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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2101-2200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2101-2200

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SIX FEET UNDER - Six Feet Under ★★★ (2016-11-18 00:20:16)

日本の紫、アルゼンチンのRATA BLANCA、イタリアのVANADIUM、フィンランドのZERO NINE、イギリスのWHITE SPIRIT等々…。世にDEEP PURPLEの魂を継承するバンドは数多く存在しますが、SIX FEET UNDER(アメリカのデス・メタル・バンドにあらず)は「スウェーデンのDEEP PURPLE」と評されたボルレンゲ出身の4人組で、本作はその彼らが’86年に発表した1stアルバムに当たる作品です。
主役は「北欧のロバート・プラント」なんて呼ばれてたらしいビョルン・ローディン(Vo)の歌声と、その彼とBALTIMOORE等でも行動を共にするトーマス・ラーソン(G)の押しと引きを心得たGプレイ。時にスリリングに、時に軽快に駆け抜けて行くこの二人のパフォーマンスを基軸に、そこに濃厚なDEEP PURPLE風味を演出するピーター・オストリング(Key)の操るハモンド・オルガンが切り込んで来る本編は、もろパープル路線の①(Gリフも“SMOKE ON THE WATER風)にて幕が上がります。但し後に続くのはSURVIVORの“EYE OF THE TIGER”にインスパイアされたような③だったり、OZZY OSBOURNEが演りそうな(?)⑧だったりと、収録曲は結構バラエティ豊か。総合的な仕上がり具合は「良心的北欧メタル・アルバム」と呼べるものではないかと。それでも本作のハイライトが、バッキングがメロディアスに歌っているアップテンポの⑥、静と動のコントラストが劇的極まりない疾走ナンバー⑦という紫色が濃いめの2曲であることは疑いようがありませんけどね。
2nd『ERUPTION』と共に'94年にゼロ・コーポレーションがCD化してくれた国内盤が、現在でも中古屋に行けば比較的容易に入手可能ですので、是非ともご一聴下さいませ。


TESTAMENT - Live at Eindhoven '87 ★★★ (2016-11-17 00:01:22)

TESTAMENTが、'87年に第2回DYNAMO OPEN AIRに参戦した時の模様を収めたライブEP。長らくCD化されずにほかされていましたが、'09年に漸くリマスター再発が実現。その際には当日演奏されたけどEPには未収録だった5曲(内1曲はアレックス・スコルニックのGソロ)も追加された全10曲の完全版仕様でのリイシューと相成りました。
デビュー間もない時期のライブゆえ、選曲に物足りなさを覚える向きもあるやもしれませんが、逆にスラッシュ・メタル・バンドとしてのTESTAMENTのエッセンスが凝縮された名盤『THE LEGACY』収録曲、それも現在ではライブのクライマックスで演奏されるような名曲の数々が、のっけから出し惜しみなく連打される様が猛烈にカッコイイんですよ。チャック・ビリーのVoやMCにしろ楽器隊にしろ、現在の重厚な佇まいとは異なる、若さに任せた前のめり具合も非常に新鮮です。そして全体が荒々しくササクレ立っているからこそ、“APOCALYPTIC CITY”や“OVER THE WALL”といった名曲において噴出するアレックスの美麗なGソロが一層際立ち、ハッと胸を突かれるというね。
轟然とした音質すら迫力を倍加させるプラス要素に変えて、会場を埋め尽くすデニム&レザー軍団の野太い声援をバックに炸裂する収録曲は、スタジオ盤を大きく上回る攻撃性を獲得。中でも初期の代表曲“REIGN OF TERROR”は、今では様々なバージョンを聴くことが出来ますけど、最高なのは間違いなく本作収録バージョンだよなぁと。
純然たるスラッシュ・メタル時代のTESTAMENTの魅力が詰まった1枚。キングから国内盤もリリースされていますのでお薦めですよ…って、もう廃盤?マジでか。


Oracle - Oracle - Killer Queen ★★★ (2016-11-16 00:31:23)

7分以上に及ぶ大作ナンバーなれど、
インストパートの前半と歌入りの後半からなる
スピーディ且つドラマティックな曲展開に、
ハイトーンVo、エモーショナルなG、抒情的なKeyとが
泣いて泣いて泣きまくり、全く長さを意識させません。
まさしく「この曲を聴け!」な名曲。


Oracle - Oracle ★★★ (2016-11-15 00:30:55)

イギリスとスペインが領有権を巡って対立する、イベリア半島ジブラルタル(…と聞くと真っ先に『風雲!たけし城』が思い浮かぶオッサン脳)出身の4人組が残した唯一作。
初めてこのバンドの存在を知った時は「あんなヨーロッパの端っこでも頑張ってHR/HMを演ってるバンドがいるのか。健気だなぁ」と、メンバーが耳にしたら「極東の島国の人間に言われたかねぇYO!」とムッとするであろう感想を漏らしたものですが、その健気さを、そのまんまメロディに転化してしまったかのような(?)、PRAYING MANTIS、INCUBUS、HERITAGEといったバンドを彷彿とさせる、憂愁と美旋律満載のジブラルタル・ロック・サウンドに衝撃を受けた次第。
バブル華やかなりし’89年作品にも関わらず比較対象がNWOBHM勢であることからもお察しの通り、音質面等からは垢抜けなさが匂い立つものの、個人的には線の細さが逆にメロディの哀愁っぷりを引き立てるVo、テクと表現力を併せ持った腕利きG、専任メンバー不在でもアレンジ上重要な役割を果たすKeyとが、リリカルに泣きまくる収録曲の素朴な佇まいに終始郷愁を刺激されまくり。メロディアスに歌うGが疾走する②、泣きを孕んだ声質のシンガーとエモーショナルなGが冴える④、ポップ・センスも活かされたキャッチーな⑤、バンドの出自を伺わせるスパニッシュ・タッチのバラード⑥etc. …中でもラストに配され、聴き手を涙の海で溺死させる勢いの名曲⑨の劇的さは相当に凶悪ですよ。
スペイン国内のみでリリースされたというオリジナルLPが、マニアの間でプレミア高値で取引されていたというのも得心が行く、埋もれてしまった名盤ですね。


POLTERGEIST - Back to Haunt - Beyond the Realms of Time ★★★ (2016-11-14 00:22:50)

タイトルからしてJUDAS PRIESTの名バラードのことを
思い出さずにはいられませんが、こちらもその名に恥じぬ見事な仕上がり。
物憂げな浮遊感を漂わすイントロからスラッシーな激走へと転じ、
歌えるVo、劇的にハモる2本のG、静と動の落差が活かされた
ドラマティックな曲展開には、POLTERGEISTというバンドの
魅力が分かり易く凝縮されています。


POLTERGEIST - Back to Haunt ★★ (2016-11-12 10:02:13)

3枚のアルバムを残して解散したスイスのスラッシュ・メタル・バンドが、再結成を遂げた上に新作まで発表してくれました。贔屓のバンドゆえネットショップでタイトルを見かけた瞬間、反射的に購入ボタンをポチりましたが、後で冷静になって内容やメンバー編成等、アルバムについての事前情報が皆無だったことに気が付き、「変貌してたらどうすべ」とか「退屈な内容だったら嫌だなぁ」とか、色々不安を覚えたのも事実。
しかし実際に届いた本作には、流麗なGプレイを駆使してV.O.パルヴァーがザクザクと刻む硬質なGリフ、アンドレ・グリーダーが歌うミスティック且つ流麗なメロディ、それに各曲を彩る寒々しい響きを湛えたハーモニーまで、POLTERGEIST以外の何者でもないスラッシュ・サウンドが満載されていたという。こちとら勝訴して裁判所から駆け出して来る弁護士よろしく、《杞憂》の垂れ幕を掲げてそこら中を走り回りたくなりましたね。
2nd『BEHIND THE MASK』ほど凝ったアレンジは見当たらず、また3rd『NOTHING LASTS FOREVER』ほどメロディアスでもない、シンプルでアグレッシブな仕上がりは、ファンの欲目を差っ引いて評価すると、ややフックに乏しいというか地味というか。嘗ては上擦り気味だったアンドレの歌唱が、技量の向上に伴いムーディに落ち着いていることもそうした印象に拍車を掛けています。それでも、劇的なツインGをフィーチュアして突っ走る③や、表現力を増したVoの歌声が活きるドラマティックなラスト・ナンバー⑩(JUDAS PRIESTの名曲を思わすタイトルに高まった期待が裏切られない)等は流石の出来栄え。
入門盤には前3作をお薦めするものの、それらが気に入ったなら是非とも本作もどうぞ。


BEWARP - IN YOUR FACE - Wildside ★★★ (2016-11-10 22:48:55)

タイトル通りワイルドにハジけるロック・チューン。
Voは多少いっぱいいっぱいな感はあるものの、
フックの効いたサビメロと、要所でテクニカルに閃く
Gプレイが聴き応え十分。


BEWARP - IN YOUR FACE ★★ (2016-11-09 23:54:07)

第一次北欧メタル・ブーム沈静化後、彼の地からは「泣き」「哀愁」「美旋律」といったこれまでのイメージに囚われない、新しい音楽性を打ち出すバンドが次々に登場しました。このスウェーデン出身の4人組もそうした流れの中からデビューを飾ったバンドの一つで、1st『FUNK’D RAPT’N TRASH’D』ではタイトル通りギンギンにファンキーなHMを披露。それだけなら完全に興味の範疇外だったのですが、ニュー・シンガーとして「メロハー・シーンの渡り鳥」ことピート・サンドベリが加わった′94年発表のこの2ndアルバム(国内盤は、当時優れたメロディック・ロック作品を積極的にリリースしていたBRUNETTE RECORDSから発売)では、従来の歯切れの良いノリや肉厚なグルーヴを活かしつつも、よりメロディアスで洗練されたサウンドを聴かせてくれるようになりました。
中でも、ポール・ギルバートに師事していたというディック・ビワープ(バンド名は彼の名に因む)のG.I.T.仕込みのGプレイと、ピートが歌うフックの効いたメロディとが快活に駆け抜けていくキャッチーな③は、思わず「おっ」と声が漏れる本作のハイライト。
正直グルーヴィな楽曲においてはピートのウェットな声質は少々不似合いというか、「無理してる」感が漂うのですが、それでもバラード⑥⑪や、メタリックな疾走ナンバー⑫、ギタリストの出自を物語るようなSHRAPNEL風インスト曲⑭があったりと、バラエティに富んだ曲作りの巧みさのお陰か、(ストライク・ゾーンど真ん中の音楽性ってわけでもないのに)最後まで飽きることなく楽しめましたよ。良心的メロディック・ロック・アルバムです。


SAXON - The Eagle Has Landed ★★★ (2016-11-08 09:55:57)

黒地に、バンドロゴ/エンブレム/タイトルをあしらっただけの飾り気無用のアートワークが、質実剛健なSAXONサウンドの魅力を表しているかのようで逆にカッコイイ、’82年発表の傑作ライブ・アルバム。
お馴染みの「SAXON!」(チャチャチャ)「SAXON!」(チャチャチャ)というチャントと、バイクの爆音SEに導かれて、ショウは疾走ナンバー“MOTORCYCLE MAN”で豪快にスタート。憂いに満ちたメロディアスな“747(STRANGER IN THE NIGHT)”がその後に続き、間髪入れずハードネスとメロディのギアがガッチリ噛み合った初期SAXON屈指の名曲“PRINCESS OF THE NIGHT”でアクセルを再び踏み込むという、この劇的極まりない冒頭の流れだけでこっちはメタル・ハートを完全に掌握されてしまった気分ですよ。本作のハイライトを担う“WHEELS OF STEEL”での、革ジャン軍団で埋め尽くされていると思しき客席との一体感溢れるコール&レスポンスなんて「胸のエンジンに火を点けろ!」(by串田アキラ)とシャウトしたくなるアガりっぷりで、もう最高としか。
バイカーズ・ロック時代の名曲が連打されるセットリスト、それらを熱気溢れる演奏で叩き付けて来るメンバーに、観客の野太い声援まで、SAXON(最初の)全盛期を代表する名盤として、またNWOBHMの熱い盛り上がりを伝えてくれるドキュメント作品として高評価を受けるのも当然の1枚。つか、これのみで十分な満足感を得てしまって、なかなかSAXONの初期作をコンプリートしようとしない困ったちゃん(俺のことですが)をも生み出してしまう罪作りな名盤です。


BLACKFOOT - Strikes - Highway Song ★★★ (2016-11-08 01:03:01)

LYNYRD SKYNYRDの“FREE BIRD”とは
バンドの関係的にも曲調的にも親戚みたいな楽曲ですが、
熱く激しく炸裂する泣きのメロディや、
ツインGが疾走するドラマティックな曲展開等、
こっちの方がHR/HMファンに対するアピール度は高いような。
スタジオ・バージョンも最高なれど、
ライブ・バージョンは最強です。


