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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3101-3200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3101-3200

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Monarch - Monarch ★★★ (2014-05-17 09:23:41)

シンガーのジム・ドリアンが立ち上げたバンド・・・と言うよりも、フロリダ・メタル・シーンの仕事人ラルフ・サントーラが、プロデューサー/ギタリストとして全面的に関わったバンド・・・と表現した方がしっくりと来る(気がする)MONARCHによって、'97年に発表された1stアルバム。
事実、本作に託された、時に乾いた大陸的哀愁も漂わせつつ爽快に羽ばたくメロディックHRサウンドは、EYEWITNESSやMILLENIUMと同一線上で語れるものであり(こちらの方がややギター・オリエンテッドな印象ですが)、何より、クラシカルなインスト曲を悠々こなすテクニックと、ウリ・ロートやマイケル・シェンカーを師と仰ぐエモーショナルな表現力とを併せ持った腕前全開で弾きまくる、ラルフのGプレイが本編のハイライトであることに疑いの余地はありません。
爽やかなキャッチネスと伸びやかなGソロが絶品の②、本編ハイライトに推薦するヨーロピアン風味の叙情HRナンバー⑧、憂いを帯びたドラマティックなバラード⑪といった、ウェットなKeyが効果的に導入された楽曲の素晴らしさは白眉。
最近はすっかりデス・メタル界の住人と化しているラルフですが、ぼちぼち本人主導のメロディックHRアルバムも作って欲しいところですね。


Monarch (2014-05-17 09:23:05)

ジム・ドリアンなるシンガーが結成したバンドだったが、当時ここ日本では「期待の新人」としてよりも、EYEWITNESSやMILLENIUMといったメロディックHRバンドで傑作を連発し、東洋的フィーリング漂うGの腕前と共に頭角を現していた、ラルフ・サントーラがプロデュース兼ギタリスト役を担っていることに注目が集まったため、「MONARCHはラルフのバンド」と誤解する人が多かったという。まぁ俺のことなんですが。
それが原因というわけではなかろうが、バンドは'97年にセルフ・タイトルのアルバム1枚を残して消滅。


BLOOD TSUNAMI - For Faen! ★★★ (2014-05-15 23:36:17)

シンプルなジャケットに、短髪、革ジャン、ガンベルト装備のパンク・ロッカーか、はたまた黎明期HMキッズか?というメンバーの出で立ちが物語る通り、外見的にもサウンド的にも、如実に変化の跡が刻み込まれている'13年発表の3rdアルバム。
前2作は、オールドスクールなスラッシュ・メタルに軸足を置きながら、両作とも10分以上に及ぶ劇的な長編ナンバーを収録する等、ヨーロピアンHM由来のダークネスとドラマ性が重厚に渦を巻く場面も散見されました。一方で今回は「せーの、ドン!」でレコーディングされたようなラフな音作りから、仰々しい展開を排して、喧嘩っ早く猪突猛進を繰り返す楽曲に至るまで、パンキッシュとさえ言える「クソったれ」アティテュードを全編に亘って剛速球で叩きつけてきます。
ブラック・メタルばりの凶暴性迸る、ささくれ立ったGリフ作りの上手さが相変わらず際立っており、特に、殺気に満ちた名曲③のカッコ良さは只事じゃねえですよ。(歌詞は日本の右寄りの人達を激怒させそうな感じですが)
これまでとは趣きをやや異する仕上がりではあるものの、本作もまたスラッシュ・アルバムの力作であることに異論はありません。


Lost Society - Terror Hungry - Brewtal Awakening ★★★ (2014-05-12 23:49:49)

酔っ払いのバカ騒ぎSEでアルバムの幕が上がり、
11曲目ともなれば、いい加減グダグダに
なりそうなものですが、どっこい益々キレと
スピード感を増し、本編中、最もへヴィ・メタリックな
ダイナミズムを感じさせてくれる仕上がりの逸曲。
酔えば酔うほど強くなるってか。


HARTER ATTACK - Human Hell ★★ (2014-05-11 09:17:33)

グレン・エヴァンスがプロデュースを手掛け、彼の運営するARENA RECORDSからのリリース。加えてダン・リルカが曲作りに関与し、更に⑥ではアンソニー・ブラマンテがリードGとして客演・・・といった具合に、NUCLEAR ASSAULTの全面バックアップを受けるニュージャージー出身のトリオが、'89年に残した最初で最後のフル・アルバム。
そうした縁ゆえか、音楽性の方も「小型NUCLEAR ASSAULT」といった趣き。上擦り気味のハイピッチVoに、限定的な音域を忙しなく行き来するGリフと、オカズ少なめのリズムとが直線的に突っ走る、コンパクト且つソリッドに締まったスラッシュ・サウンド。
これといった突出した楽曲が見当たらないため、NUCLEAR ASSAULT程のインパクトは感じられない・・・というのが正直なところですが、それでも、ハードコアな突破力とへヴィ・メタリックなエッジ、ダイナミズムを併せ持った楽曲の豪快な走りっぷりもあって、本編はダレることなく、あれよあれよの内に最後まで聴き通すことができます。
例えばグレン・エヴァンスのサイド・プロジェクト、C.I.A.の諸作が気に入ったスラッシャーならば、本作も押さえておいて損はないのではないでしょうか。


HARTER ATTACK (2014-05-11 09:16:52)

80年代半ば、リチャード・ハーター(Vo、G)によってアメリカはニュージャージーにおいて結成。当初は後にNUCLEAR ASSAULTに参加するグレン・エヴァンス(Ds)や、元RIOTのキップ・レミングス(B)を含む編成だったが、その後メンバー・チェンジが発生。リチャード、ニック(B)とジョージ(Ds)のチェホールズ兄弟という陣容に落ち着いた。
しかしバンドを去った後もグレン・エヴァンスとの友情は続いており、彼らが'89年に発表した1stフル『HUMAN HELL』ではグレン(及び彼の運営するレーベル)がプロデュース&配給を手掛けるのみならず、ダン・リルカやアンソニー・ブラマンテらNUCLEAR ASSAULTのメンバーも本編にゲスト参加して作品に花を添えていた。


HELL 'N' BACK - Demon Supremacy ★★ (2014-05-08 22:58:30)

ANTHEM脱退以降は表舞台から姿を消していた中間英明(G)が、渡米時代に作り溜めていたマテリアルが正式音源化。
インストゥルメンタル作品ではなく、全曲英詞による歌入り。但し、元がデモテープなので音質はお世辞にも良好とは言えず。またシンガーの歌唱も、力みまくりのハイトーンが引っ繰り返りそうになる危なっかしさ。加えて、HURRY SCUARYの『BREAK IT UP』や名盤『POINT OF NO RETURN』と比べてしまうと収録曲は今ひとつ面白みに欠ける・・・と、あまり「アメリカ・レコーディング作品」というありがたみを感じさせてくれません。
しかし、そうしたモノトーンな本編中にあっても総天然色の華を終始撒き散らすのが、技術的にも感性的にも冴え渡る中間のGプレイ。例え地味な楽曲であろうとも、ひとたび彼の演奏が走り始めれば、一気に曲調が輝き出すのですから、御見事!としか言いようがありません。
長き不在を囲う内に、半ば伝説的存在と化していた「不世出のギター・ヒーロー」との評価が伊達じゃないことを再確認させてくれる1枚。ファン向け作品ですけどね。


SKELETONWITCH - Serpents Unleashed ★★★ (2014-05-06 09:18:13)

デビューからこっち、日本盤が出たり出なかったりと不安定で、毎度ヤキモキさせられるSKELTONWITCHの新作(5th、'13年)は、結局、国内発売は叶わないままになりそうな感じ。せっかく雑誌レビューで高得点を獲得したというのに、勿体ない話である。
勇ましさ/悲しさを背負った慟哭のメロディを、ライブで鍛え上げた骨太な演奏に乗せて繰り出す、北欧メロデスとUS産スラッシュ・メタルのハイブリットというべき従来の持ち味は更に前進。分離の良いソリッドな音作りから、メロディ無視のスタイルは相変わらずながらもこれまで以上に猛々しく吼えるVo、劇的にハモるツインGをフィーチュアして、無駄なくコンパクトに研ぎ澄まされた楽曲がブランクを設けることなく、時にブラスト・ビートも織り交ぜて繰り出される筋肉質な作風は、このバンドの個性を一層分かり易い形で引き立たせています。
尤も、北欧のこの手のバンドに比べるとあまりにコンパクト過ぎて「え?もう終わり?」と思わされる場面もしばしば。鉄の杭を打ち込むような⑦や、メロウに始まり徐々に速度を上げていく⑫といったエピカルなタッチの楽曲ですら、大仰さを殆ど感じさせることのない素っ気なさに、物足りなさを覚える人も少なからずいるやもしれません。
個人的には、ゴテゴテと飾り立てて無駄に長尺化するよりは、30分台のランニング・タイムをスカッと走り抜く、本作の潔さを支持したいところでありますが。


HAMMERCULT - Steelcrusher - Burning the Road ★★★ (2014-05-06 08:59:21)

スラッシュ・メタルならではの突進力、
エピック・メタルに通じる勇猛果敢さ、
そして体を揺するシンプルなノリの良さ等、
このバンドの持つ様々な魅力が凝縮された
アルバム一押しの名曲。


HAMMERCULT - Steelcrusher - Steelcrusher ★★★ (2014-05-06 08:54:46)

バイオレントなスラッシュ・ナンバーでありつつ
欧州パワー・メタリックな血沸き肉踊る野蛮さ、
勇壮なドラマ性が増量された仕上がりは、
まさしくアンドレアス・マーシャルのイラストを
ジャケットに戴くに相応しい出来栄え。


HAMMERCULT - Steelcrusher ★★★ (2014-05-01 22:54:51)

デビュー作『ANTHEMS OF THE DAMNED』の高評価をバネに、プロデューサーにKILLSWITCH ENGAGE等との仕事で知られるクリス“ゼウス”ハリスを迎え、ジャケット・アートワークを名匠アンドレアス・マーシャルが手掛けるという万全の布陣を敷いてレコーディング、'14年に発表された2ndアルバム。
本編収録のカヴァー曲⑭⑮⑯の存在が端的に物語る通り、ACCEPTの重厚な突進力、RUNNING WILDのエピカルな構成力、そして聴き手を煽動するノリの良さをMOTORHEADから抽出した上で、それらを現代的にアップデート、更にデス/ブラック・メタル/パンク/ハードコアのブルータリティで攪拌したかのようなスラッシュ・サウンドは、勿論今回も健在。
エピック・メタリックな勇ましさと野蛮さを撒き散らしながら猛然と突進する②④⑦⑬や、聴いてるだけで思わず暴れ出したくなるバイオレントな③⑤⑥といった、リフ&リズムが硝煙弾雨の如く降り注ぐ情け無用のスラッシュ・ナンバーの数々には血を滾らせずにはおられんですよ。
洗練と引き換えに豪快さを薄れさせてしまった音作りは、個人的にはあまり好みとは言えないのですが、ともあれ完成度では確実にデビュー作を上回る充実作。


