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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 501-600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 501-600

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BAI BANG - Cop to Con - Cop to Con ★★★ (2021-03-11 23:31:01)

ダンサブルなビートに乗ってGがファンキーに踊る
ヴァースから、ひんやりとしたKeyを纏った哀メロが
繰り出されるコーラスへ転調する意外な曲展開に
意表を突かれる、アルバム表題曲にしてOPナンバー。
北欧メタル「らしさ」と「らしからぬ」要素を
併せ持ったバンドの魅力が分かり易く捉えられた逸曲です。


BAI BANG - Cop to Con ★★★ (2021-03-11 01:27:07)

現在も活動中(の筈)のスウェーデンのベテランHRバンド、BAI BANGが'91年に発表したデビュー作。ついでに90年代、我が心のオアシスだったゼロ・コーポレーションが発売した記念すべきHR/HM系アーティスト第1号作品――帯のデザインも後々のゼロ作品とは若干異なる――としても記憶に残っている1枚だったりします。
当時(グランジ/オルタナ勢が猛威を振るよりもちょっと前)の北欧メタル・シーンは、DEEP PURPLE/RAINBOW~EUROPEの流れを汲む伝統派と、ロックンロールやファンク、ブルーズといった新たな音楽性を積極的に取り込む革新派とに大きく二分されていた印象で、BAI BANGに関しちゃ「なんかバンド名の響きからしてロックンロール系だろう」と勝手に推測しておりました。事実、後追いで聴いた本作に託されているのは、明るいノリの良さを伴い、時にブルースハープを取り入れたりしつつ軽快なグルーヴで聴き手の体を揺らすロックンロール・サウンドで、その予想はあながち的外れでもなかったわけですが、アメリカ産ほどご陽気にはなりきれない、主にKeyによって醸成されるヒンヤリとした空気感、それにキャッチーに練られたコーラス・ワークにおいて顕著に溢れ出すメロディの爽やかな哀感には、紛うかたなき北欧ハードポップならではの魅力が息衝いているという。特に煌めくOPナンバー①はBAI BANGの魅力が分かり易く詰まった名曲。ポップに躍動する⑤、アルバムをしっとりと締め括るバラード⑧なんかも聴かせてくれますよ。
音質からは台所事情の厳しさが垣間見えますが、ともあれBAI BANG入門盤としてお薦めの1枚。…つか彼らの作品って日本盤はこれぐらいしか発売されていないのでは?


ROB MORATTI - Paragon - Alone Anymore ★★★ (2021-03-10 00:11:02)

アルバムの中盤を爽やかに盛り上がるハードポップ・チューン。
躍動感溢れるビートに乗って清涼感振りまくサビメロは
クリアなハイトーン・ボイスの持ち主であるロブ・モラッティが
歌うのにまさしくうってつけじゃなでしょうか。


ROB MORATTI - Paragon - Remember ★★★ (2021-03-10 00:04:18)

ロブ・モラッティの甘くクリアな歌声が
映える哀愁のメロディに彩られた
アルバムのハイライト・ナンバー。
印象的なソロで楽曲を華やかに盛り立てる
ゲスト参戦のジョエル・ホークストラの
Gプレイも的確です。


ROB MORATTI - Paragon ★★★ (2021-03-08 23:35:57)

未だに復活を期待する声が漏れ聞こえる(己の中から)FINAL FRONTIERや、'18年に惜しまれながら長いキャリアに幕を下ろしたカナダを代表するHRバンドSAGAのフロントマンも務めたロブ・モラッティ(Vo)が、トニー・フランクリン(B)を始めとする気心の知れたバック・メンバー、それに曲作りのパートナーとして新たにFRONTIERS RECORDS系作品で活躍するウルリック・ロンクヴィスト、ピート・アンペンボルグらを迎えてレコーディングを行い、'20年に発表した4枚目のソロ・アルバム。
近作の順調なリリース・ペース、それにアルバム毎に託されたメロディアスHRサウンドのハイクオリティっぷりといい、順風満帆にソロ活動を進展させている彼氏ゆえ、今回も余裕綽々のアベレージ越え。悲哀を湛えたメロディからゲストに迎えられたジョエル・ホークストラの華やかなGプレイまで、まるで「哀愁のメロハー」のお手本のような出来栄えの④に、爽快感に満ちたサビメロの組み立ての上手さが光る⑧という年間BEST TUNEクラスの名曲が2曲も本編に収まっている時点で完成度の高さは推して知るべしですが、更にそれ以外の楽曲にしても、OPナンバーからラス曲まで、ロブの甘くクリアなハイトーンVoが映えるフックに富んだ逸品がそこら中にゴロゴロと。ボーナス・トラック⑬までポップに躍動する名曲なんですから恐れ入り谷の鬼子母神(死語)。
年末に購入した際は時間がなく1、2度聴いたきりだったのですが、もしちゃんと聴き込んでいたならば、確実に2020年私的アルバム・ベスト3にランクインしていたであろう…ってな完成度の高さに感服させられた1枚。


LIZZY BORDEN - The Murderess Metal Road Show - (Wake Up) Time to Die ★★★ (2021-03-05 01:27:17)

ライブ盤『THE MURDERESS METAL ROAD SHOW』に
収められた未発表曲2曲のうちの1曲。
IRON MAIDENを思わす起伏に富んだ展開多めの曲調に、
時折ロブ・ハルフォード風なリジー・ボーデンの
ハイトーンVoがシアトリカルな彩りを加える逸品。
アルバムに正式収録しても遜色ない出来栄えです。


LIZZY BORDEN - The Murderess Metal Road Show ★★★ (2021-03-03 23:53:12)

‘85年2月、13日の金曜日にLAの「カントリークラブ」で行ったライブの模様が収められているLIZZY BORDEN初の実況録音盤。
まだ1st『LOVE YOU TO PIECES』1枚きりしか発表していない時点で、早くもレコード2枚組という大ボリュームのライブ盤リリースに踏み切る辺り、「LIZZY BORDENの神髄はライブ・パフォーマンスにあり!」との自信の程がビンビンに伝わってきます。当時の彼らはド派手なライティングの下、サンタクロースをバットでボコったり、バンド名の元ネタとなった殺人事件をなぞるかの如く、下着姿のモデルを斧で殺害後その生首(勿論マネキン)を掲げ持って歌ったりといった、KISSやALICE COOPERを更にスプラッターな方向にブーストさせたような過激な視覚効果を売りにしたライブを展開しており、映像抜きだとイマイチそのインパクトが伝わり辛い部分はあるのですが、逆に大仰なHMナンバーは芝居っ気たっぷりに、バラードは切々と歌い上げる首魁リジー・ボーデンのシンガーとしての実力や、虚飾に足を取られることなくバックを堅実に支える楽器陣の熟達ぶりに関しては、映像がないからこそ余計にハッキリと伝わってくるというもの。
疾走する名曲“GODIVA”を筆頭に、LIZZY BORDENのカタログの中で最もIRON MAIDENからの影響が色濃く打ち出されていた1st『LOVE YOU~』収録曲に加え、映画007シリーズ第13作『死ぬのは奴らだ』のテーマ曲のカヴァー、更にはアルバム未収録曲2曲まで盛り込まれた本編は、実に70分以上に及ぶサービス満点な内容。
LIZZY BORDENの何たるかが手っ取り早く理解できる、入門盤に最適な1枚かと。


RACER X - Second Heat - Sacrifice ★★★ (2021-03-02 23:29:12)

ツインGによる凄まじいテクニックの応酬が
繰り広げらていますが、ドヤ顔でテクニックをひけらかすのではなく、
印象的なメロディを奏で、スピーディな曲調をドラマティックに
盛り上げる等、あくまで楽曲の良さを際立たせるために運用されている点に
バンドとしての成熟が感じられます。
余談ながらこの曲におけるジェフ・マーティンのVoは、
時折X時代のTOSHIっぽく聴こえるような?


RACER X - Second Heat ★★ (2021-03-01 23:55:23)

ポール・ギルバート率いるRACER Xが、サイドGとしてGITでポールの教え子だったバカテク・ギタリストのブルース・ブイエを加え、新たに5人編成へと生まれ変わって'87年に発表した2ndアルバム。
ドラマーも現JUDAS PRIESTの名手スコット・トラヴィスに代わっており、後にTHE MARS VOLTAに参加する技巧派ジョン・アルデレッティ(B)の存在といい、これにて全楽器パートが頭に「超」が付くレベルの腕利きで固められることとなった本作は、前作以上に凄まじい量の音符が乱れ打ちされる、例えばレーベルメイトのCACOPHONY辺りに通じるSHRAPNELメタルの極北と言うべきHMサウンドが問答無用で展開されている…かと思いきや、案外そうでもなかったという。
2本のGによる印象的なハモリを散りばめてメロディアスに疾走するOPナンバー①からも明らかな通り、ウルトラ・テクニカルではありつつも、「俺が」「俺が」な曲芸博覧会というよりは、寧ろポールのメロディへの拘りや楽曲志向が徐々に顕在化し始めた仕上がりで、プロダクションの向上(前作比)、シンガーとしてスキルアップを果たしたジェフ・マーティンの歌唱、それに合わせてバラードから、ライブ映えを踏まえたキャッチーな楽曲、ポップ・センスの感じられるノリの良い楽曲まで、収録曲のバラエティもその幅をグッと広げています。
正直、ピーキーなギター・アルバムを期待していた身には拍子抜けだったのですが、完成度は間違いなく高まっていますし、何より本作で試し撃ちした方法論をよりポピュラーに洗練させていった先に、MR. BIGでの成功があったのではなかろうか?なんて。


RACER X - Street Lethal - Loud and Clear ★★★ (2021-02-25 23:49:29)

音の悪さもササクレたエネルギーに転化して突っ走るパワーメタル・ナンバー。
改めて聴くと、いっぱいいっぱいなVoの感じ含めてジャパメタっぽい印象が無きにしも非ずという。
勢いだけでなく、勇壮なメロディには耳を捉えるフックが備わっていて
ポールのGテクだけに留まらぬ、確かなメロディセンスも発揮された名曲です。
あえて言うとフェードアウトで終わってしまうのは頂けないですが


RACER X - Street Lethal ★★★ (2021-02-25 00:18:38)

若干19歳にして「世界最速」とも謳われたハイテクニックを駆使し、ギター戦国時代に切り込んだ早熟の天才ギタリスト、ポール・ギルバート率いるRACER Xが'86年にSHRAPNEL RECORDSから発表した1stアルバム。
手元にあるCDを確認すると、タイトル表記が「PAUL GILBERT with RACER X」となっており、この時点ではバンドというよりは、マイク・ヴァーニーの秘蔵っ子たるポールをデビューさせるために急遽あつらえたプロジェクトであったことが伺えますが、折角そこまでお膳立てを整えた割にレコーディングは短期間&低予算というブラックな環境で行われており、風呂場で録音したみたいな音質は貧弱もいいところ。LOUDNESSやイングヴェイといった、当時ポールが影響を受けたアーティストからの影響がダイレクトに反映された楽曲の方も相当に粗削りな出来栄えとなっています。
ただ、中音域で音がゴチャっと団子になったお馴染みのプロダクションは、一周回って逆に「俺いまSHRAPNEL作品を聴いてんな~」という気分にさせてくれますし、収録曲のバラエティが広がった次作よりも、徹底してヘヴィ/パワー・メタリックなスタイルに拘った本作の方が個人的には好みなんですよね。ヘタクソ扱いされることの多いジェフ・マーティンの力みかえったVoにしても、このササクレたサウンドには案外マッチしているのではないかと。特にスピーディ&アグレッシブに牙を剥く曲調に勇壮なメロディが乗っかった⑦なんてかなりの名曲。
最高傑作ではないかもしれませんが、自分にとってのRACER X最推しアルバムは間違いなくコレですよ。


SKITZOTIK - Skitzotik - Inside the Dark ★★★ (2021-02-24 00:15:08)

曲調的にはバラードで、メロディも憂いを帯びているのですが、
メソメソと泣きまくるのではなく、傷つきながらも前へ進み続ける
力強さが漲っているように感じられる辺りがアメリカのパワーメタル的。
楽曲を締め括るシンガーのハイトーンが圧巻です。


SKITZOTIK - Skitzotik ★★★ (2021-02-23 00:15:45)

