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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1501-1600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1501-1600

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Millennium - Awakening ★★★ (2018-07-10 23:25:47)

お蔵入りの2nd『CAUGHT IN A WARZONE』(’15年)を世に出して復活の狼煙を上げた英国のMILLENNIUMが、'17年に発表した再結成第一弾アルバム。つまり3rdか?
中心人物のマーク・ダフィ(Vo)は、TORANAGAの復活作も水準以上の内容に仕上げてくれた実績があるため(あっちの作曲者は別人だけど)、聴く前からある程度信頼はしていましたが、「今時の若い奴らには負けへんでぇ!」とばかりにのっけからアグレッシブなGリフが繰り出される1曲目のイントロだけで、こちとら思わず顔が綻んでしまったという。
アグレッシブといっても、無理して流行に手を染めてみました…なんてことは勿論なく。長らくMILLENNIUMの唯一作だった1stでは、どちらかと言えばPRAYING MANTISの系譜に連なるメロディアスなHMサウンドが持ち味だった彼らが、本作ではエピック・メタルのエッセンスを楽曲に注入し、より勇猛且つ重厚な――言うなればTORANAGAとMILLENNIUMの合わせ技一本!――なサウンドを提示。どんより薄曇りなメロディを拾っていくマークの歌唱はデビュー当時から変わらぬヘタウマっぷりを保ち続けており(褒め言葉)、収録各曲から漂ってくるNWOBHMの匂いを的確に増幅してくれています。そんな彼の錆声Voと、印象的なフックを構築するツインGを十全に活かしたアップテンポ①⑩、アコギに始まりエピカルな盛り上がりを呈する④、好戦的にしてキャッチーな⑥、本編最速ナンバー⑪等は、現役バンドとしての気迫と英国産HMの伝統が巧みに溶け合わされた、復活MILLENNIUMならではの名曲に仕上がっているのではないかと。
ここまでやってくれるとは…、と期待を上回る出来栄えに脱帽させられる1枚。


SAMSON - Survivors - Wrong Side of Time ★★ (2018-07-09 23:43:07)

名曲“TOMORROW OR YESTERDAY”のインパクトに掻き消されがちですが、
こちらも英国産HRらしい陰気なメロディと気だるげな雰囲気を身に纏わせて
終盤ぐぐっと盛り上がっていく様がなかなか聴かせてくれる
バラードの逸品に仕上がっています。


SAMSON - Survivors - Tomorrow or Yesterday ★★★ (2018-07-09 23:36:47)

NWOBHM勃発を世に知らしめたオムニバス・アルバムの名盤
『ヘヴィ・メタルへの招待』にも提供されたSAMSONの代表曲の一つ。
ゲスト参加のコリン・タウンズの抒情的なピアノをフィーチュアして
バラード調に始まり、中間部はハード且つドラマティックな盛り上がりを
聴かせてくれる曲展開は、ほんのりプログレッシブ・ロックからの影響も感じられます。
やいのやいの言われるポール・サムソンのVoですが、
ここで聴くことのできる哀愁に満ちた歌声は実にあじわい深くグーですよ。


SAMSON - Survivors ★★★ (2018-07-09 01:01:31)

NWOBHM勢の中ではいち早くデビューを飾ったSAMSONが、シングル『TELEPHON/LEAVING YOU』(’78年)に続いて’79年に発表した1stアルバム。
散々言われている通り、本作に関してはNWOBHMそのものな音を期待すると間違いなくスカされますんで要注意。邦題からジャケット・デザイン、サンダースティックのドラミング、そして楽曲に至るまで、ブルース・ディッキンソンが加入して飛躍的なパワーアップを遂げる次作『魔人襲来』(’80年)に比べると、ブルーズ、ブギー、ロックンロールのエッセンスと、70年代HRのノリを色濃く宿したサウンドは、イマイチ華に乏しいポール・サムソンのVoと相俟って、地味な印象が拭いきれないのは間違いありません。
但し、そうした諸々の注意点を飲み込んだ上で改めて聴き直せば、地味さは「味わい深さ」に早変わり。収録曲の粒は必要にして十分揃っていることにも気付かされます。リフ主導でドライヴするOPナンバー①(邦題“言うは易く行うは難し”…って何ちゅう邦題だ)からはNWOBHMの萌芽を感じ取ることだって出来ますし、軽快に弾むピアノをフィーチュアして疾走する⑥、英国産らしい煮え切らない哀愁が纏わりつくバラード⑧…。中でもNWOBHMの発火点となったオムニバス・アルバムの名作『へヴィ・メタルへの招待』に提供され、SAMSONの知名度を上げることに大きく貢献したドラマティックな④は、プログレッシブ・ロック風味をも飲み込んだ名曲として存在感を放っています。
SAMSON作品の中では日陰者の地位に甘んじている本作ですが、CDにはブルース加入後に録られた歌い直しVerもボートラックとして収録。スルーは勿体なさ過ぎる1枚かと。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Footprints in the Rock ★★★ (2018-07-07 00:22:42)

本編中においてはハード寄りな仕上がりを聴かせるアルバム表題曲。
仄暗い緊迫感を湛えてGが奏でるメイン・メロディが耳に残ります。
ツイン・リードGのメロディアスな絡みや、
Voの(良い意味で)垢抜けない歌メロがいかにもNWOBHMな趣き。
HR/HM史に足跡を刻みたいというメンバーの思いが託されたタイトルも秀逸ですよ。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Mighty Love ★★★ (2018-07-07 00:14:38)

適度な疾走感と印象的なテーマ・メロディ、
一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラスを有する
これまたNWOBHMの匂いを濃厚に現代に伝えてくれる
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
Gソロも聴き応えあり。


TRESPASS - Footprints in the Rock - Be Brave ★★★ (2018-07-07 00:07:50)

ヘタウマVoが歌う曇天模様の歌メロといい、
早歩きのテンポに乗せて、伸びやかにハモるツインGが
奏でる湿った旋律といい、80年代初頭のTRESPASSが
そのまんま現代に蘇ったかのような逸品。
初期PRAYING MANTIS好きにもお薦めです。


ROCKHEAD - Rockhead - Hell's Back Door ★★★ (2018-07-05 22:02:47)

THE CULLTのビリー・タッフィー(G)がゲスト参加。
本編中最もヘヴィ・メタリックな質感を宿して
快活に弾む逸品。個人的にアルバムでも1、2を争うぐらい
お気に入りの楽曲です。


ROCKHEAD - Rockhead - Warchild ★★★ (2018-07-05 21:59:15)

7分以上に及ぶ大作ナンバー
ストリングスも取り入れた、少々エキゾチックな雰囲気漂わす重厚な曲調は
国内盤の解説で指摘されている通り、ちょっぴりLED ZEPPELINの
“KASHMIR”に通じるものを感じなくもないという。


TRESPASS - Footprints in the Rock ★★★ (2018-07-04 00:21:04)

サットクリフ兄弟を中心に結成され、'99年にはNWOBHM勃発から20周年を祝う記念ライブに出演するため初来日も果たしているTRESPASS、'18年発表の復活第2弾アルバム。(タイトルが良いですよね)
‘93年リリースの最初の再結成アルバムでは、流行に飲み込まれたダーク&へヴィな作風を披露してファンに盛大に溜息を吐かせたTRESPASSでしたが、今作では往年の「らしさ」を大幅回復。どれぐらい回復したかと言えば、そもそも彼らの作品はシングルや初期デモ音源を取りまとめた編集盤『THE WORKS』(’92年)しか聴いたことがない自分のような手合いですら、「実にTRESPASSらしい作品!」と膝を打ってしまったぐらいに。
特に頭3曲は強力で、湿気ったリフ、印象的なハーモニーを奏でるツインG、くぐもった声質で煮え切らない歌メロを拾っていくマーク・サットクリフのヘタウマVo…と、何から何まで80年代初頭からまんじりと変化していない(褒め言葉)、往年のTRESPASSサウンドそのまんまな出来栄え。2本のGのハモリっぷりが1st時のPRAYING MANTISを彷彿とさせる②や、愁いを帯びたメロディが疾走する③なんて、いやこれマジで書き下ろしの新曲?デビュー当時の未発表曲とかでなく?と思わず呟かずにはいられませんでしたよ。
アルバム後半で若干の息切れを感じなくもないとはいえ、それでもツインGが緊迫感を伴って切り込んでくる⑤、重厚にしてドラマティックなアルバム表題曲⑥等、TRESPASSにしか生み出しえない楽曲が次々に繰り出される中盤戦までだけでも本作に対する高評価は揺るぎありません。
開き直ったベテラン・バンドの底力に惜しみない拍手喝采を送りたくなる1枚です。


DEMON - British Standard Approved - Wonderland ★★ (2018-07-03 00:18:35)

曲調は明るくポップですが
歌詞は「ワンダーランド」(当時の英国)を皮肉っているという
英国バンドらしいDEMONのシニカルなセンスが堪能できる
爽やかなハードポップ・チューン。


DEMON - British Standard Approved - Proxima ★★★ (2018-07-03 00:15:28)

壮大でドラマティックなバラード。
スティーヴ・ワッツのKeyをバックに
主役として堂々たる歌いっぷりを披露する
デイヴ・ヒルの「実力派シンガー」ぶりが聴きモノです。


DEMON - British Standard Approved ★★ (2018-07-01 21:54:22)

今作への参加を最後に、病没したオリジナル・メンバー、マルコム・スプーナー(G)に捧げられている’85年発表の4thアルバム。
前作『悪魔主義』で開眼したプログレッシブ・ロック路線に更に大胆に踏み込んでおり、DEMON史上最大の問題作といえば、真っ先に本作の名前が思い浮かぶ人も多いのではないかと。タイタニック号がモダン・アート調に描かれたジャケット、やがて沈みゆく豪華客船と、アルバム制作当時の閉塞感漂う英国の世相を重ね合わせたコンセプト、個々の楽曲のインパクトより、滑らかに紡がれる作品全体の構成を重視した作り、そして何より実力派シンガーぶりが板に付いてきたデイヴ・ヒル(Vo)の歌唱と、スティーヴ・ワッツ(Key)の鍵盤捌きを両軸に展開されるサウンドに、最早NWOBHM色は勿論、バンド名から想起するような悪魔感も皆無。PINK FLOYDを引き合いに批評されたという本作について、国内盤の解説でデイヴが「DEMONはアルバム毎に変化してリスナーを驚かせてきた」と胸を張っていて、いやまぁ確かにビックリはしましたよ?ビックリはね…という。
そんなわけで、長らくコレクションしている「だけ」に留まっていた本作ですが、数年前に不意に自分の中に到来したDEMONブームに背中を押され改めて聴き直してみたところ、時に淡く、時にポップに、そして時に壮大に繰り広げられるサウンドの質の高さがようやく理解できた次第。何より進化と称して安易に売れ線に走るのではなく、あえてプログレ方面に突き進む、DEMONの頑固な英国気質には敬意を表さずにはいられません。
まかり間違っても入門盤にはお薦めしませんが、スルーするのは惜しい1枚であります。


JERUSALEM - Jerusalem - Beyond the Grave ★★★ (2018-07-01 00:42:31)

呪詛の詠唱を思わせる朗々響き渡るVo、
バンド名に相応しいエキゾチックな味わいのメロディを奏でるGとが
怪しげなムードを醸成するアルバム後半のハイライト・ナンバー。
ちょっぴり60年代サイケデリック・ロックの名残りも感じられたり。


JERUSALEM - Jerusalem - Murderer's Lament ★★★ (2018-07-01 00:29:59)

“殺人者の悲歌”なる邦題に相応しい、オカルト・ロック的
不気味さとへヴィネスが横溢する曲調と、
Voの歌メロを始め、人を食ったような軽快さとが同居した
独特の味わい漂う逸品。


JERUSALEM - Jerusalem - Frustration ★★★ (2018-07-01 00:24:25)

ブルーズやプログレとは一味違う、
疾走感溢れるGを前面に押し出して走り抜ける曲調が
メタリックなアグレッションを放つOPナンバー。
元祖NWOBHM的な扱いを受けているのも納得ですよ。


JERUSALEM - Jerusalem ★★★ (2018-07-01 00:19:39)

