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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 4701-4800

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WARLOCK - Triumph and Agony ★★ (2011-01-11 22:53:54)

赤尾和重、アン・ボレイン、レザー・レオーネらと共に80年代のHR/HMシーンを彩った、「女ロ二ー四天王」ことドロ・ペッシュ(Vo)を擁するWARLOCKが'87年に発表し、彼らの最終作ともなった4thアルバム。
GとBをU.D.O.に引き抜かれたりと、櫛の歯が抜けるようにメンバー・チェンジが相次ぎ、ドラマー不在の穴を埋めるべく御大コージー・パウエルがノー・クレジットでタイコ叩いてる事でも知られる本作は、ドロ単独のイラストや写真があしらわれたジャケット/ブックレットから「ドロ・ペッシュとそのバックバンド」的な構図が透けて見える通り、後のソロ活動へのターニング・ポイントともなった作品で、現在も彼女のライブでは欠かす事の出来ないアンセム“ALL WE ARE”を収録。
この名曲が示すように、重厚なミドル・テンポの楽曲を中心に固められた本編は、ドメスティックな色合いやマイナー臭が一掃され、アメリカ出身の正統派HMバンドと言っても通用しそうな洗練された薫りが匂い立つが(レコーディング自体、ドロが渡米してNYにて行われている)、どっこい、メロディが能天気になってしまったなんてことはなく、ドラマティックな構築美が光る③、物悲しげなピアノの旋律をフィーチュアした⑤、“METAL TANGO”というタイトルからして最高な⑧、そしてドロ・ペッシュ嬢を語る上で避けて通れない名バラード⑩といった楽曲は、“ALL WE ARE”等の代表曲にも引けを取らないクオリティを備えているんじゃないかと。
元マネージャーとのトラブルが原因で結果的にこれがラスト作とはなったものの、有終の美を飾るに相応しい完成度の高さを誇る1枚。


WARLOCK - True as Steel ★★★ (2011-01-10 21:55:11)

2nd『HELLBOUND』との間に3曲入りEP『YOU HURT MY SOUL』('85年)のリリースを挟んで'86年に発表され、WARLOCK独自の音楽性の確立と、HR/HMシーンにおけるバンドの人気、そしてドロ・ペッシュ嬢(当時)のセックス・シンボルとしての座を決定付けたと言われる3rdアルバム。
プロデュースはヘンリー・スタロステが再登板し(大半の曲作りに関与している点も前作同様)、LAのスタジオにて名手マイケル・ワグナーの手によりミックスダウンが行われた本作は、前2作のような荒々しさが薄れた代わりに、ポップな味わいも備えた楽曲を収録し、曲によってはKeyを味付けに使う等、よりメロディを「聴かせる」姿勢を重要視した内容で、練り込まれたアレンジや多彩さを増したリズム・パート、そして思わずコブシを振り上げたくなる勇壮且つキャッチーなコーラス・ワークを擁する楽曲からは、ドイツのメタル・シーンの最前線を行くバンドとしての気概や貫禄がオーラの如く滲み出す。
前作同様これまた捨て曲皆無の名盤だが、敢えて聴き所を挙げるならば、これぞWARLOCK!これぞメタル!な疾走曲①④⑥、PVも作られたキャッチーな②、熱心なファン数十名がコーラス隊として参加、その全員名前と集合写真がブックレットに掲載されている重厚なメタル・ナンバー③⑦、ポップな味わいが心地良い⑧、一層の表現力を獲得したドロの熱唱が涙腺に沁みるバラード⑨辺りの楽曲・・・って殆ど全曲でしたね、はい。
WARLOCK入門編としてどうぞ。


WARLOCK - Hellbound ★★★ (2011-01-10 00:38:58)

デビュー作『BURNING THE WITCHES』が大受けしたことにより、英メジャーPHONOGRAM傘下の老舗レーベルVERTIGOとのディールを成立させたWARLOCKが'85年に発表した、日本初お目見え作品ともなった2ndアルバム。
ACCEPTを思わせる硬派な正統派HMサウンドの上に、キャロライン・マンロー系のキツめな美貌に相応しい(?)攻撃的なシャウトを炸裂させるドロ・ペッシュのパワフルなVoが乗っかった音楽スタイルに変化はないが、メジャー・レーベルとの契約効果は音質の向上など各方面に覿面に表れていて、取り分け、プロデュースのみならず作曲作業においても大きな貢献を果たすヘンリー・スタロステの参加は本作最大のトピック。
彼の助力を得た事で、力押し一辺倒だった前作に比べ楽曲がかなり磨き込まれ、曲展開には緩急が、アルバム全体の構成にはメリハリが付与され、収録楽曲1つ1つのキャラ立ちがより明確化。特に、泣きを伴った哀メロが駆け抜けていくメロディアスなHMナンバー⑤は、本作におけるバンドの作曲能力の著しい上達っぷりを端的に伝えてくれる名曲だ。
これ以外にも、華やかなGソロがヘヴィ・メタリックな曲調に彩りを添える①、ドロの歌う憂いを帯びたメロディが秀逸な疾走ナンバー⑦、劇的なパワー・バラード⑨等、捨て曲皆無の本編には充実した楽曲が顔を揃え、個人的にはWARLOCKのカタログの中では1、2を争うぐらい好きなアルバム。


SAGA - Behaviour ★★ (2011-01-09 00:38:27)

ライブ盤『IN TRANSIT』をもって初期プログレ・ハード路線を総括。ニューウェーブ~AOR/産業ロック色を強めた5th『HEADS OR TALES』('83年)がアメリカでゴールド・ディスクを獲得する程の成功を収めた事に自信を深めたSAGAが、同様の路線を更に追求すべく、プロデューサー兼エンジニアにエレクトロ・ポップ・ロックを得意とするピーター・ウォルシュを迎えレコーディング作業を行い、'85年に発表した6thアルバム。
物語を感じさせたファンタジックなイラストから、写真を用いた即物的なジャケット・アートワークへの変化が物語る通り、本作にはもはやプログレ・ハード色は局所的に残るのみ。共通するコンセプトを備えている事から、副題として“CHAPTER”が振られていた楽曲(総じてプログレ色が強かった)の姿は既になく、女性コーラスやダンサブルなビートを取り入れる等、モダンさを増したアレンジの数々といい、シンプルな間奏パートといい、曲展開は飽くまでスマートにまとめられ、Keyサウンドも楽曲をファッショナブル且つスタイリッシュに彩る事に専念している。例えばアルバムのラスト・ナンバー⑪は6分を越える長尺曲ながら、嘗てのようなドラマ性の迸りを感じる場面は殆どなく、アルバム全体も、お洒落で都会的洗練を感じさせる上品なポップ・ロック・アルバムといった趣き。
個人的にSAGAと言えばやはり初期作の方が好みだけど、壮麗なイントロが印象的な①、良い意味で眠気を誘われる幻惑的なバラード⑥、躍動するポップ・ナンバー⑦、壮大なスケール感漂わす⑪といった名曲/佳曲を収録する、本作の完成度の高さを否定するものではない。
それはそれ、これはこれとして愛聴している1枚。


WARLOCK - Burning the Witches ★★ (2011-01-08 00:03:31)

先頃待望の初来日公演を行った女性メタル・シンガーの草分け的存在、ドロ・ペッシュ姐さんの原点にして、彼女の名を一躍HR/HMシーンに知らしめる切っ掛けとなったドイツはデュッセルドルフ出身の5人組HMバンドWARLOCKが、ベルギーのインディー・レーベルMAUSOLEUMから'84年に発表した1stアルバム。
「ACCEPTの影響とNWOBHMの洗礼を受けた、荒っぽく刻まれるGリフ主導で突っ走るダークなHM」という基本スタイルは既に固まっているものの、イマサンな音質にラフなパフォーマンス、それに荒削りな楽曲といい、作品全体から漂ってくる雰囲気はこの時点ではまだまだイモ。(ちなみにプロデューサー役を務めているのはMEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトだ)
但し、アグレッシブでスピーディなHMナンバー①⑥、ヒロイックなミドル・チューン⑨辺りからは、磨けば光るダイヤの原石的なポテンシャルが感じられるし、何より本作を(というかWARLOCKを)語る上で外せないのがドロ・ペッシュのVo。現在のような貫禄や表現力には欠けるものの、若さに任せた攻撃的なシャウトは痛快だし、しっとりと歌い上げるバラード⑤では、後の作品で開花する事となる才能の片鱗もチラリ。
マニア向けな内容ながら、がむしゃらな勢いが感じられて結構お気に入りな1枚。まぁ、武器が勢いしかないと言えばそれまでだが。


TREAT - Coup de Grace ★★★ (2011-01-06 21:49:50)

北欧メタルの代表的なバンドの作品はそれなりにチェックしていたが、なぜかこれまでTREATのことはノー・マーク状態だったので、本作(6th?)を最初に聴いた時は「正直このバンドのこと舐めてました、申し訳ない!」と、思わず手を突いて謝りたくなってしまった次第。
心を打つ哀メロや、絶妙なポップ・センス、分厚いボーカル・ハーモニーに包まれたキャッチーなコーラス・ワークを筆頭に、かつてのTREATらしさを十二分に保ちつつも、北欧メタル・バンドにありがちな「垢抜けないB級感」や「頼りない線の細さ」と一線を画すのは、曲作りの巧さはもとより、しっかりとした歌唱力を備えたVo、抜群のセンスでまとめられた良質なソロを紡ぎ出すG、腰の据わったビートを刻むリズム隊等、豊富なキャリアに裏打ちされた、確かな表現力とテクニックを身に付けたメンバーのスキルの高さゆえ。
特に、本編への没入度を高めるドラマティックなイントロと共にアルバムの開幕を宣言するOPナンバー②、ハードネスと哀メロ、それにキャッチーさが絶妙な融合をみた④、メロディの余りの憂いっぷりに眉毛が八の字になってしまう⑩、そして爽快極まりない⑪といった楽曲は、TREATファン(及び北欧メタル・ファン)ならずとも一聴の価値がある名曲じゃないかと。日本盤ボーナストラックを含めると全15曲も収録する長大さながら、殆どダレを感じさせない捨て曲皆無の充実っぷりには目を瞠るものがありますね。
タイプは大きく異なれど、ACCEPTの再結成アルバムと同等の凄味を感じさせてくれた1枚。


YNGWIE MALMSTEEN - Facing the Animal ★★★ (2011-01-05 21:38:54)

90年代のイングヴェイの最高傑作と言えば、ジャケットで欧陽菲菲みたいな彼が睨みを利かせるこの9thアルバムで決まり。
理由は勿論、敬愛して止まないコージー・パウエルの遺作だから・・・というのも勿論大きいが、それと同等に収録楽曲の飛び抜けたクオリティの高さ。分けても(別に嫌いではないが無くとも全然構わなかった)ブルーズ系の楽曲が姿を消し、ダークで緊迫感を伴ったHMナンバーで本編の統一が図られている点が評価ポイント。判り易いスピード・ナンバーが見当たらない代わりに、適度な歪みと熱さを備えたマッツ・レヴィンの歌声と、一撃一撃に魂の篭ったコージーのパワフルなドラミングが映える楽曲がズラリ揃えられています。唯我独尊っぷりを色々揶揄される機会の多いイングヴェイなれど、この辺の「参加メンバーの長所を活かす曲作りの上手さ/器用さ」は他の追随を許さないレベル。流石マエストロ。また、今回は彼自身のGプレイが冴えまくっているのも特筆すべきセールス・ポイントですかね。
力強くドラマティックなOPナンバー“BRAVEHEART”、『ODYSSEY』の頃を思い起こさせる“FACING THE ANIMAL”、重厚且つ緊迫感に満ちた“ENEMY”・・・といった具合に、語ろうと思えば頭から順に全曲について語れてしまうぐらい逸曲揃いの本作ですが、取り分け、エモーショナルなGソロにキュンキュン来るバラード“LIKE AN ANGEL”、コージーの重たいドラミングが映える“MY RESURRECTION”、巧みにまぶされたポップ・センスに唸る“ANOTHER TIME”といった、劇的極まりないメロディ展開に耳奪われる名曲が連続する本編中盤の盛り上がりっぷりは圧巻。
聴き終える度に、大いなる満足感と共に一抹の寂寥感を覚えずにはいられない1枚です。合掌。


SAGA - Worlds Apart ★★ (2011-01-04 14:48:54)

ティナ・ターナーやハワード・ジョーンズなんかとの仕事で有名な売れっ子プロデューサー、ルパート・ハインと組み、アメリカ市場での成功を念頭に置いて制作された'81年発表の4thアルバム。
SAGAの代表曲の1つとして知られる、ポップでコマーシャルなヒット・シングル①が本作の方向性を決定的に示す通り、「脱プログレ・ハード路線」を志向し、メロディからはヨーロッパ的な暗さや湿り気が、曲調からはハードさや重さが一掃され、マイケル・サドラーの歌唱にしても、以前のような粘りとコブシの効いた歌い回しは抑え気味。ポップに心地良く弾む楽曲は、全体的にカラッと爽やかに垢抜けた仕上がりで、曲によってはダンサブルなアレンジが施される等、エレクトロ・ポップ・ロック風味が感じられる辺りは、やはりプロデューサーの嗜好ゆえか。
と言っても、次作以降ほどそういった新たな方向性へと踏み込んでいるわけではなく、当時、日本でもシングル・カットされた②や、繊細な美しさに満ちた叙情バラード⑦(歌っているのはKey奏者のジム・ギルモア)、7分以上に及ぶドラマティックな大作ラスト・ナンバー⑨といった、従来のプログレ・ハード路線と、本作ならではのポップ・テイストがバランス良く配合された楽曲も収録。
総合的な完成度の高さは、本作がアメリカでもトップ20に食い込むヒットとなり、SAGAの名を一躍メジャー・シーンへと押し上げる切っ掛けとなった名盤であることをしっかりと裏付けている。


