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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1801-1900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1801-1900

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LIZZY BORDEN - Visual Lies ★★★ (2017-11-23 10:01:00)

《その血管は電線、その脳はブラウン管、テレビが生んだ虚像の怪人。奴の名は「オブリビオン」》…みたいな体で、リジー・ボーデン(Vo)が考案した新キャラのドヤ顔がアートワークを飾る、「視覚」に関するコンセプト作でもあるという、’88年発表の3rdアルバム。
ジャケットがインパクト大なだけに、音の方も負けず劣らず過激になっているのかと思いきや、別にそんなことはなく。マックス・ノーマンがプロデュースを手掛けたことで音作りはスッキリと垢抜け、これまでに比べ荒削りな部分が研磨された楽曲も、よりキャッチー&メロディックに聴き易さマシマシ。お馴染みの甲高いハイトーンのみならず、低~中音域まで、高低差を活かした歌唱に安定感が出て来たリジーのシンガーとしての成長ぶりも、アルバムの洗練された印象に拍車を掛けてくれています。
聴き始めこそ、破天荒さが薄まったように感じられ「小粒になっちまったなぁ」と物足りなさを覚えたものですが、本編が進行すると、後にオジーのバンドに参加するランディ・ローズ門下生ジョー・ホルムズを片翼に、シャープに踊る2本のGに率いられ疾走する④(邦題“視覚泥棒”)辺りからテンションが急上昇。以降は、メロディアスなミッド・チューン⑤、映画『ハロウィン』のテーマ曲を意識していると思しき⑦(邦題“蠅の大王”)、エピック・メタルばりの重厚さでトリを飾るドラマティックな⑨…と、名曲・佳曲が連打される本作を聴き終えた後の満足度は、傑作と評判の前作にだって引けを取るモノではありません。ポップなACCEPT風の①、哀愁漂う③、キャッチーに弾む⑥なんかも、聴き馴染むとこれはこれで素晴らしいですし。
正に、脂が乗り切った時期のLIZZY BORDENの実力が如何なく発揮されている充実作。


STEELHEART - Steelheart - She's Gone (Lady) ★★★ (2017-11-21 23:37:56)

歌詞だけ取り出せば、ポップ・メタルにありがちな
失恋ソングなのですが、ピアノ、ギター、ハイトーンVoが
泣いて泣いて泣きまくる壮絶なまでの涙腺への食い込みっぷりは
「ありがち」どころじゃ済みません。どんだけ手酷く振られたんだよと。
振られた上に借金背負わされ、同棲してたアパートの家財道具を
全部持ち逃げされて置手紙で「新天地で新しい彼氏と幸せになります」
と書き残されたぐらいの壮絶な絶望感が伝わって来るかのようですよ。


STEELHEART - Steelheart - Rock 'n' Roll (I Just Wanna) ★★★ (2017-11-21 23:26:34)

メタリックなGリフに超絶ハイトーンVoが被さって
リズムが疾走を開始した瞬間に「よし、星三つ!」となる名曲。
このハード・ナンバーからドラマティックな名バラード
“SHE'S GONE”へと繋がって行く流れだけでも
アルバム『STEELHEART』を購入する価値があるのではないかと。
Voにメラメラとライバル心を燃やすかの如く弾き倒すGも痛快です。


STEELHEART - Steelheart ★★ (2017-11-21 23:22:00)

嘗て『ロック・スター』なる映画が公開されまして。無名の新人リッパーがJUDAS PRIESTのフロントマンに大抜擢されたサクセス・ストーリーを元にしておきながら、当のメタルゴッドから無関係を宣言されるぐらい、まぁメタル愛が感じられないこと夥しい作品でした。内容に文句タレ始めると際限がないのでさておき、その劇中「物凄いハイトーンが出せる」という設定の主人公の歌の吹替を担当していたマイク・マティアヴィッチ。その彼がフロントマンを務める米コネチカット出身の5人組で、ここ日本ではデビュー早々に中野サンプラザで初来日公演を成功させるぐらいの人気者だったSTEELHEARTが'90年に発表し、ゴールド・ディスクを獲得するヒットとなったデビュー作がコレであります。
特に9曲目に収められている“SHE’S GONE”の名曲っぷりはつとに有名で、この泣きとドラマに満ちた欧州風味薫るバラードを聴かせて貰い、速攻アルバムを買いに走ったら、その“SHE’S~”以外はノリ重視のアメリカ~ンな楽曲で大半が占められていて「えー…」と何やら釈然としない気持ちになった方も多かったとか。(いや俺のことですが)
ただそれを差し引いても、やはり“SHE’S~”は一聴の価値がある名曲ですよ。またその前に置かれ、Gが派手に弾きまくるメタリックな疾走ナンバー⑧のカッコ良さや、シングル・カットされ全米14位とスマッシュ・ヒットとなった④もなかなかの出来栄え。何より、いずれの楽曲においても目の覚めるようなハイトーンを轟かせるマイクの歌唱がやはり圧巻。彼の歌と上記の楽曲目当てで本作を購入しても、決して損したとは思わないのではないでしょうか?当時売れまくった作品ゆえ、中古盤が格安価格で購入可能ですしね。


TANE CAIN - Tané Cain ★★★ (2017-11-20 23:20:06)

JOURNEYを支えるKey奏者にして、稀代のソングライターでもあるジョナサン・ケイン。その奥方だった(当時)トーニー・ケインが、旦那とキース・オルセンのプロデュースを受けてRCA RECORDSから'82年に発表したソロ・デビュー作。(邦題は『抱きしめて』)
JOURNEYに通じるポップでメロディアスなAOR/産業ロック・サウンドを聴かせてくれる作品で、一流のスタッフ・ワークと、ニール・ショーンら多彩なゲスト陣がそれをバックアップ。その上ジョナサンが全面的な楽曲提供を行っているとあれば、収録曲の粒の揃い具合は疑う余地なし。Mr. MISTERのリチャード・ペイジ(Vo)とのデュエット・バラード⑥には、後の売れっ子プロデューサー、ボー・ヒルの名前も見つけられたりして、そりゃあこんだけ4番バッターが揃っていれば凡打になるわけがありませんよ。
本作のヒロインたるトーニー・ケインも、ハイクオリティな本編に対して聴き劣りしない、素地のしっかりとした歌唱力を披露。哀愁に彩られたキャッチーなメロディを時に伸びやかに、時にしっとりと歌い上げています。特にシングル・カットもされた①⑤は流石の出来栄えで、アルバム表題曲でもある後者は、全米チャートTOP40に食い込むスマッシュ・ヒットを記録しています(最高位は第38位)。ちなみに'84年発表のJOURNEYの代表作『FRONTIERS』に収録されている、ジョナサン作曲の名バラード“時への誓い”は、この曲に対するアンサー・ソングになっているのだとか。ご馳走様。
残念ながらアルバム自体のセールスは振るいませんでしたが、「本業の片手間仕事」「女優の自己満足」と侮ることなかれ。メロディ愛好家から支持されているのも納得の名盤ですよ。


TANE CAIN (2017-11-20 23:17:52)

本名はトーニー(正確な発音は「ターニー」)マクルーア。芸能一家に生まれ、幼少時から女優業をスタートさせる傍ら、70年代にはラテン・ジャズ・バンドを始め、音楽活動も行っていたという。70年代終盤にBABYS時代のジョナサン・ケインと出会い、結婚。
モデル級の美貌に確かな歌唱力、そしてミュージシャン人脈を併せ持つ逸材としてRCA RECORDSの接触を受け、'82年にセルフ・タイトルのアルバムでソロ・シンガーとしてデビューを飾る。
2ndシングル『抱きしめて』がTOP40にランクインするヒットとなるも、アルバム自体はチャート100位圏内に入ることも叶わなかった。(最高第121位)
'84年にはターニー・ケイン&トライアングルズ名義で映画『ターミネーター』のサントラに楽曲提供も行っている。(サラ・コナーとターミネーターの初遭遇シーンのバックで流れている曲がそれ)


REVOLUTION SAINTS - Light in the Dark - Freedom ★★★ (2017-11-19 22:24:35)

作詞・作曲からGソロまで、ディーン・カストロノヴォが
ほぼ独力で書き上げたというミッド・チューン。
重厚なヴァースから、雄大な広がりを感じさせるサビメロへと
繋がって行くメロディ展開も秀逸で、
ディーンの「やる気」がヒシヒシと伝わって来るかのような出来栄えです。


REVOLUTION SAINTS - Light in the Dark ★★★ (2017-11-19 22:17:37)

「歌って叩ける実力派ドラマー」として順風満帆のキャリアを歩んでいたディーン・カストロノヴォでしたが、薬物及びアルコール依存と婚約者への家庭内暴力が発覚したことで運命は暗転。築き上げてきたキャリアは一夜にして完膚なきまでに失われてしまいました。まぁ完全に自業自得であり、事件に関しては全く同情はしておらんのですが、しかしその才能を惜しまずにはいられない身としては、彼氏がリハビリ施設に入って酒とヤクを絶ち、婚約者との関係修復も図り、その上でこのREVOLUSION SAINTSの2ndアルバムで更生の第一歩を踏み出したというならば、応援しないわけにはいきますまい!と。
再出発を祝うように、ダグ・アルドリッジ(G)、ジャック・ブレイズ(B)ら、お馴染みの面子が全員集結して、抒情メロディが華麗に舞うメロディックHRという、デビュー作で確立したサウンドもしっかりと踏襲。但し多数の作曲家が起用されていた1stに対し、今回の収録曲はプロデューサー兼Key奏者のアレッサンドロ・デル・ベッキオとメンバーの共作曲のみ。何より溜め込んでいた鬱憤を晴らすかの如く、本作ではよりハード・ロッキンな方向性が志向されていて、お陰で「バンド感」は過去最高をマークする一方、ことメロディについては“YOU’RE NOT ALONE”と“HERE FOREVER”という年間ベスト級の名曲が揃っていた前作比だと、少々フックが弱く感じられてしまうという。
いやそれでも、重厚な②や、ダグのGがフラッシーに駆け巡るハード・ナンバー③等、疾走曲から美しいバラードまで、優れた楽曲が目白押しの本作が、そこいらのメロハー物とは勝負にならないぐらいの完成度の高さを誇っていることは疑う余地はないんですけどね。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - Sea of Blood ★★★ (2017-11-18 09:40:14)

ノイジーな音色で破壊的に刻まれるGリフがド迫力。
ズドドドッと地響きと共に疾走疾走また疾走な曲調を、
どっしりと支えるドラムの抜群の安定感も
この曲(のみならずアルバム全体)の肝になっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - They Lie ★★★ (2017-11-18 09:36:05)

血管ブチきれそうな勢いでガナりたてる怒声Vo、
ガリガリと鼓膜に突き立つGリフ、猪突猛進のリズム、
その合間を縫って迸るGソロとが、3分弱の
ランニング・タイムを一気呵成に走り抜ける。
パンク?ハードコア?クロスオーバー?
いやいや。SLAYER型スラッシュ・ソングの名曲ですよ。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards ★★★ (2017-11-18 09:30:51)

名前は知っていても、まともに聴いたことはないパンク・バンドってのは結構多く、UKハードコア/パンク界のリビング・レジェンドこと、ワッティ・バカン(Vo)率いるTHE EXPLOITEDもそうしたバンドの一つ。なので彼らが’96年にMUSIC FOR NATIONSからリリースしたこの12thアルバム(多分)を初めて耳にした時はビックリでしたよ。ガリガリと鼓膜を引っ掻くGリフ、性急に突っ走るビートを抜群の安定感で支えるリズム隊、各曲にフィーチュアされ威勢よく迸るGソロ、怒りに満ちた咆哮で聴き手をアジテートしまくるVo等々。こりゃまた何とイカしたクロスオーバー・スラッシュか…というか、これってもう普通にカッコイイ、ストレートなスラッシュ・メタルの快作じゃん!と。
特に純粋な賛辞として「まるでSLAYER」という言葉を贈りたくなる⑥⑪はスラッシュ魂が燃え上がらずにはいられない名曲。当時流行のキーワード「ラフ&スポンテニアス」を言い訳にせず、しっかりと作り込んだ肉厚なプロダクションも、収録曲が放つ剣呑な殺気と迫力を効果的に倍加してくれています。(プロデュースはコリン・リチャードソンが担当)
このアルバムが発表された'96年頃といえば、モダン・ヘヴィネス・ブームの直撃でスラッシュ・シーンはスピードダウン著しく、またパンク・シーンはもっとポップでメロディアスな音が主流なりつつあった時期。本作はその只中にあって「るせぇ!そんなん知るかボケェ!」とばかりに、両者に中指突き立てて我が道を貫き通す、まさしくパンクな姿勢と、スラッシーなアグレッション/スピード感が全編に亘って横溢した力作に仕上がっています。


