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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2501-2600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2501-2600

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HERITAGE - Remorse Code ★★★ (2015-09-12 23:58:34)

後にSTATETROOPER立ち上げに関わるスティーヴと、SAXONに籍を置いたポール“FASKER”のジョンソン兄弟を中心に、NWOBHM期に活動していたバンドが'82年に発表した1stフル・アルバム。
NWOBHMのメロウ・サイドに属する、メロディとハーモニー重視の叙情HRサウンドがマニア筋でそこそこ評価された本作。個人的にも(かつて入手に苦労させられた思い入れ込みで)三ツ星評価を付けることに躊躇いはないのですが、ただ、じゃあこれがナウなヤングにウケる音かと言えば、正直かなり微妙なとこかと。
プロダクションのしょぼさはこの手のバンドの常と諦めるにしても、前へ出てくる割に終始不安定感が付き纏うVo(専任シンガーが見つけられなかったため弦楽器隊がシェアしている)や、センスは十分なのに主張の弱いツインG、そしてキメ曲不在によるフラットな本編構成etc・・・と、全体的に押し出しの弱い薄味な仕上がり具合に、彼らがシーンで確固たる地位を確立出来なかった理由が垣間見えるような。
それでも、少々頼りないハーモニーが却って楽曲の哀感を増幅してくれる①や、アップテンポの曲調にツインGが映える②、初期PRAYING MANTISを思わすポップな③、じめじめと貧乏臭く陰気な(褒め言葉)バラード④等、アルバム前半に居並ぶ楽曲は、本作がマニアに愛でられる理由をそこはかとなく伝えてくれる秀曲揃い。
「初期PRAYING MANTISを更にいなたく野暮ったくしたようなサウンド」と聴いて、食指がピクリと反応した貴方へ(いるのか?)お薦めする1枚。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS - FIRE AND ICE ★★★ (2015-09-10 23:37:36)

JOURNEYとSURVIVORの美味しいトコ取りな(?)
アップテンポの快活なHRチューン。
弾きまくるGソロが楽曲の持つ爽快感を
効果的に盛り上げてくれています。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS ★★★ (2015-09-09 23:17:49)

スペイン産メロディアスHRバンドというと、古くはHIROSHIMA、近年だと91 SUITEやNEXX等の名前が思い浮かびますが、このGOLDEN FARMが'03年に発表した1stアルバムも、それらのバンドに引けをとらない出来栄え。
同国大手のAVISPA RECORDSのプッシュを受けてるだけあって、ドメスティックなイモ臭さを殆ど感じさせないメロハー・サウンドは、シンガーの伸びやかな歌唱力から、ネオクラシカルな美旋律も紡いでみせるGを始めとする楽器陣の演奏力まで、デビュー作にしてに早くも世界水準に達しています。
ピアノによるイントロ転じて軽やかに幕開けを飾る、ハードポップのお手本のようなOPナンバー①を挨拶代わりに、エッジを効かせて爽快に疾走する③があったかと思えば、重厚なアレンジの施されたヘヴィな⑧や、中期イングヴェイを思わす冷ややかな⑩があったりと、本編の流れが単調にならぬよう、幅を持たせた曲作りのセンスがキラリ。尚且つスペイン人の血の為せる業か、時折猛烈な哀愁を放つキャッチーなメロディがアルバムに一本の筋を通してくれているので(ついコブシが回ってしまう⑦とか)、散漫な印象もありません。
ボーナストラック⑫まで秀曲なのですから実に立派。時折「2ndはまだですかいの」とか思いながらCD棚から引っ張り出しては聴き直していた作品なのですが、ある日購入した書籍に「中心メンバーだったギタリスト氏が事故死して'07年にバンドは消滅」と書かれていて、地味にショックでした。


RAVEN - Architect of Fear ★★ (2015-09-08 00:08:29)

発売前の雑誌レビューで、地味、地味、言われてて「んなわけねぇだろ!」と思って聴いたみたら、「あ、本当に地味だ・・・」となった'91年発表の8thアルバム。
理由は大きく分けて二つ。一つはヘヴィネスとアグレッションを重視するあまり楽曲からキャッチーさが薄れてしまっている点で、もう一つは収録曲の詰め込み過ぎ。元々、曲作りにしろパフォーマンスしろ小器用に立ち回れるタイプのバンドじゃないので、60分近い収録時間は幾らなんでもダレますって。
しかし、一口に「ヘヴィ」と言ってもその質感は流行に影響された『GLOW』等とは全く異なりますし、ドイツへと渡って当地のパワー/ヘヴィ・メタル・バンド勢に触発されたのか、アメリカ時代の試行錯誤を吹っ切ったかのように、焦点を絞り込み徹底的にソリッドにシェイプアップされたRAVENサウンドは、冒頭で述べた欠点も大目に見ようかなという気にさせてくれる気迫に満ちています。
特に中盤⑥辺りからエンジンが温まり始め、スピード全開な⑩、緩急を取り入れてドラマティックに展開する⑪、暢気なイントロからガラッと空気を換えてハイパーに突撃する⑫と畳み掛ける終盤のラスト・スパートは、四の五の言わせないテンションの高さが圧巻。
「終わり良ければ全て良し」派のメタラー諸氏にお薦めする1枚でしょうか。


HIBRIA - Hibria - Church ★★★ (2015-09-03 23:57:47)

ユーリ・サンソンが灼熱声を活かして
歌い上げるサビメロにメタル魂が熱くなる名曲。
初期の正統派HM路線と、現在追及している
モダンなテクニカル・メタル路線が
上手いこと1曲の中で組み合わされています。


HIBRIA - Hibria ★★ (2015-09-03 00:05:49)

セルフ・タイトルを冠した'15年発表の5thアルバム。最初に書いておくと、今回も初期路線ではありませんので。曲によっては管楽器が吹き鳴らされたり、スティーヴィー・ワンダーの“愛するデューク”のカヴァーに挑戦してみたりと、それはもう拡散の方向へ意気揚々と突き進んでいて、山本リンダばりに「もうどうにも止まらない」と。
しかしながら、それでも本作がストロングなHMアルバムであることに違いはありません。ユーリ・サンソン(Vo)のメタル魂を燃焼させるかの如き熱唱も、テクニカルな楽器陣が火花散らすインスト・パートのテンションの高さも健在。中でもパワフルにして劇的な⑧は、本作購入を悩む人に「この曲目当てで買いなよ」と声掛けて回りたくなるカッコ良さですよ。
先に触れたホーン・セクションについても、別に鳴り物が導入されたからといって能天気になってしまったわけはなく、その使用法は主にサウンドの「威勢の良さ」を補強する方向で活用。例えるならRIOTの『THE PRIVILEDGE OF POWER』の導入法に近い感じゆえ、個人的には然程気にせず受け止めることができました。『THE PRIVILEDGE~』すら受け入れ難かったという人には、慰めの言葉のかけようもありませんが・・・。
既にバンド初期の中心メンバーは脱退済みで、今回で路線変更以降の作品数が正統派HM時代のそれを上回ったこと等を鑑みるに、最早「HIBRIAはこういう音楽性のバンドなのだ」と割り切ってしまった方が、作品がリリースされる度に落胆するよりも精神衛生上よろしいんかなぁと。
少なくとも本作が、そう思わせるだけの質を備えていることは間違いないので。


MARCHELLO - Destiny - First Love ★★★ (2015-09-01 22:48:26)

シンガーとして、ギタリストとして、何よりコンポーザーとして
実力が遺憾なく発揮されたドラマティックなバラードで
ジーン・マルチェロが「これが俺のベスト・パフォーマンス」と
胸を張るのも納得の名曲ぶり。エンディングのGソロは
もうちょっと抑えても良かったのでは?と思わなくもないですが
これが若さか・・・ってなもんですよ。


MARCHELLO - Destiny - Destiny ★★★ (2015-09-01 22:37:03)

イントロ40秒聴いただけで、もう名曲であることは明白。
Voに負けじと前へ前へと出てくるGの張り切りぶりに耳奪われますが
考えてみりゃどっちも担当はジーン・マルチェロでした。
曲調を考えるとちょっと弾き過ぎな感が無きにしも非ずなれど、
若きギタリストのデビュー作ならこれぐらいの血気盛んぶりは
十分許容範囲内。Voも担当して力点が分散したことで
ぎりぎりバランスは保たれたかな?と。
あと、ハード且つドラマティック、でも透明感が漂ってくる辺りは
確かに北欧メタルっぽい。


MARCHELLO - Destiny ★★★ (2015-08-31 22:58:23)

GOOD RATSのメンバーで、FIONAのアルバム等をプロデュースしていたペピ・マルチェロを父に持つミュージシャン・・・というよりも、OZZY OZBOURNEのギタリストの座を、ザック・ワイルドと最後まで争った人物として記憶されるジーン・マルチェロ(Vo、G)率いるバンドが、'89年に残した唯一作。
早熟の天才G奏者なる前評判に、購入当時は何となく「力の限り弾き倒すSHRAPNEL系パワー・メタル」を期待していのですが、実際のところ、彼のギター・ヒーロー然とした華を感じさせるGプレイは確かに楽曲内を縦横無尽に駆け巡ってはいるものの、その演奏スタイルは押しと引きを十分に心得たもの(そもそもテクだけが売りのギタリストをオジーが欲する筈もなく)。サウンド自体、自らが担当する伸びやかな歌声の活かされた溌剌と弾む喉越し爽快なメロディアスHR路線で、このテクニカルな奏者と、キャッチーなメロディ&美麗なハーモニーに彩られたポップな音楽性とのギャップは、嘗てのJOSHUAを思い出させるモノがあるようなないような・・・。
メタル脳を患う身としてはSHRAPNEL路線でも一向に構わなかったのですが、しかし本作もこれはこれで十分オツな味わい。中でも、目立ってハード且つドラマティックなアルバム表題曲③と、発表当時MTVでも話題を呼んだバラード④の2曲は、ジーン・マルチェロの「書いてよし」「歌って良し」「弾いて良し」な優良物件ぶりを知らしめるに十分なアルバムのハイライト。彼自身がVoとGを兼任することで、どちらか一方が過度に自己主張し過ぎることなく、バランスが取られている点も好印象を残します。
かように素晴らしい作品を残したにも関わらず、その後の彼のキャリアがパッとしなかったのが不思議と言えば不思議。現在は父親と一緒にGOOD RATSをやってるのかな?


ECLIPSE - Are You Ready to Rock - Under the Gun ★★★ (2015-08-30 00:42:57)

叙情的なイントロから、シャウト一発、
熱く弾ける攻撃的な曲調へと転じる様式美全開な曲展開で
早くもハート鷲掴み。
北欧のバンドらしい憂いをたっぷりと湛えつつも、
一緒に歌いやすいキャッチーさも加味されたサビメロに
メタル魂が燃え上がりますよ。


ECLIPSE - Are You Ready to Rock - Hometown Calling ★★★ (2015-08-30 00:37:10)

円を描くような感じで刻まれるGリフ、
疾走するリズムや印象的にハモるツインGまで、
曲調はヘヴィ・メタリックと言っていいぐらい
アグレッシブですが、その上に乗っけられた
歌メロは実に伸びやかでフックに満ちています。


ECLIPSE - Are You Ready to Rock ★★★ (2015-08-28 22:32:07)

FRONTIER RECORDSが仕掛けた数多のプロジェクトに参加し、ソングライターとしての手腕を振るって来たスウェーデン人アーティストのエリック・マーテンセン。その彼のメイン・バンドたるECLIPSEが'08年に発表した2ndアルバム。
そんなわけで聴く前から出来の良さは約束されたようなもんの本作ですが、実際に聴いた後も、その信頼が裏切られることはありませんでした。80年代風味満点の健康的なメロディックHR(日章旗ジャケットの採用は80年代っぽさを演出するためか?)という、デビュー作で披露したサウンドを継承しつつ、メロハー路線に寄せてた前作に比べると、今回はWHITESNAKEやUFOといった彼らのルーツたるブリティッシュHRバンド勢に対する愛情をつまびらかに開陳することで、楽曲に、よりハード・ロッキンなエッジと躍動感が加味されているのが特徴。その辺は『ARE YOU READY TO ROCK?』なる直球極まりないタイトルが堂々表す通りですね。
それでいて勢い任せで大味になってしまうことはなく、涼しげな哀愁に彩られた歌メロにしろ、メタリックに弾きまくって存在感を主張するGソロにしろ、全編に亘ってフックの大盤振る舞いなのですから、やはりエリック・マーテンセン、只者じゃあない。
無駄なく構成されたアルバムに捨て曲は見当たりませんが、中でもアグレッシブな曲調と伸びやかなサビメロの対比が印象的な②と、アコギ爪弾かれるイントロの後、憂いに満ちたメロディが本編随一のハードさを纏って駆け抜ける⑤の2曲は、それぞれアルバムの山となるハイライト・ナンバー。
これ以降のアルバムも聴いてみたくなる魅力溢れる作品です。