カリフォルニア州出身の4人組、SKITZOTIK(スキツォティックと読む)が’94年にLONG ISLAND RECORDSから発表した1stアルバムにして、恐らくラスト作。カートゥーンの悪役みたいなキャラがニヤケ面浮かべている、お世辞にも秀逸とは言い難いジャケットが逆に妙なインパクトを放ち、長らく記憶の端っこに引っ掛かっていた1枚で、先日中古屋の安売りコーナーで見かけて「あー、君のこと知ってるぞ!」と思わず衝動買いしてしまいました。欲を言えば国内盤の方が欲しかったんだけど、贅沢は言うまい。
プロデュースを担当しているのは、昨年5月の急死の報が驚きを持って迎えられたボブ・キューリック。意外。それだけに音作りはマイナー・レーベルの作品とは思えないぐらいしっかりしていますし、本作が世に出た90年代半ばといえばアメリカではグランジ/オルタナ勢が猛威を振るっていた時期ですが、ザクザクと歯切れ良く繰り出される演奏に、そっち方面からのかったるい影響は皆無。雄々しいメロディを散りばめつつ、泣きや哀愁より緊迫感を孕んだリフとリズムの畳み掛けで聴き手をグイグイ引き込んでいくスタイルは、3rdアルバムを発表した頃のVICIOUS RUMORSに通じるカッコ良さを放っています。
疾走ナンバーにおけるハイトーンでパワーが落ちず、転じてバラードもエモーショナルに歌いこなしてみせるシンガーもカール・アルバート級の逸材で、プロペラ機の風切り音に続いて力強く走り始めるOPナンバー①、ドラマティックな曲展開をVoの熱唱が盛り上げる④、緩急を活かした⑦辺りは、とりわけその強みが強く感じられる楽曲ではないかと。
あと2、3枚はアルバムが聴いてみたかった、と思わされる秀作でしたよ。


AVENGER - Blood Sports - You'll Never Take Me (Alive) ★★★ (2021-02-18 22:50:54)

ガムシャラな勢いだけでなく、勇壮にして
キャッチーなメロディ・センスにも冴えが
感じられる疾走ナンバー。サビメロのカッコ良さは
本編随一じゃないでしょうか。Gソロも◎


AVENGER - Blood Sports ★★★ (2021-02-18 00:34:18)

ブライアン・ロスを中心に複雑に絡み合うNWOBHM人脈の中で産み落とされたバンドの一つ、イギリスのAVENGER(RAGEの前身として知られるドイツのAVENGERとは別バンド)が’84年にNEAT RECORDSから発表した、RAVENのワッコが友情出演したみたいな殺気立ったジャケットがインパクトを放つ1stアルバム。
'84年といえば大西洋の向こう側では明るく華やかなLAメタル勢の本格的な躍進が開始された時期ですが、本作に託されているのはほぼその逆を行く、暗くてジメジメと湿気った著しく華に欠けるHMサウンド。英国シンガー然とした煮え切らない声質の持ち主イアン・スウィフトの青い炎が揺らめくようなVoといい、鋭利なリフを小気味良く打ち出しウェットなメロディを紡ぐGに力任せに押し込むリズムといい、そしてNEAT謹製の見通しの悪い音質(これでも次作よりはだいぶマシというのが恐ろしい)等々、どこを切っても濃厚なNWOBHM汁が滴り落ちてくるジューシィな仕上がり。だがそこが良い。
灰色のリフ&リズムがパワフルに駆動するOPナンバー①や、鼓膜に突き立つように鋭角的に刻まれる、SATANの流れを汲むGリフが印象的な⑧、あるいは重厚にしてドラマティックに佇む④といった、AVENGERの魅力の何たるかを端的に伝えてくれる楽曲もカッコイイのですが、何と言っても本作のハイライトは②。スピーディ&アグレッシブでありつつ、単調な力押しに終始することなく、イアンの歌う勇壮かつ憂いを帯びたメロディにはしっかりとフックが効かされている名曲ですよ。
2nd『KILLER ELITE』と共に、ザ・NWOBHM!な魅力に舌鼓を打つ1枚。


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul - Out in the Cold ★★★ (2021-02-17 00:10:29)

フックに富むメロディに彩られた哀愁のメロハー。
ブルーズ色が殆ど感じられない、本編中においては
例外的ともいえる仕上がりですが、でもこれが良い曲なんですわ。
何だったらこのノリでアルバム1枚作って欲しかったと思うぐらいに。
マッティのソウルフルなVoと、マイクの歌心を感じさせる
Gプレイも耳を惹きます。


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul ★★ (2021-02-15 23:24:41)

バンド名で検索を掛けるとアメリカのR&Bグループばかりが引っ掛かってきますが、こちらは英国の4人組。バーニー・トーメに師事し、10代の頃から次世代のギター・ヒーロー候補として注目を集めていたというマイク・グレイと、TOKYO BLADEの主要メンバーとして知られるアンディ・ロビンス(B)はイギリス出身、現在はソロ・バンドを率いて活動中のマッティ・アルフォンゼッティ(Vo)はスウェーデン出身、それにイタリア人のドラマーという国際色豊かな面子からなるJAGGED EDGEが、デビューEP『TROUBLE』(’89年)に続いて'90年に発表した1stフル・アルバム。
原点回帰ブームがHR/HMシーンを席巻していた時節柄、彼らが聴かせてくれるのもやはり、声質がカル・スワン似のマッティの歌唱と、出しゃばり過ぎず、さりとて後ろへ下がり過ぎもしないマイクのツボを押さえたGプレイが光る、ブルージーなテイスト薫るサウンド。但し本場アメリカのバンド程の泥臭さは然程感じらず、飽くまで軸足は80年代型メロディアスHRに置かれているので、その手の音を得意としない我が身でも楽しんで聴けるという。特に歌心に溢れたバンドのパフォーマンスが哀愁のメロディを引き立てる②はこのバンド屈指の名曲。キャッチーなコーラス・ワークがフックとなっている⑤、切ないセミ・バラード⑦辺りにもグッとくるものあり。
逆にそうした部分を物足りなく感じる向きもあるでしょうし、良くも悪くも卒なくまとまっている優等生的な仕上がりゆえ強烈なインパクトを残し得ず、転換期を迎えたシーンに埋もれてしまった不運な1枚。マイク・グレイは今何を?


LIZZY BORDEN - Love You to Pieces - Godiva ★★★ (2021-02-11 22:34:21)

2本のGが忙しなく刻む回転の速いGリフは
IRON MAIDENを思わせたりもする、
アルバム最速のスピード・ナンバー。
これ以降のアルバムでは聴けないタイプの楽曲のような?


LIZZY BORDEN - Love You to Pieces ★★★ (2021-02-11 01:09:45)

その昔アメリカ社会を震撼させたという猟奇殺人事件の女性被疑者(裁判では無罪確定)よりバンド名を頂戴。JUDAS PRIEST、IRON MAIDENからの影響を伺わせるドラマティックな正統派HMサウンドと、KISS、ALICE COOPERの流れを汲むシアトリカルな要素を持ち込んだライブ・パフォーマンスとを組み合わせた「ショック・ロック」を標榜して人気を博したLAの5人組LIZZY BORDENが、'85年にMETAL BLADE RECORDSから発表した記念すべき1stフル・アルバム。
「アメリカのバンドらしからぬ正統派HMサウンドが魅力」と評されることが多く、冒頭にもそのように書きましたが、実のところ2nd以降はエンタメ色(陽性なノリ)が増強されるため、バンドとしての個性はしかと確立された反面、正統派HMそのものな音を期待すると「思ってたんと違う」と肩透かしを食らいかねないので注意が必要かと。
翻って本1stアルバムはというと、リーダーたるリジー・ボーデンのアクの強いハイトーンVoと、適度にテクニカルなツインGを活かして、LIZZY BORDEN版“KILL THE KING”といった趣きで突っ走るOPナンバー①から、劇的な哀愁のバラード⑤を経て、IRON MAIDEN調の回転の速いGリフが刻まれるスピード・チューン⑩に至るまで、大仰なハッタリの効いた、紛うかたなき欧州風味のHMスタイルを全編に亘って徹底。特に⑩は曲名こそ高級チョコレートみたいですが、LIZZY BORDEN屈指の名曲ですよ。
彼らの入門盤として強く推せる名作。日本盤はデビューEP『GIVE ‘EM THE AXE』(こちらも力作)と2㏌1仕様なのでお得ですよ。そしてこれがイケたら次作以降も是非。


WITCHFYNDE - Stagefright - Moon Magic ★★★ (2021-02-10 00:32:47)

時計の針が時を刻むようなGリフと、
キャッチーとさえ言える哀愁のメロディの
組み合わせが秀逸なメロディック・ロック・チューン。
本編の中では異彩を放っているのですが、良い曲ですよ。


WITCHFYNDE - Stagefright - Doing the Right Thing ★★★ (2021-02-10 00:29:40)

リフとリズムはヘヴィだが、サビメロはポップな
明快さを感じさせるというミスマッチ感がクセになる1曲。
曲が進むにつれて徐々に哀愁度を高めていき、3分半辺りから
一気に主役の座へ躍り出るGの滋味深い活躍も聴きモノです。


WITCHFYNDE - Stagefright ★★★ (2021-02-08 23:29:37)

ANGEL WITCH、WITCHFINDER GENERALと共に「NWOBHMの3大WITCHバンド」なんて言われてたバーミンガム出身のWITCHFYNDEが、'80年にレコード店のオーナーが立ち上げたインディーズのRONDELET RECORDSから発表した2ndアルバム。
彼らの代表作といえば、雑誌等におけるNWOBHM特集の常連たる1st『GIVE 'EM THEM』(’80年)がつとに有名ですが、個人的には良さを理解するまでに随分と時間を要した『GIVE~』よりも、収録曲の間口が広がり、再生1回目にして「これ最高でしょ!」となった本作の方がWITCHFYNDE作品としては愛着度が高めという。
オカルティック/サタニックなイメージを前面に打ち出している割に、アルバム全体としてはオドロオドロしさの薄い、シンプルで飾り気のない70年代HR路線を志向している点はデビュー作同様ながら、OPナンバー①はBLACK SABBATHからの強烈な影響を伺わせる暗鬱に沈み込んでいくヘヴィ・チューンですし、続くブリティッシュHRならではのいぶし銀のGが泣かせる②、更にTHIN LIZZYの名曲“奴らは街へ”を彷彿とさせるロケンロール③へと繋がっていく冒頭3曲で、こちとら完全にハート鷲掴み。しかも中盤には抒情メロディがキャッチーに弾む⑥という絶品の名曲まで用意されているという隙のなさ。どこかエキゾチックな風情漂う2ndシングル曲の⑦やバラードに挑戦した⑨等も良い曲です。
名作との評判に誘われて1stを聴いてみたけどあんましピンと来なかったという方は、WITCHFYNDEに見切りをつける前に、是非とも本作もお試しい頂きたいなと。


KILLERS(FRENCH) - Cités interdites - L'armée de la mort ★★★ (2021-02-05 01:03:11)

アコギによるイントロの焦らしを経てスタートするアルバムのOPナンバー。
馬力にあかせた猪突猛進ぶりが薄れ、リフにリードに切れ味鋭く
動き回るメロディックなツインGを活かして、よりシャープ且つスマートに
磨き上げられた正統派HMチューンとしての味わいが強く感じられる
KILLERSの新たな魅力が開花した名曲です。


KILLERS(FRENCH) - Cités interdites ★★★ (2021-02-03 23:14:02)

80年代初頭の結成以来、メンバー・チェンジを繰り返しながら現在も活動中という、ブルーノ・ドルギー(G)率いるフランスのKILLERSが’92年に発表した、嘗て新星堂から発売されていた帯付輸入盤には『閉ざされた都市』なる邦題が冠されていた5thアルバム。
声がウド・ダークシュナイダー激似だった前任シンガーがいつの間にか脱退しており、後任として加入したVoはも少し柔軟に歌えるタイプ。それに合わせてか音楽性の方にも若干の変化が見受けられ、「フランスのACCEPT」と評された初期の馬力にあかせて走りまくるスピード・メタル・スタイルは後退。代わって機動力に富む2本のGが切れ味鋭く動き回り、シンガーが時折フランス産ならではの優美なメロディを歌い上げる(語感の柔らかさもそれに貢献)、よりスマートでメジャー感溢れる正統派サウンドへとシフトしています。
とはいえメタル以外の何者でもないサウンドに違いはありませんし、シーンがダーク&ヘヴィ一色に塗り潰されようとしていた'92年という時代を鑑みれば、この愚直に貫かれたオールドスクールっぷりは頼もしいことこの上なし。特にイントロで焦らした後、痒い所に手の届く2本のGに先導されて疾走する②のカッコ良さは相当なもの。憂いに満ちたメロディを重厚に聴かせる③、山あり谷ありの曲展開からジャーマン・メタルっぽさも漂う④⑦、タイト&キャッチーな曲調とクラシカルなGソロが印象に残る⑧等もなかなかですよ。
バカバカしいまでの迫力を誇った1stの頃の作風を恋しく思わないわけではありませんが、音質が向上し、好き者以外にもアピールし得るより普遍的な魅力を獲得した本作の方が、入門盤としては薦めやすいのかなぁと。


