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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1601-1700
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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1601-1700

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KING KOBRA - Thrill of a Lifetime ★★★ (2018-04-03 23:48:09)

「人工甘味料チックなイケメン4人と成分無調整のオッサン1人」というビジュアル戦略や、楽曲のクオリティも万全だったのに、なぜかデビュー作『READY TO STRIKE』がコケてしまったカーマイン・アピス率いるKING KOBRA。万全過ぎたイメージ戦略が逆に「作られたバンド」感を強調してしまい足を引っ張ったのか…。ともかく、その失敗を踏まえた'85年発表の本2ndアルバム(邦題『街角のスリル』)では音楽性を転換。HR/HM色を薄めた代わりに、Key類やポップなメロディが大幅増量された、AOR/産業ロック方向へと大きく舵を切ったサウンドに仕上がっています。
映画『アイアン・イーグル』主題歌⑥はともかく、ラップ調の⑦まであったりする節操のなさは如何なものかと思いますが、聴き進めていくと実は本編後半では、哀愁を帯びて駆け抜ける隠れた名曲と言うべき⑧や、キャッチーなコーラスがライブ映えしそうな⑨、ノリノリで最後を締め括る⑩といったハードな疾走ナンバーが連続。これにはバンド側の「ポップに日和ったと侮んなよ?」との意地や矜持が垣間見えるようで好感度が上がります。勿論、アルバム前半で固め打ちされるハードポップ・チューンだって、爽やかに吹き抜けるOPナンバー①、Gが歌う②、明るく弾む③等いずれも質が高く、何よりマーク・フリー(Vo)の伸びやかでソウルフルな歌声は、この手の楽曲においても絶品の味わいを発揮してますよ。
LAメタルを代表する1stの表題曲級のインパクトを有する名曲は見当たらなくとも、総合的なクオリティでは前作に決して引けを取らない1枚。ただ残念ながら本作もさっぱり当たらず、一先ずバンド活動にはこれで幕が降ろされてしまうのですが…。(現在は再結成済)


HELIX - Walkin' the Razor's Edge - Young & Wreckless ★★★ (2018-04-02 23:04:17)

タテノリのロックンロールを得意とするHELIXですが
Gリフの鋭さ、その上に乗るシンガーのカミソリ声、
ノリ良く合唱を誘発するメロディと、
この曲は完全にメタル。いやカッコイイ。


HELIX - Walkin' the Razor's Edge ★★ (2018-04-01 23:51:14)

RUSHやTRIUMPHほどじゃないにしろ、「本国やアメリカではそれなりの知名度を誇っているのに、ここ日本では全く認知されていないバンド」のカナダ代表としてその名が度々挙げられるHELIX。斯くいう自分も(名前の語感と音楽性が似ているせいか)スイスのKROKUSと時々ごっちゃになる程度の認識でして。本作はそんな彼らが米メジャーのCAPITAL RECORDSから'84年に発表するや、世界的なHMブームを追い風に、米・加ビルボード・チャートの上位にランクイン。最終的にはプラチナム認定を受けるぐらい売れまくった4thアルバムにして代表作たる1枚であります。
「R!O!C!K!ROCK YOU!」というHM版“ヤングマン”みたいなコーラスが、本編開巻を威勢よく宣言するスマッシュ・ヒット曲①(最高第27位)が体現するように、HELIXが聴かせてくれるのは、カミソリ声のシンガーのシャウトも映えるAC/DCやKISSなんかに通じるタテノリ・ロックンロール。抜けるような青空の下、カーステから流れて来た日にゃ思わずアクセル踏み込みたくなる、スカッとハジけるノリの良さを全面展開させつつ、能天気一歩手前で踏み止まって、メロディに哀愁を小さじ一杯分程溶かし込んでいる辺りはやりカナダのバンドであり、自分が本作を楽しめる理由でもあるという。
特にヘヴィ・メタリックな②、ワイルドにぶちかまされる⑤、曲以上にオッパイ大盤振る舞いPV(未検閲バージョン)が目に楽しかった⑥、そこはかとなく重厚感漂う⑩といった楽曲には、日の出の勢いだったHELIXの充実ぶりが如実に反映されているのではないかと。
長らく廃盤だった国内盤がこの度再発されたので、未聴の方はこの機会にいかがでしょう。


MICHAEL KISKE - Kiske - Mary in the Morning ★★★ (2018-04-01 00:39:12)

“Mr.BASS MAN”の大ヒットで知られるジョニー・シンバルと、
マイケル・ラシュコウ共作の哀愁のバラード。
エルヴィス・プレスリーのバージョンがつとに有名で、
マイケル・キスクも敬愛するエルヴィスをかなり意識した
ダンディな歌唱スタイルで歌い上げています。
キスクってばこういう歌い方も出来るんだ!と新鮮な驚きを
覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(ライブでは以前から即興でこうした歌唱法を披露していましたけども)


MICHAEL KISKE - Kiske ★★★ (2018-03-29 23:24:10)

マイケル・キスクのHELLOWEEN合流を祝って、今更彼氏のソロ・アルバムを落穂拾い。
キスクと言えば、誰よりも上手くメタルを歌うが、そもそもメタルを歌うことはあんまり好まないという、グラハムのやっさんに通じるアンビバレンツな性質の持ち主。それゆえHELLOWEEN脱退以降はHR/HMと距離を置こうとする姿勢を、特にソロ・アルバムにおいては鮮明に打ち出していて、それは'06年発表のこの3rdソロ・アルバムでも変わっていません。疾走ナンバーは勿論のこと、エレキGすら殆ど聴こえてこない本作は、リラックスした伸びやかな「歌」と、アコギによって奏でられる人肌の温もりを湛えた「メロディ」が主役を務める、ハート・ウォーミングなサウンドが追求されています。
正直、もし発表当時にこのアルバムを聴いていたならば「またこの路線か…」と溜息の一つも漏らしたことは想像に難くありません。しかし頑なだったキスクの心情にゆっくりと雪解けの季節が訪れ、今ではPUMPKINS UNITEDの一員としてライブを重ね、メディアのインタビューに応じ、HELLOWEENのメンバー達と共に笑顔で写真に収まる彼氏の姿に感無量な現在となっちゃ、素直に本作の収録曲の質の高さに酔いしれることが出来るという。
徐々に熱を帯びていく哀愁にグッとくる④、不意に響くバイオリンの調べが胸を打つ⑤や、エレキGによるソロもフィーチュアされた爽やかな⑪、意外な程ダンディな歌声に聴き惚れるエルヴィス・プレスリーへの敬意溢れるカヴァー⑫といった楽曲おけるキスクの歌唱は、無理なく自然体で、そして実にエモーショナル。
本作に対する己の過小評価を猛省しつつ、今後は「このアルバムを聴け!」と、宣伝行為に邁進する決意を固めないわけにはいかない力作です。


POWERWOLF - Lupus Dei - Prayer in the Dark ★★★ (2018-03-29 00:16:30)

冷ややかなKeyのイントロをシャープなGリフが切り裂き
濁声Voと共に楽曲が走り出す。重厚なクワイアを伴う
サビは思いっきり荘厳に展開しつつ、ブリッジ・パートは
ライブ映えするキャッチーさも備わっているという、
POWERWOLF節が存分に堪能できる逸品。


HELLOWEEN - Keepers Live - How Many Tears ★★★ (2018-03-29 00:09:36)

高音域でも全くパワーが落ちないハイトーンVoや、
リフにソロに切れ味抜群のツイン・リードGの素晴らしさは
当然のこととして、改めてこのライブ・バージョンを
聴き直すと、マーカス・グロスコフのメロディアスなBプレイと、
何より楽曲の強力な推進剤役を担うインゴのドラミングの
ガムシャラな飛ばしっぷりに圧倒されてしまいますね。
一旦スローダウンして、パイロの爆発音を伴いながらドラムが再び
全力疾走を開始するパートは何度聴いてもゾクッとさせられます。


POWERWOLF - Lupus Dei ★★★ (2018-03-28 00:48:50)

4th『PREACHERS OF THE NIGHT』(’13年)を本国ナショナル・チャート第1位の座に送り込み、一躍その名を世界に知らしめたドイツのPOWERWOLF。急遽日本盤も発売された『PREACHERS~』で聴ける劇的且つシンフォニックなパワー・メタル・サウンドのカッコ良さに感心し、こりゃ過去作も是非チェックせねばと思ったのですが、どうしたことか3rd以前のカタログは入手困難。辛うじて購入できた(なぜか近所の古本屋のCDコーナーで売られていた)のが、この'07年発表の2ndアルバムだったという。
荘厳な雰囲気を醸し出すチャーチ・オルガンの多用や、オペラティックな歌い上げとメタリックなシャウトを使い分け、楽曲にシアトリカルな盛り上がりを演出するVoの歌唱等、バンドの重要な個性となる要素はまだ確立には至っておらず、この時点での印象は、BLIND GUARDIAN影響下の豪奢なジャーマン・パワー・メタルといった趣き。(シンガーの歌唱スタイルや声質もどことなくハンズィ・キアシュ似)
とは言え、それも飽くまで近作と比較しての話であり、単体で評価すれば、大仰なイントロに導かれてスタートする本作におけるサウンドは、既に十分過ぎるほどに勇壮且つシンフォニック。彼ら特有のキャッチーなメロディ・センスも冴え渡っていて、特にIRON MAIDENばりのツインGフレーズを散りばめつつ疾走する③は、「讃美歌メタル」とでも言うべき厳粛なドラマ性の迸りといい、ライブ映えする荘厳なコーラスといい、バンドの個性を如実に表す名曲にして本編のハイライト・ナンバーの一つではないかと。
POWERWOLFというバンドの非凡な才能が十二分に発揮されている1枚。


SPIRITUAL BEGGARS - Return to Live: Loud Park 2010 ★★★ (2018-03-27 00:27:47)

ARCH ENMEYで快進撃を続けるマイケル・アモット(G)の別バンド、SPIRITUAL BEGGARSが、LOUD PARK 10で行ったライブの模様を収めた実況録音盤(’11年発表)。ちなみにアモット兄はこの年までLOUD PARK皆勤賞だったという。
このバンドについては、それまで「ストーナー/ドゥーム・ロック・バンド」的イメージを勝手に抱いていたのですが、本作で繰り広げられるのは、加入したてのアポロ・パパサナシオ(ex FIREWIND)の熱を帯びたヘヴィ・メタリックなVo、躍動感溢れるリズム、ペル・ヴィバリのレトロなオルガン、そして強烈な「気」を放つ(③④のソロとかね)アモット兄のGプレイとが混然一体となった、所謂「クラシック・ロック」の風格漂うサウンド。会場の熱気を生々しく捉えた音像の下、ラフネスやルースネスにも勝る、達者な演者達によって生み出されるアッパーなノリの良さに、自然と体が揺り動かされてしまいます。
特に冷ややかな空気と重厚感を纏った⑦から、本編を大団円へと導く⑧へと繋げていくドラマティックな流れは、ライブならではの構成といい、観客によるキメフレーズの大合唱といい(ARCH ENEMYのライブかと思いましたよ)、実に高揚感に満ち溢れていて何度聴いてもアガりまくる本作のハイライト。
フルセットのライブ・アルバムではなく「来日記念盤EP」の体ゆえ、収録曲は全8曲。ランニング・タイムも30分台とボリューム控えめですが、逆にだからこそ取っ付き易いとも言え、自分のように「SPIRITUAL BEGGAERSってどんなバンドなんじゃろか」と、ちょっと興味を持った程度の人間が入門サンプル代わりにするのにもってこい1枚かと。


HELLOWEEN - Keepers Live ★★★ (2018-03-26 00:42:54)

恩讐を乗り越えて、現在は夢の《PUMPKINS UNITED》ツアーを敢行中のHELLOWEENが、マイケル・キスク(Vo)とカイ・ハンセン(G)在籍時代に唯一残した公式実況録音盤。
'88年~'89年にかけて行われた《PUMPKINS FLY FREE TOUR》より、エジンバラ/マンチェスター公演の模様を収録する本作は、まず何と言っても会場に詰め掛けた英国ファンの盛り上がりっぷりが凄いのなんの。のっけの「HAPPY HAPPY HELLOWEEN~♪」コールに始まり、キスクに代わってサビで大合唱を轟かす“Dr. STEIN”から、バンドと白熱したコール&レスポンスを繰り広げる“FUTURE WORLD”に至るまで、各曲において客席が放つ圧倒的熱量の高さからは、当時のHELLOWEENがいかにイギリスで強固なファン・ベースを築いていたかを伺い知ることができます。
そして、全速力で駆け抜ける“I WANT OUT”を中継して、クライマックスには満を持して“HOW MANY TEARS”が登場。カイのVoですら(失礼)素晴らしかったあの名曲が、豊かな声量を誇るキスクの堂々たる歌唱によって蘇る。その上、ライブならではの遊び心やドラマティックな仕掛け――コミカルな掛け合いを経てイントロのGリフが炸裂する瞬間や、殆ど演歌的とも言えるスローダウンを挟み、そこから劇的にスピードUPしていく曲展開の鳥肌モノのカッコ良さたるや!――を伴って猛然と突っ走られた日にゃ、「折角の黄金時代のライブ盤なのに選曲と曲数が物足りねー」ってな個人的不満は力尽くで捻じ伏せられてしまいましたよ。
尚、数年前にHELLOWEENの旧譜の再発ラッシュがあった際、本作も「もしや完全版がリリースされるのでは?!」と期待したものですが、勿論そんなことはなかったという。ちぇっ


