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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1801-1900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1801-1900

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LITA FORD - Lita ★★★ (2017-07-18 23:28:45)

元RUNAWAYSのセクシー・ダイナマイツ、またNITROマニアからは「ジム・ジレットの嫁」('11年に離婚)として知られるリタ・フォードが’88年に発表した3枚目のソロ・アルバム。PHANTOM BLUEの1stや、LIV MOONの3rd(初回限定盤)同様、「ジャケットのオッパイに釣られて買ってしまった。だが後悔はしていない」作品の一つでもあります。
自らの名を表題に冠していることからも、彼女が本作に賭ける意気込みの程が伝わって来ますが、更に今回からマネージメントをシャロン・オズボーンが担当。加えて、ゴージャスな疾走ナンバー②にはMOTORHEADのレミーが、どことなくFREEの“WISHING WELL”を思わす⑤にはMOTLEY CRUEのニッキー・シックスが、そして“永遠の眠り”なる邦題付き劇的なバラード⑨には、オジー・オズボーンの名前がそれぞれ共作者としてクレジット。かような「水も漏らさぬ」バックアップ体制が功を奏したのか、本作からシングル・カットされたオジーとのデュエット・バラード⑨がシングル・チャート最高第8位にランクイン、アルバム自体も第26位に食い込むヒット作として立派な成績を収める結果に。
それでいて、本作がゲストの知名度におんぶに抱っこな代物なのかと言えば、さに非ず。OPナンバー①でのっけからGを渋く歌わせたかと思えば、エロティックな③では大人の色気を振り撒き、逆にハジけるパワー・ポップ・チューン④では溌剌とした歌唱を披露…といった具合に、これまでに比べ格段にキャッチーなメロディが増量/洗練された本編中において、リタ姐さんは歌にギターに、その才を存分に振るって生き生きと躍動しまくっています。
彼女の名前は知ってても聴いたことはない方は、本作辺りから入ってみるのが宜しいかと。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Return of the Passover ★★★ (2017-07-17 22:43:04)

チリチリと不吉なイントロが
幾ばくかのオカルト臭を醸し出すものの、
湿ったメロディを豊かに紡ぐGに主導される形で
長尺をドラマティックに紡いでいく楽曲自体は
正統派のブリティッシュHMの伝統美に満ち溢れていますよ。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Laying Down the Law ★★★ (2017-07-17 22:33:20)

ギミックは排して、シンプルなGリフで押して行く
メタリックな曲調は、『STAND UP AND FIGHT』を
発表した頃のQUARTZに通じるものあり。
NWOBHMらしさを前面に出した、こういう楽曲も
また味わい深くてカッコイイ。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Gates of Gehenna ★★★ (2017-07-17 22:28:48)

デビューEP『THE OPENING RITUAL』のOPナンバーでもあった楽曲。
1stアルバム・バージョンでは、重厚なインスト曲“MARCH OF DAMMED”から
繋がっていくドラマティックな構成が用意されています。
Voの歌唱法といい、G主導で導かれる少々プログレ掛かった劇的な曲展開といい、
『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTからの影響が濃厚に息衝く逸品。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Cloven Hoof ★★★ (2017-07-17 22:23:01)

OPナンバー兼バンドのテーマ・ソングに相応しく、
静と動を行きつ戻りつする大仰な曲展開といい、
歌ったりガナったり語ったりと忙しいVo、
湿度の高いメロディを奏でるG、
「エコエコアザラク エコエコザメラク」と
オカルト風味全開の歌詞世界etc.と
CLOVEN HOOFというバンドの何たるかが
ギュッと凝縮された名曲です。


MASS - Take You Home - Over You ★★★ (2017-07-12 23:45:48)

メタリックなGリフ、適度な疾走感、哀愁を帯びたメロディ、
キャッチーなコーラスetc.と、MASS屈指の…いやさ、ここは思い切って
クリスチャン・メタル屈指の名曲の一つと言ってしまいたいところ。
まぁイントロだけ聴くと“SOLDIER UNDER COMMAND”でも
始まりそうな感じではあるのですが。


MASS - Take You Home ★★★ (2017-07-11 23:42:03)

ボストンのクリスチャン・メタル・バンド、MASSが翌年発表する2ndフル・アルバムに先駆けて’87年にリリースした6曲入りEP。
その昔。ラジオで耳にしたのか、お店で流れていたのを聴いたのか忘れてしまいましたが、ともかく名曲“OVER YOU”のあまりのカッコ良さにK.O.され、こりゃ是が非でも収録作品をゲットせねば!と探し回ってようやっと購入。しかも実際に本作を聴いてみたら、キレのあるスピード・ナンバー③や、抒情メロディと劇的な構築美を備えた⑥(あと再発盤にボートラとして追加収録されている⑦もドラマティックで素晴らしい)等、それ以外の収録曲も捨て曲なしの名作だったというね。
次作『VOICES IN THE NIGHT』(’88年)ではマイケル・スウィートをプロデューサーに迎え、音作りやキャッチーなコーラス・ワークがより洗練されたことで、更にSTRYPER色が強化されることとなりますが、この頃のサウンドから受ける印象はセルフ・プロデュースによるラフな音質とも相俟って、未だ「アグレッシブな正統派HM」といった趣き(何せ1曲目からタイトルは“PEDAL TO THE METAL”ですからね)。その集大成と言うべきが、イントロの――ちょっとSTRYPERの名曲“SOLDIER UNDER COMMAND”を彷彿とさせる――勇壮なGメロディだけでメタル魂に着火されてしまう、クリスチャン・メタル史に残る(と勝手認定)逸品“OVER YOU”だったのかなと。
ボリュームはタイトながら内容は濃厚。実はMASSの作品の中で最も手が伸びる率の多い1枚だったりします。


BARREN CROSS - Hotter Than Hell! Live ★★★ (2017-07-10 23:53:09)

クリスチャン・メタルと言えば、ロブ・ハルフォードになりきったシンガーの歌声が話題を呼んだSAINTというJUDAS PRIESTタイプのバンドが居ましたが、同じジャンルに属する仲間でも、このBARREN CROSSはブルース・ディッキンソン似の歌唱スタイルのシンガーを擁し、IRON MAIDEN型の正統派HMを聴かせてくれるLAの4人組。
本作はそんな彼らが'90年にMEDUSA RECORDSから発表した実況録音盤で、3rd『STATE OF CONTROL』(’89年)発表に伴う全米ツアーの中から、地元でのライブの模様を収録。序盤から出し惜しみせずに名曲“DYING DAY”を繰り出してこっちのテンションを一気に引き上げてくれるセットリストは、ヒットを飛ばした2nd『ATOMIC ARENA』(’87年)収録曲を中心に過去3枚のスタジオ・アルバムから選曲されていて、ある意味80年代のBARREN CROSSの足跡を総括するベスト盤としての役割も果たしているという。
エネルギッシュに歌いまくるハイトーンVoをフィーチュアし、パワフルな正統派HMナンバーが矢継ぎ早に繰り出される構成から、その合間に組み込まれたソロ・パートにて達者な腕前を披露する楽器隊まで、ライブならではの熱気と勢い、それに堅実なテクニックを併せ持った、バンドの実力の高さが伝わる好ライブ盤。観客も大いに盛り上がっているのですが、シンガーのMCが「イエー!ノッてるかーい?!」みたいな感じじゃなく、生真面目に観客に感謝を捧げていたりして、そんなところがクリスチャン・メタルっぽいなぁと。
本作は1st『ROCK FOR THE KING』と一緒に国内盤が出ていて、レア・アイテム化著しい『ROCK~』に比べると入手は比較的容易ですので、ベスト盤代わりにいかがでしょうか。


BARREN CROSS - Atomic Arena - Cultic Regimes ★★★ (2017-07-09 23:10:49)

キ印の笑い声をイントロ代わりにスタート。
3分弱のランニング・タイムをパワフルに飛ばしまくる
パワー・メタリックなスピード・ナンバー。
これだけ聴いて彼らが「クリスチャン・メタル」だと分かる人は
あまりいないのではないでしょうか。


BARREN CROSS - Atomic Arena ★★★ (2017-07-08 08:03:05)

LAを拠点に活動していた4人組がENIGMA RECORDSからリリースすると、これが全米FMネットワークのラジオ番組で絶賛。CMJのHMチャート20位圏内にもランクインする話題作となった、BARREN CROSSの代表作でもある’87年発表の2ndアルバム。
プロデュース担当がディノとジョンのエレファンテ兄弟であることからも分かるように、彼らもまたクリスチャン・メタル・バンド。ストレートなキリスト賛歌ではなく、麻薬、テロ、自殺etc.といった社会問題を、怒りを込めて取り上げる硬派な歌詞世界は余りそれ系っぽくありませんが、伝聞によればメンバーの中には実際に教会で教えを説いたり、カウンセリングの奉仕をしている者もいたという、クリスチャンとしての経歴は結構な本格派。
但し音の方は、分厚いハーモニーと美旋律に彩られた教科書通りのSTRYPER路線ではなく、もっとハード寄り。ハイトーンVo、切れ味鋭いG、アタッキーに主張しまくるリズム隊がタイトに突き進む正統派HMサウンドは、寧ろIRON MAIDENを始めとする欧州勢からの影響が色濃く感じられる塩梅。②を聴けばお察しの通りシンガーのお手本は間違いなくブルース・ディッキンソンで、彼の力強い歌唱とパワフルな楽器隊が一丸となってACCEPTばりに猛進する⑦等は、いっそパワー・メタルと評したくなる迫力を有する。
全体的に肩に力が入り過ぎというか、もっとキャッチーな部分が出せれば更に良くなるのに…とか思いつつも、80年代のLAのバンドらしくパワー・バラード⑧を収録したり、さりげなく各所でKeyを効かせ収録曲に親しみ易さを付与したりと、バンドの達者な曲作りの手腕を前にすれば顔がほころびます。BARREN CROSS入門盤に如何でしょうか。


GUARDIAN - First Watch - Rock in Victory ★★★ (2017-07-07 00:08:56)

メタリックに切り込むG、ハード・ロッキンな疾走感、
哀愁を帯びたメロディを伸びやかに歌うVoと
キャッチーなコーラスを分厚く彩るハーモニー…と、
クリスチャン・メタルの魅力が「これでもか!」と詰め込まれた
GUARDIAN屈指の名曲。
これ聴いてピンと来なかったらGUARDIANを聴く必要はないのではないかと。


GUARDIAN - First Watch ★★★ (2017-07-06 00:27:16)

「STRYPERの弟分」(お前もか)として注目を集めたLA出身の4人組が、’89年にENIGMA RECORDSから発表した1st。ちなみにバンド名や、「ジーザス・パワー」というお馴染みのフレーズが飛び出す歌詞等からもお察しの通りのクリスチャン・メタル・バンドです。
レーベルから本作のプロデュースを依頼されたSTRYPERのオズ・フォックスが、試しにメンバーと面会してみたところすっかり意気投合。逆にオズの方がGUARDIANのギタリスト、トニー・パラシオスのギター教室の生徒になってしまった…なんて国内盤解説で語られるエピソードが伝えてくれるように、バンドの実力の高さは折紙付き。そんな彼らが奏でるのはジャンル愛好家が手を叩いて喜びそうな哀愁と美旋律、それに分厚いコーラス・ハーモニーを満載にした、STRYPER直系の優等生ライクなクリスチャン・メタル・サウンド。
流石にSTRYPERと比べると収録曲はやや小粒な仕上がりかと。華やかさも然程でもありませんが、それでもVoが伸びやかに歌い上げるドラマティックなパワー・バラード④から、高揚感を湛えて駆け抜ける⑤やアルバム随一のハード・ナンバー⑥といった楽曲に至るまで、ハードネスとメロウネスのバランスを上手く取った本編は高品質。中でも、キャッチーなコーラスが哀切な響きも湛えて疾走する⑩は、個人的に「クリスチャン・メタル」と聞くと思い出す名曲の一つです。フラッシーなGプレイが映えるシャープなメロディック・メタル・チューン⑫もグッとくるカッコ良さですよ。
正統派HMを愛する向きには、とりあえず⑩⑫辺り目当てでも構わないのでチェックをお薦めする1枚であります。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Kill to Survive ★★★ (2017-07-05 00:06:17)

歌詞が過激過ぎてアメリカ盤では収録が許されなかったという
(その後、EPとして別リリース)スピード・ナンバー。
2ndの国内盤で対訳を読むことも出来ますが、
別にそれほど凄いことを歌っているわけでもないような…
ともあれ、ギザギザのGリフとダーティなシャウトVoを伴って
3分弱を一気呵成に突っ走る様は痛快でカッコ良い。
この名曲が中盤で睨みを効かせているのといないのとでは、
1stアルバムのトータルの印象も結構変わるのではないでしょうか?


