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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1901-2000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1901-2000

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THE STORM - The Storm ★★★ (2017-09-07 00:50:46)

90年代初頭に一度持ち上がったJOURNEY再結成の話が、(主にニール・ショーンとスティーヴ・ペリーの不仲が原因で)ポシャッてしまったグレッグ・ローリー(Key)、ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)の3人が、じゃあ自分らで同路線の音を演んべかと結成したバンドTHE STORMが、’91年にINTERSCOPEから発表したデビュー作。
元JOURNEY組以外の参加メンバーは、この頃から既にニール・ショーン度ド高めのGプレイを聴かせてくれるジョシュ・ラモス(G)に、スティーヴ・ペリーに勝るとも劣らぬ伸びやかな歌声を響かせるケヴィン・チャルファント(Vo)という、アメリカン・メロディアスHR街道一筋に歩んで来た面々。そんなわけで本作に託されているのも当然JOURNEY路線のメロハー・サウンドで、そのクオリティは本家にも匹敵します。あとリズム隊主導のバンドのせいか、出している音がJOURNEYよりグッとハード寄りという。それでいてメロディのフックにも抜かりがないことは、嵐のSEに導かれてスタートするOPナンバー①を聴いただけで明らかでして、この辺りの仕事っぷりは流石メロディ職人集団だなぁと。
全米シングル・チャート最高第26位にランクインした②や、爽やかに耳をくすぐる哀愁のメロディと、ソウルフルな歌声の相乗効果で夢心地へと誘われる⑥といった、グランジ/オルタナ・ブームの本格到来前にギリギリ滑り込みでスマッシュ・ヒットを飛ばしたパワー・バラードは、特にこのバンドの真骨頂が堪能できる名曲ではないでしょうか。
レコード会社の方針転換で、見事な完成度を誇りながらもお蔵入りの憂き目にあった悲運の次作共々、メロディ愛好家の皆様に是非お薦めしたい名盤であります。


Tone Norum - One of a Kind - Can't You Stay (remixed) ★★★ (2017-09-05 23:40:41)

トーン・ノーラムのデビュー・シングル曲でもあった
大ヒット・バラード(本国チャートでは最高第2位)
プロデュース並びに作曲はEUROPEのジョーイ・テンペストが担当。
のみならずバックアップVoとしても目立ちまくっていて
ほぼトーン嬢とのデュエット状態。
というか兄貴のジョン・ノーラムもイントロからGで
耳惹きまくりなので、この3人が主役の楽曲と言えるかもしれません。


Tone Norum - One of a Kind ★★ (2017-09-05 00:25:01)

ジョン・ノーラムの妹御、トーン・ノーラム(Vo)が’86年に発表し、スウェーデンのアルバム・チャートでは最高第5位に食い込むヒットとなったデビュー作。
その関係でか、兄ジョンが7曲でGソロを客演。また元カレだったとも聞くジョーイ・テンペストが、プロデュースと作曲及びコーラス役でバックアップ。更にはイアン・ホーグランド&ミック・ミカエリがサポート・メンバーとしてレコーディングに参加(ミックは楽曲提供も)する等、要は当時人気絶頂だったEUROPEが彼女のデビューに花を添えるべく全面協力しているわけで、そりゃあこれなら売れないわけがない。
BURRN!!誌レビューじゃ酒井前編集長に「兄の七光りアルバム」と酷評され20点台を付けられていて、個人的にも初めて聴いた時の感想は「あまりにソフト過ぎる」「毒にも薬にもならないハードポップ作品」と、芳しいものではありませんでしたが、その後再発を契機に改めて聴き直してみたら、いや普通に良い出来栄えじゃんか、と。毒にも薬にもならないのなら、甘くて美味しいスイーツとして楽しめばいいだけのこと。
特にアルバムに先駆けてリリースされ、本国のシングル・チャート最高第2位にランクインした大ヒット・バラード⑩や、しなやかなシンセを纏って明るく弾む④(最高第13位)を始め、北欧らしい透明感、洗練されたアレンジとキャッチーなメロディ、それにひたむきさが迸るようなトーン嬢のキュートな歌声に彩られたサウンドは、ビッグ・セールスを記録したのも納得の質の高さ。『THE FINAL COUNTDOWN』を思いっきりポップ方向へ振り切ったような音…と聞いて食指が動く方になら、自信を持ってお薦めできる1枚かと。


JIM STEINMAN - Bad for Good - Out of the Frying Pan (And Into the Fire) ★★★ (2017-09-03 23:20:56)

『スクールウォーズ2』主題歌として
丸山みゆきが“FIRE”のタイトルでカヴァー、
スポーツドラマのテーマ曲に相応しい高揚感と躍動感に満ち溢れた名曲です。
ドラマの方は1作目ほどは入れ込めませんでしたが
主題歌の良さは印象に残っていて
あとでこれを聴いた時に「あ、これが元曲だったのか!」と。
『地獄のロック・ライダーⅡ』では
ミートローフ・バージョンも聴けますので
是非聴き比べて頂きたいところ。


JIM STEINMAN - Bad for Good - Stark Raving Love ★★★ (2017-09-02 23:43:36)

イントロ聴いただけで「この物語は…」と芥川也寸志の
名調子が脳内で再生されてしまいますが、
楽曲自体は7分以上(イントロも含めると10分近く)に達する
大作ナンバーで、ボニー・タイラー/麻倉美稀バージョンとは
一味異なる、70年代HRテイストが強く打ち出されています。
まぁどっちにしたって名曲には違いありませんが。
あとこの印象的なメイン・リフは、今聴くとちょっと
『太陽にほえろ!』のテーマ曲っぽくもあるような?


JIM STEINMAN - Bad for Good ★★★ (2017-09-02 23:32:27)

俳優兼シンガーのミートローフとタッグを組んで、『地獄のロック・ライダー』を世界中で大ヒットさせたプロデューサーのジム・スタインマンが、相方ミートローフの急病で思うように活動できなかった時期にレコーディング作業を行い、’80年に発表したソロ・アルバム。
同シリーズの創作面を一手に担う人物だけに、本作に託されている、トッド・ラングレンが奏でるハードなGの調べ、ピアノ、オーケストラ、更には女性Voやコーラスまで導入して、大仰/壮大/ドラマティックに綴られるスケールの大きなロック・サウンドは、まさに『地獄のロックライダー1.5』の趣き。大作主義を志向しつつも、様式美やプログレ・テイストよりも華麗な「ミュージカル風味」が色濃い音楽絵巻っぷりも本家同様です。
ミートローフと比べると、ジムのVoはやや線の細い印象があれど(下手ではない。寧ろ巧い)、とにかく収録楽曲の素晴らしさがそれらを補って余りあるという。特に口角泡を飛ばしまくりのイントロの大演説から繋がっていく、ボニー・タイラーが歌った『フットルース』挿入歌…というよりも、『スクールウォーズ』主題歌“ヒーロー”(By麻倉美稀)の原曲である④は名曲中の名曲。前述の2バージョンに比べると70年代HR感が強めでキャッチーさには乏しいのですが、それはそれで良し!他にもOPナンバーに相応しい劇的さでグイグイ盛り上がっていく表題曲①、高揚感に満ちた(『スクールウォーズ2』の主題歌としても思い出深い)⑤等、名曲揃い。収録曲の内何曲かは後に『地獄のロックライダーⅡ』でリメイクされているので、聴き比べてみるのも一興かと。
本家シリーズに肉薄する圧倒的完成度を誇る傑作。リマスター盤再発を切に希望します。


JOE-ERK - Living Alone - Living Alone ★★★ (2017-09-01 00:25:46)

いかにも90年代的な装飾を排した音作りの下、
ササクレて刻まれるGリフとへヴィなリズムに乗って
ドスを効かせたシャウトから、メロディアスな歌い上げまで
独特の声質を駆使して歌いまくる竹内光雄のVoの魅力が堪能できる名曲。
しっかりと脇を固める清水武仁のGプレイも印象的です。


JOE-ERK - Living Alone ★★ (2017-09-01 00:10:28)

竹内光雄というと、元XのTAIJIが結成したD.T.R.のフロントマンとして知られていますが、個人的にはこの人の名前を聞いて真っ先に思い出すのは『メタルフォーク』なんですよね。一世を風靡したANIMETALブームにいっちょ噛みすべく現れた無数の便乗作品の中にあって頭抜けたクオリティを誇った1枚で、こちとら未だにシングル盤を持ってますよ。
…って前置きが長くなりましたが、あのプロジェクトで堂々たる歌唱を披露していた彼氏が、現在は作曲/編曲家として活動する清水武仁(G)と組んでいたバンドが’93年に残したEPが本作。後に未発表曲を追加したフル・アルバムの体でTOY’S FACTORYからお色直し盤がリリースされています(それでも全7曲、30分強のボリュームですが)。《原石…ゴロリ…ピカリ!》という妙に脱力を誘われる帯の惹句が、逆に記憶に残っているという。
サウンドの方は、スラッシーに刻まれるササクレGリフの上で硬質なシャウトが轟く名曲①に代表されるような、モダンな都会派メタル。EZOに90年代的エッジを加味した感じの音…と言うと、どんな作風か伝わるでしょうか?インディーズ制作ゆえ音質のハンデは如何ともし難く、また②以降の楽曲も少々華に欠ける印象ではありますが、それでも「6種類の声を持つ男」と評されたアクセル・ローズよろしく、噛み付くようなシャウトから、男臭い朗々とした歌い回し、更にはバラードを切々と歌い上げたりと、多彩な歌声を駆使して本編の主役を張る、竹内の歌いっぷりを堪能するには十分な品質が備わっているのではないかと。隠し味のKeyに、嘶く清水のGを活かした⑤みたいな秀曲も収録されていますしね。
本作を購入した中古盤屋の店長さんが、その才能を惜しんでいたのも納得の1枚ですよ。


VOLCANO - Leviathan - Wasteland the Wind ★★★ (2017-08-31 00:58:43)

前作『MELT』の作風を受け継いで、濃厚な正統派HMテイストを
振り撒きながら本編ラストを締め括るスピード・ナンバー。
メタル魂を燃え上がらせるNOVのシャウトと、
全編に亘って歌いまくる屍忌蛇のGがやはり素晴らしい。


VOLCANO - Leviathan - Hate of Flames ★★★ (2017-08-31 00:54:14)

オーセンティックな正統派HM風味を漂わす疾走ナンバー。
屍忌蛇の泣きのGソロ以降、テンポアップして
メロディックに駆け抜ける後半戦は、
ジャーマン・パワー・メタルに通じるものがあるような、ないような。
個人的には初期BLIND GURARDIANをちょっぴり思い出した。


VOLCANO - Leviathan - The Way of the Serpent ★★★ (2017-08-31 00:50:34)

ハードコア風味すら感じさせるストレートに押しまくるヴァースと
ライブでは大合唱を巻き起こしそうな勇壮にしてエピカルな
サビメロの対比もドラマティックなOPナンバーにして
早くもアルバムのクライマックスを飾る名曲。
こんなん聴かされてしまったら、そりゃアルバムの完成度の高さを
確信しますわな。


VOLCANO - Leviathan ★★★ (2017-08-29 23:28:13)

