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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 401-500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 401-500

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SAGA - Live in Hamburg ★★★ (2021-08-05 00:55:05)

'18年に惜しまれながらも解散ツアーを行い、40年以上に及ぶキャリアに堂々終止符を打ったカナダ出身プログレ・ハード・バンドの古豪SAGA。本作は彼らが'15年にドイツのハンブルグで行ったショウの様子をCD2枚組に収録、翌年発表した実況録音盤です。
代表曲“ON THE LOOSE”を筆頭にセットリストは初期の名曲を中心に編まれているとはいえ、プログレ系バンドのライブということで、観客は熱心に演奏に聴き入って曲終わりに歓声を上げる程度でライブは比較的淡々と進行していく…なんて光景を想像していたのですが(偏見)、ところがどっこい。本作で繰り広げられているのは、観客によるコーラスの合唱や、バンドとの息の合った掛け合い等、ステージ上と客席のエネルギーの交換がしっかりとフィーチュアされた熱気溢れるパフォーマンス。これはマイケル・サドラー(Vo)によるドイツ語のMCや、観客とのアットホームなやり取りを始め、昔からSAGAがドイツのファンを愛し(何せ解散公演の地としてもドイツを選んだぐらいで)、ドイツのファンもまたSAGAを愛したことの証であると共に、彼らが過去にクリエイトしてきた楽曲の数々が、いかにキャッチーな魅力を有しているかの証明ではないかと。張り良し伸び良しのマイケル・サドラーの歌声を始め、経年劣化をまるで感じさせないメンバーの熱演に煽られる、名曲“DON’T BE LATE”や“ICE DREAM”、スリリングな“CAREFUL WHERE YOU STEP”辺りの盛り上がりには相当にグッとくるものが有りますよ。
日本では過小評価に泣いたSAGAですが、彼らの実力と人気の一端を知るのにお薦めの1枚。月並みな台詞ですが「入門盤にいかがでしょうか」


MEGADETH - That One Night: Live in Buenos Aires - Hangar 18 / Return to Hangar ★★★ (2021-08-04 00:45:47)

名曲なのは今更言うまでもないことですが、
冒頭から印象的なメロディはもちろんGリフまで歌い
更には曲のブレイクに合わせてMEGADETHコールを送る
観客の隙の無い盛り上がりに煽られて、バンドの演奏が
終盤に向けてどんどんテンションを高めていく様に
アガらずにはいられません。


MEGADETH - That One Night: Live in Buenos Aires ★★★ (2021-08-03 00:08:25)

拡散傾向にあったサウンドの焦点を再びHMに集約することで、鮮やかにMEGADETH復活を印象付けた会心作『THE SYSTEM HAS FAILED』。本作は同アルバム発表後、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで'05年に開催されたPEPSI MUSIC FESTIVALにてMEGADETHがトリを務めた際のパフォーマンスの模様を収録する2枚組実況録音盤。
デイヴ・ムスティン(Vo、G)以下、グレン・ドローヴァー(G)、ショーン・ドローヴァー(Ds)、ジェイムズ・マクドノフ(B)というラインナップで行われたこの時のライブが、未だMEGADETHの看板を掲げての活動に逡巡を覚えていたというデイヴに、バンド存続を決意させる決定打となったことはよく知られており、それを踏まえて本作を聴くと、そりゃこんだけ観客が熱狂してくれてたらデイヴも考えを改めるわな、と。
いやまぁとにかく歌う歌う。南米メタルヘッドの隙あらば歌いまくる姿勢は、例えばブラジルでレコーディングされたIRON MAIDENのライブ盤諸作でも広く周知されていますけど、アルゼンチンのメタルヘッド、そしてMEGADETHファンもその点では一歩も引けを取りません。コーラスやツインGのハーモニー・パートを合唱するのは当たり前。挙句に、曲によってはGリフまで歌ってしまうのだから凄まじい。特に“HANGER 18”や“狂乱のシンフォニー”における盛り上がりは圧巻で、テンションが高まりきったタイミングで炸裂する後者において、リフの刻みに合わせ「MEGADETH!MEGADETH!I WANT TO MEGADETH!」と絶妙なコールを入れる様にはゾクゾクさせられますよ。
タイトな演奏を繰り出すバンドだけでなく、観客に対しても敬服せずにはいられない1枚。


TYKETTO - Live From Milan 2017 - Wings ★★★ (2021-07-29 23:25:42)

“FOREVER YOUNG”と並ぶ1stアルバムのハイライト・ナンバーで
観客も「待ってました!」とばかりにサビメロを大合唱。
本ライブ盤のハイライトを盛り上げてくれています。


TYKETTO - Live From Milan 2017 ★★★ (2021-07-28 23:59:23)

所属レーベルのFRONTIERS RECORDSがイタリアのミラノで主催したイベント、FRONTIERS ROCK FESTIVAL ⅣにTYKETTOが参戦した際のパフォーマンスを収録したライブ盤。’17年発表
1st『DON’T COME EASY』(’91年)は名盤で“FOREVER YOUNG”も名曲だけど、ヒット・チャート上位を賑わす程の成功を収めたわけじゃなし、ヨーロッパにおける彼らの人気の程がイマイチよく分からず、しかもこの時のライブは2番手出演だったというじゃありませんか。結構な金額払ってショボい内容だったら敵わんなぁ…とかグチグチ思いながら再生した本作でしたが、結論から言えば心配は完全な杞憂に終わりました。
スペシャル・セットリストとして『DON’T~』から全曲披露(曲順はアルバムの最後から最初へ遡っていく構成)されているライブは、1曲目から観客が大歓声で盛り上がりまくり。キメの名曲である“FOREVER YOUNG”は当然にしても、それ以外の楽曲に関してもダニー・ヴォーン(Vo)が客席にマイクを預けると即座に大合唱が返ってくるのですから、「これならライブ盤として残したくなるわなぁ」と。無論楽曲の良さのみならず、バンドの熱演がその盛り上がりを支えていることは言うまでもなく、特にパワーを落とすことなく最後まで歌いきるダニーのVoは本作の大きな聴き所。そうした再結成後の精力的なライブ活動に裏付けられたバンドのパフォーマンスと、打てば響く客席の反応が最高潮に達する⑨⑩⑪の流れからは、懐メロ・バンド的緩慢さとは無縁のエネルギーが迸っていますよ。
舐めてたことをバンドに謝罪したくなる、「記録よりも記憶に残るバンド」TYKETTOの強さが発揮されたライブの好盤です。


QUIET RIOT - Rehab - Evil Woman ★★★ (2021-07-27 23:10:59)

QUIET RIOT版“MISTREATED”…違うか。
歌神グレン・ヒューズを向こうに回して
一歩も引かない熱唱を炸裂させるケヴィン・ダブロウは
やはり得難いシンガーであったとつくづく実感させられる名曲です。


QUIET RIOT - Rehab ★★★ (2021-07-27 00:39:56)

3度目の復活を果たしたQUIET RIOTが'06年に発表した、多分10枚目?11枚目?ぐらいのアルバム。そして'07年にオーバードーズによりケヴィン・ダブロウ(Vo)が急死したことで、彼が歌った最期のQRのアルバムともなりました。(バンド自体は現在も存続)
オリジナル・メンバーで残っているのはケヴィンとドラマーのフランキー・バネリのみ。そのフランキーも’18年に膵臓ガンで死去しており、本作にプレイを刻んだ二人が既にこの世にはいないことを思うと何やらセンチな気分に囚われてしまいます。弦楽器隊はLANA LANEでの活動で知られるニール・シトロン(G)と、ベテランのトニー・フランクリン(B)のヘルプを仰いでいて、バンドというよりはほぼプロジェクトの様相を呈していますが、歳月を重ねても変わらぬクドさを保ち続けている、ブラッキー・ローレス、ロン・キールと並ぶ「LAメタル三大濁声シンガー」の一人(と勝手に認定)であるケヴィンのVoと、フランキーの音数多めのドラミングという、個性の塊みたいなご両人のパフォーマンスがクッキリと楽曲にQR印を刻印してくれているという。
ヘヴィなGリフが投げやりに刻まれるOPナンバー①こそ90年代の流行りを引き摺っている感じなれど、憂いを帯びた重厚な②、多彩なフィルで曲の隙間を埋めるフランキーのドラミングが印象的な④、ソウルフルなロッカ・バラード⑤、そしてゲスト参戦のグレン・ヒューズと白熱の歌合戦を繰り広げるケヴィンのシンガーとしての実力に改めて瞠目させられる⑪といった楽曲が物語る通り、デビュー当時のパーティ・メタル路線から一皮むけた、アダルトかつ重量感溢れるHRサウンドが楽しめる1枚に仕上がっています。


VENOM - Welcome to Hell - Witching Hour ★★★ (2021-07-23 01:52:02)

アバドンのドタバタとしたドラムは決して巧かないのだけど、じゃあこれを
上手い人が叩けばもっとカッコ良くなるかと言えば、さにあらず。
VENOMのマジックが詰まった、元祖スラッシュ・メタルの名曲。
WITCHING HOUR!


VENOM - Welcome to Hell ★★★ (2021-07-22 01:11:14)

クロノス、マンタス、アバドンの暗黒トリオにより’81年にNEAT RECORDSから発表されるや、良くも悪くも世間に衝撃を与えたVENOMのデビュー作。世界初のスラッシュ・メタル・アルバムであり、後のデス/ブラック/エクストリーム・メタルの直接的なご先祖様でもあるエポック・メイキングな1枚・・・なんてのは今更言うまでもないことですかね。
ダビングを重ねたカセットテープみたいな劣悪な音質、悪魔と黒魔術(あと下ネタ)を題材に取ったインモラルな歌詞世界をメロディがん無視で吐き捨てるダミ声Vo、ダーティでノイジーなG、ドッタンバッタン暴れ回るDsといった下手糞…もとい破れかぶれな演奏等々、良識派の眉を顰めさせる最悪の要素を結集させたら、なぜか最高の作品が出来上がってしまった本作は、VENOMの「1+1+1は3じゃないぞ。俺達は1+1+1で300だ。10倍だぞ10倍」という小島聡ばりのシャウトが轟いてきそうな仕上がり。
それでいて単なるインパクト勝負の出オチ作品に終わっていないのはメンバーの確かな曲作りの才があったればこそ。厳めしくもキャッチーなアルバム表題曲②、MOTORHEAD風味色濃い③、VENOMが紛れもなくNWOBHMの一員であることを物語るGリフ主導で突っ走る⑥等、本編は聴き込みに耐え得る秀曲を多数収録。とりわけアバドンのド天然なドラムに乗ってドカスカ突進する⑤は名曲も名曲で、クロノスの「WITCHING HOUR!」の絶叫と共にGソロが走り始める場面のカッコ良さは何度聴いてもゾクゾクさせられますよ。
個人的にはクロノス時代のVENOMといえば、次作『BLACK METAL』よりも本作を推す次第。国内盤がSHM-CD(!)でリイシューされていますので、見かけたら是非。


EVILE - Hell Unleashed - War of Attrition ★★★ (2021-07-21 01:27:31)

刻んで刻んで刻みまくるGリフに、せかせかと突っ走るリズムが
「これぞスラッシュ!」なカタルシスをもたらしてくれるスピード・ナンバー。
演奏に埋もれがちなオルのVoがちと惜しいのですが、その分スリリングに駆け巡る
ツインGの方で埋め合わせをしてくれるので、まあいいかと。


EVILE - Hell Unleashed ★★★ (2021-07-20 01:03:40)

