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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1601-1700

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1601-1700

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HUSTLER - High Street ★★★ (2017-12-12 23:28:28)

その昔、行きつけの中古CDショップが閉店セールをやった際、遅ればせながら駆け付けてみれば既にめぼしい品は粗方買われてしまっていて、唯一目を引いたのが、イギリス出身のHUSTLERが'74年に発表した、この1stアルバムだったという。
今でこそ「Voは38 SPECIALに参加」とか「Dsは後にSFXを結成」とか、ネット上で彼らに関する情報を集めることが出来ますが、当時は手に取った中古盤に帯がついてなかった為どういった出自の連中なのか分からず、バンド名は輸入エロ雑誌みたいだし、ヒゲ面のメンバーがおどけるジャケットはイケてないし、解説担当のゴッドも初渡英時の思い出話に終始しているだけだしで(でもこれが読み応えあり)、事前のアルバムに対する期待値は高性能レーダーだって探知不可能なぐらいの低空飛行っぷり。
しかし家に持ち帰って聴いてみると、これが実に良かった!軽快に弾むメロディとリズムに、ねちっこく歌うVoが絡む①で「おっ」と思わされ、ハードなGとKeyがDEEP PURPLEばりにユニゾンしながら駆け抜ける②が始まった瞬間、こちとら姿勢を正座へと改めざるを得ませんでしたよ。一般的には方向性が定まり洗練もされた2nd『PLAY LOUD』が代表作とされているようですが、曲の良さでは本作だって引けを取らないのではないかと。
特に哀愁に満ちた前半からスリリングにテンポアップする⑧、熱い盛り上がりで本編を締め括るバンドのテーマ曲⑨というラスト2曲は、前述の②同様DEE PURPLEを大いに彷彿とさせる名曲。オルガンと泣きのG、熱唱型Voが互いに高め合ってクライマックスへ雪崩れ込む劇的な曲展開にゃアガらずにはいられませんて。70年代HRアルバムの秀盤です。


SANDROSE - Sandrose - Vision ★★★ (2017-12-11 23:10:10)

エキゾチックな響きを湛えてかき鳴らされるアコギと
オルガンやメロトロンの幽玄な音色に彩られた曲調は
どちからといえば「静」の魅力を湛えているのですが
その上に乗るローズ嬢のVoは今にも泣き出しそうというか、
感情が溢れ出さんばかりに熱を帯びてソウルフル。
この取り合わせの妙が本曲を名曲たらしめています。


SANDROSE - Sandrose ★★★ (2017-12-10 23:32:01)

紅一点の女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーを擁するフレンチ・プログレッシブ・ロック・グループが'72年に残した唯一作。
歌詞は全曲英詞で、サウンドの基軸を成すのは、妖艶な歌唱から感極まったような「泣き」の入った熱唱まで、パンチの効いた歌声が耳惹くローズ嬢のVoと、ジャン・ピエール・アラルサンの繊細さと豪胆さを併せ持つ変幻自在のGワーク。そこに全編を抒情的に包み込むオルガンやメロトロンの幽玄な旋律が絡み、2~3分台の美しい小曲と、10分以上に及ぶドラマティックな大作曲が交互に配置される等、非常に分かり易くKING CRIMSONやGENESIS辺りに通じるプログレ・スタイルが提示されています。フレンチ・バンドらしいメランコリックな泣き――少年漫画や劇画チックな滂沱の如く溢れる熱い滝涙ではなく、キラキラ光りながら零れ落ちていくような少女漫画ライクな感傷的な泣き――のメロディを前面に配した実験精神控えめの姿勢も、ボンクラ・メタル野郎には非常に入り込み易くてありがたいという。
どこかエキゾチックな響きを湛えたG、パッション溢れるVo、幻想的なオルガンとが、テンション高め合いながらじわじわ盛り上がる①、一転して包み込むようにしっとり聴かせるバラード②、G主導で劇的に展開していく大作③、今にも泣き出さんばかりの勢いのVoとGがエモーショナルに溢れ出す④…といった具合に、本作は終盤に置かれたジャジーでスリリングなHRインスト・ナンバー⑦まで、頭から順に1曲ずつ語れてしまうぐらい秀曲が揃っています。リー・ドリアンでなくても、これ1枚切りで解散してしまったことを惜しみたくなる1枚。


SANDROSE (2017-12-10 23:28:07)

60年代からキャリアを積んでいたジャン・ピエール・アラルサン(G)が、自身の音楽を追求するべく、それまでの活動を通じて知己を得たミュージシャン達をメンバーに迎えて結成したプログレッシブ・ロック・バンド。特に女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーのパンチの効いた歌唱はこのバンド大きな個性。
音楽性の相違やメンバー間の対立もあって、僅か1年足らずでバンド活動には終止符が打たれてしまったものの、彼らが唯一残したアルバム『SANDROSE』は、CATHDRALのリー・ドリアンを始めとする70年代ロック好事家から今も熱烈な支持を受け続けている模様。


GOBLIN - Zombi(colonna Sonora Originale Del Film) - Zombi ★★★ (2017-12-10 01:29:49)

タイトルそのまんまですね。
映画開巻から間もなく、警察が包囲するアパートを舞台に、
不法移民とSWATが繰り広げる銃撃戦に、ゾンビ軍団が乱入する
カオスな名場面を彩るアゲアゲな名曲です。
シーンの緊迫感を高めるだけでなく、
ダリオ・アルジェント監修版が持つ「サバイバル・アクション映画」
としての雰囲気も大いに盛り上げてくれているという。


GOBLIN - Zombi(colonna Sonora Originale Del Film) ★★★ (2017-12-10 01:17:07)

ホラー映画史に燦然と輝く金字塔、故ジョージ・A・ロメロ監督作『ゾンビ』(原題『DAWN OF THE DEAD』)と言えば、米国劇場公開版、ディレクターズ・カット版、そしてダリオ・アルジェント監修版の3パターンを基本に、派生型である日本TV初公開版やら、ドイツのマニアが勝手に作ってしまった最長版やら、無数のバージョン違いが存在していることで知られています。で、お前はどのバージョン派?と問われたならば、コンマ数秒たりとも躊躇うことなく「アルジェント版!」と即答する準備は万端。ロメロが作品に込めた消費社会・文明に対する批評性が薄められているとしてマニア受けはイマイチなれど、カット割りがスピーディ且つアップテンポで、『ゾンビ』のサバイバル・アクション物としての側面がより強調された同バージョンの味付けが、個人的に一番グッときましてね。それに何より、ここにはGOBLINが手掛けた最高にイカした劇伴がある!と。特に映画序盤、警察/不法移民/ゾンビが三つ巴の地獄絵図を繰り広げるアパートの場面で、名曲②が流れないなんてちょっと考えられないですよ。この勇ましく緊迫感に満ちた名曲を聴く度に、ウーリー大暴れの図が脳裏に浮かんでほっこりするという(それはどうか)。
そんなアルジェント版の劇中使用曲をまとめて収録したサントラ盤たる本作ですが、『ゾンビ』を見たことがない方が、単純にプログレッシブ・ロック作品として触れると、唐突に陽気なピアノ曲やカントリー、更には民族音楽風コーラスが挿入されたりと、ロック色の薄い、少々アバンギャルドな作りに戸惑う危険性あり。映画を見てからだと、聴く度に劇中の名場面の数々が瞼の裏に蘇って感動に浸れる名盤なのですが…。


Exarsis - New War Order - Human Project ★★★ (2017-12-08 00:28:15)

前作のタイトル・トラックがここに収録されている理由は不明。
本編の幕引き役に相応しく7分以上に及ぶ大作ですが、
鋭利なリフ、小回りの利くリズム、アッパーなVoが緊迫感を伴い
一塊に突っ走って、勿体ぶった雰囲気が皆無なのがこのバンドらしい。
ただよくよく聴くとVoはハイピッチを活かしてメロディを
歌っていますし、何より劇的にハモりながら駆け抜けて行く
ツインGが、楽曲が持つドラマ性を効果的に高めてくれています。


Exarsis - New War Order - Twisted Logic ★★★ (2017-12-08 00:23:02)

普通、序曲とそれに続く楽曲ってのはシームレスに
繋がって行くもんだと思うのですが、ここでは曲と曲の継ぎ目が
くっきりと露呈していて、「いいんだよ、細けぇことは!」
というノリ一発(雑な)姿勢が微笑ましくて良い。
濁声とハイトーンを使い分けテンション高く迫るVo
Gリフを痙攣気味に刻み倒したかと思えばソロは劇的に響かせるツインG、
それらを乗せてわっせわっせと一心不乱に突っ走るリズムとが畳み掛ける
炸裂感に溢れたOPに打ってつけのスピード・ナンバー。


Exarsis - New War Order ★★★ (2017-12-06 22:16:14)

シンガーを交代して2作目、通算では4作目ともなるスタジオ・アルバム。(’17年発表)
そろそろ中堅バンドの仲間入りというキャリアを積み重ねながらも、バタバタと落ち着きのない、どこかB級感漂うスラッシュ・サウンドは相変わらず。と言ってもこれは貶しているわけじゃなく、寧ろ褒め言葉。演奏はキレキレですし、普通デビュー当時の初期衝動は作を重ねる毎に貫禄や整合性といった要素に上書きされていくものですが、このバンドの場合はラフい音質の下、ハイテンションで歌いまくるVo、マシンガン・リフを間断なく吐き出すG、せかせか忙しないリズム、テンポ良く炸裂する威勢の良い野郎コーラスetc.と、未だ(良い意味で)「スラッシュ小僧」感を保ち続けててくれているのだから貴重ですよ。
イントロ序曲①をブチっと強引に断ち切って②が突っ走り始める、笑っちゃうぐらい荒っぽい導入で掴みはOK。その後も猛然とラッシュを仕掛けて来る③、これまたインスト小曲⑤が前置きに用意された⑥の激烈メドレーが続き、締めは7分越えの大作ながら、メロディックに駆け巡るツインGをフィーチュアして一気呵成に畳み掛ける⑨。そしてバンドのルーツを詳らかにするSLAYERとRAZORの好カヴァー⑩⑪がボーナス・トラックとしてオマケ収録されているという、全編に亘ってひたすら前のめりな姿勢が貫かれた1枚。
各曲にフックを構築する2本のGの活躍ぶりや、「一発キメたロブ・ハルフォード」てな風情のハイピッチ・シンガーがメロディを追えることもあって、ふとFORBIDDENの1stアルバムのことが頭を過りました。あちらよりも大分荒々しい感じですが。
今後もその意気で走り続けてくれることを切に期待致します。


MANDATOR - Perfect Progeny ★★ (2017-12-05 23:27:12)

専任シンガーが脱退した穴を、GがVoも兼任する形で埋めて’89年に発表されたMANDATORの2ndアルバム。
演奏に安定感が出て来て、リフやリズムの刻みは一層スラッシュ・メタル然としたものとなり、新Voの歌唱法がかなりジェイムズ・ヘッドフィールドを意識したスタイルだったり、またこれまで以上に曲展開にテクニカルな起伏が仕掛けられていたりと、前作が「IRON MAIDEN影響下のパワー・メタル」だったとするならば、今作におけるサウンドは「METALLICA影響下のスラッシュ・メタル」といったところでしょうか。
収録曲の多くが6~7分台と、大作志向が目立ち始めた本編は、(後にメンバーが反省している通り)豊富なアイデアを上手くまとめきれていない印象で、曲によっては少々ダレるというか、即効性に関しては前作に今一歩及ばない印象が無きにしも非ず。しかしスラッシーな疾走感と、ツインGが紡ぐ欧州のバンドらしい湿ったメロディ・ラインは、聴き込むことにより次第にこちらの耳を捉え始め、特に2本のGのメロディックで劇的な絡みにハッとさせられるアルバム表題曲⑥は、本編のハイライトとして存在感を放つ名曲ではないかと。ショパンの“葬送行進曲”のフレーズを取り入れた④もユニークな仕上がり。
数年前に、ディスクユニオンが無料配布していた音楽冊子(読み応えがあって好きでしたね)のスラッシュ・メタル特集号で、NUCLEAR ASSAULTの『SURVIVE』やEXODUSの『OBJECTION OVERRULED』なんかと一緒に「再発が難しそうな廃盤12選」に選出されていた本作ですが、'17年に目出度く初CD化がなりましたので、この機会に是非。


