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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2301-2400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2301-2400

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VICIOUS RUMORS - Concussion Protocol ★★ (2016-10-03 22:53:27)

開巻早々から、殺伐としたリフ&リズムが押し寄せる’16年発表の12thアルバム。暗鬱な「人類滅亡」をテーマを据えたバンド初のトータル・コンセプト・アルバムに相応しく、メロディよりも、怒りに満ちたアグレッションとヘヴィネス重視の作風に仕上がっています。
…と書くと、カール・アルバートを喪ったVICIOUS RUMORSが迷走した90年代の作品群のことを思い出す方も多いことかと。しかしながら首魁ジェフ・ソープ(G、Vo)は、あれらで得た経験をちゃんと今回の曲作りに反映させ、同じ失敗(と敢えて表現させて貰いますが)を繰り返す愚を犯してはいません。ドスの効いた1曲目にしても、テクニカルに閃くGソロが流麗なアクセントを加えてくれますし、劇的にハモるツインGをフィーチュアしてパワフルに突っ走る④や、バラード調に始まりじっくりと盛り上がっていく⑦はVICIOUS RUMORSの真骨頂(ライブ映えしそうな⑧もユニークな存在感を放つ出来栄え)。これらの楽曲において強力な喉を披露してくれている新Voニック・ホレマンも、前任シンガーに勝るとも劣らぬ実力者であることは明白。ただ今回のようにメロディックな歌い上げよりも直線的なシャウト主体のサウンドでは、実力を十二分に発揮できているとは言い難いかな?
印象に残る楽曲とそうでない楽曲の落差が激しく(特に終盤が弱い)、問題作であることは否定できませんが、単なる自己満足のオナニー作品でないことは請け合える、そんな1枚であります。


CANDLEMASS - Tales of Creation - Into the Unfathomed Tower ★★★ (2016-10-03 09:13:52)

CANDLEMASSといえば、超重くてスローで…と言ったら
「ああ、メサイアの体型のことね」
…って違います。音楽性の話です。
ともかくドゥームメタルの権化的な先入観があったので、
このインスト曲を初めて聴いた時は大層驚きましたね。
スピード・メタルばりの疾走感に、
テクニカルなGが華を添える曲調がインパクト十分。


CANDLEMASS - Tales of Creation ★★★ (2016-10-02 08:38:16)

CANDLEMASS来日の報に触れ、自宅の棚を漁って引っ張り出した'90年発表の3rd。
本名エディ・マコーリン、しこ名…じゃなくてステージネームはメサイア・マコーリン(Vo)を擁するラインナップの最終作となった本作は、『創生神話』なる仰々しい邦題を手始めに、まるで宗教画の如き威容を誇るアートワーク、ストーリー・アルバムさながらに曲間の切り詰められたドラマティックな構成等、まさしくメサイア在籍時代のCANDLEMASSを総括するに相応しい、集大成的内容に仕上がっています。
陽の当たらぬ地下世界へと、ズブズブ沈み込んでいくような錯覚に陥るBLACK SABBATH直系の楽曲群は、徹底してダークな色合いで塗り潰されているにも関わらず、邪教の神官の説法を思わすメサイアの朗々とした歌唱に、荘厳なドラマ性漂わす曲展開、北欧のバンドならではの荒涼たる泣きと憂いを孕んだメロディとが重厚に組み合わさり、例え暗黒色で統一された世界観であっても(さながら名匠の手による絵画の如く)豊かな陰影が迫り出し来るかのよう。また、意表を突いて流麗なGプレイを伴いスピーディにかっ飛ばすインストの名曲⑤が本編に起伏を演出したりと、この手のバンドにありがちな単調さや、ダラダラとした冗長感も皆無。そういえばドゥーム・メタルなんて言葉が一般化する以前は、単純に「良く出来た様式美HMアルバム」として本作を楽しんでいたことを思い出しましたよ。
CANDLEMASSというブランドに敷居の高さを感じてしまう初心者リスナーにも取っ付き易い1枚と言えるのではないでしょうか。


FIREHOUSE - Bring 'em Out 'Live' ★★★ (2016-10-01 08:55:17)

'99年に来日したFIREHOUSEが、大阪の梅田HEAT BEATで行った公演の模様を収録。意外にもこれが彼らの初ライブ・アルバムだとか。
セットリストは、この時点でリリース済みだった4枚のスタジオ・アルバムからヒット曲、代表曲を中心に網羅。比率はやはり1st『FIREHOUSE』と2nd『HOLD YOUR FIRE』に偏り気味ですが、このことに異議を唱えるファンは恐らく少ないですよね。C.J.スネアの伸びやかな歌声を始め、美しいコーラス・ワークから楽器隊の安定したパフォーマンス、更にはOPで必殺の名曲“OVERNIGHT SENSATION”をブチかまし、後に続くのは“ALL SHE WROTE”。このFIREHOUSEが誇る代表曲2連打でいきなり会場を興奮の坩堝に叩き込むステージ進行に至るまで、場数を踏んで鍛えられたライブ・バンドとしての実力が如何なく発揮された出来栄え。
それを受けての観客の盛り上がりも半端なく、特にハイライトはヒット・バラード“I LIVE MY LIFE FOR YOU”にて訪れます。伴奏なしでバンドからサビを託された観客が、(ワンフレーズどころか)ワンコーラス丸々を見事な大合唱で歌いきる様は、メンバーは勿論、聴いてるこっちも感動しますよ。
正直、購入前までは「90年代前半にライブ盤を出しときゃ、クラブなんかじゃなくてホールクラスで収録できたろうに」とか舐めたこと思っていたのですが、本作を聴いてしまったら、そんな風に考えた我が身の不明を恥じ入るばかり。会場の大小に関係なく、これほど熱いお客さんに恵まれたら、そりゃ記録として残しておきたくなるってもんです。


DOKKEN - Beast From the East ★★★ (2016-09-28 23:47:42)

ロック・バンドたるもの、メンバー全員が固い友情で結ばれ、同じゴール目指して手に手を取って突き進んで行くものと信じて疑わなかった純真な身に、「いやいや、もっと複雑なのよ」と現実を突き付けてくれたDOKKEN。その解散記念盤でもあった(?)ライブ・アルバム。
発売当時の評判があまり芳しくなかったのと、「ライブ中は互いに近寄らないどころか目すら合わせようとしない」「ドンのMC中に大音量でGを弾き出すジョージ」とか、真偽の程はともかく、聞いているだけで肝が冷える逸話に事欠かなかったDOKKENの実況録音盤だけに、購入して初めてオーディオプレーヤーにセットする際には「一体どんな修羅場が繰り広げられるんだ…」と手が震えたものです。(嘘)
だがしかし。実際に聴いてみれば、当のメンバー達は実に生き生きとパフォーマンスに興じており、これが本当に楽しそう。映像がないからそう感じるだけかもしれませんが、バンドはインタビュー等で、ヘッドライナーとしてストレスなくツアーできる日本でのライブの楽しさを公言していましたし、概ねベスト選曲な優れた楽曲群が、エネルギッシュな演奏に載せて次々繰り出されるのですから、これでアガらずにいらいでか。特にジョージ・リンチのGプレイはスタジオ・テイク以上のキレっぷり。加えて、ライブでも全く美しさを損なわないドン、ジェフ、ミックの三声ハーモニーの劇的さにも痺れましたね。
現在では、収録時間の都合上カットされていた楽曲を復活させた2枚組のコンプリート盤も入手可能。でもどうせ「完全版」を名乗るなら、曲順を当時のライブ通りに修正したバージョンも発売して欲しいところであります。


DOKKEN - Back for the Attack - So Many Tears ★★★ (2016-09-28 00:03:52)

昔はちょっとGが弾き過ぎに感じられ、もう少しVoの切ないフィールを
引き立ててくれよ、そりゃドンも気ぃ悪くするわとか思ったりしたのですが、
改めて聴き直してみたら、これが涙腺にクイクイくる実に良い泣きのソロを
弾いてくれていて、「正直すまんかった」と。


DOKKEN - Back for the Attack - Kiss of Death ★★★ (2016-09-27 23:54:03)

イントロのGリフだけでやられてしまいますよね。
疾走曲ではないものの、鋭利なGリフに攻撃的なGソロ、
へヴィなリズムに威勢の良いコーラスと
全体的にドライな荒々しさが満ちていて、
「これまでのDOKKENと一味違うぜ」と感じたものでした。


DOKKEN - Back for the Attack - Mr. Scary ★★★ (2016-09-27 23:47:21)

鼓膜を切り裂くように襲い来るジョージ・リンチの
カミソリギターが全編に亘って荒れ狂うインストの名曲。
へヴィ・メタル版“移民の歌”?
弾きまくってはいても、それは無意味な自己主張などではなく、
Voの不在を全く意識させない「歌う」Gプレイが素晴らしい。


DOKKEN - Back for the Attack ★★★ (2016-09-27 23:37:57)

日本での確固たる人気とは裏腹に、本国アメリカではオープニング・アクトの地位から脱却すべく苦労を重ねていたというDOKKENにとって、チャート・アクション的には過去最高(第13位)を記録した4thアルバム。(既にバンド内の士気がガタガタだった為、メンバー的には余り良い思い出がない作品のようですが)
「成功の壁」を突き破るため試行錯誤の跡が刻まれた本作は、ソフト路線に振った前作の反動か、はたまたHR/HMシーンの変化に敏感に反応したのか、鬼気迫る迫力で弾きまくるハードなGを前面に押し立てた、ドライでアグレッシブなHMサウンドを追求。正直、疾走ナンバーの不在や、美麗さよりもラフネスが強調気味のコーラス・ワーク、収録曲数の多さ等に初聴時はあまりピンと来なかったことを告白しておきます。
んが。よくよく聴き込めば、抒情的な“SO MANY TEARS”から、映画『エルム街の悪夢』主題歌“DREAM WARRIORS”まで優れた楽曲が揃えられており、DOKKENらしいハードネスとメロディのバランス感覚も相変わらず絶妙。何より本作の白眉は「寄るな触るなハジけて飛ぶさ」とばかりに暴れ回るジョージ・リンチのカミソリGですよ。その弾きまくりぶりと来たらドンが気持ち良さげに歌ってる時でもお構いなしな勢いで、別の意味でもスリリング。耳から出血しそうな“KISS OF DEATH”や“Mr. SCARY”は本作ならではの名曲ではないかと。
この頃には既に二人の不仲は公然の秘密と化していたわけですが、両者の個性のぶつかり合いによって生じる緊張感が、サウンドの切っ先を一層鋭利に研ぎ澄ます好結果に繋がっているのですから、やっぱり(感情的な折り合いはどうあれ)この二人の間にはマジックがあったんだよなぁと。そんなことを再認識させてくれる1枚であります。


DOKKEN - Under Lock and Key - Lightnin' Strikes Again ★★★ (2016-09-26 23:23:45)

どこかで聴いたようなGリフ…というか、後続がこぞって真似た結果
(インテリペリとかインテリペリとか、あとインテリペリとか)
すっかりHMのスタンダートと化してしまった名Gリフのカッコ良さは
まさしく雷に打たれたかの如く。
「柔」のVoと「剛」のGの対決は、この曲に関してはG優勢なのですが
それでも負けじと声を振り絞る、終盤のドンの熱いシャウトが
メタル・ハートにビンビン響きますね。


DOKKEN - Under Lock and Key - In My Dreams ★★★ (2016-09-26 23:13:14)

“INTO THE FIRE”の進化系。
当時のバンドの充実ぶりが反映されたかのような
息の合った三声ボーカル・ハーモニーの美しさに聞き惚れます。
DOKKENのソフト・サイドの最高到達地点を垣間見せてくれる名曲ではないかと。


DOKKEN - Under Lock and Key ★★★ (2016-09-26 23:07:23)

