタジー』)
アルバムのOPを飾るのは、アルドの活きのいいGプレイと甘い歌声(技量的に評価が割れるのは止む無しながら、歌メロは十分魅力的)、それに柔和なKeyアレンジが映える、全米シングル・チャート最高第8位にランクインを果たしたポップな代表曲“FANTASY”。この曲の後に続くヒットに恵まれなかったため「一発屋」扱いされることも多い彼氏ですが、キャッチーなメロディ満載で贈る本作が“FANTASY”一発に頼りきった内容なのかと言えば、さに非ず。躍動感溢れる③、シリアスなHRチューン⑥、プログレ・ハード風味も入ったドラマティックなバラード⑨、シンセを纏って明るく跳ねる⑩等、何だったら“FANTASY”が平凡な楽曲に思えてしまうぐらい他の収録曲の粒も揃っていますよ。
中でも個人的にグッと来るのが、憂いに満ちた抒情ナンバー④のエンディングの余韻を、哀愁を湛えて駆け抜けるロック・ソング⑤のハードなイントロへと繋ぐメリハリの効いた構成。未だにこの流れのカッコ良さには思わず握り拳を固めたくなるという。
アメリカだけで200万枚の売り上げを記録したのも納得の、アルド・ノヴァというミュージシャンの豊かな才能の迸りが克明に捉えられた好盤(この人が残した作品にハズレはないなぁ)。そういえば新作リリースの話はどうなった?


BONRUD - BONRUD ★★★ (2019-01-17 00:39:30)

ミネソタ州セント・ポールに生まれ、音楽浸けの青春時代を送ったというポール・ボンラッド。GのみならずBとKeyもこなすマルチ・ミュージシャンたる彼氏が自らの名を冠して立ち上げたプロジェクトが、FRONTIER RECORDSを通じて'04年に発表したデビュー作。
80年代メロディック・ロックを愛し、かのキース・オルセンをミキシング・エンジニアとして招聘しているだけあって、本作に託されているのは(当然の如く)90年代的ヘヴィネス&ダークネスとは一切無縁、まるで炭酸飲料の如くシュワッとハジける喉越し爽やかなメロハー・サウンド。
若干ショボめのプロダクションをものともせず、溌剌と躍動するOPナンバー①、軽快に弾むポップ・チューン④、キャッチーなロックンロール⑩等に代表される、明るく健康的な雰囲気を振りまく楽曲群と、重厚なミッド・チューン②、物悲しい哀愁を醸し出すバラード③、シャープな切れ味を有する⑦、憂いを帯びて駆け抜ける⑧といった、欧州風味の翳りを湛えた楽曲の数々を交互に配置することで、鮮やかなグラデーションを獲得した本編は聴き手を一時たりとも飽きさせません。また後者のような哀愁系の楽曲においてもジメジメ感が後を引かず、爽快な後味を残す歯切れの良さも本作の大きな魅力。ハスキー・ボイスで熱唱する優れたシンガーの存在と、曲作りの腕前のみならず、ソロ・パートにおいてはメロディックにギターを歌わせるポールのギタリストとしての熟達ぶりも、アルバムのそうした個性を強力に推進させています。
こんな力作を3桁の値段で買えてしまう現状が、ありがたいような申し訳ないような…。


STAN BUSH - Language of the Heart - Language of the Heart ★★★ (2019-01-15 23:51:00)

ピアノをバックに、憂いを湛えた抑え気味のヴァースから
コーラスに向かって解放感を増していく曲展開と
聴き手を「酔わせる」タイプのスタン・ブッシュの芳醇な歌声が
見事にマッチしたアルバムのハイライト・ナンバー。
聞き惚れます。


STAN BUSH - Language of the Heart ★★★ (2019-01-14 09:24:31)

'83年にソロ・デビューを飾ってから(BOULDERのギタリストとして世に出た時からでも構わないのですが)云十年。その間、メロディアス・ロック街道一筋に歩み続けた拘りの姿勢といい、そして残してきた作品の質の高さといい、こういう人こそ正に「職人」の名に相応しい…なアメリカ人シンガー、スタン・ブッシュが’01年に発表した、多分6、7枚目ぐらい?のソロ・アルバム。(企画盤やベスト、故パット・トービーも在籍していたSTAN BUSH & BARRAGE名義のアルバムも含めるともっとか)
素材の良さをそのまま活かしてシンプルにロックするOPチューン①を1コーラス聴いただけで、今回もスタンの伸びやかなVoを中心に据え、聴く者のミュージック・ハートに優しく語り掛けてくるような安心・安定のメロハー・サウンドが徹底されていることが早々に了解できニンマリ。HR/HMで括るには音圧の薄いアコースティックな作風や、極力飾り気の削ぎ落とされたシンプルなプロダクションが2000年前後の音楽シーンの流行を偲ばせますが、逆にその分、彼のハート・ウォーミングな歌声の細かなニュアンスまでが生々しく伝わってくる、まるで目の前で彼に歌って貰っているかのような臨場感を味わえるので、結果オーライ。キャッチーなハードポップ④を軽やかに歌いこなしたかと思えば、エモーショナルな盛り上がりっぷりに胸打たれるアルバム表題曲⑥では、味わい深い表現力を駆使した感動的な熱唱を披露したりと、スタンの職人芸を心行くまで堪能できる1枚。
この人の作品はどれを買ってもハズレなしですが、現在では国内盤がいずれも入手困難になってしまっているのが残念でなりませんよ。


MAMA'S BOYS - Growing Up the Hard Way - Last Thing at Night ★★★ (2019-01-12 23:28:22)

“夜に抱かれて”という邦題に相応しく
何となくピロートークでも始まりそうな
アダルトで気怠い哀愁漂うインスト・ナンバー。
パット・マクマナスの泣きのGプレイはやはり絶品ですよ。


MAMA'S BOYS - Growing Up the Hard Way - Waiting for a Miricle ★★★ (2019-01-12 23:26:30)

邦題は“勝利へのミラクル”
格段に上がったKeyのフィーチュア度とキース・マレルのスムースな歌唱のお陰で
気分は洗練されたメロハーといった趣きですが
白血病を患う末弟トミー・マクマナスに対する思いを綴った歌詞といい
骨の太い泣きを伴ったパットのGプレイといい、
一皮剥けばその下にはMAMA'S BOYSらしい熱い血潮が
変わることなく脈打っていることが伝わってくる名曲ですよ。


MAMA'S BOYS - Growing Up the Hard Way ★★★ (2019-01-11 00:18:45)

パット(G)、ジョン(B)、トミー(Ds)のマクマナス三兄弟により結成されたアイルランドの電撃三銃士ことMAMA’S BOYSが、専任シンガーとしてキース・マレル(Vo)を迎え入れて4人編成となり、'87年に発表した5thアルバム。(邦題は『栄光へのハード・ウェイ』)
マネージメントとのトラブルや、末っ子トミーの白血病再発といった苦難を経てリリースに漕ぎ着けた本作で聴けるのは、マイルドな音作り、キースのスムーズで伸びやかな歌唱、脇に下がったリズムに格段にフィーチュア度の高まったKeyの存在といい、HR/HMというよりはガッツリAOR/産業ロックのフィールドに足を踏み入れたサウンド。哀愁のHRナンバー“夢見る逃亡者”に涙した古参ファン諸兄がこれ聴いて肩を落とした気持ちは非常によく分かりますし、自分も彼らの入門盤に本作を薦めることはまずありませんが、それでも個人的に初めて聴いたMAMA’S BOYS作品だったこともあり、どうしても嫌いになれない…寧ろ積極的にプッシュしたい1枚だったりするこのアンビバレンツな乙女心よ(?)。
確かに楽曲自体は、「電撃」というよりも最早「電気マッサージ」ばりの心地良さに満ち溢れているものの、例えば曲調はメロハーそのものながら、パットのGソロから放たれる泣きにはAOR/産業ロックの領域からは明らかにはみ出す熱き血潮が迸っているOPナンバー①が体現する通り、決して本作はこのバンドの個性が脱臭されてしまったような内容ではないのですよ。キースの絶品の歌唱が堪能できるバラード⑥や、ラストをしめやかに締め括る渋い泣きのインスト・チューン⑨辺りも実に味わい深い逸品。
国内盤が長いこと廃盤のままほったらかしなので、ぼちぼち再発してくれないものか。


COSMOS FACTORY - An Old Castle of Transylvania ★★★ (2019-01-10 00:06:01)

60年代末期に結成され、日本のプログレッシブ・ロック・シーン黎明期を駆け抜けた5人組が、’73年にコロムビア・レコードから発表した1stアルバム。
遡ると元々はGSグループとして活動していたそうで、そのせいか歌詞は全て日本語。ファルセットを用いたVoの歌唱スタイルや、歌メロからは歌謡曲テイストが色濃く滲み、「日本語ロック論争」かまびすしい70年代当時はそうしたドメスティックな要素が批判の俎上に乗せられたりもしたそうな。但し、後追いリスナー的には「寧ろそこがいいんじゃない!」と。ムーグ・シンセサイザー、メロトロン、バイオリンというプログレ三種の神器に琴まで加え、時にメランコリックに、時に壮大に紡がれるシンフォニックなサウンドには、欧米のバンドにだって引けを取らないミュージシャン・シップ/楽曲構築力の高さと共に、日本のバンドならではの木目細かいメロディ・センスが注入されていて、こちとら本作のそうした部分にこそ惹かれた次第。
ヘヴィにして悲壮な②や、和のテイスト薫る③等、本編前半に並ぶ楽曲もいちいちこっちの琴線に触れてきますが、圧巻はやはりLPでいうところのB面を占める、全4部構成、収録時間20分に迫る一大組曲“トランシルヴァニアの古城”の存在。Gとメロトロンが重厚に咽び泣く、オカルティックなヘヴィネスと哀切なメロディに彩られたこの名曲には、KING CRIMSONのアバンギャルドな部分を薄め、その代わりに哀愁のメロディを大幅増量したかのようなCOSMOS FACTORYというバンドの魅力が凝縮されていますよ。
評価が割れているバンドだそうですが、個人的には断然「賛」に一票を投じたいところです。


