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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2101-2200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2101-2200

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SACRED RITE - Is Nothing Sacred? - As It Was Told ★★★ (2017-03-28 23:14:35)

前曲“THE LAST RITES”から組曲形式で繋がる
アルバムのラスト・ナンバー。
全編に物悲しいメロディが溢れ、
それを力むことなく、エモーションを伝えることを優先して
切々と歌い上げるシンガーの歌唱力に聞き惚れてしまいます。
勿論、ドラマティックな楽曲自体も文句なしの出来栄え。


SACRED RITE - Is Nothing Sacred? ★★★ (2017-03-28 23:06:55)

SACRED RITEが'86年に発表し、残念ながら最終作となってしまった3rdアルバム。(御多聞に漏れず後に再結成しますけどね)
マイケル・ウィーラン画伯の『DESTROYING ANGEL』を採用したアートワークの美麗さは、デビュー作『SACRED RITE』のクサレたイラストとは天と地ほどのレベル差で、音質の方も随分と向上しています。しかしその反面、クリーンに整頓された音作りのもと繰り出される1曲目は、大仰な雰囲気の薄れた平凡なアメリカンHMナンバー…。前2作のセールス的不振を受けて彼らもとうとう路線変更か?と、初めて聴いた時は立ち上がり早々にガックリ来た記憶あり。
でもそれはこっちの早合点だったという。2曲目の途中辺りから徐々にメロディの湿度と曲展開のドラマ性が高まり始め、シームレスに繋がる⑦⑧で本編がクライマックスを迎える頃には、その哀愁に満ちたドラマティックなHMサウンドぶりに「やっぱSACRED RITEは最高だゼ!」と、ガッツポーズを決めているという塩梅。
ただ、全体的にはヘヴィ・メタリックな荒々しさや疾走感、派手なテクニックの応酬といった要素が抑え気味なのは間違いありません。THE BEATLESの名曲“ELEANOR RIGBY”のカヴァーにも挑戦する等、今回は確かな歌唱力を有するVoを中心に、じっくりとメロディを聴かせる姿勢を全面展開。特にリード楽器の役割も果たすBを始めとする楽器陣が、ムーディな演奏で歌の引き立て役に徹する③⑧の儚く美しい哀メロは絶品ですよ。
聴き終えてみれば、決して前2作にも聴き劣りしない充実作でありました。


SACRED RITE - Sacred Rite - Wings Of Pegasus ★★★ (2017-03-27 23:27:13)

疾走するGとBがスリリングにシンクロしながら
上へ上へと駆け上がっていく様が、
まさしく天翔けるペガサスの如し。
この曲でイメージ膨らませてからジャケット見ると
膝の力が抜けること請け合いですが。
朗々と歌うVoも楽曲の飛翔感に拍車を掛けてくれています。


SACRED RITE - Sacred Rite ★★★ (2017-03-27 23:12:35)

ハワイのHR/HMシーンを語る上で、マーティ・フリードマンやゲイリー・セント・ピアーが在籍していたHAWAIIと共に欠かすことの出来ない存在だったのが、ホノルル出身のこのSACRED RITE。本作は彼らが’85年に自主製作した1stアルバム。後にAXE KILLER RECORDSとのディストリビュートを得て出し直されるのですが、その際にはジャケット・デザインが変更されていて、これが鼻水吹くぐらい酷い代物。名曲“WINGS OF PEGAZUS”をイメージしたイラストを胸ワクで期待していたメンバーが、レーベルが用意したアレを見てしまった時の絶望感と来たら想像するだけで落涙を禁じ得ませんて。
しかし内容の素晴らしさは、ジャケットの酷さとは天と地ほどの開きが有りますよ。ドライヴしまくるピーター・クレーンの音数多めのBプレイを中心に、テクニカルに羽ばたくツインG、伸びやかな歌声で憂いを湛えたメロディを力強く歌い上げるVoとが、スリリングに絡み合いながら疾走するサウンドは、まだ十代の若きメンバー達が作ったとは俄かに信じ難いクオリティです。当時「ハワイのIRON MAIDEN」なんて異名を取ったのは、(音楽性の類似と共に)実力の高さも評価されたからこそかと。
最悪なのはジャケだけでなく音質も同様なれど、まさに天翔る白馬の如く疾走するOPナンバー①、勇壮にギャロップする④、各楽器の見せ場を盛り込みつつ次々に展開していく⑤、楽器陣のテクニカリティのみならずVoの上手さも際立つ劇的な⑥、弾き倒すGと共に突っ走ってラストを〆る⑦といった楽曲が放つ輝きがくすむことはありません。
IRON MAIDENは勿論、CRIMSON GLORYやLEATHERWOLF好きにもお薦めな1枚。


VETO - Carthago - Carthago ★★★ (2017-03-26 09:35:53)

エキゾチックな旋律に導かれて行進を開始。
重厚な曲調、雄々しいコーラス、7分近い長尺等、
ムキムキマッチョ戦士が闘志むき出しのアートワークの
そのままノリに反映させたかのようなエピック・メタル・ソング。
(実は本編においては例外的な存在だったりするのですが)
少々線の細いシンガーも、ここでは頑張って血管浮かび上がらせるような
熱唱を披露。楽曲を劇的に盛り上げることに貢献してくれていますよ。


VETO - Carthago ★★ (2017-03-26 09:19:40)

ずっと「ベト」「ベト」呼んでいましたが、そうか。読み方は「ヴィート」でしたか…という、西ドイツ(当時)出身の5人組が’88年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
表題が『カルタゴ』で、まるで『蛮勇コナン』の世界から抜け出してきたようなマッチョ戦士が歯茎剥き出しで迫り来るアートワーク、そして裏ジャケ記載の出鱈目な日本語解説《またそうしてこの世界帝国が消えてしーた》…。バブルとは百万光年ぐらい無縁のこれら時代錯誤な要素の数々だけで、カルトなHMサウンドへの期待に胸が高鳴るってもんですよ。
ところがどっこい。実際に作品を再生してみるとOPを飾る①はタイトなメロディック・ロック。その後に続くのがサビメロの明快な展開がHELLOWEENを彷彿とさせる疾走曲②で、③は哀愁のミッド・チューン…といった具合に、その音楽性は案外スマートで柔軟性に富む。Gはピロピロと弾きまくっていますし、Voも時折声が引っ繰り返りそうになる危うさはありつつも、要所で堂々たる歌いっぷりを披露していて侮れません。特にエキゾチックな雰囲気を湛えつつ、7分以上の長尺をムキムキ且つドラマティックに物語っていく④は、こっちの期待と楽曲の方向性が見事に合致したエピック・メタルの名曲。
SCORPIONS~ACCEPT~HELLOWEENというジャーマン・メタル・シーンの音楽的変遷をフォローするかのような収録楽曲は、これはこれで手堅く聴き応えも十分。もう少し大きなレーベルに所属出来て、薄っぺらい音質を向上させて、音楽性とパッケージの乖離をどうにかしていれば(課題多過ぎだろ)ブレイクも夢ではなかった…かも?でもこのチグハグさが一部マニアからカルト的人気を獲得するに至った理由なのかもしれません。


OVERKILL - Fuck You and Then Some - Fuck You ★★★ (2017-03-25 09:41:42)

完全にOVERKILLのオリジナル・ソングのような馴染みっぷり。
世界中のライブ会場で「ファッキュー」の大合唱を巻き起こしてきた
バンドの代表曲。最新作『THE GRINDING WHEEL』('17年)に付属する
ボーナスDVDでは、日本のファンの「ファッキュー!」大合唱も聴けますよ。


BATTLE BEAST - Bringer of pain ★★★ (2017-03-25 09:10:45)

創設メンバーのアントン・カバネン(G)が解雇され、看板シンガー、ノーラ・ロウヒモ(Vo)を中心とする新体制でレコーディング作業が進められた、17年発表の4thアルバム。
バンドの主導権がノーラ嬢へと移ったことで、音楽性についても変化が生じています。「Keyによる派手な装飾の施された、勇ましくもキャッチーな正統派HM」という基本路線は継承しつつも、これまで以上に「歌」に比重を置くようになったサウンドは、よりモダンでメロディックな方向へ軌道修正。丁度、WARLOCKがDOROと改名した時のような…って、あんまし適当な例えじゃないか。
アレンジにおけるKeyの重用、ダンサブルなビートの多用、Voの引き立て役に徹する楽器陣、メタル版ABBAみたいな⑤⑨や、男性Voとのデュエットを盛り込むゴシック・メタル調の⑥を演る一方で、「これぞBATTLE BEAST!」という重厚&劇的な⑪を敢えてボートラ扱いしているのも、新たな方向性に対するバンド側の決意表明のように感じられます。
とは言え、それはそれとして、コブシを振り上げる疾走ナンバー②におけるパワフルなシャウトから、愁いを湛えて駆け抜ける④や美しいバラード⑩で聴かせてくれる澄んだ歌声まで、ノーラ嬢のフレキシブルなVoを前面に押し出した楽曲の完成度の高さはお見事ですよ。当初は「メイン・ソングライターを欠いた状態では、ロクでもない代物になってしまうのでは…」との危惧を覚えたりもしましたが、とりあえず杞憂に終わってくれて一安心。
恐らく評価が割れる作品ではないかと予想しますが、個人的には悩みを吹っ切って伸び伸び作られた感じの本作の方が、前作よりお気に入り度は高めです。ただ、次はどうなる?


OVERKILL - Fuck You and Then Some ★★★ (2017-03-24 00:51:57)

中指おっ立てる最低で最高なタイトル&ジャケットを前に、北島康介ばりに「なんも言えねぇ…」状態になってしまう、OVERKILL、’87年発表の5曲入りEP。
彼らのルーツ(の一つ)であるパンク・バンドSUBHUMANSのカヴァーにして、毎度「ファック・ユー!」のコール&レスポンスでコンサートのクライマックスを盛り上げるEP表題曲①の他、クリーブランドで録られたライブ音源4曲を収録。そんな本作は、先日購読した『スラッシュ・メタルの真実』のブリッツのインタビューによれば、ツアーを通じて親交を深めたMEGADETHのデイヴ・ムスティンが移動式スタジオを「好きに使っていいよ」と無償提供してくれたお陰で制作できたという。あの尖りまくってたイメージの80年代の大佐が…と、当時のスラッシュ・シーンの連帯ぶりにちょっとグッとくるエピソード。
尚、現在は上記5曲以降に未発表ライブ3曲と、OVERKILLの自主製作デビューEP収録の4曲を加えた『FUCK YOU AND THEN SOME』仕様で入手が可能。特にレア盤と化していた後者を聴けるのは大変ありがたい。音質は芳しくなく、そのサウンドは未だスラッシュというよりは硬派なパワー・メタルなれど、狂笑の似合うブリッツの金属Voも、タフなNYのストリートで鍛え上げられた鋼の如き強靭さも既に健在。ついでに4曲中3曲は後々アルバムでリメイクされることになるのですが、唯一選に漏れた“THE ANSWER”がこれまた名曲で、BLACK SABBATHばりのヘヴィネスが横溢する前半から、IRON MAIDEN風の勇壮な疾走へと転じる曲展開が「やっぱOVERKILLは昔っから凄かったんや!」とガッツポーズ決めたくなるカッコ良さ。ファンなら必携の1枚ですよ。


POSSESSED - Seven Churches - Death Metal ★★★ (2017-03-22 23:15:54)

ONSLAUGHTの“DEATH METAL”と双璧をなす名曲。いや冥曲?
下水を吐き戻しているみたいなグロウルVoに
低音域を、刻むというより「蠢く」単音Gリフなど、
初めて聴いた時は「ひえぇ、悪魔のノイズじゃあぁ」
以外の何者でもありませんでしたが、
時間を経て聴き直すと、′85年の時点で後のデス・メタル・スタイルを
ほぼ先取りしてしまっていたことに驚かされます。


POSSESSED - Seven Churches ★★★ (2017-03-22 23:03:17)

METAL BLADEのコンピ盤『METAL MASSACRE Ⅳ』に“SWING OF THE AXE”を提供してHR/HMシーンに打って出たサンフランシスコの5人組スラッシャー。このデビュー作発表当時(’85年)、メンバーがまだ高校生の若さだったことでも注目を集めました。
映画『エクソシスト』のテーマ曲“TUBULAR BELLS”の美しく静謐な余韻を、初期SLAYERを一層サタニック且つアングラ化させたような“PENTAGRAM”が暴力的に引き裂いて本編はスタート。その大半をスピード・ナンバーが占める割に、スラッシュ・メタル特有のスカッと走り抜ける爽快感は薄めで、それよりも強く印象に刻まれるのは、べたーっと張り付いてくるようなジメジメとした不快感。Voにしろ楽器陣にしろ、めいめいが好き勝手自己主張しまくって崩壊寸前のまま(でもギリギリ踏み止まっている)、ぐしゃっと押し寄せる土砂崩れサウンドが一種異様な迫力を生み出していて、ハマるとクセになるという。
篭り気味の劣悪なプロダクション、喉を潰した吐き捨てグロウルVo、低音域で蠢くGリフ、キレの悪さがズルズルとした粘着感を生じさせているリズム、その上でジョー・サトリアーニ門下生のGチームが流麗に舞わせるテクニカルなツイン・リード、そして何より本編ラストを禍々しく突進する楽曲のタイトルがそのまんま“DEATH METAL”だったりと、諸所の要素が奇跡的に融合することで、「元祖デス・メタル・アルバム」と評されることとなった本作から立ち昇る、狙っては作れない天然モノのオーラが愛しい。
逆さ十字架の掲げられたアートワーク、裏ジャケで厄いオーラを放つメンバーの武装っぷりといった出で立ちの過激さに、内容面でも一歩を引けを取らない1枚ではないかと。