UFO - Live in Japan ★★★ (2018-03-24 00:33:33)

エディ・コクランのカヴァー“C’MON EVERYBODY”を日本でヒットさせた勢いに乗り、'71年に飛来したUFOが日比谷公会堂にて行った初来日公演の模様を収めた実況録音盤。
ミック・ボルトン在籍時代のUFOにはぶっちゃけあまり興味がなかったのですが、後追いで聴いて吃驚。サイケでブルージーな味わいも漂う楽曲は、起承転結よりもインプロビゼーション重視で、ジメジメとした湿気を孕んだ「いかにも70年代ブリティッシュHR」といった風情。マイケル・シェンカー加入前ということで、泣きや哀愁迸るドラマティックなメロディや曲展開は控えめとはいえ、叩き上げのライブ・バンドゆえ、熱気あふれるパフォーマンスは荒々しくも実にエネルギッシュです。フィル・モグの唯一無二の歌声、唸りを上げるピート・ウェイのB、アンディ・パーカーの疾走感溢れるDs、それにミックの泥臭いGプレイ…。聴いているだけで各メンバーが織り成すハイテンションな演奏と、それに応える観客の熱狂にグイグイ引き込まれてしまいますよ。取り分け“ジョージのブギー”辺りの盛り上がりっぷりは圧巻。
あと本作を特別な存在にしているのが、その迫真のドキュメント性でして。当日はピートの指の負傷によりセットリストが急遽50分に短縮。そのことを伝えるMCや、エキサイトしまくりの観客に向かって会場側が『(席に)お掛けになってご覧になられませんか!』と繰り返し呼び掛けている様子がそのまんま記録されていたりと、HR黎明期の日本でのライブの模様が生々しく伝わって来る作りが非常に興味深いという。
バンドからは海賊版扱いされていますが、個人的には愛して止まないライブ盤の傑作ですよ。


GREAT KING RAT - Out of the Can ★★ (2018-03-23 00:35:10)

大いなる注目を集めて'91年にセルフ・タイトルの1stアルバムでデビューを飾るも、レコード会社の無為無策に足を引っ張られた挙句解散を余儀なくされてしまった悲運のバンド、スウェーデンのGREAT KING RATが'99年に発表した2ndアルバム。…ではなく。日の目を見なかったお蔵入り音源(一部録り直し曲もあり)を取りまとめた未発表曲集。
本作に託されているのは、「北欧のMr. BIG」とも評されたデビュー作のサウンドを順当に継承する、70年代の薫り漂うブルージーなHR。マイケル・シェンカーにその才を買われたリーフ・スンディンのエリック・マーティン似のソウルフルなVoや、現POODLESのポンタス・ノルグレンのテクニカルなGプレイに、レトロなハモンド・オルガンの音色等、例え未発表曲集と言えども、ここには「北欧のローカル・バンド」的な垢抜けない雰囲気は皆無。逆に言うと「煌めく美旋律」「ドラマティックな曲展開」といった様式美HM要素を期待するとガッカリすることになるわけですが、それでも作品全体がどこかヒンヤリとした空気に覆われているように感じられるのは、やはり彼らの血の為せる業か。
個人的には、FREEの名曲“BE MY FRIEND”を完全に己のものにしているリーフの熱唱に聴き惚れる⑦以降、初期RAINBOW風味の妖しげな重厚感漂わす⑧、埃っぽい疾走ナンバー⑨、ほんわかと心温まるバラード⑩といった優れた楽曲の連打にテンションがアガるアルバム後半の流れがお気に入り。
廃盤の国内盤が高値で取引されている1stに比べると比較的入手も楽なので、取り敢えずどんなバンドなのか興味を持たれた方は本作から入ってみるのがよろしいかと。


WIDOWMAKER - Blood and Bullets - Blue for You ★★★ (2018-03-21 10:05:52)

胸にズドンと来るディーの熱唱とアル・ピトレリのGが
互いに負けじと咽び泣くブルージーなバラッド。
タメの効いた曲調をぐっと盛り上げるリズム隊の仕事振りも見事。
そこいらのロックンロール・バンドにゃ真似できない
濃厚なエモーション渦巻く名曲に仕上がっています。


WIDOWMAKER - Blood and Bullets - Emaheevul ★★★ (2018-03-21 10:02:32)

ディー・スナイダーとバーニー・トーメの共作曲。
速射砲のように繰り出されるディーのハイテンションの
Voを乗せてエネルギッシュに突っ走る
汗とツバキが飛び散るOPナンバー。
意味不明なタイトルは、“AM I EVIL”の口語体風表記とのこと。


WIDOWMAKER - Blood and Bullets - The Lonely Ones ★★★ (2018-03-21 09:56:12)

ディー曰く「社会から見捨てられた人たちに
ついて歌っている曲」らしいのですが、
歌詞はシリアスでも曲調自体はカラッと明るく
特にキャッチーなコーラスはライブで一緒に
歌いたくなる魅力を秘めています。


WIDOWMAKER - Blood and Bullets ★★★ (2018-03-20 00:10:10)

「LAメタル・シーンのご意見番」ことディー・スナイダー(Vo)。TWISTED SISTER解散後はバーニー・トーメやクライヴ・バーらとDESPERADOを結成し、デビューを画策するも頓挫してしまった彼が、今度はASIAやMEGADETH、SAVATAGE等での活動で知られるアル・ピトレリ(G)を相棒に迎えて結成したのがこのWIDOWMAKERです。本作は’92年に発表された彼らの1stアルバムに当たる作品。
バンドが実践している音楽性は、TWISTED SISTERをソリッドにビルドアップしたような硬派なパワー・メタル/ロックンロール。クレジットを見ると半数の楽曲がディー/バーニーの共作名義になっているので、お蔵入りの憂き目にあったDESPERADOのデビュー作の楽曲が流用されているのかな?と。アクセルを床まで踏み込んで爆走するパワー・チューンから、いかにもアメリカンなグルーヴが豪快にうねる70年代風HR、キャッチーに弾むポップ・ナンバー、更にはブルージーな哀愁全開で迫り来るバラッドまで、本編には様々なタイプの楽曲が取り揃えられ、それらをパワフルに歌いこなし、且つ強烈な個性で一本の芯を通すディーのVoも絶好調。ド派手なメイクとオサラバしようとも、汗とツバキと男の色気が飛び散る唯一無二の歌声は健在で、怒涛の如く突進する①、秀逸なポップ・センスが垣間見える④、土煙蹴立ててブッ飛ばす⑦、ディーの熱唱に胸打たれずにはいられないブルージーな⑨といった秀逸な楽曲を、更に一段も二段も高い位置へ蹴り上げてくれています。
90年代の作品ゆえ感じた不安も、聴き終えた後には完膚なきまでに雲散霧消する快盤。ただバンド自体は次作で流行に寄って大コケしてしまうのですが…。


ARK STORM - Voyage of the Rage ★★★ (2018-03-18 23:37:31)

スタジオ・アルバムとしては3rd『THE EVERLASTING WHEEL』(’03年)以来、15年ぶりに発表された4thアルバム。(’18年)
その合間にライブ活動やリレコーディング・ベスト盤のリリースもありましたが、それにしたって15年は間が空き過ぎだろう…との愚痴は、「新Voにマーク・ボールズを起用!」というサプライズ人事の衝撃の前に雲散霧消。様式美HM界隈の三種の神器と名高いマーク・ボールズ――ちなみに残り2つはコージー・パウエルのDsとイェンス・ヨハンソンのKey――が、「和製イングヴェイ」の異名を取る太田カツ(G)のバンドで歌うとか、一昔前に様式美マニアが飲み屋で交わしてた与太話が現実になる日が来ようとは。
サウンドは前3作同様、安定のネオクラシカルHM路線。作を重ねる毎にパワー・メタリックな色合いを強めているとは言え、殊にインスト曲において顕著な太田の迸るほどにイングヴェイなGプレイを始め、亜流サウンドであることは否定し得ません。しかし質の高さは保証書付きですし、何より近年は御本家がこのサウンド・バランスから距離を取り始めていることもあり、個人的には何の問題もなく楽しめましたよ。
ただ聴いていてふと思ったのは「シンガーは誰を想定して曲作りが行われたのだろう?」ということでして。マーク前提にしちゃ歌メロのキーが低めで、もしかすると前任Vo向けに作った楽曲にマークが歌入れを行ったのかな?と。尤もそれが逆に収録楽曲に新鮮味をもたらしてくれている面もあるので、悪いということはないのですが。特にダーク且つ劇的に疾走するOPナンバー①は名曲ですよ。


Black Sweet - Time to Depart - Masquerade ★★★ (2018-03-18 01:17:59)

STRYPERに通じる甘美なメロディ・センスと
パワー・メタリックなアグレッションという
BLACK SWEETというバンドに備わった2面の魅力が
1曲の中で巧みな融合を見た逸品。
アルバムのハイライト・ナンバーの一つです。


Black Sweet - Time to Depart - Valhalla ★★★ (2018-03-18 01:14:59)

“FAST AS A SHARK”や“WARNING ACTION”といった
楽曲を思わせる、STRYPERというよりは、
もっと骨太でオーソドックスなヘヴィ/パワー・メタル風味が
打ち出された疾走曲。


Black Sweet - Time to Depart - Reach for the Sky ★★★ (2018-03-18 01:11:58)

鋭利なGリフが緊迫感を伴って刻まれるヴァースから
パッと視界が開けるように展開していく印象的なコーラスといい、
フラッシーなツイン・リードGといい
1stや2ndの頃のSTRYPERを彷彿とさせる名曲。
この時期のSTRYPERを彷彿とさせる楽曲なんて
そうそう作れるものじゃありませんよ。


Black Sweet - Time to Depart ★★★ (2018-03-16 00:39:36)

東京を拠点に活動する4人組が'17年に発表したデビュー作。雑誌のインタビューで「最も影響を受けたバンドはSTRYPER」と答えているのを読んで「おお、国内じゃあまり知らないタイプのバンド」と興味を持って購入してみたら、これが大当たりでしたよ。
実際に本編は、荘厳な序曲①の余韻を切り裂いて攻撃的に疾走する②や、愁いを帯びたメロディが華麗に舞うアップテンポの⑩といった、シャープなGリフとメロディックなツインGの存在が映える、『YELLOW AND BLACK ATTACK』や『SOLDIER UNDER COMMAND』を発表した頃のSTRYPERを彷彿とさせる――更に骨太な感触はあるものの――楽曲によって頭と尻をサンドイッチ。しかしながら通して聴いてみると、ACCEPTの“FAST AS A SHARK”(あるいはANTHEMの“WARNING ACTION!”)に通じるパワー・メタル・チューン③あり、日本語詞で歌われる爽やかなJ-POP調の⑤やポップな⑧、様式美HM風味のインスト曲⑨(TORNADO-GRENADEのGがゲスト参加)あり…といった具合に、単純に「STRYPERフォロワー」の一言では括り切れない、多彩なタイプの楽曲が収録されていることに気付かされます。特にスピード・ナンバー⑦は、アグレッションを全開にしつつも、コーラスではVoが甘美なメロディをしっかりと歌い上げる、このバンド独自の魅力が炸裂する名曲として強力な存在感を放っているという。
シンガーの歌唱力の精進(現時点でも十分上手いのですが、更なる伸びしろを感じさせる)や、音質の一層の向上等、これから経験を積み重ねて行けばバンドが理想と語るFRONTIER RECORDSとの契約だって夢物語ではない、実に立派なクオリティを有する1枚。


Black Sweet (2018-03-16 00:34:09)

熊本出身の兄弟や、関東出身のメンバーらによって結成され、東京を拠点に活動する4人組。
'14年に前身バンドHIDDEN CHRISTIAN(隠れキリシタンの意)として活動を開始し、’17年にBLACK SWEETと改名。同年12月に1st『TIME TO DEPART』でアルバム・デビューを飾った。
最も影響を受けたバンドとしてSTRYPERの名を挙げていて、音楽性は勿論のこと、バンド名もSTRYPERから着想を得ているんでしょうかね?