結成時期やメンバーの動向等、バイオに未だ空欄が目立つ謎多き英国の5人組が'72年に残した唯一のフル・アルバムで、00年代に入ってCD化されるまで長らく入手困難な状態が続いたことから「幻の名盤」扱いされていた1枚。(現在は紙ジャケ国内盤が容易に入手可能)
ブルーズやプログレ臭の薄い、直線的且つスピーディに押して来る、同時代のHR作品と比較しても頭抜けてアグレッシブなサウンドから、NWOBHMを引き合いに出して語られる機会が多いという話も納得の本作。流石に現代の感覚からすると音作りは素朴で隙間も目立ちますが、楽曲が放つインパクトは今もって全く色褪せてはいません。
腕の立つ面子が余裕綽々で高度な演奏バトルを繰り広げるのではなく、20歳そこそこの無名の野郎共が、演奏は多少荒っぽくとも爪先立ちでHRの限界を押し広げようとするかの如く突っ走る様は、まさに元祖NWOBHM。1曲だけ飛び抜けてハードってのとは異なり、疾走感に溢れたGに耳奪われるOPナンバー①、“殺人者の悲歌”なる邦題に相応しいオカルト・ロック的オドロオドロしさと、Voが歌う軽快なメロディの捻じくれた組み合わせが印象的な④、“21世紀の精神異常者”を思わすへヴィネスを湛えた⑦、エキゾチックな風情も薫るミステリアスな⑧等、ほぼ全編に亘ってハードネスが維持されている点もNWOBHM的か?と。あとDEEP PURPLEの一員として、HRを新たなステージへと押し進める名盤『IN ROCK』誕生に貢献し、イケイケだった頃のイアン・ギランに見出され、彼のプロデュースを受けたことも本作の先鋭的な作風に少なからず影響があったのではないでしょうか。
バンドがこれ1枚で終わってしまったことが残念で仕方なくなる1枚ですよ。(…と思ったら何と再結成して'09年に2ndを発表していたと知ってびっくり)


RALPH SANTOLLA - Shaolin Monks in the Temple of Metal - Sartori ★★★ (2018-06-27 23:30:45)

和音階を取り入れた抒情ナンバー。
アルバム・タイトルやアートワークに呼応する
穏やかで平安に満ちた曲調は
まさに悟りの境地を描き出すかの如し。


RALPH SANTOLLA - Shaolin Monks in the Temple of Metal - Starlight ★★★ (2018-06-27 23:26:31)

2ndソロをTENのヴィニー・バーンズが、
エンディングのソロをFAIR WARNINGのヘルゲ・エンゲルケが、
リズム・セクションをEMERALD RAINのメンバーがゲストとして
固めていることでも注目すべき楽曲ですが、
何より素晴らしいのは歌謡曲的ですらある哀愁のメロディの煽情度。
ラルフのよく歌うGがそれを効果的に盛り立てています。


RALPH SANTOLLA - Shaolin Monks in the Temple of Metal - Red Baron ★★★ (2018-06-27 23:21:33)

時に流麗に、時にクラシカルに、そして時にエモーショナルに
哀愁を湛えたメロディを奏でながら駆け巡るGプレイに聴き惚れる
歌なしのハンデを全く感じさせないインストの逸品。
ラルフ自身が奏でるピアノも非常に効果的です。


MILLENIUM - Hourglass - Power to Love ★★★ (2018-06-26 23:07:17)

「爽快」という言葉をHRナンバーに仕上げたら、
こんな楽曲になるんじゃねえか?という。
ラルフ・サントーラの作り出したパワフル且つキャッチーな楽曲と
ヨルン・ランデの灼熱のパワーVoが見事な化学反応を起こした
メロディックHRチューンの理想形を示す名曲中の名曲。


RALPH SANTOLLA - Shaolin Monks in the Temple of Metal ★★★ (2018-06-26 23:01:35)

自分がHR/HMを聴くようになって以降にデビューを飾ったミュージシャンの訃報に触れるのはやるせなさが過ぎるでしょうと、ラルフ・サントーラ死去の報を知り、彼が'02年に残したソロ・アルバムを引っ張り出して聴き直しながら呟いてしまいましたよ。
メタル冬の時代真っ只中のアメリカから、EYEWITNESS、MILLENIUMといったバンドを率いて登場したラルフは、ウリ・ロートやマイケル・シェンカーの系譜に連なる卓越したGテクニック&表現力、それに優れたメロディックHRナンバーを次々クリエイトする曲作りの才をもって注目を集めたギタリストでありました。特にMILLENIUMは名曲の宝庫で、ヨルン・ランデが歌ったパワフル且つ爽快な“POWER TO LOVE”や、阪神大震災を題材に取った劇的な疾走ナンバー“RUN”等は、今でも折に触れて聴き直す名曲ですよ。
本ソロ・アルバムでもそうした彼の個性は如何なく発揮されていて、単にテクニカルなだけでなくメロディアスによく歌いもする彼のGと、流麗なピアノ(ラルフ自身が担当)のクラシカルな共演が秀逸なOPナンバー①、哀愁に満ちた楽曲に、ヴィニー・バーンズとヘルゲ・エンゲルケがゲスト参加して華を添える④、アルバム・タイトルと邦題『悟道』が物語る通り、作品全体をうっすらと覆う東洋フィーリングの源泉というべき⑧(タイトルからして“SATORI”ですよ)等は、まさにラルフ・サントーラ印の逸品。
近年はデス・メタル界隈での助っ人的活躍が目立った彼氏。それはそれで頼もしいけど、でもまたいつかMILLENIUMを復活させてくれないものかとボンヤリ期待していたのですが、今はただただ、その「またいつか」の機会が永久に失われてしまったことが悲しい。


YES - Fragile - Heart of the Sunrise ★★★ (2018-06-25 23:56:41)

映画『バッファロー'66』で印象的に使われていて、
個人的にYESを見直す切っ掛けとなった恩人とも言える名曲。
“燃える朝焼け”を拝むべく、山あり谷ありの起伏に富んだ道行を
乗り越えていくような、壮大にしてスリリング、
且つドラマティックな曲展開は、11分越えの長尺が
全く苦にならないほどにエキサイティング。


YES - Fragile - Roundabout ★★★ (2018-06-25 23:42:35)

凝ったアレンジや複雑な曲展開と、ポップで親しみ易いメロディ、
繊細な表現力と豪快な破壊力、大衆性と独創性等々…
相反する要素を丸呑みにしてスリリングに疾走する真にプログレッシブな名曲の一つ。
それにしても、よくこれをアニメの主題歌に起用しようと思いつきましたね。


YES - Fragile ★★★ (2018-06-24 08:07:54)

その昔KING CRIMSONの『クリムゾン・キングの宮殿』に衝撃を受け、プログレッシブ・ロックの勉強モードに入った時期がありまして、当然YESの代表作として有名な4th(’71年)にも手を出したわけですが、暗く重く劇的だった『クリムゾン~』に比べると、イアン…ではなくジョン(訂正ありがとうございますメタル慶昭さん)・アンダーソンの陽性なVo、華麗なハーモニー、リック・ウェイクマンのカラフルなKeyに彩られたサウンドは何だか明るくポップに感じられ、「俺の趣味じゃねぇ」と聴き込むことなく放置プレイをエクスキュート。そのまま結構な時間が経過してしまったという。
その後、本作に対する印象を一変させる切っ掛けになったのは『バッファロー’66』という映画でした。同作ではスリリング且つ劇的な名曲“燃える朝やけ”が非常に印象的な使われ方をしており、「えっ、こんなイカした曲が収録されてたっけ?!」と慌ててアルバムを引っ張り出し、そこで漸く本作の真の魅力を認識するに至った次第。
繊細にアコギを奏で、破壊的にリフを刻むスティーヴ・ハウのG、しなやかに唸りを上げるビリー・スクワイアのB、変幻自在に躍動するビル・ブラフォードのDsが、ポップなVoや流麗な鍵盤捌き、立体的に編まれたハーモニーと共に混然一体に展開する名曲“RUNABOUT”を始め、山あり谷ありの道行の果てに壮大なパノラマが眼前に広がるかの如き収録楽曲の魅力は、アーティスティックな独創性のみならず、親しみ易いポピュラリティをも兼ね備えたYESならではと、今ならば理解可能です。
以降、己の所業はひとまず棚上げして、「やっぱYES入門盤にはこのアルバムが最適ですよ!」と吹聴して回ったことは言うまでもありません。


BOW WOW - Super Live ★★★ (2018-06-21 23:42:47)

AEROSMITHやKISSの来日公演のオープニング・アクトを務め、またTV番組『ぎんざNOW!』に出演して知名度を全国区にまで広める等、人気と実力を着実に高めていたBOW WOWが、'78年4月に芝郵便貯金ホール(現メルパルクホール)で行ったライブの模様を収めた実況録音盤。
リアル・タイマーではないため、「当時BOW WOWはアイドル的な売出し方もされていた」という話を知識としては知っていても「でも本当に?」と今ひとつ腑に落ちていなかったりしたのですが、猛烈な勢いで黄色い歓声が飛び交う本作を聞いて速攻「ああ、こりゃアイドルだわ」と納得した次第。100万回の説明よりも説得力に溢れたライブ盤でしたよ。
尤も、名曲①で幕が上がり、エディ・コクランのカヴァー⑩で大団円を迎えるセットリストは、BOW WOWの初期3作…いわゆるHR三部作からバランス良く選曲/構成されており、スタジオ盤以上の勢いを駆って繰り出される楽曲や、20歳そこそことはとても思えぬ豪胆さと繊細さを併せ持ったGプレイでライブを牽引する山本恭司を始め、メンバーの熱気と荒々しさに溢れたパフォーマンスに手緩さは皆無。中でも観客とのコール&レスポンスをフィーチュアしてぐいぐいボルテージを高めていく⑨は、アイドル・コンサートばりの熱狂と、「元祖HMバンド」と評されるに相応しい疾走感が混然一体となった本編のハイライトではないかと。
初期BOW WOWのHR時代を総括するベスト盤代わりにもなる1枚です。


ALLIANCE - BOND OF UNION - Turn Around ★★★ (2018-06-20 23:30:06)

哀愁を帯びたメロディが軽快に駆け抜けるメロディアスHRチューン。
影に日向に楽曲をカラフルに彩るアラン“フィッツ”ジェラルドの
鍵盤捌きがアレンジ面において重要な役割を果たしてくれています。


ALLIANCE - BOND OF UNION - BEST OF ME ★★★ (2018-06-20 23:26:42)

憂いを湛えたドラマティックなバラード。
ただ美しいだけでなく、エモーショナルなVo、泣きのG、
抒情的なオルガン、重厚なリズムと、
各メンバーによるHRバンドとしての
主張も込められた名曲に仕上がっています。


ALLIANCE - BOND OF UNION ★★★ (2018-06-19 23:37:30)

NIGHT RANGERのアラン“フィッツ”ジェラルド(Key)に、結成の音頭を取ったゲイリー・ピール(G)、BOSTON他の仕事で知られるデイヴィッド・ローザー(Ds)という元SAMMY HAGAR BAND同窓生3人に、プログレ界隈では腕利きプロデューサーとして腕を振るうシンガー、ロバート・ベリー(Vo)が合流する形で結成されたバンドが、'96年に発表した1stアルバム。(日本盤はゼロ・コーポレーションから発売)
リリース当時は、どうせグランジ/オルタナティブ・ロックの台頭で暇になったベテラン・ミュージシャンが、日本市場で小銭を稼ごうとちゃちゃっと集まって仕上げた即席プロジェクト感漂うAOR/産業ロック作品でしょ?と、偏見丸出しでスルーしてしまったのですが、これが大間違い。ロバートの熱い歌いっぷりや、クラシック・ロックの風格漂わすアランのヴィンテージなオルガン捌きを始め、タイト且つソリッドにまとまった演奏は気持ち良くロックしてくれている上に、バンドとしての一体感にも溢れています。
何よりAOR/産業ロックだけに留まらず、メンバー各自の豊富なキャリアを物語るかのように、様々なジャンルの音楽要素をバランス良く配合した収録曲の数々が聴き応え十分。特に重厚にしてドラマティックなバラード⑤、ロバートのソウルフルな歌唱と楽器陣の適格なバックアップに酔いしれる⑧、小気味よく走り抜ける哀愁のHRチューン⑨、攻めのKeyプレイが映えるハード・ロッキンな⑪といった楽曲は、このバンドの醍醐味が詰め込まれた逸品ではないでしょうか。
充実の内容に、侮り倒していた己の不明を恥じ入るばかりのアメリカンHRの力作です。


