カリフォルニアにて、ONSLAUGHTとZOMBIEという2つのスラッシュ・メタル・バンドが 合流する形で誕生し、'06年に自主制作した5曲入りEP『ONE BY ONE, THE WICKED FALL』でデビュー。 幾つかのコンピ盤に参加して知名度を高めた後、CENTURY MEDIA RECORDSと契約を交わすと、 '08年に『WAR WITHOUT END』を、'09年には2ndフル『WAKING INTO NIGHTMARE』を発表。 荒々しく尖がった楽曲にイマイチな音質、それにドタバタした演奏がどこか郷愁を誘う、オールドスクールな スラッシュ・サウンドが詰め込まれた1st、メンバー・チェンジと過酷なツアー生活の成果が そのクオリティに見事に反映された、よりビルドアップされた内容の2nd、 どちらも聴き応え十分の作品に仕上がっており、近年デビューを飾った 若手スラッシャーの中では頭一つ抜きん出た存在感を放つバンドかな、と。
短く(SHORT)鋭く(SHARP)衝撃的(SHOCK)。略してSSS・・・という中坊感覚全開なネーミングセンスが素敵な、 イギリスはリヴァプール出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドが'07年に発表した1stフル・アルバム。 「リヴァプールの疾走王」とも「MUNICIPAL WASTEへのイギリスからの回答」とも評される彼らが聴かせてくれるのは、シンプルだが 即効性の高いGリフに、切迫感溢れる上擦りシャウトで畳み掛けてくるVo、そして1~2分台とタイトに絞られた曲展開を備えた、 まさに帯表記の「スラッシュ?パンク?ハードコア? NO, NO, THIS IS クロスオーバー!」を地でいくサウンド。 演奏はやや不安定だが、「でも演るんだよ!」的な心意気に溢れた、このガムシャラで前のめりな疾走感はかなり爽快。 全編でハードコア/パンク指数高めの走りっぷりを炸裂させる一方、リズムにはキッチリと緩急が効かせてあるし、 ⑨⑬といったインスト曲では、弾きまくるGがヘヴィ・メタリックな構築美を演出。特にメンバーが 「METALLICAへのトリビュート・ソング」と語る⑰は、アコギに始まりドラマティックに盛り上がりながら、 最後は再びアコギで叙情的に締め括られるという、起承転結を備えた7分以上に及ぶ大作ナンバーで、 直線的な本編の流れにメリハリを生み出す役割も担っている。 MUNICIPAL WASTE、D.R.I.、NUCLEAR ASSAULT辺りが好きな人なら必ずや気に入るであろう、バンド名に恥じぬ1枚。
'89年に発表された、ドン・ドーティに代わる新Voロン・ラインハート加入一発目となる3rdアルバム。 曲作りの主導権がジーン・ホグラン(Ds)へと移り、これまでのストレートなスラッシュ・メタル路線から、複雑化/大作化が著しい本作を初めて聴いた時は、無駄に長く、また煮え切らない楽曲が余り好きになれなかった覚えがあるのだが、今改めて聴いてみると、これが十分「走ってる」ストレートなスラッシュ・メタルに聴こえてしまうんだから、時の流れってのは恐ろしい。 ペラペラで厚みに欠けるサウンド・プロダクションとか、『DARKNESS DESCENDS』から『TIME DOES NOT HEAL』へと至る過渡期の作品ゆえの中途半端さ(アレンジや曲展開の未整理)とか、色々気になる部分もあるにはあるが、何のかんの言いつつも、前2作の作風を迷いなく受け継ぐ高速スラッシュ・ナンバー①②、LED ZEPPELINの超有名曲の豪快なブチ壊しカヴァー⑤、6分以上に及ぶ長尺曲ながら、テンションの高さで聴き手を圧倒する⑥、ラストを激烈に締め括るアルバム表題曲⑨等、名曲/佳曲も数多く収録されており、この完成度の高さは流石DARK ANGEL、抜かりはない。(尚、⑦のバックボーカルにはゲストとしてVIKINGのロン・エリクソンが参加している) このバンドの入門編としては不向きな作品ですが、やはり避けては通れない1枚。スルメ盤?
デビュー作『BLIND DATE WITH VIOLENCE』をスマッシュ・ヒットさせたTHE SCOURGERが、 その勢いを駆って'09年にリリースした2ndフル・アルバム。 『BLIND~』では、輸入盤店じゃ「AT THE GATESタイプ。GOOD!」とか書かれそうなデスラッシュ・メタルを聴かせてくれていたが、 今回は、刺々しいサウンド・プロダクションの下、不穏なイントロをささくれ立ったGリフが切り裂き、カミソリ度を増した ハイテンションVoと、前作以上に練り込まれたGソロ(④⑩なんて思わず「おおっ」と前に身を乗り出しそうになる程)、 それにタイトな走りっぷりが痛快なリズム隊とが、一丸となって畳み掛けて来る②を手始めに、オールドスクールな スラッシュ・メタル色が大幅増。取り分け、中東風味のメロディが奏でられる導入部から劇的に展開していく アルバム表題曲⑦は、シャープな切れ味と独特のキャッチネスに加えて、モダンなアレンジや北欧のバンドならではの 冷気と哀感が織り込まれて疾走する、THE SCOURGER流スラッシュ・メタルの完成形とでも言うべき名曲かと。 流石にCHILDREN OF BODOMのヤンネ・ウォーマンをして「フィンランド最強のスラッシュ・メタル・バンド」と 言わしめただけの事はある、新世代スラッシャーならではの魅力に満ち溢れた快作。