VOLCANO - Irregular ★★★ (2018-03-14 22:54:46)

屍忌蛇(G)には『STAND PROUD!~ALL FOR HEAVY METAL』と『DUAL WORLD』に続く3枚目、VOLCANOにとっては初めてとなるカヴァー曲集。
選曲には全メンバーが平等に関与していますが、畑違いのアーティストやマニアックなバンドの楽曲等はチョイスされておらず(SILVER MOUNTAINが有名かどうかはさておき)、HR/HMファンなら一度は聴いたことがあるであろう王道を行く名曲の数々を、奇を衒うことなく真正面から堂々カヴァーするスタイルは、『STAND~』『DUAL~』に通じるものがあります。新人バンドがそんな真似しようもんなら「カラオケかよ」と失笑を買いそうなところですけども、そこは百戦錬磨のVOLCANO。慟哭のGから煮え滾る灼熱Vo、鋼の如き屈曲なリズム隊まで、メンバー全員のキャラが立ちまくりのため、変にヒネらずとも普段通りに振舞うだけで元曲を自分たち色に染め変えられてしまうのですから流石ですよ。
演ればハマるだろうなぁと思いましたし、実際ドハマりしているKROKUSの③、FLATBACKERの⑥、OVERKILLの⑦といったところや、劇画の画風でキラキラなノリの少女漫画を描いてみたようなミスマッチ感が逆に楽しいNIGHT RANGERの④、MOTLEY CRUEの⑩辺りも秀逸な出来栄えを提示していますが、個人的に本編のハイライトは⑨で決まり。スラッシュ・メタルばりのアグレッションと、持ち前のメロディ・センスとが劇的な化学反応を起こした初期Xの名曲で、オリジナル・バージョンは今聴くと線の細さが微笑ましいですが、それをパワフルに蘇らせた好カヴァーではないかと。
この調子で第2弾、第3弾とシリーズ化に期待したくなる好盤です。


MAGNUM - Lost on the Road to Eternity - Lost on the Road to Eternity ★★★ (2018-03-13 23:37:15)

Keyによる壮大且つシンフォニックなイントロを経て、
ボブ・カトレイとトビアス・サメットのツインVo体制のもと、
ブリティッシュHMならではの憂いとドラマ性を帯びた
サウンド絵巻が、力強く、ドラマティックに展開。
合唱を誘うコーラス等、ライブ映えするパートが
しっかりと組み込まれている曲作りの巧みさも
心ニクいアルバム表題曲。


MAGNUM - Lost on the Road to Eternity ★★★ (2018-03-13 23:23:43)

'18年発表の最新スタジオ・アルバム。前作『SACRED BLOOD“DIVINE”LINE』から2年足らず、リ・レコーディング曲を含むバラード集『THE VALLEY OF TEARS』からは僅か1年のブランクでリリースという、他のベテラン・バンドにも見習わせたいフットワークで活動を続けるMAGNUM。長らく三本柱の一柱だったマーク・スタンウェイ(Key)と、再結成以降のバンドの土台を支え続けたハリー・ジェイムズ(Ds)を失いながらも、本作の完成度の高さには全く揺るぎがないのですから、トニー・クラーキン(G)とボブ・カトレイ(Vo)の看板コンビの旺盛な創作意欲には脱帽ですよ。
音楽性に大きな変化は見受けられず、大英帝国産の貫禄と威厳をその身に纏わせつつも、周囲を睥睨するよりも聴き手に寄り添い、そのハートを芯からポカポカと温めるかのような「遠赤外線メタル」ぶりも健在。マンネリ?とんでもねぇ。比較的ハードな方向に振られていた前作に対し、今回はツアーで得た経験が曲作りに反映され、ノリ易いテンポといい、観客の合唱やバンドとの掛け合いが盛り上がりそうなパートを組み込んだ曲構成といい、全体的にライブ映え重視の楽曲が数多く並んでいるのが新鮮です。
勿論そのことでメロディのフックやドラマ性が薄まる下手を彼らが打つ筈もなく、特にアルバム表題曲である雄大なエピック・チューン⑤は本作の魅力が集約された逸品。この曲に限らず、サウンドの気品とファンタジックな抒情性を効果的に引き上げる、新加入のKey奏者の良い仕事ぶりが光っていますね(カトレイの人肌の温もりを伝えるVo、クラーキンの滋味溢れるGの素晴らしさい関しては今更言及するまでなく)


KIP WINGER - From the Moon to the Sun - One Big Game ★★★ (2018-03-12 23:50:13)

物憂げにたゆたう抒情メロディと気だるげに鳴らされるサックス、
聴き進めるに従って徐々に熱を帯びて曲展開等
何となくKING CRIMSON的なプログレ・テイストも感じられる名曲。


KIP WINGER - From the Moon to the Sun - Pages and Pages ★★★ (2018-03-12 23:44:30)

ピアノが奏でるメロディだけ拾っていくと
何やら久石譲テイストっぽさも感じられるバラード。
静謐に染み渡る哀切なメロディを、
エモーショナルに歌い上げるキップ・ウィンガーの
深みを湛えた歌声にうっとりですよ。


KIP WINGER - From the Moon to the Sun ★★★ (2018-03-12 23:38:46)

WINGERは初期作しか知らず、熱心なファンとは言い難い身ゆえ、その中心メンバーたるキップ・ウィンガー(Vo)の2枚目のソロ・アルバム(’08年発表)と言われても「ふーん…」と然程ありがたみを感じなかったのが実際のところ。しかし本作を聴いてクオリティの高さにビックリさせられるや否や、速攻で「キップ、ありがとう!」と手のひらをくるり。
とは言え、合唱を誘われるキャッチネスやライブ映えするノリの良さといった、華やかな80年代ポップ・メタル要素を期待すると、肩透かしを食いかねないサウンドなので注意は必要かと。スケールの大きなドラマティックな楽曲から、BEATLES風、エスニック風、中には映画音楽風インスト曲まであったりと本編は非常にバラエティに富む反面、ここで披露されているのはG以上にシンセやピアノ、オーケストレーションといった要素が印象的な、モダンでムーディでシリアスなポップ・ロック。収録曲はいずれもHR/HMとは距離を感じさせつつも、重層的なコーラスの重ね方から残響音の一つに至るまで、微に入り細を穿つキップのアーティスティックな拘りに貫かれた本編はそれでも聴き応え十分。
マカロニ・ウェスタン風のテーマ・メロディを持つ①、メランコリーなピアノが効果的な④、美しく重厚なハーモニーに聴き惚れる⑥、プログレ・エッセンスも感じられる劇的な⑩、静謐にアルバムを締め括る⑬等々…。アートワークの世界がそのまま音へと転化されたような、深遠に響き渡る抒情メロディと、何よりそれを歌い上げるキップのVoが非常にエモーショナルで感動的。この人こんなに歌が上手かったんだ?と、失礼な感想を抱いてしまうぐらいでしたよ。
キップの他のソロ作や、再結成以降のWINGERのアルバムもチェックしたくなる1枚。


JOHNNY LIMA - Shine On - Star ★★★ (2018-03-12 00:03:38)

イントロだけで出来栄えの良さが確信できる、
ドラマティックな盛り上がりっぷりに
胸打たれるロッカ・バラードの名曲。
一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスは、
80年代だったら会場中でライターの火が一斉に揺れていたはず。


JOHNNY LIMA - Shine On - My Country 'Tis of Thee ★★★ (2018-03-11 23:59:45)

キラキラなシンセと乾いた哀愁、それに分厚いハーモニーに
くるまれたサビメロのフックの効き具合が全く以てお見事な、
2ndアルバムのハイライト・ナンバー候補でもある
メロディアスHRなんばー。


JOHNNY LIMA - Shine On ★★★ (2018-03-11 23:52:41)

グランジ/オルタナ旋風が世界的に猛威を振るった90年代にあって、MTM RECORDSやESCAPE MUSICと並んでメロディ愛好家から心のオアシスとして篤い信頼を得ていたイギリスのNOW & THEN RECORDS。そのバックアップを受け、’97年に1st『JOHNNY LIMA』でデビューを飾った、VoとGのみならずKeyやDsもこなす西海岸出身のアメリカ人マルチ・ミュージシャン、ジョニー・リマが'99年に発表した2ndアルバム。(日本盤はNIPPON CROWNからリリース)
所属レーベルの伝手でTENのゲイリー・ヒューズが本作のミックスダウンを担当していますが、サウンドの方に英国的湿り気は薄め。ここで聴かれるのは80年代の空気を胸いっぱいに吸い込んだような大陸型ポップ・メタルであり、取り分け、カラッとした躍動感溢れる曲調に、煌めくKeyと、哀愁をひとつまみ振りかけたキャッチーなメロディが彩りを加える楽曲や、ラフなエッジを宿した声質がジョン・ボン・ジョヴィ風のジョニーの歌唱等からは、BON JOVIに対する絶大な憧れっぷりが伺えます。
特に哀愁を帯びたメロディが駆け抜けて行く②は初期BON JOVIテイスト溢れる本編屈指の名曲。その他にも、ドラマティックに盛り上がるバラード④、甘くポップな⑨、Voに負けじとGも実によく歌っている⑩等、本編には80年代の息吹を次の世紀へ伝えんとする楽曲が勢揃い。(ちなみにフックの効いたメロディが美味な③と、ライブ映えしそうな⑥でリードGを弾いているのはクレイグ・タケシタなる日系人?ギタリストという)
80年代ポップ・メタルに親しむ向きには、強力にお薦めする1枚であります。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - Chance of a Lifetime ★★★ (2018-03-11 00:52:31)

言われてみれば確かにこの張りのある歌声は
デニス・デ・ヤングを彷彿とさせるものあり。
そんな見事なVoが、陽の光が曇り空を突き抜けて
地上に降り注ぐ光景を幻視してしまうような
(別に一発キメているわけではない)
ポジティブな躍動感に満ちた楽曲を歌うのですから
これで名曲にならないわけがない!という。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - Desperate in Love ★★★ (2018-03-11 00:41:01)

バラード調の導入部からテンポアップしていく
躍動感あふれるロック・ナンバー。
ピート・シェラーの胸のすくような歌声が
楽曲の放つ爽快感を引き立ててくれています。
ゲストVoとしてトビー・ヒッチコックも参加。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything - The Dying of the Light ★★★ (2018-03-11 00:33:46)

聴く者を奮い立たせるような
ポジティブなエネルギーを振り撒きながら
軽やかに疾走するロック・チューン。
フックの効いたメロディを爽快に歌い上げる
ピート・シェラーのVoのみならず、
涼し気なピアノとジム・ピートリックが弾く
リードGも楽曲の良いアクセントになっています。


PETERIK/SCHERER - Risk Everything ★★★ (2018-03-09 00:08:22)

稀代のメロディ職人ジム・ピートリックが、80年代からキャリアを積みながら、これまで表舞台でスポットライトを浴びる機会にはあまり恵まれなかったベテラン・シンガー、マーク・シェラーを新たな相棒役に起用してレコーディングを行い、'15年に発表した作品。
バックを固めるのはPRIDE OF LIONSのメンバーや腕利きのセッションマンの方々で、曲作りは勿論ジム自身が担当。それだけで軽くK点越えの内容になることは確実であり、事実、陽光が雲を割って燦々と降り注ぐかの如き、ポジティブなフィールに貫かれたメロディアスHRナンバーの数々は、ジム先生にしか生み出し得ぬ匠の世界。そして、それを胸のすくようなハイトーンを駆使してパワフルに歌い上げる本作のもう一人の主役、マーク・シェラーの歌唱がこれまた素晴らしい。澱みのないクリアなVo(一説には5オクターブの音域を誇るという)がもたらす説得力は、改めてアメリカの音楽シーンの選手層の厚さに戦慄を覚えるレベルで、彼の歌声とジムの作曲術が組み合わさり生み出されたマジカルな収録曲は、聴いているだけで心の奥底から滾々とポジティブなエネルギーが湧き上がってきますよ。
アルバムの完成度の高さをOP一発で確信させられる①、軽やかに駆け抜ける②や、メロウな導入からテンポアップする④、高揚感に満ち溢れたフック満載の⑥、本編中最もハード・ロッキンな⑧等、全体に占める疾走ナンバーの割合の高さも、本作の爽快な味わいに大きく貢献しているのではないかと。ジム・ピートリック作品にハズレなし!
尚、そんな本作はともに'14年に死去した盟友ジミ・ジェイミソンと、ファーギー・フレデリクセンに捧げられています。


JONO - Life - Crown ★★★ (2018-03-07 23:43:52)

モダンなアレンジを取り入れつつ、導入部からサビへ向かって
徐々に視界が開けていくような絶妙なメロディ展開に胸がザワつきます。
その盛り上がりが頂点に達するブリッジ・パートなんて
「たまんねぇな、オイ!」と膝を打ってしまいましたよ。


JONO - Life - No Return ★★★ (2018-03-07 23:38:21)

ポロポロと奏でられるピアノが効果的に
フィーチュアされているのと、タメを効かせて
ドラマティックに盛り上がっていく曲展開せいか、
この曲に関しては「北欧メタル風味の泣きと哀愁が大増量されたSAVATAGE」
との趣きを感じたり。つまり最高ってことですかね。


JONO - Life - The March ★★★ (2018-03-07 23:32:55)

