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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 301-400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 301-400

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Dante - In the Lost Paradise - Shadowdancer ★★★ (2022-01-21 00:22:00)

テクニカルなGとそれに並走するB等、
楽器陣の見せ場を盛り込みつつ疾走するアルバムのOPナンバー。
大味な勢い任せと思わせておいてからの、
意外にメロディアスに展開するサビメロにハッとさせられます。


Dante - In the Lost Paradise ★★ (2022-01-20 00:56:32)

「イカ天」に出場してベスト・プレイヤー賞を受賞する等、インディーズ・シーンにおいて確固たるファンベースを築いていたDANTEが、’91年に満を持して発表した1stアルバム。
購入当時は「加瀬竜哉がBで参加している」ということ以外、本作に関する情報は殆ど手元になかったのですが、バンド名がDANTEで、アルバム・タイトルは『IN THE LOST PARADISE』。しかも発売元がMANDRAKE ROOTとくれば、「これもう絶対にドラマティックな様式美HMアルバムでしょ」と期待に胸膨らませて再生ボタンを押したらば、聴こえて来たのはラフでノリ重視のHMサウンド…。様式美作品でなくとも加瀬のソロ『SISTER LEESA』(’93年)みたいな作風であってくれればと期待していた我が身には肩透かし感が半端なかったものの、クレジットをよく見りゃ作曲担当はギタリスト氏。そもそも加瀬はバンドの中心メンバーでもなんでもなかったという。(思い違いしてたこっちが悪い)
そんなわけで、ファースト・インプレッションにしくじった感のあった本作でしたが、繰り返し聴き込むうちに「これはこれであり」と評価を上方修正。インディーズ制作ゆえの音質的ハンデや、楽器陣の達者さに比べるとVoの弱さが如何ともし難いというジャパメタにありがちな弱点を抱えつつも、キレのある演奏とアレンジ・センスに支えられた楽曲は、キャッチーなコーラス・ワークをフィーチュアして疾走するOPナンバー①といい、躍動感溢れるDANTEの代表曲④といい、アルバム後半を引き締めるスピード・ナンバー⑧といい、時折ギラリと光るカッコ良さでこちらの耳を惹き付けてくれます。
MANDRAKE ROOTも店仕舞いしてしまい、今では余り見かけなくなってしまったのが残念な1枚ですね。


M.t. Fuji - Human Transport - Wonder Land ★★★ (2022-01-19 01:01:29)

ポップかつ華やかに本編の開幕を告げるOPナンバー。
バック・コーラスとしてワンポイントでの参加ながら、
リードVoを食いかねない存在感を発揮する二井原実…もとい、
ミック・ジョセフィン・ワンダーの圧の強い歌声に笑ってしまいます。


M.t. Fuji - Human Transport - In the up Shot ★★★ (2022-01-19 00:55:55)

プログレ風味の入った流麗なタッチで奏でられ、
曲展開をリードするKey(ピアノ)の活躍ぶりが印象的。
キビキビとした演奏で曲調にHR然としたエッジを加える楽器陣や、
新人離れした歌声を聴かせるVoも良い仕事しまくりの
アルバム・ハイライト・ナンバー。


M.t. Fuji - Human Transport ★★★ (2022-01-17 23:09:38)

80年代ジャパメタ・シーンを彩った覆面バンド/ミュージシャンとして名前が思い浮かぶのは、BOW WOW+小室哲哉と言われた銀星団や、松川敏也(BLIZARD)のソロ・アルバムに参加したMr. CRAZY TIGERこと稲葉浩志、そしてこのM.T. FUJIのことでしょうか。
M.T. FUJIの唯一作である本作は'82年にリリースされており、クレジットにはアラン“ヘヴン”カンザキとかダリオ・デ・パルマとか、あからさまに偽名っぽい名前が並んでいます。その正体はLOUDNESSの高崎晃(G)、山下昌良(B)、MAKE-UPの山田信夫(Vo)、T-SQUAREの長谷部透(Ds)、現在はプロデューサー業で名を馳せる笹路正徳(Key)と伝え聞きますが、声でハッキリと識別できる山田以外のメンバーに関しては確証はなく、あるいは’12年の初CD化の際にネタ晴らしがあるかもと期待しましたが、そこに関しては相変わらず秘匿されたままだったという。まぁ今となっては別に強く知りたいとも思っちゃいないんですけどね。謎は謎のままの方がロマンが感じられますし。
肝心の内容に関しては、正体はともかく一流どころの面子が集結しているだけあって流石に文句なし。ゴリゴリのHM路線ではなく、Keyを前面に押し出した、ちょいポップなプログレ風味入りのメロディックHRサウンドは、LOUDNESSよりもMAKE-UPとの比較がしっくり来そうな仕上がり。特にツボを押さえたGプレイ、流麗なピアノ、既に冴えている山田…もといアランのエモーショナルな歌声、そしてグッとくる憂いを湛えたメロディという聴き所を盛りに盛った⑦は、今聴き直しても古臭さを感じさせない名曲です。
またやってくれませんかね?


Stingray(JAPAN) - One Night Rose - One Night Rose ★★★ (2022-01-13 00:12:56)

劇的なGリフと、歌謡曲に通じる哀愁を含んだ歌メロが、
GとKeyの掛け合いを伴いながら疾走する様が
「様式美HR化したEARTHSHAKER」的な後味を残すOPナンバー。
ドラマティックに構築されたGソロもそうした印象に拍車を掛けます。


Stingray(JAPAN) - One Night Rose ★★★ (2022-01-11 23:54:47)

有望バンドが続々登場したジャパニーズ・メタルの最盛期と言うべき'85年にデビューを飾ったベテランなのに、インターネットをいくら掘っても彼らに関する情報が殆ど出てこないので困惑させられる、フロントマンの鈴木治(後年はプロデューサーとしても活躍)率いるSTINGRAYが'93年に発表した3rdアルバム。ちなみに結構なレア盤として取引される本作を、数年前旅行へ行った際に、たまたま立ち寄った小さなゲーム屋の中古CDコーナーでゲット出来たことはささやかな自慢です。
曲によっては女性と聴き紛う中性的な鈴木のハイトーンVoと、構築美を湛えてメロディアスに歌うGを生かした、例えるならEARTHSHAKERを様式美方向へ寄せたようなHRサウンドはデビュー時から変わることなく健在。むしろ健在過ぎて、歌詞については'93年という時代を鑑みても赤面を誘われるものがありますが、でもこの歌謡曲やポップスに通じる哀愁を帯びて、良い意味で予想通りに展開してくれる昭和感溢れる歌メロには実家のような心地良さを覚えてしまう次第。猫も杓子もJ-POP風味な昨今、改めて聴き直すといっそ新鮮さすら覚えることは…まぁないかもしれませんが、本編には劇的なイントロによる幕開け後、哀愁のメロディを纏って疾走を開始するOPナンバー①、歯切れ良くキャッチーな②、物騒なタイトルとは裏腹に繊細に組み上げられた⑤、アルバムの最後を疾走曲で締め括るバンドは信用できる!な⑩等、音質の弱さをモノともしない強力な楽曲が揃っています。
最近STINGRAYの1stが再発されたそうなので、であれば本作も是非。このまま埋もれさせとくのは惜しい力作ですよ。


KISS - Creatures of the Night - I Still Love You ★★★ (2021-12-31 02:11:10)

ポールの熱唱に、泣きのギター、そしてエリック・カーの
曲調を劇的に盛り上げるドラミングといい、それまでKISSに
対して抱いていたイメージを一変させられ「ちゃんとKISS聴いてみよう」
と決意する切っ掛けともなった個人的に想い出の名バラード。


KISS - Creatures of the Night - Danger ★★★ (2021-12-31 02:03:20)

エリック・カーのアタッキーなドラミングが
勇ましい曲調をより一層盛り上げる名曲。
デイーンジャ!デイーンジャ!と思わず一緒に
歌わずにはいられないキャッチーなコーラスも素晴らしい。


KISS - Creatures of the Night ★★★ (2021-12-30 00:57:59)

アルバム・セールスの不振、メンバーの相次ぐ離脱、長年連れ添ったビル・オーコインと袂を別ち、次作以降メイクをやめ素顔で活動していくことになる等、転換期を迎え苦境に喘いでいたKISSが’82年に発表した10thアルバム。邦題は『暗黒の神話』。
アメリカにおけるHMブームの胎動を敏感に察知したのか、KISSのカタログの中でも一際メタリックに磨き上げられたサウンドが託されている本作。ジャケには載ってるけどレコーディングには不参加のエース・フレーリーの後任として、新たにバンドに加わったヴィニー・ヴィンセントの新世代ギタリストらしいテクニカルで華やかなGプレイ(但し本編には彼以外にも複数のセッション・ギタリストが参加)と、エリック・カーの打撃の重いドラミングもこの新たな方向性に合致しています。
ポール・スタンレーの攻撃的なシャウトを伴って力強く開幕を告げるアルバム表題曲①、個人的に本作のハイライトの推したい重厚にしてキャッチーな④、全日の殺人魚雷コンビ(スティーヴ・ウィリアムス&テリー・ゴディ)の入場テーマとして知られた⑤、エリックのドラミングが劇的な曲調を一層盛り上げる名バラード⑧、現在もライブにおけるジーン・シモンズの火吹きソングとしてお馴染みの⑩等、本編にはエッジの効いたGリフとダイナミックに駆動するリズムによって、これまで以上に輪郭がソリッドに研ぎ澄まされた印象的な楽曲がズラリ揃っています。
低迷期の作品ということであまりスポットライトの当たる機会に恵まれていない印象なれど、KISSが80年代をサバイヴする上で絶対に作る必要があった1枚であり、個人的にも彼らのアルバムの中で聴き直す頻度の高い愛聴盤であります。


CAMEL - Nude - Captured ★★★ (2021-12-29 01:50:15)

前田日明のテーマ曲としても知られる勇壮かつファンタジックなインスト・ナンバー。
なんでCAMEL?と思いましたが、新日は結構プログレッシブ・ロック・ナンバーを
レスラーの入場テーマとして採用していたので、その流れなのでしょうか。


CAMEL - Nude - Beached ★★★ (2021-12-29 01:36:05)

メロディアスに歌うアンディ・ラティマーのギターを
伴って軽快に疾走するハード・ナンバー。
タメを効かせながらドラマティックに盛り上がり、
ブランクなしで繋がってくる前曲〝DOCKS”とセットで
アルバムのハイライトを形成しています。


CAMEL - Nude ★★★ (2021-12-28 00:35:59)

フランス映画『ONODA』を見たことでふと聴き直したくなって引っ張り出してきた、CAMELが'81年に発表した9thアルバム。邦題は『ヌード~Mr. Oの帰還』。
太平洋戦争終結後も29年間にわたりフィリピン・ルバング島に潜伏し続けた日本兵、小野田寛郎(タイトルの「ヌード」は「オノダ」のもじりなのだとか)の実話に着想を得たコンセプト・アルバムであり、フジヤマの描かれた日本画調のジャケットこそジャパネスク風味全開ですが、音楽性に奇をてらった「和」のテイストは殆ど感じられないのでご安心を。いやちょっぴり残念なような?
徴兵から南方戦線での長く孤独な戦いを経て日本へ帰還…という波乱万丈のストーリーに対し、サウンドの方はほぼアンディ・ラティマー(G)のソロ・プロジェクトと化していたこの時期のCAMELの作風を継承する、淡くポップな抒情メロディに彩られた(例えばASIA辺りにも通じる)洗練されたプログレ・ハード路線。一発でハート鷲掴みというよりは、聴くほどにじわじわ作品世界に惹き込まれていく味わい深い仕上がりとなっています。
こうした作りに物足りなさを表明する向きもあるやもしれませんが、曲間を廃して流麗に紡がれていく本編の緩急演出にはしっかりと気は払われており、穏やかな曲想を基調としつつも冗長感は皆無。特にラティマーのエモーショナルかつ抒情的に歌うGも曲展開を盛り上げる④⑤、そしてプロレス・ファン的には思わず「前田コール」を送りたくなる⑪といった楽曲からは、プログレッシブ・ロックらしいドラマ性が迸っていますよ。
題材的にもクオリティ的にも、一度はチェックしておいて損はない名作ではないでしょうか。


ROSE TATOO - Assault & Battery - All the Lessons ★★★ (2021-12-24 00:49:37)

AC/DC由来のタテノリ・ロックンロールに
喧嘩っ早いパンキッシュなアグレッションを加味。
気持ち良く頭を振らせてくれる疾走ナンバーで、
NWOBHMに沸くイギリスで人気を博したというのも納得です。


ROSE TATTOO - Assault & Battery ★★★ (2021-12-23 00:30:25)

