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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2601-2700
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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2601-2700

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ADX - Ultimatum - Comando suicide ★★★ (2015-12-19 09:54:38)

ドラマティックなインスト序曲に誘われ、
研ぎ澄まされたGリフと勇ましげにハモるツインGを伴って
スピーディに駆け抜けていくOPナンバー。
少々オッサン臭いVoが歌う、思わず一緒に歌いたくなる
キャッチーなサビも良い出来です。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Rock & Roll / Under Your Spell ★★★ (2015-12-15 22:38:11)

タイトルからも察しが付くように
バラード調の前半と、テンポアップする
ハード・ロッキンな後半の二部構成からなる
ドラマティックな大作ラスト・ナンバー。
「PICTUREを勢いだけのバンドと舐めんなよ?」
との主張が聞こえてくるかのようです。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Spend the Night With You ★★ (2015-12-15 22:22:32)

どことなくDIOを思わすGリフによる
3分間の波状攻撃に思わず頭が動く
アグレッシブ且つノリノリな逸品。
日本盤だと確か“夜間飛行”という
邦題が付けられていたはず。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-15 22:13:54)

アルバム表題曲にして、頭からいきなり
カマされる本編のハイライト・ナンバー。
「メタル耳」なる曲名からして奮ってますが
その名に相応しく、ヤスリ声で熱唱するVoに
鼓膜を切り裂くGリフ、スリリングに疾走する
リズムとGソロ…と、どこを切っても
「ザ・ヘヴィ・メタル!」なPICTURE屈指の名曲です。


PICTURE - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-14 23:23:59)

オランダ初のHMバンドと言われ、VADENBERGのバート・ヒーリンク(Vo)も在籍していたPICTUREが'81年に発表し、日本デビュー作ともなった2ndアルバム。余談ながら『危機からの脱出』なる邦題を冠され、戦闘機の描かれたタミヤのプラモ箱絵みたいなジャケットが目を惹いた日本盤LPに比べ、CDで買った輸入盤は味気ないデザインでちょっぴりガッカリした覚えが・・・。「日本盤がオリジナルを無視して盛りまくっただけ」と言われりゃそれまでなんですけどね。(閑話休題)
そんな本作は、まさにNWOBHM全盛期にリリースされた作品に相応しく、キレのあるGリフと疾走感溢れるリズムが、小細工を弄したりせず「せーの、どん!」で一斉に押し出してくるかのような、シンプル且つ力強いHMサウンドを全編に亘って展開。特にヤスリ声のVoと、攻撃的に駆け巡るGの存在が映えるスピーディなアルバム表題曲①は、メタル者の胸ときめかせるに十分な名曲っぷり。
他にも、リフまたリフで畳み掛ける②、荒ぶるMOTORHEAD型突撃ナンバー④、メロウな導入からテンポアップするドラマティックな⑨等、本編の大半を疾走曲で固め、わっせわっせと駆け抜けていく実に分かり易く「メタル」な1枚。PICTUREのアルバムは全部持っているわけじゃないのですが、個人的には本作が一番のお気に入りですね。


ADX - Ultimatum ★★ (2015-12-11 22:54:59)

90年代に一度復活して、その後なりを潜めていたかと思ったらいつの間にか再復活していたADX、'14年発表の(現時点での)最新作・・・かな?
お月さんに照らされて、断頭台がぽつねんと佇んでいたデビュー作のアートワークから幾年月。今回のジャケットはギロチンだけじゃなく、悪魔やら骸骨やらが「どこの煉獄か」っつーぐらい執拗に描き込まれていてゴージャスさ(なのか何なのか)大幅UP。
これで内容がショボかったら失笑の一つもお見舞いするところですが、どっこい本作には、鋭角的なGリフから疾走感溢れるリズム、その上で劇的にハモるツインG、「語感がメタルに合わない」との難癖にも屈せず拘り続けたフランス語による歌詞まで、ADXならではの個性がしかと刻印されているのだから侮れません。
「フランスの飛ばし屋」ってな風情のスピード・メタリックな荒々しさは薄れましたが、ベテランらしく安定感と構築感推しの「完成度」で勝負を仕掛けて来るサウンドは、フランス産ワインの如き熟成された味わい。それでいてメンバーのルックスが優男感ゼロの「キープ・オン・ムサ苦しさ」なのも好感度大ですよ。
とりあえず、ドラマティックなOP序曲①を経て、キャッチー且つアグレッシブに突っ走る②は一聴をお薦めしたくなる名曲ではないかと。


BLACK SABBATH - Cross Purposes - Cross of Thorns ★★★ (2015-12-10 23:15:10)

持てる力全てを振り絞るように熱唱しても
どこか冷ややかな(汗臭くならない)
トニー・マーティンの歌唱が、
闇よりも暗い奈落の底へと
ゆっくりと沈み込んでいくような
暗鬱にして荘厳な美しさを湛えた曲調に華を添えます。
様式美サバス時代最後の名曲。


BLACK SABBATH - Cross Purposes ★★★ (2015-12-10 00:01:32)

ロニー・J・ディオ擁するラインナップが早々に瓦解したことを受け、トニー・アイオミはキープ君(死語)…もとい気心の知れたシンガー、トニー・マーティンを呼び戻して(ドラマーには元RAIBOWのボブ・ロンディネリを起用)'94年に本作を発表しました。
当時はどうしても『ETERNAL IDOL』『HEADLESS CROSS』『TYR』と比較してしまい、「収録曲の出来にムラがある」とボヤいていたのですが、時間の経過に伴い、無駄な比較をせずに単体で楽しめるようになると「これって案外・・・いや、非常に良い!」と評価が急上昇しましてね。
ギーザー・バトラーのBが生み出す漆黒の闇の中で、マーティンの麗しい歌声とアイオミの泣きを湛えたGプレイが艶やかな光沢を放つサウンドは、「烏の濡羽色」とでも言うべき仕上がり。確かに印象に残る曲/そうでない曲の境目が結構あからさまですが、緊迫感を湛えて疾走する“I WITNESS”、元祖ドゥーム・メタル・バンドの凄みが匂い立つ“VIRTUAL DEATH”、グルーヴィなヴァースと伸びやかに疾走するサビメロの対比が効いてる“IMMACULATE DECEPTION”、宵闇バラード“DYING FOR LOVE”、ジェフ・ニコルズのKeyも良い仕事している“CARDINAL SIN”といった優れた楽曲が、そうしたムラっけをカバーしてくれています。そして何といっても幻想的なアートワークをそのまま楽曲化してしまったかの如き荘厳な名曲“CROSS OF THORNS”の存在が、聴き手にトドメの一撃を加えてくれる!と。
発表当時よりも、年月を重ねた現在の方が遥かに評価の高い(俺の中で)1枚ですね。


CASBAH - DINOSAURS ★★ (2015-12-07 23:42:52)

CASBAHが'98年に残した再録ベスト盤。それまで入手困難な状態にあった彼らの初期の名曲/代表曲の数々が、テープの伸びとかを気にせずに気軽に!まとめて聴くことが出来る!と発表当時かなり重宝致しました。
音質的には厳しいものがあったオリジナル版に比べ、向上著しいプロダクションは人によっては大歓迎でしょうし、スピーカーを食い破らんばかりの野太さで襲い来る羽鳥恭充のVoも、完全に嘗ての己を凌駕するド迫力。まさしくCASBAH入門編に打って付けの1枚です。
・・・と、良いこと尽くめのようでいて、個人的に本作に今ひとつ乗り切れぬまま今日へと至ったのは、締まりに乏しい音作りがあまり好きになれなかったせいなんですよね。後に発売された2枚組の初期音源集『RUSSIAN ROULETTE~NO POSERS ALLWED 1985-1994』』と聴き比べると、ラフでチープだが(であるがゆえに)煮え滾るような熱さや前のめりな勢いがダイレクトに伝わってきた『RUSSIAN~』に対し、パッケージとしてのクオリティの向上と引き換えに、本作からは切っ先の鋭さがボヤけてしまっているような気が・・・。
でもまぁ音質の評価なんて人それぞれですんで、やくたいもない愚痴はスルーして「CASBAHが生み出した名曲の数々を手っ取り早く体験出来る入門盤」として、レッツ・ビギン(村野武憲風に)


CASBAH - Reach out - Five Thousand Feet ★★★ (2015-12-06 01:21:00)

これまで以上にしっかりと「歌う」羽鳥恭充のVoと、
トライバルなグルーヴ渦巻くリズムとが、クライマックス目掛けて
緊迫感をぐいぐい高めていく様に圧倒されていまいます。
CASBAHが一回りも二周りもスケールアップして帰って来たことを
物語る名曲ではないでしょうか。


CASBAH - Reach out - Inside Me ★★★ (2015-12-06 01:10:33)

「シンガー」としての実力を存分に発揮する羽鳥に、
叙情的な導入部に始まって、山あり谷あり、激しくドラマティックに
盛り上がっていく7分以上に及ぶ曲展開など、CASBAHの新生面を表すと共に、
アルバムのハイライト役も担う頼もしき大作曲です。


CASBAH - Reach out - Unsung Heroes ★★★ (2015-12-06 01:04:53)

実にCASBAHらしい直線的な突撃スラッシュ・ナンバーでありつつ
パワー・メタリックなコーラスには、聴く者の士気を鼓舞するかのような
力強さが宿っています。


HALESTORM - Into the Wild Life - I Am the Fire ★★★ (2015-12-03 23:34:22)

オフィシャル・ビデオも制作されている
3rdアルバムのリーダー・トラック。
実際、本編中最も出来が良い。
特に歌心を燃焼させるかのようなリジー嬢の
全身全霊を込めた絶唱はメタル魂にビンビン響きます。
来日公演に行きたかった・・・。


CASBAH - Reach out ★★★ (2015-12-02 23:26:14)

結成30周年を祝う記念ライブが呼び水となってリリースが実現したという、CASBAHの2ndフル・アルバム。
十数年のブランクが開いたのに、いきなり叩き付けられるOPナンバー①が、破壊的に刻まれるGリフといい、グワシと鼻面掴まれて強引に引き回されるようなグルーヴといい、そして音楽から離れた生活を送っていたとは思えぬ、シャウト一発でどんな楽曲も自分色に塗り潰してしまう羽鳥恭充のドスの効いた歌唱といい、実に剣呑極まりない出来栄えで、「スゲェ、この人ら全然丸くなってないよ!」と。
並みの若造バンドなぞ歯牙にもかけない、百戦錬磨の凄みを放つ突撃ナンバー②⑦⑧で要所を締めつつも、アルバム全体としては、'99年発表のEP『BAREFOOTED ON EARTH』二部作の方向性を更に突き詰めた、一口に「スラッシュ・メタル」では括りきれない奥深さを有したサウンドを実践。中でも、徐々に内圧を高めていくグルーヴの沸騰に圧倒される④、逆にスカッと吹っ切れたバラード⑤、スラッシーな突進力と、パワー・メタリックなメロディを組み合わせ畳み掛ける⑦、起承転結がドラマティックに決まった⑨といった楽曲は、バンドが一回りも二回りもスケールアップして帰って来たことを伝えてくれる仕上がり。と同時に、それらの楽曲がいずれも本編のハイライトたりえるカッコ良さなのですから大したもんですよ。
こりゃあ確かにCASBAHの最高傑作。活動の継続を期待します。


BURNING POINT - Burning Point ★★★ (2015-11-30 23:21:05)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)を加入をさせた、ツインG、Key奏者を含むフィンランドの6人組パワー・メタラーが、彼女のお披露目も兼ねて'15年に発表した、新曲と過去曲のリメイクとカヴァー曲(KISSにMETAL CHURCH)からなる変則ベスト盤――といっていいのかどうか――な1枚。
BURNING POINTといえば、確か2nd『FEEDING THE FLAMES』('03年)を持っていた筈なのに、内容については薄らボンヤリとしか思い出せず、そのくせバンドの中心メンバーの名前がピート・アホネンだったことに衝撃を受けたことはいやに鮮明に覚えているのネンと。
それはともかく、こうして聴いてみるとJUDAS PRISET型のパワー・メタルに、ヴァイキング・メタルばりの雄々しさや独産メロパワ・メタルに通じるキャッチーさを注入したかのような、疾走感溢れるサウンドのカッコ良さに感心させられましてね。特に本作のために書き下ろされた新曲①④⑨が、過去作から選りすぐられた楽曲に負けず、立派にアルバムのハイライト役を果たしているのが頼もしいじゃありませんか。
そしてそれらを堂々歌いこなすニッテ・ヴァロ!BATTLE BEAST脱退後は音楽生活から身を引いてしまっていたらしく「勿体ねぇなぁ」と思っていただけに、今回の第一線への復帰は目出度い限り。その強靭なルックス…じゃなかった歌唱力は勿論健在で、本作のクオリティぶりに伸びやかに、且つ力強く貢献してくれています。
バンドとしてレベルUPが果たせたBURNIG POINTにとっても、シーンへの帰還を果たしたニッテ嬢にとっても、あと優れた作品を聴くことが出来たリスナーにとっても良いこと尽くめな、まさにWIN/WINな力作。入門盤にどうぞ。


