この曲を聴け!
火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3201-3300

MyPage

火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69
モバイル向きページ 
火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3201-3300

0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69


Den of Thieves (2014-02-11 20:39:20)

デイヴィッド“ディー”マックニーリー(G)を中心にアイルランドはベルファストにて結成。
そこに後期SWEET SAVAGE(当時はEMERALDを名乗る)で歌っていたジョン“ハーヴ”ハーヴィンソン(Vo)が合流する形でラインナップが整うと、日本のゼロ・コーポレーションと契約を交わし、'94年に1st『HONOUR AMONGST THIEVES』を、'95年には『CONSPIRACY』をリリース。
そこに託された流行とは無縁の高純度ブリティッシュHMサウンドがマニアからは高く評価されたが、時はダーク&へヴィな音が持て囃されていた90年代真っ只中。またゼロ・コーポレーションが音楽事業から撤退してしまった不運も重なり、バンドは解散。
ハーヴは現在はSTORMZONEを率いて元気に活動中。


VIRTUE - We Stand to Fight - We Stand to Fight ★★★ (2014-02-11 18:26:28)

少々パワー不足のVoさえも味わいに変えて、
メロディアスに舞うツイン・リードGの妙が
ウェット且つドラマティックな曲展開を牽引する
これぞブリティッシュHM!な名曲。
「HM版WISHBONE ASH」と評されたのも納得です。


ANVIL - Hope in Hell ★★ (2014-02-10 22:57:18)

輸入盤が出回り始めてから随分と経つのに、いつまでも国内盤が発売されず「まさか今回は出さないつもりでは・・・」とヤキモキしていたところで、漸く昨年末に国内盤のリリースが実現したANVILの15thアルバム。ちなみにHELLHOUNDのCROSSFIRE氏が思い入れたっぷりの解説文を寄稿していて、これはナイス人選。
映画にも出演していたグレン・ファイヴ(B)が脱退してしまいましたが、最早リップスの熱血VoとGプレイ、ロブ・ライナーの暴れ太鼓さえあればANVILサウンドが成立することは衆目の一致するところであり、今作も「らしさ」は微動だにせず。あと後任ベーシストが元CITIESってのもピッタリな人事過ぎてちょっと笑っちゃいましたよ。
重厚な仕上がりだった前作『JUGGERNAUT OF JUSTICE』の反動か、今回は全体的にシンプルなロックンロール・ナンバー中心の構成が取られていて、1曲ずつピックアップすればこれはこれで悪くないのですが、通して聴くとやや覇気とダイナミズムに乏しい印象かな?と。ヘヴィネス渦巻く①や、ANVIL版“SMOKE ON THE WATER”といった趣きの③のようなヘヴィ・メタリックな楽曲も収録されはいるんですけどね・・・。
ファンなら勿論「買い」ですが、入門盤にはちと不向きな1枚か。


Virtue - We Stand to Fight - Fool's Gold ★★★ (2014-02-10 22:50:10)

「戦いの序曲」といった勇壮さの
JUDAS PRIEST調のイントロを、
滑るように刻まれる劇的なGリフが
切り裂いて疾走し始めた瞬間、
あまりのカッコ良さに膀胱が緩みました。
デモ音源ゆえの音の悪さを遥か彼方へと
吹っ飛ばすこの名曲っぷりはどうしたことか。


Virtue - We Stand to Fight ★★★ (2014-02-08 10:24:23)

80年代半ば、《THE BEST UNSIGNED BAND FROM NWOBHM》と噂されたオックスフォード出身の5人組が、'85年に発表した7インチEP『WE STAND TO FIGHT』と、'87年に制作した3曲入りデモテープ『FOOL'S GOLD』という2つの音源を合体収録するアンソロジー盤。
「幻の~」とか「伝説の~」なんて冠言葉がつく作品は、入手困難期間中に消費期限切れを起こしてる場合も少なくないのですが、コレは間違いなくその例外作品の一つ。一応リマスターされているとは言え、音質の悪さはある程度覚悟せねばなりませんが、しかし本作はそれを押しても楽曲が良い!
疾走するリズムの上で、劇的且つシャープに刻まれるGリフと、青い炎が揺らめくような英国声による熱唱、そして思わず泣きながら握り拳突き上げたくなるフレーズを次々に奏でるツイン・リードGが伸びやかに舞う収録曲は、これぞブリティッシュ!これぞメタル!と万歳三唱モノな名曲①③を頂点に、全5曲、いずれもNWOBHMが残した至高の遺産というべき逸品揃い。
MARSHALL LAWのデビュー作にも匹敵するインパクトに「今までこれほどの名曲を知らずにいたのか・・・」と慄然とさせられると共に、つくづく彼らがアルバム・デビュー出来なかった現実を惜しみたくなる1枚。
またぞろ入手困難になる前に、是非のご一聴をお薦め致します。


VIRTUE (2014-02-08 10:22:18)

NWOBHM華やかなりし'81年、チューダー(Vo)とマット(G)のシェルトン兄弟がイギリス・オックスフォードにおいて結成。
'85年にOTHER RECORDSから発表された7インチEP『WE STAND TO FIGHT』は世界中のマニアを熱狂させたが、インターネット登場以前、そうした評判はメンバーの耳までは届かず、また'87年制作の3曲入りデモ『FOOL'S GOLD』をEPとしてリリースする話もレーベル倒産で立ち消えになる不運、そして何よりNWOBHM自体が終焉を迎えていた時期の悪さが重なって、バンドはアルバム・デビューを果たすことなく解散してしまった。
NWOBHM熱の再燃に伴って、昨今、欧州方面で注目が集まっているバンドですが、チューダー・シェルドンがミュージシャン業から足を洗ってることもあって再結成は難しい様子。
弟のマットは、THE SHOCK(90年代には日本デビューも果たしている)をリユニオンして活動中。


Vectom - Rules of Mystery - Der Anfang / Prisoner's Back ★★★ (2014-02-06 22:26:36)

相変わらずスピーディではあるものの、
切迫感が薄まった曲調はパワー・メタル的。
ゆったりとハモるツインGもいかにも
「ジャーマン・メタル」といった趣きです。
メロディアスに歌おうとする(努力の跡は伺える)
Voの歌唱力も、リッキー・ヴァン・ヘルデン(ATTACK)
クラスまでには上達しました。
・・・これを「上達」と言っていいのかどうか分かりませんが。


Vectom - Rules of Mystery ★★ (2014-02-06 22:13:22)

デビュー作『SPEED REVOLUSION』のアートワークと間違い探し状態のジャケットでファンの混乱を誘った(?)、ドイツ・インゴルシュタット出身の4人組が'86年に発表した2ndアルバム。
チープだった音質が幾らか改善され、メロディアスに歌うべく努力するようになったシンガーが「ド下手」から「デビュー直後のカイ・ハンセン」クラスにまで何とかレベルUP(・・・レベルUP?)。またツインGも一層ドラマティックなフレーズを奏でるようになる等、前作に比べてかなりパワーメタル成分が強まりました。
反面、「スピード命!夜露死苦!」といった刹那的な疾走感が緩まってしまった点は痛し痒し。またデビュー作を繰り返し聴き込むうちに音痴なシンガーに耐性が出来てしまったので、半端に上達した本作での彼の歌唱に物足りなさを覚えてしまう始末。慣れってやつは恐ろしい・・・。
とはいえ、別に彼らのサウンドから前のめりな勢いが失われてしまったわけでないことは、アクセルを床まで踏み抜いて突っ走るOPナンバー①の激走っぷりからも明らか。ことにドライヴ感満点の演奏で楽曲の疾走感を高めるBの存在は本編の要で、③⑤⑧⑨といったスピード・ナンバーにおけるリード楽器ぶりには耳を奪われるもの有り。
個人的な好みでは前作に軍配を上げたいのですが、VECTOM入門編としては本作の方が適当なのかな、と。


Vectom - Speed Revolution - Satan's Colours ★★ (2014-02-05 22:39:00)

1stアルバム最速ナンバー。
全セクションが早回しで再生されてるようで
聴く度に笑ってしまいます。その速度についていけず、
「うるせぇなこの野郎!ほっとけボケ!」と
不貞腐れてキレ気味に吐き捨ててる(ような気がする)
Voが最高。


Vectom - Speed Revolution - Black Viper ★★ (2014-02-05 22:34:59)

一生懸命メロディアスに歌い上げようとしている
(その結果、息も絶え絶えな感じになってるのが可笑しい)
Voと、ドラマティックにハモるツインGをフィーチュアした
パワー・メタリックな疾走曲。


Vectom - Speed Revolution - Loudness and Speed ★★★ (2014-02-05 22:32:41)

タイトルまんまの曲ですね。
チリ出身のタンザ嬢率いるDEMONAがカヴァーしたことが
局所的に話題になったような、ならんかったような。
ソフト・ロックは好かん!メタル最高!
ジャック・ダニエルズ旨ぇ!
喧しくてスピーディ、それがVECTOMのやり方!
とバンドの主義信条を高らかに謳い上げる歌詞が
素晴らし過ぎますよ。
レミーみたいなオブリを入れてくるBもカッコイイ。


Vectom - Speed Revolution - In Nomine Satanas ★★ (2014-02-05 22:25:54)

「ほどほど」とか「適当」といった言葉とは全く無縁で、
全てのパートが全力投球で突貫するスピード・ナンバー。
スラッシュとは「鞭打ち」から来てるわけですが、
ここのドラミングはまさしくそれ。バシバシ鞭打ってます。


Vectom - Speed Revolution ★★★ (2014-02-04 22:45:39)

KKKもどきのアートワークを頂く本デビュー作('85年)において、チープな音質のもと繰り広げられるのは、疾走疾走また疾走という、アルバム・タイトルを地で行くスピード・メタル・サウンド。
ガムシャラにブッ叩きまくるDs&激しくのた打つBが形成する性急なリズムに乗って、音程ガン無視のダミ声Voとヒステリックに切り込んでくる2本のGとが、何かに憑かれたように突っ走る様には、「やりたいことに実力は追いついてないけど、足りない分は気合と根性でカバー!」という、(この時代の)ジャーマン・メタル・スピリッツが濃厚に息衝いています。
破れかぶれな暴走を繰り返しながら、飽くまで根っこには正統派HMが植えられている楽曲は初期DEATHROWやS.D.I.なんかに近い印象ですが、良くも悪くもこのバンドを個性的な存在たらしめているのは、清々しいぐらいに音痴なVo。「まぁ楽器兼任ならこんなもんか」と思ってブックレット確認したら、まさかの専任シンガーで鼻水吹きましたよ。
自棄のヤンパチな疾走感が痛快な②⑧⑨、バンドの決意表明と言うべき⑤、パワー・メタリックな味わいも宿した⑥といったヘドバン・ソングを繰り返し聴いてる内に、こちとら「このVoでこそVECTOM!」とすっかり洗脳されてしまいましたが、初めての人が①を聴いたらズッコケること請け合い、か?
初期GRAVE DIGGERやドイツのWARRANT、あとANGEL DUST辺りが問題なく楽しめるマニアにお薦めする1枚です。


Vectom (2014-02-04 22:44:00)

'83年の結成から'93年の解散まで、10年間の活動期間を全速力で駆け抜けた、ドイツはバイエルン州インゴルシュタット出身の5人組スピード/スラッシュ・メタル・バンド。そのせいで情報が少ない少ない。
'85年にGAMA INTERNATIONALから1st『SPEED REVOLUSION』を、'86年にSCRATCHCORE RECORDSから2nd『RULES OF MYSTERY』をそれぞれ発表しており、これらのアルバムに託された、荒削りだが生き急ぐように突っ走る暴走サウンドは、マニア筋から評価が高い。
ところで、「VECTOM」ってどういう意味なんでしょうね?