後年、GUNS N’ ROSESがリスペクトを表明したことで再評価の機運が高まった、カリスマ・フロントマン、アングリー・アンダーソン率いるオーストラリア出身のROSE TATOOが、’81年に発表した2ndアルバム。
刺青まみれのメンバーがジャケットから睨みを効かせ、そこに添えられた『極道』という直球にも程がある邦題と、《バカヤロー!薔薇の刺青は伊達じゃない》という惹句が何やら剣呑な雰囲気を濃厚に漂わしていますが、実際のところ本作で聴けるのは、先輩格のAC/DC(ROSE TATOOもハリー・ヴァンダ&ジョージ・ヤングによって見出されている)の流れを汲むタテノリのロックンロール。キャッチネスやノリの良さといった親しみ易さも十分で、この辺はコワモテのルックスに反して、本国ではTVコメンテーターや俳優業――映画『マッドマックス3/サンダードーム』にも出演しているのだとか――等で幅広くマルチな活躍をしている、アングリー・アンダーソンのキャラクターに通底する部分なのかなと。
ストレートに繰り出されるエネルギッシュなロックンロールに、パンクやNWOBHMを通過した硬質なエッジと疾走感、そしてアクセル・ローズに多大な影響を与えたことで知られるアングリー・アンダーソンの塩辛声によるハイテンションなシャウトVoが加わることで、このバンドならではの挑発的なハード・ロックンロール・サウンドが確立。特に小気味良く突っ走る②や⑥には、体が勝手に動き出してしまうカッコ良さが宿っていますよ。
UKチャートTOP40入りを果たし、KERRANG!!誌ではブライテスト・ホープに選出される等、NWOBHMに沸く英国で人気を獲得したのも納得のROSE TATOOの出世作。


Niagara - Ⅲ - Go ★★★ (2021-12-22 01:32:47)

Keyによる薄化粧が施された爽快な曲調に
スパニッシュ・メタル特有のコテコテ感は皆無ながら、
キャッチーなコーラスや練られたGソロにはNIAGARAという
バンドの魅力が凝縮されています。


Niagara - Ⅲ - These Guns Are Loaded ★★★ (2021-12-22 01:17:33)

歯切れ良く刻まれるGリフと躍動感溢れるリズム、
フラッシーなGソロをフィーチュアして
「NWOBHMを通過したDEEP PURPLE」といった趣きで駆け抜ける
アルバム後半のハイライト・ナンバー。


Niagara - Ⅲ ★★ (2021-12-21 00:04:14)

こんなバンド名ですが、出身地はカナダではなくスペイン。それもかつて日本盤がテイチクからリリースされていたMANZANOや、BANZAIでフロントマンを務めていたJ.A.マンサーノ(Vo)を筆頭に、BARON ROJO、PANZERといったバンドに在籍していたメンバー達が集った、コッテコテのスパニッシュ・メタル・バンドです。
国内盤は我らがゼロ・コーポレーションから’93年にリリースされ、目出度くバンドにとってワールドワイドなデビュー作となった本作は、タイトルがズバリ表す通り彼らの3rdアルバム。スパニッシュ・メタルと聞いてこっちが期待する「巻き舌スペイン語Vo」や「鼻が曲がりそうなクサメロ」といった要素は殆ど見当たらず、裏ジャケでポーズ決めるメンバーのこじゃれたルックス(薄毛もヒゲ面もいない)といい、全編英詞で歌われ、様式美系のスピード・ナンバーから、カラッと躍動するアメリカンなノリのロック・チューンまで多彩な楽曲が揃う本編といい、何も知らずに聴いたらまずスペインのバンドとは思わないのであろう無国籍風味の仕上がりとなっています。嘗ては「スペインのBON JOVI」とも評されたそうな。
ボートラ含めて全14曲収録で1時間近いランニング・タイムゆえ、中盤ぐらいでダレを多少感じなくもないのですが、それでもフラッシーなGソロを組み込みOPナンバーに相応しい勢いで飛ばしまくる①、哀愁を帯びて後に続く②、ギターとオルガンが掛け合いを繰り広げるキャッチーな⑧、DEEP PURPLEの流れを汲むスピード・ナンバー⑪といった、「おっ」と思わされる楽曲が要所を締めてくれるので、決して退屈はしません。
バンドにとっては勝負作でしたが、残念ながら本作を最後に解散してしまった模様。


NO SWEAT - No Sweat - Heart and Soul ★★★ (2021-12-17 00:35:07)

躍動感溢れる曲調に、分厚いハーモニーに包まれたキャッチーな
コーラスが炸裂するバンドの代表曲。ジョー・エリオットの
お眼鏡に適ったのもさもありなん。ポカリスエットや
コカ・コーラのCMに起用できそうな爽快さも魅力です。


NO SWEAT - No Sweat ★★★ (2021-12-15 23:15:03)

自主制作したデモテープがDEF LEPPARDのフロントマン、ジョー・エリオットの目に留まり、彼のプロデュースによるデビュー・シングル“HEART AND SOUL”が母国で№1ヒットに輝いたアイルランド出身の4人組、NO SWEAT。本作は彼らが新たにプロデューサーとして売れっ子キース・オルセンを招き、万全の体制を整えて'91年に発表した1stフル・アルバムです。
シングル同様に大ヒットが確実視されていたにも拘わらず、蓋を開けてみると意外にもセールスは伸び悩み、バンドの生命がこれ1枚きりで絶たれてしまったことで「一発屋」の不名誉な称号を戴くことになった彼らですが、それが内容のせいじゃなかったことは、仄かなブルーズ風味とアイルランドの大地を想起させる乾いた哀愁を隠し味に溌剌と躍動する、本作に託された高品質なポップ・メタル・サウンドをお聴き頂ければ明らかではないかと。
昔はヒット・シングルにして、清涼飲料水のCMに使用できそうな爽快感溢れるOPナンバー①にばかり意識が行ってましたけど、改めて聴き直すと、思わず体がタテに揺れ出す②、ヒット・ポテンシャル十分なバラード③、キャッチーなコーラスが印象的な④…と、それ以外の楽曲も粒が揃っていたことに気付かされます。殊に憂いを湛えてアルバム後半を彩る⑨なんて、個人的には①にも匹敵する名曲。またこれらの曲中においてコンパクトに練られた印象的なソロを繰り出すGの仕事ぶりも特筆に値しますよ。
HR/HMシーンが転換期を迎えた91年にリリースというタイミングが悪過ぎましたね。せめてあと1年早ければなぁ。


TED POLEY - Smile - If I Can't Change Your Heart (Then Let Me Blow Your Mind) ★★★ (2021-12-15 00:37:18)

テッドとマーティン兄弟共作による哀愁のメロディアスHRナンバー。
シンガーとして決してテクニカルなタイプではないものの
全霊を込めるような歌いっぷりが楽曲が放つ熱量と憂いを
より一層際立たせてくれています。


TED POLEY - Smile ★★★ (2021-12-14 00:03:55)

目出度くDANGER DANGERのフロントマンの座へ復帰を果たしたテッド・ポーリーが、’07年にFRONTIERS RECRODSを通じてリリースした2枚目のソロ・アルバム。
DANGER DANGERからの脱退――というか解雇――後、残ったメンバーとバンド名の使用権を巡る裁判沙汰に発展…と、ファンをいたく失望させてしまった90年代の反省を踏まえ(ているのかどうかは分かりませんが、ともかく)、1stソロ『COLLATERAL DAMEGE』(’06年)以降は、かなり自らに求められている音楽性に自覚的に曲作りに取り組んでいる印象で、本作で聴けるのも、仄かに哀愁を含んだメロディ、爽やかな曲調、キャッチーなコーラスの三拍子揃った「これぞアメリカン・メロハーの真骨頂!」と膝を打つサウンドです。
OPナンバーに相応しいフックを有する①を聴けば明らかな通り、テッド自身が優れたソングライターであることに加えて、FRONTIERS RECRODS人脈からVEGAのトム&ジェームズのマーティン兄弟を始めとするソングライター陣も、彼が歌うに相応しいメロハー・ナンバーの数々を提供してくれており、となればもう完成度の高さは約束されたも同然じゃありませんか。
ライブ映え間違いなしの①、お約束のパワー・バラード⑤、個人的に一押ししたい憂いを湛えた⑦、ハード・ロッキンな曲調にフラッシーなGソロが華を添える⑧等、テッドのハート・ウォーミングな歌声が映える秀曲がズラリ揃った、DANGER DANGERのオリジナル・アルバムにも匹敵する充実の仕上がり。
すでに廃盤(国内盤含め)のため、入手困難なのが惜しまれる力作です。


JORN - Starfire - Starfire ★★★ (2021-12-10 00:53:49)

ミドル・テンポで、OPナンバーらしい派手さには欠けるのですが
だからこそ「ハイトーン出せます」程度では絶対に歌いこなせない、
シンガーに高い技量が求められる楽曲であり、これを冒頭に持ってくる辺り、
ヨルンの自らの歌声に対する自信の程が伺えますよ。


JORN - Starfire ★★★ (2021-12-09 01:07:57)

THE SNAKESに関わった90年代末ぐらいからか。日本のHR/HMファンの間でも「どうもノルウェー出身の凄いシンガーがいるらしい」と徐々に噂になりつつあったタイミングで、ヨルン・ランデ(Vo)がリリースした初めてのソロ・アルバム(’00年)。その門出を祝うべく、ロニー・ル・テクロ、トゥーレ・オストビー、ラルフ・サントーラ&シェーン・フレンチ等々、ヨルンがフロントマンを務めたVAGABOND、THE ARK、MILLENIUMといったバンドの面々がゲスト参戦して華を添えてくれています。
ソロ・アルバムといっても、書下ろしの新曲5曲、カヴァー5曲の全10曲からなる内容は若干変則的。ソロ・シンガーとしての表現欲求に突き動かされて作り上げたというよりは、「自分、こんな色々なタイプの楽曲が歌いこなせます!今後ともヨロシク!」ってな、HR/HMシーンに向けたプレゼン的な性格が強めに感じられる仕上がりです。
とはいえ、それが悪いなんてことは全然なく。譜面に正確なだけでは決して歌いこなせない、難易度高めの哀愁のOPナンバー①を情感豊かに歌い上げてみせる導入だけで早くもその実力派シンガーぶりを知らしめてくれる本作は、ソロ・アルバムとしてのクオリティも十分。またCITY BOYの“THE DAY THE EARTH CAUGHT FIRE”や、JOURNEYの“EDGE OF THE BLADE”、FOREIGNERの“BREAK IT UP”、JEFFEERSON STARSHIPの“JUST THE SAME”といった敢えて隠れた名曲を取り上げるセンスにもキラリと光るものがありますよ。
数あるヨルン・ランデのソロ作の中でも、上位に来る完成度を有す1枚ではないでしょうか。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band - Willing to Forgive ★★★ (2021-12-07 23:23:45)

アコギを有用したアレンジがポジティブな高揚感を運んでくる
爽やかなロック・チューン。聴き手を励まし、勇気づけるような
ルー・グラムの包容力を感じさせる歌声も、まったく衰えを感じさせません。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band ★★★ (2021-12-07 00:38:24)

ヒットはこそしませんでしたが、個人的に愛して止まない(隠れた名盤と言い切りたい)『MR. MOONLIGHT』(’94年)を最後にFOREIGNERから離れたルー・グラム(Vo)が、実の兄弟であるベン・グラム(Ds)やリチャード・グラム(B)、ドン・マキューソ(G)といったBLACK SEEP時代の僚友でもある旧知のメンバーと共にTHE LOU GRAMM BANDを立ち上げ、’09年に発表した1stアルバム。こんな作品がリリースされてるなんて恥ずかしながら結構最近まで知りませんでしたよ。
90年代末期には脳腫瘍の手術を受けており、幸い発見が早かったので大事には至らなかったとのニュースは耳にしていたものの、その後彼の歌声に触れる機会が殆どなかったため、果たして往年の歌唱力をどの程度維持できているのか…?と、実際に本作を聴くまではかなり不安だったのですが、憂いを帯びて重厚なOPナンバー①がスタートした時点で、そんな心配は雲散霧消。まぁ、暫く見ぬ間に体形はより一層横方向に広がった印象を受けますけども、多少の枯れ感も滋味な味わいへと変えてしまうエモーショナルな歌い回しは健在。前述の①を皮切りに、骨太なロック・チューン②、アコギを有用した高揚感に満ちた③、ビリー・プレストンのカヴァー④という、歌い手が上手くなけりゃサマにならないこと夥しい、優れた楽曲が連続する本編前半戦だけで完膚なきまでに掴まれてしまいましたよ。(勿論、後半にも⑥みたいなWHITESNAKE調の佳曲あり)
「気の合う仲間達と伸び伸び作り上げた」感溢れる1枚で、ルー・グラムのソロ作を愛する向きには強力にお薦めできる力作です。