オルとマットのドレイク兄弟を中心に結成され、00年代に盛り上がったスラッシュ・メタル復権の波に乗り人気を博したアメリカ出身の5人組、EVILE。ツアー生活に燃え尽きてオルが脱退してからこっち、プツリと音信が途絶えてしまっていた彼らが、オルの復帰/入れ替わるようにマットが脱退/後任は迎えずオルがVoとGを兼任する4人編成へ…というメンバー・チェンジを経てレコーディングを行い、'21年に久々に発表した5thアルバム。
勿体ぶった前置きは抜きに、開始早々からフルスロットルで突っ走るOPナンバー①と、ラストをこれまたスピーディに締め括る表題曲⑨が叩きつけて来る通り、本作では初心に立ち返ったかの如く、頭からケツまで全力で走り抜けるスラッシュ・サウンドを実践。刻みの細かいリフに、緩急を盛り込みダイナミックに曲展開を支えるリズム、その間隙を縫ってスリリングに閃くツインG…と、彼らがここまで衒いなくスラッシュしてくれているのはデビュー作以来じゃないでしょうか。
唸るような怒号主体のVoは前任者に比べると少々魅力に欠けるのですが、思うにシンガーとしてもっとテクニカルなマットが本作でも歌っていたらば、これほどスラッシーな内容にはならなかった――あるいはできなかった――のではなかろうか?と。オルがVoを取ることで逆にストレートなスラッシュ・メタル・テイストが強調される形となったのだったら結果オーライ(無論、要精進ですが)。スピーディ且つアグレッシブな曲調にツインGが印象的に斬り込んでくる④なんて、ブランクを全く感じさせない名曲ですよ。
気合の入った帰還の挨拶に顔が綻ぶ1枚であります。


Marta Gabriel - Metal Queens - Call of the Wild ★★★ (2021-07-16 00:22:39)

オリジナルは女性シンガーのマリアンを擁した
ニューヨーク出身の正統派HMバンド、BLACKLACEが
'84年に発表した1stアルバムのOPナンバー。
よくぞこの名曲をチョイスしてくれました、という
マルタ・ガブリエルの選球眼の良さが光ります。


Marta Gabriel - Metal Queens ★★★ (2021-07-14 23:54:23)

ポーランドが誇るメタル・ゴッデス、マルタ・ガブリエル(Vo)が'21年に発表した初めてのソロ・アルバムは、そのものズバリなタイトルが表す通り、若き日の彼女に絶大な影響を与えた、リー・アーロン、ドロ・ペッシュ、アン・ボレイン、レザー・レオーネといった女性シンガーのパイセン方へリスペクトを捧げるカヴァー曲集となっています。
CRYSTAL VIPERでも熱心なメタル愛を開陳してきた彼女ゆえ、選曲はかなりマニアック。WARLOCK、CHASTAIN、HELLIONの鉄板どころを始め、ZED YAGO、ROCK GODDESS、果てはスペインのアズセナ・マルティン擁したSANTAや、バーバラ・マルティーズ率いるMALTEZEまでフォローしているのですから、その掘り下げぶりには「マニアだねぇ」と感心せずにはいられません。MALTEZEなんて本作聴くまで(あと失恋船長さんのレビュー読むまで)存在すら忘れていましたよ。確かギタリストは日本人でしたっけ?
好きが高じてのカヴァーゆえアレンジは完コピが基本。ツボを押さえた選曲センスに加え、スピード・メタリックな①(ACID)、アルバムのリーダー・トラック②(リー・アーロン)、アンセミックな⑦(MALTEZE)、色物扱いは勿体ないストレートなカッコ良さが詰まった⑧(ウェンディ・O・ウィリアムズ)、そして本編のハイライト③(BLACKLACE)といった名曲を自分のモノとして堂々歌い上げるマルタ姐さんのVoからは、過去に相当歌い込んで来たであろうことを伺わせる、カヴァー対象に寄せる深い理解と愛情が迸っています。
単なるカヴァー・アルバムというよりは、部室で先輩が手ずから編集したお好みテープを聴いているような錯覚に陥る1枚。マルタ・ガブリエルに対する好感度爆上げ待ったなし。


ANVIL - Absolutely No Alternative - Old School ★★★ (2021-07-13 23:52:22)

愚直なタイトルそのまんまに、ゲンコでガンガンぶん殴りに
くるような迫力に満ちたパワー・ナンバー。
ドラムキットと格闘するロブの姿が目に浮かぶような
ギュウギュウに音数を詰め込んだドラミングが痛快です。


ANVIL - Absolutely No Alternative ★★★ (2021-07-12 22:49:34)

前作のジャケットではアコギをぶっ壊していましたが、今回はオーディオを完膚なきまでに破壊する金床ジャケットが目印の’97年発表の8thアルバム。
『断じてオルタナティブに非ず』という表題が力強く宣言する通り、本作でも徹頭徹尾、オールドスクールなパワーメタル・サウンドが炸裂。何せOPナンバー①のタイトルからして“OLD SCHOOL”というヒネリのなさ。この直球勝負の姿勢は楽曲の方にも反映されていて、重厚感を増した音作りの下、耳に突き刺さるリップスVo、手の骨折を押して弾きまくるG、相変わらずの音数の多さで荒れ狂うロブのDsとが、これまで以上にヘヴィネスを伴い押し寄せる様は、群がる観衆を蹴散らしながら花道を入場してくる昭和の外人プロレスラーばりの威容を誇っています。特に①における、2、3曲分の音符を無理やり1曲の中に詰め込んだみたいなロブのリード・ドラムっぷりは笑っちゃうぐらいに圧巻。
「元祖スラッシュ・メタル」と評される一方で印象的なメロディも散りばめられていた80年代の作品群に比べると、「フックってパンチのことだろ?」というリップスのきょとん顔が思い浮かぶような、馬力にあかせてブン殴りにくる本作のスタイルはキャッチーさに乏しく、大味っちゃ大味。しかしながら、変に気取らずドカ盛りの定食で腹いっぱいにしてくれる下町の飯屋みたいな熱気とサービス精神漲る本編は、足繁く通う常連客よろしく繰り返し聴き込むことが全く苦にはなりません。メタル愛を高らかに表明する一方、堅苦しくなり過ぎず歌詞は下品でバカ(誉め言葉)という「顔は真剣だけど社会の窓は全開」みたいな隙の多さが実に愛すべき1枚。


北島健二 - Zodiac 反逆のギター戦士 - Stainless Smile ★★★ (2021-07-09 00:27:07)

曲調といい、音色といい、ジェフ・ベックの“哀しみの恋人達”を
彷彿とさせるメロウなインスト・ナンバー。とはいえ安易なパクリとは
言わせないエモーションが泣きのGからは迸っていまし、
叙情性を増す難波正司のピアノも良い仕事してくれていますよ。


北島健二 - Zodiac 反逆のギター戦士 ★★★ (2021-07-05 23:25:07)

“SARA”や“時の河”等のヒットで知られるFENCE OF DEFESEのギタリストにして、数多のセッション・ワークで鳴らす北島健二が’80年に発表した1stソロ・アルバム。
その昔購入した廉価版のCDには北島以外の参加メンバーのクレジットが載っていなかったのですが、現在ではちょいとネット検索を掛ければ、「ゲストVoは学生時代の同級生でもある盟友・織田哲郎」「リズム隊が山下達郎バンドでの活動で知られる青山純と伊藤広規」、「Key奏者には難波正司」といった腕っこきのメンバーが参加する隙の無い布陣でレコーディングが行われた…と、簡単に分かってしまうのですからありがたい限りですよ。
北島と織田が組んだバンドといえば、織田哲郎&9th IMAGEを思い出しますが、ブルース・スプリングスティーンの流れを汲むストリート・ロックンロールを志向していたあちらに対し、本作は更にご両人のルーツへと遡る、LED ZEPPELINやジェフ・ベックを彷彿とさせるシンプルで骨太なHRサウンドを追求。正直『反逆のギター戦士』なる邦題から、もっとヘヴィ・メタリックなスタイルを期待していたので若干肩透かしの感は否めず、「いつかこういう渋い音も楽しめる男になりてえなぁ」と念願しつつも未だ叶わぬチャイルディッシュな身の上ゆえストライクゾーンど真ん中の作品とは言えませんでしたが、関わってる面子が面子だけに当然クオリティは高く、特にイントロの転調を挟んで曲のイメージがガラリと変わる②、ジェフ・ベックの名曲“哀しみの恋人達”を彷彿とさせる⑦のような、北島のGが切々と泣きメロを紡ぎ出すバラード系の楽曲はニクイ程にエモーショナル。
次作と甲乙つけ難いクオリティを有する、聴くほどに好きになる1枚です。


SHOW-YA - Hard Way Tour 1991 - Fairy ★★★ (2021-07-01 23:38:17)

初期の名曲として人気の高い、GとKeyのバトルも組み込まれた疾走ナンバー。
まだ線の細さも感じられた(そこが魅力でもあった)スタジオ・バージョンに対し
こっちのライブ・バージョンだと、寺田のVoを筆頭に各メンバー、パフォーマンスの
迫力が各段に増していて圧倒されてしまいますよ。


SHOW-YA - Hard Way Tour 1991 ★★★ (2021-06-30 23:46:45)

帯やライブ中のMCでも表明されている通り、SHOW-YAの看板シンガーであった寺田恵子在籍時代最後のツアーとなった「HARD WAY TOUR 1991」の中から、大阪厚生年金会館と名古屋市公会堂でのパフォーマンスの模様を収めた、彼女達にとっては2枚目となる実況録音盤。確か個人的にこれが初めて購入したSHOW-YA作品だったような…。
『GLAMOUR』『OUTERLIMITS』『HARDWAY』といった傑作を連発してオリコン・チャート上位を席巻する等、名実共にバンドが完全に「仕上がっていた」時期のライブだけに聴き応え十分なのは当然のこと。’89年リリースの『TURN OVER』と聴き比べれば明らかな通り、歌謡ロック路線から本格派HM路線へとシフト完了したバンドは、最早「ガールズ・ロック・バンド」なんて括りを必要としない、並の野郎バンドじゃ束になっても敵わない堂々たる貫禄と迫力を身に纏っています。とりわけ過酷なロード生活を経てイイ具合に燻された(逆に言えば相当喉に負担があったということなのでしょうが…)寺田の歌声は圧巻で、代表曲“私は嵐”のようなヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーにおけるパワフルなハイトーンから、ブルージーな“BLUE ROSE BLUES”におけるハスキー・ボイスを活かしたセクシーな歌い回しまで、幅広い表現力を駆使し、ラスト・ツアーに持てる力全てを注ぎ込まんとする気迫漲るパフォーマンスにゃ胸を打たれること必定です。寺田のVoと、五十嵐美貴のGを始めとする楽器陣が火花を散らしながら突っ走る“FAIRY”“ギャンブリング”“限界LOVERS”というラストのスピード・ナンバー三連打のカッコ良さなんて、まさに本編のクライマックス。
若き日のバンドの全力疾走ぶりが克明に刻まれたライブの名盤。入門編にもどうぞ。


44 MAGNUM - LIVE ACT II ★★★ (2021-06-29 00:11:23)

MARINO、RAJAS、X-RAY、MAKE-UP…次々にCDで復刻されるジャパニーズ・メタルの名盤を片っ端から買いまくっていた90年代。当然44 MAGNUMのカタログにも手を伸ばしたのですが、当時は「和製MOTLEY CRUE」との評判に対する先入観もあり、さして聴き込むことなくアルバムを手放してしまい、彼らのことを見直すのはもうしばらく経った後、このライブ盤を入手するまで掛かることになったという。
本作は'85年7月に渋谷公会堂にて行われた公演の模様を、LP時代は2枚組、全18曲というボリュームで収録した実況録音盤で、LPリリース時のD面にはロンドンのカムデンパレスで行われたライブ音源4曲も収録されていました。(CDではカット。現在は復活済み)
やたらフェードアウトが目立ったりと粗めの編集は多少気になるところではあるものの、HM時代を総括するかの如く初期3作から名曲を選りすぐったセットリストに加えて、MCからシャウトまで絶好調で飛ばしまくるポール(Vo)を筆頭に、上り調子のバンドの勢いを如実に反映した前のめりのパフォーマンス、それに「打てば響く」オーディエンスの熱狂的な反応までが揃えば、最早そんなことは枝葉末節。特に疾走感溢れる⑦、ハイテンションなコール&レスポンスが繰り広げられる⑨、一転してじっくりエモーションを吹き込む感動的な⑩、客席の合唱も取り込んで猛然と走り抜ける⑭といった、バンドと観客のエネルギーが真っ向ぶつかり合う名曲の盛り上がりは圧巻です。
勝手に想像してた軽薄さは皆無であり、寧ろパワーメタル顔負けの迫力に圧倒される1枚。下手なベスト盤に手を出すよりも本作を入門盤代わりにどうぞ。


北島健二 - A Criminal Aesteetics ギター犯罪美学 - Movin' Waves ★★★ (2021-06-25 00:41:30)