アルバムのラストを哀しく、儚い余韻を残して締め括る
泣きの名バラード。囁くように、感情を振り絞るように
歌うヨハン・ノービーの絶品のVoが楽曲が持つ悲哀を
より一層引き立ててくれています。ピアノの美旋律が
VIPERの名曲“MOONLIGHT”のことを思い出させたりも。


JONO - Life ★★★ (2018-03-07 00:41:03)

ヨハン・ノービー(Vo)率いるスウェーデンの6人組が、'17年に発表した3rdアルバムにして日本デビュー作。邦題は『ライフ~華麗なる生涯』(別にコンセプト作ではない模様)。
雑誌等での高評価に興味を引かれて「どれほどのもんか」と購入してみれば、なるほど、こいつは確かにエクセレントな出来栄えですよ。ツインGにKey奏者を擁する大所帯編成を活かして奏でられるのは、重厚にしてスケールの大きなメロディアスHRサウンド。初期QUEENからの多大なる影響を伺わせるオペラティックな曲展開に、芝居掛かった熱唱を披露するヨハンのVo、気品漂わすピアノの美旋律、そして北欧メタルならではの…もっと言うとミカエル・アーランドソンに通じる悲哀に満ちたメロディが冷ややかな彩りを添える楽曲は、こっちの泣きのツボを知り尽くし的確に押してくるかのような、《押せば命の泉湧く》浪越徳治郎ばりのゴッドハンドぶり。
全編これ捨て曲なしですが、特に舞踏のリズムに乗っかって哀メロが踊る①、ブリッジから終盤にかけての劇的な曲展開が辛抱堪らん②、タメと泣きを効かせて劇的に盛り上がる③という、聴き手を一気に作品世界に没入させてしまう頭3曲は、それだけでアルバムのクオリティを確信するに十分。更に荘厳にしてシアトリカルな⑤を経て、トドメの一撃を加えるべくラストで待ち構えているのがバラード⑩で、どこかVIPERの“MOONLIGHT”を彷彿とさせる、この余りに儚く、余りに哀しい名曲によって静かな余韻を残し本編の幕が下りた途端、思わず「ブラヴォー!」と立ち上がって拍手喝采を贈りたくなってしまったという。そう考えると、本作には別にボートラはいらなかったような…。


JONO (2018-03-07 00:38:47)

スタジオ・ワークを中心にアレンジャー/マルチ・プレイヤーとして活動していた、スウェーデン人ミュージシャンのヨハン・ノービー(Vo)により立ち上げられたバンド。当初は自身の演りたい音楽を追求するソロ・アルバム制作(’06年にリリース)のためにメンバーを集めただけだったが、確かな手応えを得たことから正式にバンド化。'13年に1st『REQUIEM』を、'15年に2nd『SILENCE』を地元のインディー・レーベルから発表。
その2作が好評を博したことからイタリアのFRONTIER RECORDSと契約を交わし、’17年発表の3rd『LIFE』で晴れて日本デビューを飾った。


220VOLT - Lethal Illusion - Private Queen ★★★ (2018-03-05 23:23:50)

Voの歌唱力から曲調まで、
初期の頃に比べスッキリと洗練されています。
バンドのメロディ・センスの良さが
如何なく発揮された哀愁のロッカ・バラード。


220VOLT - Lethal Illusion - The Great Escape ★★★ (2018-03-05 23:13:58)

乾いた哀愁漂わせたバラードリーな前半
(言われてみると確かに“すべては風の中に”っぽい)と
テンポアップしてハードロッキンに疾走する後半と
一粒で二度美味しい名曲。


220VOLT - Lethal Illusion - Shotgun Sally ★★ (2018-03-05 23:08:15)

「ヒーハー!」という陽気な掛け声から
軽快に走り始めるノリの良いロック・チューン。
DEEP PURPLEの“HIGHWAY STAR”から影響を受けたと
メンバーが語る華やかなに迸るGソロが
良いアクセントになっていますね。


220VOLT - Lethal Illusion ★★★ (2018-03-05 23:03:36)

「ポストEUROPE」の有力候補バンドの一つだったスウェーデンの5人組が’97年に発表した5枚目のスタジオ・アルバム。4th『EYE TO EYE』(’88年)からかなり間隔が空いたため、てっきり再結成作だとばかり思っていたのですが、実際は『EYE~』発表後のセッションで作り溜められたものの、リリースの機会がないままお蔵入りしてしまっていた楽曲を、バンド解散後に取りまとめた未発表音源集だったという。
基本的な作風は、アメリカでのサクセスを目指してプロデューサーにマックス・ノーマンを起用、スッキリと洗練され垢抜けた前作と同一路線。…いや寧ろ過剰な装飾を排してシンプルにロックしている点では90年代らしいサウンドと言うべきか。陰気や、泣きの美旋律といった初期北欧メタル要素は殆ど見当たりませんが、それでも楽曲の質の高さ、わけてもメロディ・センスの良さはしっかりとキープされているのだから流石ですよ。
ゆったりとスケールの大きなテーマ・メロディが印象的な①、ミッド・テンポで哀愁を振り撒く④、ダイナミックに跳ねるロック・チューン⑤、流麗なGソロが華やかな彩りを加える⑥、穏やかな前半とテンポアップする後半のコントラストも鮮やかな⑧、ドラマティックなバラード⑫等、本作に収められた優れた楽曲の数々を耳すれば、バンドがその存在を未発表のままにしておくことを惜しんだ気持ちがよく分かります。あと個人的には、500枚限定でリリースされた220 VOLT幻のデビュー・シングル音源⑭⑮の収録が嬉しい。聴き比べれば未熟さは明らかなれど、この2曲目当てで本作を買ったことを思い出しましたよ。
未発表音源集と言えども、決して前4作に聴き劣りしない質の高さを誇る1枚です。


MESSAGE - Lessons ★★★ (2018-03-04 23:09:47)

BON JOVI参加前のリッチー・サンボラ(G)とアレック・ジョン・サッチ(B)や、後にPROPHETでデビューを飾るディーン・ファザーノ(Vo)らが在籍していた幻のスーパー・バンドが、’82年に唯一残した6曲入りEP。
インディーズ流通で僅かな枚数しかプレスされなかったため、世界中のマニアが血眼でオリジナル盤争奪戦を繰り広げた作品でしたが、ここ日本を筆頭に再発ブームが盛り上がった90年代半ばにCD化が実現。その際には、EP収録曲⑤~⑪の他に、ディーン以外は異なる面子でレコーディングされている未発表曲①~④、元々は彼のソロ・アルバム用の楽曲だったという⑫~⑮がボーナス・トラックとして追加収録。しかもそこには御大リッチー・ブラックモアが参加している音源が混じっているとの噂がまことしやかに囁かれていたりするという。(この真偽に関しては今調べてもよう分からんまま。④とかそれっぽい?)
そんな本作の目玉はやはりオリジナルEP収録曲⑤~⑪。ここで聴かれるちょっぴりアメリカン・プログレ・ハードの匂いも漂わせたメロディアスHRサウンドは、後世に残るような名曲は見当たらずとも、PROPHETにも通じる作風は十分に魅力的。バラード⑪のGソロでは早くもリッチーの才能の煌めきを確認することもできますし、また初期BON JOVI風の①や、本編のドラマティックに締め括る⑮といった追加収録曲も、単なる本編の埋め草に留まらぬ存在感を発揮してアルバムのクオリティ向上に貢献してくれています。
大きな成功を収められずとも優れた楽曲を数多く残し、'09年に病によりこの世を去ったディーン・ファザーノというミュージシャンの80年代の活動の軌跡を辿るベスト盤としても重宝する1枚ではないかと。


VALENTINE - Valentine - YOU'LL ALWAYS HAVE ME ★★★ (2018-03-03 09:34:46)

アルバムのフィナーレを感動的に飾るバラード。
哀愁に満ち溢れていますが、泣きよりも
包み込むようなスケール感の方が強く感じられる辺りが
大陸産のHRバンドならでは。
サビを切々と歌い上げるヒューゴのエモーショナルな歌唱が
実に胸を打ちます。


VALENTINE - Valentine - TEARS IN THE NIGHT ★★★ (2018-03-03 09:28:47)

とにかくこの曲はサビメロの素晴らしさに尽きます。
この手の伸びやかなコーラスを歌わせるとヒューゴは絶品ですね。
あと数年早く発表されていればきっと大ヒットしていたろうに…
と思わされるフック効きまくりのハードポップ・ナンバー。


VALENTINE - Valentine - ONCE IN A LIFETIME ★★★ (2018-03-03 09:25:01)

キラキラなKeyとハード・エッジなGがバランス良く効かされた
初期BON JOVIタイプの哀愁のHRチューン。
湿度がさほど高くない本編にあって、ちょうどいい
アクセントの役割を果たしてくれている名曲。


VALENTINE - Valentine ★★★ (2018-03-02 00:26:01)

VALENTINEといってもオランダのロビー様のことではなく、NYはロングアイランド出身の5人組。本作は彼らがプロデューサーにニール・カーノンを迎えてレコーディング作業を行い、'90年に発表したデビュー作。
フロントマンとして伸びやかな歌声を披露しているのは、日本ではソロ・シンガーとしての知名度の方が高そうなヒューゴ。既にこの頃から、口にメントスを含んで歌っているかの如き清涼感に溢れた歌唱と、スティーヴ・ペリーのそっくりさんぶりは確認できます。尚、そんな彼氏の良く伸びるハイトーンVoが映える本作で聴けるのは、ポップでキャッチーなメロディを、分厚いハーモニーとキラキラなKeyで包み、そこにテクニカルなGが適度なエッジを加えるという、まさに教科書通りのメロディアスHRサウンド。
気を持たせるイントロからハード・ロッキンに展開していくOPナンバー①、キャッチーなサビメロが高いヒット・ポテンシャルを感じさせる③⑥、哀愁のハードポップ⑧、ラストを感動的に締め括る雄大なバラード⑪等々…。巧みにフックの盛り込まれた優れた楽曲が並ぶ本編は、メンバーが(別に嫌味でなく)「売れる要素」をしっかりと研究して曲作りに挑んだであろうことが伝わって来る仕上がり。あまりに卒なく澱みなく流れていくため、逆に全体的なインパクトが弱まってしまっている感もあるっちゃあるのですが。
所属レーベルの内紛に巻き込まれ、アメリカのHR/HMシーンが重要な節目を迎えていた’89年という時期を棒に振るような不運に巻き込まれなければ、きっともっと成功を掴めていたろうにと思わされる1枚です。(バンドはこの後OPEN SKIZと改名してアルバムをもう1枚残すことに)


SABU - Sabu ★★★ (2018-02-28 23:29:03)

SABU。…と言っても北島三郎のことではなく、ましてやゲイ雑誌のことでもなく。80年代からシンガー/ソングライター/ギタリスト/プロデューサーとしてマルチな活動を行ってきたアメリカ人ミュージシャン、ポール・サブーが、BONFIREを脱退したエンジェル・シェライファー(G)&ヨルグ・ダイジンガー(B)と知己を得たこと切っ掛けに立ち上げたプロジェクトのこと。(ドラマーは助っ人としてデレク・スミスを起用)
本作は彼らが'96年に発表した唯一のアルバム。雑誌で高評価を受けていたのに釣られて購入したのですが(日本盤はテイチクからリリース)、シンガーの名前を冠した作品ということで、てっきり「歌」が主役のハードポップ路線のサウンドを志向しているかと思いきや、実際はGも自己主張しまくる、予想外にハードにロックしている内容だったという。「90年代の作品で、ハードにロックしている内容」とか聞くと、嫌な予感しかしない方もいらっしゃるでしょうが、そこはメロディックHR界の手練れが揃ったプロジェクト。似合わぬヘヴィネス路線に色目を使ったりはしていないのでご安心あれ。
力強い高揚感に溢れた③、キャッチーな躍動感に心が浮き立つ⑦といった、カラッとポップで爽快なHRナンバー、もしくは⑧のようなVoと楽器陣の熱演がダイナミックな盛り上がりと感動を呼ぶ楽曲を始め、ポールがエネルギッシュに熱唱するキャッチーなメロディに、BONFIRE組がハード・エッジと欧州風味の哀愁を適宜加えるサウンドは、この組み合わせにファンが寄せる期待にきっちりと応えた仕上がりと言えるのではないでしょうか。
CD屋に行くと帯付中古盤が3桁価格で買えてしまうという、非常にお得感に溢れた1枚。


VULTURE - The Guillotine - Adrian's Cradle ★★★ (2018-02-27 23:54:25)

不気味なイントロで聴き手を十分に焦らしてから激走開始。
ドカスカと強引に突進するリズムに乗っかって、
ハイトーンVoが喚き倒し、ツインGが荒れ狂うという
B級スピード・メタルかくあるべし!な名曲。
(人によっては迷曲か)
禁止薬物を使用したIRON MAIDEN的感触もあり。


VULTURE - The Guillotine ★★★ (2018-02-26 22:55:46)