COSMOS FACTORY (2019-01-10 00:03:02)

60年代末期からKey奏者の泉つとむを中心にザ・サイレンサーとして
活動していたバンドが、立川直樹のプロデュースを受けてCOSMOS FACTORYと名を改め
'73年に1st『トランシルヴァニアの古城』でレコード・デビュー。
HUMBLE PIEやTHE MOODY BLUESの来日公演の前座を務める傍ら、
'74年に2nd『謎のコスモス号』、'76年に3rd『BLACK HOLE』を発表。
'77年の4th『嵐の乱反射』を最後に解散。


GASTANK - Dead Song - Dead Song ★★★ (2019-01-09 00:02:23)

HEARTFUL MELODY~♪
前曲までは散々コワモテなアグレッションを発散していた
Voや楽器陣が、一転してこの曲では激情むき出しで
エモーショナルに泣かせに掛かる。
そのギャップにやられてしまいましたね。


GASTANK - Dead Song - The Eyes ★★★ (2019-01-08 23:57:18)

主張の強いアタッキーなB、
せかせかと前のめりで性急な疾走感、
歌メロは吐き捨てスタイルながらメロディアスで
Gソロは最高にドラマティック…
初めて聴いた時は「IRON MAIDEN?」と思いましたよ。
アルバムでも1、2を争う名曲ではないでしょうか。


GASTANK - Dead Song - Fastest Dream ★★★ (2019-01-08 23:51:59)

唸りを上げる豪快な暴れっぷりが耳惹くBと
直線的に突っ走るDsというハードコア/パンキッシュなリズムの上に
憂いを帯びた(正統派ヘヴィ・メタリックともいえる)歌メロと
Gソロが乗っかるという取り合わせの妙が非常に美味。


GASTANK - Dead Song ★★★ (2019-01-07 23:54:03)

国内のメタル/パンク・バンドはもとより、X、DEAD END、黒夢といったビジュアル系バンドにも影響を与えたことで知られるGASTUNKが'85年に発表した1stアルバム。
名をGASTANKと改めたメジャー・デビュー後は、急速に楽曲のメロディアス化を推し進めていくこととなる彼らですが、カオティックな序曲①にて立ち上がり破壊的な②へと繋ぐ本作において披露されているのは、ハードコア/パンク成分とHM成分が激しく拮抗するサウンド。であればこそ、シャウトと歌い上げを目まぐるしく使い分けるBAKIのVo、攻撃的にのたうち廻るBABYのB、切れ味鋭くメロディックに駆け巡るTATSUのGといった、各セクションの個性的なパフォーマンスが一層際立ちます。
轟然と唸りを上げるBがリード楽器の役割を担って突っ走る④や⑤といった直線的なアグレッションを撒き散らかす楽曲が存在感を放つ一方、バンドの活動テーマであり歌詞としても歌われている「HEARTFUL MELODY」も各曲を効果的に彩っていて、ハードコア調のリフ&リズムとヘヴィ・メタリックな歌メロの組み合わせがユニークな⑥、個性的なラインを刻むBの上で泣きのGソロが華麗に舞う様がIRON MAIDEN風ですらある⑧、そしてアルバムの最後を悲痛に締め括る名曲中の名曲、慟哭のヘヴィ・バラード⑨等は特に初期GASTUNKの個性が脈々と息衝く本編のハイライトではないかと。
昔は「METALLICAが認めたバンド」とか、絶賛の声が積み上がれば積み上がる程に敷居の高さを感じ構えてしまっていたのですが、実際に聴いてみればパワー/スラッシュ・メタル好きなら理屈抜きに楽しめる1枚だったという。


ZADKIEL - ZADKIEL - Miss Satan ★★★ (2019-01-06 09:13:08)

MOTORHEADの“ACE OF SPADES”とACCEPTの“FAST AS A SHARK”を
足して2で割り、それをVENOMがプレイしているような楽曲・・・
と書けば、血沸き肉躍るこのプロト・スラッシュな名曲のカッコ良さが
幾ばくかでも伝わるでしょうか。


ZADKIEL - ZADKIEL ★★★ (2019-01-06 01:15:42)

遂に復活を果たし、名盤『NO MORE PAIN』のリイシューや新作アルバムの発表等、アクティブな活動を繰り広げているDOOM。その中心メンバーだった故諸田コウ(B)が嘗て在籍していたバンドとして名前だけは知っていても、音源を入手できる機会はないだろうなぁと思っていたZADKIELが、バンド解散後の'86年に残した4曲入りEP『HELL’S BOMBER』が、未発表曲とエンハンスト映像を追加収録した特別仕様(タイトルはシンプルに『ZADKIEL』と改題)で'06年にCD化された時は、そりゃもう驚くやら喜ぶやら。
音の方は「破滅型ロックンロール」とも「日本最初期のスラッシュ・メタル・バンド」とも評されるだけのことはあり、MOTORHEADやVENOMからの影響を伺わせつつ突貫するパワー・メタルをプレイ。刺々しさと埃っぽさを四方八方に巻き散らかすサウンドと、ダビングにダビングを重ねたカセットテープばりの音質の劣悪さとが相俟ってアングラ臭の渦巻きっぷりが半端ありませんが、収録曲のカッコ良さはそうした障害物をも易々と突き抜けて届いてきます。削岩機の如き迫力と緊迫感を伴ってドカドカ突進する①、ACCEPTの名曲“FAST AS A SHARK”を彷彿とさせるスピード・ナンバー③、重心低く押し出す④等、収録曲は諸田のBプレイにしろ曲展開にしろ、ストレートに直球を放り込んでくるスタイルゆえ、DOOMよか取っ付き易く感じる人も結構いるのではないかと。
今となっちゃこの音の悪さ込みで愛して止まない作品ですよ。


CROWLEY - Whisper of the Evil - Woman in a Black Cape ★★★ (2019-01-05 00:36:01)

地獄の釜でぐつぐつと煮立てられているかのような禍々しさと、
全てを振り絞るようなハイトーンVoによる絶唱、妖しくのたうつGによって
生み出されるドラマティックなメロディ、そしてタメにタメてから
終盤で疾走に転じる劇的な曲展開に胸を鷲掴まれてしまう名曲ですよ。


CROWLEY - Whisper of the Evil ★★★ (2019-01-05 00:09:11)

元祖・和製サタニックHMバンドの一つであり、’18年に再録アルバム『NOCTURN』を発表して復活の狼煙を上げた名古屋出身のCROWLEY。暮れにCD屋を覗いたら、彼らが'86年に発表した1st『WHISPER OF THE EVIL』がしれっと再発されて棚に並んでいるじゃありませんか。思わず「?!」と我が目を疑ってしまいましたよ。
内容は1st収録曲①~⑥に加え、’85年発表のEP『THE SCREAM OF DEATH』(’85年)から⑦~⑨、それに’17年に録られた“DESTITUTE SONG”のアンプラグド・バージョン⑩の全10曲を収録。いくら伝説的名盤と謳われても30年も昔の、しかもインディーズ作品。賞味期限切れを起こしている可能性もあるのでは?との疑念は、しかし悪魔降臨を奉じるが如き邪悪なイントロに続き、ハイトーンVoとGリフが鋭角的に切り込んでくるOPナンバー①、ヘヴィな曲調と泣きのメロディのコントラストが劇的な②…と続いた時点で、遥か彼方へと吹っ飛ばされてしまったという。本作の評価に下駄を履かせる必要なんぞ皆無。中でも8分以上に及ぶ⑥は、ショーンこと岩井高志の見事な歌唱に、メンバーの厄いパフォーマンス、和製サタニック・バンドならではの「情念」を増幅する日本語詞の威力が相俟って、海外バンドの借り物ではない禍々しくもドラマティックな魅力に圧倒される名曲に仕上がっています。(リマスタリングによる音質改善も本作の魅力向上に大きく貢献)
再発にご尽力頂いたメンバーとレーベルにはいくら感謝してもし足りない、いい年こいてお年玉を貰った気分に浸れる1枚。アクマしておめでとうございます。


KIK TRACEE - No Rules ★★ (2018-12-30 09:00:49)

《ロックンロールの火を放て!女たちはヒステリックな悲鳴とともに下着を濡らし、男どもは興奮でつかみ合いと拳の応酬に身を焦がす》――ってな、飛ばしまくりの帯の惹句を読むと「80年代の作品かな?」と思わずにはいられませんが、実際はSLAUGHTERのディナ・ストラムのプロデュースを受け’91年に発表されているLAの5人組の1stアルバム。(というか唯一作?)
デビュー前からライブハウスで腕を磨き、名を上げ、レコード契約を勝ち取った連中だけに(バンド名も、ある時彼らの強力なライブ・パフォーマンスで狂乱状態に陥った女性ファンを他の客が蹴り出そうとしたことに因む)、逞しい演奏力と多彩な表現力に支えられたロックンロール・サウンドには、理屈抜きで乗せられてしまう(腰に響く)ワイルドなノリの良さが備わっています。ただ、「LIVING CLOURとTHE CULTとGUNS ’N’ ROSESを一つの煮えたぎる鍋にぶち込んでかき回してみるとKIK TRACEEになる」とのメンバーの言葉が明瞭に本作の音を説明してくれている通り、健康的な抜けの良さよりも、爬虫類系の声質でねっとり歌うVoやヘヴィな横ノリ・グルーヴが醸し出す妖しげなメロディ、ダークな雰囲気が勝る辺りは、やはり90年代の作品だなぁと。
正直、全15曲、64分オーバーの収録時間はハシャぎ過ぎたとしか思えませんし、アルバムで聴くよりもライブで体験した方が楽しめそうな作風ではあるのですが、それでも彼ら独特のメロディ・センスが活かされたOPナンバー①、サイモン&ガーファンクルのカヴァーを自己流に昇華してみせた②、土の香り漂うバラード⑥、ムーディな⑪等、優れた楽曲の数々がバンドの地力の高さをしっかりと伝えてくれる作品であることは確か。


MADAM REY - ブラッディ・ローゼズ ★★★ (2018-12-27 23:44:07)