VIO-LENCE - Oppressing the Masses - Torture Tactics ★★★ (2017-03-21 23:59:27)

日本盤では2ndの5曲目に収録されていましたが、
拷問について歌った歌詞が検閲に引っ掛かり海外盤ではカット。
後にEPとしてリリースし直されるという経緯を辿ったことで、
「VIO-LENCE=やばいバンド」とのイメージを決定付けた発禁ソング。
そうした二次情報がなくとも、十分にカッコ良さの伝わる
スラッシュ・ナンバーなんですけどね。


VIO-LENCE - Eternal Nightmare ★★★ (2017-03-21 22:02:45)

現MACHINE HEAD、ロブ・フリンとフィル・ディメルのGコンビが在籍していたサンフランシスコ出身の5人組が、MCA傘下のメタル専門レーベルMECHANIC第1弾アーティストとして'88年に発表した1stアルバム。邦題は『悪夢』。(ジャケが秀逸っすな)
アメリカのスラッシュ・メタル第1世代のデビュー作の多くには「NWOBHMの洗礼を受けた過激な正統派HM」という体のサウンドが封じ込まれていましたが、対して彼らに影響を受けて活動をスタートさせた第2世代以降のバンドの場合は、デビュー作からして完全にスラッシュ・メタル路線に焦点が定まっていて、何なら1stアルバムが最も強力にスラッシュしている連中が殆どじゃね?ぐらいのもので。
そういう意味では、ショーン・キリアンの熱に浮かされたようなハイピッチVo、音数を詰め込んでせかせか疾走する焦燥感溢れるリズム、そして鼓膜をジャキジャキと切り裂くエッジの立ちまくった「これぞベイエリア・クランチ」な音色で刻まれるGリフが託されたこのVIO-LENCEのデビュー作は、まさしく第2世代スラッシャーの教科書と言うべき仕上がりではないかと。
6分越えの長尺を暴れ回るツインG主導でテンション高く突っ走る①、轟砲一発、一気呵成に畳み掛ける②から、加速度的にクレイジーネスが高まっていく様が最高な⑥を経て、緩急を盛り込みつつラストスパートをぶちかます⑦まで、全7曲、収録時間はタイトに絞り込んで30分台。荒々しくもどこかキャッチーなギャング・コーラスがもたらす体育会系的ノリの良さをも伴った、獰猛にして爽快なスラッシュ・メタル・アルバムの力作です。


INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing - The Martyr ★★★ (2017-03-20 22:37:06)

ヨーロピアンな湿り気を漂わせていた前作に比べると、
ニュースのナレーションをSEに付け加えるモダンなアレンジから、
湿度の下がった音作り、山あり谷ありの展開を盛り込みつつ
Gリフ主導で突っ走る曲調まで、より明快にベイエリア・スラッシュ路線への
傾倒が感じられるアルバムのOPナンバー。
いやでも十分カッコイイんですよ、これが。


INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing - Mr. Death ★★★ (2017-03-20 22:28:19)

メロディアスに歌えるVoと、ギャング・コーラスの
抜群にテンポの良い掛け合いにアガらずにはいられない
アルバムのラスト・ナンバー。
猛然と弾きまくるGも鮮烈な印象を残します。


INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing ★★★ (2017-03-20 22:22:22)

ドラマーのジョン・ピエローニを中心に、テネシー州にて結成されたパワー/スラッシュ・メタル・バンドが’89年に発表した2ndアルバム。1st『LIVE TO DIE』の好評を受けてこちらは日本盤のリリースも実現しています。(でももう廃盤という)
本作からサイドGを加えて5人編成に移行。また新たにMETAL BLADEと契約を結ぶ等、バンドに訪れた環境の変化は音楽性の方にも伝播。具体的に言うと、まずレコーディング・パジェットが増えたことで音質が改善。更に全編を貫く畳み掛ける疾走感はそのままに、よりテクニカルなアプローチが試みられた楽曲は、Gリフ重視、ギャング・コーラスの増量等、一層スラッシュ・メタル色を強めた仕上がりに。近未来の毒ガス戦争に警鐘を鳴らすアートワークや、ノーベル賞受賞科学者フリッツ・ヘイバーの言葉をインナースリーブに引用したりする社会派カラーの鮮明さも、この時期のスラッシャーらしいところです。
パワー、スピード、それに次々重ねられていくGリフのアイデアと、いずれの要素も及第点を軽くクリア。その一方で、嘗てはデビュー作に比べると卒なくまとまり過ぎて、パンチに欠けるように感じられたものですが、殆ど十年ぶりぐらいで聴き直したら、みるみる印象が急上昇しましてね。しっかりとメロディを追うVoを活かした劇的な④⑩、テンション高く弾きまくるツインGを擁しスピーディに突き進む②③、アグレッシブ且つキャッチーな⑧等、終始緊張感を高いラインで保ったまま走り抜ける力作じゃねえか!と。
敢えて気になる点を挙げさせて貰えるならば、複雑精緻化した楽曲にドラマーの腕前が追っ付かなくなってる場面が散見され、MONKEESのカヴァー⑤で嬉々としてリードVoを取ってる場合じゃないだろうと、君は。(カヴァーの出来はユニークで◎なのですが)


KREATOR - Gods of Violence - Gods of Violence ★★★ (2017-03-20 00:08:24)

KREATORらしいダークネスと疾走感は保ちつつ、
コーラスは今後ライブで披露されれば間違いなく
会場が大合唱で包まれるであろうACCEPT的な
アンセム感を有していて、そう思って聴くと
ミレのVoがウドっぽく響いて来るというね。


KREATOR - Gods of Violence - World War Now ★★★ (2017-03-19 23:56:24)

荘厳な序曲を前振りにして激烈な疾走を開始。
中間部にはACCEPTばりに会場を揺らしそうな
アンセミックなパートを組み込んで…と、
作りとしては前作収録のOPナンバー
“PHANTOM ANTICHRIST”とほぼ同じなのですが
これほど上手く演られては文句の付けようがないという。


KREATOR - Gods of Violence - Totalitarian Terror ★★★ (2017-03-19 23:51:37)

ミレは勿論のこと、ヴェンダーさんが
もう笑ってしまうぐらい元気溌剌。
その猛烈なマシンガン・ドラムに支えられ
激烈でありつつキャッチー、更にツインGのハーモニーは劇的という
アルバムのハイライト的名曲に仕上がっております。


KREATOR - Gods of Violence ★★★ (2017-03-19 23:37:22)

’17年発表の新作アルバム。鼓膜に突き立つ鋭利なGリフとミレのシャウトが、ヨーロピアンな暗黒美迸るメロディを纏いササクレて疾走するという、今世紀に入って再度確立されたKREATOR流スラッシュ・サウンドは本作においても揺るぎなく屹立しています。荘厳な序曲を前触れに炸裂する、禍々しさとエピカルなドラマ性を併せ持つ突撃スラッシュ・ナンバー②を聴いただけで、こちとら「よし。勝った!」と確信しましたよ。
そして今回、KREATORは更なるメロディの増強にも着手。聴き手をただ暴れさせるのではなく、ライブにおいてシンガロングを誘発するような、アンセミックなコーラスや曲構成も仕込まれた収録曲の数々からは、バンドのルーツたる「独産パワー・メタル」の色合いが一層強く感じられるようになりました。無論、明朗快活なメロパワ/メロスピ系とは趣きを異するものの、旋律や音程の流れがそこはかとなくでも聴き取れるミレの激情Voが、時折ウド・ダークシュナイダーっぽく響くこともあり、ライブ会場で観客の大合唱や無数の腕が突き上げられる光景が目に浮かぶ③⑤⑦⑨辺りを聴いていると、謹んで「フォースの暗黒面に堕ちたACCEPT」との形容詞を進呈する次第。(褒め言葉として)
スラッシャーの期待にきっちり応えるアグレッシブ&キャッチーな④、切れ味鋭い⑥、ツインG主導で速度を上げていく⑧といったカミソリの如きスピード・ナンバーから、緩と急、美と醜を飲み込んでドラマティックに本編を締め括る大作曲⑪に至るまで、彼らのスタジオ・アルバムの連勝記録がまた一つ積み上がったことを確信する逸曲が揃った充実作。「KREATORっておっかなそうで聴いたことない」という方にもお薦めですよ。


OVERKILL - The Grinding Wheel - The Grinding Wheel ★★★ (2017-03-17 23:32:25)

重厚な曲調に、8分に及ばんとする長尺、山あり谷ありの曲展開、
朗々とメロディアスに歌うブリッツの熱唱…と、アルバムの中でも
一際エピカルな方向に振られた大作ナンバー。
それでいてクサ味や大仰さを然程感じないのは
リード楽器の役割を果たすD.D.のベースが楽曲全体をマッシヴに
引き締めてくれているからでしょうか。


OVERKILL - The Grinding Wheel - Our Finest Hour ★★★ (2017-03-17 23:26:39)

鋼鉄の塊をガンガン投げつけられているような感覚に陥る
まさにOVERKILLの流儀に則ったパワー/スラッシュ・ナンバーの逸品。
クライマックスで切っ先鋭く、メロディックに切り込んで来る
ツインGにテンションのアガらないメタル者がいるでしょうか?
いやいない(反語)


OVERKILL - The Grinding Wheel - The Long Road ★★★ (2017-03-17 23:23:12)

唯一無二のブリッツの金属Vo
冒頭のインスト・セクションからメロディックに大活躍のG、
ストンピーなリズム隊とが、鋼鉄の塊となって突き進む勇壮な名曲。
聴いていたら、なぜだかブルース・ディッキンソンのソロ時代の逸品
“ROAD TO HELL”のことを思い出してしまいましたよ。


OVERKILL - The Grinding Wheel ★★★ (2017-03-16 23:24:14)

まず結論から述べさせて貰うと、当たりです。大当たりです。
多彩なアイデアを盛り込んで畳み掛ける、ドラマティックな大作曲①⑩により本編がサンドイッチされているOVERKILLの新作は、ボビー“ブリッツ”エルズワースの「(今作は)エピカルな出来栄え」発言を裏付ける仕上がり。ややラフな方向に振られていた前作に比べると、へヴィ・メタリックな重厚感や整合性が高められると共に、メロディへの拘りも強く打ち出されていて、特にVoと2本のGが勇壮且つタイトに突っ走る⑤は、そうしたバンドの新たな試みが結実した名曲ではないかと。
それでいて、メロディが増量されても作品全体に甘口な感触や手緩さは皆無。皮肉げなハイピッチVo、筋骨隆々なリードB、時に重厚に時にメロディックに炸裂するツインG、一流ボクサーのワン・ツーばりの切れ味で放たれるDsという、各パーツが寸分の無駄も狂いもなく組み合わされることで、どんな衝撃にもビクともしない鋼の如き強靭さを獲得したパワー・サウンドはOVERKILL以外の何者でもありません。しかもそれをアンディ・スニープが肉厚で高密度な音作りで援護射撃するのですから、もう鬼に金棒という。
劇的に疾走するツインGのカッコ良さが辛抱堪らん③や、ストレートにぶっ飛ばす⑧⑨、素手でガンガンぶん殴られているような錯覚に陥るパンキッシュな②⑥、更にはドハマりしているIRON MAIDENの名曲“SANCTUARY”のカヴァー⑫(ボートラ)etc.…。ソリッド且つハイテンション、それでいてキャッチーに鍛え上げられた収録曲の数々を聴く度に、OVERKILLのカタログにまた新たな傑作が1枚加わったことをお祝いしたくなりますよ。


RAINBOW - Monsters of Rock - Live at Donington 1980 ★★★ (2017-03-15 23:00:55)

