SURVIVORが'85年に行った、新宿厚生年金会館での初来日公演の模様を捉えた実況録音盤。VHS版だけでなく、CD化までされてたとは知りませなんだ。(自分が購入したのは『LIVE IN JAPAN 1985』と改題された日本盤) 名作『VITAL SIGNS』を発表し、意気上がるSURVIVORの最も脂の乗り切った時期のライブゆえ、メンバーのパフォーマンスにしろ、『VITAL~』収録曲中心のセットリストにしろ、そしてそれを受け止める観衆の盛り上がり具合にしろ、とにかく全編に亘って勢いが感じられます。各楽器陣のソロ・タイムまでしっかりと設けられた本編構成は、「売れ線狙いのポップ・バンドと侮らないで頂きたい!」との、SURVIVOR側のロックな主張が迸るかのようで、特にスタジオ盤ではその存在をさして気にしてなかった(酷)、リズム・セクションのタイトな仕事ぶりには感銘を受けましたね。 それに比べると、音を外したり、声が引っ繰り返りそうになったりと、ジミ・ジェイミソン(Vo)の歌唱は結構危なっかしい(ライブでの不安定さはずっと指摘されていましたけど)。いやでも、実力派シンガーとして鳴らした彼の荒い歌唱が聴けるのも貴重な記録と言えますし、ファンとしてここは「ライブならでは臨場感が味わえる」とポジティブに思考したい所存。観客の大声援を受けて、ジミが嬉しそうに「愛シテマス!」とか答えるのを聞くと、今となってはホロリと泣けてくるというね…。会場のボルテージが最高潮に達するハイライト、名曲“EYE OF THE TIGER”のジミ・バージョンがCDで聴けるのも有り難い。 SURVIVOR唯一(?)の公式ライブ盤という点でも、一聴の価値がある1枚ではないかと。
フランスの南東部に位置する都市、ヴォクリューズ県アヴィニョンにおいてに結成されたHMバンド。 NWOBHMの盛り上がりがフランスへも伝播する中、シングル『BOLOUSON NOIR』を'80年に発表してデビュー。‘87年の活動停止までの期間中に1st『ATTENTAT ROCK』(’81年)、2nd『LE GANG DES SAIGNEURS』(’84年)、Voをディディエ・ロケットからマーク・クーに変えた3rd『STRIKE』(’85年)という3枚のアルバムを発表、フレンチ・メタル・シーンの盛り上がりに貢献した。 '88年にはエルヴェ・レーナル(G)が抜けた編成でPINK ROSEと改名し、アルバム1枚を残しているが、こちらは短命に終わってしまった模様。’08年に再結成。
イギリスを震源地に発生したNWOBHMムーブメントの盛り上がりが最高潮に達した’81年、スペインはマドリッドにおいて結成。 '82年に1st『Al Pie Del Canon』でデビューを飾った当時はKey奏者を含む編成だったが、2nd『Sálvese quien pueda』(’83年)ではツインG編成に、そして3rd『Toca madera』(’85年)以降はシングルG編成へとラインナップは変化した。 ’87年発表のライブ・アルバム『Sabado Negro』を最後にバンドは解散。'06年に再結成を果たしたようだが、作品発表には至っていない。ちなみにPANZERの中心メンバーだったカルロス・ピニャ(Vo)は、それまでラジオDJなんかをやっていたそうな。
ブライアン・ロス(Vo)率いるBLITZKRIEGが'85年に発表した1stアルバム。どうでもいいことですが、ジャケットに描かれた巨大羽虫(?)を見るたびにファミコン版『ギャラクシアン』のパケ絵を思い出してしまうのは私だけでしょうか。(本当どうでもいい) 元々はブライアンのソロ作として制作された筈が、蓋を開けてみればBLITZKRIEG名義で発表になったとか、バンドとしての実体の不明瞭さがネックになって聴くのを躊躇っていた作品だったのですが、後でMETALLICAが彼らをリスペクトしていると知り、慌てて当時テイチクから再発されていた国内盤CDを購入。で、その内容の素晴らしさにいたく感激した次第。 THE VOICE OF NWOBHMことブライアンの湿気った英国声による熱唱、タイト&パワフルなショーン・テイラーのドラミング(Bも結構派手に暴れてる)、そしてスリリングに駆け巡るツインGにより構築されたHMサウンドは、さながら陽の当らぬ地下室でチロチロと燃え盛る青い炎が如し。特に大仰なインスト序曲①からスピーディな②へと繋げていく、メタルの様式美に則った劇的な展開は何度聴いても「最高!」としか。 後に続くのは、METALLICAがカヴァーしたBLITZKREIGのテーマ曲③、それにSATAN時代に作曲されたという重厚な④(だからかSATANのラス・ティッピンズがゲスト参戦)…と、この序盤の無類のカッコ良さだけで、「後期NWOBHMを代表する名盤」と謳われる本作のクオリティの高さが推し量れるというものですよ。 ちなみに国内盤は’81年発表のデビュー・シングルも同時収録。こっちの“BLITZKREIG”はより荒々しい仕上がりで、実はアルバムVerよりもカッコイイんだな、これが。
確かにイングヴェイっぽさを感じます。 (同年に発表されてるので単なる偶然でしょうが) WHITE LION版“DISCIPLES OF HELL”みたいな。違うか。 ヴァースにうっすらと被さる「アーアーアー🎵」コーラスが 勇壮さを煽る、メタル色の強い1stの中にあって 1、2を争う名曲ではないでしょうか。 “エルサルバドルの悲劇”なる邦題も良い。
買い逃したまま今日に至っていた、バーニー・マースデン(G)がWHITESNAKE在籍中の'81年に発表した2ndソロ・アルバムの国内盤CDを、行きつけの中古屋の新春セールにてゲット。こいつは新年早々幸先が良いやと。 マイケル・シェンカーが③に手拍子(!)で客演していることを除けば、ニール・マーレイ(B)にジョン・ロード(Key)、イアン・ペイス(Ds)ら、白蛇人脈活用の参加ミュージシャンの顔触れは前作『AND ABOUT TIME TOO』と概ね同じ。バーニー自身のVoが中心に据えられた、ポップでお洒落な音楽性の方も『AND ABOUT~』の作風を踏襲しています。 ・・・というか、こっちに関しては尚一層コマーシャルな方向に踏み込んでる印象で、特に一度聴けば耳から離れなくなる、仄かな哀愁を帯びたキャッチーなOPナンバー①は、本作の魅力を集約したかのような名曲ぶり。また甘くポップな④や、六本木のディスコ「ビブロス」をテーマにした賑々しい⑥、実に味わい深い泣きのGプレイに琴線揺さぶられる⑨、ボートラ扱いながら、コージー・パウエルがお得意のリムごとガタガタいわすようなパワフルなドラミングを披露する⑩なんかも個人的にはお気に入り。 ただ、今回は前作収録“HEAD THE BALL”のようなギンギンにロックするハード・ナンバーは見当たらないため、全体的に少々あっさり気味に流れていってしまう物足りなさが無きにしも非ずか。 それでも、本作が前作に負けず劣らず高品質な1枚であることは疑う余地はありませんが。買えて良かった。