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Beginning of the End ★★★ (2017-07-04 23:57:15)

昔聴いた時は
「スラッシュ・アルバムのOPナンバーとしてはインパクトに欠ける!」
と全く良い印象がなかったのですが、こうして時を経て聴き直すと
NWOBHMから影響も露わな鋭角的なGリフと
煮え切らないメロディを携えて突き進むパワー・メタリックな曲調が
十分カッコイイことに気付かされた次第。


MELIAH RAGE - Kill to Survive ★★★ (2017-07-04 00:37:36)

ボストン出身の5人組が、’89年にEPIC RECORDSから発表した1stアルバム。スラッシャーにも関わらずいきなりメジャー・デビューを飾り、しかも10万枚以上のセールスを上げる成功を収めてしまう辺りが、メタル・バブル爛熟期らしい景気の良さだなぁと。
「危険過ぎて歌詞不掲載」「アルバム表題曲はヤバ過ぎてUS盤からカット」云々と、国内盤解説からもたらされる情報の数々に煽られまくり、「どんだけ過激な音を出してる連中なんだよ!」と事前の期待値はガン上がりでしたが、どっこい。実際にここで聴かれるのは、クリーンな音作りの下、Voが適度に歌い、ツインGは整然とハーモニーを奏でる、スラッシーな尖がりっぷりよりも整合性を重視したサウンド(メジャー・アーティストらしい音ではありますけども)。正直初めて聴いた当時は「物足りねぇ」と盤を放り投げた記憶あり。
しかし、初手からそういうバンドなのだとの認識を持って本作を聴き直すと、かっちりとまとめられたパワー・メタリックなサウンドが、これはこれで案外楽しめます。NWOBHMを思わす鋭角的なGリフを伴い突き進む①、ドラマティックな構築美を持ち込んだインスト③、ツインGを活かした曲展開でラストを盛り上げる⑧等はその好例ですし、勿論⑦のような直線的スラッシュ・ナンバーもカッコイイ。あと何より日本盤には、US盤からはカットされてしまっていた前述のアルバム表題曲⑥が収録されていることが大きい。このスピード・メタルの名曲があるのとないのとでは、本編の締まり具合が全然異なりますからね。
どちらかと言えば正統派HM/パワー・メタル愛好家にお薦めする作品なれど、スラッシャーなら取りあえず⑥を聴くためだけにでも押さえておいて頂きたい1枚です。


WARDRUM - Awakening - Shade Of Hope ★★★ (2017-07-02 22:39:57)

Voの熱唱と、テクとメロディセンスを併せ持ったGという
WARDRUMの2枚看板が、その才能を如何なく発揮したミッド・チューン。
疾走曲ではなくミドル・テンポだからこそ、胸を突きさす
泣きのメロディの威力が余計に際立って聴こえます。


WARDRUM - Awakening - Right Within Your Heart ★★★ (2017-07-02 22:33:46)

ヤニス・パパドプロスの泣きと熱気を孕んだ絶唱に
盛り立てられてパワフルに駆け抜けて行く疾走ナンバー。
このメタル魂を燃え上がらせる歌いっぷりには
謹んで「ギリシャの坂本英三」の称号を進呈したくなります。


WARDRUM - Awakening ★★★ (2017-07-02 10:00:53)

経済の低迷とは裏腹に、優れたHMバンドを次々輩出し続けるギリシャから現れた、灼熱のパワー・ボイスで熱唱するフロントマン、ヤニス・パパドプロス(Vo)と、独創性に富んだGプレイでサウンドをテクニカルに彩るコスタ・ヴレト(G)という2枚看板を擁する5人組が、'16年に発表した3rdアルバム。本邦初登場となった前作『MESSENGER』のセールスが芳しくなかったことから、今回は日本盤発売が見送られてしまうのでは…と危惧していただけに、リリースに踏み切ってくれたレコード会社にゃ感謝感激雨霰ですよ。
内容に関しては、バンドのマスコット・キャラ「メッセンジャー」が登場するアートワークからも明らかなように、全くブレることなく、NOCTURNAL RITES辺りに通じる劇的且つスピーディな正統派へヴィ/パワー・メタル道をこれまで同様に邁進。抒情的なアコギのイントロに続き、音数多めに駆動するリズム隊の存在が映えるパワフルなOPナンバー①の存在だけでアルバムの成功を予感するには十分ですが、後に続く胸熱な疾走チューンの名曲②が始まった途端、その予感は確信へと昇華されるという。
WARDRUMというバンドの魅力を凝縮し、「掴み」として効果的に機能する頭3曲の畳み掛け、テンポアップするサビメロの展開にグッとくる④、クサメロの破壊力にかけては本編随一の⑩といった、思わず昭和ロボット・アニメの主題歌を歌わせてみたくなる熱い泣きを孕んだヤニスのVoと、技術だけでなくメロディの組み立てにも冴えをみせるコスタのGという、バンドの強みが如何なく発揮された楽曲の数々を収録する充実作。前作に勝るとも劣らぬクオリティゆえ、今度こそ好セールスを記録してくれるといいなぁと。


DANGER DANGER - Screw It! - Crazy Nites ★★★ (2017-07-01 10:54:52)

以前、バラエティ番組のサッカーのPKコーナーでBGMとして
使用されてことがあるそうなのですが、
確かに躍動感溢れる曲調といい、ライブ会場を大いに盛り上げる
キャッチーなコーラスといい、その手のスポーツ好プレー集が
よく似合う疾走感と爽快感を兼ね備えた名曲ですよ。


DANGER DANGER - Screw It! ★★★ (2017-06-30 00:40:42)

ポップ・メタルの名盤だったデビュー作をもって、ここ日本では人気が爆発したDANGER DANGER、’91年発表の2ndアルバム。
ファニーなアートワークのノリを反映させたようなSEに導かれてスタートするのは、大らかなコーラスが合唱を誘発する②。そこから哀愁漂う③へと繋ぐ構成が前作と二重写しになることからも明らかに、ファンが支持する自分達の長所をしっかりと把握し、そこを素直に伸ばした、明るく健康的なポップ・メタル・サウンドを本作でも追及してくれています。
というか全体的に更に「ネアカ」な部分が強調されている仕上がりゆえ、“ROCK AMERICA”と“UNDER THE GUN”というタイプの異なる2曲の名曲を収めた1stアルバムには一聴してのインパクトでは今一歩及ばず。しかし甘いバラードからノリノリのロックンロールまでエネルギッシュに歌いこなすテッド・ポーリーのVo、アンディ・ティモンズの益々フラッシーに冴え渡るGプレイの存在、そして巧みにフックを盛り込んだメロディやコーラスに下支えされた楽曲は、トータルの完成度では決して負けていません。特に爽快に疾走する名曲⑥や、ライブには欠かせないアリーナ・ロック・ソング⑧、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる⑨、メロウな⑩、爆走ロックンロール⑪、ドラマティックなバラード⑫…と、優れた楽曲が軒を連ねる本編中盤戦以降の充実度は天晴。
1st『DANGER DANGER』と併せて、ポップ・メタル好きなら是非とも押さえておいて頂きたい1枚。これが発表当時、アメリカ市場ではまるで相手にされなかったというのは…やはり時代が悪過ぎたんでしょうかね。


PHENOMENA - Dream Runner - Hearts on Fire ★★★ (2017-06-28 22:59:34)

メロディがポップさを増した2ndアルバムの
新たな側面を象徴するようなハードポップ・ナンバー。
グレン・ヒューズの歌ウマっぷりを堪能するのにもってこい。
「超能力者たちを主人公にしたSFホラー」の
コンセプト・アルバムの筈なのですが
この曲調で一体どんなこと歌っているのか
非常に気になるところであります。


PHENOMENA - Dream Runner - Stop! ★★★ (2017-06-28 22:56:44)

OPナンバーにして、早くもアルバムのハイライトを飾らんとする名曲。
英国産HRらしい憂いに満ちたメロディ・ラインを力強く歌い上げる
レイ・ギランの熱唱が楽曲を一層ドラマティックに
盛り上げてくれています。山本恭司の粘っこいGプレイも良し。


PHENOMENA - Dream Runner ★★ (2017-06-28 00:15:31)

メル&トムのギャレー兄弟によるロック・オペラ・プロジェクト、全三部作のうちの第2章にあたる’87年発表の2ndアルバム。
顔触れは、グレン・ヒューズ(Vo)やニール・マーレイ(B)といった前作参加組の他、ジョン・ウェットン(B)、スコット・ゴーハム(G)、レイ・ギラン(Vo)、マックス・ベーコン(Vo)etc.といった面々。また当時イギリスを拠点に活動中だったVOW WOWから、山本恭司(G)と新美俊宏(Ds)が参戦したことでも話題になりました。このが縁でニールがVOW WOWに加入したり、またウェットンが『V』にゲスト参加/楽曲提供を行うこととなったりと、様々な気になるトピックを有する作品だったにも関わらず、何故かこれまで聴いたことがなかったため、今年に入って国内盤がリマスター再発されたのは正しく僥倖。欲を言えば対訳を付けて頂ければ尚最高だったのですが…。
荘厳なイントロに胸が高鳴るOPナンバー①、その後に続く、哀愁漂わすキャッチーな②③で早くも宣言する通り、煌びやかなKeyを全面的にフィーチュアしたメロディックHRという基本スタイルは前作から継承する一方で、今回はより時代に即したポップなエッセンスも導入。コンセプト、楽曲、ミュージシャンの実力と三拍子揃った前作と比べてしまうと、全体的にミステリアスな雰囲気が薄く、SFホラーではなく別ジャンルのサントラを聴いているような気分に陥る作風に戸惑う部分もあったりしますが(だからこそ対訳が気になる)。
とは言え、グレンが歌うポップな⑤を始め、「歌モノのメロディックHR作品」としてのクオリティは折り紙付きゆえ、買って損のない名盤であることは保証致します。


GRAND PRIX - Samurai - Samurai ★★★ (2017-06-26 01:52:14)

サ~ム~ラ~イ♪
「元寇」を題材にした曲調はドラマティックではあるのですが
エピック・メタル的な血飛沫飛び散る勇壮さやドキュメンタリズムより
時を越えて語り継がれる伝承を聴いているような気分になれる
壮大にして透明感漂うメロディと曲展開がこのバンドならでは。


PRETTY MAIDS - Pretty Maids ★★ (2017-06-22 23:21:44)

日本でも確固たるファン・ベースを構築済みのPRETTY MAIDS。その彼らのカタログの中で、次作にして名盤『RED, HOT AND HEAVY』のインパクトに存在感を掻き消されてしまい、「え?そんな作品あったっけ?」と極めて影が薄いのが、’84年発表のこの6曲入りデビューEP。人気がないとか以前に、そもそも知名度がないという点ではTNTの1stに通じるものがあるような、ないような…。中古盤屋じゃとんと見かけない割に、特にプレミア価格で取引されているわけでもない辺りが本作の立ち位置を如実に物語っていますよ。
ロニー・アトキンスの看板Voや、攻撃的なツインGの運用法等、バンドとしての基礎が固まりつつあることは既に本作の時点で伺えるものの、NWOBHMやTHIN LIZZYからの影響の痕跡がハッキリとコンニチワする楽曲に関しては、まだまだ荒削り。例えば疾走ナンバー①④は、名曲“BACK TO BACK”の試し打ち的カッコ良さを有する反面、全体的に力押しに終始する仕上がりで、様式美HMというよりはNWOBHMばりの直線的な荒くれ感の方が強く感じられるという。(HELOWEEN登場前の独産パワー・メタルっぽくもある)
逆にそういう意味では、ここでしか聴くことができないタイプのPRETTY MAIDSサウンドが楽しめる作品であると言えますし、何より「磨けば光るダイヤの原石」としてのポテンシャルの高さは、前述の疾走曲①④、ケンさんのGソロも美味な抒情ナンバー⑤(イントロが“孤独のナイト・ゲームス”みたい)からもびんびんに感じ取れます。
90年代にCD化されたきり、ほったらかしになっている作品なんで(多分)、取り敢えずリマスター再発の方をお願いしたいところなのですが。