英国がNWOBHMに沸いた’80年。ドニントン・パークにて開催された第1回MONSTERS OF ROCKでヘッドライナーを務めたRAINBOWのライブの模様を収録する実況録音盤。(実際は順序が逆で、そもそもRAINBOWがトリを飾るに相応しいHMフェスとして考案されたのがMONSTERS OF ROCKだった…と後で教えて貰った時は結構驚きましたね)
この時のメンバーは、リッチー・ブラックモア以下、グラハム・ボネット、コージー・パウエル、ロジャー・グローヴァー、ドン・エイリーという4th『DOWN TO EARTH』発表時の面々。個人的にRAINBOW史上最も愛して止まないこのクセの強いラインナップが、次々に名曲/名演を繰り出しながら、ステージ上でハイテンションに鎬を削り合う様を、聴き過ぎてヨレヨレになってしまったカセットテープ・クオリティではなく、公式にデジタル・リマスターされたパッキリと鮮明な音質で楽しめるこの幸せ。
特に、歌の最中で吹き出すわ、口笛を合唱させようとするわ(無茶振りにちゃんと応える観客が偉い)と、グラハムが絶好調。その勢いは時にリッチー御大すら食わんとする勢いで、歌唱自体は結構粗いのですが、その「勢いあり余ってる」感こそがやっさんの真骨頂。彼の歌う“STARGAZER”を始めとするロニー時代の名曲が聴けるのも超貴重ですし、何より本ライブを最後に脱退が確定していた盟友コージー渾身のドラム・ソロ終演後に炸裂する、万感の思い迸る3度の「コージー・パウエル!」コール(君どんだけコージーのこと好きやねんと)。ファンの間で伝説として語り継がれるこのグッとくる名場面を聴くためだけにでも、本作は絶対に購入すべき1枚であると。


VARDIS - The World’s Insane ★★ (2017-03-13 23:26:23)

STANPEDEやAⅡZ、もしくはCHINAWHITEよろしくライブ・レコーディングされていたデビュー・アルバムに対し、今回はちゃんとスタジオにて制作作業が行われている、VARDIS、’81年発表の2ndアルバム。
そのため、まとまりの良さや聴き易さに関しちゃ断然こちらの方が上です。また曲によってはゴキゲンに踊るピアノ、ハーモニカ、バグパイプを導入。更にはHAWKWINDの“SILVER MACHINE”のカヴァーにもチャレンジする等、バンドの旺盛な創作意欲を誰憚ることなく全開に出来たのも、スタジオにてレコーディング作業が行われたからこそ。
反面、NWOBHMの括りにスッポリと収まった前作に充満していた、プロト・スピード/スラッシュ・メタル的とも言える破天荒な勢いや炸裂感はだいぶ薄れました。そこんところに大いなる魅力を感じていた身には少々勿体ないなぁと。
それでも、ツアーに同行したMOTORHEADに多大なる薫陶を受けたことで全編に亘って貫かれたノリノリの疾走感と、相変わらず弾きまくりのスティーヴ・ゾディアックのGプレイは楽曲のテンションをグンと引き締めてくれていて、作品の完成度は間違いなく高め。強烈なタテノリOPナンバー①や、アイリッシュ・フレーバーも薫る⑥といった楽曲を筆頭とする、「メタル・ロックンロール」の数々には問答無用で体が動き出してしまいますよ。
正直なところ、今時のHR/HMリスナーにこの手のサウンドがどれだけアピールするかは未知数ですが、少なくとも前作が気に入った方ならトライする価値は十分ある1枚ではないかと。せっかく国内盤がリマスター再発されたことですし。


VARDIS - 100 M.p.h. - Let's Go ★★★ (2017-03-12 23:18:05)

疾走するリズム、荒れ狂うギター、
Voの「レッツゴー!」のシャウトを聴いてるだけで
もうじっとしていられない。
長髪を振り乱して熱演繰り広げるスティーヴ・ゾディアックの
立ち姿も無茶苦茶クール。
英国チャートでも最高50位台まで上昇したのだとか。


VARDIS - 100 M.p.h. ★★★ (2017-03-12 09:35:41)

’80年にLOGO RECORDSから発表した1stフル・アルバム兼ライブ・アルバム。本作がその両者を兼ねている理由として、ライナーには《彼らの本質的な魅力はライブ・パフォーマンスにて発揮されるから》と書かれています。若い頃なら「なるほど!理に適ってる!」と目をキラキラさせながら納得したでしょうが、すっかりスレたオッサンと化した今では「ハイハイ、所属レーベルが制作費ケチったのな」と死んだ魚の目をして呟くエブリデイ。
しかし。最早ハードブギーというより「ブギー・メタル」と評すべき音の託された今作に限って言えば、このアイデアがドンピシャ。気の利いたメロディや曲構成の妙を聴かせるようなタイプじゃなく、オヤジ声のVo、ハイエナジーなG、ガンガンにドライヴしまくるB&Dsが一丸となって、文字通り『時速100マイル』でカッ飛ばすサウンドには、一発録りゆえの生々しい迫力と火傷しそうな熱気がダイレクトに刻まれた「ライブ」という場が実によく似合う。ジャケットに掲げられた《オーバーダビング一切なし》の文言は伊達じゃねぇと。
NWOBHMでブギーといえばリバプールのSPIDERも忘れられませんが、キャッチーなメロディ・センスにも長けていた彼らに比べると、こっちはもっとラフでスピーディ。NWOBHM史に名を遺す名曲は見当たらなくとも、つんのめり気味に突っ走る①やオーディエンスの反応が熱い②、英国チャートでも健闘した⑧、リフにリードにGの暴れっぷりが痛快な⑨、デビュー・シングルの代表曲⑪等から迸る、「プロト・スピード/スラッシュ・メタル」的とも言えるエナジーには問答無用でメタル魂が燃え上がります。知名度では後れを取っても、爆発力ではRAVENやTANKの諸作にだって一歩も引けを取らない力作。


VARDIS (2017-03-12 09:34:20)

Vo兼Gのスティーヴ・ゾディアックにより結成された、英国はウェスト・ヨークシャー州ウェイクフィールド出身のトリオ・バンド。
コンピ盤『NEW ELECTRIC WARRIORS』への参加や、EP、シングルの自費出版、そして何よりライブ活動で名を挙げた後、LOGO RECORDSと契約を交わし1st『100 M.P.H.』で’80年にデビュー。ハードブギーを基盤に、そこにNWOBHM然としたスピード感やアグレッションを加味したサウンドで人気を集めた。
徐々に音楽性を拡散させながら80年代に数枚のスタジオ・アルバムを残して解散。近年は再結成を果たして新作『RED EYE』を発表。確か去年の暮れぐらいに来日公演のニュースもアナウンスされていたと思うが、結局行われなかった模様。キャンセルされたのかな?


SAMSON - Head On - Hammerhead ★★★ (2017-03-11 10:16:22)

メインのGリフはどことなくJUDAS PRIESTの
“BREAKING THE LAW”を彷彿。
やたらと手数の多いサンダースティックのドラミング
(人によってはしゃしゃり過ぎに感じられるかもしれません)が
小気味良い疾走感を生み出しています。
音作りがもう少し重厚ならHMアンセムとして
チヤホヤされていてもおかしくなかったSAMSONの代表曲。


SAMSON - Head On - Thunderburst ★★★ (2017-03-11 10:08:56)

後に“THE IDES OF MARCH”となるインスト曲のアイデアを
初期IRON MAIDENに在籍していたサンダースティックが
SAMSONに持ち込み、勝手に異名同曲として収録してしまい
スティーヴ・ハリスを激怒させたという
NWOBHMファンにはお馴染みの逸話で知られる1曲。
(作曲者としてHARRISの名前もクレジットされている)
聴き慣れたメイデン・バージョンに比べるともっさりした仕上がりですが
隙あらばオカズ入れまくるサンダースティックの
パワフルなドラミングが笑える・・・じゃなく楽しめます。


SAMSON - Head On - Too Close to Rock ★★★ (2017-03-11 09:56:41)

前半はシンプルなノリのロックンロールですが
ドカドカ全力でブッ叩きまくるサンダースティックの
ドラミングに引っ張られて一気にスピードアップ。
更にブルースの野性の雄叫びが絡む中盤以降は
完全にHMナンバーと化していて、
そのコントラストがユニークな名曲。


SAMSON - Head On ★★★ (2017-03-11 09:35:59)

80年代初頭限定で、IRON MAIDEN、DEF LEPPARD、SAXONらと覇を競ったNWOBHMの雄SAMSONの2ndアルバム(’80年)。今回から新Voとしてブルース・ブルースことブルース・ディッキンソンが加入。またジャケットでは変質者感バリバリの覆面ドラマー、サンダースティック先輩が鎌装備で睨みを効かせる等、陣容の整ったSAMOSNがいよいよ本領を発揮し始めたことが伝わって来る出来栄え。(ちなみに国内盤CDは’90年にジムコから発売されていて、当時の思い出を振り返るブルースのインタビューも聞けますよ)
さて、そんな本作。邦題は『魔人襲来』だわ、ドラマーは檻に入ってるわ、新フロントマンはゴリラだわで、もはや怪獣無法地帯かアニマル・キングダムかと。しかしそうした怪しげなビジュアル・イメージや、アクの強いメンバーに存在感を掻き消されながらも、リーダーのポール・サムソン(G)がコツコツとクリエイトするのは、アカペラ・コーラスまで飛び出すOPナンバー①が物語る通り、70年代HRを引き摺ったシンプルでキャッチーなタテノリ・ロック。地味っちゃ地味ですが、そこに実力派シンガーの片鱗を既に伺わせるブルースの大仰な歌唱と、隙あらば派手なフィルをブッ込んで来るサンダースティックのドラミングというメタリックな要素が加わることで、他の何者でもない、SAMSONならではの個性的なHMサウンドが創出される塩梅。
じっとりと哀愁漂わす③、後半の激走パートが熱い⑤、IRON MAIDENと因縁浅からぬ⑥、SAMSON版“BREAKING THE LAW”風の⑦といった優れた収録曲を前にすれば、彼らが単なる「メイデンの草刈り場」等ではなかったことをお分かり頂けるのではないかと。


VICTORY - Temples of Gold - Standing Like a Rock ★★★ (2017-03-09 22:47:40)

シャープに刻まれるGリフに軽快な疾走感、
熱いシャウトと、威勢良くハジけるキャッチーなコーラス、
それに華やかに駆け巡るGソロと
全盛期のVICTORYの魅力が凝縮された逸品です。


VICTORY - Temples of Gold ★★★ (2017-03-09 22:40:01)

5th『CULTURE KILLED THE NATIVE』が全世界で25万枚以上のセールスを記録。ツアーも成功裏に終わり、更に“NEVER SATSFIED”のビデオ・クリップがアメリカのMTVでも好評を博する等、バンド史上最大のサクセスの季節を迎えたVICTORYが、その余勢を駆って’90年に発表した6thアルバム。
全盛期謳歌中のバンドの充実具合は、託された音の方にも如実に表れています。持ち前の灼熱のメタル声を駆使して歌いまくるフェルナンド・ガルシアのVoと、それを援護する爽快で抜けの良いコーラス・ワーク、軽くなり過ぎぬようサウンドの重石となるトミー・ニュートン&ハーマン・フランクのGコンビ、そしてソリッドなリズム隊がエネルギッシュに躍進する収録曲には、ライブ映えするアメリカンなノリの良さ、スタジアム・ロック的スケール感に加えて、独産バンドならではエッジの鋭さや、湿り気とドラマ性薫るメロディとが同居。「VICTORY節」を完全に確立させた本編からは、成功をモノにしたバンドならではの盤石の安定感がオーラの如く立ち昇っています。
前作をヒットさせたことで、今回は慎重に置きに来るか?はたまたはポップ路線に日和るのか?本作はそのどちらでもなく、益々切れ味を増したツインGをフィーチュアして軽快に疾走する③⑤⑦や、重厚な⑥⑦、クサくなる一歩手前で踏み止まってドラマティックに盛り上げる手腕が「らしい」⑪といった優れた楽曲の数々からも明らかな通り、むしろこれまで以上にロックする姿勢を鮮明に打ち出しているという。その意気や良し!な1枚。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Bad Reputation ★★★ (2017-03-08 22:58:30)

アルバム前半のハイライトが
ポップな“FIND ANOTHER WAY”なら
アルバム後半の山場は、Keyを適宜取り入れつつ
ハードなG主導で熱く激しく盛り上がっていく
この名曲ですよ。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Find Another Way ★★★ (2017-03-08 22:54:08)

イントロのハーモニーだけで「これは名曲」と予感させてくれますね。
爽やかな哀愁漂わすメロディ、ポップに弾む曲調、
練られたGソロと、もう数年早く発表してたら大ヒット間違いなしだったのに…
ってか、そもそもバンドはなぜこの曲をシングル・カットしなかったのかと。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge ★★★ (2017-03-08 22:46:38)