SAGA - Silent Knight ★★★ (2011-01-04 01:07:23)

3代目Key奏者としてジム・ギルモアが加入。これにてマイケル・サドラー(Vo)、ジム(B)とイアン(G)のクリットン兄弟にスティーヴ・二ーガス(Ds)という、いわゆる黄金期のメンバーが揃ったSAGAが'80年に発表した3rdアルバム。
場面によってトリプル・キーボード編成にまで変化する、このバンド独自のスタイルを更に発展させ、時に華やかに、時にドラマティックに楽曲を彩る分厚いKeyサウンドの存在が益々強調された本作は、例えば“MOUSE IN THE MAZE”のようなハードな名曲こそ見当たらないものの、まろやかな味わいを増し、丹念なアレンジを施された収録楽曲はいずれもキャッチーなメロディ、ポップなノリの良さ、そしてドラマティックな曲展開とが無理なく同居。SAGAならではのプログレ・ハード・サウンドは、本作において遂に完成の域へと至ったように思う。
アメリカ・デビュー作ともなった次作『WORLD APART』以降は、ニューウェーブ風味やAOR/産業ロック色が増量され一気にサウンドが垢抜けて行くが、本作辺りまではメロディにヨーロッパ的な暗さや湿り気が横溢。取り分け、勇ましく本編の幕開けを飾る躍動感に満ちた①、優雅な曲調に思わずステップを踏みたくなる③、宇宙的で壮大なイントロがたまらなくドラマティックな⑤、よく歌いよく泣くGに胸を締め付けられる⑧といった名曲の素晴しさは、アメリカとヨーロッパの文化が入り混じるカナダ出身のSAGAというバンドならでは。
前作『IMAGES AT TWILIGHT』と並んで、個人的にはSAGA入門編としてお薦めしたい捨て曲なしの名作。


CRYSTAL VIPER - Legends - Sydonia Bork ★★★ (2011-01-03 00:37:39)

ピアノをバックにマルタ姐さんが
しっとりと歌い上げる叙情バラード。
ファンタジー映画の挿入歌として使えそうな
美しくも悲哀に満ちたメロディが胸に沁みます。
楽器隊が加わる後半の盛り上がりも含めて、
個人的にアルバムで一番好きな曲だったり。


CRYSTAL VIPER - Legends - The Ghost Ship ★★★ (2011-01-03 00:30:42)

毎度、アルバムのトップには強力な楽曲を配してくれる
CRYSTAL VIPERですが、これもその例外に非ず。
ライノ(元MANOWAR)のナレーションに導かれて
パワフルに疾走する曲調は思わずコブシを振り上げたくなるカッコ良さ。
東欧民謡風というか、荒々しさの中に一抹の物悲しさを宿した
Gメロディが秀逸ですね。


SAGA - Images at Twilight - MOUSE IN THE MAZE ★★★ (2010-12-29 11:53:14)

Keyが全体の主導権を握り、ポップ寄りのサウンドを志向する
SAGAの楽曲の中では、そのハードさが一際強い印象を残す
アップテンポのハード・ナンバー。
(飽くまで彼らにしてはだけど)


SAGA - Images at Twilight - Images(chapter One) ★★★ (2010-12-29 11:47:56)

流麗なイントロだけでハート鷲掴みの名バラード。
暖かみと包容力に満ち溢れたマイケル・サドラーの歌声が絶品です。
2ndアルバム収録曲の中では、最もSAGAのプログレ・ハード・バンドとしての
側面が強く表れている1曲かも。


SAGA - Images at Twilight - IT'S TIME(CHAPTER THREE) ★★★ (2010-12-29 11:45:16)

作り込まれたアレンジがプログレっぽさを主張しつつも、
曲自体は小難しさの欠片もない、OPらしい躍動感に溢れたポップ・ナンバー。
全編に漲る力強さは、ハードさの増量された2nd収録曲ならではの味わいか。


SAGA - Images at Twilight ★★★ (2010-12-29 01:32:55)

セルフ・タイトルのデビュー作が、ドイツを中心としたヨーロッパ圏で人気を博し、結果、そのドイツに本拠を置くメジャー・レーベルのPOLYDORと契約を交わしたSAGAが'79年に発表、ここ日本でも『黄昏のイメージ』なる邦題で国内盤がリリースされた2ndアルバム。
温もりを帯びた伸びやかなVo、楽曲をグッと引き締めるハードなG、躍動感に富むリズム、そして分厚く全編を覆う華やかなトリプルKeyをフィーチュアし、ASIAとMAGNUMを足して2で割って、そこにE.L.O.辺りに通じるポップ風味を振り掛け、カナディアン・ロック・バンドらしいメロディ・センスをもって料理した感じ(?)のプログレ・ハード/ポンプ・ロック・サウンドは前作の音楽性を順当に継承。
一方で、今回は全体的にアップテンポの楽曲が多く顔を揃え、ハードネス、メロディのキャッチーさ、リズムの躍動感、曲展開の陰影、及びアレンジの綿密さが一層強化されており、その真骨頂はアコギを上手く取り入れたOPナンバー①から早くも全開。このポップ&ドラマティックな名曲を聴くとASIAを思い出すのだが、年代的にはこっちの方が先なんだよな。
プログレ・ハード然とした魅力を発散する①⑥や、SAGAのHRサイドを代表する⑧といった名曲を手始めに、ドラマティックな楽曲から、ハードな疾走チューン、美しいバラード、それにキュートなポップ・ソングまで、バラエティ豊かに取り揃えられた本編は捨て曲なしのクオリティの高さで、SAGA入門編にも相応しい逸品。個人的にも彼らのアルバムではこれが一番好きかな。


ARMAGEDDON (70'S) - Armageddon - BUZZARD ★★★ (2010-12-28 01:15:10)

歪んだ音色で暴れ回るGに、猛烈に荒れ狂うDsと、
(“肉食鳥”という邦題に負けない)
攻撃的な曲調に有無を言わせず打ちのめされる。
'75年の楽曲だが、こりゃ完全に「ヘヴィ・メタル」ですよ。


ARMAGEDDON (70'S) - Armageddon ★★★ (2010-12-27 22:04:06)

YARDBIRDSにRENAISSANCEと、ブリティッシュ・ロック史にその名を刻む偉大なバンドに足跡を残しながらも、自身は33歳の若さで急逝するまで、ついぞ大きな成功とは縁のなかったキース・レルフの音頭取りによって誕生し、STEAMHAMMERやCAPTAIN BEYOND出身メンバーを擁する陣容から「スーパー・バンド」とも評されたARMAGEDDONが、'75年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
奔放且つダイナミックな曲展開や大作主義といった、70年代HR/プログレッシブ・ロック風味に加えて、切れ味鋭くアグレッシブに動き回るG、圧倒的手数の多さで迫り来るド迫力のリズム、それに四畳半フォーク・シンガーばりのヘタウマVoとのぶつかり合いによって生み出されるハイテンション&スリリングなサウンドは、現代HMバンドにも匹敵する凄まじい音圧の高さを誇り、その激烈な魅力は、OPナンバーにして本編のハイライト・ソングたる①に余すところなく集約。この、ある意味へヴィ・メタリックとも言える超名曲を聴くためだけにでも本作は買う価値あり。
その他にも、プログレ的な浮遊感を湛えた美しいバラード②、ソリッド且つコンパクトにまとまった曲中でG大暴れの③、バックと掛け合いを繰り広げるハーモニカ(キース・レルフが担当)が良い味出してる④、ラストに控えるプログレ色よりもジャジーなテイストが強く打ち出された大作組曲⑤・・・と、収録曲は粒選りだし、何より、YARDBIRDS時代から歌唱力の弱さを指摘され続けて来たキースのVoが、前評判に反してかなり良いんですよ。
線の細い歌唱に物足りなさを覚える場面が皆無なわけではないものの、本作の魅力の多くは、彼の朴訥な歌声と、バックのヘヴィ極まりない演奏が生み出すコントラストにあり!・・・と個人的には思うのだが。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - All of Them Witches ★★★ (2010-12-25 23:28:51)

邦題は“魔女を燃やせ!”
抑え気味のイントロからスタートする
本編随一の長尺を誇るドラマティックな
エピック・チューン。
よっ、正統派!と思わず声を掛けたくなる
劇的なユニゾン・プレイを聴かせてくれる
ツインGが良い仕事をしてくれています。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Snake Fighter ★★★ (2010-12-25 23:22:18)

邦題は“蛇戦士”(そのまんまだな)
豪快且つキャッチーなドラムが楽曲のカッコ良さを
一層引き立てている名曲で、炸裂感満点のDs、
バックに薄っすらと流れるKey、そしてVoが独特の
カミソリ声を駆使して曲タイトルを連呼するクライマックス部分は
「メタル好きでこれ聴いて血が滾らねぇ奴はいねえ!」
と思わず断言したくなるほどのカッコ良さ。
個人的にはアルバムで一番好きな曲かも。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Call of the Hammer ★★ (2010-12-25 23:16:47)

畳み掛けるような疾走感がスラッシュ・メタルからの
影響を伺わせる、3rdアルバム随一のスピード・ナンバー。
無心に頭振るには持ってこいの1曲ですね。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Silent Killer ★★ (2010-12-25 23:12:58)

邦題は“静かなる殺人者”
初期IRON MAIDENを思わせる尖がった疾走曲だが、
のみならず、ノリ良くキャッチーな曲調が素晴しい。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Battles and Brotherhood ★★★ (2010-12-25 23:09:33)

刺々しいリフ、ヤスリ声のVo、
適度なスピードで疾走するリズム、
一緒に叫びたくなるサビメロ、
そしてドラマティックに絡む2本のG・・・と、
好戦的で野蛮な「これぞメタル!」なOPナンバー。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom ★★★ (2010-12-25 22:55:39)

昨今流行の長めなバンド名といい、SLIPNOTのジョーイ・ジョーディソンがお気に入りバンドとして彼らの名を挙げ、3rdアルバムのプロデューサー兼アドバイザー役を買って出たというエピソードといい、てっきり「オーセンティックなメタルの要素も取り入れたラウド・ロック、ないしはメタルコア・バンド」かと思っていたのですが、聴いてびっくり。'10年発表のこの4thアルバム(邦題『破滅のへヴィ・メタル』)に詰め込まれているのは、カナダ出身らしく(?)EXCITERのダン・ビーラーの系譜に連なるカミソリ・シャウトを轟かせるVo、劇的なハーモニー・プレイからIRON MAIDENに対する熱烈な憧憬が滲み出るツインG、頭を振るのに丁度良いスピードでビートを刻むリズム隊とがパワフルに押し出してくる、野蛮で武骨で勇壮な、混じりっけなしの正統派HMサウンドじゃありませんか。
力強く疾走する好戦的なOPナンバー①、刺々しくもキャッチーな③、スラッシーなアグレッションを発散する⑥、2本のGを活かしたドラマティックなエピック・チューン⑨等、収録曲は何れも一騎当千の強者揃いながら、取り分け、豪快に鳴りまくるDs主導でガンガン突進する⑦は、これ聴いて血が滾らないメタル者はおらんでしょう!と、思わずクリスマスの街行くカップル達に詰め寄りたくなるぐらい力瘤る名曲。各曲につけられているMANOWARばりに大仰な邦題もイカしてますねぇ。


SAGA - Saga - Tired World (Chapter Six) ★★ (2010-12-21 23:09:22)

前曲“ICE NICE”から曲間を開けずに繋がっていく
1stアルバムのラスト・ナンバー。
これまたハードなGが活躍するプログレ色強めの楽曲で
クライマックスの力強い盛り上がりっぷりが
堪らなくドラマティック。


SAGA - Saga - Ice Nice ★★★ (2010-12-21 23:05:05)

1stアルバムのハイライト・ソングと言って良いんじゃなかろうか。
どことなくジャジーなクールさ漂う前半、
プログレ・バンドらしいインプロヴィゼーションが炸裂する中盤、
そしてハード且つドラマティックに疾走する後半と、
本編中、最もプログレ・テイストが色濃く表れた名曲。


SAGA - Saga - Will It Be You? (Chapter Four) ★★ (2010-12-21 22:53:26)

スペーシーな広がりを演出するKey、温もりに満ちた中音域が
魅力的なVoとがポップなリズムに乗って心地良く跳ねる曲調に、
ハード且つ鋭く切り込んでくるGがかっちょいいったら。


SAGA - Saga ★★ (2010-12-21 22:44:25)

後にQUARTZを結成するミック・ホプキンスや、HONEYMOON SWEETのメンバーなんかも在籍していたグラム・ロック・バンドFLUDDを前身に誕生、80年代にはアメリカのチャートを賑わす程の人気を博し、現在も息の長い活動を続けるトロント出身の5人組が'77年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
作品を重ねる毎にコマーシャルな色合いを強めて行った彼らだが、初期3作ぐらいまでは「トリプル・キーボード」を売りにしたプログレ・ハード路線を追及。・・・と言っても、Key同士がぶつかり合って火花を散らすようなスリリングな内容ではなく、華やかなKeyサウンドが楽曲の土台を作り上げ、その上に暖かみに溢れたポップなメロディを歌うVo、メロディアスに切り込んで来るG、そして美しいボーカル・ハーモニーが乗せられた、もっと素朴で親しみ易い「ポンプ・ロック」と表現した方が似合いそうな音楽性が特徴。マイケル・サドラーの伸びやかな歌声がボブ・カトレイを彷彿とさせるため、曲によってはMAGNUMを思い出したりも。英国的な湿り気やドラマ性を差っ引いた代わりに、カナダのバンドらしいキャッチーなメロディ・センスと躍動感を注入した感じか?
MAGNUMが日本では過小評価に泣いているのと同様、SAGAもここ日本では全く話題になる気配はないわけだが、ポップな楽曲にしろ、ドラマティックな盛り上がりに惹き込まれるプログレ・ハード路線の楽曲(③⑥⑦)にしろ、仄かな哀愁がまぶされ、確かなフックを備えたメロディは非常に日本人好み。
メロハー愛好家の方なら聴いて損のない作品じゃないかと思うのだが、いかがでしょうか。