OUTLOUD - Let's Get Serious - Like a Dream ★★★ (2015-08-26 21:55:10)

哀愁をたっぷりと湛えたメロハー・ソングなのですが
ゆったりとハモる泣きのツインGがPRAING MANTISに
通じる威力を発揮する場面も。


OUTLOUD - Let's Get Serious - I Was So Blind ★★★ (2015-08-26 21:50:42)

クッサクサなイントロだけで
「ハイハイ、俺の負け俺の負け」
となってしまうアルバム屈指の名曲。
70年代青春ドラマの主題歌に通じる(?)
哀愁を帯びた痒い所に手の届くメロディは
何度聴いても胸に響きます。


OUTLOUD - Let's Get Serious ★★★ (2015-08-23 11:21:26)

近年はガス・G率いるFIREWINDでの活動で知られるギリシャ人Key奏者のボブ・カティオニスが結成の音頭を取った5人組が、'14年に発表した3rdアルバム。
ちなみにジャケットにフィーチュアされているのはボブさんのモデルの彼女。この「自慢か!」なジャケ写を見ただけだと、ゴキゲンなパーティ・ロックでも聴かされそうで思わず身構えてしまいますけども、どっこい本作の中身は、心洗われるようなキャッチーなメロディを満載にした80年代型メロディック・メタル。
ジャンルとしてはNWOTHMの範疇で語られている作品のようですが、メタリックなエッジと疾走感を効かせつつも、歌心に溢れたシンガーの歌唱から、サウンドの中核を担い華々しく切り込んでくるKeyに至るまで、その作風からは必要以上の「力み」は感じられません。場面によってはJOURNEY、SURVIVORといった産業ロック方面からの影響も濃厚に伺わす伸びやかさも本作の魅力の一端。
70年代スポ根ドラマの主題歌みたいな②のクサメロなんて「聴けて良かった・・・!」と思わず天を仰ぎ見るレベルですし、他にもKeyによるイントロだけで気分が高揚するOPナンバー①、哀愁の旋律を歌うGが印象的な③⑤、PRAYING MANTISを思わす④、ドラマティックな曲展開を有する⑦等、本編には'14年度ベスト・チューン候補級の逸品がゴロゴロと。ポップ・メタルとブラスト・ビートを合体させてしまった⑪(クレジットはないけどDsはNILEのジョージ・コリアスか?)もユニークな仕上がり。
FIREWINDよりこっちの方が好きかも・・・と思わしてくれるのに十分な1枚でありました。


ARMORED SAINT - Win Hands Down ★★★ (2015-08-22 01:29:50)

ARMORED SAINTの作品と対峙するのは随分と久し振りなのですが、お~全然変わっとらんのぞ、と。そう言えば、以前に『SYMBOL OF SALVATION』を聴いた時も「この人ら、(良い意味で)全然変わらんなぁ」との感想を持ったことを思い出しましたよ。
但し、甲冑風の衣装を身に纏い、“キエフの大門”で華々しく幕が開いた名盤『MARCH OF THE SAINT』のイメージで本作に挑むと、今回の地味というか地に足が着いてるというか・・・な作風には肩透かしを食うことになるではないかと。ここには勇壮なスピード・ナンバーやエピック・ソングといった判り易いタイプの楽曲は見当たらず(実のところ『MARCH~』だって表題曲を除けばそんな感じだったのですが)、また、熱いのか醒めてるのか、やる気があるんだかないんだか分かり辛いジョン・ブッシュ(Vo)のぶっきらぼうな歌い回しも、そうした印象に拍車を掛けます。いや単に声質がオッサン臭いだけで歌の上手い人であることは、硬派な憂いが匂い立つ④や、7分以上に及ぶドラマティック⑦等を聴くまでもなく明らかなんですけどね。
聴き様によってはモダンにもオールドスクールにも耳に響く、ヨーロッパ産の同系統バンドとは一味違う骨太で乾いた哀感渦巻くパワー・サウンドは、威勢良く叩きつけられるOPナンバー①から、メランコリックなバラード⑧を含む後半戦に至るまで、噛めば噛むほど味わいが増す(ありがちな表現ですが)スルメ系の魅力が横溢。じっくりと対峙することをお薦めする1枚に仕上がっています。
購入当初は「星二つかなぁ」ってなもんでしたが、今や三ツ星評価に何ら躊躇はありませんですことよ。


RAVEN - Mad - Speed of the Reflex ★★★ (2015-08-20 22:45:43)

ハイテンションな突撃ナンバーですが、
緩急の織り込まれたドラマティックな曲展開からは
アメリカで荒波に立ち向かい続けたRAVENが
身に着けた風格というか、オーラの如きものが
立ち上って来るかのようです。


RAVEN - Mad ★★★ (2015-08-19 23:11:31)

念願の米メジャーとの契約を手に入れるも、レーベル側からのアルバム作りに対する度重なる介入に鬱憤を溜め込んでいたRAVENが、「だったらEPで好き勝手やったるわい!」とストレス発散目的(推測)でレコーディング、'86年に発表した5曲入りEP。
ハードコア/パンク・バンド顔負けのノリ一発な姿勢は、ヒネリもクソもない直球タイトルから、ラフな音作りやジャケット・デザインにもバッチリ反映。特にジョン・ギャラガーがイキ顔晒してるアートワークなんて、子供がうっかり目にした日にゃ悪夢にうなされそうな凶悪ぶり。試しに自宅で奉ってみたところ、家に憑いてた自縛霊が逃げ出したとの未確認情報もあったりなかったり。
全編、ギミックを排したアスレチック・ロック・ソングでハイテンションに押しまくっていますが、初期作のようなアウト・オブ・コントロール感はなく、むしろ緩急をナチュラルに織り込んだ作曲術からは、メジャー・アクトとしての洗練が(そこはかとなく)感じられたりも。特にスラッシュ・メタル顔負けの切れ味の鋭さと爆走感に、静と動の落差がドラマティックな曲展開を持ち込んだ①は、ファン人気も非常に高い(来日公演でも選曲されている)RAVEN屈指の名曲の一つ。
頭で聴くよりも、大音量で流して体感すべき作品でしょうかね。
尚、これまで他作品のボートラとしてオマケ扱いされることの多かった本作ですが、先日、TOWER RECORDS限定で単独再発が掛かりました。単品でCD化されたのは今回が初めてとのこと。


Y & T - Ten - Surrender ★★★ (2015-08-18 22:15:24)

キャッチーな楽曲構築術と、胸を打つ哀愁のメロディ&
エモーショナルなパフォーマンスとが渾然一体となった
後期(と言って良いのかどうか)Y&Tが目指した音楽性の
完成形と評すべき名曲。
それだけにこれが最終作の最終曲となってしまったのは
残念無念。当時の話ですが。


Y & T - Ten - Ten Lovers ★★★ (2015-08-18 22:09:26)

“SURRENDER”と並ぶアルバム『TEN』のハイライト。
皆さん仰られる通り、フォーク的な侘しい哀愁漂う前半から
バンド全体が加わって熱く激しく、それでいて泣きを損なうことなく
盛り上がっていく後半戦は何度聴いてもグッときます。


EXCITER - Unveiling the Wicked - Invasion/Waiting in the Dark ★★★ (2015-08-18 21:52:08)

重々しいイントロから疾走を開始し、
中間部に「聴かせる」インスト・パートを挟んで
ドラマティックに展開していく構成が
これまでになかった魅力を放つ名曲。
ダン・ビーラーは明らかに歌いきれていませんが
この人はこれで良い。


PHANTOM - Dead or Alive ★★ (2015-08-17 23:40:46)

日本デビュー作となった3rd『CYBERCHRIST』('93年)が評判を呼んだことから、急遽国内盤の発売が実現した'86年発表のPHANTOMの1stアルバム。オリジナル盤は全8曲でしたが、日本盤はボーナストラックとして1曲追加し全9曲が収録されています。
流石は天下に名だたるNEW RENAISSANCE RECORDSからのリリースだけあってプロダクションのショボさは折り紙付き(たった1週間でレコーディングされたのだとか)。おまけに当時の彼らはバンドとしての陣容さえまともには整っていない状態だったそうで。
「JUDAS PRIEST影響下の疾走感溢れるパワー・メタル」というサウンド・スタイルは、既にしっかと見据えられていて頼もしい限りですが、正直なところ楽曲は少々地味。Keyソロもフィーチュアして疾走するアルバム表題曲①やドスの効いたミッド・チューン③等、収録曲はどれも十分水準レベルに達してはいるとは思うものの、いかんせん『CYBERCHRIST』を聴いた後だとパワー不足の感は拭い難く・・・。それでも方向性に迷いの感じられた次作『PHANTOM』よりは焦点が絞られていますし、ファルコン・エディ(Vo)もパワフルな歌いっぷりで早々に実力の片鱗をチラリ。
PHANTOM作品で真っ先に聴くべきが『CYBERCHRIST』であることに疑問を挟む余地はありませんが、御用とお急ぎでない方は本作の方にも寄ってらっしゃい聴いてらっしゃい、と。


Y & T - Ten ★★★ (2015-08-17 01:02:22)

YESTERDAY & TODAY時代も含めると丁度10枚目の作品ということで、シンプルに『TEN』と名付けられた'90年発表の(Y&T名義では)7thアルバム。
バンドに対する注目度が下降線を辿りつつあった時期にあって、「俺達のY&Tが帰って来た」と比較的好意を持って迎えられた作品だけに、ポップ・メタル化著しかったここ数作に比べると、楽曲にはハードさが、デイヴ・メニケッティの歌とGプレイには「粘り」が戻って来ていることが確認できます。
と言ってもまんま初期の作風に立ち返ったわけじゃなく、マイク・ストーンが手掛けた音作りから、洗練を感じさせるアレンジ・センス、楽曲をキャッチー&コンパクトにまとめ上げるソング・ライティング術まで、ポップ・メタル路線の残り香もチラホラ。寧ろそうしたこれまでの試行錯誤が踏まえられているからこそ、本作は単なる過去の焼き直しではなく、折衷的魅力を湛えた好盤に仕上がったのではないかと。
本編前半には少々地味な印象も付き纏いますが、中盤以降の目を瞠る充実度でそれをリカバリー。取り分け、タメを効かせて盛り上がっていく⑥、息苦しい程にエモーション迸る⑩、ハード・ロッキンな熱さと泣きメロがドライヴする⑫は、デイヴ入魂の歌とギターが冴え渡る「これぞY&T!」な名曲っぷり。
彼らは本作発表後間もなく解散の道を選択してしまいますが、確かにこれ程の力作をモノにしたにも関わらずレコード会社から何の援護も受けられなければ、バンドの将来に対し悲観的になってしまったのもむべなるかな。(今は再結成してバンドもファンも皆ハッピー)


EXCITER - Unveiling the Wicked ★★★ (2015-08-13 00:07:02)

ジョン・リッチ(G)が脱退し、オリジナル・ラインナップが崩壊。しかし活動の勢いを鈍化させることを嫌ったバンドは直ちに旧知のギタリスト、ブライアン・マクフィーを迎え入れてツアーを続行すると、その合間にレコーディング作業も行い、'86年に本4thアルバムを発表しました。
突貫人事のようでいて、このブライアン氏が実に良いソロを弾く逸材でして。オールド・スクーラーな前任者に比べると、メタリックなリフを刻む傍らインスト曲②を始め、ソロ・パートではギター・ヒーロー然とした派手なGプレイも決めてみせる等、よりモダン(80年代当時)な感性の持ち主。それに触発されたのか、今作はカミソリっぷりは抑えめに、そのぶんキャッチーなメロディや構築感を重視し、JUDAS PRIEST型正統派HM路線への更なる接近が図られています。
で、こうなると問題になるのがダン・ビーラーの一発キメたようなVo。既に散々突っ込まれてる通り、一層メロディックになった楽器陣との乖離(というかテンションのズレ)は誰の耳にも明らかなんですが、でもじゃあ場の空気を読んで粛々と歌うダン・ビーラーをお望みか?と問われれば、答えは断じて否。この丸出しのメタルバカっぷり、ノー・ブレーキの「行ってこい」な全力投球シャウトこそが彼の個性なわけで。
あと本作を語る上で重要なのが、粒選りの収録曲の質の高さですよ。EXCITERらしいテンションの高さで突撃する①⑤⑧、ライブ映えしそうな③、重厚に押し寄せる⑦⑨etc・・・と、最高傑作の呼び声高い前作とタメ張るレベルの本編を聴いていると、諸々の問題点について「いいんだよ、細けぇこたぁ!」と心に棚を作る気になるってもんです。特に、起承転結を伴う劇的な疾走ナンバー⑥は数あるEXCITERの名曲の中でも五指に入るカッコ良さではないかと。


