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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2701-2800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2701-2800

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AFFAIR - Face to Face ★★★ (2015-08-03 23:21:02)

ドイツ出身のHRバンド――と言ってもメンバーはVo、G、Keyの3人のみ(Dsは打ち込み)、ライブも行っていないので、正確にはレコーディング・プロジェクトと呼ぶべきか――が、'97年に発表した1stアルバム。
キャッチーなメロディに彩られた、健康的且つ爽快なメロディックHRは、歌詞も含めて80年代風味満点(実際、80年代から作り溜められてきたマテリアルが元になっている)。これらのサウンドをクリエイトしたグループの中心人物は、ドイツ人ギタリストのボビー・アルトヴェイターですが、個人的に本作の購入動機の大半は、フロントマン役を担うピーター・デ・ウィントの存在にありました。
80年代はCROSSFIREやOSTOROGOTHで男臭いパワー・メタルを、90年代はMYSTERYでポップなメロディック・ロックを演って来た、このベルギー人ベテラン・シンガーのパワフルな歌声は、本作でも全く衰えることなく健在。ザックリとエッジの効いた曲調に、フッキーなメロディが彩りを添える①⑪、ノリ良くキャッチーな躍動感溢れる④⑨、そして本編のハイライトを飾る哀愁の名バラード⑥等、MYSTERYと同路線のメロディックHRソングの数々を、今回も持ち前の情熱的な歌い回しを駆使して熱唱してくれています。
ギタリストとしてもソングライターとしても優れた才能を発揮するボビー・アルトヴェイターという相棒を得たことで、ピーターの歌唱力もそのポテンシャルを十二分に引き出された、コラボ作の見本のような仕上がりの1枚。


SOLITUDE - Reach for the Sky ★★★ (2015-07-28 21:41:49)

デビューEPが'01年で1stアルバムが'09年と、作品のリリース・ペースがBOSTON級の気の長さを誇るSOLITUDE、'15年発表の2ndアルバム(と思ったら3rd扱いなの?)。しかし、これが長らく待った甲斐のある充実作に仕上がっているのですから、迂闊に文句は言えませんて。
前作完成後に加入し、今回がレコーディング作業初見参となる元ANTHEMの大内“MAD”貴雅(Ds)の存在がターボ燃料となったのか、本作はこれまで以上にスピーディ且つパワフルな方向へアクセルをベタ踏み。
拘りの詰まった強靭なサウンド・プロダクションを得て突っ走る、MOTORHEAD思わす好戦的な②、パワー・メタリックな肉厚さで迫り来る④、SOLITUDE版“WARNING ACTION!”とでも表したくなる⑥といったスピード・ナンバーの数々なぞ、スラッシュ・メタルを演っていたSACRIFICE時代も斯くやの獰猛さ。
それでいて後戻りした印象が皆無なのは、劇的にしてメロディックな③やインスト曲⑤を聴けば分かる通り、表現力を増した各パートがこれまで以上に「歌う」ようになっているせい。中でもヘヴィ・バラード調の⑧は、現在の彼らだからこそ成し得たエモーション迸る名曲っぷり。決して器用なタイプではないが(だからこそ)ヤサグレ男の哀愁を伝えるVoの熱唱や、泣きのGソロの剛速球が涙腺に沁みること沁みること・・・。
全8曲収録でランニング・タイムは40分台と、無駄なくタイトに引き締まった本編は体脂肪率0%。SACRIFICE時代からブレることなく一貫して追求し続けて来た、スラッシュ、NWOBHMの影響を取り込んだパワー・サウンドが、未だ前進の歩みを止めていないことを証明する1枚です。


WARLORD - Rising Out of the Ashes ★★★ (2015-07-26 23:50:26)

WARLORDが実に20年ぶりに発表した復活作。
今でこそベテランの復活作と言えば、自身の個性をしっかりと認識した会心作であることが殆どですが、この頃はまだ「俺達ゃ現役バンド!」とのプライドから、似合わぬ流行要素に手を出しては頓珍漢な内容に仕上げてしまいリスナーの失笑を買うケースが多々ありました。
なので「USカルト・メタル・レジェンドの彼らとてひょっとしたら・・・」との憂慮も少なからずあったわけですが、そうしたネガティブ思考は、暗くて湿気っててドラマティックなOPナンバー①を聴き終えた瞬間、綺麗サッパリと払拭されましたね。全然変わってねぇなぁ!と。
殊に、デストロイヤーことウィリアム・J・ツァミス(G)によって紡ぎ出される、しみったれた泣きメロがとにかく琴線に触れまくりで・・・と書くと、褒めてんだか貶してんだかよう分かりませんが、勿論褒めてます。この泣きメロの絶妙なシケシケ/クサクサさ加減こそがWARLORDの証。代表曲④や③⑤、それにPRAYING MANTISを思わす哀愁に悶絶な名曲⑩等は彼らの真骨頂。
そもそも本作は活動初期のレパートリーや、EP『悪魔の洗礼』収録曲のリメイク(あと別プロジェクト用に書かれた楽曲)から構成されているので、音楽性のブレがないのも当然っちゃ当然の話なんすが、それだけではなく、新ダミアン・キング役を担う等、WARLORD復活に多大なる貢献を果たしたヨアキム・カンス(HAMMERFALL)のバンドに対するリスペクト溢れる姿勢も、こうした作風に仕上がった要素として結構大きかったのでは?と個人的には推察する次第。声質的にも、適度なソフトさ加減が歴代ダミアン・キングの系譜に連なる感じで非常にグーですよ。
万人受けするには少々マニアックな内容ではありますが、ファンなら押さえておいて損はない作品ではないかと。


HALESTORM - Into the Wild Life ★★ (2015-07-24 23:35:55)

前作『THE STRANGE CASE OF・・・』の大ヒットを受けて、リズム重視、エフェクト処理やエレクトロニックな味付けを用いたアレンジの強化等、更に「今のアメリカで受ける音」方向へ踏み込んだ感のある'15年発表の3rdアルバム。
米HR/HMシーンの第一線で活躍する若手ロック・バンドのトップランナーとしては、実に手堅い次の一手であり、バンドの推進剤の役割を担うリジー・ヘイルストーム(Vo)のパンチの効いた歌唱を中心にスクラム組んだバンドのパフォーマンスからは、自信と実績に裏打ちされた貫禄がビンビンに漲る。間違いなく本作もアメリカで好評を博するに違いない、と思わせてくれる仕上がりです。
ただ反面、正統派HMテイストは大きく後退。メロディへの拘りが希薄になったことと併せて、ここ日本では評価が二分されそうな予感あり。例えば前2作の楽曲が、リジー嬢よりも実力の劣るシンガーが歌っても「歌はダメだけど曲は素晴らしい」との評価を得られたであろうキャッチーさを備えてたのに対し、今回の楽曲はリジー嬢専用フォーミュラといった趣き。彼女が歌ってこそ光るというか、彼女以外が歌ったら退屈に感じられるのでは?というか・・・。これを「サウンドの個性が磨かれた」とポジティブに評価するか、「普遍的なメロディの魅力が薄まった」とネガティブに捉えるかは、聴き手の判断に委ねたいところであります。
個人的には、名曲②で炸裂するような聴いてるだけで全身の血流が促進されてしまう、リジー嬢の絶唱がもっとアルバム全編で聴きたかったかな、と。


GREAT WHITE - Shot in the Dark ★★ (2015-07-21 22:39:59)

メジャー・レーベルからリストラされてしまったGREAT WHITE、逆転の一撃となった'86年発表の2ndフル・アルバム。
前作を聴いた時「LAメタルそのものな音」との感想を持ちましたが、どっこい、こっちも負けてなかった。というか、丸み帯びたプロダクション、暗さや疾走感が薄まった分、ミッドテンポを中心にキャッチーなノリ易さの増量された楽曲、そしてKeyを適宜取り入れた洗練を感じさせるアレンジと、本作の方がLAメタルの最終形態にぐっと近付いた印象さえ有り。
レコードで言うところのA面とB面のカラーの違いもユニークで、明るくハジける楽曲が集中するA面が、カラッとした陽光照りつける「昼」の雰囲気漂わすのに対し、雷鳴と共にスタートし、ヒンヤリとした冷気を運んでくるKeyを有用した楽曲が並ぶB面は、さながらネオン瞬く大都会の「夜」といった趣き。アルバム1枚でLAの昼と夜が追体験できてしまう、非常に贅沢な(?)構成が素敵です。
お気に入り具合で言えば、そりゃ後者に軍配が上がることは表明するまでもなく。特に、ムーディだけどまだ土の匂いはしないドラマティックな⑥⑧、クールな哀メロを伴う歯切れ良く軽快なHRナンバー⑦は、初期GREAT WHITEならではの名曲。既に才能の片鱗をチラ見させるジャック・ラッセルのVoは勿論のこと、マーク・ケンドールの表現力と構築美を併せ持ったGソロも聴きモノですよ。
↑上で別の方が指摘されている通り、LAメタルからブルーズ・ロックへと至る過渡期の産物であり、これがGREAT WHITEの最高傑作だとは思いませんが、でも前作と共に彼らのカタログの中では手が伸びる回数が多めな1枚だったり。


STORMWIND - Rising Symphony - Stranger From the Sea ★★★ (2015-07-20 20:37:37)

荘厳且つ厳粛なイントロから疾走へ転じる
絵に描いたような北欧様式美HMナンバー。
宗教音楽的な混声コーラスが被さる
サビメロの劇的なアレンジも秀逸。
それにしてもトーマス・ヴィスクトロムの
高音域でも全くパワーが落ちない
ハイトーンVoには恐れ入りますね。


STORMWIND - Rising Symphony - Touch the Flames ★★★ (2015-07-20 20:21:19)

壮大な序曲“RISING SYMPHONY”の余韻を
鋭く刻まれるGリフが打ち破り、
寒々しい哀メロを朗々歌い上げるVoと、
GとKeyのバトルを伴いながらスピーディに激走するという
「OPナンバー、かくあるべし!」な逸品。
曲調から浮いているGソロは、個性と評価すべきか
玉に瑕と批判するべきか・・・。


STORMWIND - Rising Symphony ★★★ (2015-07-18 11:22:42)

RISING FORCE時代のイングヴェイを彷彿とさせる様式美HMサウンドをバリバリ追求し続ける(た?)スウェーデン出身の5人組、'03年発表の6thアルバム。
彼らの作品は何枚か所持していますが、最も聴き返す頻度が高いのが本作です。壮大にして激しくドラマティックな①②(文字通り“雷鳴のシンフォニー”状態)の流れに始まって、初期の名曲のセルフカバー⑩にて幕が下りる本編は、収録楽曲のクオリティから無駄なく締まった構成まで、STORMWINDのカタログの中でも頭一つ飛び抜けた出来栄え。「スウェーデンの極新カラテ王者」なる異色の経歴を誇るギタリスト、トーマス・ウルフがここでクリエイトする音世界には、「鶴の構え」を取ったダニエルさん(古い)ばりに付け入る隙が全く見当たりませんよ。
そんなコブラ会ですらお手上げの本作を更なる高みへと押し上げるのが、元TALK OF THE TOWN他の実力派シンガー、トーマス・ヴィクストロムその人。広い声域/豊かな声量/抜群の表現力を併せ持つこんな強力無比な歌聴かされたら、そりゃNHKでなくとも「昼はオペラ、夜はメタルの二足の草鞋を履くボーカル・マスター」として音楽番組で特集を組みたくなるってもんですわなと。
その彼氏の堂々たる歌声と、トーマス・ウルフ謹製の荘厳!クラシカル!スピーディ!な楽曲とがガップリ四つに組んだ④は、北欧様式美HMファンを感涙に咽ばせる名曲っぷり。
STORMWINDのアルバムはどれから手をつけて良いか分からないという方は、まずはこちらかどうぞ。入手が容易だし、中古盤も安いっすよー。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Fractal Dimension ★★ (2015-07-16 23:24:18)

IRON MAIDEN風味のツインGによる
ハーモニーも印象的な、アルバムのトリを飾る
これまた6分以上に及ぶ長尺曲。
ストップ&ゴーを繰り返しながら
テンションを高めていく曲展開を
一糸乱れずにこなす演奏力の高さにも圧倒されます。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Burning Through the Scars ★★★ (2015-07-16 23:09:41)

