この曲を聴け!
火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2001-2100

MyPage

火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68
モバイル向きページ 
火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2001-2100

0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When You're Gone (Live) ★★★ (2017-02-19 22:35:09)

アルバムのボーナス・トラックでもある小粋なバラード。
敢えて初来日公演ラストに演奏されたライブ・バージョンを収録することで、
アルバム本編を(あたかもライブの如く)暖かく締め括る構成がニクイ。
残念ながら私が参加した1/16のライブ音源ではないのですが
耳をすませばメタルけいしょうさんの歓声が聞こえるかもしれません(?)


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When Children Cry ★★★ (2017-02-19 22:24:05)

リリカルなピアノ、泣きのG、それに愁いを湛えた
ジョン・ロートンのVoとが、劇的なリズムに乗って
ドラマティックに熱を帯びていく様に引き込まれます。
復活作の完成度の高さを物語る名曲ではないかと。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate ★★★ (2017-02-19 22:17:38)

LUCIFER’S FRIEND待望の復活作。昨年行われた彼らの初来日公演を観て、ジョン・ロートン(Vo)の歌唱力が全盛期の張り艶をしっかり保っていることは確認済みでも、新作となりゃ話は別。アルバム制作はとんとご無沙汰だったわけで、「でも仮に退屈な内容だったとしても、何とか良い所を見つけて褒めまくったるでぇ!」と、かなり過保護な気持ちで聴き始めた本作でしたが、結論から申せば、手心なんぞ全く無用な素晴らしい内容でしたよ。
印象的なリフと泣きのソロを弾き出すG、軽快に躍動するリズム隊、随所で流麗な指捌きを披露し楽曲の抒情性とドラマ性を補強するKeyの良い仕事に支えられた、しっとり潤う欧州HRの伝統と格調を伝えてくれるサウンドは、LUCIFER’S FRIENDの最終作でもあった名盤『MEAN MACHINE』(’84年)を良い感じに燻したような滋味溢れる仕上がり。
そんな本作の主役はやはり、包み込むような威厳と深みと温かみを感じさせるジョン・ロートンの唯一無二の歌声という。憂いに満ちた名曲③を皮切りに、グルーヴィ且つ冷ややかに揺れる④、ピアノが華やかに踊るキャッチーでノリの良い⑤、ダイナミックに燃え上がる⑥⑦、ブルージーな哀愁が溢れ出す⑧…と、次々繰り出される優れた楽曲を、耳にしてるだけで遠赤外線を浴びてるような感覚に駆られるこのVoがエモーショナルに歌い上げていく中盤戦は、間違いなくアルバムのハイライト。ボーナス・トラックとして来日公演時の音源⑫も収録されているのですが、これを単なるオマケ扱いせず、さりげなく本編のエピローグ(別れの挨拶的な)として組み込んでしまう構成の妙にも唸らされましたね。
こっちの予想を遥かに上回る完成度の高さに、侮ってたことをバンドに全力でお詫びしたくなる1枚。


BURNING POINT - The Blaze ★★★ (2017-02-18 08:53:14)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)が加わった新ラインナップのお披露目を、変則ベスト盤たる前作『BURNING POINT』で済ませたピート・アホネン(G)率いるフィンランドの6人組が、満を持して’16年に発表した最新作。
欧州民謡風のメロディと猛々しい疾走感の組み合わせが、どことなくAT VANCEの名曲“SOLDIER OF TIME”を思わすOPナンバー①を聴けば、勇猛果敢にしてドラマティックなパワー・メタル・スタイルにブレがない(つか今更ブレる筈もない)ことは一聴瞭然。ただ今回はメロスピ的に突っ走ろうが、エピック・メタル然と重厚に迫ろうが、常に楽曲の中心に主役として鎮座ましますのはニッテ・ヴァロの歌声。これは現行BURNIG POINT最大の武器が、嘗て「女スティーヴ・グリメット」とも評された彼女の強力な歌唱であるという自覚の下、メンバーがその歌が最も映える曲作りに励んだ結果ではなかろうか、と。
ニッテ嬢の方もその期待に見事に応えています。前述の①や、金属質な感触を湛えて駆け抜ける③、鋭く切れ上がるハイトーン・シャウトを駆使してド迫力で歌いまくる様が圧巻の⑦、曲名や“WE RCOK”風のイントロからしてDIOリスペクトの姿勢が鮮明なラスト・ナンバー⑩等、闇を切り裂いて魔を払うが如き、神々しいパワーに満ち溢れた彼女の歌声を活かし切った楽曲を聴くにつけ、つくづくこのメンバー・チェンジは成功だったなぁと。
ニッテ・ヴァロの歌声を生で聴くためにも、BURNING POINT来日を祈念せずにはいられない1枚。ノーラ・ロウヒモ擁するBATTLE BEASTとのカップリング公演とかいかがでしょう。


GIRL - Sheer Greed - Hollywood Tease ★★★ (2017-02-15 23:50:52)

NWOBHMの鬼っ子的存在だったGIRLのデビュー作に収められた
これまた鬼っ子的存在の名曲。
アルバム全体をNWOBHMで括るには無理がありますが
(またメンバーもそんなことはこれっぽっちも望んでない)
特別速いわけではないものの、疾走感に溢れたメタリックな
リフ&リズムといい、弾きまくるGといい、独特の声質を駆使して
ヘタウマ・シャウトを響かせるVoといい、
この名曲に関しちゃ堂々HMの範疇で語り継げるカッコ良さ。


GIRL - Sheer Greed ★★ (2017-02-15 23:07:51)

「NWOBHM四天王」という肩書と、DEF LEPPRADのフィル・コリン(G)やL.A. GUNSのフィリップ・ルイス(Vo)、後にゼロ・コーポレーションからSHEER GREED名義でアルバムを発表したりしていたジェリー・ラフィー(G)らが嘗て在籍していたバンドという点に興味を引かれて購入に踏み切った、GIRLのデビュー作(’80年発表)。
当時「NWOBHMそのものな音を期待しないように」と散々忠告されていたにも関らず、「またまた、そんな謙遜しちゃってぇ。腐っても四天王なんでしょ?」と全く聞き入れずに購入。その挙句本作で聴かれるラフでスリージーなロックンロール寄りのサウンドに対し、「全然NWOBHMっぽくねぇじゃん!」と勝手に立腹して、速攻で盤を売り払ってしまった青い思い出が蘇ります。そもそもメンバーの面子的に(あとジャケットを飾るアー写のグラマラスなルックスからして)ストレートなHMを演ってるわきゃないのですが…。
しかし。こうして紙ジャケで再発されたリマスター盤を改めて聴き直してみると、これが案外悪くないという。フィル・コリンのGは、時に印象的なメロディを奏で、時に派手に弾きまくったりと全編に亘って存在感を主張していますし、ギターがよく歌うデビュー・シングル曲“MY NUMBER”や、疾走感溢れる“DOCTOR, DOCTOR”、そして後にL.A. GUNSでもリメイクされるGIRLの代表曲“HOLLYWOOD TEASE”等、収録曲の中にはちゃんとHMの範疇で語れるモノが見受けられることにも気付かされた次第。デカダンなメロディ・センスと、フィリップの妖しいヘタウマVoの個性とが合致した“THE THINGS YOU SAY”“STRAWBERRIES”辺りも魅力的です。
従来の「“HOLLYWOOD TEASE”1曲だけのアルバム」という印象を見事に覆されましたよ。


BON JOVI - 7800° Fahrenheit - Tokyo Road ★★★ (2017-02-14 23:13:25)

この手の日本ネタの楽曲に目がない身ゆえ
オルゴールの音色に続いて流れ出す
冒頭の拙い“サクラ~、サクラ~🎵”だけで「よし、星3つ!」と。
(ここもジョンが歌ってたら星3つじゃ足りませんでしたよ)
バンドに対する支持を一早く表明してくれた日本のファンへの
迸る感謝の思いを楽曲にしてしまうという、
駆け出し時代のBON JOVIの初々しさも微笑ましい1曲です。


BON JOVI - 7800° Fahrenheit - The Price of Love ★★★ (2017-02-14 23:05:28)

哀愁を帯びて歌うリッチーのGが実に沁みる、
1stの作風を真っ直ぐに受け継いだ2ndアルバムのハイライト・ナンバー。
地味めな“恋の切り札”よりもこっちをOPナンバーに
据えれば良かったのに…と初めて聴いた時は思いましたが
バンドがこれをトップに据えなかったのは
2ndが「デビュー作の焼き直し」的なイメージを
持たれることを避けるためだったのかなと。


BON JOVI - 7800° Fahrenheit ★★★ (2017-02-14 23:00:06)

哀愁のアメリカンHRの理想形を提示してくれた1st『BON JOVI』と、80年代ポップ・メタルの一つの「型」を創り出し全米チャート8週連続第1位という化物セールスを記録した3rd『SLIPPERY WHEN WET』の間に挟まれ、どうにも印象の薄い’85年発表の2ndアルバム。
Keyが脇へ引いたことでプログレ・ハード的な抒情味が薄れ、代わりにリッチー・サンボラのハードなGの調べが前面に押し出されているものの、メロディのフックは次作のレベルには及んでおらず…といった具合に、いかにも過渡期な作風ゆえ日陰者な扱いを受けるのも致し方なし、か?でも個人的には本作のそうした手探り感というか、若き日のBON JOVIの試行錯誤を感じさせる部分に逆にグッと来ます。
そもそも『SLIPPERY~』のHR/HM史における重要性は認識しても、あの明るくハジけるサウンド自体には然程愛着を覚えない不届き者としては、マイナー調のメロディを纏って駆け抜けて行く②や物悲しい③をハイライトに、どちらかと言えばデビュー作に近しいスタイルの楽曲――出来・不出来に多少バラつきがみられますが――を多く収録するこちらの作品の方を、より贔屓してしまうのは仕方のない話なわけでして。
あと本作の目玉たる日本のファンに捧げられた⑥ですよ。これを名曲に分類するかどうかは意見が分かれがちですが、こちとら冒頭の拙い発音の“サクラ、サクラ”だけでもう「たまらーん!」と悶絶必至。欲を言えばここもジョンが歌ってくれてたら尚良かった(笑)。この名曲が聴けただけで本作に星3つ進呈することに躊躇はございません。
1stと併せて、初期作でのみ楽しめる「粗削りなBON JOVI」が堪能できるスルメ盤です。


NIGHT RANGER - Midnight Madness - When You Close Your Eyes ★★★ (2017-02-13 22:32:16)

ポップで爽やかなサビメロに、しみじみと
「良い曲ですなぁ」と呟いてしまう、
2ndアルバムからシングル・カットされ
スマッシュ・ヒットとなったのも納得の名曲。
個人的には“SISTER CHRISTIAN”よりも断然こっち派ですよ。


NIGHT RANGER - Midnight Madness - Why Does Love Have to Change ★★★ (2017-02-13 22:22:26)

哀愁のメロディを奏でるツインGが軽快且つ印象的に踊る
アップテンポのロック・ナンバー。
音作りを含めてコンパクトにまとめられていて
そこに物足りなさを感じる向きもありましょうが
でもこのキャッチーな聴き易さも十分に魅力的です。


NIGHT RANGER - Midnight Madness ★★★ (2017-02-12 22:18:35)

“SISTER CHRISTIAN”(第5位)と“WHEN YOU CLOSE YOUR EYES”(第14位)という2曲のヒット・シングルを生み出すと共に、200万枚以上を売り上げてダブル・プラチナムに輝いた’83年発表の2ndアルバム。
ツインGがフラッシーなバトルを繰り広げる傍ら、ツインVoは美しいハーモニーを奏で、更にKeyがカラフルな彩りを加えるという、個性的なメンバーの技を存分に活かした贅沢な音楽性はデビュー作のスタイルを順当に継承。一方でHR/HM人気がオーバー・グラウンドへと浮上していく時代背景を反映させたかの如く、プロダクションはより耳ざわり良く、サウンドの方はより明るく華やかに洗練の度合いを高めています。
例えば今回“炎の彼方”ばりの疾走感や、“NIGHT RANGER”で聴かれたような曲展開といったへヴィ・メタリックな要素は抑え気味なれど、その分メロディはキャッチーに磨き上げられていて、コンスタントに良い曲が揃っているという点ではデビュー作をも上回る出来栄えではないかと。その好例が大ヒット・パワー・バラード“SISTER~”であり、リリカルなメロディが胸を打つ“WHEN YOU~”であったのかなと。
勿論、スポーツ・ニュースのテーマ曲が似合いそうな爽快な曲調と合唱を誘うコーラスが、毎回ライブにおいてハイライトを創出するOPナンバー“ROCK IN AMERICA”や、Keyを活かした“WHY DOES LOVE HAVE TO CHANGE”といったエネルギッシュなHRナンバーのカッコ良さも、本作の魅力の一翼を担っています。
NIGHT RANGERの代表作と言えば、やはりこの作品ということになるのでしょうか?