LEGEND(80'S) - Death in the Nursery ★★★ (2015-08-09 23:29:49)

シングルGの4人編成となって'83年に発表された2ndアルバム。
プログレッシブ・ロックや70年代HRの面影を色濃く留めていたデビュー作に比べると、ノリノリの⑤、劇的なイントロ一発で掴まれる⑥といった比較的シンプルな構成の楽曲が象徴する通り、今回はヘヴィ・メタリックにストレッチされたサウンドを披露。(ラフだが一発勝負的迫力が漲るプロダクションもそれを援護しています)
疾走感をいや増したリズム隊、エッジの効いたリフを刻み、メタリックな光沢を放つメロディを奏でるようになったG、そして楽器陣のオマケ程度の存在感だった前作から一転、憂いに満ちた歌メロを「俺が主役だ!」とばかりに朗々歌い上げるVoまで、大作主義を控えめにコンパクトにまとめ上げられた楽曲は飛躍的に「NWOBHM度」をUP。・・・といっても、ヒネリの効いた②や7分に及ぶ大作⑨等でプログレ色をアピールすることも忘れてはいませんが。
叙情的な導入部を経るOPナンバーに相応しい曲展開がドラマティックな①と、鋭利な切れ味のアルバム表題曲⑧という、従来プログレ風味と新味のHMテイストが巧みに編み合わされた名曲2編をハイライトに、緊張感を途切れさすことなく全編を駆け抜けていく本作は、発表当時、KERRANG!!誌でも好意的なレビューを頂戴する等、LEGENDの代表作として認知を得ているのも納得の1枚です。


LEGEND(80'S) - Legend ★★ (2015-08-08 01:33:06)

似たような名前のバンドが多数存在するため紛らわしいですが、こちらは英国はチャンネル諸島(ジャージー島)出身の5人組、'81年発表のデビュー作です。自主レーベルからのリリースゆえ流通が弱く、長らく入手困難とされて来た1枚ですが、今ではベスト盤『LEGEND ANTHOLOGY』で手軽に聴くことが出来るのですから有り難いこってすなぁと。
ただ、『RED』を発表した頃のKING CRIMSONを思い出すOPナンバー①を耳にすればご承知頂けるように、ここで披露されているのは判り易いNWOBHMの「型」に則った音ではなく、インスピレーション重視で奔放に繰り広げられる、プログレッシブ・ロックや70年代ブリティッシュ・ロックからの影響も露わなサウンド。オジー・オズボーンの薫陶を受けたフォークシンガー風(?)なVoの歌声から、ブルージーというかアーシーなセンスを全編に渡って迸らせるGに至るまで、そのものズバリなNWOBHMらしさを期待すると「あれ?」となるので要注意。
アタッキー且つハイレベルな演奏技術とダイナミックな曲展開に支えられ、全体を貫く威勢の良さからは間違いなくメタルの息吹が感じられますし、上記したOPナンバー①や、“HIROSHIMA”なるタイトルからして興味をそそられる②、10分に及ばんとする大作⑦等、収録曲のクオリティも安定。
キャッチーさに欠けるため取っ付き難さはありますが、NWOBHMサウンドそのものを期待しなければ、これはこれで非常にオツな1枚ですよ。


AFFAIR - No Substitute ★★ (2015-08-04 23:13:35)

ドイツ人ギタリストのボビー・アルトヴェイターと、MYSTERY等の活動で知られるベルギー人シンガー、ピーター・デ・ウィントによるメロディック・ロック・プロジェクトが、5年間の沈黙を経て'02年に発表した2ndアルバム。
過去にコツコツと作り溜めて来たマテリアルが用いられたことで、全体が濃厚な80年代テイストによって覆われていた前作に比べると、新たに書き下ろされた楽曲が大半を占める今回は、時代に即したシリアスさが大幅増(正式メンバーを揃えて「バンドらしさ」をアピールする狙いもあったのかも)。逞しげに疾走するOPナンバー①を聴いていたら、ふと、従来のメロディの魅力はそのままにハードさを増した、MYSTERYの1stから2ndにおける作風の変化を思い出しましたよ。ピーターの粗めな声質も、こうしたサウンドの方がフィット率が高いかな?と。
多少地味になってしまった感は否めないものの、その分メロディはヨーロッパ的な叙情成分が一層蓄えられていて、特に重厚且つドラマティックな⑩なんかは、AFFAIRの新たな魅力を伝えてくれるアルバムのハイライト・ナンバー。この名曲に限らず、ヘヴィネスが悪目立ちしないようにアコースティック・ギターやKeyを有用したアレンジも冴えています。
本作以降、音信が途絶えてしまいましたが、ピーターにしろボビーにしろ、元気でやっているのでしょうか?


AFFAIR - Face to Face ★★★ (2015-08-03 23:21:02)

ドイツ出身のHRバンド――と言ってもメンバーはVo、G、Keyの3人のみ(Dsは打ち込み)、ライブも行っていないので、正確にはレコーディング・プロジェクトと呼ぶべきか――が、'97年に発表した1stアルバム。
キャッチーなメロディに彩られた、健康的且つ爽快なメロディックHRは、歌詞も含めて80年代風味満点(実際、80年代から作り溜められてきたマテリアルが元になっている)。これらのサウンドをクリエイトしたグループの中心人物は、ドイツ人ギタリストのボビー・アルトヴェイターですが、個人的に本作の購入動機の大半は、フロントマン役を担うピーター・デ・ウィントの存在にありました。
80年代はCROSSFIREやOSTOROGOTHで男臭いパワー・メタルを、90年代はMYSTERYでポップなメロディック・ロックを演って来た、このベルギー人ベテラン・シンガーのパワフルな歌声は、本作でも全く衰えることなく健在。ザックリとエッジの効いた曲調に、フッキーなメロディが彩りを添える①⑪、ノリ良くキャッチーな躍動感溢れる④⑨、そして本編のハイライトを飾る哀愁の名バラード⑥等、MYSTERYと同路線のメロディックHRソングの数々を、今回も持ち前の情熱的な歌い回しを駆使して熱唱してくれています。
ギタリストとしてもソングライターとしても優れた才能を発揮するボビー・アルトヴェイターという相棒を得たことで、ピーターの歌唱力もそのポテンシャルを十二分に引き出された、コラボ作の見本のような仕上がりの1枚。


SOLITUDE - Reach for the Sky ★★★ (2015-07-28 21:41:49)

デビューEPが'01年で1stアルバムが'09年と、作品のリリース・ペースがBOSTON級の気の長さを誇るSOLITUDE、'15年発表の2ndアルバム(と思ったら3rd扱いなの?)。しかし、これが長らく待った甲斐のある充実作に仕上がっているのですから、迂闊に文句は言えませんて。
前作完成後に加入し、今回がレコーディング作業初見参となる元ANTHEMの大内“MAD”貴雅(Ds)の存在がターボ燃料となったのか、本作はこれまで以上にスピーディ且つパワフルな方向へアクセルをベタ踏み。
拘りの詰まった強靭なサウンド・プロダクションを得て突っ走る、MOTORHEAD思わす好戦的な②、パワー・メタリックな肉厚さで迫り来る④、SOLITUDE版“WARNING ACTION!”とでも表したくなる⑥といったスピード・ナンバーの数々なぞ、スラッシュ・メタルを演っていたSACRIFICE時代も斯くやの獰猛さ。
それでいて後戻りした印象が皆無なのは、劇的にしてメロディックな③やインスト曲⑤を聴けば分かる通り、表現力を増した各パートがこれまで以上に「歌う」ようになっているせい。中でもヘヴィ・バラード調の⑧は、現在の彼らだからこそ成し得たエモーション迸る名曲っぷり。決して器用なタイプではないが(だからこそ)ヤサグレ男の哀愁を伝えるVoの熱唱や、泣きのGソロの剛速球が涙腺に沁みること沁みること・・・。
全8曲収録でランニング・タイムは40分台と、無駄なくタイトに引き締まった本編は体脂肪率0%。SACRIFICE時代からブレることなく一貫して追求し続けて来た、スラッシュ、NWOBHMの影響を取り込んだパワー・サウンドが、未だ前進の歩みを止めていないことを証明する1枚です。


WARLORD - Rising Out of the Ashes ★★★ (2015-07-26 23:50:26)

WARLORDが実に20年ぶりに発表した復活作。
今でこそベテランの復活作と言えば、自身の個性をしっかりと認識した会心作であることが殆どですが、この頃はまだ「俺達ゃ現役バンド!」とのプライドから、似合わぬ流行要素に手を出しては頓珍漢な内容に仕上げてしまいリスナーの失笑を買うケースが多々ありました。
なので「USカルト・メタル・レジェンドの彼らとてひょっとしたら・・・」との憂慮も少なからずあったわけですが、そうしたネガティブ思考は、暗くて湿気っててドラマティックなOPナンバー①を聴き終えた瞬間、綺麗サッパリと払拭されましたね。全然変わってねぇなぁ!と。
殊に、デストロイヤーことウィリアム・J・ツァミス(G)によって紡ぎ出される、しみったれた泣きメロがとにかく琴線に触れまくりで・・・と書くと、褒めてんだか貶してんだかよう分かりませんが、勿論褒めてます。この泣きメロの絶妙なシケシケ/クサクサさ加減こそがWARLORDの証。代表曲④や③⑤、それにPRAYING MANTISを思わす哀愁に悶絶な名曲⑩等は彼らの真骨頂。
そもそも本作は活動初期のレパートリーや、EP『悪魔の洗礼』収録曲のリメイク(あと別プロジェクト用に書かれた楽曲)から構成されているので、音楽性のブレがないのも当然っちゃ当然の話なんすが、それだけではなく、新ダミアン・キング役を担う等、WARLORD復活に多大なる貢献を果たしたヨアキム・カンス(HAMMERFALL)のバンドに対するリスペクト溢れる姿勢も、こうした作風に仕上がった要素として結構大きかったのでは?と個人的には推察する次第。声質的にも、適度なソフトさ加減が歴代ダミアン・キングの系譜に連なる感じで非常にグーですよ。
万人受けするには少々マニアックな内容ではありますが、ファンなら押さえておいて損はない作品ではないかと。


HALESTORM - Into the Wild Life ★★ (2015-07-24 23:35:55)

前作『THE STRANGE CASE OF・・・』の大ヒットを受けて、リズム重視、エフェクト処理やエレクトロニックな味付けを用いたアレンジの強化等、更に「今のアメリカで受ける音」方向へ踏み込んだ感のある'15年発表の3rdアルバム。
米HR/HMシーンの第一線で活躍する若手ロック・バンドのトップランナーとしては、実に手堅い次の一手であり、バンドの推進剤の役割を担うリジー・ヘイルストーム(Vo)のパンチの効いた歌唱を中心にスクラム組んだバンドのパフォーマンスからは、自信と実績に裏打ちされた貫禄がビンビンに漲る。間違いなく本作もアメリカで好評を博するに違いない、と思わせてくれる仕上がりです。
ただ反面、正統派HMテイストは大きく後退。メロディへの拘りが希薄になったことと併せて、ここ日本では評価が二分されそうな予感あり。例えば前2作の楽曲が、リジー嬢よりも実力の劣るシンガーが歌っても「歌はダメだけど曲は素晴らしい」との評価を得られたであろうキャッチーさを備えてたのに対し、今回の楽曲はリジー嬢専用フォーミュラといった趣き。彼女が歌ってこそ光るというか、彼女以外が歌ったら退屈に感じられるのでは?というか・・・。これを「サウンドの個性が磨かれた」とポジティブに評価するか、「普遍的なメロディの魅力が薄まった」とネガティブに捉えるかは、聴き手の判断に委ねたいところであります。
個人的には、名曲②で炸裂するような聴いてるだけで全身の血流が促進されてしまう、リジー嬢の絶唱がもっとアルバム全編で聴きたかったかな、と。


GREAT WHITE - Shot in the Dark ★★ (2015-07-21 22:39:59)