内角へエグり込んで来るようなGリフと
暴力的なリズムとが、威勢の良いコーラス、
ハッキリとしたメロディを奏でるGソロを伴い
ワッショイワッショイと突進する
怒涛のスラッシュ・ナンバー。
6分以上の大作ですが、焦燥感と圧迫感に
満ちた曲調がまるで長さを感じさせません。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow ★★★ (2015-07-14 22:40:45)

1st『PRIVILEDGE TO OVERCOME』が絶賛された5人組マカロニ・スラッシャーが、'15年発表の2ndアルバムで待望の日本デビューを飾りました。
前作に引き続き、今回もアートワークは『時計仕掛けのオレンジ』仕様。このジャケットがバンドの基本スタイル――モダンにしてエクストリーミリーなスラッシュ・メタル・サウンド――にブレがないことを証明しています。またダーティに吼え立てるVo、切迫感に満ちたGリフ、デス・メタリックな暴力性も撒き散らすリズムが、屈強なる野郎コーラスを従えて、起伏の激しい曲展開を暴風の如く吹き抜けるOPナンバー①を耳にした瞬間、多くのスラッシャーがアルバムの出来栄えを確信できる筈。
「短い曲を書こうと思っても、出来上がると長編化してる」とのメンバーの証言を裏付ける通りの大作主義の敷かれた楽曲は、前作に比べるとゴリゴリの高圧感が減った代わりに、②⑧⑨等、パンキッシュとも言えるラフなノリが気持ち増量(⑧はVENOMのカヴァー)。アレンジや曲展開が未整理で少々キャッチーさに欠けるのは相変わらずで、雑誌レビューでは「アレコレ詰め込み過ぎ」と痛いトコ突かれてましたが、個人的には(↑上の方同様)、思い付いたアイデアを片っ端からブッ込んで「どや!」と提示せずにはいられない、この若さ若さって何だ躊躇わないことさ全開っぷり(何だそりゃ)は嫌いじゃありません。こうした曲作りにおける前のめりな姿勢が、サウンドのスピード感をグイグイ加速してくれていますし、アレンジの引き算なんてのは4枚、5枚とアルバム・リリースを重ねてく内に覚えりゃいいんですよ!と。
メロディックにツインGが駆け抜けるラスト・ナンバー⑨まで、イケイケドンドンなスラッシュ・メタルがゲップが出るぐらい堪能できる1枚。


WARLORD - Deliver Us - Lucifer's Hammer ★★★ (2015-07-13 23:29:22)

スウェーデンのHAMMERFALLがバンド名のヒントにする等
マニア筋では多大なる影響力を誇ったWARLORDの代表曲。
暗く湿った泣きメロを次々に紡ぐVo、Gに、
楽曲の大仰さを的確に支えるDsの良い仕事っぷり、
そしてKeyをフィーチュアした妖しくもドラマティックな曲展開まで
「WARLORDワールド」が分かりやすく凝縮された名曲です。


WARLORD - Deliver Us - Child of the Damned ★★★ (2015-07-13 23:15:20)

回転の速いGリフがNWOBHMからの
影響も伺わせる疾走ナンバー。
サンダーチャイルドさんの叩き出す
タイトなリズム・ワークが実に気持ち良い。
叙情的なイントロ・アウトロを擁する劇的な曲展開等、
曲調自体はダークで緊迫感に満ちていますが
歌メロの輪郭がハッキリとしている辺りは
欧州産とは一味違うLA出身バンドならでは。


Exarsis - The Human Project - The Human Project ★★★ (2015-07-11 23:15:04)

3rdアルバム表題曲にしてOPナンバー。
嵐のように吹き荒れるリフ&リズムの絨毯爆撃、
脳天から突き抜けるようなハイピッチVo、
目まぐるしく駆け巡るGソロが怒涛の如く聴き手を煽り立て、
居ても立ってもいられない気分にさせてくれる曲調は
実に「スラッシュ・メタルらしさ」に満ち溢れています。


Exarsis - The Human Project - The Brutal State ★★★ (2015-07-11 23:07:09)

キャッチーさを伴って、歯切れ良く
跳ねるように疾走する曲調と、
合唱を誘う威勢のいいコーラスが
ANTHRAX辺りを彷彿とさせる本編ラスト・ナンバー。


Exarsis - The Human Project - Skull & Bones ★★★ (2015-07-11 22:59:53)

陰謀論でお馴染みの秘密結社について歌ったスラッシュ・ソング。
攻撃的ハイピッチVoを持ち味としながらも
メロディをなぞっても歌えるニュー・シンガーの
存在が活かされた、本編中にあってはパワー・メタリックな
感触も味わえる名曲。オフィシャル・ビデオを制作していることからも
バンド側のこの曲に対する手応えの確かさが感じられますね。
リードBと共に走り出すパートのカッコイイこと。


WARLORD - Deliver Us ★★★ (2015-07-11 02:03:27)

仕事帰りに店に寄ったら、何とWARLORDが'83年に残した伝説のデビューEPが再発されてるじゃありませんか。お得感で言えば初CD化時のFEMS盤に一歩譲るものの、今回はリマスター&SHM-CD仕様ですからね。「元の音質が酷いんだから手間と資源の無駄」と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には「でもやるんだよ!」という心意気にいたく胸を打たれた次第。
さておき。その昔初めて本作を購入した時は、厳しいバンド名に、昭和プロレス魂溢れる(違う)メンバーのステージネーム・センス、そして国内盤邦題が『悪魔の洗礼』・・・もうどんだけ恐ろしい音が飛び出して来んの?と戦々恐々で再生ボタンを押したものですが、意外にも耳に響いたのは、儚く爪弾かれるアコギの調べよりスタートする叙情的とさえ言えそうなOPナンバー①。
勿論NWOBHMスタイルの疾走曲③や、破壊的なGリフが刻まれる⑤、バンドの代表曲である仰々しく劇的な⑦といったアグレッシブな楽曲も収録されていますが、このバンドの基本姿勢は、ヘヴィネスやダークネスに対する拘りよりも、まずはメロディ重視。Voを中心に据えたHMサウンドは案外キャッチーな仕上がりで、この辺のバランス感覚はやっぱりLAのバンドならではだなぁと。
Voが歌い、Gが紡ぐ、シケシケでクサクサな哀メロがとにかく冴えまくりで、人によっちゃ貧乏臭く聴こえるやもしれませんが、こちとらそんなの関係ねえ。もう終始泣きのツボを押されっ放しでして、オカルティック且つミステリアスな曲調の中に、時に北欧メタルやプログレ・ハードに通じる透明感とリリシズムがキランと光る楽曲は、全編これ捨て曲なし(シングル曲やコンピ盤提供曲のボートラも実に美味)。
プロダクションの弱さを四の五の言わせない破壊力を秘めた、「USカルト・メタルの至宝」との評価に恥じぬ1枚ですよ。


EXCITER - Long Live the Loud ★★★ (2015-07-08 22:27:08)

オリジナル・ラインナップ最後の作品でもある、'85年発表の3rdアルバム。
「俺の辞書に《手加減》の文字はねえ!」とばかりに、歌もドラムも全力でブチかましに来るダン・ビーラーのメーター振り切ったパフォーマンスを軸に、ブレーキのイカれたダンプカーの如く突っ走るEXCITERサウンドは、相変わらずの轢き逃げ上等っぷり。作品を重ねてもテンションが緩まず、寧ろますます意気盛んなのですから、バカよまさにメタルバカ。(大山倍達風に)
無論進歩の跡は着実に刻まれており、例えば力押しに徹していた前2作に比べると、JUDAS PRIESTばりに劇的な序曲でスタートを切る本作は、メロディのフックラインや曲展開のドラマ性が強化されたことで、収録各曲のキャラ立ちが明瞭に。お陰で全体の流れにメリハリが生まれ、これまでありがちだった「俺いま何曲目聴いてんだっけ?」と現在置を見失うようなことがなくなりました。
開巻早々に本編のハイライトを飾る①②の流れ、そしてキラー・リフにメタル魂が昂りまくる③は間違いなくEXCITER史に残る名曲ですし、他にも、ダンがメロディアスに歌うと金属声が二井原実化することに気付かされた④、トリオ編成離れした喧しさで突進する⑤、荘厳な鐘の音と共に始まり、アコギも取り入れて重厚に迫り来る⑦等は、上り調子のバンドの勢いを余す所なく反映させた仕上がり。そしてラストを〆るのは、EXCITERと言えばこれ!なカミソリ・ナンバー⑧・・・。
これら楽曲の充実っぷりを聴くに、こりゃ確かに「EXCITERの最高傑作」との評判を頂くも当然ですわなと。


Exarsis - The Human Project ★★★ (2015-07-06 00:10:42)

メンバー5人中3人が脱退するという、バンドによっては致命傷にもなりかねない大幅な編成替えを経て、'15年に発表された3rdアルバム。それでいて音楽性は拡散することなく、寧ろその切っ先を益々鋭く研ぎ澄ませて健在です。
ジタバタと焦燥感を伴い喧しく炸裂する①、硬質に畳み掛けて来る④、アグレッシブな中にもキャッチーさを宿らせた⑩等、従来の「80年代型スラッシュ・メタル」のフォーマットをブレずに受け継ぎつつ、本作はプロダクションの強度が増したことで、リフ&リズムの切れ味、野郎コーラスの迫力、そしてメロディックに閃くGソロの鮮烈さetc・・・が、一層ダイレクトに伝わって来るようになりました。また「元メタル雑誌のライター」というユニークな出自の新Voが、前任者ほどのクレイジーネスを感じさせない代わりに、よりコントロールされたハイピッチ・シャウトを提供。
結果として、熱に浮かされたような破天荒さは薄れてしまったかもしれませんが、その分、サウンドの方には(若干ながらも)整合性が出て来て、取っ付き易さが増したかなと。中でもリードBに導かれて突っ走るパートの勇ましさが際立つ⑧は、彼らの今後の進むべき方向性を示唆するかのような名曲です。
バンドのLIVE FOR THRASH, DIE FOR THRASHな心意気が全編に漲る充実作。


RAVEN - Stay Hard - On and On ★★★ (2015-07-03 23:35:10)

Voに24トラックも費やしたという
分厚く哀愁に満ちたサビのコーラスもキャッチーな
RAVENらしからぬ(?)メロディアスな名曲。
レコード会社からの「売れる曲作れ」という
プレッシャーが、良い方向に作用したとでも言いましょうか。
いかにも80年代なドラマ仕立てのPVも好きでした。
(別に巨乳のおネエちゃんに釣られたわけではなく)


RAVEN - Stay Hard - Extract the Action ★★★ (2015-07-03 23:27:37)

GリフもソロもVoもDsも
あらゆるパートが角ばっていてハイテンション。
RAVEN以外の何者でもない疾走ナンバーで
メジャー化が指摘される『STAY HARD』でも
こういうハードな名曲が
ちゃんと収録されているのだから侮れませんよ。


RAVEN - Stay Hard ★★ (2015-07-01 22:54:41)

メジャー・レーベルとの契約を得たは良いけど、「売れるアルバム作らんかい」との執拗なプレッシャーにも悩まされる羽目になったRAVENの苦闘の跡が刻まれる、'85年発表の4thアルバム。
変わらぬハイパーさを誇示する一方で、メロディを丁寧に追いかけるようになったメンバーのパフォーマンスといい、ポップな要素も積極的に取り込み始めた楽曲といい、全体的にキチGUY度は減退気味。NWOBHM由来の暗さやスピード感といったマイナー成分を薄れさせた「アスレチック・ロック」は、前3作を地獄のブート・キャンプとするならば、本作のそれは健全なエクササイズの趣き。そのため表題『STAY HARD(ハードでいろ)』に対しては、全国のRAVENルナティックスから一斉に「お前がな」とツッコミが入ったとか入らなかったとか・・・。
但し、溌剌とハジけるロックンロール風味は元々RAVENサウンドの魅力の一端を担っていたわけで、彼らの個性と、今回打ち出しているキャッチーなサウンドとの相性は決して悪かない。分厚く重ねられた哀愁のコーラスが印象的な③は本作ならではの逸曲と言えますし、持ち前のパワーをメジャー感溢れるアレンジと音作りで料理した①②④等も中々のカッコ良さ。そして終盤に控えるのは、これぞRAVEN!なスピード・ナンバーの名曲⑨。
バンドとレコード会社の猛烈な鍔迫り合いが好結果に繋がった1枚。「RAVEN史上、最も売れたアルバム」との勲章も伊達じゃねぇなと。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse - Hunter-Seeker ★★★ (2015-06-28 21:53:44)