マーク・エヴァンス(Vo)とレジー・ウー(G)を中心に結成された、ツインG編成の5人組が’90年に発表した1stアルバム。国内盤の解説はゴッドが書いていたりと、期待の新人としてそれなりに注目を集めた作品だったと記憶しております。
ニール・カーノンが手掛けた硬質な音作りの下、華やかに弾きまくるリードG、エッジの効いたGリフ、安定感のあるボトムを築くリズム隊、その上で熱っぽく歌うVoとが快活にハジけるサウンドは、メンバーのルックスの良さも相俟って「遅れて来たLAメタル・バンド」的雰囲気が漂う。でも実際は東海岸のフィラデルフィア出身だとか。
本編は骨太なロックンロールと、哀愁のメロハーが交互に波状攻撃を仕掛けて来る構成。テクニカルな演奏から生み出される疾走感が痛快この上ない⑦のような楽曲も良いのですが、やはり個人的にグッと来るのは後者の路線。特に世が世なら大ヒット間違いなしだった(?)ハードポップ・チューン④、Keyの効いたドラマティックなバラード⑥、熱く激しく盛り上がる⑧、愁いを帯びたHRナンバー⑨⑪といった楽曲を耳にすれば、「デビューがもう数年早ければ状況も違ったろうになぁ…」と惜しまずにはいられませんて。
グランジ/オルタナティブ・ロックの猛威が目前まで迫っていたアメリカでは、正当な評価を受ける余地なく(ビルボード・チャートでは100位以内に入ることすら叶わず)撃沈してしまいましたが、日本では今でも根強い人気を誇る1枚。中古盤屋に行くと3桁の値段で入手可能ですんで、是非一度お聴きあれ。


EYES - Eyes - Nobody Said It Was Easy ★★★ (2017-03-07 22:52:34)

美しいバラード。
アグレッシブなHMナンバーだけでなく
この手の抒情的な楽曲を歌わせても
ジェフ・スコット・ソートは絶品の実力を
発揮してくれますね。


EYES - Eyes ★★ (2017-03-07 22:28:03)

ジェフ・スコット・ソートがフロントマンを務める(ついでに盟友マルセル・ヤコブもヘルプ要員として数曲でBをプレイしている)LAの4人組が、CURB RECORDSとの契約を得て'91年に発表したデビュー作。
熱く歪んだメタル・ボイスで正統派HMを歌わせたら業界屈指と評判のジェフですが、それだけに留まらず、メロハーにもファンクにも対応できる、幅広い柔軟性と表現力の持ち主であることはファンならご承知の通り。土の匂いが薫る活きのいいHRナンバーから、キャッチーなハードポップ、更には美しいバラードまで、バラエティ豊かな楽曲が取り揃えられた本作では、主に彼氏の後者の才能が如何なく発揮されています。BURRN!!誌レビューでの高評価に釣られて購入した当時は、一聴して「ちぇっ、イングヴェイみたいな音楽性じゃねえのか」とガックリした覚えがあるものの(浅はかな…)、しかし折角買ったんだからと繰り返し聴き込むうちに、どんどんお気に入り度が高まっていきました。
というのも、精度の高いフックが備わったメロディがこの手のサウンドを普段主食にしていない身にも猛烈にアピって来ますし、何よりそれらを時に熱く、時に黒いノリを駆使して粘っこく歌い上げるジェフのVoがやはり絶品。特にダイアン・ウォーレン提供の③、感動的な⑧、またはアカペラによるゴスペル風バラード⑪といった抒情的な楽曲におけるエモーショナルな歌声は実に沁みますよ。
良質なメロディックHRが詰まった好盤なのに、オルタナティブ・ロックでも演ってそうなジャケットで損してる気がしてならない1枚。


STEELER - Steeler - Serenade ★★★ (2017-03-06 23:17:06)

他の楽曲とは明らかに毛色が異なる、
恐らくイングヴェイ作曲の泣きのバラード。
ロン・キールの熱いシャウトと、そこにイングヴェイの
「エモーショナルな速弾き」が絡む終盤の展開は
問答無用で盛り上がります。


STEELER - Steeler - Hot on Your Heels ★★★ (2017-03-06 23:10:25)

イングヴェイの手によるGインストと
ロン・キール作曲のLAメタル・ナンバーが
全く溶け合うことなく強引に同居しているという
「浅草花やしきで聴くクラシックの夕べ」的
ミスマッチ感?が楽しい1曲。


STEELER - Steeler ★★★ (2017-03-06 22:52:53)

マイク・ヴァーニーのプロデュースを受けて、SHRAPNEL RECORDSから’83年に発表されたSTEELERの唯一作。Voはロン・キール(KEEL)、Dsはマーク・エドワーズ(LION)、Bは名曲“ON THE RUN”で知られるSINのリック・フォックス、そしてGは当時スウェーデンから上京したてでスリム&ハンサムだった頃の貴族様と、知名度の高い面子が揃っているのに、不思議なことにこれまで一度も正式に日本盤が発売されたことがないという。
音楽性は、アグレッシブなGリフ主体に攻めて来るLAメタル・スタイル。圧の強いロンのハイトーン・シャウトの印象もあって、やはり初期KEELを思わせます。イングヴェイ加入前に収録曲の大半は完成済みだったそうで、ネオ・クラシカル路線を期待するとスカされますが、しかし我らがマエストロの「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」な唯一無二のGプレイは既に自己主張しまくり。決して誰の色にも染められることのない、この人の天賦の才の輝きが眩しいやら可笑しいやら。
アルバム自体に関しては、「聴き所はGプレイだけ」とバッサリいかれることが多く、実際、Gのイントロでグッと高まった期待がその後の凡庸な展開でシュルシュルと盛り下がる楽曲もチラホラ。それでもG独奏と歌入り疾走ナンバーの二段構えが取られた⑤や、暗くドラマティックに盛り上がる泣きのバラード⑨のような、元々の楽曲の良さと、それを引き立てるイングヴェイのGという、二者の歯車がガッチリと噛み合った名曲も収録されているので、決して舐めたもんじゃありません。
イングヴェイ作品を一通り揃えた方は、是非ともこっちもチェックを。


APRIL WINE - Animal Grace - This Could Be the Right One ★★★ (2017-03-05 23:15:33)

SF映画風のヘンテコなPVが印象的なアルバム表題曲。
シングル・カットされて全米最高58位。
シンセを効かせたニューウェーブ風の音作りと
お洒落(当時)なアレンジが施されていますが
仄かな哀愁を帯びたキャッチーなメロディが実に魅力的です。


APRIL WINE - Animal Grace ★★ (2017-03-05 08:04:14)

キャッチーな楽曲と、花火やライティングを用いた派手なライブ・パフォーマンスが話題を呼び、本国カナダはもとより米英でも人気を博したAPRIL WINE。’80年にはドニントンで開催された第1回MONSTERS OF ROCKに、RAINBOW、JUDAS PRIEST、SCORPIONS、SAXON、RIOT、TOUCHと共に出場も果たしている彼らが、‘84年に発表した通算11枚目のスタジオ・アルバム(バンドはこれを最後に一旦解散)。
邦題は『野獣の叫び』。今度こそギンギンにロックなサウンドを聴かせてくれるのでは…との期待が弥が上にも高まりましたが、盤をセットして再生ボタンを押すと流れ出すのは、リバーブを効かせニューウェーブ風の音作りが成されたOPナンバー①。アルバム自体も、MTVの援護射撃を受けてHR/HM人気がメジャー・シーンへと浮上し始めたことを意識したかの如く、荒々しいエッジや熱量は控えめに、その分キャッチーなメロディと磨き込まれたお洒落なアレンジを強調した仕上がりに。
そういう作品だと割り切ってしまえば、これはこれで非常に高品質なんですけどね。特にアルバム表題曲①を皮切りに、身体を揺らすグルーヴが心地良い②、哀メロのフックの効きっぷりから本編のハイライト・ナンバーに推させて頂く③…といった具合に、洗練された哀愁のポップ・チューンが連続する頭3曲の流れにはうっとりさせられますよ。
一応トリプルGを活かした④、ライブ映えしそうな⑤みたいな楽曲もありますが、本作に限って言えばAOR/産業ロック作品を楽しむつもりで付き合うことを推奨する1枚かと。


APRIL WINE - The Nature of the Beast - Crash and Burn ★★★ (2017-03-05 08:01:36)

タイトルからしてHMっぽいですが
実際、トリプルGが暴れ回る疾走感溢れる曲調はかなりハード。
MONSTERS OF ROCK参加経験が、
彼らにこういったタイプの楽曲を書かせたのではないかと。


APRIL WINE - The Nature of the Beast - Sign of the Gypsy Queen ★★★ (2017-03-05 07:59:23)

同じくてっきりオリジナル曲だとばかり。
それぐらい哀愁迸る曲調とAPRIL WINEの個性が
上手いことマッチした名曲です。


APRIL WINE - The Nature of the Beast ★★★ (2017-03-04 08:26:38)

母国カナダでダブル・プラチナム(アルバム・チャート最高第11位)、アメリカでもプラチナ・ディスク(最高第26位)に認定され、またシングル・カットしたバラード“JUST BETWEEN YOU AND ME”がスマッシュ・ヒットを飛ばす等、APRIL WINE史上最大の成功作となった’81年発表の7thアルバム。
トリプルG編成で、オマケに邦題が『野獣』と来たら、そりゃもうギンギンにハードなノリを期待されるやもしれませんが、実際はキャッチーなメロディとコーラスワークを主軸とする、親しみ易いポップなサウンドが繰り広げられます。それでもこのアルバムはAPRIL WINEのカタログの中ではHR/HM寄りに位置付けられる作品の一つであり、それは本作リリースの前年、NWOBHMに沸くイギリスで開催された記念すべき第1回MONSTERS OF ROCKに、彼らが参戦を果たした経験も無関係ではない筈。
今回語る上で真っ先に挙げるべきは、本国とアメリカでそれぞれ6位、21位にランクインした前述のヒット・バラード“JUST BETWEEN YOU AND ME”なのでしょうが(実際良い曲です)、個人的にはそれ以上に、熱い哀愁のメロディが迸る“SIGN OF THE GYPSY QUEEN”(実はカバー曲だったと最近まで知りませんでした)や、「へヴィ・メタリック」と表したくなる疾走ナンバー“CRASH AND BURN”といった、バンドが最もハードな路線へと傾斜していた時期ならではの名曲に心惹かれてしまうのですが。
HR/HMファンが入門盤にするならば、やはりここら辺りの作品群が適当でしょうか。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Honest ★★★ (2017-03-02 23:33:39)

快活なGリフ(“BARK AT THE MOON”?)と
合唱を誘うキャッチーなコーラスは欧州HMよりも
LAメタルあたりからの影響を伺わせます。
刻み、奏で、ハモる、華やかなツイン・リードGの
活躍が大きな聴き所を作り出す、
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Heavy Metal Fury ★★★ (2017-03-02 23:27:36)

アコギのイントロで劇的に盛り上げてから
スピーディに疾走を開始する曲展開といい、
ツインGの駆け抜けっぷりといい、
そしてこのタイトル。まさしく
「俺達は正統派HM路線で行く」という
バンドの堅い決意表明が伝わるアルバムのOPナンバーです。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Marilyn (Icon of Desire) ★★★ (2017-03-02 23:24:46)

タイトルからも察しがつく通り、女優マリリン・モンローの
謎多き死について歌った疾走ナンバー。
(途中の肉声は本人のものかな?)
ツインGの絡みは明らかにIRON MAIDENからの影響が
見て取れますが、ここまでカッコ良ければ文句もないという。


EXISTANCE - Breaking The Rock ★★★ (2017-03-01 23:43:36)

80年代のフレンチ・メタル・シーンを盛り上げたH-BOMBのシンガー、ディディエ・イザールのご子息ジュリアン・イザール(と聞いて「おお!」と色めき立つ方は、きっと失恋船長さんクラスのメタル・マニア)をフロントマンに擁する5人組が、’16年に発表し日本デビュー作ともなった2ndアルバム。
雷鳴に続く抒情的なアコギのイントロを鋭利なGリフが切り裂き、頭振るのに丁度良い速度でOPナンバー①が疾走を開始。ツイン・リードGもメロディックにハモってみせる、このSAXONライクな楽曲に冠されたタイトルは“HEAVY METAL FURY”…。最早この時点でバンドが高純度の正統派HM路線を志向していることは明白です。
但しジュリアンのふにゃっとしたハイトーンVoが柔和な響きを宿していたり、2本のGが快活に弾き出すリフやソロ、もしくはキャッチーなコーラスの飾り方が、曲によってはLAメタル的とも言えるブライト感を含有していることもあって、オールド・スクーラーなゴリゴリ度は然程でもないという。この辺はやはりフランス出身というお国柄の表れなのかどうか。
何にせよ、フラッシーに躍動するツインGが曲展開を牽引する②、ライブ映えしそうな独産パワー・メタル風の③、メロディアスなコーラスが印象的な⑤、IRON MAIDENばりに勇ましく飛ばしまくる⑦、溌剌とハジける⑨といった、タイトにまとめ上げられた楽曲が次々とテンポ良く繰り出される本編は、最後まで退屈する暇なく楽しめます。
それと、もし本作がお眼鏡に適ったならばH-BOMBのアルバムの方も是非どうぞ。親子の作品を聴き比べてみるのも一興かと。


