現在はプロデューサーとして活躍するロバート・ホワイト・ジョンソン(Vo)と、HR/HMファン的には「MEGADETHの『THE SYSTEM HAS FAILED』でベースを弾いていた人」として知られるジミー・リー・スロースを中心に結成された、アメリカの4人組が’82年にEMI RECORDSから発表した1stアルバム。 KeyをフィーチュアするAOR/産業ロック・サウンドに基本的な軸足を置きつつ、メタル者の耳にも十分訴えかけて来るハードネスと重量感(ジミー・リーの骨太なBプレイの貢献大)をも兼ね備えた隙のない1枚で、後に、劇的なOPナンバー①をBLACKFOOTが、ノリ良くキャッチーな②をVAN ZANTが、ポップでメロディアスな④をTYGERS OF PAN TANGが、そして爽快ハードポップ⑥をマーク・ファーナー(GRAND FUNK)がそれぞれカヴァーしている事実からも、本作の比類なき完成度の一端を窺い知ることが出来るのではないでしょうか。 「色々なバンドがカヴァーしてる元ネタの宝庫」的な印象を持っていた本作ですが、実際に聴いてみると、上記以外の楽曲も素晴しいのなんのって。とにかく、思わず一緒に歌いたくなるアンセム調の楽曲から、キャッチーなメロディが胸を打つハードポップ・チューンまで、粒揃いの逸曲がズラリ並んだ名盤。当然のように捨て曲もなし。 現在ではMTM CLASSICシリーズの1枚としてCD化されていますので、機会がありましたら一度是非。
ロバート・ホワイト・ジョンソン(Vo)と、ジミー・リー・スロース(B)が70年代末期に出会ったことを切っ掛けに誕生。 程なくマーク・ゲンデル(G)、トミー・ウェルズ(Ds)らが加入してラインナップが完成すると、EMI RECORDSと契約を結び、'82年にセルフ・タイトルの1stアルバムを発表してデビューを飾る。 BLACKFOOTもカヴァーした名曲“LEGEND OF NEVER DIES”が好評を博すも、EMIとの関係悪化に伴いバンドはWARNER BROS.へと移籍。 '84年には2nd『PHONOGENIC』を発表するが、不運にもこの時期は同レーベル所属の大物アーティスト達の新作リリースが相次いでいたため、彼らのアルバムは十分なプロモーションを受けられないまま埋もれてしまうことに。 バンドはデモ作りのために再びスタジオ入りするが、結局、その後間もなく解散の道を選択している。(その時録音された音源は、後にCDにボーナス・トラックとして収録された)
当時、ヒットチャートを賑わせていたLAの名うてのミュージシャン達が集結した豪勢なレコーディング環境、そして何より卓越した作曲家としての才能が注目を集めた、カナダ出身のシンガー・ソングライター、デヴィッド・ロバーツ、'82年発表の1stアルバム。 自分は'08年リリースの2nd『BETTER LATE THAN NEVER』を先に聴いてから、遡って本作を購入したのですが(何しろ1stは長らく入手困難な状態が続いていたので)、やっぱりこの頃は若い。いや四半世紀ぶりの2ndでも瑞々しさは失っていませんでしたが、この頃は更に輪をかけてピチピチしている印象で、歌声にしろ楽曲にしろアレンジにしろ、溌剌として、明日への夢と希望でパンパンに膨らんでいる感じ(?)。 フレッシュにハジける①⑤、ジェフ・ポーカロの豪快なドラミングからスタートする③なんてその最たる例に挙げられる名曲ですし、サビのメロディ展開が印象に残る②、甘くロマンティックなバラード⑦、ポップに弾むキャッチーな⑧なんかも、後にダイアナ・ロスら、著名なアーティスト達がカヴァーしたのも納得の魅力的な仕上がり。 よくぞ再発してくれました。感謝。
同名のバンドがちらほら存在しますが、彼らはオハイオ州はクリーブランド出身。結成は'84年で、'85年にセルフ・タイトルのEPを制作。ラインナップはジェフ・ハットリックス(Vo)にマーク・アレクサンダー(B)、グレッグ・ペリー(Ds)、それにケニー・イーストリー(Ds)の4人。 '86年にはサイドGを加えてAUBURN RECORDSから1stフル『TIDE TO THE TRAX』をリリース。こちらはBURRN!!の輸入盤レビューでも取り上げられ、「ブラッキー・ローレスを踏み潰したような顔」のジャケットのイラストとシンガーの下手さがいじられていました。(点数はあんまり良くなかったような) バンドはその後間もなく解散。Voは自己のバンドHATRIXを結成、ケニー・イーストリーはMYSTIK(良いバンドでした)に参加して日本デビューも飾るなどそれぞれの道を進むが、'03年にリユニオン。ただ、その後も音源発表には至っていない様子。
BURRN!!誌のレビューで90点台の高得点を獲得したことで知られる'87年発表の3rdアルバム。 ドスを効かせたレザー・レオーネの男前な歌いっぷり、益々精度を高めたデヴィッド・T・チャステインのテクニカルなGワーク、ダイナミックに暴れ回る手練のリズム隊をフィーチュアした本作は、ダークでアグレッシブ・・・まぁ要するにド直球の「SHRAPNELメタル」としか表現のしようのないパワー・サウンドを、相変わらず迷いなく突き進んでいて頼もしい限り。 ただ、前2作と比較した時(特にアップテンポの楽曲において)平板な歌メロのフックの弱さが気にならなくもないかな? それでも、そうした弱点は聴き進めるに従って徐々に改善されていき、ミスティックなヘヴィネスが渦を巻く⑤、音数多めのケン・メリーのドラミングが冴える⑥、レザー姐さんのパワフルな歌唱が聴きモノの⑦、各楽器の見せ場が盛り込まれた⑧、そしてラストをドラマティックに盛り上げてアルバムの幕を引く⑨・・・といった具合に、本編中盤以降は力瘤る名曲の連発にテンションうなぎ上り。このアルバムに関して言えば、疾走曲よりもタメの効いたヘヴィ・ナンバーの方がカッコイイ印象がありますね。 音作りも旧作と比べて幾らか進歩の跡が伺えますので、次作『THE VOICE OF THE CULT』と併せてCHASTAIN入門編にお薦めする1枚です。