MTVの登場で市場規模が爆発的に拡大し、HR/HMシーンはメインストリーム化が一気に進行。そうした変化を踏まえ、音作りから楽曲までメタリックな荒々しさを抑制した分、ソフトで洗練された側面が強調されている’85年発表の3rd。『TOOTH AND NAIL』が上り調子のDOKKENの勢いを十全に捉えた作品だったとするならば、こちらは円熟の域に入ったバンドの安定感(内情はどうあれ)を楽しむべき1枚といったところでしょうか。
哀愁が滲む“UNCHAIN THE NIGHT”や、MTVでビデオが頻繁にオンエアされアルバム・セールスの押し上げたという“SLIPPIN’ AWAY”“IT’S NOT LOVE”辺りが物語る通り、収録楽曲はミッドテンポを中心にまとめられ、よりキャッチー&メロディアスに磨きが掛けられています。ドンのVoにしろジョージのGにしろ、「俺が」「俺が」という過度な自己主張は控えめに、きっちりと楽曲を活かす方向でのパフォーマンスに専念。極上の三声ハーモニーに彩られた“IN MY DREAMS”が放つ比類なき美しさなんてその好例ですよ。
無論、彼らが大人しいポップ・バンドになってしまったなんてことはなく、本編ラストを締め括るのは、ジェフとミックのリズム隊が気張る疾走ナンバー“TIL THE LIVIN’ END”ですし、何より「柔」のVoと、エッジを効かせた「剛」のGが真っ向勝負で火花を散らす必殺の一撃“LIGHTNING STRIKES AGAIN”のカッコ良さた来た日にゃあ…。そりゃクリス・インペリテリもGリフを真似たくなりますわなと。
聴き始めのインパクトこそ前作に一歩譲るものの、単純にクオリティを評価すれば本作を「DOKKENの最高傑作」とする意見に大いに賛同できる1枚です。


DOKKEN - Tooth and Nail - Into the Fire ★★★ (2016-09-25 22:05:44)

中庸なHRバンドとしてのDOKKENの魅力が横溢する逸品。
中間部のドン・ドッケン、ミック・ブラウン、ジェフ・ピルソンに
よる三声ハーモニーの美しさは、STRYPERやPRAYING MANTISに匹敵します。
(ライブでもちゃんと再現できる点もポイント高し)
随所で印象的なフレーズを差し込んで来るジョージ・リンチが
ここでも良い仕事しています。


DOKKEN - Tooth and Nail - Alone Again ★★★ (2016-09-25 21:59:26)

“TOOTH AND NAIL”がDOKKENのハードサイドを象徴する
名曲なら、こちらはソフトサイドを代表する名バラード。
この手の楽曲を歌わせたら、ドンの透明感を湛えたVoは無敵ですね。
エンディングに向けて抒情性をどんどん増幅させていく
ジョージの泣きに満ちたGプレイにも辛抱堪らんものがありますよ。


DOKKEN - Tooth and Nail - Tooth and Nail ★★★ (2016-09-25 21:54:17)

個人的にも、DOKKENの名を聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの疾走曲。
前作とは比べ物にならないぐらい主張しまくるリズム隊、
負けじと声を振り絞るドン・ドッケンと、
一気にへヴィ・メタリックな光沢が増しています。
何より間奏部分におけるジョージ・リンチのGソロは
これだけで彼のギターヒーローとしての地位を確定させた
名演と言っても過言ではありませんよ。


DOKKEN - Breaking the Chains - Paris Is Burning (live) ★★★ (2016-09-24 09:13:30)

アルバム中にあって飛び抜けてメタル度の高い疾走ナンバー。
攻撃的なジョージ・リンチのギターとソフトなドン・ドッケンのVoの
組み合わせという、DOKKENならではの旨みを堪能できる名曲です。
フランスのCARRIE盤と、“DREAM WARRIORS”のシングルで
スタジオバージョンを聴くことが出来ますが、
このライブ・バージョンの方がずっと熱い。


DOKKEN - Breaking the Chains - Breaking the Chains ★★★ (2016-09-24 09:03:08)

ジョージ・リンチのGにカミソリ感はなく
主役はあくまでドン・ドッケンの透明感を湛えたVo。
でもこれが素晴らしい!
甘く歌い上げられる哀愁に満ちたサビメロは
聴く度にとろけそうになりますね。


DOKKEN - Breaking the Chains ★★ (2016-09-24 08:46:02)

DOKKENがクラシック・ラインナップで復活して来日公演を行うという。喜びと共に、これが最後かもしれないな…との寂寥感が湧き上がりましたが、そういや90年代に再結成した時も、数年前にLOUD PARKでドンとジョージの共演が実現した時も「これで見納めかも」としんみりしてたことを思い出して、出掛かっていた涙がヒュッと引っ込みました(大袈裟)。
ともあれ、目出度いことに変わりはないので久々に彼らの作品聴き直したりしているのですが、やはりこの1stは後のアルバム群と比較するとやや趣きが異なりますね。地味なアートワークとか、ベース弾いてるのがピーター・バルテス(ACCEPT)だったりホアン・クルーシェ(RATT)だったりする基礎的な部分に加えて、そもそもドンのソロ・アルバムとして制作された経緯があるだけに、疾走曲とかも収録はされていても、飽くまで主役は「歌」。引き立て役に徹している風情のギターもそうした印象に拍車を掛けます。
でも、ドンの甘口なハイトーンがメロディの哀愁を際立たせる文句なしの名曲“BREAKING THE CHAINS”を始め、ノリノリの“LIVE TO ROCK”や、Gソロがダイヤの原石的輝きを放つ“YOUNG GIRLS”等、収録曲はこれはこれで十分に魅力的。またそうした本編中にあって、アグレッシブなHMナンバー“PARIS IS BURNING”だけは他と比べて毛色が若干異なるのですが、それもその筈。この曲はジョージ・リンチとミック・ブラウンがその昔在籍していたXCITER時代に書かれたものなのだとか。しかしDOKKENがレコード契約をゲットする決め手になった楽曲の一つというだけあって、これまたアルバムのハイライトを飾る名曲っぷり。影は薄めなれど、やっぱ良い作品ですよ、これ。


MASS - Voices in the Night - Turn It All Around ★★★ (2016-09-22 09:55:52)

鋭角的に刻まれるGリフが小気味よく疾走する
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
これまた初期STRYPERの未発表曲と言われたら
信じてしまいそう感じですが、分厚いハーモニーに
彩られたキャッチーなコーラスが
爽快且つ勢いを感じさせて、良いものは良いんだと。


MASS - Voices in the Night - Voices in the Night ★★ (2016-09-22 09:51:17)

シンガーの歌唱スタイルから、壮麗なコーラス・ワーク、
さらに歌詞には“LOUD AND CLEAR”なんて一節まで
登場したりして、STRYPER感満点な3rdアルバムのOPナンバー。
プロダクションのせいなのか、やや小じんまりとした印象を
受けますが、でも良い曲ですよ。


MASS - Voices in the Night ★★★ (2016-09-22 09:22:53)

「さて、マスでもかくか」と呟いたら白い目で見られてしまいましたが、いや違う。そうじゃなくて。マスはマスでも、ここに書き記すのはボストン・マサチューセッツ(略称MASS)出身の5人組が、'89年にENIGMA RECORDSに残した3rdアルバムについて。
彼らのことは「STRYPERの弟分」的イメージで見ていましたけど、国内盤の解説によれば結成は80年代初頭まで遡り、2枚のアルバムでトム・アロムやトニー・プラットといったプロデューサーとも仕事をしてきたキャリアの長いバンドだったんですね。(元マネージャーとの間で起きた訴訟トラブルのせいで、思うように活動ができなかったとか)
クリスチャン・メタル界の先輩マイケル・スウィートをプロデューサー(&バックVo)に招聘した本作で聴けるのは、張りのあるシンガーの歌唱法、ドラマティックなツインGの出し入れから、美麗なボーカル・ハーモニーまで、「まるでSTRYPER」なHMサウンド。そりゃ方々で指摘された通りオリジナリティに関しては疑問が残りますし、本家に比べると小じんまりとまとまっていて、メロディの扇情度や曲展開にフックが今一歩足りていないのも事実です。しかしながら、憂いを湛えたメロディック・メタル・ナンバー①や、神々しいコーラス・ワークが印象的な③、うっとり聴き惚れるバラード④、イキのいいGリフがハードに疾駆する⑤のような、単なる二番煎じと切り捨てるには惜し過ぎる魅力を放つ楽曲を前にすれば、「半端なオリジナリティより、優れたフォロワー!」と、断固本作を支持したくなるのが心情というものですよ。
この後MASSはENIGMAの倒産に巻き込まれて契約を失い解散してしまうことになるのですが、現在は再結成を果たし活動中。彼らの今後に神のご加護があらんことを。


BRIGHTON ROCK - Love Machine - Magic Is Back ★★★ (2016-09-20 23:21:29)

前2作ではラストにはハード・ナンバーを置いていましたが
3rdでは趣向を変えてバラードがEDを飾っています。
これがまた大団円を演出する大変素晴らしい仕上がりで、
サビの「ナーナーナナナー🎵」はライブ会場での大合唱が
聞こえるかのようで感動的。


BRIGHTON ROCK - Love Machine ★★ (2016-09-20 23:17:18)

BRIGHTON ROCKは'91年に解散の後、'02年に再結成を遂げて現在も活動中なのですが、スタジオ・アルバムとしては、’90年発表のこの3rdアルバムが一応(現時点での)最終作。…ということでいいのかな。
2nd『TAKE A DEEP BREATH』までの流れから、てっきり更にポップになってるかと思ったら、全くそんなことはなく。Key奏者が抜けた代わりにサイドGが加わった編成と、1曲目から小気味よく疾走するHMチューンをガツンとぶつけてくる構成が物語る通り、本編は寧ろ、よりタフでワイルドな方向へと突き進んでいましたよ。
J.J.ケイルの代表曲…というよりもエリック・クラプトンが大ヒットさせたことで有名な“COCAINE”のカヴァーにもチャレンジする等、仄かに土の匂い漂わす新機軸を打ち出した作風は、90年代以降の音楽シーンの潮流の変化を踏まえていますが、シンガーのしゃがれ声がこの手の音にマッチしている上(場面によってはトム・キーファー風?)、相変わらずフックを盛り込んだ曲作りの巧さやメロディ・センスの冴えに鈍りがないので、単に上っ面だけ流行をなぞったような退屈な作品にはなっていません。
本編はメタリックに突っ走る①にて幕が上がり、溌剌とハジける③、重厚な雰囲気を纏った⑥といった優れた楽曲を経て、感動的なバラード⑪にて大団円を迎えます。前2作に比べると、そのクオリティにややムラを感じなくもありませんが、最後まで基本軸をブレさせることなく活動を全うしたバンドの、有終の美を飾るに相応しい1枚でありました。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Unlease the Rage ★★★ (2016-09-19 08:35:59)

メロディの哀愁っぷりやKeyソロを組み込んだ曲展開からは
ヨーロピアンなドラマ性も迸る哀愁のHRナンバー。
評価が割れるVoですが、金属質なシャウトで曲調に
メタリックなエッジを加えてくれていて、個人的には全然「有り」。
ドラム連打からスタートするアップテンポな楽曲を、
こうして(前作同様)アルバムの最後に置く辺り、
「単なる売れ線狙いバンドと舐めんなよ」
というバンドの矜持が垣間見えるようです。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Who's Foolin Who ★★★ (2016-09-19 08:28:26)

キラキラKeyに適度と歌うGに支えられ
ポップにハジける曲調に、哀愁を塗したメロディが
絶妙なアクセントを加えてくれる、BRIGHTON ROCKならではの
魅力が光るメロディアスHRソング。
メロディアスでキャッチーなサビメロの素晴らしさよ。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath - Outlaw ★★★ (2016-09-19 08:23:33)

叙情性を高めるKeyの存在を活かして
タイトルに相応しく、大人びた哀愁を漂わせる逸品。
しわがれVoのクドイ歌唱は好悪が分かれそうですが、
全力を振り絞るような熱唱に個人的には胸が熱くなりますよ。
泣きのメロディで好アシストするGも良い。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath ★★★ (2016-09-17 09:59:13)