PROTECTOR - Urm the Mad ★★★ (2014-02-03 23:30:56)

PROTECTOR復活の報を教えて頂き、久し振りに引っ張り出して聴き直している'89年発表の2ndフル・アルバム。日本では嘗てテイチクからEP『LEVIATHAN'S DESIRE』('90年)とのカップリングで、全20曲、収録時間70分オーバーという、この手の音に興味のない人には拷問みたいな仕様で国内盤がリリースされていましたね。
'94年にオーバードーズにより死去した中心メンバー、ミヒャエル・ヘッセの畳み掛けるドラミングを核に、マーティン・ミシーの咆哮型Voと、痙攣気味に刻まれるGリフが暴風の如く荒れ狂うスラッシュ・サウンドは、『TERRIBLE CERTANITY』を発表した頃のKREATORを彷彿とさせる一方で、押しまくるだけでなく、スロー/ミドル・セクションを有用。例えばアコギが爪弾かれるイントロから段階的にスピードを上げていく⑦のような、いかにもヨーロピアンな湿気ったヘヴィネスと、暗黒美に満ちたドラマを演出する手腕も冴え渡っています。
昔聴いた時は後ノリのデス声Voが、せっかく全編に充満する爆走感をスポイルしているように感じられ、あまり好きになれなかったのですが、デス声がすっかり市民権を得た(要するに聴き慣れた)今となっては、当時ほど気にはならなかったり。荘厳な雰囲気も醸し出す邪悪なスローチューン③のカッコ良さなんて、この声あってこそですよ。
個人的にPROTECTORといえば真っ先にこの頃の音が思い浮かぶのですが、再結成作はどんな感じなんでしょうね。


ATTACKER - The Second Coming ★★★ (2014-02-02 21:39:47)

BON JOVIのお膝元ニュージャージーにおいて、そのBON JOVIとは「白馬の王子様」と「類人猿」ぐらいかけ離れたムサ苦しいパワー・サウンドを追及し続けるトゥルー・メタル軍団、ATTACKERが'88年に放った2ndアルバム。(再発盤のジャケットはリバーシブル仕様なんですが、両方ともちっとも嬉しくないクオリティなのがこのバンドならでは)
若ハゲにビール腹という、外見上のハンデを物ともしないストロングな歌唱を轟かせる新Vo、ジョン・レオーネ(故人)の加入により、SHRAPNELメタルにも通じる肉食系USパワーメタル・サウンドが格段にビルドアップ。(エンジニアはアレックス・ペリアラス&ロブ“ワッコ”ハンターで、この顔触れからして既に暑苦しい)
RIOTの“THUNDERSTEEL”を更にマッチョ化したような①や、緩から急へと突貫する③、戦車の如く突き進む⑧といった、ハイピッチ・スクリームから刻み倒すGリフ、雷鳴の如きリズムまで、構成要素一つ一つが高圧的なパワー・チューンがみっしりと詰まった本作は、全8曲、僅か30分の収録時間にも関わらず胸焼け起こしそうになるぐらいの脂っこさ。
HR/HMのコマーシャル化が進行する一方で、コアなファンの間ではスラッシュ/デス・メタルが人気を博すという、シーンの二極分化の裂け目にポッカリと落ち込んで評価の機会を逸してしまった、実に不運な1枚。


Artica - As It Should Be ★★★ (2014-02-01 00:47:55)

年末に手持ちのゼロ・コーポレーション関連作品を整理したのですが、それまで持ってたこと自体を完璧に失念していた、アメリカ出身の5人組が'95年に残した1stアルバム。
影が薄いとは言え、決して低クオリティの作品ではなく(聴き直して今更思い出した)、ちょっぴり掠れ声のハイトーンVoと、シンフォニックなKey、それに分厚いボーカル・ハーモニーに包まれたJOURNEY型AOR/産業ロックのド真ん中を行く哀愁サウンドは、流石に本家に比べるとプロダクションもアレンジも野暮ったい。しかしその分、こっちは楽曲や演奏から発せられる、新人らしい若々しさ弾けるハードネスが売りになっています。
例えばコーラスにしても、JOURNEYのそれが「壮麗さ」を増強してるのに対し、本作の溌剌としたコーラスからはアリーナ・ロックとかポップ・メタル寄りな味わいも感じられ、特に⑤⑧は、単なるJOURNEYフォロワーに留まらぬ彼らの個性が活かされた、アルバムのハイライト的名曲ではないかと。勿論、メロウな④のような楽曲もそれはそれで魅力十分。
存在自体を忘れていた身で言うのも憚られますが、良い作品なんで見かけたら是非チェックを。


Artica (2014-02-01 00:47:23)

マーク・エイドリアン(G)とロビー・ムーア(Key)、それにジェフ・パリスと活動を共にしていたというロジャー・フィーツ(B)が中心となり、ロサンゼルスで結成。
ラインナップを整え、デモテープの制作、また地元で開催されたバンド・コンテストで1位に輝く等の実績を上げた結果、アルバム・レコーディングのチャンスを掴み、'95年、セルフ・プロデュースでデビュー作『AS IT SHOULD BE』を発表。同作はジャケット・デザインを変更して、日本でもゼロ・コーポレーションからリリースされた。
ちなみに『AS IT~』は日本でしかCD化されなかったため暫くレア・アイテム化していたものの、'05年にめでたくリイシュー。しかもお色直しされた再発盤のジャケットが美麗で良いんだな、これが。


ALIEN - Crash ★★ (2014-01-30 22:10:52)

ALIENのカタログの中ではあまり評価の芳しくない、'95年発表の4thアルバム。
やっぱり“SPOTLIGHT KIDS”ソックリな①が不味かったのか、それとも「キーを変えただけの“LONG LIVE ROCK'N'ROLL”」といった趣きの②が不味かったのか、はたまた“EYE OF THE WORLD”のGソロをまんま頂戴してしまった④が不味かったのか・・・。と言うか、90年代という時代に即したハード・ロッキンなサウンドの構築を目指したものの、出来上がった作品からは元ネタが露骨に透けて見えてしまっていたという、ハード方面に関する彼らの引き出しの少なさが不味かった作品なのかな、と。
一方で、しんみりと心温まるバラード⑤、ポジティブな躍動感を伴って駆け抜けていく⑥、メンバー自ら「80年代のALIEN風味」と太鼓判を押す⑧等、傑作デビュー作でこちらの耳に刷り込まれた「ALIEN=北欧ハードポップ」という図式に忠実な楽曲群は、このバンドの持ち味が伸び伸びと発揮されていて実に魅力的。また冒頭で述べた虹色の楽曲にしても、決して駄曲ではないことは記しておきたいところ。
例えセールコーナーで安売りされていても、内容までは安いわけじゃないぜ!な1枚。


VENUS & MARS - NEW MOON RISING - BLESS A BRAND NEW ANGEL ★★★ (2014-01-30 22:03:06)

あと10年早く発表されていたなら
アメリカでヒットしてたんじゃないかな~
と想像を掻き立てられる名バラード。
「上手い歌」ってのは、こういう歌唱を言うのですね。


VENUS & MARS - NEW MOON RISING ★★★ (2014-01-29 22:50:58)

マーク・フリーの傑作『LONG WAY FROM LOVE』に“SOMEDAY YOU'LL COME RUNNING”等の秀曲を提供したことで、HR/HMファンにも一躍その名を知らしめた敏腕ソング・ライター、ロビン・ランダルが、シンガーのダイアナ・デウィントと共に結成したポップ・ロック・デュオの日本デビュー作となった'98年発表の2ndアルバム。
憂いを振り撒くダイアナの麗しい歌声と、ロビンのクリエイトする哀愁のメロディが、Keyの煌びやかな味付けのもとキャッチーに躍動する楽曲は、収録全曲が“SOMEDAY~”と同系統のハードポップ路線。
いくら1曲1曲の完成度が高くても流石にこの音楽性で14曲収録はダレるよとか、打ち込みを多用した角のない音作りがHR/HMリスナーには刺激不足とか、色々気になる点もあるっちゃ有りますが、それを差っ引いて尚、マーク・フリーの『LONG~』に収録されていても違和感のない①②や、実際に同作でカヴァーされていた⑤、そして絶品のバラード③といった強力なフックを有する名曲はぐぐっと胸に迫って来るものあります。
前作『GRAND TORINE』は国内盤が出なかった(よね?)こともあって買い逃してしまったのですが、コレ聴いたら「あ~、やはり買っとくべきだった・・・」と、あとで後悔に苛まれましたよ。


Minaton - One Day in Paradise - Down by the Quay ★★★ (2014-01-28 22:32:40)

港町の恋人達の悲恋を切々と歌い上げる
涙なしには聴けないアルバムのハイライト・ナンバー。
Voの独唱に始まり、泣きのGと重厚な演奏&コーラスと
シンフォニックなKeyが加わってドラマティックに
曲展開が盛り上がっても全く薄れない、
いかにも東欧的な侘しげな叙情メロディが美味。


Minaton - One Day in Paradise - Highlife in the Night ★★★ (2014-01-28 22:26:15)

リードBが非常に効果的な疾走ナンバー。
スパニッシュ・タッチで爪弾かれるアコギを
フィーチュアした中間部のドラマティックな
曲展開も含めて、走っていても優美さを失わない曲調が、
どことなく初期ROYAL HUNTを彷彿とさせます。


Minaton - One Day in Paradise - One Day in Paradise ★★★ (2014-01-28 22:21:58)

壮麗なコーラスがQUEEN風味を醸し出すと同時に、
ネディ・ジョン・クロスの舞台俳優としての
才能も発揮された、ミュージカル・テイストも
感じられるシンフォニックなバラード。


Minaton - One Day in Paradise ★★★ (2014-01-27 21:56:25)