RICHIE SAMBORA - Stranger in This Town ★★★ (2010-12-19 23:28:57)

その昔、西新宿の今はもう潰れてしまったDISCLANDというCD屋の前で買い物中のリッチー・サンボラと遭遇、思い切ってサインを頼んでみた事があり(今振り返ると己の図々しさに赤面を隠せません)、嫌な顔一つ見せずにサインに応じてくれたその出来た人柄に感激させられて以来、BON JOVIというのはジョンよりも「リッチー・サンボラというギタリストが在籍しているバンド」という認識で刷り込まれているのですが、その彼氏が'91年に発表した初めてのソロ・アルバムがこちら。
ソングライター、ギタリストとしてのみならず、渋くエモーショナルな歌い手としての才能も発揮している本作には、仄かに土の薫りが漂うブルージーなロック・サウンドが満載。リッチーがリラックスして、楽しみながらレコーディング作業を行った事がじんわりと伝わってくる、飾り気のない作風が好印象な仕上がりで、どこかリック・エメット(TRIUMPH)のソロ作に通じる雰囲気有り。
BON JOVI的なキャッチーさはそれほどでもないし、余計な曲がないわけでもないのだが(①はいらんよなぁ)、伸びやかでメロディアスなGプレイと絶品の歌声、そして流石のメロディ・センスは十二分に堪能できる作品ゆえ、個人的にはBON JOVIの幾つかのアルバムよりもずっと贔屓にしている1枚だったり。
②④⑦⑩を筆頭に優れた楽曲は数多いが、取り分け本編のハイライト・ソングたる⑨は「この名曲を聴くためだけにこのアルバムを買うのだ」と思わず強要したくなる程ドラマティックな名バラードですよ!


JOURNEY - Revelation ★★★ (2010-12-19 01:12:51)

STYX、KANSAS、BOSTON・・・と、嘗ての同期バンドが軒並みセミ・リタイア状態に甘んじている中、唯一、定期的に新作をリリースし、尚且つそれらの作品が確かなクオリティと一定以上の商業的成功を収めているという、現役感バリバリの活動を続け気を吐くJOURNEY、'08年発表の13thアルバム。(本作も全米チャート初登場第5位にランクイン)
今回より、四代目フロントマンとしてフィリピン出身の新人アーネル・ピネダが加入。しかもこれが頭に「超」を付けたくなる程の逸材で、若き日のスティーヴ・ペリーを思わせる伸びやかなハイトーンと、スティーヴ・オウジェリーばりの張りと艶を併せ持った歌唱がメチャ強力。のみならず、その歌声は歴代シンガーの誰よりもHR向きの「熱さ」を宿しているという隙のなさ。
この若き逸材獲得に触発されたのか、アルバム自体もメロウな味わいの『TRYAL BY FIRE』『ARRIVAL』と、ハードさが強調された前作『GENERATIONS』の美点を併せ持った、再結成以後に発表された作品群の総決算的内容に仕上がっており、爽快なOPナンバー①に始まり、バンド名を冠した壮大なインスト・ナンバー⑪にて幕を下ろす本編に無駄な楽曲は一つも見当たらない。特にバラード⑥なんて「'08年度最高の1曲」に選出したいほど完膚なきまでに感動的な名曲ですよ。
あと個人的に評価したいのが、収録時間を50分台に収めてくれた点。前3作が中盤でダレを感じさせたのは、曲の問題っつーよりも明らかに詰め込み過ぎが原因だったからなー。
前作のセールス不振やメンバー・チェンジ等で漂っていた低迷感を見事に吹き飛ばした、再結成JOURNEYの最高傑作。入門編としてもどうぞ。


JOURNEY - Generations ★★ (2010-12-18 00:17:53)

バラードばかり要求される状況にうんざりしたJOURNEY――というか二ール・ショーン(G)――が、敢えてHRテイストを強調して作り上げたという(飽くまで「彼らにしては」だけど)、'05年発表の12thアルバム。
但し、些か力み過ぎたのかその手の楽曲はややメロディが弱く、また、力んで歌っても常に透明感を失わない非常にAOR/産業ロック向きの声質を備えている反面、ハードな楽曲を歌うには馬力不足なスティーヴ・オウジェリーというシンガーの資質もあり、本作に対するファースト・インプレッションは余り芳しいものではなかった。
バンド側もそれは承知で、アップテンポの楽曲は二ールやロス・ヴァロリー(B)、ディーン・カストロノヴォ(Ds)にリードVoパートを割り振っているのだが、今度はそれが本編の統一感を欠き、やや散漫さを感じさせる要因に繋がってしまっているのだから、ままならぬというか何と言うか・・・。
尤も、アルバムへの期待感を高めるというOPナンバーとしての役割を120%果たしている①や、戦場で戦うアメリカ兵たちに捧げられた⑧、躍動感溢れるラスト・ナンバー⑭のような上手くハマッた名曲もあるし、何より②④⑤⑦といった、従来の魅力を素直に披露するメロディアスな楽曲の数々は、やはりこのバンドにしか作り出し得ぬ逸曲揃い。
あーだこーだ言っても、結局は「凡百のバンドが逆立ちしたって敵わないハイクオリティな作品」との評価に落ち着くのであった。但し、今回も曲数は無駄に多いが。


ZONATA - Buried Alive ★★★ (2010-12-15 23:28:42)

「00年代の埋もれてしまった名盤コンテスト」でも開催した日にゃ、かなり上位に食い込むと思われる(俺の中で)、'02年発表のZONATAの3rdアルバム。
ユニークなスラッシュ・メタルを聴かせてくれる存在として重宝していた、ROSICRUCIANのメンバーが制作に関わってる点に興味を惹かれて購入した作品だったが、実際に聴いてみれば、本作にROSICRUCIAN的なアバンギャルドなノリや実験色は皆無(中盤に並ぶプログレ・メタル・タッチな楽曲群がややそれっぽい程度)で、このバンドが軸足を置くのは飽くまで王道HM。特に、劇的極まりないGリフがドカンと炸裂するOPナンバー①のカッコ良さは筆舌尽くし難し!
流麗なネオクラGに、男臭い声質のVoと美しくも寒々しいハーモニー、そしてテクニカルなKeyを乗せて、ソリッドなリフ&リズムが疾走する骨太なパワー・メタル・サウンドは、独産メロパワ・メタルばりの勇壮さと北欧のバンドらしい冷やかな哀感を併せ持ち、中でも、前作『REALITY』より格段に逞しさを増したVoが歌う劇的且つ憂いに満ちたメロディと、プログレ・マインド溢れる演奏で楽曲を華麗に彩るKeyはこのバンドの大きな武器。前述の①や、Keyがリード楽器の役割を果たすスリリングな②、重厚な曲調が高揚感を誘発する⑤、そしてラストに配置されたスピード・ナンバー⑩といった楽曲は、この手のサウンドが好きな人なら万歳三唱モノの名曲なんじゃあないでしょうか。
つくづく、本作を最後に解散してしまった事実が惜しまれる力作であります。


JOURNEY - Arrival ★★★ (2010-12-12 02:32:42)

バンドを去ったペリー&スミスのWスティーヴの後任として、TYKETTO~TALL STORIESのスティーヴ・オウジェリーと、名手ディーン・カストロノヴォを加入させ体勢を立て直したJOURNEYが、'00年に発表した11thアルバム。
レコード会社が11曲収録を提案したのに対し、メンバーは13曲収録を主張。結局バンド側の意見が通り、日本盤はボーナストラックを含めて全14曲を収録、ランニング・タイムは70分弱とボリューミーな内容と相成った本作だが、実際に聴いてみるとこれが不思議と中弛みを余り感じない。ゆったりとしたテンポの楽曲を中心に固められた作風は前作同様ながら、にも関わらずダレた印象がそれほどでもないのは、若々しいオウジェリーの歌声が、本編に溌剌とした空気を運んでくれているからか?
開巻早々に勝負あった!となる①②③の強力な畳み掛け、アダルトでメランコリーなバラード⑤や、二ールのGがガッツリと咽び泣く⑥、いかにも大陸的な雄大な曲調が心地良い⑨、ディーンのタイト&キャッチーなドラミングが映えるラスト・ナンバー⑬といった楽曲における、若き日のスティーヴ・ペリーを彷彿とさせる(まぁ、あそこまで神懸かった声の伸びはないけどね)ソウルフルな歌いっぷりを聴けば、彼がペリーに匹敵する実力者であることが良く分かる。
その他にも、リードVoから、ガラス細工のように繊細で美しいKeyプレイまでジョナサン・ケインが主役を張る憂いを帯びた⑪等、JOURNEYらしい名曲を各所に配置。新生JOURNEYの21世紀への船出を飾るに相応しい、見事なクオリティを備えた作品に仕上がっている1枚かと。
・・・でもやっぱり、曲数はもうちょい絞った方が良かったよな。


JOURNEY - Raised on Radio ★★ (2010-12-08 23:23:10)

サクセスの代償としてメンバー間のパワー・バランスが崩れ自壊への道を転げ落ちていくのは、古今東西、有名バンドが一度は通る道なわけだが、無論JOURNEYもその例外ではなく、『ESCAPE』『FRONTIERS』のメガヒットと引き替えにラインナップが崩壊。ロス・ヴァロリー(B)とスティーヴ・スミス(Ds)が去り、あとに残った二ール・ショーン(G)、スティーヴ・ペリー(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)がセッション・ミュージシャンを雇って制作、'86年にリリースされた9thアルバム。(一部楽曲にはスティーヴ・スミスも参加しているのだとか)
JOURNEYの殆どの楽曲は、元々ショーン/ペリー/ケインの3人によって書かれているので、理屈からすればリズム隊が脱退したからと言って音楽性に大きな変化はない筈なのだが、いやにファンキーに跳ねるBといい、淡々とリズムをキープするこじんまりとしたDsといい、ポップさが強調されスケール感やドラマ性を減じた楽曲といい、実際に出来上がった作品は、これまでの作風とは明らかに趣きを異する。
JOURNEYの名の下に発表されているだけあって、躍動感を伴って快活に駆け抜けていく③、透明度の高い哀メロで泣かせに掛かる名バラード⑩etc・・・と、優れた楽曲を数多く収録するなど質の高さは保証書付きだし、メロディのフックも相変わらず強力無比。「好きか嫌いか客観的に評価せよ」と問われれば、胸張って「大好きだ!」と即答できる作品ではあるのだが、じゃあJOURNEYのアルバムとしてはどうなのよ?と聞かれると・・・正直、そのケミストリーの薄さゆえ、存在感に乏しい1枚である事は否定しきれないのであった。


JOURNEY - Trial by Fire ★★★ (2010-12-07 23:16:05)

『RAISED ON RADIO』('86年)を最後に活動休止状態にあったJOURNEYが全盛期のメンバーで再結集。'96年にリリースされるや、HR/HM冬の時代真っ只中にも関わらず全米チャート初登場第3位という好成績をマークし、世間に「JOURNEY健在!」を印象付けた復活アルバム。
一音入魂でGをエモーショナルに歌わせる二ール・ショーン、加齢により艶は薄れても、ソウルフルな表現力と節回しは健在のスティーヴ・ペリー、透明感と叙情性を湛えた音色で楽曲に絶品の彩りを加えるジョナサン・ケインのKey等、メンバーのすこぶる強力なパフォーマンスをフィーチュアした都会派メロハー・サウンドは、10年に及ぶブランクの長さを全く感じさせることなく、むしろ前作『RAISED~』以上に全盛期のJOURNEY節の美点を余すところなく継承。何より、ポップでロマンティック、アダルト且つ瀟洒な雰囲気漂わす楽曲のクオリティが相変わらず素晴しいったら。
全16曲で75分オーバーという音楽性に似合わぬ長大な収録時間と、バラード系の楽曲の多さがネックとなって中盤ダレるのが難点なれど、JOURNEYが誇る代表曲“SEPARATE WAYS”にオマージュを捧げ、バンドの再生を高らかに宣言する①に始まる「これで掴みはOK」な冒頭3曲の畳み掛けに、心地良く弾むリズムに絡む哀メロが秀逸な⑤、そしてKeyの透き通った音色が堪らなく美しく切ない⑧といった名曲の数々を聴けば、多少の粗には目を瞑ろうという気になるもの。
ファンの期待に見事に応えた復活作。・・・なのだが、それだけにこのラインナップが長続きしなかった事は惜しまれます。


FUMIHIKO KITSUTAKA'S EUPHORIA - DREAM CASTLE ~BEST OF FUMIHIKO KITSUTAKA~ ★★★ (2010-12-06 21:34:32)