国内盤の解説によれば、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作『YOUNG, WILD AND FREE』を引っ提げ国内外で行われた2年に及ぶツアーで、地元カナダを始め、イギリス等のヨーロッパでも支持基盤を築いたというBRIGHTON ROCKが、今度はプロデューサーにジャック・リチャードソンを招いてレコーディング、’88年に発表した2ndアルバム。
アー写を用いた80年代然としたジャケットの前作に対し、グッとシックに落ち着いたデザインのアートワークが何やら熟成を感じさせますが、どっこい音楽性は変わっていません。OPナンバー①から元気溌剌にハジけるポップ・メタル・サウンド全開で、勿論ケヴィン・ダブロウとかそっち系の声質のシンガーによるしゃがれシャウトも健在。初めて聴いた時は「げ」と思った彼の声も、慣れるとクセになるというか、バンドになくてはならない重要な個性として、元気が有り余ってる感じのこの歌いっぷりが微笑ましく思えます。
これまでよりもKeyの存在感が増し、楽曲が一層メロディアスになったとの印象を受ける本作なれど、お陰でアダルトな哀愁漂わす②、キャッチーで伸びやかなサビメロが秀逸な⑧等、このアルバムならではの逸品が生み出されたのですから、むしろ感謝したいぐらいのもので。そして本編最後をハードに飾る、前作収録の名曲“ROCK ’N’ ROLL KID”と同タイプの名曲⑪がこれまた素晴らしい出来栄え。
母国では7万枚を売り上げ、ヒット・チャート22位にランクイン…って、売れたのかそうでないか微妙な成績ですが、前作に勝るとも劣らない完成度が備わっていることは保証します。国内盤CDも出ていたので、入手も比較的容易いのではないでしょうか。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - We Came to Rock ★★★ (2016-09-16 23:08:00)

仄かに哀愁を感じさせるメロディ・ラインに、
ライブ映えするキャッチーなコーラスと
スケールの大きなアレンジが印象に残る
BRIGHTON ROCKの代表曲。
MTVでもPVがよく流れ、母国カナダでは
シングル・ヒットを飛ばしたそうな。


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free - Rock 'n' Roll Kid ★★★ (2016-09-16 23:02:38)

アメリカンなイキの良さと、ヨーロピアンなメロディの哀愁を
上手いこと組み合わて疾走する、カナディアンHRの名曲。
しゃがれ声のVoの熱唱と、センスの良さを感じさせるGソロを
フィーチュアした終盤の盛り上がりが実に熱い!


BRIGHTON ROCK - Young, Wild and Free ★★★ (2016-09-15 22:44:48)

BRIGHTON ROCKはバンクーバー出身の5人組。結成当初はHEART ATTACKと名乗っていたそうですが、地元ラジオ局主催コンテストでの優勝を期に改名(グレアム・グリーンの小説にバンド名のヒントを得たそうな)。自主制作した4曲入りEPの好評を後ろ盾に大手WEAカナダとの契約を交わし、’86年にこのデビュー作をリリースしました。(日本盤の邦題はシンプルに『ブライトン・ロック』)
本国カナダではスマッシュ・ヒットとなった本作は、まさしくタイトル『YOUNG, WILD AND FREE』(若くて自由奔放)を地で行くような、元気溌剌なポップ・メタル・サウンドがハジける「ザ・80年代!」な1枚。ケヴィン・ダブロウ+ブラッキー・ローレスな趣き(?)のジェラルド・マクギーのしゃがれハイトーンVoは聴き手の好悪が分かれそうですが、マイケル・ワグナーの的確なプロデューシングを得て、キャッチーなメロディ、胸のすくビッグなコーラス、センス良くまとめられたGプレイをフィーチュアした楽曲は、幅広いHR/HMリスナーに受け入れられるフックが備わっています。
屈託のない明るさを振り撒きつつも、メロディにしろ曲展開にしろ、突き抜けて能天気にはなりきれない「ヒネリ」がある辺りが、やっぱりカナディアン。PVも作られた代表曲②を始め、躍動感溢れるロック・チューンから、哀愁のパワー・バラード、それにヨーロピアンな風情漂わすハード・ナンバーまで、本編は優れた楽曲が選り取り見取り。中でも個人的なイチオシは⑩。ハード且つドラマティックにエンディングを締め括る様が、アルバムのハイライトに推したくなるカッコ良さなのですよ。BRIGHTON ROCK入門盤にどうぞ。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come - The Mirror Lies ★★★ (2016-09-15 22:33:49)

PVに映し出される、ビーチで歌うグラハムのルックスは、
最早やっさんというよりも「黒スーツで決めたおばあちゃん」
といった風体ですが(なんて言ったらグラサンをクイクイさせながら
「怒るで、しかし!」と詰め寄られるかもしれませんが)、
パワフルな青筋ボーカルは健在ですし、何より彼が歌うメロディが魅力的。
フルアルバムに対する期待を弥が上にも高めてくれる一曲です。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come ★★★ (2016-09-13 23:55:14)

素晴らしい情報を教えて頂き、失恋船長さんに心より感謝を。
視聴した“MY KINGDOM COME”も“THE MIRROR LIES”もどちらも非常に優れた楽曲で、
「もっと自分の声を活かしてくれる(曲作りのできる)ミュージシャンと組めばいいのに」
(いっそ柴田直人に曲を書いて貰えばいいのに、とか)
と、長年グラハムに感じていた不満がようやく解消されそうです。

これをもう20年、せめて10年早くやってくれてたらな…とかちょっぴり思いますが、 
ともあれ、こりゃ本当にフル・アルバムが待ち遠しいですよ。


BALANCE - Balance - Fly Through the Night ★★★ (2016-09-13 22:48:25)

ポロポロと奏でられるピアノの物悲しげな旋律に続き
Gリフとリズムが力強く入って来るイントロの展開が
名曲“GUTTER BALLET”によく似ていて、SAVATAGEは
曲作りの際に影響受けたんじゃないかなぁと、勝手に思っています。
(歌が始まってしまえば全然似ていないのですが)
何はともあれ名曲です。


BALANCE - Balance ★★★ (2016-09-13 22:21:45)

ポール・スタンレー(KISS)のソロ・アルバムのレコーディング作業に参加したことを切っ掛けに知己を得た、ペピィ・カストロ(Vo)とダグ・カッサロス(Key)、それにブルース・キューリック(G)の3人により結成されたバンド(リズム・セクションはセッション・ミュージシャンを起用)が、’81年に発表した1stアルバム。先日、仕事帰りにCD屋に立ち寄ったら本商品がディスプレイされていて、意外なことに国内盤が出るのは今回が初めてとの情報を教えて頂き――帯付きの輸入盤は数年前から出回っていましたが――思わず購入してしまいましたよ。
軽快に跳ねるメロディ、都会的なアレンジ・センス、飽くまで楽曲の主役は「歌」でありつつも、適度な自己主張を怠らない楽器陣とが織り成す、AOR/産業ロック的ポップネスと、プログレ・ハード的技巧が違和感なく溶け合わされたサウンドは、なるほど確かに、アルバム発表当時「TOTOに対する東海岸からの返答」と評されたのも納得です。
弾むような曲調が完全にTOTO路線の洗練されたポップ・チューン①②で掴みはOKとなる本作ですが、個人的に好みなのは⑤⑥⑦といったプログレ・ハード路線の楽曲。中でも悲し気なイントロに続き、ピアノを伴ってリフ&リズムが力強く刻まれる⑤はSAVATAGEの名曲“GUTTER BALLET”に影響を与えたんじゃないかと、昔から密かに思っている逸品。
なお、ノンクレジットながらポール・スタンレーが⑧にコーラスで参加しているのだとか。


THE STORM - Eye of the Storm - Love Isn't Easy ★★★ (2016-09-12 22:40:32)

強い日差しに、低く垂れこめる入道雲etc.と、
夏の真っ青な青空が脳裏に思い浮かぶ爽快なロック・チューン。
力強いビートに乗って、その青空の中へ吸い込まれるように
伸びていくVoのハイトーンとGのロングトーンがこれまた胸を打つ。
世が世なら大ヒットしていてもおかしくなかった名曲です。


THE STORM - Eye of the Storm - Waiting for the World to Change ★★★ (2016-09-12 22:34:43)

80年代だったら間違いなくヒットチャート上位に
ランクインしていたであろう極上の名バラード。
ケヴィン・チャルファントの張り良し/艶良し/伸び良しと
三拍子揃ったハイトーンVoの威力には魂を持って行かれますよ。


THE STORM - Eye of the Storm ★★★ (2016-09-12 21:12:18)

2曲のヒット・シングルを生んだデビュー作に続く新作レコーディングのためスタジオ入りするも、時期同じくしてグランジ/オルタナ旋風が本格的に音楽シーンを席巻。流行に擦り寄るべく所属レコード会社が方針転換を図ったせいで、完成していたにも関わらず、長らくお蔵入りの不遇を囲う羽目になった2ndアルバムがこちら。
でも内容に関しちゃ、端正な音作りから、溌剌とキャッチーに弾むポップ・フィーリング、そして胸打つ抒情メロディに至るまで、「まるでJOURNEY」なメロディアスHRの輝きに鈍りなし。ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)、グレッグ・ローリー(Key)の本家JOURNEY組が醸し出す「本物」の深みと説得力を土台に、その上で707やTWO FIRESの活動等で知られるケヴィン・チャルファント(Vo)と、ニール・ショーンばりの官能的なロングトーンの使い手ジョシュ・ラモス(G)という、メロハー愛好家お馴染みの面子がエモーショナルなパフォーマンスを迸らせてくれるのですから、こんだけ高品質な作品がバンド活動停止後まで日の目を見なかったなんて、許されざる話ですよ。
と、そんな感じに褒めるべき所だらけの本作ですが、中でもケヴィン・チャルファントのVoの素晴らしさは特筆モノ。この人の声をまともに耳にしたのはTHE STORMが最初でしたが、殊に②⑩のようなバラード系の楽曲に響き渡る澄み切ったハイトーンは、己の小汚い耳垢を根こそぎ洗い流してくれるかの如き美しさ。聴く度に感涙に咽んでしまいますね。
下手にメジャーレーベルからリリースされてしまったせいで、なかなか再発がかからない1st『THE STORM』と併せて、メロディ愛好家なら避けては通れない名作ではないかと。


MYRATH - Legacy - Believer ★★★ (2016-09-10 08:37:13)

妖しくドラマティックなインスト曲“JASMIN”から壮大な雰囲気を孕んで展開。
一聴しただけで、目の前に砂漠の世界が広がっていくような錯覚を覚える
猛烈な喚起力を有したOPナンバー。
エキゾティックでシンフォニック、劇的且つテクニカルと、
MYRATHの個性がパッケージングされており、PVが作られたのも分かります。


MYRATH - Legacy - Get Your Freedom Back ★★★ (2016-09-10 08:31:21)

エキゾティズムと哀愁と大衆性が抜群の適量でミックスされた
サビメロは、聴く度に「たまらーん」と手足をバタバタさせながら
床の上を転げ回りたくなりますよ。


RAVEN - Nothing Exceeds Like Excess - Into the Jaws of Death ★★★ (2016-09-08 00:09:22)

物々しいイントロから、緊張感を孕んで重厚に突き進むへヴィ・ナンバー。
中盤にはしっかり疾走パートが組み込まれ、6分以上の長尺でも
ダレることのない起伏に富んだ曲展開にRAVENの曲作りの手腕が光ります。
今でもライブでプレイされていることを鑑みるに
彼らにとっても自信作なんだろうなぁと。
個人的にもアルバムで一番好きな曲です。


RAVEN - Nothing Exceeds Like Excess ★★ (2016-09-06 22:25:19)