KILLER - Fatal Attraction - Steel Meets Steel ★★★ (2021-02-02 22:42:57)

力押しだけでない、KILLERの秀でたメロディ・センスが
堪能できる、男泣きのヘヴィ・チューン。
暑苦しいオヤジVoのデュエットと劇的に絡むツインGとが
むくつけき哀愁をより一層引き立ててくれていますよ。


KILLER - Fatal Attraction - Middle Ages ★★★ (2021-02-02 22:32:58)

スピード・メタリックなGリフに馬力溢れるリズム、
その上でオヤジVoがブルース・リーを憑依させたような
怪鳥音を響かせながら突進するアルバムOPナンバー。
開幕早々に勝負あったとなるカッコ良さですよ。


KILLER - Fatal Attraction ★★★ (2021-02-02 00:09:48)

傑作『SHOCK WAVES』(’83年)を最後に、所属レーベルMAUSOLEUMの倒産に巻き込まれて解散状態に陥っていた「ベルギーのMOTORHEAD」ことKILLERが、新たにサイドGを加えた4人編成に生まれ変わり'90年に発表したカムバック作。
'90年といえば、HR/HMシーンはジャンルの拡散と細分化が進行し、ブルーズ・ブームが吹き荒れ、グランジ/オルタナ勢が台頭する等、新旧勢力図が大きく塗り替えられようとしていた時期。その激動の只中に投下された本作を一聴して思ったのは「こいつら全然変わってねぇな!」と。ガムシャラに突進するリズム、Gは喧しくリフを打ち出し、その上でショーティとスプーキーのツインVoが喚き倒す。バラードにゃ目もくれぬパワー・サウンドは、80年代前半から着の身着のままでタイムスリップしてきたような徒手空拳ぶり。ツインVoと聞くと、今だったらお耽美なソプラノVoとデス声による「天使と悪魔」「美醜の対比」をイメージするかもですが、KILLERのVoはどっちもオヤジ丸出しの塩辛声ですからね。
特に、疾走するリズムとスピード・メタリックなリフに乗って「ワチャー!」「ホワチャー!」と、ブルース・リーかはたまた『北斗の拳』のケンシロウかってな怪鳥音を轟かせながら突っ走るOPナンバー①、オヤジ声の二重唱を伴い埃っぽく突撃するMOTORHEAD愛ダダ漏れな③、ドラマティックな曲展開と熱い泣きのメロディが叩き込まれる⑤等は、ツインG+ツインVoという現行編成の強みを存分に活かした本作ならではのけたたましい名曲。
プロダクションが向上したら無闇矢鱈な迫力が薄れてしまったという物足りなさはありつつも、それを差し引いて余りある充実作ですよ。


DESTRUCTOR - Forever in Leather - Tear Down the Heavens ★★★ (2021-01-28 23:49:32)

地響き立てて突っ走る、アルバムOPナンバーに
相応しい迫力を宿したアッパー・チューン。
中間部には押せ押せの空気を一転させて
ドラマティックに「聴かせる」パートを仕込む等
ベテランらしからぬパワーと、ベテランらしい
曲作りの技の冴えが共存する逸品です。


DESTRUCTOR - Forever in Leather - World of War ★★★ (2021-01-28 23:45:15)

タイトルに相応しく一触即発の雰囲気を纏って突き進む。
アグレッシブなだけでなく、聴き手を行進へと誘うような
エピカルなドラマ性も宿したアルバム前半のハイライト・ナンバー。


DESTRUCTOR - Forever in Leather ★★★ (2021-01-27 23:51:37)

80年代に活動、偏差値低めのバカメタルっぷりがマニアから愛されるも、主要メンバーの一人が刺殺されてしまうという悲劇を受けて解散を余儀なくなされたデイヴ・オーヴァーキル(Vo)率いるDESTRUCTOR。本作は復活作となった'02年リリースの『SONIC BULLET』に続き、’07年に発表された3rdアルバムに当たる作品です。
その『SONIC~』は、ブランク明けにしては悪くない出来栄え…ってな印象でしたが、アルバム・タイトルからしてバンドの心意気が伝わってくる本作は、評価に下駄を履かせる必要まるでなし。プロダクションの向上もあり、80年代作品にほんのり漂っていたチープさを現代的アグレッションに置き換えて、破壊的に刻まれるGリフ、悪路を力づくで踏破するダンプカーが如きゴリ押しリズムとが、デイヴの荒くれVoを伴って猪突猛進。美しさとか洗練とかとは百万光年無縁の武骨で男臭いパワー/スラッシュ・サウンドは、80年代よか遥かにパワーアップしてんじゃねえか?という迫力で押し出してきます。
中間部では「引き」のパートを設けてダイナミズムを演出するベテランの技前が光るOPナンバー①に始まり、エピカルなドラマ性も湛えたアルバムのハイライト・ナンバーたる③や、ドーピングしたMOTORHEADといった趣きで地響き立てて突進する⑤を経て、若造スラッシャーなんぞに負けへんでぇ!と言わんばかりのオヤジパワー巻き散らかすラスト・ナンバー⑪に至るまで、途中息抜きや休憩(バラード系の楽曲)も挟まずに走り抜けるガッツとスタミナに驚嘆させられっぱなし。
テストステロンがムンムンに溢れ出して来る、懐古趣味とは無縁の力作でしたよ。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London - Angel Witch ★★★ (2021-01-27 00:03:04)

毎度ライブのトリを飾るバンドのテーマ曲。
スタジオ・バージョンも最高ですが、観客の大合唱が加わる
ライブ・バージョンはそれ以上の高揚感に満ち溢れています。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London ★★★ (2021-01-25 23:57:56)

再結成、そして初の来日公演を記念して、'09年に紙ジャケット仕様にて日本のみでリリースされたANGEL WITCHの実況録音盤。帯に記載された『白人の魔法使いを燃やしなさい』という直訳極まりない邦題が何やらブート盤めいた雰囲気を醸し出していますが、れっきとしたオフィシャル作品。正月休みにCD棚を整理していて発見するまで、リリースがあったことも購入したこともすっかり忘れてしまっていましたよ。
‘09年にロンドンのクラブで行われたライブの模様が収録されており、セットリストは全10曲、全てが1st『ANGEL WITCH』からのチョイス。今も昔も変わらないケヴィン・ヘイボーンの独特なヘタウマVoと、彼がクリエイトする地下室的な湿り気と薄暗いメロディに彩られたバンド初期の名曲が、MCもそこそこに、大仰な仕掛け等何もなく次々に畳み掛けられるソリッド極まりない――でもこのバンドには非常に似合っている――構成といい、野郎率120%な観客の野太い声援といい、何も知らずに聴いて「実はこれ、80年代初頭に録音された秘蔵ライブ音源なんですよ」と言われたら、疑わずに信じてしまいそうな仕上がり。(補足しておくと、バック・バンドは初来日公演時と同じ、リー・ドリアン人脈に連なる若手ミュージシャン達によって固められています)
バンドとオーディエンスのコール&レスポンスが熱い⑤、満を持して炸裂する名曲中の名曲に会場のボルテージが最高潮に達する⑨は本編のハイライト。これ聴いて来日公演の大合唱の思い出が蘇り胸が熱くなったファンも多いのじゃないでしょうか。
国内盤で手に入るANGEL WITCHのライブ盤は本作だけなので、見かけたら是非どうぞ。


MR. BIG(UK) - Seppuku - Seppuku ★★★ (2021-01-22 00:22:16)

色物感溢れる曲タイトルに星3つ。
とはいえ、ドラマティックな構築美を宿した楽曲自体には
浮ついた雰囲気は微塵もなく、もしかするとアルバム制作中に既に
バンドの解散を予期していたメンバーが、「これが最後」と決意して
このタイトルを名付けたのではないか…と深読みすることも可能。
手元のCDには対訳はおろか歌詞カードもついていないので
何について歌っているのかは全然分からんのですが。


MR. BIG(UK) - Seppuku ★★★ (2021-01-21 00:49:49)

アメリカではなくイギリスのMR. BIGがMOTT THE HOOPLEのイアン・ハンターをプロデューサーに迎えてレコーディング作業を行うも、紆余曲折の末バンドが解散してしまったため、'03年に発掘されるまでお蔵入りの憂き目に遭っていた幻の3rdアルバム。
90年代に彼らの旧譜を見かけた時は「へー、イギリスにもMR.BIGがいたんだ」と思う程度でアルバムの購入までには至らなかったのですが、本作はショップで目に入った瞬間購入を決意。何せタイトルが『SEPPUKU』ですよ。買わいでか。
なので「話のネタに」と入手した作品でしたが、実際のところ本編に東洋趣味は皆無。さぞやガッカリした…ことは実は全然なく、むしろQUEENやSWEET辺りに通じる甘い歌声/美しいハーモニー/キャッチーなメロディに彩られた、まさしく『甘美のハード・ロッカー』(2ndアルバムの邦題)の面目躍如といった趣きの極上ハードポップ・サウンドに大いに痺れまくった次第で。先行シングルとしてリリースされたのも納得のOPナンバー①、軽快に踊るGに心浮き立つポップ・チューン③、アメリカン・プログレ・ハード調の④、しみじみと泣かせる哀愁のバラード⑥、思わず行進せずにはいられない(?)⑦、アルバムをハードに締め括るスピーディな⑫…と、ポップネスとロックのエッジが巧みに溶け合わされた本編に捨て曲なし。「SEPPUKU!SEPPUKU!SUICIDE~♪」と物騒な歌詞がキャッチーに歌われるアルバム表題曲⑪のドラマティックな名曲っぷりも嬉しい驚きでしたよ。
今じゃ1stも2ndもレア・アイテム化してしまい中古盤価格が高騰しているので、「あの時買っときゃ良かったな~」と後悔しきりです。


SWEET - Cut Above the Rest - Mother Earth ★★★ (2021-01-20 00:24:20)

6分越えの長尺をスペーシー且つドラマティックに語りきる、
プログレッシブ・ロック・テイストも漂う名曲。
特にピアノが華麗に閃く中間部のアレンジが辛抱堪りません。
敢えてこの一筋縄ではいかない楽曲を先行シングルに選ぶ辺りからも
バンド側の「甘くみんなよ」(SWEETだけに)という
攻めの姿勢が感じられるのではないでしょうか。


SWEET - Cut Above the Rest - Discophony (Dis-Kof-O-Ne) ★★★ (2021-01-20 00:20:14)

英国におけるニューウェイヴブームを皮肉った歌詞、
ディスコミュージックのパロディ的フレーズを要所に散りばめつつも
飽くまで曲展開を主導するのはハードなGという
SWEETのロック・バンドとしての矜持が刻まれた逸品。


HOUSE OF LORDS - House of Lords - Love Don't Lie ★★★ (2021-01-18 23:59:43)

STAN BUSH & BARRAGEが誇る泣きの名バラードをHOUSE OF LORDSがカヴァー。
ジェイムズ・クリスチャンも素晴らしいシンガーなので
秀逸な出来栄えになることは約束されたも同然。
スタン・ブッシュのバージョンも是非お聴きください。


SWEET - Cut Above the Rest ★★★ (2021-01-18 22:57:29)