切れ味鋭く歯切れ良く
激烈な疾走感が全編を貫きつつも
2本のGが豊かに紡ぎ出すメロディは
泣きや憂いに満ちていて・・・と
どことなく近年のKREATORに近い感触を
受けるスラッシュ・ソング。
アルバムのハイライトではないでしょうか。


WARBRINGER - IV: Empires Collapse ★★ (2015-06-28 21:46:35)

国内盤の発売を待ち続けるうちに、作品のゲット自体を忘れてしまった(本末転倒)'13年発表の4thアルバムを漸く購入。
WARBRINGERはNWOTM勢の中でも特にお気に入りバンドであり、しかも今回からはMANTIC RITUAL(解散が残念)の弦楽器隊が新メンバーとして加わってると聞いて、これは凄いことになりそうだ!と、かなり前のめりな姿勢で挑ませて貰ったのですが・・・。結論から述べると、こっちが期待したような「WARBRINGER+MANTIC RITUAL」な明快なスラッシュ・サウンドにはなっていませんでしたよ。
じゃどんな仕上がりかと言えば、気持ち「歌心」を感じさせる場面が増えたシャウト型Voから、一層劇的に花開くツインGの絡みに至るまで、前作でも目立っていたメロディ増量方針が更に推進。それ自体は別に悪いこっちゃないのですが、北欧メロデス風の①があったかと思えば、パンキーな③を演ってみたりと、何かバンド側の進むべき方向性に対する「迷い」のようなモノが透けて見えるアルバム前半の流れに、モヤモヤっと。
しかし。タイト&キャッチーな切れ味の名曲④の出現で空気が変わると、後はスラッシーな疾走感と正統派HMに通じる構成力が光る⑤⑦⑧⑪etc・・・といった秀曲群が連続し、アレヨアレヨでラストまで一気に走り抜けてしまうのだから、やはりこのバンドの曲作りの才能は侮れない。思わず愚痴った前半の楽曲も、リピート再生してる内に違和感はすっかり消え失せましたしね。
ベイエリアより欧州メタル勢からの影響が感じられる1枚。彼らにこの路線を期待してたかと問われると一瞬言葉に詰まりますが、とりあえず質は高い。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Unleash the Hordes ★★★ (2015-06-27 01:30:24)

アルバム表題曲。高速で回転するGリフのクールさは本編随一。
初期METALLICAやDIAMOND HEADに通じる魅力有り。
上擦り気味のVOと共に全セクションが前のめりに突っ走る様は
プレ・スラッシュ/スピード・メタル的でもあります。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Demolition Train ★★★ (2015-06-27 01:27:04)

刺々しくもキャッチーなGリフ、「暴走機関車」の如く突き進むリズムに、
劇的に炸裂するなツイン・リードGから主張の強いBまで、
バンドの長所全部入りで疾走する
まさしく彼らのテーマ曲に相応しい逸品。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - All Hell Is Breaking Loose ★★ (2015-06-27 01:20:47)

強面のBイントロから、濁声Voが歌う
男臭くもキャッチーなサビメロまで
知らない人に「これ、MOTORHEADのカヴァー曲だよ」と
言ったら、十中八九は信じるじゃないでしょうか?
ただ、流麗に組み立てられたGソロは現代的で
この辺の取り合わせの妙がこのバンドならではの味か。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes - Metal Mayhem ★★★ (2015-06-27 01:12:05)

この曲名で、破れかぶれな突進振りを聴いていたら
何となく英国のWARFAREのことを思い出してしまいましたよ。
しかし回転の速いGリフも演奏もキレっキレで
中盤の転調してからドラマティックにツイン・リードGが
走り出すインスト・パートはIRON MAIDENっぽくもあるという
非常にお得感溢れる名曲。アルバムのハイライトですね。


DEMOLITION TRAIN - Unleash the Hordes ★★★ (2015-06-24 23:50:10)

アートワークを踏まえてバンド名を意訳するなら「暴走機関車」といったところでしょうか?
この昭和プロレスラーのニックネームみたいなバンド名に相応しく「華美な装飾もヒネったアレンジもお呼びじゃねぇぜ!」とばかりに、NWOTHMやスラッシュ・リバイバルも飛び越えて、更にルーツを遡ったパンク+メタルなサウンドをストレートに叩き付けて来る4人組が'14年に発表したデビュー作。
無理に喉を潰さず、素に近い声でガナり立てる粗野なVoに、「刻む」というより豪快に「掻き鳴らす」感じのGリフとが、荒ぶる掛け声コーラスを伴ってオラオラ飛ばしまくるOPナンバー①なんてもろパンク路線ですが、このバンドの場合、尺をたっぷり取って派手に弾きまくる2本のGが楽曲の鋼鉄成分を高め、サウンド全体をメタリックにビルドアップしてくれているのが美点。
殊に、ツイン・リードGがドラマティックに駆け巡る⑤⑨、厳ついB主導のMOTORHEAD風な曲調に流麗なGソロがアクセントを加える⑩は、パンキッシュな衝動性のみならず、初期IRON MAIDENばりに編み上げられた劇的な構築感も堪能できる、本編の醍醐味が詰まった名曲ぶり。
他にも、プレ・スラッシュ/スピード・メタリックな②や、メリハリを効かせて畳み掛ける③など秀曲多数を収録する本作は、纏わり付くようなジメジメ感を豪快にスッ飛ばしてくれる、梅雨時のお供に最適な1枚ではないかと。


DEMOLITION TRAIN (2015-06-24 23:39:16)

初期METALLICA+MOTORHEAD÷初期IRON MAIDENみたいなサウンドを聴かせてくれるギリシャの4人組。
アポストリス(Vo、G)とヴァシリス(G)コラカス兄弟らによりバンドが結成されたのは'09年。
当初は専任Voを含む5人組だったようだが、程なくアポストリスがGとVoを兼任する現在の編成に落ち着く。
'11年に制作したデモ『KILL YOUR BOSS』や、METAL HAMMAER誌に提供したMETALLICAの“LEAPER MESSIAH”のカヴァー(日本盤にボートラとして収録)が好評を博した勢いを駆って、バンドはフル・アルバムのレコーディング作業を開始。『KILL~』からの再録音曲も含む10曲入りデビュー作『UNLEASH THE HORDES』は、ギリシャのインディーズNO REMORSE RECORDSから'14年に発表された。


USER OF A COMMON NAME - Freeway ★★ (2015-06-23 23:49:30)

デビュー作に比べるとパンキッシュな疾走感やハジケっぷりが抑制された2ndアルバム。
その分、モダンなアレンジと叙情メロディが増量された今回は、即効性よりも、繰り返し聴き込むことで味わいが増す「深み」を追求した仕上がりに。ハスっぱさ以上にコケティッシュな魅力を前面に押し出したリンダ・カールステット(Vo)の歌い回しも、アルバムのそうした印象を補強します。
これまで以上にバラエティを広げた本編は、キャッチーな作曲術は相変わらず冴えまくっているのですが、通して聴くと少々メリハリに乏しく感じられるのが惜しい。メランコリックなスロー~ミドル・テンポの楽曲が大半を占めるせいか、後半にもう1、2曲ぐらい疾走ナンバーがあればなぁと。
とはいえ、溌剌としたOPナンバー①や、デカダンな薫り漂う③、悲壮なメロディが胸を締め上げる70年代HR風バラード⑫等、キャッチーな哀メロ・センスが冴え渡る収録楽曲の数々は流石の完成度。1stが楽しめた人なら本作も間違いなく愛聴盤になり得る筈。(ついでに中古盤が爆安価格なのも1st同様)
中心人物のリンダ嬢が身体を悪くしてしまったとかで、これがUSERの最後の作品になってしまったと聞くと、もっと彼らが作り出す楽曲が聴きたかったと思わせられること必至の1枚。


MANOWAR - The Lord of Steel - El Gringo ★★★ (2015-06-23 00:09:58)

ちょい前、渋谷に「ガンズ・アンド・ストレンジャー」
(原題は同じく“EL GRINGO”)なるアクション映画を
見に行ったら、この曲がエンドロールで流れてきましね。
これがもう映画のつまらなさを帳消しにするカッコ良さで。
アルバム『THE LORD OF STEEL』においても間違いなく
ハイライト・ナンバーの一つですよ。


MANOWAR - The Lord of Steel ★★ (2015-06-20 00:20:36)

近年は、打つ手打つ手が悉く空回ってる印象が否めないMANOWAR。新作がそのモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれることを期待したのですが・・・。
神話を綴るに相応しい壮大な作り込みが為されていた前作『GODS OF WAR』の反動か、今回は楽曲にしろプロダクションにしろ、非常にシンプルでコンパクト・・・っつーか、地味じゃね?と。パンチに欠ける音作りから、起伏に乏しい本編の構成、キャッチネスが不足がちの楽曲、そしてクドさ控えめのメンバーのパフォーマンス(特にエリックのVo)に至るまで、従来作が、聴いてるだけで筋肉が勝手にパンプアップするメタル・プロテインとするならば、今回はまるでOL向けダイエット食品の如き淡白さで、これは一体どうしたことかと。
いや勿論優れた楽曲もあるんですよ。剛毅に疾走するOPナンバー“THE LORD OF STEEL”とか、好戦的に煮え立つ“EL GRINGO”、過去の名作/名曲のタイトルが歌詞に散りばめられた“HAIL, KILL AND DIE”、そして大仰過ぎる程に大仰な“THE KINGDOM OF STEEL”とか。その他のバンドがこのレベルの楽曲や作品引っ提げてやって来たならば、激賞は間違いないところですよ。「メタル蘇民祭」の様相を呈しているジャケットも最高ですし。
ただ、やはりMANOWAR作品としては「食い足りねぇ」と。これまでどんな賛否両論分かれる問題作だろうとも、背筋を伸ばして堂々提示してきた彼らなのに、本作に関しては「背中を丸めて置きに来た」との印象が拭いきれず。まぁ当方の勝手なイメージの押し付けなんですが。
思わず、他のMANOWARマニアの方の意見を伺いたくなる1枚。


NELSON - Peace out - Invincible ★★★ (2015-06-17 22:41:19)

浸透率の高い哀愁のメロディをGが伸びやかに
奏でる様はBOSTONに通じ、そのメロディの
哀愁の質は北欧メタルに通じるものがあるという
「BOSTON MEETS 北欧メタル」な珠玉の逸品。


NELSON - Peace out - Leave the Light on for Me ★★★ (2015-06-17 22:32:32)

叙情的なイントロとアウトロを配置したドラマティックな構成から、
「哀愁に満ちたフッキーなメロディ」のお手本のような
サビの歌メロ、そしてニール・ザザの歌心溢れるGプレイまで
アルバム・ハイライト級の素晴らしさにして
NELSON最終楽章を締め括るに相応しい名曲っぷりに脱帽です。


NELSON - Peace out ★★★ (2015-06-16 09:57:56)