AROUGEに始まり、筋肉少女帯、X.Y.Z→A、そしてソロ・ワークに至るまで、橘高文彦(G)というハイテク・ギタリストの25年に及ぶこれまでの音楽活動歴を、お手軽に振り返る事の出来る便利なベスト盤。
ビジュアル系のルックスと、筋肉少女帯のメンバーという出自から、彼のことを色眼鏡で捉える向きもあろうが、ジャケットに描かれたヨーロッパの城塞の如き堅牢な構築美を宿した楽曲作りのセンスと、ギター・オーケストレーションを用いてブライアン・メイばりにポップにGを歌わせたかと思えば、一転、イングヴェイを彷彿とさせるネオクラシカルな速弾きまで流麗にこなす、確かなテクニックと表現力に裏打ちされたこの人のGプレイは間違いなく本物。
取り敢えず、HR/HMファン・・・分けても様式美HM好きを自認している人で、未だ⑨⑫辺りの名曲に触れた事がないというのは、ミュージック・ライフにおける大きな損失ですよ!とだけ。(大槻ケンヂのヘタウマVoはかなり好き嫌いが分かれるところかもしれませんが)
リマスタリングが施されてるとは言え、収録曲のほぼ全てが既発曲で占められているため、橘高のキャリアをそれなりに追い掛けているファン的には食指の動き難い作品かもしれないが、個人的には、本編唯一の新曲にして、大槻ケンヂや二井原実、山田晃士ら、同じ釜の飯を食ったシンガー達が勢揃いしてデュエットを披露、ドラマティック且つ壮大に本編ラストを締め括るエピック・ソング⑱が聴けただけでも、本作を購入した価値は十分あったかな、と。


JOURNEY - Frontiers ★★★ (2010-12-03 22:59:06)

HR/HMに興味がなくとも一度は耳にした事があるであろう、印象的なイントロで幕が開く“SEPARATE WAYS”と、美しく温もりに満ちたバラード“FAITHFULLY”というJOURNEY史上屈指の名曲2篇を収録。マイケル・ジャクソンの『THRILLER』に阻まれ全米チャート№1の座こそ獲得ならなかったものの、全世界で1000万枚以上の高セールスを記録し、多くのファンから「バンドの代表作」と太鼓判を押される'83年発表の8thアルバム。
雄弁且つメロディアスに歌う表情豊かなG、ノーブルな美声を活かしてソウルフルに歌い上げるVo、透明感溢れる音色で楽曲をスペーシーに彩るKey、センスの良さを感じさせるフレーズを随所で閃かせるB、そしてタイト&キャッチーなDsとが一体となって生み出される、JOURNEYならではの都会的な洗練を施されたメロハー・サウンドは益々円熟味を増し、既に王者としての余裕と貫禄が漂う。
名作『ESCAPE』に比べると楽曲が玉石混合というか、曲によってはハードロッキンなリズム面が強調された分、メロディのフックが弱まってしまっているのが惜しまれるが、とは言え、切ない哀メロが五臓六腑に染み渡る②や、勇ましく弾む曲調が心地良い⑥、リズミカルなグルーヴが癖になる⑨辺りを筆頭に、「流石JOURNEYさんやでぇ」と唸らされる名曲・佳曲は引きを切らない。
別項で述べられているように、まさに「夜の首都高ドライブのお供にピッタリ」な、アーバンでロマンティックな魅力を湛えた1枚。『ESCAPE』と併せて持っていたいAOR/産業ロックの名盤ですね。


JOURNEY - Escape ★★★ (2010-12-02 21:42:56)

'81年にリリースされ、JOURNEYに初めて全米チャート№1の栄冠をもたらした、ファンからも次作『FRONTIERS』と並び「バンドの最高傑作」と評価の高い7thアルバム。個人的に、AOR/産業ロックと聴くと本作のサウンドのことが真っ先に頭に思い浮かびますね。
Key奏者としてのみならず、ソングライターとしても類稀なる才能を誇るジョナサン・ケインが新メンバーとして加わった事で、前作『DEPATURE』にて確立されたJOURNEYならではの音楽性に一層の磨きが掛かり、よりポップに、よりキャッチーに、よりメロディアスに聴き易さを増した本作は、例えば軽快なロックンロール路線の楽曲にしても泥臭さは皆無で、徹底してお洒落で洗練された都会的な雰囲気が漂う。これはやはり、脇に回ってアレンジの一部としての機能を優先する(前任のグレッグ・ローリーとは資質の異なる)ジョナサンのKeyワークと、その彼が紡ぎ出す透明感を湛えた瑞々しいメロディの効果ゆえ。
日本では、TVや映画等で度々取り上げられるバラード⑩“OPEN ARMS”が有名だが、このアルバムの凄味は、ポジティブな躍動感溢れる①や、二ール・ショーンのGがエモーショナルに歌う③、泣きたくなる程切なくソウルフルな⑤、そして本編のハイライトを飾るプログレ・ハード・バンドとしての面影を残したドラマティック極まりない⑨等、“OPEN~”以上の魅力を放つ楽曲がごろごろと収録されている点。無論、捨て曲なんてない。
JOURNEYのみならず、AOR/産業ロック・シーンを代表する名盤中の名盤。極論が許されるならば、これ聴いて気に入らなかったら、JOURNEYはおろかAOR/産業ロック自体聴く必要はない・・・なんて。


JOURNEY - Departure ★★ (2010-11-28 18:26:52)

爽快/ポップ/キャッチーと三拍子揃った「これぞJOURNEY!」な超名曲①“お気に召すまま”で幕が開く、俗に言う「JOURNEY出世三部作」の最終章にして、その集大成的内容を誇る'80年発表の6thアルバム。
スティーヴ・スミスがノリ良く叩き出す軽快なリズムに、ヨーロピアンHR調の暗さや重さが払拭され一気に垢抜けたメロディ、そしてケヴィン・エルソンが手掛けた乾いた質感のサウンド・プロダクション等、ポップさ、キャッチーさ、それに都会的な洗練の度合いを大幅に増した本作は、例えば、本編後半に配置された3部構成からなる組曲⑨~⑪の流れにしても、大仰さやプログレ色は皆無で、さらりと聴き通すことが出来るというコマーシャル仕様。よく言われるように「大多数のHR/HMファンが、JOURNEYと聞いて想起する音楽スタイルは本作をもって確立された」・・・というのは正にその通りだと思う。
正直なところ、名曲①のインパクトが突出しているせいで、後続の楽曲の印象が思いっきり吹き飛ばされている感が無きにしも非ずなこのアルバムだが、じっくりと聴き直してみれば、ポップでスペーシーな③、これを最後にバンドを去るグレッグ・ローリーが、置き土産的に素晴しいブルースハープ・プレイを聴かせてくれる爽やかな⑤、咽び泣くGとKeyがグッと胸に迫るブルージーな⑦など、名曲/佳曲の存在は随所で確認することが出来る。
前作『EVOLUTION』の煮詰まり感を鮮やかに吹き飛ばし、80年代、引いてはJOURNEY黄金時代の幕開けを告げた名盤。


JOURNEY - Infinity ★★★ (2010-11-26 23:20:40)

アメリカン・ロック・シーン指折りの実力派シンガー、スティーヴ・ペリーが遂に加入。これまでのインスト・パート重視のプログレ路線から、ペリーの類稀なる歌声をサウンドの中心に据えた、ポップでコマーシャルなメロディアスHR路線へと方向転換が図られた、'78年発表の4thアルバム。
所謂「JOURNEYサウンド」の基礎が形作られ、全米だけで300万枚以上の売り上げを記録、その後の大躍進の先駆けともなった本作は、実際、儚くも美しい感動的な名バラード⑤を筆頭に、「これぞJOURNEY!」と唸らされる楽曲の数々を収録しているわけだが、その一方で、ヨーロピアン風味の暗さと叙情性を湛えたメロディに、名手エインズレー・ダンバーの重厚なドラミングの存在もあって、作品全体としては、未だ産業ロック的な色合いはさほど感じられなかったりもする。
但し、重たいショットで楽曲の輪郭線を太く縁取るDsに乗って、フォーク/トラッド風味の哀愁のメロディが踊るヒット・ナンバー⑥はこのアルバムでしか聴く事の出来ないタイプの名曲だし、極めつけは、初期プログレ路線の残り香も感じられるアルバムのハイライト・ソング⑧。零れ落ちるように奏でられるKeyの物悲しい旋律、メロディアスに歌う二ール・ショーンのG、そしてスティーヴ・ペリーの伸びやかでソウルフルな歌声が堪らなく胸に沁みる、涙なくしては聴けない珠玉の逸品。(対照的な曲調の前曲⑦から、ブランクなしで繋がっていく展開もドラマティックで素晴しい)
過渡期のJOURNEYならではの魅力が詰まった1枚じゃなかろうかな、と。


BONDED BY BLOOD - Exiled to Earth - More Worlds Than One ★★ (2010-11-23 21:21:55)

バンドの看板であるツインGコンビのテクニカルな
Gプレイがたっぷりとフィーチュアされたインスト曲で
日本盤のみのオマケ収録なのが勿体ないカッコ良さ。
メンバーはバンド結成当初、RACER Xの曲を
カヴァーしていたらしいが、実際、この曲には
SHRAPNEL系ギタリストのソロ・アルバムに
収録されていてもおかしくない雰囲気が漂う。


BONDED BY BLOOD - Exiled to Earth - Desolate Future ★★ (2010-11-23 21:17:29)

抑え気味の不穏なイントロから、
SLAYERばりに高速回転するGリフが
ガリガリと刻まれる爆走パートを経て
ドラマティック且つメロディアスな
Gソロ・パートへと雪崩れ込んでいく
2ndアルバムのハイライト・ナンバー。
これでフェード・アウトで終わらなければ
3つ星評価確実だったのですが。


BONDED BY BLOOD - Exiled to Earth - Genetic Encryption ★★ (2010-11-23 21:14:01)

多彩なリフのアイデアと、
タイトなリズム隊を前面に押し出し
ハイテンション且つダイナミックに突進する
切れ味抜群のスラッシュ・ソング。


BONDED BY BLOOD - Exiled to Earth ★★ (2010-11-23 18:16:39)

新世代スラッシャーの有望株として高い評価を受け、音楽雑誌にレビューやインタビューまで載ったのに、直前になって1st『FEED THE BEAST』の国内盤リリースがお流れとなってしまったBONDED BY BLOODが、2ndアルバムにて遅まきながら日本デビューを飾った。
EXODUSを筆頭に、DEATH ANGEL、VIOLENCEといった80年代のベイエリア・スラッシュ、並びに一頃のSLAYER、OVERKILL辺りに通じるオールドスクールなスラッシュ・メタルを、切れ味と柔軟性を併せ持った、達者な演奏に乗せて聴かせてくれる作風に大きな変化はないが、今回はコンセプト・アルバムということもありシリアス度が上昇。(尤も「エイリアンに侵略された600年後の地球を描く」という漫画チックなコンセプトがシリアスかどうかは意見が分かれるところかもしれないが/笑)
デビュー作に顕著だった、EXODUSばりのファニーなロケンロール感覚は薄れてしまったものの、その分、テクニカルなツインGの存在が益々クローズアップ。リフ/リード・プレイは元より、前作では派手に弾きまくってた割に引っ掛かりの少なかったソロ・パートにおいても、本作ではかなり練り込みの跡の伺える劇的なメロディを随所で炸裂させてくれており、日本盤ボーナス・トラックの⑪なんて、SHRAPNEL系ギタリストのソロ作に収録されてそうなテクニカルでファストなインスト・ナンバーだし、何より、押さえ気味に始まり、SLAYER風の禍々しい爆走パートを経て、ドラマティックなGソロ・パートへと雪崩れ込む名曲⑨は、現時点でこのバンドに望み得る最高峰の楽曲と言って良いような?(フェードアウトで終わっちゃう詰めの甘さが惜しまれます)
強靭さとドラマ性の底上げが図られた、デビュー作に勝るとも劣らぬ1枚。力作ですよ。


BOSTON - Third Stage ★★ (2010-11-22 23:13:37)

トム・シュルツの妥協を許さぬサウンド・クラフトマンシップが災いしてアルバムのレコーディング作業が遅々として進まず、結果、所属レーベルのCBSと訴訟騒ぎに発展。それでも'86年に発表されるや、8年間の長きに渡るブランクを物ともせずにアメリカだけで600万枚以上、全世界で1000万枚以上のセールスを記録したというBOSTONの3rdアルバム。
プログレやHRテイストは更なる薄まりをみせ、ゆったりとしたテンポの楽曲が大半を占める、もはや完全にAOR世界の住人的サウンドが展開されている1枚ながら、だからと言ってそれを理由に非難するには、本作に収められた、メロウで、スペーシーで、壮大で、そして隅々まで洗練された楽曲の数々は余りにも素晴し過ぎる。特にアルバムのOPナンバーにして、いきなり本編のハイライトを飾る全米№1ヒット・ソング①、その①のバリエーション・ソングでもあるバラード⑤、「男」について含蓄あるお言葉が頂ける⑥、そしてラストを感動的に締め括る⑪辺りは出色の出来栄え。この4曲のためだけに本作を購入しても後悔はないですよ、いやホントに。
1stや2ndに比べると、個々の楽曲から受けるインパクトこそやや低下気味ながらも、行き届いた木目細かいアレンジ、それに要所にインスト曲やリプライズ的な展開を備えた楽曲を配置する等、凝った構成も健在。
前2作が気に入った人なら安心して本作も「買い」だ。


BOSTON - Don't Look Back ★★★ (2010-11-21 20:42:10)

個人的に、BOSTONの全楽曲の中で最も愛して止まない名バラード“A MAN I'LL NEVER BE”を収録している、'78年発表の2ndアルバム。(邦題は『新惑星着陸』)
乾いた哀愁に軽快なノリの良さ、スペーシーな透明感と雄大なスケール感を兼ね備えたメロディアス・ロック・サウンドはそのままに、前作において要所で見せ場をさらっていたハモンド・オルガンの存在(=プログレ・ハード色)が後方へと下がり、よりノーマルなアメリカンHR路線へと歩みを進めているが、質の高さは相変わらず。
「ノー・シンセサイザー」「ノー・コンピューター」と誇らしげにクレジットされている通り、トム・ショルツ拘りのサウンド・メイキングが全編に渡って炸裂しまくった本作は、Gの歪ませ方から重ね方、ボーカル・ハーモニーの配置、アコギやKeyの使用タイミング等、細部の細部に至るまで徹底的な作り込みがなされており、これ聴いてると「メンバーは曲作る時に設計図を用意してたんじゃね?」と思わされるほど。流石、HR/HMシーンきっての理系ロック・バンド。
ロックならではの熱量の迸りが殆ど感じられない作風は評価が分かれるところかもしれないが、さりとて本作に機械的な冷たさや無機質さは皆無。心打つエモーションと人肌の暖かみを備えたメロディの素晴しさは唯一無二であり、特にその代表格と言えるのが前述の名バラード④。この曲のクライマックスにおいて「ここぞ!」というタイミングでハモンド・オルガンが切り込んでくる場面は、何度聴いても胸を締め付けられる程の感動を味わえます。その④をハイライトに、優れた楽曲が敷き詰められたアルバム前半の構成は完璧と評しても過言ではないような?
デビュー作と共に、これまた必聴のBOSTONの名盤。