アルバムのハイライトを飾る11分越えの大作ナンバー。
寄せては返すさざ波の如き、穏やかで抒情的なメロディに
包まれたバラードリーな曲調ながら、染み渡るピアノの
美旋律と、何より感情の赴くままにギターを歌わせる
北島の演奏が、長尺を全く意識させません。
むしろもっとこの世界に浸っていたいと思ってしまうほどで。


北島健二 - A Criminal Aesteetics ギター犯罪美学 ★★★ (2021-06-24 01:12:18)

元FENCE OF DEFENCEのギタリスト北島健二が、逝去の報がニュースでも取り上げられた村上秀一、T-SQUAREの和泉宏隆、MARIAHのメンバーら多数のゲストを迎えてレコーディング、'81年に発表した2枚目のソロ・アルバム(1stソロも同年リリースというワーカホリックぶり)。ちなみに前作『反逆のギター戦士』には盟友・織田哲郎がゲストVoとして参加していましたが、本作では北島自らがVoを担当しています。
購入当時は、この人のジャンルを横断する多彩なセッション・ワークをまるで知らず、単純に「メタル・クイーン時代の浜田麻里のバックでギターを弾いてた人」としか認識してなかったため、本作に関してもてっきりバリバリにヘヴィ・メタリックな作風を想像&期待していたのですが、さに非ず。ジェフ・ベック辺りを彷彿とさせるGが軽快に踊るOPナンバー①から早くも明らかな通り、ここで披露されているのは70年代ロックへのリスペクトを感じさせるHRサウンド。北島のGプレイも十分にテクニカルでありつつ、速弾きの誇示よりもギターに感情を乗せて「歌わせる」ことを重視している印象です。
取り分け圧巻なのが11分以上に及ぶ大作⑦。和泉宏隆が奏でるピアノの援護を得て徐々に曲展開を盛り上げていき、クライマックスでは感情昂るままに弾きまくるGプレイが涙ちょちょ切れる程にエモーショナル。この曲だけでアルバム購入代金の元が回収できてしまうレベルの名曲&名演ですよ…と書くと他の曲が大したことないように取られかねないのですが、そんなことはない。③⑧のようなGがしみじみと泣く楽曲にグッときます。
1stソロ『ZODIAC 反逆のギター戦士』と併せてお楽しみ頂きたい1枚。


五人一首 - 死人贊歌 - そして無に帰す ★★★ (2021-06-22 23:56:34)

心を打つ儚げな美しさから、神経を逆撫でるような混沌まで
さながら万華鏡の如く1曲の中で様々に曲想が移り変わっていく
アルバムの魅力を集約したかの如きOPナンバー。
各メンバーの多重人格的なパフォーマンスもそうした雰囲気を
的確に盛り立ててくれていますよ。


五人一首 - 死人贊歌 ★★★ (2021-06-22 01:18:55)

前作『内視鏡の世界』リリースから10年以上音沙汰がなく、てっきり解散したじゃないかと思っていた五人一首が’20年に発表した、バンドの健在をアピールする3rdアルバム。
例えブランクが空こうとも、しかと見据えられた方向性にブレはなく、鼓膜を引っ掻くように刻まれるVOIVOD辺りを彷彿とさせるGリフに、大作主義の下、技巧を凝らして万華鏡の如く綴られる複雑怪奇な曲展開、その上で炸裂するグロウルとクリーンなトーンによる歌い上げをアングラ演劇の主演女優みたいなテンションで行き来する、思わず「女・大槻ケンヂ」と呼びたくなる個性的なVoとが目まぐるしく交錯する、例えるなら初期筋肉少女帯と人間椅子を足して2で割ってプログレ・メタルのエッセンスを振りかけたようなサウンドは、相変わらず独特極まる音世界を構築しています。
あと、個人的に彼らの作品を購入する最大の動機となったのが、時にリード楽器の役割も果たす勢いで大々的にフィーチュアされているピアノの存在でして。楽曲の耽美性、抒情性を増幅するだけに留まらず、美しさの裏側に潜む狂気や禍々しさも炙り出さんとするその雄弁な活躍ぶりに痺れますよ。特にOPナンバー①は、魔空空間に引きずり込まれた宇宙刑事の気持が追体験できるような(?)このバンド独自の混沌たる個性が濃厚に渦巻く名曲です。
もうちょいキャッチーな部分が出てくると尚良いんじゃないかと思う反面、聴き込みを擁するこの重層さは十分魅力足り得ているので、変にキャッチーにすると折角の個性が薄らいでしまう気もするしなぁ、と。何はともあれ、待ち続けたファンの高まりきった期待にきっちり応える力作であることは間違いない1枚です。


REACTION - INSANE - JOY RIDE ★★★ (2021-06-17 23:14:17)

食い気味に突っ走るドラムがサウンド全体を
グイグイと牽引するスピード・ナンバー。
単に勢い任せなのではなく、しっかりライブ映えする
勇壮かつキャッチーなコーラスにもアガります。


REACTION - INSANE ★★★ (2021-06-17 00:24:36)

REACTIONが'84年に発表した1stアルバム。メジャー流通ではなかったにも関わらず1万枚以上のセールスを記録し、国内インディーズ・シーンの隆盛に大きな影響を与え、バンドに「インディーズの帝王」なる称号をもたらすに至ったエポックメイキングな1枚。彼らが後続に対して道を切り開かなければXの躍進だってなかったんじゃなかろうか?と。
問答無用で飛ばしまくるスピード・ナンバー①⑦⑨が体現する通り、本作で炸裂するのは故・梅沢康博の食い気味なドラミングを推進剤とする、前のめりな突撃感覚が全編に漲るパワーメタル・サウンド。同時期の国産パワーメタルというと、こちとら真っ先に1st~2ndの頃のANTHEMの名前が思い浮かぶのですが、彼らほどにはACCEPTを始めとする欧州メタルからの影響(湿り気とか暗さとか)が感じられず、むしろREACTIONに関してはLAメタル勢に通じる陰に籠らない歯切れの良さの方が印象的。後々、作を重ねる毎にロックンロール・テイストが増量されていくこととなる彼らのルーツを既に伺わせてくれます。
本作に対する評価の分水嶺として指摘される加藤純也のVoについては、CD版トップに置かれた“INSANE”はバンドを代表する名曲であると同時に、この時点での加藤の歌唱の不安定さを最も意識させられる楽曲でもあるので、いきなりこれをぶつけてしまうとアルバムに対する不安感が無用に上がりかねない…かも。なので『INSANE』初体験のリスナーには、個人的にはLP版に準拠した曲順(OPナンバーは“JOY RIDE”)にて聴き始めることをお薦めする次第。
何はともあれ廃盤のままほったらかしにせず、一日も早い再発が望まれる名盤です。その際は折角の迫力を著しくスポイルしている音質改善も忘れずに是非。


BLACKFOOT - Vertical Smiles - Young Girl ★★★ (2021-06-16 00:19:43)

アルバム自体は外部ライターの曲が目立っていて若干の
不安を抱かなくもないのですが(出来は良い)、それでも
本編のハイライトとなる楽曲はきっちりと自分達で
モノにする辺りは流石です。哀愁の名曲。


BLACKFOOT - Vertical Smiles ★★ (2021-06-15 00:12:07)

脚フェチ歓喜のジャケットが目印、BLACKFOOTが'84年に発表した6thアルバム。
長らくツインGの片翼を担っていたチャーリー・ハーグレットが脱退し、後任は入れずに4人編成でレコーディングが行われた本作は、ピーター・セテラの“夢のライムライト”のカヴァー②が物語る通り、音楽性も音作りもメロディアスな方向に振れた前作『革命と混乱/SIOGO』以上に更にポップな方向へ傾斜。というか、その“夢の~”含めカヴァーを3曲も収録し、しかもそれがOPから連打される構成の時点で「何があったのよ?」と不穏な予感を覚えずにはいられません。そして案の定というべきか、これを最後にBLACKFOOTは解散してしまうことになるわけですが。(その後リッキー・メドロックのソロ・バンド状態で再編されたり、リッキーを除くメンバーで復活したりと紆余曲折を辿る)
なので「BLACKFOOT=NWOBHMが盛り上がる英国で人気を博した男臭いサザン・ロック・バンド」ってなイメージで挑むと間違いなく肩透かしを食う薄味な内容ではあるものの、メロハー作品と割り切ればこれはこれで結構なお点前。カヴァー曲①⑦にしてもなかなかのハマリっぷりですし――特に⑦はカッコイイ――、ボビー・バース&マイケル・オズボーンというAXE組の名前がクレジットされているポップな③(ボビーはこの後ケン・ヘンズレーの後任としてBLACKFOOTに加入)、キャッチーでノリ良いヘンズレーとの共作曲④といった秀曲も印象に残る出来栄え。そして何と言っても哀愁のメロハーの名曲⑤がアルバムに山場を作り出してくれています。
入門作品にはお薦めし難いとはいえ、さりとて無視するには惜しいだけの質の高さをしっかりと備えた一作ですよ。


URGENT - Cast the First Stone - Only You ★★★ (2021-06-11 00:53:59)

ピアノのイントロに始まり、マイケル・ケイルの絶品な歌声と
泣きのメロディをフィーチュアして、エモーショナル&
ドラマティックに盛り上がっていくアルバム屈指の名曲。


URGENT - Cast the First Stone - Love Can Make You Cry ★★ (2021-06-11 00:50:26)

『トップガン』のヒットに便乗したスカイ・アクション映画
『アイアン・イーグル』のサントラに提供したしんみりバラード。
DIO、エリック・マーティン、KING KOBRA、HELIX等々、
参加アーティストがHR/HM系で固められたこのサントラ、
現在では結構な高値で取引されているという。


URGENT - Cast the First Stone - Running Back ★★★ (2021-06-11 00:40:34)

シングルカットされ、ビルボードチャートでは
70位台まで上昇するポテンヒットとなった
アルバムのOPナンバー。躍動感溢れる曲調に
キャッチーなコーラス、そしてどこかクールな
哀メロに彩られた掴みに持ってこいの名曲です。


URGENT - Cast the First Stone ★★★ (2021-06-10 00:48:56)

ロッド・アージェント(THE ZOMBIES)のARGENTとか、似たような名前のバンドがあちこちに存在していて混乱しますが、こちらはNY出身で、マイケル(Vo、G)、ドン(Key)、スティーヴ(Ds)のケイル3兄弟を中心に結成された5人組。本作は英国ロック界のレジェンドMOTT THE HOOPLEのイアン・ハンター&ミック・ロンソンをプロデューサーに起用してレコーディングを行い、’85年に米メジャーのCAPITOL RECORDSから鳴り物入りでリリースされたURGENTの1stアルバムにあたる作品です。
尤も、本作に渋みというか、ブルージーな要素はほぼ皆無。むしろFOREIGNERの名曲を想起させるバンド名だけあって、ここで披露されているのは80年代然とした音作りの下、煌びやかなKeyが印象的なリフを奏でてサウンドの下地を整え、そこに張りのあるハイトーンで歌いまくるVo(今だったらトビー・ヒッチコックを思い出したりする声質)と、エッジの効いたGが斬り込んでくる洗練されたハードポップ路線。レコードが廃盤になって以降、国内盤が一度もCD化されていない事実が俄かには信じ難いほどのクオリティを誇っており、特にシングル・カットされてチャートでも健闘したというキャッチーなOPナンバー①を皮切りとする頭3曲は、都会的なクールネスと哀メロ・センスを併せ持った逸品揃い。5曲目のみちょっと毛色の異なるロックンロールなのですが、後半にも躍動感溢れるHRナンバー⑦、Voの熱唱が劇的な盛り上がりを演出するパワー・バラード⑧といった、アルバム・ハイライト級の名曲が続々登場しますんで、テンション下がってる暇なんぞありゃしません。
紛うかたなき「隠れた名盤」と評すべき1枚。国内盤を再発して欲しいなぁ。


WILD HORSES - The First Album - Reservation ★★★ (2021-06-09 00:28:24)

アルバムのOPナンバー。オカズ多めで奮戦する
クライヴ・エドワーズのドラミングの効果もあって
収録曲の中では最もHRテイストを色濃く纏う。
その中でハッと耳を奪われるブライアンの
情感迸るGソロにグッときます。