STAGE DOLLS - Stripped - Life in America ★★★ (2017-06-18 22:46:06)

アルバム『STRIPPED』ではこの軽快にロックする
アップテンポのナンバーが一番好きですね。
音作りもアレンジもシンプルでクリアだからこそ、
温もりを感じさせるシンガーの歌唱や
爽やかなメロディといった、元々楽曲が持っていた
魅力が一層引き立って聴こえます。


STAGE DOLLS - Stripped ★★★ (2017-06-18 10:01:55)

80年代後半から90年代前半にかけ、続々日本デビューを飾ったD.A.D.やSWEDISH ELOTICAといった、所謂「新世代(当時)北欧メタル・バンド」勢の作品を今更チェックしている今日この頃。そうした流れの中でゲットしたのが、ノルウェーのSTAGE DOLLSが’91年にPOLYDOR RECORDSから発表したこの4thアルバムでした。
国内盤の解説によると、本国では過去作を悉くヒットさせて来た人気者で、本作もリリース2週間で3万枚を売り上げ、ゴールド・ディスクに到達したのだとか。そうしたメンバーの輝かしいキャリアと実績、それにTNT等との仕事で知られる名手ビヨルン・ネッショーが手掛けた、奥行を感じさせつつ、それでいて見通しにも優れているという秀逸な音作りに支えられた本編は、北欧メタルと聞いてマニアが想起するような郷愁をそそる田舎メタルっぽさとは無縁の、隅から隅まで洗練され尽くしたハードポップ・サウンドがギュウ詰め。
リリース当時は洟も引っ掛けずスルーしてしまった身ですが、今聴くと完成度の高さに素直に感心させられますよ。爽やかさの中に仄かな哀感が効いた②、映画の主題歌にも起用されヒットを飛ばした抒情ナンバー④、素朴なバラード⑥、哀愁のメロハー⑦、アップテンポで駆け抜ける⑩、そこはかとなくドラマティックな曲展開も有する⑪…と、アルバム・タイトル『STRIPPED』に相応しく、過剰な装飾よりも元々の素材の良さを活かす引き算アレンジが施された収録曲の数々はいずれも秀逸な出来栄え。
同郷のTNTやDA VINCI辺りが楽しめる方なら、間違いなく本作も気に入られる筈。彼らの他のアルバムも是非チェックしてみたくなる1枚でありました。


Tsunami (2017-06-15 23:19:42)

ふと思ったのですが、1stアルバム『TSUNAMI』のジャケットは
彼らなりの葛飾北斎リスペクト(富嶽三十六景)だったのでしょうか。


Tsunami - Tsunami - Ninja ★★★ (2017-06-15 23:12:05)

タイトルだけで「バカにすんな!」とご立腹なされる方も
いらっしゃるやもしれませんが、これがなかなかどうして、
抒情的且つドラマティックな出来栄え。
数あるHR/HM系ニンジャ・ソングの中でも
上位にランクインする名曲ではないかと。
ニ・ン・ジャ~♪


Tsunami - Tsunami - Revenge ★★★ (2017-06-15 22:59:34)

「ゴロジデヤルー!」という日本人ギタリストの
怨嗟の篭った日本語シャウトからスタートする疾走ナンバー。
出オチ系の楽曲かと思いきや、Voの噛み付くようなシャウトといい、
アグレッシブなツインGやパワー全開なリズムといい
USパワー・メタル好きなら聴いて損のないカッコ良さ。
TSUNAMIの代表曲と言えばやはりこれではないでしょうか。


Tsunami - Tsunami ★★★ (2017-06-14 23:06:56)

今となっちゃ少々アウト気味なバンド名を名乗っていたカリフォルニア出身の5人組。ライナーノーツにデカデカと表記された「津波」の漢字ロゴが目に眩しい、トモタカ・ヤマモト(G)とタツヤ・ミヤザキ(G)という2人の日本人メンバーが在籍していたことでも話題を呼んだ彼らが、’83年にENIGMA RECORDSから発表したデビュー作がこれ。
とは言え、メロディからオリエンタルな要素は殆ど聴き取れず、噛み付くようなシャウトがワイルドなVo、豪快に暴れ回るリフ&リズムを従えた硬派な正統派HMサウンドには、もしデビューがあと数年遅かったら『METAL MASSACRE』シリーズに参戦してたんじゃね?という、USパワー・メタルに通じる肉食系アグレッションとノリの良さが備わっています。
かと思えば、シングル・カットされ米ビルボード・チャート最高60位にランクインを果たした劇的なバラード②を始め、テクニカルな日本人Gコンビが奏でるメロディは、時にウェットな陰りとドラマ性を発散。イントロで炸裂する「殺してやるー!」の日本語シャウトに思わず仰け反るトゲトゲしい疾走ナンバー④や、闇に生きるニンジャの哀愁が伝わって来るかのような⑨といった、日本ネタが直球でブッ込まれた楽曲にしても、単なるネタ曲に堕することなく、きっちりと本編のハイライト・ナンバーとして名曲に仕上げてくる辺り、このバンドの曲作りにおける確かな手腕が光っていますよ。
エピック・メタルの大仰さとSHRAPNELメタルばりの攻撃性でラストを〆る⑩まで、高いテンションを保ったまま突き進んでくれる力作。2nd『THROGH UNDER FIRE』(’90年)も正式再発を是非お願いしたいところであります。


PHENOMENA - Phenomena - Phoenix Rising ★★★ (2017-06-13 22:27:53)

グレン・ヒューズって歌が上手いって言われてるけど
実際どんだけ上手い人なの?と尋ねられたら、
黙ってこの曲を聴かせておやりなさい。
というぐらい、グレンの絶品の歌唱が映える名バラード。
嗚呼ソウルフル。


PHENOMENA - Phenomena - Twilight Zone ★★★ (2017-06-13 22:23:12)

次曲“PHENOMENA”はアウトロ的インスト曲なので
実質的な1stアルバムのラスト・ナンバー。
全体的に音作りがソフティケイトされていて
コージーのドラムが目立っていない本作において、
最も彼らしいプレイが楽しめるのがこの曲。
ポップな躍動感溢れるプログレ・ハード調の楽曲自体
素晴らしい出来栄えです。


PHENOMENA - Phenomena - Kiss of Fire ★★★ (2017-06-13 22:18:24)

伸びやかなグレンのVoと
SFタッチなシンセサイザーリフが
深遠な宇宙空間に木霊するかの如く
神秘的に浮遊する、アルバムの方向性を一発で決定付けた名曲。
グレンが初のソロ来日公演でも演ってましたっけね。
クライマックスで印象的なメロディを歌い上げるGも◎


PHENOMENA - Phenomena ★★★ (2017-06-12 23:13:24)

メルとトムのギャレー兄弟が音頭を取り立ち上げたHRプロジェクトが、'85年に発表した1stアルバム。『フューリー』とか『炎の少女チャーリー』を思い出す(?)「超能力者たちが繰り広げるホラー・タッチのSFストーリー」を有するコンセプト・アルバムであり(ポシャったけど映画化企画もあったのだとか)、全三部作構成の内の第一弾にあたる作品。
毎回豪華なゲスト勢が参加しているのも売りの一つで、本作にはグレン・ヒューズ(Vo)、コージー・パウエル(Ds)を始め、ニール・マーレイ(B)、テッド・マッケンナ(Ds)、ドン・エイリー(Key)ら腕利きミュージシャンが集結。…と言っても、音作りがソフティケイトされているため個人技は然程目立っていません。壮大且つ抒情的なサウンド面において中心的役割を担うのは、曲作りも手掛けるリチャード・ベイリー(元MAGNUM)のスペーシーで煌びやかなKeyワークや、歌神グレンの実に伸びやかなVoといった塩梅。
そうしたパフォーマンスの援護射撃を受けた収録曲の粒の揃いっぷりも特筆モノで、その完成度たるや、重厚且つミステリアスなOPナンバー①、キャッチーな②、アイリッシュ・フレーバー薫る③、ソウルフルなVoが絶品のバラード④、女性スキャットを取り入れたアレンジが秀逸な⑤…といった具合に、頭から順番に語っていけるぐらい。コージーのドラミングに「らしさ」とパワフルさが増す6曲目以降の充実度もお見事です。
3rd『INNERVISION』(’93年)の方を先に聴き、それから遡って本作を聴いたため事前の期待値は実は余り高くなかったのですが、こりゃあ紛うかたなき大名盤。見縊って申し訳ない。「ロック・オペラ・アルバムの先駆け」の名に恥じぬクオリティと存在感を誇る1枚です。


WHITECROSS - In the Kingdom - You Will Find It There ★★★ (2017-06-11 21:46:32)

80年代後半に勃発したブルーズ・ブームに乗っかったとも取れる楽曲ですが、
タメを効かせたシンガーの堂の入った歌いっぷりといい、
泣きのメロディをエモーショナルに奏でるGといい
付け焼刃な印象は殆ど感じられない仕上がり。
本編から少々浮いている感はありますけども
前奏曲たるインスト“THE ETERNAL FLAME”と併せて
楽しみたい名曲です。


WHITECROSS - In the Kingdom ★★ (2017-06-11 21:31:44)

名前が「WHITE」で「CROSS」なことからもお察しの通り、クリスチャン・メタル・バンドであるカリフォルニア出身の4人組が’91年に発表した4thアルバム。(日本盤はテイチクからリリースされました)
勿論、彼らが聴かせてくれるのはSTRYPER直系の正統派HM…と思いきや。既に時代は90年代ということもあり、そうしたありがちな固定イメージから脱するべく(?)、本作では豪快なロックンロールあり、哀愁のブルーズあり、抒情バラードあり、ネオクラシカルなインスト・ナンバーあり…と、よく言えばバラエティに富む、悪く言うと少々まとまりに欠ける作風を志向。「何でもあり」なのはいいのですが、ボートラを含めると全14曲収録という超過ボリュームが本編の散漫な印象に拍車を掛けている感は無きにしも非ず。
一方で、重厚な正統派HMナンバー③、土の匂い薫るアコギ・バラード④、テクニカルなGが縦横無尽に駆け巡る⑦から、泣きまくりのブルーズ・ソング⑧へと繋ぐ構成の妙、美しいハーモニーに聞き惚れる⑨…といった具合に、収録楽曲はどういったタイプの楽曲にせよ、キャッチーなメロディが適宜に盛り込まれ、どれも卒のない仕上がりっぷり。まとまりにこそ欠けるものの、聴き始めるとスルスル最後まで楽しめてしまう辺り、バンドの地力の高さを感じさせます。ラップVoを取り込む⑪なんて半端な連中が演ったなら噴飯モノなところを、印象的なコーラス・ワークを駆使して結構聴かせてくれるのだから大したものですよ。
一聴しただけで掴まれるようなインパクトはないのですが、繰り返し聴き込むことで味わいが増して来る、ベテラン・バンドの経験値の高さが反映された1枚という。


Traitor - Venomizer - Teutonic Storm ★★★ (2017-06-08 23:43:14)

KREATOR、SODOM、DESTRUCTIONの三羽鴉を始め、
EXHUMER、DEATHLAW、DARKNESS、VIOLENT FORCE、TANKARD、
LIVING DEATH、ANGEL DUST…といったドイツの
先輩スラッシャーたちが残した名作のタイトルが散りばめられた歌詞から、
ダーティなシャウト、刻んで刻んで刻みまくるGリフ
それに突進三昧のリズムまで、「ジャーマン・スラッシュ・メタル」
に対するリスペクト精神に満ちた逸品。


Traitor - Venomizer ★★★ (2017-06-07 23:40:07)