突如HR/HMシーンに現れた仮面のメタル熟女マダム・レイ。野球解説者/東北楽天イーグルス初代監督、田尾安志の奥方がその正体であることでも各種メディアを賑わしましたが、こちとら「マダム」というからには絶対その正体は、新宿レコード店主のマダム藤原(『パワー・ロック・トゥデイ』リスナーには「皆さん、お待ちしてまぁす」のフレーズでお馴染み)だと睨んでいたのですが。んなわけはねぇか。
って、与太話はともかく。本作は彼女が'09年に発表した2ndアルバムで、脇を固めるのは横関敦(G)、SEX MACHINEGUNSの村井健二郎(B)とHIMAWARI(Ds)、そしてフィンランドの名手ミカ・ユッシラがマスタリング・エンジニアを担当するという布陣。当初はそこはかとなく漂ってくる色物臭にあまり興味を引かれなかったのですが、実際に聴いてみると、NIGHT HAWKSのリーダーである青木秀一、作曲家の川本盛文らが手掛けた収録楽曲の数々は、ハード・ナンバーからJ-POP風バラードまで、各曲ともフックと哀愁の効いたサビメロを有し、グッと引き込まれてしまう完成度を提示してくれていまして。
マダムの歌声は、見た目の盛り具合に比べると少々パンチに欠ける印象は否めないものの、シンガーとしての実力は十分ですし、ジェット・フィンガーぶりを遺憾なく発揮する横関のGプレイを始め、バックの演奏もそれを効果的に援護射撃。特にドラマティック且つエモーショナルに盛り上がるアルバム表題曲⑤から、横関のペンによるアップテンポの⑥へと繋がっていく流れは本編のハイライトですよ。(後に続くしっとり聴かせるバラード⑦も〇)
彼女がリリースしている他のカタログもチェックしたくなる1枚でありました。


TREAT - Dreamhunter - World of Promises ★★★ (2018-12-26 23:31:27)

ハードな“OUTLAW”と、雄大なこのシングル曲の2連発で
3rd『DREAMHUNTER』の勝ちは決まったといっても過言ではありません。
ちょっぴりアイリッシュ風味入ったヴァースから、
大陸産ポップ・メタル勢に通じるライブ会場で大合唱を巻き起こしそうな
サビへと繋ぐ曲展開が秀逸。
そりゃあヒットしますわな。


TREAT - Dreamhunter - Outlaw ★★★ (2018-12-26 23:26:35)

北欧メタル・バンドとしてのTREATの魅力が凝縮された疾走ナンバー。
印象的に切り込んでくるツインGから、甘美な哀メロ、煌めくKey、
それにキャッチーなコーラスまで、アルバムのハイライト・ナンバーとして
眩い輝きを放つ名曲です。


TREAT - Dreamhunter ★★★ (2018-12-25 23:28:28)

昔、近所の古本屋で本作の輸入盤が投げ売りされているのを発見し、買って帰って中を見たら何故か日本語解説&対訳が付属していて、「輸入盤なのに?なんで??」と首を捻ったことを思い出す(初期国内盤は輸入盤に帯と解説/対訳を付けた仕様だったらしい…とネット普及後に調べて判明)、TREATが’87年に発表した3rdアルバム。邦題は『サバイバー』。
TREATが「ポストEUROPE」とも「スウェーデンのBON JOVI」とも言われていた時期の作品ゆえ、音楽性はこれがまぁポップ。全編に亘って、ザ・80年代!なキラッキラに煌めくKeyがふんだんに取り入れられた、ALIENやSKAGARACKといったバンドにも通じるキャッチーでメロディアスな北欧ハードポップ・サウンドが繰り広げられています。
4th『ORGANIZED CRIME』(’89年)を先に聴いてから本作に遡った自分は、両者のギャップに結構驚いたのですが、とは言え、アルバート・ボークホルト(DEF LEPPERDの『HYSTERIA』のエンジニア)が手掛けたプロダクションは良質な上、何よりこの路線と、ロバート・アーンルンドの甘い歌声&アンダース・ヴィクストロムの抜群の作曲/メロディ・センスの相性は良好そのもの。特にバラード調のイントロからテンポアップして、Gがシャープに踊る疾走ナンバー⑥は、個人的に数あるTREATの名曲の中でも上位にランクインする逸品と信じて疑いません。またゲイリー・ムーアが演りそうな、どことなくアイリッシュな響きも湛えたメロディと、大陸メタルばりの合唱を誘うコーラスの融合が印象的な⑧も、バンド史上最大のヒット曲となったのも納得の魅力を備えた逸品であると。
TREATの初期作の国内盤は、いつかリマスター再発して欲しいなぁ。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - Livin' on a Knife Edge ★★★ (2018-12-24 09:15:16)

80年代だなぁというKeyによるリフが印象的。
『EXCESS ALL AREAS』を発表した頃のSHYも演りそうな
良い意味で典型的な英国産ハードポップの魅力が詰まった
これまた名曲。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - It's in Your Eyes ★★★ (2018-12-24 09:11:24)

サックスの調べをフィーチュアした感動的なバラード。
デビューそうそうのバンドの手による楽曲とは思えぬ
アダルトな魅力が備わった名曲です。
すでに完成されまくっているクリスのエモーショナルな
歌声にも聴き惚れますよ。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf - Only Love ★★★ (2018-12-24 09:05:53)

クリスの素晴らしくソウルフルなVoと煌めくKey、
それに哀愁のメロディをまとって心地良く跳ねる曲調が
絵に描いたようなメロハー感を醸し出す名曲。
主張の強いジェイソンのDsもバンドの個性ですよ。


VIRGINIA WOLF - Virginia Wolf ★★★ (2018-12-23 09:46:30)

その昔『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』というハリウッド映画がありましたが、あの作品同様、イギリスの女流作家VIRGINIA WLOOFからバンド名を頂いたのであろうマンチェスター近郊の都市ウォースリー出身の4人組が、'86年にATLANTIC RECORDSから発表した1stアルバム。
Voは、ここ日本ではHEARTLANDのフロントマンとして知られるクリス・ウーズィー。Dsはかのジョン・ボーナムの子息ジェイソン・ボーナム。更にプロデュースはQUEENのロジャー・テイラーが担当と、本作はなかなか豪華な面子でレコーディングされていまして。リズムを敢えて打ち込みっぽく処理した音作りは「80年代ど真ん中」といった趣きで、今聴くと相当に時代を感じさせられてしまいますが、それでも尚、跳ねるエレピが王道ハードポップ感を醸し出す③、サックスをフィーチュアした瀟洒なバラード④、女性コーラスが映えるエネルギッシュでソウルフルな⑤、英国産メロハーならではの魅力を湛えた哀愁の⑥等、キラキラと煌めくシンセを纏い、ルー・グラムを彷彿とさせるクリスの情感豊かな歌声を生かしたFOREIGNER路線のメロディック・ロック・サウンドは聴き応え満点。既にこの時点で十分に完成されているクリスのシンガーとして才の早熟ぶりや、ジェイソンのタイトなドラミングの腕前にも感心させられますよ。尤も、ジェイソンのプレイが本作の売りの一つとはいえ、やたらドラムの音が前に出たミックスはこの手の音楽性にはやや不似合いな気もしますけど…。
何はともあれ、今も昔も日本盤が出ていないことが俄かには信じがたいクオリティの1枚。


NUCLEAR VALDEZ - I Am I - Rising Sun ★★★ (2018-12-21 00:11:16)

Gによるシンプルな泣きメロの反復に
涙ちょちょ切れてしまうラスト・ナンバー。
曲調だけ取り出せば決してバラードではないのですが、
並のバラードじゃ束になって掛かっても太刀打ちできないぐらい
メロディも演奏も泣きまくっています。


NUCLEAR VALDEZ - I Am I - Summer ★★★ (2018-12-21 00:03:19)

NUCLEAR VALDEZ=この曲といっても過言ではない
哀愁のラテン・ロックンロール。
ロックンロールといっても、VoもGもメロディも
下手なバラードより遥かに泣きまくっていますが。
この曲があまりに素晴らし過ぎて、2曲目以降の楽曲を
食ってしまっている印象がある点は痛し痒し。


NUCLEAR VALDEZ - I Am I ★★★ (2018-12-19 10:06:04)

夏がく~れば思い出す~ “涙のサマー” 酷いジャケ~(外盤)♪…と、思わず“夏の思い出”の節付けて歌いたくなる、NUCLEAR VALDEZが’89年に発表した1stアルバム。
親に連れられキューバやドミニカ共和国からのアメリカへと渡ってきたメンバー達により結成されたバンドだけあって、本作に託されているのは彼らのルーツを伺わせるラテン・ロック。とはいえ、踊れや騒げやの陽気なノリではなく、例えばバンド結成の地であるマイアミが、風光明媚な観光都市と貧富の格差が生む犯罪都市としての二つの顔を持ち合わせているのと同様、NUCLEAR VALDEZが聴かせてくれるサウンドも、ラテン・ミュージックのもう一つの側面である「エモーション」と「哀愁」にフォーカスされています。何せ作中最も軽快なノリを伴う③のような楽曲ですら、彼らの手に掛かるとやるせない憂いを湛えて響くのですから相当なものですよ。
その極致が、日本でもシングル・カットされたOPナンバーの名曲①であり、歌もギターもメロディも訴えかけるように泣いている、まるで地中海に沈む夕陽を眺めながらポロリ零れる一滴の涙の如き(何だそりゃ)この珠玉の名曲を手始めに、イントロがまるで演歌な②、濃厚な哀愁が滲み出すバラード④、切ないGメロディが繰り出されるロック・チューン⑪等、本作は最初から最後までラテン風味の哀メロの大盤振る舞い。バンドは2nd『DREAM ANOTHER DREAM』において音楽性の拡散を試みますが、本作には⑤⑨のようなアップテンポの楽曲も収録。HR/HMリスナー的にも取っ付き易い仕上がりなのがありがたい。
哀メロ愛好家の方には、一家に一枚の常備をお薦めしておきたい名盤。