NIGHT RANGER - Dawn Patrol ★★★ (2017-02-11 10:05:02)

日本先行で人気に火が点いたNIGHT RANGERのデビュー作。(邦題は『緊急指令N.R.』)
オジー・オズボーンとの活動で一躍その名をシーンに知らしめた「アーミングの鬼」ことブラッド・ギルスと、オクトパス奏法を操るジェフ・ワトソンというタイプの異なる2人の若きギター・ヒーローを擁し、更に敏腕ソングライターとしても鳴らすBのジャック・ブレイズ&歌えるドラマー、ケリー・ケイギーによるHR/HMバンドには珍しいツインVo体制。かてて加えてアラン・フィッツジェラルドのキラキラと眩く煌めくKeyに飾り立てられた収録曲は、これ見よがしのテクニック発表会に陥ることなく、躍動感溢れる疾走ナンバーから美しいバラードまで、ハードなエッジとキャッチーなメロディが絶妙な融合を果たしています。キャラの立ったメンバーに優れた楽曲まで揃い、しかもそれが然るべき時期に然るべきプロモーションを受けたならば、そりゃあ人気が出ないわけがない、と。
特に、シブがき隊の“ZOKKON命”にイントロをパクられたことでも話題を呼んだ(?)アルバムOPナンバー“DON’T TELL ME YOU LOVE ME”(邦題“炎の彼方”)は、ツインGがスリリングに駆け抜けるNIGHT RANGER屈指の名曲の一つ。次作収録の“SISTER CHRISTIAN”ヒット以降は「バラード・バンド」なるレッテル貼りと、売れ線を強要してくるレコード会社からのプレッシャーに苦しめられた彼らなれど、この頃はそうした悩みとは一切無縁に、シングル・カットされた②(最高第50位)、愁いを帯びた⑤、緩急の効いたバンドのテーマ曲⑩といったハードにロックする楽曲をイキイキとプレイ。演る側も聴く側も思わず笑顔になってしまう、ポジティブなエネルギー渦巻く名盤です。


TRIUMPH - King Biscuit Flower Hour Live ★★★ (2017-02-10 00:39:35)

KING BISCUIT FLOWER HOUR放送用に収録された、TRIUMPHが’81年にアメリカのオハイオ州クリーブランドで行ったライブ音源が’97年にCD化。
彼らのライブ盤と言うと『STAGES』がありますが、絶頂期を迎えたバンドの横綱相撲が楽しめるあちらに比べ、栄光を鷲掴むべくガムシャラに突っ走っていた時期のTRIUMPHの姿が生々しく記録されているこちら。ベスト盤的構成のあちらに対し、一本のショウを丸々収録するこちら…といった具合に、同じライブ盤でもその性質は大きく異なっています。
なので本作におけるメンバーのパフォーマンスは、MCも含め全体的にかなり走り気味という。特にシンガーとしてのみならず、ドラマーとしての実力者ぶりも遺憾なく発揮するギル・ムーア(Vo, Ds)の存在が今作の肝。バンド・サウンドの強力な推進剤の役割も担う彼のパワフルなドラミングに呼応するかの如く、スマッシュ・ヒット・チューン“I LIVE FOR THE WEEKEND”や、中間部にリック・エメットのGの妙技が堪能できるインスト曲“FINGERTALKIN’”を挿し込んだ“ROCK & ROLL MACHINE”等、セットリストもアップテンポでハード・ロッキンな楽曲を中心に構築されていて、バラードリーな“LAY IT ON THE LINE”にすら(スタジオ版にはない)疾走パートを組み込んでみせる徹底ぶり。そうかと思えば一転、初期の大名曲“BLIND LIGHT SHOW/MOONCHILD”を、インプロヴィゼーションを交えオリジナル・バージョン以上にメロウにして壮大、且つドラマティックに再現してしまうのですから、HRからプログレッシブ・ロックまで、TRIUMPHというバンドの表現力の多彩さには恐れ入り谷の鬼子母神。ファンなら必須の1枚ですよ。


TRIUMPH - Stages ★★★ (2017-02-08 23:10:48)

TRIUMPH初のライブ・アルバム。代表曲、ヒット曲がズラリ並べられた本編は、これまでの彼らの歩みを総括するベスト盤としても機能するよう、バンドが’81~’85年にかけて行った3つのツアーからベスト・テイクを集めて構成。ただそのせいで各曲のEDがフェードアウト処理されてしまっていて、ライブならではの「うねり」を演出しきれていない点は痛し痒し。またスタジオ録音の新曲が収められているのも少々蛇足な感が無きにしも非ずか。(本作をベスト盤として捉えれば不思議でも何でもありませんが)
それでも、豪快なリフ・ワークから繊細なGソロまで滑らかにこなすリック・エメット、ドラムとシンガーの二足の草鞋を履くギル・ムーア、BのみならずKeyでもサウンドのボトムをガッチリ支えるマイク・レヴァインのHRトライアングルによる、トリオ編成とは思えぬ迫力とスケール感を有するパフォーマンス、会場の熱狂に後押しされ、全盛期のTRIUMPHを代表する名曲群が次々に畳み掛けるセットリスト…と、本作がライブ・アルバムの傑作であることは疑う余地がありません。特にエメット師匠の奔放なGプレイをたっぷりフィーチュアした⑥(Disc-1)、観衆の大合唱が響き渡る⑤(Disc-2)、そしてコンサートのクライマックスをスタジオ・バージョン以上にドラマティックな仕上がりで締め括る⑥(Disc-2)辺りの盛り上がりっぷりは圧巻。
TRIUMPH未体験者の方には、下手なベスト盤買うぐらいなら、こっち(できればオリジナルLP通りノーカット収録の2枚組紙ジャケ再発盤)を購入することをお薦め致します。


BON JOVI - Bon Jovi - Burning for Love ★★★ (2017-02-06 23:29:29)

若い!あと青い!
先の見えない道を精一杯の虚勢を張って駆け抜けて行くような
マイナー調のメロディと疾走感にグッとくる名曲。
大物の風格漂う現在とは大きく異なる
初期BON JOVIだからこそ出し得た味わいではないでしょうか。


BON JOVI - Bon Jovi - Shot Through the Heart ★★★ (2017-02-06 23:23:00)

初期BON JOVIの美点を集約したかの如き名曲。
ハードな曲調に物悲しげなアクセントを加えるピアノの旋律が肝。
例えるなら「雨の日に子犬を拾う昭和の不良」的な。
この曲に限らず1stではデヴィッド・ブライアンのKeyワークが
ピッカピカに輝いていますよ。


BON JOVI - Bon Jovi - Runaway ★★★ (2017-02-06 23:07:23)

大映ドラマにドはまりしていた中学生の時分、
部活の先輩が「これが『乳姉妹』の主題歌の原曲だぞ」と
カセットに録ってくれたのがこの名曲との出会い。
(一緒にボニー・タイラーの“HOLDING OUT FOR A HERO”も録ってくれたっけな)
その時初めて「洋楽」というジャンルを意識したので
ある意味、HR/HMというジャンルに足を踏み入れるきっかけともなった
恩人とも言える名曲ではないかと。


BON JOVI - Bon Jovi ★★★ (2017-02-05 22:15:26)

愛して止まない作品なのですっかりコメントした気になっていましたが、実際はまだ何の発言もしていなかったBON JOVIのデビュー作。(’84年発表)
80年代にBON JOVIが確立し、HR/HMシーンを完全制覇したポップ・メタル・スタイルに親しむ向きには、ここで聴かれる少々青臭いジョンの歌唱や、詰めの甘さを露呈するプロダクション及び音楽性には違和感バリバリやもしれません。しかしながら個人的には「そこがツボなんですよ!」と。まだ海の物とも山の物ともつかない新人バンドでしかなかった彼らが、全力を振り絞って奏でても尚垢抜けきれないHRサウンドにグッと来ます。
というか本作は、Keyによる印象的なイントロ、胸を打つ哀愁のメロディ、適度なノリの良さに加えて、一緒に口ずさめるキャッチーなコーラス等々「アメリカン・メロハー斯くあるべし」(というか寧ろ、これ1曲で自分の中でアメリカン・メロディアスHRの理想像が規定されてしまった気さえする)OPナンバー“夜明けのランナウェイ”の無敵ぶりだけで100点満点を進呈したいぐらいでして。このド級の名曲で聴き手の鼻面を張り倒して以降も、仄かにプログレ・ハード風味漂わす③、物悲しいバラード⑤、ハードに駆け抜ける曲調に絡むリッチー・サンボラの激情迸るGソロにグッとくる④⑦…と、優れた楽曲が続々登場。バンドのメロディ・センスと曲作りの卓越した手腕が、デビュー当時から既に研ぎ澄まされていたことを実感させてくれる仕上がりです。
王者の貫禄を身に纏った現在とは異なる、「がむしゃらなBON JOVI」サウンドが堪能できる貴重な(?)名盤。


OMEN - Warning of Danger ★★★ (2017-02-04 09:49:42)

OMENのトレードマークとも言える「コブラ」がジャケットに初登場している、’85年発表の2ndアルバム。コブラがちょこんと鎮座してるだけのイラストは構図的に少々寂しく、バンドが期待した程の効果は上がってない気がしますけど。
でも内容に関しちゃ、発表当時BURRN!!誌レビューで高得点を獲得したことが裏付ける通り、OMENの一足飛びな成長具合を実感させてくれるクオリティ。Bのゴツゴツとした主張っぷりに、欧州風味のダークな湿り気をたっぷり含んだGのフレージングと、相変わらずIRON MAIDENからの影響が全編に亘り濃厚に息衝いています。その一方でストレートな力押しに終始した前作に比べると、今回はプロダクションの(それなりの)向上といい、メリハリの効いたアレンジや曲展開の備わったバラエティ豊かな収録楽曲といい、バンドがNWOBHM影響下のマイナー・メタル枠から脱しつつあることを伝えてくれる仕上がり。
懐の深さ(奥行き)を感じさせてくれるようになったエピック・メタル・チューン①に始まり、パワフルに鳴らされる②、抒情的な前半からハードに盛り上がっていく④、スリリングなインスト・ナンバー⑤、歌詞の題材(『ターミネーター』)に相応しく、近未来的雰囲気漂わす序曲⑥を経て疾走する攻撃的な⑦、そして本編を重々しく締め括る⑩等、一層の力強さを獲得したJ.D.キンボールの歌唱と、重厚感をグンと増した楽器陣のパフォーマンスが映える楽曲の数々は、次作『殺戮の祈祷』(’87年)にて結実することとなる「OMEN流パワー・メタル・サウンド」の完成形に向かって大きく前進。
デビュー作にピンと来なかった人も、これならきっと楽しめるのではないでしょうか。


ASIA - Alpha - Don't Cry ★★★ (2017-02-02 21:55:33)

イントロ数秒聴いただけでもう勝負あり。
Voが伸びやかに歌うメロディや軽快に弾むリズムは
ハードポップ調ですが、琴線を震わすGに、煌びやかなKey等
アレンジは綿密にしてドラマティック。
ASIAが標榜した「3分間プログレ」の理想形を
体現したかのような名曲ではないでしょうか。


ASIA - Alpha ★★★ (2017-02-01 21:07:37)