アルバムとアルバムの発表サイクルがオリンピック級の気の長さだったVOLCANOですが、ここ数作で屍忌蛇(G)の創作意欲がブーストしたのか、何とまたしても僅か1年という普通に考えてもかなり短いインターバルでのリリースが実現した、’17年発表の6th。
マカロニ・ウェスタン風味満点の序曲①(軽快なメロディはジャンゴというよりジュリアーノ・ジェンマの『怒りの荒野』っぽい気が…ってのは別にどうでもいいのでさておき)にて幕が上がり、直後に続く、ハードコアな攻撃性と劇的な曲展開、ドロドロに融解した金属が如きNOVの激唱&屍忌蛇が奏でる慟哭のメロディとが一丸となって突っ走る②を聴き終えた時点で、多くの方が今回もVOLCANO節の健在ぶりを確信されたのではないかと。
初バラードに挑戦する等、オーセンティックな正統派HMへ接近した前作に対する反動なのか、本作はブルータリティ重視な作風に舵を切った印象で、ヴァースのメロディの希薄さを、サビからGソロへと至るパートの盛り上がりで強引に挽回しようとする楽曲もチラホラ。これは剛柔の対比を狙った「あえて」の曲構成なのか、それとも制作期間の短さに起因するアレンジの練り不足なのか?尤も、多少掴みに失敗したって屍忌蛇のGソロが走り始めさえすれば、それだけで楽曲の輝度は数倍にも跳ね上がるんですけどね。
従来作と比較すると、収録曲の出来に結構バラつきが感じられるものの、前述の②、独産パワー・メタル勢に通じるパワー・チューン⑦、正統派HMテイスト高めの⑪といった、Gソロと楽曲自体の魅力が化学反応を起こした文句なしの名曲を聴くと、やはり本作もこれまで同様、3つ星クラスの力作であることは疑いようがないわけで。


ANTHEM - ENGRAVED - FAR AWAY ★★★ (2017-08-28 23:30:15)

メタリックな強靭さと哀愁とキャッチネスが
絶妙な塩梅で配合された、アルバム『ENGRAVED』の
作風を端的に表しているかの如き名曲。
練りに練られた清水のGソロも美味しい。


ANTHEM - ENGRAVED - MIDNIGHT GROWL ★★★ (2017-08-28 23:25:58)

キャッチーなようでいて、
ドラムを始め、楽器隊が結構難易度の高いことを
さらっとこなしている印象のメロディック・メタル・チューン。
憂いが溢れ出すサビメロに掴まれますね。


STEVE STEVENS - Atomic Playboys - Desperate Heart ★★★ (2017-08-28 23:16:07)

アメリカンなノリに貫かれたアルバム本編中にあって
良いアクセントとなっているドラマティックなバラード。
スティーヴの泣きのGソロ(時折爪弾かれるアコギも◎)のみならず、
ペリー・マッカーティの情熱的な歌いっぷりがまた
楽曲の哀愁を効果的に引き立ててくれていますね。


STEVE STEVENS - Atomic Playboys - Crackdown ★★ (2017-08-28 23:10:49)

『トップ・ガン』のサントラ繋がりで
なんとなーく、ケニー・ロギンスの“DANGER ZONE”を
意識して書いたんじゃないかなー?と
聴く度に思わせられるロック・チューン。


STEVE STEVENS - Atomic Playboys ★★ (2017-08-28 00:15:04)

『トップ・ガン』サントラへの参加や、ビリー・アイドル、氷室京介との活動等でも知られるスティーヴ・スティーヴンス(G)が、’89年に発表した初めてのソロ・アルバム。
個人的にこの人の名前を初めて意識したのは、例のJERUSALEM SLIM騒動がきっかけでして、マイケル・モンロー人気の高い日本ゆえ、「バンドを空中分解させた上に、よりにもよって因縁の相手ヴィンス・ニールの下に走った不逞ぇ野郎」「ハートではなく金のためにプレイする男」とか散々な悪印象を被っていた彼氏のソロ・アルバムと聞いても、「PLAYBOYだぁ?タイトルからしてチャラチャラしてやがんなぁ」と、全く興味が持てなかったというのが実際のところ。
しかし、こうしてちゃんと向き合ってみると、スティーヴの華やかなGプレイと、元WARRIORのペリー・マッカーティのパワフルな熱唱に盛り立てられたアメリカンHMサウンドは、チャラチャラどころかちゃんと芯が通っているのが感じられ聴き応え十分。メタリックな疾走ナンバー①あり、ホーンを取り入れたゴキゲンな②あり、哀愁満点のドラマティックなバラード④あり、躍動感溢れる⑥あり、スパニッシュ・タッチのインスト⑨あり…といった具合に、本編にはバラエティ豊かにして優れた楽曲が数多く顔を揃えています。
その豊かな才能に触れたことで、一方的に悪者だと思っていたこの人に対する印象が改まる切っ掛けとなった1枚。その後インタビュー等で両者の言い分を読むと、HM志向のスティーヴとパンク/ロックンロール志向のマイケルとでは、そもそも目指す音楽性に大きなズレがあり、JERUSALEM SLIM崩壊は無理からぬことだったのかなぁと。


ANTHEM - ENGRAVED ★★★ (2017-08-25 00:43:05)

絶対的支柱である柴田直人(B)と、昨今HR/HMシーンでも猛威を振るうガンとの闘病という一大事を乗り越えて、’17年にANTHEMが発表した新作。そうした緊急事態がレコーディング作業にどの程度影響を及ぼしたかは知る由もありませんが、本作のクレジットを確認して先ず吃驚するのが、収録曲の半数近くを清水昭男(G)が手掛けている点。復活前を含めてもこんなことなかった!(よね?)ってな前代未聞の大事件ですが、それでいて聴き終えてみると「やっぱANTHEM最高」という会心の仕上がりになっているのですから2度吃驚ですよ。
いやこれまだって清水は曲作りにタッチしてましたし、多数の有名アーティストに楽曲提供をして来た作曲家としての実力に疑問符なんぞ付きようもありません。しかしこうしてANTHEMの重責をこれまで以上に柴田の親分と分け合っているのを目撃すると、「アラ~、ANTHEMさん家の昭男君が立派になっちゃってまぁ!」と、正月ぐらいにしか顔を合わせない親戚のオバちゃんよろしく肩をバシバシ叩きたくなるという(なんだそりゃ)。特に哀愁が絶妙に効いたコーラスが秀逸な⑤は本作のハイライトの一つではないか?と。
そして勿論、柴田御大もしっかりと存在感を主張しています。歯切れ良くキャッチーに躍動する①、哀愁のHRナンバー②、田丸勇(Ds)のタイトなリズム・ワークが冴える疾走ナンバー③という、破壊力よりも機動力(メロディ)重視という、アルバムの完成度と方向性を保証する頭3曲の畳み掛けは「さすが柴田直人!」と喝采を上げる出来栄え。またそれらの楽曲において、メタリックな熱量は十二分に保ちつつも、青筋は幾分控えめに伸びやかな歌い回しを披露する森川之雄(Vo)の熱唱も本編に新鮮な風を吹き込んでくれていています。
各メンバーのより一層の成長で、ANTHEMが後10年は余裕で戦えることを証明した力作。


RATA BLANCA - Magos, espadas y rosas - El camino del sol ★★★ (2017-08-24 00:21:44)

まさしく「これぞアルゼンチンのRAINBOW!」という
ミスティック且つドラマティックな大作ナンバー。
どうしたって“STARGAZER”の影がちらつきますが、
中東的な雰囲気を纏った本家に対し、こちらはスペイン語の歌詞もあってか
マヤやインカ、アステカといった中南米で栄えた太古の文明に
思いを馳せたくなるエキゾチックなムードに溢れています。
イングヴェイを彷彿とさせる猛烈な速弾きを炸裂させる
ヴァルテル・ヒアルディーノのGプレイも聴きモノですよ。


RATA BLANCA - Magos, espadas y rosas - El beso de la bruja ★★★ (2017-08-24 00:15:04)

“SPOTLIGHT KIDS”や“FIRE DANCE”といった
後期RAINBOWを思わす疾走感と、
巻き舌バリバリのスパニッシュ・メタルの哀愁とが
合体を果たしたアルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


RATA BLANCA - Magos, espadas y rosas - Mujer amante ★★★ (2017-08-24 00:08:23)

曲調的には“STREET OF DREAMS”に触発されて書かれたであろうことは
明かなのですが、そこにスペイン語によるバリラーリの情熱的な歌い回しと
本家より3割増しで哀愁が増強されたメロディが乗っかることで
RATA BLANCAならではの魅力が付与されているではないでしょうか。
歌心を感じさせるリッチー・テイスト溢れるGソロも実に胸に沁みます。


RATA BLANCA - Magos, espadas y rosas ★★★ (2017-08-23 00:23:55)

90年代前半、マニアの間でスパニッシュ・メタル・ブームがちょっぴり盛り上がった時期がありまして、その際に日本に紹介されたのがスペインのMEDINA AZAHARAと、「白いネズミ」を意味するバンド名を名乗る、このアルゼンチン出身のRATA BLANCA。本作は'90年に発表されるや本国でトリプル・プラチナム級の高セールスを記録し、RATA BLANCAの国民的バンドとしての地位を盤石の物とした'90年発表の2ndアルバムであります。
巻き舌とコブシが効きまくったアドリアン・バリラーリの情熱的なVo、作曲者としてもギタリストとしても「リッチー大好きっ子」ぶりを全力表明するヴァルテル・ヒアルディーノのGプレイ、それに『魔術師と薔薇の伝説』なる仰々しい邦題からもお分かり頂ける通り、彼らが志向するのはRAINBOW直撃の様式美HM(+イングヴェイ・テイストも投入)。
“STREET OF DREAMS”風の抒情ナンバー②、“FIRE DANCE”を彷彿とさせるGとKeyのバトルを組み込んだスピーディな③、“STARGAZER”ばりにエキゾチック且つドラマティックな大作ナンバー⑤etc.…と、本家の濃ゆい様式美成分を抽出してグツグツと煮詰めたようなサウンドは衒いのないリスペクト精神に溢れ、ここまで演ってくれたなら、「好き」が高じ過ぎてちょいちょい顔を出す借り物チックなフレーズも気になりませんて。
本家RAINBOWよりも、むしろ日本のTERRA ROSAとかを比較対象に挙げたくなる程のコテコテ風味に溢れる1枚。のっけからコブシを効かせてクサメロを熱唱するアドリアンの声が、だんだん赤尾和重のそれに聴こえて来てしまうという(空耳)。思わぬところで日本(というか関西)とスペインの様式美HMの共通点を垣間見せて頂きました。


MINDLESS SINNER - Turn on the Power - Here She Comes Again ★★★ (2017-08-21 23:38:13)

重厚な導入部から一気呵成の疾走へと転じる
アルバム屈指のスピード・ナンバー。
絶賛できるほど上手いわけではないのですが
自信満々に歌いまくるVoに何だか圧倒されてしまいますね。


MINDLESS SINNER - Turn on the Power - Live and Die ★★★ (2017-08-21 23:33:30)

鋭角的なGリフをフィーチュアして押しまくる
アグレッシブなHMナンバーゆえVoの不安定さも然程気になりません。
それよりも劇的なハーモニーを奏でることで
直線的な楽曲にフックを演出するツインGのカッコ良さに耳を奪われますね。


MINDLESS SINNER - Turn on the Power - We Go Together ★★★ (2017-08-21 23:29:52)

たださえピッチが甘いシンガーのアカペラで
幕が上がるイントロに「無茶しやがって…」と
思わず冷や汗を拭うOPナンバー。
しかし曲自体はメタリックなGリフや疾走感といい、
コンパクトに締まったGソロといい、これぞHM!なカッコ良さ。
危なっかしいVoの熱唱もある意味楽曲の緊張感を高めつつ、
「北欧メタルらしさ」の創出にも一役買ってくれていると
言えるのではないでしょうか。まぁジャンル・ファンの欲目ですが。


MINDLESS SINNER - Turn on the Power ★★★ (2017-08-20 23:39:16)