DGM - The Passage - Animal ★★★ (2016-11-07 00:01:11)

プログレ・メタルならではの緊迫感は保ちつつ
これまでになくポップ…というか
キャッチーでメロディアスな方向へと踏み込んだ意欲作。
歌メロからはメロハー的な爽やかささえ感じられます。
でもちゃんと魅力的な楽曲に仕上げているのだから大したもの。
アルバムのリーダートラックとしてPVを作る辺り、
バンドのこの曲に対する自信の程が伺えます。


BLACKFOOT - Highway Song Live - Good Morning ★★★ (2016-11-04 22:39:26)

EXODUSもカヴァーした名曲。
サザン・ロックの括りで語られる機会の多いバンドですが
これは完全にHMソングですよ。
またスタジオ・バージョンよりライブ・バージョンの方が断然カッコ良く、
特に『HIGHWAY SONG LIVE』における
観客の大合唱には全身の血が沸き立ちます。


HITTEN - State of Shock - State of Shock ★★★ (2016-11-04 22:32:57)

オフィシャル・ビデオも制作された2ndアルバム表題曲。
1stアルバムの頃のMETALLICAを思い出せる
スピード・メタリックなGリフと疾走感に、
ガンベルトや日章旗Tシャツで身を固めたメンバーの眩い出で立ちまで
80年代メタル度満点の逸品。


BLACKFOOT - Highway Song Live ★★★ (2016-11-04 00:50:31)

先日、古本屋のCDコーナーをチェックしていたら、BLACKFOOTが’82年に発表した傑作ライブ『HIGHWAY SONG LIVE』の紙ジャケ/リマスター/国内盤を発見して吃驚仰天。知らぬ間にこんなモンが発売されていたとは…。つか、これの国内盤って今までリリースされたことなかったよな?等とぐるぐる考えつつ、速攻購入して今に至るわけですが、いやでも何度聴いても素晴らしい。彼らの作品で最も聴き返す頻度が高いのは、元URIAH HEEPのKey奏者ケン・ヘンズレーが加入して、メロディック・メタル路線へと舵を切った6th『革命と反乱』(’83年)だったりする我が身なれど、やっぱBLACKFOOTの代表作と言えば、本作の名を真っ先に挙げないわけにゃいかんよなぁと。
とにかく、土煙蹴立ててドライヴしまくる楽曲、豪快極まりないバンドの演奏、それを受け止める当時NWOBHM真っ只中のイギリスの観客の熱狂と、あらゆる点において熱いぜ熱いぜ熱くて死ぬぜな実況録音盤。中でも前のめりに客を煽っていくMCから埃っぽい熱唱までハイテンションにこなすリッキー・メドロック入魂のパフォーマンスは本編の白眉ですよ。「どうせサザン・ロック・バンドだろ?」なんて舐めた態度で挑むと、野郎共の大合唱に血が滾る疾走ナンバー③や、後にWARRANTがカヴァーしたノリノリの⑨を経て、劇的に突っ走るツインGの泣きっぷりに滂沱の如く涙が溢れ出す⑩といった、下手なHMバンドが裸足で逃げ出す激熱な名曲&火花散る名演の数々に大火傷を負わされること必至。
全英チャート第12位に堂々ランクイン、人気・実力共にBLACKFOOTが最も充実していた時期を見事に捉えたライブ・アルバムの名作です。


HITTEN - State of Shock ★★★ (2016-11-01 23:20:04)

バンド名として「HIT TEN TIMES」(10回打つ)を縮めた造語「HITTEN」を名乗り、輸入盤市場で話題を攫っていたスペイン・ムルシア自治州出身の5人組が、'16年発表の2ndアルバムで日本デビューを飾りました。
ブルーノ・サンマルチノばりの「人間発電所」ジャケットと、雑誌レビューで「スラッシーな要素も感じられるNWOTHMバンド」と評されていたことから、もっと破れかぶれで前のめりな音を出してる連中だとばかり思っていましたが、確かにGリフが初期スピード・メタル風の⑥みたいな楽曲もあるにせよ――実際はキャッチーなメロディを歌うVoと、メタル愛ダダ漏れでメロディックにハモリまくるツインGを核に据えた、優等生的とも言える聴き易い正統派HMサウンドが本作の魅力であったという。
音像に比してハイトーン・シンガーの歌声は少々線が細め。ふわふわとしてやや不安定ながら、JUDAS PRIESTとIRON MAIDENの二大巨頭を始め、パワフルな疾走感はACCEPTから、派手に動き回る2本のGはRIOTから…といった具合に、先達からの影響を血肉へと変えた楽曲構築術は既に貫禄十分です。メロウなイントロからスピーディな本編へと雪崩れ込む様式美に満ち溢れたOPナンバー①、パワー・メタリックな導入部がVICIOUS RUMORSを思わす②等、イケイケどんどんな楽曲だけなく、溌剌とタイトにハジけるキャッチーなHMソング④や、バラード風に始まって激しく盛り上がっていくドラマティックな⑨のようなタイプの楽曲も手堅くこなしているのも頼もしい。
どうやら来日が決まっているようなのですが、仕事で見に行けないのが残念ですよ。


KATANA - The Greatest Victory - Yakuza ★★★ (2016-10-30 10:30:41)

海外でも高い知名度を誇るジャパニーズマフィアに捧げられた(?)一曲。
但し、歌詞からすると山口組系ではなく任侠映画の世界観が元ネタでしょうか。
妙にキャッチーなサビの「ヤクザ!ヤクザ!」は
聴く度に一緒に叫びたくなってウズウズしてしまいますね。


KATANA - The Greatest Victory - In the Shadows ★★★ (2016-10-30 10:21:59)

短いインスト曲“THE VOID”とセットで楽しみたい
アルバム最後を飾る大作曲。
バンド名にしろ、アートワークにしろ、幾つかの曲名にしろ
浮ついた印象に眉を顰めるHR/HMリスナーもいらっしゃるかもしれませんが、
バラード調に始まり重厚に盛り上がっていく劇的な曲展開といい
Voの見事な歌いっぷりといい、これはドッシリと地に足を付けた
本格正統派HMの名曲に仕上がっております。


KATANA - The Greatest Victory ★★★ (2016-10-29 08:53:17)

スウェーデンのKATANAも本作(’15年発表)で三作目に到達。ぼちぼちコンセプトを重荷に感じ始める頃合いでは?と思いきや、2曲目から早くも曲名が“YAKUZA”で「あ、全然そんなことなさそう」と。更にその後に続くのが“SHOGUN”。歌詞も「SHOGUN-COME BACK!」とか「SHOGUN-TAKE CHARGE!」とか、松平健もビックリの暴れん坊ぶり。アートワークにはメンチ切ってる髑髏武者がフィーチュアされており、ますます意気盛んなことが確認できて先ずは一安心ですよ。
歌詞のテーマに日本ネタを取り入れても、メロディ等には和風趣味を取り入れず、飽くまでIRON MAIDEN由来の正統派HMサウンドに拘った作風は前二作同様。サビメロの展開が独産メタル調の①から明らかなように、コール&レスポンスが捗りそうなパワー・メタル風味が一層増量傾向にあって、それはそれでカッコイイですし、違法ダウンロードの横行でアルバムの売上がさほど見込めず、ライブ向きの楽曲を揃えてツアーに活路を見出す新人にとっちゃ当然の戦略として理解できるのですが、ただ初期作で彼らの存在を際立たせていた、ポップなメロディ・センスを活かす場が減る一方なのは、少々勿体ない気がしなくないという。
それでも、メイデン愛が溢れ出す⑤等、勇壮な楽曲がタイトに繰り出される本編を聴くにつけ、抜きん出た作曲センスの高さには唸らされます。特に小曲⑧を経てラストをドラマティックに盛り上げる⑨はアルバムのハイライト。ジョーイ・テンペスト似(声質が)のシンガーが実に堂々たる熱唱を響かせてくれていて、デビュー当時の青臭さが嘘のようですね。
デビュー作以来、国内盤リリースがないことが残念でなりませんて。


SCORPIONS - Animal Magnetism ★★ (2016-10-24 23:19:21)

80年代の幕開けを飾った7th。「犬の頭の位置が卑猥」という、中学生か君は!な理由でアートワークの差し替え処分を食らっていますが、ここまで来ると最早「発禁されてなんぼ」な恒例行事感も漂い、特に驚きもありません。(ところで『電獣』ってこの犬のこと?)
さて本作。クサすような出来ではないですし、安定感だって抜群なのに、しかしながら絶賛するには今一歩なにかが足りない…。そのため「悪くはない作品」と微妙に後ろ向きな褒め方をされることの多い1枚で、個人的にもSCORPIONSカタログにおける存在感は薄め。彼らのアルバム・コンプリートを目指してた頃、全部揃えていたつもりでいたら、実はコレが抜け落ちていたことに長らく気付かずにいたという有様で。
1曲毎に取り出してみれば、軽快なGカッティングが気持ちいい①、人肌の温もりを感じさせるバラード⑤、クラウスの歌唱がウリ時代を彷彿とさせる⑦、へヴィ且つ重厚に迫り来る⑨等、十分耳を惹かれる楽曲が揃っています。だのに通して聴くと何故かフラットに流れて行ってしまうのは、ミドル・テンポの楽曲を中心に揃えられた本編構成が少々淡泊なせいか、はたまた「これ!」という強力なキメ曲が見当たらないせいか…。
それでもこの経験が次へと活かされ、名盤『BLACKOUT』として昇華するわけですから、本作とて決して軽んじていいわけはありません。…まぁ購入は最後の方でも良いとは思いますが(ドクロ)。


SCORPIONS - Lovedrive ★★★ (2016-10-22 00:08:32)

ヒプノシスの手掛けた『遊星からの物体X』風アートワークが「女性蔑視」との批判に晒され、アメリカでは差し替え騒ぎに発展。しかし同時にチャート50位台にランクインする好リアクションも獲得し、同地進出への足掛かりともなった’79年発表の6thアルバム。
ウリの後任は旧知の仲だったマティアス・ヤプス(G)に決定。でもレコーディング中に経験不足が露呈したことから、当時ちょうど暇してたマイケル・シェンカーのヘルプも仰いでアルバムは完成(マイケルは5曲でプレイしてる)。そのままツアーに出たまでは良かったが、ここで神の失踪癖が再発。バンドは慌ててマティアスを呼び戻してツアーを続行…と、制作の舞台裏は相当にドタバタしていたご様子。実際、ウリが去って本編の泣きメロ含有量は激減。更にOPナンバー①のパンチの弱さや、レゲエ調の⑥があったりと、初聴時の感想は「変わってしまったのね…」と、あまり芳しいものではありませんでした。
しかしリピート再生するうちに印象は大きく変化してきます。ウェット感が減ってドライさが増したことで、これまで以上にルドルフ・シェンカー(G)のカミソリ・カッティングの威力がダイレクトに伝わって来るようになりましたし、切れ味全開の②⑤⑦で要所をアグレッシブに締めつつ、哀愁が滲む③、シェンカーのGが冴え渡るインスト曲④といったメロディアスな楽曲(レゲエ調の⑥もメロディは美味)を経て、ドラマティックな名曲⑧にて締め括られる本作の完成度には、制作時の混乱が影を落とした様子は見受けられません。
限定地域にピンポイントで訴えかけた従来のダークネスや情念の迸りを抑え、より広範囲な地域&リスナーにアピールすべく、音楽性を垢抜けさせ始めた蠍団の契機となった1枚ですね。


LORDS OF BLACK - II - Everything You’re Not ★★★ (2016-10-19 23:17:21)

ねっとりと絡みつくようなロニー・ロメロの
熱唱が映える重厚なミッド・チューン。
猛烈な憂いを発散するメロディと抒情的に奏でられるピアノの旋律が
楽曲を息苦しいぐらいドラマティックに盛り上げます。
パワーだけが売りのバンドじゃねぇぞと。


LORDS OF BLACK - II - Shadows of War ★★★ (2016-10-19 23:12:23)

イントロの猛々しいGリフとリズムのコンビネーションだけで
メタル魂が轟々と燃え盛ってしまいますね。
さらにそこにロニー・ロメロの力強い熱唱と、鮮烈なGソロが
花を添えてくれるのですから何をかいわんや。


LORDS OF BLACK - II ★★★ (2016-10-18 23:18:54)