デイヴ・ムスティン似の兄ちゃんが描かれた1stアルバムのジャケと、そこに託された超オールドスクールなスラッシュ・メタル・サウンドが印象的だったドイツの5人組が、’15年に発表した2ndアルバム。ちなみにプロデュースは前作同様に元SANVOISENのヴァゲリス・マラニスが担当しています。
んで音楽性はといえば、これが何も変わってない。今やエド・レプカにも匹敵するスラッシャー相手の仕事量を誇る、アンドレイ・ボウジコフ謹製アートワークが与えてくれる信頼感を全く裏切らない、純度100%、混ぜ物なしのスラッシュ・メタルを今回もプレイ。喉よ裂けよとばかりにインテンスなシャウトをひり出すVo、粗挽きリフを絶え間なく撃ち出す2本のG、馬力にあかせてドカスカ突進三昧のリズム隊と、まるでヒネった所のない猪突猛進型パフォーマンスも、もろ80年代のジャーマン・スラッシャーの伝統を受け継いでいます。
とはいえ演奏は非常に達者でサウンドはタイトそのもの。そのため往年の独産スラッシュ勢に顕著だった「でもやるんだよ!」というハチャメチャ感は薄め。そこに物足りなさを覚える剛の者もいらっしゃるでしょうが、個人的には、カッコ良さが何一つスポイルされることなくダイレクトに迫り出して来るこのサウンドを断固支持。特にスラッシュ三羽鴉を筆頭に、EXUMER、TANKARD、DARKNESS等々…ジャーマン・スラッシャーが残した名作タイトル群が歌詞に散りばめられた⑦はリスペクト精神溢れる名曲ではないかと。
その他にも②④⑧等、スラッシュ馬鹿一代っぷりが徹底された充実作。大好きですよ。


DA VINCI - Da Vinci - Young Desperado ★★★ (2017-06-06 00:17:29)

メンバーの解説によれば、間違った選択ばかりしてしまう
若者のもがきについての歌らしい。
要はDA VINCI版「青春の蹉跌」か(?)
美しいコーラスと甘いメロディが、
どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出して
感傷的な曲調を盛り上げてくれる名曲です。


DA VINCI - Da Vinci - Tarquinia ★★★ (2017-06-06 00:10:59)

神の怒りに触れ、大地震によって滅ぼされてしまったという
言い伝えの残るローマ帝国の都市タルキニアについて歌ったバラード。
そう聞いてからこの曲に耳を傾けると、
何やら古代のロマンがメロディから薫って来るような来ないような…。
北欧メタルらしい透明感と美旋律が全身に染み渡る名曲で
ラジオ・チャートで大ヒットとなったというのも納得です。


George Murasaki Project - George Murasaki Project - Rocking All Night ★★★ (2017-06-04 09:45:25)

ジョージ紫が操るハモンド・オルガンが楽曲の基盤を作り
そこにホットなVoとGがスリリングに切り込んで来るという
DEEP PURPLE感満点のOPナンバー。
この曲に限らず、随所でセンスフルなオカズをガンガン
叩き込んで来るドラムの仕事ぶりも特筆モノです。


George Murasaki Project - George Murasaki Project - Peaceful ★★★ (2017-06-04 09:34:49)

仲門ウィリーのエモーショナルな歌唱と、
ジョージ紫が優美に奏でるピアノに
しっとりと聞き惚れる美しいバラード。
この曲からEUROPEの“THE FINAL COUNTDOWN”風の
次曲“FAREWELL TO ARMS”に繋げる曲展開も良し。


George Murasaki Project - George Murasaki Project - Fly Away ★★★ (2017-06-04 09:28:45)

「島唄よ風に乗る~🎵」という沖縄民謡“島唄”の
メロディを効果的に取り入れられた、10分以上に亘る長尺ナンバー。
プログレッシブ・ロック的味わいも感じられる曲展開は
聴く者を穏やかに包み込む雄大さと優しさに溢れていて
まるで南国時間の流れに身を委ねているかのような忘我の心持に。


George Murasaki Project - George Murasaki Project - Keep on Rocking ★★★ (2017-06-04 09:20:58)

気持ち良いぐらいタイトなドラムのイントロからスタート。
攻撃的にして華麗なKeyワークと、Gのスリリングな絡み、
音数多めのリズムなど「よ!待ってました!」というぐらい
DEEP PURPLE感溢れる疾走ナンバーの名曲。


DA VINCI - Da Vinci ★★★ (2017-06-04 09:15:14)

ノルウェーのDA VINCIが’87年にPOLYDOR RECORDSから発表し、本国ではグラミー賞を受賞するほどの大ヒット作となった1stアルバム。日本盤は遅れて’93年にゼロ・コーポレーションを通じ、2nd『BACK IN BUSINESS』と同時リリースされました。
自分は先に『BACK~』を聴き、その完成度の高さに感心したことから本作も購入したのですが、涼しげなKeyを取り入れた中期EUROPE辺りに通じるハードポップ・サウンドが、既にこの時点で満開。北欧メタルと聞くと、どうしても「ヘタウマなVo」「貧相な音質」といった垢抜けないイメージが付き纏いますが、本作に関してはメジャー資本のバックアップを受けているだけあって音質は良好ですし、フックを盛り込んだメロディ構築術に抜かりがない上に、アレンジもハイセンスときたもんだ。
特にグラミー賞会場でも演奏したというポップに弾む①や、ドラマ性と大衆性を高いレベルで両立させた大ヒット・バラード③、Keyを有用した中間部の鮮烈なアレンジが技ありな⑥、メロディの甘さとコーラス・ワークの美しさに聴き惚れる⑨といった楽曲は、如何にも新人バンド的な「脇の甘さ」がまるで感じられない見事な出来栄えを誇ります。
少々軽過ぎる&甘過ぎる音に思える向きもありましょうが、メロディ愛好家にとっちゃこれからの季節、寝苦しい熱帯夜を快適に過ごすためのお供に打ってつけの、実に爽やかな1枚。ちょいと前まで中古盤にアホみたいに高値が付けられていましたが、輸入盤も再発された近年は価格も落ち着いて来たようなので、買うには丁度いいタイミングではないでしょうか。その際は2nd『BACK IN BUSINESS』も併せて是非どうぞ。


George Murasaki Project - George Murasaki Project ★★★ (2017-06-01 23:59:53)

元紫のジョージ紫(Key)が自主制作、GMP(GEORGE MURASAKI PROJECT)名義にて、'88年にひっそりと(?)リリースしたフル・アルバムが、いつ間にやらシレッとリイシューされていて驚きましたよ。但し、折角のリマスター再発なのに解説文はおろか歌詞カードもなし。ジャケットがペラ紙1枚というMAUSOLEUM CLASSIXばりにソリッド過ぎる仕様はもう少し何とかならんかったのでしょうか。いや再発してくれただけで有難いことではあるんですけども。
音楽性の方は、ハモンド・オルガン大活躍の①や、音数多めのリズム隊のタイトな存在感が映える②、KeyとGが火花を散らす疾走ナンバー⑦といった楽曲が物語る通り、紫時代からのパープル・エッセンスを濃厚に受け継ぐHRスタイルを披露。一方で80年代作品らしく、メロディ重視の楽曲志向も鮮明に打ち出されていて、ねちっこいVoと情感豊かなGが咽び泣く哀愁のバラード⑤⑧があったかと思えば、近未来的雰囲気漂わすインスト④あり、EUROPEの“THE FINAL COUNTDOWN”を思わすポップ&キャッチーな⑥あり、沖縄民謡(島唄?)のメロディを取り入れたプログレッシブな大作ナンバー③あり…といった具合に、硬軟のバランスに優れた収録曲は捨て曲なしの充実っぷり。その上、それらを再現するメンバーも腕利き揃いと来た日にゃ、最早何も言うことはありませんて。
自主制作盤につきものの垢抜けなさとは全く無縁の、寧ろメジャー流通に乗らなかったのが不思議で仕方なくなる1枚。この勢いに駆って是非次は、ジョージ紫&マリナーのカタログ再発に取り組んで頂きたいところであります。


George Murasaki Project (2017-06-01 23:58:29)

‘87年にジョージ紫が立ち上げたプロジェクト(というかバンド)。恥ずかしながら、インターネット環境が普及するまでその存在すら知りませなんだ。
ジョージ紫自ら設立した音楽事務所、有限会社・紫から自主制作という形でセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを発表(’88年)。メンバーはジョージ紫(Key)以下、仲門ウィリー(Vo、B)、厚志ユタカ(G)、CONDITION GREENのエツ(Ds)というラインナップ。
当時、CDが2000枚程度がプレスされたらしく、その後は長らく入手困難な状態が続いていた。
'17年になって、現紫のCHRIS(B)がリマスタリングを手掛ける形で再発が実現。基本的に沖縄限定リリースの模様なれど、専門店でなら入手が可能。


SHELL SHOCK - Beyond Resurrection ★★★ (2017-05-31 00:12:49)

活動後期の実験精神剥き出しな音楽性にはイマイチ馴染めず、また復活作『肆-SHI』にしても、タイトルからしてそっち系の匂いが感じられたため購入を躊躇していたSHELL SHOCKの最新作は、何と初期スラッシュ・メタル時代の楽曲をリ・レコーディングした6曲入りEPとのこと。なら買うしかねえだろ!と。
選曲は、それぞれ1st『MORTAL DAYS』から3曲、2nd『PROTEST AND RESISTENCE』から1曲、3rd『FIEL LARM』から1曲、そしてX、DOOM、JURASSIC JADE、GROUND ZERO、ROSE ROSEと共に参加したオムニバス盤『SKULL THRASH ZONE Vol. 1』から1曲というチョイス。正直「新たな解釈」の名の下に、それらが前衛的な変貌を遂げているのでは…との不安は直前まで拭いきれませんでしたが、しかし実際は、例えば構築美すら感じさせる③のGソロもしっかり再現していることからも明らかな通り、変にアレンジを弄ったり崩したりはしていない。寧ろインディーズ制作ゆえの音質の粗さが改善され、更に切れ味鋭い演奏も得て、ストレートにビルドアップして蘇った往年の名曲の数々を前に、思わず安堵の溜息を洩らすと共にガッツポーズを決めた次第。
Voのエフェクト処理に関しては好悪が分かれそうですが、「SHELL SHOCKがスタジオ盤でここまで直球勝負のスラッシュ・メタルを演ってくれたのは一体いつ以来だ?」という喜びの前には「細けぇことはいいんだよ!」と。雑誌等ではかなり厳しいジャッジを下されていましたけれども、本作単品で評価すれば十二分に楽しめる1枚ではないでしょうか?個人的にはこの路線でフル・アルバムを是非。


ICON - Night of the Crime - Hungry for Love ★★★ (2017-05-29 23:29:29)

HRバンドとしてのエッジや重量感は十全に保ちつつ、
ICONというバンドのメロディ・センスの良さが
如何なく発揮された哀愁のメロハー。
特にコーラスの美しさに蕩けますね。
このサビメロをぶち壊すことなくパワフルに歌い上げる
シンガーの確かな成長ぶりに拍手。


ICON - Night of the Crime - Out for Blood ★★★ (2017-05-29 23:26:50)

スペーシーなシンセとテクニカルなGが映える
抒情的なインスト・パートと、テンポアップして
ハードに盛り上がる歌入りパートの二部構成からなる、
ドラマティックなアルバムのハイライト・ナンバー。
前作に収録されていてもおかしくない曲調ですが
Voの歌唱力やアレンジ力の向上もあって
より安定感が増しています。


ICON - Night of the Crime ★★★ (2017-05-29 00:35:16)

見た目も出す音も華やかなバンドが揃っていたLAメタル・シーンにおいて、ウェット且つ重厚な欧州風味の正統派HMサウンドが異彩を放ったICON、’85年発表の2ndアルバム。
クオリティは高かったものの、デビュー作がセールス的には伸び悩んだ結果を踏まえ、バンドはここで大きく音楽性を転換。曲作りにおいては外部ライターのボブ・ハリガンJr(JUDAS PRIESTとの仕事で知られる)の助力を仰ぎ、シンセサイザーやボーカル・ハーモニーを大幅増量。ポップ&メロディアス化が推進された本編は、プロデュースをエディ・クレイマー、ミックスをロン・ネヴィソンという大物が手掛けたことで一気に抜けが良くなった音作りと併せて、グッと大人びて洗練された風格を身に纏うようになりました。
“聖なる咆哮”とか“美しき聖像破壊者達”とか、大仰な邦題が似合うメタリックな雰囲気は大きく後退するも、派手さを抑えてミディアム・テンポ主体で攻めて来るリズム、テクニカルなだけでなく仕事ぶりも的確なツインG、そして前作最大の弱点とも言えた「雑さ」が解消され、丁寧且つ伸びやかに哀愁のメロディを歌い上げる飛躍的成長っぷりが頼もしいVoがフィーチュアされた収録曲は、ロマンティックな哀メロがキュンと胸を締め付ける⑨を始め、キャッチーな秀曲が揃っていてクオリティ面において盤石。特にスペーシーなシンセのイントロからスタートする重厚な⑤は、物悲しいメロディと、HMバンドとしてのエッジの鋭さを併せ持つICON屈指の名曲ではないかと。
ことほど左様に、これをバンドの最高傑作に推す声が多いのも確かに納得がいく1枚。にも関わらず本作がセールス的には惨敗だったという現実の方が納得いかんのですよ。