マニア筋から高い評価を得るスウェーデン出身の5人組が、デビューEPに続き’85年に発表した、ジャケットに鎮座ましますガスマスク女子が目印の1stフル・アルバム。
音楽性はいかにもヨーロピアンな翳りを湛えた正統派HM。但し、煌めく美旋律や透明感といった北欧ハードポップ的要素にはまるで頓着せず、それよりもアグレッシブなGリフと、スピーディなリズムの運用により正面突破を図るストロング・スタイルは、EUROPEブレイク前夜の北欧メタル・バンドらしく、NWOBHMからの影響が大。平板なプロダクションと、微妙に音程の甘い(ちょっとデビュー当時のジョーイ・テンペストを思わせる)ヘタウマVoとが、ジャンル・ファン的には良い意味で、一般リスナーには悪い意味で、青臭く垢抜けないマイナー・メタル臭を運んで来ますが、当然前者に与する我が身としては「そこが良いんじゃない!」と力強くサムズアップした次第。
愁いを帯びてシャープに疾走する曲調の上に乗っかる、いっぱいいっぱいなハイトーンVoが色んな意味でスリリング極まりない名曲①にメタル・ハートを鷲掴まれてしまえば、あとは鋭角的に動き回り印象的にハモってみせるツインGを活かした④や、劇的な導入部を経て猛然と走り始めるお約束の展開が熱い⑦のようなスピード・ナンバーから、重厚なリズム・パターンが“HEAVEN AND HELL”風の③、歯切れ良く突き進む⑥、バラードリーにラストを締め括る⑨といったメロディックなミドル~スロー・ナンバーまで、本編は多少のイモ臭さをモノともしない逸品がズラリ揃っています。
『RED, HOT & HEAVY』期のPRETTY MAIDSを愛聴する方ならマストな1枚かと。


MOTORHEAD - Ace of Spades - Please Don't Touch ★★★ (2017-08-20 01:05:34)

JOHNNY KIDD & THE PIRATESのデビュー・ヒット曲のカヴァーにして、
MOTORHEADとGIRLSCHOOLが合同で発表した3曲入りEP(全英チャート最高第4位)
『St. Valentines Day Massacre』のリーダー・トラック。
メインVoはレミーとケリー・ジョンソンが分け合い、
ドラムは首の骨折って入院中だったフィルシー・テイラーの代わりに
GIRLSCHOOLのデニス・デュフォードが叩いている。
3分弱のランニング・タイムをヤサグレ気味に突っ走る無頼な名曲。

ちなみに動画サイトで見られるTV番組出演時のライブ映像が非常にクール。
ドラム叩かんとウロチョロ踊るフィルシーが何度見ても笑えます。


MOTORHEAD - Motorhead Vs Girlschool ★★★ (2017-08-20 00:18:33)

タイトルに「VS」なんて付いてますが、MOTORHEADとGIRLSCHOOLの電流デスマッチの模様を収めた実況録音盤…なわけは勿論なくて。2バンドが共同でBRONZ RECORDSから発表したEP『St. VALENTINES DAY MASSACRE』をメインディッシュに、そこに彼らのシングルB面曲、更にはBRONZとワン・ショット契約を交わしていたYOUNG & MOODY BAND(レミーを始め、STATUS QUOのボブ・ヤング、WHITESNAKEのミッキー・ムーディやコージー・パウエルらが参加)が発表したシングル2枚等の音源を「取りあえず全部入れとけ!」ってな勢いでブッ込んだテイチクお得意の企画盤。これ1枚で入手困難音源を手軽に振り返れるので便利っちゃ便利なんすが、CD容量の関係で数曲カットされていたりするので、結局は元作品も集める必要が出て来てしまう点は痛し痒しという。
内容については、やはり目玉は「HEADGIRL」とも「MOTORSCHOOL」とも評されたプロジェクトからの楽曲であり、特にJOHNNY KIDD & THE PIRATESのヒット曲のカヴァー①は、レミーのやさぐれVoと、GRILSCHOOLの楽器隊が生み出す無頼な疾走感がマッチした仕上がり。それぞれの持ち曲を交換カヴァーした②③も流石のハマリ具合です。
あと、ボートラ的に収められたYOUNG & MOODY BAND(Voは名曲“孤独のナイト・ゲームス”の作曲者エド・ハミルトン。コーラスはTHE NOLANDSが担当)の⑪⑫⑬は全曲リラックスしまくりのロックンロールで、火花散るような緊張感を求めると落胆確実なれど、参加面子が面子だけに個人的には非常に興味深く聴けることが出来ましたよ。
マニア向けアイテムとはいえ、見かけたらチェックする価値は十分にあるのではないかと。


LIONHEART - Second Nature - Give Me The Light ★★★ (2017-08-18 00:25:24)

幻想的な“PRELUDE”からスタート。
仄かな哀愁を湛えつつ、煌びやかなKeyを身に纏って
爽やかに躍動する曲調は、まさしく往年の
LIONHEARTサウンドを現代にそのままよみがえらせたかのよう。
OPナンバーの大役を任されたのも納得の輝きを放つ名曲です。


LIONHEART - Second Nature - Don't Pay The Ferryman (Chris De Burgh cover) ★★★ (2017-08-18 00:21:21)

アイルランドで活躍する英国人シンガー/ソングライター
クリス・デ・バーが'82年に英米でヒットさせた
『THE GATEWAY』収録曲のカヴァー…と教えて貰わなかったら
LIONHEARTのオリジナル曲と信じて疑わなかったであろうぐらい
見事にハマっている哀愁のHRナンバー。
(確かドイツのDOMAINもカヴァーしていたはず)


LIONHEART - Second Nature ★★★ (2017-08-17 23:11:26)

英国のLIONHEART(スティーヴ・グリメットのLIONSHEARTに非ず)が、約30年ぶりに発表した2ndアルバム。
再編されたバンドのラインナップは、デニス・ストラットン(G)、ロッキー・ニュートン(B)、スティーヴ・マン(Key)のオリジナル・メンバーに加えて、旧知の間柄であるクライヴ・エドワーズ(Ds)、そしてSHYのリー・スモール(Vo)という布陣。1st『HOT TONIGHT』で素晴らしい喉を披露していたチャド・ブラウンの不参加を惜しみつつも、リーとてシンガーとしての実力は折紙付きゆえ不安は微塵もなし。LIONHEARTが得意とするハードポップ寄りの楽曲を歌うには声質的にやや「重い」かと思わなくもありませんでしたが、本作の方向性自体がハード気味に振られていることもあり、危惧したような違和感はありませんでしたね。
蔵出し音源集『UNEARTHED』収録曲のリレコと、書下ろしの新曲が半々で構成された本編は、コンピ盤的色合いが感じられなくもないものの、それでもイントロ①に続いて、爽やかな曲調にKeyが涼し気な彩りを加える②、カヴァー曲とは思えぬハマリ具合でアルバムのハイライトを飾る③、デニスがIRON MAIDEN在籍時代に書き上げた(スティーヴ・ハリスと共作予定だったという)⑤、キャッチーな⑩、実質的なデビュー曲であった疾走ナンバーにしてバンドのテーマ曲⑫等、「LIONHEART is BACK!」と確信させられるに十分な高品質な楽曲の数々を耳にすれば、そんなことは些細な問題であると。
今更ながら、PRAYING MANTISと共同で行われたという彼らの来日公演に足を運べなかったことが悔やまれる、復活作として十分な手応えを感じさせてくれる1枚です。


JETBOY - Feel the Shake - Hard Climb ★★ (2017-08-15 22:39:01)

派手な見た目に反して落ち着きすら感じさせる
ロックンロールを聴かせてくれたデビュー作において
この曲のみ売れ線ハードポップ・ナンバー風。
ハッキリ言って本編からは浮いているのですが
いやでも良い曲なんですよ、これが。
甘くキャッチーなサビメロに虫歯が疼きますよ。


JETBOY - Feel the Shake (2017-08-15 22:34:26)

デビュー直前にELEKTRA RECORDSとの契約を破棄されるという辛酸を舐めるも、《NO PAIN, NO GAIN》(苦労なくして得られるものなし)のポリシーの下、自棄を起こさず踏ん張って、再度メジャー・レーベルMCA RECORDSとディールを交わすことに成功したLAの4人組が、'88年に発表したデビュー作。(プロデュースはトム・アロムが担当)
シンガーのミッキー・フィン(Vo)がモヒカン頭だったり、メンバーの1人が元HANOI ROCKSのサム・ヤッファ(B)だったりと、センセーショナルなアピアランスが注目を集め、GUNS’N ROSESの対抗馬とも目された(当時)彼らゆえ、さぞかしエネルギッシュでデンジャラスなサウンドを聴かせてくれるものと思いきや、意外にも本作で聴かれるのは、ブルーズやグラム・ロックからの影響を散りばめつつシンプルにプレイされる、時に渋みすら漂わすロックンロール。帯に書かれた惹句《LAメタルのトリは俺達が務める!》の勇ましさからすると「もっと派手にハジけて、パンキッシュに攻めてくれてもいいんじゃない?」と。これではミドル~スロー・テンポの楽曲中心の本編に物足りなさを感じる方がいるのも無理からぬことのような。
泣きや哀愁とは無縁の作風であり、嘗てはガン無視を決め込んでおりましたが、HR/HM名盤ガイド本に本作が取り上げられていたことに興味を引かれ中古盤をゲット。決して主食にはなり得ない作品だとは思いつつも、例えば作中では浮いてるようにすら感じられる、キャッチーなハードポップ・ナンバー⑧の名曲ぶりは大したものだと感心させられたりも。
バンドの地力の高さは十分に伝わって来る出来ゆえ、あとは好みの問題でしょうか。


LIZZY BORDEN - Terror Rising - No Time to Lose ★★★ (2017-08-14 23:56:20)

LIZZY BORDEN屈指の名曲。
疾走する曲調、その上に乗るリジーのけたたましいハイトーン、
何より「ここぞ!」というタイミングで劇的にハモってみせる
ツインGの妙技がガッツポーズ物ですがな。


LIZZY BORDEN - Terror Rising ★★★ (2017-08-14 23:52:56)

2ndフル『MENACE OF SOCIETY』を以て、ここ日本で一躍評価を高めたLIZZY BORDENが、リジー曰く「新作が出るまでズーっとLIZZY漬けなって欲しい」との目的の下、次のアルバムまでの繋ぎとして'87年に発表したミニ・アルバム。
日本盤とUS盤とでは内容が異なっており、JEFFARSON STARSHIPの代表曲“WHITE RABIT”や、BITCHのベッツィ・ウェイスとリジーの「美女と野獣」デュエットが楽しいTUBESの“DON’T TOUCH ME THERE”といったカヴァー曲①②、及び新曲③④に関しては両盤共通な一方、日本盤はB面サイドに国内未発売だったデビューEP『GIVE ‘EM THE AXE』を丸ごと収録。個人的に本作の購入動機はこれ目当てだったぐらいでしてね。
キャッチーな表題曲⑤、リジーの個性的なハイトーン(歌の巧くなったオジー風)が勇ましい曲調に花を添える⑥、切れ味鋭く切り込み、劇的にハモるツインGの威力がガッツポーズ物のスピード・ナンバーの名曲⑦、バンドの名を一躍HR/HMシーンに広めるのに大きく貢献したRAINBOWの代表曲“LONG LIVE ROCK’ N ROLL”のカヴァー⑧等、『MENACE~』以降の作品よりも明確に欧州風味の正統派HM路線が志向されている楽曲の数々がカッコイイの何のって。勿論、バラード風に始まり、印象的に歌う2本のGを伴ってノリ良く駆け抜ける③のような新曲の出来栄えもお見事ではありますが。
本編全体に占めるカヴァー曲の割合の高さや、3分未満の楽曲がテンポ良く繰り出されていく構成といい、全体的に肩の力を抜き、バンド側も楽しんでレコーディングを行ったであろうことが伝わって来る1枚ですね。


CRACK JAW - Branded ★★ (2017-08-11 09:20:21)