MASQUERADE - Surface of Pain ★★ (2015-11-28 08:51:38)

80年代フィーリング薫る、爽やかで健康的なメロディック・メタルを以って「TNTの後継者」と目されていたMASQURADEが、突如重心を低く落とし、ダークな緊迫感を放つ90年代型HMサウンドにモデル・チェンジ。多くの北欧メタル・ファンを「MASQUERADEよ、お前もか・・・」と嘆かせた'94年発表の2ndアルバム。
尤も、キャッチーな疾走感や透明感は薄れてしまっても、憂いの滲むメロディ・センスはきっちりと保持。また作曲面においてもリズムやアレンジ、曲展開にヒネリを加え、前作ではハイトーン一本槍の歌唱に単調なきらいがなくもなかったシンガーが、全声域を活かして伸びやかな歌声を披露する等、随所に創意工夫凝らされた本作は、安易に流行に擦り寄った軽薄感は皆無。実際、リリース当時から結構冷静に高評価を受けて、バンドは本作発表の同年クリスマスにはレーベルメイトのJACKALと来日公演も行っているんですよね。
そもそも彼らの場合、1stの時点でGが案外ハードに自己主張していたこともあり(既にここへと至る素地は十分にあった)、今更「ヘヴィになった」というよりは、「一層逞しくなった」と表現すべきでしょうかね。①や④はその好例というべき楽曲かなと。
MASQUERADEの必聴作が1stであることは厳然たる事実なれど、こうして聴き直してみて、本作の良さにも漸く気が付かされた次第。バンドからは「遅過ぎるよ!」と怒られてしまいそうですが。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Cry of the Jackal ★★★ (2015-11-26 21:50:25)

ツインGを先頭に押し立ててスリリングに疾走する
インスト曲で、その曲調はまるでサバンナで獲物を狩る
ジャッカルの如き(見たことありませんが)。
EPのタイトルを冠されるだけあって、メロディックに
歌う2本のGが、Voの不在をまるで気にさせません。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Nightmare ★★ (2015-11-26 21:45:17)

正確なタイトルは
“NIGHTMARE(THE DISTANCE BETWEEN DREAM AND REALITY)”。
聴き始めこそ平均的な正統派HMナンバー風ですが、
Gソロ直後にテンポアップして、
ツインGにリードされる形で山あり谷あり、
ドラマティックに展開していく中盤以降が
この曲の本番です。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal ★★ (2015-11-24 22:18:14)

その昔、どこぞの慌て者がデンマークのJACKALの作品と勘違いして購入するぐらい(ちくしょうめ・・・)似た名前のバンドが多数存在していてややこしいのですが、本作はオランダのJACKALが'89年に500枚限定でリリースし、マニアの間で評判を呼んだ6曲入りEP。
メタルバブル爛熟期真っ只中に産み落とされたのに、飾り気に乏しいプロダクションから、イキのいいツインG、そして少々頼りないハイトーンVoまで、真っ向から正統派HM一本勝負を挑んでくる本作は「バブル?何それ美味しいの?」状態。洗練とかゴージャスといったお洒落キーワード0っぷりで、GRAVESTONE、TALON等の80年代前半の独産メタル・バンドを引き合いに出して語られることの多い、浮かれトンチキな世間に背を向けたソリッド過ぎるサウンドが男らしいったら(単にお金がなかっただけかもしれませんが)。
ついでにジャーマン勢に比べると、メロディのクサ味や大仰な曲展開に対する拘りはアッサリ気味で、むしろ溌剌と突っ走る元気の良さの方が強く印象に残る辺りが、流石スピード/スラッシュ・メタルをいち早く受け入れ評価したオランダのバンドであると。特に、尻上がりにテンションを高めていく4曲目の“NIGHTMARE”と、後に続く彼らのテーマ曲とも言えそうなインスト・ナンバー“CRY OF THE JACKAL”はスリリングな名曲。
今となっては「うっかり間違えて買ってみるもんだなぁ」と感慨深い1枚です。フル・アルバムが聴いてみたかったな。


JACKAL(HOLLAND) (2015-11-24 22:16:02)

'85年に結成。オランダはアムステルダムを拠点に活動し、3本のデモテープを発表した後、'89年に6曲入りEP『CRY OF THE JACKAL』を500枚限定で自主制作。バンドは90年代に入って間もなく解散するも、『CRY~』はマニアの間で入手困難なお宝として評判を呼び、中古盤がかなりの高額で取引されるようになっていた。
'07年にオリジナル・メンバーだったGとDsが音頭を取ってJACKALは再結成。それに併せて、'87年と'91年のデモ音源5曲をボーナストラックとして収録した『CRY~』のリマスター盤もオフィシャル再発された。


SATAN - Atom by Atom - Farewell Evolution ★★★ (2015-11-23 09:46:17)

ブライアン・ロスのシャウト一発に続いて
全楽器がユニゾン気味に切り込んでくる
イントロのカッコ良さだけで、楽曲の出来栄え、
そしてアルバムのカラーを決定付けてくれる、
まさに名刺代わりのOPナンバー。


SATAN - Atom by Atom - The Fall of Persephone ★★★ (2015-11-23 09:39:23)

ケヴィン・ヘイボーンとの共作曲ということで、
ミステリアスなメロディに被さる胡散臭げなコーラスが
オカルティックで荘厳な雰囲気を醸し出す、本編のラスボス曲。
ANGELとSATANが合体してもSATANらしさを失っていないという
何だかとってもデビルマン魂を感じる名曲です。
なんだそりゃ


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun - Samurai ★★★ (2015-11-23 00:02:56)

空を裂く白刃の如きGプレイに
硬派な哀愁漂わすメロディと、
これみよがしに和風テイストを用いなくても
ちゃんとサムライの生き様を聴き手に伝える、
ギタリストとしてだけでなくジョーイ・タフォーラの
コンポーザーとしての実力がきらり光る逸品。


SATAN - Atom by Atom ★★★ (2015-11-22 09:39:52)

復活作『LIFE SENTENCE』の好評を駆って世界中をツアーして回り、ファンの反応をつぶさに体感出来たことが刺激となったのか、こうして届けられた新作もまた、アートワークから楽曲に至るまで、「よ!たっぷり!」と大向こうから声が掛かる勢いでSATAN流HMサウンド大盤振る舞い。シャウトの一閃と共に、キレキレのGリフが乱舞する名曲①で幕が開くOPにアガらないメタル者がいるでしょうか?!と。
この曲に限らず、スティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズの抜群のチームワークによるツイン・リードGは、相変わらずフル回転で本編のハイライトを創出。手数多めで木目細かいGリフを鋭角的に刻み、湿ったメロディを懇々と湧き出させる、緩急/変幻/自由自在のコンビネーションはいくら褒めても褒めたりない素晴らしさですよ。
そして勿論、英国人シンガーらしく(白でも黒でもない)灰色の歌メロを拾っていくブライアン・ロスの、青白い炎が揺らめくような、冷めた仕草で熱く見る(?)ような熱唱、老成とは無縁の突っ込み気味の演奏でボトムを支えるリズム隊の良い仕事ぶりも忘れちゃいけません。
この三者の最良の部分が抽出された①に、動~静~動と澱みなく展開していく劇的な③、アグレッシブに畳み掛ける④、そしてANGEL WITCHのケヴィン・ヘイボーンが曲作りに関わって怪しげ且つ壮大なドラマを描き出す⑩・・・。前作『LIFE~』に比べると少々掴み所に欠ける中盤でテンションが緩むのですが、ブリティッシュHMの醍醐味を満喫させてくれる上記収録曲の数々が、十二分にそれをカバー。結果的に本作は、勢いに乗るSATANの充実っぷりを雄弁に伝えてくれる1枚に仕上がっています。


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun ★★★ (2015-11-20 22:48:51)

JAG PANZERの一員として世に出た後、ギタリスト発掘人マイク・ヴァーニーの眼鏡に適いSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾った、速弾きムーブメント第二世代に属するギタリスト、ジョーイ・タフォーラが'88年に発表した1stアルバム。
ぼちぼち粗製濫造の気配も漂い始めていた同ブーム渦中にあって、本作が(特にここ日本で)頭抜けて話題を呼んだのは、何も師匠にあたるトニー・マカパインやポール・ギルバートのゲスト参加が衆目を集めたせいだけはなく、ギターを巧みに歌わせる本人の演奏能力の高さ、それでいてテク至上主義に溺れない作曲能力&メロディ・センスの確かさがあったればこそ。
例えば、個人的に本作の購入動機の一つであった⑧なんて、これ見よがしに和音階を用いたりせずとも、きっちりサムライの硬派な生き様を聴き手に伝えてくれるのですから大したもの。また自己アピールに汲々とすることなく、楽曲内にKeyやBの聴かせ所を配置するバランス感覚の良さも買いです。トニー・マカパインが奏でる煌びやかなKeyなんて本作のもう一人の主役扱いですよ。(欲言やピアノを演奏して欲しかったけど)
起承転結が劇的に決まった6分越えのOPナンバー①、アルバムのハイライトを飾る壮大な④、スピーディなネオクラシカル曲⑤等、日本人好みのメロディ・ラインとフックが連続するインスト物の好盤。


SPEEDTRAP - Straight Shooter ★★★ (2015-11-17 23:23:27)

Dsが脱退、BがDsに転向、新BとサイドGも加えて5人編成に移行・・・と、大掛かりなメンバー・チェンジを経て'15年に発表された2ndフル・アルバム。
ツインGの稼動により楽曲のアレンジの幅が広がり、また歌唱力を増したシンガーの歌メロが一層メロディックになったことで、全体的にサウンドの整合性が高まったように感じられるのは、他の諸兄のご指摘通り。中でもエピック・メタルのヴァイブ漂う勇壮な⑦はその筆頭格でしょうか。
多少収録曲のバラエティが広がったとは言え、粗挽きGリフに、ボカスカ突進するリズム、アッパーなVoとが、生き急ぐかのように突撃するプレ・スラッシュ/スピード・メタリックな音楽性に手緩さは皆無で、例えばハイスピード/ハイテンション/ハイボルテージで押しまくる①②の掴みや、本編最速の⑧なんて笑っちゃうぐらいの喧しさ。いや、今日び彼らより速くて騒々しい連中だって山ほどいるとは思うのですが、このバンドの場合、変にエクストリームだったりメカニカルだったりせず、(ラフでアナログな音作りが相俟って)本屋の成人コーナーでエロ本をクィックな動作でチェックする昭和の中学生ばりの落ち着きのなさや愛嬌が迸っている辺りが魅力かと。・・・って、例えが分かり辛過ぎますが。
ともかく、前作が気に入った人なら当然「買い」の1枚。


TRANCE - Victory - Victory ★★★ (2015-11-16 23:06:33)

ドイツのバンドらしいメロディの哀愁も、
HMバンドならではのエッジも失うことなく
キャッチーな洗練も実現して見せた
3rdアルバムの表題曲にしてハイライト。
ちょっと日本のフォーク・ソング風(?)な
“ナ~ナナナ~ ナ~ナナナ~♪”のコーラスは、
ライブ会場じゃさぞかし盛り上がったことでしょう。


TRANCE - Victory - One Man Fighter ★★★ (2015-11-16 23:02:56)

美しく叙情的な導入から一転、
ドカドカとパワフルに疾走を開始するHMナンバー。
でもやっぱりGリフよりも金属声のVoの歌メロの方が
印象に残るのが、3rdアルバム収録曲ならでは。


TRANCE - Victory ★★★ (2015-11-15 09:47:30)