CEREBUS - Too Late to Pray - Too Late to Pray ★★★ (2017-02-28 22:52:39)

音質のせいもあってちょいキレ不足に響きますが
重厚な導入部からどんどんパワーと速度を高めていく
曲展開には文句なしでアガります。


CEREBUS - Too Late to Pray - Catch Me If You Can ★★★ (2017-02-28 22:44:16)

Voと楽器隊が押しまくって直線的に突っ走る
パワー・メタル・ナンバー…と思わせて
中間部とスッと引いてドラマティックに
聴かせてみせる曲展開が技あり。
思わず「おっ」と声が出てしまいました。
泣きのGソロと、直後に続くメイデン風味の
ツインリードGの疾走感も良い。


BOSTON - Boston - Smokin' ★★★ (2017-02-27 23:06:00)

“A Man I'll Never Be”がBOSTON屈指の名バラードなら
こちらはBOSTON屈指のロック・チューン。
ゴキゲンに弾む曲調と、一緒に叫びたくなるシンプルなコーラスに
体が勝手にタテノリを始めます。
そして本曲の肝たるハモンド・オルガン!
プログレ風味のドラマ性と緊迫感を煽る
縦横無尽の仕事っぷりに拍手喝采ですよ。


CEREBUS - Too Late to Pray ★★★ (2017-02-27 22:50:04)

ノースカロライナ州出身の5人組が、NEW RENAISSANCE RECORDSのオムニバス盤『SATAN’S REVENGE』に楽曲提供を行った翌年、’86年に発表したデビュー作がこれ。
OPナンバー①においてBと2本のGが忙しなくハモる様や、クイック且つスリリングに走り抜けるインスト曲⑦が発する構築感、または収録曲の随所に用意された落差の大きな曲展開等、IRON MAIDENからの多大なる影響を感じずにはいられない正統派HMサウンドには、アメリカのバンドらしからぬダークな湿り気が渦を巻いています。(単に垢抜けないだけとも言えますが)
レーベルがレーベルゆえ音質は相当に薄っぺらいものの(ジャケットはNRRのものとしてはかなりマシな方)、しかしレット・フォリスター似の声質のVoをフィーチュアして勇壮に飛ばしまくる①、メロウなイントロからパワフルに展開していく③やアルバム表題曲④、静と動の対比も劇的な⑥、重厚且つメロディアスに本編の幕を引く⑧といった高品質な楽曲の数々を前にすれば、多少の粗はむしろ愛嬌として殆ど気になりません。加えて、CD化に際して本編にはボーナス・トラックとしてレアな’87年発表の4曲入りEP『LIKE A BANSHEE ON THE LOOSE』からの楽曲も収録されていて、アグレッシブなパワー・メタル色が増量されたこれらがまた『THUNDERSTEEL』を発表した頃のRIOTを彷彿とさせる出来栄えで、どえらくカッコイイというね。
「どうせNEW RENAISSANCE RECORDSの作品でしょ?」と舐めて掛かると、足元をすくわれる1枚。底は浅いが奥は深いですよ、あのレーベル。


BOSTON - Don't Look Back - A Man I'll Never Be ★★★ (2017-02-26 21:59:24)

イントロはVoとピアノだけ。歌うGのメロディアスな切り込みと、
ブラッド・デルプの伸びやかな熱唱、ハモンド・オルガンの絶妙な
援護射撃による涙ちょちょ切れる終盤の劇的な盛り上げを経て、
再びVoとピアノによるエピローグで静かに締め括られる曲展開は
まるで名作映画の脚本を読むかの如き、起承転結の決まりっぷり。
猛烈にノスタルジーを喚起する、感傷的な哀メロ大盤振る舞いの
名バラードです。卒業式シーズンにはピッタリか?


BURNING POINT - The Blaze - Chaos Rising ★★★ (2017-02-26 21:38:14)

一頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる疾走ナンバー。
金属的色艶を帯びてパワフルに炸裂する
ニッテ・ヴァロのハイトーンVoも
全盛期のロブ・ハルフォードに肉薄する迫力を誇っていますよ。


DISTURBED - Live At Red Rocks ★★★ (2017-02-26 21:31:04)

コロラド州デンバーのレッドロックス野外円形劇場に、1万人以上の観客を集めて行われたDISTURBEDのライブの模様を収録した実況録音盤。
これまでの彼らのアルバムは、通して1枚聴くと、時に後半で少々ダレを感じてしまうこともあったのですが、ヒット曲・代表曲を織り交ぜ、バンドの20年に及ぶ活動歴を総括するかのようなセットリストが組まれた本作では、流石にそんな感覚を覚える暇はありません。しかもそこに過去6作を連続して全米アルバム・チャート№1の座に輝かす偉業を成し遂げたメンバーの、自信と勢いがオーラの如く立ち昇るパフォーマンスと、バンドに負けじとのっけからメーターが振り切れているファンの熱狂が加わるわけですから、何をか況や。
特に重厚な演奏に乗って歯切れ良く躍動するデイヴィッド・ドレイマンの歌声は本作最大の聴き所。聴く者を猛烈に煽動するリズミックな炸裂感のみならず、サイモン&ガーファンクルの名曲をドラマティックにカヴァーした⑨等で聴かせてくれるエモーショナルな熱唱、会場のボルテージが最高潮に達する終盤3曲、取り分け観客の大合唱が響き渡る⑯における客席との「We are?」「DISTURBED!」「We are all!」「DISTURBED!」の掛け合いを始めとする、その堂々たるフロントマンぶりには痺れざるを得ませんて。
NU METAL筆頭なんて目されたのも今は昔。オールドスクールなHM好きの琴線にも触れる現在のDISTURBEDサウンドに、手っ取り早く入門するのに打ってつけの1枚ではないでしょうか?


ANNIHILATOR - Triple Threat ★★ (2017-02-25 09:25:06)

ANNIHILATORがドイツのBANG YOUR HEAD Fest.に出演した際の模様を収めたライブ盤(Disc-1)とBlue-ray、それにスタジオ収録のアコースティック・セッション(Disc-2)という3要素を1つに取りまとめた作品。タイトルはそれに因み『TRIPLE THRAT』。でも日本盤はBlue-rayが付属してないため、表題に込められた意味がイマイチ伝わり難いという。
とまれ内容は高品質です。まずDisc-1のライブ盤に関しては、メンバー全員テクニシャン揃いゆえ、複雑にして精緻、且つライブならではの白熱具合も存分に伝えてくれるパフォーマンスには何の不安もなし。初期の名曲を中心に構成されたセットリストはフェス仕様ですが、必ずしもANNIHILATOR目当てで集まったわけではない観客すら大合唱させてしまう“W.T.Y.D”や“ALISON HELL”といったキメ曲を抱えているバンドはやはり強い。あと驚かされるのがジェフ・ウォーターズのVoの上達っぷりで、最初聴き始めた時は、特に疑いもせず「専任シンガーを迎え入れたのか」とか思っていましたよ。
続いてアコースティック・セッションの模様が収められたDisc-2。OPナンバーが“SOUND GOOD TO ME”でいきなりテンションが上がりますが、選曲はバラード主体のため「この曲をアコースティック化?!」的驚きは少な目。強いて言えば“STONE WALL”が意外なチョイスでしたが、この名曲は出来ればライブ本編の方で聴きたかった…なんて。
それでも、誤魔化しのきかない状況ゆえシンガーとして熟達ぶりがよりダイレクトに伝わってくるジェフのVoを始め、この完成度の高さは流石の一言に尽きます。剛柔併せ持つANNIHILATORの卓越したパフォーマンスが楽しめる、「ファンなら買い」の1枚かと。


CRISIX - From Blue to Black - T-Terror Era ★★★ (2017-02-23 23:26:25)

「スポーン」や「マスク」、更には「ドラゴンボール」まで
取り上げて来たCRISIXですが、今回の歌詞のネタは「ターミネーター」。
メカニカルな感触のGリフと切迫感溢れるリズムとが激走する
スラッシュ・ナンバーで、歌詞のみならず曲調の方でも
まさしくタイトな出来栄えだったあの映画のノリがきっちり再現されていて流石。
冒頭とラストに映画のメイン・テーマをちらっと引用するアレンジも◎。


CRISIX - From Blue to Black ★★★ (2017-02-22 23:45:29)

スペイン出身の若手スラッシャー注目株が、所属レコード会社をKAIOWAS RECORDSからLISTENABLE RECORDSに変えて’16年に発表した3rdアルバム。
スラッシャーたるもの3作目ともなりゃ、ボチボチ音楽性を拡散させて大人の階段上ることに興味が向く頃合い。しかし本作の場合は開巻早々から、猛然と畳み込む①、パンキーな②、前半で溜め込んだエネルギーを後半で解放する③…といった具合に、キレもコシもある楽器陣の演奏力と機動力を活かし、スカッと走り抜ける「らしさ」満点のスラッシュ・ナンバーが矢継ぎ早に連打。これを聴くとCRISIXが拡散の道ではなく、持ち前の音楽性を一層収斂させる「スラッシュ・バカ路線」を選択したことが分かって、思わずニッコリ笑顔になってしまうという塩梅。
とは言え、オールドスクールなスラッシュ・メタル・スタイルに軸足を置きつつも、作曲能力には着実な成長の跡も刻まれています。初期ANNIHILATORが演りそうな躁鬱スラッシュ・ナンバー⑤、シリアスな緊迫感を孕んだ⑥、スペイン内戦をテーマに7分以上の長尺を中弛みなしに突っ走る⑨等、バラエティ豊かに揃った収録曲の数々はその好例。中でも『ターミネーター』へのトリビュート・ソング④は、メカニカルな響きと切迫感を湛えて疾走する(さながらターミネーターに追跡されるが如き)、アルバムのハイライトを飾る名曲ではないかと。映画の有名なテーマ・メロディを頭と尻に組み込むセンスもニクイねぇ。
今回も国内盤リリースは実現しませんでしたが、いつ日本デビューを飾っても不思議ではない個性と質の高さを併せ持った1枚であります。


Santa - No hay piedad para los condenados ★★★ (2017-02-21 23:50:40)

長らくCDで探していたスパニッシュ・メタル・アイテム2点を、何の気なしに立ち寄った中古盤屋にてゲット。思わず小躍りしてしまいましたね。1枚はスペインのクサメタル機甲師団PANZERが’87年に残したライブ盤で、もう1枚が「スペインの女ロニー」ことアズセナ・マルティン(Vo)を擁し、DEEP PURPLE~RAINBOW直系の様式美HMを聴かせてくれたSANTAが、’86年に発表していた本2ndアルバムです。
バンドには今回から専任Key奏者が加入。様式美HMバンドとして一層盤石の布陣となっており、本編では早速その強みを活かした曲作りが行われています。Gリフ主体で荒々しく突っ走っていたデビュー作に比べると、曲構成がよりメロディアス&キャッチーに作り込まれ、柔和に弾む②があったかと思えば、メロドラマのテーマ曲みたいに甘く切ない⑤があり、明るく快活な⑨もある…といった具合に、収録曲のバラエティが大きく拡大。
但し、それでもアルバムの本分をコテコテの様式美HMチューンに置くバンドの姿勢にブレはありません。例えば起承転結が劇的に決まった①や、戦場のSEに導かれてスタートする⑩等は、コブシの効いたVoの歌いっぷりといい、GとKeyのバトルっぷりといい、「実は彼らはTERRA ROSAの生き別れの兄弟」と言われたら信じてしまいそうなカッコ良さ。アズセナ姐さんの情念渦巻く激唱が炸裂する⑧⑪も聴きモノですよ。
荒々しい1stと、ポップさを増した3rdの丁度中間に位置するサウンドが託され、SANTAの代表作としてその名を挙げるファンが多いのも納得の1枚。個人的には1st派なのですが、聴き易さ/取っ付き易さではこっちの方が上かもしれません。


PANZER - Sábado negro ★★★ (2017-02-20 23:22:34)

PANZERが解散前の’87年に発表した、マドリードのレガネス劇場で収録された実況録音盤。ハッキリ言って音質はかなり悪い。最新技術でレコーディングされた昨今のライブ盤と比べたら月とスッポン、もしくはSHM-CDと西新宿で購入したブート盤ぐらいの差がありますが、しかし、そんなこたぁどーでもよくなるぐらい内容が素晴らしいんですよ、これが。
堂の入った客あしらいと、終始パワーの落ちない巻き舌バリバリの熱唱で会場のボルテージをMAXまで引き上げるVo、火を噴くような速弾きから濃厚な泣きのソロまでこなすG、ソロ・タイムでも観客をノせることを怠らないリズム隊とが、熱気に満ちたパフォーマンスで畳み掛ける正統派HMナンバーの数々。そして何より1曲目から最終曲に至るまで、歌って歌って歌いまくってバンドを強力にサポートする観客(野郎率100%)の存在が、本作を特別印象深い物にしてくれています。
「スペインのHMファンは兎に角よく歌う」ってのは広く知られており、事実本作でも、時にPANZER側のコーラスを掻き消さんばかりの大合唱が炸裂。こんだけお客さんが歌ってくれたらバンドだって勢い付きますし、それがまた一層観客を盛り上げるという好循環。前説で焦らされた熱狂が爆発する②やバンドのテーマ曲③、本編ラストを盛り上げる⑪辺りなんて、ステージの上も下もテンションが相当おかしなことになってますよ。
スペインのHMファンの熱さ、同国におけるPANZER人気の高さ、あとPANZERが優れたHMナンバーを山ほど生み出して来た事実を知るのに打ってつけの1枚。PANZERがスペイン語だと「パンツェール」と発音することも本作で初めて知りましたね。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When You're Gone (Live) ★★★ (2017-02-19 22:35:09)

アルバムのボーナス・トラックでもある小粋なバラード。
敢えて初来日公演ラストに演奏されたライブ・バージョンを収録することで、
アルバム本編を(あたかもライブの如く)暖かく締め括る構成がニクイ。
残念ながら私が参加した1/16のライブ音源ではないのですが
耳をすませばメタルけいしょうさんの歓声が聞こえるかもしれません(?)