STYX - Kilroy Was Here - Mr. Roboto ★★★ (2010-11-18 23:14:48)

VANGELIS(というか『ブレードランナー』)ばりの
近未来風味のスペーシーなイントロを経て、
「ドモ アリガト ミスター・ロボット」という
微笑ましくもマヌケな日本語歌詞が聴こえてきた瞬間、
ガッチリとハートを掴まれてしまう。
ネタ曲扱いされがちだが、ポップで親しみ易いメロディに
煌びやかで劇的な曲展開と、疑う余地なく「名曲」と
評価するに値する素晴しさ。
ドモ ドモ。


STYX - Paradise Theatre ★★★ (2010-11-16 21:59:58)

AOR/産業ロックに基盤を置きつつも、ロックンロールにブルーズ、プログレ、ニュー・ウェーヴからポップス、果てはレゲエに至るまで、多様なサウンドを絶妙なセンスで組み合わせ作り上げられた、'81年発表の記念すべき10thアルバム。
流石、300万枚以上を売り上げ、全米チャート№1の座とトリプル・プラチナム・ディスクを獲得する等、自他・名実共に認めるSTYXの代表作だけあって、ポップでキャッチーでスウィートなメロディ、明るくともどこかセンチメンタルな雰囲気に包まれた楽曲の数々、アメリカのミュージック・シーンの移り変わりを、シカゴに実在した劇場「パラダイス・シアター」の栄枯盛衰に重ねて綴るドラマティックなコンセプト、まるで優れたミュージカルを見ているかのような、流麗にしてダイナミックな本編の構成、そしてゴージャスで洗練されたアレンジとが高いレベルでまとめ上げられた本作は、これまでSTYXの辿ってきた音楽的変遷(とその成果)の集大成とでも言うべき内容を誇っており、完成度の高さは無類。
ズバ抜けた超名曲の類こそ見当たらないものの、それはトータル(流れ)で勝負する作風ゆえだし、また華々しい②、叙情バラード⑤、重厚且つブルージーな⑨、劇的にエンディングを飾る⑪辺りは、そこらのバンドが逆立ちしたって書けない名曲なわけですが。
前作『CORNERSTONE』以上に大胆に取り入れられたホーン・セクションや、HR/HMとは距離を感じさせるモダン(当時)なアレンジは好悪が分かれるところなれど、ともあれ、メロディ愛好家なら聴かずに済ます手はない、AOR/産業ロック史に燦然と輝く名盤の一つですよ。


STYX - Cornerstone - Babe ★★ (2010-11-15 17:54:47)

正直、デニス・デ・ヤングが手掛けた楽曲の中では
「並」の出来だが、だからと言ってその素晴しさを
否定するものではない。
デニス・デ・ヤングが愛する妻に捧げたという
甘々な歌詞をそのままメロディ化したかの如き
ポップ&スウィート、そしてどこかノスタルジックな
雰囲気を湛えたメロディに心が和みますね。


STYX - Cornerstone - Boat on the River ★★★ (2010-11-15 17:50:32)

STYXの楽曲の中では異色の、
フォーク/トラッド・タッチの曲調が心に沁みるバラード。
デニス・デ・ヤングとトミー・ショウが奏でる
マンドリンやアコーディオンのヨーロピアン風味の
哀愁を帯びたメロディが堪りませんなぁ。
数あるSTYXのバラード系の楽曲の中でも
この名曲が一番好きです。


STYX - Cornerstone ★★ (2010-11-15 17:47:38)

2週連続で全米№1の座に輝いた大ヒット・シングル“BABE”を収録し、アルバム自体も初登場第2位、現在までに300万枚以上のビッグ・セールスを記録する等、多くのファンから「STYXの代表作の一つ」として愛される'79年発表の9thアルバム。・・・なんだけど、個人的には初めて耳にした時はかなり戸惑った1枚。
従来のドラマティックなプログレ色を捨て去り、シンプル&コンパクトなAOR/産業ロック路線へとシフト・チェンジしたサウンドがその最大の理由で、例えば“BABE”は勿論優れた楽曲だと思うけど、これまでデニス・デ・ヤングは、もっと優れた楽曲を山ほど書いて来たわけで・・・。
但し、過去作と切り離して考えてみれば、ポップでお洒落でロマンティック、そしてどことなくオールディーズ/ポップスに通じる、ノスタルジックな雰囲気に包まれた本作は十分「名盤」の評価に値する内容。細部にまで拘りの感じられるアレンジの数々や、壮麗極まりないボーカル・ハーモニーの美しさには、STYX不変の美学が宿る。
本編の作風を代弁するかのようなアコースティカルで風通しの良い曲調が心地良い①、サックスの旋律が都会的な哀愁を演出する②、産業ロックのお手本の如きポップ&キャッチーな④、重厚に本編を締め括るラスト・ナンバー⑨など秀曲は数多いが、このアルバムを語る上で外せないのは、何と言ってもフォーク/トラッド調の⑤。アコーディオンとマンドリンが奏でる物悲しいメロディが欧州の景色を想起させる名曲で、数あるSTYXのバラード系楽曲の中でも、マイベストはこれで決まりですよ。


STYX - Pieces of Eight - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 23:52:28)

ミュージカル風味のシアトリカルな曲展開に酔いしれる、
ヒット曲“THE BEST OF TIMES”の元ネタとしても知られる
8th『PIECES OF EIGHT』のラス曲にして
プログレ・ハード時代のSTYXの終焉を飾った
壮大且つ華麗な同アルバムのタイトル・トラック。


STYX - Pieces of Eight - Queen of Spades ★★ (2010-11-14 23:43:36)

叙情的な前半から、ハード且つ劇的に
盛り上がっていく後半と、
アメリカン・プログレ・ハード時代の
STYXの面目躍如といった感じの名曲。
次作以降、こうしたタイプの楽曲が
姿を消してしまうのは残念至極。


STYX - Pieces of Eight - Blue Collar Man (Long Nights) ★★★ (2010-11-14 23:41:02)

シングル・チャート21位にランクインするヒットとなった
ロックンロールというよりもメタル寄りな印象さえ受ける
STYXのハード・サイドを代表する名曲。
威勢の良いKeyリフとソリッドなGサウンドがカッコイイったら。
今の日本じゃ他人事とは思えない歌詞も◎


STYX - Pieces of Eight - Lords of the Ring ★★ (2010-11-14 23:37:10)

ファンタジー作品の金字塔『指輪物語』を
題材に取り上げているだけあって、
インスト“THE MESSAGE”を序曲代わりに、
華々しく仰々しくドラマティックに展開していく名曲。
映画というよりもミュージカル調な仕上がりな辺りが
やっぱりデニス・デ・ヤング。


STYX - The Grand Illusion - Castle Walls ★★★ (2010-11-14 23:29:37)

楽曲のドラマ性の高さを予感させる抑え気味のイントロに始まり、
じっくりと盛り上がっていく幻想的且つドラマティックなラスト・ナンバー。
中盤に挿入された、マイク・オールドフィールドの“tubular bells”のメロディが、
楽曲の持つシアトリカルな雰囲気を一層引き立てている。
プログレッシブで劇的だが、以前のような欧州的な泣きな暗さは殆ど感じられないと言う
まさに「STYXならでは」の名曲


STYX - The Grand Illusion - Come Sail Away ★★★ (2010-11-14 23:24:05)

船が波間をたゆたうような心地良い前半、
帆に風を孕み、波を切って爽快に進んでいくような中盤、
そして、スペーシーなKeyサウンドに「ん?」と思わせて
衝撃的且つ壮大な(笑)オチへと雪崩れ込む後半と、
序破急を備えた曲展開が秀逸過ぎるファンタジックな名曲。


STYX - Pieces of Eight ★★★ (2010-11-14 22:50:39)

'78年に発表されるや、米ビルボード・チャート7位にランクイン、前作『GRAND ILLUSIONS』同様、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXに再びトリプル・プラチナム・ディスクをもたらした8thアルバム。(邦題は『古代への追想』)
ヒプノシスが手掛けたミステリアスなアートワーク、ライブのOPを彷彿とさせる高揚感に満ち溢れた①に始まり、終曲的なインスト・ナンバー⑧にて厳かに幕が下ろされる本編の芝居がかった構成など、基本的には前作で披露したSTYX流プログレ・ハード・サウンドを踏襲しつつ、今回はポップでアコースティカルなのはトミー・ショウ作曲の③ぐらいのもので、残りは、躍動感溢れる曲調に絡むパイプ・オルガンの荘厳な旋律が印象的な②、序曲④から繋がっていく『指輪物語』を題材に取った大仰な⑤、骨太なGリフと威勢の良いKeyリフがカッコイイ⑥、静と動の対比も劇的な⑦、ツインGが活かされたヒット・シングル⑧、そしてアルバムをドラマティックに締め括るアルバム表題曲⑨・・・と、ハードさとドラマ性を増強した楽曲が顔を揃える。
一気に産業ロック路線へと傾斜する次作『CORNERSTONE』以降の音楽性の変化を考えると、本作はアメリカン・プログレ・ハード時代のSTYXの集大成と言える1枚・・・かもしれない。
前作『GRAND ILLUSIONS』と併せて、STYXの入門編にお薦めの1枚。


STYX - The Grand Illusion ★★★ (2010-11-11 23:52:52)

げんを担いで'77年7月と、数字の「7」に拘ってリリース。その甲斐あって(?)全米チャート最高6位にランクインする大ヒットとなり、最終的には300万枚以上のセールスを記録し、STYXにトリプル・プラチナム・ディスクをもたらすまでに至った、中期STYXを語る上で欠かす事の出来ない重要な7thアルバム。(邦題は『大いなる幻影』)
ベルギーの画家ルネ・マグリットの『白紙委任状』にオマージュを捧げたという幻惑的なジャケット・アートワークに、「現実と非現実」をテーマに掲げたコンセプト作、そして、マーチの如き壮大なOP曲①に始まり“グランド・フィナーレ”⑧にて幕を閉じるドラマティックで芝居がかった本編の構成といい、従来のプログレ色を十二分に残しつつも、暗さや重さが完全に払拭され、それよりもミュージカルや映画のサウンドトラック等に通じる、壮大にして華やかな、洗練された味わいが強く漂う。
デニスの手による劇的な楽曲、トミーの手によるメロウな楽曲、ジェイムズの手によるハードな楽曲がバランス良く配置された本編に無駄な楽曲は一つもないが、中でも一際眩い輝きを放つのは、全米ベスト8のヒットとなったポップでファンタジックな曲調と、物凄いオチがつく歌詞(笑)が最高な④、そして映画『エクソシスト』で有名な“TUBULAR BELLS”のメロディを組み込んだ、本作のプログレ・サイドを代表する名曲⑦。
ポップ風味とプログレ風味のバランスも絶妙な、アメリカン・プログレ・ハード・バンドとしてのSTYXの魅力を余すところなく捉えた名盤。中期STYXの最高傑作として入門編にお薦めさせて頂きます。


STYX - Crystal Ball - Clair De Lune / Ballerina ★★★ (2010-11-11 23:13:54)

前曲“THIS OLD MAN”からSEを介して繋がっていく
インディーズ時代以来、久々にクラシック曲
(ドビュッシーの“月の光”)を取り上げ、
プログレッシブ且つドラマティックにアルバムを締め括る
ラスト・ナンバー。
デニスのVo、ツインG、Key、そしてボーカル・ハーモニーが
絶妙に絡み合いながら上り詰めていくクライマックスの
盛り上がりっぷりは壮絶の一言に尽きます。


STYX - Crystal Ball - This Old Man ★★★ (2010-11-11 23:06:37)

イントロのGだけで既に泣ける、
デニス・デ・ヤングの手による泣きの名曲。
彼が自分の父親に捧げたという歌詞と
併せて聴けば、涙の海で溺死することは必至かと。
ただでさえ切ない曲調を更に盛り上げる
劇的なアレンジも堪らん。


STYX - Crystal Ball - Crystal Ball ★★★ (2010-11-11 23:03:36)

シングルカットされたのに不発に終わったというのが
信じられないぐらい、トミー・ショウの優れた
メロディ・センス(とエモーショナルな歌唱力)が
如何なく発揮されたバラードの名曲。
タイトル通り透き通った哀愁と
寂寥感を湛えたメロディがもう絶品。


STYX - Crystal Ball ★★★ (2010-11-10 22:17:23)