メジャー・レーベルからリストラされてしまったGREAT WHITE、逆転の一撃となった'86年発表の2ndフル・アルバム。
前作を聴いた時「LAメタルそのものな音」との感想を持ちましたが、どっこい、こっちも負けてなかった。というか、丸み帯びたプロダクション、暗さや疾走感が薄まった分、ミッドテンポを中心にキャッチーなノリ易さの増量された楽曲、そしてKeyを適宜取り入れた洗練を感じさせるアレンジと、本作の方がLAメタルの最終形態にぐっと近付いた印象さえ有り。
レコードで言うところのA面とB面のカラーの違いもユニークで、明るくハジける楽曲が集中するA面が、カラッとした陽光照りつける「昼」の雰囲気漂わすのに対し、雷鳴と共にスタートし、ヒンヤリとした冷気を運んでくるKeyを有用した楽曲が並ぶB面は、さながらネオン瞬く大都会の「夜」といった趣き。アルバム1枚でLAの昼と夜が追体験できてしまう、非常に贅沢な(?)構成が素敵です。
お気に入り具合で言えば、そりゃ後者に軍配が上がることは表明するまでもなく。特に、ムーディだけどまだ土の匂いはしないドラマティックな⑥⑧、クールな哀メロを伴う歯切れ良く軽快なHRナンバー⑦は、初期GREAT WHITEならではの名曲。既に才能の片鱗をチラ見させるジャック・ラッセルのVoは勿論のこと、マーク・ケンドールの表現力と構築美を併せ持ったGソロも聴きモノですよ。
↑上で別の方が指摘されている通り、LAメタルからブルーズ・ロックへと至る過渡期の産物であり、これがGREAT WHITEの最高傑作だとは思いませんが、でも前作と共に彼らのカタログの中では手が伸びる回数が多めな1枚だったり。


STORMWIND - Rising Symphony - Stranger From the Sea ★★★ (2015-07-20 20:37:37)

荘厳且つ厳粛なイントロから疾走へ転じる
絵に描いたような北欧様式美HMナンバー。
宗教音楽的な混声コーラスが被さる
サビメロの劇的なアレンジも秀逸。
それにしてもトーマス・ヴィスクトロムの
高音域でも全くパワーが落ちない
ハイトーンVoには恐れ入りますね。


STORMWIND - Rising Symphony - Touch the Flames ★★★ (2015-07-20 20:21:19)

壮大な序曲“RISING SYMPHONY”の余韻を
鋭く刻まれるGリフが打ち破り、
寒々しい哀メロを朗々歌い上げるVoと、
GとKeyのバトルを伴いながらスピーディに激走するという
「OPナンバー、かくあるべし!」な逸品。
曲調から浮いているGソロは、個性と評価すべきか
玉に瑕と批判するべきか・・・。


STORMWIND - Rising Symphony ★★★ (2015-07-18 11:22:42)

RISING FORCE時代のイングヴェイを彷彿とさせる様式美HMサウンドをバリバリ追求し続ける(た?)スウェーデン出身の5人組、'03年発表の6thアルバム。
彼らの作品は何枚か所持していますが、最も聴き返す頻度が高いのが本作です。壮大にして激しくドラマティックな①②(文字通り“雷鳴のシンフォニー”状態)の流れに始まって、初期の名曲のセルフカバー⑩にて幕が下りる本編は、収録楽曲のクオリティから無駄なく締まった構成まで、STORMWINDのカタログの中でも頭一つ飛び抜けた出来栄え。「スウェーデンの極新カラテ王者」なる異色の経歴を誇るギタリスト、トーマス・ウルフがここでクリエイトする音世界には、「鶴の構え」を取ったダニエルさん(古い)ばりに付け入る隙が全く見当たりませんよ。
そんなコブラ会ですらお手上げの本作を更なる高みへと押し上げるのが、元TALK OF THE TOWN他の実力派シンガー、トーマス・ヴィクストロムその人。広い声域/豊かな声量/抜群の表現力を併せ持つこんな強力無比な歌聴かされたら、そりゃNHKでなくとも「昼はオペラ、夜はメタルの二足の草鞋を履くボーカル・マスター」として音楽番組で特集を組みたくなるってもんですわなと。
その彼氏の堂々たる歌声と、トーマス・ウルフ謹製の荘厳!クラシカル!スピーディ!な楽曲とがガップリ四つに組んだ④は、北欧様式美HMファンを感涙に咽ばせる名曲っぷり。
STORMWINDのアルバムはどれから手をつけて良いか分からないという方は、まずはこちらかどうぞ。入手が容易だし、中古盤も安いっすよー。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Fractal Dimension ★★ (2015-07-16 23:24:18)

IRON MAIDEN風味のツインGによる
ハーモニーも印象的な、アルバムのトリを飾る
これまた6分以上に及ぶ長尺曲。
ストップ&ゴーを繰り返しながら
テンションを高めていく曲展開を
一糸乱れずにこなす演奏力の高さにも圧倒されます。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Burning Through the Scars ★★★ (2015-07-16 23:09:41)

内角へエグり込んで来るようなGリフと
暴力的なリズムとが、威勢の良いコーラス、
ハッキリとしたメロディを奏でるGソロを伴い
ワッショイワッショイと突進する
怒涛のスラッシュ・ナンバー。
6分以上の大作ですが、焦燥感と圧迫感に
満ちた曲調がまるで長さを感じさせません。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow ★★★ (2015-07-14 22:40:45)

1st『PRIVILEDGE TO OVERCOME』が絶賛された5人組マカロニ・スラッシャーが、'15年発表の2ndアルバムで待望の日本デビューを飾りました。
前作に引き続き、今回もアートワークは『時計仕掛けのオレンジ』仕様。このジャケットがバンドの基本スタイル――モダンにしてエクストリーミリーなスラッシュ・メタル・サウンド――にブレがないことを証明しています。またダーティに吼え立てるVo、切迫感に満ちたGリフ、デス・メタリックな暴力性も撒き散らすリズムが、屈強なる野郎コーラスを従えて、起伏の激しい曲展開を暴風の如く吹き抜けるOPナンバー①を耳にした瞬間、多くのスラッシャーがアルバムの出来栄えを確信できる筈。
「短い曲を書こうと思っても、出来上がると長編化してる」とのメンバーの証言を裏付ける通りの大作主義の敷かれた楽曲は、前作に比べるとゴリゴリの高圧感が減った代わりに、②⑧⑨等、パンキッシュとも言えるラフなノリが気持ち増量(⑧はVENOMのカヴァー)。アレンジや曲展開が未整理で少々キャッチーさに欠けるのは相変わらずで、雑誌レビューでは「アレコレ詰め込み過ぎ」と痛いトコ突かれてましたが、個人的には(↑上の方同様)、思い付いたアイデアを片っ端からブッ込んで「どや!」と提示せずにはいられない、この若さ若さって何だ躊躇わないことさ全開っぷり(何だそりゃ)は嫌いじゃありません。こうした曲作りにおける前のめりな姿勢が、サウンドのスピード感をグイグイ加速してくれていますし、アレンジの引き算なんてのは4枚、5枚とアルバム・リリースを重ねてく内に覚えりゃいいんですよ!と。
メロディックにツインGが駆け抜けるラスト・ナンバー⑨まで、イケイケドンドンなスラッシュ・メタルがゲップが出るぐらい堪能できる1枚。


WARLORD - Deliver Us - Lucifer's Hammer ★★★ (2015-07-13 23:29:22)

スウェーデンのHAMMERFALLがバンド名のヒントにする等
マニア筋では多大なる影響力を誇ったWARLORDの代表曲。
暗く湿った泣きメロを次々に紡ぐVo、Gに、
楽曲の大仰さを的確に支えるDsの良い仕事っぷり、
そしてKeyをフィーチュアした妖しくもドラマティックな曲展開まで
「WARLORDワールド」が分かりやすく凝縮された名曲です。


WARLORD - Deliver Us - Child of the Damned ★★★ (2015-07-13 23:15:20)

回転の速いGリフがNWOBHMからの
影響も伺わせる疾走ナンバー。
サンダーチャイルドさんの叩き出す
タイトなリズム・ワークが実に気持ち良い。
叙情的なイントロ・アウトロを擁する劇的な曲展開等、
曲調自体はダークで緊迫感に満ちていますが
歌メロの輪郭がハッキリとしている辺りは
欧州産とは一味違うLA出身バンドならでは。


Exarsis - The Human Project - The Human Project ★★★ (2015-07-11 23:15:04)

3rdアルバム表題曲にしてOPナンバー。
嵐のように吹き荒れるリフ&リズムの絨毯爆撃、
脳天から突き抜けるようなハイピッチVo、
目まぐるしく駆け巡るGソロが怒涛の如く聴き手を煽り立て、
居ても立ってもいられない気分にさせてくれる曲調は
実に「スラッシュ・メタルらしさ」に満ち溢れています。


Exarsis - The Human Project - The Brutal State ★★★ (2015-07-11 23:07:09)

キャッチーさを伴って、歯切れ良く
跳ねるように疾走する曲調と、
合唱を誘う威勢のいいコーラスが
ANTHRAX辺りを彷彿とさせる本編ラスト・ナンバー。


Exarsis - The Human Project - Skull & Bones ★★★ (2015-07-11 22:59:53)

陰謀論でお馴染みの秘密結社について歌ったスラッシュ・ソング。
攻撃的ハイピッチVoを持ち味としながらも
メロディをなぞっても歌えるニュー・シンガーの
存在が活かされた、本編中にあってはパワー・メタリックな
感触も味わえる名曲。オフィシャル・ビデオを制作していることからも
バンド側のこの曲に対する手応えの確かさが感じられますね。
リードBと共に走り出すパートのカッコイイこと。


WARLORD - Deliver Us ★★★ (2015-07-11 02:03:27)

仕事帰りに店に寄ったら、何とWARLORDが'83年に残した伝説のデビューEPが再発されてるじゃありませんか。お得感で言えば初CD化時のFEMS盤に一歩譲るものの、今回はリマスター&SHM-CD仕様ですからね。「元の音質が酷いんだから手間と資源の無駄」と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には「でもやるんだよ!」という心意気にいたく胸を打たれた次第。
さておき。その昔初めて本作を購入した時は、厳しいバンド名に、昭和プロレス魂溢れる(違う)メンバーのステージネーム・センス、そして国内盤邦題が『悪魔の洗礼』・・・もうどんだけ恐ろしい音が飛び出して来んの?と戦々恐々で再生ボタンを押したものですが、意外にも耳に響いたのは、儚く爪弾かれるアコギの調べよりスタートする叙情的とさえ言えそうなOPナンバー①。
勿論NWOBHMスタイルの疾走曲③や、破壊的なGリフが刻まれる⑤、バンドの代表曲である仰々しく劇的な⑦といったアグレッシブな楽曲も収録されていますが、このバンドの基本姿勢は、ヘヴィネスやダークネスに対する拘りよりも、まずはメロディ重視。Voを中心に据えたHMサウンドは案外キャッチーな仕上がりで、この辺のバランス感覚はやっぱりLAのバンドならではだなぁと。
Voが歌い、Gが紡ぐ、シケシケでクサクサな哀メロがとにかく冴えまくりで、人によっちゃ貧乏臭く聴こえるやもしれませんが、こちとらそんなの関係ねえ。もう終始泣きのツボを押されっ放しでして、オカルティック且つミステリアスな曲調の中に、時に北欧メタルやプログレ・ハードに通じる透明感とリリシズムがキランと光る楽曲は、全編これ捨て曲なし(シングル曲やコンピ盤提供曲のボートラも実に美味)。
プロダクションの弱さを四の五の言わせない破壊力を秘めた、「USカルト・メタルの至宝」との評価に恥じぬ1枚ですよ。


EXCITER - Long Live the Loud ★★★ (2015-07-08 22:27:08)

オリジナル・ラインナップ最後の作品でもある、'85年発表の3rdアルバム。
「俺の辞書に《手加減》の文字はねえ!」とばかりに、歌もドラムも全力でブチかましに来るダン・ビーラーのメーター振り切ったパフォーマンスを軸に、ブレーキのイカれたダンプカーの如く突っ走るEXCITERサウンドは、相変わらずの轢き逃げ上等っぷり。作品を重ねてもテンションが緩まず、寧ろますます意気盛んなのですから、バカよまさにメタルバカ。(大山倍達風に)
無論進歩の跡は着実に刻まれており、例えば力押しに徹していた前2作に比べると、JUDAS PRIESTばりに劇的な序曲でスタートを切る本作は、メロディのフックラインや曲展開のドラマ性が強化されたことで、収録各曲のキャラ立ちが明瞭に。お陰で全体の流れにメリハリが生まれ、これまでありがちだった「俺いま何曲目聴いてんだっけ?」と現在置を見失うようなことがなくなりました。
開巻早々に本編のハイライトを飾る①②の流れ、そしてキラー・リフにメタル魂が昂りまくる③は間違いなくEXCITER史に残る名曲ですし、他にも、ダンがメロディアスに歌うと金属声が二井原実化することに気付かされた④、トリオ編成離れした喧しさで突進する⑤、荘厳な鐘の音と共に始まり、アコギも取り入れて重厚に迫り来る⑦等は、上り調子のバンドの勢いを余す所なく反映させた仕上がり。そしてラストを〆るのは、EXCITERと言えばこれ!なカミソリ・ナンバー⑧・・・。
これら楽曲の充実っぷりを聴くに、こりゃ確かに「EXCITERの最高傑作」との評判を頂くも当然ですわなと。