Trw - Rivers of Paradise - Love Comes Calling ★★★ (2021-12-02 23:52:35)

仄かな哀愁を湛えたメロディの清涼感を、
シャラシャラと奏でられるギターと、雑味のないハイトーンVoが
より一層際立たせるアルバムでも1、2を争う名曲。


Trw - Rivers of Paradise - Only a Letter ★★★ (2021-12-02 23:45:41)

マーク・ウィルソンの情感豊かな歌声が映える
暖かみに溢れたバラード。フックの効きまくったコーラスといい
それを彩るうっとり聴き惚れるハーモニーといい、
一昔前なら日本でもCMソングに起用されていてもおかしくない名曲です。


Trw - Rivers of Paradise ★★★ (2021-12-02 00:29:19)

多彩なアーティストとのセッションで鳴らすマイケル・トンプソン(G)、クリスチャン・ミュージック・シーンを中心にソロ/バンドで活躍するマーク・ウィリアムソン(Vo)、齢10歳でプロの道に足を踏み入れ「世界で最も録音されたドラマー」とも評されるジョン・ロビンソン(Ds)という、LA最高峰のスタジオ・ミュージシャン達により結成。3人の名前の頭文字を取ってTRWを名乗ったプロジェクトが、'07年に発表したデビュー作。
顔触れ的にもAOR/産業ロックを演っているのかな?と思いながら購入してみたところ、寧ろ本作から聴こえてくるのは御三方のルーツに遡ったブルーズやクラシック・ロック的な歯応えを感じさせるサウンド。正直なところ一聴で掴まれるような華やかさやインパクトには乏しいものの、とはいえそこは実力者揃いのプロジェクト。随所にフックとキャッチーなメロディを織り込んだ曲作りの巧みさ、そして何よりキレと表現力を併せ持ったギター、抜群の安定感を誇るドラム、淀みなく真っ直ぐに伸びていくハイトーンVoの存在が、アルバムのクオリティを一段も二段も引き上げてくれています。
広がりを感じさせるコーラス・ワークが印象的な②、女性Voもフィーチュアして小気味良く駆け抜ける⑦、渋い味わいで本編を締め括るブルージーな⑩辺りも実に良いのですが、個人的には清涼感漂うバラード⑥、爽やかな哀愁薫る⑨といった、ソウルフルな歌声と美麗なハーモニーが映える80年代風味満点の楽曲に最もグッときた次第。
多忙な面子ゆえか、コラボはこれ1枚きりで終わってしまいましたが、出来ればあと数枚は作って欲しかったなぁと。


GLENN HUGHES - Play Me Out - Your Love Is Like a Fire ★★★ (2021-11-30 23:51:07)

6分越えの長尺曲。ホーン・セクションをフィーチュアして
後半へ聴き進むに従って徐々に熱を帯びていくメロウな曲調と
それを支えるグレンの熱唱に痺れます。


GLENN HUGHES - Play Me Out ★★★ (2021-11-30 01:02:59)

歌神グレン・ヒューズ(Vo、B)が、TRAPEZE時代の僚友メル・ギャレー(G)、デイヴ・ホーランド(Ds)、テリー・ロウリー(Key)、そしてゲストとしてパット・トラヴァース(G)等を迎えてレコーディングを行い、’77年に発表した1stソロ・アルバム。邦題は『燃焼』。
DEEP PURPLE解散後、創作の自由を満喫できる環境を手に入れたグレンが己の趣味丸出しで制作しているだけあって、ストリングスやホーン・セクション、女性コーラスを取り入れたゴキゲンなサウンドは「聴き終えたあと頭がアフロヘアになってました」とすぐバレる嘘をつきたくなるぐらいファンキー&ソウルフル。90年代ぐらいまでは、メタル雑誌でDEEP PURPLEのディスコグラフィーが紹介されたりすると、このアルバムに関しては微妙というか、もっとハッキリ駄作扱いされていることも少なくなく、実際問題自分もDEEP PURPLEでグレンのことを知った直後に本作を聴いたならば、HR/HM色薄めの内容に「ちょっと勘弁してよ…」との感想を持ったであろうことは想像に難くありません。
とはいえ、90年代以降のグレンのソロ活動の変遷を体験した今となっては、本作とて恐れるには足らず。歯切れ良く躍動感するイントロから転調してじっくり聴かせる③、都会的な哀愁漂わす⑦、ラストをエモーショナルに盛り上げる⑨等は、メロウな曲調と、シャウト一発で場を完全に掌握してしまう(まさしく邦題通り)魂を燃焼させるかの如きグレンの歌声と相俟って、ジャンルの壁をブチ抜いて聴き手を痺れさせる名曲に仕上がっています。
先頃ようやく国内盤のCD化が実現しています。この機会にいかがでしょうか?


AROUGE - AROUGE〜暴逆の貴公子〜+11 RARE TRACKS - Winter Days ★★★ (2021-11-26 00:41:38)

この曲のみ他の収録曲とテイストが異なるというか、
殆ど演歌の領域に片足突っ込んだ泣きっぷりが炸裂するバラード。
このクサさがダメという人もいるでしょうが、
個人的には「そこが最高なんじゃない!」と。


AROUGE - AROUGE〜暴逆の貴公子〜+11 RARE TRACKS - Chains ★★★ (2021-11-26 00:38:42)

憂いを帯びた曲調に、構築美を湛えた
橘高のGソロが華を添える
アルバムのハイライト・ナンバー。
EARTHSHAKERあたりがイケる方なら
必ずやビビッとくるはず。


AROUGE - AROUGE〜暴逆の貴公子〜+11 RARE TRACKS ★★★ (2021-11-25 00:43:22)

アマチュア時代から数々のコンテストを荒らし回り、才能溢れるギタリストとして注目を集めていた橘高文彦を中心に結成、レコード会社の眼鏡に適って「現役高校生バンド」としてデビューを飾ることとなったAROUGEが、’84年に残した唯一のフル・アルバム。
タイトルが『暴逆の貴公子』と何やらイカツイ感じな上、こちとら筋肉少女帯以降に橘高の活動をフォローするようになった身ゆえ、彼の原点というべき本作で聴けるのも当然、ルネッサーンス!な様式美建築建ちまくりのドラマティックなHMサウンドだとばかり思っとりましたので、ここに託されている、若気の至り感溢れるメンバーのルックスから、歌謡曲テイストも多分に孕んだ楽曲に至るまで、濃厚なジャパメタ風味が溢れ出す音楽性には意表を突かれました。
このクセの強さを「旨み」として許容できるかどうかが評価の分かれ目となりましょうが、もともと浜田麻里のバック・バンド候補としてレコード会社の目に留まった面子だけに実力の程は折り紙付き。橘高のギターも若干18歳の若造のそれとは思えぬ華やかな輝きをすでに放出しており、ミドル・テンポの楽曲を中心に、山田晃士(Vo)の歌を大切にした曲作りからは、例えばEARTHSHAKER辺りに通じる魅力が感じられたりも。中でも哀愁のメロディとフラッシーなGプレイが見事に噛み合った“CHAINS”は名曲ですし、個人的にはド演歌バラード“WINTER DAYS”の泣きっぷりにもハートを撃ち抜かれましたよ。
長らく幻の一作とされてきましたが、'04年に未発表曲も収録した2枚組仕様での再発が実現していますので、また入手困難になってしまう前に是非ご一聴をば。


PARADOX - Heresy II (End of a Legend) - The Visitors ★★★ (2021-11-24 00:03:20)

ザクザクと重心低くタイトに刻まれるリフ&リズム、メロパワ系の親しみ易さとは
一味異なるニヒルなチャーリーのVoが一丸となってソリッドに畳み掛ける、
変わらぬPARADOX節に舌鼓を打つスピード・ナンバー。リーダー・バンドを率いての
活動等で獲得した自信を糧に、これまでよりも主張を強めたクリスティアン・ミュンツナーの
劇的なシュレッド・ギターが、楽曲に新鮮な味わいを付与してくれています。


The Promise - Human Fire - Only a Woman ★★★ (2021-11-23 00:13:20)

叙情的に煌めくKey、泣きメロをエモーショナルに紡ぎ出すG、
線の細さがメロディの哀愁を引き立てるVoとが
一斉に聴く者の涙腺に攻撃を仕掛けて来る名曲。
この泣きっぷりは捨て曲なしの本編にあっても一際耳を惹きます。


The Promise - Human Fire ★★★ (2021-11-19 00:21:40)

スコットランドからデビューを飾ったKey奏者を含む5人組、THE PROMISEが'99年にNOW AND THEN RECORDSから発表した2ndアルバム。
1st『THE PROMISE』(’95年)は、グランジ旋風吹き荒れる90年代のHR/HMシーンに、淡く差し込む美しい陽光の如き作品としてメロディ愛好家から高評価を受けましたが、一度録音した音源が機材トラブルで全て消えてしまい、レコーディング作業をやり直す等の不運を乗り越えてようやく完成へと至った本作も、クオリティの高さでは一歩も引けを取りません。というか寧ろ、疾走ナンバー①、哀愁のメロハー②、キャッチーなハードポップ③、感動的なバラード④というタイプは異なれど、いずれ劣らぬ強力な楽曲が連続するアルバム冒頭の流れが物語る通り、収録曲を絞り込み、プロダクションの質を高め、煌めくKeyを散りばめてこれまで以上にハード・エッジと繊細な哀メロのメリハリが強調された本編は、前作を更に上回る完成度を提示してくれています。
特に線は細いが楽曲の抒情性を増幅する憂愁を湛えたVoの歌声と、テクニカルな演奏を閃かせつつ泣きのメロディも滾々と紡ぐ「腕に覚え有り」なGの存在が映える⑧は、前作収録の名曲“END OF THE GAME”にも匹敵する泣きの逸品ですよ。(ドラマティックに本編を締め括るラスト・ナンバー⑪も素晴らしい)
これだけのアルバムをもってしても状況は好転せず、本作を最後にバンドは解散。非常に日本人好みのサウンドが詰まっていただけに、せめて我が国ではもうちょい話題になっても良さそうなものでしたが…。やはり消費者金融みたいなバンド名が良くなかったか。


PARADOX - Heresy II (End of a Legend) ★★★ (2021-11-18 01:11:27)

チャーリー・シュタインハウアー(Vo)率いるPARADOX、'21年発表の新作アルバム。
そのチャーリー以外面子がごっそり入れ替わっていますが、最早メンバー・チェンジはこのバンドの恒例行事ゆえ驚きには値せず。逸材だったガス・ドラックスの離脱は痛手なれど、後任には近年ETERNITY’S END等を率いて頭角を現しているクリスティアン・ミュンツナー(G)が出戻っているので、空いた穴は完全に塞がったと言えるのではないでしょうか。
それより何より、本作最大のトピックは「宗教戦争」をテーマに取り上げたコンセプト・アルバムにして名盤の誉れ高い2nd『HERASY~異端』(’89年)の続編作りに、満を持してチャーリーが着手したこと。尤も、多数のゲストを迎えたり生オケを導入したりといった大仕掛けは目もくれず、ダークなメロディをニヒルに歌い上げるVo、タイトに刻まれるGリフ、硬質に突っ走るリズムが一丸となったパワー・サウンドで、あくまで武骨に押しきる剛毅な姿勢がPARADOXならでは。『TILES OF THE WIERED』(’13年)以来のバンド復帰となるクリスティアンも、益々磨きの掛かったシュレッド・ギターでモノクロームな本編に鮮烈な輝きを加えており、特に憂いを帯びたメロディを伴い、重心低く突進する曲調に劇的なツインGが狂い咲く③はアルバムの旨みを凝縮したような名曲。この曲含めてOPナンバーからMETAL CHURCHのカヴァー⑭まで、ほぼ全編をスラッシーなスピード・ナンバーで畳み掛ける一方、10分近くに及ぶ大作⑨は走りそうになるのをグッと堪えて、重厚かつ劇的に聴かせきるメリハリの付け方にもベテランの業が光ります。
名盤の続編たるに相応しい見事なクオリティを誇る力作です。


DIO - Master of the Moon - I Am ★★★ (2021-11-16 23:20:47)

重厚かつキャッチーなサビメロにおける
しつこく絡みついてくるような(誉め言葉)
歌い回しが「それでこそロニー」と拍手喝采を
送りたくなるほどロニーしてくれていて最高ですね。


CITY BOY - The Day the Earth Caught Fire - The Day the Earth Caught Fire ★★★ (2021-11-12 01:20:45)

アルバムのOPナンバーにして表題曲。
生オケや壮麗なハーモニーが生み出す優美さと
バンドのハードな演奏とがドラマティックな融合を果たした、
イントロで高まるこちらの期待を微塵も裏切らない名曲です。
ちなみにヨルン・ランデがソロ・アルバムでカヴァーしている模様。