HAMMERCULT - Anthems of the Damned - Hell's Unleashed ★★★ (2014-05-01 22:49:38)

2分台のタイトなランニング・タイムを
好戦的に駆け抜けていくストロング・スタイルの
スラッシュ・ナンバーですが、テンポダウンして
壮大に展開するサビメロは、勇猛且つドラマティックで
メタル魂を大いに盛り上げてくれます。


HAMMERCULT - Anthems of the Damned - Black Horseman ★★★ (2014-05-01 22:43:19)

嵐のようなドラムの連打で幕が上がる
スパルタンな曲調、このバンドにしては
長尺の4分弱というランニング・タイムが
エピック・メタル/ヴァイキング・メタルに通じる
雄々しさでもって聴き手の闘争心を煽り立ててくれます。


HAMMERCULT - Anthems of the Damned ★★★ (2014-04-30 22:56:00)

元NOISE RECORDS総帥、カール・U・ウォルターバックに見出された5人組が、'12年に、その彼が新たに興したSONIC ATTACK RECORDSから発表したデビュー作。
デス/ブラック・メタルの洗礼を通過した暴力性をもって、けたたましく吹き荒れるリフ&リズムの暴風に晒される本作は、「イスラエル出身」と聞いて、勝手にエキゾチックな要素を期待してしまうこちらの先入観を爆砕する、タイトに締まったバイオレントなスラッシュ・サウンドが持ち味。
その一方で、本編半ばに鎮座ましますのは、アートワークの世界観を反映したかのような野蛮にしてエピカルな雰囲気も湛えた③⑥⑧。かと思えば、終盤にはANNIHILATOR風のロックンロール・スラッシュ⑩、パンキッシュな⑫、クリスマス・キャロルとブラック・メタルが悪魔合体した(その結果、なぜかジャーマン・メロパワ・メタリックな仕上がりになった)⑬があったりして、とにかく「思い付いたアイデアを片っ端からブチ込んでみました」的な作品。
激烈なスラッシュ・メタル・アルバムとしては一本筋が通っているので、焦点が絞りきれていない!と目くじら立てるよりも、演りたいことを演りたいように演り散らかした、新人バンドらしい前のめりな勢いを買いたい1枚。


HAMMERCULT (2014-04-30 22:55:15)

イスラエルはテルアビブから登場した、限りなくデス・メタル寄りのスラッシュ・サウンドを聴かせてくれる5人組。(CD屋ではデス・メタルのコーナーに陳列されてること多し)
'11年に出場した「WACKEN BATTLE」で最優秀バンドに輝いたことから、元NOISE RECORDS創始者カール・ウォルターバックが新たに設立したSONIC ATTACK RECORDSとの契約をゲット。同年、EP『RISE OF THE HAMMER』を発表してデビューを飾る。
'12年には1stフル『ANTHEMS OF THE DAMMED』を、そして'14年には日本盤も発売された2nd『STEELCRUCHER』をリリースしている。


B.E. TAYLOR GROUP - Our World ★★★ (2014-04-29 00:28:51)

現在は音楽プロデューサー/ソロ・アーティストとして活動するB.E. タイラー(Vo)率いるグループが、EPIC RECORDSから'86年に発表した3rdアルバムにしてラスト作。
作品を重ねる毎にロック色を強めて行ったと評される彼らですが、HR/HMリスナーからすると「・・・これで?」ってなもんでしょうか。打ち込みと聴き紛う大人しめのリズムに、バブリーなシンセの音色が「ザ・80年代!」な感覚を呼び起こす、お洒落な・・・と言うか今となっては懐かしくさえあるポップ・ロック・サウンドに、思わず赤面を誘われる方も多いことかと存じます。
だがしかし。90年代には数多くのテレビ番組のスコアを手掛け、音楽賞も受賞しているメロディ職人の手による作品だけに質の高さは折り紙つき。
都会的な洗練とフックを盛り込んだ収録楽曲は何れも一発で耳を捉えるキャッチーさが備わっていて、取り分け、クリスチャン・バンドらしいクリアネスを補強するスペーシーな音作りの下、スティーヴ・ペリー風のVoが歌う哀愁のメロディと、心浮き立たせるポップ・センスとに彩られた冒頭3曲は、ある日突然、映画やドラマの主題歌としてスクリーンやTVから流れ出してきても何ら不思議ではない魅力を放っています。
機会があれば1stや2ndアルバムも探し出して聴いてみたいと思わされる良盤。


B.E. TAYLOR GROUP (2014-04-29 00:27:39)

ペンシルバニア州アリクイッパ出身で、本名はウィリアム・エドワード・タイラー。
80年代初頭に自身がリーダーを務めるB.E. TYLOR GROUPを結成し、3枚のアルバムと1枚のEPを米メジャーのMCA~EPIC RECORDSから発表。高品質なAOR/産業(クリスチャン)ロック・サウンドが好評を博し、3rd『OUR WORLD』からは“KAREN”というヒット・シングルも生まれたが、結局、グループは同作を最後に解散。
以降B.E. タイラーはソロ・アーティスト/音楽プロデューサーとしての道を歩んでいる模様。


KERRY LIVGREN - Seeds of Change ★★★ (2014-04-27 10:27:49)

KANSASの中心メンバーだった、ケリー・リヴグレンが'80年に発表した初のソロ・アルバム。
BLACK SABBATH加入直前のロニー・J・ディオ(Vo)を筆頭に、多彩なゲストを迎えてレコーディングされた本作は、『暗黒の支配者』なる大仰な邦題が物語る通り、7~8分台の長尺曲も収録するなど、ドラマティックな大作主義が打ち出されていて、この時期にAOR/産業ロック路線への傾斜を深めていた、KANSASに対する(当人の思惑はどうあれ)カウンター的内容に仕上がっています。
そのKANSASのスティーヴ・ウォルシュ(Vo)が歌う流麗にしてポップな③や、アーシーで埃っぽい④のようなタイプの楽曲も収録されていますが、やはり本編の聴き所として機能しているのは、ロニーが歌うことを前提にアテ書きされたような、起伏と陰影に富む②や、タイトルからしてRAIBOW時代を彷彿とさせるバラード⑤、そしてフィル・イハート(Ds)やロビー・スタインハート(Vio)らも参加して、70年代KANSASの再現が試みられている(そして達成されている)8分越えの大作ナンバー⑦といったドラマティックな楽曲の数々。
アメリカン・プログレ・ハード時代のKANSASにおいてケリーが果たした役割の大きさを実感させられると共に、本作発表後間もなく、彼がKANSASから離脱することになるのも「さもありなん」と納得の1枚。


METAL DE ENKA (2014-04-24 23:37:41)

元ANTHEMの福田洋也(G)がプロデュースを手掛けたプロジェクト。
一般層を巻き込む大ヒットとなったANIMETALの便乗企画であることは明白で、ベテラン・ミュージシャンが何をやっているのか・・・と眉をしかめる向きもありましょうが、個人的には、90年代に燻っていた彼らに、再びスポットライトを当ててくれたことには少なからず感謝していたり。
ANTHEMの再結成なんて、このブームなしには叶わなかった気がしていますしね。


METAL DE ENKA - 演歌メタル ★★★ (2014-04-24 23:30:48)

アニメタルの大ヒットに便乗すべく乱立した、数多の「○○メタル」プロジェクトの中にあって、埋もれることなく未だに記憶の隅に留まり続けているのが、HM風にアレンジした演歌の名曲の数々をメドレーで聴かせてくれたこちらの作品。
SCORPIONSの『VIRGIN KILLER』の発禁ジャケットをパロったアートワークだけで掴みはOK。重厚な音作りやハイトーンVoで分かり易くへヴィ・メタリックな雰囲気を盛り上げつつも、原曲の知名度にべったり依存したり、へヴィな演奏だけで「メタルでござい」と安直に主張したりすることなく、アレンジ面においてもかなりの工夫が凝らされているのが本作の魅力。
演歌の名曲とHR/HMの名リフを合体させたアイデアは特に秀逸で、“KILL THE KING”のGリフを纏って疾走する“北の宿から”や、“VIRGIN KILLER”の攻撃性が憑依したかのような“津軽海峡冬景色”、“HIGHWAY STAR”の高揚感と共に本編のEDを飾る“天城越え”にも一本取られた気分ですが、ハイライトは何と言っても“北酒場”で決まり。今にも細川たかしの甲高いハイトーンVoが聴こえて来るあの曲調に、“JUMP”のKeyリフがここまで違和感なくハマるとは・・・と、聴く度に吹き出さずにはいられませんて。
演歌とHR/HMの親和性の高さを見事に実証してみせた1枚。話のタネと酒の肴に是非どうぞ。


NERVOSA - Victim of Yourself - Into Mosh Pit ★★ (2014-04-23 22:59:55)

タイトルからもお察しの通り、ストレートに
疾走するスラッシュ&モッシュ賛歌。
デス・メタルにも匹敵する突進力のみならず
ライブ映えしそうなキャッチーさを備えている点に
彼女たちの作曲能力の確かさが感じられ、
次作以降、この路線を追及してくれると
個人的には嬉しいかな。


NERVOSA - Victim of Yourself - Twisted Values ★★ (2014-04-23 22:56:40)

妖しげなイントロを、無慈悲に炸裂する
リフ&リズムが引き裂く様は、まるで至近距離で
大口径の機関銃を撃ちまくっているかの如き。


NERVOSA - Victim of Yourself ★★ (2014-04-22 23:01:32)

「ドキッ!女だらけのスラッシュ・メタル・バンド in ブラジル」な3人組が、'14年に発表した1stフル・アルバム。
尤も、スピードへの拘りもそこそこに、メリケンサック装備の拳固でガッツンガッツン顔面を殴打されるかの如きバイオレントなスケ番スラッシュ・サウンドには、上記の字面から想像されるような色気や甘さの類は絶無。というかそもそも事前情報がなければ、デス・メタルの領域に半身を突っ込んだこの殺気と怒気が渦巻く轟音を、女性だけのバンドが出しているとは誰も思わんですよ。
少々肩に力が入り過ぎている印象で、個人的にはもうちょっとキャッチーな部分を出してくれると尚良いのですが、でもこれがデビュー作ですからね。そういう試行錯誤は次作以降に譲って、まずは、大口径の機関銃が至近でブッ放されているかのような①②や、欧州風味のダークネスが塗された⑧、ストレートなスラッシュ賛歌⑨といった、噛み付くように突っ張るスラッシュ・ナンバーの連打で力押しに終始する姿勢は、これはこれで決して間違ってはいないとも思うわけで。
次作以降にも大いに期待させる力作。


NERVOSA (2014-04-22 22:58:54)

女性メンバーを擁するスラッシュ・メタル・バンドは珍しくない昨今ですが、メンバー全員が女性となるとちょっと前例が思いつかない、ブラジルはサンパウロ出身のトリオ・スラッシャー。(結成当初はツインG編成の4人組だったらしいが)
'12年に制作したPVがYOUTUBEで話題となったことから、オーストリアのNAPALM RECORDSと契約を締結し、同年、1stデモを7インチ・シングル化した『TIME OF DEATH』でデビュー。
更に'14年には、プロデューサーにKORZUSのメンバーを起用してレコーディングが行われた1stフル『VICTIM OF YOURSELF』を発表。
アンドレイ・ボウジコフの手掛けたアートワークが目印の同作は、スピリチュアル・ビーストを通じて日本盤もリリースされている。