AOR - The Secrets of L.A. - Back to San Francisco ★★★ (2018-12-17 23:47:10)

フレデリック・スラマは見た感じミュージシャンとしての
オーラは限りなくゼロですが(失礼)、実に良い曲を書く人で
ビル・チャップリンのVoをフィーチュアしたこの曲はその好例。
キラキラと跳ねるピアノが効果的に使われているのもポイントです。


AOR - The Secrets of L.A. - Deep Whirlpool ★★★ (2018-12-17 23:43:19)

ファーギー・フレデリクセン関連作品を集める中でゲットしたアルバムでしたが、
適度にキャッチー、適度にハードなこの逸曲は、
まさに彼が歌うに相応しい出来栄えで、アルバムに対する期待値を高める
OPナンバーとしての役割をきっちり果たしてくれています。


AOR - The Secrets of L.A. ★★★ (2018-12-16 23:17:33)

若き日に、英語を学ぶために訪れたロサンゼルスにすっかり魅了されてしまい、以降、自身が制作したアルバムのタイトル全てに「L.A.」の単語をブッ込む等、かの地に対するZOKKON命(LOVE)っぷりをつまびらかに表明し続けるフランス人ミュージシャン、フレデリック・スラマ。その彼が立ち上げたプロジェクト、AORの9作目となるスタジオ・アルバムがこちら(’13年発表)。
メロハー作品請負人ことトミー・デナンダーがフレデリックと共同でプロデュースと曲作りを手掛けた本作は、いかにもカリフォルニアの青い空が似合いそうな(そしてプロジェクト名に違わぬ)ポップにしてキャッチー、且つ爽快なハードポップ・チューンが全編に亘って目白押し。まるでフレデリックの「ミーはロスを愛してるザンス」(誤ったフランス人像)との主張がそのまんま音として表現されているかのようですよ。
惜しむらくは本編に「これぞ!」というキメ曲が見当たらない点なのですが、それでも楽曲の平均点は高めな上、ファーギー・フレデリクセン、ジェフ・スコット・ソート、ヨラン・エドマン、ミカエル・アーランドソン、ジム・ジッドヘッド、ビル&タマラ・チャップリン夫妻、ボブ・ハリス、ロビン・ベックetc…といった、次から次に登場するゲスト・シンガー達のキャラの立った歌声が、ともすれば薄味に落ち着きかねない各曲に「華」を付与してくれています。ファーギーが歌うエネルギッシュなOPナンバー①や、ピアノが踊る④(Voはビル・チャップリン)辺りは、てきめんにその効果が表れた逸曲ではないかと。
ゲストの顔触れにピンと来るメロハー愛好家なら購入して損はない1枚です。


LOU GRAMM - Long Hard Look - I'll Know When It's Over ★★★ (2018-12-16 01:38:03)

哀愁を帯びたメロディを熱っぽく歌い上げるルー・グラムのVoと、
HR寄りのダイナミズムをもってアルバム後半を盛り上げる
スケールの大きなミッド・チューン。
要所で印象的なGフレーズを差し込んでくるのは
今や大物プロデューサーとして名を馳せるダン・ハフです。


LOU GRAMM - Long Hard Look - True Blue Love ★★★ (2018-12-16 01:32:37)

浮遊感のある爽やかなポップ・チューン。
ルー・グラムの伸び伸びとした歌いっぷりの良さと、
終盤からジワジワと効いてきて、
楽曲をドラマティックに味付けする
Keyの気の利いた仕事ぶりに星3つを進呈。


LOU GRAMM - Long Hard Look ★★★ (2018-12-13 23:39:09)

80年代半ばを過ぎると、FOREIGNER内部ではバンドの方向性を巡ってミック・ジョーンズとルー・グラムの対立が深刻化。ガス抜きの意味合い込みで制作された1stソロ『READY OR NOT』(’87年)が一定の成功を収めたルーの心はますますバンドから離れていき、決定打となったのが’89年に発表されたこの2ndアルバムだったという。(本作リリースの時点で既に彼はFOREIGNERから脱退していたとの説もあり)
主な参加ミュージシャンはルー・グラム以下、ブルース・ターゴン(B)&ヴィヴィアン・キャンベル(G)という後年SHADOW KINGに関わることとなる面々や、実弟のベン・グラム(Ds)、ダン・ハフ(G)といった顔触れ。無論主役はルーのVoであり、シングル・カットされTOP 10ヒットとなったポップな②や、琴の音色をフィーチュアしたオリエンタルなバラード⑦における、ソウルフル且つ伸びやかな美声には聴き惚れずにはいられません。その一方でスケールの大きなOPナンバー①を手始めに、ビートを効かせたロック・チューンもどっしりと要所を引き締めており、Keyがドラマティックな盛り上がりを演出する④(こちらはもシングル・カットされ、チャート最高第40位を記録)、ヴィヴィアンのGが唸るヘヴィな⑥、印象的なGフレーズを振りまきながら溌剌と駆け抜ける⑧、哀愁を湛えた重厚なミッド・チューン⑨といった楽曲辺りからは、シンセ主体のバラード路線に舵取りを進めたがったミック・ジョーンズに対し、「もっとロックすべき」と主張して譲らなかったルー・グラムの気骨が感じ取れるような気がしましたよ。
国内盤の『ロング・ハード・ロック』の誤植もあながち間違いとは言えない1枚かも?


PROPHET - Cycle of the Moon - Tomorrow Never Comes ★★★ (2018-12-13 00:19:53)

KANSASの“すべては風の中に”と、STYXの“BOAT ON THE RIVER”を
足して2で割ったような印象を受ける物悲しいバラード。
勿論安易なパクリ等ではなく、このバンド独自の魅力を持った名曲として昇華されています。
ラッセル・アルカラのVoの上手さも映えています。


PROPHET - Cycle of the Moon - On the Run ★★★ (2018-12-13 00:18:05)

アルバムとしてはKeyが一歩脇に引いた感がある
『CYCLE OF THE MOON』ですが、この曲では
Vo、Gの向こうを張る大活躍。
結果、前作に収録されていてもおかしくない
濃厚なプログレ・ハード風味漂うドラマティックな
楽曲に仕上がっています。


PROPHET - Cycle of the Moon ★★★ (2018-12-11 22:58:53)

名盤『聖なる予言』(’85年)発表後にディーン・ファザーノが脱退。新Voに、後に自らのバンドARCARAを率いて再び日本デビューを飾ることとなるラッセル・アルカラ(Vo)を加えたPROPHETが、'88年にMEGAFORCE RECORDSから発表した2ndアルバム。
QUIET RIOTとの仕事で有名なスペンサー・プロファーをプロデューサーに起用する人選からも明らかな通り(レーベルにあてがわれた可能性大)、Keyをたっぷりフィーチュアしたプログレ・ハード風味を大きく後退させた今作は、代わりにスコット・メタクサス(G)のGプレイをより前面に押し出した、明朗なポップ・メタル・テイストが大幅増量。憂いに満ちたドラマティックな名曲“STREET SECRETS”からスタートした前作に対し、今回の幕開け役を担うのが開放的なノリを伴うグルーヴィなHRチューン①であることも、そうした方向性を如実に物語っているという。
そんなわけで掴みは少々弱く、哀愁やドラマ性を求める向きには若干の肩透かし感は否めない本作ですが、それでもスコットのGがよく歌うハードポップ・チューン②④、楽器陣のテクニカルな演奏を活かしたスペーシーなインスト曲⑨、ノリノリにラストを〆る疾走ナンバー⑩といった楽曲は、これはこれで悪くない(というか結構良いですよ)。重厚なKeyに彩られたプログレ・ハード路線のドラマティックな③や、KANSASの名バラード“すべては風の中に”を引き合いに出して語りたくなる抒情ナンバー⑥といった、前作に収録されていてもおかしくない楽曲の存在も、本編をグッと引き締めてくれています。
前作との比較ではなく単体で評価すれば、立派に「名盤」と呼べる品質を保った1枚かと。


HOUSE OF LORDS - Sahara - Remember My Name ★★★ (2018-12-10 23:35:56)

“IT'S AINT LOVE”とは対照的にしっとり聴かせるバラードで、
シングル・カットされPVが作られたのも納得です。
この曲でもジェイムズ・クリスチャンのソウルフルな歌唱が光っていますよ。
ただこのクオリティでシングル・チャート最高第72位というのは
ちと物足りない。もっと上でもおかしくないのに・・・。


HOUSE OF LORDS - Sahara - It Ain't Love ★★★ (2018-12-10 23:29:23)

ジェイムズ・クリスチャンのパワフルな歌いっぷりと
派手に炸裂するコーラスが大仰な盛り上がりを援護射撃するバラード。
特に2分過ぎ辺りからの盛り上がりっぷりは(良い意味で)息苦しさを覚えるほど。


HOUSE OF LORDS - Sahara - Sahara ★★ (2018-12-10 23:23:29)

タイトルに相応しくどこかミステリアスな空気を身に纏った
重厚にしてドラマティックなミッド・チューン。
トライバルなリズムに乗って雰囲気を盛り上げるイントロ部分では
クリス・インペリテリが客演し高速プレイを閃かせています。
といっても一瞬な上に音量控えめなので「来る」と分かっていないと
聞き逃してしまいそうな贅沢な使い方なのですが。


HOUSE OF LORDS - Sahara ★★ (2018-12-09 00:48:19)