CITY BOY - The Day the Earth Caught Fire ★★★ (2021-11-11 01:00:04)

CITY BOYといえば、大竹まこと、きたろう、斉木しげるの3人からなるコント・ユニット…ではなく、KANSASのスティーヴ・ウォルシュと結成したSTREETS、あるいは様々なメロディアスHRプロジェクトへのメンバー/プロデューサーとしての関わりで知られるマイク・スラマーのキャリアの出発点ともなったイギリス出身の6人組のこと。彼らの代表作といえば、シングル・カットされ英米でスマッシュ・ヒットを飛ばした名曲“君のナンバー5705”を収録する4th『BOOK EARLY』(’78年)ということになるのでしょうが、個人的に最も聴き直す機会が多いのはこの5thアルバム(’79年)ですよ。
一層の成功を求めてアメリカに拠点を移してレコーディングが行われているため、てっきり更にポップな方向を追求した作風に仕上がっているかと思いきや、ハードネスと優美なドラマ性が程よくブレンドされたOPナンバー①や、QUEENを思わすドラマティックなバラード⑤といった楽曲が物語る通り、レコーディング予算が増えたのをいいことに生オーケストラを起用し、壮麗なコーラス・ワークの強化も図られたそのサウンドは、よりハードかつ壮大な仕上がりを聴かせてくれるようになりました。特にラストに鎮座まします三部構成の組曲⑧は、シアトリカルな曲展開といい、キャッチーに練り上げられた哀愁のメロディといいい、10分越えの長さを全く意識させない集大成的名曲に仕上がっています。
オイルショックに端を発する世界的不景気の煽りを受けて思惑通りの大ヒットとはなりませんでしたが、本作をCITY BOYの最高傑作に挙げる声が少なからず存在しているというのも得心のいく名盤です。


GYPSY ROSE - Gypsy Rose - Promise to Stay ★★★ (2021-11-10 00:08:01)

哀愁を帯びたヴァースから華開くように展開していく
キャッチーなコーラス・ワークに星3つ。
シンガーの声質は好き嫌いが分かれそうですが
このクセの強さがLAメタルっぽさを強化してくれていて
個人的には有りだなと。


GYPSY ROSE - Gypsy Rose ★★ (2021-11-08 23:53:29)

浅草のベテラン・ストリッパーみたいなバンド名ですが、出身はスウェーデン。結成は80年代初頭まで遡るキャリアの持ち主にも関わらず、レコード会社の方針転換による活動の停滞や、一度の解散と復活といった離散集合を経て、ようやくこの1stアルバムのリリースに漕ぎ着けたのは'05年になってからという苦労人バンドです。
中心メンバーのマーティン・クロンルンドは、その間にプロデューサー/エンジニアとしてメキメキ頭角を現し(再結成WHITE WOLFやマッツ・レヴィンのDOGPOUND等にも関与)、今やトム・ギャレーのロック・オペラ・プロジェクトPHENOMENAの仕切りを任されるほど。そうした彼が本作においてクリエイトしているのは、カラッとキャッチーなメロディ、陰に籠らない躍動感溢れる曲調、合唱を誘うビッグなコーラスをフィーチュした、80年代アメリカへの憧憬がとめどなく溢れ出すポップ・メタル・サウンド。
北欧風味を期待する向きには肩透かしもいいところな作風かもしれませんが、フックを盛り込んだ曲作りにはこの道一筋の職人的センスが迸っており、特にキャッチーで爽快なコーラス・ワークに胸躍る③は、もう一昔前に発表されていたならば必ずやヒット・チャートを賑わしていたであろう名曲ぶり。悪声のVoは評価の分かれ目なれど、バラード④における熱唱を聴けばお分かり頂ける通り歌唱能力自体に不足はなく、何よりこのクセの強い歌声が本作の80年代感を底上げしてくれていると言えなくもないような?
尚バンドはこの後、シンガーを元ACCEPTのデヴィッド・リースに替えてアルバムのリリースを重ねていますので、よろしければそちらも是非。


ROSEMARY BUTLER - 汚れた英雄 ★★★ (2021-11-04 23:45:17)

『ROSE』の国内盤には“汚れた英雄”も“THE LAST HERO”も収録されているんですよね。
というか同作では、輸入盤には未収録の原田知世主演作『愛情物語』劇中歌だった
パーシー・スレッジのカヴァー“男が女を愛する時”も、キース・エマーソンが作曲した
『幻魔大戦』主題歌“光の天使”も、全部まとめて聴けてしまうという。


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone - The Promise ★★★ (2021-11-04 23:40:59)

美しいインスト・ナンバー“SARACEN RIDE”から
間髪入れずに繋がっていく、起伏に富み華麗にしてドラマティック、
アルバム中最もプログレ風味が色濃く溢れ出す名曲です。


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone - Crusader ★★★ (2021-11-04 23:35:19)

イントロだけで名曲の風格は十分。
ドラマティックなオーケストレーションに
軽快に弾むKey、泣きのGと哀愁のVo等々
DIXON HOUSE BANDの魅力全部入りで贈る
アルバムのハイライト・ナンバー


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone ★★★ (2021-11-04 00:08:24)

リーダーの名前を取ってDIXION HOUSE BANDと名乗ったアメリカ出身の5人組が、’79年に残した唯一の作品。ド渋なサザン・ロックでも演っていそうなバンド名ゆえ、90年代にCD化された当初はスルー決め込んでいたのですが、後にリズム隊がカナダのBIGHORN(唯一作『BIGHORN』は超名盤)のメンバーとの情報をゲットし、「もー、それを早く行ってよぉ」といそいそアルバムを購入してみれば、これが期待を裏切らぬ傑作だったという。
所属レーベルがINFINITY RECORDSで、WRABBITやNEW ENGLAND、ALEXIS等のカタログと同一シリーズ(キャプテン和田監修)で再発されていること、そしてKey奏者が曲作りのイニシアチブを握っている事実からもお察しの通り、本作で繰り広げられるのは華やかな鍵盤プレイと分厚く舞うボーカル・ハーモニーとがたっぷりとフィーチュアされた、STYX、BOSTON、KANSASといったバンドを彷彿とさせるアメリカン・プログレ・ハード・サウンド。飽くまでメロディを第一義に据え、アレンジも曲展開もキャッチーかつコンパクトに練り上げる方向性と、ディクソン・ハウスの歌声がデニス・デ・ヤング似のハイトーンVoであることが相俟って、取り分けSTYX成分は濃いめ。紅一点の女性ギタリストが存在感を発揮する繊細な泣きとハードネスのブレンド具合が絶妙な②、哀愁を帯びたエレピの旋律に導かれ、組曲形式でドラマティックに展開していく⑨⑩の流れは間違いなく本作のハイライトでありました。
もうちょいイマジネーションを刺激するバンド名だったならば大きな成功が掴めていたのかなぁ?と、全く根拠のない思い付きを呟かずにはいられない名盤です。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - Angel Queen ★★★ (2021-11-03 01:21:23)

喜多郎が作曲とシンセサイザーも担当しているバラード。
邦題は“星空のエンジェル・クィーン”で、
アニメ映画『千年女王』の主題歌だったのだとか。
AOR路線の本編からすると少々浮いてる感もあるのですが
スペーシー&ドラマティックな仕上がりは文句なしのクオリティ。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - The Real Me ★★★ (2021-11-03 01:13:54)

邦題は“見つめてほしい”
躍動感溢れる清涼なハードポップ・チューンで
ファルセットを使ってキャッチーに歌い上げられる
サビメロが実に秀逸な出来栄え。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend ★★★ (2021-11-01 23:55:39)

日本のレコード会社主導で制作、’82年にリリースされたNY出身の女性ソロ・シンガー、デラ・セダカのデビュー作。でらセガタ?名古屋在住のダイハードなSEGA信者か藤岡弘マニアのこと?と思う向きもありましょうが(ねえよ)、セガタではなくセダカ。数々のヒット曲で知られるシンガー/ソングライター、ニール・セダカのご息女であられます。
ジャケットを飾る彼女の、台風中継に駆り出された女子アナみたいな髪型を見た時は多少不安にもなりましたが、プロデューサーに招聘したデヴィッド・フォスター人脈を駆使して、バック・バンドはTOTOのメンバーにジェイ・グレイドン、マイケル・ランドゥ、喜多郎、ゲストVoにPAGES、ブライアン・アダムスら錚々たる面子が揃い踏みの上、デラ嬢も溌剌としたポップ・チューンからフックを盛り込んだバラードまで伸び伸びと歌いこなすシンガーぶりを披露する等、本作で披露されているAOR/産業ロック・サウンドはどこに出しても恥ずかしくないクオリティを誇っています。
まかり間違ってもHR/HMのジャンルで括れる音楽性ではないものの、キャッチーなサビメロが印象的なハードポップ③、ギターがハードに活躍するアルバム表題曲⑥、そして喜多郎作曲でアルバムのリーダー・トラックでもあった、松本零士原作のSFアニメ映画『1000年女王』のEDテーマ⑨辺りは、この手のジャンルに興味がないリスナーでもグッとくる魅力を秘めているのではないかと。
暇を持て余した二世タレントの余技とは一線を画する名盤。この調子でローズマリー・バトラーの『ROSE』(勿論日本盤の方ね)とかも再発して貰えないでしょうか。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past - Here I Am ★★★ (2021-10-29 01:17:01)

雲一つない澄み切った青空にスッと溶け込んでいくような
解放感と爽快感に満ちたメロディック・ロック・チューン。
ロック色強めの曲調の中を生き生きと躍動するマイケルの
Gプレイにもしっかりと耳を奪われます。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past - Future Past ★★★ (2021-10-29 01:09:38)

HR的なエッジと重量感、メロハーらしい透明感を湛えた
哀愁のメロディとが同居したアルバム表題曲。
Voの伸びやかな歌唱が映える、高揚感に満ちた
コーラス・パートの素晴らしさに胸打たれます。


MICHAEL THOMPSON BAND - Future Past ★★★ (2021-10-28 01:23:54)

マイケル・ジャクソンにセリーヌ・ディオンから中島みゆきに至るまで、ジャンルを問わず綺羅星の如きスター達と共演してきたLAのスタジオ・シーンを代表するセッション・ギタリスト、マイケル・トンプソンが、MICHAEL THOMPSON BAND名義では1st『HOW LONG』(’89年)以来およそ20年ぶり発表した2ndアルバム(’11年発表)。
そういう人物のソロなので、良く言えばバラエティ豊か、ぶっちゃけ毒にも薬にもならない右から左へ聞き流すだけのAOR作品を勝手に想像していたのですが、これがなかなかどうして。伸びやかな美声を披露するだけでなく、曲作りとプロデュースにも共同で関与するSOLEIL MOONのラリー・キング(Vo)をパートナーに起用してレコーディングされている本作で聴くことが出来るのは、HR的エッジもしっかりと効かされたメロディアス・ロック・サウンド(この辺りの作風に関しては、今回バックアップを受けているFRONTIERS RECORDSの意向を汲んだものと思われる)。マイケルはエモーショナルかつ官能的な響きを湛えたギターの腕前のみならず、透明感溢れる抒情メロディとフックを巧みに盛り込んだ楽曲作りの腕前に関しても熟練の技前を発揮してくれています。
サビメロへ向かって高揚感を伴い盛り上がっていくアルバム表題曲③、その爽やかさときたLAを吹き抜ける一陣のそよ風の如き(なんだそりゃ)⑤⑦、メロディの濃淡の絶妙な変化がプログレ・ハード物っぽくもある⑪等、本編は聴くほどに味わいを増す秀曲揃い。
MTBが発表した3枚のアルバムの中では最もHR色が強く取っ付き易い仕上がりなので、現在では入手困難となってしまった国内盤の再発を是非お願いしたいところ。


PHENOMENA - Awakening - Reality ★★★ (2021-10-27 00:42:47)

ポップなサビメロを伸びやかに歌い上げるのは
トビー・ヒッチコックという人材の適材適所ぶりが
キラリと光るメロハー・チューン。
印象的なGソロで楽曲を盛り上げるのはマイク・スラマーです。


PHENOMENA - Awakening ★★ (2021-10-25 23:45:31)