ゼロ・コーポレーションからリリースされたカタログを棚にコレクションしてはニヤニヤと悦に入っていたのも今は昔。現在ではかなりの作品を手放してしまったのですが、幾つかは手元に残したままの物もあって、最近よく聴き直しているその中の一つが、ドイツに拠点を置く5人組が'94年に発表したこのデビュー作。
メンバー・ショットを適当にコラージュしただけの冴えないアートワークと、冒頭に配置されたロケンロール・ソング2連発でリスナーの出鼻をいきなり挫く構成は頂けませんが、彼らの本領は、シンフォニックなアレンジと、テクニカルな演奏に支えられた大仰な曲展開が、VALENTINEやMEATLOAF等を彷彿とさせる楽曲が並ぶ4曲目以降に発揮されるので、暫しのご辛抱を。
取り分け本作のユニークネス創出に大きく貢献しているのが、音楽の専門教育を受け、俳優として舞台にも立っているというネディ・ジョン・クロス(Vo)の存在。彼の円やかで朗々たる歌声は、疾走曲/バラード/ポップ・ソングを問わず収録楽曲に優美な気品を付与しています。女性コーラスも取り入れたオペラティックな④、クラシカルな響きも湛えて疾走する⑤、そして物悲しくも劇的な曲展開と悲恋を扱った歌詞に涙ちょちょ切れる名曲⑥が連続する中盤なんて万歳三唱モノのドラマティックさ。
高揚感とスケール感を伴ったラス曲⑩まで、全編をドラマティックに語り切るこれほどの作品を作り上げたバンドが、アルバム1枚を残して消滅してしまったのは残念極まりない話だなぁ。


Minaton (2014-01-27 21:55:53)

兵役中に知り合ったメンバー達によってブルガリアにて結成。活動拠点をドイツへと移し、'94年に1st『ONE DAY IN PARADISE』を自主制作。
当初はバンドのリーダーであるネディ・ジョン・クロスのソロ名義でのリリースだったが、'95年にゼロ・コーポレーションを通じて日本でも同作が発売されるにあたり、MINATONとバンド名義に改める。
「ミナトン」なんて聞くとどうしてもレイ・ハリーハウゼンがクリエイトした牛頭人身の怪物のことを思い出してしまいますが、多分彼らもアレからバンド名を頂戴したんだろうなぁ、と。
尚、MINATONはこれ1枚きりで消滅し、以降ネディ・ジョン・クロスはソロ・アーティストとして活動している模様。


TORCH - Torch - Battle Axe ★★ (2014-01-24 23:39:05)

アクセントとして用いられたアコギが
ミステリアスな雰囲気も醸成し、
アルバムで最も北欧らしさが感じられる
ミッド・ナンバー。
邦題“闘いの刃”に相応しく、ダークで
重厚な曲調に血が騒ぎます。


TORCH - Torch - Watcher of the Night ★★★ (2014-01-24 23:31:16)

帯に書かれた「たいまつ(トーチ)を掲げた5人の戦士達は
勇猛にも戦いを挑んだ!トーチは巨大な炎となって燃え盛る!
ヘヴィ・メタル・キッズ達よ彼らの、このパワー、
スピード感に酔いたまえ!」なる惹句を地で行く疾走曲。
(酔いたまえ!って・・・)
全体を引っ張るキレのあるドラミングも気持ち良いですね。
ちなみに邦題は“暗黒の監視人”


TORCH - Torch - Beauty and the Beast ★★ (2014-01-24 23:22:36)

LAメタル・テイストも感じられる
軽快でノリの良い曲調に、字余り気味の歌詞を
威勢良くねじ込んでくるVoの体毛の濃そうな
ワイルドな歌いっぷりが、何となく
ブルース・ディッキンソンを彷彿とさせます。


TORCH - Torch ★★★ (2014-01-23 22:45:48)

スウェーデン出身の4人組が'83年に発表した、LPサイズで遭遇した日にゃ夢見が悪くなりそうなジャケットがインパクト絶大のデビュー作(邦題は『暗黒からの脱出』)。しかも「北欧伝説の乙女さながらの~」という解説を読むに、コイツこの顔で女(女神様)なのか?!と。言われてみれば妙に唇赤いし、眉毛整えてるし、睫毛長いし、見ようによってはパンプアップした木の実ナナに見えなくもないが・・・。
そんなジャケが表す通り、【北欧メタル】のカテゴリーで語られることの多い作品にも関わらず、ここに託されている音に「泣き」とか「哀愁」「透明感」「クラシカルな美旋律」といったキャッチー・・・いやさ、軟弱な要素は皆無。
剛毅なGリフ主導で疾走する武骨で胸毛モサモサな番長サウンドは、北欧メタルよりもNWOBHMやヴァイキング・メタルに近しく(収録各曲に付けられた大仰な邦題もハマってます)、初めて聴いた時は「垢抜けないし大味だなぁ」と、正直あまりピンと来ませんでしたが、今改めて対峙してみると、Voのワイルドな歌いっぷりが耳惹く②、タイトな演奏(特にDs)に支えられたスピード・ナンバー③④⑦、アコギを用いたダーク且つ重厚な⑥等、これが案外悪くない。いや結構カッコイイ。
少々フックに欠けるきらいはありますが、パフォーマンスから音作りまで、例えばジャケットから想像されるような稚拙さは殆ど感じられない、漢メタルがパンパンに詰め込まれた1枚。


XT - XT - The Rock In My Life ★★★ (2014-01-22 21:18:26)

GソロとKeyソロも盛り込まれたハードな疾走ナンバー。
(音作りがポップなので、とてもそうは聴こえませんが)
「ジ~ザァ~ス!」「ジ~ザァ~ス!」と連呼しているので、
STRYPERがカヴァーしたら案外ハマりそうな名曲。


XT - XT ★★★ (2014-01-21 22:06:44)

スウェーデンのハードポップ・デュオが'92年に発表した1stアルバム。輸入盤市場で好評を呼んだ本作は、日本ではゼロ・コーポレーションを通じて、'93年に2nd『TAXF REE』と同時に国内盤がリリースされました。
いきなりバッハの“TOCCATA”でドラマティックに本編の幕が上がり「おぉ」と思わせてくれますが、後に続くのはネオクラシカルな様式美HM・・・ではなく、瑞々しくキャッチーなメロディを、北欧ならではの透明感で包み込んで聴かせるハードポップ・サウンド。
若き日のアンドレ・マトスを思わせるナヨッとしたシンガーの歌い回しと、打ち込みのドラム、それにSTRYPERばりに「ジ~ザァ~ス♪」と連呼する、クリスチャン・バンドらしいキリスト賛歌に引っ掛かりを覚える向きもあるかもしれませんが、「いやいや、曲の良さが全てに優先する」というメロディ至上主義者には自信を持ってお薦めできる1枚。特に、HR然としたGとKeyの絡みっぷりと、涼しげな疾走感も伴う②は名曲です。
2nd『TAX FREE』も買っておけば良かったな~と、今になって後悔しきり。


M.ILL.ION - Kingsize - Backdoor Queen ★★★ (2014-01-20 23:18:37)

Gと共にスピーディな曲調を牽引するKeyの
リード楽器ぶりが、DEEP PURPLEの流れを汲む
古き良き北欧様式美メタルの魅力を伝えてくれる
BISCAYA辺りにも通じる逸品。


M.ILL.ION - Kingsize - Eye of a King ★★★ (2014-01-20 23:13:45)

シンフォニックで壮大なイントロを経て
疾走を開始するドラマティックな曲展開が
どことなくPRETTY MAIDSの“BACK TO BACK”を
思い出させなくもない、アルバムのOP役に相応しい名曲。


M.ILL.ION - Kingsize ★★ (2014-01-19 22:31:34)

M.ILL.IONの作品を購入するのは1st『№1』以来で、メンバーの顔触れのみならず、音楽性の方もドラスティックな変貌を遂げていて結構驚かされました。
アメリカンなポップ・メタル/アリーナ・ロックに、北欧調の味付けを加えた感じのサウンドを聴かせてくれたデビュー作に対し、この5thアルバム('04年発表)では格段にヘヴィ・メタリックな硬度を高め、初期PRETTY MAIDSを思わすスピーディな①、GとKeyの真っ向勝負のせめぎ合いがBISCAYAを彷彿とさせるスリリング②・・・といった具合に、DEEP PURPLEの流れを汲む古典派の様式美HMを実践。
HAMMERFALLやSTRATOVARIUSのブレイク以降、北欧において一気に勢力を拡大したメロスピ/メロパワ路線とも、イングヴェイ影響下のネオクラ路線とも異なる、古き良き北欧様式美HMの伝統をストレートに受け継いだ本編は、懐かしくも実にカッコイイ。
相変わらず「これ」といった強力な名曲は見当たらないですし、微妙にピッチの甘い新Voの歌唱も前任者とどっこいレベルですが、それでもキャッチーなメロディの構築能力、並びに優れたアレンジ・センスを最大限に発揮して、収録楽曲のいずれもを平均点以上に仕上げる手腕は相変わらず冴えています。
北欧メタル・ファンならチェックしておいて損はない1枚。


M.ILL.ION - No.1 ★★ (2014-01-18 22:45:31)

第二次北欧メタル・ブーム終息後もHR/HMシーンをサバイブした根性の持ち主、スウェーデン出身のM.ILL.ION、'92年発表のデビュー作。(国内盤はゼロ・コーポレーションから'93年にリリース)
ここで彼らが志向しているのは、溌剌たる演奏、ミッド・テンポの楽曲、合唱を誘うキャッチーなサビメロが健康的にハジける80年代風味満点のポップ・メタル/アリーナ・ロック。しかしながら、透明感を湛えた美旋律と哀愁が滲み出す明るくなりきれないメロディ、それに叙情味を増幅するKeyによる北欧メタル然とした味付けが、彼らの隠しようもない出自を証明しています。
音楽性に比してゴージャス感に乏しいプロダクションや、ワイルドになりきれないVoの生真面目な歌唱が運んでくる線の細ささえも、北欧メタルならではの侘びサビとして郷愁を大いにそそってくれます。
北欧メタル史に名を刻むようなパンチの効いた名曲が収録されているわけじゃありませんが、耳を捉えるメロディからアレンジ・センスまで、収録楽曲のいずれもを平均点以上に仕上げる腕前は実に堅実。(個人的には頭3曲や7曲目がお気に入り)
今でもふと思い出したように聴きたくなる1枚であります。


Shotgun Symphony - Shotgun Symphony - Highway To Tomorrow ★★★ (2014-01-17 23:10:55)

ドラマティックな曲展開は欧州へヴィ・メタリックですが
ノリ易い曲調と、一緒に歌えるキャッチーなサビメロの構築術は
アメリカのバンドならではという、美味しいとこ取りな名曲。
SHOTOGUN SYMPHONY=この曲、と言っても過言ではありません。
多分。


Shotgun Symphony - Shotgun Symphony ★★★ (2014-01-16 23:14:00)

「90年代《やみ》を切り裂くメロディの銃弾《きらめき》。ニュージャージーから放たれたSHOTGUN SYMPHONY、ここに推参・・・」と、思わずこっちの書く文章までゼロ・コーポレーション調になってしまう、Key奏者を含む5人組が'93年に発表した1stアルバム。
哀愁を帯びたメロディと、ドラマティックな曲展開を組み立てるヨーロピアンなセンス、それらをキャッチーにまとめ上げるアメリカンなアレンジ・センスとを併せ持ったバンドで、彼らの才能が集約されたOPナンバー①をラジオで初めて聴いた時は、速攻で本作の購入を決意させられた程でした。
シンセサイザーによる荘厳な味付け、ハードロッキンなエッジと重量感を失わないリフ&リズム、その上で憂いを帯びたメロディを熱唱するトレイシー・ホワイトのハイトーンVo・・・正直な話、この名曲のインパクトがデカ過ぎて本編自体の存在感が掻き消されてしまっているのですが、とにもかくにもHR/HMファンなら①だけは聴いておいて損はない。
それに、冷静になれば2曲目以降もハード&ウェットな⑥⑧、ドラマティックなバラード⑤⑩と、本編に捨て曲は皆無です。
次作でヘヴィ&グルーヴィな流行に流された結果(少なくとも日本では)人気が急落してしまったことが惜しまれるバンドでした。