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When Children Cry ★★★ (2017-02-19 22:24:05)

リリカルなピアノ、泣きのG、それに愁いを湛えた
ジョン・ロートンのVoとが、劇的なリズムに乗って
ドラマティックに熱を帯びていく様に引き込まれます。
復活作の完成度の高さを物語る名曲ではないかと。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate ★★★ (2017-02-19 22:17:38)

LUCIFER’S FRIEND待望の復活作。昨年行われた彼らの初来日公演を観て、ジョン・ロートン(Vo)の歌唱力が全盛期の張り艶をしっかり保っていることは確認済みでも、新作となりゃ話は別。アルバム制作はとんとご無沙汰だったわけで、「でも仮に退屈な内容だったとしても、何とか良い所を見つけて褒めまくったるでぇ!」と、かなり過保護な気持ちで聴き始めた本作でしたが、結論から申せば、手心なんぞ全く無用な素晴らしい内容でしたよ。
印象的なリフと泣きのソロを弾き出すG、軽快に躍動するリズム隊、随所で流麗な指捌きを披露し楽曲の抒情性とドラマ性を補強するKeyの良い仕事に支えられた、しっとり潤う欧州HRの伝統と格調を伝えてくれるサウンドは、LUCIFER’S FRIENDの最終作でもあった名盤『MEAN MACHINE』(’84年)を良い感じに燻したような滋味溢れる仕上がり。
そんな本作の主役はやはり、包み込むような威厳と深みと温かみを感じさせるジョン・ロートンの唯一無二の歌声という。憂いに満ちた名曲③を皮切りに、グルーヴィ且つ冷ややかに揺れる④、ピアノが華やかに踊るキャッチーでノリの良い⑤、ダイナミックに燃え上がる⑥⑦、ブルージーな哀愁が溢れ出す⑧…と、次々繰り出される優れた楽曲を、耳にしてるだけで遠赤外線を浴びてるような感覚に駆られるこのVoがエモーショナルに歌い上げていく中盤戦は、間違いなくアルバムのハイライト。ボーナス・トラックとして来日公演時の音源⑫も収録されているのですが、これを単なるオマケ扱いせず、さりげなく本編のエピローグ(別れの挨拶的な)として組み込んでしまう構成の妙にも唸らされましたね。
こっちの予想を遥かに上回る完成度の高さに、侮ってたことをバンドに全力でお詫びしたくなる1枚。


BURNING POINT - The Blaze ★★★ (2017-02-18 08:53:14)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)が加わった新ラインナップのお披露目を、変則ベスト盤たる前作『BURNING POINT』で済ませたピート・アホネン(G)率いるフィンランドの6人組が、満を持して’16年に発表した最新作。
欧州民謡風のメロディと猛々しい疾走感の組み合わせが、どことなくAT VANCEの名曲“SOLDIER OF TIME”を思わすOPナンバー①を聴けば、勇猛果敢にしてドラマティックなパワー・メタル・スタイルにブレがない(つか今更ブレる筈もない)ことは一聴瞭然。ただ今回はメロスピ的に突っ走ろうが、エピック・メタル然と重厚に迫ろうが、常に楽曲の中心に主役として鎮座ましますのはニッテ・ヴァロの歌声。これは現行BURNIG POINT最大の武器が、嘗て「女スティーヴ・グリメット」とも評された彼女の強力な歌唱であるという自覚の下、メンバーがその歌が最も映える曲作りに励んだ結果ではなかろうか、と。
ニッテ嬢の方もその期待に見事に応えています。前述の①や、金属質な感触を湛えて駆け抜ける③、鋭く切れ上がるハイトーン・シャウトを駆使してド迫力で歌いまくる様が圧巻の⑦、曲名や“WE RCOK”風のイントロからしてDIOリスペクトの姿勢が鮮明なラスト・ナンバー⑩等、闇を切り裂いて魔を払うが如き、神々しいパワーに満ち溢れた彼女の歌声を活かし切った楽曲を聴くにつけ、つくづくこのメンバー・チェンジは成功だったなぁと。
ニッテ・ヴァロの歌声を生で聴くためにも、BURNING POINT来日を祈念せずにはいられない1枚。ノーラ・ロウヒモ擁するBATTLE BEASTとのカップリング公演とかいかがでしょう。


GIRL - Sheer Greed - Hollywood Tease ★★★ (2017-02-15 23:50:52)

NWOBHMの鬼っ子的存在だったGIRLのデビュー作に収められた
これまた鬼っ子的存在の名曲。
アルバム全体をNWOBHMで括るには無理がありますが
(またメンバーもそんなことはこれっぽっちも望んでない)
特別速いわけではないものの、疾走感に溢れたメタリックな
リフ&リズムといい、弾きまくるGといい、独特の声質を駆使して
ヘタウマ・シャウトを響かせるVoといい、
この名曲に関しちゃ堂々HMの範疇で語り継げるカッコ良さ。


GIRL - Sheer Greed ★★ (2017-02-15 23:07:51)

「NWOBHM四天王」という肩書と、DEF LEPPRADのフィル・コリン(G)やL.A. GUNSのフィリップ・ルイス(Vo)、後にゼロ・コーポレーションからSHEER GREED名義でアルバムを発表したりしていたジェリー・ラフィー(G)らが嘗て在籍していたバンドという点に興味を引かれて購入に踏み切った、GIRLのデビュー作(’80年発表)。
当時「NWOBHMそのものな音を期待しないように」と散々忠告されていたにも関らず、「またまた、そんな謙遜しちゃってぇ。腐っても四天王なんでしょ?」と全く聞き入れずに購入。その挙句本作で聴かれるラフでスリージーなロックンロール寄りのサウンドに対し、「全然NWOBHMっぽくねぇじゃん!」と勝手に立腹して、速攻で盤を売り払ってしまった青い思い出が蘇ります。そもそもメンバーの面子的に(あとジャケットを飾るアー写のグラマラスなルックスからして)ストレートなHMを演ってるわきゃないのですが…。
しかし。こうして紙ジャケで再発されたリマスター盤を改めて聴き直してみると、これが案外悪くないという。フィル・コリンのGは、時に印象的なメロディを奏で、時に派手に弾きまくったりと全編に亘って存在感を主張していますし、ギターがよく歌うデビュー・シングル曲“MY NUMBER”や、疾走感溢れる“DOCTOR, DOCTOR”、そして後にL.A. GUNSでもリメイクされるGIRLの代表曲“HOLLYWOOD TEASE”等、収録曲の中にはちゃんとHMの範疇で語れるモノが見受けられることにも気付かされた次第。デカダンなメロディ・センスと、フィリップの妖しいヘタウマVoの個性とが合致した“THE THINGS YOU SAY”“STRAWBERRIES”辺りも魅力的です。
従来の「“HOLLYWOOD TEASE”1曲だけのアルバム」という印象を見事に覆されましたよ。


BON JOVI - 7800° Fahrenheit - Tokyo Road ★★★ (2017-02-14 23:13:25)

この手の日本ネタの楽曲に目がない身ゆえ
オルゴールの音色に続いて流れ出す
冒頭の拙い“サクラ~、サクラ~🎵”だけで「よし、星3つ!」と。
(ここもジョンが歌ってたら星3つじゃ足りませんでしたよ)
バンドに対する支持を一早く表明してくれた日本のファンへの
迸る感謝の思いを楽曲にしてしまうという、
駆け出し時代のBON JOVIの初々しさも微笑ましい1曲です。


BON JOVI - 7800° Fahrenheit - The Price of Love ★★★ (2017-02-14 23:05:28)

哀愁を帯びて歌うリッチーのGが実に沁みる、
1stの作風を真っ直ぐに受け継いだ2ndアルバムのハイライト・ナンバー。
地味めな“恋の切り札”よりもこっちをOPナンバーに
据えれば良かったのに…と初めて聴いた時は思いましたが
バンドがこれをトップに据えなかったのは
2ndが「デビュー作の焼き直し」的なイメージを
持たれることを避けるためだったのかなと。


NIGHT RANGER - Midnight Madness - When You Close Your Eyes ★★★ (2017-02-13 22:32:16)

ポップで爽やかなサビメロに、しみじみと
「良い曲ですなぁ」と呟いてしまう、
2ndアルバムからシングル・カットされ
スマッシュ・ヒットとなったのも納得の名曲。
個人的には“SISTER CHRISTIAN”よりも断然こっち派ですよ。


NIGHT RANGER - Midnight Madness - Why Does Love Have to Change ★★★ (2017-02-13 22:22:26)

哀愁のメロディを奏でるツインGが軽快且つ印象的に踊る
アップテンポのロック・ナンバー。
音作りを含めてコンパクトにまとめられていて
そこに物足りなさを感じる向きもありましょうが
でもこのキャッチーな聴き易さも十分に魅力的です。


NIGHT RANGER - Midnight Madness ★★★ (2017-02-12 22:18:35)

“SISTER CHRISTIAN”(第5位)と“WHEN YOU CLOSE YOUR EYES”(第14位)という2曲のヒット・シングルを生み出すと共に、200万枚以上を売り上げてダブル・プラチナムに輝いた’83年発表の2ndアルバム。
ツインGがフラッシーなバトルを繰り広げる傍ら、ツインVoは美しいハーモニーを奏で、更にKeyがカラフルな彩りを加えるという、個性的なメンバーの技を存分に活かした贅沢な音楽性はデビュー作のスタイルを順当に継承。一方でHR/HM人気がオーバー・グラウンドへと浮上していく時代背景を反映させたかの如く、プロダクションはより耳ざわり良く、サウンドの方はより明るく華やかに洗練の度合いを高めています。
例えば今回“炎の彼方”ばりの疾走感や、“NIGHT RANGER”で聴かれたような曲展開といったへヴィ・メタリックな要素は抑え気味なれど、その分メロディはキャッチーに磨き上げられていて、コンスタントに良い曲が揃っているという点ではデビュー作をも上回る出来栄えではないかと。その好例が大ヒット・パワー・バラード“SISTER~”であり、リリカルなメロディが胸を打つ“WHEN YOU~”であったのかなと。
勿論、スポーツ・ニュースのテーマ曲が似合いそうな爽快な曲調と合唱を誘うコーラスが、毎回ライブにおいてハイライトを創出するOPナンバー“ROCK IN AMERICA”や、Keyを活かした“WHY DOES LOVE HAVE TO CHANGE”といったエネルギッシュなHRナンバーのカッコ良さも、本作の魅力の一翼を担っています。
NIGHT RANGERの代表作と言えば、やはりこの作品ということになるのでしょうか?