「リッチー・ブラックモアRAINBOWを再始動」「シンガーは無名の新人ロニー・ロメロに決定」との報に触れても、ロニーもコージーも亡き今「もう遅かりし由良之助」と今一つテンションが上がらず。ところがLOUD PARK でそのロメロが所属するLORDS OF BLACKのパフォーマンスを目撃し、リッチーのお眼鏡に適ったのも当然の彼の歌唱力と、何より楽曲の素晴らしさに感銘を受け、慌てて日本デビュー作たる本2ndを買いに走った次第で。
劇的な序曲①が、コーラス部分でテンポアップする曲展開が胸熱な②へと繋がって行くOP構成が物語る通り、本作に託されているのはRAINBOW直系の様式美パワー・メタル。これに限らず本編には、コブシを効かせた歌い回しと声質が確かにロニーっぽいロメロの歌唱が映えるタイプの楽曲がズラリ揃っていて、バンドの中核を担うトニー・ヘルナンド(G)の作曲センスの高さが伺えます。GITで学んだというテクニカルなGの腕前のみならず、パワフルな④、憂いを湛えた⑧、更には10分に迫るドラマティックな大作ナンバー⑨のような重厚な楽曲においては、叙情的なKeyを奏でてコッテリ感緩和に努める等、八面六臂の大活躍をみせるこの人こそ本作のMVP。
そうした彼の曲作りの手腕と、ロメロの力強い歌唱とが理想的融合をみたのが怒涛の疾走ナンバー⑫。LOUD PARKでもライブの締めに演奏され、個人的にアルバム購入を決心する切っ掛けともなった問答無用の名曲っぷりで、年間ベスト・チューン候補ですよ。
全体的に硬さの感じられるロメロのVoに、もうちょい余裕というか表情が出て来ると、尚良くなるように思えますが、ともあれ、伸びしろ十分な充実作であることは確かです。


DGM - The Passage ★★★ (2016-10-17 23:11:18)

ギタリストとしての実力&プロデューサーとしてのモダンな感性を併せ持つシモーネ・ムラローニと、抒情バラードから緊迫感に満ちた大作ナンバーまで柔軟に歌いこなすシンガー、マーク・バジルという逸材二人を得たことで、ラインナップが一気に安定したDGM。バンド名の元となったオリジナル・メンバーが既に誰もいないぐらいメンバー・チェンジを繰り返したのに、その都度、活動規模にしろ作品のクオリティにしろ、スケールUPを果たして来た彼らの稀有な実力が、この’16年発表の新作にも明確に刻まれています。
いきなりプログレ・メタル組曲①②で幕が上がる本作は、劇的なメロディ展開に胸打たれる④、スピーディに疾走する⑤⑩(後者にはSYMPONY Xのマイケル・ロメオがゲスト参加)といった、シンフォニック・パワー・メタル・テイストが増強されていた前作『MOMENTUM』の作風を受け継ぐ楽曲を収録。その一方で、今回は時にポップに、時に爽快に響くメロディがサウンドに新味を振り撒いてくれていて、『MOMENTUM』の味付けがコッテリ豚骨スープ風味だったとするなら、こっちはアッサリ塩味風味といった塩梅。特に、爽やかに駆け抜けていくメロディアスHRナンバー③は、バンドの新境地を切り開く名曲ではないかと。無論そうした洗練を感じさせる楽曲群においても、ハイテクニックな楽器陣によるスリリングな応酬はさりげなく挿入されており、作品全体としては緊迫感もドラマ性も損なわれてはいませんのでご安心を。
頻繁なメンバー・チェンジすらプラスに作用させて、活動20周年を経てなお音楽的に前進していく姿勢を露わにした意欲作。


GORKY PARK - Gorky Park - My Generation ★★★ (2016-10-16 09:52:21)

皆さん仰られている通り原曲の面影まるでなし。
でもそこがいい!みたいな。
要所にロシア風味の厳粛なメロディ&重厚なコーラスが
ブッ込まれたマルクス・レーニン的アレンジを聴くと、
思わず赤の広場を隊列組んで行進したくなります。


GORKY PARK - Gorky Park ★★ (2016-10-16 09:41:42)

ソ連邦崩壊が目前に迫った’89年、鉄のカーテンの向こう側から1st『GORKY PARK』(邦題『マイ・ジェネレーション』)を引っ提げて日本デビューを飾った5人組。BON JOVI、SCORPIONS、MOTLEY CRUEら西側の人気HRバンドが一堂に会した「モスクワ・ピース・ミュージック・フェスティバル」(舞台裏の乱闘劇はピースどころじゃなかった模様)にソ連代表として出演する等、共産圏において当時(今も?)随一の認知度を誇ったバンドで、斯くいう自分も剛力彩芽がブレイクした頃には彼女の名前を聞く度に「そう言えばゴーリキー・パークは今何を…」と東の空を見上げながら切ない溜息を吐いていました(雑な嘘)。
ブルース・フェアバーンがプロデュースを担当し、ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラが⑤を共作しレコーディングにも参加する等、チームBON JOVIの全面バックアップを受けた本作で聴かれるのは、やはりBON JOVI路線のメロディックHRサウンド。学校の先輩は「赤いBON JOVI」なんて呼んでましたけど、ド真ん中のアリーナ・ロック・ソング①が、ノリノリの曲調の中にも荒涼たる雰囲気を秘めていることからも分かる通り、BON JOVIと似たような音楽性を志しても、メロディの持って行き方からアレンジの手法一つとっても、どこかエキゾチックな響きを湛えているのが彼らの強み。中でもTHE WHOの代表曲“MY GENERATION”をスターリン風味に革命してみせた(なんじゃそら)⑥は、疑う余地なく本編のハイライトですよ、同志。
個人的には「ソ連のHMバンドったらSHAHだろ!」派なので、ドストライクとは言い難い音ではあるのですが、それでも①⑥目当てで本作を購入しても損はないと思う次第。


SCORPIONS - Taken by Force ★★★ (2016-10-15 09:28:02)

病気により脱退したルディ・レナーズの後任として、新たにハーマン・ラレベル(Ds)を加えた陣容でレコーディングが行われ、「墓場での銃撃戦」ジャケットが「テロを思わせる」という、殆ど難癖みたいな理由から一部地域で差し替えを余儀なくされつつも、’77年に発表された5thアルバム。(邦題は『暴虐の蠍団』)
ウルリッヒ・ロート(G)が参加した最後のスタジオ作品ということで、内容的にも(それを意識したかどうかはさておき)ウリ在籍時代のSCORPIONSを総括するかの如き充実っぷり。80年代アリーナ・ロック路線の試し打ち的なスケール感を有するOPナンバー①を皮切りに、泣いて泣いて泣き倒すドラマティックな②あり、隠れた名曲と評判の(俺の中で)④あり、若き日のイングヴェイを始め、速弾きギタリスト勢に多大なるインスピレーションを与えた⑤あり、パワー/スラッシュ系バンドが好んでカヴァーする攻撃的な⑦あり、日本人女性によるポエトリー・リーディングまでフィーチュアされた劇的な大作ナンバー⑧(てっきりウリ作曲かと思いきや違うのね)あり…といった具合に、バラエティ豊か&完成度の高い楽曲がズラリ揃う本編は、勿論捨て曲なし。そして何より今回は、長らく「クラウス・マイネを差し置いて何故歌いたがる?」とファンを訝しがらせて来た、ウリ自作自演のジミヘン・タイプの楽曲がない!(笑)
独自のサウンドを模索し、「テッペン取ったる!」とガムシャラに攻めてた従来作に比べると、本作は地歩を固め終えたバンドが、純粋に完成度を追求して作り上げたような風格が感じられる1枚。そんなわけで初期SCORPIONS入門盤に自信を持ってお薦め致します。


SCORPIONS - Virgin Killer ★★★ (2016-10-13 23:45:06)

股間に亀裂の入った全裸幼女をジャケットに戴き、オマケにタイトルが『VIRGIN KILLER』…。このご時世じゃ完全アウトな’76年発表の4thアルバム(邦題『狂熱の蠍団』)。
とは言え、ロリコンを狙い撃ちしたわけでも露悪趣味に走ったわけでもなく、SCORPIONSが繰り出す切れ味鋭いHRサウンドが身に纏う、過激さや危険な雰囲気、それらと相反する美しさといった要素を巧みに可視化したこのジャケットは、センスフルな「アート」としての価値も十分。特に再発盤ジャケの脱力具合と見比べると、尚更そう感じざるを得ませんよ。まぁ流石にこれをLPサイズでディスプレイする度胸は持ち合わせていませんけどね。
音楽性の方では、哀愁とハードネスが絶妙な融合を見たOPナンバー①や、クラウス・マイネの熱唱が胸焦がす疾走ナンバー②による畳み掛けが雄弁に物語る通り、初期プログレ色はほぼ一掃され、暗く、激しく、それでいてどこか物悲しげな響きも湛えた「ウリ・ロート在籍時代のSCORPIONS」と言われて想起するサウンドが確立。ハードな曲は徹底的にハードに、抒情的な曲は徹底的に悲しくメロディアスに…と磨き込まれた作風の美点は、全メンバーがカミソリの如き切れ味で荒れ狂うアルバム表題曲⑤と、逆に「落ち込んでる時に聴いたら自殺したくなる」と評された、暗闇の中で途方に暮れるかのようなバラード⑨という、「動」と「静」の名曲に集約。特に前者は元祖HMナンバーの一つとして、後のNWOBHMにも少なからずインスピレーションを与えたのではないかと。
あと余談ですが、ジャケットでモデルを務めた少女は、この件のについて「若い頃の良い思い出」とメンバーに語ってくれたそうな。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol - Chasing the Priest ★★★ (2016-10-06 22:34:36)

賛否両論を巻き起こしそうな本編の中にあって
このスピード・ナンバーはイントロの印象的な
ツインGのハモリから、立ち塞がるモノ全てを
薙ぎ倒すようなパワフルな疾走感まで、
「これぞVICIOUS RUMORS!」という
カッコ良さに満ち溢れています。
贅沢言わせて貰えるなら、もうちょい歌メロに
起伏があっても良かったかなと。


KING DIAMOND - Deadly Lullabyes “Live” ★★★ (2016-10-05 23:41:49)

LOUD PARKの予習用に購入した2枚組ライブ盤。尤も、ご存知の通り来日はドタキャンされ、HR/HMファンの間でキング株が大暴落したことは記憶に新しいところです。本作については当初売却も考えたものの、しかし聴けば聴くほど素晴らしい内容なんですよ、これが。今じゃすっかり愛聴盤と化してしまい、「手放すなんてとんでもない!」と。
個人的にKING DIAMONDの楽曲と言うと、プログレ・メタルばりに凝ったアレンジ&複雑怪奇な曲展開のイメージが強かったのですが、ライブで聴くと、(そうした要素を当然内包しつつも)ツインGの劇的なハモリが散りばめられた楽曲は、もっとストレートに疾走感とアグレッションが強調されていて、正統派HM然としたカッコ良さがダイレクトに伝わって来ます。無論、高音と低音を忙しなく行き来する「一人ノリツッコミ」みたいなキングの面妖な歌唱と、手練れ揃いの楽器陣により醸し出される、ホラー映画のサントラに通じる不穏且つ怪しげな空気も、例えライブと言えども微塵も損なわれてはいませんが。
いきなり名盤『ABIGAIL』収録曲の連打で会場のボルテージをMAXまで引き上げるDISC-1、初期の代表曲乱れ打ちのDisc-2、そのどちらも素晴らしく、特にメンバー紹介を挟んでスタートする“HALLOWEEN”前後の盛り上がりは圧巻。この曲に限らず、終始コーラスを歌いまくり、隙あらば「ダイアモンド!ダイアモンド!」コールを繰り返す観客の熱狂も相当なもので、そりゃキングさんだって「アンビリーバボ、メ~ン!」と感動しますわなと。
来日キャンセルの件を聞いた当時、実は大してガッカリしてなかったんですが(熱心なファンでもないので)、本作を聴いてしまった後では、やっぱりライブ見たかったなぁ!と思わざるを得ませんよ。


VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol ★★ (2016-10-03 22:53:27)

開巻早々から、殺伐としたリフ&リズムが押し寄せる’16年発表の12thアルバム。暗鬱な「人類滅亡」をテーマを据えたバンド初のトータル・コンセプト・アルバムに相応しく、メロディよりも、怒りに満ちたアグレッションとヘヴィネス重視の作風に仕上がっています。
…と書くと、カール・アルバートを喪ったVICIOUS RUMORSが迷走した90年代の作品群のことを思い出す方も多いことかと。しかしながら首魁ジェフ・ソープ(G、Vo)は、あれらで得た経験をちゃんと今回の曲作りに反映させ、同じ失敗(と敢えて表現させて貰いますが)を繰り返す愚を犯してはいません。ドスの効いた1曲目にしても、テクニカルに閃くGソロが流麗なアクセントを加えてくれますし、劇的にハモるツインGをフィーチュアしてパワフルに突っ走る④や、バラード調に始まりじっくりと盛り上がっていく⑦はVICIOUS RUMORSの真骨頂(ライブ映えしそうな⑧もユニークな存在感を放つ出来栄え)。これらの楽曲において強力な喉を披露してくれている新Voニック・ホレマンも、前任シンガーに勝るとも劣らぬ実力者であることは明白。ただ今回のようにメロディックな歌い上げよりも直線的なシャウト主体のサウンドでは、実力を十二分に発揮できているとは言い難いかな?
印象に残る楽曲とそうでない楽曲の落差が激しく(特に終盤が弱い)、問題作であることは否定できませんが、単なる自己満足のオナニー作品でないことは請け合える、そんな1枚であります。