Shotgun Symphony (2014-01-16 23:03:48)

'91年、ニュージャージーにおいて結成。音頭を取ったのはトレイシー・ホワイト(Vo)とチャーリー・カルヴ(B)の2人で、その後ARTIST WORLDWIDE MANAGEMENTと契約を交わすと、'93年にセルフ・タイトルの1stアルバムでデビュー。同作はゼロ・コーポレーションを通じて日本でもリリースされ、彼らの出す90年代のアメリカのバンドらしからぬ、メロディアスでドラマティック、且つ親しみやすいキャッチーさを備えたHMサウンドが高く評価された。
その後、2nd『FORGET THE RAIN』で流行に感化されたり、3rd『ON THE LINE OF FIRE』で初心を取り戻したりと、紆余曲折を経ながら活動を続け、'02年に解散。
しかし'10年にはライブ盤『LIVE AT FIREFEST 2010』を引っ提げて再結成を果たしている。


THE SHOCK - PINULTIMATE - Fruits of My Disease ★★★ (2014-01-15 22:14:40)

アルバム中においては“SIGN OF THE TIMES”と
双璧を為す、へヴィ・メタリックな名曲。
楽曲のカッコ良さといい、全編に亘って歌いまくる
ツインGといい、マット・シェルドンとボズ・ボズリー
コンビのセンスに鈍りは見られません。


THE SHOCK - PINULTIMATE - SIGN OF THE TIMES ★★★ (2014-01-15 22:10:55)

キャッチーなノリの良さと爽快なドライヴ感、
翳りを湛えたメロディとへヴィ・メタリックな
切れ味の鋭さ。アメリカン・テイストと
ヨーロッピアン・テイストのハイブリッドな名曲です。


THE SHOCK - PINULTIMATE ★★★ (2014-01-14 22:27:56)

先日CD屋に足を運んだ際、遅れて来たNWOBHMバンド、VIRTUEが'86年に残した幻のEP『WE STAND TO FIGHT』が再発されていて驚いたのですが、それを見て思い出したのが、VIRTUEを母体に結成されたバンド、THE SHOCKと、彼らが'98年に残したこのデビュー作『PINULTIMATE』のことでした。
ここで聴かれるのは、幕開け役/幕引き役を担う①⑪の曲調が如実に物語る通り、濃厚に80年代風味を背負ったキャッチー且つ健康的なポップ・メタル・サウンド。(上で別の方が指摘している通り)STRYPERなんかを彷彿とさせる楽曲からはNWOBHM的な要素は殆ど見受けられませんが、ササクレたGの音色等、音作りがやたらにアグレッシブなのが本作の特徴で、このヨーロピアンHM調の装いと、スカッとアメリカンなノリの良さを伴った楽曲とのミスマッチ感が、作品に印象的なフックを生み出していました。
イギリス人の血の為せる業なのか、爽快な楽曲においても決して明るくはなり切れず、本家STRYPERに比べると荒っぽいボーカル・ハーモニー(トニー・オホーラやトニー・ミルズも参加)や、Voの拾う歌メロがどこか翳りを帯びているように感じられ、中でもリフ/リード両面において歯切れの良いプレイを連発するGの独壇場と言った感じの、ドライヴ感溢れる②⑥や、伸びやかな駆け抜けていく④は、このバンドならではの名曲と言えるのではないでしょうか。
成功を収めることは出来ませんでしたが、良いアルバム/バンドでした。


SCANNER - Terminal Earth ★★ (2014-01-13 23:17:06)

LION'S BREED名義でEARTHSHAKER RECORDSからアルバムも出していた長いキャリアを誇っているにも関わらず、万年Bクラスのイメージが拭い難く、熱心なファンからはそれなりに評価されているのに、なかなか芽が出ず一軍とファーム間を行ったり来たりしている(引退後は球場近くで焼肉屋を経営してそうな)プロ野球選手・・・的な哀愁を(勝手に)感じていたバンドが、'90年に発表した2ndアルバム。
ACCEPTとHELLOWEENの丁度中間を行く、両者の美味しいトコ取りなパワー・メタル・サウンドを目指した筈が、悲しいかな、実際に出来上がったのはACCEPT程パワフルではなく、さりとてHELLOWEEN程メロディがキャッチーでもないという「帯に短し襷に長し」な作品。コレ聴くとなぜ彼らがブレイク出来なかったのか、その理由に察しがついてしまうのが悲しい。
それでも、ジャーマン・メタルらしく雄々しげに疾走するリズムの上で、元ANGEL DUSTのS.L.クーの荒っぽいハイトーンVoと、ドラマティックなツイン・リード・ギターとが暴れ回る、①②⑥⑦といったスピード・ナンバーのカッコ良さからは「あんまり俺達を舐めんなよ!」との気迫が迸ります。なんのかんの良いながらも、結構お気に入りで時々聴き返しています。
RISKをもっとメロディアスにしたような音、という表現にピンと来る方にお薦めしたい1枚。


Lost Society - Fast Loud Death ★★★ (2014-01-11 00:32:13)

フィンランドから彗星の如く現れた期待の新人スラッシャー、'12年発表の1stアルバム。(邦題は『すべての若きスラッシャーども』)
屈強に締まった音作りと演奏の下、キレっキレなGリフ&スーパーボールよろしくしなやかに跳ね回るリズムとが一気呵成に畳み掛けるスラッシュ・サウンドは、硬質且つキャッチーな疾走感を前面に押し立てつつも、スピード一辺倒に陥ることはなく、全体の緩急/ライブ映えを踏まえて要所に歯切れの良いグルーヴを仕込んでみせる隙のなさ。更には正統派へヴィ・メタリックなインスト・パートを擁する⑪のような楽曲も収録する等、とにかく一事が万事、アルバム作りにおいて抜かりがない。(ジャケットを手掛けているのもエド・レプカ画伯ですよ)。
それでいて優等生っぽく落ち着いてしまわず、適度にバカっぽさも散りばめられているのだから、なんつーか全編に「これを20代そこそこの若造が作ったの?本当に?」的な貫禄が漂ってますよ。
ここまで卒がないと「いやでも頭抜けた曲がないし」とか「もっと北欧っぽさが欲しいし」とか、無理くりにでも注文付けたくなりますが、まぁ悔し紛れの難癖だと思って頂いて構いません。そも頭抜けた曲がないのは、収録楽曲の平均レベルの高さの表れですしね。
老婆心ながら、この完成度の高さに、逆に次作以降のことが心配になってくる1枚。まぁ余計なお世話ですわな。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - The Actor ★★★ (2014-01-09 22:32:43)

新Gのフレッド・パーサーが単独で書き上げた
アルバムの締めに相応しいドラマティックなバラード。
こんな名曲、そしてテンポ・アップするソロ・パートにおける
名演を聴かされた日にゃ、「どうせニューウェーブ畑出身ギタリストだろ」
なんて舐めてかかれませんよ。(Keyでも良い仕事を披露)


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Danger in Paradise ★★★ (2014-01-09 22:27:16)

邦題は“危険なパラダイス”
Keyの使い方や、ハーモニーと哀愁に彩られた曲調は
完全にAOR/産業ロック・ワールド。
でもこれが素晴らしい曲なんですよ。
ジョン・デヴァリルの憂いを発散する
いかにもブリティッシュな歌声にも聴き惚れますね。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Paris by Air ★★★ (2014-01-09 22:23:39)

『SPELLBOUND』や“GANGLAND”の世界を
求める向きにはお薦め出来ませんが、
アコギとKeyを効果的に用いた
このメロディアスな哀愁のハードポップ・ナンバーには
TYGERS OF PAN TANGの新たな魅力が表出。
名曲ですよ。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage ★★★ (2014-01-08 23:00:34)

本作('81年、4th)が我が家に残る唯一のTYGERS OF PAN TANGのアルバムってのは我ながらどうかと思いますが、でもこれ大好きなアルバムなんすよ。(それこそ名盤『SPELLBOUND』よりも)
ニュー・ウェーブ畑出身ギタリストの加入、外部ライターの積極的登用と、RPMの名曲のカヴァー①で本編の幕が上がることからも明らかなように、ポップさをいや増したサウンドからは「売れてぇんだよ、俺達は!」というバンド側の切実なシャウトが聴こえてきそうな勢い。
ですが例え売れ線に走ろうとも、それもここまで徹底されていればいっそ潔し。なればこそシングル曲⑥がヒットを飛ばし、アルバム自体も英国プレスから好評をもって受け入れられたのではないでしょうか?荒ぶる虎が檻に入れられているジャケットにも、バンドが本作における路線変更にかなり自覚的なことが表れていますよね。
ハード・ロッキンなエッジは残しつつもキャッチーにまとめられた②④⑤、Keyを活かした産業ロック風の⑩、新Gが演奏者としてのみならず作曲家としても存在感を発揮するドラマティックな⑪といった名曲は、ジョン・サイクスの不在を帳消しにして余りある素晴らしさ。ハーモニーを大増量して楽曲のメロディアス化が推し進められたことで、ジョン・デヴァリルの歌の上手さも一層際立つようになったしで、良いこと尽くめですよ。
確かにCATS OF PANG TANG(上手いこと言うなぁ、と感心)なアルバムですが、個人的には彼らの裏名盤的1枚と思っております。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Bird of Destiny ★★★ (2014-01-07 22:30:43)

何も知らずに「これ、角川映画のエンディング曲だよ」と
言われたら間違いなく信じたであろう、大野雄二テイスト
入ったスケールの大きな哀愁のバラード。
J.J.の熱唱、胸掻き毟りたくなる切ないソロを聴かせる
中島のシンセ、タメの効いたリズム、あと山本恭・・・
もといMr.XのGソロも大いに泣かせてくれます。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 22:20:11)

聴いてるだけで胸毛がもさもさになりそうなJ.J.の歌声、
攻撃的に切り込んでくるKeyとG、このテンポの楽曲にしては
異様に音数の多いドラムと、仰々しいタイトルに
決して負けていないパワフルさで迫り来るOPナンバー。
実は歌詞は結構軟弱なんですが(笑)、
思わず心にLOVE SUPER WEAPONを設置したくなる名曲に
間違いありません。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 00:04:57)