ツアー生活の疲弊からアルコールに走るようになり、バンド内で軋轢を生じ始めたブライアン・コノリーが脱退。後に残されたメンバーはトリオで活動を継続することを決断し、所属レーベルをPOLYDOR RECORDSに替えて心機一転を図ると、セルフ・プロデュースでレコーディング作業を行って’79年に本7thアルバム(邦題『標的』)を発表しました。
看板メンバーだったコノリーの脱退に加えて、発売されたアルバムは全米チャートで100位内に入ることも叶わない寂しい成績…ってな事前情報に惑わされ、紙ジャケ再発されるまで聴いたことがなかった本作ですが、実際にトライしてみれば、SWEETの他のカタログにも決して聴き劣りしない素晴らしい内容で「こりゃ結構なお点前ですよ!」と思わず居住まいを正してしまった次第。
ここで披露されているのは、前作のアメリカン・メロハー路線を更に洗練させ、キャッチーなメロディを甘美なハーモニーで包んだ、例えばELO辺りにも通じる魅力を放つポップ・ロック・サウンド。ドイツでシングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたという①みたいな親しみ易いハードポップ・チューンも非常に和めるのですが、甘さ一辺倒では終わらず、エッジの効いたGが曲展開を主導するロック賛歌の⑤、スペーシーなシンセを活かしたプログレッシブ・ロックにも通じるドラマ性を宿した⑦といった、ピリッと本編を引き締めるHRナンバーを要所に配置。その⑦を敢えて先行シングルに選ぶ攻めた姿勢からも、バンドの「舐めてくれるなよ」との主張が聞こえてくるようじゃないですか。
こうなると、未聴の最終作『IDENTITY CRISIS』も聴きたくなってきますね。


WHITE SISTER - White Sister - Straight From the Heart ★★★ (2021-01-14 23:53:48)

LAメタルらしいエッジの効いたGリフに、ハイトーンVoの
歌う哀愁のメロディが絡む。泣きを湛えたGソロといい、
印象的なオブリを入れて来るシンセに、美麗なハーモニーといい
開幕早々にアルバムの完成度を確信するに十分な名曲です。


WHITE SISTER - White Sister - Don't Say You're Mine ★★★ (2021-01-14 23:44:54)

心地よい疾走感を伴うリズムに乗って、
ウェットなメロディを歌うハイトーンVo、
分厚いコーラスで包まれたキャッチーなサビメロ、
それに80年代感バリバリな音色のシンセが、
スペーシー且つドラマティックに曲展開を盛り上げる
アルバムの掴みに相応しい名曲。


WHITE SISTER - White Sister ★★★ (2021-01-13 23:42:11)

クリスチャン・メタルっぽいバンド名ですが別にそんなことはないらしいバーバンク出身の4人組。多くのLAメタル勢が、まずクラブ・シーンで鎬を削った後、自主制作音源を作成してレコード会社の反応を伺う…ってなルートを辿ったのに対し、彼らはいきなりメジャーのEMIから'84年に本1stアルバムを発表して華々しいデビューを飾っています。
抒情的なメロディを配し、適度な緊迫感を湛えたサウンドは「明るく楽しいLAメタル」のイメージとは趣きを異するものの、さりとてNWOBHMからの影響を感じさせる地下室臭の類も皆無。キレのあるハイトーンVo、歯切れ良くリフを刻むG、早過ぎず遅過ぎず自然と聴き手をノらせるリズム、そして美麗なボーカル・ハーモニーとを伴う楽曲からは、既に堂々たるメジャー感が漂ってきます。取り分け、時にポップに/時にドラマティックにサウンドを彩り、リードVoまで取ってしまうKey奏者の活躍は本作の肝。これにはプロデューサーがGIUFFRIAのグレッグ・ジェフリアってことも関係しているんでしょうかね?
大きなヒットには恵まれず、これ1枚きりでメジャーからドロップしてしまったバンドゆえ「これぞ!」という強力なキメ曲は見当たりませんが、華麗なシンセサイザーを前面に押し出し、例えるなら初期BON JOVIが気持ち正統派HMに寄ったような収録曲の数々はいずれも粒揃い(⑤のみ毛色が異なりますがこれは外部ライター提供曲)ゆえ、大した瑕ではありません。特に冒頭4曲のカッコ良さは最高ですよ。
一度CD化されたきりで既に廃盤の国内盤には5,000円オーバーのプレミアが付いてしまっているので、1日も早いリイシューが望まれる、LAメタルの隠れた名盤。


QUIET RIOT - QR III - Slave to Love ★★★ (2021-01-12 23:36:35)

スタン・ブッシュ先生との共作曲なのですから、
そりゃあ素晴らしい仕上がりにならないわけがないという。
哀愁に満ちたメロディ、コンパクトに締まったGソロ、
サビで絡む女性コーラスのドンピシャな起用といい、
3rdアルバムでQUIET RIOTが試みた音楽的試行錯誤の
結実と言っても過言ではない名曲じゃないでしょうか。


QUIET RIOT - QR III - Still of the Night ★★★ (2021-01-12 23:31:31)

トシちゃんばりの「俺はビッグ」発言とか、ルディ・サーゾ苛めとか
言動面には多々問題があったのかもしれませんが、シンガーとしての
実力は間違いなく高かったのもまた事実。特にこの名バラードの感動は
ケヴィンの熱唱あったればこそ。ボビー・キンボールのゲストVoも
楽曲をドラマティックに盛り上げてくれており非常に効果的です。


QUIET RIOT - QR III ★★★ (2021-01-11 23:16:48)

ケヴィン・ダブロウ(Vo)のビッグマウスぶりが人々の鼻につき始めたのか、はたまた次々にデビューを飾るBON JOVI、DEF LEPPERDといった若くてイキのいい新人バンドに話題を奪われるようになったためか、ともかくウルトラ・セールスを記録したデビュー作以降はアルバムの売上枚数の下降に歯止めを掛けられずにいた(今にして思えば十分立派な成績なんですけどね)QUIET RIOTが、勝負作として’86年に放った3rdアルバム。
笑っちゃうぐらい1stアルバムの作風を踏襲していた前作に比べ、本作ではエッジを削って丸みを帯びた音作りの下、Keyとボーカル・ハーモニーのフィーチュア度を各段に上げた、メロディアスHR路線へと一気に傾斜したサウンドを披露。筋の取れた伸びやかな歌唱を心掛けるケヴィンのVoといい、派手さは抑えて楽曲を引き立てることに注力するカルロス・カヴァーゾのGプレイといい、全体的にバンドとしての成熟を感じさせる仕上がりで、QUIET RIOTの名を聞いて想起する底抜けに明るい溌剌としたHMサウンドとは隔たりはあるものの、ことメロディの魅力に関して言えば前2作を完全に凌駕。シンセによるイントロが新鮮な空気を運んでくるQR版“JUMP”チックな①、哀愁漂う②、ケヴィンの優れたシンガーとしてのポテンシャルが十全に発揮された感動的なバラード⑦等々…。中でもスタン・ブッシュとバンドの共作曲⑩は個人的にアルバムのハイライトに推したい名曲ですよ。実はこの曲目当てで本作を購入したぐらいでして。
結局セールス的に失敗しケヴィン脱退の引き金となった本作ですが、内容の充実ぶりからすれば、試合には負けたかもしれないが勝負には勝った!と言える1枚ではないでしょうか。


HOUSE OF LORDS - House of Lords ★★★ (2021-01-08 00:15:46)

GIUFFRIAの2ndが期待したほどのセールスを上げられなかったことから新たな展開を模索していたグレッグ・ジェフリアと、自身のレーベルを立ち上げて有望な新人バンドを物色中だったKISSのジーン・シモンズ。両者の思惑が一致した結果、フロントマンをデヴィッド・グレン・アイズレーからジェイムズ・クリスチャンに替えたGIUFFRIA改めHOUSE OF LORDSが、’87年に発表した出直しデビュー作がこれ。邦題は『神々の館』。
EL&Pばりのシンセによるイントロに始まり、ラニー・コードラのGから泣きが染み出す②から、チャック・ライト&ケン・メリーの渡り鳥コンビのタイトなリズム・ワークが冴えるHRナンバー④⑥、重厚かつキャッチーなコーラスが鮮烈な⑦、ファンファーレの如くKeyが鳴り響く高揚感に満ちた⑧、共作者としてデヴィッド・ロバーツが名を連ねる⑩に至るまで、多彩な楽曲が集う本編で披露されているのは、基本的にはGIUFFRIA時代を踏襲するスケールの大きなアメリカン・ロック。但し、前任者よりも情感豊かに歌い込むタイプのシンガーであるジェイムズを得たことで、サウンドの方は派手さを控えめに、よりメロハー色が強化。またほんのりブルージーな味わいも加味されるようになりました。
特に、ジェイムズの熱唱とラニーのエモーション迸るGの競演が息苦しいまでの盛り上がりを演出する③はその真骨頂。そして何よりスタン・ブッシュのペンによる感動的な名バラード⑤には感涙に咽ばずにはいられませんよ。
グレッグ・ジェフリア主導期の3枚の中では、個人的には本作が一番好きだなぁと。それだけに国内盤が廃盤のままほったらかしなのは勿体ない。


WHITE LION - Mane Attraction - Warsong ★★★ (2021-01-06 23:44:42)

90年代的ヘヴィネスを伴った重厚なミッド・チューン。
鉄と鉛、血も涙もないといった風情の前半から一転、
突如堰を切ったように泣きが溢れ出す、中盤での劇的な転調と、
ヴィトの胸を締め付けるエモーショナルなGソロが
落涙モノの素晴らしさですよ。


WHITE LION - Mane Attraction - Broken Heart ★★★ (2021-01-06 23:37:27)

評価が割れがちなマイク・トランプのVoですが、
こうした哀愁に満ちた楽曲を歌うと、独特の枯れ声が
メロディの抒情性を一層際立たせてくれて実に良い。
1stの頃より確実に表現力も増しています。
ヴィト・ブラッタの泣きのGソロは、どちらもバージョンも
「最高」以外の形容詞が思い浮かびません。


WHITE LION - Mane Attraction ★★★ (2021-01-05 23:58:00)

80年代の絶頂期を謳歌していたバンド群が、新たな波の到来で路線変更や解散を余儀なくされていった90年代。WHITE LIONもプロデューサーにリッチー・ズィトーを迎えて制作、'91年に発表した本4thアルバムを以て一旦その歴史に幕を下ろすこととなりました。
プロデューサーの人選からして、前作『BIG GAME』以上にポップ路線を突き詰めた仕上がりになっているかと思いきや、本作ではメロディの魅力は生かしつつ、極力装飾を排した音作りの下、ヘヴィなGが全体を引っ張る90年代仕様のサウンドを提示。マイク・トランプも時に荒れ声を駆使して荒々しい側面を披露しています。ただそうなると、これまでは分厚いハーモニーに覆われることで気にせずに済んでいた、声の表情の乏しさやパワー不足が悪目立ちしている印象が無きにしも非ずという。
反面、それをフォローするように存在感を発揮しているのがヴィト・ブラッタで、ブルージーな⑪を始めバラード系の楽曲における、1つの音で10を語るGプレイには悶絶せずにはいられません。またこうしたメロウな曲においてはマイクの歌唱も存分にポテンシャルを発揮。メロディの抒情性を効果的に増幅してくれていて、やはり得難いシンガーであることを印象付けます。中でもシングル・カットされた哀愁の名曲②、静と動を切り替えながらドラマティックに盛り上がる⑦、日本語の「サヨナラ」まで飛び出す⑫は、バンドの新たな魅力を提示することに成功した逸品ですよ。
WHITE LIONは長いこと80年代の作品しか触れずに来ていたので、後年マイク中心で再編された復活作(5th)を聴いてそのハードな作風に吃驚したのですが、3rdと5thの間に本作があると、その変化も必然であったと遅まきながら理解できた次第で。


BRITNY FOX - Britny Fox - Long Way to Love ★★★ (2021-01-05 00:33:39)

“GIRLSCHOOL”のノリを受け継ぐ爽快なロックンロール。
クセの強い声質が好き嫌い分かれるタイプのシンガーですが、
印象的なコーラス・ワークを始め、こうした抜けの良い楽曲には
ハマっていて、その魅力を存分に引き立ててくれます。
シングル・カットされたのも納得。


BRITNY FOX - Britny Fox - Girlschool ★★★ (2021-01-05 00:27:11)

アルバムのOPナンバーにしてBRITNY FOXの代表曲。
クセの強いシャウトVo、シンプルでノリ易い曲調、
キャッチーなコーラスに曲中を彩るフラッシーなGソロ、
あと80年代感全開のゴキゲンなPVまで、
陽気で豪快なロックンロールに思わず体が動き出す名曲。


BRITNY FOX - Britny Fox ★★★ (2021-01-04 00:12:28)