才能と商魂を武器にKISSのジーン・シモンズが立ち上げたレコード会社といえば、目をつけられたアーティスト達が悉く大成できずに終わってしまう不幸の女神チックなレーベルとして一部で有名ですが(?)、幸か不幸かジーンのお眼鏡に適いSIMONS RECORDSからデビューを飾ったのが、グレッグ・ジェフリア(Key)がGIUFRRIA解散後に新たに結成したこのHOUSE OF LORDSであり、本作は彼らが'90年に発表した2ndアルバム。
ジェイムズ・クリスチャン(Vo)を中心に再編された現在のHOUSE OF LORDSが聴かせてくれる、ヨーロピアンな憂いを湛えたメロディックHRサウンドに比べると、この頃の彼らの持ち味は、大味…もとい抜けが良くド派手に繰り広げられる、限りなくGIUFFRIAと同一路線のアリーナ・メタル・サウンドであります。
メロディに泣きや哀愁といった要素は薄く、正直好みのタイプとは言い難い作風。しかし「駄作か?」と漫然と聞き流していたA面が終わってからが実は本作の真骨頂であるという。イントロで客演のクリス・インペリテリが高速Gプレイを閃かせる、エキゾチックな雰囲気も湛えたアルバム表題曲⑥以降には、ジェイムズの熱唱とダグ・アルドリッチ(G)のフラッシーなソロがダイナミックな盛り上がりを演出するバラード⑦、しみじみと沁みるメロハー⑧、ケン・メリー(Ds)大暴れなスピード・ナンバー⑩等、前半戦の印象の弱さを挽回するかの如く逸曲が並んでおり、聴後感は決して悪くありません。寧ろ後味爽快。
HOUSE OF LORDSの初期作は長らく国内盤が入手困難な状態が続いており、気軽に買えるようにならんかねぇと思わずにはいられない1枚であります。


TIGERTAILZ - Bezerk - Call of the Wild ★★★ (2018-12-06 23:44:00)

ワッボーイ!ワッボーイ!
気が付けばコブシ振り上げながら合唱している
爆走ロックンロール・ナンバー。
こういうアグレッシブな楽曲でアルバムを締め括る姿勢は
HMバンドとして非常に信用できますよ。


TIGERTAILZ - Bezerk - Action City ★★★ (2018-12-06 23:42:32)

リフの切れ味は鋭く、Gソロはフラッシー、
そしてサビメロも実にキャッチーと、
本場LAにも負けない、ペカーッと輝くような明るさで
躍動するポップ・メタル・ソング。


TIGERTAILZ - Bezerk - Heaven ★★★ (2018-12-06 23:35:31)

気品を感じさせるピアノの旋律が優美さを演出する
英国のバンドならではの格調とドラマ性を湛えたバラード。
QUEENあたりにルーツを見ることが出来るかもしれませんね。


GUARDIAN - Miracle Mile - Sweet Mystery ★★ (2018-12-05 23:21:18)

気持ち良さげに掻き鳴らされるアコギと軽快に踊るバイオリンが
乾いた哀愁と土の匂いを運んでくるリラックスしたバラード。
ハスキーなシンガーの歌声も曲の雰囲気にマッチしています。


TIGERTAILZ - Bezerk ★★ (2018-12-05 23:08:46)

'87年にデビュー。ケバいルックスとロックンロールを武器に「イギリス初のヘア・メタル・バンド」とも「POISONに対する英国からの回答」とも評されたTIGERTAILZが'90年に発表し、UKチャートTOP40に食い込むスマッシュ・ヒットとなった2ndアルバム。
本作から新Voとしてキム・フッカーが加入しており、このメンバー・チェンジが大正解。テクニック的には決して上手いシンガーではないものの、金属質なシャウトが迫力満点のVoを得て、HMとグラム・ロックという英国の伝統が上手いこと融合を見たサウンドがよりワイルドにビルドアップ。鬼の形相のあんちゃんが睨み効かせるインパクト大なジャケットに相応しく、攻撃的に刻まれるGリフとヘヴィなリズム・セクションが、どこかエキゾチックな雰囲気漂わすストリングスを纏ってズンズン突き進むOPナンバー①の迫力を耳にすれば、「見た目で侮っちゃなんねぇ」とお分かり頂けるのではないかと。
メタリックな切れ味と、このバンドの本道たるキャッチーなメロディ・センス/抜けのいいノリの良さがない交ぜになった⑦⑨、合唱を誘うコーラスをフィーチュアした爆走ナンバー⑩のような楽曲には無条件で体を揺さぶられてしまいますし、恰好はLAメタル風にキメてもやはり能天気にはなりきれない、英国出身バンドとしての「業」を感じさせるバラード⑤も愛しい名曲です。でまた本作のゲストが、ストリングス・アレンジ担当のドン・エイリーや、元URIAH HEEPのピート・ゴルビーという妙に渋い人選なのも、ハジけきれないイギリスのバンドっぽくてほっこりさせられるじゃありませんか。
帯の惹句が言う通り、《開けてごらん!ナンカとってもEXCITING!》な1枚でしたよ。


GUARDIAN - Miracle Mile ★★ (2018-12-03 23:44:08)

GUARDIANといえば、ヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーから哀愁のバラードまで揃った1st『FIRST WATCH』(’89年)において、STRYPER直系の正統派HMを聴かせてくれたクリスチャン・メタル・シーンの優等生でしたが、国内盤リリースがなかった2nd『FIRE AND LOVE』(’90年)を間に挟み、'93年発表のこの3rdアルバムでは当時HR/HMシーンを席巻していたブルーズ・ロック・ブームに感化されたのか、随分と落ち着いた、茶色いHRサウンドを聴かせるバンドに変貌を遂げていて、初めて聴いた時は面食らってしまいましたよ。(ちなみにプロデュースは、ディノとジョンのエレファンテ兄弟が担当)
美旋律と分厚いVoハーモニーに彩られた正統派クリスチャン・メタルから、アコースティックギターが乾いた空気と土の匂いを運んでくる渋めのブルーズ・ロック路線へ。未だ折に触れては1stを聴き返す身としてはこの路線変更は少々残念であったものの、前作から加入した新Voのハスキーボイスによる熱唱はこの作風に非常にマッチしていますし(歌唱力も上々)、味のあるプレイを走らせるGを始め、「僕たち、デビュー当時から一貫してこの音楽性を追求してましたけど、何か?」としれっと主張するかのような、堂に入ったパフォーマンスを楽器陣が披露しているのがまた小憎らしいという(笑)。
「これ!」という強力なキメ曲は見当たらないですが、イキイキとポップに弾む⑩等魅力的な楽曲も散見され、特にフィドルが踊る⑤、哀愁を帯びたマンドリンの音色が印象的な⑨といったバラード系のナンバーには、ついつい聴き惚れてしまいますね。
今だったら「これはこれで悪くない」と冷静に評価できる1枚ですよ。


FROM THE INSIDE - Visions - 21st Century ★★★ (2018-12-02 23:45:30)

力強く駆け抜けるメロディック・ロック・ナンバー。
ダニーの熱唱とテクニカルに閃くGソロが得も言われぬ爽快感も運んできてくれます。
このレベルの楽曲がゴロゴロ収録されているのですから
本作がダニー・ヴォーンが関わった作品の中でも1、2を争う傑作と
高評価を受けているのも納得です。


FROM THE INSIDE - Visions - If It's Not Love ★★★ (2018-12-02 23:38:58)

ダニー・ヴォーンの熱い歌声が映える名バラード。
彼がピアノをバックに切々と歌う前半、
楽器隊が加わってエモーショナルに盛り上がる後半、
どちらも涙ちょちょ切れる思いですよ。
日本盤にはアコースティック・バージョンが収録されていることからも
バンド側がこの曲をリーダートラックに位置付けていることが伝わってきます。


FROM THE INSIDE - Visions - Listen to Your Heart ★★★ (2018-12-02 23:32:54)

心地よい疾走感を伴って哀愁のメロディが駆け抜け
聴き手を勇気づけるようなダニー・ヴォーンと
テクニカルなGソロがその上を爽快に舞うアルバムでも
1、2を争う名曲の一つではないかと。


FROM THE INSIDE - Visions ★★★ (2018-12-02 00:54:25)

“FOREVER YOUNG”の名曲ぶりが未だメロディ愛好家の間で語り継がれるアメリカのバンド、TYKETTOのフロントマンだったダニー・ヴォーン。彼が主役を務めるプロジェクトFROM THE INSIDEが’08年に発表した2ndアルバムがこちら。日本盤は当時キングからリリースされたものの既に廃盤で(キングは廃盤になるのが早いね)、現在では中古盤市場で1st共々結構なプレミア価格で取引されていることで知られる1枚であります。
レコーディングはイタリアのメロハー梁山泊FRONTIER RECORDSの仕切りで行われ、プロデューサーにはファブリッツオ・グロッシを起用。更にVEGAで活動するトムとジェームズのマーティン兄弟が曲作りに関与と、「細工は流々、仕上げを御覧じろ」とばかりにお膳立てはほぼ完璧。そうして出来上がった、掴みに持ってこいの①、劇的なバラード③、サビメロの絶妙なメロディ展開にフラッシーなGプレイが華を添える④、胸のすくような爽快ハードポップ⑥、高揚感を伴うキャッチーな⑪etc…と、適度にエッジも効いた珠玉のメロディック・ロック・チューンの数々を、ダニーが持ち前のハート・ウォーミングな歌声で熱唱するわけですから、もはや完成度の高さに疑念が入り込む余地はありません。そのダニーも曲作りに積極的に関わっている以上(名盤『DON’T COME EASY』がそうだったように)、ある程度はアメリカンなノリも混入しているものと思いきや、意外やほぼ全編が北欧メロハー風味の哀愁と透明感、爽快さを保ったまま進行していく辺りも嬉しい驚きです。
再結成TYKETTOでの活動で多忙なのか、近年は作品リリースが途絶えてしまっているプロジェクトですが、本作を最後にこのまま消滅させるのは勿体なさ過ぎますよ。


FROM THE INSIDE (2018-12-02 00:53:27)

90年代の逆風を受けてTYKETTOが解散した後も地道にシンガーとして活動を続けていた
ダニー・ヴォーン(Vo)が、イタリアのFRONTIER RECORDSから提案を受けて立ち上げたプロジェクト。
「外部ライターが書いたメロディアスHRナンバーをダニーが歌う」という企画意図のもと、
'04年と'08年に2枚のスタジオ・アルバムを発表。但し後者においてはダニーも積極的に曲作りに関与し、
またメンバーも固定されたバンド・スタイルが取られている。(が、これ以降作品のリリースはない)


LOS ANGELS - Neverland - Confessions of a Broken Heart ★★★ (2018-11-30 00:09:37)