WILD HORSES - The First Album - Face Down ★★★ (2021-06-09 00:21:05)

キャッチーに弾むロック・チューンで、
2本のGがハモリながら奏でる人懐っこいメロディは
やはりTHIN LIZZYを彷彿とさせます。


WILD HORSES - The First Album ★★★ (2021-06-08 00:03:16)

NWOBHMの盛り上がりは新人の台頭とベテランの奮起によって支えられており、そのベテラン側に属していたバンドの一つとして知られるのが、このWILD HORSES。THIN LIZZYから脱退したブライアン・ロバートソン(G)と、元RAINBOWのジミー・ベイン(Vo、B)を中心に、後にUFOに参加するニール・カーター(G)、PAT TRAVERS BANDやLIONHEART等での活動で知られるクライヴ・エドワーズ(Ds)という布陣で結成された彼らが、トレヴァー・ラビンをプロデューサーに起用して'79年に発表したデビュー作がこちら。
日本ではIRON MAIDEN、DEF LEPPARD、GIRLと共に「NWOBHM四天王」として紹介されたバンドなれど、実際のところは他の3バンドから「フフフ、奴は四天王中でも最弱…」とか言われてしまいそうなNWOBHM度数の低さ。そもそもバンド自身にNWOBHMの一員との認識はなかったでしょうし、フィル・ライノットやスコット・ゴーハムとの共作曲も収録する本作で聴かれるのは、THIN LIZZYに通じる快活なロックンロール・サウンド。ジミーのVoに強烈な個性が欠けるのと、これといったキメ曲も見当たらないため初めて聴いた当時の感想は「なんか地味じゃね?」と冴えないものでしたが、今となっては「そこが良いんじゃない!」と。クライヴのドラミングがもっさりと頑張る本編中最もハードロッキンな①、2本のGが奏でる懐っこいメロディがTHIN LIZZY風味を醸し出す②、しんみりと哀愁薫るバラード④等、英国産らしい明るくなりきれないポップ・センスが活かさたHRサウンドを彩るブライアンのGプレイも、全編に亘って実によく歌ってくれています。
一発で掴まれるというよりは、じわじわと浸透してくる、聴くほどに好きなる1枚ですよ。


WHITECROSS - Whitecross - Signs of the End ★★★ (2021-06-04 00:41:37)

アルバムのラストを締め括るアップテンポのHMナンバー。
この曲のみちょっと他の楽曲とは毛色が異なり正統派テイストが色濃い。
ついでに音質もちょっと違うような?


WHITECROSS - Whitecross - He is the Rock ★★★ (2021-06-04 00:00:42)

ズンズン刻まれるリフ&リズム、合唱を誘発するコーラス、
フラッシーに駆け巡るG、ライブ映え間違いなしの曲調etcと、
無条件にロックせずにはいられない
「アメリカン・メタルここにあり!」な1曲。


WHITECROSS - Whitecross ★★ (2021-06-03 00:39:44)

イリノイ州出身のクリスチャン・メタル・バンドで、一時は袂を別ったものの、「バンド・メイトと和解せよ」との啓示を受け(たかどうかは定かじゃありませんが)、再結成を遂げた現在は両名ともバンドに健在という、スコット・ウェンゼル(Vo)とレックス・キャロル(G)により結成されたWHITECROSSが、'87年に発表したデビュー作。
ブルージーだったりヘヴィだったりと、90年代以降はその時々の音楽的流行に敏感に反応し、そのエッセンスをサウンドに取り入れていった彼らですが、本1stアルバムで聴けるのは80年代の王道というべき、乾いた音色でザクザク刻まれるリフ、ライブ映えを踏まえたミドル・テンポ中心のリズム、クセの強い声質にシャウト主体のVo、そして曲中を華やか且つテクニカルに駆け巡るGプレイをフィーチュアした、RATT辺りを彷彿とさせるLAメタルど真ん中のサウンドを実践。
先輩バンドたるSTRYPERなんかと比べるとメロディのフックはやや物足りなく、「悪くはないんだけど決定打に欠く」弱点もデビュー作にして早くも顕在化。それでも緊迫感を湛えた曲調と合唱を誘うキャッチーなコーラスがカッコイイ③、ほんのりQUEEN風味の美しいバラード⑤、音楽の博士号を持つというレックスのセンスが発揮されたインスト・ナンバー⑨(タイトルが“NAGASAKI”ですよ)、最もヘヴィ・メタリックな仕上がりの⑩といった楽曲を始め、本編は要所要所で「おっ」と思わされるホーリーなオーラを放っていて、気が付くとまたCDを手に取って再生してしまっているという。
音作り含めまだまだ粗削りな仕上がりれど、そこがまた魅力にもなっているように思える1枚ではないかなと。


TALISMAN - 7 - End of the Line ★★★ (2021-06-02 01:22:17)

リズムはゴリゴリにファンキーながら、ジェフが熱唱するメロディは
哀愁を帯びていて、昔よく耳にした「下は大火事、上は大水、これ何だ?」
というなぞなぞを思い出してしまった逸品。テクニカルに華を添える
フレドリックのGも印象に残ります。


TALISMAN - 7 - Falling ★★★ (2021-06-02 01:16:52)

ジェフのホットなVoが歌い上げる冷ややかな哀メロが
躍動感溢れるリズムに乗ってハジけるOPナンバー。
TALISMANの個性と魅力がこれでもか!と表現された名曲です。


TALISMAN - 7 ★★★ (2021-06-01 00:54:27)

ジェフ・スコット・ソート(Vo)がJOURNEYに引き抜かれ、フレドリック・オーケソン(G)もARCH ENEMYへと去り、活動停止を余儀なくされたTALISMANが'06年に残した7thアルバム。でもまぁマルセル・ヤコブ(B)さえ健在なら、またメンバーの体が空いたタイミングでバンドを再始動してくれるでしょ?と軽く考えていたところに届いたマルセル自死の報。まさかこれが本当にTALISMANの最終作になってしまうとは…。
せめてもの慰めは、本作の内容が素晴らしかったこと。いわゆる「北欧メタル」と聞いてイメージする線の細さ/頼りなさとは一線を画す、図太く脈動するリズム、ジェフ由来の黒っぽいフィーリング携えたグルーヴ、そしてマルセルがクリエイトする冷ややかな憂いを帯びたメロディが一体となって畳み掛けるサウンドは、唯一無二のTALISMAN流HRの集大成と呼ぶに相応しい充実ぶりを誇っています。個人的には古き良き北欧メタルの様式美に忠実だった1stへの思い入れがひとしおなのですが、こと独自性という点においては本作に軍配が上がることに異論を差し挟む余地はありません。
特に跳ねるような疾走感溢れる曲調に冷ややかな哀メロが乗ったOPナンバー①は本作の魅力を凝縮したような名曲。以降も、グルーヴはダルだけどメロディは濃い口の哀愁を帯びた②③、コシの強いビートを刻むリズム隊とフレドリックのテクニカルなGプレイがギラリと光る④、フレッシュなハードポップ⑥…と、語ろうと思えば頭から1曲ずつ語れてしまうレベルのフックとヒネリの効いた楽曲が目白押し。これが最終作とは寂しい限りなれど、間違いなく有終の美を飾るに相応しい品質が備わった1枚です。


CHEZ KANE - Chez Kane - Ball n’ Chain ★★★ (2021-05-27 23:21:54)

フックの効いたメロディと、ライブ映えしそうな
ノリの良さを併せ持った、3rdアルバムを発表した頃の
BON JOVIを彷彿とさせるポップ・メタル・チューン。
思わずクレジットにデズモンド・チャイルドの名前を探してしまいましたよ。


CHEZ KANE - Chez Kane - Rocket on the Radio ★★★ (2021-05-27 23:12:45)

ハジけるような高揚感を伴うサビメロが絶品の
アルバム・ハイライト・ナンバー。
80年代だったら映画やドラマの主題歌に起用されて
大ヒットをかっ飛ばしていたであろう名曲です。


CHEZ KANE - Chez Kane ★★★ (2021-05-27 01:02:46)

プロデュースから作曲、演奏まで、CRAZY LIXXの中心メンバーであるダニー・レクソンの全面バックアップを受けてデビューを飾ったイギリス出身の女性シンガー、シェイ・ケインのデビュー作。’21年発表。
ロビン・ベック、リー・アーロンといった80年代に活躍した女性HRシンガーの現代版を世に送り出したい…とのダニーのコンセプトに則り、アルバムに託されているのは、サックスをフィーチュアした快活な①、ライブ会場の盛り上りが目に浮かぶアンセミックな②といった居並ぶ楽曲が物語る通り、嘗てのBON JOVIやDEF LEPPARDを彷彿とさせる王道アリーナ・ロック路線。レザーファッションに指抜きグローブ、キツめのアイメイク等、気合の入った80年代ファッションで全身を包んだシェイ嬢も、気持ち良く伸びていくハイトーンを駆使したフレッシュな歌声でサウンドを瑞々しく彩ってくれています。
個人的にはジム・スタインマンと組んでいた頃のボニー・タイラーを思い出したりもするこの作風はドンピシャでして、特に高揚感に満ちたキャッチーなサビメロが絶品の③、歯切れ良く弾むKeyリフにこっちの気持ちも弾む⑤、初期BON JOVIに通じるフックの効いた哀メロにグッとくる⑦を初めて聴いた時は、「確か大映ドラマの主題歌だったよね?」「麻倉未稀が日本語でカヴァーしてなかった?」と、ありもしない記憶が脳裏を駆け巡ったぐらいですよ。パンチの効いた疾走ナンバー⑧のカッコ良さもなかなかのもの。
シェイ嬢のシンガーとしての資質と、プロジェクトの方向性が幸福な一致をみた充実作。是非ともこの座組でアルバム・リリースを重ねて欲しいと念願する次第です。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - At the Movies the Soundtrack of Your Life Vol.1 - No Easy Way out ★★★ (2021-05-25 23:00:49)

ロバート・テッパーが歌っていた『ロッキー4 炎の友情』主題歌を
SOILWORKのビョーン“スピード”ストリッドをシンガーに据えてカヴァー。
最初にレコーディングされたアルバム作りにおけるキーとなった楽曲だそうで、
両者の声質が似通っていることもあり、殆ど違和感なく楽しめます。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - At the Movies the Soundtrack of Your Life Vol.1 - Maniac ★★★ (2021-05-25 22:50:56)

映画『フラッシュダンス』挿入歌。オリジナルを歌っていたのはマイケル・センベロ。
ここではSOILWORKのビョーンと、KAMELOTやTHERIONのリネア・ヴィクストロムが
Voを分け合っています。疾走感溢れる曲調に、憂いを帯びたメロディと
ロック・アレンジがズバリはまった個人的にはアルバムのハイライト・ナンバー。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - At the Movies the Soundtrack of Your Life Vol.1 ★★★ (2021-05-24 23:35:10)

PRETTY MAIDSのクリス・レイニー(G)が発起人となり。PRETTY MAIDSの他にSOILWORK、HAMMERFALL、KING DIAMONDらのメンバーを集めて立ち上げられた、80年代を代表するメガヒット映画の主題歌をメロハー・アレンジでカヴァーするプロジェクトのデビュー作。'20年発表。
コロナ蔓延によるロックダウンの影響でツアーに出れず、仕方なく自宅で映画を見ていた時にアイデアを思い付いたそうで、チョイスされているのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ビバリーヒルズ・コップ』『ネバー・エンディング・ストーリー』等々…いずれも映画館やTVの洋画劇場でヘビーローテーションされてきた有名作ばかり。その主題歌ともなれば曲名は知らずとも一度はどこかで耳にしたことがあるお馴染みのメロディ揃いゆえ、懐かしさに思わず頬が緩むというもの。無論ノスタルジーだけに留まらず、改めて聴き直しても楽曲は優れモノが多く、特にビョーン“スピード”ストリッドが歌う①(『ロッキー4 炎の友情』)、疾走感溢れる曲調の上でフックの効いた哀メロが踊る②(『フラッシュダンス』)、ロニー・アトキンスやブルース・キューリックも参加している⑧(『マッドマックス3 サンダードーム』)、ボーナストラック扱いなのが勿体ないぐらい秀逸な出来栄えの⑫(『ステイン・アライヴ』)辺りはお気に入り度高め。
タイトルに『Vol.1』と入れているぐらいですから、今から第2弾が楽しみな1作。まだまだ『トップガン』とか『フットルース』とかベタなところが残っていますが、個人的には是非『ストリート・オブ・ファイヤー』の“今夜は青春”をお願いしたいところです。