LAでバンドを組んで活動するも芽が出ず、地元フィラデルフィアへと戻ったシンガーのディジィー・ディーン・デイヴィッドソンが中心となり結成、デビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾るなど話題を振りまいたBRITNY FOXが、'88年にメジャー・レーベルのCBSから発表した1stアルバム。
髪の毛を膨らませ過ぎてシルエットがウルトラセブンのクール星人みたくなっているメンバーの「ヘアメタル」を体現したようなルックスに、トム・キーファー似のクセの強いディジィーの歌唱スタイル、それにGが元CINDERELLAだったりと、何かと「CINDERELLAの弟分」的な扱いを受ける機会の多いバンドでしたが、音楽性の方からは当時流行のブルーズ・テイストは殆ど感じられず。むしろカラッと陽性で覚えやすいメロディ、盛りに盛られたキャッチーなコーラス・ワーク、フラッシーなGプレイとに彩られたAC/DC辺りにも通じるサウンドは、SLADEのカヴァー⑧を含めて、彼らが骨の髄までロックンロール野郎であることを証明するワイルドな仕上がり。
特にビデオクリップが印象的だったリーダートラック①、共に合唱せずにはいられない高揚感に満ち満ちた②⑦⑨、良い意味で売れ線ど真ん中なパワー・バラード④、ライブ映えする曲調にディジィーの金切りシャウトが映える⑥等々といった楽曲は、「ヘア・メタルねぇ」とグチグチ抜かしながら冴えない面で本作を聴き始めたリスナー(俺ですが)さえも、聴き終わる頃には笑顔に替えてしまうゴキゲンさを誇っています。
BRITNY FOXがリリースした3作の中では、個人的には本作が一番のお気に入りですよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog - Shout ★★★ (2020-12-30 01:35:16)

力強くロックする曲調に、哀愁のメロディと、合唱せずには
いられないキャッチーなコーラス(バックVoにロビン・ベック参加)
が華を添えるアルバムでも1、2を争う名曲。HR然としたエッジを
加えるトミー・デナンダーのGプレイも光っていますよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog - Unbroken ★★★ (2020-12-30 01:29:27)

「80年代にCMで使われていました」と言われたら
全く疑わずに信じてしまいそうなパワー・バラード。
むしろ現在CM(あるいはドラマ)に起用されていないのが
不思議なぐらいですよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog ★★★ (2020-12-29 00:45:47)

ジェイ・グレイドン、グレン・バラードと結成し、デビュー作『A HEART FROM THE BIG MACHINE』(’91年)が日本でスマッシュ・ヒットとなったPLANET 3での活動や、様々なアーティストへの楽曲提供で知られるシンガー/ソングライターのクリフ・マグネスが、1st『SOLO』(’94年)以来、24年ぶりにリリースした2ndソロ・アルバム(’18年発表)。
雲ひとつない青空、パームツリー、アメ車、あと犬…と、わたせせいぞう感溢れるジャケットから想起される通り、クリフのクセのないハイトーンVoが伸びやかに響き渡る、ポップで爽快なメロディアスHRサウンドが心地良い1枚。前作がメロディ愛好家から「まるで青春映画のサントラのよう」と絶賛されていたことを踏まえると、変わらない魅力を湛えつつも、どこか過ぎ去った日々を懐かしむような郷愁が漂ってくる本作は同窓会映画のサントラ的趣きも感じられたり。
…なんて書くと、何やら後ろ向きで覇気に欠ける作品のように思われるやもしれませんが、どうしてどうして。アルバムのOPを飾るVAN HALENばりに溌剌と駆け抜ける①、歯切れ良く軽快に弾む④、ゲストVoのロビン・ベックが華を添える⑤等、要所に配されたHRナンバーがしっかりと気分をアゲてくれます。特にキャッチーなコーラスと哀愁のメロディに思わず合唱を誘われる⑧はアルバムのハイライトに推したい名曲。無論、「80年代にトレンディドラマかCMに主題歌として起用されてなかった?」と尋ねたくなるヒット・ポテンシャル充填120%な③、バグパイプを効果的に取り入れた⑥といったバラード系の楽曲の素晴らしさに関しては、今更言及するまでもなく。
前作を気に入った方なら迷わず買えよ買えば分かるさな1枚。前作を知らない方も是非に。


BLUE OYSTER CULT - The Symbol Remains - The Alchemist ★★★ (2020-12-25 01:01:35)

名作『IMAGINOS』収録の名曲
“THE SIEGE AND INVESTITURE OF BARON VON FRANKENSTEIN'S CASTLE AT WEISSERIA”
を彷彿とさせる、重厚にしてドラマティックなアルバムのハイライト。
Gにリードされて曲調が疾走へと転じる場面のカッコ良さ、
そして凛としたピアノの旋律も印象に残ります


BLUE OYSTER CULT - The Symbol Remains ★★★ (2020-12-24 01:11:28)

結局日本盤が出なかった前作『CURSE OF THE HIDDEN MIRROR』(’99年)は未だに持っていないので(そもリリースされていたことさえ結構最近まで知らなかったという)、BLUE OYSTER CULTの新作を買うのは前世紀以来となる、’20年発表の13thアルバム。
ピアノ好きの身には欠かせない存在だったKey奏者アレン・レニアーは既に亡く、ヘヴィ・リフが無骨に刻まれ、レゲエ調のアレンジまで飛び出すOPナンバー①が始まった時にゃ思わず眉間に皴が寄りそうになったりもしましたが(冷静になれば十分良い曲)、硬質なバッキングとポップなメロディのコントラストが印象的な②以降は、メロディは泣いていてもベタつかない③、オールディーズをBOC流の解釈で料理してみせた④…と、エリック・ブルームの浮遊する歌声、立体的に組まれたボーカル・ハーモニー、そして都会的な仄暗さ/冷ややかさを纏ったメロディといった、BOCならではの魅力と個性が刻印された逸曲が連続。
クレジットを見るに、この収録曲の充実ぶりには新参メンバー、リッチー・カステラーノ(G)の貢献も大きかったようで、特に彼が単独で手掛けた、重厚かつ劇的な盛り上がりと随所で流麗に閃くピアノの美旋律に力瘤って仕方ない⑪の、名盤『IMAGINOS』(’89年)に収録されていたって違和感のない名曲ぶりは本作の白眉。しみじみと「優秀な人材をゲットしましたなぁ」と呟かずにはいられませんよ。
《NYの醒めた狂気》とか《文科系BLACK SABBATH》とか、何かと敷居の高い枕詞が冠せられることの多い彼らですが、本作にこれみよがしの難解さは皆無。キャッチーな哀メロを粋なアレンジと有機的な演奏で楽しませてくれる、シンプルに親しみ易い1枚です。


DRIVE,SHE SAID - Drive, She Said - Don’t You Know ★★★ (2020-12-22 23:22:29)

TOUCH時代の名曲“愛は謎のストーリー”のリメイク。
シンセが増量され、よりモダンなアレンジが施されていますが
アル・フレッチのパワフルな熱唱にドライヴするG等、
これはこれでカッコイイ。
というかこれがカッコ良すぎて、他の楽曲の印象を霞ませてしまっている感が
無きにしも非ずなのですが・・・。


DRIVE,SHE SAID - Drive, She Said ★★★ (2020-12-21 23:20:10)

半世紀近くに亘り活動を続けるアメリカン・メロハー界の良心、マーク・マンゴールド(Key)が、盟友アル・フレッチ(Vo)と立ち上げたプロジェクト、最早マークのライフ・ワークとさえ言えそうな(の割に余り評価がパッとしないのが痛し痒し)なDRIVE, SHE SAID。本作は彼らが'89年にCBS傘下のIMAGINE RECORDSからリリースしたデビュー・アルバムで、プロデュースはマーク本人が担当。幾つかの楽曲ではアルド・ノヴァの名前も共同プロデューサーとしてクレジットされ、またボブ・キューリックやフィオナ、トニー・ブルーノ、ケニー・アーロンソンらをゲストに迎えレコーディングが行われています。
ここで聴けるのは、「TOUCHがアルバム1枚きりで解散せず、80年代も作品リリースを重ねていたら、多分こんな音を出すようになってたんじゃなかろうか?」と思わされる、ポップで洗練されたメロハー・サウンド。ヤスリでエッジを削ぎ落したみたいな売れ線狙いのプロダクションがHR/HMならではのエキサイトメントを著しく低下させつつも、楽曲にフックを作り出すマークのKeyと、アル・フレッチのパワフルなVoがサウンドにメリハリを付与してくれていて、右から左へBGMとして聴き流すような真似はさせません。
正直、TOUCH時代の名曲“愛は謎のストーリー”のリメイク③のインパクトが他の楽曲の存在を食ってしまっている感はあるのですが、それでもフロア対応のリズムとファッショナブルなシンセ・サウンドに負けじとアルのロック・シンガー然とした熱唱が芯を通す⑨等、本編はマークの曲作りの腕前が既に健在であることを示す秀曲揃い。
数年前の引っ越しで国内盤の帯をなくしてしまい非常に落ち込んだので、そろそろ再発してくれないものかなぁと。


RAMOS - My Many Sides - All Over Now ★★★ (2020-12-18 00:53:27)

ブルージーな色合いが強いアルバムの中にあって
アルバムの終盤を〆るこの曲は爽快な曲調にキャッチーな
コーラス、それにジョー・レッタの熱いVoとが相俟って
80年代ポップ・メタル的な味わいを感じさせてくれます。


RAMOS - My Many Sides ★★★ (2020-12-17 01:05:34)

それこそ肩眉を剃り落して山に篭りそうな勢いで(誤ったイメージ)ひたすらJOURNEY型メロディアスHRサウンドを求道し続ける「馬鹿よのう…まさにメロハー馬鹿」なギタリスト、ジョシュ・ラモス。RAMOS名義では『LIVING IN THE LIGHT』(’03年)以来、実に17年ぶりとなる、’20年発表の2ndソロ・アルバムがこちら。
トニー・ハーネル、ダニー・ヴォーン、エリック・マーティン、トニー・ミルズ…著名な実力派シンガー勢をゲストに迎えてレコーディングされている本作でも、当然JOURNEY路線のメロハー・サウンドが聴けるものとばかり思っていましたが、意表を突いて本編の幕開けを飾るのは、イントロからGが派手に弾きまくられ(そもそもSHRAPNELからデビューを飾った人なのでテクニックは十分)、70年代HRばりの豪快さを伴って繰り出される①。アルバム全体としても所謂クラシック・ロックからの影響を伺わせる渋めのサウンドが展開されており、まさしく表題『MY MANY SIDES』を地で行く仕上がりだったという。
思ってた方向性と多少異なるとはいえ、ブルージーなフィーリング漂わす楽曲には元XYZのテリー・ルイス、再結成SWEETのフロントマンとして知られるジョー・レッタらの粘っこい熱唱がハマっていますし、またそれらの楽曲においてもジョシュの類まれなるメロディ・センス、一音入魂のGプレイはしっかりと健在。特にGを雄弁に歌わせるインスト・ナンバー⑩にゃ聴き惚れずにはいられませんて。そしてアルバム終盤にはちゃんと「これぞジョシュ・ラモス」という爽快メロハー⑪が用意されているので、聴後感も良好です。
予想は裏切るが期待は裏切らない1枚。でも、出来れば次はメロハー物をヨロシク。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - The Crush ★★★ (2020-12-16 00:56:48)

ポジティブなフィーリングを振りまきながら
軽快に駆け抜けていく、これまたジョシュ・ラモス節全開の
爽快なロック・チューン。(ロバート・フライシュマンとの共作)
ニール・ショーン直系の歌心に溢れたGプレイにも耳を惹かれるものあり。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - Heaven to Me ★★★ (2020-12-16 00:51:33)

JOURNEY躍進の切っ掛けとなった、彼らの初期の名曲の幾つかに
共作者として名を連ねているロバート・フライシュマンの
作曲術が冴える哀メロ・チューン。抒情的な導入部から
テンポアップして清涼感を増していく曲展開が秀逸。
要所で飛び出す往時を思わすハイトーンも良いアクセントになっています。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - World in Your Eyes ★★★ (2020-12-16 00:45:18)

アルバムの幕開け役に相応しいハードエッジと
軽快な疾走感を伴ったOPナンバー。
サビメロの爽やかで伸びやかなメロディ展開は
まさしくジョシュ・ラモスの仕事ですなぁと。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes ★★★ (2020-12-14 23:51:03)