CORONER - No More Color - D.O.A. ★★★ (2017-11-16 23:45:14)

イントロだけで三ツ星級の名曲であることを確信。
奇想天外且つ流麗なリフとメロディ、
変拍子山盛りのリズムが嵐の如く吹き荒ぶ、
CORONERの個性爆発な名曲。
安易に大作にせず、タイトに5分以内にランニング・タイムを
まとめるセンスも買い。


SADUS - Chemical Exposure - Undead ★★★ (2017-11-15 23:53:44)

ダハハ、速ぇー速ぇー
というのが初めて聴いた時の感想でした。
Voと楽器隊が一丸となってキチGUYの如く激走を繰り広げるのですが
突っ走った爽快感よりも、何やら病んでそうなというか闇抱えていそうな
雰囲気漂わす辺りが、彼らがデス・メタル分類で語られる機会の多い理由でしょうかね。


CORONER - No More Color ★★★ (2017-11-15 23:32:47)

スイスの技巧派トリオが'89年に発表し、リアル・タイムで初めて聴いた彼らの作品となった3rdアルバム。ちなみにCORONER作品ジャケットに毎回印刷されている黒塗り模様は、日本盤の「帯」にインスパイアされたデザインなのだというプチトリビア。
ジャズの素養を持ち、トリッキーなリフを刻む一方でネオ・クラシカルなメロディも流麗に紡ぐG、変拍子と起伏だらけの曲展開を一部の隙もなく支え、実はリード楽器の役割を果たしているDs、そのGとDs両方に寄り添い変幻自在に動き回るBと、当時最上クラスの技量を誇る楽器陣が、さながら暴風の如く猛威を振るうインテレクチュアル・スラッシュ・メタルに、聴き手はただただ濁流に飲まれた木の葉のように翻弄されるのみ。
スラッシーなアグレッション以上に、研ぎ澄まされたメンバー間のテクニカルな応酬にサウンドの焦点が絞られた今作は、発表時は「テクニカル・メタル方面に突き抜けたCELTIC FROST」とも、「スイスのWATCHTOWER」とも評されましたが、今聴き直すと、複雑精緻に編まれたアンサンブルの中で欧州的ダークネスと耽美性を宿したメロディ・センスが鮮烈に息衝く様からは、DEATHの名作『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』に通じる激と情のドラマが感じられたり。特に全楽器が爆発的に疾走した瞬間アドレナリンが噴出する③、劇的なイントロだけでその名曲っぷりを確信させられる④はアルバムの白眉。
物凄い音数が詰め込まれ/荒れ狂うサウンドはお世辞にもキャッチーとは言い難いものの、孤高のインテレクチュアル・スラッシュ・メタル・スタイルが極まったCORONERの代表作として、間違いなく一聴の価値がある名盤ではないかと。


CORONER - Punishment for Decadence - Arc-Lite ★★★ (2017-11-14 23:05:40)

ネオクラシカルなGと、前へ前へと出て来るドラムが
火花バチバチの主導権争いを繰り広げながら
スリリングに突き進む様にグイグイ引き込まれます。
その両者の接着剤的役割を果たすBもテクニシャン。
歌の不在がまったく気にならないインストの名曲ですね。


CORONER - Punishment for Decadence ★★★ (2017-11-13 23:02:11)

オーギュスト・ロダンの代表作『地獄の門』(の一部)がアートワークにあしらわれている、スイスのスラッシュ・メタル・トリオ、’88年発表の2ndアルバム。
高度な演奏技術が狂い咲く、複雑精緻な構築美を有するサウンドはMEGADETHやWATCHTOWER等に通じるインテレクチュアル・スラッシュ(当時はテクノ・スラッシュとも)で括られるスタイルながら、そこに師匠筋であるCELTIC FROSTから受け継いだ禍々しい暗黒色のトーンと、欧州HM流の美意識に裏打ちされた抒情メロディが組み合わさることで、他に類を見ないCORONER独自の音楽性が屹立。
Voの不在を埋めるようにGが歌いまくるネオクラ路線のインスト曲④、爆発を繰り返しながら終局へ向かって昇り詰めていく⑤、メロディック・ブラック・メタルを先取りしてしまったような⑧、ジミヘンの代表曲“紫の煙”をCORONER流にカヴァーしてみせた⑩…といった優れた楽曲の数々が並ぶ本編は、次作『NO MORE~』で頂点に達する(そして4th『MENTAL VORTEX』以降は逆に抑え気味になっていく)テクニック至上主義と、ユーロ・スラッシュならではのダークネスや攻撃性が、グッとくる適切なバランスで組み上げられています。安易に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も好印象ですよ。
スラッシュ・メタル愛好家にはまず本作をお薦めしたい次第。…というか、本作と次作がカップリング仕様のお得な日本盤を買うのが最良の道ですわな。
マイケル・アモットがCORONERの存在にインスパイアされたことを公言しているのは納得ですし、最近のバンドならVEKTORとかも彼らの存在抜きには語れませんよねと。


LICH KING - The Omniclasm ★★★ (2017-11-12 23:00:25)

米スラッシュ・メタル・シーンの中堅選手となったマサチューセッツ州の5人組が、前作から5年ぶりとなる’17年に発表したニュー・アルバム。
間にシングルやEPのリリースがちょくちょく挟まれていたので、然程待たされた気はしないとは言え、何故こんなにブランクが空いてしまったのか?その理由は…いや全然知らんので誰か教えて欲しいぐらいなのですが、もしかすると本作発表後間もなく、これまでバンドの創作面を一手に担ってきたオリジナル・メンバーである、トム・マーティン(Vo)が脱退してしまったことと何か関係あんのか?と。つかLICH KINGの明日はどっちだ。
とまれ、音楽性の方は何一つ変わっちゃいません。どこかファニーな雰囲気も撒き散らす③や、7分以上の長尺が(全く走ることなく)重厚に迫り出して来る70年代HR風味の⑧辺りは今回の新機軸と言えるかもしれませんが、ラフネス優先の音作りの下、間断なく刻まれるササクレたGリフ、突き動かされるように走り回るリズム、その上でひり出されるハイテンションなシャウトetc.と、基本的なサウンドは、ほぼほぼこれまでのスタイルを固守。全方位にちょっかい掛けていく姿勢も健在で、特に今回のヒットは“CROSSOVER SONGS ARE TOO DAMN SHORT”なるタイトルからして最高な⑥ですかね。(ちなみに彼らはD.R.I.の楽曲をカヴァーしているぐらいの彼らのファン)
本編の最初と最後をサンドイッチし、アグレッシブなだけでなく、そこはかとないドラマ性もその身に纏わせたLICH KINGシリーズ最新作②⑩や、切り裂くように突っ走る⑨等、信頼のブランドとしてスラッシュ愛好家の期待にきっちりと応えてくれる1枚。


LICH KING - The Omniclasm - Lich King VI: The Omniclasm ★★★ (2017-11-12 22:59:09)

ラストに鎮座まします、ファンにはお馴染みLICH KINGシリーズ最新曲。
6分越えの長尺が物語る通り、スラッシュ・ナンバーとしての
攻撃性や疾走感は十二分に保ちつつ、アルバムの締め括り役に相応しい
ツインGを有用してドラマ性とスケール感もさらりと漂わす
堂々たる名曲に仕上がっています。


LICH KING - The Omniclasm - Crossover Songs Are Too Damn Short ★★★ (2017-11-12 22:40:42)

“クロスオーバー・ソングはどれもクソ短い”の
タイトルに相応しく、1分ちょいのランニング・タイムを
畳み込むように突っ走るクロスオーバー・スラッシュ然とした
アグレッションを発散するスピード・ナンバー。
「クロスオーバー・ソングあるある」が綴られた歌詞も
最高なので、国内盤出して対訳付けて欲しい。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment - Breathe Grease ★★★ (2017-11-11 23:39:52)

のっけからアクセルベタ踏みで突っ走るOPナンバー
彼らが実践する「パーティ・スラッシュ」の何たるかを
余すところなく捉えたバカとアルコールが
ハイテンションで溢れ出すMVも最高です。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment - Under the Waste Command (instrumental) ★★★ (2017-11-11 23:35:27)

イントロとかアウトロの類ではなく、
きっちりと1曲の中に起承転結が仕込まれた
MUNICIPAL WASTEのHMサイドからの影響が
強く打ち出されたインスト・ナンバー。
IRON MAIDENばりにハモりまくるツインGが印象的。


MUNICIPAL WASTE - Slime and Punishment ★★★ (2017-11-11 23:28:00)

‘18年早々に単独での再来日公演が決まっているという、米バージニア州リッチモンド出身の5人組が'17年に発表した6thアルバム。
MUNICIPAL WASTEの作品に触れたのは、日本デビュー作となった3rd『狂気のスラッシュ・パーティー』(’07年)が最初でしたが、以来、彼らの音楽性はずーっと不変。切り返しの鋭いGリフ、名手デイヴ・ウィッテ(Ds)の俊敏なリズム・ワーク、切迫感に溢れたシャウトVo、ところどころで炸裂するユニゾン・プレイがサウンドのメタリックな感触を補強してくれるツインG、2~3分台とタイトにまとめられた楽曲が息継ぐ暇なく次々に畳み掛けて来る本編構成…。アルバムによってハードコア/パンク成分とHM成分の比率に多少の変動はあるものの、クロスオーバー・スラッシュ・メタルという基本スタイルからは微塵たりともブレることなく今日まで至っています。「この人たち、曲作りに関して悩んだことなんて全然なさそう」…と書くと何だかネガティブな意味っぽいので訂正。「こいつら、曲作りに迷いが一切ねえ!」
5年というブランク明けの今回は、どちらかと言えばハードコア/パンク成分に微増傾向が見受けられますが、のっけからフルスロットルでアクセルを踏み込む①、短いながらもイキのいいGソロが迸る③、印象的なツインGハーモニーが聴かれる⑩、そしてIRON MAIDENからの濃厚な影響が息衝くインスト・ナンバー⑬等、スラッシュ・メタル愛好家ならずとも思わず「おっ」と声を上げたくなる楽曲がきちんと要所を押さえてくれています。
来るべき彼らの来日公演に備えて聴きまくるのが、全く苦にならない充実作。


ALCOHOLATOR - Free Beer..... Surf's Up! - Sulfin' Beer ★★★ (2017-11-09 21:46:35)

雄叫び一発。小気味良く回転するGリフと豪快に突っ走るリズムに乗って
ライブじゃ会場が一体となって盛り上がるであろうキャッチーなコーラスが炸裂。
Gソロに、映画『パルプ・フィクション』のOP曲としても有名な
ディック・デイルの“MISIRLOU”を組み込む小技も効いて、
何となくSACRED REICHの“SULF NICARAGUA”リスペクト?
と思わせてくれる名曲です。


ALCOHOLATOR - Free Beer..... Surf's Up! ★★★ (2017-11-08 23:22:36)

アルコール万歳!が徹底されたバンド名・曲名・歌詞、そして「飲めや騒げや」感を前面に押し出した抜けの良いサウンドが、ドイツの酒豪軍団TANKARDを彷彿とさせる(でも出身地はイタリアのサルデーニャ島だという)5人組が'14年に発表した2ndアルバム。キレのある演奏、思わずメートルのアガるキャッチーなコーラス、喉越し爽快。飲み干したらすぐにまたお代わりを所望したくなる後味のスッキリさ加減といい、まさに美味いビールの如きスラッシュ・メタルが醸造された快作です。
クランチーなリフをザクザクと刻み倒す一方、2本のGが紡ぐ欧州のバンドらしい流麗なメロディや、クロスオーバー・スラッシュを思わす前のめりな楽器陣の演奏とが、ビシッと本編に緊張感の糸を通してくれているお陰で、陽性なノリに反して楽曲に緩さや能天気さは皆無。特にドッスンバッタン制御不能の暴れ馬ばりに跳ね回るドラムはこのバンドの大きな武器の一つ。その破壊力は「アルコール!」「レイザー!」コールに導かれ突進を開始するOPナンバー①から早くも全開ですが、中でもお薦めは名曲③。忙しなく動き回るキレッキレなGリフ&リズム、それにディック・デイルの“MISIRLOU”のメロディを引用したGソロを伴う怒涛の突進ぶりには、身の内で燃え盛るスラッシュ魂にガソリン注がれずにはいられませんて。
上記2曲に、ツインGハーモニーが印象的な②を加えた冒頭3曲の畳み掛けが強烈過ぎて、後半の流れにやや尻すぼみ感を覚えなくもなりませんが、それでも収録時間は全10曲で40分ぽっきりというタイトさ。ワッと盛り上げ、悪酔いしてグダグダになる前にさっさと撤収する、腕利き幹事に仕切って貰った飲み会が如き充実した内容を誇る1枚であります。


