トッド・プラント(Vo)がDOOBIE BROTHERSのツアー要員に引き抜かれてしまったため、代わりにNOW AND THEN RECORDSから紹介されたヨルン・ランデを新Voとして迎え入れ、'00年に発表した3rdアルバム。 キャッチーな叙情メロディと、マイケル・シェンカーやウリ・ロートの系譜に連なる官能的なラルフ・サントーラのGプレイ、そして美しいボーカル・ハーモニーをフィーチュアした作風は、前作『ANGELFIRE』の路線を継承しつつ、今回はヨルンのパワフルな歌唱に引っ張られたのか、よりスケールの大きな、エネルギッシュ且つポジティブな雰囲気を漂わせた曲調の楽曲が、数多く収録されているのが特徴。 特に、その筆頭と言えるのがOPを飾る名曲①で、ヨルンの突き抜けるような熱唱が「これでもか!」と映えまくる、鮮烈にして爽快感に満ち溢れた曲展開は、何度聴いても鳥肌モノの素晴しさ。MILLENIUMの数ある名曲の中でもマイ・フェバリット・ナンバーはこの曲で決まりでしょう。 正直、彼のVoはこの手のメロディアス・ハード物を歌うにはややパワフル過ぎるというか、クドイ感が無きにしも非ずなのだが、とは言え、HR/HMシーン屈指の実力派シンガーとして鳴らすだけあって、歌の上手さは折り紙つき。本作においても、劇的なスロー・ナンバー③や、情感豊かに盛り上がるブルージーなバラード⑧といった楽曲で披露される、胸を締め付けんばかりのソウルフルな歌唱は実に感動的。まさに唯一無二。 収録曲数が全10曲に抑えられた事で、本編の構成もタイトに引き締まり、多くのファンが「バンドの最高傑作」と推すのも大いに納得のいくハイクオリティな内容に仕上がった、2nd『ANGEL FIRE』と甲乙付け難いメロディアス・ハード・ロックの名盤。
数年前、引越しに伴う金欠とCDの収納スペース不足から、メロデス系の作品の大半を手放してしまったのだが、 SADISTの『ABOVE THE LIGHT』とかEBONY TEARSの『眠れぬ夜の物語』とか、大のお気に入りだったために 売っ払う事が出来ず手元に残した作品も幾つかあって、GATES OF ISHTARが'98年にリリースした、 ファンの間では彼らの最高傑作と評価の高いこの3rdアルバムも、そうした作品の1つだった。 DRUM GODこと、名手オスカー・カールソンの切れ味鋭いドラミングに牽引される形で、強力なフックを備えたGリフと 悲哀に満ちたメロディが、デス/スラッシュ・メタリックなアグレッションを撒き散らしながら激走する楽曲の数々は、 全9曲、荘厳且つドラマティックなインスト曲⑨を除くほぼ全編が、タイトなスピード・ナンバーで固められ、 上で別の方々が仰られている通り、確かにその作風はAT THE GATESの名盤『SLAUGHTER OF THE HOUSE』を彷彿とさせる仕上がり。 とにかく光っているのがオスカーの求心力溢れるドラミングで、ただ手数が多いだけでなく、頭よりも体に強烈に訴えかけてくる (デス・メタルよりもスラッシュ・メタル寄りな)キャッチーなリズムの組み立ての上手さが堪らなく気持ち良い。 中でも本編前半のハイテンションな飛ばし具合、殊に鬼のようなバスドラの刻みっぷりが痛快極まりない④は、本作を代表する名曲でしょう。 安っぽいGの音色とか、バランスの悪い音作りがイマイチなれど、メロデス・ファンのみならず、 スラッシュ・メタル・ファンにも自信を持ってお薦めできる力作。
風光明媚な観光地としても有名な、イタリアはシシリー島、パレルモにて'82年に結成。 元々はプログレッシブ・ロックをプレイしていたらしいが、メンバー・チェンジを 繰り返しながら徐々にスラッシュ/スピード・メタル色を強めて行き、'86年~'87年に 制作したデモテープ『CHOIR OF THE DESPERATION』と『THE REALITY SO NEAR』が評判を呼び、 それが切っ掛けとなって'89年にSPV/STEAMHAMMER RECORDSと契約。 同年には、プロデューサーに名手ハリス・ジョンズを起用したデビュー作『LOST IN WONDERLAND』を発表する。 (尚、国内盤のライナー・ノーツには「ツインG編成でレコーディング」と書かれているが、 内ジャケには、シロ(B)、ジーノ(G、Vo)、ジョヴァンニ(Ds)という 3人のメンバーの写真しか載っていない。ヘルプ要員?) バンドは90年代に入り活動を停止しているが、'06年4月にイタリア国内を ツアーしたとの情報あり。再結成したのかな?