NIGHT RANGER - Dawn Patrol - Don't Tell Me You Love Me ★★★ (2017-02-12 22:10:40)

デビュー作の1曲目にこんな強力な名曲をぶつけて来るバンド、
人気が出ないわけがない、と。
心地良い疾走感、キャッチーなメロディ、ライブ映えするコーラスに、
タイプの異なるギタリストの見せ場を盛り込んだインスト・パートと
NIGHT RANGERというバンドの強みがこれでもか!と詰まった逸品です。


NIGHT RANGER - Dawn Patrol ★★★ (2017-02-11 10:05:02)

日本先行で人気に火が点いたNIGHT RANGERのデビュー作。(邦題は『緊急指令N.R.』)
オジー・オズボーンとの活動で一躍その名をシーンに知らしめた「アーミングの鬼」ことブラッド・ギルスと、オクトパス奏法を操るジェフ・ワトソンというタイプの異なる2人の若きギター・ヒーローを擁し、更に敏腕ソングライターとしても鳴らすBのジャック・ブレイズ&歌えるドラマー、ケリー・ケイギーによるHR/HMバンドには珍しいツインVo体制。かてて加えてアラン・フィッツジェラルドのキラキラと眩く煌めくKeyに飾り立てられた収録曲は、これ見よがしのテクニック発表会に陥ることなく、躍動感溢れる疾走ナンバーから美しいバラードまで、ハードなエッジとキャッチーなメロディが絶妙な融合を果たしています。キャラの立ったメンバーに優れた楽曲まで揃い、しかもそれが然るべき時期に然るべきプロモーションを受けたならば、そりゃあ人気が出ないわけがない、と。
特に、シブがき隊の“ZOKKON命”にイントロをパクられたことでも話題を呼んだ(?)アルバムOPナンバー“DON’T TELL ME YOU LOVE ME”(邦題“炎の彼方”)は、ツインGがスリリングに駆け抜けるNIGHT RANGER屈指の名曲の一つ。次作収録の“SISTER CHRISTIAN”ヒット以降は「バラード・バンド」なるレッテル貼りと、売れ線を強要してくるレコード会社からのプレッシャーに苦しめられた彼らなれど、この頃はそうした悩みとは一切無縁に、シングル・カットされた②(最高第50位)、愁いを帯びた⑤、緩急の効いたバンドのテーマ曲⑩といったハードにロックする楽曲をイキイキとプレイ。演る側も聴く側も思わず笑顔になってしまう、ポジティブなエネルギー渦巻く名盤です。


TRIUMPH - King Biscuit Flower Hour Live ★★★ (2017-02-10 00:39:35)

KING BISCUIT FLOWER HOUR放送用に収録された、TRIUMPHが’81年にアメリカのオハイオ州クリーブランドで行ったライブ音源が’97年にCD化。
彼らのライブ盤と言うと『STAGES』がありますが、絶頂期を迎えたバンドの横綱相撲が楽しめるあちらに比べ、栄光を鷲掴むべくガムシャラに突っ走っていた時期のTRIUMPHの姿が生々しく記録されているこちら。ベスト盤的構成のあちらに対し、一本のショウを丸々収録するこちら…といった具合に、同じライブ盤でもその性質は大きく異なっています。
なので本作におけるメンバーのパフォーマンスは、MCも含め全体的にかなり走り気味という。特にシンガーとしてのみならず、ドラマーとしての実力者ぶりも遺憾なく発揮するギル・ムーア(Vo, Ds)の存在が今作の肝。バンド・サウンドの強力な推進剤の役割も担う彼のパワフルなドラミングに呼応するかの如く、スマッシュ・ヒット・チューン“I LIVE FOR THE WEEKEND”や、中間部にリック・エメットのGの妙技が堪能できるインスト曲“FINGERTALKIN’”を挿し込んだ“ROCK & ROLL MACHINE”等、セットリストもアップテンポでハード・ロッキンな楽曲を中心に構築されていて、バラードリーな“LAY IT ON THE LINE”にすら(スタジオ版にはない)疾走パートを組み込んでみせる徹底ぶり。そうかと思えば一転、初期の大名曲“BLIND LIGHT SHOW/MOONCHILD”を、インプロヴィゼーションを交えオリジナル・バージョン以上にメロウにして壮大、且つドラマティックに再現してしまうのですから、HRからプログレッシブ・ロックまで、TRIUMPHというバンドの表現力の多彩さには恐れ入り谷の鬼子母神。ファンなら必須の1枚ですよ。


TRIUMPH - Stages ★★★ (2017-02-08 23:10:48)

TRIUMPH初のライブ・アルバム。代表曲、ヒット曲がズラリ並べられた本編は、これまでの彼らの歩みを総括するベスト盤としても機能するよう、バンドが’81~’85年にかけて行った3つのツアーからベスト・テイクを集めて構成。ただそのせいで各曲のEDがフェードアウト処理されてしまっていて、ライブならではの「うねり」を演出しきれていない点は痛し痒し。またスタジオ録音の新曲が収められているのも少々蛇足な感が無きにしも非ずか。(本作をベスト盤として捉えれば不思議でも何でもありませんが)
それでも、豪快なリフ・ワークから繊細なGソロまで滑らかにこなすリック・エメット、ドラムとシンガーの二足の草鞋を履くギル・ムーア、BのみならずKeyでもサウンドのボトムをガッチリ支えるマイク・レヴァインのHRトライアングルによる、トリオ編成とは思えぬ迫力とスケール感を有するパフォーマンス、会場の熱狂に後押しされ、全盛期のTRIUMPHを代表する名曲群が次々に畳み掛けるセットリスト…と、本作がライブ・アルバムの傑作であることは疑う余地がありません。特にエメット師匠の奔放なGプレイをたっぷりフィーチュアした⑥(Disc-1)、観衆の大合唱が響き渡る⑤(Disc-2)、そしてコンサートのクライマックスをスタジオ・バージョン以上にドラマティックな仕上がりで締め括る⑥(Disc-2)辺りの盛り上がりっぷりは圧巻。
TRIUMPH未体験者の方には、下手なベスト盤買うぐらいなら、こっち(できればオリジナルLP通りノーカット収録の2枚組紙ジャケ再発盤)を購入することをお薦め致します。


BON JOVI - Bon Jovi - Burning for Love ★★★ (2017-02-06 23:29:29)

若い!あと青い!
先の見えない道を精一杯の虚勢を張って駆け抜けて行くような
マイナー調のメロディと疾走感にグッとくる名曲。
大物の風格漂う現在とは大きく異なる
初期BON JOVIだからこそ出し得た味わいではないでしょうか。


BON JOVI - Bon Jovi - Shot Through the Heart ★★★ (2017-02-06 23:23:00)

初期BON JOVIの美点を集約したかの如き名曲。
ハードな曲調に物悲しげなアクセントを加えるピアノの旋律が肝。
例えるなら「雨の日に子犬を拾う昭和の不良」的な。
この曲に限らず1stではデヴィッド・ブライアンのKeyワークが
ピッカピカに輝いていますよ。


BON JOVI - Bon Jovi - Runaway ★★★ (2017-02-06 23:07:23)

大映ドラマにドはまりしていた中学生の時分、
部活の先輩が「これが『乳姉妹』の主題歌の原曲だぞ」と
カセットに録ってくれたのがこの名曲との出会い。
(一緒にボニー・タイラーの“HOLDING OUT FOR A HERO”も録ってくれたっけな)
その時初めて「洋楽」というジャンルを意識したので
ある意味、HR/HMというジャンルに足を踏み入れるきっかけともなった
恩人とも言える名曲ではないかと。


BON JOVI - Bon Jovi ★★★ (2017-02-05 22:15:26)

愛して止まない作品なのですっかりコメントした気になっていましたが、実際はまだ何の発言もしていなかったBON JOVIのデビュー作。(’84年発表)
80年代にBON JOVIが確立し、HR/HMシーンを完全制覇したポップ・メタル・スタイルに親しむ向きには、ここで聴かれる少々青臭いジョンの歌唱や、詰めの甘さを露呈するプロダクション及び音楽性には違和感バリバリやもしれません。しかしながら個人的には「そこがツボなんですよ!」と。まだ海の物とも山の物ともつかない新人バンドでしかなかった彼らが、全力を振り絞って奏でても尚垢抜けきれないHRサウンドにグッと来ます。
というか本作は、Keyによる印象的なイントロ、胸を打つ哀愁のメロディ、適度なノリの良さに加えて、一緒に口ずさめるキャッチーなコーラス等々「アメリカン・メロハー斯くあるべし」(というか寧ろ、これ1曲で自分の中でアメリカン・メロディアスHRの理想像が規定されてしまった気さえする)OPナンバー“夜明けのランナウェイ”の無敵ぶりだけで100点満点を進呈したいぐらいでして。このド級の名曲で聴き手の鼻面を張り倒して以降も、仄かにプログレ・ハード風味漂わす③、物悲しいバラード⑤、ハードに駆け抜ける曲調に絡むリッチー・サンボラの激情迸るGソロにグッとくる④⑦…と、優れた楽曲が続々登場。バンドのメロディ・センスと曲作りの卓越した手腕が、デビュー当時から既に研ぎ澄まされていたことを実感させてくれる仕上がりです。
王者の貫禄を身に纏った現在とは異なる、「がむしゃらなBON JOVI」サウンドが堪能できる貴重な(?)名盤。


OMEN - Warning of Danger ★★★ (2017-02-04 09:49:42)

OMENのトレードマークとも言える「コブラ」がジャケットに初登場している、’85年発表の2ndアルバム。コブラがちょこんと鎮座してるだけのイラストは構図的に少々寂しく、バンドが期待した程の効果は上がってない気がしますけど。
でも内容に関しちゃ、発表当時BURRN!!誌レビューで高得点を獲得したことが裏付ける通り、OMENの一足飛びな成長具合を実感させてくれるクオリティ。Bのゴツゴツとした主張っぷりに、欧州風味のダークな湿り気をたっぷり含んだGのフレージングと、相変わらずIRON MAIDENからの影響が全編に亘り濃厚に息衝いています。その一方でストレートな力押しに終始した前作に比べると、今回はプロダクションの(それなりの)向上といい、メリハリの効いたアレンジや曲展開の備わったバラエティ豊かな収録楽曲といい、バンドがNWOBHM影響下のマイナー・メタル枠から脱しつつあることを伝えてくれる仕上がり。
懐の深さ(奥行き)を感じさせてくれるようになったエピック・メタル・チューン①に始まり、パワフルに鳴らされる②、抒情的な前半からハードに盛り上がっていく④、スリリングなインスト・ナンバー⑤、歌詞の題材(『ターミネーター』)に相応しく、近未来的雰囲気漂わす序曲⑥を経て疾走する攻撃的な⑦、そして本編を重々しく締め括る⑩等、一層の力強さを獲得したJ.D.キンボールの歌唱と、重厚感をグンと増した楽器陣のパフォーマンスが映える楽曲の数々は、次作『殺戮の祈祷』(’87年)にて結実することとなる「OMEN流パワー・メタル・サウンド」の完成形に向かって大きく前進。
デビュー作にピンと来なかった人も、これならきっと楽しめるのではないでしょうか。


ASIA - Alpha - Don't Cry ★★★ (2017-02-02 21:55:33)

イントロ数秒聴いただけでもう勝負あり。
Voが伸びやかに歌うメロディや軽快に弾むリズムは
ハードポップ調ですが、琴線を震わすGに、煌びやかなKey等
アレンジは綿密にしてドラマティック。
ASIAが標榜した「3分間プログレ」の理想形を
体現したかのような名曲ではないでしょうか。


ASIA - Alpha ★★★ (2017-02-01 21:07:37)

ジョン・ウェットン死去の報に触れ、急きょ引っ張り出してきたASIAの2nd。様々なバンドに籍を置いてきた氏ですが、当方が彼の名を聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりASIA。特に’83年発表の本作はいつ何時聴いても感動を新たにさせられるプログレ・ハードの大傑作であります。セールス面では前作に及ばなくとも、内容的には一歩も引けを取らない素晴らしさ…というか、個人的にはASIAの最高傑作と言えば断トツでこれですよ。
アルバムのキーマンは、流麗且つカラフルなKeyワークでサウンドをドラマティックに彩るジェフリー・タウンズなれど、軽やかに弾むカール・パーマーのDs、押しと引きを心得たスティーヴ・ハウのG、何よりジョン・ウェットンの包み込むようにジェントリーなVoも、唯一無二の音世界確立に欠かさざる重要な要素であったと。
中でもOPナンバー①は「3分間プログレ」と評されたASIAの神髄が頭から尻まで堪能できる名曲中の名曲。これ1曲でアルバム数枚分の価値があると断言したいぐらいなのですが、本編はこの後も、ウェットンの暖かみに溢れた歌唱が神々しく響き渡るバラード②、劇的なイントロだけで掴まれる⑤。盤を裏返したB面には、ジェフの技ありなKeyワークが冴える⑦、キビキビとハード&キャッチーな⑧、アルバムを大団円で締め括る⑩…といった具合に、マイク・ストーンの的確なプロデューシングの下、アーティスティックな拘りと、親しみ易いポップな大衆性をスムーズに同居させた名曲の大盤振る舞い。
ロジャー・ディーンの手掛けた美しいアートワークを眺めながらめくるめくASIAワールドに浸れば、聴く度に幻想の世界へと連れ去られてしまうような感覚に陥るという、全く以て脱法ドラッグいらずの1枚。


OMEN - Battle Cry ★★★ (2017-01-31 00:07:27)