HAVOK - Conformicide - Masterplan ★★★ (2017-11-07 22:59:38)

インストの前半と爆発的疾走へ転じる後半の二部構成に、
テクニカル且つドラマティックな見せ場を盛り込んで
6分以上の長尺を飽きさせることなく聴かせ切った
アルバム後半のハイライト・ナンバー。


HAVOK - Conformicide - Hang 'em High ★★★ (2017-11-07 22:53:46)

このレベルの楽曲をアルバム毎に用意できるのであれば
HAVOKは今後も安泰だな!と思わせてくれる、
ゴリゴリ鳴りまくるBに引っ張られる形でタイトに
疾走するスラッシュ・ナンバーの逸品。
一緒に叫ばずにはいられないコーラスに血が滾ります。


HAVOK - Conformicide ★★★ (2017-11-06 23:13:44)

‘14年には来日公演も行っているコロラド州デンバーの4人組スラッシャーが、新たにCENTURY MEDIA RECORDSと契約を交わし4年ぶりに発表した4thアルバム。何故にそれほどブランクが空いたのかっつーと、リーダーのデヴィッド・サンチェスがハイキング中に左手首を骨折して9か月以上もギターに触れない時期を過ごしたためだとか。
構築感重視のTESTAMENT型だった1stと2nd、奔放なEXODUS型へとサウンドのマイナー・チェンジが図られた3rdと来て、骨折期間中に味わったフラストレーションもたんまり音の方に込められているという今作は、MEGADETHを思わす展開が多用された⑤を筆頭に、5~7分台と割と長尺めの曲を多数収録する等、まるで全編に亘って派手に鳴らしまくる新加入の腕利きBの存在に触発されたかの如く、テクニカル・メタル寄りのアプローチが目立つ。またVoと2本のGがメロディックに歌う正統派HM風の⑩あり、PANTERAのカヴァーに挑戦してみたりと、曲作りの幅もこれまで以上の広がりを提示しています。
果たして1曲目のグルーヴィなイントロを聴いた時はどうなることかと思いましたが、後に続く②は一緒に叫びたくコーラスを有した血沸き肉躍る名曲。以降も、薄暗い緊迫感を湛えて突っ走る③、緩急を効かせた⑥、切れ味鋭く突撃する⑧といった優れたスラッシュ・ナンバーが要所を締めてくれるお陰で、本編は終始高いテンションを保持。そもそも前述の①からしてイントロが終わった後は激走へと展開していく佳曲なわけで。
聴き終ってみたら「これはこれで非常に優れたスラッシュ・メタル・アルバムであった」と、結局前作を聴いた時と全く同じ結論に落ち着くのでありました。良いですよ、これ。


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... - In München Steht Ein Hofbräuhaus ★★★ (2017-11-05 22:14:20)

邦題は“ミュンヘンにあるのは宮廷ビール醸造所”。
DIOの“STAND UP AND SHOUT”のGリフを借用して
ハードコア/パンクばりに爆走したかと思えば、
ワルツのリズムでステップを踏んだり、
酔っ払い連中が声を合わせて大合唱を繰り広げたりと
酩酊状態を思わせる脈絡もとりとめもない曲展開が、実に楽しい1曲。


TOM ANGELRIPPER - Ein Schöner Tag... ★★ (2017-11-05 00:18:52)

SODOMの首領トム・エンジェルリッパーが'96年に発表した初めてのソロ・アルバム。
ドイツではポピュラーな酒飲みソング(日本で言うとバラクーダの“日本全国酒飲み音頭”みたいな?)のカヴァー集とでもいうべき内容で、全編を支配する酔っ払い独特の陽気なテンションの高さといい、全曲ドイツ語で歌われる歌詞といい、SODOM的要素は全く期待できそうにない…と思いきや、いやいや。なかなかどうして。
名手ヨルグ・マイケル(他にもアクセル・ルディ・ペルやピーヴィ・ワグナーがコーラスでゲスト参加)によるキレのあるリズム・ワークの上に、トムの特徴的な濁声シャウトが乗っかると、「SODOMがカヴァーするハードコア/パンク/ロックンロール・ソング」的趣きが濃密に漂い、これはこれで存外カッコイイのですよ。MOTORHEADばりの突撃ナンバー⑥や、スピード・メタリックなGリフに、酔っ払いらしい脈絡無用な曲展開がブッ込まれた⑪なんかはその筆頭。歌い継がれるポピュラー・ソングだけあって、陽気な歌メロは思わず一緒に歌いたくなるキャッチーさですし、各曲に振られたゴキゲンな邦題と会わせて、本作に充満する無暗矢鱈にアッパーな雰囲気を盛り上げることに大きく貢献しています。
本作を聴いていて思い出したのが、独スラッシュ・シーンの兵どもが一堂に会して、超有名なクリスマス・ソングの数々をウキウキでカヴァーしたX’MASS PROJECTのこと。歌ってる最中にシンガーが我慢できずに吹き出したりする、あの(良い意味で)テキトーなノリがツボにハマった方や、「ヘベレケなTANKARD」聞いて興味が沸く向きには、お試しいただく価値が大いにある1枚ではないかと。


OBSESSION - Scarred for Life - Tomorrow Hides No Lies ★★★ (2017-11-03 02:03:53)

アメリカのバンドとは思えぬ哀愁のメロディと泣きのGが
6分以上に及ぶ長尺の曲展開をドラマティック且つ
エモーショナルに盛り上げる、アルバムの締め括り役に
相応しい激情のバラード。
この頃からすでにマイクの歌の巧さは光っていますね。


OBSESSION - Scarred for Life - Bang 'em Till They Bleed ★★★ (2017-11-03 01:55:52)

疾走するリズムに乗って鋭角的に刻まれるGリフに、
キャッチーなサビを熱く歌い上げるマイク・ヴェセーラのシャウト、
そして劇的にハモりながら駆け抜けて行くツイン・リードGと
高濃度のHMエキスがギュギュっと濃縮された
アメリカン・へヴィ/パワー・メタル・ナンバーの逸品。


OBSESSION - Scarred for Life ★★★ (2017-11-01 23:56:32)

後にLOUDNESS~イングヴェイのバンドに参加。近年はANIMETAL USA他の活動で知られるマイク・ヴェセーラ(Vo)を輩出したコネチカット州ニューヘブン出身の5人組が、当時POISONやSTRYPERを擁しHR/HMシーンでブイブイ言わせてたENIGMA RECORDSと契約を交わし、'86年に発表した1stフル・アルバム。
OBSESSIONの最高傑作と評判の2nd『狂気の方程式』(’87年)と比較すると、プロダクションは貧相ですし、メンバーのパフォーマンスも楽曲も、まだまだ荒削り。しかしながら、神秘的なイントロを蹴破ってパワフルに突き進み始める「う~ん、メタル!」なOPナンバー①を皮切りに、「歌うマーシャル・アンプ」と評されたマイクのVoと、鋼色の光沢を放つ2本のGの絡みを前面に押し立てたパワー全開のサウンドは、IRON MAIDENやJUDAS PRIESTの薫陶を受けたと思しき混じりっ気なしの正統派へヴィ/パワー・メタル路線が力強く見据えられていて、ポップ・メタル全盛のこの時期にあっても売れ線になんぞ目もくれない、迷いのない立ち姿は「天晴」の一言に尽きますよ。何より本編全体が荒削りであるからこそ、アメリカのバンドらしからぬ暗さ/重さ/アグレッションが牙を剥くOBSESSION独自の個性が際立つという。特に、スピーディな曲調に劇的なツイン・リードGが絡む⑤、マイクの熱唱がドラマティックな曲展開を一層盛り上げる6分以上に及ぶラスト・ナンバー⑩は、彼らの個性がガッチリ刻印されたメタル者の胸を熱くする名曲です。
初期CHASTAIN、LETHERWOLFの2nd、デヴィッド・ウェイン時代のMETAL CHURCHを愛する向きには、聴かずに捨て置くのは言語道断な力作。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation - Tainted Past ★★★ (2017-10-31 23:16:36)

なんということでしょう。この名曲が得票数ゼロとは。
オリジナルデモからデイヴのGソロがフィーチュアされている上に、
楽曲自体も軽快なリズム・ワークといい、その上に乗る
仄かな哀愁を湛えたメロディといい、アルバム後半のハイライト役を担う
素晴らしいクオリティを誇っているのではないかと、個人的には思う次第。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation - Another Day ★★★ (2017-10-31 23:08:52)

叙情的に揺らめく前半から激熱なツイン・リードGを経て
劇的に盛り上がっていく曲展開と、己の死と直面した
デイヴの綴った歌詞とが組み合わさって、
悲壮なドラマ性をより一層盛り上げる、
アルバム前半のハイライトを飾る名バラード。


ARMORED SAINT - Symbol of Salvation ★★★ (2017-10-30 23:05:59)

'90年に入ってバンドのオリジナル・ギタリストだったデイヴ・プリチャードが白血病で死去。耐えがたい悲劇を前に「バンド解散も止む無し」といった諦めムードが支配的だったと聞くARMORED SAINTですが、昔からの友人であるMETAL BLADE RECORDS社長ブライアン・スラゲルを始めとする多くの人々のバックアップを受けて発奮。’91年にこの4thアルバムを発表しました。
ジョン・ブッシュの――好き嫌いは分かれるけど――特徴的な野太いVoと、フィル・サンドヴァル&ジェフ・ダンカンが織り成すツイン・リードGを基軸に展開されるサウンドは、これぞARMORED SAINT!という覇気に満ちた正統派HM。但し欧州由来の湿り気や疾走感、あるいは格調高いドラマ性といった要素は希薄で、それよりもへヴィでグルーヴィなノリが勝っている辺りはやはりアメリカン・パワー・メタル・バンドですなぁと。
個人的には、彼らの作品は好きな曲とそうでもない曲がハッキリと分かれるため、アルバム単位より楽曲単位で付き合うことが多いのですが(申し訳なし)、パワフルなOPナンバー①に始まり、死に直面したデイヴが綴った歌詞が涙を誘う劇的なエピック・チューン⑥⑦のメドレー、キレのあるパワー・ナンバー⑩、そしてデイヴが残したGソロがオリジナル・デモからフィーチュアされている⑫…と、テンション高い名曲が並ぶ本作は、ARMORED SAINTのカタログの中にあって1、2を争う充実した内容を誇っているのではないかと。
「デイヴ・プリチャードに捧げるに相応しいアルバムを作り上げたる!」という、メンバーの気迫の漲り具合に、聴いていて思わず背筋が伸びる思いの1枚ですよ。


LION - Dangerous Attraction - Shout It Out ★★★ (2017-10-29 23:13:36)

切り裂くように刻まれるGリフのカッコ良さにメタル魂が燃え上がります。
ライブではさぞかし盛り上がったであろうキャッチーなサビも熱い。
“NEVER SURRENDER”と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
こうしたハードな楽曲でアルバムを締め括る姿勢も「買い」ですよ。


LION - Dangerous Attraction - The Transformers (theme) ★★★ (2017-10-29 23:09:21)

劇場版アニメ「トランスフォーマー」主題歌。
勇ましく、キャッチーで良い曲ですよね。
'93年に再発された『DANGEROUS ATTRACTION』の
スペシャル・エディション盤にボーナス・トラックとして追加収録されていました。
LIONは映画主題歌や挿入歌をぼちぼち手掛けているのですが
メジャーでの大ヒットが見込めないB級アクション、ホラー、アニメと
ジャンルが見事に偏っていて(作品自体の出来はさておき)
マネージメントやレコード会社の援護の弱さが透けて見えてしんみりしてしまうという。