えー。アルバム名は、『ナッシング・エ、エクシーズ・ライク・イクセセ…』って、言いにくいわ!早口言葉か!という、長くて覚え辛いタイトルを冠した’88年発表の7th。
しかしながら、未だうろ覚えの表題に反して、内容の方は極めて分かり易くRAVENサウンドの旨み成分が凝縮されています。メジャーからのドロップに、バンドの重要な推進力だったロブ“ワッコ”ハンターの脱退等、紆余曲折を経てのリリースと相成った作品でしたが、そうした諸問題を前にして、逆にギャラガー兄弟が発奮。そのサウンドは、キレキレで繰り出されるGリフ、疾走感に溢れたリズム、そしてヒステリックなVoとが呼応し合ってシンプル&ストレートに叩き付けられるアスレチック・ロック路線へと、ATLANTIC時代の試行錯誤を綺麗サッパリ吹っ切って原点回帰を果たしています。
『アラーのために死ね』というタイトルからしてヤバイ②、アッパーに畳み込む⑦、ライブ映えしそうな⑪等を筆頭に、全編を騒々しい疾走曲で固めたスラッシュ・メタル顔負けの前のめりな姿勢を晒しつつも、演奏しているメンバーの満面の笑み(しかめっ面ではなく)が思い浮かぶような陽性のノリの良さも「RAVENらしさ」を後押し。さりとて、それが能天気という意味でないことは、緩急と緊張感を効かせた名曲④の重厚な佇まいが物語る通り。
初期作にも匹敵するエネルギーが渦巻くサウンドは、浮かれトンチキだった’88年当時よりも、今の方が正当な評価を得られるのではないでしょうか。但し、無駄に曲数が多い本編構成と、迫力不足の音作りは改善の余地が大いに有りですが。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back - The Land God Gave to Caine ★★★ (2016-09-04 22:59:04)

7分以上に及ぶ長尺に、重厚な曲展開と、
“神より賜りしカインの聖域”という邦題が
決してこけ脅しには響かない逸品。
シアトリカルなポールのVoも楽曲に備わった
ドラマ性をより一層引き立ててくれていますよ。


VOLCANO - Juggernaut - Blood Soldier ★★★ (2016-09-04 22:53:03)

叙情的なイントロを“JET TO JET”風のGリフが切り裂く疾走ナンバー。
Gソロ含めて、触れれば火傷しそうな哀愁が渦を巻いていて、
さながら昭和ロボットアニメの主題歌の如し。
流麗に奏でられるピアノの旋律もナイスなアクセントになっています。


GRIM REAPER (2016-09-04 22:47:40)

ニック・ボウコット(G)が未参加のようなので、正直、期待値は微妙なんですよね。
このバンドに限らず、スティーヴ・グリメットにはもっと「良い曲」を書ける人と組んで活動して欲しいのですが。


VOLCANO - Juggernaut ★★★ (2016-09-04 09:05:43)

あのVOLCANOから、たったの1年のインターバルで届けられた新作。俄かには信じられず、店頭で手に取った時は「本当に新作か?」と、思わず慎重にチェックしてしまいましたよ(失礼な)。
これまでOPには必ず名曲を配して来た彼らゆえ、今回も勇壮なインスト序曲①に続き、激情を叩きつけるかのようなNOVの歌声、金属質なリズムをソリッドに鍛造するAKIRAとSHUNのリズム隊、そしてクッサクサの泣きメロを縦横無尽にお見舞いしてくる屍忌蛇のGプレイとが、熱く激しく燃え盛るスピード・ナンバー②で、早くも基本的音楽性に変わりがないことをアピール。
一方で、ひと際メロディックな仕上がりを聴かせる④⑤といった楽曲に顕著に表れている通り、オーセンティックなHM成分もここに来て益々の高まりをみせています。屍忌蛇の紡ぐ泣きメロが「慟哭」を通り越して、時に「昭和歌謡」の領域に突入せんとする勢いなことと併せて、モノによってはANIMETALを聴いているような感覚に陥る場面もチラホラ。なので、かつての「歌えるシンガーを擁したメロデス・バンド」的ストロング・スタイルに愛着を覚える向きには評価が多少揺れる可能性も有り。昭和度の高い哀愁と、ヒロイックな曲調がベスト・マッチをみた⑦みたいな名曲を聴けば、個人的には「ばっち来い!」ってなもんですが。
バラード⑪で本編が締め括られるため、聴後感が妙に厳かな点(「ライブの最後の曲がバラードでした」的な)が引っ掛かるものの、楽曲自体はアルバムのハイライトの一つと言うべき劇的さ。この普遍的正統派HM性を増した構成も、今後のバンドの進路を示唆しているのかな…とか思ったり。


PAUL DI'ANNO'S BATTLEZONE - Fighting Back ★★★ (2016-09-03 09:19:35)

正直に告白すると、ポール・ディアノって昔はあんま好きじゃなかったんですよ。バンドを結成しても長続きせず、メンバーも定着しない人望のなさとか(身につまされるなぁ)、その時その時の音楽的流行にすり寄って行く節操のなさとか、IRON MAIDEN時代の遺産への依存体質とか。ついでに、やたら「メイデンはディアノ時代で終わった」と強弁してくる知り合いの存在にも、そうした苦手意識に拍車を掛けられましてね。
しかし年食うと、この人の立ち回りのヘタクソな生き様が段々と沁みてくるのだから不思議なものでして。更にナイス・タイミングでBATTLEZONEのアルバムが再発されることを教えて頂いたので、ものは試しと’86年発表の本1stアルバムを購入してみたらば、自身在籍期のIRON MAIDENに、スラッシュ・メタルばりの突進力を注入したようなパワーメタル・サウンドが「おお、イカしてるじゃあないか!」と。
ラフなプロダクション下、メイン・ソングライターでもあったジョン・ハーレイのアグレッシブなGと、シド・ファルクのブッ叩きドラミング、そしてポールの吐き捨て型Voとが見事な合致をみたスピード・ナンバー③の迫力は当然のこととして、個人的にグッと来たのは、大仰な邦題を冠された7分越えの大作ナンバー⑤、バラード風に始まり後半は激しく畳み掛ける⑥、RAINBOWの“LOST IN HOLLYWOOD”をIRON MAIDENがカヴァーしたようなノリの⑧といった、劇的且つメロディアスな楽曲。決して器用なタイプのシンガーではないポールの全力投球な熱唱ぶりがメタル・ハートにズドンと響きましたよ。
この路線が長続きしてればなぁ…と、つくづく惜しく思う1枚。


HEAVENS GATE - In Control ★★★ (2016-08-31 21:07:59)

今では売れっ子プロデューサーとして腕を振るうサシャ・ピート(G)が在籍し、90年代には、HELLOWEEN、GAMMA RAY、BLIND GUARDIANらと共に、ここ日本でジャーマン・メタル人気を牽引したHEAVENS GATEの記念すべきデビュー作(’89年)。
JUDAS PRIEST型正統派HMに、ジャーマン・メタルならではのメロディとパワーがトッピングされた名盤『LIVIN’ IN HYSTERIA』(’91年)の出来栄えに衝撃を受けた当時、慌てて遡って本作も買いに走ったのですが、勿体ぶったインスト序曲①による導入を経て、うじうじと蠢くGリフが印象的なアルバム表題曲“IN CONTROL”のカッコ良さだけで速攻ノックアウトされてしまいましたよ。流石、来日公演のトリを飾っただけあって、“GATE OF HEAVEN”や“LIVIN’ IN HYSTERIA”にも負けない名曲ぶり。
他にもキャッチーな疾走チューン“TYRANTS”あり、トリロジー第一作目となる重厚なエピック・メタル調の“PATH OF GLORY”あり…といった具合に、メタル者が拳を振り上げるに足る逸品の数々を収録し、国内盤は'90年発表の6曲入りEP『OPEN THE GATE AND WATCH!』とのカップリング仕様、全15曲、1時間オーバーの超過ボリュームにも拘わらず、ダレを殆ど感じることなく全編を聴き通させてしまうのですから、「こいつらは本物だ!」と、バンドの才能を確信するには十分です。
クセの強いVoにベタッとしてキレに欠けるドラミングとか、全体的にまだまだ垢抜けない雰囲気を漂わせつつも、デビュー作でこのクオリティは立派。『LIVIN’~』が気に入った方ならこっちも押さえておいて損はありません。格安価格でお買い求め頂けますしね。


ROB MORATTI - Transcendent - Answer of Life ★★★ (2016-08-29 23:57:10)

神秘的なイントロから哀愁を漂わせて滑り出すOPナンバー。
ロブ・モラッティの超音波ライクなハイトーンVoは
好き嫌いが分かれそうですが、空に向かってゆったりと
舞い上がっていくようなサビメロの素晴らしさは
伸びやかに歌い上げるこの人のVoあってこそですよ。


HURRICANE - Slave to the Thrill ★★ (2016-08-28 22:56:32)

初めて目にした時は「ギーガー謹製か?」と思ってしまった強烈なアートワーク(機械に犯されそうになっている全裸の女性)が物議を醸した'90年発表の2ndアルバム。シーンの潮目の変化を察知し、よりアグレッシブな方向へ進むために、ポップ志向の持ち主だったロバート・サーゾと袂を分かち――実際はマネージメント主導の解雇劇だったとのキャプテン和田情報あり――その後任ギタリストに、元LIONのダグ・アルドリッチを加えたラインナップでレコーディングされています。
いかにもアメリカンなノリの良さで攻めて来る豪快なロックンロールと、ドラマティック且つメロディアスなプログレ・ハードというの二路線構成が取られた好盤に仕上がっていた前作『OVER THE EDGE』(’88年)に比べると、吹けよ風、呼べよ嵐状態(まさしくハリケーン)なSEから幕が上がる今回は、明らかに前者に比重が偏っていて「あいやー、そっちへ進んじゃいましたか」と。
無論、ダグ・アルドリッチのフラッシーなGプレイ、ケリー・ハンセンのエモーショナルな歌唱(流石、現FOREINER)をフィーチュアした楽曲の質は低くありません。しかしながら、“失われた愛の夢”なる邦題を冠されたバラード⑤、哀愁のHRナンバー⑥、ブルージーな味わいを有する⑦といった、本編中盤に並ぶメロディアスな楽曲が魅力的なだけに、HURRICANEには是非ともこっち方面へ進んで欲しかったなぁ…と、今更詮無いことを考えてしまうわけです。


STYX - Styx - What Has Come Between Us ★★★ (2016-08-27 23:35:51)

ピアノの速弾きイントロだけで、ハッとしてGOOD!と。
本編突入後も、おセンチなメロディから美しいハーモニーまで
STYXの後の飛躍を予感させるに十分な魅力に溢れていますよ。


ROB MORATTI - Transcendent ★★★ (2016-08-27 08:32:32)

'11年発表の1stソロ『VICTORY』以来音沙汰がないと思っていたら、実際はこっちが知らないだけで複数のメロディックHRバンドの作品に参加したり、’15年には自ら音頭を取ってJOURNEYのトリビュート・アルバムを制作していたり(聴いてみてぇな、おい)と、継続的に音楽活動に精を出していたらしいソロ・シンガー、ロブ・モラッティが、'16年にリリースした2ndアルバム。
前作同様、トニー・フランクリンら複数のゲスト・ミュージシャンを招いてレコーディングが行われた本作の音楽性は、ファンが安心して楽しめるメロディアスHR路線。明る過ぎず/暗過ぎず/落ち着き過ぎず、適度な哀愁を湛えたキャッチーに吹き抜けるOPナンバー①で早くもメロハー愛好家のハートを鷲掴みにするように、今回もそのサウンドはカナディアン・メロディアスHRの美しいシルエットを描き出しています。
こめかみにキーンと来るこの人のトニー・ハーネル系(超音波型)ハイトーンVoは結構好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、シンガーとしての実力はFINAL FRONTIERやSAGA等、これまで彼が参加してきたバンドでの仕事ぶりが証明する通り。何より前述の①や、ライトでメロウな③、物悲しいヴァースから伸びやかなサビメロへの転調がお見事な⑤辺りを筆頭格に、収録曲はどれもハイクオリティで、何せボーナス・トラックまで素晴らしい出来栄えなのですから、本編の質の高さが伺い知れようというものです。
前作が気に入られた方は、今回も安心してお買い求め下さい。