70年代HRからの影響も引き摺っていた1st、ヘヴィ・メタリックにストレッチされた2ndと来て、'85年発表の本3rdアルバムは丁度その中間を行くような仕上がり。ソリッドなリフ&リズムよりも歌メロやコーラスを重視し、一層メロディアスに、キャッチーに磨かれた収録曲の数々を聴くと、当時隆盛を誇ったLAメタルの余波が彼らにも及んでいたことが伺えます。特に、時にメジャー・キーも交えてポップさを増したアナログA面に並ぶ楽曲はその傾向強いかな?と。
それでも、2本のGが歌い上げる強烈に耳に焼き付く泣きのメロディや、そしてローター・アントーニ(Vo)の耳にピリピリくる塩っ辛い歌唱といった、「TRANCEらしさ」も圧倒的プレゼンスを主張。重厚な⑤からスタートするB面サイドには前作のノリを受け継ぐハードな楽曲が並んでいます。中でも、Voのアカペラ・イントロを経て威勢良く疾走を開始する⑥、アンセミックなコーラスを擁し、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶようなアルバム表題曲兼本編のハイライト⑧は、従来の魅力と、今作ならではの新味のブレンド加減が絶妙な名曲。
メロディのフックから楽曲の取っ付き易さに至るまで、少なくないマニアが本作をTRANCEの最高傑作に挙げるのも納得の1枚。「かつて、採点基準が画期的なまでに極端なことで知られたBURRN!!誌の酒井前編集長が本作に89点を献上した」との情報に興味をそそられた方にもお薦め致します。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Castle Walls ★★★ (2015-11-13 22:59:04)

アコギ・インストの前半と、バンド全体が加わる後半の
二部構成で組み立てられたドラマティックなナンバー。
泣きのGによって先導される哀愁に満ちた曲調の中で
青筋立てたシンガーの力みまくりの熱唱が
笑いと感動を呼び起こします。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Tokyo Rose ★★★ (2015-11-12 23:23:44)

タイトルと歌詞は勿論、太平洋戦争中に日本軍が
連合軍に対し行ったプロパガンダ放送の
女性アナウンサーの愛称に因む。(RIOTの代表曲とは同名異曲)
イントロからGが泣きまくりで、
「トキオォ~ロォ~ズゥ~♪」という猛烈にクドイ
シンガーの歌い回しが、楽曲の哀愁を引き立ててくれています。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Exhibit A ★★★ (2015-11-12 23:09:22)

これぞメタル!というイントロのGリフだけで
星3つ進呈したくなるカッコ良さ。
AUBRN RECORDS用にバンドが作成した2ndアルバムの
オリジナル・バージョンでは、ピアノのイントロ付きで
この曲がOPナンバーでした。
まるで、床まで油でギトギトなラーメン屋のように
クドイぐらいパワフルなシンガーの歌唱も
楽曲の持つ無闇矢鱈なパワーを増幅してくれていて◎。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - On Your Feet ★★★ (2015-11-11 22:46:33)

SFアクション物の大傑作として、個人的に
愛して止まない「ヒドゥン」冒頭の
カーチェイス・シーンの緊迫感と疾走感を盛り上げた
スピード・ロック(DIO風の表現)の名曲。
そりゃこんなん聴かされたら、宇宙人だって
頭振りたくなりますわな。


SHOK PARIS - Steel and Starlight ★★★ (2015-11-11 22:24:28)

オハイオ州クリーブランド出身でツインGを擁する5人組が、'87年に発表した2ndアルバム。
その昔、日曜洋画劇場でヘヴィ・ローテーションされてたB級SFアクション映画の傑作『ヒドゥン』劇中のカーチェイス・シーンで流れ、人間に寄生するナメクジ型宇宙人さえもガンガンにヘッドバンギングさせていたスピード・ロックの名曲“ON YOUR FEET”聴きたさに、輸入盤屋を散々巡って漸く本作をゲット。そしたらそれ以外の楽曲も逸品揃いじゃありませんか。
DIO風の“GO DOWN FIGHTING”、泣きのツインGが劇的に絡み合う様に胸打たれる“TOKYO ROSE”(RIOTのカヴァーではない)、猛烈な哀愁が滲み出す“CASTLE WALLS”、そして鋭利なGリフが疾走する“EXHIBIT A”etc・・・、こりゃ足を棒にして探し回った甲斐がありましたな!と。
こうした楽曲のインパクトを更に増大させるのが、ロニー・J・ディオとグラハム・ボネットがマッスル・ドッキングしてしまったかのようなシンガーのメーター振り切った熱唱ぶり。ばんからラーメンの豚骨スープばりにクドイ歌声は人によっては胃もたれ必至なれど、慣れると病みつきになる・・・かも。少なくとも「クリーブランドのDIO」と呼ばれた(かどうか定かじゃありませんが)、アメリカンな押し出しの強さとヨーロピアン風味の泣きを併せ持つ、彼らのパワフルなHMサウンドを歌い上げるのにこれほど相応しい人材はいませんて。


HAMMERCULT - Built for War ★★★ (2015-11-09 22:47:23)

イスラエルから世界に向かって飛び出した5人組、'15年発表の3rdアルバム。
順調なリリース・ペースが彼らの活動の好調ぶりを物語りますが、充実した内容の方でもそれをしかと裏付ける。映画のサントラを思わすスペクタキュラーな序曲①に導かれる本編は、バンドの主戦場たる昨今の欧州メタル・シーンの嗜好を踏まえたのか、従来作に比べるとエクストリーム・メタル成分を減退させて、メロディック且つ戦闘的なヴァイキング・メタル成分を増量した印象あり。幕開け役の②が圧倒的スピードで押しまくるのではなく、闘争心を煽り立てる「ヘイ!ヘイ!」コーラスを伴ったエピカルな仕上がりであることもその証左かと。
無論、続く③がヤケクソ気味に飛ばしまくる高速スラッシュ・ナンバーであることからも分かる通り、作品の根幹を成すバイオレントで炸裂感溢れるスラッシュ・サウンドのテンションの高さには微塵も緩みなし。中でもスピード・メタリックなGリフをフィーチュアし猛然と駆け抜ける⑥と、パンキーな喧嘩っ早さとメタリックな構築感を併せ持つ⑨は、メタル魂にボッと点火される名曲っぷりですよ。
3作目なのでぼちぼち変化球でも投げ込んでくるかと待ち構えていたら、予想の裏をかく直球勝負の配球で見事空振り三振を取られてしまったような心持ちに浸れる痛快作。「DESTRUCTION meets MANOWAR」の前評判に偽りなし。


DOOM - Human Noise ★★ (2015-11-08 23:43:23)

丁度、久々にDOOMのカタログを引っ張り出していた時に、こちらのサイトで1stの再発を知り「マジで?!」と。以前にも再発の話はありましたが、その際はいつの間にか立ち消えてしまって、もう無理なのかなと思っていたら・・・。いや、目出度い。
個人的にDOOMの音に触れたのはかなり遅く、'91年発表の本5thアルバムが最初。その時はスラッシュ・メタルからパンク、ノイズ、インダストリアル、ジャズに加えてKING CRIMSONばりのプログレ・テイストまで貪欲に飲み込みで攪拌したような、一筋縄では行かない――どころか荒縄でグルグル巻きに亀甲縛りされているかの如きアバンギャルドっつーか先鋭的つーか――なサウンドを前に、「俺にはまだ早過ぎる音だった・・・」とK.O.負けを喫したものでした。
というか、今聴いても十分尖がりまくりな本編は、先読み不能の変態チックな楽曲があったかと思えば、その合間を突いて美しいインスト曲が奏でられたりと、容易にジャンル分けを許さぬアクの強い仕上がり。諸田コウの軟体生物Bプレイを中核に、メタリックなリフを刻むG、立体的にボトムを支えるDsとが、諸田の無茶振りに見事に呼応して衝突と融合を繰り返しながらテンション高く突っ走る名曲⑦を筆頭に、混沌の権化たる収録楽曲の数々は好き嫌いを突き抜けて有無を言わさず聴き手を捻じ伏せに来ます。(サックスの導入も効果的)
「ドラマティック」とか「キャッチー」とかいうような判り易い要素とは縁遠い内容ながら、逆に何が飛び出すが分からない、お化け屋敷感、もしくはビックリ箱感が魅力の1枚ではないかと。


STRYPER - Fallen - Yahweh ★★★ (2015-11-06 23:43:17)

分厚く低く垂れ込める雲を割って
神様が降臨してくる様を幻視する勢いの
美しくも神々しいコーラスが印象的なOPナンバー。
張り艶に衰えが全く感じられない
マイケル・スウィートの歌いっぷりも神懸かってますよ。


STRYPER - Fallen ★★★ (2015-11-06 23:36:07)

雲間からゴッドが「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ!」と降臨しそうな勢いの神々しいコーラスで幕が開く、'15年発表の8thアルバム。
クリスチャン・ミュージック・シーンという安定した支持母体にも支えられ、チャート上位に発表アルバムを送り込む等、復活組の中でも順調な活動を継続している彼ら。ゆえに今回も、マイケル・スウィートが衰え知らずの美声を駆使して歌い上げる憂いを湛えたキャッチーなメロディに、メタリックな光沢を放つGリフ、そして華麗に舞う美の極みというべきボーカル・ハーモニーetc・・・と、これぞクリスチャン・メタルの鑑!というべきSTRYPERサウンドは健在です。
イントロとヴァースの弱さを、サビの劇的なメロディ展開で挽回するという、「才能の閃き」よりも「蓄積したベテランの業」を感じさせる曲作りの傾向はここ数作同様で、滑り出し①②の快調さに比べると、中盤の楽曲の弱さがやや気になるところではあります(BLACK SABBATHのカヴァー⑧は果たして必要だったのか?とか)。
それでも、壮麗なコーラスに圧倒される⑩、疾走感溢れる⑪、名曲“SOLDIER UNDER THE COMMAND”を彷彿とさせる⑫という、ラストのヘヴィ・メタリックなナンバー三連発による畳み掛けが大変素晴らしいため、聴き終えた後の帳尻をきっちりと合わせて来る辺りは流石。
STRYPERがアルバムを発表する毎に、どんどん往年の輝きを回復させていっていることを証明してくれる1枚ですよ。ハレルヤ。


SLAYER - Repentless ★★ (2015-11-03 10:14:44)

出たり戻ったりなデイヴはともかく、ソングライターとして、ギタリストとして、ケリー・キングと共にバンドの中心的役割を担っていたジェフ・ハンネマンを失ったSLAYERの新作ということで、事前に抱いた不安は決して小さからぬものでしたが・・・。不穏なインスト序曲①を切り裂いてく高速スラッシュ・ナンバー②が走り始めた途端(SLAYERがアルバムのOPにこういう勿体つけた構成を取るのって初めて?)、多くのファン同様、安堵の溜息を漏らしてしまいましたよ。
序盤のファスト・ソングによる畳み掛け、中盤にイーヴルなミッド・チューンを固めて空気を煮立たせた上で、終盤の再加速でそのエネルギーを解き放つ「力みなくして解放のカタルシスはありえねぇ」(範馬勇次郎談)構成等、本作にはスラッシュ・メタルならではの魅力が横溢しています。
ただジェフを欠いた編成での初めてのアルバム作りということで、リフにしろGソロにしろトム・アラヤのシャウトにしろ、SLAYERのイメージには忠実であるものの、今回は本能剥き出しで猛り狂うクレイジーネスは抑え気味。恐らく作曲作業は相当慎重に吟味が重ねられたのではないかと。
そんなわけで、当初は「スラッシュとしては満点ですが、欲を言えば《帝王》の凄みを感じさせるキメの1曲が欲しかったですな」とか「本当の勝負作は次作でしょうな」とか、好き勝手に上から目線かましてたのですが、足を運んだLOUD PARK 15で、威厳と殺気のオーラ立ち上らせる彼らのパフォーマンスと、そこから繰り出される本作の楽曲のカッコ良さに全力平伏。今じゃ手のひらクルッと返して「前言撤回。名盤。」との評価に落ち着いたのでありました。


DARK MOOR - The Hall of the Olden Dreams ★★★ (2015-10-26 23:46:31)

作品をリリースする毎にレベルアップを遂げ、今や日本におけるスパニッシュ・メタル筆頭の地位に上り詰めた感さえある、エンリク・ガルシア(G)率いる6人組の本邦初登場作ともなった2ndアルバム('00年発表)。
女性シンガー、エリサ・マルティンの男勝りな歌唱をフィーチュアして、クラシカルな優美さとシンフォニックなスケール感を両輪に疾走するドラマティックなパワー・メタル・・・という基本スタイルは既に確立済み。ただこの時点ではRHAPSODY、STRATOVARIUS、BLIND GUARDIANといった先達からの影響が未消化気味というか結構あけすけで、現在の彼らに比べるとそのサウンドは少々野暮ったい。しかし、同時にそれこそが本作最大の武器でもあったという。
野暮ったさの発生源の一つが、全編で溢れ返るクサメロの大洪水なのですが、これがとにかく強力無比。序曲①に続いて間髪入れずに繰り出される②③の時点で早くもメーター振り切らんばかりの勢いですが、更にトドメの一撃を加えてくるのが名曲⑤で、コテコテ&クサクサに疾走するその勇姿には痺れるやら笑うやら。いやでもカッコイイ。
作風の洗練と引き換えにクサメロ度が落ち着いていったとされるDARK MOORの最高傑作に、本作の名を挙げるマニア多数という話も理解できなくはない、非常にクセになる1枚。これを店内で流したショップや購入者のお宅では異臭騒ぎが起きたと聞きますので(嘘)、ガスマスク用意してトライしてみてはいかがでしょうか。