SPV/STEAMHAMMER RECORDSとアルバム3枚分の契約を交わし、'85年に名盤『NIGHTOUT』でデビューを飾った西ドイツ・フランクフルト出身の5人組の2ndアルバム。…になる筈が、レーベルとの関係が拗れたことでリリースはご破算。やる気を失ったバンドも解散してしまったためそのままお蔵入りの憂き目に遭った不遇な1枚が、’16年に初お目見え。正式発売に際しては、リマスター音源、再結成後にレコーディングされた新曲(これがなかなかの出来栄えで良い感じ)等の大量ボーナス・トラックに加えて、更にはブックレットにはバンド・ヒストリーから詳細な各曲解説まで収録。如何にもドイツ人らしい几帳面な仕事ぶりが発揮された本作の仕様からも、バンド側の本作のリリースが叶ったことに対する喜びの程が伝わって来るかのようです。
音の方は、1stのスタイルを順当に引き継いだ哀愁のヨーロピアンHR。プロダクションの冴えなさはお蔵入り音源ゆえ目を瞑るとして、“STRUCK BY THUNDER”のようなインパクトあるスピード・ナンバーの名曲が見当たらず、全体的にミッド・テンポの楽曲中心にまとめられた「歌重視」の作風には若干の物足りなさを覚えなくもないという。
それでも、イントロから2本のGが泣きまくるドラマティックな②、重厚に突き進むアルバム表題曲③、キレのある疾走ナンバー⑥、泣きに満ちたバラード⑨、哀メロがキャッチーに躍動する⑩等、きっちりと耳を捉えるハイクオリティな楽曲の数々が収められている辺りは流石。このバンドのポテンシャルの高さは侮れません。「リリースしてくれてありがとう!」と、思わずメンバーに駆け寄って握手を求めたくなる1枚でしたよ。


Alice'n Thunderland - Alice'n Thunderland - Mine, All Mine! ★★★ (2017-08-09 21:50:33)

アルバムのジャケットに描かれた猫バスもどき
(トトロのとは違ってちびっ子を頭から喰らいそうな感じ)
の凶悪な咆哮からスタートするOPナンバー。
エミのハスキーなシャウトと、ライブ映えしそうな
パワフルなコーラスをフィーチュアして
重心低く突き進むドスの効いた曲調が非常にカッコイイ。


Alice'n Thunderland - Alice'n Thunderland ★★ (2017-08-09 21:20:39)

ランディ・ローズ門下生にして、ギターを肩に担いだ状態でタッピングを行うという、斬新且つ壮絶に無意味な(そこがいいんじゃない!)「アップサイド・ダウン奏法」で一世を風靡し損なったチェット・トンプソン(G)と、MOTLEY CRUEのバック・コーラスも務めたNASTY HABITSのメンバーで、ミック・マーズの元奥方としても知られるエミ・キャニン(Vo)によるバンドが、’95年に世に放った唯一作。
参加面子に興味をそそられたのと、中古盤が安かったので購入はしたものの、モダン・ヘヴィネスが猛威を振るった時期のUS産HMバンドの作品ゆえ、内容に関しちゃ殆ど期待していませんでした。事実、飾り気皆無のプロダクションから歪んだGの音作り、中~低速/音域メインの収録曲に至るまで、その作風は90年代の流行にばっちり則っていますし。
しかしながら、エミの姐御系に分類されるワイルドな歌唱と、リフ/リード両面において冴え渡るチェットのテクニカルなGプレイとが、モダンなパワー・メタル・サウンドにキレとフックを生み出していて、本作が単に重苦しくてカッタルイだけの内容になることを防いでくれています。特に腰を低く落としてズンズン突き進むが如き①は、中期VICIOUS RUMORSを思わす迫力満点の名曲。まぁ地味な楽曲も散見されますけど、にしたってラストを〆る⑪がエミの熱唱を活かして盛り上がる秀曲ゆえ聴後感は上々。あと付け加えると、へヴィ&アグレッシブな音楽性に反して歌詞からはクリスチャン・メタルの姿勢も伺えたり。
何となく、チェットが一時的に参加していたマンディ・ライオン率いるWWⅢのアルバムに通じる魅力を感じた1枚。勿論USパワー・メタル愛好家にもお薦めです。


Alice'n Thunderland (2017-08-09 21:19:50)

ランディ・ローズに師事し、タッピングの名手として知られたチェット・トンプソン(G)が、アン・ボレイン率いるHELLIONに参加して知名度を高めた後、90年代に入って結成したバンド。(バンド名は彼が10代の頃にやっていたバンドの名前をそのまま再利用している)
相棒役を務めたのは、MOTLEY CRUEのバック・コーラスを務めたNASTY HABITSのメンバーで、一時期ミック・マーズの奥方でもあったエミ・キャニン(Vo)。
バンドは'95年にアルバム1枚のみを残して、大きな成功を収めることなく消滅するが、ミック・マーズは女房(当時)のバンドということで彼らに金銭面や機材面で支援を惜しまなかったため素寒貧になってしまったという。ちょっといい話――いい話か?――あり。


BLOODGOOD - Detonation - Eat the Flesh ★★★ (2017-08-07 22:17:49)

彼らがクリスチャン・メタル・バンドだからというわけじゃないのですが
どことなく讃美歌チックな荘厳さを湛えて響き渡るサビメロが印象に残ります。
作品全体としては硬派な正統派HMサウンドを志向しつつも
こうしたボーカル・ハーモニーを活かしたコーラスの組み立ての巧みさは、
やはりアメリカのバンドだなぁと。


BLOODGOOD - Detonation - Vagrant People ★★★ (2017-08-07 22:13:49)

メタル魂を燃え上がらせる勇壮な曲調と重々しい疾走感、
地響き立てて炸裂する男性コーラスとが相俟って
そこはかとなくACCEPTを思い出させる逸品に仕上がっております。


BLOODGOOD - Detonation - Battle of the Flesh ★★★ (2017-08-07 22:09:20)

イントロから派手な速弾きが炸裂する、OPナンバーらしい疾走曲。
リーダーのマイケル・ブラッドグッドがゴリゴリ鳴らしまくるBが
楽曲の持つハードネスを際立たせます。
シャープに切り込んでくるGに負けじとパワー全開のVoが歌う
ライブ映えしそうなコーラスも印象的。


BLOODGOOD - Detonation ★★★ (2017-08-06 23:48:53)

ワシントン州シアトルにてマイケル・ブラッドグッド(B)により結成され、後にプロデューサー業やソロ・アーティストとしても活躍するデヴィッド・ザフィーロがフロントマンを務めていたことで知られるバンドが、’87年にFRONTLINE RECORDから発表した2nd。
STRYPER、WHITECROSS、BARREN CROSSを含めた「4大クリスチャン・メタル・バンド」(そんな括りがあったんかい)の中では唯一国内盤がリリースされていないこともあり、日本での知名度は今一つな印象ですが、作品の質の高さでは上記3バンドに勝るとも劣りません。
派手なライブ・パフォーマンス等がキリスト教右派から批判され、本国よりも欧州での人気が先行したという逸話に相応しく、本作において彼らが聴かせてくれるのは、ヨーロピアンな風情も漂わす硬派な正統派HM。特にイントロからフラッシーに炸裂するG、ゴリゴリと骨太なアクセントを加えてくるB、粗い声質のシャウトがメタル向きのシンガーが歌う、思わず合唱を誘われるキャッチーなメロディを伴い疾走するOPナンバー①は、挨拶代わりの一撃とでも言うべき名曲。更にACCEPTばりの重低音コーラスをフィーチュアした勇壮な②がその後に続いた時点で、個人的には本作の出来の良さを確信させられた次第。そして勿論その期待は裏切られることなく、本編にはこれ以降も、讃美歌調に響き渡る重厚なサビメロがドラマティックな⑥、攻撃的な曲調とミュージカル仕立ての歌詞(キリスト処刑にまつわるピラト総督の伝承)を組み合わせた⑧等、印象に残る楽曲が途切れることなく連続します。
インディーズ制作ゆえのパサついた音作りには難ありなれど、気合迸る本編はそれを補って余りあるカッコ良さ。彼らの他の作品もチェックせねばという気にさせられる1枚です。


UNLEASH THE ARCHERS - Apex - Apex ★★★ (2017-08-05 10:03:35)

叙情的に始まり、テンポ・アップしつつツインGのハモリを
散りばめつつパワフルに盛り上がっていく様が、
なるほど確かに、ブリトニー・スレイズが
「まさにそういうノリが楽曲が作りたかった」
とインタビュー等で正直の答えているように、IRON MAIDENの
“審判の日”を彷彿とさせる、本編ラストを〆る大作ナンバー。


UNLEASH THE ARCHERS - Apex - Cleanse the Bloodlines ★★★ (2017-08-05 09:59:18)

アルバムのコンセプトに沿ったファンタジー映画風のPVも作られている
アルバムのリーダー・トラック。ブリトニー・スレイズのパワフルな熱唱が
映えるプログレ・メタル調の劇的な曲展開と、エピック・メタリックな
勇壮な盛り上がりっぷりにぐいぐい引き込まれてしまいます。


UNLEASH THE ARCHERS - Apex - The Matriarch ★★★ (2017-08-05 09:51:26)

タイト且つテンポ良く攻めて来るHMナンバー。
国内盤の解説でも触れられている通り、
エピック・メタルというよりは
80年代のUSパワー・メタルに通じる
ガッツが感じられます。


UNLEASH THE ARCHERS - Apex ★★★ (2017-08-04 07:18:07)

数年前に行われた来日公演におけるメタル・ゴッデスぶりが未だ記憶に鮮烈なブリトニー・スレイズ(Vo)率いる、カナディアン・パワー・メタル軍団、’17年発表の4thアルバム。
メタル者の血を滾らせるエピカルな音楽性はそのままに、ブリトニー嬢と共に曲作りの一角を担っていたデス・メタル好きのギタリストが脱退したせいか、前作辺りまで目立っていたグロウルを用いたコーラスやブラスト・ビート等、デス・メタリックな要素は減少傾向。それよりもオールドスクールで正統派な方向へとサウンドの焦点が絞り込まれた印象です。
ジャーマン・メロパワ風のサビメロを持つ①で本編の幕が上がった時は「え?そっち行っちゃうの?」と不安に駆られなくもありませんでしたが、次曲以降は小気味良く疾走する②⑤、パワフル且つ好戦的な③、劇的な曲展開にメタル魂がメラメラと燃え上がる④、ライブ会場で無数の拳が突き上げられる光景が目に浮かぶような⑦…といった具合に、UTA印の勇壮なる楽曲が連続。ラストを〆るIRON MAIDENに対する溢れんばかりの敬意が託された大作ナンバー⑩、サウンド的にもコンセプト的にもハマり過ぎるぐらいハマっているQUEENSRYCHEの名曲カヴァー⑪に至るまで、無駄も隙もない本編には唸らされっ放しという。そして勿論、時に女王の如く威厳たっぷりに、時に戦士の如く凛々しく、そして時に女神の如く麗しく、それらを堂々歌い上げるブリトニー嬢の歌唱こそが本作の主役であることは今更言うまでもありませんわな。
演っている音楽とプロダクションの方向性に若干の齟齬を感じなくもないのですが、ここまで強力なHMアルバムであればそれも大した問題じゃないですよね。


ACCEPT - Eat the Heat - Mistreated ★★★ (2017-08-02 22:59:52)

泣きや哀愁のセンスは従来のACCEPTから引き継ぎつつ
デヴィッドのじっくりと聴かせるエモーショナルな歌唱と
大陸的な雄大なスケール感といった新味も見事に活かした
感動的なロッカ・バラード。尺は9分近くと長めですが
時が経つのも忘れて聞き惚れてしまいますよ。
ウルフ・ホフマンの泣きのGも絶品。


ACCEPT - Eat the Heat - Hellhammer ★★★ (2017-08-02 22:54:41)

メロディック&リズミックに弾む曲調と、
キャッチーなサビメロが非常に秀逸。
(思わず一緒に叫びたくなりますね)
デヴィッド・リース擁するACCEPTが目指したサウンドの
理想形に限りなく近づいた名曲ではないかと。


ACCEPT - Eat the Heat - X-T-C ★★★ (2017-08-02 22:49:24)

ウド在籍時代には既に書かれていた楽曲らしく
ウドも気に入ってU.D.O.のライブでプレイしていた。
つまりは「これぞACCEPT!」な名曲であるという。
下っ腹にズンズン来るパワフルなHMナンバー。


CANDLEMASS - Ancient Dreams ★★★ (2017-08-01 00:12:03)