PAUL RODGERS - Cut Loose - Rising Sun ★★★ (2021-05-20 23:38:48)

ピアノをバックに切々と歌い上げられるエモーショナルなバラード。
歌詞からすると、ポールの奥さん(日本人)に捧げられている楽曲なのかな?と。


PAUL RODGERS - Cut Loose - Live in Peace ★★★ (2021-05-20 23:32:43)

重く、抒情的に揺らめく曲調にポールの熱唱が絡む、
後にTHE FIRMでもリメイクされた名曲。
ピアノとギターをフィーチュアして徐々に温度を上げながら
盛り上がっていく後半を聴いていると
BAD COMPANY時代の名曲“RUN WITH THE PACK”を思い出したりも。


PAUL RODGERS - Cut Loose ★★★ (2021-05-20 00:04:09)

人間関係の悪化により6th『ROUGH DIAMONDS』を最後にBAD COMPANYから脱退したポール・ロジャースが、歌は勿論のこと、プロデュースから作詞作曲、そして全ての楽器を自ら担当して作り上げた、文字通りの「ソロ」アルバム(’83年発表)。ちなみにこの時期のレコーディング・セッションが切っ掛けでジミー・ペイジと親交を深め、後のTHE FIRM結成へと繋がっていくこととなるのですが、それはまた別のお話。
権利関係が複雑なのか何なのかわかりませんが、日本ではリリース当時LPが発売されたきりでその後はCD化の機会にも恵まれず、長らく廃盤のまま放置プレイ状態が続いている扱いの悪さな本作ですが、内容はメチャ強力。
ジャケットを飾るこざっぱりとしたポールの立ち姿が物語る通り、余計な装飾を省き、シンプルかつ骨太に押し出して来るブルージーなロック・サウンドは、熱気溢れるロックンロール・ナンバーからエモーショナルなバラード、そして本来ならBAD COMPANYのアルバムに収録される予定だったという楽曲に至るまで、ポールの燻し銀の熱唱に、トシちゃんばりにハッとして!GOODとなる優れた逸品が並んでいます(その辺はご本人作曲だから心得たもの)。特に、後年THE FIRMでもリメイクされた哀愁のバラード③や、ムーディに奏でられるピアノが効果的な⑤⑧といった抒情メロディに彩られたスロー・ナンバーの出来栄えは絶品ですよ。
個人的にはBAD COMPANY時代の名盤群と比較しても決して聴き劣りしない隠れた名盤だと思うのですが、いかがでしょうか。ぼちぼち国内盤の再発をお願い致します。


BLACKFOOT - Medicine Man - Guitar Slingers Song and Dance ★★★ (2021-05-18 22:58:17)

アルバムのハイライトを飾る名曲。哀愁を帯びてドラマティックですが
暗さよりも、乾いた大地にすっくと仁王立ちするような
力強さ、雄大さが勝っている辺り、サザンロック・バンドの面目躍如でしょうか。


BLACKFOOT - Medicine Man - Not Gonna Cry Anymore ★★★ (2021-05-18 22:44:42)

軽快に跳ねるKeyリフを伴って豪快かつグルーヴィに
押し出して来るHRナンバー。仄かに哀愁を帯びたメロディを
パワフルに歌い上げるリッキー・メドロックのVoに痺れます。
音作りはソフトながら、往年のBLACKFOOTテイストが匂い立つ名曲です。


BLACKFOOT - Medicine Man ★★★ (2021-05-17 23:36:57)

男臭くパワフルなサザン・ロック・サウンドがNWOBHMに盛り上がる英国で人気を博し、ライブの名盤『HIGHWAY SONG LIVE』爆誕へと繋がったBLACKFOOTが、LYNYRD SKYNYRDのメンバーでもあるリッキー・メドロック(Vo)を中心に、ほぼ彼のソロ・プロジェクト状態で再編され、'91年に発表した復活作。通算9作目。ボリューム的には帰還の挨拶代わりのEPといった感じではあるのですが、日本盤はボーナストラック2曲が追加収録されているのでアルバムとしての体裁は整っています。
Key奏者としてURIAH HEEPのケン・ヘンズレーをメンバーに加えた活動後期は、洗練されたメロハー色を強めていった彼らですが、本作では原点に立ち返ったようなサウンドを披露。とはいえ70年代作品のような荒々しさや埃っぽさは控えめで、言うなれば後期メロハー路線のフィルターも通してブルージーなHRサウンドをプレイしているような感じ。薄味と言えば薄味。でもそこにのっけからパワフルに歌いまくる、衰え知らずなリッキーのオヤジの哀愁背負った歌声が乗っかると「ああ、BLACKFOOTだなぁ」と猛烈に納得させられてしまうという。特に、FREEの名曲“STEALER”のカヴァー②のハマりっぷりは流石ですし、印象的なKeyリフをフィーチュアして豪快に押し出して来る④、ノリ良く跳ねる⑤、そしてアルバムのハイライトを飾る、ドラマティックだがアメリカのバンドらしい抜けの良さも兼ね備えた⑦といった逸曲から迸る熱量には圧倒されるものがありますよ。
BLACKFOOTのカタログの中では比較的地味な存在ですが、決して侮れない完成度を誇っている辺りは流石。見かけたらチェックしておいて損はない1枚です。


WITCHFYNDE - Lords of Sin / Anthems - Conspiracy ★★★ (2021-05-14 00:02:44)

重々しいリズムに重厚な曲調、シームレスで
次曲“RED GARTERS”に繋がっていく曲展開といい。
WITCHFYNDEにつきまとう「オカルト」「サタニック」な
イメージにアルバム中最も忠実と言えそうなラスト・ナンバー。


WITCHFYNDE - Lords of Sin / Anthems - Stab in the Back ★★★ (2021-05-13 23:56:21)

BLACK SABBATHの面影は皆無ですが、歯切れの良いGリフと
シャウトVo、メロディックなGソロをフィーチュアした
正統派HMナンバーとして十分にカッコイイ出来栄え。


WITCHFYNDE - Lords of Sin / Anthems ★★ (2021-05-13 00:18:23)

アフロ頭にコワモテの顔面力で睨みを効かせてくるオッサンのジャケット(ひっくり返しても別の顔に見えるトリックアートかと思ったら違った)が目印の、WITCHFYNDEが'84年に発表した4thアルバム。なおLP発売当時は、ヨーロッパ・ツアーのライブ音源4曲も収録された2枚組仕様でのリリースだったという。
不気味なイントロに導かれて幕が上がる本編ですが、オドロオドロしいアートワークや「NWOBHM」「オカルト」「サタニック」といったWITCHFYNDEについて回るキーワードに惹かれて手を出したリスナーに肩透かしを食らわせる、軽くはないが特段ヘヴィというわけではなく、スローじゃないけどかと言ってスピーディでもないという、シンプルで飾り気のない中庸なHRサウンドは今作でも健在。曲調は重厚ながら新Voの声質もメロディの響きも妙に明るいOPナンバー①が早速物語る通り、ドゥーミーなダークネスを求める向きには不完全燃焼感が半端ない本作なれど、例えポップなノリの楽曲を演っても明るくはなりきれない、精一杯陽キャを気取ってはみたけれど、ふと我に返って溜息をついてしまう感じにこそ、個人的には「ああ、英国メタルっぺー」と妙に惹かれてしまうわけでして。
Gソロ含め正調NWOBHMといった趣きで駆け抜ける②、ライブではコール&レスポンスが盛り上がりそうな③、タイトルと裏腹なアゲアゲ疾走チューン⑦辺りは特にお気に入り度高し。ラストは憂いを湛えた重厚なメドレー⑧⑨(さりげなくOPナンバーと対になるアレンジが施されている)で劇的に締め括ってくれるのも嬉しいじゃありませんか。
先入観を抜きにすれば十分「NWOBHMの良盤」として楽しめる1枚です。


TYTAN - Justice: Served! - The Cradle ★★★ (2021-05-11 23:38:08)

アルバムをバイキング・メタルばりの劇的で
締め括ってくれるエピック・チューン。
垢抜けないジャケットもヘタウマVoも、
このダークで荒くれた曲調には非常に
マッチしているように感じられますよ。


TYTAN - Justice: Served! - Reap the Whirlwind ★★★ (2021-05-11 23:18:40)

ツインVoとハモンド・オルガンを用いて
重厚に押し寄せるドラマティックなエピック・チューン。
ヘタウマVoが垢抜けない雰囲気を漂わせますが
それが逆に「NWOBHMの隠れた名曲」感を醸し出していなくもないという。


TYTAN - Justice: Served! ★★★ (2021-05-10 23:22:13)

カル・スワン(Vo)を擁し、幻のNWOBHMバンドとして高い人気を誇るTYTANが、元ANGEL WITCHのケヴィン・リドルス(G)を中心にまさかの復活を遂げ、プロデューサーにクリス・タンガリーディスを起用して30数年ぶりに発表した2ndアルバム。
とはいえ、ミュージシャン稼業から足を洗ったカルは当然不参加。今回の再結成の成否は彼を再び引っ張り出せるかどうかにかかっていたわけで、それが果たせなかった時点で大きなハンデを背負ってしまった感は否めず、しかも代わりにリードVoを分け合っている弦楽器隊の3人は、揃いも揃って(カルの美声とはかなり距離がある)オッサン声の持ち主ばかり。B級感漂うアートワークももうちょっと何とかならんかったもんかなぁ。
…と、「TYTAN復活作」に寄せる期待感を踏まえると厳しい評価が口をつく本作ではありますが、1st『ROUGH JUSTISE』と切り離して評価すれば、実はそんなに悪い内容じゃないんですよこれが。劇的なツインGが映える②、エピック・メタリックな⑤⑨⑫、うらぶれた哀愁漂う⑥、憂いを帯びたメロディが駆け抜ける⑦等は、1stとは趣きを異するもののこれはこれでカッコイイ。もし「お蔵入りしたNWOBHMバンドの未発表音源」として提示されたら、おっ、掘り出し物だね!と身を前に乗り出すだけのクオリティは有しています。
なので、「あのTYTAN」の2ndではなく「新生TYTAN」のデビュー作と割り切って楽しむことをお薦め致します。そうすると、文句垂れてたヘタウマVoや垢抜けないアートワークも、80年代初頭のマイナー・メタル臭を濃厚に発散する本編には非常にマッチしているように感じられるんじゃないかなーと。購入当初は「星2つ」ぐらいの評価でしたが、どんどん愛着が増している1枚。


DANGER ZONE - Fire Fire ★★★ (2021-05-06 23:09:26)

デジタル配信されたE-Z-Oの代表曲のカヴァーで
2nd『UNDYING』の日本盤にボーナストラックとして収録。
そちらは配信バージョンとも異なる、Keyを活かした
よりドラマティックなアレンジが施されていて
(終盤のGソロも胸に迫るものあり)オリジナル版に
勝るとも劣らぬ仕上がりとなっています。


DANGER ZONE - Undying ★★★ (2021-05-05 23:34:44)

イタリア人ギタリスト、ロベルト・プリオリ率いるDANGER ZONEが'12年に発表した2nd。国内盤は'18年のリリースで、その際にはタイトルを『UNDYING《RELODED》』と改め、GとKeyの録り直し、ミックスやリマスターによるお色直しが図られています。
結成は80年代前半と古く、デビューEP『VICTIM OF TIME』を発表した頃はNWOBHMからの影響も露わな武骨な正統派HMを演っていたそうですが、アメリカを拠点に活動するうちに徐々に音楽性がポップ化。復活第2弾アルバムとなる本作で聴けるのは、Keyによる薄化粧も施されたタイト&キャッチーなメロディック・メタル。
国内盤の発売がANDER STEINからだったので、もっとAOR/産業ロック路線に寄せまくった内容かと思いきや、熱い歌いっぷりが気持ち良いVoにフラッシーなG、エッジと重量感を併せ持ったリフ&リズムがサウンドが過度に甘口になることを防いでくれています。だからこそ我らがE-Z-Oの代表曲“FIRE FIRE”のカヴァーもばっちりハマったのではないかと。同曲に深く関わったジョディ・グレイがロベルトのビジネス・パートナーだったのが縁で今回のカヴァーが実現したらしいのですが、これが「原曲より良いんじゃね?」と思わずにはいられない劇的な出来栄え。正直本編のハイライト級なこの曲のインパクトが他の収録曲の存在を霞ませてしまっているきらいはあるものの、それでもGプレイが痛快な②、小気味良くハジける⑦、Voの熱唱がメロディの哀愁味を引き立てる⑨といったフックの効いた楽曲からも明らかな通りバンドの作曲術とセンスの冴えに疑う余地はありません。
とりあえず“FIRE FIRE”目当てでもいいので一聴をお薦めする1枚。