ジョン・ウェットン死去の報に触れ、急きょ引っ張り出してきたASIAの2nd。様々なバンドに籍を置いてきた氏ですが、当方が彼の名を聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりASIA。特に’83年発表の本作はいつ何時聴いても感動を新たにさせられるプログレ・ハードの大傑作であります。セールス面では前作に及ばなくとも、内容的には一歩も引けを取らない素晴らしさ…というか、個人的にはASIAの最高傑作と言えば断トツでこれですよ。
アルバムのキーマンは、流麗且つカラフルなKeyワークでサウンドをドラマティックに彩るジェフリー・タウンズなれど、軽やかに弾むカール・パーマーのDs、押しと引きを心得たスティーヴ・ハウのG、何よりジョン・ウェットンの包み込むようにジェントリーなVoも、唯一無二の音世界確立に欠かさざる重要な要素であったと。
中でもOPナンバー①は「3分間プログレ」と評されたASIAの神髄が頭から尻まで堪能できる名曲中の名曲。これ1曲でアルバム数枚分の価値があると断言したいぐらいなのですが、本編はこの後も、ウェットンの暖かみに溢れた歌唱が神々しく響き渡るバラード②、劇的なイントロだけで掴まれる⑤。盤を裏返したB面には、ジェフの技ありなKeyワークが冴える⑦、キビキビとハード&キャッチーな⑧、アルバムを大団円で締め括る⑩…といった具合に、マイク・ストーンの的確なプロデューシングの下、アーティスティックな拘りと、親しみ易いポップな大衆性をスムーズに同居させた名曲の大盤振る舞い。
ロジャー・ディーンの手掛けた美しいアートワークを眺めながらめくるめくASIAワールドに浸れば、聴く度に幻想の世界へと連れ去られてしまうような感覚に陥るという、全く以て脱法ドラッグいらずの1枚。


OMEN - Battle Cry ★★★ (2017-01-31 00:07:27)

テクはなくとも味わいだけは有り余ってるアートワークが目印のデビュー作(’84年)。単に「ヘタクソ」と切って捨てるには、細部への徹底的な描き込み等、全力投球なヘタクソぶりに胸を打たれるこのイラスト(まぁ絵は本当に酷いんですけど)、この冴えない音質、それに“DEATH RIDER”“DRAGON’S BREATH”“BATTLE CRY”etc.といった勇壮な曲名を冠された楽曲の数々が組み合わさることで、プ~ンと香ばしく匂い立つエピック・メタルのクサ味に、個人的には大いに食指をそそられるという。
ただ一口にエピック・メタルと言っても、IRON MAIDENからの影響をフルチンで露出した楽器陣が一塊に突き進むサウンドは、聴き手を一発で虜にしてしまうような(例えばMANOWAR的な)分かり易い派手さや大仰さは控えめ。3~4分台とソリッド且つストレートにまとめられた楽曲は、良く言えば実直、悪く言えば地味。初めて聴いた時はピンと来ずにすぐに手放してしまったぐらいですが、いやしかし、年食ってストライクゾーンが広がった今聴き直すと、寧ろそこが良いんじゃない!とモリモリ評価が急上昇。
多少のドタバタ感もなんのその。ケニー・パウエル(G)が刻み/奏でるリフとメロディ、ジョディ・ハリー(B)のスティーヴ・ハリスばりのベース・ラン等、メイデンやNWOBHMへの憧憬が微笑ましいぐらいダダ漏れな①⑤⑦、J.D.キンボールの力強い歌唱が活きるドラマティックな④⑩といった、欧州HM由来のダークな湿り気と刺々しいアグレッションを併せ持った収録曲は、粗削りながらもOMENならではの魅力が充満しています。
上から目線で本作をクサしてた頃の己をドヤしたくなるぐらい、今じゃ大好きな1枚。


RIK EMMETT - Res 9 - The Ghost of Shadow Town ★★★ (2017-01-29 09:23:12)

じわじわ~っと哀愁が溢れ出すイントロだけで「はいきた名曲」と。
グッと抑えたヴァースから、エモーションを一気に解き放つ
サビメロの熱唱ぶりと、胸搔き乱されずにはいられない入魂のGプレイに、
これぞエメット師匠!と咽び泣きながら姿勢を正したくなる
アルバムのハイライト・ナンバーです。


RIK EMMETT - Res 9 - Grand Parade ★★★ (2017-01-29 09:12:00)

リック・エメット(Vo)、マイク・レヴァイン(B)、ギル・ムーア(Ds)
のHRトライアングル、ここに復活!な1曲。
TRIUMPHは再結成を果たしたものの、新作がリリースされる気配は
まったくないため、こうして再び三人の共演が実現した
楽曲を聴けるのが嬉しくてもう。欲を言えば
もっとギンギンにロックしている楽曲だったら尚嬉しかったのですが
往年の名曲“SUITECASE BLUES”にヒントを得て書かれたという
この抒情ナンバーだって、うっとり聞き惚れる素晴らしい出来栄えですからね。


RIK EMMETT - Res 9 - End of the Line ★★★ (2017-01-29 09:05:17)

HR/HMとは若干距離を感じさせる本編中にあって
豪快に刻まれるGリフと、炸裂感溢れるリズムをフィーチュアした
この曲は、間違いなくHRナンバーとして存在を主張しています。
リードVoをジェイムズ・ラブリエ(DREAM THEATER)と
リック・エメットが分け合い、更に2ndソロではRUSHの
アレックス・ライフソンが客演を果たすという
本編の締めに相応しいダイナミックな仕上がりの一篇。


RIK EMMETT - Res 9 ★★★ (2017-01-28 08:10:57)

近年はすっかりマイペースな活動が板についているカナディアン・ロック界の至宝、リック・エメット先生から久々に届けられたソロ・アルバム。純粋な新作としてはAIR TIME以来となるのでしょうか?(AIR TIMEの2ndもずっと待ってるんだけどなぁ)
自ら「これまで発表して来たソロ作の集大成的内容」と語る本作は、ハード・ドライヴィンな①にて幕が上がり、アレックス・ライフソン(RUSH)が客演を果たしたポップ・チューン②、ジェイムズ・ラブリエ(DREAM THEATER)が流石の喉を披露するバラード③…といった具合に、バラエティ豊かにして高品質な楽曲をズラリ収録。過去のソロ作同様、HR/HMアルバムとして括るには少々音圧が不足気味ですが、そんなこたぁエメット師匠入魂の歌声とエモーショナルなGの技前が濃厚に絡みつく名曲⑤や、ラブリエ、ライフソン、エメットの豪華共演が実現したダイナミックなラスト・ナンバー⑩の圧倒的素晴らしさの前には枝葉末節であると。
そして何より本作のトピックはボートラ収録の⑪ですよ。ギル・ムーア、マイク・レヴァインの盟友がゲスト参加しているこの曲は、言わば局地的なTRIUMPH再結成。欲を言えば“必戦体勢”タイプの劇的な楽曲か、もしくは“ALL THE WAY”のようなハード・ナンバーだったら尚感涙に咽んだと思いますが、“SUITECASE BLUES”に通じるこうした抒情ナンバーもTRIUMPHならではの魅力に溢れていて、これはこれで大変オツな出来栄え。
尚、本作は発表名義(RIK EMETT&RESOLUTION 9)が物語る通り、ツアーを念頭に正式なバンド形態で制作されているとのこと。でしたら是非とも願・来日。


WHITE LION - Big Game - Cry for Freedom ★★★ (2017-01-26 23:24:26)

カラッと明るいハードポップ色を強めた3rdアルバム内にあっては
やや異色な、仄かに漂う欧州HR風味が美味な本編ラスト・ナンバー。
ムーディに抑えた前半を経て、中盤で一瞬熱を帯びた演奏を閃かせて
聴き手の胸をハッと突くヴィトのGプレイがここでも光っています。


WHITE LION - Big Game ★★★ (2017-01-25 23:18:42)

’89年発表の3rdアルバム。注目を集めた1st『華麗なる反逆』でホップ、全米チャートTOP10圏内を射程に収めた2nd『PRIDE』でステップと来て、いよいよ本作で栄光に向かって大ジャンプを決める…筈が、HR/HMシーンの潮流の変化もあってか思ったほど飛距離(チャート・アクション)が伸びぬまま着地。結果的に上り調子だった前2作の勢いに影を落とす形となったため、漠然と「コケた作品」との印象が付きまとっていたのですが、メタル・バブル爛熟期の当時ならともかく、バブル熱が冷めきった今にして思うと、全米チャート最高第18位という成績は立派に健闘してる方だったよなぁと。
音楽的には、ウェットなヨーロピアンHRと、カラッと明るいアメリカン・ロックの割合が7:3ないし6:4ぐらいだった前2作に比べ、マイケル・ワグナーが手掛けた音作りからしてブライトな今回は、その比率が1:9ぐらいで完全に逆転。中には本編をハード且つドラマティックに締め括る⑪みたいな楽曲もあるにはあるものの、作品全体を支配するのはやっぱり、アメリカ市場での更なる躍進を見据えたポップ・メタル・カラーという。
そんな中で気を吐くのがヴィト・ブラッタの「歌う」リードG。ノリノリの⑦、爽やかなバラード⑧、ドラマティックな⑪といった秀曲において、フラッシーだったりメロディアスだったり情感に溢れてたりと、各曲調にマッチした多彩なGプレイを提供。中でもポップな名曲①における絶品に構築されたGソロは必聴ですよ。(評価が割れがちなマイク・トランプのVoも、こうしたハーモニー重視の作り込まれたサウンドには実によく馴染みます)
なぜ多くのマニアが、このギタリストのミュージシャン稼業からの引退を惜しむのか。その理由を解するのに打ってつけの1枚ではないでしょうか。


POWERWOLF - Blessed & Possessed - Blessed & Possessed ★★★ (2017-01-24 23:49:33)

適度な疾走感に、荘厳なアレンジ、
ライブ映えしそうなコーラスetc.と、
前作収録の名曲“AMEN&ATTACK”と系統を同じくする
アルバム表題曲兼OPナンバー。


POWERWOLF - Blessed & Possessed - Armata Strigoi ★★★ (2017-01-24 23:45:36)

東欧風の物悲しいメロディと、
どことなく応援歌っぽくも響く雄々しい曲調が合体した
ライブじゃさぞかし盛り上がるであろう逸品。


POWERWOLF - Blessed & Possessed ★★★ (2017-01-23 22:41:09)

ドイツ本国でチャート№1の座を獲得した5th『PREACHERS OF THE NIGHT』の勢いを駆り、'15年に発表された6thアルバム。ついでにここ日本でも漸く国内盤のリリースが実現(前作も同時発売)。更に国内盤は、JUDAS PRIESTの“A TOUCH OF EVIL”、SAVATAGEの“EDGE OF THORNS”、CHROMING ROSEの“権力と栄光”、BLACK SABBATHの“HEADLESS CROSS”etc.といった、思わず「ナイス・チョイス!」と肩を叩きたくなる名曲の数々のカヴァー、全10曲を収録したボーナスCDとの2枚組仕様。しかもお値段はお得な据え置き価格で、これはお買い得ですよ!(ショップTV風に)
音楽性の方も前作同様、シンフォニックなKeyとチャーチ・オルガンを活かした劇的なアレンジ、ラテン語を交えた歌詞を時にオペラティックに、時にメタリックに歌い上げるシアトリカルなVo、それにコーラスを荘厳に彩るクワイアがフィーチュアされた、勇壮にしてキャッチーなパワー・メタル路線を堂々追求。間違いなく日本のHR/HMファンにも希求し得る魅力を満載にしたサウンドのように思われます。
前作と比較した場合、“AMEN & ATTACK”レベルの頭抜けた楽曲が見当たらない…というか、少々楽曲のパターン化が気にならなくもないのですが、それでもスピーディ&パワフルな収録曲は(捨て曲の見当たらない)文句なく高いクオリティを維持。またドラマティック過ぎる程にドラマティックな作風でありながら、無駄に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も本作の「取っ付き易さ」向上に一役買っているのではないかと。
LOUD PARKで呼んでくれれば、日本でも人気に火が点くのでは?と思わせてくれる1枚。


POWERWOLF - Preachers of the Night - Amen & Attack ★★★ (2017-01-22 22:30:36)