CANDLEMASS - Tales of Creation - Into the Unfathomed Tower ★★★ (2016-10-03 09:13:52)

CANDLEMASSといえば、超重くてスローで…と言ったら
「ああ、メサイアの体型のことね」
…って違います。音楽性の話です。
ともかくドゥームメタルの権化的な先入観があったので、
このインスト曲を初めて聴いた時は大層驚きましたね。
スピード・メタルばりの疾走感に、
テクニカルなGが華を添える曲調がインパクト十分。


CANDLEMASS - Tales of Creation ★★★ (2016-10-02 08:38:16)

CANDLEMASS来日の報に触れ、自宅の棚を漁って引っ張り出した'90年発表の3rd。
本名エディ・マコーリン、しこ名…じゃなくてステージネームはメサイア・マコーリン(Vo)を擁するラインナップの最終作となった本作は、『創生神話』なる仰々しい邦題を手始めに、まるで宗教画の如き威容を誇るアートワーク、ストーリー・アルバムさながらに曲間の切り詰められたドラマティックな構成等、まさしくメサイア在籍時代のCANDLEMASSを総括するに相応しい、集大成的内容に仕上がっています。
陽の当たらぬ地下世界へと、ズブズブ沈み込んでいくような錯覚に陥るBLACK SABBATH直系の楽曲群は、徹底してダークな色合いで塗り潰されているにも関わらず、邪教の神官の説法を思わすメサイアの朗々とした歌唱に、荘厳なドラマ性漂わす曲展開、北欧のバンドならではの荒涼たる泣きと憂いを孕んだメロディとが重厚に組み合わさり、例え暗黒色で統一された世界観であっても(さながら名匠の手による絵画の如く)豊かな陰影が迫り出し来るかのよう。また、意表を突いて流麗なGプレイを伴いスピーディにかっ飛ばすインストの名曲⑤が本編に起伏を演出したりと、この手のバンドにありがちな単調さや、ダラダラとした冗長感も皆無。そういえばドゥーム・メタルなんて言葉が一般化する以前は、単純に「良く出来た様式美HMアルバム」として本作を楽しんでいたことを思い出しましたよ。
CANDLEMASSというブランドに敷居の高さを感じてしまう初心者リスナーにも取っ付き易い1枚と言えるのではないでしょうか。


FIREHOUSE - Firehouse 3 - I Live My Life for You ★★★ (2016-10-01 09:04:38)

優し気な曲調のバラードで、FIREHOUSEのバラードとしては
並みの出来かなぁとか思っていたのですが、
日本で収録されたライブ・バージョンを聴いて、いや素晴らしい!と。
楽曲の良さだけでなく、リズム隊だけの援護でコーラス部分を
見事に大合唱する観客に感動。
あんな長い歌詞、英語バカな自分にゃよう歌えませんよ。


FIREHOUSE - Bring 'em Out 'Live' ★★★ (2016-10-01 08:55:17)

'99年に来日したFIREHOUSEが、大阪の梅田HEAT BEATで行った公演の模様を収録。意外にもこれが彼らの初ライブ・アルバムだとか。
セットリストは、この時点でリリース済みだった4枚のスタジオ・アルバムからヒット曲、代表曲を中心に網羅。比率はやはり1st『FIREHOUSE』と2nd『HOLD YOUR FIRE』に偏り気味ですが、このことに異議を唱えるファンは恐らく少ないですよね。C.J.スネアの伸びやかな歌声を始め、美しいコーラス・ワークから楽器隊の安定したパフォーマンス、更にはOPで必殺の名曲“OVERNIGHT SENSATION”をブチかまし、後に続くのは“ALL SHE WROTE”。このFIREHOUSEが誇る代表曲2連打でいきなり会場を興奮の坩堝に叩き込むステージ進行に至るまで、場数を踏んで鍛えられたライブ・バンドとしての実力が如何なく発揮された出来栄え。
それを受けての観客の盛り上がりも半端なく、特にハイライトはヒット・バラード“I LIVE MY LIFE FOR YOU”にて訪れます。伴奏なしでバンドからサビを託された観客が、(ワンフレーズどころか)ワンコーラス丸々を見事な大合唱で歌いきる様は、メンバーは勿論、聴いてるこっちも感動しますよ。
正直、購入前までは「90年代前半にライブ盤を出しときゃ、クラブなんかじゃなくてホールクラスで収録できたろうに」とか舐めたこと思っていたのですが、本作を聴いてしまったら、そんな風に考えた我が身の不明を恥じ入るばかり。会場の大小に関係なく、これほど熱いお客さんに恵まれたら、そりゃ記録として残しておきたくなるってもんです。


DOKKEN - Beast From the East ★★★ (2016-09-28 23:47:42)

ロック・バンドたるもの、メンバー全員が固い友情で結ばれ、同じゴール目指して手に手を取って突き進んで行くものと信じて疑わなかった純真な身に、「いやいや、もっと複雑なのよ」と現実を突き付けてくれたDOKKEN。その解散記念盤でもあった(?)ライブ・アルバム。
発売当時の評判があまり芳しくなかったのと、「ライブ中は互いに近寄らないどころか目すら合わせようとしない」「ドンのMC中に大音量でGを弾き出すジョージ」とか、真偽の程はともかく、聞いているだけで肝が冷える逸話に事欠かなかったDOKKENの実況録音盤だけに、購入して初めてオーディオプレーヤーにセットする際には「一体どんな修羅場が繰り広げられるんだ…」と手が震えたものです。(嘘)
だがしかし。実際に聴いてみれば、当のメンバー達は実に生き生きとパフォーマンスに興じており、これが本当に楽しそう。映像がないからそう感じるだけかもしれませんが、バンドはインタビュー等で、ヘッドライナーとしてストレスなくツアーできる日本でのライブの楽しさを公言していましたし、概ねベスト選曲な優れた楽曲群が、エネルギッシュな演奏に載せて次々繰り出されるのですから、これでアガらずにいらいでか。特にジョージ・リンチのGプレイはスタジオ・テイク以上のキレっぷり。加えて、ライブでも全く美しさを損なわないドン、ジェフ、ミックの三声ハーモニーの劇的さにも痺れましたね。
現在では、収録時間の都合上カットされていた楽曲を復活させた2枚組のコンプリート盤も入手可能。でもどうせ「完全版」を名乗るなら、曲順を当時のライブ通りに修正したバージョンも発売して欲しいところであります。


DOKKEN - Back for the Attack - So Many Tears ★★★ (2016-09-28 00:03:52)

昔はちょっとGが弾き過ぎに感じられ、もう少しVoの切ないフィールを
引き立ててくれよ、そりゃドンも気ぃ悪くするわとか思ったりしたのですが、
改めて聴き直してみたら、これが涙腺にクイクイくる実に良い泣きのソロを
弾いてくれていて、「正直すまんかった」と。


DOKKEN - Back for the Attack - Kiss of Death ★★★ (2016-09-27 23:54:03)

イントロのGリフだけでやられてしまいますよね。
疾走曲ではないものの、鋭利なGリフに攻撃的なGソロ、
へヴィなリズムに威勢の良いコーラスと
全体的にドライな荒々しさが満ちていて、
「これまでのDOKKENと一味違うぜ」と感じたものでした。


DOKKEN - Back for the Attack - Mr. Scary ★★★ (2016-09-27 23:47:21)

鼓膜を切り裂くように襲い来るジョージ・リンチの
カミソリギターが全編に亘って荒れ狂うインストの名曲。
へヴィ・メタル版“移民の歌”?
弾きまくってはいても、それは無意味な自己主張などではなく、
Voの不在を全く意識させない「歌う」Gプレイが素晴らしい。


DOKKEN - Under Lock and Key - Lightnin' Strikes Again ★★★ (2016-09-26 23:23:45)

どこかで聴いたようなGリフ…というか、後続がこぞって真似た結果
(インテリペリとかインテリペリとか、あとインテリペリとか)
すっかりHMのスタンダートと化してしまった名Gリフのカッコ良さは
まさしく雷に打たれたかの如く。
「柔」のVoと「剛」のGの対決は、この曲に関してはG優勢なのですが
それでも負けじと声を振り絞る、終盤のドンの熱いシャウトが
メタル・ハートにビンビン響きますね。


DOKKEN - Under Lock and Key - In My Dreams ★★★ (2016-09-26 23:13:14)

“INTO THE FIRE”の進化系。
当時のバンドの充実ぶりが反映されたかのような
息の合った三声ボーカル・ハーモニーの美しさに聞き惚れます。
DOKKENのソフト・サイドの最高到達地点を垣間見せてくれる名曲ではないかと。


DOKKEN - Tooth and Nail - Into the Fire ★★★ (2016-09-25 22:05:44)

中庸なHRバンドとしてのDOKKENの魅力が横溢する逸品。
中間部のドン・ドッケン、ミック・ブラウン、ジェフ・ピルソンに
よる三声ハーモニーの美しさは、STRYPERやPRAYING MANTISに匹敵します。
(ライブでもちゃんと再現できる点もポイント高し)
随所で印象的なフレーズを差し込んで来るジョージ・リンチが
ここでも良い仕事しています。


DOKKEN - Tooth and Nail - Alone Again ★★★ (2016-09-25 21:59:26)

“TOOTH AND NAIL”がDOKKENのハードサイドを象徴する
名曲なら、こちらはソフトサイドを代表する名バラード。
この手の楽曲を歌わせたら、ドンの透明感を湛えたVoは無敵ですね。
エンディングに向けて抒情性をどんどん増幅させていく
ジョージの泣きに満ちたGプレイにも辛抱堪らんものがありますよ。


DOKKEN - Tooth and Nail - Tooth and Nail ★★★ (2016-09-25 21:54:17)

個人的にも、DOKKENの名を聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの疾走曲。
前作とは比べ物にならないぐらい主張しまくるリズム隊、
負けじと声を振り絞るドン・ドッケンと、
一気にへヴィ・メタリックな光沢が増しています。
何より間奏部分におけるジョージ・リンチのGソロは
これだけで彼のギターヒーローとしての地位を確定させた
名演と言っても過言ではありませんよ。


DOKKEN - Tooth and Nail ★★★ (2016-09-25 21:49:07)

インスト序曲“WITHOUT WARNING”を経て、鋭利に疾走するキメの名曲“TOOTH AND NAIL”のカッコ良さだけで本編の出来の良さを確信させられてしまう(そしてそれは間違っていない)、’84年発表の2ndアルバムにして本邦初登場作。
このOPのドラマティックな流れからも明らかなように、独特のトーンで鋭く切り込んで来るジョージ・リンチのフラッシーなG、よりワイルドでメタリックなビートを刻むようになったジェフ・ピルソン&ミック・ブラウンのリズム隊…といった具合に、前作では「歌」の引き立て役に徹していた楽器陣が、今回は生き生きとその存在感を主張。勿論、益々表現力に磨きを掛けたドン・ドッケンのVoも冴え渡り、4つの個性が対等に(ポジティブな意味で)ぶつかり合って火花を散らすことで、緊張感だけでなくバンドとしての一体感、それにいかにもLAメタル的な華やかな雰囲気がアルバム全体から溢れ出して来ます。
収録曲の粒の揃い具合という点では次作『UNDER LOCK AND KEY』に軍配が上がりますが、それでもDOKKEN入門盤としてお薦めするならば、メロディとハードネスが理想的バランスをとる本作を猛プッシュ。収録曲にしても、冒頭で述べた彼らのHMサイドを象徴する名曲“TOOTH~”を始め、美しく劇的なバラード“ALONE AGAIN”から、メンバー全員が歌える強みを活かした美麗なハーモニーが堪能できる“INTO THE FIRE”まで、DOKKENというバンドの魅力的な側面が的確に切り取られています。
日本でのDOKKEN人気を決定付けた名盤にして、LAメタルの盛り上がりを語る上でも欠かすことの出来ない1枚ですね。


DOKKEN - Breaking the Chains - Paris Is Burning (live) ★★★ (2016-09-24 09:13:30)

アルバム中にあって飛び抜けてメタル度の高い疾走ナンバー。
攻撃的なジョージ・リンチのギターとソフトなドン・ドッケンのVoの
組み合わせという、DOKKENならではの旨みを堪能できる名曲です。
フランスのCARRIE盤と、“DREAM WARRIORS”のシングルで
スタジオバージョンを聴くことが出来ますが、
このライブ・バージョンの方がずっと熱い。