LION - Dangerous Attraction ★★★ (2017-10-29 00:43:03)

不幸の波状攻撃に翻弄されながらも立ち向かう、大映ドラマのヒロインばりに健気な姿(?)が日本のHR/HMファンの胸を打ったBIG IN JAPAN筆頭LION、'87年発表の1stフル。(国内盤は『宿命の砦』なる副題あり)
とは言え、彼らが判官びいきのみで人気を集めたわけじゃないことは、タレント揃いのメンバーと、彼らによってクリエイトされる高品質な楽曲の数々からも明らか。元TYTANの英国人シンガー、カル・スワン(Vo)の情念迸るディープ・ボイスを活かしたサウンドは、基本的にはWHITESNAKE辺りからの影響を伺わせるヒンヤリとした哀感を身に纏うブリティッシュHMなのですが、そこにメタリックなエッジの鋭さや、ライブでの大合唱を誘うキャッチーなコーラス・ワーク、そして若きギター・ヒーロー、ダグ・アルドリッジのフラッシーなGプレイといった、LAメタル仕込みの華やかなエッセンスが加わることで、英米混合バンドたるLIONならではの個性が眩い輝きを放ちます。
特にアップテンポのHMナンバー④は必殺の名曲。今は亡き日曜洋画劇場で繰り返し放送されていたB級アクション映画『処刑ライダー』劇中歌で、LIONの存在なんぞまるで知らなかった時分から「イカス曲だなぁ!」と痺れまくっていただけに、これが彼らの手による楽曲だったと知った時は感激もひとしおでしたよ。他にも重厚な②、バンドの代表曲のリメイク⑥、ブリティッシュ・ボイスが冴え渡る⑦、本編ラストをアグレッシブに締め括る⑨と、収録曲はどれも逸品ぞろい。いや、もしかすると今日びの若いリスナーには地味に響くやもしれませんが、そこで手放なすのはぐっと堪えて、もう数年熟成させた後で改めて聴き直してみると、芳醇な味わいに気付いてガツンとやられることも案外あるのではないかと。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Holding On ★★★ (2017-10-27 00:10:50)

初めて聴いた時はイングヴェイ時代を思い起こさせる
ドラマティックな泣きに満ち溢れたバラードだと思いましたが
言われてみると確かに初期TENっぽい叙情性も感じられますね。
ここでもGが実に良い仕事をしてくれています。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - I Want to Take You Higher ★★★ (2017-10-27 00:08:12)

しっとりとした楽曲だけでなく、
こうした黒っぽさ全開でアゲアゲに攻めて来る
ロック・チューンも歌いこなせるのがジェフの強み。
ファンキーなリズム感が冴え渡ります。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Heaven Knows ★★★ (2017-10-27 00:00:17)

「歌うめぇー」と聴き惚れているうちに
毎度楽曲がエンディングを迎えてしまっているという名バラード。
ジェフの歌の上手さは勿論のこと、コンポーザーとしても
その才能に脱帽です。↑の方が仰られる通り、Gソロも沁みます。


JEFF SCOTT SOTO - Prism ★★★ (2017-10-25 22:45:50)

これまで数多のバンド/プロジェクトをマイク片手に渡り歩き、様式美HMからメロハーまで「何でもこざれ」で歌いこなしてきた実力派シンガー、ジェフ・スコット・ソートが'02年に発表した、ソロ名義では8年ぶりとなる2ndアルバム。
本作で聴けるのは、まさにアルバム・タイトルを地で行く「プリズム」の如き煌めきを放つ、美しく抒情的なメロディアスHRサウンド。JOURNEYの名曲“SEND HER MY ANGEL”のカヴァーも含め、まるで喉を傷めてバンドを脱退したスティーヴ・オウジェリーの後任として、数年後にジェフ自身がJOURNEYに参加することとなるのを予感させるような作風と言うべきか。そんなわけで、OPナンバーらしい躍動感溢れるエネルギッシュな曲調に、テクニカルなGプレイが華を添える①にて幕が上がる本編は、バラード~ミディアム・テンポのナンバーを中心にじっくりと「歌」を聴かせに掛かる構成で、RISING FORCE時代のような様式美HM路線を期待する向きにうっちゃりをカマしてきます。
しかしその一方、感動的な盛り上がりっぷりが胸を打つ②、黒っぽさ全開で、グレン・ヒューズにも匹敵するんじゃなかろうか?というファンキー且つソウルフルなフィールが痛快な⑤、打って変わって哀愁ダダ漏れのドラマティックな(イングヴェイ時代を思い起こさせる)⑥等々、収録楽曲の曲調は結構多彩。その上、それらを歌い上げるジェフの熱くエモーショナルな歌唱がサウンドに陰影とダイナミズムを付与してくれているため、右から左へまったりと流れて行ってしまうような緩さは皆無という。
ソングライターとしてもジェフ・スコット・ソートの才能が存分に発揮された1枚ですね。


Fatal Attraction - End of Regulation Time - Message from the Past ★★★ (2017-10-25 01:49:37)

ハーモニーが立体的に舞い、
曲展開は華麗にしてドラマティック、
尚且つメロディは北欧メタルらしい冷ややか哀感を宿しているという
まさに北欧版NEW ENGLANDと評したくなる名曲であります。
後に続く“THE CURSE OF Mr. FUTURE”と“GOOD TIMES, BAD TIMES”の
2曲と併せて一つの組曲としてお楽しみください。


Fatal Attraction - End of Regulation Time ★★★ (2017-10-25 00:42:07)

バンドについては殆ど何も知らんのですが(他グループで活動していたりするメンバーがいるわけでもなし)。中古盤屋で安く売り出されているのを見つけたのと、《北欧より届いた夢幻の調べ――》なるこっちの食指をそそる帯惹句、あと国内盤の解説を平野和祥氏が書いてることに興味を惹かれて、「まぁ酷い作品ってことはないだろう」と試しに購入してみたらこれが大当たりだった…というスウェーデンの5人組が'96年に発表した1stアルバム。
基本的な音楽性は、北欧産らしい透明感と哀感を宿したハードポップ。そこにプログレ・タッチのKeyワークやドラマティックな曲展開等の凝ったアレンジの数々、更にはほぼ全編に亘りフィーチュアされているストリングス(本物)が加わることで、クラシカルな気品も漂わす、このバンド独自のサウンドの醸成に成功しています。OPナンバー①を初めて聴いた時に思い浮かんだのは「北欧版NEW ENGLAND」という例えでしたね。
インスト・パートの充実っぷりに比べると(北欧メタルらしく)シンガーの歌唱力がやや弱く、そこが引っ掛かるという人もいらっしゃるかもしれませんが、プレーンであるがゆえにボーカル・ハーモニーによく馴染み、楽曲に備わった繊細さやリリカルな美しさを引き立たせるこのVoは、個人的には結構「有り」。特に、劇的な曲展開に乗せて冷ややかなメロディとハーモニーが華麗に舞う④に始まり、曲間を設けずに⑤⑥と組曲形式に綴られていく壮大な流れは、間違いなく本編のクライマックス。
どうやらアルバムをもう1枚残しているようなので(そちらは日本未発売)、機会があればそっちもチェックしてみたいと思わされる完成度を有した1枚です。


Fatal Attraction (2017-10-25 00:38:07)

DEEP PURPLEからBEATLES、更にはEAGLES等のAOR/産業ロックまで、幅広いジャンルを愛するメンバー達の「破滅的な出会い」(FATAL ATTRACTION)により80年代末期にスウェーデンはストックホルムにて結成された、Key奏者を含む5人組。
幾つかのコンピレーションCDに参加した後、’96年に1st『END OF REGULATION TIME』でデビュー。同作はSOUND TREASUREを通じて日本盤もリリースされた。
'03年には2nd『SIMPLICITY RULES』を発表するも、’04年にバンドは解散してしまった模様。


DA VINCI - Ambition Rocks - Touch of Humanity ★★★ (2017-10-23 23:30:05)

首都高ドライブの時に流したくなるというか、
夜10時台の報道番組のテーマ曲にでも採用したらハマリそうというか。
ネオンに照らされながら都会の夜を疾走していく風景を
幻視せずにはいられない、アーバンで洗練された雰囲気漂うロック・チューン。


DA VINCI - Ambition Rocks - Angel ★★★ (2017-10-23 23:21:23)

ド直球のタイトルに相応しく、
スウィートでロマンティックなバラード。
しっとり聴かせにかかるGソロもいいのですが、
それ以上に流麗に奏でられるピアノが
実に良いアクセントになってくれています。


DA VINCI - Ambition Rocks - I've Come All This Way ★★★ (2017-10-23 23:17:06)

仄かな哀愁を帯びつつ、
軽快に弾む曲調は爽やかでキャッチー。
且つロック・チューンとしての高揚感もばっちりという、
帰還の挨拶でもある歌詞を含め、
まさに先行シングルに打ってつけの名曲。


DA VINCI - Ambition Rocks ★★★ (2017-10-23 23:04:18)

80年代に残した2枚のアルバムが、後にゼロ・コーポレーションを通じて日本でもリリースされ、メロディ愛好家達の間で評判を呼んだノルウェーのDA VINCIが再結成。のみならず凡そ30年ぶりとなる3rdアルバムまで発表してくれましたよ。
しかも音楽性の方も、前2作の美点をしっかりと受け継いだ北欧ハードポップを実践。哀愁を含んだキャッチーなメロディを、キラキラなKeyと分厚いボーカル・ハーモニー、それにこの手の音にぴったりフィットする、クセのない声質の持ち主である新Voのプレーンな歌唱とで包んだサウンドは、ジャンル愛好家の顔を綻ばせること請け合い。イントロ序曲①の後を受けて②が爽やかに始まった時には、こちとら「変わってねぇなぁ。最高か!」と、思わず膝を打ってしまったという。
正直なところHR/HMで括るには少々ポップ過ぎる作品ではありますが、オリジナル・メンバーとして踏ん張るグナール・ヴェストリー(G)とダグ・セルボスカー(Key)が、要所で耳を惹くセンスフルな演奏を閃かせ、楽曲内に思わずハッとさせられるフックを構築してくれています。特に、バンドの帰還を高らかに宣言する高揚感に満ちた④、流麗なタッチで奏でられるピアノが曲調のロマンティシズムに拍車を掛けるバラード⑦、キャッチーに躍動する⑥⑩、夜の首都高ドライブのBGMにしたらハマリそうなアーバン且つお洒落な雰囲気漂わす⑫等の楽曲は、変わらぬDA VINCI節が集約された逸品と言えるのではないでしょうか?
これ切りで終わらせず、今後の活動継続に期待を寄せたくなる1枚。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Man Enough ★★★ (2017-10-22 11:11:51)

80年代ど真ん中っぷりにほっこりさせられるパワー・バラード。
ロック・ソングを歌うと声質的にややパンチ不足に感じられるVoですが
この手のメロウな楽曲を謳わせると絶品。更に少ない音数で
聴き手を確実に泣かせに来るGソロにもグッとくる名曲です。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Hard Reaction ★★★ (2017-10-22 11:04:39)

全体的にポップな方向に振られた2ndアルバムの中にあって
爽やかに駆け抜けて行くハード・チューン…といっても
飽くまでメロディに重きを置いたポップ・メタル・ソングには
違いありませんが。清涼感溢れるサビメロがキャッチー。


HAYWIRE - Don't Just Stand There ★★★ (2017-10-22 01:01:47)