ROXANNE - Burning Through the Night - Burning Through the Night ★★★ (2017-05-27 09:33:30)

THIN LIZZYにも影響を受けたというバンドのルーツを伺わせる
印象的なツインGのハーモニーが散りばめられた
威勢よくキャッチーなアルバム表題曲。
映画「孔雀王」主題歌。(シングル買ったっけなぁ)
昔はよくテレビ放映されていたのに、最近はすっかり
見かけなくなってしまって残念な限りですよ。マカロシャダ。
どうやら権利関係が複雑なせいらしく、この曲に関しても
オリジナル盤が再発された際にも収録はされていませんでした。


ROXANNE - Burning Through the Night ★★★ (2017-05-25 23:33:42)

その昔、日本と香港で合作した伝奇アクション・ホラー『孔雀王』という映画がありましてね。CG全盛の今見ると、コマ撮りモンスターとか、ラスボスがハゲたパンイチのオッサンだったりとか、色々チープに感じる部分もあるかもですが、それでも劇場公開当時やテレビ放映の翌日は、休み時間の学校の廊下が「臨兵闘者皆陣烈在前…ショウ!」と九字護身法の印を切るジャリどもで溢れ返るぐらい人気を博したんですよ、これが。マカロシャダ!
そんな個人的にも思い出の1本である映画(ジャッキー・チェンの洗礼を受けた世代的にはユン・ピョウが出演している点も魅力だった)に、主題歌“BURNING THROUH THE NIGHT”を提供していたのが、このLA出身の4人組ROXANNE。本作は彼らがSCOTTI Bros. RECORDSに残した唯一のアルバムです(オリジナル盤は’86年発表)。'88年にリリースされた日本盤は前述の映画主題歌①と、サントラ提供の疾走ナンバー②を追加収録する独自編集が施されていたため、現在では中古盤が結構な高値で取引されている模様。
アルバム全体の方向性としてはごく普通のアメリカンHRであり、ストライクゾーンど真ん中とは言い難いサウンドではありますが、やはり思い出補正の後押しを得た、威勢よくキャッチーな曲調がアクション映画の主題歌に打ってつけな①の存在だけでもそれなりに満足できてしまうという。あと久々に聴き直してみたら、ドラマティックな④と和やかな⑩というタイプの異なる2曲のバラードや、緊張感を湛えた⑧、ドラムがリード楽器として曲展開を牽引する⑨辺りは「お、結構いいじゃんね」と、認識を新たにさせられた次第。
アメリカンHR好きなら十分満足できる高品質な1枚ではないでしょうか?と。


ROXANNE (2017-05-25 23:31:07)

幼馴染のメンバーらによって結成され、LAベースに活動していたツインG編成の4人組。’86年にSCOTTI Bros. RECORDSからセルフ・タイトルの1stアルバムを発表してデビュー(プロデューサーは売れっ子ジェフ・ワーマン)。WILD CHERRYのカヴァーでもあるシングル“PLAY THAT FUNKY MUSIC”は米ビルボード・チャート63位にランクインを果たした。
日・香合作映画『孔雀王』に楽曲提供が決まったことから、“NOT THE SAME”と“PLAY THAT FUNKY MUSIC”の2曲を本編からカットした代わりに、映画主題歌“BURNING THRUGH THE NIGHT”と、サントラ曲“MY WAY”を新たに収録、アルバム・タイトルも『BURNING THROUH THE NIGHT』に変更した特別仕様で'88年に日本デビューを飾る。ちなみに“BURNING~”と“MY WAY”の楽曲権利は日本側にあるようで、’07年にオリジナル盤がリマスター再発された際にも、この2曲は収録されていない。
バンドは日本デビューからまもなく、全くサポートのない所属レーベルに失望し解散を選択した。


NUCLEAR VALDEZ - Dream Another Dream ★★ (2017-05-24 23:33:41)

中南米から移民としてアメリカへ渡って来たメンバーにより結成され、名曲“涙のサマー”を始めとする、強烈な哀メロを携えたラテン風味薫る楽曲の数々が、ここ日本では高く評価されたNUCLEAR VALDEZ、’91年発表の2ndアルバム。(本当は1st『I AM I』(’90年)について書こうと思ったのですが、棚を漁ってもCDが発見できませんでした)
ちなみにアルバムについての評価は、リリース当時の雑誌レビューや、当サイトにおける皆様の投票数(まさかの0票)が物語る通り。個人的にも初聴時は、メンバーの「今度はルーツに立ち返った作品になるよ!」との発言に「じゃあ更にラテン風味の哀愁が強化されるのか?!」と事前の期待値が跳ね上がっていただけに、果たして実際に提示されたコンテンポラリー/ワールド・ミュージック色を増した代わりに、ロックのエッジと熱量が著しく低下してしまったサウンドに、結構落胆した覚えがあります。
そんなわけで長らくCD棚で放置プレイの刑に処されていた本作ですが、この感想を書くにあたって引っ張り出して聴き直してみたら、あれ?案外悪くないよ?…というか結構良いんじゃないかコレ?と評価が反転したという。爽やかに吹き抜ける②、気怠げな哀愁に浸れる④、80年代だったらトレンディ・ドラマの主題歌に起用されそうな⑦なんて、このバンドならではの哀メロ・センスを楽しむ分には何の文句もない出来栄え。ボートラ収録の“涙のサマー”のアコギ・バージョン⑪の名曲ぶりにもウットリと聴き惚れますし。
「1stに匹敵する完成度!」とは口が裂けても言えませんが、一度聴いてみても損はないのではないでしょうか。中古盤が格安で買えますんで。


DEPRESSIVE AGE - Lying in Wait - Psycho Circle Game ★★★ (2017-05-23 22:00:39)

感情移入過多というか、
過剰にエモーショナルなシンガーの歌唱は
好き嫌いが分かれそうですが、全編を覆う
絶望的なまでに暗く物悲しいメロディと組み合わさると、
その味わいがクセになります。


DEPRESSIVE AGE - Lying in Wait ★★ (2017-05-23 21:55:28)

90年代当時、DRAKKARプロモーションのボスだったボギー・コペックの猛プッシュを受けて1st『FIRST DEPRESSIN』で日本デビューを飾った5人組が、’93年にGUN RECORDSから発表した2ndアルバム。
テクニカルな演奏を下敷きに、変則的なリフ/リズム/曲展開で畳み掛けるプログレ掛かったスラッシュ・メタル…という、例えばスイスのCORONER辺りに通じる基本スタイルは今回もそのまま。代わりにスピードはグッと抑え気味にされ、本作ではその分メロディが増量されています。そうした作風を後押しするのが、ぬめっとした声質で、どこかデカダンな浮遊感を湛えたメロディを朗々と熱唱するVoの存在。また、好き嫌いはともかくバンドの個性確立に大きく貢献しているこのシンガーが歌うメロディが、東欧然とした(彼らは東ベルリン出身)寒々しく暗鬱な質感を纏っているのも大きな特徴で、中でも全編を覆う悲壮なメロディに思わず胸を掻き毟りたくなる⑤は、初バラードにしてアルバムのハイライトを飾る名曲。そこからスラッシュ/パワー・メタリックなスピード・ナンバー⑥、起伏の激しい⑦…と、DEPRESSIVE AGEの個性が際立つ「メランコリー・スラッシュ」(命名:キャプテン和田)ナンバーを、間を空けずに次々展開させていくスリリングな構成もお見事です。
3rd『蒼き悲壮』(良い邦題だなぁ)以降は、時代に即してゴシック・ロックやデジタリィなアレンジといったモダンなエッセンスも取り込んだ音楽性へと更にプログレスしていく彼らゆえ、メタル者が入門盤にするなら1stか本作辺りが適当ではないかと。


VARDIS - Quo Vardis ★★ (2017-05-21 23:24:08)

これまで以上にHM色が薄まっていることは容易に想像がついたため購入を躊躇していたVARDISの3rdアルバム(’81年)。「国内盤初CD化」のニュースに覚悟を決め、漸くゲットしたので実際に聴いてみたら、案の定メタル色は益々薄まっていたという。
最早HRとすら若干の距離を感じなくもないリラックス具合で繰り出されるロックンロール・サウンドは、オールディーズ風の楽曲が収録されていたり、曲に応じてピアノ、サックス、ハーモニカが気持ち良さげに鳴らされてたりなんかして、VARDIS=NWOBHMバンドという図式が頭に叩き込まれていた若い時分に聴いた日にゃ「全然NWOBHMの音と違うじゃねえか!」と、盤をブン投げていたであろうことは想像に難くありません。
尤も、VARDIS(と首魁スティーヴ・ゾディアック)は本質的にロックンロール野郎であり、その基本姿勢はデビュー当時から一貫して全くブレていない。要はロックンロールを基軸に据え、その上でパラメーターの数値をスピードに偏らせたのが1stで、より聴き易く、洗練やメロディといった要素にもバランス良く数値を割り振ったのが本作であると。
そんなわけで、ゴキゲンに躍動するOPナンバー①、ピアノが粋に踊る②、グルーヴィな横ノリに体が勝手に動き出す④…と、楽曲のノリは1st『100 M.P.H.』の頃から随分と変化しましたが、いずれも紛うかたなきVARDIS印が刻まれていて違和感はなし。勿論⑧のような豪快なカッ飛ばすスピード・ナンバーだって本編にはしっかりと健在です。
入門盤にゃお薦めしかねますけども、聴けば聴くほど好きになれる1枚ではないかと。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - I Feel Your Pain... And I Survive ★★★ (2017-05-21 01:30:43)

高速で刻み倒される冒頭のGリフにテンションの上がらぬ
スラッシャーはおらんでしょう、と。
尤も、スラッシュ・メタルとして聴いた場合
Vo含めて「音の軽さ」には如何ともし難いものはありますけども
逆にだからこそこの俊敏なフットワークの疾走感を
生み出せているとも言えるわけで。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army - Join the Army ★★★ (2017-05-21 01:26:52)

上擦り気味のVoが醸し出す切迫感、
ロッキー・ジョージの弾きまくりのGとを伴って
アップダウンを効かせながらテンション高く突っ走る様は
「カッコイイ」の一言に尽きますよ。


SUICIDAL TENDENCIES - Join the Army ★★★ (2017-05-19 00:17:25)

スラッシュ・シーンとハードコア/パンク・シーンのクロスオーバー推進に一役買ったパイオニア・バンドの一つ、マイク・ミューア(Vo)率いるカリフォルニア出身の5人組が’87年に発表した、アメリカ軍の徴兵ポスターのデザインをパロった表題とアートワークが目印の2ndアルバム。(邦題は『軍団宣言』)
スケーターズ・ロックならではの疾走感は既に十分なれど、いかせんメタル側からすると音の軽さが気になったセルフ・タイトルのデビュー作。正統派HM色を強め(泣きのGソロまで聴ける)BUURN!!誌レビューじゃゴッドが高得点を献上したものの、疾走感の低下には物足りなさを覚えざるを得なかった3rd『HOW WILL I LAUGH TOMMORW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』。この2枚の間に挟まれた本作は、ハードコア/パンク由来の爆発的スピード感と、へヴィ・メタリックなエッジの鋭さを美味しいトコ取りした、まさにクロスオーバー・スラッシュの名盤と評するに相応しい出来栄えを提示しています。
スラッシュ・メタルとしてジャッジした場合、マイク・ミューアの声の「軽さ」「線の細さ」には相変わらず迫力不足の感が否めぬまでも、緩急を取り込んでテンション高く突っ走るアルバム表題曲②や、本作から加入したバンド随一のメタル・ガイ、ロッキー・ジョージ(G)によって高速で切り刻まれるGリフが「これぞスラッシュ!」なカッコ良さを叩き付けて来る⑦といった名曲を前にすれば、そんなこたぁ些細な問題かと。
SUICIDAL TENDENCIES入門盤として、またクロスオーバー・スラッシュのジャンル入門盤としてもお薦め出来る1枚です。