STYX - Styx ★★ (2016-08-25 00:17:16)

STYXの記念すべきデビュー作なのにCD化はドン尻で、長らく入手困難な状態が続いていた’72年発表の1stアルバムが遂にリマスター再発。先んじて数年前に発売されていた輸入盤を買うべきか否か延々悩んでいた身には福音とも言うべき今回の国内盤CD化で、これでようやくSTYXの全スタジオ・アルバムをコンプリートすることが出来ましたよ。
JOURNEY、BOSTON、KANSASら、アメリカン・プログレ・ハード勢の中では最も早いデビュー&本邦初登場(当時は「スタイクス」表記だった)となった本作は、サイケなアートワークが物語る通り、WOODEN NICKEL時代の諸作同様に産業ロック色はほぼゼロ。そのサウンドは泥臭いロックンロール風味とプログレ風味が支配的で、いきなり13分越えの①で幕が上がる構成、しかもその大作がメジャー移籍以降の華麗なドラマ性よりも、曲中に会話劇や、コープランドの“市民のためのファンファーレ”を組み込んでみたりと、実験色を強く帯びている辺りが時代を感じさせます。
一般的にSTYXの名を聞いて思い浮かべる音楽性とはかなり開きがあるものの、個人的にはこれはこれで非常に興味深く楽しめた次第。アーシー且つハードな⑤は聴いてるだけで身体を揺すられますし、流麗なピアノのイントロからスタートする抒情HRナンバー③、既に見事なコーラス・ワークがフィーチュアされている(日本でもシングルカットもされた)④みたいな、後の飛躍を予感させるメロディアスな名曲/佳曲も収められていますしね。
真っ先に聴くべき作品ではありませんが、STYXに興味を持たれたならば避けては通れぬ1枚かと。


WRABIT - Tracks - Bare Knuckler ★★★ (2016-08-23 22:19:03)

イントロの鮮やかなボーカル・ハーモニーだけで胸が騒ぎます。
適度にロックな曲調の上で、力強く伸びていくハイトーンVoの
歌いっぷりの良さにしみじみと聴き惚れてしまいますね。
軽快に踊るピアノも良い感じで、個人的には2ndアルバムの
ハイライト・ナンバー認定。


WRABIT - Tracks ★★★ (2016-08-22 23:23:03)

カナダのメロディアスHRバンド、WRABIT(後にジョン・アルバニ(G)とクリス・ブルックウェイ(B)はリー・アーロンのバックバンドに参加)が残した3枚のフル・アルバムの内、'82年に発表された2ndアルバムに当たる作品。
ビッグ・セールスこそ記録できなかったものの、WRABITの代表作として世界中のメロディ愛好家から絶賛を受けた1st『WROUGH & WREADY』に比べると、今回は名曲“ANYWAY, ANYTIME”級のインパクトにこそ欠けますが(あのレベルの楽曲がポンポン生み出せたら誰も苦労はせんですわな)、煌びやかなKeyと壮麗なハーモニー、伸びやかによく歌うツインGとに全編が包み込まれたキャッチーなメロディアスHRサウンドは、前作の作風を忠実に引き継いでここでも健在です。
この手のバンドは作を重ねる毎にAOR/産業ロック化が進行していくことを宿命つけられていますが、本作に関してはハードなGリフの刻みからスタートし、適度な緊張感を湛えて躍動する曲調にポップなメロディが彩りを加えるOPナンバー①と、ルー・ナデュー(Vo)がパワフルな喉を披露する②といった楽曲が証明する通り、HR然としたエッジと、生命線たる泣きのメロディが実にバランス良く共存しています。中でも5曲目の“Bare Knuckler”は、そうした本編のハイライトを飾って駆け抜ける哀メロ・ナンバーの逸品。
前作と併せて是非のご一聴をお薦めする1枚。そして個人的に買い逃してしまった3rd『WEST SIDE KID』(’83年)と共に是非とも国内盤のリマスター再発をプリーズ。


WRABIT - Wrough & Wready - Anyway Anytime ★★★ (2016-08-21 09:55:40)

WRABITの代表曲にして美旋律ハードポップの名曲。
エッジの効いたG、キャッチーに弾むリズム、煌びやかなKey、
そして蕩けそうになる泣きのメロディ・・・
取り分け、疾走する曲調に哀愁たっぷりのツインGが
絡みつく終盤の盛り上がりは
何度聴いても辛抱堪らんものがありますね。


WRABIT - Wrough & Wready ★★★ (2016-08-20 09:12:06)

ツインG編成にKey奏者を含むカナダの6人組メロディアスHRバンドが、メジャーのMCA RECORDSに残した’81年発表のデビュー作。
未だに折を見ては読み返すBURRN!!誌の名企画『いにしえのメロディック・ロック』において、本作が「必聴盤」として別格扱いを受けていたのを切っ掛けに興味を持ち購入したわけですが、いやお世辞抜きに素晴らしい作品ですよ、これ。胸を打つ哀愁のメロディ、それを十全に引き立てる木目細やかなアレンジと美しいコーラス・ワーク、煌びやかなKey(オルガン)、それにハードロッキンなエッジがもたらす適度な緊張感を身に纏い、キャッチーに躍動するメロハー・サウンドは、聴く度に涙がちょちょ切れます。
特に、張りと透明感を併せ持つハイトーンVoと、伸びやかにハモる2本のGとが、美しくも切ない哀メロを「泣くがいい、声をあげて泣くがいい」とばかりにブッ込んで来る1曲目の“ANYWAY, ANYTIME”は、メロディ愛好家秒殺必至のバンドの代表曲です。
WRABITというバンドの魅力が集約されたこの名曲だけで、アルバム購入代金を回収した上にお釣りまで貰えそうな勢いの本作ですが、以降もポップに弾む③、甘やかなピアノ・バラード④、キリリと引き締まった緊迫感漂わす⑥、TOTOと比較されるのも納得な⑦、哀愁とハードネスのバランスが絶妙な⑨等、優れた楽曲の乱れ打ちで、これほどの作品が日本でしか正式CD化されておらず、しかも既に廃盤ってのは大きな損失である!と。
一刻も早いリマスター再発が望まれる名盤です。


PARADOX - Pangea - Alien Godz ★★★ (2016-08-18 23:23:28)

“RAPTOR”とタメを張るアルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
キャッチーと表現できそうな小気味良さで疾走するリズムの上で
チャーリーが歌うメロディもいつも以上にメロディック。
ガス・ドラックスが奏でる構築度高めのGソロと併せて
これまた「限りなくスラッシュ寄りの80年代ジャーマン・パワーメタル」
といった塩梅の逸品。


PARADOX - Pangea - Raptor ★★★ (2016-08-18 23:14:15)

金属質なGリフの刻みに、パワフルな疾走感、
愁いに満ちたメロディを歌い上げる硬派なVo…と
PARADOXの魅力全開な名曲。
これまで以上にメロディックな歌メロがもたらす
80年代ジャーマン・パワーメタル風味も
オツな味わい。


DUST BOLT - Mass Confusion - Exit ★★★ (2016-08-18 23:05:35)

儚く爪弾かれるアコギに続いて
ノーマル声で歌い上げるVoが入って来る様は完全にバラード。
中盤以降は全楽器が加わってダイナミックに盛り上がりますが
物悲し気な空気は最後までキープされています。
DUST BOLT史上最大の異色曲と言いつつも、
いやでも胸打たれずにはいられない逸品ですよ。


DUST BOLT - Mass Confusion - Mind the Gap ★★★ (2016-08-18 22:56:38)

陽気なアカペラ・コーラスで幕が開くイントロに
意表を突かれますが、確かな演奏力を活かして
パンキッシュな重心位置の高い疾走感を保持しつつ
曲展開はタテノリからヨコノリまで変幻自在。
ここぞ!というタイミングで炸裂するGソロも
楽曲を効果的に盛り上げてくれます。


GAME OVER - Crimes Against Reality ★★★ (2016-08-17 23:17:10)

マカロニ・スラッシャーの三作目(’16年発表)。ぼちぼち国内盤リリースがあるかも?と期待していたのですが、全くその兆候が見られないので仕方なく輸入盤を購入。日本じゃ早くもNWOTMブームが沈静化してしまった現状を突きつけられるようで世知辛い限り…。
という不景気な話はさておき。劇的なインスト曲①を枕にスタートする②と、その勢いを更に加速させる③という痛快なスラッシュ・ソングの連打を挨拶代わりに、エネルギッシュなシャウトVo、切れとフックを兼ね備えたリフ・ワーク~構築度高めのソロ・パートまで威勢よくこなすツインG、突っ込み気味に駆け巡るリズム隊etc.と、国内盤の発売は実現せずとも、研ぎ澄まされたGAME OVER流スラッシュ・サウンドには一点の曇りもなし!と。
尤も「ANOTHER DOSE OF THRAH!」とか歌ってた頃に比べると、バカバカしいまでのハジケっぷりや、Gリフのカッコ良さのみで一転突破を目論むような図々しさが薄れて来ており、それよりもシリアスさを増したアートワークにしろ、「聴かせる」姿勢を鮮明にした楽曲にしろ、全体の「完成度」で勝負を仕掛けてくるようになりました。これを成長と取るか、丸くなったと取るかが評価の分かれ目でありますが、断言出来るのは「質が高い」ということ。特に抒情的に始まり、聴き進むに従って速度を上げていく③や、エジプト神話の題材に相応しいミスティックなGワークが映える⑧といった楽曲は、デビュー当時よりバンドの根っこにあった正統派HMからの影響を、改めて全開にした逸品ではないかと。
個人的には全然「有り!」な1枚ですね。


PARADOX - Pangea ★★★ (2016-08-14 08:56:19)

嘗て、マイケル・シェンカーは「精神的に追い詰められた時の方が、生み出すメロディの輝きが増す」と実しやかに語られていましたが、その言を借りるならば、PARADOXのアルバムがどれも素晴らしいのは、やっぱりリーダーのチャーリー・シュタインハウアー(Vo、G)が不幸な目にばかり遭っているからでしょうか?同じドイツ人ですし…。
ってな与太話はともかく、数々の困難を乗り越えて(詳細については国内盤解説参照)リリースに漕ぎ着けた本7thアルバムは、これまでの作品同様強力な内容を誇っています。久々のコンセプト作だったり、新進気鋭のギリシャ人ギタリスト、ガス・ドラックスが新メンバーとして加わったりと、色々トピックもありますが、勇猛果敢な突撃ナンバー①の堂々たる出来栄えが宣言する通り、「PARADOX=チャーリー」の基本図式に一切のブレはなし。金属が擦り合わされるかの如き音色でソリッドに刻まれるGリフ、大馬力で疾走するリズム、硬派な哀愁背負ったメロディを武骨に歌い上げるVo…。荒ぶるパワー・サウンドに流麗な彩りを加えるガスのGプレイの素晴らしさについては、今更言及するまでもありません。
従来作に比べると、モダンな圧迫感を減じた代わりにメロディックなアプローチが試みられている印象で、(攻撃性や疾走感は保持しつつ)サビメロが雄々しくメロディアスに歌い上げられるタイプの楽曲は、HELLOWEEN登場以前の80年代独産パワーメタルに通じる味わい有り。中でも内なるメタル魂にポッと火を点される②⑨のカッコ良さは格別ですよ。
そろそろレコード会社におかれましては真剣に来日公演をご検討頂きたいところ。チャーリーの提案する「『HERESY』再現ライブ」とか、ナイス・アイデアだと思うんだけどなぁ。


DUST BOLT - Mass Confusion ★★★ (2016-08-13 08:41:00)