正式加入寸前でJOURNEYフロントマンの座をスティーヴ・ペリーにかっ攫われてしまったロバート・フライシュマン(Vo)。実力はありながらも運に恵まれず90年代は裏方稼業に活動の軸足を移していた彼氏が本家JOURNEY作品のリリースも手掛けているFRONTIERS RECORDSと契約を結び、20数年ぶりに発表した2ndソロ(プロデュースはケリー・ハンセンが担当)。
JOURNEYのヒット曲“お気に召すまま”や名曲“WINDS OF MARCH”に共作者として名を残す等、自身も確かな曲作りの才を有しているのに加えて、本作を語る上で外せないのがジョシュ・ラモス(G)の参戦ですよ。JOURNEYに入り損ねたシンガーと、ことあるごとにJOURNEY愛を詳らかに表明してきたギタリスト、この座組を実現させた時点で本作の勝ちは決まったと。事実、清涼感溢れるコーラスが秀逸なOPナンバー①、ハイトーンを活かした美しい導入から聞き惚れる②、爽やかにロックする③、暖かみが染み出すバラード④…と、頭から連打されるジョシュ印のメロハー・チューンの数々は、創作意欲を刺激された彼がノリノリで作曲作業に勤しんだことを伝えてくれる仕上がり。
若干かかり過ぎてしまったのか中盤で息切れが感じられなくもないのですが(それでも水準は軽くクリア)、最後は泣きのGが美味な秀曲⑪で〆られるので聴後感に影響なし。主役たるロバートのVoも、ヴィニー・ヴィンセントのバンドにいた頃はトニー・ハーネル系ハイトーン・シンガーとの印象でしたが、本作では中音域をメインにエモーショナルに歌い上げることに専念しており、それがまた楽曲の味わいを深く豊かなものにしてくれています。
ぼちぼち新作が聴きたいなぁ。それが難しいなら1st『PERFECT STRANGER』の国内盤をCD化してくれないものか。


RETURN - Return - Mr. President ★★★ (2020-12-11 00:23:58)

ピアノ好きとしては、物悲し気なピアノのイントロだけで
グッと掴まれてしまいます。寒色のヴァースから
暖色のコーラスへと転じるメロディの移調も絶妙です。
ハスキーなVoの声質もあって初期ミカエル・アンダーソンを
彷彿とさせる哀愁のメロハーの名曲。


RETURN - Return ★★★ (2020-12-09 23:24:18)

これまでリリースしたカタログを悉くヒット・チャート上位に送り込み、本国ノルウェーではトップ・バンドとして確固たる地位を築き上げたRETURN。5th『V』(’92年)を最後に活動を停止していた彼らの再始動となった'05年発表の6thアルバム。
前作『V』では、HR/HMで括ることに若干の躊躇を覚えなくもないアコースティカルなサウンドを聴かせた彼らですが、ブリットポップ風の疾走ナンバーまであったりする今作では(当時のシーンの趨勢もあってか)、だいぶHR色を回復させたサウンドを披露。かといって、安易にダーク&ヘヴィな流行におもねるような真似はせず、あくまでRETURNならではの悲哀に満ちたメロディの魅力はしっかりとキープされ続けています。
抒情味を増幅するハスキー・ボイスという、往時の個性がここでも健在なシンガーの歌唱が映える、重厚にして物憂げなOPナンバー①、雪の夜に灯された暖炉のような暖かみに満ちたバラード②、ポップにして爽やかな③という冒頭の3連打、あるいは憂いを帯びたGとハモンド・オルガンの共演が北欧メタル風味をぐっと盛り上げる⑪といった楽曲は、本作の質の高さを如実に示す逸品ですし、何より美しいピアノのイントロに導かれてスタートし、Gが奏でる泣きメロとコーラス・ワークに垣間見えるポップ・センスが巧みにブレンドされた⑥なんて、「これを聴くためにアルバムを買おう!」と思わずキャンペーンを張りたくなる、初期ミカエル・アンダーソンにも通じる感傷的な泣きに溢れた名曲ですよ。
ブランクを感じさせない良作だっただけに、これ以降、再び音沙汰がなくなってしまったのが勿体ないなぁと。


DORO - Force Majeure - Angels With Dirty Faces ★★★ (2020-12-08 23:48:48)

ハードロックのエッジを効かせて躍動する曲調に
ドロがパワフルに歌い上げるキャッチーなメロディが彩りを添える、
硬軟のバランスに優れたメロディック・ロック・ナンバー。
この路線であと1、2枚は聴いてみたかった。


DORO - Force Majeure ★★★ (2020-12-08 00:22:44)

ドロ・ペッシュというと、個人的には今でも「元WARLOCK」の肩書で語ってしまいがちなのですが、既にソロとしての活動期間の方が圧倒的に長い彼女にしてみりゃ「いつまで過去のこと引き摺ってんのさ」ってなもんじゃないでしょうか。
‘89年発表の本作は、マネージャーとのトラブルが原因でWARLOCKというバンド名が使用できなくなったため、初めて「DORO」名義でリリースされた記念すべき1枚で、レコーディングはニューヨークで行われ、バックに名の知れたアメリカ人ミュージシャンを起用(ドラマーはボブ・ロンディネリ)。いきなりPROCOL HARUMの名曲“青い影”のカヴァーで幕が上がる意表を突いた本編の構成等、このアルバムが「ドロ・ペッシュというソロ・アーティスト」の作品であることをガッツリ主張する仕上がりとなっています。
彼女の歌を主役に据え、欧州的な暗さを排してすっきり垢抜けたアレンジで聴かせるメロディック・ロックというスタイルを更に押し進めつつも、ジャケットはお馴染みジェフリー・ギレスピーの手によるものですし、収録曲の中にはジャーマン・メタルらしい力強さを伴って疾走する⑨⑪のようなスピード・ナンバーもあり。またそれらを歌うドロ姐さんの歌唱も女ロニー然とした力感溢れるもので、少なくともこの時点では出している音にしろルックスにしろ、90年代に発表されたソロ作品群ほどフェミニンな方向へは寄せられていません。特にHRのエッジとキャッチーなポップ・センスを巧みに融合させた⑤なんて、この時期(過渡期)ならではの魅力を宿した逸品ですよ。バラード⑥における歌唱も素晴らしい。
DOROの門出を祝うに相応しい充実作。


浜田麻里 - MAGICAL MYSTERY “MARI” 浜田麻里 LIVE ’85 - DON’T CHANGE YOUR MIND〜SE: SO LONG ★★★ (2020-12-03 23:55:21)

スタジオ・バージョンも十分凄いのですが、
この時期のライブ・バージョンもまた凄い。
エネルギーが奔流となって溢れ出すような
(それこそ喉手術前のクラウス・マイネばりに)
尻上がりにパワーを増していく歌いっぷりに圧倒されます。


浜田麻里 - MAGICAL MYSTERY “MARI” 浜田麻里 LIVE ’85 ★★★ (2020-12-03 00:21:10)

4th『RAINBOW DREAM』発表後、浜田麻里が’85年に行った初の全国ツアーの中から、中野サンプラザと大阪厚生年金会館でのライブの模様を収録する実況録音盤。
セットリストは、1stから3曲、2ndから1曲、3rdから2曲、4thから2曲(うち1曲は映画『ベスト・キッド』主題歌“MOMENT OF THE TRUTH”のカヴァー)という全8曲からなる構成で、初期HM時代を総括するベスト盤としての機能も果たしています。
ブックレットに記載がないので、イントロのアカペラから見事なコーラスを披露する妹さん以外、バック・バンドのメンバー名が不明なのは残念ながら(同タイトルのビデオの方だと分かるのかな)、演奏はすこぶるタイト。そしてやはり、なんといっても本編のヒロインたる浜田麻里嬢の歌声が絶品で、CDでは凄いけど生歌聴いたらガッカリなんてのはよくある話ですが、彼女は完全に別格。現在のベテラン・シンガー然とした貫禄漂う歌唱に対し、この時期はまさに「若さ迸る」といった感じで、制御しきれないエネルギーがシャウトから溢れ出す様は、『TOKYO TAPE』の頃のクラウス・マイネを思い出してしまうほどですよ。特に観客とのコール&レスポンスを組み込んだ“TOKYO MAKIN’ LOVE”、樋口宗孝のペンによるドラマティックなバラード“RUNAWAY FROM YESTERDAY、そして問答無用のスピード・ナンバー“DON’T CHANGE YOUR MIND”といった名曲における絶唱は圧巻の一語に尽きます。
あえて文句をつけるなら収録曲の少なさぐらいのもの(完全版が聴いてみたい)。浜田麻里のメタル・クイーン時代の貴重な記録として一聴の価値ある1枚。


MUNICIPAL WASTE - Hazardous Mutation - Terror Shark ★★★ (2020-12-02 01:01:41)

2ndアルバムにおいてメタル度数の高さでは
“UNLEASH THE BASTARD”とタメを張る
本編後半のハイライト・ナンバー。
ここでもダブルで録られたGの奏でるメロディが
硬質且つタイトに畳み掛ける曲調に
勇壮なアクセントを加えてくれています。


MUNICIPAL WASTE - Hazardous Mutation - Unleash the Bastards ★★★ (2020-12-02 00:54:13)

JUDAS PRIESTの『UNLEASHED IN THE EAST』を思わす
タイトル通り、2ndアルバムの中でも1、2を争う
メタル度数の高さで2分間を突っ走る名曲。
Gが奏でる勇壮なメロディも耳に残ります。


MUNICIPAL WASTE - Hazardous Mutation ★★★ (2020-12-01 00:07:41)

METALLICAリスペクトなタイトルが冠された1stフル『WEATE EM ALL』が評判を呼び、英国エクストリーム・ミュージックの老舗レーベルEARACHEとの契約をゲットしたMUNISIPAL WASTEが、'05年に発表した2ndアルバム。
本作から、歴戦の強者たるデイヴ・ウィッテ(Ds)が加入。スパスパと快刀乱麻な彼氏のドラミングを推進剤にして突貫するサウンドは、従来のハードコア/パンク的前のめり感や、思わずグイグイ酒が進むキャッチーな高揚感は堅持しつつ、間断なく刻まれるリフ&リズムは益々切れ味鋭く、ローからハイへ一気に駆け上がる曲展開はダイナミックに…と、これまで以上にヘヴィ・メタリックにビルドアップされています。
モノの数秒で終わってしまうような瞬間風速ナンバーを演る一方で、全体としては楽曲が長尺化。といってもランニング・タイムが1分台から2分台になった程度の差なのですが(全15曲収録で収録時間は26分)――より緩急演出に気の払われた曲中の要所要所において、勇壮にして印象的なメロディを散りばめるGの活躍ぶりも、本編のメタリックな硬質感を後押ししてくれています。特に、JUDAS PRIESTへのオマージュを感じさせるタイトルからしてニッコリさせられる②、IRON MAIDENばりのリードBが耳を惹くアルバム表題曲⑧、血沸き肉躍る曲調に劇的なGソロが華を添える⑬といった、一際HM成分が色濃く滲み出す楽曲のカッコ良さは格別ですよ。
ラインナップの完成や基本となるサウンド・スタイルの確立等、現在へと至るMUNISIPAL WASTEの土台を築いた重要作。カタログにハズレがないバンドだなぁ


MUNICIPAL WASTE - Waste ’Em All - Waste ’Em All ★★★ (2020-11-27 00:38:35)

80年代映画から持ってきたようなイントロに始まり
畳み掛けるVo、前がかりで突進するリズムに鋭利なGリフ、
緩急を飲み込んだ曲展開、そして短いながらもGソロまで
フィーチュアされて、ランニングタイムは1分半ぽっきり。
初期の彼らの魅力を端的に表してくれるアルバム表題曲です。


MUNICIPAL WASTE - Waste ’Em All ★★★ (2020-11-26 00:37:13)