Phantom Excaliver - 鋼鉄の誓い - 鋼鉄の誓い ★★★ (2015-10-25 21:00:02)

確かなテクニックに支えされスピーディに疾走する、
ストロング且つドラマティックなパワー・メタル・ナンバー。
東映三角マークをパロッたOPで笑ってしまう
コミカルなノリで駆け抜けるPVも併せて見れば、
彼らがどういった性格のバンドなのか良く分かります。


Phantom Excaliver - 鋼鉄の誓い ★★ (2015-10-24 12:12:28)

BURRN!!誌に掲載されていたインタビューのぶっちゃけぶりと、ラウパ会場で見かけた、お客さんに囲まれ、聖剣片手に写真撮影に応じる気さくな姿にすっかりファンになってしまい、思わず購入してしまったPHANTOM EXCALIVERのデビュー作。
アメコミ調のグループショット、格好良くポーズ決めてるメンバーの背後に回り込んでみると半ケツ剥いてる(笑)アートワークが彼らの愉快な個性を物語っていますが、音楽性の方は至って硬派。
友情/努力/勝利のジャンプ・メソッドをコンセプトに、聴く者の士気を鼓舞するかのように、雄々しいメロディを纏って突撃する勇壮なサウンドは、CD帯には「メロディック・スピード・デス・メタル」と表記されているものの(ハウリングブルからのリリースですし)、実際のとこ本編の大半を占めるのはパワー・メタル成分で、デス・メタル要素は申し訳程度。曲中に「語り」が入ると何となく聖飢魔Ⅱのことを思い出したり、またスピーディな曲調に朗々とした歌メロが乗る場面等はXからの影響が顕著に感じられたりも。
Voはメロディックな歌い上げと音程のないシャウトの2本立てで、現状、そのどちらにも余裕が感じられないのが惜しいですが、これから経験を積めば解消されていくでしょうし、あとは曲調にもう少し幅が出ると更に良くなるのではないかと。
それでも、本作だけでもバンドの実力の高さは十分伝わってきます。先行き楽しみなバンドがまた一つ登場してくれましたよ。


Phantom Excaliver (2015-10-24 12:11:13)

amazon.co.jpという名の魔界から召還した聖剣エクスカリバーの下に集いしメンバーにより結成された、エピカルでドラマティックな(バンド曰く「メロディック・スピード・デス・メタル」)サウンドを標榜する東京出身の4人組。
尚、バンド名にも冠されているエクスカリバーのアルファベットの綴りが「EXCALIVUR」ではなく「EXCALIVER」なのは、別に英語の偏差値が可哀想なせいではなく、PHANTOM Xと名乗っていた前身バンド時代に、アメリカの同名バンドから「訴えてやる!」と捻じ込まれたのがトラウマとなり、もう絶対に名前が被らないよう念には念を入れた結果なんだとか。


ANNIHILATOR - Suicide Society - Creepin’ Again ★★★ (2015-10-22 22:34:44)

キビキビとタイトな疾走感溢れる曲調の中で奏でられる、
神経症的というか、どこか不安感を掻き立てる
メロディの使い方が、まさにANNIHILATOR。
メロディックなコーラスも印象的です。
1stや2ndに収録されていてもおかしくなさそうな、
“MY REVENGE”と並ぶアルバムのハイライトの一つ。


ANNIHILATOR - Suicide Society - My Revenge ★★★ (2015-10-22 22:28:00)

ANNIHILATORのファンなら心鷲掴まれずにはいられない
アルバムのハイライト・ナンバー。
初期METALLICA風のスピーディに曲調に
ちょいとジェイムズ・ヘッドフィールド入った
ジェフ・ウォーターズのVoが映える。
それでいて中間部で奏でられる美しいアルペジオが
紛うかたなきANNIHILATOR印を焼き付けています。


ANNIHILATOR - Suicide Society ★★★ (2015-10-20 22:36:39)

フロントマンであり、2ndギタリストであり、長らくジェフ・ウォーターズのサイドキックでもあったデイヴ・パッデンがまさかの脱退。そのためジェフが久々にシンガーも兼任する形で'15年に発表された最新作。
つっても、既にご承知の通り「ANNIHILATOR=ジェフ・ウォーターズ」なわけで、本作のクオリティにデイヴ脱退の影響は皆無。ヘヴィに弾む楽曲、美しくメロウな楽曲、そして高速スラッシュ・ナンバーと、コンパクト且つバラエティ豊かにまとめられた本編は、ここ数作の流儀に則ったANNIHILATOR以外の何者でもない仕上がり。その中で鋭利なリフを刻み、時に美しく/時に不気味なメロディを爪弾き、ソロはテクニカルに決めたりと、縦横無尽に飛び回るジェフの軽業師ばりのGプレイも、相変わらず抜群の切れ味を誇っています。
懸案事項であった歌唱力についても90年代とは雲泥の差。何よりメタルの「芯」を感じさせるジェフの歌声は楽曲のオールドスクール度を確実に底上げしてくれていて、この声あったればこそ、スラッシュ・メタル時代のMETALLICAを彷彿とさす②や、『ALICE IN HELL』『NEVER, NEVAER LAND』の頃を思い出させる④といった疾走ナンバーのカッコ良さが引き立ったのではないかと。
・・・と持ち上げた端から意見を翻すようで何なのですが、出来れば次回作では諦めずに専任シンガーを加入させてくれると嬉しいかなぁ、と。異なるシンガーとジェフの間に生まれる化学反応の数々はANNIHILATORのアルバムを聴く上で大きな楽しみ一つでしたし、あとジェフの場合、独りで何でもこなせる器用さがアダとなり、作品が予想の範囲内に卒なくまとまり過ぎてしまう危険性を排除するためにも、是非ご一考を。


CIRCUS MAXIMUS ★★★ (2015-10-18 22:53:53)

CIRCUS MAXIMUSと言えば、最近よく見ているのが
LOUD PARK 12に彼らが参加した際の模様を捉えた、こちらのドキュメンタリー。


https://www.youtube.com/watch?v=qjgskpEkmUA


RTZ - Return to Zero - Until Your Love Comes Back Around ★★★ (2015-10-16 23:25:42)

シングルカットされ、PVも作られた哀愁のバラード。
邦題は“きみの愛が戻る日まで”。
メロウな曲調に乗せて、美男美女のカップルが
柔道したり腕相撲した器械体操したりする謎PVが
妙に印象に残っています。


RTZ - Return to Zero - Face the Music ★★ (2015-10-16 23:14:46)

重力のくびきから解き放たれて
どこまでも真っ直ぐに伸びていかのような
ブラッド・デルプの歌声に聴き惚れる
アルバムのOPナンバー。


RTZ - Return to Zero ★★★ (2015-10-15 00:55:39)

『THIRD STAGE』発表後、再び長い沈黙期間に突入してしまったBOSTONでの活動に見切りを付けたブラッド・デルプ(Vo)とバリー・グドロー(G)が新たに結成したバンド、RTZのデビュー作('91年発表)。
シングル・カットされた①③⑧の方向性が物語る通り、サウンドの基本ラインはBOSTONとほぼ同一線上のメロディアスなアメリカン・ロック。但し、活動ペースがスローモー極まりなかったBOSTON時代に溜め込んだ鬱憤を晴らすかのように、よりハードにロケンロールしているのが本作の特徴かと。尤もそのせいで、メロディのフックに関しちゃBOSTONに二歩も三歩も及ばない・・・というのが正直な感想なのですが。
しかし、それを補ってくれるのがブラッド・デルプの天賦の歌唱力。まるで大気の影響を全く受けていないかのように、どこまでも真っ直ぐに伸びていく彼の声で歌われるだけで、楽曲はどこか神々しい響きを獲得。CD帯で《宇宙にこだまする、この歌声》と評されているのも納得ですよ。特に④はブラッドの歌唱とバンドの熱を帯びた演奏とが組み合わさって、グッと盛り上がるアルバムのハイライト的名曲。
思惑通りの大ヒットとは行かずに短命に終わってしまったバンドでしたが、BOSTONやORION THE HUNTERがイケる方なら本作もチェックしておいて損はないはず。


RTZ (2015-10-15 00:40:14)

遅々として進展しないBOSTONでの活動に業を煮やしたバリー・グドロー(G)とブラッド・デルプ(Vo)が、BOSTONを脱退してリズム隊及びKey奏者の5人編成で新たに立ち上げたバンド。なおバンド名は「再出発」を意味する「RETURN TO ZERO」に因む。
'91年にGIANT RECORDSから1st『RETURN TO ZERO』でデビューを飾り、同作からシングル・カットされた“FACE THE MUSIC”(第49位)“きみの愛が戻る日まで”(第26位)“ALL YOU'VE GOT”(第56位)の3曲が全米シングル・チャートにおいてそこそこ健闘するも、アルバム自体は泣かず飛ばずで'94年にバンドは解散。
ブラッド・デルプはBOSTONに復帰した後、'07年、自宅にて自ら命を絶っている。


Passion Street - Million Miles Away - A Million Miles Away ★★★ (2015-10-14 00:02:17)

「流行から100万マイル離れた音楽を演っている」
という、イギリス的なユーモアも込められたアルバム表題曲。
甘口なVoと歌心を感じさせるG、爽やかな空気を運んでくる
Keyのコンビネーションは、まさしくメロハーの王道。


Passion Street - Million Miles Away ★★ (2015-10-09 22:59:29)

イギリス出身の6人組が、MEGAROCK RECORDSに'94年に残した唯一作。
BOSTONの『THIRD STAGE』を思わすスペーシーなアートワークに、当時の日本盤リリース元がゼロ・コーポレーションだった事実だけで、メロディ愛好家はある程度本作に託されている音像が想像できるのではないかと思いますが、実際、その期待が裏切られることはありません。
Keyを爽やかに配し、マイルドなハイトーンVoと、ニール・ショーン型の歌心を感じさせるGとが、適度にポップで適度にウェット(ハジけきれない感じがいかにも英国的)なメロディを芳醇に紡ぎ出していくサウンドは、BOSTON、JOURNEYといった大御所からの影響も濃厚なAOR/産業ロック路線を志向。
元がデモテープで、商品化に当たっても何のお色直しも施されていないらしく、プロダクションに関しちゃ貧弱極まりないのが残念ですが、アルバム表題曲②を筆頭に、ヘヴィ&ダーク一色に塗り潰されていた当時の英国HR/HMシーンに差し込んだ一筋の希望の光の如き楽曲の良さが、それを大いに救ってくれています。(まぁ、本作のみで潰えてしまう儚い輝きだったわけですが、だからこそ尊かったとも)
インディー・レーベルからの発表だったせいで流通が弱く、今じゃゼロから出ていた日本盤に妙なプレミアが付いて手の出し辛い作品になってしまっていることが惜しまれます。


Passion Street (2015-10-09 22:56:13)

シンガーのリック・カーティを中心に、英国南東部の街ブライトンを拠点に活動していた、ツインGにKey奏者を含む6人編成の大所帯バンド。
'93年に制作した9曲入りデモテープが評判となったことから、更に1曲を追加収録して正式アルバム化。同作は'94年にMEGAROCK RECORDSから(日本盤はゼロ・コーポレーションから)リリースされた。
アルバム1枚きりで活動が滞ると、VAUGHNのパット・ヒース(G)らを新メンバーに加えた後、バンドはBRAVE NEW WORLDと名を変え、トーベン・シュミット(SKAGARACK)のプロデュースの下、アルバム『MONSTER』をリリースしている。


MARK FREE - Long Way From Love - Long Way From Love ★★★ (2015-10-07 22:23:39)

Keyがポロポロと奏でられるイントロだけで
名曲の予感が濃厚に漂うドラマティックなバラード。
エモーショナル極まりないマーク・フリーの歌声は勿論、
「ノルウェーから来たバイキング」とクレジットされている
ギタリストがまた良いGソロを提供してくれているんですわ。


MARK FREE - Long Way From Love - Something You'll Come Running ★★★ (2015-10-07 22:14:48)

