ハイきた、早くも今年ベスト1作品(候補)。GRAND ILLUSIONで一躍注目を集め、現在はデーモン閣下のソロ・アルバム制作に関わったりツアーに同行したりといった活動で知られるマルチ・アーティストのアンダース・リドホルムと、WORK OF ARTやLIONVILLE等で高い評価を得るシンガー、ラーズ・サフサンドがタッグを組んだプロジェクトのデビュー作。 WORK OF ARTとGRAND ILLUSIONの組み合わせだからART OF ILLUSION。安直~と言うなかれ。軽快なイントロで今回はポップ路線に寄せたの?と一瞬不安にさせておいてからの、サビでは立体的なコーラスが壮麗に舞うアレンジの出現で「よっ、待ってました!」とニヤリとさせられる①を始め、曲作りをほぼ一手に担うアンダースの作曲センスと、ラーズの伸びやかでエモーショナルな歌声が理想的なマッチングを果たした本作は、聴き終えてみればまさしくこのプロジェクト名がぴったりであったと深く理解できる筈。特にGRAND ILLUSIONのアルバムに収録されていても違和感のない③⑥⑧はアンダースの美学が凝縮されたアルバムのハイライト。冷ややかな哀メロを伴いシアトリカル且つ劇的に駆け抜ける③の素晴らしさにゃ、こちとら瞳孔が開きっ放しになりましたよ(大袈裟)。 他にもQUEENを北欧風の味付けで料理したようなミュージカル調の④⑨⑫あり、爽快に躍動するハードポップ②⑩あり…。ボートラ収録の⑬までラーズの美声が映える美しいバラードなんですから、本作の捨て曲なしのクオリティっぷりが窺い知れようというもの。 当然第2弾、第3弾アルバムも期待せずにはいられない傑作。あとやはりアンダース・リドホルムはもっと色々なバンド/プロジェクトで活躍して欲しい逸材だなぁと。
3rd『DEMONS DOWN』(’92年)を最後にHOUSE OF LORDSが事実上の解散状態に陥ったことを受けて、フロントマンだったジェイムズ・クリスチャンが’94年に発表した1stソロ・アルバム。当時はゼロ・コーポレーションからのリリースでしたが、後にNIPPON CROWNからボーナストラック6曲を追加収録する形でリイシューもされています。(今じゃどちらも入手困難なのが残念) 華を添えるブルース・ゴウディ、マイク・スラマー、ミッチ・ペリーといったギタリスト達のゲスト参加に加え、作曲面ではHOUSE OF LORDS時代からの付き合いであるソングライター、マーク・ベイカーの助力を得て制作されている本作で聴けるのは、まさしくそのHOUSE OF LORDS時代の作風を忠実に受け継いだ、ほんのりブルージーな味付けも施されたメロディアスHRサウンド。 ほぼバラード系の楽曲の固め打ち、全体的にHR/HM色は薄めな仕上がりながら、だからこそジェイムズのエモーショナルな歌声が映える。立ち上がり①こそ多少地味な印象でも、「ドラマかCMで主題歌に起用されてませんでした?」と思わず考え込んでしまうぐらいフック効きまくりの名曲②で早くもクライマックスを迎えて以降は、これまた高いヒット・ポテンシャルを感じさせる③、躍動感溢れるロック・チューン⑦、物悲しいイントロからドラマティックに盛り上がっていく⑧等、本編には秀逸な楽曲が目白押しです。 スタン・ブッシュやランダル母娘といった腕利き作曲家が関与した2ndソロ『MEET THE MAN』も大変な傑作でしたが、本作だって負けず劣らず、探し出してチェックする価値は十分にある1枚かと。