合唱を誘われるキャッチーなコーラスをフィーチュアして
パワフルなGリフとリズムが勇壮に疾走。
その上に乗せられた、オペラティックな歌い上げと
熱く歪んだシャウトの両刀使いのVoと
チャーチオルガンの冷ややかな旋律が
このバンド独特の荘厳な雰囲気を演出する名曲。


LIVING DEATH - Protected From Reality - War of Independence ★★★ (2017-01-21 10:34:19)

Gリフの印象度ではアルバム随一。
勇壮なインスト・セクションの威力もあって
スラッシュというよりはパワー・メタル寄りの感触もあり。
ただそこにトトのヒステリックなシャウトが乗ると
あ、やっぱりLIVING DEATH以外の何者でもねえや、と。


LIVING DEATH - Protected From Reality - Horrible Infanticide, Part One ★★★ (2017-01-21 10:29:53)

いかにもジャーマン・スラッシュ・メタル然とした
刺々しい疾走感の中から、突然朗々とした男性コーラスや
メロディックなGソロが飛び出してきたりする
奇想天外な曲展開は、プロデュースを担当した
ラルフ・ヒューベルトからの助言もあったのでは?と。


POWERWOLF - Preachers of the Night ★★★ (2017-01-21 10:01:37)

’13年に発表するやドイツのナショナル・チャート№1の座に躍り出る大ヒット作となった4th。
何だかよう分からんが、基本コンセプトに「狼」を据えたバンドということで、「まぁ要するにドイツ版MAN WITH A MISSONみたいなもんか?」とか薄らぼんやりしたイメージを抱いて本作を購入してみれば、別にメンバーは狼マスクを被っていたりはしませんでしたし(当たり前だ)、託されているサウンドも流行り要素皆無のオーソドックスなジャーマン・パワー・メタルだったという。
但しオーソドックスと言っても、Keyを活かしたシンフォニックなアレンジ、白塗りの風貌でパワフルなシャウトと朗々たるオペラティックな歌い上げを使い分ける「新世代のキング・ダイアモンド」――というか「ドイツのデーモン小暮」と呼びたくなる――実力派シンガーの歌唱、重厚に炸裂するクワイア、そして楽曲に冷厳なアクセントを加えるチャーチ・オルガンの調べが、宗教や東欧伝承をテーマにラテン語を交えて綴られる歌詞世界と呼応して、このバンド独自の荘厳且つドラマティックな音世界を描き出します。かてて加えてメロディが実にキャッチー。例えばPVも制作された本作のリーダー・トラック①からも明らかな通り、収録曲はパワフルで疾走感に溢れていてもコーラスは一度聴いてしまえばすぐに一緒に歌える(歌いたくなる)フックラインを有しており、こりゃ確かにチャート1位になっても不思議ではないなぁと。
実際に聴くまでは「過大評価じゃないの?」とか舐めて掛かる気持ちが無きにしも非ずだったですが、そしたらこの捨て曲なしの完成度の高さ。侮ったりしてすまなんだ。


POWERWOLF (2017-01-21 09:59:00)

ドイツ南西部の都市、ザールブリュッケンにて、ストーナー・ロック・バンドRED AIMを前身として、’03年から活動を開始。
「狼」をシンボルに掲げ、コープス・ペイント&全身ローブのシアトリカルな扮装で身を固め、一風変わったコンセプトのもと繰り出されるパワー・メタル・サウンドでもって着実に地歩を固め、’04年に『RETURN IN BLOODRED』、’07年に2nd『LUPUS DEI』を、’09年には3rd『BIBLE OF THE BEAST』、'11年に4th『BLOOD OF THE SAINTS』と、アルバムを発表する毎に人気も上昇。3rdがドイツ総合チャート第77位、4thが23位、そして’13年発表の5th『PREACHERS OF THE NIGHT』がとうとうナショナル・チャート第1位の座を獲得する快挙を達成している。


U.D.O. - Faceless World - Stranger ★★★ (2017-01-19 22:49:34)

派手に盛り上がったりはせず、比較的淡々と進んでいくのですが
マティアス・ディートのGソロが滑り出した途端、
それまで以上に楽曲が燦然と輝き出します。
ホント、もっと評価されて然るべきギタリストの1人だよなぁと。


U.D.O. - Faceless World ★★★ (2017-01-18 23:19:41)

デヴィッド・リース(Vo)擁する編成でのアメリカ進出に失敗したACCEPTが解散。これによりようやっと彼らとの比較を気にせずに済むようになったウド・ダークシュナイダー(Vo)が、U.D.O.独自の音楽性を発展させるべく曲作りに励んだ結果、目立つKey類やリズミカルに跳ねるタイプの楽曲の存在があったりで、初めて聴いた時は正直戸惑いを覚えなくもなかった’89年発表の3rdアルバム。HMの権化が如き次作『TIME BOMB』(’91年)がU.D.O.にとっての『PAINKILLER』なら、こっちは確かに『TURBO』っぽいなぁ、と。
いやでも、じゃあ本作が売れ線に走った作品なのかと言えばさに非ず。確かに従来作よりも洗練を感じさせるアレンジや音作りに一瞬虚を突かれますが、そうした新要素を積極活用しつつ、HM専用フォーミュラと言うべきウドの雄々しい歌唱から、屈強なGリフと重厚なリズムのコンビネーション、トドメにマティアス・ディートの「歌う」Gプレイ(劇的に構築された①や⑤のGソロなんてもう…)が紡ぐドラマティックなメロディに至るまで、ここに託されたサウンドの骨格はU.D.O.以外の何者でもない鋼鉄密度を有しています。
特に、哀愁を発散するミッド・チューン①⑫や、小気味良く駆け抜ける疾走ナンバー③⑨、ライブでは大合唱を巻き起こしていそうな②④といった優れた収録曲の数々を聴けば、本作が単にポップに日和ったのではなく、U.D.O.本来の魅力を損なうことなく、よりキャッチーに、よりメロディアスに練り上げられた作品だということが分かるというもの。
少々タイプは異なれど、完成度においては『TIME BOMB』に引けを取らない力作です。


D・A・D - Osaka After Dark ★★ (2017-01-17 00:11:23)

D.A.D.と言えば、大ヒット作『NO FUEL LEFT FOR THE PILGRIMS』(’89年)に対して、BURRN!!誌上ではゴッドが90点台を献上。その後すぐに2度の来日公演が実現する等、「新世代北欧ロック・バンドの雄」として注目を集める存在でした。本作はそんな彼らが’90年に日本で行ったショウケース・ギグ(会場は大阪MIDシアター)の模様を捉えた実況録音盤で、収録曲は7曲と少なめ。また選曲が『NO FUEL~』に偏っていることもあり、バンドの入門盤向けというよりは「熱心なファン向けアイテム」に類される1枚かと。
ぶっちゃけ、哀愁と美旋律まみれのオールドスクールな北欧メタルを愛する身的には、その風変りなロックンロール・サウンドは当時完全に興味の範疇外だったのですが、「日本収録のライブ盤」という点に釣られて本作を購入。そしたら「あ。案外良い曲書けるバンドなんだ」と(失礼過ぎる感想)。特にマカロニ・ウェスタンmeetsパンク・ロック=カウパンクと評された彼らの音楽性の真骨頂と言うべき“GIRL NATION”や、シングル・カットされ話題を呼んだ代表曲“SLEEPING MY DAY AWAY”等は、砂塵とタンブル・ウィード舞う西部の荒野を想起せずにはいられない、乾いた哀愁が心地良いったらないHRナンバー。
既に地元では確固たるステイタスを築いていたバンドだけあって、ライブ・パフォーマンスからは実績と自信に裏打ちされた安定感が漂いますし、掛け合いも盛り込んだ7曲目で飛び交う黄色い歓声を聴いていると「あぁ、日本でも人気あったんだなぁ」としみじみ。
興味本位から購入した作品でしたが、思ったよりもずっと楽しめた1枚でしたよ。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia - Fire Ball ★★★ (2017-01-15 08:34:15)

このタイトルでこのバンドですから
DEEP PURPLEのカヴァーかな?と思ったのですが、違いました。
Charをゲストに招いてのステージ上でのジャム・セッションに
曲名を付けたものなのですが、これがまさしくタイトルを地で行く
火を噴くような楽器陣の掛け合いがスリリングな出来栄え。
疾走感溢れる曲調はテーマ・メロディも印象的で
ちゃんと「インスト曲」として成立しています。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia - Journey to Utopia ★★★ (2017-01-15 08:27:30)

1stアルバムには収録されておらず、このライブ盤でしか
聴くことができない(多分)アルバム表題曲。
宮永英一の流れるようなドラムロールと、Charが奏でる
“星条旗よ永遠なれ”をイントロ代わりにスタート。
一度聴けば耳に残る印象的なリフレインを持った哀愁のHRナンバーで
熱く激しく咽び泣くGソロも強烈。
それまでバリバリ英語の楽曲とMCをこなしてきたJ.J.が
曲紹介で「Char、オ願イシマス」と
凄い丁寧に日本語を話しているのも微笑ましい。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia ★★★ (2017-01-14 10:23:17)

‘83年11月に、EASTERN ORBITが米軍横田基地内の将校クラブ「NCO CLUB」で行ったライブの模様を収めた実況録音盤(前座は十二単だったという)。
メンバーはJ.J.(Vo)、中島優貴(Key)、宮永“CHIBI”英一(Ds)、多田勇(G)、デイヴ伊藤(B)、それに特別ゲストのCHAR(G)という布陣。英語のMCも流暢にこなせるJ.J.の熱唱を始め、手練れの面子が繰り出す熱く激しいパフォーマンスと、初っ端からテンションが振り切れている観客の熱狂とが相俟って、本作を聴いていると、何やら海外で(そも米軍基地内はアメリカの領土なんですけども)、海外のバンドのライブを見ているような錯覚に陥る瞬間もしばしば。中でも個人的には、イアン・ペイスばりのタイトで流れるようなドラミングのみならず、RAIBOWのカヴァー③ではリードVoも担当する(しかも巧い!)という多才ぶりを発揮している、宮永英一の存在に特に感銘を受けましたね。
HEAVY METAL ARMY時代の代表曲①に始まり、疾走ナンバーの名曲②が後に続く「掴み」や、CHARの独奏“星条旗よ永遠なれ”からスタートする印象的なリフレインを持った⑥、全楽器が火花を散らして衝突し合うインスト曲⑦といった楽曲からは、スタジオ・バージョンを軽く凌駕する迫力と熱量が迸ります。「Key奏者が創作面のイニシアチブを握るバンド」と聞くと、プログレ・ハード系の音を想像しがちですが、ここに詰まっているサウンドは完全にHR/HMの領域にダイブ・イン。もしかすると1st『FUTURE FORCE』よりもEASTERN ORBIT入門盤にお薦めできるかもしれません。


RAZOR - Executioner's Song - Take This Torch ★★★ (2017-01-12 23:38:26)

聴く者の鼓膜を切り裂いて出血させんばかりの勢いで
刻んで刻んで刻みまくられるGリフと、
タイミングなんて知ったこっちゃねえわと好き勝手叫び倒すVoとが、
猪突猛進のリズムに乗っかったことで生み出される
この異様なテンションの高さ。
RAZOR屈指の名曲です。


RAZOR - Executioner's Song ★★★ (2017-01-12 00:32:19)

サクセスとか、世間の流行り廃りとか、そういった世俗的事象には一切無頓着のままに、HR/HMシーンの裏街道を爆走し続けたカナダのスラッシュ・メタル番長、RAZORが’85年に発表した1stフル・アルバム。
トラッシーなジャケット・イラストといい、そこいらの公民館を借りてテレコで一発録りしました的プロダクションといい、突貫工事感が半端ない本作はハッキリ言ってチープ(尤も、この時期のスラッシュ・メタル・アルバムは多かれ少なかれそんな感じでしたけど)。リズムガン無視で強引にシャウトを捻じ込んで来るステイス“シープドッグ”マクラーレンの金切Voから、演奏がズレようが走ろうが「細けぇことはいいんだよ!」とばかりに突進を繰り返す楽器隊まで、ファイト一発!なラフさ加減に濃厚に息衝くのは、スラッシュと言うよりもパンキッシュなクソッタレ・スピリッツ。しかしながら昔は呆気に取られたそうした部分にこそ、今聴き返すと逆に轟々とメタル魂を燃え上がらされてしまうのが不思議でして、特に一心不乱にGリフを刻んで刻んで刻みまくるリーダー、デイヴ・カルロのリフ・カッター無双ぶりが痛快な“TAKE THE TORCH”なんて、鳥肌モノの名曲ですよ。
現代の感覚からすれば、もはや特別速いわけでもアグレッシブなわけでもない音かもしれませんが、しかし、ギアの壊れた自転車をそれでも猛然と漕ぎ倒すかのような、この鬼気迫る前のめりっぷりはやはりスペシャル。並のエクストリーム・メタル・バンドなんぞ足元にも寄り付かせない、破れかぶれなテンションの高さが痛快極まる1枚です。