前作『分岐点』を最後にバンドを去ったオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキー(G)の後任としてトミー・ショウ(G)が加入。遂に、デニス・デ・ヤング(Key)、ジェイムズ・ヤング(G)、ジョン(Ds)とチャック(B)のパノッツォ兄弟、それにトミーと、ファンにとって最も馴染み深いラインナップが揃ったSTYXが'76年に発表した6thアルバム。
と言ってもサウンド的に何か大きく変わったなんて事はなく、QUEENばりの華麗さを誇るOPナンバー①を手始めに、今回もポップでキャッチーなメロディ、分厚く壮麗なボーカル・ハーモニー、そしてカラフル且つドラマティックな曲展開と、鉄壁のSTYX流プログレ・ハード・サウンドを追求。
但し、トミー加入の効果は早くも「楽曲の質向上」という目に見える形で表れており、特に“CRYSTAL BALL”のタイトル通り、幻想的且つ透き通った哀愁を湛えた④は、彼が最初にSTYXに提供した名曲とでも言うべきアルバムのハイライト・ソングの一つ。それに何より本作は、デニスが父親に捧げたと言う歌詞からして既に涙を誘う、感傷的な泣きに満ち溢れた⑥、そしてそこからSEを介して繋がっていく、久々にクラシック曲(ドビュッシーの“月の光”)を題材に取り上げたプログレッシブな大作曲⑦という、アルバムのハイライトを飾る超ド級の名曲2連発がトドメを刺す。これら3曲を聴くためだけにでもリマスター盤1枚分(¥2800)の代金を支払う価値があるってもんですよ。
・・・と、斯様に素晴しい内容を誇っているにも関わらず、ブリティッシュ・ポップ風味の②が中ヒットを飛ばした程度でセールス的には今ひとつ余り奮わず、STYXのカタログの中では地味な地位に甘んじている本作。どっこい、個人的には初めて購入した彼らの作品という思い入れ込みで、非常に愛着を感じてる1枚だったり。


STYX - Equinox - Suite Madame Blue ★★★ (2010-11-08 21:30:51)

美しいアコギ・インスト“PRELUDE 12”とセットで
お楽しみ頂きたい、アルバム『EQUINOX』の
ハイライト・ソングにして中期STYX屈指の名曲の一つ。
物悲しいメロディに哀愁をたっぷりと含んだ歌声が
被さってくるイントロだけで既に泣けるが
本曲最大の聴き所は何と言っても、レイヤー状に配置された
壮麗なボーカル・ハーモニーとスペーシーなシンセ・サウンド、
それに2本のGが息苦しいほどの盛り上がりを演出する
後半パートで決まり。


STYX - Equinox - Born for Adventure ★★★ (2010-11-08 21:20:48)

キャッチーなBラインと、華麗且つドラマティックな
曲展開が無茶苦茶にイカしてるハードロッキンな名曲。
“アドベンチャー野郎”という邦題も最高だ。


STYX - Equinox ★★★ (2010-11-07 21:52:31)

ラジオで話題となり、'75年にシングル・カットされた“LADY”(と同曲を収録する2nd『STYX Ⅱ』)が遅まきながら大ヒット、これを足掛かりに米メジャーのA&M RECORDSと契約を締結、更にオリジナル・メンバーのジョン・クルリュスキーが本作を最後に脱退・・・と、あらゆる意味においてSTYXの『分岐点』となった'75年発表の5thアルバム。
トリプルVo、ツインG、Key、それに壮麗なボーカル・ハーモニーを活かした、ロックンロール系の楽曲とドラマティックなプログレ・ハード系の2パターンの楽曲から構成される本編という、前作『MAN OF MIRACLES』において確立された音楽スタイルを更に磨き上げつつ、カラフルでノリの良いOPナンバー①や、ヒット・シングル②に明らかなように、メジャー・デビュー作という事で、泥臭さが一掃されカラッと垢抜けた楽曲群は全体的にポップ風味が強化。クルリュスキーはこれを嫌ってバンドを去る事になるわけだが、そうは言っても、クニャっとしたシンセ・サウンドと浮遊感を湛えて駆け抜けていく③、キャッチーなBライン、ツインG&ツインVoのハーモニーが印象的な⑥等、単純に「ポップ」と切り捨てるには、捻りや小技の効いたアレンジ・曲展開の妙が堪能できる名曲・佳曲が本編には顔を揃えている。中でも、アコギ・インスト曲⑦からメドレー形式で展開し、アルバムのクライマックスを堂々飾る、重厚、劇的、そして立体的に重ねられたボーカル・ハーモニーが壮麗さをも演出する⑧に至っては、中期STYXを語る上で外す事の出来ない超名曲ではないかと。
最終的にアルバム・ランキング58位まで上昇し、、ゴールドディスクを獲得したと言うのも大いに納得の行く本作。HR/HMファンなら⑧を聴くためだけにでも購入する価値がある1枚ですよ!


STYX - Man of Miracles - Man of Miracles ★★★ (2010-11-06 02:13:50)

アルバム表題曲にして、同作のハイライトを飾る
ヘヴィで壮大で劇的極まりない名曲。
ジェイムズ・ヤングとデニス・デ・ヤングの共作曲だが、
ハードさとメロウさ、まさに両者の持ち味の良い部分が
理想的な按配で混ぜ合わされています。


STYX - Man of Miracles - Christopher, Mr. Christopher ★★ (2010-11-06 02:10:50)

イントロのG、デニスのVo、儚げなKeyと
全楽器が猛烈に泣きを発散するメランコリックな逸曲。
心なしかDsまで物悲しい。


STYX - Man of Miracles - Southern Woman ★★ (2010-11-06 02:08:15)

イントロのGリフだけで、ジェイムズの手による楽曲と
分かるハード・ナンバーだが、エネルギッシュに踊る
彼のGプレイに対抗する、デニスの攻めの姿勢を感じさせる
Keyソロも楽曲の良いアクセントとなっています。


STYX - Man of Miracles - Evil Eyes ★★ (2010-11-06 02:05:16)

グッとタメを効かせて、劇的に盛り上がっていく
曲展開が胸を打つ名曲。
チャック・パノッソのメロウなBプレイが
楽曲の持つ叙情性を引き立てていますね。


STYX - Man of Miracles - A Song for Suzanne ★★★ (2010-11-06 02:01:31)

ポップでキャッチーだが、どこか物悲しいメロディに彩られ、
スペーシーな空間を作り出すKey大活躍の
アメリカン・プログレ・ハード斯くあるべし!な名曲。


STYX - Man of Miracles - Golden Lark ★★ (2010-11-06 01:56:35)

分厚いボーカル・ハーモニー、
格調高い弦楽器の音色、
そして幻想的なKeyが
えもいわれぬ美しさを演出する
名バラード。


KUNI - Masque ★★ (2010-11-03 22:33:33)

上記で失恋船長さんが挙げておられる通り、LA界隈の名の知れたミュージシャン連中の協力を得て制作、'86年に発表された日本人ギタリストKUNIの1stソロ・アルバムが遂にリマスター再発。いや~、カセットテープしか持ってなかった(しかも随分前にラジカセがぶっ壊れてしまってもう聴けない)ので、この再発は嬉しい限りです。
個人的に、彼の最高傑作と考えている2nd『LOOKIN' FOR ACTION』に比べると、何の衒いもなく正統派HM道を突き進んだ内容だが、元ANTHRAXの二ール・タービン(Vo)が参加する攻撃的な疾走曲⑥や、カル・スワン(Vo)のエモーショナルな歌声が映える哀愁のHRナンバー⑧といった一部の楽曲を除くと、それ以外はやや型にハマッてしまっている印象で、粒は揃っているにも関わらず、通して聴くと然程印象に残らない点が何とも勿体ない。
それよりも、ビリー・シーン(B)や奥本亮(Key)、マーク・エドワーズ(Ds)らとKUNIが火花散るハイテンションなバトルを繰り広げる④⑤⑦、それにゲイリー・ムーアへのトリビュート・ソング(?)⑨といったインスト曲の方がずっと魅力的。KUNIもデビュー作らしく終始派手に弾き倒しており、それでいて無意味な音符の羅列にはならず、ちゃんと心を捉えるメロディを紡ぎ出す辺り、やはりこの人は優れたGプレイヤーであると再確認。①を筆頭に、彼の華を備えたGソロが始まった瞬間、パッと輝きを放ち始める楽曲は多い。
そういう意味では、実にギタリストのソロ・アルバムらしい1枚と言えるかも。


DISTURBED - Asylum ★★ (2010-11-02 00:10:33)

リリースするアルバムが悉く全米チャート№1に輝き、とうとう「4作連続で全米チャート№1獲得」という、前人未到の大記録を打ち立てしまったDISTURBEDの5th。
・・・と言われても、アメリカ音楽シーンの趨勢にも、ラウド・ロックにもメタルコアにも興味の薄い我が身には遠い世界のお話でしかないわけですが、どっこい、このアルバムの素晴しさは本物だ。
前作『INDESTRUCTIBLE』も聴き応え十分の作品だったが、今回はそれを更に上回るクオリティを提示。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、METALLICAといったバンドからの影響も露わに、一層正統派HM色を強め、よりマッチョに、よりメロディックに、よりドラマティックに磨き上げられたサウンドの魅力は、Gが泣きまくるインスト序曲を経てスタートする、在りし日のMETALLICAを彷彿とさせるパワフルなOPナンバー②から早くも全開。
Dsパートの味気なさと、本編後半の楽曲の地味さは前作同様如何ともし難いものの、それを差し引いても、ダチョウ倶楽部ばりの「ヤー!」コーラスに合わせて思わず拳を振り上げたくなる③、“WARRIOR”のタイトル通り、戦う男たちの挽歌的な勇壮さを備えた④、ザクザクと刻まれるGリフに頭を振らずにはいられない⑤、そしてこれぞメタル・アンセム!な趣きのサビメロで合唱を誘う⑥といった楽曲が並ぶ、アルバム前半の隙のない構成にはグゥの音も出ませんて。
4th『INDESTRUCTIBLE』と共に、HR/HMファンのDISTURBED入門編に持ってこいの1枚かと。


STYX - Man of Miracles ★★★ (2010-10-31 21:01:18)

これは4thアルバムですね。WOODEN NICKELE在籍最後の作品にして、インディーズ時代のSTYXを総括するに相応しいクオリティを備えた逸品です。(発表は'74年)
プログレッシブ・ロック然としたアートワークが物語る通り、この頃の彼らに産業ロック・バンドとしての面影は殆ど見受けられない。その代わり、ハードなGが活躍するロックンロール路線の楽曲と、スペーシーなKeyと壮麗なボーカル・ハーモニーを活かしたプログレ・ハード路線の楽曲、大きく分けてこの2路線から形成される中期STYXサウンドの基礎が、本作にて確立を見た。(・・・と思う)
デニス・デ・ヤングの作曲センスは右肩上がりで上昇を続けており、幻想的なバラード③、アルバム前半のハイライト・ソングたる④、タメを効かせて盛り上がっていく曲展開とメロウなBラインが印象的な⑦、Vo、G、Keyが猛烈に泣き倒す⑨等、これまで以上にメロディが繊細に練り込まれ、より叙情性を高めたデニスのペンによる楽曲群は、その全てが名曲と言っても過言ではないレベル。また泥臭さが薄れ、キャッチーなフックラインが強化された⑧を筆頭とする、ロックンロール系の楽曲の充実っぷりもお見事。そして、本編を締め括るに相応しい壮大なスケール感とドラマ性を兼ね備えたアルバム表題曲⑩は、両路線の持ち味が巧みに組み合わされたアルバムのハイライト・ソングの一つですよ。
個人的にジョン・クルリュスキー在籍時代の作品では最も好きな1枚。WOODEN NICKELE時代のSTYX入門編としてもお薦め。


STYX - The Serpent Is Rising - Hallelujah Chorus ★★ (2010-10-30 01:25:25)

タイトルから分かる通り、ヘンデル作曲の超有名クラシック曲のカヴァー。
プログレ色が強かった初期STYXならではの選曲センスか。
元々コーラス・ワーク重視のバンドゆえ違和感はなく、
壮麗な曲調がアルバムを締め括るのにもってこい。


STYX - The Serpent Is Rising - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 01:21:27)

ヘヴィなリフ&リズムにディストーション・ボイスと、
KING CRIMSONの名曲“21世紀の精神異常者”からの
影響を感じさせるアルバム・タイトル曲。
間奏パートやコーラスの美しさはやはりSTYX。


STYX - The Serpent Is Rising - Jonas Psalter ★★ (2010-10-30 01:17:23)

如何にもデニス・デ・ヤングらしい、
心を浮き立たせるポップ・センスと華やかなKeyワークに
彩られた名曲。
この時期の彼の作曲能力はまだまだ発展途上なれど
それでもこのレベルの楽曲が作れてしまうのだから凄い。
印象的なエンディング・パートも○。


STYX - The Serpent Is Rising - Young Man ★★ (2010-10-30 01:08:58)

土の薫りが漂ってきそうなアコギの刻みに始まり、
緩急の効いたダイナミックな曲展開に、メロトロンや
分厚いコーラスを交えて劇的に盛り上がっていく、
プログレ・テイストの色濃い3rdアルバムのハイライト・ナンバー。
後の作品ではあまり聴くことの出来ない、攻めの姿勢を
みせるデニス・デ・ヤングのKeyワークが素晴しい。


STYX - The Serpent Is Rising ★★ (2010-10-30 00:53:44)

産業ロックの権化の如き、華やかなSTYXサウンドを期待すると、アメリカ南部を思わせる泥臭さとドラマティックなプログレ風味が同居する、ジョン・クルリュスキー(G)とジェイムズ・ヤング(G)のハード/ロックンロール嗜好が強調された、ポップでもお洒落でもない(有体に言って地味な)作風に肩透かしを食う事となる'73年発表の3rdアルバム。
勿論、デニス・デ・ヤング(Vo、Key)のメロディ・センスはこの頃から光っており、適度なポップ・テイストもまぶされた⑦は彼らしい佳曲に仕上がっているのだが、本作においてそれ以上に強いインパクトを残すのが、ハードなGの調べとジョン・パノッソのDsが荒れ狂う①、ハリー・べラフォンテの“BANANA BOAT SONG”風の転調パートが印象的な④、KING CRIMSONばりのサイケなヘヴィネスが横溢する⑧、それに有名クラシック曲“HALLELUJAH CHORUS”のカヴァー⑩といった、後の作品では聴く事の出来ないタイプの楽曲群。何より、ダイナミックな曲展開に、泥臭いハードネスとプログレ由来のドラマ性が組み合わされ、そこにデニスの攻撃的なKeyワークが絡む③は、この時期のSTYXならではの名曲!
あまり顧みられる機会のない初期作品なれど、質の高さは折り紙付き。90年代末期に再発されたリマスター盤を当時買い損ねたまま今に至るので、紙ジャケ、リリースしてくんないかなぁ。