レザー&スタッドで全身を固めたメンバーの出で立ちも頼もしいドイツの4人組が、'17年にHIGH ROLLER RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ジャッロ映画風イントロでスタートを切る本編にて炸裂するのは、ツインGを切り込み隊長役に荒々しく突っ走る、スラッシュ・メタルと呼ぶにはメロディアスで、正統派HMで括るにはアグレッシブ過ぎる、まさに「スピード・メタル」なる形容が打ってつけのサウンド。Voもハイトーンで終始テンション高くシャウトしまくっていますが、例えばロブ・ハルフォードみたいな表現力の深みや中音域の魅力は皆無で、ひたすら壊れた蛇口よろしく「出しっ放し」「漏れっ放し」なバカ度高めのハイトーン・スタイルな辺りも、EXCITERやAGENT STEELの系譜に連なるこの手のサウンドにマッチしているという。
近年だと同系統のバンドとしてはEVIL INVADERSが思い出されますが、現代っ子バンドらしいキレキレな演奏力が、鋭利なカミソリの刃の如きスタイリッシュなカッコ良さを際立たせているあちらに比べ、技術よりも気持ちが先走った、前のめりなドタバタ感溢れる本作はより濃厚に80年代風味を背負っていて、DEEP PURPLEの名曲“嵐の使者”のブチ壊しカヴァー⑩もそんなバンドの特性が強く出ているのではないかと。正直、嫌いじゃないです。
そんなわけで他人には薦め辛くとも、個人的には非常にツボな1枚。同郷の先輩バンドVECTOM(知ってます?)に通じるスピード・メタル・サウンドにほっこりさせられましたよ。特に映画『ローズマリーの赤ちゃん』のメイン・テーマを引用して、2本のGが派手にハモり倒しながら疾走する⑤はメタル魂にボッと火を点される名曲ではないでしょうか。


VULTURE (2018-02-26 22:54:34)

元々はブラック・メタル・バンドで活動していたS・ジェノサイダー(G)とA・アックスティンクター(B)が中心となり、「MERCYFUL FATE/KING DIAMONDの雰囲気にベイエリア・スラッシュとカナダのスピード・メタルの速さを加えてスピード・アップしたJUDAS PRIEST」的なサウンドを追求すべく、‘15年にドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州にて結成。
JUDAS PRIESTの“RAPID FIRE”のカヴァーを収録したデモや、HIGH ROLLER RECORDSとディールを交わして制作されたEP、シングル盤がマニアの間で評判を呼んだことから、'17年に1st『THE GUILLOTINE』でアルバム・デビューを飾った。


Excess - Melting Point - The Game ★★★ (2018-02-26 00:12:51)

アルバムのトリを務めるナンバーで、これまたKeyと
泣きのGの共演によるイントロだけで名曲の貫禄は十分。
勿論、ウェットな声質のVoが歌う、透明感を湛えた哀メロが
軽快に疾走するイントロ後の曲展開だって
こっちの期待を裏切るものではありません。
Voに負けじと歌うGソロがまた素晴らしい。


Excess - Melting Point - Foreign Lands ★★★ (2018-02-26 00:08:21)

JUDAS PRIESTの“THE HELLION”や、Y&Tの“FROM THE MOON”を
思い出さずにはいられない、重厚なGによるイントロだけで
名曲の貫禄は十分。こぢんまりとしたプロデュースのせいで
今一つ問答無用の迫力には欠けますが、憂いを帯びたメロディと、
劇的に駆け巡るツインGとを乗せて疾走する楽曲自体は十分にカッコ良い。


Excess - Melting Point ★★★ (2018-02-23 23:40:15)

フランスはシェール県ブルージュ出身で、アルバム2枚(とEP1枚)を残して解散した今もオリジナルLPの中古盤が高値で取引される等、マニア筋から根強い支持を受ける5人組が'86年に発表した1stアルバム。
夢見が悪くなりそうな人相の悪い兄ちゃんが描かれたジャケットだけだと、オカルト/サタニック・メタルでも演ってそうな感じを受けますが、実のところ、JUDAS PRIESTの“THE HELLION”か、はたまたY&Tの“FROM THE MOON”かというツインGによる重厚なイントロで幕が上がる本作で聴くことが出来るのは、オーソドックスな正統派HMサウンド。(フランスのバンドには珍しく歌詞は全曲英詞です)
良好とは言い難いプロダクションと、煮え切らないウェットな声質のシンガーの歌唱が相俟って、全体的に小ぢんまりとしていて些か音に迫力は欠けますが、聴き手の期待を煽るドラマティックなイントロからテンポアップして切り込んで来る①⑧という、なかなかの名曲ぶりを発揮するナンバーを本編の最初と最後に配置。その合間にもノリ良くアグレッシブな③、RAINBOWを思わす重厚な④、メロディアスなミッド・チューン⑤、哀愁を帯びたメロディが疾走する⑥等、粒の揃った収録曲が引きも切らず繰り出される本編は、マニアから愛されるのも納得の完成度の高さという。
「フランス語はメタルに合わない」という決まり文句の下、ここ日本では正当に評価されたとは言い難い80年代フレンチ・メタル・シーンですが、実際は数多くの優れたバンドが群雄割拠していたという、その充実っぷりを裏付けてくれる名盤の一つではないかと。


Excess (2018-02-23 23:39:32)

80年代に活躍したフランスのHR/HMバンドは、海外にまで伝わって来る情報が少なく、このバンドもまた然り。 ‘83年にフランスはシェール県ブルージュで結成。80年代に2枚のスタジオ・アルバム(1stのプロデュースを担当したのはSATAN JOKERのドラマー、ルノー・ハントソンだった)を、90年代に1枚のEPを発表するも、レーベルの後押しを受けられずに21世紀を迎える前に解散したことぐらいしか、調べてみても分からない。
あとシンガーだったジャン・ルイ・トゥーブノとドラマーのアラン・トゥーブノ(兄弟?)は、'07年と'08年にそれぞれお亡くなりなっていて、’17年にNO REMORSEからリリースされた再発盤は、彼らに捧げられているという。


JAVAN - SOMEWHERE IN THE NIGHT - DREAMS ★★★ (2018-02-22 22:36:09)

薄っすらと敷かれたKeyと、儚く爪弾かれるアコギをバックに
エモーショナルなVoが悲哀に満ちたメロディを切々と
歌い上げるという、「哀愁のバラード」のお手本のような逸品。
大仰さはなくとも、感情が溢れ出すような
終盤の盛り上がりっぷりに胸を突かれます。


JAVAN - SOMEWHERE IN THE NIGHT ★★★ (2018-02-21 22:45:29)

バンド名はジャバン?ギャバン?(宇宙刑事?)どう読む?と思ったら、どうもドイツ語で「ジャワ」と読む模様。メロディ愛好家から地味に寵愛を受ける名盤『SOMEWHERE IN THE NIGHT』1枚を残して解散してしまい、その後はメンバーの動向もよう分からんかった謎多きドイツの6人組が’92年に残した最初で最後のアルバム。リリース当時BURRN!!誌のレビューで高得点を叩き出していたので、「じゃあ日本盤も出るだろ」と高を括っていたのですが、いつまで経ってもその気配はなく、そうこうする内にバンドが解散してしまったとの噂を耳にして、仕方ないので輸入盤を買いに走りましたよ。
雑誌レビューではRISING FORCEが比較対象として挙げられていましたが、個人的にはそこまでバリバリの様式美HM路線な印象はなく、煌びやかなKeyをフィーチュアして、哀愁と透明感を湛えた音像は北欧ハードポップに近い感じ。かと思えば、ジェフ・スコット・ソート似のVoの声質が、サウンドの繊細さからするとやや太めな辺りがゲルマン風味も主張しているという。しかしハード・ナンバーからバラードまでエモーショナルに歌いこなす、このシンガーの歌唱能力の高さは保証できますし、彼が歌うクラシカルな風情を湛えた⑥、儚く爪弾かれるアコギをバックに切々と歌い上げる⑫といったバラード2曲は、メロディの泣きっぷりといいドラマティックな曲展開といい、まさに珠玉。そして当然、テクニカルなGをお供に涼し気に駆け抜けていく①のようなHRナンバーも魅力的です。
今となっては余り顧みられる機会のない1枚ですが、メロディ愛好家を自認する方なら一度ぐらい聴いておいて損はないかと。


RECON - Behind Enemy Lines - Light the Fire ★★★ (2018-02-21 00:52:27)

オムニバス盤『CALIFORNIA METAL Vol.2』に提供した
RECONのデビュー曲で、日本盤にはボーナス・トラックとして収録。
プログレ・メタルっぽさも感じられる本編収録曲に比べると
ハイトーンで歌いまくるVoに、派手にユニゾンを決めるツインG等、
ストレートに正統派HMしている仕上がり。これぞまさにボーナス。


RECON - Behind Enemy Lines - Behind Enemy Lines ★★★ (2018-02-21 00:45:41)

スラッシュ・メタルばりのアグレッションを
撒き散らしながら本編を締め括るスピード・ナンバー。
歌詞は今読むと結構シャレにならない感じではありますが。
アーメン。


RECON - Behind Enemy Lines ★★★ (2018-02-19 23:38:00)

FORTEやWINTERS BANE、ORACLE、MYSTIK等、90年代前半にテイチクから続々デビューを飾ったテクニカルなパワー・メタル・バンド勢の作品が結構好きで買い集めていたのですが、現在でも概ね安価で購入可能なそれらのカタログの中にあって、何故だか飛び抜けた高値で取引されているのが、LA出身のRECONが’90年に発表したこのデビュー作。
メタルに理解のあるサンクチュアリ教会(これが本当のMETAL CHURCHってか)の牧師さんが歌詞カードに推薦文を寄せ、尚且つOP序曲①では聖書の一節が諳んじられていることからもお察し頂ける通り、バリバリのクリスチャン・メタル・バンドである彼ら。でも音楽性はSTRYPER路線ではなく、QUEENSRYCHEエキスが注入されたパワーメタル。
音質はお世辞にも良いとは言えず、高音域で声が引っ繰り返りそうになるシンガーの歌唱も少々危ういのですが、その彼が拾う歌メロ自体は哀愁に満ちていて非常に魅力的ですし、ツインGが奏でる美旋律、それに「流石クリスチャン・メタル・バンド!」と感心させられる美麗なハーモニーの数々に彩られた楽曲…例えば劇的な⑤やバラード⑨等をドラマティックに組み上げる、このバンドのメロディ・センスは同期バンド群と比較しても頭抜けたモノを感じさせてくれます。特に神のご加護を得て(?)疾走する⑩は、パワー/スピード/メロディの三拍子が揃った名曲。尤も本作一番の名曲は、ボートラ収録されている、RECONがオムニバス盤『CALIFORNIA MEAL Vol.2』に提供した⑪だったりするんですけどね。(この頃はプログレ色よりもピュアな正統派HM風味が色濃い)
最初に「なぜか中古盤が高値で取引されて~」と書きましたが、こんだけ完成度が高ければそれも納得できてしまうという。


RECON (2018-02-19 23:32:29)

LAのスラッシュ・メタル・バンド、DELIVERANCEのメンバーでもあったジョージ・オチョワ(G)を中心に、'87年に結成。(DsもDELIVERANCEのメンバーだった)
'88年にオムニバス盤『CALIFORNIA METAL Vol.2』に参加して知名度を高めると、メンバーが敬虔なクリスチャンの集まりだったことから(DELIVERANCEもクリスチャン・バンドでしたっけね)、そっち系のレーベルとして名を馳せたINTENSE RECORDSと契約を交わし、'90年に1st『BEHIND ENEMY LINES』でデビューを飾る。
同作のブックレットには、クリスチャン・メタル・バンドのメンバーが通うことで知られる教会“サンクチュアリ”のボブ・ビーマン牧師(長髪にレザーとメタル・ファッションでキメキメ)が推薦文を寄せていることが、マニアの間で話題になったとかならなかったとか。


WINTERS BANE - Heart of a Killer - Heart of a Killer ★★★ (2018-02-18 22:13:19)

角張ったリフ&リズムが緊張感を湛えて降り注ぐ一方、
ちゃんと歌メロがキャッチーなのが良いですね。
押しまくったかと思えば、中間部でスッと引いて
「静」の美しさを演出する曲展開も技あり。
何よりこの曲におけるティム・オーウェンズの
ロブ・ハルフォードばりの熱唱は圧巻で、
そりゃJUDAS PRIESTにスカウトされますわなと。


WINTERS BANE - Heart of a Killer ★★★ (2018-02-18 22:05:26)