SODOM - Decision Day - Caligula ★★★ (2017-01-10 23:58:28)

カ~リギュラ~!
思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラスを有する一方、
ローマ帝国の暴君について歌った楽曲だけあって
さりげなく混ぜ込まれた欧州風味の暗黒色なドラマが
効果的なアクセントとなっています。


SODOM - Decision Day - Decision Day ★★★ (2017-01-10 23:54:43)

SODOMらしい刺々しいアグレッションと、
戦争をテーマに据えた楽曲に相応しく、
バーネマンが好戦的に奏でるメロディとが
劇的な融合を果たしたアルバム表題曲。


SODOM - Decision Day - In Retribution ★★★ (2017-01-10 23:48:22)

ライブの開幕SEさながらに、徐々にテンションを高めていって
その緊張が頂点に達した瞬間、解き放たれたかのように
怒涛の疾走へと転じる冒頭の展開だけで完璧に掴まれてしまいましたね。
現在のSODOMの魅力が凝縮された名曲です。


LEGEND(80'S PARTⅡ) - ...AD 1980... - The Way Loves Meant to Be ★★★ (2017-01-08 11:26:00)

胸を突くハイトーンVoと、泣きを湛えたツインGによって
哀愁の度合いをずんどこ増強されながらドラマティックに
高みへと向かって盛り上がっていく様は、
『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTに通じる涙腺破壊力。
本作のハイライト・ナンバーの一つです。


LEGEND(80'S PARTⅡ) - ...AD 1980... - LEGEND ★★ (2017-01-08 11:08:35)

シンプルに繰り返される反復Gリフが妙に頭に残ります。
しかしながら突き抜けるようなハイトーンを織り交ぜた
Voの熱唱の威力もあって、平坦な印象は受けません。


LEGEND(80'S PARTⅡ) - ...AD 1980... ★★★ (2017-01-06 01:28:31)

数年前に古本屋の中古CDコーナーから500円でレスキューした1枚。ピンボケのライブ写真に、そっけなく『…AD 1980』とタイプされただけのジャケットが怪し過ぎて、てっきりNWOBHM期に活動していたジャージー島出身のLEGENDのブート盤か何かかと思った購入したのですが、帰宅後に調べたらLEGENDはLEGENDでもシングル『HIDEAWAY』(’81年)1枚を残して解散したケント出身の方のLEGENDの未発表音源を取りまとめたコンピ盤だったことが判明。あと、こちらのサイトにもちゃんと登録されていましたね。
で。そんな本作で聴けるのは、ジャージーの方のLEGENDにも通じる要素が少なからず感じられる、70年代HR的味わいに、NWOBHM由来のへヴィ・メタリックな光沢と、スピード感や構築感を加味したようなサウンド。加えて、(ヘタウマ・レベルに留まらない)シンガーのしっかりとした歌唱がアルバムの完成度を数段上に引き上げることに大きく貢献しています。例えばハイントーンVoの存在とツインGが奏でる扇情的なメロディの威力が映えるドラマティックな⑥⑫等を聴いていると、『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTのことを思い出す…と言ったら褒めすぎでしょうか。
その他にも、シンプルなノリの良さと反復GリフがクセになるOPナンバー①、タメを効かせて盛り上がっていく④⑩、シャープに疾走する⑤といった、思わず「おっ」と声が漏れる楽曲を収録した本編は、「NWOBHMの掘り出し物」として語り継がれるに十分なクオリティを保持。こんだけ優れた楽曲を抱えていながら、終ぞフル・アルバムを発表出来ぬまま解散してしまったことが残念でなりませんよ。


VIPER - Maniacs in Japan ★★ (2017-01-04 22:26:46)

ブラジルのVIPERが、'93年に川崎クラブチッタで行った初来日公演の模様を捉えた実況録音盤。
メロディック・パワー・メタルの名盤と評判の『THEATER OF FATE』(’89年)で一躍注目を集めるも、間もなくアンドレ・マトスが脱退。その後発表された3rd『EVOLUTION』(’92年)における大胆な音楽性の刷新がファンの間で賛否両論(つか圧倒的に「否」の意見が優勢だった)を巻き起こす中敢行された来日公演ということで、タイミング的には最悪もいいところ。動員もあまり良くなかったと記憶しておりますが、にも拘らずここに収められたライブが熱狂的な盛り上がりを聴かせてくれるのは、当日会場に集結したのが(批評に左右されない)筋金入りのVIPER MANIACSだったこと。そして、メタルというよりはロックンロール/パンキッシュな疾走感に貫かれたサウンド(QUEENの“WE WILL ROCK YOU”の倍速カヴァーもパンク・バンドが演りそうなアイデアですよね)が、スタジオ盤よりもライブで聴く方が遥かにカッコ良く響いたことがその要因でしょうか。
ハッキリ言ってシンガーの歌唱にしろ、楽器陣の演奏にしろ、初来日の喜びと緊張がない交ぜになって先走っているようなパフォーマンスは相当に危なっかしいのですが、このサウンドには不思議とそうした《気合一発!轟音で押しまくる、若さ溢れるライブ》(帯より)なノリがマッチしていて、文句を付ける気が起きません。⑩におけるバンドと会場が一体となった盛り上がりっぷりなんて何度聴いてもアガるものがありますよ。
「胸が熱くなる」と言うよりは、「気分がほっこりする」タイプのライブ盤なれど、大好きな作品です。VIPER再評価の切っ掛けの一つにどうぞ。


VICTORY - You Bought It, You Name It - Rebel Ready ★★ (2017-01-03 22:14:36)

溌剌と疾走するビートに乗って
リズミカルに刻まれるGリフが妙にクセになる
アルバムのOPナンバー。
元気よく吹き鳴らされるホイッスルを聞くと
つい条件反射的に走り出したくなりますね。


FM - Tough It Out - Someday ★★★ (2017-01-03 22:09:30)

ジュディスとロビンのランダル母娘により作曲された
HR/HM史にキラリと輝くハードポップの名曲。
FMの2ndアルバム購入を決意したのも、
実は彼らがこの楽曲を演っていると耳にしたからに他なりません。
で、こっちもマーク・フリーのバージョンには及ばないまでも
大変素晴らしい出来栄えでありました。


VICTORY - You Bought It, You Name It - God of Sound ★★★ (2017-01-03 22:02:46)

ツインGを活かした欧州HMらしい湿り気とドラマ性、
それにサビを彩るビッグなコーラスとが合体した
VICTORYの魅力爆発な逸品。
フェルナンド・ガルシアのVoも熱い。


VICTORY - You Bought It, You Name It ★★ (2017-01-03 21:57:00)

本国では安定した支持基盤を築くも、当面の進出目標であったアメリカでは、折からのグランジ/オルタナ・ブームで従来型HR/HM人気に壊滅的な地盤沈下が発生。またここ日本において90年代に盛り上がったジャーマン・メタル・ブームにも、(典型的独産パワー・メタルとは異なる)どちらかと言えばアメリカンなノリが強く打ち出されたその音楽性ゆえ乗り損ねたドイツのVICTORY。本作は、そうしたシーンの潮流の変化の狭間で試行錯誤を重ねていた時期(’92年)に発表された7thアルバムである。…って知った風に書いてみましたけど、これが自分が初めてまともに聴いたVICTORYの作品でしたよ、確か。
上記のような理由もあって、当時のバンドはサウンドの拡散化がかなり進行。正直なところ、ホーンを取り入れてみたりファンキーに跳ねてみたりと、今聴き直しても収録楽曲はストライク・ゾーンにハマっているとは言い難い作風でして。それでもフェルナンド・ガルシアの熱く歪んだVoは問答無用で聴く者のメタル魂を燃え立ててくれますし、要所で発揮されるドイツのバンドならではのメロディ・センスも侮れないものがあります。特に、トリッキーなGリフと華麗なるツイン・リードG(あとホイッスルも)をフィーチュアして景気よく駆け抜けるOPナンバー①や、マカロニ・ウェスタン風味のバラード⑤、本編中において最もヨーロピアンHRテイストを感じさせてくれる⑧等は、「これがあるから本作は手放せないんだよな~」と思わせてくれる秀曲ではないかと。
VICTORY入門盤としては、先に聴くべき作品が他に幾つもあるかもしれませんが、それらが気に入ったならば本作も是非どうぞ。


FM - Tough It Out ★★★ (2016-12-31 01:40:11)

タイトルとアートワークはガテン系。でも音楽性の方は、ニール・カーノンが手掛けた音作りから、デズモンド・チャイルドら外部ライター勢を起用した形振り構わぬ姿勢まで(バックVoにはテリー・ブロック、ロビン・ベックも参加)、自信を持って放ったデビュー作『INDISCREET』がコケたことで「じゃあこれならどうだ!」とばかりに、一層AOR路線に前のめりになっている’89年発表の2ndアルバム。
いや前作だってポップで煌びやかな作品でしたけども、要所で溢れ出す泣きや哀愁が、隠しようのないFMのブリティッシュ・ロック・バンドとしての出自を物語っていたのに比べ、今回はもう身も心もアメリカンになりきって大陸の爽やかな微風を送り込んで来てくれています。例えるなら、前作収録曲“AMERICAN GIRL”の明るくハジけるノリを全編に行き渡らせたような感じ…とでも申しましょうか。
しかし、それが批判に値しないことは他の皆様の絶賛コメントが証明する通り。というか、こんだけ充実した制作環境だったら悪い作品なんて作りようもないですわな。スティーヴ・オーヴァーランドの「エモーショナルな歌唱」のお手本の如きVoや、兄クリスの弟に負けないぐらい歌心溢れるGプレイ等、メンバーのパフォーマンスも実に手堅い。
収録曲については、初めて聴いた時はジュディス&ロビンのランダル母娘提供の至高のハードポップ・ソング“SOMEDAY”のインパクトに全部持って行かれてしまった感があったのですが、その他の楽曲だって③⑤⑧等、十分に粒揃い。
3年後ぐらい、今度は『TOUGH IT OUT 30』をリリースするってのは如何でしょうか?