DOKKEN - Breaking the Chains - Breaking the Chains ★★★ (2016-09-24 09:03:08)

ジョージ・リンチのGにカミソリ感はなく
主役はあくまでドン・ドッケンの透明感を湛えたVo。
でもこれが素晴らしい!
甘く歌い上げられる哀愁に満ちたサビメロは
聴く度にとろけそうになりますね。


DOKKEN - Breaking the Chains ★★ (2016-09-24 08:46:02)

DOKKENがクラシック・ラインナップで復活して来日公演を行うという。喜びと共に、これが最後かもしれないな…との寂寥感が湧き上がりましたが、そういや90年代に再結成した時も、数年前にLOUD PARKでドンとジョージの共演が実現した時も「これで見納めかも」としんみりしてたことを思い出して、出掛かっていた涙がヒュッと引っ込みました(大袈裟)。
ともあれ、目出度いことに変わりはないので久々に彼らの作品聴き直したりしているのですが、やはりこの1stは後のアルバム群と比較するとやや趣きが異なりますね。地味なアートワークとか、ベース弾いてるのがピーター・バルテス(ACCEPT)だったりホアン・クルーシェ(RATT)だったりする基礎的な部分に加えて、そもそもドンのソロ・アルバムとして制作された経緯があるだけに、疾走曲とかも収録はされていても、飽くまで主役は「歌」。引き立て役に徹している風情のギターもそうした印象に拍車を掛けます。
でも、ドンの甘口なハイトーンがメロディの哀愁を際立たせる文句なしの名曲“BREAKING THE CHAINS”を始め、ノリノリの“LIVE TO ROCK”や、Gソロがダイヤの原石的輝きを放つ“YOUNG GIRLS”等、収録曲はこれはこれで十分に魅力的。またそうした本編中にあって、アグレッシブなHMナンバー“PARIS IS BURNING”だけは他と比べて毛色が若干異なるのですが、それもその筈。この曲はジョージ・リンチとミック・ブラウンがその昔在籍していたXCITER時代に書かれたものなのだとか。しかしDOKKENがレコード契約をゲットする決め手になった楽曲の一つというだけあって、これまたアルバムのハイライトを飾る名曲っぷり。影は薄めなれど、やっぱ良い作品ですよ、これ。


MASS - Voices in the Night - Turn It All Around ★★★ (2016-09-22 09:55:52)

鋭角的に刻まれるGリフが小気味よく疾走する
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
これまた初期STRYPERの未発表曲と言われたら
信じてしまいそう感じですが、分厚いハーモニーに
彩られたキャッチーなコーラスが
爽快且つ勢いを感じさせて、良いものは良いんだと。


MASS - Voices in the Night - Voices in the Night ★★ (2016-09-22 09:51:17)

シンガーの歌唱スタイルから、壮麗なコーラス・ワーク、
さらに歌詞には“LOUD AND CLEAR”なんて一節まで
登場したりして、STRYPER感満点な3rdアルバムのOPナンバー。
プロダクションのせいなのか、やや小じんまりとした印象を
受けますが、でも良い曲ですよ。


MASS - Voices in the Night ★★★ (2016-09-22 09:22:53)

「さて、マスでもかくか」と呟いたら白い目で見られてしまいましたが、いや違う。そうじゃなくて。マスはマスでも、ここに書き記すのはボストン・マサチューセッツ(略称MASS)出身の5人組が、'89年にENIGMA RECORDSに残した3rdアルバムについて。
彼らのことは「STRYPERの弟分」的イメージで見ていましたけど、国内盤の解説によれば結成は80年代初頭まで遡り、2枚のアルバムでトム・アロムやトニー・プラットといったプロデューサーとも仕事をしてきたキャリアの長いバンドだったんですね。(元マネージャーとの間で起きた訴訟トラブルのせいで、思うように活動ができなかったとか)
クリスチャン・メタル界の先輩マイケル・スウィートをプロデューサー(&バックVo)に招聘した本作で聴けるのは、張りのあるシンガーの歌唱法、ドラマティックなツインGの出し入れから、美麗なボーカル・ハーモニーまで、「まるでSTRYPER」なHMサウンド。そりゃ方々で指摘された通りオリジナリティに関しては疑問が残りますし、本家に比べると小じんまりとまとまっていて、メロディの扇情度や曲展開にフックが今一歩足りていないのも事実です。しかしながら、憂いを湛えたメロディック・メタル・ナンバー①や、神々しいコーラス・ワークが印象的な③、うっとり聴き惚れるバラード④、イキのいいGリフがハードに疾駆する⑤のような、単なる二番煎じと切り捨てるには惜し過ぎる魅力を放つ楽曲を前にすれば、「半端なオリジナリティより、優れたフォロワー!」と、断固本作を支持したくなるのが心情というものですよ。
この後MASSはENIGMAの倒産に巻き込まれて契約を失い解散してしまうことになるのですが、現在は再結成を果たし活動中。彼らの今後に神のご加護があらんことを。


BRIGHTON ROCK - Love Machine - Magic Is Back ★★★ (2016-09-20 23:21:29)

前2作ではラストにはハード・ナンバーを置いていましたが
3rdでは趣向を変えてバラードがEDを飾っています。
これがまた大団円を演出する大変素晴らしい仕上がりで、
サビの「ナーナーナナナー🎵」はライブ会場での大合唱が
聞こえるかのようで感動的。


BRIGHTON ROCK - Love Machine ★★ (2016-09-20 23:17:18)

BRIGHTON ROCKは'91年に解散の後、'02年に再結成を遂げて現在も活動中なのですが、スタジオ・アルバムとしては、’90年発表のこの3rdアルバムが一応(現時点での)最終作。…ということでいいのかな。
2nd『TAKE A DEEP BREATH』までの流れから、てっきり更にポップになってるかと思ったら、全くそんなことはなく。Key奏者が抜けた代わりにサイドGが加わった編成と、1曲目から小気味よく疾走するHMチューンをガツンとぶつけてくる構成が物語る通り、本編は寧ろ、よりタフでワイルドな方向へと突き進んでいましたよ。
J.J.ケイルの代表曲…というよりもエリック・クラプトンが大ヒットさせたことで有名な“COCAINE”のカヴァーにもチャレンジする等、仄かに土の匂い漂わす新機軸を打ち出した作風は、90年代以降の音楽シーンの潮流の変化を踏まえていますが、シンガーのしゃがれ声がこの手の音にマッチしている上(場面によってはトム・キーファー風?)、相変わらずフックを盛り込んだ曲作りの巧さやメロディ・センスの冴えに鈍りがないので、単に上っ面だけ流行をなぞったような退屈な作品にはなっていません。
本編はメタリックに突っ走る①にて幕が上がり、溌剌とハジける③、重厚な雰囲気を纏った⑥といった優れた楽曲を経て、感動的なバラード⑪にて大団円を迎えます。前2作に比べると、そのクオリティにややムラを感じなくもありませんが、最後まで基本軸をブレさせることなく活動を全うしたバンドの、有終の美を飾るに相応しい1枚でありました。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Unlease the Rage ★★★ (2016-09-19 08:35:59)

メロディの哀愁っぷりやKeyソロを組み込んだ曲展開からは
ヨーロピアンなドラマ性も迸る哀愁のHRナンバー。
評価が割れるVoですが、金属質なシャウトで曲調に
メタリックなエッジを加えてくれていて、個人的には全然「有り」。
ドラム連打からスタートするアップテンポな楽曲を、
こうして(前作同様)アルバムの最後に置く辺り、
「単なる売れ線狙いバンドと舐めんなよ」
というバンドの矜持が垣間見えるようです。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Who's Foolin Who ★★★ (2016-09-19 08:28:26)

キラキラKeyに適度と歌うGに支えられ
ポップにハジける曲調に、哀愁を塗したメロディが
絶妙なアクセントを加えてくれる、BRIGHTON ROCKならではの
魅力が光るメロディアスHRソング。
メロディアスでキャッチーなサビメロの素晴らしさよ。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Outlaw ★★★ (2016-09-19 08:23:33)

叙情性を高めるKeyの存在を活かして
タイトルに相応しく、大人びた哀愁を漂わせる逸品。
しわがれVoのクドイ歌唱は好悪が分かれそうですが、
全力を振り絞るような熱唱に個人的には胸が熱くなりますよ。
泣きのメロディで好アシストするGも良い。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath ★★★ (2016-09-17 09:59:13)

国内盤の解説によれば、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作『YOUNG, WILD AND FREE』を引っ提げ国内外で行われた2年に及ぶツアーで、地元カナダを始め、イギリス等のヨーロッパでも支持基盤を築いたというBRIGHTON ROCKが、今度はプロデューサーにジャック・リチャードソンを招いてレコーディング、’88年に発表した2ndアルバム。
アー写を用いた80年代然としたジャケットの前作に対し、グッとシックに落ち着いたデザインのアートワークが何やら熟成を感じさせますが、どっこい音楽性は変わっていません。OPナンバー①から元気溌剌にハジけるポップ・メタル・サウンド全開で、勿論ケヴィン・ダブロウとかそっち系の声質のシンガーによるしゃがれシャウトも健在。初めて聴いた時は「げ」と思った彼の声も、慣れるとクセになるというか、バンドになくてはならない重要な個性として、元気が有り余ってる感じのこの歌いっぷりが微笑ましく思えます。
これまでよりもKeyの存在感が増し、楽曲が一層メロディアスになったとの印象を受ける本作なれど、お陰でアダルトな哀愁漂わす②、キャッチーで伸びやかなサビメロが秀逸な⑧等、このアルバムならではの逸品が生み出されたのですから、むしろ感謝したいぐらいのもので。そして本編最後をハードに飾る、前作収録の名曲“ROCK ’N’ ROLL KID”と同タイプの名曲⑪がこれまた素晴らしい出来栄え。
母国では7万枚を売り上げ、ヒット・チャート22位にランクイン…って、売れたのかそうでないか微妙な成績ですが、前作に勝るとも劣らない完成度が備わっていることは保証します。国内盤CDも出ていたので、入手も比較的容易いのではないでしょうか。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - We Came to Rock ★★★ (2016-09-16 23:08:00)

仄かに哀愁を感じさせるメロディ・ラインに、
ライブ映えするキャッチーなコーラスと
スケールの大きなアレンジが印象に残る
BRIGHTON ROCKの代表曲。
MTVでもPVがよく流れ、母国カナダでは
シングル・ヒットを飛ばしたそうな。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - Rock 'n' Roll Kid ★★★ (2016-09-16 23:02:38)

アメリカンなイキの良さと、ヨーロピアンなメロディの哀愁を
上手いこと組み合わて疾走する、カナディアンHRの名曲。
しゃがれ声のVoの熱唱と、センスの良さを感じさせるGソロを
フィーチュアした終盤の盛り上がりが実に熱い!


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free ★★★ (2016-09-15 22:44:48)

BRIGHTON ROCKはバンクーバー出身の5人組。結成当初はHEART ATTACKと名乗っていたそうですが、地元ラジオ局主催コンテストでの優勝を期に改名(グレアム・グリーンの小説にバンド名のヒントを得たそうな)。自主制作した4曲入りEPの好評を後ろ盾に大手WEAカナダとの契約を交わし、’86年にこのデビュー作をリリースしました。(日本盤の邦題はシンプルに『ブライトン・ロック』)
本国カナダではスマッシュ・ヒットとなった本作は、まさしくタイトル『YOUNG, WILD AND FREE』(若くて自由奔放)を地で行くような、元気溌剌なポップ・メタル・サウンドがハジける「ザ・80年代!」な1枚。ケヴィン・ダブロウ+ブラッキー・ローレスな趣き(?)のジェラルド・マクギーのしゃがれハイトーンVoは聴き手の好悪が分かれそうですが、マイケル・ワグナーの的確なプロデューシングを得て、キャッチーなメロディ、胸のすくビッグなコーラス、センス良くまとめられたGプレイをフィーチュアした楽曲は、幅広いHR/HMリスナーに受け入れられるフックが備わっています。
屈託のない明るさを振り撒きつつも、メロディにしろ曲展開にしろ、突き抜けて能天気にはなりきれない「ヒネリ」がある辺りが、やっぱりカナディアン。PVも作られた代表曲②を始め、躍動感溢れるロック・チューンから、哀愁のパワー・バラード、それにヨーロピアンな風情漂わすハード・ナンバーまで、本編は優れた楽曲が選り取り見取り。中でも個人的なイチオシは⑩。ハード且つドラマティックにエンディングを締め括る様が、アルバムのハイライトに推したくなるカッコ良さなのですよ。BRIGHTON ROCK入門盤にどうぞ。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come - The Mirror Lies ★★★ (2016-09-15 22:33:49)