AVATARIUM - Avatarium ★★★ (2014-04-19 06:54:32)

底なし沼に足を囚われているような重たげなリフとリズムのコンビネーションは、紛うかたなきレイフ・エドリング印。しかし、そうしたドゥーム・メタリックなバッキングの上に、清廉な女性Voが乗ることで、CANDLEMASSとは異なる、プログレッシブ・ロックにも通じる叙情的且つ幻想的な空気が立ち込め、本作を独特な立ち位置へと導きます。
特にフロント・ウーマン、ジェニー・アン・スミス嬢の存在はこのバンドの肝。元ポップ・シンガーという出自に裏打ちされた繊細な表現力は元より、陰影をつけて声を張ると、北欧土着宗教の巫女か神官か・・・といった神秘性や威厳が漂う歌声をもって、CANDLEMASSばりのへヴィ・パートと、フォーキーな叙情パートがホログラムの如く組み合わされた①や、詩的な歌詞も素晴らしい②といった、先制パンチとして申し分ない破壊力を有する名曲を一層ドラマティックに彩ります。
似通ったテンポの楽曲が続く後半はどうしてもテンションが下がりますが、コージー・パウエルのドラミングが聴こえて来そうなRAINBOWタッチの③や、本編中最もプログレッシブな仕上がりの⑤等、収録各曲の完成度はハイレベル。捨て曲なしの1枚ですね。


HATRIOT - Dawn of the New Centurion - The Fear Within ★★★ (2014-04-17 23:17:59)

直線的なアグレッションのみならず、
噛み付くように歌うゼトロの歌メロのカッコ良さから
2本のGを効果的に用いたドラマティックな曲展開まで
より緩急とダイナミズムを重視した2ndアルバムの
作風を象徴するような名曲に仕上がっています。


HATRIOT - Dawn of the New Centurion ★★★ (2014-04-15 23:47:43)

サウザ・ファミリーと、俊英コスタ・ヴァルヴァタキス(G)により結成されたスラッシュ・メタル・バンドが、デビュー作から1年という短いスパンで発表した2ndアルバム。
あまりに特徴的なゼトロのカミソリ声、切れ間なく撃ち出されるリフ&リズムの機銃掃射、その合間でメロディックなツインGが曳光弾の如く閃く・・・。ライブでの煽動効果も計算に入れた、EXODUSをよりキビキビと引き締めた感じのスラッシュ・サウンドは、本作においてもブレていません。
ゼトロの帰還を満天下に知らしめるべく、敢えて攻めの姿勢を全開放していた前作に比べると、今回は重厚感や曲展開の妙、ダイナミズム演出にも気を払う等、プレッシャーから開放されて、より伸び伸びと音楽性の幅を広げにかかっている感触。
それでも本作が純然たるスラッシュ・アルバムであることは、血気盛んな①②④⑨といったスピード・ナンバーを聴くまでもなく明らか。特に研ぎ澄まされたアグレッションと、緩急の効いた曲展開、それに密度を高めたツイン・リードGとがフィーチュアされた③は、本作ならではの名曲。
従来のスラッシュ・サウンドを堅持しつつも、新たに取り入れられた諸々の要素が、次作辺りで分岐点がやって来そうなことも予感させる1枚・・・ってなところでしょうか。


Denaro - DENARO - Tell Me Why ★★★ (2014-04-13 08:28:32)

アリーナ級の大会場が似合いそうな
雄大なスケール感と、アコギが運んでくる
乾いた哀愁など、いかにもアメリカンな
趣き漂うパワー・バラード。
解説に書かれていた「世が世ならヒット間違いなし」
という文章に全面同意できる名曲です。


Denaro - DENARO ★★ (2014-04-12 09:41:46)

マーク・デナーロ(G)率いる4人組が'92年に残した唯一作。(プロデュースはFIREHOUSEらとの仕事で知られるデヴィッド・プレイターが担当)
スカッと晴れ渡った雲ひとつない青空の下で、キャッチーなメロディと、それを効果的に包み込むボーカル・ハーモニーが、時折土の薫りを漂わせつつ健康的に躍動する「80年代アメリカン・ロック」の王道を行くサウンドが詰まった1枚。彼らがカリフォルニア出身と知った時には、あ、やっぱり?と膝を打ちましたよ。
リリース当時は「アメリカン過ぎるなぁ」とあまりピンと来なかったのですが、しかしそれから幾年月。歳食ってから聴き直すと「アメリカンやなぁ」との感想こそ変わらないものの、この完成度の高さには素直に脱帽させられますよ。
時に伸びやかに、時にリズミカルに本編を彩るマーク・デナーロのメロディアスなGプレイといい、ちょっと鼻にかかった声質がこの手の音を歌うには最適のVoに、爽快な疾走ナンバー⑥⑨等でシュアなスティック捌きを披露するDsといい、メンバーが確かな実力を備えた腕利き揃いの上に、乾いた哀愁を湛えたバラード③を筆頭に、強力なフックの盛り込まれた楽曲は、アメリカン・ロックを主食としない身にもアピールし得るクオリティを有しています。
デビューがあと4、5年早ければねぇ・・・。


Denaro (2014-04-12 09:26:15)

東海岸を拠点に活動していたマーク・デナーロ(G)が、これまでのキャリアで築いた人脈やアイデアを全て注ぎ込んで結成したバンド。
BON JOVIも使用したNYのベアー・トラック・スタジオで、あのデヴィッド・プレイターをプロデューサーに招聘してレコーディング、'93年に発表されたデビュー作は、新人バンドとは思えぬ安定感と完成度を誇るアメリカン・ロックの好盤に仕上がっていた。
同作は評判を呼んで、日本でもゼロ・コーポレーションを通じて国内盤が発売されたが、主戦場たるアメリカではグランジ旋風が吹き荒れる等、いかんせん時代が悪過ぎた。
アルバム1枚のみを残してシーンからフェードアウトしてしまったけれど、デナーロさんは今は何をやってるんでしょうかね。


Lightspeed - So Exactly Where Are We? - Miss You Now ★★★ (2014-04-10 22:07:01)

とめどなく哀愁が溢れ出すバラードですが、
温かみを伝えるVoと透明感に満ちたKeyが
クサ味を感じさせない辺りが流石カナダ産。
本編後半で繰り出される、少ない音数の中に
雄弁なエモーションの込められたGソロは
悶絶モノの素晴らしさですよ。


Lightspeed - So Exactly Where Are We? ★★★ (2014-04-09 23:08:01)

結成は70年代まで遡り、元々はプログレ・バンドだったというカナダの5人組が、'93年に発表した2ndアルバム。
スペーシーなインスト序曲①から、適度にスリリングなプログレ・ハード調の②へと繋ぐ展開や、曲によってはVo⇔Dsがスウィッチするフレキシブルな編成等にその出自を伺わせつつも、本作において彼らが志向しているのは、温もりを湛えたVoと、叙情的なKeyがメインを張る、AOR/産業ロック寄りのメロハー・サウンド。欧州調の泣きや哀愁をスマートに聴かせるセンスは流石カナダ産であり、Voがマイケル・サドラー型なこともあってか、ポップでまろやかな⑤なんかは初期SAGAに通じる魅力を放ちます。
長いキャリアを通じて培った実力を「楽曲をキャッチーにまとめ」「胸を打つメロディを書く」ことに注力する彼らの基本姿勢は、とりわけ②③④といった本編序盤の楽曲に集約。特にバラード④は、少ない音数で多くを語るGソロの名演を筆頭に、テクニックのひけらかしよりも楽曲の完成度優先した、本作の作風を象徴するかのような名曲。
輸入盤市場での評判から、後に国内盤のリリースが実現したのも納得です。


Lightspeed (2014-04-09 23:04:45)

YESやPINK FLOYDに触発されたメンバーらにより、'76年にカナダはオンタリオ州において結成。
'79年に一旦解散するも、'89年に再編。翌年にはカセットテープのみでセルフ・タイトルのデビュー作を発表。
更に'92年に2nd『SO EXACTLY WHERE ARE WE?』をリリースすると、これが日本の輸入盤市場で評判となり、'94年にはゼロ・コーポレーションから国内盤の発売も実現している。
'95年に3rd『ON SECOND THOUGHT』を発表して以降はすっかり名前を見聞きしなくなってしまったが、その後はどうしたのだろう?1stをCDで発表し直す、なんて話もあったようだが、果たして実現したのかどうか。


SAVAGE MESSIAH - The Fateful Dark ★★★ (2014-04-09 01:49:04)

おまけ収録されている故国の先輩バンド群(IRON MAIDEN、DIAMOND HEAD他)の名曲のカヴァーが証明する通り、本4thアルバム('14年)に託されているのは、英国HM然とした構築美と、スラッシュ・メタルならではの疾走感とを掛け合わせたパワー・サウンド。Keyを排し、更にデイヴ・シルヴァー(Vo)がハイトーンを抑制して、自身の歌唱力を活かせる中音域をメインに歌うようになったこともあって、今回は全体的に逞しさが増し増し。よりオールドスクールなパワー/スラッシュ路線へと立ち返ったとの印象を受けます。
独産パワー・メタル勢にも通じる重厚さと突進力で伸して来るOPナンバー①からして、本作における彼らのそうした志向は明確。歌えるシンガーを擁する編成の強みを活かした②、光沢を放つメロディを劇的に歌い上げるVoとテクニカルな2本のGが所狭しと暴れ回るアルバムのハイライト③といった名曲が連打される、冒頭3曲の勇壮さにはハート鷲掴みですよ。
人によっては、似通ったテンポの楽曲が連続する中盤でモタつく印象を受けるかもしれませんが、泣きの入ったバラード⑤からドラマティックな大作⑦まで、個々の楽曲の完成度は実に見事なもの。
スピード感を減じることなく、メロディとアグレッションの融合が更に推し進められた、日本デビュー作に相応しいクオリティを有する1枚ではないかと。


DEMONICA - Demonstrous - Astronomica ★★★ (2014-04-06 22:23:35)

アルバムのラストにおわす大作インスト・ナンバー。
ハンク・シャーマンのGがVoの不在を埋めるように
時に激しくエキセントリックに、
時に訥々とエモーショナルに、
全編に亘って歌いまくっています。


DEMONICA - Demonstrous - Ghost Hunt ★★★ (2014-04-06 22:20:21)

激烈な疾走パートと、けだるげに
歌い上げられるサビメロの組み合わせは
いかにも今風ですが、そこにハンク・シャーマンの
エキセントリックなGプレイが加わることで
楽曲が他にはない輝きを放ち始めます。
個人的にはアルバムで一番好きな曲。


Carrion - Evil is There! - Demon's Child ★★ (2014-04-05 02:52:02)