メルとトム(故人)のギャレー兄弟により立ち上げられ、80年代からアルバム・リリースを重ねて来たご長寿ロック・オペラ・プロジェクト、PHENOMENAが’12年にESCAPE RECORDSを通じて発表した6作目。
今回メル・ギャレーと共にプロデュースを手掛けているのは、スウェーデンからGYPSY ROSEを率いて遅咲きのデビューを飾って以降、再結成WHITE WOLFやマッツ・レヴィンとのDOGPOUND等、様々なバンド/プロジェクトでその名を見聞きするようになったマーティン・クロンルンド。参加ミュージシャンもレーベル人脈を活用してトビー・ヒッチコック、ロブ・モラッティ、ラルフ・シーパーズ、マイク・ディメオ、テリー・ブロック、ジェイムズ・クリスチャンetc…と初期3作に比べると明らかに代替わりが図られています。
それに合わせて音楽性もよりポップでメロディアスな方向に舵が切られており、とりわけトビー・ヒッチコックの伸びやかな歌声を生かしたポップなサビメロが耳を捉える②や、ロブ・モラッティが歌う爽やかな③等はPHENOMENAの新生面をアピールする名曲ではないかと。(曲名に相応しいパワフルさを有する⑧も良い曲)
顔触れにしろサウンドにしろ、英国臭が薄れてFRONTIERS RECORDS辺りがリリースしてもおかしくないごく普通のメロハー・プロジェクトになってしまった感も無きにしも非ずですが、とはいえ初期の方向性のままでは先細りは確実でしたし、何より楽曲が粒揃い。改めてアルバム・リリースを重ねていける体制を整えたメル・ギャレーとレーベルの選択は間違ってはいない…と納得できるだけのクオリティを有した1枚に仕上がっています。


HURRICANE - Take What You Want - Hurricane ★★★ (2021-10-21 23:23:02)

PVも作られたバンドのテーマ曲。
重量感溢れる曲調に、分厚いハーモニーに彩られた
ライブ映えするキャッチーなコーラス、そして仄かに
哀愁を帯びたメロディと、HURRICANEの魅力全部入りな名曲です。


HURRICANE - Take What You Want ★★★ (2021-10-21 07:50:23)

FOREIGNERでルー・グラムの後任という大役を担うケリー・ハンセン(Vo)、カルロス・カヴァーゾ&ルディ・サーゾの実弟であるトニー・カヴァーゾ(Ds)&ロバート・サーゾ(G)、後にASIAに参加するジェイ・シェレン(B)らが在籍していたLAのプチ・スーパー・バンドHURRICANEが’85年に発表したデビュー・ミニ。ちなみにレコードは6曲入りで、CD化に際して更にもう1曲(アコギ独演のインスト・ナンバーで秀逸な出来栄え)が追加収録されています。また輸入盤と国内盤でジャケット・デザインが異なっていて、平凡なグループ・ショットが採用されている国内盤よりも、思わず目を凝らさずにはいられない輸入盤のアートワークの方がぐっとくる仕上がりなのは言うまでもありません。
ノリ良く重量感溢れるアメリカンなHRナンバーと、美麗なハーモニーとウェットなメロディに彩られた欧州風味の抒情性薫る楽曲の二本立てからなる本編は、メンバーが手練れ揃いだけあってこのバンドならではの美点が既に開花。タイトル通りHOT&HEAVYにぶちかまされる⑥のような前者路線の楽曲、一転してじっくりドラマティックに聴かせるプログレ・ハード調のバラード⑤のような後者路線の楽曲、それぞれどちらも大変魅力的ですが、取り分け合唱せずにはいられないライブ映えするキャッチネスと、哀愁を帯びたメロディを纏ってワイルドに跳ねる両路線のエッセンスを溶け合わせたバンドのテーマ曲④は、本作のハイライトたるインパクトを放つ名曲に仕上がっています。
「嵐が来る…!」とばかりに、1stフル『OVER THE EDGE』(’88年)に対する期待を煽る予告編としての役割を十二分に果たす逸品ですよ。


NASTY IDOLS - Cruel Intention - American Nights ★★★ (2021-10-20 00:56:25)

タイトルが全てを物語る通りアメリカ志向を
前面に押し出したロックンロール・ナンバー。
どこか爽やかな風が吹くコーラス・ワークや
華やかに組み立てられたインスト・パートに
このバンドならではの魅力が宿っています。


NASTY IDOLS - Cruel Intention ★★ (2021-10-19 01:12:28)

90年代の足音が聞こえ始めた頃から、GUNS 'N' ROSESの台頭やブルーズ・ブームの盛り上がりを受けて、それまで大勢を占めていたEUROPE系とは一味異なる、ファンク/ブルーズ/ロックンロール・テイストを前面に打ち出したサウンドを身上とする新世代北欧メタル・バンドが続々日本にも紹介されるようになりました。このNASTY IDOLSもそうした流れを汲むバンドの一つで、本作は彼らが'91年に発表した日本デビュー作でもある2ndアルバム。正直、いかにもロケンロール!なバンド名のイメージもあって、国内盤がゼロ・コーポレーションからのリリースでなけりゃまず買おうとは思わなかった作品でしたが、実際に聴いてみたら意外にもこれが結構な拾い物だったという。
新世代(言うてももう30年前ですが)北欧メタル作品は、SWEDISH EROTICAとかSTAGE DOLLSとか、勝手なイメージで聴かず嫌いしてたけどしっかり向き合ってみると案外良い、というパターンが多くて、本作もアンディ・ピアス(Vo)のしわがれ声による熱唱を生かしたスリージーなロックンロールを基調としつつも、要素に配されたエネルギッシュな疾走ナンバーと、IRON MAIDENから影響を受けているというジョニー・エスピノーザ(G)のテクニカルな演奏がサウンドをタイトに引き締め、かつ北欧のバンドならではのセンスが迸るメロディが華を添えてくれるという塩梅。特にライブ映えしそうなキャッチーなコーラス・ワークと、“山の魔王の宮殿にて”を交えたトリッキーなGソロをフィーチュアして軽快に駆け抜けていく③は、思わず「おっ」と思わされてしまう名曲です。
更にメタリックに仕上がりの次作『VICIOUS』と合わせてお薦めする1枚。


LEE AARON - Metal Queen - Deceiver ★★★ (2021-10-14 23:09:14)

ハードな演奏に力負けしない
リー・アーロンの突き抜けて来るような
ハイトーンVoが映える疾走ナンバー。


LEE AARON - Metal Queen - Metal Queen ★★★ (2021-10-14 23:04:25)

合唱せずにはいられないメタル・クイーンもアンセム。
コーラス部分のGリフはJUDAS PRIESTの“METAL GOD”を
擦ってる印象ですが、テーマ的には正しい引用というべきか?


LEE AARON - Metal Queen ★★★ (2021-10-13 23:55:33)

CRYSTAL VIVPERのマルタ・ガブリエルがソロ・アルバムで“METAL QUEEN”をカヴァーしているのを聴き、久々にCD棚を漁って引っ張り出し改めて聴き直している、カナダ出身の女性シンガー、リー・アーロン(Vo)の2ndアルバム。’84年発表。
TRIUMPH、SANTERS、MOXYといった母国の先輩ミュージシャン達がお膳立てを整え、彼女を売り出すためのプロジェクト色が濃厚だったデビュー作に比べると、本作は作曲/演奏両面でバンド感を強化。サウンドに関しても、『コナン・ザ・グレート』の世界から抜け出してきた女戦士の如きコスプレ衣装を余裕で着こなすリー姐さんの勇姿が物語る通り、より正統派ヘヴィ・メタリックな方向に焦点が定まっています。
ライブ映えを踏まえたミドル・テンポを基軸とする収録楽曲は、欧州風味の抒情メロディと、LAメタルの流れを汲むキャッチーなコーラス・ワークという、欧と米の良いトコ取りなカナダ産ならではといえる魅力を兼備。愉快なPVも一見の価値ありなメタル・クイーンのアンセム①(よう聴くとサビのGリフはJUDAS PRIESTの“METAL GOD”から頂いちゃってるような気がしなくもないですが)から、哀愁を帯びてドラマティックに盛り上がる④、キレのあるハイトーン・シャウトをフィーチュアして小気味良く疾駆する⑥、重厚にして華やかな⑦まで、リー・アーロンの艶やかさと力強さを併せ持った堂々たる歌唱に盛り立てられ、いずれも聴き応え十分のクオリティを誇っています。
作を重ねる毎にサウンドがポップ化し、実はそれはそれで結構好きなのですが、メタル・クイーン入門盤にはまず本作(と次作『CALL OF THE WILD』)をお薦めする次第。


TRANCE - Metal Forces - Ballad for a Group ★★★ (2021-10-13 00:34:34)

アルバムを締め括る6分越えの大作ナンバーで、
'78年にAGEからTRANCEとバンド名を改めた後、最初に制作された
デモテープの収録曲を現メンバーで再録した模様。
バラード調に始まり、ハードに盛り上がっていくドラマティックな
曲展開を彩る、鼻にツーンと来る泣きのメロディはまさしく
初期TRANCE節というべき臭気を放っていて「最高か」と。


TRANCE - Metal Forces ★★ (2021-10-11 23:14:22)

ACCEPTのフロントマン候補に名前が挙がったこともあったと聞くローター・アントーニの個性的なVoと、ジャーマン演歌と呼びたくなる濃い口の泣きメロを武器に、80年代初頭には(メンバー曰く)SCORPIONS、ACCEPTに次ぐ人気を誇ったという独産HMバンドTRANCE。名曲“HEAVY METAL QUEEN”のカッコ良さも未だ忘れ難い彼らが、改名や解散といった紆余曲折を経て21世紀に復活を遂げ、’21年に発表した再結成第2弾アルバムがこちら。彼らの作品の日本盤リリースはこれが初めてじゃないでしょうか?
最早オリジナル・メンバーはマーカス・バーガー(G)一人なれど、『METAL FORCES』なるコテコテなアルバム・タイトルが物語る通り、本作で炸裂するのは武骨で重厚な正統派HMサウンド。元VICIOUS RUMORSのニック・ホルマン(Vo)の堂々たる歌唱を始め、老成とは無縁のパワー漲る作風が全編に亘って貫かれており、壮大な④、エピカルなドラマ性を感じさせる⑥⑦の展開、アンセミックなアルバム表題曲⑨といった楽曲における、HELLOWEEN登場以前のジャーマンHM然としたカッコ良さは頼もしい限り。
かつての魅力だった泣きメロが大幅に減じている点は残念極まりないものの、それを補ってくれるのがボートラとして収録されている⑩の存在でして。TRANCEに改名して’78年に初めて制作したデモテープに収録されていた楽曲を発掘したらしく、塩っ辛いメロディの泣きっぷりといい、静から動へ展開していくドラマティックな曲調といい、「よっ、待ってました!」と膝を打つ逸曲でしたよ。
次回作では、出来ればこの路線の楽曲をもっと演ってくれると嬉しいなぁと。


Freefall - Rebel Hard ★★★ (2021-10-07 01:01:58)

東京サマーランドに設置されていた今はなき絶叫アトラクションみたいなバンド名を名乗るのは、マイク(Vo、B)とクリス(G)のジョーンズ兄弟により結成されたイギリス発のメロディアスHRプロジェクト。本作は80年代半ばから国内のパブやクラブを回って腕を磨いてきたという彼ら(ライブを演る際には、ここに更にもう一人の兄弟であるドラマー、ティム・ジョーンズが加わるらしい)が、'96年に満を持して発表した1stアルバム。
‘96年といえば、猛威を振るうダーク&ヘヴィのトレンドで欧米のHR/HMシーンが塗り潰されていた頃合いですが、本作に託されているのはそこに差し込む一筋の光明の如き、英国的…というよりは寧ろアメリカンな開放的キャッチネスを湛えたメロディ、厚めに盛られたボーカル・ハーモニー、そして要所で「おっ」と耳惹くフラッシーなソロを繰り出すテクニカルなGプレイ等々に彩られた80年代風味満点の華やかなメロディアスHRサウンド。
13曲も収録されているので若干クオリティにムラが生じるのは致し方ないところですが、爽やかにOPを飾る①、ポップ・メタル然としたコーラスを配してキャッチーに弾む④、一転してどっぷりと哀愁に浸ったバラード⑦、流麗に奏でられるピアノがハード・ロッキンな曲調に秀逸なアクセントを加える名曲⑨、クリスの鮮烈なGソロをフィーチュアしてメタリックに疾走する⑬等、作品全体としては平均レベルを悠々越えていく見事な出来栄えを誇っています。
確かな才能の煌めきが感じられる力作だったのに、プロジェクトは本作1枚のみで消滅してしまい、その後兄弟の名前を聞くこともなくなってしまったのが残念でなりません。


TOBY HITCHCOCK - Changes - Don't Say Goodbye ★★★ (2021-10-05 23:07:59)

ピアノと泣きのギターの援護射撃を受けて
トビー・ヒッチコックが悲哀に満ちたメロディを
切々と歌い上げるドラマティックなバラード。
ボートラとしてアコギ・バージョンも収録されていることから
アーティストサイドもこの曲をリーダートラックと
位置付けていることが伺えます。


TOBY HITCHCOCK - Changes ★★★ (2021-10-05 07:23:53)