中島優貴(Key)を中心に結成されたバンドが、'81年に残した唯一作が待望の再発。しかもEARSTEN ORBITの『FUTURE FORCE』も同時再発ってんだから嬉しいったらないですよ。
歴戦の兵(解説の言葉を拝借するなら「一国一城の主たち」)が集ったスーパーバンドでしたが、ここで実践されているのは、インプロヴィゼーション重視の70年代型HRではなく――勿論そうした要素も本編には色濃く影を落としていますが――、疾走感溢れるリフ&リズムが楽曲を牽引する、ソリッド且つタイトに締まった80年代型HMサウンド。
特に、中島が刻む悲鳴のようなKeyリフ、荒ぶるシンキのGソロ、オカズ山盛りの宮永英一&チェピート竹内のリズム・ワーク、そしてJ.J.の男性ホルモンむんむんな歌唱が一体となって疾走するOPナンバー“HEAVY METAL ARMY”は、バンドのテーマ・ソングの名に恥じぬ名曲。
以降も、豪快なリフ捌きにガツンとやられる“YES OR NO”や、プログレ趣味が垣間見える“CHANGELING”から、(なぜか)大野雄二テイスト入ったラスト・バラード“生命の風”に至るまで、実にテンション高く駆け抜けていく1枚。
スーパーバンドの宿命に倣い、短命に終わってしまったことが惜しまれる名盤です。


NEXX - Another Dawn - Another Dawn ★★★ (2014-01-05 23:05:13)

エモーションを乗せて、一音一音を丁寧に紡ぐGや
楽曲をメロウに、ドラマティックに彩るKeyと
オーケストラの仕事ぶりも素晴らしいのですが、
何より胸を打つのは、曲展開の盛り上がりに
呼応するかのように、渾身の力を振り絞った
熱唱を披露してくれるパトリシア・タピア嬢のVo。
まさしく胸キュンものですよ。


NEXX - Another Dawn ★★★ (2014-01-05 22:49:26)

HEXXだと思って手に取ったらNEXXだった、という体験談に「あー」となった貴方はきっとスラッシュ・メタル・ファン・・・という脱線はともかく、スペイン産メロディックHRバンドが'06年に発表した2ndアルバム。
厚み十分な音作りの下、エッジの効いたGと、メタリックなシャウトからキュートな歌い上げまで、見事な歌唱を披露する女性Voをメインに据えてエネルギッシュに躍動するサウンドは、HR/HMリスナーにもアピールし得るハードネス&ノリの良さが漲っており、ビル・コナー率いるオーケストラとの競演もサラリとこなす洗練っぷりからは、スペイン産と聞いて想起されるようなドメスティックなクサ味――例えば巻き舌バリバリ感のような――やイモっぽさは皆無。
逆にそれに物足りなさを覚える人もいるやもしれませんが、琴線に訴えかけるメロディ作りの上手さは流石スパニッシュ。特にアルバム表題曲でもある⑦は、Gが奏でる哀愁のメロディ、それを効果的に盛り上げる生オケ、そして渾身の力を振り絞るかの如きパトリシア・タピア(Vo)嬢のパッション迸る熱唱とが相俟って、胸締め付けられずにはいられない、アルバムを代表する名曲。
'06年以来、作品のリリースが途絶えてしまっているのが気になりますが、こんな素晴らしいアルバムを作る才能を有しているのですから、是非とも活動の継続を願いたいところです。


URBAN TALE - Signs of Times - The Starship of Giants ★★★ (2014-01-05 00:28:46)

北欧の草原を吹き抜けていく一陣のそよ風の如く、
爽やかな清涼感に満ち溢れたハードポップ・ナンバー。
まさしくアルバムのOPを飾るに相応しい名曲です。


URBAN TALE - Signs of Times ★★ (2014-01-04 23:39:35)

ハスキー・ボイスのシンガーがまろやかに歌い上げる、浮世の憂さを洗い流してくれるかのような、清涼なメロディが心地よく駆け抜けていくOPナンバー①を聴き終えた瞬間、「URBAN TALES健在なり」と確信することが出来る'03年発表の2ndアルバム。
JOURNEY型の「ポップで叙情的なAOR/産業ロック」というデビュー作の作風を踏襲しながらも、散々JOURNEYを引き合いに出して批評されることにウンザリしたのか、今回はよりモダンで普遍的なポップ・ロック路線へと若干の軌道修正。と同時に、例えば重厚な⑧や、歪んだKeyサウンドがハードに疾走する⑨といった、アレンジの幅を意欲的に広げた楽曲も収録しているのが特色でしょうか。
リリース当時は、そうした新要素に押し退けられる形で、聴き手の郷愁を喚起する感傷的なメロディが減少し、前作収録の“CIRCUS”クラスのインパクトを放つ名曲が見当たらないことに不満を覚えたりしたものですが、こうして改めて聴き直してみると、やっぱり良い曲が多数収録されているなぁ、と。ポップな躍動感溢れる②や、もろJOURNEYってるバラード④、淡い哀愁がスッと浸透してくる⑥等は、このバンドにしか作りえぬ極上のメロハー・ソングですよ。
2ndがリリースされてから10年が経過しましたが、そろそろ復活(というか再結成?)して欲しい。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE - ARYON ★★★ (2014-01-04 00:05:47)

Voの熱唱、流麗なKey、
ハードネスを損なうことなく曲展開を
劇的に盛り上げるGとリズム隊によって、
MAGNUM辺りにも通じる、聴き手を勇気づけるような
高揚感とドラマティシズムが作り出されている、
アルバム屈指の名曲。


THE SIGN - THE SIGN OF LIFE ★★★ (2014-01-03 23:54:17)

TOUCHのマーク・マンゴールド(Key)、ZEBRAのランディ・ジャクソン(G)、STRANGEWAYSのテリー・ブロック(Vo)、KANSASのビリー・グリア(B)、BLACK SABBATHのボブ・ロンディネリ(Ds)ら、メロディ愛好家の食指をそそる面子によって結成されたスーパーグループ(・・・スーパー?)が、'02年に発表したデビュー作。
この顔触れゆえ、ベテランらしい落ち着き漂うAOR/産業ロック作品を勝手に予想していたのですが、色鮮やかに楽曲を飾り立てるマークのKeyワーク、それに立体的に構築されたボーカル・ハーモニーが華麗に舞う本作のサウンドは、TOUCHにも通底するアメリカン・プログレ・ハードのシルエットを程よくドラマティックに描き出しています。
特に、名曲が惜しみなく連打される本編前半のクオリティには目を瞠るものがあって、歌えるメンバーが揃っている強みを十二分に活かし切った、重厚なコーラス・ワークが絶品のOPナンバー①と、哀愁のボーカル・メロディと流麗なKeyの調べ、背景に埋没しない存在感を主張するメロディアスなGとが「ザ・プログレ・ハード」な世界を創出する④、それにテリー・ブロックのエモーショナルな熱唱が胸焦がすバラード⑤は、アルバムの白眉と言うべき逸品です。
面子の豪華さと、作品の質とが見事に合致した充実作。


BADLANDS - Badlands ★★ (2013-12-31 00:24:37)

80年代のメタル・バブルの反動か、アメリカでは'90年前後になると「ルーツ回帰」「ブルーズ志向」が声高に叫ばれるようになり、お前のどこ押せばブルーズなんて言葉が出て来るんだよ?というバンドまでもが「俺達のルーツはブルーズ」とか言い出してトレンドの凄まじさを思い知らせてくれました。
オジーの元を離れたジェイク・E・リー(G)のニュー・バンド、BADLANDSが'89年に発表した本デビュー作も、彼のフラッシーなギター・ヒーローとのイメージを覆す、地に足を着けた渋めのカラーが鮮明に打ち出されており「お前もかい」ってなもんでしたが、いやでもコレがカッコイイんですわ。
レイ・ギランの粘っこい熱唱と、手練のリズム・セクションを得て重厚にウネるOPナンバー①から、ソリッド且つアップテンポの②⑦、アコギ・インスト③を経てダイナミックに展開していく④、(まさにタイトル通り)Gが踊る⑤、そしてロッカ・バラード⑩に至るまで、収録曲の数々を聴けば明らかなように、本作に託されているのはブルーズそのものではなく、飽くまで「ブルージーな要素を飲み込んだHR」。ジェイクのGプレイも変に老成することなく、熱く図太い音色で主役としての存在感を主張してくれています。
普段、この手の音とは無縁のミュージックライフを送り、スラッシュだ様式美だAOR/産業ロックだと喧しい自分のような人間にもその魅力が十二分に伝わってくる1枚です。


CRIMSON GLORY - Crimson Glory ★★★ (2013-12-30 01:28:44)

仮面の忍者・・・ならぬ仮面のバンドとして話題を集め、'86年の発表当時、BURRN!!誌のレビューにおいて伊藤政則氏が97点を献上したことでも語り草となったCRIMSON GLORYのデビュー作。
今は亡きミッドナイト(ことマーク・オーメンズ)の天を突いて伸びていく超音波ハイトーンVoと、光沢を放ちながら絡み合う2本のGを武器に、劇的に展開される、どこか気高さを漂わせた正統派HMサウンドは、『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTから、欧州風味の湿り気を減じた代わりにメタリックな硬質感を増量したような趣き。
個人的には、少々表情に乏しいハイトーンVoと、似通ったテンポの楽曲が連続する構成とが相俟って、一気に通して聴くと「聴き疲れ」を覚えなくもない作品なので、作中において特にお気に入りの①③④⑦⑧といった楽曲を摘み食い的に愛聴させて頂いております。
また、よりメロディアスで強く叙情性を宿したこれらの楽曲におけるミッドナイトの歌声を耳にすれば、彼がハイトーンだけが武器の一発芸系シンガーとは一線を画する存在であることが良く分かるというもの。
今更ですが、惜しい人物を亡くしました。


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS - Surprise Attack ★★★ (2013-12-29 10:26:03)

奇襲攻撃のタイトルに相応しく、
Keyがメロウネスのみならず、ぴりっとした
緊迫感も演出する逸品。
ギタリストとしてもジョン・カラクが
良い仕事を披露しています。


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS - HEARTS ON THE LOOSE ★★★ (2013-12-29 10:23:01)

「俺だって“孤独のランナウェイ”の作曲者だぜ!」
というジョン・カラクの主張が漲るイントロに
顔が綻ぶアルバムのOPナンバー。
尤も、楽曲自体は“孤独~”と似ているわけではない
魅力的なメロディックHRの名曲。


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS ★★★ (2013-12-28 00:53:41)

ジョン・ボン・ジョヴィと名曲“RUNAWAY”を共作したことで知られるソングライター、ジョン・カラク(G)が、これまで書き溜めてきたマテリアルを世に出すべく、ARCARAやSHOTGUN SYMPHONYの主要メンバーの力を借りて立ち上げたバンドが'97年に放ったデビュー作。
先頃購入した『メロディアスHRディスクガイド』(まさしく新世紀版『メロディック・ロックへの誘い』といった趣きの好著)において「全曲が“RUNAWAY”状態」とレビューされていたのを読んで興味を持ち、折りよく安価で売りに出されていた中古盤を入手して聴いてみたのですが、これがもう(恐らく意図的に)“RUNAWAY”感バリバリなOPナンバー①を手始めに、Keyが印象的なフックを作り出す哀愁のメロディック・ロック・サウンドはまさしく初期BON JOVI路線。「BON JOVIったらやっぱ1stでしょ」な我が身にはジャストフィットな1枚でありました。
尤も、こうした作風を歌うにはトレイシー・ホワイト(Vo)のウェットな声質が少々重くも感じられますが、それでも歌唱力は確かな上に、次から次に繰り出される楽曲がとにかく高品質なので、聴き進めるうちに全く気にならなくなります。特にピンと張り詰めた緊迫感を漂わす④、素晴らしいシンガーがいてこそ映えるバラード⑤、Keyが“EMERGENCY”な雰囲気を醸し出す⑥は、前述の①と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
こんな傑作が、中古屋で3桁の値段で買えてしまうのだから日本は良い国(?)だなぁ、と。


