風光明媚な観光地としても有名な、イタリアはシシリー島、パレルモにて'82年に結成。 元々はプログレッシブ・ロックをプレイしていたらしいが、メンバー・チェンジを 繰り返しながら徐々にスラッシュ/スピード・メタル色を強めて行き、'86年~'87年に 制作したデモテープ『CHOIR OF THE DESPERATION』と『THE REALITY SO NEAR』が評判を呼び、 それが切っ掛けとなって'89年にSPV/STEAMHAMMER RECORDSと契約。 同年には、プロデューサーに名手ハリス・ジョンズを起用したデビュー作『LOST IN WONDERLAND』を発表する。 (尚、国内盤のライナー・ノーツには「ツインG編成でレコーディング」と書かれているが、 内ジャケには、シロ(B)、ジーノ(G、Vo)、ジョヴァンニ(Ds)という 3人のメンバーの写真しか載っていない。ヘルプ要員?) バンドは90年代に入り活動を停止しているが、'06年4月にイタリア国内を ツアーしたとの情報あり。再結成したのかな?
カール・アルバートにも匹敵する実力派シンガー、ジェリー・デレオンを獲得して復活を遂げたVILLAINが、'95年、 そのカールの死去とほぼ同時期に発表した再結成アルバム。(内パケに載せられた、在りし日のカールの姿を捉えた写真が泣かせます) '86年に自主制作されたEP『ONLY TIME WILL TELL』が、1st~2ndの頃のVICIOUS RUMORSを思わせる、劇的なパワー・メタルの 名盤だったのに対し、今回は、4th『WELCOME TO THE BALL』以降のVICIOUS RUMORSを思わせるアメリカン・パワー・メタル路線。 当時、アメリカで猛威を振るっていたモダン・へヴィネス症候群に目もくれない硬派な姿勢は非常に好ましいものの、 復活作と言う事でやや力み過ぎたのか、メロディにフックが不足気味で(これは『WELCOME~』以降のVICIOUS RUMORSにも 当てはまる話なんだが)、また、明るいロックンロール・タイプの楽曲を収録したり、アリス・クーパーのカヴァーを 演ってみたりと、音楽性も拡散の方向へと進んでいるため、一聴してのインパクトはデビューEPに比べると少々弱い。 これぞパワー・メタル!な③、メランコリックな④、ヘヴィ・バラード⑩等、ジェリー・デレオンの卓越した 歌唱能力の活かされた名曲・佳曲もしっかりと収録されている辺りは流石なのだけど・・・。 聴き終えた後の満足感は決して小さくはないのだが、個人的にデビューEPへの思い入れが強すぎるため、 どうしても「このVoで『ONLY TIME WILL TELL』路線の音楽を演ってくれたら・・・と思ってしまうわけで。
元VANDENBERGのクルーで(同バンドが'84年に行った来日公演にも帯同した)ギタリストのハリー・ヴェイリングが 中心となり、オランダはオーファーアイセル州ロッシャルにおいて結成された5人組パワー・メタル・バンドが、 '91年に発表した自主制作による6曲入りデビューEP。(後に日本のみで、TYTAN、IRON MAIDEN、TYGERS OF PAN TANG、 MSG、DEEP PURPLE等のカヴァー曲を追加収録したスペシャル・エディション盤がリリースされている) そのサウンドは、ザクザクと力強く刻まれるGリフと重厚なリズム・セクションの上に、ヘタウマなVoとメロディックな ツインGが乗っかった、NWOBHMにも通じる垢抜けない雰囲気を漂わせたパワー・メタル。よりコアな方向へと歩みを 進める後の作品に比べると、本作はグッとオーセンティックなHM寄りのスタイルが取られており、こと「取っ付き易さ」に かけてはHARROWの作品の中でも随一。取り分け、雄々しくパワフルに疾走するメロディック・パワー・メタル・チューン③は、 このバンドの代表曲として今でも時々聴きたくなる名曲の1つ。(ドラマティックに盛り上がる⑤⑥も良い曲) HARROWの最高傑作と言えば、個人的には2nd『CALL OF THE UNBORN』を推すが、パワーとメロディが丁度良い按配で 組み合わされた本作の魅力もまた捨て難い。国内盤のみに収録されたカヴァー曲の数々も美味しいしね。
必殺の名曲“THIS IS WAR"“WATING FOR THE NIGHT"を収録し、VANDENBERGの日本での人気を決定付けた '83年発表の傑作2ndアルバム。(邦題は『誘惑の炎』) 泣きメロ満載だが湿っぽくならない、適度なポップさを備えた楽曲を、綿密に構築されたエイドリアン・ヴァンデンバーグの Gプレイが華麗に彩るHRサウンドは、デビュー作の作風を順当に継承しているものの、本作ではブルーズ風味が薄れ、 よりポップでキャッチーなメロディが前面に押し出された内容に仕上がっている。 収録曲のクオリティにややバラつきが見られる(と言っても、並みのバンドなんぞ寄せ付けないレベルの高さなんだけど) のが難なれど、キャッチーなポップ・メタル・ソング①、哀メロが胸に染み渡る美しいバラード④、 そしてVANDENBERG史のみならず、HR/HM史に残る名曲といっても過言ではない、劇的極まりない⑤⑨といった 極上の楽曲の前には、些細な不満など欠片も残さずに吹き飛ばされてしまうというもの。 HR/HMファンを名乗るなら聴かずには済まされない名盤ゆえ、VANDENBERG未体験者の入門編としても最適な1枚。
オランダの至宝、エイドリアン・ヴァンデンバーグ率いる4人組HMバンドVANDENBERGが'82年に発表した1stアルバム。 VANDENBERGの最高傑作と言えば、やはり名曲中の名曲“THIS IS WAR"“WAITING FOR THE NIGHT"を収録した 2nd『HEADING FOR A STORM』で決まりだろうが、個人的に彼らの作品で一番好きなのは、このデビュー作だったりする。 上記2曲のような強力なキメ曲こそないものの、収録曲は非常に粒が揃っており、何より、ドラマティックな「泣き」を 満載したエイドリアンの華やかなGプレイに関しては、2ndアルバム以上の充実っぷりを誇っていると言っても良いのでは? アルバム前半(A面)にメロディをじっくり聴かせるタイプの楽曲が、後半(B面)にはハード・ロッキンな楽曲が並ぶ、 メリハリの効いた構成も素晴しい本作。美しいアコギが閃く③、スマッシュ・ヒットを飛ばした名バラード④を山場とした 前半の完成度も見事だが、やはり本編のクライマックスは、フックの効いたメロディがエネルギッシュに疾走する⑤、 劇的なイントロのみで一発K.O.される⑥、泣きを伴ったバート・ヒーリングのVoが映えるシャッフル・チューン⑦、 構築美に溢れたエイドリアンのGソロに悶絶させられる⑧、ヘヴィ・メタリックな疾走チューン⑨といった ハイクオリティな楽曲が連打される、アルバム後半にこそ有るんじゃないかな、と。 泣きメロ愛好家なら、聴かずには死ねない名盤の1つ。2ndアルバムと併せてどうぞ。