『赤毛のアン』の舞台として知られるカナダのプリンス・エドワード島シャーロット・タウン出身で、80年代には本国を中心に人気を博した5人組、'87年発表の2ndアルバム。
自分が持っているのはアルファから発売された国内盤なのですが(邦題は『ダンス・デザイアー』)、ここにボーナス・トラックとして収録されている、シングル・カットもされた⑪がヤマハ主催の「世界歌謡祭」にて金賞を受賞した…とのエピソードからも、当時レコード会社が彼らを売り出すために相当プッシュしていたことがお分かり頂けるのではないかと。
内容については、Key奏者が曲作りの中心的役割を担っているだけあって、まずKeyやシンセサイザー類がサウンドの基盤を作り、そこに適宜に歌うG/軽快に踊るリズム・ワーク/甘いハイトーンVoが絡んで来るという塩梅のメロディアスHR路線。ゴリゴリのメタル野郎には、初めて聴いた時はKeyが少々煩かったり、シンガーの歌唱力がパンチ不足に感じられたものですが、例えばノリ重視で大味に流れてしまいそうな楽曲であっても、常にメロディが仄かな哀愁を湛えている辺りはやっぱりカナダのバンドだなぁと。またGが泣きまくる⑤や、“時は流れても”なる邦題を冠された⑩といったバラードにおける魂の篭ったVoの熱唱を耳にすれば、その実力に疑念を挟む余地なんてありませんわな。大陸的ハードネスと、欧州風味のメロウネスがうまい具合に同居した⑥なんてアルバムのハイライト・ナンバーじゃないでしょうか?
デビュー作『BAD BOYS』(’86年)に続きプラチナムを獲得、HAYWIRE作品で最もチャート・アクションが良好だったという代表作。入門盤としてどうぞ。


HAYWIRE (2017-10-22 01:00:58)

カナダ出身の5人組で、ポール・マッカースランド(Vo)とマーヴィン・パート(G)が音頭を取って’81年に結成。バンド・コンテストへの参加や、EP『HAYWIRE』の自主制作等で腕を磨いた後、'86年に『BAD BOYS』でデビューを飾る。ここからは表題曲がヒット(最高第21位)、アルバム・セールスも最終的にプラチナムに到達している。ポップ・メタル色を強めた翌年発表の2nd『DON’T JUST STAND THERE』は更なる好セールスを記録し、特にシングル・カットされた“DANCE DESIRE”はカナダ国内においてTOP10チャートに食い込む大ヒットとなっただけでなく、日本でもヤマハ主催の世界歌謡祭(80年代末まで毎年日本武道館で開催)にエントリーされ金賞を受賞したという。
カナダ国内において確固たる支持基盤を築きつつも、音楽シーンの潮流の変化によりレコード会社から満足のいくサポートが得られなくなり、90年代に入って活動を停止。
00年代に入ってバンドは復活を遂げ、ニュー・アルバムのリリースもアナウンスされているが、まだ発表には至っていない模様。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Hard Luck Town ★★ (2017-10-19 23:13:54)

OPナンバーらしい快活なノリの良さを漂わせつつ
聴き進めるとブリッジを過ぎた辺りから
哀愁が滲み出して来るという、
バンドの個性が分かり易く表れた1曲。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Driftin' Back ★★★ (2017-10-19 23:05:35)

哀愁に満ちた曲調と、ピアノの調べが
そこはとなくノスタルジックな感傷を刺激する抒情ナンバー。
Voは丁寧に歌い上げるタイプではありませんが、
全力投球な歌いっぷりが案外マッチしているのではないかと。


KILLER DWARFS - Method to the Madness ★★ (2017-10-19 22:58:12)

メンバー全員が「ドワーフ」姓を名乗っていたことでも注目を集めた、カナダはトロント出身の4人組が’92年に発表した5thアルバム。ちなみに彼らのカタログは数年前までは(例え帯付でも)中古盤が安値で入手可能でしたが、先日過去作もチェックしようと思い立って調べてみたら、いつの間にか価格が高騰していて「一体何があったんだよ?」と。
そんなわけで、KILLER DWARFSのアルバムはコレしか所持していないため、以前の作品と聴き比べてどうこう言うことは出来ないのですが、とりあえず本作に託されているのはギミックに頼らないストレートなHR。Voがシャウト主体のラフな歌唱スタイルなこともあり、ロックンロール寄りの感触が無きにしも非ずという。これといったキメ曲に乏しい本編を初めて耳にした時は、失礼ながら「地味だ」とか思ったものですが、正統派のHRとしては無駄な力みがなく自然体。ロックンロールとしては埃っぽさや能天気なノリが控えめで、メロディからは透明感すら感じられるという、実にカナダのバンドらしいサウンドは、聴けば聴くほどにその旨みが浸透してきます。特にピアノの旋律がノスタルジックな哀愁を増幅させる抒情ナンバー③や、逆にハードに駆け抜ける疾走ナンバー⑫等はなかなかの出来栄え。また前作収録のアコギ・バラード⑬が再び収録されているのは、ゴッドの解説によれば、ラジオを中心にヒットの兆しがあったにも関わらずレコード会社の無策が原因で折角の機会を潰されてしまったことに対する彼らなりのリベンジの模様。
バンドは本作発表後間もなく解散。しかし'01年には再結成を果たし、その際にはお蔵入りしていた6th『STAR@ONE』もリリースされています。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - The Reprise ★★★ (2017-10-18 23:29:15)

アルバムの最後に置かれた13分以上に及ぶ大作ナンバー。
マイク・レノのソウル全開な歌いっぷりを筆頭に
長さをまるで感じさせないが、といってもプログレ・テイストや
様式美メタル的な起承転結は仕込まれていない。
リハーサルなしの一発勝負でレコーディングされていて、メンバー曰く
「自然に溢れ出た、直接的な、瞬間的な、感情の表現であり、
この曲は全くのライブであり、編集されていない」とのこと。
だとしたら、大したもんだなぁ!と。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - For Those in Favour ★★ (2017-10-18 23:20:29)

気持ち良さげに吹き鳴らされるハーモニカと
軽快に踊るピアノ、歯切れ良く刻まれるGとリズムに
思わず体が動き出すロック・チューン。
ノリノリの曲調ながら、どこかさらっと都会的で
クールな雰囲気を湛えている辺りがこのバンドらしさか。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - Carpe Diem ★★★ (2017-10-18 23:13:40)

亡き友人に捧げられた歌詞に相応しく、
ポロポロと物悲し気に零れ落ちるピアノの旋律、
悲哀を湛えて重厚に盛り上がっていく曲展開、
そして楽曲に込められたエモーションを余すところなく
表現しきるマイク・レノの歌唱が感動を呼ぶ名曲。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE ★★★ (2017-10-18 22:57:47)

LOVERBOYのシンガーで、HEARTのアン・ウィルソンとデュエットした名曲“パラダイス~愛のテーマ”が日本でも大ヒットしたマイク・レノ。その彼が結成したバンド(プロジェクト?)の’94年発表の唯一作。我らがゼロ・コーポレーションから日本盤もリリースされましたが、世はグランジ/オルタナ旋風吹き荒れる90年代真っ只中。歌心に溢れたG(JOURNEYのニール・ショーンも参加)や瀟洒なKeyをフィーチュアする、しっとり胸に沁み入るメロディック・ロック作品なんてのは全然お呼びじゃなく、ほぼ話題に上ることもないままフェードアウト。斯くいう自分も当時は発売されていたことにすら気付かず、後年、ROCK CANDYからのCD再発を機に漸く興味を持ったという後追いっぷりですよ。
1曲目からいきなりバラードがカマされる構成が物語る通り、スロー~ミディアム・テンポの楽曲を中心に取り揃えられたポップな本編は、多分にAOR/産業ロック寄り。しかし(カナダのバンドらしい)陰に籠らない哀愁と、フックが連続するメロディに彩られたサウンドを前にすりゃそんな些事はどーでもよくなるという。聴き進めれば、歯切れ良くロックする⑩のようなハード・ナンバーがきっちりアルバムにメリハリをつけてくれますしね。
何よりそれらを情感豊かに歌い上げるマイク・レノのVoが感動的。波間を夢心地でたゆたうような③、物悲しい曲調にエモーションを掻き立てられる⑤、10分以上の長尺をアドリブ全開で乗り切るグレン・ヒューズ級にソウルフルな⑪等、その歌唱力と来たら十万石まんじゅうばりに「うまい、うま過ぎる」と風が語り掛けるレベル(埼玉県民ローカルネタ)。
これ聴いたら、バンドがアルバム1枚で終わってしまったことが残念で仕方ないですよ。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel - Home Sweet Heaven ★★★ (2017-10-18 00:12:40)

個人的には3rdアルバムで一押しの疾走ナンバー。
緊張感を湛えたヴァースから、
ポップでメロディアスなサビメロへの転調が印象的且つ効果的。
テクとセンスが迸るGソロも実に良い感じですよ。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel ★★ (2017-10-18 00:02:24)

ロブ・ロックがゲストで歌っていた1st『ANGELICA』(’89年)や、ドラム・マシーンを使用していた2nd『WALKIN’ IN FAITH』(’90年)の頃は、バンドとしての実体もライブ経験もない、デニス・キャメロン(G)とロバート・バレン(B)のプロジェクト状態だったカナダ出身のANGELICAが、漸く正式メンバーを揃えて日本デビューを飾った’91年発表の3rdアルバム。ちなみにバンド名、所属レーベル(INTENSE)、人脈、演ってる音楽性からもお察しの通りのクリスチャン・メタル・バンド。国内盤の解説でそのことに触れられていないのは、余計な色(先入観)が付くのを避けるための配慮でしょうかね。
のっけの①から存在を主張してくるBといい、“熊蜂の飛行”のカヴァー⑧を始め、全編に亘ってメロディック且つキレのある演奏を炸裂させまくりのGといい、ほんのりテクニック志向を伺わせつつも、基本的な音楽性は柔和な美旋律と分厚いハーモニー重視の、いかにもクリスチャン・メタル/カナディアンHRバンドらしいポップなメロハー・サウンド。
Voの線の細さと相俟って、全体的にメロディにパンチが効いていないというか、例えば同ジャンルの先輩バンド勢に比べると、サビメロの踏み込みの浅さが楽曲の印象を弱めてしまっている感が無きにしも非ずなのですが、この大らかにふわ~っと流れていく感じが大陸産ロックの魅力の一端と言えなくもない…かもしれません。取り敢えず、そよ風の如く吹き抜けていく爽やかな②、軽快にしてキャッチーな疾走ナンバー④辺りには、メロディ愛好家のツボを突いて来るフックが備っていて大好きな楽曲であります。
クリスチャン・メタル好きなら聴いて損のないクオリティは備わっている1枚かと。


HOLY TERROR - Terror and Submission ★★★ (2017-10-17 00:10:06)

元AGENT STEELのギタリスト、カート・キルフェルトにより結成されたスピード/スラッシュ・メタル・バンド(なおバンド名は「ホーリー・テラー」ではなく「ホリー・テラー」表記)が、彼らの評判を聞きつけ接触を図って来たイギリスのMUSIC FOR NATIONSと契約を結び、'86年にカート自身がプロデュースも手掛け発表したデビュー作。
スラッシーなアグレッションは保持しつつ、より整合性に磨きが掛かった2nd『MIND WARS』(’88年)に比べると、本作はプロダクションも曲構成もまだまだラフで荒削り。ですがそれすらも武器へと転化して、立ち塞がる全てを勢いのみでぶっちぎらんとする前のめりな攻めの姿勢は大いに「買い」でして、音痴でリズム感にも欠けるキース・ディーンの歌唱に眉を顰める向きもありましょうが、破れかぶれな迫力に満ちたこのVoが、バンドの重要な個性の一つであることはHOLY TERRORファンの多くが認めるところではないでしょうか。
怒涛の如く荒れ狂う2本のGの破壊力も存分に発揮されており、手数多く鋭角的に刻まれるリフ、前へ前へ高圧的に押し出してくるリズム隊、そして高みへ向かってグイグイ昇り詰めていくツイン・リードGとが一体となり、土砂崩ればりに押し寄せる楽曲の数々はハイテンションなカッコ良さ。(この時点ではまだ⑥みたいなパワー・メタル的楽曲もあったり)
初期衝動剥き出しのアグレッションが迸る本作の方が、次作よりも好きだというスラッシャーが多数いるのも納得の1枚。ちなみに国内盤は未発売だとばかり思ってましたが、実際は'93年にポニーキャニオン傘下のALL FIRED UP!から国内盤がリリースされていて、先日そちらを適正価格にて遂にゲット。嬉しさ余ってつい感想を投稿してしまった次第であります。


AGNOSTIC FRONT - Cause for Alarm - The Eliminator ★★★ (2017-10-15 23:56:10)

痙攣気味にぶっ飛ばすビートに乗って
乾いた音色で鋭利に刻まれるGリフは
スラッシュ・メタル以外の何者でもありません。
Voの線の細さがハードコア/パンクっぽくはありますが、
タイトな曲構成の中にもしっかりとGソロが迸っていて、
文句なしにカッコイイ名曲です。