PVに映し出される、ビーチで歌うグラハムのルックスは、
最早やっさんというよりも「黒スーツで決めたおばあちゃん」
といった風体ですが(なんて言ったらグラサンをクイクイさせながら
「怒るで、しかし!」と詰め寄られるかもしれませんが)、
パワフルな青筋ボーカルは健在ですし、何より彼が歌うメロディが魅力的。
フルアルバムに対する期待を弥が上にも高めてくれる一曲です。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come ★★★ (2016-09-13 23:55:14)

素晴らしい情報を教えて頂き、失恋船長さんに心より感謝を。
視聴した“MY KINGDOM COME”も“THE MIRROR LIES”もどちらも非常に優れた楽曲で、
「もっと自分の声を活かしてくれる(曲作りのできる)ミュージシャンと組めばいいのに」
(いっそ柴田直人に曲を書いて貰えばいいのに、とか)
と、長年グラハムに感じていた不満がようやく解消されそうです。

これをもう20年、せめて10年早くやってくれてたらな…とかちょっぴり思いますが、 
ともあれ、こりゃ本当にフル・アルバムが待ち遠しいですよ。


BALANCE - Balance - Fly Through the Night ★★★ (2016-09-13 22:48:25)

ポロポロと奏でられるピアノの物悲しげな旋律に続き
Gリフとリズムが力強く入って来るイントロの展開が
名曲“GUTTER BALLET”によく似ていて、SAVATAGEは
曲作りの際に影響受けたんじゃないかなぁと、勝手に思っています。
(歌が始まってしまえば全然似ていないのですが)
何はともあれ名曲です。


BALANCE - Balance ★★★ (2016-09-13 22:21:45)

ポール・スタンレー(KISS)のソロ・アルバムのレコーディング作業に参加したことを切っ掛けに知己を得た、ペピィ・カストロ(Vo)とダグ・カッサロス(Key)、それにブルース・キューリック(G)の3人により結成されたバンド(リズム・セクションはセッション・ミュージシャンを起用)が、’81年に発表した1stアルバム。先日、仕事帰りにCD屋に立ち寄ったら本商品がディスプレイされていて、意外なことに国内盤が出るのは今回が初めてとの情報を教えて頂き――帯付きの輸入盤は数年前から出回っていましたが――思わず購入してしまいましたよ。
軽快に跳ねるメロディ、都会的なアレンジ・センス、飽くまで楽曲の主役は「歌」でありつつも、適度な自己主張を怠らない楽器陣とが織り成す、AOR/産業ロック的ポップネスと、プログレ・ハード的技巧が違和感なく溶け合わされたサウンドは、なるほど確かに、アルバム発表当時「TOTOに対する東海岸からの返答」と評されたのも納得です。
弾むような曲調が完全にTOTO路線の洗練されたポップ・チューン①②で掴みはOKとなる本作ですが、個人的に好みなのは⑤⑥⑦といったプログレ・ハード路線の楽曲。中でも悲し気なイントロに続き、ピアノを伴ってリフ&リズムが力強く刻まれる⑤はSAVATAGEの名曲“GUTTER BALLET”に影響を与えたんじゃないかと、昔から密かに思っている逸品。
なお、ノンクレジットながらポール・スタンレーが⑧にコーラスで参加しているのだとか。


THE STORM - Eye of the Storm - Love Isn't Easy ★★★ (2016-09-12 22:40:32)

強い日差しに、低く垂れこめる入道雲etc.と、
夏の真っ青な青空が脳裏に思い浮かぶ爽快なロック・チューン。
力強いビートに乗って、その青空の中へ吸い込まれるように
伸びていくVoのハイトーンとGのロングトーンがこれまた胸を打つ。
世が世なら大ヒットしていてもおかしくなかった名曲です。


THE STORM - Eye of the Storm - Waiting for the World to Change ★★★ (2016-09-12 22:34:43)

80年代だったら間違いなくヒットチャート上位に
ランクインしていたであろう極上の名バラード。
ケヴィン・チャルファントの張り良し/艶良し/伸び良しと
三拍子揃ったハイトーンVoの威力には魂を持って行かれますよ。


THE STORM - Eye of the Storm ★★★ (2016-09-12 21:12:18)

2曲のヒット・シングルを生んだデビュー作に続く新作レコーディングのためスタジオ入りするも、時期同じくしてグランジ/オルタナ旋風が本格的に音楽シーンを席巻。流行に擦り寄るべく所属レコード会社が方針転換を図ったせいで、完成していたにも関わらず、長らくお蔵入りの不遇を囲う羽目になった2ndアルバムがこちら。
でも内容に関しちゃ、端正な音作りから、溌剌とキャッチーに弾むポップ・フィーリング、そして胸打つ抒情メロディに至るまで、「まるでJOURNEY」なメロディアスHRの輝きに鈍りなし。ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)、グレッグ・ローリー(Key)の本家JOURNEY組が醸し出す「本物」の深みと説得力を土台に、その上で707やTWO FIRESの活動等で知られるケヴィン・チャルファント(Vo)と、ニール・ショーンばりの官能的なロングトーンの使い手ジョシュ・ラモス(G)という、メロハー愛好家お馴染みの面子がエモーショナルなパフォーマンスを迸らせてくれるのですから、こんだけ高品質な作品がバンド活動停止後まで日の目を見なかったなんて、許されざる話ですよ。
と、そんな感じに褒めるべき所だらけの本作ですが、中でもケヴィン・チャルファントのVoの素晴らしさは特筆モノ。この人の声をまともに耳にしたのはTHE STORMが最初でしたが、殊に②⑩のようなバラード系の楽曲に響き渡る澄み切ったハイトーンは、己の小汚い耳垢を根こそぎ洗い流してくれるかの如き美しさ。聴く度に感涙に咽んでしまいますね。
下手にメジャーレーベルからリリースされてしまったせいで、なかなか再発がかからない1st『THE STORM』と併せて、メロディ愛好家なら避けては通れない名作ではないかと。


MYRATH - Legacy - Believer ★★★ (2016-09-10 08:37:13)

妖しくドラマティックなインスト曲“JASMIN”から壮大な雰囲気を孕んで展開。
一聴しただけで、目の前に砂漠の世界が広がっていくような錯覚を覚える
猛烈な喚起力を有したOPナンバー。
エキゾティックでシンフォニック、劇的且つテクニカルと、
MYRATHの個性がパッケージングされており、PVが作られたのも分かります。


MYRATH - Legacy - Get Your Freedom Back ★★★ (2016-09-10 08:31:21)

エキゾティズムと哀愁と大衆性が抜群の適量でミックスされた
サビメロは、聴く度に「たまらーん」と手足をバタバタさせながら
床の上を転げ回りたくなりますよ。


MYRATH - Legacy ★★★ (2016-09-09 00:01:48)

今年開催のLOUD PARKでの来日が決まっている(実現すればアフリカ大陸のHR/HMバンドとしては初めての来日公演になるのかな?)、チュニジア出身のKey奏者を含む5人組が’16年に発表した4thアルバム。
奇を衒ったエキゾティズムではなく、アラビックな音階を交えてへヴィなリフを刻むG、アグレッシブにして舞踏的なリズム、全編をシンフォニックに彩る気品に満ちたKey、そして独特のオリエンタリズムを湛えて奏でられるメロディ…と、MYRATH独自のプログレッシブHMサウンドは、本作においても聴き手の琴線を確実に鷲掴んで来ます。
直線的なノリでガンガン頭を振らせるのではなく、しなやかに描き出される曲線美によって思わずクネクネと踊り出したくなる(?)収録楽曲は、日本デビュー作となった前作『TALES OF THE SAND』よりも一層キャッチーに/抒情的に/ドラマティックに練り上げられている印象で、雑誌で見かけた《KAMELOT meets MEDEINA AZAHARA》という表現には、「そう、まさにそれ」と膝をピシャッと叩きたくなりましたね。
悶絶を誘う哀愁を発する歌メロを、コブシを効かせて熱唱するザヘル・ゾルガディのVoも、相変わらずこのバンド最大の武器として機能。挨拶代わりの様式美を感じさせる①②のメドレー、聴く度にのたうち回りたくなる③、妖しく揺らめく④、大仰な⑤…といった具合に、彼の熱唱を最大限活かした本編は捨て曲不在のクオリティを提示しています。
邦題は『遺産の継承者』ですが、この立派な完成度なら骨肉の相続争いの心配は無用ですな。(不要なボケ)


RAVEN - Nothing Exceeds Like Excess - Into the Jaws of Death ★★★ (2016-09-08 00:09:22)

物々しいイントロから、緊張感を孕んで重厚に突き進むへヴィ・ナンバー。
中盤にはしっかり疾走パートが組み込まれ、6分以上の長尺でも
ダレることのない起伏に富んだ曲展開にRAVENの曲作りの手腕が光ります。
今でもライブでプレイされていることを鑑みるに
彼らにとっても自信作なんだろうなぁと。
個人的にもアルバムで一番好きな曲です。


RAVEN - Nothing Exceeds Like Excess ★★ (2016-09-06 22:25:19)

えー。アルバム名は、『ナッシング・エ、エクシーズ・ライク・イクセセ…』って、言いにくいわ!早口言葉か!という、長くて覚え辛いタイトルを冠した’88年発表の7th。
しかしながら、未だうろ覚えの表題に反して、内容の方は極めて分かり易くRAVENサウンドの旨み成分が凝縮されています。メジャーからのドロップに、バンドの重要な推進力だったロブ“ワッコ”ハンターの脱退等、紆余曲折を経てのリリースと相成った作品でしたが、そうした諸問題を前にして、逆にギャラガー兄弟が発奮。そのサウンドは、キレキレで繰り出されるGリフ、疾走感に溢れたリズム、そしてヒステリックなVoとが呼応し合ってシンプル&ストレートに叩き付けられるアスレチック・ロック路線へと、ATLANTIC時代の試行錯誤を綺麗サッパリ吹っ切って原点回帰を果たしています。
『アラーのために死ね』というタイトルからしてヤバイ②、アッパーに畳み込む⑦、ライブ映えしそうな⑪等を筆頭に、全編を騒々しい疾走曲で固めたスラッシュ・メタル顔負けの前のめりな姿勢を晒しつつも、演奏しているメンバーの満面の笑み(しかめっ面ではなく)が思い浮かぶような陽性のノリの良さも「RAVENらしさ」を後押し。さりとて、それが能天気という意味でないことは、緩急と緊張感を効かせた名曲④の重厚な佇まいが物語る通り。
初期作にも匹敵するエネルギーが渦巻くサウンドは、浮かれトンチキだった’88年当時よりも、今の方が正当な評価を得られるのではないでしょうか。但し、無駄に曲数が多い本編構成と、迫力不足の音作りは改善の余地が大いに有りですが。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back - The Land God Gave to Caine ★★★ (2016-09-04 22:59:04)

7分以上に及ぶ長尺に、重厚な曲展開と、
“神より賜りしカインの聖域”という邦題が
決してこけ脅しには響かない逸品。
シアトリカルなポールのVoも楽曲に備わった
ドラマ性をより一層引き立ててくれていますよ。


VOLCANO - Juggernaut - Blood Soldier ★★★ (2016-09-04 22:53:03)

叙情的なイントロを“JET TO JET”風のGリフが切り裂く疾走ナンバー。
Gソロ含めて、触れれば火傷しそうな哀愁が渦を巻いていて、
さながら昭和ロボットアニメの主題歌の如し。
流麗に奏でられるピアノの旋律もナイスなアクセントになっています。


GRIM REAPER (2016-09-04 22:47:40)

ニック・ボウコット(G)が未参加のようなので、正直、期待値は微妙なんですよね。
このバンドに限らず、スティーヴ・グリメットにはもっと「良い曲」を書ける人と組んで活動して欲しいのですが。


VOLCANO - Juggernaut ★★★ (2016-09-04 09:05:43)

あのVOLCANOから、たったの1年のインターバルで届けられた新作。俄かには信じられず、店頭で手に取った時は「本当に新作か?」と、思わず慎重にチェックしてしまいましたよ(失礼な)。
これまでOPには必ず名曲を配して来た彼らゆえ、今回も勇壮なインスト序曲①に続き、激情を叩きつけるかのようなNOVの歌声、金属質なリズムをソリッドに鍛造するAKIRAとSHUNのリズム隊、そしてクッサクサの泣きメロを縦横無尽にお見舞いしてくる屍忌蛇のGプレイとが、熱く激しく燃え盛るスピード・ナンバー②で、早くも基本的音楽性に変わりがないことをアピール。
一方で、ひと際メロディックな仕上がりを聴かせる④⑤といった楽曲に顕著に表れている通り、オーセンティックなHM成分もここに来て益々の高まりをみせています。屍忌蛇の紡ぐ泣きメロが「慟哭」を通り越して、時に「昭和歌謡」の領域に突入せんとする勢いなことと併せて、モノによってはANIMETALを聴いているような感覚に陥る場面もチラホラ。なので、かつての「歌えるシンガーを擁したメロデス・バンド」的ストロング・スタイルに愛着を覚える向きには評価が多少揺れる可能性も有り。昭和度の高い哀愁と、ヒロイックな曲調がベスト・マッチをみた⑦みたいな名曲を聴けば、個人的には「ばっち来い!」ってなもんですが。
バラード⑪で本編が締め括られるため、聴後感が妙に厳かな点(「ライブの最後の曲がバラードでした」的な)が引っ掛かるものの、楽曲自体はアルバムのハイライトの一つと言うべき劇的さ。この普遍的正統派HM性を増した構成も、今後のバンドの進路を示唆しているのかな…とか思ったり。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back ★★★ (2016-09-03 09:19:35)