DOMINOE - Keep in Touch - Let's Talk About Life ★★★ (2021-05-04 23:30:24)

ダンサンブルなビートに軽快なシンセが絡み、
仄かに哀愁を含んだキャッチーなメロディと
明るいコーラスが華を添える、ザ・80年代!
感溢れる逸品。これまたシングル・カットされて
本国では好成績を記録しています。


DOMINOE - Keep in Touch - Here I Am ★★★ (2021-05-04 23:25:29)

Keyによる派手なイントロで興味を引き付け
女性コーラスも配したキャッチーかつ華やかな
サビメロで聴き手をノックアウトする名曲。
シングル・カットされ、本国ドイツではTOP5に
食い込むヒット曲になったのだとか。


DOMINOE - Keep in Touch ★★★ (2021-05-04 00:38:09)

ドイツ出身で、紅一点のKey奏者を含む6人組DOMINOEが'88年に残した1stアルバム。本国ドイツや隣国スイスではかなりのヒットを記録したこともあり、今でも根強い人気を誇る1枚で、帯付の国内盤CDが中古盤屋にて、5桁のプレミア価格で売りに出されているのを見かけたこともあるぐらいですよ。
一昔前の国産RPGのオープニング曲みたいなイントロからスタートする本編で披露されているのは、シンセをふんだんに取り入れて透明感を演出するAOR/産業ロック寄りのメロハー・サウンド。ダンサンブルなビート、角を出来るだけ削りソフティケイトされた音作りは80年代ど真ん中といった趣きで今聴くと多少の古臭さが漂いますし、同ジャンルに属する英米の一線級バンドと比べると、シンガーにはもうワンランク上の歌唱力を求めたくなるというのが正直なところ。決して下手というわけではないのですが…。
しかし、後にプロデューサー業でも辣腕を振るうロバート・パプスト(G)の曲作りの才能が遺憾なく発揮された収録曲は、早くも瞠目させられる輝きを放っています。「売れてぇんだよ、俺達は!」との切実なシャウトが響てくるかの如く、どの曲もメロディは耳馴染みが良くすこぶるポップ&キャッチー。思わず赤面してまうぐらいキャッチーな④⑤、シングル・カットされヒット・チャートを賑わせた(TOP5入り)というのも納得の、伸びやかなメロディを美しいコーラス・ワークが華やかに彩る⑥や、洗練された洒落オツなロック・チューン⑦といった名曲は、DOMINOEの魅力を分かり易く体現してくれています。
現在は輸入盤が安く買えますので、未聴の方はまずはそちらからいかがでしょう。


Viana - Forever Free - We Will Never Say Goodbye ★★★ (2021-04-29 23:55:42)

ブライトで爽快な曲調に、伸びやかなシンガーの歌唱と
よく歌うGが実にマッチ。アルバムの締め括り役に
本編中最もHR然とした味わいを発するこうした楽曲を
配置するバンドは信用に値します。


Viana - Forever Free - Do You Remember ★★★ (2021-04-29 23:49:11)

物悲しいメロディとドラマティックな曲展開とに彩られた
珠玉のバラード。ブライアン・コールとテリー・ブロックの
デュエットも、楽曲のエモーショナルな盛り上がりを
一層際立たせてくれています。


Viana - Forever Free - Forever Free ★★★ (2021-04-29 23:44:06)

伸びやかなシャウトからスタートする、
OPナンバーに相応しい爽快なエネルギーに
満ち溢れたロック・チューン。
プレ・コーラスからサビメロに至る
絶妙なメロディ展開に星3つです。


Viana - Forever Free ★★★ (2021-04-28 23:09:44)

日本にも同じような名前のプログレ・バンドがいたなとか思いましたが、あちらはヴィエナでこちらはヴィアナ。90年代からキャリアを積むベテランながら、ついぞアルバム・デビューの機会に恵まれなかった、不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった苦労人、ステファノ・ヴィアナ(G)率いるメロハー・プロジェクトが'19年に発表した2ndアルバム。
プロデューサーのアレッサンドロ・デル・ベッキオがKeyとVoも兼任していた前作に対し、今回はブライアン・コールなる新メンバーを専任Voとして迎えることで、よりバンド感を強化。しかもこのアメリカ人シンガー、ソロ・アルバムのリリース経験もある御仁だけにかなりの実力者。マイルドかつ伸びやかな歌声で、ポップで爽快なメロハー・チューンの魅力を確実に底上げしてくれています。加えて、Voパートのプロデュースをテリー・ブロック(STRANGEWAYS)に依頼するという水も漏らさぬバックアップ体制が敷かれ、収録曲のクオリティに関しては最早疑念の入り込む余地は欠片もなし。こちとらジョン・ロス(G)をゲストに迎え、HR然とした躍動感溢れる曲調に、程好く哀愁を湛えたメロディが絡むOPナンバー①(サビメロが最高)が始まった途端、アルバムの完成度を確信しましたよ。
テリー・ブロックとのデュエットがこれまたグンバツに効果を上げている感動的なバラード⑦、アルバムのラストを爽やか&キャッチーに締め括る⑩等、要所に名曲を散らしてダレ場なく本編を聴かせ切る、メロディ職人の技前がキラリと光るメロディアスHRの好盤。日本での所属レーベルの店じまいに伴い、発売から速攻で廃盤なってしまい、多くのリスナーの耳に届く機会を逸してしまったことが惜しまれてならない1枚です。


TOMMY FUNDERBURK - Anything for You - You Got the Love ★★★ (2021-04-28 22:43:53)

モダンなフィールも仄かに漂わせつつ
情感豊かな歌声と要所で美しく閃くアコギが
メロディの哀感をグッと際立たせる、
聴く度に「良い曲だなぁ」とため息をつきたくなる逸品です。


TOMMY FUNDERBURK - Anything for You ★★★ (2021-04-26 23:44:19)

AIR PLAYを筆頭に、WHAT IF、BOSTON、COVERDALE/PAGE等々、数多のセッション・ワークで鳴らしてきた実力派シンガー、トミー・ファンダーバーク。どちらかと言えば裏方スタッフ的なイメージもあった彼が、FRONTIERS RECORDSのバックアップの下、プロデューサーにファブリッツォ・V・グロッシを起用して制作、’05年に発表した初のソロ・アルバムがこちら。
FRONTIERS RECORDSのプロジェクトというと、看板として起用されたシンガーは事前に用意された楽曲をただ歌うだけ、というパターンも少なくありません。個人的にはそれが悪いこととは全く思っておらず、腕利きソングライター勢によって優れた楽曲がズラリ揃っていればそれだけアルバムのクオリティは跳ね上がりますし、寧ろそれを押しのけてまで収録した自前の楽曲が退屈だったら目も当てられないですよ。
但し、本作に関して言えば元々トミーが優れた作曲家であることに加え、どういったタイプの楽曲が自身の爽快なハイトーンVoが映えるか熟知していることもあり、収録曲はすべてご本人のペンによるもの。適度にロックのエッジを効かせつつ、キャッチーなメロディとフックに彩られたメロディアスHRサウンドは、単なる自己満足とは無縁の高いクオリティを有しているのだから流石。中でもアコギを活かしたエモーショナルな曲調が感動を呼ぶ⑥はグッとこみ上げる名曲に仕上がっています。
本作以降、表立った活動のニュースが伝わって来ないのが残念ですが、是非ともまたソロ・アルバムを作ってくれないものか。


MYRATH - Hope - My Inner War ★★★ (2021-04-23 00:06:26)

アルバムのラストに置かれた8分越えの大作ナンバー。
流麗なピアノが秀逸なアクセントとなっているのが
ピアノ好きの身としては嬉しい限り。
実はアラビア音楽要素は然程でもなかったりするのですが
今聴くとMYRATHの楽曲としては逆にそれが新鮮だったりもするという。


MYRATH - Hope ★★★ (2021-04-21 23:48:29)

チュニジア出身という珍しさでも注目を集め、それだけに留まることなく、確かな実力とそれに裏打ちされた作品のクオリティをもって世界的人気を誇るようになったMYRATHの記念すべきデビュー作。’07年発表。
プロデューサーはADAGIOのKey奏者として知られるケヴィン・コッファート。バンドの人気拡大に大きな貢献を果たしたシンガー、ザヘル・ゾルガディ加入前の作品ゆえ、ここではエリエス・ブシューシャがKeyと兼任でVoも担当しています。いやしかしこれが全然悪くない。SYMPHONY Xのラッセル・アレンを想起させる歌いっぷりはリード・シンガーとしても立派に食っていけるレベルに達していますよ。
曲作りに関しては「複雑にするために複雑にしている」ドヤ顔感のある曲展開はやや未整理で、リズムに関しても比較的ストレートというか、彼ら独特の円を描くような(舞踏のステップを踏むような)リズム・ワークは然程目立っていません。曲によってはクラシカルなメロディ、デス声による咆哮、ブラスト・ビート等々の要素を取り入れた試行錯誤が、いかにも新人プログレ・メタル・バンドといった趣きで微笑ましいという。無論、既にアクセントの領域を越え、作品全体のカラーを決定付ける規模で導入されている妖しくしなやかなアラビックなメロディも大きな効果を上げていて、11分越えの⑤、8分越え⑧といった大作曲も(多少強引な部分はあれど)聴かせ切る演奏技術/作曲術も冴えています。
個性確立へと至る過渡期の作品とはいえ、ここでしか聴くことの出来ない音楽性がこれはこれで十分に魅力的に響く1枚。


NORTHEN LIGHT - Northen Light - Wherever You Go ★★★ (2021-04-21 00:59:13)

故トニー・ミルズがVoを担当するハードポップ・ナンバー。
美しいハーモニーを纏いつつ、哀愁がふわっと匂い立つ
サビメロが絶品の素晴らしさで、トニー・ミルズの起用も
バッチリはまっています。


NORTHEN LIGHT - Northen Light - Don't Turn Away ★★★ (2021-04-21 00:55:52)

トール・タッレとヨルン・ランデの共作曲で、
Voもヨルンが担当。やはりこの人歌が上手い。
ハーモニーが爽やかに舞うポップな曲調に
合わせた伸びやかな歌唱で楽曲をより華やかに
盛り立ててくれています。


NORTHEN LIGHT - Northen Light ★★★ (2021-04-20 00:11:52)

MADISONの隠れた名曲“NORTHEN LIGHTS”を思い出すプロジェクト名だけである程度期待値が高まってしまうメロディック・ロック・プロジェクトの唯一作。'08年発表。
中心人物はノルウェー出身のギタリストでトール・タッレなる人物。まったく聞き覚えのない名前ゆえ、いくらアルバムの評判が良かろうとそれだけなら買おうとは思わなかったのですが、本作を手に取るとまず目に飛び込んでくるのがゲスト・シンガー勢のクレジット。ファーギー・フレデリクセン、トニー・ミルズ、ヨルン・ランデ、ミカエル・アーランドソン、ロブ・モラッティ、ピーター・スンデル、キモ・ブロム…このちょっとした「メロハー・オールスターズ」といった顔触れには、そりゃあ興味をそそられずにはいられませんて。
音楽業界の裏方ソングライターとして、ドラマや映画、CMソング、他アーティストの楽曲を手掛けながら曲作りの腕前を磨いてきたキャリアの持ち主だけに、ヨルン・ランデが歌う(曲作りにも関与)爽やかな哀愁と高揚感が立ち昇る②、トニー・ミルズの伸びやかな歌声と哀愁薫るサビメロの取り合わせが絶品の名曲③、思わず気恥ずかしさを覚えてしまうぐらい甘くキャッチーな⑥、キモ・ブロムのクリアな歌声が哀愁味を引き立て、トール・タッレがギタリストとしても存在感を発揮する⑩等々、北欧らしい透明感と瑞々しさを併せ持つ哀メロに彩られたメロハー・サウンドは、単にゲストが豪華なだけの空虚な作品とは一線を画する見事なクオリティを誇っています。
現在は本業の方が忙しくこのプロジェクトは休眠状態となってしまっているようですが、本作を聴くと、是非とも継続をお願いしたくなる次第。