AGNOSTIC FRONT - Cause for Alarm ★★★ (2017-10-15 23:51:46)

S.O.D.やD.R.I.、SUCIDAL TENDENSEIS etc.と共に、ハードコア/パンクとスラッシュ・メタルのクロスオーバー現象を語る上で欠かすことのできないバンドであるNYHCシーンの筆頭格、ヴィニー・スティグマ(G)&ロジャー・ミレット(Vo)率いるAGNOSTIC FRONTが、'86年に発表した2ndアルバム。
収録曲はいずれも1~3分台とショート/シャープ/ショックの姿勢が鮮明で、ロジャーのVoも通常のスラッシュ・メタル・バンドのそれに比べると線が細いふにゃふにゃとした感じ。この辺りはやはりHC畑出身バンドだなと。しかし、前作『VICTIM IN PAIN』と比較してみると、音作りにしろ曲構成にしろ、格段にスラッシュ・メタル度が高まっていることは明白で、「人が殺せるのと違うか?」というメンバーのルックス…じゃなかった切っ先の鋭さで刻まれるGリフと、抜群の安定感で猛然と畳み掛けるリズムとが、徹頭徹尾アグレッションを撒き散らしながら突っ走るサウンドは、スラッシャーなら問答無用でアガってしまうカッコ良さ。本編のスピード感をさらに加速させる、荒々しく迸るようなGソロが各曲にしっかりとフィーチュアされている点も好印象ですよ。
刻みの細かいGリフにのっけからテンションが上がりまくるOPナンバー①、続く②は…と、お気に入りの曲について感想たれようかとも考えましたが、そんな野暮せんと、頭からケツまで大音量で一気に浴びるのが本作を聴く上での正しい作法ではないかと。何せ全10曲でも収録時間は30分に満たないタイトさですからね。
「クロスオーバー・スラッシュの名盤」評に偽りなし、な1枚です。


MEKONG DELTA - Kaleidoscope - Sabre Dance ★★★ (2017-10-05 00:32:58)

運動会やら何やらで誰もが一度は耳にしたことがあるであろう
ハチャトリアンの代表曲のカヴァーですが、
例えばイングヴェイ風のネオクラシカル的な
雰囲気は全くと言っていいぐらい感じれず、それよりも
狂気と理性がせめぎ合っているかのようなMEKONG DELTAならではの
個性がしかと刻まれた好カヴァー。
思い起こせばアルバム『KALEIDSCOPE』を購入したのは
この曲聴きたさが一番の動機でしたよ。


MEKONG DELTA - Kaleidoscope ★★ (2017-10-04 00:44:49)

'92年発表の5thアルバム(日本盤には『万華鏡』なる副題あり)。確か初めて買って聴いたMEKONG DELTA作品がコレですよ。
今回から、前任者よりもしっかりとメロディをなぞって歌える新Voが加入。一糸乱れぬ高度な演奏テクニックの下、激烈な疾走パート→バラード・パート…みたいな分かり易い緩急の類だけに留まらず、「間」「グルーヴ」といった、テク(音数の多さ)のみならず演奏する側にセンスも要求される楽曲構築術、立体的アレンジを登用したサウンドは、浮遊感漂わす③辺りに代表されるように、従来のスラッシュ愛好家限定のキワモノ・イメージを脱ぎ捨て、コクや深みを感じさせる本格派プログレ・メタル路線へとモード・チェンジ。④⑨等を聴いていると中期以降のVOIVODのことを思い出しましたよ。これまでの流れを汲むアグレッションと、ここに来て増量されたプログレ風味が絶妙な配合をみた⑥なんてアルバムのハイライト・ナンバーの一つじゃないでしょうか。
この手の「成熟」を感じさせる作風って奴は初期作ファンの不興を買う場合が多々あるわけですが、本作はそれを補うかのようにOPにスラッシーな疾走ナンバー①を配し、更にアラム・ハチャトリアンの超有名曲“剣の舞”の秀逸なHMバージョンのカヴァー⑦を収録する等、独りよがりな作りにならぬよう本編にフックを用意する構成の巧みさは、流石敏腕プロデューサーとして鳴らすラルフ・ヒューベルトのお仕事。抜かりねぇな。
スラッシャー以外の方で、まだMEKONG DELTAを聴いたことがないという向きには、硬軟のバランス感覚に優れた本作を入門盤にしてみるといいかもしれませんね。


HOLOCAUST - Spirits Fly - The Small Hours ★★ (2017-10-02 23:32:19)

METALLICAがカヴァーしたことでHOLOCAUSTの名を
一躍有名にした彼らの代表曲だが、スタジオ・バージョンはこれが初披露?
初めて聴いた時は、のっぺりとダウナーなヘタウマVoと、疾走感よりも
BLACK SABBATH直系の漆黒色のヘヴィネスが支配的な曲調に
「期待していたのと違うなー」とか思ったものですが、
ただテンポ・チェンジも含んだ曲展開はちゃんとメタリックな緊迫感を
湛えていて、いや改めて聴き直す十分カッコイイのですよ、これが。
これをカヴァーしていたMETALLICAの慧眼にも感服です。


HOLOCAUST - Spirits Fly ★★ (2017-10-01 22:15:11)

21世紀を目前に突如蘇ったNEAT RECORDSから、これまた復活を遂げたHOLOCAUST(といってもそれ以前から離散集合を繰り返していた)が’96年に発表した4thアルバム…ではなくて。実際は’92年に自費出版された3rd『HYPNOSIS OF BIRDS』の曲順を入れ替えた上に改題し、そこに’93年リリースの4曲入りEPやらMETALLICAの“MASTER OF PUPPETS”のカヴァーやらの音源を突っ込んだコンピ盤的性格の1枚という。
NWOBHM復活組がこの時期の新生NEAT RECORDSに残した作品は、イマイチ開き直り切れていない微妙な代物が多かったと記憶していますが、それらに比べると本作は結構イイ線を行っているのではないかと。METALLICAがカヴァーしてくれたことにより再びHOLOCAUSTに注目が集まる切っ掛けとなった代表曲“THE SMALL HOURS”のリメイク②を聴けば分かる通り、元々BLACK SABBATHばりのヘヴィネスや妖しいメロディ使いが個性の内だったことも、90年代のHR/HMシーンの潮流とマッチ。Voの気の抜けたヘタウマ加減とか、「どこのブラック・メタル・バンドか?」っつーぐらい低劣なプロダクションとかも80年代初頭のまま。いや音質に関しちゃ進歩しとけよって話ですが。
国内盤の解説ではゴッドが「②の価値が全て」とぶっちゃけちゃってますし、日本人好みの泣きや哀愁といったキャッチーな要素に乏しい作品ではありますが、個人的にはエキゾチックな雰囲気漂わす①、フルートやチェロを取り入れた③④といった、乙な味わいのへヴィ且つプログレッシブな大作ナンバーが結構お気に入りだったり。少なくとも1st『NIGHT COMERS』が楽しめた人ならほっこりできるクオリティは備わっているのではないかと。


XENTRIX - Dilute to Taste - Shadows of Doubt ★★★ (2017-10-01 00:54:29)

アコギのイントロに始まり、重々しいリズム、
しっかりと歌うVo、流麗なツインGの絡みをフィーチュアして
聴き進むに従って盛り上がっていく名曲。
中盤以降には疾走パートも組み込まれていますが
スラッシーというよりは「パワー・メタリック」な感触。
でもこのバンドの資質的に違和感なくフィットしていますよ。


XENTRIX - Dilute to Taste ★★★ (2017-10-01 00:19:48)

イギリス・ランカシャー出身の5人組が'91年に発表した6曲入りEP。音源としては2nd『FOR WHOSE ADVANTAGE?』の再発盤でボーナス・トラックとして丸ごと聴くことが出来てしまうのですが、先日、出掛けた先で立ち寄った古本屋で本作の単品CDを発見。まさか(専門店ではなく)こんな所で出会おうとは…と、つい感激して衝動買いしてしまったという。
内容の方は、野太い声質ながらもしっかりと歌えるVo、じっとりと湿気ったメロディを流麗に紡ぐ2本のG、スラッシーな疾走感は抑え気味に、緩急を効かせることを重視した曲展開etc.…といった新曲2曲の方向性が表す通り、よりパワー・メタル色を強めることとなる同年発表の3rd『KIN』の予告編的役割を果たす出来栄え。特にアコギも交えて劇的に盛り上がっていく②は名曲ですよ。
4曲のライブ音源に関しては、METALLICA型の構築感を宿した楽曲をスタジオ版以上のアグレッションを漲らせ再現するバンドの実力の高さを再確認。また観客が大合唱を響かせる③⑤等からは、XENTRIXが地元で根強い支持を得ていたことも伺えるという(MCからすると収録会場はブリストル)。そしてライブの最後を〆るのは勿論、映画『ゴーストバスターズ』テーマ曲のカヴァー⑥。「XENTRIXと言えばこの曲!」とのイメージが終始付きまとうことについては、バンド側にしてみりゃ複雑な思いがありましょうが、ひとたびプレイすれば会場がこんだけ盛り上がるのですから、そりゃ演らんわけにはいかんよねと。
EPといえども軽く見られない満足感が得られる1枚です。


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann - The Final Deluge ★★★ (2017-09-28 23:56:24)

2ndアルバムのコンセプトであるHPラヴクラフトの小説
「エーリッヒ・ツァンの音楽」のクライマックスを
そのまま歌詞に取り入れたアルバムのハイライト・ナンバー。
うっすらと聞こえてくるバイオリン(ヴィオル?)の
調べはツァンが奏でているのか。
曲調は激烈だが案外Voは歌っていて。但しヘタクソ。
でもそれが却って聴き手の不安感を煽る好結果に繋がっているのは怪我の功名。
曲間を空けずに、一転して静謐な“EPILOGUE”へと繋げる構成も巧み。


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann - Age of Agony ★★★ (2017-09-28 23:46:29)

ヨルグ・マイケルのドコドコドラムに乗って
LIVING DEATHのGチームが刻む高殺傷力を誇るGリフが
襲い来るジャーマン・スラッシュ然とした突撃ナンバーでありつつ
そこに唐突に裏声コーラスが被さったり、
ツインGが奇怪なメロディをハモったりと
MEKONG DELTAならではの個性もきっちりと刻印された逸品。


MEKONG DELTA - The Music of Erich Zann ★★★ (2017-09-28 23:28:26)

80年代に「テクノ・スピード・メタルの巨匠」なる称号を得たドイツのテクニカル・スラッシャー、MEKONG DELTA、’88年発表の2ndアルバム。
悪魔を異次元に封じるため演奏を続ける老音楽家の運命を描いた、H.P.ラヴクラフトの短編小説『エーリッヒ・ツァンの音楽』題材のコンセプト・アルバムでもある今作は、バンドがテーマに掲げる「クラシックとスラッシュ・メタルの融合」が更に強力に推進された印象(ジャケ絵のオッサンはベートーヴェンではない)。クラシック曲のカヴァーはもとより、別に巧かないがメロディをなぞって歌う場面が増えたVoといい、バラードリーなパートやオーケストレーションの導入といい、アレンジや曲展開の複雑さがこれまで以上に高まった収録曲は、彼らが個性確立に向けて大きく前進した証左。中でもヴァイオリンを交えつつ激烈に突っ走る⑨から、一転して静謐に本編の幕を引く⑩への流れは本編の白眉かと。
尤も、相変わらず曲構成にキャッチネスはほぼ皆無。何よりLIVING DEATHのGコンビが刻み倒す鋭利なGリフと、タイト極まりない名手ヨルグ・マイケルの爆走ドラム、そこに絡むラルフ・ヒューベルトの音数多めのBとに支えられた、独産スラッシャーらしい「突進上等」精神はここでも健在。正直に言えばヒネった楽曲よりも、ツインGハーモニーが切迫感を煽るOPナンバー①や、サビが「それはねえ、それはねぇだろ!」に聴こえて仕方ない④、ツインGとDsの殺傷力が十二分に発揮された⑥といった、ストレートに走り抜けるタイプの楽曲の方が、より好みなのですが。
スラッシャー向けMEKONG DELTA入門盤には本作辺りをお薦めしたい次第。


MEKONG DELTA - Mekong Delta - Kill the Enemy ★★★ (2017-09-26 23:45:02)