快作『LIGHTNING STRIKES TWICE』で復活を果たしたNELSON待望の新作。「お、久々ですなぁ」と笑顔で購入したら、解説文でこれがNELSONの最終作と唐突に知らされて笑顔がピキーンと凍り付きましたよ。何でも「労多くして功少なし」なレコーディング作業に情熱と時間を注ぎ込む意義が見出せなくなり、以降はカントリー・フィールドでのライブ活動に軸足を移していくのだとか・・・。
それでも、本編の方には何ら特別なところは見当たりません(良い意味で)。感傷的にもハイにもならず、いつもの「NELSON節」が貫かれた作風は、知らずに聴いたら誰もこれが最終作だなんて思わない筈。
ライブ開始を告げるかの如き①で威勢良くスタートを切り、北欧メタルとBOSTONが哀愁合体したような③や、爽快な曲調とストーカー気質全開な歌詞のギャップに慄く⑧を経て、プログレ風味(というかQUEENタッチ)の日本盤ボートラ⑬で幕が下ろされる本作は、イキ良く、且つフックにも富むメロディック・ロック・チューンが惜しげもなく連打。胸を打つ哀メロ、キャッチーな曲調、息の合ったネルソン兄弟のボーカル・ハーモニー、かてて加えて、ニール・ザザ(G)のツボを心得たGプレイが彩りを添えてくれる名曲⑫なんて、そんな本作の魅力を集約したかのような出来栄えですよ。
有終の美を飾るに相応しい、実に質の高い1枚。それだけに、これほどのアルバムを作り出せるアーティストの創作活動を支え切れない昨今の音楽シーンの変質振りとは一体・・・。(斯くいう我が身も新譜購入枚数が減ってきてるので、他所のことばかりは言ってられないのですが)


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Thunder and Steel down Under - a Tribute to Riot ★★★ (2015-06-15 23:24:10)

CRYSTAL VIPERのマルタ&バートのガブリエル夫妻が音頭を取って制作。彼らの運営するSKOL RECORDSから1000枚限定で発売され、売上金は故マーク・リアリのお父上に寄付されるというRIOTのトリビュート・アルバム。
参加アーティストについては、既に失恋船長さんが詳細を語って下さっているので省略させて頂きますが、代表曲に正攻法で挑むにせよ、隠れた逸曲を引っ張り出すにせよ、いずれのバンドも――完成度に多少の差はあれど――RIOTに対する敬意溢れるカヴァー・バージョンを提供してくれています。(欧米におけるマイク・ディメオ時代の知名度の低さを実感させられる選曲ではありますけどね)
バラード風にアレンジされた“SOLDIER”を序曲代わりにドラマティックにスタートする“WARRIOR”(AXEL RUDI PELL)、分厚く勇壮なメロパワ調コーラスが印象的な仕上がりの“SIGN OF THE CRIMSON STORM”(ANGELO PERLEPES' MYSTERY)、NWOTHMバンドが持つ威勢の良さと、原曲に備わるドライヴ感とが相性バッチリな“ROAD RACIN'(NIGHT DEMON)、そして本家RIOTからトッド・マイケル・ホール(Vo)をゲストに招いて大トリを飾る“THUNDERSTEEL”(CRYSTAL VIPER)辺りは、元々の楽曲のカッコ良さと相俟って、特にナイスな出来栄えではないかと。
それにしても、艱難辛苦にもめげず活動を継続した結果、こうしてRIOTが数多のバンドから篤いリスペクトを集める存在となり、漸く今までの苦労が報われつつあったこの時期に、なぜマーク・リアリがこの世を去らねばならなかったのか?収支の釣り合いが全く取れてねぇだろがこの野郎!と、本作の完成度が高ければ高いほど、彼を襲った悲運を呪わしく思わずにはいられませんよ。


Drysill - Welcome to the Show - Anthem for the Insane ★★★ (2015-06-13 23:48:26)

冒頭のGリフの刻みっぷりだけでテンションが上がります。
ツインGが奏でるメロディは湿っているものの、
全体的にじめじめ度は低く、NWOBHM風味とは一味異なる、
歯切れ良く溌溂とした爽快な疾走ナンバーです。


Drysill - Welcome to the Show - Play It Loud ★★ (2015-06-13 23:44:57)

KISSの影がちらつくノリノリ・ロックンロール。
それでいて叙情性が滲むブリッジ・パート等は
やっぱヨーロッパのバンドならでは。
歌詞に「TOKYO」が登場するのもポイントです。


Drysill - Welcome to the Show - Fiesta for Friends ★★★ (2015-06-10 23:51:26)

ブンブン唸りを上げるBと
重々しくビートを刻むDsに
エリック・ホークのパワフルなVoが
乗っかった重厚な曲調は
様式美BLACK SABBATH・・・というか
ARTCHに通じる魅力を放っています。
ラス曲に相応しい存在感。


Drysill - Welcome to the Show - We're Coming to Rock You ★★★ (2015-06-10 22:53:50)

LAメタルに通じる溌剌としたノリの良さに、
欧州のHMバンドらしい翳りを湛えたメロディ、
ライブ映えしそうな合唱を誘う勇壮なコーラスとが
三位一体となってキャッチーに駆け抜けていく一品。


Drysill - Welcome to the Show - Welcome to the Show ★★★ (2015-06-10 22:41:02)

既にこの時点で説得力十分なエリック・ホークの歌唱と
歯切れの良く刻まれるGリフが威勢良く突っ走る様に
メタル魂がアガりまくる、アルバム・タイトル・トラック兼
ハイライト・ナンバー。聴けて良かった。


Drysill - Welcome to the Show ★★★ (2015-06-09 22:08:24)

中古盤市場ではオリジナル盤LPが数万円~十数万円のプレミア価格で取引されていて、これまでとてもじゃないが手の出なかったアイスランド出身の5人組、'85年発表の唯一作が遂にオフィシャル再発。おめでとう、俺!
人知れず消えてったローカル・バンドのアルバムに何故それ程の高値が付けられているのかと言えば、勿論このバンドの中心人物たるイリルーク・ホークソン氏(Vo)が、後にARTCHでメタラー諸氏の度肝を抜いた驚異的歌唱力のオーナー、エリック・ホークその人だから。でもそれだけじゃなく、内容の方も伝説負けしない素晴らしさなのですよ。
チープな音質や、メタルにかぶれた由紀さおり?が描かれたジャケットは、NWOBHMもどきのイモメタルでも演ってそうな垢抜けなさなれど、いえいえ。ここで彼らが実践しているのは、快活な疾走感を伴ってキャッチーにハジける正統派HM。ライブ映えしそうな②④⑥なんてLAメタルからの影響も伺えるぐらいですが、それでいてメロディが翳りを失っていない辺りはやっぱり欧州のバンドだなぁと。
歯切れの良い疾走ナンバー①、PRETTY MAIDSの名曲“BACK TO BACK”を彷彿とさせるGリフの刻みっぷりが痛快な⑤、TNTのインスト小曲“KRASSIC ROMANCE”を歌入りでカヴァーしたバラード⑦、そしてARTCHにも通じる重厚感溢れる⑧等、エリックの類稀なる歌唱力と組み合わさった収録楽曲はいずれも出色の出来栄えを提示。当然捨て曲なしです。
今回のCD化は666枚限定再発らしいので、ご購入はお早めにどうぞ。


INTRUDER - Believer ★★ (2015-06-07 23:58:30)

スラッシュ・メタル・バンドの方ではなく、ジョン・カラク(G)率いるニュージャージーのメロハー・バンドが、'00年に発表した2ndアルバム。
前作『DANGEROUS NIGHTS』は、「まるで収録全曲が(BON JOVIの)“RUNAWAY”状態」と評された哀愁のアメリカン・メロディアスHRの好盤でしたが、今回は本当にその“RUNAWAY”をセルフ・カバー(カラク氏は“RUNAWAY”共作者)。しかもオリジナルの完コピではなく、バラード調に始まってハードに盛り上がっていくという中々にドラマティックなアレンジが施されていて、この曲目当てで購入した身としては、一本釣りされた甲斐があった!と思わせてくれる好カヴァー。
ただアルバム全体としては、長年に亘って作り溜められたアイデアの大盤振る舞いだった前作と比べてしまうと、やや弱く感じられてしまう点は致し方ないところか。いやそれにしたって、いきなりメロハー・マニアのハート・キャッチなOPナンバー①に代表されるような、煌く哀メロとキャッチーな曲調とが絶妙な融合をみた楽曲の冴えっぷり(お薦めは①⑤⑨)は、やはり只事じゃありませんけどもね。
あと個人的には、トレイシー・ホワイト(SHOTGUN SYMPHONY)のバッチグーな歌唱力も加点ポイント。取り分け、泣きのGの熱演も胸に迫るバラード⑥⑪における熱唱ぶりからも明らかな通り、太い芯を感じさせつつも円やかで潤いに満ちた彼の歌声が、本作を数割増しで魅力的に輝かせてくれていることは疑う余地なしですよ。
これ以降、確かバンドは消息を絶ってしまったと記憶していますが、ジョン・カラク氏は今頃どこで何をしておられるのでしょうか?


STEELHOUSE LANE - ...Slaves of the New World ★★★ (2015-06-07 00:00:45)

マイク・スラマー(G)の立ち上げたメロハー・プロジェクト、STEELHOUSE LANEがデビュー作『METALIC BLUE』の高評価を受けて正式バンド化。『METALIC~』ではバックアップ役に留まっていたマイクもメンバーとしてラインナップにその名前を連ね、これが真のデビュー作とも言われる2nd『SLAVES OF THE NEW WORLD』は'99年に発表されました。(つってもこれが最終作?)
サウンドの方は、重厚なプロダクションの下、カラッとポップに弾けるメロディック・ロック路線を継承しつつも、「バンドらしさ」を強調するためか、前作よりもグッとハードネスを前面展開。確かにバンドとしてのまとまりの良さはガッツリ伝わって来ますが、反面、メロディのフックはやや弱まったかな?とも。 
マイク・スラマーというミュージシャンの「音楽半生ベスト盤」的様相を呈していた前作に比べてしまうと多少の聴き劣りは止むなしか・・・等と舐めて掛かったら、どっこい。キース・スラック(Vo)のソウルフルな歌声が映えるブルージーな④、爽快な躍動感に満ち溢れた⑤⑫、STREETS時代の楽曲のリメイク⑧⑪、そしてマサ伊藤もイチオシのバラード⑥etc・・・と、聴き進める内に収録楽曲の魅力はグングンUP。その決定打とも言うべきポップな名曲⑩にトドメを刺される頃には、本作の評価は「前作に勝るとも劣らぬ力作」というものに落ち着いておりました。


PAUL RAYMOND PROJECT - Under the Rising Sun ★★ (2015-06-06 01:17:27)

「神(マイケル・シェンカー)の指を折った男」との勇名を馳せる(恐らく風評被害ですが)UFOのKey奏者ポール・レイモンドが、中間英明(G)や、MARINOの大谷令文(G)、LOUDNESSの山下昌良(G)、あと当時日本在住だったらしいANGELのフランク・ディミノ(Vo)らと共に日本でレコーディングを行い、'89年に発表した6曲入りEP。
「Key煩過ぎ」「音悪過ぎ」「ポール歌ヘタ過ぎ」と雑誌のレビューじゃケチョンケチョンでしたが、チープなプロダクションと弱々しいポールのVoに関してはともかく、Key奏者のソロ作なんだから目立ちまくるぐらいは良いじゃないさ、と。特に②なんて、楽曲の基軸を担うKeyと、中間英明のテクニカルなGプレイとが相俟って、どことなく初期EUROPEを思わす佳曲。(まぁ折角の出来栄えもポール自身のVoで猛烈に腰折られてんすけどね)
他にも、猛烈な「気」を放つレイヴンのGソロが華を添えるOPナンバー①やバラード⑤、下北沢に捧げられた(?)⑥等、日本人ミュージシャン達の技量にも助けられ、作品としてはそれなりのクオリティを提示。何より演ってる当人たちが楽しそうなので、こっちもそのお祭り気分に当てられてしまいます。
「遊びで作ったとした思えない作品」との批判はごもっとも。でもそう目くじら立てんで、ズッコケ部分も含め「そこが良いんじゃない」ぐらいのノリで楽しみたい1枚。


USER OF A COMMON NAME - User - Do You ★★★ (2015-06-03 22:43:02)

最高品質のレモンスカッシュの如く、
甘酸っぱくも爽快にハジける曲調に胸踊ります。
でまた、キャッチーなメロディを溌剌と歌い上げる
シンガーのハスキーな歌唱が絶妙なんですよ。


USER OF A COMMON NAME - User ★★★ (2015-06-02 23:20:23)