MANDATOR - Initial Velocity - Posers ★★★ (2017-12-05 00:20:35)

イントロ聴いた時はMETALLICAの“FOR WHOM THE BELL TOLLS”
のカヴァーかと思いましたよ。
イントロ後は、劇的なツイン・リードGを伴ったスラッシーな疾走に転じる、
MADATORの魅力が分かり易く体現された逸品です。


MANDATOR - Initial Velocity - Black Rose ★★★ (2017-12-05 00:12:07)

MYSTO DYSTO時代を思わせるパワー・メタル・ナンバーながら
ササクレたGリフの刻み具合からはスラッシュ臭も漂います。
そんな本曲の主役は間違いなく2本のG。
前半の弾きまくりから、スロウダウンしてじっくり聴かせにかかる
後半まで、縦横無尽、メロディックに駆け巡って曲展開を
ドラマティックに彩ってくれています。


MANDATOR - Initial Velocity ★★★ (2017-12-04 22:51:33)

MYSTO DYSTO名義でアルバム1枚を残したオランダ出身の5人組が、ドイツのインディ・レーベルとの契約を機に、よりワールド・ワイドな活動を視野に入れてバンド名をMANDATORと改名(他にもNIGHTMAREやGOBLINも候補だったそうだが同名バンド多数のためボツった)。’88年に発表した再出発デビュー作がこれ。
トレブリーな音色でガンガン暴れ回る「好きやねん、スティーヴ・ハリス」な新Bの演奏にリードされ突き進む、IRON MAIDENからの影響を根っこに据えた荒っぽいパワー/スピード・メタル…という基本スタイルはMYSTO DYSTO時代から変わりなし。と同時に今作では、彼らの主戦場たる欧州でのスラッシュ・メタル人気の高さを踏まえ、噛み付くようなアグレッション剥き出しに歌うVo、ササクレ感倍増のGリフ、畳み掛けるリズム等々、よりスラッシュ・メタル・テイストの底上げが図られています。
前者(パワー・メタル路線)の筆頭が、緩急と泣きのドラマを活かして盛り上げる②、2本のGが勇壮に歌う④、このバンドなりのバラードと言えるドラマティックな⑧辺りであるならば、荒々しく斬り込んで来る①③、躍動するBに引っ張られて突っ走る⑤といったスピード・ナンバーの数々は後者路線の代表格。また、スラッシーな攻撃性と劇的なツイン・リードGの絡みという、両者の特性を併せ持つ⑦のカッコ良さも耳を惹きますし、展開多めの⑥は次作の作風への布石として機能しています。
演奏には相変わらずドタバタ感がつきまとうものの、そうした忙しなさを良質の「スパイス」として受け止められる、業の深い…もとい度量の広いスラッシュ愛好家なら、本作が愛聴盤になることは間違いありませんよ。


POWERLORD - The Awakening - (The Awakening) Powerlord ★★★ (2017-12-03 23:22:05)

インスト・セクションと歌入りセクションの
2部構成からなるバンドのテーマ曲。(カウント上は1曲)
スラッシーなGリフ、ドスの効いたリズム、様々な歌唱スタイルを
使い分ける実力者っぷりが頼もしいVoとが、
ブルドーザーの如く押し寄せて来るパワフルな曲調が迫力。


POWERLORD - The Awakening ★★★ (2017-12-03 23:10:01)

アメリカでHR/HMシーンの炎が勢いよく燃え上がった’84年に、オクラホマ州オクラホマシティーにて結成されたという4人組が、自主制作で'86年に発表した6曲入りEP。
「POWERLORD」のバンド名に相応しく、本作において叩き付けられるのは、音程のないシャウト(MANOWARのエリック・アダムスの得意技であるアレ)と耳をつんざく強烈なハイトーンを使い分ける実力者っぷりが「アメリカのミュージシャン層の厚さは半端ないな」と感心させられるVo、リフにソロに高圧的に攻めてくるG、地響きを立てて突進するリズム隊等、メンバー全員が青筋浮かべてパフォームする姿が目に浮かぶような、限りなくスラッシュ・メタル寄りのアメリカン・パワー・メタル(このバンド名でハードポップを演っていたら、それはそれで斬新だが)。比較対象として即座に思い浮かぶバンドは初期VICIOUS RUMORSやSAVAGE GRACE、最近ならDEATH DEALER辺りで、ムキムキのボディ・ビルダーが物凄い笑顔で、「ところでこの筋肉、どう思う?」と目の前まで迫って来るかの如き迫力満点&高カロリーなサウンドは、全6曲、30分足らずのボリュームにも関わらず、聴き終えた後はぐったりと疲労感すら覚えるという。バラード?あるわきゃねぇだろ。
…と書くと退屈な作品と誤解されるやもしれませんが(実際キャッチーさには乏しい)、その疲れというのは、ライブで思いっきりはっちゃけた後に覚える心地良い疲労感のようなもの。特にバンドのテーマ曲⑥は勇壮なパワー・メタル風味と、刺々しくササクレたスラッシュ・メタル風味とが一緒くたに疾走する、メタル者なら昂らずにはいられない名曲ですよ。
長らくマニアの間でお宝作品扱いされていたのも納得の力作。


POWERLORD (2017-12-03 23:07:58)

‘84年にオクラホマ州オクラホマシティーにて結成。ちなみにドラマーのボブ・ガーリー(LA出身)はデビュー前のSLAYERやDARK ANGELのライブを助っ人として手伝っていた経験もある実力派。
'86年にバンドが自主制作した6曲入りEP『THE AWAKENING』は、欧米のパワー/スラッシュ・メタル愛好家の間で高い人気を誇り、オリジナルLPは勿論のこと、SHARK RECORDSからリリースされた、POWERLORDとその他2バンドをひとまとめにした雑なスプリット仕様の再発盤CDすら高額なプレミア価格で取引されていたという。(現在はSHADOW KINGDOM RECORDSから単独での再発盤CDがリリース済み)


VIPER - Soldiers of Sunrise - Nightmares ★★★ (2017-12-03 00:16:46)

うーん、メイデン。
メロパワ・メタルというよりもIRON MAIDENやNWOBHMからの
影響がストレートに打ち出されたアグレッシブに畳み掛ける疾走チューン。
サビメロに被さる「オ~オオ~♪」コーラスが
ダサイんだけどカッコ良く、聴く度にアガります。
この感覚的EUROPEの“SEVEN DOORS HOTEL”のコーラスに近い感じか
個人的にはアルバムのハイライトですよ。


VIPER - Soldiers of Sunrise - Soldiers of Sunrise ★★★ (2017-12-03 00:11:30)

長尺を物ともしないドラマティックな曲展開といい、
今にも引っ繰り返りそうで危なっかしいVoといい、
確かに『WALLS OF JERICHO』を発表した頃の
HELLOWEENを彷彿とさせます。
バンドの秘めたポテンシャルを感じさせてくれる、
アルバム表題曲に相応しいエピック・ナンバー。


VIPER - Soldiers of Sunrise - Knights of Destruction ★★★ (2017-12-03 00:07:52)

荒々しく刻まれるGリフ、いっぱいいっぱいで危なっかしい
マトスのVoやDs等、全体的に勢い任せな部分が目立ちますが
いやでもカッコイイ。歌メロの組み立てからは次作で
大きく花開くドラマティックなメロパワメタルの萌芽が聴き取れますし、
マーカス・グロスコフばりに派手に動き回り、疾走感溢れる楽曲を
牽引するピット・パシャレルのBプレイにも耳惹かれます。


VIPER - Soldiers of Sunrise ★★★ (2017-12-03 00:01:31)

ブラジルのHR/HMシーン黎明期をSEPULTURAと共に支えた功労者、VIPERの記念すべきデビュー作。('87年発表)
マニアのハートと涙をカツアゲした必殺の名曲“MOONLIGHT”収録の2nd『THEATER OF FATE』は、アンドレ・マトス(Vo)主導でクラシカルなメロディが大幅増量された、後のANGRAにも通じるメロディック・パワー・メタル作品でしたが、収録曲の殆どが’85年~’86年頃に書かれているという本作で聴かれるのは、エピック・メタル調の「いかにも」なアートワークとイマサンな音質の下、スラッシーなササクレ感を撒き散らすGリフが刻まれ、リズムは若さに任せて疾走に次ぐ疾走を繰り返す、IRON MAIDENやNWOBHMの洗礼を受けた荒々しいパワー・メタル・サウンド。
尤も、バンマス役を担うピット・パシャレル(B)の演奏はスティーヴ・ハリスというよりマーカス・グロスコフ風で、マトスが雄々しく歌うメロディやコーラスの組み立て等からは、次作で結実するメロパワ・メタリックな要素を既に十分聴き取ることが可能。特に勇壮に駆け巡るBラインのカッコ良さが肝のOPナンバー①や、ドラマティックなアルバム表題曲⑥は血沸き肉躍る名曲。まぁでも個人的に最もグッとくるのはもろメイデンな②なんですけどね。好戦的曲調のサビで炸裂する「オ~オオ~オ~♪」のコーラスは、聴く度に「ダセェ」「でも最高!」と血中メタル・ゲージがもりもり上昇していくのを感じますよ。
音質にしろパフォーマンスにしろ青さが目立つのは事実ですが、これを平均年齢16歳の新人が作り上げたとあっては、こりゃもう拍手喝采しかありません。2ndより好きだなぁ。


Blue Stealer - Take the Dream - Take the Dream ★★★ (2017-12-02 00:22:20)

力強くキャッチーなサビのリフレインが秀逸なEP表題曲。
佐々木健介の入場テーマ曲として作曲されていて、
EPには歌入りバージョンとインスト・バージョンの2種類が収録。
前者が「ウィナー・バージョン」で後者が「入場バージョン」とのこと。

冒頭の「TAKE THE DREAM, LIKE THE STORM」のコーラス部分だけ使って
あとはBLOOD STAIN CHILDの“THE WORLD”に繋がって行くバージョンもある。
というかそっちの方が有名か?


Blue Stealer - Take the Dream - Joker ~聖地へ~ ★★★ (2017-12-02 00:09:46)

アグレッシブなGリフと、それに対抗する
山本朋子の力強い歌唱を両軸に突き進む
様式美メタル・チューン。
新日本のプロレスラー、佐々木健介のテーマ曲…
って、売りになるのそれ?とか思ってしまい
正直、スマンカッタ。


RATA BLANCA - Guerrero del arco iris - La boca del lobo ★★★ (2017-12-01 23:51:30)

邦題は“狼の口”。個人的に愛読していた漫画
『狼の口~ヴォルフスムント』とは無関係ですが。
(当たり前か)
まぁ誰がどう聴いても元ネタがRAINBOWの
“FIRE DANCE”であることは明白なんですけど
スパニッシュ風味というか、南米風味の濃いめに
味付けされた仕上がりが、これはこれで十分カッコイイ。


RATA BLANCA - Guerrero del arco iris ★★★ (2017-12-01 23:43:42)

アルゼンチンの「白ネズミ」団こと、RATA BLANCAが'91年に発表するやいなや、本国では予約だけでプラチナムに到達してしまったという大ヒット3rdアルバム。ついでに自分が初めて購入した彼らの作品でもあります。そら『虹の戦士』なんて邦題付けられたら、RAINBOW信者としてはチェックせんわけに行かんでしょう。
「南米のRAINBOW」の二つ名に託された期待を裏切らない様式美HMサウンドや、中心メンバーたるバルテル・ヒアルディーノの作曲スタイル&テクニカルなGプレイから垣間見える(つかモロ出し)リッチー・フリークぶりは当然今回も健在。1曲目のイントロを聴いた時は“LONG LIVE ROCK’N ROLL”のカヴァーが始まったのかと思ったぐらいのもので。更に“DRINKING WITH THE DEVIL”風の②、④が“FIRE DANCE”に瓜二つで⑤は“KNOCKING AT YOUR BACK DOOR”か?…といった具合に、ロックにオリジナリティを求める向きには失笑の一つも漏れそうな作品ではありますが、個人的にはここまで優れた楽曲を揃え、且つ性根の据わったなりきりぶりを披露されると、これはこれで最早立派な「芸」であり「個性」であると。スペイン語の熱唱によってもたらされるエキゾチックな響きも、彼らと英語圏フォロワー勢との差別化に一役買ってくれています。
音質の向上から、ドメスティックなクサ味が抑えられ、より普遍的様式美HMが志向された(洗練された)楽曲まで、本作を彼らの最高傑作に推す声が多いのも納得の1枚。ただ個人的には、クサメロや歌メロのコブシといった、従来のスパニッシュ・メタル的エッセンスが薄れてしまっている点は少々勿体ないように思ったりもするのですが。