メロハー界の名匠ジム・ピートリックとのデュオ・プロジェクトPRIDE OF LIONSでも順調にアルバム・リリースを重ねるシンガー、トビー・ヒッチコックが’21年に発表した3枚目のソロ・アルバム。
1st『MERCURY’S DOWN』(’11年)ではECLIPSEのエリック・マーテンソンを、2nd『RECKONING』(’19年)ではFIND ME、THE MURDER OF MY SWEET他のダニエル・フローレスをそれぞれ起用する等、ブレイン役は一作毎に替えていて、今回の仕切りにはFRONTIERS RECORDS関連作品でその名前を見聞きしないことはないんじゃなかろうか?なアレッサンドロ・デル・ヴェッキオが満を持して登板。彼の起用に合わせるように、サウンドの方もハード・ロッキンな爽快感や躍動感は抑えめに、より哀愁のメロディをじっくりと聴かせるAOR/産業ロック寄りのスタイルへと変化しています。
未だ1stを愛聴する身としてはその点が若干寂しくもあるのですが、とはいえ爽やかに駆け抜ける⑩(ジョエル・ホークストラがGでゲスト参加)のようなHRナンバーもきっちり用意されていますし、何よりジム・ピートリックが「より歌声のニュアンスや強弱を出すことで、深みや表現力がますます増している」と太鼓判を押すトビーの抜群の歌唱力が生きる、泣きに満ちた④、ピアノの旋律が切なさを引き立てる⑥、フィナーレを物悲しくもドラマティックに彩る⑪といった、エモーショナル極まりないバラード系の楽曲の充実ぶりには心底惚れ惚れさせられますよ。
近年でも指折りの実力派シンガーの歌を思う存分に堪能できる力作です。


TONY MARTIN - Scream - Scream ★★★ (2021-09-30 23:43:34)

バイクのエンジン音に導かれてスタートするアルバム表題曲。
アグレッシブかつ重厚に突き進む曲調に、憂いを湛えた
マーティンの歌声が絶品に映える。彼自身が弾いている
ヴァイオリン・ソロも楽曲に効果的にフックを作り出してくれています。


TONY MARTIN - Scream - Bitter Sweet ★★★ (2021-09-30 23:25:13)

重しを付けて泥濘を這い進む沈むように刻まれるリフ&リズムと、
マーティンが麗しく歌う神秘的なメロディの取り合わせが
まさしく彼が在籍していた時期のBLACK SABBATHを彷彿とさせる
逸品に仕上がっています。


TONY MARTIN - Scream ★★★ (2021-09-30 00:13:54)

1stソロ『BACK WHERE I BELONG』(’92年)との間にBLACK SABBATHへの復帰と再離脱(というかオジーとの復縁を模索していたサバス陣営による一方的な解雇)を挟み、'05年に発表されたトニー・マーティン(Vo)、2枚目のソロ・アルバム。
ゲストはBLACK SABBATH時代の僚友ジェフ・ニコルズ(Key)のみで、ほぼ全てのパートをマーティンと彼の息子ジョー・ハルフォード(G)が賄うという家内手工業スタイルで制作されていますが、リラックスしたAOR寄りの作風(これはこれで大変魅力だった)を志向していた前作『BACK~』に比べ、重々しく刻まれるGリフ、重厚かつダイナミックに駆動するリズム、その上で憂いに満ちたメロディをしなやかに歌い上げるVoといい、本作は多くのファンが「できることなら『FORBIDDEN』(’95年)はこの路線で作って欲しかったなぁ…」と遠い目をするであろう、Wトニー期BLACK SABBATHを彷彿とさせるダークでミステリアスなHMサウンドがほぼ全編に亘って繰り広げられる仕上がり。
取り分け、亡きコージー・パウエルが残してくれたドラム・トラックを叩き台に完成させたというRAINBOW型OPナンバー①が口火を切り、漆黒の闇に沈み込んでいくようなヘヴィ・チューン②、名曲“CROSS OF THORNS”を思わすドラマティックな③、マーティンがヴァイオリンの腕前を披露するアルバム表題曲⑤といった強力な楽曲が続くアルバム前半のクオリティは出色ですよ。
収録曲の出来/不出来にややムラがある点含め、BLACK SABBATHの『CROSS PURPOSES』(’94年)を思い出す1枚かなと。今年リリースされた3rdソロも聴かにゃ(日本盤はどうした?)


BURNING WITCHES - Dance With the Devil - Battle Hymn ★★★ (2021-09-29 01:55:18)

アメリカのエピック・メタルを語る上で欠かすことの出来ない
重要曲でもある、MANOWAR初期の名曲のカヴァー。
音質的には少々厳しいものもあったオリジナル・バージョンに対し
こちらは現代のアドバンテージを生かしたよりヘヴィかつパワフルな仕上がり。
Voもエリック・アダムスになりきって堂々歌い上げてくれています。
この曲のインパクトが他の収録曲を食ってしまっているのはご愛嬌。


BURNING WITCHES - Dance With the Devil ★★★ (2021-09-27 23:34:49)

2代目フロント・パーソンとして元SHADOWRISEのローラを迎え入れたスイス出身の5人組HMバンドBURNING WITCHESが、'16年に発表した3rdアルバム。
DESTRUCTIONのシュミーアと、元POLTERGEISTのV.O.パルヴァーのマブダチ・コンビがプロデュース担当というお馴染みの布陣でレコーディングが行われた本作は、「そろそろポップな方向にも曲作りの幅を広げて来るかな?」とのこちらの予想を正拳突きで粉砕するかの如く、ストロング&スパルタンな正統派HMサウンドを前2作同様に徹底。
ハイピッチ・スクリームが耳をつんざくスピーディなOPナンバー①から、色気を感じさせるエモーショナルな歌い込みが映える⑥のようなバラード系の楽曲まで、表現力豊かにこなすローラ嬢の歌唱力も前任Voのセレーナと比べて遜色はなく、その実力の程はロス・ザ・ボス(G)をゲストに迎え、エリック・アダムスばりのパワー&エモーションで堂々歌い上げてみせるのMANOWARの名曲“地獄の鎮魂歌”のカヴァー⑫からもビンビンに伝わってくるのではないでしょうか。それにしてもJUDAS PRIESTの“JAWBREAKER”といい、SAVATAGEの“HALL OF THE MOUNTAIN KING”といい、このバンドのメタル愛を感じさせるカヴァー・センスには毎度ニッコリさせられますね。(実はカヴァー曲目当てで本作の購入を決意したことは内緒だ)
もはや、メンバー全員が女性であることを殊更に強調する必要性すら感じさせない、「女性にしては~」とか「男勝りの~」なんて枕詞もノー・センキューなHMサウンドが重厚に叩きつけられる1枚。


紫 - IMPACT ★★★ (2021-09-23 01:19:48)

ジョン・ロード愛迸るハモンド・オルガン、リッチー・ブラックモア風のギター(但しこちらはツインG編成)、イアン・ペイスばりにスウィングするドラム…「日本のDEEP PURPLE」と評され、70年代オキナワンロックの盛り上がりを語る上で欠かすことの出来ない重要バンド、ジョージ紫率いる「紫」が’76年に発表した2ndアルバム。
アメリカ軍キャンプにて米兵相手に実戦経験を積んだ本格派ゆえ、紫の名を不本意な意味で有名にしてしまった城間正男の罪状はともかく実力は間違いない骨太なVoを始め、メンバーの鍛え上げられたパフォーマンスと研ぎ澄まされたテクニックに「部屋に篭って勉強しました」的な線の細さや借り物感は皆無。DEEP PURPLE型HR路線を1stアルバム同様に疾走しつつ、今作は日本のバンドらしい木目の細かいアレンジ/沖縄のバンドならではのメロディ・センスといった独自性をトッピングすることで、前作以上によりハッキリと自身のアイデンティティーを主張した仕上がりとなっています。
緊迫感とキャッチネスを同居させたOPナンバー①や、GとKeyがスリリングに火花を散らしながら駆け抜けていく④、そして何より6分という長尺の中に、プログレッシブ・ロックからの影響も伺わせる変幻自在でドラマティックな曲展開、奔放に繰り広げられる楽器陣の掛け合い、更に沖縄民謡“なんだ浜”のメロディまでブチ込んだ⑤は、沖縄の青い空と澄んだ海が脳裏に広がるような、彼らの神髄がスパークする唯一無二の名曲ですよ。
上り調子の勢い漲る作品だっただけに、これを最後に突如解散してしまったことが惜しまれます。(後に再結成してくれたとはいえ)


OUTRAGE - Run Riot - Blood and Scars ★★★ (2021-09-22 00:03:41)

MOTORHEADの薫陶を受けた荒くれ感を醸し出すGリフ、
スラッシュ・メタル然とした突進力を誇るリズム、
そしてOUTRAGEには珍しいメロディアスなコーラス・パートの
組み合わせに新鮮な印象を受ける、アルバム屈指の名曲。


OUTRAGE - Run Riot ★★★ (2021-09-21 00:50:35)

’20年発表の14th。CDを購入したその日に紛失してしまうという「小学生かお前は」ってなチョンボをやらかして落ち込んだりもしたけど私は元気です。無事そのCDも手元へ戻ってほぼ1年遅れで漸く聴くことが出来た本作でしたが、これが文句なしの素晴らしさ。
‘19年にはリスペクト・ライブを敢行したり(その時の模様はDELUXE EDITIONのDVDに収録)、JAGUARの“AXE CRAZY”とANGEL WITCHの“BAPHOMET”をカヴァーした7インチEPをリリースしたり、あるいは今回もTANKとPARALEXのカヴァーを収録したりと、勃発から40年を迎えたNWOBHMに対する愛情を詳らかに表明してきた近年の活動が関係しているのかどうか、本作は彼らのカタログの中でもかなりオールドスクールな正統派HMテイストを強調した仕上がり(ヘヴィ過ぎず適度にラフさも保った音作りもそう感じられる一因か)。無論スラッシュ、パンク、ストーナーからクラシック・ロックに至るまで、様々な音楽的エッセンスを消化吸収して血肉に変え、豪快に吐き出す雑食性はここでも健在ですが、やはり個人的に強く印象に焼き付くのは、劇的にスタートダッシュを決める①や、“DOCTOR, DOCTOR”でも始まりそうな泣きのイントロから一転、猛然と疾走に転じるラスト・ナンバー⑩といった80年代初頭HM色が一際色濃い楽曲という。中でもパンチの効いたリフ、屈強なリズム、漢の哀愁背負ったツイン・リードとバンカラな豪唱が一塊に畳み掛けるアグレッシブにしてメロディアス②は、本編のハイライトに推したいカッコ良さを誇っていますよ。
らしさと間口の広さ、どっしりとした貫禄とササクレた荒々しさを兼ね備えた意欲作。実に痺れる1枚です。


MURO - Este muro no se cae - Sólo en la oscuridad ★★★ (2021-09-17 00:29:05)

スパニッシュな哀愁を帯びたイントロから
スラッシュ・メタルばりのアグレッションを放出しながらの
疾走へと転じるスピード・ナンバー。
彼らが「スペインのACCEPT」と評された理由を雄弁に物語る名曲です。


MURO - Este muro no se cae ★★★ (2021-09-16 00:41:11)

結成は'81年まで遡り、後にSARATOGAやSILVER FISTを結成するメンバーが在籍していたスペインはマドリード出身の古豪パワー・メタル・バンドMURO。本作は彼らが’03年に行ったラスト・ライブの模様を収めた実況録音盤です。(そういえばこのバンドはデビュー作もライブ盤でした)
最後のツアーということで、当然セットリストはベスト選曲が組まれている…のかどうかは、MUROのカタログは2nd『TELON DE ACERO』(’88年)ぐらいしか聴いたことがない身には正直分かりかねるものの、“ACERO Y SANGRE”や“TELON DE ACERO”を始め、勇ましげな巻き舌Voをフィーチュアしたスピード・ナンバーで全編を固めて、お別れの湿っぽさはそこそこに、ド直球のパワーメタル・サウンドと熱気ムンムンなパフォーマンスで畳み掛ける様は「スペインのACCEPT健在なり」を証明する迫力に満ちていますよ。ちなみにデビュー作では、そのACCEPTの“FAST AS A SHARK”をカヴァーしていましたが、本作ではY&Tの代表曲“FOREVER”のスペイン語カヴァーを披露。かなりのハマりっぷりなのでセットリストの定番だったのかなと。
これを受けて立つ観衆の方も「スペインのメタル・ファンは熱い」との評判に違わぬ、時に演奏を掻き消さんばかりの盛り上がりでバンドをおもてなし。特に両者の掛け合いをイントロ代わりに、スラッシュ・メタルばりのアグレッションを撒き散らしながら突っ走る2ndアルバム収録の名曲“SOLO EN LA OSCURIDAD”が炸裂する場面は、個人的に本作のハイライトでした。
解散記念盤ですが、何だったらMURO入門盤代わりにいかがでしょうか。(バンドも後に再結成しますし)