FM - Indiscreet - I Belong to the Night ★★★ (2016-12-29 12:12:25)

イントロのシンセだけで「来た、来たぁ!」と。
ポップ・センスとブリティッシュな哀愁が
巧みブレンドされた、この時期のFMならでは名曲。
個人的には1stアルバムで一番リピート率の高い楽曲です。
クリス・オーヴァーランドの歌心に溢れたGプレイも
実に良い仕事してくれていますよ。


FM - Indiscreet - American Girls ★★★ (2016-12-29 12:07:31)

屈託なくアメリカへの憧れを歌い上げた歌詞といい
“JUMP”を思わせるシンセ・リフといい、
80年代感バリバリに躍動するハードポップ・ナンバー。
バンドにしてみりゃ「若気の至り」な1曲かもしれませんが
でもこれ素晴らしい曲ですよね。


FM - Indiscreet - Love Lies Dying ★★★ (2016-12-29 12:05:25)

テクニックだけでなく、ブレスとか節回し、感情表現も含め
こんだけ歌えたらシンガー業が楽しくて仕方なかろうなぁ
と思わせてくれるスティーヴ・オーヴァーランドの歌の上手さよ。
そうした彼の歌唱力が存分に生かされた哀愁の名バラード。
更に抒情性を増して蘇った『INDISCREET 30』のバージョンもお薦めです。


FM - Indiscreet ★★★ (2016-12-29 00:18:05)

名前は知っていても、ちゃんと音に触れたのは名曲“CLOSER TO HEAVEN”が最初ゆえ、FMについては「ブルージーな味わいを取り入れたメロディックHRバンド」という認識でいたのですが、後で「いや、初期の頃は違ってたらしいよ」と教えて貰い、興味を引かれて購入したのが、この’86年発表のデビュー作。
キラッキラに眩く煌めくシンセをふんだんに取り入れた音楽性は、例えばVAN HALENの“JUMP”を思わす曲調に乗せて、屈託なくアメリカへの憧れを歌い上げた⑤に代表されるように、まさしく80年代ど真ん中なハードポップ・サウンド。そのブルーズ要素ゼロっぷりに、なるほど。こりゃ確かに90年代以降のFMとはかなり違っているなぁと。
いやでも、哀愁を湛えて弾むOPナンバー①や、明るく爽やかな②、ドラマティックな導入部だけで掴みはOKな④、心地良く駆け抜けて行く⑥…といった具合に、高いヒット・ポテンシャルとフックを有する収録曲の数々を聴けば、皆様が仰られている通り「これはこれで全然あり!」。何よりスティーヴ・オーヴァーランドはこの頃から既に歌がメチャウマで、80年代初頭から兄クリスと共にWILDLIFEでキャリアを積んで来ていただけあり、感動的なバラード③におけるエモーショナルな歌唱なんて思わず涙がちょちょ切れるレベル。
尚、最近発表された本作のリレコ盤『INDISCREET 30』も素晴らしい出来栄えでして、スティーヴのVoやメンバーの演奏が一層円熟味を増したことで、よりしっとりと抒情的に奏でられるメロディアスHRサウンドに時間を忘れて聴き惚れてしまいましたわい。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners - Fighter ★★★ (2016-12-27 23:11:49)

勉強、残業、筋トレ等々…「あともうひと踏ん張り!」が必要な時に流すと
沸々と力を湧き上がらせる曲調&歌詞とが相俟って効果覿面。
80年代のスポ根ドラマ/映画の主題歌に採用されていても
おかしくない爽やかさが魅力の名曲です。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners - Rebel Heart ★★★ (2016-12-27 23:05:18)

「ギターを抱いたランボー」的イメージからはかけ離れた
痒い所に手が届くメロディック・ロック・チューンの名曲。
分厚いコーラスと高揚感に包まれたサビメロのフックの効き具合、
何よりそれを熱唱するケイン・ロバーツのVoと、
終盤の彼自身によるGソロが楽曲を劇的に盛り上げてくれます。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners ★★★ (2016-12-26 23:40:06)

驚異の秘密兵器「実銃改造マシンガン・ギター」と、「筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ」(by映画『コマンドー』)風味にパンプアップされた肉体美を誇示したジャケットで、HR/HMリスナーをドン引き…じゃなくて度肝を抜いた元アリス・クーパー・バンドのギタリスト、ケイン・ロバーツが'90年に発表した2ndアルバム。
大向こうから「切れてる切れてる!」「ナイスバルク!」と掛け声がかかりそうなボディビルの写真集状態だった前作のアートワークが色物扱いされたことで我に返ったのか、今回はジャケ写がまともになっちゃっていて、ホッとしたような物足りないような…。まぁ少なくとも音楽性に関しちゃこっちのデザインの方が相応しいとは思いますけども。
ともあれ、ヒット・ポテンシャルに富むポップでキャッチーなメロディック・ロックという、セルフ・タイトルのデビュー作で聴かせてくれた基本路線は本作でも堅持されていますし、ダイアン・ウォーレンを始め、名うてのヒット・メイカー達が楽曲提供を担い、その上(1曲目からも明らかなように)ケイン自身のテクニカルなGプレイが、ポップ路線に流され過ぎぬようサウンドにハード・ロッキンなエッジと緊張感を加えてくれているのですから、これで素晴らしい作品にならないがわけがない!と。
特に、BON JOVI&デズモンド・チャイルド作曲のパワー・バラード③、格段に向上したケイン自身のVoが楽曲を感動的に盛り上げる⑤、スポ根映画の主題歌にハマりそうな⑦という、「フックの備わった楽曲」のお手本の如き高揚感に満ちた3曲は、今後とも末永くお付き合いしていきたいメロハーの名曲。
インパクトでは1stに及ばないものの、この2ndも是非押さえておいて頂きたい1枚です。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Is That You, Melissa ★★★ (2016-12-26 23:37:02)

物悲し気なイントロに、切々と歌い上げる
キングのVoが被さる冒頭部分だけで、
「これは名曲」との予感がヒシヒシと。
静と動を飲み込んだ劇的な曲展開に
泣きを湛えたツインGが折り重なっていく
終盤の盛り上がりは、アルバムのクライマックスに
相応しい名曲の貫禄を感じさせてくれます。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Legend of the Headless Rider ★★★ (2016-12-26 23:21:38)

映画化もされた「スリーピー・ホロウの伝説」を題材に、
7分以上に及ぶ長尺をドラマティックに語り上げる大作曲。
といっても、キングのシアトリカルな語り口と、
荘厳な雰囲気を湛えたドラマティックな曲展開の魅力で
全く長さを感じさせませんが。


MERCYFUL FATE - In the Shadows - Egypt ★★★ (2016-12-26 23:13:04)

アグレッシブな疾走感を湛えたヴァース転じて、
闇の中をキングのVoが空中浮遊するかの如き
コーラスが怪しくも美しい、OPナンバーに相応しい
インパクトを放つ逸品。


SHAH - Escape From Mind - Last In The Night ★★★ (2016-12-23 09:36:18)

せかせかとスラッシーに疾走する「らしい」スピード・ナンバーな
一方で、その上に乗っけられたVoは愁いを帯びた歌メロを
結構しっかりと追いかけていて、これまでの楽曲に比べると
異色な感じを受けます。いやでもこれはこれでカッコイイのですが。


SHAH - Escape From Mind - No Return ★★★ (2016-12-23 09:31:28)

小気味良いタテノリの疾走感に、
インスト・パートではいかにもロシアのバンドっぽい
荒涼として乾いたメロディが絡み、
「あぁ、SHAHだな」と感じさせてくれる逸品。


SHAH - Escape From Mind ★★★ (2016-12-21 23:16:54)

ソ連初のスラッシュ・メタル・バンドとも言われたSHAH。本作は彼らが‘87~’88年にかけて録り溜めたデモ音源のリ・レコーディングと、未発表曲の各4曲ずつ、計8曲により構成される3rdアルバム。カセットテープのみの流通だったことから入手は困難を極めたという作品で(まぁ「SHAHのカタログで入手が簡単だったモノなんてあんのか?」っつー話ですけども)、今回の正式CD化は快挙と言えましょうや。
本作がリリースされた'94年と言えば、欧米にはスラッシュ冬の時代が到来。誰も彼もがへヴィ&グルーヴィにうねりまくっていた頃合いなれど、遠く極東ロシアの地にはまだその流行の波は到達していなかったようで、ここで聴かれるのは実にオールドスクールなスラッシュ・メタル。堅実な演奏能力を駆って、荒涼たる冷気を撒き散らしながら小気味良く突っ走る、デビュー作のノリを受け継ぐ名曲②や⑦、そして従来型ロシアン・スラッシュにパワー・メタリックなメロディを合体させた⑤といった楽曲を好例に、そのサウンドからはまるで実家のような安心感が漂って来ますよ。
デビュー当初よりもメロディを歌うようになったVoといい、ドヨンとしたイントロから疾走へ転じるOPナンバー①、“MASTER OF PUPPETS”を彷彿とさせる大作曲③の存在といい、整合性を増した本編は結構あからさまにMETALLICAからの影響を感じますが(バンドはプログレ方面からのインスパイアを主張)、どっちにせよクオリティの高さには微塵の揺るぎもないので、全く以て許容範囲内かと。
再び入手困難になる前に、スラッシュ愛好家の諸兄には是非ゲットをお薦めする1枚です。


RAGING FURY - RAGING FURY - Man-spider ★★★ (2016-12-19 22:56:13)

タイトル通り「スパイダーマン」が歌詞のモチーフ。
ビルの間を飛び回るスパイダーマンよろしく、
疾走感溢れる曲調がイカしています。
つか、このバンドが演ると東映版スパイダーマンっぽさも
感じてしまいますね。マーベラー!


GRIEF OF WAR - Act of Treason ★★★ (2016-12-19 08:19:56)

長いこと音沙汰がなく、てっきり解散したものとばかり思っていた東京のGRIEF OF WARが7年ぶりに発表した3rdアルバム。「地道に活動を継続していたんだなぁ…」と感慨に耽りつつ雑誌のインタビューをチェックしたら、やっぱり一度は解散状態にまで陥っていた模様で、そりゃそうかと。ともあれ、こうして新作を発表してくれて良かった良かった。
長期間のブランクをアジャストするかの如く、Voの唱法が嘗てのマイケル・クーンズ(LAAZ ROCKIT)辺りに通じる男臭い発声から、エクストリーム・メタル仕様の咆哮型へとチェンジ。またクランチーなリフ&リズムよりも、テクニカルに弾きまくる2本のシュレッドGがサウンド全体の牽引役を担う等、変化の跡も確実に散見される本作ですが、そうした装飾を取っ払ってしまえば、鋭角的なGリフ、切迫感を伴うリズム、疾走感に貫かれた収録楽曲群(それに乾いた音作り)と、バンドの核たる「スラッシュ・メタル」スタイルにブレはありません。1st収録の名曲“BLOOD LUST”のリメイク⑩が違和感なく本編に馴染んでいることもその証左。ついでにガスマスクが描かれたジャケット・デザインや、あと読み難い歌詞カード(笑)も相変わらずで心強い限りですよ。
本作最大の聴きどころなのが、前2作以上に全面的にフィーチュアされ、テクニカルに狂い咲くツインG。バンドが自信作として挙げるアルバム表題曲④を前半のクライマックスに据え、2本のGが劇的且つメロディックに、縦横無尽に激走する様は時にSHRAPNELメタルを彷彿とさせるものがあったりなかったり。
これからの順調な活動に期待せずにはいられない1枚であります。


RAGING FURY - RAGING FURY ★★★ (2016-12-14 23:35:24)

長らく入手困難で、たまに中古盤を見かけても結構なプレミア価格が付けられていたRAGING FURY、‘92年発表の1stアルバム。後追いで入手するなら再発を待たなきゃ難しいかなー。でも今時そんな需要なさそうだしなー。…とか考えながら、少し前にフラッとCD屋に立ち寄ってみたらば、なんと本作の新品がディスプレイされているのを発見。されてんじゃん!再発!と。「需要なさそう」とか失礼なこと言って申し訳ねぇ。
3rd『BLACK BELT』(’13年)が苛烈なパワー/スラッシュ・アルバムだったので、再発に際して『激怒荒狂』なるタイトルを冠されたデビュー作は更に攻撃的な作風に違いない!と想像が膨らみましたが、あにはからんや。若気の至り感全開のスカスカな音質と、Gリフやリズムのササクレた質感は確かにスラッシュ・メタル然としていたものの、ダイナミックに緩急を飲み込むOPナンバー①を手始めに、収録曲はこの時点で既にスピード一辺倒ではなかったという。更に、野太い濁声でしっかりとメロディを追いかけるVoを活かして、劇的なバラード⑦や、7~8分にも及ぶ大作曲③⑥にもチャレンジする等、むしろここで志向されているのは3rd以上に正統派HM寄りのサウンド。
全体的に、豊富なアイデアを整理しきれていない粗削りな仕上がりではありますが、「それでも思い付いたアイデアは片っ端からブチ込まずにはいられない!」という初期衝動に忠実な姿勢や、ブルース・リーからスパイダーマン、恐竜戦車に至るまで、ボンクラ魂漲る歌詞のネタ選びのセンスも好感度大ですよ。
よくぞ再発してくれました、ありがとうございます!と感謝の念が溢れ出す1枚。


WARRANT - Cherry Pie - Mr. Rainmaker ★★★ (2016-12-13 23:18:50)