お騒がせ女優(?)リンジー・ローハンが'05年に発表したヒット・シングル。
(調べてみるとアメリカよりもオーストラリアでヒットしたようですが)
元々、実の父親に対する恨みつらみを歌ったシリアスでドラマティックな名曲だけあって
それをルッピが歌えばそりゃあ超名曲にならないわけがないという。


LOS ANGELS - Neverland - Tonight Tonight ★★★ (2018-11-29 23:57:33)

冷ややかに奏でられるピアノも印象的な仕事をしている
都会派メロディック・ロック・チューン。
伸びやかで張りがあり、且つ表現力にも優れた
ルッピの絶品Voは、いくら絶賛しても絶賛し足りない
レベルの素晴らしさですよ。


LOS ANGELS - Neverland - Promises ★★★ (2018-11-29 23:52:22)

ピアノに先導される抒情的な導入から
徐々に演奏が盛り上がっていくに従って
歩調を合わせるように熱を帯びていく
ミケーレ・ルッピの歌声が圧巻の一言に尽きますよ


LOS ANGELS - Neverland ★★★ (2018-11-29 00:10:27)

いまやWHITESNAKEのKey奏者でもあるミケーレ・ルッピ(Vo)が、ミュージシャンを志す切っ掛けとなった原点でもあるAOR/産業ロックを追求するべく立ち上げたプロジェクトLOS ANGELES、'09年発表の2ndアルバム。
これまで彼については「メロパワ界の人」と認識していたため、本作に託されているのがメロディアスHRサウンドだったことには意外な思いを禁じ得ませんでした。しかし元来実力派シンガーとして鳴らす御仁だけに異なるジャンルでも見事に歌いこなしている…というか、ルッピのことを熱心にフォローしてきたわけではない身ゆえ、遅ればせながら本作を耳にして初めて「えっ!この人こんなに歌ウマ男だったの?」と衝撃を受けたという。
数々のメロハー・プロジェクトで腕を振るうファブリッツォ・V・グロッシをパートナーに迎え、トミー・デナンダー、ジョージ・リンチ、VEGAのマーティン兄弟らに曲作りの協力を仰いだ本編のクオリティが楽々K点越えを果たしていることは不思議でもなんでもありませんが、それにも増して感心させられるのはルッピの歌ウマっぷり。声域/声量/表現力の三拍子揃った伸びやかな歌声は、只でさえ高品質な楽曲を更なる高みへと導いてくれています。終盤の盛り上がりに胸打たれる④、爽快にハジける⑤、Gも負けじと歌う⑥、冷ややかな曲調と熱を帯びたルッピのVoのコントラストが鮮やかな⑦、リンジー・ローハンの名曲のカヴァー⑪etc…。またこれらの楽曲に備わった抒情性や都会的な雰囲気を効果的に増幅する、流麗なタッチで奏でられるピアノのナイス・アシストぶりも特筆ものですよ。
カバー曲が大半を占めた前作に対し、LOS ANGELSの真のデビュー作と呼ぶに相応しい完成度を提示してくれる1枚ではないでしょうか。


LOS ANGELS (2018-11-29 00:08:08)

イタリアHR/HMシーンが誇る実力派シンガー、ミケーレ・ルッピが
若い時期に聴いて感銘を受けたAOR的なサウンドを自分なりの解釈で
再構築するべく立ち上げたプロジェクト。
'07年に、リチャード・マークスを始めとする他人のカヴァー曲が
大半を占める企画色強めの1st『LOS ANGELS』でデビュー。
’09年には多彩なゲストを迎えてよりオリジナリティを高めた2nd
『NEVERLAND』も発表している。


RADIOACTIVE - Taken - Premonition ★★★ (2018-11-28 00:05:44)

多彩なゲストが参加しているアルバム『TAKEN』ですが
個人的に同作で一番愛してやまないのは、
ファーギー・フレデリクセンやジム・ピートリックといった
この手の作品じゃお馴染みの面子が関わっている
この哀愁を帯びたアップテンポのメロディック・ロック・チューンだという。
まさに実家のような安心感。


RADIOACTIVE - Taken ★★★ (2018-11-27 00:22:08)

今や北欧メロハー・シーンを代表するプロデューサーの一人となった、トミー・デナンダー(G)が公私にわたり付き合いのあるTOTOへのリスペクトを表明するべく立ち上げたプロジェクトRADIOACTIVE。当初は単発企画だった筈が、予想外の好評を呼んだことからアルバム・リリースを重ね、’08年発表の本作で既に3作目を数えています。
00年代に入りこの手のメロハー・プロジェクト物が乱発され、他所との差別化を図ることが困難になりつつあったご時世においても、RADIOACTIVEは毎度ゲストの豪華さで頭一つ抜きん出ており、今回もTOTOファミリーは勿論、ざっと参加面子の名前を挙げるだけでも、ニール・ショーン、イングヴェイ・マルムスティーン、ブルース・キューリック、ゲイリー・バーデンetc…と、枚挙に暇がないほど。各曲別に主だった参加ミュージシャンの名が記された国内盤解説と首っ引きで本編を楽しむのも一興ではないでしょうか。
収録曲に関しても安定のトミーのお仕事。…寧ろ安定し過ぎていて序盤はややインパクトに乏しい感が無きにしも非ずなれど、それでもロビン・ベックとジェイムズ・クリスチャンの夫婦デュエットが聴けるバラード⑤、ファーギー・フレデリクセンが歌うジム・ピートリック印の爽快ハードポップ⑨、参加面子の贅沢さでは随一といえる⑩、トマス・ヴィクストロムの熱唱が映えるアップテンポの⑪、プログレ・ハード風味薫る⑫等、聴き進むに従って徐々にテンションを上げていく辺りは流石。AOR/産業ロック・サウンドで括るには、意外なぐらいGにエッジの効いた活躍の場が用意されていることも印象的です。
トミー・デナンダーに対する信頼度が、また一段と高まる1枚。


MAVERICK - MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:22:04)

独産メロパワ・メタルからの影響を伺わせるパワー・チューン。
アルバムの〆に自分たちの名を冠するテーマ曲を持ってきて、
尚且つそれをちゃんと名曲レベルに仕上げていることからも
このバンドの地力の確かさが窺い知れるというものです。


MAVERICK - MAVERICK - ENDLESS SMILE ★★★ (2018-11-26 00:18:45)

アグレッシブで勇ましい曲調と
Voが歌う物悲しい哀愁に満ちたメロディの
コントラストが美味で、聴いていると何やら
負け戦に立ち向かう戦士の姿を幻視してしまいますよ。
アルバムで一番好きな曲かもしれません。


MAVERICK - MAVERICK ★★★ (2018-11-26 00:12:48)

香港やドイツでライブを行い、欧州のレーベルが企画したANVIL、RUNNING WILDといったバンドのトリビュート盤に参加する等、アルバム・デビュー前から積極的に海外での活動にも目を向けていた北海道出身のHMウォリアー、堀田勝彦(Vo、G)率いるMAVERICKが'05年にSPIRITUAL BEASTから発表した1stアルバム。
音楽性の方は徹頭徹尾の正統派HMサウンド。JUDAS PRIESTからの影響を伺わせるツインGを絡ませながら、ACCEPTばりの質実剛健さをもってリフ&リズム&コーラスが突き進む様は、なんだったら「METAL」の5文字をそのまま音楽にしてしまったかのような成分無調整っぷりで微笑ましい限り。暑苦しい(誉め言葉)声質のVoは好き嫌いが分かれそうなタイプですが、堀田の歌うメロディが時折濃厚に発散する昭和風味の哀愁にはグッとくるものがありました。特に、イントロ①の焦らしを力強く打ち破ってアグレッシブに畳み掛ける②、雄々しくもどこか物悲しさを漂わせながら疾走する⑥、MOTORHEAD的ラフなノリとキャッチーなメロディが合体したバンドの代表曲⑦、それに本編を締め括るMAVERICKのテーマ・ソングというべき独産メロパワ・メタリックな⑪は、聴く度に血中メタル濃度の高まりを感じずにはいられないパワー・チューンですよ。
デビュー作ということで、折角の曲の良さを活かし切れているとは言い難いプロダクションや、不意に露呈するVoのピッチの甘さが、未だ彼らが発展途上であることを物語りますが、新人バンドが1作目でこの出来栄えを提示してきたなら、そりゃもう「前途有望」以外の表現は思い浮かびませんて。


PYG - PYG! Original First Album - Hana Taiyo Ame ★★★ (2018-11-26 00:08:57)

子供の頃に再放送で見た「帰ってきたウルトラマン」の劇中で
流れていたのが印象に残っているのですが、あれはシングル・バージョンなんですよね。
アルバムとシングル、両バージョンを聴くことができるという
ベスト盤を買おうかどうか悩んでいます。


Scheherazade - Scheherazade ★★★ (2018-11-23 08:58:51)

日本プログレッシブ・ロック界のレジェンドとして語り継がれるSCHEHERAZADEが復活。デビューから15年目にしてようやく発表に漕ぎ着けた’92年リリースの1stアルバムがこちら。(3曲入りCDシングルもボーナストラックとして封入)
本作で繰り広げられるのは、基本的にはNOVELAに通じるシンフォニックでドラマティックなお城系プログレ・サウンド。実にクセが強い五十嵐久勝のヴィブラートびんびん物語なハイトーンVoも、勿論変わることなく健在。和製デヴィッド・サーカンプ(PAVLOV’S DOG)的というか、この五十嵐の独特な唱法をどう表現したもんか長年思い悩んでいたのですが、失恋船長さんの「ロックを歌う美輪明宏」という表現に「それだ!」と喉の支えがストンと落ちた気分ですよ。本作で言えば特に②はまさにそんな感じで、確かに好悪が分かれるVoとはいえ、ここまで個性的ならば立派な武器として昇華。ゴッドも太鼓判を押す「ビジュアル系の源流」の一つとして一聴の価値がある歌声ではないでしょうか。
リード楽器の役目を担って華麗に舞う永川敏郎のKeyと、ダイナミックにボトムを構築する大久保寿太郎&引頭英明のリズム隊の活躍が光る楽曲は、平山照継のGがイントロから唸りを上げる様式美HR風味の⑤を始め、その大半が4~5分台と比較的コンパクトにまとめられた、思いのほかハードにして重厚な作風を提示。曲調からタイトルまでQUEENリスペクトなバラード③や、17分以上に及ぶ大作ナンバー⑦のような「これぞプログレ」な楽曲も押さえつつ、作品全体としては、HR/HMリスナーにも取っ付き易いメロディ/技巧/ドラマ性のバランスが秀逸な、メリハリの効いた内容に仕上がっています。