ROBIN BECK - Trouble or Nothin' - If You Were a Woman and I Was a Man ★★★ (2018-06-18 23:38:55)

ワイルドにロックするシャレオツな都会派HRチューン。
ゴージャスなハーモニーに包まれたサビメロのフックは流石。
ダンサンブルなボニー・タイラーのバージョンも良かったですが、
よりパワフルなロビン姐さんのバージョンの方が個人的には好みですよ。


ROBIN BECK - Trouble or Nothin' - First Time ★★★ (2018-06-18 23:15:24)

'88年にコカ・コーラのCMソングに起用され、全英シングル・チャート第1位を筆頭に
ヨーロッパで大ヒットとなったロビン・ベックの代表曲。
そう知った上で聴くと、何やら脳裏にあの80年代のコカコーラのCM映像
(イケてる男女が満面の笑顔で恋に仕事にスポーツに浮かれるのヤツ)が思い浮かぶ
爽やかで洗練されたバラードの逸品。


ROBIN BECK - Trouble or Nothin' - Tears in the Rain ★★★ (2018-06-18 23:07:13)

ダイアン・ウォーレンとデズモンド・チャイルドの共作曲とあっては
最高な曲にならないわけがありませんが、実際その期待に
きっちりと応えてくれるドラマティックなバラード。
ロビン・ベックのパワフルにして伸びやかな歌唱が映える
サビメロの息苦しい程の盛り上がりっぷりは
まさにダイアン・ウォーレンの真骨頂といったところ。


ROBIN BECK - Trouble or Nothin' - Hide Your Heart ★★★ (2018-06-18 23:04:57)

躍動感溢れる曲調がOPナンバーに相応しい
ホリー・ナイトとデズモンド・チャイルドの共作曲。
分厚いハーモニーをお供に、フックの効いたサビメロを
パワフルに歌い上げるロビン・ベックの熱唱に圧倒されますね。


ROBIN BECK - Trouble or Nothin' ★★★ (2018-06-17 22:38:26)

長い下積み時代を経て、コカ・コーラのCMソングに起用された“FIRST TIME”が全英シングル・チャート№1の座に輝いたのを始め、ヨーロッパ各国で大ヒットを記録。遂に表舞台への切符を手に入れたロビン・ベック(Vo)が、'89年に発表した2ndソロ・アルバム。
そんな彼女を所属レーベルも積極的に援護。プロデューサー兼曲作りのブレインとして、当時話題作を次々に手掛けていたヒット請負人デズモンド・チャイルドを招聘し、その彼の伝手で売れっ子ソングライター/敏腕スタジオ・ミュージシャン(Bは現BON JOVIのヒュー・マクドナルド)が集結した本作が、捨て曲なしのハードポップ・アルバムの名盤に仕上がることは、まぁ自明の理であったと。
何より本作のヒロインたるロビン・ベックの、アイドル系とも歌姫系とも異なる、ロック・シンガー然としたダイナミズムとパッション迸る歌声が素晴らしい。ホリー・ナイトが作曲に関わり、先んじてKISSがヒットさせた①、ボニー・タイラーも歌っていたタフで都会的なHRチューン③、デズモンドとアリス・クーパーの共作曲④、パット・ベネターのカヴァー⑥、サビメロの息苦しい程の盛り上がりっぷりがいかにもダイアン・ウォーレン節の⑦、そして爽やかな感動を運ぶヒット・バラードの再録⑩といった、分厚いハーモニーと強力なフックを有するメロディに彩られたゴージャスなハードポップ・ナンバーの数々を、全身全霊を込めて熱唱する彼女のパフォーマンスには胸打たれずにはいられませんて。
残念ながらアメリカでは期待した程のセールスを上げられなかった本作ですが、ヨーロッパではスマッシュ・ヒットを記録。勿論、こちとら断然ヨーロッパ派ですよ。


ROCKHEAD - Rockhead ★★★ (2018-06-12 23:51:37)

METALLICAのブラック・アルバムを始め、次々にビッグ・ヒット作品を手掛けて敏腕プロデューサーとしての地位を不動のものとしたボブ・ロック。その彼が立ち上げたバンド、ROCKHEADが’93年に残した唯一のフル・アルバムがこちら。
知名度を活用して有名人を山ほど招集し、ゴージャスなソロ・プロジェクトに仕上げることだって出来たでしょうに、飽くまでバンド形式に拘りゲストは必要最小限。また機を見るに敏な売れっ子プロデューサーゆえ、90年代の流行に沿ったモダンなサウンドを提示してくるものと思いきや、さに非ず。ビッグなドラム・プロダクション、厚めに重ねられたギター、目の前で歌っているかのように生々しく録られたVoという、まさしく「ボブ・ロック印」の音作りを得て展開されるのは、80年代アリーナ・ロックを思わせる、ソリッドでパワフルな高揚感に満ちたアメリカンHRだったという。シングル・カットされたOPナンバー①や快活に弾む②を始め、のっけからピアノのフィーチュア度が高めなのも評価ポイントで、本作を聴いてボブ・ロックに対する好感度が一気に高まりましたよ。
センス良くまとめたGソロの腕前を披露する④、ハーモニーに聴き惚れるアコースティック・バラード⑤、重厚な大作ナンバー⑥等、プロデュースだけでなく曲作りの才能も確かですし、特にノリ良くキャッチーな⑧(THE CULTのビリー・タッフィーがGで参加)は本編ハイライトに推した逸品。またジョン&リッチーのBON JOVIコンビとの共作曲⑬もアルバムの締め括りに相応しいスケール感が備わっているのではないかと。
今となってはあまり顧みられる機会がないのが勿体なさ過ぎる1枚です。


TOKYO YANKEES - Do the Dirty - Let Me Go ★★★ (2018-06-11 22:53:52)

パワー・メタリックなGリフをフィーチュアして
3分に満たないランニング・タイムを怒涛の如くぶっ飛ばす
本編最速のスピード・ナンバー。
攻撃性剥き出しの曲調には無骨な咆哮型Voがよく映える。


TOKYO YANKEES - Do the Dirty ★★ (2018-06-10 22:44:18)

Voの梅村総一郎(故人)がEXTASY RECORDSの副社長だったりYOSHIKIの個人マネージャーだったりと、Xに関わりの深い弟分バンドとして知られた4人組が、'91年に発表した6曲入りデビューEP。
メンバーのケバケバしいビジュアルと、草野球チームか北関東の暴走族かというバンド名に引いてしまい、当時はまるで興味をそそられずにいたのですが、クラスメイトのメタル好きが「カッコイイから一度聴いてみなって」と薦めてくれたのを切っ掛けに本作を購入。したらば確かに、咆哮型Vo、鋭利なGリフ、ドカスカ土煙蹴立てて突っ走るリズムとが一丸となって迫り来るパワー・サウンドが、こっちのツマラナイ偏見をブッ飛ばす迫力を誇っていて、聴かず嫌いはいかんなぁと襟を正されてしまった次第。
インディーズ制作ゆえ音質はペラペラ、メロディに無頓着に吠え立てるVoの歌唱スタイルも好悪が分かれるところかと思われます。しかしVENOMのクロノスやTANKのアルジー・ワード、日本だったらSACRIFICE(現SOLITUDE)の杉内哲のパフォーマンスに歌心を感じ取れる御仁なら問題なく許容できるレベルですし、何より豪快な突貫精神の中から木目細やかなメロディ・センスが顔を覗かせる①③や、ACCEPTの“FAST AS A SHARK”を思わせるスピード・メタル・ソング④といった楽曲を、パワー/スラッシュ・メタル愛好家がスルーしてしまうのは大いなる損失ですよ!
…とか言いつつ、このバンドの次作以降に手を出さぬまま現在へと至ってしまった我が身を省みながら、本感想文を締め括らせて頂きます。


VADER - The Ultimate Incantation ★★★ (2018-06-10 02:10:23)

「ポーランドにVADERあり」と、一躍その名をHR/HMシーンに知らしめた'92年発表のデビュー作。(邦題『秘術』)
帯に刻まれる《世紀末を彩る霊的攻防戦に、我参入せり》なる惹句や、収録各曲に冠された“磔刑の魔徒”“聖者の首級”といった大仰な邦題の数々から迸る、飛ばしまくっていた90年代前半トイズ・ファクトリーの俺ジナルなセンスに痺れる本作ゆえ、さぞかしオドロオドロしいデス・メタルを聴かせてくれる…かと思ったら、この頃のVADER(日本語表記も「ヴェイダー」ではなく「ヴェーダー」)が演っているのは、SLAYERを更に過激にしたようなスラッシュ・メタルだったという。(鼓膜に突き刺さるGソロの狂いっぷりもSLAYER的)
Voは野太い咆哮型デス声ですし、故ドックの苛烈な手技脚技の応酬も既に半端ないものがあり、時にシンセサイザーを用いて荘厳な雰囲気も紡いでみせる手腕はMORBID ANGEL辺りからの影響も伺えますが、全体的にデス・メタル特有の重苦しいドロドロ感は薄く、それよりも音作りを含め、全体を貫く荒削りで前のめりな雰囲気が、本作のスラッシュ・メタル指数をグンと高めています。特に、不穏なSE①に導かれて激烈に走り始めたかと思えば、一転Gソロでは暗黒美を湛えたメロディが紡がれる②、緩急を効かせて禍々しさを際立たせた⑦、本編ラストを劇的且つアグレッシブに締め括る⑫といった、VADER独自の個性が濃厚に息衝く楽曲は出色の出来栄え。
個人的に、彼らのカタログの中では(全部チェックしているわけではありませんが)、最も聴き返す頻度の高い贔屓にしている1枚であります。


RATA BLANCA - El libro oculto - Cuarto poder ★★★ (2018-06-07 23:26:04)

邦題は“第四の力”
スパニッシュ・メタル特有のクサ味は薄まってしまいましたが
シャープに疾走する様はこれはこれで十二分にカッコイイ。


RATA BLANCA - El libro oculto ★★ (2018-06-06 22:57:22)

アルゼンチンの白ネズミ軍団、RATA BRANCAが'94年に発表した4曲入りEP。(邦題は『神秘体系』)
「南米のRAINBOW」の名に恥じぬ、リッチー・ブラックモアから受けた特大の影響も露わな様式美HM路線をひた走って来たきた彼らでしたが、ここに来て若干サウンドをスタイル・チェンジ。歌詞は相変わらず全編スペイン語ながら、収録曲に関しちゃ思わずコブシが回ってしまう哀愁を抑え気味にした代わりに、重厚に迫る正統派HMナンバーあり、明るくちょっぴりポップなノリの楽曲あり、80年代のOZZY OSBOURNEを思わせる疾走ナンバーあり…といった具合に、曲調の幅を意欲的に広げに掛かった仕上がり。EPなので単に遊び心を発揮しただけなのか、それともいい加減これまでとは違うことを演りたくなったのか。次作以降、彼らが発表した作品から急速に様式美色が抜けて行ったことを踏まえると、どうやら後者の思惑が正解だったようなのですが…。
そんなわけで、前3作の思わず悶絶させられるクサクサコッテコテの様式美HMを期待すると肩透かしを食らうとは言え、巻き舌バリバリの歌唱自体がスパニッシュ・メタル特有の哀愁を醸し出すアドリアン・バリラーリの熱唱は本作においても健在ですし、荘厳なイントロからスタートするミッド・チューン②や疾走ナンバー③を聴けば明らかな通り、各収録曲のクオリティも及第ラインは軽々とクリアしています。
これはこれで十二分に楽しませてくれる1枚ですよ。


CONCEPTION - Flow - Cardinal Sin ★★★ (2018-06-04 23:33:51)

KeyとトゥーレのGが奏でる浮遊感と透明感を
湛えた抒情メロディ、立体的に編まれた
リズムに絡みつくロイの妖艶でしなやかな歌唱が
緊迫感を漂わせつつ駆け抜ける、
この時期のCONCEPTIONならではの名曲。


CONCEPTION - Flow ★★ (2018-06-03 23:52:10)