へたくそなVoが朗々歌い上げたかと思えば
一転、ドラムが自棄っぱち暴走しまくるといった
静と動が慌しく入れ替わる曲展開を導入。
サタニックな雰囲気を醸し出そうと頑張っていますが
恐ろしさよりも何となく微笑ましさが先立つのが
このバンドの弱点・・・ではなく、
個人的には好きな所でありました。


Carrion - Evil is There! - Games of Evil ★★ (2014-04-05 02:44:28)

ヤケクソ気味に突っ走りながらも
勢いだけで終わらせず、正統派HMに根ざした
GリフやGソロのカッコ良さからは、
後に開花するV.O.パルヴァーの才能の片鱗を
既に伺い取ることができます。


DEMONICA - Demonstrous ★★ (2014-04-03 23:53:26)

MERCYFUL FATEやFATEでの活動で知られるハンク・シャーマン(G)が、FORBIDDENのクレイグ・ロシセロ(G)、マーク・ヘルナンデス(Ds)らと共に結成したバンドのデビュー作。('10年発表)
奇怪に蠢くリフ・ワークから、エキゾチックなメロディを妖しく躍らせるGソロまで、表現の振れ幅の大きなハンクのGプレイに彩られたサウンドは、スラッシーな疾走感を全編に亘って横溢させる一方で、高密度な音作りといい、ワビサビに乏しい絶叫型Voといい、今時のエクストリーム・メタル・エキスもがっつり注入。MERCYFUL FATE+FORBIDDENなスラッシュ・メタルを期待すると肩透かしを食う可能性は大。
この顔合わせなら、もっと凄い作品が作れたんじゃないか?との思いは捨てきれませんが、それでも、鋭利なGリフが起伏の激しい曲展開を牽引する②や、ハンク・シャーマンの変幻自在なGプレイが狂い咲くラスト・ナンバー⑩辺りを聴いていると、「まぁ、これはこれで有り」と、段々思えてくるわけですが。
ツインGの片翼たるクレイグのモダンなGプレイもサウンドの緊張感を高めており、先入観を抜きにすれば十分に楽しめる1枚。


DEMONICA (2014-04-03 23:51:46)

MERCYFUL FATEが開店休業中の時間を使って、ハンク・シャーマン(G)が、FORBIDDENのクレイグ・ロシセロ(G)やマーク・ヘルナンデス(Ds)らと共に結成。
当初はHANK SHERMAN'S DEMONICAと名乗り、単なるプロジェクトに過ぎなかったが、ラインナップが固まってバンドとしての性質が強まったことから、シンプルにDEMONICAと改名。
'10年には、プロデューサーにデイヴ・オーテロを迎えてレコーディングを行ったデビュー作『DEMONSTROUS』を発表している。


Carrion - Evil is There! ★★ (2014-04-01 22:21:12)

スイスのスラッシュ・メタル・バンドと言えば、個人的にCELTIC FROSTやCORONERを差し置いて真っ先に名前が浮かぶのがPOLTERGEISTなんですが、その前身バンドであるCARRIONが'86年にGAMA RECORDSに残した唯一作がこちら。
初期METALLICAやSLAYER、あと地理的にジャーマン・スラッシャー勢にも触発されたという彼らのサウンドは、「腐肉」を意味するバンド名に相応しい邪気がプンプン。顔面にはコープス・ペイント(やり過ぎて志村けんのバカ殿みたくなってるメンバーもいますが)を施し、オカルト思想や悪魔崇拝をテーマに掲げた歌詞を、テクニック度外視のスピードに乗せて叩き付ける来るスタイルは「プロト・ブラック・メタル」的とも言え、その先見性は同郷のMESSIAHに通じるものがありました。(事実、両バンドは仲良しだったという)
僅か4日間で突貫レコーディングされた音質のローファイっぷりといい、青臭さ全開のVoといい、垢抜けない作りはあからさまにマニア向け。しかしながら、バンドのリーダーたるV.O.パルヴァーの曲作りのセンスやGプレイのクリエイティビティの高さは、例えば正統派へヴィ・メタリックなGリフのカッコ良さが耳を惹く③、緩急を効かせたダイナミックな曲展開が魅力の⑥といった楽曲を耳にすれば、十二分に伝わってきます。
本作発表当時、METAL HAMMER誌のレビューにおいて最低点(7段階評価で1ポイント)を獲得したというエピソードも、今となっては勲章みたいなもんですよ!


Carrion (2014-04-01 22:19:17)

現在はGURDに籍を置くV.O.パルヴァーによって、スイスはベルンにて結成。
VENOM、SLAYER、METALLICAに刺激を受け、彼らよりも過激で邪悪でスピーディなサウンドを目指したというバンドは、ライブや、地元の教会の壁にサタニックな落書きを施すといった活動(?)と並行して制作した2本のデモテープが評判を呼んだことから、ドイツのインディーズGAMA RECORDSと契約を結び、'86年に『EVIL IS THERE!』でデビュー。
同郷のMESSAIAHや、ドイツのDESTRUCTIONらと親交を深めつつライブ活動を行うも、大きな成功を収めることは出来ず、しばらく後にVoが脱退。
その後任としてアンドレ・グリーダーを迎えたバンドは、POLTERGEISTと改名して活動の継続を図っていくことなる。


MANTIC RITUAL - Executioner - Thrashatonement ★★★ (2014-03-31 23:11:20)

速さだけで言えば「並」なのですが、
一緒に叫びたくなるキャッチーなサビから
ケツをガンガン蹴飛ばされるような
突込み気味のリフ&リズムのコンビネーションまで、
聴いてるだけで暴れ出したくなる逸曲。


MANTIC RITUAL - Executioner - Murdered to Death ★★★ (2014-03-31 22:59:14)

親の敵のように執拗に刻まれるGリフから
血気盛んに煽り立てるVo、
それらを乗せてテンション高く突っ走るリズムまで
スラッシャーの血を騒がせる要素満載で贈る
アルバムのハイライト・ナンバー。


MANTIC RITUAL - Executioner ★★★ (2014-03-28 23:26:25)

いつの間にか解散していた、ペンシルベニア州ピッツバーグ出身の4人組の唯一作となった、'09年発表のデビュー作。(プロデュースは元HOLY MOSESのアンディ・クラッセンが担当)
前掛かりで畳み掛けるパンキッシュなリズムに、手数多めに刻まれるGリフと上擦り気味のシャウトが乗っかったスピード/スラッシュ・メタル・サウンドは、『KILL 'EM ALL』発表時のMETALLICAからの多大なるインスピレーションを受けたこと確実。特にVoはデビュー当時のジェイムズ・ヘッドフィールドくりそつの青臭さですが、曲によってはDESTRUCTION調のカミソリ・ナンバーありーの、ANTHRAXばりにスポーティなタテノリ・ナンバーありーので、まぁ要するに、80年代スラッシュ・メタル全般からの影響を咀嚼した作風ということでファイナル・アンサー。
突っ込み気味の演奏で聴き手の焦燥感をガンガン煽り立てるメンバーの実力は上々です。勢いよくケツを蹴り上げられまくる⑤、キレッキレなGリフのカッコ良さだけでテンションMAXな⑦、アグレッシブ且つキャッチーに炸裂する⑨は特筆すべき名曲。
00年代半ばから盛り上がり始めたNWOTMムーブメントの質の高さを証明する好盤の一つでしたが、本作のみを残してバンドが解散してしまったとは・・・勿体無い。


MANTIC RITUAL (2014-03-28 23:24:12)

'04年頃からロサンゼルスを拠点にMELTDOWN名義で活動するも、同名バンドの存在を知り、MANTIC RITUALと改名。
本拠地を故郷ピッツバーグに戻すと、'09年にアンディ・クラッセンをプロデューサーに迎えてデビュー作『EXOCUTIONER』をレコーディング。同作はキング・レコードから日本盤もリリースされた。
しかし徐々にメンバー間で活動に対する思惑のズレが生じ始め、'13年に解散。現在、ギタリストのデイヴ・ポッツとべーシストのベン・マットソンは、以前から親交の深かったカリフォルニアのスラッシュ・メタル・バンド、WARBRINGERの一員として活動中。


TORANAGA - Righteous Retribution - The Ultimate Act of Betrayal ★★★ (2014-03-27 22:15:40)

メランコリックな導入部からパワフルに
テンポアップしていく荒々しくも勇壮な曲展開に
血沸き肉踊る、アルバム屈指の名曲。
好戦的な曲調はスラッシュ・メタル数歩手前
といった趣きですが、それでもドラマティックな
メロディの流れが掻き消されていないのは
やっぱりNWOBHM出身バンド(の転生体)ならでは。


TORANAGA - Righteous Retribution - Cynical Eyes ★★ (2014-03-27 22:07:32)

現代の尺度からすると疾走感自体は
大したことない筈なのに、それでも十分
スピーディに聴こえるのは、野蛮且つ
硬質なパフォーマンスが生み出す
気迫と突進力ゆえでしょうか。


TORANAGA - Righteous Retribution ★★★ (2014-03-26 23:43:36)

「TORANAGA復活」の報を耳にして喜んだHR/HMファンが、果たして日本にどれ程いるかは分かりませんが、少なくとも私は喜びました。しかも本再結成作('13年発表)を聴いてみたら、嬉しいぐらい何も変わってない。スラッシーな荒々しさと、ブリティッシュHMならではの湿気った重厚感を身に纏わせて、パワフルに押し出してくる好戦的な音楽性は勿論のこと、決して上手いシンガーではありませんが、TORANAGAの楽曲を歌うにはこの声しかない!と思わされる、マーク・ダフィの赤錆た金属の如き武骨なVoも、全く衰えることなく健在ですよ。
『マジック:ザ・ギャザリング』や『マーヴェル・ゾンビーズ』でお馴染みのケヴ・ウォーカー画伯の手によるアートワークに相応しい野蛮さでアルバムのOPを蹂躙する②③(①はイントロ)、メランコリックな導入部から勇壮に盛り上がっていく④、雄々しいヴァイキング・メタル風のコーラスが印象的な⑧等、メタル者の血を騒がせる楽曲の荒々しいカッコ良さはなかなかのモノ。(但し、全くもって「華」はありませんが)
終始同じ調子で攻めてくるので、中盤辺りから些かダレて来るのが難点なれど、そうした芸のない愚直ささえも、「変わってねぇなぁ!」と嬉しく感じてしまうのは、ファンの欲目でしょうかね。


BIBLEBLACK - The Black Swan Epilogue - The Black Swan Epilogue ★★★ (2014-03-25 22:21:32)

モダンにしてクラシカル、
アバンギャルド且つドラマティック
宗教音楽の如き荘厳さと、深淵を覗き込むような
ダークネスといった、相反する要素を兼ね備えた、
マイク・ウェッドが持てる作曲/編曲能力の
全てを注ぎ込んだかのような渾身の大作ナンバー。


BIBLEBLACK - The Black Swan Epilogue - Mourning Become Me ★★★ (2014-03-25 22:11:04)

疾走パートではスラッシュ・メタル・テイストが
色濃く薫るOPナンバー。
「モダン且つエクストリームになったHEXENHAUS」
といった趣きも。


BIBLEBLACK - The Black Swan Epilogue ★★★ (2014-03-24 21:47:05)