POWER ROCK TODAYのCMタイムに流れて来た
この曲を聴いて、アルバム購入を決意しましたよ。
キラキラとスパンコール撒き散らしながら弾むような
哀愁のハードポップの名曲。
ゼロ・コーポレーション系アーティストでベスト盤を作るなら、
OPナンバーはこの曲で決まりかと。


MARK FREE - Long Way From Love ★★★ (2015-10-06 22:18:04)

張りのあるハイトーンに、ソウルフルな節回し・・・KING KOBRA時代から歌唱力には定評のあった実力派シンガー、マーク・フリーが'93年に発表した初のソロ・アルバム。
自身の歌声を主役に据えて、敏腕ソングライターとして鳴らすジュディス&ロビン・ランダル母娘の楽曲提供を受け、キャッチーに躍動するハードポップ・サウンドは――HR/HMとはだいぶ距離を感じさせるものの――まるで心の奥底に堆積する澱すらも綺麗サッパリと浄化してくれるかのような美しく瑞々しい魅力を湛えています。
冴えない音質や、VoとG以外はほぼ打ち込み処理の録音体制等、デモテープをそのまま商品化してしまった感じのプロダクション・クオリティのせいで、雑誌での評価はあまり芳しいものではありませんでしたが、絶品の歌唱と哀メロが感動を呼ぶ④に名バラード⑪etc・・・と、捨て曲皆無の本編はそうした欠点を補って余りあるサムシングを保有。中でも、煌びやかなKeyを身に纏い、潤いに満ちたメロディをマークが伸びやかに歌い上げる必殺の名曲①は、当時ラジオCMで流れて来た途端、こっちをお金握り締めてショップへ駆け込ませるだけのインパクトを有していましたよ。
既に廃盤になって久しい本作の国内盤が、専門店じゃ未だに結構なプレミア価格で取引されていることからも、そのクオリティの高さと愛されっぷりを物語っていると言えるのではないでしょうか。
いっそマーシー・フリー姐さんがこのアルバムをリメイクしてくれたら面白いと思うのですが、ダメですかね。


220VOLT - Eye to Eye ★★ (2015-10-06 01:27:08)

EUROPEの成功劇に刺激され、その後に続かん!とばかりに、アメリカナイズされたコマーシャル路線へと転進を試みた'88年発表の4thアルバム。
売れっ子マックス・ノーマンのプロデューサー起用、タイトに締まった音作りから、分かりやすく整理された曲展開、キャッチーさをいや増したメロディ、そして盛り盛りのコーラスに至るまで、バンド側の「アメリカで売れたるでぇ!」との熱い野望をヒシヒシと伝えるかのように躍動するサウンドは、「田舎臭さも北欧メタルの魅力だよな」とかのたまう難儀なジャンルファン(俺)以外にも十分アピールし得る、220VOLTの代表作に相応しい洗練された佇まいを獲得しています。
さりとて、北欧メタル・テイストが完全に失われてしまったわけじゃなく、例えば疾走ナンバー⑦におけるスリリングなツイン・リードGの用い方や、淡い哀感に覆われたアルバム表題曲④、名曲と評判のバラード⑤等からは、隠そうとしても隠し切れないバンドの出自がチラ見え。1st『220VOLT』をこよなく愛する我が身を安堵させてくれます。
結果的に本作は思ったような成功を収めることができず、220 VOLTは解散の道を選択するものの(後に復活)、彼らとしてはここまでやり切ったのなら、無念さはあっても後悔はなかったのでは?と思わせてくれる1枚でありました。


NOZOMU WAKAI'S DESTINIA - Anecdote of the Queens ★★ (2015-10-04 09:47:27)

デビュー作『REQUIEM FOR SCREAM』が絶賛された俊英ギタリスト、若井望(G)率いるプロジェクトが'15年に発表したミニ・アルバム。
ミニといっても全7曲でトータル40分に迫る収録時間は、アナログ時代であれば立派にアルバム級のボリューム。更に、ドヴォルザークの“新世界”のメロディをフィーチュアして突っ走るネオクラシカルな①を皮切りに、本編はデビュー作において披露した劇的且つメロディックな正統派HMサウンドをブレなく継承。前作ではバック・コーラスのみの参加に留まっていた女性シンガーの榊原ゆいとFUKIを、今回はガッツリとリードVoとして全面起用したり、アルバム・ハイライトの①を特別ゲストのロブ・ロックに⑦で再び歌ってもらうアイデアも、「こやつめ、やりおるわい」と。
そうした戦略から、収録曲のクオリティ、そして若井自身のエキサイティングなGプレイまで、本作には「次の作品までの繋ぎとして、ちゃちゃっと作ってみました」的なやっつけ仕事感は絶無。リスナーに満足感を与えつつ、同時に「もっと聴きたい」との飢餓感も煽るという、難しい注文にきっちりと答えを出してみせた1枚。


EXORCIST - Nightmare Theatre - Riding to Hell ★★★ (2015-10-01 23:23:28)

音程無視のシャウト型Voに、ヤケクソ気味に引き倒すG、
ひたすら直線的に突っ走るリズムと、
アクセルべた踏みで突っ走る(その結果、最後に事故を起こす)
高速スラッシュ・ナンバー。
スピード・メタリックなGリフのカッコ良さは本編随一。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still - Dreamcrusher ★★★ (2015-10-01 00:38:32)

ブリトニー・スレイズの堂々たる歌唱と、
IRON MAIDENばりのドラマティックな曲展開が
聴き手をバンドが構築する叙事詩世界へといざないます。
10分に及ばんとする長尺をものともせずにアルバムの
ハイライトを飾る、UNLEASH THE ARCHERS渾身の
エピック・ナンバーの名曲。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still - Frozen Steel ★★ (2015-10-01 00:20:50)

パワーメタル・アルバムの幕開けはこうでなくっちゃな!
というドラマティックな序曲を経てスタートするOPナンバー。
力強く伸びやかなブリトニー・スレイズの歌声と、
テクニカルにリフを刻み劇的にハモってみせるツインGを
両軸とする、勇ましくも適度にキャッチーなこのバンドの
音楽性を分かりやすく伝えてくれる逸品です。
迫力を殺ぐ音作り(特にリズム面)が勿体無いなー。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still ★★★ (2015-09-27 21:17:23)

このバンドについては何も知らなかったのですが、EVIL INVADERSの来日公演にゲストとして帯同していた彼らのライブを見て・・・というか、フロント・ウーマン、ブリトニー・スレイズ(Vo)のメタル・ゴッデスぶりにすっかりやられてしまい、早速購入に走った'15年発表の3rdアルバム。
多彩にリフを刻むテクニカルな2本のGと、疾走感に満ちたリズムにより導かれるヒロイックなパワー・メタルは、IRON MAIDEN、MANOWAR、独産メロパワ勢といった先達からの影響が基盤にありますが、そこにブラスト・ビートやグロウルによるコーラス等、デス/ブラック・メタルのエッセンスも躊躇なく投入するセンスが、今時のバンドやなぁと。それでいてキャッチーさを損なうことなく磨かれたサウンドを聴いてると、個人的にはLOST HORIZON(の1st)のことが脳裏を過ぎったりも。
んで。そんな本作に更なるサムシングを付与してくれるのが、前述したブリトニー嬢のパワフルな歌唱。男勝りの力強さだけでなく、冒頭の疾走ナンバー3連発やキャッチーな⑤等でハイトーンを張った際に醸し出される、女性シンガーならではの凛とした気高さには、メタル者の背筋を真っ直ぐに伸ばさせる威力あり。本編ハイライトをドラマティックに飾る大作曲⑧の素晴らしさは、彼女の存在によるところ大ですよ。ついでにジャケ写と実際のお姿にギャップがない点も評価ポイント(笑)
著しく迫力に欠くプロダクションは要改善なれど(ライブを見てからだと尚更そう感じる)、とりあえずBATTLE BEAST辺りに痺れた人なら押さえておいて損のない1枚ではないかと。


UNLEASH THE ARCHERS (2015-09-27 21:02:37)

カナダはヴァンクーヴァーを拠点に活動する5人組。
ブリトニー・スレイズ(Vo)、スコット・ブキャナン(Ds)、ブレイデン・ディツコウスキ(G)らによって'07年に結成され、'09年には早くも1st『BEHOLD THE DEVASTATION』でデビューを飾っているので、活動は結成当初より順調だった模様。
オリジナル・メンバーでバンドの中心的存在だったブレイデンの脱退等がありつつも、2nd『DEMONS OF THE ASTROWASTE』('11年)の発表や、カナダ国内ツアーで腕を磨いたバンドは、'15年に入ってオーストリアのNAPALM RECORDSとのディールを獲得。同年には3rd『TIME STANDS STILL』をリリースし、更にはベルギーのスピード/スラッシュ・メタル・バンド、EVIL INVADERSのライブにスペシャル・ゲストとして帯同し、初の来日公演も敢行している。


VOLCANO - Melt ★★★ (2015-09-26 01:21:10)

'15年発表の4thアルバム。前作から4年のブランクと相変わらずの寡作バンドっぷりですが、今回はその間に屍忌蛇のソロ作『DUAL WROLD』のリリースが挟まっていたこともあり、然程待たされた気はしなかったかな?と。
ともあれクオリティに関しては、アルバムの幕開けをドラマティックに飾る「軍歌メタル」とでも評したくなる①が始まった瞬間に安心できることをお約束致します。
金属的色艶と激情の迸りを兼ね備えたNOVの特徴的なVoも、硬質なサウンドを下支えするリズム隊のタイトさも、そして何より堰を切ったように泣きが溢れ出す屍忌蛇のGプレイも相変わらず絶好調。
初期の頃は、やや安直というか、型にハマった泣きメロの組み立てが時にチープに響く場面が無きにしも非ずだったのですが、今や熱き血潮通う慟哭のメロディにその気配は皆無。有名曲のフレーズを引用したりするANIMETAL的手癖もスッパリと断ち切った屍忌蛇のGワークは、完全に彼独自の世界を構築していますよ。
特に、スピーディ且つアグレッシブに畳み掛けるスラッシーな曲調を突いて、サビメロとインスト・パートでは猛烈な泣きが大噴出するという、VOLACANO必勝パターンが敷かれた②③と、涙腺を決壊させるべく哀愁が渦を巻く劇的な④、そして撒き散らされる悲壮感が胸を突き刺すパワー・メタル・メドレー⑩⑪(亡き友人に捧げられているのだとか)は、完膚なきまでにこちらのハート鷲掴んでくれるアルバムのハイライト。
・・・と、どうにか感想を捻り出してみたのですが、ほぼ毎日のように聴いていても、毎度「うーむ、カッコイイ」と聴き惚れてる内に本編が終わってしまうので、あまり書くことが思い浮かばないというのが実際のところ。とりあえず「デビュー作以来の傑作」との評価をもって本文を締め括りたいと思います。


EXORCIST - Nightmare Theatre ★★★ (2015-09-21 22:21:59)

突如HR/HMシーンに現れた、謎の(というか、そもそも誰も正体を知りたがらなかった)覆面スラッシャー、EXORCISIT。ジャケットのインパクトも強烈な本作は、彼らが'86年にCOBRA RECORDSに残した唯一作で、スラッシュ愛好家が「EXORCISTは実はVIRGIN STEELEの変名バンドだったのです!!」と、いくら!!マークを多用して熱弁を振るっても、堅気のメタル・ファンからは「それがどうした」ってな醒めた(至極ごもっともな)反応しか返ってこなくてしょんぼりする1枚でもあります。
尚、マスクの下の正体はVIRGIN STEELEですが本編にエピック・メタル的要素は皆無。ラフなプロダクションに、メロディ無視でダーティに吐き捨てるダミアン・ラス(デヴィッド・ディフェイズ)のVo、チリチリとした音色でササクレたリフを刻み、狂ったようにソロを弾き倒すG、押して押して押しまくるリズム隊・・・と、徹頭徹尾、アングラ感満載のスラッシュ・サウンドを実践しています。
但し、不気味なSEやインスト曲等を曲間に配置して、見世物小屋的いかがわしさというか、ホラー映画ライクな雰囲気を演出してみせる手腕には、(方向性は異なるものの)VIRGIN STEELEに通じる「大仰さ」に対する拘りが感じられなくもないかな?と。
昭和のSLIPKNOT・・・と言ったら明らかに褒め過ぎですが、個人的には結構お気に入りの1枚。切り立ったGリフが荒々しく突進する③や、スピード・メタリックな⑫とか、かなりカッコイイ出来栄えですし、確か収録曲の幾つかは後にVIRGIN STEELEのアルバムでもリメイクされた筈。