ノルウェーのCONCEPTIONの最終作となった、'97年発表の4thアルバム。
ロイ・S・カーン(Vo)の艶やかな歌唱と、トゥーレ・オストビー(G)の変幻自在のGプレイを軸に、ジャーマン・パワー・メタル勢からの影響&北欧メタルらしい透明感を湛えるメロディをトッピングしたドラマティックなサウンドを聴かせてくれた初期の頃から、作を重ねる毎に今時メタル(といっても'97年当時の話)要素も拡充。空間を活かした揺らめくヘヴィネスやグルーヴ、エフェクト類、ダンサンブルなアレンジの数々が投入された本作では、モダンでプログレッシブなHM路線へと完全にシフト・チェンジを済ませています。
正直、当時は「どんどん地味になっていくなぁ」とあまり感心した覚えがなかったのですが、凝ったリズムを織り込んでテンポ良く駆け抜ける④、妖しくも神秘的なロイの熱唱が映えるバラード⑤、ストリングスをフィーチュアした⑧、憂いを湛えたメロディが緊迫感を湛えて展開していくCONCEPTIONならではの旨みに満ちた⑨といった、北欧の冷ややかな霧にしっとりと包み込まれているかの如き感覚に陥る楽曲には、やはり心打たれるもの有り。
何より、CONCEPTION解散後にロイが加入したKAMELOTが世界的な人気バンドへと羽ばたいた今、改めて本作を聴き直すと、ここで繰り広げられるミステリアスでモダンなプログレ・メタル・サウンドは、間違いなく現在へと至るKAMELOTに多大なインスピレーションを与えたことが伺え、より一層興味深く聴くことが出来るという。
CONCEPTION入門盤としては1stや2ndアルバムをお薦めさせて頂きますが、KAMELOTファンなら本作も押さえておいて損はない筈。


UNIVERSE - Rock is Alive - Born in Flames ★★★ (2018-06-03 01:02:13)

緊迫感を漂わせて刻まれるGリフが印象的な疾走ナンバー。
最も色濃く80年代のUNIVERSEの面影を宿しているのが
この曲ではないでしょうか。


UNIVERSE - Rock is Alive - Red Submarines ★★★ (2018-06-03 00:59:19)

シンガーが歌う、寒々しい憂いを帯びた歌メロが
「これぞ北欧様式美!」と思わず膝を打つ素晴らしさ。
歌詞は、昨今戦争の可能性すら取り沙汰された
スウェーデンとロシア、2国間の緊張の高まりを表す
ストックホルム群島へのロシア潜水艦の
侵入事件を題材に取ったのかなと。


UNIVERSE - Rock is Alive ★★★ (2018-05-31 22:54:16)

名曲“ROLLIN' ON”で北欧メタル愛好家のハートを鷲掴んだ、あのスウェーデンのUNIVERSEがまさかの復活。30年に及ぶ不在期間中に同名バンドが多数出現したことを受け、「UNIVERSE INFINITY」と名前を改めた上で再デビュー作を発表してくれました。
80年代当時日本デビューを飾れなかったこともあり、殆ど情報が伝わって来ない謎多きバンドだったので、彼らの詳細な活動歴が分かる国内盤解説だけでも非常にありがたいぐらいなのですが、音楽性の方も、ファンを感涙に咽ばせるまったき北欧メタル・サウンドを忠実に継承してくれているのだから嬉しいじゃありませんか。というか、そもそも本作収録曲は80年代に作り溜められたマテリアルが元になっているそうで、流石に“ROLLIN’ ON”や“WEEKEND WARRIOR”に匹敵するような名曲は見当たらないまでも、シンガーが歌う北欧様式美HMならではの憂いを帯びたダークなメロディに悶絶させられる⑤、印象的なGリフがハードに疾走する⑥、ノリノリの曲調の中で火花を散らすGとKeyのバトルがスリリングな⑦という、アルバムのハイライト級の名曲が連打される中盤の盛り上がりっぷりは「これを聴くためだけに本作を購入しても損はない」と言い切りたくなるレベル。
作品全体を俯瞰した場合、メンバーが年齢を重ねた分、よりメロディアスで洗練された方向へ歩みを進めていることは間違いありませんが、透明感と哀愁を湛えたメロディが沁み入る収録曲は、OPナンバー①を手始めに何れも秀逸な出来映えを提示してくれているので、それに関しては特に文句を付ける気は起こらないという。
是非このまま3枚、4枚とアルバム・リリースを継続してくれることに期待致します。


SKYCLAD - The Answer Machine? - Eirenarch ★★★ (2018-05-31 00:33:43)

「民族音楽に興味はねえや」というメタル・マニアも
思わず振り返る、エッジの効いた疾走ナンバー。
スティーヴのメタリックな切れ味を有するGと、
気品を湛えた優美なヴァイオリンの調べが
ユニゾンしつつ駆け抜けていく、高揚感に溢れた名曲。


SKYCLAD - The Answer Machine? - Building a Ruin ★★★ (2018-05-31 00:28:23)

アコギとヴァイオリンによる哀切なイントロから
ビートを効かせてスタートするアルバムOPナンバー。
舞踏の如きリズムと、マーティンが歌い、Gとヴァイオリンの弦楽器隊、
それにフルートが奏でるフォーク/トラッド由来の抒情メロディとが
絶妙に絡み合う曲展開に思わず踊り出したくなる逸品。


SKYCLAD - The Answer Machine? ★★★ (2018-05-29 23:58:04)

NWOBHM期から英国シーンを支え続けるスティーヴ・ラムゼイ(G)と、SABBATのマーティン・ウォルキーア(Vo)の二枚看板を擁したSKYCLAD。彼らが最もアクティブに活動していた90年代と言えば、英米のHR/HMシーンはラフ&スポンテニアスを合言葉に、飾り気を排したヘヴィでグルーヴィなサウンド一色に染まっていたメタル冬の時代真っ只中であり、専任バイオリン奏者まで在籍するSKYCLADが苦戦を強いられたことは想像に難くありません(分かり易い正統派HMサウンドではなかったため日本でも人気は今一つ)。しかしバンドはドイツを始めとする欧州方面で築いた強固なファン・ベースをテコに作品リリースを重ね、'97年には本8thアルバムを発表しました。
デビュー当時は飽くまでパワー/スラッシュ・メタルを基軸に据え、そこにフォーク/トラッド風味がアクセントを加えるサウンドを志向していましたが、バイオリンがリード楽器の役割を担う本作まで来ると、その主従は完全に逆転。また初期は賛否両論分かれる吐き捨て型だったマーティンのVoも、この頃にはメロディアスに歌い上げるスタイルに変化しています。(プレーンな歌唱がまた70年代プログレ系バンドのシンガーっぽい趣きで良し)
中でも、哀切なイントロ①からテンポアップ、アコギ、フルートを用いて踊り出す②、バイオリンが奏でるメロディがイングランドの自然を想起させる④、エスニックな大作⑥、ハードに疾走する⑦、JETHRO TULLばりにフルートが活躍する⑧、ピアノを活かした⑪といった楽曲は、メロディ面の冴えだけに留まらずハード・エッジをしっかり保持している点も◎ですよ。
恐らく当時よりも今の方が正当な評価を得られる類の作品ではないではないかと。


MORTILLERY - Shapeshifter - Shapeshifter ★★★ (2018-05-27 01:36:01)

畳み掛けるスラッシーなアグレッションと、
IRON MAIDENお手本の勇壮なメロディ&劇的な曲展開、
それに朗々とした歌い上げから、血を吐くような絶叫まで
使い分けるカーラ・マカッチェンの多彩なVoが猛進する
PVも作られたアルバムのリーダー・トラック。


VALKYRIE ZERO - Valkyrie Rising ★★★ (2018-05-25 00:26:50)

女性メンバーを擁するスラッシュ・メタル・バンドは現在じゃ特に珍しくもありませんが、メンバー全員が女性となるとなかなかにレア。しかもそれが日本のバンドとくれば尚のことではないでしょうか。
本作は、80年代末期にデモテープのみを残して解散した大阪出身の4人組が、およそ30年越しで発表に漕ぎつけた1stフル・アルバム。可愛らしいルックスのお嬢さんが華やかに着飾って聴かせてくれるJ-POPテイスト入った今時の邦楽メタルにはあまりピンと来ない我が身なれど(申し訳ない)、革ジャンとバンドTで武装した熟女軍団が「デス声?パワー・グルーヴ?ダウン・チューニング?それ美味いんけ?」と言わんばかりにブチかます、タイム・カプセルで80年代から解き放たれたかのようなオールドスクール極まりないスラッシュ・サウンドには、問答無用で痺れまくりですよ。
特に、ガリガリ刻みまくるSLAYER直系のGリフと疾走するリズムの上で、ツインGがドラマティックにハモってみせる①③、畳み掛ける疾走感とメロウなヘヴィネスが緩急を織り成す⑦、からの激速スラッシュ・ナンバー⑧辺りの楽曲は、タイトな演奏力と確かな作曲能力が微塵もブランクを感じさせない強力な出来映え。
押しの強い演奏に埋もれ気味なVoにもうちょい迫力が出て、リフ/リズム・パターンのバラエティが広がり収録各曲の個性が一層際立つと、アルバムの完成度は更に高まる気がしますが、これは弱点ではなく寧ろこのバンドの「伸びしろ」です。是非このまま活動を継続し、ライブや作品リリースを重ねていって頂きたい次第。


Evil Invaders - Feed Me Violence - Feed Me Violence ★★★ (2018-05-24 00:04:21)

高速で刻まれるイントロのGリフの切れ味だけで
その名曲ぶりを確信させられるアルバム表題曲。
前掛かりな突進から、2本のGを活かした中間部の
ドラマティックなタメを経て、再び突進へ転じるという
緩急の効いた曲展開からもバンドの確かな成長が聴き取れます。


MORTILLERY - Shapeshifter ★★★ (2018-05-23 00:55:30)

VoとBに女性メンバーを擁する、アルバータ州エドモントン出身のカナディアン・スラッシャーが'16年に発表した3rdアルバム。
中古盤屋にて本作を見つけるまで、迂闊にもリリースに全く気付いていなかったので、彼らの作品に触れるのは2nd『ORIGIN OF EXTINCTION』(’13年)以来結構久々。しかしながらジャケットのヘタウマ加減さも、血を吐くようなシャウトとメロディアスな歌い上げを使い分ける、歌詞カードの裏表紙で物凄い役者魂を発揮しているカーラ・マカッチェンのスケ番Vo も、印象的なハーモニーを奏で鋭角的にリフを刻むツインGも、パンキッシュな突進力を有するリズム・セクションも、IRON MAIDEN由来の構築感と、MOTORHEAD影響下のヤサグレ感とを強引に同居させたかのような(実際MOTORHEADの“SHINE”のカヴァーを収録する)スラッシュ・メタル・サウンドも何一つ変わっておらず、こちとら思わず笑顔になってしまった次第。
オラオラとオラつきながらラフなアグレッションを撒き散らかして突貫する③、中心メンバーたるアレックス・グティエレスのメロディックなGソロが閃く⑤辺りも良いのですが、本作のハイライトは間違いなく⑨。IRON MAIDENを思わす勇壮な曲調と緩急の効いたドラマティックな曲展開に、ド迫力のシャウトから雄々しい歌い上げまで多彩な歌唱スタイルを駆使するカーラ姐さんのVoが映える名曲ですよ。
3作目となっても微塵も音楽性をブレさせない、その意気や良し。信じた道を突っ走れ!と応援せずにはいられない1枚。


Evil Invaders - Feed Me Violence ★★★ (2018-05-22 00:12:57)

なかなか国内盤が発売されず、「まさか今回はスルーされてしまうのか?」と危機感を募らせていたら、’17年発表の4曲入りEP『IN FOR THE KILL』とドッキングした豪勢な2枚組仕様でのリリースが実現しホッと一安心。ベルギーの切り込み部隊EVIL INVADERSが’18年に発表した2ndフル・アルバム。
鼓膜をつんざく高音スクリームVo、カミソリGリフ、性急なリズムが一丸となって畳み込む、カナダの元祖スラッシュ・メタル・バンド、EXCITERの名曲“VIOLENCE & FORCE”のカヴァー⑩が「オリジナル曲か」っつーぐらい違和感なくハマりまくるスピード・メタル路線を迷いなく突撃する一方で、従来の疾走疾走また疾走という力業スタイルに比べると、今回は重厚なインスト小曲③から繋がるヘヴィな④、ラストを締め括るドラマティックなエピック・ナンバー⑨といった楽曲を要所に配置することで、これまで以上に作品全体に緩急とダイナミクスを演出。聴き手の鼻面を掴んでブン回すが如きアップダウンの効いた本編構成や、厚みを増した音作り等からは、バンドが次の段階へ進むために課題を設け、それを一つ一つクリアしていったような着実な成長の跡が刻まれています。
かといって、エピカルであることを意識し過ぎて切れ味を失い、鈍重になったりしていない点もナイスで、いきなりトップギアから爆走を開始する①②、高速回転するGリフがクールな⑤、本編最速の⑧といった、タイトに締まった激走ナンバーの数々からは、バンドの変わらぬスピード/スラッシュ・メタル魂の迸りを感じることができましたよ。
全10曲で収録時間は40分弱。何度でもリピートしたくなる実にスカッと痛快な1枚です。


RAVEN - One for All - Big Fat Mama ★★★ (2018-05-20 08:28:26)

身体を動かさずにはいられない疾走感と
ゴキゲンなノリの良さが炸裂するSTATUS QUOの代表曲。
こういう自分達がカヴァーするのに打ってつけの楽曲を
見逃さない選曲眼と、よりパワフル且つアッパーに料理してみせる
腕前と併せて、RAVENのカヴァー・センスの良さが存分に振るわれた1曲。
日本盤のみのボーナストラックってのは勿体なさ過ぎる。
ただこれのインパクトが強過ぎて、アルバムのオリジナル曲の
存在が霞んでしまう点は痛し痒しという...