「中古盤が格安価格で買える名盤コンテスト」でも開催したら、上位入賞は確実と目されるスウェーデンの男女混合4人組バンドが、'05年に発表したデビュー作。
澱んだGサウンドに乗っかって、OPナンバーの気怠るげなヴァースが始まった時は「なんだ。評判良いから買ってみたけど、こんなもんか」と失望しかけましたが、勿論それはこちらの早合点。ガラリと雰囲気の変わるサビメロ(叙情性を増幅するKeyアレンジが秀逸)で一気に視界が開けると、そっからはもう本編に夢中ですよ。
先制パンチ役の①や、後に続くガールズ・ポップ的躍動感溢れる曲調に、甘酸っぱいメロディが絶妙に絡む名曲②が証明する通り、とにかくこのバンド・・・というか曲作りを担うリンダ・カールステット(Vo)嬢のメロディ・センスの冴えがグンバツ。時にポップに、時に猛烈な哀愁を伴うメロディは、くたびれきったオッサン・リスナー(俺)の胸さえキュンキュンに締め上げます。
またそうしたメロディをエネルギッシュに歌い上げる彼女の歌唱力もまた然りで、ちょい鼻に掛かったカスレ声自体の魅力に加え、高音を張った際に醸し出される切なげなフィールが実に美味。この歌声が活かされたバラード⑤の悲哀なんて絶品です。
溌剌と突っ走るパワーポップ・ナンバー⑪まで、実に気持ち良く聴き通せる1枚。パンキッシュなノリの良さは減退したものの、良質なメロディ・センスはそのままな2ndも併せてどうぞ。


ALIAS - Alias ★★★ (2015-05-31 23:50:52)

“WHEN I'M WITH YOU”のリバイバル・ヒットに後押しされたSHERIFFのフレディ・カーシ(Vo)とスティーヴ・デマーチ(G)が、元HEARTのメンバーらと共に結成したALIAS(エリアス)、'90年発表のデビュー作。
「僕達はSHERIFFの元メンバーによるグループとは見なされたくないんだ」とか語ってる割に、ちゃっかりジャケットに保安官バッチをあしらってたりするのがお茶目ですが、演ってる音楽はSHERIFと同軸線上に位置するカナディアン・メロディアスHRなので無問題。
親しみ易いポップなメロディに、洗練されたアレンジ、そして厚めに敷かれたコーラスとシンガーの爽快な歌いっぷりを武器に、バラードはどこまでも甘く、ロック・ナンバーでリスナーの身体を揺することも忘れず、それでいてどの曲もサビメロはすこぶるキャッチーに・・・と、大衆にアピールするツボを的確に捉え、フックを連続させる作曲術は流石ベテラン・ミュージシャンの集まり。哀愁や泣きの類は薄めですし、パンチの効いたキメ曲も見当たりませんが、聴いても聴いても飽きの来ない計算され尽くしたサウンド設計は、さながら「産業ロック」の申し子の如し。(褒め言葉)
一応、全米チャート第2位にランクインしたヒット・バラード⑧が本作の目玉なのでしょうが、個人的にはそれ以上に、しっとりと染み入ってくる③⑤、軽快にロックする②⑨、ポップ&キャッチーな曲調に心浮き立つ⑦⑩等の楽曲に心惹かれたかなと。アルバム1枚で解散してしまったのが残念・・・と書こうと思って調べてみたら、お蔵入りしていた2ndアルバム(現在はリリース済み)もある様子。


RADIOACTIVE - F4ur - Summer Rains ★★★ (2015-05-29 23:58:46)

タイトルに相応しい、夏の雨の如く爽やかで涼しげなOPナンバー。
聴いているだけで何やら沸々とポジティブ・パワーが湧き上がってくる
かのようなジミ・ジェイミソンの歌声はやはり唯一無二。
つくづく、あたら惜しい人を亡くしたと・・・。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE - TONIGHT ★★★ (2015-05-29 23:46:52)

『メロディアス・ハードロック・ディスクガイド』では
「SHYの“EMERGENCY”と並んでマイケル・ボルトンが
メロハー界に残した名曲」と高く評価されていた逸品。
確かにアルバムの「掴み」として、また本作の方向性を
リスナーに伝えるOPナンバー役として申し分のない出来栄えです。


TOUR DE FORCE - WORLD ON FIRE ★★★ (2015-05-28 23:11:40)

日本のHR/HMシーンが最も巨大化したと言われる90年代。レコード会社は競ってその嗜好にフィットするメロディック・ロック・バンドを矢継ぎ早にデビューさせ、弾が尽きてくると、今度はお蔵入り音源(殆どは欧米に到来したダーク&ヘヴィ・ブームの煽りで塩漬けにされてた物)を引っ張り出して「新作」の体裁でリリースしました。
NY出身のTOUR DE FORCEのこの2ndも、そうした流れの中でリリースが実現したアルバムの一つ。当時既にバンドは解散済みで、元がデモ音源ゆえ音質はイマイチ、おまけに中弛みの原因となる全17曲収録の超過ボリューム・・・。それでも本作が輝きを失っていないのは、収録楽曲の放つ眩い輝きが、弱点の数々を霞ませてくれているからでしょうか。
声質はやや重だが歌の上手さは折紙付きのVoに、泣きを孕みつつ適度にエッジを保つGと、しなやかに楽曲を彩るKeyが三位一体となって織り成す、フック満載のメロハー・ソングが連続する本編は時が経つのも忘れてしまう心地良さ。特にマイケル・ボルトン提供の“EMERGENCY”型名曲①に始まり、キャッチーに躍動する⑤を経て哀感溢れ出す⑥へと至るアルバム前半の流れは白眉。また先に「中弛み云々~」と書きましたが、名曲⑮の存在が後半戦を引き締めてくれているため、聴後感も然程悪くありません。
(皆さんご指摘の通り)中古屋じゃ数百円で投げ売りされてるのが、勿体無いやら有り難いやら、複雑な心境に陥る哀愁のハードポップの名盤ですよ。


RADIOACTIVE - F4ur ★★★ (2015-05-25 23:38:48)

トミー・デナンダーが関わったプロジェクトは、いずれもメロディック・ロックの優良物件としてマニアから高評価を獲得していますが、取り分けこのRADIOACTIVEは、作品のクオリティの高さと毎回迎えられるゲストの豪華さから、彼のトップ・プライオリティに位置づけられているプロジェクトである。
…すいません、知ったかぶってみました。これまでまともに聴いたことなかったのですが、実は本作が'14年に相次いで急逝したシンガー、ジミ・ジェイミソンとファーギー・フレデリクセン最期の参加作品の一つと知り、ファンとしてこりゃチェックせずにいらいでかと購入。で結論としては「買って良かった!」と。
勿論、ゲスト・シンガーの豪勢さにも感心せずにはいられませんが、それ以上なのが収録楽曲の質の高さ。しかもただ出来が良いだけでなく、例えばジミには聴き手をポジティブに勇気付ける爽快なロック・チューン①を、歌いこなすのが手強いテクニカルな②は気心の知れたファーギーに、アメリカン・プログレ・ハード風の④はスティーヴ・ウォルシュで、デヴィッド・ロバーツには甘くポップなAOR調の⑤・・・といった感じに、「メロハー」という限定された枠内で、歌い手の資質に合わせて楽曲をバラエティ豊かに作り分けるトミー・デナンダーの作曲家としての才はやはり傑出しています。(先に楽曲があって、それに合わせてシンガーをキャスティングしていったのか?)
メロハーの達人の職人芸を存分に堪能できる1枚でありました。


ISSA - Crossfire - Raintown ★★★ (2015-05-24 22:48:03)

FMのスティーヴ・オーヴァーランドをゲストに迎えて
しっとりと聴かせる極上のデュエット・バラード。
哀愁に満ちたメロディといい、胸を打つ盛り上がりっぷりといい、
まさしくアルバムのハイライトを飾るに相応しい名曲です。


NELSON - Lightning Strikes Twice - How Can I Miss You (when You Won't Go Away?) ★★★ (2015-05-23 01:31:40)

NELSONらしい楽曲か?と問われると
「どうなんでしょう」って感じかもしれませんが、
ともかく、イントロを手始めに全編に亘ってVoからGまで
センチメンタルに泣きまくる、初期ミカエル・アンダーソンにも
匹敵するその哀愁ヨロシクっぷりたるや、
問答無用で胸締め付けられずにはいられませんて。
アルバムに置ける配置位置も完璧。
復活作で一番聴きまくった名曲ですね。


ISSA - Crossfire ★★★ (2015-05-22 23:49:47)

AOR/産業ロックの隠れた名曲をカヴァーしてみせた秀逸な企画盤『CAN'T STOP』('12年)の高評価に後押しされたのか、完全にハードポップ路線に舵を切っている'15年発表の3rd。
発売後すぐに入手はしたものの、一緒に購入したREVOLUSION SAINTSのアルバムが余りに素晴らし過ぎたせいで何だか色褪せて聴こえてしまい、暫くCD棚の肥やしにしてしまっていました。んで、こうして久々に引っ張り出してじっくり聴いてみて、「うん。やっぱり良い出来だな」と。
これまでの作品同様、FRONTIER RECORDS勝利の方程式(=優秀なライター&ミュージシャンによる水も漏らさぬバックアップ体制)に則って制作されている以上、ハズレ掴まされる心配はまず有り得ず、しかも本作の「貌」たるイッサ嬢が、キラキラと眩い燐粉を振り撒くような溌剌とした歌唱で、同レーベルのその他のメロハー作品とは明確な差別化を図ってくれるわけですからね。
よりポップに洗練された、ヒット・ポテンシャル搭載型ハードポップ・ナンバーが軒を連ねる本編は、哀愁とキャッチーさが絶妙に溶け合うサビメロにメロハー愛好家の血が騒ぐ④⑧⑪、そして何より、FMのスティーヴ・オーヴァーランドとのデュエット・バラード③の哀愁っぷりがトドメの一撃を加えてくれるという按配。つか、この曲に関しては完全にゲストの筈のスティーブさんが貫録勝ちを収めてる感じですよ。
そんなわけで、ファンなら安心してお買い求め頂けるクオリティの1枚。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue - Fire With Fire ★★★ (2015-05-20 23:35:05)

アルバム後半のハイライト・ナンバー。
哀愁を帯びつつ、覚え易いキャッチーな
サビメロが印象に残りますね。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue - Metallic Blue ★★★ (2015-05-19 22:34:49)

HOUSE OF LORDSの『DEMON DOWN』に提供していた
名曲のセルフカヴァー。
タイトルに相応しく、ノリノリにかっ飛ばす
爽快なロック・ナンバーで、運転中に聴いたら
アクセル踏み込みたくなること間違いなし。


STEELHOUSE LANE - Metallic Blue ★★★ (2015-05-19 22:29:28)

スティーヴ・ウォルシュ(KANSAS)が結成したSTREETSをキャリアの出発点に、その後もメロディック・ロック街道一筋に歩んで来た職人、マイク・スラマーが新たに立ち上げたバンドの'98年発表のデビュー作。
尤も、マイク自身は正式メンバーとして名は連ねておらず、彼が担当しているのは、バンド・メンバーの選抜からアルバムのプロデュース、そして楽曲提供といった、つんくとか秋元康的な裏で全てを牛耳るビッグボスの役回り(違うか)。
ちなみに、その収録楽曲は半分が新曲、もう半分が、これまでマイクがHOUSE OF LORDS、HARDLINE、TOWERCITY、WALL OF SILENCE・・・等々の他アーティストに提供して来た楽曲のリメイクで構成されていて、いずれもアメリカン・メロディアスHRの模範的なシルエットを描き出す秀曲揃い。特にスカッとハジけるOPナンバー①は、雲一つない抜けるような青空の下でオープンカーをかっ飛ばす爽快感に満ち溢れ、アルバムに対する期待感を開巻早々にMAXまで引き上げてくれる名曲です(どこか聴き覚えがある⑩もお薦め)。
全体的に泣きや哀愁成分は薄めなれども、キャッチーに洗練された大陸産ハードポップ・サウンドは、これはこれで十分に胸躍るサムシング有り。巧いVoに巧いGを得て、全編に亘ってマイク・スラマーのメロディ職人としての匠の技が冴える1枚。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Dorian Gray ★★★ (2015-05-17 22:22:09)