OUTLOUD - Love Catastrophe - The Night That Never Ends ★★★ (2017-05-17 23:42:57)

印象的なKeyリフが奏でられるイントロだけで掴みはOK。
Voが熱唱する哀愁のメロディと、フラッシーに炸裂するGとが
適度なハードネスと疾走感を伴って駆け抜ける様は、
2ndアルバムに収録された数ある名曲の中でも
ハイライト・ナンバーとして頭抜けたカッコ良さを提示してくれています。


OUTLOUD - Love Catastrophe - Waiting for Your Love ★★★ (2017-05-17 23:34:32)

歌メロにしろキャッチーなコーラスにしろ、
それらに負けじとメロディアスに歌ってみせるツインGにしろ、
とにかく哀愁成分をたっぷりと含んでいて
思わずウットリと聞き惚れてしまいますね。


OUTLOUD - Love Catastrophe - Falling Rain ★★★ (2017-05-17 23:30:47)

哀愁のメロディを纏って伸びやかにハモるツインGに
思わず目を細めてしまう、PRAYING MANTIS辺りに通じる
魅力を湛えたメロディアスHRナンバーの逸品。


OUTLOUD - Love Catastrophe ★★★ (2017-05-16 23:17:34)

FIREWINDのKey奏者として、また多くのHR/HMバンド作品へのゲスト参加や、ソロ・アーティストとしての活動等で知られるギリシャ人ミュージシャン、ボブ・カティオニスが、自らの教え子でもあったギタリスト、トニー・キャッシュの才能を世に知らしめるべく立ち上げたバンドの2ndアルバム(’11年)。
一足先に‘14年発表の3rd『LET’S GET SERIOUS』を購入し、そこに託されていたメロディックHRサウンドのクオリティの高さに感激(でも実はトニー・キャッシュ脱退済みという)。慌てて遡って本作も聴いてみたわけですが、OPナンバー①はまあまあレベル。「あれ?期待した程じゃないかも?」と早合点しそうになりましたが、2曲目以降は哀愁とキャッチネスが絶妙にブレンドされたメロディックHRチューンが連続。特に、ツインGがハモりながら奏でるメロディの哀愁っぷりがPRAYING MANTISを彷彿とさせる②、エネルギッシュな疾走ナンバー③、メロディアスに歌うGとコーラスが印象的な④、そして重厚なKeyリフとテクニカルなリードGをフィーチュアした本編のハイライト・ナンバー⑤へと雪崩れ込んでいく、アルバム前半の隙のない流れは全く以てお見事。
ここまでの流れが圧巻過ぎるせいで、バラード⑥以降はやや「一休み感」も漂うものの、アルバム表題曲⑩にて溌剌と締め括られるアルバム後半戦だって決して退屈なわけではなく、その水準は並のバンドを大きく凌駕しています。
『LET’S~』を気に入った方なら本作も押さえておくことをお薦めしますし、逆にこっちを気に入ったならば次作も押さえておいて損なし。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica - We're Wild, Young and Free ★★★ (2017-05-15 22:56:02)

事前情報なしに聴いたらまず北欧のバンドの手による
楽曲とは思えないであろう、しゃがれ声で歌われる
メロディにしろ、キャッチーなコーラスを分厚く覆う
ハーモニーにしろ、アリーナ・ロックの風情が濃厚に
匂い立つ名曲。それでいて、そこはかとなく涼し気な
空気も運んでくる辺りは北欧風味でもあるという。


SWEDISH EROTICA - Swedish Erotica ★★ (2017-05-14 23:26:18)

シンガーは後にイングヴェイとの活動で名を上げるマッツ・レヴィンで、⑩で歌っているのは現在NIVAを率いているトニー・ニヴァ。他にもヨラン・エドマンやジェイミー・ボーガー、ALIENのケン・サンディンらが在籍していたことがあったり、またTNTの初代Vo、ダグ・インゲブリットセンとの関りもあったりと、ファミリーツリーでも作った日にゃ相当複雑に入り組みそうなスウェーデン出身の5人組が、’89年発表した1stアルバム。
EUROPEに代表される従来の北欧メタルを「退屈なバンドばかり」とバッサリ切ってみせる彼らが本作で聴かせるのは、人を食ったバンド名(母国のポルノビデオシリーズがその由来だとか)や、華やかなルックス、レッツ・パーティ・ターイム!な歌詞等が物語る通り、シンプルでスリージーでワイルドなロックンロール・サウンド。
但しアメリカへの憧れをダダ漏れにしてはいても、メロディ・ラインがそこはかとなく涼感を湛えている辺りはやはり北欧産。特にフックを盛り込んだ楽曲作りの手腕は確かにメジャー・レーベルの目に留まるだけのことはあるなと。デビュー・シングル②が本国ではトップ10入り、アルバム自体もスカンジナビア4国を始め、ドイツ、オランダでも大ヒットを記録したそうですが(国内盤帯情報)、アリーナ・ロック然としたコーラス・ワークが抜群な③、乾いた哀愁漂わすバラード④、爽快且つパワフルなロック・チューン⑤といった、中盤に並ぶ充実の楽曲群を耳にすればそれも納得の出来栄え。
第一次北欧メタル・ブーム沈静後に出て来たバンド(D.A.D.とかELECTRIC BOYSとか)同様、当時はパスしていたのですが、改めて聴くとこれが結構イケていたという。


CACOPHONY - Go Off! ★★ (2017-05-13 23:47:30)

デビュー作『SPEED METAL SYMPHONY』との間に、マーティ・フリードマンの『DRAGON’S KISS』、ジェイソン・ベッカーの『PERPETUAL BURN』というそれぞれのソロ・アルバム発表を挟んで、’88年にリリースされた2ndアルバム。
テンション高く展開されていくテクニカルなパワー・メタル・サウンドは基本的に前作と同路線。但し、マーティとジェイソンのコンビネーションはこれまで以上に円滑なものとなり、演奏の方もとにかく弾きまくっていた前作に比べ、猛烈に弾き倒す場面と抑えて聴かせる場面を弾き分ける等、よりメリハリの効いた内容に仕上がっています。
ダイナミズムが増したことで楽曲のプログレ・メタリックな印象にも拍車が掛かり、更に名手ディーン・カストロノヴォ(Ds)の助っ人参加がそれをブースト。SHRAPNELメタルらしい大味なアグレッションを剥き出しにしたかと思えば、突如バラード調に急展開したり、クラシカルなメロディと演歌調のメロディが随所でブッ込まれ、ハモったり絡んだりバトったりと2本のGは高難易度のプレイを情け容赦なくビシバシ決めまくる…といった具合に、最早「アバンギャルド」とすら評した良くなる楽曲の数々(④とか⑤とか)を初めて耳にした時は、楳図かずお先生ばりに吹き出しをガビガビさせながら「く、狂っている!」と呟きたくなる場面もしばしばでしたよ。
フックに乏しいぞんざいな歌メロを始め、相変わらずキャッチーさは毛ほども感じられない作風ではあるのですが、腕利きのミュージシャン達が醸し出す「やり切った」感に、聴く度に妙に圧倒されてしまう1枚であります。


ARGUMENT SOUL - Reviving the Truth - Slaughter in a Silent Scream ★★★ (2017-05-12 00:24:18)

OPナンバー斯くあるべし、なパワフルな疾走曲。
線の細いハイトーン・タイプではなく、
(やや音程に甘さを残しつつも)力強く歌いまくる
カール・アルバート系シンガーの存在が大きな武器。
劇的なツインGのユニゾン・プレイを伴って
一気に加速する終盤の曲展開のカッコ良さはガッツポーズ物ですよ。


ARGUMENT SOUL - Reviving the Truth - Blind Emotion ★★★ (2017-05-12 00:16:11)

パワフルに疾走するリズムに乗って勇ましく歌うVoと
ドスの効いたコーラスのコンビネーションが
VICIOUS RUMORSを彷彿とさせる一方、
劇的なドラマを構築してみせるツインGと
重厚なコーラス・ワークには
きっちりとこのバンドならではの魅力が刻まれています。


ARGUMENT SOUL - Reviving the Truth ★★★ (2017-05-11 23:11:03)

名古屋を拠点に活動する5人組パワー・メタル・バンドが、’04年にLIGHTS OUT RECORDSからリリースしたデビュー作。
HR/HM冬の時代を通過したこの時期はとんと新譜に対する感度が鈍くなっており、彼らの名前は雑誌等で見聞きはしても完全にスルーしてしまっていました。しかし先頃、GW中に出掛けた先で立ち寄った古本屋CDコーナーにて本作を発見。安かったこともあり、ふと興味を引かれて購入し聴いてみたら…これ無茶苦茶カッコイイじゃねえかオイ!と。
音楽性は、スピード/パワー/メロディ、それにドッシリとした重量感がバランス良く配分された、ジャーマン系とは趣きを異する正統派パワー・メタル。鋼鉄の如く屈強な演奏同様、力強く伸びていくシンガーの歌唱がカール・アルバートを思わせるスタイルなこともあり、VICIOUS RUMORSとの共通点を見出す場面もしばしばです。
さりとて単なるフォロワーかと言えば、要所でドラマティックなハーモニーを奏で、メタル者を猛らせることにも泣かせることにも長けたツインGや、メロディックなコーラス・ワークのアレンジ等には、日本のバンドらしい木目細かさが行き届いているという。2本のGを伴っての加速感がガッツポーズ物の①、重厚且つ劇的な④、スピーディな⑧から間髪入れずに展開していく、荘厳なハーモニーを纏って勇壮且つキャッチーに駆け抜ける本編の個人的ハイライト⑨等は、その筆頭の楽曲と言えるのではないでしょうか。
厚みに乏しいプロダクションが折角の迫力を削いでる面は否めませんが、それもここまでカッコ良ければ疵にはなっていません。中古で買ったのが申し訳なくなる1枚ですよ。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony - Speed Metal Symphony ★★★ (2017-05-09 23:36:49)

10分近くに及ぶ複雑且つ劇的な曲展開の中を、
ジェイソンが奏でるクラシカルなメロディと
マーティが紡ぐ東洋風メロディがテクニカルに乱舞する
アルバムのラストとハイライトを飾るインストの名曲。
表題に偽りなし。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony - The Ninja ★★★ (2017-05-09 23:28:58)

ニンジャー!
日清どん兵衛のかき揚げばりに
後乗せサクサク感(取って付けた感)満載の
Voはフックに欠けること夥しいですが、
その分マーティとジェイソンの高性能ツインGが
主題に相応しく東洋風メロディの大盤振る舞いで
歌いまくっていますので、帳尻は合っています。


CACOPHONY - Speed Metal Symphony ★★ (2017-05-09 23:16:09)

80年代の速弾きギタリスト・ブーム最中に頭角を現しつつあったマーティ・フリードマンと、ジェイソン・ベッカー(当時若干17歳!)が、SHRAPNEL RECORDS首領マイク・ヴァーニーの仲介を得てCACOPHONYを結成、'87年に発表したデビュー作がこちら。
正確無比な運指でクラシカルなフレーズを流麗に紡ぐジェイソンと、隙あらば演歌チックな泣きメロをブッ込んで来るマーティによる、テクニック全開の高性能ツインGが縦横無尽に駆け巡るアグレッシブなパワー・メタル・サウンドは、ファンがこの組み合わせに寄せる期待にバッチリと応えてくれる方向性です。
但し、抜けの悪いプロダクションの下、無理くりヘヴィに歌おうとしているせいで精彩を欠くピーター・マリノ(元LE MANS)のVoといい、技巧の盛り込み過ぎで難解な印象すら漂う楽曲といい、キャッチーさは皆無。万人にお薦め出来る作品かっつーと「これよりマーティとジェイソンのソロ作を先に聴いた方が良いんじゃね?」という。まぁSHRAPNELメタル愛好家にしてみりゃ、そうした歪さ込みで「らしい作品だなぁ」ってなもんですが。
少なくとも個人的には、疾走感に貫かれたプログレ・メタリックな②、東洋風メロディ満載で贈る③(ニンジャー!)、そして『SPEED METAL SYMPHONY』のタイトルに相応しい劇的さで本編を締め括る⑦等、バカテク・ギタリスト2人の才気迸る競演を追いかけているだけで十分に耳が幸せですよ。
次作『GO OFF!』(’88年)は更にアバンギャルドな方向へ向かって突き進みますので、CACOPHONY入門盤にするなら本作の方がお薦めです。