正直に告白すると、ポール・ディアノって昔はあんま好きじゃなかったんですよ。バンドを結成しても長続きせず、メンバーも定着しない人望のなさとか(身につまされるなぁ)、その時その時の音楽的流行にすり寄って行く節操のなさとか、IRON MAIDEN時代の遺産への依存体質とか。ついでに、やたら「メイデンはディアノ時代で終わった」と強弁してくる知り合いの存在にも、そうした苦手意識に拍車を掛けられましてね。
しかし年食うと、この人の立ち回りのヘタクソな生き様が段々と沁みてくるのだから不思議なものでして。更にナイス・タイミングでBATTLEZONEのアルバムが再発されることを教えて頂いたので、ものは試しと’86年発表の本1stアルバムを購入してみたらば、自身在籍期のIRON MAIDENに、スラッシュ・メタルばりの突進力を注入したようなパワーメタル・サウンドが「おお、イカしてるじゃあないか!」と。
ラフなプロダクション下、メイン・ソングライターでもあったジョン・ハーレイのアグレッシブなGと、シド・ファルクのブッ叩きドラミング、そしてポールの吐き捨て型Voとが見事な合致をみたスピード・ナンバー③の迫力は当然のこととして、個人的にグッと来たのは、大仰な邦題を冠された7分越えの大作ナンバー⑤、バラード風に始まり後半は激しく畳み掛ける⑥、RAINBOWの“LOST IN HOLLYWOOD”をIRON MAIDENがカヴァーしたようなノリの⑧といった、劇的且つメロディアスな楽曲。決して器用なタイプのシンガーではないポールの全力投球な熱唱ぶりがメタル・ハートにズドンと響きましたよ。
この路線が長続きしてればなぁ…と、つくづく惜しく思う1枚。


HEAVENS GATE - In Control ★★★ (2016-08-31 21:07:59)

今では売れっ子プロデューサーとして腕を振るうサシャ・ピート(G)が在籍し、90年代には、HELLOWEEN、GAMMA RAY、BLIND GUARDIANらと共に、ここ日本でジャーマン・メタル人気を牽引したHEAVENS GATEの記念すべきデビュー作(’89年)。
JUDAS PRIEST型正統派HMに、ジャーマン・メタルならではのメロディとパワーがトッピングされた名盤『LIVIN’ IN HYSTERIA』(’91年)の出来栄えに衝撃を受けた当時、慌てて遡って本作も買いに走ったのですが、勿体ぶったインスト序曲①による導入を経て、うじうじと蠢くGリフが印象的なアルバム表題曲“IN CONTROL”のカッコ良さだけで速攻ノックアウトされてしまいましたよ。流石、来日公演のトリを飾っただけあって、“GATE OF HEAVEN”や“LIVIN’ IN HYSTERIA”にも負けない名曲ぶり。
他にもキャッチーな疾走チューン“TYRANTS”あり、トリロジー第一作目となる重厚なエピック・メタル調の“PATH OF GLORY”あり…といった具合に、メタル者が拳を振り上げるに足る逸品の数々を収録し、国内盤は'90年発表の6曲入りEP『OPEN THE GATE AND WATCH!』とのカップリング仕様、全15曲、1時間オーバーの超過ボリュームにも拘わらず、ダレを殆ど感じることなく全編を聴き通させてしまうのですから、「こいつらは本物だ!」と、バンドの才能を確信するには十分です。
クセの強いVoにベタッとしてキレに欠けるドラミングとか、全体的にまだまだ垢抜けない雰囲気を漂わせつつも、デビュー作でこのクオリティは立派。『LIVIN’~』が気に入った方ならこっちも押さえておいて損はありません。格安価格でお買い求め頂けますしね。


ROB MORATTI - Transcendent - Answer of Life ★★★ (2016-08-29 23:57:10)

神秘的なイントロから哀愁を漂わせて滑り出すOPナンバー。
ロブ・モラッティの超音波ライクなハイトーンVoは
好き嫌いが分かれそうですが、空に向かってゆったりと
舞い上がっていくようなサビメロの素晴らしさは
伸びやかに歌い上げるこの人のVoあってこそですよ。


HURRICANE - Slave to the Thrill ★★ (2016-08-28 22:56:32)

初めて目にした時は「ギーガー謹製か?」と思ってしまった強烈なアートワーク(機械に犯されそうになっている全裸の女性)が物議を醸した'90年発表の2ndアルバム。シーンの潮目の変化を察知し、よりアグレッシブな方向へ進むために、ポップ志向の持ち主だったロバート・サーゾと袂を分かち――実際はマネージメント主導の解雇劇だったとのキャプテン和田情報あり――その後任ギタリストに、元LIONのダグ・アルドリッチを加えたラインナップでレコーディングされています。
いかにもアメリカンなノリの良さで攻めて来る豪快なロックンロールと、ドラマティック且つメロディアスなプログレ・ハードというの二路線構成が取られた好盤に仕上がっていた前作『OVER THE EDGE』(’88年)に比べると、吹けよ風、呼べよ嵐状態(まさしくハリケーン)なSEから幕が上がる今回は、明らかに前者に比重が偏っていて「あいやー、そっちへ進んじゃいましたか」と。
無論、ダグ・アルドリッチのフラッシーなGプレイ、ケリー・ハンセンのエモーショナルな歌唱(流石、現FOREINER)をフィーチュアした楽曲の質は低くありません。しかしながら、“失われた愛の夢”なる邦題を冠されたバラード⑤、哀愁のHRナンバー⑥、ブルージーな味わいを有する⑦といった、本編中盤に並ぶメロディアスな楽曲が魅力的なだけに、HURRICANEには是非ともこっち方面へ進んで欲しかったなぁ…と、今更詮無いことを考えてしまうわけです。


STYX - Styx - What Has Come Between Us ★★★ (2016-08-27 23:35:51)

ピアノの速弾きイントロだけで、ハッとしてGOOD!と。
本編突入後も、おセンチなメロディから美しいハーモニーまで
STYXの後の飛躍を予感させるに十分な魅力に溢れていますよ。


ROB MORATTI - Transcendent ★★★ (2016-08-27 08:32:32)

'11年発表の1stソロ『VICTORY』以来音沙汰がないと思っていたら、実際はこっちが知らないだけで複数のメロディックHRバンドの作品に参加したり、’15年には自ら音頭を取ってJOURNEYのトリビュート・アルバムを制作していたり(聴いてみてぇな、おい)と、継続的に音楽活動に精を出していたらしいソロ・シンガー、ロブ・モラッティが、'16年にリリースした2ndアルバム。
前作同様、トニー・フランクリンら複数のゲスト・ミュージシャンを招いてレコーディングが行われた本作の音楽性は、ファンが安心して楽しめるメロディアスHR路線。明る過ぎず/暗過ぎず/落ち着き過ぎず、適度な哀愁を湛えたキャッチーに吹き抜けるOPナンバー①で早くもメロハー愛好家のハートを鷲掴みにするように、今回もそのサウンドはカナディアン・メロディアスHRの美しいシルエットを描き出しています。
こめかみにキーンと来るこの人のトニー・ハーネル系(超音波型)ハイトーンVoは結構好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、シンガーとしての実力はFINAL FRONTIERやSAGA等、これまで彼が参加してきたバンドでの仕事ぶりが証明する通り。何より前述の①や、ライトでメロウな③、物悲しいヴァースから伸びやかなサビメロへの転調がお見事な⑤辺りを筆頭格に、収録曲はどれもハイクオリティで、何せボーナス・トラックまで素晴らしい出来栄えなのですから、本編の質の高さが伺い知れようというものです。
前作が気に入られた方は、今回も安心してお買い求め下さい。


WRABIT - Tracks - Bare Knuckler ★★★ (2016-08-23 22:19:03)

イントロの鮮やかなボーカル・ハーモニーだけで胸が騒ぎます。
適度にロックな曲調の上で、力強く伸びていくハイトーンVoの
歌いっぷりの良さにしみじみと聴き惚れてしまいますね。
軽快に踊るピアノも良い感じで、個人的には2ndアルバムの
ハイライト・ナンバー認定。


WRABIT - Tracks ★★★ (2016-08-22 23:23:03)

カナダのメロディアスHRバンド、WRABIT(後にジョン・アルバニ(G)とクリス・ブルックウェイ(B)はリー・アーロンのバックバンドに参加)が残した3枚のフル・アルバムの内、'82年に発表された2ndアルバムに当たる作品。
ビッグ・セールスこそ記録できなかったものの、WRABITの代表作として世界中のメロディ愛好家から絶賛を受けた1st『WROUGH & WREADY』に比べると、今回は名曲“ANYWAY, ANYTIME”級のインパクトにこそ欠けますが(あのレベルの楽曲がポンポン生み出せたら誰も苦労はせんですわな)、煌びやかなKeyと壮麗なハーモニー、伸びやかによく歌うツインGとに全編が包み込まれたキャッチーなメロディアスHRサウンドは、前作の作風を忠実に引き継いでここでも健在です。
この手のバンドは作を重ねる毎にAOR/産業ロック化が進行していくことを宿命つけられていますが、本作に関してはハードなGリフの刻みからスタートし、適度な緊張感を湛えて躍動する曲調にポップなメロディが彩りを加えるOPナンバー①と、ルー・ナデュー(Vo)がパワフルな喉を披露する②といった楽曲が証明する通り、HR然としたエッジと、生命線たる泣きのメロディが実にバランス良く共存しています。中でも5曲目の“Bare Knuckler”は、そうした本編のハイライトを飾って駆け抜ける哀メロ・ナンバーの逸品。
前作と併せて是非のご一聴をお薦めする1枚。そして個人的に買い逃してしまった3rd『WEST SIDE KID』(’83年)と共に是非とも国内盤のリマスター再発をプリーズ。


WRABIT - Wrough & Wready - Anyway Anytime ★★★ (2016-08-21 09:55:40)

WRABITの代表曲にして美旋律ハードポップの名曲。
エッジの効いたG、キャッチーに弾むリズム、煌びやかなKey、
そして蕩けそうになる泣きのメロディ・・・
取り分け、疾走する曲調に哀愁たっぷりのツインGが
絡みつく終盤の盛り上がりは
何度聴いても辛抱堪らんものがありますね。


DEATHBLOW (2016-08-20 09:15:25)

十数年来、抱え続けて来た謎が遂に氷解しました(笑)
ありがとうございます。


WRABIT - Wrough & Wready ★★★ (2016-08-20 09:12:06)

ツインG編成にKey奏者を含むカナダの6人組メロディアスHRバンドが、メジャーのMCA RECORDSに残した’81年発表のデビュー作。
未だに折を見ては読み返すBURRN!!誌の名企画『いにしえのメロディック・ロック』において、本作が「必聴盤」として別格扱いを受けていたのを切っ掛けに興味を持ち購入したわけですが、いやお世辞抜きに素晴らしい作品ですよ、これ。胸を打つ哀愁のメロディ、それを十全に引き立てる木目細やかなアレンジと美しいコーラス・ワーク、煌びやかなKey(オルガン)、それにハードロッキンなエッジがもたらす適度な緊張感を身に纏い、キャッチーに躍動するメロハー・サウンドは、聴く度に涙がちょちょ切れます。
特に、張りと透明感を併せ持つハイトーンVoと、伸びやかにハモる2本のGとが、美しくも切ない哀メロを「泣くがいい、声をあげて泣くがいい」とばかりにブッ込んで来る1曲目の“ANYWAY, ANYTIME”は、メロディ愛好家秒殺必至のバンドの代表曲です。
WRABITというバンドの魅力が集約されたこの名曲だけで、アルバム購入代金を回収した上にお釣りまで貰えそうな勢いの本作ですが、以降もポップに弾む③、甘やかなピアノ・バラード④、キリリと引き締まった緊迫感漂わす⑥、TOTOと比較されるのも納得な⑦、哀愁とハードネスのバランスが絶妙な⑨等、優れた楽曲の乱れ打ちで、これほどの作品が日本でしか正式CD化されておらず、しかも既に廃盤ってのは大きな損失である!と。
一刻も早いリマスター再発が望まれる名盤です。