アルバムのラストに鎮座ましまし、
本編に居並ぶ歌入り楽曲を前座扱いする
ドラマティックなインストの名曲。
リー・タロット(G)の才能が遺憾なく
スパークしまくっていますね。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Slave to Moonlight ★★★ (2015-05-17 22:16:22)

(歌詞に相応しく)夜の森を駆け抜ける狼の如く
切れ味鋭く楽曲を牽引するGの働きぶりに
耳奪われるアップテンポのHMナンバー。
歌唱力については賛否分かれるVoですが
(個人的には全然「有り」なのですが)
ここではキャッチーな歌メロを構築する等
確かな成長振りが伺えますよ。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven - Jonathan's Diary ★★★ (2015-05-17 22:10:38)

B級だのイモだの言われてるSTORMWITCHですが
(実際その通りなんですけどね)
この曲に関しては、ドラマティックに練られた
歌詞といい曲展開といい、
聴く度に確かな才能の煌きが感じられ
ニンマリ笑顔になりますよ。


STORMWITCH - Stronger Than Heaven ★★★ (2015-05-17 00:33:20)

'86年発表の3rdアルバム。
ジャケットのしょうもなさは弁護できませんけども。鋲打ちレザーを脱ぎ捨て、オーダーメイドのバロック・コスチュームへと華麗なる変身を図ったメンバーのルックスが物語る通り(?)、プロダクションがクリアに整えられ、楽曲もキャッチーなノリ易さを増す等、今回は過去2作に比べると地下室のジメジメ感が除湿されて、随分と取っ付き易い作風に仕上がっています。
つっても垢抜けたなんてことは全くなく、魔女の呪文詠唱からスタートする、らしさも怪しさも満点の①②で早くもニヤけてしまいますね。そして何と言ってもハイライトは、リー・タロット(G)が執筆した吸血鬼に関するオリジナル・ストーリーを下敷きにしてるという7分半に及ぶ大作曲④。コケ脅し臭が薄まった歌詞から起承転結バッチリの曲展開まで、バンドのソング・ライティング能力の開花っぷりを如実に証明する素晴らしさ。このドラマティックな名曲を筆頭に、歯切れ良く踊るツインGを纏って疾走する⑤や、アルバムの締め括り役という大任を切れ味鋭く全うするインスト曲⑨等、本編には味わい深い楽曲が所狭しと並び、これまた捨て曲なし。
こうしてSTORMWITCHの初期作を久々に聴き直してしみじみと「やっぱ彼らの初期作は好きだなぁ」と実感した次第。


STORMWITCH - Tales of Terror - Night Stalker ★★★ (2015-05-14 23:08:31)

アルバム後半において一際強いインパクトを残す疾走ナンバー。
NWOBHM的な荒々しさよりも、
ドラマティックにハモりながら駆け抜けていく
ツインGの華麗なる活躍ぶりが印象的で、
バンドがいよいよ個性を確立しつつあることが
伝わってくる出来栄え。


STORMWITCH - Tales of Terror - Sword of Sagon ★★★ (2015-05-14 23:02:33)

冒頭に置かれたナレーションが、MANOWARの
“WARRIOR'S PRAYER”を思い出す長さで笑ってしまいます。
(喋ってるのはアメリカの軍人さんなのだとか)
この芝居掛かったイントロに負けず、疾走感溢れる
楽曲自体も勇壮でナイス。デビュー作に比べると
全体的にメロディアスになってきていることが分かりますね。


STORMWITCH - Tales of Terror - Point of No Return ★★★ (2015-05-14 22:55:46)

その昔、立ち寄った輸入盤店でBGM代わりに流れてた
この曲の大仰且つ怪しさ満点のイントロを聴いた瞬間、
店員さんに「これ、なんてバンドの曲ですか?」と
聴きにいきましたね。名曲。


STORMWITCH - Tales of Terror ★★★ (2015-05-12 23:56:37)

STORMWITCHの代表作として名高い、'85年発表の2ndアルバム。ここからは国内だけでなく、欧州HR/HMシーン全体での活動も視野に入れて、メンバー全員が英語風ステージネームを名乗るようになりました。例えば、アンディ・ミュック(Vo)はアンディ・エルドリアン、ハラルド・スペングラー(G)はリー・タロット・・・といった具合に。
音の方も、プロダクションが幾分かでも改善され、「歌が上達したリッキー・ヴァン・ヘルデン」といった感じで(褒め言葉?)より雄々しくメロディアスに歌い上げるようになったVoと、一層妖しく練られたフレーズを閃かせてくれるツインGに下支えされ、ドラマ性をいや増した収録楽曲etc・・・と、NWOBHMの影響下から抜け出して、独自の「STORMWITCHサウンド」確立に向けて大きく前進。
怪しげなアートワークをそのままメロディに転化させたようなイントロが本編に対する没入度を高めてくれるOPナンバー①や、『赤死病の仮面』をテーマとするドラマティックな③、MANOWARばりの「語り」を導入部に据えた芝居がかった曲展開が堪らない⑤、2本のGが印象的にハモりつつシャープに駆け抜けていく⑦等、いよいよ本領発揮!ってなクサくて暗くて大仰な楽曲が本作には大集合しています。
「お洒落」とか「洗練」といったモテワードとは清々しいぐらい無縁のB級メタル街道一直線作品なれど、HELLOWEENブレイク前のジャーマン・メタル裏名盤の一つとして、愛さずにはいられない魔力を秘めた1枚であります。


STORMWITCH - Walpurgis Night - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-12 00:02:42)

突進系のマイナー・メタル・ソングが大半を占める
1stアルバムの中にあって、軽快に弾む
“LONG LIVE ROCK 'N' ROLL”思わすリズムが
異彩を放っています。
でもメロディやツインGハーモニーが
湿気っているあたりはやっぱりドイツのバンドやなぁと。


STORMWIND - Resurrection - Samuraj ★★★ (2015-05-11 23:25:55)

SAMURA“I”じゃなくてSAMURA“J”であることに
バンドの拘りが感じられる・・・なんてことは全くなく
単に向こうじゃ「J」が「イ」の発音に該当するだけですかね。
メロディに和風色はありませんが、
憂いを帯びた硬派な曲調はSAMURAI・・・もといSAMURAJっぽい。
その名に恥じぬ良い曲です。


STORMWITCH - Walpurgis Night ★★★ (2015-05-10 22:36:18)

幼馴染のアンディ・ミュック(Vo)とハラルド・スペングラー(G)により結成された5人組が、'84年にGAMA RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、レーベルは彼らのことを「ブラック・メタル」として売り出そうとしたそうですが、無論本作にアンチクライスト思想や、VENOM、BATHORYとの共通点は皆無・・・あ、いや。安普請なプロダクションと、ホラー映画を影響源とする歌詞はそれっぽいかもしらん。
ともあれ、この時点ではSTORMWITCHと聞いて想起されるドラマティックな様式美HMテイストは薄め。それよりも鋲とレザーで武装したメンバーのルックスといい、荒い音色で鋭角的に刻まれるGリフ主導で疾走する楽曲といい、そのサウンドはNWOBHMからの影響がストレートに露出しています。
曲作りの中核を担うツインGコンビが奏でるフレーズに、決して巧いわけじゃないけどメタルを歌うに相応しい「熱さ」「勢い」は十分なVo等、バンドの才能の片鱗は既に随所で煌いていて、例えば抜けの良い⑤なんかは、本編を埋め尽くすマイナー・メタル・ソング群の中にあって妙なインパクトを放つ逸品。後にバンドの代表曲となったのも納得ですよ。
イロモノ全開なアートワークから、僅か8日間で突貫制作されたチープな音質に至るまで、噎せ返るようなイモ・メタルっぷりですが、逆にここまで美味しいおイモなら、立派に商品価値があるってもんではないでしょうか。


SWORD - Metalized - F.T.W. ★★★ (2015-05-08 23:58:33)

スラッシュ/パワー・メタリックなササクレ感を
撒き散らすGリフのカッコ良さ、喧嘩上等なリズムの迫力、
いかにも80年代らしいフラッシーなGソロ、
そして男臭いシンガーの噛み付くような歌いっぷりと、
(音程を伴わないシャウトがレット・フォリスター似なとこも良い)
いずれの要素にも花丸を差し上げたくなる名曲も名曲。超名曲。
バイクのエンジン音に併せてメイン・リフが刻まれる箇所なんて
何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。


SWORD - Metalized ★★★ (2015-05-07 23:49:34)

リック(Vo)とダン(Ds)のヒューズ兄弟により結成された(元々はKISSのトリビュート・バンドだったとか)カナダはケベック州出身の4人組が、地元インディーズのAQUARIUS RECORDSから'86年に発表したデビュー作。
明らかにJUDAS PRIEST影響下の正統派HMを志向しながらも、そのサウンドにドラマ性や構築感の類は希薄。むしろ「やんのかコラ」と派手に土煙蹴立てて暴れ回る無頼漢っぷりこそが本作の魅力かと。
その真髄たるのがOPナンバー①で、飼い慣らされない野生動物の如きワイルドさ漂わすVoに(「メタリックなレット・フォリスター」的趣きあり)、鈍い光沢を放つササクレ・リフを刻みつつソロは華やかにキメてみせるGとが、バキバキにブッ叩かれる全力投球リズムに乗ってパワフルに迫り出してくる、メタル魂滾るこの名曲を聴くためだけにでも本作は購入するべきである!と(極論)。
正直、この曲と、その後に続く②のインパクトが劇的過ぎて本編中盤の印象が霞みまくりなのですが(退屈なわけではない)、それでも地を這うヘヴィ・チューン⑩が存在感たっぷりに本編を締め括ってくれるため、尻すぼみ感はなく聴後感も良好。
リリース当時、ここ日本でも高く評価された(BURRN!!誌のバックナンバーを確認したら92点を獲得してた)のも納得の1枚。


CIRITH UNGOL - Paradise Lost - Chaos Rising ★★★ (2015-05-06 22:52:19)

押しと引きのツボを心得たGに
緩急を飲み込んだリズム、
そして荘厳且つ大スケールの曲展開とが
8分以上の長尺をテンション高く引っ張ります。
すっぽ抜けのハイトーンが気になるVoも
ここでは変幻自在な歌唱で楽曲の
ドラマティックな盛り上がりに貢献。
この声あってこそのCIRITH UNGOL!
と思わせてくれますよ。


SAXON - Destiny - Jericho Siren ★★ (2015-05-06 21:46:52)

アルバムのポップ路線にフラストレーションを覚えた
SAXONファンも溜飲を下げるハード・ナンバー。
といっても、やっぱり洗練を感じさせる仕上がりで
初期のバイカーズ・ロック路線とは趣きが異なるのですが。
ちなみにタイトルは、ドイツ軍の急降下爆撃機ユンカースJu87
通称「スツーカ」の固定脚に取り付けられた威嚇用サイレンに因む。


SAXON - Destiny - S.O.S. ★★★ (2015-05-06 21:40:10)

曲名通りにモールス信号のイントロからスタート。
ブリティッシュHMバンドならではの
ハードネスと憂いに満ちたメロディ、
売れ線SAXONらしいKeyをアレンジに自然に
取り入れた洗練を感じさせるキャッチネス。
アルバム『DESTINY』の中において、
二つの要素が最も巧みに融合しているように感じられた
楽曲で、個人的にはアルバムのハイライト。


CIRITH UNGOL - Paradise Lost ★★★ (2015-05-06 10:53:57)

'91年発表の4thアルバムで、個人的に初めて聴いたCIRITH UNGOLの作品がコレ。当時はどういった来歴のバンドか殆ど何も知らぬまま、「雑誌レビューで褒められてたから」という単純極まりない理由で購入。で、シンガーの調子っ外れな歌唱がどうにも受け入れられず、1、2度聴いたきりでCDラックの奥の方へ放り込んでしまいました。
しかし、その後初期作に触れる機会を経て、このバンドの個性(Voの歌唱スタイル含む)をそれなりに咀嚼した上で聴き直したらば、実は独特のチープネスやクサ味、アクの強さが抑えられた分、ドラマティックな曲展開やキャッチーなメロディといった、普遍的な正統派テイストの増強された本作が、彼らのカタログの中でも頭抜けた「取っ付き易さ」(及び完成度の高さ)を有していることが理解できた次第。
IRON MAIDENエキスが筋肉注射された勇壮な④を始めとするアルバム前半もなかなかのモノですが、圧巻なのは、ミルトンの『失楽園』を下敷きとした劇的極まりない楽曲が次々畳み掛けるラスト3曲。中でも8分以上に及ぶ大作ナンバー⑦は、エピック・カルト・メタルというジャンルを切り開いたCIRITH UNGOLの最高到達地点とも言える名曲ぶり。
マイケル・ウィーラン画伯の手による素晴らしきアートワーク『この世の海の彼方』に全く引けを取らない充実した内容を誇る力作。