オジー期のBLACK SABBATHに、北欧然とした神秘性やドラマ性、更にはメタリックなエッジの鋭さを加味することで、「エピック・ドゥーム・メタル」なる音楽性に先鞭をつけたCANDLEMASS。本作は、その彼らが英国輸入盤チャートで№1の座をゲットする成功を収めた『NIGHTFALL』(’87年)の勢いを駆り、’88年に発表した2ndフル・アルバム。
前作のジャケットにはトマス・コール画伯の代表作の一つ『人生の航路』より『老年期』が用いられていましたが、今回は同シリーズより『青年期』を採用。連続性を感じさせるこのアートワークが物語る通り、サバシーなリフ・ワークから漆黒のメロディを奏でるGソロまで、高い「トニー・アイオミ度数」を誇るレイフ・エドリングのGプレイ、タメの効きまくったリズム、その上で歌唱力も体型も横綱級のフロントマン、メサイア・マコーリンが朗々響き渡らせる(歌唱というよりも)「詠唱」と評したくなるオペラティックなVoをフィーチュアした唯一無二の音楽性には、些かのブレもありません。むしろ重厚長大にして、ゴシカルなドラマティシズムに磨きが掛けられた楽曲群からは、より一層闇の世界の深淵へズブズブと沈み込んで行くような暗黒オーラが濃密に立ち昇っています。
重々しく荘厳な立ち上がりから、ラストのこの上ないハマリ具合のBLACK SABBATHのカヴァー・メドレーに至るまで、ドゥーム・メタルと聞くと敷居の高さを感じてしまうリスナーも、要は「スローな様式美HM」と思えば恐るるに足らず。METAL BLADE RECORDSを通じてアメリカでのリリースも実現した結果、インディーズ配給ながらビルボード・チャートに飛び込む好成績を残したCANDLEMASSの代表作と言われるのも納得の1枚です。


ZINATRA - Zinatra ★★ (2017-07-30 10:28:15)

80年代末期のダッチ・メタル・シーンを盛り上げたバンドが、DEF LEPPARDが愛用していたことで知られる地元オランダのWISSELORDスタジオにてレコーディングを行い、’88年にNT RECORDSから発表した1stアルバム。それが縁なのかLEPPSのフィル・コリンがゲストとして客演、バラード⑩にGソロを提供してくれています。
本作のトピックと言えばそれぐらいで、ソロ・ワークやDANGER DANGER他の活動で認知を得る敏腕ソング・ライターのポール・レインが楽曲提供、オランダの貴公子ことロビー・ヴァレンタインがKey奏者として参加、更に珠玉の名バラード“LOVE NEVER DIES”を収録…と、フックだらけだった次作『THE GREAT ESCAPE』('90年、2nd)に比べるとどーにも地味に感じられてしまい、ずっとスルーし続けて来ておりまして。ところが先日格安で購入する機会に恵まれ、試しに再生してみたら「うーむ。これはこれで捨てたもんじゃねぇ!」と認識を改めさせられたという。
キラキラ・シンセを効かせたハードポップ・サウンドはもろ80年代風で、今となっては赤面を誘われたり、少々軽過ぎると感じる向きもありましょうが、それでも煌めくシンセを纏ってキャッチーに駆け抜ける①や、映画主題歌に起用され本国ではTOP 20に入るスマッシュ・ヒットとなったという②を始め、煌びやかなハードポップ・チューンから甘いバラードまで優れた楽曲が取り揃えられた本編は、ZINATRAが決してポール・レインやロビー様に頼らなければ良い曲を揃えられないバンドではないことを証明する出来栄えです。
聴けて良かった。2ndが気に入られたら是非本作の方もどうぞ。


LIZZY BORDEN - Menace to Society - Stiletto (Voice of Command) ★★★ (2017-07-28 00:01:46)

もうシャープに踊るイントロのツイン・リードGで
星3つ確定ですよ。
惜しむらくは曲調全体に湿り気が不足気味な点なのですが
そこがこのバンドの個性でもあるわけでして。
スピーディに押しまくりりつつ、メリハリも忘れない
曲作りの上手さが光る名曲です。


LIZZY BORDEN - Menace to Society - Notorious ★★★ (2017-07-27 23:57:37)

疾走感溢れるツインGを活かしつつも
キャッチーなコーラスを始め
陰に籠らない曲調はカラッと快活。
確かに『THUNDER IN THE EAST』の頃の
LOUDNESSに通じるものを感じますね。


LIZZY BORDEN - Menace to Society ★★★ (2017-07-27 23:32:21)

リジー・ボーデン(Vo)率いるバンドが’86年に発表した2ndフル。雑誌レビューの高評価に後押しされ、初めて購入した彼らのアルバムだったと記憶しますが、事前に伝え聞いていた情報の数々――曰く、リジーさんが提唱する「サイコ・ロック」に、それを実践するための派手なビジュアル&シアトリカルなライブ・パフォーマンスetc.――こりゃきっとKING DIAMONDばりにオドロオドロしいホラーなメタルが聴けるに違いありませんな!と、ニヤニヤ気色悪い笑み浮かべつつ作品を再生してみたら、妙にアッパーなOPナンバー①が終わった時点で「あの…コレ思ってた音と全然違うんスけど」と呟いてしまいましたよ。
いや確かに歌詞のテーマは「暴力」や「恐怖」ですし、甲高いハイトーンを活かして歌いまくるリジーのVoや、切っ先鋭い2本のGによるハーモニーが散りばめられたアグレッシブ且つ疾走感に溢れたサウンドは、紛うかたなき正統派HMスタイルではあるのですが。湿った泣きや哀愁よりも、カラッと豪快な抜けの良さが勝る作風は、例えばKING DIAMONDが思わずゾッとする心霊/オカルト系ホラーなら、こっちは血がブーブー飛び散る様がいっそキッチュな、皆でワイワイ楽しむ陽性スプラッター・ホラーの趣きという。
まぁそれが分かってしまえば、なぜだか『北斗の拳』主題歌を思い出した②、ツインGがシャープに暴れ回るイントロだけで名曲確定な⑤を始め、「これはこれでOK!」と。イントロから泣きまくりのバラード③、物騒なタイトルに反して哀愁を帯びたツインGが映える⑥、本編終盤を劇的に盛り上げる⑨のようなタイプもしっかりと収録されていますし。
当サイト登録のLIZZY BORDEN作品の中で、一番人気なのも納得の1枚ですよ。


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight - Forever More ★★★ (2017-07-25 23:13:45)

哀愁を帯びた曲調と、それをドラマティックに盛り上げる
デヴィッドの情熱的な歌唱に胸揺さぶられる名バラード。
楽曲に寄り添った、クレイグの歌心を感じさせるGソロも素晴らしい。


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight - Eye for An Eye ★★ (2017-07-25 23:06:20)

跳ねるリズムに乗ってトリッキーに躍動する
クレイグ・ゴールディのフラッシーなGプレイが聴きモノ。
都会的なクールネスを湛えたデヴィッドの歌メロも良い感じですよ。


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight ★★ (2017-07-24 23:20:15)

DIO脱退後のキャリアが今一つパッとしないクレイグ・ゴールディが、CRAIG GOLDY’S RITUAL名義で’90年にGRAND SLAM RECORDSから発表した作品。
まず、売れないSF漫画家の没イラストをリサイクルしたみたいな駄目ジャケで1ストライク(読めそうで読めない日本語にイラッ/笑)。書く内容について苦慮を感じさせるゴッドの歯切れの悪い国内盤解説で2ストライク。そしてA面にGIUFFRIA時代の僚友デヴィッド・グレン・エイズレー(Vo)と共作した音源を収録し、B面にはバンド形式(Voはマイク・ストーンが担当)でレコーディングされた楽曲が並ぶという、変則的な…ぶっちゃけ「寄せ集め音源集」とも言える構成で、3ストライク!バッター・アウト!となる1枚。
そんなわけで聴き始めの期待値は限りなくゼロに等しかったのですが、聴き終えてみるといやいやどうして。アメリカンな埃っぽさとも、欧州風味の湿っぽさとも異なる、都会的なクールネスを漂わすベタつかないHMサウンドに、「あれ、これ案外悪くないかも?」と。
トリッキーなGリフが刻まれるOPナンバー①の時点で早くも「おっ」と思わせてくれますし、デヴィッドの熱唱が光る哀愁のバラード⑤、Keyも効いたメロディアスなミッド・チューン⑧、これまた独特なGワークとメロディが耳に残る⑪といった楽曲は、モダンなセンスに裏打ちされたクレイグのGプレイが映える秀逸な仕上がりと言えましょうや。
ただ全体的に地味な感は否めないというか。クレイグ・ゴールディというギタリストがそうであったように、彼の演りたいことや、「この人と言えばコレ!」みたいな強烈なカラーがイマイチ伝わって来ない作品なんですよね…。ファンの方には申し訳ないのですが。


TANGIER - Four Winds - On the Line ★★★ (2017-07-23 02:27:57)

小粋なハミングに哀愁のGが被さる導入だけで
「渋っ!」となる、パワフルなブルーズ・ロック・ナンバー。
シングル・カットされ(最高第67位)、
PVも作られたTANGIERの代表曲でしょうか。


TANGIER - Four Winds - Four Winds ★★★ (2017-07-23 02:19:14)

イントロからして砂塵吹き荒ぶ西部のゴーストタウンが
脳裏に浮かぶような渋さ。
骨太な哀愁漂わすGと、タメの効いたリズム、
(さりげなくKeyも有用されています)
そしてビル・マットソンのエモーショナルなVoが
徐々に熱を帯びながら盛り上がっていく曲展開に
くぅーっと唸らされますよ。


TANGIER - Four Winds ★★ (2017-07-21 00:19:31)

80年代後半、浮かれポンチなLAメタルに対するカウンター的に発生したブルーズ・ブーム。GREAT WHITEやCINDERELLAが人気を集める中、その盛り上がりにいっちょ噛みすべく米メジャーのATCOが送り込んで来た、《嵐を呼び起こす5つの風》ことフィラデルフィア出身のTANGIERが’89年に発表した1stアルバム。…と思ったら実はインディーズ時代に既にデビュー作は発表済みで、一度解散した後、GとVo中心のバンド再編を経てレコーディングされたのが本作だったという。つまりこれは2ndってことか。
サウンドの方は、WHITESNAKEからゴージャス感を差っ引いた代わりに、アメリカンな埃っぽさを増量したようなブルーズ・ロック。リリース当時は、いくらゴッドが激賞してようが音楽性的に全くのアウト・オブ・眼中で、最近になって中古盤が安く投げ売られているのを発見し、ようやく落穂拾い気分で購入してみたのですが…ああ、良いじゃんか!コレと。
一発で掴まれるような派手さは控えめながらも、適度なノリの良さや乾いた哀愁のメロディに彩られた収録楽曲は、メインストリーム・ロック然としたキャッチネスも備えていて、必要以上に地味に落ち着き過ぎることがありません。一度聴き始めるとスルスルと楽しめてしまいますよ。骨太なGプレイと、何より歌詞と歌詞の行間をエモーションで埋めていくタイプのシンガーの、デヴィカバやポール・ロジャースに連なる歌いっぷりが最高です。ハミングからスタートするヒット・シングル③や、哀愁を湛えて熱く盛り上がっていくバラッド⑤等は、このバンドならではの個性が渋い輝きを放つ名曲ではないでしょうか。
こんな逸材Voが、本作を最後にバンドを脱退してしまったのは返す返すも残念ですね。


LITA FORD - Lita - Kiss Me Deadly ★★★ (2017-07-20 00:02:47)

ハッキリと「売れ線」を意識しているハードポップ・ナンバーですが
実際、ポップでキャッチーな素晴らしい楽曲で
ビルボード・チャート最高第12位も納得。
セクシーに次ぐセクシーなPVも脳裏に焼き付いておりますですよ。


LITA FORD - Lita - Close My Eyes Forever ★★★ (2017-07-19 23:56:19)