PYG - PYG! Original First Album - Nanimonai Heya ★★★ (2018-11-22 00:27:47)

萩原健一作詞、沢田研二作曲の名曲。
ショーケンの激情迸るシャウト、咽び泣く井上堯之のG、
大野克夫が叩きつけるピアノが劇的に絡み合う
クライマックスの盛り上がりっぷりは、
息苦しさを覚えるほどに感動的です。


PYG - PYG! Original First Album ★★★ (2018-11-21 00:42:07)

日本芸能史に燦然と輝くスター、沢田研二(Vo)を始め、萩原健一(Vo)と岸部一徳(B)、数多くのドラマや映画音楽を手掛け作曲家として名を成した井上堯之(G)、大野克夫(Key)ら錚々たる面子により結成され、そしてスーパー・グループの宿命に則り短命に終わってしまったニュー・ロック・バンドが'71年に残した、スタジオ・アルバムとしては唯一の作品。
CD化が実現した際、「GSのトップ・グループでアイドル的人気を誇ったメンバー達が本格派HRを追求するべく新たなバンドを結成」という、まるでLOUDNESSを先取りしたかのような結成経緯と、何より多士済々な顔触れに釣られ完全に興味本位で購入した本作でしたが、ファズの効いたGがかき鳴らされるOPナンバー①が始まった時点で、そのカッコ良さに金属バットで後頭部をフルスイングされたぐらいの衝撃を受けましたよ。
ジュリーとショーケンのツインVoの重ね方等、全体としては未だGS時代の残り香が端々から漂ってくるものの、後追いファンには寧ろそれが新鮮に感じられましたし、何より10分に及ばんとする大作曲で、泣きのGソロと抒情的なオルガン、ヘヴィなリズム・セクションに耳奪われる⑤、『帰ってきたウルトラマン』劇中歌としても知られる哀切に満ちた⑥、そしてショーケン渾身のシャウトにメタル魂を揺さぶらる劇的な⑦と、名曲が連続する中盤の盛り上がりが圧巻。俳優としてしか認識していなかった岸部一徳が手掛けた内省的/哲学的な歌詞も今聴いても全く古びておらず、ジョン・ポール・ジョーンズが絶賛したというBプレイ共々、居住まいを正さずにはいられませんて。やるなぁ、サリー。
「日本のロック・シーン過渡期に埋もれてしまった悲運の名盤」の評価に偽りなし!な1枚。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 - 仮面の笑顔 ★★★ (2018-11-19 23:34:46)

シングルとしても発表されたPAGENTの代表曲の一つ。
『奈落の舞踏会』には《LIVE VERSION》と《FLUTE VERSION》の
2曲が収録されており、個人的には後者の方が断然好みであることは言うまでもありません。
リリカルに奏でられるピアノとたゆたうフルート(サックスかと思った)の音色をバックに
時に妖しく、時に優しげに歌い上げる永井のVoに夢見心地で聞き惚れてしまいます。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 - 蜘蛛の館 ★★★ (2018-11-19 23:25:52)

'87年に発表されたシングル『仮面の笑顔』に収録されていた
3曲のうちの1曲。(そのロング・バージョン)
作詞・作曲を一手に担い、ダーク且つリリカルなメロディに彩られた
ドラマティックな楽曲の魅力を120%引き出す歌唱をも披露する
永井博子の才気が迸りまくった名曲です。


PAGEANT - 奈落の舞踏会 ★★★ (2018-11-19 00:38:31)

独自のサウンドとコンセプトをもって、例えば陰陽座なんかにも影響を与えたという関西出身のプログ・ロック・バンドPAGENTが’87年に発表した、新曲と既発曲のバージョン違い、及びスタジオ・ライブ音源等から構成される8曲入りミニ・アルバム。
実はSABER TIGERの久保田陽子が在籍していたPROVIDENCEと勘違いして購入してしまった作品でして(女性シンガーを擁し、バンド名が「ぱ行」で始まるとこぐらいしか合っていないのに)。でもまぁ折角買ったから…と取り合えず聴いてみたら、その内容のあまりの素晴らしさに「間違えて買って大正解!」と、そのまま愛聴し続けて現在に至るという。
1曲目の“人形地獄”からして、暗く湿ったメロディといい、メリハリの効いた曲展開といい、シンフォニック且つ劇的なサウンドはHR/HMリスナーにも十分アピールしうるドラマ性を有していて、何より耳奪われるのがバンドの中心的存在でもある永井博子の歌声。近年は大木理沙の名で『ファイナルファンタジー ヴォーカル・コレクションズ』等への参加で知られる彼女ですが、デカダンな歌詞世界を表情豊かに歌い上げるVoはこの時点で既に絶品です。ストーリーテラーたる永井の圧倒的歌唱力が冴え渡る、アグレッシブと評して差し支えない“木霊”、目くるめく曲展開が幻想性を高める“奈落の舞踏会”、流麗なピアノと哀愁に満ちたサックスの調べが楽曲に備わった抒情美を引き立たせる“仮面の笑顔”、悲壮なゴシック・ロマン薫る“蜘蛛の館”といった楽曲を耳にしていると、彼女たちが作り出す音世界の水底へと引き摺り込まれていくような錯覚を覚えますよ。
買わにゃ買わにゃと思いつつ機会を逸し続けている1stを早くゲットせんといかんなぁ。


RONDINELLI - Our Cross - Our Sins - It's a Lie ★★ (2018-11-18 02:17:53)

開幕早々、ボブ・ロンディネリの猛烈なドラミングからスタート。
本作に賭ける彼の意気込みの程が伝わってくるかのようです。
正直メロディに関してはあと一歩フックが足りていない感はあるのですが
ボブ兄ィのドラミングを追いかけているだけで結構楽しめてしまうという。


RONDINELLI - Our Cross - Our Sins ★★ (2018-11-16 23:29:13)

ボブ(Ds)とテディ(G)のロンディネリ兄弟によるプロジェクトが、トニー・マーティン(Vo)、ニール・マーレイ(B)らの助力を得て’02年に発表した1stアルバム。
メンバーの4分の3が元BLACK SABBATHというこの布陣、アートワークはファンタジックで、歌詞や曲名にはDRAGONやらEVILやらCROSSやらの単語が並ぶ…とくれば、弥が上にも濃厚な様式美HMサウンドへの期待感が高まるわけですが、本作はそうした期待に必ずしも応えてくれる作風ではないので注意が必要です。ここで聴けるのは間違いなく正統派HMであり、面子が面子だけにサバスの『CROSS PURPOSEES』(’94年)を彷彿とさせる楽曲も点在しているものの、メロディの湿り気や楽曲のドラマ性は控えめで、折角のマーティンのVoもこれだと声質のアクのなさがマイナスに作用してしまい、キメ曲不在の本編と相俟って、油断すると右から左へ聴き流されかねないアッサリ薄味仕様という。
そんなボンヤリ気味な本編で気を吐くのがボブ・ロンディネリ(以下ボブ兄ィ)のドラミング。これまで然程強い印象を受けた覚えのないプレイヤーでしたが、どっこい。本作ではリードオフマンとしての役割を全うすべくパワー全開。その力演ぶりは、全身から湯気を立ち昇らせてドラムキットと格闘するボブ兄ィの姿が目に浮かぶよう。前に出過ぎていて鬱陶しく感じる人もいるかもなれど、個人的にはこんなん好きにならないわけがねぇ、と。彼のドラムが楽曲自体を強力に推進させる①②⑨辺りは今聴いても「すげぇ頑張ってんなぁ」と顔が綻んでしまいますよ。
客観的に評価すればHM作品としては平均点ぐらいでしょうが、ボブ兄ィに対する好感度は爆上げな1枚です。


GILLAN - On the Rocks ★★★ (2018-11-14 23:26:21)

‘81年6月、バーニー・トーメ(G)脱退5日前に、GILLANがドイツのアーヘンで行ったライブの模様を収めた実況録音盤。中古屋で見かけて「へー、こんなん商品化されてたんだ」と思わず興味に駆られて購入してしまいました。
ライン録りなのか、オーディエンスの歓声が殆ど入っておらず、また本来ショウのOPを飾っていスピード・ナンバー“UNCHAIN YOUR BRAIN”が録音上の不備で未収録という痛恨のミステイクが惜しい作りながら、代表作『FUTURE SHOCK』(’81年)を発表し、脂の乗り切っていた時期のGILLANのライブゆえ、楽曲も演奏も火が出るぐらいにホットでスリリング。「パンク世代のジミ・ヘン」トーメのGは脱退直前とは思えぬテンションの高さですし、何より圧巻なのが、プレイにしろアピアランスにしろ一癖も二癖もある個性派揃いの面子をがっちり従えて、1曲目からキレキレの歌声をブッ込んでくるイアン・ギランその人ですよ。彼のVoにリアル・タイムで触れた最初の作品が(よりにもよって)『紫の聖戦』だったこともあり、正直ギランの実力を侮り倒していた我が身なので、こうして後追いで過去の音源に触れる度に、彼に対する再評価ゲージがグングン高まっていくのを感じる次第(加齢と折り合いをつけた現在のギランのVoも嫌いじゃないですが)。特にDEEP PURPLEとはまた異なった破天荒さが炸裂する“SMOKE ON THE WATER”を皮切りに、ヒット曲“NEW ORLEANS”、お馴染みの“LUCILLE”と続く終盤3曲の怒涛の畳み掛けには、GILLANのライブ・バンドとしての魅力が凝縮されています。
この編成でのライブが見てみたかったなぁと、叶わぬ夢を抱かずにはいられない1枚。