新世代スラッシャーの中でも早い時期から積極的に活動を展開していたヴァージニア州リッチモンド出身4人組、MUNISIPAL WASTEが、数枚のEPの発表やスプリット・アルバムへの参加を経て評判を高めた後、満を持して’03年にSIX WEEKS RECORDSからリリースした1stフル・アルバム。
隠しトラック含めて全16曲を収録し、ランニング・タイムはザックリ短く20分弱。最長でも1分半、中には数秒で終わってしまうような出オチ気味の楽曲まであったりと、彼らのアルバムの中では最も濃厚にショート/シャープ/ショック/なハードコア・テイストが打ち出されています。但し、エッジの立ったリフを細かく刻みまくるGといい、緩急とヘヴィネスを効かさて一気呵成に畳み込んでくるリズムといい、この時点でヘヴィ・メタリックな要素も既にそこここから顔を覗かせており、それがハードコア/パンク系にありがちな「速いんだけど、軽い」という難点のクリアに大きく貢献してくれているという。
速射砲の如く言葉を打ち出すハイピッチVoを乗せて、勇ましく突っ走る④、スラッシュ・メタル愛が迸るキャッチーな⑪、前半でエネルギーを溜め込んで後半で一気に開放する⑭等々、1分にも満たない短さにも関わらずキャラの立ちまくった(ちゃんと聴き分けのできる)楽曲を次々繰り出すバンドの曲作りの才には感心させられますし、中でもダイナミックに走り抜ける⑧はMUNISIPAL WASTEの個性が分かり易く詰まった名曲っぷり。
S.O.D.の名作『SPEAK ENGLISH OR DIE』にだって負けないクオリティを誇る1枚…といったら誉め過ぎかもしれませんが、個人的には同じぐらい楽しめましたよ。


WHEELS OF FIRE - Begin Again - For You ★★★ (2020-11-24 22:50:51)

ピアノ好きの身としては、ポロポロと奏でられる
ピアノの美しいイントロだけで期待感が高まってしまいますが
哀愁が溢れ出すサビメロの素晴らしさといい、情感迸るGソロといい、
その後のドラマティックな盛り上がりっぷりは
そうしたこちらの性癖(?)にしっかりと応えてくれるものです。


WHEELS OF FIRE - Begin Again ★★★ (2020-11-23 23:49:09)

現WHITESNAKEのミケーレ・ルッピに師事した実力派シンガー、ダヴィデ・バービエリ率いるイタリア出身の5人組HRバンドWHEELS OF FIREが'19年に発表した3rdアルバム。昨年末に帯・解説付の輸入盤がBICKEE MUSICから発売されていたので「年が明けたら買おう」と呑気に構えていたら、それから1~2か月足らずであっという間に廃盤になってしまい慌てましたよ。どう考えても早過ぎるのですが一体どうしたことか。
80年代風味満点の溌剌としたポップ・メタル・アルバムだった1st、より成熟しメロディアスになった2ndときて、本作で披露されているのはちょうど両作の中間ぐらいに位置するメロディック・ロック・サウンド。ポップな中にも哀愁がまぶされたメロディと、この手の音にお似合いの、ちょっと鼻にかかったハイトーンでエネルギッシュに歌いまくるVo、それにコンパクトにまとまった良ソロをテクニカルに繰り出すGにより華やかに彩られた本編は、ボーナストラック含めて捨て曲なし。前作から7年という長期間のブランクをものともしない、相変わらず卓越した曲作りのセンスが光るハイクオリティな仕上がりです。まぁダヴィデは活動休止期間中も多数のプロジェクトを掛け持ちしていたようなので、それも当然っちゃ当然なのですが…。中でもピアノのイントロからスタートするドラマティックなバラード⑤や、フックを満載にして疾走する⑨等は、今が80年代ならヒット・チャートを賑わしたっておかしくない本編のハイライト・ナンバーですよ。
過去2作の美味しい所取りとも言える充実作なので、WHEELS OF FIRE入門盤代わりに強くお薦めする1枚…って、もう廃盤か。願・再発。


HITTMAN - Vivas Machina - Mercy ★★★ (2020-11-19 23:47:35)

アルバムの締めに相応しく、豊富なアイデアをブッ込んで
ドラマティックに仕上げられた大作曲。
長尺をダレさせない場面転換多めの曲展開と、多彩な表現力で
それを支えるシンガーの見事な歌唱力に聞き惚れますね。


HITTMAN - Vivas Machina - Say a Prayer for Me ★★★ (2020-11-19 23:42:05)

曲名といい、曲調といい、BON JOVIを意識していることが
ビンビンに伝わってくるメロハー・チューンですが、
ここまで良い曲に仕上げられては文句を言う気も失せるというもの。
本家よりもメロディの湿り気は強めですし、シンガーの確かな歌唱力が
楽曲を歯応えのあるものにしてくれています。


HITTMAN - Vivas Machina ★★★ (2020-11-19 00:11:04)

復活作が評判を呼んでいるニューヨーク出身の5人組が、デビュー作から4年のブランクを経て、’92年にSPV/STEAMHAMMER RECORDSより発表した2ndアルバム。
前作はアメリカのバンドとは思えぬヨーロピアンな風情漂う正統派HMの名作でしたが、プロデューサーにEXTREMEとの仕事で知られるボブ・セント・ジョンを起用した今作では、曲によってはファンキーに跳ねるリズムや、明るくハジけるコーラス・ワークといった、まさしくEXTREMEっぽい要素を導入する等、音楽性が若干拡散。これを「意欲的」と評価するか、「散漫になってしまった」とガッカリするかは聴き手次第といったところでしょうか。
初めて聴いた当時は、印象に残る曲とそうでない曲がハッキリと分かれてしまっている点にテンションが上がりきらず、後者寄りの感想を抱いたりもしましたが、ただ、これまで以上に幅広い表現力を駆使して見事な歌唱を披露するダーク・ケネディのVoといい、よりテクニカルに逞しさを増した楽器陣の重厚な演奏といい、バンドがそのレベルアップの痕跡を着実に刻み込んでいる一作であることも疑う余地はありません。
初期BON JOVIを思わす哀愁のメロディアスHR③、QUEEN的なコーラス・ハーモニーが印象的なバラード④、プログレ・メタル的な凝ったアレンジで聴かせる⑥、仄かに土の匂いも薫る憂いを帯びた⑧、そしてシアトリカルな曲展開でもってアルバムを劇的に締め括る7分半の大作⑪辺りは、新境地を切り開かんとするHITTMANの意欲と、持ち前の曲作りのセンスが化学反応を起こした、本作ならではの名曲と言えるんじゃないかと。
1stや3rdを気に入った方なら、スルーするのは勿体ない1枚ですよ。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Irving ★★★ (2020-11-17 23:26:19)

どことなくYESの“HEART OF SUNRISE”を思い出したりもする
イントロのマシンガン・リフからしてもろにメタル。
荒れ狂うGに、受けて立つB、緩急の効いた曲展開…
楽器陣の丁々発止の絡みに圧倒されつつ聴き惚れる名曲です。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Polecat Woman ★★★ (2020-11-17 23:18:53)

豪快に刻まれるGリフに熱いシャウトといい、
HMのプロトタイプと呼びたくなるハード・ナンバー。
途中から曲の主導権を強引に奪うトニー・ニューマンの
派手なドラミングにも耳を奪われます。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two ★★★ (2020-11-17 01:03:51)

元祖HMギタリストというと真っ先にその名が思い浮かぶアーティストの一人、エイドリアン・ガーヴィッツ(G)が、アメリカからイギリスへ帰国後、兄弟のポール・ガーヴィッツ(B)と共に結成したバンドTHREE MAN ARMY、’72年発表の3rdアルバム。タイトルが『TWO』なのに3rdアルバムとはこれいかに。しかも『3』と名付けられた未発表曲集まで別にあるというのがややこしさに拍車を掛ける。
1stでは複数のセッション・ドラマーが起用されていましたが、今作では(前作同様)名手トニー・ニューマンのみ起用。その効果がてきめんに表れた、名曲“BUTTER QUEEN”に匹敵するメタリックなアグレッションを放射するOPナンバー①を始め、ジェフ・ベックとの活動等で知られるこの腕利きの存在は、サウンドの迫力底上げに大きく貢献してくれています。次曲以降も、ブルージーな泣きが迸る②、疾走感溢れる③、タイトル通りスペーシー且つドラマティックに盛り上がっていく④、HMスタイルの先取りというべきマシンガン・リフが刻み込まれるインスト・チューン⑤、ストリングスをフィーチュアしてしみじみと綴られる抒情バラード⑥、そこから間髪入れずにハードに展開する⑦等々、充実した楽曲がズラリ。
熱いエモーションが脈打つエイドリアンのVoとG、音数多めに暴れ回るトニーのDs、ファンキーな演奏でそこに寄り添うポールのBとが、躍動感に満ちたアンサンブルで奔放に畳み掛ける、前作以上にメリハリとダイナミズムの効いた名盤。
半世紀近く前の作品とは思えぬ、今聴いてもメタル魂にボッと火を点される内容だけに、これがバンドの最終作となってしまったのが残念至極。


RICHARD HARRIS - My Boy - Like Father Like Son ★★★ (2020-11-12 23:51:36)

リチャード・ハリスが作詞家のパートナー、
ジョン・ブルームリィと共作で書き下ろした楽曲。
中盤でテンポアップする躍動感溢れる曲調と、
ハリスの聴き手を包み込むような熱唱がマッチして
感動的でスケールの大きな盛り上がりを演出する名曲。
HRバンドがカヴァーしてもハマりそうです。


RICHARD HARRIS - My Boy ★★★ (2020-11-11 23:47:49)

『ワイルドギース』に『ジャガーノート』に『カサンドラクロス』…70年代イギリス製アクション映画には欠かせない俳優だった(晩年は『ハリーポッター』シリーズの初代ダンブルドア校長役で知られる)故リチャード・ハリス。プログレ・バンドのBEGGERS OPERAやドナ・サマー、グレン・キャンベルなんかもカヴァーした名曲“MACARTHUR PARK”を聴いてこの人のシンガーとしてのキャリアに興味を持ったところ、折よく過去のカタログがリイシューされたので、とりあえず購入したのが'71年発表の本3rdソロ・アルバム。
既成曲のカヴァーや書下ろしの新曲が入り混じる本作で聴けるサウンドは、もちろんHR/HMとは相当距離があるポピュラー・ミュージック。ただ、離婚により息子と離れ離れになってしまった父親の「我が子への想い」をコンセプトに据え、詩情豊かに綴られるストーリー仕立ての構成と、ハリスの包容力を感じさせるジェントリーな歌声が組み合わさることで、アルバムはプログレッシブ・ロック作品にも通じるドラマ性とメリハリを獲得。特に、哀愁に満ちたヴァースからサビにかけての劇的な曲展開が胸を打つ“PROPOSAL”、躍動感溢れるテンポ・チェンジが効果的な“LIKE FATHER, LIKE SON”や“THIS IS MY LIFE”、エルヴィス・プレスリーもカヴァーしたヒット・シングル“MY BOY”といった、ハリスのトム・ジョーンズばりの(それこそ『007』の主題歌を歌ったらハマリそうな)熱唱が炸裂する楽曲は、息苦しい程の盛り上がりを呈していて実に感動的ですよ。
右から左へは聞き流させない、ROBBY VALENTINE、MEATLOAFあたりがイケル方なら間違いなく楽しめる1枚ではないでしょうか。


CHRISTOPHER LEE - Charlemagne: The Omens of Death - Massacre of the Saxons ★★★ (2020-11-10 23:24:19)

アルバムで最もアグレッシブな疾走ナンバー。
カール大帝役を演じるクリストファー・リーの
威厳を湛えた歌声の素晴らしさは勿論のこと、
対話形式でデュエットするゲストVoもなかなかの歌いっぷり。
クレジットがないので誰が歌っているのか判然としないのが残念。


CHRISTOPHER LEE - Charlemagne: The Omens of Death ★★★ (2020-11-10 00:04:37)

ドラキュラ俳優として世界的にブレイクし、近年は『スターウォーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』といったヒット作で重厚な存在感を放っていた名優クリストファー・リー。カール大帝の血筋に連なる名門貴族の家系に生まれ、堪能な語学能力を買われて大戦中は特殊部隊に出向、1939年にはフランスで行われたギロチンによる最後の公開処刑を目撃する等、映画以上に波乱万丈な生涯を送った御大が'13年に発表した2枚目のHMソロ・アルバム。
仕切りはカイリー・ミノーグ等との仕事で知られるマルコ・サビューで、「ヨーロッパの父」とも言われるカール大帝の生涯をテーマに据えたコンセプト作なのも前作同様(いくつかの楽曲の編曲はJUDAS PRIESTのリッチー・フォークナーが担当しています)。MANOWAR、RHAPSODYとの共演をきっかけにHR/HM界隈と縁を結んだ御仁ゆえ、本作で披露されているのもドラマティックなシンフォニック・メタルであり、そこに持ち前の美声を活かした朗々たる歌い上げから厳粛な語りまで、齢90を越えるご老体とは思えぬリー翁の、カール大帝を憑依させたような張りと威厳に満ちた熱唱が乗っかるという塩梅。
まぁいくら名優といえども本業のシンガーではないので、良く言えば泰然自若、ぶっちゃけリズムに乗り切れていない感もあるVoに当初やや違和感を覚えたりもしましたが、なにしろ「声」の圧と説得力が半端ないので、繰り返し聴き込むうちに強引にねじ伏せられてしまうという。攻撃的な曲調に乗せてゲストVoと白熱の歌合戦を繰り広げる④を筆頭に、聴いているだけで思わず平伏したくなってしまう堂々たるパフォーマンスはやはり圧巻です。
メタル・シンガーとしては本作が最終作となってしまったことが残念でなりません。