クラシックとスラッシュの融合を謳い
前衛的且つプログレッシブなアプローチが
ボンクラ・メタラーには敷居の高さすら感じさる
MEKONG DELTAですが、1stの頃はスラッシャーとしての
突撃精神の方が勝っていて、特にLPのA面「AAAARRG SIDE」の
トリを〆るこの曲のアホ程はっちゃけた疾走感は痛快ですらあるという。
(ちなみにB面はMEKONK DELTA SIDE)


MEKONG DELTA - Mekong Delta ★★ (2017-09-25 23:04:55)

ライブは一切行わず、プロモーション活動にも消極的と、デビュー当初「謎の覆面バンド」扱いされていたドイツのテクニカル・スラッシャー、’87年発表の1st。今となっては、AVENGER(RAGEの前身)の面々と、バンドのエンジニアだったラルフ・ヒューベルト(B)がMETALLICAの登場に触発され立ち上げたプロジェクトだったことは広く知られた話。本作はピーヴィ・ワグナーが抜けた代わりにLIVING DEATHのGチームが加入し、ラルフ以下、ヨルグ・マイケル(Ds)、ライナー・ケルヒ(G)、フランク・フリッケ(G)、ウルフガング・ボーグマン(Vo)というラインナップでレコーディングが行われました。
そのせいか、鋭利なGリフの切れ味はLIVING DEATH風、クセの強いVoは初期RAGE調(歌メロはピーヴィ在籍時に書かれたものだとか?)で、曲によってはKeyを用いて禍々しいスロー・チューンやクラシックのカヴァー(組曲『展覧会の絵』から抜粋)にチャレンジする等、旺盛な実験精神が迸る曲展開/アレンジはラルフの嗜好が反映…といった具合に、バンドの実体が分かった上で本作を聴き返すと、関わったメンバーの個性が強く刻まれている仕上がりなことが分かります。
MEKONG DELTAの最高傑作とされる3rd『THE PRINCIPLE OF DOUBT』以降のアルバムに比べると、複雑怪奇な難解さよりも「独産スラッシャーたるもの突っ走ってナンボ」という実に分かり易い初期衝動の方が勝っていて、低偏差値ボンクラ・メタラーにも非常に取っ付き易く感じられたという。アホみたいにハイテンションな⑤とか非常に良いですよ。
中古でなら、2ndとカップリング仕様の便利なテイチク盤が購入可能ですのでお勧めです。


Александр Ситковецкий(Alexander Sitkovetsky) - Zello ★★ (2017-09-23 00:19:45)

ソビエト連邦の国営レーベル「メロディア」とライセンス契約を交わし、主に共産圏のクラシック、ポップス、ロック、民謡等の輸入盤を日本に紹介してきた「新世界レコード社」をご記憶でしょうか?メタル・マニア的にはソ連のメロハー・バンド、GALAXY(ガラクチカ)のアルバム――帯付中古盤は今じゃ5桁の値が付く超レア盤――リリースを手掛けたことで知られる同レーベルから発売され、我が家のCD棚に鎮座まします作品の一つが、アレクサンドル・シトコヴェツキー、’91年発表のこのソロ作。パッと見はほぼクラシック作品(実際古本屋のクラシックコーナーにて500円で売られていた)。というか「そもそも誰だよ?」ってな話でしょうが、帯に書かれた《アフトーグラフのリーダー》表記に「それって日本盤も出てたソ連のプログレ・バンドか」と興味を引かれて、購入に至った次第。
’91年頃といえば、欧米じゃ速弾きブームはすっかり下火となり、新たな方向性を模索するギタリスト達は生き残りを賭けて音楽性を拡散させ始めていた時期ですが、鉄のカーテンの向こう側で作られた本作はそうしたシーンの流行り廃りや、ドヤ顔の超絶技巧、トリッキーな楽曲等とはまるで無縁。極々シンプルなギター・インスト物を志向しています。クラシカルな風情漂わす抒情メロディを素直に届けようとする姿勢と、如何にもソ連的な貧…素朴な音質とが相俟って、周回遅れ感を漂わせつつも逆にそこにグッと郷愁を誘われる仕上がりという。Gの腕前も確かで、例えば③における泣きっぷり等はなかなかに強烈ですよ。
随分前に新世界レコードが店仕舞いしてしまったため、今でも入手可能かどうかはよう分かりませんが、もしどこぞで見かけることがあったら是非お手に取って下さいませ。


Александр Ситковецкий(Alexander Sitkovetsky) (2017-09-23 00:18:20)

アレクサンドル・シトコヴェツキーは、'85年に開催されたLIVE AIDにソビエト連邦代表として参加したことで知られるプログレッシブ・ロック・バンド、AUTOGRAPHのギタリスト。当時のVoは後にARIAに加入するアルトゥル・ベルクトで、ポップ色を強めた3rd『TEAR DOWN THE BORDER』('91年)は日本盤も発売された筈。また世界デビューに併せてバンド表記がロシアっぽくAVTOGRAF(アフトーグラフ)に改められたのは、アメリカの同名バンドとの混同を避けるためか。
‘90年にはオール・インストのソロ・アルバム『ZELLO』を発表している。
ちなみに「アレクサンドル・シトコヴェツキー」で検索を掛けると、最初に引っ掛かるのがロシア人の天才バイオリニストの名前なのだが、どうやらご子息の模様。シトコヴェツキー家はロシアじゃ有名な音楽一家らしい。


EMERSON, LAKE & PALMER - Emarson,lake & Powell - The Score ★★★ (2017-09-21 23:41:41)

「ワールドプロレスリング」テーマ曲というと、この曲よりも
“朝日に栄光あれ”の方が思い浮かぶのですが、それはともかく
この曲が名曲であることに違いはありません。
9分以上に及ぶ長尺曲ながら、印象的なメロディの洪水、
壮大且つドラマティックな曲展開といい
眉間に皺寄せて聴くような小難しさは皆無ですよ。


EMERSON, LAKE & PALMER - Emarson,lake & Powell ★★ (2017-09-21 23:00:22)

EL&P――と表記するとカール・パーマー氏がムッとされますので――EMERSON, LAKE & POWELLが'86年に残した、スタジオ・アルバムとしては唯一となる作品。
じんわり胸に沁み入る英国シンガー然としたグレッグ・レイクのジェントリーな歌声、華麗にKeyを操りバンマス役を担うキース・エマーソン、そこに我らがコージー先生の個性的なDsとがマッスル・ドッキング!この組み合わせによって生み出されたサウンドのマジックは、『ワールドプロレスリング』テーマ曲にして、いきなり10分に迫る長尺でアルバムOPを飾る①からして全開。のっけからトリオ編成が出してる音とは思えぬ壮大なスケール感で聴き手の度肝を抜きに掛かってきてくれますよ。
但し、全体的に「いかにも80年代」なプロダクションが緊張感を著しく削いでいる感は否めず。またシンセが紡ぐ大衆度高めのメロディは分かり易い反面、少々安易な印象で、また火花散る楽器同士のバトルや、インプロヴィゼーションを盛り込んだスリリングな曲展開よりも、カッチリとまとめ上げることが重視された収録曲の数々を聴いていると、確かに壮大ではあるものの「何か映画のサントラみたいだなぁ」ってな感想を覚えなくもないという。
そんなわけで初めて聴いた時は「こういう方向性か…」と多少戸惑ったのは事実なれど、前述のドラマティックな①、タメを効かせて盛り上がる④、ホルストの“火星”の翻案曲⑧等、「でも、これはこれであり!」と思わされる優れたクオリティを備えていることは間違いなく。本作に関する最大のガッカリごとと言えば、アルバムにプレイを刻んだ御三方が、既にこの世にいないということではないでしょうか。虎子の間、まこと広うなり申した…


STARLESS - Song of Silence - Song of Silence ★★★ (2017-09-20 23:50:09)

アルバムの冒頭でも引用されていたテーマ・メロディ、
女性Vo、G、Key、更には「STARLESS」のバンド名にちなんだのか(?)
サックスまで導入という総力戦でもって
8分以上に及ぶ長尺とアルバムのエンディングを
ドラマティックに彩る表題曲。


STARLESS - Song of Silence - Aim Your Heart ★★★ (2017-09-20 23:39:22)

女性シンガーの張りのある歌いっぷり、
ハードな疾走感や、GとKeyのスリリングな掛け合い等
プログレというよりはHR的な感触が備わっている
アルバム前半のハイライト・ナンバー。
序曲“SONG OF SILENCE(BEGINING)
ブリッジの役割を果たすバラードの小曲“OBJET DE GLACE”と
併せてお楽しみ下さいませ。


STARLESS - Song of Silence ★★ (2017-09-19 23:51:48)

元SCHEHELAZADE(祝・復活)の大久保寿太郎(B)率いる大阪の6人組。1st『銀の翼』で日本のプログレ・シーンにその名を刻んだSTARLESS、’91年発表の2ndアルバム。
弦楽器隊以外のメンバーが交代していますが(③⑩にはGERALDの永川敏郎がKey奏者として参加)、新たに加わった女性Voが前任者とよく似た声質の持ち主で、その他の面子もプログレ畑のミュージシャンらしく腕利き揃い。ゆえに不安定さは微塵も感じさせない上、何より冒頭から組曲形式で優美に展開していく①②③の流れや、序曲①で用いられたメロディが本編最後の⑩でアウトロの役割も果たす円環構造等からも明らかな通り、リリカルでファンタジックなプログレ・サウンドは、前作の延長戦上にきっちり位置付けられています。
バンド名から想起されるようなKING CRIMSON的前衛性/実験精神よりも、楽曲をキャッチーにまとめ上げることに注力した曲作りのスタイルも不変…というか、むしろ今回は更にポップでメロディアスな方向に踏み込んでいる印象で、曲よってはVoの砂糖菓子の如く甘い歌声と相俟って、アイドル歌謡や昭和の女児向けアニメの主題歌を聴いているような気分に陥ることもしばしばという。デビュー作収録の名曲“BREATH”のようなハード・ナンバーが見当たらない点を含め、評価が割れる可能性が考えられますが、それでもドラマティックに駆け抜ける③や、歌うG、流麗なKey、更には「STARLESS」の名に相応しくサックスまで伴って、総力戦の様相を呈するアルバム表題曲⑩等、優れた楽曲の数々はやはり十分過ぎる程に魅力的。
1st『銀の翼』が気に入られた方なら、こちらもマスト・アイテムではないかと。


TERRA ROSA - Terra Rosa Live from Coda ★★★ (2017-09-18 22:11:05)

2016年に限定的な規模ながらも復活を遂げたTERRA ROSAが、東名阪で行った3夜限りの再結成ライブの模様を捉えた2枚組実況録音盤。
てっきり名曲/代表曲が大盤振る舞いされるベスト選曲ライブと思いきや、収録曲目を見てビックリ。セットリストはTERRA ROSAがメジャー・デビュー前に制作し、様式美HM愛好家の間で評判を呼んだ2本のデモテープ(後年『PRIMAL~TERRA ROSA RARE TRACKS』のタイトルでCD化された)の収録曲がその殆どを占めているという、非常に攻めた構成。勿論「この曲を演らないわけにゃいかんでしょ!」という “刹那の甘露-SASE-”や“ONE OF SECTINOS“LAP”、そしてラストで観客の大合唱を呼び起こす“FRIDAY’S FREE FAIR”といった定番曲はきっちりと押さえられてはいますけども。
斯様に入門者向けとは言い難い本作ですが、一つハッキリしているのは、彼らがこれまで優れた楽曲を山ほど量産して来たということ。疾走ナンバー“A HELL RAY”や“BATTLE FEAVER”を筆頭に、ここで聴ける楽曲はどれも正規アルバムに収められていてもおかしくない、高品質な様式美HMチューンばかり。しかも今回のライブに当たって足立祐二により書き下ろされたという“TO CODA”も、それらと比べて遜色ない出来栄えを誇っているのだから頼もしいじゃないですか。また足立のテクニカルなGプレイ、リーダー岡垣正志の鍵盤捌き、そして赤尾和重のパワフルなVoといい、メンバーのパフォーマンスも現役感がバリバリに漲っていますよ。(ヘルプ参加のリズム隊も安定感溢れる仕事ぶり)
TERRA ROSA復活を喜ぶと共に、今後の継続的な活動を期待せずにはいられなくなる1枚。