JAG PANZER - Ample Destruction - Harder Than Steel ★★★ (2017-05-07 22:15:06)

「これこそUSパワー・メタルじゃい!」とばかりに
荒くれて刻まれるGリフと青筋シャウトを轟かせるVoとが、
バンカラちっくに突き進むパワー・チューン。
かと思えばジョーイ・タフォーラの流麗なGプレイを
フィーチュアしたインスト部では、2本のGが美しくハモってみせたりと、
曲展開における押しと引きの演出も巧み。
「どうせマイナーメタルでしょ」とかせせら笑っていると
US裏メタル界の番長ハリー・コンクリン先輩にドツかれる名曲です。


JAG PANZER - Ample Destruction ★★★ (2017-05-07 22:06:25)

後にSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾るジョーイ・タフォーラ(G)が在籍していたコロラド州出身の5人組が、’84年に発表した1stアルバム。
当然ジョーイはここでも大変素晴らしい仕事ぶりを披露。もっと己の技術をひけらかして悪目立ちしているものと思いきや、エピカルな雰囲気を宿し高圧的に迫り来る正統派パワー・メタルを効果的に盛り立てるチームワーク重視のGプレイに徹しており、勿論その演奏は十分にテクニカル。ソロ作で発揮されるセンスの良さを既に垣間見せてくれるという。
しかしながら、個人的に本作の主役はバンドの中心人物たるハリー“THE TYRANT”コンクリンの存在ですよ(ちなみにTYRANTはJAG PANZER改名以前のバンド名)。TYTAN FORCEにSATAN’S HOSTにRIOT…と、一貫してUSメタル裏街道一筋に歩み続ける彼氏の必殺仕事人シンガーぶりはここでも健在です。つか「クセが強い歌声のシンガー」とのイメージがありましたけど、本作では「あ、普通に歌っても上手い人だったんだ」とこっちの認識を改めさせられる、大仰にして堂々たる歌唱を聴かせてくれていますよ。
マニア諸兄から隠れた名盤扱いされているだけあり、疾走するOPナンバー①から、7分越えのドラマティックなラス曲⑩まで捨て曲なし。中でも特筆すべきは、イントロの荒くれたGリフの刻みっぷりだけでメタル魂が燃え上がる③。ハリーのパワフルなVoと、劇的な曲展開を見事に構築する楽器陣という両者の最良の部分が抽出された名曲ではないかと。
JAG PANZER自体は離散集合を繰り返しながら現在も活動を継続している模様なれど、やはり彼らの作品で真っ先に聴くべきは本作、との意見に異議は全くございません。


FATES WARNING - The Spectre Within - Epitaph ★★★ (2017-05-06 00:42:38)

別にKING CRIMSONのカヴァーではありませんが
タイトルからして「今後はプログレ路線で行くぜ!」との
バンドの決意の程が伝わって来るかのようです(?)
11分以上に及ぶドラマティックな大作ナンバーではあるものの
ブルース・ディッキンソンへの憧憬が滲むシンガーの歌唱にしろ
勇壮且つアグレッシブな曲調&曲展開にしろ、この時点ではまだ曲作りの基盤は
正統派HMに据え置かれたまま。つか、むしろそこが良い!と。
タイトル負けしていない名曲ですよ。


FATES WARNING - Perfect Symmetry - Nothing Left to Say ★★★ (2017-05-06 00:35:57)

歌に入る前の導入部の一捻りとか
濃淡の塗り分けられた曲展開等、
これぞプログレ・メタル!な逸品。
レイ・アルダーのシンガーとしての熟達から、
新加入のマーク・ゾンダーの柔軟なリズム・ワーク、
表現力を増したツインGの泣きっぷりまで
バンドの洗練具合がしかと刻み込まれた名曲です。


FATES WARNING - Perfect Symmetry ★★★ (2017-05-06 00:30:19)

FATES WARNINGの日本デビュー作であり、個人的に初めて彼らの音に触れた作品でもある、’89年発表の5thアルバム。
ヘヴィ・メタリックな荒々しさや疾走感が影を潜め、哀愁のメロディ、凝ったアレンジに、派手さよりも「味わい深さ」で聴かせる曲展開等がいちいち洗練を感じさせる楽曲を始め、いかにもHM然としていたガビガビのバンド・ロゴがいつの間にかスマートなデザインに改められていたり、ついでにジャケットもモダン・アート風だったり…と、この頃には完全にバンドは「本格派プログレ・メタル路線」へと移行完了。当時は全く気にしていなかったのですが、今となってはDREAM THEATERの初代Key奏者ケヴィン・ムーアがゲスト参加している辺りもその表れと言えなくもなかったという。
益々扇情力を高めた2本のGのメロディアスな絡み、ジェフ・テイト型に分類されるレイ・アルダー(Vo)の表現力に富む歌唱、それに柔軟にボトムを支える元WARLORDの名手マーク・ゾンダー(Ds)の多彩なリズム・ワークを得たことで、サウンドは繊細な抒情面の魅力が大きく開花。バイオリンをフィーチュアした美しい前半を経て、中盤以降はケヴィン・ムーア(Key)も交えた楽器陣がスリリングに盛り上げていく⑤や、哀切に満ちたレイの歌声が胸打つバラード⑦、そして全メンバーの長所が存分に発揮された泣きの大作ナンバー⑧といった楽曲はその好例かと。
こちとら初期作を偏愛する身なれど、やはりFATES WARNING入門盤には、万人に受け入れられるであろう本作あたりをお薦めするのが適当なのでしょうか…。


FATES WARNING - The Spectre Within - The Apparition ★★★ (2017-05-02 23:43:30)

FATES WARNINGのことを小難しいだけのプログレ・メタル・バンドと
思ってる奴はこれでも喰らえ!という劇的な構築美とスリリングな
緊張感に満ち溢れた名曲。引っ掛かり気味の曲進行やツインGの
ドラマティックなハーモニーはIRON MAIDENからの影響大。
勢い余りまくりながらもパワフルなジョン・アーチの歌いっぷりも良し。


FATES WARNING - The Spectre Within ★★★ (2017-05-01 23:43:13)

FATES WARNINGの名を聞くと思い出すSFタッチのアートワークといい、いきなり7分越えのOPナンバー①で幕が上がり、10分以上に及ぶ⑦にて幕が下りる本編の攻めた構成といい、後のプログレ・メタル路線への息吹があちこちから感じられるようになった、’85年発表の2ndアルバム。
ツインGの劇的なハモりっぷりや、メリハリの効いた勇壮な曲展開が物語る通り、未だサウンドの基軸はIRON MAIDEN、JUDAS PRIEST由来のダークでアグレッシブな正統派HM路線に据え置かれています。その一方で、前作のパワフルな音痴ぶりから確かな成長を遂げ、歌声にブルース・ディッキンソンばりの雄々しさと力強さと心強さが宿った(一つ違う)ジョン・アーチの歌唱力や、ドラマ性及びスケール感の一層の増強が図られた曲展開etc.に下支えされた各収録曲は、1曲毎の中で多彩な表情を見せてくれるようになっています。その好例が前述の①や⑦であり、中盤に置かれたエピカルな④であると。
全体的にはまだまだ荒削りな出来栄えだったりするのですが、普段あまりプログレ物を嗜まないボンクラ・メタル野郎的には寧ろそれが丁度いいぐらいの塩梅でして。特にツインGの活用振りがIRON MAIDEN風の劇的な⑤から、疾走ナンバー⑥と来て、ドラマティックな大作ナンバー⑦へと至るクライマックスの流れは何度聴いてもグッときますよ。
…以上のような絶賛具合からもお察し頂けます通り、個人的には「FATES WARNINGと言えば本作が最高である!」と、今後も熱く推して行きたい1枚であります。


FATES WARNING - Night on Bröcken - Damnation ★★★ (2017-04-30 22:20:29)

アルバムのクライマックスを盛り上げる大作ナンバー。
尺は7分近くありますが、影響源は明らかにプログレッシブ・ロックよりも
IRON MAIDENとかJUDAS PRIESTに求められる感じ。
ぶっちゃけマイナー・メタルではありますが、
勇壮な曲調といい、勢いがあり余ってるVoの熱演といい、
ボンクラ・メタラー的には後の知的路線以上にグッと来る場面多し。


PRIDE OF LIONS - Fearless - Fearless ★★★ (2017-04-29 09:47:01)

いきなり唸りを挙げる重たげなGサウンドにギョッとなる疾走ナンバー。
ジム・ピートリックも「POL史上最もへヴィなナンバー」と
太鼓判を押していましたが、実際に曲が走り始めると
哀愁のメロディがハードな曲調の中を華麗に舞っていて
大味な悪印象は絶無。
ジム先生の匠級の曲作りの技前が冴え渡る1曲です。


PRIDE OF LIONS - Fearless - All I See Is You ★★★ (2017-04-29 09:36:30)

いきなりバイオリンが活躍するイントロからしてKANSASを思わせる
…って、ちょっとバイオリンが入っているとすぐKANSASを連想する
プログレ音痴ぶりが我ながら如何ともし難いですが、
ともあれ爽やかな哀愁を帯びたメロディや躍動感溢れる曲調は
80年代初め産業ロック色を強めた頃のあのバンドを思わせなくもないような。
MVが作られたのも納得の、本編に対する期待を高めてくれるOPナンバーです。


FATES WARNING - Night on Bröcken ★★★ (2017-04-29 09:30:14)

ブライアン・スラゲルに気に入られ、METAL BLADE RECORDSとの契約をゲットしたコネチカット出身の5人組が、名物コンピ盤『METAL MASSACRE』シリーズ第5弾に楽曲提供を行った後、'84年に放った1stアルバム。
アーティスティックな拘りを感じさせるアートワークから音楽性に至るまで、「洗練されたプログレ・メタル」の貫禄漂わす5th『PERFECT SYMMETORY』を先に聴いてから、遡って本作を購入したので、まず手書きの温もりに満ちた…つか温もりしか伝わってこねぇ(笑)ジャケット・イラストのいなたさに吃驚仰天した記憶あり。更に本編にはプログレ色がほぼ皆無だったもんで2度吃驚。じゃあここにはどんな音が託されているかといえば、パワフル且つ音痴なVoが醸し出すマイナー臭と、NWOBHMからの影響がモロ出しのダークでアグレッシブなHMサウンド。起伏に富んだ曲展開が素晴らしくドラマテックな④⑧といった楽曲もありますけど、それらに関してバンドが曲作りのお手本にしたのは、恐らくプログレ方面じゃなくてIRON MAIDENやJUDAS PRIESTじゃねえかなぁ?という。
いやでもそれが悪いかと言えば、断じてそんなことはない!と申し上げたい。圧の強いハイトーンVoと劇的に動き回るツインGを前面に押し立てたOPナンバー①、バンドの前身MISFIT時代のテーマ曲⑥、『METAL MASSACRE Ⅴ』にも提供されていた⑨という、ストレートに駆け抜ける正統派HMナンバーは本作でしか聴けぬタイプの名曲ではないかと。
万人にはお薦めし難い作品であることは事実なれど、個人的には聴き返す頻度がかなり高いFATES WARNINGのアルバムだったりします。


PRIDE OF LIONS - Fearless - Freedom of the Night ★★★ (2017-04-27 22:29:11)

アルバムの購入動機の一つがこの曲聴きたさでもあった、
《ジミ・ジェイミソンの永遠なる思い出に捧ぐ》の一文が
タイトルに添えられているメロディックHRチューン。
故人との思い出を歌詞に綴った楽曲ながら、
湿っぽいバラードではなく、タイトルに相応しく
都会の夜を駆け抜けて行くようなエネルギッシュな
曲調なのがまた心憎いではないですか。


PRIDE OF LIONS - Fearless ★★★ (2017-04-27 00:11:45)