MORDRED - The Dark Parade - I Am Charlie ★★★ (2021-09-15 01:21:29)

ヒップホップ要素もそこそこに、鋭利なGリフと疾走するリズム、
朗々歌うVoと威勢の良いコーラスとが、憂いを帯びたメロディを
纏って畳み掛ける様は、何となくFORBIDDENの2ndアルバム辺りのことを
思い出したり思い出さなかったり。


MORDRED - The Dark Parade - Demonic #7 ★★★ (2021-09-15 01:14:39)

思いっきりファンクやヒップホップ路線に傾斜したサウンドだったら
どうしようというこちらの不安を、エッジの効いたGリフ
小気味良く疾走するリズム、しっかり歌うVoと2本のGが紡ぐ
憂いを帯びたメロディとが一気に払拭、
嬉しい驚きを味合わせてくれるアルバムOPナンバー。


MORDRED - The Dark Parade ★★★ (2021-09-13 23:59:48)

正式メンバーにDJを擁し、サウンドにファンクやヒップホップ・テイストも取り込んだベイエリア・スラッシュ・シーンの異端児MORDRED。ドラマー以外の初期メンバーが再結集して復活を遂げた彼らが、’21年に発表した再結成第1弾アルバム。(通算4作目)
単純に優れたスラッシュ・アルバムだった1st『FOOL’S GAME』(’89年)、DJが加入しての2nd『IN THIS LIFE』(’92年)、メタルの範疇からも逸脱しつつあった3rd『NEXT ROOM』(’95年)と、作品毎に音楽性を拡散させていったバンドゆえ、90年代以上に何でもありのバリトゥードとなってしまった現代に一体どんなサウンドを提示して来るのか全く読めず、かなり戦々恐々としながら聴き始めましたが、意外にもこれが初期2作に立ち返ったようなヘヴィ・メタリックなサウンドが託されていて、良い意味で聴いて吃驚でしたよ。
勿論、執拗に繰り出されるスクラッチや、ホーンをフィーチュアしたブラス・メタルとでも言うべき(?)アルバム表題曲⑤等、ミクスチャー要素も相変わらず大胆に導入されてはいるものの、ジャリジャリと刻まれるスラッシーなGリフに、重々しくハジけるリズム、そしてウリ・ロートやマイケル・シェンカーにも影響を受けているというGコンビが要所でテクニカルに奏でる泣きのメロディが、サウンドの軸をしっかりとメタル・フィールドに固定してくれていて、散漫な印象は抑えられています。特に、イントロ数秒でグッと惹き付けられてしまう緊張感と憂いを湛えて疾走するOPナンバー①、Voが朗々歌えるタイプゆえ何となく初期FORBIDDENを思い出したりもする③は個人的に本作のハイライト。
自分達の個性をしっかり吟味した上で作り上げた「復活作かくあるべし」な1枚ですよ。


STARSHIP - Freedom at Point Zero(Jefferson Starship) - Awakening ★★★ (2021-09-10 00:34:30)

軽快なノリの前曲から雨音のSEを介して繋がっていく曲展開、
シンセと泣きのGによるイントロの焦らしから、物悲しいメロディに彩られた
8分越えの大作志向、アメリカン・プログレ・ハード風味の重厚なドラマ性、
そして哀愁を増幅するVoの熱唱とKeyの仕事ぶりに実にグッとくる名曲です。


STARSHIP - Freedom at Point Zero(Jefferson Starship) - Jane ★★★ (2021-09-10 00:27:41)

JOURNEY、BOSTON、STYXといったバンドの台頭に歩調を合わせるように、
哀愁のメロディに磨きが掛かったアルバムのOPナンバー。
ストレートに伸びるハイトーンVo、エッジの効いたG、楽曲を小粋に彩るKey、
安定感溢れるリズム・ワークが曲調をよりキャッチーに仕上げてくれています。


STARSHIP - Freedom at Point Zero(Jefferson Starship) ★★★ (2021-09-09 00:46:23)

幾多のメンバー・チェンジと、それに伴うバンド名の変更、そして音楽性の変化を経て、現在も活動を継続しているアメリカのベテラン・バンドが、’80年に発表したJEFFERSON STARSHIP名義では5枚目となるアルバム。
グレース・スリック、マーティ・バリンという主力メンバーの相次ぐ脱退で当時バンドは危機的状況下に追い詰められていましたが、そのことが逆に残された面子の奮起を促したのか、ロン・ネヴィソンをプロデューサーに迎えて新体制でレコーディングが行われた本作は、溜まっていた鬱憤を晴らすかの如く、エッジの効いたGを前面に押し出したHR寄りの音楽性が託されており、アメリカではアルバム・チャートTOP10に飛び込む好成績を残す快作に仕上がりました。
新シンガー、ミッキー・トーマスの張りのあるハイトーンVoと、元JOURNEYの名手エインズレー・ダンバーの重たいドラミングは、こうしたハード寄りの作風にドンピシャでマッチ。爽やかな曲調に泣きのGが絡む②、重厚なドラマ性を帯びた④、プログレ・ハード調のアレンジと曲展開で聴かせる⑥、ヘヴィなドラムのイントロで幕が上がるアルバム表題曲⑨辺りは、特にこの新編成の強みが活かされた楽曲。そしてトドメはスマッシュ・ヒットとなったOPナンバー①。軽快に弾むKeyリフから、哀愁を帯びたキャッチーなメロディ、美麗なハーモニーに至るまで「これぞアメリカン・メロハー!」」と膝を打たずにはいられない名曲っぷりは、これ1曲でアルバムの出来栄えを確信するに十分なくらいですよ。
バンドの長い歴史においてはあまりスポットライトが当たらない時期ではありますが、メロディ愛好家なら間違いなくチェックしておいて損はない1枚です。


UFO - Ain't Misbehavin' - Hunger in the Night ★★★ (2021-09-07 23:25:31)

フィルの憂いを帯びた歌声を、女性Voをフィーチュアした
華やかなコーラス・ワークとアトミック・トミーのフラッシーな
Gプレイが援護射撃。英国的な哀愁とアメリカンなキャッチネスを
同居させて軽快に疾走するHRナンバー。
これ1曲が聴けただけで作品を買って良かったと思えましたよ。
(いや他の収録曲も良いんですけどね)


UFO - Ain't Misbehavin' ★★★ (2021-09-07 00:35:23)

フィル・モグ(Vo)以下、アトミック・トミー・M(G)、元DAMNEDのポール・グレイ(B)、ジム・シンプソン(Ds)という乗組員で『MISDEMEANOR』(’84年)を発表して再浮上を図るも、世は80年代のメタルバブル真っ盛り。ポップ・メタルやスリージーなロックンロール勢がブイブイ言わせるシーンにおいては新たな支持を獲得することは叶わず再び墜落してしまったUFOが、解散前にレコーディングしていた’88年発表の7曲入りEP。なお本作の日本盤(邦題『殺気!』)が翌年リリースされた時には既にバンドは存在せず、これがアトミック・トミーを擁するUFOのラスト作となってしまったという。日本盤の解説書に寄せられた「ハーイ」から始まるフィル・モグの前向きなコメント(バンド、頑張っていきますよ!的な)が何とも物悲しい。
隠れた名盤か、はたまたアルバム作りの選から漏れた単なるアウトテイク集か。評価が割れがちな本作ですが、個人的には前者に一票を投じたい所存。テクニカルなアトミック・トミーのGプレイと女性コーラスが華やかな彩りを加えるモダンなHRサウンドは前作『MISDEMEANOR』の流れを汲むもので、フィル・モグの粘っこくもエモーショナルな熱唱が映えるバラード②、エネルギッシュなロックンロール⑥、サビメロのポップな高揚感が秀逸な⑦、そして何よりも、燻し銀の憂いを湛えて疾走する名曲④の存在が、本作の価値を一段も二段も上へと引き上げてくれていますよ。
さほど需要のある時期の作品でもないため廃盤のままほったらかしになっている不遇っぷりゆえ、ぼちぼちリマスター再発して頂けないでしょうか。


KHYMERA - The Greatest Wonder - Fight for Yesterday ★★★ (2021-09-03 01:14:41)

澄んだ青空へと向かって舞い上がり、そのまま溶け込んでいくような
飛翔感と高揚感を伴ったコーラス・ワークが絶品。
爽快なメロハーのお手本のような出来栄えで、
アルバムでも1、2を争う名曲ではないでしょうか。


KHYMERA - The Greatest Wonder ★★★ (2021-09-01 23:57:41)

数多のバンドやプロジェクトにミュージシャン/ソングライター/プロデューサーとして関与するスウェーデン出身のマルチ・アーティスト、ダニエル・リヴェラーニ(Key)が中心となって立ち上げたメロハー・プロジェクト、'07年発表の3rdアルバム。
本作以外に自分の手元にあるKHYMERAのカタログは1stアルバムのみで、そちらはKANSASのスティーヴ・ウォルシュとビル・グリア、TRILLIONのトム・グリフィン、MECCAのジョー・バナといった有名(あるいは通好みの)ミュージシャンを起用して、メロハーの隠れた名曲――例えばMR.BIGが映画『ネイビーシールズ』のサントラに提供した“STRIKE LIKE LIGHTNING”とか――をカヴァーする、一夜限りのお祭りプロジェクト感が強く漂う作品でしたが、アルバム・リリースを重ねるうちにどんどんバンド感が強化されていったようで、今作では参加メンバーが固定され、シンガーはPINK CREAM 69のデニス・ワードのみ、収録曲も書下ろしの新曲ばかりとなっています。
クオリティに関してもVEGAのマーティン兄弟が楽曲提供を行っているだけに高値安定。ドラマティックな序曲①に続き清涼なメロディが美しく澄み切った青空へ溶けていくような②の時点で多くのメロハー・マニアが本作の完成度を確信できるのではないかと。ことにアルバム表題曲でもあるバラード⑧、爽やかな高揚感を呼び起こす⑨、デニスの伸びやかな歌声がメロディの美しさを引き立たせる⑫、憂いを帯びてラストを締め括る⑬といった本編ハイライト級の逸品が連続するアルバム後半戦の楽曲充実度は特筆モノです。
KHYMERAの旧譜は今となっては入手困難な物が多いのですが、もし見かけたら一聴をお薦めする1枚ですよ。


DREAMHUNTER - KINGDOM COME - MY DAYS ARE COUNTED ★★★ (2021-09-01 00:39:32)

前身であるLIFELINE時代に発表済みの楽曲を
わざわざリメイクしていることからも、バンドの
このバラードに対する自信の程が伺えるというものですが
実際、ピアノをフィーチュアしてじっくりと盛り上がる曲調は
実に感動的。音質がもうちょい良ければ…というのは
ないものねだりというやつですかね。


DREAMHUNTER - KINGDOM COME ★★★ (2021-08-30 23:02:44)

結成は80年代半ばまで遡り、メジャー・デビューまであと一歩のところで夢破れたスウェーデンのLIFELINEが、再出発を図ってDREAMHUNTERと名を変え、'96年にZ RECORDDSから発表した1stアルバム。
出身が北欧で、Key奏者を含む編成で、このバンド名で、このアルバム・タイトル、おまけにアートワークはダークでファンタジック…こりゃもう絶対に様式美HM作品でしょう?と「おいでませ北欧へ」な手招きを幻視しながら再生した本作でしたが、意表を突いて始まったのはハスキーなVoによって歌われる、カラッと湿度低めのメロディと厚めに盛られたハーモニーとが、存外ハードにロックするアメリカンなメロハー・サウンド。初めて北欧旅行に出掛けたら記録的な熱波の年で、街中を殆ど水着みたいな恰好の人達が闊歩しているのを見て「フロリダかな?」と戸惑ったことをふと思い出してしまいましたよ。
それはともかく。(一方的な思い込みは棚上げして)JAROに駆け込んだりしなかったのは、やはり収録曲の完成度の高さゆえ。哀愁が最も色濃く薫る④みたいな楽曲の素晴らしさは当然にしても、技ありなアレンジが光る③とヒット・ポテンシャル溢れるバラード⑤は、LIFELINE時代にシングルとしてリリース済みなのも納得のフックを有していますし、アコースティック・ギターの隠し味が効いているアルバム表題曲①や、キャッチーなサビメロが秀逸な②⑦⑧を始め、明るさの中からもヒンヤリと哀感が滲み出すようなメロディの組み立てからは、やはり北欧のバンドならではのセンスが迸っています。
EDGE OF SANITYのダン・スウァノが関与しているという次作も聴いてみたかった。


PROUD - Second Act ★★ (2021-08-26 00:52:25)