ASIA - Aura - Free ★★★ (2021-04-16 01:02:32)

往年のプログレ風味を仄かに匂わせる
8分越えのドラマティックな大作ナンバー。
疾走パートも組み込まれた曲展開は起伏に富むが、
全体しては静謐なイメージが勝る。
それがまた良し。


ASIA - Aura - The Last Time ★★★ (2021-04-16 00:55:02)

哀愁のメロディにジェントルメンな歌声と美麗なハーモニー、
楽器陣の的確なアシストを得て、聴き手をじんわりと
内側から暖め癒してくれるような、英国産ハードポップ
ならではの魅力を湛えた名曲。


ASIA - Aura ★★★ (2021-04-15 01:34:21)

故ジョン・ウェットンを擁したオリジナル・ラインナップに比べ、ジェフ・ダウンズ(Key)&ジョン・ペイン(Vo、B)主導期のASIAは数段下がる辛めの評価を受けがちで(安易なベスト盤や蔵出し音源集の乱発等、自業自得な面も多分にありましたが)、斯くいう自分も1st~3rdは頻繁に聴き直すのに、4th以降は一体何枚アルバムがリリースされているのかすら正確には把握できていない体たらく。しかしそうした舐めた態度を反省させられる切っ掛けとなったのが、'01年発表の本作の存在でした。
Aに始まりAに終わるタイトルといい、名匠ロジャー・ディーンの手によるアートワークといい、ASIAの様式美を踏襲しつつも最早ここには「3分間のプログレ」と評された頃のスリルは希薄で、楽器陣も飽くまでVoの引き立て役に徹するAOR/産業ロック路線へとシフト完了済み。とはいえペインのシンガーとしての実力に不足は全くありませんし、彼の人肌の暖かみを感じさせる歌声と、極上のハーモニーによって紡がれるポップな抒情メロディの魅力はそれを補って遥かに余りあるもの有り。
淡々としたBラインが逆に印象的な⑥、ハード・ロッキンな疾走パートも組み込まれた本編随一のドラマ性を発揮する⑧、泣きがじわじわ染み出すバラード⑩といった楽曲は、初期ASIAのそれと比較しても何ら聴き劣りはしませんし、特にジェントリーな包容力と、聴き手を励ますような高揚感を沸々と湧きあがらせる曲調が中期MAGNUMを思い出したりもする④は本編最大の聴き所に推したいハイライト・ナンバーですよ。
聴けば貴方も必ずや「4th以降のアルバムもチェックしてみようかな…」との気にさせられること請け合いの充実作。


ART OF ILLUSION - X Marks the Spot - Let the Games Begin ★★★ (2021-04-13 23:49:46)

ヒンヤリとした感触の哀メロ、立体的に配置されたコーラス、
ミュージカル風味の曲展開と、HR然としたエッジとキャッチーな
疾走感が相俟って実にアガる名曲に仕上がっています。


ART OF ILLUSION - X Marks the Spot - My Loveless Lullaby ★★★ (2021-04-13 23:25:53)

荘厳な導入部を経てテンポアップ、冷ややかな哀メロを
ラーズの伸びやかな歌声と華麗に舞うコーラス、シアトリカルな曲展開とで
劇的に盛り立てグイグイと聴き手を引き込んで行く「これぞアンダース・リドホルム!」な名曲。
Voがピーター・スンデルだったらGRAND ILLUSIONの楽曲と言っても通用しそうです。


ART OF ILLUSION - X Marks the Spot ★★★ (2021-04-13 01:01:06)

ハイきた、早くも今年ベスト1作品(候補)。GRAND ILLUSIONで一躍注目を集め、現在はデーモン閣下のソロ・アルバム制作に関わったりツアーに同行したりといった活動で知られるマルチ・アーティストのアンダース・リドホルムと、WORK OF ARTやLIONVILLE等で高い評価を得るシンガー、ラーズ・サフサンドがタッグを組んだプロジェクトのデビュー作。
WORK OF ARTとGRAND ILLUSIONの組み合わせだからART OF ILLUSION。安直~と言うなかれ。軽快なイントロで今回はポップ路線に寄せたの?と一瞬不安にさせておいてからの、サビでは立体的なコーラスが壮麗に舞うアレンジの出現で「よっ、待ってました!」とニヤリとさせられる①を始め、曲作りをほぼ一手に担うアンダースの作曲センスと、ラーズの伸びやかでエモーショナルな歌声が理想的なマッチングを果たした本作は、聴き終えてみればまさしくこのプロジェクト名がぴったりであったと深く理解できる筈。特にGRAND ILLUSIONのアルバムに収録されていても違和感のない③⑥⑧はアンダースの美学が凝縮されたアルバムのハイライト。冷ややかな哀メロを伴いシアトリカル且つ劇的に駆け抜ける③の素晴らしさにゃ、こちとら瞳孔が開きっ放しになりましたよ(大袈裟)。
他にもQUEENを北欧風の味付けで料理したようなミュージカル調の④⑨⑫あり、爽快に躍動するハードポップ②⑩あり…。ボートラ収録の⑬までラーズの美声が映える美しいバラードなんですから、本作の捨て曲なしのクオリティっぷりが窺い知れようというもの。
当然第2弾、第3弾アルバムも期待せずにはいられない傑作。あとやはりアンダース・リドホルムはもっと色々なバンド/プロジェクトで活躍して欲しい逸材だなぁと。


MARA - Mara - Promises Made to Be Broken ★★★ (2021-04-08 23:53:26)

リズミカルな曲調を、煌めくKeyと声を張るほどに哀愁味を増す
マーティ・ファリスの感傷的な歌声が彩るOPナンバー。
心の柔らかい部分を刺激するジェイソン・アノロフのGソロも絶品で、
もっと高く評価されて然るべきギタリストだったのではないでしょうか?と。


MARA - Mara ★★★ (2021-04-07 23:47:30)

90年代に残した2枚の国内盤が中古屋の特価コーナーでひっそりと埃を被っているオハイオ出身のHRバンドMARA。個人的には今でも両作を引っ張り出しては聴き直しているぐらいお気に入りのバンドでして、本作はMARAが'95年に発表した蔵出し音源集に当たる作品です。
カセットのみの流通だった自主制作の1st『BREAKING THE SILENCE』収録曲の内、2nd『POETRY & MOTION』でリメイクされなかった6曲に、未発表曲2曲を加えた全8曲からなる構成。長らく探していた1枚ゆえ、数年前に中古盤屋で発見した時は思わず震えましたよ。まぁその割に1,000円弱で買えちゃって「プレミアついてないんかい!」と、特に誰も欲しがっていない事実に嬉しいような悲しいような複雑な心境に陥りましたが。
ともあれ、漸く聴けた本作はやはり大変素晴らしいメロディアスHRアルバムでしたよ。次作『AMERICA』では90年代らしいシリアスで内省的な雰囲気も漂わせていた彼らなれど、本作は煌めくKeyを適宜取り入れた、爽やかなポップ・フィーリング薫る80年代感満点のサウンドを披露(実際80年代に書かれた楽曲ばかりなのだから当然っちゃ当然)。自主制作ゆえ音質的にイマイチな部分はあるものの、声質自体が哀愁を帯びているマーティ・ファリスの感傷的なVoと、ジェイソン・アロノフの痒い所に手の届くメロディアスなGプレイという、MARAの二本柱が魅力的に機能している①②による本編開幕早々の畳み掛けや、後に3rdアルバムに日本盤ボーナストラックとして収録された、サックスを有用する抒情バラードの逸品⑥は、その辺を差し引いても余りある輝きを放っています。
入手が容易な2nd、3rdと併せて、未聴の方に猛プッシュする1枚。再結成しないかなぁ。


KEEL - Streets of Rock & Roll - Come Hell or High Water ★★★ (2021-04-07 00:44:32)

落ち着いた曲調が目立つ本編にあっては
溌剌とロックしているアップテンポの疾走ナンバー。
ロン・キールのパワフルな歌声と、彼に負けじと
マーク・フェラーリとブライアン・ジェイの
ツイン・リードGもインスト・パートを
スリリングに盛り上げてくれています。
これをOPナンバーにすれば良かったのに。


KEEL - Streets of Rock & Roll ★★ (2021-04-05 23:51:54)

綺羅星の如きLAメタル勢の中にあって、ビッグ・ヒットには恵まれずともファンからは根強く愛されたロン・キール(Vo)率いるKEELが再結成を遂げて――正確には90年代にも一度復活を果たしているのですが――'10年にFRONTIERS RECORDSから発表した、通算5作目となるスタジオ・アルバム。
レコーディングに名を連ねたのは、リーダーのロン以下、マーク・フェラーリとブライアン・ジェイのGチームに、ドラマーのドワイン・ミラーといった黄金期のメンバー。ケニー・チェイソン(B)は不参加ながら、これだけ主だった面子が揃っていれば不満を漏らすファンはいないじゃないでしょうか。正直、ミッド・チューン2連発による本編の立ち上がりは少々地味で、「素直にスピード・ロック・チューン③で始めときゃいいのに」とか思わなくもなかったですが、印象的なGリフ、分厚いハーモニー、一緒に歌いたくなるコーラスを配した、嘗てのKEELを彷彿とさせるHRサウンドには思わず顔も綻びというもの。流石に年を重ねた分、やや落ち着きは感じられるようになりましたが…。
SABER TIGERの『PROJECT ONE』以来久々に耳にしたロンのVoも、KEEL解散中はカントリー業界で身を立てていたというだけあって、クドさが薄れ実力派シンガーとしての風格を感じさせるまでにレベルUP。その彼のVoと、スリリング且つ劇的に絡み合うツインGをフィーチュアして駆け抜ける③や、キャッチーなハードポップ⑩といった楽曲は、長年のブランクを瞬く間に埋めてくれる魅力を放っていますよ。
復活作として十分な手応えを感じさせてくれる1枚。後が続かなかったのが残念。


TREAT - Scratch and Bite - Hidin' ★★★ (2021-04-02 00:22:12)

1stアルバムにあってはハード寄りに位置するロック・チューン。
ハモンド・オルガンとシンセを効果的に使い分け、
ヴァース~ブリッジ~コーラスと、1曲の中でメロディが明暗の
グラデーションを描いていく様に胸躍ります。


TREAT - Scratch and Bite ★★ (2021-03-31 23:31:32)

デビュー・シングルをヒットさせた勢いを駆り'85年に発表された記念すべき1stアルバム。
こちとら便利なのでつい「北欧のBON JOVI」とか「ポストEUROPE」とか評しがちなTREATですが、BON JOVIやEUROPEが世界的成功を収めるのは'86年以降のこと。なのでこの時期の彼らに関してはクローン/フォロワー・バンドというより、たまたま同時期に同じようなスタイルの音楽性を志していた、というのが適当なのかなぁと。
そんなわけで、アルバムの幕開けを飾るのは能天気なパーティ・ロック・チューン①。音質は薄っぺらいですし、現在は実力派シンガー然とした歌唱を聴かせてくれるロバート・アーンルンドのVoもまだまだ野暮ったかったりと、初めて聴いた当時は正直「買って損こいた…」と頭を抱えそうになってしまったことを告白しておきます。
但し、そうした評価は後に4th『ORGANIZED CRIME』にてリメイクされることとなる③の登場で一変。哀愁のメロディが奏でられるイントロからして既に名曲の風格漂うこのTREATの代表曲以降は、アップテンポでロックする④、甘く切ないパワー・バラード⑥、ハモンド・オルガンの音色が北欧メタルならではの魅力を付与するラスト・ナンバー⑨といった具合に、フックの効いた秀逸な楽曲が続出。聴き終えてみれば「アッパレな作品であった」との評価に落ち着くという。
思惑通りの大ヒット作となり、TREATの名を一躍知らしめる切っ掛けとなったのも納得の1枚。とはいえやはり今の彼らと比較すると垢抜けなさは隠しようもないので、後追いでチェックする際はある程度覚悟を決めておく必要はあり。