マイク・ウェッド(G)が、ABSTRAKT ALGEBRA時代の僚友サイモン・ヨハンソン(G)と再タッグを組んだバンドのデビュー作。('09年発表)
HEXENHAUSばりのスラッシーな疾走感、MEMENTO MORIに通じる宗教的荘厳さを纏ったへヴィネス、KING DIAMOND/MERCYFUL FATEを彷彿とさせるクセの強いリフ・ワークに、シアトリカルな曲展開、そしてそれらをドラマティックにまとめ上げるマイク・ウェッドの流麗なGプレイ・・・と、本作において繰り広げられるのは、マイクのこれまでの音楽的キャリアを総括するかの如き様相を呈する、一大暗黒メタル絵巻。
かけて加えて、ブラック・メタルの禍々しさ、プログレッシブ・ロックの変態性、全編に敷き詰められたフィーチャリスティックなKeyによるモダンなアレンジの数々までトッピングして、一口に「○○風」とは言わせない、独自の個性がドス黒い光沢を放つサウンドは、さながら「RPGのラスト・ダンジョンの劇伴」的スケール感を感じさせてくれます。
スラッシュ・ファンとしては、HEXENHAUSの面影を宿した①②、⑤⑦のようなスピード・ナンバーが気になりますが、何と言っても圧巻なのは、ラストをクラシックの交響曲ばりに劇的に盛り上げる⑧。悲壮美に満ちたドラマティックな曲展開は「壮絶」の一言に尽きますよ。
また、こうした濃いめの作風でランニング・タイムを40分台に収めてくれている構成も気が利いている。この密度で60分も70分も収録時間があったら精神が持ちませんわな。


BIBLEBLACK (2014-03-24 21:45:30)

HEXENHAUSに始まり、MEMENTO MORI~ABSTRAKT ALGEBRA~KING DIAMOND~MERCYFUL FATEと、北欧暗黒メタル街道を渡り歩くギタリスト、マイク・ウェッドが、自ら率いるべく'07年に立ち上げたバンド。音楽性から推察するに、バンド名はKING CRIMSONから拝借したのかな?(「BIBLEBLACK」で検索かけると、エロアニメのタイトルばかり引っ掛かるのですが・・・)
'09年、プロデューサーにKING DIAMONDの僚友アンディ・ラロックを起用してレコーディングされたがデビュー作『THE BLACK SWAN EPILOGUE』を発表。同作は日本盤もリリースされたが、その後、表立った活動のニュースは入ってこない。

そういえば先日のKING DIAMONDドタキャン騒動(in LOUD PARK)の時、アンディ・ラロックは来日してたらしいけど、マイクも日本に来ていたのだろうか?


ESSENCE - Last Night Of Solace - Last Night of Solace ★★★ (2014-03-23 22:04:24)

音質の向上はもとより、プログレ・メタルばりの
ストップ&ゴーを飲み込んだ起伏の激しい曲展開、
ブラスト・ビートを織り交ぜつつ突進するリズム、
その上でテクニカルなGがドラマティックに乱舞する
場面のカッコ良さを耳にすれば、バンドが前作から
数段階上のステージに上がったことがよく分かります。


ESSENCE - Last Night Of Solace - Final Eclipse ★★★ (2014-03-23 21:58:27)

回転の速いGリフを刻みつつ華麗に舞う2本のGや、
叙情パートからブラスト・ビートが炸裂する疾走パートまで
落差の大きな劇的な曲展開など、ESSENCEというバンドの
魅力を分かり易く伝えてくれる名曲。


ESSENCE - Lost in Violence - Lost in Violence ★★★ (2014-03-23 00:56:42)

バイオレントな疾走パートから、威勢のいいギャング・コーラス、
Bの独演によるムーディな叙情パート、そしてドラマティックに
盛り上がっていく構築美を湛えた曲展開まで、8分に及ぶ長尺の中に
ESSENCEというバンドの持ち味の全てがぶち込まれた、
アルバム・タイトルを冠されるに相応しい名曲。


ESSENCE - Lost in Violence - Shades of Black ★★★ (2014-03-23 00:52:28)

ハッキリとメロディの流れが確認できる、
スラッシュというよりは正統派ヘヴィ・メタリックな仕上がり。
振り絞るようなVoの絶叫と、慟哭を伴った泣きメロが
胸を締め付ける、バンドの懐の深さを知らしめる名曲です。


ESSENCE - Lost in Violence - Unlimited Chaos ★★ (2014-03-23 00:45:07)

序曲“ALLEGIANCE”と共に
中東風味のメロディが妖しく踊る曲調は
バンドがリスペクトを公言する
ARTILLERYからの影響がハッキリと打ち出されています。
本家に比べると、あんまりアクが感じられませんけどね。


CRYSTAL VIPER - Possession - Julia is Possessed ★★★ (2014-03-21 23:41:14)

叙情的な導入部はIRON MAIDEN調ですが、
勇ましく疾走しながらも、どこか一抹の物悲しさを
漂わすメロディがいかにも東欧的で
楽曲自体はまさにCRYSRTAL VIPER印の名曲に
仕上がっています。


CRYSTAL VIPER - Possession ★★ (2014-03-19 22:53:16)

映画『エクソシスト』を思わせるコンセプト・アルバムということで、パワー・メタル然とした突撃感覚よりも、緩急やドラマティックな曲展開といった、全体の整合性を重視した'14年発表の5th。
同じくコンセプト作だった前作のスタイルを継承しているわけですが、ことサウンドの疾走感に関してはかなり回復基調にあり、何よりも聴く者のメタル魂を震わせ、「彼女が歌えばどんなタイプだろうとも、それがCRYSTAL VIPERの楽曲になる」とさえ思わせてくれる、マルタ・ガブリエル(Vo)のヒロイックな歌唱が、流石の存在感で本編をビシッと引き締めてくれています。
東欧調のどこか物悲しい旋律が、時に叙情的に、時にパワフルに疾駆する③、勇ましくもキャッチーな④、メロディ・センスが際立つ重厚なミッド・チューン⑥⑧等、CRYSTAL VIPERが安心と信頼のパワー・メタル・ブランドであることを証明する秀曲を多数収録。加えて今回は故マーク・リアリに捧げるべく、RIOTの名曲“THUNDERSTEEL”をカヴァー。マルタ姐さんの趣味の良さは相変わらず冴えていますよ。
まぁ「怯えるヒロイン」を演じるには彼女の歌唱は少々逞し過ぎる気がしなくもないですし(笑)、音楽性に比して重厚さに欠ける音作りや、ラストのドンデン返しが笑撃的過ぎる、トンデモ系映画に通じるストーリー展開は評価が割れるところかも知れませんが。


ESSENCE - Last Night Of Solace ★★★ (2014-03-18 22:42:54)

バンド・コンテスト「ROCK THE NATION AWORD 2012」で最優秀賞を獲得し、その賞品としてワールドワイドなレコード契約を手に入れたESSENCEの日本デビュー作となった、'13年発表の2ndアルバム。
リフ&リズム・チェンジの激しいパワー/スラッシュ・サウンドという基本路線に変化はありませんが、レコーディング環境が整ったことで、ラフな仕上がりだった前作に比べてプロダクションが見違えるように向上。併せて、よりエモーションの乗ったシャウトをヒリ出すようになったVo、一層エクストリーミリーにブラストするDs、その間隙を縫ってこれまで以上にドラマティックなメロディをブッ込んで来るG・・・と、各セクションのスキルが目に見えて鍛え上げられているのは、やはりプロデュースを担当したHYPOCRISYのピーター・テクレンの功績も大きいと思われ。
駆け上がるようなGリフ、叙情メロディ、落差の大きな曲展開といった、持てるテクニックを総動員して長尺をドラマティックに語り切る②⑧をハイライトに据えて、激しくもどこか物悲しい④、憤然たる激情迸る⑤、デス・メタリックな爆発力も伴ってブーストする⑥⑦等、遮二無二な突進力と綿密な構築感が同居した、バンドの目指すサウンドが高い次元で結実した充実作。
ただラスト2曲がちょっと地味ですかね。


ESSENCE - Lost in Violence ★★★ (2014-03-17 22:07:40)

デス/スラッシュ・メタルに由来する爆発的な突進力、現代メタルの重量感、それに卓越した演奏技術に下支えされた展開激しめのパワー/スラッシュ・サウンドを標榜する、デンマークの4人組が'11年にULTIMATE RECORDSから発表した1st。
僅か12日間で突貫レコーディングされた作品だけあって音質自体はかなりラフ。しかしそれを捻じ伏せるだけの重厚な迫力が全編に漲り、リフ/リズム・チェンジを多用する楽曲は大作主義に寄り添うものの、アルバム全編を貫くタイトな疾走感、そして曲展開に勿体ぶったところがないので「長さ」を意識させられる場面が殆どないという曲作りの巧さも光ります。
姿勢を低く構えて突っ走る③⑤⑩といったバイオレントなスラッシュ・ナンバーから得られるカタルシスにも辛抱堪らんモノがありますが、個人的に痺れたのは、中東風味のエキゾチックなメロディ使いが、彼らが最大限のリスペクトを表明する故国の先輩スラッシャーARTILLERYを彷彿とさせる①②、血の涙を流して慟哭せんばかりの⑥や、静と動、押しと引きを駆使して本編のクライマックスを飾るアルバム表題曲⑨といった、北欧のバンドならではの構築美やメロディ・センスの冴えっぷりも堪能できる楽曲の数々。
デビュー作にして、その居住まいに早くも風格のようなものを感じてしまう力作。


ESSENCE (2014-03-17 22:06:09)

デンマークはオールボーにおいて、平均年齢16歳という若いメンバー達によって結成。
'07年制作の自主制作EP『ART IN IMPERFECTION』で獲得した評判を梃子に、'11年には「制作日数僅か12日間」という実にスラッシュ・メタル・バンドらしい手法でレコーディングされた1stフル『LOST IN VIOLENCE』をULTIMATE RECORDSから発表。
更に'12年には、バンド・コンテスト「ROCK THE NATION AWARD 2012」に参加し、数千の応募バンドの中から見事最優秀バンドに輝き、その賞品としてワールドワイドなレコード契約を獲得。
プロデューサーにHYPOCRISYのピーター・テクレンを迎える等、より潤沢なレコーディング環境で制作された2nd『LAST NIGHT OF SOLACE』は'13年に発表され、同作はSPIRITUAL BEASTを介して日本盤もリリースされた。


ARTILLERY - Legions - Global Flatline ★★★ (2014-03-15 01:07:05)

メランコリックな導入部を、
ARTILLERY印の鋭角的なGリフが切り裂いて
疾走を開始する場面には、ここ数作ご無沙汰だった
エキサイトメントが充満していて、
思わずテンションが上がりましたね。


ARTILLERY - Legions ★★ (2014-03-13 21:57:49)