RAVEN - One for All - Kangaroo ★★ (2018-05-20 08:15:50)

剛直に刻まれるGリフ、ノリの良さも失わずに
パワフルに疾走するリズム、血管がブチブチ
いきそうな勢いで高音スクリームをキメる
ジョン・ギャラガーのハイテンションVoと、
RAVEN印があちこちに刻印されまくった
一丸となって押し込んで来る疾走ナンバー。


RAVEN - One for All ★★ (2018-05-18 00:02:03)

名盤『ALL FOR ONE』(’84年)に引っ掛けたような、思わずニヤリとさせられるタイトルに釣られて購入してしまった、’99年発表の11thアルバム。
90年代半ばは迷走期を過ごしたRAVENなれど、久々にマイケル・ワグナーをプロデューサーに起用した本作では、年を重ねても落ち着くどころか益々意気軒高に高音スクリームとテクニカルなBプレイをキメまくるジョン・ギャラガー、けたたましくリフを刻みソロをブッ放すマーク・ギャラガー、パワー全開のジョー・ハッセルヴェンダーのドラミングとが猛然と駆動する、己の本分に立ち返ったようなアスレチック・ロック・サウンドを全力でブチかましてくれています。このアルバムの前に未発表&レア曲集『RAW TRACKS』を取りまとめたことも、自分達の音を見つめ直す良い機会になったのかも?
リリース当時は、元気一杯な反面、全体的にキャッチーさ不足が気にならなくもなかったのですが、改めて聴き直してみると、ハイパーな疾走感の中にロックンロールに根差したノリの良さも宿すスピード・ナンバー②⑩を筆頭に、収録曲にはいずれも紛うかたなきRAVEN印が刻印されていますし、何てったって本作はハイライト・ナンバーたるSTATUS QUOの名曲カヴァー⑫がトドメを刺す。嘗てRAVENがウド・ダークシュナイダーとの狂人タッグでカヴァーした“ワイルドで行こう”(STEPPEN WOLF)を彷彿とさせる、パワフル且つ狂騒的仕上がりに胸躍る逸品。いやまぁアルバムで一番印象に残るのが他人の曲ってのはどうか?と訝しむ向きもありましょうが、そうした疑問もブッ飛ばすカッコ良さなので是非一度お聴き下さませ。


SAMSON - Shock Tactics - Communion ★★★ (2018-05-16 23:54:39)

邦題は“霊界通信”。(丹波先生の顔が思い浮かびますが)
アルバムを締め括るドラマティックなバラードで、この曲における、
楽曲の魅力を十全に引き出すブルース・ブルースのダイナミックな熱唱は
既に実力派シンガーの貫禄たっぷり。その彼のVoとサンダースティックの
派手なドラミング、それにポール・サムソン入魂のGとが入り乱れる
終盤の盛り上がりには胸が熱くなりますよ。


SAMSON - Shock Tactics - Riding With the Angels ★★★ (2018-05-16 23:46:35)

音質の向上によりシケシケ感が薄れ、
Gリフ主導でタイトに突っ走る様は
完全に80年代仕様のHMナンバー。
このハードな楽曲を手掛けたのが、
“I SURRENDER”や“SINCE YOU'VE BEEN GONE”の
イメージが強いラス・バラードってのが意外です。
個人的にはサンダースティックがもっと
派手に暴れてくれると尚良かったのですが。


SAMSON - Shock Tactics ★★★ (2018-05-15 23:29:20)

現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンや、覆面レスラー…もといドラマーのサンダースティックらを擁したNWOBHMの雄、ポール・サムソン率いるSAMSON、'81年発表の3rdアルバム。(邦題は『魔界戦士』)
彼らのカタログの中では、ポリスに通報待ったなしの変質者感バリバリな勇姿でサンダースティックがジャケットを飾り、そこに邦題『魔人襲来』がコクのある味わいを加えてくれていた2ndがお気に入りなのですが、勿論SAMSONの代表作として名高い本作も、質の高さで引けを取るものじゃありません。
IRON MAIDENばりにケレンの効いた音を期待すると拍子抜けしてしまう、HMというよりはHRと呼びたくなる70年代の残り香を漂わせたシンプルな作風は前2作を踏まえつつ、今回はこれまで以上にリフ志向が強まりリズムも疾走感を増す等、タイトに洗練された楽曲は、プロダクションの向上でシケシケ感が薄まったことにも後押しされて、よりメタリックな味わいを漂わすようになりました。既に実力派シンガーの風格十分なブルースの熱唱と、派手さはなくとも、リフにソロに滋味溢れる演奏を連発するポールのGを両輪に突き進む(サンダースティックのDsは今回は大人しめ)SAMSONサウンドの醍醐味は、バンドの代表曲であるラス・バラードのペンによる疾走ナンバー①(邦題は“地獄の天使”)と、ラストを締め括るドラマティックな⑨(邦題“霊界交信”)といった名曲に顕著に表されています。
残念ながら、これ以降櫛の歯が抜けるように主要メンバーが抜けていき、人気にも陰りが出始めるSAMSONですが、本作が放つ輝きは今も全くくすんではいませんよ。


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang - Never Give In ★★★ (2018-05-15 00:15:48)

駆け抜けるリズムと、攻撃的なGリフの刻みっぷりが
名曲“GANGLAND”を彷彿とさせる疾走ナンバー。
サイクスもデヴァリルもいないTYGERS OF PAN TANGなんて
聴く気が起きないという方も、取り敢えずその判断は
この曲を聴いてからでも遅くはないですよ。


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang ★★★ (2018-05-13 22:36:50)

看板メンバーだったジョン・サイクスとジョナサン・デヴァリルのWジョンは既にバンドを去って久しく、現在は唯一残ったオリジナル・メンバーのロブ・ウィアー(G)が司令塔役を担っているTIGERS OF PAN TANG、'16年発表の新作アルバム。
「虎だ!虎になるのだ!」ってな気迫に満ちたジャケット・イラストのカッコ良さに釣られて購入してみれば、これがアートワーク負けしない、聴き応え満点の充実作で思わず笑みがこぼれます。面子は地味でも、名盤『GANGLAND』(’81年)に収録されてたって違和感のないGリフ主導で畳み込む疾走ナンバーの名曲④を始め、本作はファンが期待する「らしさ」をしっかりと保持。のみならず、美しい泣きのバラード③や、哀愁に満ちたメロハー・ソング⑧等ではエモーショナルな表現力とメロディ・センスを、アグレッションと憂いに満ちたメロディが同居するOPナンバー①、TOPT流“移民の歌”チックな⑨、ツインGが映えるライブ映えしそうな⑪といった楽曲においては、ベテラン・バンドらしい曲作りの巧みさもアピールしたりと、なかなかどうして隙の無い仕上がりっぷり。
80年代からズルズルと離散集合が繰り返されて来たせいか、「復活」とか「満を持して」感よりも「あ、まだやってたんだ」感の方が強かったりするTYGERS OF PAN TANGですが、無駄な気取りや気張りがない本作には、そうやって長く続けて来たからこそ到達し得た自然体の魅力が溢れています。(まさに継続は力なり)
あとついでに、最後の最後に「かまし」が待っていますので、聴く際は椅子から飛び上がらないようにご注意を。


FM - Atomic Generation ★★★ (2018-05-12 02:20:34)

英国のベテラン・ロック・バンドFMが、キャリア30周年を祝う企画盤『INDISCREET 30』のリリースを挟んで'18年に発表した新作スタジオ・アルバム。
FMと言えば、挨拶代わりのOPナンバー①が物語る通り、スティーヴ・オーヴァーランド(Vo)の絶品の歌唱力を活かしたブルージーな味わい漂わすメロディアスHRサウンドが持ち味。当然本作でもそうした渋めのテイストは保持されているわけですが、前作でデビュー作のリメイクにチャレンジしたことが良い刺激になったのか、今回は初期作を思わせるキャッチーなハードポップ風味も随所に編み込む等、FMがこれまで歩んできたキャリア(音楽的変遷)を肯定的に総括する内容に仕上がっています。
哀愁のメロディに、控えめながら的確に仕事をこなすGと美しいハーモニーが華を添える②、爽やかな微風の如く心地良い⑤、哀メロがキャッチーに弾む本編のハイライト・ナンバー⑧、エモーショナルな歌声に聴き惚れずにはいられない感動的なバラード⑨(鍵盤アレンジも効果的)、ヘヴィな曲調とオルガン・サウンドのコントラストがクラシック・ロックの風格漂わす⑩といった、ベテラン・バンドならではの円熟味と、曲作りにおける職人技が冴え渡る名曲の数々を目の当たりにすれば、スティーヴが「FM史上最も成熟した完成度の作品。つまり今作自体こそがFMなんだよ」と胸を張るのにも大いに納得ですよ。
FM=地味めなブルーズ・ロック・バンドとのイメージを持っている向きには是非お薦めする1枚(先入観を覆されますので)。BURRN!!誌で広瀬編集長が90点を献上しているのを見かけた時は眉に唾付けたものですが、今なら同意しないわけにゃいきませんて。


STRYPER - God Damn Evil ★★ (2018-05-09 23:17:14)

雑誌レビューで辛めのコメントを頂戴していたり、発売日からまだ間もないのに早々に中古盤が出回っているのを見かけたり、更にOPナンバー①が、BLACK SABBATH風のGリフが刻まれ、サビをマイケル・スウィート(Vo)が吐き捨て気味にシャウトするという、STRYPER的に有りか無しかを問うたら、ブッチー武者扮するキリストが勢いよく×マークを掲げそうな(byオレたちひょうきん族)大胆極まる新機軸を打ち出した楽曲だったりと、内容に関しちゃ不安感マシマシにならざるを得なかった'18年リリースの新作アルバム。
尤も、②以降は従来のSTRYPER節を逸脱する作風ではありませんし、①だってよう聴けば単純にカッコいい正統派HMナンバーとして十分評価は可能。それに何より、タイトル通り正に“BEAUTIFUL”な⑧、ドラマティックなバラード⑨、攻撃的な疾走ナンバー⑩といった、マイケルの美声や盛り盛りのハーモニーが映える秀曲が連打される、本編後半のラスト・スパートっぷりは流石はSTRYPERといった貫禄で、聴き応え十分ですよ。
ポップさよりもメタリックなエッジやアグレッションを強調しつつ、ヴァースの弱さをサビメロの劇的なコーラス・ワークで挽回して収支を合わせるという曲作りは、再結成以降のSTRYPERの流儀に則ったものなのですが、そのスタイルの集大成というべき完成度を有していた前2作に比べると、今作は壮麗さを抑え気味に、よりシンプルにロックするようになった分、メロディやGリフのフックに曲毎にバラつきが出てしまったような…。
上記楽曲や③等を始め、アルバムは必要にして十分なクオリティを有しているものの、ファン的には「STRYPERのポテンシャルはまだまだこんなもんじゃねえ筈」と思わなくもない1枚かなと。