テクはなくとも味わいだけは有り余ってるアートワークが目印のデビュー作(’84年)。単に「ヘタクソ」と切って捨てるには、細部への徹底的な描き込み等、全力投球なヘタクソぶりに胸を打たれるこのイラスト(まぁ絵は本当に酷いんですけど)、この冴えない音質、それに“DEATH RIDER”“DRAGON’S BREATH”“BATTLE CRY”etc.といった勇壮な曲名を冠された楽曲の数々が組み合わさることで、プ~ンと香ばしく匂い立つエピック・メタルのクサ味に、個人的には大いに食指をそそられるという。
ただ一口にエピック・メタルと言っても、IRON MAIDENからの影響をフルチンで露出した楽器陣が一塊に突き進むサウンドは、聴き手を一発で虜にしてしまうような(例えばMANOWAR的な)分かり易い派手さや大仰さは控えめ。3~4分台とソリッド且つストレートにまとめられた楽曲は、良く言えば実直、悪く言えば地味。初めて聴いた時はピンと来ずにすぐに手放してしまったぐらいですが、いやしかし、年食ってストライクゾーンが広がった今聴き直すと、寧ろそこが良いんじゃない!とモリモリ評価が急上昇。
多少のドタバタ感もなんのその。ケニー・パウエル(G)が刻み/奏でるリフとメロディ、ジョディ・ハリー(B)のスティーヴ・ハリスばりのベース・ラン等、メイデンやNWOBHMへの憧憬が微笑ましいぐらいダダ漏れな①⑤⑦、J.D.キンボールの力強い歌唱が活きるドラマティックな④⑩といった、欧州HM由来のダークな湿り気と刺々しいアグレッションを併せ持った収録曲は、粗削りながらもOMENならではの魅力が充満しています。
上から目線で本作をクサしてた頃の己をドヤしたくなるぐらい、今じゃ大好きな1枚。


RIK EMMETT - Res 9 - The Ghost of Shadow Town ★★★ (2017-01-29 09:23:12)

じわじわ~っと哀愁が溢れ出すイントロだけで「はいきた名曲」と。
グッと抑えたヴァースから、エモーションを一気に解き放つ
サビメロの熱唱ぶりと、胸搔き乱されずにはいられない入魂のGプレイに、
これぞエメット師匠!と咽び泣きながら姿勢を正したくなる
アルバムのハイライト・ナンバーです。


RIK EMMETT - Res 9 - Grand Parade ★★★ (2017-01-29 09:12:00)

リック・エメット(Vo)、マイク・レヴァイン(B)、ギル・ムーア(Ds)
のHRトライアングル、ここに復活!な1曲。
TRIUMPHは再結成を果たしたものの、新作がリリースされる気配は
まったくないため、こうして再び三人の共演が実現した
楽曲を聴けるのが嬉しくてもう。欲を言えば
もっとギンギンにロックしている楽曲だったら尚嬉しかったのですが
往年の名曲“SUITECASE BLUES”にヒントを得て書かれたという
この抒情ナンバーだって、うっとり聞き惚れる素晴らしい出来栄えですからね。


RIK EMMETT - Res 9 - End of the Line ★★★ (2017-01-29 09:05:17)

HR/HMとは若干距離を感じさせる本編中にあって
豪快に刻まれるGリフと、炸裂感溢れるリズムをフィーチュアした
この曲は、間違いなくHRナンバーとして存在を主張しています。
リードVoをジェイムズ・ラブリエ(DREAM THEATER)と
リック・エメットが分け合い、更に2ndソロではRUSHの
アレックス・ライフソンが客演を果たすという
本編の締めに相応しいダイナミックな仕上がりの一篇。


RIK EMMETT - Res 9 ★★★ (2017-01-28 08:10:57)

近年はすっかりマイペースな活動が板についているカナディアン・ロック界の至宝、リック・エメット先生から久々に届けられたソロ・アルバム。純粋な新作としてはAIR TIME以来となるのでしょうか?(AIR TIMEの2ndもずっと待ってるんだけどなぁ)
自ら「これまで発表して来たソロ作の集大成的内容」と語る本作は、ハード・ドライヴィンな①にて幕が上がり、アレックス・ライフソン(RUSH)が客演を果たしたポップ・チューン②、ジェイムズ・ラブリエ(DREAM THEATER)が流石の喉を披露するバラード③…といった具合に、バラエティ豊かにして高品質な楽曲をズラリ収録。過去のソロ作同様、HR/HMアルバムとして括るには少々音圧が不足気味ですが、そんなこたぁエメット師匠入魂の歌声とエモーショナルなGの技前が濃厚に絡みつく名曲⑤や、ラブリエ、ライフソン、エメットの豪華共演が実現したダイナミックなラスト・ナンバー⑩の圧倒的素晴らしさの前には枝葉末節であると。
そして何より本作のトピックはボートラ収録の⑪ですよ。ギル・ムーア、マイク・レヴァインの盟友がゲスト参加しているこの曲は、言わば局地的なTRIUMPH再結成。欲を言えば“必戦体勢”タイプの劇的な楽曲か、もしくは“ALL THE WAY”のようなハード・ナンバーだったら尚感涙に咽んだと思いますが、“SUITECASE BLUES”に通じるこうした抒情ナンバーもTRIUMPHならではの魅力に溢れていて、これはこれで大変オツな出来栄え。
尚、本作は発表名義(RIK EMETT&RESOLUTION 9)が物語る通り、ツアーを念頭に正式なバンド形態で制作されているとのこと。でしたら是非とも願・来日。


WHITE LION - Big Game - Cry for Freedom ★★★ (2017-01-26 23:24:26)

カラッと明るいハードポップ色を強めた3rdアルバム内にあっては
やや異色な、仄かに漂う欧州HR風味が美味な本編ラスト・ナンバー。
ムーディに抑えた前半を経て、中盤で一瞬熱を帯びた演奏を閃かせて
聴き手の胸をハッと突くヴィトのGプレイがここでも光っています。


WHITE LION - Big Game ★★★ (2017-01-25 23:18:42)

’89年発表の3rdアルバム。注目を集めた1st『華麗なる反逆』でホップ、全米チャートTOP10圏内を射程に収めた2nd『PRIDE』でステップと来て、いよいよ本作で栄光に向かって大ジャンプを決める…筈が、HR/HMシーンの潮流の変化もあってか思ったほど飛距離(チャート・アクション)が伸びぬまま着地。結果的に上り調子だった前2作の勢いに影を落とす形となったため、漠然と「コケた作品」との印象が付きまとっていたのですが、メタル・バブル爛熟期の当時ならともかく、バブル熱が冷めきった今にして思うと、全米チャート最高第18位という成績は立派に健闘してる方だったよなぁと。
音楽的には、ウェットなヨーロピアンHRと、カラッと明るいアメリカン・ロックの割合が7:3ないし6:4ぐらいだった前2作に比べ、マイケル・ワグナーが手掛けた音作りからしてブライトな今回は、その比率が1:9ぐらいで完全に逆転。中には本編をハード且つドラマティックに締め括る⑪みたいな楽曲もあるにはあるものの、作品全体を支配するのはやっぱり、アメリカ市場での更なる躍進を見据えたポップ・メタル・カラーという。
そんな中で気を吐くのがヴィト・ブラッタの「歌う」リードG。ノリノリの⑦、爽やかなバラード⑧、ドラマティックな⑪といった秀曲において、フラッシーだったりメロディアスだったり情感に溢れてたりと、各曲調にマッチした多彩なGプレイを提供。中でもポップな名曲①における絶品に構築されたGソロは必聴ですよ。(評価が割れがちなマイク・トランプのVoも、こうしたハーモニー重視の作り込まれたサウンドには実によく馴染みます)
なぜ多くのマニアが、このギタリストのミュージシャン稼業からの引退を惜しむのか。その理由を解するのに打ってつけの1枚ではないでしょうか。


POWERWOLF - Blessed & Possessed - Blessed & Possessed ★★★ (2017-01-24 23:49:33)

適度な疾走感に、荘厳なアレンジ、
ライブ映えしそうなコーラスetc.と、
前作収録の名曲“AMEN&ATTACK”と系統を同じくする
アルバム表題曲兼OPナンバー。


POWERWOLF - Blessed & Possessed - Armata Strigoi ★★★ (2017-01-24 23:45:36)

東欧風の物悲しいメロディと、
どことなく応援歌っぽくも響く雄々しい曲調が合体した
ライブじゃさぞかし盛り上がるであろう逸品。


POWERWOLF - Blessed & Possessed ★★★ (2017-01-23 22:41:09)

ドイツ本国でチャート№1の座を獲得した5th『PREACHERS OF THE NIGHT』の勢いを駆り、'15年に発表された6thアルバム。ついでにここ日本でも漸く国内盤のリリースが実現(前作も同時発売)。更に国内盤は、JUDAS PRIESTの“A TOUCH OF EVIL”、SAVATAGEの“EDGE OF THORNS”、CHROMING ROSEの“権力と栄光”、BLACK SABBATHの“HEADLESS CROSS”etc.といった、思わず「ナイス・チョイス!」と肩を叩きたくなる名曲の数々のカヴァー、全10曲を収録したボーナスCDとの2枚組仕様。しかもお値段はお得な据え置き価格で、これはお買い得ですよ!(ショップTV風に)
音楽性の方も前作同様、シンフォニックなKeyとチャーチ・オルガンを活かした劇的なアレンジ、ラテン語を交えた歌詞を時にオペラティックに、時にメタリックに歌い上げるシアトリカルなVo、それにコーラスを荘厳に彩るクワイアがフィーチュアされた、勇壮にしてキャッチーなパワー・メタル路線を堂々追求。間違いなく日本のHR/HMファンにも希求し得る魅力を満載にしたサウンドのように思われます。
前作と比較した場合、“AMEN & ATTACK”レベルの頭抜けた楽曲が見当たらない…というか、少々楽曲のパターン化が気にならなくもないのですが、それでもスピーディ&パワフルな収録曲は(捨て曲の見当たらない)文句なく高いクオリティを維持。またドラマティック過ぎる程にドラマティックな作風でありながら、無駄に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も本作の「取っ付き易さ」向上に一役買っているのではないかと。
LOUD PARKで呼んでくれれば、日本でも人気に火が点くのでは?と思わせてくれる1枚。


POWERWOLF - Preachers of the Night - Amen & Attack ★★★ (2017-01-22 22:30:36)

合唱を誘われるキャッチーなコーラスをフィーチュアして
パワフルなGリフとリズムが勇壮に疾走。
その上に乗せられた、オペラティックな歌い上げと
熱く歪んだシャウトの両刀使いのVoと
チャーチオルガンの冷ややかな旋律が
このバンド独特の荘厳な雰囲気を演出する名曲。


LIVING DEATH - Protected From Reality - War of Independence ★★★ (2017-01-21 10:34:19)

Gリフの印象度ではアルバム随一。
勇壮なインスト・セクションの威力もあって
スラッシュというよりはパワー・メタル寄りの感触もあり。
ただそこにトトのヒステリックなシャウトが乗ると
あ、やっぱりLIVING DEATH以外の何者でもねえや、と。


LIVING DEATH - Protected From Reality - Horrible Infanticide, Part One ★★★ (2017-01-21 10:29:53)

いかにもジャーマン・スラッシュ・メタル然とした
刺々しい疾走感の中から、突然朗々とした男性コーラスや
メロディックなGソロが飛び出してきたりする
奇想天外な曲展開は、プロデュースを担当した
ラルフ・ヒューベルトからの助言もあったのでは?と。


POWERWOLF - Preachers of the Night ★★★ (2017-01-21 10:01:37)

’13年に発表するやドイツのナショナル・チャート№1の座に躍り出る大ヒット作となった4th。
何だかよう分からんが、基本コンセプトに「狼」を据えたバンドということで、「まぁ要するにドイツ版MAN WITH A MISSONみたいなもんか?」とか薄らぼんやりしたイメージを抱いて本作を購入してみれば、別にメンバーは狼マスクを被っていたりはしませんでしたし(当たり前だ)、託されているサウンドも流行り要素皆無のオーソドックスなジャーマン・パワー・メタルだったという。
但しオーソドックスと言っても、Keyを活かしたシンフォニックなアレンジ、白塗りの風貌でパワフルなシャウトと朗々たるオペラティックな歌い上げを使い分ける「新世代のキング・ダイアモンド」――というか「ドイツのデーモン小暮」と呼びたくなる――実力派シンガーの歌唱、重厚に炸裂するクワイア、そして楽曲に冷厳なアクセントを加えるチャーチ・オルガンの調べが、宗教や東欧伝承をテーマにラテン語を交えて綴られる歌詞世界と呼応して、このバンド独自の荘厳且つドラマティックな音世界を描き出します。かてて加えてメロディが実にキャッチー。例えばPVも制作された本作のリーダー・トラック①からも明らかな通り、収録曲はパワフルで疾走感に溢れていてもコーラスは一度聴いてしまえばすぐに一緒に歌える(歌いたくなる)フックラインを有しており、こりゃ確かにチャート1位になっても不思議ではないなぁと。
実際に聴くまでは「過大評価じゃないの?」とか舐めて掛かる気持ちが無きにしも非ずだったですが、そしたらこの捨て曲なしの完成度の高さ。侮ったりしてすまなんだ。