2nd『CHERRY PIE』のソフトサイドを代表するのが
バラード“I SAW RED”なら、ハードサイドを代表するのが
この力強く(それでいてメロディのフックに抜かりなく)
ガツンとカマされるロック…いやさ、HMソング。


WARRANT - Cherry Pie - I Saw Red ★★★ (2016-12-13 23:15:28)

イントロのピアノ、哀愁のメロディ、切々とした歌声、
全楽器が加わってのドラマティックな盛り上がりと、
パワー・バラードのお手本のような名曲。


WARRANT - Cherry Pie ★★★ (2016-12-12 23:22:14)

ぼちぼちHR/HMシーンの王座がグランジ/オルタナティヴ・ロック勢に取って代わられようとしていた時代の節目において尚、全米アルバム・チャート最高第7位、トータル200万枚を売り上げる大成功を収めた、WARRANT、’90年発表の2ndアルバム。
ブロンドヘアーをたなびかせたグッド・ルッキングなメンバー達が奏でる、明るくキャッチーなポップ・メタル・サウンド。おまけに邦題は『いけないチェリー・パイ』…。もうこれだけで硬派なメタル・ウォリアー(自称)だった身からすれば「けっ」ってなもんですよ。
ところが、ラジオで耳にしたヒット・バラード“I SAW RED”(全米最高第10位)が相当にグッとくる名曲だったこともあり、思わず発作的に本作を購入してみたらば、これが大当たりだったという。いや、まかり間違ってもスラッシーだったり様式美HMを演っていたりはしないですし、1曲目から底抜けに明るいアリーナ・ロックがブチかまされるのですが、そうしたある種「能天気」とすら受け取られかねない楽曲の中にも、躍動感溢れる演奏と、メロディやコーラスにきっちりとフックを仕込んで聴き手を惹き込む曲作りの巧さに脱帽。④⑧⑩辺りは、“I SAW~”と並んで今でも折に触れて聴き返す秀曲ですし、BLACKFOOTの代表曲“TRAIN, TRAIN”を違和感なくカヴァーしてみせる実力にも唸らされましたね。
当時は本作を楽しめてしまったことに対して「負けた…!」とか勝手に敗北感を感じたりもしたものですが(アホですね)、今じゃ「イェー、WARRANT最高!」「シーズ・マイ・チェリーパイ♪」とノリノリで大口開けて歌っているぐらい大好きな1枚。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Canna-Business ★★★ (2016-12-11 10:10:24)

ツインGによる劇的な導入部が、なるほど確かにJUDAS PRIEST風。
アレックスのテクニカル且つメロディックなGソロを伴って
激走するパートのカッコ良さが際立っています。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Stronghold ★★★ (2016-12-11 10:02:02)

捲し立てるチャック・ビリーの歌唱と
歯切れ良く鋭角的な疾走感、
そこに華を添えるアレックスの華麗なGソロ等、
初期2作を発表した頃のTESTAMENTを
思い出さずにはいられないスラッシュ・ナンバー。


SINNER - Dangerous Charm - Gipsy ★★★ (2016-12-08 23:02:58)

Keyを目立たせたアレンジが時代を感じさせますが、
適度にハードな疾走感といい、哀愁を帯びたメロディといい、
本編中において最もSINNERらしいバランス感覚で
酔わせてくれる名曲です。


SINNER - Dangerous Charm ★★ (2016-12-08 00:11:35)

表題は『DANGEROUS CHARM』(危険な魅力)。でもジャケットに描かれた女が大して美人じゃないのに自信満々なドヤ顔で少しイラっと来る(笑)、’87年発表の6thアルバム。
ツインGコンビが早くも脱退し、本作は後任にアーミン・ミュッケ1人を加えた4人編成でレコーディングされています。シングル②が欧州でヒットする成功を収め、日本初お目見えとなった作品でもありますが、所属レーベルから乗り気になれないポップ路線を押し付けられた苦い思い出も手伝ってか、マット・シナー的にはあまり良い印象がない作品のご様子。かくいう自分も後追いで初めてこの作品に触れ、シンセBを使用した“ハイスクール・ララバイ”みたいな(?)①が始まった時は「ちょっと勘弁してよ」とか思いましたが。
しかしこうして改めて聴き直してみると、マットのメロディ・センスを活かし、コーラスの強化とハーモニーの増量が図られた楽曲は、1曲1曲は結構良く出来ていたのだなと。②は流石にヒットしただけあって優れた楽曲ですし、前述したOPナンバー①や、キャッチーなアルバム表題曲③のようなポップネス全開の楽曲も――SINNERらしさはさておき――ハードポップ・ナンバーとしては決して嫌いになれない…。いや寧ろ積極的に好きと言っていきたい出来栄えを誇っています。勿論、新Gのメロディアスな演奏が冴える⑤、更なる売れ線を強要してくるレーベルに対するせめてもの反抗の如き疾走ナンバー⑥、ハードネスと哀愁のブレンド具合が絶妙な名曲⑧、泣きに満ちたメロディで本編を締め括るインスト⑩といった、「これぞSINNER!」な楽曲も要所を締めてくれています。
全体的に薄味ですが料理としての質は十分高い。口に合うかどうかは好みの問題ですかね。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm - Playing With Fire ★★★ (2016-12-07 00:11:39)

ややポップ化が進行した本編にあって、随一のHM度の高さで
気を吐く小気味のいい疾走ナンバー。
メタリックなGリフのカッコ良さと、メロディアス&ドラマティックな
ツインGの活躍ぶりには思わずコブシを振り上げたくなるというもの。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm - Rebel Yell ★★★ (2016-12-07 00:08:41)

邦題“反逆のアイドル”で知られるビリー・アイドルの代表曲のカヴァー。
キラッキラのアレンジが80年代風味全開ですが、
マットの男臭い歌声と、エッジの効いたGが曲調をグッとHMサイドに引き寄せ、
まるでSINNERのオリジナル曲のようなハマりっぷりを聴かせてくれます。


SINNER - Comin' Out Fighting & Dangerous Charm ★★★ (2016-12-05 23:59:50)

エンジェル・シュライファーとマティアス・ディート。ジャーマン・メタル・シーン指折りの実力派ギタリスト二人を新メンバーに加え、マット・シナーも「SINNERが最も充実していた時期の一つ」と述懐する強力なラインナップでレコーディングが行われ、'86年に発表された5thアルバム。(尤も、エンジェル・シュライファーは制作途中でPRETTY MAIDSに引き抜かれてしまうのですが)
前作『TOUCH OF SIN』は、絶妙なバランスでハードネスと哀愁のメロディが共存する「SINNER節」と表すべきサウンドを確立させた名盤でしたが、ドン・エイリーをゲストに迎えてKeyのフィーチュア度が格段に高まった今作は、コマーシャル路線へと大きく舵を切り、早くも音楽性に拡散の兆が見受けられるようになりました。
とは言え、明るくポップに疾走する①にしろ、タイトル“FASTER THAN LIGHT”に反して全く走らないけれど憂いを帯びたメロディには非常にグッとくる②や、本編のハイライトの一つに挙げたいぐらいハマっているビリー・アイドルのカヴァー⑤、それに軽快に駆け抜けていく⑥にしろ、シンセ類を活かした洗練を感じさせるアレンジから、相変わらずフックに富むメロディまで、楽曲の完成度は前作にも引けを取らない充実度。尚且つ攻撃的なツインGが映える⑨みたいなHMナンバーもちゃんと押さえられていたりと、隙のない作りが実に立派です。SINNERファンの間で高評価を受ける1枚なのも納得ですなぁと。
ちなみに、かつて再発された日本盤は次作『DANEROUS CHARM』との2㏌1仕様(発売元のビクターの得意技でした)。もしご購入を検討される場合はお得なそちらをどうぞ。


HOBBS' ANGEL OF DEATH - Heaven Bled ★★ (2016-12-04 23:06:00)

スラッシュ・メタル史に名を刻むベテランを次々と招聘する東の「THRASH DOMINATION」の向こうを張り、メジャーで華々しい実績を残したわけじゃないけど、マニアのハートにはその存在がガッチリと刻まれているクセ者を続々来日させる西の「TRUE THRASH FEST」。
'15年にはオーストラリアのHOBBS’ ANGEL OF DEATHまでが参戦を果たし「本当に呼んだの?」「すげえな!」と感心させられたばかり。しかも今回その彼らが新作を発表してくれて感激も一入です。国内盤はRAZORのライブ盤との同時発売で、店で2作が隣り合ってディスプレイされているのを見かけた時は「おお、テイチクの『HOBBS’ ANGEL OF DEATH vs RAZOR』再現!」と、思わず前世紀にタイムスリップした気分になりましたよ。
首魁ピーター・ホブス(Vo、G)のルックスは流石に老けた…というか横方向にかなり膨張気味なれど、不穏な導入部から激烈な疾走を開始する⑩や、荘厳なドラマ性も漂う⑫といった楽曲からも明らかな通り、曲作りの腕前は錆びることなく健在。鋭利なGリフがササクレて刻まれるファスト・パートと、邪悪さを発散するスロー/ミドル・パートを組み合わせ、そこに濃厚なアングラ臭を振りかけたような初期SLAYER直系のイーヴルなスラッシュ・サウンドは、デビュー当時の面影をそのまんま受け継いでいます。
時に炸裂するブラスト・ビートや、痙攣気味に刻まれるGリフといった北欧ブラック・メタル風味は新味と言えますが(BとDsはそっち系人脈からのヘルプ)、元々アンチ・クライスト・カラーも打ち出していたバンドゆえ、違和感なくハマっていますよ。
初来日を果たした喜びの表れか、漢字をあしらった裏ジャケにも実にほっこりさせられる1枚でした。


RAZOR - Live! Osaka Saikou ★★★ (2016-12-03 23:07:27)

カナダのベテラン・スラッシャー、RAZORが、大阪開催のTRUE THRASH FESTに参戦した際の模様を収めた、(意外にも)彼らにとって初めてとなる実況録音盤。
『大阪最高』の邦題に相応しく、ボブ・レイド(Vo)による威勢の良い挨拶「マイドー!」でライブはスタートを切ります。セットリストの中心を担うのは、デイヴ・カルロ(G)の鬼神の如きシュレッド・リフに全身が総毛立つ“INSTANT DEATH”を始めとする、人気作『EVIL INVADERS』収録曲。全18曲、ランニング・タイムは60分オーバーという大ボリュームゆえ、キャリア云十年のベテランなら途中で「ミッド・テンポの楽曲で緩急を演出しよう」とか色々考えそうなものですが、RAZORはそういう仕掛けには一切興味がないご様子。MOTORHEADリスペクトな“IRON HAMMER”、攻撃的且つキャッチーな“SPEED MERCHANTS”、激烈たる“NOWHERE FAST”~“CROSS ME FOOL”メドレー、刻んで刻んで刻みまくる“TAKE THIS TORCH”etc…。畳み掛ける楽曲は最初から最後まで、一瞬たりとも立ち止まることなく全力疾走。ブレーキ無用の前のめりな突進を繰り返す楽曲とメンバーのパフォーマンスを更に加速させる、浪速スラッシャーの隙あらば「RAZOR!」コールを繰り返す盛り上がりも熱い(日本じゃないみたい)。煽り煽られ、短い掛け合いを経て雪崩れ込む名曲“EVIL INVADERS”はまさにクライマックス。
デビュー当時から全くブレることなく「スラッシュ馬鹿一代」な姿勢を貫徹し、HR/HMシーンの裏街道を駆け抜けて来たRAZORの、フルマラソンを100メートル走感覚で突っ走ってしまうような破れかぶれなパワーに圧倒される1枚です。痛快。


ROBERT PLANT - Pictures at Eleven - Slow Dancer ★★★ (2016-11-30 22:56:52)

本編中、最もLED ZEPPELINテイストを纏った8分近い大作曲。
“KASIMYR”の薫り漂うアラビックな曲調に、
コージーの特徴的なドラミングが華を添えます。
ZEPにコージーが加入してたらこんな感じだったんかねぇと
夢が広がる名曲でありました。


ROBERT PLANT - Pictures at Eleven ★★★ (2016-11-29 23:44:26)