EXORCIST (2015-09-21 22:19:08)

'86年にCOBRA RECORDSからアルバム『NIGHTMARE THEATRE』でデビューを飾った覆面スラッシュ・メタル・バンド。
プロデュースや作曲をVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディフェイズとエドワード・パッシーノが手掛けており、てっきりVSの弟分バンドなのかと思いきや、後に、弟分も何もVIRGIN STEELE自身の変名バンドであることが判明。
彼らはこの時期、PILEDRIVERの2nd『STAY UGLY』や、デヴィッド・ディフェイズの妹がシンガーを務めていたORIGINAL SINのアルバム『SIN WILL FIND YOU OUT』に全面参加したりと、積極的に課外活動に精を出していて、このバンドもそうした中の一つだった模様。


SAINT - Time's End - Time's End ★★ (2015-09-20 19:58:12)

MALICEの“ROCKIN' WITH YOU”と双璧をなす
「まるで“METAL GODS”」なアルバム表題曲。
聴く度に笑ってしまいますが、嫌いじゃありません。


H.E.A.T - Live in London ★★★ (2015-09-20 10:16:04)

先日、スウェーデンの俊英H.E.A.T.が初の単独来日公演を行いました。もしガラガラだったら気の毒だし・・・と足を運んでみれば、「んなモン余計なお世話じゃボケ!」とばかりに会場は入り口からファンが溢れ出す大盛況ぶり。
実際、エネルギッシュなパフォーマンスから、観客を巧みに乗せるステージングまで、踏んできた場数の多さが伝わるライブは「北欧バンド=ライブ下手」という先入観を粉砕してくれる内容で、こりゃ人気出るのも当然よなと。特に、メロハー的線の細さとは無縁で、時にパンクロッカーばりのはっちゃけ具合でステージ狭しと動き回るエリク・グローンウォール(Vo)の存在感には大いに感銘を受けた次第。・・・という彼らのライブの素晴らしさを余す所なく捉えているのが、'14年発表の本実況録音盤です(やっと本題)。
イギリスのFIREFESTでトリを務めた時の模様がレコーディングされている本作、まず耳を惹くのが観客の熱烈な盛り上がり。80年代はともかく、今やメタルに関しちゃ冷めてるイメージさえあった(偏見)ロンドンっ子が、バンドの熱量の高いパフォーマンスに呼応するかのように1曲目から歌いまくり叫びまくり。メロハー・バンドとしてスタートを切り、徐々にワイルドでハード・ロッキンな側面を強調し始めた作風の変化が賛否両論を呼んでいるH.E.A.T.なれど、少なくとも本作を聴く限り、(殊にライブという場においては)この変化は正解であり必然だったのかなぁと。
近作中心の選曲に不満を覚える向きもありましょうが、H.E.A.T.ライブ前の予習用に、ライブ後は余韻に浸るための復習用に、何より単純に優れたライブ盤として、一聴をお薦めする1枚であります。


KING KOBRA - Ready to Strike - Ready to Strike ★★★ (2015-09-19 01:46:20)

KING KOBRAの代表曲なのですが
バンドやアルバムの音楽性の核心を表した楽曲なのかといえば
実はそうでもないという。
しかし、マーク・フリーが熱唱するキャッチーなメロディに、
カーマイン・アピスが叩き出す心地良く乗れるビートから、
印象的にハモるツインG、それらに導かれるドラマティックな
曲展開に至るまで、問答無用の名曲であることは疑うべくもありません。


SAINT - Time's End ★★ (2015-09-18 00:57:59)

名曲“LEGIONS OF THE DEAD”を収録する自主制作EP『WARRIORS OF THE SON』で'84年にデビューを飾った4人組が、'86年にPURE METAL RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ロブ・ハルフォードの生霊を憑依させたかのようなシンガーのイタコ真っ青な歌唱を筆頭に、JUDAS PRIESTに瓜二つな音楽性がマニアの間で評判となった彼ら・・・と書くと、単なる物真似バンドと思われるかもしれませんが、逆に「メタル・ゴッドと聴き紛う程のクオリティを有していた」とも言えるわけで。
もっさりとした音質に、まとわりつく垢抜けないマイナー・メタル風味と、アメリカのバンドらしいキャッチーさが加わった2nd『TOO LATE FOR LIVING』の名盤っぷりにはまだまだ及ばないまでも、デビューEPに比べると肩の力が抜け、ロブ・ハルフォー度を増したシンガーの歌唱から、前作より練られたフレーズを閃かせるようになったGまで、バンドとしてのレベルは格段にUP。中期JUDAS PRIESTばりの光沢を放つ③⑤⑧といった正統派HMナンバーが提示するカッコ良さは、(ゴールドクロス級とまでは行かずとも)とりあえずブロンズセイント並の破壊力は感じさせてくれる逸品です。
車田まさみ風に言うところの、「彼らはようやく登り始めたばかりだからな。この果てしなく遠いJUDAS PRIEST坂をよ・・・」と、SAINTの今後に大いに期待が持てる1枚。(事実、次作で大当たりを出してくれる)


KING KOBRA - Ready to Strike ★★★ (2015-09-14 23:20:31)

個人的に「昭和の三大コブラ」と言えば、アントニオ猪木のコブラツイスト、マリオン・コブレッティ刑事、そしてこのKING KOBRAで決まりですよ。(次点は『ベストキッド』のコブラ会)
LAメタルの盛り上がりを目の当たりにしたカーマイン・アピスが「乗るしかない、このビッグ・ウェーブに!」と結成したKING KOBRAは、集められた野心に燃える新人メンバー(後にそれぞれ確固たるキャリアを築く腕利き揃い)全員を金髪で固め、カーマインを含むグループショットが「金色毬藻に囲まれたウニ一匹」みたいな様相を呈するビジュアル戦略も話題を呼んだような呼ばなかったような。
しかし何より彼らを語る上で欠くことが出来ないのが、'85年発表のデビュー作たる本『READY TO STRIKE』と、その幕開けを劇的に飾るアルバム表題曲の存在。キャッチーなVoメロディ、印象的にハモるツインGを散りばめた、疾走感溢れる曲調にドラマティックな曲展開・・・これぞまさしくLAメタル史に燦然と輝く至高の逸品。HR/HMファンなら避けては通れぬ名曲ではないかと。
昔はこの曲ばかりヘヴィロテしていたものですが、それ以外の収録曲にしても、アリーナ・ロック然としたスケール感を有するサビメロが秀逸な②、ハード・ドライヴィンな⑥、哀愁溢れる⑨等、十分に魅力的。いずれも“READY~”とは方向性が異なりますし、同曲の衝撃の前に存在が霞みがちってのは確かなんですけどね。
90年代に一度CD化されたきりで、中古屋じゃ手の出し難いプレミア価格で売られている本作を見かけるにつけ、ぼちぼちこの名作の国内盤をリマスター再発するべき時期が来ているのではないでしょうか!?と。(カーマイン・アピス総裁考案「コブラのポーズ」を決めながら)


HERITAGE - Remorse Code - Attack - Attack ★★★ (2015-09-13 23:32:08)

NWOBHM史に残る名曲!と持ち上げるつもりはありませんが
アルバムのハイライト・ナンバーであることは間違いないのではないかと。
曲名に相応しく攻撃的に牙を剥くアップテンポの曲調ゆえ、
ミドル~スロー・ナンバーだと音程の甘さが気になるVoの粗も
(さほど)目立ちませんし、ツインGも劇的にハモってくれて
楽曲の印象向上に大きく貢献してくれています。


HERITAGE - Remorse Code ★★★ (2015-09-12 23:58:34)

後にSTATETROOPER立ち上げに関わるスティーヴと、SAXONに籍を置いたポール“FASKER”のジョンソン兄弟を中心に、NWOBHM期に活動していたバンドが'82年に発表した1stフル・アルバム。
NWOBHMのメロウ・サイドに属する、メロディとハーモニー重視の叙情HRサウンドがマニア筋でそこそこ評価された本作。個人的にも(かつて入手に苦労させられた思い入れ込みで)三ツ星評価を付けることに躊躇いはないのですが、ただ、じゃあこれがナウなヤングにウケる音かと言えば、正直かなり微妙なとこかと。
プロダクションのしょぼさはこの手のバンドの常と諦めるにしても、前へ出てくる割に終始不安定感が付き纏うVo(専任シンガーが見つけられなかったため弦楽器隊がシェアしている)や、センスは十分なのに主張の弱いツインG、そしてキメ曲不在によるフラットな本編構成etc・・・と、全体的に押し出しの弱い薄味な仕上がり具合に、彼らがシーンで確固たる地位を確立出来なかった理由が垣間見えるような。
それでも、少々頼りないハーモニーが却って楽曲の哀感を増幅してくれる①や、アップテンポの曲調にツインGが映える②、初期PRAYING MANTISを思わすポップな③、じめじめと貧乏臭く陰気な(褒め言葉)バラード④等、アルバム前半に居並ぶ楽曲は、本作がマニアに愛でられる理由をそこはかとなく伝えてくれる秀曲揃い。
「初期PRAYING MANTISを更にいなたく野暮ったくしたようなサウンド」と聴いて、食指がピクリと反応した貴方へ(いるのか?)お薦めする1枚。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS - FIRE AND ICE ★★★ (2015-09-10 23:37:36)

JOURNEYとSURVIVORの美味しいトコ取りな(?)
アップテンポの快活なHRチューン。
弾きまくるGソロが楽曲の持つ爽快感を
効果的に盛り上げてくれています。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS ★★★ (2015-09-09 23:17:49)

スペイン産メロディアスHRバンドというと、古くはHIROSHIMA、近年だと91 SUITEやNEXX等の名前が思い浮かびますが、このGOLDEN FARMが'03年に発表した1stアルバムも、それらのバンドに引けをとらない出来栄え。
同国大手のAVISPA RECORDSのプッシュを受けてるだけあって、ドメスティックなイモ臭さを殆ど感じさせないメロハー・サウンドは、シンガーの伸びやかな歌唱力から、ネオクラシカルな美旋律も紡いでみせるGを始めとする楽器陣の演奏力まで、デビュー作にしてに早くも世界水準に達しています。
ピアノによるイントロ転じて軽やかに幕開けを飾る、ハードポップのお手本のようなOPナンバー①を挨拶代わりに、エッジを効かせて爽快に疾走する③があったかと思えば、重厚なアレンジの施されたヘヴィな⑧や、中期イングヴェイを思わす冷ややかな⑩があったりと、本編の流れが単調にならぬよう、幅を持たせた曲作りのセンスがキラリ。尚且つスペイン人の血の為せる業か、時折猛烈な哀愁を放つキャッチーなメロディがアルバムに一本の筋を通してくれているので(ついコブシが回ってしまう⑦とか)、散漫な印象もありません。
ボーナストラック⑫まで秀曲なのですから実に立派。時折「2ndはまだですかいの」とか思いながらCD棚から引っ張り出しては聴き直していた作品なのですが、ある日購入した書籍に「中心メンバーだったギタリスト氏が事故死して'07年にバンドは消滅」と書かれていて、地味にショックでした。


RAVEN - Architect of Fear ★★ (2015-09-08 00:08:29)

発売前の雑誌レビューで、地味、地味、言われてて「んなわけねぇだろ!」と思って聴いたみたら、「あ、本当に地味だ・・・」となった'91年発表の8thアルバム。
理由は大きく分けて二つ。一つはヘヴィネスとアグレッションを重視するあまり楽曲からキャッチーさが薄れてしまっている点で、もう一つは収録曲の詰め込み過ぎ。元々、曲作りにしろパフォーマンスしろ小器用に立ち回れるタイプのバンドじゃないので、60分近い収録時間は幾らなんでもダレますって。
しかし、一口に「ヘヴィ」と言ってもその質感は流行に影響された『GLOW』等とは全く異なりますし、ドイツへと渡って当地のパワー/ヘヴィ・メタル・バンド勢に触発されたのか、アメリカ時代の試行錯誤を吹っ切ったかのように、焦点を絞り込み徹底的にソリッドにシェイプアップされたRAVENサウンドは、冒頭で述べた欠点も大目に見ようかなという気にさせてくれる気迫に満ちています。
特に中盤⑥辺りからエンジンが温まり始め、スピード全開な⑩、緩急を取り入れてドラマティックに展開する⑪、暢気なイントロからガラッと空気を換えてハイパーに突撃する⑫と畳み掛ける終盤のラスト・スパートは、四の五の言わせないテンションの高さが圧巻。
「終わり良ければ全て良し」派のメタラー諸氏にお薦めする1枚でしょうか。