Exarsis - The Human Project ★★★ (2015-07-06 00:10:42)

メンバー5人中3人が脱退するという、バンドによっては致命傷にもなりかねない大幅な編成替えを経て、'15年に発表された3rdアルバム。それでいて音楽性は拡散することなく、寧ろその切っ先を益々鋭く研ぎ澄ませて健在です。
ジタバタと焦燥感を伴い喧しく炸裂する①、硬質に畳み掛けて来る④、アグレッシブな中にもキャッチーさを宿らせた⑩等、従来の「80年代型スラッシュ・メタル」のフォーマットをブレずに受け継ぎつつ、本作はプロダクションの強度が増したことで、リフ&リズムの切れ味、野郎コーラスの迫力、そしてメロディックに閃くGソロの鮮烈さetc・・・が、一層ダイレクトに伝わって来るようになりました。また「元メタル雑誌のライター」というユニークな出自の新Voが、前任者ほどのクレイジーネスを感じさせない代わりに、よりコントロールされたハイピッチ・シャウトを提供。
結果として、熱に浮かされたような破天荒さは薄れてしまったかもしれませんが、その分、サウンドの方には(若干ながらも)整合性が出て来て、取っ付き易さが増したかなと。中でもリードBに導かれて突っ走るパートの勇ましさが際立つ⑧は、彼らの今後の進むべき方向性を示唆するかのような名曲です。
バンドのLIVE FOR THRASH, DIE FOR THRASHな心意気が全編に漲る充実作。


RAVEN - Stay Hard - On and On ★★★ (2015-07-03 23:35:10)

Voに24トラックも費やしたという
分厚く哀愁に満ちたサビのコーラスもキャッチーな
RAVENらしからぬ(?)メロディアスな名曲。
レコード会社からの「売れる曲作れ」という
プレッシャーが、良い方向に作用したとでも言いましょうか。
いかにも80年代なドラマ仕立てのPVも好きでした。
(別に巨乳のおネエちゃんに釣られたわけではなく)


RAVEN - Stay Hard - Extract the Action ★★★ (2015-07-03 23:27:37)

GリフもソロもVoもDsも
あらゆるパートが角ばっていてハイテンション。
RAVEN以外の何者でもない疾走ナンバーで
メジャー化が指摘される『STAY HARD』でも
こういうハードな名曲が
ちゃんと収録されているのだから侮れませんよ。


RAVEN - Stay Hard ★★ (2015-07-01 22:54:41)

メジャー・レーベルとの契約を得たは良いけど、「売れるアルバム作らんかい」との執拗なプレッシャーにも悩まされる羽目になったRAVENの苦闘の跡が刻まれる、'85年発表の4thアルバム。
変わらぬハイパーさを誇示する一方で、メロディを丁寧に追いかけるようになったメンバーのパフォーマンスといい、ポップな要素も積極的に取り込み始めた楽曲といい、全体的にキチGUY度は減退気味。NWOBHM由来の暗さやスピード感といったマイナー成分を薄れさせた「アスレチック・ロック」は、前3作を地獄のブート・キャンプとするならば、本作のそれは健全なエクササイズの趣き。そのため表題『STAY HARD(ハードでいろ)』に対しては、全国のRAVENルナティックスから一斉に「お前がな」とツッコミが入ったとか入らなかったとか・・・。
但し、溌剌とハジけるロックンロール風味は元々RAVENサウンドの魅力の一端を担っていたわけで、彼らの個性と、今回打ち出しているキャッチーなサウンドとの相性は決して悪かない。分厚く重ねられた哀愁のコーラスが印象的な③は本作ならではの逸曲と言えますし、持ち前のパワーをメジャー感溢れるアレンジと音作りで料理した①②④等も中々のカッコ良さ。そして終盤に控えるのは、これぞRAVEN!なスピード・ナンバーの名曲⑨。
バンドとレコード会社の猛烈な鍔迫り合いが好結果に繋がった1枚。「RAVEN史上、最も売れたアルバム」との勲章も伊達じゃねぇなと。


SYLOSIS - Dormant Heart ★★ (2015-06-29 23:20:20)

3rd『MONOLITH』で完全に自己のスタイルを確立。次なる一手に注目の集まっていたSYLOSISが、期待高まる中、'15年に発表した4thアルバム。
OPナンバー①の重苦しいイントロが始まった時は「ふむふむ。で、こっから一気に疾走へ転じるわけでがすね?」とほくそ笑んだのですが、最後まで重苦しいまま終わってしまって、あれ?と。
そんな感じに開巻早々、これまでとの作風の違いを明白に宣言してみせる本編は、他にも思わず「ヘヴィ・バラード」と表現したくなる悲壮な⑥や、クリーン・パートをメインに10分近い長尺をプログレッシブに物語る⑪といったメロディアスな楽曲を収録。勿論②③⑨等のスピード・ナンバーは健在なれど、全体的に焦燥感というか前のめり感は抑制気味で、今回は「走る」ことは主目的に非ず、楽曲のスケール感や、緩急の効いた精緻な曲展開のダイナミズムを際立たせるための手段の1つと位置付けられている印象有り。リズム/リード両面においてテクニカルに、ソロではメロディックに冴え渡るツインGに導かれ、静と動の対比もドラマティックに突っ走る⑩は、そうした彼らの試みが鮮やかに咲き誇るアルバムのハイライト・ナンバー。
掴みの弱さ、60分オーバーの収録時間、即効性よりも聴き込みを要する作風とが相俟って、当初はあまり印象が良くなかったのですが、現在では星2つレベルにまで評価が上昇。来年ぐらいには三ツ星評価に変化してるやもしれませんで。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse - Hunter-Seeker ★★★ (2015-06-28 21:53:44)

切れ味鋭く歯切れ良く
激烈な疾走感が全編を貫きつつも
2本のGが豊かに紡ぎ出すメロディは
泣きや憂いに満ちていて・・・と
どことなく近年のKREATORに近い感触を
受けるスラッシュ・ソング。
アルバムのハイライトではないでしょうか。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse ★★ (2015-06-28 21:46:35)

国内盤の発売を待ち続けるうちに、作品のゲット自体を忘れてしまった(本末転倒)'13年発表の4thアルバムを漸く購入。
WARBRINGERはNWOTM勢の中でも特にお気に入りバンドであり、しかも今回からはMANTIC RITUAL(解散が残念)の弦楽器隊が新メンバーとして加わってると聞いて、これは凄いことになりそうだ!と、かなり前のめりな姿勢で挑ませて貰ったのですが・・・。結論から述べると、こっちが期待したような「WARBRINGER+MANTIC RITUAL」な明快なスラッシュ・サウンドにはなっていませんでしたよ。
じゃどんな仕上がりかと言えば、気持ち「歌心」を感じさせる場面が増えたシャウト型Voから、一層劇的に花開くツインGの絡みに至るまで、前作でも目立っていたメロディ増量方針が更に推進。それ自体は別に悪いこっちゃないのですが、北欧メロデス風の①があったかと思えば、パンキーな③を演ってみたりと、何かバンド側の進むべき方向性に対する「迷い」のようなモノが透けて見えるアルバム前半の流れに、モヤモヤっと。
しかし。タイト&キャッチーな切れ味の名曲④の出現で空気が変わると、後はスラッシーな疾走感と正統派HMに通じる構成力が光る⑤⑦⑧⑪etc・・・といった秀曲群が連続し、アレヨアレヨでラストまで一気に走り抜けてしまうのだから、やはりこのバンドの曲作りの才能は侮れない。思わず愚痴った前半の楽曲も、リピート再生してる内に違和感はすっかり消え失せましたしね。
ベイエリアより欧州メタル勢からの影響が感じられる1枚。彼らにこの路線を期待してたかと問われると一瞬言葉に詰まりますが、とりあえず質は高い。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Unleash the Hordes ★★★ (2015-06-27 01:30:24)

アルバム表題曲。高速で回転するGリフのクールさは本編随一。
初期METALLICAやDIAMOND HEADに通じる魅力有り。
上擦り気味のVOと共に全セクションが前のめりに突っ走る様は
プレ・スラッシュ/スピード・メタル的でもあります。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Demolition Train ★★★ (2015-06-27 01:27:04)

刺々しくもキャッチーなGリフ、「暴走機関車」の如く突き進むリズムに、
劇的に炸裂するなツイン・リードGから主張の強いBまで、
バンドの長所全部入りで疾走する
まさしく彼らのテーマ曲に相応しい逸品。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - All Hell Is Breaking Loose ★★ (2015-06-27 01:20:47)

強面のBイントロから、濁声Voが歌う
男臭くもキャッチーなサビメロまで
知らない人に「これ、MOTORHEADのカヴァー曲だよ」と
言ったら、十中八九は信じるじゃないでしょうか?
ただ、流麗に組み立てられたGソロは現代的で
この辺の取り合わせの妙がこのバンドならではの味か。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Metal Mayhem ★★★ (2015-06-27 01:12:05)

この曲名で、破れかぶれな突進振りを聴いていたら
何となく英国のWARFAREのことを思い出してしまいましたよ。
しかし回転の速いGリフも演奏もキレっキレで
中盤の転調してからドラマティックにツイン・リードGが
走り出すインスト・パートはIRON MAIDENっぽくもあるという
非常にお得感溢れる名曲。アルバムのハイライトですね。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes ★★★ (2015-06-24 23:50:10)

アートワークを踏まえてバンド名を意訳するなら「暴走機関車」といったところでしょうか?
この昭和プロレスラーのニックネームみたいなバンド名に相応しく「華美な装飾もヒネったアレンジもお呼びじゃねぇぜ!」とばかりに、NWOTHMやスラッシュ・リバイバルも飛び越えて、更にルーツを遡ったパンク+メタルなサウンドをストレートに叩き付けて来る4人組が'14年に発表したデビュー作。
無理に喉を潰さず、素に近い声でガナり立てる粗野なVoに、「刻む」というより豪快に「掻き鳴らす」感じのGリフとが、荒ぶる掛け声コーラスを伴ってオラオラ飛ばしまくるOPナンバー①なんてもろパンク路線ですが、このバンドの場合、尺をたっぷり取って派手に弾きまくる2本のGが楽曲の鋼鉄成分を高め、サウンド全体をメタリックにビルドアップしてくれているのが美点。
殊に、ツイン・リードGがドラマティックに駆け巡る⑤⑨、厳ついB主導のMOTORHEAD風な曲調に流麗なGソロがアクセントを加える⑩は、パンキッシュな衝動性のみならず、初期IRON MAIDENばりに編み上げられた劇的な構築感も堪能できる、本編の醍醐味が詰まった名曲ぶり。
他にも、プレ・スラッシュ/スピード・メタリックな②や、メリハリを効かせて畳み掛ける③など秀曲多数を収録する本作は、纏わり付くようなジメジメ感を豪快にスッ飛ばしてくれる、梅雨時のお供に最適な1枚ではないかと。


DEMOLITION TRAIN (2015-06-24 23:39:16)

初期METALLICA+MOTORHEAD÷初期IRON MAIDENみたいなサウンドを聴かせてくれるギリシャの4人組。
アポストリス(Vo、G)とヴァシリス(G)コラカス兄弟らによりバンドが結成されたのは'09年。
当初は専任Voを含む5人組だったようだが、程なくアポストリスがGとVoを兼任する現在の編成に落ち着く。
'11年に制作したデモ『KILL YOUR BOSS』や、METAL HAMMAER誌に提供したMETALLICAの“LEAPER MESSIAH”のカヴァー(日本盤にボートラとして収録)が好評を博した勢いを駆って、バンドはフル・アルバムのレコーディング作業を開始。『KILL~』からの再録音曲も含む10曲入りデビュー作『UNLEASH THE HORDES』は、ギリシャのインディーズNO REMORSE RECORDSから'14年に発表された。


USER OF A COMMON NAME - Freeway ★★ (2015-06-23 23:49:30)