ART NATION - Revolution - Don’t Wait for Salvation ★★★ (2017-09-17 00:13:58)

1st制作時はまだKey奏者がメンバーとして在籍していて、
爽やか且つ哀愁漂うサビメロが秀逸なこの曲も
ハード・ロッキンな色合いを強めた2ndに比べると
気持ちメロハー路線寄り。
何にせよ名曲には違いありませんけどね。


ART NATION - Revolution - Need You to Understand ★★★ (2017-09-17 00:05:24)

PVも撮影されているアルバムのOPナンバー。
アレクサンダー・ストランデルの情熱的なVoと
テクニカルなGをフィーチュアして力強く躍動しつつ
サビでは北欧のバンドらしい哀愁が溢れ出すという
早くもこのバンドの強みが発揮されている名曲に仕上がっています。


ART NATION - Revolution ★★★ (2017-09-17 00:00:33)

日本デビュー作の2nd『LIBERATION』が高評価を獲得すると、間髪入れずに1st『REVOLUTION』の日本盤発売を決定。更に年末には来日公演も予定されているという、最近の新人HRバンドには珍しく対応が迅速なことからも、レコード会社が彼らに賭ける並々ならぬ期待のほどが伝わって来るかのようですよ。
本作は、当初は国内盤未発売だった’15年発表のART NATIONのデビュー作で、バンドの魅力たる瑞々しくハジけるキャッチネスと、北欧のバンドらしい憂いを帯びたメロディを同居させた、躍動感溢れるメロディックHRという方向性は既にしっかりと定まっています。ツインG編成でレコーディングされた次作に比べると、専任Key奏者がいる分、こちらの方が気持ちハードポップ路線寄り…というか、フロントマンのアレクサンダー・ストランデルがART NATION結成前に在籍していた(そして追い出されてしまった)DIAMOND DOWN時代に近い音楽性かなと。
まぁどちらにせよ質の高さに変わりはありませんし、シャウト一発で「場」の空気をさらってしまうようなアレクサンダーの高熱量の歌唱はここでも健在。彼のパンチの効いた熱唱と、全編をフラッシーに駆け巡るテクニカルなGの存在が映える、アリーナ・ロック的なスケール感を有する①、キャッチーなコーラスが印象的な②、哀愁を湛えたヴァースから視界が開けるようなサビへの曲展開が秀逸な⑤、爽快な疾走ナンバー③⑥etc.…といった楽曲は、メタル者なら高揚せずにはいられない出来栄えを誇っていますよ。
来日公演を今から楽しみにせざるを得ない1枚。


ART NATION - Liberation - Ghost Town ★★★ (2017-09-16 00:11:35)

モダンなセンスと80年代風味溢れる
キャッチーなメロディ・センスとが
巧みに組み合わされたOPナンバー。
シュワッとハジける炭酸飲料のような喉越しの
サビメロの爽快さが最高ですよ。
バンドがリーダー・トラックに選んだのも納得。


ART NATION - Liberation - One Nation ★★★ (2017-09-16 00:09:00)

ライブで演ったらコーラスは大合唱で盛り上がりそうな
メタル・アンセム・タイプの楽曲ですが、
それでいてメロディが北欧的な透明感と憂愁を伝えてくれる辺りが
このバンドの個性と曲作りの上手さの証と言えましょうや。


ART NATION - Liberation - Take Me Home ★★★ (2017-09-16 00:05:04)

哀切が溢れ出す曲調に、アレクサンダー・ストランデルの
パッショネイトな熱唱が見事にマッチした、
堰を切ったように激情迸る必殺バラード。
’17年度ベスト・チューン候補の一つですよ。これは。


ART NATION - Liberation ★★★ (2017-09-15 23:48:52)

スウェーデンから現れたメロディックHRバンドの新星ART NATIONが'17年に発表し、日本デビュー作となった2ndアルバム。今時珍しく1st『REVOLUSION』(’15年)の国内盤までわざわざ遡って発売されることからも、レコード会社がこのバンドに賭ける期待の大きさが伝わって来ます。BURRN!!誌じゃ広瀬編集長が90点以上を献上していましたが、個人的にあの人が高得点を付けた作品は「悪くないけどそこまでではない」パターンが多く、今回も然程期待はせず聴き始めたのですが、いやいや。ブッ飛ばされましたよ。
本作で聴かれるのは、80年代風味満点のメロディックHRに、今時のバンドらしいモダンなアレンジや、北欧メタルに通じる叙情性と透明感を加味したようなサウンド。琴線に触れる哀愁から、思わず一緒に歌いたくなってしまうキャッチネスまで、メロディの組み立てがとにかく巧みで、情熱的に歌い上げるシンガーの、シャウト一発で場を攫う「華」を感じさせる歌唱が、その魅力を数倍にも引き上げてくれています。
躍動感に満ちたフレッシュなOPナンバー①、弾むリズムがフィスト・バンギングを誘発する②、疾走感溢れるキャッチーでメロディアスなサビメロが秀逸な③という冒頭三連打で完全に掴みはOK。その後も、大会場で観客が一斉に腕を振る姿が目に浮かぶような④、メタル・アンセム調の⑥を経て、胸に突き刺さる感動的なバラード⑧という名曲へ雪崩れ込んでいく本編前半の油断も隙もない構成は、新人離れした貫禄すら感じさせる勢い。
こりゃ間違いなく本年度のブライテスト・ホープ候補上位にランクインしてくる1枚です。デビュー作もチェックせねば。


ICED EARTH - Incorruptible - Seven Headed Whore ★★★ (2017-09-13 23:55:04)

ICED EARTHがここまでストレートに突っ走る
楽曲を演ったのは一体いつ以来でしょうか。
スラッシュ・メタルのルーツを伺わせる疾走ナンバーで、
噛み付くようなシャウトから突き抜けるハイトーンまで
振れ幅の大きなVoの歌唱と、テクニカルに駆け巡るGとが
効果的に楽曲のテンションを高めてくれています。


ICED EARTH - Incorruptible - Great Heathen Army ★★★ (2017-09-13 23:50:57)

重厚且つ物々しいイントロを経て
ヴァイキングについて歌った歌詞に相応しく
厳めしく進撃を開始するOPナンバー。
聴いてるだけで力瘤ってしまう
パワフルな曲調にはICED EARTHの個性が
しっかりと刻み込まれています。


ICED EARTH - Incorruptible ★★★ (2017-09-12 23:47:11)

まず雑誌に載ったICED EARTHのインタビューで、新作(’17年発表)がコンセプト・アルバムではないことを確認して「よし、今回は期待できそうだぞ!」と(超失礼)。これまで再三述べて来たことですが、首領ジョン・シェイファーはコンセプトに囚われず、個々に起承転結を有する楽曲をクリエイトしている時の方が、作曲者としての切れ味がより鋭さを増す印象で(個人の感想です)、本作もその説を裏付けてくれる強力な出来栄えを誇る。…って、ICED EARTHのカタログに駄作は1枚もありませんけどね。
勿論コンセプト・アルバムじゃないからといって、ドラマ性や劇的さが薄まってしまうようなことはなく。厳めしいコーラスがヴァイキング軍団の行軍を思わせる①、海賊の戦場たる大海の如く力強くうねる②、ネイティヴ・アメリカンのスピリチュアルな雰囲気を纏ったインスト曲⑦、ジョンの南北戦争マニア魂が燃え盛る、フレデリックスバーグの戦いにおけるアイルランド旅団の悲劇について綴られた大作ナンバー⑩…。ステュ・ブロック(Vo)のパワフル且つ表現力豊かな歌唱、劇画チックな陰影と愁いを湛えたメロディ、強靭に刻まれるGリフ、ヘヴィネス漲るリズム・ワークを得て、聴いているだけで歌詞世界の情景が眼前に広がっていくような、シネマティックな楽曲の数々を描き出すジョンの筆致はここでも冴え渡っています。また今回は初期スラッシュ・メタル時代に立ち返ったかの如き、アグレッション全開のスピード・ナンバー⑤も収録。本編中盤をグッと引き締めてくれているという。
ICED EARTHはもう過去のバンド?いやいや。現役バンドですら稀な、これほど強力なアルバムを提示してくれるバンドをロートル扱いは畏れ多過ぎるってもんですよ。


ACCEPT - The Rise of Chaos - Carry the Weight ★★★ (2017-09-11 23:04:41)

タイトに飛ばす疾走ナンバー。かと言って勢いで誤魔化すことなく
メロディにはフックが効いていて、特に滲み出す哀愁に
思わずガッツポーズ決めたくなるサビメロは特筆モノ。
劇的なツインGのハモリから、泣きのGソロへと雪崩れ込んでいく
インスト・パートも素晴らしい。
要するに隙のないアルバムのハイライト・ナンバーってことで。


ACCEPT - The Rise of Chaos - The Rise of Chaos ★★★ (2017-09-11 22:57:53)

これぞHM!という雄々しさと屈強さを誇示しつつも
曲調はノリやすく、コーラスは数回聴けばすぐに
一緒に歌える/歌いたくなるぐらいキャッチー
(ポップという意味には非ず)という
本作の方向性を象徴するような逸品。
アルバム表題曲なのも納得ですよ。


ACCEPT - The Rise of Chaos - Die by the Sword ★★★ (2017-09-11 22:49:07)

厳めしいイントロを経て
拳を突き上げるのに丁度いい速度で
パワフルに突き進むOPナンバー。
勇壮なコーラスにも思わず唱和を誘われます。


ACCEPT - The Rise of Chaos ★★★ (2017-09-09 00:53:44)

アルバム・セールス、そのリリース・ペース、そして提示される作品の質と、あらゆる面において第二次黄金期を迎えた復活ACCEPT、’17年発表の新作アルバム。
90年代に流行に擦り寄って痛い目を見た後悔が骨身に染みている彼らゆえ、再結成4作目となる本作でも微塵も揺るぐことなく、雄々しく屈強なACCEPT流HMサウンドの王道を堅守。ともすればマンネリと受け止められかねない頑固な変わらなさですが、定まった型の中であれ、楽曲は毎度微妙にタッチを変えて練り上げられていて、特に今回は、本国ドイツのチャートで№1の座を獲得した前作『BLIND RAGE』の成功に後押しされたのか、全体的にマーク・トニーロのVoの柔軟性や、合唱を誘発するコーラス・ワーク、メロディ・ラインに気を配った「キャッチー」と評したくなる作風を選択。例えるなら6th『RUSSIAN ROULETTE』収録の名曲“MONSTERMAN”タイプの楽曲で全編を固めたような感じとでも申しましょうか。圧倒的にスピーディだったりへヴィだったりする、攻めた楽曲が見当たらない本編は、ある意味「守りに入った」と言えなくもないものの、ここまで守備力が鉄壁ならば最早それは立派なセールス・ポイントではないかと。
勇ましく本編開幕を宣言する①、拳を振り上げサビを歌わずにはいられない③、叩き付けるリズムに乗って憂愁背負ったメロディが疾駆する⑤、ウルフの歌うGソロが絶品な⑦、そして後半に控えしは劇的に疾走する逸品⑨…。本編は捨て曲ゼロな上に、収録時間が40分台とリピート再生せずにはいられない腹八分目具合でまとめられている点も好印象という。
ACCEPTの好調振りは未だ持続中。個人的には今年トップ10入りは確実の力作ですよ。


THE STORM - The Storm - Show Me the Way ★★★ (2017-09-07 22:58:46)

Voのソウルフルな熱唱、Gのエモーショナルな熱演、
曲展開を息苦しいほどに盛り上げるKeyにリズム隊と
全メンバーが良い仕事しまくりでアルバムのハイライトを飾る名バラード。
BURRN!!誌の藤木記者が「結婚式にお薦め」と書かれていましたが
こんな名曲流された日にゃ、式そっちのけで聴き惚れてしまいそうですよ。


THE STORM - The Storm - I've Got a Lot to Learn About Love ★★★ (2017-09-07 22:49:38)

ケヴィン・チャルファントの伸びやかな歌声と、
それと同じぐらいよく歌うジョシュ・ラモスのGが紡ぐ
草原を吹き抜けるそよ風の如き哀メロが心地良い。
リズム隊の踏ん張りが適度なエッジも加えてくれる
スマッシュ・ヒットとなったのも納得の
(いやむしろもっと上位に行っても良かったぐらいな)名曲。