ALDO NOVA - Blood on the Bricks - Bright Lights ★★★ (2018-05-08 23:03:01)

アルバムを快活に締め括るロック・チューン。
ノリノリの曲調にランニング・タイム6分越えは
ちと長過ぎると思われるやもしれませんが、
後半にたっぷりと尺を取って弾きまくられる
アルド・ノヴァのGソロが楽曲のハイライトたる
輝きを放っているので何の問題もありませんよ。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Roll the Dice ★★★ (2018-05-08 00:12:51)

'81年にNEAT RECORDSからリリースした7インチ・シングルの
タイトル・トラックで、この曲の評判がHEAVY PETTINに
POLYDOR RECORDSとの契約をもたらしたという。
DEF LEPPARDとの類似点を指摘されがちな彼らですが、
この名曲で炸裂するシャープなGリフ、疾走感に満ちたリズム、
Voが歌う憂いを帯びたメロディがスピーディに畳み掛ける様は、
まさに「ザ・NWOBHM!」なカッコ良さ。
現在では1stの再発盤にボーナストラックとして収録されています。


ALDO NOVA - Blood on the Bricks ★★★ (2018-05-07 23:40:03)

デビュー作『ALDO NOVA』(’82年)をスマッシュ・ヒットさせるも後が続かなかったカナダ人マルチ・ミュージシャン、アルド・ノヴァが、プロデュースから作曲、アレンジメントに至るまで、友人であるジョン・ボン・ジョヴィの全面協力を得てレコーディング作業を行い、「器用貧乏」のイメージを払拭するべく'91年に発表した勝負作の4thアルバム。
そんなわけで、ここで聴けるのは初期作にそこはかとなく漂っていたプログレ・ハード~産業ロック・テイストが一掃された、明るくスカッと抜けのいいアリーナ・ロック。一度耳にしただけで口ずさめてしまうキャッチーなサビメロをフィーチュアするOPナンバー①が明快に示す通り、そのサウンドはまさに80年代のBON JOVIを彷彿とさせます。
前述の疾走ナンバー①や、ジム・ヴァランスも曲作りに参加したパワー・バラード④、シンセを纏って爽やかに弾む⑤、雄大なスケール感を感じさせる⑧、仄かに憂いを孕んで涼しげにハジける⑨等々…。ジョンとの共作による収録曲は非常に粒が揃っていますし、音作りだって上々。アルド自身に関しても、歌唱力はデビュー当時に比べ見違えるように逞しくなり、何よりこの人、相変わらずセンスの良いGソロを弾く。特にアルバムの終盤を盛り上げる6分以上に及ぶ疾走ナンバー⑩における、ホットでスリリングなGプレイには思わず引き込まれてしまいますよ。
斯様に優れた内容に仕上がった本作ですが、既に潮目を迎えていたHR/HMシーンではこの手の健康的なHR作品は殆ど話題にならず(全米チャート最高第124位て…)、アルドは再び裏方稼業へ戻ってしまうのでありました。勿体ない話だなぁと。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Fallin' Apart ★★★ (2018-05-03 09:33:11)

本編中においてはハード寄りの疾走ナンバー。
それでも盛り込まれたメロディのフックに鈍りは皆無。
作曲能力の高さのみならず、リフにリードに、
テクニカルで鮮烈なGプレイを連発する
スティーヴ・ブラウンの才能には瞠目せずにはいられません。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Love Me Insane ★★★ (2018-05-03 09:27:02)

聴いてるだけで身体が動き出す
溌剌と躍動するアップテンポのロック・チューン。
フレッシュなGソロといい、爽快なコーラスといい、
ライブで演ったら盛り上がること間違いなし。
DANGER DANGERの“ROCK AMERICA”タイプの名曲。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist - Pickin' Up the Pieces ★★★ (2018-05-03 09:23:32)

イントロだけで鼻腔一杯に80年代の薫りが広がり、
分厚いハーモニーに包まれた、爽やか且つキャッチーな
サビメロで夏のLAの青空を幻視出来てしまうという
1曲目からアルバムの完成度を確信するに十分な
ポップ・メタル・チューンの逸品。


TOKYO MOTOR FIST - Tokyo Motor Fist ★★★ (2018-05-01 23:46:31)

開店休業中のDANGER DANGERの空き時間を利用して、ブルーノ・ラベル(B)は元メンバーのポール・レインらとTHE DEFIANTSを立ち上げ、一方フロントマンのテッド・ポーリー(Vo)はTRIXTERのスティーヴ・ブラウン(G)をパートナーに、FRONTIER RECORDSのバックアップのもとTOKYO MOTOR FISTを結成。'16年にこの1stアルバムを発表しました。(リズム隊はRAINBOWやBLUE OYSTER CULT他の活動で知られるグレッグ・スミス(B)とチャック・バーギ(Ds)が参加)
先行して聴いたTHE DEFIANTSのアルバムは大変素晴らしい出来栄えでしたが、こっちもクオリティでは一歩も引けを取りません。1曲目のイントロにマカロニ・ウェスタンを名曲を配する等、全体的に哀愁味が強く出ていたTHE DEFIANTSに対し、本作はカラッと明るく爽快、時に豪快なグルーヴを身に纏って躍動するアメリカン・メロディアスHRサウンドが持ち味。収録曲も、秀逸なサビメロを始めフック満載で贈るOPナンバー①、歌うGリフが印象的な③、ハーモニーが美しい④、吹き抜ける微風の如く爽やかな⑤、乾いた哀愁漂うバラード⑦、それに高揚感を湛えてノリノリに疾走する②⑥⑪等、どれもこれも始まった途端にLAの雲一つない青空が眼前に広がるような、爽快なロック・チューンばかりが小気味よく繰り出されてきます。帯の売り文句《全曲捨て曲なしの傑作》は伊達じゃない、と。
その完成度の高さに大いに感心させられると共に、本作を聴くと、これまでスルーして来てしまっていたスティーヴ・ブラウンが在籍するTRIXTERのカタログにも一気に興味が湧いてきますね。こんなに良い曲を書ける人材だったとは…。


TOKYO MOTOR FIST (2018-05-01 23:40:50)

DANGER DANGERとTRIXTER。どちらもアメリカ東海岸出身で、古くから親交があったというテッド・ポーリー(Vo)とスティーヴ・ブラウン(G)が、FRONTIER RECORDSのセラフィノ・ペルジーノの後押しを受けて結成したプロジェクト(セラフィノ氏はデビュー作のエグゼクティブ・プロデューサーを担当)。リズム隊はこれまた東海岸のミュージシャン仲間であるグレッグ・スミス(B)とチャック・バーギ(Ds)のコンビが務めている。
ちなみに日本人的に「おっ」となるバンド名ですが…どういう意味なんでしょう?


THE DEFIANTS - The Defiants - Love and Bullets ★★★ (2018-04-30 22:56:57)

イントロにマカロニ・ウェスタンの名作“夕陽のガンマン”の
メイン・テーマがくっつけられた(曲中でもリプライズされる)
アルバムのOPナンバー。哀愁のメロディと美しいハーモニー、
ポール・レインの見事な歌唱に聞き惚れてしまいますね。


THE DEFIANTS - The Defiants - Take Me Back ★★★ (2018-04-30 22:52:03)

一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスを
フィーチュアして、ポップに躍動する80年代風味満点の
ポップ・メタル・チューン。爽やかに涼風の如く
吹き抜けるGソロも、楽曲の爽快感を盛り立ててくれます。
DANGER DANGERの“ROCK AMERICA”を愛する向きは
必聴の名曲ですよ。


THE DEFIANTS - The Defiants ★★★ (2018-04-29 08:13:09)

ブルーノ・ラベル(B)とポール・レイン(Vo)とロブ・マルチェロ(G)。DANGER DANGERで同じ釜の飯を食った元バンドメイトの3人が、近年のメロディックHR人気の高まりを背景に、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて立ち上げたプロジェクト、THE DEFIANTSが'16年に発表したデビュー作。
侮れない作曲センスでDANGER DANGERを支えるブルーノと、優れたシンガー/ソングライターとしてキャリアを積むポールが再タッグを組んだと聞けばそりゃ期待しないわけにゃいきませんが、事実、ポール在籍時代のDANGER DANGERの諸作をも凌ぐ品質を有する本作は、その期待にきっちり応えたメロディックHRの好盤に仕上がっています。
マカロニ・ウェスタン『夕陽のガンマン』の名曲“争いの後で”をアルバムのOPに据え、パワフルにロックする②へと繋ぐ高揚感溢れる展開を始め、美しいボーカル・ハーモニーが散りばめられた④、スリリングなロブのGプレイが華を添える⑦、ドラマティックなバラード⑧等、適度にハードネスを効かせたサウンドからは、全体的に哀愁味が強く感じられる点も自分好み味好み。哀愁が強過ぎるのは辛気臭くいかん!と思われる向きには、どこか郷愁をそそられる爽やかな⑤や、溌剌と躍動感溢れる曲調とフック満載のメロディが同居、ライブで演ったら盛り上がること間違いなし!な“ROCK AMERICA”タイプの名曲⑨、本編ラストを爽快に締め括るアップテンポのHRナンバー⑫辺りはいかがでしょうか。
これ1枚きりで終わらせず、是非継続的なプロジェクトとして作品を量産してくれることを願わずにはいられない、捨て曲なしのメロハーの傑作ですよ、こりゃ。


JIM JIDHED - Push On Through - Glorious ★★★ (2018-04-26 23:44:33)

アルバムのOPナンバー。躍動感溢れる曲調に続いて
ジム・ジッドヘッドが美声を駆使して歌い上げる
爽快感と透明感と哀愁が絶妙なバランスで配合された
「フックの効いたメロディ」の見本のような
コーラス~ブリッジ・パートが涙モノの素晴らしさ。
北欧ハードポップの一つの理想形を体現した名曲ですよ。


JIM JIDHED - Push On Through ★★★ (2018-04-26 00:46:22)

名盤『ETERNITY』(’14年)で復活を遂げたALIENから、その後音沙汰が全然ないと思っていたら、フロントマンのジム・ジッドヘッドが12年ぶりにソロ作を発表。「仕方ねぇからアンタで我慢しといてやっか」ぐらいの何様目線で聴き始めてみれば、これがまぁメロハーの傑作。のっけから、去年の内に耳にしてたら年間ベスト・チューン候補入りは確実だったであろう強力なメロディック・ロックの名曲①が始まってしまい、速攻「舐めた態度取ったりしてスイマセンッした!」とスライディング土下座でひれ伏したくなったという。
声質自体に透明感と哀感が滲む伸びやかな歌声で、本編の主役を堂々務め切るジムのパフォーマンスが経年劣化と無縁なのは当然のこととして(ALIENで確認済みでしたし)、何より今作において特筆すべきは、楽曲のハイクオリティっぷりですよ。FIND MEのダニエル・フローレスやPALACEのマイケル・パレスといった、ソロ・アーティストとしても活動中の面々を始めとする敏腕ソング・ライター勢の集結に加えて、ジム自身が優れた作曲家であった点も本作の勝因の一つかと。何せ、爽やかに疾走する曲調にフック満載のメロディが乗った名曲も名曲の①、躍動感溢れるミッド・チューン②、物悲しくもドラマティックに染み渡るバラード④といった、アルバムの目玉たるいずれの楽曲にもジムの名前がクレジットされているのですから大したもの。(正確には、上記3曲は全てSAHARAのユンリク・レンクヴィストと、SWEDISH EROTICAのモーガン・ジャンセンとの共作名義)
こうなると、ジム・ジッドヘッドの過去のソロ・アルバムに俄然興味が湧いて来るわけですが、調べると国内盤はどれも中古価格が高騰していて、畜生、遅きに失したなぁと。


HOLY SOLDIER - Holy Soldier - Stranger ★★★ (2018-04-24 23:49:22)