もうVoについてとやかく言うのは止そう・・・と決意した矢先に発生した、よもやのシンガー交代劇を経て'14年に発表された7thアルバム。
「ARTILLERYがやらかした!」と、あまり芳しくない前評判に戦々恐々としながら聴いてみたら、妖しげに踊るアラビックなメロディも、アクの強いGリフも、スラッシーな疾走感も健在で、・・・え?いや全然イケてる作品なんじゃね?と。
確かに、これまで以上にスラッシュ・メタル色は薄まっていますが、それは角ばったVoで歌メロに緊迫感を植え付けていたフレミング・ロンズドルフが脱退した時点からの規定路線と言えますし、このバンドのトレードマークたる中東風味の旋律をフィーチュアした①⑩、切れ味鋭いスピード・ナンバー②、シャープに刻まれるGリフと、タイトな演奏技術に裏打ちされたドラマティックな曲展開に居ても立ってもいられない⑤、バラードリーな劇的さを伴う⑧等、よりメロディアスに歌う新Voの存在を前面に押し立てた楽曲群は、アダム・ソーレンセン時代にもどかしく感じられた「中途半端さ」が、幾分かでも吹っ切ったような印象あり。
まぁ、メジャー・キーを用いた⑨は(意欲作であることは認めるものの)然程魅力的な仕上がりとも思えないですけどね・・・。


Pole Position - Pole Position - Sign ★★★ (2014-03-12 21:49:39)

北欧メタル・バンドだけど、国内盤の解説を
藤木氏ではなく川合氏が書いていることに大いに得心が行く
(往年のBURRN!!読者向けの例え)
ド・アメリカンなロック・ナンバー。
アリーナ・ロックばりのスケール感と
キャッチーさを併せ持ったサビメロが素晴らしい。


Pole Position - Pole Position ★★ (2014-03-11 23:29:11)

スウェーデン出身の4人組が'93年に、日本ではゼロ・コーポレーションから発表したデビュー作。
聴きながら目を瞑れば80年代にタイムスリップしそうになる、溌剌としたOPナンバー①とラスト・ナンバー⑪にサンドイッチされた本編は、身体を心地よく揺らすグルーヴィな曲調と、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラスを備えたポップ・メタル・ソングがスシ詰め。
エッジの立ったリズム・プレイから、テクニカルなソロまで派手に弾きまくるギタリスト、それに威勢の良い歌い回しがこの手のサウンドにマッチしている(キンキンした高音域が少々耳障りではありますが)シンガーの存在も、80年代風味に拍車を掛けてくれます。フッキーなサビメロが秀逸な③なんて、アメリカの売れ線バンド群でもそうそう書けそうにない高いヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる名曲ですよ。
また、緩急を効かせた⑤、スパニッシュ風味をアクセントにした⑧といった楽曲にに顕著に表れている通り、健康的にハジけながら何処か涼しげな空気も運んでくるメロディや、適度にKeyを用いて透明感を演出するアレンジ等、随所で匂い立つ「北欧メタルらしさ」が、このバンドならではの個性になっています。
ヘアメタルと北欧メタルのハイブリッド・サウンドが魅力の1枚。


Pole Position (2014-03-11 23:28:28)

スウェーデンはノルショピンにて、ラース・ボクィスト(G)とダニエル・ゲッセ(Ds)を中心に、80年代後期に結成。
地道なライブ活動が実を結び、自主制作シングルのリリース('91年)を経て、'93年にセルフ・プロデュースの1st『POLE POSITION』を発表してデビュー。
'94年にはEP『CALL』を、'98年には2nd『BIGGER』をそれぞれリリースするもあまり話題にはならず(日本盤も出なかったと記憶する)、バンドは解散。
シンガーのヨナス・ブルムはリチャード・アンダーソン率いるMAJESTICに加入しアルバム1枚を残した後、再びラースと合流。ヨナス・レインゴールドらと共にREPTILIANを立ち上げた。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - Fire Walks with Me ★★★ (2014-03-10 22:47:31)

“SPOTLIGHT KIDS”を思わせるGリフに、
まるでリッチーなGソロと、ジョン・ロードばりのKeyソロとが
駆け抜ける、アルバム収録曲中、最も高い深紫/虹色指数を
記録する疾走ナンバー。聴いていて顔がにやけますが
それだけでなく、後半にはピアノ・ソロを追加して
北欧様式美メタル色も主張する等、アルバムの
ハイライト・ナンバーに推したいドラマティックな名曲に
仕上がっております。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - The Holy Gate ★★ (2014-03-10 22:42:23)

“MISTREATED”系の落ち着いた曲調から一転、
インスト・パートになると途端に“STARGAZER”を
彷彿とさせる妖しくもドラマティックな音世界に
突入して俄然盛り上がる、エスニックな雰囲気
漂わす大作ナンバー。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED - Lonely Man's Day ★★★ (2014-03-10 22:37:40)

透明感に満ちた哀愁のメロディを
少々野暮ったい感じのVoが甘く歌い上げる
「ザ・北欧メタル」なバラード。
楽曲自体にRAINBOW/DEEP PURPLE色は
あまりないのですが、間奏パートでのGソロが
「適当に思い付いた叙情メロディを気の向くまま
爪弾くリッチー・ブラックモア」を完全再現していて
驚かされますよ。


Mandrake Root - TALES OF THE SACRED ★★ (2014-03-08 00:56:19)

「名は体を表す」の格言に倣って、DEEP PURPLEからの影響をモロ出しにしたHRサウンドを追求するスウェーデンの5人組が、'94年にゼロ・コーポレーションから発表したデビュー作。
元ネタについては、現BURRN!!編集長が詳細な解説をCDに寄稿しているのでそちらをお読み頂くとして、とにかく本作、メイン・ソングライターであるギタリストの「リッチー・ブラックモアへのなりきり具合」が凄まじい。音色からフレージングまで、御大の生霊を憑依させたかのようなGプレイはイタコ顔負けで、独自性という点では大いに疑問符のつく作品ではありながら、個人的にはここまでやられると、最早立派な「芸」として評価せざるを得ません。
OPナンバーこそ地味ですが、以降は、Key奏者のジョン・ロード・フリークぶりも相当なものと分かる②③、北欧メタルならではの甘いバラード④(この曲における「叙情メロディを適当に爪弾くリッチー」の再現度の高さがまた凄い)、『虹を翔ける覇者』のエキゾチックな世界観を受け継ぐドラマティックな⑤・・・と、「RAIBOW/DEEP PURPLEあるある」で固められた楽曲が連発。中でも“SPOTLIGHT KIDS”風Gリフが疾走する⑥は、そうしたノリが最高潮に達する名曲で、エレピ・ソロまで走り始めた瞬間にゃガッツポーズを禁じえませんでしたよ。
まぁ、だからといって本作がDEEP PURPLEやRAINBOWの名盤に匹敵するクオリティを備えているかと言えば、そうはなっていないところが創作活動の侭ならぬ部分なのですが・・・。


Mandrake Root (2014-03-08 00:54:40)

ウリ川本率いる日本のインディー・レーベル・・・ではなくて、スウェーデンのヴェクショーにて'92年に結成された5人組HRバンド。
'93年リリースの自主制作5曲入りデビューEP『WAVES IN MOTION』に託された、DEEP PURPLE~RAINBOWをパク・・・じゃなくて強い影響を受けたHRサウンドが輸入盤市場で評判を呼び、翌'94年、1stフル『TALES OF THE SACRED』をゼロ・コーポレーションから発表して日本デビューを飾るも、それを最後に消息を絶つ。
尚、バンド末期にドラマーの座を担ったのは、DON DOKKENやJON NORUM、MIDNIGHT SUN等での活動で知られるヘンポ・ヒルデンだったという。


ICED EARTH - Plagues of Babylon - Cthulhu ★★★ (2014-03-06 23:22:07)

クトゥルー神話を題材に取り上げ、
メランコリックな導入部からテンポアップして
荒々しく盛り上がっていくという
ICED EARTHの必勝パターンが炸裂する名曲。
数千、数万のむくつけき野郎共が拳振り上げながら
合唱してる姿が目に浮かぶような、
荘厳にして勇壮なサビメロもいい具合に
メタル魂を鼓舞してくれます。


ICED EARTH - Plagues of Babylon ★★ (2014-03-05 23:51:44)

それなりの歳月ICED EARTHの活動をフォローして来た身として、ジョン・シェイファー(G)の才能を疑ったことは一度としてありませんが、なればこそ不思議なんが、どうしてこの人はコンセプト・アルバムを作らせると収録楽曲が華に欠ける仕上がりになるんかなぁ?と。
テーマ練るのに時間を取られてしまうのか、はたまた、1曲毎ではなくアルバム全体の流れの中でドラマを構築しようとするからなのか・・・理由は色々考えられますが、本作に関して言えば、新加入のステュウ・ブロック(Vo)が、自己紹介代わりにロブ・ハルフォードばりのハイトーンからダンディな低音まで多彩な歌声を披露していた前作に対し、今回はケレンを排して、(ほぼ)中音域一本に絞った歌唱に徹していることも、この落ち着いた作風に少なからず影響を及ぼしている印象あり。
尤も、それでも彼の歌唱の雄々しさに疑問を挟む余地はなく、また頼れる相棒を得て益々意気盛んなジョンのクリエイトする楽曲も、1曲ずつ取り上げればそのクオリティは相変わらず無類(地味=退屈というわけではない)。荘厳な響きを湛えて闘魂迸る③⑥⑧や、男泣きの哀愁を背負った⑦⑪といった、ICED EARTH流パワー・メタルの真骨頂たる楽曲の数々には賛辞を惜しみませんよ。
共通したテーマを持つ前半6曲と、独立したメタル・ソングの後半6曲からなる構成ですが、通して聴くよりは上記した楽曲を摘み食い的に楽しみたい作品ですかね。


Eastern Orbit - Future Force - Epitaph ★★★ (2014-03-03 22:33:53)

KING CRIMSONの不朽の名曲“墓碑銘”のカヴァー。
オリジナルに匹敵する出来栄えとは口が裂けても
言えませんが、でも原曲の深遠な静謐さは敢えて
オミットして、よりHR的なアプローチを試みた
攻めの姿勢を感じさせるアレンジは買い。
どうせリスキーな挑戦ですし、カヴァーするなら
これぐらいやった方が聴いていて楽しいですよ。


Eastern Orbit - Future Force - Time Limit Man ★★★ (2014-03-03 22:28:18)

静から動、動から静、そして再び静から動・・・
といった具合に、プログレシッブ・ロック的な
ドラマティックな構築美と、HR然とした疾走感とを
併せ持ったアルバムのハイライト・ナンバー。
触れ幅の大きな曲調を完璧にこなしてみせる
高度なテクニックと表現力を併せ持ったメンバーの
力量に瞠目させられます。


Eastern Orbit - Future Force - Space Strut ★★★ (2014-03-03 22:24:06)

OP曲。スペーシーな響きを湛えつつ
切れ味鋭く暴れ回る中島のKeyを筆頭に、
プログレ・バンドというこちらの先入観を
豪快に粉砕するハードなインスト・ナンバー。
曲中で繰り返される「THE FORCE WITH YOU」の
元ネタは『スターウォーズ』の「理力と共にあらんことを」
でしょうかね?