PARADOX - Pangea - Alien Godz ★★★ (2016-08-18 23:23:28)

“RAPTOR”とタメを張るアルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
キャッチーと表現できそうな小気味良さで疾走するリズムの上で
チャーリーが歌うメロディもいつも以上にメロディック。
ガス・ドラックスが奏でる構築度高めのGソロと併せて
これまた「限りなくスラッシュ寄りの80年代ジャーマン・パワーメタル」
といった塩梅の逸品。


PARADOX - Pangea - Raptor ★★★ (2016-08-18 23:14:15)

金属質なGリフの刻みに、パワフルな疾走感、
愁いに満ちたメロディを歌い上げる硬派なVo…と
PARADOXの魅力全開な名曲。
これまで以上にメロディックな歌メロがもたらす
80年代ジャーマン・パワーメタル風味も
オツな味わい。


DUST BOLT - Mass Confusion - Exit ★★★ (2016-08-18 23:05:35)

儚く爪弾かれるアコギに続いて
ノーマル声で歌い上げるVoが入って来る様は完全にバラード。
中盤以降は全楽器が加わってダイナミックに盛り上がりますが
物悲し気な空気は最後までキープされています。
DUST BOLT史上最大の異色曲と言いつつも、
いやでも胸打たれずにはいられない逸品ですよ。


DUST BOLT - Mass Confusion - Mind the Gap ★★★ (2016-08-18 22:56:38)

陽気なアカペラ・コーラスで幕が開くイントロに
意表を突かれますが、確かな演奏力を活かして
パンキッシュな重心位置の高い疾走感を保持しつつ
曲展開はタテノリからヨコノリまで変幻自在。
ここぞ!というタイミングで炸裂するGソロも
楽曲を効果的に盛り上げてくれます。


GAME OVER - Crimes Against Reality ★★★ (2016-08-17 23:17:10)

マカロニ・スラッシャーの三作目(’16年発表)。ぼちぼち国内盤リリースがあるかも?と期待していたのですが、全くその兆候が見られないので仕方なく輸入盤を購入。日本じゃ早くもNWOTMブームが沈静化してしまった現状を突きつけられるようで世知辛い限り…。
という不景気な話はさておき。劇的なインスト曲①を枕にスタートする②と、その勢いを更に加速させる③という痛快なスラッシュ・ソングの連打を挨拶代わりに、エネルギッシュなシャウトVo、切れとフックを兼ね備えたリフ・ワーク~構築度高めのソロ・パートまで威勢よくこなすツインG、突っ込み気味に駆け巡るリズム隊etc.と、国内盤の発売は実現せずとも、研ぎ澄まされたGAME OVER流スラッシュ・サウンドには一点の曇りもなし!と。
尤も「ANOTHER DOSE OF THRAH!」とか歌ってた頃に比べると、バカバカしいまでのハジケっぷりや、Gリフのカッコ良さのみで一転突破を目論むような図々しさが薄れて来ており、それよりもシリアスさを増したアートワークにしろ、「聴かせる」姿勢を鮮明にした楽曲にしろ、全体の「完成度」で勝負を仕掛けてくるようになりました。これを成長と取るか、丸くなったと取るかが評価の分かれ目でありますが、断言出来るのは「質が高い」ということ。特に抒情的に始まり、聴き進むに従って速度を上げていく③や、エジプト神話の題材に相応しいミスティックなGワークが映える⑧といった楽曲は、デビュー当時よりバンドの根っこにあった正統派HMからの影響を、改めて全開にした逸品ではないかと。
個人的には全然「有り!」な1枚ですね。


PARADOX - Pangea ★★★ (2016-08-14 08:56:19)

嘗て、マイケル・シェンカーは「精神的に追い詰められた時の方が、生み出すメロディの輝きが増す」と実しやかに語られていましたが、その言を借りるならば、PARADOXのアルバムがどれも素晴らしいのは、やっぱりリーダーのチャーリー・シュタインハウアー(Vo、G)が不幸な目にばかり遭っているからでしょうか?同じドイツ人ですし…。
ってな与太話はともかく、数々の困難を乗り越えて(詳細については国内盤解説参照)リリースに漕ぎ着けた本7thアルバムは、これまでの作品同様強力な内容を誇っています。久々のコンセプト作だったり、新進気鋭のギリシャ人ギタリスト、ガス・ドラックスが新メンバーとして加わったりと、色々トピックもありますが、勇猛果敢な突撃ナンバー①の堂々たる出来栄えが宣言する通り、「PARADOX=チャーリー」の基本図式に一切のブレはなし。金属が擦り合わされるかの如き音色でソリッドに刻まれるGリフ、大馬力で疾走するリズム、硬派な哀愁背負ったメロディを武骨に歌い上げるVo…。荒ぶるパワー・サウンドに流麗な彩りを加えるガスのGプレイの素晴らしさについては、今更言及するまでもありません。
従来作に比べると、モダンな圧迫感を減じた代わりにメロディックなアプローチが試みられている印象で、(攻撃性や疾走感は保持しつつ)サビメロが雄々しくメロディアスに歌い上げられるタイプの楽曲は、HELLOWEEN登場以前の80年代独産パワーメタルに通じる味わい有り。中でも内なるメタル魂にポッと火を点される②⑨のカッコ良さは格別ですよ。
そろそろレコード会社におかれましては真剣に来日公演をご検討頂きたいところ。チャーリーの提案する「『HERESY』再現ライブ」とか、ナイス・アイデアだと思うんだけどなぁ。


DUST BOLT - Mass Confusion ★★★ (2016-08-13 08:41:00)

DUST BOLTも気が付けば本作で3作目('16年発表)。ちゃんと国内盤が発売され、かつて栄華を誇ったスラッシュ帝国ドイツの面目を保っています。
ハードコア/パンク由来の爆発力を有する①と、間髪入れずに畳み掛けるDUST BOLTらしさ全開の②が先制パンチをカマしてくる本編は、千切っては投げ、千切っては投げ…といった歯切れの良さで歌詞を投げつけて来るVo、切れ味鋭いカミソリGリフ、俊敏なフットワークを誇るリズムetc.をフィーチュアして、「せかせか疾走感する微塵も落ち着きのないスラッシュ・メタル」という大枠を今回もしっかりと維持しています。
一方で、Voが適宜にメロディを追う④や⑩辺りを聴けば分かる通り、これまで以上に歌メロやGソロがメロディアスに、曲展開には緩急を導入。特にVoがノーマル声でムーディに歌い上げる⑦なんてまるでバラードのよう…と書くと、「じゃあ聴くのやめようかな」と迷いが生じる硬派なスラッシャー諸兄がいらっしゃるかもしれませんが、どうしてどうして。この曲も愁いに満ちたメロディに胸打たれる逸品ですし(後半はへヴィにパワーUPする)、何よりも、アカペラ・コーラスによる人を食ったイントロ、腰の位置の高いパンキッシュな疾走感、トライバルなグルーヴ、そして劇的なタイミングで炸裂するGソロが一緒くたに突撃する⑥のような、新しい音楽的試みと従来からの持ち味が高いレベルで結実した、魅力的な楽曲の数々を聴かずに済ませてしまうなんて勿体なさ過ぎますよ!と。
一般的に「勝負作」とされる3作目のハードルも楽々と飛び越える力作ではないかと。


ACCUSER - The Conviction - Down by Law ★★★ (2016-08-12 08:36:42)

「ダウン!ダウン!ダウンバイロウ!」と叫び倒すVoの金属質な
濁声シャウトと、サビメロにうっすら被さる「オーオーオー🎵」という
野郎コーラス、そしてドラマティックなイントロから緩急を盛り込んだ
マッチョな曲展開まで、ACCEPTからの影響が濃厚に匂い立つ
初期ACCUSERならではのパワー・メタリックな名曲。


ACCUSER - The Conviction ★★★ (2016-08-10 23:07:24)

現在も元気に活動中のドイツのベテラン・スラッシャー、ACCUSERが’87年にATOM H RECORDSから発表した記念すべきデビュー作。
80年代の彼らは作を重ねる毎に大作主義に磨きを掛けて、よりテクニカルな方向へ突き進んで行きましたが、この1stの時点ではまだ前身のBREAKER時代に演っていた、ACCEPTをハチャメチャにしたようなパワー・メタル路線の残滓を明瞭に聴き取ることができます。金属質な濁声シャウトがウド・ダークシュナイダー的なVoと、MG42機関銃の連射を思わす破壊力満点のリフ&リズムによる波状攻撃は、ライブの重要なレパートリーとして君臨することとなる代表曲②を始め、馬力にモノ言わせて突進する独産スラッシャーらしい、豪快なドカスカ感と特攻精神に満ち溢れていて、弥が上にもテンションが上がる上がる。
とは言え、ジャーマン・スラッシュ三羽鴉のように極悪ブラック・メタル・バンドとしてスタートを切り、徐々に整合性を獲得していったタイプではなく、ACCUSERがお手本にしたのはMETALLICAやTESTAMENTといったアメリカ勢(多分)。なのでアコギを用いて緩急を演出したり、7~10分台の大作にもチャレンジする等、楽曲をカッチリとまとめ上げる手腕が早くも発揮されています。特に「スラッシュ化したACCEPT」といった趣きの③は、勇壮なコーラス・ワークに思わずメタルの血が滾る名曲。あと10分以上に及ぶバンドのテーマ曲⑤も、ちょいダレますけどチャレンジ精神は大いに買えるのではないかと。
時々元ネタが透けて見えちゃったりする辺りがまだまだ微笑ましいものの、「この頃の彼らの方が好きだった」と表明するファンの気持ちも分かる気がする、愛すべき1枚。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - High 'N' Dry ★★★ (2016-08-08 23:43:29)

タイトルがDEF LEPPARDっぽいですが、洗練を感じさせる
楽曲自体も相当にDEF LEPPARDを意識していそうな仕上がり。
初期のような尖がり感は皆無ですが、キャッチーなメロディから
よく歌うG、メロディアスに歌い上げるVoまで
実に心地よく浸れる哀愁のハードポップ・チューン。
これははこれで十分魅力的です。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - Going Under ★★★ (2016-08-08 23:39:05)

初めて聴いた時は、初期GIRLSSCHOOLしか知らなかった身ゆえ
シンセによるイントロと、哀愁に満ちたメロディを
リラックスして歌い上げるケリー・ジョンソンのVoに
「?!」となってしまいましたね。
が、リピート再生しているうちに、じわじわ「聴かせる」楽曲自体の
魅力が浸透。今じゃ星三つ級の大好きぶりですよ。


GIRLSCHOOL - Play Dirty ★★★ (2016-08-07 09:04:05)

ケリー・ジョンソン(G)在籍時代、最後の作品となった’83年発表の4thアルバム。
GIRLSCHOOLと言えば「MOTORHEADの妹分」との評判と、それを裏付けるかの如き破天荒でパンキッシュな初期作のサウンドが強烈なインパクトを放っていたので、初めて本作を聴いた時は、のっけから大胆にKeyを取り入れてハーモニーも増量。ミッドテンポの楽曲を中心に、DEF LEPPARDばりに洗練された小奇麗なアレンジを身に纏うポップでメロディアスなサウンドの変化にビックリ仰天。思わず「マジっすか?」とジャケットで睨みを効かせる姐さん方の顔を二度見してしまいましたよ。まるで工業高校のスケ番が、女子高への転校を切っ掛けにしれっと普通の女の子デビューを飾ったのを目撃してしまった気分というか…。いや、勿論⑤や⑩のような疾走ナンバーも収められてはいるのですが、どっちも「アグレッシブ」というよりは「軽快」という表現の方がしっくりと来る塩梅で。
しかし初聴の衝撃から立ち直れば、後はケリーが伸びやかな歌唱を披露する①、哀愁湛えたGがよく歌う②⑦、アリーナ・ロック的キャッチネスが備わった③…と言った具合に、ガンガンズイズイと楽曲の出来の良さが沁み込んできます。T-REXのカヴァー④も楽しい仕上がりですし、高水準を維持した収録曲に捨て曲/埋め曲の類は見当たりません。
発表当時はセールス/批評両面において失敗作の烙印を押された1枚なれど、今聴けばメンバーが「気に入っている作品」と胸を張る理由も、アメリカ市場で健闘したという話も納得出来るというもの。GIRLSCHOOLがこれを演るか…という気持ちは良く分かるのですが、「悔しい、でも素晴らしい!」(ビクンビクン)な1枚。


QUIET RIOT - Metal Health - Thunderbird ★★★ (2016-08-06 09:14:01)

性格的に色々問題が多かったとされ、その最期も非常に寂しいものだった
ケヴィン・ダブロウですが、だからこそ、元メンバーの故ランディ・ローズに
優しく、切々と語りかけるように歌う、この抒情バラードにおける
素晴らしい熱唱は逆に胸を打ちます。