適度なアグレッションに溌剌としたノリの良さ、
思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなメロディに至るまで、
’91年のDOVE AWARDSにおいて「ベストHRソング賞」を
受賞したというのも納得のアルバムOPナンバー。


HOLY SOLDIER - Holy Soldier - The Pain Inside of Me ★★★ (2018-04-24 23:37:47)

哀愁に満ちたメロディを切々と歌い上げるVo、
2本のGが奏でる悲しくも劇的なメロディ、
それらを壮麗に彩るボーカル・ハーモニーetc.と
うっとりと聴き惚れてしまう
クリスチャン・メタル・バラードの逸品。


HOLY SOLDIER - Holy Soldier - We are Young, We are Strong ★★★ (2018-04-24 23:31:36)

リフにソロに、ツインGが生み出す
ヘヴィ・メタリックな切れ味と、
重厚なコーラス・ワークによって
醸成される華麗さとが同居した、
HOLY SOLDIERというバンドの
強みを端的に示してくれる名曲。


HOLY SOLDIER - Holy Soldier ★★★ (2018-04-23 09:01:44)

聖戦士と言えばダンバインですが(?)、こちらの聖戦士ことHOLY SOLDIERは、端正なイケメンが揃ったカリフォルニア出身の5人組クリスチャン・メタル・バンド。後にAORシンガーに転身を遂げるBLOODGOODのシンガー、デヴィッド・ザフィーロがプロデュースを手掛ける本作は'90年発表のデビュー作で、米ビルボードCCMチャートじゃ最高第7位を記録。翌年のDOVE AWARDS(クリスチャン・ミュージック界のグラミー賞?)においては「ベストHRソング/アルバム」二部門を受賞する等、いわゆる「STRYPERの弟分」バンドの作品の中では特に大きな成功を収めた1枚として知られています。
音楽性の方は、少々クセのあるハイトーンVo(でも十分上手い)とフラッシーに絡み合う2本のGが哀愁の旋律を歌い上げ、分厚いボーカル・ハーモニーが甘美なメロディを華やかに包み込む…ってな感じの、まさしくSTRYPER路線。バンドに独自性を求める向きには苦言の一つも呈したくなる作風やもしれませんが、こちとら「まさにこれが聴きたかった!ハレルヤ」なので無問題。DOVE AWARDSのHRソング部門受賞曲であるエネルギッシュなOPナンバー①、PVも作られたメロディアスなミッド・チューン②(こちらもDOVE AWARDSノミニー)、ドラマティックなバラード③、ノリ良くアグレッシブな疾走ナンバー⑤、メタリックなエッジと華やかなハーモニーの組み合わせという、このバンドの武器が分かり易く打ち出された⑩等、単にSTRYPERに似ているというだけでなく、当然ちゃんと曲として優れている点も評価ポイントですよ。
ジーザス賛歌の歌詞がオッケーなメロディ愛好家の方には、すべからくお薦めする1枚。


AMORPHIS - The Karelian Isthmus ★★ (2018-04-22 00:02:25)

メロデス第一世代として頭角を現し、現在はその音楽性を孤高の域にまで引き上げることで本国フィンランドは勿論のこと、日本でも安定した人気を誇るAMORPHISが’92年に発表した1stアルバム。(日本盤は'95年に2ndアルバムと同時リリース)
本作で披露されているのは、地の底から轟く咆哮Voと重苦しく刻まれるリフ&リズムが、時に轟然と、時にじりじりと這い進む、基本に忠実なデス・メタル。全編に亘って北欧民族音楽由来の抒情メロディが満ち溢れ、メロディック・デス・メタル黎明期の名盤として知られる2nd『TALES OF TEN THOUSAND LAKES』(’94年)や、近年の傑作群における唯一無二のサウンドに比べると、まだまだ相当に粗削りな出来映えではあるものの、寧ろ今聴くと「あのAMORPHISも若い頃はブラスト・ビートを用いて遮二無二にブッ飛ばしてたんだなぁ」と、新鮮に感じる人もいるんじゃなかろうかと。
無論独自の個性も既に芽吹き始めており、侘し気な序曲①を経て、段階的に速度を上げていく重厚な②に繋げる構成や、ツインGの奏でる荒涼とした旋律がデスメタル然としたブルータリティを伴って吹き荒ぶ⑥等は、この時期の彼らだからこそ生み出し得た名曲ですよ。
ちなみにアルバム・タイトルの『THE KARELIAN ISTHMUS』は、フィンランドにとって重要な土地である「カレリア地峡」を意味する言葉。そして彼の地に残っていたフィンランド語の伝承や歌謡を編纂した民族叙事詩が、AMORPHISの曲作りの重要なインスピーレション源として知られる『カレワラ』であるという。斯様にAMORPHISの創作活動の姿勢が、当時から現在まで一貫してブレていなことを伝えてくれる1枚でもあります。


EDGE OF SANITY - The Spectral Sorrows - Darkday ★★★ (2018-04-20 00:25:11)

重厚なイントロを豪快に蹴破ってスラッシーなリズムが疾走、
執拗に刻まれるGリフはササクレた音色ながら印象的な
メロディの流れをハッキリと宿していて、
更に中間部ではシンセを用いてドラマティックな曲展開を演出…と
最初期の一撃にして、既に「メロデス」のスタンダードを
ほぼ網羅してしまっている名曲であります。


PARADISE LOST - Gothic - Eternal ★★★ (2018-04-19 23:06:12)

響き渡るデス声Voが漂わす禍々しさと、
Gが淡々と反復するオカルト映画のテーマ曲みたいな
メロディが醸し出す、そこはかとなく荘厳な雰囲気が
組み合わさった、PARADISE LOST初期の名曲。


PARADISE LOST - Gothic ★★★ (2018-04-19 22:53:33)

PARADISE LOSTが'91年に発表し、「ゴシック・メタル」というHR/HMのサブ・ジャンル誕生に決定的な足跡を刻んだ2ndアルバム。何せタイトルからしてそのまんま『GOTHIC』ですし、曲によってはKeyやオーケストレーション、ソプラノVoによるお耽美な味付けも加えられていたりと、最初の第1歩にして既にこのジャンルに求められる要素を一通り網羅しているのだから凄い。いやこの場合は彼らがここで提示した要素が、後にゴシック・メタルに必要不可欠なスタンダードになっただけなのか。
尤も、本作の時点では飽くまでそれらはほんの彩りに過ぎず、地の底から湧き上がって来るかの如きニック・ホルムズの咆哮Voにしろ、蠢くGリフにしろ、中~低速をメインに泥濘の中をもがくように這い進むリズムにしろ、今時のゴシック・メタルのようなキャッチーさになんぞ目もくれないサウンドは、完全にデス・メタルのそれ。未だゴシック・メタルもドゥーム・メタルも認識の埒外だった当時は、CELTIC FROSTやドイツのMORGTH辺りと比較しながら、単純に「スローなデス・メタル」として楽しんだ覚え有り。
女性VoやシンフォニックなKeyによる荘厳なアレンジが施された①②⑧のような、ゴシック・メタルの雛型チックな楽曲勿論素晴らしいのですが、個人的に断然心惹かれたのは、重々しく破壊的なサウンドと、リードGが紡ぐメランコリックなメロディが美醜の対比を描き出す名曲中の名曲⑤ですよ。
PARADISE LOSTのメンバーが自信の持って「真のデビュー作」(1stは納得行く仕上がりになる前にリリースしてしまったため)と語るのも納得の、エポック・メイキングな1枚。


MESHUGGAH - Contradictions Collapse ★★ (2018-04-17 23:20:36)

スウェーデンの人気者、MESHUGGAHが’91年に発表した、ちょくちょくPRAYING MANTISの2nd『PREDETOR IN DISGUISE』と空目するジャケット・イラストが目印(?)の1stフル・アルバム。
「ジェント」の提唱者とか、「実験的」「前衛的」、はたまた「エクスペリメント・メタル」「アバンギャルド・メタル」とか、ボンクラ・メタラーには敷居が高過ぎる難解なバンドとの印象が付いて回る彼らですが、かつて思い切って聴いてみた本作は、意外にも「インテレクチュアル・スラッシュ・メタル」の好盤として普通に楽しむことが出来てしまったという。
収録曲の大半が6~7分台という大作主義、メンバーの高度なテクニックが隙なく支える、変拍子やリフ/リズム・チェンジの多用により複雑に構築された曲展開等、後の作風へと至る萌芽を随所でチラ見させつつ、メリハリの効いた楽曲は終始適度な緊張感を保って中弛みを感じさません。何より本サウンドの基盤にあるのは、ドスの効いた咆哮Voといい、男臭いシンガロングを噛ませたコーラスといい、ラフで乾いた音作りといい、飽くまで疾走上等なスラッシュ・メタル。キビキビとタイトな演奏が疾走パートのスリリングなスピード感を倍加させるOPナンバー①を始め、ツインGが不穏にして印象的なハーモニーを奏でる④、静と動の対比が北欧的なドラマ性すら感じさせる⑤⑧辺りの楽曲は、MEKONG DELTAやCORONERなんかに通じる技巧派スラッシュの逸品として楽しめるのではないかと。
本作を聴くと、次作以降のMESHUGGAHにも興味が沸いて来る…よりも寧ろ、本作以前に発表されていて、更にスラッシーだという幻のデビューEPに興味津々ですよ。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion - Cloaks of Oblivion ★★★ (2018-04-16 23:20:18)

美しく爪弾かれるアコギのイントロからスタートし、
欧州HMならではの憂いと翳り、それにドラマ性を湛えて
6分越えの長尺がパワフルに綴られるミッド・チューン。
実力が問われるタイプのこの手の楽曲も見事に熱唱する
シンガーの確かな実力に感心させられます。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion - The Yearning ★★★ (2018-04-16 23:15:02)

スタスタと切れ味鋭く疾走するリズムは
スラッシュ・メタル然としたものながら、
攻撃的且つ豊かにメロディを歌うVoと、
流麗に絡み合うツイン・リードGが
パワー・メタリックな彩りも加えてくれるという
一粒で二度美味しい名曲。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion ★★★ (2018-04-16 23:01:51)

中央ヨーロッパに位置するスロヴェニア(小学校で習った当時、あの一帯はユーゴスラビアと呼ばれていましたっけね)出身のHR/HMバンドとしては、初めて正式に日本デビューを飾ったと言われる、女性ベーシストを含む5人組が'17年に発表した3rdアルバム。
てっきりスラッシュ・メタル作品と思って購入に踏み切った本作でしたが、ここで実際に聴けるのは、モダンな感触も宿した音作りやアレンジの下、噛み付くような歌唱から朗々とした歌い上げまで柔軟にこなせる逸材Voの存在といい、ツインGが豊かに奏でるメロディといい、5~7分と尺が長めに取られている曲展開といい、どちらかと言えばパワー・メタル寄りの音楽性。アメリカン・パワー・メタルに、スラッシーなエッジと疾走感、それに如何にもヨーロピアンHM然とした翳りと憂いを湛えた旋律美、ドラマティックな曲展開を加味したサウンドは、失恋船長さんのご指摘の通りMETAL CHURCH、あるいはHEATHEN、近年だとSAVAGE MESSIAH等のバンドを彷彿とさせます。
叙情的な序曲①から疾走曲②へと繋げる欧州HMならではの様式美に満ちたOP構成や、デヴィッド・ウェインとカール・アルバートを足して2で割ったような声質のシンガーの歌唱力が映えるミッド・チューン③、ATLANTIC時代のVICIOUS RUMORSばりのスピード・ナンバー④、スラッシュ・メタル然とした攻撃性とパワー・メタルならではの豊かなメロディを併せ持って畳み込む本編屈指の名曲⑥、各メンバーの技量の粋が集められた大作⑨といった楽曲は、そうしたバンドの強みを端的に示しているのではないかと。
「メタル後進国でしょ?」等と舐めて掛かる輩に強烈なカウンターを食らわされる1枚。


SEPULTURA - Morbid Visions ★★ (2018-04-15 00:05:13)

SEPULTURAの記念すべき1stフル・アルバム(’86年発表)。ちなみに’91年リリースの国内盤は、OVERDOSEとのスプリット仕様で発売されたEP『BESTIAL DEVASTATION』(’85年)をボーナス・トラックとして追加収録してましたっけね。
劣悪なプロダクションの下で炸裂するのは、エコーに埋もれた咆哮Vo、音質が不明瞭なせいで「刻む」よりも「蠢く」といった趣きのGリフ、ひたすら暴走を繰り返すリズムとがアンサンブル崩壊寸前の所をギリギリに突っ走る、オブスキュアなスラッシュ・メタル。
たった2日間で突貫レコーディングとか、金がなかったんでチューニングが狂ってるとか、スネア・ドラムは破けたままレコーディングに挑んだとか、数々の武勇伝に相応しい地下室臭をプンプンに漂わす本作において、まず何よりも優先されているのは初期衝動の発散。制作当時全員がローティーンだったというメンバーに己の初期衝動の迸りを律する気はゼロであり、そのため演奏に関しちゃメチャ不安定。しかしながら、メンバーの身体能力のキレはこの時点で既に半端なく、中でもイゴールのドラムの迫力は(不安定さ込みで)群を抜いていて耳奪われます。彼の暴れん坊ドラムに引っ張られる形で遮二無二に突っ走る③④⑤⑥辺りは、初期SLAYER、あるいは独産スラッシュ三羽烏に通じるサタニック&ブラッキーな禍々しさと、バンドの磨けば光る曲作りのポテンシャルの高さとが同居した逸品ではないかと。「もっと良い音でセルフカヴァー希望」と表明したくなること必定です。
ちなみに本作、『タモリ倶楽部』においては④が革ジャン獲得、⑥が2017年空耳アワー大賞受賞と空耳の宝庫としても知られているので、そういう意味でもお薦め…か?