DUST BOLTも気が付けば本作で3作目('16年発表)。ちゃんと国内盤が発売され、かつて栄華を誇ったスラッシュ帝国ドイツの面目を保っています。
ハードコア/パンク由来の爆発力を有する①と、間髪入れずに畳み掛けるDUST BOLTらしさ全開の②が先制パンチをカマしてくる本編は、千切っては投げ、千切っては投げ…といった歯切れの良さで歌詞を投げつけて来るVo、切れ味鋭いカミソリGリフ、俊敏なフットワークを誇るリズムetc.をフィーチュアして、「せかせか疾走感する微塵も落ち着きのないスラッシュ・メタル」という大枠を今回もしっかりと維持しています。
一方で、Voが適宜にメロディを追う④や⑩辺りを聴けば分かる通り、これまで以上に歌メロやGソロがメロディアスに、曲展開には緩急を導入。特にVoがノーマル声でムーディに歌い上げる⑦なんてまるでバラードのよう…と書くと、「じゃあ聴くのやめようかな」と迷いが生じる硬派なスラッシャー諸兄がいらっしゃるかもしれませんが、どうしてどうして。この曲も愁いに満ちたメロディに胸打たれる逸品ですし(後半はへヴィにパワーUPする)、何よりも、アカペラ・コーラスによる人を食ったイントロ、腰の位置の高いパンキッシュな疾走感、トライバルなグルーヴ、そして劇的なタイミングで炸裂するGソロが一緒くたに突撃する⑥のような、新しい音楽的試みと従来からの持ち味が高いレベルで結実した、魅力的な楽曲の数々を聴かずに済ませてしまうなんて勿体なさ過ぎますよ!と。
一般的に「勝負作」とされる3作目のハードルも楽々と飛び越える力作ではないかと。


ACCUSER - The Conviction - Down by Law ★★★ (2016-08-12 08:36:42)

「ダウン!ダウン!ダウンバイロウ!」と叫び倒すVoの金属質な
濁声シャウトと、サビメロにうっすら被さる「オーオーオー🎵」という
野郎コーラス、そしてドラマティックなイントロから緩急を盛り込んだ
マッチョな曲展開まで、ACCEPTからの影響が濃厚に匂い立つ
初期ACCUSERならではのパワー・メタリックな名曲。


ACCUSER - The Conviction ★★★ (2016-08-10 23:07:24)

現在も元気に活動中のドイツのベテラン・スラッシャー、ACCUSERが’87年にATOM H RECORDSから発表した記念すべきデビュー作。
80年代の彼らは作を重ねる毎に大作主義に磨きを掛けて、よりテクニカルな方向へ突き進んで行きましたが、この1stの時点ではまだ前身のBREAKER時代に演っていた、ACCEPTをハチャメチャにしたようなパワー・メタル路線の残滓を明瞭に聴き取ることができます。金属質な濁声シャウトがウド・ダークシュナイダー的なVoと、MG42機関銃の連射を思わす破壊力満点のリフ&リズムによる波状攻撃は、ライブの重要なレパートリーとして君臨することとなる代表曲②を始め、馬力にモノ言わせて突進する独産スラッシャーらしい、豪快なドカスカ感と特攻精神に満ち溢れていて、弥が上にもテンションが上がる上がる。
とは言え、ジャーマン・スラッシュ三羽鴉のように極悪ブラック・メタル・バンドとしてスタートを切り、徐々に整合性を獲得していったタイプではなく、ACCUSERがお手本にしたのはMETALLICAやTESTAMENTといったアメリカ勢(多分)。なのでアコギを用いて緩急を演出したり、7~10分台の大作にもチャレンジする等、楽曲をカッチリとまとめ上げる手腕が早くも発揮されています。特に「スラッシュ化したACCEPT」といった趣きの③は、勇壮なコーラス・ワークに思わずメタルの血が滾る名曲。あと10分以上に及ぶバンドのテーマ曲⑤も、ちょいダレますけどチャレンジ精神は大いに買えるのではないかと。
時々元ネタが透けて見えちゃったりする辺りがまだまだ微笑ましいものの、「この頃の彼らの方が好きだった」と表明するファンの気持ちも分かる気がする、愛すべき1枚。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - High 'N' Dry ★★★ (2016-08-08 23:43:29)

タイトルがDEF LEPPARDっぽいですが、洗練を感じさせる
楽曲自体も相当にDEF LEPPARDを意識していそうな仕上がり。
初期のような尖がり感は皆無ですが、キャッチーなメロディから
よく歌うG、メロディアスに歌い上げるVoまで
実に心地よく浸れる哀愁のハードポップ・チューン。
これははこれで十分魅力的です。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - Going Under ★★★ (2016-08-08 23:39:05)

初めて聴いた時は、初期GIRLSSCHOOLしか知らなかった身ゆえ
シンセによるイントロと、哀愁に満ちたメロディを
リラックスして歌い上げるケリー・ジョンソンのVoに
「?!」となってしまいましたね。
が、リピート再生しているうちに、じわじわ「聴かせる」楽曲自体の
魅力が浸透。今じゃ星三つ級の大好きぶりですよ。


GIRLSCHOOL - Play Dirty ★★★ (2016-08-07 09:04:05)

ケリー・ジョンソン(G)在籍時代、最後の作品となった’83年発表の4thアルバム。
GIRLSCHOOLと言えば「MOTORHEADの妹分」との評判と、それを裏付けるかの如き破天荒でパンキッシュな初期作のサウンドが強烈なインパクトを放っていたので、初めて本作を聴いた時は、のっけから大胆にKeyを取り入れてハーモニーも増量。ミッドテンポの楽曲を中心に、DEF LEPPARDばりに洗練された小奇麗なアレンジを身に纏うポップでメロディアスなサウンドの変化にビックリ仰天。思わず「マジっすか?」とジャケットで睨みを効かせる姐さん方の顔を二度見してしまいましたよ。まるで工業高校のスケ番が、女子高への転校を切っ掛けにしれっと普通の女の子デビューを飾ったのを目撃してしまった気分というか…。いや、勿論⑤や⑩のような疾走ナンバーも収められてはいるのですが、どっちも「アグレッシブ」というよりは「軽快」という表現の方がしっくりと来る塩梅で。
しかし初聴の衝撃から立ち直れば、後はケリーが伸びやかな歌唱を披露する①、哀愁湛えたGがよく歌う②⑦、アリーナ・ロック的キャッチネスが備わった③…と言った具合に、ガンガンズイズイと楽曲の出来の良さが沁み込んできます。T-REXのカヴァー④も楽しい仕上がりですし、高水準を維持した収録曲に捨て曲/埋め曲の類は見当たりません。
発表当時はセールス/批評両面において失敗作の烙印を押された1枚なれど、今聴けばメンバーが「気に入っている作品」と胸を張る理由も、アメリカ市場で健闘したという話も納得出来るというもの。GIRLSCHOOLがこれを演るか…という気持ちは良く分かるのですが、「悔しい、でも素晴らしい!」(ビクンビクン)な1枚。


QUIET RIOT - Metal Health - Thunderbird ★★★ (2016-08-06 09:14:01)

性格的に色々問題が多かったとされ、その最期も非常に寂しいものだった
ケヴィン・ダブロウですが、だからこそ、元メンバーの故ランディ・ローズに
優しく、切々と語りかけるように歌う、この抒情バラードにおける
素晴らしい熱唱は逆に胸を打ちます。


QUIET RIOT - Metal Health - Cum on Feel the Noize ★★★ (2016-08-05 22:48:24)

言わずと知れたQUIET RIOTの代表曲。
全米最高位は5位じゃなかったかな。
SLADEのカヴァーなのですが、
ノディ・ホルダー似のケヴィン・ダブロウ濁声Voから
より躍動感溢れる曲調、ライブ会場大合唱間違いなしの
高揚感溢れるコーラス・ワークまで、
完全に自分達のモノにしている好カヴァー。


QUIET RIOT - Metal Health ★★ (2016-08-05 22:35:15)

'83年にリリースされ、HR/HM作品としては初めて全米チャート№1の座をゲットしたQUIET RIOTのデビュー作。本作の大ヒットにより「メタルが商売になる」と確信を得たレコード会社が一斉にHR/HMバンド獲得へと走り、アメリカでの空前のメタル・バブルを大きく援護した…という意味でも記念碑的名盤。
音楽性は、雲一つない青空の下でバカでっかいアメ車を飛ばしまくるかの如き、絵に描いたようなアメリカン・メタル。普段は泣きや哀愁を追求している我が身とはいえ、時にこの底抜けにポジティブで豪快なサウンドに、鬱積するストレスをスカッと吹き飛ばされるのも悪くねぇな!と。特にバンドの代表曲にして、LAメタルのテーマ曲とでも言うべき②(全米シングル・チャート最高5位)は、聴く度に大口開けて合唱したくなりますよ。
このキャッチーな名曲や、これまたチャートで健闘したアルバム表題曲①といった明朗快活な楽曲の印象が強い本作ですが、実は、愁いを帯びたシャープなHRナンバー⑥、ハイエナジーに突進する⑦、故ランディ・ローズに捧げられた抒情バラード⑩のようなタイプの楽曲も収録されていて、油断なりません。
成功の階段を物凄い勢いで駆け上がり、同じぐらいのスピードで転げ落ちていった見事な一発屋ぶりと、その大きな要因とされるケヴィン・ダブロウ(Vo)のビックマウスが揶揄される機会の多いバンドですが、本作はルックス同様のクドさ全開で迫り来るケヴィンの歌唱にしろ、骨太な楽器陣の演奏にしろ、確固たる個性と実力がしかと息衝く1枚です。


TINDRUM - Cool.calm&collected ★★ (2016-08-03 22:43:18)

元TNTのドラマーで、『TELL NO TALES』を最後にバンドを去った(紆余曲折を経て現在はTNTに出戻っている)ディーゼル・ダウルにより結成されたバンドが、フロントマンを女性シンガーから、TNT時代の同僚D.D.ダイナマイトことダグ・インブリゲットセンに代え、'92年に発表したリ・レコーディング・ベスト盤。(正確には、前任の女性Vo時代の楽曲のみを録り直している模様)
ごく初期のゼロ・コーポレーションのカタログ(帯がまだピンク色だった頃)を彩った1枚として記憶に残っている作品で、音楽性はTNTから北欧メタルならではのドラマ性を薄めた感じのモダンなハードポップ。ダグ・インブリゲットセンのVoはTNT時代のドン臭さが嘘のように自信に満ち溢れていますが、この手の楽曲を歌うには少々野太い地声なのは相変わらずなので、好き嫌いは分かれるかもしれません。
TNTと比較してしまうと、楽曲の小粒さには如何ともし難いものがありますけれども、ゲイリー・ムーアの“OVER THE HILLS AND FAR AWAY”に着想を得た感じ(?)のバンドの代表曲①、程度なハードさが備わった②③、Gソロが秀逸な⑥、乾いた哀愁薫るアコギ・バラード⑧、ポップで健康的な⑪等、確かなヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる収録楽曲の数々からは、本国ノルウェーでは№1ヒットを飛ばす人気バンドとしての貫禄を伺うことが出来ます。
昔は地味に思ったものですが、今聴くとジワジワ沁みて来ますね、これ。


VIXEN - Vixen - Cryin' ★★★ (2016-08-01 22:03:39)

フック満載の哀メロに胸打たれる
アルバム前半を山となるポップ・チューン。
個人的にはヒット・シングルの
“EDGE OF A BROKEN HEART”より好きだったり。


VIXEN - Vixen - Love Made Me ★★★ (2016-08-01 21:58:16)

80年代に大映ドラマの主題歌に採用されていても
おかしくなさそうな、高いヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる名曲。
個人的にはアルバムのハイライトでした。


VIXEN - Vixen ★★ (2016-08-01 00:39:09)

