華麗なツインG、美しく分厚いボーカル・ハーモニー、そして繊細な泣きメロをフィーチュアした、ドラマティックで 叙情的なHRサウンドを聴かせる英国の4人組が、'81年に発表した1stアルバム。(邦題は『戦慄のマンティス』) 必殺の名曲“CHILDREN OF THE EARTH"と“LOVER TO THE GRAVE"を収録し、NWOBHMムーブメントの中でも屈指の 完成度を誇る1枚と高く評価されながらも、権利関係の複雑さから、長年再発される事なく「幻の名盤」扱いされていた本作。 それゆえ、'95年に念願叶って復刻が果たされた時には、多くのファンが感涙に咽んだというが、実際のところその作風は、 爽やかな曲調のOPナンバー①が象徴するように、結構ポップ路線寄りのサウンドなので、メロメロに泣きまくる (例えば3rd『A CRY FOR THE NEW WORLD』のような)内容を期待していた後追いリスナーの中には、 ちょっぴり拍子抜けした人も少なからずいたのではなかろうか? とは言え、仄かな哀愁を含んだ曲調、キャッチーなサビ、ポップなメロディを歌っても決して明るくなりきれないヘタウマVo といった要素も、間違いなく初期マンティスの魅力であり、③④⑦⑧等の楽曲は聴き応え十分の佳曲に仕上がっている。 そして何と言っても本作は、このバンドの「静」の魅力が詰め込まれた美しくもドラマティックな⑤と、 スリル/ドラマ性/泣きメロと、三拍子揃った完全無欠の⑨の存在がトドメを刺す。どちらもPRAYING MANTISのみならず、 NWOBHMをも代表する名曲中の名曲。また、この2曲の陰に隠れがちながらも、シャープに疾走するアグレッシブな⑥も、 同様の路線を行く存在として、キラリと光を放っている事も付け加えておきたい。 メロディ愛好派なら、死ぬ前に1度は聴いておきたい名盤。
'76年、英国はウェスト・ミッドランド地区ストーブリッジにて結成。同じ学校に通っていたシーン・ハリス(Vo)、ブライアン・タトラー(G)、ダンカン・スコット(Ds)、コリン・キンバリー(B)というラインナップで活動を開始したDIAMOND HEADが、『SHOT OUT THE LIGHTS』と『SWEET & INNOCENCE』の2枚のシングル発表後、'79年に自主制作した1stフル・アルバム。 METALLICAが、本作収録の“HELPLESS"“AM I EVIL?"“THE PRINCE"“IT'S ELECTRIC"をカヴァーしたことで、一躍メタル・ファンの間で知名度を高め、他にもMEGADETHやSLAYERを筆頭とする、スラッシュ・メタル群に大きな影響を与えたことでも知られる彼らだが、同様に「元祖スラッシュ・メタル」と呼ばれるVENOM、MOTORHEAD、TANK、RAVENといったバンドと比べると、攻撃性や疾走感はそれ程でもなく、寧ろ、シーンの朗々と歌い上げるヘタウマVoと、タトラーの構築美溢れるGプレイの活かされた、6~9分台の長尺曲を含む大作主義の作風は、70年代ハードロックの面影を色濃く残している。特に、10分近くに及ぶドラマティックな③を聴くと、SOUNDS誌が「NEW LED ZEPPELIN」と評したのも、良く分かる・・・かな? 但し、彼らは飽くまでHMバンドであり、その最大の魅力は回転の速い、シャープなGリフの数々。幾多の名リフを生み出したNWOBHMムーブメントの中にあっても、本作は特異且つクールな名リフの宝庫で、全編通して駄リフは1つもない。取り分け燦然と光り輝くのが、①②③④⑤⑥⑦・・・って、これじゃ全部か。へヴィ・メタリックなエネルギーと疾走感、そして劇的な曲展開を兼ね備えた②は、本作の白眉であるだけでなく、NWOBHM史に残る名曲の1つ。 このリフ・ワークが、後のスラッシュ・メタルのインスピレーション源になったというのも、大いに納得がいく。名盤。
クリスチャン・ローグ(G)を中心に、LAで80年代初頭に結成。 当初はMARQUIS DE SADE(サディズムの語源となった、フランスに実在した公爵)を名乗っていたが、 かの『METAL MASSACRE』シリーズへの参加を期に、バンド名をSAVAGE GRACEと改める。 '85年にEP『THE DOMINATRESS』でレコード・デビューを飾り、'85年には1stフル『MASTER OF DISGUISE』を '86年には日本デビュー作となる2nd『AFTER THE FALL FROM GRACE』を発表。 そのアグレッシブでスピーディ、且つドラマティックなHMサウンドがメタル・ファンの間で好評を博す。 (日本では、日章旗ハチマキを巻いた東洋人メンバー、B.EASTの存在も話題になったとかならなかったとか) しかし、リーダーのクリスチャン・ローグ氏に、ミュージシャンとしての才能は兎も角、 人望が足りなかったようで、作品を重ねる毎に有能なメンバーが去っていき、それに伴い作品の質も低下。 結果、活動も尻すぼみ状態となってしまう。因みにそのクリスだが、 '06年に医薬品絡みの詐欺事件で逮捕され、刑務所へと収監されてしまったらしい。
YOUNG GUITER誌が主宰する新人開発オーディションで、高い評価を得た高田明(G)と、 名古屋出身で、スラッシュがかったパワー・メタルを聴かせるHELLGENOMの松田大二郎(Vo、B)が イベント「HARD ROCK SUMMIT」を切っ掛けに知り合い意気投合、結成へと至ったパワー/スラッシュ・メタル・バンド。 最後にドラマーとして、OUTRAGEの丹下真也が合流してラインナップが完成。韓国で行われた日韓交流ライブに 参加する傍ら、ソウルでレコーディングした5曲入りEP『CERBERUS』を'05年に発表。 当初は助っ人としてドラムを叩いていた筈の丹下も(居心地が良かったのか)正式メンバーとして参加を表明、 '07年には、オーストラリアでレコーディングされた1stフル・アルバム『FEAR NO DECAY』もリリースされている。 サウンドの方は、初期OUTRAGEの突進力に、TANKの男気と哀愁を注入したかのようなパワー/スラッシュ・メタルで、 怒涛の如く押しまくりつつも、力強く歌うVoと、劇的なソロを連発するGがメロディもしっかりとフォロー。 スラッシャーのみならず、一般のメタル・ファンにもアピールし得る音楽性を備えている。