Eastern Orbit - Future Force ★★★ (2014-03-02 22:49:35)

これまで良い評判は耳にしても「でもプログレ作品なんでしょ?」と、あまり食指が動かずにいたEARSTEN ORBITのデビュー作('82年)を、紙ジャケ再発を機会に購入してみたのですが、これが聴いてビックリ。スペーシー且つ攻撃的に切り込んでくる中島のKeyに、新加入の多田勇(G)とデイヴ伊藤(B)、それに宮永英一のドラミングが嵐のように暴れ回るOPナンバー①の迫力からして度肝を抜くカッコ良さ。余計な先入観を彼方へと吹き飛ばされてしまいましたよ。
「近未来への警鐘」をテーマに据えたトータル・コンセプト作で、アメリカン・プログレ・ハード調の③や、KING CRIMSONの不朽の名曲“EPITAPH”のカヴァーに挑んだ⑨といった楽曲も収録。辣腕ミュージシャン同士の鬩ぎ合いによって生じるスリルや豪快さよりも、Keyがアンサンブルのまとめ役を担った整合性重視の作風は、確かにこれまで以上に中島のプログレ志向が強く打ち出されている仕上がり。
一方でサウンドはエッジの鋭さを失ってはおらず、メリハリの効いた劇的な曲展開を有する④、アップテンポで駆け抜けていく②⑤、リッチー・ブラックモアが演りそうなシャッフル・ナンバー⑦、そして原曲とは異なる魅力の創出に成功した⑨等、J.J.(Vo)の熱い歌声がタフネス/ハードネスを燃え立たせる楽曲の数々は、よりメロディアスに、よりドラマティックにスケールアップ。
HR/HMリスナーにもアピールしうる魅力を備えた、もっと早く聴いておけば良かったと後悔しきりな名盤でした。


Eastern Orbit (2014-03-02 22:47:33)

中島優貴(Key)率いるHEAVY METAL ARMYが、より幅広い音楽性を追求すべく、メンバー・チェンジ(ギターがシンキから多田勇に、ベースがチェピート竹田からデイヴ伊藤に交代)を契機にEARSTEN ORBITと改名。
ハードネスは維持しつつも、中島の操るKeyをこれまで以上に前面に押し出し、プログレ・テイストを増強した1st『FUTURE FORCE』を'82年に発表して出直しデビューを飾る。
アルバムのクオリティのみならず、横田基地で収録された『LIVE! JOURENEY TO UTOPIA』('83年)を聴けば明らかなようにライブ・アクトとしての実力も確かだったが、結局、その後間もなくバンドは自然消滅・・・。


MIDAS TOUCH - Presage of Disaster - When the Boot Comes Down ★★★ (2014-03-01 00:07:35)

演奏力の高さゆえ、突っ走った時の爽快感には
堪らんものがあるのですが、それでいてどこか醒めているというか
ヒンヤリとした浮遊感を湛えているのがこのバンドならでは。
静と動の落差の大きな曲展開は、一頃のANNIHILATORを
彷彿とさせたりも。


MIDAS TOUCH - Presage of Disaster ★★ (2014-02-27 23:13:18)

スウェディッシュ・スラッシャーが'90年に発表した唯一作。
ジャケットには目を惹くトリック・アートを用い、曲間にはSEを配してコンセプト・アルバムの体裁が整えられた本作(もし次作が制作されたなら、このコンセプトが引き継がれる予定だったとか)は、吹き荒れる偏執的リフ/リズム・ワークの嵐と、トリッキーな曲展開で息つく間もなく畳み掛ける、CORONERや後期DEATHROW等が比較対象に挙げられるテクニカル・スラッシュ・サウンドが目白押し。
この手の音は好みからは外れるのですが、にも関わらず不思議と本作をすんなり楽しめたのは、技巧に溺れてスラッシーな尖り具合が損なわれておらず、そして冷ややかでウェットな感触を強く漂わす、北欧出身バンドならではの特性によるところ大。ミステリアス且つドラマティックな④はその好例でしょうかね。
ガナるのも歌うのも中途半端な浮遊するVoが、こうした楽曲の魅力を少々損なっている感が無きにしも非ずですが、これは当人の弁によれば「当時はまだ16歳で、準備も経験も圧倒的に不足していた」とのこと。
起伏の激しい曲展開が激烈なアグレッションを伴って突っ走る③⑥といった名曲を耳にすれば、リリース後間もなく、母国スウェーデンではTOP 40に食い込むスマッシュ・ヒットとなり、ちょっとしたセンセーションを巻き起こした・・・という逸話も大いに得心が行く1枚。


MIDAS TOUCH (2014-02-27 23:11:36)

現F.K.U.のパトリック・スポロング(B)や、後にMISERY LOVES CO.を結成するパトリック・ヴィーレン(Vo)らが在籍していたスウェーデンはウプサラ出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド。
'85年に結成され、Voの定着に時間を要するものの、'88年に制作したデモ『GROUND ZERO』が高評価を受け、評判を聞きつけたNOISE RECORDSと契約(この時、社長のカール・U・ウォルターバックが自らウプサラまで出張ったという)。
プロデューサーにロイ・ローランドを迎えてレコーディングされた1st『PRESAGE OF DISASTER』(まだ小僧だったシンガーは散々駄目出しを受けたそうで、後に「あのレコーディングは悪夢だった」と述懐している)は'90年に発表。母国を中心に話題を呼ぶも、既にスラッシュというジャンル自体が斜陽期を迎えていたこと、そしてレコード会社からコマーシャルな方向への路線変更を強いられたことも切っ掛けとなって、間もなくバンドは解散の道を選択してしまった。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer - Control the Twisted Mind ★★★ (2014-02-26 23:17:45)

意表を突いてバイオリンをフィーチュアした
メランコリックなイントロからスタート。
その後は当然のようにシャープなGリフ主導の
スピード・パートへと転じるわけですが、
前のめりな「爆走」というよりは、
地面をしっかりと踏みしめてタイトに疾走する様相が
これまでの彼らとは少々異なる印象。
緩急を効かせた7分に及ばんとする曲展開や
練られたGソロを聴いていると「ドラマティック」
という表現が思い浮かびます。


SUICIDAL ANGELS - Divide and Conquer ★★★ (2014-02-25 22:45:56)

トップ・ランナーとしてギリシャのスラッシュ・シーンを牽引するSUICIDAL ANGELSが、ギタリストの片割れをパノス・スパノスから元EXARSISのクリス・Tにチェンジして'14年に発表した5thアルバム。
これまで一貫してSLAYERやKREATORの流れを汲む激発型スラッシュ・サウンドを追及してきた彼らですが、5枚目にして変化球を投げ込んで来ました。
密度の濃いモダンな音作りの下、従来作に比べてアグレッションの「発散」と「溜め」がかなり意識的にコントロールされている本作は、軟弱にならない程度に増量されたメロディとの組み合わせで、カミソリの如き切れ味の鋭さ以上に、重厚にしてキャッチーな打撃力が印象に残る作風に。
さり気なくヴァイオリンまで使用されている④⑩は、バンドの試行錯誤の結晶というべき大作ナンバー(前者は6分、後者は8分)で、中でもスラッシーな攻撃力とダイナミックな曲展開、メロディックなGソロが無駄のない融合をみた④は、思わず力瘤らずにはいられない名曲。
当然、彼らのスラッシュ・メタル・バンドとしての基本軸にぶれがないことは、①③⑦⑨といった景気良く突っ走る高速ナンバーの数々を聴けば自明の理ですが、今回は即効性よりも、繰り返し聴き込むことを重要視した作品に仕上げてきた印象ですね。


Evil Invaders - EVIL INVADERS ★★★ (2014-02-24 23:52:22)

ベルギーから現れた期待の新人5人組が'13年に発表したデビューEP。
前評判やジャケットの印象から、てっきりスラッシュ・メタル・バンドだと思っていたのですが、当たらずと言えども遠からず。
熟練職人の刃物捌きのような鋭利にして軽快なリフ・ワークや、スタッカート気味に走り抜けるリズムがスラッシーな攻撃性とスピード感を具現化しつつも、サウンド全体としては、FASTKILLの伊藤昭博似のハイトーンでテンション高くまくし立てるVoがしっかりとメロディを「歌い」、尚且つツイン・リードGがメロディックに、ドラマティックに駆け巡っていることもあって、その印象は「限りなくNWOTHM寄りのスピード・メタル」といった趣き。
特に、MOTORHEAD遺伝子を組み込んでフルスロットルで高速回転するGリフ&Bラインと、起承転結を背負って劇的に疾走する曲展開が血中メタル成分を沸騰させる②と、主張しまくりなBと、2本のGが奏でるキメのフレーズが微笑ましいぐらいIRON MAIDENしているバンドのテーマ曲⑥は、間違いなく本作のハイライトにしてこのバンドの個性が刻印された名曲。
そう遠くない将来リリースされるであろう、フル・アルバムに対する期待を煽りまくる1枚です。


Evil Invaders (2014-02-24 23:51:04)

ベルギーはリンブルグ州モルにおいて、Vo兼Gのジョー・アヌス(凄ぇ名前だな)が結成。
バンド名がRAZORの2ndアルバムから取られていることは想像に難くなく、事実、彼らが演奏しているのはカミソリの如きGリフとリズムがハイテンションに突っ走る、RAZORはもとより、MOTORHEAD、IRON MAIDEN、EXCITER、その他諸々からの影響をちゃんぽんしたスピード/スラッシュ・メタル・サウンド。
'13年発表のセルフ・タイトルの6曲入りデビューEPが高評価を受け、また同作を引っ提げて参加した、地元リンブルグが隔年で開催する音楽コンクール「LIMBOMANIA」では見事優勝。
'14年には早くもTRUE THRASH FESTでの来日公演も決定している等、期待と注目を集める逸材。


HUNTRESS - Starbound Beast ★★ (2014-02-22 00:34:11)

美貌のフロント・ウーマン、ジル・ジェイナス率いるオカルティックHMバンドが'13年に発表した2ndアルバム。
ツアーやメタル・フェス参戦で積み上げた経験値が、如実にクオリティに反映された本作は、迫力と説得力を増したメンバーのパフォーマンスにも支えられ、シアトリカルに練られた曲展開から、2本のGが奏でる煽情的なメロディ、それに逞しさを増したリズムに漲るへヴィネスまで、他の誰でもない、HUNTRESS流HMサウンド確立へと大きく前進。
・・・のわりにイマイチ筆が進まず、感想を書いては消して、消しては書いてを繰り返していたのは、スラッシュ/デス/ブラック・メタルばりの厄いリフ/リズム・ワークや、低音域と高音域を忙しなく行き来するジル嬢の「キング・ダイアモンド唱法」によって醸し出されていた「禍々しさ」や「オカルティックな雰囲気」が大幅減少した楽曲が妙に淡白に響くせいかな?と。
大仰な序曲①から繋がっていく②や、スピード・ナンバー⑥、ツインGを活かした劇的な⑤⑨⑩等、チープさを排して本格派HMバンドとしての貫禄と洗練を感じさせるようになった楽曲が並ぶ作品全体の完成度は、間違いなく前作を凌いでいるんですけどね・・・。尚、⑪は勿論JUDAS PRIESTのカヴァー。