HIBRIA - Hibria - Church ★★★ (2015-09-03 23:57:47)

ユーリ・サンソンが灼熱声を活かして
歌い上げるサビメロにメタル魂が熱くなる名曲。
初期の正統派HM路線と、現在追及している
モダンなテクニカル・メタル路線が
上手いこと1曲の中で組み合わされています。


HIBRIA - Hibria ★★ (2015-09-03 00:05:49)

セルフ・タイトルを冠した'15年発表の5thアルバム。最初に書いておくと、今回も初期路線ではありませんので。曲によっては管楽器が吹き鳴らされたり、スティーヴィー・ワンダーの“愛するデューク”のカヴァーに挑戦してみたりと、それはもう拡散の方向へ意気揚々と突き進んでいて、山本リンダばりに「もうどうにも止まらない」と。
しかしながら、それでも本作がストロングなHMアルバムであることに違いはありません。ユーリ・サンソン(Vo)のメタル魂を燃焼させるかの如き熱唱も、テクニカルな楽器陣が火花散らすインスト・パートのテンションの高さも健在。中でもパワフルにして劇的な⑧は、本作購入を悩む人に「この曲目当てで買いなよ」と声掛けて回りたくなるカッコ良さですよ。
先に触れたホーン・セクションについても、別に鳴り物が導入されたからといって能天気になってしまったわけはなく、その使用法は主にサウンドの「威勢の良さ」を補強する方向で活用。例えるならRIOTの『THE PRIVILEDGE OF POWER』の導入法に近い感じゆえ、個人的には然程気にせず受け止めることができました。『THE PRIVILEDGE~』すら受け入れ難かったという人には、慰めの言葉のかけようもありませんが・・・。
既にバンド初期の中心メンバーは脱退済みで、今回で路線変更以降の作品数が正統派HM時代のそれを上回ったこと等を鑑みるに、最早「HIBRIAはこういう音楽性のバンドなのだ」と割り切ってしまった方が、作品がリリースされる度に落胆するよりも精神衛生上よろしいんかなぁと。
少なくとも本作が、そう思わせるだけの質を備えていることは間違いないので。


MARCHELLO - Destiny - First Love ★★★ (2015-09-01 22:48:26)

シンガーとして、ギタリストとして、何よりコンポーザーとして
実力が遺憾なく発揮されたドラマティックなバラードで
ジーン・マルチェロが「これが俺のベスト・パフォーマンス」と
胸を張るのも納得の名曲ぶり。エンディングのGソロは
もうちょっと抑えても良かったのでは?と思わなくもないですが
これが若さか・・・ってなもんですよ。


MARCHELLO - Destiny - Destiny ★★★ (2015-09-01 22:37:03)

イントロ40秒聴いただけで、もう名曲であることは明白。
Voに負けじと前へ前へと出てくるGの張り切りぶりに耳奪われますが
考えてみりゃどっちも担当はジーン・マルチェロでした。
曲調を考えるとちょっと弾き過ぎな感が無きにしも非ずなれど、
若きギタリストのデビュー作ならこれぐらいの血気盛んぶりは
十分許容範囲内。Voも担当して力点が分散したことで
ぎりぎりバランスは保たれたかな?と。
あと、ハード且つドラマティック、でも透明感が漂ってくる辺りは
確かに北欧メタルっぽい。


MARCHELLO - Destiny ★★★ (2015-08-31 22:58:23)

GOOD RATSのメンバーで、FIONAのアルバム等をプロデュースしていたペピ・マルチェロを父に持つミュージシャン・・・というよりも、OZZY OZBOURNEのギタリストの座を、ザック・ワイルドと最後まで争った人物として記憶されるジーン・マルチェロ(Vo、G)率いるバンドが、'89年に残した唯一作。
早熟の天才G奏者なる前評判に、購入当時は何となく「力の限り弾き倒すSHRAPNEL系パワー・メタル」を期待していのですが、実際のところ、彼のギター・ヒーロー然とした華を感じさせるGプレイは確かに楽曲内を縦横無尽に駆け巡ってはいるものの、その演奏スタイルは押しと引きを十分に心得たもの(そもそもテクだけが売りのギタリストをオジーが欲する筈もなく)。サウンド自体、自らが担当する伸びやかな歌声の活かされた溌剌と弾む喉越し爽快なメロディアスHR路線で、このテクニカルな奏者と、キャッチーなメロディ&美麗なハーモニーに彩られたポップな音楽性とのギャップは、嘗てのJOSHUAを思い出させるモノがあるようなないような・・・。
メタル脳を患う身としてはSHRAPNEL路線でも一向に構わなかったのですが、しかし本作もこれはこれで十分オツな味わい。中でも、目立ってハード且つドラマティックなアルバム表題曲③と、発表当時MTVでも話題を呼んだバラード④の2曲は、ジーン・マルチェロの「書いてよし」「歌って良し」「弾いて良し」な優良物件ぶりを知らしめるに十分なアルバムのハイライト。彼自身がVoとGを兼任することで、どちらか一方が過度に自己主張し過ぎることなく、バランスが取られている点も好印象を残します。
かように素晴らしい作品を残したにも関わらず、その後の彼のキャリアがパッとしなかったのが不思議と言えば不思議。現在は父親と一緒にGOOD RATSをやってるのかな?


ECLIPSE - Are You Ready to Rock - Under the Gun ★★★ (2015-08-30 00:42:57)

叙情的なイントロから、シャウト一発、
熱く弾ける攻撃的な曲調へと転じる様式美全開な曲展開で
早くもハート鷲掴み。
北欧のバンドらしい憂いをたっぷりと湛えつつも、
一緒に歌いやすいキャッチーさも加味されたサビメロに
メタル魂が燃え上がりますよ。


ECLIPSE - Are You Ready to Rock - Hometown Calling ★★★ (2015-08-30 00:37:10)

円を描くような感じで刻まれるGリフ、
疾走するリズムや印象的にハモるツインGまで、
曲調はヘヴィ・メタリックと言っていいぐらい
アグレッシブですが、その上に乗っけられた
歌メロは実に伸びやかでフックに満ちています。


ECLIPSE - Are You Ready to Rock ★★★ (2015-08-28 22:32:07)

FRONTIER RECORDSが仕掛けた数多のプロジェクトに参加し、ソングライターとしての手腕を振るって来たスウェーデン人アーティストのエリック・マーテンセン。その彼のメイン・バンドたるECLIPSEが'08年に発表した2ndアルバム。
そんなわけで聴く前から出来の良さは約束されたようなもんの本作ですが、実際に聴いた後も、その信頼が裏切られることはありませんでした。80年代風味満点の健康的なメロディックHR(日章旗ジャケットの採用は80年代っぽさを演出するためか?)という、デビュー作で披露したサウンドを継承しつつ、メロハー路線に寄せてた前作に比べると、今回はWHITESNAKEやUFOといった彼らのルーツたるブリティッシュHRバンド勢に対する愛情をつまびらかに開陳することで、楽曲に、よりハード・ロッキンなエッジと躍動感が加味されているのが特徴。その辺は『ARE YOU READY TO ROCK?』なる直球極まりないタイトルが堂々表す通りですね。
それでいて勢い任せで大味になってしまうことはなく、涼しげな哀愁に彩られた歌メロにしろ、メタリックに弾きまくって存在感を主張するGソロにしろ、全編に亘ってフックの大盤振る舞いなのですから、やはりエリック・マーテンセン、只者じゃあない。
無駄なく構成されたアルバムに捨て曲は見当たりませんが、中でもアグレッシブな曲調と伸びやかなサビメロの対比が印象的な②と、アコギ爪弾かれるイントロの後、憂いに満ちたメロディが本編随一のハードさを纏って駆け抜ける⑤の2曲は、それぞれアルバムの山となるハイライト・ナンバー。
これ以降のアルバムも聴いてみたくなる魅力溢れる作品です。


OUTLOUD - Let's Get Serious - Like a Dream ★★★ (2015-08-26 21:55:10)

哀愁をたっぷりと湛えたメロハー・ソングなのですが
ゆったりとハモる泣きのツインGがPRAING MANTISに
通じる威力を発揮する場面も。


OUTLOUD - Let's Get Serious - I Was So Blind ★★★ (2015-08-26 21:50:42)

クッサクサなイントロだけで
「ハイハイ、俺の負け俺の負け」
となってしまうアルバム屈指の名曲。
70年代青春ドラマの主題歌に通じる(?)
哀愁を帯びた痒い所に手の届くメロディは
何度聴いても胸に響きます。


OUTLOUD - Let's Get Serious ★★★ (2015-08-23 11:21:26)

近年はガス・G率いるFIREWINDでの活動で知られるギリシャ人Key奏者のボブ・カティオニスが結成の音頭を取った5人組が、'14年に発表した3rdアルバム。
ちなみにジャケットにフィーチュアされているのはボブさんのモデルの彼女。この「自慢か!」なジャケ写を見ただけだと、ゴキゲンなパーティ・ロックでも聴かされそうで思わず身構えてしまいますけども、どっこい本作の中身は、心洗われるようなキャッチーなメロディを満載にした80年代型メロディック・メタル。
ジャンルとしてはNWOTHMの範疇で語られている作品のようですが、メタリックなエッジと疾走感を効かせつつも、歌心に溢れたシンガーの歌唱から、サウンドの中核を担い華々しく切り込んでくるKeyに至るまで、その作風からは必要以上の「力み」は感じられません。場面によってはJOURNEY、SURVIVORといった産業ロック方面からの影響も濃厚に伺わす伸びやかさも本作の魅力の一端。
70年代スポ根ドラマの主題歌みたいな②のクサメロなんて「聴けて良かった・・・!」と思わず天を仰ぎ見るレベルですし、他にもKeyによるイントロだけで気分が高揚するOPナンバー①、哀愁の旋律を歌うGが印象的な③⑤、PRAYING MANTISを思わす④、ドラマティックな曲展開を有する⑦等、本編には'14年度ベスト・チューン候補級の逸品がゴロゴロと。ポップ・メタルとブラスト・ビートを合体させてしまった⑪(クレジットはないけどDsはNILEのジョージ・コリアスか?)もユニークな仕上がり。
FIREWINDよりこっちの方が好きかも・・・と思わしてくれるのに十分な1枚でありました。


ARMORED SAINT - Win Hands Down ★★★ (2015-08-22 01:29:50)

ARMORED SAINTの作品と対峙するのは随分と久し振りなのですが、お~全然変わっとらんのぞ、と。そう言えば、以前に『SYMBOL OF SALVATION』を聴いた時も「この人ら、(良い意味で)全然変わらんなぁ」との感想を持ったことを思い出しましたよ。
但し、甲冑風の衣装を身に纏い、“キエフの大門”で華々しく幕が開いた名盤『MARCH OF THE SAINT』のイメージで本作に挑むと、今回の地味というか地に足が着いてるというか・・・な作風には肩透かしを食うことになるではないかと。ここには勇壮なスピード・ナンバーやエピック・ソングといった判り易いタイプの楽曲は見当たらず(実のところ『MARCH~』だって表題曲を除けばそんな感じだったのですが)、また、熱いのか醒めてるのか、やる気があるんだかないんだか分かり辛いジョン・ブッシュ(Vo)のぶっきらぼうな歌い回しも、そうした印象に拍車を掛けます。いや単に声質がオッサン臭いだけで歌の上手い人であることは、硬派な憂いが匂い立つ④や、7分以上に及ぶドラマティック⑦等を聴くまでもなく明らかなんですけどね。
聴き様によってはモダンにもオールドスクールにも耳に響く、ヨーロッパ産の同系統バンドとは一味違う骨太で乾いた哀感渦巻くパワー・サウンドは、威勢良く叩きつけられるOPナンバー①から、メランコリックなバラード⑧を含む後半戦に至るまで、噛めば噛むほど味わいが増す(ありがちな表現ですが)スルメ系の魅力が横溢。じっくりと対峙することをお薦めする1枚に仕上がっています。
購入当初は「星二つかなぁ」ってなもんでしたが、今や三ツ星評価に何ら躊躇はありませんですことよ。


RAVEN - Mad - Speed of the Reflex ★★★ (2015-08-20 22:45:43)

ハイテンションな突撃ナンバーですが、
緩急の織り込まれたドラマティックな曲展開からは
アメリカで荒波に立ち向かい続けたRAVENが
身に着けた風格というか、オーラの如きものが
立ち上って来るかのようです。


RAVEN - Mad ★★★ (2015-08-19 23:11:31)