Janstate - Shot to Pieces - C.u. in Heaven ★★★ (2013-12-26 23:49:13)

ドラマティックな泣きのバラード。
Voは決して上手くないのですが、声質自体が
泣いているので、この手のエモーショナルな
楽曲を歌わせると効果的にメロディの哀愁を
増幅してくれています。


Janstate - Shot to Pieces - Rising up ★★ (2013-12-26 23:46:10)

ヘヴィ・メタリックなGリフと疾走するリズムの上で
湿気ったメロディを熱唱するヘタウマVoと
それなりにドラマティックに絡み合うツインGとが
乗っかる様が、まさしく「ザ・ブリティッシュ」な1曲。


Janstate - Shot to Pieces ★★ (2013-12-25 23:12:04)

'93年~'94年頃といえば、ホストにハマったOLの如くゼロ・コーポレーションに湯水のようにお金を貢ぎまくっていた時期なのですが、そうした流れの中で購入したのが、イギリスはノース・デヴォン出身の5人組が'93年に発表したこの1stアルバム。(というか唯一作)
日本のみでCD化された作品ゆえ、ゼロからリリースされた中古盤がそれなりのプレミア価格で取引されている本作ですが、内容に関して正直に申さば、詰めの甘いプロダクションといい、フックに乏しい楽曲といい、「地味」の一言に尽きます。煮え切らない作風こそ英国バンドの証!と好意的に評価することも可能とはいえ、まぁ退屈な①が始まった時は「イモ引いた・・・」と購入したことを後悔しそうになりましたよ。
しかし、テクニック的には決して上手くはないものの、泣きを含んだ声質が涙腺を刺激するシンガーの歌唱や、いかにもヨーロピアンな翳りを湛えたメロディを紡ぐツインG等、キラリと光るモノを確実に持っていたバンドで、楽曲に関して言えばビッグなコーラスが耳を惹く②以降は、例えば疾走ナンバー③⑦や哀愁が滲む⑥といった正調ブリティッシュHM然としたツインGに牽引される楽曲や、泣きのバラード④⑨、湾岸戦争を題材にした10分に迫る大作⑩等の佳曲も見受けられて・・・って、あれ?こうして書いてて思ったけど、案外悪い作品じゃないですね、これ。


Janstate (2013-12-25 23:10:49)

'92年にイギリス、ノース・デヴォンはバーンスティブルにて、クライヴ・ジャン・バーネイジ(Vo、G)とデイヴ・ニール(B)を中心に結成。
最初に制作したデモテープがMETAL HAMMER誌でそれなりの評価を受けたことを切っ掛けにして、ラインナップを完成させると、同年暮れには早くもデビュー・アルバム『SHOT TO PIECES』を自主制作。
JETHRO TULLのマーティン・バレが所有するスタジオでレコーディング(マーティンもサックスでゲスト参加)が行われた同作は、'93年にはゼロ・コーポレーションとの契約を経て日本でもリリースされた。


STRYPER - No More Hell to Pay - Te Amo ★★★ (2013-12-20 23:46:17)

曲名はスペイン語で「I LOVE YOU」の意。
デビュー当時を思わす正統派へヴィ・メタリックなGリフ、
体を揺すられるイキのいいアップテンポのリズム、
シャープに伸びていくハイトーンVoと、光沢を帯びて
ドラマティックにハモる2本のG、そしてサビを彩るのは
天から降り注ぐような壮麗極まるボーカル・ハーモニー・・・と、
再結成STRYPERが生み出したド級の名曲。
ハレルヤ!


DEATH ANGEL - The Dream Calls for Blood - Fallen ★★★ (2013-12-20 23:20:09)

初期作に匹敵する突進力と、今の彼らだからこそ
生み出せる横ノリのグルーヴとが緊張感を伴って
絡み合う、アルバムでも1、2を争う秀曲です。


STRYPER - No More Hell to Pay ★★★ (2013-12-19 23:12:49)

復活以降はモダンさのアピールにも余念のなかったSTRYPERですが、カヴァー・アルバムやリメイク・アルバムの制作(来日公演も敢行)といったアクティブな活動を通じて己の原点を見つめ直したのか、久々に届けられたニュー・アルバム('13年)ではそうした不純物をごっそり浄化。よりシャープに、より歯切れ良く、ファンが理想とする「STRYPER像」に忠実なサウンドをクリエイトすることにのみ傾注してくれています。
闇を引き裂くマイケル・スウィートの鮮烈なハイトーンVo、JUDAS PRIESTばりの光沢を帯びた劇的なメロディを奏でるツインG、ソリッドに刻まれるリフ&リズム、そしてSTRYPERサウンドの要たる麗しき3声ハーモニーによって眩く彩られた楽曲群は、悪魔も裸足で逃げ出すホーリーっぷり。加えて、デビュー作『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』以来ともいえる正統派へヴィ・メタリックなハードネスを発散しており、特に本年度のベスト・チューン候補の疾走ナンバー⑦は、思わずキリスト教に入信したくなるほどのカッコ良さを誇っていますよ。
あえて苦言を呈するならば、重厚なミッド・チューンが連続する本編の立ち上がりが少々もたつくことぐらいでしょうか(尤も、楽曲自体はドラマティックで素晴らしい)。というか再結成STRYPER作品は「掴み」がどれも弱い印象が・・・。
ともあれ、全米チャートにおいても久々に好成績(初登場第35位)を記録したという話も「さもありなん」な充実作。


ONSLAUGHT - VI - 66 Fucking 6 ★★★ (2013-12-19 23:08:13)

図太くも禍々しい雰囲気漂うミッド・チューンですが、
乾いた音作りとキャッチーなサビメロの威力もあって
頭振りながらサクっと聴けるノリの良さが魅力。
是非ともライブで聴きたい。


ONSLAUGHT - VI - Chaos Is King ★★★ (2013-12-19 23:04:37)

殺気迸る怒号Voと、刻んで刻んで
刻みまくるリフ&リズム、暗い緊張感を
湛えたGソロが突貫し、アルバム全体に
対する期待値をいきなりマックスまで引き上げる、
OPナンバーとしての役割を十分に果たす名曲。


SPEEDTRAP - Powerdose - Redemption of Might ★★★ (2013-12-19 22:41:43)

MOTORHEADとDIAMOND HEADがデキ婚した結果
産み落とされた爆走ナンバー、みたいな。
メタルヘッドの魂に火を点す、回転の速いGリフの
カッコ良さに居ても立ってもいられませんて。


DEATH ANGEL - The Dream Calls for Blood ★★★ (2013-12-18 23:23:24)

同一コンセプトを元にして、同じスタジオ、同じチームでレコーディングが行われた、前作『RELENTLESS RETRIBUTION』の姉妹篇と言うべき'13年発表の8thアルバム。
だもんで、当然サウンドの方は「スラッシュ・メタルに基盤を置きつつも、バンドの幅広い音楽的素養が生かされた」前作の作風を踏襲するものとばかり思っていたのですが、実際にCDを再生してみると、流れ出すのはそうした安易な予想をしたこっちの顔面に「黙らっしゃい!」とばかりに鉄拳をブチ込む、デビュー作『THE ULTRA-VIOLENCE』にも匹敵する破壊力と突進力に溢れた暴力サウンド。特に1曲目から4曲目までのスピード・ナンバーによる情け無用の畳み掛けは圧巻で、その獰猛さ(と野生美)は、さながらアートワークに描かれた牙を剥く狼の如き。
無論、今の彼らが『THE ULTRA~』の再現に汲々とするわけもなく、ストレートに押しまくる一方で、メロディアスにも歌えるVo、多彩な表現力を備えたツインG、しなやかなグルーヴを構築するリズム隊を駆使して、巧みに演出される緩急/ダイナミズムにも手抜かりはなし。ラストにボーナス・トラックとして収められたBLACK SABBATHの名曲“HEAVEN AND HELL”は、そうしたバンドの懐の深さを物語る好カヴァーではないでしょうか。
現在のDEATH ANGELの好調ぶりがとっくりと体感できる1枚。


ONSLAUGHT - VI ★★★ (2013-12-17 22:33:20)

早いものでONSLAUGHTのオリジナル・アルバムはこれで6作目。とうとう解散前と再結成後にリリースされた作品数が肩を並べることになり、この安定した活動ペースは、もしかしてこのバンドってば解散前よりも今の方が順調なんじゃね?と思わせてくれます。
そうしたバンドの好調ぶりはアルバムの中身にも如実に反映。オリジナル・ドラマーが脱退し、エクストリーム・メタル畑出身の若手ドラマーがその後任に収まったとのニュースを聞いた時は、てっきり更にブルータルな方向へと歩みを進めるものとばかり思いましたが、出来上がった作品はあにはからんや。エキゾチック且つメロディアスな④、頑強なヘドバン・ソング⑥、スティーヴ・グリメット時代の楽曲をサイ・キーラーのVoで録り直した⑩や、2ndアルバム収録の代表曲のリメイク⑪といった楽曲を収録する等、寧ろオールドスクール風味が増強されていて(良い意味で)意表を突かれましたね。
そして決め所でズバッと投げ込まれる剛速球スラッシュ・ソングの球威も衰え知らず。ダーティなサイのVo、剛直なGリフと銃弾の如く撃ち出されるリズム、欧州風味のダークネスを纏ったGソロとが一塊にブッ込んで来る②⑤⑦⑨の尋常ならざるカッコ良さは、冒頭で述べたバンドの現在の「勢い」が形となって顕在化しているかのようです。
復活後の最高傑作ではないでしょうか。


SPEEDTRAP - Powerdose ★★★ (2013-12-16 23:29:35)

鋭利に刻まれるへヴィ・メタリックなGリフと、オカズ無用のハードコア/パンキッシュなリズムとを組み合わせて、昨今流行りのNWOTHMと言うよりは、もっと野蛮で原始的なHMサウンドを追求するフィンランドの5人組が、'13年に発表した1stフル・アルバム。
演奏の背後で薄く聴こえる「スーッ」というノイズに、何やらカセットテープを聴いてるような心持にさせられるアナログな音作りを施された本作。余計な贅肉を削ぎ落とし、直線的に突っ走る初期衝動もろ出しな作風で聴き手のケツを蹴り上げつつも、例えば回転の速いGリフが炸裂するOPナンバー①、しっかりと構築された歌メロが勇壮さを醸し出す②、前のめりな疾走感の中に、劇的なツイン・リードGが映える曲展開でひとヒネリを加えることを忘れない⑥といった楽曲に顕著に表れている通り、勢いで誤魔化すことなく、リフ/メロディ/曲展開にちゃんとフックを盛り込むことを忘れない姿勢が頼もしいじゃありませんか。
個人的にはストライク・ゾーンど真ん中の音というわけではないのですが、2枚、3枚と作を重ねる毎にどういった方向へ進んでいくことになるのか、非常に興味の沸く逸材ではないかと。