メジャー・レーベルが満を持して送り込んで来た、女性メンバーのみで構成される本格派HRバンドとして人気と評判を集めたVIXEN、'88年発表の1stアルバム。
ゴリゴリのメタル・ゴッデス路線でも、過剰なお色気路線でも、ましてやTHE GREAT KAT様のような色物路線でもない、洗練された見目麗しいルックス、ミュージシャンとしての確かな実力、それに親しみ易いキャッチーな楽曲と、万人にアピールする華やかな雰囲気を身に纏っているのが流石はメジャー仕様。
尤も、あまりに優等生的というか、お膳立てが整い過ぎている点に逆に引っかかってしまい、当初はイマイチ乗りきれなかったんだよな…と。しかし、ラジオだったかテレビだったかで耳目に触れたスマッシュ・ヒット・ナンバー①(全米シングル・チャート最高26位)に惹かれてアルバムを購入してみれば、パンチの弱さはやはり感じつつも、哀愁漂わす③、80年代トレンディドラマの主題歌みたいな⑧、ハードにロックしているドライヴ感溢れる⑪等、己のつまらん偏見がどーでも良くなるぐらい収録楽曲の出来が良かったという。そんなわけで、その後はすっかりファンになってしまい、メタル好きの同級生と「ロキシー・ペトルーシ(Ds)を《美人メンバー》の枠内に含めるか否か」で熾烈な論戦を戦わせたっけなぁ(アホ)、と懐かしく思い出した次第。
昔は漫然と聴き流してしまいましたが、実はデビュー作以上に収録曲の質が高いと評判の2nd『REV IT UP』も、改めて聴き直してみよう。


HURRICANE - Over the Edge - Spark in My Heart ★★★ (2016-07-30 00:36:13)

アメリカのバンドというよりもヨーロピアンな湿った風情と
キメがビシバシ入る曲調がプログレ・ハード的な味わいも醸し出す
アルバム後半のハイライト・ナンバー。
劇的な雰囲気を盛り上げる、鐘の音(?)のアレンジが秀逸。


HURRICANE - Over the Edge - Over the Edge ★★★ (2016-07-30 00:32:26)

一聴して度肝を抜かれるのが、ケリー・ハンセンのVoの素晴らしさ。
そりゃこんだけズバ抜けた歌唱力を持っていたら、
120人のオーディションを勝ち抜けますわなと。
そして勿論、LAのバンドらしからぬ(?)
力強くも愁いを帯びたドラマティックな曲展開も胸を打ちます。


HURRICANE - Over the Edge ★★★ (2016-07-28 23:28:42)

ルディ・サーゾの実弟ロバート・サーゾ(G)、カルロス・カヴァーゾの実兄トニー・カヴァーゾ(B)により結成され、後にダグ・アルドリッチ(G)がラインナップに加わったことでも知られるバンドが、デビューEP『TAKE WHAT YOU WANT』(’86年)に続いて'88年にENIGMA RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
HURRICANEについては、「LIONのマーク・エドワーズ(Ds)ベネフィット・コンサートに絡むゴタゴタに巻き込まれてしまった不運なバンド」程度の認識で、結構最近まで作品自体はまともに聴いたことがありませんでした(申し訳ない)。「まぁLA出身だし、売れ線のロックンロールでも演ってんのかな~」とか思いつつ、暢気にCDを再生してみたらビックリですよ。120人を超えるオーディション参加者の中から選抜されたというケリー・ハンセン(Vo)の抜群にエモーショナルな歌声といい、安定感/表現力に富む楽器陣のパフォーマンスといい、本作に託されているのは「ノらせる」ことよりも「聴かせる」ことに主眼を置いた、プログレ・ハードばりのドラマ性と正統派アメリカンHRの大衆性を併せ持ったサウンド。少々、収録楽曲の出来・不出来にバラつきが見られる点にもどかしさを覚えながらも、本編の幕開け役を担うアルバム表題曲①と、中盤を劇的に引き締める⑦というドラマティックな2曲は間違いなく名曲ですし、“愛は嵐のように”なる邦題を冠されたバンドのテーマ曲(?)④、キャッチーな⑥⑨辺りも「おっ」となる逸品。
メンバーがキャリアを積んだ人達の集まりという点も含めて、こりゃ確かに解説でTOTOを引き合いに出して語られているのも納得だなぁと思わされる1枚。


BANSHEE - Cry in the Night - Cry in the Night ★★★ (2016-07-27 22:52:01)

耳をつんざくハイトーンVoと、
メイデン直系の勇壮なフレージングを閃かせるGとの、
サビメロにおける絶妙な絡みっぷりに
メタル魂が燃え上がるアルバム表題曲。


BANSHEE - Cry in the Night - The Stranger ★★★ (2016-07-27 22:46:44)

7分越えのランニング・タイム、
バラード調に始まり、徐々に盛り上がっていく
ドラマティックな曲展開等、
IRON MAIDENからの顕著な影響が見て取れますが、
同時に、Voの歌いっぷりの良さからGのメロディ・センス、
楽曲の劇的な構築力まで、バンドの地力の高さが
しかと発揮された名曲でもあります。


XYZ - Hungry - The Sun Also Rises in Hell ★★★ (2016-07-27 22:40:13)

攻撃的な曲調のみならず、
“暗黒の太陽”なる邦題までへヴィ・メタリックな
疾走ナンバー。
もう「ニセDOKKEN」とは言わせねぇぜ!という
バンドの気合が感じられますね。


XYZ - Hungry ★★ (2016-07-26 22:42:01)

XYZと言えば、シティハンターを呼び出すために新宿駅の伝言板に書き残すメッセージ…ではなくて、ドン・ドッケンの庇護を受けデビューを飾ったLA出身の4人組のこと。
テリー・ルイス(Vo)の歌唱から楽曲のスタイルまで、その抜きん出たDOKKENソックリさんぶりに毀誉褒貶喧しかった1st『XYZ』の批評に嫌気が差したのか、’91年発表の本2ndアルバムでは、FREEの名曲“FIRE AND WATER”のカヴァーに挑戦してみたり、ツー・バスをフィーチュアしたメタリックな疾走ナンバー⑩を演ってみたりと、よりタフでワイルドなサウンド・スタイルへの方向転換が試みられています。そのせいか、後年ドン先生は「散々面倒みてやったのに恩知らずな連中」とおかんむりでしたが…。
装飾を排した音作りの下、灼熱のシャウトを聴かせてくれるVoに、粘っこく骨太なGプレイ、コシの強いビートを刻むリズム隊と、一層逞しさを増したメンバーのパフォーマンスに加え、ライブ映えしそうな④、重厚な⑤、Keyをアクセント的に取り入れたバラード⑧、日本ではCMソングに起用された⑬等、メロディにフックと乾いた哀愁を盛り込んだ、正統派アメリカンHMナンバーの数々も高水準を維持。「今度は90年代の流行を追いかけてみました」的安易さを感じさせない本編は、どっしりと地に足を付けた安定感と、バンドのシリアスな覚悟が伝わる出来栄えです。まぁ流石に13曲も収録されていると印象に残らない曲もチラホラ見受けられますし、聴く気を挫くジャケットも「それでいいんかい?」と思わなくもなかったですが。
しかし、当時BURRN!!誌で高評価を得たのも納得の1枚と言えるのではないでしょうか。


BANSHEE - Race Against Time ★★★ (2016-07-24 09:46:04)

ATLANTIC RECORDSとの契約をゲットしたBANSHEEが、MANOWARやMASSなんかとの仕事で知られるジョン・マティアスを共同プロデューサーに迎えてレコーディング作業を行い、'89年に発表した1stフル・アルバム。
自主制作のデビューEPではヨーロピアンHMからの影響が衒いなく打ち出されていましたが、今回はメジャーからのリリースということもあり、軸足は正統派HMに置きつつも、『オズの魔法使い』ネタのミュージック・ビデオ――カンザス出身だから?――がそれなりにMTVで人気を集めた①に代表されるように、曲によってはアリーナ・ロック的スケール感や、合唱を誘うノリの良さを大幅増。腕の立つベーシストの加入によりリズム面の強化が図られたサウンドは、粗削りな部分が抑えられ重量感と整合性がグッと高まりました。
勿論、それで彼ら独自の魅力が薄まったなんてことはなく。勇ましげにギャロップする曲調がIRON MAIDENを思わす③、インストの小曲④から華やかなに疾走を開始する⑤(これがOPナンバーでも良かった気が)、本編随一のアグレッションを撒き散らす⑩、「ファン人気が最も高かった」とメンバーが述懐する哀愁の名バラード⑨etc…と、力強いシンガーの喉と、テクニカルなGプレイが映える収録曲はいずれも粒揃い。ルックス良し、演奏良し、楽曲良しで、しかもメジャーからの発売。なのに本作の日本盤が出なかったってのが不思議でならない名盤に仕上がっています。
尚、かような力作を発表したにも拘わらず、バンドはあっさりATLANTICからドロップ。この後蔵出し音源集的な2nd(’92年)を残して解散してしまうのであった…。(再結成済)


BANSHEE - Cry in the Night ★★★ (2016-07-23 09:13:07)

BANSHEEはカンザス州のカンザス・シティを拠点に、別々のバンドで活動していたシンガーのトミー・リー・フラッドと、ギタリストのテリー・ダンが意気投合したことが切っ掛けとなって結成された4人組で、本作はその彼らが'86年に自主レーベルから発表した6曲入りデビューEP。後に評判の良さを聞きつけたMETAL BLADE RECORDSがバンドと販売契約を結んで再発も行いました。
トミー・リー・フラッドの歌唱スタイルがロニー・J・ディオを彷彿させ(声質自体はさほど似ていませんが)、テリー・ダンがフェイバリット・バンドとしてDIOやIRON MAIDENの名前を挙げ、また彼のギターの光沢を帯びた音作りがJUDAS PRIESTをお手本にしていることからも明らかなように、ここではヨーロピアンHMからの影響を色濃く感じさせるサウンドを実践。
全体的に粗削りな出来栄えとはいえ、大陸産のバンドらしい盛り盛りなコーラスが印象的なバラード③、アコギを用いた導入部からドラマティックに展開していく7分超の大作ナンバー④、Voのパワフルな歌いっぷりと劇的なツインGのコンビネーションが、アグレッシブな曲調に映えるHMナンバー⑤といった強力な楽曲が並ぶ中盤は聴き応え十分。
確かにLEATHEWOLF、MALICE、LIZZY BORDENなんかが好きな方なら、間違いなくビビッと来るであろうアメリカンHMの良盤です。


KEEL - Lay Down the Law - Tonight You're Mine ★★★ (2016-07-21 23:56:39)

そういやKEELってSHRAPNEL RECORDS所属バンドだったよね
と思い出させてくれる、ロン・キールの筋張ったハイトーンと
弾きまくりのツインGをフィーチュアして
へヴィ・メタリックに疾走するスピード・ナンバー。


KEEL - Lay Down the Law - Speed Demon ★★★ (2016-07-21 23:53:42)

2ndでもリメイクされてましたが、ロン・キールの
金属質なハイトーンVoは、デビュー作収録バージョンの方が
迫力が感じられて好きですね。


KEEL - Lay Down the Law ★★★ (2016-07-20 22:44:31)