デビュー作に比べるとパンキッシュな疾走感やハジケっぷりが抑制された2ndアルバム。
その分、モダンなアレンジと叙情メロディが増量された今回は、即効性よりも、繰り返し聴き込むことで味わいが増す「深み」を追求した仕上がりに。ハスっぱさ以上にコケティッシュな魅力を前面に押し出したリンダ・カールステット(Vo)の歌い回しも、アルバムのそうした印象を補強します。
これまで以上にバラエティを広げた本編は、キャッチーな作曲術は相変わらず冴えまくっているのですが、通して聴くと少々メリハリに乏しく感じられるのが惜しい。メランコリックなスロー~ミドル・テンポの楽曲が大半を占めるせいか、後半にもう1、2曲ぐらい疾走ナンバーがあればなぁと。
とはいえ、溌剌としたOPナンバー①や、デカダンな薫り漂う③、悲壮なメロディが胸を締め上げる70年代HR風バラード⑫等、キャッチーな哀メロ・センスが冴え渡る収録楽曲の数々は流石の完成度。1stが楽しめた人なら本作も間違いなく愛聴盤になり得る筈。(ついでに中古盤が爆安価格なのも1st同様)
中心人物のリンダ嬢が身体を悪くしてしまったとかで、これがUSERの最後の作品になってしまったと聞くと、もっと彼らが作り出す楽曲が聴きたかったと思わせられること必至の1枚。


MANOWAR - The Lord of Steel - El Gringo ★★★ (2015-06-23 00:09:58)

ちょい前、渋谷に「ガンズ・アンド・ストレンジャー」
(原題は同じく“EL GRINGO”)なるアクション映画を
見に行ったら、この曲がエンドロールで流れてきましね。
これがもう映画のつまらなさを帳消しにするカッコ良さで。
アルバム『THE LORD OF STEEL』においても間違いなく
ハイライト・ナンバーの一つですよ。


NELSON - Peace out - Invincible ★★★ (2015-06-17 22:41:19)

浸透率の高い哀愁のメロディをGが伸びやかに
奏でる様はBOSTONに通じ、そのメロディの
哀愁の質は北欧メタルに通じるものがあるという
「BOSTON MEETS 北欧メタル」な珠玉の逸品。


NELSON - Peace out - Leave the Light on for Me ★★★ (2015-06-17 22:32:32)

叙情的なイントロとアウトロを配置したドラマティックな構成から、
「哀愁に満ちたフッキーなメロディ」のお手本のような
サビの歌メロ、そしてニール・ザザの歌心溢れるGプレイまで
アルバム・ハイライト級の素晴らしさにして
NELSON最終楽章を締め括るに相応しい名曲っぷりに脱帽です。


NELSON - Peace out ★★★ (2015-06-16 09:57:56)

快作『LIGHTNING STRIKES TWICE』で復活を果たしたNELSON待望の新作。「お、久々ですなぁ」と笑顔で購入したら、解説文でこれがNELSONの最終作と唐突に知らされて笑顔がピキーンと凍り付きましたよ。何でも「労多くして功少なし」なレコーディング作業に情熱と時間を注ぎ込む意義が見出せなくなり、以降はカントリー・フィールドでのライブ活動に軸足を移していくのだとか・・・。
それでも、本編の方には何ら特別なところは見当たりません(良い意味で)。感傷的にもハイにもならず、いつもの「NELSON節」が貫かれた作風は、知らずに聴いたら誰もこれが最終作だなんて思わない筈。
ライブ開始を告げるかの如き①で威勢良くスタートを切り、北欧メタルとBOSTONが哀愁合体したような③や、爽快な曲調とストーカー気質全開な歌詞のギャップに慄く⑧を経て、プログレ風味(というかQUEENタッチ)の日本盤ボートラ⑬で幕が下ろされる本作は、イキ良く、且つフックにも富むメロディック・ロック・チューンが惜しげもなく連打。胸を打つ哀メロ、キャッチーな曲調、息の合ったネルソン兄弟のボーカル・ハーモニー、かてて加えて、ニール・ザザ(G)のツボを心得たGプレイが彩りを添えてくれる名曲⑫なんて、そんな本作の魅力を集約したかのような出来栄えですよ。
有終の美を飾るに相応しい、実に質の高い1枚。それだけに、これほどのアルバムを作り出せるアーティストの創作活動を支え切れない昨今の音楽シーンの変質振りとは一体・・・。(斯くいう我が身も新譜購入枚数が減ってきてるので、他所のことばかりは言ってられないのですが)


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Thunder and Steel down Under - a Tribute to Riot ★★★ (2015-06-15 23:24:10)

CRYSTAL VIPERのマルタ&バートのガブリエル夫妻が音頭を取って制作。彼らの運営するSKOL RECORDSから1000枚限定で発売され、売上金は故マーク・リアリのお父上に寄付されるというRIOTのトリビュート・アルバム。
参加アーティストについては、既に失恋船長さんが詳細を語って下さっているので省略させて頂きますが、代表曲に正攻法で挑むにせよ、隠れた逸曲を引っ張り出すにせよ、いずれのバンドも――完成度に多少の差はあれど――RIOTに対する敬意溢れるカヴァー・バージョンを提供してくれています。(欧米におけるマイク・ディメオ時代の知名度の低さを実感させられる選曲ではありますけどね)
バラード風にアレンジされた“SOLDIER”を序曲代わりにドラマティックにスタートする“WARRIOR”(AXEL RUDI PELL)、分厚く勇壮なメロパワ調コーラスが印象的な仕上がりの“SIGN OF THE CRIMSON STORM”(ANGELO PERLEPES' MYSTERY)、NWOTHMバンドが持つ威勢の良さと、原曲に備わるドライヴ感とが相性バッチリな“ROAD RACIN'(NIGHT DEMON)、そして本家RIOTからトッド・マイケル・ホール(Vo)をゲストに招いて大トリを飾る“THUNDERSTEEL”(CRYSTAL VIPER)辺りは、元々の楽曲のカッコ良さと相俟って、特にナイスな出来栄えではないかと。
それにしても、艱難辛苦にもめげず活動を継続した結果、こうしてRIOTが数多のバンドから篤いリスペクトを集める存在となり、漸く今までの苦労が報われつつあったこの時期に、なぜマーク・リアリがこの世を去らねばならなかったのか?収支の釣り合いが全く取れてねぇだろがこの野郎!と、本作の完成度が高ければ高いほど、彼を襲った悲運を呪わしく思わずにはいられませんよ。


Drysill - Welcome to the Show - Anthem for the Insane ★★★ (2015-06-13 23:48:26)

冒頭のGリフの刻みっぷりだけでテンションが上がります。
ツインGが奏でるメロディは湿っているものの、
全体的にじめじめ度は低く、NWOBHM風味とは一味異なる、
歯切れ良く溌溂とした爽快な疾走ナンバーです。


Drysill - Welcome to the Show - Play It Loud ★★ (2015-06-13 23:44:57)

KISSの影がちらつくノリノリ・ロックンロール。
それでいて叙情性が滲むブリッジ・パート等は
やっぱヨーロッパのバンドならでは。
歌詞に「TOKYO」が登場するのもポイントです。


Drysill - Welcome to the Show - Fiesta for Friends ★★★ (2015-06-10 23:51:26)

ブンブン唸りを上げるBと
重々しくビートを刻むDsに
エリック・ホークのパワフルなVoが
乗っかった重厚な曲調は
様式美BLACK SABBATH・・・というか
ARTCHに通じる魅力を放っています。
ラス曲に相応しい存在感。


Drysill - Welcome to the Show - We're Coming to Rock You ★★★ (2015-06-10 22:53:50)

LAメタルに通じる溌剌としたノリの良さに、
欧州のHMバンドらしい翳りを湛えたメロディ、
ライブ映えしそうな合唱を誘う勇壮なコーラスとが
三位一体となってキャッチーに駆け抜けていく一品。


Drysill - Welcome to the Show - Welcome to the Show ★★★ (2015-06-10 22:41:02)

既にこの時点で説得力十分なエリック・ホークの歌唱と
歯切れの良く刻まれるGリフが威勢良く突っ走る様に
メタル魂がアガりまくる、アルバム・タイトル・トラック兼
ハイライト・ナンバー。聴けて良かった。


Drysill - Welcome to the Show ★★★ (2015-06-09 22:08:24)

中古盤市場ではオリジナル盤LPが数万円~十数万円のプレミア価格で取引されていて、これまでとてもじゃないが手の出なかったアイスランド出身の5人組、'85年発表の唯一作が遂にオフィシャル再発。おめでとう、俺!
人知れず消えてったローカル・バンドのアルバムに何故それ程の高値が付けられているのかと言えば、勿論このバンドの中心人物たるイリルーク・ホークソン氏(Vo)が、後にARTCHでメタラー諸氏の度肝を抜いた驚異的歌唱力のオーナー、エリック・ホークその人だから。でもそれだけじゃなく、内容の方も伝説負けしない素晴らしさなのですよ。
チープな音質や、メタルにかぶれた由紀さおり?が描かれたジャケットは、NWOBHMもどきのイモメタルでも演ってそうな垢抜けなさなれど、いえいえ。ここで彼らが実践しているのは、快活な疾走感を伴ってキャッチーにハジける正統派HM。ライブ映えしそうな②④⑥なんてLAメタルからの影響も伺えるぐらいですが、それでいてメロディが翳りを失っていない辺りはやっぱり欧州のバンドだなぁと。
歯切れの良い疾走ナンバー①、PRETTY MAIDSの名曲“BACK TO BACK”を彷彿とさせるGリフの刻みっぷりが痛快な⑤、TNTのインスト小曲“KRASSIC ROMANCE”を歌入りでカヴァーしたバラード⑦、そしてARTCHにも通じる重厚感溢れる⑧等、エリックの類稀なる歌唱力と組み合わさった収録楽曲はいずれも出色の出来栄えを提示。当然捨て曲なしです。
今回のCD化は666枚限定再発らしいので、ご購入はお早めにどうぞ。


INTRUDER - Believer ★★ (2015-06-07 23:58:30)

スラッシュ・メタル・バンドの方ではなく、ジョン・カラク(G)率いるニュージャージーのメロハー・バンドが、'00年に発表した2ndアルバム。
前作『DANGEROUS NIGHTS』は、「まるで収録全曲が(BON JOVIの)“RUNAWAY”状態」と評された哀愁のアメリカン・メロディアスHRの好盤でしたが、今回は本当にその“RUNAWAY”をセルフ・カバー(カラク氏は“RUNAWAY”共作者)。しかもオリジナルの完コピではなく、バラード調に始まってハードに盛り上がっていくという中々にドラマティックなアレンジが施されていて、この曲目当てで購入した身としては、一本釣りされた甲斐があった!と思わせてくれる好カヴァー。
ただアルバム全体としては、長年に亘って作り溜められたアイデアの大盤振る舞いだった前作と比べてしまうと、やや弱く感じられてしまう点は致し方ないところか。いやそれにしたって、いきなりメロハー・マニアのハート・キャッチなOPナンバー①に代表されるような、煌く哀メロとキャッチーな曲調とが絶妙な融合をみた楽曲の冴えっぷり(お薦めは①⑤⑨)は、やはり只事じゃありませんけどもね。
あと個人的には、トレイシー・ホワイト(SHOTGUN SYMPHONY)のバッチグーな歌唱力も加点ポイント。取り分け、泣きのGの熱演も胸に迫るバラード⑥⑪における熱唱ぶりからも明らかな通り、太い芯を感じさせつつも円やかで潤いに満ちた彼の歌声が、本作を数割増しで魅力的に輝かせてくれていることは疑う余地なしですよ。
これ以降、確かバンドは消息を絶ってしまったと記憶していますが、ジョン・カラク氏は今頃どこで何をしておられるのでしょうか?