WESTWORLD - Cyberdreams - Look to See ★★★ (2013-12-14 00:40:06)

1st収録の“HEART SONG”、2nd収録の“LIMBO”
そしてこの曲と、彼らのバラード作りの上手さには
アルバム毎に泣かされっぱなし唸らされっぱなしですよ。
高音域から滲み出す哀愁が涙腺を直撃するトニー・ハーネルのVo、
アコギ爪弾かせても最高なマーク・リアリのG、
あと叙情性を効果的に増幅するKeyも良い仕事してますね。


WESTWORLD - Cyberdreams ★★★ (2013-12-14 00:24:20)

来日公演も行う等、着実にバンドとしての地歩を固めたWESTWORLDが'02年に発表した3rdアルバム。
この時期、メロディアスなサウンドを売りにしてたバンドがアルバム・タイトルに突然「CYBER」とかブっ込んで来た日にゃ、それだけで嫌な予感を抱かずにはいられませんでしたが、前作以上にモダンな方向へ振れた作風を提示してくるのでは・・・とのこちらの危惧を他所に、ここではファンがバンドに期待する「らしさ」と、新しいことを試みたいというミュージシャン・サイドの欲求とが上手くバランスを取ったサウンドが提示されていて、ほっと一安心。
例えばOPナンバー①は、横ノリのGリフとリズムは確かにへヴィではあるものの、その上でトニー・ハーネルが歌い上げるメロディは前2作に勝るとも劣らぬ切ない哀愁を発散。緊迫感を湛えたヴァースから一転、サビでは雲が晴れるような爽やかさを伴って展開する④、熱くダイナミックに盛り上がっていく⑤、バラード作りの巧さに定評のある彼らの手腕が光る⑥、それにTNT風味溢れるラスト・ナンバー⑪といった、このバンドならではの個性が刻印された名曲も収録。
本作をもってWESTWORLDとしての方向性を完全に確立したにも関わらず、これがラスト作になってしまったのが残念でなりません。


WESTWORLD - Skin - Limbo ★★★ (2013-12-12 23:32:17)

切々と歌い上げるトニー・ハーネルのVoも
良いのですが、この名バラードの白眉は間違いなく、
静かに、しかし狂おしいほどに咽び泣く
マーク・リアリの入魂のGソロでしょう。
聴く度に顔がくしゃおじさんみたくなってしまいますよ。


WESTWORLD - Skin ★★ (2013-12-12 22:53:35)

デビュー作が好評を得たことに気を良くして、レコーディング・プロジェクトから正式なバンドへと昇格を果たしたWESTWORLDが、'00年に発表した2ndアルバム。
味も素っ気もないアルバム・タイトルとアートワークに嫌な予感を覚えつつCDを再生してみれば、のっけの①から流れ出すのは、ダウナーな横ノリを伴って刻まれるリフ&リズム、それにエフェクトの掛けられたトニー・ハーネルのVo・・・。爽やかさや開放感が減退し、気だるげなへヴィネスが増強された、如何にも90年代の音楽的流行に寄り添った内省的な作風は、恐らくトニー主導で導入が進められたものと推察されますが、では本作が退屈な駄盤かと言えばさに非ず。
イントロで「うへぇ」となる楽曲にしても、ヴァースやサビメロ、ブリッジには必ずや胸を打つ哀愁のメロディが控えており、水彩絵の具で描かれた名画の如き泣きのバラード④以降は、雲間から陽光が差し込むようにダークな雰囲気はどんどん薄れていきます。ラストは往年のTNTを彷彿とさせる⑪で締め括られるので、聴後感も良好。
劇的な曲調にパワフルな歌唱がよく映える、本作ならではの名曲⑤に強く表れている通り、トニーのモダンさを好む性質と、マーク・リアリの素朴なメロディ・センス&円熟のGプレイとが、ギリギリのバランスの上で綱引きを行っているような感覚を覚える、実にスリリングな(?)1枚。


WESTWORLD - Westworld - Heart Song ★★★ (2013-12-11 22:16:22)

ハイトーンだけでなく表現力にも冴えをみせる
トニー・ハーネルのVoから、ここぞという場面で
炸裂するマーク・リアリの情感豊かなGソロ、
タメと間を生かしたジョン・オライリーのドラミング、
それに哀愁を倍増させるアコギとストリングス・アレンジまで
全ての要素が「泣きな~さぁ~い~」と語りかけて来るような
ドラマティックな名バラード。


WESTWORLD - Westworld ★★★ (2013-12-10 23:58:20)

RIOTでの活動に生涯を捧げた故マーク・リアリ(G)が、TNTのトニー・ハーネル(Vo)と共に立ち上げた唯一(だよね?)のサイド・プロジェクト、WESTWORLDが'98年に発表したデビュー作。
共通項があまり思い浮かばない組み合わせでしたが、結果的に提示された作品は、マークの持ち込んだハード・ロッキンなエッジと哀愁のメロディ、トニーが持ち込んだモダンなアメリカン・ロックのエッセンスとが見事に化学反応を起こした仕上がりで、よもやこのタッグから、ここまで良質なメロディアスHRアルバムが生み出されるとは思いませんでしたよ。
トニーが、自身に求められる期待にきっちり応えた(80年代の)TNT風味溢れるOPナンバー①、マークの円熟の域に入ったGプレイが光る⑤⑥⑩辺りは、このプロジェクトの真骨頂と言うべき楽曲。そしてクリアに伸びていく開放感溢れる歌声と、エモーショナルなメロディ・センスという両者の魅力が絶妙な融合をみた名曲④は、「あぁ、このアルバムを買って良かった」と思わせてくれる極上のバラードです。
TNTの最終作『REALIZED FANTASIES』にイマイチ満足行かなかったという方は、これ聴いて溜飲を下げるのも一興かと。


BILOXI - Let The Games Begin - Don't Cry No More ★★★ (2013-12-09 23:35:04)

元気なだけでなく、バンドのメロディ・センスの良さと
表現力の確かさ(特にVo)も遺憾なく発揮された、
アルバムのハイライト・ナンバーとの評価に違わぬ
名バラード。確かにSTRYPERっぽいですね。


BILOXI - Let The Games Begin - Run For Your Life ★★★ (2013-12-09 23:32:07)

疾走感溢れる曲調に華を添える
溌剌とした歌唱にフラッシーなG&Keyという
まさしくOPナンバーにぴったりな
爽快なHRナンバー。


BILOXI - Let The Games Begin ★★★ (2013-12-06 23:58:22)

その名の通り、アメリカはミシシッピ州ビロキシィ出身の5人組が'93年に米インディーズのASH AMERICAから発表したデビュー作。
張りのある声で溌剌と歌うVo、テクニカルなフレーズを流れるようにキメまくるツインG、カラフルに花開くKey、メンバー全員が歌える強みを活かした分厚いボーカル・ハーモニーとがハジけるように躍動するサウンドは、往年のSTRYPERを彷彿とさせる健康美を宿したポップ・メタル路線。(それをもうちょいハードポップ寄りにした感じ?)
レコードで言えばA/B面トップに当たる①⑥に爽快な疾走ナンバーを置いて「掴み」とし、後に続くのは、このバンドの武器であるキャッチーなメロディ・センスと壮麗なハーモニーが映えるハード・ポップ②⑦。更に土の薫りが漂う⑤や、各楽器の見せ場を盛り込んだハードな⑪を配して本編の流れのアクセントにしたかと思えば、産業ロック調パワー・バラード④と、乾いたアコギが大陸的な哀愁を運んでくる⑨といったタイプの異なるバラード2曲を収録する等、この手の作品に求められるツボをきっちり押さえた隙のない1枚。
とてもインディ・レーベルからリリースされた作品とは思えぬメジャー感を漂わせていて、デビューするのがあともう5年ほど早ければ、もっと然るべきリアクションが受けられたろうに・・・と、遅過ぎたデビューを惜しまずにいられません。


MAKE UP - Howling Will ★★★ (2013-12-05 23:22:24)

大ヒット・アニメ『聖闘士星矢』の主題歌を手掛けたことで知られるMAKE UPが'84年に発表した1stアルバム。
LOUDNESSの弟分的存在として、樋口宗孝のプロデュースを受けてデビューを飾った彼らですが、国内HR/HMシーンでも指折りのメロディ・メイカー、松澤浩明(G)がここで目指しているのは、(LOUDNESSとは趣きを大きく異する)エッジを残しつつも「聴かせる」ことを最重要視した、ポップでメロディアスなHRサウンド。
ガナったりシャウトに逃げたりしない、山田信夫の丁寧且つパワフルに歌い上げるVoを中核として、それを(作曲スタイル同様に)歌心溢れる松澤のGプレイと、リード楽器としての存在感も放つ河野陽悟のKeyとが華やかに盛り立てる本編は、突出したキメ曲は見当たらない代わりに、Keyによるドラマティックな幕開けからラストに至るまで、歌謡曲風味の哀愁とキャッチーさを宿したハイクオリティな名曲/佳曲が流れるように次々繰り出される隙のなさ。(経年劣化を感じさせない、地に足の着いた歌詞も○です)
MAKE UPのアルバムで単独でCD化されているのはコレのみ。非常に残念な話ではあるのですが、逆に考えれば、本作にはそれだけの価値があると認められているとも言えます。名盤。


Daemonia - Live in Tokyo - Phenomena ★★★ (2013-12-04 22:34:20)

ピアノとオペラティックな女性Voの共演による
荘厳な序盤から、切り裂くように入ってくる
シンセをきっかけに楽曲がスピードアップ。
野太い音色で唸りを上げるBと疾走するDsの上で
GとKeyがドラマティックなメロディを狂い咲かせる様は、
メロディック・パワー・メタルさながらの迫力。


Daemonia - Live in Tokyo - Demon ★★★ (2013-12-04 22:26:37)

愛すべきホラー映画『デモンズ』のテーマ曲。
冷ややかで禍々しく、でもキャッチーでノリノリな名曲。
ペールギュントの“山の魔王の宮殿にて”のメロディを
引用している辺りが、いかにもユーロ・プログレ・バンドの
手による作品っぽいですね。
「デモン!デモン!デ、デ、デ、デモン!」のコーラスを
一緒に唱和したくならない奴がいるでしょうか?