JILL'S PROJECT - Crazy Me ★★★ (2017-11-29 23:16:55)

再結成TERRA ROSAのライブ盤を愛聴しているうちに、ふと「そういや買ったけど聴く暇がなかったなぁ」と思い出し、棚から引っ張り出してきた岡垣“JILL”正志率いるJILL’S PROJECTが'06年に発表した3曲入りマキシ・シングル。余談ですが、この文章を書くにあたって現在プロジェクトがどういう状態なのか調べてみたら、何やらゲーム・ミュージックに絡んだ大量の音源を発表しているようで驚きましたよ。そっち方面に活路を見出していたんですねぇ。(閑話休題)
音楽性は1st『LAST CONTRACT』同様、TERRA ROSAに通じる様式美HMを実践。華麗なる鍵盤捌きでバンマス役を担う岡垣(Key)、パワフルな喉を披露する祇上養一(Vo)、ボトムを引き締める関勝美(パチプロ…もといB)のメイン・メンバーに加え、①で和製マイケル・シェンカーこと足立祐二が、②にGITで学んだアメリカ帰りの井之上剛、そして③では元SNIPERの日下部正則という「腕に覚えあり」なゲスト・ギタリスト勢が、それぞれテクニカルなGプレイで楽曲に華を添えてくれます。
岡垣のKeyと足立のGが火花を散らす①や、祇上の歌いっぷりの良さも際立つ疾走ナンバー②も大変素晴らしい出来栄えですが、やはり本作のハイライトは③。各メンバーの聴かせどころを盛り込みつつ、10分以上に及ぶ長尺が重厚且つドラマティックに押し寄せる名曲で、欲を言えば疾走パートも欲しかったか?とも。(逆にそれだとありがちか)
僅か3曲のボリュームながらも、十分な満足感が味わえる1枚でありました。


Blue Stealer - Take the Dream ★★ (2017-11-28 23:17:20)

VOLFEEDの山本朋子(Vo)や、CONCERT MOONの尾崎隆雄が在籍していたZENITHのメンバーらによって結成された様式美HMバンドが、'96年に発表したデビューEP。
個人的にこの組み合わせにはかなり期待していたので、リリースされてすぐにショップへ買いに行ったのですが、邦楽の「は」行や、念のためにと洋楽の「B」コーナーを探しても見当たらない。マイナーだから入荷してないのか?と思い店員さんに尋ねてみたら、何とプロレス・コーナーに陳列されていたというオチ。そりゃ見つからんわ。
佐々木健介と馳浩の“試合後インタビュー”まで収録された本作は、《新人HMバンド、BLUE STEALERのデビュー作!(タイアップ:プロレスラーのテーマ曲)》というよりも、《佐々木健介ら新日レスラーのテーマ曲集(歌と演奏:BLUE STEALER)》ってなパッケージが前面に押し出されている作品であり、当時は「中途半端なデビュー作だなぁ」「納得いかない、ヴァー!」とか複雑な思いを抱いたものですが、今となっては「何であれ正式な音源を残す機会になったのだから良かったよ」とポジティブ・シンキング。
山本朋子のパワフルなハイトーンVoと、現在はソロ活動等でも知られる戸谷勉(G)を始めとする、楽器陣のスリリングな演奏が交錯する様式美ナンバーは、鋭利なGリフに先導され突き進む①、スピーディなインスト曲③、パワフル&キャッチーな⑤(インストVerの②も有り)等々、どれも良く出来ています。別に新日ファンでなくとも、様式美メタル愛好ならこれらの楽曲目当てでチェックする価値は十分にあるのではないでしょうか。


CROWLEY - Nocturne - Evening Prayer (1985 demo) ★★★ (2017-11-27 23:01:15)

ボーナス・トラックとして収録された幻の名曲。
この曲のみ歌詞が日本語で、お陰でVoのコブシが
ぐるんぐるん回る回る。
そのせいか、どこかTERRA ROSA辺りにも通じる
関西様式美HMっぽさも感じられたり。
つまりそれぐらい劇的な名曲ということで。


CROWLEY - Whisper of the Evil - Floating Man ★★★ (2017-11-27 22:53:13)

オカルト/サタニック・メタル的な大仰さよりも、
NWOBHMの洗練を受けたダークな正統派HMといった趣きの
ストレートな疾走感が勝るスピード・ナンバー。
特に中間部で劇的に炸裂するツインGハーモニーは
「待ってました!」となりますね。


CROWLEY - Nocturne - Don't Be in a Hurry ★★★ (2017-11-27 22:48:23)

CLOWLEYのライブの定番曲でもあったという
地底深くをウネウネとうねくるかの如きヘヴィネスと
憂いを湛えたメロディが合体したヘヴィ・チューン。
音質並びにVoの技量向上に伴い、
劇的さも更なるパワーアップを遂げています。


CROWLEY - Nocturne ★★★ (2017-11-27 00:30:21)

「和製オカルト/サタニック・メタルの雄」として、SABBRABELLSと並び称された名古屋の5人組が、30年ぶりの復活を果たした上に新作まで発表してくれて、こちとら思わず「姉さん、事件です!」と叫びそうになったという(古い)。SABBRABELLSやDOOMのデビュー作さえ再発される昨今、そりゃあ先ずは廃盤のままほったらかしのEP『WHISPER OF THE EVIL』のリイシューを!と思わなくもありませんが、本作が過去音源のリメイク集であり、またこうしてバンドが復活して活動を継続してくれれば『WHISPER~』再発の可能性だってグンと高まるわけですから、今後に期待すりゃいいだけのことよねと。
内容の方はダークでアグレッシブなHM。「オカルト」「サタニック」と聞くと構えてしまう方もおられましょうが、リメイクに当たって音質が向上を遂げ、また歌詞が英詞化されたことでVoの歌い回しからジャパメタ的なクサ味が緩和される等、全体的にオリジナルと比べるとアングラ感は然程でもなく。聴き易くなった印象もあって、これを「コクが薄まった」と残念がるかどうかは聴き手の判断次第。どちらにせよ英語で歌うことで海外市場へ打って出んとする、バンドの積極果敢な姿勢は大いに支持したいところであります。
何よりも、劇的なツイン・リードGが突っ走る②、怪しく大仰にうねるオドロオドロしい⑦、日本語詞を熱唱するVoのコブシの効き具合にグッとくる⑩等々…ダークなHMの名曲が居並ぶ本編の味わいは、やはり噎せ返るほどに濃厚です。
伝説のバンドの帰還の挨拶に相応しい内容に仕上がっている1枚かと。


OUTRAGE - Raging Out - Heroes Falling ★★★ (2017-11-25 23:36:20)

橋本直樹が歌う、戦う男の哀愁背負った
猛々しくもどこか物悲しいメロディを乗せて、
破壊的に刻まれるリフ&リズムが地響き立てて突進する様に
メタル・ハート鷲掴みなアルバムのハイライト・ナンバー。
構築美を放つGソロにもグッときますね。


OUTRAGE - Raging Out - Outrage ★★★ (2017-11-25 23:28:56)

OUTRAGEが満を持して贈るテーマ・ソング。
折角バンド名を冠してツマラン曲だったらカッコ悪いことこの上なしですが
スピード、パワー、ドラマティックに構築されたGソロまで
きっちり名曲に仕上げて来るあたりは流石。
これからライブにおいて重要な位置を占める楽曲になるかと思いますが、
合唱せずにはいられないメロディやコーラス等、ライブ映えもバッチリですよ。


OUTRAGE - Raging Out ★★★ (2017-11-25 23:15:48)

橋本直樹(Vo)復帰以降、傑作連発のOUTRAGEが'17年に発表した8thアルバム。
ルーツを開陳する70年代邦楽ニュー・ロックのカヴァー集『GENESIS Ⅰ』のリリースを間に挟んだため、そっちに引っ張られたサウンドになっているのでは?と予想しましたが、実際は勇猛果敢なOPナンバー①を皮切りに、徹頭徹尾聴き手を打ちのめすパワー全開な作風で予想は完全にハズレ。「適当なことばっか抜かしてんじゃねぇぞバカヤロー!」「予想1つまともに当てられないたぁ一体どういう了見だコノヤロー!」(別のアウトレイジ風に)
速い曲、重い曲、横ノリの曲、ドラマティックな曲etc.と、本編にはバラエティ豊かな楽曲が並び、そのどれもが、男の闘魂と哀愁を併せ持つVoの豪唱、破壊的に刻まれる図太いリフ&リズム、その間隙を突き歌う泣きのGソロと、自分達の音をしっかりと確立しているメンバーの自信に満ちたパフォーマンスのお陰で、「OUTRAGE流メタル」としか表現しようのない統一感のある光沢を放っています。例えばバンド名が冠されたテーマ曲と言うべき⑪を、パワー/スピード/メロディが詰まった名曲(しかもライブ映えまでバッチリ)にきっちり仕上げてみせた手腕に、現在の彼らの充実ぶりを感じましたよ。
雄々しくもどこか物悲しく突進する、本作のハイライト・ナンバー⑨に拳を振り上げながら、思わず「OUTRAGE」コールを連呼せずにはいられない1枚。


LIZZY BORDEN - Visual Lies - Visions ★★★ (2017-11-23 10:26:05)

リジーが歌う勇壮なメロディといい、
Bを効かせて重厚に押し出して来るリズム・ワークといい、
ノリは完全にエピック・メタル。
アルバムのトリ役に相応しいドラマティックな名曲です。


LIZZY BORDEN - Visual Lies - Lord of the Flies ★★★ (2017-11-23 10:24:30)

ジョン・カーペンターの「ハロウィン」テーマ曲を思わせる
サスペンス/ホラー映画風のメロディが、リジーが提唱する
ショック・ロック、サイコ・ロック的雰囲気を盛り上げる
3rdアルバム中において従来作のノリを最も色濃く留めた1曲かと。


LIZZY BORDEN - Visual Lies - Den of Thieves ★★★ (2017-11-23 10:12:48)

疾走するリズムの上に、キレのあるメロディックなツイン・リードGと
朗々歌うリジーの特徴的な歌唱が乗っかったスピード・チューン。
アルバム前半のハイライト役を仰せつかっている
といっても過言ではないカッコ良さ。


LIZZY BORDEN - Visual Lies ★★★ (2017-11-23 10:01:00)

《その血管は電線、その脳はブラウン管、テレビが生んだ虚像の怪人。奴の名は「オブリビオン」》…みたいな体で、リジー・ボーデン(Vo)が考案した新キャラのドヤ顔がアートワークを飾る、「視覚」に関するコンセプト作でもあるという、’88年発表の3rdアルバム。
ジャケットがインパクト大なだけに、音の方も負けず劣らず過激になっているのかと思いきや、別にそんなことはなく。マックス・ノーマンがプロデュースを手掛けたことで音作りはスッキリと垢抜け、これまでに比べ荒削りな部分が研磨された楽曲も、よりキャッチー&メロディックに聴き易さマシマシ。お馴染みの甲高いハイトーンのみならず、低~中音域まで、高低差を活かした歌唱に安定感が出て来たリジーのシンガーとしての成長ぶりも、アルバムの洗練された印象に拍車を掛けてくれています。
聴き始めこそ、破天荒さが薄まったように感じられ「小粒になっちまったなぁ」と物足りなさを覚えたものですが、本編が進行すると、後にオジーのバンドに参加するランディ・ローズ門下生ジョー・ホルムズを片翼に、シャープに踊る2本のGに率いられ疾走する④(邦題“視覚泥棒”)辺りからテンションが急上昇。以降は、メロディアスなミッド・チューン⑤、映画『ハロウィン』のテーマ曲を意識していると思しき⑦(邦題“蠅の大王”)、エピック・メタルばりの重厚さでトリを飾るドラマティックな⑨…と、名曲・佳曲が連打される本作を聴き終えた後の満足度は、傑作と評判の前作にだって引けを取るモノではありません。ポップなACCEPT風の①、哀愁漂う③、キャッチーに弾む⑥なんかも、聴き馴染むとこれはこれで素晴らしいですし。
正に、脂が乗り切った時期のLIZZY BORDENの実力が如何なく発揮されている充実作。