SAXON - Destiny ★★★ (2015-04-30 23:58:21)

80年代後半に発表されたSAXONのアルバムは、どれもNWOBHM終焉後のイギリスで試行錯誤を重ねたバンドの苦闘の跡がクッキリと刻まれていますが、この'88年発表の10thもまさしくそんな感じ。
ただ本作は、クリストファー・クロスのカヴァー曲①や、煌びやかでキャッチーな③、SAXON版“JUMP”と評したくなる⑧といった、あからさまにヒット狙いの楽曲が「らしくない」と議論を呼ぶ一方、そうした楽曲がダイハードなSAXONファンすら説伏する確かなクオリティを有していた為、「困惑しつつも愛さずにはいられない」という、SAXONのカタログの中でもかなり特異な立ち位置を獲得することに成功した1枚であり、彼らのアルバム全てを揃えてるわけじゃなく、気に入った作品のみを摘み食い的に購入しているような自分にとっちゃ、名曲の宝庫であります。
憂いを帯びた⑤はSAXONの新たな魅力が発現したアルバムのハイライト・ナンバーですし、ポップ/ポッパー/ポッペストとか言いながらも、実はB面サイドは、“ジェリコのラッパ”のタイトルに相応しいスツーカの急降下爆撃を思わす⑨を筆頭に、G主導で駆け抜けるヘヴィ・メタリックな楽曲がズラリ。何よりも、それらを硬軟自在に歌いこなすビフ・バイフォードのシンガーとしての熟達振りに耳奪われずにはいられませんて。
全体的に洗練を感じさせる仕上がりであり、「バイカーズ・ロックの面影は遠くへ去りにけり」ではありますが、英国産正統派メタル好きなら聴いて損なし/捨て曲なしの名盤。遂に国内盤の再発も掛かりましたので、是非に。


ICON - Icon - Rock 'n' Roll Maniac ★★★ (2015-04-29 00:12:28)

個人的には1stアルバムで一番好きな楽曲なのですが
まさかの得票数0。
アメリカンな威勢の良さと、ヨーロピアンな
湿り気と重厚感の良いトコ取りな名曲ですよ!


ICON - Icon ★★★ (2015-04-29 00:01:58)

軽薄さを微塵も感じさぬ重厚な正統派HMサウンドが託された、LAメタル異端の名盤として、ARMORED SAINTやMALICEの諸作と共に雑誌等で取り上げられる機会の多い、ICONが'84年に発表したデビュー作。(そういやプロデューサーはマイク・ヴァーニーでしたっけね)
メタリックな光沢を放ちながら、ツインGとリズムとが分厚く押し出してくるOPナンバー①を聴けば、彼らのお手本がJUDAS PRIESTであることは疑いようがありませんが、その一方で、アイラインばっちり/カットTシャツざっくりなメンバーの派手派手なルックス、ギタリストのドヤ顔が目に浮かぶようなテクニカルなプレイ満載のリードG、あと「歌う」よりも「叫ぶ」といった感じの勢い重視なVo等は、バンドの出自が間違いなくLAメタルにあることも物語っていています。
正直、音程に無頓着に喚くVoには聴き疲れを覚えなくもないのですが、楽曲はそれを補って余りあるカッコ良さ。中でもフラッシーなツインGを活かした疾走ナンバー⑥から、“美しき聖像破壊者たち”なる邦題の付けられた神秘的なインスト曲⑦を経て、本編屈指の出来栄えを誇る劇的且つ重厚な⑧へと雪崩れ込んでいく中盤以降の流れは、欧州風味の正統派HMにLAメタル流のメイクを施したICONサウンドの真骨頂。
本作に冠せられた大仰な邦題『聖なる咆哮』は伊達じゃねぇ!と思わせてくれる名盤です。


SAINT - Too Late For Living - The Path ★★★ (2015-04-28 00:26:25)

爪弾かれるアコギをイントロ代わりに
力強く、壮大に盛り上がっていく曲調が
“METAL GOD”を思い起こさせるエピック・ソング。
どうでもいいことですが、何度聴いてもサビメロは
“ド~スケベ~が~い~た~♪」と歌っているように
空耳してしまいますね。


SAINT - Too Late For Living - Returning ★★★ (2015-04-28 00:19:49)

ロブ・ハルフォード似のシンガーばかりが
俺達の武器じゃないぜ!とばかりに
2ndアルバム・リリース前に加入した新ギタリストが
実力をスパークさせるインスト・ナンバー。
この曲に限らずアルバムの至るところで
フラッシーなGの腕前を閃かせるこのGの加入で
バンドの格は間違いなく数段上がりましたね。


SAINT - Too Late For Living - Accuser ★★★ (2015-04-28 00:14:05)

これまたシンガーのロブ・ハルフォードくりそつな
歌唱に驚かされる疾走ナンバー。
実際のところ声を張ると御大ほどの神々しさは
感じられないのですが、中音域で、抜いた声で
歌っている時の「ロブ・ハルフォー度」の高さは
リッパー、ラルフ・シーパーズ、ジェイムズ・ニールといった
ライバル勢を全く寄せ付けないレベルに達していますよ。


SAINT - Too Late For Living - Star Pilot ★★★ (2015-04-28 00:08:08)

早口Voからエコーの掛かり具合まで、ジョシュ・クレーマー(Vo)の
神罹ったロブ・ハルフォードそっくりさ加減に驚かされる疾走ナンバー。
それだけでなく、ドーナツ化現象が危惧され始めていた
当時の米国HR/HMシーンで、迷わずド直球の正統派HMが貫く楽曲自体も、
『BRITISH STEEL』期のJUDAS PRIESTを思わすカッコ良さで、
非常に良く出来ています。


SAINT - Too Late For Living ★★★ (2015-04-25 11:50:02)

JUDAS PRIESTのソックリさんぶりがマニアの間で語り継がれる、オレゴン州セイラム出身の4人組聖闘士(違う)が'88年に発表した2ndアルバム。
デビュー当初の青銅聖衣から、立派な黄金聖衣へと華麗なる衣替えを果たし「SAINTの最高傑作」と評判を得る本作は、OPナンバー①からしてバイクのエンジン音でスタートする等、いきなりJUDAS PRIEST大好きっ子ぶり全開。特にシンガーの「ロブ・ハルフォー度」の高さは半端なく、レンジの広さは御大ほどじゃありませんが、中音域で歌っている時のソックリさ加減と来たらMALICEもたじろぐレベル。疾走曲②でリズムに対して早口気味に歌メロを追っ付ける所や、③のヴァースを抜いた声で歌ってる箇所なんかロブそのもの。吹き出すと共に感心せずにはいられませんて。
よくよく聴けば、楽曲自体はJP「風」ではあってもそのまんまってわけじゃなく(シングルG編成ですし)、⑧みたいな如何にもアメリカンな爽やかなロック・ソングも収録されてたりするのですが、しかしながら、この声で歌われると否応なしに鋼鉄神っぽさが吹き込まれるのは事実。
何より、新ギタリストの有能さが遺憾なく発揮された④やインスト曲⑥、そしてサビが「ドスケベがいた~♪」に聴こえてしまう重厚な⑦等、タイトに締まった楽曲がテンポ良く繰り出される本編を聴くと、彼らが単なるモノマネで満足せず、ちゃんと良い曲を生み出すべく研鑽を積んでいるバンドであることが伝わって来ます。
似てるから良いのではなく、優れてるから良い作品なのですよ!と、内なる小宇宙を燃え上がらせながら力説したくなる1枚。


SAINT (2015-04-25 11:49:29)

'79年に活動を開始し、当初はPOWER FAITHと名乗っていた模様。
SAINTと改名の後、'84年にデビューEP『WARRIORS OF THE SON』、'86年に1stフル『TIME'S END』、そして'88年には代表作とされる2nd『TOO LATE FOR LIVING』を発表し、いずれもクリスチャン・ミュージック・シーンを中心に好評を博するも、間もなく解散。
自分が聴いたことがあるのはこの時期の作品だけなのですが、実際のところバンドは、21世紀を目前に再結成を遂げてからの方が、より積極的に活動している印象あり。
なお、バンド名や歌詞カードに聖書の一節を引用したりすることからも分かる通り、クリスチャン・メタル・バンドである。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure - Master of Illusion ★★★ (2015-04-23 23:00:46)

序曲“BLINDED”とセットで劇的に本編の幕を引く、
勢いは抑え気味に、聴かせることに主眼を置いたエピック・ソング。
ツインGが奏でる印象的なメロディを手始めに、
これまたIRON MAIDENからの影響が濃厚に打ち出されていますね。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure - Stairway to Insanity ★★★ (2015-04-23 22:54:08)

“BE QUICK OR BE DEAD”か、
はたまた“PURGATORY”かといった趣きの
Gリフでグワシッと掴まれるスピード・メタル・ナンバー。
シャウトだけでなく、ここではきっちりとメロディを
追いかけるVoも楽曲の荒ぶる勇ましさを援護射撃。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure ★★★ (2015-04-22 23:34:29)

セルフ・タイトルのデビューEPが絶賛されたベルギーの5人組が、満を持して'15年に発表した1stフル・アルバム。(日本デビュー作でもある)
剃刀Gリフを目まぐるしく刻み倒し、IRON MAIDENへの憧憬も露わに劇的にハモりまくるツインGにグイグイ引っ張られて、ハイピッチVoと、敏捷な機動性を誇るリズム隊を伴い一気呵成に突っ走るサウンドは、NWOTHMの一派に含めるには尖がっていて、スラッシュ・メタルで括るにはメロディアス。さてこの音を何と表現するべきか…と一瞬考え込んでから、あ。「スピード・メタル」でいいじゃんかと。
ただ、字余り気味のテンションで押し込んで来る②のような楽曲にしても、曲展開には緩急やドラマが仕込まれ、Gソロにも尺がたっぷりと取られています。昨今評判のSPEEDTRAPやDEMOLITION TRAINといったプレ・スラッシュ/スピード・メタル勢に比べるとパンクっけが殆ど感じられず、そうしたメタリックな作風も個人的には好みに近い感じ。特に、イントロ一発でハート鷲掴みな、一際雄々しくメロディアスに歌うVoのフィーチュアされた⑤と、序曲⑧とセットで本編の幕引き役を担うドラマティックな⑨は、デビュー作よりも更に構築感を増した本作を代表するナンバーかと。
全体をもうちょい整理すると、更に一段上のレベルを狙えそうな気がしますが、現時点でも十分星3つ評価に値する力作。


Tachyon - Tachyon ★★★ (2015-04-21 22:13:49)

MOON DANCER活動停止後、厚見麗(Vo、Key)と沢村拓(G)が、新たにグレッグ・リー(B)、ガイ・シフマン(Ds)のアメリカ人リズム隊と共に結成したTACHYONが、プロデューサーにミッキー・カーチス(!)を迎えて'81年に発表したデビュー作。
ニュー・バンドと言っても、サウンドの基軸となるのはMOON DANCER時代と同じく万華鏡の如く煌く厚見のKeyプレイなので、プログレッシブ・ロックという大枠に変化はなし。ただメンバー全員が平等に曲作りに参画し、よりモダンなアプローチが試みられている収録楽曲からは、初期QUEENばりのドラマ性は大きく後退(ついでに少女漫画的なビジュアルからも卒業)。代わって増強されているのが、トロピカルな②で聴かれる沖縄音階、④に取り入れられたレゲエのグルーヴ、更に⑤を妖しく包み込む中近東テイスト・・・といったワールド・ミュージックな要素。
厚見が曲作りをほぼ一手に担ってたMOON DANCERの音楽性の方が、ドラマティックな統一感があって好みっちゃ好みでしたが、そのMOON DANCERに通じる①から、題名に相応しいスケール感を湛えた⑨に至るまで、腕利き揃いのメンバーが、高度な演奏技術/深みのある表現力を生かして縦横無尽に駆け巡る本作のクオリティにだって決して文句はないわけで。
《このサウンド・ラッシュに、君はもうタキオン粒子になるしかない》という、言葉の意味はよく分からんがとにかく自信満々に断言してくる帯の惹句に、思わず「なるしかない」と同意してしまう1枚。