オハイオ州出身で、「冬将軍」を意味するバンド名を名乗る5人組が、'93年にドイツのMASSACRE RECORDSから発表したデビュー作。
まさに《POWER/SPEED/THRASH FROM OHIO, USA》の謳い文句を地で行くサウンドを全編に亘って炸裂させつつ、スピード以上に展開を重視し、パワフルに歌いまくるハイトーンVoとテクニカルなGの存在を軸に、リフ/リズム・チェンジを繰り返しながらクライマックスへ向けて畳み掛けていく曲作りのスタイルはプログレ・メタル的でもあるという。当時はストレートに「QUEENSRYCHEフォロワー」と思ったものですが、改めて聴き直すと、殺人鬼の心臓を移植され破滅していく判事の恐怖を描いたホラー風味のコンセプトとか、高低差の激しいメロディ・ラインを自在に歌いこなすVoの存在とか、なるほど確かにKING DIAMONDっぽいかもと。彼らをもっとHM寄りにしたような感じ?
それにしても、ロブ・ハルフォードも真っ青のスクリームを炸裂させるここのシンガーの歌唱力は実に見事。全く以てUSパワーメタル・シーンの層の厚さには驚かされるばかりですが、後に彼…ティム“リッパー”オーウェンズが本当にJUDAS PRIESTに加入してしまった時にゃ更に吃驚でしたよ。尤もJP時代に残した2枚のスタジオ・アルバムでは、作風的にその力量をフルに発揮できたとは言い難かったのは残念でありましたが。
押しと引きが劇的に決まったアルバム表題曲③を始め、優れた楽曲が並ぶ一方、通して聴くと少々キャッチーさの乏しさが気になったりもする本作ですが、リッパーのシンガーとしての実力を堪能したいのならば、JP時代の諸作よりも本作をどうぞ。


MYSTO DYSTO - The Rules Have Been Disturbed - Full Speed to Hell ★★★ (2018-02-17 23:23:51)

インスト・ナンバーだと思いながら聴き進めていくと
2分半を過ぎた辺りからVoが強引に割って入って来る、
二部構成からなる6分越えの大作曲。
リフ/リズム・チェンジを盛り込んだ曲展開は意欲的なれど
演奏精度はかなりギリギリ。しかし「でもやるんだよ!」と
前のめりに突っ走るこの爪先立ち感覚こそが
80年代スピード/スラッシュ・メタルの醍醐味。
派手にハモリ倒すツインGにもグッときます。


MYSTO DYSTO - The Rules Have Been Disturbed ★★★ (2018-02-17 23:15:27)

80年代に残した2枚のアルバムが、マニアの間で高評価を得たオランダのMANDATOR。その前身として知られるMYSTO DYSTOが’86年に自主制作した唯一のフル・アルバムが、MANDATOR共々ようやく正式CD化。オリジナルLPは5桁のプレミア価格で取引されており、とても手を出す気にならなかったので嬉しい限りですよ。
音楽性は、この時点で既にMANDATOR時代に通じるパワー/スピード・メタル寄りのスラッシュ・メタルをプレイ。MANDATOR自体、スラッシュ系にしてはメロディアスなサウンドが持ち味のバンドでしたが、本作はそれを更に正統派HM寄りにしたような仕上がり。随所で印象的にハモるツインGと、裏声ハイトーンを炸裂させながら一生懸命「歌っている」シンガーの存在もその印象に拍車を掛けているという。
Voの頼りなさや、自主制作盤ゆえのラフな音質、勢い勝負の楽曲等、あらゆる点においてまだまだ荒削りな作品なのは事実。なれど、イントロからいきなりブラック・メタルばりのトレモロ・リフが吹き荒ぶOPナンバー①、スラッシーなスピードに乗ってツインGが派手にハモリまくる③、エピカルな風格漂わす④、曲作りに際してRIOTの“WARRIOR”に影響を受けたような⑥等は、思わず「おっ」とパワー/スラッシュ愛好家の身を前に乗り出させる出来栄えではないかと。曲名通りに地獄までブッ飛ばす勢いの⑤なんて、パワー・メタリックな構築感とスラッシーな突撃感覚が絶妙な融合を見た本編のハイライトであり、IRON MAIDENがドーピングしたようなこの名曲を聴くためにも本作を是非購入すべし!と、思わず熱弁を振るいたくなる1枚であります。


VOW WOW - Revive ★★ (2018-02-15 23:12:39)

'87年発表の4th『V』の中から4曲に、ゲイリー・ムーアやCHEAP TRICKとの仕事で知られるエンジニア、イアン・テイラーの手によるミックスを施し同年クリスマスに発表されたミニ・アルバム。ちなみにリーダー・トラックであるジョン・ウェット提供の名曲“DON’T LEAVE ME NOW”はロング・バージョンとリミックス・バージョンの2種を、“DON’T TELL ME LIE”はロング・バージョンを、“CRY NO MORE”と“BREAK OUT”はリミックス・バージョンをそれぞれ収録する全5曲構成。
楽曲の素晴らしさに関してはアルバム『V』の項目をご参照頂くとして、本作と『V』を熱心に聴き比べたことがないため、イントロからして明らかに変わっている“DON’T LEAVE~”以外は、アルバム・バージョンとの差異は正直「分かったような分からないような」レベルの不届き者なのですが、とりあえず全体的に厚見玲衣のKeyサウンドが前面に出て、よりゴージャス感を強調した音作りが目指されていることは流石に伝わりました。逆に今聴くと80年代然としたプロダクションに時代を感じてしまう気も…いやいや。この辺は聴く人の趣味嗜好の問題でしょう。
いわゆる「ファン・アイテム」であり、既に『V』を持ってる人がわざわざ購入する必要がある作品かどうかは微妙なところですが、優れた楽曲を超人揃いのメンバーが全力でパフォームしているのですから、質の高さは保証できる1枚なのは間違いありません。


PAT TRAVERS - Makin' Magic - Stevie ★★★ (2018-02-15 00:46:04)

パット・トラヴァース屈指の名バラード。
エモーショナルな泣きに関してはライブ・バージョンに
軍配が上がりますが、スタジオ・バージョンだって
素晴らしさでは引けを取りません。KEYが効いてます。
確かこの時期のドラマーは後にIRON MAIDENに加入する
ニコ・マクブレイン。曲終盤で強烈なハイトーンを
響かせているのはゲスト参加のグレン・ヒューズではなかったか。


PAT TRAVERS - Live!go for What You Know ★★★ (2018-02-14 23:40:28)

その昔、《ギター戦士》ことパット・トラヴァースの名前は知ってても音を聴いたことはなかった頃、「入門盤にはコイツがお薦め」と教えて頂き、購入した'79年発表のライブ盤。
初めて耳にした当初は、序盤のファンキーなノリにイマイチ入り込めなかったことを告白しておきますが、軽妙なMCで観客から爆発的な大合唱を引き出す③で「おっ」と思わされると、パット・トラヴァースとパット・スロールのツインGがユニゾンしながら泣きまくる劇的な④で完全にハートを鷲掴みにされ、後はダイナミックに畳み込んで来る後半戦まで一気一気。「微妙」とかほざいた序盤の雰囲気も、今じゃ大好物ですよ。
WパットのGが唸りを上げ(トラヴァースのVoも熱い)、緩急自在のトミー・アルドリッジ(Ds)、キャラ立ちまくりのGとDsの接着剤役を担いつつ、テクニカルなフレーズでサウンドの緊張感を保つマーズ・コウリング(B)と、メンバーはジャズ/ファンクの素養を持つ腕利き揃いな上、NWOBHM元年のイギリスにて録音された本作には、今まさに絶頂期に向かって駆け上がらんとするPAT TRAVERS BANDのライブの熱気と、HRがやがてHMへと行き着く過渡期のエネルギーが生々しく封じ込められています。
一筋縄では行かないグルーヴと曲展開が炸裂する楽曲が、阿吽の呼吸でスリリング且つテンション高く紡ぎ出され、大仕掛けや綿密な構築感よりも裸一貫のダイナミズム、しかめっ面よりも演者の笑顔がハジけるアッパーなノリの良さに貫かれたライブは、そりゃこんだけ楽しければ人気も出ますわなぁと。
ともあれ、スタジオ・バージョン以上のエモーションが迸る名曲④を聴くためだけにでも購入して損はない1枚かと。


TNT - Three Nights in Tokyo - Lionheart ★★★ (2018-02-13 23:31:27)

アルバムでもこの名バラードの存在感は
際立っていましたが、本ライブ盤でも
ハイライトは間違いなくこの曲。
スタジオ・バージョン以上に感動的な
トニー・ハーネルの熱唱に、涙、涙…。


TNT - Three Nights in Tokyo ★★ (2018-02-13 23:27:56)

’92年に東京・中野サンプラザで行われた「サヨナラ公演」の模様を収録したTNT初の実況録音盤。
そっけない導入部を含め、観客の声援を大々的にフィーチュアしたタイプの作品ではなく、また全盛期のTNTが残した唯一のライブ盤(正確にはVHS作品『FOREVER SHINE ON JAPAN LIVE』もあるけど未DVD化)にも関わらず、選曲が『REALIZED FANTASIES』偏重…というか、バンド側の判断で名盤『INTUITION』から当日披露された楽曲が悉くオミットされるというご無体極まる構成ゆえ、リアル・タイムで聴いた当時は全く乗れず、CD棚で埃を被らせてしまっていたという。
ただ、紆余曲折ありつつも再結成TNTが活動を継続する現在では、もう少し落ち着いて本作を吟味できようになりまして。で、冷静に分析してみたところ、やっぱり選曲の弱さには如何ともし難いものがあるなぁと。それでも、解散が決定的な状況下で敢行されたことから「集金ツアー」なんて揶揄にも怯むことなく会場へ駆けつけた熱心のファンの声援を受け、ロニー・ル・テクロのGプレイを始めとするバンドの演奏は冴え渡っていますし、『REALIZED~』のハイライトを飾った名バラード“LIONSHEART”におけるトニー・ハーネルの圧巻の歌唱は「感動的」の一言に尽きる。メンバー紹介や観客との掛け合いを盛り込んで、『TELL NO TALES』『KNIGHTS OF NEW THUNDER』収録の名曲が畳み掛けられる終盤の流れは、「あれ?結構盛り上がるぞ」と。
なんやかんや言いつつも、やはり手放せない1枚なのでありました。


ELIZA - Battle Field ★★★ (2018-02-12 22:47:50)

北海道の古豪が復活を遂げ、80年代に彼らが残した名曲の数々を現編成で録り直したリレコーディング・アルバムを発表してくれました。
ELIZAって「エリザ」じゃなくて「イライザ」と読むのね…と結構最近知ったぐらいの後追い野郎ゆえ、今となっては入手困難な彼らの音源をこうして取りまとめてくれる作品の存在は非常にありがたい。派手なビジュアル・イメージからロックンロール系バンドかと思いきや、こうして聴いてみると、どちらかと言えば様式美路線寄りとさえ言えそうなHMサウンドが持ち味のバンドだったんだなぁと。しかも(失恋船長さん情報で)現在フロントマンを務めているのが、GRUDGE/CURSEで強烈なシャウトを炸裂させていたSADAYAことSAKEBIと知っては、こりゃもうアルバムを買わない理由がない。考えてみるとGRUDGE/CURSE時代の金属質なシャウトしか知らないので、持ち前の金属声は勿論キープしつつも、きっちりとメロディも歌い上げる本作における彼氏の歌唱は実に新鮮という。
楽曲の関しては、1曲目から歌詞にしろメロディの持って行き方にしろ、昭和臭というか80年代ジャパニーズ・メタルっぽさが全開(実際昭和に書かれた楽曲なのだから当然ですが)。これがダメだという方もいらっしゃるでしょうが、個人的にはバッチ来い!派なので無問題。特に痒いところへの手の届きっぷりが半端ないツイン・リードGをフィーチュアして突っ走る⑤と、イントロでじっくり焦らしてから劇的な反転攻勢へと打って出る⑨は、「今までこんな良い曲を知らずにいたんかい」と思わず愕然とさせられた名曲ですよ。
是非このまま新作アルバム制作へ雪崩れ込んで頂きたい!と、願わずにはいられない1枚。


DEAD CLAW - Cold Defiance ★★ (2018-02-10 23:59:29)

'07年発表の2nd『CEASE FIRE SAVE YOUR ROUNDS』以来、音沙汰がなかった愛知出身の4人組が、久々にリリースした3曲入りシングル(’18年発表)。ディスクユニオンで買ったら特典として2曲の未発表曲入りCD-Rが付いてきたので、実質5曲入りEPと言えなくもないか?
『CEASE~』は、全7曲で収録時間が20分弱と、かなりクロスオーバー・スラッシュ方面にはっちゃけた内容だったと記憶しておりますが、本作も一発録りっぽいラフな音質といい、Gリフのササクレ感や、突っ走った時に放たれるアグレッションといい、ジャンルとしては間違いなくスラッシュ・メタルで括れるサウンド。ただ、男臭い発声のVoがメロディを追っかけ(OUTRAGEの橋本直樹と似たタイプ)、時にMOTORHEADに通じる埃っぽさを身に纏わせた楽曲はパワー・メタル…というよりも、80年代初頭のスラッシュ・メタル誕生数歩手前のHM的な感触も有り。
また、勢いに任せてガムシャラに畳み掛けるのではなく、曲によってはプログレ・メタルばりの緩急を仕込んだ曲展開や、適度に隙間を活かしたリフ&リズムの組み立てで抜けの良さを演出したりする手腕、それでいてあれこれ詰め込み過ぎてとっ散らかった印象はなく、それらがちゃんとバンドの個性として消化されている辺りは流石キャリアの長いバンドだけのことはあるなぁと。
継続的な活動と、ニュー・アルバムの発表への期待を高めずにはいられない1枚。