STEELHEART - Steelheart - She's Gone (Lady) ★★★ (2017-11-21 23:37:56)

歌詞だけ取り出せば、ポップ・メタルにありがちな
失恋ソングなのですが、ピアノ、ギター、ハイトーンVoが
泣いて泣いて泣きまくる壮絶なまでの涙腺への食い込みっぷりは
「ありがち」どころじゃ済みません。どんだけ手酷く振られたんだよと。
振られた上に借金背負わされ、同棲してたアパートの家財道具を
全部持ち逃げされて置手紙で「新天地で新しい彼氏と幸せになります」
と書き残されたぐらいの壮絶な絶望感が伝わって来るかのようですよ。


STEELHEART - Steelheart - Rock 'n' Roll (I Just Wanna) ★★★ (2017-11-21 23:26:34)

メタリックなGリフに超絶ハイトーンVoが被さって
リズムが疾走を開始した瞬間に「よし、星三つ!」となる名曲。
このハード・ナンバーからドラマティックな名バラード
“SHE'S GONE”へと繋がって行く流れだけでも
アルバム『STEELHEART』を購入する価値があるのではないかと。
Voにメラメラとライバル心を燃やすかの如く弾き倒すGも痛快です。


STEELHEART - Steelheart ★★ (2017-11-21 23:22:00)

嘗て『ロック・スター』なる映画が公開されまして。無名の新人リッパーがJUDAS PRIESTのフロントマンに大抜擢されたサクセス・ストーリーを元にしておきながら、当のメタルゴッドから無関係を宣言されるぐらい、まぁメタル愛が感じられないこと夥しい作品でした。内容に文句タレ始めると際限がないのでさておき、その劇中「物凄いハイトーンが出せる」という設定の主人公の歌の吹替を担当していたマイク・マティアヴィッチ。その彼がフロントマンを務める米コネチカット出身の5人組で、ここ日本ではデビュー早々に中野サンプラザで初来日公演を成功させるぐらいの人気者だったSTEELHEARTが'90年に発表し、ゴールド・ディスクを獲得するヒットとなったデビュー作がコレであります。
特に9曲目に収められている“SHE’S GONE”の名曲っぷりはつとに有名で、この泣きとドラマに満ちた欧州風味薫るバラードを聴かせて貰い、速攻アルバムを買いに走ったら、その“SHE’S~”以外はノリ重視のアメリカ~ンな楽曲で大半が占められていて「えー…」と何やら釈然としない気持ちになった方も多かったとか。(いや俺のことですが)
ただそれを差し引いても、やはり“SHE’S~”は一聴の価値がある名曲ですよ。またその前に置かれ、Gが派手に弾きまくるメタリックな疾走ナンバー⑧のカッコ良さや、シングル・カットされ全米14位とスマッシュ・ヒットとなった④もなかなかの出来栄え。何より、いずれの楽曲においても目の覚めるようなハイトーンを轟かせるマイクの歌唱がやはり圧巻。彼の歌と上記の楽曲目当てで本作を購入しても、決して損したとは思わないのではないでしょうか?当時売れまくった作品ゆえ、中古盤が格安価格で購入可能ですしね。


TANE CAIN - Tané Cain ★★★ (2017-11-20 23:20:06)

JOURNEYを支えるKey奏者にして、稀代のソングライターでもあるジョナサン・ケイン。その奥方だった(当時)トーニー・ケインが、旦那とキース・オルセンのプロデュースを受けてRCA RECORDSから'82年に発表したソロ・デビュー作。(邦題は『抱きしめて』)
JOURNEYに通じるポップでメロディアスなAOR/産業ロック・サウンドを聴かせてくれる作品で、一流のスタッフ・ワークと、ニール・ショーンら多彩なゲスト陣がそれをバックアップ。その上ジョナサンが全面的な楽曲提供を行っているとあれば、収録曲の粒の揃い具合は疑う余地なし。Mr. MISTERのリチャード・ペイジ(Vo)とのデュエット・バラード⑥には、後の売れっ子プロデューサー、ボー・ヒルの名前も見つけられたりして、そりゃあこんだけ4番バッターが揃っていれば凡打になるわけがありませんよ。
本作のヒロインたるトーニー・ケインも、ハイクオリティな本編に対して聴き劣りしない、素地のしっかりとした歌唱力を披露。哀愁に彩られたキャッチーなメロディを時に伸びやかに、時にしっとりと歌い上げています。特にシングル・カットもされた①⑤は流石の出来栄えで、アルバム表題曲でもある後者は、全米チャートTOP40に食い込むスマッシュ・ヒットを記録しています(最高位は第38位)。ちなみに'84年発表のJOURNEYの代表作『FRONTIERS』に収録されている、ジョナサン作曲の名バラード“時への誓い”は、この曲に対するアンサー・ソングになっているのだとか。ご馳走様。
残念ながらアルバム自体のセールスは振るいませんでしたが、「本業の片手間仕事」「女優の自己満足」と侮ることなかれ。メロディ愛好家から支持されているのも納得の名盤ですよ。


TANE CAIN (2017-11-20 23:17:52)

本名はトーニー(正確な発音は「ターニー」)マクルーア。芸能一家に生まれ、幼少時から女優業をスタートさせる傍ら、70年代にはラテン・ジャズ・バンドを始め、音楽活動も行っていたという。70年代終盤にBABYS時代のジョナサン・ケインと出会い、結婚。
モデル級の美貌に確かな歌唱力、そしてミュージシャン人脈を併せ持つ逸材としてRCA RECORDSの接触を受け、'82年にセルフ・タイトルのアルバムでソロ・シンガーとしてデビューを飾る。
2ndシングル『抱きしめて』がTOP40にランクインするヒットとなるも、アルバム自体はチャート100位圏内に入ることも叶わなかった。(最高第121位)
'84年にはターニー・ケイン&トライアングルズ名義で映画『ターミネーター』のサントラに楽曲提供も行っている。(サラ・コナーとターミネーターの初遭遇シーンのバックで流れている曲がそれ)


REVOLUTION SAINTS - Light in the Dark - Freedom ★★★ (2017-11-19 22:24:35)

作詞・作曲からGソロまで、ディーン・カストロノヴォが
ほぼ独力で書き上げたというミッド・チューン。
重厚なヴァースから、雄大な広がりを感じさせるサビメロへと
繋がって行くメロディ展開も秀逸で、
ディーンの「やる気」がヒシヒシと伝わって来るかのような出来栄えです。


REVOLUTION SAINTS - Light in the Dark ★★★ (2017-11-19 22:17:37)

「歌って叩ける実力派ドラマー」として順風満帆のキャリアを歩んでいたディーン・カストロノヴォでしたが、薬物及びアルコール依存と婚約者への家庭内暴力が発覚したことで運命は暗転。築き上げてきたキャリアは一夜にして完膚なきまでに失われてしまいました。まぁ完全に自業自得であり、事件に関しては全く同情はしておらんのですが、しかしその才能を惜しまずにはいられない身としては、彼氏がリハビリ施設に入って酒とヤクを絶ち、婚約者との関係修復も図り、その上でこのREVOLUSION SAINTSの2ndアルバムで更生の第一歩を踏み出したというならば、応援しないわけにはいきますまい!と。
再出発を祝うように、ダグ・アルドリッジ(G)、ジャック・ブレイズ(B)ら、お馴染みの面子が全員集結して、抒情メロディが華麗に舞うメロディックHRという、デビュー作で確立したサウンドもしっかりと踏襲。但し多数の作曲家が起用されていた1stに対し、今回の収録曲はプロデューサー兼Key奏者のアレッサンドロ・デル・ベッキオとメンバーの共作曲のみ。何より溜め込んでいた鬱憤を晴らすかの如く、本作ではよりハード・ロッキンな方向性が志向されていて、お陰で「バンド感」は過去最高をマークする一方、ことメロディについては“YOU’RE NOT ALONE”と“HERE FOREVER”という年間ベスト級の名曲が揃っていた前作比だと、少々フックが弱く感じられてしまうという。
いやそれでも、重厚な②や、ダグのGがフラッシーに駆け巡るハード・ナンバー③等、疾走曲から美しいバラードまで、優れた楽曲が目白押しの本作が、そこいらのメロハー物とは勝負にならないぐらいの完成度の高さを誇っていることは疑う余地はないんですけどね。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - Sea of Blood ★★★ (2017-11-18 09:40:14)

ノイジーな音色で破壊的に刻まれるGリフがド迫力。
ズドドドッと地響きと共に疾走疾走また疾走な曲調を、
どっしりと支えるドラムの抜群の安定感も
この曲(のみならずアルバム全体)の肝になっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - They Lie ★★★ (2017-11-18 09:36:05)

血管ブチきれそうな勢いでガナりたてる怒声Vo、
ガリガリと鼓膜に突き立つGリフ、猪突猛進のリズム、
その合間を縫って迸るGソロとが、3分弱の
ランニング・タイムを一気呵成に走り抜ける。
パンク?ハードコア?クロスオーバー?
いやいや。SLAYER型スラッシュ・ソングの名曲ですよ。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards ★★★ (2017-11-18 09:30:51)

名前は知っていても、まともに聴いたことはないパンク・バンドってのは結構多く、UKハードコア/パンク界のリビング・レジェンドこと、ワッティ・バカン(Vo)率いるTHE EXPLOITEDもそうしたバンドの一つ。なので彼らが’96年にMUSIC FOR NATIONSからリリースしたこの12thアルバム(多分)を初めて耳にした時はビックリでしたよ。ガリガリと鼓膜を引っ掻くGリフ、性急に突っ走るビートを抜群の安定感で支えるリズム隊、各曲にフィーチュアされ威勢よく迸るGソロ、怒りに満ちた咆哮で聴き手をアジテートしまくるVo等々。こりゃまた何とイカしたクロスオーバー・スラッシュか…というか、これってもう普通にカッコイイ、ストレートなスラッシュ・メタルの快作じゃん!と。
特に純粋な賛辞として「まるでSLAYER」という言葉を贈りたくなる⑥⑪はスラッシュ魂が燃え上がらずにはいられない名曲。当時流行のキーワード「ラフ&スポンテニアス」を言い訳にせず、しっかりと作り込んだ肉厚なプロダクションも、収録曲が放つ剣呑な殺気と迫力を効果的に倍加してくれています。(プロデュースはコリン・リチャードソンが担当)
このアルバムが発表された'96年頃といえば、モダン・ヘヴィネス・ブームの直撃でスラッシュ・シーンはスピードダウン著しく、またパンク・シーンはもっとポップでメロディアスな音が主流なりつつあった時期。本作はその只中にあって「るせぇ!そんなん知るかボケェ!」とばかりに、両者に中指突き立てて我が道を貫き通す、まさしくパンクな姿勢と、スラッシーなアグレッション/スピード感が全編に亘って横溢した力作に仕上がっています。


CORONER - No More Color - D.O.A. ★★★ (2017-11-16 23:45:14)

イントロだけで三ツ星級の名曲であることを確信。
奇想天外且つ流麗なリフとメロディ、
変拍子山盛りのリズムが嵐の如く吹き荒ぶ、
CORONERの個性爆発な名曲。
安易に大作にせず、タイトに5分以内にランニング・タイムを
まとめるセンスも買い。