DISTURBED - Indestructible ★★ (2010-10-28 19:44:11)

デビュー作『THE SICKNESS』('00年)をちょろっと聴いて「俺には無縁のへヴィ・ロック・バンドだな」と判断して以来、華麗にスルーし続けて来たDISTURBEDだったが、本作('07年、4th)を聴いてビックリ。ゴツゴツと角張った武骨なGリフのカッコ良さといい、ソリッドなリズムといい、そして派手に弾きまくるだけでなく、ちゃんと曲調に合ったソロを紡ぎ出すGといい、いつの間にやらACCEPTやJUDAS PRIEST辺りにも通じる魅力を備えた、剛直にして男気漲るHMサウンドを聴かせてくれるバンドに化けていて驚いたのなんのって。(無論、プロダクションやアレンジはかなり今風だけど)
取り分け、物憂げでメランコリックなメロディを、独特のリズム感を駆使して歌い上げるデイヴィット・ドレイマンのVoが、力強く突き進む楽器隊と一丸となり畳み掛けて来る①、その勇猛さにグッと力瘤る④、それに劇的なサビメロの展開に男泣きを誘われる⑦は、楽曲が有するヘヴィ・メタリックな熱量の高さに思わず「うぉーっ」と拳を振り上げたくなること請け合いの名曲。
ドラム・サウンドにもう少し重厚感が欲しいのと、本編後半の印象の弱さが惜しまれるが、とまれ、オールドスクールなHM好きならトライしてみる価値は十分に有る1枚かと。こちとら、勢いに乗って次作(最新作)『ASYLUM』も購入しちゃいましたよ。


DARK LUNACY - The Diarist ★★ (2010-10-26 00:04:24)

第二次世界大戦の過酷な戦場として知られる東部戦線。その中でも、際立って凄惨な地獄絵図が繰り広げられた「レニングラード包囲戦」をテーマに据えたストーリー・アルバム・・・という点に戦争映画ファン心理を擽られ、ろくにバンドの事も知らずに購入した作品。('08年発表の3rdアルバムだとか)
「ソ連時代の国策映画的なノリ(ソビエト連邦万歳!社会主義万歳!)だとキツイよなぁ~」と、若干の危惧を覚えながら聴き始めてみれば、これが冷静且つリアリスティックな視線で飢えと寒さ、そして恐怖に苦しむレニングラード市民や兵士達の姿が点描されており、その完成度の高さに大いに感心させられた次第。
曲間にインストの小曲やSE、実際の戦時放送音源を配し、シアトリカルに組み上げられた本編の構成が作品世界への没入度を深め、悲壮感に塗れた咆哮を上げるVo、寒々とした冷気を宿して刻まれるリフ&リズム、それに壮麗なクワイア、女性Voやドラマティックなオーケストレーションが、アルバム全体を包み込む厳粛な雰囲気を一層引き立てるが、何と言っても本作の肝は、聴く者を心胆寒からしめる悲痛さを撒き散らしながら疾走するメロディの魅力。
特に、激しくも哀しい泣きメロを纏って突き進む①②③⑧⑩といった荘厳な名曲の数々(無論これ以外の楽曲も
粒揃いで捨て曲なし)を聴くにつけ、このバンドのメロディ・センスの冴えには驚かされるばかり。
まぁ実際のところ一番驚いたのは、これほど本格的なロシア情緒漂う作品を作り上げたのが、ロシアでも東欧でもなく、イタリア出身のバンドという事実なのですが。


PREVIEW - PREVIEW ★★★ (2010-10-24 21:40:15)

今は亡きゼロ・コーポレーションから2枚をアルバムを発表し、HAREM SCAREMを思わせるメロハー・サウンドが日本でもそれなりに話題を呼んだFIOREの看板シンガー、ジョン・フィオーレが、それ以前に在籍していたことで知られるAOR/産業ロック系グループPREVIEW。その彼らが'83年に唯一残した作品がこれ。
GEFFEN RECORDSの名物A&Rジョン・カロドナーの眼鏡に適い、同レーベルと契約後、プロデューサーに売れっ子キース・オルセンを迎え、名Key奏者アラン・パスカの助力を得て制作された本作の内容は、澄み切った青空の下、爽やかな涼風に吹かれながらオープンカーを走らせるような、そんな心地良さに満ち溢れたOPナンバー①の魅力が全てを物語る通り、繊細な表現力に長けたVo、キャッチーに楽曲を彩るKeyにメロウに歌うG、瑞々しいコーラス、それに心地良く体を揺らす軽快なビートが揃った、まさにお洒落で小粋なAOR/産業ロック・サウンドの理想的ラインを描き出しており、そのクオリティの高さは無類。
胸キュン物の哀メロがポップに跳ねる⑤、前述の①と共にラジオ・エアプレイのトップ40に食い込むヒットを飛ばしたという⑥、温もりに溢れたセンチメンタルなバラード⑩辺りは、メタルはおろかハードロックとすら若干の距離を感じさせるライト級の仕上がりながらも、メロディ愛好家ならグッと来ること請け合いの名曲揃い。
DISK UNIONから帯つきの輸入盤がリリースされているので、この機会に1枚どうでしょう。


PREVIEW (2010-10-24 21:38:23)

現在は、全米ナンバー1ヒット曲も手掛ける職業ライターとして活躍するアー二ー(Key)と、ダニー(G)のゴールド兄弟が中心となってニューヨークにて結成。兄弟の幼馴染だったスキップ・パーカー(B)、メンバー募集の新聞広告を見たジョン・フィオーレ(Vo)、その彼の知り合いだったエド・べッティネリ(Ds)らが加わる事でラインナップが完成。
バンド・コンテストへの出場や、NY周辺で活発なライブ活動を繰り広げる傍らデモ・テープも制作、これが切っ掛けとなってGEFFEN RECORDSとの契約が成立する。
ジョン・カロドナーのプッシュを受け、プロデュースは名手キース・オルセンが担当、アラン・ホールズワースとの仕事で知られるKey奏者アラン・パスカが作曲作業に関与する等、潤沢な予算が注ぎ込まれレコーディングされたセルフ・タイトルのデビュー作は、それに相応しいクオリティを誇る名盤に仕上がったが、お決まりのレコード会社とのトラブルが原因で、アルバムはろくなプロモーションも受けられぬまま沈没。
バンドはその後も細々と活動を続け(末期にはスティーヴ・オウジェリーも在籍していたのだとか)、2ndアルバムのレコーディング作業も途中までは行われたものの、結局、作品はリリースされることなくバンドは解散を遂げた。


URIAH HEEP - Firefly - Sympathy ★★★ (2010-10-23 12:00:08)

数あるURIAH HEEPの名曲の中でも
最も愛して止まない永遠の名曲。
イントロ聴いただけで条件反射的に涙腺が緩み、
楽曲クライマックス部分におけるジョン・ロートンの
コブシが回りまくる入魂のシャウトには、
聴く度に悶絶を誘われ、毎回滂沱の如く涙を流しております。


URIAH HEEP - Firefly - Wise Man ★★ (2010-10-23 11:55:09)

“賢者”のタイトル通り
懐の深さを感じさせる曲調が
えも言われぬ安心感を呼ぶバラード


URIAH HEEP - Firefly - Been Away Too Long ★★★ (2010-10-23 11:53:33)

個人的に名盤『FIREFLY』の中でも
“SYMPATHY”と双璧を為すぐらい気に入っている名曲。
触れれば弾けて消えそうな淡い哀メロに
彩られたケン・ヘンズレー作曲の叙情ナンバーながら、
ジョン・ロートンの張りのある歌声、
個性的なトレヴァー・ボルダーのBラン、
劇的なリー・カースレイクのドラミング、
そしてミック・ボックスの絶品のGソロが
曲調にダイナミズムを与えていて素晴しいったら。


THERION - Sitra Ahra - Kings of Edom ★★★ (2010-10-23 01:19:11)

エキゾチックなメロディ、IRON MAIDENばりに劇的にハモる2本のG、
壮麗なオーケストレーションにオペラティックなコーラス、
山あり谷ありで緩急に富んだ曲展開・・・と
現行THERIONの魅力の全てを結集したかの如き必殺の名曲。
この曲を聴くためだけにでも、『SITRA AHRA』を購入する価値が
あるんじゃないでしょうか?


THERION - Sitra Ahra ★★ (2010-10-23 01:05:42)

マッツ・レヴィン(Vo)やリズム隊が脱退する等、バンドの陣容は大きく様変わりしているものの、ブレインたる鬼才クリストフェル・ユルソン(G)さえ健在ならばそれで万事OKなTHERION、'10年発表の11thアルバム。
シンフォニックな華麗さ以上に、へヴィ・メタリックな重厚感やアグレッションを強調した作風は前2作と同様だが、それもその筈で、本作は8th『SRIUS B/LEMURIA』レコーディング時にクリストフェルが尋常ならざる創作意欲を発揮した結果、膨大に書き溜められ同アルバムには収まりきらなかったマテリアルによって構成されており、実質的には10th『GOTHIC KABBALAH』よりも以前の時系列に位置する作品とのこと。
但し「だからと言って余り物で構成されてるわけじゃないよ」とクリストフェルが語るように、壮麗、劇的、それでいてヘヴィネス漲るOPナンバー①を手始めに、今回も大仰且つドラマティックなシンフォ・メタルが全編に渡って炸裂。特に、IRON MAIDENからの多大なる影響を、クラシカルなオーケストレーション、オペラティックなクワイア、そして壮大なスケールの曲展開を持ってTHERION流メタルに昇華してみせた②はアルバム屈指の名曲。
プロダクションの問題なのか、時々やけにこじんまりとしたサウンドに聴こえてしまう点と、ところどころで顔を覗かせる牧歌的なメロディ/アレンジが全体の緊張感を削いでしまっているような気がしなくもないが、まぁその辺りは好みの問題かと。
前2作とは異なるシングル・アルバム形態での発売ゆえ手を出し易いので、THERION未体験の方は入門編として如何でしょう?


BONFIRE - Point Blank ★★ (2010-10-17 21:39:42)

“HARD ON ME”“WHO'S FOOLIN' WHO”というヒット曲を生み出し、多くのファンから「BONFIREの代表作」と太鼓判を押される'89年発表の3rdアルバム。
その2曲がよく表している通り、ヨーロピアンHR然とした疾走感や泣きが薄れた代わりに、大陸的な乾いた開放感やコマーシャルなノリが強調された作風は、一気にアメリカン・ロック路線へと傾斜。再びタッグを組んだマイケル・ワグナーの手による、アリーナ・ロック風のスケールの大きなサウンド・プロダクション、デズモンド・チャイルド、ジャック・ポンティ、ボブ・ハリガンjrら、外部ライターとの共作曲をこれまで以上に積極登用している点も、そうした印象に拍車を掛けている。
とは言え、能天気にも大味にもならないメロディは相変わらず強力なフックを有しており、アップテンポの⑭、秀逸なポップ・センスが如何なく発揮された名曲⑯といったところを筆頭に、ライブ映えしそうなビッグなコーラス、フラッシーに弾きまくるG(今回よりツインGの片翼がエンジェル・シュライファーにチェンジ)が快活に踊る楽曲の数々が揃えられた本編は聴き応え十分。
全17曲で収録時間60分オーバーという、この手の作品にあるまじき超過ボリュームのせいで、途中でダレてしまうのが何とも勿体ないが、同時期のBON JOVI、デビュー当時のFAIR WARNING辺りを愛する向きには必ずやご満足頂けるであろう、メロディック・ロックの好盤。


BONFIRE - Fire Works (2010-10-16 23:56:21)

1stアルバムの時はスケジュールの都合で叶わなかった名手マイケル・ワグナーを、ようやっとプロデューサーの座に迎えてアメリカでレコーディング、'87年に発表された2ndアルバム。
その甲斐あって、音作りが格段に洗練された本作は、前作同様ドラマティック且つ表情豊かなツインGを活かした、ウェットでメロディアスなヨーロピアンHR路線に軸足を置きつつも、今回は華やかなKeyサウンドの導入によって収録曲のバラエティが広がり、メロディのフックや分厚いボーカル・ハーモニーの華麗さ、そして何よりメジャー感がグッと増強。個人的に「BONFIRE」と聞いて想起する音楽性は、本作をもって確立されたように思います。
ジョー・リン・ターナーやジャック・ポンティら、手練のソングライター陣との共作を経験した事で、バンド生来のポップセンスに益々磨きが掛けられた点も大きな収穫であり、中でも鮮烈な疾走ナンバー①④は、欧州バンドならではのハードネスと、大陸仕込みのキャッチーさが巧みな融合を見た、これぞBONFIRE!と思わず喝采を上げたくなる名曲。またクラウス・マイネの影を振り払い、逞しさと表現力を増したクラウス・レスマンの熱唱が胸を打つ⑥も涙ちょちょ切れる名バラードだ。
BONFIREの代表作と言えばヒットを飛ばした『POINT BLANK』と言う事になろうが、個人的に彼らの最高傑作には、捨て曲なしのクオリティと硬軟のバランス感覚が非常に秀逸な本作を推させて頂きます。


BONFIRE - Don't Touch the Light ★★ (2010-10-14 22:26:13)