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Sect of the Serpent ★★★ (2018-04-13 00:40:21)

6分越えというアルバム最大の長尺曲。
(インスト序曲“RIDERS OF DOOM”も加えると8分越え)
尤も、だからといって構えた部分は殆どなく、
鮮烈に閃くツイン・リードGを始めとする
テクニカルな技巧と、目まぐるしい曲展開を盛り込みつつ、
暴風の如く一気呵成に吹き荒れる楽曲は
スラッシュ・メタル以外の何者でもないカッコ良さを
主張しています。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Bestial Tyranny ★★★ (2018-04-13 00:31:22)

てめえらの鼓膜から出血させたらぁ!ってな猛烈さで
冒頭からケツまで徹底的に刻み倒されるGリフの嵐と、
縦横無尽に弾きまくられるGソロの乱舞っぷりに
ひたすら圧倒される高速スラッシュ・ナンバー。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction ★★★ (2018-04-11 23:50:00)

カナダはバンクーバー出身の5人組が、'17年にTEST YOUR METAL RECORDSから発表した2ndフル・アルバムにして日本デビュー作。
お馴染みアンドレイ・ボウジコフ画伯が手掛けたジャケット・アートワークと、『WEAPONS OF THRASH DESTRUCTION』(直訳すると『スラッシュ破壊兵器』)なるストレート極まりないアルバム・タイトルが物語る通り、本作には終始ヤスリ声で叫び倒すハイテンション&ハイピッチVo、2本のGが刻んで刻んで刻みまくるクランチ・リフ、突進に次ぐ突進を繰り返すリズムとが暴風の如く吹き荒れる、80年代風味満点のスラッシュ・メタルが直球ど真ん中で放り込まれています。尤も、嘗てこの手の音を出していたスラッシャー勢に顕著だった「無理を通せば道理が引っ込む」スタイルとは異なり、メンバー全員が精緻な演奏スキルを有して、息つく暇なく性急に駆けずり回るサウンドをきっちりと破綻なく支えている辺りは、非常に現代のバンドらしいという。
テクニカルに錯綜するツインGが曲展開を牽引する③、キレッキレな演奏が激烈な疾走感を倍加させる⑦や、物悲しいインストの小曲⑧を挟み、本編のトリを務める⑨へと雪崩れ込んでいくドラマティックな構成等は、大陸産スラッシャーばりの爽快な突進力&リズミックなノリの良さと、ツインGが奏でる欧州のバンド然としたダークなメロディ・センスとを同居させた「流石はカナダ産」と膝を打つ欧米折衷スラッシュ・サウンドであり、本作の大きな聴き所となっています。
そりゃ国内盤も発売されるよね!と力強く納得する力作。


TERRIFIER (2018-04-11 23:42:39)

'03年に、VoとGによりカナダのヴァンクーバーにて結成。当初はSKULLHAMMERを名乗り、'11年に1st『DESTORYERS OF THE FAITH』を発表。メンバー・チェンジが繰り返されたことから、’12年にTERRIFEIERと改名する。(バンド名は「恐怖心を抱かせる物(人)」の意味するとか)
同年、『DESTORYERS~』をTERRIFEIER名義で再リリース、’13年には3曲入りEP『METAL OF DEATH』の発表、更に地元中心のライブ活動といった精力的な動きが実を結び、より強力な内容に仕上がった2nd『WEAPONS OF DESTRUCTION』でもって日本デビューを飾った。


GREAT KING RAT - Out of the Can - Be My Friend ★★★ (2018-04-11 00:26:15)

言わずと知れたFREEの名バラードのカヴァー。
「高い声が出せる」「音程が正しく取れる」だけでは
決して歌いこなせないこの難曲を、
本家ポール・ロジャースに肉薄する情感の豊かさで
熱唱するリーフ・スンディンのVoの素晴らしさよ。
その濃厚なエモーションの迸りっぷりに酔いしれます。


STORMTHRASH - Systematic Annihilation - The Art of Destruction ★★★ (2018-04-11 00:13:15)

憎々し気なシャウトVoを乗せて
鋭利なGリフが小気味よく刻まれ、
緊迫感を伴いつつ疾走するという
このバンドの魅力が端的に示された名曲。
特に、劇的且つテクニカルにハモるツイン・リードGが
流麗に狂い咲くインスト・パートは
ガッツポーズ級のカッコ良さですよ。


STORMTHRASH - Systematic Annihilation ★★★ (2018-04-09 23:45:02)

ベネズエラ出身のHR/HMバンドとしては本邦初登場となるらしい5人組スラッシャー、’17年発表のデビュー作。余談ですが、帯に書かれた《世界トップクラスの治安の悪さを誇る都市カラカスから登場したスラッシュ・バンド!》なる惹句を読んで「治安は関係ねーだろ、治安は」とちょっと笑ってしまいましたよ。言わんとすることは伝わりますけども。
そんな凶悪な南米出身で、しかも発表当時「世界最速」と評されたSLAYERの名曲“CHEMICAL WAFARE”をカヴァーしているとあっては、さぞかし特攻上等のプリミティブなスラッシュ・メタルをブチかましてくれそうなものですが、ここでバンドが志向しているのは、ある種の思慮深さも漂わせたサウンド。決してお高く留まっているわけじゃなく、新人スラッシャーらしい前のめり感も当然の如く全編に横溢させつつも、それと同じくらい、押しと引き、緩と急、メリとハリといった整合性も重視。メロデス/ブラック・メタルからの影響を伺わせるメロディの散りばめ方等、本作を初めて聴いた時は「本当にこれがデビュー作?3枚目ぐらいのアルバムじゃないの?」とか思ったぐらいですよ。
とは言え、それが悪い意味でないことは収録曲の質の高さからも明らかでして。特にドラマティックな序盤①②の流れ、シュミーアを彷彿とさせるシャウト型Voと、SHRAPNELメタルばりにテクニカル&メロディックに狂い咲くツインGをフィーチュアしてタイトに突っ走る④や、どこか後期DEATHに通じる⑤、静と動の対比が劇的な⑥等の楽曲は、このバンドが志向するスラッシュ・サウンドが明確に提示された本編のハイライトではないかと。
先々有望なスラッシュ・メタル・バンドがまた一つ増えて喜ばしい限りです。


ARMORED SAINT - Delirious Nomad - Released ★★ (2018-04-08 22:13:23)

Bソロや、印象的なツインGによるハーモニーを散りばめつつ、
アルバムのラストを威勢よく突っ走って締め括る疾走ナンバー。
メタル・アルバムたるもの、やはりラストは
疾走ナンバーで締め括られねば。


ARMORED SAINT - Delirious Nomad - Aftermath ★★★ (2018-04-08 22:08:58)

湿ったメロディにドラマティックな曲展開と、
2ndアルバム中において最もヨーロピアンHM風情を
感じさせる名曲。声質に華はなくとも、
ジョン・ブッシュの熱唱は確実に
この曲の盛り上がりに貢献していますよ。


ARMORED SAINT - Delirious Nomad ★★ (2018-04-08 21:55:12)

デビュー作はセールス面で不発に終わったものの、ARMORED SAINTはメジャーのCHRYSALIS RECORDSに踏み止まって、’85年に本2ndアルバムを発表しました。
鎧風衣装で身を固めたメンバーの勇姿や、名曲“MARCH OF SAINT”のイントロに配されたムソルグスキーの“キエフの大門”のインパクトに釣られて「勇壮で劇的な作品に違いない!」と勢い込んで1stアルバムを聴いてみたら、確かに「正統派HM」としか形容のしようのない硬派な音楽性なれど、と同時にグルーヴィでアメリカンなノリも強く打ち出されたサウンドと、ジョン・ブッシュ(Vo)のオッサン声に拍子抜けしてしまい、この2ndアルバムまで辿り着かない人が結構な数存在する…との説がそれなりの説得力を持つことは、当サイトにおける本作の得票数の少なさが証明する通り。
同時代のLAメタル勢に比べるとケレンやキャッチーさに乏しく、ジョンの歌声にも華が欠けるため(そこが魅力でもある)、一聴しての感想は「地味」。しかし繰り返し聴き込んでみれば、緊迫感を孕んだ重厚なミッド・チューン②⑥、アグレッシブに動き回る2本のGを軸に疾走する⑤⑩、本編中最も欧州HM風味を感じさせるドラマティックな⑦といった秀逸な楽曲のカッコ良さが徐々に浮かび上がって来るという塩梅でして。例えるなら、「あの人、真面目で良い人なんだけどイマイチ面白味に欠けるのよねぇ」と職場で陰口を叩かれていたけど、実際に腹を割って付き合ってみたら非常に奥深い魅力が備わった人物で、長く付き合う無二の親友になりました…的な1枚とでも申しましょうか。(分かり辛ぇ例え)
兎も角、インパクトでは前作に一歩譲っても、品質では勝るとも劣らない力作だと思う次第。


IRON MAIDEN - Maiden Japan ★★★ (2018-04-04 23:43:19)

IRON MAIDENが’81年に行った来日公演の模様を収めた実況録音盤(収録会場は愛知厚生年金会館)。邦題は『ヘヴィ・メタル・アーミー メイデン・ジャパン・ライブ!』で、ジャケットに踊る「日本」「女」という怪しげな日本語が微笑ましい。
収録曲は全4曲と、ボリューム的には少々食い足りない感があるものの、ポール・ディアノ&クライヴ・バー在籍時代のIRON MAIDENの荒々しいライブの一端を垣間見ることが出来る作品としてファン人気は高い。また、切り取ったディアノの生首を掲げるエディがジャケットに描かれたベネズエラ盤が、コレクターズ・アイテム化しているのもよく知られた話。余談ですが、自分が持っているのは『MAIDEN JAPAN』に“PURGATORY”と“GENGIS KHAN”、ニコ・マクブレインが駄弁りまくる“LISTEN WITH NICKO! PARTⅢ”を追加収録した全7曲仕様のCD。古本屋の中古コーナーで本作を発見した時は「公式には『MAIDEN~』はCD化されてない筈だし、海賊盤か?」と疑いましたが、よくよく思い出してみれば、これって多分活動10周年記念企画でリリースされた10枚の内のシングルの一つだったという。(日本では最初からBOX SET『FIRST TEN YEARS』として発売)
ともあれ内容に関しては文句なし。本編のメインたる『MAIDEN JAPAN』は名曲揃いな上、バンドの若さ迸る演奏も非常に生々しく捉えられていますし、日本のファンの声援も熱い。既に女性客の声援も結構混じっていて、バンドも嬉しかったのでは?とか思ったり。
これを聴くと、巷に出回っている放送用音源をソースにしたブート盤(そっちは中野サンプラザでのライブを収録)を正式作品化して欲しくなってしまいますよ。