STEELHOUSE LANE - ...Slaves of the New World ★★★ (2015-06-07 00:00:45)

マイク・スラマー(G)の立ち上げたメロハー・プロジェクト、STEELHOUSE LANEがデビュー作『METALIC BLUE』の高評価を受けて正式バンド化。『METALIC~』ではバックアップ役に留まっていたマイクもメンバーとしてラインナップにその名前を連ね、これが真のデビュー作とも言われる2nd『SLAVES OF THE NEW WORLD』は'99年に発表されました。(つってもこれが最終作?)
サウンドの方は、重厚なプロダクションの下、カラッとポップに弾けるメロディック・ロック路線を継承しつつも、「バンドらしさ」を強調するためか、前作よりもグッとハードネスを前面展開。確かにバンドとしてのまとまりの良さはガッツリ伝わって来ますが、反面、メロディのフックはやや弱まったかな?とも。 
マイク・スラマーというミュージシャンの「音楽半生ベスト盤」的様相を呈していた前作に比べてしまうと多少の聴き劣りは止むなしか・・・等と舐めて掛かったら、どっこい。キース・スラック(Vo)のソウルフルな歌声が映えるブルージーな④、爽快な躍動感に満ち溢れた⑤⑫、STREETS時代の楽曲のリメイク⑧⑪、そしてマサ伊藤もイチオシのバラード⑥etc・・・と、聴き進める内に収録楽曲の魅力はグングンUP。その決定打とも言うべきポップな名曲⑩にトドメを刺される頃には、本作の評価は「前作に勝るとも劣らぬ力作」というものに落ち着いておりました。


PAUL RAYMOND PROJECT - Under the Rising Sun ★★ (2015-06-06 01:17:27)

「神(マイケル・シェンカー)の指を折った男」との勇名を馳せる(恐らく風評被害ですが)UFOのKey奏者ポール・レイモンドが、中間英明(G)や、MARINOの大谷令文(G)、LOUDNESSの山下昌良(G)、あと当時日本在住だったらしいANGELのフランク・ディミノ(Vo)らと共に日本でレコーディングを行い、'89年に発表した6曲入りEP。
「Key煩過ぎ」「音悪過ぎ」「ポール歌ヘタ過ぎ」と雑誌のレビューじゃケチョンケチョンでしたが、チープなプロダクションと弱々しいポールのVoに関してはともかく、Key奏者のソロ作なんだから目立ちまくるぐらいは良いじゃないさ、と。特に②なんて、楽曲の基軸を担うKeyと、中間英明のテクニカルなGプレイとが相俟って、どことなく初期EUROPEを思わす佳曲。(まぁ折角の出来栄えもポール自身のVoで猛烈に腰折られてんすけどね)
他にも、猛烈な「気」を放つレイヴンのGソロが華を添えるOPナンバー①やバラード⑤、下北沢に捧げられた(?)⑥等、日本人ミュージシャン達の技量にも助けられ、作品としてはそれなりのクオリティを提示。何より演ってる当人たちが楽しそうなので、こっちもそのお祭り気分に当てられてしまいます。
「遊びで作ったとした思えない作品」との批判はごもっとも。でもそう目くじら立てんで、ズッコケ部分も含め「そこが良いんじゃない」ぐらいのノリで楽しみたい1枚。


USER OF A COMMON NAME - User - Do You ★★★ (2015-06-03 22:43:02)

最高品質のレモンスカッシュの如く、
甘酸っぱくも爽快にハジける曲調に胸踊ります。
でまた、キャッチーなメロディを溌剌と歌い上げる
シンガーのハスキーな歌唱が絶妙なんですよ。


USER OF A COMMON NAME - User ★★★ (2015-06-02 23:20:23)

「中古盤が格安価格で買える名盤コンテスト」でも開催したら、上位入賞は確実と目されるスウェーデンの男女混合4人組バンドが、'05年に発表したデビュー作。
澱んだGサウンドに乗っかって、OPナンバーの気怠るげなヴァースが始まった時は「なんだ。評判良いから買ってみたけど、こんなもんか」と失望しかけましたが、勿論それはこちらの早合点。ガラリと雰囲気の変わるサビメロ(叙情性を増幅するKeyアレンジが秀逸)で一気に視界が開けると、そっからはもう本編に夢中ですよ。
先制パンチ役の①や、後に続くガールズ・ポップ的躍動感溢れる曲調に、甘酸っぱいメロディが絶妙に絡む名曲②が証明する通り、とにかくこのバンド・・・というか曲作りを担うリンダ・カールステット(Vo)嬢のメロディ・センスの冴えがグンバツ。時にポップに、時に猛烈な哀愁を伴うメロディは、くたびれきったオッサン・リスナー(俺)の胸さえキュンキュンに締め上げます。
またそうしたメロディをエネルギッシュに歌い上げる彼女の歌唱力もまた然りで、ちょい鼻に掛かったカスレ声自体の魅力に加え、高音を張った際に醸し出される切なげなフィールが実に美味。この歌声が活かされたバラード⑤の悲哀なんて絶品です。
溌剌と突っ走るパワーポップ・ナンバー⑪まで、実に気持ち良く聴き通せる1枚。パンキッシュなノリの良さは減退したものの、良質なメロディ・センスはそのままな2ndも併せてどうぞ。


ALIAS - Alias ★★★ (2015-05-31 23:50:52)

“WHEN I'M WITH YOU”のリバイバル・ヒットに後押しされたSHERIFFのフレディ・カーシ(Vo)とスティーヴ・デマーチ(G)が、元HEARTのメンバーらと共に結成したALIAS(エリアス)、'90年発表のデビュー作。
「僕達はSHERIFFの元メンバーによるグループとは見なされたくないんだ」とか語ってる割に、ちゃっかりジャケットに保安官バッチをあしらってたりするのがお茶目ですが、演ってる音楽はSHERIFと同軸線上に位置するカナディアン・メロディアスHRなので無問題。
親しみ易いポップなメロディに、洗練されたアレンジ、そして厚めに敷かれたコーラスとシンガーの爽快な歌いっぷりを武器に、バラードはどこまでも甘く、ロック・ナンバーでリスナーの身体を揺することも忘れず、それでいてどの曲もサビメロはすこぶるキャッチーに・・・と、大衆にアピールするツボを的確に捉え、フックを連続させる作曲術は流石ベテラン・ミュージシャンの集まり。哀愁や泣きの類は薄めですし、パンチの効いたキメ曲も見当たりませんが、聴いても聴いても飽きの来ない計算され尽くしたサウンド設計は、さながら「産業ロック」の申し子の如し。(褒め言葉)
一応、全米チャート第2位にランクインしたヒット・バラード⑧が本作の目玉なのでしょうが、個人的にはそれ以上に、しっとりと染み入ってくる③⑤、軽快にロックする②⑨、ポップ&キャッチーな曲調に心浮き立つ⑦⑩等の楽曲に心惹かれたかなと。アルバム1枚で解散してしまったのが残念・・・と書こうと思って調べてみたら、お蔵入りしていた2ndアルバム(現在はリリース済み)もある様子。


RADIOACTIVE - F4ur - Summer Rains ★★★ (2015-05-29 23:58:46)

タイトルに相応しい、夏の雨の如く爽やかで涼しげなOPナンバー。
聴いているだけで何やら沸々とポジティブ・パワーが湧き上がってくる
かのようなジミ・ジェイミソンの歌声はやはり唯一無二。
つくづく、あたら惜しい人を亡くしたと・・・。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE - TONIGHT ★★★ (2015-05-29 23:46:52)

『メロディアス・ハードロック・ディスクガイド』では
「SHYの“EMERGENCY”と並んでマイケル・ボルトンが
メロハー界に残した名曲」と高く評価されていた逸品。
確かにアルバムの「掴み」として、また本作の方向性を
リスナーに伝えるOPナンバー役として申し分のない出来栄えです。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE ★★★ (2015-05-28 23:11:40)

日本のHR/HMシーンが最も巨大化したと言われる90年代。レコード会社は競ってその嗜好にフィットするメロディック・ロック・バンドを矢継ぎ早にデビューさせ、弾が尽きてくると、今度はお蔵入り音源(殆どは欧米に到来したダーク&ヘヴィ・ブームの煽りで塩漬けにされてた物)を引っ張り出して「新作」の体裁でリリースしました。
NY出身のTOUR DE FORCEのこの2ndも、そうした流れの中でリリースが実現したアルバムの一つ。当時既にバンドは解散済みで、元がデモ音源ゆえ音質はイマイチ、おまけに中弛みの原因となる全17曲収録の超過ボリューム・・・。それでも本作が輝きを失っていないのは、収録楽曲の放つ眩い輝きが、弱点の数々を霞ませてくれているからでしょうか。
声質はやや重だが歌の上手さは折紙付きのVoに、泣きを孕みつつ適度にエッジを保つGと、しなやかに楽曲を彩るKeyが三位一体となって織り成す、フック満載のメロハー・ソングが連続する本編は時が経つのも忘れてしまう心地良さ。特にマイケル・ボルトン提供の“EMERGENCY”型名曲①に始まり、キャッチーに躍動する⑤を経て哀感溢れ出す⑥へと至るアルバム前半の流れは白眉。また先に「中弛み云々~」と書きましたが、名曲⑮の存在が後半戦を引き締めてくれているため、聴後感も然程悪くありません。
(皆さんご指摘の通り)中古屋じゃ数百円で投げ売りされてるのが、勿体無いやら有り難いやら、複雑な心境に陥る哀愁のハードポップの名盤ですよ。


RADIOACTIVE - F4ur ★★★ (2015-05-25 23:38:48)

トミー・デナンダーが関わったプロジェクトは、いずれもメロディック・ロックの優良物件としてマニアから高評価を獲得していますが、取り分けこのRADIOACTIVEは、作品のクオリティの高さと毎回迎えられるゲストの豪華さから、彼のトップ・プライオリティに位置づけられているプロジェクトである。
…すいません、知ったかぶってみました。これまでまともに聴いたことなかったのですが、実は本作が'14年に相次いで急逝したシンガー、ジミ・ジェイミソンとファーギー・フレデリクセン最期の参加作品の一つと知り、ファンとしてこりゃチェックせずにいらいでかと購入。で結論としては「買って良かった!」と。
勿論、ゲスト・シンガーの豪勢さにも感心せずにはいられませんが、それ以上なのが収録楽曲の質の高さ。しかもただ出来が良いだけでなく、例えばジミには聴き手をポジティブに勇気付ける爽快なロック・チューン①を、歌いこなすのが手強いテクニカルな②は気心の知れたファーギーに、アメリカン・プログレ・ハード風の④はスティーヴ・ウォルシュで、デヴィッド・ロバーツには甘くポップなAOR調の⑤・・・といった感じに、「メロハー」という限定された枠内で、歌い手の資質に合わせて楽曲をバラエティ豊かに作り分けるトミー・デナンダーの作曲家としての才はやはり傑出しています。(先に楽曲があって、それに合わせてシンガーをキャスティングしていったのか?)
メロハーの達人の職人芸を存分に堪能できる1枚でありました。


ISSA - Crossfire - Raintown ★★★ (2015-05-24 22:48:03)

FMのスティーヴ・オーヴァーランドをゲストに迎えて
しっとりと聴かせる極上のデュエット・バラード。
哀愁に満ちたメロディといい、胸を打つ盛り上がりっぷりといい、
まさしくアルバムのハイライトを飾るに相応しい名曲です。


NELSON - Lightning Strikes Twice - How Can I Miss You (when You Won't Go Away?) ★★★ (2015-05-23 01:31:40)

NELSONらしい楽曲か?と問われると
「どうなんでしょう」って感じかもしれませんが、
ともかく、イントロを手始めに全編に亘ってVoからGまで
センチメンタルに泣きまくる、初期ミカエル・アンダーソンにも
匹敵するその哀愁ヨロシクっぷりたるや、
問答無用で胸締め付けられずにはいられませんて。
アルバムに置ける配置位置も完璧。
復活作で一番聴きまくった名曲ですね。


ISSA - Crossfire ★★★ (2015-05-22 23:49:47)

AOR/産業ロックの隠れた名曲をカヴァーしてみせた秀逸な企画盤『CAN'T STOP』('12年)の高評価に後押しされたのか、完全にハードポップ路線に舵を切っている'15年発表の3rd。
発売後すぐに入手はしたものの、一緒に購入したREVOLUSION SAINTSのアルバムが余りに素晴らし過ぎたせいで何だか色褪せて聴こえてしまい、暫くCD棚の肥やしにしてしまっていました。んで、こうして久々に引っ張り出してじっくり聴いてみて、「うん。やっぱり良い出来だな」と。
これまでの作品同様、FRONTIER RECORDS勝利の方程式(=優秀なライター&ミュージシャンによる水も漏らさぬバックアップ体制)に則って制作されている以上、ハズレ掴まされる心配はまず有り得ず、しかも本作の「貌」たるイッサ嬢が、キラキラと眩い燐粉を振り撒くような溌剌とした歌唱で、同レーベルのその他のメロハー作品とは明確な差別化を図ってくれるわけですからね。
よりポップに洗練された、ヒット・ポテンシャル搭載型ハードポップ・ナンバーが軒を連ねる本編は、哀愁とキャッチーさが絶妙に溶け合うサビメロにメロハー愛好家の血が騒ぐ④⑧⑪、そして何より、FMのスティーヴ・オーヴァーランドとのデュエット・バラード③の哀愁っぷりがトドメの一撃を加えてくれるという按配。つか、この曲に関しては完全にゲストの筈のスティーブさんが貫録勝ちを収めてる感じですよ。
そんなわけで、ファンなら安心してお買い求め頂けるクオリティの1枚。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue - Fire With Fire ★★★ (2015-05-20 23:35:05)