FROM THE FIRE - THIRTY DAYS AND DIRTY NIGHTS ★★★ (2018-11-14 00:32:11)

NY出身の5人組が、ジーン・ボヴアー(CROWN OF THORNS)のプロデュースを得て'92年に発表したデビュー作。結構長い間オフィシャルなCDが日本盤しか存在しなかったため、世界中のメロハー・マニアの間で争奪戦が繰り広げたレア・アイテムとして知られる1枚でしたが、現在はYESTERROCKからリマスター盤が再発済み。安価にて容易に購入が可能なのですから良い時代になりましたなぁ。(その昔大枚叩いて中古盤を落札してしまった我が身の嘆きをともかくとすれば)
それはさておき。本作がプレミア価格で取引されていたのは単に「希少盤だったから」という理由だけではなく、その内容の素晴らしさがあったればこそ。本編はRASPBERRIESの名曲“GO ALL THE WAY”のカヴァーを含めて全9曲を収録。捨て曲の類は当然一切なし。特に哀愁のメロディをJ.D.ケリーがエモーショナルに歌い上げ、それを美しいボーカル・ハーモニーと、後にRAINBOWに加入するポール・モリスが奏でるKeyとがメロウ且つドラマティックに彩る①は、OPナンバーにしていきなりアルバムのハイライトを飾る名曲で、これで掴みはOK。後に続く愁いを帯びて駆け抜ける④や、ブリッジにおけるメロディ展開とJ.D.の熱唱ぶりに涙ちょちょ切れる⑥、女性シンガーがデュエットで華を添える劇的な⑦なんかも、その①に匹敵するインパクトを放つ逸曲であり、こうした強力な出来栄えを誇る楽曲群に適度なエッジを加えるトミー・ラファティのGプレイも、後日ジーンに誘われてCROWN OF THORNS入りするのも納得のセンスと腕前がキラリ光ります。
メロディ愛好家なら一家に1枚は常備しておきたいメロハーの名盤ですよ、これは。


WILDSIDE - Under the Influence - Lad in Sin ★★★ (2018-11-12 23:39:53)

お、こんなタイプの楽曲も演ってくれるのか!と
Keyをアクセントに用いたドラマティックな曲展開に
予想外のボーナスを貰った気分になれる
お得なハード・ナンバー。
ここでもGが良い演奏を聴かせてくれていますよ。


WILDSIDE - Under the Influence - Looks Like Love ★★★ (2018-11-12 23:32:09)

LAのバンドらしく、明るく溌剌とハジける
ハードポップ・ナンバー。リフにリードに、
ブレント・ウッズのセンスフルなGプレイが
全編に亘って冴え渡っています。


WILDSIDE - Under the Influence ★★★ (2018-11-11 09:25:15)

ランディ・ローズとジョージ・リンチに師事し、後にヴィンス・ニールの2ndソロ『CARVED IN STONE』(’95年)のギタリストに抜擢されたことでも知られるブレント・ウッズ(G)が在籍していたLA出身の5人組、’92年発表のデビュー作。
本作はワイルドに炸裂するOPナンバー①からして、「本当に90年代の作品?」とばかりに明るく溌剌としたLAメタル感全開。アクの強い声質でパワフルに歌いまくるVoを始め、バックを固めるメンバーの演奏も実にタイトでエネルギッシュ。何よりテクニックを駆使して弾きまる一方、逆に聴かせるべき所ではしっかりとメロディを聴かせるブレントの華やかなGプレイからは、世が世ならギター・ヒーローの座だって夢ではなかったであろう豊かな才能が迸っていて、ヴィンスのお眼鏡に適ったのも納得ですよ。尤も、当時流行りのグランジ/オルタナ・ロック要素を大胆に取り入れた作風だった『CARVED~』でこの人のセンスが十全に発揮できたかどうかは甚だ疑問が残るところではありますが…。
曲によってはKISSのポール・スタンレーやジム・ヴァランスの名前が共作者としてクレジットされている本編は、仄かな哀愁を湛えたミッド・チューン②、王道パワー・バラード④⑪、LAのそよ風が爽やかに吹き抜けるかの如き⑤、緩急を活かしたドラマティックな曲展開で6分近い長尺を綴る⑥、ブルージーな⑧、エネルギッシュな疾走ナンバー⑨…と、聴けば聴くほど好きになる楽曲が目白押し。
リリース当時鼻も引っ掛けなかった自分が言えた義理じゃありませんが、あと数年早く発表されていればバカ売れしてたんじゃないかと思わずにはいられない1枚。


KEEL - Keel - King of the Rock ★★★ (2018-11-09 00:16:50)

何をもってKEELらしいとするかは人それぞれだと思いますが
筋張ったロンのシャウト、切れ味鋭いツインG、ノリ良く疾走するリズム、
キャッチーなコーラスと、4thアルバムにおいて最も「ああ、KEELだなぁ」と
思わされた疾走ナンバーの逸品。


KEEL - Keel - United Nations ★★★ (2018-11-09 00:11:11)

合唱せずにはいられないアンセミックなアルバムOPナンバー。
バンド・メンバーのみならず、その家族や関係者、ゲスト・ミュージシャンら
総勢50名がレコーディングに参加し、更にそれをマイケル・ワグナーが
分厚く膨らませたコーラス・ワークが圧巻の迫力を誇る。
テーマに相応しく、国連本部でも演奏したことがあった筈。


KEEL - Keel ★★★ (2018-11-08 00:16:52)

来日公演も盛況の内に終了させたKEELが、その余勢を駆って発表した4thアルバム(’87年)。尤も翌年にはマーク・フェラーリとブライアン・ジェイのGチームが揃って脱退、ほどなくバンドは解散してしまうこととなるのですが、まぁそれはまた別のお話…。
プロデューサーがジーン・シモンズからマイケル・ワグナーにバトンタッチした本作は、初期作に比べるとKeyのフィーチュア度が上がった分、ヘヴィ・メタリックな疾走感や荒々しさは後退。いかにもマイケル・ワグナー印といった感じの分厚いプロダクションを得て、ミッド・テンポの楽曲を中心に据えたサウンドは、よりメロディアスでマイルドに、華やかなボーカル・ハーモニーをふんだんに散りばめた洗練されたポップ・メタルを聴かせてくれるようになりました。
特にバンドの家族や関係者、ゲスト・ミュージシャン(あと取材で現場を訪れていた酒井康)ら、総勢50名以上がレコーディングに協力したというビッグなコーラスがフィーチュアされたOPナンバー①はインパクト十分の名曲。それ以外にも、哀愁のミッド・チューン②、優しげなバラード④、一転してキレのあるツインGがアグレッシブに躍る疾走ナンバー⑤、キャッチーなメロハー⑧、颯爽と本編を締め括る⑩等、耳を捉える楽曲が揃っていて、それらを伸びやかに歌い上げるロン・キールのVoも、無駄な力みが薄れ確かな成長を感じさせてくれます。尤も、消化に悪そうな筋張った歌声はロンの立派な個性でもあるわけですが。
KEELがバンド名をタイトルに冠したのも納得の充実作。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night - Total Eclipse of the Heart ★★★ (2018-11-07 00:46:11)

邦題は“愛の翳り”。タイトルは知らずともメロディを聴けば
「あぁ、どこかで聞き覚えがある」となること請け合いの大ヒット・ナンバー。
楽曲に備わった陰影やダイナミズムを余すところなく表現しきる
ボニー・タイラーの熱唱が、元々高めな楽曲の魅力を更に数倍にも引き上げてくれています。
ついでにPVを見ると、80年代前半に巻き起こったニンジャブームの勢いも実感できるという塩梅で。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night - Faster Than the Speed of Night ★★★ (2018-11-07 00:38:49)

パンイチのマッチョが踊り狂うPVには困惑が隠せませんが、楽曲自体は最高です。
ピアノ好きとしてはイントロだけでグッと掴まれてしまいますね。
いかにもジム・スタインマン印の大仰且つドラマティックな音世界を
パワフルに表現しきったボニー・タイラーの堂々たる歌唱が圧巻。
タイトルもHR/HMっぽくて良し。


BONNIE TYLER - Faster Than the Speed of Night ★★★ (2018-11-05 23:54:22)

ミートローフと組んで『地獄のロック・ライダー』を大ヒットさせたプロデューサー、ジム・スタインマンの陣頭指揮を仰いで制作。女性シンガー初となる、英米両国のアルバム・チャートで№1に輝いた作品としてギネス認定を受ける他、その年の数多の音楽アワードを総なめにしてボニー・タイラーのブレイク作となった、’83年発表の2ndアルバム。
本編はいきなりC.C.R.の名曲(日産セレナのTVCMに使われていたことでお馴染み)“雨を見たかい”のカヴァーからスタートしますが、ピアノを全面的にフィーチュアしたゴージャス且つドラマティックなアレンジや、スケールの大きなサウンド・メイキングはまさにジム・スタインマン・ワールド。そしてこのクドイぐらい大仰な音世界には、それに負けないぐらいのクドさ(誉め言葉)で迎え撃つ、「女ミートローフ」ことタイラー姐さんのハスキー且つパワフルな歌声が実によく映える。これぞ理想的なコラボレーションですよ。
ドラマ『スクール・ウォーズ』主題歌として麻倉未稀にカヴァーされた名曲“HOLDING OUT FOR A HERO”が聴けるのは次作『秘めた想い』(’87年)なれど、アルバム・タイトルのカッコ良さといい、タイトに締まった音作りといい、それに何より収録曲の粒の揃い具合で断然本作の方に軍配が上がります。ハイライトはやはり4週連続で全米チャート第1位の座に居座った劇的なバラード“愛の翳り”(PVも珍味で最高)ということになるのでしょうが、流麗なピアノのイントロを皮切りに、息苦しい程の怒涛の盛り上がりを呈するジム・スタインマン節全開のアルバム表題曲②もそれに匹敵する名曲っぷり。
ボニー・タイラー入門盤といえば間違いなく本作で決まりでしょう…って、廃盤なの?