TAKARA - Taste of Heaven ★★★ (2014-02-20 22:21:20)

筆のノリまくったゼロ・コーポレーションの名調子「だからTAKARA」「おかえりTAKARA」といったCD帯の惹句も思い出深いTAKARA。その彼らが'97年に発表し、BURRN!!誌でも高得点を獲得する等、バンドの最高傑作と評価の高い2ndアルバムがこちら。
キレのあるメロディアスなGプレイに、北欧メタルに通じる透明感と哀愁を宿した楽曲作りに腕前を揮うニール・グロスキー(G)がリーダーの筈なのに、作中においてそれ以上の存在感を発揮しているのは、ジェフ・スコット・ソート(Vo)その人。プロデュース担当のジェフが本作で歌っているのは(当人の弁を借りるなら)「他に適当なシンガーがいなかったから」なのですが、国内盤ライナーに解説文を寄せるわ、肉声インタビューは提供してるわ、トドメに爽やかなハード・ポップ・チューンは伸びやかに、バラードは情熱的に、北欧メタル的様式美ナンバーはパワフルに・・・と、バラエティ豊かに取り揃えられた楽曲を余裕綽々で歌いこなし、尚且つ持ち前の灼熱ボイスで本編にビシッと一本芯を通すイイ仕事っぷりを披露。そら「TAKARAってジェフのバンドでしょ?」と勘違いする人が続出しますわな(俺のことなんですが)。そも、ニール・グロスキー自体が絶対ジェフが歌うことを前提に曲作りしてますよね、これ。
そんなわけで、パーマネントなシンガーを迎えた後のTAKARAが急に失速してしまったことも、今にして思えば無理からぬことであったような・・・。


BALTIMOORE - Double Density - My Kind of Woman ★★★ (2014-02-20 10:36:48)

ハード&ヘヴィに生まれ変わったBALTIMOOREの
門出を飾るに相応しいアップテンポのHRナンバー。
ギンギンにDEEP PURPLEしているGとKey、
それに塩っ辛いVoの歌声がロックンロール的ノリの
良さも生み出していますが、土の匂いが全くせず、
全体をひんやりとした空気が包み込んでいる辺りが
やっぱり北欧メタルだなぁ、と。


BALTIMOORE - Double Density - My Blue Moon ★★★ (2014-02-20 10:32:51)

哀愁を帯びたキャッチーなメロディが
Keyを主としたキラキラなアレンジに彩られて
軽やかに吹き抜けていく、絵に描いたような
王道北欧ハードポップ・ソング。


BALTIMOORE - Double Density ★★ (2014-02-18 22:45:12)

名曲“MY BLUE MOON”のヒットで知られる、ビヨルン・ローディン(Vo)率いるスウェーデンのハードポップ・バンドが、新たにブルガリア出身の速弾きギタリスト、ニコロ・コツェフを迎えて、一層ハード&へヴィなサウンドを追及すべく'92年に発表した3rdアルバム。個人的には、ゼロ・コーポレーション内に立ち上げられたHR/HM専門レーベル「MVP」第一弾作品としても記憶に残る1枚です。
軽快に疾走するリズムに乗って、テクニカルなGとKeyが掛け合いを繰り広げ(ニコロ・コツェフが一人二役で担当)、Voが塩っ辛い歌声を響かせるスリリングなOPナンバー①からして、早くもDEEP PURPLEの流れを汲む伝統的北欧メタルの魅力が全開(曲名もDPっぽいぞ)。
但しアルバム全体を見渡すと、ニコロのドラマティックなGプレイを活かしながらも「様式美HM」と表せるようなコチコチの構築感はあまりなく、寧ろ目立つのはルーツ(ロックンロール)に根ざしたノリの良さ。そういったところも、より本家DEEP PURPLEのフォーマットに忠実なオールドスクールな北欧メタルっぽい。
スピーディに展開する⑦みたいな楽曲も良いのですが、メロウな⑤やバラード⑪、そして日本盤に再収録された名曲⑬といった、叙情的な切り口の楽曲の方が更に魅力的な仕上がりなのは、元々彼らがハードポップ・バンドとしてスタートを切っている出自ゆえでしょうかね?


Den of Thieves - Conspiracy - New World ★★★ (2014-02-16 22:29:45)

VOW WOWの“SHOT IN THE DARK”を思わせる
リフで切り込んでくるKey(ソロも取る)が、
楽曲の持つキャッチーさも高めてくれている、
アルバムのOPを飾るに相応しい疾走ナンバー。


Galleon - Lynx ★★★ (2014-02-15 01:14:38)

大雪の晩にはこいつがキクぜ!・・・と、棚から引っ張り出して聴いていたら、どっぷりとその音世界に浸ってしまい、危うくトリップしかけたスウェーデンのネオ・プログレッシブ・ロック・バンドが'92年に発表した1stアルバム。
総収録時間は70分以上、楽曲の殆どが6~7分越えという大作主義が貫かれたプログレ・テイスト全開な作りですが、例えば14分オーバー/全7章からなる⑤のような壮大な組曲にしても、先ずは北欧ならではの透明感と叙情性ありき。素朴な哀メロを暖かく歌い上げるVo(グレック・レイク風)、アルペジオを多用するGに、キース・エマーソン風味のKeyと軽快なリズム・ワークによって彩られた曲展開からも、派手さ/大仰さは必要最低限に抑制されています。
そうしたポンプ・ロック寄りの作風が、HR/HMファンには刺激乏しく響くやもしれませんが、本編中最もハードな仕上がりの①や、BACK-TICKの“JUPITER”を思い出したバラード④、高らかに鳴り響く⑦等、淡いタッチでジャケットに描かれた山猫(リンクス)のイラストが絶妙にハマるこのサウンドに身を浸していると、静寂の中、しんしんと雪が降りしきる北欧の冬の情景が眼前にパノラマとなって広がるようです。


Galleon (2014-02-15 01:12:38)

'81年に、ゴラン(Vo)とダン(Ds)のフォルズ兄弟を中心に結成。
'85年に制作したデモテープが「スウェディッシュ・ロック・チャンピオンシップ」の決勝まで勝ち進む等、着実に認知度と経験値を高め、'91年にはデビュー作のレコーディングを開始。
ところがここでトラブル発生。当時バンドはARAGONと名乗っていたのだが、同名のバンドがオーストラリアにも存在していることが発覚し、バンド名の変更を余儀なくされる。
'92年、名をGALLEONと改め、日本のゼロ・コーポレーションとの契約を得たバンドは、満を持して1st『LINX』を発表。(奇しくもオーストラリアのARAGONもゼロ・コーポレーションから日本デビューを飾っているという)
その後、日本盤がリリースされたのは3rd『KING OF ARAGON』('95年)までだったと記憶していますが、この文章を書くにあたって調べてみたら、現在に至るまで10枚近くアルバム・リリースを重ねていたことを知って驚いた。


Den of Thieves - Conspiracy ★★★ (2014-02-13 23:39:11)

沈滞する90年代の英国HR/HMシーンにおいて気を吐いたDEN OF THIEVES、'95年発表の2ndアルバムにして(残念ながら)ラスト作。
勢いよく切り込んでくるKeyリフが、どことなくVOW WOWの名曲“SHOT IN THE DARK”を思わす疾走ナンバー①によるOPだけで「よっしゃ、合格!」と膝を打つ本作は、英国声シンガーの熱唱とバックのタイトな演奏を活かして、憂いを帯びたメロディがキャッチーに駆け抜けていく、「華」はないけど聴けば聴くほどに旨味が染み出す燻し銀のブリティッシュHMサウンドが、今回も徹頭徹尾貫かれています。
①③⑦⑩といった疾走曲のカッコ良さに一層の磨きを掛けると共に、ソロを取ったかと思えばリフも刻み、時にはGとバトルを繰り広げたりと、ゲスト参加とは思えぬ八面六臂の活躍を魅せるKeyのフィーチュア度が格段にUP。これにより潤いとドラマ性が増強された本編は、キャッチーな哀メロ・ナンバー④に、ドラマティックに盛り上がる⑤⑨、爪弾かれるスパニッシュ・ギターが絶品の⑧、ハードポップ風味の⑫etc・・・といった具合に、個々の楽曲のキャラ立ちがより明確になりました。
メリハリ不足やチープな音質といった前作の弱点もきっちりと改善、ポテンシャルの高さを遺憾なく発揮した力作・・・なんだけどこれも廃盤。無念。


Den of Thieves - Honour Amongst Thieves - Never Look Back ★★★ (2014-02-12 22:20:54)

ブリティッシュ・ボイスの威力を
遺憾なく発揮したVoの胸を打つ熱唱と
練り上げられたよく歌うGソロに転げ回る、
キャッチーにして哀愁漂うHRナンバー。


Den of Thieves - Honour Amongst Thieves - Falling out of Love ★★★ (2014-02-12 22:15:10)

後半へ聴き進むに従って、効果的に導入された
Keyが叙情性とドラマ性をぐんぐん盛り上げていく
アルバムのハイライト・ナンバーに推薦したい
入魂のバラード。熱の篭ったVoの歌いっぷりに
胸を鷲掴みにされる思いです。


Den of Thieves - Honour Amongst Thieves - The Fools You Know ★★★ (2014-02-12 22:09:28)

不気味なイントロを破って、湿ったGリフと
早過ぎず、遅過ぎもしないリズムが刻まれ、
隙間のない声質のVoがぐっとエモーションを込めて
歌い始めた瞬間、濃厚なブリティッシュ風味に
噎せ返りそうになりましたよ。
Gソロも美味。


Den of Thieves - Honour Amongst Thieves ★★ (2014-02-11 20:42:16)

北アイルランドはベルファスト出身のツインGを擁する5人組が、'94年に発表した1stアルバム。
アイルランドといってもケルト音楽の要素はまるでなく、湿気った質感と適度な疾走感を伴って刻まれるリフ&リズムの上で、凛々しく絡み合う2本のGと、熱唱型のVoとが憂いを湛えたメロディを拾っていくサウンドは、見事なまでに「正調英国産HM」していて嬉しくなりますねぇ
Keyがさりげなく効かされた楽曲は、哀愁に満ち溢れた⑧を筆頭に、いずれも一聴して耳を捉えるキャッチーさも備わっていて、何よりそれを歌うハイトーン・シンガーが、カル・スワン系ブリティッシュ・ボイスの持ち主なのも、このバンドが志す音楽性にピッタリとハマっていて雰囲気を盛り上げてくれます。
厚みに乏しいチープな音質と、初めてのアルバム制作に舞い上がって手持ち曲を全部注ぎ込んじゃいました・・・的な締まりに欠ける構成が足を引っ張りますが、期待を煽る序曲①から激しく盛り上がっていく②、その勢いを受け継ぐスピーディな③、高揚感を生み出す④と来て、泣きを纏った劇的なへヴィ・バラード⑤においてクライマックスへと到達する本編前半の流れに明らかなように、1曲1曲の完成度はなかなかのモノ。
NWOBHMファンは勿論、英国メタル好きなら押さえておいて決して損のない1枚。