CODE RED - Fang of the Sun ★★★ (2018-02-08 23:28:26)

横浜のスラッシュ・メタル・バンドが'17年に発表した2ndフル・アルバム。彼らの音源に触れるのは随分と久し振りな気がしますが(FASTKILLとのスプリットEP以来?)、こっちが知らなかっただけでバンドは弛まぬ研鑽を積んでいた模様。いつの間にかVoがチェンジして、4人組のツインG編成になっていたことにも驚かされましたよ。
Gリフが機銃弾の如く撃ち出され、情け無用!ファイア!とばかりに連続炸裂するリズム。その上で急降下爆撃機の風切り音を思わすGソロと、兵士の断末魔ばりのシャウトが吹き荒れる、常在戦場スピリッツに貫かれたスラッシュ・サウンドは、「戦争」を曲作りの重要なテーマに据えるバンドに相応しい殺気を放っています。
一方で今回のメンバー・チェンジは、メロディと重厚感の増量という点において、多少なりとも本作に変化をもたらしており、特に「聴かせる」Gソロが疾走する④、メロディアスな(解説にある通り確かにKREATOR風の)ミッド・チューン⑤、アグレッションを剥き出しにしつつも今風の怒号Voがさりげなくメロディをなぞる⑧辺りは、本作ならではの新味が効いた楽曲ではないかと。いや単に新しいだけでなく、きっちりとスラッシュ・ソングとしてカッコイイのも評価ポイント。取り分け⑩は1stアルバム収録の名曲“DESTROY”を彷彿とさせるクールな出来栄えだぜ…って、彷彿もなにもリメイクだった。よくよく曲目を眺めてみれば、その他にも既発曲を現行メンバーでリ・レコーディングした楽曲がチラホラ。
何はともあれ、前作を気に入った人は勿論のこと、CODE RED入門盤としてもお薦めできる1枚。


SAVAGE MESSIAH - Hands of Fate - Blood Red Road ★★★ (2018-02-07 23:39:16)

IRON MAIDENばりに印象的にハモるツインGと
しっかりと歌うVo、立体的に交錯するハーモニーを
散りばめて小気味よく疾走する曲調は、
スラッシュ・メタルというよりも完全に正統派HM。
いやでもここまでカッコイイと畜生、文句を言う気も失せますよ。


SAVAGE MESSIAH - Hands of Fate ★★ (2018-02-07 23:34:16)

‘15年に来日した際のインタビューでは「もうすぐ新作が出るよ!」と答えていたSAVAGE MESSIAHでしたが、その後マネージメント会社の移籍やら、レコーディング作業のやり直しやら、メンバーの脱退やらの紆余曲折があってリリースは延び延び。'17年になって漸く(前作から3年ぶりに)この4thアルバムの発表が実現しました。
中心メンバーのデイヴ・シルヴァー(Vo、G)が新作について「MEGADEATHとDEF LEPPARDを足して2で割った感じ」と発言しているのを読んだ時は「お前は何を言っているんだ?」とか思ったものですが、実際に聴いてみたら、なるほど。従来のメタリックな切れ味や、テクニカルな技巧の応酬が生み出す緊張感はそのままに、サビでは分厚いハーモニーとキャッチーなメロディが盛り盛り増量されたコーラス・ワークが飛び出すサウンドは、確かにそんな感じの音だったという。
無論彼らがポップ・メタルに宗旨替えしたなんてことはありませんが、ドイツのPARADOX辺りにも通じるパワー/スラッシュ・メタル然とした突進力が影を潜めた代わりに、Voの歌唱とツインGが奏でるメロディ及びハーモニーがまず何よりも耳を惹く作風は、明確に「脱スラッシュ・メタル」が志向されています。
1、2曲ぐらい、徹底的に飛ばしまくる楽曲があっても良かった気はしますが(速いパートはある)、印象的なツインGのハモリを散りばめて80年代のIRON MAIDENばりに勇ましくギャロップする③、緩急を巧みに織り交ぜたドラマティックな⑤みたいな楽曲を聴かされてしまうと、畜生、悔しいけど上手いこと音楽性を広げてやがる…!と。
己の趣味嗜好はさておき、出来の良さは認めざるを得ない1枚。


F.K.U. - 1981 - Corpse Mania ★★★ (2018-02-06 22:57:02)

2分に満たないランニング・タイムを一気呵成に突っ走る
身も蓋もないスピード・ナンバーですが、
高速で刻まれるGリフのカッコ良さや、
一度聴いただけで耳に残る印象的なコーラスや、
それをド迫力で歌うVoの実力の高さがハッキリと示された
非常に濃密な仕上がり。


F.K.U. - 1981 ★★★ (2018-02-06 22:51:24)

楽曲の題材選びから、全身に血塗れメイキャップを施したメンバーの扮装まで、「ホラー・スラッシュ」を標榜するスウェーデンの5人組が'17年に発表した5thアルバム。
キレッキレなGリフ、機動力に富むリズム、メロディも追えるハイピッチVoという、抜群の安定感を誇るパフォーマンスがスクラムを組み、ランニング・タイム2~3分台とタイトにまとめ上げられた高速ナンバーが次から次へと畳み掛ける、速戦即決のスラッシュ・メタル…という基本スタイルは勿論継続。但しGソロが殆ど聴かれなかったり、前作『4:RISE OF THE MOSHERS』に比べるとややクロスオーバー方面に揺り戻されている感有り。
ヘドバンに興じてるうちにアッという間に聴き終っているという、頭よりも体で楽しむタイプの作品であり、1曲1曲のインパクトはそれほどでもない…かと思いきや。歌詞のテーマに『バーニング』『13日の金曜日PARTⅡ』『ローズマリー』『ゾンビ3』etc.といった1981年に撮られたホラー映画の名作(もしくはポンコツだけど愛される迷作)を取り上げることで、各曲のキャラ立ちを明快にしてしまうという仕掛け。ジャンル映画ファン的には、『バーニング』のバンボロって誰だよ?とか、『ローズマリー』のトム・サヴィーニの殺人芸術は見事だったなとか、思わず1曲毎に語りたくなってしまいますよ。楽曲的には、アルバム全体のテーマ曲でもある①、炸裂感に溢れたサビメロにアガる④、「キ・キ・キ…マ・マ・マ…」コーラスまで組み込んだ⑤、歌えるVoが活かされた⑧、歌詞的にも曲調的にも見事にハマったDEATHのカヴァー⑮辺りのカッコ良さが特に印象的。
次はもうちょい早いペースで出してね、と思わずお願いしたくなる充実作です。


GAME OVER - Claiming Supremacy - Two Steps into the Shadows ★★★ (2018-02-06 00:10:33)

勇壮なイントロダクションを蹴破って
ドッカンドッカン騒々しく激走を開始。
アルバムに対する期待感を一気に最大限まで引き上げるという
OPナンバーとしての責務を十二分に果たしている逸品。


GAME OVER - Claiming Supremacy - Show Me What You Got ★★★ (2018-02-06 00:05:30)

3分と、スカッとタイトにまとめられたランニング・タイムを
ドカスカとストレート且つ豪快に走り倒すスラッシュ・ナンバー。
印象的に閃くGソロと、実は結構メロディを追いかけている
Voの効果もあってかパワーメタリックな感触も無きにしも非ず。
…いや、でもこの喧しさはやっぱりスラッシュ・メタル的。


GAME OVER - Claiming Supremacy ★★★ (2018-02-05 23:37:17)

順調にアルバム・リリースを重ねる5人組マカロニ・スラッシャー、’17年発表の4th。前作『CRIMES AGAINST REALITY』の感想を書き込んだ際に「日本盤が出ない」ことを愚痴ったら、その願いが天に届いたわけでもないでしょうが、今回初の国内盤発売が実現。愚痴ってみるもんだなぁと。まんじゅう怖い。
内容については、レコード会社に国内盤発売を決意させただけあって、流石のクオリティ。イントロで十分に焦らしてからファスト&フューリアスな突進へとシフトする冒頭①②の流れだけで、スラッシュ愛好家の皆様が握り拳を振り上げる姿が目に浮かびましたよ(幻覚)。チャック・ノリスについて歌ってたようなバカスラッシュ感はすっかり影を潜め、徐々に明確になりつつあったシリアス且つテクニカルなアプローチは、本作でも継続。例えば⑤⑥を筆頭に、全編に亘って弾きまくるツインGを軸に、押しと引き/緩急を纏って目まぐるしく展開していく楽曲からは、プログレ・メタル的な風情も漂ってきたり。
そうした音楽性の幅の広がりに気を取られて足元が疎かになることもなく、全編を貫くのは飽くまでスラッシュ・メタル然とした突進力であり突破力。硬質なプロダクションを得て(エンジニアとしてTOXIC HOLOCAUSTのジョエル・グラインドを起用)、男臭い発声のVo、粗挽きリフと構築感に溢れたメロディを次々紡ぎ出す2本のG、ドカスカとラウドに打ち鳴らされるリズムが一丸となった本編前半のスタート・ダッシュ、並びに抒情インスト⑧を皮切りとする⑨⑩のラスト・スパートには思わず血が滾ります。
この力作での日本デビューを機に、更なる人気を獲得することを願って止みません。


CHER - Heart of Stone - Does Anybody Really Fall in Love Anymore ★★★ (2018-02-04 22:52:20)

マッチョ・ギタリスト、ケイン・ロバーツがスマッシュ・ヒットさせた
ことでも知られるBON JOVI、デズモンド・チャイルド、
ダイアン・ウォーレン共作のバラード。(ここでは演奏もBON JOVIが担当)
そりゃこれだけの面子が関わっているのですから名曲ですわな。
ネット情報だと、どうやらBON JOVIのアルバム『NEW JERSEY』から
漏れたアウトテイクらしいのですが、こんだけ強力な楽曲でさえ
ハズされてしまう『NEW JERSEY』って恐ろしい作品だなぁと。


CHER - Heart of Stone - Emotional Fire ★★★ (2018-02-04 22:47:50)

大映ドラマの主題歌に起用されていそうな=ボニー・タイラーが演りそうな
パワフルなHRチューン。
勿論シェールの凛々しい歌唱にもバッチリはまっています。
ボニー・タイラーやマイケル・ボルトンがバックVoとして
参加している分厚くキャッチーなコーラス・ワークが秀逸で、
終盤の盛り上がりっぷりは胸熱。


CHER - Heart of Stone - If I Could Turn Back Time ★★★ (2018-02-04 22:43:01)

戦艦ミズーリの艦上で撮影されたスケール感といい、
尻丸出しのハイレグ衣装(もはや放課後電磁派クラブ)といい、
超バブリーなPVも印象的だったヒット・ナンバー。
作曲&プロデュースは天下のダイアン・ウォーレンですから
名曲であることは言わずもがな。


CHER - Heart of Stone ★★★ (2018-02-04 22:37:13)

カムバック作『CHER』(’87年)の大成功を受けて、同じ作風、同じ布陣を踏襲して制作、'89年に発表された復活第2弾アルバム。
むしろ参加面子は更なる豪華さ。BON JOVI、デズモンド・チャイルド、マイケル・ボルトンら前作からの続投組に加え、今回は新たにダイアン・ウォーレン、ジョナサン・ケイン、ボブ・ハリガンJr、ピート・シェフィールドといったヒット請負人達が大集合。バックを固めるのもTOTOのメンバーや一流のセッション・ミュージシャン達ですし、そりゃこんだけ4番バッターが揃ってればホームラン攻勢は約束されたも同然という。実際、アルバムに先駆けてリリースされたピーター・セテラとのデュエット・バラード⑫を手始めに、シングル・カットされた①②④がいずれも全米チャートTOP10入りする等、前作を凌ぐチャート・アクションを記録しています。(アルバムも全世界で400万枚を売り上げた)
…と、褒めまくっておいて何なんですが、前作に比べるとポップさが増しているというか、全体に占めるバラード・ナンバーの割合が増えていて、個人的には聴き始めた当初は今一つアガらなかった記憶あり。尤も本編後半には、ボニー・タイラーが歌いそうな(そも当人がバックアップVoとして参加もしている)パワフルな⑦や、キャッチーなコーラスに何だか聴き覚えがあるぞ?と調べてみたら、マッチョ・ギタリストことケイン・ロバーツが2ndソロ『SAINTS AND SINNERS』に収録していたBON JOVIチーム作曲の⑨といった名曲が控えているため、聴き終えた後の感想は「最高!」以外の何者でもないのですが。
前作と併せてメロディ愛好家なら必聴の1枚。でも本作も国内盤が廃盤のままなんですよね…。


CHER - Cher - We All Sleep Alone ★★★ (2018-02-04 00:16:27)