全米シングル・チャート最高第8位にランクインした
オジー・オズボーンとのデュエット・バラード。
邦題“永遠の眠り”が物悲しくもドラマティックな曲調にマッチしています。
曲調といい、Voの比率といい、主役の座はオジーに譲って
(シャロンにブッ込まれたのか?とか邪推したくなりますが/笑)
リタ姐さんはギタリストとして楽曲を支えることに専念している印象です。
実際、エモーションが溢れ出すGプレイは非常に素晴らしい。


LITA FORD - Lita ★★★ (2017-07-18 23:28:45)

元RUNAWAYSのセクシー・ダイナマイツ、またNITROマニアからは「ジム・ジレットの嫁」('11年に離婚)として知られるリタ・フォードが’88年に発表した3枚目のソロ・アルバム。PHANTOM BLUEの1stや、LIV MOONの3rd(初回限定盤)同様、「ジャケットのオッパイに釣られて買ってしまった。だが後悔はしていない」作品の一つでもあります。
自らの名を表題に冠していることからも、彼女が本作に賭ける意気込みの程が伝わって来ますが、更に今回からマネージメントをシャロン・オズボーンが担当。加えて、ゴージャスな疾走ナンバー②にはMOTORHEADのレミーが、どことなくFREEの“WISHING WELL”を思わす⑤にはMOTLEY CRUEのニッキー・シックスが、そして“永遠の眠り”なる邦題付き劇的なバラード⑨には、オジー・オズボーンの名前がそれぞれ共作者としてクレジット。かような「水も漏らさぬ」バックアップ体制が功を奏したのか、本作からシングル・カットされたオジーとのデュエット・バラード⑨がシングル・チャート最高第8位にランクイン、アルバム自体も第26位に食い込むヒット作として立派な成績を収める結果に。
それでいて、本作がゲストの知名度におんぶに抱っこな代物なのかと言えば、さに非ず。OPナンバー①でのっけからGを渋く歌わせたかと思えば、エロティックな③では大人の色気を振り撒き、逆にハジけるパワー・ポップ・チューン④では溌剌とした歌唱を披露…といった具合に、これまでに比べ格段にキャッチーなメロディが増量/洗練された本編中において、リタ姐さんは歌にギターに、その才を存分に振るって生き生きと躍動しまくっています。
彼女の名前は知ってても聴いたことはない方は、本作辺りから入ってみるのが宜しいかと。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Return of the Passover ★★★ (2017-07-17 22:43:04)

チリチリと不吉なイントロが
幾ばくかのオカルト臭を醸し出すものの、
湿ったメロディを豊かに紡ぐGに主導される形で
長尺をドラマティックに紡いでいく楽曲自体は
正統派のブリティッシュHMの伝統美に満ち溢れていますよ。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Laying Down the Law ★★★ (2017-07-17 22:33:20)

ギミックは排して、シンプルなGリフで押して行く
メタリックな曲調は、『STAND UP AND FIGHT』を
発表した頃のQUARTZに通じるものあり。
NWOBHMらしさを前面に出した、こういう楽曲も
また味わい深くてカッコイイ。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Gates of Gehenna ★★★ (2017-07-17 22:28:48)

デビューEP『THE OPENING RITUAL』のOPナンバーでもあった楽曲。
1stアルバム・バージョンでは、重厚なインスト曲“MARCH OF DAMMED”から
繋がっていくドラマティックな構成が用意されています。
Voの歌唱法といい、G主導で導かれる少々プログレ掛かった劇的な曲展開といい、
『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTからの影響が濃厚に息衝く逸品。


CLOVEN HOOF - Cloven Hoof - Cloven Hoof ★★★ (2017-07-17 22:23:01)

OPナンバー兼バンドのテーマ・ソングに相応しく、
静と動を行きつ戻りつする大仰な曲展開といい、
歌ったりガナったり語ったりと忙しいVo、
湿度の高いメロディを奏でるG、
「エコエコアザラク エコエコザメラク」と
オカルト風味全開の歌詞世界etc.と
CLOVEN HOOFというバンドの何たるかが
ギュッと凝縮された名曲です。


MASS - Take You Home - Over You ★★★ (2017-07-12 23:45:48)

メタリックなGリフ、適度な疾走感、哀愁を帯びたメロディ、
キャッチーなコーラスetc.と、MASS屈指の…いやさ、ここは思い切って
クリスチャン・メタル屈指の名曲の一つと言ってしまいたいところ。
まぁイントロだけ聴くと“SOLDIER UNDER COMMAND”でも
始まりそうな感じではあるのですが。


MASS - Take You Home ★★★ (2017-07-11 23:42:03)

ボストンのクリスチャン・メタル・バンド、MASSが翌年発表する2ndフル・アルバムに先駆けて’87年にリリースした6曲入りEP。
その昔。ラジオで耳にしたのか、お店で流れていたのを聴いたのか忘れてしまいましたが、ともかく名曲“OVER YOU”のあまりのカッコ良さにK.O.され、こりゃ是が非でも収録作品をゲットせねば!と探し回ってようやっと購入。しかも実際に本作を聴いてみたら、キレのあるスピード・ナンバー③や、抒情メロディと劇的な構築美を備えた⑥(あと再発盤にボートラとして追加収録されている⑦もドラマティックで素晴らしい)等、それ以外の収録曲も捨て曲なしの名作だったというね。
次作『VOICES IN THE NIGHT』(’88年)ではマイケル・スウィートをプロデューサーに迎え、音作りやキャッチーなコーラス・ワークがより洗練されたことで、更にSTRYPER色が強化されることとなりますが、この頃のサウンドから受ける印象はセルフ・プロデュースによるラフな音質とも相俟って、未だ「アグレッシブな正統派HM」といった趣き(何せ1曲目からタイトルは“PEDAL TO THE METAL”ですからね)。その集大成と言うべきが、イントロの――ちょっとSTRYPERの名曲“SOLDIER UNDER COMMAND”を彷彿とさせる――勇壮なGメロディだけでメタル魂に着火されてしまう、クリスチャン・メタル史に残る(と勝手認定)逸品“OVER YOU”だったのかなと。
ボリュームはタイトながら内容は濃厚。実はMASSの作品の中で最も手が伸びる率の多い1枚だったりします。


BARREN CROSS - Hotter Than Hell! Live ★★★ (2017-07-10 23:53:09)

クリスチャン・メタルと言えば、ロブ・ハルフォードになりきったシンガーの歌声が話題を呼んだSAINTというJUDAS PRIESTタイプのバンドが居ましたが、同じジャンルに属する仲間でも、このBARREN CROSSはブルース・ディッキンソン似の歌唱スタイルのシンガーを擁し、IRON MAIDEN型の正統派HMを聴かせてくれるLAの4人組。
本作はそんな彼らが'90年にMEDUSA RECORDSから発表した実況録音盤で、3rd『STATE OF CONTROL』(’89年)発表に伴う全米ツアーの中から、地元でのライブの模様を収録。序盤から出し惜しみせずに名曲“DYING DAY”を繰り出してこっちのテンションを一気に引き上げてくれるセットリストは、ヒットを飛ばした2nd『ATOMIC ARENA』(’87年)収録曲を中心に過去3枚のスタジオ・アルバムから選曲されていて、ある意味80年代のBARREN CROSSの足跡を総括するベスト盤としての役割も果たしているという。
エネルギッシュに歌いまくるハイトーンVoをフィーチュアし、パワフルな正統派HMナンバーが矢継ぎ早に繰り出される構成から、その合間に組み込まれたソロ・パートにて達者な腕前を披露する楽器隊まで、ライブならではの熱気と勢い、それに堅実なテクニックを併せ持った、バンドの実力の高さが伝わる好ライブ盤。観客も大いに盛り上がっているのですが、シンガーのMCが「イエー!ノッてるかーい?!」みたいな感じじゃなく、生真面目に観客に感謝を捧げていたりして、そんなところがクリスチャン・メタルっぽいなぁと。
本作は1st『ROCK FOR THE KING』と一緒に国内盤が出ていて、レア・アイテム化著しい『ROCK~』に比べると入手は比較的容易ですので、ベスト盤代わりにいかがでしょうか。


BARREN CROSS - Atomic Arena - Cultic Regimes ★★★ (2017-07-09 23:10:49)

キ印の笑い声をイントロ代わりにスタート。
3分弱のランニング・タイムをパワフルに飛ばしまくる
パワー・メタリックなスピード・ナンバー。
これだけ聴いて彼らが「クリスチャン・メタル」だと分かる人は
あまりいないのではないでしょうか。


BARREN CROSS - Atomic Arena ★★★ (2017-07-08 08:03:05)

LAを拠点に活動していた4人組がENIGMA RECORDSからリリースすると、これが全米FMネットワークのラジオ番組で絶賛。CMJのHMチャート20位圏内にもランクインする話題作となった、BARREN CROSSの代表作でもある’87年発表の2ndアルバム。
プロデュース担当がディノとジョンのエレファンテ兄弟であることからも分かるように、彼らもまたクリスチャン・メタル・バンド。ストレートなキリスト賛歌ではなく、麻薬、テロ、自殺etc.といった社会問題を、怒りを込めて取り上げる硬派な歌詞世界は余りそれ系っぽくありませんが、伝聞によればメンバーの中には実際に教会で教えを説いたり、カウンセリングの奉仕をしている者もいたという、クリスチャンとしての経歴は結構な本格派。
但し音の方は、分厚いハーモニーと美旋律に彩られた教科書通りのSTRYPER路線ではなく、もっとハード寄り。ハイトーンVo、切れ味鋭いG、アタッキーに主張しまくるリズム隊がタイトに突き進む正統派HMサウンドは、寧ろIRON MAIDENを始めとする欧州勢からの影響が色濃く感じられる塩梅。②を聴けばお察しの通りシンガーのお手本は間違いなくブルース・ディッキンソンで、彼の力強い歌唱とパワフルな楽器隊が一丸となってACCEPTばりに猛進する⑦等は、いっそパワー・メタルと評したくなる迫力を有する。
全体的に肩に力が入り過ぎというか、もっとキャッチーな部分が出せれば更に良くなるのに…とか思いつつも、80年代のLAのバンドらしくパワー・バラード⑧を収録したり、さりげなく各所でKeyを効かせ収録曲に親しみ易さを付与したりと、バンドの達者な曲作りの手腕を前にすれば顔がほころびます。BARREN CROSS入門盤に如何でしょうか。


GUARDIAN - First Watch - Rock in Victory ★★★ (2017-07-07 00:08:56)

メタリックに切り込むG、ハード・ロッキンな疾走感、
哀愁を帯びたメロディを伸びやかに歌うVoと
キャッチーなコーラスを分厚く彩るハーモニー…と、
クリスチャン・メタルの魅力が「これでもか!」と詰め込まれた
GUARDIAN屈指の名曲。
これ聴いてピンと来なかったらGUARDIANを聴く必要はないのではないかと。


GUARDIAN - First Watch ★★★ (2017-07-06 00:27:16)

「STRYPERの弟分」(お前もか)として注目を集めたLA出身の4人組が、’89年にENIGMA RECORDSから発表した1st。ちなみにバンド名や、「ジーザス・パワー」というお馴染みのフレーズが飛び出す歌詞等からもお察しの通りのクリスチャン・メタル・バンドです。
レーベルから本作のプロデュースを依頼されたSTRYPERのオズ・フォックスが、試しにメンバーと面会してみたところすっかり意気投合。逆にオズの方がGUARDIANのギタリスト、トニー・パラシオスのギター教室の生徒になってしまった…なんて国内盤解説で語られるエピソードが伝えてくれるように、バンドの実力の高さは折紙付き。そんな彼らが奏でるのはジャンル愛好家が手を叩いて喜びそうな哀愁と美旋律、それに分厚いコーラス・ハーモニーを満載にした、STRYPER直系の優等生ライクなクリスチャン・メタル・サウンド。
流石にSTRYPERと比べると収録曲はやや小粒な仕上がりかと。華やかさも然程でもありませんが、それでもVoが伸びやかに歌い上げるドラマティックなパワー・バラード④から、高揚感を湛えて駆け抜ける⑤やアルバム随一のハード・ナンバー⑥といった楽曲に至るまで、ハードネスとメロウネスのバランスを上手く取った本編は高品質。中でも、キャッチーなコーラスが哀切な響きも湛えて疾走する⑩は、個人的に「クリスチャン・メタル」と聞くと思い出す名曲の一つです。フラッシーなGプレイが映えるシャープなメロディック・メタル・チューン⑫もグッとくるカッコ良さですよ。
正統派HMを愛する向きには、とりあえず⑩⑫辺り目当てでも構わないのでチェックをお薦めする1枚であります。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Kill to Survive ★★★ (2017-07-05 00:06:17)

歌詞が過激過ぎてアメリカ盤では収録が許されなかったという
(その後、EPとして別リリース)スピード・ナンバー。
2ndの国内盤で対訳を読むことも出来ますが、
別にそれほど凄いことを歌っているわけでもないような…
ともあれ、ギザギザのGリフとダーティなシャウトVoを伴って
3分弱を一気呵成に突っ走る様は痛快でカッコ良い。
この名曲が中盤で睨みを効かせているのといないのとでは、
1stアルバムのトータルの印象も結構変わるのではないでしょうか?