「LAメタルの首領」ことロン・キール(Vo)が、STEELER解散後、SHRAPNEL RECORDSのマイク・ヴァーニーの仲介を得てマーク・フェラーリ(G)らと共に結成したバンドのデビュー作('84年発表)。
個人的にKEELと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、代表作『誇り高き挑戦』よりもこっちでして、まぁ主に「オッパイ鷲掴みジャケット」のインパクトのせいなんですが。でも日本盤は出ていないし、なかなかCD化もされないしで、ジャケットは食い入るように眺めていても実際に聴いたことはなかったため(酷)、数年前に再発された時は嬉しかったなぁと。
音楽性は王道LAメタル路線。次作以降ほど洗練されてはおらず、荒々しくエネルギッシュな曲調に乗せて、マークとブライアン・ジェイのGチームが「LAメタルはリフが命!」とばかりに軽快に刻むGリフは、1曲目から実にノリ良くキャッチー。ロンが繰り出すパワフルなハイトーンVoも、少々筋張ってて消化は悪そうですが、個性とやる気は十二分に伝わって来るという。
劇的なツイン・リードGが疾走する③や、重厚なメタル・アンセム⑥、パワー・メタリックなアグレッションを撒き散らす⑧は、KEELが何故SHRAPNEL RECORDS所属アーティストだったかを再確認させてくれるカッコ良さを誇示しますし、和み系の④、アコギを用いてドラマティックな盛り上がりが演出された哀愁系の⑥という、タイプの異なるバラード2曲も思わず聴き入るクオリティ。(⑨は〝夜をぶっとばせ”の邦題で知られるTHE ROLLING STONESのカヴァー)
LAメタルファンだけでなく、SHRAPNELメタル愛好家もしっかり楽しませてくれる1枚ではないでしょうか。


DRIVER - M.a.r.s. - You and I ★★★ (2016-07-19 22:37:15)

トニー・マカパインが、ギターのみならず
Key奏者としても良い仕事をしているドラマティックなバラード。
「歌ってくれりゃ誰でも良いよ」的な、歌メロの練り込み不足が
少々気になった本編にあって(まずインストで曲を作った後、
適当な歌メロを押っ付けた感じ?)、この曲はロブ・ロックの
歌唱力が十分に活かされています。


DRIVER - M.a.r.s. ★★ (2016-07-18 08:59:50)

トニー・マカパイン(G)のM、トミー・アルドリッヂ(Ds)のA、ロブ・ロック(Vo)のR、ルディ・サーゾ(B)のSと、各メンバーの頭文字を取ってM.A.R.S.と命名されたHMプロジェクト…と長いこと思い込んでいたので、当サイトの「M」の項目を探していたのですが、そうか、DRIVERが正式名称だったんですよね。そりゃ探しても見つからん筈だわ。
んで、本作は’87年発表のデビュー作。音楽性は、パワフルなハイトーンVo、流麗な速弾きギター、重心低く突進するリズム・セクションetc…と、もう典型的なSHRAPNEL系パワー・メタル。当初はメジャーからのリリースを念頭に置いていたそうですが、どう考えたってこれはSHRAPNEL RECORDSのために誂えた作品としか思えないサウンドですよ。
起伏に乏しい曲調&平易な音作りとが相俟って、仕上がりの単調さは多少気になるところではあるのですが、それを補うのが名手トニー・マカパインの鮮烈なるGプレイ。解説でゴッドが指摘している通り、彼のGソロが走り始めた途端、それまでモノトーンだった楽曲が眩い輝きを放ち始め、更にはKeyまで演奏してサウンドに抒情的なフックを作り出してくれているのですから、本作MVPは間違いなくトニーさんに贈られるべきですよ。昔はスピーディな楽曲が連打されるA面ばかり聴いていたのですが、こうして改めて聴き直してみると、ドラマティックな⑩を始め、Keyを適宜取り入れたメロディアスな楽曲が並ぶB面サイドもなかなか良いなぁと。
「トニー・マカパインには興味はあるけどインスト物は苦手」という方は、まずこの作品から試してみるのも良いのではないでしょうか?


HEXX - Morbid Reality - Spider Jam ★★★ (2016-07-17 01:34:00)

「スパイダーマン、スパイダーマン🎵」
「ルックアウト!ヒア・カムズ・ザ・スパイダーマ~ン🎵」
と今でも鼻歌で歌ってしまうアニメ版「スパイダーマン」の
テーマ曲のスラッシュ・メタル・カヴァー。
子供の頃、早朝に放送していたのを楽しみに見ていたことを
思い出してしまいましたよ。
思い出込みで星3つを進呈致します。


HEXX - Morbid Reality - Morbid Reality ★★★ (2016-07-17 01:26:23)

物憂げなピアノのイントロをぶち破って
機銃弾よろしく連射されるリフ&リズム、
その上でデス声に片足突っ込んだ咆哮をあげるVoとが
嵐の如く吹き荒れるファスト&ブルータルなOPナンバー。
開き直ったバンドの新たな音楽性を「食らえや!」と
ばかりに突きつけて来きますが、一方でツインGは
相変わらずメロディアス。立派な個性として存在感を主張しています。


HEXX - Morbid Reality ★★ (2016-07-15 23:54:17)

’91年発表の3rdアルバム。既に朧げな記憶を辿ると、確かBURRN!!誌の輸入盤レビューで意外にも酒井編集長が好意的なレビューを寄せていて、この手の音は絶対酷評しそうな人なのに珍しいこともあるもんだと興味をそそられ購入した…んだっけかなぁ?
ハイトーン・シンガー、テクニカルなギター、パワー・メタリックな楽曲etc…と、もろSHRAPNELメタル路線を志向していた前2作のフル・アルバムから一転、レコード会社からのサポートのなさ、一向に軌道に乗らないバンド活動に対するフラストレーションを大爆発させた本作は、「だったらもう好き勝手やってやらぁ!」とファスト&ブルータルな方向に全力スイング。その結果、デス声に片足突っ込んだVo(またしてもシンガーに逃げられたので開き直ってギターのクリント・バウワーが兼任)、猛烈なシュレッド・リフ、ヤケクソ気味に荒れ狂うリズムとが雪崩を打って押し寄せるサウンドは、知らずに聴いたら同一バンドとは気が付かないんじゃないか?っつーぐらい音楽性が激変しとります。中期DEATH(あっこまでの病的な狂性は感じられませんが)、SADUSなんかがお気に入りのスラッシャーにお薦めする1枚。…という説明で、どんな音なのか伝わるでしょうか。
勿論、アップダウンの激しい曲展開、鮮烈且つメロディックなツインG等、HEXXのトレードマークも健在。中でも意表を突いてピアノ・イントロから始まるOPナンバー①は「らしさ」の詰まった逸品ですし、アニメ『スパイダーマン』の名テーマ曲⑧をカヴァーする遊び心も、怒気に満ちた本編の良いアクセントとして機能しているのではないかと。
「これが最後」と定めて、演りたいことを演りたいように演り倒したのが奏功した力作。


HEXX - Under the Spell - Edge of Death ★★★ (2016-07-14 00:58:29)

スラッシーなGリフ、アップダウンの激しい曲展開、
パワフル且つテクニカルな楽器陣のパフォーマンスと、
それに負けないクドさで歌いまくるハイトーンVo…
2ndアルバムの旨みが凝縮された楽曲と言えるのではないでしょうか。


HEXX - Under the Spell - Hell Riders ★★★ (2016-07-14 00:54:17)

重心低く押し出して来るドスの効いた曲調が
VICIOUS RUMORSを彷彿とさせるOPナンバー。
前任者を遥かに上回るアクの強いハイトーンVoが
楽曲のパワフルさに拍車を掛けてくれています。
 
後にこのシンガーが中間英明と仕事していたなんて
全く気が付きもしませんでしたよ。


HEXX - Under the Spell ★★★ (2016-07-12 22:52:26)

デビュー作『NO ESCAPE』発表から暫くの後、ボスのマイク・ヴァーニーに呼び出されたので「印税の小切手でも貰えるのかな?」と胸ワクで訪ねてみれば、待っていたのは箱一杯に詰められた返品レコードの山。「あんなに頑張って作ったのに…」と激しくショックを受けたバンドは、仕方なくその売れ残りを自分達で買い取ることにしたという。…ってなエピソードに落涙を禁じえなかったHEXX。意気消沈したメンバーの離脱が相次ぐも、何とか踏ん張って新VoとDs、更にはサイドGを加えた5人編成で体制を整えると、再びSHRAPNEL RECORDSから'86年に発表した2ndアルバムがこれ。
前任者以上の暑苦しさで迫り来るハイトーンVo、IRON MAIDEN、JUDAS PRIST由来の劇的且つテクニカルに炸裂するツインGをフィーチュアして、王道SHRAPNELメタル路線を今回も突っ走っていますが、本作制作当時、バンドの根拠地たるサンフランシスコはスラッシュ・ブーム花盛り。その熱気をもろに浴びた彼らも、ササクレて刻まれる金属質なGリフや、ドスを効かせて押し出すリズム・セクション等、スラッシュ・メタルのエレメントを作品に闘魂注入。VICIOUS RUMORSの“DON’T WAIT FOR ME”を思わすパワフルな①、好戦的に畳み掛ける②、アップダウンの激しい③etc…と、スラッシーなアグレッションが大幅増量された収録楽曲からは、前作を大きく上回るエネルギーが迸っています。パワーUPしたのはアートワークだけじゃないですぞ、と。
レーベルからは何のサポートも得られず、鳴かず飛ばずで撃沈してしまったアルバムなれど、クオリティは(バンドが自負する通り)十二分に高い。再評価が待たれる1枚です。


HEXX - No Escape - Night Of Pain ★★ (2016-07-12 00:22:25)

アクの強いハイトーンをフィーチュアして
3分ちょいのランニング・タイムを
ストレートに押して押して押しまくる曲調は、
SHRAPNELメタルとNWOBHMの中間に位置する感じ
・・・といったところでしょうか。


HEXX - No Escape - The Other Side ★★ (2016-07-12 00:17:11)

朗々歌い上げるハイトーン・シンガーを活かした
勇壮なるHMナンバー。といってもその歌唱は絶賛できるほど
上手かないのですが、とにかく歌いっぷりが自信満々で
妙にクセになる魅力が備わっていることは間違いありません。


HEXX - No Escape ★★ (2016-07-10 22:46:22)

活動開始当初はPARADOXと名乗るも、レコード契約ゲットを期にバンド名をHEXXと改めたカリフォルニア州出身の4人組が、'84年に発表したデビュー作。
個人的にHEXXの音に触れたのは3rd『MORBID REALITY』(’91年)が最初だったので、彼らのことは結構長く「スラッシュ・メタル・バンド」と認識していたのですが、後追いで本作や2nd『UNDER THE SPELL』(’86年)を聴いてビックリ。クドさ全開のハイトーンVoといい、金属質に打ち鳴らされるリフ&リズムから力ずくな曲展開まで、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENを肉食系にビルドアップした感じのサウンドといい、スティーヴ・フォンタノ謹製の迫力はあるけど分離の悪いプロダクションといい、まるでSHRAPNELメタル路線じゃありませんか。というか、そもそも彼らはSHRAPNEL RECORDS所属アーティストだったんですね。バンドに歴史あり…。
時期的に、次作に比べるとまだまだオーセンティックなHM風味を色濃く残しているとは言え、粘っこいイントロを振り切ってアグレッシブに炸裂する①、タガの外れたVoの歌いっぷりが微笑ましくも熱い③、NWOBHMの匂い漂わすストレートなHMソング⑥といった楽曲のカッコ良さは、成程、マイク・ヴァーニーのお眼鏡に適っただけのことはあるなと。
レコーディング作業のドタバタが響いたのか、全体的にまとめ方が荒っぽいというか、少々キャッチーさに欠ける仕上がり故、油断してると引っ掛かりなく通り過ぎてしまう楽曲も散見されるのですが、そこがまたSHRAPNELメタルらしくて良いんじゃない!と、ポジティブに受け止められる方にお薦めする1枚。


MERCYFUL FATE - Time - Time ★★★ (2016-07-09 00:56:52)

時は殺し、時は癒す、
時は訪れ、時は過ぎゆく・・・
儚く美しげでありながら
どこか背筋に怖気を走らせる冷ややかさも兼ね備えた
至高の名バラード。アルバムのハイライトですね。


MERCYFUL FATE - Time - Nightmare Be Thy Name ★★★ (2016-07-09 00:53:35)

BLACK SABBATH風に蠢くGリフ、
低音から高音まで目まぐるしく行き来するキングの怪奇Vo、
そして讃美歌風の荘厳なコーラスが
シアトリカル且つホラーな雰囲気を醸成する
アルバムのカラーを決定づける名曲でありました。