O'RYAN - Something Strong - Don't Let It Slip Away ★★★ (2021-03-30 23:30:34)

オライアンの美声によって歌われる涼し気な哀愁を
帯びたメロディに、サックスとピアノの瀟洒な旋律が
程好くマッチした抒情ナンバー。
下手なシンガーじゃ決して歌いこなせないタイプの名曲ですよ。


O'RYAN - Something Strong ★★★ (2021-03-29 23:31:40)

アイルランド出身のシンガー/ソングライターで、グレン・ヒューズの後任として加入したTRAPEZEや、そのTRAPEZEのメル・ギャレーが立ち上げたロック・オペラ・プロジェクトPHENOMENAへの参加、あるいはイギリスの老舗HRバンドWISHBONE ASH等での活躍で知られるマーヴィン“オライアン”スペンスが、ほぼ自主制作に近い形でレコーディングを行い、自らのレーベルPARACHUTE MUSICから'93年にO’RYAN名義でリリースした1stソロ・アルバム。日本盤はゼロ・コーポレーションからのリリースでした。
当人がマイケル・ボルトンやドン・ヘンリーからの影響を告白する通り、本作で聴けるのはオライアンの透き通るような美声が映える、仄かに哀愁を帯びたポップなメロディを、洗練されたアレンジで包み込んだAOR/産業ロック寄りのサウンド。⑦みたいな快活にロックする楽曲もありつつ、全体としてはHR/HMとはだいぶ距離を感じさせる作風ではあるものの、オライアンが自信作として挙げる、軽やかに奏でられるサックスとピアノの音色が爽やかな心地良さを運んでくる③や、娘が生まれた際の感動を綴った歌詞と、エモーショナルな歌声が相俟って強く胸を打つ絶品のバラード⑥等を前にすると、「ま、どうでもいいか。そんなことは」という気分にさせてくれます。
その昔、誰だったか忘れたけど(多分因縁からするとPHENOMENA関係者)、雑誌でオライアンのことを「不逞ぇ野郎だ」と非難しているインタビューを目にしたことがあり、以来、真実はさておき何となく彼の作品を避けてしまっていたのですが、本作における歌の上手さ&完成度の高さに吃驚させられた際は「もっと早く買っておけば良かったなぁ」と後悔しきりでしたよ。


VAIN - No Respect - Without You ★★★ (2021-03-26 00:10:47)

クセの強い声質に耳を奪われがちですが、
このドラマティックな泣きのバラードにおける
エモーショナルな熱唱を聴けば、ヴェインが
シンガーとして確かな実力を有していることが
お分かり頂けるのではないかと。


VAIN - No Respect - Who's Watching You ★★★ (2021-03-26 00:08:35)

シングル・カットされPVも作られた
アルバムのリーダー・トラック。
軽快に跳ねるキャッチーなメロディ&曲調と
ねっとり絡みつくようなヴェイン独特な歌唱の
コントラストが強い印象を焼き付けます。


VAIN - No Respect ★★★ (2021-03-25 00:21:04)

デイヴィ・ヴェイン(Vo)というと、スラッシュ・ファン的にはDEATH ANGELの1st『ULTRA VIOLENCE』のプロデューサー。あと個人的に真っ先に思い出すのは喜国雅彦の『ROCKOMANGA』で「宣材写真のポーズがいつも大体同じ人」とネタにされていてちょっと笑ってしまったことなのですが、彼が率いたVAINはデビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾る等して注目を集めたニュー・カマーであり、'90年にISLAND RECORDSから発表された本1stアルバムは、そうした前評判に違わぬクオリティを有していました。
ヴェインのキメポーズ同様、ねっとり絡みつくような爬虫類系の歌声に当初あまり好印象が持てず、「ロックンロール系はパス!」と長らく購入スルーを決め込んでいた本作、しかしアルバムの幕開けを飾るのは意外にも軽快に疾走する①。シングル・カットもされた③もキャッチーな名曲で、早くも「浅はかな思い込みから目を覚ませ!」とこちらの頬を張り倒しに来ます。演奏はタイトでメンバーの確かな実力者ぶりが伺え、何よりメロディも能天気さよりダークさが勝っているという。尤も、一口にダークといっても欧州系の暗黒美ではなく、ドヨンとした頽廃的な雰囲気を纏った暗さな辺りがLAのバンド風味(SHARK ISLANDとかに通じる暗さ)だなと。
似たり寄ったりなテンポの楽曲が続く中盤で少々ダレるものの、しかし濃厚な泣きを撒き散らすドラマティックなバラード⑨、ラストを全力で走り抜ける⑩という終盤2曲がこれまた逸曲なので、聴後感は極めて良好。聴き始めこそ違和感を持つヴェインのVoも聴き終わる頃には「この声でないとな!」と手のひら返ししていること請け合いですよ。


ALIEN - Into the Future - Children ★★★ (2021-03-23 23:38:32)

ピアノとストリングスをバックに、悲哀に満ちたメロディを
切々と歌い上げるジム・ジッドヘッドのエモーショナルなVoに
聴き惚れる抒情バラード。アルバム全体としては不慣れな
ヘヴィ・チューンを歌いあぐねている場面も散見されるジムですが、
やはりこの手の楽曲を歌わせたら絶品です。


ALIEN - Into the Future - Into the Future ★★★ (2021-03-23 23:30:12)

ジム・ジッドヘッドの独唱による神秘的なイントロで掴みはOK。
リッチー・ブラックモアへの敬愛を感じさせるGプレイと、
ミスティックなメロディに彩られた劇的なアルバム表題曲。


ALIEN - Into the Future ★★ (2021-03-23 01:05:56)

'14年発表の傑作『ETERNITY』で高らかに復活を宣言するも、その後は再び長い沈黙期間に突入してしまったALIEN。なかなか活動が軌道に乗らずヤキモキさせられる彼らが久々に発表した最新アルバムがこちら。
「新たなリスナーにアピールできるような変化を求めていた」とのトニー・ボルグ(G)の発言が物語る通り、OPナンバー①ではダウン・チューニングの施されたヘヴィ・リフが無愛想に刻まれ、続く②はヴァイキング・メタルばりのエピック・チューン。カッコイイことは間違いないけど、ジム・ジッドヘッド(Vo)の繊細な声質にマッチしているかと言えば、無理くり荒れ声を絞り出しているようで、正直…うーむ。
そんなわけで、背筋を冷たい汗がタラリと流れ落ちていく幕開けでしたが、本編は聴き進めるうち徐々に冷ややかな哀感が立ち上り始め、メロディもどんどん煌めきを増していきます。むしろ合間にヘヴィ・ナンバーが置かれたことで、しっとり憂いを孕んだメロハー・チューン④、アルバムのハイライトに推したい、トニーのRAIBOW愛が仄かに感じられる劇的な表題曲⑥、哀愁に満ちたサビメロの素晴らしさをジムの歌声が引き立てる⑩、冷ややかなピアノの調べと泣きを背負ったGの共演にグッとくるバラード⑪等々、変わらぬALIEN節が堪能できる楽曲の絶品ぶりが際立って聴こえるというもの。脳裏を過る「全部こっち系の楽曲で統一してくれりゃ尚良かったのでは?」との至極もっともな疑問はひとまず脇に置いておくとして。
ともあれ、新味を盛り込みつつ、らしさも見失わず。ブランクをものともしないALIENの曲作りの腕前が健在であることを示す力作なのは間違いありません。


ROTH BROCK PROJECT - Roth Brock Project - My City ★★★ (2021-03-18 23:31:22)

メリハリの効いた曲展開、それを彩る爽やかな哀愁を帯びたメロディと、
テリー・ブロックの伸びやかな歌声とが絶妙なマッチをみた結果、
全盛期のSURVIVORにも肉薄するキャッチーな名曲に仕上がりました。


ROTH BROCK PROJECT - Roth Brock Project ★★★ (2021-03-17 23:37:41)

FRONTIERS RECORDSが次から次へとメロディアスHRプロジェクトを送り込んでくるだもんで、贔屓のアーティストが関わっていても見落としてしまっている作品が出てくるわけで、本作はそうしたリリースから暫く存在に気付いていなかった作品の1つ。
STRANGEWAYSやGIANTのフロントマンを務めていたことで知られるテリー・ブロック(Vo)と、WINGERにレブ・ビーチの後任として参加、テリー・ブロックとは再結成GIANTで同じ釜の飯を食った仲でもあるジョン・ロス(G)が中心となって立ち上げられたROTH BROCK PROJECTが、'16年に発表した現時点での唯一のアルバムです。
快活にドライヴするロスのGと、未だ衰え知らずなブロックの伸びやかな歌唱力を存分にフィーチュアし、ハードな疾走ナンバー①⑧、力強い曲調がライブ映えしそうな⑦、一転してじっくりと聴かせる哀愁のバラード④⑩等々、まさしくこの組み合わせに対するリスナーの期待に的確に応えてくれるメロディック・ロック・サウンドをギュッとパッケージ。職人の手により端正に作り上げられたアルバムらしい手堅い完成度を提示する本作ですが、中でもキャッチーなメロディを纏って心地良く駆け抜けていく哀愁のハードポップ③⑨は、電車内で聴いていて思わず「アルバムを買って良かったわー」と、こっそり握り拳を固めてしまった名曲ぶりですよ。
それぞれ多忙なせいゆえ(最近テリー・ブロックは何をやっているんでしょうかね)、これ以降はアルバムのリリースがないご両人。是非とも第2弾、第3弾作品をお願いしたいところなのですが…。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening - Labour of Love ★★★ (2021-03-16 23:39:22)

アコギによる物悲し気なイントロから、全楽器が加わって劇的に盛り上がっていく
アルバム中盤のハイライトを飾る名曲。この手の哀愁に満ちたメロディを
熱唱させるとジェイムズの歌声は絶品なハマリ具合を聴かせてくれますね。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening - Pleasure and Pain ★★★ (2021-03-16 23:36:32)

ジェイムズ・クリスチャンとマーク・ベイカー共作のバラード。
フックの効いたメロディが炸裂するサビメロが絶品で
80年代に発表されていたら間違いなくCMや映画主題歌に
引っ張りだこだったろうに…と思わされる名曲です。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening ★★★ (2021-03-16 00:16:00)

3rd『DEMONS DOWN』(’92年)を最後にHOUSE OF LORDSが事実上の解散状態に陥ったことを受けて、フロントマンだったジェイムズ・クリスチャンが’94年に発表した1stソロ・アルバム。当時はゼロ・コーポレーションからのリリースでしたが、後にNIPPON CROWNからボーナストラック6曲を追加収録する形でリイシューもされています。(今じゃどちらも入手困難なのが残念)
華を添えるブルース・ゴウディ、マイク・スラマー、ミッチ・ペリーといったギタリスト達のゲスト参加に加え、作曲面ではHOUSE OF LORDS時代からの付き合いであるソングライター、マーク・ベイカーの助力を得て制作されている本作で聴けるのは、まさしくそのHOUSE OF LORDS時代の作風を忠実に受け継いだ、ほんのりブルージーな味付けも施されたメロディアスHRサウンド。
ほぼバラード系の楽曲の固め打ち、全体的にHR/HM色は薄めな仕上がりながら、だからこそジェイムズのエモーショナルな歌声が映える。立ち上がり①こそ多少地味な印象でも、「ドラマかCMで主題歌に起用されてませんでした?」と思わず考え込んでしまうぐらいフック効きまくりの名曲②で早くもクライマックスを迎えて以降は、これまた高いヒット・ポテンシャルを感じさせる③、躍動感溢れるロック・チューン⑦、物悲しいイントロからドラマティックに盛り上がっていく⑧等、本編には秀逸な楽曲が目白押しです。
スタン・ブッシュやランダル母娘といった腕利き作曲家が関与した2ndソロ『MEET THE MAN』も大変な傑作でしたが、本作だって負けず劣らず、探し出してチェックする価値は十分にある1枚かと。