SADUS - Chemical Exposure - Undead ★★★ (2017-11-15 23:53:44)

ダハハ、速ぇー速ぇー
というのが初めて聴いた時の感想でした。
Voと楽器隊が一丸となってキチGUYの如く激走を繰り広げるのですが
突っ走った爽快感よりも、何やら病んでそうなというか闇抱えていそうな
雰囲気漂わす辺りが、彼らがデス・メタル分類で語られる機会の多い理由でしょうかね。


CORONER - No More Color ★★★ (2017-11-15 23:32:47)

スイスの技巧派トリオが'89年に発表し、リアル・タイムで初めて聴いた彼らの作品となった3rdアルバム。ちなみにCORONER作品ジャケットに毎回印刷されている黒塗り模様は、日本盤の「帯」にインスパイアされたデザインなのだというプチトリビア。
ジャズの素養を持ち、トリッキーなリフを刻む一方でネオ・クラシカルなメロディも流麗に紡ぐG、変拍子と起伏だらけの曲展開を一部の隙もなく支え、実はリード楽器の役割を果たしているDs、そのGとDs両方に寄り添い変幻自在に動き回るBと、当時最上クラスの技量を誇る楽器陣が、さながら暴風の如く猛威を振るうインテレクチュアル・スラッシュ・メタルに、聴き手はただただ濁流に飲まれた木の葉のように翻弄されるのみ。
スラッシーなアグレッション以上に、研ぎ澄まされたメンバー間のテクニカルな応酬にサウンドの焦点が絞られた今作は、発表時は「テクニカル・メタル方面に突き抜けたCELTIC FROST」とも、「スイスのWATCHTOWER」とも評されましたが、今聴き直すと、複雑精緻に編まれたアンサンブルの中で欧州的ダークネスと耽美性を宿したメロディ・センスが鮮烈に息衝く様からは、DEATHの名作『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』に通じる激と情のドラマが感じられたり。特に全楽器が爆発的に疾走した瞬間アドレナリンが噴出する③、劇的なイントロだけでその名曲っぷりを確信させられる④はアルバムの白眉。
物凄い音数が詰め込まれ/荒れ狂うサウンドはお世辞にもキャッチーとは言い難いものの、孤高のインテレクチュアル・スラッシュ・メタル・スタイルが極まったCORONERの代表作として、間違いなく一聴の価値がある名盤ではないかと。


CORONER - Punishment for Decadence - Arc-Lite ★★★ (2017-11-14 23:05:40)

ネオクラシカルなGと、前へ前へと出て来るドラムが
火花バチバチの主導権争いを繰り広げながら
スリリングに突き進む様にグイグイ引き込まれます。
その両者の接着剤的役割を果たすBもテクニシャン。
歌の不在がまったく気にならないインストの名曲ですね。


CORONER - Punishment for Decadence ★★★ (2017-11-13 23:02:11)

オーギュスト・ロダンの代表作『地獄の門』(の一部)がアートワークにあしらわれている、スイスのスラッシュ・メタル・トリオ、’88年発表の2ndアルバム。
高度な演奏技術が狂い咲く、複雑精緻な構築美を有するサウンドはMEGADETHやWATCHTOWER等に通じるインテレクチュアル・スラッシュ(当時はテクノ・スラッシュとも)で括られるスタイルながら、そこに師匠筋であるCELTIC FROSTから受け継いだ禍々しい暗黒色のトーンと、欧州HM流の美意識に裏打ちされた抒情メロディが組み合わさることで、他に類を見ないCORONER独自の音楽性が屹立。
Voの不在を埋めるようにGが歌いまくるネオクラ路線のインスト曲④、爆発を繰り返しながら終局へ向かって昇り詰めていく⑤、メロディック・ブラック・メタルを先取りしてしまったような⑧、ジミヘンの代表曲“紫の煙”をCORONER流にカヴァーしてみせた⑩…といった優れた楽曲の数々が並ぶ本編は、次作『NO MORE~』で頂点に達する(そして4th『MENTAL VORTEX』以降は逆に抑え気味になっていく)テクニック至上主義と、ユーロ・スラッシュならではのダークネスや攻撃性が、グッとくる適切なバランスで組み上げられています。安易に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も好印象ですよ。
スラッシュ・メタル愛好家にはまず本作をお薦めしたい次第。…というか、本作と次作がカップリング仕様のお得な日本盤を買うのが最良の道ですわな。
マイケル・アモットがCORONERの存在にインスパイアされたことを公言しているのは納得ですし、最近のバンドならVEKTORとかも彼らの存在抜きには語れませんよねと。


LICH KING - The Omniclasm ★★★ (2017-11-12 23:00:25)

米スラッシュ・メタル・シーンの中堅選手となったマサチューセッツ州の5人組が、前作から5年ぶりとなる’17年に発表したニュー・アルバム。
間にシングルやEPのリリースがちょくちょく挟まれていたので、然程待たされた気はしないとは言え、何故こんなにブランクが空いてしまったのか?その理由は…いや全然知らんので誰か教えて欲しいぐらいなのですが、もしかすると本作発表後間もなく、これまでバンドの創作面を一手に担ってきたオリジナル・メンバーである、トム・マーティン(Vo)が脱退してしまったことと何か関係あんのか?と。つかLICH KINGの明日はどっちだ。
とまれ、音楽性の方は何一つ変わっちゃいません。どこかファニーな雰囲気も撒き散らす③や、7分以上の長尺が(全く走ることなく)重厚に迫り出して来る70年代HR風味の⑧辺りは今回の新機軸と言えるかもしれませんが、ラフネス優先の音作りの下、間断なく刻まれるササクレたGリフ、突き動かされるように走り回るリズム、その上でひり出されるハイテンションなシャウトetc.と、基本的なサウンドは、ほぼほぼこれまでのスタイルを固守。全方位にちょっかい掛けていく姿勢も健在で、特に今回のヒットは“CROSSOVER SONGS ARE TOO DAMN SHORT”なるタイトルからして最高な⑥ですかね。(ちなみに彼らはD.R.I.の楽曲をカヴァーしているぐらいの彼らのファン)
本編の最初と最後をサンドイッチし、アグレッシブなだけでなく、そこはかとないドラマ性もその身に纏わせたLICH KINGシリーズ最新作②⑩や、切り裂くように突っ走る⑨等、信頼のブランドとしてスラッシュ愛好家の期待にきっちりと応えてくれる1枚。


LICH KING - The Omniclasm - Lich King VI: The Omniclasm ★★★ (2017-11-12 22:59:09)

ラストに鎮座まします、ファンにはお馴染みLICH KINGシリーズ最新曲。
6分越えの長尺が物語る通り、スラッシュ・ナンバーとしての
攻撃性や疾走感は十二分に保ちつつ、アルバムの締め括り役に相応しい
ツインGを有用してドラマ性とスケール感もさらりと漂わす
堂々たる名曲に仕上がっています。


LICH KING - The Omniclasm - Crossover Songs Are Too Damn Short ★★★ (2017-11-12 22:40:42)

“クロスオーバー・ソングはどれもクソ短い”の
タイトルに相応しく、1分ちょいのランニング・タイムを
畳み込むように突っ走るクロスオーバー・スラッシュ然とした
アグレッションを発散するスピード・ナンバー。
「クロスオーバー・ソングあるある」が綴られた歌詞も
最高なので、国内盤出して対訳付けて欲しい。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment - Breathe Grease ★★★ (2017-11-11 23:39:52)

のっけからアクセルベタ踏みで突っ走るOPナンバー
彼らが実践する「パーティ・スラッシュ」の何たるかを
余すところなく捉えたバカとアルコールが
ハイテンションで溢れ出すMVも最高です。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment - Under the Waste Command (instrumental) ★★★ (2017-11-11 23:35:27)

イントロとかアウトロの類ではなく、
きっちりと1曲の中に起承転結が仕込まれた
MUNICIPAL WASTEのHMサイドからの影響が
強く打ち出されたインスト・ナンバー。
IRON MAIDENばりにハモりまくるツインGが印象的。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment ★★★ (2017-11-11 23:28:00)

‘18年早々に単独での再来日公演が決まっているという、米バージニア州リッチモンド出身の5人組が'17年に発表した6thアルバム。
MUNICIPAL WASTEの作品に触れたのは、日本デビュー作となった3rd『狂気のスラッシュ・パーティー』(’07年)が最初でしたが、以来、彼らの音楽性はずーっと不変。切り返しの鋭いGリフ、名手デイヴ・ウィッテ(Ds)の俊敏なリズム・ワーク、切迫感に溢れたシャウトVo、ところどころで炸裂するユニゾン・プレイがサウンドのメタリックな感触を補強してくれるツインG、2~3分台とタイトにまとめられた楽曲が息継ぐ暇なく次々に畳み掛けて来る本編構成…。アルバムによってハードコア/パンク成分とHM成分の比率に多少の変動はあるものの、クロスオーバー・スラッシュ・メタルという基本スタイルからは微塵たりともブレることなく今日まで至っています。「この人たち、曲作りに関して悩んだことなんて全然なさそう」…と書くと何だかネガティブな意味っぽいので訂正。「こいつら、曲作りに迷いが一切ねえ!」
5年というブランク明けの今回は、どちらかと言えばハードコア/パンク成分に微増傾向が見受けられますが、のっけからフルスロットルでアクセルを踏み込む①、短いながらもイキのいいGソロが迸る③、印象的なツインGハーモニーが聴かれる⑩、そしてIRON MAIDENからの濃厚な影響が息衝くインスト・ナンバー⑬等、スラッシュ・メタル愛好家ならずとも思わず「おっ」と声を上げたくなる楽曲がきちんと要所を押さえてくれています。
来るべき彼らの来日公演に備えて聴きまくるのが、全く苦にならない充実作。


ALCOHOLATOR - Free Beer..... Surf's Up! - Sulfin' Beer ★★★ (2017-11-09 21:46:35)

雄叫び一発。小気味良く回転するGリフと豪快に突っ走るリズムに乗って
ライブじゃ会場が一体となって盛り上がるであろうキャッチーなコーラスが炸裂。
Gソロに、映画『パルプ・フィクション』のOP曲としても有名な
ディック・デイルの“MISIRLOU”を組み込む小技も効いて、
何となくSACRED REICHの“SULF NICARAGUA”リスペクト?
と思わせてくれる名曲です。


ALCOHOLATOR - Free Beer..... Surf's Up! ★★★ (2017-11-08 23:22:36)

アルコール万歳!が徹底されたバンド名・曲名・歌詞、そして「飲めや騒げや」感を前面に押し出した抜けの良いサウンドが、ドイツの酒豪軍団TANKARDを彷彿とさせる(でも出身地はイタリアのサルデーニャ島だという)5人組が'14年に発表した2ndアルバム。キレのある演奏、思わずメートルのアガるキャッチーなコーラス、喉越し爽快。飲み干したらすぐにまたお代わりを所望したくなる後味のスッキリさ加減といい、まさに美味いビールの如きスラッシュ・メタルが醸造された快作です。
クランチーなリフをザクザクと刻み倒す一方、2本のGが紡ぐ欧州のバンドらしい流麗なメロディや、クロスオーバー・スラッシュを思わす前のめりな楽器陣の演奏とが、ビシッと本編に緊張感の糸を通してくれているお陰で、陽性なノリに反して楽曲に緩さや能天気さは皆無。特にドッスンバッタン制御不能の暴れ馬ばりに跳ね回るドラムはこのバンドの大きな武器の一つ。その破壊力は「アルコール!」「レイザー!」コールに導かれ突進を開始するOPナンバー①から早くも全開ですが、中でもお薦めは名曲③。忙しなく動き回るキレッキレなGリフ&リズム、それにディック・デイルの“MISIRLOU”のメロディを引用したGソロを伴う怒涛の突進ぶりには、身の内で燃え盛るスラッシュ魂にガソリン注がれずにはいられませんて。
上記2曲に、ツインGハーモニーが印象的な②を加えた冒頭3曲の畳み掛けが強烈過ぎて、後半の流れにやや尻すぼみ感を覚えなくもなりませんが、それでも収録時間は全10曲で40分ぽっきりというタイトさ。ワッと盛り上げ、悪酔いしてグダグダになる前にさっさと撤収する、腕利き幹事に仕切って貰った飲み会が如き充実した内容を誇る1枚であります。