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Beginning of the End ★★★ (2017-07-04 23:57:15)

昔聴いた時は
「スラッシュ・アルバムのOPナンバーとしてはインパクトに欠ける!」
と全く良い印象がなかったのですが、こうして時を経て聴き直すと
NWOBHMから影響も露わな鋭角的なGリフと
煮え切らないメロディを携えて突き進むパワー・メタリックな曲調が
十分カッコイイことに気付かされた次第。


MELIAH RAGE - Kill to Survive ★★★ (2017-07-04 00:37:36)

ボストン出身の5人組が、’89年にEPIC RECORDSから発表した1stアルバム。スラッシャーにも関わらずいきなりメジャー・デビューを飾り、しかも10万枚以上のセールスを上げる成功を収めてしまう辺りが、メタル・バブル爛熟期らしい景気の良さだなぁと。
「危険過ぎて歌詞不掲載」「アルバム表題曲はヤバ過ぎてUS盤からカット」云々と、国内盤解説からもたらされる情報の数々に煽られまくり、「どんだけ過激な音を出してる連中なんだよ!」と事前の期待値はガン上がりでしたが、どっこい。実際にここで聴かれるのは、クリーンな音作りの下、Voが適度に歌い、ツインGは整然とハーモニーを奏でる、スラッシーな尖がりっぷりよりも整合性を重視したサウンド(メジャー・アーティストらしい音ではありますけども)。正直初めて聴いた当時は「物足りねぇ」と盤を放り投げた記憶あり。
しかし、初手からそういうバンドなのだとの認識を持って本作を聴き直すと、かっちりとまとめられたパワー・メタリックなサウンドが、これはこれで案外楽しめます。NWOBHMを思わす鋭角的なGリフを伴い突き進む①、ドラマティックな構築美を持ち込んだインスト③、ツインGを活かした曲展開でラストを盛り上げる⑧等はその好例ですし、勿論⑦のような直線的スラッシュ・ナンバーもカッコイイ。あと何より日本盤には、US盤からはカットされてしまっていた前述のアルバム表題曲⑥が収録されていることが大きい。このスピード・メタルの名曲があるのとないのとでは、本編の締まり具合が全然異なりますからね。
どちらかと言えば正統派HM/パワー・メタル愛好家にお薦めする作品なれど、スラッシャーなら取りあえず⑥を聴くためだけにでも押さえておいて頂きたい1枚です。


WARDRUM - Awakening - Shade Of Hope ★★★ (2017-07-02 22:39:57)

Voの熱唱と、テクとメロディセンスを併せ持ったGという
WARDRUMの2枚看板が、その才能を如何なく発揮したミッド・チューン。
疾走曲ではなくミドル・テンポだからこそ、胸を突きさす
泣きのメロディの威力が余計に際立って聴こえます。


WARDRUM - Awakening - Right Within Your Heart ★★★ (2017-07-02 22:33:46)

ヤニス・パパドプロスの泣きと熱気を孕んだ絶唱に
盛り立てられてパワフルに駆け抜けて行く疾走ナンバー。
このメタル魂を燃え上がらせる歌いっぷりには
謹んで「ギリシャの坂本英三」の称号を進呈したくなります。


WARDRUM - Awakening ★★★ (2017-07-02 10:00:53)

経済の低迷とは裏腹に、優れたHMバンドを次々輩出し続けるギリシャから現れた、灼熱のパワー・ボイスで熱唱するフロントマン、ヤニス・パパドプロス(Vo)と、独創性に富んだGプレイでサウンドをテクニカルに彩るコスタ・ヴレト(G)という2枚看板を擁する5人組が、'16年に発表した3rdアルバム。本邦初登場となった前作『MESSENGER』のセールスが芳しくなかったことから、今回は日本盤発売が見送られてしまうのでは…と危惧していただけに、リリースに踏み切ってくれたレコード会社にゃ感謝感激雨霰ですよ。
内容に関しては、バンドのマスコット・キャラ「メッセンジャー」が登場するアートワークからも明らかなように、全くブレることなく、NOCTURNAL RITES辺りに通じる劇的且つスピーディな正統派へヴィ/パワー・メタル道をこれまで同様に邁進。抒情的なアコギのイントロに続き、音数多めに駆動するリズム隊の存在が映えるパワフルなOPナンバー①の存在だけでアルバムの成功を予感するには十分ですが、後に続く胸熱な疾走チューンの名曲②が始まった途端、その予感は確信へと昇華されるという。
WARDRUMというバンドの魅力を凝縮し、「掴み」として効果的に機能する頭3曲の畳み掛け、テンポアップするサビメロの展開にグッとくる④、クサメロの破壊力にかけては本編随一の⑩といった、思わず昭和ロボット・アニメの主題歌を歌わせてみたくなる熱い泣きを孕んだヤニスのVoと、技術だけでなくメロディの組み立てにも冴えをみせるコスタのGという、バンドの強みが如何なく発揮された楽曲の数々を収録する充実作。前作に勝るとも劣らぬクオリティゆえ、今度こそ好セールスを記録してくれるといいなぁと。


DANGER DANGER - Screw It! - Crazy Nites ★★★ (2017-07-01 10:54:52)

以前、バラエティ番組のサッカーのPKコーナーでBGMとして
使用されてことがあるそうなのですが、
確かに躍動感溢れる曲調といい、ライブ会場を大いに盛り上げる
キャッチーなコーラスといい、その手のスポーツ好プレー集が
よく似合う疾走感と爽快感を兼ね備えた名曲ですよ。


DANGER DANGER - Screw It! ★★★ (2017-06-30 00:40:42)

ポップ・メタルの名盤だったデビュー作をもって、ここ日本では人気が爆発したDANGER DANGER、’91年発表の2ndアルバム。
ファニーなアートワークのノリを反映させたようなSEに導かれてスタートするのは、大らかなコーラスが合唱を誘発する②。そこから哀愁漂う③へと繋ぐ構成が前作と二重写しになることからも明らかに、ファンが支持する自分達の長所をしっかりと把握し、そこを素直に伸ばした、明るく健康的なポップ・メタル・サウンドを本作でも追及してくれています。
というか全体的に更に「ネアカ」な部分が強調されている仕上がりゆえ、“ROCK AMERICA”と“UNDER THE GUN”というタイプの異なる2曲の名曲を収めた1stアルバムには一聴してのインパクトでは今一歩及ばず。しかし甘いバラードからノリノリのロックンロールまでエネルギッシュに歌いこなすテッド・ポーリーのVo、アンディ・ティモンズの益々フラッシーに冴え渡るGプレイの存在、そして巧みにフックを盛り込んだメロディやコーラスに下支えされた楽曲は、トータルの完成度では決して負けていません。特に爽快に疾走する名曲⑥や、ライブには欠かせないアリーナ・ロック・ソング⑧、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる⑨、メロウな⑩、爆走ロックンロール⑪、ドラマティックなバラード⑫…と、優れた楽曲が軒を連ねる本編中盤戦以降の充実度は天晴。
1st『DANGER DANGER』と併せて、ポップ・メタル好きなら是非とも押さえておいて頂きたい1枚。これが発表当時、アメリカ市場ではまるで相手にされなかったというのは…やはり時代が悪過ぎたんでしょうかね。


PHENOMENA - Dream Runner - Hearts on Fire ★★★ (2017-06-28 22:59:34)

メロディがポップさを増した2ndアルバムの
新たな側面を象徴するようなハードポップ・ナンバー。
グレン・ヒューズの歌ウマっぷりを堪能するのにもってこい。
「超能力者たちを主人公にしたSFホラー」の
コンセプト・アルバムの筈なのですが
この曲調で一体どんなこと歌っているのか
非常に気になるところであります。


PHENOMENA - Dream Runner - Stop! ★★★ (2017-06-28 22:56:44)

OPナンバーにして、早くもアルバムのハイライトを飾らんとする名曲。
英国産HRらしい憂いに満ちたメロディ・ラインを力強く歌い上げる
レイ・ギランの熱唱が楽曲を一層ドラマティックに
盛り上げてくれています。山本恭司の粘っこいGプレイも良し。


PHENOMENA - Dream Runner ★★ (2017-06-28 00:15:31)

メル&トムのギャレー兄弟によるロック・オペラ・プロジェクト、全三部作のうちの第2章にあたる’87年発表の2ndアルバム。
顔触れは、グレン・ヒューズ(Vo)やニール・マーレイ(B)といった前作参加組の他、ジョン・ウェットン(B)、スコット・ゴーハム(G)、レイ・ギラン(Vo)、マックス・ベーコン(Vo)etc.といった面々。また当時イギリスを拠点に活動中だったVOW WOWから、山本恭司(G)と新美俊宏(Ds)が参戦したことでも話題になりました。このが縁でニールがVOW WOWに加入したり、またウェットンが『V』にゲスト参加/楽曲提供を行うこととなったりと、様々な気になるトピックを有する作品だったにも関わらず、何故かこれまで聴いたことがなかったため、今年に入って国内盤がリマスター再発されたのは正しく僥倖。欲を言えば対訳を付けて頂ければ尚最高だったのですが…。
荘厳なイントロに胸が高鳴るOPナンバー①、その後に続く、哀愁漂わすキャッチーな②③で早くも宣言する通り、煌びやかなKeyを全面的にフィーチュアしたメロディックHRという基本スタイルは前作から継承する一方で、今回はより時代に即したポップなエッセンスも導入。コンセプト、楽曲、ミュージシャンの実力と三拍子揃った前作と比べてしまうと、全体的にミステリアスな雰囲気が薄く、SFホラーではなく別ジャンルのサントラを聴いているような気分に陥る作風に戸惑う部分もあったりしますが(だからこそ対訳が気になる)。
とは言え、グレンが歌うポップな⑤を始め、「歌モノのメロディックHR作品」としてのクオリティは折り紙付きゆえ、買って損のない名盤であることは保証致します。


GRAND PRIX - Samurai - Samurai ★★★ (2017-06-26 01:52:14)

サ~ム~ラ~イ♪
「元寇」を題材にした曲調はドラマティックではあるのですが
エピック・メタル的な血飛沫飛び散る勇壮さやドキュメンタリズムより
時を越えて語り継がれる伝承を聴いているような気分になれる
壮大にして透明感漂うメロディと曲展開がこのバンドならでは。


PRETTY MAIDS - Pretty Maids ★★ (2017-06-22 23:21:44)