SWEET - Level Headed - Love Is Like Oxygen (extended version) ★★★ (2020-11-05 23:17:17)

邦題は“愛が命”。
7分に及ぶ長尺の中で、次々に表情を変えていく
プログレッシブかつドラマティックな曲展開を有しつつも、
一貫して甘くポップなメロディが楽曲をリードするため
小難しい印象は一切なし。英米チャートでTOP10に食い込む
ヒット・シングルとなったのも納得の名曲です。


SWEET - Level Headed - Fountain ★★★ (2020-11-05 23:09:25)

邦題は“ふたりの誓い”
哀切を湛えて歌われるメロディと、それを引き立てる美麗な
ハーモニー&アコースティック・ギター、そしてエンディングを
盛り上げるハープシコードのクラシカルな響きが辛抱堪らない名曲です。


SWEET - Level Headed ★★★ (2020-11-05 00:24:18)

所属レーベルをRCAからポリドールへと替えたSWEETが'78年に発表した、多分6、7枚目ぐらい?のフル・アルバム。英米のチャートにおいてトップ10に食い込む好成績を残したヒット・シングル“愛が命”を収録し、これを最後に中心メンバーのブライアン・コノリーが脱退して不動の4人組の一角が崩れてしまい、以降は大きなヒットに恵まれぬまま解散へと至ったことから、一般的にSWEET全盛期最後の作品とされる1枚です。
彼らのアルバムは飛び飛びでしか所持していないのですが、本作では『荒廃の街角』(’74年)で開眼したHR路線から趣きを変えて、シャラシャラと乾いた音色で奏でられるアコギの使用比率を上げ、アメリカでの更なる成功を見据えたコマーシャル路線へと方向を軌道修正。そのことはカリフォルニアへの憧れが爽やかに歌い上げられるウェスト/コースト風味のOPナンバー“CALOFORNIA NIGHTS”が端的に物語る通り。
但し安易に売れ線に走るのではなく、持ち前のキャッチーなメロディ・センスは存分に活かしつつ、アレンジや曲展開の練り上げに更に注力した結果、本作からはBOSTON、KANSAS、STYXといった同時期にヒット・チャートを賑わせたバンドに通じるプログレ・ハード風味も立ち昇るようになりました。その好例が、クラシカルなチェンバロが効果的なアクセントとなっている名バラード“ふたりの誓い”や、スペーシーにアルバムを締め括る“永遠の詩”~“AIR ON ’A’ TAPE LOOP”のメドレーであり、そして7分近くに及ぶ長尺の中で曲調が次々に表情を変えていくドラマティックな大ヒット・ナンバー“愛が命”であったと。
SWEETは名曲が多い!と今更ながら実感させられた1枚であります。


HYBRID ICE - Hybrid Ice - Magdelene ★★★ (2020-11-04 00:47:42)

BOSTONがカヴァーしたことで、HYBRID ICEの再評価の機運を高める
きっかけともなったSTYX+BOSTONといった趣きも感じられるバラード。
かなり異なるアレンジが施されたBOSTONバージョンと聴き比べてみるのも一興かと。


HYBRID ICE - Hybrid Ice ★★★ (2020-11-03 00:28:23)

結成は60年代まで遡るという「超」の付くベテラン・バンドが、苦節十数年、ようやく'82年に自主制作でリリースした1stアルバム。
長らくHR/HMシーンの片隅に埋もれてしまっていたところ、トム・ショルツのお眼鏡に適いBOSTONが4th『WALK ON』において、本作収録曲“MAGDELENE”をカヴァーした辺りからマニアの間で注目度が高まり、’00年に入ってESCAPE MUSIC(日本盤はプログレ系レーベルとして知られるマーキー/ベル・アンティーク)からCDとしてリイシューされる運びとなりました。
“移民の歌”っぽいGリフと緊張感を湛えたKeyリフが交錯するOPナンバー①こそプログレ・メタル的な感触ですが、CD化に際して追加収録されたこの曲は本編においてはどちらかと言えば例外的存在。次曲以降は、デニス・デ・ヤング似の張りのあるハイトーンVoや、メンバー全員が歌える強みを生かした分厚いボーカル・ハーモニーはSTYXから、ギターの重ね方はBOSTONから、構築美を感じさせる曲展開はKANSASから…といった具合に、同時期にヒット・チャートを賑わせたアメリカン・プログレ・ハード勢からの影響を伺わせるキャッチーで親しみ易いサウンドが全編に亘って繰り広げられています。
甘くポップなSTYX調バラード③、初期BOSTON風味が薫る④、大仰にならない程度の構築感を宿した⑦、哀愁を帯びて本編を締め括るバラード⑪等、聴き応え十分の楽曲が並び、マニアからお宝盤扱いされるのも納得の仕上がりです。
彼らがリリースしている他のアルバムも聴いてみたいが、もう廃盤なんですよね。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Runaway ★★★ (2020-10-30 00:57:43)

一度聴けば覚えてしまえそうなキャッチーなコーラスが
印象的なハードポップ・チューン。当然ロバート・ベリーのペンによる。
派手に個性を主張しつつも、軽快に弾む楽曲を高揚感を湛えて盛り上げる
間奏部におけるキース・エマーソンの仕事ぶりにも花丸を差し上げたくなります。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Chains ★★★ (2020-10-30 00:48:39)

ロバート・ベリーの秀逸なメロディ・センスが活かされた
キャッチーなハードポップ・ナンバー。プログレっぽさを求めるリスナーには
噴飯モノかもしれませんが、ここまで開きなってくれればいっそ清々しいというもの。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three ★★★ (2020-10-29 01:12:30)

EMERSON, LAKE & POWELLがアルバム1枚きりで瓦解。グレッグ・レイクとヨリを戻して目論んだEL&P復活もグレッグの再離脱で頓挫してしまったキース・エマーソン(Key)とカール・パーマー(Ds)が、代打ちとしてGTRのロバート・ベリー(Vo、B、G)をメンバーに加え、EB&Pならぬ「3」名義で'88年に残した唯一のアルバムがこちら。
かなりコマーシャルな方向へ寄せた作風ゆえ、廃盤のCDは再発もかからず長いこと黙殺状態が続く不遇な1枚ですが、個人的にはバリバリ売れ線を意識している割に70年代に刻んだ偉大な足跡や、あるいはミュージシャンとしての拘りが足枷となって、ポップになりきれず、かといってプログレッシブ・ロック物としても生煮えな仕上がりとなってしまった作品よりも、本作の方が聴き直す頻度も好感度も高いぐらいですよ。
特に、この後もALLIANCE等で優れたメロディメイカーとしての才能を発揮するロバート・ベリーの貢献は大きかったようで、サビメロが実にキャッチーな③とか甘くポップな⑥辺りは、彼の作曲力を得て開き直ったバンドの姿勢が「吉」と出た名曲じゃないでしょうか。
まぁキース・エマーソンのKeyは脇役に甘んじたりはせず、相変わらずリード楽器として前へ前へ出張ってきているのですが、これはこれでありがちなAOR/産業ロックと一線を画すための重要な個性となっていますので無問題。
個人的には再評価を望みたい1枚です。ちなみにキース・エマーソン死去後、ロバート・ベリーは彼とのコラボ曲等を取りまとめたアルバム『THE RULES HAVE CHANGED』を「3.2」名義でリリースしていますので、よろしければそちらも是非。


TOKYO BLADE - Dark Revolution - See You Down in Hell ★★★ (2020-10-28 00:44:11)

鈍色のリフを刻み、憂い湛えたメロディを奏でるG、
早過ぎず遅すぎないリズムが駆け抜け、
その上で煮え切らない声質のVoが翳りを帯びたメロディを拾う…と
濃厚にNWOBHMの息吹を現代に伝えてくれる逸品です。


TOKYO BLADE - Dark Revolution ★★ (2020-10-27 01:16:23)

TOKYO BLADEが’20年に新作をリリースしたとの情報を聞きつけ、「アルバムは『THOUSAND MEN STRONG』(’11年)以来、久々だなぁ」と遅ればせながら購入してみたところ、国内盤の解説を読んでビックリ。何と既に’18年に『THOUSAND~』の次作となるアルバム『UNBROKEN』が発表されている上(しかも当サイトにおいて失恋船長さんがレビュー済み)、いつの間にかデビュー作で歌っていた初代シンガーのアラン・マーシュがバンドに出戻っているじゃありませんか。全然気が付いていませんでしたよ。
…と、ちょっとした浦島太郎状態を味わいつつ聴き始めた本作でしたが、アランの歌声は往年の個性をしっかりキープ・オン・ロッキン。若さに溢れていた前任Voに比べると流石にパワーでは劣る感が否めないものの、その分、力んで歌っても肺から空気が漏れていくようないなたさが如何にもNWOBHMシンガー然とした味わいで(誉めてます)、郷愁をそそられずにはいられないという。
その彼が拾っていく煮え切らない歌メロと、曇天模様のリフを刻み、湿ったメロディを奏でる2本のGを両軸に牽引される本編は、復活後なら例えば“LUNCH-CASE”に匹敵するような強力なキメ曲が見当たらないため多少地味な印象がつきまといますが、それでも雄々しくライブ映えしそうな⑤や、ツインGの勇壮なハモリが耳を捉える⑧あたりを始め、聴くほどに沁みて来る滋味深い楽曲を多数収録。ファンが最も支持する初期2作の路線は本作においてもきっちりと継承されています。
『UNBROKEN』も聴かないわけにはいきますまい。


LIONVILLE - Magic is Alive - I'll Never Give My Heart Away ★★★ (2020-10-23 00:31:14)

冷ややかな哀感を宿したメロディアスHRチューンで、
個人的にはアルバムのハイライト。
零れ落ちるように奏でられるピアノの流麗な調べが
楽曲の絶妙なアクセントとなっています。


LIONVILLE - Magic is Alive - If You Don't Know Me ★★★ (2020-10-23 00:27:17)

心地良く躍動するハードポップ・ナンバー。
仄かな哀愁が薫るフックに富むサビメロが絶品で、
豊かに湧き出すステファノ・ライオネッティの曲作りの
アイデアの泉が、まだまだ枯れる気配がまったくないことに
感心させられますよ、


LIONVILLE - Magic is Alive ★★★ (2020-10-21 22:59:42)

ステファノ・ライオネッティ(G)率いるLIONVILLが、日本では所属先をキングからマーキー/アヴァロンに変えて'20年に発表した4枚目のアルバム。
イタリア系ミュージシャンを中心とする一大メロハー企画SHINIG LINEから派生したため、当初は「豪華なゲスト・ミュージシャンの顔触れが目を惹くメロハー・プロジェクト」的な立ち位置でしたが、ライブ活動を見据えて参加メンバーを固定する等、作を重ねる毎にバンド感が強化。これまでステファノがGと兼任していたKeyパートには専任奏者を加え、曲作りも助っ人は迎えずステファノ自身が一手に担う形で制作された本作においても、そうした方向性が更に推進されています。
となるとぼちぼち収録曲のクオリティ低下が懸念され出す頃合いなれど、すでに4作目を数えてもそういった兆候がまるで見受けられないのだから大したもの。また曲作りにおいてバンド感の重視とライブ映えを意図した場合、ともすればメロディが蔑ろにされることが多々あるのですが、本作収録曲は相変わらず強力なフックを有しており、特にそれは、適度にロックのエッジを効かせて躍動する⑤、キャッチーなサビメロが印象的な⑥、ラーズ・サフサンド(Vo)の伸びやかな歌声が楽曲に備わった爽快感を倍加させてくれている⑦、冷ややかに奏でられる流麗なピアノの調べがアクセントになっている⑨等々、アルバムのハイライト級の逸品が連続する本編中盤以降に顕著に表れています。
前作を聴いた時はちょっぴりマンネリ化を懸念したのですが、それが完全に杞憂であったことを証明する快作。