Tachyon (2015-04-21 22:12:03)

厚見麗(玲衣)を中心に、MOON DANCERが発展する形で結成された《かっこいいルックスと研ぎ澄まされたスピード感・・・人種・国籍を超えてスーパー・アイドル・ロック・バンド登場!》(帯より抜粋)な日米混合4人組プログレッシヴ・ロック・バンド。
MOON DANCERの方は、リイシューされたCDや中古のアナログ盤を見かける機会もあったりしたのですが、TACHYONの存在はネット環境が身近になるまで知らなかったので(勉強不足でお恥ずかしい限り)、'81年発表の唯一のフル・アルバムが紙ジャケ再発された時には驚かされましたし、この快挙を成し遂げてくれたレコード会社には深々と頭を垂れたくなりましたよ。


金谷幸久 - Cry for the Moon - Dirty But So Beautiful ★★★ (2015-04-19 00:50:21)

イントロで溜めを作ってから疾走を開始する
劇的な曲展開、コブシが回る歌メロ、GとKeyの
ドラマティックなコンビネーションetc・・・と、
和製様式美メタルの醍醐味が詰まった本編ハイライト。
悶絶モノの歌メロを堂々歌い上げる
藤本朗の衰え知らずの歌唱力にも脱帽です。


金谷幸久 - Cry for the Moon - Happy Wedding ★★★ (2015-04-19 00:44:00)

前曲のインスト・ナンバー“LOVE AND HATE”のエンディングを
ぐぅ~と引っ張ってから、ドカンと炸裂するイントロの
ドラム・パターンが“KILL THE KING”風で笑顔になってしまう
虹色疾走曲。


金谷幸久 - Cry for the Moon ★★★ (2015-04-17 22:42:19)

金谷幸久(G)が『EAU ROUGE』以来、実に20年振りに発表した2ndソロ・アルバム。
名曲“AWARENESS OF ONENESS”収録の前作はなかなかの力作でしたが、シンガーにX-RAY~EBONY EYESの藤本朗、Key奏者に元TERRA ROSAの岡垣正志を招いてレコーディングされている今作もまた、「昭和」の薫りがツーンと鼻腔を突く関西風様式美HMサウンドが徹底されており(何せ収録曲の半数近くがEBONY EYESの楽曲のリメイクだ)、クオリティ面でも一歩も引けを取らない出来栄え。
歌謡曲的な歌詞世界、コブシを効かせたシンガーの歌い回し、そしてGとKeyのテクニカル且つコテコテな掛け合いまで、昨今の垢抜けたJ-METAL的洗練とは一切無縁の脂っこい作風は、人によっちゃ胃もたれ起こす危険性ありありですが、個人的には行きつけのラーメン屋レベルでしっくり来る味わい。
今となってはこうした音をクリエイト出来るミュージシャンの方が少数派ですし、痒いところに手の届くクッサクサな歌メロに悶絶させられる和製様式美メタルの真骨頂というべき疾走曲①③(全く衰えを感じさせない藤本の歌いっぷりにも感動)を聴くにつけ、「絶滅してしまう前に一刻も早くこの音を無形文化財に指定して保護すべきっすよ!」と、ワンカップ片手にクダ巻きたくなる1枚。


TAK MATSUMOTO - Thousand Wave ★★★ (2015-04-16 22:12:50)

その昔、中古盤が格安価格で投売りされてたのと、「ゲストでLOUDNESSの樋口宗孝がドラム叩いてるんなら、そう酷いことにはならんだろう」と、かなり後ろ向きな理由で購入を決めた、松本孝弘がB'zデビュー前の'88年に発表した1stソロ・アルバム。
でも実際に聴いてみると、これがゲスト云々は関係なしに非常に優れた出来栄え(ゲスト陣の仕事ぶりが作品の質を高めていることも間違いありませんが)。考えてみりゃ本作リリース時点で、既にソングライター/ギタリストとして数々の場数を踏んできた、実力折り紙付きのセッション・ミュージシャンだったわけですからね。
オール・インスト物ながら、スポーツニュースのテーマ曲みたいな②から、松本、樋口、小室哲哉(Key)が三つ巴の楽器バトル繰り広げる火花バチバチな⑦、ホラー/サスペンス映画の劇伴チックな⑩に至るまで、印象的に「歌う」メロディがフィーチュアされた楽曲の数々は、ギター・インスト物を余り得意としない自分のような人間ですら片時も退屈させない求心力を放っています。殊にチック・コリアの名曲を、ヘヴィ・メタリックな切れ味の鋭さと疾走感を加味してリアレンジした③はアルバムの白眉!
テクニックのひけらかしに拘泥せず、全編に亘って貫かれた楽曲優先主義に、実に心地良く身を委ねられる1枚でありました。


藤本泰司&フレンズ - My Quest ★★ (2015-04-14 22:19:25)

藤本泰司(G)が'91年に発表した初のソロ・アルバム。失恋船長さんが既に詳しく名前を挙げられている通り、豪華なゲスト・ミュージシャンの参加が話題になった作品で、こちとら、その顔触れだけで購入を即決させられたぐらいですよ。
んで、この面子が演るに相応しい、さぞかし強力な様式美ないし正統派HMサウンドが聴けるものと、期待と興奮に鼻の穴広げまくって再生ボタンを押してみたら・・・あれ?と。DANCER解散後、新たな方向性を模索している時期だったのか、かつては「和製マイケル・シェンカー」と評された藤本のGプレイにしろ、彼がクリエイトする楽曲にしろ、哀愁や泣き成分は非常に希薄。音質はラフだし、リラックスしまくりな楽曲も、カッチリとまとまった構築感より「気の合う仲間達と気の向くままにレコーディングしてみました」的な楽しげな雰囲気が強く伝わって来る仕上がり。
あまり親しくもない知り合いの誕生パーティーに呼ばれてしまい、盛り上がる当人達を壁際から困惑気味に眺めてる・・・みたいなノリきれなさを、本作に対して覚えなかったと言えば嘘になりますが、ともかく抜群に演奏が巧い/説得力がある人達ばかりゆえ、それを追っかけてるだけで和めるというか、不思議とすんなりと聴き通せてしまう作品であることは確か。特に、ハイライトたる8人のギタリストが次々にソロを披露していく⑥(しかもVoは赤尾和重だ)なんて、まるで日本版“STARS”のよう・・・と絶賛するには楽曲の方向性が違い過ぎるのがネックなんですけどね。
DANCERの幻影を求めるよりも、「ミュージシャン・藤本泰司」の懐の広さを楽しむべき1枚でしょうか。


HARLOT - Room with a View - Spirits ★★★ (2015-04-13 23:14:32)

北欧ハードポップ路線のアルバムの中においては
比較的重厚且つ大スケールに盛り上がっていく
曲調が異彩(ってほどでもないけど)を放つナンバー。
中盤には“Ich bin ein Berliner”の文句で知られる
ケネディ大統領のベルリン演説(だよね?)の音源が引用され
ドラマティックな曲展開に華を添えます。


HARLOT - Room with a View - So Much for Happy Endings ★★★ (2015-04-13 22:40:19)

ポジティブな歌詞から、爽やかなKeyを纏って
ポップに跳ねる曲調、美しいハーモニーに彩られた
キャッチーなサビメロまで、WITCH CROSS時代とは
まるで異なる仕上がりの楽曲ながら
これはこれで全然あり!な北欧ハードポップの名曲。
アルバムのリーダー・トラックではないでしょうか。


INCUBUS(UK) - To the Devil a Daughter ★★★ (2015-04-12 23:06:28)

スティーヴ、デイヴ、ケン・クロフォードの3兄弟を擁してNWOBHM最末期に活動していた英国のバンドが、'84年にGUARDIAN RECORDSに残した唯一のフル・アルバム。
ヘタウマなジャケット、チープな音質、いなたいVoと、後発ながらもNWOBHMの伝統をきっちりと受け継いでいる頼もしき(?)本作ですが、音の方にまでNWOBHMらしい荒々しさや疾走感を期待すると、3兄弟による息の合ったボーカル・ハーモニーに彩られた、時にポップにさえ感じられるウェットでメロディアスな作風に、間違いなくスカされることになりますのでご注意を。
味のある楽曲の連なりが醸成する「雰囲気」によって聴き手を「酔わす」タイプの作品ゆえ、強烈なインパクトを焼き付けられる名曲は見当たりませんが、このバンド最大の武器たる、シケシケな哀愁のメロディをのべつまくなし紡ぎ出すツインGは、印象的にハモリまくるOPナンバー①から、早くも英国メタルの旨み全開。悶絶モノの泣きと劇的さで迫り来る③と、哀メロと三連ビートの組み合わせがUFO“DOCTOR, DOCTOR”を思わす⑥なんて、PRAYING MANTISやHERITAGE辺りを好むマニアならば無視できない存在感を発揮してますよ。線の細いVoさえも、ここではその頼りなさが逆に楽曲の叙情性を引き立てているように聴こえてしまうのだから不思議。
「NWOBHMのメロウ・サイドに属する隠れた逸品」との評価に偽りなし。な1枚。


INCUBUS(UK) (2015-04-12 23:01:03)

同名バンドが多数存在するため、別項「INCUBUS」のコメント欄でなくとも混乱しますが(笑)、こっちはイギリスのダラム出身で、デイヴ(Vo、G)、ケン(G)、スティーヴ(Ds)のクロフォード3兄弟と、その友人コリン・エヴァンス(B)によって結成された4人組。
マニアから愛されるGUARDIAN RECORDSと契約を結んだ後、まずはレーベル・メイトのMILLENIUM、SPARTAN WARRIORと共にオムニバス盤『PURE OVERKILL』に楽曲提供をした後、'84年に1st『TO THE DEVIL DAUGHTER』でアルバム・デビューを果たす。
大成出来ぬままNWOBHM史の片隅へフェードアウトしていったバンドですが、ハモリまくるツインGを生かしたサウンドは、(少々垢抜けないながらも)今尚郷愁を掻き立てる輝きが感じられます。


HARLOT - Room with a View ★★★ (2015-04-11 00:26:38)

ROYAL HUNTの母体になったことでも知られるデンマークのWITCH CROSS。そこのシンガーだったアレックス・サヴェージが、新たに(つっても80年代の話ですが)立ち上げたバンドの唯一作。
WITCH CROSS時代は、肩イカらせてNWOBHM風味の荒くれパワー・メタル・ソングを歌っていた彼氏ですが、ここでは打って変わって小洒落た衣装に身を包み、“So Much For Happy Ending~♪”と明るく伸びやかな歌声を披露していて、加藤みどりも「なんということでしょう」と度肝抜かれるレベルの劇的改造ビフォーアフター。
見た目だけに留まらず歌唱力の方も、表現力から何から見(聴)違えるような成長を遂げていますし、何よりも本作に託されている、煌びやかなボーカル・ハーモニーとKeyを惜しみなく注ぎ込んだ、80年代ど真ん中のメロディック・ロック・サウンドは、WITCH CROSSの幻影を追い求めるファンをも力ずくで納得させてしまうクオリティの高さ。
特にポップなサビメロがキャッチーな②はアルバムを代表する名曲。それだけでなく、例えばケネディ大統領のベルリン演説を引用した④ではドラマティックな空気を醸成する等、本編はちゃんとハード・ロッキンなエッジと、北欧のバンドらしい哀感/透明感の保全も図られているのだから隙がない。
月並みな表現ですが、アルバム1枚きりで終わってしまったことが惜しまれるバンドでしたね。