日本でも確固たるファン・ベースを構築済みのPRETTY MAIDS。その彼らのカタログの中で、次作にして名盤『RED, HOT AND HEAVY』のインパクトに存在感を掻き消されてしまい、「え?そんな作品あったっけ?」と極めて影が薄いのが、’84年発表のこの6曲入りデビューEP。人気がないとか以前に、そもそも知名度がないという点ではTNTの1stに通じるものがあるような、ないような…。中古盤屋じゃとんと見かけない割に、特にプレミア価格で取引されているわけでもない辺りが本作の立ち位置を如実に物語っていますよ。
ロニー・アトキンスの看板Voや、攻撃的なツインGの運用法等、バンドとしての基礎が固まりつつあることは既に本作の時点で伺えるものの、NWOBHMやTHIN LIZZYからの影響の痕跡がハッキリとコンニチワする楽曲に関しては、まだまだ荒削り。例えば疾走ナンバー①④は、名曲“BACK TO BACK”の試し打ち的カッコ良さを有する反面、全体的に力押しに終始する仕上がりで、様式美HMというよりはNWOBHMばりの直線的な荒くれ感の方が強く感じられるという。(HELOWEEN登場前の独産パワー・メタルっぽくもある)
逆にそういう意味では、ここでしか聴くことができないタイプのPRETTY MAIDSサウンドが楽しめる作品であると言えますし、何より「磨けば光るダイヤの原石」としてのポテンシャルの高さは、前述の疾走曲①④、ケンさんのGソロも美味な抒情ナンバー⑤(イントロが“孤独のナイト・ゲームス”みたい)からもびんびんに感じ取れます。
90年代にCD化されたきり、ほったらかしになっている作品なんで(多分)、取り敢えずリマスター再発の方をお願いしたいところなのですが。


STAGE DOLLS - Stripped - Life in America ★★★ (2017-06-18 22:46:06)

アルバム『STRIPPED』ではこの軽快にロックする
アップテンポのナンバーが一番好きですね。
音作りもアレンジもシンプルでクリアだからこそ、
温もりを感じさせるシンガーの歌唱や
爽やかなメロディといった、元々楽曲が持っていた
魅力が一層引き立って聴こえます。


STAGE DOLLS - Stripped ★★★ (2017-06-18 10:01:55)

80年代後半から90年代前半にかけ、続々日本デビューを飾ったD.A.D.やSWEDISH ELOTICAといった、所謂「新世代(当時)北欧メタル・バンド」勢の作品を今更チェックしている今日この頃。そうした流れの中でゲットしたのが、ノルウェーのSTAGE DOLLSが’91年にPOLYDOR RECORDSから発表したこの4thアルバムでした。
国内盤の解説によると、本国では過去作を悉くヒットさせて来た人気者で、本作もリリース2週間で3万枚を売り上げ、ゴールド・ディスクに到達したのだとか。そうしたメンバーの輝かしいキャリアと実績、それにTNT等との仕事で知られる名手ビヨルン・ネッショーが手掛けた、奥行を感じさせつつ、それでいて見通しにも優れているという秀逸な音作りに支えられた本編は、北欧メタルと聞いてマニアが想起するような郷愁をそそる田舎メタルっぽさとは無縁の、隅から隅まで洗練され尽くしたハードポップ・サウンドがギュウ詰め。
リリース当時は洟も引っ掛けずスルーしてしまった身ですが、今聴くと完成度の高さに素直に感心させられますよ。爽やかさの中に仄かな哀感が効いた②、映画の主題歌にも起用されヒットを飛ばした抒情ナンバー④、素朴なバラード⑥、哀愁のメロハー⑦、アップテンポで駆け抜ける⑩、そこはかとなくドラマティックな曲展開も有する⑪…と、アルバム・タイトル『STRIPPED』に相応しく、過剰な装飾よりも元々の素材の良さを活かす引き算アレンジが施された収録曲の数々はいずれも秀逸な出来栄え。
同郷のTNTやDA VINCI辺りが楽しめる方なら、間違いなく本作も気に入られる筈。彼らの他のアルバムも是非チェックしてみたくなる1枚でありました。


Tsunami (2017-06-15 23:19:42)

ふと思ったのですが、1stアルバム『TSUNAMI』のジャケットは
彼らなりの葛飾北斎リスペクト(富嶽三十六景)だったのでしょうか。


Tsunami - Tsunami - Ninja ★★★ (2017-06-15 23:12:05)

タイトルだけで「バカにすんな!」とご立腹なされる方も
いらっしゃるやもしれませんが、これがなかなかどうして、
抒情的且つドラマティックな出来栄え。
数あるHR/HM系ニンジャ・ソングの中でも
上位にランクインする名曲ではないかと。
ニ・ン・ジャ~♪


Tsunami - Tsunami - Revenge ★★★ (2017-06-15 22:59:34)

「ゴロジデヤルー!」という日本人ギタリストの
怨嗟の篭った日本語シャウトからスタートする疾走ナンバー。
出オチ系の楽曲かと思いきや、Voの噛み付くようなシャウトといい、
アグレッシブなツインGやパワー全開なリズムといい
USパワー・メタル好きなら聴いて損のないカッコ良さ。
TSUNAMIの代表曲と言えばやはりこれではないでしょうか。


Tsunami - Tsunami ★★★ (2017-06-14 23:06:56)

今となっちゃ少々アウト気味なバンド名を名乗っていたカリフォルニア出身の5人組。ライナーノーツにデカデカと表記された「津波」の漢字ロゴが目に眩しい、トモタカ・ヤマモト(G)とタツヤ・ミヤザキ(G)という2人の日本人メンバーが在籍していたことでも話題を呼んだ彼らが、’83年にENIGMA RECORDSから発表したデビュー作がこれ。
とは言え、メロディからオリエンタルな要素は殆ど聴き取れず、噛み付くようなシャウトがワイルドなVo、豪快に暴れ回るリフ&リズムを従えた硬派な正統派HMサウンドには、もしデビューがあと数年遅かったら『METAL MASSACRE』シリーズに参戦してたんじゃね?という、USパワー・メタルに通じる肉食系アグレッションとノリの良さが備わっています。
かと思えば、シングル・カットされ米ビルボード・チャート最高60位にランクインを果たした劇的なバラード②を始め、テクニカルな日本人Gコンビが奏でるメロディは、時にウェットな陰りとドラマ性を発散。イントロで炸裂する「殺してやるー!」の日本語シャウトに思わず仰け反るトゲトゲしい疾走ナンバー④や、闇に生きるニンジャの哀愁が伝わって来るかのような⑨といった、日本ネタが直球でブッ込まれた楽曲にしても、単なるネタ曲に堕することなく、きっちりと本編のハイライト・ナンバーとして名曲に仕上げてくる辺り、このバンドの曲作りにおける確かな手腕が光っていますよ。
エピック・メタルの大仰さとSHRAPNELメタルばりの攻撃性でラストを〆る⑩まで、高いテンションを保ったまま突き進んでくれる力作。2nd『THROGH UNDER FIRE』(’90年)も正式再発を是非お願いしたいところであります。


PHENOMENA - Phenomena - Phoenix Rising ★★★ (2017-06-13 22:27:53)

グレン・ヒューズって歌が上手いって言われてるけど
実際どんだけ上手い人なの?と尋ねられたら、
黙ってこの曲を聴かせておやりなさい。
というぐらい、グレンの絶品の歌唱が映える名バラード。
嗚呼ソウルフル。


PHENOMENA - Phenomena - Twilight Zone ★★★ (2017-06-13 22:23:12)

次曲“PHENOMENA”はアウトロ的インスト曲なので
実質的な1stアルバムのラスト・ナンバー。
全体的に音作りがソフティケイトされていて
コージーのドラムが目立っていない本作において、
最も彼らしいプレイが楽しめるのがこの曲。
ポップな躍動感溢れるプログレ・ハード調の楽曲自体
素晴らしい出来栄えです。


PHENOMENA - Phenomena - Kiss of Fire ★★★ (2017-06-13 22:18:24)

伸びやかなグレンのVoと
SFタッチなシンセサイザーリフが
深遠な宇宙空間に木霊するかの如く
神秘的に浮遊する、アルバムの方向性を一発で決定付けた名曲。
グレンが初のソロ来日公演でも演ってましたっけね。
クライマックスで印象的なメロディを歌い上げるGも◎


PHENOMENA - Phenomena ★★★ (2017-06-12 23:13:24)

メルとトムのギャレー兄弟が音頭を取り立ち上げたHRプロジェクトが、'85年に発表した1stアルバム。『フューリー』とか『炎の少女チャーリー』を思い出す(?)「超能力者たちが繰り広げるホラー・タッチのSFストーリー」を有するコンセプト・アルバムであり(ポシャったけど映画化企画もあったのだとか)、全三部作構成の内の第一弾にあたる作品。
毎回豪華なゲスト勢が参加しているのも売りの一つで、本作にはグレン・ヒューズ(Vo)、コージー・パウエル(Ds)を始め、ニール・マーレイ(B)、テッド・マッケンナ(Ds)、ドン・エイリー(Key)ら腕利きミュージシャンが集結。…と言っても、音作りがソフティケイトされているため個人技は然程目立っていません。壮大且つ抒情的なサウンド面において中心的役割を担うのは、曲作りも手掛けるリチャード・ベイリー(元MAGNUM)のスペーシーで煌びやかなKeyワークや、歌神グレンの実に伸びやかなVoといった塩梅。
そうしたパフォーマンスの援護射撃を受けた収録曲の粒の揃いっぷりも特筆モノで、その完成度たるや、重厚且つミステリアスなOPナンバー①、キャッチーな②、アイリッシュ・フレーバー薫る③、ソウルフルなVoが絶品のバラード④、女性スキャットを取り入れたアレンジが秀逸な⑤…といった具合に、頭から順番に語っていけるぐらい。コージーのドラミングに「らしさ」とパワフルさが増す6曲目以降の充実度もお見事です。
3rd『INNERVISION』(’93年)の方を先に聴き、それから遡って本作を聴いたため事前の期待値は実は余り高くなかったのですが、こりゃあ紛うかたなき大名盤。見縊って申し訳ない。「ロック・オペラ・アルバムの先駆け」の名に恥じぬクオリティと存在感を誇る1枚です。


WHITECROSS - In the Kingdom - You Will Find It There ★★★ (2017-06-11 21:46:32)

80年代後半に勃発したブルーズ・ブームに乗っかったとも取れる楽曲ですが、
タメを効かせたシンガーの堂の入った歌いっぷりといい、
泣きのメロディをエモーショナルに奏でるGといい
付け焼刃な印象は殆ど感じられない仕上がり。
本編から少々浮いている感はありますけども
前奏曲たるインスト“THE ETERNAL FLAME”と併せて
楽しみたい名曲です。


WHITECROSS - In the Kingdom ★★ (2017-06-11 21:31:44)

名前が「WHITE」で「CROSS」なことからもお察しの通り、クリスチャン・メタル・バンドであるカリフォルニア出身の4人組が’91年に発表した4thアルバム。(日本盤はテイチクからリリースされました)
勿論、彼らが聴かせてくれるのはSTRYPER直系の正統派HM…と思いきや。既に時代は90年代ということもあり、そうしたありがちな固定イメージから脱するべく(?)、本作では豪快なロックンロールあり、哀愁のブルーズあり、抒情バラードあり、ネオクラシカルなインスト・ナンバーあり…と、よく言えばバラエティに富む、悪く言うと少々まとまりに欠ける作風を志向。「何でもあり」なのはいいのですが、ボートラを含めると全14曲収録という超過ボリュームが本編の散漫な印象に拍車を掛けている感は無きにしも非ず。
一方で、重厚な正統派HMナンバー③、土の匂い薫るアコギ・バラード④、テクニカルなGが縦横無尽に駆け巡る⑦から、泣きまくりのブルーズ・ソング⑧へと繋ぐ構成の妙、美しいハーモニーに聞き惚れる⑨…といった具合に、収録楽曲はどういったタイプの楽曲にせよ、キャッチーなメロディが適宜に盛り込まれ、どれも卒のない仕上がりっぷり。まとまりにこそ欠けるものの、聴き始めるとスルスル最後まで楽しめてしまう辺り、バンドの地力の高さを感じさせます。ラップVoを取り込む⑪なんて半端な連中が演ったなら噴飯モノなところを、印象的なコーラス・ワークを駆使して結構聴かせてくれるのだから大したものですよ。
一聴しただけで掴まれるようなインパクトはないのですが、繰り返し聴き込むことで味わいが増して来る、ベテラン・バンドの経験値の高さが反映された1枚という。