SILVERHEADのロビー・ブラント(G)を曲作りのパートナーに迎え、元GENESISのフィル・コリンズ(Ds)や、ジョン・ボーナム死去後LED ZEPPELIN入りが噂されていたコージー・パウエル(Ds)のゲスト参戦を得てレコーディングが行われた、’82年発表のロバート・プラント(Vo)初のソロ・アルバム(邦題『11時の肖像』)。
ZEPについての知識皆無のくせに何故本作を購入したかと言えば、完全にコージーのドラム目当てでしたね、はい。御大はZEP色が一際強く打ち出された④と、徐々に熱量を高めていくバラード⑦(こういう曲も味わい深くこなせるのが流石)を担当。特に“KASYMIR”に通じる壮大且つアラビックな前者は本編のハイライトで、RAINBOW脳患者には“STARGAZER”的にも響くこの名曲を彼に叩かせるとは、やるな、プラント(何様)。
そんなわけで当初は上記2曲ばかり繰り返し聴いていたのですが、本作には他にも肩の力を抜いた、伸びやかで表現力豊かな歌声が映える楽曲が揃い踏み。シングル・カットされたミディアム・テンポの①、しっとりと繊細なアコギの妙技に耳奪われる②、横ノリのイントロからサックスを纏って軽快な疾走に転じる③、ゴキゲンにピアノが効いた⑨等々…。
作品を重ねる毎にコンテンポラリー色を強めていったプラントのソロ作なれど、本作に関してはHR/HMファンでも楽しめる、LED ZEPPELINを80年代風に洗練させたかのような大人のロック・サウンドが託されています。全米チャート第5位、全英チャート第2位にランクイン、100万枚以上のセールスを記録するヒット作となったのも頷ける1枚かと。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Dead Man Walking ★★★ (2016-11-28 23:35:52)

アグレッシブに疾走する
本編中、最もへヴィ・メタル色が強く出た1曲。
ハーモニーを活かして若々しく溌剌とした空気も
演出するサビメロも気持ち良し。
泣きのイントロやメロディックなGソロ等、
ギタリストの仕事ぶりも光っていますね。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Where Were You? ★★★ (2016-11-28 23:31:28)

緊迫感を高めるヴァースから解き放たれたように
コーラスで走り出す曲展開が秀逸。
でまた愁いを帯びたメロディと、グラハムの経年劣化を
感じさせない伸びのある歌声が沁みるんですよ。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Into The Night ★★★ (2016-11-28 23:29:34)

ALCATRAZZのアルバムに収録されていてもおかしくない
雄々しい疾走ナンバー。特に、グラハムが歌うに相応しい
サビメロは何度聴いてもグッと来ますよ。
それでいて歌詞が「別れた女房に家から追ん出された→夜の中へ」という
締まらなさなのもグラハムらしくて良し。


GRAHAM BONNET BAND - The Book ★★★ (2016-11-28 00:11:38)

グラハム・ボネットが久々に発表したソロ・アルバム。「HR/HMを歌うためにあるような青筋声の持ち主だけど、HR/HMはあんまし好きじゃない」というご本人の資質ゆえか、彼主体で作品を作ると、どうにも中途半端な内容に終わることが多々ありまして。そのため最近はすっかり「昔の曲だけ歌って暮らす」楽隠居モードに入りつつあったのですが、ところがどっこい。今回はOPナンバー①の雄々しいサビメロからして早くもやっさん節全開。経年劣化とはまるで無縁のパワフルな歌いっぷりで「おお!」とこちらの身を乗り出させると、ライブじゃ「オオーオオー♪」と大合唱が巻き起こること請け合いのキャッチーな②以降も、まるで開き直ったかのように王道HRチューン三昧。先行シングル『MY KINGDOM』で高まっていたこっちの期待を裏切らないどころか軽く凌駕する勢いに、思わず「それで良いんだよぉ、グラハム君!」と、西川きよし顔でガッツポーズを決めたくなりましたよ。
何より、これらの楽曲(メロディ)を全てグラハム自身が書いているという点が素晴らしいじゃないですか。これまでリッチーやイングヴェイに散々「曲のアイデアがない」「メロディが書けない」とかダメ出しされて来ましたけど、ALCATRAZZのアルバムに入っていてもおかしくない①、哀愁のイントロから疾走へ転じる⑤、愁いを帯びたコーラスを朗々歌い上げる青筋Voが冴える⑥⑧といった会心の名曲を聴けば、「ワシが本気出せば軽くこんなもんやっちゅうねん!正味な話」と、サングラスを指でクイクイさせるグラハムのドヤ顔が浮かんでくるかのよう。じゃあもっと早く本気出して欲しかった…って、まぁそれはそれ。
往年の名曲の再録ベスト盤との2枚組仕様と知った当初は、そっちばかり聴く羽目になりゃしないかと危惧しましたが、全くの杞憂でありました。グラハム完全復活!な1枚。


SINNER - Touch of Sin - Too Late to Runaway ★★★ (2016-11-27 09:11:07)

前作『DANGER ZONE』の流れを汲むパワー・メタリックな
疾走ナンバーですが、剛直一辺倒に流れることなく、
マットの歌メロからツインGのフレージングまで、
メロディを大切にする姿勢が貫かれたことで
実にSINNERらしい名曲に仕上がっています。


SINNER - Touch of Sin - Bad Girl ★★★ (2016-11-27 09:04:10)

適度な疾走感、ハードに踊る2本のG、マットの野太いVoとが
緊張感を漂わすヴァースから一転、ポップ&キャッチーに弾む
サビメロへと繋がっていく曲展開が印象的。
その合間をメロディアスに埋めるツインGのハーモニーも
相変わらずの素晴らしさ。


SINNER - Touch of Sin - Emerald ★★★ (2016-11-27 08:59:12)

曲名にも感じられるTHIN LIZZYからの影響に、
へヴィ・メタリックなエッジと透明感を湛えた哀愁の
メロディを加えて咀嚼吸収。思わず目を細める
ツインGの滑らかなハーモニーを散りばめて軽快に弾む、
SINNERならではの魅力を放つ名曲に仕上がっています。


SINNER - Touch of Sin ★★★ (2016-11-26 09:33:22)

ツインGの片割れを元ACCEPT~現PANZERのハーマン・フランクに代え、’85年に発表された4thアルバム。ファンからは「初期SINNERの最高傑作」との高評価を獲得、バンド側にしても、初期楽曲の再録アルバムに『A TOUCH OF SIN 2』(’13年)なるタイトルを冠するぐらいですから、内容に対する自信の程が伺えます。ジャケットだけ見るとまずそんな風には思えないかもしれませんが(笑)。
THIN LIZZYからの影響を感じさせるメロディアスHRが胸を打った1stと2nd、ACCEPT、JUDAS PRIESTを思わすパワー・メタル路線に寄せた3rdと来て、今回は従来作の美点の集約を企図。哀メロを纏って踊るツインGのハモリっぷりに思わず目が細くなる②や、ポップ・センスも活かされたキャッチーな③という、SINNER屈指の名曲が雄弁に物語る通り、2本のGが印象的に紡ぐメロディの哀愁とHM然とした力強さの絶妙なバランス、ハードに疾走しようがクサく泣こうが(あとマットの歌声がお世辞にも美声とは言い難かろうが)、常に透明感を失わない本作は、前3作の「美味しいとこ取り」とでも言うべきサウンドに仕上がっています。
以降も、タイトル通り一緒に叫びたくなる④、メロウな⑤、アグレッシブに疾駆する⑦、これまたツインGの活躍が印象的な⑨etc.…と、本編はラストまで一切捨て曲なし。振り返ってみると、聴かせるよりもノらせるタイプの代表曲①が一番地味に感じられたりするのですが、あれはライブで真価を発揮するタイプの楽曲ですからね。
SINNERは山程アルバムを発表していて何から手を付ければいいのか分からないという方は、「SINNER節」の基礎が確立した本作から入ってみるのが良いのではないでしょうか。


SINNER - Danger Zone - The Shiver ★★★ (2016-11-24 00:20:45)

パワーメタル成分を増強した分、哀愁のメロディの魅力が
弱まったと指摘されることの多い3rdアルバムですが、
この曲はSINNERならではメロディと、ライブ映えする
アグレッションの融合が果たされた、3rdアルバムの
ハイライトを飾る名曲です。


SINNER - Danger Zone ★★★ (2016-11-22 23:50:09)

マット・シナー率いるドイツの古参HMバンドが’84年に発表した3rdアルバム。…というか、マット的にはドサクサ紛れでレコード会社により勝手にリリースされてしまった1stと2ndについては「未完成なデモ音源で公式カタログとしてはカウントしたくない」との姿勢のようで、これこそがSINNERの正統なデビュー・アルバムである!と。
実際、音質にしろアートワークにしろ、やっつけ仕事感がありありと伺えた前2作(内容は大変素晴らしかったのですが)に比べると、本作はNOISE RECORDSからのリリースだけあって商品としての体裁が整っています。音楽性についても、当時パワー/スラッシュ系バンドを多数抱えていたNOISEカラーに相応しく、パワー・メタル成分が大幅に増強。これまでの主たる影響源がTHIN LIZZYだったとするなら、今回はACCEPTやJUDAS PRIESTを思わす80年代型HMスタイルに照準。メロディアスな歌い上げよりもシャウトを多用するマットのVoもウド・ダークシュナイダーっぽくて微笑ましいですよ。
全体的に肩に力が入り過ぎな感はあるものの、パワフルなアルバム表題曲①を皮切りに、サビメロの展開が胸を打つ③や、印象的に歌うツインGをフィーチュアした攻撃的な⑧、そして哀愁のメロディとアグレッションがキャッチーな融合をみた名曲⑥といった疾走ナンバーの数々からは、既に現在へと至るSINNER節の原型が見て取れます。
昔ビクターから発売されてた国内盤は、最高傑作の呼び声高い4th『A TOUCH OF SIN』とのお得なカップリング仕様でしたので、もし購入をお考えならそちらをお薦め致します。


VIXEN - Rev It Up - How Much Love ★★★ (2016-11-22 00:46:00)

キャッチーでフック満載な、腕利きソングライターの
プロの仕事が味わえるハードポップ・ナンバー。
それをしっかりと表現できる、メンバーの優れた
ミュージシャン・シップも堪能できる名曲です。


VIXEN - Rev It Up ★★ (2016-11-21 00:11:55)

女性メンバーのみで結成された本格派HRバンドとして注目を集め、セルフ・タイトルのデビュー作をスマッシュ・ヒットさせたVIXENが、'90年に発表した2ndアルバム。
有名プロデューサーの起用から、売れっ子ソングライター陣による楽曲提供まで、メジャー・レーベルの水も漏らさぬバックアップ体制の下、「売れるべくして売れた」といった感じだった1st『VIXEN』に対し、今作ではメンバー自身が手掛けた楽曲の収録比率UP。また共同プロデュースにもチャレンジする等、バンドとしての一体感と自立の姿勢をより明確に表した仕上がりとなっています。
強力なフックと高いヒット・ポテンシャルを擁する②(PVも制作された)を除くと、流石に個々の楽曲が放つインパクトは前作に今一歩及びませんが、代わりに今回は総合力で勝負。エッジを効かせて本編OPを飾るロン・キールとの共作曲①、物悲しくも美しいバラード③、心地良く疾走する⑤等、外部ライターに丸投げするのではなく、メンバーも曲作りに積極的に関与してこのクオリティを保っているんですから、大したものですよ。アルバムの中でもお気に入り度の高い、キャッチー⑥みたいな楽曲を彼女達が独力で書き上げているのも、今後の更なる成長を予感させて頼もしい限り。
…と思ったら、これを最後にバンドは活動を停止してしまう。やはり時期が悪過ぎたのかなぁ。今は再結成しているんでしたっけ?


SIX FEET UNDER - Six Feet Under - Loving Man ★★★ (2016-11-20 00:43:04)

ジョン・ロード感バリバリのハモンド・オルガンを
フィーチュアしてノリノリで突っ走るHRナンバー。
一瞬のブレイク後、ハスキー声のシンガーの熱唱と
エモーショナルな泣きのGで聴き手の琴線を震わし、
そこから再び疾走へと繋げていくドラマティックな
曲展開に拍手喝采です。