HAVOK - Conformicide - Masterplan ★★★ (2017-11-07 22:59:38)

インストの前半と爆発的疾走へ転じる後半の二部構成に、
テクニカル且つドラマティックな見せ場を盛り込んで
6分以上の長尺を飽きさせることなく聴かせ切った
アルバム後半のハイライト・ナンバー。


HAVOK - Conformicide - Hang 'em High ★★★ (2017-11-07 22:53:46)

このレベルの楽曲をアルバム毎に用意できるのであれば
HAVOKは今後も安泰だな!と思わせてくれる、
ゴリゴリ鳴りまくるBに引っ張られる形でタイトに
疾走するスラッシュ・ナンバーの逸品。
一緒に叫ばずにはいられないコーラスに血が滾ります。


HAVOK - Conformicide ★★★ (2017-11-06 23:13:44)

‘14年には来日公演も行っているコロラド州デンバーの4人組スラッシャーが、新たにCENTURY MEDIA RECORDSと契約を交わし4年ぶりに発表した4thアルバム。何故にそれほどブランクが空いたのかっつーと、リーダーのデヴィッド・サンチェスがハイキング中に左手首を骨折して9か月以上もギターに触れない時期を過ごしたためだとか。
構築感重視のTESTAMENT型だった1stと2nd、奔放なEXODUS型へとサウンドのマイナー・チェンジが図られた3rdと来て、骨折期間中に味わったフラストレーションもたんまり音の方に込められているという今作は、MEGADETHを思わす展開が多用された⑤を筆頭に、5~7分台と割と長尺めの曲を多数収録する等、まるで全編に亘って派手に鳴らしまくる新加入の腕利きBの存在に触発されたかの如く、テクニカル・メタル寄りのアプローチが目立つ。またVoと2本のGがメロディックに歌う正統派HM風の⑩あり、PANTERAのカヴァーに挑戦してみたりと、曲作りの幅もこれまで以上の広がりを提示しています。
果たして1曲目のグルーヴィなイントロを聴いた時はどうなることかと思いましたが、後に続く②は一緒に叫びたくコーラスを有した血沸き肉躍る名曲。以降も、薄暗い緊迫感を湛えて突っ走る③、緩急を効かせた⑥、切れ味鋭く突撃する⑧といった優れたスラッシュ・ナンバーが要所を締めてくれるお陰で、本編は終始高いテンションを保持。そもそも前述の①からしてイントロが終わった後は激走へと展開していく佳曲なわけで。
聴き終ってみたら「これはこれで非常に優れたスラッシュ・メタル・アルバムであった」と、結局前作を聴いた時と全く同じ結論に落ち着くのでありました。良いですよ、これ。


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... - In München Steht Ein Hofbräuhaus ★★★ (2017-11-05 22:14:20)

邦題は“ミュンヘンにあるのは宮廷ビール醸造所”。
DIOの“STAND UP AND SHOUT”のGリフを借用して
ハードコア/パンクばりに爆走したかと思えば、
ワルツのリズムでステップを踏んだり、
酔っ払い連中が声を合わせて大合唱を繰り広げたりと
酩酊状態を思わせる脈絡もとりとめもない曲展開が、実に楽しい1曲。


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... ★★ (2017-11-05 00:18:52)

SODOMの首領トム・エンジェルリッパーが'96年に発表した初めてのソロ・アルバム。
ドイツではポピュラーな酒飲みソング(日本で言うとバラクーダの“日本全国酒飲み音頭”みたいな?)のカヴァー集とでもいうべき内容で、全編を支配する酔っ払い独特の陽気なテンションの高さといい、全曲ドイツ語で歌われる歌詞といい、SODOM的要素は全く期待できそうにない…と思いきや、いやいや。なかなかどうして。
名手ヨルグ・マイケル(他にもアクセル・ルディ・ペルやピーヴィ・ワグナーがコーラスでゲスト参加)によるキレのあるリズム・ワークの上に、トムの特徴的な濁声シャウトが乗っかると、「SODOMがカヴァーするハードコア/パンク/ロックンロール・ソング」的趣きが濃密に漂い、これはこれで存外カッコイイのですよ。MOTORHEADばりの突撃ナンバー⑥や、スピード・メタリックなGリフに、酔っ払いらしい脈絡無用な曲展開がブッ込まれた⑪なんかはその筆頭。歌い継がれるポピュラー・ソングだけあって、陽気な歌メロは思わず一緒に歌いたくなるキャッチーさですし、各曲に振られたゴキゲンな邦題と会わせて、本作に充満する無暗矢鱈にアッパーな雰囲気を盛り上げることに大きく貢献しています。
本作を聴いていて思い出したのが、独スラッシュ・シーンの兵どもが一堂に会して、超有名なクリスマス・ソングの数々をウキウキでカヴァーしたX’MASS PROJECTのこと。歌ってる最中にシンガーが我慢できずに吹き出したりする、あの(良い意味で)テキトーなノリがツボにハマった方や、「ヘベレケなTANKARD」聞いて興味が沸く向きには、お試しいただく価値が大いにある1枚ではないかと。


OBSESSION - Scarred for Life - Tomorrow Hides No Lies ★★★ (2017-11-03 02:03:53)

アメリカのバンドとは思えぬ哀愁のメロディと泣きのGが
6分以上に及ぶ長尺の曲展開をドラマティック且つ
エモーショナルに盛り上げる、アルバムの締め括り役に
相応しい激情のバラード。
この頃からすでにマイクの歌の巧さは光っていますね。


OBSESSION - Scarred for Life - Bang 'em Till They Bleed ★★★ (2017-11-03 01:55:52)

疾走するリズムに乗って鋭角的に刻まれるGリフに、
キャッチーなサビを熱く歌い上げるマイク・ヴェセーラのシャウト、
そして劇的にハモりながら駆け抜けて行くツイン・リードGと
高濃度のHMエキスがギュギュっと濃縮された
アメリカン・へヴィ/パワー・メタル・ナンバーの逸品。


OBSESSION - Scarred for Life ★★★ (2017-11-01 23:56:32)

後にLOUDNESS~イングヴェイのバンドに参加。近年はANIMETAL USA他の活動で知られるマイク・ヴェセーラ(Vo)を輩出したコネチカット州ニューヘブン出身の5人組が、当時POISONやSTRYPERを擁しHR/HMシーンでブイブイ言わせてたENIGMA RECORDSと契約を交わし、'86年に発表した1stフル・アルバム。
OBSESSIONの最高傑作と評判の2nd『狂気の方程式』(’87年)と比較すると、プロダクションは貧相ですし、メンバーのパフォーマンスも楽曲も、まだまだ荒削り。しかしながら、神秘的なイントロを蹴破ってパワフルに突き進み始める「う~ん、メタル!」なOPナンバー①を皮切りに、「歌うマーシャル・アンプ」と評されたマイクのVoと、鋼色の光沢を放つ2本のGの絡みを前面に押し立てたパワー全開のサウンドは、IRON MAIDENやJUDAS PRIESTの薫陶を受けたと思しき混じりっ気なしの正統派へヴィ/パワー・メタル路線が力強く見据えられていて、ポップ・メタル全盛のこの時期にあっても売れ線になんぞ目もくれない、迷いのない立ち姿は「天晴」の一言に尽きますよ。何より本編全体が荒削りであるからこそ、アメリカのバンドらしからぬ暗さ/重さ/アグレッションが牙を剥くOBSESSION独自の個性が際立つという。特に、スピーディな曲調に劇的なツイン・リードGが絡む⑤、マイクの熱唱がドラマティックな曲展開を一層盛り上げる6分以上に及ぶラスト・ナンバー⑩は、彼らの個性がガッチリ刻印されたメタル者の胸を熱くする名曲です。
初期CHASTAIN、LETHERWOLFの2nd、デヴィッド・ウェイン時代のMETAL CHURCHを愛する向きには、聴かずに捨て置くのは言語道断な力作。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation - Tainted Past ★★★ (2017-10-31 23:16:36)

なんということでしょう。この名曲が得票数ゼロとは。
オリジナルデモからデイヴのGソロがフィーチュアされている上に、
楽曲自体も軽快なリズム・ワークといい、その上に乗る
仄かな哀愁を湛えたメロディといい、アルバム後半のハイライト役を担う
素晴らしいクオリティを誇っているのではないかと、個人的には思う次第。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation - Another Day ★★★ (2017-10-31 23:08:52)

叙情的に揺らめく前半から激熱なツイン・リードGを経て
劇的に盛り上がっていく曲展開と、己の死と直面した
デイヴの綴った歌詞とが組み合わさって、
悲壮なドラマ性をより一層盛り上げる、
アルバム前半のハイライトを飾る名バラード。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation ★★★ (2017-10-30 23:05:59)

'90年に入ってバンドのオリジナル・ギタリストだったデイヴ・プリチャードが白血病で死去。耐えがたい悲劇を前に「バンド解散も止む無し」といった諦めムードが支配的だったと聞くARMORED SAINTですが、昔からの友人であるMETAL BLADE RECORDS社長ブライアン・スラゲルを始めとする多くの人々のバックアップを受けて発奮。’91年にこの4thアルバムを発表しました。
ジョン・ブッシュの――好き嫌いは分かれるけど――特徴的な野太いVoと、フィル・サンドヴァル&ジェフ・ダンカンが織り成すツイン・リードGを基軸に展開されるサウンドは、これぞARMORED SAINT!という覇気に満ちた正統派HM。但し欧州由来の湿り気や疾走感、あるいは格調高いドラマ性といった要素は希薄で、それよりもへヴィでグルーヴィなノリが勝っている辺りはやはりアメリカン・パワー・メタル・バンドですなぁと。
個人的には、彼らの作品は好きな曲とそうでもない曲がハッキリと分かれるため、アルバム単位より楽曲単位で付き合うことが多いのですが(申し訳なし)、パワフルなOPナンバー①に始まり、死に直面したデイヴが綴った歌詞が涙を誘う劇的なエピック・チューン⑥⑦のメドレー、キレのあるパワー・ナンバー⑩、そしてデイヴが残したGソロがオリジナル・デモからフィーチュアされている⑫…と、テンション高い名曲が並ぶ本作は、ARMORED SAINTのカタログの中にあって1、2を争う充実した内容を誇っているのではないかと。
「デイヴ・プリチャードに捧げるに相応しいアルバムを作り上げたる!」という、メンバーの気迫の漲り具合に、聴いていて思わず背筋が伸びる思いの1枚ですよ。


LION - Dangerous Attraction - Shout It Out ★★★ (2017-10-29 23:13:36)

切り裂くように刻まれるGリフのカッコ良さにメタル魂が燃え上がります。
ライブではさぞかし盛り上がったであろうキャッチーなサビも熱い。
“NEVER SURRENDER”と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
こうしたハードな楽曲でアルバムを締め括る姿勢も「買い」ですよ。


LION - Dangerous Attraction - The Transformers (theme) ★★★ (2017-10-29 23:09:21)

劇場版アニメ「トランスフォーマー」主題歌。
勇ましく、キャッチーで良い曲ですよね。
'93年に再発された『DANGEROUS ATTRACTION』の
スペシャル・エディション盤にボーナス・トラックとして追加収録されていました。
LIONは映画主題歌や挿入歌をぼちぼち手掛けているのですが
メジャーでの大ヒットが見込めないB級アクション、ホラー、アニメと
ジャンルが見事に偏っていて(作品自体の出来はさておき)
マネージメントやレコード会社の援護の弱さが透けて見えてしんみりしてしまうという。


LION - Dangerous Attraction ★★★ (2017-10-29 00:43:03)