新譜が出れば毎回チェックはしていたものの、ここ数作は少々「置きに行ってる」感が拭えなかった(それでも質の高さは保証書付き)PRIDE OF LIONS、’17年発表の5thアルバム。
かてて加えて、近年のジム・ピートリックがPETERIK/SCHERERのような別プロジェクトに精を出していることもあって、「もうPOLに関する活動に興味が薄れてきたのか?だったら新作もあまり期待できそうにないな…」とか失礼なこと考えていたのですが、実際に本作を聴いてビックリ。躍動感溢れるバイオリンの調べが全盛期のKANSASを彷彿とさすOPナンバー①の時点で、こっちの早合点の浅はかさを思い知らされてしまいましたよ。
ジム先生が天才メロディ・メイカーとしての腕前を存分に振るった楽曲を、逸材シンガーたるトビー・ヒッチコック(Vo)が、張りも艶も伸びも抜群な歌声で時に朗々と、時に切々と歌い上げるわけですから、それだけでもう水準以上の作品が出来上がることは約束されたようなもの(ついでにツインVo体制でジム先生もリード・シンガーとしてもちょくちょく見せ場を攫う)。更に今回は前述の①や、「POL史上、最もへヴィな楽曲」と太鼓判が押される(それでいてメロディにはフック効きまくりなのが流石)⑤、今は亡き盟友ジミ・ジェイミソンとの思い出に捧げられた――ありがちにバラードとかにしない点がニクイ⑦、疾走感溢れるハードな⑨といった、頭抜けた名曲の存在が本編に起伏をもたらしてくれていて、例え収録時間が60分に迫る長尺だろうとダレを感じる場面は殆どないという。
やはりジム先生を侮ったらイカン!と、思わず物凄い勢いで平伏せざるを得ない1枚。


VICTORY - Culture Killed the Native - On the Loose ★★★ (2017-04-25 23:08:32)

ドイツのバンドらしいハードネス、胸打つ哀メロ、合唱を誘う
キャッチーなコーラスとがハイレベルな融合をみた
アルバムのハイライト・ナンバー…というか、
VICTORYの数ある名曲の中でも1、2を争うぐらい
愛して止まない哀愁のHRナンバーですよ。


VICTORY - Culture Killed the Native - So They Run ★★★ (2017-04-25 23:03:42)

フェルナンド・ガルシアのどこか憂いを帯びた熱唱が
楽曲の放つ哀愁を増幅するメロディアスHRナンバー。
Voに負けじと歌うツインGも威力抜群です。


VICTORY - Culture Killed the Native ★★★ (2017-04-24 22:42:22)

現在は敏腕プロデューサーとして名を馳せるトミー・ニュートンを中心に結成されたドイツの5人組が、家庭の事情により脱退したチャーリー・ハーンの後任に、オーディションの末フェルナンド・ガルシア(Vo)を迎え入れて’88年に発表した4thアルバム(邦題は『ネヴァー・サティスファイド』)。ちなみにそのオーディションには、元TYGERS OF PAN TANGのジョナサン・ディヴァリル、THUNDERHEADのテッド・ブレットらが参加していたことはよく知られた話(特にテッドは加入寸前まで行ったらしい)
本作は、エネルギッシュに歌うVoによってもたらされるアリーナ・ロック的スケール感や、合唱を誘う開放的コーラス・ワークに加え、ツインGが奏でる劇的にして湿ったメロディという、アメリカン・ロックと欧州HMの特色を併せ持ったVICTORY流HMサウンドの完成形が提示された名盤です。嘗てはそうした折衷スタイルが「美味しいトコ取り」というよりも「どっちつかず」「中途半端」に感じられ、聴くのを敬遠してしまっていたのですが、愁いを帯びつつキャッチーなVICTORY屈指の名曲⑥を始めとする優れた楽曲の数々を前にすれば、つまらない先入観に囚われていた己を恥じいるばかり。
何しろ、グルーヴィなアルバム表題曲②や、雄大なバラード③といったシングルが、アメリカのラジオ及びMTVで好リアクションを獲得し、アルバム自体も本国チャートで最高19位を記録。最終的には全世界で25万枚以上を売り上げる等、どこに出しても恥ずかしくない立派な成績を残しているのですから、その内容の充実っぷりたるや推して知るべし。
次作『TEMPLE OF GOLD』と併せて、VICTORY入門盤にお薦めする1枚です。


HEADHUNTER - Parody of Life - Cursed ★★★ (2017-04-23 21:38:33)

DESTRUCTION時代よりも歌心を感じさせるようになった
シュミーアのシャウト(あとBプレイ)から、
ゲスト参加のカイ・ハンセンのGプレイまで
参加ミュージシャンの見せ場を盛り込んでアルバム後半の
山場を飾る、ぐっとくる名曲。


HEADHUNTER - Parody of Life - Force of Habit ★★★ (2017-04-23 21:30:51)

忙しなく駆け巡るスピード・メタリックなGリフのカッコ良さといい
(シュムーデルのGソロも構築美を感じさせて◎)
ウリ・カッシュが怒涛の勢いで刻むビートといい
その上に乗っかるキャッチーなシュミーアのシャウトといい
いずれも本編のハイライトに推したいカッコ良さ。


HEADHUNTER - Parody of Life ★★★ (2017-04-23 21:24:03)

後ろから刺されるような形で、古巣DESTRUCTIONを追ん出されてしまったシュミーアが、燃え盛る怒りを胸に新たに立ち上げたバンドが'90年に発表した1stアルバム。
随所で欧州風味満点のメロディを閃かすギタリストは、元TALON(結構好きなバンドでした)のウヴェ・ホフマンことシュムーデルで、地鳴りのような疾走ビートで畳み掛けるドラマーは名手ヨルグ・マイケル。彼ら腕利き揃いの面子が三位一体となり攻撃的且つスピーディに繰り出すのは、カレ・トラップ謹製の整理された音作りと、狂性を抑制したシュミーアのシャウトとが相俟って(スラッシュ色は然程でもない)、DESTRUCTIONよりぐっと聴き易い印象のパワー・メタル・サウンドという。ちなみに今回のシュミーアの歌唱スタイルは、DESTRUCTION時代に他のメンバーからの「もっと幅広く歌えるようになってくれ」との要望に応えるべく頑張って身に着けたものだそうな。にも拘らず解雇されてしまったのだから何とも切ないお話ですよ…。(今はすっかり仲直りしてハッピーですけども)
人を食ったイントロで幕が上がり、怒涛の突撃ナンバー②がその直後に続く本編は、起伏に富んだ曲展開を飲み込む⑤、スピード・メタリックな⑥、そして技巧とドラマ性を織り込んだ曲展開に、ゲスト参加のカイ・ハイセンのGプレイが華を添える⑧を経て、ラストに置かれたDESTRUCTIONの楽曲と異名同曲⑩に至るまで、ひたすらソリッドな疾走曲の固め打ち。アクが薄まってしまい「これ」というキメ曲が見当たらない本編に対するこっちのちょっとした不満は、このパワフルさによって強引に蹴散らされてしまいましたね。
DESTRUCTIONがダメだったという方も、本作なら案外イケるのではないか?と。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished - When the Guns Fell Silent ★★★ (2017-04-20 22:59:04)

派手な曲展開、もしくはオーケストラ、女性Vo、クリーンVoといった
飛び道具を用いず、Voがひり出す悲嘆に満ちたシャウトと、
2本のGが奏でる慟哭のメロディ、それに重厚な曲調で
10分以上の長尺の緊張感を保ち、聴かせきってしまうその手腕に、
このバンドの確かな成長を見た思いですよ。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished - Divinity of Flesh ★★★ (2017-04-20 22:50:32)

鼓膜に突き立つハイピッチシャウトと、
扇情的フレーズを次々繰り出すツインGの
波状攻撃が、デス/ブラック・メタルに通じる
爆発的疾走感に乗せて畳み掛けるスピード・ナンバー。
この後に続く重厚な大作ナンバー“WHEN THE GUNS FELL SILENT”の
存在感を効果的に引き立てる役回りも果たしています。


WARBRINGER - Woe to the Vanquished ★★★ (2017-04-20 00:21:07)

前作『Ⅳ:EMPIRES COLLAPSE』は、WARBRINGER作品で初めて「試行錯誤」を意識させる内容でしたが、この最新5th(’17年)では再びヘヴィ&アグレッシブな方向に焦点を絞り、重く鋭くキレのある剛速球をストライクゾーン目がけて投げ込んで来ています。
スラッシュ・メタルをベースにしつつ、そこにブラック・メタルばりの爆発力、デス・メタルを思わす陰惨なヘヴィネス、プログレ/テクニカル・メタル調の壮絶なダイナミズム渦巻く曲展開をブッ込んだサウンドが、激情迸るシャウトVoと、扇情的なフレーズを次々打ち出すツインGとを伴って、怒涛の如く進撃。
微笑ましさが先立ったデビュー当時から、作を重ねる毎にオールドスクールなスラッシュ・テイストは薄まって来ているのですが、要所を締めるハイスピード・ナンバー①④⑦を手始めに、ここまでイカした「WARBRINGER流HM」を確立されてしまったら、最早グゥの音も出ませんわ。特にそれが顕著に表れたのがラストを〆る⑧。通常10分を越える大作なら、クリーンVoやらオーケストラの導入やら色々と考えそうなもんですが、その手のギミック一切なし。というか疾走パートすら排して、ひたすら悲壮なメロディと重厚な曲調の深みで聴かせきる手腕からは、本格派の威厳すら感じられる気が。(DEATHとCORONERの名曲⑨⑩のカヴァーも、本作のルーツを開示していて非常に秀逸)
妙に引っ込み思案で迫力を欠くDsが少々気になるとはいえ(プレイのせいなのか音作りのせいなのか)、ともあれ頻発するメンバー・チェンジにもめげず、バンドを牽引し続けるリーダ、ジョン・ケヴィル(Vo、G)の踏ん張りに心からの称賛を送りたくなる1枚ですよ。


CHATEAUX - Highly Strung - Highly Strung ★★★ (2017-04-18 23:36:23)

浮遊するGサウンドによるイントロで引き絞られた緊張感が
一気に解き放たれるように疾走へと転じるOPナンバー。
リヴァープの掛け過ぎで生々しい熱気を削がれてしまった
Voプロダクションは頂けませんが、それを差し引いても
ストレートに疾駆する楽曲のカッコ良さは
OPナンバーに相応しいものがあるのではないかと。


CHATEAUX - Highly Strung ★★★ (2017-04-18 22:53:38)

結構最近までバンド名をどう読むのか知らなかった(辞書引けよ)ティム・ブロウトン率いる英国のHMトリオが’85年に発表し、ラスト作ともなった3rdアルバム。ちなみにバンド名は「シャトー」と読む。お城を意味するフランス語で、日本だと安アパートが時々名乗っていたりするアレですね。
今回もEBONY RECORDSからのリリースですが、前2作に比べるとプロダクションが改善。埃っぽいラフネスやササクレ感が減少し、よりカッチリと整合性を増したサウンドは、NWOBHMというよりは「パワー・メタリック」と表現したくなる厚みと緊張感を獲得。リヴァープ過多なVoの音作りは、折角のクリス・メイソンの熱いシャウトから生々しさを奪っているようで戴けませんが、それでもティム・ブロウトン(G)がクリエイトする徹頭徹尾HM!なパワー・チューンが放つ熱気は相変わらずムンムン。特にエフェクトのかけられたGサウンドがグルグル浮遊するイントロを、鋭利なリフと豪快に打ち鳴らされるリズムとがブチ破って疾走を開始するOPナンバー①のカッコ良さにゃ、メタル魂にガンガンにガソリンを注ぎ込まれる思いですよ。
以降も、ティムのギタリストの才能を凝縮したかのような攻撃的インスト曲④あり、緩急を効かせた⑤あり、タイトル通りアッパーに駆け抜ける⑦あり、重厚に押し出す⑧あり…と、最後まで高いテンションを保ったまま完走。贅沢が許されるなら後半にもう1曲ぐらい問答無用でブッ飛ばすスピード・ナンバーが欲しかったところですが、ともかくCHATEAUXの有終の美を飾るに相応しい1枚であったことは確か。再結成したりしねえのかなぁ。


CHATEAUX - Firepower - White Steel ★★★ (2017-04-17 23:38:01)

スピードは然程でもないのですが、鬼のようなGリフの刻みっぷり
は殆どスラッシュ・メタルの領域に半身を突っ込んでいますね。
それでいて、アグレッシブな曲調を突いてぐぐっとせり上がってくる
Gソロは実に情熱的でエモーショナル。
ティム・ブロウトンの動く姿は見たことがないのですが、
何となく「顔で弾く」タイプのギタリストっぽいなぁと。