80年代の北欧メタル名盤総選挙でも開催した日にゃトップ10入りは確実視されている(俺の中で)1st『情炎の白夜』(’84年)1枚のみで消えたスウェーデンのPROUD。本作は彼らが30数年ぶりに復活を遂げ'21年に発表した2ndアルバムです。邦題は『蘇る白夜』。
ちょい前からショップで輸入盤がディスプレイされているのは見かけてはいたものの、あまりに1stとアートワークの方向性が違うので「本当に同一バンド?」と購入を躊躇していたら、いつの間にやら国内盤が発売されているじゃありませんか。悩んどくもんだなぁ。
リフ志向の楽曲にNWOBHMからの影響がハッキリと刻まれていた前作に比べ、曲調はよりしっとりと落ち着いたメロハー・テイストを強めていますが(元々80年代当時からそっち方向へ進みたかったが果たせず解散してしまったという)、要所を彩る哀メロは北欧メタルならではの冷ややかな魅力を放っていて、特に、今は亡きメンバーに捧げられている絶妙なメロディ展開が胸を打つOPナンバー①と、壮大且つドラマティックな⑧、各段に歌唱力を向上させながらどこか変わらぬ野暮ったさも垣間見える(悪口ではない)アンダース・マグネルのVoが映える⑩等は、バンドが一押しの楽曲として自信を覗かせるのも納得の「ああ、間違いなくPROUDだ」と確信するに足る出来栄えを誇っています。
デモテープをそのまま製品化してしまったような、メジャー・リリース作品とは思えぬチープな音質だった1stは、思い出補正抜きで今聴き直すと結構厳しいものがあるやもしれませんから(楽曲は文句なしで素晴らしい)、本作の方がPROUD入門盤としては取っ付き易いかもしれません。
まぁでも個人的に一番待ち望んでいるのは1st国内盤のリマスター再発なんですけどね。


ROCKET SCIENTISTS - Earthbound - Carry Me Home ★★★ (2021-08-24 22:27:59)

優美にして軽やかにアルバムを締め括るラスト・ナンバー。
プログレというよりは、ほぼメロハー・チューン。
美しいハーモニーに彩られたサビメロに蕩けますよ。


ROCKET SCIENTISTS - Earthbound ★★★ (2021-08-23 23:24:50)

90年代に日本のHR/HMシーンで女性シンガー、ラナ・レーンの人気が高まった際、一緒に注目を集めたのがアルバムのプロデューサーであり、彼女の旦那でもあるKey奏者のエリク・ノーランダーでした。本作は彼が盟友マーク・マクライトと共に結成したROCKET SCIENTISTの1stアルバム(’93年発表)で、ラナ・レーン人気に後押しされて’95年に日本盤のリリースが実現しています。
エリクが学生時代から作り溜めてきたマテリアルも使用されているという本作で聴けるのは、テクニック全開の楽器陣が火花バチバチでぶつかり合うDREAM THEATER系のスリリングなプログレ・メタル…ではなく、しっとりとした抒情メロディと穏やかな曲想に包まれたシンフォニック・ロック路線のサウンド。要はLANA LANEとほぼほぼ同一の作風でして、何せ関わっているミュージシャン連中からして(バックVoとして参加のラナ含め)殆ど両バンド共通という、性別違いの双子みたいな仕上がりです。
プログレ作品らしくテクニカルな要素もそれとなく散りばめつつも、やはりそれ以上に印象に残るのは、ジョン・ウェットンやグレッグ・レイクの系譜に連なるマークのジェントリーで暖かみを感じさせる歌声を活かしたメロディアスな楽曲の数々。特に、後にLANA LANEのバラード・アルバムにおいてリメイクされることとなる物悲しくも美しい“AVALONE”や、優美にして軽やかに本編を締め括る“CARRY ME HOME”は、聴き終えた後に「ホゥ…」と思わずため息を吐きたくなる名曲ですよ。
デビュー作にしてエリク・ノーランダーの才気が早くもしっかりと刻まれている力作。


山本恭司 - ELECTRIC CINEMA - JUST CAN'T TAKE IT ★★★ (2021-08-20 00:53:24)

K溌剌とはじけるロック・チューン。
山本自身がアルバム『ELECTRIC CINEMA』について
「音楽的な転機となった作品」と語っている通り
後のVOW WOW時代へと繋がっていく要素も感じられる
Keyを活かしたキャッチーな仕上がりです。


山本恭司 - ELECTRIC CINEMA ★★★ (2021-08-18 23:39:37)

日本HR/HM界の至宝、山本恭司(G)が渡英してレコーディングを行い、'82年に発表した2枚目のソロ・アルバム。驚くべきはBOW WOW名義での最終作となった8th『WARNING FROM STARDUST』とほぼ同時進行で制作が進められていたことで、僅か1か月足らずの内にこんだけハイクオリティなアルバムを2枚も仕上げているのですから、当時の山本の創作意欲はどんだけ神懸っていたのかと。
バックを固めるのはシングル1枚を残して消滅した幻のNWOBHMバンドLAST FLIGHTのメンバー。正直「そんなよう知らん連中起用して大丈夫?」と不安を感じなくもなかったのですが、実際に聴いてみるとこれが確かな歌唱力を有するVo(後にALASKAに参加するロバート・ホーソーン)といい、多彩な演奏の引き出しを持つKey(ゲイリー・ムーアとの活動で知られるトミー・アイアー)といい、実に堂々たるパフォーマンスで山本をバックアップ。特に親交を深めたトミーの才能に感服した山本がわざわざ彼のためにインスト曲“SATURN”を書き下ろした…というエピソードからも、メンバーの実力の程が窺い知れるのではないでしょうか。
仄かにプログレ・ハードの匂いも感じられるOPナンバー①、濃厚に泣き倒すドラマティックなバラード④、一転してポップ&キャッチーに弾む⑥、ヴァンゲリス風味漂うスペーシーな⑧辺りは、このコラボレーションが生み出した最良の結果が刻まれたアルバムのハイライト。この組み合わせであと2、3枚はアルバムを聴いてみたかった。
本作リリースから間もなく、BOW WOWはVOW WOWと名を変えることとなりますが、音楽的にはちょうどBとVの架け橋的な仕上がりと相成った1枚です。


TOUCH - Tomorrow Never Comes - Tomorrow Never Comes ★★★ (2021-08-18 00:24:20)

『E.T.』風味のジャケットのイメージ通り、スペーシーかつ
ドラマティックなイントロで幕が上がるOPナンバー兼アルバム表題曲。
イントロの時点で名曲の予感はビンビンですが、哀愁を帯びたヴァースから
美しいハーモニーに包まれたコーラス・パートまで聴き進めるうちに
予感は確信へと変わります。


TOUCH - Tomorrow Never Comes ★★ (2021-08-17 00:00:31)

DRIVE, SHE SAIDやAMERICAN TEARSでは定期的に新作を発表してきていたマーク・マンゴールド(Vo、Key)が、満を持してTOUCHを復活させ、およそ40年ぶりに発表した2ndアルバムがこちら。(正確に言うなら、ロジャー・グローヴァーをプロデューサーに迎えてレコーディングするもお蔵入りしてしまった2ndアルバムが別にあるのだけれども)
実際のところ、マーク一人でTOUCHを再始動させてもファンは誰も文句を言わなかったと思うのですが、復活にあたってダグ・ハワード(Vo、B)、クレイグ・ブルックス(Vo、G)、グレン・キスカート(Ds)というオリジナル・メンバーを再結集している辺りからも、本作に賭けるマークの意気込みがビンビンに伝わってくるというもの。
音楽性に関しても、リード楽器として切り込んでくるKey、衰えを感じさせぬダグ・ハワードの伸びやかな歌声、キャッチーな哀愁のメロディと、メンバー全員が歌える強みを生かした分厚いボーカル・ハーモニーに彩られたHRサウンドは、きっちり1st路線を踏襲。劇的なイントロからして名曲の風格漂うOPナンバー①、美しいコーラスが壮麗に舞う②、スペーシーな雰囲気を湛えた7分越えの大作ナンバー③というアルバム冒頭3曲を聴いた時点で、本作の完成度の高さを確信するには十分でしたよ。その一方で、モダンな味付けが施された④のような新味を感じさせる楽曲も魅力的に仕上げる手腕は流石の一言に尽きます。
ややマッタリとしてしまう後半戦を引き締めるためには、“BLACK STAR”系のハード・ナンバーが1、2曲欲しかったと個人的には思わなくもないのですが、まぁその辺は次回作以降に期待ということで。これ1枚で終わらないことを念願致します。


AMERICAN TEARS - Tear Gas ★★★ (2021-08-12 00:31:54)

復活後も間を置かずに新作リリースを重ねる、マーク・マンゴールド率いるAMERICAN TEARSが’75年に発表した2ndアルバム。
マークといえば、彼の名を一躍広める切っ掛けとなったTOUCHを始め、数多のメロディアスHR作品に関与してきたベテラン・アーティスト。その何れもアンサンブル重視の姿勢が徹底されており(AMERICAN TEARSの3rd『POWERHOUSE』も含む)、本作も当然そのような作風が託されているものとばかり思い込んでいたため、後追いで聴いた時は結構驚かされました。ギターレスのトリオというEL&Pばりの攻めた編成の下、自らリードVoも担当。更に相棒として「ベースに持ち替えたジミ・ヘンドリックス」の異名を取ったというジャズ畑出身のゲイリー・ソニーを迎え、弾きまくるKeyがサウンドをグイグイと牽引するプログレッシブ・ロック然とした音楽性を追求しているではありませんか。なんつーか、野球チームで「繋ぐ野球」「全員野球」の大切さを説いているコーチが、若い頃はヤクルト・スワローズの池山隆寛ばりのブンブン丸だったことを知ってしまったような衝撃を味わいましたよ。
とはいえ、テクニックの披露のみに拘泥した独り善がりな内容にはなる筈もなく。現在に通じる優れた作曲/メロディ・センスはこの時点で既に開花。その最たる例というべきが、プログレッシブ・ロック然とした大作主義、スリリングなアンサンブルに、キャッチーなメロディが組み合わされたドラマティックな名曲③ではないかなと。
「人に歴史あり」という格言の意味をしみじみと噛み締める1枚。


GENESIS - Trespass - White Mountain ★★★ (2021-08-11 01:42:41)

侘し気なイントロを経て、物悲しいメロディを振りまきながら
駆け抜けていく抒情HRナンバー。静と動の起伏に富む曲展開と
ピーター・ガブリエルの繊細な歌声が楽曲のドラマ性を
より一層引き立ててくれています。あまり顧みられる機会のない
2ndアルバムにこれほどの名曲が隠れていようとは…。


GENESIS - Trespass ★★★ (2021-08-10 00:48:33)

IRON MAIDENのスティーヴ・ハリスが影響を受けたバンドとして名前を挙げていたことが切っ掛けで、ボンクラ・メタラーたる我が身も興味を引かれたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドGENESIS。本作は彼らが所属レーベルを替えて出直しを図るべく’70年に発表した2ndアルバム(邦題は『侵入』)。
入口がIRON MAIDENだけに、『創世記』なるカッチョイイ邦題に惹かれて最初に手を出した1stは素朴なフォーク・ロック寄りの作風であまりピンと来なかったのですが、ピーター・ガブリエルの繊細な表現力が冴えるVoと、クラシカルな気品を楽曲に付与するKeyの活躍に彩られ、静と動のメリハリが効かされたドラマティックな曲展開等々、サウンドが各段にプログレッシブ・ロック然とした色合いを強めた本作は、弱火でコトコト沸騰させていくようなOPナンバー①で早くもハートを掴まれてしまいましたよ。
10分越えの大作ながら、Gが展開を先導して楽曲をかっちりとまとめ上げることで、プログレ物にありがちな弛緩した空気を漂わせない⑥なんかは、確かにIRON MAIDENに影響を与えたであろうドラマ性の高さを誇っていますし、軽快に疾走する曲調に乗って儚い泣きメロが迸る②なんて、GENESISの数ある名曲の中でも上位に食い込む逸品だと個人的には思っとります。
フィル・コリンズやスティーヴ・ハケットが加入して役者が揃い、ヒット街道を驀進していく次作『怪奇骨董音楽箱』以降の作品に比べると影は薄いものの、GENESISとして個性が形成され始めた重要作として無視は出来ない1枚ではないでしょうか。


SAGA - Live in Hamburg - Don't Be Late (Fabrik, Hamburg 2015-04-28) ★★★ (2021-08-06 01:21:00)

ツインKeyを始めとする楽器陣のテクニカルな見せ場を盛り込みつつ
観客の唱和を誘発するキャッチーな曲作りの上手さも堪能できる
SAGAのライブには欠かせない名曲。
観衆のタイトル・コールに導かれてスタートする辺りからも
この曲の愛されぶりが伝わるってくるのではないでしょうか。