不幸の波状攻撃に翻弄されながらも立ち向かう、大映ドラマのヒロインばりに健気な姿(?)が日本のHR/HMファンの胸を打ったBIG IN JAPAN筆頭LION、'87年発表の1stフル。(国内盤は『宿命の砦』なる副題あり)
とは言え、彼らが判官びいきのみで人気を集めたわけじゃないことは、タレント揃いのメンバーと、彼らによってクリエイトされる高品質な楽曲の数々からも明らか。元TYTANの英国人シンガー、カル・スワン(Vo)の情念迸るディープ・ボイスを活かしたサウンドは、基本的にはWHITESNAKE辺りからの影響を伺わせるヒンヤリとした哀感を身に纏うブリティッシュHMなのですが、そこにメタリックなエッジの鋭さや、ライブでの大合唱を誘うキャッチーなコーラス・ワーク、そして若きギター・ヒーロー、ダグ・アルドリッジのフラッシーなGプレイといった、LAメタル仕込みの華やかなエッセンスが加わることで、英米混合バンドたるLIONならではの個性が眩い輝きを放ちます。
特にアップテンポのHMナンバー④は必殺の名曲。今は亡き日曜洋画劇場で繰り返し放送されていたB級アクション映画『処刑ライダー』劇中歌で、LIONの存在なんぞまるで知らなかった時分から「イカス曲だなぁ!」と痺れまくっていただけに、これが彼らの手による楽曲だったと知った時は感激もひとしおでしたよ。他にも重厚な②、バンドの代表曲のリメイク⑥、ブリティッシュ・ボイスが冴え渡る⑦、本編ラストをアグレッシブに締め括る⑨と、収録曲はどれも逸品ぞろい。いや、もしかすると今日びの若いリスナーには地味に響くやもしれませんが、そこで手放なすのはぐっと堪えて、もう数年熟成させた後で改めて聴き直してみると、芳醇な味わいに気付いてガツンとやられることも案外あるのではないかと。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Holding On ★★★ (2017-10-27 00:10:50)

初めて聴いた時はイングヴェイ時代を思い起こさせる
ドラマティックな泣きに満ち溢れたバラードだと思いましたが
言われてみると確かに初期TENっぽい叙情性も感じられますね。
ここでもGが実に良い仕事をしてくれています。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - I Want to Take You Higher ★★★ (2017-10-27 00:08:12)

しっとりとした楽曲だけでなく、
こうした黒っぽさ全開でアゲアゲに攻めて来る
ロック・チューンも歌いこなせるのがジェフの強み。
ファンキーなリズム感が冴え渡ります。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Heaven Knows ★★★ (2017-10-27 00:00:17)

「歌うめぇー」と聴き惚れているうちに
毎度楽曲がエンディングを迎えてしまっているという名バラード。
ジェフの歌の上手さは勿論のこと、コンポーザーとしても
その才能に脱帽です。↑の方が仰られる通り、Gソロも沁みます。


JEFF SCOTT SOTO - Prism ★★★ (2017-10-25 22:45:50)

これまで数多のバンド/プロジェクトをマイク片手に渡り歩き、様式美HMからメロハーまで「何でもこざれ」で歌いこなしてきた実力派シンガー、ジェフ・スコット・ソートが'02年に発表した、ソロ名義では8年ぶりとなる2ndアルバム。
本作で聴けるのは、まさにアルバム・タイトルを地で行く「プリズム」の如き煌めきを放つ、美しく抒情的なメロディアスHRサウンド。JOURNEYの名曲“SEND HER MY ANGEL”のカヴァーも含め、まるで喉を傷めてバンドを脱退したスティーヴ・オウジェリーの後任として、数年後にジェフ自身がJOURNEYに参加することとなるのを予感させるような作風と言うべきか。そんなわけで、OPナンバーらしい躍動感溢れるエネルギッシュな曲調に、テクニカルなGプレイが華を添える①にて幕が上がる本編は、バラード~ミディアム・テンポのナンバーを中心にじっくりと「歌」を聴かせに掛かる構成で、RISING FORCE時代のような様式美HM路線を期待する向きにうっちゃりをカマしてきます。
しかしその一方、感動的な盛り上がりっぷりが胸を打つ②、黒っぽさ全開で、グレン・ヒューズにも匹敵するんじゃなかろうか?というファンキー且つソウルフルなフィールが痛快な⑤、打って変わって哀愁ダダ漏れのドラマティックな(イングヴェイ時代を思い起こさせる)⑥等々、収録楽曲の曲調は結構多彩。その上、それらを歌い上げるジェフの熱くエモーショナルな歌唱がサウンドに陰影とダイナミズムを付与してくれているため、右から左へまったりと流れて行ってしまうような緩さは皆無という。
ソングライターとしてもジェフ・スコット・ソートの才能が存分に発揮された1枚ですね。


Fatal Attraction - End of Regulation Time - Message from the Past ★★★ (2017-10-25 01:49:37)

ハーモニーが立体的に舞い、
曲展開は華麗にしてドラマティック、
尚且つメロディは北欧メタルらしい冷ややか哀感を宿しているという
まさに北欧版NEW ENGLANDと評したくなる名曲であります。
後に続く“THE CURSE OF Mr. FUTURE”と“GOOD TIMES, BAD TIMES”の
2曲と併せて一つの組曲としてお楽しみください。


Fatal Attraction - End of Regulation Time ★★★ (2017-10-25 00:42:07)

バンドについては殆ど何も知らんのですが(他グループで活動していたりするメンバーがいるわけでもなし)。中古盤屋で安く売り出されているのを見つけたのと、《北欧より届いた夢幻の調べ――》なるこっちの食指をそそる帯惹句、あと国内盤の解説を平野和祥氏が書いてることに興味を惹かれて、「まぁ酷い作品ってことはないだろう」と試しに購入してみたらこれが大当たりだった…というスウェーデンの5人組が'96年に発表した1stアルバム。
基本的な音楽性は、北欧産らしい透明感と哀感を宿したハードポップ。そこにプログレ・タッチのKeyワークやドラマティックな曲展開等の凝ったアレンジの数々、更にはほぼ全編に亘りフィーチュアされているストリングス(本物)が加わることで、クラシカルな気品も漂わす、このバンド独自のサウンドの醸成に成功しています。OPナンバー①を初めて聴いた時に思い浮かんだのは「北欧版NEW ENGLAND」という例えでしたね。
インスト・パートの充実っぷりに比べると(北欧メタルらしく)シンガーの歌唱力がやや弱く、そこが引っ掛かるという人もいらっしゃるかもしれませんが、プレーンであるがゆえにボーカル・ハーモニーによく馴染み、楽曲に備わった繊細さやリリカルな美しさを引き立たせるこのVoは、個人的には結構「有り」。特に、劇的な曲展開に乗せて冷ややかなメロディとハーモニーが華麗に舞う④に始まり、曲間を設けずに⑤⑥と組曲形式に綴られていく壮大な流れは、間違いなく本編のクライマックス。
どうやらアルバムをもう1枚残しているようなので(そちらは日本未発売)、機会があればそっちもチェックしてみたいと思わされる完成度を有した1枚です。


Fatal Attraction (2017-10-25 00:38:07)

DEEP PURPLEからBEATLES、更にはEAGLES等のAOR/産業ロックまで、幅広いジャンルを愛するメンバー達の「破滅的な出会い」(FATAL ATTRACTION)により80年代末期にスウェーデンはストックホルムにて結成された、Key奏者を含む5人組。
幾つかのコンピレーションCDに参加した後、’96年に1st『END OF REGULATION TIME』でデビュー。同作はSOUND TREASUREを通じて日本盤もリリースされた。
'03年には2nd『SIMPLICITY RULES』を発表するも、’04年にバンドは解散してしまった模様。


DA VINCI - Ambition Rocks - Touch of Humanity ★★★ (2017-10-23 23:30:05)

首都高ドライブの時に流したくなるというか、
夜10時台の報道番組のテーマ曲にでも採用したらハマリそうというか。
ネオンに照らされながら都会の夜を疾走していく風景を
幻視せずにはいられない、アーバンで洗練された雰囲気漂うロック・チューン。


DA VINCI - Ambition Rocks - Angel ★★★ (2017-10-23 23:21:23)

ド直球のタイトルに相応しく、
スウィートでロマンティックなバラード。
しっとり聴かせにかかるGソロもいいのですが、
それ以上に流麗に奏でられるピアノが
実に良いアクセントになってくれています。


DA VINCI - Ambition Rocks - I've Come All This Way ★★★ (2017-10-23 23:17:06)

仄かな哀愁を帯びつつ、
軽快に弾む曲調は爽やかでキャッチー。
且つロック・チューンとしての高揚感もばっちりという、
帰還の挨拶でもある歌詞を含め、
まさに先行シングルに打ってつけの名曲。


DA VINCI - Ambition Rocks ★★★ (2017-10-23 23:04:18)

80年代に残した2枚のアルバムが、後にゼロ・コーポレーションを通じて日本でもリリースされ、メロディ愛好家達の間で評判を呼んだノルウェーのDA VINCIが再結成。のみならず凡そ30年ぶりとなる3rdアルバムまで発表してくれましたよ。
しかも音楽性の方も、前2作の美点をしっかりと受け継いだ北欧ハードポップを実践。哀愁を含んだキャッチーなメロディを、キラキラなKeyと分厚いボーカル・ハーモニー、それにこの手の音にぴったりフィットする、クセのない声質の持ち主である新Voのプレーンな歌唱とで包んだサウンドは、ジャンル愛好家の顔を綻ばせること請け合い。イントロ序曲①の後を受けて②が爽やかに始まった時には、こちとら「変わってねぇなぁ。最高か!」と、思わず膝を打ってしまったという。
正直なところHR/HMで括るには少々ポップ過ぎる作品ではありますが、オリジナル・メンバーとして踏ん張るグナール・ヴェストリー(G)とダグ・セルボスカー(Key)が、要所で耳を惹くセンスフルな演奏を閃かせ、楽曲内に思わずハッとさせられるフックを構築してくれています。特に、バンドの帰還を高らかに宣言する高揚感に満ちた④、流麗なタッチで奏でられるピアノが曲調のロマンティシズムに拍車を掛けるバラード⑦、キャッチーに躍動する⑥⑩、夜の首都高ドライブのBGMにしたらハマリそうなアーバン且つお洒落な雰囲気漂わす⑫等の楽曲は、変わらぬDA VINCI節が集約された逸品と言えるのではないでしょうか?
これ切りで終わらせず、今後の活動継続に期待を寄せたくなる1枚。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Man Enough ★★★ (2017-10-22 11:11:51)

80年代ど真ん中っぷりにほっこりさせられるパワー・バラード。
ロック・ソングを歌うと声質的にややパンチ不足に感じられるVoですが
この手のメロウな楽曲を謳わせると絶品。更に少ない音数で
聴き手を確実に泣かせに来るGソロにもグッとくる名曲です。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Hard Reaction ★★★ (2017-10-22 11:04:39)

全体的にポップな方向に振られた2ndアルバムの中にあって
爽やかに駆け抜けて行くハード・チューン…といっても
飽くまでメロディに重きを置いたポップ・メタル・ソングには
違いありませんが。清涼感溢れるサビメロがキャッチー。


HAYWIRE - Don't Just Stand There ★★★ (2017-10-22 01:01:47)

『赤毛のアン』の舞台として知られるカナダのプリンス・エドワード島シャーロット・タウン出身で、80年代には本国を中心に人気を博した5人組、'87年発表の2ndアルバム。
自分が持っているのはアルファから発売された国内盤なのですが(邦題は『ダンス・デザイアー』)、ここにボーナス・トラックとして収録されている、シングル・カットもされた⑪がヤマハ主催の「世界歌謡祭」にて金賞を受賞した…とのエピソードからも、当時レコード会社が彼らを売り出すために相当プッシュしていたことがお分かり頂けるのではないかと。
内容については、Key奏者が曲作りの中心的役割を担っているだけあって、まずKeyやシンセサイザー類がサウンドの基盤を作り、そこに適宜に歌うG/軽快に踊るリズム・ワーク/甘いハイトーンVoが絡んで来るという塩梅のメロディアスHR路線。ゴリゴリのメタル野郎には、初めて聴いた時はKeyが少々煩かったり、シンガーの歌唱力がパンチ不足に感じられたものですが、例えばノリ重視で大味に流れてしまいそうな楽曲であっても、常にメロディが仄かな哀愁を湛えている辺りはやっぱりカナダのバンドだなぁと。またGが泣きまくる⑤や、“時は流れても”なる邦題を冠された⑩といったバラードにおける魂の篭ったVoの熱唱を耳にすれば、その実力に疑念を挟む余地なんてありませんわな。大陸的ハードネスと、欧州風味のメロウネスがうまい具合に同居した⑥なんてアルバムのハイライト・ナンバーじゃないでしょうか?
デビュー作『BAD BOYS』(’86年)に続きプラチナムを獲得、HAYWIRE作品で最もチャート・アクションが良好だったという代表作。入門盤としてどうぞ。