アルバム後半のハイライト・ナンバー。
哀愁を帯びつつ、覚え易いキャッチーな
サビメロが印象に残りますね。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue - Metallic Blue ★★★ (2015-05-19 22:34:49)

HOUSE OF LORDSの『DEMON DOWN』に提供していた
名曲のセルフカヴァー。
タイトルに相応しく、ノリノリにかっ飛ばす
爽快なロック・ナンバーで、運転中に聴いたら
アクセル踏み込みたくなること間違いなし。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue ★★★ (2015-05-19 22:29:28)

スティーヴ・ウォルシュ(KANSAS)が結成したSTREETSをキャリアの出発点に、その後もメロディック・ロック街道一筋に歩んで来た職人、マイク・スラマーが新たに立ち上げたバンドの'98年発表のデビュー作。
尤も、マイク自身は正式メンバーとして名は連ねておらず、彼が担当しているのは、バンド・メンバーの選抜からアルバムのプロデュース、そして楽曲提供といった、つんくとか秋元康的な裏で全てを牛耳るビッグボスの役回り(違うか)。
ちなみに、その収録楽曲は半分が新曲、もう半分が、これまでマイクがHOUSE OF LORDS、HARDLINE、TOWERCITY、WALL OF SILENCE・・・等々の他アーティストに提供して来た楽曲のリメイクで構成されていて、いずれもアメリカン・メロディアスHRの模範的なシルエットを描き出す秀曲揃い。特にスカッとハジけるOPナンバー①は、雲一つない抜けるような青空の下でオープンカーをかっ飛ばす爽快感に満ち溢れ、アルバムに対する期待感を開巻早々にMAXまで引き上げてくれる名曲です(どこか聴き覚えがある⑩もお薦め)。
全体的に泣きや哀愁成分は薄めなれども、キャッチーに洗練された大陸産ハードポップ・サウンドは、これはこれで十分に胸躍るサムシング有り。巧いVoに巧いGを得て、全編に亘ってマイク・スラマーのメロディ職人としての匠の技が冴える1枚。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Dorian Gray ★★★ (2015-05-17 22:22:09)

アルバムのラストに鎮座ましまし、
本編に居並ぶ歌入り楽曲を前座扱いする
ドラマティックなインストの名曲。
リー・タロット(G)の才能が遺憾なく
スパークしまくっていますね。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Slave to Moonlight ★★★ (2015-05-17 22:16:22)

(歌詞に相応しく)夜の森を駆け抜ける狼の如く
切れ味鋭く楽曲を牽引するGの働きぶりに
耳奪われるアップテンポのHMナンバー。
歌唱力については賛否分かれるVoですが
(個人的には全然「有り」なのですが)
ここではキャッチーな歌メロを構築する等
確かな成長振りが伺えますよ。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Jonathan's Diary ★★★ (2015-05-17 22:10:38)

B級だのイモだの言われてるSTORMWITCHですが
(実際その通りなんですけどね)
この曲に関しては、ドラマティックに練られた
歌詞といい曲展開といい、
聴く度に確かな才能の煌きが感じられ
ニンマリ笑顔になりますよ。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven ★★★ (2015-05-17 00:33:20)

'86年発表の3rdアルバム。
ジャケットのしょうもなさは弁護できませんけども。鋲打ちレザーを脱ぎ捨て、オーダーメイドのバロック・コスチュームへと華麗なる変身を図ったメンバーのルックスが物語る通り(?)、プロダクションがクリアに整えられ、楽曲もキャッチーなノリ易さを増す等、今回は過去2作に比べると地下室のジメジメ感が除湿されて、随分と取っ付き易い作風に仕上がっています。
つっても垢抜けたなんてことは全くなく、魔女の呪文詠唱からスタートする、らしさも怪しさも満点の①②で早くもニヤけてしまいますね。そして何と言ってもハイライトは、リー・タロット(G)が執筆した吸血鬼に関するオリジナル・ストーリーを下敷きにしてるという7分半に及ぶ大作曲④。コケ脅し臭が薄まった歌詞から起承転結バッチリの曲展開まで、バンドのソング・ライティング能力の開花っぷりを如実に証明する素晴らしさ。このドラマティックな名曲を筆頭に、歯切れ良く踊るツインGを纏って疾走する⑤や、アルバムの締め括り役という大任を切れ味鋭く全うするインスト曲⑨等、本編には味わい深い楽曲が所狭しと並び、これまた捨て曲なし。
こうしてSTORMWITCHの初期作を久々に聴き直してしみじみと「やっぱ彼らの初期作は好きだなぁ」と実感した次第。


STORMWITCH - Tales of Terror - Night Stalker ★★★ (2015-05-14 23:08:31)

アルバム後半において一際強いインパクトを残す疾走ナンバー。
NWOBHM的な荒々しさよりも、
ドラマティックにハモりながら駆け抜けていく
ツインGの華麗なる活躍ぶりが印象的で、
バンドがいよいよ個性を確立しつつあることが
伝わってくる出来栄え。


STORMWITCH - Tales of Terror - Sword of Sagon ★★★ (2015-05-14 23:02:33)

冒頭に置かれたナレーションが、MANOWARの
“WARRIOR'S PRAYER”を思い出す長さで笑ってしまいます。
(喋ってるのはアメリカの軍人さんなのだとか)
この芝居掛かったイントロに負けず、疾走感溢れる
楽曲自体も勇壮でナイス。デビュー作に比べると
全体的にメロディアスになってきていることが分かりますね。


STORMWITCH - Tales of Terror - Point of No Return ★★★ (2015-05-14 22:55:46)

その昔、立ち寄った輸入盤店でBGM代わりに流れてた
この曲の大仰且つ怪しさ満点のイントロを聴いた瞬間、
店員さんに「これ、なんてバンドの曲ですか?」と
聴きにいきましたね。名曲。


STORMWITCH - Tales of Terror ★★★ (2015-05-12 23:56:37)

STORMWITCHの代表作として名高い、'85年発表の2ndアルバム。ここからは国内だけでなく、欧州HR/HMシーン全体での活動も視野に入れて、メンバー全員が英語風ステージネームを名乗るようになりました。例えば、アンディ・ミュック(Vo)はアンディ・エルドリアン、ハラルド・スペングラー(G)はリー・タロット・・・といった具合に。
音の方も、プロダクションが幾分かでも改善され、「歌が上達したリッキー・ヴァン・ヘルデン」といった感じで(褒め言葉?)より雄々しくメロディアスに歌い上げるようになったVoと、一層妖しく練られたフレーズを閃かせてくれるツインGに下支えされ、ドラマ性をいや増した収録楽曲etc・・・と、NWOBHMの影響下から抜け出して、独自の「STORMWITCHサウンド」確立に向けて大きく前進。
怪しげなアートワークをそのままメロディに転化させたようなイントロが本編に対する没入度を高めてくれるOPナンバー①や、『赤死病の仮面』をテーマとするドラマティックな③、MANOWARばりの「語り」を導入部に据えた芝居がかった曲展開が堪らない⑤、2本のGが印象的にハモりつつシャープに駆け抜けていく⑦等、いよいよ本領発揮!ってなクサくて暗くて大仰な楽曲が本作には大集合しています。
「お洒落」とか「洗練」といったモテワードとは清々しいぐらい無縁のB級メタル街道一直線作品なれど、HELLOWEENブレイク前のジャーマン・メタル裏名盤の一つとして、愛さずにはいられない魔力を秘めた1枚であります。


STORMWITCH - Walpurgis Night - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-12 00:02:42)

突進系のマイナー・メタル・ソングが大半を占める
1stアルバムの中にあって、軽快に弾む
“LONG LIVE ROCK 'N' ROLL”思わすリズムが
異彩を放っています。
でもメロディやツインGハーモニーが
湿気っているあたりはやっぱりドイツのバンドやなぁと。


STORMWIND - Resurrection - Samuraj ★★★ (2015-05-11 23:25:55)

SAMURA“I”じゃなくてSAMURA“J”であることに
バンドの拘りが感じられる・・・なんてことは全くなく
単に向こうじゃ「J」が「イ」の発音に該当するだけですかね。
メロディに和風色はありませんが、
憂いを帯びた硬派な曲調はSAMURAI・・・もといSAMURAJっぽい。
その名に恥じぬ良い曲です。


STORMWITCH - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-10 22:36:18)

幼馴染のアンディ・ミュック(Vo)とハラルド・スペングラー(G)により結成された5人組が、'84年にGAMA RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、レーベルは彼らのことを「ブラック・メタル」として売り出そうとしたそうですが、無論本作にアンチクライスト思想や、VENOM、BATHORYとの共通点は皆無・・・あ、いや。安普請なプロダクションと、ホラー映画を影響源とする歌詞はそれっぽいかもしらん。
ともあれ、この時点ではSTORMWITCHと聞いて想起されるドラマティックな様式美HMテイストは薄め。それよりも鋲とレザーで武装したメンバーのルックスといい、荒い音色で鋭角的に刻まれるGリフ主導で疾走する楽曲といい、そのサウンドはNWOBHMからの影響がストレートに露出しています。
曲作りの中核を担うツインGコンビが奏でるフレーズに、決して巧いわけじゃないけどメタルを歌うに相応しい「熱さ」「勢い」は十分なVo等、バンドの才能の片鱗は既に随所で煌いていて、例えば抜けの良い⑤なんかは、本編を埋め尽くすマイナー・メタル・ソング群の中にあって妙なインパクトを放つ逸品。後にバンドの代表曲となったのも納得ですよ。
イロモノ全開なアートワークから、僅か8日間で突貫制作されたチープな音質に至るまで、噎せ返るようなイモ・メタルっぷりですが、逆にここまで美味しいおイモなら、立派に商品価値があるってもんではないでしょうか。


SWORD - Metalized - F.T.W. ★★★ (2015-05-08 23:58:33)

スラッシュ/パワー・メタリックなササクレ感を
撒き散らすGリフのカッコ良さ、喧嘩上等なリズムの迫力、
いかにも80年代らしいフラッシーなGソロ、
そして男臭いシンガーの噛み付くような歌いっぷりと、
(音程を伴わないシャウトがレット・フォリスター似なとこも良い)
いずれの要素にも花丸を差し上げたくなる名曲も名曲。超名曲。
バイクのエンジン音に併せてメイン・リフが刻まれる箇所なんて
何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。


SWORD - Metalized ★★★ (2015-05-07 23:49:34)

リック(Vo)とダン(Ds)のヒューズ兄弟により結成された(元々はKISSのトリビュート・バンドだったとか)カナダはケベック州出身の4人組が、地元インディーズのAQUARIUS RECORDSから'86年に発表したデビュー作。
明らかにJUDAS PRIEST影響下の正統派HMを志向しながらも、そのサウンドにドラマ性や構築感の類は希薄。むしろ「やんのかコラ」と派手に土煙蹴立てて暴れ回る無頼漢っぷりこそが本作の魅力かと。
その真髄たるのがOPナンバー①で、飼い慣らされない野生動物の如きワイルドさ漂わすVoに(「メタリックなレット・フォリスター」的趣きあり)、鈍い光沢を放つササクレ・リフを刻みつつソロは華やかにキメてみせるGとが、バキバキにブッ叩かれる全力投球リズムに乗ってパワフルに迫り出してくる、メタル魂滾るこの名曲を聴くためだけにでも本作は購入するべきである!と(極論)。
正直、この曲と、その後に続く②のインパクトが劇的過ぎて本編中盤の印象が霞みまくりなのですが(退屈なわけではない)、それでも地を這うヘヴィ・チューン⑩が存在感たっぷりに本編を締め括ってくれるため、尻すぼみ感はなく聴後感も良好。
リリース当時、ここ日本でも高く評価された(BURRN!!誌のバックナンバーを確認したら92点を獲得してた)のも納得の1枚。


CIRITH UNGOL - Paradise Lost - Chaos Rising ★★★ (2015-05-06 22:52:19)

押しと引きのツボを心得たGに
緩急を飲み込んだリズム、
そして荘厳且つ大スケールの曲展開とが
8分以上の長尺をテンション高く引っ張ります。
すっぽ抜けのハイトーンが気になるVoも
ここでは変幻自在な歌唱で楽曲の
ドラマティックな盛り上がりに貢献。
この声あってこそのCIRITH UNGOL!
と思わせてくれますよ。