念願の米メジャーとの契約を手に入れるも、レーベル側からのアルバム作りに対する度重なる介入に鬱憤を溜め込んでいたRAVENが、「だったらEPで好き勝手やったるわい!」とストレス発散目的(推測)でレコーディング、'86年に発表した5曲入りEP。
ハードコア/パンク・バンド顔負けのノリ一発な姿勢は、ヒネリもクソもない直球タイトルから、ラフな音作りやジャケット・デザインにもバッチリ反映。特にジョン・ギャラガーがイキ顔晒してるアートワークなんて、子供がうっかり目にした日にゃ悪夢にうなされそうな凶悪ぶり。試しに自宅で奉ってみたところ、家に憑いてた自縛霊が逃げ出したとの未確認情報もあったりなかったり。
全編、ギミックを排したアスレチック・ロック・ソングでハイテンションに押しまくっていますが、初期作のようなアウト・オブ・コントロール感はなく、むしろ緩急をナチュラルに織り込んだ作曲術からは、メジャー・アクトとしての洗練が(そこはかとなく)感じられたりも。特にスラッシュ・メタル顔負けの切れ味の鋭さと爆走感に、静と動の落差がドラマティックな曲展開を持ち込んだ①は、ファン人気も非常に高い(来日公演でも選曲されている)RAVEN屈指の名曲の一つ。
頭で聴くよりも、大音量で流して体感すべき作品でしょうかね。
尚、これまで他作品のボートラとしてオマケ扱いされることの多かった本作ですが、先日、TOWER RECORDS限定で単独再発が掛かりました。単品でCD化されたのは今回が初めてとのこと。


Y & T - Ten - Surrender ★★★ (2015-08-18 22:15:24)

キャッチーな楽曲構築術と、胸を打つ哀愁のメロディ&
エモーショナルなパフォーマンスとが渾然一体となった
後期(と言って良いのかどうか)Y&Tが目指した音楽性の
完成形と評すべき名曲。
それだけにこれが最終作の最終曲となってしまったのは
残念無念。当時の話ですが。


Y & T - Ten - Ten Lovers ★★★ (2015-08-18 22:09:26)

“SURRENDER”と並ぶアルバム『TEN』のハイライト。
皆さん仰られる通り、フォーク的な侘しい哀愁漂う前半から
バンド全体が加わって熱く激しく、それでいて泣きを損なうことなく
盛り上がっていく後半戦は何度聴いてもグッときます。


EXCITER - Unveiling the Wicked - Invasion/Waiting in the Dark ★★★ (2015-08-18 21:52:08)

重々しいイントロから疾走を開始し、
中間部に「聴かせる」インスト・パートを挟んで
ドラマティックに展開していく構成が
これまでになかった魅力を放つ名曲。
ダン・ビーラーは明らかに歌いきれていませんが
この人はこれで良い。


PHANTOM - Dead or Alive ★★ (2015-08-17 23:40:46)

日本デビュー作となった3rd『CYBERCHRIST』('93年)が評判を呼んだことから、急遽国内盤の発売が実現した'86年発表のPHANTOMの1stアルバム。オリジナル盤は全8曲でしたが、日本盤はボーナストラックとして1曲追加し全9曲が収録されています。
流石は天下に名だたるNEW RENAISSANCE RECORDSからのリリースだけあってプロダクションのショボさは折り紙付き(たった1週間でレコーディングされたのだとか)。おまけに当時の彼らはバンドとしての陣容さえまともには整っていない状態だったそうで。
「JUDAS PRIEST影響下の疾走感溢れるパワー・メタル」というサウンド・スタイルは、既にしっかと見据えられていて頼もしい限りですが、正直なところ楽曲は少々地味。Keyソロもフィーチュアして疾走するアルバム表題曲①やドスの効いたミッド・チューン③等、収録曲はどれも十分水準レベルに達してはいるとは思うものの、いかんせん『CYBERCHRIST』を聴いた後だとパワー不足の感は拭い難く・・・。それでも方向性に迷いの感じられた次作『PHANTOM』よりは焦点が絞られていますし、ファルコン・エディ(Vo)もパワフルな歌いっぷりで早々に実力の片鱗をチラリ。
PHANTOM作品で真っ先に聴くべきが『CYBERCHRIST』であることに疑問を挟む余地はありませんが、御用とお急ぎでない方は本作の方にも寄ってらっしゃい聴いてらっしゃい、と。


Y & T - Ten ★★★ (2015-08-17 01:02:22)

YESTERDAY & TODAY時代も含めると丁度10枚目の作品ということで、シンプルに『TEN』と名付けられた'90年発表の(Y&T名義では)7thアルバム。
バンドに対する注目度が下降線を辿りつつあった時期にあって、「俺達のY&Tが帰って来た」と比較的好意を持って迎えられた作品だけに、ポップ・メタル化著しかったここ数作に比べると、楽曲にはハードさが、デイヴ・メニケッティの歌とGプレイには「粘り」が戻って来ていることが確認できます。
と言ってもまんま初期の作風に立ち返ったわけじゃなく、マイク・ストーンが手掛けた音作りから、洗練を感じさせるアレンジ・センス、楽曲をキャッチー&コンパクトにまとめ上げるソング・ライティング術まで、ポップ・メタル路線の残り香もチラホラ。寧ろそうしたこれまでの試行錯誤が踏まえられているからこそ、本作は単なる過去の焼き直しではなく、折衷的魅力を湛えた好盤に仕上がったのではないかと。
本編前半には少々地味な印象も付き纏いますが、中盤以降の目を瞠る充実度でそれをリカバリー。取り分け、タメを効かせて盛り上がっていく⑥、息苦しい程にエモーション迸る⑩、ハード・ロッキンな熱さと泣きメロがドライヴする⑫は、デイヴ入魂の歌とギターが冴え渡る「これぞY&T!」な名曲っぷり。
彼らは本作発表後間もなく解散の道を選択してしまいますが、確かにこれ程の力作をモノにしたにも関わらずレコード会社から何の援護も受けられなければ、バンドの将来に対し悲観的になってしまったのもむべなるかな。(今は再結成してバンドもファンも皆ハッピー)


EXCITER - Unveiling the Wicked ★★★ (2015-08-13 00:07:02)

ジョン・リッチ(G)が脱退し、オリジナル・ラインナップが崩壊。しかし活動の勢いを鈍化させることを嫌ったバンドは直ちに旧知のギタリスト、ブライアン・マクフィーを迎え入れてツアーを続行すると、その合間にレコーディング作業も行い、'86年に本4thアルバムを発表しました。
突貫人事のようでいて、このブライアン氏が実に良いソロを弾く逸材でして。オールド・スクーラーな前任者に比べると、メタリックなリフを刻む傍らインスト曲②を始め、ソロ・パートではギター・ヒーロー然とした派手なGプレイも決めてみせる等、よりモダン(80年代当時)な感性の持ち主。それに触発されたのか、今作はカミソリっぷりは抑えめに、そのぶんキャッチーなメロディや構築感を重視し、JUDAS PRIEST型正統派HM路線への更なる接近が図られています。
で、こうなると問題になるのがダン・ビーラーの一発キメたようなVo。既に散々突っ込まれてる通り、一層メロディックになった楽器陣との乖離(というかテンションのズレ)は誰の耳にも明らかなんですが、でもじゃあ場の空気を読んで粛々と歌うダン・ビーラーをお望みか?と問われれば、答えは断じて否。この丸出しのメタルバカっぷり、ノー・ブレーキの「行ってこい」な全力投球シャウトこそが彼の個性なわけで。
あと本作を語る上で重要なのが、粒選りの収録曲の質の高さですよ。EXCITERらしいテンションの高さで突撃する①⑤⑧、ライブ映えしそうな③、重厚に押し寄せる⑦⑨etc・・・と、最高傑作の呼び声高い前作とタメ張るレベルの本編を聴いていると、諸々の問題点について「いいんだよ、細けぇこたぁ!」と心に棚を作る気になるってもんです。特に、起承転結を伴う劇的な疾走ナンバー⑥は数あるEXCITERの名曲の中でも五指に入るカッコ良さではないかと。


LEGEND(80'S) - Death in the Nursery ★★★ (2015-08-09 23:29:49)

シングルGの4人編成となって'83年に発表された2ndアルバム。
プログレッシブ・ロックや70年代HRの面影を色濃く留めていたデビュー作に比べると、ノリノリの⑤、劇的なイントロ一発で掴まれる⑥といった比較的シンプルな構成の楽曲が象徴する通り、今回はヘヴィ・メタリックにストレッチされたサウンドを披露。(ラフだが一発勝負的迫力が漲るプロダクションもそれを援護しています)
疾走感をいや増したリズム隊、エッジの効いたリフを刻み、メタリックな光沢を放つメロディを奏でるようになったG、そして楽器陣のオマケ程度の存在感だった前作から一転、憂いに満ちた歌メロを「俺が主役だ!」とばかりに朗々歌い上げるVoまで、大作主義を控えめにコンパクトにまとめ上げられた楽曲は飛躍的に「NWOBHM度」をUP。・・・といっても、ヒネリの効いた②や7分に及ぶ大作⑨等でプログレ色をアピールすることも忘れてはいませんが。
叙情的な導入部を経るOPナンバーに相応しい曲展開がドラマティックな①と、鋭利な切れ味のアルバム表題曲⑧という、従来プログレ風味と新味のHMテイストが巧みに編み合わされた名曲2編をハイライトに、緊張感を途切れさすことなく全編を駆け抜けていく本作は、発表当時、KERRANG!!誌でも好意的なレビューを頂戴する等、LEGENDの代表作として認知を得ているのも納得の1枚です。


LEGEND(80'S) - Legend ★★ (2015-08-08 01:33:06)

似たような名前のバンドが多数存在するため紛らわしいですが、こちらは英国はチャンネル諸島(ジャージー島)出身の5人組、'81年発表のデビュー作です。自主レーベルからのリリースゆえ流通が弱く、長らく入手困難とされて来た1枚ですが、今ではベスト盤『LEGEND ANTHOLOGY』で手軽に聴くことが出来るのですから有り難いこってすなぁと。
ただ、『RED』を発表した頃のKING CRIMSONを思い出すOPナンバー①を耳にすればご承知頂けるように、ここで披露されているのは判り易いNWOBHMの「型」に則った音ではなく、インスピレーション重視で奔放に繰り広げられる、プログレッシブ・ロックや70年代ブリティッシュ・ロックからの影響も露わなサウンド。オジー・オズボーンの薫陶を受けたフォークシンガー風(?)なVoの歌声から、ブルージーというかアーシーなセンスを全編に渡って迸らせるGに至るまで、そのものズバリなNWOBHMらしさを期待すると「あれ?」となるので要注意。
アタッキー且つハイレベルな演奏技術とダイナミックな曲展開に支えられ、全体を貫く威勢の良さからは間違いなくメタルの息吹が感じられますし、上記したOPナンバー①や、“HIROSHIMA”なるタイトルからして興味をそそられる②、10分に及ばんとする大作⑦等、収録曲のクオリティも安定。
キャッチーさに欠けるため取っ付き難さはありますが、NWOBHMサウンドそのものを期待しなければ、これはこれで非常にオツな1枚ですよ。


AFFAIR - No Substitute ★★ (2015-08-04 23:13:35)

ドイツ人ギタリストのボビー・アルトヴェイターと、MYSTERY等の活動で知られるベルギー人シンガー、ピーター・デ・ウィントによるメロディック・ロック・プロジェクトが、5年間の沈黙を経て'02年に発表した2ndアルバム。
過去にコツコツと作り溜めて来たマテリアルが用いられたことで、全体が濃厚な80年代テイストによって覆われていた前作に比べると、新たに書き下ろされた楽曲が大半を占める今回は、時代に即したシリアスさが大幅増(正式メンバーを揃えて「バンドらしさ」をアピールする狙いもあったのかも)。逞しげに疾走するOPナンバー①を聴いていたら、ふと、従来のメロディの魅力はそのままにハードさを増した、MYSTERYの1stから2ndにおける作風の変化を思い出しましたよ。ピーターの粗めな声質も、こうしたサウンドの方がフィット率が高いかな?と。
多少地味になってしまった感は否めないものの、その分メロディはヨーロッパ的な叙情成分が一層蓄えられていて、特に重厚且つドラマティックな⑩なんかは、AFFAIRの新たな魅力を伝えてくれるアルバムのハイライト・ナンバー。この名曲に限らず、ヘヴィネスが悪目立ちしないようにアコースティック・ギターやKeyを有用したアレンジも冴えています。
本作以降、音信が途絶えてしまいましたが、ピーターにしろボビーにしろ、元気でやっているのでしょうか?