70年代末期にドイツはインゴールシュタットにて結成されたHRバンドCACUMENを前身とし、MSA RECORDSとの契約を機にその名をBONFIREと改めたツインGを擁する5人組が、'86年に発表した1stアルバム。(邦題は『禁断の炎』)
作品を重ねる毎に洗練の度合いを増し、アメリカン・ロック色を強めて行ったこのバンドだが、彼らのカタログの中でも一際ハードな作風を誇る本デビュー作においては、ウェットなメロディ・ラインに、劇的にハモるツインG等、如何にもヨーロッパ的な暗さと重さ、それにドラマ性を兼ね備えたHRサウンドを実践。
無論、湿気っぽくなり過ぎないメロディ・センスや、コーラス・ワークへの拘りといった次作以降へと繋がる要素も既に散見されるものの、それ以上に強く感じられるのが、クラウス・レスマンのシャープ気味な歌唱スタイルといい、リズムGの軽快且つ歯切れの良いシュレッディングといい、(当人たちも認める通り)名作『BLACKOUT』を発表した頃のSCORPIONSからの多大なる影響で、特に、鋭角的なGリフが疾駆する⑤は、“DYNAMITE”を彷彿とさせるヘヴィ・メタリックな名曲ですよ。(PVも作られた重厚な④や、ラストをハードに〆る疾走曲⑦も素晴しい)
後のアルバムに比べるとややマイナー臭が漂うものの、これはこれで非常に魅力的な1枚。と言うか寧ろ、個人的にはこの頃の彼らの方が好みだったり。


ODIN(U.S) - DON'T TAKE NO FOR AN ANSWER (2010-10-13 21:56:09)

後にARMORED SAINTに加入するジェフ・ダンカン(G)が、兄弟のショーン・ダンカン(Ds)と共に在籍していた事で知られ、MOTLEY CRUEやRATT等、主だった連中がメジャー・フィールドへと抜けていった後のLAクラブ・シーンを支えた5人組(あの悪名高き『THE METAL YEARS』にもちょろっと出演してましたっけね)が、'85年に発表した6曲入りデビューEP。
その昔、雑誌のLAメタル特集にてMALICEやICONなんかと並んで「LAメタルらしからぬ欧州風味のウェットさを備えたバンド」として紹介されているのを読んで、興味をそそられ本作の購入に走ったのだが、実際ここで聴かれるのは(メンバーのチャラいルックスに反して)、ロブ・ハルフォードばりのハイトーンを響かせるVoと、光沢を帯びた音色で劇的なフレーズを紡ぎ出すGをフィーチュアした、JUDAS PRIEST直系の硬派な正統派HMサウンド。
音質はイモだし、演奏はキレに欠け、楽曲はアレンジ/曲展開共に練り込み不足。素っ頓狂なハイトーンを武器にするVoも、個性は十分だが音程が不安定な上にキャッチーな歌メロの構築能力にも欠ける・・・と、作品全体を覆うチープさは隠しようもないのだけれど、これがなかなかどうして、ODIN流“THE HELLION”とでも表現すべき重厚且つ劇的なOPナンバー①や、エキゾチックな風情漂わすGリフが疾走する②、彼らなりに精一杯ミステリアスな雰囲気を演出しようと頑張る③なんかの存在もあって、個人的にはあんまりクサす気にはなれない1枚だったりもする。
近年、再結成を遂げたとの噂を耳にしたが、だったら是非新作アルバムを発表して欲しいな。


BONFIRE - Live...the Best (2010-10-11 22:06:27)

確かリリース当時に輸入盤を購入した記憶があるのだが、先日、古本屋のワゴンセール・コーナーの一角にて本作の国内盤を発見。「これって日本盤出てたんだ」と、思わず衝動的に購入してしまった、'93年発表のBONFIREのライブ・アルバム。
リスナーをノックアウトする筈がテメェがノックアウトされてしまった、4th『KNOCK OUT』を最後に活動停止状態に陥ったBONFIREなれど(後に復活)、このアルバムは彼ら最大のヒット作『POINT BLANK』リリース時のツアーの模様を捉えているだけあって、観客の反応も上々。勢いに乗るバンドのエネルギッシュなパフォーマンスが、『LIVE・・・THE BEST』のタイトル通り、名曲・代表曲からヒット曲まで一通り網羅されたセットリストで楽しむ事が出来る優れモノ。
それにしても、BONFIRE屈指の名曲“READY 4 REACTION”を皮切りに次々に繰り出される、ウェットなメロディ、哀愁を湛えたツインG、そしてキャッチーでビッグなコーラス等、ヨーロピアンHR風味とアメリカン・ロック風味が程好くブレンドされた楽曲の数々を聴くにつけ、しみじみ「良い曲を沢山持ったバンドだったんだなぁ」と再認識。また、熱く歪ませた歌声でシャープなロック・ナンバーから美しい叙情バラードまで、エモーショナルに歌い上げるクラウス・レスマンのボーカリストとしての力量にも惚れ惚れとさせられますね。
いわゆる解散記念盤的作品だが、BONFIRE入門編には打ってつけの1枚。本作を聴けば、きっとオリジナル・アルバムも揃えてみたくなる筈。


I AM GHOST - Those We Leave Behind (2010-10-11 01:07:07)

X-JAPANやMALICE MIZERといった日本のビジュアル系メタル・バンドからの影響も公言する、スティーヴ・ジュリアーノ(Vo)率いるアメリカはカリフォルニア州出身の5人組が、'08年に発表した2ndアルバム。
前作『LOVERS REQUIEM』は、MY CHEMICAL ROMANCE辺りに通じるスクリーモ・サウンドに乗せて、日本人好みの憂いを帯びたメロディが駆け抜けていく好盤だったが、今作では鍵盤奏者と、サイドVo兼ヴァイオリニストの女性メンバーの脱退に伴い、シアトリカルな雰囲気やゴス色が大きく後退。代わって、喉から血が出るようなスクリームや、ヘヴィ・メタリックなリフ&リズムの存在が強調され、前作に比べストレートさを増した作風は、随分とアグレッシブ。
尤も、全編を彩るお耽美なメロディの魅力に鈍りは全くないし、何より、スティーヴが作り出す哀しくもキャッチーな歌メロのフックと来たら相変わらず強力無比。メランコリックに疾走する名曲④をハイライトに、優れた楽曲が連打されるアルバム前半(①~⑥)の盛り上がりっぷりなんて辛抱堪らんものがありますよ。
ダーク&へヴィ化が進んだとの前評判に「大味になってたらどうしよう・・・」と一抹の不安を隠せなかった本作だが、実際には、単にHM指数が上がってただけの話で(泣きのGソロのフィーチュア度も高まっている)、例えばBULLET FOR MY VALENTINEの新作なんかが気に入った人にもお薦めできる1枚かと。但し、ジャケット・アートワークは最悪だが。


ACCEPT - Blood of the Nations - No Shelter ★★★ (2010-10-10 01:19:37)

マーク・ト二ーロの熱いVo、立ち塞がるもの全てを薙ぎ倒す勢いで疾駆する
リフ&リズム、そして力強いコーラスと、いずれの要素も
「これぞメタル、これぞACCEPT!」と主張しまくっているが
何より心奪われるのはウルフ・ホフマンのGソロ。
『BLOOD OF THE NATIONS』では構築美を備えたGソロを連発してくれている
彼氏なれど、特にこの曲におけるGソロは強力無比。
初めて聴いた時は余りの素晴しさに膝から崩れ落ちそうになりましたよ。


T.T. QUICK - Metal of Honor - Siren Song ★★★ (2010-10-10 01:11:47)

“CHILD OF SIN”と共に、デヴィッド・ディピエトロが単独で書き上げた
メロディアスでドラマティックなアルバムのラスト・ナンバー。
パワフルなだけでなく、懐の深いところ見せてくれるマーク・ト二ーロの
Voも素晴しいが、何と言ってもこの曲の肝は、粘りを効かせて
猛烈に泣きまくるデヴィッドのGプレイ。
もうグイグイと涙腺を刺激してくれますよ。


T.T. QUICK - Metal of Honor - Child of Sin ★★ (2010-10-10 01:06:45)

デヴィッド・ディピエトロが作曲を手掛けているため、
他の収録曲に比べるとグッとメロディアスな仕上がり。
憂いを帯びたメロディを纏って、タメを効かせながら
盛り上がっていく曲調が熱い。


ACCEPT - Blood of the Nations ★★★ (2010-10-09 01:54:29)

失望の連続だった90年代の長い長い回り道を経て、もはやACCEPTのスタジオ・アルバムには何の期待感も持っていなかったのだが、その彼らが、ここまで完成度の高い作品を引っ提げて再々結成を遂げるとは全くの予想外。
金属を削り出すかの如くガツガツと刻まれる屈強なリフ&リズムに、男臭さ満点の金切りVo、ドラマティックに絡む2本のG、それにお馴染みの「地響きコーラス隊」が堅牢なスクラム組んで威風堂々と突き進むサウンドは、正しく7th『RUSSIAN ROULETTE』の後に来るべき、マッチョで勇壮な「ACCEPT流HM」が徹頭徹尾貫かれ、怒涛のOPナンバー①からラス曲⑭(日本盤のみのオマケ扱いなのが勿体ない程のクオリティ)に至るまで、捨て曲は皆無。
その最大の推進力となっているのが、ウド級の特異性は持ち得ずとも、よりメロディアスな歌唱で楽曲を雄々しく彩る新Vo.マーク・トニーロと、起承転結のドラマを有する楽曲内楽曲的Gソロを連発するウルフ・ホフマンのGプレイ。
中でも、思わず拳を振り上げたくなる高揚感と重厚感に満ち満ちた④、マークの熱唱と演歌ばりの濃厚な泣きメロが炸裂するバラード⑦、悶絶モノのGソロが疾走する⑫、そしてアラビア風(と言うかRAINBOW風)のGリフをフィーチュアした劇的な⑬といった楽曲は、両者の個性が特に強く刻み込まれたアルバムのハイライト・ソングかと。
全14曲収録、70分オーバーのボリュームは何ぼなんでも胃にもたれるが、これだけ良い曲が揃っていれば、その取捨選択に迷いの生じたバンド側の気持ちも分からんでもない。
全盛期の作品群に匹敵する完成度を備えた力作。いや、御見逸れ致しました。


GRAND MAGUS - Hammer of the North ★★★ (2010-10-07 23:42:53)

様式美BLACK SABBATHと80年代のMANOWARを足して2で割り、そこに北欧暗黒メタルのエッセンスを振り掛けて仕上げたような、男臭いエピック・メタル・サウンドを聴かせてくれるスウェーデンのトリオ、'10年発表の5th。
SPIRITUAL BEGGERSを脱退し、GRAND MAGUSでの活動一本に絞っただけあって今回のJB(Vo)の気合の入りようは半端なく、思わずコブシを振り上げたくなる熱気に満ちた勇壮な歌唱から、闘争心を鼓舞する猛々しさと、一音入魂のエモーションを併せ持ったGプレイまで、何れも凄まじい充実っぷり。
磨かれ過ぎたサウンド・プロダクションのせいで、豪快さや炸裂感が薄れてしまった点は物足りないが、そこを乗り越えさえすれば楽曲自体のクオリティは相変わらず強力。特に、硬質なBサウンドが下っ腹に響くミディアム・テンポの②は、重厚なヘヴィネス、雄々しいメロディ、そして強烈な泣きが見事に融合を果たしたグッとくる男泣きの名曲。もう今年のベスト・チューンはこれで決まりですよ!
初期MANOWARを彷彿とさせる力強さとスケール感を有する③、荒ぶるリフ&リズムの刻みっぷりに震える④⑦⑧、疾走する曲調と泣きのGソロの対比も劇的な⑤、北極海の荒波の如くうねる荘厳な⑩といった楽曲を筆頭に、前作『IRON WILL』同様、本作にもまた捨て曲の類は見当たらない。
渋めのドゥーム・メタル・バンドとしてスタートを切ったことが今となっては信じられないぐらい、エピック・メタラーとしての貫禄と風格が感じられる1枚。


AGENT STEEL - Unstoppable Force ★★ (2010-10-06 23:09:42)

刻みの細かいGリフに、光沢を湛えた音色でJUDAS PRIESTばりに劇的にハモるツインG、そして天を突くようなジョン・サイリースのハイトーンVoとが、忙しないビートに乗って疾走する、AGENT STEEL屈指の名曲“UNSTOPPABLE FORCE”を収録した'86年発表の2ndアルバム。
「元祖スピード・メタル・アルバム」とも評されたデビュー作『SKEPTIC APOCALYPSE』に比べると疾走感が抑え気味にされた分、これまで以上に起伏に富んだメロディを歌い上げるジョンのVoと、一層濃密に絡み合うドラマティックなツイン・リードGの存在が前面に押し出され、正統派HMテイストが増強。スピード・メタリックな走りっぷりが薄まった事を残念に思う向きもあろうが、個人的には、ミドル・テンポの重厚な名曲⑤を収録する等、より緩急が意識されドラマ性を高めた本編の流れは、パワフル&スピーディな反面、やや単調な部分も見受けられた前作以上に魅力的に響く。(特にVoの歌メロの魅力向上は大きい)
先頃実現した初来日公演では、オーラ皆無の冴えないルックスは兎も角、高音域が相当苦しげな上にカンペをガン見したままドラムセットの前から動こうとしないシンガーのメロメロなパフォーマンスと、代表曲“AGETNT OF STEEL”を欠いたセットリストがファンの落胆を誘った彼らだが、インストの名曲“THE DAY AT GUYANA”をイントロ代わりに、本作タイトル曲でライブがスタートした瞬間だけは全身の血液が沸騰するかのような興奮を味合わせて頂きました。
知名度では1stアルバムに劣るものの、個人的にはAGENT STEELの最高傑作と信じて疑わない1枚。