これまたBON JOVIの『SLIPPEERY WHEN WET』チームが
作曲並びに演奏とプロデュースを手掛け、
スマッシュ・ヒットを飛ばしたドラマティックなバラード。
PVではシェールが見事な歌唱と肢体を披露してくれていますが
この人、歌声が案外逞しいこともあって、それが濃いめの顔立ちと相俟うと
何だかドラァグクィーンに見えて来るという…(笑)。


CHER - Cher - Bang-bang ★★★ (2018-02-04 00:05:07)

60年代にシェール自身が放ったヒット曲を、
バックにBON JOVIを従えてカヴァー。
プロデュースもBON JOVIとデズモンド・チャイルドが担当し、
オリジナルに比べてかなりHR色が強まっています。
(ちょっとジム・スタインマン風の大仰さ)
映画『KILL BILL』でもかなり印象的な使われ方をしていた
名曲ですが、あちらはナンシー・シナトラの
カヴァー・バージョンだという。


CHER - Cher ★★★ (2018-02-03 23:57:37)

70年代に歌手として一世を風靡し、80年代には女優業にも進出したシェールの音楽シーンへのカムバック・アルバムとして大いに注目を集めた’87年発表のソロ作。彼女のカタログでHR/HMファンに最も馴染み深い作品がこれではないでしょうか?
まず制作に当って、所属レーベルのゲフィンが彼女のために結集した人材が凄い。当時『SLIPPERY WHEN WET』をメガヒットさせ飛ぶ鳥落とす勢いだったBON JOVIとデズモンド・チャイルドのチーム、更にマイケル・ボルトン、ホーリー・ナイト、その他にもボニー・タイラーやTOTO、ジョー・リン・ターナーら有名ミュージシャン多数と、まさに「勝ちに行く」オーダーを組んでいて、その彼らが「必殺の1曲」を持ち寄った本編は当然捨て曲なし。どころか全曲シングル・カット可能なハイクオリティっぷりですよ。
フックが連続するスケールの大きなハードポップ・サウンド(ジム・スタインマンのプロデュース諸作に通じるもの有り)を堂々歌い上げる、シェールの表現力豊かなVoがこれまた素晴らしい。マイケル・ボルトンが作曲とプロデュースを手掛けた、全米チャート最高第10位のヒット曲①が本作の主役なのでしょうが、個人的には哀愁のバラード②(最高第14位)、自身が60年代に放ったヒット曲をドラマティックにリメイクした③という、BON JOVIとの共演曲(リッチー・サンボラがシェールと付き合ってたんだっけ)がお気に入り。
「ダンス・ディーヴァ」もしくは「整形のやり過ぎで顔面が凄いことになってるオバちゃん」とのイメージしかない方にも是非聴いて頂きたい1枚。ただプラチナムを獲得するほど売れた作品にも関わらず、国内盤が廃盤なままなのは何故なんだぜ?


FERGIE FREDERIKSEN - Equilibrium - Blaze Of Love ★★★ (2018-02-02 00:31:21)

軽快に疾走する印象的なテーマ・メロディが
夜11時台のスポーツニュースのBGMっぽい…と
書くと褒めてんだか何なんだかですが、褒めてます。
名曲です。


FERGIE FREDERIKSEN - Equilibrium ★★★ (2018-01-31 23:26:01)

闘病生活にも挫けず、精力的に新作のレコーディングやライブ(来日公演含む)等をこなし、'14年に惜しまれながらもこの世を去った名シンガー、ファーギー・フレデリクセンが豪華ゲストを迎えて制作し、'99年に発表した自身のキャリア初となるソロ・アルバム。
MTM RECORDSからのリリースだけあって、本作に託されているのはファーギーの「歌」が主役のメロディアスHR。但し、後のソロ2作に比べるとハードさは控えめで、よりAOR/産業ロック寄りの作風であったため、初聴時の感想は「地味だなぁ」とあまりパッせず。当時は日本がCD化大国としてブイブイ言わせてた時期でもあり、毎月大量発売されるHR/HM系カタログの山の中に埋もれてしまっていたところ、しかしその後時間を置いてから改めて聴き直し見たら「いや、全然いいじゃんか!」と。
様々なバンド/プロジェクトで自慢の喉を披露して来たファーギーゆえ、パフォーマンス面に関しては最初から不安要素は皆無であり、後はどんだけ彼が歌うに相応しい曲が揃えられるかが勝負だったわけですが、流石一流どころのライター陣が楽曲提供者として名を連ねているだけあって、適度な疾走感を湛えた曲調がスポーツ番組のテーマ曲にフィットしそうなOPナンバー①、ジム・ピートリックとリッキー・フィリップス共作による哀愁のメロハー③、情感豊かに綴られるバラード⑥⑩、ひんやりと心地良い哀感を湛えた⑧、爽やかに吹き抜ける微風の如き⑪…と、本編に並ぶ楽曲は十分粒揃い。
前述の通りHR/HMとは若干距離がある作風ではありますが、TOTOやTRILLIONからLE ROUXまで、ファーギー関連作品を愛聴する方なら間違いなくマストな1枚かと。


THE FIRM - Mean Business - All the King's Horses ★★★ (2018-01-30 23:15:13)

スペーシーなKeyをフィーチュアした哀感溢れる曲調は
AOR/産業ロックに通じるものがありつつも、そこに
ポール・ロジャースのディープ・ボイスが絡みつくことで、
洗練よりも情念が勝るこのバンドならでは魅力を湛えた楽曲として昇華されます。
それより何よりこの曲の場合、ニンジャとハゲ頭にハチマキ巻いた
サムライが暴れるモノクロ時代劇風PVがまずは必見ですよ。
なぜ時代劇…やっぱり奥様が日本人だったから?


THE FIRM - Mean Business - Spirit of Love ★★★ (2018-01-30 23:02:26)

アルバムのラストに置かれたアップテンポのロック・チューンで
他の収録曲に比べると、この曲からは爽やかな80年代の風が
吹いて来るのを感じます。伸びやかなポール・ロジャースの歌声と、
ジミー・ペイジの軽快なGプレイに心躍らされずにはいられません。


THE FIRM - Mean Business ★★ (2018-01-29 22:56:47)

BAD COMPANYを解散させたポール・ロジャースと、LED ZEPPELINを解散させたジミー・ペイジのご両人が、多発性硬化症を患うロニー・レーン(元FACES)のために開催されたベネフィット・コンサートを切っ掛けに意気投合。その後立ち上げたTHE FIRMが’86年に発表した2ndアルバムにしてラスト作となったのがこちら。
ペイジが弾き、ロジャースが歌う…こいつぁ凄いことになりそうな予感!とパンパンに膨らんだファンの期待を他所に、デビュー作で提示されたのはZEP色の薄い、シンプルで飾り気のないブルーズ・ロック。バブルに浮かれる80年代真っ盛りのロック・シーンにおいては、「地味」「期待外れ」と芳しい評価を得られなかったと聞き及びますが、後追いリスナーな上に、そもそもZEPには殆ど思い入れがないボンクラゆえ(BAD COMPANYは大好きなのですが)「ポール・ロジャースの上手い歌が聴ければいいか」ぐらいの過度な期待をせずに購入したことが奏功したのか、本作も十分楽しむことが出来ましたよ。
特にメロウに揺らめくヒット・チューン③や、後半から踊り出すピアノがバドカンの名曲“RUN WITH THE PACK”を思い起こさせる④といった、ブリティッシュ・ロックならではの哀愁と、ロジャース先生絶品の歌唱が堪能できる楽曲はバッチグー。また草原を吹き抜ける一陣のそよ風の如き⑩におけるペイジ御大のGプレイも実に味わい深く美味。
音質やアレンジ面を含め、同時代のヒット作に比べると圧倒的に華のない作風ではありますが、お陰で今聴き直しても時代性を意識せずに楽しむことができるという、ある意味タイムレスな魅力を持った(?)1枚ではないかと。


SAXON - Forever Free - Forever Free ★★★ (2018-01-29 22:33:03)

指笛に始まるイントロからして、バンドが原点回帰を
志向してこの曲を書き上げたことは明らか。
今時の基準では決してスピーディとは言えないかもしれませんが、
ソリッドに刻まれる印象的なGリフ、明るくはなりきれないメロディ・ラインに
ライブ映えするコーラス、そして観客をノリノリにロックさせるテンポといい、
他の誰でもないSAXONらしさが脈々と息衝く名曲。


SAXON - Forever Free ★★★ (2018-01-29 09:44:57)

'92年発表の11thアルバムにして、『伝説からの生還』なる大仰な邦題に釣られ、リアル・タイムで初めて購入したSAXON作品がこれでしたよ、確か。当時はSAXONのことを舐め切って「過去のバンド」扱いしていたのですが、その内容の素晴らしさに「違う、こいつらバリバリの現役バンドだ!」と認識を改めさせられたという。
必要最低限のクオリティ・ラインは易々とクリアしつつも、自分達が演っている音に対して明らかに迷いが感じられた前作『SOLID BALL OF ROCK』に比べると、今回は、進むべき方向を迷いなく見据えたバンドの自信に満ちた足取りが目に浮かぶよう。それはソリッドな音作り、Gリフ重視の曲作りのスタイル、あと何より指笛に始まり指笛に終わる確信的な本編構成からも伺えるのではないかと。この原点回帰の意図を汲み、本作に『伝説からの生還』という邦題を冠したくなった日本のレコード会社の気持ちが分かるなぁ。
特にアルバム表題曲でもあるOPナンバー①は、ただテンポが速いというだけでなく、演奏全体に漲る気骨、そしてビフ・バイフォードが歌う滋味と憂いに満ちたメロディから伝わる、ブリティッシュHMならではの貫目にも痺れる名曲。またアコギが寂寥感漂わす抒情バラード⑤における見事な歌唱を聴けば、彼が80年代後半の試行錯誤もしっかり己の糧にしていることが分かるってもんです。
未だ地味めな楽曲も散見され、SAXONのことを全然知らないような若いHR/HMファンすら巻き込んでいく問答無用のパワーの発露については、あともう数作待たねばならないのですが、そこへと至る最初の足跡を刻んだのが本作だったのではないか?と。


OBSESSION - Marshall Law - Marshall Law ★★★ (2018-01-27 23:51:52)

これまた思わずゾクゾクさせられる
JUDAS PRIEST直系のイカしたGリフと、
喉よ裂けよと言わんばかりのに攻撃的なマイクの
シャウトをフィーチュアしてパワフルに駆け抜けるEP表題曲。
勢い任せに弾き倒すGソロも良い。


OBSESSION - Marshall Law - Only the Strong Will Survive ★★★ (2018-01-27 23:45:13)

攻撃的なGリフ、激しく打ち鳴らされるリズム、
疾走するツインG、その上で熱いシャウトを
繰り出すマイク・ヴェセーラのVo…と、
音が悪い?パフォーマンスが粗い?
だからなんだってんだ!な逸品。
USパワー・メタルここにあり。


OBSESSION - Marshall Law ★★★ (2018-01-26 00:13:23)

看板シンガーのマイク・ヴェセーラを中心に再結成を果たして現在も活動中である、米コネチカット州出身のパワーメタル・アクトOBSESSIONが、オムニバス盤『METAL MASSACRE』シリーズ2作目への参加をきっかけにMETAL BLADE RECORDSと契約を結び、’83年に発表した4曲入りデビューEP。
今や押しも押されぬ実力派シンガーとして鳴らすマイクですが、この頃はまだまだ青さ全開。その彼の荒削りな歌唱を始め、安普請なプロダクションや未洗練の楽曲等、本作聴いてから日本デビュー作『狂気の方程式』(’88年)を聴くと「立派に垢抜けてまぁ」と感慨深くなること請け合いですよ。と、それぐらい全体がアングラ臭で分厚く覆われており、普段メジャー・アーティスト中心に音楽を楽しむ堅気のHR/HMリスナー衆には間違っても薦められた代物じゃありませんが、逆に、全くもってイケてないジャケット・イラスト(描き手の真剣さはいやっつーぐらい伝わって来るが致命的なまでに下手)を一目見て、ビビッとマイナー・メタル・アンテナが振れるような特殊性癖の持ち主なら必聴/必携の1枚かと。
実際、エッジの立ったGリフが鋭く刻まれるOPナンバー①、ダーク且つドラマティックに蠢く重厚な②、ツイン・リードGが劇的に駆け巡る③、これぞOBSESION!というGリフのカッコ良さで一点突破を図る④…と、収録曲はいずれ劣らぬ名曲揃い。アメリカのバンドらしからぬダークネスと湿ったドラマ性を帯びたサウンドを、多少強引でも迸る熱量は既に十分なマイクのVoと2本のGがパワフルに盛り立ててくれています。
OBSESSIONの最高傑作に本作の名を挙げるマニアの気持ちが分からなくもない1枚。


W.A.S.P. - Inside the Electric Circus - Easy Living ★★★ (2018-01-24 23:54:28)

軽快にハネる曲調やキャッチーなコーラス、
印象的なハーモニーといった原曲の魅力が
W.A.S.P.の個性にしっかりマッチ。
その上で野性味も一摘み加えて
「らしさ」の演出にも抜かりがない好カヴァー。