Daemonia - Live in Tokyo ★★★ (2013-12-03 22:03:27)

ホラー/サスペンス映画の劇伴を、プログレ/ハード・ロック調にリ・アレンジしてカヴァーするプロジェクト、DAEMONIAが'02年に行った来日公演の模様を収めた実況録音盤。
映画雑誌で(音楽雑誌ではなく)ライブ・リポートを読んだ時にゃ「行きたかった!」と臍を噛みましたが、後に本作がリリースされたので結果オーライ・・・と思いきや、美しく/禍々しく/繊細に/破壊的に、サウンドを変幻自在に彩るクラウディオ・シモネッティの鍵盤捌きを中心に、精緻な演奏力を結集して繰り出される名曲の数々、そして大盛り上がりの観衆の反応を聴いたら、余計に「やっぱり行きたかった!」と枕を濡らす羽目になりましたよ。
バンマス役を担うのは勿論シモネッティですが、楽曲はしっかりとビートを効かせてハードにカヴァーされています(ちなみにドラマーはイタリアのプログレ・メタル・バンド、DGMの2代目シンガーとして知られるティッタ・タニ)。
中でも、荘厳かつ邪悪な③、ひときわ観客の熱い反応を呼び起こす『ハロウィン』の④から『エクソシスト』の⑤へと繋がる名曲メドレー、バッハの代表曲をパワフルにカヴァーした⑨、HR然とした熱気を帯びてドラマティックに盛り上がる⑪、そしてラストを怒涛の如き迫力で締め括る⑱といった楽曲は、メタル者にもアピールし得る音圧と熱量、それにエキサイトメントが備わった逸品。
無論、それ以外の楽曲だって劇的な音楽好きなら必ずや心震わされるであろう珠玉の名曲揃いで、映画ファンとプログレ・ファンだけの物にしておくのは勿体ないライブ盤であります。


Daemonia (2013-12-02 22:39:27)

GOBLINのメンバーにして、HR/HMファン的にはイタリアのプログレ・メタル・バンドDGMの作品等を手掛けたプロデューサーとしても知られるクラウディオ・シモネッティが、盟友のダリオ・アルジェント監督作品やGOBLINの作品を中心に、ホラー映画の音楽に独自の解釈を加えてカヴァーするために立ち上げたプロジェクト。
'00年にデビュー作『DARIO ARGENTO TRIBUTE』を発表し、'02年には同作を引っ提げて来日公演を敢行。この時の模様は翌年リリースのライブ盤『LIVE IN TOKYO』で聴くことができる。


Harlequin - One False Move - It's a Woman You Need ★★★ (2013-11-30 00:33:40)

アルバム収録曲中、最も濃厚な哀愁を背負って
本編を締め括る名曲。透明感を湛えたKeyが
アメリカン・プログレ・ハード的な雰囲気も演出します。


Harlequin - One False Move - I Did It for Love ★★★ (2013-11-30 00:31:44)

アルバムの幕開けに相応しいアップテンポのナンバーですが、
HR的な感触よりも、お洒落でキャッチーなノリの良さが強調されていて、
アメリカでの成功を狙うバンドの野心が透けて見える仕上がり。
いやでも、これがメロディアスで実に良い曲。
この時期のバンドの「ノリにノってる感じ」が伝わってきますね。


Harlequin - One False Move ★★★ (2013-11-28 23:37:31)

1st『VICTIM OF A SONG』がゴールドを、続く2nd『LOVE CRIMES』がプラチナムをそれぞれ獲得・・・と、本国カナダにおいては確固たる地位を確立するに至ったHARLEQUINが'82年に発表し、日本デビュー作ともなった3rdアルバム。
『愛は危険な夢遊歩行』なる、言葉の意味はよう分からんがインパクトは十分な邦題を付けられた本作は、再びタッグを組んだ売れっ子プロデューサー、ジャック・ダグラスとの共同作業も一層磐石なものとなり、もはや勝ち組バンドとしての風格さえ漂ってくるようです。キャッチーなメロディと心地良い疾走感とがブレンドされたOPナンバー①の素晴らしさなんて、余裕はあっても慢心のないバンドの充実っぷりを伝えてくれる名曲。
サビのリフレインが印象的な躍動感溢れる④⑦や、ハスキーなVoと哀愁振り撒くG、Keyが叙情性を増幅する⑩等、ハーモニーとメロディを増量することによりサウンドの洗練に磨きを掛ける一方で、インスト・パートが主役を張るプログレ/70年代HR的な構築美と重さを併せ持つ⑤のような楽曲も収録するなど、相変わらず、そのサウンドはポップでありながらしっかりとした背骨も通されています。硬軟のバランスが取れた曲作りの上手さには、「流石、カナディアン・メロディスHRの雄」と感心させられることしきり。
アメリカでの成功を果たせなかったことから、メンバー的にはイマイチ不満足な作品らしいですが、いえいえ。これの国内盤も是非再発して欲しかったなぁ。


Harlequin - Love Crimes - It's All Over Now ★★★ (2013-11-27 21:59:26)

カナディアン・メロディアス・ハードらしい
哀愁と躍動感が滲み出す、アルバムでも1、2を争う名曲。
バックに埋没せず、かといって出しゃばり過ぎもしない
ツボを心得たKeyの活躍ぶりが素晴らしい。


Harlequin - Love Crimes - Love on the Rocks ★★★ (2013-11-27 21:56:45)

「ポップ・バンドと舐めるなよ」との
バンドの気概が具現化したドライヴするロック・ナンバー。
それでいてメロディのフックや細かいアレンジにも
気配りが行き届いている辺り、感心させられます。


Harlequin - Love Crimes ★★★ (2013-11-26 22:19:39)

BOSTONの成功に端を発するアメリカン・プログレ・ハードのムーブメントの盛り上がりに、カナダより参入したHARLEQUINの最高傑作との評価を戴く、'80年発表の2ndアルバム。
AEROSMITHやCHEAP TRICKの成功にも貢献したジャック・ダグラスがプロデュースを担当してるだけあって、少々オヤジ臭い声質ながらも確かな歌唱力を備えたVo、ハードなGとポップなKeyが適切にバランスを取って展開するカラッと快活なメロハー・サウンドのクオリティは相当なもの。
甘さだけでなくHR的な骨太さをアピールする②、産業ロックの様式美というべき軽やかなKeyワークに胸躍らされる④、青空の下、オープンカー運転してる時にこんな曲がラジオから流れてきたらさぞかし気持ち良いだろうな~と思わせてくれる⑦⑨⑩等、ほんのり欧州風味の湿り気を帯びたメロディと、大陸的な爽やかさ/ノリの良さを併せ持つ楽曲の数々は、これぞまさしくカナディアン・メロディアスHRの王道!といった趣きで、耳に良く馴染みます。
再発ブーム華やかなりし90年代後半にはここ日本でCD化(世界初)もされた本作は、恐らくこのバンドのカタログの中では最も入手が容易な1枚。中古屋で見かけたら是非どうぞ。


Harlequin (2013-11-26 07:30:15)

'75年、カナダはマニトバ州ウィニペグにて、ラルフ・ジェイムス(B)とジョージ・ベランガー(Vo)らによって結成。
デモテープを制作した後、ツアーで訪れたトロントのバーで演奏している姿が、偶然その店に来ていた売れっ子プロデューサーのジャック・ダグラスの目に留まり、彼の助力もあってCBS/EPIC RECORDSとのディールが成立。'79年に1st『VICTIM OF A SONG』でデビューを飾る。
同作はカナダ国内でゴールド・ディスクを獲得するヒット作となり、以降バンドは、最高傑作と名高い2nd『LOVE CRIMES』('80年)、日本デビュー作となった3rd『ONE FALSE MOVE』('82年)、最終作の4th『HARLEQUIN』('84年)を発表。
'86年にリリースされたベスト盤を最後に解散の道を選択しているが、多くのベテラン・バンド同様、00年代に入って再結成。'06年にはそれまでの功績が認められ、カナダにおいて音楽の殿堂入りも果たしている様子。


FASTWAY - Waiting for the Roar ★★ (2013-11-23 00:12:35)

FASTWAYと言えば、若き日のロバート・プラントを彷彿とさせるデイヴ・キングの情熱的なVoと、エディ“ファスト”クラークの骨太にして豪快なロックンロール・センスとが、ガップリ四つに組んだ1stが代表作として知られていますが、自分が持ってる彼らのアルバムは(なぜか)'86年にリリースされたこの3rdのみ。でも一体いつ買ったのかはさっぱり思い出せねぇ・・・。
深めにリヴァーブがかけられたポップな音作りに、シンセを大胆に組み込むことでメロディアス且つスケールの大きなアレンジを施された本編は、一般的にFASTWAYの名を聞いて想起するサウンドとは大きく趣きが異なる。初期作に収録されていたならさぞかしハマったであろうジャニス・ジョプリンの名曲④のカヴァーが、ここでは今ひとつ馴染んで聴こえないこともその証左かと。
前作のセールス的不振を踏まえて、プロデューサーのテリー・マニング主導でレコーディング作業が進められた結果、こうした80年代的モダンさ漂う作風へと至ったらしいのですが(作中でシンセ弾いてるのも彼)、いやでもこれはこれで案外悪くない。58人編成のオーケストラを起用して、OPからいきなり6分を越えるドラマティックな大作ナンバー①や、ストリングスが非常に効果的に取り入れられている②、デイヴの熱唱に涙ちょちょ切れるバラード④といった思わず前に身を乗り出す名曲を収録されていますからね。
「FASTWAY流アリーナ・ロック」(?)という、実験的な試みがきっちりと成果を上げている意欲作ではないでしょうか。


FERGIE FREDERIKSEN - Any Given Moment - Any Given Moment ★★★ (2013-11-23 00:02:03)

伸びやかなVoとG、
さりげなく合いの手を入れるKeyが
透明度の高い哀愁を漂わすメロハー・ソング。
作曲はジム・ピートリックと聞かされて
この名曲っぷりも納得ですよ。


MORNING STAR - Venus - Angel ★★★ (2013-11-21 22:27:32)

オーバードーズで死去したDEEP PURPLEの
トミー・ボーリンに捧げられている、
哀愁に満ちたOPナンバーにしてアルバムのハイライト。
歌とコーラスとギターとが泣きまくる様は
同時期のKANSASを彷彿とさせる部分多し。


MORNING STAR - Venus ★★ (2013-11-20 23:35:59)

華々しい成功とは全く無縁でありながら、メロディ愛好家からは未だに「隠れた名バンド」として語り継がれるアメリカはカンザス州出身のMORNING STARが、'78年に米メジャーのCOLOMBIA RECORDSから発表した2ndアルバム。(ずっと探し回っていたのですが、漸く手頃な価格で購入することができました)
リチャード・コーベン画伯を起用して、名画『ヴィーナスの誕生』をパロった遊び心溢れるアートワークでバンドのプログレ・マインドを主張しつつも、デビュー作がコケたことによりレコード会社からの「もっと売れる作品を作れ」とのプレッシャーが増大したのか、本作では哀愁や泣きよりも快活でアメリカンなノリの良さを強調。60~70年代の大ヒット曲をカヴァーした②⑦の存在も、ハードネスが後退してよりポップ風味を増した本編のそうした印象に拍車を掛けています。
尤も、シンプルなロックンロール系の楽曲にしても、このバンドらしくメロディ/アレンジ共にセンス良くまとめられており(あんまし泥臭くない)、決してクオリティは低くありません。何よりOPから早くも泣きまくりの哀愁が溢れ出す①、欧州風味の湿ったドラマ性を湛えた⑤、本編中、最も「アメリカン・プログレ・ハード」の音像に忠実な仕上がりの⑨といった要所を引き締める名曲の素晴らしさは特筆モノ。
前作に比べるとインパクトでは劣りますが、それでも、前述の名曲聴きたさに今でも時々引っ張り出させるだけのクオリティは備わった好盤です。