月9ドラマの主題歌“YOU'RE MY ONLY"をスマッシュ・ヒットさせ、レコ大新人賞を獲得したソロ・シンガー 小野正利や、 後にCONCERTO MOONに参加する長井一郎が嘗て在籍していた事で知られる、東京出身の4人組HMバンドFORTBRAGGが、 '90年にリリースしたセルフ・タイトルのデビューEP。(同タイトルで内容の異なるデモもあるようだが、そちらは未聴) OPとEDにインスト曲を配置した構成といい、北欧メタルばりの美旋律と、ドラマティックな曲展開を聴かせる楽曲といい、 イングヴェイから多大な影響を受けたと思しき、クラシカルな速弾きを炸裂させるGといい、そのサウンドは、まさに王道様式美HM路線。 さすがに5曲では物足りなさを感じずにはいられないが(歌入りは3曲のみだし)、とりあえず、収録曲の平均クオリティは高めで、 特に、序曲①から展開していく起承転結を備えたドラマティックな②や、美しいアルペジオと、派手に弾きまくる ネオクラGをフィーチュアして突っ走る④は、様式美HMマニアなら一聴の価値があるナンバーじゃないかと。 で、本作最大の目玉というべき小野正利(この当時はSHOと名乗っていた)のVoだが、トニー・マーティン時代の BLACK SABBATHの名曲をも易々と歌いこなす近年の彼に比べると、やはりまだまだ青い印象は否めないものの、 逆に、声を歪ませたそのメタル・シンガー然とした歌声は、今聴くと新鮮に響くかもしれない・・・か? 発売元だったレコード会社の消滅に伴い、現在では廃盤のため入手は困難と予想されるが、柴田直人のソロ・アルバムや、 HARD ROCK SAMMIT、トリビュート盤などでの小野のVoに痺れた人や様式美HMファンなら、探し出してチェックする価値は大いにある1枚。
生オケをフィーチュアした“A SHORT PIECE FOR A GUITER AND STRINGS"を 序曲代わりに、アルバムのラストをドラマティックに締め括る名曲。 イングヴェイからの影響が露骨に感じられるが、 起承転結がバッチリと決まった曲展開の素晴しさの前には些細な事。 Gとガップリと四つに組む、名手・小川文明のKeyも良い仕事をしています。