HAYWIRE (2017-10-22 01:00:58)

カナダ出身の5人組で、ポール・マッカースランド(Vo)とマーヴィン・パート(G)が音頭を取って’81年に結成。バンド・コンテストへの参加や、EP『HAYWIRE』の自主制作等で腕を磨いた後、'86年に『BAD BOYS』でデビューを飾る。ここからは表題曲がヒット(最高第21位)、アルバム・セールスも最終的にプラチナムに到達している。ポップ・メタル色を強めた翌年発表の2nd『DON’T JUST STAND THERE』は更なる好セールスを記録し、特にシングル・カットされた“DANCE DESIRE”はカナダ国内においてTOP10チャートに食い込む大ヒットとなっただけでなく、日本でもヤマハ主催の世界歌謡祭(80年代末まで毎年日本武道館で開催)にエントリーされ金賞を受賞したという。
カナダ国内において確固たる支持基盤を築きつつも、音楽シーンの潮流の変化によりレコード会社から満足のいくサポートが得られなくなり、90年代に入って活動を停止。
00年代に入ってバンドは復活を遂げ、ニュー・アルバムのリリースもアナウンスされているが、まだ発表には至っていない模様。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Hard Luck Town ★★ (2017-10-19 23:13:54)

OPナンバーらしい快活なノリの良さを漂わせつつ
聴き進めるとブリッジを過ぎた辺りから
哀愁が滲み出して来るという、
バンドの個性が分かり易く表れた1曲。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Driftin' Back ★★★ (2017-10-19 23:05:35)

哀愁に満ちた曲調と、ピアノの調べが
そこはとなくノスタルジックな感傷を刺激する抒情ナンバー。
Voは丁寧に歌い上げるタイプではありませんが、
全力投球な歌いっぷりが案外マッチしているのではないかと。


KILLER DWARFS - Method to the Madness ★★ (2017-10-19 22:58:12)

メンバー全員が「ドワーフ」姓を名乗っていたことでも注目を集めた、カナダはトロント出身の4人組が’92年に発表した5thアルバム。ちなみに彼らのカタログは数年前までは(例え帯付でも)中古盤が安値で入手可能でしたが、先日過去作もチェックしようと思い立って調べてみたら、いつの間にか価格が高騰していて「一体何があったんだよ?」と。
そんなわけで、KILLER DWARFSのアルバムはコレしか所持していないため、以前の作品と聴き比べてどうこう言うことは出来ないのですが、とりあえず本作に託されているのはギミックに頼らないストレートなHR。Voがシャウト主体のラフな歌唱スタイルなこともあり、ロックンロール寄りの感触が無きにしも非ずという。これといったキメ曲に乏しい本編を初めて耳にした時は、失礼ながら「地味だ」とか思ったものですが、正統派のHRとしては無駄な力みがなく自然体。ロックンロールとしては埃っぽさや能天気なノリが控えめで、メロディからは透明感すら感じられるという、実にカナダのバンドらしいサウンドは、聴けば聴くほどにその旨みが浸透してきます。特にピアノの旋律がノスタルジックな哀愁を増幅させる抒情ナンバー③や、逆にハードに駆け抜ける疾走ナンバー⑫等はなかなかの出来栄え。また前作収録のアコギ・バラード⑬が再び収録されているのは、ゴッドの解説によれば、ラジオを中心にヒットの兆しがあったにも関わらずレコード会社の無策が原因で折角の機会を潰されてしまったことに対する彼らなりのリベンジの模様。
バンドは本作発表後間もなく解散。しかし'01年には再結成を果たし、その際にはお蔵入りしていた6th『STAR@ONE』もリリースされています。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - The Reprise ★★★ (2017-10-18 23:29:15)

アルバムの最後に置かれた13分以上に及ぶ大作ナンバー。
マイク・レノのソウル全開な歌いっぷりを筆頭に
長さをまるで感じさせないが、といってもプログレ・テイストや
様式美メタル的な起承転結は仕込まれていない。
リハーサルなしの一発勝負でレコーディングされていて、メンバー曰く
「自然に溢れ出た、直接的な、瞬間的な、感情の表現であり、
この曲は全くのライブであり、編集されていない」とのこと。
だとしたら、大したもんだなぁ!と。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - For Those in Favour ★★ (2017-10-18 23:20:29)

気持ち良さげに吹き鳴らされるハーモニカと
軽快に踊るピアノ、歯切れ良く刻まれるGとリズムに
思わず体が動き出すロック・チューン。
ノリノリの曲調ながら、どこかさらっと都会的で
クールな雰囲気を湛えている辺りがこのバンドらしさか。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - Carpe Diem ★★★ (2017-10-18 23:13:40)

亡き友人に捧げられた歌詞に相応しく、
ポロポロと物悲し気に零れ落ちるピアノの旋律、
悲哀を湛えて重厚に盛り上がっていく曲展開、
そして楽曲に込められたエモーションを余すところなく
表現しきるマイク・レノの歌唱が感動を呼ぶ名曲。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE ★★★ (2017-10-18 22:57:47)

LOVERBOYのシンガーで、HEARTのアン・ウィルソンとデュエットした名曲“パラダイス~愛のテーマ”が日本でも大ヒットしたマイク・レノ。その彼が結成したバンド(プロジェクト?)の’94年発表の唯一作。我らがゼロ・コーポレーションから日本盤もリリースされましたが、世はグランジ/オルタナ旋風吹き荒れる90年代真っ只中。歌心に溢れたG(JOURNEYのニール・ショーンも参加)や瀟洒なKeyをフィーチュアする、しっとり胸に沁み入るメロディック・ロック作品なんてのは全然お呼びじゃなく、ほぼ話題に上ることもないままフェードアウト。斯くいう自分も当時は発売されていたことにすら気付かず、後年、ROCK CANDYからのCD再発を機に漸く興味を持ったという後追いっぷりですよ。
1曲目からいきなりバラードがカマされる構成が物語る通り、スロー~ミディアム・テンポの楽曲を中心に取り揃えられたポップな本編は、多分にAOR/産業ロック寄り。しかし(カナダのバンドらしい)陰に籠らない哀愁と、フックが連続するメロディに彩られたサウンドを前にすりゃそんな些事はどーでもよくなるという。聴き進めれば、歯切れ良くロックする⑩のようなハード・ナンバーがきっちりアルバムにメリハリをつけてくれますしね。
何よりそれらを情感豊かに歌い上げるマイク・レノのVoが感動的。波間を夢心地でたゆたうような③、物悲しい曲調にエモーションを掻き立てられる⑤、10分以上の長尺をアドリブ全開で乗り切るグレン・ヒューズ級にソウルフルな⑪等、その歌唱力と来たら十万石まんじゅうばりに「うまい、うま過ぎる」と風が語り掛けるレベル(埼玉県民ローカルネタ)。
これ聴いたら、バンドがアルバム1枚で終わってしまったことが残念で仕方ないですよ。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel - Home Sweet Heaven ★★★ (2017-10-18 00:12:40)

個人的には3rdアルバムで一押しの疾走ナンバー。
緊張感を湛えたヴァースから、
ポップでメロディアスなサビメロへの転調が印象的且つ効果的。
テクとセンスが迸るGソロも実に良い感じですよ。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel ★★ (2017-10-18 00:02:24)

ロブ・ロックがゲストで歌っていた1st『ANGELICA』(’89年)や、ドラム・マシーンを使用していた2nd『WALKIN’ IN FAITH』(’90年)の頃は、バンドとしての実体もライブ経験もない、デニス・キャメロン(G)とロバート・バレン(B)のプロジェクト状態だったカナダ出身のANGELICAが、漸く正式メンバーを揃えて日本デビューを飾った’91年発表の3rdアルバム。ちなみにバンド名、所属レーベル(INTENSE)、人脈、演ってる音楽性からもお察しの通りのクリスチャン・メタル・バンド。国内盤の解説でそのことに触れられていないのは、余計な色(先入観)が付くのを避けるための配慮でしょうかね。
のっけの①から存在を主張してくるBといい、“熊蜂の飛行”のカヴァー⑧を始め、全編に亘ってメロディック且つキレのある演奏を炸裂させまくりのGといい、ほんのりテクニック志向を伺わせつつも、基本的な音楽性は柔和な美旋律と分厚いハーモニー重視の、いかにもクリスチャン・メタル/カナディアンHRバンドらしいポップなメロハー・サウンド。
Voの線の細さと相俟って、全体的にメロディにパンチが効いていないというか、例えば同ジャンルの先輩バンド勢に比べると、サビメロの踏み込みの浅さが楽曲の印象を弱めてしまっている感が無きにしも非ずなのですが、この大らかにふわ~っと流れていく感じが大陸産ロックの魅力の一端と言えなくもない…かもしれません。取り敢えず、そよ風の如く吹き抜けていく爽やかな②、軽快にしてキャッチーな疾走ナンバー④辺りには、メロディ愛好家のツボを突いて来るフックが備っていて大好きな楽曲であります。
クリスチャン・メタル好きなら聴いて損のないクオリティは備わっている1枚かと。


HOLY TERROR - Terror and Submission ★★★ (2017-10-17 00:10:06)

元AGENT STEELのギタリスト、カート・キルフェルトにより結成されたスピード/スラッシュ・メタル・バンド(なおバンド名は「ホーリー・テラー」ではなく「ホリー・テラー」表記)が、彼らの評判を聞きつけ接触を図って来たイギリスのMUSIC FOR NATIONSと契約を結び、'86年にカート自身がプロデュースも手掛け発表したデビュー作。
スラッシーなアグレッションは保持しつつ、より整合性に磨きが掛かった2nd『MIND WARS』(’88年)に比べると、本作はプロダクションも曲構成もまだまだラフで荒削り。ですがそれすらも武器へと転化して、立ち塞がる全てを勢いのみでぶっちぎらんとする前のめりな攻めの姿勢は大いに「買い」でして、音痴でリズム感にも欠けるキース・ディーンの歌唱に眉を顰める向きもありましょうが、破れかぶれな迫力に満ちたこのVoが、バンドの重要な個性の一つであることはHOLY TERRORファンの多くが認めるところではないでしょうか。
怒涛の如く荒れ狂う2本のGの破壊力も存分に発揮されており、手数多く鋭角的に刻まれるリフ、前へ前へ高圧的に押し出してくるリズム隊、そして高みへ向かってグイグイ昇り詰めていくツイン・リードGとが一体となり、土砂崩ればりに押し寄せる楽曲の数々はハイテンションなカッコ良さ。(この時点ではまだ⑥みたいなパワー・メタル的楽曲もあったり)
初期衝動剥き出しのアグレッションが迸る本作の方が、次作よりも好きだというスラッシャーが多数いるのも納得の1枚。ちなみに国内盤は未発売だとばかり思ってましたが、実際は'93年にポニーキャニオン傘下のALL FIRED UP!から国内盤がリリースされていて、先日そちらを適正価格にて遂にゲット。嬉しさ余ってつい感想を投稿してしまった次第であります。


AGNOSTIC FRONT - Cause for Alarm - The Eliminator ★★★ (2017-10-15 23:56:10)

痙攣気味にぶっ飛ばすビートに乗って
乾いた音色で鋭利に刻まれるGリフは
スラッシュ・メタル以外の何者でもありません。
Voの線の細さがハードコア/パンクっぽくはありますが、
タイトな曲構成の中にもしっかりとGソロが迸っていて、
文句なしにカッコイイ名曲です。